衆議院

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第17号 平成19年4月26日(木曜日)

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平成十九年四月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 林  幹雄君

   理事 森山  裕君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石田 真敏君

      今井  宏君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    木挽  司君

      実川 幸夫君    柴山 昌彦君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 康夫君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      安住  淳君    市村浩一郎君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      園田 康博君    田嶋  要君

      福田 昭夫君    馬淵 澄夫君

      森本 哲生君    江田 康幸君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     柴山 昌彦君

  田嶋  要君     馬淵 澄夫君

  西村智奈美君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     萩生田光一君

  園田 康博君     西村智奈美君

  馬淵 澄夫君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公営企業等金融機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、総務省自治財政局長岡本保君及び自治税務局長河野栄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 本法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、この法案が審議に至るまで、平成十二年でございましたか、行政改革大綱というところから、これは閣議決定されたわけでありますが、スタートいたしまして、その後、特殊法人改革、また政策金融改革という道をたどってまいりまして、本法案の審議に至ったわけでございます。

 それで、八政策金融機関がございまして、御存じのとおり、今、各委員会で審議をいたしておりますけれども、一つは、国金、中小公庫、農林公庫、国際協力銀行、この四つの機関が統合して一つの機関になる、平成二十四年以降は沖縄開発公庫もそこに統合される、こういうようなもの。もう一つは、商工中金、日本政策投資銀行、この二機関は完全民営化の道を歩む。もう一つ、本法案、地方公営企業等金融機構法案、この公営公庫が、ほかの政策金融機関と異なりまして、廃止をされまして新たな機関としてまた出発をする。こういう意味におきましては、若干この八機関の状況が異なっておりまして、特にこの地方公営企業等金融機構法案につきましては、ほかの機関とは異なっておるということであります。

 そこで、やはり私たちは非常に注意しなければいけないことは、現行の公営公庫が地方公共団体に働いてきたこの重要性、存在感というのは非常に大きなものがあります。長期かつ低利な資金を地方公共団体に安定的に供給するということの果たしてきた機能は大変大きなものがあるわけでありますが、この行政改革の大きな流れの中で、今回、衣がえをするといいますか、そういうような形で行われるわけであります。

 先般、夕張市が再建団体になったわけでありますけれども、あの状況を見ておっても、やはり市民の皆さん、地域住民の皆さんが多大な迷惑をこうむっておられるわけで、地方団体の運営をうまくやっていく、円滑にやっていくということは非常に重要な問題で、その資金的なところをサポートしておるこの機関がどういう道を歩むのか、大変関心を持たれておるところでありまして、大きな混乱なく移行できるように最大限の配慮を払う必要がある、このように考えておるわけでございます。

 そこで、その観点から、何点かの質問をさせていただきたいと思います。

 法案を見せていただきますと、今までは国の機関でございましたから、産投会計から出資をしまして、全く国の機関として機能を発揮しておったわけでございますが、今回の新しい機関は地方公共団体が中心で、地方公共団体以外に出資できないというような機関になっておるわけでございます。そういう意味におきましては、やはり地方公共団体の皆さんも、この機関がどういうようになるのかということは大変関心を持っておられるわけであります。

 そこで、まずお伺いをいたしたいことは、組織といいますか、代表者会議というのが設けられます。この代表者会議、私は民間でいうとどういうような位置づけになるのかなと思っておったんですが、ある人は株主総会的なものだと言う方もいらっしゃいます。株主総会というのは、株を持っておられる方以外にそこに参加できないわけであります。この代表者会議というのは、すべての地方公共団体が出資をするということを要請しているわけではありませんから、出資をしておらない地方公共団体の方が代表者会議に参加されるということも十分考えられるわけであります。そういう意味で見ますと、むしろ株主総会ではなくて取締役会みたいな、民間企業の大きな方向性、大筋を検討するような、その中にボードメンバーで各代表がおられるというようなことなんだろうと思うわけでございます。

 それで、大まかなところがその代表者会議で決められまして、あとは、そうすると民間企業でいうと執行部、現実に業務を行う方、この法案で申しますと、理事長、副理事長、また理事、監事というような方が執行部なんだろうと思うんですね、このような体制、今民間で例えて申し上げたわけでありますけれども、そういうように私は考えるわけであります。

 そこで、一つお聞きしたいのは、理事長さんは代表者会議が任命する、ところが副理事長さんは理事長が任命すると。理事長、副理事長双方が代表権を持っておられます。対外的には、代表権を持っておられるのは理事長であり副理事長。

 今申し上げましたように、理事長は代表者会議で選任をされまして、副理事長は理事長が選任するというようなことになるわけでありますが、そうなりますと、副理事長は理事長の言ったとおりにお聞きになってそのように動かれるという可能性が高いわけでありますが、民間企業では、ガバナンスということを非常によく言っております。相互的に牽制し合うということが重要だという観点で、そういうガバナンスのことをよく言われるわけでありますが、理事長また副理事長が代表権を持っていらっしゃって、選出の仕方が異なるといったことに対してどのようにお考えなのか、まず初めにお伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 理事長については、これは代表者会議が任命することになっております。そして、法案では、この理事長の任命のもとに代表権を有する副理事長を設置し、これによって経営管理の最高責任者である理事長を補佐して、機構の円滑な業務運営を可能にする、実はこういう体制を整えているところであります。

谷口(隆)委員 ちょっと回答になっていないんです。要するに、理事長は代表者会議で選ばれるとおっしゃった。副理事長は理事長が選ぶわけです。両方とも対外的な代表権を持っていらっしゃって、ですから、お互いに意見が食い違うような場合はあるんだろうと思うんですね。そのときには、私が今申し上げた相互牽制といいますか、そういう意味では問題ないのか、こういうことを申し上げたんです。

菅国務大臣 基本的には、問題が生じることは想定をしてはおりません。機構の執行機関に対しては、今委員から御指摘されましたように、地方の代表者等で構成する代表者会議、また外部の有識者で構成する経営審議委員会、これによってチェック体制というものが構築をされておりますので、適切なガバナンスというものが確保されるだろうというふうに考えています。

谷口(隆)委員 次に、役員の兼職禁止規定というのがありますね。この代表者会議の承認を受けた場合を除き禁止ということでありまして、逆に言うと、代表者会議の承認を受けた場合には兼職してもいいですよということになるわけであります。例えば、金融とか証券に関する知識に着目いたしまして民間企業の役員等を招くような場合があると思うんですが、代表者会議の承認を受けて兼職が認められたといったような場合に、機構と、仮に金融機関から来られた方がおられて、金融機関の方、利益相反するような場合があるんですね。地方公共団体に、ある銀行が融資をしているというような場合に、その民間金融機関と機構との間で利益相反をするような場合が考えられるわけでありますが、このような場合に、一体どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 確かに、今御指摘されたようなケースというのはあり得るだろうというふうに実は思っております。

 ただ、そういう中で、役員の兼務については、機構外部の者を役員として活用することが機構の業務運営上有益な場合もあることから、例外的に兼務可能としておりますけれども、最終的には、代表者会議が総合的な立場から兼職の承認について適切に判断するだろう、このように考えています。

谷口(隆)委員 ですから、基本的には国の関与は最小限にということでありますので、代表者会議で、定款なり規定なり、そのような利益相反が起こらないようにしていただくというようなことを期待するものでございますし、大臣の方からも何らかの形でそういう意思を伝えていただければというように思う次第であります。

 次に、資本金について申し上げたいと思いますが、資本金は全く決まっておりません。それで、どの程度の資本金にするかということについて、これは地方公共団体が全額出資をするわけでありますけれども、巷間、どの程度の資本金になるのか、こういうように心配されている方もいらっしゃいます。これは機構に任せることでありますけれども、大臣として、どの程度の資本金が望ましいのかということをお聞きいたしたいと思います。

菅国務大臣 基本的には、現行の政府出資百六十六億円、やはりここを基本とし地方公共団体による出資というものを検討しているというふうに伺っております。

 いずれにしろ、機構の運営に関する最高意思決定機関は、地方三団体の代表者あるいは外部の有識者の代表者会議でありますので、ここで機構全体の立場に立って適切な判断がされるだろう、このように思っております。

谷口(隆)委員 それと、大きな団体もありますし小さな団体もありますから、地方公共団体間の出資比率に当然違いが出てくるんだと思うんですね。それで、受けるところもあるでしょうし、出資しないところもあるかもわかりませんね。当然ながら、資本金の出資割合に応じて、一般的には、発言の重さが変わってくるといいますか、発言権が高まってくるわけですね。

 そういうようなことが考えられるわけでありますけれども、これは機構任せということでありますが、このような発言権についての違いが出資割合によって出てくるわけでありますけれども、このようなことに関しましてどのようにお考えなのかお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、基本的には代表者会議で決めるわけでありますけれども、出資者である個別の地方公共団体のその多い少ないによってそうしたものが反映されて運営がされることは常識的には考えられない仕組みかなというふうに思っています。

谷口(隆)委員 ちょっとわかりにくかったんですけれども、どういうことですか。もう一回ちょっと。

菅国務大臣 全体の意思決定機関は、先ほど来お話がありますように、代表者会議で決定をするわけですね。そこで適切に対応するわけでありますけれども、出資者である個別の地方公共団体、これの出資の多い少ないによって、そのことが反映されるような運営というのは通常考えられないというふうに思っています。

谷口(隆)委員 だけれども、大体、出資割合に応じて発言が変わってくるというのは一般的でありますから、そのあたりは十分に注意して、そのようなことのないようにやっていただきたいということを、大臣に申し上げても仕方ないんですが、新しい機構におっしゃっていただきたいと思います。

 それで、その次でありますけれども、今回のこの法案の目的のところに、「機構は、地方公共団体による資本市場からの資金調達を効率的かつ効果的に補完するため、地方公共団体に対しその公営企業に係る地方債につき長期かつ低利の資金を融通するとともに、」これは現行法でもありますね、その次に、「地方公共団体の資本市場からの資金調達に関して支援を行い、」こういう新しい目的規定がつけ加えられまして、現行よりその部分が広くなっておるわけであります。

 それで、このような、資金調達に関して支援を行うというようなことを入れた理由をお伺いいたしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正の目的は、政策金融機関の役割を縮小して、地方公共団体の自己調達をできるだけ進める。その意味で、新しい機構は、地方公共団体単独ではできない長期の資金でございますとか、財政力の弱い団体等のそういう機能を補完していくというのが大きな目的でございます。一つは、直接的な資金を融通するという意味での補完、もう一つが、今申し上げましたような民間からの資金を調達するときにその支援をするという意味での補完といった、二つの補完する場面が考えられるわけでございまして、その意味で今回の今委員御指摘のような法規定の目的にいたしております。

 このことは、政策金融に係る制度設計、閣議決定されましたものにおきましても、新しい組織は、「個々の地方公共団体の資金調達の環境整備を行う」ということとされておりますので、地方公共団体の資金調達に関します調査研究、情報提供などの機構の業務を加えたところでございます。

谷口(隆)委員 まさにおっしゃるとおりで、最近は市場もいろいろ多様化しておりますから、民間から資金調達するといっても、いろいろな、金利状況もありますし、そのようなことになれていらっしゃらないというようなところもあるので、これはぜひそういう観点でやっていただきたいと思います。

 ちょっとあれですけれども、現行の地方債計画に、公営公庫資金は重要な原資になっているわけですね。ちなみに、地方債資金に占める公営公庫資金の比率は大体おおむね一〇%前後になっておるわけであります。今回は絞り込むということもあるわけでありますけれども、この比率が変化するということは想定されるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 地方債計画におきます公営企業金融公庫資金の割合は、今委員御指摘のように、例えば平成十九年度でございますと、計画総額十二・五兆円のうち、公庫資金約一・四兆円でございますので、約一〇%程度となっております。

 地方債について、全体の資金の流れを官から民に変え市場化を推進するということは、これまでの基本方針でも定められておりまして、重要な課題であるというふうに認識をいたしております。郵政民営化に伴います郵政公社資金の廃止、あるいは財政融資資金の段階的縮小等とあわせまして、今回の公営企業等金融機構の貸付規模についても、この基本的な考え方を踏まえて、段階的に縮減という考えといたしております。

 地方債計画全体の規模にもよりますけれども、貸付規模縮小に伴って、機構の貸付資金の比率も段階的に減少していくというふうになると思われます。しかし、その際留意すべきことは、地方公共団体の建設投資といったものは、上下水道など住民生活に不可欠なものが多いということ、また、財政力の弱い市町村も法令等に基づきましてこうした仕事を担っているという事情もございますので、そのような団体でもきちんと的確な仕事ができるというもとで、今申し上げましたような基本的な傾向を踏まえて、資金の確保といったことに当たっていくことが必要であるというふうに考えております。

谷口(隆)委員 冒頭申し上げましたように、地方公共団体側からして、このような機構に移行することによる変化が大きく影響することのないようにやっていただきたいと思う次第であります。

 次にお伺いをいたしたいのは、この法案の二十八条でありますけれども、業務の範囲でございます。業務の範囲につきまして、公営企業の二項でありますけれども、二項で、公営企業として上下水道、交通、病院、公営住宅と挙がっておりまして、六号の、これ以外の、事業の経費を当該事業の収入で充てる事業のうち政令で定めるものについては、機構の業務の重点化を図るという観点から段階的に縮減するというようなことになっております。

 また、三十条の二項では、行革推進法の規定による財政融資資金の地方団体に対する貸し付けの縮減にあわせて、地方債の資金貸し付け及び地方債の応募について段階的に縮減を図るものとしているということであります。三十条の一項、二項で、段階的に縮減を図る、こういうことになっておるわけであります。

 この新機関は、先ほど申し上げた上下水道、交通、病院、住宅など、住民に密接な関係を有する社会資本整備を効率的に行うために共同で地方債資金を調達するという考え方に立ちつつ、現行公庫より一層絞り込むということで重点化を行うことになっておるわけでございます。このように絞り込んでいくということになりますと、地方公共団体から見ると、必要な資金は機構以外のところから調達をしなければならないということに当然ながらなるわけでございます。

 二十九条では、この機構は収支相償でなければいけないと。要するに、初めから収入を上回るようなものを出せないということになっておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、二項では、機構は、資金調達能力、財政状況を考えて資金の融通を行うこととなっているわけでありますが、地方公共団体側から見ると、その判断基準がわからない、非常に困難であるということで、ある程度の基準を明示するということであれば、団体側から、これはもう機構の方から金は出さぬのだなと。そうすると民間なり資本市場から調達するということも考えられるわけでありますけれども、そのあたりがちょっと漠といたしておりますが、これは、政令なり省令なり、また何か具体的な方法を通じて、このような指標を明示されるということを考えておられるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 今委員から御指摘のありました二十九条は、機構が貸し付けを行うに当たっては、民間その他の機関からの調達金利を勘案するとともに、政策金融に係る制度設計において、「財政力の弱い地方公共団体の資金調達に係るセーフティネットを構築する。」とされたことを踏まえまして、各地方公共団体の財政状況だとか、あるいは資金調達能力及び資金調達に伴う財政上の影響を適切に勘案することを定めておるものであります。

 実際に貸付業務を行うに当たってどのような基準を設定するかは、主体的には機構の判断によるものと思いますけれども、民間資金の補完という役割を基本としながら、地方公共団体の資金調達に支障が生じないように配慮しつつ適切な貸し付けが行われる、このように考えております。

谷口(隆)委員 機構の問題なんですけれども、しかし、今大臣おっしゃったように、やはり適切に行われなければなりませんので、そのあたりを機構の中で十分地方公共団体側に理解できるような状況をつくっていくということも必要なんだろうと思うんですね。そうしないと、こういう抽象的な言いぶりでありますと、なかなか地方公共団体側も困るということなので、今は漠としたお答えであったわけでありますけれども、何らかの形でそれを明示できるような、どの程度の明示なのか、またそれは検討していただいたら結構でございますけれども、お考えをいただきたいと思うんですが、もう一度、どうですか。

菅国務大臣 今申し上げましたように、基本的には機構の判断によりますけれども、しかし、実際にこの目的どおりの融資が行われないということは、これはやはり支障を来すわけでありますので、その辺のことは十分配慮させていただきたいと思います。

谷口(隆)委員 ぜひそういう観点でお願いいたしたいと思います。

 次に、公営企業健全化基金についてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、地方競馬だとか競輪だとかオートレースだとか競艇等の収益によって積み立てられる基金でありますけれども、これは、公営競技の施行団体と非施行団体との間の収益の均てん化を図ることを目的として、公営競技の収益の一部を公営競技施行団体が納付した納付金を積み立てて、運用益を公庫の資金調達コストを下回るような特別利率、臨時特別利率による貸し付けから生じた損失の補てんに充てるものであるということでございます。

 機構は今回、公庫の基金を全額承継いたしまして、一般勘定に設置される公営企業健全化基金に積み立てた上で、各年度におきましても納付金を積み立てるということにしておるわけであります。しかし、地方財政法三十二条の二の根拠規定で、この納付金そのものが平成二十二年度には終えるというようなことになっております。

 それでお伺いをいたしたいわけでありますけれども、二十三年以降の態様については一体どのようにお考えなのか。ちなみに、この基金は、平成十七年度末現在には八千七百三十九億円と、かなりの金額になっておるわけでありますけれども、これについてお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 今委員御指摘のように、二十二年までの五年間、ただ、実はこれは延長したばかりでありますので、二十三年度以降の納付金制度については、現時点でコメントすることは難しいのかなというふうに実は思いますけれども、公営競技の収益の均てん化、そういう必要性があることを踏まえながら、機構の利下げ貸し付けの所要額とその財源の見込み、公営競技の経営状況とか、また機構の経営状況もあります、そういうものを踏まえて、そのあり方というのはその時点で検討されていくものだなと思います。

谷口(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、冒頭お話をいたしましたように、地方公共団体側からすると大変大きな変化でありますので、円滑にこの資金調達ができるということは、地方公共団体だけではなくて国民に大変大きな影響を与えるわけでありますので、この変化が起こったときにはいろいろなトラブルも生じやすいわけであります。今回の場合は、特に機構に全面的にお任せするということでありますから、そのあたりのことも十分、大きなトラブルもないように、移行がスムーズに進むように、大臣の方からもぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上でございます。

佐藤委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、地方公営企業等金融機構法でございますけれども、これは政策金融というんですかね、特殊法人改革とか政策金融機関の改革、あるいは行革推進法、こういったことで、今回初めて大がかりな整理が進んでいくというような理解を私いたしておるわけでございます。

 大臣、まずお伺いしたいんですが、これは、小泉さんのときに、政策金融というものの対GDP比のカウント、GDP比で半減をしていくという目標設定がなされたわけですね。この目標設定に関しまして、私はそれはもう大変結構なことだというふうに思うわけでございますけれども、当該公庫の廃止ということによって、公庫の融資残額がなくなるわけでございますが、その部分というのは、ここで言っている半減ということにはカウントされておるんでしょうか。これは林副大臣の方から。

林副大臣 田嶋先生御指摘のように、長い間の議論の中で、当初の方だったと思いますが、政策金融の対GDP比の半減という目標をつくったわけでございますが、これはあくまで、政策金融というのは民業の補完をする、こういう観点で当時の経済財政諮問会議で分類をしていただきまして、今の政策金融機関が担っている機能をそれぞれ抜本的に見直して、完全民営化、廃止される機関の機能を政策金融の外に切り出す、必要最小限の業務を一つの新たな政策金融機関に担わせる、こういう議論をしたわけでございます。

 そこで、今委員が御指摘になった半減という目標を設定して、行革推進法の四条二号にもそういう定義規定を置いております。その定義規定にも書いてあるとおりでございますが、この公営企業金融公庫の融資の残高は、この半減目標における減る方に入っている、そういうことでございます。

田嶋(要)委員 私もそこを確認いたしまして、全然違う話ですけれども、少し印象として同じようなイメージを持ったのは、公務員の数を減らしていくという話がありまして、独立行政法人をいっぱいつくりまして、独法の中に公務員型と非公務員型、実際には公務員型があると。つまり、そこには国家公務員がいるにもかかわらず、総定員法の枠の外だ、そういうことで、公務員の数が大きく減ったというような議論があったわけでございますけれども、この半減にここの部分を本当にカウントするのかどうか、すべきかどうかということに関しては、私は若干疑問を感じるわけでございます。

 そこで、ちょっと、質問通告しておりませんけれども、林副大臣に続けてお伺いしたいのは、これは、歴史的に、日本は政策金融、政府金融が大変大きな割合を占める、ほかの先進国に比べてもそうだということでございますけれども、これは一体、どうして我が国はこういうような金融の形になっておるんだというふうにお考えですかね。なぜこういう状況がまずあるんでしょうか、日本には。御所見いただきたいと思います。

林副大臣 必ずしも所管ではございませんが、せっかくの田嶋委員のお尋ねでございます。

 先進五カ国がこの議論をしたときの政策金融に当たるものを調べて、当時の経済財政諮問会議の資料で出ておりますが、アメリカが対GDP比で五・四%、英国五・七%、ドイツはちょっと多いんですが一六・七%、フランスが八・七に対しまして、日本は一九・一%とやはりかなり高かったということであります。

 いろいろな要因があろうか、こういうふうに思っておりますが、そもそも直接金融と間接金融の割合、別の意味で直間比率と言ってもいいと思うんですが、これが非常に大きいということがまず根底にあるのではないかというふうに私は思っております。

 その中で、財投の改革というのをやりましたけれども、当時は預託義務というのがございましたので、入り口にどんどん入ってくるわけですね。そうすると、かなり余裕のある資金が入り口でどんどん入ってくるので、財投計画そのものも大変大きくなってきた、こういう長年の背景がやはりあったのではないかというふうに考えております。二〇〇一年ぐらいからだったと思いますけれども、預託の義務を廃止するということを含めて財投の改革をやって、財投計画自体もかなり、当時のピークからすると半分に近いところまで減ってきている、こういう状況がございますが、そういうようないろいろな要素があった。

 また、使いやすいということも事実でございます。今回も絞り切ったわけですが、半減するということは、政策金融自体は必要だという認識で必要なものは残したということでございますので、御利用されておられる方から見ると非常に使いやすい、こういういろいろな要素があって、非常に高い水準に来ていた。

 さらに加えれば、バブル後のいろいろなことがあって、民の方、民間の金融機関の方がやはり一部機能不全になっていた、そこも、補完という意味では、少し伸び切ってやっていた。

 いろいろな事情があって、やはりGDP比の残高が、先進諸国の中では高目に出ていた、こういうことが考えられるというふうに思っております。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおり、我が国の場合、実際、間接金融主流の慣行というか、そういうことだったということは、私もそのとおりだと思います。資本市場がもう少し整備されて、そして、直接的な資金調達の債券市場の充実、そういうことがやはり未整備だったということも大きな要因だったというのは、私もそのとおりだというふうに思うんですが、やはりもう一つは、同じような金融機関が縦割り行政の中でそれぞれの役所にくっついてできてきたという印象は、私はやはり否めないと思うんですね。

 結果的に、八つ金融機関があったわけで、今回それを初めて整理していこうというわけなんですが、結局は、日本の行政の形に沿って、補完という本来の建前を大きく逸脱した形で、むしろ補完ではなくて主流のような役割、そして、もちろん、いろいろな意味で優遇措置があるわけですから、借りる側から見たらそれは便利ですよ、それはもう金利は安い方がいいに決まっていますから。そういうことで、何となくもう補完的役割を逸脱したようなところまで膨れ上がってしまったというのが実態ではないのかなというふうに思います。

 そこで、次の質問でございます。

 今回のような整理、統廃合というのは大変歓迎をすべきだというふうに私自身も思っておるわけでございますが、この機構の前身でございます公庫に関して、これは一本化されて新政策金融機関というのができるわけでございますけれども、この当該公庫の融資業務、これはなぜこの新しい金融機関に一本化できないのかということをお伺いしたいと思います。

林副大臣 この政策金融改革を議論していく中で、今まさに委員が御指摘になりましたように、やはり政策金融というのはあくまで民業補完であるべきだという観点で、先ほど申し上げましたように、経済財政諮問会議において機能を一つずつ見直していって、この政策金融から撤退するもの、それから、先ほども申し上げましたが、必要であり残すものなどに分類をしたわけでございます。

 平成十七年の十一月二十九日付で、政策金融改革の基本方針というものを決めたわけでございます。そこで、例えば中小零細企業、個人の資金調達支援等、今、国金がやったり中小企業金融公庫がやったりしているものですが、こういうものを含めた必要なものについて、行革推進法で新たに設立する今度の政策金融機関に担わせるということにしたわけでございます。

 公営公庫は、この基本方針でどういう整理をしたかと申し上げますと、これは地方公共団体の共同債券発行機能であるので政策金融のスキームで行う必要はなく、撤退するというのがそのときの整理でございましたので、これに基づきまして公庫を廃止して、資本市場等を活用した仕組みに移行するというふうにしたわけでございます。

 その後、もう少し詳しい政策金融改革に係る制度設計というのを閣議決定したと思っておりますが、公営公庫の廃止後の新たな仕組みに関しまして、地方公共団体が共同して、自分たちで資金調達のための新組織を設立して公営公庫の業務を引き継ぐということが決まったというふうに承知をしておるところでございます。

田嶋(要)委員 それでは、いわゆる旧勘定、管理勘定の部分だけでも、いわゆる今申し上げた新政策金融機関、そちらの方で行っていくということはできないのか。つまり、今回新たにつくられる機構の中には、これまでの資産、負債の管理と新たなこれからスタートする業務との全く別のものがあると思うんですが、そちらの部分に関して、少なくとも前者の部分に関しては国の方の新しい金融機関で一本化していく、そういう検討はなされたんですか。

菅国務大臣 地方公共団体が現在の公庫から借りられた資金については、国の強い関与が認められている新政策金融機関が引き継ぐよりも、地方が主体に運営をする今回の機構が引き継ぐ方が、より地方分権に資するというふうに思っております。

 さらに、地方公共団体の立場からも、公庫資金と機構資金に関する事務を別々に行うよりも、まとめて執行する方が業務効率の上からもすぐれている、そういう観点からこのような措置をさせていただきました。

田嶋(要)委員 こういうことを考えるときに、私は、例えば民間の金融機関のことをイメージすれば、民間の金融機関がどういう借り手にお金を貸すか。それは、例えば一部は公共目的であり、一部は例えば電力とかのそういった資金ニーズ、それぞれの分野ごとに部門を分けるということはよくあることですね。事業部とかそういうことですね。なぜ二つ、全く違う組織をつくらなきゃいけないのかというところが私の素朴な疑問でありまして、本当に新たな機構をつくる必要性があるのか。

 今回、GDP比で半分にする、そして、数ももう一本化するという大きな基本命題があったわけですね。二つは民営化される、それはいいわけですけれども、一本化されるといったときに、私は完全に一本化されると思っていました。ところが、実は、廃止と言っておきながら、同じ日に新しいものが一個誕生する。それは地方の共同団体だという名目ですけれども、何かはぐらかされたような印象を受けるわけですね。

 本当だったら、一本化すればいい。どこに貸すんだって一個の金融機関で、あくまで民の補完の団体としての金融機関は一個あればもうそれで十分じゃないか。それが、これまでは、農業はこっち、中小はこっちと、一個一個縦割り行政の結果としてそういうものが誕生してきたけれども、ここへ来て一本化する。借り手側から見れば、さっきから申し上げたとおり、安い金利で借りられるにこしたことはないので、必要ですかと聞けば、だれだって、必要です、あった方がいいですと言うに決まっていると思うんですよ、六団体に聞けば。だから、私は、そこはやはりもっと絞り込んでいく必要性があったのではないかなというふうな印象を持っています。

 加えて、政策融資資金というのがございますね。要するに、政策融資資金という形で、公庫あるいは今度の機構とは別に政策金融をするチャネルというのは今後も残っていると思うんですね。そこはどうでしょうか、大臣。これは今後もあるんですね。

岡本政府参考人 現在、地方公共団体向けの融資で公営企業金融公庫以外の政策金融機関で行われておりますものにつきましては、例えば政策投資銀行、農林公庫、それから沖縄公庫で行われております。これはそれぞれ、公害防止、それから造林、林野等の貸し付けというふうに、極めて限定的な貸し付けが行われておりまして、十七年の実績でも三機関合計で約百七十億円という状況ではございます。

 したがいまして、地方公共団体向けに公営企業を中心として一兆円規模の融資を行うという意味での公営企業金融公庫の中心的な役割といったものは、なお必要であったということだろうと思います。

 今後、具体的に新しい公庫でこれらの、今申し上げましたような限定的な政策金融を続けられるかどうかということを、私は直ちにお答えする立場にございませんが、そういう規模にとどまっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

田嶋(要)委員 今の質問は、公庫とは別に、いわゆる政策金融としての財政融資資金というのが存在するということは確認をさせていただいていますけれども、ございますね、地方自治体に対する貸し付けという意味で。

岡本政府参考人 政策金融機関以外に、現在要するに国が直接やっております財政融資資金という地方公共団体向けの貸し付けは、規模を縮小していくという基本的な方向でございますが、引き続き行われるものというふうに理解いたしております。

田嶋(要)委員 そうすると、今度の機構の自治体に向けた融資と、今おっしゃった財政融資資金、これはどう違うんですか。

岡本政府参考人 現在行われております地方公営企業金融公庫、それから政府が直接行っております財政融資におきますと、主に公営企業分野に関しまして、いわば公営企業金融公庫が行っております分野については、公営企業金融公庫が行っております資金融資と財政融資資金とがそれぞれ中心的な役割を果たして行われている。

 それ以外の普通会計の分野、例えば災害対策でございますとか国の直轄事業等の各種の公共事業にかかわりますものについては、これは財政融資資金が行っているというデマケが行われているわけでございます。

田嶋(要)委員 そうすると、今の御説明ですと、そのデマケですと、財政融資資金のカバーしている範囲と公庫の範囲では、財政融資資金の範囲の方が広いということですよね。

岡本政府参考人 いわゆる普通会計の分野で行われております地方債の公的資金の融資という意味では、財政融資資金が大きな役割を果たしているということでございます。

田嶋(要)委員 大きな役割を果たしているかどうかじゃなくて、所掌範囲、その両方のお金、どちらも地方公共団体に融資をするお金として、財源としてあるわけですが、どういう場合に借りられるかというのがあると思うんですけれども、今おっしゃった融資資金の方が、そういう意味では貸せる対象としては広いものという位置づけでいいですか。

岡本政府参考人 普通会計の分野に関して申し上げますと、公営企業金融公庫資金が貸し付けできる事業は、いわゆる道路、河川、高校という要するに臨時三事業と言われている分野でございますので、残りの分野に関しては、財政融資資金が貸し付けているという状況でございます。

田嶋(要)委員 ですから、そういうふうにお話を伺っていますと、私は、やはり、これは補完といいながら、同じようなものが二個あるという感じがどうしてもするんですよね。これは、どうして機構を残さないと、あるいは新たに機構をつくらないと、政策金融として最小限の補完機能を果たせないのかというのは、私はよくわからないんですけれども、大臣、もう一回お願いします。

菅国務大臣 基本的には、資金の流れを官から民に、そういう形で私ども現在も行っておるわけでありますけれども、しかし、上下水道、交通、病院などの住民生活に密着した社会資本整備については、地方公共団体が引き続き行っていくという必要があって、その事業は、民間からは調達が難しい長期の資金調達、そのために、地方債資金の自己調達は推進してはいますけれども、財政力の弱い地方公共団体においても、やはり安定的な長期そして低利の資金調達を行うことが必要である。そういう中で、やはりこれを補完する組織として、機構というのは私は必要であったというふうに思います。

田嶋(要)委員 ですから、民間からの長期の低金利調達が困難な場合、それはあると思うんですが、その場合に、この財政融資資金は使えないんですか。

岡本政府参考人 財政融資機関も財政融資機関として、それぞれの調達した中で、長期、低利、地方公共団体の社会資本整備に向けて一定の役割を果たさせていただいているわけでございますが、先ほど来お話させていただきますように、今回の改革が、全体に官から民への流れ、それから、地方公共団体が自律的に資金を調達していただくという基本的な中で、長期の資金といったものについて、地方が自律的に集めるという姿勢からすれば、地方が共同して資金を調達するというチャンネルをつくっていくということは、やはり地方分権の流れに資するものだというふうな考え方もあわせ考えまして、今回のこういう機構を設立しているということでございます。

田嶋(要)委員 地方分権という観点は一つあるんですね。あるんですが、一つ私が気をつけなきゃいけないと思うのは、これは、国でも地方自治体でも、やはり官ですね。これは官から民へじゃないんですよ、官から官へなわけですね。どちらも税金がもとになっている世界ですね。

 そうすると、こういう機構をもう一個誕生させるということは、やはり重いと思うんです。これが国から手が離れた組織であったとしてもですよ。国から手が離れたから民営化と一緒かというと、やはりそうじゃないと思うんですよ。だから、民営化された二つの金融機関とはまるっきり違う。本当にこういうものをつくる必要があるのか、納税者の立場から見てこれが本当にいいことなのかということを考えなきゃいけないと思うんですよ。

 それで、しかも、縮小がわかっている補完的な金融機能ですね。金融機能に常に財政融資資金というものがあって、その財政融資資金で補完的な役割を果たしている。そういうときに、地方の共同という名目でこういう機構が新たに誕生するということに関して、私は先ほどから、本当に必要なんですかという疑問を呈しておるわけです。

 言ってみれば、一つあるよりもう一個あった方が安心だぐらいの感じで、財政融資資金は使うことはできるけれども、またもう一個とりあえず用意しておこう、何となくそういうような感じがするんですけれども、そうすると、いつまでたっても、これはまさに分権の流れを加速させることはできないんじゃないか。要するに、目の前に低金利でおいしいファイナンスがそこにあったら、それはいつまでもそれに対する依存的なことになってしまうと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

菅国務大臣 田嶋委員の意見も私は一つの意見だと思いますけれども、しかし、現実問題として、地方公共団体、財政力の弱いところもたくさんあるわけでありますから、そうしたところが、やはり生活に密着をしたものについて長期で低利な資金を獲得する、それについて地方公共団体が主になって行うということは、私は今の現実的なものとしては必要であるというふうに思っています。

田嶋(要)委員 そうしたら、次の質問に移ります。

 こういう分権の中で、地方公共団体共同の組織として新たに立ち上げるということでございますと、確認でございますが、現在、公庫の役員の中には退職公務員や出向者がおいでだと思いますけれども、その数と、それから、これは地方の共同の組織ということであれば、その新しい機構の役員に国家公務員が天下りをするということに関しては、ないということを確認させていただきたいと思います。

菅国務大臣 役員の任命については、地方の代表者等で構成される代表者会議が、機構の役員にふさわしい経験だとか知識を有する人を任命するところになっておりまして、これについて国は一切関与はしないところであります。

 その際に、よい経営者を選定するためのさまざまな選考手段というものが検討されると思いますけれども、最終的にはこの代表者会議で決められることであるというふうに思います。

田嶋(要)委員 そうかもしれませんが、国の意思としては、もうそういう時代じゃございませんし、まさに国から手を離れていったものでございますので、ぜひ、ふたをあけたら結局天下りの方がおいでだというような形にはしていただきたくないということを要望として申し添えます。

 次に、新しい機構が融資をできる先でございますが、それは、融資先と、それから融資対象案件、そういうことで限定をされているというふうに思います。そして、融資対象案件は限定列挙されておるわけでございますが、なぜそのように限定列挙しているのかということ。

 そしてもう一つは、例えば電気とか水道とか都市交通、そういった事業というのは、最近いろいろと民間セクターもやっておるわけでございますが、そういった民間セクターは、この機構が提供する特別利率による借り入れ、それは借り入れる資格がないものだと理解をいたしておりますけれども、そうすると、官民の間で条件に格差が出るのではないかなというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今回の政策金融改革の目的というのは、政策金融の役割を縮小して、地方債資金の自己調達というものを基本とするものでありますけれども、機構は、先ほど来申し上げていますけれども、相対的に財政力の弱い市町村を中心として、自己調達に限界のある長期、低利の安定的な資金を供給する組織として設立されるものであって、この趣旨を踏まえまして、機構の貸付先を地方公共団体に限定するとともに、対象事業については、民間からの調達では限界のある長期、二十年以上であって、住民生活に密着した社会資本整備事業に限定をしたということであります。対象事業については、当面、現公庫の範囲内とし、一定期間かけて絞り込むこととしておりますけれども、地方公共団体の資金調達に配慮しつつ、適切に対処してまいりたいというふうに思います。

 そしてまた、電気、ガス等でありますけれども、そうした趣旨の中で、機構の貸し付けが民業の圧迫にならないようにと認識をしておりますけれども、こうした事業のように、民間と競合する事業については、今後とも、民間への事業の譲渡だとか、民営化を積極的に推進していく、こういうことが必要だというふうに思っています。

田嶋(要)委員 だから、機構が民間の金融機関と競合する点に関しては、補完的役割ということでいいんですよ。

 私が申し上げているのは、借りる側の事業主体が必ずしも地方公共団体でない場合がある。その場合に、民間の事業主体は、この機構からは借り入れることができませんね。そうすると、そこで、資金調達サイドのコストという意味では、同じ条件では競争できないことになると私は思うんですけれども、その点に関しての認識をお伺いしたんです。

菅国務大臣 民間と競合するものについては、これは、貸し出しにならないよう、限定しておりますので、そういうふうに理解していただきたいと思います。

田嶋(要)委員 了解しました。

 最後にもう一問お伺いします。

 段階的に縮小する、これは結構でございます。先ほどの財政融資資金もそれからこの機構も、段階的に縮小する。私は大変中途半端な感じがするわけでございますが、一方では、これは地方六団体の組織なので、そういうことを法律で介入していいのかという議論もあるかもしれませんが、これは段階的に縮小するというふうにうたっているんでしたら、つい最近やりました交付税特会の償還計画、これは、どうやってこれから返していくかというのを、二十年計画みたいなものをつくりましたね。これがあくまで暫定的な、過渡的な組織として位置づけられている、役割として位置づけられているんだったら、やはり償還計画に似たような、どうやって貸し出しの残高を減らしていくか、そういう計画をつくっていくべきじゃないかな。

 要するに、数値目標化していくべきじゃないかな。十年後に見直すと一言書いていますけれども、そういうことじゃなくて、やはり、あくまでも自己抑制的に縮小させていくんだということをはっきりと打ち出していくべきではないかな。そうすることによって自治体の本当の自立を強く促していくことができるのではないかなというふうに思いますが、最後に、その点に関して大臣の御所見をいただきたいと思います。

菅国務大臣 貸付規模については、段階的に縮減を図っていく、そういうことをこの法律にも規定しています。

 しかし、機構は地方が自主的にまた主体的に運営する法人であるために、業務のあり方だとかは機構が自主的に決定をしていくというのが基本であるというふうに思います。

 将来の資金需要は非常に不透明でありますので、現時点でこの資金需要を特定することは機構の活動について制約を加えることになるのかなというふうに実は思っております。そういう意味で、具体的な貸付額の縮減だとかあるいは今委員の言われました数値目標については、現実的じゃないのかなと思います。

田嶋(要)委員 地方の自主的な組織であるんだったら、段階的に縮小するなんというのは余計なお世話だと思うんですね。だから、どっちかだと思うんですよ。これは地方の本当に自主的な、もう将来はわかりませんというんだったら、段階的に縮小していくなんということを国が決めること自体おかしいと思うんですよ。それは地方がそれぞれ判断する。だけれども、こうやって言っているのであれば、明確に縮小計画をつくったらどうですか。何となく、今のあり方というのは大変中途半端な介入の仕方のような感じがいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 新機構法案の質疑をさせていただきます。

 まず最初に、過日、地方選後半戦、二十二日に投開票が行われました。長崎の市長選挙、伊藤前市長が突然凶弾に倒れられたこと、本当に痛ましく、またあってはならないということは、これは総務委員会あるいは国会の皆さん、同様にそういうお気持ちを持っておられると思いますし、断固、そうした銃の使用あるいはそうした組織犯罪、これについて徹底した政府としての取り組みを求めたいというふうに思いますし、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 そこで、過日、期日前投票についても総務大臣とやりとりもさせていただきました。投票券が告示日に届いていないこと、あるいは、県議選について言うと、最初の土日を過ぎて届いていることについて取り組みを求めまして、大臣からは努力をしたいという御答弁をいただきました。

 今回、期日前投票でやはり、選挙期間中に凶弾に倒れられて補充立候補ということもありましたので、大量の無効票が出たという報道になっております。特に、これまでの選挙からかんがみますと、その期日前投票で、伊藤前市長が倒れられる前の十六、十七両日の投票が七千を超え、これまでの市長の得票率からかんがみると四千四百票が伊藤市長と書かれていたのではないのか、こういうような報道もあるわけでありまして、やはり期日前投票についても、補充立候補を経て再投票ができないものか、こういったことは今も長崎市役所の方に問い合わせがある。長崎市役所とすれば、これはもう国が法律で決めているので、何ともはやと。ただ、新市長もこれについては国に要望したいというふうに報じられております。

 こうした今回の大量の無効票が出たこと、また補充立候補を経ての投票について、期日前投票というのは新しいやり方としてスタートしておりますので、この点についてはどのように見直しをされていくおつもりなのか。既に着手はされているようでございますが、見直しについての大臣の御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、長崎の市長選挙においては約八千票の無効投票が出たわけでありまして、こうした点について、投票のやり直しができないかだとか、いろいろな御指摘をいただいております。この期日前投票制度というのは、期日前投票の時点で選挙権の有無を確認して、選挙人が投票用紙を直接投票箱に入れる制度でありますので、一人一票の原則からしても、現行法上は投票のやり直しということはできないことになっております。

 さまざまな課題がありまして、補充立候補の日時あるいはこの期日前投票、実は、この制度について調べましたら、今から五十数年前にできている制度でありますから、現在と時代も大きく変わりました。補充、伝達手段も違うわけでありますので、そういう中で、私どもはもう一度原点に返って見直しをする必要があるんじゃないかな、そう思いまして、連休明けにも、学識経験者だとかあるいは実際選挙事務に当たっている人に、補充投票は何日ぐらいでできるのか、そういう作業の状況等も議論をする中で、私どもとしては、総務省としての一つの見解を出させていただいて、各党会派の中で議論して決定をしていただければというふうに思っています。

武正委員 期日前投票は五十三年前ではなくて最近始まっているわけで、五十三年前は補充立候補の制度ということで見直しが必要だということであります。

 中には、だから期日前投票というのはある面リスクがあるんだというような言い方をされる方もいるんですが、期日前投票が始まった本来の趣旨は、やはり投票率を上げるというか、できるだけ有権者の方に投票の利便性を有してもらおう、こういう趣旨で、私は高く評価をしておりますので、その評価がさらに充実するための見直しというのをぜひ御検討いただきたい。今、一人二票になるから難しいというお話でしたが、そのことも含めて御検討をいただきたいというふうに思います。

 あわせて、今回の地方選で、前回質問をいたしましたが、いわゆる統一率は三割弱ですかね。ですから、千八百自治体であれば五百ぐらいでやったんでしょうか。その今回地方選をやった自治体に、投票券がいつ配付をされたのか、あるいはいつ発送したのか、これをぜひお調べいただいて、また委員会に御報告をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 この前の委員会でも、できるだけ最初の土日に投票できるように私どもも努力をしたい、そういう話を申し上げましたので、当然、そうしたことについてはきちっと調査というものはさせていただきたいと思っています。

武正委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、本法案に移らせていただきます。

 お手元に、委員長、理事会のお許しをいただいて資料を配付させていただきました。一枚目が地方債の現在高の推移、それから二枚目が、おととい後藤委員の質問で総務省が理事会に提出をしていただいた公営企業金融公庫役員、職員の状況、役員、職員の国家公務員出向者、出身者の割合というものでございます。

 一枚目、見ていただきますように、地方債の現在高、これが年々ふえていっております。この額が二百兆円を超えているということでありますが、この二百兆円を超えた地方債の現在高、これを大臣として多いと見るか、ちょうどよいと見るか、少ないと見るか。もし多いと見るとすれば、これをどうやって減らそうとされているのか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 多い、少ないでいえば、GDPで見てもOECD諸国の実は六倍もありまして、国際的にも極めて高い水準であるというふうに思っておりまして、この残高というものをできるだけ減少させていくことに全力で努めていかなきゃならないというふうに私も思っています。

 基本方針の二〇〇六には、人件費だとかあるいは公共投資など地方歳出の抑制に取り組むこと、地方税財源の充実確保を図ること、こういうことを実はうたわれておりまして、財源不足の縮小に努め、新規の地方債の発行を抑制するなど、財政健全化というものについて今進めていく必要があるというふうに思っています。

 十九年度について申し上げますと、地財計画においては、地方歳出の抑制だとか、あるいは景気回復に伴う税収の増加等によって、前年と比較をして地方債発行額を一・二兆円減少することができました。さらに、交付税特別会計借入金の償還も行うことができるわけでありますし、地方債の残高は全体としては二兆円ぐらい縮小するのではないかなと思っています。

武正委員 多いという認識と減らさなければならないという認識はわかったわけですが、具体的にそれをどうやってというのは、これは国、地方あわせての財政再建、これについて、まだまだ政府からは明確な方向性、プライマリーバランスを二〇一〇年代初頭にとるというのは出されておりますが、財政再建は出されておりません。この地方債現在高の推移、これをどういう形で減らしていくのか、これがやはり明確に示される必要があろうというふうに思います。

 特に、これを見ますと、この十年間で倍増ですよね。既に私も指摘をしておりますが、やはりバブル崩壊後の景気回復を地方公共団体が担わされた、これはもう否めない事実だと思いますし、後ほど再建法制で夕張破綻についても、それは夕張のみならず、国、道、特に国の責任というものが問われるところはやはりここにあるというふうに思わざるを得ないのでございます。

 そこで、地方債を市場からできるだけというような、市場公募資金もふやしておりますし、また、地方債の発行も自治体の自由度緩和、こういったものを進めているわけですが、そうはいっても市場から調達できない自治体等もあるよ、そういったところをやはり今回の新しい機構がカバーするんだよ、ただ、やはり地方共同法人の自主性に任せたい、ここら辺は総務大臣からお答えありましたので、次の質問はちょっと飛ばさせていただいて、実際、地方債、これは市場公募資金も含めて、できるだけ市場から地方債を調達するため、政府資金をどんどん減らすんだ、こういった流れだと思うんです。

 私は、アジア債券市場構想は前々から関心がありまして、もともとはタイのタクシン首相が提唱したわけでありますが、やはり国債、地方債、もっともっと国際市場で流通をさせるべきだというふうに思っております。地方債も今二百兆残高がありますので、あるいはこれからこの新機構もまた債券を発行していくわけですが、こうしたものを国際市場で流通させる、あるいはアジア債券市場についての大臣の御所見も含めて、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 基本的に私は、金融市場のグローバル化と国際化、地方債においてもこれは避けられないだろう、そういう考え方を持っておりまして、地方債についても積極的に取り組むべきというふうに思っています。

 こうした観点から、地方債においても、平成十九年度税制改正において、国債と同様に、外国法人等の利子に係る源泉徴収非課税措置というものが実現をして、二十年一月一日以降の振替地方債から適用される、こういうことになっております。

 今回の特例措置を契機として、円建て地方債についても、地方公共団体と連携をして海外関係者に対するIRを実施するなど、国際市場の開拓にも努めてまいりたいというふうに思っています。

 今御指摘をいただきましたアジア債券市場イニシアチブは、貯蓄率の高いアジアの民間資金を経済発展に必要な中長期の資金ニーズに結びつけよう、そういうものであって、アジア経済発展にとって重要であるというふうに思っております。

 その中で、政府等によるアジア通貨建て債券発行も課題の一つとされておりまして、日本の円建て地方債の国際化を図るということはその一助になるものと考えております。

武正委員 大臣から前向きな御発言をいただきましたが、であるならば、やはり地公体の財政状況、その説明責任はそれこそ世界的に通じるものにしていかなければならないというふうに考えるわけでありますので、当然再建法案で議論になってまいりますが、夕張の例を見るまでもなく、一般会計、特別会計などの連結財務諸表の作成、こういったものはやはり求められると思いますし、それから、今言うようなことを今度の新機構が対応を求められるとすれば、やはり人材には当然、金融の専門家のみならず、国際的にそうした地方債を販売、流通させるための、そうした知見にたけた人を役員、職員に採用していくということが私は必要だというふうに思います。

 そこで、旧機構の、まだ現機構でありますが、振り返ってみたいと思うんですが、いわゆる臨時三事業、これがふえた理由、あるいは介護サービスがふえた経緯、これについてお答えをいただけますでしょうか。

菅国務大臣 昭和五十年代初めまでは公庫の貸付対象というのは公営企業分野に限定をされておりましたけれども、厳しい財政状況の中で地方債の一層の活用が必要とされている、そういう中で政府資金の提供に限界があったことを踏まえて、昭和五十三年度から普通会計分野の臨時三事業、これが貸付対象に追加されたのであります。

 介護保険制度の導入を機に、地方公共団体が行う介護サービスが公営企業に位置づけられた、こういうことを踏まえ、介護サービス事業に対しても公庫の貸し付けが行われるようになったという経緯であります。

武正委員 あわせて、バブル崩壊後、地方単独事業を政府は予算で、地財計画でも必死になってふやしましたね。その予算、決算の乖離がやはり当委員会でも随分問題になりました。地方が、幾ら地方単独事業をふやせと言われてもなかなかできない、これ以上できませんよ、そういう中でこの公営企業金融公庫が担った役割、これについてお触れいただけますでしょうか。

菅国務大臣 バブルの崩壊後においては、建設事業の増加による景気対策だとか、あるいは減税による減収補てん債、こうしたもののために、従来と比較をして地方債の発行というのが増加したところであります。例えば、平成元年度の地方債計画が八・八兆円でありましたけれども、十年後の平成十一年は二倍の十八・八兆円でありました。

 公庫資金についても、同時期で比較をすると、一兆円から二兆円へと同程度の割合で増加をしておりまして、地方債の資金需要が増加する中で、一定程度の資金というものを安定的に供給する役割というものをやはり公庫が果たしてきたというふうに思っています。

武正委員 先ほどの資料を見ても、百兆円地方債発行残高がふえた。その役割を、やはりこれまで対象事業の拡大そしてまた地方単独事業を積極的に推進するため公庫が担ってきたということでありますので、この後、新機構法案で、その事業の拡大を防ぎ縮減をする、こういう法律の制度設計になっておりますが、これが果たして可能なのかどうかということを、現機構を見ると、やはり心配をされる向きが大変強いというふうに思うんですね。

 今は、国の関与がまだ新機構法案に比べると強いわけですが、大臣の累次の御答弁にあるように、新機構は地方共同法人で、自治体の代表などのそうした自主的な運営に任せるんだ、国の関与をできるだけ少なくするということと、一応法律には、事業などの縮減を図っていくというふうに書いてありますが、過去を見ると、貸し手と借り手が同じことも含めたモラルハザードを大変心配する向きはここにあるということを指摘させていただきます。

 そして、もう一つお聞きをしたいんですが、現機構の縁故債を地方公務員共済組合が引き受けた理由、また、新機構についても、同様のそうした地方公務員共済組合が引き受けることになるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 地方公務員等の共済組合法において、共済組合の保有する積立金の運用については、安全かつ効率的な方法によって、地方公共団体の行政目的の実現に資するように運用しなきゃならないというように規定をされています。

 また、同法の施行令においては、地方公務員共済組合連合会の長期給付積立金の一部について、地方債または公営企業金融公庫の発行する債券の取得により運用するよう努めなきゃならないとされております。

 公庫の債券を引き受けることが、地方公共団体が住民生活に密接に関係する事業を行うために必要な公庫資金の安定を確保することにつながり、地方公共団体の行政目的に資するものであるとされております。

 新機構においても、こうした地方公共団体が必要とする資金の貸し付けを行うことになりますので、基本的な性格には変化がない、そういうことで、継続して一定程度の引き受けを続けていくということであります。

武正委員 このとき、利率は何%で縁故債を組合は引き受けているのか、お答えをいただければと思いますし、あわせて、政府は年金の一元化法案を国会に提出されておりますが、今後の地方公務員共済組合の、今言われた縁故債の引き受けに何らかの影響があるのかどうか、これについてお答えいただければ。いかがでしょうか。

菅国務大臣 公庫が発行します財投機関債と同じ利率ということで、そのときそのときによって変わるようでありますが、現時点で何%ということはお答えできないことを理解いただきたいと思います。

武正委員 これからの話じゃなくて、過去の縁故債の引き受けの利率についてお答えをいただきたいということ。

 あと、繰り返しますが、公務員共済組合と厚生年金の統合法案を出されておりますので、これの影響が今後、地方公務員の共済組合の縁故債の引き受けに何らかの影響があるのかどうか、あわせてお答えをいただきたいというふうに思います。

菅国務大臣 十八年の三月債で一・八一であります。

 引き続き、統合することによっても影響はないというふうに考えています。

武正委員 ぜひ、組合が引き受けた縁故債の過去の利率について、委員会の方に御提出をいただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いいたします。

佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。

武正委員 それで、本法案の附則十条二項に移らせていただきます。

 特殊法人から地方共同法人ということなんですね。地方共同法人というのは、これを入れて三つ目なのか四つ目なのか、いずれにせよ非常に少ない法人でございますが、もともと政府の示した特殊法人等の合理化の中で打ち出された地方共同法人(仮称)を見ておりますと、あくまで民営化の五体系のうちの一つなんですね。民営化の五体系のうちの一つに地方共同法人があって、その次に別途また項目で独立行政法人などが位置づけられておりまして、それを見ると、これはあくまで民営化なんだというふうに理解をするわけなんです。ただ、この附則十条二項を見ると、機構が公庫から承継する資産及び負債の価額は評価委員が評価した価額、なおかつ、この評価委員の価額については時価を基準とするけれども、時価によることが適当でないと認めるときは承継財産の時価によらないことができると。これは、そういう意味では、民営化の五項目の一つの地方共同法人でありながら、いかがなものかなというふうに思うわけであります。

 例えば財務諸表についても、これまでは特殊法人でありましたので、いわゆる時価によらない簿価での財務諸表の作成だったと思うんですが、例えばこれが新機構、地方共同法人も、財務諸表が相変わらず簿価での価額表示になるのかどうか。もしなるとすれば、その根拠法令や理由はどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 機構においては、今回、政策金融改革の対象となる他の機関と同様、必ずしも時価によることが適当でない、こう認めるときは時価によらないことができる旨を規定いたしています。これによって、現公庫の貸付金等については、民間金融機関における取り扱いと同様に、簿価にすることもできることとされています。

 いずれにしろ、機構が承継した資産及び負債の評価については、公正性あるいは透明性、こうしたものが確保されることが極めて大事なことであって、外部専門家を含めた評価委員が厳正に、また詳細に評価していくというふうになるだろうと思っています。

武正委員 先ほど触れたように、民営化の五項目のうちの一類型が地方共同法人というふうに位置づけられているわけですから、それこそ、官から民へといいながら、まあ、あと、例えば商工中金とか政投銀とか、民営化というのがはっきり位置づけられているところと、地方共同法人はまた違うのかもしれませんが、民営化の五類型の一つでありますから、私はやはり時価を原則ということで徹底をしていくべきだというふうに思うわけでございます。

 あわせて、財務諸表を作成するについても、これについては簿価か時価か、やはり決めておかないと作成できないと思うんですね。今までは簿価だというふうに聞いているんですが、これは、新共同法人が時価にそれこそ統一をして財務諸表を作成するということでよろしいのか、もしそうでなければ、先ほど触れたように、根拠法令、理由をお示しいただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、時価でも簿価でもできるということです。

 そして、いずれにしろ、機構が継承したものについては、外部の専門家を含めた評価委員会で、最終的に厳正、詳細に評価するだろうというふうに考えています。

武正委員 時価でも簿価でもできる、法律の条文はそうなっていますが、民営化の一類型なのでやはり時価に統一をしたらどうですかというお話と、あと、財務諸表を作成されるわけですね。これは十七年度のものでありますが、業務報告書というのでいただいております。

 公営企業金融公庫が新しい機構になって発足をした二十年度以降になるんでしょうか、こういったものができた場合に、やはり財務諸表が時価会計ということでいくべきだというふうに私は思うんですが、この点、時価でも簿価でもよいと。多分、財務諸表はこれまでどおり簿価でというお話だと思うんです。そのときに、簿価でよい根拠法令、理由はどこにあるのか、お聞きをしております。

菅国務大臣 三十五条の「原則として企業会計原則による」、その中で、民間でも簿価で行っているところがあるということであります。

武正委員 独立行政法人、総務委員会委員長名で衆議院調査局に命令が下されまして、過日その報告書も当委員会に報告がございました。独法も毎年財務諸表を作成して、それは時価によってということで、特にそれまで特殊法人だった独法は、みんな独法になるときに、それぞれ横並びで時価評価に評価がえをしている。私は、あわせてそのときに不動産鑑定、鑑定もやり直すべきだということを求めておりまして、今回、民主党の公務員制度の改革の法案とあわせて独立行政法人通則法の見直しの法案も提出をさせていただきますが、それにもそうした項目を入れさせていただいております。

 先ほど来、大臣が、官から民へ、市場にゆだねる、これからの地方債あるいは市場からの資金調達、ましてやアジアあるいは世界にそうした地方債も流通をさせていこうといったときに、債券の発行主体にもなる、あるいは地方債の発行に大きくかかわる新機構が簿価で財務諸表作成というのは、やはり説明責任上、大変それを果たし得ないというふうに考えるわけです。

 この点についてはやはり、どちらでもよいという法律について、例えば与野党で修正協議が必要なのかもしれませんし、そうでなければやはり大臣の答弁で、説明責任上きちっと、時価評価でいくんだ、それから、当然財務諸表はそれで作成をするんだというふうに御答弁をいただきたいと思いますので、再度の御答弁をお願いします。

 三十五条をもって、ほかでも簿価でやっているからということは、先ほど田嶋委員も質問しましたが、では、政府系金融機関の見直しというのは結局そんなものなのか、特に、二十五兆円も減りましたよと胸を張るけれども、結局は組織の衣がえじゃないのかということが言われてしまうと思うんですね。

 一昨日の質疑でも、後藤委員初め同僚委員からも、先ほどの谷口委員もそうですが、質問しても、いや、これはもう新機構が決めることです、国の関与はできるだけ減らすんですと。そうはいっても、やはり国としての責任、新しい機構を立ち上げる責任があろうかと思います。この条文も非常にあいまいな、附則十条二項だと思います、どっちでもいいみたいな。

 そういう意味で、改めて大臣の答弁できちっと明言をしていただかないと、質疑あるいはこれから与野党合意のもとの附帯決議、あるいはそれこそ法案の修正協議など含めてきちっとしていかないと、我々民主党の立場からしても、残念ながらなかなか賛否の態度も決めかねるということでございますので、やはり政府のそうした制度設計がきちっと一貫した形で大臣の御答弁を再度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 十条二項にもありますように、承継財産の時価を基準とする、こういうことにもなっておりますので、基本的には時価というふうに思っています。

武正委員 基本的であるし、また三十五条は「原則として」と書いてあるんですけれども、あくまでも先ほどの説明責任をきちっと果たすということでお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、お手元に、おとといの後藤委員の質問できのう御提出をいただいた資料がありますので、二ページ目をごらんいただきたいというふうに思います。

 出向者あるいは再就職の方々が、現機構はこのように占めております。これについて、大臣としての御認識と、新機構で引き続きこうした形で出向、再就職が行われるのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 これもそう言われるのじゃないかなと実は思いますけれども。基本的には、地方の代表者等で構成される代表者会議というものが役員の任命等については権限を持つわけでありますから、そういう意味で国は一切関与しないということにさせていただいております。

 また、職員の任用についても機構にゆだねられておりますけれども、国の特殊法人であります公営公庫を廃止し、地方が共同して設立する新機構に業務を移行するという改革の趣旨に基づいて判断されるだろう、このように思っています。

 私ども総務省としては、この改革の趣旨というものを十分に踏まえる必要があるというふうに思います。そういう中で、機構が円滑なスタートを切る必要性だとか、あるいは代表者会議や地方公共団体の意向等も考慮するということも当然だというふうに思います。出向要請があった場合には、機構と真摯に協議しながら判断をしていきたいと思います。

武正委員 政府系金融機関の一つへの統合、あるいは民営化、そして公営企業金融公庫の廃止、一連の政府系金融機関の見直し、官から民へ、市場から資金を調達する、こういう中。また、先ほど大臣からも、アジアそしてまた国際的にも市場に対応できる地方債であるべき、ありたいというお話とともにいきますと、特に出向者が七十九名中五十五名が現役出向、これが引き続き、新機構で要請があればということですけれども、これは新しい地方共同法人、民営化の五類型のうちの一つ、しかも、先ほど触れたように、時価会計を原則ということで、それを徹底するという大臣答弁もあるわけです。やはり人材を広く、専門家も募り、あるいは、この間、地銀協会の方も来ていただいたんですが、地銀協会は現機構には入っておりませんけれども、やはりこれから地銀などに対する期待も、地方債発行について、あるいは貸し付けについても、かなり高いんだと思うんですね。当然、そうした金融機関からも入っていただいて、広く人材を募っていくべきだというふうに考えます。

 政府のさまざま、こうした特殊法人の見直しの方針にも、中央省庁からの再就職そして現役の出向、独立行政法人も含めてこれは見直すんだとうたっているわけですから、要請があれば受けたいではなくて、やはりここは見直しをしてしかるべきというふうな明確な大臣の御答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 代表者会議は地方の皆さんと専門的知識を有する方で構成するのが最高の意思決定機関になるわけでありますし、この機構が円滑にスタートする中でどういうことが必要かということで私どもは判断をさせていただきたいと思いますけれども、基本は、やはり行革の方針に基づいてやるというのが基本である、私はこのことだけはっきり申し上げたいと思います。

武正委員 という力強い御答弁がありましたので、特に総務省に、御要請があっても、やはり現役出向はまかりならぬ、しっかりと地方共同法人独自で人材もしっかりと集めるべしという毅然たる対応をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 そういった意味では、今回、独法の通則法、民主党案でも提案をさせていただきますが、やはり今、独立行政法人の長、昨年百十三を調べましたら八一%がいわゆる中央省庁の再就職で占められております。政府も公務員制度改革法案を二十四日に閣議決定されておりまして、押しつけ的な天下りを根絶するという話でありまして、政府案は大っぴらに天下りいわゆる再就職をあっせんする機関をつくるということで、当然、民主党とはもう似て非なる、対峙をするものであるということで民主党も提出をしてまいります。

 この新しい機構も、その長はこの発起人が指名をしたり代表者会議で指名をするような制度設計になっておりますが、それこそ民営化の一類型でもあります、そしてまたこうして、総務省からの現役出向も当然なくなるでしょう、そして本当に地方のために地方みずからがリスクを背負って行うという制度設計であるならば、私は、やはり長も広く公募をしながら、そして当然発起人や代表者会議がその中から選任をするという法案であってしかるべきではないのかなというふうに思うんですが、この点について大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

菅国務大臣 新しく設立される機構というのは、制度設計上、地方六団体、地方公共団体がみずから共同して自主的に設立をする、そういう組織でありますから、地方の自主性、そういう形にゆだねるのが私は原則だというふうに思っております。そしてその中で理事長が決められるだろうというふうに思います。

 そういう中で、武正委員からそうした御指摘があったということは私も受けとめると同時に、地方六団体の皆さんにもお伝えをしていきたいと思います。

武正委員 あくまで行革の方針にのっとって行うんだという、やはりその精神をしっかり体現したお取り組みをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 先日強行採決されました米軍再編に伴う特別措置法ですけれども、その中で、自治体の協力段階に応じて交付金を出す、こういう前代未聞の法律ができて、私は大変憤りを感じております。これが美しい国の地方分権改革かということで大変残念に思っておりますが、総務大臣も、閣内不一致になるかもしれないんですが、ぜひ抗議をしていただきたいな、こう思っております。

 それでは質問に入りたいと思いますが、まず最初に地方債についてでございます。

 一つ目は公営企業債の繰り上げ償還ですけれども、こちらの方は、菅大臣の大変な頑張りで、平成十九年度の地方財政対策の中で、企業債については二年間、十九、二十と繰り上げ償還が五%以上の高い利子のものについて行われることになったわけですが、これはどうして繰り上げ償還をやることになったのか、改めてお答えをいただければと思います。

菅国務大臣 私も国会に当選をさせていただいて以来、自民党の党の部会の中で、余りにも金利に差があり過ぎると。特に高度成長時代に上下水道だとかそうした投資を行ったところは、非常に高い金利であります。また地下鉄もそうでした。そういう中で、これだけ低金利の中で何とか借りかえができないのかと、多くの地方自治体の皆さんからも私どもは要望を受けております。そういう中で、私自身、総務大臣に就任をして、これは何としてもやりたいと、強い意思で財務省との交渉にも臨みました。私どもの事務方も期待にこたえて、もう徹底してやってくれたわけであります。

 その歴史的な低金利であったということ、そして、財政融資資金に関しての政策変更として、貸付規模の大幅な縮小、それと特殊法人等への補償金なし繰り上げ償還の容認、これは住宅公庫にありました、あるいは十二兆円の金利変動準備金の国庫納付、こういうことが行われましたので、これは最大の好機だ、チャンスだと思いまして、私どもは財務省等に強く要請をして、今回、五兆円の繰り上げ償還を補償金なしで行うことが実現できたということであります。

福田(昭)委員 政府資金も含めて今回繰り上げ償還をやるということは、私も非常によかったなと思っています。その理由は利子が高いということでございますので、そのことをぜひ念頭に置いていただいて今後の私の質問なども聞いていただければと思います。

 そうした中で、いわゆる竹中大臣がやりました二十一世紀ビジョン懇談会の報告書の中に、地方債の完全自由化についてうたわれているわけでありますが、長期的に、約十年後を目指して地方債を完全自由化するというんですけれども、これについてはどのように対応されようとしているのかお伺いをできればと思います。

菅国務大臣 まず、許可制度というのは十八年から廃止をして、総務大臣の同意がなくとも議会に報告すれば地方債は発行できる、原則自由化へ向けて協議制に移行しました。その円滑な移行をまず定着させていきたいというふうに思っております。

 その上で、この二十一世紀ビジョン懇の完全自由化の提言があります。その条件として、投資的事業に対する財政措置のあり方は国と地方の役割分担の改革の中で抜本的に見直しをすることが必要である、こういうことであります。

 今、この四月一日から地方分権改革委員会がスタートしましたので、そこの中で、国と地方の役割分担も含めて、関与のあり方、そうしたものを徹底して議論していただいて、方向性を出していただきたい、こう思っています。

福田(昭)委員 ぜひその際には、このビジョンの中でも言われておりますけれども、小規模な市町村、財政力の弱い市町村などは、自分で発行しろと言われたってとてもとても発行できるわけじゃありませんので、そんな意味からも今回このような新機構もできてきたんだというふうに思っていますので、その辺をしっかりと踏まえて、完全自由化のメリット、デメリットをしっかり把握した上で進めてほしいな、こう思っております。

 それでは二つ目。次に、現在の公営企業金融公庫についてお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、公庫の性格及び評価についてでございます。

 御案内のとおり、公庫は、地方公共団体に対して低利かつ安定した資金を融通することによって住民福祉の増進に寄与することを目的として、昭和三十二年六月一日に設立されたものでありますけれども、改めてその性格と評価についてお伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 公庫は、債券発行を通じて民間資金を調達し、また地方公共団体に長期、低利の資金を供給するという、地方公共団体のための資金調達を目的とする機関であったというふうに思っています。

 そして、この公庫は、地方公共団体が行う上下水道だとかあるいは交通などの社会資本整備に長期かつ低利の安定的な資金を毎年一兆円規模で融通することで、公共料金の抑制だとかあるいは地方財政の負担軽減、そういうものに役割を果たしてきたというふうに思っています。

福田(昭)委員 私も、公庫が果たしてきた役割というのは非常に大きかったと思うんですね。

 そうした中で、特に長期のもの、最長二十八年というんですかね、こんなものは民間じゃ貸してくれませんから、これは公庫があったおかげで長期的な下水道とかそうした事業が展開できたわけでございますが、一方、先ほどもちょっと申し上げましたが、利子ですね。利率の方は、では本当に低利だったかということを考えると、いや、利子の方はむしろ高かったんじゃないか、こういう思いもあるわけでございますが……(発言する者あり)そうですね。ここへ三・四兆も残った話がございましたが、その利子について、本当に民間と比べてどうだったのかということについて御所見があればお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 利率というのは、資金調達コストをもとに基準利率が算定をされるということになっております。

 このために、公庫の貸付利率については、それぞれの時期によって資金調達コストを反映して算定をされたものでありますから、市場実勢金利も踏まえて、当時は適切な利率で貸し付けをされたというふうに思っています。

福田(昭)委員 後で承継財産のところでお伺いをいたしますが、適切な利率でしっかりと健全な運営をしたおかげで三・四兆円も残るということですから、これは公庫としては本当によかったんでしょうけれども、地方自治体としては、いっぱい貢いだな、こういう感じかなというふうに思っております。

 それで、三つ目でありますが、この公庫の公営企業債券の貸付原資についてであります。

 今回の政策金融の改革は、資金の流れをいわゆる官から民へということで政策金融改革が行われているということでございますけれども、この公庫が発行している公営企業債券ですかね、この貸付原資はどこから調達をしているのか、お伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 債券発行によってみずから市場から調達しています。

福田(昭)委員 大臣の言われるとおり、財政融資資金は使っていないんですよね。調べてみたら、私もびっくりいたしましたが、昭和三十二年の創設以来使っていないというんですよね。だから、資金の流れを官から民へというふうに実は言えないのがこの公庫の資金の流れなんですよね。この辺が大変矛盾しているところでございますが、そんなことを考えていると、今度の新しい機構をどうやってつくっていくかということについても話がいろいろ出てくるんじゃないかな、こういうふうに思っております。

 そこで、次に、新しい地方公営企業等金融機構についてお伺いをしたいと思います。

 一つ目でありますけれども、一つ目は、その目的及び業務の重点化についてであります。

 行革推進法及び政策金融改革に係る制度設計に沿って、地方案の考え方も参考にして立案したとのことでございますけれども、改めて、その目的、及び、業務を重点化するというんですが、どういう重点化をするのかお聞かせをいただきたいと思います。

菅国務大臣 今度の機構というのは、相対的に財政力の弱い市町村を中心として、自己調達に限界がある長期また低利の安定的な資金を供給する組織、そういうことを目的とさせていただいています。

 こうした趣旨を踏まえ、法律上も、機構の貸付先を地方公共団体に限定するとともに、貸付規模全体についても段階的に縮小をしていく、そういう設計になっております。

福田(昭)委員 財政力の弱い自治体に絞ったというようなことから、例えばですけれども、地方の道路公社とかあるいは土地開発公社などについては今回除外をするということですけれども、これなどが重点化という意味なんでしょうか。お尋ねをさせていただきます。

岡本政府参考人 今回の重点化に当たりましては、段階的に規模の縮減を図りますとともに、今お話もございましたが、上下水道等、根幹的な公営企業分野について集中的に融資を絞っていく。そういう中で相対的に必要度の弱いものについては縮減を図る。そういう意味での貸し付け分野についての縮減ということも段階的に図るというものでございます。

福田(昭)委員 わかりました。

 それで、二つ目ですけれども、二つ目は、勘定分離についてお伺いをしたいと思います。

 新勘定を一般勘定、旧勘定を管理勘定として勘定を分離する意味はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 新しいこの機構というのは、現公庫から承継をする既往の債権債務と、機構がみずから貸し付けを行う債権及び市場から調達をした債券発行に関する債務、この二つを有することになるわけでありますから、国の特殊法人であります公庫の債権債務と、地方がこれから主体になりますので、そうして運営される機構の債権債務とを、財産と責任、そういう中で区分を明確にする。

 そういう観点から、別の勘定とするとともに、損益も明確に区分をするということであります。

福田(昭)委員 このことについては、地方六団体からの提案は一括して管理をすべきだというような提案があるわけですけれども、そうした中であえてこの勘定を分離したということにつきましては、どうも、三・四兆円のうちからできるだけ多く国に帰属をさせる、十年たって管理勘定を清算するときに最終的に国に帰属をさせる、こういう考え方のもとにこの勘定を分離した、そんなふうに私には思えるんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 先ほど私が答弁したとおりでありまして、福田委員の思い過ごしじゃないかなと思います。

福田(昭)委員 それでは、私の思い過ごしでないことをこれから一つ一つ確認させていただきたいと思っております。

 まずその一点目、政府出資金百六十六億円についてでございます。これはわかっているんですが、確認のために。大臣、どうなされますか。

菅国務大臣 国が全額承継することになります。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

福田(昭)委員 百六十六億円は国が出資したお金ですから当然国がいただいてもいいものだというふうに私も思います。

 二点目でありますが、債券借換損失引当金、これがおおむね三・四兆円でございますけれども、これをどうされるのか、お伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 金利変動準備金は、現公庫が国の特殊法人として安定的な経営を行う中で、低金利局面において債券の借りかえによって生じた利益を将来の金利の上昇のために伴う損失に備えて引き当てた、そういう結果、形成をされた引当金というものを承継していくというふうに考えています。

 そして、現公庫の引当金の資産は、今委員から指摘のあった一般勘定と管理勘定それぞれの経営の持続可能性を確保するために機構に承継をされる。

 管理勘定に属する金利変動準備金については、管理勘定の業務が終了した場合には、所期の目的を達成したものとして、国に帰属をするということが妥当だというふうに思います。

 また、一般勘定においては、機構発足当初は債券発行残高が少なく借りかえリスクへの対応の必要性が少ないわけですけれども、業務の進捗に応じて借りかえリスクへの対応の必要性が増加してくる。こういうことから、十年かけて段階的に一般勘定の金利変動準備金を順次積み立てていく、こういうふうに思っています。

福田(昭)委員 改めて私の方から整理させていただきますと、三・四兆円のうち約二・二兆円については一般勘定に金利変動準備金として積み立てるということですね。しかも、これは十年分割で段階的に移管をする。だから均等割すると毎年二千二百億円ずつ、十年かけて二・二兆円を移管するということですね。それから、一・二兆円については管理勘定の公庫債権金利変動準備金として積み立てるということですが、しかし、これについては、最終的に、十年後になるんだろうと思いますが、清算する段階で残余財産は国に帰属する、こうなっているんですよね。

 そうすると、当初、平成十九年度においては、三・四兆円のうち三兆一千八百億円は管理勘定なんですよね。それで、二千二百億円が一般勘定なんですよ。ここから発生する利子はほとんどこれは国のものになっちゃう可能性というか、国のものになっちゃうんですよね、最終的に。これはちょっとおかしいんじゃないですか、いかがですか。

岡本政府参考人 委員御指摘のように、三・四兆円と見込まれます借換損失引当金につきましては、新機構が発足しますときに、御指摘のような形で管理勘定と一般勘定に分離をするということになります。

 基本的には、一般勘定におきまして、機構発足当初、債券発行を初めて行ってまいるわけでございますので、借りかえリスクといったものが基本的にないということになります。

 一方、管理勘定の方は、現在の公庫が発行いたしました債券の管理を行っているわけでございますので、一定の危機管理のリスクを見ながら、将来的に二千二百億ずつ旧勘定から新勘定に移してまいりますが、リスクはまだ旧勘定がしょっているということになりますので、そういう意味での三・四兆の引当金といったものは旧勘定において管理をするということが、会計の責任という意味でも、リスクに対応するという意味でも適当であるというふうに考えているわけでございます。

福田(昭)委員 それでは、さらに続けてお伺いしますが、損失が出た場合に、当然、新機構については融資を受けた地方公共団体が責任を負う、こういうことになっていますよね。では、この管理勘定について、利益じゃなくて逆に損失ができたときには責任を負うのは国ですか。

岡本政府参考人 いろいろな変動のリスクといったものについて、今回の制度設計に当たりまして、いわゆる財政融資会計等が行っています計算というのをいたしておりますが、現段階で推定される範囲におきましては、旧勘定において損失が発生するということは現段階では想定はいたしておりません。

福田(昭)委員 ということは、この法律を見ても、これは附則の中でうたっているんですよね。

 附則の第十三条の第十項で、「機構は、公庫債権管理業務を終えたときは、遅滞なく、管理勘定を廃止するものとし、」十年後ということなんでしょうけれども、「その廃止の際管理勘定についてその債務を弁済してなお残余財産があるときは、その財産は、国に帰属するものとする。」というふうにうたっておりますね。

 その次に、今度は第十四条。第十四条は「公庫債権金利変動準備金等の帰属」で、「総務大臣及び財務大臣は、前条第六項の規定にかかわらず、機構の経営状況を踏まえ、機構の業務が円滑に遂行されていると認められる場合において、公庫債権金利変動準備金及び同条第八項の積立金の合計額が公庫債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回ると認められるときは、当該上回ると認められる金額として総務省令・財務省令で定める金額を、政令で定めるところにより、国に帰属させるものとする。」と書いてあるんですよね。

 これはもうかることを前提なんじゃないですか。もうかったらこれはみんな国に帰属させろというんだ、これ。こんなあほな附則ないじゃないですか。こんなことを地方が黙っていたんじゃおかしな話で、これは与党の皆さんだって理解できると思うんですね。いかがですか、これは。どう思われますか。

岡本政府参考人 まさに委員が最初に御指摘ありましたように、三・四兆円と想定される、来年の秋に想定されるものを通常の変動リスクの中で計算いたしますと、二・二、一・二という形で、それぞれが安定的に管理できるのではないかということを想定しているわけでございます。

 ただ、そういうときに、基本的にその中で、先ほど申し上げましたような幅でおさまるというふうに考えておりますが、そういうものを超えるような状態になったときに、その部分の額につきまして、まさにそれは地方団体の意味での勘定管理、それを代表していくという意味での私どもと、それからいわば国の財産の管理といったものについて責任を持つという意味での財務省というものがきちんとそこで議論をして、そういう意味での帰属をするという場面も出てくればそういうことが、用意をしておくという意味でこの規定はつくってあるというものでございます。

福田(昭)委員 局長の答弁が上手なものですから。

 しかし、先ほどの質問に答えていないんですよね。要するに、管理勘定で逆に赤字になるということは想定していないということですけれども、もし赤字になったときは国がちゃんと最終的に責任を持つ、そういうことになっているんだったらまだ話はわかりますけれども、経済がどういうふうに変動するかわかりませんので、もうかる方だけ国に帰属して、違う方だけ地方にその責任を負わせる最終責任のとり方、これはちょっと考え方としてまずいですよね。

 当然私もわかりますよ、財務省が総務省を押し切ったんじゃないかということはよく想像できますけれども、強い菅大臣なんですから、財務大臣を押し切ってほしい、私はそう思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 このような結果になったことをぜひ理解して、評価していただきたいと私は思います。

福田(昭)委員 これは、与野党を超えて法律を修正しなくちゃだめなんじゃないですかね。私はそう思います。

 次に移ります。

 次、三点目ですけれども、公営企業健全化基金、これは平成十九年度末で約八千八百五十二億円程度ということでありますけれども、これはどのようにされるのか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 この基金は、公営競技収益の均てん化を図る観点から、収益の一部を公営企業金融公庫に積み立て、その運用益を公庫貸し付けの利下げ財源とするためのものでありまして、こうした制度の必要性については今回の政策金融改革についても変わるものではない、こういう観点から、基金は公庫の解散時においても公庫から機構に現在とまったく同じ形で全額承継することになります。

福田(昭)委員 これは地方が公営競技で努力して稼いだお金を積み立てるんだから、まさかこれまでは国はとらないのかなというふうに思っておりますが。

 ただ、これにつきましても、この納付金が、地方財政法の規定ではその終期が平成二十二年度、こうなっているようでありますけれども、二十三年度以降もこれを継続させる考えがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 この制度は十八年から二十二年まで決めたばかりでありますので、二十三年度以降の納付金については、現時点でコメントするということは難しいというふうに思います。

 いずれにしろ、公営競技収益の均てん化の必要性があることなどを踏まえて、機構の利下げ貸し付けの所要額とその財源の見込み、あるいは公営競技の経営状況、機構の経営状況、そういうことを踏まえて、あり方そのものが議論されるだろうというふうに思います。

福田(昭)委員 それでは次に、四点目ですけれども、利差補てん引当金約一千七百億円程度についてですが、これはどうされるのかお伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 現公庫における利差補てん引当金については、既往の利下げ貸し付けに伴う将来にわたる損失見合いの額をあらかじめ引き当てしておく、そういう性質のものでありますので、機構の管理勘定に承継をし、積立金として整理するもので、過去の利下げ分の補てんに使われる性格のものであるというふうに思います。

福田(昭)委員 この利差補てん引当金、これも本当は一般勘定に引き継ぐべき財産ですよね。これを管理勘定に引き継ぐということは、やはり最終的に国に帰属するということになるんですよね。

 平成十二年度に国庫補給金が廃止になって、平成十三年度から新しく利差補てん引当金というのは創設をされて、地方団体が貢いだお金で積み立てられたのがこの利差補てん引当金なんですよ。だから、これを国がとるというのはおかしな話だと思うんですが、いかがですか。

岡本政府参考人 利差補てん引当金は、公庫が調達をしました金利と、特別金利ということでその年度に下げました貸付金利の差が現実にもう既に損失として顕在化をいたしているものでございますから、その顕在化した時点でそれを引き当てて、将来必ずそれは費用として発生するものでございますから引き当てている性格のものでございます。

 したがいまして、過去の貸付債権を管理していく際に必ず発生する費用でございますので、過去の貸付債権を管理している管理勘定にこの引き当ては引き継いでいかないとその分だけもともと穴が出るということになりますので、これは引き継ぐことが適当だというふうに考えております。

福田(昭)委員 筋は通っているようですけれども、しかし、もともと赤字を想定していないわけだから、最終的に一・二兆円も管理勘定へ引き継ぐわけだから、一千七百億円程度は、理屈は通っているけれども、しかし地方六団体としては、はい、わかりましたとなかなか言えないようなお金なんじゃないかなというふうには考えております。

 もしどうしてもそうしたリスクに対応するものだということであれば、それでは、今回、新しい機構の一般勘定に、こうした利差補てん引当金に相当するようなもの、あるいは利益積立金、新しい法律では利益積立金、こうなっているようでありますが、そのような特別な項目を設けなかったのはなぜですか。お伺いをいたします。

岡本政府参考人 新しい機構におきましては、利益及び損失の処理として、毎事業年度の損益計算において利益を生じたときは積立金と整理いたしまして、また損失を生じたときはそれを減額して整理するということといたしております。

 この場合、積み上がった積立金につきましては、現公庫の利差補てん引当金と同様に、機構の貸付金に対応する利下げ分の補てんにも使われるというふうに考えております。

福田(昭)委員 答弁の内容がよくわからなかったんですが、このような、同じようなものは今はつくっていないですよね。そういう時期が来たらつくるという意味なんですか。

岡本政府参考人 時期が来たらつくるというのではなくて、今申し上げましたような積立金として整理をし、損失を生じたときにそれを減額していくという中で、その利下げの補てんの引き当てといったことにも対応できるのではないかというふうに考えております。

福田(昭)委員 そうすると、それは名前がついていない積み立てなんですか。どうなんですか。

岡本政府参考人 毎事業年度の損益計算においてその整理をしていくということでございます。

福田(昭)委員 わかりました。特別そうした名前をつけたものはないということですね。

 それでは、今の承継資産について総括をしてみますと、やはりどこかおかしいと思うんですね。確かに、貸し主は、これは国が百六十六億円出資して公庫をつくったかもしれない、しかし、それに一生懸命協力をして、これは御案内のとおり、それこそ財政融資資金は一銭も使わずに市場から公募して資金を集めてお金を地方に貸してきた、それも高金利で貸してきた。公庫の目的は低利だったけれども、低利じゃなくて高金利で貸してきた。そのためにこれだけ財産が残ったということですよ。だからこの財産はできるだけ地方に返すというのが素直な考えじゃないでしょうか。(発言する者あり)異議なしという声が聞こえましたけれども、本当に、それこそ苦しんでいるところがあるから繰り上げ償還もしてくれるわけでしょう。大臣、そこまで踏み込んでくれたんだから、これはもう、総務省と財務省の間でできないというのであれば、ここで法案を修正するほかないということなんですよ。

 この辺は非常に残念だと思うので、委員長はおりませんが、両筆頭理事さん、理事さん、理事会でぜひ協議していただければありがたいなと思っております。我が党も手続しておりませんので、余り正面切った提案はできませんが。

 次に、地方債の共同発行機関についてお伺いしたいと思います。

 今回の公庫の廃止は政策金融改革の一環として行われたわけですが、その内容は、財政融資資金の縮減を図るというのがどうも目標になっているようでございます。

 しかし、地方にとっては、低利かつ長期の資金を安定的に調達することが何といっても住民福祉の向上につながると私は考えております。そのためには、この新しい機構も、公営企業などに絞らずに、地方六団体の提言にあるように地方債の共同発行機関の創設が必要だ、そのように私は考えておりますが、いかがでしょうか。また、この機構をそのように活用する考えがあるかどうか、あわせてお伺いをいたします。

菅国務大臣 今回の政策金融改革の目的というのは、政策金融の役割を縮小し、地方債資金の自己調達を基本とするものでありますが、この機構は、相対的に財政力の弱い市町村を中心として、自己調達に限界がある長期あるいは低利の安定的な資金を供給するための組織として設立をされたものでありますから、その貸付対象というのは、上水道、下水道、あるいは病院、交通など、住民生活に密着したものに、関係した社会資本に実は限定をしたところであります。こうした機能からすれば、地方公共団体の地方債共同発行機関としての役割というものを果たしているんじゃないかなというふうにも思うわけであります。

 機構の運営については、代表者会議というものがイニシアチブをとって行うことになりますので、その将来的なあり方も含めてそこで適切な判断をされるんじゃないかなというふうに思っています。

福田(昭)委員 大臣、先日の質疑のときにも申し上げましたが、読売新聞がやった、全国の知事、市区町村長のアンケート調査ですと、小泉さんがやった三位一体の改革で地域間格差が拡大した、こう感じている首長が九割なんですよ、一千八百何人もいる中で。

 そうした中で、このお金の借り方、これがまさに、財政力の強いところと弱いところでは、私は、市場の原理に任せたら、利子の高いところと低いところがそれこそ出てきて、地域間格差はますます拡大する方に行くと思いますよ。ですから、一生懸命地域間格差を是正しようと思っても、どんどん拡大してしまう。

 東京都みたいなところは、どこの応援をいただかなくたって、ちゃんとすばらしい債券発行、地方債を発行できるわけですよ。ところが、田舎の市町村へ行ったら、とてもとても銀行は相手にしてくれませんよ。銀行なんか、最長だって大体十年でしょう、二十八年なんて貸してくれませんから。そうしたら、借りられない自治体が出てきますよ。もう全く、夕張どころじゃありません。

 ですから、そんなことになるような地方自治行政じゃやはりだめだと私は思うんですね。ですから、いい方は目をくれなくてもいいですよ。やはり悪い方に目をくれてこれはやるべきだと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 そういう自治体のためにも今回のこの機構を設立させようということでありますから、その趣旨は委員も十分わかった上でのお話だと思います。私は、国全体を客観的に見て、それなりに平準化というんですか、そうしたことが必要だというふうに思っております。

福田(昭)委員 時間が非常に中途半端になっちゃったものですから、最後の地方分権改革についてはなかなか全部お伺いできなくなってきたようですが、一つだけお伺いいたします。改革のキーワードですね。最近、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長が、自己責任、自己決定、自己負担と。今までの地方分権改革のキーワードは自己責任、自己決定までだったと思うんですが、そこに自己負担というのが入ってきたんですよね。

 この自己負担が入ってきたということは何を意味するのか、大臣の御所見をお伺いできればと思います。

菅国務大臣 どういう趣旨で言ったか私はよくわかりませんけれども、しかし、本来のあるべき姿として、やはり自己責任や自己負担、自己決定、そこまでいくのは地方自治の理想の姿だと私は思います。しかし、現在は仕事が六なのに税は四、そういう状況でありますので、そうしたものを最終的な地方分権改革の姿として整理した上の中で出てきたんじゃないかなと思います。

福田(昭)委員 私も、自己負担ということは、地方が財政的にも自立をするんだ、こういう意味なのかなと解釈をいたしているんですが、そういう意味だということになれば、地方財政再建法がこれからできるんですけれども、そちらの方の手続が先に進められているわけでありますが、それ以前に、やはり地方の税財源をしっかりと確保して、地方が財政的にも自立できる体制を整えるということが大事だなというふうに思っているんですね。

 そこで、菅大臣が、最近、消費税を地方に、法人二税を国にというような発言をしているようでございますが、それは私も歓迎の方向ですが、ここでもうそろそろ内閣改造があったら大臣がかわっちゃうから勝手なことを言ってもいいとか、あるいは参議院選挙対策だということがないように、ぜひ菅大臣にはしっかり取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木(淳)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木(淳)委員長代理 速記を起こしてください。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 よろしくお願いいたします。

 本題に入る前に、先ほど福田委員の方から話があったことで若干話をさせていただきたいと思いますけれども、大臣が、地域格差、この是正をしなければいけないという思いを持っている。そして、しかもそれは、財政面において、税制のサイドからやらなければいけないということでいろいろ御発言をされていることに対しては、まさにそのとおりだなというふうに私も思っております。

 ところが、報道を見ましたら、東京都の石原知事が、「一大臣が言うことじゃない」とか、なかなかな発言をしておるわけです。「東京が転んだら日本が転ぶ」とか、「国の財政のかじ取りが下手くそなために、東京の存在が際だってしまっている」、「東京からむしりとって、「金の卵を産むニワトリを殺したらどうなるか」ということを国の役人が知ってほえ面かいても、その時は日本そのものがもたないと批判した。」と。それで、「「東京が金持ちだからオリンピックをやるというなら、そこからむしり取れるだけ取ろう」ということで税法を変えるというのは、極めて乱暴な論だと思いますねと語った。」と。こんなことを石原知事は言っているようなんですが、特に「一大臣が言うことじゃない」なんということについて、菅大臣、どうですか。

菅国務大臣 私は、今言い始めたことでなくて、私が大臣に就任した当初、財政諮問会議の中で、やはり税は一対一にしたい、そして偏在の小さい地方消費税、それを基幹税にしたい、こういうことを私は前から実は申し上げてきているところであります。そういう中で、東京の法人二税、本社があるということでそこに集中をし過ぎているということも事実だというふうに私は思っています。ですから、私自身は、地方行政を所管する責任者として、やはり制度の見直しというものが必要だと思いまして発言をしたところであります。

 当然、このことについては、いろいろなところから、いろいろな人から、いろいろな批判があることを私は覚悟の上で問題提起したところであります。そして、このことは多くの国民の皆さんに、東京都民も含めて理解をされる日が来るだろうと私は思っています。

逢坂委員 実は、この記事を読んだ国民の方から私のところへメールが来ました。その中身は、東京でそういうことを言うのであれば、食料だとか、水だとか、空気だとか、電気だとか、あるいは原子力発電所だとか、さまざま地方が担っているものを全部東京都内におつくりになればいいのにねというような話も来ました。

 やはり国というのは全体としてそれぞれが補完機能を持ってやっているんだというふうに思いますので、ぜひ、大臣、内閣改造などでかわることのないように頑張っていただきたいなというふうに思うんです。もちろん政権をかえるのが一番いいことなのかもしれないんですけれども、そのときは我が方へ来ていただいても構わないかと思いますけれども、この話はその程度にしたいと思います。

 さてそこで、きょうは公営企業金融公庫を新しくするということについてお話を少し伺いたいと思うんですが、私も実は公営企業金融公庫とは長いつき合いをさせていただきまして、実際に借り入れ業務も相当やらせていただきました。多分、私が役所へ入りたてのころに借り入れした公有林だとか草地事業の借入金はまだ残高が残っている。それぐらい長期の借り入れをやってくれるところだなということで随分印象深く思っているわけであります。

 そこで、その中身に入る前に地方債のことについて若干お伺いをしたいんです。まず政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、毎年度毎年度、地方債計画を樹立しているわけですが、地方債計画をそのまま理論どおり実施したとすれば、現在、地方債残高というのは地方債計画上は幾ら残っていることになるのか。そして、その地方債計画上の理論値というふうに呼んでいいんでしょうか、それと現在の実際の地方債の残高というのはどれぐらい差があるのか、これをまず政府参考人にお伺いしたいと思います。

岡本政府参考人 スタート、起点をどこにとるかということがあると思いますが、バブル崩壊後の景気対策によって地方債発行額が急激に増加し始めましたのが平成四年度でございますので、平成三年度末の地方債残高の決算額五十五兆円を前提といたしまして、平成四年度以降について、地方財政計画上の地方債発行額に補正予算が編成された場合の地方債計画改定による増加額を加え、これらの地方債が発行されたと仮定をいたしまして、また同時に、地方財政計画の公債費に計上されました元金償還額が償還されたと仮定いたしました場合には、決算が出ております平成十七年度末の地方債残高の理論値は百四十二兆円となるというふうに推計できます。

 一方、平成十七年度末決算の地方債の残高は百四十兆円ということでございまして、決算額の方が理論値よりも二兆円小さくなっている、こういう違いがございます。

 この乖離がありますのは、一つは、翌年度の見込みでございます地方財政計画の計上額と地方団体の実質の決算ということは当然ある程度異なるということでございますし、投資的経費につきまして、決算が計画を下回るということも累次指摘されていることでございますが、そういう計画と決算の実行の違いというものであろうかと思います。

逢坂委員 そこで、引き続き政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、地方債計画に計上する地方債総額というものは一体何によって決められるのかということですね。いわゆる地方債がこれだけ必要だという需要だけによって決められるのか、あるいはまた、地方財政全般の将来にわたる安定度合いといいましょうか、将来にわたる強さといいましょうか、償還可能額といいましょうか、そういうものによって決められているのか、あるいは、そうではなくて、もっと別の要素によって決められているのか、これはいかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 地方債計画の策定に当たりましては、普通会計分につきましては地方財政計画に基づき決定をいたしております。したがいまして、その地方財政計画に基づきます歳出の水準といったものについて、累次の骨太等で、例えば投資的事業でございますと対前年比マイナス三とかいうような一定のライン、ガイドがあるわけでございますが、そういう地方財政計画に基づいて、国庫補助負担事業につきましての地方負担、単独事業に対応した通常の充当率に基づく地方債の所要額を計上いたします。

 また、十八年度から始めております、例えば退職手当債等の特例的な地方債、あるいは、地方財政全体の財源不足額を踏まえました臨時財政対策債あるいは財源対策債等の所要額を積み上げまして積算をいたしております。

 また、公営企業会計分につきましては、国庫補助負担事業についてはその地方負担額、単独事業につきましては、地方団体から翌年度の事業計画等をお聞きいたしながら積算をしているという形で積み上げているものでございます。

逢坂委員 そういう形で地方債計画が決まっていくわけですけれども、地方財政を規律する、要するに、将来とも安定的に不安のないようにしていくというような、そういう視点でのブレーキといいましょうか、たがといいましょうか、そういうものは地方債計画をつくる上では勘案されているんでしょうか。

岡本政府参考人 地方債計画は、先ほど申し上げましたように、特に申し上げれば、歳出の反映として、具体的には、地方財政計画の歳出水準を決定していく中で地方債の計画の規模というのはその大宗が規定をされていくということになろうかと思います。したがいまして、地方債全体、現在交付税特会の借り入れ等も含めまして二百兆円弱の長期債務を抱えているわけでございますが、そういう意味での規律といたしましては、新発債をできるだけ抑制していく、あるいは、交付税特別会計の借り入れを計画的に償還していくなどの歳出の見直しということによって、まず一義的にはやっていくということがマクロ的な措置としてはあるのかと思います。

 また、ミクロの地方債の規律といたしましては、個々の地方団体、十八年度から協議制をスタートさせていただきまして、原則自由ということにいたしているわけでございますが、実質公債費比率という指標を用いまして、それが一定数値以上については許可団体になるということで、許可という形での、いわば地方債の将来の償還見込み等を見ながらミクロのその額の設定というものをやっているわけでございます。

 また、あわせまして、今回国会にお願いをいたしております新しい財政健全化の法律という考え方の中では、実質公債費比率以外に、将来の負担といったものも指標として組み込むことによって、その指標等が一定の水準になった場合には健全化計画を自主的につくっていただくというような措置も新たに設けることによって、地方債に対する規律といったものを確保していこうということでございます。

逢坂委員 大臣、今のお話、多少わかりにくいところもあろうかと思うんですけれども、今の話を伺っていて、すなわち、自治体の側は地方債計画あるいは地方財政計画にほぼ沿った財政運営をしてきたというふうに、少なくとも地方債残高を見る限りは言えるのではないかというふうに思うわけですね。地方債計画の理論値と実際の今の地方債残高、二兆円程度しか違わないということでありますから、一%強しか違わないわけですね。そうして、しかしながら、今自治体財政を見ると相当厳しいし、先ほど大臣もおっしゃいましたGDP比で見ても、起債残高というのは必ずしも少ない額ではないだろうということを考えてみますと、これまでの国の財政運営に対して、確かにこれから先、あるいはつい一年、二年前に、実質公債費比率のような指標が入ったり、さまざまなことをこれからやろうとしていることは理解はいたしますけれども、従前の地方財政に対する規律というのは国の制度上極めて甘かったというふうに言えるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 現在の残高を見れば、いろいろな御指摘を受けるのはそのとおりなのかなということは、これは素直にやはり申し上げる必要があるというふうに私は思います。

 ただ、これについても、地方がそれぞれの判断で行うこともその中に含まれているということも事実だと思います。

逢坂委員 そこで、今まさに大臣の口から出てまいりましたが、地方が独自の判断で財政規律をしていくということも必要だという話でございますけれども、これは政府参考人の方にまず最初にお聞きしたいんですけれども、地方財政を健全に運営していく、あるいは経営していくためのチェックポイント、規律をどううまく保っていくかのチェックポイントですね、これについて、政府参考人、どのようにお考えですか。

 例えば、地方議会が監視をちゃんとしていなければいけないんだとか、住民がちゃんと見ていなければいけないという議論がよくされるわけですけれども、その議会がちゃんとやるんだとか、住民がちゃんと見ているんだというときのポイントというのはどこだというふうに、財政のプロとしてお考えでございましょうか。

岡本政府参考人 地方公共団体の財政運営について、その健全性を確保する着眼点といたしましては、一般的には、一つは財政収支の均衡が図られているかという点、二つ目には公債費の負担状況など財政構造の弾力性が確保されているのか、あるいは、将来負担がどの程度に上って、それに対する対策がどのようになされているのか、また、財政秩序が適正であるのかなどの観点から財政の健全性ということをチェックする必要があるというふうに考えております。

 これらの観点を踏まえまして、先ほども申し上げさせていただきましたが、既に国会に提出させていただいております財政の健全化法でも、一般会計の収支を対象とした実質の赤字比率、公営企業会計などの特別会計も含めました全会計を通じた連結の実質赤字比率、あるいは、実質の公債費率、公社、第三セクター等の債務も含めました実質的な将来負担に関する将来負担比率などの財政指標を整備して、その開示を徹底するということで、財政の早期健全化や再生の取り組みを図っていただきたいというふうに考えているわけでございます。

逢坂委員 今のお話は一般論として非常によくわかるわけですが、その中で特に絞って政府参考人にお伺いをしたいんですけれども、将来負担に対する対応力みたいな話がございました。これは、実は地方議会でも議論をするとき極めて大事なポイントになります。それから、今市町村の合併が進んでいる、あるいは、合併をしない、する、こうした判断をするときも、地方の将来の財政がどうなるかということは、やはり非常に大きな判断材料になるわけですね。

 この意味において、今の地方財政というのは、まず政府参考人の目から見て、いわゆる将来への予見可能性というのは高いのか低いのか、あるいは、予見可能性は相当あるよというのであれば、何年先ぐらいまで見通せるというふうにお考えになっているのか、お聞かせ願えますか。

岡本政府参考人 お尋ねの、各地方団体が抱えます将来の負担といったものについてどのように考えるかということでございます。

 その一つは、実質公債費比率というのは、ある意味ではフローの数字でございますが、将来の負担といったもののストックを反映した単年度のフローであるわけでございますから、これがある意味では一番客観的、顕在的にとらえられている、一番みんながわかりやすい指標ということになりますので、これらの数字につきまして、一八%が一定のラインといったものは過去の経験則的にあるわけでございますので、これを他の、御自分の団体のいわば類似の団体と比べてどういうふうな水準にあるのかといったことをチェックすることが、まず一番、必ず行うべきことではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、私どもの、財政情報の開示という形で各地方団体にお願いをいたしております財政情報の分析カードといったもの、あるいは財政状況の一覧といったものにつきましても、当該団体のそういう情報について比較分析を類団と比べてできるようにする、あるいは、企業会計などの分につきましても類似の業種等と比べたような形での取り組みを行うというようなことも行っております。

 また、そういう団体、いわば許可団体がある意味では今かなりの団体に上っておりますので、地方財政の状況、ある意味では非常に厳しい状況が続いているということは私どもとしても認識をいたしているというところでございます。

逢坂委員 今の話を伺ってみても、すなわち国のマクロベースの地方財政計画、地方債計画の面も、必ずしもかつては十分に地方財政の規律ということを考えてやられていなかったような印象を私は持ちましたし、では、個々の自治体がそれぞれの立場において財政の姿を判断したい、三年後五年後、十年後はどうなるんだというような点においても、これまでは必ずしも十分な対策がとられていなかったのではないかなという印象が私はするんですね。

 実は、自治体の現場におりまして、地方税、要するに住民税だとか固定資産税というのは割と、三年後、四年後というのは大体この程度かなというのは推計がしやすい。あるいは、地方税以外の一般財源も多少推計がしやすいところがある。ただし、それが補助金のようなものになっていくと、これは一体どのぐらいになるのかだんだんわからなくなる。それから、地方債に関しても、許可額がどの程度になるかということも必ずしも、わかりやすいようでいてわからない。あるいは、もっと言うと、これは岡本局長には失礼かもしれないけれども、地方交付税、ある程度の総額はわかるけれども、その中に算定されている項目というものが毎年度変わっていきますので、これについても必ずしも予見可能性が高くない。

 だから、私は大臣に見解を伺いたいんですけれども、地方議会にいて、自分の自治体の財政の将来推計をせよと言われてもなかなか容易ではない状況にあるのではないかというふうに思うんですが、大臣、どうお考えになりますか。

菅国務大臣 私自身も、かねてより、予見可能性というものがなかなか低い、そういうことで、大臣に就任をしてから、そのことについて少なくとも三年ぐらいは可能性というものはできるだろう、そういう計算方式を、それぞれの地方自治体の皆さんが理解してもらえるような、そういうものをつくるべきだという話を実はしました。

 そして、今そういう方向になっているというふうに思っておりますし、もっと言うならば、地方自治そのものがやはりどうしても自律というものに欠けていたのかなというふうに実は私は思っております。それは、国もそういう透明性のものをつくっていなかった、地方自治体についてもそうしたさまざまな指標をつくっていなかった。そういうことで、今夕張を初めさまざまな問題が出てきている中で、今回、財政面については、今国会に提出されている新たなこの法案によって、地方自治体の中身というのをそれなりに多くの市民の皆さんにもわかってもらえるような仕組みが、この法律が成立をすることができればようやく出てくるというふうに私は思っています。

 そして、本来であれば、地方自治体がみずからの税収で物事を決めて行うことができる、そして、そのかわり責任もとってもらうよ、そういう仕組みにするのが一番いいわけでありますので、私どもはそうした方向に向かって全力で頑張っていきたいと思っているところであります。

逢坂委員 大臣の発言を聞いていても、やはりこれまでは必ずしも予見可能性は高くなかった、だから、これから先、予見可能性を高めるために、せめて菅大臣が就任したからには、三年ぐらいは見通せるようにしたいんだというようなお話だった、そして新しい財政の再建法制によってさらにそれをしっかりとしたものにしたいという御答弁だったというふうに思うんです。そういう観点からしてみますと、今全国の自治体はさまざま大変な状況に陥っているけれども、その責任は確かに現場の自治体にもあるけれども、制度上の不備、制度上、自治体が必ずしもきちんと規律を全うできるような仕組みではなかったのではないかという気もするわけですが、そのあたり、再度いかがでしょうか。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 私は、そういう意味の制度を国がつくっていなかったということも一つの要因だというふうに、これは素直に認めさせていただきたいと思います。

 ただ、地方自治体においても、そうしたものに警鐘を鳴らして、自治体の長がみずからの町はこういう状況であるということを、透明性をうたって、目標を立てて行ってきている自治体もあるということも事実であります。

 いずれにしろ、どっちがいいとか悪いということではなくて、これからはやはりそうした透明性のもとに、予見可能性、まさに自主自立、そして自己責任、そういう地方自治体というものを私どもはつくっていきたい、そういうふうに思っているところであります。

逢坂委員 さてそこで、新しいこの機構法案なんですけれども、この機構法案に変わることによって、先ほどの指摘によれば、官から民へ資金の調達の流れが移るんだということではなくて、もともと民だったんだから民民じゃないかみたいな指摘があったんですが、機構法案ができることによって、まず客観的に、事務レベル、政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、財政規律という点でいって、これは何か自治体にとってさらに新たな道具を持つということになるんでしょうか。それとも、財政規律という面においては今までと余り変わらないなということになるんでしょうか。いかがですか。

岡本政府参考人 直ちにお答えになるかどうかわかりませんが、公営企業金融公庫は、ある意味では、国の特殊法人として十年債を発行して長期の貸し付けに変換をし、そのリスクをテークしながらやるという仕組みをとっているわけでございます。

 当然、そのことによっていわば国が措置をしていくということがあるわけでございますが、今回の仕組みは、地方がみずから共同してつくるその法人によって十年債を発行して、これを二十八年とか三十年の長期に変換して、そのリスクを計算し、そのもとで、では自分たちの計算の過程の中でどういう金利で貸していくことが適当なのか、当然のことながら、余り低い金利ですくい過ぎれば、今度は自分たちの財務基盤を弱めるということにもなるわけでございますので、そういう意味では、特殊法人という形での公庫の役割、公庫は十年債を長期に変換するという機能は同じでございますが、国がやってくれるということよりは、地方団体がみずから行うということによって、そういう意味での長期の金利に対する規律といったものは高まるのではないかというふうに考えております。

逢坂委員 ということになりますと、これまでの公庫の運営そのものに対する責任が、機構になることによって、今までは国が責任を持っていたのが自治体が責任を持つという変化だというふうに理解ができるわけですが、では、自治体個々の地方債そのものを幾ら借り入れるとか、財政規律をどうするんだという点においては、今回の公庫から機構への変更によっては何ら影響がないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

岡本政府参考人 今申し上げましたような、公庫が共同法人に変わることによって直ちに個々の団体が、例えば民間金融機関から借り入れている、それを借り入れるか借り入れないか、その事業を起こすか起こさないかといったことについて、今回の法律によってあるかということであれば、そういう直接的な意味ではないかとは存じますが、先ほど申し上げましたように、そういう意味では、自分たちの共同の機関でございますから、そのことによって、金利に対する鋭敏さでありますとか、注意が増すとか、あるいは市場全体の金利動向に対する関心でありますとか、そのことが、ひいては、いわゆる地方銀行を初めとする縁故資金といったものについての緊張感にもつながってくるという面はあるのではないかと存じます。

 ただ、地方債を起こす、そもそもそういう投資的事業をどのように行うかということについていえば、それはもともとその団体の判断ということであろうと思います。

逢坂委員 そこで、公庫から機構になることについて、これまでさまざまな質疑がこの委員会であったわけですが、幾つかの部分において、例えば出資総額は六団体を中心に機構の方で今後鋭意検討されるでありますとか、あるいは業務の範囲についても、それは機構ができたら機構の最高決定機関でいろいろ議論されるでありましょうというようなことをおっしゃっている。

 非常に、地方の側、自治体の側の裁量が広がったような印象も持つわけですが、具体的に、その機構の自主性というのはどの範囲において広がっているんでしょうか。具体的に、機構の自主性というのはどの範囲において広がっているのか。機構に変わることによって自治体側の自主性はどの範囲において広がっているのか、再度政府参考人にお伺いします。

岡本政府参考人 委員の御質問に関しますものについて、いわば現在の公営企業金融公庫と新しい機構に対する国の関与といった面で比較をさせていただきますと、例えば、現在の公庫役員につきましては、当然、総裁、監事等を国が任命をいたしますが、新機構では一切国は関与をしないということでございますし、事業計画等につきましても、国の、総務大臣の認可が必要になるわけでございますが、新しい機構ではこれは届け出ればいいということでございます。

 また、資金を調達するための債券の発行につきましては、現在は発行ごとに認可が要るわけでございますが、代表者会議で決定されることに基づきまして、自由に、一切なしに発行できるなど、いわば地方の共同法人として、機構の基本的な運営に関する事項は国の関与を基本的にはなしに行うことができるという意味では、自由度が高くなるというふうに考えております。

逢坂委員 重ねて政府参考人にお伺いしますが、業務の範囲についての自主性というものについてはいかがでしょうか。

岡本政府参考人 業務の範囲につきましては、何回かお答えさせていただいておりますけれども、今回の改革といったものが、政策金融機関、政策金融、いわば公庫の果たしてきた役割といったものを基本的に縮小して、地方団体については自己調達を基本として行う。その際に、やはり自分たちの調達できない長期のもの、あるいは財政力の弱い団体等の自己的な資金調達の支援を行うということに限定をしていくという基本的な考え方の中で、上下水道等、基本業種にかかわりますものについては引き続き行うということにいたしておりますが、それ以外の分野については、政令等で定める分野について段階的に縮小するということにいたしております。

逢坂委員 ということは、公庫から機構に変わることによって、自治体の側の目線で見てみますと、本質的な意味での自由度は余り広がっていないのではないか。要するに、公庫、もしくは機構でもいいんですけれども、資金調達をするとか、その資金を運用して貸付利率を決めるとか、そういう部分における責任範囲は広がった。だけれども、業務の範囲については、法律で決められ、政令でも決めている、その範囲を基本的には逸脱できないということでありますから、自由度が高まったのではなくて、責任が重くなったというふうに読み取ることは、大臣、できないでしょうか。

菅国務大臣 ただ、中身の設計は、これは公共団体の皆さんが中心になって行うことができるわけですから、そういう意味でやはり自由度も広がっていると私は思っています。

逢坂委員 中身の設計は地方公共団体が自由にできるというふうにおっしゃいましたが、具体的にはどういうことでしょうか。

菅国務大臣 代表者会議の半分は地方の皆さんですから、それと有識者の皆さんと、中で、そういう意味で方向性、そこが最高の意思決定機関になるわけですから、それは私はできるようになると思います。

逢坂委員 となりますと、その際に、地方六団体の方で主張していた、例えば法案では公営企業と臨時三事業に貸付対象が限られているけれども、そこについて代表者会議が話し合って、これはもっと範囲を広げるべきだとか、あるいはもう少し別なものにすべきだというようなものについても、そこで決めれば国としては対応するという意味も含むんでしょうか。そうではないんでしょうか。分野をもう少し限定してお話しいただければと思います。

菅国務大臣 そういうことではなくて、今決められた中での話になります。

逢坂委員 ということになりますと、要するに、枠の中では自由ですよと言われているけれども、本質的な意味の自由度ではなくて、やはり地方団体にしてみると、私は、責任が高まることは悪いことだとは思ってはおりませんが、そのことについて批判をするつもりはないのですが、今回のことによって財政規律の面でもそれほど効果が上がるというふうには、必ずしも直接的には思えない。

 それから、どの貸し付けをどうするかということについても、その範囲を広げられるという点においては必ずしも自由度は高くない。要するに、債券を発行するということと、それを運用してどうやって貸し付けをするかという点においては、これは自由度というよりも、その部分の責任を負うことになったというふうに見るのが私は正しいのではないかなというふうに感ずるんですが、まあ、いいでしょう。

 といいますのは、現在の公庫が、先ほど来も質問ありましたが、七十九名のうち五十六名が国からの出身というか出向というか、それで占められている。そうして、原則的には、前の取り決めによって、国は人、物、金を出さないということになっている。だけれども、こういう実態を見ると、今回の新しい法律によって、自治体が担うべきはまさに公庫の運営そのものを継承していくことですから、これまで専門性の高い職員がやっていたものを、人、物、金は出しませんよという建前はわかるんですけれども、大臣、それで本当にやれるというふうに思われますでしょうか。

菅国務大臣 それは私は、代表者会議、地方公共団体の皆さん、そしてまた専門家の人も当然そこに入ってくるわけでありますから、そういう中で運営されることを期待したいというふうに思います。

 そして、理事長以下もそこの代表者会議で決定をするわけでありますので、それはやはり、そうした専門的な知識を有する人の代表者会議、そして理事長以下のそういう職員も含めて、先ほども専門家を採用するという話もありましたけれども、そこの自由度も含めて私はできるというふうに思いますし、期待をしています。

逢坂委員 ここの部分はきっと、実際、現場では相当大変な御苦労をされることになるのではないかと思うんですね。それで、ここの場では、細かい、それでは実際に事務をどう引き継いでいくかとか、どういう体制でやるかというところまではなかなか議論はできないとは思いますけれども、現場の実態、実情を思うと、相当緻密な移行のスケジュールといいましょうかプログラム、工程表がやはり必要なのではないかというふうに私は感じます。

 ただし、そのときに、だからといって、天下りがいいですよとか、省庁出身者が七割も八割も占めるような状況をそのまま容認していいということではなくて、それはそれとしていながらも、でも、そういう今の状況があって、将来目指すべき姿にどうやって移っていくかを、やはり透明性高く、安心感を持って進めることが大事だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私どもは、この改革の趣旨に基づいて、やはり地方の皆さんに自主性のもとに行っていただきたい。ただ、相談があった場合、円滑にいきそうであれば、それは適宜、天下りとかそういうことではなくて、円滑にいくのが一つの大きな目標でもありますので、相談には乗らせていただく。私どもの方からどうこうすることは言わないということであります。

逢坂委員 了解いたしました。

 それでは、実は私も地方財政の仕事をやっていて、この公庫の果たしてきた役割の大きさというのは痛感しているものですから、やはりこの機能が急激に変化することに対しては相当大きな不安があるというふうに思いますので、ぜひ円滑な移行と、しかしその円滑な移行の中には、従来の悪かったと言われるところはきちっとそぎ落としていけるようにお願いをしたいと思います。

 それと、最後ですが、実は、今回この公庫が機構に変わることによって、これまでの公庫の機能そして機構の機能も段階的に縮小するということが言われているわけですね。段階的に縮小するというのはどういうことか。それは、調達先、公庫が調達する範囲から貸し付けを受ける範囲を小さくしていくのか、あるいは、そもそも地方自治体の発行する起債総額を縮減していくということにもつながるのか。このあたり、政府参考人、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 今回の制度設計におきまして、公的な分野、機構の業務の重点化ということがございます。これは、全体の貸付規模といったものを、財政融資資金等もにらみながら規模全体を縮小していくということと、それから、上下水道等住民生活に直結した公営企業の分野といったもの以外の、いわば相対的にはそういう意味での密着度が弱いようなものをできるだけ縮小していくことによって分野も重点化をしていくという、二つの要素があるものというふうに考えております。

逢坂委員 これで最後の発言にしたいと思います。

 そういう中で、大臣に最後お伺いしたいんですけれども、例えばでありますが、今手元に、平成十七年度の自治体の下水道会計の決算の状況を手にしているんですが、これを見ると、三千六百三十二ある自治体の下水道会計、これは小さな特定公共下水とか流域下水を除いて、三千六百三十二のうち、使用料だけで汚水処理を全部賄えているというのは七十三しかないんですね。そして、ではその使用料で全部汚水処理料を賄おうとすれば、今の使用料を大体一・六倍ぐらいにしなければ賄えないというような相当厳しい。

 これは例えば下水道会計だけの状況なのでありますけれども、自治体の資金手当てというものに関して、これまでは原則的に資本形成的なるものだけにお金が回っていたわけですが、少し別の考え方というものが、例えば病院事業だとか交通事業だとか下水道事業、水道事業、さまざまな会計が今相当パンクしそうな状態になっているわけで、少し目先を変えていく必要が今後あるのではないかという気もするんですが、このあたり、いかがでしょうか。

菅国務大臣 基本的には、それぞれの自治体でまず努力をしていただく、例えば病院事業についても委託だとかいろいろなことを今私どもも指導させていただいていますけれども、しかし、そういう中でもやはりどうにもならない部分については、私ども国としてそれはしっかり調整をしていくということも私は必要だというふうに思っています。特に、この前も指摘をされましたけれども、私自身は、この病院そして下水道というのがそういう中でも一番問題があるのかなというふうに考えております。

逢坂委員 以上で終わります。どうもありがとうございます。

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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