衆議院

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第3号 平成19年10月30日(火曜日)

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平成十九年十月三十日(火曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    大塚 高司君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      若宮 健嗣君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    北神 圭朗君

      玄葉光一郎君    郡  和子君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    松野 頼久君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          木下 信行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社顧問) 伊東 敏朗君

   参考人

   (郵便事業株式会社代表取締役会長)        北村 憲雄君

   参考人

   (郵便局株式会社代表取締役会長)         川  茂夫君

   参考人

   (郵便局株式会社執行役員)            壺井 俊博君

   参考人

   (株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役会長)  古川 洽次君

   参考人

   (株式会社ゆうちょ銀行常務執行役)        高橋  亨君

   参考人

   (株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役会長) 進藤 丈介君

   参考人

   (日本郵政株式会社郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会委員長)

   (郵便事業株式会社社外取締役)          松原  聡君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     永岡 桂子君

  橋本  岳君     若宮 健嗣君

  逢坂 誠二君     北神 圭朗君

  田嶋  要君     郡  和子君

  森本 哲生君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     大塚 高司君

  若宮 健嗣君     橋本  岳君

  北神 圭朗君     逢坂 誠二君

  郡  和子君     田嶋  要君

  松野 頼久君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     井澤 京子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政事業に関する件(日本郵政公社平成十八年度財務諸表の承認に関する報告)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 郵政事業に関する件、特に日本郵政公社平成十八年度財務諸表の承認に関する報告について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、取締役兼代表執行役副社長高木祥吉君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役藤本栄助君、顧問伊東敏朗君、郵便事業株式会社代表取締役会長北村憲雄君、郵便局株式会社代表取締役会長川茂夫君、執行役員壺井俊博君、株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役会長古川洽次君、常務執行役高橋亨君、株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役会長進藤丈介君及び日本郵政株式会社郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会委員長、郵便事業株式会社社外取締役松原聡君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室長木下信行君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省郵政行政局長橋口典央君及び国土交通省自動車交通局技術安全部長松本和良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 日本郵政公社平成十八年度財務諸表につきまして、その概略を御説明申し上げます。

 本件は、日本郵政公社法第六十四条第二項の規定により、日本郵政公社が提出をした財務諸表について承認した旨を国会に報告するものです。

 まず、日本郵政公社全体ですが、貸借対照表については、平成十九年三月三十一日現在、資産合計三百四十九兆八千百八十四億円、負債合計三百三十九兆六千八百五十九億円、資本合計十兆千三百二十五億円となっております。損益計算書については、経常収益十九兆六千四十億円、経常費用十八兆三千四十六億円、経常利益一兆二千九百九十三億円、当期純利益九千四百二十五億円となっております。

 次に、郵便業務ですが、貸借対照表については、資産合計二兆二千四百五十三億円、負債合計二兆七千六百四十三億円、資本合計マイナス五千百九十億円となっております。損益計算書については、営業利益二百七十九億円、経常利益二百八十八億円、当期純利益十八億円となっております。

 次に、郵便貯金業務ですが、貸借対照表については、資産合計二百三十一兆六千二百八十二億円、負債合計二百二十三兆二千百三十七億円、資本合計八兆四千百四十四億円となっております。損益計算書については、経常利益九千七百七十三億円、当期純利益九千四百六億円となっております。

 最後に、簡易生命保険業務ですが、貸借対照表については、資産合計百十六兆六千百十三億円、負債合計百十四兆三千七百四十二億円、資本合計二兆二千三百七十億円となっております。損益計算書については、経常利益二千九百四十一億円、契約者配当準備金繰入額千七百七十四億円となっております。

 なお、監事及び会計監査人の意見を記載した書類においては、いずれも、監査の結果、財務諸表等は平成十八年度の日本郵政公社の財産等の状況を正しく示しているものと認められております。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君。

西川参考人 ただいま議題となっております日本郵政公社の平成十八年度の財務諸表並びに監事及び会計監査人の意見の概要につきまして御説明申し上げます。

 まず、公社全体の貸借対照表について申し上げます。

 平成十八年度末の資産合計は三百四十九兆八千百八十四億八千五百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三百三十九兆六千八百五十九億七千四百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は十兆千三百二十五億千万円となっております。

 次に、公社全体の損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は十九兆六千四十億六千四百万円でございます。次に、経常費用は十八兆三千四十六億九千九百万円でございます。以上の結果、経常利益は一兆二千九百九十三億六千五百万円となりました。これに特別損益を加え、さらに簡易生命保険業務の契約者配当準備金繰入額を差し引いた結果、当期純利益は九千四百二十五億六千七百万円となりました。

 この当期純利益九千四百二十五億六千七百万円は、全額を利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券の評価差額金として二兆四千四百八十二億八千二百万円を計上したため、資本合計は十兆千三百二十五億千万円となっております。これにより、自己資本比率(総資産額に占める資本総額の割合)は、公社設立時の〇・三%から二・九%となっております。

 続いて、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務のそれぞれの業務区分ごとに貸借対照表及び損益計算書について申し上げます。この業務区分ごとの貸借対照表及び損益計算書は、公社全体の貸借対照表及び損益計算書の内訳という位置づけとなっております。

 まず、郵便業務について申し上げます。

 当年度末の郵便業務の区分に係る資産合計は二兆二千四百五十三億六千四百万円でございます。一方、これに対する負債合計は二兆七千六百四十三億六千六百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計はマイナス五千百九十億二百万円となっております。

 次に、郵便業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、営業収益は一兆九千百三十四億四千四百万円でございます。次に、営業原価は一兆七千八百五十九億九千四百万円、販売費及び一般管理費は九百九十四億六千万円でございます。以上の結果、営業利益は二百七十九億八千九百万円となりました。これに営業外収益八十一億七千九百万円を加え、営業外費用七十三億千三百万円を差し引いた結果、経常利益は二百八十八億五千六百万円となりました。さらに、特別損益を加えた結果、当期純利益は十八億七千三百万円となりました。

 この当期純利益十八億七千三百万円は、全額を利益剰余金として資本に積み立てましたが、資本は、依然として五千百九十億二百万円の債務超過となっております。

 引き続いて、郵便貯金業務について申し上げます。

 まず、当年度末の郵便貯金業務の区分に係る資産合計は二百三十一兆六千二百八十二億三千九百万円でございます。これに対する負債合計は二百二十三兆二千百三十七億五千六百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は八兆四千百四十四億八千二百万円となっております。

 次に、郵便貯金業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は三兆五百八十九億九百万円でございます。次に、経常費用は二兆八百十五億三千万円でございます。以上の結果、経常利益は九千七百七十三億七千八百万円となりました。これに特別損益を加えた結果、当期純利益は九千四百六億九千三百万円となりました。

 この当期純利益九千四百六億九千三百万円は、全額を利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券の評価差額金として、二千五百三十八億六千三百万円を計上しました。その結果、資本合計は八兆四千百四十四億八千二百万円となっております。

 引き続いて、簡易生命保険業務について申し上げます。

 まず、当年度末の簡易生命保険業務の区分に係る資産合計は百十六兆六千百十三億百万円でございます。これに対する負債合計は百十四兆三千七百四十二億七千百万円でございます。その結果、資産合計と負債合計の差額である資本合計は二兆二千三百七十億三千万円となっております。

 次に、簡易生命保険業務の区分に係る損益計算書について申し上げます。

 まず、経常収益は十四兆七千二百六十一億七百万円でございます。次に、経常費用は十四兆四千三百十九億四千四百万円でございます。以上の結果、経常利益は二千九百四十一億六千三百万円となりました。なお、内部留保として一兆二百五十億九千七百万円を積み増し、契約者配当準備金に千七百七十四億二千万円を繰り入れました。

 資本合計については、設立時資産・負債差額四百二十六億千二百万円に加え、その他有価証券の評価差額金として二兆千九百四十四億千八百万円を計上したことから、二兆二千三百七十億三千万円となっております。

 なお、監事及び会計監査人の意見書では、監査の結果、財務諸表は公社の財産、損益等の状況を正しく示しているものと認められております。

 これをもちまして、概要説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩原誠司君。

萩原委員 皆さん、おはようございます。

 きょうは、郵政の民営化、十月一日にスタートし、本当に御苦労して成功のために頑張っておられる西川社長さんを初めとして関係の方々に御出席いただきました。まずは、心から敬意と感謝を申し上げさせていただきます。

 この問題は、二年前の選挙もあり、またその前の国会での民営化法の取り扱いをめぐっていろいろなことが起き、そして私自身も含めて、多くの方々の運命を変えております。そういう意味で、日本の多くの方々が、この民営化はどうなるんだろうか、ぜひ何らかの形でいい形になってほしい、そういうふうに望んでいる。そのことをベースに何点かお話をしたいと思います。

 地元でこういう質問をすると言ったら、いっぱいの要望が来まして、四十問、五十問ぐらいの量があるんですが、きょうはそれを何とか三つに絞ってお尋ねをしたいと思います。

 きょうは金融庁から山本副大臣にお見えをいただいております。金融庁が民営化以降しっかりと検査監督ということをしていただくことは当然でございます。

 そこで、まずお尋ねをしたいのは、ゆうちょ銀行と窓口会社、これが、例えばゆうちょについては金融部門を担うわけでありますけれども、当然に、今までの例えばコンビニ銀行なんか見ましても、コンビニじゃなくて本体の方の銀行業務に力点を置いて、しっかりとした検査監督を行っていく。そして、窓口に対しては、これは代理業務ですけれども、その本体である銀行からの内部統制を信頼していくというのが基本的な考えというふうに想像されておりますけれども、金融庁の一般的な方針は何かという点が第一点目です。

 第二点目には、郵政民営化につきましては、最終段階において可決をするときに、いろいろな思いを込めた附帯決議がついておって、その中に、ネットワークの維持というものも入っています。地元で聞きますと、三人から五人でやっている小さな局に金融庁の方がお見えになるのは大歓迎でありますけれども、恐らく検査を受けているときはネットワークが一時中断するということにもなろうか、そういう話もありまして、附帯決議についても尊重しながらやっていってもらえるものというふうに理解をしておりますけれども、この二点、つまり、検査監督の一般方針と、それからその際の附帯決議の尊重について、金融庁としての御判断をまずはお伺いをしたいと思います。

山本副大臣 萩原委員の質問にお答えさせていただきたいと思います。

 銀行代理業者に郵便局会社がなるわけでありまして、検査の場合というのはその所属銀行を検査するというのが銀行法で決まっております。したがいまして、金融庁の検査というのは、ゆうちょ銀行の本社を検査監督するということで考えております。

 附帯決議の話もございましたけれども、恐らく一つには、特定郵便局の小さいところへまで検査で行くのかな、そんな御心配もあるかと思いますけれども、個別のことは別にいたしまして、検査監督の基本方針というのがございまして、どういうふうに書いてあるかといいますと、被検査金融機関の対応能力とか事務負担を考えて検査対象を決める、こういうふうに書いてありますので、そんな点で御理解いただければというふうに思っております。

 附帯決議につきまして、金融庁といたしましても、当然政府の一員でありますので、前回の委員会で附帯決議が採択されまして、あまねく全国において利用されることを旨とするということでございますので、そういった点は当然私どもとしてもしっかりと対応していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

萩原委員 大変明快な御答弁をいただきましてありがとうございました。信頼性の向上とともにネットワークの維持、金融庁からも御支援を賜りますように、私からもお願いを申し上げておきたいと思います。

 続いて、きょうは西川社長もお見えでございますので、附帯決議についてのお考えを少し聞いておきたいというふうに思います。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、この附帯決議、参議院で最終段階でついたわけでありますけれども、非常に多くの方々の思い、民営化の基本方針はこれを是としつつも、最後までこれは大丈夫かとか、この辺は何とか決議でもって担保をせないかぬ、これだけは何とかという、そういう思いの結晶、その中の一つが、例えば先ほどお話をしましたネットワークの維持。これは、法律でもうたわれているんだけれども、やはりもう一回重ねて言っておかなきゃならない、そういう熱い思い、強い危機感というものがあった、そういう結晶であります。

 したがいまして、この附帯決議がどう遵守されるかということにつきましては、民営化の初期の段階における、民営化の成否、成功、失敗の試金石というふうに位置づけてもいいと思います。そして、この附帯決議を守ろうとする努力、これが関係各会社においてしっかりやられているかどうかについて国民の方々は注目をしている、そういう状況だろうと思います。

 そこで、これは確認でございますけれども、西川社長さんにおかれましては、いろいろな場面で、自民党でもおっしゃいましたけれども、何度も、附帯決議は守っていくんだ、こういうふうにその決意を公言しておられます。これはそうですよね。その上で、これは各会社の取締役やあるいは執行役員挙げての姿勢であるというふうに考えてよろしゅうございますね。

西川参考人 お答えいたします。

 附帯決議につきましては、各会社の取締役、執行役員を初めとして、グループ全体として守っていくべきものと考えております。その上で、民間企業としての効率性、収益性と、ユニバーサルサービスの維持という公共性、これを両立させていくということが日本郵政グループの使命であると考えております。

 以上でございます。

萩原委員 ありがとうございます。全社挙げての話、その上で効率性を追求するということ、その上でネットワークも、ネットワークの維持そのものは附帯決議にも言ってありますので、その上でと言う必要はないんですけれども、そういうふうにおっしゃっていただいてありがとうございました。

 ところで、多くの方々が御懸念を持っている状況がございます。郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会というのがある。四月二日に発表されていて、最近、略称で松原委員会というふうに通っているわけであります。

 そのときの発表文を拝見いたしますと、「現在の公社は、関連企業を含め多くの会社、財団法人等に業務委託、外注等を行うことで郵政事業を遂行している。民営化にあたり、コストの徹底的な縮減を図るとともにガバナンスの強化を図る観点から、これらについて抜本的な整理・見直しを行うため、外部の有識者、専門家からなる検討委員会を設置する。」これが四月の二日に発表されています。

 もちろん、西川社長におかれましては、社長就任のタイミングもあるものですから、この文言自身にどこまで御責任を持たれるか、これはさておきますが、そう書いてあるわけですね。

 そして、委員の方々はたしか五名おられて、秋池さんというボストンコンサルティングの方、弁護士の飯沼さん、関さん、新日鉄の監査役、そして灰原さん、公認会計士、そして松原先生、こういうふうになっているわけですね。

 そして、次に起こったことが、七月の二十七日金曜日ですね、金曜日の次は土曜日なんですが、プレスリリースがありまして、郵政関係各会社の役員候補等が内定をいたしましたという発表がありまして、関さんがホールディングスの社外取締役、松原さんは郵便事業会社の社外取締役、灰原さんが同社の監査役、飯沼さんは郵便局会社の監査役。恐らく、推量ですけれども、秋池さんが抜けているのは、ボスコンの内規か何かがあって会社への勤務というのはできないと。これは非常に当たり前のことで、利益が混交するからできないんだ、そういうまさに外部としての判断をせざるを得ないコンサルティングファームが内部に入ってはいけないということなのかなと推量される形で、秋池さんは入っていないわけですね。

 そして、七月二十九日が例の参議院の投票日で、大変な状況になりましたが、そしてさらに、七月の三十日に追加の内定者が何名か発表をされている。もちろん、内定行為というものが一体どういうプロセスで行われるか、各種の会議が必要、取締役会が必要なのか、あるいは指名委員会が必要なのか、あるいは経営委員会を開く必要があるのか、土日を挟んだこの間にこうやって二回発表するだけに相当たくさんの会議があったんだろうなと思いますけれども、その情報公開を求めても出てこないということもわかっているので余り聞きません。そして、十月の一日に民営化が起こって、そして先ほど申し上げた各先生方がそれぞれの会社のそれぞれのポジションに正式に配置をされてスタートしたわけであります。

 その後何が起こったかというと、十月の十六日に、先ほど申し上げた松原委員会の皆さんが二次報告ということでさまざまな提言をされる。そして、その二次報告には、例えば局舎の賃貸借契約の見直しなどというのがずっと入っていて、あるいはその中には団体交渉をするしないというような問題があったりなんかして、いろいろな点で関係の方々から附帯決議に反する内容ではないかというふうに言われて、若干の問題になっているわけであります。

 こういう経緯がこの間あるわけでありますけれども、この経緯については幾つかの問題点を指摘せざるを得ないわけであります。

 一つは、先ほどの四月二日の発表文にありましたように、社外の人から独立の意見を聞くんだと言っていたはずの委員会の構成メンバーが経営責任の一端を担う取締役にあるいは監査役におなりになってしまって外部性が喪失したのか、あるいは外部の方がと言った人を入れるということがガバナンスとしていいのかどうかわかりませんけれども、この辺の人事、利益の相反性ということについてどうもぴんとこない点がやはり残る。

 そして、いずれにしても結果として、この松原委員会の方々は、松原先生を初めとして社内になってしまったわけであります。会社としての経営陣、経営の一端を担う形になって、そういう方々が主体になって、先ほど申し上げたような十月十六日の二次報告を出す。そうすると、それを見た方々は、さてこれはだれの意見かというときに、郵政会社を含めて全体の会社が本気で附帯決議を守ろうとしているのかについて疑問を惹起せざるを得ないということになる。これが二番目の問題ですね。

 三番目の問題は、内部統制の問題になるんですけれども、そもそもどういう思考とプロセスを経て松原委員会の委員の皆様が取締役等に内定したのかということについても多くの方々が疑問を持つ。あるいは、委員会の設置に当たってガバナンスの強化というものを先ほどの四月二日の文書はうたっていますけれども、取締役会とか経営委員会とか指名委員会自身のガバナンスは一体どうなっているんだという問題を惹起させるということになる。

 それから、もう一個は別な論点でございますけれども、この委員会、先ほど言いましたように、いわば郵政から見ると外部の方々、つまり、業務の委託や外注等を行う対象としての関連企業を含めた多くの会社、財団法人等についての委員会が、その対象に特定郵便局の方々を含ませるというのは、特定局の方々もたしか社内の社員じゃなかろうかというようなことを考えると、多くの方々は、これは一体どういうことなんだという疑念を持ちますし、また、これは間違いなく、私が感じたところでありますけれども、こういう関係の方々の士気に影響を及ぼしている可能性があるという問題点があるんじゃなかろうかと思うんです。

 そして最後に、十月十六日にその松原委員会の報告が出たときに、「日本郵政 あたらしいふつうをつくる。」というタイトルがありますけれども、西川社長のコメントが出ていまして、「私自身としても、第一次報告と同様、強い覚悟をもって第二次報告の実現に向けて取り組む所存である。」と。

 今私が申し上げたことは全部事実でありますけれども、そうしますと、社長自身の附帯決議遵守の気持ちについてまた新たな疑問が浮かんでくるような状況になっているということを、どうも皆さんが潜在的に御指摘をされておられるような気がしてならない。

 この問題に逐一お答えをいただく必要は全くございませんが、今の議論を踏まえた上で、二点、現実の政策というものに注意を向けて御質問をしておきたいと思います。

 まず、附帯決議の最初にございますけれども、郵便局ネットワークの維持の問題に関して、現在、四百以上の簡易局が一時閉鎖の状況になってございます。これはもう皆さん知っておられると思うんです。この問題について、いろいろな議論がありましたけれども、突っ込んだ対応を考えておられるのかどうか。

 そして次に、特定郵便局の局舎の賃借料等について、附帯決議では、「現在、適切な算出基準に基づいて算出されているところであり、民営化後も引き続き適切な算出基準に基づく賃貸借料を維持すること。」等とされているんだけれども、その賃借料等についての見直しをするということをおっしゃっておられるのかどうかも含めて、一体どういうふうにしていかれるのか。

 この二点について、御判断、お考えをお示しいただきたい。もちろん前半の思いというものをお踏まえになった上で、御答弁にはそれなりの色を出していただければ幸いかと存じますので、よろしくお願いをいたします。

西川参考人 お答えをいたします。

 まず、簡易局の一時閉鎖の問題でございますが、ただいま現在、四百局余りの簡易局が一時閉鎖の状況となっております。

 簡易局対策といたしましては、ことしの一月以降、簡易郵便局取扱手数料の基本額の増額を実施したことや、あるいはパソコンや防犯カメラ、シュレッダー等を公社の負担で配備したこと、そしてまた、定期的に簡易郵便局を訪問して業務品質を点検するとともに、受託者の相談相手となる簡易局サポートマネージャーというものを全国的に配置いたしました。

 こういった努力によりまして、今年度上期に百二局の簡易郵便局が再開をしておりまして、この数は、昨年あたりと比べますと三倍ぐらいの量になっております。そういう格好で再開をしておりまして、引き続き受託者の公募等に努めてまいりますが、これまで以上に、自治会等地元の方々によく説明をして、御協力を得られるようにお願いをしてまいりたいと考えております。

 今後、簡易局の一時閉鎖の解消に向けまして、今申し上げました従来の取り組みの効果を検証いたしますとともに、民営化後の簡易郵便局の運営と事務取扱の実態を確認いたしまして、その結果も踏まえつつ、簡易局受託者の代表者や関係する地方の代表者、さらに地方で受託者の募集事務を担当している実務者などによりまして、簡易局チャネルの強化のための検討会を設けまして、より有効な受託者確保策を検討してまいりたいというふうに考えております。こういうことによりまして、何としてもネットワークの維持に努めようという所存でございます。

 それから、もとの特定郵便局の局舎の賃貸料等についてでございますが、附帯決議は先生御指摘のとおりでございます。私どもも、引き続き適切な算出基準に基づく賃貸料とするために、附帯決議を十分に踏まえながら検討してまいる所存でございますが、これにつきましても、弁護士、会計士、不動産鑑定士、それに特定局の代表者、それから私ども郵便局会社の代表者を加えまして、局舎問題全体についての検討委員会を立ち上げる予定でございまして、この委員会の中で、局舎にかかわる諸問題を改めて検討し、いかにして効率的な、そしてお客様の利便性を高め得るネットワークを構築できるかという観点から検討を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。どうか御理解を願いたいと存じます。

萩原委員 ありがとうございます。

 それぞれの問題について新たに委員会、検討の場ができる方向になるわけでございますが、今のお話、御答弁を聞いていて若干うれしいなと思いましたのは、かつてであると外部委員会とかいう話になる。外部の知見、それも必要な部分はあるんですけれども、今まさに郵政事業全体を進めていく上で、内部といいますか現場というか、仲間の声というものを信頼感を持って精査し、そして公正に表現をしていく、内部に対する信頼感と外に対する公正さというものが重要だ、両方がなければいけない。

 その際に、ややもすると、松原委員会との比較になり過ぎますけれども、外部性を妙に重んじた点があったのかもしれない。まさに現場の声を、先ほどの簡易局についてもきちっと吸い上げ、現場が動けなければだめなわけですから、大本営じゃなくて、しっかりと現場の参謀の声を聞きながらこの二点について物を進めていく態度が感じられたことを大変うれしく思わせていただきます。

 そういう観点から、もう一点だけお話、御質問を続けたいんですけれども、この質問を考える前提で、あるいは日ごろの会話の中で、十月一日以降、さまざまな論点が寄せられています。全部読めるかどうかわかりませんけれども、私の地元の方々の声を若干御紹介します。

 新郵便局ビジョンの中で、中間組織の現場の郵便局グループを取りまとめるアドバイザーあるいはスーパーバイザーという役職がどのような役職として権限、役割を与えられているのか、はっきりしない。この点についていまだに本社から指示が出ていない。

 民営化前は、現場の郵便局グループが仕事グループとして活動をしていた。民営化に当たって、中間組織としてのグループ活動を行うことに一応はなっているんだけれども、グループ活動に制限が多く、従来の営業活動、業務活動の打ち合わせの開催ができない状況になっている。この点についても本社からの明確な指示をお願いしたい。

 NHKの番組で郵政民営化後の取り組みについて放映されていたんだけれども、郵便局会社は自前の商品がなく、三事業の手数料だけでは先細りになってしまうということからか、コンビニにするとか窓口ロビーで開発をした商品を販売するとか言っておられる。ただ、現場のフロントラインの仕事量は、この民営化に伴って、システムの問題等もありまして確実にふえて、そして正規の社員の方々が減りつつある。現場の負担は相当なところに来ている。当分の間、三事業の業務、営業に取り組み、それ以外の仕事に割ける余裕がない。その状況も理解をしていただきたい。

 三事業の分社化は百害あって一利なし。これはこういうふうに言っているのでしようがありませんけれども、郵便事業会社とは既にある意味で別の会社、ある意味では別の会社というのは寂しい表現なんですね。別の会社になっているわけですけれども、本当は心理的には非常に近いんだけれども形式的に裂かれているという思いが入っていますが、例えば年賀はがきではお互いを競い合わすようにされている。年賀はがきの発売枚数も昨年を大幅に上回る枚数を発行し、郵便局会社、郵便事業会社の職員に競わせる、そういう姿だ。このことがまさかお客様への信頼を損なう結果になってほしくない。

 郵便局会社の組織の運営について具体的な指示が本社からまだ来ていない。また、業務内容についても、少人数の局にはなかなか当てはめにくいものが多い。各種のマニュアルにしても、十人以上の局の想定ではないのだろうか。

 民営化になって、各種のパソコンを使ってのシステムが開発されているんだけれども、共通業務については、この十月に急いで導入する必要があったのか疑問があるものもある。そうでなくても、業務内容が大幅に変わり混乱している中で、給与、人事、財務、備品、消耗品関係のシステムを急いで導入する必要があるのかわからない。半年間の余裕があってもよかったような気もする。特に、今回でき上がった新しいシステムは複雑な操作になっているということを御存じですか。例えば総合人事システムの勤務指定、超勤、年休、給与、どれも超複雑になっていて改良の余地がいっぱいありますよ。また、財務システムのカタログ購入も非常に複雑。いずれにしても単純化を求めたい。

 予算にしても、戦略経費とカタログ経費が各局に流れてくるんだけれども、旧特定局等の小規模局では合計三万円程度しか予算通知がなくて、局の運営に四苦八苦しており、局によっては局長が自腹を切っている。会社の予算の流れ、使い方について現場にもう少し丁寧に教えていただきたい。予算の運営について社員は全く教えてもらっていないというのは異常である。

 現場の正規社員の現在員についても、欠員の局がございます。穴埋めに期間雇用をしているんだけれども、あくまで欠員後補充は正規社員を入れてほしい。そうでないと、現場の社員の負担が著しく不均等にふえていく。

 私、中国管内なんですけれども、中国管内の新規採用予定数が四十名程度と聞いているんだけれども、本当にそれで充足ができるのか。今の欠員と今年度末の退職者の想定を考えると、これは相当不足をして現場は混乱するということは目に見えている。

 最近の指示文書を見ていると、局長を信頼していないという感じが強い。あるいは管理者として見ていないのではないかというふうに思う。仕事にしても、局長を対象にした研修会はほとんど行われずに、業務内容にすべて責任をとらすという監督責任論ばかりを言ってくる。それだけの局長に対する待遇、訓練もない。また、本社が間違ったときにはどのような処分を出すのか、明らかにしてほしい。

 給与体系も、局長、一般職の区分などが明らかになっていないのではないか。本社の文書がおくれているように思われる。いずれにしても、局長、職員の人事評価制度等について具体的な指示を早く出していただきたい。

 本社の役員のほとんどが民間からの移籍であり、公共性のある郵便局会社の運営にどのようなバランス感覚でやっておられるのか若干の疑問がある。また、本社の若手スタッフも郵便局の現場などをちゃんと熟知してアイデアを出しているのか疑問がある。具体的には、企画第一号として、フレーム切手、矢沢永吉の企画が全国的に展開されているんだけれども、結構高いこともありまして、郵便局にこれは本当にふさわしい企画なのか、だれがどうやって立案したのか、疑問なしとしないという声も上がっています。

 この話を続ければ何ぼでも出てくるのでありますけれども、要するに、十月一日の民営化以降、現場からはさまざまな戸惑い、悩みの声が、これは私だけではなく、恐らくきょう御参集の総務委員会所属の先生方のところにはいっぱい来ているというふうに思います。そして、なぜこんな質問をしているかというと、こういう個々の現場の悩みの声を本社にきちっと話せる時間やチャンネルや余裕がなかったりするということをみんな嘆いているというふうに思います。

 こういった現場の声、これに丹念にこたえる努力、聞く努力をして、現場と本社の一体感をもう少し向上させる。西川さんは恐らくこんなことは思っておられると思いますけれども、その一体感の向上というものが現場、現場の自信につながっていって、私は本社から見てもらっている、本社に話ができる、そういう自信につながり、さらにはその自信が地域の方々、お客様の信頼向上に間違いなくつながるんじゃないかと私は期待をしています。

 この場で、先ほど申し上げたこと、あるいは申し上げられなかったことも含めて、個々に、矢沢永吉はこうだとか、そういうことを答えていただく必要はございませんけれども、一つだけお聞きしたいのは、こうした今具体的にお話をした現場の声にこれからさらにきめ細かく誠実に対応をしていただく、その方針があることを国会のこの審議の場でお約束をいただきたいと存じますけれども、いかがでございましょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 ちょっと口幅ったい言い方で恐縮でございますが、私は現場主義でございまして、郵便局の現場力の強さというものを高く評価してまいりました。日本郵政グループの収益の大きな源泉は、お客様との接点である郵便局でございます。郵便局が働きやすく、そして安心して仕事ができるようにすることが、ひいては、お客様にも御満足をいただき、お客様の安心と信頼を得ることになるのだと思います。

 そのために、先生御指摘のような郵便局での戸惑いや悩み、そして意見や要望等を本社の方で真摯に受けとめまして、常にお客様視点と郵便局視点というものを第一義として、それらを大いに取り入れて誠実に対応していくことが経営者としての使命であるというふうに私は考えております。

 今度、郵便局会社というものが誕生いたしまして、従来の公社、本社と郵便局との距離よりははるかにその間の距離は近いものになりました。当然のことでありますが、もう一心同体と言っても過言ではない格好でございますので、より一層緊密に意見交換もしながら経営改善に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

萩原委員 ありがとうございました。

 西川イズム、現場主義の貫徹、一体感のさらなる醸成に幹部の方々挙げて取り組んでいただきますようにお願いをして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口でございます。

 十月一日に民営化がスタートいたしまして、あしたで丸一カ月というふうになるわけでありますけれども、まずは、この民営化に当たっての関係者の皆様の御苦労に感謝を申し上げるとともに、敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 とにかく、民営化に当たっては、細かなところでいえば、局舎の中に壁をつくったり配達用の車のナンバーも変えなきゃいけないとか、さまざまな御苦労があったかと思いますけれども、国民の皆さんは、とにかく民営化されればサービスがよくなる、こういうふうに期待をされております。ぜひ期待を裏切らないように、しっかりと進めていっていただきたいというふうに思っております。

 そこで、まず最初に総括的に、民営化、約一カ月たちましたけれども、西川社長にその総括をお伺いしたいというふうに思います。

西川参考人 民営化スタート後約一カ月経過をいたしましたが、まずもって、関係者の皆様方の御指導と御支援により大きな混乱はなくスタートすることができたことを、心より感謝申し上げます。

 一部報道にもございましたように、システムのふぐあいにつきましては、改善措置を講じることによりまして、現在は順調に稼働をしております。

 また、内容証明等の郵便物に係る認証事務におきまして不適正な事案の発生が判明いたしました。先週、政府から、善後策を講じるとともに再発防止策等を報告するよう命じられておりまして、現在、全力で対応しているところでございます。

 お客様に御迷惑をおかけするとともに、皆様に大変御心配をおかけしたことはまことに申しわけなく、心からおわびを申し上げます。コンプライアンスを徹底した上で、お客様の立場に立ってサービスの向上に努めてまいりたいと考えております。

 先日、個人に対するローン事業についてスルガ銀行との間で、また宅配便事業に関しましては日本通運との間で、それぞれ提携関係の構築に向けた検討を進めることで合意いたしました。これらは、郵政グループのネットワークと既存民間企業の持つすぐれたノウハウを結合させることでサービスの向上を図るためのものでございます。

 私どもは、お客様に、民営化して本当によかったと評価していただくことを民営化の成否の尺度として定めております。民間企業としての効率性、収益性と、ユニバーサルサービスの維持という公共性を何としても両立させるべく、今後、全役職員一同力を合わせて取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 今お話がありました内容証明の郵便物に関しての取り扱いのミスでありますけれども、二十四日にその発表がありまして、共同通信の報道でありますけれども、内容証明を扱っている郵便局のうちの九割から届いた報告を中間集計したというところで、押印漏れとか記載ミスが合計一万九千件を超える数字に達した。それと郵便事業会社による同様のミスを合わせると二万一千件を突破している、こういうふうな報道も出ております。

 先ほどお話がありましたように、三十一日までに総務省にその調査の結果それから再発防止策を報告するということになっておりますけれども、現時点での進捗状況をお伺いさせていただきたいと思います。

西川参考人 現時点におきましては、これは十月二十五日現在でございますが、この集計状況を申し上げますと、不適正な認証の事例の件数は、内容証明が約二万三千件。内訳といたしましては、郵便局会社で約二万二千四百件、郵便事業会社が約六百八十件でございます。特別送達はすべてこれは郵便事業会社でございまして、約一万二千三百件となっておりまして、両方合計いたしますと約三万五千四百件となっております。

 今回の事案につきまして率直に反省をいたしまして、今後、同様の事故を二度と発生させることのないよう、全職員に対して漏れなく周知し、適正な認証事務の徹底を図ってまいります。

 以上でございます。

谷口(和)委員 民営化を期待していた国民にとっては、やはりこれはとんでもないことでありまして、ぜひ二度とこのようなことが起こらないように、再発防止策をきちっとやっていただきたいと思います。

 それで、内容証明に関しては、報道等によると、内容証明が無効になってしまう可能性もあるのではないか、こういうふうにも伝えられておるわけですけれども、今後、お客様への対応、合計で三万五千件を超えるようなかなり膨大な数になっておりますけれども、どういった対応をしていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 支店そして郵便局に保管しております謄本から不備のあった内容証明郵便物の差出人様を特定いたしまして、おわびした上で御意向をお伺いして対応してまいります。基本的には、郵便料金についてお客様負担とならないように配意をいたしまして、再度、内容証明郵便物の差し出しをお願いすることとしております。

 なお、大変数が多いわけでございますが、差出人様への御連絡は遅くとも十一月の中旬には終わらせたいと考えております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 ぜひ、迷惑をかけたお客様にしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、次は資金運用についてお伺いをしたいと思います。

 民営化を機に、デリバティブなどの運用が可能となるよう認可申請をしているというふうに伺っております。資金の方はこの三月末現在で、郵貯の方が百八十七兆、それから簡保が百十五兆と、合わせて三百兆を超えるような膨大な、巨額の資金になっております。そのうち、運用に占める国債の割合というのが郵貯で大体七割ちょっと、それから簡保で五六%ということで、国債の運用もかなり大多数を占めておるわけであります。国債のマーケットが荒れれば、当然金利上昇ということにもなりかねないですし、今後、日本経済への悪い影響というのが出てくると思います。

 そういう意味で、この運用の仕方次第では、債券市場も含めてマーケットを攪乱させる可能性というのもありますので、ここで今後の運用方針について基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金運用につきましては、預金者や加入者に対しまして、貯金の元利金や保険金等の支払いを確実に行うため、事業の健全運営を確保していくということを基本に実施をしてまいります。

 具体的には、ゆうちょ銀行については、国債による運用を中心に、金利リスクを適切にコントロールしながら安定的な収益の確保に努めますとともに、運用手段を拡大することによりまして、リスクの分散、収益源の多様化を図ってまいります。デリバティブにつきまして、ただいま御認可をいただけるよう申請をいたしておりますが、これは主としてリスクヘッジのためのものでございます。

 また、かんぽ生命につきましては、長期固定であります負債の特性を踏まえまして、金利変動リスクを適切にコントロールし、長期安定的な収益の確保が可能なようにしていくことが必要でございます。このため、国債等の運用によりまして、円金利資産のキャッシュフローを負債のキャッシュフローにマッチングさせる運用、これを基本としつつ、運用手段の多様化を通じまして、リスクの分散、収益源の多様化を図ることといたしております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 今、デリバティブに関しては、基本的にはリスクヘッジの手段として使うというお話もありました。いずれにしましても、国民の皆さんから預かった大切な資金でありますので、市場環境にも配慮しながら、確実な運用をお願いしたいというふうに思います。

 もう時間がなくなってまいりました。最後に、ちょっと国際ボランティア貯金についてお伺いしたいと思います。

 平成三年に制度が始まったわけでありますけれども、これまで約百八十億円がNGOに寄附されたというふうに伺っております。できればこういう同じような枠組み、仕組みをぜひ復活させていただきたい、こういうふうに思っているわけでありますけれども、もしできないのであれば、違う形での社会的な貢献策、こういったものもぜひ検討していただきたいんですが、これについてお伺いしたいと思います。

西川参考人 国際ボランティア貯金の廃止につきましては法律によるものでございまして、これは御承知のとおりでございます。

 ゆうちょ銀行としましても、CSR、企業の社会的責任ということでございますが、これは経営の重要課題ととらえておりまして、国際ボランティア貯金にかわる企業の社会貢献活動の一環としまして、新たな枠組みを今後検討してまいりたいと考えております。

 そして、これは銀行の業務ではございませんが、平成二十年用の年賀の中に、カーボンオフセット年賀を発売することにいたしております。これは、計画といたしましては一億枚でございますが、五円の寄附をつけていただきまして五十五円で販売をさせていただくということでございまして、この五円プラス日本郵政グループからさらに五円を加えまして、一枚につき十円を環境保護団体等に寄附させていただくということにいたしております。

 そのほか、これはグループ全体でございますが、環境関係あるいは福祉関係等で新たな取り組みができないか、前向きに検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

谷口(和)委員 ありがとうございます。ぜひ今後もこういう積極的な社会貢献策を進めていただきたいと思います。

 もう時間が参りました。日本郵政さんのホームページを見ますと、最初に、これは多分沖縄でしょうか、沖縄の写真があって、おばあちゃんがほうきを持って立っているところがありますけれども、そこに「ひとりを愛せる日本へ」というタイトルが出ております。国民の皆さん期待しておりますので、一人一人全員が喜んでいただける、そういう民営化をぜひ進めていただきたい、このことをお願い申し上げまして質問とさせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 小泉・竹中構造改革が、国民の幸せに全くつながらない、改悪だったということがはっきりしてきたわけでございますが、この郵政改革は、まさにそういった意味では改革の本丸ではなく改悪の本丸であった、そういうことがはっきりしてくるんじゃないかと思っております。そういった観点からさまざまな問題について質問をさせていただきますので、増田大臣そして西川社長におかれましても簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。

 それでは、質問取りの順序とは逆になりますけれども、まず郵政民営化についてから先にお伺いしたいと思います。

 一つ目は、民営化の目的についてであります。改めて、今回の郵政民営化の目的は何なのか、教えていただきたいと思います。

増田国務大臣 今、民営化の目的ということでお問い合わせがございましたけれども、やはりこれは官ではなくて民に仕事を任せるということで、さまざまな規制というものから解き放たれるわけでありますので、創意工夫ですとか自主性を発揮しやすい、そういう体制に変わったというふうに思います。

 それからもう一つは、例えば金融二社については、同業の、同じような競争相手というのがいっぱいあるわけでありますので、そうした中で創意工夫を発揮しながら競争してさらにサービスをよくしていく、こうしたことを通じて国民にそうしたサービスの利益というものを還元していく、こういう考え方で今回民営化が行われたもの、このように理解をしております。

福田(昭)委員 競争の促進による経済の活性化、これが郵政民営化の目的だというんですけれども、果たしてそうなるでしょうか。競争の促進による経済の活性化、もって、今大臣が言ったように、金融機関のサービスが向上して利便性が上がるということですが、果たしてそうなるでしょうか。これから質問の中でただしていきたいと思っております。

 その前に、ちょっと尋ねておきたいと思います。よく言われておりました財政投融資、出口の改革が必要だと言われておりました。これは既に行われていたと思うんですが、いかがですか。

増田国務大臣 今、そうしたことについてさまざまな取り組みが行われてきたものというふうに承知をしております。

福田(昭)委員 小泉総理大臣も当時、出口の改革が必要なんだと言っていたようでありますが、頭のいい財務省は実はとっくに出口の改革はやっていたんですね。

 もう一つちょっとお伺いしておきますが、先進諸国において郵政民営化で成功した国はあるんですか。また、アメリカ、米国は郵政事業は国営でやられていると思うんですが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 郵政事業、郵便事業ですけれども、アメリカは国営で今行っている、このように承知しております。

 それから、他国でこうした郵政民営化に取り組んだ例はもちろんございまして、それぞれの国の事情、そういったものによってさまざまな改革を行っている、このように承知しております。

福田(昭)委員 聞くところによりますと、ニュージーランドにおいてもドイツにおいても、郵便貯金銀行を手放したけれども失敗したということで、政権がかわって買い戻したり新たにつくったり、そんなこともしているようでございまして、まさに世界じゅうで成功しているところはないそうでございます。

 それでは、二つ目ですけれども、三年後の見直しについてでございますが、この三年後がいつなのか。郵政民営化がスタートしたことしの十月一日から三年後なのか、それとも関連法の法律が成立した平成十七年の十月十四日から三年後なのか、それとも法律が公布になった日から三年後なのか、これを明確にしていただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお尋ねの民営化後の三年ごとの見直しでございますが、これにつきましては、郵政民営化法第十九条第一項一号に規定されております。この第一項第一号の施行日につきましては、当該郵政民営化法の附則におきまして、平成十八年四月一日というふうに規定されております。したがいまして、この平成十八年四月一日から三年後ということでございますので、最初の見直しは平成二十一年三月まで、このようになっているところでございます。

福田(昭)委員 最初の見直しは平成二十一年の三月三十一日までですね。はい、わかりました。それは確認をさせていただきました。

 それでは、三つ目の質問でありますが、金融二社等についてであります。

 資金の運用先については、民営化後どのように変更する計画なのか、教えていただきたいと思っております。

 それからもう一つ、株式上場の時期についてはいつごろになるのか、金融二社及び日本郵政会社についていつごろを予定しているのか、教えていただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 金融二社の運用でございますが、民営化時点におきましては、リスク管理手段、運用手段を含めまして、業務範囲が公社と同様の範囲に限定されていますほか、法令によりまして、旧勘定の額以上に国債等の安全資産を保有することが義務づけられております。そういうことから、当面、大幅な資産構成の変化が生じるということは想定されません。

 一方、収益源の多様化を図りまして、二社の健全経営の確保を通じまして、預金者や加入者の安心感をさらに高めるために、金利リスクのコントロール手段を確保するとともに、金利リスクから市場リスク、信用リスクへ、リスク配分のリバランスを進めていくことが必要と認識をいたしております。

 このため、運用対象の多様化、これは先ほども申しました、金利スワップ等デリバティブでございますとかあるいはシンジケートローン等でございますが、こうした多様化として、十月四日に主務大臣に対しまして新規業務実施の認可申請を行ったものでございます。

 いずれにいたしましても、ゆうちょ銀行、かんぽ生命とも、資金の運用に当たりましては、市場と良好な対話を行うことによりまして、市場にサプライズを与えることのないよう十分配意をしてまいりたいと考えております。

 それから、二番目の御質問でございますが、金融二社の株式上場につきましては、遅くとも四年以内、これは二〇一一年でございますが、四年目、可能であれば、東京証券取引所の審査基準の特例が認められるということを前提に、民営化後三年目、二〇一〇年度ということになりますが、この時期の上場を目指しております。

 日本郵政につきましても、金融二社と同時期の上場を目指しておりますが、日本郵政につきましては、売り出し人が政府でございますので、政府の御判断に従うということでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 これだけの巨大な資金を運用するというのはなかなか難しいと思うんですよね。平成十八年度末の郵貯と簡保の運用状況を見させていただきますと、何と、国債と地方債それから地方への貸付金だけで、実は九割です。全運用資金の九割が国債と地方債と地方への貸付金です。それから、簡保の方は国債と地方債と貸付金で七六・六%です。国や地方の資金を支えてきたのは、実は郵貯だったわけですね。

 これから民営化をして、国の財政危機だなんという話もある中で、将来、国債を買い支えてくれるところがなくなったときどうするんでしょうかね。大変心配だと思っております。ここのところはここでちょっと議論はやめておきますけれども。

 次に、四つ目でありますが、これはちょっと通告外でございます。いや、時間の関係でこれはやめておきますか。四つ目は、民営化による利用者、国民の利便性の向上についてでございます。

 先ほど西川社長も、一カ月順調に進んできたということでございますし、また郵政のPR、「民営化後も、郵便局は、これまでどおり、御利用いただけます。」という中で、「民営化後も、郵便局でこれまでと同じように郵便・貯金・保険のサービスをご提供します。さらに、新たなサービスのご提供に取り組んでまいります。」こう書いてあるわけでございますが、果たしてそうなんでしょうか。

 ぜひ、それぞれ、郵便事業会社、郵便局会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社について、法律上、ユニバーサルサービスの維持の必要性があるのかないのか、それから手数料の値上げをしたのかしないのか、そうした観点から、では利便性が上がったのかどうか、具体的にお答えをいただきたい。

西川参考人 お答えをいたします。

 民営化によりまして利用者利便の向上につながった事例につきまして、簡単に御紹介をいたします。

 郵便事業会社におきましては、ゆうパックの損害賠償につきまして、滅失、毀損による損害に加えまして、新たに遅延による損害の追加をいたしました。また、これは先ほどのお答えの中でお話ししたことでございますが、カーボンオフセット年賀を発行いたしまして、地球温暖化防止を推進するプロジェクトの支援を実施しようとしております。

 郵便局会社におきましては、十月一日から首都圏、これは一都三県の一部の郵便局、二十三局でございますが、ここで自動車保険の取り扱いを始めました。また、十月十五日からは全国の郵便局で年賀状印刷受け付けサービスを実施いたしております。

 ゆうちょ銀行におきましては、五年定期貯金の開始、さらにATM提携の拡大、それからATM利用の口座間送金無料化を実施いたしております。

 かんぽ生命保険につきましては、保険金の支払いに関しまして、お客様の利便に配意して、保険金の即時払いの取り扱いを引き続き行いながら、入院保険金の請求に必要な証明書、入院証明書でございますが、これを不要とする範囲の拡大を実施いたしております。

 まだまだ新しいサービスはこれからのことでございますが、今後ともお客様の視点を最優先しまして、創造性を発揮し、真にお客さまに御評価をいただける商品、サービスを提供していくよう努めてまいります。

 以上でございます。

福田(昭)委員 西川社長、今お答えいただきましたが、今のサービスが向上した点については、何も民営化しなくたってみんなできることじゃないですか。問題は、ユニバーサルサービスを維持しなくてはならないことを義務づけられているのは郵便事業会社だけでしょう。貯金銀行も保険会社も義務づけられていないわけですよ。もうからなくなったらいつでも撤退することは可能なわけですよね。

 ですから、まさにサービスは低下しているじゃないですか。それから、手数料も軒並み上がっているじゃないですか。特に、郵便貯金銀行などは、印紙税法が適用されたことによって、それこそ十倍にもなっている手数料だってあるでしょう。これでサービスが向上しているんですか。サービスなんか全然向上していないじゃないですか。利用者にとって、何のための民営化だったんだか全くわからないじゃないですか。集配局は減らされる。集配局も千四十八も減ってしまった。先ほどの答弁の中にもありましたけれども、簡易局も今自然減みたいなものもあって、何とかこれもふやしたい。利用者にとって、国民にとってサービスはどんどん低下する一方じゃないですか。これでは何のための民営化だか全くわからないじゃないですか。

 そこで、増田大臣にもちょっとお伺いしておきます。大臣、私も所属しておりました地方六団体も、あのときに、ユニバーサルサービスの維持が難しくなるからとか、あるいは金融面のセーフティーネットがなくなってしまうから、ぜひ郵便局は民営化しないでほしいという要望を地方六団体もしたと思うんですが、現状を見ていかがですか。感想をお聞かせください。

増田国務大臣 お答えいたします。

 やはり郵便局あるいは郵便のネットワーク、こうしたものが地域で果たしている役割というのは大変大きいということで、民営化に当たって地方六団体がそうした点での対応を要請した、こういうふうに思っております。

 これは国会の方でも、先生方、大変御心配もあってああした附帯決議もつけられて、そうしたネットワーク水準、サービス水準の維持をきちんと附帯決議の中に盛り込んだということでありますので、十月一日に発足をして、今、事業の効率化ですとかあるいは創意工夫といったさまざまなことを会社の中で懸命に行っていると思いますけれども、附帯決議を遵守するとか、あるいは地域のそうした現場での声に十分耳を傾けながら、今後の郵政民営化というものを、やはり国民の立場に立った、国民の目線に立った、そういう改革にしていただきたい、会社としてはぜひそういったことについては工夫を発揮していただきたい、このように考えております。

福田(昭)委員 その肝心なユニバーサルサービスが、郵便事業会社だけなんですよ。

 では、ちょっとお伺いいたしますが、貯金の取扱局の減ったところは何局あるんですか。それから、簡易保険の直接取扱局が減ったところは何局あるんですか。多分みんな、委託を受けて取次店になってしまっているはずですよ。減った数はどれぐらいあるんですか。それをちょっと教えてください。

西川参考人 お答えをいたします。

 貯金の取り扱いをやめたという郵便局は、先ほど来お話が出ました、簡易局の一時閉鎖をしておる郵便局に限られると思います。その中で約五割近いものが農協に委託をしておりました簡易局でございまして、農協におきましては、貯金業務は農協さんがおやりになるということで簡易局ではやらなかった。ただ、郵便振替等の為替の業務はやっていたということでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 よく質問の趣旨が伝わっていないようですから、後でまたこれは明らかにしたいと思います。

 それでは、五つ目の質問でありますが、資料を皆さんのお手元に配付させていただいております。そちらをごらんいただきたいと思いますが、自民党の当時の郵政事業懇話会ニュース第三号についてであります。前回質問したときはこの資料がなかったんですが、今回手に入りましたので、皆さんのお手元に配付をさせていただきました。ぜひごらんいただきたいと思います。

 ここにありますように、当時、米国政府からの対日要望というのが六項目ありまして、六項目に対して、郵政民営化法案が忠実にこれを法案の中に取り込んだ、こういう報道でございますが、これは本当かどうか、増田大臣にお伺いをいたします。

木下政府参考人 関連の事実について、御説明申し上げます。

 今お配りいただきました項目でございますけれども、二〇〇四年、平成十六年に、日米規制改革及び競争政策イニシアチブというものがございまして、そこで日本国政府への米国政府要望書というのがございました。

 この要望書の中には、ここに示されております項目が含まれていたということはございますけれども、郵政民営化に限ったものではございませんで、当該米国政府要望書は、電気通信、エネルギー、医療機器、金融サービス、その他広範な分野に対する要望がなされたものでございます。

 他方、制度設計でございますけれども、我が国の郵政民営化の制度設計におきまして、米国政府の対日要望と異なったものもございます。その例をお出しいたしますと、例えば、米国政府側は、完全にイコールフッティング、同一の競争条件が達成されるまでの間は郵便貯金銀行、郵便保険会社の新商品を認めるべきではないと要望していたところでございますけれども、郵政民営化法におきましては、移行期において郵政民営化委員会の意見を聴取した上で、主務大臣がイコールフッティングと経営の自由度、このバランスをとって新規業務を認めていくというようなこととしたものが挙げられます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 アメリカから、対日の年次改革要望書が出てきている、その中の一部分としてこの郵政民営化についてもこうしたものがはっきりとあったということは確かなことだということですね。これは確認をさせていただきます。そして、先ほどの一部ちょっと違った話は大した話ではありませんね。

 それで、二つ目は、この法案作成に当たり、竹中大臣ほか準備室は「十七回もアメリカと交渉しています。」と書いてあるんですが、これは本当ですか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお尋ねの点につきまして、竹中元大臣御自身でございますけれども、竹中大臣の国会での御答弁によりますと、郵政の問題に関し外国の方と会談したことはなく、面会の要望も断っている、このようなことを答弁されているところでございます。

 他方、平成十六年四月二十六日に設置されました私ども事務局でございますけれども、当時でございますが、郵政民営化準備室の職員が、郵政民営化関連法が成立する平成十七年十月二十一日までの間に、米国の政府や民間関係者の面談要請に対応いたしまして、十八回会談を行っております。

 この会談におきましては、先方、米国側の政府や民間関係者からの主張を聴取するとともに、郵政民営化準備室の方から、郵政民営化の基本方針や郵政民営化関連法案の内容などを説明したものと承知いたしております。

福田(昭)委員 交渉したということは、話し合ったということは本当なんですね。確認をさせていただきます。

木下政府参考人 事務職員におきまして会談をしたということでございます。十八回会談をいたしました。交渉といいますよりも、先方の主張を聴取するとともに、私どもの方の郵政民営化の基本方針あるいは郵政民営化関連法案の内容を説明したというものと承知いたしております。

福田(昭)委員 日本の法律をつくるのに、何でそこでアメリカと交渉する、説明する必要があるんですか。おかしいじゃないですか、これ。

 それで、元自民党の国会議員あるいは現職の国会議員、みんな言っていますよ、とんでもないと。それから、いろんなジャーナリストも、「拒否できない日本」とか「奪われる日本」とか書いている関岡さんとか、そのほかたくさんの方がいます。それこそ、超右翼と言ったら怒られちゃうかもしれないけれども、小林よしのりさんまで、とんでもないと、こう怒っていますよ。まさに、日本の主権を侵されたのと違うんですか。日本の法律ですよ。

 竹中大臣は拒否しているようでございますので、ぜひこれは委員長にお願いいたしますが、この真偽のほどを、両理事さん、この十八回の交渉の内容、それから真偽のほどをぜひ公開するように理事会で諮っていただきたいと思います。その中身によっては、結果によっては、ぜひ竹中大臣の証人喚問が私は必要だと思います。まさに、日本の主権を侵されたんですよ、これ。日本の法律をつくるのに、とんでもない話です、これ。ですから、ぜひとも、その結果によっては竹中大臣の証人喚問も必要だと思いますので、ぜひ理事会でひとつ御相談をお願いしたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

渡辺委員長 理事会で協議いたします。

福田(昭)委員 それでは、まだちょっと時間があるようですので、次に、平成十八年度決算及び事業評価等についてちょこっとお話をさせていただきます。

 私は、郵政公社は非常にすばらしい公社だと思うんですね。税金は一円も使わずに、職員の給料をちゃんと払って、利益が出ればそれは国に納める。今回も、四年間の総決算として、何と九千六百二十五億円も国庫納付をするというんですね。国債を買い支えてくれる、財政危機だというのに、国債をしっかりと買い支えた上に、もうかった中からはちゃんと国にお金も納める、税金にかわるものを納める、税金は一円も使わない、こうしたすばらしいものをなぜなくしてしまうのか。

 そして、私、先日、郵政民営化を前に、この三月の二十六日に残念ながらみずから命を絶った現職の郵便局長の奥様の話も伺ってまいりました。それはそれは、本当に聞くも涙の話でありました。

 郵政公社のいいところをちょっと申し上げますと、全国どこでもだれにでもサービスが展開できる、国民に安心感を与える、税金は使用せずに、逆に利益を出して国庫に納める、国債を買い支えてくれるなど、たくさん郵政公社のいいところはありますよ。まずいところとしては、それこそ少し資金量が大きくなり過ぎた、それから財政投融資、つまり使い方がちょっと時代に合わなくなってきた。そして、この辺はもう是正が実はされている。こうしたことを是正さえすれば、郵政公社は日本人がつくってきた日本の宝じゃないですか。三事業一体であるがゆえに、利用者、国民の利便性も高かったんじゃないですか。多くの犠牲者を出してまで、よいものを壊す必要がどこにあったんですか。抜本的な見直しが必要だと思いますので、それをぜひ私は御提案させていただきたいと思います。

 持ち時間がちょっとあるようでございますので、前に質問をした、この三月三十一日ですか、大量退職者が出たようでございますので、その大量退職者が、特定郵便局長だけで二千七百人も出たそうでありますが、特定郵便局長も含めてどれぐらいの退職者が出たのか、そしてそのうち死亡または病気による退職者は何人いたのか、教えていただきたいと思います。

佐々木参考人 数字の話でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 先生今御指摘のとおり、平成十八年度中の特定郵便局長の高齢勧奨退職者数は二千六百二十一人、約二千七百人でございました。この特定郵便局長の高齢勧奨退職者数につきましては、例えば、平成十六年は九百七十九人、平成十七年度は九百八十一人でございまして、平成十八年度が例年よりも多くなっていることは事実でございます。

 私ども、個別の退職の動機というものは把握をしておりませんけれども、退職される希望を出された方の話等を伺いますと、平成十八年度末の高齢勧奨退職が公社時代の最後の高齢勧奨退職であったということのために退職の希望者が多くなったというふうな事情もあるというふうに聞いております。

 今申し上げた数字は、郵政グループ全体の一般職員まで含めた数字ではございませんで、特定郵便局長の退職者に限るものでございます。それから、今先生、内訳ということでお話がありましたが、特にこの勧奨退職の場合は、死亡の者は含まれておりません。私どもの別の調査では過去三年間の在職死亡の数というのを把握しておりますが、十八年度は二百五十一人でございます。それから、十七年度は二百四十三人、十六年度は二百七十八人ということで、特に顕著に十八年度は増加したというふうには把握をしておりません。以上でございます。

福田(昭)委員 部門会議でも、私は三週間も前に言ったはずですよ。若くても円形脱毛症になっちゃって郵便局をやめた人も何人もいますよ。ぜひこれはしっかりと悉皆調査をして、どれだけの犠牲者が出たのかはっきりすべきだと思います。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いします。

 先ほどの福田委員の続きで、まず関連の質問から入りたいと思います。郵政民営化に関する米国との会談、対応に関してでございます。お配りしております資料の六ページをごらんいただきたいと思います。これが、先ほども出ました十八回の実際の日付でございます。残念ながらというか、いただけた情報はここまででございます。

 まず、総務大臣にお伺いしますが、もちろん当時は大臣じゃなかったわけでございますが、私もかつて、年次改革要望書、この郵政に関する国民の一部にあります不信感、不安感、そういうことに関して質問させていただいたことがございまして、当時の竹中大臣の、米国から圧力を感じたことは一度たりともありませんという話がございました。しかし一方で、先ほどのお話ですと、事務方はこれだけの回数の会議を開いていたということです。一回一回の会議が十五分の会議なのか二時間の会議なのか、それも教えていただけません。

 まず最初に大臣にお伺いしますが、客観的に見て私は異常な数だと思うんですが、どういう御意見をお持ちですか、大臣。

増田国務大臣 十八回、アメリカといろいろ会談をしたということであります。したがいまして、当然、こういった郵政民営化の問題について、アメリカの皆さん方がこの内容について大変御関心を持っている、そういうことによってこうしたことが行われたのではないか、こういうふうに推測するわけであります。

田嶋(要)委員 私の質問は、この回数です。十八回。どうですか、普通の感覚からして多いという印象を持たれませんか。

増田国務大臣 今、私、大変アメリカの皆さん方がこの問題について御関心をお持ちになっていたんだろうというふうに申し上げました。だから、回数についてどういうことであるかなかなか判断がつきかねますが、いずれにしても大変強い御関心をお持ちになっていたんだろうというふうに思います。

田嶋(要)委員 次に、政府参考人の方で結構ですが、では、EUとの会談は何度行われましたか。

木下政府参考人 お答えいたします。二回でございます。

田嶋(要)委員 この差は何なのかということだと思うんですよね。では、大変強い関心を持っていればだれとでも会うのか。

 先ほど福田委員の方からもございました。これは基本的には国内の話でございますし、そういう忙しい中でこれほどの回数会っているということは、一部で言われている、本当に民営化でだれが一番得をするのか、アメリカじゃないのかという意見は、これは本当かどうかわかりませんけれども、強い不安感もあるわけですね。

 先ほど出た年次改革要望書、これはもう宮沢・クリントン時代からずっと続いているわけでございます。私もそれを全部調べましたけれども、ほとんどのものは実現しているんですよ、これまでずっと。もう大臣も御存じだと思いますけれども、法科大学院もしかり、あるいは裁判員制度もしかり、全部アメリカの要求に入っている。アメリカに言われたからやっているわけではないにしても、しかし、アメリカも要求しているんです。それで、一番特筆されるべきは、第三分野と言われる保険分野に関してですね。これはアメリカが先に商品を売り始めた。したがって、今、アメリカンファミリーとか、外資系の方が圧倒的に知名度が高い第三分野があるわけですね。

 そういった過去の事例が今あって、そして、この巨大な金融機関の民営化の話のときに、その法律ができる直前の一年余りの間にこれほどの回数特定の国と議論をするというのは一体何なのか。どういう話か本当にわからないので、国民は逆にいぶかしく思ってしまうのではないか。私は、会うことが悪いとは思いませんけれども、情報開示のあり方が余りにも問題があるのではないかと思います。

 そこで、情報をこれ以上出していただけませんでしたが、なぜ情報が出せないのかということを御説明いただきたいと思います。

木下政府参考人 お尋ねの点についてお答えいたします。

 この資料につきまして、情報を出すという点につきましては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、この第八条第一項の規定によりまして個人情報の目的外利用が制限されているということがございます。また、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条第一項におきまして、こういう記述がございます。個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるものまたは特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものにつきましては不開示情報にされておるというようなことを踏まえたものでございます。

田嶋(要)委員 いろいろ今出ましたけれども、だれが会ったかということは余り関心がないわけですね。

 きのう、今おっしゃったような紙もいただきましたけれども、これはどう読んでも、私たちが知りたいことが開示できない根拠としてはおかしいと思うんですよ。個人に関する情報であって、しかも括弧がついていて、「事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。」わけだから、本当にその個人に関しての生年月日とか氏名とかそういうことに関して開示できないという、それだけの法律ですよ、これは。

 資料の七ページをごらんください。郵政民営化委員会に関しまして、ちゃんとこういうような資料をいただいていますよ。私たちはこういうことが知りたいんですよ。生命保険会社からいろいろ会っているとか、どこの団体の方々と会っているのかなと。

 かつての国会答弁は、十八回のうち、物流と何回ですか、損保、生保か何かと何回、そういうことは答弁、一回、どこかのタイミングでされています。しかし、団体名を挙げるぐらいのことはやっていいと私は思うんですよ。個人と何も関係ないですよ。なぜそれができないんですか。

 もう一度御答弁いただけますか。

木下政府参考人 日付につきまして資料をお出しいたしましたものは、それについて御要望があったということに対応させていただいたものでございます。(発言する者あり)

渡辺委員長 木下室長。

木下政府参考人 私どもの方に資料を提出せよという御指示がございまして、御相談いたしましたところ、いろいろこういう法律で難しいものがあるということで御説明いたしましたところ、日付だけでもいただきたいというお話でございましたので、日付であれば問題がなかろうということでお出しした、こういう経緯でございます。

田嶋(要)委員 ちょっと待ってくださいよ。

 それは、何にも出せないと言うから、最後は、日付は出せるのかと言って、日付はいただきましたよ。だけれども、その前に、どういう団体とそれぞれの会議が行われたのか、こっちはだれが出ていったか、相手はだれが出てきたか、それがアメリカの政府なのか、大使館なのか、民間の業界団体の会長か何かなのか、そういうことを教えてくれというふうに申し上げたんです、私は。そのプロセスを何で吹っ飛ばして最後のことだけ言うんですか。何にも出せないと言うから、これぐらいは出せるだろうということで、最後出てきたのがこれですよ。

 話した時間が十五分の単なるあいさつなのか、二時間の具体的な事務方レベルの議論なのか。今の話だと大臣は全然出ていないという話でしょう。事務方の議論をしているわけでしょう。どうですか。

木下政府参考人 個々のやりとりにおきまして御指摘のような食い違いがあったといたしましたら、それは申しわけなかったなと思いますけれども、御要望に応じさせていただいたことがこの結果だということでございますので、また別のお話がございますれば、それはまた別によく考えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

渡辺委員長 速記とめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こして。

 政府委員に申し上げます。できるだけ誠実に答弁をお願いしたい、そのように思います。

 そしてまた、今、両筆頭理事間で協議いたしましたが、これから理事会の方で協議をさせていただきたいというふうに思っております。

 田嶋君。

田嶋(要)委員 私が聞かなかったから答えなかったみたいな答弁をされたので、それは非常に不本意でございますけれども、出せる情報を出してほしいと言って、何度言っても断られて、最後これだけ出てきたというのが真実ですよ。こちらの郵政民営化委員会に関しては、これだけちゃんと出しているわけですよ。一番国民が心配している点の一つですよ。それで、実際に十八回も会議している。

 もう一度御答弁いただけますか。

木下政府参考人 お出しできない根拠についてだけ申し上げさせていただきたいと思います。それにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律八条一項……(発言する者あり)はい。これに該当するものについてはお出しできないということでございまして、それ以外につきましてはまた検討させていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 ちょっと繰り返しですけれども、会った人の生年月日とかは興味ないですよ、それは。

 大臣、何か約束してくださいよ、はっきり。

増田国務大臣 この問題について、委員の御質問の御趣旨を受けて、よく事務方に検討させます。誠意を持って検討させて、お出しできるものはきちんと出すということにしたいと思います。

田嶋(要)委員 一つは期限ですけれども、もう一つは、議事録もその要旨も何にもないと言うんですけれども、本当ですか、それ。シュレッダーにかけたんですか。いや、見事に日付がはっきりこう出てきますね。日付だけきちんと出していただいた。そのミーティングが十五分か二時間かもわかりません、その記録も一切ないと言うんですよ。後からまた出てくるんですか、あのほかの役所みたいに。どうなんですか。それとも、やはりこれは国民が心配するから証拠を残さないでおこうということで始まった会議ですか。どうなんですか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 この十八回の会議につきましては、先ほど先生も引用されました竹中元大臣の御答弁に際しまして、当時の職員がいつどのぐらいあっただろうかということで数えてみたというようなものでございます。したがいまして、それに関連するメモのたぐいは残っておりません。

 なお、先ほど、郵政民営化委員会の議事録につきまして公表されているというお話でございました。この郵政民営化委員会におきましては、透明性が重要であるというようなことで、もともと氏名あるいは資料、こうしたものを公表するという建前で行ってきたということでございます。

田嶋(要)委員 記録が一切ございませんということであれば、先ほど大臣おっしゃったように、もう一度何を出せるかを検討させるといったって、何もないということですよ。(発言する者あり)

渡辺委員長 場外の方はちょっと静粛にしてください。

田嶋(要)委員 ちょっとおかしいじゃないですか。大臣は、これから検討してもう一回何が出せるか検討すると。何が出せるかって、出せるものは何もないとおっしゃっていますよね。証拠も何もないんですよね。この日にちだけは今調べて出てきたと。

 あと、期限。出すのであれば、いつまでに出せるのか。相手がどういう団体か、それから中身の議論の要約でも何でもいいですけれども、どうなんですか。

木下政府参考人 精査させていただきまして、できるだけ早く対応させていただけるように努力したいと思います。

田嶋(要)委員 これはもし本当に議事録も何にもなかったら何のための議論なんですか。上司はそういう仕事の仕方を部下にやらせていいんですか。何をやっている議論かもさっぱりわからないのに時間をこれだけとってやっているということは、公務員の仕事の仕方としてどうなんですかね。そんな自由にやっていいんですか。普通だったら、こういう話し合いで、こういう相手からこういう要望が出ましたとか、メモぐらいつくるんじゃないんですか。本当に大丈夫ですか、そういう答弁で。後から出てくるんじゃないんですか、また。

 大臣、最後にもう一回ちゃんと、あるはずだという前提のもとにしっかりと出させてください。お願いします。

増田国務大臣 この問題については早急に私の方で精査をして出せるものをお出しする、これは誠実に皆様方の御要望におこたえしたいと思います。

田嶋(要)委員 もう終わった話だからということにはならないんですね、この問題は。今でも、これからも、まさに、民営化という中で多くの人が心配している一点であることは事実なんですよ。だから、そのことを踏まえて、いわゆる李下に冠を正さず、そういうことは怪しまれないようにしっかりみずから情報公開していただきたい、そのようにお願いをいたします。

 あと、期限ですね。大臣、もう一度、期限ですけれども、はっきりと、いつまでにというところを言っていただけますか。

増田国務大臣 早急に出します。できるだけ早く出します。

田嶋(要)委員 では、共通の認識があると信じておりますので、早急にお願いをいたします。

 次の質問に移ります。

 民営化の時点でお客様にどういう果実がもたらされたかということでまず質問いたしますが、西川社長、最初の質問ですが、十月一日時点で、これがお客様にもたらされた最大のメリットですという一番の売りは何ですか、グループとして。一つ挙げていただけるとしたら何だというふうに社長はお思いですか。お願いします。

西川参考人 お答えいたします。

 一つと特定されますとなかなか選別するのが難しいのでございますが、例えば、ゆうちょ銀行におきまして、口座間同士の振替につきまして十月一日から無料化をしたということが挙げられようかと存じます。

 以上です。

田嶋(要)委員 まだ民営化されたばかりなのであれですが、先日、私も十月一日に郵便局に視察に行ってまいった一人でございますけれども、基本的には何事もないかのようにその日を迎えたということで、郵便局の風景もそれまでと特に変わった感じがいたしませんでした。

 そういう中で、今ちまたでいろいろ指摘されているのは、何だか悪い話ばかりいろいろ出てきているんじゃないか、サービスの面とか。それに対しては、悪い話は先に出るけれども、いい話は後から来るよ、果報は寝て待てという話なのかもしれませんけれども、その点に関して、先ほど大臣からも、創意工夫、自主性を発揮して民営化というのはよくなっていくんだという感じでございますけれども、しかし、現時点での評価は、創意工夫の結果いろいろなサービスが値上げをされたということではないのかなという感じが私の印象としてはあります。

 そこで、まずお伺いしますが、この十月一日時点からこういうものが値上げされる、そのリストを、資料の一ページ目をごらんください。これは、いただいた資料で「料金を改定する主なサービス」。これだけいろいろな変更があるわけでございますが、これをお客様に対してどのように情報開示、コミュニケーションを図ってきたかということに関して、西川社長、お願いできますか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の送金・決済サービスの料金等につきましては、ことしの六月二十二日に報道発表を実施しております。それから、郵便局におきまして、ゆうちょ銀行が提供する商品、サービス、料金等に関するお知らせを配布いたしております。それから、ホームページに料金改定の内容を掲載することにより周知を図ってきております。

田嶋(要)委員 私が入手したパンフレットとかを手元で見る限り、そういう値上げ、料金が上がりますという話に関してははっきりどこにも書いていないですよ。これが全部じゃないかもしれませんけれども、さっきのアメリカとの会議でもそうですけれども、何となく、知られたくない話は書かないか一番隅っこにちっちゃな字で書くような経営姿勢じゃないかなという感じがするんですね。

 それで十月一日を迎えて、多くのお客さんはびっくりしているわけですよ。まあ、小さな話かもしれないと言う人もいるかもしれませんけれども、やはり、十円が百円に上がっちゃうような話というのは、これはよっぽど慎重に。しかも、小さな会社じゃないですよ。郵政という巨大会社がこういうことをやれば全国民に影響する。それをある日突然サプライズでやる。これは事実上やはりサプライズですよ、ほとんどの人にとって。

 そういうやり方というのは民間企業としては大変まずい。つまり、かなり慎重に、事前に周知をする手続を踏んで、申しわけないけれどもこういうことになりますという手続はやはり必要だと私は思うんです。私はそこに関しては問題があったというふうに考えますけれども、いかがですか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、手数料を、実はさっき、報道発表したのは六月二十二日と申し上げたんですが、もっと早く決定して、もっと周知徹底していかなきゃいけなかったということは今になっては反省しております。とにかく、お客様に料金体系を周知徹底していくということは民営化の上で大変重要なことですから、今後は、そういうことのないように、しっかり周知徹底、広報等に努めていきたいと思います。

田嶋(要)委員 具体的に、この資料ページ一のこういった料金の変更によります、直近の取扱高に基づいた料金値上げあるいは値下げ等による予想増収額、予想減収額、それから印紙税等による負担の増額、その三つの数字をおっしゃっていただけますか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 新しい料金で増収、これは印紙税の負担も含んだ金額ですが、約百八十億円でございます。それから、先ほど私どもの西川が申し上げましたけれども、ATMの利用の無料化をやっております。これで減収が五十億でございます。それで、印紙税の負担額が百十億ございます。ですから、百八十から五十と百十を引きますと、ゆうちょ銀行のネットの増収額は約二十億ということでございます。

田嶋(要)委員 今全部言っていただきましたけれども、じゃ、ネットの増収額というのは、これは民営化の便乗で単に利益をふやしているだけじゃないんですか。要するに、お客様への説明は、印紙税負担分を上乗せする、だからこれはやむを得ない値上げでありますというコミュニケーションをお客さんにはしているわけですよね。しかも、今おっしゃったのは、差額として二十億が浮くわけですが、値引きの方は最初の年だけなんですよね。書いてますね。電信振替、ATM、一年だけ無料ですよ。ということは、翌年度からは、今おっしゃった五十億がさらに上乗せされて、年間七十億円の増益になるわけですよね。この増益は何なんですか。

高木参考人 まず、一番最後のお話にお答えします。

 民営化したので、民営化キャンペーンということで最初一年、これがパンチがきくかなと思ったんですけれども、その後の中の議論で、タイミングを見て周知していきたいと思いますけれども、ATMの利用の無料化は継続したいというふうに思っております。

 それから、料金の値上げ。確かに二十億プラスになっております。これは、公社時代であっても、経営体、企業体として採算をとってやっているわけですから、私個人としては民営化特有かなという気持ちもありますけれども、いずれにいたしましても、民営化のときに、先生お話がございましたように印紙税が課されるということで、その一環の中でいろいろ見直したわけでございます。基本的には、送金・決済サービスの大宗を占める送金・決済サービスにつきましては料金を据え置いております。

 ただ、非口座あての送金・決済サービスにつきましては、これはコストがなかなかかかるという事情がございます。一方で、民間金融機関ではこういうサービスは提供されてないんです。ですから、私どもは、民営化といえども、そういった民間にないサービスを何とか継続して提供していきたいという思いもあったわけでございます。そういうことで、大変恐縮ではございましたけれども、コスト分は一部引き上げさせていただいて引き続き実施しているということでございます。

田嶋(要)委員 そういった本当の部分をしっかり説明せずに、民営化とともに印紙税負担がかかるからというようなせりふで、こうやってやる。しかし、実際に今の売り上げのボリュームで計算をすると二十億ないしはそれ以上の利益がふえているわけですね。

 本来、民間の企業であれば、そして民営化の本旨からすれば、それを経営努力で吸収してお客様への転嫁というのを抑えていくのが本来の経営姿勢じゃないですか。それをやらずして、民営化の初日、何かいいことがあったんですか。先ほど社長がおっしゃいましたけれども、トータルで見るといい話はないスタートを切っているわけですよ。まあ、果報は寝て待てかもしれませんけれども、そういうスタートを切っていることが、そもそも民営化会社初日からつまずいていると私は思うんですね。

 いかがですか、西川社長。これは全体としての精神の問題ですよ。民間会社初日ですよ、これ。

西川参考人 まだスタートをしたばかりでございまして、これから我々の取り扱う業務の範囲が徐々に広がってまいります。その中でお客様のお役に立てるサービスがふえていくということを考えております。以上です。

田嶋(要)委員 民営化はしたばかりですけれども、西川社長はもう大分長いこと社長をされている。四月一日からですよね。そういうこともございます。

 やはり初日から民間会社としてきっちりとやっていただきたいし、その果実がしっかりお客様に実感できる、新サービスを始めるというのはこれからの新しいことですけれども、今のこのサービスの中で料金が下がるとかそういった実感が持てるような民営化じゃないと、私はおかしいというふうに思っております。

 それで、残りの時間で、先ほども質問としては出ました国際ボランティア貯金の質問をさせていただきます。

 私は、これも果実どころか民営化を機にした大変なバッドニュース、悪い知らせだと思っているんですよ。

 お配りした資料をごらんください。二ページ目。幾つかの商品、サービスがなくなりましたが、民営化を機に代替商品が出されてますね。ところが、一番下をごらんいただくと、国際ボランティア貯金だけは代替はないわけです。お客様にはどういうコミュニケーションをしたかというと、根拠法がなくなったので終わりになりますと。それじゃ、一般の人は何のことか全然わからないですよ。なぜなくなるのか、こんなに高い評価を得ているものがなぜなくなるのか、なぜ継続の商品が出てこないのか、そこがお客様に対するコミュニケーションで求められるところじゃないですか。今こういう状況になっております。

 では、西川社長、国際ボランティア貯金がなくなるのを御存じでしたか。知ってましたか、これ。

西川参考人 お答えします。

 私はよく存じておりました。最後の献金の贈呈式も行いました。

田嶋(要)委員 御存じでしたら、四月から十月一日の間に何らかの手を打って、こんなすばらしいものが途切れることのないような手を打つことができたのではないかと、私は大変悲しい思いがするんです。

 これをごらんいただくと、国際ボランティア貯金は二千八百万件、口座数だと思うんですが、物すごく多くの国民が参加をして、途上国の環境問題やさまざまなものに力をかしている、まさに草の根のボランティア事業なんですよね。その見事なインフラ、恐らくこれは世界一の参加規模じゃないですか、ギネスブックに載っているかどうか。こういう善意のインフラが法律がなくなってある日突然消えましたじゃ、私、説明がつかないと思うんですよ。

 次のページ、四ページにこういう報告書がありまして、五ページは、これは平成十九年三月付で、これ、やめるとも何とも言ってないですよ。今後とも充実したものとなるよう運営に努めてまいりたいと。これはまだ半年前ですよ。廃止はとっくに決定していた後もこんなことを言っているわけですよ。お金をもらっているNGO団体も寄附している皆さんも、何かキツネにつままれたような話ですよね。

 そしてもう一つ指摘申し上げたいのは、この国際ボランティア貯金で、民営化のときに三名か四名、国会で質問しています。そのときに、当時の郵政公社の生田総裁は大変踏み込んだ発言もされております。要するに、総裁が継続を言わなくったって、こういうすぐれたものは当然に民間会社もやってくれるはずだというところまでおっしゃっているんですよ。

 最後の質問をいたします。これはCSR。

 先ほども、これからいろいろ考えていきたい、何か、五円足す五円で十円、そういう話もございました。結構なことです。しかし、これまであったこんなすぐれたものが、長い年月かけて二千八百万口座まででき上がったものが一日で消えてしまったことは、私はお客様サービスとしては失格だと思うんですよ。すぐれた商品を消してしまった。国民の善意を無にしていると思います。

 ぜひ西川社長におかれましては、できれば十二月末までに、遅くとも来年度から、来年度四月一日からはこの継続の商品を検討していただきたい。

 これは、一たん途切れたらもう一回やり直すのにまたお客様一人一人の同意が必要なのかどうかは知りません。私も郵便局に行ってボランティア貯金をつくりましたけれども、何かチェックマークを入れたんですよね、たしか。金利の部分がそっちに行ってもいいですよと。

 そういう作業がもう一度必要かもしれませんけれども、これはぜひ、先ほども同じ主張だったと思いますが、遅滞なく、優先度を上げて、まさに郵政のような大きなグループのCSRですから、その一番重要なものをなるべく近い形で復活させていただきたい。そのことをお約束いただけませんか、西川社長。

西川参考人 お答えいたします。

 私も、これをやめなければならないという話を聞きまして、何とか復活することができないのか、継続することができないのかということを担当部に問いかけましたところ、法律がなくなるということからやめざるを得ないということでございました。私、詳細はまだ調べておりませんが、多分税務上の問題等もあるのであろうという感じがいたします。したがって、それらをチェックしながら、この国際ボランティア貯金にかわる新しいものをこれから検討してまいりたい。至急結論を出したいと思っております。

田嶋(要)委員 ハードルがあるかどうかわかりませんけれども、民間の銀行はやっているんですよね。民間の銀行がやれているのに民営化されたゆうちょ銀行ができないというのは、私は変だと思うんですよ。

 だから、ハードルがあるかもしれませんが、特に配分の問題とかとおっしゃっていましたけれども、それは、やはり今の民間の事例も参考にしながら、やるという決意のもとに、至急チームか何かをつくって御検討いただきたいというふうにお願い申し上げ、質問を終わります。

 以上です。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 郵政民営化の議論の際にも、民営化によってサービスは後退をさせない、いや、サービスはよくなるんだという小泉首相や竹中大臣のあの答弁というのが今も耳に残っておりますけれども、きょうの審議を通じても、実態がどうなのか、率直に言って国民にとってサービスが後退しているじゃないか、こういうことを実感せざるを得ません。

 そこで、私も関連して、簡易郵便局について、きょうは少しお尋ねをしたいと思っております。

 最初に、会社の方にお聞きしますが、簡易郵便局の現在の一時閉鎖数、それから公社になって以降の廃止数は幾つなのかをお示しください。

藤本参考人 お答えいたします。

 簡易郵便局の一時閉鎖等の関係でございますが、十月一日時点で一時閉鎖となっておりました簡易郵便局、四百十七局でございます。そのうちの二局につきましては既に再開をいたしておりまして、八局については受託者を内定し、再開に向けて準備を始めておるところでございます。なお、十月一日以降に一時閉鎖となった局は八局でございますが、そのうち一局は十一月一日に再開の予定でございます。また、二局につきましては、再開に向け今準備中でございます。

 それから、公社期間中において廃止された簡易郵便局でございますが、十五年の四月から十九年の九月までの間でございますが、二百二十二局でございます。ちなみに、十月一日以降のものはございません。

 以上でございます。

塩川委員 配付資料にありますように、この間ずっと、一時閉鎖についても積み上がり、また廃止数もどんどん積み上がっていく、過疎地の占める割合も大きいということで、地方において非常に大きな役割を果たしている簡易局がなくなるということが、地域における金融の窓口がなくなっていく、いわば金融排除と言われるような状況が生まれる、こういうことへの懸念が強くあるということであります。

 そこで、西川社長にお尋ねいたします。

 民営化の議論の際には金融のユニバーサルサービスが議論となりまして、いわば、国民にとってみれば、国民の権利としての金融アクセス権、この保障というのが問われたわけです。

 政府は、金融のユニバーサルサービスの義務づけについての法律の規定は外すけれども、郵便局における金融サービスは大変重要なので、実体的に金融サービスが継続するようにすると説明をしてまいりました。しかしながら、ここにありますように、郵便局の一時閉鎖、廃止がふえております。これで国民にとっての金融アクセス権が保障されていると言えるのか、お伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 私は、やはり金融排除ということが生じてはいけないということを強く考えておりまして、そういう見地からしましても、簡易局の一時閉鎖につきましては、極力早く再開をできるように努めてまいりたいというふうに考えております。

 先ほども申し上げましたが、関係者、簡易局経営者、それから地方の代表者、そして郵便局会社の代表を含めまして、簡易局チャネルの強化に関する検討会を持ちまして、そこで精力的に検討を進めて、そして有効な実行策を講じてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 対策もとってきた、今後も検討会で具体化をしていくというお話ですけれども、資料をごらんいただいてもわかるように、一時閉鎖の数というのは、ことしの三月末の三百七が今四百十七ということで、確かに再開するのもあったかもしれないけれども、それを上回って大きく一時閉鎖数がふえているというのが実態であります。

 これがとまっていないわけですね。今お話にありましたように、十月一日以降も一時閉鎖が八局というお話もありました。そういう点では、加速しているとまで言えるかどうかはわかりませんけれども、やはり民営化と前後して、公社が民営化の準備をする過程の中で大きく一時閉鎖が拡大しているという現状があるわけです。

 そこで、これを本当に打開できるのか。国民にとっての金融アクセス権が保障されるのか。率直に改めてお聞きしたいんですが、いかがですか。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の金融アクセス権をやはりきちんと確保してまいらなきゃならないというふうに私ども考えておりまして、その中で簡易局の果たす役割も決して小さくない、大きい、こういうことでございますので、何としても早く再開できるように、実効が上がる施策を早急に講じてまいりたいと考えております。

塩川委員 報道などで伺うところでは、西川社長のインタビューの記事などで、例えば移動郵便車の話などが出ております。

 他局から週のうち何日か人を派遣してあけるとか、支社に一台程度しかない移動郵便車をふやすなどの手だても考えるとか、週二、三回、一日数時間だけ運営する移動郵便局を開設する方針を示したという話ですけれども、週二、三回とか一日数時間ということで、これで簡易局の代替ということには当然ならないと思います。

 これは、あまねく公平にという、国民にとっての権利としての金融アクセス権の保障ということではないと率直に思うのですが、その点はいかがでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 移動郵便車でありますとか、あるいは時間限定のサービスでありますとか、こういったことはいわゆる応急措置でございまして、それをもって永続的にやっていこうというわけではございません。やはり、一時閉鎖されておる簡易郵便局を再開するということが第一義でございまして、それまでの間の応急措置としてそういった施策も考えてまいりたい、少しでも御不便の解消に努めてまいりたいという意味でございます。

 以上です。

塩川委員 簡易局も、受託のいろいろな条項の中でも、九時から四時とか九時から五時まで金融とか郵便のサービスを行っている。そういうところで見ても、九割強の簡易郵便局というのが九時から四時ぐらいの時間帯で平日は行っているわけですね。移動郵便車とか、ほかから人が来て一日数時間、週二、三回あけるとかということでは、当然足りない。

 おっしゃったように、応急措置ということですけれども、再開にこそ全力を挙げるべきで、そういう現状になっていないということが率直に今問われているわけだと思います。金融アクセス権が阻害をされる状況がある。

 その点で、大臣にお尋ねしますけれども、簡易局の一時閉鎖や廃止が増加する現状というのが金融アクセス権が保障されるとは言えない事態だと思いますが、その点についての大臣のお考えと、ではどうするのかということについて、政府としてのお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 こうした簡易局の一時閉鎖がふえているということは、やはりそれに対しての対策を真剣に考えなければいけないというふうに思うわけであります。

 今、公社の方で委託料の引き上げ等を行ってまいりましたけれども、そうした対策の効果、これをよく検証していただく。そして、自治体はもちろん、それから郵便局会社等の関係者が入って今後それぞれの地域で検討会を開催されるということでありますので、これまで、そうしたネットワーク水準を維持するために、それはひいては金融についてのアクセス権を保障するという意味でネットワーク水準を維持する、そういう試みが行われてきたわけでありますが、そのさまざまなこれまでとってきた対策の効果をよく検証していただいて、そして、今後に向けてのより効果的な中身を出していただければ、このように考えております。

塩川委員 手数料を引き上げたといっても、もともと公社時代に手数料を引き下げたというのが局が減るという引き金の一つにもなっているわけですから、そういったことも含めて検証することが求められているわけで、金融アクセス権が阻害されないようにするという点で何が必要なのか、引き続き午後の質疑でただしていきたいと思っております。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、西川社長にお伺いいたしますが、簡単明瞭に申し上げますけれども、現在、西川社長がこの日本郵政株式会社の社長のポストのほかに、その他の企業の役員をなさっているというふうに漏れ聞くのでありますが、その実態をお知らせいただければ、ありがたい。

西川参考人 お答えをいたします。

 一般企業の社外役員の兼業につきましては、公社総裁就任時に、任命権者である総務大臣からの御承認をいただいたものでございまして、私の業務に支障のない範囲で社外役員としての活動を行ってきております。

 なお、社外役員の兼業につきましては、各会社の事情もお伺いしながら順次整理をしていく考えでございまして、既に、兼務しておりました六社のうち四社につきまして、ことしの八月から九月にかけて辞任をさせていただきました。社外役員の兼業につきましては、引き続きそれぞれの会社と話し合ってまいりたいと考えております。

 以上です。

重野委員 総務大臣と相談をしてやっているんだという説明であります。

 しかし、私は、従業員二十四万超という、しかも三百四十兆という、これはとても一般の企業と同列に見るべきでないと思うんですね。やはり、こういう大企業、しかもこの十月一日に新しく完全に民間の会社になった、そういう経過から見て、私は、これは大臣に相談をするまでもなく、西川社長は、やはり郵政民営化、この企業を立派なものにしていく、国民の期待にこたえたそういうものにしていくという立場でこれに全力を挙げるんだ、こういうことが言われてしかるべきではないかと思うんですが、その点について、社長、どうですか。

西川参考人 お答えいたします。

 もちろん、私にとりまして、日本郵政グループの業務が最優先課題ということでございまして、これに全力を尽くすということでございます。したがいまして、残る会社につきましても、ただいま話し合いもいたしておりますが、それぞれ事情がございますので、しばらく時間を要するかと存じますが、業務に支障のない範囲でその間は務めてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 総務大臣、その問題についていかがお考えですか。

増田国務大臣 この民営化に当たって、社外取締役についておられたそこの関係を大分整理された、こういうふうにお聞きをしております。そして、今まだその余のものについて継続をされているということは承知しておりますが、業務に支障のない範囲ということを社長は明確におっしゃっておられます。そうした上で、日本郵政の方の業務に専念されるということでございますので、ぜひそうした形で郵政の仕事に全力を挙げていただきたい、このように考えております。

重野委員 そういう方向で流れていくように期待をしておきます。

 次に、午後、各社長さんに聞くようにしていますが、西川社長にこのことを聞いておきたいと思うんです。

 分社化されまして、いろいろな懸念がなされています。その中の一つに、千代田区の霞が関にあります本社の問題ですが、会社が四つ、それに統括会社があって、五つの会社が中に入るということですね。そうしましたら、こういう状況が出ていると。会社が五つになりましたから、役員室が従来の五倍、約五十室ぐらいふえるんだというふうなこと、さらには全国からの応援部隊等々もあって、この十二階建てのビルもスペース不足、こういうふうな状況が懸念される。会社を五つつくったら役員も五倍になるというふうなことも含めて、これは逆に非効率な姿になっておるんじゃないか、こういう見方があるということでありますが、そうなると、効率化、能率化という点での郵政民営化、こういうことと相反する事態になっていくのではないか、こういう懸念があるんですが、その点について、西川さんの答弁をお願いしたい。

 それと、あわせて、先ほども質問がありましたけれども、従来、普通為替十万円以下二百円の手数料が三万円以上六百三十円に今回値上げされるというふうなことが現実出されているわけです。こういうことは、国民に対して、郵政民営化なぜ、そういう問いに対する返事として、これはやはり民営化の本来の趣旨に反する現象ではないのか、こういうふうな指摘があるんですが、その二点について、答弁をお願いいたします。

西川参考人 お答えいたします。

 五分社化によりまして役員数が全体としてふえているということは事実でございます。社外役員を含め、一部兼務している役員も含めまして、十月一日時点では百九名でございます。そのうち、社外役員が二十二名ということでございます。一社当たりにいたしますと二十数名ということでございまして、一社ごとに見ますると、それぞれの会社の規模から考えますれば、あながち役員数が多いというわけではないというふうに思っております。

 社屋につきましては、一部、霞が関の旧郵政公社本社以外の施設も使用いたしておりますが、例えば監査部門などは麻布の方に行っておるとか、一部はほかの施設も使っておりますが、基本的には霞が関の旧公社ビルに入っておるということでございます。

 ただいま、役員がふえた、そしてその全役員に個室を与えるというようなお話がございましたが、個室は極めて限られた役員でございまして、全員に与えるものでは決してございません。一般執務室の中で執務をしておる人が多いということでございます。

 それから、為替の手数料を値上げしたわけでございますが、その多くは印紙税の負担、これは、民営化されまして新たに印紙税が課せられる、領収書に二百円の印紙を貼付しなければならないということでございますので、その印紙税負担、このコストアップ分を手数料に加えさせていただいたというのが実態でございます。

 中に、それとは関係のないものがございます。例えば定額小為替の手数料でございますが、これは昭和三十六年以来一枚十円ということでございましたが、実は直接原価が約四百円これにかかっておりますので、まことに申しわけございませんが、この十円を百円にさせていただいたということでございます。

 何とぞ御了解を賜りたいと存じます。

重野委員 以上、時間が来ましたので終わります。

渡辺委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 先日、私、予算委員会で、福田総理初め皆様方に質問をさせていただきました。郵政民営化についての私の基本的な考え方をその際には申し述べたわけでございますが、きょうは時間もありませんし、そのことを繰り返しましても余り私が期待するような答弁が返ってくるとは思えませんので、きょうは控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど各委員の御質問を聞いておりまして感じておりましたけれども、福田委員や田嶋委員が、アメリカの意思が影響を与えたのではないか、そういう質問をしておられました。

 あの当時私どもも心配していたことでございまして、やはり小泉元総理の長年の執念、政治的な執念だと思います、それに竹中平蔵大臣の思い、アメリカの政府並びに金融業界の思い、それに長年のこれまた財務省の考え方、金融庁の考え方、こういうものがかみ合って、メディアを巻き込んで、国民や利用者の皆様方にその法案の中身、実態というものがよく知らされない中で国会を強引に抑え込んでしまった結果だというように思っておりますので、私は、今でも郵政民営化は間違いであったということをかたく信じておりますし、そのことを裏づけるような事実がこれから恐らく次から次へと出てくるであろう、そのように思っているわけでございます。

 もともと郵政民営化、本年の四月から出発をするはずでございましたけれども、システムが間に合わないということから半年実施をずらしたことは御承知のとおりでございます。その上にさらに、三月の時点でどうしても間に合わないということがあればそれを報告するということになっていたわけでございますけれども、そうした報告はなされないままに十月一日から実施に移されたということでございますが、その三月時点での御判断、どういう御判断で西川社長はシステムに問題がないと思われたのか、そのことをまず伺いたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 システムの問題に関しましては、開発中のシステムが間違いなく九月末までに完了できるということを確認することが日本郵政の責任ということにされておりましたので、主要システムを初め関連のシステムについて、詳細にわたってその開発状況をチェックしてまいりました。

 最終的に、九月末までを展望して、間違いなくこのシステムは完成できるという判断に至りまして、その結果、民営化開始を延長する必要はないという判断に至ったわけでございます。

亀井(久)委員 西川社長のお立場からすればそういう御答弁になるかと思うんですが、今、会社の方は、現実に、スムーズに民営化がスタートをした、そういうことを言われておるわけでございますけれども、民営化に至るまで、私も多くの現場の方々からもいろいろな意見を聞いてまいりましたけれども、ともかく現場の声が全く中央に反映をされていかない、届かない、そういういら立ちを多くの人たちが非常に強く持っていたように思います。

 また、システムのことにつきましても、現実に、十月一日スタートと同時に限度額管理のシステムにトラブルが起きて、現場の人たちはお客様に謝るということでもう大変だった、そういう話もあるわけでございます。また、次から次へと本社の方から指示文書が来る、それに対する対応で手いっぱいであって、とても、お客様に対するサービスとか配慮とか、そういうことをしておられる状況ではない。中にはノイローゼになるというような、そういう人たちも出ていたようでございます。

 こうした中でトラブルがさまざま起きているということでございますが、システムのトラブルについて、十月一日以降また何か対策をとっておられるのかどうか、そのことを伺いたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 システムに関しましては、御指摘の顧客情報管理システムの応答遅延ということがございました。これに関しましては、十月に入りまして最初の土曜、日曜日を利用いたしまして、顧客情報管理システムのサーバーの増設、それとシステムの一部改修を実施いたしました。それによりまして、この問題は解消をいたしております。

 以上でございます。

亀井(久)委員 時間がありませんので次の質問に移りますけれども、公社の最終段階であります九月に、貯金事務センターにおきまして、千四百万を超える顧客情報の間違った廃棄ということが起きたわけでございます。

 総務大臣から厳重な注意を受けているわけでございますけれども、この誤った廃棄というのがこの六月まで続けられていたということでありまして、この原因というのは、本社の作成した内規が明確でないということ、それから、職員が十分にその内容を理解していないのにもかかわらず次から次へと文書が出される、そういうことが一つの原因であったというようなことが総務省の報道資料にもあるわけでございます。

 これはやはり、先ほど申し上げましたけれども、本社が現場の実態というものをよく御存じないんじゃないだろうか、また知る努力というものに欠けているんではないか、そういうように思わざるを得ないわけでございます。当然、経営陣としては掌握されていなくてはいけないことでありまして、このことからも、経営陣を初めといたします会社全体のコンプライアンスということに対する取り組みの姿勢が不十分だと言わざるを得ないと思うわけでございますけれども、このことについて、西川社長はどのように考えておられますか。

西川参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、こうした事態は、本社からの指示文書が郵便局現場の実情と無関係にどんどん出されていった、しかも、その文書が、人数の少ない特定局を目線にしたものではなくて、普通局ないし人数の多い郵便局を目線にした文書が少なくなかったということでございます。これでは指示が徹底いたしませんし、また、組織もそれではもたないということでございますので、これは私は、やはり先生御指摘のとおり、郵便局現場の実情をよく知り、そして現場の声をよく聞いて、その上で施策を考えていかなければならないというふうに考えております。

 今度郵便局会社が全窓口郵便局を統括する、全窓口郵便局で郵便局会社が成り立っておるということでございますので、先ほどもお答えの中で申し上げましたが、本社と現場の距離がうんと近くなるということでございますので、今申しましたこの現場の実情把握という点において、随分向上が期待できるのではないかというふうに思いますし、私自身も郵便局会社に対して強くそのことを求めておるところでございます。

 以上です。

亀井(久)委員 今御指摘をいたしました事柄につきまして、まだ公社の段階でございましたけれども、公社としてどういう処分を行われたんでしょうか。

高木参考人 誤廃棄の関係でございますね。当時の貯金の本部長につきまして減給処分、それから事務統括の関係の担当部長二人、たしか戒告ですか、済みません、たしかそうだと思います、そういう処分をしております。

 それから、現場の方については、どういう処理をしていたのかということで、実態を今よく調べているという状況でございます。

亀井(久)委員 西川社長がお書きになった本にこういう部分があります。郵便局で起きた事件である以上、最高責任者としての郵便局長に責任があるはずだが、従来はその点がうやむやになっていて、上の者がだれも責任を問われなかった、これは民間企業ではあり得ないことと書いておられるわけでございます。

 今、高木副社長、当時の副総裁から伺いましたけれども、高木副総裁、西川社長は全く知らぬ顔ということだったようですが、言われていることと、私はどうもおかしいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 私もきちっと指導する責任はあったと思います。

 ただ、当時、それぞれの事業が、民営化に備えて本部制をとっておりました。それで、本部長のもと、いろいろな会議でいろいろなことを決定していったということで、私ども、西川も含めて、大変反省をいたしておりますが、再発防止に努めて、しっかり取り組んで、さっき先生お話ございましたように、ルールがそもそも明確でなかったということがありますので、その辺に一生懸命取り組んでいるということでございます。

 それで、先ほどの処分は、とりあえず、そういう本部制のもとで、責任の所在を明確化したということで御理解いただきたいと思います。

亀井(久)委員 このことをこれ以上は追及いたしませんけれども、西川社長、高木副社長の一つの経営意思、経営判断というものは、当然のことながら人事に反映をされてくると思います。ところが、会社のトップの人事というものを見ておりますと、どうも現場の実態というものを十分に知っていると思われるような人が入っていない。そこにやはり私はこういったことを生み出す原因があるように思うわけでございます。

 会社の中の人事のことにあれこれ私がこれ以上言うべきではありませんけれども、その経営企画等の経営の中心に、やはり現場のわかった人を置かれるべきではないかというように思いますが、そのことについて、いかがでしょうか。

西川参考人 お答えをいたします。

 現場の実情をよく把握している人たち、これは、例えば専務執行役員でございますとか常務執行役員でございますとか、あるいは執行役でございますとか、こういう実務を担当する役職に配置をしておるわけでございます。

 我々外部から来た人間は、やはり現場の実情をよく把握しなければならないということで、それぞれに、現場をできるだけ回りましていろいろと実情を聞き、そしてその中から新しい施策を考えるという努力を続けております。

 これは、未経験であるがゆえに現場の問題点というものが非常にビビッドに感じられるという面もございまして、決して現場軽視の人事をやっているわけではございません。

亀井(久)委員 郵政、郵便局というのは百三十年を超える長い歴史があるわけでございますが、やはり局長さん初め現場の職員の方々の日ごろの活動というものを通じて、利用者の方々、地域の方々との信頼関係というものがきちっとつくられてきた、それが私は郵政を支える一番の大きな力だと思います。そこが失われてしまいますと、金融の仕事にしても、結局私はうまくいかなくなっていくだろうというように思います。

 そのことについて、恐らく同じお考えだと思いますけれども、改めて、総務大臣にそのことについてのお考えを伺います。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 やはり、こうした会社でございますと現場が宝ということもあろうかと思いますので、ぜひ、現場の力を生かした経営に専念していただきたい、私どもそのように考えております。

亀井(久)委員 次に、松原委員会というのがいろいろなことを言われているわけですが、このごろ、いろいろな委員会、一体だれに責任を負っているのかということがわからないような委員会がいろいろあって、次々にいろいろな意見を言われる。それが政策の上に反映をされてしまう。

 松原委員会というのは、私は、全く国会や国民に対して何の責任も負っていないと思うんですが、その松原委員会が、郵政民営化法が成立をいたしますときの参議院の附帯決議に明らかに反するようなことを堂々と言われているわけでございます。

 国会の附帯決議というのは、いつも、そのたびに大臣が、重く受けとめ尊重するんだということを言われているわけでございまして、これは、もうまさに三権分立、議院内閣制のあり方からしても大変私は重いものだと思っておりますけれども、その附帯決議に全く反するようなことを松原委員会でどんどん出されていくということに対して、総務大臣はどのようにお考えになりますか。

増田国務大臣 今先生お話ございましたとおり、関係法令のみならず、附帯決議を尊重してそれに従うというのは当然必要なことでございますので、私どもも、この立法府におかれましてつけられました附帯決議を尊重して今後民営化を行っていく、こういう考え方でございます。

亀井(久)委員 時間がなくなりましたので次の質問に移りますけれども、最近、クレジットカードをめぐって、いわゆる三大メガバンクのグループ、三井住友、三菱東京UFJそしてみずほグループ、その三大メガバンクグループがしのぎを削っております。そういう中で、カードの提携先と申しますかカード業界が、いわゆる再編成、そういうような感じも見えてくるわけでございます。

 今、ゆうちょの方で、今まで長い間続けてこられた、みずほグループでございますけれども、セゾンカード、これとの提携をやめて、新たな提携先を模索し始めている、そういう話を聞くわけでございますけれども、このカード事業を担当されている役員の方はどこの御出身でしょうか。

高木参考人 三井住友銀行からお見えでございますが、カードは大変重要な事業でございますから、私自身がしっかり聞いて、判断をしております。

亀井(久)委員 今高木副社長、そういう御答弁、それが当然だと思いますけれども、業界でも、今いろいろ言われていることを耳にしておりますが、JCBを一体どこが取り込むんだというようなことがしきりに言われておりまして、それが大きな再編の決め手になるようなことも言われているわけでございます。

 今、三井住友グループ、JCBの取り込みにも躍起になっておられるようでございますけれども、私はどうも、こういう懸念が出てくること自体大変残念なことだと思っております。三井住友グループのカード戦略というものに、ゆうちょ銀行が手をかしておられるのではないかというようなことを言われるわけでございまして、こういうことを言われること自体、私は大変残念なことだと思っております。

 ユニバーサルバンクを目指して、ゆうちょ銀行、これから国民の信頼をしっかりと得ていかなくてはいけない、そういう段階でございますから、こうしたうわさが出てくるだけでも私は大変残念なことだと思っておりまして、いやしくも一つの金融グループの拡大のために手をかすというようなことがあってはならないと思いますので、その点についても、明確に西川社長の御答弁をいただきたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 結論から申しまして、私自身が三井住友グループをいろいろな面で優遇するということは絶対にございません。

 たまたま、カード業務を担当する人間は三井住友銀行のOBでございますが、今度のクレジットカード業務の委託先、これはプロセッシングと申しまして、事務でございますが、これの委託先候補として御指摘の銀行系カード会社二社を選定しているのは事実でございますが、選定に当たりましては、複数の会社からの提案をいただきまして、その企画コンペの中で評価をいたしまして判断をしたものでございまして、特定の企業やグループを優遇するような考え方は一切ございません。

亀井(久)委員 もう時間がありませんので、最後に申し上げておきたいと思いますが、西川社長に、公社の総裁として前に本委員会にお見えになったときに私は申し上げたことがございますが、やはり郵便局の持っている公益性、公共性、そのことを忘れてしまいますと、これはもう郵便局そのものが国民の信頼を失うということ、当たり前のことだと思っております。

 西川社長は、金融部門の責任者ではないわけで、日本郵政全体のトップでございますから、郵便局が今日まで国民の間で信頼をされ愛されてきたというその歴史についてももう一度よくお考えをいただいて、地域社会のためにどれだけ役立ってきたのか、利用者の利便の向上にどれだけ役立ってきたのか。先ほどの財務諸表の報告を伺っておりましても、公社は実に健全にやっておられたなと私は思うんですね。それを変えるわけですから、それ以上、国民がなるほど本当によくなったかなというように思われないと、この改革はやはり失敗だと言われることになってしまいますし、結局、国債の償還もうまくいかない、郵便局にお金を預けている人がどんどん解約を始めるなんということになったら、この間も予算委員会で申し上げましたけれども、新たな金融危機が間違いなく来ると思っております。

 やはり郵便局に対する国民、利用者の信頼というものを何としても失わない、そのことをよくお考えいただいて、これから頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 郵政事業に関する件、特に日本郵政公社平成十八年度財務諸表の承認に関する報告について調査を進めます。

 午後は、参考人として、郵便事業株式会社代表取締役会長北村憲雄君、郵便局株式会社代表取締役会長川茂夫君、株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役会長古川洽次君、株式会社かんぽ生命保険取締役兼代表執行役会長進藤丈介君及び日本郵政株式会社郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会委員長、郵便事業株式会社社外取締役松原聡君、以上五名の方々にも御出席をいただいております。

 質疑を続行いたします。関芳弘君。

関委員 自由民主党の関芳弘でございます。

 本日は、実際に郵政民営化しまして一カ月がたちましたけれども、その民営化後の状況等について、全般的なところから質問をさせていただきたいと思います。

 当初のことでございますが、郵政民営化というのは、本当に、非常に高い理想を掲げて民営化をやっていこうというふうにみんなで考えたわけでございます。その基本理念としましては、経営の自主性を重んじ、創造性及び効率性を高めるというふうなこともうたわれておりますし、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図る、非常に高い理念が掲げられておるところでございます。

 一方、このような中におきまして、民営化を進めるに当たりまして、現状としますれば、貯金は大体二百兆ぐらいあります残高のうち毎年二十兆ぐらい減っていったり、インターネットの普及によりまして郵便物は取扱量がどんどん減っていく。このような取扱量が減るような中におきまして、では、いかにして民営化を成功させていくのか。これは経営陣の方々からすれば非常に難しい難題をお引き受けされた、本当に私は日本の武士のような方々だなというふうな感じでお見受けするようなところでございます。これは、私も民間の企業で十七年ほどおりました関係で、合理化、企画の担当なんかをやっておりましたところからしますと、非常に難しい難題をまさに背負われて頑張っていただいておるんだなと思っておるところでございます。

 通常であれば、そのように取扱量が減ってくる中でございますと、不採算部門というのは非常に削減して合理化を図っていくというのが本当は目指すところであって、店舗なんかも、不採算店舗なんかについては縮小していくのが、通常の企業の経営からいえばごく当たり前の進むべき道であるにもかかわらず、国民の利便性を向上させよう、今以上によくしていこうというふうなところを、余りにも高い基本理念を掲げておりまして、非常に、本当に難しいところに挑戦されているんだ、これは私は本当に頭が下がる思いでございますし、敬意を表したいと思います。

 実は、私の非常に尊敬する方で、愛媛の出身で小野晋也さんという方がいらっしゃいまして、その人が書いている本があって、その中で言っているのが、「夢出せ、知恵出せ、元気出せ」ということを言われておりまして、「夢出せ、知恵出せ、元気出せ」、まさに今、この郵政民営化を成功させるための合い言葉でしょうね。非常に有名な方ではあるんですが、知っている人は知っていると思いますが、知らない人は知らないと思うような方でございまして、実は自由民主党の代議士でございます。

 我々は、このように知恵を出していかないといけない。これはもう、我々与党の議員も野党の議員も、この郵政民営化を成功させていかないといけない、努力していかないといけないと思うのは一緒じゃないかなと私は思うところでございます。

 一方、利用者の国民の方々も、では、国会に携わっている方々、また郵政を実際に経営されている方々、職員の方々はどのように知恵を出してくださっているのかなと、すごく期待されているところだと思うんですね。しかしながら、この大きな大きな難題に向かって、本当に、資源のないこの日本の国がいかにして世界で生きていくのか。このときは日本人はやはり知恵を出して、しかも汗をかいて生きていかないといけない、これしか日本の国民というのは生きる道がないんだ。その最も大きな課題の一つが、今、郵政の民営化ではないかと思っている次第でございます。

 前振りが長くなって申しわけございません。このような非常に大きな難題に向かっている中におきまして、大きな大きな戦艦大和のようなものを動かそうとする中で、やはりいろいろな支障が出てくると思います。

 今、民営化した中で、特によく新聞なんかで言われておりますのは、集配拠点の再編の影響なんかがその最たるものかなと思う次第でございますが、配達時間の遅延とか、不在通知を受領して郵便局にとりに行くときに、田舎の方ではとりに行くのが遠くなった、困っておりますというふうなことがよく新聞で書かれておりますね。そのようなところの実態をいかにとらえられていらっしゃるのか、そしてどのように対応していこう、いかに知恵を出していこうとされているのか、その点についてまず一点目、お聞かせ願いたいと思います。

北村参考人 北村です。よろしくお願いいたします。

 お答えいたします。

 配達時間が遅くなったとの御指摘につきましては、集配拠点の再編実施後もお客様にお約束した送達日数はこれまでと同等に確保しているつもりでございます。具体的には、通常郵便物についてはこれまでも一日かけて配達する仕組みでした。集配する拠点が変わったことから配達区域やらあるいは配達順路を見直した結果、午前が午後になったり午後が午前になったという地域もあります。速達や小包については従来と同じでございます。

 不在の持ち戻り郵便物というのがありまして、これまで郵便局の窓口にとりに来ていただくことを基本としておりましたが、集配拠点再編実施後は、民間宅配業と同様に、土日を含めてこちらからお届けするという体制をしいておりまして、サービスの低下を生じさせないように取り組んでいるところでございます。

 今後とも集配拠点再編後の状況をフォローアップして、業務方法や仕組みを分析して、より良質なサービス、利用者へのサービスがどういうものが展開できるかどうか、今後検討してまいりたいと思います。

 以上です。

関委員 まさに、この集配というのはプロの民間の会社がたくさんございまして、先般もある企業と提携されたのは、その民間の知恵をしっかり使っていこう、それをしっかりとネットワークも使っていこうということだろうと思います。その点は、集配といいますのはまさにネットとしての仕事でございますので、いかにネットワークというのが十二分に構築されるか。そうなりますと、その一社だけではなくて、本当にたくさんのネットワークを持っていらっしゃる会社ともっともっとたくさんうまく業務提携をしていって、その会社も利益が出るでしょうし、今度、郵政の方も利益が出ていくというふうな、いいネットワークをつくっていけるんだと思います。

 その点については、もっともっと十二分なネットワークの構築というのを今後進められていくことが、私はその解決方法じゃないかな、それこそが民間の知恵であり、我々も取り組んでいく方向性じゃないのかなと思うところでございますので、ぜひともその再編のところ、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、民営化になりまして、会社が、いろいろな法律等、いろいろな経営の運営の関係上、分割されてまいりました。郵便事業会社、貯金銀行、かんぽ生命とか郵便局会社、いろいろ分かれてきたわけでございますけれども、このような中におきまして、グループとしての運営というのは、やはり今までの効率性を保つためでも非常に大事な、大きなポイントだと私は思います。そして、そのポイントを生かすために、実は、会社が株式会社で分かれていってしまいますと運営がしづらくなるような点があるんではないか、これも以前よりいろいろ指摘のされているところでございます。

 このような点を解決するために、今もう既に民営化して一カ月たちましたけれども、いろいろな施策がとられ、方法がとられ、グループとしての一体化を図っていこうと頑張っていらっしゃるところだと思うんですけれども、例えば、実際にはこういう点が、問題が明らかになったよとか、いやいや、そういうような問題点というのは当初からもう既に理解されていた点でございましたので特に問題なく本当に順調に民営化後もうまくグループとしての運営がいっているんですよ、そのようなところについて現状を御説明いただきたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 民営化後の日本郵政グループの運営につきましては、グループの経営理念等、ステークホルダーにコミットした経営計画の実現に向けまして、持ち株会社を中心に一丸となって行動することが不可欠でございます。さらには、分社化のメリット、これは例えば専門性の追求といったようなことでございますが、このメリットは確保しつつも、グループ運営と計画遂行の両面で、持ち株会社が求心力を保持しましてリーダーシップを発揮する体制を構築するということといたしております。

 このための主な枠組みといたしましては、まず持ち株会社と事業子会社間でグループ経営管理契約を結びまして、各種の基本方針を提示いたしますなど、事前承認と報告を中心としたグループ共通のルールを定めております。また、グループ経営の中心となります連結中期経営計画の策定などでは、持ち株会社がリーダーシップを発揮するということ、また持ち株会社及び事業子会社の経営トップによります円滑なコミュニケーションを推進する、こういったことによりまして、民営化の成功に向けましてグループ運営を推進していくということにいたしております。

 一カ月を経過したところでございますが、この点について特に問題というものは、ただいまはございません。

 以上です。

関委員 確かに、グループとしての運営というのはまだ始まって一カ月でございますので、今お聞かせ願いました内容を本当に整々と進めていただければ、グループとしての運営というのは一体感を持っていけると思うんですが、やはり一番の問題点というのは、私も実際に企業で働いておりましたときに関連会社の担当とかやっておりましたら、時間とともにいろいろな意見の相違が出てきたり、人事がかわったときなんかにいろいろな考え方の相違とか出やすいところはまさに私も経験したところでございますので、十二分なる打ち合わせを常にとっていただきまして、本当に、グループ一体として運営されることのメリット、これをますます発展させていっていただくような感じで進めていただければと思うところでございます。

 では、三つ目の質問をさせていただきたいと思います。

 二つ目の質問と関連があるわけですが、ネットワークの維持に関してでございます。郵便事業会社、ゆうちょ銀行、またかんぽ生命につきましては、その窓口となります郵便局会社に対しまして委託手数料を払うという形をとって、業務を一体運営している。しかしながら、実際はそれぞれ別の組織だ。だから委託費を払わないといけない。このような形で今運営がされているわけでございますけれども、午前中の冒頭に西川社長の方から各会社の決算が発表されたわけでございますけれども、それぞれ見ておりますと、やはり利益率というのは業態によりましてそれぞれ異なっているところでございますので、このような委託費を郵便局会社に払うときにも、いわゆる採算性がよくないところについては、もっと委託費についてはこうあってほしいなと、いろいろな考え方も出てくると思うんですが、そこのところは、グループとしての運営ということも念頭に置きつつ、やはり整々とした、本当に理屈に合った委託料の支払いというのが必要だと私は思うところでございます。

 その点につきまして、委託手数料の算出根拠とか考え方についてどのような方法をとられているのか、また、額についてはいかほどになるのかというところにつきまして、お聞かせ願いたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 郵便局ネットワークの水準を維持してまいりますためにはさまざまなコストを要するわけでございますが、そのコストの大半は、業務を委託する郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の三社からの委託手数料で賄うという格好になっております。また、郵便局会社といたしましても、自社による収益増強を目指しまして懸命な努力を重ねているところでございます。また、グループといたしましても、郵便局ネットワークの維持のために不動産事業、東京、大阪、名古屋の三中央局の再開発が中心でございますが、この不動産事業を郵便局会社につけるということにいたしております。

 受委託手数料の算出根拠となりますグループ内の取引につきましては、金融庁によります金融コングロマリット監督指針がございまして、これを踏まえて、持ち株会社においてグループ内取引に係る基本方針を定めまして、グループ内取引のうち重要な受委託契約の締結等については持ち株会社の承認事項といたしますなど、適切な管理体制をしいております。

 契約条件や手数料の算定に当たりましては、市場における取引事例などを参考にしつつ、実際の業務量や単価に基づきまして積み上げ計算をいたしますなど、公平公正な価格条件での取引を遵守いたしております。また、今後、定期的に取引状況のモニタリングを行いまして、適切な取引の実施を確保してまいりたいと考えております。なお、おおむねの手数料総額は、十九年度下半期、半年でございますが、この下半期で六千五百億円程度と見込んでおります。

 以上でございます。

関委員 実際に民間となったこと、また分社化したことによるメリットというのを生かすためにも、先ほど申し上げたようなグループとしての運営の大切さもあることながら、本当に公平公正であること自身が将来の発展の礎となることと私は信じております。ですので、今社長から御説明いただきましたコングロマリット、その考え方によりまして、公平公正な、市場価格に合った、理屈の立つ委託料の取り決め方針、それぞれの分割した会社が今後どのような決算状況になってくるか、それぞれの御努力も見つつではございますけれども、適正なる委託手数料体系のところを堅持していただきたいと思うところでございます。

 四点目でございますけれども、新規事業についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 新聞等でよく見るのは、今、民間になったメリットを最大限に生かして、知恵を出していこうというところの最大のポイントになってくるんだと思うんですけれども、不動産事業に対して今後取り組みをしていかれようということが拝見されております。

 私は、この不動産事業というのは、まさに今本当にすばらしい資産を持っていらっしゃるところでございますから、いかにして有効活用していくのか、なぜもっと早くやっていかないのかなと逆に思っているようなところもございますが、この不動産事業への進出といいますか有効活用、どのように今後進めていこうとされているのか、今お答えをしていただける範囲で具体的に、また時期なんかももしお答えいただけるんだったら聞かせていただきたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 日本郵政グループにおきましては、保有する資産の有効活用という観点から、地域発展への貢献、そして周辺環境との調和、さらに資産価値向上のために、収益力の高い物件を開発して賃貸や分譲を行うなどの不動産事業の展開を考えております。

 今具体化しようとしておりますものにつきましては、先ほどもお答えいたしましたように、東京、大阪、名古屋の各駅前に立地する中央郵便局につきまして、二〇一一年度の完成を目指して、設計や関係者との協議などを進めているところでございます。

 このほか、所有資産の中から、不動産事業としての活用の可能性について幅広く検討をいたしておるところでございます。

 以上でございます。

関委員 まさにここは、本当に知恵を出していくいい礎になっていくことだろうなと私は思っております。ですので、二〇一一年というお話がございましたけれども、それにこだわることなく、もっともっと、できるだけ早く取り組まれていかれることを私は望みたいと思います。

 そして、五つ目の質問になりますけれども、これはちょっとお耳に痛い話をさせていただかなければならないわけなんです。内容証明郵便と訴訟関係書類の特別送達の件でございますけれども、先般、郵便認証司が大量の事務上の誤りを発生させてしまったというのが新聞で大きく報道されたところでございます。

 地元、私は神戸の須磨区と垂水区が選挙区でございますが、郵便局、特定郵便局も含めていろいろ回らせていただいて、現状、民営化前と民営化後といろいろ、例えばお客様の声はどんなものですかとか、職員の皆様自身がどのような点御苦労されていますかというお話をお伺いしてまいりました。

 いろいろな御意見も賜ってきたわけなんですけれども、私は今拝見しておりますに、新しくオートキャッシャーをそれぞれの局の方には入れていこうと検討しているというところからいきますと、一般の金融機関であればオートキャッシャーというのはイの一番に入っているようなものでございまして、事務上からいえば、ミスの起こらない現金勘定の基礎中の基礎のようなものでございますが、このような機械でさえまだ入っていないという現状を踏まえますに、事務上本当に課題は山積みしているんじゃないかなというのが率直な私の意見でございます。

 そのような中で、新しく取り扱いの項目なんかがどんどんとできてきますと、先般のような郵便認証司が大量の誤りを発生したというようなところ、今後、ほかの項目もいろいろ、実際には問題が出てまいりましたというのが出てくるんではないかな、ひょっとしたら、もう今既に出てきているんじゃないかなというようなところも想像されるところでございます。

 やはり私は、組織として運営が一番難しいというか危ないのは、内部から崩壊していくことだと思うんですね。それは皆様方にはもう釈迦に説法だと思います。内部が崩れていきますと、外との競争に勝てないばかりか、競争する前につぶれていってしまう。今、NHKなんかでやっていますが、人は石垣、人は城という武田信玄の言葉というのは、まさにそうなんでしょうね。内部を本当に固めていくというのが一番大事なところだと思うわけでございます。

 このような中で、私が今お伺いしたいのは、本部の組織にしろ、またそれぞれの局の人のマンパワーにしろ、本当に十二分な体制がとれているのかなというところが、非常に興味のある、聞かせていただきたいところでございます。

 例えば、私も民間で働いておりましたときに、支店に置いていました二段キャビネット、面が、横が四、上と下とで六面ございまして、その二段キャビネットがぼろぼろになってきたのできれいな二段キャビネットにかえてくださいと支店の人が言ってきた経験がございまして、そのお金を本部から出してください、業者からとった見積もりはこうですよというような申請が上がってきたことがございます。

 その申請内容を見ますと、傷んだところを隠すようなペンキ塗りの内容だったんですが、ペンキ塗りの会社が出してきている見積書というのは、上辺と下辺と横四つの辺、六つの辺を塗りますという見積もりなんですね。何でこんな六つも辺を塗る必要があるんですかと。支店で使っている二段キャビネットが汚いから直さないといけない、それはよくわかるんですけれども、お客さんに見える面というのは上辺と正面の二面だけで、あとは、二段キャビネットがずらっと並んでいるので、一つの二段キャビネットをとりますと、二辺だけ塗ったら十分なんですよね。六辺塗りますという見積書が出てきて、実際に直さないといけないのは二辺だけだと。三分の一でお金は済むんですよね。こんなところというのは、本当にたくさん、気がつけばいっぱいあると思うんですよ。私はこれこそがまさに民間の知恵だと思うんですね。

 こういうところというのは、気がつかずに、こういう見積もりが来ているからこのままお金を使っちゃおう、やってしまおう、こういうことというのは多々あると思います、日ごろの事務上では。こういうところに本当に気がつくような体制をとっていくことこそ、今後、郵政民営化が成功していくところ、知恵を出せ、民間の知恵を出せというところだと思うんですね。

 それは事務上のことですし、また、人事上の面からいけば、私は松下幸之助さんが大大大好きなんですが、本当に尊敬しているんですけれども、非常に経済不況があったときに、松下電器の中では製品が売れ残った、そのときにどういうふうな体制をとったのか。首を切られるのかとみんな従業員の人も物すごく心配した。そのときに松下幸之助さんがとられた対応というのは、製造部門の人を営業部門にばさっとみんなかえて、朝から晩まで売りましょう、みんなで売りましょう。在庫があっという間に、予想以上の速さではけてしまった。これが本当に民間のできる営業なんでしょうね。私は本当に民間の知恵というのはすごいことがあるんだなと思った次第でございます。

 このような民間の知恵というか体制、動きというのを、今後、郵政様の方にはしっかりととっていただきたいわけでございますけれども、そういうふうな中において、企画部門、特に、今内部から崩壊しないために、事務上のミスが起こらないために、事務の企画部門、事務の指導部門、ひょっとしたら、先ほど松下幸之助さんがとられたような作戦で、局の人たちが弱い体制であれば本部の人たちをばさっと局の方に人事配置をかえないといけないとか、そんな体制をとらないといけないんじゃないかな、そういうふうなところを考える次第でございますけれども、本部の体制はしっかりしているのか、またそれを受けるための局の人たちの体制が今十分なのかどうなのか、そこら辺のところを本部の方々がどのように考えていらっしゃるのか、経営の方々はどのように受けとめていらっしゃるのか、聞かせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

北村参考人 お答えいたします。

 民営・分社化に当たっては、その直前直後に、業務取り扱いの変更等でフロントラインに大きな負担がかかっていたということは承知しております。

 郵便事業会社では、民営・分社化の業務取り扱い方法等について、業務マニュアルあるいは事前研修、リハーサル、いろいろな形でサポートしてきました。あるいは、九月の末以降はヘルプデスクを設置して、支店からの照会にも対応してまいったところでございます。

 民営・分社化という大きな変革でありましたが、それでさまざまな問題もありました。しかし、事前に問題を把握して対処してきたところであります。しかしながら、今回、郵便認証司による適正な認証事務が行われなかったということに関して、お客様、総務省初め関係の皆様に多大な御迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。今後、同様の事故を発生させないよう適切な認証事務の徹底を図ってまいります。

 また、本社、支社社員によるモニタリング等、あるいはフロントラインの実態を把握して、なお重要なラインには適正な人が配置されているかどうか十分に調査した上、サポート体制には万全を期していきたいと考えております。

 以上です。

川参考人 郵便局会社の川でございます。お答えをいたします。

 ただいまの関先生のお話、本当にそのとおりでございます。特に、局会社は二万四千という大変大きな現場、営業拠点を持っておるわけでありまして、今回の分社・民営化の中においても本当に大変な負担をおかけして、その中で一生懸命、局長以下取り組んでいただいたことについては、私自身も大変感謝をしております。今後、やはりこういったフロントラインにおける問題点あるいは過剰な業務、これをいかに軽減するかが一番大きな課題であるというふうに思っております。

 そういった視点で、まず、フロントラインの声というものをやはりきちっと聞く、取り上げる、そうした上で、局会社として改善すべきこと、さらに言えば、事業を委託していただいております三事業の部分に提案をいたしまして、業務フローそのものを局の人たちがきちっとできるように体制を整える、そういうことにこれから一生懸命努めてまいりたいと思います。

関委員 時間が参りましたのでこれで質問は終わりますけれども、民営化をした、その自由性が保たれるところの最大限のメリットを十二分に活用していただいて、今起こっているような課題に適切に対応していただいて解決していただきますよう心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

馳委員長代理 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 公明党の谷口でございます。午前に引き続き、質問をさせていただきます。

 まず最初に、郵便局でこれまで投信が販売されてきたわけでありますけれども、これまで販売した投信の純資産残高、ことしの九月末で一兆八十二億円ということで、一兆円を超えてきております。今後もさまざまな金融商品が販売されていくことになると思うのですけれども、国民の目から見ると、郵便局で売られているということは、安心だ、元本割れしないというイメージがどうしてもあると思うんですね。ですけれども、実際、株価の乱高下等によって元本割れも出てきたという報道もありますし、そういう意味でしっかりとしたリスクの説明責任も果たしていかなければならないと思います。そして、この九月三十日には金融商品取引法も施行されました。そういうことを受けて、まず最初に、郵便局の現場でコンプライアンスを確保していくということが一番重要なんだろうというふうに思います。

 その辺について、コンプライアンスの確保ということに、取り組みについて、ゆうちょ銀行にまずお伺いをしたいと思います。

古川参考人 古川でございます。

 投資信託販売に当たりましては、テレビの会議でありますとかコンプライアンスの研修、あるいは、社内の用語でありますけれどもコンプライアンスレター等によりまして指導を行いながら、先ほど先生おっしゃった金融商品取引法、日本証券業協会規則等の法令諸規則にのっとり、内部管理体制、販売方法等を構築いたしまして、内部管理責任者による監査もさらに強化をいたしておるところでございます。

 具体的には、ゆうちょ銀行の店舗におきまして、投資信託を取り扱う職員については事前に一週間程度の、これは大体三十二時間でございますけれども、研修を行ったり、あるいは金融商品取引法施行に伴う研修を行っておりますほか、これまでに発生をいたしました不適切事例やコールセンターに寄せられました苦情、申告等を速やかに情報収集し、改善の参考にいたしております。また、取扱者、内部管理責任者等へ販売開始後の再研修を実施いたしまして、再発防止に努めているところでございます。

 コンプライアンスの徹底については、今後とも経営幹部の考え方を現場に伝える等、私と西川はコンプライアンスはすべてに優先をするというふうに言っておりますが、その重要性について一層の進展を図ってまいりたいと存じております。

 以上、お答えいたしました。

谷口(和)委員 郵便局の信頼は絶大でありますので、国民の信頼を裏切らないようにぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、先ほどからずっとお話が出ておりますけれども、ネットワーク水準、またサービス水準、この辺の維持についてということであります。

 郵便局は、これまで本当に国民の生活インフラとして重要な役割を果たしてまいりました。さきの国会でも、この水準は維持をするということで決議もされております。地元を回っておりましても、やはり民営化で地元の郵便局がなくならないか、また不便にならないか、こういった声が多くあるわけでありますけれども、そのネットワークの水準、サービスの水準、これを維持していくためには、やはり郵便局会社の経営の安定ということが大きな前提になるんだろうというふうに思います。

 きょうの読売新聞のインタビューでも、一局ごとの収益力を高めることが不可欠だというような話も出ておりますけれども、この経営の安定についての方策を郵便局会社の川会長にお伺いしたいと思います。

川参考人 お答えいたします。

 ただいま谷口先生の方から御指摘いただいたように、私ども局会社は、郵便、ゆうちょ、そしてかんぽ、それぞれの手数料収入が大部分を占めております。したがって、局会社の経営安定のためにまず必要なことは、この三事業会社と共同して受託業務の営業力の強化を図ること、これが一番重要だと考えております。

 そして、それに加えまして、民営化による経営の自由度、これを生かさせていただいて、新たな金融商品あるいは物販、さらには不動産事業など、新規事業を展開して新しい収益基盤を早急に確立する、そのことが局会社の経営の一層の安定化につながるというふうに計画を立て、これから進めたいと考えております。また、経費につきましても、民間企業としての体質強化に向けて、生産性向上やあるいはそのコスト削減を進めていきたい所存でございます。

 局会社にとって、全国にネットワークされた二万四千のこの郵便局ネットワークは最大の営業資産だと考えております。今後とも、このネットワーク水準を維持しながら、ただいま申し上げました現状の商品に加えて新しい商品の販売など、新しい機能を郵便局に追加し、収益拡大のために積極的に活用していく、そういうふうに考えております。

谷口(和)委員 ぜひ新規事業にはチャレンジをしていただいて、ぜひ収益力をアップさせて経営の安定を図っていただきたいと思います。

 それに関連して、過疎地とか離島、これもさまざまな方から御相談をいただいているんですが、やはり、今後、過疎地域また離島で、郵便局が統合されたりそれから縮小されたりということで利用者の方々へのサービスが低下していくんじゃないか、こういう懸念をよく伺うんですけれども、こういうことがないのかどうか、お伺いしたいと思います。

北村参考人 私自身、過疎地の郵便局の具体的な廃止計画は持っておりません。何よりもまず私どもがやらなければいけないのは、収益の少ない過疎地の郵便局にいかにして効率的な運営と、さらには、地域のニーズに合わせたサービスを提供することによって収益の最大化をどう図るか、そのことに最大の努力を尽くしたいというふうに考えております。

 そのためには、地域の皆様やあるいは地公体との連携を深めながら、例えば役場等の施設への郵便局の入居であるとか簡易郵便局の受託者の確保であるとか、安定的な店舗の確保についてこれからも努力してまいりたいと考えております。

谷口(和)委員 力強いお言葉をいただきましたので、ぜひこの辺、よろしくお願いをしたいと思います。

 それにも関連するんですが、先ほども出ておりましたけれども、簡易郵便局、民営化に伴って約百局が閉鎖されて、また四百十七局が一時閉鎖されているというふうに聞いております。

 朝日新聞のインタビューでは、西川社長は、今後簡易郵便局の募集に力を入れて、ことし三月末の四千三百局の水準を維持したい、こういうふうにおっしゃられているんですが、そうされつつも、ほかの局から週のうち何日か人を派遣してあけるとか、それから、支社に一台程度しかない移動郵便車をふやすなどの手だても考えている、こういうふうにおっしゃられております。私は、こういう方法、移動とかそれから週に何回かでは、やはり地元の方というのは、ちょっとこれは納得いただけないんじゃないかなと思います。

 ですので、先日も、JR東日本さんと提携をして無人の駅を簡易郵便局に使う、こういうことも検討されているようでありますけれども、いずれにしましても、今閉鎖中の簡易郵便局をどうやって再開に持っていくかということについて、改めてお伺いしたいと思います。

川参考人 お答えいたします。

 簡易局の一時閉鎖の問題は、局会社としても最大の経営のテーマだ、課題だというふうに認識をしております。特にことしに入って、公社においても相当これまでと違ったいろいろな施策というものを講じさせていただいております。

 その結果、平成十九年度上期に百二の簡易局が再開をすることになりました。今後とも、受託者の確保のために、地公体あるいは地域の自治会あるいは地元の方々に対してより積極的な簡易局受託者の発掘というものを進めて、一時閉鎖を一刻でも早く削減する努力をしてまいりたいと思っております。

 さらには、今後の一時閉鎖対策につきましては、簡易郵便局の運営であるとかあるいは事務取扱の実態、この辺もやはりきちっと、本当に課題があるのであれば見直していかなければいけないというふうに考えております。簡易局の募集を担当しているいろいろなセクションから検討会を設けて、より有効なそういった施策というものを検討してまいりたいと思います。

 また、一時閉鎖中の対応として、先ほど谷口先生の方から御指摘がありました移動郵便車であるとかあるいは定時開局、これもしょせんは対症療法でございます。本質的な簡易郵便局ネットワークの確保に向けてさらにいろいろ努力している、そういう中で、JRの駅舎の活用であるとかもろもろ、とにかく可能性のあるものはもっと積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

谷口(和)委員 国民の方からとると、簡易郵便局であってもまた普通の郵便局であっても一つの郵便局ということで、簡易郵便局の一時閉鎖については、私も、例えば後継者がいないとかさまざまなことがあって一時閉鎖になっているという状況、よく存じておりますけれども、国民の皆さんからとると一体でありますので、ぜひ再開に向けて今後も取り組みを進めていただきたいというふうに思います。

 あとちょっとになりましたので、最後、二問一緒にしてちょっと御質問したいと思います。

 一つは集配局の再編で、これまでもちょっと質問が出ましたけれども、夜間窓口の廃止とか、それから配達が遅くなったとかいうようなサービスの低下が起きているということをよく伺っております。その辺についての対応を、まず郵便事業会社北村会長にお伺いしたいと思います。

 そして最後、ATMも撤去されたということで、ATMというのは地域のある意味大事な金融インフラでありまして、お金をおろしに行くにも車がないというお年寄りの方もいっぱいいらっしゃいます。この辺の、今後もATMの設置基準を見直すのか、ゆうちょ銀行の古川会長に続けてお伺いしたいと思います。

北村参考人 お答えいたします。

 御指摘の時間外窓口の廃止につきましては、不在持ち戻りの郵便物というのは、これまで郵便局の窓口で取り扱う、とりに来ていただくというのを基本としていましたけれども、現在は、民間宅配便と同様に、土日を含めてこちらがお届けするという体制を今とっております。

 それから、ゆうパック等の差し出しですね。それも、支店等から集荷することによって同等のサービスを提供できる体制を今整備しております。

 それから、集配センターに持ち込まれたゆうパック等についても、職員が在席している時間帯は引き受けをさせていただくというようなことで、サービスの低下を生じないように今取り組んでおるところです。

 今後とも、集配再編後の状況をフォローして、業務方法や仕組み、いろいろ考えて、あるいは局会社とも密接に討議して、より良質な利用者サービスが提供できるようなことを考えてまいりたいと思っております。

 以上です。

古川参考人 先生おっしゃいましたように、ATMを含めたいわゆる郵便局ネットワークはいわゆる個人のお客様の生活に深く根差しておることは、私もよく承知をいたしております。しかしながら、一方におきまして、企業経営という観点に立ちますと、やはり限られた経営資源をいかに最大限に利用するか、そしてまたお客様によりよいサービスを提供するかということは、どうしてもこういう姿勢を欠くことにはまいりませんので、その辺が問題でございます。

 実は、こうしたことを踏まえたのでありましょうか、公社時代にも、既に二〇〇四年ぐらいから局外ATMの再配置計画がどんどん進んでおるところでございます。なお、民営化後も引き続きATMの再配置を行うことによりまして全体としてお客様の利便の向上に努めてまいりたいというふうに考えてはおりますが、個々の利用状況、地域事情といったことも十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 ぜひ、ATMにつきましては、地域の事情をよく配慮していただいて進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

馳委員長代理 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 それでは、まず郵政公社の決算からお伺いをしたいと思います。

 西川社長、率直にお伺いいたします。この決算をごらんいただいてどんな感想をお持ちでしょうか。

西川参考人 お答えします。

 平成十八年度につきましては、株価がほぼ横ばい状態であったということから、前年にございました金銭信託の運用益が大幅に減少をいたしましたが、そういった点を除いては、全体としてはまず順調な業績ではなかったかというふうに思います。

小川(淳)委員 この郵政公社の決算、通期でとられるのは恐らくこれが最後だと思います。三つ事業があるわけですから、これをよくごらんいただくと、もちろんごらんになられておると思いますが、非常に郵政三事業の性格も明らかですし、そこから多分、現状そして今後に向けた課題が見えてくるんだろうと思います。

 その意味では、郵政グループ全体を率いられる西川社長に改めてお尋ねをしたいと思いますが、御自身が数年前まで三井住友銀行で指揮をとっておられた。郵政公社の決算を見ますと、大体九千億余りの当期利益ですね。その九千四百億の当期利益のほとんどが郵便貯金から来ている。郵便事業あるいは簡易保険、特に郵便事業は、二兆円の売り上げを上げながら当期利益はわずか十八億、非常に難しい事業だということだと思います。

 これで将来の方向、課題が見えてくると申し上げたわけでありますが、例えば九千四百億の収益を上げた郵便貯金であっても、御自身が経営に当たっておられた三井住友銀行と比較すると、いかがですか、どんな感想をお持ちですか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

西川参考人 お答えいたします。

 普通の銀行と比べましてゆうちょ銀行の場合は大分業態が異なりますので、これを同列に比較するということはなかなか難しいし、まず適当ではないという面もあろうかと思います。

 しかしながら、先ほど申しました株式の運用益といったところを除けば、この環境下におきまして適正な利ざやを何とか確保して、そして経費も一定水準におさめて、あれだけの利益を上げているということが言えようかと思います。

 ただし、これは当期利益となっておりますが、税金の負担がございませんので、税前利益というとらえ方をする必要があるということでございます。

 もう一点、これは銀行じゃございませんが、かんぽ生命保険の事業につきましては、収支相償という形をとっておりますので当期利益はゼロということになっておりますが、これが株式会社になりまして、そういった経理方式は変えてまいりますので、一般企業と同様の決算方式ということになりますので、その点が今後は大きく変わってくるというところでございます。

小川(淳)委員 御指摘のとおり、単純比較は難しいというのはそのとおりだと思います。しかし、その上で比較をしないと見えてこないというのもまた現実かと思います。

 そこで、御記憶であられようかと思いますが、簡単に数字を御紹介します。

 郵便貯金は貯金量百八十六兆円、御存じのとおりです。三井住友銀行は六十兆円余りですね。収益、収入は、郵便貯金は百八十六兆円の元手で三兆円、三井住友銀行は二兆四千億、三分の一の基金で八割近い収益を上げている。経常益に関しても、郵貯の九千億に対して六千億近い利益を上げているということですから、一つの方向性、郵便事業はそもそも民営事業としては非常に難しいんじゃないかということで、私たちはそういう立場に立ってこれまで議論してまいりましたが、この郵便貯金についても、こういう都市銀行と比べるとまだまだ収益性を上げていくというのは大変なことでしょうし、また、これはそういう方向感である程度やっていかざるを得ないということかと思います。

 そこで、ちょっと二、三確認いたしますが、郵便貯金が民営化された後はほかの銀行と一緒に、今は八割、九割国債、地方債での運用を、協調融資とか住宅ローンとかいろいろなビジネスに打って出ないといけないんだと思いますが、その際、全国銀行協会のシステムに加盟する、ほかの銀行との自由な決済を可能にする仕組み、これは必須だと思いますが、この点に関しては今どういう状況ですか、方針を含めて御答弁いただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 ゆうちょ銀行が全銀システムに加盟をさせていただくということは大変重要なことでございまして、これを今全国銀行協会等にお願いいたしておりますが、何とか来年の五月ころには実現をさせるべく一層努力をしてまいりたいと考えております。

小川(淳)委員 では、民営化された以上そのように努力をいただきたいと思いますし、また金融御当局もそういうことを見守っていただきたいと思いますが、全国銀行協会に加盟をして並びの商売をやっていくということになれば、よほど遵法精神とかいろいろなルール、仕組み、まさに民間銀行と遜色ない程度まで高めていただくということがこれまた必須なんだろうと思います。

 そこで、午前中の質疑の中で田嶋委員からも指摘ございました、これ、社長はよく御存じですね。(資料を示す)日本全国四千万世帯にすべて入れられたとお聞きをしています。この中で、最も不都合であろうと思われる振り込み手数料等の引き上げについてはここに入っていない。事務的に説明を求めたら、これの最終校正の一週間後にその手数料体系が決まりましたという、まさにこれは説明なのか、言い直りなのか、言い開きなのか、言い逃れなのか、そうとられても仕方ないような説明だったわけです。これは午前中の質疑のとおりであります。

 こういうことに関しても、不都合なことも含めてこれはしっかり御説明いただく。今までみたいに役所が説明している、役所ももちろんしなきゃいけないわけですが、やはりお客様相手の本当に誠心誠意の説明、不都合なことこそというのが一つでしょうし、もう一つ、総務大臣もよく御存じかと思いますが、現在、郵政公社の中期計画について総務省が行政評価の立場から監査を行っているわけであります。この中で、やはり驚くべき数字が出てくるわけですね、先ほどの民間並びのビジネス体系という観点からいえば。

 これは事務的なお答えでも結構です。この中で、行内の犯罪に係るもの、あるいは現金過不足事件等々の件数をまず確認させていただきたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 手数料の値上げにつきましてそのタウンメールに掲載しなかったということは、私はこれは落ち度であったというふうに思います。

 六月二十二日に報道発表しておるということで入れられなかったということかと思いますが、民営化でどう変わるんだということを広くお知らせしたわけでございますから、その中に含めるべきであったというふうに私は個人的には思っております。

 それから、部内者犯罪につきましては、大体、件数的にこれまで年間百三、四十件発生をしております。これは発覚ベースでございますのでその年度に発生したというものでは必ずしもございませんが、その水準がこのところ続いておるということでございます。

 現金過不足については、数字が頭の中にございませんので、ほかの者からお答えさせます。

小川(淳)委員 結構です。

 社長から誠意ある答弁をいただきましたので、ついでに申し上げます。これは二〇〇七年のディスクローズ誌、これは八月の発行になっていますが、ここにも入っていませんよ、不都合な情報。ついでに申し上げます。

 今お答えいただいたとおり、いただいた資料ですと、保険に関する犯罪件数が直近で十七件、貯金が四十五件。これは大体おっしゃったとおりですね。貯金、保険足しますと三十件から五十件ぐらい毎年犯罪が発覚しています。現金過不足、これも事前に数字をいただきました。直近の十八年度で二十六万件、一年間でですね。二年さかのぼりますと、十六年度で四十九万件。これは現金過不足事故であります。

 総務大臣、こういうことをこの行政評価を郵政公社に行ったことによって明るみに出していただきました。我々、これを知ることができた。十月一日現在をもって民営化されたわけでありますが、郵政公社、郵政事業というそもそもは国民の財産として始まった会社が民営化をされる、その過渡期にあって、こういう通常ですと金融機関では考えられないような事態を現段階においては明らかにしていただいた。

 これは、民営化になってもしばらくこの国民的なニーズは続くと思いますが、この点、総務大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 例えば、現金過不足ですとか、それから、あってはいけないことでありますけれども犯罪につながるようなこういった事件、こういったものは当然あってはならないことで、行政評価等でこれは公社時代は私ども見ておりましたが、民営化になりましたので、これは仕組み上はそういったことを見る立場にはありませんし、そういう仕組みになっておりませんけれども、会社が国民に対して信頼感を得るということがやはり会社が成功するということになるんだろうと思いますので、ぜひできるだけ経営の実態を明らかにしていただく。そして、とにかくそういったことを通じて、緊張感を持って、こうしたことが起こらないように努力していただきたい、このように考えています。

小川(淳)委員 現段階では大臣の御答弁のとおりだと思いますが、これは民営化の一つの死角ですよね。民営化になることによって見えなくなるものが多々ある、限界ができてくる、これは死角の一つだと思います。この問題と天下りの問題、これは大きな二つの民営化の死角だと思います。強く御指摘を申し上げたいと思います。

 少し身近な、私自身が地元で、現場でお聞きしてきた声をもとに確認をさせていただきたい点が幾つかこの金融事業に関連してございます。

 委員長のお許しをいただいて資料をお配りさせていただいているかと思います。

 写真の資料でございますが、一枚目は、ある郵便局で、それまでは郵便局の総務課だった建物が、右側は郵便会社の総務課、現在切手を販売するために開放している様子です。左側は保険会社、窓口会社の総務課。施錠をされて、社員しか入れないようになっています。

 下二枚は窓口の様子でありますが、貯金と保険との間に物理的に、これはベニヤ板か何かだと思いますが、間仕切りがされている。これは確かに分社化ということの建前からすると非常にわかりやすいわけでありますが、一方の、現場で仕事をするに当たってのさまざまな連携、あるいは窓口へ来た際の閉鎖感といいますか威圧感といいますか、これは非常に違和感を感じるわけであります。

 そこで、金融庁にお尋ねをしたいんですが、副大臣にきょうはお越しをいただきました。

 ことしの十二月には保険商品の銀行窓販が解禁されるとお聞きをしております。その場合も、例えば銀行の子会社、保険会社などが販売するのかもしれませんが、こういったベニヤ板での間仕切りというのは必要ですか。

山本副大臣 委員御指摘のように、十二月二十二日から銀行で生損保の窓販が全面解禁されるわけでありますけれども、この解禁とベニヤの間仕切りとは少し意味合いが違うかなというふうに感じております。

 今のベニヤの間仕切りのはわかりませんけれども、いわゆる弊害防止のために、物理的に切っておいた方が情報交換がしにくくなるだろうということではないかなと判断するわけでありまして、窓販の全面解禁につきましては、これは制度でありまして、制度を自由化するという意味で垣根を低くしているわけでありまして、物理的なベニヤの意味とはちょっと意味が違うのではないか、私どもはそんなふうに感じておりまして、これは各銀行の判断でやられることかというふうに考えております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 西川社長、これは本社の判断ですか、それとも現場の判断ですか。

西川参考人 お答えします。

 これは、一つはセキュリティー上の問題、それからもう一点は、やはり個人情報の漏えい防止という観点から、こういった間仕切りをするということについて、当局からの御指導もあったと思います。

小川(淳)委員 今おっしゃった当局というのはどちらですか。

西川参考人 お答えします。

 金融当局でございます。

小川(淳)委員 副大臣、いかがですか。

山本副大臣 金融庁としては、格別そうした指導はしておりません。

小川(淳)委員 西川社長、そういうことのようですから、これはもし不自然で不便であれば、ぜひ会社の判断、現場の判断でより柔軟な対応をいただけるんじゃないかと思います。一人の客の立場からも申し上げたいと思います。

 社長、もし異論があればどうぞ。

西川参考人 少し訂正をさせていただきます。

 セキュリティーの確保、それから個人情報の漏えい等の弊害防止のための一つの措置として、我々の方でそういった間仕切りを設けることにしたということでございます。

小川(淳)委員 社長、それは社長の方で御判断されることかと思いますが、銀行と保険との垣根というのはどんどん低くなるのが今後の流れかと思います。それが、ごらんいただいたような非常に不自然な形で仕切りをされているというのはいかにも、でき上がったゆうちょ銀行とかんぽ保険ですか、それが非常に時代にそぐわない印象も受けかねません。そのことだけ改めて御指摘を申し上げたいと思います。

 加えて、二、三、これも細かいことですが、少し持ち帰った話を御報告させていただき、社長の方針をお聞きしたいと思いますが、非常に細かいこと。

 今までは、例えば電話帳を見たお客さんが貯金の問い合わせをした後保険へつないでくれと言われると、内線電話ですぐにつないでいただけたんだそうですね。ところが最近は、いや、別の会社だからかけ直してくれといって切られるんだそうです。これは物理的に転送がまだできる状態だと思うんですが、そういったことがございます。また、NTT作成の電話帳だと思いますが、今郵政公社のままですから、まだ政府機関のところに掲載をされている。銀行とか保険ということで窓口を地元で探そうと思っても出てこないわけですね。

 電話帳の対応、あるいは内部転送、これはやってはいけないものなのかどうか。

 また、そういうことも含めて特にこういう声がありました。午前中来議論になっておりますが、以前は一カ月に一回職員提案を積極的にやろうという仕組みが郵政公社内にあった。ところが、民営化のごたごたの中でだと思いますが、どうも現場にいる職員からの声を吸い上げる仕組みというのが退化しているように感じる。これは現場の声であります。

 もちろん、経営陣の方々からすれば、いろいろ意見があれば言ってもらえればそれは取り上げたいとおっしゃるんだと思いますが、現場の職員の立場からすると、聞かれもしないのには言いにくいというのが実態かと思います。

 そこで、今申し上げたような点も含めて、現場から職員の声を吸い上げる仕組み、以前もし一カ月に一回積極的に提案をやろうという仕組みがあったのであれば、それはぜひ直ちに再開をすべきと思いますが、西川社長、いかがですか。

西川参考人 お答えをいたします。

 郵便局の電話につきましては、会社別に電話番号が分かれておりますが、公社時代からのいわゆるビジネスホンをそのまま使用しておりますために、民営・分社化後も会社間を超えた転送は可能となっております。例えば、郵便事業会社に着信した電話を窓口業務を担当する郵便局会社に転送する場合などであります。分社化することによってお客様に御不便をおかけすることのないように一層努めてまいりたいと思います。

 それから、提案制度でございますが、これは私は現場の声を聞く上でいい制度だというふうに思います。したがいまして、今後は、それぞれの事業会社ごとにそういった提案制度を設けることについて検討をしていただくということにいたしたいと思います。

小川(淳)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 次に、金融部門は今お尋ねをしたわけでありますが、郵便に関連して。

 非常にこれは採算をとるのが難しい事業だということは冒頭も申し上げたとおりでございます。参考までに、ヤマト運輸さん、佐川急便さん、これは小包、荷物関連で数字をいただきました。ヤマト運輸さんに関して言えば、収益九千億に対して利益が四百億。佐川急便さんに至っては、約八千億の収入に対して三百億の利益。わずか数%ですね、経常利益が売り上げに占める割合。これは郵便も二兆円に対する経常ベースで二百億ちょっとですから、もちろん小さいわけでありますが、いずれにしても、収益を上げていくというのは金融に比べると容易じゃない事業を抱えられたということだと思います。

 そこで、これの収益を上げていくというのは大変な課題なわけですが、時間の関係もございますので、問題意識を三つ申し上げます。順次お答えをいただきたいと思います。

 西川社長、金融の大変な時代も含めて本当に人生そのもの、三十六年の御入行以来過ごしてこられたんだろうな、すごい迫力といいますか、それを感じながらお顔の構えを拝見しておりますが、西川社長は三井住友銀行時代、非常に果敢にリストラに取り組んでおられる様子が、行員数、店舗数を見ただけでも明らかであります。十三年に三井住友銀行ができてから、今手元に十四年から十七年、三年間の資料がありますが、店舗数にして八十四店舗閉鎖しておられる。もちろんこれは統合に伴う部分が大きいでしょう。七百九店舗から六百二十五。行員に至っては、二万五千人余りから二万一千人、四千人の削減。後任の奥社長の二年間に比べますとこれは明らかであります。

 その調子で、簡易郵便局あるいは集配業務を行う郵便局、特定局等々を含めて閉鎖なりリストラのあらしということであっては、事郵便事業に関しては困るわけでありますので、その事実関係並びに問題意識をお尋ねしたい、これが一点であります。

 もう一点、東京新聞の九月のある記事を拝見しました。郵政事業について西川社長のインタビュー記事であります。自然減でとありますが、正社員が減少し、コストの安い非常勤で埋めるやり方は限界に来ている。

 これは私どもの立場を申し上げないといけないと思いますが、不条理な形で、偽装の請負だとかそんないろいろな議論がありましたけれども、非正社員という形で会社のコスト減を社員にのみ押しつけるやり方に対しては警鐘を鳴らす立場でありますし、非正社員の方々の待遇改善を求める立場であります。

 その立場からいって、先ほどの簡易局、集配局の統廃合、そして実際にそこでお勤めの方々、これを臨時職員、ゆうメイトさんですか、かつては三十万郵政職員と言われましたが、現在二十四万、それを十六万人の臨時職員が補っているというのが今の実態かと思いますが、こういう雇用形態を不安定化する方向で収益の拡大を図るということに関しては、私どもは異を唱える立場であります。この点に関する認識が二点目。

 最後の一点。こうして職員を非正社員化する、人件費を削減するということの一方で、これは民営化に伴って焼け太りなんて言われたら困るわけでありますが、いただいた資料ですと、三十名前後の役員が百名以上に膨れ上がっていますね。分社化に伴う民営化直後、役員が、郵政公社時代に二十名、三十名程度のものが百名に膨れ上がっている。役員に対する報酬総額も、六億円が十七億、三倍に膨れ上がっている。正社員を削る一方で、臨時職員にする一方で、役員が焼け太るという状況に関しては、これは国民的に見てもかなり違和感を覚える方が多いんじゃないかと思います。

 以上申し上げました、郵政事業の収益改善を図ることは非常に喫緊の課題でありますが、店舗の安易な閉鎖もできない、職員の安易な非正規化もできない、そして役員の焼け太りも許されない、この三つの観点から、これから郵政事業の運営に当たられる御決意をお伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えいたします。

 郵便事業は大変厳しい状況にある、物数にいたしましても収益にいたしましても、御指摘のとおりでございます。しかしながら、まだまだ、機械化を一段と進めるとか、あるいはIT投資を進めて効率化そして品質向上を図るとか、こういった方策はたくさんございます。これがこれまで十分にやられてこなかった。

 私の目から見ますと、正規社員の自然減を非常勤で埋めて、そしてコストアップを防いできた、あるいはコストの引き下げを図ってきた、こういう施策にとどまったということでございまして、そういった機械化の推進あるいはITレベルの引き上げ等によってかなり効率化の余地がございます。別にこれは正社員をリストラするという話では決してございません。むしろ非常勤社員の雇用の安定化ということに努力をしてまいらなきゃならないということでございます。

 それから、郵便事業の効率化という面におきまして、ネットワークを縮小する、削減するという考えは毛頭ございません。ネットワーク水準はしっかりと維持をしてまいります。

 それから、役員報酬でございますが、確かに先生御指摘の数字になっております。これは、五社に分かれたということで役員数がふえておるということは事実でございますが、一社当たりの役員数と申しますのは二十名から二十数名の水準でございまして、この水準は、同業の同規模の会社に比べれば決して多い水準ではございません。そして、この報酬は、私以下、公社の報酬水準に準拠して決めたものでございまして、公社時代と変わったものでは決してございません。

 以上でございます。

小川(淳)委員 そういう御説明かとは思いますが、そういう御見解に国民がどこまでついていけるか、これも含めて、今後よく見させていただきたいと思います。

 役員の中で特に、御本人を目の前に名指しは恐縮でありますが、ゆうちょ銀行の新社長であられます高木社長にお伺いいたしたいと思いますが、前々々職が金融庁長官でおられます。

 そこで、金融担当副大臣、お忙しいとお聞きをしておりますので、まず冒頭御見解をいただきたいと思います。現場で金融機関の監督の総責任者である金融庁長官が、できたてのほやほやといいますか、新ゆうちょ銀行の社長として天下る、これは金融当局の信頼等をつかさどるお立場から御見解はいかがですか。

山本副大臣 金融庁といたしましては、個別銀行の個別判断による結論でございますので、特段のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

小川(淳)委員 副大臣、どうぞ御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 金融当局はそのような見解ですね。

 これは人事院にお尋ねいたします。高木金融庁前長官がゆうちょ銀行の社長に天下る。公務の公正また国民の目から見た信頼をつかさどるもう一方のお立場である人事院としてこれをどう評価しておられるのか、お聞きします。

谷政府特別補佐人 職員の方が退職後どのような会社に就職され、そのことが公務とどのように関係するかということにつきましては、現在私どもが所掌しております国家公務員法百三条に規定がございまして、御案内かとは存じますが、職員は、人事院の承認を得た場合を除き、離職後二年間は、その離職前五年間に在職した国の機関等と密接な関係にあった営利企業へ就職してはならないという規定がございます。この趣旨は、職員が離職後特定の営利企業に就職をいたしますために在職中その地位や職権を利用して当該企業に便宜を与えるなどの不適正な職務執行が行われることを防止いたしまして、それによって公務の公正性を確保しようというものであろうと考えております。

 この観点から、ただいまお尋ねございました高木元金融庁長官の株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役社長への就任の問題についてでございますけれども、そのことのお尋ねと存じますが、同社と金融庁との間では銀行法等に基づく権限関係が存在しているわけでございますけれども、この会社は高木元長官の長官職離職後に設立されたものでございまして、そういう意味で、高木元長官は在職中この会社に対する権限を行使し得る関係にはなかったというふうに考えております。

小川(淳)委員 折しも、昨日は皆様御関心のことであったかと思います守屋前防衛事務次官と防衛商社との癒着ぶりが明らかになったわけであります。これに対して、接待は受けたけれども、ゴルフは二百回を超えたけれども便宜は図っていないんだというのが守屋氏の弁明の大筋であろうかと思いますが、もちろんこの点、守屋さんもしまったなと思っておられるんでしょうが、こういう外形をつくることそのものを我々は避けなければならないのではありませんか。

 もうこれは御本人にお聞きします。わずか二年少々前まで金融庁長官でおられて、ゆうちょ銀行の社長で来てくれぬかということに対して、御本人なりの御見識、金融行政を長らくやっておられた御見識からして、何かこれは抵抗感はありませんでしたか。

高木参考人 まず、私は別に守屋さんと同じようなケースじゃないというふうに思います。

 私は確かに金融庁長官をやっておりましたし、その途中で郵政民営化準備室も兼務をいたしました。そういう経験を踏まえて、それでやってくれということでありますから、私は、円滑な民営化のために全力を尽くすというのが現在の私の使命だと思っております。よろしくお願いします。

小川(淳)委員 高木社長、大変恐縮なお尋ねではあろうかと思います。

 しかし、過去さかのぼれば、西川社長もよく御存じだと思います。九五年から九七年、まさに西川社長が旧住友銀行の頭取に就任された九七年、大蔵省銀行局、証券局では大変な接待疑惑で、中島さん、田谷さん、長野当時の銀行局長ですか、ああいう方々がばたばたと辞任をされた。その後、金融会社そのものも大変な苦難の時代に入るわけでありますが、そういう中で、真っさらといいますか、まさに今国民の手から離れて民間会社として巣立とうとする門出の瞬間を、金融庁の、金融監督の責任者であった者から銀行の社長として迎えねばならない。このことは、西川社長、いかがですか。何かじくじたる思いはありませんか。

西川参考人 お答えをいたします。

 高木社長の御就任の経緯は御本人からただいまお話があったとおりでございますが、私は、高木社長の広く金融全般についての知見そしてリーダーシップを高く評価いたしております。日本郵政グループには欠かせない人材であるというふうに考えております。

小川(淳)委員 ただいまそれぞれのお立場から御答弁いただきました。

 総務大臣、今人事院が言ったのはこういうことですね。金融庁長官をやっているときに目の前にいる銀行には行けないんだ、長官をやめてできた銀行には行けるんだ、これが人事院の見解です。こんなことで実質的に公務の公正、公務員の公正な職務の確保というのは本当に国民の目から見て確保されるのか、私は甚だ疑問であります。

 そのことについてはぜひ問題意識をお持ちいただきたいと思いますし、こういうことだから、政府がこういう答弁ぶりだからこそ、これから国会同意人事ではさまざまな議論が出てこようかと思いますが、私ども民主党としては、これまた国民の立場に立った、本当に説明の通用する人事案でなければおよそ賛同申し上げられない、こういう姿勢を強固にせざるを得ません。このことを改めて申し上げて、ひとまず質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 きょうは、西川社長初め、民間の各会社の皆さん、おいでをいただきまして、まことにありがとうございます。また、私たち国会というところは行政のチェック機能という役割も果たしておるので、若干厳しい失礼な質問が出るかもしれませんけれども、それはあくまで行政をチェックするという立場でございますので、どうかお許しをいただきたいというふうに思っています。

 さて、昨日、実はきょうの質問に当たりましていろいろなレクを受けておりました。まず、日本郵政株式会社というのは、今、株主は財務省であります。要は国であります。そういう中で、まず各役員の皆さんがどのように決まったのか、そして幾らの役員報酬を得ているのかということを伺いましたらば、役員報酬は民間の会社だから公表できないんだというようなお答えをいただきました。

 ただ、純粋な民間の会社であればそれぞれの方のプライバシーで、それはそれでいいと思いますが、今現在国が一〇〇%の株を保有している状況であります。発足のときの株主総会には財務省の事務次官が出席をされたというふうに聞いておりますけれども、であれば、財務副大臣にきょうは来ていただきました、株主の立場から役員報酬をまず公開しろということを言われるか言われないか、お答えをしてください。

森山副大臣 役員報酬の開示の件でございますけれども、松野委員御承知のとおり、法令上の義務は課せられていないところでございます。役員報酬の公開につきましては、過去にも主務大臣である総務大臣が御答弁をされたとおりだというふうに理解をいたしております。

 いずれにいたしましても、主務省または日本郵政株式会社側でよく考えて判断をされるべき問題であろうというふうに思います。

松野(頼)委員 そういうことを踏まえて伺っているんです。だから、株主として提出をしろとぜひ言っていただきたいというお願いでございます。

森山副大臣 商法におきます株主権があることは重々承知をしておるところでございますけれども、財務省といたしましては、例えば連年赤字が続く等、株主価値の重大な毀損が生じている場合には株主権の行使を基本的に考えるべきだというふうに思っておりますが、現在はそのような状況にありませんので、主務省及び日本郵政株式会社自身で適切にお考えをいただけるものだと理解をしているところであります。

松野(頼)委員 いや、違うんですよ。私たちは国会という場で、財務省という株主に対して、役員報酬、別にそれが高い、安い、どういうふうに言うつもりもありません、ただ、株主として請求する権利があるんじゃないですか、公表されていないのであれば、公表をぜひするように働きかけていただきたいということをお願いしているんです。もう一回御答弁ください。

森山副大臣 先ほども御答弁を申し上げましたとおり、まず主務省及び日本郵政株式会社自身で適切にお考えをいただくべきものだということでございます。

松野(頼)委員 違うんですよ。株主は開示を求める権利があるんです。その権利を行使するかしないかなんですよ。役員を選任したプロセスについても株主として伺いましたか。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 森山財務副大臣。

森山副大臣 失礼をいたしました。

 取締役の選任につきましては総務省にゆだねられておりますので、そのように御承知いただきたいと思います。

松野(頼)委員 ちょっと意味がわからないですけれども、それはいいです。

 二百兆以上の資産を保有する会社の設立総会の議事録を取り寄せさせていただきました。ペラ三枚ですよ、三枚。臨時株主総会議事録に至ってはペラ一枚ですよ、一枚。これで株主としてきちっと責任を果たしているとはとても認められないし、そして、一体どういう経緯でこの役員が選ばれて、一体どれぐらいの報酬を得ようとしているのかということを財務省として聞かないということは株主としてあり得ない話だと思いますけれども、もう一回お答えください。

森山副大臣 先ほども申し上げましたとおり、株主価値の重大な毀損が生じている場合には株主権の行使は当然考えるべきだというふうに思っておりますし、主務省及び日本郵政株式会社自身で適切な対応をしていただけるものだと考えております。

松野(頼)委員 そうすると、債務超過に陥るとかつぶれそうになるとき以外には株主権の行使は行わないということをおっしゃっているんですが、それでよろしいんですか。

森山副大臣 そのような事態に至りますまでにはやはり時間的な経過がございますので、そこは適切に対応させていただきたいと思っています。

松野(頼)委員 確かに民間会社になったというふうにおっしゃいますけれども、今まだ株は一〇〇%国が持っている会社であります。やはり徹底した情報公開をする必要があるんではないか。まして、二百兆以上の資産を持つ世界最大のグループ企業をこのペラ三枚、四枚の議事録の株主総会で承認して、果たしてこれで株主としての責任を果たしているのかということは私は疑問でなりません。この辺の、株主として一体どこまでの意見を言うのか、要求をするのかということをもう一度財務省としてぜひ考えていただきたいということをお願いいたします。

 次に行かせていただきます。

 西川社長、先ほどネットワークは守るんですというふうにおっしゃっていらっしゃいました。お配りをした資料の一をごらんください。簡易郵便局が一時閉鎖四百十七局、簡易局の閉鎖が五十七局という一枚目の数字をぜひ見ていただきたいと思うんですが、これが現状でございます。約一割以上の簡易局が今一時閉鎖をしているのか閉鎖をしたのかという状態に、わずか民営化をして二十日足らずで早くもこういう数字が出ているわけです。この一時閉鎖をした基準、閉鎖は閉鎖なんでしょう、一時閉鎖というのは一体どういう基準で一時閉鎖という数字に挙げられているのか、お答えをください。

西川参考人 お答えします。

 一時閉鎖につきましては、再開の可能性があり、我々も再開に向けて努力をするというケースでございます。

松野(頼)委員 その再開のめどは、例えば閉局をしてから一年とか半年とか、そういう基準はあるんでしょうか。

西川参考人 特段の基準はないと思います。今のところ、私どもは、一時閉鎖局についてすべて再開に向けて努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

松野(頼)委員 次のページの二をごらんください。

 これは二年前の郵政民営化のときに竹中大臣がお配りになった資料でございます。「郵政民営化ってそうだったんだ通信」というものですね。この中で、近所の郵便局がなくなったら困るよ、こういっておじさんが質問すると、すべての国民が郵便局にアクセスできるようにしっかりとした設置基準をつくります、特に過疎地には十分配慮をいたします、こうお答えになっているんです。

 そして、次のページ、一枚おめくりください。これは平成十七年の五月二十六日、衆議院本会議。小泉総理が、「過疎地を初め必要な郵便局ネットワークが維持されるようにするなど、国民の利便性には十分配慮することとしております。」国会の中で、民営化のときに、民営化をしてしまったら不採算になるような郵便局は閉じられてしまうのではないか、こういう議論がさんざん行われました。そして、政府の方も、そういうことはないんだ、ないんだといって、さんざん答弁をしてこられました。

 今、現状はどうでしょうか。民営化されてわずかまだ二十日間、二十何日間の中で実際に出てきた数字というのは、早くも一〇%以上の郵便局が閉鎖をされているか、めどが立たない状態の中で一時閉局をしているという状況であります。

 この数字について、社長、どう思われますか。郵政民営化のときの議論と随分大きくかけ離れてきているのではないかと私は思うんですが、ぜひそこをお答えいただければありがたいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 郵便局には直営局と簡易局、委託をしている郵便局でございますね、この二種類があるということは御承知のことだと存じますが、今御指摘の簡易郵便局は受託者がいるわけでございます。その受託者が高齢とか病気とかいうような事情で簡易局の受託をやめたいというケース、それから、農協さんの支所に委託をしていた、農協さんで受託をしていただいていた郵便局、これもこの中に入っておるわけでございますが、農協さんの支所が閉鎖になりまして、そして同時に郵便局の受託業務もおやめになった、こういうこと、この二つが大きな原因でございます。

 しかし、我々は、だからといってこれを閉鎖してしまうという考えは毛頭ございませんで、再開に向けて努力をするということでございます。

松野(頼)委員 では、取締役会の中で、いつまでにこれを復旧するめどというふうに考えられていますでしょうか、そういう議論はなされているんでしょうか。

西川参考人 時期につきましては、受託者が見つかる時期が予想できるわけではございませんので明確なものを持っておりませんが、可及的速やかに再開にこぎつけるよう努力をするということでございます。

松野(頼)委員 例えば民間の銀行で新たにこれから復旧をするめどが立っていない支店が、例えば住友銀行で一局でも今おありですか、お答えください。

西川参考人 お答えいたします。

 銀行の場合は、特に都市銀行の場合、都市部に集中をいたしておりますので、そういった先生御指摘のようなケースはないと思います。

松野(頼)委員 民間では、いつ復旧するかしないかわからない支店、これは一時閉局だという発言には多分ならないと思うんです。それは民間の感覚では絶対にならないはずなんです。

 そして、私たちが一番心配をしましたのは、郵便局というネットワークが、当然、効率の悪いところには残らなくなって効率のいいところにしか残らなくなる、今おっしゃったような形の銀行の支店化していくことが果たして国民のためなんだろうかということを随分危惧しましたので、この議論をさせていただいたわけであります。

 例えば、聞くところによりますと、非常に零細な簡易郵便局に対して、キャッシュディスペンサーを買わなければ復旧できないとか、さまざまな資格を取らなければ銀行の行員として認められないとかいう議論が行われておりまして、簡易局を経営されている七十、八十の高齢の方たちにとっては、これではとてももう開局できない、このままやめてしまえ、五百万円、六百万円というキャッシュディスペンサーの設備投資までして、こんなことを新たにやる必要があるんだろうか、こういうもとに、もうやめてしまおうと考えている方がたくさんいるんです。

 ぜひその辺の事実関係をお答えいただけないでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 簡易郵便局の機器、設備等については、簡易郵便局ではありますが本社で負担をして配備するということにいたしておりますので、その点の御懸念はないと思います。

松野(頼)委員 こればかりできませんので、次に行かせていただきます。簡易郵便局にそういうキャッシュディスペンサーを売ったりしないように、ここはぜひ担保をしてください。

 次に、分社化の話。

 今、民間の銀行では、どんどん大きくしていく、合併をしていくわけです。ですから、昔はたくさんあった銀行が四大メガバンクになってしまったんですね。例えば、三井銀行と住友銀行が合併をするという昔では考えられないようなことが起こって、メガバンクは四つになった。今度は、保険の窓口販売、生命保険、損害保険の窓口販売を銀行が行おうという。民間の世界では、スケールメリットを生かすために、効率化するために、業務をふやしてなるべく経営基盤を強化するということが行われているんです。これはもう私が言うまでもなく、西川社長が一番おわかりだと思うんです。

 そういう中で、郵政に関しては全く逆行する政策をとったわけですね。今度は、小さくしよう、小さくしよう、事業ごとに分解しよう、こういう政策をとっているわけです。ですから、私は、かえって非効率なことになっているのではないかというふうに思うんです。

 そういう中で、要は、昔の郵政公社の郵便、保険、貯金という三事業、それも郵便に関してはまた窓口とネットワークと分けているわけです。それをホールディング会社、持ち株会社が持って管理をするという経営形態をつくったわけです。当時、これではできないんじゃないですかということを、随分これも竹中さんに申し上げました。

 次の資料の四ページをごらんください。これが、この九月十日、総務大臣談話として、実施計画を今回認可いたしましたと。一枚めくってください、実施計画が入っております。もう一枚めくって、この表をごらんになってください。当時は、経営基盤の弱いであろう郵便局株式会社に対して、郵便貯金銀行、郵便保険会社、そして郵便事業株式会社、この会社から分担金をここに集めて、約一兆数千億ぐらいの負担金を出してこの会社を支えていこう、要はネットワークを維持しよう、こういう議論がございました。資料六が、今回、九月十日に認可を受けました実施計画であります。

 その次の資料七が、郵政民営化特別委員会の中で私たちがさんざん議論をした骨格経営試算というものであります。この中では、当時は窓口会社と言っていましたけれども、窓口会社に対する負担金は、郵便系収益から、要は今の会社から二千二百四十億今回の実施計画では受け取ることになっていますけれども、当時は三千二百三十億、二〇〇八年度には入れましょうと。銀行受託手数料の中から、当時は七千八百七十億入れましょう、実施計画では六千二百七十億なんです。そしてまた、保険系の会社からは六千六億円この会社に入れましょう、実施計画を見ると四千四百四十億円なんです。この骨格経営試算に基づいて、民営化された会社はすべて大丈夫なんだというのが当時の竹中大臣の理論でありました。

 私たちは、この骨格経営試算の試算が甘過ぎるんじゃないですかということをさんざん民営化委員会の中でやっていたんですけれども、実際に出てきた、今回の九月十日に認可をされた実施計画を見ると、早くもこのときの数字を明らかに下回っているじゃないですか。これは一体どういうことなんでしょう。これは総務大臣、お答えください。

増田国務大臣 お答えいたします。

 この骨格経営試算につきましては、その当時の収益状況等を見積もったものだというふうに考えておりますが、その後、この四月に実施計画書を申請するまでの間にいろいろとそれぞれの会社の中でさらに事業内容等について精査をして、そして出してきた、その点が数字として違っているものだ、このように判断しております。

松野(頼)委員 いや、これは明らかに当時の議論と全く違反している話ですよ。例えば、経営して三年、四年たって、これではやっていけないからということであればまだ私はわかります。十月一日、民営化スタートの段階からこの骨格経営試算とこれだけぶれているということは、当時の答弁が全くでたらめだったという話なんですよ。この骨格経営試算をもとに、民営化は大丈夫なんだ、この四会社はやっていけるんだということを竹中大臣は再三説明しておられた。にもかかわらず、いざスタートになってみればこれだけの数字が違っていく。このことに対しては、総務大臣、もう一回御答弁ください、どう思われますか。

増田国務大臣 結果として、今先生がお話ございましたとおり、数字がこのように違っている。これは、当然我々は、実施計画で出されてきておりますものが会社の経営試算として正しいもの、このように判断をしているわけでございますが、当時、また仮に別の前提を置くなり、あるいは事業内容が十分詰められていない中でこうした試算、試みの計算でございますので、そういう試算を出したのではないか、このように考えております。

松野(頼)委員 いや、これは同じ総務省が、総務大臣として今回認可を与えたわけですよね、行政の同じ流れの一環として。あのときの議論も、行政の一環としてこういう形の骨格経営試算をつくられた。あのときの答弁に全く違反しているじゃないですか。いかがでしょうか。

増田国務大臣 今回のこの実施計画書の認可に当たりましては、私どもも、郵政民営化委員会の中での御議論等も踏まえまして今回認可したということでございます。

 お話のとおり、確かに数字と違っているわけでございますが、これは、当時、試算という形で当時の状況の中でいろいろ計算をされたんだろうという気がします。

松野(頼)委員 ぜひ当時の議事録を見ていただきたいと思うんですが、私も随分竹中大臣とやり合いました。この数字、違うんじゃないですか、いやいや、大丈夫なんですよ、これでいくんですからということで。松原先生はうなずいていらっしゃいますけれども、試算じゃないんですよ。これでいくから大丈夫なんだということをおっしゃっていたんですよ、竹中大臣は。

 スタートの段階からこんなに、二、三千億ぶれていいわけないじゃないですか。これは、議事録の精査とあわせて、行政の一貫性ということからあわせても、おかしな話ですよ。ぜひ、そこのところは内部でちょっと考えていただきたいと思います。またこれは次のときの議題としてやりたいと思います。

 もう一点、松原先生がいらっしゃっております。郵政民営化の特別委員会のときから公述人としてさまざまな意見を開陳していただいて、すばらしい見識をお持ちだというふうに私も思っております。

 ただ、今回、松原委員会という委員会がございます。これの法的な位置づけというのが非常にあいまいであるというふうに私は思っております。西川社長の私的諮問機関だからというお答えになるんであろうというふうに思うんですが、ただ、実はこれにも立法府がつけた附帯決議というのがありまして、これもやはり郵政民営化の特別委員会のときの一つの議論として、こういう附帯決議がついていると思います。

 要は、外部の有識者として意見を聞くんだ。これは、郵政民営化のときの話じゃないです、西川社長がどこかでコメントをされている。資料八につけてあります。日本郵政公社がことしの四月二日に出した書類であります。「外部の有識者、専門家からなる検討委員会を設置する。」

 ただ、実は見てみると、この役員表を見ていただければありがたいと思うんですが、まず関さんという方が、やはり松原委員会のメンバーでありながら日本郵政株式会社の社外取締役になられている。松原先生自身も社外取締役になられている。飯沼さんという方も監査役を務められているということであります。

 ですから、とても外部の有識者どころか、中にお入れになっているわけです。であれば、取締役会の中でやればいいんじゃないですか。私はそう思います。

 それに対しまして、この資料九を見てください。これは、増田総務大臣が先日の原口さんの質問にお答えになっているものです。今委員から御指摘いただいております会社においても対外的誤解を与えることのないように、この問題には適切に対処する必要があるだろうというふうに大臣はお答えになっているんですが、今のこの状況をごらんになって、認可を与える総務大臣として、一言お答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 前回、原口委員にお答え申し上げたとおりでございまして、その後、いろいろ会社の方でも御検討いただいているのではないかと思っておりますが、いずれにしても、対外的に誤解を与えることのないように対応していただきたいと考えております。

松野(頼)委員 その誤解というのはどういう認識でいらっしゃいますか、大臣。

増田国務大臣 第三者委員会ということでスタートしているということでございますから、その点でございます。

松野(頼)委員 そうすると、第三者委員会でありながら取締役、監査役に入っていることは適切ではないということですね。お答えください。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 誤解を与えかねない、このように考えております。

松野(頼)委員 誤解じゃなくて、今入られているんですよ。お答えください。

増田国務大臣 第三者委員会の機能にかかわる問題だろうと思いますけれども、いずれにしても、その点については、私どもも、第三者委員会として御提案いただいているということについては、対外的に、皆さん方どういう立場で御提言されているかを誤解されかねない、こういうふうに考えております。

松野(頼)委員 是正をしろという勧告をお出しになる気はありますか。

増田国務大臣 やはりこれは私どもは会社の中での対応を考えたいと思っております。

松野(頼)委員 認可を与えるのは総務大臣であります。その認可権者として、是正をするような勧告をお出しになるつもりはありますか。

増田国務大臣 これは、この第三者委員会が社長あるいは当時の公社総裁の私的な諮問機関という形で出てきておりまして、私どもの認可に係る事項とも直接は関係ありませんので、こういった問題について誤解を与えかねない対応が必要だろうと思いますが、この点については、会社の自主的な取り組みを考えていただきたいというふうに考えております。

松野(頼)委員 株主として、財務副大臣、いかがでしょうか。

森山副大臣 今、総務大臣のお答えになった考え方と財務省としての考えも一緒でございます。

松野(頼)委員 株主なんですよ。株主なんです。こういう第三者委員会ということが議論をされている、しかし、第三者委員会じゃないんです。明らかに社外取締役や監査役に入っていらっしゃるということなので、これは株主としても、少し適切ではないのではないかと、認可を与える総務大臣としても是正の勧告を出されるべきではないかというふうに私は思うんですが、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 そして、次に行きたいと思います。

 先ほどの議論を聞いておりました。高木さんの離職に関して人事院に残っていただいたんですが、そのときの議論が少しおかしいのではないかなというふうに思っております。

 高木さんの件に関して、離職前五年在職していた金融庁及び内閣官房の郵政民営化法に基づく権限は、高木長官の在職中には存在しなかったものであることから、同社と密接な関係にはなく、人事院の承認は不要であるというふうに考えるというペーパーを人事院が先ほど原口氏に出されたと聞いています。

 人事院、先ほど高木さんもお答えになっていましたけれども、日本郵政株式会社と郵政民営化準備室は密接な関係に当たらないんでしょうか、お答えください。

谷政府特別補佐人 先ほどお答え申し上げましたのは株式会社ゆうちょ銀行の関係で、ただいまの御質問は日本郵政株式会社でございます。そして、最初にお答え申し上げましたのは会社の存在、不存在、ただいまの問題は権限関係でございます。

 その権限関係ということについてでございますけれども、まず、これは在職時には存在していなかった権限でございまして、その後に定められた権限でございます。したがいまして、法律に基づきます権限につきましては、国会でも御審議いただいた法律の制定に個人の意思の介入できる余地はないと考えておるわけでございます。

 それからもう一つ、権限と申しますのは、内部的な立案作業を指しておりませんで、各省にも私どもの考え方を明らかにしておりますが、それは許認可等の行政措置を行う権限でございます。

松野(頼)委員 人事院は本当にその答弁でいいんですか、議事録に残るんですよ。

 要は、金融庁長官として日本ゆうちょ銀行の件は承認されているんですよ、人事院は。私はそれを言っているんじゃないんですよ。郵政民営化準備室副室長という立場が日本郵政株式会社に対して当たるのか当たらないのかということを聞いているんですよ。

 それで、会社の存続と言いますけれども、ゆうちょの会社も日本郵政もあるんですよ、そのときには。要は、高木さんは平成十八年一月二十二日まで郵政民営化推進副室長にいらっしゃって、次の日、平成十八年の一月二十三日に日本郵政株式会社に再就職をされているんです。一日ですよ、一日。これが当たらないのか当たるのか、もう一回答弁してくださいよ。

谷政府特別補佐人 郵政民営化法に基づきます権限、その権限は在職中存在しなかった。それから、そのためのいろいろな準備的な検討を行うということはしておるわけでございましょうが、そういった権限は、先ほど申し上げましたように、行政上の権限として考えておりますのは、対外的に効果を持つような処分でございます。そういう意味でございます。

松野(頼)委員 全然、むちゃくちゃな答弁ですよ。あのとき、僕らは竹中さんと、あなたの所掌の範囲は何なんですかと随分議論をしましたよ。そうしたらば、郵政民営化にかかわる権限は郵政民営化担当大臣が持っているんだと、さんざんおっしゃっていたんですよ。今さらになって、郵政民営化準備室が郵政民営化にかかわる権限を、日本郵政に対して権限を持っていないなんという答弁が通るわけないじゃないですか。もう一回お答えください。

谷政府特別補佐人 民営化の計画を進めていく上での民営化に関する権限をお持ちだったという趣旨ではないかと思いまして、法律に基づきます権限のことを私は申し上げておるのでございますが、法律に基づきます権限は、国会での御審議を経て法律として決められた権限でございまして、個人が介入し得る権限ではないということでございます。

松野(頼)委員 それを言ったら、行政の何々局長も権限は持っていないし、何々部長も権限は持っていないことになるんですよ。違いますか。

 郵政民営化にかかわるすべてのことを郵政民営化担当大臣に総理が委任をして、それを、郵政民営化にかかわる事務を所掌したと言ったじゃないですか、郵政民営化準備室は。あのときに随分議論やりましたよ。郵政民営化準備室は所掌事務として与えられたんですよ、郵政民営化にかかわることを。

 もう一回答えてください。そんな答弁じゃだめですよ。

谷政府特別補佐人 法律に基づきまして日本郵政株式会社に対して行使し得る権限について申し上げておるわけでございまして、その前の段階で、民営化についていろいろな御権限をお持ちになったと。私は、その御答弁については承知しておりませんので申し上げられませんけれども……(発言する者あり)

渡辺委員長 速記とめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 松野君。

松野(頼)委員 要は、ゆうちょ銀行の方はちゃんと承認を得ているんですよ。なぜこっちの郵政民営化準備室が次の日に日本郵政株式会社に行けるのか。もう一回答弁してください。

谷政府特別補佐人 わかりました。今の御質問は、日本郵政株式会社への就職のことでございますね。

 そのことにつきましては、ちょっと先ほどのこととダブりますけれども、高木元金融庁長官は平成十八年一月二十三日付で日本郵政株式会社取締役副社長に就任していらっしゃるわけでございますけれども、高木元長官が離職前五年間に在職しておられました金融庁それから内閣官房の郵政民営化法に基づきます権限は、高木元長官の在職中には存在しなかったものでございます。

 つまり、法律がありますればその法律に基づいた権限を、具体的に行使するか否かは別といたしまして、行使し得る立場にあるわけでございまして、先ほどおっしゃいましたように、局長として決裁する、あるいはいろいろなことをするということはあり得るわけでございますが、その権限というのは在職中には行使し得る形になっていなかった。もちろん法律は定められておりましたとは思いますけれども、対象機関として行使し得るという形になっていない、それが一つ。

 それからもう一つは、事前の準備、立法過程の準備その他はございましょうけれども、それは結局内部の作業でございまして、法律は国会での御審議を経て決定されるわけでございますので、その法律の内容について恣意の入る余地はないと考えると申し上げております。

松野(頼)委員 それはまたの機会にやらせていただきます。

 最後に、総務大臣、実は今、郵政の会社の中で、過去にメルパルクとかゆうぽうととか、そういう事業がありました。約二千人の人がこれが廃止になると解雇になってしまうかもしれないという、非常に雇用不安が今あるわけであります。もちろん、民間の会社でどういう経営をされるかというふうな答弁になられるのかもしれませんけれども、雇用配慮原則というのが当時郵政民営化の議論の中で、五原則の中でありました。生首は飛ばさないという答弁を、これは竹中大臣もなされているんです。

 ぜひ、そこの雇用に対する配慮を一言御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

増田国務大臣 今の関係は、財団の方の職員の関係も入っているかとは思いますが、いずれにしても、雇用の確保には会社としてもやはり十分意を尽くしていただく必要があるだろうというふうに思っておりますので、私どももそうした努力というものは会社に期待をしたいと思います。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

 さっきの人事院の答弁は少しおかしいなというふうに思うので、また何らかの形でやらせていただきます。

 また、民間から来られた皆さん方には、大変厳しい質問で失礼なこともあったかと思いますけれども、おわびを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 午前中に引き続いて、何点か、最初に簡易郵便局についてお尋ねします。

 郵便局会社の川会長がおいでですので、最初に何点かお聞かせください。

 午前中、西川社長の答弁の中でも、簡易局のチャネルの強化のための検討会を設けて確保策を考え、ネットワーク維持に努めたいというお話がございました。この検討会がいつまでに何をやるのかということについて、今はっきりしていることをお答えいただけますか。

川参考人 お答えいたします。

 現在、まだ具体的な構成メンバーであるとかは検討中でございます。ただ、簡易局の連合会としての全簡連という組織がございます。こことは今後、簡易局の政策についていろいろ問題提起もいただくし、また、こちらからいろいろお願いもする、そういう定期的な場を設けようとしておりますので、こういう関連の中で、ただいまの御質問の検討会についても幅を広げた形で進めていきたいと考えております。

塩川委員 重ねてもう一点伺いますが、そうしますと、簡易局をいつまでに幾つふやすのかという目標というのはお持ちなんでしょうか。

川参考人 簡易局をいつまでに幾つふやすかという前に、現在の四百十七ある一時閉鎖、これについて対応するというのが、まず検討委員会で予定している項目の最初のテーマだというふうに考えております。

塩川委員 一時閉鎖といっても、実際には三年も四年も一時閉鎖という格好になっているところが現にあるわけですから、要は、実質的に廃止して、ないような状況。地元との関係で、ぜひともそこに置こうということで努力をされているところが現に一時閉鎖となっているわけですから、それについて、では、四百十七をいつまでに解消しようとお考え、目標をお持ちなんでしょうか。

川参考人 お答えいたします。

 これまでの一時閉鎖対策というのは、正直申し上げまして、極めて対症療法であったというふうに私自身考えております。したがって、従来の延長線上でこの一時閉鎖の問題に対応するのではなくて、もっと幅広い形で取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

 したがって、まだ具体的に、いつまでに何局ということの議論をするには至っておりません。

塩川委員 非常に取ってつけたような状況を率直に受けるわけですね。現状は深刻になってきているというところが当然あるわけですから。本来そういうのは、公社が始まって、公社時代に委託手数料を引き下げて大きく減ってきている、一月から手数料を上げたりという経過があったとしてもそれでも減っているという点について、対応が非常に後手後手だと率直に思うわけです。やはり率直に言って、結局コストが合わないからという形で、簡易局なり地方がどんどん切り捨てられることになるんじゃないかという懸念はぬぐえないわけです。

 西川社長に伺いますけれども、結局コストが合わないからということでサービスが後退するような状況になってくる、金融サービスに関して、先ほど骨格経営試算の話もありましたけれども、もうからない郵便局にゆうちょやかんぽが委託を続けるということは本当に可能なのか、その根拠ということで、お考えのことをお聞かせいただけますか。

西川参考人 お答えをいたします。

 ゆうちょ、かんぽの郵便局に対する委託につきましては、この郵便局がもうからない、この郵便局はもうかるというような区別の仕方というのは現実的に不可能でございまして、郵便局を統括する郵便局会社との間で受委託契約を結んでおるということでございます。

 そしてまた、グループ全体としましても、郵便局で多分赤字局が多いだろうと思います。しかし、その赤字は全体の中で吸収をしてまいらなきゃならない、できるだけ赤字は減らさなきゃいけませんが、その上で全体の中で吸収をしていこうという考え方で臨んでおるわけでございまして、そのことによりましてネットワークをきちんと維持していくということでございます。

塩川委員 一つのビジネスモデルとして示されているわけですけれども、経営陣も今後かわったり、そもそも、今後の株式の売却でゆうちょ、かんぽが一〇〇%切り出されるような形、そこに効率優先、コスト優先、もうけ優先という形での株主の要求が反映をされたら、こういうビジネスモデルが続くのかということが率直に懸念として出てくるわけであります。

 午前中の審議の中で、西川社長も金融アクセス権は確保しなければならないと述べ、また、増田大臣も、これまでネットワーク維持、ひいては金融アクセス権を維持する試みがされてきたと、金融アクセス権が重要ということをお認めになっておられるわけです。しかしながら、現状は金融窓口がどんどん減少することがとまらないということです。

 そこで、大臣に伺いますけれども、やはり金融アクセス権を保障する金融のユニバーサルサービスの義務づけというのが改めて必要なんじゃないか、改めてその点についてお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 これはいろいろ議論があったわけでありまして、やはりネットワークをさまざまな工夫をして極力維持していく、そして、そうしたところでサービスを提供していく、このために会社に最大限努力をしていただく必要があるだろうというふうに思っています。そうしたことによって、実際上さまざまな金融的なサービスというのが地域で展開をされる、このように考えるところでございます。

塩川委員 金融アクセス権を保障する金融のユニバーサルサービスの義務づけが必要だ、そのためにも制度設計についての根本的な見直しが求められていると思いますし、そのためにも株式の売却の凍結などの措置が必要だということを改めて述べておくものです。

 残りの時間で、郵便局での障害者サービスの問題について、何点か事業会社の方にお伺いしたいと思います。

 最初に、三種、四種の郵便物の集荷サービスについてですけれども、障害者団体の会報で活用する第三種郵便物ですとか、点字図書や録音テープなど記録媒体の郵送の場合に活用する第四種郵便について、障害者団体の運動もあり、これまで郵便局による集荷サービスが行われてまいりました。しかしながら、都内のある郵便局では、十月に入ってから、障害者団体が要望したところ、集荷サービスには行かないとの対応があったとのことです。

 これまで実施をしてきた障害者団体などへの集荷サービスは、民営会社においてもきちんと継続するのか、この点を確認させてください。

北村参考人 お答えいたします。

 身体障害者の方から差し出される、例えば点字郵便物等の郵便物の集荷については、今までどおり、できる限り応じることとしておりまして、第三種郵便物及び第四種郵便物についても、このような考え方に沿って集荷サービスを行っております。

 今後も、引き続き同様の対応を行っていきたいと考えております。

 以上です。

塩川委員 次に、ゆうちょ銀行にお伺いいたします。

 視覚障害者などに対するゆうちょ銀行業務の窓口での代書についてですけれども、私のお聞きしたところでも、都内のある郵便局で、民営化になったら代筆はできないよ、普通の金融機関になったから、こういうふうに言われたという話があるそうであります。愛知の方でも同様の事例があるとお聞きしました。視覚障害者からの代書の依頼があれば必ず応じるということに変わりがないか、その点を確認させてください。

古川参考人 お答えをいたします。

 貯金や送金の取り扱いにおきましては、職員が代書することは、一応原則的に禁じてはおりますが、視覚障害者の方など、やむを得ない理由があれば代書をさせていただいており、今後も御要望に応じられるよう努めてまいりたいと存じます。

 以上であります。

塩川委員 今、率直に、郵便局の現場などで大きく業務の内容が変わってきているということで、どこまで仕事をやるのかということについて、なかなか、現場で混乱もある。本部から、上から言われた以上のことはやるな、そういうようなことを受けとめているような職員の方もおられるというのが率直な現場の雰囲気だということでもありますので、職員のモチベーションがこんな形で下がることがないような対応というのをきちんとお願いをしたいと思うものです。

 続いて、ゆうちょ銀行に引き続きお伺いしますが、これまで郵政公社が実施をしてまいりました、貯金の取引記録の点字による通知、一カ月とかまとまって、振り込みですとか引き落としですとか、入金、出金の記録というのを点字で打ち出して送ってくれる。月に一回発送で、最大限月二回までそういった記録を送ってくれるということが、視覚障害者の方に大変喜ばれているとお聞きしました。

 都銀でも実施をしているところはごく一部だと聞いております。ぜひこの貯金の取引記録の点字通知は引き続き実施をしていただきたいと思いますが、その点の確認をお願いします。

古川参考人 お答えをいたします。

 視覚障害者の方については、取引記録を通常の通帳で確認することは困難なことから、民営化前から、視覚障害者の方の御要望に応じて、毎月取引記録を点字で記載した通知書を交付しておること、先生のおっしゃったとおりでございます。このサービスについては、今後も継続し、視覚障害者の方にも安心して貯金を御利用していただけるよう努めてまいります。

 以上でございます。

塩川委員 点字通知サービスのない民間の金融機関を利用されておられた視覚障害者の方が、社会保険庁による年金の振り込みのミスで、半年ぐらい実際に入っていなかった、そういうのが、点字の記録でないものですから気づかずにいたので、行員の方に教えてもらって初めて気づいた。そういう点でも、視覚障害者の方が確認できる点字の記録の通知というのが、やはり基本的な暮らしを支える大きな力になっているという点で、その点についてぜひ引き続きお願いしたいと思っておりますし、他の金融機関でも、この点についてはぜひ学んで、進めていただければと思っております。

 もう一点、お伺いいたします。

 ATMの音声案内についてですけれども、郵便局間の取引では音声対応となっているそうですけれども、郵便局のATMから他の銀行などに振り込む場合には音声案内が行われないとお聞きしました。この点でもぜひ改善をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

古川参考人 お答えをいたします。

 ゆうちょ銀行では、ATMによる入金、出金については、音声による御案内をすべてのATM本体の受話器によって行っております。また、今おっしゃった送金につきましては、自行内及び他行あてとも、音声による操作案内はいたしておりますが、送金先でありますとか氏名などの取り扱いの確認内容は、技術的に大変難しい問題がございまして、今のところ対応いたしておりません。

 ただ、改善につきましては、今後の技術動向等をかんがみながら、研究課題とさせていただきたいと存じます。

 以上でございます。

塩川委員 私、そういう形で、ATMなどについての障害者対応などについて郵便局が一〇〇%、それに対して民間が大変おくれているのがこの間引き上げられてきた、そういう点では、郵便局の果たしている積極的な役割というのは、大いに今後も果たしていただきたいと思っております。

 金融庁の方、申しわけありません。時間の関係で、質問の機会がありませんでした。また別な機会にお願いしたいと思っております。

 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 それでは質問いたします。簡潔にやりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

 午前中に西川社長に質問をいたしました。午後の部は各会社に質問をしたいと思います。

 まず郵便局会社に伺いますが、今現場で起こっている状況については経営者としてしっかり把握していると思うのでありますが、例えば、ある局舎があります。そこに郵便局会社、ゆうちょ銀行会社、それから郵便事業会社が入っております。従前ですと、もうワンフロアで、表札は下がっておりますけれども、隣でよく声をかけたりできる。しかし、今現場はがらっと変わりまして、全部間仕切りがあって、そして局員はICチップで管理する職員証を持たされる。したがって、他社のスペースに、従前のような気楽に、どうですかというふうに入る雰囲気は、今日なくなったという話ですね。

 局長さんの話によりますと、従前のように、局単位で助け合っていこうじゃないか、年末の繁忙期、協力し合おうや、こういうふうなことは、もう今全くそんなことは言えなくなったと。そういうふうな状況に変化したということが、これは一体どういうことなんだと。私は、それはよくないという立場でとらえますからね。まずその点について聞いておきたい。

 それから、例えば、窓口業務の郵便局会社と配達の郵便事業会社。この間の関係も、紋切り型に、一日に、物を収受する都度手続をぴしぴしやらないといけないんだと。一つの状況ですよね。それはまさしく、効率化とは逆の方向を走っているんじゃないか。

 そういう現場の声に対して、社長、どういうふうにこたえられますか、二点。

川参考人 お答えいたします。

 まず一つ目の、局舎の区分でございますが、御指摘の四つの会社が入っているというのは、いわゆる旧普通局、集配局で、かつ、貯金銀行の直営店があるとかあるいはかんぽの法人営業のスタッフが常駐しているというところが御指摘のケースだろうというふうに思います。

 これらについては、分社化されたことに伴って、複数の事業所が同居することで、今御指摘のあるようなコミュニケーションの問題であるとかそういうことに対して、今私どもの方から該当の局の局長さんに対して、四社会議というふうに実は現場では呼んでおるんですが、常にやはりその四社の局長さんなり支店長さんがコミュニケーションをきちっとして、そういった一人一人の社員に極力不便をかけないような形での対応をするようにという指示をしております。お客様にとっては郵便局は一つでございますので、こういった形でなるべくその一体感というものを失われないように対応をしております。

 それから二つ目の、郵便物の受け渡しでございますが、確かにそういった手続が、これからはそれぞれ会社が違うわけでありますから、お客様からお預かりしたお荷物をきちっと受け取る、あるいはそれをまた郵便事業会社にお届けするということは、やはり一定のルールの中でしなければいけないことだというふうに思います。逆に言えば、そういうことがお客様の信頼性を高める、あるいは同じ局内でいろいろな事故を防ぐもとになる、そういうふうに考えております。

 ただ、これらの件につきましても、実際十月一日からスタートしたわけでございますが、それぞれのいわゆるフロントラインの局員の声というものをきちっと把握して、安全性を確保する、そういった前提でやり方をより効率化する、あるいは、局間の、社員同士の利便性につながるようなものについてはどしどし提案をし、改善策を検討してまいりたいと考えております。

重野委員 次に、簡易局の問題です。

 私の数字が、言っていることが正しいかどうかというのはちょっと不安なんですが、現在四百十七の簡易局が休眠状態というか閉館状態というか、そういう状況にあるということです。

 この簡易郵便局というと、まあ私は九州は大分なんですが、もう全国でも有数の過疎地域の多い県でありまして、簡易郵便局の価値というのは、都会に比べれば、そういう過疎地域、遠隔地に存在する簡易郵便局の価値というのは大きいんですね。

 ところが、そういうところは一日に行くお客さんの数がやはり少ないんですよね。だから、経営的に成り立たせるということが非常に難しい。そういう状況にあるということは私も理解をしておりますし、この間、公社の時代からかなりのてこ入れをして、資金の援助等々をやってきたということも承知をしておりますけれども、そういうことをやって、なおかつ今申し上げましたような状況が進行中である。

 その点は、もう簡易郵便局を犠牲的精神をもってやろうかと開いた人もいるわけですよね。自分の奥さんがたまたま学校の先生をしていたから、だから奥さんの収入も当てにして、自分は退職金をはたいて局舎をつくってやったけれども、運営は厳しい。

 私はやはり、今のままでは簡易局はだんだんだんだん消えていくんじゃないかという危機感を持つわけですよ。そのことによって地域の、特に高齢化が進んだ地域のおじいちゃん、おばあちゃんあたりが、もう大変な不便をこうむる。

 もう我が県においても、農協は経営が非常に厳しいんですよ。したがって、一県に一農協という時代ですよ。昔は町に農協がありましたよ、そして農協の支所もあったんです。そこで金の出し入れができていたんです。もう全部消えますから。そうしたら、残るのはもう郵便局しかないんですよ。たまたま今民営化になって、従前とは違ったという言い方をされますけれども、地域の環境は従前よりももっと悪化している。そういうときに局の果たす役割、特にこの簡易郵便局、これは非常に大きいものがあると私は思うんですね。

 そこで、閉鎖状況にある局の状況、それをひとつしっかり示していただきたいということと、やはりそれをどう再開するか、そしてそういう過疎地域の局をどう維持するか、その展望についてお聞かせいただければありがたい。

川参考人 お答えいたします。

 まず、今重野先生の方から御質問いただきました中で、いわゆる過疎地域の一時閉鎖でございますが、簡易局の一時閉鎖は、今全国で、先ほどございましたように四百十七局ございますが、そのうちいわゆる過疎地域での一時閉鎖は百五十一局でございます。

 私どもも、これらの対応について、いろいろなこれまでの対応に加えて、さらにことしの八月から、今までは簡易局というのは近くの従来の普通局がちょっと面倒を見る、あるいはいろいろな依頼についておこたえするということだったわけですけれども、これではなかなか細かなフォロー、支援体制ができないということで、簡易局サポートマネージャーというものを現在全国で三百七十五人配置をいたしました。これらのメンバーが、大体一人平均十局くらい担当して、そしてきめ細かく簡易局にお伺いをして、いろいろな相談事であるとか業務のわからないことに対する教育であるとか、そういう体制づくりをスタートさせております。

 したがって、これらの簡易局サポートマネージャーを通じて、いろいろな仕事上の悩みあるいは健康上の問題、なるべく早目にそういった情報をキャッチして、例えばその受託者の方が将来的に対応できないというのであれば、早目早目にその代替の簡易局あるいはそういった施設というものを現実地元に入ったメンバーが確認していく、そういう工夫もさらにこれから凝らしていきたいというふうに考えております。

 そのほか、支社あるいはその地域のそういった担当の者が地域に入りまして、新しい受託者の開発というものを進めてまいる、そのことによって簡易局ネットワークの維持をきちっと果たしていきたいと考えております。

重野委員 もう一つ、集配局網の再編問題について。これもやはり私の地域の言わしめる言葉なんですね。

 今度、集配局再編がありました。私のつかんでいる数字では、千四十八局の集配業務が廃止をされた。それがどういう状況を地域にもたらしているかということですが、言いますと、従前ですと午前中に配達が来ておった。ところが、それが夕方になり、あるいはもう九時、十時、そういう時間帯に郵便物が配達されるというときもままあるという話ですね。つまり、過疎地域においては、そういういわゆる配達局の集約によって、配達する人の守備範囲が非常に広くなって、一日に百キロぐらい走行するという方もいるんですね。それは、局員だけではなしに、地域の方々にとっても随分の変化をもたらしている。

 しかも、いわゆる総合担務、大分的に言うとふれあい郵便といって、全国的に有名になりましたけれども、これは大変評判がよかったんです。高齢化の進んだ地域のお年寄りにとって、このふれあい郵便というのは本当にもう助かったんだ。それが今はもう禁止されましたね。できなくなった。こういうふうなこともこれありで、これまた今回のこの郵政改革によって、地域の、特に地方のそういう住民にとっては大変厳しい状況をもたらしている、あるいは不満があるということです。

 そこで、もう一度これは原点に返りますが、局の集配再編、あるいは千四十八局の集配業務が廃止されて集約されたというそもそものねらいというのは一体どこにあったのか。その結果、今どうなっているというふうに、現状をどう把握しているのか。あるいは、これも私はもうこの場で何回も言うんですが、そういう地域の、特に弱者と言われる高齢者のそういう切実な声というものを正面から受けとめて、そしてどう対応するかということを考える気があるのかどうか、その点についてひとつお答えいただきたい。

北村参考人 お答えいたします。

 配達時間に関する御指摘については、集配拠点再編成実施後も、お客様にお約束した送達日数は、これまでと同等に変えておりません。通常郵便物についてはこれまでも一日かけて配達する仕組みでしたが、集配する拠点が変わったということで、配達区域や配達順路が変わったという結果、午前が午後に変わったところもありますし、午後が午前に変わった地域もあります。ただ、集配再編後の各地域の状況もよく検証して、どういう仕組みを入れたらお客様の利便性が高まるだろうか、今後、局会社とも十分に相談をしながら検討を続けてまいりたいと思います。

 それから、ふれあい郵便ということですけれども、恐らくひまわりサービス等の社会貢献施策だと思いますけれども、郵便事業会社が引き継いでおりますので、今後も引き続き実施していく所存でございます。

 以上です。

重野委員 たくさん準備しておったんですが、もう時間が来てしまいましたので以上で終わりますけれども、試行錯誤を繰り返しながらということなんだろうと思うんです。現場で汗を流している方々からいろいろな声が上がってくると思うんですが、そこら辺のパイプが詰まらないように、そんな現場の声がすぐ経営の方に反映されるような、そういう雰囲気というか風潮というか、そういうものをつくることにもぜひ努力をしていただきたい、そのことをお願いして終わります。

渡辺委員長 参考人各位におかれましては、長時間にわたり御出席いただきまして、ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十五分散会


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