衆議院

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第4号 平成19年11月6日(火曜日)

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平成十九年十一月六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    川崎 二郎君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      北神 圭朗君    玄葉光一郎君

      後藤  斎君    郡  和子君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   財務副大臣        森山  裕君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  実川 幸夫君     西本 勝子君

  逢坂 誠二君     郡  和子君

  田嶋  要君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     実川 幸夫君

  北神 圭朗君     後藤  斎君

  郡  和子君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

十一月五日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

十一月一日

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査要請書(武正公一君外百十二名提出、平成十九年衆予調第三号)

 特殊法人の組織等に関する予備的調査要請書(原口一博君外百十二名提出、平成十九年衆予調第四号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について、国家公務員の給与改定に関する取り扱いについての政府部内の検討に時間を要し、会期末間近に法律案を提出することとなりました。ここにおわびを申し上げ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、指定職俸給表の適用を受ける職員について改定を見送るとともに、指定職職員以外の職員については勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、指定職俸給表を除く各俸給表の俸給月額について、初任給を中心に若年層に限定して改定することとしております。

 第二に、行政の特定の分野における高度の専門的な知識経験に基づく調査、研究、情報の分析等を行うことにより、政策の企画及び立案等を支援する業務に従事する職員の適切な処遇を図るため、これらの職員を対象とした専門スタッフ職俸給表を新設することとしております。

 第三に、扶養手当について、配偶者以外の扶養親族に係る月額を一人につき六千五百円とすることとしております。

 第四に、勤勉手当の支給割合を年間〇・〇五月分引き上げることとしております。

 第五に、専門スタッフ職俸給表二級である職員の昇給は、昇給の日前一年間の全部を良好な成績で勤務した場合の号俸数を一号俸とし、専門スタッフ職俸給表三級である職員の昇給は、昇給の日前一年間の勤務成績が特に良好である場合に限り行うものとすることとしております。

 第六に、新たに専門スタッフ職調整手当を設け、専門スタッフ職俸給表三級である職員が極めて高度の専門的な知識経験及び識見を活用して遂行することが必要とされる業務で重要度及び困難度が特に高いものに従事することを命ぜられた場合は、当該職員には、当該業務に従事する間、俸給月額に百分の十を乗じて得た額を月額として支給することとしております。

 第七に、専門スタッフ職俸給表二級以上である職員について、超過勤務手当、休日給及び夜勤手当の適用を除外し、管理職員特別勤務手当の支給対象とすることとしております。

 第八に、始業及び終業の時刻について職員の申告を経て勤務時間を割り振ることができる職員として、専門スタッフ職俸給表の適用職員等を追加することとしております。

 このほか、任期付研究員法及び任期付職員法について必要な改正を行うとともに、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上です。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、事務総局給与局長出合均君、総務省大臣官房長田中順一君、人事・恩給局長藤井昭夫君、自治行政局公務員部長松永邦男君及び自治税務局長河野栄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍵田忠兵衛君。

鍵田委員 おはようございます。自民党の鍵田忠兵衛でございます。

 きょうは、一般職の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をさせていただくわけでありますが、今回、人事院は八月八日に国家公務員の給与に関して九年ぶりのプラス勧告を行いました。また、民間においても、この冬のボーナスは過去最高額であるとの報道もなされておるわけでございます。我々地方から出てきておる者にとりましたら、首都東京の景気のよさというのは非常に感じております。

 そんな中で、先般、上野でタクシーに乗った折に、そのタクシーの五十六歳の運転手さんとお話をする機会がありました。その方は、大臣と一緒でございますが、東北の青森でタクシーの運転手をしておられたわけでありますが、不景気でリストラに遭って、そしてまた、家族を青森に置いて単身で上京してきて、今六年目になるということでありました。

 その運転手さんに、今給料は幾らぐらいもらっておられるんですか、手取りで幾らぐらいですかとお聞きをしたわけでありますが、そうすると、歩合制であるが大体月十八万ぐらいの手取りだとおっしゃっていました。五十六歳の方が十八万なんですね。それを聞いたときに、十八万、ううんと思いましたね。

 そしてまた、その運転手さんが続けておっしゃるには、家のローンとか地元へ送らなきゃいけないので、十二万円を地元へ送っています。残り六万。六万のうち、タクシー会社の寮費を三万払っています。残り三万が自分の小遣い、食費になるとおっしゃっていました。ということは、一日千円で今暮らしをしているんだ、そのようにその運転手さんはおっしゃっておられたわけであります。東京の華やかでまた景気のいい町の中でも、やはり現実は厳しい方もたくさんおられるということを私は実感したわけでございます。

 また、地方においては、中小零細、こういった企業においてもやはり厳しい状況というのは、いろいろな面で皆様方もお聞きになっておられると思います。そういった現実を踏まえた上で、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、今回の給与法では、幹部職員、本省局部長以上のボーナス等の引き上げを見送っておられるわけでございますが、人事院勧告尊重の観点から、大臣はこの点についてどのように説明なされるか、お聞きをさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 人事院勧告制度でございますけれども、これは、憲法上の労働基本権制約の代償措置の根幹をなす、こういうものでございますので、私どもはこれを尊重する、こういう基本姿勢に立ちまして、職員の士気の向上等にも配慮しながら、誠意を持ってこの実施のために今回も最大限の努力をしてきたところでございます。

 しかし、今先生が御紹介されましたとおり、現下の社会経済情勢というもの、さらには財政事情も大変厳しいわけでございますので、そうした厳しい財政事情、そうしたものを踏まえながら、国民に理解を得られるかどうか、この点が重要でございますので、こうした国民世論の動向というものも勘案をいたしまして、結果としては、国の幹部職員の中核でございます指定職職員の給与改定を見送ったわけでございます。今申し上げましたとおりの内容でございますが、こうしたことは、今回の勧告を受けて我々としては最大限努力した、このように考えているところでございます。

鍵田委員 大臣、ありがとうございます。

 続いて、公務員の不祥事が問題となっております。これは国家公務員だけじゃない、地方公務員もそうでありますが、特に国家公務員で、防衛省等々でいろいろと不祥事があったわけでございますが、そういった中で、幹部職員の給与改定を見送っておられるものの、一般職員の給与引き上げを行うことにはやはり国民の反発というものが予想されるのではないでしょうか。そういった点については大臣はいかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

増田国務大臣 公務員の不祥事がたび重なっている、これは大変問題である、私どももこのように考えております。

 そこで、行政さらには公務員に対するこうした国民の不信感を払拭して信頼の回復を早急に図らなくてはいけない、こういうふうに考えまして、厳正な服務規律の確保、それから公務の適正かつ能率的な運営を徹底するということ、これは昨日も各省の官房長以下幹部を全部集めたところで私も改めて訓示もいたしましたし、それから、特に不祥事を起こした国家公務員について退職手当の取り扱いが今いろいろと批判を受けているということもございまして、この制度の見直しも行うこととしてございます。

 行政運営に重い責任を有しておりますのはやはり幹部職員でございますので、こうした職員について、指定職職員でございますが、ここにつきましてはそうしたことも勘案して給与改定を見送っているわけでございますが、やはり、若い職員を含めて一般職の人たちについては士気の問題もございますので、そうしたことも勘案して、今回実施内容を検討したところでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。

 昨年、私どもの奈良市においても、一般行政職員でありますが、一人の職員が五年間で数日しか勤務をしていなかった。これは大きな問題になったわけであります。あのときも、特に奈良市民の皆さんから市役所に対して非常に苦情が寄せられた。そういったことがやはり地方でも起こっている。公務員のいわゆる不祥事ということ、これは大変国民にとっても問題視されるわけでございますから、大臣からその辺特に御配慮いただくようにどうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 さて、続いてですが、地方においては、国家公務員の給与は民間の水準より高いと思っておられる、これが実感だと思うんですね。その辺のところを大臣はどういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

増田国務大臣 地方の給与水準についてでございますけれども、これは、給与構造改革のやはり重要な柱として、地方の公務員給与に地域の民間給与を反映させるための見直しというものを、昨年度、すなわち平成十八年度から五カ年かけて今段階的に実施をしております。一度四・八%ダウンさせて、順次、地域ごとに地域手当をアップさせる、こういう形で、これを五カ年かけて段階的に今実施をしてございます。

 それから、これも昨年からでありますが、民間の給与をより広く反映させるために、官民給与の比較対象企業規模、従来は百人以上の民間企業というものでございましたが、もっと中小のところを対象とすべきということで、この規模を五十人以上に変更されたところでございます。

 こうしたことによって地域の民間企業の給与水準をできるだけ正確に反映させる、こういうことにしたわけでございますが、しかし、地域によりまして、今先生からも御指摘いただきましたとおり、地場の民間企業に比較してまだ公務員の給与が依然として高いのではないか、こういった指摘もいただいておりますので、今年度の給与改定の取り扱いの決定に当たりまして、地域における民間給与のより一層の反映のためのさらなる具体的な方策の検討というものをするように、これは人事院の方に要請をしてございます。

 今後、人事院の方でいろいろお考えなさると思いますけれども、そうしたことによって、やはり適切に民間の給与というものを反映させていきたいというふうに考えております。

鍵田委員 ありがとうございます。

 初めにタクシーの運転手さんの例も私は申し上げたわけでございます。東京におられても、そういう五十六歳で十八万の手取りだという方がおられるわけでありますが、地方へ行くともっと厳しいんですよね。ですから、その辺のところはよく御配慮をいただきたいと思っておるわけでございます。

 さて、続いて、先ほども大臣の二番目の答弁の中にもありましたけれども、不祥事を起こして退職した公務員の退職手当、この退職手当を返納させる制度を検討しておられるとのことでありますが、これについて大臣の決意というか御所見というか、お聞きをさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 この退職手当でありますけれども、今の制度は、先生御案内のとおり、一たんやめて退職手当を支給した後に、在職期間中の行為に関していろいろ不祥事が発覚をしたといった場合に、刑法でいろいろ罰せられて禁錮以上の刑が処せられた、これは禁錮以上ということですからかなり重たいわけですが、禁錮以上の刑が処せられたというときには返納を命ずることができる、それによって返ってくるわけでありますけれども、しかし、一たん退職後にいろいろ不祥事が発覚しても、本当にそのタイミングによりまして、発覚時期が後になりますと制度的には返還させることができない、こういうことがございます。先般の九州厚生局長のケースなどはこういったものに当たるんだろうと思います。

 これは、本当に時間的な関係で発覚がおくれたということによってそのまま退職金をもらうというのはやはりおかしいのではないか、こういう国民の批判は私もある種当然のことだろうというふうに思うわけであります。

 したがいまして、退職した元公務員に対するこうした退職手当の返還、返納制度について、やはり一度きちんと見直しが必要ではないか、こういうふうに考えております。

 ただ、この問題は、もちろん非常にデリケートな部分も含んでございまして、財産権を侵害するおそれがあるといったような指摘もございますし、いずれにしても、退職手当制度の根幹などに触れる問題でもございますので、総務省として、まず有識者による検討会をきちんと開催して、その上で、国民の皆さん方からいただいている御批判にきちんとおこたえをしたい、このように手順を考えたわけでございます。

 今、早急に有識者検討会を立ち上げる準備をしてございますが、その上で、何度か会合を経て、来年の春までを目途にそこでの結論を得たい、このように考えております。

鍵田委員 ぜひ、その点よろしくお願い申し上げます。

 続いて、公務員に対する国民の信頼を回復するために厳正な懲戒処分等を徹底する方針を示しておられるわけでありますが、これの具体策について説明を総務省の方からお願いしたいと思います。

藤井政府参考人 懲戒処分等の徹底に関する具体的な方策についてのお尋ねでございますが、こういう懲戒処分なり分限処分を徹底するということの前提として、まず、処分権者である各省庁の長がリーダーシップをとってこういう処分を厳正に行っていただく必要があるということで、この十月三十日の閣議決定、公務員の給与改定に関する取り扱いにおきまして、法令等に違反する行為に対し懲戒処分や刑事告発を含めた厳正な措置をとること、あるいは、勤務実績等の的確な把握による厳格な分限処分を行うことを改めて方針として各省庁の長に求めているところでございます。

 また、各省庁の長がその処分をする際には、その前提として、できるだけ早期にそういう不祥事案を把握する、そして大臣に早急に報告して指示を仰ぐ。いわば事務方において時間を徒過するというようなことをなくするという意味で、この閣議決定を受けて総務事務次官通知を発出いたしまして、今申し上げましたようなコンプライアンス担当との連携による早期発見とか、指示を仰ぐこと、そういったことを明確に各省に求めているところでございます。

 また、実際にその処分をする際には、基準については既に人事院から通知をいただいているわけでございますが、やはり各省庁にとっては個別具体的な例のベースでこういった場合はどうするのかというようなことの判断を求められるわけで、そこでちゅうちょするということがあったらまた甘くなる可能性があるということで、これは先ほど大臣からも御答弁いただいたところですが、十一月の五日、きのう、各省庁官房長等を構成員とする人事管理運営協議会を開催いたしまして、大臣から直接叱咤激励していただいたわけでございます。

 それだけじゃなしに、そういう分限・懲戒処分なんかの事例、これは地方公共団体では結構積極的にやっておられるところもございます、そういう地方公共団体も含めまして、各省庁あるいは特殊法人、公社、そういったいわば厳正にやっておられるところの事例を蓄積しまして、各省庁が共有して的確に実施する、そういう仕組みを設けたところでございます。

 また、こういう処分を実施するに際しては、何よりもやはり国民の目線とかあるいは透明性、そういうものが求められるということでございますので、そういうような不祥事案の迅速な公表あるいは全体の状況を早期に国民に公表する、そういうようなことも求めているところでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。人事・恩給局長、徹底してこれはやっていただきたいと思っております。

 きょう、給与法について質問ということでありますが、私から政府の方にお聞かせいただきたいと思っているのは今までのところで、ほかに別段ないものですから、まだちょっと時間があるものですから、私、前から感じておることを、これも通告をさせていただいておるわけでありますが、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 増田大臣は知事さんを経験しておられます。そういった中で、地方税の中の不納欠損処理というもの、これの定義というか、不納欠損処理とは一体何ぞやと、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

増田国務大臣 今お尋ねの不納欠損処理でございますけれども、時効などの理由によって、既に調定されている歳入が徴収できなくなった場合に行う会計処理のことでございます。

 少し具体的に申し上げますと、既に調定された税額について、滞納処分の執行停止が三年間継続した場合、または徴収権を五年間行使しないことにより消滅時効が成立した場合、いずれの場合にもその地方税の納付または納入する義務もしくは地方団体の徴収権というのは消滅をいたします。

 それから、滞納処分の執行停止をした場合、徴収できないことが明らかになった場合には、これは何年間ということはなしに、納付または納入する義務を直ちに消滅させることができる、こういうことになっておりまして、いずれにしても、こうした形で消滅した地方税については、地方団体の会計上、今お話ございました不納欠損として処理すること、このようになってございます。

鍵田委員 大臣、ありがとうございます。

 今、いろいろと細かい点もお聞かせいただいたわけでありますが、さて、では全国において毎年どれぐらいの不納欠損処理額があるのか、お伺いいたします。

河野政府参考人 不納欠損処理額についてのお尋ねでございます。

 平成十七年度決算におきます地方税の不納欠損額でございますけれども、都道府県分で六百五十一億円、それから市町村分で千五百三十八億円、合計いたしまして二千百八十九億円となっております。ここ数年間、二千億台で推移しているところでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。

 実は、私の地元の奈良市の不納欠損というのも調べてまいったわけでありますが、奈良市においても、大体毎年五億を超える不納欠損処理をされておるわけであります。ただ、奈良市において、一般会計というのが約一千億ちょっと、その中で税収が五百二十億ぐらいなんですね。となると、一%以上毎年毎年これは不納欠損処理をしていっているわけであります。大変な額になると思うんですね。

 今お聞きすると、全国で二千百九十一億ですか、大変な数字でありますが、各市町村にとっても、やはり一%近い不納欠損処分をするということ、これは財政においては大変な厳しいものであると私は思っております。

 さて、そういった中で、今度はこの不納欠損処分を受けた者、納税者、これは脱税したことになるのか、また、税金未納者としての扱いを受けるのかどうか、局長にお聞かせをいただきたいと思います。

河野政府参考人 お答えいたします。

 不納欠損処分とは、先ほど大臣からお答えしておりますとおりに、時効等の事由によりまして既に調定された歳入が徴収できなくなりました場合に行う地方団体の会計上の処理でございます。一方、いわゆる脱税でございますけれども、これは、偽りその他不正の行為によって税の全部または一部を免れる納税者の行為のことでございまして、先ほどの会計上の処理であります不納欠損とは関係ないものでございます。

 また、未納者としての取り扱いを受けるのかというお尋ねでございますけれども、不納欠損処分は消滅時効等によって租税債権が消滅した場合に行われる処理でございまして、不納欠損処分が行われた場合には租税債権は消滅しているわけでございますので、地方税法におきまして、租税債権の存在を前提とした滞納の取り扱いというものを受けることはないわけでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。

 続いて局長、もう一点。

 不納欠損処分を行った場合、その当事者に対して各自治体はいわゆる告知というか、連絡をする義務というか、そういったものがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 租税債権の消滅の場合の通知でございますけれども、これは地方税法の徴収関係の取り扱いに関する通達におきまして、法第十五条の七第四項または第五項の規定によって徴収金を納付し、納入する義務が消滅した場合、これは先ほどの執行停止から三年継続した場合それから即時消滅した場合でございますけれども、この場合には滞納者にその旨の通知をするものとすることというふうに通知をしているところでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。

 どうしてこの不納欠損処分についてちょっと質問をさせていただいたかというと、実は、私は不納欠損処分をされた側なんです。

 今から十三年前でございますが、私はまだ無職でございまして、当時、うちのおやじが亡くなりました。約一億の借金を置いていってくれました。家は昔からある家でございますから、二百坪ほどの土地、そしてまた、家なんかも七、八十年たった古い家があったわけであります。しかし、何年も続いてきた家でありますし、それを売っ払うわけにはいかなかった。現金で置いていったのが二、三百万しかなかった。兄貴や姉、そしてまたおふくろも遺産放棄をし、私が一人で遺産相続をして、一億の借金も私が継いだわけでございますが、その中に約四百八十万ほどの税金があったのですね。

 ところが、私は県会議員を目指して準備をしている、お金もない中でやっていたわけでありますが、当時、払えなかったものですから、当時の市長さんに、延納なり分納なり何とかしてもらえないかというお話に行きました。

 当時の市長さんがその中でそういう処理をしておいていただいたようなのを全然私は知らなかったわけです。その上、告知もされなかった。また、督促も来なかったので、その後、忘れておったわけでありますが、ちょうど平成十六年、私が市長選挙に出るときに怪文書が出ました。不納欠損処分をされている、鍵田は税金を払っていない未納者である、脱税をしていると。それがいろいろな波紋を呼びまして、私は市長に当選をしたわけでありますが、その後、百条委員会で、私は当事者であって部外者でありますよね、百条委員会というのは行政調査特別委員会でありますから、行政の中のものをいろいろ調べるわけでありますが、証人喚問にも立たされました。それによって、百条委員会において、鍵田も未納者である、税金を払っていないのは悪いじゃないかと。それで、議会で辞職勧告決議も受けたわけであります。

 三分の二以上の辞職勧告決議でありましたから、不信任案ととらえて解散することもできたわけでありますが、その後、それをほっておいてやっているとまた問題になって、今度は議会で不信任案を提出されました。私の与党もおったんですが、みんな賛成せいと賛成してもらった中で、私はその不信任案を受けて議会を解散し、そしてまた、私も市長を辞して選挙に臨んだんですが、落選した。落選したおかげで今私は国会議員にならせていただいておるわけでありますけれども。

 でも、こういった問題、私自身、政治家を目指しておったものですから、不能欠損処分されたことも知らなくて、その中で、何とかお支払いをしたいと言ったんですが、受け付けてくれませんでした。それは当然、先ほどの納税者のいわゆる権利が発生して、不能欠損処分をされると納めなくてもいいという権利が発生するわけでございますから、納められなかった。また、政治家を目指しておるものですから寄附もできない。寄附と税金は違うんですけれども、やはり気持ち的にはお返ししたいという思いがあった。

 今、先ほど、毎年どれぐらいの不能欠損処理額があるかと聞いたら二千数百億、そしてまた、奈良市においても五億数千万、こういうふうな不能欠損処理が行われているわけでありますけれども、やはり、何年かたってその者が払える能力ができてくることがあると思うんです。実際、私は払える能力が今ございます。ですから、そういったものをやはり受け取るということも可能にしなければならないんじゃないでしょうか。

 そしてまた、財政のことを考えてもそうでありますし、各市町村、自治体においてこの処理をするときに非常にあいまいな処理の仕方もしているのが現実じゃないのかなという思いもあるんですね。実際、私自身もそういう目に遭ったわけであります。ですから、その辺を徹底していただきたい。

 それと、もう一つは、先ほども申し上げましたように、後で気づいたときに、そしてまた、後で払える能力ができたときに、何とか税金を納める、やはり国民の義務として納めるような方策というものはないのか。それについて、大臣、お答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 今の先生のお話、それから先生のお気持ち、大変大事な問題提起だなというふうに思って聞いておりました。

 確かに、政治家ですと寄附行為が禁じられていますので、後でそういった事情が生じたときにとる道が今のところ現行手段でありません。一方で自治体行政が非常に厳しい状況でもございますし、一%ぐらい不能欠損処理があるということであれば、どうやってこれを制度化するのか、いろいろ大変悩ましいところでもございます。

 一つは、この不能欠損処理自体についてきちんと行う、こういうことが考えられるわけでございますが、それと同時に、一方で、今の税法、税体系におきまして、これは地方税のみならず国税も同じなんですが、租税債権の消滅について、同じようにやはりある段階では不能欠損処理を行うことになっておりますのは、大量でしかも反復的に、担当に聞きましたら課税処理が全国で一億九千万件ぐらいある、二億件近い大量な課税処理を短期間に行うので、非常に機械的な処理を行わざるを得ないんです、こういう話がございました。

 そういう話を聞きますと、一方で、法的安定性ということから考えると、やはりある程度どこかで線を引いて機械的処理にせざるを得ないのかなと私も思ったところでございまして、今、一たん消滅した租税債権を復活させるような制度を設けるということは大変困難だなということを、一方ではそういうことを聞いて感じたわけでございます。

 私どもとしては、制度としては、今の制度ということでございますが、この不能欠損処理の趣旨ですとか、それから、状況というものをやはりきちんと周知させるとか、処理をするといったようなことで対応するというのが当面の解決かな、このように考えているところでございます。

鍵田委員 ありがとうございます。

 徹底していただきたいと思いますし、先ほども申し上げたように、不能欠損処分をされた者の、いわゆる国民としての義務が果たせるようになればありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 まずは、増田大臣、相当遅くなりましたけれども、大臣御就任おめでとうございます。

 秋田の隣の岩手の知事さんとして、隣の県からも非常にあこがれのまなざしで拝見しておったところ、十二年でやめられて、何をされるのかと思いきや、大臣に御転身される。非常に華麗なる御転身をされているところに頭が下がる思いです。うちのおやじというか秋田の知事ももう一年で終わりますので、かばん持ちにでも使ってやってください。

 冗談はそれぐらいにして、きょうは、給与法に関連して、官官接待について、あとは現業の職員給与について、また非正規の公務員の待遇についてということをお伺いしようと思っております。

 もろもろ通告をさせていただいておりますが、きょう理事会の方で、さきの郵政に関する委員会で議論のありました資料が一枚出てきましたので、この点について、通告していませんけれども、数点お伺いしたいと思います。

 きょう理事会の方では、アメリカ側の面談要請への民営化準備室による対応の状況ということで、計二十回弱程度の会議、打ち合わせの日時とアメリカ側のあらかたのお立場、そして民営化準備室側の出席者が書かれたものが配られました。

 さきの委員会では福田委員そして田嶋委員、その他の方もこのことについて言及をされておりまして、田嶋委員の、この打ち合わせ会談の内容メモはないのかという質問に対して、大臣の方がみずから手を挙げられて、早急に対応いたしますというお話をされました。早急にということですから、あれから一週間程度たっておりますので、その後どのような御対応をされたのか御答弁いただけたらと思います。

増田国務大臣 郵政民営化室の方に直ちに私の方から、この内容についてさらに調査を尽くすように、こういうことを言いまして指示をしまして、そして彼らの方で、その具体的な相手先、どういうところが相手先かなどについていろいろと調査をさせたということでございます。それを踏まえてのこういう資料でございます。

寺田(学)委員 そのときの委員会では、この会談、面談の内容を記したメモはないと役所側は答弁されておりました。そもそもこういうような具体的な会談をされておりながらメモがないという状態に関して、まず大臣、どのようにお考えになられますか。

増田国務大臣 私も今の室長の方にいろいろと言いまして調査をさせたんですけれども、準備室から今の民営化推進室にかわるときにそういった資料を引き継いでいなかった、こういう報告を受けました。当時どういう形でいろいろ仕事をしていたのかということについては、私も当時大臣でございませんでして、地方自治体の首長でございましたので、どういう雰囲気であったのか、どういう室の状況であったのかというのがいま一つつまびらかになっていないわけでございます。メモ等をその当時本当に作成していたのか、あるいは本当に軽い面談だったのかということも十分まだ把握はし切れておりませんけれども、いずれにしても、そういった資料は引き継いでいないということで報告を受けたところでございます。

寺田(学)委員 大臣、どうでしょう。室長が出られているときもありますが、補佐の方、審議官の方、参事官の方が出られております。相手側もそれなりのお立場の方ですから、その中でどのようなお話をされたのか、まさか室内で口頭で伝えるわけはないと思うんですよね。だから、メモをつくっていないということが本当であれば、それはそれでこの室内の情報共有のあり方に問題がありますし、もしメモがあるのにないと言ったら、それは虚偽の答弁になりますので非常に問題だと思っています。いずれにせよ、問題をはらんでいることだと思います。

 大臣、いかがですか。大臣御就任中というのは最低限ですけれども、大臣がまず今のお立場にあられる中で、さまざまな会議が今でも行われていると思います。その中でメモがないということはあり得ないように御指導されることでよろしいですか。もしそれでも、この当時のように、どんな会議であってもメモをつくらなくてもいいというような雰囲気がまだ蔓延しているのであれば御指導いただきたいと思うんですが、いかがですか。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 ここで、私も推進室の方からこの資料をもらって見たときに、室長が対応していましたり、それから参事官が対応していたり、補佐が対応していたり、中の会談の内容についてもいろいろ重要度が変わっていたのかもしれませんけれども、少なくとも、今後こうした形で、ある相手側と会談をするという場合には、その内容がどんなものかというものはきちんとやはり記録にしておかなければいけない、それがやはり公務員としては一般常識であろう、私はこういうふうに思っております。

 それから、当時の民営化準備室の中で、どういう雰囲気であったのか、どういう仕事ぶりしていたのかということについてはつまびらかでない、そのあたりについてははっきりしませんけれども、やはりこういった、相手方との折衝の中で、いろいろと物事の軽重があったのではないか。ですから、室長が出ている場合も、それから、今私が申し上げましたように補佐が出ているようなもの、軽いものもあったのではないかというふうに思うのでありますけれども、そういったものについて、いずれにしても、室が準備室からかわるときに引き継いでいない、今ないという報告を受けたわけでございますが、私としては、きちんと調査をしなさいということを言った上での報告でございましたので、それは、当時のことについて、今の室長も昨年の七月ごろ来た室長かと思いますが、きちんと調べた上で私の方に報告したのではないかというふうに考えております。

寺田(学)委員 いずれにせよ、引き続き、この問題に関しては我が党からも他党からも質疑が出ると思いますので、早急に御対応のほどをいただけたらと思います。

 それでは、給与法に関連した質疑に入りたいと思いますが、まずは官官接待についてということで質問をさせていただきます。

 今、守屋前事務次官をめぐる接待、ゴルフ接待ということもありました、宴席ということもありました、さまざま話題になっております。地方自治のことをさかのぼって考えますと、約十年ぐらい前は、まさしく官官接待ということで、食糧費の問題というのは出てきましたし、最近でも、それに費やすための裏金づくりということも、ある自治体の方でも事実が明らかになるということがありました。

 そもそも総務省として、この官官接待の実態みたいなものはどのように把握されているのか、いかがですか。

増田国務大臣 官官接待でありますけれども、これは、今先生からお話がございましたとおり、十年以上前の事案として各所で随分噴出をいたしました。私が知事をしておりました岩手県でも、やはりこの問題、大問題になりまして、そうした費用の職員からの返還を、私も入りまして行ったところでございます。中央省庁に対していろいろ補助金をもらうなりなんなりといったような構造も背景としてあった、そういうこともあろうかと思いますけれども、大変国民に対して申しわけのない、申し開きのできないことでございました。

 したがいまして、各地域で起きてまいりました、そうしたいわゆる地方公共団体が絡む官官接待につきましては、それぞれの地方公共団体の重たい問題として取り組みが行われまして、それで、そういったお金を職員が返還するなりなんなりということも行われましたし、また違反者に対しては必要な懲戒処分等が行われて、そして、今はもうそうした官官接待ということ、これは国家公務員法上もそうしたことについては倫理規程やあるいは法律での懲戒処分が科されることになっておりますので、そうした大変苦い経験でございましたが、それを受けて、現在はそういったものは断ち切られているもの、このように考えているところでございます。

寺田(学)委員 今回こういう質問をしたのは、守屋前次官のこともありますが、増田大臣の過去の発言というものを、できる限り過去にさかのぼって引っ張ってくれということを図書館にお願いしましたところ、一九九五年の記事が出てきまして、「知事さん、「官官接待」どうするの 「現状肯定」ゾロゾロ」というタイトルで、東京新聞の朝刊ですけれども書かれています。各自治体の知事さんの発言に関していろいろ話されているんですが、当時、大臣、何を話されたかと申しますと、官官接待は情報交換として当然のことだ、見直す考えはないというふうに発言されたのを引っ張られているんですね。

 どうなんでしょう。十二年の間、いろいろ考え方が変わるのかもしれませんけれども、以前、大臣は建設省にお勤めになられて、知事をやられて、今度は総務大臣ということになられて、どうなんでしょう、この官官接待自体、本当に、大臣自身がどういう御認識を持たれているのか。そして、もしそれを今御答弁されたとおり根絶しなければならないということであれば、本当に具体的にどのような形で、まさしく省庁のトップであられるわけですから、総務省の方々ももしかしたらされているかもしれません、どのようにしてされる側がそういう行為に及ばないような方策をとるのかを含めて、御答弁いただけますか。

増田国務大臣 今引用されたのは、多分一九九五年だと思います。私が知事に就任した直後だと思いますね。その時点では、まだ岩手県庁で食糧費、それからあと、さまざまな空出張の問題もございましたのですが、そうしたものを裏金で計上して、そして虚偽の文書をつくって捻出する、そういうことが行われているということをこちらがまだ認識する以前のときに聞かれた、私も記憶しているんですけれども、記者会見でのお話でございました。

 趣旨は、新聞記者の方も、そういった情報交換をすることがいいことですかどうですかということですから、私は、当然、それぞれがきちんと費用負担を正規で処理して、予算書でも、岩手県の場合には、食糧費ということで、当時項目ごとに全部食糧費を計上して議会を通してございましたので、そうした形で執行することは認められているものでございましたので、そういうことを踏まえて申し上げました。

 ところが、それから少したちましてから、その実際の執行について、架空の名前を使ったり、架空の日にちを使って、いわゆる食糧費を不正に使っているということがございました。

 したがいまして、情報交換をするということはやはり必要でございまして、必要であればそれぞれがちゃんと費用を負担して、明らかにしてやればいいと思うんですよね。私も、各自治体でどうしても必要な場合にはそういう形でやっているというふうに思うんですが、そうしたことでない、裏金を捻出するようなやり方でのことは一切今後はやめるべきでありますし、そうしたことで、いわゆる官官接待という形で、裏金を計上して不正支出をする、あるいは虚偽の文書を作成する、食糧費の支出伺いで、参加していない人間の名前を書く、そんなことまでしてやるということは一切排除すべきでありますし、やはりきちんと透明化をして、それで必要なものは会議として行えばいい、こういう考え方でいるところでございます。

寺田(学)委員 情報共有は大事だとは思っています。

 今御答弁をいただいた部分をかいつまんで自分なりに解釈しました上で、再度質問します。

 不正な経理をしてまで捻出して、それを接待に使うというのはよくないという話でしょうけれども、では、食糧費という名目であろうともなかろうとも構いませんけれども、大臣御自身として、真っ当な支出として計上した上で官官接待を行うということはふさわしいと思うのか、それもやめた方がいいと思うのか、どうでしょうか。

増田国務大臣 今、私が思いますに、やはり接待という形ではもうなくなっているんですよね。そこのところは、それぞれが必要であればきちんと費用負担してやるような形になっていますし、それから、官官接待というふうに言われている言葉がその後結果として判明したのは、一方的に、例えば地方公共団体がすべての費用を負担して会合を行う、こういうことでありましたので、そういう形でやる必要は全くないということであります。

 ですから、この問題について、官官接待がそういうことを意味しているということがその後各地域のもので全部明らかになりましたので、今それはもう全廃をしている、こういうふうに変わったんだというふうに理解しております。

 その上で、これは、各自治体のトップ、秋田の寺田知事さんなどとも話しましたが、やるときにはきちんと必要な名目のものを明らかにしてやろうじゃないかということで、隣県の知事さんともそうしておりましたし、それから、国との間でも意見交換なんかをすることがありましたけれども、それはそれぞれ費用持ちで、個人負担でやるという形であって、しかも、通常、公共団体の場合にはどこでだれとやったかということは全部行動表でも明らかになりますから、そういう形でやればいいのではないか。今はもう余り国とそういう形で勤務時間外に意見交換をするという必要性もないんですが、常日ごろから意見交換は必要だろうと思いますが、時とか場所をわきまえるということがやはり大事ではないか。

 逆に今度は、総務省の職員に対していろいろ指導する大臣の立場で言えば、当然のことながら、自治体に負担をかけるようなものは一切やるべきではありませんし、それから、自治体に対してはやはり適時適切に我々のサイドからさまざまな情報を提供する、それも自治体の負担にならないような形で提供するということが必要だ、そのことも申し上げているところでございます。

寺田(学)委員 了解いたしました。

 守屋前次官の話に絡んで、本当に接待ということがまたクローズアップされてまいりました。そういう意味において、一つのイシューでありました官官接待についても今後も目を光らせていく必要があるんだろうなと。必要な部分は必要な部分と認めつつということでありますが、これからもウオッチしていきたいと思います。

 次に移りますけれども、現業職員の給与についてお伺いいたします。

 さきに桝屋委員からも御質問がありましたが、総務省が七月に発表した現業職員の給与データというものがあります。清掃職員であるとか学校給食、用務員、運転手等々の給与が、平均月給で他の同業の民間企業に比べて一・四倍から一・八七倍、ボーナスを含めると二倍というような較差が生まれているところもある。こういうものは、前の菅大臣のころから、いかぬだろうという話をされてきました。

 大臣自身も先ほどの同様の質疑の中で、各自治体の方で頑張って取り組んでというような御答弁もありましたけれども、実際、岩手県においてどのような状態であったかといえば、それもデータとして出ていますけれども、やはり一・六倍から二倍程度の給与の較差があったというようなデータも出ております。

 大臣自身、知事時代に、現業の職員給与の問題について高過ぎるという御批判がありましたけれども、どのように取り組まれてきたのか、御答弁いただけますか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 私の知事時代でございますけれども、財政状況、御案内のとおり大変厳しい状況でございましたので、今から三年前でございます平成十六年の一月から、技能労務職員を含む職員全体について給与カットを行いました。したがいまして、平成十五年、私が三期目に当選した直後から、随分職員の皆さん方と協議をして、いろいろ御理解いただきながらということで、随分反発もいただきましたけれども、給与カットに踏み込んだわけでございます。それから、平成十八年には、給与構造改革で給料表そのものを引き下げました。そうした中で、技能労務職員についての給与も引き下げたわけでございます。それから、あとこの関係については、定数も退職不補充ということでございまして、ちょうど十二年間の私の在職中の数字を調べましたところ、この関係については、定数では約四割の削減ということになってございます。

 したがいまして、人数を約四割削減しつつ、あと給与の水準につきましても給与カットを行って、給料表そのものを引き下げたということでございます。

寺田(学)委員 この問題は前からいろいろ言われている問題でありまして、本当に全体像というのをつかむ必要があると思うんですが、今回私が見た限りにおいては、調査の対象というのは都道府県と政令指定都市ということでした。一般の市町村というものも含めた上で、本当に全体的にどうなっているのかということを把握する必要があると思うんです。

 参考人の方で結構ですけれども、これは一般の市町村の調査ということもされているんでしょうか。どのような形なんでしょうか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 一般の市町村の技能労務職員につきましては、その総数等については調査をいたしておりまして、数でございますと平成十八年四月一日現在におきまして十二万二千九百五人、それから平均給与月額につきましては三十六万九千三百円という形となっております。

 ただ、七月三日に公表いたしましたものは、職種別に細かい内訳を公表させていただいておりますが、これは都道府県と政令指定都市を対象といたしまして、私ども、すべての団体につきましては地方公務員給与実態調査というのをやっておりますが、それの追加調査というような形で、さらに詳細を地方公共団体の方に御協力いただいて調査をいたしたというものでございまして、現時点におきましては、一般の市町村につきましては同様の詳しい内訳というものは把握いたしていないところがございます。

 ただ、給与実態調査につきまして、今年度から技能労務職員の内訳につきましてもう少し詳しい形での内訳もとるということで、現在調査を行っているところでございます。

寺田(学)委員 結局のところ、一般市町村に対しての調査も行うんでしょうか、行わないんでしょうか。これは大臣にお伺いした方がいいんですか、どうですか。

松永政府参考人 そういう意味で、現在調査中でございます地方公務員給与実態調査におきましては、今年度から、技能労務職員のトータルということじゃなくて、その内訳につきましても、守衛さんですとか用務員の方とか自動車の運転手さんとか、こういう形で内訳を細かくとるということでございまして、実態につきましてはより詳細に把握をいたすということを今やっているところでございます。

寺田(学)委員 僕の理解力がちょっと足りないのかもしれません。今、一般市町村にもしている、調査中だということなんですか。

松永政府参考人 はい。そういう意味では、今、今年度の給与実態調査の中におきましては、調査項目を少し細かくとって、実態を把握できるようにしているというところでございます。

寺田(学)委員 それは、一般の市町村に対してということでよろしいんですよね。ということと理解しましたので、もししていなかったら、してください。

 いずれにせよ、現業の方の給与が高いということは、構造的なことが原因になっていることも考えられると思うんです。一般の職員に関しては人勧の方が民間企業と比べた上でのそれを参考にしてということでしょうけれども、現業に関しては、一般職員と現業の方を比べて対等にするようにという形で、現業の方がそれとほぼ同種の同業の民間企業と比べられた給与水準どうこうという形にはなっていないんだと思うんです。

 やはりそういう構造的なところ、ちゃんと一般の職員は横でやっているにもかかわらず、現業だけは縦で、縦という言い方はよくないでしょうけれども、業種が全然違う一般の公務員の方々と比べてどうだという話を参考にしながら団体交渉もされているんだと思います。この点も、やはり現業の給与が高いと言われることを是正するのであれば、そういう構造的な部分にも、総務省として御助言、御助力いただいて解決しなければならないと思っています。

 ちょっと残り五分しかないので、もう一個の方、非正規の公務員の待遇の実態についてということで質問したいと思います。

 今は、現業の方というのはある意味恵まれたというか、通常よりも、よそよりも多いような給与をもらわれている方の話をしましたが、今度は逆に、大変厳しい立場に置かれている方の話なんです。

 非正規という話をすると、民間企業のことをまず第一に思い浮かべがちですけれども、やはり公務員の中でも、非正規の公務員という方がたくさんいらっしゃるということの実態を聞いております。自治体で四十五万人、国家公務員で約十五万人ぐらいが非正規の公務員だという話があります。もし間違っていたら御訂正いただきたいんですが。

 それで、その雇用形態というものは、形式上、一日ずつの雇用契約を更新する日々雇用契約という形にもなっている、そういうケースも多いという話を聞いております。一日一日契約を更新するとはいいつつ、毎日一生懸命働いておられるわけですから、外から見れば普通に働いているように思えるんですが、内実は日々契約を更新していっている形になっている。

 まず、ちょっと実態的なことをお伺いしたいんですが、とりあえず霞が関の中央省庁の中で、この日々雇用契約という形で契約関係にある方はどれぐらいいて、そして総務省に何人ぐらいいるのか、御答弁いただけますか。参考人の方で結構です。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 国の行政機関で任用されている、いわゆる日々雇用職員の数については、先ほど、全体で非常勤の国家公務員十五万人ぐらいとおっしゃいましたが、そのうち二万四百二十六人がいわゆる日々雇用職員に近いようなものというふうに理解しております。

 そのうち、御指摘の各行政機関の本省庁内部部局、そこにどのくらいいるのかという御質問でございましたが、そこまでは数字は把握しておりません。各省ごとに幾つ、何人、そういう数字でとまっております。

寺田(学)委員 総務省は。

田中政府参考人 総務省についての数字を申し上げます。

 今、人事・恩給局長から、政府全体で二万四百二十六人の日々雇用職員の数を御答弁がございましたが、そのうち、総務省では百六十五人おります。

 それで、先生今お尋ねの霞が関という御指摘でございまして、恐らくは本省内部部局ということかと思います。私ども、本省内部部局に相当する機関が、霞が関だけではございませんで、別のところにも所在しておりますので、便宜、今の百六十五人のうち地方支分部局を除く職員の数で申し上げますと、百五十四人でございます。大宗が事務補助職員でございます。

寺田(学)委員 大臣、どうですか。大臣が管轄される総務省の中にも百名以上の方がいらっしゃるということですけれども、一日一日契約更新なんですよ。

 これは実態がどのようになっているか、じっくりと調査してほしいんですが、六カ月間雇うと有給休暇を与えなきゃいけないという形になるんでしょうか。だからこそ、六カ月になる直前で契約を一たん切るという話もちらほらと聞こえてきます。

 まず、大臣にお伺いしたいんですが、御省の中にも、いわゆる日々契約するこの雇用形態で働かれている方、そういう形態をとっている御省自体、問題意識があると考えられるのか、それとも、それは仕方がないとお考えになるのか、どうでしょう。

増田国務大臣 職員の皆さん方は、いずれも大事な総務省の仕事をしている人たちでありますし、それから、即戦力として、やはり職員全体が共同意識で仕事をしていかなければいかぬ、こういうことでありますので、どういう雇用の形態であれ、やはり職員の皆さん方が働きやすい、そして意欲が常に向上するような、そういう職場環境ですとか勤務実態というものをつくっていかなければならない、こういうふうに考えております。

寺田(学)委員 この日々契約する雇用形態というのは不安定だと思いますか。それとも安定的だと思いますか。どっちでしょう。

増田国務大臣 日々雇用するということですから、ずっと継続して行うのかどうかということに比べれば、これは当然のことながら、そちらの常勤の職員の方が雇用形態として安定しているだろうというふうに思います。

寺田(学)委員 時間になりましたので、最後に質問しますけれども、これを改善されるおつもりがあるかどうかを御答弁いただいて、質疑を終わりたいと思います。以上です。

増田国務大臣 この日々雇用職員については、やはりきちんと常勤職員の人たちと均衡がとれていなければいけない。まだ私も十分実態を把握しているわけではございませんけれども、これは各省のそれぞれの努力としてやっていかなければいけませんので、私も、さらに人事当局からよく実態を聞いて、そうしたさまざまな待遇の向上に努めたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。よろしくお願いします。

 大臣、給与法の改正案に入る前に、今、寺田議員が質問の中で、この民営化準備室のお話を聞かせていただいておりました。これは、党の勉強会とかいろいろな場所で、私どもの議員から、たびたびこの問題についての指摘をして、資料を出してほしい、そして、委員会で二人の質疑の中で大臣がこの資料については約束をされて、ここのところは私は評価をさせていただきます。

 ただ、大臣、今の大臣のお話の中で、軽いものもあったかもというようなお言葉もありましたが、このペーパーを見る限り、軽いというような印象のものは一つもないと私は確信をしておるんです。ですから、こうした公使とか課長とか、非常にはっきりされていますし、私どもの朝の勉強会でも、皆さん、事細かにメモをとっておられるじゃないですか。

 このことから、国会の、最高機関のこの委員会の中で、各県とか市町村の皆さんがこの状況を見られたときに、常識外れですよ。大臣、どのようにお考えでございますか。

増田国務大臣 私も公共団体におりまして、いろいろな重要会議のときは大体、職員がいろいろ内容について記録をしたりして臨んでいるわけでありますので、こうした準備室の中での仕事ぶり、もし仮に全くメモをとっていないのであれば、それは通常であれば、いささか仕事の進め方にやはりおかしさがあるのではないかというふうに思いますし、ここで見ていますと、大使館の方と会うときは室長さんが会ったり、あと、民間企業の方と会うときは補佐が会ったり、それは相手のランクで切りかえているのか、あるいは当時の仕事の忙しさということでそういう人間しか会えなかったのか、そこはちょっとよくわかりませんけれども、いずれにしても、仕事の進め方というのは、当時、準備室がどういう人間関係あるいは状況にあったのか、まだ私も十分把握してございませんけれども、やはり、きちんとした仕事を進めるという上では何か問題があったのかもしれない。

 資料を見る限りはそこまでしかわかりませんけれども、いずれにしても、あの後、先般御質疑をいただきました後すぐに、ちゃんとこれを出しなさいということを命じて、出てきたのがこういうものでございました。

森本委員 これについて、きょうの本題から外れますから深く追及はいたしませんが、これは大臣、メモをとらせなかったということにしか考えられませんよ。メモをとるな、それでメモがなかったということでなければ、一般常識的にはこの問題は通用しません。

 ですから、こうしたことが、今から質問する給与法の改正法案の中で、公務員の皆さんに、非常に地方で頑張っておる皆さんにも御迷惑をかけることになるんですよ。

 ですから、ここのところはしっかり出されませんか、メモを。

増田国務大臣 私も推進室にいろいろ指示をした上で、こういう報告を受けております。

 したがいまして、今のところ、こういったものが出てきている、あるいはあるものだ、それからあと、ついこの間引き継ぎを受けて、今の推進室として資料の引き継ぎを受けていなかった、こういう報告を受けているので、今のところはやはりそれを私としても受け取るしかない、こういう状況でございます。

森本委員 このことはもう、私、申し上げましたように、メモをとらせなかったか、ある程度恣意的な部分があったか、それ以外に不信感が非常に漂う、このことについてはどこから見られても、これは一般的な考えであるということ、異常なものであるということを指摘させていただいて、対処されることを希望して、次の質問、本題に移らせていただきます。

 本年の人事院勧告の取り扱いに関しましては、たとえ指定職に限られているとはいえ、不完全実施となったということは極めて残念なことであると考えております。しかしながら、疲弊する地域経済に与える影響、あるいは切実に生活改善を求めている公務員の状況を考えますと、給与法改正法案は速やかに成立させるべきであるとも考えております。

 その上でお伺いをいたしますが、まずこれは申し上げるまでもないことでございますが、くどく私も申し上げております、人事院勧告制度というのは労働基本権制約の代償措置であります。一たん勧告が出されますと、完全実施されることが非常に大事なことだと思っています。しかしながら今回はそうはならなかったわけです。大臣御自身も、人事院勧告は尊重されるべきであるとたびたび明言されておりますし、けさもその発言がありました。

 大臣、この決定についての御見解をお伺いします。

増田国務大臣 今先生御指摘いただきましたとおり、やはりこの制度は常に尊重されなければならない、私もそのように思っております。

 不祥事等もございまして、現下の社会経済情勢それから国民世論という動向を考えますと、やはり、国の幹部級の職員、ここについては私はぎりぎりのところはやむを得ない、こういうふうに判断をしたわけでございますが、いずれにしても制度を尊重するという基本姿勢はいささかも変わりございませんし、それから、職員の士気の向上ということも大変重要なポイントでございますので、誠意を持ってその実施のために最大限の努力を尽くしてきたつもりでございます。

 今後もそのことに努力をしていきたいと考えています。

森本委員 それでは、このことについて、人事院総裁、今回の不完全実施という決定に関してはどのようにお考えですか。

谷政府特別補佐人 ただいま総務大臣からも御答弁がございましたように、今回の政府における決定に至ります過程におきましては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢のもとでさまざまな御議論や御判断があった上での判断と推察はいたしますけれども、人事院勧告制度は国家公務員の労働基本権制約の代償措置であるわけでございますので、結果といたしまして一部の改定が実施されないこととなりましたことにつきましては、遺憾であると考えております。

森本委員 大臣、それでは、人勧制度は尊重をするが、国民の理解のためには指定職は改定しなくてもいいということになりますと、人勧制度はその時々のさまざまな事情、主に財政事情ということになると思われますが、そういった事情によって政府が完全実施したり一部を実施しなかったりと、恣意的に決めることができる制度になってしまうというおそれがあります。

 人勧制度がある以上は完全実施されるべきであり、完全実施されて初めて人勧制度は代償措置としての機能を果たすというふうに私は思いますが、いかがですか。

増田国務大臣 この制度というのを私ども常に尊重する、こういう姿勢に立っておりますので、今先生の方から恣意的にというお話がございましたけれども、こうした大事な制度を恣意的に運用するつもりは毛頭私どもとしても持っていないところでございます。

 今回も、やはり社会経済情勢等を勘案して、それから財政状況も勘案して、ぎりぎりの判断としてこういう措置をとったところでございますが、今後もやはり、こうした制度を尊重するという基本姿勢に常に立ってこの問題を考えていきたい、このように考えています。

森本委員 大臣の姿勢はよく理解をさせていただいておりますので、ぜひ代償措置としてのそうした機能を失わないようにお願いをいたしておきます。

 それでは、国の財政事情を考えてということであれば、例えば今回見送られた指定職の俸給表適用者の期末特別手当の削減による財政効果はどの程度になりますか。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

藤井政府参考人 お答えいたします。

 指定職及び指定職相当以上の特別職の給与改定を見送ったことによる財政削減効果は、国におきましては約九億円程度と承知しているところでございます。

森本委員 私は、大きいか少ないかは議論があるかもしれない、こちらからはわずかなんだという意見が出たんですけれども、完全実施を見送るための理由としては大きくはないのではないかというふうに思います。それよりも、象徴的な効果をねらったものではないかというような、そんな思いがいたします。しかし、人勧制度の趣旨からしますと問題のある決定ではなかったか。この程度のことでこれは完全実施できなかったということにつながりますので、このことは指摘をさせていただいておきます。

 それでは、続いてお尋ねいたしますが、十月三十日の閣議決定におきまして、人事院に対し、「地域における官民給与比較の在り方を含め、民間給与のより一層の反映のための更なる方策について検討を行うよう要請する。」としておりますが、これはどういうことでございましょうか。

 昨年、政府が人事院に要請し、比較企業規模を従来の百人以上から五十人以上に拡大し、一・一二%給与を抑制いたしました。一、二年で民間準拠のルールがくるくる変わっていくようでは公務員給与の安定性はなくなってしまうと考えますが、閣議決定は、政府として、昨年の決定だけでは不十分であると考えておられるのか、お伺いします。

増田国務大臣 今のお尋ねでございますけれども、確かに十八年度から五年かけて給与構造改革を行っておりますし、それから、官民給与の比較対象企業を従来の百人以上から五十人以上、こうした変更を行いました。

 しかし、これは地域によってでありますけれども、地場の民間給与に比較して公務員の給与が依然として高いのではないかという指摘を私どもいただいているのも、これもまた事実でございます。それから、足元のボーナスの状況等を見ましても、民間の方はなかなか厳しいという実態もございます。

 そこで、これについてどういうふうに考えていくかということでございますけれども、本年度の給与改定の取り扱いを決めました場でもいろいろ議論がございましたのですが、地域における官民給与比較のあり方を含めて、人事院において民間給与のより一層の反映のためのさらなる具体的な方策の検討をしていただくということがいいのではないかということで、その点について人事院にお願いを申し上げたところでございます。

森本委員 そうしますと、大臣、中立第三者機関である人事院に対して、人事院勧告を受けるべき立場にある政府がこのような、例えば官民給与比較の見直しについて検討を要請するということは、人事院に対する政治的な圧力だとは思われませんか。

増田国務大臣 私ども、やはり社会の今の実態を見ますと、検討が必要だなというふうに思っているわけでございますが、人事院というのは当然のことながら大変独立性の高い機関でございますので、今回もそうした点を勘案しながら、主体的に人事院の方で検討されるであろう、そういうことを期待してございます。

 私どもが人事院の方に検討の要請をしているわけでございますが、当然、人事院の方におかれてもそうした点について主体的に検討が行われるということでありましょうから、私どもとして政治的な何かプレッシャーをかける、そういうことはあり得ませんし、また、人事院の方でもきちんと、毅然として検討していただけるもの、このように考えております。

森本委員 ありがとうございます。

 それでは、人事院総裁は、現行の官民比較方式を適当だと考えておられますか、それとも不適当だと考えておられますか。

谷政府特別補佐人 先ほど御指摘いただいたことでございますけれども、私どもは、給与制度全般につきまして、平成十四年から研究会を設けて検討を進め、平成十七年の勧告におきまして、俸給表水準を民間賃金水準が最も低い地域に合わせて引き下げます一方で、民間賃金水準が高い地域に勤務する職員を対象とする地域手当を新設するなどの、地域民間給与を適正に反映させるための地域間給与配分の見直しを中心とした給与構造改革を平成二十二年度までの五年間で段階的に実施していくことといたしまして、所要の法改正等を経まして、現在、強力にこの改革を進めている段階でございます。

 この給与構造改革の実施に当たりましては、国会における御論議、関係方面との十分な調整を経ておりまして、現在、平成二十二年度の完成に向けまして段階的かつ着実に実施をしております。

 また、官民給与の比較方法につきましては、一昨年から、官民給与の比較方法に関する研究会、給与懇話会を設けまして、総合的な検討を行い、昨年、比較企業規模を含めました抜本的な見直しを行ったところでございます。

 私どもとしましては、まずは、現在進めておりますこの改革を着実に実施していくことが肝要であると認識しておりますが、今回、政府から御要請がありましたことも受けとめながら、適正な公務員給与の確保に向けまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

森本委員 そういうお答えであれば、地域給与、給与制度見直しも、まだ制度完成がされていないこの段階において、さらに現行の比較方法を変えるおつもりはないという解釈でよろしいですか。

谷政府特別補佐人 私どもは、まず、現在進行中のこの制度改革を着実に実施していくことが何よりも肝要と考えております。しかし、一般的に申し上げますと、私どもとしましては、従来から、民間給与との正確な比較をもとに給与水準の適正化を図るとともに、地域における公務員給与のあり方も含めまして、民間賃金の動向を初めとする公務をめぐる諸情勢、その変化に対応できますように、常に改革のあり方について検討を続けているわけでございまして、そういう意味では、今後とも必要に応じましてさまざまな角度から幅広く検討する、そういうことも私たちの大事な務めだというふうに思っております。

森本委員 それでは、比較方法の見直し、地域給与のさらなる反映について注文をされる政府の姿勢に対して、人事院としてはどのような御見解、それを受け入れていくというような見解ですか。

谷政府特別補佐人 繰り返しになりますが、私どもは、より適切な制度を求めまして、いろいろな方々の御意見をお聞きすることは当然でございますし、中でも、行政の責任を持ち、公務員人事管理についての責任をお持ちの政府のお考えをお聞きする、これは当然でございます。しかし、御指摘がございましたように、独立の第三者機関、専門機関でございますので、判断はあくまでも私どもの責任において行っていくということでございます。

森本委員 一年前まで、官民給与の比較方法は、一九六四年のときの太田総評議長そして池田総理会談の合意によって確立され、社会的合意形成がされたものでございます。それを昨年政府の側から見直しの要請に立って変更し、さらに新たな見直しを要請するというのは、中立第三者機関の人事院の機能を不全にさせるものと私自身は考えるわけです。ですから、ここのところはしっかり認識をいただきたい。

 それと、私は一九四九年生まれ、そして十八歳で役所へ、三十年間それからお世話になりましたから、ちょうどそのときの制度を受けた者でございます。人勧とともに歩んできて、人勧がこういう形になるということは極めて予想ができなかったということであります。ですから、人勧にかける思いというもの、評価がある以上、今のような人勧の制度のあり方はいかがなものかということを私自身は感じておりますので、そのことも含んでいただきたい。

 それでは、地方のことについてお伺いします。

 地方の人事委員会の勧告制度ですが、これも地方公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置としての性格も有しているものと理解しております。この人事委員会による勧告も設置自治体において遵守されるべきものと考えておりますが、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 先生御指摘のように、やはり、地方においてもこうした第三者機関での勧告といいますのは労働基本権制約の代償措置でございますので、こうしたものについては尊重されるべきもの、このように考えているところでございます。

森本委員 それでは、実際の運用状況についてお尋ねいたします。

 特例条項、条例によって自治体が独自の給与カットを行っているところはどの程度ありますか。

 ちなみに、昨年の十一月二日に、当委員会におきます私の質問に対して、平成十八年四月一日現在が、特別職にかかわるものを含めて、千百四十九団体で金額にして千六百五十億円程度、一般職だけであれば、七百八十二団体で金額にして千六百十億円の独自の給与抑制を行っているとの回答をいただきました。その後、どうなっておりますか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきまして一時的な給与のカット等を行っている状況でございますが、平成十九年の四月一日現在では、特別職も含めますと、全部で千百四十五団体におきまして、年額にいたしますと約一千五百億円程度になりますが、独自の給与抑制措置がとられているというふうに承知しております。この中で一般職について見ますと、七百四十六団体、その額でございますが、年額一千四百七十億円程度の規模になろうかというふうに承知いたしております。

森本委員 そうすると、前回よりは幾分減っておるということでよろしいんですか。

松永政府参考人 地方団体の数等が変わっておりますのですが、割合で見ますと昨年よりもふえているかというふうに思われます。ただ、額で見ますと、先ほど申し上げましたように、少し減っているところでございます。

森本委員 先般、財務省がラスパイ関係を発表されました。これは資料によって違うんですが、東京が一〇三、長野が六七、これはかなり厳しい、驚くような数字が出ておるんですが、複数回において改定をしていくというような、非常に深刻な状態にも一部なっておりますので、ここは非常にゆゆしき問題だと認識をしておりますので、ここのところはもう議論は差し控えさせていただきます。

 大臣、総務省は、人事院勧告の取り扱い、閣議決定を踏まえた事務次官の通知で、「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」におきまして、中立第三者的機関である人事委員会への注文、自治体への給与改定の国公準拠や地域民間給与への準拠など、さまざまな要請を行っておられます。

 機関委任事務制度が廃止された今日、このような、指導にも値するような関与は改めるべきだと思いますが、大臣、地方を経験されて、いかがですか。

増田国務大臣 私も、今お話ございましたとおり、自治体の首長を経験しておりましたので、職員の給与を決めるというのは大変大きな判断を要する仕事でございました。

 これにつきましては、地方の制度、決める場合の制度として、やはり国家公務員の給与の改定の状況というのが考慮する重要な要素の一つということであります。

 やはり国家公務員の状況がどうなっているかということも踏まえて職員の給与を決めていきますので、そういうことからいいますと、専門的、客観的な立場からの適時適切な指針、こういうふうに総務省の方では言っているんですが、そういったものを地方団体にお示しをして、そしてそれぞれの判断に資する、そういうものとして事務次官の通知を流しているものでございます。

 もちろん、今、以前とは違いまして、機関委任事務等がなくなってございますので、それをどのように受け取るのか、これはそれぞれの地方団体のトップの判断ということでございますが、私は、そういったことも含めて、やはり通知が流れてきて、それも判断要素として見た方が広い大きな判断ができるのだということでございますので、押しつけということではなくて、判断をする際の一つの要素として考えていただければよろしいのではないか、このように考えております。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

森本委員 時間が参っておりますのでこれにて終了いたしますが、大臣、今のお言葉、どうぞ大事にこれからも守っていただいて、よろしくお願いを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 大臣、きょうの本題に入ります前に、先ほど寺田委員、森本委員からもお話のあった、先ほど寺田委員が出された資料ですが、アメリカの民営化準備室に対する要請の会議ですね、これはやはり常識的に考えて、その記録とかメモがないということは、これはもうどう考えてみてもあり得ない。

 しかも、これほど国家の一大事だったわけでありますので、大臣も先ほどそのようなニュアンスのことをおっしゃられて、引き継ぎがあるとかないとかという話をされましたけれども、これは後の日本の将来に非常に大きな影響を与える一つの出発点になるところでもございますので、単に、ないという話をうのみにするのではなくて、きちっと指示をして、あるかないか確認をして、あるんだったらあるなりの対応をするというようなことをすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 いずれにしても、今、室長からこういう報告を受けておりますけれども、それで終わりということではなくて、室長とよく状況については確認をしたい、そして必要な指示はしていきたい、こういうふうに思っております。

逢坂委員 室長と確認するとかなんとかじゃなくて、大臣の権限として、ちゃんと調べろ、あるのかないのかはっきりさせろと言えばこれは済むことじゃないですか。後にこれが出てくるとか出てこないとかなんということをやったら、国民の皆さんは見ていて、またあのエイズのときと一緒かとか、またC型肝炎のときと一緒かとか、日本の国は一体どうなっているんだということになるわけですので、大臣、この点はしっかりとやっていただきたいし、やるのが、国民の皆さんが増田大臣が就任されたことに対する期待でもあると思うんですよ。今までの大臣と違うんだぞというようなことに対する期待でもあると思うんですよ。

 私も、余り大臣に活躍してもらうとちょっとつらい部分もあるんですけれども、でも、かつての同志として活躍はしてもらいたいと思っているんですが、それはそれとして、この点よろしくお願いします。

 本題に入りたいと思います。今回の人事院勧告に関連して何点かお話をしたいと思うのですが、私は最近こう思っているんですね。日本の公務員の皆さんが非常に危うい状況に来ているというふうに思っております。

 だって、大臣、そうじゃありませんか。公務員の皆さんが何かやるといったら、公務員じゃ中立公正ではない、信用できないから第三者機関をつくらねばならないとか、何か新しい問題が発生して公務員の皆さんが取り組もうとしたら、公務員は専門性がないからといって、役所の外に専門家集団をつくって、そこの御意見を聞かなければいけないとか、あるいはまた、公務員自身が何か新しいことを始めようと思って企画立案しようと思ったら、公務員じゃだめだからといって、シンクタンクに頼まねばいけないとか、あるいは、昨年なんかあったタウンミーティングなんかもそうですけれども、事実上そういうものを仕切っているのは、公務員ではなくて、外の部隊に仕切らせているというようなことですよね。本来公務員がやるべきことというのはどんどんどんどん棚上げされて、公務員自身は一体何なんだというような状況になっている。

 私は、本来公務員というのは、やはり国民から信頼されて、公平中立で、しっかりと専門性を高めて物を執行していくのが公務員のあり方だというふうに思うのですが、残念ながら、どうもそうでもない雰囲気が昨今公務員に対してあるのは本当に残念だというふうに思うんですね。

 そこで、まず一つは、国家公務員採用試験のあり方、いわゆるキャリア国家公務員ですね、これについて人事院総裁にまず最初にお伺いしたいんですけれども、何か最近どんどん人気が落ちていて志願者が減っているというふうに伺っているところであります。

 私は、国家公務員の皆さん、たくさんいらっしゃいますので、ここでいろいろしゃべるのはちょっと後で怒られそうな気がして嫌なところもあるんですが、非常に優秀だとは思っているんですが、何か括弧つきの優秀というんですかね、いわゆる優秀だというんだけれども、みんなが本当に、何か日本の公務員は優秀なんだけれども、どこかちょっと違うぞという気持ちを持っているような気がするんですね。

 だから、私は、採用試験のあり方というものを、今の、一般教養とか専門試験とか面接をやって、非常に試験の成績の高い人たちをたくさん採用されているようなんだけれども、この試験制度をそろそろ見直すべきときに来ているんじゃないかという気がするんですが、総裁、今の試験制度に対する問題意識、あるいは将来こうしなきゃならないなんということを思っているものがあれば、総裁の方からまずお伺いしたいんです。

谷政府特別補佐人 確かに志望者が減ってきている。その一方で、行政の複雑化、高度化、国際化等は一層加速されてきているわけでございまして、高度な知識、広い視野を持つ人材は従来にも増して求められていると私も考えております。

 そこで、このためにいろいろな施策が必要となるわけでございますけれども、御指摘のその採用の問題でございますが、これにつきましては、国家公務員法上、採用に当たりましては、成績主義、平等取り扱いの原則というものが決められておりまして、競争試験によることが基本となっております。

 それで、その採用試験のあり方ということでございますけれども、昨年度から、1種試験につきましては、これは供給構造も変わってきておりますので、大学院生の受験も念頭に置きまして、記述式の試験を重視する方向での見直しなどを行いました。

 それから、これは試験とは違いますが、募集活動を充実、改善して、やはり公務に関心を持っていただく、受験をしていただくということも大事でございます。

 それから、各府省合同の業務説明会、こういうことも行いまして、公務の意義、魅力等を伝えるように努めてきております。

 それから、人事院規則で定める場合には選考によることも可能ということになっておりますので、こういう採用の一環としましては、民間等の専門的能力を持つ有為の人材を円滑に中途採用できますように、人事院が公募や能力検証の一部を各府省にかわって担わせていただく新たな経験者採用システムを昨年度から導入をいたしてきております。幾つかの省庁で活用が進んでいるところでございます。

 私どもとしましては、今後とも、この人材供給構造の変化も踏まえながら、各府省や大学側、有識者の意見も伺い、採用試験を初めとする採用のあり方について検討を進めてまいらなきゃならぬと思いますが、残念ながら、現段階でまだこれといった採用方法についての確立した考え方というものを持つには至っておりません。引き続き検討を進めていきたいと考えております。

逢坂委員 これは、総裁、やはり日本の将来を考えるときに非常に重要なポイントだと思うんですね。

 私も田舎の町役場の町長でしたけれども、職員を一人採用するとなると、生涯賃金を考えると二億から三億かかるわけですよね。だから、よく箱物批判をいろいろされるんですが、職員を一人採用するということは三億円の箱物をつくるのと同じことなんですよ。

 だから、これはよほど慎重であらねばならないし、よほどいい者をやはりゲットしなきゃならないですし、しかも、能力のある種方向性が一様であってはいかぬと思うんですね。いわゆる学校の試験的なものが得意な人もいれば、そうではない、社会の中で公務員としてのあり方、力を発揮できる人も世の中にはいっぱいいるわけですから、先ほど総裁がおっしゃられたように、まさに行政が担わなければならない分野というのは多様化しているし、専門性も高まっているし、やはりいろいろな人材が必要だと思うんですね。だから、採用試験のあり方については、やはり従来のある種のイメージを脱却して、多様さというものを含めてこれから積極的に検討していってもらいたいというふうに思います。

 きょうの時点では、私なりにこう思うというものはあるんですが、時間が若干短いものですから、これはまた別の機会に、酒でも飲みながらやれればもっといいんでしょうけれども、そうもいきませんので、別の機会にまたお話をさせていただきたいと思いますが、採用試験のあり方というのは、どうしてもこれは直さないとだめだというふうに私からまずお訴えをさせていただきたいと思います。

 次ですが、これも非常に私は重要なことだと思っているんですが、日本の公務員は、公務員として採用される前までに、いわゆる公務員としての資質は十分トレーニングされているかという問題点なんですね。例えば、ドイツあるいはフランスなどを見ると、公務員として第一線に配備される前に、公務員としてのある種の基礎的な体力はしっかりとつけておくというのが、これは少なくとも私が知っているドイツなんかでは多く行われているようであります。

 しかしながら、残念ながら日本においてはそうではないというか、例えば、古くはやはり日本の公務員の供給源の多くは大学の法学部であったわけですよね。最近は、政策科学だとか地域政策だとか、そういうものも出てきたんですが、でも、私は、法律と地域政策や政策科学だけで公務員として十分な資質があるというふうには思えないのですね。

 例えば、プレゼンテーション能力があるとか、人とのコミュニケーション能力があるとか、あるいは国家公務員としての規律、規範みたいなものをしっかりとたたき込まれているとか、あるいは、もっとさらに言うと、海外情勢などについてもある一定の見識を持っているとか、実は、公務員の持たなければならない能力というのは極めて多種多様であり、そういうものに対する開発をしていく場というのは、日本においては余り採用前にはないのだというふうに思うわけですね。

 したがいまして、公務員として採用されてからの研修のあり方というのは、実はこれは極めて重要だというふうに思うんですね。ところが、全国の自治体もそうですし、霞が関もそうなのかもしれませんが、採用されて入ると、どうも研修の仕組み、カリキュラムというのは必ずしも十分でないような印象を受けるんですが、人事院総裁、このあたりについてどのようにお考えでしょうか。公務員の研修制度に対する御認識、あるいは問題点など、もしございましたらお願いします。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、最初の試験で採用いたしますときには、本人の潜在的な能力、あるいは学業を通じて得られました基礎的な知識を判定しているだけでございまして、それはいわば素材として選んだだけでございまして、日本の公務員制度におきましては、部内で仕事をしながら育成されていくということが基本になっております。

 そのあり方としましては、仕事を通じてそういった能力を身につけていくということもございますし、また、国内、国外に留学させるということもございます。それから、一定期間の研修制度ということもございます。そういう意味で、部内育成を基本といたしますから、研修というものは極めて重要だと考えております。

 このことにつきましては、いろいろ広範な知識あるいは専門的な分野ということになりますと、すべての方々に一括してそれを付与するということは非常に難しゅうございますので、どうしても各省の研修体制ということも重要でございます。

 私どもとして考えております人事院としての役割は、今公務員の問題点の中で一番基本的な問題は、高い使命感、職業倫理の問題であろうと考えるわけでございます。そういう意味では、人事院としては、全体の奉仕者としての高い使命感や倫理観等を備えつけさせるための研修、それから、採用後の段階ごとの研修としては、例えば初任者研修におきましては、介護施設や地方自治体の現場における体験学習を通じまして行政のあり方というものを学ばせる、そういう研修、それから、幹部につきましては、公共哲学や公務員倫理に関する思索型の研修、そういうものを取り入れるようにしてきておるところでございますけれども、大変重要な問題だと思いますので、人事院自体の研修、それから各省における研修についても、今後、関係のところとよく御相談しながら、一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

逢坂委員 この点も、きょうはちょっと問題意識の発表だけにとどめさせていただきたいと思うんですが、実は、私、前にある省庁の新任職員の研修に行きまして、何人ぐらいいたのかちょっと忘れましたが、結構広い会場でたくさんいたんですね。四月に採用された職員の研修、五月だったか何かに行きまして、私が一時間ほどしゃべった。そうしたら、結構皆さんお疲れのようで、ちょっとお休みかげんの方もいらっしゃったものですから、私が、こらと言って、おまえ、よそから講師が来ているのに寝ているとは何事だみたいな話をしたんですね。

 そうしたら、帰りの車の中で、研修担当の係長さんが私にこう話をしてくれたんですね。外部講師のときは寝てもいいけれども事務次官のときは寝るな、こういう話を明かしてくれまして、いや、逢坂さん、あの一喝はよかったねと。やはりあれが本当の姿勢であって、事務次官のときに寝るななどという指導をしている自分自身が本当に悲しいんだけれども、ああいうことを言ってくれてよかったよと。これは人事院の研修じゃなくて各省庁ごとの研修なんですが、やはりこういうことじゃまずいというふうに私は思うんですね。

 総務大臣、総務省の研修に関していかがですか。総務省職員の、省庁ごとの研修に関して、総務大臣としてお考えがあれば、どうぞちょっと御披瀝ください。

増田国務大臣 私は、研修は大変大事だと。といいますのは、これから、特に総務省のようにさまざまな、地方公共団体を初め多くの方々と接する場というのは、やはり人の問題が非常に重要だ、こう思うからでありまして、それを鍛えるのは、本来であればやはり現場、オン・ザ・ジョブ・トレーニングではないですけれども、現場がやはり本当は大事なんですが、そこの現場に出ていくまでの、相手に御迷惑をおかけしない、あるいはきちんと仕事ができる、そういう心構えも含めて、能力を向上させるというのがまさに研修なんだろうと思います。

 私ども総務省での研修の方は、調べましたら、職員を採用した後、一般研修とそれから専門研修、大きく二つに分かれるんですが、一般研修は、御案内のとおり、新規採用職員から始まって、新任課長補佐研修、係長研修、それから、最近は社会情勢を考えてコンプライアンス研修などを行っています。職位が上がるにつれて、その節目節目で研修を行う、こういう体系になっているのと、もう一つ、専門研修として、地方自治体転出予定者向けの研修をしたり、あるいは、人事、会計等の担当者研修、語学研修等、専門分野ごとにより専門性の高い研修をしている、そういう二系列で研修をしているわけでございます。

 いずれにしても、どこにおいても、やはり総務省職員としての使命感をきちんと植えつけて、その上で現場で仕事をしてもらうような、そういう密度の高い研修にしていく必要がありますので、単に何日間かの研修をしたということではなくて、その質の向上ということに今後より一層意を用いていきたいというふうに思っております。

逢坂委員 総務大臣も、研修の重要性というのは、多分岩手県の時代も身をもってお感じになられたんだというふうに思います。

 こうした中で、少し話はそれるんですけれども、今、全国の自治体が極めて厳しい財政の中にあって予算を削減せねばならない、こういう至上命題があるわけですね。そうなったときに、いつもやはり最初に切り込まれてくるのが実は職員研修費であったり、とりあえずは今のところ直接住民に影響がない、そういうところから切り刻んでいくわけですね。でも、そうすれば、その組織の体力がいずれは落ちていって、いざ体力を回復したいと思うときには、なかなか今度は職員の能力なんというのは身につかないわけでありますね。

 だから、大臣、大臣の立場として、財政難ではあるけれども、やはり職員研修は大事だというようなアナウンスを全国の自治体にもすることは大事だと思うんですが、いかがでしょうかね。

増田国務大臣 今先生お話しのようなそういうお考えというのは私も基本的には同じ考えでございます。したがいまして、全国の各自治体にそういう研修そして職員の資質向上ということの重要性をアナウンスする、そのことにきちんと取り組みたいと思います。

 それで、私も、知事時代の経験で申し上げますと、岩手県でも自治研修所というのがございまして、県庁職員の研修それから一部市町村職員の研修を行っていました。実はそこを廃止いたしました。より実践的なさまざまな研修を行う民間の機関等もございますので、そちらの方に出した方がいろいろと研修の内容も高まるということで、いろいろ考慮した上でそちらを廃止したんですが、さらに、岩手県庁の職員を岩手県だけでやるのではなくて、例えば青森、秋田の県庁職員と一緒にして、三県合同で新規採用職員の研修会をしたりとか、工夫の仕方で幾らでもまだまだ質を高めるやり方がございます。

 ですから、私はむしろ、総務省としてそういう全国の自治体のより効果的な研修例というものも集めて、それをいろいろとほかのところにもお知らせをするといったようなことも行いまして、全体としての研修の質を高めるような、そういう取り組みをこれから行っていきたいと考えております。

逢坂委員 ぜひ大臣、その点、よろしくお願いしたいと思いますね。多様な研修の機会をちゃんと確保できるというようなことも大事なことだと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、そこで、増田大臣、増田大臣はなぜ総務大臣になれたんでしょうかね。これはちょっとばかみたいな質問なんですが、建設省の職員のままでいて、途中でどこかの選挙区から国会議員として出馬をして、大臣になれたでしょうか。なれなくもなかったとは思いますけれども、今回大臣が総務大臣になれた理由というのは何か。

 これは別に大臣の口から聞こうとは思わないんですが、私はこう思っているんですね。やはりそれは岩手県知事を三期務められたということなわけですよね。同じ公務の現場にいたとしても、建設省の職員としてやっていたのでは、もしかしたら簡単には大臣になれなかったかもしれない。岩手県で知事さんを三期十二年務められたということが、実はやはり増田さんという人のよさをさらに大きく引き出し、大臣の職に対する白羽の矢が立ったんだと思うんですね。

 その意味で、やはり国の職員もさまざまなところを見ていくということが極めて大事なんですね。霞が関だけにいたんじゃうまくいかないんですよ。

 それで、きょう、森山財務副大臣にもお越しいただいているんですが、森山財務副大臣、ぜひ私は提案したいことがあるんです。

 実は今日本の国はもう財政が大変だというのは火を見るより明らか。だから、予算はちゃんと精査して効率のいい予算組みをしなきゃならないということは明らかなんですが、自治体の現場にいると、国の予算の無駄が極めてよくわかるんですよ。あそこがおかしい、ここがおかしい、この補助金は変だ、この負担金はおかしい、これは非効率だ、ここの出先は全く不要だとか。

 ところが、自治体の職員がそういうことを言ってもなかなかよく伝わらない。それから、財務省の皆さんは、やはりエリート中のエリートだと思われているのかどうかわかりませんけれども、自分たちのやっていることは、無謬性というか、やはり正しいということを常に心の中に思っているのかどうかもわかりませんが、なかなか人の話を聞かないんだ、これが。

 だから、財務副大臣、ぜひお願いしたいんですけれども、財務省の中堅クラス、新人じゃだめです、ある程度の力のある職員を全国の自治体に派遣してくださいよ。税務署の署長なんか、かつてやっていたようなことじゃ絶対だめですよ。あるいは県の財政部長とか総務部長なんかも絶対だめですよ。意味がないとは言わないけれども、本当のことなんて絶対皆さん言いませんから。言っているように見えるけれども、やはり腹の底では予防線をちゃんと張って、本当のことはやはりぐっとしまっておくんですよ。

 だから、できれば小規模な自治体がいいと思います。小規模な自治体、人口が五万とか、せいぜい大きくても十万ぐらい。そうして、そこでの財政係長とかそういう仕事を財務省の職員が二年なり三年なりやるんですよ。大きなところへ行ったら、部分しか仕事をしない。小規模な自治体だったら、財政係長なんというのは一から十まで、補助金申請の果てから起債申請の果てから、あるいはどうでもいいような予算の確保まで、実は全部自分の手のひらの上にあって、やるんですよ。だから、仕事の総合性というものは田舎の財政担当の方が実はわかっている部分が多いんですね。例えば全国に五十人派遣して、三年たって帰ってきたら、日本の国の予算の問題点はどこにありやなんということは即わかるんですね。

 今、財務省は確かにいろいろ予算を切っているけれども、もしかしたら必要なものを切っているかもしれないんですよ。切っている、切っていると言っているけれども、実は、各省庁が本当のことを言わないで、財務省が手玉にとられているかもしれないんですよ。本当に国家の危機だと思うのなら、森山財務副大臣、これをやりませんか。お手伝いしますので、いかがでしょうか。

森山副大臣 逢坂先生の御指摘のとおり、国の政府職員が地方公共団体において実地に実務を経験することは、貴重な知見を得る、大変大事な機会だというふうに基本的に考えております。また、私も地方議会に長くおりましたから、先生の御意見はよく理解をできるところがあります。

 財務省といたしましては、今後とも、地方公共団体や財務省双方の事情や要望を十分に踏まえて、地方自治体との人事交流というものは進めてまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 副大臣、ぜひやりましょうや。そうすれば、財務省の職員さんが今苦労して財源確保せなならぬというふうに言っている、地方の実態がわかるんじゃなくて、国の実態が地方にいるとわかるんです。だから、そういう点で、財務副大臣、せっかくここへ来られたんですから、よし、おれはちょっとやるわ、おれが担当副大臣になってやるわぐらいの意気込みを持ってぜひおやりいただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 総務大臣、この点について何かございますでしょうか。

増田国務大臣 やはり地方の、ニセコ町とあえて言いませんけれども、中小の大変苦労している自治体、現場の苦労ですね、そして、逆にそうしたところというのは住民との距離が大変近いところでありますので、そういう自治体、町村のようなところに行って修行するというのは、その後の行政を展開する上でも大変貴重な経験になるだろうし、また、住民目線で仕事をしていく上でも非常にいいことにつながっていくのではないか、私もそう思います。

 うちの幹部の方にも、総務省自身はそもそも自治体とのいろいろな交流関係が盛んでありますけれども、そういう形でない、県とかいうことではなくて町村、そうしたところの実態をきちんと見られるような、そういう交流もこれからさらに必要になってくるのではないか。そういうことを可能な限り実施をしていきたいというふうに思っております。

逢坂委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、私は、日本の公務員というのは非常に貴重なものだ、重要な役割を果たしているというふうに思っています。今のような、単に公務員バッシングさえしていれば何とかなるという、この状況を脱却しなければいけないというふうに思っています。

 そのためにも、採用試験、研修そして交流のあり方というものをこれまでと違った角度からやれるように、私自身もまた提言してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 最初に、大臣にお尋ねをいたします。

 政府は、人事院勧告を受けて公務員給与の取り扱いを閣議決定いたしましたが、改定の一部を見送ることになりました。総務大臣は記者会見の中で、給与関係閣僚会議の場で人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢に立って発言をしていると述べておられましたけれども、今回の法案の内容はその基本姿勢が貫かれた内容だと言えるのか、その点についてまずお尋ねします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今回のこの法案でございますけれども、まず申し上げたいことは、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重する、そういう基本姿勢に立って政府として提案をしたもの、したがいまして、勧告の実現のために最大限の努力を尽くしたものということでございます。

 しかし、勧告どおりの内容となっていないということでございます。それはもうまさに御指摘のとおりでございますが、それにつきましては、厳しい財政状況それから現下の社会経済情勢、この中にはさまざまな公務員の不祥事といったようなことも入るわけでございますが、そうしたことを受けて、国民世論の動向も勘案して、幹部職員の中核たる指定職職員、そこに対しましてはやはり何らかの措置が必要であろうということで、そこの部分のみ給与改定を見送ったというものでございまして、基本姿勢は勧告を尊重するという立場に立ちつつ、今申し上げましたような点を加味したということについてはやむを得ないものというふうに考えておりまして、そういう考え方に立って法案を提案しているところでございます。

塩川委員 勧告は尊重されなければいけない。勧告の実現のために最大限の努力を尽くしたけれども、そのとおりにはなっていないということです。

 今回の法案作成の作業というのは、政府において公務員の労働基本権のあり方についての検討を行っているときに行われたものであります。人事院勧告をいわば値切るようなことがあれば、憲法が保障する労働基本権を全面回復せよという要求が強まるのは明らかであります。この当然の要求を大臣はどう受けとめるのか、お聞きしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げますが、私どもとしては、政府としてはということでありますが、この人事院勧告制度、これを尊重するという基本姿勢にはいささかの変更もございませんし、また今後もそういう立場を私どもとしてもとっていきたい、このように考えております。

塩川委員 労働基本権を回復せよという要求が出てくる、それについては、大臣、どのようにお考えですか。

増田国務大臣 労働基本権の問題については、さまざまなこれは議論があり得るわけでございまして、私どもは、人事院勧告制度を尊重するという基本的な姿勢に今は立ちつつ、今後の公務員の労働基本権を含めたいわゆる労使関係のあり方ということについては、いろいろ専門家の皆さん方に御議論をいただかないといけない。それだけ重要な問題だというふうに考えております。したがいまして、政府の行革本部、これは渡辺大臣のところでございますが、そこのところの専門調査会、佐々木毅学習院大学教授、東大の前総長にお願いをして座長についていただいて、そこでの専門調査会で御議論いただいて、先月、報告書が取りまとめられたところでございます。

 中で、いろいろなその報告書の内容というふうになっているわけでございますが、この問題について、特に今お話しの労働基本権の問題につきましては、公務員制度改革、全体を今議論してございますが、その改革の一環として今後判断をしていく必要がある、このように考えております。

塩川委員 行革の枠組みの中で労働基本権の回復というのはそもそも筋違いだということは申し述べた上で、ILO勧告や国際労働基準を見ても世界の常識となっている公務労働者の労働基本権を早期に回復するよう改めて要求するものであります。

 その上で、前回の人勧についての質疑でお尋ねをした非常勤職員問題について質問をいたします。

 人事院総裁にお尋ねしますけれども、人事院勧告の報告が初めて、非常勤職員の処遇等を検討すると述べております。そこで、検討すると言われるその中身についてなんですけれども、当然ですけれども、各省でばらばらの非常勤職員についての均等の問題と同時に、常勤と非常勤についての、やはり本来、同一労働同一賃金、そういった立場での検討もあってしかるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、この検討に当たりましては、常勤職員との権衡の問題、それから各府省非常勤職員相互間の権衡の問題、それから、以前にも申し上げたかもしれませんけれども、民間における非正規雇用従業員の処遇といった点、これらを念頭に置きつつ総合的に検討を進めていく必要があると考えております。

塩川委員 この報告をまとめるに当たって事前に各府省にヒアリングを行った、具体的な事例も把握をされておられるということですけれども、私どもも、非常勤職員、その関係者の方からお話も聞いたので幾つか御紹介したいと思うんです。

 まず給与の問題ですけれども、予算の範囲内でそれぞれの任命権者の判断で決めるとなっているために、安易な決め方がされているんじゃないのか。例えば、年度末になって予算がきつくなっているので賃下げをしたい、こういうことを使用者の方から言われる、そういう話も寄せられておりますけれども、給与について、予算の範囲内でという形で、結果として賃下げが要求されるような事態がある。そういう実態などについても人事院として把握をされておられますか。

出合政府参考人 お答えいたします。

 先般も御説明いたしましたが、五月、六月にかけて各府省にヒアリングを行っております。その場合に、給与がどのように決定されているのか。今先生がおっしゃられた、年度末になって急に賃下げをするという事例は、我々がヒアリングしたところでは入っておりませんけれども、今御指摘もありましたので、さらに突っ込んだヒアリングをしておるところでございますので、その中で各府省の実態についてさらに突っ込んで聞いていきたい、こういうふうに考えております。

塩川委員 そういう実態があるんです。ぜひつかんでいただきたいんです。

 加えて、何点か御紹介もしますけれども、労働実態も深刻ということで、例えば雇いどめということがあるわけですけれども、その理由をまともに説明されないというような事例ですとか、非常勤の職員の側が契約更新の際の面接のときに雇用保険にぜひ入ってほしいということを申し出たら解雇を通告されるですとか、二年近く働いていても一日も有給休暇がもらえないとか、病休は無給なので、体調が悪くても無理して出勤をするとか、こうした話が寄せられております。

 同時に、事務補助などと言われるけれども、仕事の中身、実態が常勤の職員と同等の仕事をしている事例も多いというのが現状だと思います。正規職員の補助だと聞いたのに、地方自治体や市民からの問い合わせへの受け答えや稟議書の案をつくる仕事までさせられているとか、募集要項では調査の補助となっていたけれども、補助だけでなくて、認可団体に対して行政指導も行っている。つまり、補助ではなくて基幹的な業務の一員として組み込まれて仕事をしているという話であります。こういう点でも、もっとリアルに非常勤職員の実態をつかむ必要があるんじゃないのか。

 そこで、総裁にお聞きしますけれども、給与ですとか勤務時間ですとか休暇などに加えて、勤務条件ですとか位置づけの問題や、任期の問題ですとか、さらには社会保険の加入状況などについて、非常勤職員の全体の状況をきっちり把握する、そういう実態調査を行うべきではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 私どもが今行っておりますのは、私どもの所掌に属します事項についての調査が主であるわけでございますけれども、御指摘のように、この非常勤の処遇の問題を検討いたします際には、私どもの所掌を超えるものもいろいろあるわけでございまして、そういった問題については、他の関係機関とも連携して検討を進めていく必要があると考えております。

 調査の仕方としてどのようにいたしますかにつきましては、ただいまこの場で即答申し上げる準備がございません。

塩川委員 例えば社会保険の加入状況などについては厚生労働省と連携をして実態を把握する、そういうふうにお考えですか。

谷政府特別補佐人 個別の事項についてどうということを申し上げる準備がございませんが、基本的に、非常勤職員の処遇全般について考えていく必要があると考えております。

 したがいまして、人事院の直接所掌いたしますことのみにとどまらず、この問題は、非常勤職員の役割、国家公務員としての位置づけの問題がベースとしてあるわけでございますので、そういう意味では、何らかの形で総合的な検討が行われる必要があるだろうと思っております。

塩川委員 非常勤職員の処遇全般について、全般的な検討が行われる必要があるということであります。同時に、それは人事院の所掌を超えるものもあるということであります。

 そこで、増田大臣にお聞きしますけれども、いろいろなマスコミの報道などでも、こういった国家公務員における非常勤職員の実態が官製のワーキングプアではないかとか、このワーキングプアを生み出しているのが霞が関だ、こういった非常勤職員の労働条件の劣悪さを指摘する報道なども行われています。人事院だけでは所掌の範囲を超えるものもある、限界があるというお話ですから、ぜひ政府を挙げて、各省に所属をしている非常勤職員の問題ですから、きっちり全体の状況がわかる実態調査を行う必要があると思います。

 そもそも、ことし五月の参議院の総務委員会で附帯決議がつけられておりますけれども、その中にも、非常勤職員について、職務内容、勤務条件等の勤務実態について早急に検討することと挙げられております。そうであるならば、政府を挙げて、非常勤職員の実態を早急に把握すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

増田国務大臣 非常勤職員の実情、実態につきましては、人事院で今各府省から聴取を行っていると聞いているわけでございまして、今総裁の方からもお話がございましたけれども、これには各省も協力して、総務省も人事院に協力をしていきたいというふうに思っております。私どもは、そうした上で、その実態調査の結果を見ながら今後の必要な対応を検討していきたい、このように考えております。

塩川委員 ですから、人事院は人事院としてもちろんやるんですけれども、その所掌を超える部分があるわけですから、その点について、政府として挙げてしっかりとした調査を行うということでよろしいですね。

増田国務大臣 人事院の方で今基本的な調査を行っているわけで、それに各省が協力をして、そして本当のいろいろな実態調査をする、そういうことになっております。ですから、政府として何か人事院と別に調査するということじゃなくて、人事院の調査にいろいろ協力をしながら、結果を明らかにして、それに対しての政府としての必要な対応を考えていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

塩川委員 そうしますと、勤務条件ですとか定員の話ですとか社会保険の加入の問題などについても、人事院が音頭をとる形で全体として把握をしていく、それに各省が連携して協力していく、そういうふうに考えてよろしいですね。

増田国務大臣 私も調査の詳細なところを承知してございませんけれども、ここで行っておりますものについては、非常勤職員の実態を明らかにする、そういうことでございますので、そうした実態をつかまえるということで今検討がなされているもの、このように考えています。

塩川委員 使用者の立場ですから、当然のことながら実態を把握するというのは大前提でもありますので、その点、ぜひしっかり行っていただきたいと思います。

 その上で、人事院に何点かお尋ねします。

 一つは日々雇用の問題ですけれども、先ほどの答弁でも二万人余りの方がいらっしゃるというお話でした。日々雇い入れられる非常勤職員については一日につき八時間を超えない範囲で云々と、人事院規則そのものに日々雇用ということが挙げられているわけですね。

 実態は、日々の更新がいわば前提となって、長期の、一定期間の雇用が行われているわけです。そういう点でも、日々雇用の場合には、あした来なくてもいいということがそのまま通ってしまう、泣き寝入りすることになりかねないような事態も現にあるわけですから、この日々雇用という規定について、もう既に時代おくれだという点でもこの規定を見直すことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 非常勤の官職に従事する職員、これにつきまして日々雇い入れるという形、これは表現の問題と任用形式の問題と両方あると思いますが、これは、制度ができました昭和二十年代からこういう形で今まで来ているところでございます。しかし、現在もこのような形式が適当であるかどうかということについては、確かに御指摘の点もあるわけでございまして、私どもも検討する必要があると考えております。

 ただ、基本的に、日々雇用される形の非常勤職員につきましては、各府省において生じる臨時、緊急の業務でございまして、かつ雇用期間が不確定な場合に対応いたしますために、従前からこういう形をとってきているわけでございます。

 したがいまして、この形態を見直すべきか、また、見直すといたしました場合にはどのように見直しをしていくかということにつきましては、公務組織の中で非常勤職員はどのような役割を果たしているか、どのような位置づけにあると考えるべきであるか、それから、御指摘がございました定員等の関係、民間における非正規雇用者の活用状況や利益保護の必要性をどう考えるかといった大変広範な問題を含んでいるところでございまして、私どもが今検討しておりますことは、結局は非常勤職員の位置づけ、あり方ということにかかわってまいりますので、当然この問題にもかかわってくるものと考えます。

 どのような形で検討することができるかは今申し上げられませんけれども、いずれにしても、私どもの行います検討の中ではこの問題も対象になってくる可能性が大きいというふうに考えております。

塩川委員 わかりました。

 もう一点、労働条件の明示書についてですけれども、労働基準法に基づいて、業務内容ですとか雇用期間、勤務時間、休日、休暇、賃金、退職手当、安全衛生など、これらを書面で交付することとされておりますけれども、実際、それぞれの各府省の対応の中では実態としてそういった労働条件が明示をされないのもあると聞いております。そういう点でも、労基法で言っているような、労働条件通知書、書面での交付が必要だと考えますけれども、そういう趣旨を徹底する、このお立場で臨んでいただきたいと思うんですが、人事院としていかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 労働基準法でもそういう規定がございますが、国家公務員でございます非常勤職員につきましての重要な勤務条件でございます給与や勤務時間につきましては、採用に当たって明示されることが必要でございまして、その旨、通知等で定めておるところでございます。

 このように、採用に当たりまして給与や勤務時間を明示することとしているところでございますけれども、各府省におきまして適切な明示が行われていない、そういう事例があるということでございましたならば、適切に明示するように指導していかなければならないと考えております。

塩川委員 しっかりとした対応をお願いします。

 今、公務の現場は、定員削減の影響もあって、非常勤職員がふえて、さらに派遣とか請負という形態なんかも大きく拡大をしているという状況がある。こういった定員削減が与えている影響などについてもしっかりとした実態調査が必要だと思いますし、公務における常勤、非常勤の均等待遇、派遣、請負の人たちに対する均等待遇を含めてふさわしく対応されることを求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 ちょっと不注意で風邪を引いてしまいまして、大変お聞き苦しいと思うんですが、お許しをいただきたいと思います。

 まず最初に、公務員の労働基本権問題についてお伺いをいたします。

 私は、昨年の本委員会において、この問題について質問をいたしました。それに対し政府参考人は、専門調査会において公務の範囲、従業者の類型化、労働基本権を含む労使関係のあり方等について検討を開始した、そういうことでございました。論点の柱立てについて年内に整理できるように検討を進めているところである、このように答弁をいたしました。

 さて、そういう答弁がなされまして一年経過するわけでありますが、どういうふうに進んでおるのか、あるいは後退しているのか、大臣、お答えください。

増田国務大臣 現在の状況について私の方から申し上げたいと思いますが、今、先生の方からお話ございました公務員の労働基本権を含めた労使関係のあり方について、政府の行政改革推進本部専門調査会で、先月の十月十九日に報告書を取りまとめたところでございます。その内容はいろいろ多岐にわたるわけでございます。

 いずれにしても、今後の手順について申し上げますと、総理のもとに置かれている公務員制度の総合的な改革に関する懇談会、これは東芝の岡村会長が責任者になっております、こういう懇談会がございますが、そこの場におきまして、この専門調査会の報告につきましても、いわゆる総合的な公務員制度改革の一環として今後議論される、このように承知をしているところでございます。

 この総理のもとに置かれている総合的な懇談会と申しますのは、年明けて意見を集約する、こういうふうに聞いているわけでございますが、したがいまして、その場において、さらに有識者の皆さん方の議論に付される、こういうふうに考えております。

重野委員 国際的な視点で見ますと、ILOからたび重なる勧告が出されているという歴史的な経過があります。

 先ほど、大臣、単にこの問題だけではなしに総合的にという話でありまして、その総合的なという話の中にすっかり埋もれてしまって、公務員労働者にとっては、基本的な権利である労働基本権の付与というもう長年にわたる要請があることも事実。それに対する返事として、昨年からこの一年間で、大臣は、その中身が詰まってきた、労使双方から見て話は進んでいる、そういうふうに認識されておりますか。

増田国務大臣 この問題についてまだまだいろいろな論点がある、こういうことでございますが、しかし、ああいう専門家の皆さん方がお集まりになって出されました今回の専門調査会のそういう取りまとめでございますので、一定の整理がなされているものでございます。もちろん両論併記のところもございますが、一定の整理がその中になされているものでございますので、今後考えていくべき論点などについてやはり議論が整理されてきたもの、こういうふうに考えております。

重野委員 私は、今、大臣の答弁を聞いていまして、まどろっこしさを感じます。

 私も、かつてそういう労働組合の運動をしていた前線にいて、その当時から労働基本権の付与という問題についてはずっと言い続けてきた経緯がありまして、随分時間もたったな、こういう感じがします。

 そこで、次に、ことしの人事院勧告の問題と密接なかかわりがあるわけです。

 ことしの人勧の内容については今さら私が申し上げるまでもございませんけれども、その人事院勧告を受けた政府の対応について、私はいささか異議ありと言わなければならぬ。それはもちろん、今度、いわゆる幹部職員の扱いについて据え置き、こういうことになりました。結果として十億円金を浮かせたという話であります。私は、幹部職員というのは、もちろん組合員じゃありませんが、国家公務員であることは間違いないわけで、こういう差別的なというか、こういう扱いというのは、私は、本来労働基本権の代償措置として人事院勧告があるという、これはもうだれも否定できない歴史的な事実でありますが、この人事院勧告すら政府は無視をしているのか、こういうふうに言わなければなりません。

 近年、マイナス勧告が続きました。マイナス勧告は、政府は完全実施するんですね。そして、九年ぶりのわずかな年間給与の引き上げの勧告の完全実施を見送るというのは、これはやはり私は公正さを欠いていると言わなきゃなりませんね。そういう指摘に対し、大臣はどういう答弁をされますか。それから、勧告しました人事院総裁として、どういう感想を持っていますか。お聞かせください。

増田国務大臣 今、先生の方からいろいろおしかりをいただいておりますけれども、やはり今回の勧告、これは我々も、制度をきちんと尊重する、こういう姿勢にはあくまでも立っておりますし、それから、職員の士気の向上ということについても最大限努力をしているということでございますが、やはり社会経済情勢、不祥事等もいろいろございましたし、それから財政事情ということもございます。そうしたことも含めて、やはり国民世論の皆様方がどう受け取られるかということも一方で考えていかなければならないということもございまして、これはやむを得ずこうした指定職職員の給与改定を見送ったものでございます。

 いろいろな見方があろうかと思いますけれども、私どもとしては、そうした諸般の状況を最大限考慮した法案となっているものでございまして、改めて繰り返すまでもなく、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度については尊重する、こういう姿勢に今後とも立っていきたい、このように考えております。

谷政府特別補佐人 今回の政府における御決定の過程におきましては、さまざまな御議論、御判断があったことと推察いたしますし、また、ただいま総務大臣からも御答弁ございましたように、人事院勧告制度尊重の基本的なお考えはお持ちいただいていると信じておりますけれども、結果といたしまして一部の実施が見送られるという内容でございますので、この勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置であるということを考えますと、人事院といたしましては、大変遺憾に存じております。

重野委員 さっき、大臣は、いろいろ不祥事があったと。だから我々はこういう、ある意味では制裁ですよね。不祥事を起こす人なんというのは、全体の公務員から見たら、それはごくごくわずかですよ。それは普遍的じゃないですよ。それを、人事院勧告を完全実施しないのはなぜか、そういう問いに対してそういう言葉が使われるというのは、僕は、大臣、やはりおかしいと思いますよ。

 本当に、全体の国家公務員、地方公務員、全部の中で、不祥事を起こした人というのは、ほんの一部じゃないですか。それを、その責任を全部、国民に範を示すためにあなたたち我慢しなさい、こんな言い方をしたら、僕は乱暴だと思うんですよ。そう思いませんか。

増田国務大臣 確かに公務員の士気高揚といったようなことも大変大事でございますし、私も、社会経済情勢という言葉を使ってございますけれども、やはりそうした職場全体の雰囲気ということも考えなければいけないと思っております。

 今回、内容の一部不完全実施しておりますのは幹部職員ということでございまして、こういう人間、こういう層には、職場の規律等でやはり責任ある立場ということでございますので、何もその不祥事ということのみならず、全体の公務員の置かれている状況ということをよく考えていただく必要がある、この点は私はそう思っているところでございます。

重野委員 平行線でありますから、ここでとめておきます。

 次に、公務員の人事管理について数点聞きます。

 今回、キャリアシステムの見直しであるとか高齢期の雇用問題、それから超過勤務の縮減、所定内勤務時間の短縮、非常勤職員の給与改善等への指摘等々、言及されております。私は、それはいいことだと思うんですね。

 ただ、問題はそれの具体的な道筋、人事院としては、到着点はどこら辺に置くとか、そういう具体的なプランというのを持って言われていると思うんですが、できればその点をまずお聞かせいただきたい。

谷政府特別補佐人 基本的には、国家公務員が高い使命感、それから十分な能力を持ってそれぞれの職務に邁進していける、そういう環境整備をするということでございます。

 このことは到達点というものがあるわけではございませんで、常に私どもは、社会環境の変化を見ながら、適切な勤務条件の確保について、今いろいろ御指摘をいただきましたけれども、そういうもろもろの点について、さまざまな角度から検討していく必要があると考えております。

重野委員 特に、所定内勤務時間の短縮については、来年を目途に民間準拠を基本として見直すということが書かれております。これの言わんとするところは、来年度にはもっと具体的な、確実な勧告がなされる、それに向かって人事院としては努力をするということなのかどうか、その点を確認いたしたい。

谷政府特別補佐人 この勤務時間につきましては、国家公務員法に定めます情勢適応の原則に基づきまして、民間と均衡させるということが基本として定めるものであるわけでございまして、いろいろ調査いたしました結果、民間と較差を生じているということで、そのような報告をさせていただきました。

 人事院といたしましては、さきの報告においても言及いたしましたように、新たな勤務時間に対応した適切な勤務体制などでございますとか、関連諸制度の検討等の所要の準備を行いました上で、来年の民間企業の所定労働時間の調査結果も考慮いたしまして、勤務時間の短縮の勧告を来年度行うということを考えております。

重野委員 同時に、格差是正ということが今盛んに使われますけれども、やはり公務の職場においても明らかに格差が存在しているという認識を持っています。

 先ほど質問がありましたけれども、非常勤職員の処遇の問題ですね。これは、具体的な処遇改善につながるような、そういう方針を持って一歩踏み出すという、明確な人事院としての指針があってしかるべきだと思うんですが、この点についてはどうですか。

谷政府特別補佐人 もちろん処遇改善ということもございますが、いわば適正な処遇を行う必要がある、これは基本的な大原則でございますので、適正な処遇を行い得るような制度、それからしっかりとした運用、その双方を確保するために私どもとして努力していくべきだと考えております。

重野委員 次に、給与の構造改革の推進についてという問題でありますが、今回、新たに専門スタッフ職の俸給表というのが新設されました。昇給、勤勉手当における勤務実績の反映の推進というものも打ち出されました。まず、このねらいは那辺にありやということが一つ。

 同時に、透明で信頼される人事評価との整合性も同時に求められる、そういうふうなものが追求をされて、結果としてこの制度が職員の納得を得るものになるだろう。逆に、これが職場に不協調を持ち込むようなことがあってはならない。

 この点について、総裁はどのような認識をお持ちでしょうか。

谷政府特別補佐人 人事評価制度のことについてお答えをしたいと思いますが、人事評価制度は、客観的で公正性、透明性が高く、実効性のあるものとすることが何よりも肝要でございます。

 そこで、この制度の構築に際しましては、各府省や職員団体と協議を行い、人事担当者のみならず、評価者それから被評価者向けにも説明会を開催いたしますなど、関係者の理解を得ながら試行を重ね、段階的な取り組みを進めてきているところでございます。

 それからさらに、評価の公正性、納得性を確保する観点や職員の主体的な能力開発を促進するという観点から、期首と期末に評価者と被評価者との間で面談を行いましたり、職員にフィードバックを行うなどの手続も設けているところでございます。

 今後、人事評価制度の整備に向けまして、引き続き関係者間で協議を進め、その理解を得て進めていくことが大変重要であると考えております。

 専門スタッフ職は、いろいろ行政事務が複雑高度化、国際化など変化をしていきます中で、それぞれの専門的な知識を持った職員の活用ということが大変重要でございます。また、多年、部内において経験を積んでまいりました職員のそういう面での能力を生かすということも大変重要でございまして、その一方で、早期の勧奨退職を是正していくという必要もございます。

 こういったことをあわせて実現するための方策といたしまして、専門スタッフ職俸給表、専門スタッフ職の導入ということを勧告させていただいたところでございます。

重野委員 時間も来ましたけれども、最後に、よく良質な社会的公共サービスの提供という言葉が使われます。

 ところが、小泉、安倍両政権が進めてきました構造改革路線あるいは小さな政府路線はあらゆる場面に格差の拡大をもたらした、こう言っていいと思います。安心と安全が喪失をしている。特に、このごろ食の安全をめぐるいろいろな事件が多発をしておりますけれども、そういうこの国のモラルの低下というのは目を覆うばかり、こう言っていいと思います。

 やはり、こういう危機をどうして克服していくか。そのときに、公共サービスの果たす役割というのは非常に大きい。公共サービスのネットが整備されることがそういう事件の多発を抑止していく。そういう意味では、今、社会的公共サービスの拡充あるいは価値というものをしっかり見直さなければいけない。そういう部分をカバーするのは私は公だろうと思うんです。

 私は、きょうは、そういう公に働く公務員の基本的な権利の問題を取り上げましたけれども、最後に、大臣、そういう今の行政ニーズというものに対応していくために、公の部分がどうあらねばならぬか、どうしなければならぬか、こういう点について大臣の見解を聞いて、最後の質問にいたします。

増田国務大臣 やはり、こうした公共性の高い、まさに公の部分、こういうものは国民にとりましても非常に大事でありますし、そこに働く者がきちんとした仕事をしていく、こういうことが大事だと思いますね。

 ですから、私は、今後、そういった公の役割とか、それから、そこに携わる者はそうした役割というものを本当によく十分理解をし、そして、国民視点ということに立ってその仕事を誠実に国民のためにやっていかなければならない、また、そのためにも、私どもがそうした働く者の環境整備をきちんとしていかなければならない、このように考えております。

重野委員 では、終わります。

渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、今井宏君外五名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・そうぞう・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。今井宏君。

今井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 政府は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、公務員の給与改定については、勧告制度を尊重する基本姿勢を堅持し、完全実施するよう努めること。

 二 政府及び人事院は、専門スタッフ職制度については、公務能率の向上と早期退職慣行の是正に特に配意しつつ、複線型人事管理の円滑な導入に資するものとなるよう、適切な運用に努めること。

 三 政府及び人事院は、非常勤職員の位置付けと給与等の処遇の在り方について、民間の状況や職務の実態も考慮しつつ、早急な検討に努めること。

 四 政府は、公務員制度改革については、労働基本権の在り方を含め、職員団体等の意見を十分聴取し、国民の理解を得るよう最大限努力すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 以上です。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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