衆議院

メインへスキップ



第4号 平成20年2月19日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十年二月十九日(火曜日)

    午前九時四十三分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      篠田 陽介君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    矢野 隆司君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   総務副大臣        佐藤  勉君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   財務副大臣        遠藤 乙彦君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   齋藤  潤君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (消防庁長官)      荒木 慶司君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          神谷 俊広君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     矢野 隆司君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

二月十九日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

同月十二日

 軽油引取税暫定税率七円八十銭の撤廃を求めることに関する請願(田村謙治君紹介)(第七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査についての報告


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、増田総務大臣から所信を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 総務委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。

 総務省は、国民生活に密着した幅広い行政分野を担っており、いずれもこれからの日本にとって極めて重要な分野であると考えています。私は、「地方の元気が日本の力」を基本理念として、地方と都市の格差の拡大を防ぎ、地方に活力を取り戻すため、地方の再生に全力で取り組むとともに、地方への一層の権限移譲や地方税財政の改革に重点的に取り組んでまいります。また、公務員の総人件費削減など行政改革を推進し、行政のスリム化、効率化を一層徹底するとともに、年金記録確認第三者委員会等において年金記録問題への取り組みを精力的に進めてまいります。さらに、通信・放送分野の改革を一層推進してまいります。

 以下、当面の重要課題について申し上げます。

 まず、行政改革の推進についてであります。

 二十年度の国の行政機関の定員については、五年間で五・七%以上、約一万九千人以上の純減目標の達成に向けて、行政機関全体で十九年度のおおむね二倍となる四千百二十二人の定員純減を行ってまいります。その中で、治安、徴税、安全・安心、総合的な外交力など、政府として重要な施策に重点的に定員を配分することにより、めり張りのある定員配置を実現いたします。また、この純減を円滑に進めるため、国家公務員の配置転換等の取り組みを着実に実施してまいります。

 独立行政法人については、総務省としても、昨年末に閣議決定した整理合理化計画の着実な推進等により、独立行政法人に対する国民の信頼を確保してまいります。随意契約についても、国における見直しの取り組みを踏まえ、原則として競争性のある契約に改めてまいります。

 国家公務員の人事行政についても、能力・実績主義の人事管理の基礎となる人事評価制度の構築に向けた試行の実施、官民交流の推進、早期退職慣行の是正、改正国家公務員法の円滑な施行などに引き続き取り組み、公務員制度改革の着実な推進に努力いたします。また、厳正な服務規律の確保と公務の適正な運営にも努めてまいります。

 政策評価については、重要対象分野として、総務省からの意見具申に基づいて経済財政諮問会議から提示された少子化社会対策に関連する施策や若年者雇用対策、農地政策に係る評価の実施を推進するとともに、新たに義務づけられた規制の事前評価の的確な実施を推進してまいります。

 また、現在実施中の随意契約の適正化などの行政評価等に積極的に取り組むとともに、国民の安全、安心の確保の観点から、国民の関心が高いテーマなどを新たに取り上げてまいります。

 行政不服審査制度については、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を充実させるため、不服申し立ての種類の一元化及び審理の一段階化等を行う改正法案を提出します。また、行政運営における公正の確保を図るため、一定の処分または行政指導を求める申し出の制度等を整備する行政手続法の改正法案を提出します。

 行政文書の管理については、適切な管理の徹底を図るため、昨年十二月に関係省庁申し合わせを行ったところであり、総務省としても、各府省において一層適切な文書管理が行われるよう必要な取り組みを行ってまいります。

 年金記録問題については、まじめに保険料を払ってこられた方々が正しく年金を受け取ることができるよう、引き続き年金記録確認第三者委員会における公正かつ迅速な調査審議を支え、年金記録の訂正に結びつけてまいります。現在、さらに審議体制の強化に取り組んでおり、本年三月末までに申し立てられた事案については、おおむね一年を目途に処理を終えることとしています。

 また、年金記録問題の解決に向けた対策等が着実に実施されるよう、年金業務・社会保険庁監視等委員会において監視を行ってまいります。

 次に、地方分権、地方行財政改革の推進についてであります。

 地方の自由度を拡大し、地方が責任を持って行政を実施できる「地方が主役の国づくり」を目指していくことが重要です。そのため、地方に対する義務づけ、枠づけの大幅な見直し、個別行政分野における国と地方の役割分担の徹底した見直し、地方への権限移譲、国の地方支分部局の抜本的な見直し等を行い、新分権一括法案を平成二十一年度中できるだけ速やかに国会に提出するべく、地方分権改革を推進してまいります。

 市町村合併については、本年十一月には市町村数が一千七百八十五となる予定でありますが、引き続き合併新法のもとで市町村合併を推進するとともに、合併後の市町村のまちづくりを支援いたします。

 地方行革については、集中改革プランの着実な実施を促すとともに、地方行革新指針に基づき行政改革を一層推進いたします。

 地方公務員について、能力・実績主義の徹底と退職管理の適正確保を図るため、地方公務員法改正法案を提出しています。

 地方公務員の定員については、引き続き、五年間で国の行政機関の五・七%の定員純減と同程度の定員純減の取り組みを推進いたします。また、給与につきましても、一層の適正化や、国の給与構造改革を踏まえた取り組み等をさらに徹底してまいります。

 地方財政については、これまでの健全化方針を維持しつつ、地方と都市の共生の考え方のもと、地方税の偏在是正により生ずる財源を活用して、地方の自主的、主体的な地域活性化施策に必要な歳出の特別枠、地方再生対策費を地方財政計画に計上し、地方交付税の算定を通じて、市町村、特に財政の厳しい地域に重点的に配分いたします。

 また、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税及び一般財源の総額を増額して確保いたします。

 あわせて、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の円滑な施行に努めるとともに、経営状態が悪化した第三セクター等の改革を促進いたします。地方の公会計については、必要な情報提供等を行うことにより、より一層透明性を高め、国民にわかりやすい財務書類の整備を支援してまいります。また、地域医療の提供体制を確保できるよう公立病院改革の取り組みを支援いたします。

 二十年度の地方税制改正については、税制の抜本的改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税を創設するための暫定措置法案を提出するとともに、個人住民税における寄附金控除の拡充、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例措置の見直し、自動車取得税及び軽油引取税の税率の特例措置の適用期限の延長等を行うため、地方税法等の改正法案を提出しています。

 地域社会を再生し、住民に安心を供給することが喫緊の課題であることから、中心的な都市とその周辺地域がともに支え合い、医療・福祉、教育、雇用、情報・文化、娯楽など国民の暮らしに必要な機能をしっかり確保することによって、人口の流出を食いとめる自立的な圏域のあり方について検討してまいります。

 魅力ある地方の創出を一層促進するため、「頑張る地方応援プログラム」において、地方交付税等の財政支援に加えて、新たに、地域活性化に取り組む市町村に対して、総務省職員の派遣、先進市町村や民間の人材の紹介、派遣、研修等を実施し、地域の人材の育成、活性化を支援してまいります。

 都市から地方への移住、交流の促進を図るとともに、時代に対応した新たな過疎対策を検討してまいります。

 個性的で魅力ある地域づくりには、地域コミュニティーの役割も重要であり、その活性化に努めてまいります。

 続いて、情報通信政策についてであります。

 人口減少社会に突入した我が国が、安全で安心して暮らせる社会を構築しつつ、今後さらなる成長力の強化と地域の発展を実現するためには、ICTの構造改革力の発揮が不可欠です。そのため、遠隔医療やテレワークなどICT利活用の促進を政府一体となって進め、それぞれの地域で安心して生活できる基盤の充実を図る一方、二〇一一年の完全デジタル元年に向け、デジタル放送への円滑な移行を着実に進めるとともに、ブロードバンドゼロ地域及び携帯電話不感地帯の解消を初めとするデジタルデバイド対策に努めてまいります。

 また、我が国経済を新たな成長軌道に乗せるため、ユビキタス特区における国際展開可能な事業モデルの確立や、新世代ネットワーク技術等の研究開発、国際標準化活動の推進など、ICT産業の国際競争力強化を進めてまいります。さらに、ICTによる生産性向上を図り、あらゆる産業、組織の競争力強化を通じて経済成長に貢献いたします。

 通信・放送改革については、国民・視聴者の信頼回復に向けたNHK改革を引き続き推進するとともに、新競争促進プログラム二〇一〇を踏まえた公正競争ルールの整備や、通信・放送の融合、連携に対応した総合的な法体系の検討、ブロードバンド・インターネットや携帯電話による映像配信を含めた放送コンテンツの競争力強化を進めてまいります。さらに、だれでも安心してICTを利用できるよう、インターネット上の違法・有害情報対策を進めるとともに、迷惑メール対策を強化するための特定電子メール法改正法案を提出します。また、電波の有効利用のため、電波利用料制度を見直すとともに、携帯電話の屋内基地局等の運用を柔軟化する電波法改正法案を提出しています。

 これらの施策を通じ、ICTの恩恵をだれもが享受できるユビキタスネット社会の実現に努めてまいります。

 電子政府、電子自治体については、利用者の視点に立った手続の見直し、改善等を進め、申請、届け出等手続のオンライン利用を促進してまいります。また、業務処理の効率性の向上、情報システム経費の削減を図るため、業務、システムの最適化を着実に推進するとともに、情報システムに係る調達指針の的確な運用に努めてまいります。

 郵政事業については、昨年十月一日に郵政民営化がスタートしましたが、今後とも、各承継会社において、過疎地を含む郵便局のネットワーク水準やサービス水準の維持、コンプライアンスの徹底、経営の健全性の確保が確実になされ、国民の皆様に喜んでいただける民営化となるよう、努めてまいります。

 また、本年七月開催予定の第二十四回万国郵便大会議においては、世界郵便戦略の策定や条約改正が予定されておりますが、これに積極的に貢献してまいります。

 国民の安心、安全の確保は政府の基本的な責務ですが、近年、自然災害や事故等が多発し、また、首都直下地震等の大規模地震やテロ災害の発生も懸念されており、消防防災体制の強化は急務です。

 このため、市町村の消防の広域化や消防団の充実強化、救急救命体制の充実、高度化、火災予防対策や高度な救助資機材の整備を推進するとともに、危険物事故防止対策の充実強化や緊急消防援助隊の機動力の強化等を図るため、消防法と消防組織法を改正する法案を提出します。

 統計については、新統計法の成立を踏まえ、基本計画案の策定など統計制度の抜本的改革を着実に推進してまいります。また、経済センサスなど産業構造の変化等に対応した統計の体系的整備を進めるとともに、ICTの活用等により統計業務の合理化、効率化に取り組んでまいります。さらに、独立行政法人統計センターの職員を非公務員化する法案を提出します。

 以上、所信の一端を申し上げました。

 委員長を初め、理事、委員各位の格別の御協力によりまして、各般の施策の推進に全力で取り組んでまいりますので、一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)

渡辺委員長 次に、平成二十年度総務省関係予算の概要について説明を聴取いたします。佐藤総務副大臣。

佐藤副大臣 おはようございます。

 平成二十年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計について御説明いたします。

 一般会計の予算額は、十六兆七千五百十億円であります。

 安定した経済成長と改革の推進のためには、成長力強化や地方の再生に取り組むとともに、行政改革を今後とも強力に推進し、二十一世紀にふさわしい、簡素で効率的な政府をつくり上げていくことが必要です。

 本予算案は、これを踏まえ、行政改革等の推進、新地方分権改革の推進、元気のある地域づくり、ICT分野の国際競争力強化、国民の安心、安全の確保等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。

 具体的には、まず、行政改革等を積極的に推進するため、政策評価制度、国家公務員制度改革の推進、電子政府、電子自治体の推進、新たな郵政行政の展開等の諸施策の実施に必要な経費として七十五億円を計上しております。

 次に、新地方分権改革の推進につきましては、地方交付税財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費として十五兆千四百一億円、地方特例交付金等財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費として四千七百三十五億円を計上しております。

 また、合併市町村が、市町村建設計画に基づいて行う事業に対する補助金として五十八億円を計上しております。

 次に、元気のある地域づくりにつきましては、「頑張る地方応援プログラム」の推進など地域の活性化に必要な経費として八億円を計上しております。

 次に、ICT分野の国際競争力強化につきましては、ユビキタス特区事業の推進、新世代ネットワーク基盤技術に関する研究開発などジャパン・イニシアティブ・プロジェクトの推進、ソフトパワーの強化など国際競争力強化に必要な経費として百五十五億円、デジタルデバイドの解消、地上デジタル放送への全面的な移行など地域活性化に向けたユビキタスネットワークの整備に必要な経費として四百七十二億円、ICT利活用の高度化、利用環境整備、技術戦略の推進に必要な経費として四百八億円を計上しております。

 次に、国民の安心、安全の確保につきましては、消防防災基盤の整備推進に必要な経費として百十五億円、文官及び旧軍人等に対して支給する恩給費として八千七十億円、統計調査の体系的な整備、提供を実施するための経費として三百五十六億円、年金記録への信頼回復を図るため、年金記録確認第三者委員会による年金記録に係るあっせんの実施などに必要な経費として四十八億円を計上しております。

 そのほか、政党助成法に基づき法人である政党に対し交付する政党交付金として三百十九億円、米軍や自衛隊の施設が市町村の財政に与える影響等を考慮して、基地交付金及び調整交付金合わせて三百二十五億円を計上しております。

 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計について御説明いたします。

 まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は五十兆九千四百四億円、歳出予定額は五十兆七千七百三十六億円となっております。

 歳入は、地方交付税及び地方特例交付金等の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、また、地方譲与税譲与金の財源に充てるための額を計上しております。

 歳出は、地方交付税、地方特例交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。

 次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は八百十六億円、歳出予定額は七百五十五億円となっております。

 歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上しております。

 歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。

 以上、平成二十年度における総務省所管予算案の概要の御説明を申し上げました。

渡辺委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役伊東敏朗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官齋藤潤君、総務省行政管理局長村木裕隆君、行政評価局長関有一君、自治行政局公務員部長松永邦男君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長小笠原倫明君、総合通信基盤局長寺崎明君、郵政行政局長橋口典央君、消防庁長官荒木慶司君、財務省主計局次長香川俊介君、国土交通省道路局次長原田保夫君及び自動車交通局次長神谷俊広君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 自民党の松本文明でございます。

 初めに、総務大臣にお伺いをいたします。

 消防士並びに消防団員、こういう方々の活躍は、火災発生時はもちろんでありますが、災害、遭難、犯罪捜査への協力、それら災害の予防活動等々、特に東京におきましては、暮れの大変寒い中、二週間でしょうか、夜、拍子木を打ちながら火の用心と回っていただいて、休む間もなく元旦、初参りの警備に当たられる。雪の降った日はちゃんと消火栓等々の雪を取り除く。豆まきのときには、これもまた警戒に当たっていただいております。町内会の防災訓練等々の指導、大変多岐にわたっております。

 しかし、こうした方々の活動に対して、国民の目線はといいますと、いまいち足りないというところがございまして、訓練をするにも訓練場所に事欠いておりますし、歩道等々、警察の協力を得ながら訓練をしておっても、通行の邪魔だとか、あるいはうるさいとか、苦情が絶えないわけであります。

 つい先日、渋谷区内で火災が発生をいたしました。その際、消火活動をやるに際して警戒線を張っておりましたところ、警戒線の中におれは金を出して駐車場を借りているんだ、通さないとは何なんだと大変なけんまくで突っかかってくる、こういう方々も、非常識と言えばそれまでなんですが、そういうことがたびたび起こっております。

 一体、地域は自分たちの手で守るんだ、崇高な精神に基づいて行われているこういった活動に対して、法的環境というのはきちっと整っているのかどうか。そこら辺について、大臣の所感をまず伺いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、この消防の皆さん方は、昼夜を分かたず、二十四時間、三百六十五日、緊張感を持って常に事に当たっていかなければならない。今お話ございましたとおり、社会情勢は必ずしもこうした消防活動に対して理解がある方向にはございませんので、その中で懸命に活動しておられる皆さん方、本当に大変な状況にあるというふうに考えております。

 法的な環境というお話でございましたが、これは、消防組織法と消防法という二つの法律においてこうした消防の活動というものは定められているわけでございますが、最近では、市町村の常備消防の体制の整備などを図るための消防組織法の改正を行ったり、あるいはサラリーマン等の皆さん方が消防団に入団しやすいような協力事業所表示制度を創設したりということで、その環境の整備に努めてきたところであります。また、今国会にも法案をお願いして、危険物事故防止対策の充実強化といったようなことをお願いしていかなければならないというふうに思っております。

 社会経済情勢が非常に変化をしてきている、それから、取り巻く皆さん方の協力意識というのもだんだん薄れていく中で、常に求められているこの防災に対しての役割というのは大変必要性が高いものでございますので、総務省として、こうした消防についての制度の整備、今の二つの法律を基本として、その整備に最大限の取り組みをしていきたい、このように考えております。

松本(文)委員 ぜひ、消防団員が警察官と同じ権利を持って消火活動現場での活動ができるという程度の法整備は早急に図っていただきたい、強く要望をいたしておきます。

 ところで、消防署あるいは消防団、これは全国くまなく組織をされている、こう思うのでありますが、その密度等々についてかなりのばらつきがあるのではないのかな、こう想像をするわけであります。現状がどうなっているのか、御説明をいただきたいと存じます。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年四月一日現在の常備消防の体制でございますが、全国で八百七の消防本部がありまして、この本部のもとに、消防署が一千七百五署、出張所が三千二百三十所ございます。消防職員は十五万七千三百九十六人となっております。十年前の平成九年四月一日時点と比較いたしますと、消防署と出張所の合計数では五十七カ所の増、消防職員は六千七百七十名の増となっております。

 常備化しております市町村は千七百六十五市町村で、市町村数では九七・八%、人口数では九九・九%に達しております。

 なお、山間地や離島におきましては非常備の消防がまだ四十団体ございますが、これも十年前に百十五ございましたので、かなり減ってはきている状況でございます。

 消防団につきましては、平成十九年四月一日現在、全国の消防団の数は二千四百七十四団、消防団員の数は八十九万二千八百九十三人でありまして、いずれも若干ずつでございますが減少傾向にございます。

 消防団は、ほとんどすべての市町村に設置されているところですが、未設置の市町村が現在二団体ございます。

 以上でございます。

松本(文)委員 消防団未設置の二町村というんでしょうか、二団体、未設置の理由がわかりましたら御説明ください。

荒木政府参考人 その二団体におきます考え方、私どもが現在聞いておりますところでは、消防の活動につきましては、やはり初期の初動態勢が重要ということで、常備化が図られているところから、消防団の必要性についての期待が余りできないという認識ですが、これにつきましては、私どもは、やはり消防団は地域に密着しておりますので、この認識はちょっといかがかなという気がいたしておりますので、このあたりは指導してまいりたいと思います。

 また、現実には、この二団体は大都市部の市でございまして、人口の転入、転出等が激しいということでなかなか団員の確保が困難である、こういったことを理由で挙げておられます。

 いずれにしましても、先ほど申しましたように、いざ災害があったときには、一番身近にいる地域の住民の方々が人命救助等に携わることが大事でございますので、地域の防災力を確保するという上で消防団の必要性は言うまでもありません。先ほど一番目に申しましたような即応性云々というような認識でこれを置かないというのはいかがかと思いますので、私ども、これはしっかりと指導してまいりたいと考えております。

松本(文)委員 過疎地で若者がほとんどいないよというところは物理的になかなか難しいということは考えられるわけでありますが、一定の人口を抱えているところでそういう状態を許してはならない、こう思いますので、積極的な立ち上げをお願いいたしておきます。

 ところで、消防署、消防団本部、分団本部、こういったところの規格基準、例えば警察署の交番あるいは駐在所というところでは、少なくともある一定規模がなければ認められない規格基準があるわけでありますが、消防署であるとか消防団本部であるとか分団本部、あるいは資機材の格納庫、こういったところ、あるいは整えるべき資機材というのはこういうものを整えるべき、全国一律の基準等がどう定められているのか伺います。

荒木政府参考人 消防署所の設置数や車両数あるいは消防団の動力消防ポンプの数等につきましては、消防庁が定めます消防力の整備指針によりまして市街地人口等をもとにその基準が定められているところでございますが、消防団の資機材やあるいはその格納庫等についての基準は特に定められていないところでございます。

松本(文)委員 東京の分団格納庫が古くなったから何とかしてほしいという要望が団員から数多く届くわけでありますが、どうも土地が、場所がないということなんですね。そして、それが建っているところというのは学校の校庭の片隅であったり公園の片隅であったり、本来他の行政財産として使われるべき場所が好意によって提供されている、地主さんの好意によって提供されているというのもあるわけでありまして、本来消防活動に使うべき行政財産としてきちっと整備すべきだ、私は強くそう思うわけであります。

 あわせて、どこかで災害が発生をしたとき全国の消防団員はボランティアとして駆けつけるわけでありますが、駆けつけたときの資機材がいつも訓練をしている資機材と違うよということになりますと、これもまた難しい話になるわけでありまして、やはり、全国の資機材はこういう規格基準によって、最低限、人口幾つに対して、あるいは面積幾つに対してこの程度は整えるべき、こういう計画を策定し、そして、それを何年間で整えるかぐらいの計画を早急に立てていただきたいということをお願いしたいのでありますが、これは大臣から答弁、やります、こう答えていただけるとありがたいですが。

増田国務大臣 今委員の方から、こうした資機材ですとか、それから行政財産の関係についても大変御心配をいただいたわけでございます。

 市町村消防の原則に基づいて、各市町村の方で地域の実態に即して計画や目標を策定していますけれども、やはり、消防力の整備指針ということを私ども示していますが、そうした指針や、それから各市町村の計画、目標がきちんと達成されるような、そういうもっと実効性のあるものがないと、今の状況の中で本当の意味での防災力の向上につながっていかないというふうに思います。

 これは、それぞれのいろいろな地域の実情は確かにあるわけで、私も消防庁の皆さん方といろいろ議論しているときに、あと、財政的な制約ですとか行政財産の取り扱いも、今お話ございましたとおり千差万別なものですから、非常に多岐にわたっているという実態もございます。

 ただ、私が知事をしておりました経験でも、いろいろ、今お話ございましたような広域的なものについて対応しなければならない場面というのは非常に多くなってきておりますし、そのときにあちこちの人たちに集まってもらって統一的に活動していただく、こういう必要性も大変高いものですから、何とかそういうものに対応できるような活動にならないものかどうか。

 時代がこれだけ変わってきていて、その中で実際には団員というか消防力が少なくなってきているということがあって、これはやはり国民の安全、安心の原点にかかってくることでございますので、私ども、体制の整備はもう大賛成でございますし、委員と全く同じ方向を向いて今後考えていける部分があるのではないか。

 まだ具体的に基準を決めてここを全部やりますというところまでなかなか、いろいろと検討しなければいけないというふうに思っておりますけれども、何とかこうした国民の期待にこたえられるように消防庁にも工夫をしてもらう、研究してもらうということで、私ども、とにかく体制の充実に向けて努力していきたいと思っております。

松本(文)委員 与えられた時間があと一分もありませんので、質問ではなく、強く要望をいたしておきます。

 東京で、消防団員が地域町内会の皆さんを集めて懇談をしながら町の安全を検討しようと思っても、その場所さえない、分団格納庫さえ、資機材をおさめる格納庫さえ十分でないという状況を、ぜひ頭の中にたたき込んでおいていただきたいと思います。

 国民の命を守る責任は国にあるわけでありまして、予算措置について、消防団あるいは地域ボランティアで救急活動をされる方々に対する予算措置が、地方団体の財政力によって差があるということであってはならない。ぜひ、きょうを機に調査研究を即スタートしていただきますことを強く要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 皆さん、おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 きょうは、十五分でございますので、ネット上の違法・有害情報、それから地デジについて、この二点についてお伺いをしたいと思います。

 インターネットはもうなくてはならない、これがなくては生活もできない、仕事もできない、こういう状況になっているわけでありますけれども、一方で、違法な情報、有害な情報の問題が大きな社会問題になっております。

 公明党としましても、これまでも違法・有害情報については、政府もさまざまな取り組みをしていただいているわけでありますけれども、もう一段その対策を強化してほしいということで、一月の十七日に、総務大臣に申し入れをさせていただきました。

 その申し入れに入れた中に、民間の方では違法・有害情報への対策の指針としてガイドラインをつくっていただいているわけでありますけれども、これをしっかりと時宜にかなった見直しをしていただく、また、事業者に対する周知活動など、こういった業界の取り組みをしっかりと支援をしてほしいということを申し入れさせていただきました。

 先日、一月三十一日に、民間の方で、業界の四団体の方だと思いますけれども、違法・有害情報に関する事業者相談センターというのが開設をされたと伺っております。これは主に、中小のプロバイダーの方、このガイドラインの内容を細かくまでわかっている方がなかなかいらっしゃらない、こういう中小のプロバイダーの方々に対して相談サービスをするということになっているわけでありますけれども、これは本当に重要な機能だと思いますし、聞いたところによりますと、まだ数人程度での対応というふうに伺っております。

 総務省としても本当にこれをしっかりと支援していくべきだというふうに考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 御指摘のこの事業者相談センターですけれども、私も、担当のところに聞きましたら、今、二人で何かそれに対応している、こういう話がありました。

 こうした問題についての相談体制、特に、お話がございました中小の事業者に対しての支援という意味では大変重要なものでございますので、私ども、こうした事業者相談センター、間もなく運営開始後一月がたちますけれども、そこでの相談内容ですとか、それから体制の問題等についてもお話をよくお聞きして、私どもとして支援できるところは最大限支援をしていきたい。

 以前から、ガイドラインをつくって事業団体の方でも運営してこられましたけれども、そこに我々がオブザーバーで参加して、ガイドラインをいろいろと見直したり、それから新たにつくったりするときも参加をしてまいりましたし、今、委員からお話がございましたとおり、一月に公明党さんの方からも、こうしたインターネット上の問題について、多様な観点からいろいろと実態を踏まえた申し入れもいただいているところでございますし、その中でも大変重要な柱になっているところ、私もいろいろその後勉強して、必要性等、十分認識を新たにしたところでございますので、御趣旨に沿って、総務省としてよくこの業界の皆さん方とお話をしていきたい、そして支援をしていきたい、このように考えます。

谷口(和)委員 ぜひしっかりと支援をお願いしたいと思います。

 それから、次の質問なんですけれども、先日、党の青年局で、違法・有害情報の通報を受けるインターネット・ホットラインセンターというのがあります。ここの視察をいたしました。

 ここは、いわゆる一般の方々から、こういう有害サイトがあるよ、違法サイトがあるよという通報を受けて、それを目で見て確認をして、それでプロバイダーに削除をお願いするとか、そういうことをやっているわけでありますけれども、この違法・有害情報というのは、もう御存じのように急増をしております。今後もずっと全部、一から最後まで目で見て、そして人手で確認をしていくということではなかなか追いつかないのだろうというふうに思います。

 そういう意味で、今後、違法・有害情報を、最後は人の手でやらなければいけないと思いますが、きちっと検知をできるような技術開発というのを進めていくべきだろうというふうに思っております。

 そういう点で、そういう動きも総務省としてもきちっと支援をしていくべきだというふうに考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 この技術的な問題でありますけれども、今お話ございましたような例で考えますと、例えば、サイトの内容を検索するときに、ある言葉がある、その言葉を手がかりに、その書かれている文脈に即して全体の意味を自動的に把握するような技術が仮にうまく開発されると、非常にこういった有害情報を、例えばその後フィルタリングをかけて、そして排除するというときに、迅速性にもかないますし、それから、いっぱいあるものを非常に全体を効率的に把握することができて、対策として大変有効である。

 担当のところといろいろ話をしました。例えば、サイトを、今、人手で「自殺」という単語から中身を見ていくそうなんですが、自殺を助長するようなサイトか、自殺を本当に社会的なために防止するようなサイトかということを、中身をずっと追っていかなければならない。ですから、そこを何かまた文脈全体を把握できるような技術を開発すると、一瞬にしていろいろなサイトの区分けができるということなのですね。

 ですから、これは技術開発のことで、しかも、民間でなかなか最初の立ち上がりの部分というのはビジネスにならないような部分が大きいと思いますので、私ども、中で議論して、これは総務省としてこういう技術開発の支援に今後とも取り組んでいこう、どういうやり方で取り組むか、今後よく我々としても考えて、そして一定の技術が我々でできれば、それを民間に開放して、民間の皆さん方の方でそれをビジネスとして何なりでいろいろ利用していただく、こんなことが必要ではないかと思っております。

 そういう方向で、今後よく検討していきたいと考えております。

谷口(和)委員 ぜひしっかりとお願いをしたいと思います。

 今、自殺とか、言葉自体も隠語を使ってやってみたり、我々、普通に見た感じでは全く連想ができないような言葉を使ったりとかということもあるようでございますので、しっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、地デジのことについて若干お伺いをしたいと思います。

 今のデジタルの受信機の普及というのは、二〇〇七年の三月時点で、もう一年前になりますけれども、約一千四百万世帯、普及率でいうと二八%程度。二〇一一年の七月が完全移行なので、四月までに全世帯に普及をするということが目標というふうになっております。

 チューナーについては、簡素化して五千円以下ぐらいまでに持っていきたいということなわけでありますけれども、アンテナについて、ちょっとここは見落としがちかなというふうに思っております。

 都市部では、今までアナログ、アンテナを立てなければいけなかったけれども、地デジになったら室内アンテナで対応できるというところもあるようですけれども、屋外のアンテナをかえなければいけないというところもたくさんあるというふうに聞いております。

 このアンテナの設置費用、大体一戸当たり、戸建てとそれからマンション、それぞれどれくらいかかるのか、まずお伺いをしたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 アンテナの設置費用でございますけれども、まず、戸建て住宅の場合でございますが、アンテナそのものの費用でございますが、標準的なものは五千円程度から販売されております。

 それから、アンテナを設置するための工事費用でございますが、これは、住宅の規模でございますとかその地域の状況によりまして工事条件も異なりますし、また施工会社の見積もりにもよるものと考えますが、通常の工事を行う場合には三万円程度で可能と聞いている次第でございます。

 また、集合住宅の場合でございますけれども、これは一般に、戸建て住宅に比べますと耐久性がすぐれた高品質なアンテナを使用する場合がございまして、三万円程度のものが設置されることが通常だと聞いております。

 それから工事費用。これは、戸建て住宅以上に施設の規模等によりまして異なりますけれども、昨年三月、業界団体でございます社団法人日本CATV技術協会というところがサンプル調査を実施しました。その結果によりますと、アパートあるいはマンションの共聴施設の改修が必要な集合住宅、これは全体の、このサンプルの全体ということでございますが、約五四%で、非常に古い住宅で線路の張りかえをこの際行うというような場合を除きますと、一世帯当たりの改修費用は、先ほどアンテナ五千円、工事費用三万円と申し上げましたけれども、その範囲に多くの場合はおさまるものと想定されているところでございます。

 以上でございます。

谷口(和)委員 大体三万五千円ぐらいかかると。

 こういう声をよく伺うんですね。地デジ対応のテレビを買いました、もしくはチューナーを買いました、ですけれども、家に帰ってきてスイッチを入れたけれども全く映らない、こういう声も現場を回っていますと伺います。要するに、アンテナをかえなきゃいけないということを知らなかったという例もあります。

 地域によっては全くかえなくてもいい地域もあるわけでありますけれども、受信機と同時にアンテナもかえなきゃいけないということを、地域の電器店さんであれば当然わかるわけでありますが、特に量販店さんなんかは広い地域の方々に販売をするわけで、この辺の周知徹底もこれからしっかりやっていかないと混乱が起きてしまうのではないかというふうに思っております。

 そういう周知徹底の点について、総務省としての取り組みを大臣にお伺いしたいというふうに思います。

増田国務大臣 この周知徹底ですけれども、デジタル放送の開始当初の段階でパンフレットを作成しまして、これで約百五十万部、このパンフレットを配布した。

 それからあと、例えばNHKですとか民放にもお願いして、どういうことが必要なのかといったようなことを放送を通じて視聴者の皆さん方にお知らせするということをやってまいりましたが、なおこうした徹底を図る必要があるということで、今実は作成中なんでありますが、量販店などを中心に、デジタル放送を見るためにアンテナの確認を促すパンフレットというものをきちんとわかりやすく中に盛り込んで、そして今後、でき上がり次第配布をする。特に家電の量販店など、それから電器店さん、メーカー等の皆さん方にそうしたパンフレットをお渡しして、そこでお買い求めになる方に徹底的に配布をして今の点について確認していただく、注意を促す、こういうことで取り組んでいきたいと考えております。

谷口(和)委員 ぜひしっかりとお願いをいたします。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の質問にさせていただきます。

 二〇一一年の七月完全移行ということで、今、総務省としてもさまざまな支援策を用意されるなど、全力を挙げて取り組んでおられるわけでありますけれども、私もこれはしっかりと完全移行できるように応援してまいりたいというふうに思っております。

 ただ、海外では予定を延期した例もあります。例えば、アメリカは二〇〇六年にアナログ停波を予定していたわけでありますけれども、普及率の目安の八五%に届かなかったということで二〇〇九年に延期をした。オーストラリアも二年から四年の延期を決めているという例もございます。

 特に、テレビ関係者の方々が非常に心配をされておって、もし停波をできなかった場合に、デジタルとアナログを両方走らせなければいけない。これはコスト的にかなり大変なことになるわけでありまして、最後に、二〇一一年七月の完全移行に向けて、必ずやるとの決意を改めて大臣からお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 これは、私どもとしては、とにかく全力を尽くして、あらゆる対策をとって、そして二〇一一年七月には切りかえを行いたい。送信側の対策、それから受信側の対策、もちろん、今お話ございましたとおりの、いろいろなアンテナの問題ですとかございますし、中継局の問題がございます。それから、経済弱者の皆さん方に対しての配慮も大変重要な問題で、それも今検討中でございますので、とにかくそうしたメニューを全部そろえて、そして二〇一一年七月には完全移行する。

 それ以降は、今度はまた新しい波を別の用途に使ったりなんなりという非常に重要な、そういうことにも移っていきますので、事細かにいろいろな対策をとるということは、委員詳しく御承知でございますから改めて申し上げませんが、とにかく私どもとしても、送信側、受信側の対策等をすべて完全に行って、そして二〇一一年に向けて万全の体制で取り組んでいきたいというふうに考えております。

谷口(和)委員 今大臣から、経済弱者の方々への配慮、対策等のお話もございました。お年寄りの方々にとってはテレビはなくてはならないわけでありまして、しっかりと二〇一一年完全移行できるように、全力を尽くしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。

 今、ねじれ国会というふうに言われておりますけれども、私は、ねじれというのは力だと思います。それは、例えばねじり鉢巻きというのがありますけれども、あれもねじっているから力になる、あるいは、ばねだってねじってあるわけです。だから、ねじれというのは力だというふうに私は考えております。

 その意味では、今回の道路特定財源の問題について、それぞれが余りしゃくし定規の議論ではなくて、同時に、それぞれのもともとの考え方に固執するのではなくて、建設的で柔軟な議論をこういう場で展開することが大切だ、そういう観点で質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、増田大臣は大臣になられてから、地方を再生しなくてはいけないということで、あちこちの現場を視察されておられるわけでありますけれども、それぞれの地方自治体の最優先課題というのは、ごらんになって、何だというふうにお感じになられましたでしょうか。

増田国務大臣 地方のそれぞれの地域を回って見ますと、経済が大変疲弊をしている、それから生活面で、例えば医師不足等の問題などがさらに深刻化をしているといったような問題、それから、ちょっとその先の経済の問題になりますと、その経済の部分については、特に基幹産業であった一次産業が著しく力をなくしているといったような声が多く聞かれました。

 地域によってそれぞれの重点の置き方は変わってまいりますけれども、そうした声は、多くは公共団体の財源が今非常に逼迫しているということによって、サービスもまたさまざま低下をしたり、それから非常に大きな、大胆な産業誘致の構想が描けないといったようなことにも起因をしているのかというふうに思っておりまして、地域の実情がさまざまなものですから、一概にどうのこうのということをこの場でもなかなかうまく表現できませんけれども、やはり多くの皆さん方、異口同音に、今のそうしたさまざまな問題に対して、何とかして地域の発想を生かしてそれを克服していきたい、そういう思いというか強い意気込みというものを感じてまいったところでございます。

玄葉委員 経済であるとか医師不足であるとか農林水産業であるとか、それぞれ地域によって最優先課題はまちまちである、あるいはトータルに考えていかなきゃいけない、こういうことだと思います。

 次に、それぞれの地方自治体の自由度とか裁量とか、そういったものが高まるということについてはいかがお考えですか。

増田国務大臣 分権型の社会が目指しているところは、こういった、全国にさまざまな自治体がありますが、でき得る限りそれぞれの自治体が自由な発想で自分たちの考え方のもとで自律をしていく、こういうことを制度的にもつくり上げていくのが分権型の社会の考え方だというふうに思っておりまして、その中では、権限ですとか財源ですとか、それからあと議会などでの条例制定権ですとか、そういうものをできるだけ地方公共団体の自主性、自律性といったものにつなげていく、こういう形できちんと整備を整えていくことだというふうに思っております。

玄葉委員 そうすると、今御答弁ありましたように、それぞれの地方自治体の最優先課題というのはさまざまである、同時に、自治体がそれぞれ権限、財源を有して、自由度、裁量が高まっていくことは大変望ましいことだ、こういうことだと思います。

 そうすると、仮に、この道路特定財源、これはこれまでも議論がございますように、国分、地方税分合わせて五・四兆円ある。地方分は、さまざまな計算の仕方があるでしょうが、九千億円プラス七千億円は最低限あるだろう、一・六兆あるだろう、こういうことですけれども、それらが仮に、暫定税率を残す形で、あるいは暫定税率を本則にする形で一般財源化される、あるいは、どこかで暫定税率分を使い道自由な環境税のような形で新税に組みかえて一般財源化され、地方の財源はこれまでどおり確保される、こういった考え方についてはどういうふうにお考えになられますか。積極的に賛成ですね。

増田国務大臣 今の道路の関係でありますけれども、国税と地方税と、それぞれ制度が非常に密接にリンクをしているということが一つあるのと、それから、これは私も知事をしていたときに、各ユーザーですとか道路団体の方から、やはり暫定的な税率を実際には課しているわけでありますので、そういうものについての使途、目的について、道路の整備のために使われているので、それ以外であればやはり税率を下げてほしいという実際の要望書ですとか、それから声というものを聞いてきたことがあります。

 ですから、この関係についていいますと、そういった使途がいろいろと自由になるですとかいうことに対しては、実際に納めている皆さん方納税者の理解とか、それからいわゆる受益者負担の考え方と、やはりあわせて考えていく必要があるのではないか。ですから、今お話がございましたとおり、暫定税率を維持して使途、目的を拡大するということですが、その維持してというところが実は使途、目的と非常に絡んでくるというところがこの問題の課題として一つあるのではないか。

 そういう使途拡大ということになりますと、今、もう政府として、国税についていえば、一般財源化というこの大きな方針は出ているわけでありますが、道路に関係する部分についてというふうに言っているのも、納税者の理解を得るためにそういう枠をはめているということなんだろうと思います。

 ですから、我々、地方税法案を今回出しておりますけれども、地方税につきましても、御案内のとおり、国の自動車重量税とは違って、これは当初から目的税にして道路に関係するところに充てる、道路整備に充てるということで納税者の理解を得ている、こういう性格のものでございますので、そうした道路税の経緯と、それから今の納税者の理解という点についてやはり十分考える必要があるのではないかというふうに私は思っております。

玄葉委員 意外な答弁をいただいたなというふうに思っておりますけれども。現実には、自動車諸税、関係している方々というのは、もうこれまでも議論がありますけれども、消費税並みに広いと申し上げてもよいのではないかというふうに思います。

 地方分権を推進する立場の総務大臣が、一般財源にしてこれまでと同額あるいはそれ以上の財源を地方自治体に確保させるということについて、いかがなものか、こういう見解を持っているというのは、私は非常に残念でならないわけでありますけれども、ございますか、どうぞ。

増田国務大臣 もう少しお時間をいただいて、敷衍して申し上げますと、やはりこの問題は、確かに一般財源か特定財源かというような大きな論点がありますので、これは十分議論する必要があると思うんですが、この道路整備の関係でいいますと、私は、道路整備の事業量ですとか道路整備計画が、どういうことであるべきなのか、あるいはどういう量なのか、ここが一番この問題の本質といいましょうか一番大事なところであって、地方分権の関係で申し上げましても、これだけの道路事業計画、地方の道路計画あるいは道路事業量というものが必要だということであれば、必ずそれを実行していくだけのきちんとした財源を手当てする必要があります。道路計画というものがあって、道路事業量というものがきちんと決まれば、それに対して完全にそれが不足することのない財源をきちんと手当てする必要がある。

 そうした財源を手当てする上で、大変大きなお金になりますので、それを一般財源という形で充当できるのか、あるいは担税力のある皆さん方に、特別に目的を定めてさらに財源を調達させるということでその全体を賄えるということであれば、それは特定財源という形で財源を調達するということも十分考えられる方法であって、それが今までこういう道路特定財源という形で、ユーザー、ガソリンを消費する皆さん方からお金をいただいていた趣旨だと思うんですね。

 ですから、そういう、計画ですとか事業量をきちんと、それぞれの地域でどれだけ必要なのかということがあれば、それに十分対応する。それを満たすだけの財源を確保する方策として、一般財源か特定財源か。そして特定財源でなければユーザーの納得が得られないということで今までこれだけのお金を調達してきたわけでありますので、これは分権の時代になっても、やはりこれだけのお金が必要で、それが特定財源という形でなければなかなかユーザーの理解が得られないということであれば、そういう方策をとって税収の確保を図っていただかなければならない。これはまた違う観点ではないか、こういうふうに考えているところでございます。

玄葉委員 よくわからないですね。ユーザーには当然理解を求めていくというのは、これは政治の意思として行う必要があるし、行えばいいわけであります。十二分に理解が得られると私は考えています。

 同時に、道路計画の話は後で申し上げますけれども、これは率直に申し上げて、先ほど御自身がおっしゃったように、それぞれの自治体が最優先とする課題というのはそれぞれなわけですよ。私もたくさんの陳情をいただきました。道路は、例えば救急車を運べないとまさに困るので、命の道路なんだ、こういうお話をたくさんいただきました。そういう面もあるかもしれません。だけれども、今の現状は、救急車で患者さんを運んだら病院に医者がいなかった。これもまた大変な実態なわけですね。ですから、道路だけが最優先する時代ではないということはもう間違いないと思います。

 そういう中で、それぞれの自治体が政策的な競争原理を働かせて、教育に使う、あるいは福祉に使う。道路に使うんだったら堂々と一般財源から使えばいいじゃないですか、堂々と。なぜそれが地方分権の推進をする総務大臣から言葉として語られないのか、不思議でなりません。

増田国務大臣 先ほど、医療ですとか産業の振興とか申し上げましたけれども、やはりそういうものの基礎というか基盤で道路があるということで、特に今まで整備がおくれていたところが今の時代も道路整備を渇望しているということ、しかも、今までどうしても、放射状の道路にしても大都市から中心に順番に整備されてきているということがございましたので、ちょうどそういった整備を必要なところがまだまだ地方にいっぱい残っていて、そこが整備されて初めて、工業にしても農業にしても、いろいろ産業の基盤が成り立っていく、こういうことではないかと思います。

 この計画自体については国交省の方でいろいろ議論しているので、余り私の方からも深入りすることは、ちょっときょうはあえて避けておきますけれども、いずれにしても、そういう道路の計画ですとか地方で今まで待たされてきた整備量というものがあるとして、そうしたものに対して必要な財源を確保するということが必要であるならば、それに一番合った形で、納税者の皆さん方が理解を得るような、そういう方策を出していく必要がある。

 ここが多分議論の、判断の分かれ目ということになるんじゃないかと思いますけれども、これだけの整備量がまだ必要で、それに対しての財源がまだ膨大に必要だと。五十九兆円の、マックスということで、この是非というのはまた別途国土交通委員会等でいろいろあると思うんですが、そういった五十九兆なら五十九兆、かつて六十五兆とか言われていましたが、それだけの、六十兆ぐらいの財政的な需要があるというか必要があるということであれば、それに沿った形でやはり納税者の御理解をいただいて、お金をいただいてこなければならない。今までそのために過去からああいう税率をお願いして負担をしてきたという経緯がございますので、これは十年後にどうかということは別です、十年後は別ですけれども、もし今の段階で、やはりそれだけの量が必要で、それだけのお金を徴収していかなければならないということで、それが一番納税者に理解を得られるということであれば、やはりそういう今までのやり方を延長してやっていかなければならない。

 そして、仮にそうした一般財源化をすることによって、冒頭私が申し上げました、道路を使う皆さん方から、それだったらもう税率を下げてほしいという声がいろいろ関係団体から来ているわけでございますので、そういうことで税率が下がって必要な税収が得られないということになると、さらにまた各地域での道路整備が将来に延ばされてしまう、こういうことではないかというふうに思っております。

玄葉委員 地方の自由度を高めたいと再三答弁されてきた総務大臣のこれまでの答弁と、私は矛盾するというふうに思います。

 さらに申し上げると、道路計画についてはちょっと後でお話をいたしますけれども、私が今回聞いているのは、一般財源化されて暫定税率が廃止をされるという場合についてお答えになっている部分も半分ぐらいあるわけですね、今、大臣の答弁は。つくれなくなっちゃったら困ると。一般財源化されてそれが本則になったり、あるいは、仮にという話をしているんですよ、本則になったり、暫定税率が残ったりした形で一般財源化され地方の財源が確保された場合のことを聞いているんですよ。それでもだめなんですか。そんなしゃくし定規の議論をするんですか。

増田国務大臣 これは正直、委員、なかなかお答えしにくい部分があるというのは、地方税法を今立法府に提案していまして、もし本則で書けるんだったら、やはり書いて提案するのが私らの趣旨でありますし、暫定税率を高く付すということは、そういう目的税化をしないと納税者の理解が得られないだろうという判断が私どもはあるので、それで立法府にお出しをしている。もし、今先生がお話しになったような形で納税者の皆さん方の理解が得られるというのであれば、それはそういう法律のつくり方にして出しております。

 この法案は御承知のとおり、地方税の部分も、設立当初のところから、これだけの税をいただくというのはやはり納税者の皆さん方に理解を得られないだろうということで、それで当初から目的税ということで地方税の部分は法律をつくり上げていますので、仮に今言いましたように一般財源化するということであれば、この地方税については法律の根底が当初から崩れてしまうので、やはりそれは当時の経緯からいっても税率を下げてお出ししなければいけない、こういう関係になっていると思います。

玄葉委員 冒頭私が申し上げたように、ねじれは力で、道路特定財源で与党と野党が歩み寄って一つの案をつくるという可能性があるわけですよ。だから、冒頭申し上げたように、余りこれまでの考え方に固執しないで柔軟な議論をしましょうと。だから私はあえて暫定税率に触れないんですよ。あえて触れないんですよ。前向きで建設的な……。まず一般財源化することがいいかどうかということの議論の整理をしなきゃいけないから申し上げているんですよ、あえて。

 だから、そのことについてどうかと。そんな、今まで法案を出しちゃっているから答えにくいというんじゃなくて、一般財源化されて、まさに地方の財源が確保されるという制度設計は、これからだってやろうと思えばできるんですよ、政治なんですから、国会なんですから、立法府なんですから。それは法案を修正する形だって何だってできるわけですよ。そこをやった場合、どうかと、こういうふうに聞いているんです。

増田国務大臣 この問題について、私の方で、一般財源化、それから特定財源ということについて申し上げますと、やはり一般財源化をすると、どうしてもこれについては税率の問題に響いてくるから、あえて目的税化をしてお出ししている、こういうことなんですね。

 確かに、立法府の方でいろいろな議論があっていいと思いますし、それから、私もあえて冒頭申し上げましたんですけれども、やはり地方自治体が自主的な財源というのを獲得していくということ、これはこれからの方向でもありますし、そして実際に各自治体も非常に多くのニーズを持っている、これも私十分に承知をしているところです。

 さらに言いますと、確かに六市町村が署名をしていなかったということでありますが、しかし一方で、これだけの一千八百近い自治体がこうした問題に対して意思を表示しているというのは、これも逆に言うと非常にびっくりするぐらいやはり高い率でございまして、恐らく、道路については、先ほど言いました産業振興ですとか医療とかそういった問題の非常にベースになっているものですから、それだけ皆さん関心も深く、あえて署名されていなかった方も、皆さんやはり税率の問題については非常にぴりぴりして、それについてやはり削減されることを心配しておられるということもございます。

 ですから、この問題というのは、一番大事なことは地方の道路整備の事業、量あるいは計画、どれなのかということから、それに沿った形で財源対策を私どもが責任を持って考えていく、そういうことが物事の筋道ではないか。

 一般財源化を全部行って、そして全部それでやるという、これも考え方としてはもちろんあるわけですね。一般財源化して全部そこで、自治体の自由でやるということですが、あえて申し上げますと、そうしていろいろ自治体に選択をさせた結果、仮に道路を選んだ自治体が前どおりの、今の我々がお出ししているような法案の結果による道路事業を整備できるかどうかといいますと、そこがやはり問題になってまいります。要するに、全部を一般財源化するということであればどうしても、税率を下げろ、そして歳入を当然減らさなければいけない、そういう圧力が高まって、結局、法の目的からもそこが崩れてしまいますので、仮に一般財源化をして道路を選んだとしても、その整備量が少なくなる。あるいは国が整備してくれる新直轄、ほかのものは料金であれしていますからいいですが、新直轄等も減ってしまって、また自分たちの整備する順番が後になってしまう。そこが一番自治体の危惧しているところではないかというふうに思います。

玄葉委員 いや、私は、結果として道路以外に回っても仕方がないし、それでいいと思うんです。私も地方で、さあ順番待ちだという、例えば高速道路なんかで、必要な高速道路はたくさんあると思いますよ。だから、そこはまさに道路の中期計画をきちっと精査すればいいわけですね。

 そもそも、それぞれの自治体の首長さん方が要望されているというのは、あなたの要望している道路がこのままではできなくなりますよと言われたら、それはだれだって陳情しますよ。もっと言えば、小泉改革でこれまで痛めつけられて、交付税交付金が三年間で五・一兆円減って、補助金、負担金が四・七兆円減って、税源移譲が三兆円だけだったから、そういう事態になっているんですよ、そもそも。

 本当は、私は、これまでの地方分権運動は何だったんだと、もう暗たんたる気持ちにさえなっているんですよ、はっきり申し上げて、今回の動きは。道路局の手のひらで全国が踊っている、中央集権そのもの、官僚主権そのものですよ。それに総務省の事務次官が何だか同調するような発言をして、各方面に訴えていくなんという、とんでもないですよ。政府の方針を説明するならわかりますよ。各方面に訴えていくなんて、これははっきり言って立場を超えています。そう思いませんか。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

増田国務大臣 結局、この問題、従来どおりの制度あるいは税率を維持して、そしてこういう計画をつくるのか、あるいは今の一般財源か特定財源かの問題について言えば、今委員もおっしゃいましたように、一般財源化をする、しかし地方の道路整備はそのことによってもっと少ない形で選ばせるかということにつながってくるのではないか。

 だから、やはり根っこは、地方でどれだけの計画あるいは進捗度でこの問題を進めていくのかというところに帰着をして、もし仮に地方の道路整備量が少なくて済む、そしてそれも多少、あるいは新直轄、国のやる分ももっと先に延びてもいいということで、そのかわり財源はもっと少なくてもいいですよということであれば、そういうことであれば、またその財源のところは新たに別のことを考える、そういう考え方もあるかもしれません。これは可能性としてはいろいろあると思うんですよ。

 ただ、今の私どもは、これはちょっと別のところでの議論になるかもしれませんが、五十九兆なりなんなり、六十兆近いそういう計画があって、それだけ財源が必要だというときに、今ある制度を変えてしまうと財源の調達ができなくなるということだと思います。

 ですから、繰り返しになりますが、そのことについて今、地方自治体が、全体的にはおっしゃったとおり交付税等も減ってまいりましたし、大変厳しい中で財源調達をしてきたということから考えれば、道路局の手のひらという、ここの見方もいろいろ分かれますけれども、首長としては、やはり地元の道路を整備するというのが最優先の課題で、なかなかそれをそうじゃないと言えませんから、首長としては。地元のそういうことからいえば、有権者から選ばれている中で違う行動は言えないので、そこはやはり温かい目で、決して手のひらの上で踊っているのではなくて、本心から心配をして、それで自分たちの道路が先延ばしされることを心配して、整備についてきちんと考え方を言っているのではないか。

 それを変えていく上で、立法府の方で、政治家同士で高い見地でいろいろ議論が行われるということでもございますし、そのことについてのいろいろな議長裁定もございますので、いろいろな議論があってしかるべきだと思いますけれども、その状況については、私はよく注視をしていきたいと思います。

玄葉委員 私は別に首長さんたちを、やじでありましたけれども、ばかにしているとかそんなことでは全くなくて、むしろ理解します、そうやって、予算を減らしますよ、あなたのところの道路はつくりませんよと言われたら、そうせざるを得ない、だから立場を理解します、こう申し上げているんです。

 ただし、こういう手法、体質は大問題ですよ。中央集権から地域主権国家にするというのは、間違いない、これからのこの国のありようですよ。そういうときに、まさに全く分権あるいは地域主権と逆行するような手法、体質で今回の議論が進んだということ自体が大変な問題だというふうに思います。私は、一般財源化するというのはもう当たり前の、改革の初歩だというふうに確信をしています。そういう改革の初歩もできないで、子供たちへの未来への希望というのは決して再生できない。

 余り時間がないのでとうとうと述べるつもりはないですけれども、この間、アメリカとソウルと上海とストックホルムと東京で、世代間幸福度調査というのをやった結果を見ました。そうしたら、ソウルも上海も、親の世代、自分の世代、そして子供の世代はそれぞれ、親の世代より自分の世代、自分の世代より子供の世代が幸せになるというわけです。ストックホルムもシリコンバレーも、親の世代と自分の世代は大体同じくらい、子供の世代も同じくらい幸せだろう、こういうふうに答えるわけです。東京はほとんどの人が、子供の世代は今よりも不幸せになるだろう、こういうふうに答えるわけです。それは、まさに今までの延長線上でだらだら惰性で行われてきた政治に大きな責任があります。まさにつくりかえをやらなきゃいけません。

 そのつくりかえをするときに、一般財源化なんというのは、私からすれば改革の初歩中の初歩ですよ。それもできないということに対して、本当に甚だ私は暗たんたる気持ちになっています。だから、柔軟に議論して、何とか与野党でより前向きな結論を得たいと思って、きょうも議論をしている。

 ちなみに、今回の道路中期計画の評価も聞きたいと思います。できるだけ端的に答えてください。

増田国務大臣 私も簡単に申し上げますけれども、まず、今お話のあったとおり、地方分権の中で、地方税の中でも、あるいは私どもも、岩手県としても、特別の目的税のようなものをいっぱいつくります。今も自治体でもいろいろ出てくると思います。ユーザーの理解を得られる中で、例えば産業廃棄物などの処理に充てるための産業廃棄物税などは、やはりそういった形で排出事業者等に理解を求める。ですから、一般財源か特定財源かとか、目的税か普通税かということについて、そういう分権型社会の中でいろいろ知恵、工夫を尽くして、それで一番これが納税者の理解を得られる、住民の理解を得られるということであれば、いろいろな目的税や普通税もあっていいと思います。

 これは一般論として私はそう思うので、そのことと、一般財源化が分権の初歩だというと恐らく、今道路の問題について一方でいろいろな無駄遣い等のことが言われている、私はもう本当に、道路特定財源を使っていろいろなことがあるとすれば、これはけしからぬことだし、すぐに正さなければいけないというふうに思います、それは私もそう思っているんですけれども、そういう中身の話等と、それから制度の問題は少し違うということだけ一言申し上げておきたい。

 それから、中期計画の内容については、これは主として国交省の関係でありますが、私はマックス五十九兆ということを言っておりますし、大きな方向で、財源が余っている部分について一般財源化をするということでありますが、そこをうんと切り詰めて、そして可能であれば、これは毎年毎年国会などできっちり見ていただく必要があると思いますが、そこを徹底的に見直しをして、少しでもそれが切り詰められることが現実問題として可能であれば、それを一般財源化していくというのは当然のことだろうというふうに思うところであります。

玄葉委員 各地方を視察されている大臣ですから、多分この中期計画も当然ごらんになったと思います。私も勉強しました。

 これをごらんになって、例えば、九九年の交通量で調査をしているんじゃないか、あるいは結論づけているんじゃないかとか、もっと〇五年は減少しているんじゃないかとか、こういう交通量の議論、あるいは費用対効果、あるいはその便益、こういった議論がほとんどなんですけれども、私は、それはそれで必要だと思いますが、一方で、交通量だけで道路計画をつくっていいのか、こういうことも実は思うんです。

 つまりは、これをごらんになってどうですか。私の個人的な感想、これは党というより個人的な感想を申し上げると、はっきり言って、これは大都市中心の計画に感じるんです。どうですか。

増田国務大臣 やはり道路ですので、これは計画をつくる際に交通量等も見るでしょうし、それからあと、そこを見ましたとき、コスト費用、BバイCですね、コスト・ベネフィット・アナリシスですか、それで見るときの便益をどのような範囲で見るのかということにいろいろな議論があって、単に経済的な便益ということだけでなくて、数字に全部うまくあらわせるのかどうかはあれですけれども、その土地土地が置かれている状況によって、やはり過疎地域でも、いろいろ交通量は少ないけれどもこれだけ大きな効果がある、そういったものを厳密にその中にカウントした、そういうものになっていてほしいなと。

 詳細の数値とかを責任を持って答える立場にもありませんし、それから手法についてよく知っているわけでもございません。国会の論戦の中なり、あるいはそれを私も見ましたけれども、それだけの話でございますので、これ以上申し上げられませんが、ただ、その上で、全体のネットワークですとか踏切の解消ですとか、それから医療の、命の道ですとか、十六だったか何か、いろいろたしか書いてあったかと思いますので、全体として見れば、大都市それから地方全体を見たものとしての計画であろう。

 ちょっと私もこれ以上のことをなかなか、計画をつくる立場じゃないので申し上げられませんが、そういう全体を見た計画だろうというふうに思います。

玄葉委員 私もちょっと調べてみたら、例えば東京の三本の環状線、例えば、首都高速中央環状線、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡道路、これが平成十九年以降の残事業費、約四・六兆円ございます。立体交差、これで二十二兆円ございます。多分、今後東京都だけで恐らくこの五十九兆円のうちの十兆円以上は使うんだろう、用地が高いですから使うんだろうというふうに思います。

 実際、さっき、受益者負担、こうおっしゃったんですけれども、実はガソリン税を最も負担していないのが東京都民ですね、はっきり申し上げて。地方の方がガソリン税を負担しているんですよ。自動車保有台数が一世帯当たり、福井県がたしか二・四台とか二・五台あって、東京都が〇・七とか八ですね。ガソリン税を負担していないところが実は一番便益を受ける、私はそういうふうに見ているんです、この道路計画を。

 確かに通勤地獄は問題です。問題です。例えば、中期計画を見ると、渋滞対策、あかずの踏切、これはイコール地球温暖化対策だ、こう言っているわけです。でも、本当ですか。本当に地球温暖化対策をするんだったら、道路を整備するんじゃなくて、公共交通機関こそ整備すべきなんじゃないですか。道路じゃないでしょう。みんなできるだけ電車に乗って、できるだけバスに乗って、そういうことなんじゃないんですか。本当にこのままの、現行の中期計画でいいんですか。総務大臣。

増田国務大臣 計画の妥当性の話になると、これはやはり国交大臣が責任ある立場で答えなければいかぬというふうにまず思いますが、今のお話、確かに事業費的には用地代も大変高いですから、今おっしゃった三環状などは、大変大きな、地方から見ますとびっくりするぐらいのお金がかかってはいます。

 一方で、これもよく言われている御批判の中で、私、岩手にいましたときに、なかなか厳しいことを言われるなと思っておりましたが、地方でつくっている道路というのは、もう本当に無駄遣いじゃないかとか、車もろくに走ってないんじゃないかとか、そういうところばかりつくって自分たちが一番損しているということを都会の人たちに言われたりという話も聞きました。やはり、両方でいろいろな言い方はあるんではないか。

 ただ、大事なことは、道路というのはつながっていないとだめなので、確かに地方のそういう道路を整備するということと同時に、これは人間の体でいえば血管と同じような話ですから、動脈とか静脈、とにかく、太いところとそういう毛細血管に至るまでがうまくつながらないと、血も流れないし、物流効果も出てこないので、確かに中心部のところのそういう道路についてのかかるお金は大変高いものですが、そのことによって、例えば岩手から大阪に行く、持っていく、物が環状道路を通ってぱっと流れるといったこともあるので、私、もうこれ以上、計画論についてですので、なかなか申し上げる見識とか知見もございませんから、やはり全体、一体として計画自体は評価をしていかなければならないんではないかというふうに思っております。

玄葉委員 例えば、総務大臣、やはり大いにこの問題を一緒に議論していかなきゃいけないのは、だって、東京一極集中を是正するという立場でしょう、基本的に。格差を是正するという立場でしょう、基本的に。ですから、そういう立場であれば、このまま単純に――公共交通機関ならまだともかく、道路で通勤地獄を解消させて、人をもっともっと東京に集めるという政策がこれからさらに出てくるわけです。

 しかも、もっと言えば、東京都は、御存じのように基準財政収入額が基準財政需要額を何と一・四兆も上回っているんですよ。そういう状況の中で、たかだか法人二税の一部を国に召し上げて、ほかの地域に渡した。一方で、福田さんに石原さんは、環状線をつくれ、わかりましたと約束させているわけですね。石原知事の高笑いが聞こえてきますよ、はっきり申し上げて。だから、これはやはり、もっと本当に国土全体のことを考えて総務大臣は積極的に発言していかないと、いつの間にか、もっともっと東京一極集中が加速しますよ、このままいくと。

増田国務大臣 この計画の、特に環状線などについては、恐らく国交省の説明も同じだと思いますが、例えば先生の御地元の福島あたりから、今一番景気のいい東海ですとか近畿圏に行くときの、その流通利便性をさらに上げていくということの効果。要するに、環状道路ですから、むしろ中にいる人たちよりも、外から入ってくるものがどういうふうに出ていくか、そういう意味合いの方が多分大きいのではないかというふうに思います。

 やはりこの問題で大事なことは、いろいろお話を今お伺いしましたし、こういった問題について建設的に議論していくということは大事ですし、それから、東京にすべての機能を集めるということが決していいとも思っていない。それぞれの地域を自立させる必要があると思っていますが、その大きな自立をさせていく上でのいろいろな、各地域で各首長たちが考えているものの計画がその中に入っているということですね。それは地方の場合に、各地域の考えております道路がその中に盛り込まれているからこそ、その財源が減ることに対して首長たちもいろいろ危惧を申し上げているんだろうというふうに思いまして、そういった地方の計画が全くなしに、首都圏とか東京だけの計画ということではなくて、全体を見た、つくり上げた計画ですから、そういう東京のための、あるいは大都市中心の計画ということよりも、むしろ全国にそういった基幹的なネットワークを展開するということの是非が問われているのではないか、一万四千キロの議論を聞いていましても、むしろそういったことの是非が問われているのではないか。

 もちろん総務大臣としていろいろ意見を言っているわけですし、財源の確保が安定的でなければいけませんから今のことを提案しているわけですが、やはり本質は、大都市なり地方なりでどういう道路をどれだけのスピード感を持って整備していくのか、そこの計画論が一番大事であって、それに沿った形での財源をきちんと調達していかなければならない、そこに私として一番責任を持っている、こういうことでございます。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

玄葉委員 計画論は計画論で、今申し上げたように、どのくらいのスピードでどのくらいの事業をどこで行うのかということは大いにやったらいいと思いますけれども、その前に、それは堂々と一般財源にして、本当に必要ならそこからつくればいい、ほかのサービスと競争原理を働かせたらいい、こういう真っ当な、極めて真っ当だと私は思いますけれども、そういう考え方がなぜ通じないのかということが、正直きょうはもう少し柔軟な議論をしたかったなという思いでおりますけれども、そういうことを申し上げたいということでございます。

 しからば、東京にはこういう形でかなりの投資が行われるわけでありますけれども、地方の再生をどうするのか、実際に。疲弊していた地域は再生する、こういうことを増田総務大臣はおっしゃっているわけでありますけれども……(発言する者あり)地方の再生ですね、地方の再生をどう図るのか。(発言する者あり)

渡辺委員長 委員の皆さん、ひとつ静粛にお願いします。

 玄葉君。

玄葉委員 私、増田プランというのも拝見をしました。あれはあれで私否定しません。大いにやってください。

 ただ、私がそれぞれ全国を回ってみて感じていることを一言申し上げたいんですけれども、今求められていることは、そういった増田プランのようなものもあっていいんだけれども、もっと根本的なこの国の基本政策の転換、再設計だと思います。先ほど医師不足の話とか農林水産業の話をされましたけれども、そういったところが抜本的に再設計されない限り、正直言って、この国の、限界集落対策も含めて、地方の再生というのはかなりきついなというふうに感じています。

 何が申し上げたいかというと、私が総務大臣に期待することは、増田プランもいいんですけれども、他の閣僚と議論をするときに、もっと基本政策の再設計にまで踏み込まないと地方の再生というのはできませんよということを、総務大臣なのですから、地方の再生を担当する大臣なのですから、言っていただきたい、そのことを申し上げたいのです。いかがですか。

増田国務大臣 地方の再設計というお話でございましたけれども、医師不足についてもそうでありますし、産業の問題についてもそうですし、コミュニティーが崩壊しているような非常に多くの地域が見られますし、それから、そのことによって国土保全機能も著しく低下をしている、そういうこともございます。

 ですから、今この時期で何か手当てをきちんとしないと、限界集落というのは、もう限界どころか消滅してしまう、こういう時期でありますし、それなりの危機感を持って、みんなが本当にそういう地域を共生の考え方でどうやってお互いに支え合っていくのかという立場に立たないといけない。ですから、そこはもう都市も地方も、区域を、あるいはそれぞれのエリアとかテリトリーを超えて協力しなければならない、こういうふうに思っているんです。

 そういう立場に立って、今、閣僚なり他の省庁にというお話でございましたが、まさにそういう形で主張をして、大分、他の省庁もこういう地方の問題、危機感は、これは程度問題もあるかもしれませんけれども、考えるようになってきたというか、他の閣僚もいろいろ協力するようになってきたのではないかなという気はします。

 もちろん、それがいいとかいうつもりはなくて、常にもっともっと根本に立ち返っていかなければいけないというふうに思いますが、今のままでは地方がもう完全にひどい状況になってしまう、単に効率性だけで押し切れる問題とは到底違うということの認識は十分にそれぞれのところに出てきているのではないかというふうに思っております。

 だからこそ、ああいう再生戦略だとか、それから今回の地方再生費のことについても財政当局も認めた。普通ですと、交付税なんかでは全部、偏在是正を税でしますとその分減らされるということでございましたが、別途の歳出の必要性は理解をしたということもございます。

 しかし、それだけでいいということじゃなくて、まだまだ、もっともっと私も努力しなければいけませんし、それぞれのところで理解をもっと深くしてもらわなければいけないということであります。この点についてはいろいろ、きょう御出席の委員の皆様方のお力もいただきながら努力していきたいと思います。

玄葉委員 現在の延長線上ではなかなか、残念ながら、再生するというわけにはいかないだろうと思います。我々も、農業政策については具体的に法案にして提案をしています。いずれ林業政策もやらなきゃいけない、エネルギー政策もそうだと思います。

 例えば東京都と青森で、新しく高校を卒業する人たちが、有効求人倍率というのがありますけれども、新卒高卒者、これは何と二十六倍開きがあるんですよ。どのくらいの仕事を選べるか、二十六倍ですよ。これはもう尋常じゃないんですよ。

 そのくらいの状態になっているときに、道路計画ばかりではありませんけれども、今のような東京一極集中を加速させるような政策を続け、抜本的な地方再生策が講じられないでいるという現状に対して、我々は甚だ危機感を抱き、具体的な提案をそれぞれのテーマについてさせていただくということにしたいというふうに思います。

 本当は道州制の議論とかいろいろな議論をしたかったんですが、最後に、せっかくですから、例の分権改革推進委員会が地方の支分部局、出先機関、私は将来的に廃止していいと思っていますけれども、これを縮小することについてゼロ回答だと。甚だ不見識な回答をしているわけですけれども、総務大臣として、これはメルクマールですから、リーダーシップをとって、しっかりここは、出先機関を廃止縮小するということでまとめていただけますね。

増田国務大臣 分権委員会の議論、私も議事録で見ましたが、答えを見ますと、やはり理由になっていない回答が多いのではないかというふうに思います。

 分権委員会の方でいろいろ理屈を整理されると思いますし、最終的には、縮小して、廃止できるものはやはり廃止をしていかなければいかぬというふうに思っていますので、向こうの分権委員会ともよく御相談したいと思いますが、その上で整理をされた勧告をいただける予定になっておりますから、それについて実現に全力を挙げる。出先機関については、知事の段階でも、二重行政になっている部分が大変多いなというふうに思って、改革の必要性は私も前から思っておりましたので、そういう分権委員会のお力添えもいただきながら、この問題に当たっていきたいというふうに思います。

玄葉委員 終わります。

渡辺委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 ただ、きょうの委員会でありますけれども、大臣所信の後にすぐ質疑だということは、これは例外中の例外ということで心にとめていただきたい、こう思っております。

 それではまず、地方財政の基本課題ということで質問していきたいと思います。

 知事から華麗に総務大臣に転身しまして、そして、最初の予算にかかわる所信であります。知事としては地方分権あるいはまた三位一体改革などリーダーシップを発揮してきたということでありますけれども、地方にとって厳しい財政状況の中にあって、なぜか所信は、総花的といいますか、一体何をやりたいのだというところがちょっと見えないところがあるわけでありますが、全国の知事あるいは市町村長に向かって頑張れと、どんなメッセージを伝えたいというわけですか。

増田国務大臣 どういう頑張れというメッセージを伝えたいかという話でありますが、まず一つは、これは前任の菅大臣のときから総務省としても心がけてきたようでありますが、みずからの意欲と創意工夫によって本当に努力しようという自治体に最大限さまざまな支援をしていくというか、国が支援と言ってその自立を阻むようなことになってはいけませんが、そういう意欲とか創造性に富んだ自治体を最大限応援していきたい、これが一つ。

 そうはいいながら、しかし、医療の質を維持するにも何にも、行革、行革のあげくに、本当に財政が疲弊し切ってしまって、そうした意欲とか創造性をかき立てるだけの財源的な裏打ちもないという自治体も多うございますので、そうしたところには、今回、地方再生対策費ということで、交付税の額をふやしたり、あるいは一般歳出総額を久しぶりにふやしましたが、そういう形で、きちんとそこの財政的な需要を見積もって、そうした懸命に努力しているところに追いつけるような、そういう基本的なところはきちんと財政的な面を措置したいということ。

 その上で、先ほど玄葉先生からもお話がございましたけれども、地方再生戦略ということで、実は、各省がさまざまな地方向けのメニューはいっぱい持っておりますが、そういったものが総合的にそれぞれの地域にきちんと当てはまるように、地方再生戦略は地方再生担当大臣としてまとめたものもございますので、これは短期間でございますのでまだまだ不十分でありますが、そういった地方再生戦略という各省の支援の手段というものもあわせて行うことによって、今、どうも元気がない、しかし、気持ちだけは何とかしたいと思っている自治体が大変多うございますので、そうしたところの期待にこたえていきたいというふうに考えております。

黄川田委員 ことしはねずみ年ですから、ちょろちょろと政策を展開するような感じで、何か大きなメッセージが本当に必要だなと思っているわけなんですよ。各省庁をぶっ壊してでも地方のために命をかけるとか、そういう大きな発言もいただきたいと思ったのでありますけれども。

 現状の地方の一般歳出をちょっと見てみたいと思います。

 平成十一年度、これは決算ベースでありますが七十九・一兆円、ピーク時と言われていますけれども、それから、平成十七年度には六十七・六兆円、マイナスの十一・五兆円、マイナスの一四・六%であります。これは、さまざまな自治体がありまして、都道府県で見れば、財政力指数が〇・三未満の団体、これはマイナスの二四・三であります。これは十四団体あるわけでありますけれども、ちょっと挙げてみますか。山形、大分、佐賀、和歌山、青森、岩手、鹿児島、沖縄、宮崎、長崎、秋田、鳥取、高知、島根のこの平均がマイナスの二四・三であります。委員の中にも自分の都道府県だなというところがあるかもしれません。

 それから、市町村であります。これは五千人規模の町村、百九団体の平均なのでありますけれども、これもマイナスの二四・九ということであります。これが現状であります。

 それから、大臣が知事のときでありますけれども、岩手の予算、九千億を超した。それから主要な財政調整基金、これも、合わせると一千五百億ぐらいあったはずであります。そのときの地方債残高は七千億ぐらいだと思っております。

 今の現状は、前の衆議院議員、達増さんが知事になりましたけれども、予算編成、六千五百億であります。三千億ぐらいの規模の縮小であります。そして借金は倍になりました、一兆四千億円ですか。それから、財政調整基金はもうわずかであります、今年度も取り崩しまして、百五十億ぐらいであります。三年間の見通しということで、三年後には五十億ぐらいになるのではないか、こういう状況であります。そういう状況でありまして、何とかプライマリーバランスだけは黒字にしたいということでありましたけれども、お金がないものでありますから、政府も臨時財政対策債を発行せよ、こういうことになりまして、結果としてプライマリーバランスは赤字ということであります。

 そういうことで、現達増県政にもエールを送っていただきたいのでありますけれども、住民ニーズもふえているということで、もしこういうふうな状況の中で引き続き増田大臣が知事という職責であったならば、こういう厳しい中でもこうやったらいいんじゃないのかというのを、参考までにお聞きいたします。

増田国務大臣 私が初当選したときに先生が県議で、ずっといろいろと御指導いただきながら先生とともにやってまいりましたので、岩手県の財政の状況は一番御存じだと思います。

 あのころ、やはり議会の方からもいろいろ御要望がございまして、公共事業も随分行いましたし、借金も随分多くなりました。これは、最終的には私と議会との判断ということでありますが、やはり全体の公共事業、景気対策という大きな流れの中でいろいろな事業をやってきたことが、次に引き継がれた今の達増県政にもいろいろな影響を与えているということだろうと思います。

 そうした中で、なかなか今の状況、その後、私も詳しく知っているわけではありませんけれども、聞いておりますと、近々に、今週中ですか、東芝の大変な設備、固有名詞をちょっとここで言ってはいけないのかもしれませんが、そういう大変大きな、新聞情報ではそういうことが出ておりましたのでお許しいただきたいと思うんですが、七、八千億になるような新たな企業誘致も決定するやに聞いておりますし、それから、それ以前に、これは私のときからも、自動車、今三十六万台体制にたしかなっていて、あのあたりは自動車中心の産業振興。それから、あわせてもう一つ、今言いました半導体の誘致をずっとねらって、それが決定に至るようでございますが、大変よかったなと思っています。

 そういう伸ばすところ、求人倍率を伸ばして、本当に地元の雇用にもつながり、それから地場の企業の技術レベルアップにつながるようなところなどは、これからもねらいを定めていろいろやっていく、まだほかにも要素がございますので、いろいろ御工夫をされて、そちらの方には随分めり張りをつけられたというふうにこの間も伺いまして、平泉の世界遺産等もございますし、そういうことで、多分、伸ばすところは伸ばす、それから一方で、減らすところはいろいろ減らしておられるのではないかと思います。

 大変厳しい財政事情の中でのやりくりでございますけれども、今こういう中で他との競争に勝ち抜くことが県として大変重要でございますので、そうしたいろいろなめり張りをつけられて財政運営をされるということを大いにやっていただくということが、アドバイスになるかどうかわかりませんが、一つ必要なのではないか。

 そして、そうした中で、総務省としても、基盤となる県財政を支えるための措置については、この数年間ずっと全体の一般歳出も減らす方向で考えてきた、それを、やはりきちんとした歳出を見積もるということにいたしましたので、その点については、これは全体のことになりますけれども、そういう各地域の実情をよく酌みながら、総務省としても考えていきたいと思っております。

黄川田委員 それから、地域間格差について、これまた衆議院の総務調査室の資料から見てみますと、地方公共団体の一人当たりの地方税収額、これは都道府県プラス市町村の額なんでありますけれども、これの最大の団体の最小の団体に対する比率でありますが、平成元年度は四・七倍、平成二年度が四・五倍であります。そして、平成十七年度は三・二倍であります。

 これを見ますと、バブル期でありますか、地域間の財政格差、本当にあったわけでありますけれども、しかしながら、格差はあっても、豊かさの中での格差ということで、まだまだ国民にとっても、地元の県民にとっても容認できるところかなというところがあったかもしれませんけれども、現在の格差は、これはもうとても耐え切れないというふうな格差だ、こう思っております。

 先ほど来総務省は、地方分権改革あるいはまた地域活性化、さまざま具体のメニューを並べておりますけれども、格差の中で本当に厳しい自治体は何をやればいいのか、どうしたらいいのか。

 それから、大臣は、定住自立圏構想ですか、こういうものの勉強会も立ち上げたということだと思いますけれども、どうも、理論、議論はいいんですが、財政的な裏打ちはまた別ですよみたいな話もされているみたいであります。その辺ちょっと重ねて、厳しい団体に対する支援の仕方をお尋ねいたします。

増田国務大臣 先ほど委員の方から、この間の平成十一年から十七年までの一般歳出の削減の数値の御提示がございました。その中で、お話ございましたとおり、特に問題になりますのは、県もそうではありますが、市町村の中で人口五千人以下の町村については、全体の削減が一四・六の中で二四・九ですか、要するに、小さなところほど、そういった削減、切り詰めをしていかなければ財政が回っていかないという現状があるわけでございますので、ここをきちんと支えていかなければならない。したがって、それが、財政的な格差を埋め合わせなければいけないというふうに私が考えている大きな要因でございます。

 今回、地方再生対策費、全体の規模についてはいろいろ御議論あると思いますが、それを市町村、特にそうした厳しいところにウエートをかけてそれを配分していかなければならないというふうに考えているところもそこでございまして、まず総務省としては、そういう一番の基礎のところに対して総務省としてきちんと目をかけるんだということを対外的に表明することが大事だと思っております。

 その上で、そのほかにどういう手だてをするかということで考えまして、今、定住自立圏構想ということで、地方から人口が都市部に流出することを何とか近隣の区域で食いとめるような、そういう定住自立圏構想というものを考え始めたわけであります。

 これはまだ今検討が緒についたばかりでありますので、そういう中でどういう機能をそれぞれの地域が備えていくかという議論でございますが、この議論が進んでいきますと、それぞれ各省に対してその課題をもっともっと具体的にぶつけていかなければならないと思いますし、それから、そのことについて財源的に不足があるということであれば、総務省のみならず各省からも財政当局に予算を要求するという段階までつながっていくものというふうに考えます。

 まだ今の段階では、それぞれの圏域を小さな圏域でとらえるのではなくて、やはり県の中でも幾つかの圏域、岩手でいえば例えば四圏域なら四圏域の中で、人が仙台とか東京にばかり出ていかなくて、その圏域の中で相互補完によって若い人たちの雇用、居住の場を新たに見出し、つくり出していくような努力を重ねるとか、あるいは隣圏との協力で新たな雇用の場を拡大していくとか、そういう自立できる圏域を、市町村単位じゃなくて大ぐくりでとらえて、その方策を今検討し始めているところでございます。

 財政論ありきでこの問題をとらえるということではなく、結果として、幾つかのものは当然財政的な問題にも結びついていくということになろうかというふうに思っています。

黄川田委員 あと、先ほど地方の一般歳出の削減についてお話をしましたけれども、もう一つは経常収支比率、財政規模が小さくなって、中身の問題。平成元年あたりには七〇ぐらいだと思うのでありますが、平成十七年度あたりは九〇を超すというような状況だと思います。この経常収支比率、七〇と九〇で、どっちがどうなんですか。これは、政府参考人、ちょっと通告していませんが、当たり前の話でしょうから、御答弁いただけますか。七〇と九〇で自由度がどちらがあるんですか。裁量権はどうなんですか。学校のあれなら、九十ということで点数がいい方がいいかもしれませんが、どうなんですか。では、大臣、答えてください。

増田国務大臣 参考人で財政関係がわかるのがちょっといないので。

 もちろん、七〇の方が自由度は高まりますし、それでいろいろなことができる、創意工夫が財政的には発揮できる、こういうことでございます。

黄川田委員 逆に言うと、今九〇を超しているわけですよね、市町村と県でも比率でまた違うところがあるかもしれませんが、財政規模が縮小されて、自由度のない予算で、そして頑張れ、頑張れですものね。

 それから、大臣も隅々歩いて、限界集落、全国どこにもあるような状況になって、格差も相対的な格差から絶対的な格差ということで、国もマクロの見方だけじゃなくてミクロと一緒に同時進行で見ていかなきゃならないということでしょうが、せっかく知事から大臣になったんですから、今までの持っている考え方をしっかりと政策に反映してほしいわけですよ。地元の県議なんかは、大臣は知事時代よりも滑らかな答弁になったなと。皮肉を言われましたよ、私も。総務省のレクチャーが大分きいているんじゃないのか、自分の生の声をしっかりと出す機会が少なくなったんじゃないのか、こういうふうな感じであります。余りこんなことを言っていますと時間がたちますが。

 最後に、やはり大臣に期待しながら、地方分権改革の流れでありますけれども、先ほど玄葉委員さんからもお話がありましたが、各省庁の抵抗、本当に物すごく強いわけであります。そしてまた、大臣は知事時代に、分権改革推進委員会の委員長代理でありますか、こういうのを務めながら、次は第二期改革だということで頑張らなければならないという形の中でみずから奮い立たせていたと思うのでありますけれども、第二次の地方分権改革、何か検討スケジュールがちょっと遅いような感じがしますし、ちょっと心配な面があるのでありますけれども、その部分と、それから、第一次改革は、三位一体改革等、本当に成功だったのか、その辺をしっかりととらまえていないと第二期改革に進めないと思いますので、その辺の所見をいただきたいと思います。

増田国務大臣 まず、一点目のスケジュールですけれども、御案内のとおり、決められているのは、十九年四月に委員会をスタートして、三年間の設置期限がありますので、二十二年の三月までに一括法を提出する、こういうスケジュールになって、それで分権改革推進委員会の方で今検討が進められていますが、ことしになりまして、順次、春以降勧告が出てくるということになっています。これは、丹羽委員長とも議論をして、春以降、政府の方に勧告を出すからと、こういうスケジュールになっております。

 全体としての検討のスケジュールをできるだけ、可能な限り前倒しをしていただいて、私どもが国会の方にお出しする法案も二十一年度のできるだけ早い時期にお出しをしたいな、こういうふうに思っておりますが、そのあたりは、推進委員会の方でも十分そのことを踏まえながら今後スケジュールを進めていかれるものというふうに期待をしております。

 それから、三位一体改革でありますが、これについては、理念的なものを、これは知事時代も是として、地方の自由度を財政的にも高めるということで、そのような期待感が大変大きかったことは申し上げました。この場でも申し上げましたが、結果として、補助金の、補助率の変換など、根っこから廃止に至らずに、そういった根っこが残ったままになってしまっているということが自由度を高めることに至らなかった。それから、あわせて、補助金の全体の量が減らされ、地方交付税がそれ以上にまた減ったということによっての財政逼迫を招いたという点が、各公共団体にとって、この問題について非常に今苦しんでいることにつながっていると思います。

 ですから、二期改革でやるべきことを今もう一度議論し直しているわけでありますが、まず、社会保障などについても国、地方の役割分担が大きく変わってきますから、役割分担をもう一度きちんと議論をして再整理した上で、それに必要な補助金のあり方、それから地方の自主財源のあり方等について、この推進委員会の中でその理屈立てをきちんと立てていただくということを行い、そしてその上で、その勧告に従って私どもも議論を進めていきたいと考えております。

黄川田委員 ちょうど時間も半分を過ぎましたので、それでは次に、年金と公共サービスに関して質問していきたいと思っております。

 平成十二年四月に地方分権一括法が施行されまして、機関委任事務が廃止されました。この制度の前提として成り立ってきた地方事務官制度も廃止されたところであります。

 ところで、大臣が知事に就任した当時は機関委任事務があったわけなのであります。年金もそうだと思います。そして、県庁にも年金担当の組織があったはずであります。

 そこで、県庁の年金課の役割を当時どのように認識していたか、また、社会保険事務所も含めて、年金にかかわる県の組織はどういうふうな機能が発揮されていたか、お尋ねいたします。

増田国務大臣 私が知事に就任しましたのは平成七年ですから、その当時、県庁に他の県と同じように国民年金課というのがあって、そうした課が社会保険事務所とか市町村の業務指導等を行う。それから、一方で、県内に社会保険事務所があったわけですが、そちらの方で、実際の個々人の給付決定とかそういうことを行う。そういう役割分担で、例の地方事務官の皆さん方が県庁の職員といいながらそこで働いていたわけですが、県の国民年金課それから県内の社会保険事務所というのはそういう役割分担で仕事をしていた、こういうふうに理解しています。

 ちょうど委員もいろいろ県の方におられたので御承知かと思いますが、あれは、地方事務官制度ですので人事権は私にないんですね。人事権はなくて、それは主務大臣の方にある。それから、お金も、給料も国の方から支弁されている。ただ、地方事務官に対する指揮監督権は知事が持っている。こういう中で仕事がなされていましたので、仕事の中身について聞く機会というのは年の初めの業務説明のときぐらいにほとんど限られていたわけですけれども、制度の役割分担としてはそういう形で当時行われていた、こういうふうに記憶をしております。

黄川田委員 大臣お話しのとおり、予算と人事権は主務大臣にある、そして指揮監督権というんですか、それは私にありましたということでしょうが。

 この年金も、三層構造といいますか、国があって、県があって、市町村がある。役割分担ということなんでしょうか。でも、機関委任事務として国から言われてやらなきゃいけないという事務になって、市町村であれば国民年金徴収事務を任されていた。国は国で社会保険事務所がある。その中に県にもかかわらせなきゃいけないという中で、交通整理の役ですか、国民年金課ということなんでしょうけれども、最終的な年金にかかわる責任といいますか、個々の責任は役割分担だなんて言うかもしれませんが、最終的にはそういう機関委任事務時代でも年金はどこが持たなきゃいけないということなんでしょうか。

増田国務大臣 最終的にというのは、当時ということですか。(黄川田委員「当時です」と呼ぶ)当時はやはり、それは主務大臣がそれについてのきちんとした責任を果たしていかなければならない、こういうことであったと思います。

黄川田委員 そこで、国がしっかりやらなきゃいけないと。地方分権一括法で、市町村の機関委任事務であった国民年金は国がやるということ、地方事務官も、国の厚生事務官というふうな形で仕事をするということになったんでしょうけれども。その間に、この国民年金は国が持っていくということの中で、自治体とすれば、これは国の仕事だ、県も自治体の一つですから、やはりそうあるべきだということを感じますか。

 いろいろな議論はされたと思いますが、大臣からしてみて、国民年金課はなくなりましたし、それから市町村の国民年金事務も国が持っていったという話なんですが、この移行についてはどういう認識ですか。大臣個人の認識で構いません。

増田国務大臣 これはやはり、年金業務というのは国の大きな責任ある仕事だろうと思うんですね。ですから、地方事務官という皆さん方を介在して、それで指揮命令系統が若干、一応法律上は決められていますけれども、十分に行き渡らない中で行われているというよりは、国なら国がきちんとその仕事をする。これは、組織としても、それから指揮命令系統も責任の所在もはっきりする上で、その方がいいのではないかというふうに思います。

 ただ、年金の徴収とかいろいろなサービスが全国で行われる体制というのは、本当に社会保険庁なりなんなりの方で整っているかどうかということとも絡んでくるので、当時議論があったときに、徴収業務なりなんなりも社会保険庁の方で全部やり切れる、実際には、市町村を使った方が窓口としては非常に自治体住民に対して数多く密接にできるわけですが、そこはもう社会保険庁の方で責任を持ってやりますということでああいう形で移行されたわけでございます。

 事務の性格からして、そういう体制の方がきちんとすっきりするわけでありますが、それと同時に、社会保険庁の方で、実際の事務の執行について、対住民それから年金の受給者等に対して、サービスをきちんと行うという努力を常に行っていくということが必ず必要になっていたというふうに思っております。

黄川田委員 後段、国民年金に関しては、国が持っていくと窓口が小さくなるといいますか、当時は全国に三千の市町村がありましたし、社会保険事務所は三百ぐらいだと思います。十分の一になる。この部分ではちょっと顔が見えなくなるのかなというところの心配等をお話しされましたが、いずれ、公共サービスの一つとしてのこの年金事務なんですけれども、きっちりと行われなきゃならないということ。それから、三層構造という言い方もないですけれども、国が関与した、県が関与した、市町村が関与したというかつての公共サービスなのでありますが、今は国がきっちりと責任を持ってやるということなのであります。

 地方分権の中で、国と地方の仕事の役割分担、そういう考え方、大事な話でありますけれども、ただ、東大の教授の神野先生なんかが主査を務めておる、良い社会をつくる公共サービスを考える研究会というものがありまして、公共サービスの供給主体は中央政府であるとか自治体政府、市民社会など多様でありますけれども、これら多様な主体を担い手とする公共政策の中軸は、中央政府あるいはまた自治体政府による政府サービスである、今までは中央政府と自治体政府の関係は役割分担、そういうくくりだったのでありましょうが、これを責任の体系として再構築する必要がある、こういう提言もされているようであります。

 そこで、総務省に見解を問いただしますけれども、年金行政の根底に申請主義があるわけです。年金は、あくまでも加入者が年金が欲しいと申請したときに給付すればよい、何も言ってこなければ年金を支払う必要がないという考えが根底にあるのではないかと。責任体系の再構築にかんがみ、総務省は昨年十月、検証委員会として年金のあり方について報告書を出しておることでもありますので、この申請主義を根本から見直すべきだと私は思っておるのでありますけれども、総務省の見解はいかがでしょうか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の事務処理上の考え方に関しましては、社会保険庁は、厚生年金保険法第三十三条等を援用いたしまして申請主義というふうに言っておるわけでございますけれども、しかし、これらの条項は、申請に基づき裁定が行われることを規定しているだけでありまして、年金記録を裁定の時点まで不確実なままで放置することを許容しているものではございません。それで、検証委員会といたしましては、最終的に裁定請求時に記録の確認を行えばよいというこの社会保険庁の考え方につきまして、裁定時主義と呼んだわけでございます。

 それで、検証委員会の最終報告におきましては、この裁定時主義につきまして、その時々の記録の管理が正確、厳格に行われていることが年金記録の管理に関する業務処理の前提となる、しかし、社会保険庁は、現実には裁定時主義という安易な考え方のもとにそうした厳格な姿勢を欠いたまま業務処理を行ってきたと指摘をしたところでございます。

 厚生労働省におきましては、この報告書を受けまして、裁定のときに年金記録の確認をすればよいという考え方ではなくて、年金記録の正確性を常に確保する業務運営を行うために、社会保険庁がみずから点検をするとともに、国民の皆様が年金の記録の確認をしていただけるよう、わかりやすく情報提供を行うという方針を打ち出したことと承知をしているところでございます。

黄川田委員 本当は大臣から聞きたかったんですが、経緯、経過これありでもって、総務省からの答弁ということなのでありますけれども。

 総務省の勧告、どのぐらいの力があるのかというところがありまして、公務サービスといいますか、公共サービス、年金、これは本当に劣化しているんじゃないのかという気がしておりまして、別に今突然劣化したわけじゃなくて、制度疲労は前からあったのではないかと。行政評価、政策評価も指導する立場、総務省になる前からもうそういう立場であったと思うわけであります。

 そこで、こういう年金等の公務サービス、過去どのように評価して、今は今で分厚い検証委員会からの報告書が出ていますけれども、これまでどんな指摘を行ってきたんですか。特に、もう五十年も前になりますけれども、当時の行政管理庁は厚生省に年金記録管理の不備をきっちりと指摘していたし、そしてまた、それを踏まえてしっかりやっていればこういう問題もなかったと思うのでありますけれども、総務省の指導力のあり方にちょっと疑問を感じるものですから、御答弁いただけますか。

関政府参考人 総務省といたしましては、この五十年ほどの間でございますけれども、昭和三十一年に船員保険行政監察を勧告いたしましたが、それを初めといたしまして、年金行政に関しまして合計十二回の行政評価・監視を行ってきております。

 この中で、例えば、今先生御指摘ありました昭和三十四年でございますけれども、厚生年金保険行政監察におきまして、適用漏れの防止、保険料徴収の適正化、被保険者台帳の的確な整備等を指摘しております。それから最近ですと、平成十六年十月でございますけれども、国民年金業務に関する行政評価・監視におきまして、適用業務等の的確な実施、保険料徴収業務の的確かつ効果的な実施、社会保険事務局等の定員配置の見直し等を勧告したところでございます。これらにつきましては、厚生省から、どのような措置をとったか、あるいはどのような措置をとろうとしておるかという回答を得ているところでございます。

 我々といたしましては、勧告を受けました厚生労働省がこの指摘を重く受けとめて、的確に改善を図っていただくべきものというふうに考えておるところでございます。

黄川田委員 総務省も横並びの省庁ですから、なかなか首根っこつかまえてというわけにはいかないかもしれませんが、じゃ、ちょっと視点を変えて、政府参考人からお尋ねいたしますけれども、皆さん方がいただいている年金、公務員共済年金についてちょっと伺います。公務員は、地方公務員、国家公務員あるでしょうけれども、共済年金、これは消えた年金とか宙に浮いた年金なんというのはあるんですか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございました消えた年金問題ということでございますが、厚生年金につきましては、御案内のように社会保険庁におきまして複数の年金記録が存在しまして、それが年金の支給に結びついていない、このような問題があるというふうに承知いたしております。

 地方公務員共済組合につきましては、年金記録の管理につきましては、従来から共済組合で独自の番号を付番するなど、単一の履歴によりましてその管理を行っているところでございます。また、それぞれの共済組合におきましては、過去の記録、これにつきましては確実に確認が行われているところというふうに承知しているところでございます。

 そういう意味では、先ほど申し上げましたように、同一人につきまして複数に分かれたままの年金記録、こういうものは存在はしていないというふうに認識しておりますので、直ちにそういうものが未支給につながる可能性があるとは認識はしておらないところでございます。

黄川田委員 もっと大きい声で堂々と答弁していただきたいと思います。

 国民年金とか厚生年金も、紙台帳あるいはまたマイクロフィルム、コンピューターの電子データ等々であるわけなんでありますけれども、共済年金もそれぞれ同じようなデータなんでしょうか。

 それから、国民年金、厚生年金だと、コンピューター化のときにさまざま混乱を生じて今の五千万件も出ているんですが、同じようにもうコンピューター化されているんですか。

 では、時間がないからもう一つ質問いたします。紙台帳は全部残っているんですか。国民年金、厚生年金は、紙台帳は残っていないものもある。国民年金は先ほどの一括法で国がやるということだから、地方も本当は職務怠慢なんですよね、資料は全部廃棄せよと言ったんだから、本当はないはずなんですね。そういうことも含めて答弁いただけますか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 共済組合につきましては、紙台帳あるいはマイクロフィルム等、これは残っているところでございます。

黄川田委員 それから、厚生年金はグリーンピアとかいろいろな施設を建てまして大変な目に遭っている、国民一人一人が。共済年金でも福利厚生の施設なんかがあると思うのですが、どういう状況ですか。赤字で加入者の公務員から突き上げられたという話はありますか。

松永政府参考人 共済組合の施設につきましては、これは年金積立金を借り入れて建設がされておるケースがございますが、この場合には、年金とは別に勘定を設けまして、独立採算の原則のもとに運営をいたしておりますし、借り入れました費用につきましては、適正な利子をつけまして年金積立金の方に返還するということになっております。

 それから、施設の経営に行き詰まって、評価額に比して著しく安価で処分し、あるいは年金積立金への返済ができず、その価値を毀損しているというような事例はないものというふうに承知いたしておるところでございます。

黄川田委員 今度は、給付を求めるために申請しなきゃいけないということですので、共済年金も申請主義なんですか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 共済年金につきましても同じようなシステムになっております。

黄川田委員 同じシステムであるならば、国民年金とか厚生年金では、申請しないままにほっておかれる、ほっておかれるのは自己責任だと言われるかもしれませんが、申請が漏れてしまって年金をもらっていない公務員というのはおるんですか。

松永政府参考人 把握はいたしておりませんが、一般的には皆さん受給をされているのではないかというふうに考えております。

黄川田委員 それで、この共済年金を担当している職員なんでありますけれども、この方々は公務員なんですか。

松永政府参考人 各共済組合の職員、これらの方々は公務員ではございません。共済組合の職員でございます。

黄川田委員 その職員の方々はどういう年金に入っているんですか。国民年金ですか、厚生年金ですか。

松永政府参考人 地方公務員共済組合の関係の職員は、地方公務員共済組合の方に加入いたしております。

黄川田委員 公務員共済に加入しているわけですよね。これは今総務省ですから地方共済だけ言っていますけれども、国家公務員共済も同じでしょうか。大臣も国交省の職員をしていたんだからわかっているでしょう。国家公務員はどうなんですか。では、担当の参考人の方でも。

松永政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員につきましては、国家公務員共済組合の職員の方が担当されているというふうに承知いたしております。(黄川田委員「その人は公務員じゃないですよね」と呼ぶ)その方は公務員ではございません。

黄川田委員 大臣、いいですか。公務員でない方が公務員のために一生懸命記録を管理し、しっかりと給付されるわけですよ。それで、国民年金とか厚生年金は公務員がやっているわけですよ。公共サービス、この基本はどこにあるか、どっちの立ち位置なんだと。公務員による公務員のための年金なのかと。その人たちは公務員じゃないんですよ。一生懸命やっているんですよ。

 そこでなんですが、先ほど、過去において総務省も権限の中でさまざま指摘しているという話でありますけれども、今般、大ごとができたので、年金業務・社会保険庁監視等委員会、そしてまた年金記録確認第三者委員会、こういうものが設置されておりまして、予算も見ますと、それで本当にできるのか、これからどんどん、ねんきん特別便とかいろいろなものが出ていって、さまざま忙しくなると思うんですよね。

 それから、あの分厚い検証報告書を出していますよね。その重さでしっかりと厚生労働省が変わってくれればいいんですけれども、あの分厚い厚さでもって。勧告の限界を感じるのですが、大臣、もう一声、何かできないんですか。大臣から答弁いただきます。

増田国務大臣 今、委員から共済組合の関係の御指摘ございましたけれども、やはりこの問題は国民の皆さん方に本当に申しわけない事態でありまして、これを正さない限り、政府あるいは行政に対しての信頼回復というのはあり得ない。これは何としても回復をしなければいけない問題だというふうに思います。

 これは、厚生労働省がそういったことに今たえ得る形にはなっておりませんので、総務省も一定の役割を引き受けて、この信頼回復のために全力を挙げるということで、予算も計上させていただいて、実施に取りかかっておりますが、そういった仕事だけでなくて、従来から勧告を何回かにわたって出してきた、その勧告の実効性といったことも問われているというふうに思います。

 今御指摘いただいたことについては、本当に重要な重たい指摘でございますので、この問題の解決に総務省としても全力を挙げる、省の組織を挙げてこれに取り組みたいと思います。

黄川田委員 時間も経過していますから、そろそろやめたいと思いますけれども、ちょっと具体を言うと、民主党で毎週火曜日八時から総務部門、厚生労働部門の合同会議がありまして、その都度、さまざま報告をいただいております。厚労省そして総務省からでありますけれども、厚労省は毎回モグラたたきに遭うような感じで、その根っこの部分、共済年金と同じような形になってほしいと本当に思うわけなんであります。

 五千万件も消える、あるいはまた宙に浮くというのは、やはり一つ一つの事務の積み重ねなわけなんですよ。当時のコンピューター化、バッチ方式か何かなんでしょう、それぞれしっかりと入れなきゃいけないのに、臨時職員、バイトと。いや、臨時職員とかバイトが悪いというわけじゃないんですよ。それをしっかり管理して、しっかりとお互い仕事を共有し合ってやれればいいのでありますけれども、そういうことがなっていないよということを、総務省はたびたび指導なり報告書なり、いろいろなことを出していると思うんですね。

 ところが、最近、ちょっと合同部門会議に行きましたら、またぞろといいますか、派遣会社の方にお願いして、そして臨時職員、バイト職員と。個人情報の保護のため一筆とるということもありますでしょうけれども、別に中国人が悪いというわけじゃないんですが、中国人の方々がアルバイトで来ているとか、まあ、漢字が読めますから一番いいと思うんですが。今何をやっているかといったら、昭和三十年代の紙台帳の余りにも達筆で名前が読めない、コンピューター化できない、そういうものを一つ一つ点検するということみたいなんですけれども、懲りない面々といいますか、逆に言うと、総務省のこれまで何十年とやってきた指摘が勧告どまりで終わっているという話じゃないですか。

 それから、もう一つ言えば、こんなばかな話、私は市町村職員の末端の仕事をしていましたから、省庁の権化、総務省、自治省、県庁に行けば地方課、今は上下の関係じゃない、これは前にも言いましたね、国と地方じゃない、市町村課になっていますけれども、例えば、市町村がこういう事務をやったら、どんな形で総務省は言うでしょうか。代決・専決規定がどこにあるんでしょうかねと。電話相談で、成り済ましの人が出るから裏マニュアルというかそんなものをつくった、だれが起案して、だれが決定し、何をどうするのかと。

 それを、どこに置いたと言ったら、文書保存の規定もあるでしょう、いや、それは文書じゃないからとか。我が福田先生が話しましたけれども、例の郵政の関係のときの書類がないとかという、どの規定で、どうなってそうなっているのか、さまざま本当に大変な状況にあるというわけなんですよ。

 最後の最後、大臣もしっかりやると言っていますけれども、本当に、個別具体をもっとしっかりと見て、個別具体までもしっかりと指摘をしていただきたいと思いますが、時間も時間でありますので、最後の決意を話していただいて、ここはこれでやめたいと思います。

増田国務大臣 この年金問題ですが、もう今、各論で本当に一つ一つ見て、積み上げていかなければならない、正していかなければならないという段階になっております。

 しかし、そういうことをしないと、国民の信頼の回復、政府の仕事の信頼感の回復につながらないというふうに思っておりますので、そうした点についてもきちんと見て、そして、社会保険庁に、あるいは新組織にしっかりと立て直してもらうように、総務省としても最大限の総力を挙げてこの問題に臨んでいきます。

黄川田委員 これまでの発言で、ちょっと職員の袋だたきみたいに聞こえたかもしれませんが、新しい組織ができますし、一生懸命頑張れる、職員が汗をかいて結果が出る、そういうふうな方向に持っていかなきゃならないと思いますので、やはりこの公共サービスの基本的な考え方をしっかりととらえていかなきゃいけないと思います。

 以上で終わります。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、大変お疲れだと思いますけれども、増田総務大臣の所信に対して質問をさせていただきますので、ぜひ大臣におかれましては、自分の言葉で簡潔明瞭にお答えをいただければありがたいと思います。

 まず、地方財政の歳入決算の推移についてお伺いをいたしたいと思います。

 数字なものですからまとめて四点お伺いをいたします。

 平成十二年と平成十八年、小泉内閣が発足した年と小泉さんのやられた三位一体改革の終了した平成十八年を比べて、歳入決算総額の減った額が幾ら減ったか。それから二点目は、そのうち国庫支出金の減った額は幾らか。さらに三点目として、そのうち地方交付税が減った額は幾らか。四点目として、地方税のふえた額は逆に幾らか。この四点、まずお答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 平成十二年度決算と十八年度決算を比較いたしまして、歳入総額が八兆七千四百六十八億円減少になっております。そのうち、お尋ねの国庫支出金でありますが、これは三兆九千三百二十三億円減少、それから地方交付税が五兆七千八百十一億円減少ということになります。一方で、地方税が九千五百九十七億円増加ということになっておりまして、三位一体改革に伴う所得譲与税を加えますと三兆九千六百九十一億円の増加、こういう数字になっているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 小泉改革時代に、総額ですと八兆七千億円、地方のお金が減りました。そして、国庫支出金、地方交付税、先ほどの譲与税を含みで地方税のふえた分を差し引きしても、実は五兆八千億円減っているんですね。

 このことについて大臣はどうお感じになられているか、お考えをいただければと思います。

増田国務大臣 一つは、三位一体改革で、御案内のとおり、地方六団体がかねてからいろいろと要望しておりました税源移譲が実現をした。これは、税源移譲という言葉自体を、口にするというか、書き物に書くということすらも夢の夢であった、いわゆる大改革の初めのころから比べますと、大変な前進であるというふうに考えております。

 それからあと、三位一体改革の理念自身、改革が始まったときには大変公共団体も、委員もずっと首長をしておられて、あのころいろいろお話を承らせていただきましたが、理念自身は、補助金をなくしてそして地方の自由な一般財源にするということで、公共団体が多く待ち望んだことであるというふうに思っておりました。

 ただ一方で、その際に補助金を廃止する、そういう考え方でいたわけでございますが、結果として、補助金、多くのものが残って、そして補助率を変える、そういうことになったこと。それから、これとあわせて歳出削減が行われたわけでございますが、結果として、一般歳出の削減、そして交付税、格差を是正する交付税が多く削減されたんですが、この削減のカーブが大変急激であったということがございました。これはこれで、そうした結果が地方公共団体の多くのところに厳しい結果をもたらした、これもまた一方の事実であるというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 どうも話を聞いていると、五兆八千億も減っても、税財源が三兆円ぐらい移譲されたからよかったみたいな感じ方で、非常に、私とすればそれは違うんじゃないかな、実はこう思っているんですね。

 四点目の質問に入りますけれども、具体的に、小泉内閣がやりました三位一体の改革ですけれども、これで減った分については、御案内のとおり、国庫補助負担金が四兆七千億円減って、税源移譲が三兆円なされて、交付税の削減が五兆一千億、合わせると六兆八千億減ったんですね。

 この三位一体改革の評価についてお伺いをしようと思いましたが、今大体述べたのかなと思いますので、今の評価は、どうも岩手県の知事のときとは違ったのかな、こんな思いもあるわけでございます。

 そうした中で、これは通告外ですけれども、増田大臣にぜひお伺いをしたいのは、先ほど黄川田委員からも質問がありましたのでお伺いをいたしますが、地方自治体の現在の大変厳しい財政の現状についてということなんです。

 増田大臣は、岩手県の知事としては三期十二年間ですか、大変改革派の知事として頑張ったんですけれども、岩手県のプライマリーバランスは十二年間で黒字になったんですか。どうなんですか。

増田国務大臣 プライマリーバランスを黒字化する、そういう目標を立てました。この場合、プライマリーバランスの定義はいろいろあるんですが、国よりもさらにきつく、その年の歳出を歳入で全部賄うというよりも、過去の借金返しの分も含めてプライマリーバランスを黒字化するということで目標を立てて、知事の任期の何年目でしたか、後半の時期にそれを達成して、それを何年か維持して、それで退任をした、こういうことでございます。

福田(昭)委員 では、一応、自分の任期中には黒字化達成できたんですね。――はい、そうですか。

 その後何か非常に赤字で困っているようでございますが、そのことは実は私の栃木県も同じなんですね。私も一期四年でしたけれども、足銀の破綻にもかかわらず、私は、三年目、四年目とプライマリーバランスの黒字化を十四年ぶりにしたんです、栃木県で。そして、貯金も一千億強残したんです。

 ところが、それから四年、次の知事が来年度、平成二十年度の予算を組みました。先日発表がありました。その発表を見てびっくりいたしました。一千億強私が残した貯金は、もう残高が八十九億円です。そして、二〇一〇年には、もしかすると財政再生団体になるかもしれない。それこそ、四十七都道府県中で栃木県の財政は健全な方でありましたし、比較的富裕な県です。その富裕な県の栃木県が、二〇一〇年に財政再生団体になってしまう。これは、今の知事の腕が悪いのか、それとも国の施策が悪いのか、どちらなんでしょうかね。

 この厳しい現状を踏まえて、増田大臣、どうなんでしょうね、これは。先ほどお答えをいただきましたが、平成十二年と平成十八年を比べて、地方の歳入総額、決算で八兆七千億減っているんですよ。これがいかに地方の財政を疲弊させたかということをお感じになりませんか。

増田国務大臣 私も、栃木県政を詳しく存じ上げておりませんが、それ以外の自治体も含めまして、この間、ためておりました基金も大分取り崩しをして底をつきかかっているという声をあちこちから聞いておりますし、今言った栃木県のことのみならず、他の団体においてもある部分は共通している要素もあるのではないか、こうも思っておるところであります。

 八兆数千億の歳入減、こういうことでもございますし、こうした中で、一方で、各自治体が懸命な行革努力などを行って歳出をずっと絞った。私の記憶ですと、平成十一年から十七年の間に、これは先ほど黄川田委員のお話のときもたしかあったかと思いますが、一四・六%歳出を削った。ただ、問題は、そうした中で、特に財政規模の弱いところが、さらに二〇%以上、場合によっては、町村によっては二四・九%、二五%の歳出を削らないと予算編成ができない状況にあったということがございまして、こうしたことを重く考えなければいけない。

 やはり、決められた自治体のサービスの中で、きちんと地域で実行していかなければならないものが多くございますので、そうした意味では、歳出総額をきちんと確保して、それに見合った交付税なりも我々として公共団体に保障していかなければならない、こういう思いに立ち至ったところでございます。

 この五年、六年とずっと削減の傾向が来ておりましたけれども、そういったことが、急激な削減でもございましたし、大変厳しかったということを重く受けとめて、今回このような予算、そして地方財政措置を講じさせていただいたということでございます。

福田(昭)委員 大臣は市町村のことばかり話をしておりますが、先ほど申し上げましたが、黄川田委員のところは岩手県ですし、私のところ、今栃木県の話をしておりますが、栃木県などは比較的裕福な県であったはずなんですが、それが本当にひどい状況でございます。

 そうした中で、私が非常に憤りを感じておりますのは、今回の道路特定財源維持の地方団体の活動などをめぐって、瀧野事務次官が、道路特定財源が維持できなかったら地方が教育予算もなくなっちゃう、福祉の予算もなくなっちまうというようなことを言っておりましたけれども、これはむしろ、総務省の無能を民主党に転嫁しているような話じゃないですか。

 総務省が、総務大臣が無能だから八兆七千億も削られたんですよ。違いますか。自分の無能をそれこそほかに転嫁するような言い方は、とんでもない話だと思うんですよ。これが小泉さんの三位一体改革で削られたときに、本当はおかしいと言うべきなんですよ、総務省は。それが何も言わずに、今回、よその省庁の財源をめぐって一生懸命騒ぐなんというのはおかしな話で、騒ぐ時期が全く違うということですよ。大臣、そこをしっかり事務次官を教育してください。

 それでは、次の質問に入ります。

 地方への税財源の移譲についてということでお伺いしたいと思います。

 まず一点目は、国と地方の税財源の持ち分の割合についてですけれども、よく、国と地方の財源は六対四だとか三対四だとかいう話がございますが、それを五対五とか一対一にするという考え方が前菅大臣のときからございましたけれども、今でもそれは変わりがないのか、あるいは、どういう考えをお持ちなのか、教えていただきたいと思います。

増田国務大臣 今現実に、地方の歳入歳出を見ると、歳入の方が四対六、しかし、歳出はおおよそでいいまして六対四と逆転をしているということがございますので、これは前の菅大臣のときに、当面でありますが、当面これを五対五、すなわち一対一にしていく、これを目指す、こういうことで総務省が対外的に表明をしたということでございまして、この考え方は今も総務省として、当面でありますが、一対一を目指すんだ、こういうことで考えております。

福田(昭)委員 確認をさせていただきましたが、当面一対一を目指すというのは変わりがないということですね。

 それでは、この大臣の所信にございますけれども、新分権一括法案におけるそうした税財源の移譲について明文化をする、しっかりと明記をする考えがあるかどうか、教えていただきたいと思います。

増田国務大臣 新地方分権一括法でありますけれども、これは今、地方分権改革推進委員会で御検討いただいている内容について勧告をいただいて、そして我々の方でそれを踏まえて法律にしていこう、こういうふうに考えております。

 あそこの委員会の場でも、かつて私も委員をしておりましたので、当時の言い方ですから総務省と言いますが、私が委員のときに総務省の皆さん方が来られて、当面一対一を目指すんだ、こういう意見を言っておりましたけれども。この委員会の中で役割分担を今いろいろ考えておりまして、それとあわせて、この財源の関係について、まだ今議論が深まっておりませんが、今後、議論をしていく、深めていく。そしてその中で、どういう税体系がいいのかといったようなことの議論が及んでいくのだろうと思いますので、そこでの考え方を今度は勧告という形で私どもで受けて、それを受けて法案化をしていくということです。

 今そういう形で、議論が向こう方で進んでおりますので、今のところ私どもは、この分権一括法についてどういうふうな内容にしていくのか、これはその分権委員会の議論を見た上で考えていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 そうすると、具体的な税目とか、あるいはどういう形で税財源を移譲するとか、そういった考えはまだ議論されていないということでしょうか。

増田国務大臣 委員会の中ではまだ議論は、スケジュール的にはこれからということになっていまして、今、役割分担ですとか、それから例の出先機関の関係ですとか条例制定権の拡大、そのあたりを精力的に議論しています。ただ、もう少しいたしますと、税財源それから補助金のあり方等に議論が差しかかっていくところでありますので、その際には、今度はまた私どもいろいろ呼ばれることになると思いますので、いろいろ御意見を申し上げていきたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ大臣にお願いしておきたいのは、この大臣の所信を読んでみますと、非常に気になるんですよね。

 まず、「はじめに」というところを読んでみますと、五行目のところを読んでみますと、「地方への一層の権限移譲や地方税財政の改革に重点的に取り組んでまいります。」ということで、税財政の改革と言っているんですが、税源の移譲はないんですよね。小泉さんのときのように、三位一体の改革で、地方交付税改革と称して交付税を減らしただけなんですよね。あれは改革じゃないんですわね。ですから、そうしたこともございます。

 それから、この四ページを見て、「三 地方分権等の推進」、ここを読んでも、三行目からですか、「そのため、地方に対する義務づけ、枠づけの大幅な見直し、個別行政分野における国と地方の役割分担の徹底した見直し、地方への権限移譲、国の地方支分部局の抜本的な見直し等を行い、新分権一括法案を平成二十一年度中できるだけ速やかに」、こう書いてあるんですね。ここでも税財源の移譲は全くないんですね。

 それから、五ページに行きまして、真ん中、六行目ですね、「また、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税及び一般財源の総額を増額して確保いたします。」こう書いてございますけれども、いつも総務省がだましてきたのはこれなんですよね。地方に必要な一般財源の総額は確保しますよと。これは毎年同じ文句なんですよ。この毎年同じ文句を繰り返してきて、さっき言ったように、地方の収入は六年間で八兆七千億減ったんですよ。これは毎年同じなんです。ですから、今回、地方が余りひどいと、去年参議院選挙で負けたものですから、ちょこっとだけふやしただけの話であって、これは全くだましの言葉なんですよね。

 ですから、こうしたことがないように、ぜひ増田大臣には、今回の新しい地方分権、新分権改革、せっかく改革という名前をつけたんですから、今までは改革はなかったですよね、地方分権推進計画でしたか、そこに今度は地方分権推進改革法とか何か、改革がついたんですから、ぜひここは、国と地方のあり方を抜本的に変える、そうした、税財源も含めて変える改革法というのをぜひつくってくれるよう期待をしたいな、こう思っております。

 次に、四点目でありますが、四点目は、移譲される財源ですね。

 移譲される財源は、地方公共団体にとって目的が決まった特定財源がいいのか、それとも目的が決まっていない一般財源がいいのか、どちらがいいか。どちらがよいと大臣は思われますか、お伺いをいたします。

増田国務大臣 やはり、地方税を中心として、地方が自由に使える地方交付税など、そうした一般財源が充実強化されていく、こういうことが望ましい方向であろうというふうに思っております。

福田(昭)委員 そうでしょうね。大臣も知事時代から、一般財源化ということは、これはともに中央政府に対して言ってきたことですから。

 よく言われます地方分権を進める政治理念は、キーワードは、自己責任、自己決定というわけですから、まさに、地方自治体が自分たちで決めて、お金の使い方も自分たちで決めて自分たちが責任を負う、これが地方分権の世の中をつくろうという話ですから、それがいつまでも、これから五年も十年も国が道路の箇所づけまでやる、あるいはお金の使い方まで決める、それではまさに地方分権の世の中にならないわけですよね。

 そうしたことから考えれば、大臣も言われたように、やはり地方がいただく財源は特定財源じゃなくて一般財源がいい、こういうことだと思うんですね。

 そこで、五点目であります。

 地方六団体が今まで望んできた、ぜひこうした財源を移譲してほしいというものがあるわけですけれども、それについて大臣は、地方六団体の一員として国に要望してきたわけですが、現在、総務省では地方六団体がどういう財源を望んでいるかということを、事務次官以下役人から報告を受けて、どんな認識をされているか、お伺いをしたいと思います。

増田国務大臣 今、六団体でありますけれども、一番強く要望しているのは消費税だと思いますね。地方消費税を充実する。そして、あれは御案内のとおり偏在性が大変少ないわけであります。今の地方税収の中で、地方法人二税の割合がかなり高いですね。これは景気によって大分税収が左右される不安定なものでありますし、一方で、偏在性が大変高いものですから、偏りがどうしても生じてくる。

 ですから、今、地方六団体あるいは地方団体の方では、こうした消費税を地方税の主軸に据えて、そしてそこを充実強化をしていく。これを直接地方団体の皆様方からも、私も聞いておりますし、そういったことがこれからの地方税の安定的な財源としても必要だということを私も思います。

 先般の地方税の改革の、暮れの税制改正大綱ですとか、あるいは年が明けてからの政府の閣議決定の中でも、今後、地方消費税の充実強化を図るということをはっきり書きましたので、そういう方向で私どもも今後実現に向けて動いていきたいと考えています。

福田(昭)委員 それこそ、大臣のお話のように、地方六団体は偏在性の少ない地方消費税を次の税財源の移譲として望んでいたわけであります。その後、地方消費税の次には道路特定財源の移譲も望んでいたと思うんですが、そのことは総務省としても認識されていらっしゃいますか。

増田国務大臣 地方団体の方で、道路特定財源についても、御承知のような、今の道路特定財源の地方分の財源構成、すなわち、道路の特定財源から充てる税収では足りなくて一般財源もそこに充てているといったようなことから、この道路特定財源をより充実強化するということで、でき得ればそうしたものを国の方から回してほしいというようなことを、これはかねてから地方団体の主張の中に含まれておりました。

 この問題については、あれは平成十六年だったかと思いますけれども、実は私はまだこういう立場に立つ前でありますが、地方六団体のまとめた文書の中にも書き込みましたし、それから、平成十九年、昨年も地方団体の方でそういう話をしているということでありまして、道路財源の関係については、この道路の問題のみならず、ほかの公共事業、あるいは、さらに広く言いますと社会資本関係についてもいろいろな公共団体の要望というのが財源については出ております。社会保障の関係での公共団体の超過負担の問題等もございますので、まとめて、今、分権改革推進委員会の中でこれからいろいろ議論がされますので、そういうことも踏まえて総務省としてもどのように対応していくかを考えていく、こういうことになっております。

福田(昭)委員 地方六団体は、地方消費税とあわせて道路特定財源も地方分については地方に税財源を移譲してくれ、そういう要望をしていたかと思うんですけれども、それはきっと、増田大臣も知事時代に一緒に要望してきたはずですから、これは忘れていないかと思います。

 やはり、そうした地方分もしっかり地方に、道路特定財源でさえも譲ってほしい、そういう話をしてきたところでございます。そういったことから考えると、地方がいかに財源がなくて苦労しているかというそのあかしだと私は思っておりまして、ぜひとも、そうしたことも踏まえて、地方の財源総額を、いろいろな財源を確保していくという観点からの地方分権改革につなげてほしいな、このように思っているところでございます。

 次に、道路特定財源についてお伺いをしたいと思います。

 一点目は、〇六年基本方針における公共事業費のマイナス三%についてであります。この方針は骨太の方針でありますが、いわゆるプライマリーバランスの黒字化の目標年次であります二〇一一年まで続ける、その方針に変わりがないのか、教えていただきたいと思います。

木村(勉)副大臣 二〇一一年度までの歳出改革の具体的内容を定めた基本方針二〇〇六においては、公共投資の削減については今後とも重点化、効率化を徹底し、二〇〇六年度までの改革努力を基本的には継続することとしておりますが、その際、今後の資材価格や賃金の状況等を考慮する必要があるということから、毎年度の削減率はマイナス三%からマイナス一%と幅を持たせて示しているところであります。

 二〇一一年までの毎年度の公共投資の具体的な削減額は、こうした幅の中で、その時々の内外の経済社会情勢等も踏まえつつ、各年度の予算編成過程において決定されることとなります。

 いずれにせよ、政府としましては、今後とも安定した成長を図るとともに、基本方針二〇〇六等を堅持して歳出歳入一体改革を徹底して進め、まずは、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成してまいりたい、こう考えているところであります。

福田(昭)委員 それでは、骨太の方針には全く変わりがない、しかし、いろいろな経済情勢などを踏まえながら、公共事業費についてはマイナス三%からマイナス一%の幅の範囲の中で決定をしていく、こういうふうに確認をさせていただいてよろしいですか。――はい、わかりました。

 それでは二点目でありますが、二点目は、平成二十年度の道路特定財源の使用先についてお答えをいただきたいと思うんですが、皆さんのお手元に資料をお渡ししてありますので、そちらの方をちょっとごらんいただきたいと思います。

 この資料を見ますと、ちょうど二十年度の予算のところを見ていただきたいんですが、地方道路整備臨時交付金は除きます。道路整備等からいきたいと思います。道路の整備等、これについては、道路整備と道路環境整備と二つの項目がございます。そして、道路関連施策、さらに、高速道路料金の引き下げ、スマートインターチェンジの増設など、地方への無利子貸し付け、そして一般財源、こうございますけれども、この予算額についてここに書いてございます。

 この中で、これはちょっと通告しておりませんが、ひとつお答えいただきたいと思うんですが、道路法の第二条による道路というものはどういうものを指すのか、お答えをいただければと思います。

原田政府参考人 ちょっと道路法、手元にございませんので多少不正確な点があるかと思いますが、道路の新設、改築、維持、修繕ということを通常、道路整備といっているかと承知いたしております。

福田(昭)委員 では、もう一回質問します。

 私も改めて道路法を読んでみましたけれども、非常に幅がどんどん広がっているんですね。改正を追っかけてこの解釈がどう広がっていったのかまで私まだ勉強していないんですけれども、道路法の第二条「用語の定義」というところがございますけれども、一項と二項で、一項は、いわゆる「「道路」とは、一般交通の用に供する道で次条各号に掲げるものをいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となつてその効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものを含むものとする。」というものですから、いわゆる我々素人が考えている道路だけじゃないんですね。そこに附属する工作物とか附属物。附属物については、二項で、「「道路の附属物」とは、道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要な施設又は工作物で、次に掲げるものをいう。」ということで、たくさん書いてあるんですね。そして、このほか政令で定めるものということで、この中にいわゆる例の、自動車駐車場で、道路上または道路に接して規定する道路管理者が設ける駐車場も道路だ、こう書いてあるんですね。

 ですから、そういった意味では、非常に道路の定義が広範で、本当に、この道路特定財源を使うに当たってどんどん定義が広がっていったのかなというふうに考えているんですけれども……(発言する者あり)いや、でも何か、エレベーターまで道路になっているんですよ、ここを読むと。道路につながっていればですよ。

 そうした中で、この二十年度の予算を見ますと、道路整備費等二兆百八十五億円の内訳が、道路整備が一兆四千八百三十五億円、道路環境整備が五千三百五十億円なんですね。そうすると、国土交通省の予算の総括表を見ると、道路整備費は何と一兆四千八百三十五億円と書いてあるんですね。ですから、そうすると何だろう、道路整備の費用は一兆四千八百三十五億円で間に合うのかな、こういうふうに素人としては考えられるんですね。

 そこで、二十年度の予算の中で、シーリングをきかされているといいますか、これは財務省がきかせているそうでありますが、マイナス三%、シーリングがきかされている項目というのはどれとどれなんですか。教えていただきたいと思います。

平井副大臣 シーリングに関しましては、道路関連施策と道路整備等、この棒グラフではこの二つであります。

福田(昭)委員 そうすると、私もびっくりいたしましたが、この道路整備等の中に、下の注がありますが、「河川等関連地域連携道路事業を含む。」こう書いてあるんですよね。

 これが、先日私、宮崎へ行ってびっくりいたしました。宮崎県のある町を視察させていただいた。そうしたら、洪水で大変だったんですね。町役場も浸水し、また周辺も全部浸水をしてしまった。大洪水で大変な被害に遭ったんですね。その役場の担当職員が一生懸命説明するんですよ、こうなっちゃったんだと。だから、どうしても道路予算がないと、道路整備しないとだめなんだ、こういう説明を我々にしてくれたんですよ。私、指摘したんですよ、それは道路予算じゃないんじゃないんですか、洪水対策なんじゃないですかと。何年に一度の、五十年に一度とか百年に一度の割合で、洪水対策のダムをつくるか河川改修工事をするか、そちらの方の対策が重要であって、道路を直したって災害対策にならないんじゃないですかと。そういう質問をしたら真っ青な顔をしておりましたが、そういうことにも使われているということをどう思われますか。

平井副大臣 一体でやった方が全体としての効果を上げられるという場合は、そのような判断になろうかと思います。

福田(昭)委員 一体としてやればでしょうけれども、全体計画がきちっとあるのかどうかよくわからない中で、河川の改修工事も進まない中で道路だけ先行してやるという話なんでしょうけれども。しかし、そのときの取材をしておりました記者が言っておりました。前日来て、地域のタクシーの運転手さんや地域の人たちに聞いたら、あれは道路じゃないよ、洪水対策だよ、河川対策だよとみんな言っているんだと言っていました。ですから、道路特定財源の使途を拡大するということは、どこまで拡大していったらいいのか、これは本当に大変厳しく査定しなかったら、どこまでも延びていっちゃうんですよね。

 ですから、そういう意味で、私が試算をしてみましたら、この一兆三千五百三十九億円ですか、これがもしシーリングが三%ずつかかっていったら、平成二十三年、二〇一一年には一兆三千五百三十九億円になっちゃうんですね。そうすると、道路特定財源の国の本則分は一兆六千億円あるんですよ。すると余っちゃうんですよ、本則分だけで。本則分だけで一兆六千億あるんですね、国の分は。そうすると、素人から見て、純粋な道路整備に必要なお金は余っちゃうんですよね、一兆四千億切っちゃうんですから。切らなくても、今のお金、一兆四千億でも、一兆六千億で国の分は余るんですよね、この道路整備の分類からいけば。

 ですから、そういうことを考えたら、その次、四点目の質問に入りますが、道路特定財源の一般財源化というのは避けられないんじゃないか、私はこう思うんですが、特定財源としての意味がなくなっているんじゃないでしょうか。どうなんでしょう。そう思いませんか。

平井副大臣 先ほどの本会議でも総理が何度も答弁をされておりましたが、道路特定財源の税水準については、厳しい財政状況のもと、地域の自立、活性化や国民生活のために真に必要な道路整備等を実施していくため、現行水準を維持させていただくよう国民の皆さん方にお願いすることとしたと。

 これがなくなった場合には、国で約一・七兆円、地方で九千億円、合わせて二・六兆円の税収減となるほか、地域の自立、活性化のための道路整備や、災害に耐えられる橋梁の維持補修、救急病院への交通の利便性の確保、環境対策にも役立つあかずの踏切対策の解消など、国民生活にとって真に必要な対策を進めることが困難となるということでございます。

福田(昭)委員 財政が厳しいからむしろ一般財源化なんですよね。先ほど申し上げたように、道路特定財源については、使途拡大をしている方がどんどんどんどんふえてきているんですよ。純粋な道路のお金は、私が先ほど申し上げたように、この表にありますように、一兆四千八百三十五億円、本当に。附属物じゃない道路は一兆四千八百三十五億円なんですよ、平成二十年度の予算が。ですから、一兆六千億、本則分だけであるわけですから、余っちゃうんですよね。ですから、これだけ厳しい財政状況であれば、むしろ一般財源化して使った方が有効じゃないですか。そう思いませんか。

 特に、それこそ先ほど宮崎県の洪水対策の道路の話もしましたけれども、道路特定財源の目的外使用がどんどん明らかになっているじゃないですか。それこそ、国土交通省の官僚の官舎、格安な官舎になったり、がらがらの駐車場ができたり、レクリエーション施設や設備に使ったり、オペラやサーカスに使ったり、目的外使用がどんどんふえているじゃないですか。

 こうした無駄を省いて、国民の皆さんからいただいた税金を有効に使うということになれば、やはり一般財源化した方が有効に使えるじゃないですか。こんな、道路に決めておくからどんどん使途が拡大していくんですよ。ここをやはりしっかり押さえてやっていく必要があると思っていますので、ぜひ見直しをしてほしいなと思っております。

 次、時間がなくなりますので、五点目ですが、道路特定財源の暫定税率を全廃しますと二兆六千億減税になるということでございますが、この効果についてお伺いをしたいと思います。

 今政府が真っ先にやらなければならないことは、景気対策だと私は思っております。この際、二兆六千億減税するその効果は、政府として試算をしているのかどうか、どのようなものになるのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

木村(勉)副大臣 内閣府の経済財政モデルにおきましては、道路特定財源や道路関係の歳出のみを取り出して分析することはできません。暫定税率廃止の影響を、あえてモデルで取り扱うことができる範囲で考えるとすれば、公共投資削減と、同額の減税を実施した場合の実質GDPに与える影響について考えることとなります。

 公共投資や所得税額が一兆円変化したときに実質GDPが何兆円変化するかを乗数効果と呼びますが、経済財政モデルの乗数によれば、初年度において、公共投資を一兆円削減すれば実質GDPは一兆円程度減少し、所得税を一兆円減税すれば実質GDPは〇・六兆円程度の増加となります。これらを同時に行えば、実質GDPは〇・四兆円程度減少することになります。

 したがって、仮に二・六兆円の公共投資削減と、同額の所得税減税を同時に実施した場合には、初年度の実質GDPを一兆円程度押し下げることになります。

福田(昭)委員 政府の見解では、二兆六千億減税すると一兆円のマイナスだということでございます。

 これは、私もやったわけではございませんが、「道路の経済学」という本を出されております松下文洋氏によりますと、差し引き、年間二兆円の経済効果を生むと試算をいたしております。二兆円の経済効果ですけれども、建設、セメントなどの道路関連産業は年間マイナス一・五兆円、ガソリンなどの燃料費で五千億円のプラス、生活必需品の購入で一・五兆円のプラス、物流コストが減ることによって、小売業、農業、漁業、製造業への波及が一・五兆円、合わせて三・五兆円、差し引き、年間二兆円の経済効果があると「道路の経済学」の松下博士はそのように試算をいたしております。

 また、ミスター円と言われました、今は早稲田大学の榊原英資教授も、暫定税率を廃止することは景気対策として有効な手段となる、しかも、これは庶民減税ですべての人がメリットを受ける、さらに、地方は自動車の利用が多いので、どちらかといえば地方の人がかなりメリットを受ける減税となる、こう述べておりますが、いかがですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど副大臣から御説明申し上げた数字は、私どもの経済財政モデルの数字でございます。このモデルは、経済とそれから財政、社会保障が相互に影響を及ぼし合っているということを前提にいたしまして、マクロ経済と国、地方の財政の姿を整合的にとらえることを目的として作成されております。

 今御指摘いただきました松下先生の試算でございますけれども、そのもととなりますモデルというのは多分私どものモデルとかなり違うものではないかというふうに思っております。

 ただ、いずれにしても、どのような構造のモデルか、それからどのような前提を置いて試算をされているのかよくわかりませんので、これ以上のコメントはできないということを御理解いただきたいと思います。

福田(昭)委員 試算をしていないんだからどうしようもありませんが、減税をしてそれがマイナスの効果を生むという結果はとても信じられない話ですね。ですから、それはよく政府のモデルをしっかり修正をして、ちゃんとしたものに直してほしいと思います。

 それでは、そろそろ時間もなくなってまいりましたので次の質問に移りますが、地方分権改革の推進についてということで、改めて増田大臣にお伺いいたします。

 一点目は、地方六団体の道路特定財源の今回の維持活動についてでありますが、ほとんどの自治体の首長が同じ文書に署名したり、それから、ある県では、道路特定財源を維持する女性の会なんというわけのわからない女性の会から要請を受けて、県の土木担当部が県内の全部の市と町に対して、ぜひ署名活動をやってくれと要請をしたりしているんですが、こうした、地方六団体といいますか首長の異常な行動に対してどう思われますか。

増田国務大臣 それだけ道路財源を仮に減らされることに対しての危機感のあらわれというふうに考えるべきではないかというふうに思います。

 というのは、知事をやっておられたのでよくおわかりかと思いますけれども、地方財政が今厳しい中で、やはり財源を失いたくないという考え方はありますよね。

 それからあと、道路については、これは、ほかの公共事業との優先度、あるいは他分野との優先度の問題もいろいろありますけれども、やはり産業振興とかいろいろな場面でのベースになるインフラでございます。例えば栃木であれば、北関東などについてずっと長い間待っておられたという事情もあろうかと思うので、こうしたことに対して、特に道路については、今までも全国の自治体の知事、市町村長さん方が大変強い運動を展開してきたということもよく見聞きしておりますし、私自身も、いろいろこういった道路財源についての手当てを考えておりましたので、それだけ今回の問題に深い関心を寄せていると同時に、今、何とかぎりぎり調達をしている財源について、それを今後も変わりなく維持していきたい、そういう気持ちのあらわれではないかというふうに考えております。

福田(昭)委員 地方自治体とすれば、どんな財源でも欲しいんですよね。これは、道路特定財源であれ交付税であれ、それこそ税財源であれ、何でも欲しいという状況に今なっているんだと思います。

 それは、先ほど、最初に私が申し上げたように、小泉さんの改革で地方は八兆七千億も減らされた。これは、もう本当にそういう意味ではきつきつの財政運営をやっているんですね、苦しくて。そうした中で出てきたこの道路特定財源の話ですから、これは地方の首長さんたちが真剣になるのは当たり前だと思います。

 そうした中で、やはり増田知事とも昔は仲間でありました前鳥取知事の片山さん、片山教授が、やはり道路特定財源は一般財源化すべきだ、それはもう我々がずっと主張してきたことじゃないか、それを今さら道路特定財源を維持してくれというのは、自分で自分の首を絞めるようなことじゃないか、そんな話をしております。

 そうしたことに対して考えを聞く時間がなくなりましたので終わりにしたいと思いますけれども、ぜひとも増田大臣は、地方の元気が日本の力だ、こう言っているわけですから、もう少し地方のために元気を出して頑張ってほしいと思いますし、きょうの新聞を見ておりましたら、福田内閣の支持率がどんどん下がっているんですね。これは何で下がるかというと、何もやらないからなんです。ですから、増田大臣が地方を元気にさせることをやれば、福田内閣の支持率も上がるかもしれないんですよ。そういった観点からもぜひ頑張っていただきたい。そんなお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 大臣所信に対する質疑ということで、まず、地方財政の現状について、総務省、総務大臣の認識について二、三お伺いをしたいと思っております。

 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が昨年六月の建議で「平成二十年度予算編成の基本的考え方について」を出されていますが、その中で、「地方財政の現状は、交付税特別会計の新規借入金を停止し、国負担分借入金を一般会計承継した一九八四年度と同様である。」との認識を示していますが、この点は、総務省、総務大臣、同様の認識なのか、お伺いします。

増田国務大臣 今お話ございました一九八四年、これは昭和五十九年度でございますが、それと平成二十年度では、地方財政の状況が今の方がはるかに悪化をしている、こういう認識に立っております。

 例えば、歳出面で、社会保障関係費などの一般行政経費の比率が、今、約二一%から三二%まで高くなったとか、公債費が一一%から一六%、いわゆる義務的経費の割合が高まっています。

 それから、借入金残高も、今御指摘いただきました一九八四年当時は年度末で五十五兆円だったんですけれども、今は、平成二十年度末ということになりますが百九十七兆円と、約三・六倍ですね。ということになっていますから、やはり将来負担となるこうした借入金残高も大幅に累増しているということでございますし、私どもは、やはり総じて財政状況は極めて厳しくなっている、こういうふうに認識をしているわけであります。

塩川委員 今の方がはるかに悪化をしている、財政制度等審議会の認識との大きな違いがあるというのは、当然のことながら、地方を担う立場からの現状認識だろうと思っております。

 八四年度といえば、地方財政に財源不足が生じた場合に、これまでの交付税特別会計での借入金で補てんする方法をやめて、交付税交付金の特例措置で補てんする方法に変更した年ですけれども、そういう点で、今回の地方財政対策において特別交付金の二千億円というのがありますが、これは、この八四年度で言っている交付税の特別措置とそもそも性格が違うものだと思うんですが、その点を確認させてください。

久保政府参考人 御指摘ございました昭和五十九年度、これは、当時の交付税特別会計借入金の残高が累増しているということがございまして、地方財政の健全化を図るために、借り入れによる財源不足の補てんを原則として行わないということにした上で、なお、生じる財源不足額に対して交付税の総額の、ただいま御指摘ございましたように、特例措置を講ずるということを当分の間の暫定的な制度として設けております。そして、その措置に基づきまして、昭和五十九年度は、国から一千七百六十億円の総額の増額が行われたということでございます。

 その後、これは委員も御案内のように、財源不足が生じますと、特別会計で借り入れをして、そしてその償還を折半で行うとかいうことをやってきたりいたしまして、そして平成十三年度からは、通常収支の財源不足額につきましては、新たな折半ルール、地方交付税法の附則の四条の三という中で、国、地方が折半して補てんするという措置が定められたわけでございます。

 そこで、平成二十年度、来年度の財源不足額でございますけれども、これは五兆二千四百七十六億円生じるということになってございます。そして、私ども、その補てんにつきましては、まず、財源対策債を増発する、一兆五千億円、そしてさらに、臨時財政対策債につきまして、二兆八千億円発行するといたします。そして、地方交付税法の附則の四条の二の二項と三項によります法定加算、これが約七千億ございます。そして、御指摘がございました特別交付金二千億円、これを加えましてこの収支不足を埋めるということにいたしまして、交付税法の附則の四条の三に基づきます折半ルール、これを適用せずに財源不足が埋められたということにいたしております。

 この特別交付金でございますけれども、これは、恒久的減税によります減収を補てんする制度でございました減税補てん特例交付金というものがございました。これが平成十八年度をもって廃止をされたということがございましたので、それに伴います激変緩和の経過措置として地方特例交付金法の附則に設けました交付金でございまして、御指摘がございました、交付税の総額の特例措置というものとは異なるというふうに考えております。

塩川委員 重ねて伺いますが、財政制度等審議会の建議には、「当面は、地方税収の増加に伴い、地方財政の状況が引き続き改善することが見込まれる。」とありますけれども、こういう認識については、増田大臣はいかがでしょうか。

増田国務大臣 財政制度等審議会の方ですけれども、これは昨年の六月にこういう認識を示されたわけですが、まだその昨年の六月の段階では、ぎりぎりでしょうけれども、国税それから地方税とも、いわゆる交付税原資が好調な伸びが見込まれるというその予測のもとで進んでおりましたので、そういうことを前提にこういう認識を示されたのかな、向こうの審議会の方の委員の先生方の認識でありますので、しかし、それをあえて言えばそういうことかなと思うんですが、ただ、そのすぐ後に地方税とか国税の伸びの鈍化ということが出てきているわけですね。

 ですから、もし仮にそうだとしても、この財政制度等審議会の建議で指摘するように、地方税収の増加に伴って、「地方財政の状況が引き続き改善することが見込まれる。」そういう状況では決して、言えない、言いがたい、こういう認識に今立っているところであります。

塩川委員 昨年の六月の財政制度等審議会の認識というか考え方というのが、自治体間の財政力格差の是正の方法というのを、地方交付税を通じた国から地方への垂直的な調整によって行う、こういうやり方というのを、自治体間の水平的な財政調整、こういう方法に転換しようとするものを目指すものじゃないのか、そういう立場での現状認識というのが財政制度等審議会の建議にあらわれているんだろうと思っております。

 そういう点でも、今、総務大臣、総務省の現状認識を伺いました。そういう中身を踏まえて、今後の法案審議の中で、この点を踏まえた議論を進めていきたいと思っています。

 次に、運輸事業振興助成交付金に関連して質問をいたします。

 自治事務次官名で昭和五十一年に、運輸事業振興助成交付金の交付についてという通達が各都道府県知事あてに出されております。この運輸事業振興助成交付金制度の設立の趣旨とその内容について説明をいただきたいと思います。

河野政府参考人 運輸事業振興助成交付金制度の趣旨と内容でございます。

 昭和五十一年度の税制改正におきまして軽油引取税に暫定税率が設けられたわけでございますけれども、それによりまして、税率が一キロリットル当たり一万五千円から一万九千五百円に引き上げられたわけでございます。その際に、営業用のバス及びトラックにつきまして、輸送コストの上昇の抑制等を図る観点から税率の引き上げ幅を低目に抑えるべき、こういう議論がなされたわけでございますけれども、軽油引取税に複数の税率を適用することは課税技術上も困難がございます。

 このために、都道府県におきまして、地方のトラック協会などが行います公益事業に対して交付金を交付することによって輸送コストの上昇の抑制等に資するということといたしまして、運輸事業振興助成交付金の制度が設けられたものでございます。

塩川委員 地方の公益団体に対する補助金について自治省から通達が出ている、その場合に具体的な補助金の額についての算定根拠を示しているわけですけれども、昭和五十一年に導入をした、つまり、この制度というのは軽油引取税の暫定税率導入とともにスタートしたということになります。

 そこで、昭和五十一年に導入したときのこの交付金の総額はどのような理由で定められたのかをお示しください。

河野政府参考人 昭和五十一年に運輸事業振興助成交付金制度が設けられた際の総額の考え方でございます。

 この際には、税率の引き上げに伴います軽油引取税の増収分のうちで営業用のバス、トラックに係る負担分の二分の一に相当する額を、公益法人でございますトラック協会などが行う輸送コストの上昇の抑制等に資する公益事業に対して交付する、こういう考え方に基づきまして、約百億円を交付する、こういうことにされたものでございます。

塩川委員 負担増の二分の一に相当する額ということで百億円というのを枠としてつくったわけですね。その後、国の補助金の一律一割カットなどのときに若干計数を変えましたけれども、昭和六十三年以降に交付金の算定基準を変更したわけです。

 昭和六十三年以降の交付金の総額はどのように算定しているのか、総額の目安はどういうふうにしているのか、その点についてお答えください。

河野政府参考人 総額の考え方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、五十一年度の創設当時、おおむね総額百億円とされていたところでございますけれども、その後、昭和五十四年度の税制改正におきましてさらに税率の引き上げが行われまして、これに対応いたしまして、総額をおおむね二百億円とされたところでございます。

 さらに、昭和五十八年度税制改正におきましては、当時、国の補助金につきまして一割カットの措置がとられておりまして、これと同様に従来の額の一割減、おおむね百八十億円とされたわけでございます。

 その後、平成五年度の税制改正におきまして特例税率がさらに引き上げられたわけでございますけれども、その際には、こうした税率の引き上げの事情、また、地方財政に与える影響でございますとか交付対象となる事業の内容、規模等を勘案した上で、その額をおおむね二百億円とされたところでございます。

 その中で、算定の方式につきまして昭和六十三年度の変更について御指摘がございましたけれども、この際には、総額と算定式で算定した額の乖離を調整しますために、調整値という形で新たに乗じる率を設けるような算定の仕組みの改正も行われているところでございます。

塩川委員 ですから、国が地方公共団体の公益法人に対する補助金の額の総額を二百億円となるように調整するという形での算定基準を示してきているわけです。

 そこで、大臣にお伺いしますけれども、地方税に関係をして、公益法人に対して一定の算定基準を示して補助金を出すように地方公共団体に通知をしているような事例というのは、この運輸事業振興助成交付金事業以外にあるんでしょうか。

増田国務大臣 公益法人に対して算定を示して補助金を出すように地方団体に通知しているものは、この運輸事業振興助成交付金のほかにはございません。ないものでございます。

塩川委員 ですから、国が地方公共団体に対し、この団体に補助金を出しましょうねと自治省が、そういう通達、通知というのはほかには出していないんですよね。だから、極めて特異、異例な制度ということが言えると思います。

 ですから、大臣に重ねて伺いますが、地方の補助金であるにもかかわらず国がその総額の枠づけをしている、しかも自治省が、いわば所管外の業界団体、公益法人への補助金について通達を出している、これは極めておかしいんじゃないかと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。

増田国務大臣 これは、制度ができたときに、関係する、その直接の影響を受けるバスあるいはトラックの関係の皆さん方の御理解をいただく、税制でございますので、負担をしていただく方々の理解の上に成り立たないといけないものですから、そういう皆さん方に御理解をいただく、そして、やはり輸送コストの上昇につながりますので、そういった輸送コストの上昇の抑制をきちんと行うということで、当初決められた。確かに、委員おっしゃるように、極めてまれなものであると私も思いますが、そういう経緯からこれができ上がっているもの、こういうふうに理解しています。

 そして、それが国でやらなければいけないのかどうかということもあるわけでございますが、バス、トラック、広域で動いていく団体でございますけれども、そうした中で、交付対象となる事業の内容ですとか規模というものをよく勘案して全体の額を決めていく必要がある。当初はトラックターミナルの整備等に使われておったようで、最近はちょっと変わってきているようですが、そういう事業内容を見ながら、一方で、地方財政に与える影響というものもございますので、そうしたことを把握しながらこの総額を定める必要がある。それから、軽油引取税の税率水準ということもございますので、そうしたことを、この制度の趣旨を踏んだ上で、こうしたことについて国の方で総額を定めて、そして各都道府県に対してその方法を示している、こういうふうに理解しております。

塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、それぞれの公益法人はそれぞれの都道府県に対応してあるわけです。その公益法人に対してその都道府県が補助金を出すということについて、何で国がその総額まで決める必要があるのか、そもそも今の時代に合わないんじゃないのか、そこを聞いているんですけれども、改めて、いかがですか。

増田国務大臣 確かに、それぞれの都道府県が出している交付金でございますので、それぞれの都道府県の判断というものもあって、尊重しなければならない、こういうふうに思いますけれども、こうした税の創設された趣旨から、一方で、負担をしているバス、トラックの関係の皆さん方の理解も得るという必要もあるものですから、そうした中で、その皆さん方の全体としての事業の内容ということについて、今申し上げましたとおり、交付対象となるような事業の内容ですとかそれから規模というものについて、全体として国の方で一定の基準となるものをお示ししている。その中には地方財政に与える影響といったものも含めて勘案しているわけですが、そういうことになりますと、どうしても、各都道府県というよりは国の方で一つの基準をお示しするということの方が効果が出る、こういう考え方だと思います。

塩川委員 枠組みの問題を議論しているわけで、大臣所信でも、地方の自由度の拡大、あるいは地方に対する枠づけの大幅な見直しということを表明されておられるわけです。ですから、地方の自主的な財源の使い方に国が口を挟むような制度については、これは必要な見直しを行うべきだ。改めてお聞きしたい。

増田国務大臣 それぞれの納税者といいましょうか、バス、トラックを運行している皆さん方の、納税者の理解を得るということが、この場合優先をされているということでございまして、そうしたことを踏まえた上でこの制度ができ上がっている、こういうことかと存じております。

塩川委員 おかしいと思うのは、この昭和五十一年の自治事務次官名の通達において交付金の対象事業も示されているわけですが、その中には、地方のバスやトラックの事業者から全国組織の公益法人に対する出捐、お金を出すということをわざわざ挙げているわけですけれども、例えばトラック協会の場合でいえば全日本トラック協会になるわけですけれども、その全日本トラック協会に、事務局の役員の中に役所からの天下りがあるという問題が出てまいります。

 そこで、国交省の御担当の松島副大臣にお伺いいたしますが、現在の全ト協におきまして、理事長、専務理事、常務理事ポスト、七人ぐらいだと思いますけれども、そのうち中央官庁からOBの方がどこのポストに何人いるのか、省庁別にお示しいただけますか。

松島副大臣 塩川委員がおっしゃいましたように、全日本トラック協会には常勤の役員が七名いらっしゃいます。理事長以下七人いらっしゃるんですが、その中で国家公務員出身者は五人であります。五人でございまして、そのうちの三人が国土交通省あるいは旧運輸省の出身、あと二人が警察庁と旧自治省の出身でございます。

 どういう人かといいますと、理事長につきましては、元海上保安庁次長でございます。ただ、自動車交通局の審議官も経験しております。専務理事は元運輸省の近畿運輸局次長です。常務理事が三人おられて、それぞれ、運輸省出身者は最終の官職が自動車交通局保障課再保険業務室長、この道のプロでございます。そして、警察御出身の方が警察庁九州管区警察局長。さらに、旧自治省出身の方が自治大臣官房付参事官の方、そういう構成になっております。

塩川委員 事務局の役員のポスト七人中五人が天下りということで、事務局の中枢に官庁OBの方がいらっしゃるわけですが、暫定税率の導入が昭和五十一年です。この理事長職に旧運輸省からの天下りが始まった、旧運輸省から天下りで理事長につき始めたのが昭和の五十年です。つまり、暫定税率と前後をして、それ以降ずっと理事長職は旧運輸省。若干おくれますけれども、専務理事についても二代にわたって旧運輸省ということになっておりますし、常務理事五つのポストのうちの三つが旧運輸省と警察庁とそれから旧自治省ということになっております。

 これはやはり、襟を正す上でも見直しが必要じゃないかと率直に思うんですが、松島副大臣、いかがでしょうか。

松島副大臣 それが正しいかどうかは全日本トラック協会が決められる問題だと思っております。

 このような構成になっておりますが、もう塩川委員も御承知のように、トラック業界というのは我が国の物流の基盤的な、中心的な業界でございます。と同時に、中小企業が多いとか、環境問題をいろいろ抱えていたり、安全対策を抱えていたり、そういう特徴があるところでございます。そういうことを踏まえた上で、全日本トラック協会さんがこの三つの役所から人材を求めてもらえるんだ、そのように解釈しております。

塩川委員 三つの役所ということで、私は天下りそのものは問題があると思っておりますけれども、そういう専門家の方などを受け入れるという点で、例えば旧運輸省の方というのは事情もあるでしょう、警察庁の方も何らかの御縁もあるんでしょう。旧自治省というのはどういう御縁があるんでしょうか。それを一言答えていただけますか。

松島副大臣 それは全日本トラック協会が考えることでございますから、国土交通省が云々と申し上げる筋のことではないと思っております。

塩川委員 そこで、天下りの方の一覧表をいただいたんですけれども、常務理事ポストの一つが自治省の方になっております。それは、現在いるということだけではなくて、八代にわたって旧自治省の方が常務理事職についている。いつからついているかというと、暫定税率の導入が昭和の五十一年であります。旧自治省の天下りが始まったのが昭和の五十二年であります。暫定税率の導入で今紹介したような制度ができたのを機に始まっている。

 ですから、国が、地方の補助金について総枠を決めるという通達を、事務次官名で所管外の公益法人への補助金ということで出すわけですね。そういう中身というのは、これはあり方としてゆがんでいるんじゃないでしょうか。増田大臣、いかがですか。

増田国務大臣 私ども、総務省といいましょうか、当時のあれからいいますと旧自治省といいましょうか、そちらの方から見ても、通常ですと、所管法人とか所管外法人という言い方をしますけれども、いわゆる所管外法人ということになるので、ちょっと私も今お話を聞きまして、にわかに、どういう経緯でそういう形になっているのか、あるいは、今御答弁が国交省の方からございましたけれども、そちらの方でどういう人をもらいたいというふうに考えているのかわかりませんけれども、やはりそのあたり、公益法人側の人の話を聞いてみないと判断がつかないということでございます。

塩川委員 担当の大臣がにわかに事情としてはよくわからないと言われるぐらい縁がないような関係にあるわけですね。(発言する者あり)今ありましたけれども、縁があってというところもさらに癒着を生むわけですから問題ですけれども、そういう点の枠組み自身が本当に不可思議なわけです。

 先ほど言いましたように、昭和五十一年に、暫定税率導入に合わせて運輸事業の振興助成交付金というのがスタートをするわけですけれども、その時期に合わせてこの天下りのポストが持たれた。これは、まさにみずからが補助金を確保したという実績を持って天下ってきているんじゃないのかと疑われても仕方がありません。

 そういう関係について、襟を正すという点でも、旧自治省、総務省からもう行かないということを示すことが国民の信頼を得る一番の道じゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

増田国務大臣 公益法人ですと、通常ですと、私が大臣になったりしまして、いろいろあちこちでお会いしたりすることがございますけれども、今の関係の公益法人の理事長さんと全くお会いしたことはございませんし、そちらの方の理事長さんがどうお考えになってこういう人材を求めているかということがにわかに判断がつきません。

 それで、実は、この問題について、公益法人についての御質問があるということで、中身の様子などもちょっと私も事務方の方から聞かせてもらいましたけれども、ずっと続いている、そういう現前の事実があるわけですね。

 ですから、このあたりは私の方でも、何か事情があるんだろうと思いますし、もっとよく調べてみたいというふうに思います。(発言する者あり)

塩川委員 そういう御指摘もありますし、きっぱりこれを断ち切ることが国民の不信を払拭する一番の道だということを申し上げたい。

 ですから、今の現状というのは、天下りの指定席をつくるためのものじゃないのか、こういうことを疑わざるを得ないわけで、暫定税率の維持は天下りのポストを確保するためだ、こういうことを言われても仕方がないということが問われてまいります。

 加えて、政治献金の問題があります。

 これは毎日新聞も指摘をしておりますが、私の調査でも、〇六年には、全ト協副会長が代表を務める政治団体、道路運送経営研究会にはパーティー名目で兵庫県トラック協会から四百五十万、北海道トラック協会から百四十七万の資金が寄せられて、その道路運送経営研究会から、自民党の政治団体、国民政治協会に、五百万円の寄附も支払われているわけです。

 ですから、税金が投入をされている公益法人からの政治資金提供というのは、これはもうきっぱりとやめると言うことこそ、国民の不信を解消する道だ。その点について、政治資金を所管される増田大臣と、この公益法人所管の松島副大臣にお答えいただきたいと思います。

増田国務大臣 済みません。ちょっと政治資金の方、正直なところ、選挙部の方に聞いてこなかったものですから。

 もし仮にそういう話があるとしても、政治資金規正法上何か問題があるのであれば、私の方に当然報告があるでしょうから、政治資金規正法上は適正な処理がなされているんだろうというふうに思いますが、どういう形のものがあるのか、担当官の方に聞いておきたいというふうに思います。

松島副大臣 今、塩川委員の御指摘の問題につきましては、国土交通省としてコメントする立場でございませんけれども、しかしながら、一応全日本トラック協会に聞きましたところ、このような政治献金については、今おっしゃったように、トラック協会とは別の組織である道路運送経営研究会が、その会員から寄附を集めて、そして政治資金規正法に基づいて献金を行っているということでございます。別に、交付金が即寄附に行っているとか何とかに行っているものでは全くございません。

塩川委員 役員がつくる政治団体から行っているわけですから、そういう点でやはり疑念というのは抱かれるわけで、これはきっぱりとやめると、自民党の政治家としてもお答えいただきたかったというのを率直に申し上げて、この問題についても天下りをきっぱりとやめるということと、政治献金についてはもうきっぱりとなくすという上で、道路特定財源の一般財源化、暫定税率はなくすということが国民の声にこたえるものだということを述べて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、二件質問させていただきます。

 まず一点目ですけれども、大臣は、所信の中で、地方への一層の権限移譲について言われました。その流れの中で、昨年、所得税から住民税への税源移譲も行われました。これに関して、個人住民税の還付について質問します。

 現在、総務省・全国地方税務協議会名でチラシがつくられて、配布されております。その中に、平成十九年に所得が減って所得税が課されなくなった方へということで、今年七月一日から三十一日までの間に市区町村に申告すれば個人住民税の還付を受けることができる、このように書いております。

 まず、こうした還付を行う理由について、総務大臣、答弁をお願いします。

増田国務大臣 今お話ございましたとおり、税源移譲が行われたわけでございますが、そういたしますと、例の給与明細票の中で、昨年の一月から所得税額が減少する、そして今度は、六月から個人住民税額が増加をする。これは、ほとんどの方がそういう形で明細をごらんになったと思います。

 ただ、あれは暦年ですから平成十九年分ですが、平成十九年分の所得について、所得税が課税されない程度まで減少された方、これは、一つの例としては、それまで勤めておられた会社をやめられて、そして急に所得がなくなられた方などでございますが、そうした、所得について所得税が課税されない程度まで減少した方については、この十九年分の所得税の減少の影響というのは受けない一方で、ただ単に、六月になると今度は個人住民税の方の増加の影響のみが生じてきてしまう、両方でこういうアンバランスが生じてまいります。

 これは構造的には、個人住民税が、地方税の住民税というのは前年所得に対して翌年課税する、こういう形になっているのでどうしても出てくることでございますけれども、一方で、政策的な税源移譲ということによってこうした現象が生じるということもございますし、また、これらの方は所得が少ないということもございますので、平成十九年度分個人住民税を減額する経過措置というものを設けまして、そのことを今委員の方からお話がございましたチラシでお知らせをして、そして措置をとりたいというふうなものでございます。

重野委員 昨年、総務省は、税源移譲に伴う税負担は基本的に変わらない、このように広報されておりました。ところが、実際には負担が大幅にふえた方がいらっしゃるということです。チラシのモデルケースでは、九万七千五百円負担がふえることになっています。

 今大臣も説明されましたけれども、今回、この方式に基づいて個人住民税が還付される対象となる方は一体どれくらいいるのか、それが一つですね。それから、全体の総額でどれくらいになるのか、それが二つ。そのための財源はどうなっているのか。その点についてお聞かせいただければありがたい。

河野政府参考人 お答えいたします。

 この所得変動に係ります減額措置による対象者数等でございますけれども、課税所得の変動にはさまざまな要因があるわけでございますので、正確に対象者数あるいはこの措置の影響の総額、これを推計するのはなかなか困難でございます。そういう制約はございますけれども、一定の前提を置いて推計をいたしますと、この措置の対象者数は全国ベースで約二百万人程度、また、減額される額、影響額は約八百億円程度と見込んでいるところでございます。

 また、この減額に伴う還付等に係る財源措置についてお尋ねがございましたけれども、この措置に伴う還付あるいは充当見込み額につきましては、平成二十年度の地方財政計画における個人住民税の税収の見込み額から控除する形で見積もっております。これと同様に、地方交付税の基準財政収入額の算定に当たりましても、こうした影響額を控除した後の額に基づいて算定をするということにいたしておるところでございます。

重野委員 今言われました二百万、八百億、これは決して少ない数ではありません。対象者は、失業あるいは病気、退職などで〇七年の課税所得がゼロとなった方だろうというふうに思います。

 ところで、負担がふえることに対する還付であるとするならば、〇七年に所得税を払ったか払わなかったか、これを基準にすることは適切でしょうか。

 例えば、このチラシのモデルケースに即して言いますと、〇六年度所得税二十二万円、住民税十三万円を払っていた方が〇七年度に失業や退職などで課税所得が十万円になった場合、仮定ですよ、そうなった場合は、所得税は五千円、住民税は二十二万七千五百円です。税源移譲前であれば所得税と住民税を合わせて十四万円でよかったものが、移譲後は二十三万二千五百円になる、こうなりますね。この方も、チラシの例よりは少ないものの、九万二千五百円の負担増となります。これは今回、対象にはならないんでしょうか、なるんでしょうか。ならないとすれば、還付から排除した理由は那辺にあるのか、お聞かせください。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 税源移譲に当たりましては、所得の変動がない場合には税負担の変動がないようにということで制度改正を行っているところでございますけれども、現年所得に対して課税する所得税と、そして前年所得に対して課税する住民税と、この間で税源移譲を行っておるわけでございまして、その結果、所得変動に伴って税負担の変化が生じること自体はやむを得ないものであろうと考えております。

 そしてまた、所得の変動につきましては、これは多かれ少なかれほぼすべての納税者に生ずるわけでございますので、税負担への影響額もそれぞれの所得の変動によって異なってまいります。したがって、すべての方に対しまして所得の変動に応じた調整措置を講ずるということは、これは税務の実務の観点からも大変困難でございます。

 このために、平成十九年分の所得税が課税されずに、税源移譲による所得税率の引き下げによる所得税額の減少の効果が生じない、こういう方を対象としてこの特例措置を講ずることにしているものでございます。

重野委員 今の説明によると、所得がゼロ以外は対象でないと。それは僕はやはり説得力に乏しいんじゃないかと思うのですね。それは国が制度を変えることによって、ゼロか十か十五か二十かというその違いはありますけれども、それによって、ゼロの人ほどは影響を受けないけれども、しかし、ゼロの人に近い影響を受ける、これはやはり国が責任を持って僕はきちっとやるべきものじゃないかというふうに思うんですね。

 所得税を払うか払わないかは、所得があるなしではなく、課税所得があるかないか、これによって結果が決まるんですね。所得税がゼロでも所得がある人もあるんです。これはやはり公平性の観点から見ても大いに問題があるという私の問題提起というのは、今の説明では整理できないと私は思うんですが、その点についてはどうですか。

河野政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、所得の変動は、これはほぼすべての納税者に関して生じるわけでございますので、そうした所得の変動に応じて、それぞれその影響に対応した減額措置等を講じていくということは、これは大変税の実務上も困難であるわけでございます。

 そういう観点から、特にそうした措置を講ずる必要のある方、具体的には平成十九年分の所得税が課税されない程度に所得が減少した方について今回の措置を講じておるということでございます。

 なお、昭和三十七年度におきましても、同様に所得税から都道府県民税に税源の移譲がされた経緯がございますけれども、この際にも、同様の観点から、所得税が課税されない者に限って対象といたしておるところでございます。

重野委員 それではもう一つ、この還付はことし限りの制度なんでしょうか。

河野政府参考人 この所得変動に係ります住民税の減額措置、還付等の措置につきましては、平成十九年度分の個人住民税から税源移譲が行われることに伴いまして、税源移譲に際しての所得変動、具体的には平成十八年から平成十九年の所得変動によって生じた負担の調整を行う、こういう観点から経過措置として設けておるものでございまして、平成十九年度分の個人住民税に限って適用するということにいたしておるわけでございます。

 制度改正後の平成二十年以降の所得につきましては、これは所得税、住民税ともに、新しい税源移譲後の制度のもとで課税をされるということになるわけでございますので、こういった今回の経過的な措置の対象とする必要はないものというふうに考えているところでございます。

重野委員 私はまだ納得しかねるのですが、これはずっと言っても、どうも今の回答を聞く限りは平行線という感じがいたします。

 しかし、私は、こういう税制改革をやった場合に、例えば、このとおり単年度でその影響を緩和するための措置がされるということは、だれも、今在職している方、今までの制度でやってきた人がいつかやめるわけですね、いつか退職するわけです。そうすると、そのときに変わったことによって、それ以前のものとそれ以降のものとの間にこういう差ができる、これはどうかという問題の立て方について今否定をされたわけで、これはもう議論をしても平行線ですからここでやめますけれども、私は、税制度を変えるというときには、最大限、その影響の激変緩和みたいな緩和措置をやはり可能な限り追求する、そういう課税する側の納税者に対する配慮というのは当然求められてくるので、これは今後ともそういう問題意識を持ってやっていただきたい、このように思います。

 それから、注文ですけれども、今回の還付について周知の仕方ですが、昨年の税源移譲の際には、所得税と住民税を合わせた税負担は変わらない、こういう宣伝が電車の中にも下がっておりました。ホームページでも、負担は変わらないよという周知がなされていました。しかし、還付に関しては、どうもそこら辺はそうでないような感じがするんです。ホームページをずっとクリックしていってみたら、本当に扱いは小さくて、ぱっと見て納税者が納得するというふうな点での工夫が、これは意識的なのかどうか知りませんけれども、工夫が足らない、こういうふうに感じます。

 したがって、所得税と住民税を合わせた税負担は変わらないよということを宣伝する、同じようにこの問題についても積極的に宣伝することが求められている、私はこのように思いますので、それを検討していただきたいと思います。

 次に、二つ目の質問ですが、これは郵政公社、郵便会社、郵便局会社の問題であります。

 昨年の十月に郵政公社が民営化されました。そして、日本郵政株式会社が発足をいたしました。ことしは民間会社になって初めての年賀はがきの販売をするわけです。前年の倍の宣伝費を使って販売促進を行ったというふうに聞いております。年賀状の販売、配達は国民的行事の一つであるし、また、公社の側からすれば、以前から収益の大きな柱であった、こういうふうに理解をいたします。

 ところが、先日、日本経済新聞でありますが、これに、ちょっといかがなものかというような内容の報道がありました。これは問題だと思うんですね。日本郵政は、二〇〇八年用年賀はがきを三十六億枚販売した。ところが、三十六億枚販売したんだが、実際に差し出されたのは二十九億枚、七億枚どこかに行った、これはどうなったのか。JP労組は、この差の多くはいわゆる局員が自己負担で買う、彼らは自爆営業、こういうふうに言っていますが、社員には一人平均一万枚の販売目標が課されたけれども、実質的なノルマですね、売れ残りは金券ショップに持ち込まれたと。これは、うそか本当か知りませんが、こういう記事が出ていました。

 日本郵政株式会社は民営化されました。民間会社になったわけですから、経営判断や目標設定は自主的に行われることはもちろんです。しかし、明らかに不正常な実態、自爆営業などということが公然とささやかれる。ここ数年の販売枚数と差し出し枚数はそれぞれ何億枚だったのかということを一つ知りたい。それから、職員一人当たりの販売目標枚数はどうなっているのか、それを聞きたい。それから、年賀状だけでなく、その他の郵便局の商品も同じように目標が設定されて販売されているのか、各人に一定のノルマが課せられて販売されているのか、その点についてお聞かせいただきたい。

伊東参考人 お答えいたします。

 最初の御質問、年賀はがきの販売枚数と引き受け状況の最近の推移ということでの御質問にお答えをいたします。

 先生御指摘の新聞の記事にございましたように、今回、平成二十年用の年賀の販売枚数は約三十六億一千六百万枚、約三十六億枚でございます。それに対しまして、引き受け枚数が約二十九億七千万。したがいまして、その差は約六億五千万ございます。

 これをさかのぼりまして、ここ五年間ぐらい見ていきますと、昨年、平成十九年用、平成十八年度ですが、販売枚数は三十六億二千二百万枚、私どもが引き受けさせていただいたのが三十億二千六百万枚、この差が約六億枚でございます。同じく平成十七年度が三十七億七千八百万枚販売いたしまして、引き受け枚数が三十一億一千百万枚、約六億七千万枚の差でございます。平成十六年度もほぼ同じく三十八億六千四百万枚販売いたしまして、引き受け通数は三十二億一千七百万枚、約六億五千万枚。さらに、平成十五年度も四十億三千三百万枚販売いたしまして、三十三億五千万枚引き受けて、六億八千万枚ぐらいの差になっております。

 何でこんな差があるのかということに対しまして、私どもなりの推測でございます、確定的なものがすべてわかるわけじゃありませんけれども、今申し上げましたように、大体販売しました八二、三%が引き受け枚数になってございます。その差が今申し上げましたように六億前後あるわけでございますが、その差の中身について推測されることは、書き損じが当然のことながら幾つかございます。これについて、交換に来ていただいて、切手とか普通のはがきにかえていただく例とか、それから、書き損じされたものでも交換されずにそのままそれぞれのお客様のお手元にあるものとか、そういったものでこのぐらいの差が出ているのかということを、私どもも確証しているわけじゃございませんけれども、いずれにいたしましても、ここ五年間を見ましても、傾向としては同じような数字になっているわけでございます。

 それから、二点目の質問が目標のことでございました。

 今回、郵便局会社と郵便会社に分かれまして、郵便会社は主として外務員が販売をする、郵便局会社は窓口で販売する、そういうことで、それぞれの強みを生かした販売体制を組んだわけでございますが、新聞の記事にございましたように、一人約一万枚という数字がございました。

 正社員だけを考えますと、販売所でそもそも売られるものとか、特に四面連刷となっているものをあらかじめ大口が引き受けるとか、そういったものを全部除きまして正社員で割りますと、約九千五百枚になります。ただ、私どもはたくさんの非正規社員も抱えておりますので、そういう方々にもある程度売っていただこうということで、その方も全部含めますと、一人当たり四千五百枚ということになります。

 したがいまして、単純に正社員だけで割れば、新聞記事にあったような約一万枚、九千五百枚という数字でそれぞれ売っていただこうということで目標を定めているわけでございます。

 それから、三点目に、年賀はがき以外にも、それぞれいろいろな郵便商品も目標を定めているのかと。

 これは、それぞれの支社あるいは支店によって取り組みが若干違うところがございますけれども、やはりある程度営業を行いながら商品を売っていくという意味では、支店全体として目標を定めたり、あるいは、郵便会社の場合には班という制度がございますので、班単位で目標を定めたり、場合によっては、班の中でまた一人一人このぐらいお願いするということで目標を定めている例はございます。

 以上でございます。

重野委員 正社員九千五百枚、指摘しているように、一人平均一万枚の販売目標が課されているという点については今の答弁でわかりました。

 問題は、一万枚といったら大変な数ですよ。私が問題と思うのは、売れない部分は結局自腹切っているんですよ。そういう現実があるということは、お認めになりますか。

伊東参考人 お答えいたします。

 私ども、いろいろな場で今先生のような御指摘をいただいておりまして、民間会社になりましても、あるいはこれは民間会社になる公社の時代もそうですけれども、そもそもの需要に基づく営業ということを私どもは大前提のもとにそれぞれ目標を定めておりますので、いわゆる自爆営業というものがないように、具体的な指導を毎回毎回しておりますし、今、私ども、コンプライアンスマニュアルというのを定めて、そこにも具体的に書いてあるわけでございますので、万が一にもそういうことがないようにということで対応しております。

 もしそういうことが起きた場合には、当然、社内のコンプライアンス違反として、関係者にも厳しく対応したいと考えておりますので、現時点では、私ども、そういうことがないという認識でおります。

重野委員 私が問題にするのは、昨年の十一月の参議院で私の仲間が同じような指摘をしたんです。そのときに、当局の側は今言ったような答弁をしているんですよ。実需のない買い取りとか、そういうようなものは絶対やらないように厳しく指導しておりますと、そのときもそういう答弁をしているし、西川社長も、我々経営陣がよく現場の実態を把握して、そういった受けとめ方のないようにやってまいらなきゃならないと。去年の十一月ですよ。そして、今私が指摘しているのは、ことしのお正月ですよ。

 一体、国会で答弁している内容が、一月もたたないのに現場ではそうではない実態があるというところ、私はこれは問題だと思うんですね。総務大臣、どう思いますか。

増田国務大臣 仮に、今委員がお話しになったような実需のないような買い取り、自爆営業というんでしょうか、そういう行為があったとすれば、これはやはり適当でないと思います。私は、それはやはりどんなことをしてでもやめなければいけないと。

 ですから、これは、今役員からコンプライアンス委員会等の話がありましたけれども、とにかく、経営判断を誤らせることにもつながりますから、その点については本当に徹底をしていただきたい、このように考えます。

重野委員 そうだと思います。今総務大臣の言ったとおりで、十一月に国会で問題にされて、そしてそんなことはしませんと言っておいて、もう一月のこの年賀はがき。それだけじゃないんですよ、バレンタインデーのチョコレートの問題まであるんですよ、これは。だから、私は、やはりちょっと今行き過ぎていると思うんですね。

 そして、その結果が、今どうですか、郵便局の退職者、平成十八年度、一万三千五百人ですよ。例年だったら六千人というんですよ。これはやはり、僕は尋常なことじゃないと思うんですね。今、雇用の厳しいときに郵便局をやめていくというのは、やはりよほどのことがあるんだろう。こんなことを繰り返していたら、やはり郵政会社のマンパワーは間違いなく低下しますよ。私は、そこが問題だと。

 その点について、私は、やはり総務大臣も郵政会社の方も深刻に受けとめて、まともに対応していただきたい、そのことを申して、質問を終わります。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 この際、御報告いたします。

 昨年十一月十五日、本委員会から調査局長に命じました独立行政法人の組織等に関する予備的調査につきまして、去る五日、その報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

 次回は、来る二十一日木曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.