衆議院

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第8号 平成20年2月28日(木曜日)

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平成二十年二月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    新井 悦二君

      井澤 京子君    飯島 夕雁君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      小川 淳也君    玄葉光一郎君

      佐々木隆博君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 竹澤 正明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     飯島 夕雁君

  萩原 誠司君     新井 悦二君

  逢坂 誠二君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     萩原 誠司君

  飯島 夕雁君     石崎  岳君

  西村智奈美君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木隆博君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方法人特別税等に関する暫定措置法案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官竹澤正明君、総務省大臣官房長田中順一君、行政管理局長村木裕隆君、自治行政局長岡本保君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、国土交通省大臣官房総括審議官大森雅夫君、大臣官房審議官西脇隆俊君及び大臣官房審議官菊川滋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 おはようございます。自民党の木挽司でございます。

 今回、地方三税に関する一連のお話、ここまで与野党の多くの論客の議論を拝聴させていただきました。そんな中、せっかくいただいた質問の機会に、今さらと思われるかもしれませんが、まずは、今国会争点になっております道路について、頭を白紙にして国交省にお尋ねしてみたいと思っております。

 ちなみに、私の選挙区は、兵庫県の阪神地域、伊丹市、宝塚市、そして川西市の三市で構成されておりまして、三つ合わせましても百八十平方キロメートルほどの広さで、一番大きな宝塚市でちょうど歯舞諸島を合わせたぐらいの広さ、一番小さな伊丹市になりますと、南太平洋で温暖化と地盤沈下で沈むと言われておりますツバルと同じぐらいの広さ。温暖化で沈むツバルが早いのか、財政難で沈む伊丹市の方が早いのか、その辺のことをいつも私は地方議会でも論議してまいりました。

 そんな中で、こういった狭い面積に約五十八万人の人が暮らしておりまして、選挙区でいいますと、全国でも一票が一番軽い地域に数えられております。住宅地として比較的早くから開発された地域ですが、それだけ高齢者の占める割合も急速に進行しております。奥地の住宅街と都心部を結びますインフラ整備のおくれも目立っておりまして、交通渋滞が常態化している箇所も多く見受けられます。

 今国会、道を挟んだ与野党の論議がずっと注目されておりまして、その行方が、真に必要な道路を論理的に国民の納得を得られるような形で決められるかどうかという重要な局面を今迎えているのではないかと私は思っております。

 国土交通省からすれば、かつての建設省と運輸省が一緒になって、真に国土形成に責任を果たす総合国土政策官庁として成立して久しいわけですが、やはり、かつての縦割りの解消に伴って、道路特定財源のあり方を考えるいい機会だと私は思っております。

 そこで、まず、人口減少社会を迎えて、将来の国土形成にどのような考えを持っているかを国土交通省にお尋ねしたいと思います。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ありましたように、本格的な人口減少社会の到来とか、あと急速な高齢化が進展する中におきまして、将来に向かいまして我が国が持続的に発展していくためには、単独の都府県ではなくて、複数の都府県から成ります広域ブロックを単位といたしまして、東アジア等の成長のダイナミズムを国内に取り込むということとともに、ブロックの中では、交流、連携を活発にしていくということが不可欠というふうに考えております。

 このため、現在策定作業を進めております国土形成計画におきましては、まず成熟社会型の計画への転換を図るということとしております。その上で、将来の国土像といたしましては、広域ブロックが東アジアとの交流、連携を進めながら、それぞれが持っております資源というものを最大限に生かして地域戦略を描くということによりまして、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土というものを構築するということを国土像として目指しているところでございます。

 以上でございます。

木挽委員 成熟社会型の計画へ、そしてその中で人口減少を迎えるそうした国土の事情に合わせて国土計画をつくっていかなければいけない、そのことは十分認識されているとは思いますが、それぞれ国、地方のあり方、現状を考えたとき、そこに本当に見合った考え方が国民に示されているのかというと、まだまだ問題点が多くあるように思っております。

 特に、道路の意味についてここで考えてみたいと思います。当たり前のことですが、道路はつながってこそ価値があると私は思っております。つながってこそ経済効果が生まれるという事実があると思っております。加えて、東京の山手線じゃないですが、循環型を形成することに極めて大きな意味があると思っております。

 国交省として、そうした点をどう強調しているんでしょうか。また、その経済効果をどのようにとらえ、国民の皆さんに説明しているんでしょうか。この辺、道路局の方にお尋ねしたいと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 道路につきましては、今委員御指摘のように、広域的な例えば高速道路、あるいは、一方では日常生活を支える市町村道まで、こういった道路が全体として有機的に連携いたしまして、ネットワークとして有効に機能するということが大変大事だというふうに認識いたしております。

 このため、今回お示しいたしました道路の中期計画の素案におきましても、例えば、地方の中心都市や拠点的な空港、港湾、そういったものを連絡する基幹的なネットワークの整備、救急医療施設への連絡など地域の自立と活力の強化に不可欠な地方の生活幹線道路ネットワークの形成、こういった政策課題を位置づけまして、ネットワークとして機能を効率的に確保することを重視しているというところでございます。

 また、特に環状道路につきましては、ネットワークが概成することによりまして、通過交通が排除されるとか、あるいは放射方向の道路の機能が回復するといった機能も発揮されるということで、そのネットワーク化は大変重要であるというふうに認識いたしております。

 また、今御指摘のありました、その効果とか経済効果でございますが、そういったものにつきましても、中期計画の素案の中で、参考資料といたしまして、ネットワークがつながった場合にどういったマクロ的な経済効果があるのかとか、あるいは個別具体の事例、例えばバイパスが開通してどういった効果があったのかといったことをわかりやすくお示ししているというところでございます。

 以上でございます。

木挽委員 その効果について、経済効果を踏まえて御説明いただいたわけです。

 しかし、それが実際生活している国民の皆さんにどれだけ訴えかけているのかというと、やはり甚だ疑問を感じざるを得ません。実際、選挙区を歩いておりまして皆さんの声を拾っておりましても、そうした国土交通省の姿勢あるいは考え方というものがどれだけ浸透しているか、これからが正念場ではないかと思っております。

 私は、道路イコール公共事業、イコールはたまた悪といった発想はここで一たん停止して、道路は生活インフラ、また福祉の前提と考える必要もあると思っております。人間の体でいえば血管みたいなもので、体の他の部分のぐあいが悪くなっても、血管に血が流れなければ治療の意味も全くありません。また、救急車が間に合わないところに福祉も何もない。それに加えて、荷物の輸送もままならないところに産業誘致もないものだと考えております。

 先日来、宮崎県の東国原知事や、つい先日の熊本県の潮谷知事のお話からも、さまざまな問題を解決する治療の前提を担っていることが多いという事実は認めなければならないと思いますが、ここで、先ほど来からの国交省の答弁を聞いて、総務省並びに副大臣の認識を聞かせていただきたいと思います。

谷口副大臣 今、木挽委員がおっしゃったとおりだと私は思います。

 国土交通省の方も答弁されたわけでありますけれども、やはり、地方の道路というのは、地域間のネットワークを形成することによりまして地方経済を活性化するという大きな役割がございますし、今木挽委員がおっしゃったように、まさに福祉サービス、また地域医療、救急医療、このようなことを通じまして住民の安全と安心を守るというような大変重要な意味合いもあり、基本的なインフラである、産業インフラでもありますし、生活インフラでもございます。

 しかし一方で、地方の道路の現状を見ますと、国道に比べまして改良率、舗装率が非常におくれておりますし、また、地域の生活、地方の生活がやはり車に依存するというところが大変大きいわけであります。

 このような実情を考えますと、今後も地方の道路に対して道路整備を促進していく必要がある、このように考えております。

木挽委員 ありがとうございます。

 ちょっと道路の話ばかりが続きまして申しわけないんですが、ここで、私、ここからは素朴な疑問を、私が個人的に思っています素朴な疑問をぶつけていきたいと思っているんです。

 まず、なぜ道路にまつわる話が世間でうさん臭くとられているのか。対象となる道路が必要か否かの判断基準が論理的に決まっているのではなくて、政治家のいわゆる声の大きさや政治力で決まっているのではないか。世間の人は、必要性というよりも、おまえの政治力がないからだと、特に私は地元でよく言われて肩身の狭い思いをしておりますが、政治家の力関係で決まるものだと思われる方もおいでのようです、実際。

 必要な道路という判断基準はできるだけ国民にわかりやすいようにすべきと思いますが、今後考えられるものにどのようなものがあるか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 効率的に道路整備を進めていくためには、事業の必要性あるいは重点化の方針といったものをわかりやすく国民の皆様方に示し、理解をしていただくということが重要であるというふうに考えております。

 現在、事業を採択するに当たりましては、できるだけ客観性あるいは透明性を高めるという観点から費用便益分析を行っておりますが、この費用便益分析に加えまして、例えば地域の観光や産業の促進であったり、あるいは災害による孤立化の解消、空港、港湾への所要時間の短縮の程度、また沿道環境がどう改善されるか、こういった社会に与える道路整備の多様な効果についても総合的に評価をいたしまして、結果を公表させていただいているというところでございます。

 このような事業の必要性を判断し事業を採択するプロセスをより一層わかりやすくするためには、加えまして、例えばCO2削減などの幅広い道路整備の効果をできるだけ定量的に表現する、また費用便益分析を含む事業評価の結果と根拠データの公表方法をさらに改善していく、また走行時間短縮などの便益算定の考え方、その根拠といったものをわかりやすく説明するといった取り組みがさらに必要だというふうに認識いたしております。ことしの秋にも予定しております費用便益分析マニュアルを含めた事業評価手法の見直しに反映させていくということで検討をしているところでございます。

木挽委員 私は、時代の変化に伴ってあらゆるものの位置づけが変わってきた日本にあって、今ここで改めて道路特定財源の性質を考える時期に来ていると考えております。

 かつてぜいたく品の代表選手であった自動車、そうした考え方が残っている一方で、最低限の生活インフラとしての自動車それ自体と道路は維持されなければならないのは事実だと思っております。しかし、自動車が一般的なものになってきたことで、各家庭で購入すればそれでいいじゃないかと言わんばかりに、もちろん採算が合わないからということもありますが、各地方の路線を廃止するバスや鉄道があらわれてきたことも事実だと思っております。道路ができたのだから車を買うだろう、あるいは車を利用する人がふえたからバス路線を減少させようとかローカル線を廃止しようという話があるのも、私は本当に目の前で見てきております。

 住民にすれば、公共交通機関が有効に機能していれば、高いと感じる車をわざわざ保有しなくてもいいという事実も存在していると思います。最近国に申請されている中心市街地の再活性化案などを見ると、そうした住民の考え方を反映した計画も見られております。

 自動車がふえて、税金で道路ができ、その結果公共交通機関が廃止される、この因果関係。ここで重要なのは、必ずしもすべての人が車を運転できるわけではないということだと思っております。かくして、過疎化が進行する上に自動車がふえて渋滞が発生し、温暖化は進む。さらに、自動車でしか行けない郊外の大型ショッピングセンターは中心市街地の空洞化に拍車をかけ、コミュニティーが破壊される。

 自動車は買う、維持する、走らせるの三段階で課税されておりますが、自動車と道路が依然として生活インフラであり、まだつながっていない、できていないものを完成させる必要があることを踏まえつつ、そのことによって外部不経済を受けている分野に配分していく時期にあるのではないかと考えております。その意味で、本来この税制は、時代の変化と受益と負担の関係の変化を踏まえるならば、例えば、長ったらしいですが、交通インフラ格差是正のための税制だとか、いわゆる自動車使用に伴う外部不経済を是正するための税制とでも表現するべきかなというふうにも考えております。

 さて、ちょっと私見が続きますけれども、さらに選挙区を歩いていて、この一連の話題でいつも腑に落ちないと言われるのが、やはり暫定という言葉です。私自身が学生時代から習った国語の領域では、この暫定という言葉の意味は今使われているのとは違うのかなと。政治が今まで以上に厳しい目で見られている現在で、意見の対立もいいし、自分の信念で物を言うのはもちろんいいと思います。しかし、だめなのは、やはりごまかそうとすることだと思っています。これまでも暫定といいながら長きにわたって続けてきたし、今回も暫定といいながら十年というのは納得がいかないという声は確かに地元で聞いております。

 私自身は、道路は耐用年数が長くて、かつ完成まで長くかかるのが通常であり、現在厳しい財政状況の中で、先ほどから述べておりますが、つくりかけの道路やつながなければ価値が半減するものなどを含めて、道路そのもののあり方を見直す時期だからこそ、その意味を込めて暫定と。当初の暫定とは意味合いが変わってきているのかなというふうに解釈もしております。世間で、暫定といいながら、しかしながらだらだらと続けているという印象を解くための努力をもっと政府や関係省庁に望みたいとも思っております。

 そこで、ここで、特定財源が特定財源であるべき理由について、国交省と総務省それぞれにお尋ねしたいと思います。国と地方によってその意味合いも変わってくるとは思いますが。

 私は、物づくり、一般産業機械、設備機械のメーカーを経営しておりました。トップセールスで国内外を飛び歩くということが多かったんです。今でこそそんなことないですが、十年ちょっと前ほどには、東南アジアにコンピューター制御を搭載した最新鋭の機械を輸出すると、制御が思うように機能しなかったり、高速回転する回転体の金属部分が異様に摩耗したりというトラブルが頻繁に発生することがありました。現地へ足を運ぶと原因は単純で、電力供給事業が不安定なことだったり、生産ラインが設置されている工場そのものの環境が劣悪だったということが起因して、例えば異常な暑さや、雨漏りだったり、ほこりが原因となることも間々あったわけです。

 当然、そうした環境とは違って、国内の生産現場では、精密部品などの生産工程や、特に高速回転する部分の組み立て工程で小さなごみやほこり一つにも神経をとがらせて作業する社員の就労環境を維持することは、品質を保持する上でも非常に大切でした。それは文字どおり我が社の生命線を維持することとイコールで、同時に、こうした生産工場施設の修理を含む維持管理費に要する費用は、資金繰りと切り離して用意しておく必要がありました。

 家計でも、生活に絶対必要なお金については天引きにするか、主婦の方でも別口座にしておくというのはよくあることだと私は思っております。この別口座にしておくことと節約することは話が違うと思います。道路もこのような考え方で特定財源としていると思うのですが、どうでしょうか。まず、国交省の御意見をお伺いしたいと思います。

菊川政府参考人 道路は、国の最も基礎、基盤となるインフラだというふうに考えております。また、国民の皆さん方の生活に最も身近なインフラでもございます。

 このため、今ある道路のストック、市町村道まで含めて百二十万キロという延長になりますが、そういった既存のネットワークをきちっと管理していく、災害に耐えられる橋梁を維持補修していく、また通学路の歩道をちゃんと整備する、さらには経済活動の根幹になります物流を支える、そういう基幹ネットワークといったものをきちっと整備していく、あるいは、地域や国民生活に欠かせないこういった対策、こういったものは着実に実施していく必要があるというふうに考えております。

 大変厳しい財政事情のもとで、重点化、効率化を図りながら、これらの対策を着実に実施するためには、安定的な財源の確保が必要です。このため、受益者負担という考え方に基づきまして、道路特定財源制度を維持することが必要だというふうに考えております。

 国土交通省としては、国民の皆様から十分に御理解いただけるように最大限努めてまいりたいというふうに考えております。

木挽委員 同じことを総務省にお伺いしたいと思います。

 地方において、特定財源はそもそも目的税として徴収しておりますから、オバーフロー現象は生じないと解しておりますが、特定財源であるべき理由も違うと思います。その辺、御説明いただきたいと思います。

谷口副大臣 今、木挽委員がおっしゃった特定財源ということでございますが、そもそも、特定財源というのは、特定の公共サービスからの受益と負担との間に密接な関係がある、またそのサービスの財源を制度的に確保する必要があるといった場合に、特定財源としての仕組みをつくっておるわけでございます。

 先ほど木挽委員のお話を聞いておりましたけれども、例えば、民間企業で退職をする方のために、一定の目的のために企業では退職給与引当金というものを積んでいるわけですね。道路は、先ほども申し上げましたように、生活インフラであり、産業インフラでもございますし、非常に重要でございます。企業における退職給与を支給するといったようなところと共通するところがあるんだろうと思うんですね。ですから、そういう意味での特定目的というようなところもやはりあるんだろうと私は思います。

 現在、今先生おっしゃったように、目的税としていただいておりますけれども、この目的税は住民の皆さんに道路に使っていただきたいということでいただいておるという前提がございます。これが道路に使わないということになりますと、そもそも目的税の前提が崩れるということになりますから、税制そのものがもう成り立たないというようなことにもなるわけでございます。

 いずれにいたしましても、地方の道路の状況というのは、先ほども申し上げましたように、国道に比べまして改良率また舗装率も非常におくれておりますし、道路特定財源全体の中で地方の道路事業に約二割しか使われておらない、こんな状況の中で、やはり地方では道路の必要性を訴える自治体が数多くあります。このような実態を踏まえまして、私どもも、引き続き道路特定財源を確保していくということでお願いをいたしておるところでございます。

木挽委員 私の例え話にまた例え話でお答えいただいて、ありがとうございます。そもそも足りないというようなところが背景にあるというような御回答だったと思います。

 私の先ほどの質問でるる例え話を入れてお話しさせていただきましたが、とはいっても、私自身、起業するまでの過程では、倒産した会社を再生して起業した過程もありましたし、ただ、その経営の過程では、やはり不況の中で資金繰りに非常に窮した時期もありました。会社にせよ、家庭にせよ、さらに台所が苦しくなってくれば、別に置いていた財源といえども手をつけざるを得ない事態も発生してくると私は思います、その選択が非常に難しいんだと思いますが。

 国も地方も自由に使えるお金が少ない今のような状況の時代において、社会的ニーズが高い分野に選択的にお金を回す必要も出てくるのではないか、そうした思考回路が道路特定財源制度であることが、また、道路特定財源であるということで阻害されているんじゃないかというのが、今国会で議論されている本質の部分だと思っております。

 いずれにせよ、現行制度では、国は地方の財政事情も考えずに、この事業をうちがこれだけやったから三分の一はあなたたちの方で払ってくださいと、その負担がどういった積算でなったのかについての説明もないという話を地方からよく聞いております。私は、こうした部分を改めつつ、何よりも、国としての意思が決定できないまま、国政が漂流し、国民にその道筋を示せない状況だけは避けたいと考えております。

 最後にこのことを私の提言として、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 どうもお久しぶりです。よろしくお願いいたします。

 きょうは、提出されております三法案についてと、その後、行政文書の件につきまして伺いたいと思っております。

 もう既に、長い時間、いろいろな方からの議論があったこの三法案についてでありますけれども、私たち民主党の考えは再三述べてきたとおりでありまして、改めて申し上げますと、特に地方税法については、ふるさと納税、そして道路特定財源の維持ということが入っておりますので、反対という意思である。

 特に、道路特定財源については、私たち民主党の考え方は、これはもう特定財源制度はやめて一般財源にするということ、そして暫定税率は廃止をするということ、そして国の直轄事業の負担金は廃止をするということ、この三つなんですけれども、これを政府の考え方、政府・与党の考え方と照らしてみますと、同じように三点が言えるんだろうと思います。つまり、道路特定財源制度を維持する、暫定税率を十年間延長する、そして、国の直轄事業に当たっての地方負担金制度も維持をするということだと見なければならないんですけれども、総務大臣、ここはちょっと通告をしておりませんが、政府の考え方、この三点において今なお変更なしということでよろしいでしょうか。

増田国務大臣 政府の方の考え方は、今お出ししている法案でございますので、これを前提にまた立法府の方でいろいろ御判断をいただく、こういうことになるかと思います。

西村(智)委員 政府の考え方は今の三点で変更はないということでございます。このことは今後の国会での審議に任せたいというようなことでありましたけれども、政府の考え方はかなり今後の成り行きにも影響すると考えております。私たちとしても、今の発言を重く受けとめて今後の審議に当たっていきたいと考えています。

 さて、きょうの私の質問の問題意識、大きなところの一つ目は、いわゆる地方法人特別税の創設でございます。

 これは、かなり急に出てきた話だなというのが私の印象なんですけれども、たしか、秋でしたでしょうか、与党の税制調査会の方で出てきた話だったなと承知をしております。

 この地方法人特別税というのは、いわゆる法人事業税を半分国が召し上げて、それを人口と従業者数、これで譲与するというものなんだそうでありますけれども、そもそもこの法人事業税というのは都道府県の基幹税であると私は認識をしております。この点、大臣はどういうふうに認識されておられますか。

河野政府参考人 お答えいたします。

 法人事業税は都道府県の基幹税ではないかというお尋ねでございますけれども、平成十八年度の決算で申し上げますと、超過課税等を除きまして、都道府県税収入、約十六兆円ございます。このうち、法人事業税が五・二兆円ございまして、約三割強を占めております。都道府県における基幹税であると考えております。

 ただ一方で、法人事業税は、景気の変動に左右されやすいわけでございますし、地域間での偏在も大きいといった地方税としての課題も抱えておるわけでございます。

 したがって、今後、偏在性が小さく税収の安定的な地方税体系を構築していくという観点から考えますと、一方では地方消費税を充実していくということが重要でございますけれども、これとあわせまして、法人事業税などの地方法人課税のあり方を見直していくということも必要になってくるというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 今、余りにも多くのことをまとめて一つの答弁で言われてしまったので、ちょっと整理をさせていただきますと、まず、法人事業税は都道府県の基幹税であるということは、これは疑いの余地がないことが一つ。ただ、その後、言いわけがましく、この法人事業税というのは、地域的な景気の変動などもあったりして、地域的な偏在があるということ。ですので、今後は地方消費税の話も含めて検討していくべきだと考えている。この三つのことを一つの答弁で言われたんですけれども、最初のところだけ私は聞きたかったのであります。つまり、法人事業税というのは、やはり都道府県においての基幹税であるということですね。

 そういったことからいたしますと、今回はその基幹税を国税にいわゆる吸い上げるという形になります。これは、言ってみれば、地方税から国税への転換、こういった本質的な問題にもなってまいりますし、法案の説明の中では、新しい偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置だというふうに書かれているんですけれども、この暫定という言葉は、先ほど木挽委員の質疑の中にもありましたけれども、最近、暫定は暫定ではないんですね。暫定といいながら、これが言ってみれば半恒常的に使われてくることが大変多くなっている。

 こういったレトリックが通ってはいけないと思いますので、念のために伺いたいんですけれども、この偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間というのはどのくらいの期間を想定しているんでしょうか。

 当然のことながら、この条文の書きぶりですと、新しい地方税体系というのが構築されたときにはこの地方法人特別税というのはなくなるということだと思いますけれども、期間を区切るべきだと考えています。この点についてはどうでしょうか。

河野政府参考人 お話ございましたように、今回の措置は、税制の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置ということで行うものでございまして、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われます際に、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組んでまいりまして、これによって偏在性の小さい地方税体系の構築を進めてまいることにしておるわけでございます。

 具体的にいつかというお話でございますけれども、この消費税を含む税体系の抜本的改革につきましては、社会保障を持続可能な制度としていくために安定した財源の確保が必要でございますので、社会保障や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、早期に実現する必要がある課題なわけでございます。

西村(智)委員 早期にというのは、大体どのぐらいの期間を想定しているんですか。そのことについてぜひ考えを明確に伺いたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的にいつということで申し上げる状況にはないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、消費税を含む税体系の抜本的な改革といいますのは、今後、社会保障を可能な限り持続可能な制度としていくという観点から早期に実現すべき課題でございますし、平成十六年の年金改正法におきましても、年金の費用負担、国庫負担を二分の一にする観点から検討していくということにもされておるわけでございます。

西村(智)委員 いや、つまり、今回の地方法人特別税の創設については、これは地方分権に逆行するという異論もかなり強いのではないか、これは省内においても、そしてもちろん私もそういう問題意識を持っておりますし、いろいろな識者からもそういう指摘はあるんだろうと考えております。

 こういう、言ってみれば分権に逆行する、地方税を国が吸い上げるということですから、これは地方の自主課税権も侵害することになりますし、こういった措置というのは、暫定措置とはいえ、制度そのものに、こういったあり方そのものにやはり大きな問題があると思いますし、それがいつまで続くかわからない、結局そういう答弁ですよね、今のは。暫定措置といいながら、それはいつまで続くかわからないということになってしまえば、今の道路特定財源の暫定税率と、三十四年たってみてまた同じことでしたというようなことになってしまっては、これは後世の歴史に大きな汚点を残すことになってしまいます。

 大臣、この点、どういうふうにお考えですか。いつまでに地方税体系を構築して、暫定措置法というのをやめる、地方法人特別税というのをいつまで続けるんでしょうか。

増田国務大臣 今、この問題でありますけれども、要は、税源交換を私どもは提案して、その結果として、暫定的ではございますが、十分な税源交換というよりも、今の現状の地方の財源が逼迫しているということに対しての対策をまず先行して実施しようということで、消費税の議論に触れる部分は今局長から申し上げましたように先にして、その上で、来年度、法人事業税の部分だけを手をつけて先行実施した、実質、地方税でございますが、そういう構図をとったわけでございます。

 これは、当然のことながら、暫定措置ということで、いわば仮の姿でありますけれども、それは消費税の議論、要するに地方消費税を充実させるということははっきりと確認をしたわけでございますが、そのことについては、消費税の大きな議論にもかかわってまいりますし、税の抜本的な議論につながるということであって、したがってその時期にしようということです。

 では、委員のお話のように、その時期はずっと先なのかどうか、全く見通しがつかないのかどうかということを言いますと、これは一方で、社会保障そして少子化対策といったようなことについて持続、安定的な制度にするのはもう待ったなしの状況に来ておりまして、これは国民の間でも大変大きな考え方の違いがありますし、今回、国会の中でも別途、年金については税方式にするのか保険料にするのかといったような活発な議論が行われていますが、いずれにしても、その議論をする時期というのは大変差し迫っているという認識があって、そしてそういう議論が行われているわけでございます。

 ですから、見通しのつかない、そういう先というよりも、むしろ、差し迫って社会保障の議論をしなければいけない時期が来ている。政府の方でも、年金の基礎部分について二分の一に引き上げるといったようなことも提案していたわけでございますし、もう差し迫った時期に来ているということが前提になっておりますので、何年ということをはっきりと書いているわけではありませんけれども、それの時期までの間の暫定措置、これはまさに、それほど遠くない時期にはそのことをきちんと議論しなければいけない、こういう認識に立っております。

西村(智)委員 はっきりと期限の決まっていない暫定の方が、例えば五年とか三年とかと期限が決まっている暫定措置よりも、たちは悪いと思いますね。これはずっと続けるのかなと見ざるを得ません。

 例えば、米の臨特も毎年年度末に出てきたりします。まあ、あれはちょっと恒常的になったりしていますけれども。

 大体、その都度、一年とか二年とか三年とか、こういう区切りをつけて、その期限を目途に議論を進めるということでなければ、確かに、差し迫っている状況だとおっしゃるのはわかります、社会保障制度のあり方も含めてしっかりと税制を検討しなければならないという状況にあることは、政府にある人だって、与党にある人だって、野党にある私たちだって、あるいは一般の国民だって、それはわかっている話なんですね。

 では、わかっている話をいつまで時間をかけてやるのかということは、これはやはり期限を区切らないと、税源交換の話、先ほど総務大臣は、地方法人特別税というのを先取りする形でやったんだというふうにもおっしゃいました。だとすれば、本当の目指すべき形にする時期をきちんと示した上で、そこに向かって、税源交換の話、地方消費税の議論、これをもっと積極的にやっていくんだ、そういうことを示していかなければ、これはまたずるずると税での議論で総務省は押されることになってしまいますよ。

 どうでしょうか、もう一回大臣に伺いたいと思います。これはやはり、本来、地方分権の柱は自主財源の拡大だというふうに考えています。今回、この地方法人特別税、地方法人特別譲与税、こういったことによって、むしろそれは自主財源を拡充するという方向とは逆を向いたことになってしまっているので、ここはしっかりともとに戻すための議論を期限を区切ってすべきだと考えています。一年ですか、二年ですか、三年ですか。

増田国務大臣 地方の安定的な財源が必要だ、こういうことは私どもの考え方でもありますし、それから、今回は、そうした地方の安定的な財源、そして偏在性の少ない財源を、これは、そういった税目ということでは消費税が一番なじむものだと思いますが、その地方消費税を充実するということを閣議決定した文書の中にはっきりと書き込みをいたしました。一月の十一日だったですかね、今そちら、手元に資料がありますが、税制の要綱ということで、政府として、そういった地方消費税を充実する、そしてそれを基本として地方の税の安定を図るというようなことをはっきりと、これはすべての省庁も含めて確認をいたしました。

 その上で、消費税の議論というのは、今お話ございましたとおり、それだけの議論ではなくて、社会保障全般にとりましても大変大事な議論につながってくるので、それについては、そのときに、今申し上げました閣議決定の地方税の方向で実現を図っていく、こういうことでございます。

 一方で、その社会保障についての議論は、これは民主党の方ではいろいろお考えがあると思うんですが、政府の方として、社会保障国民会議等の方で今急いで議論をしているところでございますし、今お話ございましたとおり、長くこれをほっておくことはもう許されないというのは、これは国民全員が理解をしているところだと思っておりますので、その議論を遠からずの時期に、議論をするだけじゃなくて、やはり結論を出さなければいかぬ、こういう時期に来ていると思います。

 その時期のときに、今、各省で確認した、地方消費税を充実して、そして地方税体系全般をそういうときに見直しをする、そういう方向で具体的な中身は実現していくものでございますので、御心配の、ずるずるずるずるそのままの形でずっと将来の方に引きずっていってしまう、そういうことにはならない。もちろんそのために総務省としても閣議決定等の内容の実行に努力をしていくわけでありますが、そういうたぐいのものであるというふうに思っております。

西村(智)委員 では、大臣の希望としては、この暫定措置法、どのくらいをめどに終わらせるといいますか、新しい地方税体系を大体どのくらいをめどに構築したい、議論の結論を得たいとお考えでしょうか。大体どのくらいの期間でその結論を得たいというふうにお考えですか。

増田国務大臣 地方税の問題、特に安定的な地方税体系を構築するというのは、これは、これからもずっと追求をしていかなければならない課題だと思っておりまして、今、手元の閣議決定の文書を見ましたけれども、一月十一日でございますが、そこで、「抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組む。」こういうふうに書いてあります。

 ですから、特に消費税を含む税体系の抜本的改革の時期は、もう近々の、待ったなしの課題、これは社会保障等の関係からいっても待ったなしの課題でございますし、遠からずの時期だというふうに申し上げておりますが、国民的にも急がれるということを常に国民の皆さん方からも指摘されていることでございますので、これは特に早急に、急がれるもの。

 それからあと、それを含む地方税改革全体、そして、その中で地方の安定的な財源を確保していくということは、これはその後も追求していかなければならない話でありまして、今、地方分権改革推進委員会の方でも、この税の議論というのを、今後、ことしじゅうにはいろいろ御議論いただく予定にしてございますが、そういうことを通じてその後もずっと追求をしていかなければならない、特に、地方の税財源での自立を図っていく上でも、その後も追求をしていかなければならない問題だ、このように考えております。

西村(智)委員 私、本格的に増田大臣に質問させていただくのは初めてでありますけれども、私は、いつまでにこの結論を得たいと希望しているのかと大臣に今伺ったわけですね。大臣の気持ち、考えを伺ったんですけれども、答弁として何か閣議決定の文章を読み上げられて、本当に大臣は地方分権を推進するという気概を持っておられるのかな、気持ちを持っておられるのかな、そういうとても不安な気持ちになりました。今の答弁、本当に同じことの繰り返しでして、何か、改革派知事と名高かったあの増田大臣の答弁としては、私は本当にちょっと納得のいかないものなんですけれども。

 大臣、これはやはり、国と地方との関係性ですとかあり方とか、あるいは、地方法人特別税というのが導入された経緯などを見てみましても、自治体の間での十分な議論ですとか、こういったものが行われてきた経過がほとんど見られません。年末に来て、税制調査会の方で、こういった新しい税体系の仕組みが提案をされ、了承をされ、言ってみれば、自治体間の財政調整を水平的にやろうというときに、国が上から押しつけて、法人事業税を吸い上げ、そしてそれをまたおろす、こういうやり方というのは、地方分権そのものにも逆行するし、分権を進めるときのやり方としても非常におかしいと思っています。

 大臣、この点、どういうふうにお考えですか。今後もこういうやり方を続けていくんですか。

増田国務大臣 まず地方の実態をよく見る必要があるということでありまして、これは地方団体とも随分意見交換をしましたのと、私も各地域を歩いた、それから今までの経験からしても、特に地方財政計画の中で今回地方再生対策費ということで新たに項目を立てておりますが、そういう形で地方の自主的そして主体的な考え方を事業に結びつける、そういう必要性は大変高い、こういうふうに認識をしたわけであります。

 そのための安定的な財源として、今の各地域間の偏在性、それから税の安定性ということから考えれば、地方消費税を充実させ、そして同額、法人事業税と交換する、こういう形で税体系を変えていくことが適切であるという判断をして、これも地方団体とよく意見交換をした上でそういう案というものを昨年提示した。

 ただ、今申し上げましたように、東京都でさえ、今は税収は好調ですけれども、ついこの間までは非常にその点に不安を抱えているような状況でございましたので、地方消費税を中心に地方税体系を考えていくというところは東京都も含めて御納得をいただいているところでありますけれども、その地方消費税の議論が税の抜本改革までということで、これは近々に議論される話ではありますけれども、そのときの中であわせて議論をする、こういう大きな方針になりましたので、地方の実態を踏まえて、そのために配分をする財源を求めなければいけないということで、法人事業税を形式上は国税化しつつ、実質は地方税という形で取り扱う、したがって、国税徴収法とか通則法の中でこれは地方税であるということを一方で確認しつつ、今回のような措置を講じたということであります。

 これが恒久法として措置をされるということになれば、今お話ございましたとおり、地方分権なりの関係でももっといろいろな議論が出てくると思いますが、今の地方の実態を踏まえて、そちらを優先させて、形式上は国税としつつ、実質地方税という形で措置をしたものでありますし、それが近々に行われる税の抜本改革までの間の暫定措置ということでございますので、この点については、その後、年が明けましてからも地方団体と意見を交換しているところでございますが、そうした額の問題、その点についてはいろいろまだ御議論等もあろうかと思いますけれども、その考え方については理解をしていただけるのではないか、このように考えております。

西村(智)委員 地方にしてみれば、この間、三位一体改革の影響で歳出削減と交付税削減が二〇〇一年以降ずっと続いてきていますから、格差是正、そういう言葉のもとでは、これは歓迎する話かもしれません。

 ですけれども、全体的に、ことしの政府予算全体を見ますと、このように、地方法人特別税ですとか地方再生対策費、一見すると地方重視なんですけれども、構造的なところでは三位一体改革の流れというのは全く変わっていない。岩盤のところが頑丈なままで、つまり交付税が削減され、税源の移譲が進んでいない中で、本当に表面のところだけをならすために法人事業税がやり玉に上がって、それを国が吸い上げて地方に分割する。

 あるマスコミなどは、これを選挙対策のばらまきではないかというふうに報じておりました。私も、新年度予算を見ていて、そうだなと思うことがたくさんあります。後でまた内閣委員会で大臣にもお伺いをする機会を得たいと思っておりますけれども、地方再生関連事業などもそのうちの一つだろうと考えているんですね。

 さっき、大臣、これが仮に恒久法になったときには問題があるけれども暫定だから問題がないというようなふうにおっしゃいましたけれども、そういう本当に選挙目当てと思われるような施策であったり答弁をされたりというようなことは、これは政策の信頼性を根底から失わせるような答弁でありますので、ぜひしないでいただきたい、それは私が言う話ではないんですけれども。そこのところは、政府のこれまで行ってきた三位一体改革がもたらした結果としてこうなっているんだということをしっかりと自覚していただきたいと思うんです。この点、大臣、どうでしょうか。

増田国務大臣 まず、今お話を聞いていて、交付税が今回減額されたというふうになっていますが、増額をされていますので、交付税は増額されている。

 それからあと、ばらまきというお話でございましたが、交付税自体がばらまきと言われると、これは地方の一般財源でございますので決してばらまきではなくて、ここの点は、地方がそれぞれの創意工夫をする大事な財源ということだろうというふうに思います。

 そして、その上で、そうした措置をしたことが、確かに恒久的な措置としてこれが組まれるということではなくて暫定措置ということにしているわけでございますが、その暫定措置がいつまで続くものなのかということを年数的に、二年とか三年とか明示しているものではございませんが、大きな地方税の改革の全体的な方向性は閣議決定で全部決めている中で、実質地方税のものとして今回の地方法人特別税を措置しておりますので、そういう全体の流れは、政府が目指す方向は、こうした初年度、今までの傾向、五年間ですか交付税が減ってきたことを、大きく方向性を変えるという考え方を、そこに政府が考え方を込めている。

 額の問題はいろいろ議論があるかと思いますが、そういう大きな方向性を変えるということをこの中に込めているということであって、その大きな方向性というのは、今後も地方の安定的な財源を充実確保していく、そういう考え方だということはその中に示せているのではないか、こういうふうに考えております。

西村(智)委員 納得はできませんが、次の質問に移ります。

 行政文書の作成と管理と保存についてであります。

 福田総理大臣が所信表明演説の中で公文書館の充実ということを言っておられました。公文書館を含めて、きょうは行政文書の取り扱い全般について伺いたいと思います。

 まず、大臣に基本的な認識について伺いたいんですが、情報公開は民主主義の大事な前提である、情報公開なくして民主主義の成熟はあり得ないというふうに考えておりますけれども、知事も経験されてこられた大臣として、行政文書の重要性とか行政文書が持っている価値などについて、どういうふうにお考えでしょうか。

増田国務大臣 公正で民主的な行政を展開するということに際しては、行政文書を公開していく、情報公開を進めていくということが大変重要であります。

 もちろん、この間、個人のプライバシーの問題、情報をどのように保護するかということも大いに議論をされてまいりましたけれども、これは、情報公開とそうした個人の秘匿をすべきプライバシーの問題とは十分両立をし得ることでございますので、そうした措置を講じつつ、情報公開を推進していく。その上で、情報公開法の果たす役割も大きいと思っておりますし、広く言いますと、今委員がお話しございましたとおり、そうしたことを進めることによって本当の民主主義が培われていく、あるいは民主主義のまさにインフラとなっていくというふうに考えております。

西村(智)委員 情報公開、大変重要だというお話をいただきました。

 そこで、総務省のもとで、行政機関の保有する情報の公開に関する法律がありますけれども、平成十七年にこの情報公開法の制度運営に関する検討会報告が取りまとめられました。この取りまとめ、検討会報告も、私の目から見てかなり不十分な点はあると思っています。

 例えば、知る権利を明記することとか、あるいは開示、不開示の範囲の明確化、こういったものについてはそのままになっておりましたし、また、検討会の中で多くの委員の方々がインカメラ手続の導入を主張していたんですけれども、それについても検討会報告では全く取り上げられていないというようなことで、そもそもその検討会報告にも問題点はあったんですが、いずれにせよ報告が出されたのは一つのエポックでありまして、その後、行政機関の保有する情報の公開についてどういうふうに行われていると大臣は認識しておられるか。とりわけ、適正な行政文書の作成、管理、そして国立公文書館への移管についてどういうふうに認識しておられるのか、伺いたいと思います。

村木政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、先生御指摘の報告を踏まえまして、情報公開法の制度運用の改善につきまして、次に申し上げるような具体的な措置を実施いたしました。(西村(智)委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。

 まず、情報公開法の趣旨の徹底を図り適正な運用を図るべき事項について、各行政機関に通知を発出いたしました。それから、職務遂行に係る公務員の氏名の取り扱い及び不服申し立て事案の処理の迅速化について各省庁申し合わせをして、スムーズに進むようにいたしました。それから、行政文書の開示の実施方法につきまして、新たな方法を追加するということ、あるいは手数料の額について引き下げを行う、こういった措置を講じました。

 このうち、行政文書の管理の徹底につきましては、それぞれ各省庁の文書管理規則等に基づきまして、一つは、必要な行政文書を作成すること、二つ目は、保存期間の確認と誤った廃棄の防止をすること、三つ目は、国立公文書館等への適切な移管等、行政文書の管理の適正化について、職員等を対象とした研修等の機会を通じて改めて徹底する、こういうことを先ほど申し述べました通知に盛り込みまして発出しております。

 総務省といたしましては、今後とも情報公開法の適正な運営の確保に努めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 情報公開法によって各府省がそれぞれ文書管理規則を作成して、そこのところで、恐らく官房長などがその省庁の中での文書管理の責任者ということになって取り組みをしているということなんですけれども、実際に、行政文書の取り扱いについては、ここ数カ月を見てみても、本当に大きな問題が次々と出てきております。年金記録、肝炎の被害者リスト、そしてまた防衛庁の航海日誌などですね、勝手に捨てられていたりというような、もうこれは完全に、一〇〇%ルール無視ですよね、保存期間の中でも捨てていたということがあったわけですから。

 保存期間の中でも捨てていた、こういう基本的なことが、基本的なことといいますか、こういった保存期間の中でも捨てられてしまうという大変ずさんな、そしてまた意図的とも思われるようなことが行われていたり、あるいは本当に政策の意思決定にかかわって私たちが知りたいと思う本当の情報がそこに作成されていなかったりというようなこと。これは、私も国会での質問に当たっていろいろな資料を政府の方に求めたりいたしますけれども、そういったことを何度となく経験してまいりました。

 文書管理規則というのがそれぞれの省庁にあって、それぞれの責任において実施する、そういう枠組みになっているわけですけれども、これは各府省でかなり取り組みにばらつきがあるのではないかと思います。つまり、ほかの省庁できちんとやっていることができていなかったりというようなことがあったりすると思うんですけれども、この問題点について総務省はどういうふうに把握しているのか、伺います。

村木政府参考人 お答えいたします。

 行政文書の管理につきましては、先生御指摘のとおり、情報公開法、それから同法施行令、それに行政文書の管理方策に関するガイドライン、こういうものを設けておりまして、これで文書の作成、保存、移管、廃棄の基準等を定めているということでございます。各省庁におきましては、これらの基準を受けまして、それぞれの責任で文書管理規則を制定し、行政文書の管理を実施している、こういう現状にございます。

 そして、現時点におきまして、総務省として、文書管理の現状等についての統一的な把握は行っておりませんけれども、今先生が御指摘ございましたように、保存期間満了前の文書の誤廃棄あるいは文書の倉庫への放置など不適切な事例が生じていることは認識しております。

 そのため、これら文書管理に係る不適切な事例が生じていることを踏まえまして、昨年十二月十四日に関係省庁連絡会議を設置いたしまして、同日に行政文書の管理の徹底について申し合わせを行ったところでございます。

 総務省では、この申し合わせを受けまして、本年度末現在の各省庁における文書管理の状況を調査いたしまして、取りまとめることといたしております。

西村(智)委員 不適切な事例があることは総務省の方でも把握しているということでした。

 だとすると、私が次に聞きたいのは、そういう不適切な事例が生じているということは、これはそれぞれの省庁の文書管理のあり方に問題があるのか、つまり、その省庁における責任問題ということになるのか、それとも、情報公開法の監督者、その所管である総務省の責任ということになるのか、この点についてはどういうふうに考えるんでしょうか。

 私は、現状を見ている限り、例えば保存期間中の書類が破棄されていたというのは、これはその行為についてはそこの省庁の責任なんだろうと思うんですけれども、それが余り問題視されてこなかった。だって、今まで、捜してみてないということがわかったわけですから、捜してみなければないということがわからない書類などというのは、もしかしたらもっとたくさんあるんだろうと思うんですね。ということになると、そういった問題点について何もしてこなかった総務省の責任もあるのではないか、こういうふうに考えるんです。

 どうも現状を見てみますと、今までの行政文書の管理については責任が分担されている。責任が分担されていて、それがいい形で強化されていけばいいんですけれども、いや、それは総務省の責任ですとか、それは各省庁にお任せしていますとかいうことになって、お見合いをしてしまってボールをぽとんと下に落としてしまうというようなことが起きているんじゃないかなと考えるんですね。

 ですから、ここはそれぞれの担当者が、総務省も一歩前に出るし、各府省からも一歩前に出てもらって、行政文書の管理、作成、保存、こういったものに徹底的に取り組んでもらうということが必要だ。特に総務省は、情報公開法を閣議決定して、それで提出して成立させているわけですから、その責任があると考えておりますけれども、この点については、総務省の問題なんですか、それとも各府省の問題なんですか、どちらでしょうか。

村木政府参考人 今申し上げましたように、行政文書の管理につきましては、一定のルールのもとに、各省庁で各行政機関の長が責任を持って適切に運用していくということが基本であるというぐあいに考えております。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、文書管理に係る不適切な事例が生じていることも踏まえまして、文書管理の徹底について申し合わせをいたしまして、これを受けて各府省の文書管理の状況を調査する、それを踏まえまして今後一層適切な文書管理の徹底を総務省としても図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

西村(智)委員 内容について伺いたいと思います。

 昨年十二月十四日に関係省庁連絡会議が設置されて、そこで文書管理の徹底について申し合わせた、総務省がこの申し合わせを踏まえて各府省庁における状況について報告を求めて、その報告を取りまとめして、その結果を踏まえて改善を図るというふうになっているわけなんですけれども、では、総務省は今後何に留意してこの改善措置を図っていこうと考えているんでしょうか。

村木政府参考人 昨年十二月十四日に行いました関係省庁の申し合わせにおきましては、行政文書の作成、それから行政文書の保存、行政文書の管理台帳、行政文書の管理体制、各省庁こういう点について再点検なり見直しをしてください、こういう中身の申し合わせになっております。

 今申し上げましたような点についての文書管理の状況について報告を求めまして、先生御指摘があったように、私どもの方で取りまとめを行います。その結果を踏まえ、必要に応じ、管理状況を把握し、文書管理の改善を図るということでございまして、今申し上げました行政文書の作成、行政文書の保存、行政文書の管理台帳、行政文書の管理体制、こういったところを重点に、問題があれば改善を行っていくという考えでございます。

西村(智)委員 いや、今までに問題があったから改善をしていかなければいけない、今そういう位置にあるわけですよね。なので、関係省庁の連絡会議が設置をされて議論をされている、今の答弁を伺いますと、結局今までと同じことの繰り返しになるのではないかなという大変な心配をいたしております。

 ちょっと時間もありませんので先に進みますけれども、内閣府の方からも来ていただいているんですが、公文書館のあり方について質問したいと思います。

 この前もちょっとレクでお話しして、わかったところによりますと、今、公文書館に移管される文書ファイルというのは、各省庁と内閣府が協議をして、そこで移管していいですよということになったものが公文書館に移管をされる。公文書館から、こういう書類があるでしょうからこれを移管できませんかというふうに照会をすることもできるし、その中からの移管も、ほんの五%から一〇%という低い比率ではあるけれども、移管することができているということなんですね。

 ところが、公文書館から内閣府に対して、こういう資料を作成してください、こういった資料が後世のために必要だから、こういった文書を作成してください、こういう要請はできない、そういう話でありました。

 私は、今回、福田総理が公文書館の充実とおっしゃっていることの中身について、これからまた質問もしていきたいと思いますけれども、行政文書の作成、管理、保存について大事なことは、私は四つあると思っています。まず一つは、適切な文書が本当に管理されているかという問題。そして、適切な文書が公文書館に移管されているのかという問題。そして、その前提として、その移管されたり保存されたりする本当に必要な文書というのがそもそも作成されているのかという問題。ここはやはり大事なポイントだと思います。四つ目のポイントとしては、そういった必要な文書の移管とか保管とか作成のときに、いかに行政の主観性といったものを排除するか。

 つまり、情報公開というのは行政の無謬性というのを前提にしてはいません。何か行政が過ちを犯すのではないか、そういう心配のある世界にこの情報公開法というのはあるし、公文書館の充実というのがそこのところに切り込んでいく一つのきっかけになってくれることを私は期待しているんですけれども、ちょっと時間もありませんので、質問を幾つか飛ばさせていただいて、先に進めたいと思います。

 この国立公文書館への文書ファイルの移管というのは、外国に比べても非常に貧弱なものですし、移管率も、ここ数年見ても〇・五%とか〇・七%、非常に少ない分量しか移管をされていません。

 一方で、自治体の方ででも公文書館を持っているところは五十一自治体でありますけれども、一つ言われておりますのは、市町村合併に伴って、かなりこうした重要な書類、自治体の所有している行政文書が大量に廃棄されたのではないかというふうに懸念をされているんですけれども、この点について総務省はどういうふうに対応してきたのか、またその後の状況把握をどういうふうにされているのか、この点について伺います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のように、市町村合併に伴いまして旧市町村の公文書等が散逸したり安易に廃棄されるということが懸念されることから、これまで、私どもといたしまして、十四年、十七年、十八年の三回にわたりまして公文書等の適切な保存について要請をしてまいっております。

 平成十八年四月までに合併してできました五百五十八市町村を対象に、公文書の散逸防止にそれぞれどういう取り組みをされているかということを、私どもが事務局をいたしております合併の研究会で調査いたしました。

 その結果といたしまして、一つは、庁舎等を増改築したり、そういう工夫をいたしまして書庫などの保存スペースを確保して管理しているというふうにお答えいただいたのが約八割の四百四十一団体、あるいは、データをデジタル化して保存、公文書館の整備拡充に取り組んでいきたい、そういう予定があるというようなお答えをいただきましたのが約六十五団体、一〇%強などでございまして、多くの合併市町村で公文書の散逸防止に取り組んでいただいているというふうに考えておりますが、今御指摘のような点の懸念もございますので、公文書等の散逸といったことにならないような、そういう意識を引き続き徹底してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 大臣からも冒頭、情報公開は非常に重要だ、プライバシーの保護とは両立し得ることだというお話がありました。

 各自治体で設置されている公文書館は全体で五十一なんですけれども、大臣が県知事を務められていた岩手県では、公文書館は設置されておりますでしょうか。

増田国務大臣 岩手では公文書館はございません。ちょうど私が知事をしていたときに、これをつくろうかと思って、それで、ちょうど県立図書館を整備して、その後にそれを持ってこようかとか、あるいは別の場所で既存の施設をうまく活用しようかとか、いろいろ検討していたんですが、県立図書館の整備が、ちょうど知事の任期の結構ぎりぎりのころに整備をされて、その後利用のことをいろいろ考えておりましたけれども、財政難でございましたので、公文書館という形では設置をしていない。

 それからあと、文書自体のいろいろな利用可能性、公開に資するということから、目録文書を電子化するですとか、それからその整理をする、詳細な目録の作成といったようなことにその間取り組んでおりました。そうしたことを含めた情報公開条例を制定し直しをして、それによって当時の県民の皆さん方の知る権利にこたえよう、こんなことを行ったところでございます。

西村(智)委員 公文書館の設置については、これは自治体においてももっと進めていただきたいと私は考えています。

 ちょっと時間が来てしまったので、質問もかなり残っているんですけれども、一点どうしても伺いたいことがありまして、もう少し時間をいただきたいと思います。

 これは私の感じ方なのかもしれないので確認をしたいと思って伺うんですが、発言者名が記載されていない議事録がどうも最近ふえているのではないかという感じがしております。ホームページなどに公開をされておりますので、ネットでつないで取り寄せるんですけれども、議事要旨とか議事概要などという形で丸められて掲載されているものがかなりあるんですね。こういったことについて総務省は把握しておられるのか。

 平成十一年の審議会等の整理合理化に関する基本的計画では、議事録は原則公開というふうになっております。これは、私がさっき申し上げた四つのポイントのうちの三つ目、つまり本当に必要な文書が作成されているかどうかというところにかかわる大事な点なんだと思います。

 総理は公文書館を充実するとおっしゃっておられますけれども、このままいきますと、発言者名のない議事録がどんどんとつくられて、それがどんどんと公文書館に送り込まれるということになりかねない、それでいいのか、そういう疑問を私は痛切に感じるんですけれども、この点について、もう最後ですので、大臣にまとめて答弁を願えればと思います。

渡辺委員長 村木行政管理局長、簡潔にお願いいたします。

村木政府参考人 先生御指摘になりました審議会の議事録等の公開につきましては、先生御指摘のありました審議会等の整理合理化に関する基本計画で原則公開ということが決まっておりまして、各府省においてこれに基づいて適切に運営されていると認識しておりますが、今先生御指摘になったようなデータにつきましては、私ども今手元に把握しておりませんので、調査を実施いたしまして、取りまとめの上、後刻先生に御報告をさせていただきたいと思います。

増田国務大臣 議事録などは、発言者の名前が出ていないとやはり議事録たり得ないと思うので、やはりそういう形で整えておく必要があるだろう。もちろん、迅速性の関係があるので、まず最初に議事要旨をぱっと出して、それから議事録自体は少し時間がかかってくると思いますけれども、そういう形で議事録を出す。ただ、何か個人の関係のところがあるのであれば、それは多少の加工の必要というか、何か必要かもしれませんけれども、そういうものが本来のあり方だろうというふうに思います。

 それからあと、いずれにしても、先ほど委員の方からもお話ございましたが、内閣全体として、公文書の保存、管理、それから公開のあり方などについてやはり抜本的に考える必要があるだろう。公文書館の問題もございますし、昨年にいろいろと大事な文書が管理が不十分でなくなってしまったということが現実にありましたので、それが関係省庁の申し合わせにもつながってきたわけでありますが、そういう問題にとどめておくと余り改善されないのではないかということがございましたので、総理の方で、担当大臣も置いてこの問題をきちんと考えよ、こういうことに内閣全体としてなっています。

 いずれにしても、そういう取り組みを通じて、情報が管理をされ、それから公開され、そして先ほどありましたように、必要な情報が行政の恣意性が入らずにきちんと作成をされるといったようなポイントは大変大事な指摘だと思いますので、そうしたことを踏まえて、より情報公開が推進されるように考えていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 最後に大変いい御答弁をいただいて、ありがとうございました。

 ただ、大臣、総務省の中に設置されております審議会等でも、発言者名のない議事要旨のみの審議会が大変多いです。議事録も公開されていないところもあります。そこのところをぜひ一回チェックをしていただいて、まずは身内からということでやっていただければと強く要望して、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党、田嶋要です。よろしくお願いします。

 きょうも三法案に関する質問、二回目をさせていただきますが、お忙しい中、また国土副大臣、お越しいただきまして、ありがとうございます。

 先回の最後の方で、統計データをもとにした今の日本の姿ということに関して議論をさせていただきたかったわけですが、ちょっと時間切れになりましたので、きょうもそういった大所高所に立った話もさせていただきたいと思いますが、その前に一つ具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 実は、私、昨日茨城県の方に視察に行ってまいりました。まだこれはいわゆる愛称のようでございますが、茨城空港という空港が今建設中でございまして、その空港の建設現場あるいはアクセス道路の建設現場を視察してまいりました。

 御案内のとおり、額賀財務大臣の御地元ということでございます。かつて、グリーンピアの話があったときに、全国十三のグリーンピアの多くが元厚生労働大臣の御地元にあるんだという事実を、本当かなと思って調べてみたら、やはりそうだったということがございました。それと同じかどうかわかりませんけれども、今回私が見に行きました茨城空港の建設も財務大臣の御地元で行われておる建設工事でございます。

 それに関しまして、副大臣にお伺いいたしますが、まず、この空港あるいはアクセス道路の建設は、現在、計画に従って着々と進んでいるという理解でよろしいでしょうか。

平井副大臣 視察、御苦労さまでございました。

 百里飛行場については、平成十二年度より、自衛隊の設置する飛行場の民間共用化のための整備を進めているところであります。茨城県を中心とした地域においては、現状において多くの方々が、アクセスに相当の時間を要する羽田空港等を利用して国内各地との移動を行っています。

 百里飛行場は、こうした茨城県を中心とする関東北部地域の航空需要に対応するものであり、首都圏航空需要の一翼を担うことが期待されるものであります。そして、航空路線の開設と利用促進に向けて、地元を中心として積極的な取り組みを行うということになっております。

田嶋(要)委員 予定どおり着実に計画どおりの工事が進んでいるという意味だと思いますけれども、まさに予定どおり着実に進んでいるのを見て、私だけではなかったと思うんですが、昨日現地に行って、本当に大丈夫かなという思いを正直言って強く持ちました。

 これは地元の県議会等でも取り上げられたこともあるというふうに承知をいたしておりますが、今副大臣おっしゃったように、現在も航空自衛隊の着陸空港として利用されている。今後も民間旅客との共用ということもあるので、ひょっとしたら、計画が大幅に外れても最後は自衛隊用で何とかなるというようなもくろみがあるのかなというような印象も受けたわけでございます。

 この茨城空港の将来性に関して、私自身が感じたところを簡単に申しますと、首都圏でまた新たな空港ができるということでございます、先ほどお隣の玄葉先生ともお話ししておったんですが、福島にも空港があるということでございまして、それと秋田には第二空港というのがあって、これは東京へのルートも大変厳しい状況にあるということでございました。私、まず一つ思うのは、一個一個の空港を考えるときに、当然のことですが時系列的なつながりがあるわけで、福島に空港をつくったときと同じような、首都圏で今からつくるということに、本当に事業性が大丈夫なのかということを厳しく見ていかなきゃいけないと思うんですね。

 それと、お配りした資料をごらんいただきたいと思うんです。二ページの下の方で、「充実した道路アクセス網。」という地図がございますけれども、そこに東関東自動車道水戸線という、これも計画中でございまして、これは見てのとおり飛行機のマークが三つついておるわけですけれども、その地域から成田空港へのアクセスも極めてよくなるというふうに予想ができるわけでございます。

 そういう意味では、これも視察してまいりましたが、道路の建築も順調に進み、そして空港の建設も順調に進んでいるわけでございますが、本当にこれは大丈夫か。地方空港、地域あるいは自治体のお荷物になるということがよく言われております、余分な取り越し苦労であればいいですが、そういった印象を強く持ちました。

 そして、福島空港の場合、聞いたところによりますと東京へのルートはないということです。同じように、今回のこの茨城も、非常に近い場所にあるものですから、ドル箱と言ってもいい東京ルートはつくれないわけでございまして、海外からの引き合いがあるということですが、開港予定の二年前であるにもかかわらず、一体どういう飛行機会社がここに飛行機を乗り入れるかということは今のところ一切決まっていないというお話をきのう伺ったわけでございます。

 そういう意味で、国際線、国内線、あるいは成田空港や羽田空港との競合、大変厳しいものがあるのではないかなというふうに、率直に言って印象を受けました。

 それで、国交副大臣にお伺いします。公共事業一般論としてお伺いしたいんですが、公共事業の事業性あるいは予想収益性というものを、よく言われる、一たん計画をしたら何年たとうがその計画どおりやるという時代ではないと思うわけでございます。我々のような素人が見に行って、本当に大丈夫かなというふうに不安を持つということは、ニーズはあるとおっしゃいますけれども、地域の多くの皆さんも、どういうところで言ったらいいかわからないから言わないだけで、実際には不安がっている人が大変多いんじゃないかなというふうな印象を受けるわけですが、国土交通副大臣にお伺いします。

 今、一たん計画したものをレビューしていく、再評価していく仕組みというのは公共事業の場合どのようになっているでしょうか。

平井副大臣 公共事業につきましては、時代の変化に対応して、事業の途中段階で事業の必要性等を確認しながら進めることが非常に重要だと我々も考えております。

 国土交通省所管の公共事業においては、実施中の事業についても、再評価の実施時期に関する基準を定め、おおむね五年ごとに再評価を実施しております。再評価の結果を踏まえ、必要に応じて見直しを行うほか、事業の継続が適当と見られない場合には事業も中止しております。これは、行政評価法が平成十四年度に施行される前の平成十年から、国交省は積極的に取り組んでいるわけであります。

 また、評価の客観性、透明性を確保することも重要であり、評価に当たっては、行政、経済、土木及び環境分野等の学識経験者等から成る事業評価監視委員会によって十分な審議を受けるとともに、評価結果はすべて公表させていただいております。

田嶋(要)委員 今お話ありました、場合によっては事業の中止も行うということでございますが、おっしゃった平成十年からの実績として、何件中何件が実際事業の中止という決定になったかという数字、データを教えていただきたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年度から平成十八年度までに再評価を一万四千六百九十四件実施しております。そのうち中止した事業は三百六十八件、総事業費といたしましては約七兆円ということになっております。

田嶋(要)委員 そういう仕組みがあるということで、これはもともと総務省の方のいわゆる政策評価メカニズムの中で、公共事業に関しては、実施計画に基づいて国土交通省がそのようにやっておるということでございます。

 私は、今回この茨城空港なるものを見まして、改めて現場の持っている情報量に圧倒されるわけです。そういうものを見て、今の計画から実施の問題点というのは、一たん決めると、地元の中にだんだん醸成されてくる既成事実というか空気というか、とめることがなかなか難しいのではないかというような感じを持つんですね。もちろん、それは首長さん、あるいはその地域の議会が判断すればいいことかもしれませんが、現にこの空港も三分の二は国が補助金を出しているということであれば、やはり国の制度として、もう少ししっかりとしたレビューを定期的に行う制度につくりかえた方がいいんじゃないかなという印象を私は持っております。

 それで、副大臣、先ほど五年に一度というふうにおっしゃいました。これは前回の私の質問でも、これだけ不確実性が高まっている時代に十年もさらに延長して増税路線を固定化するということの矛盾あるいは不合理性ということを私は指摘いたしましたが、同様に、五年に一度のレビューでは、これはほとんど意味がないのではないかなというふうな印象を私自身は持っております。

 副大臣、お伺いしますが、これだけ公共事業の無駄、そういうことが指摘され、あるいは今申しました、なかなか現地においては、一たん動き始めるととめることがだれの力によってもできないということであれば、それを客観的な検証をもう少し厳しく、あるいは定期的に導入することによって、どんな時点からも引き返せる、そういう仕組みをつくるべきだと私は思います。

 これまで使ったお金とこれから使うお金というのは全く意味が違いますね。だから、そういう意味では、やはりこれは、これからどういうステージが、八合目まで来ているとしても、だめなものはだめということで冷静な判断ができるように制度を変えていくべきだ、具体的には五年を例えば毎年行うとか、そういうような制度を検討するべきだというふうに私は思いますが、副大臣、御答弁いただけますか。

平井副大臣 私も委員と同じような問題意識は持っているつもりであります。

 先ほど、事業を中止にして総事業費が七兆円という話もあったと思いますが、それは、これから使うお金はほとんどその中に入っているわけで、ある意味では先の無駄をストップさせるという問題意識かと思います。

 新規事業の着手に関しては、より厳格にやるということもさることながら、やはり再評価というものも必要だと思います。再評価については、基本的に五年ごとに実施をしている。これは、例えば平成十八年度で七百五十件の再評価をしておりますが、これを一年ごとに実施するとなると、実は大変多数の評価件数になってしまうことはあります。しかしながら、社会情勢、経済情勢の急激な変化等によって再評価しなきゃいかぬというようなものはそういうことに関係なくやらせていただいているということでありまして、これは平成十八年度だけでも五十件あるわけですよね。

 そういうことでありますから、大きな状況の変化のない場合においても、一年ごとに再評価を実施するというのは、委員の御指摘ではありますが、現実的ではないのかなというふうに考えます。

田嶋(要)委員 昨日も現地の方々にいろいろお世話になりましたけれども、そういった方々は与えられた任務を一生懸命こなされているということで、本当に心から敬意を表したいと思うんですが、そういう方々は、全体像として物事を見るというよりは、やはり自分の使命をちゃんと全うしなきゃいけないということですから、何も責められるものではないと思うんですがね。

 先ほど言った、片っ方で成田空港への道路の建築も進んでいる。そうなると、かなりアクセスが改善される、言ってみれば自分で自分の首を絞めるようなアクセス道もつくっているわけですね、成田空港へのルートが非常によくなるから。だから、空港開通前からマーケットを狭くしているような建築も片っ方で行われているような矛盾も感じるわけでございますので、今おっしゃったすべての公共事業が毎年というのは現実的じゃないとしても、こういった額のでかいもの、これは空港だけで二百五十億ということでございますけれども、そして地域経済に与える影響の大きいものに関してはやはり頻度を上げて検証を行うべきだということを、改めて私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。

 それともう一点、副大臣、ではだれがそういうレビューを行うかということでございます。第三者も入れてという話も先ほどございましたが、我々注意しなきゃいけないのは、これは道路も一緒ですが、道路が必要なのか、道路工事が必要なのかという問題がありますね。だから、これは空港建築も何でも同じだと思うんですけれども、利害関係者じゃない方、それを将来できた後に利用するいわゆる一般市民、そういう方々を中心にした評価システムというものをつくっていかないと、お手盛りになってしまうのではないかなというふうに思います。

 特に、声なき声、こんなの要らないんじゃないのと思っている方々にいろいろ反論の場をしっかりとつくっていく、それを一年ごとに、やはり環境もよく変わると思うんですよ、このアクセス道路が成田に延びた、こういうこともあるわけだから、そういう事あるごとにやはり何度も何度も確認する。

 つまり、これから使うお金の大きな将来の損失を考えたら、あるいは、その県、自治体における、ひょっとしたら将来大きな財政的なお荷物になることを考えたら、頻度を上げてそのぐらいのことをやる手間は、一けたも二けたも小さい話ですよ。後になって、みんなが、ああ、しまった、こんなものお荷物だなと言ったってだれも責任とらないようなことになるよりは、やはり予防するようなメカニズムを、ちょっと手間がかかるような仕組みをしっかりつくるべきだと私は思います。

 今申し上げた点、第三者ということを徹底するべきだ、利害関係者を入れちゃいけないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

平井副大臣 例えば、この空港の件ですけれども、関東地方整備局事業評価監視委員会の委員の名簿というのはもう既にチェックなさっていると思いますが、それぞれ妥当な学識経験者を選んでいるというふうに考えております。

 この地域住民の方々の意向というものをそういう中でもっと反映させたらどうだという問題意識かと思うんですが、この学識経験者等から成る事業評価監視委員会の審議は、その審議の公開または議事録の公表等、審議過程の透明性を確保しなきゃいかぬと我々は考えておりまして、事業実施に当たっては、日ごろより住民の方々の意向の把握にさらに努力しなきゃいけないというふうに思います。

 それで、先ほどの空港の問題とかいろいろありますが、その地域のどのエリアでいろいろな物事を見るかというと、ついついやはり地域はその空港に目が行ってしまって、全体の中における位置づけというものが見えづらくなってしまうという御指摘だと思うのですが、確かに、部分最適化と全体最適化、それは常に我々やはり重く考えなきゃいけないことだと思いますし、新規採択の折にはその点も十分に審議していただいた上で、今は公共事業が簡単に採択される時代じゃありませんので、そのあたりは厳格にやらせていただいていると考えております。

田嶋(要)委員 学識経験者というのは、やはり常に注意が必要だと思いますね。政府のお気に召すような結論に誘導していくような役割を果たす場合もひょっとしたらあるわけでございますから、やはりそれは本当に広く住民の意見を聞く。それから、おっしゃったとおり、その地域の方々じゃない方々も含めた仕組みが必要ではないかなという印象を持ちます。

 ちなみに、ちょっとこの間も予算委員会で引き合いに出されたこの本の中にも紹介されておりますが、イギリスなんかでも、実際の計画が、一九九〇年代の道路をつくる計画の、実に四百あった道路計画のうち、それを厳しく見直した結果、三十七プロジェクトしか残らなかったというようなことも書いてあるんですね。そのときのイギリスの考え方としては、やはり、従来の、行政の側が必要な道路を予測し供給する政策を改めて、評価方法を大きく見直していったと。そして、そのときの考慮点というのは、やはり財政の問題とそれから環境の問題です。

 こういったことがイギリスでは一九九〇年代に行われていた。十年、二十年、まあ大体日本はそういう感じですけれども、十年、二十年おくれて今日本にもそういうときがやってきた。このときに、今までの延長線上でもう一回、暫定税率十年延長ということではなくて、全くこれまでの延長線上ではない、もう今危機的な財政状況と環境への意識の高まりの中から、イギリスの例で言えば十分の一ですよ、地元がつくってほしいと言っている道路を十本に一本つくるとか、そのぐらいの基本姿勢で物事を見ていかないと後でみんな苦労するんじゃないかな、私はそのように思うわけでございます。

 この茨城空港のパンフレット、すてきなパンフレットをいただいてまいりまして、これがなかなかおもしろいんですけれども、これは、要するに、空港まではすごく速く行けるようになるんですよ。ただ、心配なのは、空港に行ったはいいけれども、飛行機が来るかという問題ですね。空港までは速く行ける。しかし、そこから先、飛べるかどうかという問題がやはりあるわけで、先ほど言った、開港二年前でどこの飛行機会社もここに来ることにはなっていない。これから日本の航空会社にもいろいろとお願いをして、何とか格好がつくような形で平成二十三年の春にスタートさせるんでしょうけれども、本当に心配ですよ。まあ、ずっと見ていきましょう。私が杞憂に終わればいいですけれどもね。

 ただ、地方空港お荷物という話はよく聞きますから。しかも、時系列的に、秋田の第二、福島、そして今から開港させるというのが本当に首都圏で必要なのかどうかということも含めて、そういった懸念を私は持ちました。正直言って、これは私だけじゃありません、行った人みんなの共通認識なんですよ。だとすれば、やはりどこかで立ちどまることも必要なんじゃないかな、そういう印象を強く持ちましたので、そのことを最後に一言申しまして、このテーマに関しては終わりにさせていただきます。

 次に、暫定税率の話にもう一度入らせていただきたいと思います。

 暫定税率に関しまして、なぜ十年暫定税率を維持するかということの理由として、よく三つ挙げられておりますので、その三つの理由をもう一度教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

平井副大臣 暫定税率をなぜ十年維持するかということに関しまして、これはもうたびたび大臣等も答弁をしておりますが、まず第一番に、暫定税率をお願いする前提である中期計画の素案は、厳しい財政状況のもとで、真に必要な道路整備について改めて問い直される中、道路事業が完成するまでには長期間を要する、このことを踏まえて、国民の皆様から目に見える形で将来の具体的な姿を提示できるよう、計画を十年としたものであります。

 二番目に、道路は国家の基盤、基礎となるインフラであり、重点化、効率化を図りつつも、必要な対策は確実に実施しなければならないもの。このため、今後、本格的な人口減少、高齢化社会の到来や、高度経済成長につくられた道路や橋梁の急速な老化を迎えることとなるが、このような時期に差しかかっているからこそ、残された大切な期間において、明確なビジョンのもと、計画的、戦略的な投資が求められている。

 三番目。計画期間を五年から十年に延ばしたからといって、事業量をふやしているわけではありません。現行の五年における事業量からは、その約二割の削減をしているということです。

 この事業量、これは私の感覚なんですけれども、平成十年のときのピークから比べると、公共、そういうものは半分になっている。なおかつ、八割になっているわけですから、俗に言う半値八掛けぐらいの圧縮にはなっているのかなというふうに結果的に思います。

田嶋(要)委員 なぜ暫定税率を維持するかということで、理由を政府あるいは総理も三つ挙げられましたね。その中の一つとして、環境面への影響という言葉がよく出てまいりますけれども、それは今話に出てこなかったような気もしますが、そういうことで、ございませんか。

平井副大臣 総理の答弁の中にも、当然、環境面の配慮というようなことは入っていたと思います。

田嶋(要)委員 なぜ最初にそれが入っていなかったか、何となく不思議でございます。だんだん、取ってつけたような、こじつけだなというふうに思い直されているのかどうかわかりませんけれども。

 それで、政府も責任を持ってそういうことをおっしゃっているわけですから、環境面への影響ということでもう一度確認ですが、おっしゃっている意味は、ガソリンの値段がずっと上がってきた、我々は暫定税率を廃止すべしと申し上げていますが、政府は、廃止をするとガソリンの使用量がふえてしまうと。価格弾力性の問題ですけれども。おっしゃっているのはそういう意味ですか。

 つまり、環境面への配慮だから、今、世の中でガソリンの値段が上がってくれたことは、むしろ環境面からすると結構なことである、だから暫定税率を廃止するべきではないという御主張に私には聞こえますけれども、環境面への配慮というのはそういうことですか。つまり、暫定税率を撤廃したら使用量がふえるということでしょうか。

平井副大臣 暫定税率が廃止されて、その分燃料価格が引き下げになれば、交通量が増大する可能性は高いと考えています。

田嶋(要)委員 私たちはそうは考えておらないんです。過去の我が国の、七〇年代ですか、六〇年代ですか、そういったときの経験を踏まえても、生活必需品は価格弾力性が極めて低いというふうに私たちは思っているわけですね。

 したがって、今本当に生活困窮をされている皆様に、さまざまなインフレ懸念が増大している中で、まずは、暫定税率廃止ということによって、特に自動車の利用の多い地方経済に対しての波及効果を期待しておるわけですが、今の副大臣の御答弁ですと、では、裏を返せば、今このような高いガソリンの値段になっているということは、昔の、百円あるいは百十円台の、値上がりが始まる前の水準から比べると、相当にガソリンの利用が減っているというふうに理解をしているということですか。

平井副大臣 自動車の保有台数もふえたり、トータルでそのことは考えなければならないですが、揮発油税にしても、ガソリン価格の上昇というもので、ある程度そういうものに影響をしているというふうに考えています。

田嶋(要)委員 何かはっきりしない答弁でございますが。

 要するに、環境面への配慮から暫定税率を維持するんだというふうにおっしゃっているということは、では、高どまりすることによって、従来よりもガソリンの使用、すなわち車の使用が減っているという前提に立っているというふうに私は理解をいたしました。それでよろしいですね。

平井副大臣 具体的な因果関係というものに関して、今資料を持っておりませんが、感覚的にはそのように思っています。

田嶋(要)委員 それで、ちょっと私もよくわからないので教えていただきたいんですが、政府の道路の予測、十年、あるいは中期計画というものは、平成十四年の十一月に公表された需要推計、そういうものに基づいて行われておるわけです。しかし、そのころのガソリンの値段を振り返ってみますと、この三ページの資料に書いてありますが、急に上がり始めるよりももっと前の話、すなわち、しばらくの間ずっと安定した値段、百円から百十円の間でのガソリン料金だったわけですね。

 今副大臣おっしゃったとおり、政府としては、環境面への配慮から、こういったガソリン料金の高どまりはむしろ歓迎すべきことだというスタンスであれば、すなわち、この過去数年にわたってのガソリン価格の急騰、そしてそれによる自動車の利用がかなり影響を受けているという想定に立てば、そもそも、中期計画を立てた時点での自動車の利用の状況に比べたら、まさにガソリン価格の高騰による利用の低減というか激減というか、その辺の数字をしっかりと反映したものでなければおかしいんじゃないかなというふうに私は思うんですね。

 これは、中期計画、次にまた出てくるという話もございますが、今の十年の計画、年間五・九兆というか、五十九兆円のデータというのは、価格が高騰を始める前の状況での道路の利用予測に基づいている、そういうことではございませんか。いかがですか。

平井副大臣 ですから、価格の上昇と車の利用というものの因果関係の話ですが、価格は、先ほど委員も御指摘のとおり、ずっと長い間安定していたわけです。ここに、本当にこの数カ月、急に上がったわけで、そこのところでいいますと、明確な因果関係というものを今すぐ検証するのはなかなか難しいとは思います。

 しかしながら、中期計画というのは、いろいろな政策目標をかけて、その政策目標を実現するための道路整備として我々提案をさせていただいておりますので、環境面の配慮だけを考えてつくっているわけではございません。

田嶋(要)委員 おっしゃることもわかりますが、しかし、価格の高騰は、これはごらんいただくとはっきりしているとおり、二〇〇四年からスタートしているということですね。ここ数カ月というのも、もちろんここ数カ月も動いていますけれども、それまでずっと百円、百十円の間でうろうろしていたものが急激に上がってきたのは、もうそんなに、ここ数カ月の話じゃないわけですね。

 それで、まさに政府が、高どまりしている今のガソリンの値段を下げるのではなくて、この方が環境面への配慮から望ましいんだということをおっしゃっている、だから暫定税率を維持するべきだという理由の一つとして挙げられているということは、これだけ価格が上がることによって道路の利用は下がっているわけだから、そのことをまさに計画の中に反映させないと、当然ながら過大予測をしているということになると私は思いますけれども、副大臣、それはお認めになりませんか。

平井副大臣 環境対策ということであれば、渋滞解消であるとか、そういうものも当然トータルで含まれてきます。今後いろいろな、車両の新しい開発とかそういうものも進むでありましょうし、単に、今委員の御指摘の環境への考え方だけを盛り込んで中期計画をつくるということはなかなか難しいのではないかと思います。

田嶋(要)委員 すれ違いでございますけれども、私は納得ができません。

 いずれにしても、五十九兆というのは、与党・政府の関係者からも、相当な上げ底ですか、そういう言葉も出てきておるわけでございますので、我々は全く信用の置けるような代物ではないと思っていますが、この一点だけを見ても、やはりもう一度まじめに、まともな計画を出さないといけない。先ほど言ったように、空港と話は一緒でございますね。本当になぜ今から新しい道路をつくらなきゃいけないのかということをやはりゼロベースで考えなきゃいけない。多分内心は、やはりそうかなと、大分時間もたっていますから、総務大臣も含めて、分が悪いなというふうに思っておられることだと思うんですが、もうそろそろそれを言葉に出すときが来ているんじゃないかなというような印象を持ちます。

 それと、取ってつけたにせよ、今のガソリンの料金の中でいやしくも環境面への配慮ということを言うんでしたら、それはもう少し真正面から、環境負荷を減らすためにどうしたらいいかということを、国土交通省、まさにいろいろな役所が一緒になって、そういう意味では昔に比べたら総合的な交通計画というか政策を立てやすい省庁になったわけですから、私はそういうことをもっと考えなきゃいけないんじゃないかなと。つまり、道路をいかにしたらこれ以上ふやさずにやっていけるかという視点をもっと持ち、そして、我が国が誇る大量輸送機関、これをもっと生かしていける方策を考えなきゃいけないと私は思うんですよ。

 これも調べましたら、日本の場合には、自動車で移動する人は鉄道関係で移動する人のおよそ三倍です。ヨーロッパ諸国はおよそ十倍、アメリカはおよそ八百倍なんですよ。日本がいかに、ある意味環境に優しい鉄道等を有効活用して人が移動し、物が移動しているかというあかしですね。それだけいいことをやってきたわけなので、まさにそういうことをさらに推進していく。そして、日本が今欠けているのは、自動車の抑制と、それから大量輸送インフラをもっと使っていくように誘導していくようなさまざまな試行錯誤、そういうものをどのぐらい検討しているのか。

 私はアメリカにもフィリピンにも住んでいました。どちらに行っても、例えばレーンの可変とか、それからカープール、二人以上乗らないとだめとか、あるいは時間制限、それから、行きは上りが二車線だったけれども帰りは上りは一車線になっていたとか、そういうのもいろいろあるんですよ。さまざまあります。これは必ずしも国交省だけではないかもしれませんが、道路交通法を変えずともやれることはいろいろあるんですね。

 だから、そういうことをもっと工夫することによって、自動車の抑制と、それから、これから確実に人口は減ってくるわけですから、そういう中で今ある大量輸送インフラをもっと生かしていくということで、さっきの必要な道路も、必要な道路という言葉は一緒ですけれども、意味するところは全然違うわけですから、それをもっともっと抑えること。イギリスで言っているように、計画は十あるけれども実際には一だった、そのぐらいにできるような成果を出してほしいなと私は思うんですね。その辺、副大臣、いかがお考えですか、御答弁いただきたいと思います。

    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕

平井副大臣 公共交通機関との連携というのも非常に重要な視点だと思います。ですから、そういうものに対してできるだけ知恵を集めて、それぞれの地域が、住民の皆様方が大変利便性を感じるような形の全体の交通体系になっていかなきゃならないんだろうというふうに私も感じています。

 ただし、今後のこの中期計画の想定している事業量というものが、過去に比べて決して大きいものではないんですよね。そのことがあるので、当然、そこでは我々は選択と集中ということに取り組まなければならないし、地域の要望も聞いていかなきゃいけない。財布が小さい中で、どれだけ知恵を出して真に必要な道路をつくるかということになろうかと思います。

田嶋(要)委員 それで、少しマクロな数字を比較して話をしたいと思いますが、今まさに副大臣おっしゃった、過去に比べて決して大きいものじゃない、そのとおりですね。公共事業自体が減ってきております。それは事実です。

 しかし、お配りした資料一ページ目をごらんください。もうこれは見なれた資料かもしれませんが、これが一言で言えば我が国の風景ですね、我が国の風景ですよ、これ。教育特でもいろいろ議論した教育との対比でございますけれども、結局、これが今日まで続いてきているので、ここをどれだけ劇的に変えていくことができるかということが、今まさに総務大臣にも国土交通副大臣にも、内閣に問われているんだと思います。

 ちなみに、これはGDP比で出している数字ですけれども、政府の一般政府支出を分母に持ってくると、これはもっとすごいんですね。日本は一三・四%まではね上がります。つまり、前回私が申しました道路密度も同じ話ですけれども、日本だけ突出しているんですよ。幾ら、減らしてきた減らしてきたと言っても、やはりこれは日本だけ突出している。このことを素直にまず認めて、国の形を変えるところから考えなきゃいけないと私は思います。

 四ページをごらんください。これは先進諸国の道路投資額でございますけれども、維持と投資というところの欄を見ていただくと、日本はいまだに投資ですね、新しい道路をつくる方に三倍以上お金をかけている。これはちなみに国土交通省の関係団体からの資料でございますけれども、だから、そういう意味では過大に書いてはいないと思いますね。そういった状況で、それと似たようなものはスペインでございますが、では、どういう産業にその国の就労人口が割合としてあるかというのを見ると、やはりこれは割と符合するんですね。

 では、どちらが鶏、どちらが卵かという議論はあると思うんです。新たにもっともっと道路をつくるという政策があるからそういう産業に就職している方々が多いのか、それとも、そういう産業分野に大勢の方が働いておられるから供給サイドから公共事業が生み出されていくのか。後者の色彩も強いと思いますが、これは、鶏、卵はいろいろあると思いますが、いずれにしても、この今の日本の国の形を変える努力をするのが国土交通省だと私は思うんですよ。あるいは総務省だと思います。

 ほかの国々は、先ほどのイギリスの例じゃありませんけれども、もう新たな道をつくるのは極力やめていこうということで、九〇年代に計画の十分の一しか実際にはつくらなかったというような報告もある。我が国は、スペインもですけれども、いまだに新しい道路をつくることが国力あるいは国の発展につながるという、これは壮大なる錯覚ですよ。こういうことをいまだに持っている国はもうかなり少数だということがはっきりしているじゃないですか。副大臣、いかがですか。

平井副大臣 委員がスペインのお話をされましたけれども、私もスペインはよく行くことがありますので詳しいわけでありますが、あそこはEUに入って、問題は、やはり地方と都市部の格差是正ということが大きかったと思います。ですから、EUの構造調整のお金を使って地域の道路の整備というものをやったという、これは国策であって、それは地域間格差の是正という中で行われたんだと思います。

 一方、日本の場合は、考えてみると、やはり道路整備の歴史は浅いですよね、戦後ですから。そういう意味では、一定のストックが形成されたとはいえ依然低い整備率というふうに我々は考えていて、そうでなければ、これほど地方の皆さん方から道路に対する要望というものが私のところに届けられるということもないと思うんですよ。

 私も、正直言いまして、私の地元の方は結構道路の整備がなされていますので、これほど世の中に道路に対する要望が強いとは思っていませんでした。しかし、現実にそういうものに耳を傾けておりますと、すべて、皆さん方、生活に必要、その地域の将来にとって必要な道路、そういうものに真摯に耳を傾けていますと、今の我々の中期計画でも十分に皆様方の要望にこたえられるだけのものではないなというふうにも考えています。

田嶋(要)委員 個別には必要な道路はあると思いますよ。だから、もちろんゼロにするという話じゃないんです。ただ、さっき言った壮大な錯覚というか、何か道路をつくればまだいいことが待っているように日本じゅうが思っている時代をそろそろ卒業しませんかと言っているんですよ。

 これは、結局は国民全体の意識の問題。今回暫定税率の十年延長に賛成している方々が比較的少ないのも、二十年おくれてイギリスで起きたような意識がこの日本でも始まっている証左ですよ、それは。だから、それをかたくなに、提案した法案にのっとった答弁だけされていると……。最後は撤回されるのかわかりませんけれども、しかし、もう答えが出ているんですから、白旗を振った方がいいと思います。

 それで、六ページをごらんください。これも少し細かい計算をさせていただいたんですけれども、私、おもしろいなと思ったのは、宮崎の知事が道路は必要だという、やはりそれはそれなりに理由があるんですね。これは道路密度を県で調べました。縦軸は一人当たりの県内総生産です。一つ言えることは、これは東京を除いて、道路を幾らつくっても余り将来明るくないよということが言えると思うんです。

 もう一つ。宮崎の知事とか、あるいは九州の東部はいかに厳しいかということを切々と訴えられている、やはりこれは一つ説得力があるんですよ。つまり、そこにいろいろ吹き出しがありますけれども、九州各県の中で確かに宮崎は一番道路密度が低いですね。それから鹿児島が並んでいます。

 それから、私の地元の千葉県でございますが、千葉は道路が悪い、これはよく言われる話なんですが、右の方をごらんいただくと、やはり首都圏の中では千葉の道路密度は一番低いんですよ。(発言する者あり)いや、こういう数字が計算されたということを申し上げているんですね。

 それで、これは全然違う分野ですけれども、たまたまこの間見かけた新聞記事で、これも千葉ですけれども、子育て支援に関して千葉の責任者の方がこういう発言をされているんですよ。千葉は東京に隣接しているので対象年齢を広げざるを得ない。これは小児科医療の問題ですね。

 つまりこれは、やはり隣接した県との比較において、自分のところが劣っていると、そこを何とかしなきゃいけない。それはある意味、いい意味での競争かもしれませんけれども、先ほどの乳幼児医療の問題や、あるいは学校に関する、教育に関するいろいろな補助という問題と相似形の、近接した都道府県での競争というようなものがやはりこの心理の中にはあるのではないか。

 つまり、本当はもうかなり道路は充実していても、やはり隣の県と比較をするとおらが村はまだまだだめだということが、やはり宮崎の知事の発言、あるいは千葉に関して言われている、千葉は道路がまだまだだという話につながっていくような気がする。

 だから、いずれにしても、そうおっしゃる宮崎の主張にも一理はあるんですが、やはり全体として見たときに、この日本の三・一七という道路密度、前回も申しましたが、これがほかの先進国のおよそ倍だということは、先ほどの公共事業投資の対GDP比が大体倍だという話とセットで見たときに、やはり日本の形というのは変だ、そのように思いませんか。

 総務大臣はよく道路財源はまだ足りないとおっしゃいますけれども、こんなにお金をかけてきて、いまだにこれだけ新規の道路に金をかける。こんなに道路にお金をかけてきて、いまだに足りないというのはどこかおかしくないですか、総務大臣。

増田国務大臣 今いろいろ委員の方からお話があったように、確かに、人口減少時代ですから、大きな時代の変化というものも読んでいかなければなりませんし、また、委員の方からお話がございました公共交通機関、鉄道を初め、そういったものをやはり大いに利用していくべきだというところは、私も大変共感するところがございます。

 道路の場合には、代替の新幹線等で、人流という面ではそういったことをこれからももっともっと進めていかなければいかぬと思いますが、日本の場合問題になるのは、やはり物流ですよね。JR貨物等代替の手段というのが非常に貧弱で、道路に多くの物流を頼っている。また、そこが地域振興の核になっているというのもあるので。

 御意見で非常に多く共感する部分もありますが、やはりそういう物流も、別途、大量交通機関として環境に優しいものを整備していくなどということはもっともっと工夫しなければいかぬというふうに思っています。

 あと、投資ですけれども、では、しからばそういった道路投資額が今後必要になるのかということで、先ほど世界比較があったんですが、ちょっと私も詳細は、今見たばかりであれですが、一つは用地費、土地取得が日本は大変高いので、このあたりがどういうふうにカウントされているのかというあたりは大変気になるところではあります。

 それを別にすれば、道路密度のこちらの表もございましたし、今お話がございましたとおり、総務省で十年で地方税それから譲与税を提案していますけれども、結局突き詰めれば、どれだけの道路をそれぞれの都市部、地方部で整備するのか、私はそこに帰着をするのではないかと。要は、どれだけの計画を持って、そして今後整備をしていくのか。

 もちろん十年が長いかどうかの議論はありますけれども、その中で、例えば今日本の全体のネットワーク、高規格幹線道路網を見た場合に、いろいろ途中でぶつ切りにされているところもありますし、それをそのままでおくのか、あるいはスピードをどういうふうにしていくかということを考えて、やはりあるべき計画論というか、整備量に対して、財源の面から見ますとまだまだ不十分でありますので、そこの整備量については大いにまた御議論は必要だと私も思っておりますが、少なくとも、今政府が提案している計画量に対しては財源が不十分であり、一般財源まで継ぎ足しているということを考えれば、今私どもが提案している地方税あるいは地方道路譲与税についての内容を満たしていかないと、地方の財源に対しての不安は解消できないというふうに思います。

 ですから、今の計画されているところを整備するために私どもがこういう提案をしているんですが、もっとそこを、もう整備をしなくていいんだということをもし御主張であれば、あるいはずっとそこがあいていてもそれはもうやむを得ないというふうに割り切れば、それはまたもちろん財源とか別の提案があろうかと思いますが、しかし、先ほどの宮崎のことについてのお話にもありますように、やはり地方で必要な道路網というものはあるのであろう、だから、そこをどういうふうに考えていくのかということではないかというふうに思います。

田嶋(要)委員 冒頭の空港の話と結局一緒ですよ、必要というのはみんな言いますから。だけれども、全く利害関係のない人間がぱっとそこに見に行ったときに、本当にあれっと思うようなことがやはりいろいろあるんじゃないでしょうか。だから、必要の中にも真に必要な、あるいは本当に生命に影響を及ぼすような、この道路がないと本当にこの村の人々の命が危険にさらされるとか、そういうぎりぎりのラインで見ていかないと、本当にまずいですよ。言いたいことは前回も今回も同じなんですけれども。

 せっかくつけたのでこれも御紹介いたしますけれども、資料の七ページ。何のために道路をつくるのかということも、これはやはり立ちどまって考えなきゃいけない。左側をごらんいただきたいんですが、これは、実際に群馬県の温泉街が道路との比較においてどのように温泉への観光客がふえたかどうかというようなデータなわけでございますが、これで言っているのは、高速道路をつくってアクセスをよくしたからといって、その町にとって発展は必ずしも約束できない。逆に言えば、全然そうじゃないデータが出ているということで、これは例外的なデータじゃないわけですよ。

 これは、必ずしもこれを言いたいためにこれだけ持ってきたというのじゃなくて、これは私が調べているわけじゃないですけれども、藻谷さんという、地域を歩き回って実証的に研究をされている割かし有名な方が、もうこういう結果は枚挙にいとまがないと。アクアラインも一緒ですよね、あれで千葉が何かすごくよくなるみたいな話もありましたけれども。だから、やはりこれはもうそろそろイギリスと同じように日本も立ちどまって考えなきゃいけない。

 それで、国民はそういう意識がかなり出てきたにもかかわらず、残念ながら政府関係者は過去の延長線上のマインドを全く払拭できていないというのが日本の悲劇じゃないですか。国民はみんな気づいているんですよ。あとはお二人だけですよ、大臣、副大臣。大臣、副大臣が国民と同じ意識になるかどうかが今まさに問われていますよ。(発言する者あり)そうですね。みんなそうですよ。だけれども、十人に一人なんだから、多分このうちの九割の方は、口に出せないにしても、実はやはり首をかしげているのではないですか。だけれども、本当にやはりそろそろ国民と同じような意識で見なきゃだめですよ、それは。ということを私は強く思います。

 最後に、時間になりましたけれども、同じ七ページの、一点だけちょっと違う質の質問をさせていただきます。

 今回、地方の疲弊、そして財源の偏在ということを是正する施策が法案の中に盛り込まれました。それで、これはあくまで暫定措置ということで、将来的には偏在度の低い安定した税源によってそういった格差を正していく、それはそれで結構なわけでございますが、私がもう一つ問題意識として持っているのは、よく言われる東京一極集中、そして東京のひとり勝ち。こういった問題に関して、何かいろいろ話を聞くと、どうしたらいいのかということに関しての総務省としての考えが余りないような印象を受けるわけですね。

 ここにグラフをつけておりますけれども、やはり日本の状況というのは生活感覚としても極端ですよ、世界のほかの大都市に比べて。総務大臣、この点に関して、総務省として、やはりもう少しグランドデザイン、どうやったらこの不均衡を是正していけるか。やはりそれは、東京の密集と地方の過疎というのは、まさに総務省の柱となる大きな課題ですよね。これに関してどのように考えておられるか。やはり日本も、ほかの国々であるような、いわゆるメーンフレーム型じゃなくて、サーバークライアントというんですか、コンピューターの世界と同じで、なるべく分散をさせることによる国土の発展というのが今大切なんじゃないですか。少子化の問題だって、東京は特殊出生率が一以下ですよ。こういう状況の根っこにある問題に総務省がもっと取り組まなきゃいけないんじゃないですか。大臣、最後に御答弁ください。

増田国務大臣 この七ページの資料、実はこれは、今お話あった政策投資銀行の藻谷さんの資料だと思うんですが、実はきのう、二時間ほど彼とちょうど議論をしておりまして、従来からもやっているんですが、きのうも二時間ほどいろいろ彼と勉強会も開催したところであります。

 最後の、東京についての見方なんですけれども、藻谷氏も言っているんでしょうけれども、一つは、やはり東京が今大変ひとり勝ちのような様相を呈している、この認識はきちんと持っておかなければいかぬということは一つあるんですが、例の年齢構成ですよね。団塊の世代がそこを中心にしていて、実は、七年前の地方圏の状況が八年後ぐらい、要はだから十五年差ぐらいでまさに東京にぐっと押し寄せてきて、壮大な高齢者層が東京で形成されて、大変な財政破綻に結びつくような、実はそういう極めて危うい構成になっているので、だからそのことをやはり十分意識して考えていく必要がある。

 ですから、それを言ってしまうと、今度は逆に、では東京問題をしっかり考えればいいのかということですが、集まった人たちを地方の方に持っていくというのはなかなか難しいでしょうけれども、むしろ東京が今そういう構成になっていて、彼の推計でも、東京というより一都三県を含めた首都圏全体ですが、ずっと人口構成の山が非常にいびつな形になっていて、それは到底もう若年者の流入では支えきれない構造になっています。

 そういうときに、東京問題は東京問題として一つ大きな議論があると思うんですが、我々がこれから考えるのは十年、十五年先に向けての議論でありますので、やはり、東京に行くというよりも、それぞれ各地方地方できちんと雇用の場があって、それから教育も受けられて、そしてそこにいる高齢者も支えられるような、そういう自立的な圏域をまずつくっていくということが必要ではないかというふうに、きのうもちょうど議論をしていたわけであります。いろいろ議論の相違点もあるんですけれども、しかし共通点もあって、やはりそこの地方の自立的な形成を目指すべきということで、今、中の研究会をつくって、そのメンバーとして彼にやってもらっているんです。

 そういうことでありますから、要は、こういうここに書かれているものについての認識は十分持っていますが、まず、地方での定住自立圏構想というもの、そして、そこで何が今後の機能として大事なのかということを私どもとしてきちんと固めていきたい。

 それからあと、確かに、社会インフラ、道路などがあればいろいろな問題が解決するということではなくて、それにプラス知恵がなければいけませんし、工夫がなければいけませんし、逆に、そういったものがなくても非常に繁栄している地域があるということも事実です。しかし、やはり、全体の最適解というか最適配分というのは、白紙のキャンバスにかくのではなくて、現状からスタートしていかなければならない。

 ですから、今のある中で、やはり、地方圏の抱えている問題というのは、定住するための各種の機能というのが著しく脆弱化していますから、そこを強化していくということに実は今回の地方再生対策費のねらいがあって、その財源の規模についてはいろいろ御議論があったり、あるいはそれでは三位一体改革で減らされた交付税を補うのに不十分だ、こういう御批判はあって結構でございますけれども、そういう問題意識で目線を変えて、地域での必要な機能を備えていくということに、これから、我々の考え方、検討の視点を切りかえているということは申し上げておきたいと思います。

田嶋(要)委員 問題意識はあっても、やはり、なかなかアクションが見えないと私は思います。総務大臣の所信表明でも、最初のパラグラフで地方という言葉が六回も強調されていたように思います。にもかかわらず、やはり現状、日本の状態はこれもまた極端ではないかなという印象を強く持っておるものでございます。

 そういう意味では、暫定税率の維持で道路ばかり優先するのではなくて、ぜひとも、大変重要な、地方をどうやって元気にしていくかということをもう少し総合的に対策を考えていただきたいということを申しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、道路特定財源関連で質問をいたします。

 最初に、道路中期計画に関連する地方負担について、国土交通省にお尋ねをいたします。事業費五十九兆円の道路中期計画において、地方負担分、地方費はどのぐらいを想定しているのか、また、その算出方法はどのように行っているのかをお示しください。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 中期計画五十九兆円でございますけれども、中期計画では、個別事業箇所を決定しておりませんことから、地方負担額の算出はしておりませんが、平成十九年度予算を勘案いたしますと、地方負担額は全体の約三割程度と想定されます。これをもとに五十九兆円における地方負担額を算出いたしますと、約十七兆円になります。

塩川委員 平成十九年度道路予算におけるシェアで出しているという話であります。

 もう一回確認ですが、地方費は三割、そうすると国費は何割ぐらいということでよろしいんですか。

菊川政府参考人 事業費全体で平成十九年度約五・八兆円でございますが、その中で、国費ほぼ二・九兆円ということで、約五〇%ということになっております。

塩川委員 過去にさかのぼってのこの間は、大体国費五に対して地方費三という関係で、国の道路特定財源に伴う直轄や補助、あるいは臨時交付金の事業における地方の負担というのが、大体五に対して三という格好で、国が五出せば必ず地方が三を出す、おつき合いをする、そういう関係になっております。

 あわせて、この道路中期計画の積算根拠には地方単独事業分は除いてあるとされているわけですが、その一方で、先日示されました道路の中期計画の補足資料の事業量・単価一覧では、地方単独事業分として、生活幹線道路ネットワークの形成、通学路の歩道整備、橋梁等の補修・更新が挙げられておりますけれども、それぞれこれはどのような箇所、キロを示し、それぞれの事業量というのは幾らぐらいを見込んでいるのか、この点についてお答えください。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 中期計画の素案の十六の政策課題がございますが、この中で、今委員御指摘の生活幹線道路ネットワークの形成、通学路の歩道整備、そして橋梁等の修繕・更新という三つの政策課題につきましては、重点対策箇所数から地方単独事業分を除いて、過去の実績を踏まえまして事業量を算出いたしております。

 具体的には、三つの政策課題の重点対策箇所数のうちの地方単独事業分でございますが、生活幹線道路ネットワークの形成という政策課題では約五千区間のうち二千七百区間、通学路の歩道整備では約四万四千キロの重点対策の対象のうち約一万九千キロメートル、それから、橋梁等の修繕・更新という政策課題では約十五万橋のうちの約五万橋というふうになっております。

 なお、この地方単独事業分の事業量につきましては、基本的には政策課題ごとに事業対策箇所数に平均単価を乗じて算出しておりますけれども、地方単独事業分の平均単価というものを私ども把握しておりませんので、地方単独事業分の事業量については算出いたしておりません。

塩川委員 数を挙げるのに、過去の実績を踏まえて算出ということがありますから、過去の実績という点では、地方単独事業についての金額というのは出ないんでしょうか。その点と、あわせて、国のそれぞれの単価というのは、今の三つの事業について幾らを見込んでいるのかということと、当然のことながら、過去の実績を踏まえて箇所数などは算出しているわけですから、当然かかった費用も、地方単独事業であれ、把握するのが筋ではないかなと思いますが、その点について、二つお伺いします。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、基本的に、平均単価というのは、過去三年、四年、あるいは施策によっては五年というのはあったかと思いますけれども、それのサンプルを選び出しまして、それの単価を平均しているということでございまして、なかなか地方単独事業分についてはそういう作業ができなかったということで、算出いたしておりません。

 一方、私どもの方で、今回の重点対策箇所ということで五十九兆円の中身ということで算出したものにつきましては、生活幹線道路ネットワークの形成につきましては区間当たり三十三億円、それから通学路の歩道整備につきましてはキロ当たり一・三億円、それから橋梁等の補修・更新でございますが、これは一橋当たり三千億円という、平均の単価ということを設定いたしております。

塩川委員 橋梁等の補修・更新は〇・三億円でよろしいですね。

菊川政府参考人 〇・三億円でございます。

塩川委員 今言った国単価に準拠して三つの項目について試算をしますと、生活幹線道路ネットワークの形成が二千七百区間で、国の単価ですと三十三億円、これで八・九兆円。通学路の歩道整備で、一万九千キロで一・三億円、これで二・五兆円。橋梁等の補修・更新、五万橋掛ける〇・三億円で一・五兆円。合計十二・九兆円であります。もちろん、国単価と同じかどうかというのはあります。地方単独であれば、少し少ないという話もあるかもしれませんけれども。

 例えば、今お話ありましたように、中期計画に基づいて地方がおつき合いをするお金というのは三割、十七兆円に上る。あわせて、中期計画の政策目標に基づいて地方単独として行うことが想定されているもの、それについての費用というのが、国単価でいえば十二・九兆円。あわせて三十兆円。もちろん、国単価に準拠しないで、例えば半分といっても六兆円ですから、二十数兆円にはなるわけです。もちろんこの中には生活関連もありますけれども、しかし、道路中期計画に基づいて地方が負担する割合というのがこういう形で固定化されてくるわけです。

 大臣に伺いますけれども、道路中期計画とそれに連動した政策目標に基づく事業だけで、地方負担が三十兆円、まあ二十数兆円。道路中期計画関連で二十数兆円とか三十兆円の地元負担の枠組みが固定化されてしまう、道路中期計画をつくることで地方の負担分も固定化されてしまう、こういう仕組みというのはこのままでいいのか。いかがでしょうか。

増田国務大臣 これまで、五年単位ではありましたけれども、計画をつくって、そこで決められたルールで国、地方がそれぞれ財源負担をして整備をしてきた。これまでの考え方はあったと思います。今回も、現行のルールを当てはめて、そして地方負担ということも、おおよそですけれども、そういう形で試算というか計算されるわけです。

 あと、さらに言いますと、これから、国の役割、地方の役割、これは道路のみならず、公共事業のみならず、さまざまな分野で当然見直しをしていく。大きな体制というか、例えばそれぞれの地方議会の権限ですとかそれから機能の強化等とあわせて、大きく国と地方の役割を見直ししていくということでありますので、今現在で、大きな全体の計画の中で全体の事業量それからそれに伴う財政負担というのを出した上で、それを今の仕組みの中で国、地方がどういうふうに負担し合うのかということを明らかにするのは一方で必要だと思っていますし、そういうことでありますが、さらに今後そこについての検討を加えて、見直しをしていく場合もあると思う。

 これは、これからの分権化の中で、地方が一体どういう役割を果たして、それに伴う財政負担をどのように負担していけばいいのか、住民との間でどういうふうに負担をしていけばいいのかというのはこれからもあり得る議論でありますし、それに伴って見直し、変更ということも当然あり得るというふうに思っております。

塩川委員 道路特定財源の国の取り分、国の取り分の道路特定財源によって地方の道路づくりがコントロールされる、こういう仕組みになるんじゃないのかと思うんですけれども、国が道路特定財源をどこに配分するのか、直轄なのか補助なのか、そういう配分の仕方次第で地方の道路事業がコントロールされる、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないですか。

増田国務大臣 今まで、実際に国と地方の場合の協議の場等があって、協議というか、いろいろ、それは各県、各市町村と相談しながら、どういう事業、どういう道路をどのような期間の間に整備していくのか、こういうことがお互いに話し合いをされて、それで整備をされてきたわけであります。ですから、そういう流れ、これまでの事業のやり方ということを踏まえて、そこは現実に事業をどのように、いわゆる箇所づけ、張りつけていくかという中で決められてくるということです。それに伴って、大きな負担をどこがしていくのか。これは大体国の場合でしょうけれども、国が負担をし、そしてそれに必要な地方負担も、それぞれがつき合って地方負担をしていく。まさに、今お話しになっている点は、箇所づけですとか事業箇所を地元の公共団体とどのように調整していくかという議論にかかわってくるのではないか。

 それで、右肩上がりで予算が伸びているときは、地方団体もそうした状況につき合っていろいろやっていった時代もありますが、最近はピーク時に比べて道路事業費全体二分の一ぐらいということになっていますので、箇所を相当厳選して、例えば、補助事業でここは国としては可能だと言っても、地方団体の方でそれについて断る場合というのはあちこちでいっぱい出てきていますので、そういう具体の箇所をどうするかという議論の中で、お互いによく相談、調整をしていけばいいのではないかというふうに思います。

塩川委員 国の持つ道路特定財源によって地方の道路づくりの枠組みを先に決めてしまう、こういうシステムというのが、本来地方で行うべき道路づくりを後回しするようなことになっていはしないのか、ここが問われているんだと思うんです。

 それとの関係で少し数字を確認したいんですが、都道府県における道路関係経費の歳出の内訳ごとに、道路事業費がピークとなった九八年度に対する〇六年度の比率を示していただきたいんです。

久保政府参考人 平成十年度の都道府県におけます道路関係経費の総額七兆八千二百四十二億円でございまして、うち、公債費が一兆四百六十四億円、一三・四%でございます。公債費を除く経常的経費四千四百十一億円、五・六%、そして、国直轄事業負担金が七千六百七億円で九・七%、補助事業費二兆五千四億円、三二%、単独事業費三兆七百五十六億円、三九・三%となっております。

 また、平成十八年度の都道府県における道路関係経費の総額五兆九千五百四十五億円でございまして、うち、公債費二兆一千二百二十三億円、三五・六%、公債費を除く経常的経費四千六十九億円、六・八%、国直轄事業負担金五千八百六十八億円、九・九%、そして、補助事業費一兆一千八百九十四億円、二〇%、単独事業費一兆六千四百九十一億円、二七・七%となっております。

塩川委員 私の質問は、事前にお願いしたつもりでいたのは、九八年度と〇六年度を比較して、それぞれの内訳がどうなっているのかという点なんです。

 では、合計で何%に減り、公債費が何%になったか、その二点だけ答えてください。

久保政府参考人 総額では二三・九%の減少でございます。公債費は、増加をしております、一〇二・八%となっております。

塩川委員 全体が四分の三ぐらいになっているのに、公債費が二倍にふえているということです。

 なぜこんなに公債費が膨らんでいるのか、その理由について、大臣、お答えください。

増田国務大臣 今、公債費が約二倍ぐらいふえていました。これは、それぞれの地域によってもいろいろな事情はあろうかと思いますが、概して言えば、累次の景気対策、公共事業を中心とした景気対策ということで、平成四年、五年以降ぐらいから、随時、公共事業、そして道路事業もそれに伴って多く行ってきた。これについて、当然のことながら起債を充てるわけでございまして、大体、私の記憶ですと、県の場合ですと、十五年償還あるいは二十年償還ぐらいの起債を使うことが通常でございますので、そうしたもののちょうど償還期に今当たってきているということで、それが公債費の増につながってきているというふうに考えます。

塩川委員 先日の病院事業についての質疑の際にも、過去の公共事業の乱発政策のツケがこういう形で回ってきているという点で、そういう公共事業費の上積みを求めてきた国の責任は免れないという点を一つ指摘しておくのと、それに加えて、都道府県における道路事業の決定プロセスというのが、国との関係でやはり適切ではないのではないかと思います。

 例えば、ここに、「高速道路と自動車」という雑誌で、都道府県管理の一般道路整備についての分析の論文があるんですが、地方でどういうふうに予算を立てるのか、ちょっと長いのですが読みます。

  各都道府県は必ずしも住民の県管理道路に対するニーズを正しく把握し、社会的余剰を最大化するように道路を整備しているのではなく、むしろ「財源」が確保できた事業から道路を整備していく傾向が強いことがインタビューを通じて推察された。県の担当者から見た道路整備の流れを整理すると、まず補助事業の要望を国に提出することから始まる。このうち、認められた補助事業と国の直轄事業の自己負担分が県の財源計画で優先的に割り振られる。これは主に地方債の発行によって賄われる。補助事業とセットになった地方債の大半は後年度、地方交付税で補助されることが決まっている。次の段階で、地方債の起債許可額、道路譲与税及びその他予算から残りの県単独事業の計画が作成される。

 つまり、地方の道路予算の組み方が国の施策に左右をされている、道路特定財源に基づく国の施策に地方の道路予算の組み方が左右をされているという実態があるんじゃないか、ここを見直す必要があるんだということが問われていると思うんですが、改めて、いかがでしょうか。

増田国務大臣 特に公共事業ですから、国の施策というのも、地方団体のそういう政策の立案過程、決定プロセスに影響はもちろん与えております。それは、そういうことで、今お話しになった方の分析、どういうふうに聞かれたのかわかりませんけれども、そういうふうに分析をされているということについての背景はやはりあるんだろうと私も思います。

 そこの問題が、私も、直轄事業が岩手県内でありましたときに、なかなか直轄の方の事業量についていくのが県としても大変な時期に、やはりそれを前年度の末あたりからきちんと協議する場をそれぞれ設けて、それで、進度調整をしたりということを途中段階からやりました。

 それから、多分、今のお話は、平成十四、五年ごろまでのいろいろな経験も踏まえて言っている部分が多いと思うんですが、私の感じでも、平成十五年ぐらいからはがらっとまた様相が変わった。要は、予算がずっとふえてきた時期にかなり当てはまる図式であって、平成十二年ぐらいがピークだったと思いますが、特に十五年ごろから加速度的に全体の予算を減らしましたので、こういうときには大分そのあたりの関係が変わってきて、国からいろいろとお話があっても自治体がもうイエスと言わないので、国の方がむしろ事業ができなくて頭を抱えるとか、やはり、そういうことは、予算が減少する、しかも急激に減少されていく局面では、予算編成のプロセスなども大分変わってきているのではないかというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、申し上げたいことは、やはり、県財政あるいは財源をきちんと見た上で、対住民に対してきちんとした政策判断をしていかなければならない、これはもちろんそういうことであろうと思います。

塩川委員 国の道路特定財源で高速道路中心の組み方に地方負担が強いられることによって、苦しい財政の中の地方が必要な生活道路が後回しにされる、こういう仕組みを改めることが必要だ、このことを改めて求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、二十分という時間ですので、臨時財政対策債に絞って質問をいたします。

 二十二日の質疑で、私は、交付税の減額が地方財政を崩壊の瀬戸際に追い込んだのではないかという質問をいたしました。それに対して、大臣は、国と歩調を合わせて景気対策として公共事業などを行ったことで借金に苦しんでいるとした上で、国も重く受けとめなければならないが、地方も最終的には首長と議会の判断で行った、こういう答弁をされました。

 私は、かつて岩手県知事を務められた大臣が本当にそのように考えておられるか、まずこの点を聞きたい。

増田国務大臣 これは、やはり国の当時の景気対策などについて、旗を振ったということも重く受けとめてもらわなければいかぬという思いがありましたので、知事時代も随分そのことは指摘をしておりましたが、必ず最後に、やはり最終的にそういう判断をしたのはそれぞれの地方団体であって、県はどこも非常に負債をふやしたわけですけれども、市町村などでも、全部合わせてみると、余りそういったことに乗らないところも確かにあったことはあって、最終的に、やはり今の民主主義の中で、国と地方の関係というのは、それぞれがそれぞれの責任で判断をすべきものでありますので、やはりそういった公共事業を多くやったということは地方の判断、地方の責任ということに全く触れずに言うわけにはいかないので、必ず最後には、それは地方の最終的な責任がある、こういうこともあわせて申し上げたところでございます。

 住民、特に県民の皆さん方に対しては、国と地方ということよりも、そういった事業を行って、一方できちんとした社会資本が整備されたということが大変重要なことでありますが、そのことによって財政的に非常に負担になっているということも事実でありますので、その点は包み隠さずお話を申し上げてきたつもりでございます。

重野委員 大臣が岩手県知事をされていた当時、県債残高増加の主な原因として、次のように発言されておられます。

 たび重なる国の経済対策に呼応して社会資本整備を前倒しで実施するために県債を多額に発行した、とした上で、国の補助金や起債に誘導された財政運営に問題があった、こういう指摘をされておられます。

 もちろん、幾ら国が言っても、県が、だめだ、ノーと言えばできないことなんですが、しかし、先週の大臣の答弁で、決めたのは自治体でしょう、こういうふうに発言をされますと、もし大臣が現職の知事としてそういう総務大臣の発言を聞いた場合に、そうだ、そのとおりだと素直に言えますか。そこのところを私は聞きたい。

増田国務大臣 当時も、当時の大臣の皆さん、また国の皆さん方も、結局最後は決めたのは国だというふうなお話があって、いや、それは一緒にやったんでしょうということを申し上げていたわけでございます。

 決めたのは自治体というのは、その当時も、確かに決めたのは自治体です、私もそう思っておりましたし、先週も、最後には決めたのは自治体だというふうに申し上げておりますが、大事なことは、やはり両者で、国、地方合わせて景気対策に取り組む、こういうことでございましたので、余り先週の発言で問題があるというか、今までの答弁と流れが違うということではなくて、やはり両者それぞれ、そうしたことのある種もし反省をしなければいけない部分があるとすれば、両者ともそういった事業を随分行ってきたということが財政にかなり負担をかけたということを率直に認識した上で、今後に取り組んでいかなければならないのではないか、こういうふうに思います。

重野委員 言いにくいのでありますが、立場が変わりますとやはりそういうふうに言わざるを得ないのかな、こういうふうな感じがするんですが、これでは地方自治体の首長あるいは議会は立つ瀬がない。

 私は、あの当時は、国がやはりとにかく地方自治体を国の意図する方向に誘導するために、いろいろな、ある意味では優遇措置というか、言うことは何でも聞きますよ、どんどん起債発行を許しますよ、こういうことを国が言ったことは間違いないんですよね。そういうふうなことが、この間の議論の中で、国の地方に対する、ある意味では責任を感じた施策展開になっていないから、私はこの問題を執拗に言わなきゃならぬのです。

 そこで、大臣が知事時代にも触れておられました臨時財政対策債、これは〇一年度にスタートしたと認識しているんですが、スタート当時幾ら発行されて、そして現在累積で幾らになっているのかということをお聞きしたい。

久保政府参考人 臨時財政対策債でございます。御指摘のように、財源不足の補てん方法といたしまして、平成十三年度の制度改正によって、それまでの、特別会計で借り入れをして償還を国、地方折半でやっていくというものにかえて導入をしたものでございまして、現行の地方交付税法の附則の四条の三にその中身が書いてございますけれども、地方団体がみずから発行する特例債というものでございまして、御指摘の制度創設時でございます平成十三年度の臨時財政対策債、計画ベースでの発行額は一・四兆円でございました。平成二十年度までの発行額累計は二十六・三兆円でございます。

 なお、平成二十年度までの元金償還額、計画ベースで申し上げますと、これが二・二兆円でございますので、平成二十年度末時点での臨時財政対策債の残高は二十四・一兆円となる見込みでございます。

重野委員 巨額に上っているわけです。いずれにしても、これは償還しなければならない大変な荷物を地方財政は背負っておるということになると思うんですが、この対策債は、どの程度発行するか、あるいは実際に発行するのか、これはもちろん自治体の裁量です。

 そうしますと、ここでも、最終的には首長と議会の判断、これだけの借金を背負ったのは首長と議会の判断、こういうことになるんですね、この間の大臣の答弁を聞いていますと。国の補助金や起債に誘導された財政運営を結果的に自治体に強いてきたと私は受けとめるんです。

 今回、地方再生対策費の財源措置として、平年化するまでは臨時財政対策債で賄う、こういうふうにしています。地方財政法では、臨時財政対策債の発行について、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため地方債を起こすことができる、こういうふうにしていますね。

 今回の地方再生対策費の平年化までの間、不足額について臨時財政対策債を発行できるとした根拠、これは那辺にありますか。

久保政府参考人 御指摘ございましたように、地方再生対策費、これは、本来は偏在是正による効果額を勘案して四千億円を計上するということにいたしておりますが、偏在是正の効果があらわれない来年度、平成二十年度におきましても、特に財政状況の厳しい地域の財源確保の必要性を踏まえて、地方再生対策費を先行的に計上するということにいたしました。

 御指摘のように、その財源でございますけれども、国の新たな財源に依存しないという枠組みの中で検討いたしました結果、特例債でございます臨時財政対策債、これは県が発行するということで確保するといたしております。

 そこで、今回の暫定措置におきまして、結局、御指摘がございましたように、再来年度、ことしの十月から始まる事業年度から偏在是正が行われますので、後年度ということになってまいりますけれども、平成二十年度の地方再生対策費、この見合いの財源につきましては、どの程度の暫定措置の期間になるのか今の時点ではわかりませんけれども、今回の暫定措置の終了後にまた、先行した分と同じ期間、その効果が出てくるというふうに考えております。

 したがいまして、そういう意味では、全く財源に当てがないということではなくて、その間のつなぎの財源として臨時財政対策債を発行しても、その償還財源は確保されるというふうに考えておりまして、問題はないと思っております。

重野委員 今までそういう言いぶりというのは、いつも聞いています。それは必ず後年度でこういう措置をするんだと。

 しかし、先ほど私、確認しましたように、この間、臨時財政対策債でありますが、現在二十四・一兆円という膨大な額を背負っているわけですけれども、そうすると、地方自治体は、今総務省が申しております、いわゆる臨時財政対策債を発行することはできる。しかし、それは必ず後年度に負担としてのしかかってくる。その額はふえていくのではないか。二十四・一兆円、これが十年たったら、仮にこれが三十兆円になっておった、こういうようなことが想定できると思うことはあながち的外れなことではないんだろうと私は思うんですが、そこら辺の長期的な見通しに立って、どういうふうに答えられますか。

久保政府参考人 臨時財政対策債の元利償還金、平成二十年度で一・三兆円ございますけれども、これにつきましては、毎年度の地方財政計画に計上いたしますとともに、地方交付税の算定において、その全額を基準財政需要額に算入することによって、各地方公共団体の償還財源を保障しております。

 御懸念の点でございますけれども、今後、臨時財政対策債の発行額が拡大をして、そして元利償還金が累増するといったことにならないように、私どもとしては、一般財源の総額を確保することによって、臨時財政対策債の発行を極力抑制して、できるだけ早期にその解消を図るということが重要であると考えております。

 今後とも、財政健全化に向けて、成長力の強化でございますとか地方再生の取り組みを通じて、地方税等の歳入確保を図るとともに、国と歩調を合わせて歳出の見直しを図ることによって、財源不足の縮小、解消を図って、臨時財政対策債の発行の抑制、解消に努めてまいりたいと考えています。

 あわせて、臨時財政対策債の元利償還を含めて、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税等の一般財源総額をしっかりと確保していきたいと考えております。

重野委員 その点はしっかり確認させていただいて、地方にそういう新たな負担が出ることのないように、運営においてしっかりやっていただきたいと思います。

 昨年、財政健全化法が成立しまして、その中の指標に実質赤字比率というのが導入されています。この実質赤字比率の分子には、繰り上げ充用額が入っております。臨時財政対策債と後年度までの交付税措置はまさに繰り上げ充用額そのものだと言えるのではないかと私は理解をするんです。そうすると、地方に対しては実質赤字比率という指標を突きつけながら、同じようなことを国が行う、これはまさに、曲芸のようなことをやらないと地方財政はもたない状況になっているということを示しているんじゃないかと思うんです。

 金曜日の総務委員会でも質問いたしましたが、自治体財政をここまで追い詰めたのは、三位一体改革とその後の基本方針二〇〇六なのだと。六兆円以上もの財政を地方から召し上げて、こういう曲芸のような財政運営、償還年を先送りするとかいうようなことが予算編成のときに必ず出てくる。こういうことになっているというのは全く不健全だと私は思うんですね。

 そこで、私はやはり、もうずっと言い続けていますけれども、大臣、こういう小手先のテクニックでやるというのはもう限界だと思うんですね。そこで、もう一度原点に返って、召し上げた交付税の復元がやはり第一歩だと私は思うんです。そういう王道に立ち戻って地方財政の運営をやっていく転換点にしないと、このままずるずるいったら地方財政は本当に大変なことになる、私はこういう懸念を持つんですが、その点について大臣の考えをお聞かせください。

増田国務大臣 三位一体改革での交付税の急激な減額あるいは抑制規模と比較して、今回の地方再生対策費がどうなのか、これはいろいろと御指摘もいただいておりますし、御議論もあるところだというふうに思います。

 そして、その上で申し上げたいのは、それにしても、やはり地方の今の財政の状況をよく勘案して、地方再生対策費のように、地方の自主的な、安定的な取り組みに必要なものをきちんと一般財源総額を確保する中で見ていく、こういう政府の姿勢ということは、公共団体の皆さん方にも御理解をいただけたのではないかというふうに思うわけです。

 今後、今お話ございましたとおり、王道で、真っ正面で取り組めということは、今後の我々の取り組みの中でそうした御意見というのをきちんと受けとめて、私どもも対応していかなければならない。

 要は、これはもう言わずもがなでありますが、国が一方で大きな財政の危機的な状況になっており、それから国税の方の、いっとき伸びておりましたけれども、伸びがぐっと鈍化をしてくるというような状況の中で、やはり国力を増していく、そして、その中できちんとした税収を上げていく、そういう強い経済構造というのをつくり上げないと、なかなかこの問題の解決に結びつかないんです。

 そうした中で、さまざまな工夫、余り小手先という意味ではなくて、さまざまな工夫をして、地方の財源の安定化のためにやはりきちんと取り組みたい。方向性は今回一つ示し得たというふうに思っております。これを、まだその方向性について今まさに御議論いただいている段階でありますが、その後のことについては、やはり地方の自立に向けた安定的な財源確保ということを十分念頭に置いて取り組みたい。これはもう先生の御指摘どおりだと思いますし、そういったことを重く受けとめて取り組みたいというふうに思います。

重野委員 終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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