衆議院

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第17号 平成20年4月22日(火曜日)

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平成二十年四月二十二日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長代理理事 今井  宏君

   理事 石田 真敏君 理事 馳   浩君

   理事 林田  彪君 理事 山口 俊一君

   理事 黄川田 徹君 理事 原口 一博君

   理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      斉藤 鉄夫君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間杉  純君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  吉岡荘太郎君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

四月二十一日

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

今井委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役伊東敏朗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官河野正道君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、行政評価局長関有一君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、総合通信基盤局長寺崎明君、郵政行政局長橋口典央君、国税庁課税部長荒井英夫君、厚生労働省大臣官房審議官木倉敬之君、大臣官房審議官間杉純君、社会保険庁総務部長吉岡荘太郎君及び運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 きょうは消えた年金の集中審議を含む一般質疑ということで、この問題について、総務大臣それから厚生労働省の担当の方々に質問していきたいと思います。

 まず、その前に、この委員会の名前でもって命じていただきました特殊法人等の予備的調査についてでございますが、一回理事会に中間報告があり、そして、その内容について非開示の非常に不誠実な対応をしている、そのところについて、総務省それから国土交通省にさらに要請をし、その特殊法人からつまびらかなる報告を再度行うようにということを指示していただきました。その結果について、現在の中間的な報告で結構ですから、総務の調査室から御報告をいただきたいと思います。

太田専門員 お答え申し上げます。

 理事会等で取り上げました各社のうち、さらに回答を求める必要性について指摘がありましたもののうち、まず、高速道路三社からの回答におきまして、旧日本道路公団に対する調査部分については各社が資料を保有していないため回答できない旨の記載がございました。この点につきまして、理事会等において、データが保存されていないことについての疑義があることを踏まえ、文書による回答の提出を求めるよう指示がございました。

 これを受けまして、改めて国土交通省に対し要請を行いましたところ、補助的な関係資料について一部廃棄したものもあるが、予備的調査の目的、趣旨を踏まえて再度各社において確認を行っており、確認ができたものについて取りまとまり次第回答するとともに、未確認内容についても引き続き確認してまいりたい旨の回答を得たところでございます。

 次に、NTT三社についてでございますが、同様に、なお回答できる部分があるのではないかとの指摘がございましたが、これにつきましても、総務省より新たなデータの追加提出が行われております。

 なお、新たに提出された調査票につきましては、現在調査局におきまして精査中でございます。

 以上でございます。

原口委員 私は、国会の権能の一つに、国民に対する説明責任をきっちり果たす。この委員会が命じた要請というのは軽くありません。今調査室が御報告をされたように、当初は私たちに、そのデータはないということを言っていたわけです。もしそのままであったら、私たちが、ああそうか、国会、この総務委員会がそうだというふうにあきらめていたなら、その資料は出てこなかったわけです。理事会で、説明を国会に来て求めるということを申し上げて、初めてこういうことになる。私は、まさに統治の欠陥、特殊法人といえども、たくさんの国民の税金が入っている、そして、公のために働いているその皆さんに、しっかりとした開示をさらに求めていきたいと思います。

 この命をいただきました委員長初め皆さんに心からお礼を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 さて、消えた年金の問題ですが、我が委員会、まさに総務省所管の、いわゆる消えた年金の記録回復のための第三者委員会、これを所管しています。ところが、第三者委員会の委員長は、国会にこれまで一度もお出ましをいただいたことがございません。

 きょうも朝、年金記録を回復したい、自分が支払った年金を、この方は、後で申し上げますが、一九五一年から一九五九年まで東京都内の大手建設会社に勤務されていて、結婚退職されていたわけですが、八年五カ月分の厚生年金がすべて、記録上、脱退手当金で支払われていることになっている方でございました。しかし、きょうも社会保険庁とやりとりをしましたが、この方は、脱退手当金を払った住所も違えば、二十代で、しかも男性の名前になっていたんです。この方は女性なんです。女性なのに男性というふうに記録をされて、しかも住所も違う。それで、自分の年金を回復してくださいということで申し立てをしていますが、その申し立ての中身たるや、第三者委員会が本当に機能しているんだろうかというような疑いを持つ内容でありました。これは後でつまびらかにいたします。

 まず、委員長におかれましては、これは第三者委員会といっても、根拠がどうなっているのか、そのことを御判断いただき、委員長にこの委員会に来ていただいて、今どういう現状なのか、そして何が国民の側から求められているのかつまびらかにしていきたいというふうに思いますので、まず、その第一弾として総務大臣に伺います。

 年金記録確認第三者委員会の権限及び組織の根拠となっているものは何でしょうか。お尋ねを申し上げます。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 総務省に設置されておりますが、設置形態としては、総務省の組織令、それからもう一つは年金記録確認第三者委員会令という、この二つの政令に基づきまして設置をされている合議制の機関ということでございます。

 それから、権限の関係でございますが、これについては、一つは、年金記録に係る苦情あっせんに関する基本方針の策定に係る調査審議、それから二つ目は、個別の苦情あっせん案の作成でございます。

 これが役割でございまして、その上で、委員会からあっせん案が示されましたときには、これを踏まえて、私総務大臣から社会保険庁長官に対しまして、総務省の設置法第四条第二十一号に、各行政機関の業務に関する苦情の申し出についての必要なあっせんに関すること、こういう法律の規定がございますので、この規定に基づいて総務大臣から社会保険庁長官に対してあっせんを行う、そうしますと、今度は、受けた社会保険庁は、これを尊重してそのとおりの具体の記録の訂正を行う、こういう形になっているものでございます。

原口委員 ところが、まず申し上げたいのは、この第三者委員会の委員長にこの総務委員会に来ていただいて、今総務大臣がお話しになりましたような方針、どのような基本的な方針で臨んでいらっしゃるのか、そして現実がどのようになっているかということを伺いたいと思いますが、理事会でお取り計らいをお願い申し上げます。

今井委員長代理 後日理事会で協議をさせていただきます。

原口委員 ありがとうございます。

 なぜこんなことを言うかというと、一体この消えた年金というのはどこまで解決したのかということを、まずちょっと全体像からおさらいをしていきたいと思います。

 未統合記録の全体像について、これは厚労省でも結構ですから、解決済み、未解決、いわゆる消えた年金の五千万件のうち、政府はどれだけが解決したと考えていらっしゃるのか、これは事務方で結構ですから、お答えください。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この基礎年金番号に統合されていない五千九十五万件の記録、平成十八年六月一日時点の数でございますけれども、これについて統合の作業、解明の作業を進めてきてございます。

 それで、直近、これら未統合記録の全体像について公表いたしましたのがことしの三月十四日でございますけれども、その中身について簡潔に御報告申し上げますと、まず、大きく六つに分けてございまして、第一番目が死亡が判明した者の記録ということで、この三月十四日の公表においては総数ベースで約一千九百万件ということでございます。それから二つ目に、脱退手当金の受給などにより今後新たな受給に結びつかないと考えられる記録、そのような整理のものがこの時点で五百五十万件……失礼いたしました。今、一千九百万件の内訳を申し上げたわけでございます。

 ちょっと整理して申し上げますと、要するに、一定の解明をしたことによってその属性が明らかになったものというのが六分類のうち四分類を占めておりまして、その四分類の合計が一千九百万件、こういうことでございます。

 それで、その内訳、四つでございますが、一番目のものが死亡が判明した者の記録ということで、これが三百七十五万件、脱退手当金の受給によって新たな受給に結びつかないと考えられる記録というのが五百五十万件、それから、五千万件の中で、お互いに結びつくということで、複数の手帳番号を保有していると考えられる方の記録、一方は未解明の記録の方にあるとされるものでございますが、これは、そちらの方の行き先が判明すれば整理されるという意味合いにおいて内容が明らかになったということで四百七十九万件、それから、十八年六月一日以降二月の末日時点までの間に統合された記録というものが四百十七万件、こういう数字になっているわけでございます。

 それから次に、名寄せをされて特別便によって御送付申し上げている記録というのがこの時点で一千百万件ということになっておりまして、残りが今後解明を進めるべき記録ということで、この時点におきまして約二千万件というふうになっているわけでございます。

原口委員 一、二回言い直さないでください、わかりにくい。

 解決したものというふうに政府がしているものは一千六十五万件なんですよ。ところが、今お話しのように、死亡された方についてもまさにきっちり払われているのか、あるいは今お話がありました脱退手当金の受給等により新たな受給に結びつかないと考えられる記録、これは一番最近のもので五百八十八万件、きょうの勉強会資料はこういうふうになっています、五百八十八万件。ところが、この中で何が起きているかということを少し皆さんにわかっていただきたいと思います。

 脱退手当金を支払われたかと言っても、先ほど申し上げた女性の例、少しお話をします。

 この方は、六月二十五日、中央社会保険事務所へ原本閲覧のために御主人と出向いたとおっしゃっています。マイクロフィルムで確認したところ、台帳も男性となっている。女性なんですよ。男性が男性と結婚しているように記録上なっているんです。そして、事務次長より、申しわけないとの言葉があったということでございました。それで、安倍首相が最後の一円までと、すべての年金のいわゆる時効特例法、これがありましたから、七月三十日に第三者委員会に申し立てをなさっています。

 そして、ところが、待てど暮らせど何にも来ない。十月十九日、十月十七日付で中央社会保険事務所長の名前で、このB子さんの書類が中央第三者委員会から東京第三者委員会への送付がされているとの文書が届きます。この文書一枚きりで何にもないんです。そして、ことしになりまして、二月十八日、第三者委員会の中に厚生年金の脱退手当金専門部会ができたけれども、B子さんの事例は専門部会に送付されておらず、東京第三者委員会で放置されたままであったということがわかったわけです。これは、第三者委員会、本当に第三者委員会でしょうか。そして、四月十五日から年金が天引きされ、いわゆる介護保険料で約八千円、それから後期高齢者医療制度で二カ月で六千円を支払っていらっしゃいます。

 ここで何が起きたか。四月十六日、東京第三者委員会に出向き、このB子さんにかかわる書類を見せてもらう。しかし、第三者委員会はコピーもさせていないじゃないですか。自分の書類であるのにそれを確認するコピーさえとらせない、まるで何か余計な人が来たかのような対応をしている。とんでもないことだと思いますよ。そして、あろうことか、社会保険事務局が第三者委員会に送付する際につける書類の表紙に、表紙にですよ、脱退手当金として訂正するべきでないと書いているじゃないですか。

 総務大臣、つまり、これは本当に第三者委員会として機能しているかチェックしましょうよ。社会保険事務所が第三者委員会に送るときにこういう姿勢なんですよ、自分たちは間違っていない、間違っているのは相手なんだ、だから、相手がそんなことを言ってくることがおかしいんだと。判断をするのは第三者委員会でしょう。先ほど総務大臣がおっしゃったように、中立的な委員会がやるんですよ。しかし、書類の表紙には、この人は脱退手当金として訂正すべきでないと書いているわけですよ。私、これは調査を、社会保険庁と総務省に強く要望いたします。そのときの表紙に書かれていたB子さんの住所も間違っていれば、B子さんは男性のままなんですよ。こういう事案がいっぱいあるんです。

 だから、今お話しになりましたけれども、解決済みは一千万件なんてないんです。統合されたものが一千万件なんかないんです。まさにこの脱退手当金、皆さん選挙のときに何とおっしゃいましたか。二十年、三十年も前の記録を今さら持ってくることはできないから、この記録を立証する責任はどこにあるのか。立証責任は社会保険庁にあるんじゃないんですか。違いますか。なくした人にありますか。女性を男性として、住所も違う人に、しかも当時は、男性は五十五歳にならないと脱退手当金ももらえなかったはずですよ。明らかにそっちが間違っているじゃないですか。

 こういう、まさに最初から門前払いありきの対応をしているのじゃないかというふうに思いますが、社会保険事務所の対応について所見を役所から聞いておきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今、原口委員が具体的に例として取り上げられましたケースでございますが、大変恐縮でございますけれども、私、子細に現時点において承知してございません。

 したがいまして、具体的なそのケースについてのコメントは差し控えさせていただきたいとは思いますけれども、今伺ったところによれば、女性の方であるのに男性というような形で、これは当時の記録でしょうか、そこに記載されていることとか、それからその住所が違うとか、そこら辺については、果たしてどの程度の合理的な理由というものがそこにあったと考えられるのか、そこは確かめてみたいというふうな気持ちを率直に言って持っております。

 所見ということでございますので、とりあえず、具体的な事案を離れて、伺ったお話の内容から申し上げさせていただければ、そのようなことかということでございます。

原口委員 自分の情報を見るのにも、窓口へ行ってコピーさえさせてもらえない。窓口へ行って、そして、あなた何しに来たんですかと言わんばかりの対応を高齢者の方がされているんです。

 そして、この方はたまたま大手の建設会社におられたから、その当時、同僚で同じように、脱退手当金が支払われてもないのに支払われたという方があと三人いらっしゃった。しかし、どういう対応をしていますか。判断をする必要ない人が、いや、判断していけない人が現に、これはもう朝からずっと社保とやってきたんですが、この方は脱退手当金として訂正するべきでないとやっているじゃないですか。

 総務大臣、ぜひここを調査するんです。つまり、第三者委員会といいながら、無謬性に基づいて役所がやっているから、自分たちは、消えた年金を消したのは自分たちであるということに立っていないんです。また何か変な言いがかりをつけてきたかのような印象を、受付に来た人たちは持っているんです。そして、いろいろな証明をしても、結局、第三者委員会に差し出すその書類の表面に訂正するべきでないと書いてみたり、あるいは、この場合は、この方がお出しになった六枚の書類さえ、わざとか過失かわかりませんけれども、出していないじゃないですか。

 つまり、社会保険事務所を通るときにもうある一定のバイアスがかかって第三者委員会がこれを審議しているんじゃないかと疑われる大きな事案なんです。

 そこで伺いますが、年金記録確認第三者委員会では地方の各委員会で認定状況にばらつきがあるというふうに聞いていますけれども、現状をお答えください。

増田国務大臣 確かに、地方の第三者委員会でのあっせん件数の全体に占める割合に委員会によって差が見られます。今御指摘いただきましたとおりでございます。

 立ち上がり段階である程度の差が出てくるのはいたし方ないというふうに思っております。ただ、大分事案も重なってまいりました。先例となるあっせん事案を参考にしながら、それぞれの地方委員会で判断をして積み上げていくということでございますが、やはり全体の審議の整合性を図らなければいけないと思いますので、中央委員会の方で先例となる事案について判断をして、そしてそれをまた地方委員会の方にフィードバックをして個別事案の相談、それからあと、今いろいろおしかりいただきましたが、委員会の事務室職員に対する研修、意見交換というもの、常にフィードバックをしてそこに返していく、そして具体の事案に生かしていく、そういうことを今させていただいているところでございます。

 先ほどのお話ございましたような案件等も、脱退手当金等のような問題もいろいろ事例も積み重なっているようでございますが、そういうことも含めて、できる限りこうした割合が、何か個々の地方によってばらつきがあるという印象が出ないように、もちろん個々の案件についてはいろいろ厳正にやりますけれども、全体としてそういう印象を持たれないように、そこは今後も積み重ねていきたいというふうに思っております。

原口委員 前向きの御答弁をいただきましたが、こうなっているんですね。

 社会保険事務局としての、第三者委員会への申し立てについては、社会保険事務所、社会保険事務局としての意見を書く欄があるんですよ。その書く欄で、この人はコンピューター上にもないからもうはねていいですよと言われたら、第三者委員会の入り口にさえも立たせられていない、この可能性が高いというふうに思います。

 もう手書きの記録のときからこの方は男性となっていて、住所も違えば、きょうもお話をされましたが、社会保険庁や総務省の職員の方は、この方がどう間違っている可能性があるかばかり言うんですよ。明らかに自分たちは脱退手当金なんかもらっていない、当時はもう六十歳直前になるまでそれはわかりませんでしたからね、今と違います。そういう状況について、血の通った行政を求めるなんというレベルじゃないです。あなたが間違っているんでしょうと、もうはなから決めつけたことをやっている。

 五千九十五万件のうち、ほとんどまだ九二%が未統合。社会保険事務所に行くと五、六時間待ちの状態。ねんきん特別便、私たちも直接専用ダイヤルにかけました。二十回かけてもかかりません。記録が訂正できても、増額した年金の受け取りは半年、一年後。ねんきん特別便については、まさにまるでクイズです。

 私は、与党の先生方も私たちの年金合同部会に御招待します、ぜひいらしてください。火曜日に毎朝やっているけれども、なぜこれが解決しないか。

 これは私の所見ですけれども、三つあると思います。一つは、責任を明確にすることをためらう余りに、サンプル調査をほとんど拒絶するんです。サンプル調査を拒絶するから、どれだけの資源をどこに配分していいかという全体設計像がかけないんです。

 去年の今ごろ、何とおっしゃっていたか。五千万件なんかない、そんなこと言うと国民が不安がるからうそばかり言うな、おまえたちは永田メールの二の舞をやるんだと言わんばかりのことをおっしゃっていたんです。そして、紙台帳がありますかと言うと、そんなものはないとおっしゃいました。しかし、八億五千万件の紙台帳がありました。

 ワンビシアーカイブズに何があるかという視察もこの委員会でさせていただきました。その随意契約のやり方も、福田首相は随意契約を見直すということをおっしゃいましたが、いまだに私たちから見て不適切な随意契約まがいのことが行われていますから、総務省に聞きましたよ総務大臣、随意契約を見直すことになったんじゃないかと私は聞きました。総務省は何と言ったと思いますか。一年かけて見直しているんです、今は勉強中ですと三月の時点に言ったんですよ。随意契約は直っていないですよ。

 そこで、伺います。

 これは、先ほど申し上げました、この後、この間閣議決定された法案で、行政不服審査法案、これの改正案というのもまたお出しになるということを聞いておりますが、社会保険審査会は、不服申し立て、これはフルオープンですね。私たちの議員も見させていただきました。消えた年金の問題についても、そこでも、高齢者の方が、アドボケートする、かわりに何かを言ってくれる方も何もいない中で、まさに本当に砂地に水を入れるような、あるいは砂をかむような思いで不服申し立てをされています。

 ところが、第三者委員会、これは今非公開になっていますね。なぜですか。教えてください、総務大臣。

増田国務大臣 今委員お話しのとおり会議を非公開にしてございますが、これは、審議に直接かかわる方以外の部外の方に委員会の傍聴を認めた場合には、やはり知られたくない個人情報までが公になるのではないかということで、申立人の方に迷惑がかかるのではないか、それからあと、これは合議制で審議していくわけですが、委員の方々の中で自由かつ率直な意見交換が困難になるのではないか、こういった理由がございまして、今、部外の方に対しては非公開をする、そして、あっせん等の記録の内容について、理由も含めて後で文書でその一件一件開示する、こういう仕組みをとっているところでございます。

原口委員 いや、それがわからないんですよ。不服申し立ての社会保険審査会はフルオープンですよ。これは同じ案件を扱っていますよ、年金について。六十日以内に不服申し立てをするということをやって、これをオープンにしない理由はない。

 百歩下がって、私たちは、衆議院の予算委員会でも、例えば銀行の不祥事について、金融の検査示達書、これを委員会で、秘密会でしたけれどもオープンにしました。あのときどういうことがわかったかというと、ちょうど、ちょっと言葉にしにくいですが、ノーパンしゃぶしゃぶとかいうので接待を受けた検査員たちがどういう検査をしたのかというのを私たちは調査したわけです。中身については外に言わないということが信義則ですから言いませんが、一つだけわかったことは、接待を受けたところだけはきっちり外して調査報告書を出していました。金融検査ですから、外に出すには物すごくためらわれるものも、国会という立法府の権能でもってそれを調べたわけです。

 私は、この第三者委員会を今おっしゃるようにフルオープンにして、そしてチェックをだれかがしないと、いや、これは一般の方にフルオープンにしろということをあえてきょうは申しません。しかし、少なくとも私たち、この総務委員会の委員に対して、秘密会でも結構ですから開示をしていただきたい、このように思うんですが、大臣の御答弁をお願い申し上げます。

増田国務大臣 今の点でございますが、実は、私もけさほど、先ほどまで事務方といろいろ議論をしておりました。そこで、これは申立人の方のいろいろな情報が外に出ていく可能性もございますので、その点も考えなければいけない。

 それからあと、いろいろな方でございますと、守秘義務等がかからない方までだとちょっとつらい部分もございます。ですから、そこで見聞きしたことが外に出ていかないような、そういうお立場の方でなければいけないような気もしますし、例えば申立人の方から御了解がいただけるとか、何かいろいろと今回の場合に必要な条件もあると思うんです。

 一方で、今お話ございましたとおり、全く今非公開で事務局と委員だけでやっているわけでございますが、合議のところまではちょっと難しいかもしれませんけれども、直接相手の申立人からいろいろ委員会が必要に応じて聞く場面がございます。そして、その際に申立人から例えばですが了承がいただけるようなところは、逆にこういう形で今真摯に審査をしているんですということをごらんいただくのが、第三者委員会の役割をどういう形で果たしているかということを知っていただく上でも意味のあることではないかという気もいたします。

 そこで、ちょっと時間の関係でそれ以上なかなか詰められなかったわけでございますが、どういう条件というとちょっと大げさでございますが、どういう前提のもとであれば、そういう委員のお話のようなことが可能なのか、少しお時間をいただいて、私どもの中で検討させていただきたい、こういうふうに考えております。

原口委員 検討の約束をいただきました。

 本当に理不尽なことが起きているんですよ。先ほど申し上げましたように、自分の記録であるにもかかわらず、記録も見せてもらえない。それから、では、第三者委員会に行っているかどうかさえわからない。

 そして、今、必要があれば第三者委員会から聞き取りをするというお話がありましたが、これは事務方で結構ですから、何人の方から中央の第三者委員会は聞き取りをしましたか。教えてください。

関政府参考人 突然のお尋ねでございまして、何人の方から直接ヒアリングをしたかの資料を今持ち合わせておりません。

原口委員 通告をしていますよ。年金記録第三者委員会の処理状況及び今後の処理の見込みということで私は聞いているわけです。今大臣が御答弁になった、必要とあらば御本人から聞いていますと。そんな資料さえないんですか。おかしいじゃないですか。突然の御質問ですか。では、待ちます。調べてください。

関政府参考人 先生から、中央第三者委員会というお話がございましたので、早速に、中央第三者委員会で御本人からヒアリングをした件数、調べて御報告をさせていただきたいと思います。

原口委員 大臣、なぜ私がこういう質問をするかというと、ほとんど本人から意見を聞いていないんじゃないかと思っているんです。そして、本人のあずかり知らぬところで、いわゆる社会保険事務所の職員さんたち、無謬性で、自分たちは間違ったことをしていません、自分たちは年金を消していません、こういう人たちがコンピューター上のデータ、だって八億五千万枚の紙台帳とは突き合わせしていないんですよ。突き合わせもしておらず、男性で住所さえ違う、性も住所も違う人が、いわゆるこの人の記録は回復することないというふうに門前払いされている、これが実態ではないんですか。違いますか。違うと言うんだったら反論してください。証拠をもって反論してください。

関政府参考人 第三者委員会では、これまで七千を超える事案につきまして最終的な判断をしたわけでございますけれども、その中で、直接的な証拠をお持ちでない方につきまして、その人がお持ちになっている家計簿でありますとか預金通帳の状況など、あるいは厚生年金でありますとその人の賃金台帳とか、そういう関係の資料などを取り寄せたり、あるいは、御本人の当時の払い込みのときの様子などもお聞きをしながら記録訂正に結びつけていこうということで、これまで三千三百九十八件に上るあっせん案をつくりまして、これに基づき、総務大臣から社会保険庁長官にあっせんを行いまして記録の訂正が行われる、こういう運びになっておることも御理解をいただきたいと思います。

原口委員 全然質問に答えていないじゃないですか。門前払いしているんじゃないですかと。

 だって、さっき大臣がおっしゃったように、私たちはまずそれを公開、私たちは守秘義務がかかっていますから、ぜひ委員長におかれましても、この委員会で、まずやはり現場を知らないとだめですよ。こうやって、聞けばきれいな答弁をされる、そして、この委員会ではそれが、ああ、さも本当かというふうに思う。

 しかし、現場は違いますよ。現場は年金を回復できずに、そして、自分たちの標準報酬月額さえも、ねんきん特別便にはその欄さえないじゃないですか。また、消えた年金のいわゆる期間があることさえわからないで、多くの人たちが年金に対する信頼を失っているんです。

 では、伺いますが、今三千幾らとおっしゃいましたけれども、処理状況、五万件ぐらい受け付けて三千でしょう。そして、はねた方が認定したより多いじゃないですか。五万件というのは、いわゆる去年の十二月から出しているねんきん特別便、それに対するレスポンス、そのレスポンスも、私たちが、皆さんが予想されていたよりはるかに低かった。しかし、これから、全員の年金受給者にこの四月から記録を送っているわけでしょう。そうすると、五万件はもっとふえる。マンパワーがもう足りないんじゃないですか。

 今後の処理の見込み、何年になったらこれは解決するか教えてください。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 第三者委員会に申し立てられた件数は五万件を超えておるところでございます。これまで全体で処理の終了したものは七千三百七十二件ということでございます。

 私どもといたしましては、本年三月までに申し立てられた事案につきまして、おおむね一年を目途に処理を終えることとしております。このために、第三者委員会の事務処理の一層の強化を図っていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。

 このため、委員を増員し、また事務局スタッフを増員し、審議のチームもさらに五十以上ふやすこととしておりまして、今後とも大幅な処理の増加に努めてまいりたいと考えているところでございます。

原口委員 大幅な処理の増加はどれぐらいを見込んでいるんですか。

関政府参考人 現在審議のチームが約百二十ほどございますが、これを百八十ぐらいのチームにいたしまして、それから、一回の審議での処理が平均をいたしますと一委員会で四件程度でございますけれども、それをさらに件数をふやすということで、一回の審議で五件ぐらいの結論を出す。それから、審議チームの増加ということで、繰り返しになりますが、三月末までに申し立てられた件数でまだ処理が終わっていないものが四万三千ほどございますけれども、これを一年で決着させたいということで努力をしてまいる所存でございます。

原口委員 それは今受け付けられた五万件の話でしょう。今後もっとふえていくわけですよ。今のペースだとこれは二十年かかりますよ。今後、五万件以外にどれぐらい来ると見込んでいらっしゃるんですか。いや、もうこれは五万件で終わりだというふうに見込んでいらっしゃるんですか。

関政府参考人 私ども、毎週、社会保険事務所から私どもの第三者委員会事務局に送付をされてきている件数を集計しております。それによりますと、毎週千件くらいのペースで参っております。

 今後、この四月以降のねんきん特別便を社会保険庁から国民に出されるわけですけれども、それの影響でどのくらいの件数が最終的にこの第三者委員会に申し立てられてくるかということにつきましては、私どもだけではどのくらいということをきちんと見込むこともできませんので、今後、社会保険庁とよく相談をしながら、どのくらいの件数が出てくるか検討してまいりたいと思います。

原口委員 明らかになりましたよね。だから、全体的な増はわからない、やったこともないし、推計もできない、ただ、何とか対応するために五十ぐらいふやしています、こういうやり方なんですよ。総務大臣、こういうやり方をやれば何が起きるかというのは明らかじゃないですか。

 この間、私たちの部門会議で聞き取りをした方は、厚生年金が消えている方でしたけれども、五十三年前の給与明細を出せと言われているんですよ。こんなことを許していいんですか。これは適切だと思いますか。希望があれば第三者委員会で発言できるなんということは言っていますが、だめなときは本人が行きたいと言っても行かせないじゃないですか。

 本人に聞かずに却下している例がどれぐらいあるのか教えてください。

関政府参考人 年金記録の訂正が必要でないという判断をいたしますときには、御本人にそういうことになりそうであるということをお知らせして、御本人から特にお述べになりたいことがあるかどうかということの確認をしながら最終判断をしておるということでございまして、本人に全く連絡が行かないまま、いきなり年金記録の訂正必要なしという通知が行くということはないものと考えております。

原口委員 いや、にわかに信じられません。どれぐらいの数、それを出しているのか。今七千件が解決したとおっしゃったでしょう。(関政府参考人「決着です」と呼ぶ)決着をしたと。その中の内訳を事細かに開示をしてください。

 委員長、理事会でお諮りをお願いします。

今井委員長代理 後日理事会で協議をいたします。

原口委員 時間が限られてきましたので、私は、総務大臣それから松浪さんにお願いをしたいのは、私たちは、ねんきん特別便の緊急支援法案、それから国民年金過払い還付法案、具体的な解決の道筋を示しています。

 それから、この四月十七日付で、私たちの名前で、政府に対して、必要な資料の開示を文書で、消えた年金にかかわる調査について、未統合記録五千万件、それから紙台帳、年金の時効消滅、そして年金業務の不適正な処理等についてということで要求をしていますので、これは誠実に守っていただきたいと思うんですが、総務大臣のお答えを聞いておきたいと思います。

増田国務大臣 私の方でも、よく事務担当のところに内容を聞きまして、今お話ございましたとおり、誠実に対応させていただきたいというふうに思います。

原口委員 松浪さん、よろしくお願いします。

松浪大臣政務官 四月十七日に二十四項目にわたる詳細な資料要求をいただいたところでございます。

 御承知のとおり、現在、社保庁の方でも二万件のサンプル調査というものをやっております。これについて、私ども、ちょっとおくれておりまして、まだ中間報告という段階にも至っておりませんけれども、この分析結果を踏まえて、実効性、効率性に考慮をしながら、優先順位をつけて計画的に作業を進めなければならないと考えております。

 いずれにしましても、今求められておりますのは、お一人お一人に正しい年金額を速やかにお支払いしていくということでございまして、年金をお支払いするという目的をまず優先して、これになかなか支障のない範囲で調査、集計を実施しているところでございます。その結果を国民に丁寧に説明していきたいと考えております。

原口委員 必ず前置きがつくんですよ。増田大臣は、それはやりたいと思うとおっしゃった。だけれども、松浪さんも役所を背負っているからそれ以上の答弁はできないかもわからないけれども、必ず効率性やいろいろなものにという条件がつくんです。でも、その条件がつくことによって、かえって解決をおくらせているということを申し上げたい。

 第三者委員会、年金記録確認群馬地方第三者委員会に社保から圧力があったということも明らかになっています。それから、先日の参議院の予算委員会においては、舛添大臣が、私たちに証言をいただいた、いわゆる標準報酬月額の改ざんを実名で告発していただいた相馬社長に対して、あの方が協力しないからいけないんだなんという、まさに食言をテレビ入りの予算委員会で言う。違うでしょう。

 まさに自分たちが責任をとらず、それを国民に押しつける、そういうことをやっている限り、政治に対する信頼も回復しないし、年金に対する信頼も回復しないと思います。責任を明確にして全体像を明らかにする、そして解決策をぜひ共有する、そういう議論を続けていきたいということを申し上げて、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

今井委員長代理 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 きょうは年金に関してお尋ねをしたいと思います。ただ、その前に、大臣、ちょっとくどいようで申しわけないんですが、道路に関して二、三お尋ねさせてください。

 福田総理は、来年度から道路財源を一般財源化するということを明言されました。これは、地方分もそうですね。

増田国務大臣 お話しのとおりでございまして、地方の財源の分についても一般財源化をするということでございます。

小川(淳)委員 としますと、現在、地方税法で道路財源を十年間延長する法案を参議院に送られておりますが、この法案とその方針は矛盾するということをお認めいただけるかどうか、また、これをどう対処されるか、お尋ねいたします。

増田国務大臣 一般財源化をするということをはっきりと明言しているわけでありますので、そういたしますと、今政府の方で閣法でお出しした法案でございますが、我々の方でそれを修正することはできませんけれども、いずれにしても法律的な手当ては必要になるということでございますので、必要な時期に、またそうした法律的な手当て、必要なところは手当てをしていかなければならない、このように理解をしております。

小川(淳)委員 少なくとも、来年度から一般財源化することと現在大臣が責任者として提出しておられるこの法案が大きく矛盾していること、その点については厳重な認識をお持ちいただいた上で、今後議論を重ねてまいりたいと思います。

 最後に、私ども、この点、強く反対をする立場ですから軽々に議論しにくい点でありますが、既に与党は、三分の二の衆議院内の勢力をかさに着られまして、再議決の方針をちらつかせておられる。これに対しては強く抵抗なり反対を申し上げるつもりでありますが、それはそれとして、世の中、特に石油業界、ガソリンスタンドを初め大変多大な迷惑をかけたこの間の経過を踏まえますと、一体いつからガソリン税なり軽油の税率が引き上がるのか、これは国民的な関心事であります。世上、四月の二十九日とか三十日とか、再議決のXデーが語られておりますが、仮に四月三十日と想定をいたしますと、軽油に関する暫定税率は何月何日から上がるんですか。

増田国務大臣 これは立法府の方の御判断の話なので、内閣の一員として、仮定の話なのでお答えできません。

 できませんが、一般論として、石油の関係、今回出している法案ということではなくて一般論として言えば、御案内のとおり、不利益なものについて遡及適用はできないということが税法上の大原則でございます。不利益処分につながるようなものについて遡及適用はできないということでございますので、一般論でございますが、仮に現在の法案が国会で成立をいただいた場合には、基本的に公布日以降に適用される、こういうことになろうかと思います。

小川(淳)委員 はっきりとお答えになれないお気持ちもわかりますが、これは石油業界なり国民生活に大変大きな再混乱を強いることにつながりますので、ぜひその点、特に課税の関係ですから、事前の周知なり可能性の披瀝なりということに対しては、政府として責任を感じていただき、または努力をしていただきたい、そのことを改めて申し上げたいと思います。

 さて、年金の話でありますが、五千万件の記録が不明となり、現在、特別便の送付を初めとして懸命の努力をしておられる、この点は前提とした上で議論をさせていただきたいと思います。

 まず確認させていただきます。この記録の不明問題、この責任は政府にありますね。その点、確認させてください。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十月三十一日に、総務省の年金記録問題検証委員会で報告がございました。これにつきましては、私ども、政府の一員として年金記録を扱っている社会保険庁の責任について言及がされております。国民の大切な年金記録を正確に作成し、保管、管理するという組織全体としての使命感、あるいは国民の信任を受けて業務を行うという責任感、これが社会保険庁に決定的に欠如したという結論がなされております。

 当然、社会保険庁も厚生労働省の一部、さらには政府の一員として仕事をしているわけでございますので、今委員の御見解どおり、当然政府としての責任というふうに私ども理解しております。

小川(淳)委員 今お答えいただいたとおり、この分厚い年金記録に関する検証委員会の報告書でありますが、歴代の社会保険庁長官また社会保険庁にかかわった職員、OBも含めて、深く反省を促す文章が正式な報告書として取りまとめられている。しかし、これはいまだ総務省の見解でありまして、社会保険庁なり厚生労働省としても、この責任をみずからのものとしてしっかりと受けとめていただく。

 以後、少し議論させていただきますが、これはすべて政府の責任です。年金の記録がどこに行ったかわからなくなった、あるいはだれのものかわからなくなった、これがたまりたまったのは、すべて政府の責任です。政府の責任だということを前提に議論させていただきますが、社会保険庁、これは、責任を感じられたなら、どのように処罰あるいは責任のとり方をされたのか、お尋ねいたします。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど触れました昨年の総務省の年金記録問題検証委員会、ここにおけます指摘を踏まえまして、これは、社会保険庁歴代の幹部も含めて率直に反省をしなければならないということでございます。

 とりわけ、この報告の中で「歴代の社会保険庁長官を始めとする幹部職員の責任は最も重い。」とされるとともに、厚生労働省の歴代幹部職員並びに厚生労働大臣等の責任もこの報告書の中で指摘されているところでございます。

 私どもといたしましては、この十月三十一日の報告書の取りまとめを踏まえまして、一定のけじめをつけるという意味で、厚生労働大臣、副大臣、政務官、事務次官及び社会保険庁長官におきまして、俸給、具体的には昨年の十一月と十二月の二カ月分の一部、大臣につきましてはその月額の二〇%を返納するということで、これを国庫に返納する措置をとっております。

 また、あわせまして、これに先立ちます昨年六月には、安倍前総理、塩崎官房長官、柳澤前厚生労働大臣を初めとする関係閣僚等に加えまして、厚生労働省の歴代事務次官、社会保険庁長官を初めとします社会保険庁の幹部並びに現役の職員、さらに、一定の役職についていた職員、これは具体的に申し上げますと、社会保険庁が発足いたしました昭和三十七年以降の、当時は都道府県の組織でございましたが……(小川(淳)委員「もう少し簡潔な御答弁を」と呼ぶ)失礼いたしました、事務所長以下のOBにつきましても、年金記録問題についての反省と改革への姿勢を国民の皆様に目に見える形でお示しし、けじめをつけるということで、賞与相当額の全部または一部の自主返納を求めたところでございまして、これまで申し立て総額十五億二千万円となっております。

 以上でございます。

小川(淳)委員 社会保険庁に在職した職員の方々またOBの方々を含めて、賞与の全額返納というのは大変痛みのある行為であっただろうと想像いたします。その限りにおいては、今けじめという言葉を使われましたが、一つのけじめにしたいという当局のお気持ちはよくわかります。しかし、それで本当に責任のとり方として十分なものであるのか、これでけじめは本当についたのかというと、これはまた別問題だろうと思います。

 そこで追い重ねでお尋ねしますが、ボーナスの返上にしたって給与の返上にしたって自主返納とお聞きしていますが、これは、だれ一人懲戒処分になった人はいないんですか。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のように、今般の年金記録問題に関しまして、国家公務員法にいわゆる懲戒処分、具体的には停職、減給、戒告等、厳しくは懲戒免職がございます。また、訓令に基づきますいろいろ矯正措置も含めまして、これまで年金記録問題に関しましては、こういった処分はこれまでのところ行っておりません。

 以上でございます。

小川(淳)委員 大臣、お聞きのとおりでありまして、これは時に必要な処分を含むと思いますが、行政の適正なりを所管しておられるわけであります。

 確かに、賞与の返上というのは大変痛みのある行為であったことは理解をいたします。一部これに応じていない職員の方もおられるようでありますが。やはり国家公務員のさまざまな公務に当たっての、違法行為にまでなればこれは当然だと思いますが、それに限りなく近いような不祥事を、だれ一人、懲戒もせずに、処分を下さずに、話によっては、OBがぬくぬくと外郭団体等で引き続き勤務しているというようなことも聞かれます。

 これでは本当に示しがつかないと思いますが、大臣、御見識をいただきたいと思います。

増田国務大臣 この年金問題につきましては、本当に国民の皆様方に申し開きのできない、大変申しわけない事態でございますし、その責任の所在を明らかにするために検証委員会で専門家の皆さん方から客観的に検証していただき、そこでどういう責任関係であったかが記述されたわけであります。したがいまして、そういった御指摘をいただいた上で、きちんと責任を国民の皆様方に明確に見える形でしていかなければならないというふうに私は思います。

 それからあと、今これはさらに一般的な話にもなりますが、委員から御指摘いただきましたように、公務員のさまざまな不祥事等も多うございます。そこで、こういったことについて、例えば総務省の方でも、退職金の返納が極めて限定的な、禁錮刑以上というようなことで限られた場合にしか返納を命ぜられない、そしてあとは本人の同意を得て自主返納のような形になっているということはなかなか国民の理解を得られないということで、今、研究会を開いて、そこをさらに適正化しようといったようなことも行っております。

 公務員のこうした服務規律、それから、場合によってはきちんと厳正に懲戒処分などを行っていくということでいかないと、国民の行政に対する信頼が回復できませんので、このことについては、公務員行政を預かっている総務省としても、今既に取り組んでいることもございますが、今後もそういう視点で真摯に取り組んでいきたい、このように考えます。

小川(淳)委員 先般、総務委員会でも議論になりましたNHK職員のインサイダー取引、これは予算を議論したときに、厳正な処分なりを私どもとしては求めていたわけでありますが、この中には御存じの方も、そうでない方もおられると思います。わずか四十万円余りの不正利益を得た職員がNHKでは懲戒免職、最も厳しい処分になりました。

 これは、福地新会長、アサヒビール御出身でありますが、そういう、ある種、消費者との関係、生活者との関係で非常に厳しい措置を社内でもとってこられたのでしょう、そういう文化を持ち込んだことが、私は非常に、将来ある職員のことを思えばなかなか容易な判断ではなかっただろうと思いますが、そういう厳しい措置をとられました。こういうことを積み重ねていかないと、国家公務員の世界でも、大変ぬるま湯のような状況がなかなか脱皮できないのだろうと思います。御紹介をし、今大臣から御決意をいただきましたので、今後の対応については、厳正な措置をぜひとっていただくようにお願いをしたいと思います。

 さて、その上で、責任の所在を明確にして、この問題の発端は、とにかく全責任は政府にあります。全責任は政府にある。これを唯一解消していく手だてとして期待されているのが、まさに増田大臣が所管されている第三者委員会ということになろうかと思います。これは、位置づけとしてもう明確に救済機関であり、国民の立場に立った、また、年金記録の不明問題で本当にあえいでおられる方々を救済しなければ、これは存在意義がないと私は思います。

 その前提に立ってお尋ねをいたしますが、今、記録不明が五千万件、記録の統合に結びつく可能性、淡い期待を抱いて送った特別便が一千万件、これが大ざっぱな数字であります。これに対して、記録の訂正を第三者委員会に対して申し出た申し立て件数が五万件、既に裁定をしたものが約七千件で、認められたのがそのうち半分、三千件余り。これは大臣、多いですか、少ないですか、申し立て件数、第三者委員会が裁定を認めた件数。

 今申し上げました五千万件の記録はありません。一千万件の記録の統合を期待して特別便を送りました。そういう世の中にあって、制度ができてから十カ月、申し立てを行ったのが五万人、裁定を行ったのが七千人、認められたのはその半分、三千人。これは多いですか、少ないですか。

増田国務大臣 なかなか一概に申し上げられないところはありますが、記録の訂正に結びついたものと結びつかなかったもの、今、半々ぐらいの状況でございます。

 そこで、審議のスピードの問題と、その判断、内容の点と二つ、いろいろと御指摘もいただくわけでございますが、これについて、申立人の立場に立って第三者委員会としてこの問題の処理に当たっていく、これは基本方針の中でもそこははっきりと書いているわけでございます。申立人の立場に立って対応していく。

 それから、申立人からいろいろと状況をお聞きした後、委員会として、委員会みずから情報収集を行ったり、一緒になって探したりということで、委員会みずからそういったことで動くということがこの委員会の基本方針であり、使命でございますので、今この数字が多いか少ないかということを、いろいろ国民の皆さん方から見ますと、物足りないというふうに思っておられる方もおられると思いますが、ある程度、審議の内容については、専門家の皆さん方から公平な審議をお願いしなければいけない立場ではございますが、あくまでも第三者委員会の立場、基本的な方針として申立人の立場に立って、そして委員会も、なかなかわからない証拠の収集のためにみずから動くという立場で今後も審議に当たっていきたいというふうに思います。

小川(淳)委員 大臣が直接その価値判断をおっしゃりにくいのはよくわかります。しかし、全体の状況をにらめば、私は少ないと思います。むしろ、そういう基本的な認識に立たねば問題を解決するための次の手が浮かびませんし、この件数、五万件を少ないと認識するだけの責任が政府にはあると私は思います。

 その前提に立ちたいと思いますが、今大臣おっしゃったとおり、この第三者委員会の基本方針には、国民の正当な権利の実現、国民の立場に立つ、権利の実現を目的とする、こういうことが何度も何度も重ね書きをされております。そして、基本的考え方の中には、「直接的な証拠(領収書等)も持たない方々のために、誠実に責任を果たして行く。」多分、この一点だと思います。第三者委員会が機能を発揮できる最大の期待値であり、責任があるとしたら、私はこの一点だと思います。

 その一点が生じてくる背景は申し上げました。これは全責任が政府にあるから。その一点に照らして現状はどうかという議論が必要だと思いますが。判断の基準は、申し立ての内容が明らかに不合理ではないこと、一応確からしいこと。これは公文書では珍しい表現だと思いますね。一応確からしいとか、明らかに不合理ではないとか。しかし、これが第三者委員会の初心だと思います。全責任が政府にあることをよく認識をした上で、申立人のおっしゃることは性善説に立って、一応確からしければ認定しなければいかぬ、明らかに不合理でなければ認定をしなければならない、これが第三者委員会が設けられた初心なんだと思います。その初心に照らして、現在の状況、全体状況、私は少ないんじゃないかと申し上げました。

 少し、個別の状況を見てみたいと思いますが、すべてこれは公表されていますから、事前に大臣もこのうちの幾つかは御存じなんだろうと思います。

 例えば、兵庫県の事案ナンバー九十五番。奥さんは二十から国民年金に加入し、未納期間もない、年金に関する意識は極めて高い、自分の分もないのは納得できない。これは申し立ての内容でありますが、これに対して、関連資料、家計簿、確定申告等がない、納付の状況が不明である。結論ですが、「国民年金保険料を納付していたものと認めることはできない。」これは兵庫県の事案ナンバー九十五です。

 事案ナンバー九十七番。私たち夫婦は国民年金保険料を一緒に納付してきた、社会保険庁の記録では妻の分は納付済みになっている、私の分だけ申請免除となっていることに納得できない。これは申し立てです。委員会の判断、やはり関連資料、家計簿、確定申告、預金通帳等がない、妻の記憶があいまい。結論ですが、「納付していたものと認めることはできない。」

 等々、ほぼ、大臣もさきの質疑の中でおっしゃいましたが、事例が積み重なって標準化しつつある局面だろうと思います。共通しているのは、やはり家計簿なり年金手帳なり金融機関の取引記録なりという証拠書類の提示を求めている。

 そもそも第三者委員会がつくられた初心は、こういった証拠書類を示すことができない人に光を当てるための制度だったのではありませんか。こういう具体の事例を見るにつけて、申し立て期間が短期間であることは信頼に足る事情だということも第三者委員会みずから定めていますよ。同居の親族が納付していることも信頼に足る事情としてしんしゃくをしなさい、みずから認めていますよ。こういう第三者委員会が打ち立てられた初心、基本方針、具体に参考にすべき事例と、現在公表されている認められなかった事例との間にギャップがある、そごがあると私は考えますが、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 個々の判断、事例の判断については、それぞれの委員会委員の皆さん方の知見を総動員してやられているんではないか、大臣の立場で個々の判断にはどうしてもやはり立ち入れない部分がございますので、そこは御容赦いただきたいというふうに思っております。

 やはり、この委員会の設立のときの基本方針、先ほど委員からお話ございましたけれども、そういった証拠等がない方々のために誠実に責任を果たしていくについて、したがって判断基準を、確かにこれも別の立場から見るといろいろと御議論あるかもしれませんが、明らかに不合理ではなく一応確からしいということであれば救う判断ができる、こういうことにしてございます。それから、実際に資料がなくても、周辺事情等、あるいは関連資料がなくても総合的に判断をしていいんだ、こういったようなことなども判断基準に入れているということでございます。

 個々の判断にはなかなか私の立場でも立ち入れませんが、そういう通常であれば余り考えられないような判断基準によって、あとは個々の委員の皆さん方に、この基本的考え方に書いてありますとおり、誠実に責任を果たしていくという上で、どういう判断をすれば一番いいのかということをよくお考えいただきたいというふうに思っております。

 いろいろな事例が積み重なってきて相場観ができてきたということが、決してはねるための相場観ということで考えているわけではございません。できるだけ救済をする、端的に言いますと、救済をしてそういった年金制度に対する信頼を回復するというのがこの委員会の目的であるということは常に頭に置いて我々も運営をしていきたい、こういうふうに考えます。

小川(淳)委員 大臣、大変限られた時間でありますが、全体状況とそれから個々の判断基準との議論をさせていただいたわけです。

 そこで、私自身、各第三者委員会の結論、判断理由を拝見するにつけて、二、三、具体的にお願いしたいと思うんですが、記憶があいまいであるという記載が多々見られます。ほぼ例外なく見られます。これは当然でしょう、何十年も前のことですから記憶があいまいなのは。

 記憶があいまいであることが論拠の一つになるかのような記載、これはぜひ以後やめていただきたいと思いますが、いかがですか。

関政府参考人 個別事案を審査いたしまして、その結論につきましてはすべて公表いたしております。その中の記述として、記憶があいまいであったという表現もこれまで使われたケースがあったと思います。

 しかしながら、記憶があいまいであるから、その一点をもって記録訂正に結びつかないということではなくて、周辺事情それから関係資料、それらを探した上で、それから御本人からいろいろな事情をお聞きして、配偶者の御様子などもお伺いして、総合的な判断として、記録訂正に結びつくかあるいは記録訂正に結びつかないかの最終判断をしているものでございます。

小川(淳)委員 繰り返しになりますが、第三者委員会の存在意義は、救われない人を救うことにしかありません。その理由は、政府に全責任があるからです。繰り返しになります。記憶があいまいなのは、それはあいまいな人を相手にするんですから当然なんですよ。私は、第三者委員会の存在意義に照らして、これが論拠の一つであるかのごとく記載をすることは控えるべきだと思います。これは強く指摘をいたします。

 そしてもう一つ、最終の結論がほぼ例外なく、「納付していたものと認めることはできない。」となっています。納付したものと認めることはできない。しかし、もう一回初心に返ってください。第三者委員会の判断基準は、中央委員会が示したとおり、明らかに不合理かどうかを判断するんですね。一応確からしいかどうかを判断するんです。

 これは提案でありお願いですが、第三者委員会の判断理由のてんまつ、最後のところは「納付していたものと認めることはできない。」これは、認めるか認めないか、こういう書き方をすると厳しくなりますよ。却下するのなら、申立人の申し出は明らかに不合理だとしてください、明らかに不合理だと。あるいは、一応といえども確からしいとは言えない。これは言葉の使いようみたいな話ですけれども、極めて重要なポイントだと思います。

 この提案なり要請について御答弁いただきたいと思います。

関政府参考人 先生のお話につきましては、中央第三者委員会、また地方第三者委員会の委員の方々にお伝えをし、検討していただきたいと思います。

小川(淳)委員 四月から、家計簿とかその他の書類を持っている人に関しては社会保険庁自身で判断していただくという制度が始まるんだそうですね、大臣。そうすると、第三者委員会に上がってくるのは本当に厄介な案件ばかりになります。言葉は悪いですが、なかなかこれは証明もできない。今ですら半分しかあっせんできていないわけです。しかも、その申請件数が、申し上げたとおりわずかに五万件ですから、この五千万件という数字と比較した場合に、この第三者委員会が十分機能していると……。

 もう何回も言いますが、これはそもそも政府に重大な責任があって始めたことですから、これを解消するには、私は思い切って申し上げます。第三者委員会は今委員は、社労士の先生方、あるいは弁護士の先生方、行政のOB、税理士さん、非常にプロ意識を持って職業を遂行しておられる方々ばかりであります。この方々の職業の成り立ちは、基本的には書類主義であり、書面主義であり、申請主義であり、書類をもって折り目をつけていくことを旨としておられる方々ばかりであります。この第三者委員会を今後とも生かした組織にして十分機能させていくためには、私は、もちろんこういうプロの方々のお力添えもいただきながらではありますが、大臣、これは思い切って、いい意味での素人主義を入れていく必要があるんだと思います。

 心象だけでいい、この人何か確からしいことを言っている、多分証明できないんだろうけれども必死だ、真摯な訴えをしている、これを心象ですくい上げていく、すくい取っていく、こういうことを第三者委員会が始めないと、私は、この第三者委員会をつくった意義そのものが生かされないままに終わってしまう、未解決のままに終わってしまうという気がしてなりません。この点、今後のいろいろな実績を見ながらになろうかと思いますが、ぜひ検討事項の一つに挙げていただければと思います。

 この際、質疑に当たりまして、地元を中心に、社会保険事務所の現状、あるいは第三者委員会の現状を少し見聞きしてまいりました。そうした中からあった声、二、三お尋ねしますので、まとめて、簡潔にぜひお答えをいただきたいと思います。

 一つは、香川県の高松でありますが、大体お一人二時間待ちが当たり前だそうです。それから三十分の相談。通常、社会保険事務所には十分な駐車場はありません。周辺の混雑等々で大変迷惑をしている、あるいは利用者の不便につながっている、この点を解消する手だてがあるのかないのか。一点目。

 二点目、土日の相談を大幅にふやされる、これはいいことだと思います。しかし、肝心の相談日に社会保険庁の中央端末が使用できない。これでは、せっかく相談に来られた方に十分な対応ができないと私は思います。そこで、土日もぜひ社会保険庁の中央端末を使えるように、これは最善を尽くすべきだと思います。二点目。

 三点目、第三者委員会で審議する際に、これもやはり同じような状況ですが、社会保険庁の端末が使えないんだそうですね。これもぜひ改善をすべきだと思います。三点目。

 少しこういう具体の論点でありますが、善処をぜひお願いしたいと思いますが、御答弁お願いいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 大変盛りだくさんの御指摘をいただきました。できるだけ簡潔にお答え申し上げようと思います。

 まず、待ち時間の問題、それから、それに伴いまして駐車場の関係でございます。

 まず、待ち時間でございますけれども、これは私ども、現在は、特に混雑現象の激しい事務所というものをチェックしておりまして、ほぼ数時間置きにその状況というものを把握してございます。そして、各事務局においてもその情報は共有してございまして、要するに、待ち時間が非常に長くなっているところにつきましては、事務所の中での対応はシフト変更で対応することはもちろんでございますけれども、事務局本体から要員を送り込むというようなことで、できるだけ長くはお待ちいただかないような対策を講じるということを進めているわけでございます。

 と同時に、駐車場の対策でございますけれども、これは地域地域によって立地条件なども違いますので一概には申し上げられませんけれども、全般的に今、お問い合わせ、あるいは事務所の方においでいただく方の数がふえてございますので、私どもの方で用意している駐車場のいわばスペースが不十分な状態になっていることは間違いございませんけれども、やはり厳しい財政状況のもとでございまして、例えば駐車場そのものをふやすとか、そういうような形での追加的な予算措置というのは困難でございます。

 そこで、私どもといたしましては、社会保険庁のホームページなどなどを用いまして、御来訪に当たりましては公共交通機関を御利用していただくというようなこと、それから、電話相談を充実していく、さらに、社会保険労務士会によります無料相談でありますとか市町村における相談体制、こういった形で関係団体の御協力もいただきながら、なるべく御迷惑をかけないようにということで展開をしているというのが一点でございます。

 それから二点目の、休日開庁日の場合に社会保険オンラインシステムが稼働しないときがあるということについての、稼働させるべきではないかという御指摘でございますけれども、四月、私ども、土曜日、日曜日、それから国民の祝日でございますが、すべて開庁する予定でございます。

 五月も同様の方針で臨む予定でございますけれども、例えば今度の二十六日と二十七日について申し上げれば、実は非常に大きなコンピューターシステムを運用しているわけでございますが、これの保守管理とか、あるいは年金の支払い準備、要するにこれも相当な事務量があるわけでございます、そうした支払い準備の作業のために、どうしても社会保険オンラインシステムというものをそちらの用に用いる。要するにそういうスケジュールを立てる必要がございまして、先ほど申し上げた今月二十六日と二十七日は、絞りに絞ってでございますけれども、そのような、ほかの予定日というものを削減してここに集約させるような形で、今申し上げたような支払い等の業務のために充てるというようなことで、他の日におけるオンラインシステムでの休日開庁対応、これを可能というふうにさせていただいているわけでございます。

 それで、オンラインが稼働していない休日における対応でございますけれども、これは確かに、その場でお尋ねに応じて即座の回答をすることはなかなか困難な面も記録によってはあるわけでございますけれども、しかしながら、そういう形でいただいた……(小川(淳)委員「ちょっと簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい、相談案件につきましては、きちんと保管、整理をいたしまして、平日にオンラインで当たりまして、そして一週間以内にその相談者に御回答することを目途に作業を進めるというようなことをしているわけでございます。特に、加入者の方については、やはり休日に御来訪いただくということがどうしてもやむを得ない形にならざるを得ないというふうに思ってもございますので、休日における開庁対応、そういう形での対応の中には、オンラインシステムの稼働ができない日があるということを御理解いただきたいということでございます。

 それから三点目の、第三者委員会の審議促進という見地から……

今井委員長代理 簡潔に御答弁をお願いします。

石井政府参考人 はい。見地から、私どもが使用しておりますオンラインシステムの端末、これを貸与できないかということでございますが、端的に申し上げますと、まさにそういう観点に立ちまして、窓口装置を貸与することを予定してございまして、現在、総務省と調整を進めさせていただいているところでございます。個人情報の取り扱いについては、もちろん、きちんと両省庁の間で協定書を取り交わすなどして、適正な取り扱いに努めながら、しかし、できるだけのことを私どもとしてもさせていただきたい、かように考えているわけでございます。

小川(淳)委員 それぞれ現場の職員の方々、本当に懸命に当たられておりますし、また、地域の社会保険労務士の先生方初め、大変な御尽力をいただいております。それらの御尽力がぜひ効率的にうまく機能するように、運用についてはぜひ努力をいただきたいと思います。

 さて、少し話が飛躍をいたします。

 年金の受給者は当然高齢者の方々でありますが、先般スタートいたしました後期高齢者医療制度、今大変大きな話題にもなっております、これは、不確かな年金額から有無を言わさず天引きするということは、同じ当局として、厚生労働省として、いかがですか。どういう気持ちですか。雑駁なお尋ねですが。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 長寿医療、後期高齢者の医療制度でございますけれども、これにつきまして、年金からの徴収ということを四月から始めさせていただいたわけでございます。年金記録問題そのものは大変申しわけないことでございまして、きちんと対応しなきゃいけないと思っております。

 一方で、高齢者の方々の医療をきちんと支えていくということ、非常に大切なことでございまして、今も高齢者の方々、国保に入っていらっしゃる方々、たくさんいらっしゃいますけれども、本当に九九%の方はちゃんと保険料の納付をしていただいております。これにつきまして、今後とも新しい制度のもとでも、納付をしていただく際に金融機関に一々出向いてやっていただくというような手続も省ける、きちんと納付をしていただくという中でこのような制度をお願いしたということでございまして、この御理解を得るように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

小川(淳)委員 さんざん議論になってまいったことかと思いますが、年金そのものが制度的に揺らぎ、また、受給額が本当に正確なものかどうかすらわからないという中で、有無を言わさず天引きをしていくということに関しては、当事者が同一の厚生労働大臣であるだけに、これはやや恥ずかしい気持ちといいますか、そういう気持ちというのがあってしかるべきなんだろうと思います。

 あるいは、この制度に関しては、保険料がふえるとか減るとか、いろいろな問題が議論されていますが、そもそもこれは思想的に哲学的に無理のある制度なんじゃないかという見解を私は持っているわけですけれども、これはなぜ七十五歳以上なんですか。なぜですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 この三月までの制度におきましても、老人保健制度、高齢者の方々に医療サービスを行わせていただく制度につきましても、七十五歳以上ということで運用させていただきました。

 この七十五歳以上という考え方につきましては、老年医学等の分野でも、一般には、複数の病気をお持ちである、療養生活がどうしても長期化しやすいという特性があるというふうなことでございまして、このような特性に応じたきちんとした医療を提供していくことが一番大切だろうと思っております。その観点もございます。

 それから、これからどうしても高齢者の方々がふえていく中で、その医療費をきちんと安定的に確保していかなきゃいけない、これを国民全体に支えていただかなきゃいけないということでございますけれども、その中で、市区町村ごとの国保制度等ではやはり大きなばらつきが出てしまう、公平も保たれないということでございます。その中で、高齢者の方々にもその負担能力に応じて公平に保険料も負担していただく、若い人にも分担ルールが明確なもとできちんと御納得をして負担していただく仕組みにしていく必要があるというような観点がございます。

 それで、市町村を超えまして、都道府県単位の広域連合という自治体を構成いただきまして、そこできちんと保険料をお預かりし、使い道を明確に、責任を持って明確な安定した運営を行っていただくという観点から、一つの制度として構築をいただいたものでございます。

小川(淳)委員 御当局、当然御存じだと思いますが、日本の医療費が約三十兆円、七十五歳以上の高齢者は一千三百万人ですから、人口の比率でいきますと約一割。しかし、三十兆円に占める医療費のうち、七十五歳以上の高齢者にかかる医療費が約十兆円とお聞きしています。つまり、こういうことですね、一割の人口の方々が三割の医療費を使っている、大ざっぱにそういうことだと思います。

 この制度は、最も医療行為を要する、疾病率も高い、罹患率も高い、この方々を切り離して別の医療保険制度にするということです。これは保険制度の基本にもとるのではありませんか。健康な方々、病気に陥るリスクのまだまだ少ない若い方々と平均して、ならしてこの医療を安心させるのが本来の筋道ではありませんか。その点が一点。

 それからもう一つ。私は、保険料が上がるとか上がらないとか、これも大問題だと思いますが、被扶養者として扶養者の保険に入ることができなくなること、このことの方が恐らく大問題なんだろうと思います。この数が約二百万人と言われているようでありますが、御答弁いただく審議官、また大臣もそうでしょう、御自身の医療保険を振り返っていただいて、若い世代、七十五歳未満であれば、幾ら扶養家族を抱えても保険料は変わらないんでしょう。なぜ、七十五歳になると被扶養者になることもできなくなるんですか。

 これはもし、仮に七十五歳以上をこういう独自の保険制度にするのなら、御自身が入っておられるそれぞれの共済に関する医療制度、あるいはサラリーマンの健康保険の医療制度、これを全部、被扶養者の数に応じて、頭数に応じて保険料が上がるようにちゃんと制度設計し直すべきだと思いますよ。ここに大きな不公平が隠れている。基本的な制度の哲学とほかの不公平を放置したままで、これは七十五歳以上のお年寄りに負担をかぶせている、このことにおいて、私は、これは到底理解されない制度だと思います。

 これを二点御答弁いただいて、ひとまず質疑を終えたいと思います。

間杉政府参考人 まず最初の、この制度の理念ということでございますけれども、これは、高齢者の方々、自己負担以外に保険料ということで、総医療費の一割程度を御負担いただく、若い世代から四割程度を、各制度、加入者数に応じて仕送りという形で支援をいただく、それから、公費、税金ということで五割を支えさせていただくということでございます。

 この医療費、どうしても高齢者の方々がふえていく中では総医療費はふえていかざるを得ないというふうに思っておりますけれども、この高齢者の方々に、先ほど申し上げました、心身の特性に応じた医療を提供するためにも、この負担ルールを明確にする中で御納得をいただいて支え続けていく必要があるというふうに考えております。

 それから、後の方の被扶養者の問題でございますけれども、これは、高齢者の方々、その入っておる制度によって、今のように被扶養者ということで御負担がなかった、あるいは国保のようにそれぞれの方が負担をされていた制度、それぞれでございました。しかしながら、これから大きく医療費が伸びていく中で、それを支えていく中では、やはり納得できるようなルールのもとで支えていく必要があると思います。それで、七十五歳以上を一つの集団として、その中で、被扶養者の方々にもその負担能力に応じた負担を個々人でお願いしたいということでございます。

 もちろん、加入に当たっての、移行に当たっての軽減措置はいろいろとらせていただいておりますけれども、その理解をいただく中で、七十五歳以上を、若い世代も、高齢者自身もきちんと負担をしていただく仕組みに持っていきたいということでございます。

 よろしくお願い申し上げます。

小川(淳)委員 本当に、私はいずれ頭数で均等に医療制度を支えていく仕組みが必要だと思います。そのためには、消費税も含めたいろいろな議論が必要なんだと思います。

 大臣、年金と医療というのは、国民の最大の不安であり、最大の関心事です。こういうことが、全体構想を持たずして、何か場当たり的に局所的に治療されていることがかえって国民の不安を増大している。これは本当に、政府の、全体を構想する力の欠如だと思いますね。この議論ができるのは、大臣、閣僚以上だと思いますね。どこかの局から、どこかの課から出てきませんよ、こんな話は。これは本当に嘆かわしい事態だと思います。ぜひ、その点に、厚生労働省幹部、また適正な行政の執行を預かる総務大臣に改めて意識づけをお願いいたしまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

今井委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、最初に、郵便局の障害者サービスについて何点かお伺いをいたします。

 三種、四種の郵便物につきまして、これまで障害者の方に、自宅まで荷物を受け取りにいく集荷サービスが行われてまいりました。障害者団体の会報の郵送の際に活用する第三種郵便物ですとか、点字図書や録音テープなどの記録媒体の郵送の場合に活用される第四種郵便物、これまで障害者の皆さんの運動もあり、郵便局による集荷サービスが行われてきたわけであります。

 昨年十月三十日の当委員会で北村郵便事業会社社長は、私の質問に、障害者への集荷サービスについては今までどおり行っていきたいと答弁をされておられました。しかしながら、現実には、その集荷サービスが行われない、後退をさせるような事態が生じているとお聞きしています。

 例えば、ある都内の郵便局の事例ですが、三月の中旬に視覚障害者の方が集荷サービスを要望したところ、集荷をしないという話だったそうです。その後集荷をすることになりましたが、郵便局の担当者はいまだに集荷をするということを約束していないということで、その都度私に連絡すれば判断する、こういうような話だったということであります。

 また、別の都内の郵便局の事例として、視覚障害者の方が六十通の郵便を依頼したところ、二百通以上でなければ集荷しないということになっているということで、集荷を拒否されたとのことです。この電話での対応はアルバイトの職員の方だったということですけれども、その後、一時間半後に、集荷するとの連絡をもらったということですが、職場の対応がちぐはぐだったということだそうです。

 そこで、郵政会社に伺いますが、これまで行ってきた障害者への集荷サービスは、今までどおり行うという立場に変わりはないか、その点についてお伺いします。

伊東参考人 お答えいたします。

 先生からも御指摘ございましたように、昨年の十月に、私どもの会長の北村の方から、民営化されてもこれまでと同様の対応をするという答弁をさせていただいております。

 改めまして、先生からまた御質問がございましたので、民営化前と同様の対応を今後ともさせていただくことを、もう一度確認も含めて御答弁させていただきます。

塩川委員 実際、そういうお話ですけれども、現場に必ずしもそれが十分徹底をされていない。もちろん、承知をされておられる方もおられるんでしょうけれども、残念ながら、そうでない方もいらっしゃる。

 そういう点で、現場の職員の方に集荷のサービスについて徹底をする、そういう点での取り組みをぜひお願いしたいんですけれども、障害者の集荷サービスについては従来どおり行うと職員の方に周知を徹底する何らかの措置をお願いしたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

伊東参考人 お答えいたします。

 マニュアルに具体的に、これまでと同じ扱いをするように書いてあるわけでございますが、先生から御指摘いただきましたような、幾つかの徹底されていない事案があったということは私どもも承知しております。

 したがいまして、このマニュアルの徹底につきまして、早急に指導をしていきたいと考えているところでございます。

塩川委員 近くにポストがない場合ですとか、また、ポストがあってもその前に自転車やバイクが並べられてある、そういう点で、ポストの位置も確認をできない。雪国では、そもそもポストそのものに行くこともままならないような状況があるわけで、視覚障害者の皆さん、特に、やはり集荷サービスということに多くの方が期待を寄せておられますし、そこへの信頼を寄せておられたわけであります。そういうサービスをぜひともきちっと行っていただきたい。

 その点で、もう一回確認ですけれども、何らかの形で、文書なりでそういう趣旨について徹底を図っていただきたいということをお考えにならないか。その点が一つと、あわせて、障害者の個人の方ですとか、あるいは体の不自由な高齢者の方などについてもきちんと集荷サービスを行うことを考えていただきたいと思いますが、以上二点についてお答えください。

伊東参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたマニュアルの徹底につきましては、文書で指導をしたいと考えているところでございます。

 それから、今もう一点御指摘がございました、視覚障害者の点字郵便物等ということでマニュアルに書いてあるわけでございますが、それ以外に、外出が困難な高齢者とか、御自身でお出しにくい状況を考えまして、私どもの方で、可能な限り集荷する体制を整えるようにということもあわせて指導をしてまいりたいと思います。

塩川委員 大臣に伺いますけれども、民営化をしてサービスは後退をさせないというのがこれまでの政府の答弁だったわけで、現実にはそうなっていないような状況が生まれている。

 これは、今回は障害者の方の集荷サービスの話ですけれども、実際に簡易郵便局が閉鎖をされることを含めて、多くの皆さんが民営化でサービスが後退をしたという実感をお持ちのところですから、改めて、こういうことは許さない、サービスは後退させないという立場で臨むことが求められていると思いますが、政府として、大臣としてのお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 障害者の方々への集荷サービスについて、民営化の前後で変わりがあってはいけないわけでありますので、今会社から答弁がありましたように、同様のサービスが行われるように会社にしていただきたい。そして、私どももよく見ておきたい。

 今、そのほかの点も含めて委員からお話がございました。民営化によって国民へのサービスが向上するということがねらいでありますので、そうしたことが損なわれないように、総務省としても、その点、十分に気をつけてよく見ていきたい、こういうふうに考えます。

塩川委員 しっかりとした対応をお願いいたします。

 続けて、この間、地デジ移行に伴う諸問題を取り上げてまいりましたが、関連して何点かお伺いをしたいと思っております。

 葉っぱビジネスで有名な徳島県の上勝町がございます。私も行ってまいりました。総務省の加入者系光ファイバ網設備整備事業を活用しまして、ブロードバンド環境の整備を進め、地域情報化基盤整備事業を進めているということでした。インターネットサービスやIP電話やケーブルテレビ、また、行政情報番組の提供を行っているとのことであります。現在、上勝町では、これらのサービスを一括して受ける利用料金の設定を行っております。

 そこで、総務省に伺います。

 この加入者系光ファイバ網設備整備事業、これまで十八件の採択があると承知をしておりますけれども、その交付の自治体の中には、例えば岡山市、合併をした旧建部町などのように、利用料金の設定におきまして、ブロードバンド利用の場合とケーブルテレビのみの利用の場合のような、複数の料金設定を行っているところがあると承知をしています。

 こういう事例というのは、この補助金の支出の趣旨に反するものではないと考えますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 加入者系光ファイバ網施設整備事業は、過疎地等におきまして、地方公共団体等の公共ネットワークを活用いたしまして、超高速インターネットアクセスを可能とする加入者系光ファイバー網の設備を整備する際に、補助を実施してきたところでございます。

 補助事業に関しまして、提供される超高速インターネットサービスの料金設定については特段の要件は定めておりません。したがいまして、加入者系光ファイバ網設備整備事業により整備されました光ファイバーによって、高速インターネットサービスにあわせてCATVサービスが提供されている場合、料金をインターネットとCATVで別建てにすることについては可能であると考えています。

塩川委員 上勝町の住民の方から、ブロードバンドの利用とケーブルテレビのみの利用の二階建ての料金設定をしてほしいという要望も出されております。

 ここで、総務の調査室につくっていただきました、加入者系光ファイバ網設備整備事業を利用しております自治体についての利用料などの負担状況についての資料がございます。

 十八件の二十の自治体がございますが、この中でブロードバンドの加入世帯率を見ますと、全体、単純平均で三七・三%ぐらいなんですね。そういう中で、上勝町をとりますと、八六%と高い水準になっております。もちろん、ブロードバンドを利用しようという方が多いということにもなるわけですけれども、実際、少なくない方の声として、役場から、二〇一一年になるとテレビが映らなくなるから今のうちに光に入れ入れ、こういうふうに言われたという声があるのも実際であります。

 この事業が進む中で、ケーブルテレビが視聴できるサービスを受けられるようになると、今まで自主共聴組合が行っていたテレビの視聴について、自主共聴組合を解散してケーブルテレビを利用しよう、つまりインターネットの方に接続しようという声が組合として出てくるわけですね。しかし、二十人の組合の二十人が全員、ではブロードバンドに加入しようかといったら、必ずしもそうではなくて、うちは別にインターネットは使わない、テレビだけ見られればいいんだという声の方もいらっしゃるわけです。そういう方の中には、利用もしないインターネットの料金まで取られるのは納得がいかないという形で、自主共聴組合は解散をし、ブロードバンドに接続も加入もしないという事態の中で、現時点でアナログのテレビが見られなくなるという状況なども生まれているということをお聞きしました。ですから、個々にアンテナを立てて、映りが悪いのですけれども現行のアナログの電波を受信する、そういうことなんかも行われているという話を聞いております。

 ですから、現時点で、アナログ放送のもとで現行進んでいる事態がテレビ難民を生み出すような状況になっているということがあります。ですから、やはりこの上勝町の話を例に挙げても、再送信のみのケーブルテレビ利用料を設定するなど、テレビ難民を生み出さない、地デジ移行に対応したきめ細かい対応が求められます。

 そこで、大臣に一言いただきたいのですけれども、地デジ対応ということであれば、とにかく光ファイバーを敷設してブロードバンドの環境整備だという中で、ケーブルテレビによって地デジ対応するというやり方ばかりではなくて、住民負担を軽減する、例えば共聴施設の地デジ対応というやり方もある。

 いずれにせよ、住民の皆さんの要望に即して、地デジ移行ということであれば、住民負担が少ない方向で対応することが必要なんじゃないのか。そういった住民負担が少なくなるような地デジ移行の対応策について周知をしていくこと、対応策をとることが総務省として求められていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

増田国務大臣 この地デジの問題、それからそれ以降もにらんで、やはり国民の皆さん方の大変な協力をいただかなければならないというふうに思いますが、その際の大事な点は、やはり国民負担を可能な限り小さくしていくという視点に立って、いろいろな方策を私どもで提示していく、そして、よく国民の皆さん方に意義を御理解いただく、丁寧にその点について説明をしていくということが必要かと思います。

 したがいまして、今お話しいただきました、技術的にもいろいろなやり方があると思いますが、その中で住民負担が最小になるようなことを常に考えて対応していくということは重要な視点だと思います。今後の我々の取り組みの中でも今の御指摘も十分にそしゃくして生かしていきたいというふうに思います。

塩川委員 東京新聞でも、山梨県の上野原市の事例などの紹介がありました。こういった形で、この前の電波法改正で新たな補助のスキームをつくったわけですから、そういうのも含めて、やはり住民負担をいかに軽減していくのかという立場での対応を改めて求めて、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正です。

 十五分という限られた時間でありますので、簡潔に答弁いただいて、予定している質問が全部できるようにお願いいたします。

 まず、公共交通について質問いたします。

 具体的に申し上げますが、長野県の木曽町で、民間撤退の赤字バス路線を自治体主体で運行するという取り組みが行われています。地方の私鉄、特にバスについては、経営難から路線の縮小、廃止が増加しつつあります。地方に行けば、私は、地元に帰って東京に来ると、東京というところは本当に便利がいいところだなと本当に実感いたしますが、特にやはり地方は高齢化が進んでおりまして、そういう地域においては、地域の足として重要な交通手段である、これは言うまでもありません。お年寄りあるいは児童たち交通弱者にとっての手段として不可欠である。

 この木曽町が取り組んでおられるような、地方公共交通を守るという視点に立ってそういう具体的な取り組みがなされていることについては、大臣は当然承知していると思うのでありますが、それに対する評価、どういうふうな評価をされているか、まずそれをお聞きしたい。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、高齢者を初めとする地域住民の足として、今お話ございましたような地域のバス路線の維持、確保ということは重要な課題であります。例でお出しをいただきました木曽町の取り組みも、そういう観点に立って、地域を何とかよくしていきたいという町御当局の切実な思いを具体的に実現させたもの、こういうふうに思っております。

 私どもも、こうしたことに対して、もちろん国庫補助路線については、自治体の支援に加えて私どもも対応いたしておりますし、それから国庫補助対象外の路線バスなどに対しましても、地方単独について地方財政措置を講じております。

 こういった試み、これから過疎地域を守るという上でも大変貴重なもの、こういうふうに認識をしております。

重野委員 各自治体でやっている形というのはさまざまな形があると思うのですね。この木曽町がやっているように、既存の民間のバス会社と契約してやってもらうという方法もあるし、あるいは自治体が、一日に二回というふうな回数を限定して、おじいちゃん、おばあちゃんあたりが病院に行くような時間帯に配置をして運行しているというふうな運行の方式、さまざまな形があると思うのですが、そこら辺、運行の形を分類して、そして、こういう形でやっておるところは幾つあるとか、こういう形の自治体は幾つある、そういうふうな調査をされているのでしょうか。

久保政府参考人 個別に、今御指摘がございましたような幾つかにタイプごとに分けて調査をしているということはございません。

重野委員 より具体的、きめ細かに対応していくという点においては、ぜひその調査を目的意識的にやっていただきたい。

 そこで、この木曽町の例でお話をいたしますが、木曽町も例外でなく、自治体財政というのはやはり大変厳しくなっているわけです。そういう中で、地域住民の大切な足を守るという立場に立って工夫し、その対策を講じている、そういう自治体に対して国がどういうふうな形で応援するのかという点において、交付税という点に限定していった場合に、この交付税上においてはどのような措置がされているかという点についてお聞きいたします。

久保政府参考人 先ほど大臣から答弁がございましたように、私どもといたしましては、生活交通の確保、これを目的といたしまして、国庫補助路線に対する地方公共団体の支援でありますとか、あるいは国庫補助対象外の路線バスやディマンド交通、コミュニティー交通に関する地方単独の支援に対しまして、御指摘がございましたように、地方財政措置を講じておりまして、平成二十年度の地方財政計画におきましては七百五十億円程度を見込んでおります。

 地域におけるバス路線の確保、これは特に高齢者など交通弱者にとって必要不可欠であるというふうに考えておりますので、今後とも、地域における実態あるいは住民からの御意見といったものを踏まえた支援措置を講じてまいりたいと考えております。

重野委員 今の答弁がありました、地方財政計画上の事業規模七百五十億。

 ところが、私はちょっとこれはいかがなものかと思うんですが、それがまずあって、交付税措置等から算定される事業規模六百五十一億という数字があって、実際の事業規模五百三億円、こういうふうに数字があるわけですけれども、これは一体どういうことなんだと。地方財政計画の中では七百五十億という額が算定されて、実際の、バス路線を経営している会社であるとかそういうところに行き着くときには、これが五百三億円。そうすると、地方財政計画上と実際の事業規模に照らすと二百四十七億円少なくなっておるんですね。これはどういう意味なのかということをお聞きしたいんです。

久保政府参考人 私どもの地方財政措置でございますけれども、平成十三年度から普通交付税によって県の地域交通計画策定経費、これも措置をするということにいたしております。委員が御指摘になった交付税措置の一番大きなものは特別交付税による措置でございまして、路線維持費に係ります措置率、これをやはり同じ年度に従来の六割から八割へ引き上げるといった見直しを行っております。

 御案内のように、平成十四年の二月に需給調整規制が廃止をされたということがございまして、こうした措置を厚くしたということでございまして、平成十三年度に地方バス路線維持対策として総額五百五十億円程度を措置いたしましたが、最終的にその年度の実績額とは約百六十億円の乖離を生じております。

 その後、各関係の地方公共団体で公共交通への支援の取り組みといったものが充実をしてきたということもございまして、地方財政計画と実績、この実績は特別交付税の基礎数値報告に基づく事業費でございますけれども、これとの乖離の幅が平成十九年度では約百億円まで縮小しております。

重野委員 これは、国が削っていくというんじゃなくて、これだけ組んでいるけれども、実際にその方策に照らして地方自治体あるいは最前線でやった結果がこうだと。だから、言うならば、これは平成十七年度ですが、これだけ、七百五十億という予算を持っているけれどもそれが消化できなかった、こういう理解なんですか。

久保政府参考人 特別交付税で措置をしておりますので、私どもは実績に基づいて措置をしているということでございます。

重野委員 十七年度で、私が言いました実際の事業規模五百三億円という数字、これが実績ということですか。そういう理解でいいんですか。違うんですか、これは。

久保政府参考人 委員が今おっしゃられました数字はちょっと私よくわかりませんけれども、私が今持っております数値で申し上げますと、平成十九年度、これは地方財政計画上措置をしておりますのは七百五十億円でございまして、国庫補助金に当たりますものが七十一億円でございますので、地方負担、これは六百七十九億円となっております。そして、それに対する実績額、これが五百七十八億円ということでございまして、乖離が百一億円ということになっております。

重野委員 時間もあと五分しかありませんから、これはまた別途、ちょっと説明いただきたいと思います。

 そこで、私が思うのは、そういうふうな形で交付税で七百五十億措置をする、地方財政計画上でそう見ている、しかし、それがそのまま本当に関係自治体に行くのかと。交付税というのはさまざまその中身があるわけで、他の部分にその分を持っていって、全体としては総枠はふえない、こういうふうなこともあるのではないかと思うんです。

 私はやはり、今、冒頭に言ったように、地方公共交通というのは本当に地域にとっては生命線ですよね。地方のバス会社も大変なんですよ。どんどん経営が行き詰まって、地方においてはほとんどそういうふうな形で、市町村のいわゆる補助金で細々と維持している、それが現実だろうと思うんですね。私は、これはやはり最低、完全に維持できるように配慮していくべきだという点を重ねて強調しておきたいと思います。

 もう一つ、後期高齢者医療問題についてさまざまな話が耳に入ってきますが、今日、末端でどういうふうなことになっておるのか、あるいは七十五歳以上の方々がどういうふうなことを言っておるのかということについて、総務省としてどういう把握をされているのか、その状況について聞いておきたい。

岡崎政府参考人 御質問のありました保険証の未着とか、いろいろこの制度に混乱があるようでございますが、それにつきまして、総務省としての調査は実施しておりません。

 ただ、制度所管の厚生労働省から、保険証未着について、例えば、四月九日現在で六万三千件ほどあったものが、四月十七日現在では三万二千件ほどに、約半数に減っているというような状況ですとか、保険料の天引き誤りについても一定数あるけれども、その件数自体は厚労省としても把握していないというような状況を承っているというところでございます。

重野委員 私の選挙区でも、いわゆる役場がありまして、合併によりまして支所となっています。そこにお年寄りがつえをついて来るわけですよ。それで、激しい怒りをぶちまけているんですね。役場の窓口の皆さん方がそれに対応している、大変苦労されております。

 これは、私は、もちろん所管は厚生労働省ということはわかるんですが、役場という概念からいくと、やはりこれは総務省ですよね。だから総務省も、今この問題がこの国にとって物すごく大きなテーマになっているという認識を持ったら、いや、これは厚労省というふうな割り切りはやはりいかがなものかと僕は思うんですね。そこは国レベルで厚労省と接点を持って、もちろん持っていると思うんですが、うまく持って、その結果で総務省も各自治体に対して対応していく、そういう取り組みがないと悪いんじゃないか、僕はこのように思うんですが、そういう指摘に対してはどのようにお答えしますか。

岡崎政府参考人 お尋ねの長寿医療制度の所管そのもの、直接の担当は確かに厚労省でございますけれども、私ども総務省としましても、特に御指摘があったような、国民に対するわかりやすい周知というような観点から、その円滑な運営に協力するために、厚生労働大臣のもとに設けられました長寿医療制度実施本部に参画しているところでございます。

 長寿医療制度の円滑な実施のために、厚労省と協力いたしまして、先週金曜日、四月十八日には厚生労働、総務の両次官の連名の通知を発出する、あるいは、きのう月曜日に都道府県東京事務所長会議を総務省で開催いたしまして、厚労省と一緒に、相談窓口の体制強化、あるいは御本人の保険料がどうなるのかについて一人一人丁寧に説明するというようなことも地方団体に要請したところでございます。

 御指摘のように、私どもとしても、当事者意識を持ってこの制度の円滑な運営に協力してまいりたいと思っております。

重野委員 そのほか用意しておったんですが、もう一つ、年金からの天引きが、何か当たり前みたいにどんどんどんどん天引き項目がふえていくという問題についてもきょう聞いておきたかったんですけれども、それはこの次の機会にするといたしまして、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

今井委員長代理 次に、内閣提出、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。増田総務大臣。

    ―――――――――――――

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増田国務大臣 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 本法律案は、電子メールの送受信上の支障を防止し、その良好な利用環境を維持するため、広告宣伝の手段等として送信される電子メールに対する規制について、現行の方式を見直すとともに、報告徴収等の規定を整備し、その実効性の向上を図るものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、送信者は、あらかじめ広告宣伝メールの送信をするように求める旨または送信をすることに同意する旨を送信者または電子メールの送信を委託した者に対して通知した者等以外の者に対して、広告宣伝メールの送信をしてはならないこととしております。

 第二に、報告徴収及び立入検査の対象に送信委託者を追加するとともに、措置命令や罰則の規定の整備を行い、法の実効性の向上を図ることとしております。

 第三に、外国におけるこの法律に相当する当該国の法令を執行する当局に対し、その職務の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができることとしております。

 以上のほか、電気通信事業者による電子メールに係る電気通信役務の提供の拒否について規定の整備を行うなど必要な改正を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

今井委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日木曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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