衆議院

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第18号 平成20年4月24日(木曜日)

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平成二十年四月二十四日(木曜日)

    午前八時二十七分開議

 出席委員

   委員長代理理事 今井  宏君

   理事 石田 真敏君 理事 馳   浩君

   理事 林田  彪君 理事 山口 俊一君

   理事 黄川田 徹君 理事 原口 一博君

   理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      伊藤 忠彦君    石崎  岳君

      稲田 朋美君    岡部 英明君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    古屋 圭司君

      松本 文明君    山内 康一君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    高井 美穂君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     伊藤 忠彦君

  田中 良生君     山内 康一君

  橋本  岳君     岡部 英明君

  田嶋  要君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     石崎  岳君

  岡部 英明君     橋本  岳君

  山内 康一君     田中 良生君

  高井 美穂君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

今井委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長小笠原倫明君及び総合通信基盤局長寺崎明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 おはようございます。

 八時二十五分から質疑をさせていただくことに本当に感謝をさせていただきたいと思っております。

 迷惑メールの法案について質疑をさせていただきたいと思います。

 自分自身、メールアカウントが六個か七個ぐらいあるんですが、アドレスによっては毎日毎日、海外から意味不明のメールと、そして日本語の非常に魅力的なお誘いが載ったメールというものが本当に山のように届いておりまして、その中から有権者からの声というものを見落とさずにチェックしていくのが本当に精神的な苦痛と今なっております。

 そういう意味で、ユーザーにとってICT環境の中で有益な利益を得ることを阻害するとともに、そういうサーバーを抱える業者にとっても非常にコストが大きくなってしまう、非常に残念なというか憎むべきメールであると思っております。そういう意味で、迷惑メールをいかに減らしていくか、防いでいくかということがこれからは絶えず必要になっていくものと思いますので、さまざまな点から質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、そもそも、迷惑メールというものが日々ふえているというふうには言われておりますけれども、今の迷惑メールの現状、被害実態等は総務省はどのようにとらえられているのか、御指摘いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 迷惑メールにつきましては、電子メール全体の七割程度を占め、全体としての流通量は依然増加しており、また巧妙化、悪質化が進展いたしまして、先生おっしゃるとおり、海外発の迷惑メールが急増するなどの問題が生じております。

 迷惑メールによる被害につきましては、財団法人日本データ通信協会が実施いたしました迷惑メールが日本経済に及ぼす影響の調査によりますと、国内企業への生産面への被害が年間約七千三百億円、それから電子メールサービスを提供するインターネットプロバイダー等の事業者における対策・投資額が年間約三百十九億円、電子メールサービスの利用者である事業所、行政機関等における対策・投資額が約五百十八億円、迷惑メール対策のためのソフトウエア費用など消費者における投資が年間約百三十二億円とのことでございます。

 総務省といたしましては、迷惑メールは非常に大きな問題であると考えておりまして、今回の法改正も含め、総合的な迷惑メール対策に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

寺田(学)委員 ごめんなさい、私が聞き逃しただけかもしれません。

 迷惑メールの数みたいなものは、ここ数年、どのような数、増加というものが推移しているのか御存じでしょうか。

寺崎政府参考人 我が国で受信されている迷惑メールの量につきましては、正確な統計はございませんが、おおよその推計をしますと、我が国において受信される一日当たりの電子メールは約三十五億から四十億通程度でありまして、そのうち迷惑メールは、電子メール全体の七割から八割程度と言われているところでございますので、二十五億から三十億通程度と見られております。

寺田(学)委員 ほとんどが迷惑メールということなんだと思います。業者にしてみれば、迷惑メールのためにサーバーを増強するということになっているんだろうと思いますが、今、三十五億から四十億程度の総量数の中で七、八割だということですけれども、ここ数年の経緯というものもあわせて、二〇〇五年、二〇〇四年ぐらいからどのように迷惑メール数というものが推移しているか、御答弁いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 正しく何%とは言えないですけれども、増加傾向にあることは間違いございません。増加しております。

寺田(学)委員 数年前ですか、私も質疑者として立ちましたが、迷惑メール防止のいわゆる現行法というものがあると思います。これが本当にどの程度機能していたのかということは、ひとえに迷惑メール数がどのような推移を来したかということが非常に重要だと思うんです。

 そもそもこの現行法、今回改正をというような意図でありますが、現行法自体、本当に機能したのかというところは検証しなければならないと思うんですけれども、総務省としてどのような評価を持たれているでしょうか。

寺崎政府参考人 迷惑メールにつきましては、平成十四年の特定電子メール法の制定や平成十七年の法改正によりまして、我が国から送信される迷惑メールの全体の量に関し、国際的な迷惑メール発信国順位が低下しております。具体的には、二〇〇五年の四月から十月期で九位だったわけですね。これが、二〇〇七年の十月から十二月期には三十一位に低下しているということでございます。

 それから、特定電子メール法違反として申告された件数の増加に歯どめがかかっているといったようなことで、一定の成果が上がったものと考えております。

寺田(学)委員 現行法を含めて、改正法もですが、この法律の意図というのはどこにあるのかということを改めて確認したいんですけれども、国内から発信する数を減らすためにこの法律があるのか、一言で言えば、国内にいるPCユーザーの方々の受信する迷惑メール数を減らしたり、サーバーの負担というものを軽減するためにあるのか、どのような目的のためにあるんでしょうか。

寺崎政府参考人 やはり迷惑メールということですので、受信者の負担軽減ということと、先生冒頭おっしゃいましたように、通数が多くなりますと、サーバーの増設だとか、ネットワーク側でも当然対応が必要になりますので、そういった全体的な軽減ですね。それから、冒頭申し上げましたように、いろいろなところでシステムを入れていますけれども、損失額が非常に大きいということなので、そういう全体の観点からそういったものを削減していくことが必要だと考えております。

寺田(学)委員 そのような目的のもと、現行法ではどのような成果を上げられたと御評価されているんでしょうか。

寺崎政府参考人 先ほど申しましたけれども、我が国から発信される迷惑メールにつきましては、国際的な迷惑メール発信国順位が大幅に低下している、九位から三十一位に低下しているといったようなことでございまして、そういったようなことがございますので、一定の成果はあったのではないかというふうに思っております。

寺田(学)委員 いや、そこがおかしいと思うんですが、どのような目的のためにこの法律があるんですかと言ったら、それは、国内にいらっしゃる方の迷惑メール数を減らしたいんだ、国内のサーバーとかの方々の経済的な負担を減らしたいんだという話をされて、ではどういう成果が上がったんですかというお話をすると、国内発の迷惑メールが減っているんですと。冒頭答弁されたとおり、迷惑メール数は伸びているわけです。ですので、この法律が目的としたところに対しては余り成果が上がっていないんじゃないかという指摘もあると思うんですね。

 ですので、この法律の目的、御答弁されたとおり、国内のユーザーの迷惑メール数を減らしたいという目的と成果、その成果が、国内発がどうこうというのは、それは出の部分ですから、受ける部分が減ることにどれだけ寄与したのかということはどのようにお考えになられているんでしょうかということです。

寺崎政府参考人 先ほど申し上げましたように、迷惑メール全体は増加傾向にあるということで、現行法で対応はしているところではございますけれども、やはりオプトアウト規制だとか、そういったような規制のあり方、国際的な動向等から見ましても、受信から見たときに、決して、全体的に減っているというところまで言えないところがございます。

 そういった意味では、今の体系とかそういったところについては総合的な見直しが必要だというふうに思っております。現行のオプトアウト方式につきましては、一応の成果はあるものの、いろいろ課題があるというような、そんな状況かと思います。

寺田(学)委員 成果があったということを何を根拠にお話しされているのか、そこら辺を具体的にお話しいただけないと、現行法の総括というのはなかなかできないのではないかなというふうに思います。

 二〇〇五年ですか二〇〇四年ですか、現行法の質疑をしているときに、たしか共産党さんの方だったと思いますけれども、オプトイン、今回の改正法に含まれているような発想、オプトインのやり方というのはどうなんですかということをたしか質疑をされ、要求をされているんですが、そのとき、当時の大臣、麻生大臣ですが、オプトインはいい、まずは取り締まりをやるというのが大事なんですよということを御答弁されておりました。

 お伺いしたいんですが、この現行法に基づいて直罰規定を設けられたと思うんですけれども、取り締まりというのは何件ぐらい行われたんでしょうか。

寺崎政府参考人 迷惑メール対策につきましては、平成十四年の特定電子メール法の制定や平成十七年の法改正によりまして一定の成果みたいなものが出てはおりますけれども、最近の迷惑メールの送信手法はかなり、表示の隠ぺい、偽装などによる巧妙化、悪質化が進んでおりまして、また海外発の迷惑メールが急増しているなどの問題も生じていることから、これらの問題を解決する観点から、いろいろ考えなくちゃいけないかと思います。

 それから、今先生御指摘の点で、これまでの総務大臣による措置命令の実績は計五件でございます。

 また、平成十七年法改正によりまして、送信者情報を偽った電子メールの送信が禁止されまして、これについて直罰規定が設けられましたけれども、この規定の違反として警察が摘発したのは計四件でございます。

寺田(学)委員 当時の麻生大臣が、取り締まりが大事なんですよ、オプトインなんということよりも取り締まりなんだと言った結果が措置五件、取り締まり四件ということなんですが、それこそ、これは実績が上がっている、取り締まりはしっかり行われたというような御評価ができるんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

寺崎政府参考人 措置命令を発出する場合には違法な送信を行った者を特定して行う必要がありますけれども、最近の迷惑メールの送信手法は巧妙化、悪質化が進んでおりまして、表示の隠ぺい、偽装その他によりまして、違法な送信を行った者を特定することが難しくなってきていることもありまして、措置命令を行うことが困難になってきております。

 また、最近は、先ほども申し上げましたけれども、海外発迷惑メールが多くなっておりますが、送信者が国外に所在する場合には、送信委託者が国内にいる場合でも、執行の管轄の関係から、現行法では措置命令を行うことができない状況でございます。

 そういったような状況もありまして、いろいろ今後また、今回の法改正でこうした点を改善するための案を提出させていただいております。

寺田(学)委員 前回の法律の審議のときに、特定が困難になるとか、そもそも摘発というものは難しいということは予想できなかったんでしょうか。いかがですか。

寺崎政府参考人 最近の状況ですが、ボットネットとか成り済まし、そういったような新手のものが出てきておりまして、当時想定し得ないようなものが大きく広がっているということが事実でございます。

寺田(学)委員 十年前に審議しているのならまだしも、数年前に審議している段階において、そのときも非常に多くの迷惑メールがあって、特定が困難であったり、実際に警察が摘発するまでに、それはマンパワー的な問題なのかどうかいろいろあるでしょうけれども、非常に難しいということは指摘をされていたんだと思います。

 それでも摘発をするということが大事であって、オプトインというものは要らないと言われていたのを、今回改正法であっさり出してきたというのは、さまざま総括をして十分な理由というものが私は必要だろうと思っています。

 そのオプトインに関してですが、当時、いわゆる現行法の審議のときには、オプトインはいかがですかという指摘に対して、いや、それは営業の自由に大きな制約をもたらすということで、総務省としては難色を示されたというか採用はしないということを、たかだか数年前にお話しされております。

 この営業活動に大きな制約をもたらすということは、今回の法律を改正するに当たってクリアできたんでしょうか。いかがですか。

寺崎政府参考人 御指摘のとおり、前回の特定電子メール法の改正に際しましては、営業の自由に大きな制約をもたらすことや、当時は諸外国におきましてもオプトイン方式の導入が開始されたばかりでありまして、オプトイン方式の有効性についてもう少し経緯を見ないとわからないというようなこともありまして、オプトイン方式の導入につきましては継続的に検討していく必要があるというふうにしていたところでございます。また、オプトアウトからオプトインに変えるということは、規制強化という側面もありまして、慎重に検討してきたという状況でございます。

 しかしながら、現行の規制方式でありますオプトアウト方式では、受信拒否の通知として電子メールアドレスを通知することが必要であるため、悪質な送信者に通知を行うとかえって迷惑メールを招いてしまうという問題が顕在化してきております。また、正当な営業活動で広告宣伝メールの送信を行う場合には、実際にはオプトインという方式による運用が大勢となってきている、こういった状況がございます。

 モバイル・コンテンツ・フォーラムという民間の機関がございますけれども、昨年九月に行ったアンケート調査では、約九割の事業者が現状で何らかの形で事前の同意をとった上で広告宣伝メールの送信を行っているとの結果もございました。

 それから、海外発の迷惑メールが増加しておりまして、国際連携の強化が必要であります。主要国ではオプトイン方式を採用している国が大勢となっておりまして、制度的な国際的整合性を確保する必要があるなどの状況にあることから、今回オプトアウト方式を見直し、オプトイン方式を導入することが必要であるというふうに考えたわけでございます。

寺田(学)委員 もう少し絞って御答弁いただきたいんですが、総務省みずから数年前に営業活動の自由というものを大きく侵害するかもしれないということでオプトインの導入を見送っていたわけですから、その御懸念の点、営業活動を侵害するのではないかということは、どのようなことによって今回クリアされると考えられているのか。そして、そのいろいろな工夫というものは二〇〇五年の段階では考えられなかったのか、どのようなものの変化が総務省の中に数年間で起きたのか。

 この営業活動の自由を侵害するしないということに関してだけ御答弁いただけたらと思います。

寺崎政府参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、実際の営業活動におきまして広告宣伝メールの送信を行う場合には、現行の運用面でオプトイン方式の運用が大勢となっているといったようなことで、これは、通常、同意していない電子メールは受け取りたくないという受信者側の意識や、広告宣伝効果等を考慮して事業者自体もそういう送信を行ってきているといったような観点でございます。

 実態面、それから、実際にそういう営業活動に支障があるという点とのトレードオフで考えたときに、外国の状況だとか実際の広告宣伝メールの送信の仕方等、そういったような点から見ますと、基本的にオプトインに移していったとしても支障はないし、かつまた、オプトインにしたとしても、実際、悪いことをする人はそういうことにかかわりなくやることがあるので、そういった点を抑えるという意味でも規制としてのオプトインにした方がよろしいのではなかろうか、こういう考え方でございます。

寺田(学)委員 トレードオフとかという話もありましたが、端的にお伺いするんですけれども、今回のオプトインをやるということは、総務省として営業の自由に大きな制約をもたらすという認識を持っているんですか。いかがですか。

寺崎政府参考人 時代の経過とともに、そういったような環境条件から見て、現状ではオプトイン方式の導入自体が事業者の正当な営業活動に支障となるものではないというふうに見ております。

寺田(学)委員 大臣、現行法の総括ということで御答弁いただきたいんですが、正直、数年の間に、IT業界ですから、ドッグイヤーと言われるように目まぐるしくいろいろなものが変わるんでしょうけれども、この迷惑メールに関しては、私の知り得る限りにおいてはそんなに大きな変化というものはありませんでした。コンスタントにずっと迷惑メールというものが、それは海外発なのか国内発なのかは受ける側にとってみると全く関係ない話ですから、ずっとありました。

 オプトアウト、オプトインの議論に関しても、数年前はそのような営業活動の自由どうこうということで見送っていた、そして取り締まりを強化するのが本筋なんだということを言いつつ、今御答弁を伺う範囲においては、余り具体的な理由がなくそういう考え方を改めているという感じになっております。

 現行法の総括という意味も含めて大臣に御答弁いただきたいと思います。

増田国務大臣 現行法について言いますと、三年前にいろいろ今委員から御指摘いただいたような議論もあったやに私も聞いておりますけれども、いずれにしても、十分な取り締まりが行われたわけでもございませんし、やはり限界があったのではないかと私は見ております。

 諸外国がオプトイン方式を施行しておりまして、そして、やはりこういったものに対して、特に海外発信が非常に今中国からの発信が多くなってきているわけですが、国際的な理解も、こういうオプトイン方式で対応するんだということで、それが一種の相場にもなっているところでもございます。

 やはり、今回さまざまな規制等も強化しておりますが、現実に今、冒頭委員からお話ございましたとおり毎日毎日必要なメールを取捨選択することすら非常に困難になっている中にあって、私は、現行法の限界というものを十分に認識しながら、今回の新しい方式を取り入れて有効な施策につなげていくということが必要ではないか、こういうふうに思っているところであります。

寺田(学)委員 それでは、現行法の総括は一段落をさせて、今の改正法でまさしくオプトインという形になりますので、その営業活動というもの、そしてまた新しい制度によって今までやっていらっしゃる方々の不自由というものができるだけないようにということで、具体的にいろいろ質問させていただきたいと思います。

 まず、オプトインですから同意をとらなきゃいけないんですが、同意をしてくださいということで電子メールを送ることは可能なんでしょうか。いかがですか。

寺崎政府参考人 同意の取得のために送信する電子メールであっても、広告宣伝メールを送信するための手段として同意を取得するために送信される電子メールは、特定電子メールに該当するものと考えます。

 このため、改正後の特定電子メール法第三条第一項の規定によりまして、広告宣伝メールを送信するための手段として同意を取得するために送信される電子メールの送信が認められるのは、受信者から電子メールアドレスの通知を受けている場合等に限られるということでございます。

寺田(学)委員 法律が改正されたので同意してくれということを目的として広告宣伝メールを送るのはだめだと。そもそも同意してくれというだけのメールも改正後はだめだということになるんですが、今、同意なくそういうメールを送って、いろいろなコミュニケーションというものをとっている業者さんも多いと思うんです。今同意なく電子メールを送っている方々は、改正後、同意をとらなきゃいけないわけですが、これは改正されたとしてですけれども、これをウオッチしている方々にとっては、いつまでに同意をとらなきゃいけないのかなという話にもなると思うんですね。これはどういうふうにしたらよろしいんでしょうか。

寺崎政府参考人 現在、正当な営業活動におきまして広告宣伝メールの送信を行う場合には、オプトイン方式による運用が大勢となっております。

 先ほど申し上げましたけれども、モバイル・コンテンツ・フォーラムが昨年九月に行ったアンケート調査によりますと、約九割の事業者が何らかの形で事前の同意をとった上で広告宣伝メールの送信を行っているとの結果でございました。

 また、残りの一割に関しましては、取引関係にある相手方に送信をする場合、名刺交換等で電子メールアドレスの通知を受けている者に対しまして送信をする場合だとか、あと法人のウエブサイトで公表されているメールアドレスに対して送信をする場合でございます。これらの場合は、改正後の特定電子メール法第三条により、引き続き、同意がなくても広告宣伝メールの送信をすることを可能としております。

 ですから、基本的には正常なメールにつきましてはほぼ一〇〇%そのまま継続できるということです。

 一方、これ以外の電子メールにつきましては、電子メールアドレスリストの例えば横流しとかそういったようなものを受けまして無差別に送信しているなどの悪質な送信の場合におきましては、こういったようなものにつきましては新たな迷惑メールの温床となりかねないため、メールで同意確認をすることは認められておりませんで、新たに同意を得る必要があると考えております。

寺田(学)委員 今回この審議をしていくんですが、具体的な項目に関しては政省令で定めるところによりということになっています。この政省令がどのようなものになるかということと、この政省令がいつできるのかということが、正直、営業活動をされている方にとっては注目している部分でもあるでしょうし、それの期日が決まればそれまでに同意を今お話ししたとおり取りつけなきゃいけない方々もいるわけですから、まずそもそも政省令というのは、もしこの法案が成立したとすれば、いつぐらいまでにでき上がるんでしょうか。

寺崎政府参考人 法律の第三条の詳細を定める総務省令につきましては、今国会の審議で御指摘いただいた事項を踏まえまして、改正法の成立後速やかに案を公表しまして、行政手続法の規定に沿って意見募集をし、その上で、意見募集の結果も踏まえて改正法の施行日までになるべく早期に制定することとしたいと考えております。

 なお、施行日は、この法律の公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日となっておりますので、政省令のことにつきましては、行政手続法上のオープンな手続の期間を踏まえまして、なるべく早くセットしていきたいと思っております。

寺田(学)委員 なるべく早くとかではなくて、そもそも、これは施行された段階で、営業活動をしている方にとって、これから営業活動を初めて始める方もいるわけですから、大変なことになると思うんです。

 政省令というものは、法律が通った後何カ月ぐらいでできて、六カ月等々というのがいろいろありましたけれども、法律が通った何カ月後ぐらいからこのいわゆる規制というものが始まるのか、その二つの区切り、めどというものをぜひとも御答弁ください。

寺崎政府参考人 当然、関係者への法律が公布、施行されます周知広報だとかそういったような活動もありますけれども、なお、省令を決める場合、パブリックコメントとかそういったことで一カ月間意見募集を行わなくちゃいけないとか、そういう期限が想定されます。例えば、公布をされましてから六月を超えない範囲内において政令で定める日が法律の施行日になりますので、それまでの間に、そういう手続をきちっと踏んだ形でなるべく早く決めていきたいと思っております。

寺田(学)委員 いや、だから、政省令の具体的なものが見えてから初めて、具体的に営業活動を始める方も、自分はこれに該当するとかしないとかいろいろ準備するわけですよ。ですので、法律ができたのであれば、それは衆参通ってからでしょうけれども、それから何カ月後ぐらいまでにはパブコメ等も含めて政省令の具体例をフィックスするんだというお考えなのか。結局、六カ月の間ですから、その間にそれはどのタイミングで入ってくるのか、御答弁ください。

寺崎政府参考人 法律が公布されてから直ちに、一、二カ月のうちに、行政手続法の規定に基づきまして省令の中身をオープンにして、逆に言うと、利用者から、そういったような関係の方々からも中身が見えるようにして意見を求めて、あと、その手続にのっとった月数で具体的にまとめていきたいと思っております。

寺田(学)委員 パブコメをとられるという話ですが、本当にこれは営業活動の自由というものを侵害しないようにするのであれば、本当に広く広報をして、制度が変わりますよということを告知していかなきゃいけないと思うんですが、これは通告にありませんけれども、それはどのような形で本当に公告にちゃんと努めていくのか、総務省として今どのようなお考えを持っていますか。ちゃんと広報できるんでしょうか。

寺崎政府参考人 パブリックコメントを求めるとき、私ども、ホームページに掲載することにしておりますし、また、この関係の業界、プロバイダーの協会だとかそういったようなところもございますので、そういったような協会にもきちんと説明いたしますし、それから、私ども、地方にも事務所がございますので、そういったところを通じまして関係の方々に周知広報を怠りなくやっていきたいと思っております。

寺田(学)委員 それでは、法の三条の中の各項において、総務省令で定めるところにより云々というのがあるんですが、その中で、同意を取りつけたとか、さまざまそういうことが必要になってくるんですけれども、これは、同意を取りつけたんですよということを立証する責任というのは、業者側にあるのか、それとも、おまえ、それを保存していないだろうとか、同意をとっていないだろうということを指摘する側にあるのか。業者さんとしてはどのような形で私たちは同意を受けているんだということを、責任の度合いと、そこら辺の責任のポイントというのはどこら辺にあるのか、どのようにお考えでしょうか。

寺崎政府参考人 同意を取りつけるという御指摘ですけれども、この特定電子メール法は立証責任を定める民事法ではございませんので、立証責任が送信側とか受信側のどちらか一方ということではなくて、行政処分をする上での行政法ということになりますので、そういったようなところで、トラブルがあった場合につきまして、私ども、実態をよく調べて総合的に判断していくということになろうかと思います。

寺田(学)委員 それでは、営業をする方々にとってみれば、保管の義務とか立証の責任があるというわけではないですね。

寺崎政府参考人 いろいろなトラブルがあった場合、総務省の権限としては、受信者側からお知らせをいただく、それから調査ということがありますけれども、送信者側に対しましては、報告を求めるということと立入検査みたいなものがございますので、状況に応じてそういった点を講じながら、中身を把握して取り組んでいきたいと思っています。

寺田(学)委員 いや、質問は、業者側としては保存とか立証の責任があるかないか、そういうことですから、それはないんですね。

寺崎政府参考人 同意を得たことに関しまして、そのことを証する記録を保存していかなきゃいけないということになりますので、その保存ということについては、送信側に対して義務づけがされております。

寺田(学)委員 では、何万通とか送る場合に関しても、同意を得たということの何かしらのものを業者側はずっと保存していなければならないということなんでしょうか。非常に大きな作業になると思うんですけれども、本当にそれでよろしいですか。

寺崎政府参考人 送信者側の保存につきましては、法施行をこれからするわけですけれども、確かに同意をとったあかしという意味におきましては、総務省令で決めるところのものを保存していただくわけです。基本的には、私どもとしては、ウエブのフォーマット、そういったものにつきまして顧客側とやった、そういったものを一応保存しておいていただく。それから、送ったリストはリストとして当然お持ちになっていると思いますので、そういったものを保存していただくということを考えております。

寺田(学)委員 今までもちゃんと同意をいただいている方はいると思うんです。さまざまなネットショッピングのサイトで、送っていいですかということで同意というところでクリックをするという作業はオーソドックスな形であると思うんですが、メールのコレポンでやっている方々も多いと思うんですね。それは、今までずっとそういうふうにオプトインの形を規制される前からやっていましたという方々も含めて、一生懸命これから今までの同意を受けた分を捜さなきゃいけないということになるんでしょうか。いかがなんですか。

寺崎政府参考人 同意の保存に関しましては、現行法ではそういう記述がありませんので、逆に言いますと、法令が施行された後同意をとったことに関しましては、例えば、先ほど申し上げましたウエブのフォーマットだとか、そういったものは保存していただきますけれども、今、現時点で行っている方々に関しましては、附則でもってそういったものの保存義務というものはございませんので、新たに保存するとか、そういうことは必要ありません。

寺田(学)委員 では、法律施行後も、いや、これは以前にとっていたんだよ、以前にオプトインの了承をとったから保存の義務はないでしょうということになるのではないでしょうか。そういうのはいいんでしょうか。

寺崎政府参考人 通常、迷惑メールは多数の受信者にあてて大量に送信されるため、多数の受信者から同意をしたことがないとの申告が寄せられる場合や、同意をしているはずのない迷惑メール相談センターのモニター機が受信する場合があり、これらの場合には同意なしに送信したものと総合的に判断できるものと考えています。

 そうしたことがない場合でも、送信者等が同意を取得しているかどうかにつきまして、受信者からの申告を調査するとともに、送信者等に報告徴収や立入検査を行うことにより明らかにすることが可能であろうかと思います。

 こういったような方法によりまして、同意の記録が保存されていなくとも、私どもの行政事務としては行っていくことが可能であると考えております。

寺田(学)委員 実際に迷惑メールを受けられているかどうかわかりませんけれども、私も、一つのアカウントですが、「info」なんというわかりやすいものをつけているものに関しては、一日二百何十件ぐらいは来ます。そんなもの、一々これは違反だ違反だなんといって上げている暇があったら仕事をしたいので、削除をして、何の音さたもないと思います。これから迷惑メールの量がふえればふえるほど、これは違反ですということで上げる方というのは非常に少なくなると思うんですね。

 そういう意味において、果たして今御答弁された部分が素直に反映されて、目的とされるところが実現するのかどうかというのは、私は難しいのではないかなというふうに思います。また再度、三、四年前に審議したのを今総括しているのと一緒で、いや、あの当時は予測できなかったとか、そういう形で終わってしまうんじゃないかなと。やみくもに営業活動に対して抑制的な効果を生んでしまって、まともに営業活動としてメールを使おうという方々に対しても御迷惑がかかるんじゃないかなという危険性を私は懸念しております。

 そもそも、迷惑メールを送る方々は迷惑な人たちなので、およそ法令を遵守するような高邁な思想なんというのは持たれずに、とりあえず、えいやという形で海外サーバーから送られている。これから海外との連携をして取り締まっていこうという話なんですが、そのような取り締まりを行うぐらい、いろいろな意味で法が整備されている国であればいいんですけれども、全くそういうものが整備されていないところに、おおよそこれからこういう迷惑メールを送るような悪質な業者は逃げていくんだと思います。そこに対して、ではどのように取り締まりを行っていくのか。

 単純に、前回の法律の効果でもそうでしたが、国内からの発信は少なくなりました、ただ、では総数はどうですかといったら、ふえましたと。今回も、オプトインの形で、真っ当にやっている方々はそのままやっているのでという御答弁でしたが、真っ当にやっていない方々が、それは、今やっている海外のところからより規制の緩いところにただ移って、はいおしまいということになって、結局のところ迷惑メールが減少しないということになると思うんです。

 これから海外を移転していくと思うんですが、どのような形でいわゆる迷惑メールを送信するような業者を取り締まっていくのか、そういう方々を追い詰めていくのか、そこら辺の考え方を御答弁いただけたらと思います。

寺崎政府参考人 先ほどの委員の御指摘で、外国発の迷惑メールが非常に多いという観点からのお話を申し上げますと、外国発の迷惑メールにつきましては、どういうわけか、外国から来ているんですけれども日本語のものが非常に多いといったような傾向がございます。そういったことを考えますと、日本国内に所在する人が外国の送信者に委託して日本国内に特定電子メールを送信しているものもあるというふうに考えられます。迷惑メールの場合、外国から来ますとほとんど英語だとか中国語であるはずなんですけれども、日本語が非常に多いということでございます。

 今回の改正によりまして、このような送信を委託した人、送信委託者も新しく違反と位置づけまして、措置命令の対象となります。そういったような観点で、今回の改正案では、海外から国内に対し送信される電子メールにつきまして、特定電子メール法が送信委託者という概念ということで適用されることによりまして、国内でそういったものが抑えられるということになります。

 また一方、海外から国内に対して送信される電子メールにつきまして、特定電子メール法が適用されることが条文上明確化しておりまして、迷惑メール対策を行う外国執行当局と協議の上、その職務の遂行に資する情報を提供いたしまして、迷惑メールの発信国においてしかるべき措置を講じられるよう、両国間で連携しながら取り組めるような措置も盛り込んでいるところでございます。

寺田(学)委員 海外と協力するといっても、およそ協力関係にないような国に逃げ込むわけですから、そういうことは絵にかいたもちだと思います。

 それで、海外から送られてくるメールであっても、日本語のメールであるということは日本人が関与している、国内の人間が海外の業者に頼んでいる場合があるから、その国内の人間をとっ捕まえればそれはいいんだというお話ですが、ここ三年の実績でも摘発が四件ですよ。そんなもので、では本当に海外から送らせている日本国内にいる日本人を摘発できるかといったら、およそ期待できないと思うんですが、摘発件数というものは、この数年間の四件よりはこれからは飛躍的に伸びていくという方向性なんでしょうか。いかがですか。

寺崎政府参考人 今後、新しいスキームによりまして具体的な追い込みが可能になろうかと思いますので、警察庁さんだとかそういったところと連携してしっかり取り組んでいきたいと思っております。

寺田(学)委員 前の大臣が言われていましたけれども、取り締まりを強化していくんだということで四件程度だったんですが、これは確実にふえていきますよね。いかがですか。

寺崎政府参考人 そのように取り組んでいきたいと思います。

寺田(学)委員 迷惑メールを減らしていこうということは、モグラたたきのようにもなりますし、その出どころがそれこそ複雑、そしてどこにいるかわからないということもあって、難しい問題だとは思います。ですので、こういう法律ができたことによって多少の抑止効果はあるのかもしれないけれども、あっさりと、手をかえ品をかえ、さまざまな形で悪質な業者は逃げていくんだと思いますので、そこら辺、本当に根気よくやっていかなきゃいけないとは思うんです。

 悪質な電子メールを取り締まっていこうという法律は、総務省のこの法案のほかに、経済産業省で管轄している特定商取引法の中にもあります。それは対象範囲はまずいろいろあるんでしょうけれども、確実に重なり合っているケースも多いと思うんですが、同じ迷惑メールを撲滅しよう、そういうのを排除していこうというのを、総務省と経産省が違う省として同じものに対して取り組んでいる。それぞれの財団法人を持って、その財団法人、社団法人が取り締まりを行っている。これはちょっと行政の重複じゃないかな、こんなものは一本にして、そこに資源を集中投下して、それこそ根気よくやらなきゃいけないことですから、資源集中するべきだと思うんです。

 縦割り行政の中で、違う法律が一本ずつできて、同じ対象者のために違う財団をつくって頑張っているというのは私はどうかなと思うんですが、まずは局長、いかがですか。

寺崎政府参考人 私どもが提案させていただいている特定電子メール法は、電子メールの送受信上の支障の防止の観点から、一般的な広告宣伝のための手段としての迷惑メールの送信の規制を設けております。

 一方、経済産業省さんの特定商取引法は、商取引の公正の確保等の観点から、販売などの取引につながる際の広告というものに主眼を置いて、販売業者等による広告のメールにつきまして規制を設けております。

 このように、二つの法律は、異なる目的、異なる観点から構成されておりまして、今回の改正におきましても基本的に従前の整理の方向性を変えるものではございません。

 こういったような二つの法律の整理を前提とした上で、広告宣伝メールの規制につきましては、相互に補完する部分があるものと考えております。したがいまして、私どもとしましては、引き続き経済産業省と連携しつつ、双方の法律をうまく絡め合わせて、迷惑メール規制がより実効性のあるものになるように取り組んでいくことが必要かと思っております。

寺田(学)委員 違う聞き方でお伺いしますが、経済産業省の特定商取引法の中で規制しているメールでの商品販売等、そういうたぐいのメールを、総務省として、この特定電子メール法、改正された上でですけれども、取り締まることはできるでしょうか、できないでしょうか。

寺崎政府参考人 個別の事案に照らして判断ということになろうと思うんですけれども、基本的には、経済産業省さんの考え方は、例えば、例で言うとトヨタのプリウスに関する商品のメールということですが、私どもの関係は、全体のトヨタとかそういう大ざっぱな関係なので、範囲がやや異なるということもあるわけでございます。基本的には、広告といったような観点、こちらはメールの送信というような観点ということで、重なる部分もありますけれども、全体としてカバーしているということで、事案によりまして両方の法律が適用される場合とそうでない場合が出てくるということかと思います。

寺田(学)委員 どういう目的で規制をしているかどうかは別として、経済産業省さんで取り締まっている、具体名を出されましたけれどもトヨタのプリウスなのかどうかはまずいいとして、それを総務省の法律で規制することは可能ですよね。可能なんですよ。大は小を兼ねているんです。だとしたら、これは一本でいいじゃないですか。財団法人日本データ通信協会というのは総務省、財団法人日本産業協会というのは経済産業省、同じ仕事を一部重複してやっているということですので、大臣、これは一本化した方がいいんじゃないでしょうか。大臣、どう思われますか。

寺崎政府参考人 今回の改正では、分業化が進む最近のビジネスの実態を踏まえた上で、法の実効性を強化するために、特定電子メール法では送信委託者、それから特定商取引法では電子メール広告受託事業者、それぞれの法の観点から新たに規律をすることとしております。送信者側と送信委託者側のそれぞれで分業化が進んだ実態からすれば、二つの法律が相互に補完しながら実効ある迷惑メール規制を実現することが可能となるものと考えております。

 私どもとしては、経済産業省と密接に連携しまして、迷惑メール規制がより実効性のあるものになるように取り組んでいきたいと思っております。

寺田(学)委員 密接な連携ができるかどうかはまず別として、一般のユーザーからしてみれば、これは経産省にかかわる、まさしく日本産業協会に通告しなきゃいけないな、いや、これは日本データ通信協会の方にお話しした方がいいかなというふうに考えるわけないんですよ。迷惑メールというのは迷惑メールということで全部受けて、それでそこに資源投資してやればいいわけですよ。

 別に、特定商取引法のメールの規制がなくなったことによって、政府全体として規制する範囲が狭まるわけではないですね。それはそうだと思うんです。そうですよね。だとしたら、一本でいいじゃないですか。やる関係団体も一個でいいはずなんです。こんなものは縦割りの象徴だと思うんですよ。

 大臣、これは検討の余地があると思うんですが、いかがですか。

増田国務大臣 両方の規制している内容というか範囲が重なっている部分と重なっていない部分とがあって、それで特定商取引法の場合には、誇大広告ですとか顧客の意に反して契約の申し込みをさせようとする行為の禁止とか電話勧誘販売とか、そういったことも含んでいるわけですね。ですから、もし仮に一本にするとすると、その法目的を非常に広くとらえなくてはいけなくなるわけで、そうすると、省庁の設置法まで含めて、そこをぐっと拡大しなければならない、大変大ごとになる。

 逆に、重なっているところは当然あるわけですから、私は、現実にメールでいろいろ被害を受けておられる方は、基本的にはメールということで我々の方に、いろいろ相談センターの方に苦情を申し立てられたりするんだろうと思うんですが、別途経産省の方でいろいろな規制をしていく中で、それが向こう側は電子メール広告受託事業者というんでしょうか、そのものが入っているのであれば、そちらの方からこちらの方に連絡をいただいたり、あるいは、そちらはそちらサイドで先に端緒がつかめたときに取り締まりをするということもあってもいいのではないかと思います。

 いずれにしても、申し上げることは、法目的がそれぞれ違って、いずれも社会に害を与えているので広く規制をかける必要があると思うんですが、委員が御心配の、縦割りで、何かそれぞれのところが別で全く連絡なしに動いている、あるいは一方の情報が他方に全く送られなくて、ユーザーである国民がまごついたり迷惑するということだけはあってはならない、それはそのとおりでございますので、その点はないように我々が努力しなければいけないというふうに思っております。

寺田(学)委員 時間が終わりましたので、これでやめたいと思いますが、総務省の法律だけで十分なんです。経産省の法律だけで取り締まることができることはなくて、大は小を兼ねて、大の方が総務省の方なんです。これ一本でいいと思います。そういう意味で、無駄な税金が使われている可能性が多分にありますので、これは是正すべきところだと思います。

 それと、総務省令ができると思うんですが、営業をされている方が誤解をしないように、本当に丁寧に具体的に明らかにしていただきたいということを御要請したいと思います。

 以上です。

今井委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 法案に入る前に、一点、地デジ関連で確認をさせていただきます。

 最近の報道で、アナログの停波について二〇一一年に行う、その際に、一部地域については先行してアナログの停波を行うことはしないという趣旨の報道があったと承知をしております。

 昨年の情報通信審議会の地デジの四次中間答申の中にも、一部地域について先行してアナログ停波を実施する必要があるのではないかという提言があったかと思うんですが、一部地域において前倒しでアナログの停波を行わないという趣旨の報道内容というのは事実でしょうか。

小笠原政府参考人 先生ただいま御指摘になりました、アナログ放送の停波を具体的にどのような方法で行うかということにつきましては、情報通信審議会でも検討課題の一つとされております。

 ただいま、放送事業者、NHK、民放事業者の方々とも、まず放送事業者側としてどのような案が考えられるか検討中でございます。近々、まず、情報通信審議会に放送事業者としての考え方も含めてそれをお話しし、その上で、審議会として、いわゆる視聴者側あるいは地方公共団体の方々等の御意見も踏まえまして、今年夏までに具体的な方法、案を考えて御提案をいただくべく検討しておるところでございます。

塩川委員 私どもはもともと、アナログの停波そのものを延期すべきではないかと申し上げているわけです。

 その関連で、今回電波法の審議を行いましたが、辺地共聴、自主共聴に対する、地デジ移行に伴う財政支援スキームがつくられることになります。それ自身は私どもも賛成であります。その中で、視聴者の負担分を一世帯当たり三万五千円としているわけですけれども、その三万五千円となっている根拠は何なのか、この点について確認をさせてください。

小笠原政府参考人 地上デジタル放送をごらんいただくための受信アンテナあるいはその設置工事の費用につきましては、受信者に御負担いただくことを原則としております。

 一般に、地上デジタル放送の電波が良好に届く地域の戸建て住宅の場合ですと、通常の工事を行う場合、これらの費用、つまり、アンテナ及びその設置工事の費用については三万五千円程度が必要となるものと承知しております。

 御指摘の、辺地共聴施設整備事業のうち、いわゆる有線共聴施設の整備におきましては、こうした一般の戸建て住宅の方々との費用負担の公平性に配慮いたしまして、これと同等の三万五千円を負担いただくことを前提に、今年度、平成二十年度予算において、事業費の二分の一を国が補助することを基本とした措置を盛り込んでいるものでございます。

 いずれにしましても、二〇一一年の完全デジタル化に向け、我々としては万全の対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。

塩川委員 アンテナあるいはアンテナの取りつけの工事で三万五千円、戸建てを想定してということですけれども、当然、それに加えて、地デジ対応のテレビあるいは地デジのチューナーも必要になってくる。三万五千円プラスアルファの支出になるわけです。

 そもそも、今のアナログのテレビで満足をしている方もいるわけで、地デジ移行に伴い、国民・視聴者に一世帯当たり三万五千円もの負担を強いるものとなるわけで、この三万五千円もの負担を強いるということについて政府としてどのように説明をするお考えなのか、その点についてお聞かせください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御説明申し上げましたように、基本的に、受信に必要となる設備への負担、今先生もお話しになりました受信機、いわゆるテレビそのものの費用及びそれを受信するためのアンテナ等の費用につきましては、受信者の方々御自身が負担していただくことを原則として考えております。これは現在のアナログ放送でも同じというふうに考えております。

 したがいまして、私どもが支援措置を考えるという点でも、まずは、それを前提にさまざまな支援措置を検討していただくということになりますので、その点については御理解賜りたいと思います。

塩川委員 アナログ放送のテレビを見ている、つまり、テレビを見ているという点においては、視聴者にしてみれば、アナログだろうと地デジだろうと変わりはない。地デジについてのメリットよりも、現行のアナログでの現在のテレビでいいという人は現にいるわけですから、今のテレビでいいという人に対して、アナログ波を停止します、地デジに切りかえてください、その際に三万五千円以上かかりますよといったことについて、どう納得してもらえる説明をされるわけですか。

小笠原政府参考人 まず、デジタル放送につきましては、先生もよく御承知のように、大画面、高音質、さらにはさまざまなデータ放送を通じまして公共的な情報も提供される、あるいはデジタル放送の別な面で多チャンネルの放送も行われる可能性がある、あるいは携帯受信、つまりワンセグ放送でございますが、そういったことについても国民の利便性を大いに高めるものと考えております。

 またさらに、私ども、通信・放送全体から申しますと、地上デジタル放送で完全デジタル化を実施することによりまして、今大変逼迫しております携帯電話への周波数の再配分、あるいはITS等も含め、大きく言えば、放送から通信への電波の再配分が行われる、これは経済的にも国民生活的にも大きなメリットを及ぼすことになると考えております。

 そういった観点から、地上放送のデジタル化を進めているわけでございまして、その点について、受信者の方々も含めて国民の方の御理解をいただきたいと考えておるところでございます。

塩川委員 白黒からカラーになる際でも白黒は白黒でずっと見続けられる。白黒からカラーになるという話とは違って、今回の場合は、アナログのテレビにおいては、地デジ移行でアナログ停波に伴えば見られなくなるわけですから。そういう点で、今お話しのように、大画面だとか高音質だとか多数の情報提供がされるという点についてメリットを感じないような人にとってみれば、三万五千円払わされるというのは納得がいかないという話になるわけです。

 そういう点でも、今お話しになったように、周波数の再配分を行うということがこの趣旨、目的の大きな理由であるわけですから、その周波数の再配分によって利益を受ける事業者が必要な負担を行うということが本来必要なんじゃないでしょうか。視聴者、受信者に負担を押しつけるのではなくて、この制度をつくり、また責務もある国と放送事業者、及び地デジ移行に伴って利益を受ける事業者がこの費用を負担する、こういう考え方でこそ対策をとるべきじゃないのか、その点について確認をさせてください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生まさに御指摘になりましたように、周波数の大きな再配分が行われる、それは電波の利用者全体の利益になるということから、今年度予算に電波利用料を財源としますさまざまな支援措置を盛り込み、先般、電波法について御審議を賜ったものでございます。

 ただ、これも繰り返しになりますが、そうした電波利用料を財源としますさまざまな支援措置を盛り込むと同時に、デジタル化といいますのは、国民の皆様御自身にもメリットを与えるものでありまして、これは、都市の住民の方々あるいは地方の住民の方々、共通なものでございます。したがいまして、その点につきまして、住民の方々にも、特に受信設備につきましては基本的に公平な御負担をお願いしているということでございます。

塩川委員 必要な費用負担は、視聴者に押しつけるのではなくて、国と放送事業者、そして周波数の再配分で跡地利用などで利益を受ける事業者が負担をするということが必要だ、あわせて、このアナログ停波についての延期ということを真剣に考えるべきだということを改めて申し上げます。

 法案についてですけれども、大臣に伺います。

 今回の改正案、オプトアウト方式からオプトイン方式にするということですけれども、もともと三年前の法改正におきましてこのことの議論が行われました。私自身も質問いたしました、オプトイン方式をなぜ導入しないのかということをただしましたけれども、オプトアウト方式でいくという話になったわけです。

 今回、オプトイン方式を導入するということになったわけです。ですから、三年前にオプトイン方式にしておけばよかったのではないかと思うんですが、その点については、大臣、どのようにお考えですか。

増田国務大臣 確かに、十四年のこの法律の制定以降、十七年にも今お話があったような議論が行われたというふうに承知してございます。オプトアウト方式をそのまま続けたわけでありますけれども、全体として、そういった法律あるいは十七年の改正法の施行によりまして、法違反として申告された件数の増加などには歯どめがかかっておりますので、今の段階では限定的ということでしょうけれども、その部分についての成果は上がってきたのだろう。

 しかし、迷惑メールの量自体は依然増加傾向にあるわけでございますし、最近は、御承知のとおり海外発が急増してきているわけですね。

 それで、技術的にも、受信拒否の通知の電子メールアドレスを通知すること自身が、かえって迷惑メールの送信を招くということもございますので、やはりここは何らかの対策をきちんととっていかなければならない。国際的に採用が進んでいるオプトインに切りかえるということで、国際的な制度的整合性も確保して、今後、国際連携を強化していく。

 やはりこの問題は、特に迷惑メールの問題は、諸外国もそのようでございますけれども、ボーダーレスで、とにかく規制が緩いところ緩いところから送るということでございますので、あわせて、国際的な制度整合性と連携強化ということがこれは必ず必要になってくると思います。そうした中で、我が国も法体系も今回切りかえをして、そうした迷惑メールの発送されている今の実態に合わせたというのが今回の改正でございます。

塩川委員 国際的制度の整合性、連携強化というお話がありましたけれども、もともと三年前この法改正の議論をした時点で、EUにおいては欧州指令においてオプトイン方式を導入しておりました。アメリカにおいても携帯についてはオプトイン方式を導入していたわけです。ですから、ある意味では日本は出おくれていたわけですよ。ですから、三年前のときにスタートをしていれば、まさにその時点から連携がとれていたわけだし、整合性もとれる、そういう状況になっていたわけです。

 改めてお聞きしますが、三年前にオプトインを実施しておけばよかったなという反省はございませんか。

増田国務大臣 その当時、他の国もそうしたものに切りかえたというふうに理解していますが、ただ、その切りかえの効果を判断するに、三年前の場合はまだ非常に日数が浅い段階というところでございまして、したがって、その当時の政策選択としてオプトアウト方式の継続ということであったわけですが、その後のオプトイン方式に切りかえたことによる諸外国の成果というものも出てきたわけでございます。

 したがって、今のこの段階で、現行法の仕組みがそういった迷惑メールに十分に対応できていないということはまさにそのとおりだというふうに思いますし、三年前の段階でそこを判断するというには少し時間、日にちが浅かったのではないか、こういうふうに考えております。

塩川委員 最後に一点、今回の法改正の中において、今回の法改正が悪質な業者の取り締まりにどのような効果が上がるのか。特に、迷惑メールの新しい手口としてのボットネットやフィッシングあるいは架空請求詐欺、これが増加をしている。これに対してどう対応することが可能なのか、その点についてお答えください。

寺崎政府参考人 ボットネットを利用いたしました迷惑メールは、送信者情報を偽った電子メールでございまして、現行法におきましても直罰の対象になっております。また、フィッシングメールや架空請求メールにつきましては、それぞれ、不正競争防止法や刑法に違反した電子メールでありまして、通常、送信者情報を偽って送信されるものでありまして、その場合には特定電子メール法におきましても直罰の対象になります。

 今回の改正では、直罰の対象となる違反者を含めまして、法人に対する罰金の上限額を百万円から三千万円に引き上げることにより、抑止力の向上も図っております。

 さらに、送信者情報を偽って送信される電子メールに対しまして、電気通信事業者が役務提供の拒否を行うことが可能となる旨の規定も盛り込んでおります。この規定に基づく電気通信事業者の措置により、受信者がこれらの電子メールを受信することの防止が図られることになろうかと思います。

塩川委員 実効性が上がる対応、対策を求めて、質問を終わります。

今井委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 三点ほど聞きたいんですが、まず、オプトイン方式について。

 今回、オプトアウト方式からオプトイン方式に規制が変更されるわけです。この変更に関連しまして、法案の第三条の第二項に「特定電子メールの送信をするように求めがあったこと又は送信をすることに同意があったことを証する記録を保存しなければならない。」このように書いております。

 この記録は、捜査機関などの求めに応じて開示されるものなのかどうなのか、その点について確認いたします。

寺崎政府参考人 刑事訴訟法には、検察官や司法警察員等は任意に提出した物を領置できる旨の規定や、犯罪の捜査をするについて必要があるときは裁判官の発する令状によりまして差し押さえ等をすることができるとの規定があります。

 したがいまして、あくまでも一般論ではございますが、同意があったことを証する記録につきましても、こうした規定により開示される場合もございます。

 総務省のサイドでも、送信者または送信委託者に対しまして、法案第二十八条第一項の報告徴収により同意の記録の提出を求めることが可能となっております。

重野委員 今回、オプトイン方式への変更が行われた後、新規に行われる特定電子メールの送信は、当然、同意の記録を保持しなければならないことになると思うんですが、既存の特定電子メールのうち、既にオプトインの形で送信されているものの同意記録の扱いはどうなるのかということが一つ。もし、仮に保存されていない、そういう場合は、新たにとり直す必要があるのかどうか。

寺崎政府参考人 同意の記録につきましては、改正法の施行後に受けた同意の通知についてのみ適用されまして、改正法の施行前に取得した同意について記録を保存する義務はございません。

 また、改正法の施行の際、既に同意の通知を受けている場合は、附則の規定により、引き続き広告宣伝メールを送信することが可能となっております。

重野委員 続いて、第三条三項で、特定電子メールの送信をしないように求める旨の通知を受けたときは送信してはならない、このようになっております。

 この場合、送信しないよう求める者は、送信に同意した受信者当人である必要はないというふうに考えていいものか。例えば、子供が所有する携帯電話やパソコンで、子供がみずからの意思で特定電子メールの送信の同意を行った後に、今度は保護者が送信しないよう求めた場合も有効であると考えていいのかどうか。

 あわせて、送信しない旨の通知の保存は行われるのかどうか。

寺崎政府参考人 法案の第三条三項では、受信拒否の通知を受けた場合、その通知に反して特定電子メールの送信をしてはならない旨を規定してございます。

 この場合、先生がおっしゃった例の、子供が同意したが親が受信拒否の通知をした場合というケースですけれども、こういったような場合などは、親権者と子供の意思が異なる場合には親権者の意思が優先することになろうかと思います。

 一方、一般的に、本人は同意したけれども、第三者が本人の電子メールアドレスを本人の同意なく使って受信拒否の通知をしたような場合におきましては、送信者は、外形的な受信拒否の通知に基づいて判断せざるを得ないことから、送信者は、以後の送信をやめることになろうかと思います。ただし、本人からの受信拒否でないことが明らかになった場合は送信を停止する必要はございません。

 なお、受信拒否の通知があった場合、送信者は、法律上、以後の送信を停止すれば足りまして、その通知の記録を保存することまでは求められてございません。

重野委員 今、答弁の中で、保護者と第三者という言葉が使われたんですが、これはどう違うんですか。

寺崎政府参考人 失礼しました。私、ちょっと例として、親と子供の場合がありましたので、その場合は親権者の意思が優先すると申し上げました。

 それから、一般論で言ったのは、例えば、Aという人とBという大人同士がそういうことになった場合どうだろうかということで、第三者同士というような言葉で今説明させていただきました。

重野委員 次に、同じく第三条一項四号、ここで、「総務省令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人」を特定電子メールの送信の制限から除外しているんですね。その場合、実際にどのような団体が想定されているのか、これについてお聞きしたい。

寺崎政府参考人 法案第三条第一項第四号で規定する団体ですね。これは、営利企業のほか、非営利の、法人や法人格を持たない団体も含まれまして、NGOや市民団体も該当すると考えております。

重野委員 その適用制限から除外されるNPO、NGOとか、今、大体どのくらいあるんですか。それは把握しているんですか。

寺崎政府参考人 一応、すべて、そういうものは全部対象になるという意味でございます。(重野委員「いや、だからどれくらいあるんですか」と呼ぶ)NGOとかですね。済みません、今かなり数多く設立されていると思います。(重野委員「では、後でもいいです」と呼ぶ)はい、済みません。

重野委員 次に、実効性についてお聞きしたいんですが、迷惑メール相談センターに寄せられた情報が、昨年一年間だけで三百万件を超えていると発表されております。一方で、措置命令が出されたものは数件。実際に刑事罰を科されたのは三件で、一件が係争中、こういうふうに聞いております。また、総務省が警告メールを送信したものは一千三百件程度と聞いておるんですが、数百万件もの情報が寄せられて、そして措置命令がこういう数字というのは、余りにも少な過ぎると。それほど、この国のこういうものに参加している方々というのは、節度ある、非常に遵法精神旺盛な方が利用しているのかどうか。私は、これはちょっと、やはり手が行き届かないのではないか、こういうふうな見方をするんですが、その点についてはどうなんですか。

寺崎政府参考人 措置命令を発出する場合等には、違法な送信を行った者を特定して行う必要がございます。

 しかしながら、最近の迷惑メールの送信者は、先ほどボットネットの話も出ましたけれども、巧妙化、悪質化が進んでおりまして、表示の隠ぺいとか偽装その他により、違法な送信を行った者を特定していくことが難しくなってきたこともありまして、措置命令を行うことが難しい状況にもなっております。

 そういった関係で、今回の法改正では、こうした点を改善するために、電子メールアドレス等の契約者情報の提供を求める規定の創設、さらには、報告徴収や措置命令の対象の拡大等を行うこととしておりまして、これらの改正により、より適切に措置命令ができるようになるものと考えております。

 こうしたことから、法改正がなされた後には、より積極的に対処できるものと考えております。

重野委員 今そういう国民の側からいろいろな相談あるいは苦情等々が寄せられて、受ける国の側の体制、迷惑メール相談センター、これの状況、例えば、何人ぐらいでこれをやっておるのか、仕組みはどういうふうな窓口が開かれているのか、そこらについてお知らせください。

寺崎政府参考人 データ通信協会で迷惑メール対策に当たっておりますけれども、ここでは具体的には、迷惑メール対策に関する相談窓口だとか、電子メールの送信実態、国際的な迷惑メール対策の動向に関する調査、そういったようなものを、総合的に対応しております。

重野委員 いやいや、すごく対応しているのはわかるんですが、それに当たっている人は何人で、そして仕組みはどうなっているのか、そこをもっと具体的に。

寺崎政府参考人 総務省、データ通信協会で、ある意味で連携して迷惑メール対策に当たっておりますけれども、特定電子メール法に基づく登録送信適正化機関である財団法人日本データ通信協会の迷惑メール相談センターにおきましては、迷惑メール対策に当たっている陣容は、現在十四名でございます。総務省の担当者と連携して、そういった点ではいろいろな対策をとっております。

重野委員 やはり、そこら辺のボリュームの問題で国民が結果的に泣き寝入りをするというふうなことがあってはいけない。今後、この件数は、ふえることはあっても減ることはないんじゃないか。相手の側もますます、考えて巧妙に知恵を出してやってくるわけですから、そこら辺は、セーフティーネットをどう構築していくかという視点においてしっかりやっていかなければならぬ、私はその点を申しておきたいと思います。

 最後に、違法なメールは現在でも多数見受けられるわけです。現行法では、完全に違反者というものを掌握している、それに対する対応ということは別としまして、そこら辺が特定できているのかどうか。また、改正によって、プロバイダーに情報提供を求めることができるとなっておりますが、通信の秘密との関係はどういうふうに整理されておるのか。

寺崎政府参考人 今回の改正は、迷惑メールの関係で送信者を特定していくということで、迷惑メールの本文中に表示されたURLだとか、連絡先として記載された電子メールアドレス等につきまして、その使用の権利を付与したプロバイダー等に対しまして契約者情報の提供を求められることにすることだとか、報告徴収や立入検査の対象を、これまでの送信者に加えて、今回新しく送信委託者にも拡大することにより、法に違反した者を特定しやすくする制度を導入しております。

 先生御指摘の通信の秘密の問題がありましたけれども、通信の秘密は憲法等におきまして厳格に保護されておりまして、裁判所の発する令状による場合などを除きまして、国家権力がこれを侵害することはできないとされていることから、法律の中の規定に基づきまして通信の秘密に該当する情報の提供を求めることはできません。したがいまして、本規定では、氏名、住所、メールアドレス等、送信者を特定する上で最低限の情報の提供を求めることになるものと認識しております。

重野委員 終わります。以上です。

今井委員長代理 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、石田真敏君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・そうぞう・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 最近の迷惑メールについては、その大半が海外から発せられるものであることから、迷惑メール対策について諸外国と十分連携・協調するとともに、迷惑メールの撲滅に向け我が国が先導的な役割を果たすこと。

 二 本法制定以来、法律違反に対する措置命令、摘発の事例が少ないことから、関係省庁と緊密に連携を取って必要な対応を行うこと。また、迷惑メール対策は、民間の協力が不可欠であることから、民間との密接な協力体制を構築し、官民一体となって取り組むこと。

 三 迷惑メールは、電気通信事業者の設備に過度の負担を与え、そのために設備の増強等経済的負担を強いていることから、電気通信事業者に対して技術支援等必要な措置を講ずること。

 四 迷惑メールは、年々、一層巧妙・悪質化していることから、適宜現行法制の効果について検証を行い、適切に見直しを行うこと。

 五 迷惑メールによる被害は、受信者側が正しい知識をもって対応することにより、ある程度回避することが期待できることから、迷惑メールの受信者側の対応策についても、引き続き、国民に周知徹底を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今井委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今井委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増田総務大臣。

増田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

今井委員長代理 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今井委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時五十五分散会


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