衆議院

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第22号 平成20年5月29日(木曜日)

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平成二十年五月二十九日(木曜日)

    午後二時四十七分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 石田 真敏君 理事 今井  宏君

   理事 馳   浩君 理事 林田  彪君

   理事 山口 俊一君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井澤 京子君

      石崎  岳君    稲田 朋美君

      大塚 高司君    岡本 芳郎君

      鍵田忠兵衛君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    古屋 圭司君

      松本 文明君    松本 洋平君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    斉藤 鉄夫君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   総務大臣政務官      秋葉 賢也君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   貝沼 孝二君

   政府参考人

   (財務省財務総合政策研究所次長)         後藤 正之君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  土井  亨君     大塚 高司君

  萩生田光一君     松本 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     土井  亨君

  松本 洋平君     萩生田光一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長関有一君、統計局長川崎茂君、政策統括官貝沼孝二君、財務省財務総合政策研究所次長後藤正之君及び社会保険庁運営部長石井博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 自民党の木挽司でございます。

 統計法の質問でございますが、身近な統計の話をちょっと。

 先日といいますか、五月のゴールデンウイークでございました、逆風吹きすさぶ地元をずっと歩いておりまして、地元の子供祭りのイベントがございました。その中で、親子で楽しむバルーンアート教室と、それからニーハオ中国語講座というのがありまして、そのコラボレーションの両方の講師として招かれまして、やってまいりました。対象は、小学生の二年生から四年生ぐらいの子供さんたちと、親子の会話ということですから、お父さん、お母さんたちがそろっていらっしゃいました。

 よく政治家は、そういったところでたくさん人が集まっていると、にわか統計といいますか、手を挙げていただいてアンケート調査みたいなことをするわけなんです。私、その場でも、何人かの子供たちを前にして、コミュニケーションの場ですから手を挙げて質問させていただいたわけなんです。

 今度のオリンピックのことをまず聞きました。オリンピックの競技、どんなのが好き、どんな選手を応援しているという話で、女子のバレーボールですとかマラソン、野球、サッカー、やはり人気のある競技に子供たちの興味も集中しているようでございました。飛び込みの寺内健君、これは地元の選手ですから、さすがに名前が出ました。上村愛ちゃん、それはスキーのモーグルの選手やね、冬のオリンピックの方だねなんということを言いながら、何人かそんな選手の名前が出てきました。

 あと、月並みですが、将来どんな大人になりたいか、どんな仕事をしたいかというような質問をしたんです。地域にプロ野球選手が多い。彼らはメジャーリーガーと言いますね。私たちのころはプロ野球と言いましたが、今の子供さんはみんなメジャーリーガーと言う。楽天の田中投手、あと、今巨人で売り出し中の坂本選手ですとか、西武ライオンズで四番を打っている中島選手とか、結構地元出身の活躍している選手が多いものですから、野球が好きだという子が多かったです。そういう質問の中で、さすがに政治家が一人もいなかったというのは残念きわまりないところではございます。

 まあくだらない質問ではありますが、そんな中で、好きな仕事は、将来はどんなことをやりたいか、将来の夢は何か、最後に、今心配なことは何だというようなことを質問しました。友達関係のことが出てくるのかな、あるいは親子関係かな、勉強のことかなと思いましたら、ぱっと小学校三年生ぐらいの男の子が手を挙げまして、「はい。」「僕、何が心配なの。」「年金。」と言っていました。そうした、次世代を担う子供たちの気持ちを反映して私たち政治家というのは頑張っていかなきゃいけないなと思ったところでございますが、この統計も、国民の気持ちを反映していかなきゃいけない、私はそういうふうに考えております。

 さて、独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案について、改正の趣旨を見ますと、独立行政法人統計センターについて、昨年五月二十三日に公布された新統計法の二〇〇九年四月一日の全面施行に合わせて非公務員化することとされており、センターを非公務員化する場合に必要となる法律上の措置を講じるものとなっております。

 行政のための統計から社会の情報基盤としての統計へということで、統計法が昭和二十二年以来六十年ぶりの全面改正、これは昨年でございましたが、そのときも私は質問の席に立たせていただきました。その際、議論され、指摘されていた課題が幾つかありましたが、そのことを踏まえて、また、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法を踏まえて御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、統計センター法の改正の趣旨、意義について、増田総務大臣からお述べいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今先生の方から統計の意義についてお話がございましたけれども、やはり世の中、国際化も進んでおります、情報化も進んでおります。一方で、急激な人口減少という大変大きな経済社会情勢の変化に見舞われている。その中で、例えば経済政策を国として的確に立案をしていくといったような場合には、正確なものによって現実をきちんと踏まえたものを立てていかなければならない、こういうことになるわけでありますが、国民にとっていろいろなそういう合理的な意思決定をする上での基盤となる公的な統計というものを、極めてさまざまな要素を含めて、体系的にかつ効率的に整備をしていく、その有用性を高めるというのは、これはもう、最近の状況からかんがみれば特に急がれる、こういうふうに思うわけであります。

 そういう趣旨で、今御指摘いただきました六十年ぶりの改正ということでございますが、この新統計法も改正をされて、そして来年の春施行される、こういう段階に来ておりますので、そういう新しい統計法をよりよくその趣旨を実現できるように、あわせて統計の体制、運営をしていく体制も整備をしていかなければならない、こういうふうに考えております。

 例えば、今、統計センター、独立行政法人ですが、特定独法と言われている公務員型でありますけれども、採用試験あるいは人事交流、そういった面ではさまざまな制約がございますので、そうした点を今後非公務員型に切りかえて、そしてもっと柔軟な運営ができるようにしていくなどといったことを行って、そして、新しい統計法の趣旨をよりよく実現していく、こういうことで今回改正をお願いしているわけです。

 もう一つの流れとしては、これも先ほど御指摘いただきましたが、一昨年に制定をされました行革推進法というものがございまして、これも、その法律の趣旨、あえてまた私もこの場で繰り返しませんけれども、行革推進法の中で、役職員が公務員である必要性が認められないときは特定独法以外の独立行政法人に移行させる、これが法律として決まっておりますので、定まっておりますので、これを踏まえて、今回、公的統計の中央集計機関であるこの統計センターについて、全般として、業務・組織運営の自律性、効率性を高める、こういう目的で非公務員型の方に移行させる、これが意義あるいは趣旨でございます。

木挽委員 ありがとうございます。新しい統計法の趣旨に沿ってということです。

 次は局長にお尋ねしたいと思うんですが、そうした趣旨にのっとって、統計センターの第一期中期目標期間における業務の効率化、そうした効率化などの運営状況についてお尋ねしたいと思います。

 そもそも、我が国は分散型の統計でありました。従来から、そうした分散型の統計の機構、あるいはそうした方式について、余りにも過度なんじゃないか、そうした部分を排除していかなきゃいけないんじゃないかと、体系的に統計の整備を推進しなければならないと話を進めてきたと私は記憶しております。

 たがためには、政府統計全体に関する企画調整機能や、基幹的統計の企画・作成機能及び統計技術の研究開発並びに人材育成を担う機能を有する中央統計機関が必要だと。しかも、とりわけ強い総合調整能力と高い専門性を兼ね備えた司令塔機能を確立することが指摘されていたと思います。

 当センターは、その中でも、長年積み重ねてきたデータ分析のノウハウ、例えば、データ分析のノウハウといいましても、非常に高度なものから、身近なもの、書き間違いのものもあれば、記入ミス、簡単なエラーというのもありますが、ただ、そういったエラーからどういったものを読み取るかというものも、やはり長年のノウハウで積み重ねないとなかなか判断できないものだと思います。

 そうした身近なニアミス、そういったものに隠されている本当の意図みたいなものも引っ張り出して、きちっとデータに反映する。そうしたところから、本当に専門知識の要る、高い能力を必要とされるようなもの、今まで積み上げてきた専門性を生かして、十分発揮していただいて、当センターは機能していっていただきたいなと私は期待しておるところでございます。

 もう一点、正確な統計を効率的に作成するため、行政記録を活用できる制度の確立と、同時に、正確な統計資料を実施するために、国民の意識の変化に対応した統計の広報と統計教育の拡充を図るべきこと。もう一つ加えると、国民が利用しやすい形でデータの公開が進められるべきだとの話の中で、特に、ミクロデータの公開が進んでいないことが課題として挙げられていました。その前提となる統計データのアーカイブの構築などはどんな状況でしょうか。

 冒頭言いました第一期中期目標期間における業務の効率化などの運営状況の説明の中に含んで、今の点もお答えいただけたらと思います。局長にお願いしたいと思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から大変幅広い御質問をいただきましたので、すべて順番にカバーし切れるかどうかわかりませんが、できる限り申し上げてみたいと思います。

 まず、独立行政法人統計センターの第一期中期目標期間における業務の効率化の状況でございます。こちらにつきましては、第一期中期目標期間というのは平成十五年から昨年度までの五年間でございますが、この間は、独立行政法人としまして初めての業務を行った五年間でございました。この間、統計の公表の遅延とか遅滞といったことは一切ございませんで、むしろ国勢調査など、今先生御指摘ございましたように、非常に協力度がだんだん得にくくなっておる中で、調査票の記入にも誤りですとかあるいは記入漏れといったようなことが多い中で、そういったものをきちんと推計処理などしながら、統計センターが大変順調かつ正確に業務を進めていただいたと考えております。

 この間、IT等を積極的に活用いたしまして統計技術の研究を進めるといったことによりまして、統計の品質を維持向上させるといったこともいたしております。また、その結果、当初の目標を上回ります業務の効率化、合理化を実現したところでございます。

 具体的な数字で申し上げますと、国勢調査など大規模な周期調査がございますが、こういった調査の経費はちょっと変動要因でございますので除きまして、経常的な諸経費の変化を見てまいりますと、業務経費と一般管理費につきましては、当初の計画が五年間で三%の削減という目標でございましたが、実績といたしましては一〇%の削減と、目標を大きく上回っております。また、常勤の職員数でございますが、こちらにつきましても、独法に移行しましたときから比較いたしまして、この五年間で、当初の目標が五%でございましたが、これを上回る六・六%の削減が実現されたところでございます。

 また、先生御指摘の、統計法の改正に伴いましていろいろ新しい事業が出てきております。例えば、ミクロデータの提供をしていくとか、あるいは、いわゆるインサイト集計といったような統計利用に関する先駆的な取り組みがございます。これは実際には新統計法が施行されます来年の春からやるということでございますが、それに向けまして、統計センターの方では、私ども統計局と、また総務省に置かれております統計研修所と、また一橋大学等とも連携いたしまして、今後に向けた検討に参画しております。

 また、最近では民間開放という動きがございますが、これにつきましても着実に準備を進めてまいります。符号格付業務と申します分野におきまして、民間の活用に向けました実証的な検証を行うなどしておりまして、こういったことを踏まえまして、第二期で予定しております新たな業務に向けた取り組み、これにつきましても準備が着実に進められております。こういったものを通じまして、先生御指摘のような、新たな統計法に向けた取り組みの体制を整備しておるというところでございます。

木挽委員 ありがとうございます。

 確かに、過去の議論の中では、ミクロデータの公開を可能にする中で、匿名標本データの提供やインサイト集計を行う組織を構築すべきというような意見もありました。そのことにも今触れていただいて、私がさきに質問した内容とともに、進捗中というところでよろしいのだと思います。

 そういった中で、新統計法の全面施行に向けた統計センターの対応についてもお聞きしたいと思います。その中で幾つかの項目。

 今、具体的に人員の削減の話だとか予算についても少し触れていただいたと思うんですが、その中にあって、まず基本的なことでございますが、非公務員化することによってのメリット、冒頭で増田大臣もお答えいただきましたが、そのことについて、少し局長の方からも触れていただけたらと思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 統計センターを非公務員化することのメリットということでございますが、これにつきましては、先ほどもお話ございましたように、まず、非公務員化は行政改革推進法を受けて行っておるという側面が一つの面でございます。

 それから、そのメリットでございますが、これまで統計センターにおきます職員の採用は、国家公務員試験の合格者の中から選考するということが必要でございました。これを非公務員化いたしますことによりまして、法人の業務の性格に応じました資質や能力を有する者を独自の採用試験や採用基準によりまして幅広く選考することが可能となるなど、法人運営の柔軟性が増すものと期待しているところでございます。

 また、このほかにも、大学ですとか研究機関等の人事交流も行いやすくなりますので、新規採用者に限らず、実績のあるIT技術者ですとか、あるいは統計研究者など、法人の新たな業務に適合いたしました人材確保が可能となるということが期待されるところでございます。

 このほかにも、職員の勤務形態を柔軟に運用していくとかいったことも可能になりますし、また、専門性の高い職員の確保、職員の能力の発揮に寄与するといったような運用が可能になるというふうに考えております。

木挽委員 今のお話、民間の研究者との交流が特に盛んになることによって、より社会の実態を反映したデータが蓄積され、生かされることを私も期待したいと思います。

 次に、各省との統計分野での最適化計画があるとお聞きしておりますが、各省共通のシステムはどの程度の段階まで今来ているのか。そして、統計センターの今言った非公務員化により、兼業禁止の緩和などが想定されております。そうした部分の方針をお聞きしたいと思います。

 特に、データの利用に絡んで、その扱いについて、いわばセキュリティーについてはどのような注意を払っているのか。内部集計において現時点で私自身が把握しておりますのは、コンピューターは外部とは一切つながっていない、また、データに関しても、外部に持ち出しても読めないよう暗号化してあるというふうに伺っておりますが、セキュリティー対策を含んで答弁いただきたいと思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、政府の統計業務の最適化計画の方について申し上げますと、これにつきましては、私ども統計局の方で、ここ数年にわたりまして、政府の統計部門全体で共通するシステムの開発整備を、各省の合意を得ながら準備をしてまいったところでございます。そのシステムにつきましてはいよいよことしの四月から本格稼働ということでございまして、そのシステムの運用に関しましては独法統計センターが担っていただいております。

 このシステムの中にはさまざまな各省の統計データが豊富に含まれておりますほか、また、その一環といたしまして、統計調査のオンラインシステムということで、回答をいただくときにオンラインで回答をいただけるシステムも用意しております。これは、各省各調査ごとにシステムを開発しますと非常に無駄や重複投資が多くなりますけれども、そういうことのないように統一的なシステムとして整備しておるというところでございます。その中で、統計センターには大きな役割を果たしていただいておるところでございます。

 それから、後段の方で先生お尋ねくださいました、統計センターの情報セキュリティー、またそれとの兼業禁止の関係ということでございますが、独立行政法人の非公務員化のメリットの一つといたしまして、兼業禁止の緩和というのも一つあろうかと存じます。

 他方で、統計センターの方では、消費者物価指数ですとか完全失業率とか、いろいろな、金融市場ですとか経済活動に影響の大きい統計を作成いたしておりますので、この作成の過程で、こういった秘密がきちんと保持される、また公益性、中立性の確保ということが必要でございます。その意味で、この非公務員化後も、就業規則等におきましてきちんと制限を課する必要がございます。また、それ以前に、非公務員化の中では守秘義務を引き続きかけるということになっておりますので、このあたりは、しっかりとした法的担保措置と、それから、今後の運用の中で就業規則等による規律が守られるものと考えております。

 それから、情報セキュリティーのことについて申し上げますと、御指摘のとおり、統計センターの方では現在、情報セキュリティー、国民の皆様からいただきました貴重な、個人の情報ですとか、あるいは企業の情報といったものを守ることは、国民とのお約束として大変重要に考えております。

 そのために、統計センターでは、コンピューターを使います場合にも、システムを外部のネットワークと接続することなく遮断して、どのようなことがあっても情報が外に漏れることのないようにする、あるいは、データを媒体に保管する場合でも暗号化するということを徹底いたしております。

 また、実は情報セキュリティーの確保につきましては、人的それから技術的側面も大事でございまして、その意味では、トータルなシステムといたしまして、情報セキュリティーマネジメントの国際的な標準規格でございますISMSという制度がございますが、これの認証、外部から認証いただくということで、徹底した情報セキュリティー対策を講じております。

 このようなことを通じまして、単にハードウエアとか技術だけではございませんで、職員のセキュリティーに対する認識、姿勢も高めながら、セキュリティーの確保に重点を置いた業務運営を行っていただいているところでございます。

木挽委員 確かに、いろいろと多方面から情報セキュリティーについても監視の目が届いておるようでございますが、マニュアルが整備されても、なかなか十分に機能するかどうかわからないというのが昨今よく言われているところでございますので、その辺をよく踏まえて、実効性のあるものにしていただきたいと思います。

 政府統計は、行政目的から、経済活動や学術研究の目的で、また一般国民が社会の状況を把握する目的で、幅広く利用できるものでなければならないと私は思っております。いわば国民の共有財産です。それだけに、社会の要求を幅広く反映して、必要な統計を正確に作成する必要があります。今後、統計作成機能を強化するためには、政府全体の視点から各府省の統計の改廃を実質的に企画調整できる、強い総合調整機能が求められております。

 改めて、そうしたベクトルの中に、専門家集団としての統計センターが、幅広い民間との交流を通じて持っているスキルを遺憾なく発揮することを期待して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは統計センター法ということで質疑をさせていただきますが、本題に入る前に、大臣、ちょっと別件なんですが、一点だけお話をさせていただきたいと思います。

 二〇一一年からテレビ放送が完全にデジタル化されるということで、アナログが停波される。それで、このことに対して、私は、離陸決心速度なるものを紹介させていただいて、ある一定の時期に、きっちりそれまでの準備状況をチェックした上で、ある一定のレベルに達していなければ、二〇一一年のアナログ停波をやめるべきではないかという提案を、そういう決断の時期を設けるべきではないかという話をさせていただいたわけですが、大臣からも、それからまた、別の場で官房長官にもこの点確認をいたしましたが、いずれも私の考えには否定的な見解を示され、一瀉千里に真っすぐに二〇一一年に向かって進むという見解が出されたわけであります。

 しかしながら、この点について、現場をさまざま回っておりますと、やはり相当不安の声が寄せられております。まだ広く一般市民、国民のレベルではそういう声がないのかもしれませんけれども、ビルなどで、集合住宅などで共聴施設を持っている方なんというのは、やはり相当心配されている。あるいはまた、最近私のもとへ非常に多く寄せられるのが、学校関係者なんですね。

 御承知のとおり、現在、義務教育学校あるいは高等学校問わず、学校には相当数のテレビ受像機、受信機があるわけでございます。先般も学校をいろいろ回っておりますと、いや、逢坂さん、このテレビを全部かえる、あるいはこのテレビに全部デジタルのチューナーを入れるとなると、これはもう並大抵の経費じゃない、特に今、学校関係の一般経費、教材経費がどんどんどんどん削られている、備品費も削られている中で、これはテレビをかえるだけでも本当に大変なことだと。まさか三十年や四十年前に戻って学校に一台のテレビをそれぞれの教室で使い回しする、そんなことになりはしないかなんて心配しているんだけれどもなんという声が学校関係者から相当強く寄せられるわけですね。

 学校に限らず、いわゆる個人所有以外のテレビも国内には相当あるのも事実でございますので、こうした点についても相当十分な配慮をしなければ、国民生活が混乱を来すというふうに私は思っております。

 もちろん、これは学校のことでございますから、文部科学省が中心になってさまざま対応をするということにもなるのでありましょうけれども、でも、総務省においても、学校に限らず病院施設とかさまざまありますけれども、やはりそういったところに思いをはせておく、思いをいたしておく必要がある。

 しかも、二〇一一年直前になってから一気に整備せよということになりますと、これはまた自治体の財政の関係から、やはり自治体の財政もなるべく平準化しながら財政執行をすることが望ましいわけですので、早い時期にこうしたことに対する不安を解消しておくということも大事ではないかと思うのですが、この点を冒頭に申し述べさせていただきたいと思います。もし大臣の方で何かこの点について御所見があれば、お話しくださればと思います。

増田国務大臣 地デジに対しての先生のいろいろな御指摘は、私も大変重くとらえております。

 二〇一一年の七月での完全な切りかえに向けて、とにかく今お話ございました点についての懸念を払拭する、これは全く共通理解だと思っていまして、離陸決心速度のようなことについては若干違う考え方を持っていますが、ただ、やるべきことは同じような考えでやっていかなければならない。

 特に、今学校の例がありました。これも必ず、教育の場でありますので、支障のないように対応が必要なのと、病院等もございましたが、いわゆる公共施設の中にテレビの受像機が数多く置かれている場合がございますので、この点については各自治体の方で基本的には措置いただくという考え方でありますけれども、そのための準備をそれぞれの自治体でとっていただくための期間と準備というものは私ども各自治体に促しておりますが、今後その点も含めてやっていきたい。

 それからあと、少し別の側面では、いわゆる経済弱者対策ですね。これは、ことしの夏に総務省としての考え方を明らかにするということでございまして、かなりの皆さん方への周知は行っているつもりでございますが、そういった点での盲点、あるいは近くなってから慌てるような点がないか、いま一度よく点検した上で、準備に万全を期したいというふうに考えます。

逢坂委員 大臣、ぜひよろしくお願いしたいと思います。時間がたてばたつほど国民の間に不安が広がるというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 きょうは統計センター法の改正ということで、独立行政法人の公務員型の職員を非公務員型にするというような内容でございますが、まずその前に、統計そのものについて若干大臣の御認識を伺っておきたいと思うんです。

 もうこれは言うまでもなく、統計というのは、国を支える非常に大きなもとになる基盤だというふうに思います。さまざまな政策を判断する上でも、あるいは経済活動をやっていく上でも、統計データがしっかりしているかしていないかによって、政策やさまざまな国民の活動というものは変わってくるというのは、これは論をまたないのだというふうに思います。

 例えば、これは統計ではございませんけれども、市町村合併議論なんかをする際に、例えば、市町村合併に割と肯定的な講師の先生を呼んだ後にアンケートをとると、アンケートの答えが市町村合併に肯定的な答えが出るとか、市町村合併に否定的な講師の先生を呼んで講演を聞いた後にアンケートをとると、住民の答えも割と否定的にぶれがちだなんということに見られるように、やはり、外部データに基づいて何かを判断するというときは、そのデータの持っている性質に随分と引っ張られるのが現状だろうというふうに思うわけですね。

 さらにまた、統計というのは、例えば、仮に一億サンプル何かそのデータがあったとして、その一億サンプル全部チェックできないというような場合に抽出をするとか、そこから抜き出してやる場合にどんな抜き出し方をすべきなのかとか、あるいは統計データというのはすべて一〇〇%データが正しいというものではない、場合によっては誤差の範囲というものがある、その誤差の範囲をどうとらえるのかとか、あるいは調査したデータからどういうふうに傾向を割り出していくのかとか、学問的にもこの統計というのは極めて奥の深いものだというふうに思うわけですね。

 したがいまして、実務の面からも学問的にも、この統計というのは極めて重要なものだというふうに私は思うわけですが、この点の認識について、まず大臣、お伺いします。

増田国務大臣 公的統計の重要性については、私も全く同じようなことを考えて認識をしているわけでありますが、大きく分けて三つであります。

 一つは、国や公共団体が政策を立案しそして運営をしていくといったその政策面で、その根底にやはりきちんとした基礎的な情報があって初めて政策が立案されるわけですから、そういう面での意味が大変大きいということ。

 二つ目は、これも今先生の方から御指摘ございましたが、国民や事業者の側から見ても、国民生活あるいは経済活動、合理的な経済活動、その根底には、意思決定を支えていく上で基本的に正しいデータといったものが必要になるという意味で、大変需要があると。

 それから三点目は、これは、今グローバル化の時代の中で、国際的な比較や経済分野での横断的な比較、これも大変重要なことでありまして、統計の基礎がきちんとしていないと、この国際比較がなかなかできません。

 ですから、大きくまとめて言いますと、以上のような三点の意味で、やはりこの統計がきちんとしているということが大変重要であります。

 私も、早稲田の、統計局がある、統計センターのところにも行ってまいりました。あそこに歴史をずっと展示してございます。諸外国もそうだと思いますが、国の基礎からずっと国づくりをしていく上で、あわせて各国とも統計をきちんと整備して、それによって国がずっと発展をしていく、こういうことでありますので、これから経済社会活動が大変複雑、多様化していく中で、この統計を整備するということの意味はより高まっている、こういうふうに認識しております。

逢坂委員 大臣からも統計の重要性を御披瀝いただきましたが、私もまさに同感であります。そしてまた、国家が、いわゆる近代国家、先進国としてのある種のメルクマール、統計データがしっかりしているかということも非常に重要なことだというふうに思います。

 そこで、お手元に資料を用意させていただきました。資料ナンバー一をごらんいただきたいんですけれども、これは、総務省がおつくりになった諸外国における中央統計機関の状況でございます。アメリカ、イギリス、フランスというふうに並んでおりますが、例えば人員体制を見ますと、アメリカが六千三百九十四人、イギリスが三千七百二十一人というふうに並んでいる。フランスが六千四百五十二人ですか。そして日本を見ますと、いわゆる統計局に属している職員が四百七十八人で、統計センターが九百十人ということで、この表を見ると、日本の統計に関する体制というのは若干脆弱なんじゃないかなという印象を持つわけでありますね。

 もちろん、この表の注、米印にも書いてございますけれども、方法が国によって異なるから人員体制については単純に比較することはできないという注釈はついているものの、この中央統計機関だけを見た限りでは脆弱なんじゃないかなという気が私はするわけでありますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

増田国務大臣 今、注釈のお話がありましたけれども、そういったことも含めてトータルで考えれば、やはり我が国は比較的少ない体制で統計制度を運用している、これはやはりこのデータから見ても紛れもない事実だと思います。職員の皆さん方は大変質が高く、そしてきちんとこの問題に取り組んでいるということで、それで我が国の統計が運営されているわけですが、これは、ある種、少数精鋭主義と言ったらいいのでしょうか、少数の皆さん方が運営しているということだと思います。

 ほかに、別の、農水の方でいろいろな多くの人数がかかわっていたり、あるいは、先生御案内のとおり、国勢調査などは都道府県が法定受託事務で受けていますので、そういったことも加えれば、なかなかやはり単純に比較できない、専門家になればなるほどそういう話はあるかもしれませんが、私は、本当に少ない人数でよく頑張っていただいているというふうに思っております。

逢坂委員 私は、統計の重要性にかんがみれば、この日本のいわゆる分散型統計の現状、実態をやはりもう少し一元化、統合化していくことが必要なのではないかというふうに思うわけですね。あるいはまた諸外国の、例えばこの表でいいますと、日本よりも人口の少ないフランスで六千四百人という職員を抱えている。職員が多ければいいというものではないかもしれないけれども、ある種、一元化の方向、そして職員体制の強化というようなことへ、実は、統計の実態、重要性を見ればそういうことが必要なのではないかなというふうにも思っているわけですが、そうした思いをベースに置きながら、この後、若干個別の質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 お手元の資料のナンバー二をごらんいただきたいと思いますが、これは総務省の統計センターのパンフレットからコピーをしたものでございます。現在、日本の統計は、上の方にございますとおり、まず総務省の統計局というのがございます。それから政策統括官というのがあるようですね。それから、現在議論になっております独立行政法人統計センター。それから、それとはまた別に統計研修所というのがある。さらに加えて、これ以外に各省庁でも統計をそれぞれ所管しているということで、この図を見ても、まさに日本の統計というのは分散型だというふうに思うわけです。

 そこで、まず政府参考人にお伺いしたいんですけれども、総務省の統計局、それから統計研修所、それから総務省の政策統括官、ここにも五十人から六十人の人員がいらっしゃるそうでありますけれども、それから統計センター及び各府省、これらそれぞれの役割とその関係といいましょうか、これについて簡潔に御説明をいただきたい。特に、総務省の中のさまざまなセクション、研修所、センターがあるわけですが、これらの関係についても御説明いただきたいと思います。

貝沼政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の現在の統計制度のもとでは、国勢調査など国の基本となる統計調査を総務省の統計局が担当しておりまして、各府省の統計部局は、それぞれの所管行政に関する統計調査を実施するというのが基本になっております。

 また、先生のお話にございました総務省の統計研修所及び統計センターにつきましては、研修所は、我が国の中央統計研修機関としまして、国や地方公共団体の職員に対して統計に関する研修を実施するということになっておりますし、また、統計センターにつきましては、同じく、国や地方公共団体の実施した統計調査の集計を行うということになっております。

 さらに、私ども総務省の統計基準担当の政策統括官部局におきましては、国全体の統計の体系的な整備や、あるいは統計調査の重複排除、報告者負担の軽減といったような観点から、政府横断的な調整を行っているところでございます。

逢坂委員 確かに分散型だということでありますけれども、総務省の中を見ても、必ずしも国民にとってわかりやすい一貫した体系がないのかなという印象を持つわけですね。

 ただいまの話から、日本の統計全体の制度設計を担う担当というのは、政策統括官ですか、ここの部署でやるということでありますけれども、ここの部署と、例えば、きょうのテーマになっております統計センター、統計センターというのはいわゆる製表業務というものを中心に行うわけですが、実は、その製表業務と統計全体の制度設計なんというのも密接不可分で、必ずしも分離できないものではないかというふうに思うわけですね。国家全体の統計の制度設計は制度設計でやる、でも、製表は製表だけでやるんだということでは必ずしもないのだろうというふうに思うわけで、私自身は、今非常に分散化しているものをもっと一元化するというような方向へ持っていくべきではないかというふうに感じているんですが、このあたりについて、政府参考人、いかがでしょうか。

貝沼政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘のとおり、統計システムのあり方につきましては、分散型と集中型と二つあることは承知しております。外国におきましては、例えば、アメリカあるいはイギリス、フランスなどは分散型のシステムに位置づけられておりますが、カナダやドイツなどは集中型ということで、それぞれ国によってさまざまでございます。

 我が国の統計システムは、ただいま先生御指摘のように分散型ということになっておりますが、これは、個別の所管行政分野に関する知見を十分に活用しながら、それぞれの行政の企画立案に的確、迅速に対応した統計を作成することができるようにということで採用してまいったところでございます。

 しかしながら、この分散型統計システムのもとにおきましても、政府全体として整合性のある統計整備を図っていくことが必要ということは御指摘のとおりでございまして、私どもも今後、先ほども御指摘ございましたけれども、新しい統計法のもとで政府全体としての基本計画、公的統計整備のための基本計画を策定していくということになっておりまして、そういった基本計画の策定などを通じまして、統計の体系的な整備を図ってまいりたいと存じております。

逢坂委員 続いて政府参考人にお伺いしたいんですけれども、各府省とうまく連携をとりながら日本全体の統計を進めていくということは、それはそれで分散型の一つの特徴としてよくわかるんですが、総務省の中でもこの組織が違っているというか、いわゆる統計センターがあり、統計研修所があり、統計局があり、政策統括官があるというようなことは、必ずしも合理的ではないのではないかという気もするわけです。

 ただし、もし仮に、今のこの総務省の中の組織をすべてよしと認めた場合であっても、これらの連携、関係というのは極めて緊密に行われることが必要だ、そうしなければ、これは統計としての一体性が保てないというふうに思うんですけれども、この点についていかがかということを一つ伺いたい。

 もう一つでございますが、昨年の九月十日に、独立行政法人評価分科会というのが開催されたようでございまして、この中で、ある委員の方がこういうことを言っているんですね。「統計局と統計センターの業務の切り分けの問題です。実際に業務の中で重複したりする面がないのかという点について、効率的な業務運営を図るというような観点から、どちらかに集中させたほうがいいのではないかという点が一点あるかと思います。」という話をしているわけですね。

 すなわち、今の独立行政法人の統計センターを統計局にしてしまった方がいいんじゃないかという指摘、あるいは逆に、統計局がやっている業務そのものを独立行政法人の方へ一気に押し込んでしまった方がいいんじゃないかというようなことを、これは昨年の九月十日の日に行われた分科会で言われているわけですね。

 そして、これに対して、川崎統計局長の答弁によれば、「一つの考え方として、国の側に全部集中するというのが選択肢としてあるのではないかと思いますが、現下の状況では、観念上あり得ても、なかなか取り得ない選択肢であると思います。」というふうに答えているんですね。観念上あり得てもなかなかとり得ない選択肢であると思うという答弁をされています。それから、「逆に独法に寄せていくというのも、これもいろいろな事例を考えましてもなかなか考えにくいケースであると思いますし、」というようなことを言われているわけですね。

 この点、余りはっきりした理由なしに、どっちもできないんだということをおっしゃっているわけですが、この根拠というか、このあたりをもう少し御説明いただけますか。

貝沼政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま二点御質問をいただきましたが、第一点の、総務省の中でさまざまな統計部局があるけれども連携がちゃんととれているかということについてお答え申し上げたいと存じます。

 御指摘のとおり、私ども総務省は、沿革的な理由もございまして、重要な統計を作成するといういわば実施の部局と、全体の統計について調整をやるという制度的な面を所管する部局、二つがあることは事実でございます。

 しかしながら、先生おっしゃられましたように、我が国として全体の統計をきちんと整備していくという観点からは、これら二つが車の両輪のような形で連携しながら進めていくということが大変重要なことじゃないかというふうに認識しておりまして、現実にも、それぞれ意思疎通を密にしながら推進してまいっているところでございます。

川崎政府参考人 先生お尋ねの統計センターの組織のあり方ということで、後段の方の御指摘についてお答え申し上げたいと思います。

 組織をどのように切り分けるか、組み合わせるかというのは大変難しい問題であると承知しております。特に大きな組織ですと、一つの管理体制に置いておきますとなかなか目が届きにくいという実態もございます。

 実は、統計センターが一番最初に統計センターという名称でできましたのが昭和五十九年の省庁再編、総務庁の設置のときでございますが、そのときにもやはり、かなり規模の大きい組織であるので、ある程度自律的、独立に経営できるような体制がよかろうということで、当時そのような判断がございました。その意味で、ある程度大きい規模の組織を独立的な運営をさせるというのは基本的な考え方として一定の合理性があるのであろうというふうに考えております。

 この統計センターにつきまして、これを民営化するかあるいは国に寄せるかといったような議論でございますが、まず、統計センターの業務の内容を考えてまいりますと、統計センターの方は国勢調査を初めとしましていろいろな国の基本的な統計を作成している機関でございまして、こういった統計は行政だけでの活用にとどまりませんで、民間企業ですとか海外ですとかいろいろな市場関係者などもよくお使いになるものでございまして、業務の遅滞といったことは全く許されないということがございます。

 また、統計センターが預かっております各種の個別の統計調査のデータ、例えば国勢調査の国民の情報を預かっておるということを考えますと、これは信頼を確保する意味でも、また秘密の保護を厳密にやっていく意味でも、長期にわたりましてそういった安心の体制が必要でございますので、統計センターを民営化するというのは極めて難しいことであろうというふうに考えております。

 もう一つの、逆に国の方に寄せることができないかということでございますが、独立行政法人は、もともとの設立の趣旨といたしましても、業務の効率性、透明性の確保といった観点から、独立性、自主性を持って運営できるような、そういうことを通じまして、透明性高く、また効率性高く運営していくという趣旨でつくられたものでございます。

 そのような機関でございますので、そういった効果もかなりこれまで出てきておるということでございまして、そのような長所もいろいろございますので、その面では国の行政運営の簡素効率化にも寄与しているということでございますので、こういった独立行政法人という姿で運営していくというものも、これは合理性があるというふうに考えております。

 そのような観点から、現在の姿というのは合理性を有するということで、この姿が適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。

逢坂委員 私は今のこの問題について一点指摘をしておきたいんですけれども、総務省統計局と今回の統計センターというのは密接不可分であり、先ほどの政策統括官の貝沼さんの答弁によれば、車の両輪のように連絡を密にしてやらなければいかぬのだという話をされたわけですよね。一方で、独立行政法人というのは、その設立の趣旨ということをまさに統計局長はおっしゃられましたけれども、それは、役所からの独立性を高めてより効率的に質の高い成果を得るための制度が独立行政法人なわけですよね。

 すなわち、密接不可分で車の両輪のようにやらなきゃいけないと言っている業務をあえて独立法人にするということ、しかも、今回はさらにそれを公務員から遠い存在にしていくということは、そもそも統計の仕組みをうまく運用していこうという点においては必ずしも合理性がないのではないかという気が私はするんですね。この点はやはりしっかり御理解いただかなければいけない。すなわち、単に行政改革とか公務員という名前の人間を減らすためだけにもしやっているとするならば、それは国の将来を誤る。本質をやはりしっかり押さえてやることが大事だというふうに私は思うので、この点を強くまず指摘しておきたいと思います。総合的には最後にまた大臣の方からお伺いをしたいと思いますので。組織において、やはり矛盾したことを皆さんは場面場面でおっしゃっておられるというふうに私は思います。

 次に、職員のことについてちょっとお伺いをしますが、資料をごらんください。

 資料の三、非国家公務員型と国家公務員型の対比をしたもの、これは総務省におつくりをいただいた資料でございます。どうぞ皆様も御参考にしていただきたい。

 それから資料の四は、「非公務員化することによるメリット」ということで、これも総務省の側から三点提示されました。それから、非公務員型と公務員型のコスト比較について、負担増と削減ということで、お手元に記載のとおりのものが出されました。

 それから、資料のナンバー五をごらんください。現在の統計センターの職員さんの状況でございますけれども、全部で八百七十五名いらっしゃって、そのうち、男性が二四・一%で女性が七五・九%。試験の採用区分でいくと、いわゆる3種と言われる職が極めて多くて、全体の八百人ぐらいを3種採用で占めている。それから年齢構成でいきますと、五十一歳から六十歳のところが一番多い。それから、その下の表でございますけれども、理事長さん、理事の方の年間報酬の額が載ってございます。理事長さんは一年間に一千九百万円ほどの報酬をもらっているというような表でございます。

 これをもとに、幾つか政府参考人と議論をさせていただきたいんです。まず、公務員型にしておくことのデメリットというか、それについてちょっとお伺いをしたいんですが、どうでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在は公務員型の組織でございますが、公務員型のメリットというものが一定のものがございまして、これは例えば人事面といいますか職員の採用面でございます。採用の事務に関しましては、現在は公務員試験の合格者から採用することとなるということで、採用事務に関する業務負担が少ないということのほか、また、一般行政事務に必要な知識を備えた人材確保が行いやすいというメリットがございます。

 他方で、デメリットといった面で考えてまいりますと、採用の面で申せば、国家公務員試験の日程との関係から、例えば欠員が生じた場合などに急遽人材を採用していくとかいったような場合に、なかなか日程との関係で採用が難しいということもございまして、職員の採用の機動性などに制約があるのではないかと考えております。

 また、特に統計分析ですとかあるいは情報処理などの専門的な素養を備えた人材ではありますが、例えば公務員試験の行政面でのテストには必ずしも合格していないというような方もおられます。そういう人の中には統計センターに必要な知識や素養を備えた方がおられることもございます。そういったような方々を採用していこうとしますと、なかなか既存の公務員試験だけでは採用が難しいということもございます。

 こういった意味では、非公務員型の独法であれば採用の面ではより柔軟な採用が可能ということでもございますので、そういったメリットがあろうかというふうに考えておりまして、そのような観点から非公務員型ということを私ども考えておるということでございます。

逢坂委員 私、今の話を聞いていて非常に疑問に思うんですけれども、今の話はまさに試験の問題でありまして、公務員型か非公務員型かの問題ではない。試験制度を見直しさえすれば、それは統計局なり総務省が求める人材というのは幾らでも登用できるんじゃないでしょうか。そもそも、試験制度が実態に合致していないから公務員の身分から非公務員にするんだというのは、ちょっと入り口を直そうとすれば何とかなるのに家全体の制度設計を変えてしまうような、とんでもないことなのではないか。もし今の点がデメリットだというのであるならば、公務員試験の制度そのものを変えるという発想になぜならないんでしょうか。

 あるいはまた、さらに言わせていただきますと、専門的な人材だとか、ある時期に限らないで広い範囲から人材を募集したいなどというのは、統計局あるいは統計センターに限ったことではないわけであります。国家公務員全体において、専門職が必要であったり、もっと広い母集団から有為な人材が欲しいというふうに思うのは、それはほかの組織だってそうだと思うんですね。だとするならば、公務員型から非公務員型にするのではなくて、試験制度を見直そうという発想になぜならないんでしょうか。このあたり、政府参考人、いかがですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの非公務員化の考え方が出ました背景には二つあると、当初大臣からも御答弁あったとおりでございます。一つは、行政改革推進法の中で、独立行政法人のあり方を見直して、公務員である必要がないと認められるものは非公務員型に移行するということでございまして、既に多くの独立行政法人がそのような形になってきております。そういった検討の流れの中での一環という側面が一つございます。

 それからもう一つ、業務運営面で申し上げれば、先ほど申し上げましたような採用の柔軟性ですとか、あるいは採用以外にも、人事交流のより柔軟な実現とか、あるいは柔軟な勤務形態を実現することが可能になるといったようなメリットがございます。そういったメリットは、それはそれなりにございます。

 先生御指摘のように、確かに制度全体を見直すということは一つの選択肢かとは思いますが、現在の時点でそういうものがあるわけではございませんので、政府全体の議論の中では、やはり今申し上げましたような非公務員型を選択していくということは一定の合理性があるというふうに考えております。

逢坂委員 今の答弁、私はどうしても承服しかねるんです。本当に効率的で効果的な組織をつくろうとか、あるいは専門性の高い集団をつくろうという発想ではなくて、単に公務員という身分を非公務員にするということがどうも単なる目的ではないかというふうに思えて仕方がないんですね。常識的に考えたら、採用のところで問題があるんだったら採用のやり方を変えようというふうに思うのが普通の考え方だというふうに思います。

 それから、人事交流ができないんだという話をしていますが、本当にそうでしょうか。今、国家公務員の身分をお持ちになっている方々はいろいろなところと人事交流していると、一方では、ほかのいろいろな委員会の答弁で言っているんじゃないでしょうか。

 それから、勤務形態をいろいろ変えなきゃいけない、これは本当にできないんでしょうか。現にいろいろおやりになっているところもあるんじゃないでしょうか。

 そういうところを私は指摘をしておきたい。すなわち、今回、公務員型から非公務員型にする積極的なメリットというのはどうもないのではないかという気がするわけですね。

 それから、次の質問に入りたいと思うんですが、非公務員型にすることによるメリットとして巷間言われているのが三点。柔軟な職員採用、人事交流、柔軟な勤務形態というふうに言われているんですが、政府参考人、これ以外にはもうないわけですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 非公務員化は、任用等を定めます国家公務員法の適用を職員から外していくということでございますので、そのメリットにつきましては今御指摘の部分が中心となるものと考えておりまして、現在考えるところでは特段思い当たるものはございません。

逢坂委員 これは極めて重要な発言でありまして、もし仮に、柔軟な採用と、大学、研究機関との人事交流が必要だとか、柔軟な勤務形態が必要だというんなら、この点は、実は統計センターに限らず、広く国家公務員全体に必要なところなんですよね。だとするならば、では、全部の国家公務員を非公務員型にすればいいのかという話ではもちろんないわけでありまして、その際には何を直すかというと、やはり入り口を直す、試験採用のところのあり方を見直すというのが常識的だろうなというふうに、重ねて指摘をさせていただきたいと思います。

 それから次に、コスト比較のところをちょっとお話を伺いたいんですけれども、非公務員型によって効率化が生まれるというような話でございますが、でも、総務省のお出しいただいた資料によれば、負担がふえると。独自採用に要する経費がふえる、あるいは雇用保険や労務災害保険の事業主負担分がふえるということでありますね。一方で、削減は「自立的で柔軟な法人運営が可能となることによる業務の効率化」というようなことがあるんですが、今予定されている、コスト削減のもうちょっと具体例みたいなものはあるんでしょうか。例示として、私は、理事長さんの報酬一千九百万、理事お二人の方の二千九百万というような表を出しましたけれども、例えばこういうものを削減していくとかというようなことを含めて、何かあるんでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 公的統計制度におきましては、平成二十一年度から新統計法の施行を予定しておりまして、公的統計の体系的、計画的整備あるいは統計データの有効利用の促進など、新しい取り組みが展開される予定でございます。これに伴いまして、統計センターに求められる役割も大きくなってまいりまして、それにこたえた運営をしていくためには、法人運営を従前以上に効率的に行う努力が必要というところでございます。

 そのためには実は人材が何よりも重要でございまして、これから新たな中期目標期間の中で、例えば、情報通信技術のより積極的な導入ですとか、あるいは業務の内容、体制の見直しを通じました組織のスリム化といったことをやってまいるというふうに聞いております。

 こういったことを展開する上では、やはり専門的な人材を従来以上に多く確保していくということが必要になってまいりますので、そういう意味で人材の確保が効率性の向上に資するということでございます。

逢坂委員 きょうは資料として添付をいたしませんでしたが、別途総務省からいただいた資料によりますと、今後の運営費交付金の事業計画、それを若干説明させていただきますと、平成二十年度は九十三億、平成二十一年度は九十七億、平成二十二年度は百億、平成二十三年度は九十四億、平成二十四年度は九十三億というようなことで、国から出る運営費交付金は、これを見る限りそんなに変わらないわけですね。

 だから、非公務員型にしたからといって、コスト削減というか、そういう点においては余り効果が期待できないのではないかということを指摘させていただきたい。そして、今の答弁からも具体性のあるものは何も出てきていないのではないかというふうに私は感ずるところでございます。

 それから次に、統計センター職員が今回公務員から非公務員型になるということなんですけれども、これはやはり国家公務員という身分から見れば、なかなか職員個々人の立場を思うと複雑なものだと思うんですね。これは、自分は今まで国家公務員だと思っていたのにそうじゃなくなるんだということでありますね。

 そこで、職員との協議の状況、いつの時期にどの程度、どんな内容のことをおやりになられたのか、それについてお伺いをします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 統計センターの非公務員化の議論につきましては、昨年末までにいろいろな議論がございまして、昨年末の独立行政法人整理合理化計画で閣議決定されたということでございます。

 この決定に当たりましては、統計センターの職員と協議という形のことは特段やってはおりませんけれども、行政改革推進本部あるいは総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会等でのいろいろな議論が行われておりますが、そういった議論、あるいは政府内でのいろいろな議論が行われる、そういう経過あるいはその結果につきまして、統計センターの職員あるいは労働組合に対しまして情報の提供を節目節目で行ってきたところでございます。そういった情報提供を、通算しますと十数回やっておるつもりでございます。

逢坂委員 今、職員との特段の協議はやっていない、ただ情報提供を十数回やったということですが、九百人もの職員の方の身分が大幅に変わることでありますので、私はもう少し緻密におやりになるべきではないかなという気がするわけですね。やはり、職員さん、今度こういうふうになりますけれども皆さん何か御意見ありますかと。仮にこの方針は法の大きな流れの中で決まっているとしたとしても、そこは余りに冷たいのではないかなという気がするわけですね。

 こんな勘ぐりはしたくはないわけでありますけれども、先ほど私が用意した資料、これは総務省からお出しいただいた資料ですけれども、これによると、極めて女性の多い職場ですね。女性が多い、男性が多いということはそんなに意味のあることだというふうにも思わない、それは結果として単にそうなのだろうというふうには思うわけですが、よもや、どうも職員さんからの積極的な発言がなさそうだというようなことをとらまえて、実は職員との双方向の協議みたいなものをやらなかったとするならば、それは私は余り誠実な態度とは言えないのではないかという気がするんですけれども、政府参考人、いかがでしょうか。

川崎政府参考人 職員との協議と申しますか、対話というふうな形でございましたらば、いろいろな形で大なり小なりはやっておりますが、なかなか協議という形式でやっていないということを申し上げたつもりでございます。

 私自身も実は何度か、人数は何人だったか忘れましたが、そういう場にも入ったりしながら、いろいろな形でやっておりますので、十分だったかどうかという御議論はございますけれども、私どもなりに努力してまいったつもりではございます。

逢坂委員 ここに、一つ御紹介をしたいんですけれども、統計センターにお勤めになっている職員の皆様が出されているニュースをいただきました。これは昨年の十一月に出されたニュースのようでありますけれども、このニュースを見ますと、「公務員型でなければ統計が危ない!」「身分が保障されてこそ、仕事にも打ち込める!」「公務で行う仕事でなければ調査にも協力したくない!」というような見出しがありまして、九百名ほどいる職員の中の七百三十二名の職員が、公務員型を維持するという署名に協力をしてくれたというようなことがあるんですね。

 だから、職員さんの大半は、公務員型として、統計業務の重要性にかんがみて仕事をしたいというふうに思っているわけなんですが、このあたり、やはり一方的な情報提供だけで済まそうとするのは、もちろん、協議というものではなくて意見交換はしたというふうにはおっしゃっておりますけれども、もう少し丁寧さ、緻密さというものが必要なのではないかというふうに私は思うんですね。

 これは多分、一般の企業であれどんなところであれ、職員の身分を大きく変えることにつながることでありますので、そういったことは常識的に行われてしかるべきなのではないかという点を指摘しておきたいと思います。

 さて、それで、次でございますけれども、統計においてやはり人材の確保ということは極めて大事なことだと先ほど来もおっしゃっておられました。

 ところが、日本経済新聞に出ていた「経済教室」、その中で、ある大学の先生が指摘をしているんですが、現在の日本の統計に関して、「統計学や経済学の優れた専門家がリーダーシップを持って各種の統計作成を管轄するのはまれである。」というふうに書いてあるんですね。だから、「各省庁の利害と無縁な専門家の育成と、そのリーダーシップのもとでの体系的な統計システム作りが望まれる。」というようなことで、人的資本の育成の重要性を強く訴えられているわけですが、今回、公務員型から非公務員型にすることによって、こうした人的資本の形成について何かプラス点というのはあるんでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、非公務員型である場合ですと採用の面の柔軟性がございますので、従来とはまた違った意味での、専門性の高い職員を採用することが可能になってまいりますので、そういう意味で、人的な資本の形成という面では役に立とうかと思います。

 また、例えば、非公務員型になりますと、兼業の禁止の緩和というものがございます。これは無条件に兼業禁止を緩和するということではございませんが、例えば職員の中にすぐれた者がおりましたら、これは例えば外部の研究プロジェクトにもかかわっていくようなことも可能性が出てまいります。あるいは、大学や研究機関とのいろいろな意味での業務交流をやっていくというようなこともございます。そういう意味で、それが、外部との交流を通じまして刺激を与えるということで、人材の育成にもつながってくるかというふうに思います。

 そういう意味でも、従来よりも柔軟な勤務形態も可能になってくるということを考えますと、そういったものを十分に活用することによりまして、より高度な人材を育てていくということも可能になるかと考えております。

逢坂委員 この点も私は矛盾に思っているんですよ。

 というのは、統計制度全体を制度設計するという仕事をやっているのは、総務省の統計局であり、まさに政策統括官なわけですよね。今回の統計センターというのは、基本的には調査票のいわゆる製表業務というものをやるわけですね。本質的に、先ほど私が指摘したような、各省庁の利害と無縁な専門家の育成とか、あるいは統計学や経済学のすぐれた専門家がリーダーシップを持って各種の統計作成を管轄する必要があるという、その役割が求められているのは、実は総務省本省そのものであるような気がするんですね。

 すなわち、総務省本省そのものに、統計制度全体を専門的にやれる職員の採用ということが実は重要なのであって、今回、統計センターの職員を非公務員型にして有為な人材が集まることができるというふうになったということの本質は、総務省にこそ必要なものなんですよ。

 だから、公務員の採用のあり方そのものを見直していくことが実は日本の統計制度の質を高めていくことであり、統計センターの職員を公務員から非公務員型にしても、本当の意味での、国民が必要とする統計の重要さを達成することは、そのためのプラスにはならないのだということを私は指摘したいというふうに思います。

 時間もだんだん限られてきましたので、ちょっと言いたいことだけ話させていただきます。

 私、今回の統計センターの職員さんのことを見ると、最初は古くは総理府ですか、総理府に採用された方も多分いらっしゃるのかというふうに思いますね。そして昭和五十九年には、先ほどもお話がありましたとおり、総務庁になっているわけですね。そして平成十三年には総務省ですね。そして平成十五年には公務員型の独立行政法人。そしてもし今回この法案が通れば非公務員型というふうになるんですけれども、多分、統計業務というものについて、ある種の重要性を認識して、国家公務員として仕事をしよう、頑張ってここで働こうと思ってきた、一人の公務員としてのモチベーションを思い、考えなんかに思いをいたしてみると、私は随分とうまいように翻弄されているんじゃないかなという気がしてしようがないんですね。

 それで、きょうの議論を通して見ても、組織の面から見ても、統計センターをいわゆる独立行政法人の非公務員型にするという積極的なメリットというものはどうも感じられない。あるいは職員という面から見ても、非公務員型にすることによって積極的なメリットというものはあるのかというと、どうもそれも感じられない。それからまた、コストの面から見ても感じられないというふうなことですね。

 それからもう一つは、人材育成とか人材を確保するという点において、本来的に、本当は、統計のレベル、質を上げていくために有為な人材、すぐれた統計の能力のある人材が必要なのは、まさに総務省本省なのではないかという気がするわけであります。

 したがいまして、今回のことをやっても、全く逆のことになる、逆に、実は日本の統計のパワーというものを落とすことになるのではないか。そうではなくて、組織をもっと一元化していくとか、本来的に業務をどこを強化すべきかということを、もっと平場で虚心坦懐に考えるということが重要なのではないか。

 改めて言いますけれども、今回の非公務員化というのは、統計業務の非常に大きな部分を担っている、人数でいいますと多い人材ですね、九百名ほどの方ですが、その皆さんのやる気あるいはモチベーションなんかも失わせる。すなわち、日本の統計全体を見渡したときには、統計の充実強化じゃなくて、劣化につながる、そういう気すらするんですけれども、大臣、いかがですか。私が今までいろいろ、るるしゃべらせていただきましたが、余り積極的なメリットはなさそうに思うんですけれども、最後に御見解をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 一連の統計を最後まで仕上げていく上で、企画段階から実際の作業に入って、そして個別の個票をいろいろと集計していく、それから最後、統計としてもう一度仕上げて、そして国民の皆様方に提供していく。これは歴史的にも戦前から、本当に職員の皆さん方は黙々と一生懸命やってこられたわけです。その中で、製表の作業の部分というのは、やはり従来から、それはそれとして、大変大勢の皆さん方が携わっておられるわけですが、その部分の仕事が他と違うということで、製表の部分はかつての総理府統計局、それが昭和五十九年に統計センターということになったわけですけれども、やはり仕事の内容、性格というのはそれぞれ、いろいろ事細かに見ていくと、中でやられていることというのはやはり違いがあるのではないかというふうに思います。

 そして、今それを、先生の方から御指摘いただいたように、それぞれの仕事に応じた形で、一番適切な体制をとっていけばいいのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、国の組織の中で今までやられていた仕事、それを本当に全部民間に出すのかどうか、あるいは独立行政法人、独法というものでやるのかどうか。独法と民間の間には、やはり、独法の傘の下でやるということで大変大きな違いがあるというふうに思うんですね。やはり大事なものでありますので、国の公的な統計を全部民間に任すということに対しては、私も適切ではないのではないかと。

 この独法というものについては、国民の皆さん方から見たらどうでしょうか。やはり、政府の機関である、それだけ信頼性の高い組織だという暗黙の了解があるのではないかと私は思っております。そういう独立行政法人という中で国勢調査を初めとして基本的な統計というのがやられていくということに、国民の期待と安心感もあるのではないかと思うんです。

 ただ、実際に独法の中身を見てみると、いろいろな経緯があって、今はほとんど非公務員型の独法になったわけでありますが、やはり個々に見ると、一連の行為について、例えば採用について、委員が、入り口の段階でいろいろ変えればいいではないかと、それはまさしく、そういうことも一つの考え方だと思うんですが、例えば国家公務員法がそのまま適用になって、そして、確かに公務員以外の人を採用する道も今は広く開かれていますけれども、ただ、個別に一人一人、人事院の承認をもらうような形でそういう非公務員の人たちを採用しているのが本当にいいのかどうか。

 むしろ、独法という傘の中で、もっと思い切って、採用のことのみならずさまざまな運用について、民間がダイナミックに、それぞれの独法ごとにいろいろ知恵を出していくような、そういう形にしていくべきではないかというのが、一連の非特定独法に移ってきた流れではないかというふうに思います。

 ただ、この統計センターについて言えば、もちろん、秘密保持義務ですとかみなし公務員の規定ですとか、やはりそういうものはかけておかないと仕事の性格からいけないということがございますので、そういった規定は今回の法律の中にも入れて、それでいわゆる非特定独法に切りかえていくということでございます。

 私は、やはり公的な関与というのは重要でありますし、これは独立行政法人という傘の中でやはりやっていくべきだと思いますが、その中で一番民間に近い形で、今回、非特定独法という形に切りかえているわけでありますけれども、それは、仕事の性格からも、そして今までの全体の独立行政法人の改革を進めてきた政府の立場からも、このあり方、今回の改正法の中身が一番いいのではないか、こういうふうに考えております。

逢坂委員 以上で終わりますが、私は、今回のことについては積極的な理由が余り見当たらないというふうに改めて申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 大臣、済みません、きょうは体調の都合で少し座ったまま質疑をさせていただく失礼をお許しいただきたいと思います。おわびを申し上げます。

 まず冒頭、少しお時間をおかりして、先月の一般質疑のフォローアップだけ少しさせていただきます。

 年金の第三者委員会についてお尋ねを申し上げました。認定、あっせんされているのが三千件余りということで、このペースでは非常な時間がかかってしまいます。その点、私は、第三者委員会のあっせんまたは非あっせんの結論文書に、申立人の主張が明らかに不合理か、明らかに不合理とは言えないか、あるいは、一応確からしいか、一応確からしいとすら言えないか、そうした形で、設置をされた趣旨にのっとった記載をするようにお願いをいたしました。これに対する関政府参考人の御答弁、この考え方については「中央第三者委員会、また地方第三者委員会の委員の方々にお伝えをし、検討していただきたいと思います。」という御答弁がございました。

 これが四月の二十二日です。一カ月余りたちました。その後の対応についてお尋ねいたします。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 四月二十二日のこの委員会での議論につきましては、中央第三者委員会の委員長及び委員にお伝えをいたしますとともに、地方第三者委員会にも連絡をいたしました。

 これにつきまして、中央委員会の委員長及び何人かの委員からの御意見でございますけれども、保険料納付に関する事案に関しまして、委員会の判断理由末尾で記述しております「納付していたものと認めることはできない。」等の書きぶりにつきましては、その前に判断の理由を具体的に書いた上で、基本方針で定めております「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」という判断基準により判断をした結論を明らかにしているものでありますことから、あえて、明らかに不合理とか、一応といえども確からしいとは言えないなど、明示的に記載する必要はないのではないかという見解を伺っているところでございます。

小川(淳)委員 局長、お尋ねの真意は御理解いただいているはずだと思います。末尾をどう表現するかでその判断が変わってきますよという趣旨のお尋ねをしたんですから。これに対しては、きょうは時間が余りありませんけれども、また機会をいただいてお尋ね申し上げたいと思います。

 これは、このペースでいきますと、一万年以上かかりますよ。五千万件を三千件ですからね、一年たって。このペースでいくと、一万年以上かかりますよ。これはぜひ、もっと速いペースであっせんしていかないと、できた意味ないんでしょう、この第三者委員会というのは。

 委員長、もう一回御答弁をお願いします。

関政府参考人 先ほどの御質問についてでございますけれども、最終的な判断につきましては、御本人の申し立て理由をお聞きしますとともに、積極的な事由、積極的な資料、あるいは積極的な周辺事情というものを探し出すことに努めまして、結論を出しているということでございます。

 その結論の出し方の部分におきまして、「納付していたものと認めることはできない。」ということで年金記録の訂正の必要はなしというふうにした事案につきまして、先生の方から、そこはそういう書き方ではなくて、明らかに不合理であるから年金記録の訂正は必要ない、あるいは一応といえども確からしいとは言えないから年金記録の訂正は必要でない、そういう趣旨がはっきりするようにと、そういう書き方にすべきではないかというお尋ねでございましたけれども、「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」というその判断基準に合致しないということで、総合的に判断をして、年金記録の訂正は必要がない、こういう結論を出しているということでございます。

 これは、中央委員会の委員長、それから何人かの委員に今のところお尋ねをして御意見をいただいたわけですが、地方委員会の方にも流しておりますので、そちらの方でどういう御判断が上がってくるか、今のところ意見をいただいておりませんけれども、現段階では、表現ぶりを変更する必要はないというふうに、そのような御見解を中央委員会のメンバーからはいただいておるということでございます。

 それから、二つ目のお尋ねの、非常に長く時間がかかるということでございますけれども、いわゆる宙に浮いた年金記録ということで五千万件とか、あるいはことしの三月までにつながる可能性があるということで一千万人にねんきん特別便が出されたということでございますけれども、それとは別といいますか、やや違う動きといたしまして、昨年の六月末あるいは七月の中旬から中央第三者委員会あるいは地方第三者委員会が発足をしておりまして、そこにはもうその時点から毎日のように年金記録の訂正を求める申し立てがなされておりまして、それがこれまで五万六千件に及んでいるということでございます。

 政府といたしましては、ことしの三月末までに申し立てられました事案約五万件につきまして、おおむね一年を目途に処理を終えるということにしておるわけでございまして、年金記録第三者委員会のペースも徐々に上がってきております。四月は二千七百三十五件でございましたが、五月は、今まで三回のあっせんでございますけれども、二千五百件のところまで来ております。これは、もう一回あっせんの機会がございますので、三千件を超えるのではないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今残っております件数、それから申し立て件数も出てきておりますので、体制を強化し、また習熟度も向上させて、処理件数の大幅な処理に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

小川(淳)委員 そう書くことが大事だと、これは水かけ論になりますが、そう書くように努めないと判断が変わってきませんよということを申し上げているわけでして、これはまた改めて時間をいただきたいと思います。

 それでは、統計センターの件、少しお尋ねいたしますが、まず、公務員型の独立行政法人とそうでない独立行政法人、全部で百二あるとお聞きしております、そのうちの八つ、この統計センターを含めて八つだけが公務員型、いわゆる特定型。これについては、独立行政法人通則法の中にそういう記載があるとお聞きしておりますが、その業務に支障があった場合、国民生活に大きな支障が及ぶ、だからこそ公務員型、特定型でやっているということをお聞きしております。中には、統計センターを初め、造幣局とか印刷局とか、複数あるようです。

 大臣、この点、何か変わったのでしょうか。この業務に支障があった場合、国民生活への支障が生じる。統計センターが行っている統計業務は、この点、何も変わらないと思いますが、その点の御認識、いかがですか。

増田国務大臣 特定独法が非常に数少なく残っているわけですが、この特定独法について、特に私どもは統計センターについて、本当にこの業務が今後統計法の施行に当たってどういう組織形態であればいいのか、これを議論して、それで今回御提案をしているということであります。

 恐らく、行革推進法の中で行革の観点で今までいろいろ議論されてきた、この経緯も踏まえなくてはいけないと思うんですが、来年の春から施行される新しい統計法があるわけでございまして、その統計法の趣旨に沿って、これから統計の重要性がますます高まることにかんがみて、どういう組織形態であればいいのか。

 今、職員などについても、全員が国家公務員の名簿の中から採用してございますけれども、今後の統計のあり方から考えれば、仮に、そういう資格は持っていないけれども極めてIT技術に通じている人なども必要だということも考えられるのではないか等々の議論をした上で今回改正法を御提案しているということでございますので、業務の内容は大変重要でありますし、それから、私も、このセンターを完全に民営化してしまうということについては賛成できませんけれども、しかし、これからの新統計法を施行するという上で今回の改正案が一番いいもの、こういうふうに判断をしたものでございます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

小川(淳)委員 統計業務の重要性はますます増しているという御認識をいただきました。

 今ちょっと正確に申し上げられませんでしたので繰り返しますが、「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの」については公務員型のまま残すんだというのが通則法の考え方であります。

 統計業務の中には、当然、消費者物価指数とか完全失業率、直ちに政府がその数字を追って適切な手だてを打っていく、その政策判断においても欠かすことのできない統計調査、これが公務員型でなくなりますと、争議権、ストライキを含めて、現場の職員の方々はこの統計調査に対して抵抗することができるようになるんだと思いますが、それは、大臣、支障はございませんか。

増田国務大臣 これは、一般に労使関係というのは常に良好でなければいけないわけでありまして、また、そういった争議を、ストを行わなければならないほど労使関係がぎすぎすしているということになりますと、一般の仕事の中にもいろいろな悪影響が出てくるであろうというふうに思うわけであります。

 ですから、私は、今回、当然そういった争議権までお持ちになることになるわけですが、そのことと業務の遂行に何か支障が出てくるかどうかは、直接はやはりリンクしないと。仕事の性格から、今回お持ちになるということも当然含めて、全体としては適切な改正であるというふうに考えております。

小川(淳)委員 増田大臣の時代にはそういうことはないと私も期待をしたいと思いますが、これは、将来にわたって、政府として、ストなんてやってもらったら困るわけですよね。だからこそ、公務員型にして、労働基本権を一定程度制約して、そのかわりに代償措置をとっているという仕組みを基本的にとってきたわけです。

 そもそも、消費者物価指数にしても完全失業率にしても、政府の政策判断にとって欠かすことのできない重要指標、これを労働者側、働く人たちの側のさまざまな正当な主張、あるいは時に争議にまで至るような主張で左右されてはならないわけでありまして、この点、この法案に関しては非常に重要な論点の一つではないかと思います。

 そこで、これは昨年の閣議決定で決められたというお話ですが、私、ちょっとさかのぼりたいと思います。

 もともとこれは行革推進法、ひょっとしたら大臣は直接御存じない、あるいはかかわってはおられないはずですが、平成十八年の通常国会で行革推進法をさんざん議論いたしました。これはまさに、郵政解散、一夜明けた翌年の通常国会でございまして、まだまだ小泉政権全盛期の色合いが非常に残ったころでありました。まあ、とにかく、民営化、行革、自由競争、市場原理、競争社会、こういう価値観が非常にまかり通った時代であります。

 ちなみに、平成十八年、その年の一月でした、政府が初めてジニ係数を分析して、格差の拡大は確認できないと言い切ったときです、十八年の一月。つまり、そのころから少しずつ、格差問題とか、あるいはすべて民営化、自由競争でいいのかという価値観が出始めたころであります。まさに、この統計センターの民営化の大きな方向感が決まったのはこの行革推進法で、このときに、五年で五%国家公務員全体の人件費を削減するということを言い切ったわけであります。

 先ほどの逢坂委員の質疑の中にもありました。統計センターを統計局から切り離して独法化して、それまで国家公務員として人件費を支払っていた政府の立場からすれば、それが運営費交付金に切りかわった。これは、見かけ上、人件費を十八年から二十三年までの五年間で五%削減するということに大いに役立っているのではありませんか、大臣。むしろこれは、その見せかけの行革推進法の目標を達成するために統計センターは見かけ上切り離されるという認識で私たちはおりますが、いかがですか、その点。

増田国務大臣 それぞれの独法に対して、五年間ですか、中期の期間の計画をつくらせて、その中で、独法ごとの、例えば人件費をどういうふうにするかとか、それから人員をどうするかとかいうことを、ですから、中身は、独法の主体性をできるだけ生かしつつ、しかし全体としてそこは肥大化をしないようにコントロールする。

 そして、あとはまた、国家公務員の組織からそういうふうに独法化されたものによって全体が何か削減されたように見えないように、どういったものが出ていったかという全体を明らかにして、それで、そこの部分、出ていったところについてのコントロールもきちんとするというのがやはり筋の通った行革なりなんなりだと思うんですね。

 ですから、今回、それぞれの組織がそういった計画を持っているわけでありますから、そこも通して全体の行革なりそれから本当に削減努力をしているかということを判断すべきであって、この統計センターもそういう数値目標を持っているということでありますので、それを通じて、いわば全体を連結のような形で見て判断をする必要がある、こういうふうに考えております。

小川(淳)委員 見かけ上人件費を切り離して運営費交付金にしたといっても実質の行革にはつながらないという御認識を今いただいたわけであります。この点も既に逢坂委員お尋ねでおられましたが、運営費交付金そのものもほとんど減らないんでしょう。

 十八年から二十四年ぐらいにかけての数字をいただいておりますが、全体で九十四億、今年度予算も九十四億、十八年も九十四億。二十三年度が行革目標、人件費五%削減の目標年度でありますが、この年も九十四億。これでは、当初の本当の意味での行革を進めるということからは全くかけ離れた形で、形式上切り離して、不安定な身分に置いて、片や、物価指数、労働指数を初めとした国政にとって大変重要な指標調査を最終的には争議権というリスクのもとに置いてしまう。これは、余りにも形式的な、改革を早まるが余りの大きな落ち度、実質が何もとれていない、そういう評価に値すると私は思います。

 これは人数も確かに減っていますよね、役職員。かつて九百名余り、一千名近かったのが、二十三年度目標時点では八百人余りに確かに減っています。しかし、これはあわせて運営費交付金を減らすべきじゃありませんか。そうしないと、実質的な行革にはつながらないんじゃありませんか。

川崎政府参考人 若干実務的な面でございますので、御説明申し上げたいと思います。

 中期計画におきます経費でございますが、これはいろいろな経費が入っております。特に、統計調査の場合、例えば国勢調査のように五年に一度の大規模な業務がございます。そうしますと、それがある年には非常に多く見えたり、あるいはそれがない年には少なく見えたり、どうしても山谷がございますので、実は、独法の評価委員会からは、そういった周期的に業務が変動するものについては除いて、経常的な部分で効率化がどうなっているかをはかってくれという御指摘をいただいておりまして、私ども、効率化の指標はそれを注目しております。

 先生御指摘の数字は恐らく全体のものをおっしゃっておられるかと思いますが、基本的な人件費につきましては着実に減少をしておりますし、また今後も、第二期の中期計画においても、人員の削減また人件費の削減も、独法の運営費交付金の決算ベースでごらんいただきましても下がっているというところが見えております。

 したがいまして、これは実は、独法統計センターの運営の中で相当、ITの活用ですとか業務プロセスの見直しですとか、そういったことを役職員一丸となってやってこられた成果ということでございますので、必ずしも独法に切り離したから人件費が減ったということではございませんで、むしろ独法御自身の努力によってこういった効率性も達成できているという点については、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

小川(淳)委員 ちなみに、十八年度の人件費は七十億、二十年度は七十六億でしょう、どういう数字でおっしゃったかわかりませんが。実質的な行革、これはしないといけないと思いますが、小泉政権時代の遺物のような、こういう見せかけの数字合わせみたいなことに引っ張られる必要はないと思いますよ。もう世の中の価値観は大きく変わってきているというふうな御認識をいただいた方がいいんじゃないかと思います。

 こういう見せかけの改革で必要以上に不安定な状態に置き、繰り返しになりますが、法的に争議権の発動を許してしまう、そういったこと、そして、諸外国に比べても、これも既に御指摘ありました、数千名体制で統計に力を入れている諸外国からすると非常に貧弱な日本の統計体制、これらはむしろ公的に立て直すべきだと私は思います。その点を御指摘申し上げまして、大変短時間、また座ったままの大変失礼な質疑をおわびしたいと思いますが、ひとまず終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

馳委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 独立行政法人統計センターを非公務員化にする法案について質問をいたします。

 最初、大臣に伺いますが、この統計センターを非公務員化することのメリットについてお答えいただけますでしょうか。

増田国務大臣 身分関係でいいますと、これは国家公務員法が今まで適用されているわけですが、そこが適用されなくなるということになるわけです。

 実は、独立行政法人、独法というものは、今の点に見られるがごとく、今までの特定独法と言われるのは公務員並びでさまざまな規制がそこにある、それはそれとして合理的な理由があるわけでありますけれども。実は、そういったことによって、例えば人材を確保しようとするときに、国家公務員の採用試験を合格した者のリストの中から選ぶということになるわけでありますが、それ以外の人材が必要なときには人事院の方から個別に認めていただいて採用するなどといった手続があるものですから、全体として、そういったことを行うことに非常に消極的になる、萎縮するといったようなことがございます。

 法人のガバナンスでございますので、これはトップや管理職の立場にある者の考え方かというふうにも思いますけれども、やはり大胆にそのよさを発揮していく、直轄の組織と独法は違うわけですから、それは独法のよさを思い切って発揮していただきたいわけであります。しかし、かなり公務員並びのそういう規定があるということでありますので、むしろできる限り民間に近づけて、しかし、みなし公務員規定ですとか秘密保持義務ですとか、必要最小限のものをその中に入れ込んでいくという方がさまざまな面で柔軟性が確保される。

 いろいろ個々に具体的に申し上げるという手もございますけれども、まとめて申し上げれば、そういう考え方で今回も、従来も特定独法の数多くのものが非公務員型に既に切りかわっておりますが、来年の春から行われます新しい統計法の施行の一番いい体制ということをかんがみながら、そういう今の改正案の結論に達したものでございます。

塩川委員 要するに、公務員並びを外すことによって採用ですとか勤務形態の柔軟化をという話でしょうけれども、逢坂委員の資料がいいのでちょっと拝借しながらお聞きします。このメリットというところで「柔軟な職員採用」ですとか「大学・研究機関等との人事交流が可能」というのがありますが、現行でも民間からの採用のシステムというのは、人事院としての採用試験だけではなくて、選考採用もありますし、任期付の職員法とか任期付の研究員法もあるわけですね。ですから、こういう枠組みを使えば当然対応することもできるんじゃないかと思うわけです。

 要するに、独自にやるとなったら採用試験などのコストもかかるわけで、そこはどれだけメリットになるのか、それが率直に言ってわからないんですけれども、その点、いかがですか。

川崎政府参考人 先生御指摘の、公務員法制の中あるいは研究交流、いろいろなほかの法制の中での制度が確かにございます。そういったような形の制度を活用いたしましていろいろな任用形態があることは私ども承知しておりますが、しかしなかなか、きめ細かいところで、それをいざ使おうとしますと、それはそれでまた制約もございます。そういったことで、やはり統計センターのニーズに合った形で採用しようとすると、どうしてもその制度が存在してもまだ使いにくいというところがございますので、そういった柔軟性は必要であるというふうに考えております。

 なお、そのためには、当然のことでございますけれども一定のコストを払ってやらなければなりませんが、例えば採用試験等のコストにつきましては業務の効率化をしながら捻出していただくということをやっておりますので、トータルとして見ますと、パフォーマンスが上がるための必要な経費ということではないかというふうに考えております。

塩川委員 専門性のある人材を確保するという必要性があるというお話ですけれども、百人、二百人を採るわけじゃないですよね、そもそも九百人もいないような組織の中で。

 その点、何人とかというのは想定があるんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 統計センターの場合、大体毎年三十人程度の職員を採用しております。そういった者の中に、何人ということを明確に申し上げることは現時点では難しゅうございますが、できるだけ専門性の高い人間の割合をふやしていくということをやる。また、それを時期的にも、四月の年度がわりだけではなくて、いろいろな形で採用していきたいということでございます。

塩川委員 要するに、年間数名になるかならないかのようなそういう専門性のあるスタッフを確保するために非公務員化するというのがメリットだというお話になるわけです。

 一方で、非公務員化についてのデメリット、懸念される点というのもあるんだと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 単純に申し上げれば、非公務員化することによりまして、例えば、公務員としての守秘義務がかからなくなるとか、あるいは不正の禁止といったようなことにつきまして、そういった刑法の規定等がかからなくなるということがございます。

 そういったことのないように、今回の法改正の中では守秘義務を改めてかける、またみなし公務員規定としての刑罰がかかるような規定にしていくといったことでそのデメリットを補うようにしているということでございます。

塩川委員 この非公務員化の議論の中で、昨年九月十二日の総務省の統計センター整理合理化案の中で、公平性、中立性の確保という点での検討が必要だということを申し上げているんだと思います。

 統計センターでは、消費者物価指数、完全失業率、家計消費支出等の我が国の金融市場や経済活動に直接影響を与え、又はその動向を左右する政策判断の基礎となる我が国の主要経済統計を扱うことから、職員における公平性・中立性の確保は、他の一般統計に増して強く要請され、そのあり方如何によっては、我が国の重要統計又は市場に対する国際的な信用問題にもつながるリスクを有している。

という指摘をしているわけですね。ですから、私、これがデメリットだということを考えれば、わずか数人の専門性のあるスタッフを確保する、そのためだけに非公務員化をする理由というのは全くないと考えますが、いかがですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 その点、これだけのためということでもございませんで、例えば、人事の中で人事運用が非常に柔軟にもできるということで、職員もより働きやすい環境をつくるとか、あるいは職員が例えば研究機関、大学等とより交流しやすくなるなどして、職員にも実力を伸ばして発揮していくいろいろなインセンティブを与えるというようなこともございます。そういったようなことを考えますと、総合的に見ればメリットが十分あるというふうに考えております。

塩川委員 今、デメリットを超えるものかどうかというお話はありませんでしたけれども、大学、研究機関との交流というのは、任期付職員法ですとか任期付研究員法も含めて現在も行っているわけですよ。我々は官民交流についてはいろいろ問題があると考えていますけれども、現行のスキームでこの十年来そういうさまざまな運用が行われてきているわけですから、わざわざ新たに設ける理屈というのは、私は全く納得いくものじゃありません。

 お聞きしますけれども、諸外国を見ても、国勢調査を初めとして、消費者物価指数や失業率等の各国の基幹的重要統計の製表は、調査を行う行政機関みずからが実施しているのではありませんか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、諸外国の事例におきましても、基本的な統計調査の集計は国がみずから行っております。ただ、業務の中で、ある部分、秘密に触れない部分、例えばシステム開発を行うとか、ある部分が切り出せるものについては、それがまた民間の方でより効率的に行える場合については、民間に出しまして民間の力を活用するという事例はございます。

塩川委員 しかし、日本でも統計局と一体で統計センターが一連の業務として行っている、そこまで含めて出しているような事例というのはないわけですから、そういう諸外国の例を見ても極めて特異なあり方であるわけです。

 ですから、今回、そもそも独立行政法人にするという形態そのものが諸外国に見てもないような事例ですけれども、それに加えて、さらに一歩進めて非公務員型にするということではなくて、アウトソーシングをやめて、やはり本来の国の機関に戻すべきだ、独立行政法人でやる場合であっても、中立公正を担保するという点で、統計という個人情報や企業情報を扱う部門であるからこそ、公務員であることが国民の理解を得られる道ではないかと思いますが、その点、どうでしょうか。

川崎政府参考人 先生御指摘のとおり、統計の業務をできるだけ公益性、公正性、また秘密の保護などを厳格に守ってやっていくことは極めて大切であるというふうに私どもも考えております。

 ただ、組織の運営形態をどのようにするかというのは、そういったことを担保しながらもやっていく方法というのはあろうかと思います。これは、いわば行政組織の運営の形態がいろいろあるということでございますので、その意味では、これまで長年にわたりまして行われてきました議論である独立行政法人のあり方、あるいは独立行政法人の中での職員の身分のあり方、そういう議論を踏まえての一つの判断というものは合理性があるというふうに私どもは考えております。

塩川委員 秘密保持義務ですとかみなし公務員規定という、公務員同等の責務を負わせなければできないような業務であれば公務員のままでいいわけで、そういう点でも理屈がないということを申し上げなければなりません。

 あわせてお聞きしますけれども、統計センターが独立行政法人になることによって、役員体制が変わりました。

 そこでお尋ねしますが、総務省の統計センター当時は、指定職、所長が一名ということだと思いますけれども、独立行政法人になって、役員、理事長、理事、監事について、常勤三名、理事長は一名ですね、理事が二名、非常勤は三名、理事が一名、監事が二名という構成になっています。そういう点では、役員も独立行政法人化でふえているわけですけれども、統計局統計センター当時の指定職一名の年収と、独立行政法人になっての役員、常勤、非常勤合わせた人件費の総額をそれぞれ示していただけますか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年四月の独立行政法人統計センター発足から現在まで、先生御指摘のとおり、常勤の役員は、理事長一名と理事二名の合計三名でございます。それ以前の、直前の総務省統計センターの指定職でございますが、管理部門には指定職以外にも管理職がおりましたけれども、指定職だけについて申し上げれば、統計センターの所長一名が指定職でございまして、平成十四年度の給与支払い総額は千七百十五万円ということでございました。それから、一方で、独立行政法人に移行いたしました平成十五年度の理事長の役員報酬は千七百六十四万円、それから理事二名の役員報酬は合わせまして二千八百十万円でございまして、役員報酬の総額が四千五百七十四万円となっております。

塩川委員 独立行政法人になることによって役員の報酬がふえるわけですよ。だから、本来一体としているような業務の中で行われていたものを切り出すために、わざわざ頭に余計な人を乗せなくちゃいけなくなる。職員の方はどんどんどんどん減らす一方だ。こういう組織形態は不合理だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

増田国務大臣 役員の給与自身、できるだけ厳格に抑える、これは必要なことでありますし、体制もできるだけ小さくする必要がある。ただ、独立した組織でありますので、独立した組織で自由度を発揮するとなると、必要な役員数というものが、従前の組織とは違った形になるものも一方では出てくると思います。

 ただ、大事なことは、やはり国民の目線から見ておかしいものはおかしいというふうに考えなければいけないということで、独法にしたことによって今後どれだけ質の高い業務が提供できるのか、従前と比べて。一方で、従来の身分でその組織の中にいた総数の人数と、それから独法化した後の総数の人数に対しての人件費等がどのように推移していったのか、ちょっと私もそこまでは知りませんけれども、そこも全体としてやはり比較をしていかなければいけないのではないかというふうに思います。

塩川委員 統計局、統計センターの一連の業務で行われていたのをわざわざ分断してやることによって、役員の頭が大きくなっているわけですよ。そんなことをやるんだったら、もとに戻すことによってその頭を取り除けばそれこそ効率化なんだという点でも、今回の非公務員化というのは逆行するものでしかないという点で、私たちは、これはそもそも非公務員化すべきではないし、そもそも国の機関でやるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

馳委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 早速質問に入りますが、きょうは財務省の方にも来ていただいております。お聞きしたいのは、法人企業統計についてであります。

 まず確認ですが、現在、法人企業統計は指定統計で、虚偽の報告などを行えば六カ月以下の懲役もしくは禁錮または罰金に処することになっているということですが、その点を確認いたします。

貝沼政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、法人企業統計調査は指定統計調査でございまして、現在、統計法第十九条によりまして、虚偽の申告をした者については、先生お話しのとおりの、懲役、禁錮もしくは罰金刑に処せられるということになっております。

重野委員 わかりました。

 そこで伺いますが、二〇〇五年度の法人企業統計によりますと、資本金十億円以上の全産業で六千百二十七億円の役員賞与と九千三百二十七億円の役員給与が計上されております。ところが、〇六年度になると賞与はゼロ円となっておるんですね。

 これは一体どういうからくりなんですか。どういうことなんですか。教えてください。

後藤政府参考人 法人企業統計調査についてお答え申し上げます。

 企業会計における役員賞与につきましては、役員賞与に関する会計基準の適用に従いまして、平成十八年五月決算法人から、従来の利益処分にかわりまして費用として処理されるというように取り扱いが変わっているところでございます。

 法人企業統計調査におきましても、平成十八年度法人企業統計調査、これは平成十八年四月から十九年三月までに決算期が到来した法人に対して調査しているものでございますが、このような会計基準の適用を反映しているというところでございます。

重野委員 〇六年度の記入要領では、費用処理の役員賞与は費用の役員給与に記入するようにと記してあります。役員給与の方は、〇六年度では微減です。実際に支払われている役員賞与は、最低でも〇五年度の六千百二十七億円より多いはずでありますが、この金額をこの表で見ることはできません。まるで手品を見ているような感じなんですが。

 〇六年度というのは、〇六年四月から〇七年三月までなんですね。同じ期間のトヨタ自動車の決算要旨を見ますと、会社法の施行で、〇五年度以前の利益処分案にかわって、株主資本等変動計算書、こういうものがあるんです。その中に、七億二千七百万円の役員賞与という項目があります。キヤノンの場合は、期間が〇六年一月から十二月で、期間が違うのでありますが、二億二千二百万円の役員賞与が計上されています。

 法人企業統計は、資本金十億円以上の企業については全数調査で、しかも単位は百万円。トヨタ、キヤノンの役員賞与、当然行っているはずなんですが、統計上は出てきません。これは一体どういうことなのか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別法人の回答状況につきましては差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げれば、今回の法人企業統計の集計に当たりまして、会計基準適用後に決算期が到来した法人につきましては、役員賞与を役員給与に含めて記入するようにということをお願いしております。これは先生の御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、その回収した調査票におきまして、こうした法人の中で、利益処分の役員賞与欄に金額の記載があった場合には、一律、役員給与の方に移しかえて集計するという措置を行ったところでございます。こうしたことで、利益処分の部分の金額が小さいということになってございます。

 その上で、先生御指摘のように、足してもまだ金額が少ないではないかということでございます。この点に関しまして、法人企業統計調査は、先生御指摘のように、資本金十億円以上の法人は全数調査ということになってございます。しかしながら、回答未提出法人につきましては、所定の方法で補完を行って全体の計数を推計するということを行っております。このため、年々の回収率の変動というものが一つ要因としてあるのではないかと考えております。

 また、二〇〇五年度と二〇〇六年度を比べたときに、役員数が前年に比べて三・四%、これは十億円以上規模でございますけれども、役員数が減少しているといったようなことも、合計した数字の変動に影響しているのではないかというふうに考えておるところでございます。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

重野委員 ちょっと今の説明は私はいただけません。

 この表を見ますと、いろいろ言ったって、〇六年度、役員の給与九千三百九億円、役員賞与、これはゼロなんですね。これは私は非常に作為的なものを感じるんですね。その問題は、今の説明では納得できない。これは罰則規定まであるんですから、これに違反した者については、先ほど冒頭に申し上げましたような規定もある、それほど厳しいものなんですね。そういうものに対する今の財務省の答弁はやはり承服しかねる、私は非常に作為的なものを感じるということだけ申し上げておきます。

 法人企業統計というのは伝統と権威ある統計であります。今回の改正案で、統計センターを非特定の独立行政法人化して、職員を公務員型から非公務員型にするとしていますが、今言いましたように、この統計というものの持つ重み、これは、この国が行政を執行していく上においては、決定的な重要な基礎資料を提供する装置なんですね。

 今度の非公務員型にするという劇的な転換によって、この統計の質というものが担保されるのかという懸念を私は持つんですが、まずその点についてお聞かせください。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、統計の質の維持、中立で客観的で正確な統計の維持、これは大変重要なことであると認識しております。これを実現するためには、統計の一連のプロセス、調査の企画、設計、また調査の現場で調査の対象者から情報をいただいてくること、それを集計すること、そしてまた分析、公表していくこと、その全体の流れの中で統計の質を高めるという努力をしていかなければいけないというふうに理解しております。

 その中で、統計センターの担っていただきます集計の業務、これは非常に重要な部分でございまして、まさに中立公正、また正確といったことが求められておるところでございます。また、それを実現いたしますために、統計センターの方におきましては、統計技術をフルに活用していただき、またITを十分活用していただき、質の高い集計をやっていただくということが非常に重要でございます。その意味でも、すぐれた人材を集めていくということが非常に重要であると考えております。

 また同時に、法制上も、守秘義務ですとかあるいは公務員並みの規律を求めるような規定が必要であるというふうに考えております。

 なお、統計の質を高めるためには、統計センターだけではおのずと限界もございますので、私ども統計局の方も、また国民の方々からの統計調査に対する御協力もいただきながら、統計の質を全体として高めていくという努力をやってまいりたいと考えております。

重野委員 今度出た法律で、第九条で守秘義務を課しています。第十条で、みなし公務に従事する職員とみなすとしています。だから大丈夫だと。

 逆に聞きたいんですけれども、それだけいろいろな条件をつけて非公務員型にする必要性がどこにあるのかということを逆に聞きたい。公務員ではないがそうみなす、公務員と同じように秘密を守らせると言いますが、ならば公務員のままでいいのではないか。

 もともと民間でやっていたものを公務とみなす場合は、今言いましたような理屈は理解もできないわけではない。もともと公務員がやっていて、しかも公務の性格を持っているものをわざわざ非公務員型にするというのは、どう考えても不合理だと言わなければなりませんが、その点についてはどうですか。

川崎政府参考人 統計センターの非公務員化に関しましては、先般から議論申し上げておりますとおり、一つの大きな流れは行革推進法の流れがございますし、また、統計センターの職員の採用あるいは人事運用の柔軟化によりまして、働きやすい環境、あるいはより高度な人材の活用ができるようなことを求めるということでございます。

 それに伴っての守秘義務を課する、あるいはみなし公務員規定を設けるということでございますので、そのメリットは私どもなりには大きなものがあるというふうに考えておりますので、その点、御理解賜りたいと思います。

重野委員 納得できません。

 〇六年三月二十九日に行われました第一回統計センターの役割・業務等の在り方に関する研究会、そこで、資料として「職員の身分の在り方等」というものが出されています。その中で、「(参考)」として「特定独立行政法人とは」と「統計センターを特定独立行政法人とする理由」というのがあるんですね。統計センターが担う事務は、極めて重要かつ公共性を有するものであり、業務の停滞は国民生活及び社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすとして、役員及び職員には、国家公務員としての服務規律を課する等の必要がある、こういうふうに書いているんですね。

 そういう認識が示されているんですが、その認識は間違っているんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の研究会の報告書でございますが、これは平成十八年三月から同年六月まで統計センターの方で開かれました研究会の報告でございます。

 ただ、先生御指摘の箇所は、当時の状況における統計センターのあり方について論じておるということでございまして、むしろ設立当初の独法のあり方として統計センターのことを論じているというくだりでございます。

 その意味では、その後の状況の変化というものもございます。特に行革推進法といったようなものもございます。そういうことで変化があるということでございますが、研究会の報告の中では、実は、研究会としては特段方向性を示したものではございませんで、研究会ではいろいろな議論があったということが結論となっております。

重野委員 昨年、統計法が改正されまして、行政のための統計から社会の情報基盤としての統計へ、そういうスローガンのもとで全面的に改正をされました。我が党も賛成いたしました。統計関係者からも評価を受けているというふうに聞いておるんですが、一つ例示いたしますけれども、イギリスの話。

 サッチャー時代のイギリスで、レイナー改革というのが行われたそうであります。統計予算の縮小、統計業務の独立法人化などが主張され、これは大失敗しまして、英国の統計がむちゃくちゃになった。このレイナーさんというのは、スーパーを経営している経営者なんですね。この方がいわゆるレイナー改革というのをやったんですが、これは大失敗して、イギリスはもう全部もとに戻しました。そういう例があるんですよ。これは他山の石とすべき教訓ではないんですか。

 安易な非公務員型への転換、〇七年十二月二十四日の独立行政法人整理合理化計画に基づく機械的なやり方、まさしく機械的なやり方だ。こういうイギリスの例を見るまでもなく、世界の統計に関する政府の関与の仕方というのは、今国が進めている方向とは違いますよ。そこのところはどういうふうに受けとめ、どういう認識を持っているのか、最後にその点を聞いておきたい。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 イギリスのサッチャー政権下で行われましたレイナー統計改革と言われているものは、私どももよく承知しているところでございます。

 先生御指摘のように、確かに、当時イギリスでは相当大幅な組織、人員の縮減が行われて、イギリスの統計に対して相当批判が出てきたということを承知しております。そういう意味で、イギリスの統計改革は非常に単純に縮減を目指したものということでございます。

 しかし、我が国の昨年の統計法改正というのは、むしろ統計のめり張りをつけた充実という観点をかなり重視したものでございまして、また、基本計画等を通じまして統計の整備の方向を示していこうというものでございます。その意味では、イギリスと同じ轍を踏むものではないというのが今の我が国の環境ではないかというふうに考えております。

 その意味で、私どもも、いろいろ行政環境は変化しておりますけれども、そういう中で、できるだけ効率的で、かつ信頼もされる、また正確である統計を引き続きつくるということで努力してまいりたいと考えております。

重野委員 以上で終わります。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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