衆議院

メインへスキップ



第4号 平成20年11月13日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十年十一月十三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 大野 松茂君 理事 岡本 芳郎君

   理事 実川 幸夫君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      稲田 朋美君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      木挽  司君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      山本ともひろ君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    三谷 光男君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進担当室室長代理)      上西 康文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           二川 一男君

   政府参考人

   (社会保険庁社会保険業務センター所長)      中野  寛君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     山本ともひろ君

  谷垣 禎一君     福井  照君

  葉梨 康弘君     小里 泰弘君

  田嶋  要君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     葉梨 康弘君

  福井  照君     谷垣 禎一君

  山本ともひろ君    谷  公一君

  三谷 光男君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事大西典良君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地域活性化推進担当室室長代理上西康文君、警察庁長官官房審議官井上美昭君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、人事・恩給局長村木裕隆君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、情報流通行政局長山川鉄郎君、情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、総合通信基盤局長桜井俊君、財務省主計局次長香川俊介君、厚生労働省大臣官房審議官二川一男君及び社会保険庁社会保険業務センター所長中野寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 自民党の松本文明でございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず初めに、私と土屋正忠議員の大変強い関心事であります。伺います。

 大臣、インターネットの検索エンジン、グーグルのストリートビューというサービスをごらんになったことがありますでしょうか。もしおありでしたら、御感想を。

鳩山国務大臣 自分で見たことはございません。ただ、人から、友人から、あなたの家の周辺を見たよということを聞いたことがあるのと、うちの事務所の人たちが、何か多分グーグル・ストリートビューと思われるものを見ているのをちょっとのぞき込んだことがあるぐらいです。

松本(文)委員 これは、地図といいますか、車の屋根にポールを立てて、約二メーター五十センチのところに三百六十度写るパノラマ特殊カメラを取りつけて道路を走って、風景を上から下まで、横まで全部撮影している。ですから、鳩山大臣の自宅の住所を入れますと、その前にぱしゃっとカメラが届いて、家から何から全部写る。通りをずっと見ることができる。上も横も見ることができる。要するに、住宅地図を立体化して、現実そのままという形で見ることができるサービスなんですね。

 ですから、いながらにして観光地のすばらしい風景を見ることもできるし、友人は今いかにおわすかというような風景を見ることもできるし、楽しいものであります。

 これは、例えば税務署が税金をかけるのに、どうなっているかと、これを見ればすぐわかっちゃう、上から下から横から見られる。都市計画をする人がこれを見れば、電柱がいかに邪魔なものであるか、東京がいかにノーマライゼーション社会におくれた都市の構造になっているかというのは、これは実によくわかる。ある意味で、非常に有意義なものであります。

 しかし、一方で、これは犯罪者にとっても大変すばらしいツールなんだろうな、こう思うわけであります。警察庁の御見識を伺いたいと思うんですが、いらっしゃっていますか。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 ストリートビューに対しましては、地図の利便性が向上した等の歓迎する声がある一方、プライバシー保護や防犯の観点から問題提起する声もあると承知をしております。

 このような新たなサービスについては、今後どのように利用されていくか、防犯上の問題があるかどうかも含め見てまいりたいと考えておるところでございます。

松本(文)委員 二メーター五十センチの位置からすべて撮られるわけですから、塀の中は、大体三メーター以上の高さのある塀以外でしたら庭先まで全部写ります、写っています。

 したがって、問題があるなと思うのは、ここにあるのは、あるラブホテル街の道路を行きますと、若いカップルが今出てきたところか、これから入るところかという写真が写っております。これは外で男性が用を足している写真なんですが、下半身まできれいに写り込んでおります。ここのうちには洗濯物がどういうものが干してあって、昼間、人がいそうだとかいそうじゃないとかというのが全部一目瞭然、こういうようなことなわけですね。

 そこで、こういった、自分の庭先がどうなっているか、夏、ステテコでいても全部勝手に写していっちゃうんですね。それが世界じゅうに一瞬にして配信をされている。こういうようなことというのは、この国のプライバシーの考え方というのはどういうことになっているのか、総務省の御見解というものをちょっと伺いたいんですが。

桜井政府参考人 お答えいたします。

 ストリートビューとプライバシーとの関係でございますけれども、グーグル側では、人の顔あるいは自動車のナンバープレート、こういったものを解析いたしまして、自動的にぼかしを入れるという技術、システムを導入しております。

 ぼかし漏れ等の事例があるようでございまして、利用者からの申告がありますと、それに応じて削除をするという対応をしているというふうに聞いているところでございますけれども、先生御指摘のとおり、プライバシーの問題を懸念する声というのがあるということも事実でございます。

 プライバシー権、大変幅広い概念でございますので、国民各界各層の十分な御議論というものも必要かと思いますけれども、総務省といたしましても、インターネット上の情報流通を所管するという立場から、引き続き、グーグル社等からヒアリングするなど、このサービスについて注視してまいりたいというふうに考えております。

松本(文)委員 確かに、読んでおりますと、グーグルの方で顔をぼかしたり車のナンバープレートをぼかしたりという作業は行われているんですが、これは、知っている家族が見れば、あるいは友人が見ればすぐわかる程度の細工しかしていないんですね。そして、これはまずいから消してくださいとグーグルに頼めば消してあげますよ、こういうシステムになっているらしいんです。

 ところが、自分がいつどこで撮られているか撮られていないか、全くわからない。自分で気づいたときには、自分がたまたまどこかで写った写真が世界じゅうにそのまま配信をされているという大変怖い状況だな、こう思うわけでありますが、プライバシーの感覚が大変強いフランスでは地域限定ということになっているようでありますし、カナダではサービスの停止をされた、こういうふうに聞いておりまして、ストレートにやっているのはどうもアメリカと日本だけのようです。

 ところが、アメリカというのは道路がめちゃくちゃ広いところですから、それほどプライバシーという問題、どうなっているのかよくわからないんですが、こうしたことのいきさつについて、総務省の方の詳しい説明があったら求めたい。

桜井政府参考人 お答えいたします。

 各国におけますグーグル・ストリートビューのサービス状況でございますけれども、米国では昨年の五月から始まっておりまして、先生御指摘のように、日本ではこの八月からということでございます。あわせて、オーストラリアも同時期にサービスが開始されたというふうに聞いております。

 御指摘のフランスでございますけれども、本年六月から、まずツール・ド・フランスのコースルートに限定いたしましてサービスを開始して、この十月から全国五都市にその範囲を拡大しているというふうにグーグル社からは聞いているところでございます。

 また、カナダでございますけれども、昨年、米国でサービスを導入した直後に、カナダの個人情報保護委員会がグーグルに対して懸念を表明したという事実があるようでございまして、このためグーグル社は、カナダにつきましてはその対応を検討中というふうに聞いているところでございます。

松本(文)委員 こういったインターネットサービスというのは大変に利便性が高くて、社会に有益だというのは私もよく承知しているところであります。しかし、使いようによっては、世の中に毒ガスのつくり方を教えたり自殺を手助けしたり、ろくでもない使い方をされている例は枚挙にいとまがないわけでありますが、グーグルのこのサービスもまた注意をしないと、大臣のお友達のお友達が日本で何かを始めようというときには物すごくいいツールになっちゃう。

 やはりこういうものを野放しにしておくというのは大変に怖い、こう思うわけでありまして、社会に役立たせて有益な面だけを提供できるような形の何らかの規制というのは考えざるを得ないのではないかというふうに私と土屋議員は考えているわけでありますが、総務大臣と警察庁の御見解を伺います。

鳩山国務大臣 私は、松本先生のお考えに基本的に異論は全くございません。

 科学技術の発達によってこういうグーグル・ストリートビューというようなことが問題になるなどというのは、少なくとも三十年前には想像がつかないことであったわけで、個人情報保護法というのもかなり厳格に適用している中で、人の塀の中が見えるなどというのは大変なプライバシーの侵害に近い行為になってくるわけでありますから、そういう意味で、この問題については、ぼかしとかいろいろあるんでしょうけれども、注目をしていきたいと思っております。

 私は、もう大分前になりますが、科学技術が発達したときに、衛星から文庫本が読める時代が来るのではないかという話を聞いたことがあって、どうなっているか尋ねましたら、まだそこまでの衛星はないはずだということでありますが、もし衛星から、少なくとも、あそこを歩いているのは松本文明代議士であるとわかるぐらいのことが、画像を解析してそれだけわかるようなことになったらえらいことだ、こう思っておりまして、科学技術の光と影ということは常に意識しなければなりません。

 麻生総理が総務大臣時代に、u―Japanというんでしょうか、ユビキタスネット社会の構築ということを打ち上げられましたが、またこれを全力をもって推進してまいりますが、これは光と影があるということを十分認識して、きょうの松本先生のお話をよく肝に銘じまして、これから対処していきたいと思います。

松本(文)委員 もう私に許された時間はあと五分でありますので、まとめて何点か聞きたいなと思うわけであります。

 道路財源が一般財源になるということが決まっております。今までの道路財源のうちで、地方自治体が使っていた財源はどんなもので、トータル幾らになっているのか、説明をお願いします。

久保政府参考人 地方の道路特定財源でございますが、平成二十年度の地方財政計画と国の予算ベースで申し上げますと、まず地方税として、軽油引取税及び自動車取得税で合計一兆三千九百三十八億円、地方譲与税といたしまして、地方道路譲与税、石油ガス譲与税及び自動車重量譲与税で合計六千七百三十九億円の収入がございますほか、社会資本整備事業特別会計の道路整備勘定でございますけれども、ここから地方道路整備臨時交付金が六千八百二十五億円、国庫補助負担金が五千五百八十一億円、それぞれ配分されております。

 これらを合計いたしますと、三兆三千八十三億円が地方に配分されているという状況でございます。

松本(文)委員 こうした財源が一般財源化になったらどういうふうになるんだろうかというのは、地方の大変強い関心事であります。もう来年度予算編成にそれぞれの自治体が入っている、こういう時期にあって、それらに対する総務省の自治体に対する明確な説明、来年はこうこうこういうふうにするから、こういう考え方で対応しなさいよ、こういった指示が出ていないというふうに私は考えているわけであります。

 基本的に、私は、道路財源が一般財源になっても何がどうあっても、地方の事業が頓挫していいというわけにはいかない。地方の財源は今までどおり保障されなきゃいけないのは当然のことでありますけれども、それをする、こういいながら、ではどういうふうにするんですかという話になると、全く見えてこない部分が多過ぎる。

 ここら辺をどう整理して、いつごろ地方に対して、来年度予算編成に当たってはこういう考え方でこういうふうにやりなさいよ、こういうような指示が出せるというふうにお考えなのか、大臣ちょっと。

鳩山国務大臣 私の父が大蔵省におりまして主計局畑を歩んでおるころは、全部が予定よりふえてくる、つまり自然増収、自然増収ということでありましたから、年末になると余ったお金をどこにつけてやるか困ったものだよという、信じられない思い出話を語っておったことがあります。

 今、松本先生の御指摘をまつまでもなく、全く逆の現象が起きているわけでございまして、地財計画の規模も縮小してきている、また地方の一般歳出が数年間で十兆円ぐらい減、これは相当なスリム化もやったということなのでありましょうし、単独事業など、大げさに言えば三分の一ぐらいに数年間で減っているという状況でありまして、これが地方の疲弊の大もとにある。

 当然、地財計画全体の規模をふやすためには地方交付税も確保しなければなりませんが、そういう意味でいえば、年末にかけて、今税制調査会が与党で開かれている、そして地財計画も決めていかなくちゃならない、予算編成がある、こういうこれからの一月半ぐらいでありましょうか、その間にとにかくどれだけの税財源を確保できて地財計画を立てることができるか、これが勝負になってきて、それを見て、先生おっしゃるとおり、各自治体が来年度予算編成をしていただくということになるんだろうと思いますが、大変厳しい状況にある。というのは、地方交付税だって、国税五税の方の減収が予定されますので、非常に厳しい状況の中で何とか確保するための知恵も出さなきゃなりませんので、お力をおかしください。

松本(文)委員 地方自治体が来年度の予算編成をするに当たって、国の決定がずれ込むということは、とりもなおさず、地方自治体が来年度の予算編成をできないということになります。

 今、景気が大変に悪い中で、やるべきことをスピード感を持ってやらなくちゃいけない、こういう時代でありますから、給付金の問題これあり、経済対策これあり、来年度の予算これあり、日程は大変に詰まっている中でありますけれども、地方に対して懇切丁寧な説明、これをきちっとやっていただきますように強く要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 まず初めに、定額給付金のことについて大臣にお問い合わせをしたいと思います。

 これまでの経過を改めて振り返らせていただきますと、この春以来、原油高あるいは食料高、世界的な市場の影響を受けまして、物価の上昇ということが庶民の生活を圧迫してまいりました。一方で、では我々の給与、所得はどうかというと、よくて横ばい、上がるような状況というのはございませんでした。

 そうした中で、ことしの夏以降、私どもは、中低所得者に特に恩恵が高いと言われる定額減税、また、非課税の世帯に対しては給付金、そして、中小企業の経営という観点から融資の拡大、主にこの三本柱を立てまして、状況の打開を図るべく、主張を繰り返してまいりました。その後、アメリカの金融危機と相まって、さらなる景気の下降のリスク、また、国内にあって雇用の縮小といった危機感がさらに強くなる中で、消費の刺激また下支えということがさらに急務になってまいりました。

 こうした状況の中で、減税及び給付金というこの政策をできるだけ速やかに、また一括して実施するという観点から、今回は、減税政策から給付金政策へと一本化を図ることになりました。なぜなら、減税の場合は、所得税分は年度末の確定申告、住民税は来年度の六月、また自営業者は再来年の確定申告といったぐあいに、その効果がさらに分散してしまうということになるからでございます。

 そういう意味におきまして、年度内の実施を目指し、でき得る限り速やかに、また、現場の市区町村が混乱することなく確実に実施できるよう、給付金実施本部の対応が今後非常に重要になってまいると思います。

 所得制限については、自治体が実態に応じて決定をすることとなりました。自治体が所得制限を設けなければ、全世帯が給付金の受給ができる方向になるというふうに理解できると思います。いずれにしても、大切なことは、目下の状況をかんがみ、できるだけ速やかに、また混乱なく確実に実施することが極めて重要であると考える一人でございます。

 こうした経過を踏みまして、今回の実施本部では、くれぐれも適切また確実な対応をお願いしたいと思うところでございますけれども、大臣の御決意をお伺いいたします。

鳩山国務大臣 先生御指摘のとおり、定額減税という方法をとらずに定額給付金という形にしたことは私は適切だったと思いますし、それが、これは生活の支援なのかあるいは経済、景気対策のどっちかといえば、当然両面ありましょうけれども、重心は、諸物価の値上がりとか、あるいはボーナスが減らされるような企業とか経済状況の悪化とかありますから、そうした中での緊急支援的な意味、こういうことだろうと考えております。

 私は思いますのは、とにかく、地方自治体に、これは法定受託事務というわけにはいかないので自治事務でやっていただくということでありますから、もちろん、その費用、手続というのか、手間暇の費用は全部国が見るわけですが、これはできるだけシンプルでなければいけない。

 私は、そういう意味で、麻生総理大臣が先月末に記者会見で生活対策を発表したときのあの表現にできるだけ近いものが望ましいと、正直思います。全世帯に配ると。それを後から、生活支援を必要としている全世帯というふうに解釈をすべきだという話もありますが、私は、そうではない、全世帯に配るといったらこれは全世帯なんだと。

 そういう中で、市町村が混乱しないような、とりわけ窓口が物理的に混乱するようなことがあってはいけないし、不公平感があってもいけない。これは、公明党さんも強く主張して、国策、国の政策として実現をするわけでありますから、幾ら自治事務とはいえ、通りを挟んでこっちはもらえた、こっちはもらえないというようなことは、私はあるべきでないと基本的に思っております。

伊藤(渉)委員 ぜひ、今の大臣の御答弁どおり実務が進むように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、地上デジタル放送のことに関連して幾つか質問させていただきます。

 今、この時代にありまして、テレビというものは本当に生活において必要欠くべからざるものになってきたと思います。そうした中で、憲法に規定される健康で文化的な最低限度の生活を有する権利、ここにも入ってくるのではないかと思われるほど重要なものになってきていると思います。

 この点について、まず、このテレビというものの今の世の中における位置づけ、これの大臣の御所見をお伺いしたいのと、そうした中にあって二〇一一年を目指して地デジに移行する、なぜ地デジなのかということも改めてお伺いをしたいと思います。

鳩山国務大臣 やはりテレビの影響力というのは大変大きいと思います。新聞の場合は、大新聞は大変権威があると思いますし、中には人のことを死に神なんて書く新聞もありますけれども、新聞というのは未来永劫残るものだし、かなり権威のあるものだと思うんですが、やはり、べた記事にちょっと自分がやったことが出ましても、ほとんど地元で言われることがない。この間、芸能人が片側におられたある夫婦の結婚式で、披露宴で乾杯の音頭をとりますと、地元へ帰るとそのことばかり言われるわけですね。

 だから、テレビの影響というのはもう大変大きい、生活を営む上で必要不可欠であり、強力なライフラインなんだろう、こう思っておりまして、そうした意味で、デジタル化を進めることによって電波に余裕ができて、さらに新しいサービス等が可能になるということで、デジタル化は、これはあと千日を切りましたが、アナログ停波という形で進めていくという考え方でございます。

伊藤(渉)委員 今大臣もおっしゃられたとおり、あと三年、約三年です。二〇一一年七月二十四日完全移行ということになりますけれども、まさに必要欠くべからざるライフラインでございますので、非常に慎重に事を進めなければならないとも思いますし、今、世の中のニーズというものは非常にきめ細かくなってきていると思います。それぞれの方がそれぞれの思いでいろいろなものを利用されていますから、それに対応していくことの難しさというのは、十年前と比べても比較にならないほど、行政も非常にきめ細かな対応を迫られると思います。

 そういう意味で、この地デジへの移行に関連しては、どこまでも国策として、あらゆる面で国が主導をして実施をしていかなければならない、そういうふうに思いますけれども、この点についても改めて大臣の御所見をお伺いいたします。

鳩山国務大臣 伊藤先生おっしゃるとおりでございまして、先ほど松本先生の御質問も、科学技術の発達に伴う、むしろ弊害やプライバシーの侵害の問題をお話しなされたわけであります。科学技術の発達の光の部分、先ほどは影の部分ですが、光の部分として、デジタルに転換すれば、いろいろなサービスの向上とか、電波が余り、高画質、ハイビジョンも、よりすぐれたものになるということでありましょうから、まさにアナログ停波ということを国策として決めたわけです。

 ですから、これはもちろんNHK、民放、またメーカー、販売店、自治体、すべての関係者に協力をお願いしてまいりますし、十月一日にはテレビ受信者支援センターというのを各業界と協力して十一カ所につくりまして、私もそのオープニングに出席をし、いずれ各都道府県全部につくっていくわけでありますが、国策としてやっていく以上は、国が最終的な責任をとるという思いで進めていかなければならないと思います。

伊藤(渉)委員 少し細かいお話をお伺いしますけれども、この地デジ、これも改めて申し上げるまでもございませんけれども、地デジを受信するためにはアンテナあるいはチューナー、こういったものに対して初期投資がどうしても必要になります。

 そうすると、いわゆる庶民の感覚ということになりますと、今までお金を払わなくてもずっと見られていたテレビが、国策によって、ある程度初期投資をしないと二〇一一年夏以降見られなくなる。何でお金がかかるのかとか、お金を払うぐらいだったら別に今のままでもいいじゃないかということがゼロではないという現実もございます。

 そこで、まず、政府として、地デジ移行に当たって最低限必要となる個人負担、これはどの程度になると考えているのか。これはちょっとできるだけ細かくお聞きをしたいので、山川局長の方から御答弁をお願いしたいと思います。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 アナログテレビをお持ちの世帯において、地上デジタル放送を視聴していただくためには、最低限、アナログテレビでデジタル波を受信するためのチューナーが必要でございまして、現在、一万円程度のものが販売されております。

 そのほか、アンテナの設置が必要となる場合がございまして、アンテナの初期費用につきましては、戸建て住宅かあるいは集合住宅かということによって異なってまいるわけでございますけれども、戸建て住宅の場合は、アンテナ本体につきましては、標準的なものにつきまして五千円程度から販売されております。

 また、アンテナ設置のためには工事費用も必要でございます。この工事費用は、住宅の規模や地域の状況あるいは施工会社の見積もりによって異なってまいりますけれども、通常の工事を行う場合は三万円程度で可能というふうに伺っております。

 また、集合住宅の場合でございますが、この場合、戸建て住宅に比べまして、耐久性がすぐれた高性能なアンテナを使用する場合がございまして、三万円程度のものが設置されることが通常でございます。

 集合住宅の場合の工事費用でございます。施設の現状や規模等によってこれも大きく異なりますけれども、ことしの三月に社団法人日本CATV技術協会というところが実施いたしました集合住宅共聴施設のデジタル化の改修状況に関するサンプル調査によりますれば、多くの場合は、ブースターと申します電波を増幅する機械、この調整なども含めて、一世帯当たりの負担額が、先ほど申し上げたアンテナ五千円、工事費用三万円、計三万五千円という範囲におさまると想定をされておるところでございます。

伊藤(渉)委員 そうしますと、チューナーは今のところ一番安いもので大体一万円、またアンテナが五千円の、工事費が三万円ですから、三万五千プラス一万で四万五千円。チューナーについては、さらに開発を進めて五千円程度まで落としていこうという取り組みがなされていると承知をしております。それでも、最低でも約四万円ぐらいかかるということになります。

 こうすると、もちろんさまざまな生活の状況がございますけれども、この負担額が過度の負担となる世帯も当然発生をしてくるわけでございますけれども、その点については、大臣、どのような対策をお考えか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 結局は、国策として進めるけれども、今山川局長からお話があったように、個人負担が生じる。そういう意味でいえば、一応生活保護世帯にはチューナーをお配りするという方針をとっておりますけれども、個人負担、今御説明を局長がしましたが、どの程度で済むのか、これから推移を見守っていきながら、また、場合によっては再考が必要なこともあるかなとは思います。

伊藤(渉)委員 これも本当に難しい問題で、生活保護を受けられている方でも、状況によっては、既に地デジが見られるような状況になっていらっしゃる方もいらっしゃるでしょうし、生活保護を受けられていない方でも、状況的に生活が非常に厳しい方もいらっしゃるでしょうし、そこをどうきめ細かく、最終的に整理をしていくのか、これも非常に大きな問題だと思いますので、引き続き、私ども、いろいろな形で研究を進めていきたいと思います。

 最後になりますけれども、ちょっと配付資料をごらんいただきたいと思います。

 表紙をめくっていただきますと、タイトルとして、「送信点の移転による新たな都市受信障害(中京地区イメージ)」とありますけれども、私が知り得る限りでは、あとは、東京も電波の発信をする位置が変わるというような状況をお伺いしております。これは総務省の方で以前つくっていただいた資料ですけれども。

 何が起こるかといいますと、愛知県は現状、左側にある、テレビ塔と一般的に言われておりますが、名古屋タワーというところからアナログの電波が送信をされております。これが、地デジに移行する際に、右にあります瀬戸タワーということで、電波の送信点が大きく変更になります。そうすると何が起こるかといいますと、私ももともと建設関係の仕事をしていたこともありまして、特に超高層などを建てるときは電波障害への対応というのは非常に大変でございます。

 今までは、既存の電波が流れているところに高層建築物等をつくることになりますから、原因者は、真ん中にありますこの建築物をつくる人になりますので、これをつくることによって生じる、お配りした資料でいうと薄いブルー、水色で塗ってある部分になりますけれども、建物を建てることによって生じる電波障害に対する対策は、当然建物を建てる人がやるという原則でずっと進んできました。特に都市部においては背の高い建物が乱立をしておりますから、後からつくった人がそのときに発生した電波障害にずっと対応をしてきました。

 しかし、今回、中京地区、あるいは関東圏も、テレビの送信点が変われば電波が来る方向が変わるがゆえに、また全然違ったところに電波障害が起こってくるという問題が発生してくる可能性があります。もちろん、アナログ波と比較してデジタル波は非常に回りがよろしいので、電波障害のエリアというのは小さくなると一般的に考えられますけれども、それでも新たな受信障害が出てくる可能性を秘めているということは紛れもない事実で、なおかつ、非常にふくそうした高層建築物が建つ中で、これは、では一体だれの責任で、どうやって障害の対策をするんですかという問題が、地デジへの完全移行が、今はデジタルもアナログも両方映っていますから、デジタルテレビでテレビを見ていてもアナログの電波しか映っていないのに、地デジが映っていると思っている方もゼロじゃないです。これが二〇一一年夏にとまった瞬間に問題がさらに大きくなるというリスクも秘めていると思います。

 よって、二〇一一年の完全移行までに、これをしっかり調査して、こういった問題が発生しないようにしてやることが、国策として進める地デジの移行にとってはやはり非常に大きな、また重要な問題だと思っております。

 そのためにまず必要になるのは、現状の調査、これもやらなければなりません。地元では何カ所か既に実施をさせていただいておりますけれども、膨大なボリュームがあると思いますので、この調査をまず実施するということ、そしてその調査結果を踏まえてどういう対策を打つのか、国策という観点から国費をどう投入して実施するのかということが非常に重要になってくると思います。

 ここで、現時点においてこういったことに必要と思われる予算の確保、このことについて最後に大臣の認識、御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

鳩山国務大臣 一般論として申し上げれば、建築物あるいは高層建築による電波障害、受信障害というのは、当事者間の話し合いということが原則でありましょうが、今、先生からお示しをされたこの絵を見ますと、真ん中の建物の方が、名古屋タワーからのアナログ波の邪魔になるというので、右側の方々が映るように恐らく負担をしたんだろうと思いますが、デジタル化に伴って送信点が瀬戸タワーに変わることによって、今度はこの図の左側の方が電波障害という形になるわけでしょうか。それを、建物の所有者に全面的に責めを負わせるのは、私は裁判官ではありませんが、送信点の変更という特別の事情でありますから、それは酷というものだろう。

 こう考えますと、そうした調査をすることや改修等については、当然国としても一部補助できるように予算要求をしていく予定でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 きょうはさわりだけまず触れさせていただきましたが、引き続き、この問題、最終的にきちっと決着するようにしっかり取り組んでまいりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要です。

 きょうは、民主党のトップバッターで三十分をいただきました。大臣、よろしくお願いします。

 私も、最初にまず、定額給付金について少しお伺いしたいんですが、先ほど大臣は御答弁の中で、この施策は国策であるというふうにおっしゃいました。一方で、地方の自治事務であると。国策であるけれども、自治事務として、すべてのコスト、経費負担は国で面倒を見る、そういうロジックでよろしゅうございますか。確認でございます。

鳩山国務大臣 一見矛盾するような表現でありますけれども、国策というのは、今、デジタルのときも使いましたが、国全体として決めて行うという国の政策でありますけれども、いわば十分の十の補助金という形で自治体にお配りをして、自治体がそれぞれ予算の議決をして市民に配るという意味では自治事務ということでございます。

田嶋(要)委員 結果的にやらない、やれない自治体が出てくる可能性というのはあるんでしょうか。

鳩山国務大臣 それはあってはならないし、ないと思います。

田嶋(要)委員 確認ですのでもう一つだけお伺いしたいんですが、先ほども、道の向こうとこちらで不公平があっちゃならないとおっしゃるんですけれども、今のこの与党で決定している骨格を尊重しても、道の向こうとこちらで不公平は生じると思うんですが、それはなぜ生じないんでしょうか。

鳩山国務大臣 実は、実施本部は総務省の中につくりまして、できるだけ簡素でシンプルで、自治体が物理的に混乱しないような、そういう仕組みに大いに知恵を絞ってほしいということで作業をしているわけでございます。

 この定額給付金の問題というのは、私は責任逃れをするわけではありませんが、自治事務として地方にお願いをするのは総務省でありましょうが、基本方針は、まず与党同士の話し合いからいわば天の声としておりてくるような部分があるわけでございまして、私は、若干の電波障害を起こしているのか、こういうのが聞こえたり、あっちから聞こえたりということで、ちょっと正直言って、もっとシンプルに国民にわかりやすくしないといかぬというのが私の基本的な考え方でございます。

 だから、通りのこっちと向こうとで自治体が違う、そういう地域はどこにでもあるわけですね。そこへ所得制限を設ける、設けないということで、もらえる人、もらえない人が出てくるとすれば、私は、決して望ましいことではないと正直言って思っております。

田嶋(要)委員 総務大臣のところへの天の声が電波障害だらけだとおっしゃるんだったら、国民は大変ですよ。いろいろな首長さんがきのうからもいろいろ言っておられますけれども、これは混乱が起きないはずがない。

 これは、後期高齢者医療制度に次いで、さまざまこれから出てくると思われますけれども、地方の責任の所管でございます総務大臣ですから、仮にこれをやっていくということでも、ふだんから歯にきぬ着せぬ大臣でございますので、やはりぜひ、地方を守る、地方に迷惑をかけない、そのことをしっかり御決意いただきたいと思うんです。本当に首長さんたちは、もう怒りですよね、あちらこちらから怒りの声。その御決意を改めていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 私としては、総理が生活対策を発表された記者会見のあの時点にできる限り戻る、近づけることがいいと思っております。

 まあ、釈迦に説法でしょうけれども、税務情報を使うということは、これは法律を変えなければできないことでございまして、個人的に承諾すれば税務情報を使ってもいいということになるでしょうが、そういうことを国民に説明するというのもまた大変なことでございまして、私は、基本的に、所得の高い人には行かなくて所得の低い人にお金が行くというのは、所得再分配という意味ではあるべき姿ではありますが、今回、先ほど伊藤先生にお答えしたような趣旨で国の政策として行うのであれば、スピードが肝心であるならば、これは絶対シンプルにして、全世帯がもらえる、全国民がもらえるということを大原則にしなければいけない。そうしないと自治体も混乱をする。

 所得制限の問題も、結局、この所得制限という意味が、いつの所得かというのは決めることができるんでしょうけれども、自治体によっては、所得制限より上だったら受け取る権利がないのか、あるいは、受け取る権利はあるけれども一つの目安で千八百万とか二千万以上の人は御遠慮願ったらどうですかという場合と、両方あるというようなことがあれば、余計混乱をする。

 私としては、とにかく全世帯が受け取ることができる、その地方自治体の判断によって御遠慮いただく場合もある、受け取る権利はあるが御遠慮されたらいかがかという基準はこんなもんですというぐらいに整理しなくちゃいかぬじゃないかと思っています。

田嶋(要)委員 ということは、総務大臣の御意思としては、きのう決定されたとされるこの与党の骨格自体も問題があるということですね。

 要するに、辞退する場合もあれば、もらえない場合もあるんですから、今は。それは混乱だと今おっしゃったですよね。ということは、これは問題だと。反対のスタンスということですね、この基本の骨格には。

鳩山国務大臣 骨格の範囲内で私があるべき姿を申し上げた、こういうことです。

田嶋(要)委員 ですから、この骨格が、私もきのう聞いて驚きましたけれども、要するに、辞退していただくということを言っていたから、そういうことなのかなと思ったら、辞退を促す市町村もあれば、一千八百万とか二千万以上はだめですというふうにする市町村の余地もあるというふうに説明を受けているんですよ。ということは、まさに大臣がおっしゃった混乱の素地がしっかりここに組み込まれているんですよ。どうですか。

鳩山国務大臣 私は、骨格の範囲内の解釈でぎりぎり持っていって、私が先ほどから申し上げているような形にしたい、近づけたいと考えております。

田嶋(要)委員 ぜひ鳩山大臣、頑張って闘ってくださいよ。これは本当に与党の皆さんだって、多分心配されている方がこれからふえてくるんじゃないですか。本当に、後期高齢者に続いてまたこういうのが出てきますよ。ぜひお願いいたします。大臣、閣内不一致でも何でも結構ですから、国民のためにどんどん闘ってくださいよ。よろしくお願いいたします。

 それで、次のテーマに入らせていただきますけれども、ちょっと社会保険庁の問題に関係しまして質問をいたします。

 年金の関係で、大臣はおとといの御自分の答弁の中で、「できるだけ優しく、」という言葉をアドリブで言っていただきました。大変結構だと思うんですけれども。

 もう一度確認ですが、なぜこういう言葉を使って、御自分の言葉でこの点を強調されたか、もう一度その理由を言ってください。

鳩山国務大臣 私は、政治には優しさが一番大事だということを祖父以来継承していきたいと思っておりまして、兄も基本的には同じ思想だろうと思いますけれども。

 つまり、社会保険庁に記録がない、自分も確たる証拠を持っていない、だけれども、変だな、ねんきん特別便を見てかどうかわかりませんが、いろいろなケースがあると思いますけれども、変だなと思って社会保険庁に申し立てをすると、自動的にこれが年金確認第三者委員会、私どもの方に回ってくる。それを今二百三十チームか二百何十チームかでやっておるわけで、毎週千件以上処理をしているわけでございます。

 結局、申立人の話をよく聞いて、関連資料とか周辺事情をよく調べて、記録訂正ができるだけなされるような方向で優しく見ていただきたいということを申し上げたつもりでございます。おわかりいただいたでしょうか。つまり、判断が非常に難しいというようなときには、そういうぎりぎりの場面でできる限り申立人に有利な方向で判断をしていただけないか、そういう意味を込めて、先般十月三十一日かな、私は中央委員会の基本部会でそういうお話をしました。

田嶋(要)委員 先ほど私の発言の中で、ちょっと一点撤回いたしますけれども、閣内不一致でいいというのは適切ではなかったと思うんですが、私が申し上げたかったのは、歯にきぬ着せぬ大臣でございますので、おかしいと思うことはおかしいと、これからでもぜひ闘っていただきたいということを強調させていただきます。

 それで、今のお話でございますけれども、年金のそういう「できるだけ優しく、」と。これは、所管でございます第三者委員会の部分の判断、そういうところにだけ優しさがあっても不十分だと私は思いまして、この問題が、国民には全く非のないところで、国の大失態によってすべて国民に迷惑がかかっているということでございますから、最近は社会保険事務所の対応も昔と大分変わった、そういう声も地元でよく聞かれますけれども、やはりすべての局面にわたってこういった御迷惑をおかけしているということを前提にした対応、施策の検討をぜひお願いしたいというふうに思います。

 そこで、きょうお配りをしている紙一枚をごらんいただきたいんですが、これは年金額の仮計算書というものでございます。

 これは、第三者委員会であっせんが起きてから出てくる、役所で使われる紙でございますが、この紙を含めて、再裁定が行われて国民の皆さんに正確な年金が振り込まれるそのフロー、第三者委員会から最終的にお金が振り込まれるまでのフローに関して、まず簡潔に教えていただきたいと思います。

中野政府参考人 第三者委員会のあっせんを受けましてから最終的な振り込みまでの事務処理の流れについてでございますが、まず、第三者委員会のあっせんを社会保険庁本庁で受けまして、社会保険事務局を経由して当該の社会保険事務所へ記録訂正の通知を行います。社会保険事務所におきまして、御本人に年金記録の訂正及び再裁定の内容について御確認をしていただきまして、その上で社会保険事務所で再裁定処理の依頼を社会保険業務センターへ行います。同センターが再裁定処理を行っているところでございます。

 この処理により、年金の増額分を算出いたしまして、その翌月または翌々月の半ばに年金の振り込みを行っているところでございます。

田嶋(要)委員 地元で最近よく言われる問題は、そうやって自分の年金額が訂正されるということがわかって大変喜ぶわけですが、実際にその訂正されたお金が待てど暮らせど全然入ってこない、そういう現状があるというふうにいろいろ言われるんですね。

 そこでお伺いしますけれども、今の実態としてどのぐらい待たされるんですか。

中野政府参考人 再裁定の処理につきましては、社会保険事務所で受け付けましてから社会保険業務センターに進達をしまして、同センターで再裁定処理を行っているところでございます。

 待ち時間についてでございますが、受給者本人の記録の内容によってさまざまでございまして、五年の消滅時効の完成をしていない年金について、再裁定の処理の申し出からその処理の完了までには、一般的には六カ月程度の期間を要しているところでございます。

田嶋(要)委員 六カ月、しかし、今の状況ですと、それは恐らく最低ラインではないかなという感じがしております。

 それで、人員の増強とかでいろいろ対策は打たれておるというふうに伺っておりますが、お配りした一枚紙の真ん中より少し下のところに「変更後」という欄がございます。ここから副大臣にもお伺いいたしますけれども、この変更後というのがまさに、年金記録が新たに見つかったことで、本来その人が十年前からとか二十年前から受け取っていなければいけないはずの年額の年金額ですね。

 これを出すのは社会保険事務所だというふうに理解しておりますけれども、社会保険事務所が国民の皆様におわびしてお知らせするこの金額というのは、後から再裁定される年額の数字とは基本的に一致するんでしょうか、どうでしょうか。

中野政府参考人 年金記録の訂正が判明いたしました年金受給者の方に対しまして、社会保険事務所におきましてあらかじめ年金記録の訂正後における年金額を試算いたしまして、年金額仮計算書という形でお示しをいたしております。

 この試算額は、当該年度の一年分についての年金額計算プログラムにより計算をいたしておりまして、基本的には最終的に再裁定を行った後の年金額とおおむね一致をするものと考えております。

 ただし、過去にさかのぼった正しい年金額とその差額の総額を導き出すためには、当該年度の一年分の年金額だけではなく、過年度分の年金額をそれぞれ計算した上で、既に支払った年金額との比較を丁寧かつ正確に行う必要があるわけでございます。

田嶋(要)委員 非常に形式的に言えば今の手続ということになりますが、自分の受け取っている年金額が本来の年金よりも少ないということが判明した、うれしいと喜びますね。しかし、そこからさらに半年とか一年とか待たせる国の姿勢というのは、まさに鳩山大臣がおっしゃった、この問題に関しては優しさが必要だという理念にもとるんじゃないかと私は思うんですよ。実際、多くの国民の皆さんが、それまでも苦労して苦労して、そして第三者委員会までやっとたどり着いた、しかし、救済されると思ったら、そこからまた半年、一年ですよ。

 今のお話をお伺いしていると、少なくとも、過去の間違いじゃなくて、これから年間幾らにふえるんだというこの変更後の数字はおおむね正しい数字がわかるわけですね。再裁定ということをセンターからきっちりと送る前からでも、これはちゃんと第三者委員会からのあっせんを踏まえてわかっているんですよ。ということは、やろうと思えば今よりも半年早く、御迷惑をおかけした国民に正しい年金を二カ月に一回振り込むことは可能だと思うんですよ。

 副大臣、私のまず最初の御提案ですけれども、これは余りしゃくし定規にやらずに、その優しさということから考えたら、さらに半年とか一年国民を待たすんじゃなくて、わかった範囲の、すなわち、過去のものとかそういう部分じゃない分だけでも国民に早くから振り込んであげる、変更後の正しい数字で振り込んであげる、そういうことを検討していただきたいんですが、いかがですか。

大村副大臣 この年金の第三者委員会によりましてあっせんを受けたものを再裁定して、できるだけ早く国民の皆様に正しい年金額をお支払いするということは大変重要だというふうに思います。そういう意味で、田嶋委員の御質問の趣旨というのは私ども重々わかりますし、また、それはぜひそういう趣旨で取り組んでいきたいというふうに思っております。

 そういう中で、今御指摘の暫定的な支払いをしてはどうかということにつきましては、このことにつきまして先ほどセンターの所長からも答弁をいたさせましたが、この一年分と、そしてこれまでの過去の部分の正しい差額といいますか、額を計算するということについては、やはりこれは丁寧にやっていかなきゃいけないということもございます。

 それと、あわせまして、現在の再裁定処理の仕組みでは、過去五年にさかのぼった年金支払い処理と再裁定処理の申し出後の年金支払い処理というのは一体的に行われておりまして、こうした処理を分離して行うにはそのシステムの改修というのが必要でございます。それについてやはり期間がかかるということ、そういったことをやりますとさらに時間が逆にかかってしまうというおそれもあるわけでございます。

 したがいまして、できるだけ早く国民の皆さんにお支払いをしたいということで、この手続は早く早く進めていきたいというように努力をさせていただきたいと思いますけれども、今の御指摘の暫定的な支払いということにつきましては、やや慎重に検討する必要があるのではないかというふうに思っております。

田嶋(要)委員 暫定では私はないと思うんですよ。それは性格が異なりまして、間違っていることがわかって、本来の年額がはっきりした。だから、その将来のことの部分の支払いは、もうわかったすぐから新しい金額で振り込んであげたらいいんじゃないかということを申し上げているんです。

 すなわち、過去の間違いとの差の部分の累積額の振り込みというのはいろいろな複雑な計算があると聞いておりますけれども、しかし、再裁定をする前からもう社会保険事務所ではっきりわかっているんですよ、あなたの正しい金額はと。わかっているにもかかわらず、国民がまた一年間間違った金額をもらうんですよ。それは理不尽じゃないですか。少なくとも、どのぐらいの予算でこういうことができるのか、できないのか。

 最初からリジェクトベース、否定的に考えずに、それは余分な人員もかかるでしょうけれども、やはりこれは救済という観点からは、できるかできないかをちゃんと検討していただきたいんですけれども、副大臣もう一度、それを検討するという御答弁をいただけませんか。

大村副大臣 先ほど私申し上げました、この点につきまして、これまでのものの年金の支払い処理と再裁定処理後の今後の年金支払い処理を一体的に今やるというシステムになっておりまして、これを分けてやるということについては、そのシステム処理に相当の期間を要するということもございます。そういったことで、これを分けてやることで逆におくれてしまうおそれがあるということを先ほど申し上げました。

 したがいまして、そういう意味で、委員の御提案、御指摘の点につきましては、まだなお解決すべき、そして議論すべき課題が多いんではないかというふうに考えております。

田嶋(要)委員 もし、そういうことの検討ができないということであれば、私は二つ目の御提案を申し上げたいんですけれども、これは余り議論が国会であったかどうかはわかりませんが、本来だったら十年前、二十年前から国民のもとに戻っている給付金が、国の中に間違いで残ってしまっている、それが巨額な額なわけですね。そして、その巨額な額をお支払いするときに、名目額として同じ額を返すという今のやり方が本当に優しいのかなと私は思うんですよ。

 そこで、副大臣にお伺いしますけれども、今の、遅くに再裁定で支払う、申しわけございませんでしたと払う額の中には、金利という概念は入っているんでしょうか。

二川政府参考人 再裁定の年金額の計算につきましては、被保険者期間あるいは標準報酬等に基づき額の計算が行われるものでございまして、再裁定が行われるまでの時間的経過等に着目して金利を課すような仕組みは現行法上設けられてはおらないところでございます。

田嶋(要)委員 これは、副大臣、言うまでもなく、きょうの一万円と十年後の一万円は価値が違いますね。これは当たり前の話ですね。基本中の基本なわけですね。それがあるからこそ、社会保険庁のこの年金にもいろいろな仕組みが入っています。

 例えば、保険料の掛金を一括して前払いすると割引されているんですよ。そうですよね。私もそうやって国民年金の掛金を払っています。一年分前払いすると、二千幾らか三千幾ら安いんですね。

 では、もう一つお伺いしますけれども、厚生年金、これは会社が国に払うのを忘れておくれると、延滞金というのを取られているんですよ。一体どのぐらい取られているんですか。

二川政府参考人 厚生年金保険料を期限までに納付されない事業主の方につきましては、納付期限までに納付しない場合に督促状を送付し、督促状の指定する期限までに納付されない場合に延滞金が発生いたします。延滞金の利率は年一四・六%となっております。

田嶋(要)委員 副大臣、大臣、やはりこれは、行政の無謬性に立っているから、その部分が非対称だと思うんですよ。国民に関してはペナルティーを科す、あるいは金利の発想をちゃんと取り入れてやっているわけですね。しかし、こういった国民に対してまさに優しさが求められるような、国が大失態したときに、十年前の千円をきょうの千円で事を終わりにしようということですよ、今やっている話というのは。

 もう一つ、別な側面からいいますと、では、払わずして国に、社会保険庁の中に残っていたお金というのは、これは運用されているんですよ。

 そこでお伺いしますけれども、国民年金、厚生年金の過去五年間の運用利回りはどのぐらいですか。

二川政府参考人 厚生年金、国民年金の積立金の平成十五年度から十九年度までの過去五年間の平均運用利回りにつきましては、年およそ二・七%となっております。

田嶋(要)委員 ちなみに、この二・七%は一番低い運用利回りでございまして、真ん中が国家公務員でございまして、一番高い利回りが地方公務員の利回りなんですね、三%を超えているんですけれども。

 いずれにしましても、これは、国民に本来は戻るべき国民の財産が、国の間違いで国の中に残ったまま、しかも、ちゃんと運用されて利回りが出ているわけですね。これで出ている運用益というのは、本来だれのものなんですか、副大臣。

大村副大臣 年金につきましての積立金の運用、これは巨額の積立金がございますから、それを運用して効率的に確保していくということは、将来の年金受給者に対する給付に向けるという意味で大変大事な要素だというふうに思っております。

田嶋(要)委員 もう一度お伺いしますが、本来、間違いがなければ最初から国民の財産として戻っていたものが国の中に残っていて、それが運用されているんですよ。そういう側面が片方である。

 そして、先ほど申し上げたように、国民が、あるいは会社が年金の掛金を納めることをおくれたら一〇%以上の遅延料を取っているんですよ。あるいは、国民が掛金を早く払ったら前払いの割引もあるんですよ。常にそこに、お金の時間的価値というもの、十年前の一万円ときょうの一万円では違うんだということは常識的なものとしてちゃんと入っているんですね。

 しかし、国が全面的に悪い、それで国民に優しさを持って間違ったことを訂正してこうやってお金を返していくというときに、暫定もできない、さらに六カ月待ってくれ、さらに一年待ってくれ、延びれば延びるほど全部その不利益は国民に覆いかぶさっているんですよ。

 それはやはり、一人一人は大した額かはわかりませんけれども、全体としては物すごいことですよ。それを今まで、そういう話が出てくると、さらにシステムの改変とか大変なことになる、払わなきゃいけない額もふえるということで、パンドラの箱をあけたくないというお気持ちもよくわかりますけれども、しかし、やはり常識的に考えて、これは、これまでの国民の財産をお返しするタイミングが物すごくおくれたことに伴う、金利というか、ペナルティーという側面なのか、少なくともそれを運用して利回りまで出ているということを考えると、やはりそういった部分も含めて国民の皆様にお戻しする。

 十年前、二十年前の一万円と全く等価なものとしてきょう一万円をお返しする、そういう今の国のやり方というのは私はおかしいと思うんですが、ぜひその点を検討していただくということを副大臣から御答弁いただきたいと思います。

大村副大臣 公的年金給付は、個人年金等のように個人で納めた保険料に利子を付して給付を行うというものではないということから、支払うべき利子がそもそも発生をしていないということで、遅延利子を付すという制度にはなっていないということでございます。

 これは、他の社会保険関係の給付においても同様の取り扱いとしていることでございまして、そういった制度との整合性というものを考えていかなければなりません。また、利子を付した場合には、請求を遅くするといった方向にも働くということも念頭に置いていかなければならないと思います。

 いずれにいたしましても、これは議論すべき論点の一つだとは思いますけれども、なかなか解決すべき課題が多いということで、慎重な議論、検討が必要ではないかというふうに思っております。

田嶋(要)委員 五年の時効の問題も、判断が変わった結果、九十六歳の方が二千九百万円もらえたというケースがあると聞いていますよ。物すごい大きな話ですよ、それぞれの個人にとって。金利と呼ぶかはともかくとして、この検討もぜひ私はやっていただきたい。

 行政の無謬性を前提にして、国民にだけはそういう概念を押しつけているわけですから、このケースのように国が全面的に大きな間違いを犯して国民に御迷惑をおかけしているわけですから、ぜひ鳩山大臣、最後に一言、この優しさという観点から、こういったことは当然考えていかなきゃいけないと私は思いますが、大臣、コメントいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 実は私は、年金や社会保険庁のことについてそれほど詳しくなかったものですから、私が社会保険庁長官に対して訂正のあっせんをするわけですよ、ところが、なかなかもらえないとか変更されないとか、これくらいの部分はもらえそうだけれどもこっちはまだわからないと言われたとかという話を聞いたときに、思わずどなったわけですね、ふざけるな、一応総務大臣をやっておってあっせんしたことに社会保険庁は従ってないのかと。どなってしまったら、それはちょっと私の早とちりだったかもしれないが、ただ、それに近いようなことがあるかもしれない。

 そういうことを考えれば、あっせんによる訂正が行われた後も、優しさを政府みんなで発揮していかなくちゃならぬと思いますね。

田嶋(要)委員 ぜひ、その理念を厚生労働省も共有して、御検討いただきたいというふうに思います。

 以上です。

赤松委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 鳩山大臣におかれましては、先ほどから御答弁を拝見しておりましたが、答弁書も持たずに御自身のお考えを持たれてお話しされている御姿勢というものに非常に感銘を受けております。本当に、そういう意味での議論というものを重ねていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 きょうは、大きくは定額給付金のことについてお伺いしたいと思いますが、まず冒頭に、もう一つの懸念の方、いろいろ議論あるところですけれども、道路財源のいわゆる地方への移管ということでいろいろ、一兆円なのか一兆七千億なのか、何やかんやというお話があると思います。

 私は、これは麻生総理から一兆円を地方に道路財源から渡せという指示が出たことが一つのきっかけであると思いますので、今、谷垣さんを中心にPTを組まれて議論するというお話でしたが、つまるところ、総理がどういう御趣旨で言われたのかを突き詰めて聞いてしまえば結論は出る問題だと思うんですね。

 その総理の指示に対して現実的にどうなのかということを議論するのはいいんですが、何か垂簾政治のように、どこかから聞こえてきた声を、だれだれは何とかと解釈して、だれだれは何とかと解釈する、閣内によって違うというのは私は余りいい姿ではないと思いますので、総務省として、鳩山大臣としてどうとらえているのかではなくて、麻生総理はどういう指示を具体的に出されたのでしょうか。いかがですか。

鳩山国務大臣 道路特定財源の一般財源化に伴って一兆円を地方に渡すというのが総理大臣からの追加指示であったわけでございます。

 これは、難しい問題がありますのは、私は一年前に法務大臣をやっておりましたので、予算委員会等に出ておりましたときに、当時の福田康夫総理大臣は、一般財源化を決めた後の答弁では、一般財源化するということは、ちょっと表現は違うかもしれませんが、いわば新しい税金に生まれ変わるということだから、税率もその時点でまた考え直さなくちゃならないというような趣旨のことを言われているわけです。ですから、現在ある仕組みでただ道路目的財源が外れるだけのことではないのかなという思いもあります。

 ですが、総理はそのような追加指示をされましたので、私はそのときにぴんときたのは、六千八百二十五億円、すなわちガソリン税の四分の一が自動的に地方の道路財源に入っているのはどうなるんだろう、五千五百八十一億円の道路関係の補助金というのが地方に入っているのはどうなるんだろうと。これは、合わせれば一兆三千億円になりますね。一兆三千億が一兆円になったら三千億の減じゃないですか、補助金まで入れれば。だけれども、いわゆる六千八百二十五億円、七千億と言われるものが一兆円になるんだったら、三千億しかふえないわけじゃありませんか。

 そこで私は、総理に閣議後、あの一兆円というのは、七千億円、六千八百二十五億円というガソリン税の四分の一とは別物ですねと。ああ、全然別、全然別というふうに総理がおっしゃったものですから、私は別枠説をとり続けているのでございます。

寺田(学)委員 非常に重要なお話で、別枠だったということの総理の指示を受けたということでよろしいんですね。

 それを、国交省の方は、何とかだ、いや、そういう解釈ではないんだというふうに言われていますけれども、もう指示を受けられているわけですから、総理の指示は別だったんだということを言ってしまえば結論は出る話だと思うんです。改めて総理から別枠だったということのお話を聞いていただくか、私が一番いいのは、ぶら下がりのときでもいいから、きょうの鳩山さんの御証言をもとにマスコミの方も聞かれるでしょうから、そのときに、別枠と指示しましたというふうな話をしていただければ済む問題だと私は思うんです。

 ぜひとも麻生総理の方に、側近中の側近だというふうにお話をされている部分もあるわけですから、そういうような形でこの問題にけりをつけるようにぜひ総理に言っていただいて、その結果についても定例の記者会見で鳩山大臣の方から御披露いただくということをお約束いただけないでしょうか。

鳩山国務大臣 私は実況中継を先ほどさせていただいたわけで、六千八百二十五億円というガソリン税、揮発油税と言ったかは忘れましたが、四分の一が自動的に地方に入っているんですけれども、それとは概念的に別のものですかとお聞きしたところ、ああ、それとは関係ない、別なんだと。これは間違いないんです、実況中継としては。

 ところが、問題があるんです、寺田委員。私は、それで大いに満足して帰ってきたわけですが、先ほど、前段に昨年の福田総理が云々と申し上げたように、これは、一般財源化することによって六千八百二十五億円というものが完全に一たん消えてしまう。とすれば、それに見合うものを積み上げてくださいよというお願いを別途しなければならないという感覚も持たなくちゃいけないのです。

 六千八百二十五億円が、既得権と言うとちょっと嫌な言い方で、地方が地方の既得権みたいに主張をしてかえって失敗するといけないという部分も若干危惧としてはあるんですが、ただ、別というんですから、一兆円は、これは私は、基本的には、地方が自由に使えるお金として、地方交付税として地方がいただく。また、道路だけではないが、もっと使い勝手がいいものとして、道路に使ってもほかのことに使ってもいい、従来から地方が自動的にもらっていた七千億近くのものは別途入るような仕組みにしてもらいたいと。

 ですから、私と国交省が戦う話ではなくて、私が財務省と話し合うことなのかなというふうに今は思っているんです。

寺田(学)委員 すごくざっくりと総理が道路財源の使い方を検討せよという指示をされてPTが立ち上がるのは私は別にいいと思うんですが、ある意味、一兆円という具体的数字まで出して指示をされていて、それの読み方が、今実況中継していただきましたけれども、内実こうなっていたり、いや、国交省はこう思っている、財務省はこう思っているということにばらばらになっていることが、総理の指示系統として全く体をなしていないところが問題だと思うんです。

 交付税で使うかどうかというのはそれからの話で、それはそれで議論していいと思うんですが、総理の指示をしっかりしてほしいということが私の要望するところで、ぜひとも、それの解釈、翻訳というものを、総務大臣にもしっかりと閣僚の一員としてやっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、一番迷走したと言われる給付金の方に入りますが、前にも地域振興券という話もあって、それの反省を踏まえたのか踏まえていないのかわかりませんが、今回定額で給付をするということでした。

 ちょっと基本的なことからお伺いしますが、この施策、二兆円を定額給付金として配るという話ですが、経費はどれぐらいかかるものだということを算定、ある程度頭の中で計算された上で実行に移されることになるんでしょうか。大体、経費というのはどれぐらいだと今のところお考えになられているんでしょうか。

鳩山国務大臣 自治事務として地方自治体が配ることにかかる経費ですね、御質問は。

 これはまだ実施本部の方に計算させておりませんが、数百億という単位だろうと思います。

寺田(学)委員 地域振興券のときに、七千億規模の地域振興券を配って、実際使われたのが四百億ということでした。

 今回、二兆円を配ります。もちろん、それを単純に三倍するということ、三分の一が七千億ですから、そういうことで経費額も三倍になるだろうというのは単純には計算できませんが、地域振興券のときにかかった経費割合ぐらいは今回もかかるのであれば、一千億を超えるような形になると思うんですが、それぐらいの規模になるという御想像はありますか。

鳩山国務大臣 今の寺田委員の御質問に答えるだけの私は専門家的な知識は持っていませんけれども、地域振興券は確かに金額も六千億台で終わったわけですが、これは地域振興券を刷ったわけですね。今度はその刷るという手間はない。しかしながら、案内を出すわけですよね。案内というんですか、選挙でいう投票券に当たるようなものを世帯主に案内を出す、引きかえ票みたいなものでしょうか。それから、口座振り込みを使うと、その手数料もかかりますね。

 だから、その辺をいろいろ計算して、私はそんなにふえないとは思っておりますが。

寺田(学)委員 振興券を刷る手間が省けるということは、その部分においては事実かもしれませんけれども、対象者数が、今回、地域振興券の比じゃないわけですね。かつ、自治体によって振り込みなのか現金給付なのかわかりませんけれども、対象者数が莫大にふえる中で、それで、その方々から一回御案内をして御返信をいただいて、給付窓口を開いてなのか、振り込みの口座をいただいて、それの確認をして、実際振り込んで、振り込むときの犯罪対策をして。およそ地域振興券と同じような、大臣の言われているように、そのときよりは手間が省けるだろうという発想は、多分、ここに今委員として在籍されている元首長の方々は非常に首をかしげると思いますね。参考人として座られてもいいぐらいなんですけれども、確実にこれは一千億を超えると思います。

 それを今から私が断言することはできませんが、少なくとも、地域振興券のときよりは数倍か手間はかかると思います。そういうような御認識も今のところお持ちではないんでしょうか。別に十円単位で予想してくれと言っているわけじゃないんです。ざっくりとした雰囲気でいいんです。

鳩山国務大臣 確かに、配る金額と事務経費と私は正比例関係にはない、この間は地域振興券だったから。そういう意味で、今、実施本部の方で研究をさせて、一千億を切ってみせたいと思います。

寺田(学)委員 実施本部、ここも矛盾するんですけれども、配り方や何やというのは、それは地方が決めてくださいというふうに言っておきながら、実施本部でかかる経費は計算して一千億を切りますというのは矛盾していますよ。

 それは、地方が工夫をして一番面倒くさくないようにやってくださいということであれば、費用のことはある程度度外視して人を雇って、できる限り作業量を減らしてくるわけですから、実施本部が経費を決める話でも実はまた今回はなくなったわけですね。本来は、国の方で、ある程度こういうふうにやってくださいと。だとしたら、これぐらいの作業量が要りますね、そうしたら経費がこれぐらいですというのは今の本部でわかるでしょうけれども、今回、地方に投げちゃうわけですから。かかる費用すらわからないというのが実態だということでよろしいですか。

鳩山国務大臣 先生が今いろいろおっしゃったことも含めて、できる限り経費がかからないように実施本部に研究をしてもらっているということを申し上げているわけです。

 もちろん、地方自治体が行う自治事務ではございますが、どういうふうに工夫すればどれだけ安くなるかというようなことも研究をしていると思います。

寺田(学)委員 このような政策を決めるときに、どれぐらい経費がかかるかということの発想なしに決めちゃうものなんですかね。非常にいいかげんだなと思うんですが、少なからず、地域振興券よりは、そのときに四百億ですが、それ以上はかかるというぐらいの覚悟はまず持たれているわけですよね。

鳩山国務大臣 地域振興券のときも、七百億ぐらいかかるというのが四百億ぐらいにおさまったといういきさつがありますので、やはりこれは、経費節減のための工夫とか知恵というのは必要だと考えています。

寺田(学)委員 大臣からの発信として、事務量、多大に迷惑かけてしまう、その分、事務費、国は面倒を見ますよというんですが、どうなんでしょうね、地方にしてみると、この作業量をこなすために、作業量をできるだけ負担のかからないようにするために、人手やそういうのを、金銭的なことを考えずに、ある程度、どんと構えてやらざるを得なくなると思うんですね、本当にこれをやるとすれば。

 そこら辺は本当に大臣として、それは、私ども野党としては、そういうお金、この法案というかこのやり方自体に大反対していますから、賛成はできませんが、そういう中において、本当に自治体の負担が少しでも減るような形、負担というのは作業量という負担ですけれども、減るような形での情報発信というのはしていただきたいと思っています。

 それで、先ほどから自治事務、自治事務という話をされていますが、基本的なことをお伺いしますけれども、いわゆる自治体はこの国の政策をするために給付の実務を担うことになっているわけですが、地方は何を根拠にそれは従わなきゃいけないんでしょうか、その作業というのをしなきゃいけないんでしょうか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 自治事務、十分の十の補助金、地方自治体で予算の議決をしていただくということを申し上げておりますので、理屈の上では、地方自治体が拒否をして、やらぬということは可能なんです。ですけれども、国全体の政策としてやることでございますのでやっていただけるだろうということで、理屈の上では、おらが自治体はやらぬということは可能です。

寺田(学)委員 先ほどの答弁は、そういうことはあってはならないと言ったんです。取り消されますか。

鳩山国務大臣 いや、だから、そういうことはあってはならない、つまり、全自治体にやっていただこうということでございますが、本当の意味での強制力があるかといえば今申し上げたとおりなので。

 必ずやっていただけるものと確信をしております。

寺田(学)委員 一般論としてお伺いしますが、この委員会、非常に先生になる方が多くて、先ほど首長さんをされていた方にいろいろお伺いしたんですが、自治事務というものは、法律に基づく自治事務と条例に基づく自治事務と、あと予算等のそういうものがある、大きく分けて三つぐらいだろうというお話でした。いずれにせよ、自治体の自主的な意見か、あとは法律によってやれと言われてやる以外にないというお話でした。

 一般論としてお伺いします。

 法律にも定められていないような自治事務を国がやれというような指示を出して、やらないことは特段悪いことでもないんですよね。それは至極真っ当に、別に法律にも定まっていないんだからやらなくていい、一般論ではそれは正しいですよね、大臣、どうですか。

鳩山国務大臣 一般論としてはあり得ることですね。

 例えば、ちょっと今の制度はわかりませんが、私がかつて文部大臣等やっておりましたころに、幼稚園就園奨励費というのがありまして、これは幼稚園の就園に奨励費を出す自治体にはその補助をするという仕組みで、今変わったかどうかわかりません。要するに、やる自治体とやらない自治体がありましたから、そういうことは理論上は十二分にあり得るんです。

寺田(学)委員 端的なことを言えば、地方にやってもらう、法律的に自治事務としてやってもらう法律を出せばいいんですよ。法律は出さないんですか。財源法は出すという話をされていますよ。財源法ではなくて、自治体にこの給付作業をしてくださいという法律を出して国会で議論すればいいんですよ。議論する中でまとまっていくわけですから。法律を出さないんですか。鳩山大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 やはり、それは法律でやる、法定受託事務というのかな、そういう形にするということであれば法律が必要だ。

 例えば、これも釈迦に説法ですけれども、税務情報を、国税であれ地方税であれでしょうか、これを所得の把握に使うということは法律を改正しないとできないですね。個人情報保護という観点も、法律を改正しないとできないと思う。そういうことで、今回は法律の改正をしないで済む方法を選んだということではないかと思います。

寺田(学)委員 それは、所得制限をする際に税務情報を知るためには法律改正が必要だ云々というのはわかります。

 そもそも、この給付、国の政策というものを地方にやってもらうときに、法的な根拠が、自治体として全地域にやってもらうのであれば、国の政策としてやってもらうのだから、堂々と法律を出せばいいじゃないですか。何で自治体にやってもらう法律を出さないのですか。

鳩山国務大臣 それは、法律制定や改正が不要の方がスピーディーに事が運ぶからだと思います。

寺田(学)委員 スピーディーに進むからという理由だけで、自治体にほとんど半強制的にこのような莫大な作業をやらせる。お金を配るというのは、第一義的にはやはりもらえるものはもらいたいと思うのは人間の心理ですから、そういうような世論を沸き立てておいて、それでいて、自治体には法律としてしっかりと国でお願いするという作業もせずに、任意でやってもらえるでしょう、一応自治事務です、法律の根拠もありませんが任意でやってもらいますというのはいいかげん過ぎるんじゃないかな。

 参議院で通らないどうこうじゃないんですよ。国として、政府としてちゃんと法律をつくって、通らなかったら初めてこのやり方だっていいわけですよ。お願いします、自治事務ですけれども頑張ってください、国としてはお願いしますよという話ができるわけですね。

 何で法律は出さないのかというのは、総務大臣ですから、地方の自治を守る立場に置きながら、法律すら出さずに、法的にやらせることもさせずに、いや、それはやってもらえるものだと確信していますなんというレベルでやっているのは、そんなもの、総務大臣じゃないですよ。地方にお願いするならちゃんと法律でお願いする、お願いしないのであれば自由にする、それが地方自治の大原則じゃないんですか。法律を出す作業というのは、なぜ検討すらしないんでしょうか。いかがですか。

鳩山国務大臣 その辺は、自民、公明両党で相談をされたことでありましょうから、私の方には天の声としておりてきております。

寺田(学)委員 いや、政府・与党一体でしょう。国会から大臣として選ばれて省庁に入っているわけですから。国会の中なんて、政党の中でやっているわけですよ。都合のいいときは政府・与党一体だと言い、都合が悪くなればそれは党で決めたことだと言うのは、そんなのは詭弁ですよ。

鳩山国務大臣 それは、政府と与党は一体であることもあるし、一体でないこともあるんですよ。(寺田(学)委員「いや、それじゃ質疑できないですよ」と呼ぶ)いや、それは違うんです。それは、最終的には政府・与党で打ち合わせて物事を決めていきます。しかし、いわゆるプロセス段階においては、政府の考え方と与党の考え方がかなり隔たっていることは、これは委員長もよく御承知だと思いますけれども、通常よくあることなんです。

 それは、最終的には政府・与党でまとまってやっていきますけれども、政府・与党が常に一体で動いているものでは絶対ないですよ。

寺田(学)委員 僕も少なからず憲法を勉強して、議院内閣制を勉強しますけれども、それは国会の中で首班指名されて、首班指名された総理大臣が大臣を選んで、各省庁の、ある意味リーダーシップを発揮するために省庁に行くのであって、そっちに行った瞬間に政府の人間で、国会との連帯関係を持たないなんて、そんなものは議院内閣制としておかしいですよ、議院内閣制として総理大臣を選んでいるんですから。そこら辺は……(発言する者あり)いや、一時期として政府の考えと与党の考え方がちぐはぐになるときがあるのは、それは現象としてありますけれども、責任は一体ですよ。そこら辺は間違えないでいただきたいと私は思います。

 そういう意味でいうと、スピーディーだどうこうだという理由じゃなくて、ちゃんと法律を出して、恥ずかしくもなくやれるのだったら、国で決める部分のところまでちゃんと法律で決めて、国会で議論して、そのところで細部をいろいろ詰めて、ないとは思いますが、いろいろなことの修正が起きて非常に役に立つ法案だと思ったら、うちだって賛成するという話が出てくると思いますよ。そこら辺の手続を経ずに、法律すら出さずに、そして、その上、自治事務として地方に任せておきながら、外堀だけ埋めてもうこういうのはやらないということを言えないような状態に置くのは、非常にけしからぬことだと私は思いますよ。

 もう一度聞きますけれども、地方は法律上、法律上というか、こういう今の仕組み上においては、この給付金の作業をしないということもいいんですね。

鳩山国務大臣 理論上はそういうことだと思います。

寺田(学)委員 実質上はいかがですか。

鳩山国務大臣 実質という意味はどう解釈したらいいかわかりませんが、全国民に配るということから始まっていることでありますから、総理が記者会見で生活対策を発表されたときに全世帯に配るとおっしゃったことから始まっておりますので、私は、その形にぜひ近づけたいし、全地方自治体が同調してくれるものと思っております。

寺田(学)委員 では、同調することに期待されるということでよろしいんですね。そういうことですね。(鳩山国務大臣「はい」と呼ぶ)はいというお話をいただきました。

 今回、いろいろな意味で、それは、この政策の是非はいろいろあるでしょうし、そして、政策が本当に有効に生きると考えられている中においては、早く、年度末までに振り込まなきゃいけないという話でした。

 きのうある程度与党の中での結論が出たということですが、国である程度画一的にルールとして決めることと地方で決めることの線引きというのはまだあいまいだと思います。そこら辺の線引きというのは、大臣所管のその何とか本部で決められるのかもしれませんけれども、いつぐらいまでに決まるんでしょうか。

鳩山国務大臣 与党間の詰めはきのうで終わったんでしょうか、あるいは……(寺田(学)委員「何だ、それは」と呼ぶ)いや、文書はありますけれども、場合によっては与党間でさらにもう一段階詰めていただきたいことは、私は心の中にはあるんですね。

 つまり、所得制限という言葉がいっぱい出ておりますけれども、本来の所得制限というのは所得制限を設けたらそれ以上の人は受け取る権利がないということなんでしょうけれども、これがあくまでも目安で、受け取り辞退の目安のように使う場合と、両方が混在することが私は決していいこととは思っておらないものですから、その辺はまた与党に天の声を聞きに行かなくちゃならないときがあるかなという思いもあります。

寺田(学)委員 与党と政府の関係は天の声の関係なんですか。何ともみっともないですね。

 これも改めてまたお伺いしますけれども、年度末までに振り込む、振り込むなのか現金でお渡しするというのか、スケジュールとしてはそういうような意味合いというか、年度末までに給付する仕組みの政策というとらえ方で、改めてですけれども、よろしいですね。年度末までということでよろしいんですね。

鳩山国務大臣 スピーディーにやるということで、先ほどの年金記録の訂正後の支払いではありませんが、これは非常にスピードが大事だということで年度内にやろうではないかというのが、与党間の協議からあるいは総理の御意思から始まっていることだと思いますので、年度内に支給できるようにみんなで頑張っていきたいと思いますが、補正予算が必要になりますから、その補正予算の提出時期、あるいは野党の御協力の度合い等があって紛糾するようなことになるとずれ込むおそれがあると新聞に書いてありますけれども、新聞には書いてありますが、私どもとしては年度内に支給できるように全力で頑張ります。

寺田(学)委員 年度内に支給しないと、会計年度というか予算年度がかわりますから、全く違う性質のものになると思いますよ。それで、では年度内にやりましょう、三月末までに給付しましょうという話になります。

 この委員会の中の首長経験者の方々にでき得る限りお伺いしたんですが、恐らく、給付なのか振り込みなのかには一カ月かかるだろうという話でした。ほかに、郵送して返送してもらうまでにも一カ月は当然かかるだろう、返送されたものをチェックするのにも一カ月かかるだろう、もろもろのこと、返送するための要項を、いろいろなことを決めるのにも一カ月は最低かかるだろうと。

 もうないんですよ。何にも決まっていないこの段階で用意しない限り、賢明な首長さんたちの出身議員が多いですから、いろいろお伺いする範囲においては年度末は無理だという話でした。年度末においては今から準備する必要があるだろうということでしたけれども、この財源も全く法律的な議論もされていない、それどころか、内容すら、基本合意がただようやくきのうできた段階において、年度末というのは難しいのではないかなと。もし年度末にやるとしたら、何も決まっていないこの段階で、もう市役所、役場の方々には、要項づくりに励んでくれ、発送するための封筒、紙等々、人員計画つくってくれということの指示を出さないとできないと思うんですね。

 大臣、このスケジュールにおいて、何も決まっていない、財源の法律すら議論されていない段階で指示を出されますか。

鳩山国務大臣 実施本部というのはそれらを含めてスケジュール的にも検討しているわけで、それは寺田委員おっしゃるとおり、すべてが決まって補正予算が通ってから、はがきで送るんでしょうか、それを用意するというようなことでは遅過ぎますから、当然それは事前に準備する、確定しなくても準備するというのは、選挙の日にちが決まっていなくてもポスターを刷っている人はいっぱいいるわけで、事前に準備するということは大事だと思います。

寺田(学)委員 いや、本当に地方を逆なでするのがお上手だというか、選挙とこういう事務を一緒にされたのではたまらないと思いますけれどもね、ポスターを刷るのは私たちですから。今回も二転三転、解散日程というのがずれて、役所の人たち困っているわけですよ。しかも、役所の人だけじゃなくて、使うはずだった公民館が投票のために押さえられて町の行事ができなかったという方々もたくさんいるわけですね。そういう意味で、今回、選挙の件も含めて、給付金の件も含めて、地方には、自治体、そして自治体の中にお住まいになられている住民の方々も、非常に迷惑をされているとは思います。そこら辺はいろいろおもんぱかりながら御発言いただきたいと思うんです。

 いろいろなものが確定的に決まる前に準備に走ってもらわなきゃいけないというお話でしたが、一個前の質問にあるとおり、そこら辺、自分たちで決めていい範囲、自治体が、では自由にやれと言われて考えなきゃいけない範囲の線引きすら決まっていない、ではその日程はいつ決まるんだ、天の声が来ないからわからない、ツルの声が来ないからわからないという状態では、本当に地方は大変だと思います。

 本当に、私は反対したい、私は愚策だと思いますけれども、これからこういう政策が実現していって、地方の首長さん方もいろいろ心配されているのは、いや、おれのところには来なかったとか、所得制限設けたときに、何でおれだけくれないんだと、不平等な扱いをされたと裁判になるという話のときに、ではこの政策のそもそもの立法趣旨は何なんだという話には必ず裁判になったらなると思いますし、説明する範囲においても、いや、こういう仕組みなので御理解くださいということを言わなきゃいけないと思うんです。一かゼロか、赤か黒かという話じゃないと思いますが、これは、生活支援、言葉、今回取れましたけれども、生活支援なのか景気対策なのか、どちらなんですか。

鳩山国務大臣 地域振興券のときにもその議論は随分あったと思いますが、私は基本的には生活支援、まあ、生活支援という言い方がどうかという問題は議論になっておりますけれども、それは食料品とかガソリンとかが値上がりをした、景気の方は決していい方向には行っていないとなれば、本給が下がるということもあるかもしれないし、減給ということもあるかもしれませんし、ボーナスが減るという方も多いでしょうし、あるいは各事業所得者では売り上げが減るというようなことがいろいろ起きておりますので、それに対する緊急の支援と。

 ただ、これが消費の拡大につながっていく部分がありますので、景気対策という側面もそれにつけ加わってくると思います。

寺田(学)委員 基本的には生活支援だと。そして、もちろん景気対策の意味合いも持つという御答弁だったと思います。生活支援ということでした。そして、今回、地方にそれはやりたいようにやってもらうんだと言いながら、一千八百万円という一つの目安を出して、所得制限するとしたら下限はここにしてくれ、それ以上にしたらだめだということでした。

 そういう論理展開からいくと、所得が手取りで一千八百万円以下の方々は生活支援が必要だという御判断なんですよね。一千八百万円以上の所得を持たれている方というのは全国民の中で二%です。裏返すと、九八%の方々が、今回、いわゆる一千八百万円以下ということで給付の対象になって生活支援が必要だと国が考えているということになりますが、どうなんでしょう、国民の九八%が生活支援が必要な状態になっているという全体観でよろしいんでしょうか。鳩山大臣、いかがでしょう。

鳩山国務大臣 九八%の方が可処分所得が減った、こういうふうに認識しているわけでは全くありません。ただ、諸物価の高騰とかいろいろありますから、こういう景気状況の中で緊急に支援をするのはこういう形がいいだろうという判断であります。

寺田(学)委員 九八%の国民の皆さんに生活支援が必要だという判断でよろしいですか。

鳩山国務大臣 生活支援という言葉もいろいろ使われると思いますけれども、いろいろと、こういう経済情勢、給与情勢の中で、それくらいの方々に支援を、支援という言葉がいいのかどうか、今度は定額給付金という言葉だけになったわけですけれども、お金をお配りして、使っていただこう、できれば消費の拡大につなげていただこう、こういう趣旨だと思います。

 生活保護とかそういう概念で使われている事柄とは全く違うと思います。

寺田(学)委員 国民の平均所得金額は、厚労省の試算でいくと、五百六十三万円ということです。平均所得の三倍以上持たれている方が生活支援が必要なのか。必要だという総合的な判断に立たれたのは、私は非常におかしいなと思います。

 何で今回千八百万円ということにしたかというのは、報道及び公的にも発表されている中でいくと、所得税の税率を一つの目安にしたということでした。千八百万円超が税率が四〇%。これが今六段階に分かれていて、その下が九百万を超えて一千八百万円以下、その下が六百九十五万円を超えて九百万円以下、その次が三百三十万円を超えて六百九十五万円以下というふうに分かれてどんどん下に落ちていくんですが、こういう所得税の一つの区切りを用いるんだとすれば、私は、本当に生活支援が必要だと思うのであれば、少なくとも平均所得よりも下の方々が支援が必要だという発想に立つのが常識的かなというふうに思うんです。

 今回、これで予算が二兆円使われるんです。二兆円て何に使えるのかというのはいろいろ考えどころはあると思いますが、社会保障関係というのをいろいろ見てみますと、今年度のいわゆる医療費の助成を、ある程度給付カット等も含めて、やるというのは二千百五十億円。十年分ですね。あと、公立学校の耐震化推進というのが総額で一兆円ぐらいでできるということでした。半分使えば全部できるわけです。児童手当に関しても、国の負担というのは三分の一あるみたいですが、それを国が全部負担したところで年間八千六百億円の負担で済むということは、これは三年分ぐらい、二年ちょいは使えるということでしょうね。障害者自立支援法も、応益負担の部分をなくすというのは年百五十億できればやれるということであれば、いかにこの二兆円を使う、そして、その二兆円を使う相手が国民の九八%で、国民の九八%のうちに平均所得の五百万円よりも上の方々がたくさん含まれる。これは、限りがある財源の中で、優先順位として、このような使い方をすること自体に私は非常に大きな疑問も抱きます。

 ほかにいろいろ使い道はあったと思うんです。大臣の本当に本心のところをお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

鳩山国務大臣 この定額給付金の前の、定額減税という形で始まっていった、ちょうど夏ごろだったと思いますが、これは与党間の話し合いの中から出てきたものだろうと思いまして、私はそのころ一介の平議員であったものですから、そうしたことに全く絡んでおりません。

 ですから、私は、これはこれで意味のあることだと思いますが、寺田委員おっしゃるように、いろいろな使い方があったじゃないかと。いずれにせよ、これはテンポラリーなお金であることは間違いがないわけで、例えば農業の分野で肥料も飼料も原油も高騰している、こういうところにもっと手厚く配れなかっただろうかとか、そういうことは私も、いろいろな経験を積んでおりますから、いろいろなことを考えますけれども、今回はとりあえず、とりあえずじゃない、失礼しました、今回は与党同士で決めたこの二兆円の定額給付金で突っ走っている、こういうことでございます。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

寺田(学)委員 とりあえず二兆円をばらまいちゃおうという発想自体がいかがなものかなというふうに思います。

 一千八百万円が妥当かどうかという議論は非常に難しい部分はあると思いますが、さまざま手当を出すというところにおいて、国の制度である程度の所得上限というのは決めています。ここから上の方々には手当をやりません、手当を給付しませんというのがありますが、本当に、今、国民の平均世帯所得が五百六十何万円のときに、いわゆる片親、母子家庭が中心だと思いますが、母子家庭の平均所得が三百何十万、高齢者世帯よりも百万ぐらい少ないはずなんですよ。その方々に出す、児童手当の年収制限というのは、ここは通告を全然していませんから、わかりませんけれども、幾らぐらいだと思いますか。これはもう唐突なので、幾らぐらいかという御想像で結構です。

鳩山国務大臣 もう一回おっしゃってください。何の所得制限ですか。(寺田(学)委員「児童手当の年収制限です」と呼ぶ)児童手当。まあ、それは調べてから御返事しましょう。

寺田(学)委員 六百八万円だそうです。六百八万円以上の方には児童手当を給付しないというやり方をしているわけです。

 今回の上限が一千八百万です。所得制限を設ける設けないという議論はありますけれども、今回、ある意味、地方に任せるというやり方にしちゃいましたけれども、設ける。下限の上限は決めました。それが一千八百万円です。だから、そこら辺が、本当に、上限というものを決める際にも、今のこの実態というものを全く踏まえないで、大臣の言葉をかりれば、とりあえず決めたというところにおさまっているのは非常に問題と思います。

 そして、消費に回ってくれれば景気対策になるんだという話なんですが、もし本当に消費に回すんだとすれば、地域振興券の形でやったらよかったんじゃないんですか、私は全く評価をしておりませんが。地域でちゃんと消費に回してもらうためには、現金を口座に、いきなり数字的にぴっとふえることよりは、地域振興券としてちゃんと消費してもらうということの方が随分消費という意味ではいいんじゃないかなと思うんですが、なぜ地域振興券のような形じゃなくて現金のような形にして、消費に、比べてみれば回りにくいような仕組みにされるのか、いかがなんですか。

鳩山国務大臣 生活の緊急支援ということで、それは消費に回ることが望ましいですが、どのような形でも使えるという形をとったんだと思います。

寺田(学)委員 どのような形でも使えるというのは、貯蓄にも回せるということです。貯蓄に回すことをだめだというつもりは、今回、現金という形でやるんですから、そういうふうには考えていないでしょうけれども、景気対策だ、そして消費に回って地域を活性化させたいんだということでこういうことをやるのであれば、私は評価しませんけれども、昔、与党がやられた地域振興券というやり方の方が確実に地域で使われることになると思うので、もしやるのだとしたらそういう形の方がよかったのに、今回、現金にしたのは何でなのかなというふうには非常に強く思いますが、それは、今大臣が言われたとおりだと思います。

 それで、一応の決着を一段階目としてきのう見たわけですが、二転三転をしました。この原因というのは、大臣から見てどこにあったと思いますか。

鳩山国務大臣 それは、与党同士の話し合いもいろいろな意見があったと思うし、いろいろな意見が自民党内にもあったと思うし、閣僚にもあったと思うし、そうした意見を集約するのに時間がかかったというふうに私は思っております。

寺田(学)委員 なるほど、迷走はされたということは御認識で、その理由が、今、自民党の中、そして閣僚の中でも意見が分かれたということですが、大臣が非常に麻生総理に近いお立場だということをいろいろなところからお伺いしますので見ていますけれども、今回のことに関してでも、そして、一番冒頭に質問させていただきましたけれども、地方に一兆円渡すということが、いまだに総理の指示内容がはっきりしていない。今回、あれは別枠なんだという御証言をいただきましたけれども、そこら辺、総理のリーダーシップ論というのは、大臣としてどのようにお考えになられていますか。

鳩山国務大臣 細かいことに余りこだわらないというような評判もありますが、私は、十分リーダーシップを発揮しておられると思います。ですが、総理は非常に聞き上手な部分がありますので、私は、いろいろ深くお考えになって悩まれる場合も多いのではないか、こう思いまして、ただ、単純なリーダーシップ論で言えば、最初におっしゃったまま突っ走ってしまわれた方が国民にはわかりいいのかなと思うような場面は幾つか出会っております。

 今回のことも、これは私の持論なので天の声とは関係ないんですが、最初に総理が三十日か三十一日に生活対策で記者会見して、これは、全世帯とおっしゃったか全国民か、に行きますとおっしゃったので、私は、これはこのまま突っ走るのが一番いいとずっと思ってきました。

寺田(学)委員 当初の発言と、大臣の言葉をかりると聞き上手という御性格もあって、与謝野大臣とかの御発言等にもしんしゃくをされて、多少そちらに傾きながらも最終的には最初の考え方に戻ったということは、それは迷走と見るのか議論の最中だと見るのかは与党と野党によって全然違うんでしょう。

 そこら辺に関しまして、解散日程も一言も言っていないというお話もありましたけれども、やはり、やり抜くという言葉、「麻生が、やりぬく。」というポスターの中でやられている部分はありますが、どうも、先ほどの道路の一兆円のことも含めて、細部を決めていないというか、指示が余りに抽象的に過ぎたり、あとは、指示の内容が、それは議論の中ということにあるでしょうけれども、揺れてみたりということは、非常に国民の中にも映りが悪いのではないかなというふうに思っております。

 そういう意味も含めて、もう時間ではありますが、話が戻りますけれども、あの一兆円の指示の内容をもう少し、総理の意思というものをはっきりさせるべきであるということ、そしてまた、この給付金の制度をやるのであれば、私は、ちゃんと法律を出して、国として地方に法律としてお願いをすることをしなければならないということを考えております。そこら辺をよく議論して、またこれからの執務の方に励んでいただきたいと思います。

 きょうは、ありがとうございました。

森山(裕)委員長代理 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十八分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 鳩山大臣、就任おめでとうございます。七転八倒している総理大臣のもとで御苦労が多いかと思いますけれども、ぜひ、国民のため、地方のため、頑張っていただきたいと思います。

 本日は、大臣所信に対して、地方と国の財政について質問いたしますので、大臣ほか財務副大臣、竹下副大臣にもお尋ねいたしますが、ぜひ簡潔明瞭にお答えをいただきたいと思います。

 まず、地方財政について、鳩山大臣にお伺いをいたします。

 一点目は、一般財源の総額確保についてであります。

 大臣は、所信の中で、「地方財政について、地方団体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保してまいります。」こうお述べになられましたけれども、この文章を読んでいて、何か違和感を感じませんでしたか。お伺いをいたします。

鳩山国務大臣 強いて申し上げるならば、総務大臣の私が一般財源の総額を確保するということを重大な大課題、大命題として申し述べなければならないということは、悲しいことだと思います。

 すなわち、都道府県、市町村の皆様方には、先生も、市長さんも知事さんも経験されておられるわけですが、十分な一般財源、一般的に言えば地方税と地方交付税を意味すると思いますが、何にでも使えるお金が十二分にあって、真の経営者として自由に御活躍できるというのが正しい姿なんだろうと思うわけですが、それが、御案内のように、地財計画においても、この数年間の間に規模が縮小をしてきております。地方単独事業など、三分の一になったと言ってもいいような状況がある。地方がそういうような財政状況に追い込まれているということ自体が、これはもう地方の危機。あってはならない地方の危機が現在我々の目の前にある。

 そういう中で、あえて地方の一般財源を確保するということを言わざるを得ない、その悲しい気持ちを御理解ください。

福田(昭)委員 大臣はよく理解をしていただいているようでありますが、この言葉は、歴代の総務大臣がずっと同じことを言っているんですよ。

 そうした中で、今私が配付させていただいている資料をごらんいただきたいと思います。これは総務省がつくった資料ですけれども、地方の一般歳出、決算ベースの削減状況です。

 ごらんになってください。平成十一年度と平成十八年度が比較してございますが、地方の一般歳出は、何とこの七年間に十二兆六千億減っています。パーセンテージにすると一五・九%。しかも、都道府県を見ても市町村を見ても、財政力指数の低い自治体ほどその削減幅は大きいということでして、これで、財源の豊かなところとそうでないところの格差もどんどん拡大をしている、こういうことですね。

 その後ろを見ていただきますと、では地方の財源不足額はなかったのかというと、御案内のとおり、財源不足額がしっかりある中で、一般歳出に充てる一般財源はどんどんどんどん減らされてきて、一般歳出はそれに伴って大幅に減ってきたということで、この間にも例の三位一体の改革、小泉さんの三位一体の改革も行われたということでございますから、まさに、申しわけないけれども、総務大臣が一般財源の総額を確保すると言い続けながらこうやって減らしてきたんです、大臣。こんなことで本当にいいんでしょうか。私は本当に悲しい思いをいたしております。

 そうした中で、国、県、市町村の財政がどんな状況かということを、実は私、地元の人に話をしているんですが、私は、市も経験をし、県も経験し、今国に来て国の財政も見させてもらっていますけれども、もちろん、自治体によって、財政力指数に応じて、たくさん、たっぷりあるところがあります。

 東京都のように、新銀行東京に一千四百億も投入して、全部毀損しちゃっても全くびくともしないような東京都の財政から、本当に、それこそ市町村によっては、車の運転、ハンドルに例えると、全く遊びがない、ハンドルが窮屈で事故を起こしそうですよ。都道府県はそれに比べると、都は別として、道府県はそれに比べると、まだハンドルのゆとりがあります。国はゆとりがあり過ぎて脱線しているんですよ。ハンドルのゆとりがあり過ぎて脱線しているんですよ。

 そのことは後で財務副大臣の方に御質問いたしますから……(発言する者あり)静かに聞きなさい。まずそういうことでございまして、今まで三位一体の改革で小泉さんが地方のお金を削ってきたのは、国は赤字だ、地方は黒字だということで削ってきたわけです。国の赤字は何だといったら、これは一般会計の赤字だけなんですよ。特別会計は大幅な黒字なんですよ。地方は、地方財政計画で黒字だということで削ってきたんですよ。経済財政諮問会議に民間の委員からそういう資料が出されました。その資料をつくったのは財務省ですけれども、国の赤字は一般会計だけ、特別会計は大幅黒字、地方は地方財政計画で黒字だということで削った、これは全く財政運営のあり方として失格です。

 そんなことを前提にしながら、ちょっと具体的な質問を続けていきますけれども、二点目は、税源配分を、国対地方、六対四から一対一にすることについてでありますが、このことは、実は私の知る限りでは、きっともっと前からかもしれませんが、片山総務大臣が言い出したんですよ、これは。それから何年たちましたか。いまだに割合はきっと変わっていないんだと思いますが、いかがですか。お伺いいたします。

鳩山国務大臣 四兆七千億の補助金をカットしたときに、三兆円の税源移譲を、所得税から住民税に移しました。そのときが、微調整でちょっとこの数字が若干変わったんだと思いますが、その後、あるいはその前もその後も、ほとんど数字が変わっておりません。

 私は、小学生のころに、小学校の六年生ぐらいだったと思いますが、社会科の授業で、地方交付税という話を習ったかどうかはわかりません、ただ、地方税というのは少ないんです、国税というのは大きいんです、国が地方にお金を与えるということで成り立っていますという授業があったのは明確に覚えているんです。そのころは多分、税収割合は七対三よりもっと国税が多かったかと思います。ちょうど七対三になったころぐらいかもしれません。

 そのころから、地方と国の関係が、仕事と税収の関係が逆転をしているということがずっと言われ続けながら、今日まで引きずってきて、ほとんど改善されていないというのは、これは私は政治の怠慢がずっと続いてきたものだ、こんなふうに基本的には理解をいたしております。

 ただ、もちろん、例えば今、仕事が六対四、地方が六で国が四だ、収入の方は国税が六で地方が四だ、これは、地方税が六で国税が四にすると財源調整機能が全くできなくなりますので、一対一ぐらいがちょうどいいというふうに言っているんです。

福田(昭)委員 鳩山大臣、このように、歴代の総務大臣ができなかったことを所信の中で述べるということは、これをやるという決意があるんですか。いかがですか。

鳩山国務大臣 これは私一人の力でできるような簡単な仕事ではありません。それは、すべての国会議員の皆様方や世論に訴えかけて、全力を尽くしてその方向に向けて頑張るということでございますので、福田先生もぜひ御協力をお願い申し上げます。

福田(昭)委員 わかりました。

 それでは、次に三点目ですけれども、地方消費税の充実による税源配分の見直しについてでございます。

 私も、ここで大臣が言われているように、確かに消費税は他の税目に比べれば偏在性が小さくて安定的な税財源だとは思いますけれども、しかし、消費税で税財源を移譲したとしても、今の税財源の格差は私はなくならないと思います。むしろ、この消費税でも格差はありますから、さらに拡大すると思います。

 したがって、我が党が、民主党が言っているように、これは、自治体間の財政格差は一括交付金あるいは地方交付税しかありません。いかがですか。

鳩山国務大臣 一括交付金というのは十九兆一千億円の話ですか。(福田(昭)委員「そうです」と呼ぶ)それも一つの考え方ではありますが、実際には、一括交付金と申しましても、老人医療から介護から、あるいは国保から、あるいは児童手当、児童扶養手当、いっぱい、がちがちになっておるものですから、意外と余裕が少ないなという問題はあると思っております。

 私は、余り夢見るようなことを言ってはいけないかと思いますが、地方交付税がふえるということはもちろん目指さなくちゃいけないことですが、今この国にある国税、地方税、これを全部見直すぐらいのことをいつかやらなくちゃいけない。そして、一対一に近づける。

 それは、地方消費税の充実という場合は、いや、これは全く仮定の話ですけれども、今は消費税が四%で地方消費税が一%ですね。ところが、これは国の消費税が地方交付税の原資になっていますから、二・八二が国で二・一八が地方に入ってくるんだろう。これは、仮に消費税が倍になって、国が七%とって地方消費税が三%ぐらいだと、ちょうどイーブンぐらいかな、半々ぐらいの取り分になるのかな、そんなことは計算では考えますけれども、地方消費税だけではなくて、すべての税を全部見直して一対一に近づけるぐらいの、大大大税制抜本改革というのをいつかやらなければいけないときが来ると思います。

福田(昭)委員 国と地方の税配分を一対一にすることはいいと思うんですよね、私もこれは賛成です。しかし、そのときに、地方間での格差が物すごいものになりますので、ここをどうやってしっかりと財源の保障、財源の調整をしていくか、この機能をしっかり持つことがやはり大事だというふうに思うんですね。その点も忘れずにお願いをしたいなと思います。

 次、四点目でありますが、四点目は、地方共同の金融機構についてであります。

 この具体化を図るということでございますけれども、地方自治体の一般会計に長期、低利の資金を融通できる地方共同の金融機構を創設する必要性、なぜこうした必要性が出てきたのか、まず教えていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 これは総理からの追加的な御指示として発せられたものでございます。

 もう先生よく御承知のとおり、旧公営企業金融公庫、十月一日から今の地方公営企業等金融機構、これは、若干地方の公社等にも貸し付けたことがあるようではございますが、基本的に言うと、まさに地方の公営企業にのみ貸し付けてきた。現在は二十三兆円ぐらいなのかな。これは地方の共同法人で、地方がみんなで出資してできた公営企業金融公庫であり、今の地方公営企業等金融機構でありますが、自治体によって公営企業を多く持っているところと持っていないところとある。みんなで出したのに、いっぱいお金は出資したのに、うちは公営企業が余りありませんから借りられませんというのは不公平だというのが一つあります。

 それと、では、地方は普通会計というんでしょうか、国でいうと一般会計の方に貸してくれるところは、いわゆる財政融資資金ということしかない。これが六十兆ぐらいのオーダーで、かつては百兆を超えていたのかもしれません。でも、これも財政融資資金ですから、竹下副大臣おられますけれども、お上である財務省、旧大蔵省が握っているところにお願いをするという形になっているわけですね。

 とするならば、やはり地方の共同法人で、その資金をプールした、出資でつくったものから地方の一般会計が借りるという方が、自分たちでつくったものから自分たちが借りるという形になって、やはり地方自治の本旨によりそぐうものになるのではないか、こういう発想でございます。

 ですから、いわば、地方自治体、先生も市長さん、知事さんなさって、これは地方公共団体の長年の悲願ではなかったかととらえております。

福田(昭)委員 鳩山大臣、実は去年の、十九年の通常国会で、今大臣が答弁された、公営企業金融公庫を廃止して地方公営企業等金融機構というのができたんですよね。このとき、実は私も指摘したんですが、地方六団体からの要望がありましたね。地方六団体の骨子案には、一般会計の方にも貸し出ししてくれるようにという骨子案になっていたんですよ。ところが、それを全く認めなかったのが政府なんですよ。

 ところが、今度はそれを認めるような金融機関をつくるというのは、これはどういうことですか。朝令暮改じゃないですか。いかがですか。

鳩山国務大臣 一つには、私はまだ一カ月ちょっとですが、総理大臣が総務大臣を二年ぐらいなさっておられる中で、非常に地方に理解が深くて、地方の長年の悲願であるということを御存じであったこと、それから、麻生総理を囲む、シンクタンクではありませんが、いろいろなところに知恵袋がおられて、総理と打ち合わせしておられる、そういう中から、私は、総理が大胆に追加指示として出されたものというふうに承っております。

福田(昭)委員 とにかく、政府がやることやること、このところ全く支離滅裂なんですよ。せっかくそういういい提案がありながら、それを去年断っておいて、ことしそれを検討する。

 しかも、もう一つあるのを大臣御存じですか。第三セクターを助けるための地域力再生機構というのが今懸案になっているんですよ。これもつくるんですか。いかがなんですか。

鳩山国務大臣 今法案が出ているというふうに私は聞きましたけれども、結局、三セクの定義も、本当は、よく考えてみると難しいですよね。

 ただ、地方には普通会計があり、特別会計が主にやっている公営企業があり、そのまたちょっと離れたところに公社があり、そして第三セクターということで、三セクにも相当乱脈経営みたいなところでめちゃくちゃなところも随分あるようでございますが、三セクも救ってやるべきものがあれば救うということで、そういう法案が出ているのではないかと承知いたしております。

福田(昭)委員 地方向けの金融機関が三つもできるというのは、これは何か異常な話ですよ。それこそ、しっかり整理をしてくださいよ、基本的に。

 私も地方を支援することについては全く異論がありませんけれども、余りにも朝令暮改、支離滅裂な対応では、これは本当に政府じゃありませんよ。今度の定額給付金もそうですけれども、本当に民主主義の、先進国の政府なんですかね。私は、非常にびっくりしたり、怒り心頭なんですけれども、ぜひしっかりと整理をしていただきたいと思います。

 それから、五点目ですけれども、五点目は、道路特定財源の一般財源化に伴う地方への配分金一兆円についてであります。

 先ほど来質問がありましたけれども、再度確認をさせていただきますが、麻生総理は、道路特定財源の一般財源化は実施するという考えなんですか、これをまず確認させていただきます。

鳩山国務大臣 道路特定財源、目的財源は一般財源化いたします。

福田(昭)委員 そうすると、福田総理のときの一般財源化についてはそのまま踏襲をして、麻生総理も一般財源化をするということですね。

 そうすると、先ほど来の質疑のやりとりでありましたけれども、今の、地方にお金が行っている臨時道路交付金約七千億、これも一般財源化されちゃうので、この仕組みはなくなるというふうに考えてよろしいですか。

鳩山国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、くどくて申しわけありませんが、私は一年前に法務大臣をやっておりまして、そのときに福田総理が一般財源化という断を下すわけですよね。その後の、断を下した後の予算委員会等のやりとりを聞いておりますと、福田康夫前総理は、いわば道路目的財源であったものが一般財源化されれば、これは新しい税金に生まれ変わるような形だから税率を含めて大いに議論をしなくちゃいけない、つまり、これは年末の税制改正のことをおっしゃったのかなと思いますが、そういうふうにとらえておられるわけですね。

 ですから、私は、やはり一般財源化されれば、目的財源の時代に、自動的に道路をつくってくださいよといって揮発油税の四分の一の六千八百二十五億円がぽんと入っていったといったものは、基本的には一たん消滅せざるを得ないんだろうと。

 ただ、私は、一兆円とそれとは別だというふうに聞いておりますので、その六千八百二十五億円、約七千億円と言われるものとは全く別に一兆円が地方に入って、その六千八百二十五億円が全くなくなれば大変なことですから、激変緩和でそれに見合うようなお金は別途用意されるんだろうということで、別枠だ別枠だと私は申し上げているんです。

福田(昭)委員 それは多分違うんじゃないですか。それは理屈に合いませんね。一般財源化ということになれば、道路特定財源がすべて一般財源化されるわけですから、それに伴ってすべての道路交付金事業はなくなる、補助事業はなくなるわけですから、そうしたら臨時道路交付金事業もなくなるはずですよ。

 だから、麻生総理の頭はきっと、一兆円というのは、実額でいえば、今まで配っていた七千億プラス三千億、これで一兆円だと思いますよ。いかがですか。

鳩山国務大臣 三千億とは何ですか。(福田(昭)委員「ですから、一兆円にするためには三千億足さなくちゃならないですね」と呼ぶ)

 私が申し上げておりますのは、総理がどういう発想で一兆円とおっしゃったかはその場ではわかりませんでした。総理からの追加指示、一般財源化に伴って一兆円を地方へと。私は、総理と二人だけのときに、ガソリン税の四分の一である六千八百二十五億円というのが今まで地方に入っておりましたがと。ああ、それとは別だ、それだったら別だというふうに総理がおっしゃったので、これをちょっとやや手前みそに使ったかもしれませんが、別だ、こう申し上げているんですね。総理は、六千八百二十五億を七千としますと、七千足す三千で一兆というつもりでおっしゃったのでは絶対ないわけです。

 ただし、その六千八百二十五億円、約七千億円というのが目的財源としてあったわけですが、それが一たん消えるとすればそこにまた何らかのお金、目的財源は消えるわけですから、ただ、それでも激変緩和というか、地方の道路が全くできなくなっても困るわけですから、道路に使うというのじゃなくて、もっと使い勝手のいい、もう少し一般的なお金としてそれが別途やってくるというふうに希望的に観測をしておるわけでございます。

福田(昭)委員 本当に大臣、困った答弁ですね。麻生総理の頭はそうじゃないと思いますよ。麻生総理は多分、申しわけないけれども、よく理解していないでそう言っているんだと思います。私はそう思います。後でいずれわかるでしょうけれども。

 それでは次に、六点目は時間がなくなってきましたのでこれは次の森本先生にお任せをして、六点目として、先ほどから話になっております、やっと名前が決まった定額給付金の実施方法等についてであります。

 私は、とても民主主義国家とは思えないような制度だと思うんですね。何か麻生の殿様が、おお、おまえら、景気が悪いからお金をくれてやるぞ、自主申告しろ、所得制限は設けないから、配るのは市町村のよきに計らえ、こういう感じで、まるでこれは封建時代のお金の配り方ですよ。こんなことを我が民主主義国家がやっていいものか。きっと諸外国の笑いの種だと思いますよ、これは。

 ですから、ぜひこんなことはもうやめるように、各マスコミが社説で、迷走したあげくに丸投げとか、もういいかげんやめろ、それこそそういう論調で社説をみんな書いていますよ。こんな本当にでたらめなことを民主主義国家である日本がやっていいわけはありません。いかがですか。

鳩山国務大臣 名前を、生活支援というのを取って定額給付金にするというような話も出ているようでございます。

 ただ、生鮮食料品やガソリンの値上がりということだけでなくて、やはり現下の経済情勢の中で給料が抑えられる、ボーナスが減るというようなことで、可処分所得が減る家庭や世帯が多いという中で、とりあえず緊急に支援をするから、それで買いたいものを買う、あるいは何らかの、それは教育だとか福祉とかいろいろあるかもしれませんが、そういうところで、どうしても使わなければならないお金としてそれを使うということで一律に配るという発想になって、与党同士が話を決めて、実際の配り方等については我々の方に話がおりてきているものだ、こういうふうに私は考えております。

福田(昭)委員 大臣は所信の中で、「地方自治体の意見を踏まえつつ、」と言っておりますが、地方自治体の意見は踏まえたんですか。何か大変な批判が多いようですけれども。

鳩山国務大臣 先週、地方六団体に対して、定額給付金だけではなくて、地方自治や地方分権やさまざまな問題について、六千億円の問題もあったかと思います、一兆と七千億円の問題もあったと思います、私が懇切丁寧に、精いっぱい丁寧に説明をし、六団体を代表して麻生知事から要望を承り、その後意見交換をいたしまして、とにかくこれは簡素でなくてはいけないと佐竹市長からも、市長会会長でしょうか、はっきり言われました。

 これは手間暇がどれくらいかかるか。要するに、解釈で、この人には上げるのか上げないのかというようなことがもとで物理的に混乱するようなことがあっては絶対困るという意見を強く承りまして、従来から私は、このことは簡素に簡素に簡素にと思っておりましたし、総理が先月末の記者会見で生活対策を発表されたときに、全世帯に配るとおっしゃったんだから、私は、その線をできるだけ守りたい、そう思って、所得制限などは基本的にはつけない方がいいと思い続けて今日に至っておるわけです。

福田(昭)委員 そもそも、この麻生総理の定額給付金、政策として間違っていますよ。本当に麻生総理が日本の経済を元気にさせるんだったら、本人が言っているように、本人が全治三年と言っているんでしょう、本格的な減税をやらなきゃだめですよ。

 我が党が、道路特定財源、暫定税率二兆六千億減税するという方針を打ち出していますけれども、こうした減税をやるか、それとも、小渕内閣がやったときの定率減税三兆三千億、全部戻っちゃったでしょう、ああいう定率減税をもう一度やるとか、こういう本格的な、制度として、ちゃんとどこからもたえられるような減税をやらなきゃだめですよ。こんな定額給付金なんて、後進国がやるようなことをやったんじゃだめですよ。これは、私はそう申し上げておきたいと思います。

 それでは、時間もありますので、次に竹下財務副大臣の方にお伺いしたいと思いますが、まず、国の会計のあり方について竹下財務副大臣にお伺いをしたいと思います。

 一点目は、歳出決算明細書の作成及び公表についてであります。

 先ごろ行われた平成二十年十月八日の総務委員会において、我が党の逢坂委員の質問に対して、政府参考人であります香川政府参考人が、政府はなぜ歳出の決算明細書をつくって公表しないんだ、そういう質問をいたしましたらば、相当時間もかかるし事務量も相当になるので歳出の決算明細書はできない、こういう答弁をされましたが、副大臣、いかがですか、これは。歳出の決算明細書は事務量が多いからつくらないというんですが、これはどう思われますか。

竹下副大臣 歳出歳入決算につきましては、歳出歳入予算と同一の基準、区分により作成すると財政法三十八条二項に規定されておりまして、その意に従いまして、歳出決算については組織別及び項別に作成をいたしております。

 また、歳入歳出決算の国会提出に当たりましては、これは財政法四十条第二項の規定によりまして、各省各庁の歳出決算報告書を添付するとされていますが、この報告書については、歳出予算における予定経費要求書に対応する区分により、組織別、項別、目別に作成をいたしておりまして、この目の中のさらに細かい部分という、積算内訳の単位で歳出決算の報告書を作成するということにはなっておりません。

 そこで、さらに目レベル以下の執行実績について明らかにせよということでございますが、これはまさに、予算の執行に対して責任を持っていただいております各省各庁におきまして、その必要に応じて適切に把握、管理すべきものと考えております。そして、その執行実績につきまして各省各庁が説明責任を果たすということが大事であるというふうに考えております。

 今後とも、予算の執行状況等を適切に踏まえつつ、行政における無駄の排除に政府を挙げて最大限取り組んでいこうと思っております。

福田(昭)委員 竹下副大臣、歳出の、目以下の節ごとの決算明細書、これを地方自治体も民間の企業もみんなつくっているんですよ。何で国だけつくらないんですか。おかしいじゃないですか。どう思われますか。

竹下副大臣 決算の作成単位が目までであるという、これはこれまでの決まりでございますが、予算執行を目単位で管理する方が予算全体としての効率的な執行に資すると考えられるからであります。目の積算レベルで執行を管理した場合、執行事務や決算事務が煩雑になるなど、全体としての効率的な予算執行が阻害されることにもつながる可能性があります。また……(福田(昭)委員「そこでいいですよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください。(福田(昭)委員「もういいですよ」と呼ぶ)いいですか。

福田(昭)委員 副大臣、使ったお金を明らかにするんですよ。それなのに何で執行に支障が出るんですか。支障なんか出ないでしょう。使ったお金を明らかにするだけですよ。何で執行に影響が出るんですか。そういうでたらめを言っちゃだめですよ。官僚が書いた答弁書を読むだけじゃだめ。鳩山大臣のように、自分の言葉でちゃんと答えてくださいよ。

 決算明細書を地方自治体につくれと言っているのは国なんですよ。企業にもつくれと言っているのは国なんですよ。その国の一番中心となる財務省がこんなていたらくでいいわけないでしょう。ちょっと余りにもひど過ぎる。これは政府の体をなしていませんよ。

 いいですか、竹下副大臣、私も財政法をここへ持ってきましたよ。確かに、竹下副大臣の言われるとおり、財政法は、歳入は決算明細書を作成しろと書いてあるんですよ、歳出はそうしろと書いていないんですよ、これは。ですから、そういう答弁をするようでは、しっかりまず財政法を改正して、歳出の決算明細書もちゃんと財務大臣が作成する、そういうふうに義務づけなきゃだめですよ、これは。

 ですから、竹下副大臣、居酒屋タクシー、千六百人余り処分しましたよ、そのうち、一番多いのは財務省ですよ、六百人から。大体、予算を預かる財務省が居酒屋タクシーに浸っているようですから、こんなでたらめな会計をやるんですよ。使ったお金の明細を明らかにすれば、そんな使い方はできないんですよ、基本的に。だれのお金だと思っているんですか、副大臣。財務省や国の役人が使っているお金はだれのお金ですか。

竹下副大臣 財務省として一番気をつけなければいけないのは、国民の皆さん方から予算の原資としてお預かりをしております税金を厳格にしっかりと執行していくということでありまして……(福田(昭)委員「もういいです、そこで」と呼ぶ)いやいや、ちょっと反省もひとつさせてください。

 先ほどの居酒屋云々という話、私は、財務省を今預かっておる一人として、非常に残念に思うと同時に、非常に恥ずかしく思っております。

福田(昭)委員 これは、財政法の改正はいずれ我々提案したいと思いますけれども、それをして、しっかりと、決算明細書というのは使ったお金を明らかにするんですからね。執行段階には全く影響ありませんからね。

 そこで、二点目が、政府の共通システム、官庁会計データシステム、ADAMSと言っているようですけれども、これについてお伺いをいたします。

 これも同じく、さきの総務委員会において逢坂委員の質問に対して、こちらの方は田中政府参考人が、政府が使用しているADAMSは予算の内訳に対比した集計機能がないと答えたわけですが、これはいかがなものですか。予算の内訳に対比した集計機能がないんだというんですよ、このコンピューターシステムには。今、日本の政府は電子政府を推進してるんですよ。そこで、コンピューターでそんな、予算の内訳に対比した集計ができないなんというシステムを使っているんじゃ、とてもとても、本当に電子政府をやっているのか、こういう話ですが、いかがですか。

竹下副大臣 お話がありましたADAMSというシステムでございますが、予算が成立をいたしまして、各省各庁へ予算が配賦された後、執行から決算までの一連の会計事務を機械化しているものでありまして、その運用に当たっては、これも先ほどの話にありましたように、歳出予算については、原則項及び目のレベルで情報管理をいたしておりますので、小さな部分は対応困難であるということでございます。

福田(昭)委員 それは早急に、それこそ緊急経済対策で予算をとって、歳入だけじゃなくて歳出の決算明細書もできるような、すぐできるようなコンピューターシステムをつくるべきですよ。それは予算措置をして、ぜひ進めてください。

 次に、平成十八年度決算に見る国の財政についてお尋ねをいたします。

 一点目は、これは具体的な数字のことですが、一般会計の基礎的財政収支が、平成十八年度決算の赤字は幾らだったのか、平成十九年度決算の赤字見込みは幾らだったのか、まず教えていただきたいと思います。

竹下副大臣 まず、十八年度の基礎的財政収支でありますが、差し引き九兆四千三百三十一億円の赤字となっております。これに利払い費を加えました財政収支は十六兆五千五百三十億円の赤字となっております。

 そして、十九年度の見込みでございますが、基礎的財政収支はおよそ六兆一千億円の赤字という見込みでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 今皆さんもお聞きになったと思いますが、一般会計の基礎的財政収支は、平成十八年度が九兆四千億の赤字、平成十九年度が六兆一千億の赤字の見込みということであります。

 そうしますと、国の場合は、この基礎的財政収支については一般会計しか対象にしておらないようですが、それはそのとおりでよろしいんですか。確認をさせていただきます。

竹下副大臣 基礎的財政収支という考え方は、一般会計で取り入れておる考え方でございます。

福田(昭)委員 そうすると、特別会計は除外して、全く一般会計だけで基礎的財政収支の赤字、黒字だということを議論しているんですね。

 国が小泉内閣のときに立てましたね、二〇一一年までに財政を黒字にする、基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字にするというのも、これもあくまでも一般会計での計画なんですね、基本的に。そう確認してよろしいですか。

竹下副大臣 たしか、私の記憶に間違いがなければ、地方も含めて一一年度にプライマリーバランスを回復するという目標になっております。

福田(昭)委員 さらに申し上げれば、国が一般会計、地方が地方財政計画、これでのプライマリーバランス黒字ということですね。

 それでは次に、二点目で、特別会計の決算状況についてお伺いをしたいと思いますが、特に剰余金の処分状況であります。

 時間の関係で私の方から先に申し上げてしまいますので、私がまだわかっていない部分だけお話しいただければと思いますが、一般会計への繰入金、平成十八年度一・六兆円、積立金等が七・三兆円、不用額が十・五兆円です。十九年度決算見込みでは、新聞報道で知った範囲では、一般会計への繰入金が一・八兆円、不用額が十・八兆円ですが、十九年度決算見込み額で積立金等は幾らになっているのか、これをちょっと教えていただきたいと思います。

竹下副大臣 十九年度の特別会計の剰余金は、見込みで四十二兆六千億円、剰余金となりそうな状況になっておりまして、このうち、規定によりまして、翌年度歳入への繰り入れが三十三兆九千八百億円、積立金への積み立て及び資金への繰り入れというのが六兆七千九百億円、一般会計への繰り入れ一兆八千六百億円余り、不足の処理七十八億円等となっております。

福田(昭)委員 そうしますと、実は、一般会計と特別会計の連結決算についてでありますが、国として、一般会計と特別会計の連結決算を出したことはあるんですか、ないんですか。お伺いいたします。

竹下副大臣 全く企業と同じ連結決算というわけにはなかなかいかない部分もありますが、基本的には、企業会計の慣行を参考といたしまして、平成十五年度決算分から、連結した決算情報につきまして作成をし、公表をいたしております。十八年度決算分についてもことしの八月に公表をいたしたところでございまして、残念ながらというより、企業の当期純損失に相当する財源不足額は、特別会計、一般会計合わせて十四・八兆円の赤字、こうなっております。

福田(昭)委員 実際の一般会計と特別会計を合わせると十四・八兆円の赤字ですか。それは、では実質ですね。

 それで、今お伺いをしたプライマリーバランスの黒字化。そういう点で、一般会計と特別会計を連結しますと、これは黒字なんですよ、実は。先ほどいただいた数字で、よろしいですか、平成十八年度の一般会計のプライマリーバランスの赤字が九兆四千億。いいですね、これ。特別会計の積立金等が七兆三千億。プラス、全くの不用額が十兆五千億。足しますと、この七・三兆プラス十・五兆で十七・八兆円。特別会計の全くの余ったお金が十七・八兆円。一般会計のプライマリーバランスの赤字が九・四兆円。ということは、プライマリーバランス上は、平成十八年度決算では八・四兆円の黒字ですよ、連結すると。

 十九年度見込みでは、六・八兆プラス十・八兆で十七・六兆円。プライマリーバランス上の赤字が六・一兆円ですから、十一・五兆円の黒字ですよ、これ。プライマリーバランス上ですよ、実質じゃなくて。一般会計と特別会計合わせれば。それは、我々は、特別会計原則廃止、一般会計と統廃合するということなんですよ。

 ということになると、もちろん精査は必要でありますが、一般会計と特別会計を連結すれば、プライマリーバランスは黒字になるんですよ、これ。(竹下副大臣「違います」と呼ぶ)どう違うんだか言ってください。

竹下副大臣 会計処理の方法あるいは会計法に関することでありますが、不用額と積立金の積み立て及び資金への繰り入れというのを単純に足したものが特別会計の黒字だという会計上の認識ではありません。ですから、会計上の認識でいいますと、いわゆる一般会計への繰り入れができる分というのが特別会計の中での一番質のいい余った分でありまして、それ以外に、積立金あるいは翌年度の歳入への繰り入れというのは、それぞれ特別会計が規則を持っておりますので、それに従いまして積み立てておるものでありまして、これと不用額を合わせた額が会計上の余った金額という概念とは違います。

福田(昭)委員 副大臣、違うんですよ。いいですか。私もここへ歳出の決算書を持ってきましたけれども、特別会計で翌年度に繰り入れるお金は別にあるんですよ、これ、今私が申し上げた金と別として。あるんですよ。そのほかに積立金や資金への組み入れがあって、そして一般会計への繰り入れがあるんですよ。

 ですから、国全体を考えたら、非常事態だというのに一般会計の黒字はたくさんとっておいて、特別会計ごとに埋蔵金としてためておいて、一般会計は赤字だと。そうして、これは税金で穴埋めしようというのは、これは異常な会計処理ですよ。

 ですから、まずは一般会計と特別会計を一緒にして、ちゃんとあるじゃないですか、ここに決算調整資金というのが。決算調整資金が二十年も使われていないというんです。ここにちゃんと必要なお金を積み立てておけばいいんですよ、一本化して。特別会計ごとに積み立てておく必要なんか全くないのです。決算調整資金にちゃんと十兆円なり二十兆円積み立てておけば、今回のような百年に一度の経済危機が来ても大丈夫なものだけ積み立てておけば大丈夫なんですよ。ですから、お金の使い方、税金の使い方が全く不効率なんですよ。

 これはまだこれから詳しくやりますけれども、きょうは時間がありませんからここでやめておきますけれども、せっかくあるお金を眠らせておいたんじゃだめなんです。やはり生きたお金として使う。こうしなかったら、お金は幾らあったって足りないですよ。ですから、国の会計処理、これは全くでたらめ。これをちゃんと財政法も改正してしっかり直していかなかったら、本当の財政再建もできないと思いますよ。

 以上指摘して、私の質問を終わります。

赤松委員長 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 先般の鳩山大臣の発言について質問をさせていただきます。

 その前に、通常国会が終わりましてから、七月以降、選挙区で多くの方にお会いをさせていただいたわけであります。その中で、まず第一に政治家が余り信用されておらないということ、そして年金、医療などの暮らしの不安、そして子育て、そして非正規雇用の若者を持つ御両親が大変心配されておる、生活費すらままならない第一次産業などのお話が圧倒的に多かったわけであります。心を痛める何カ月間であったわけでありますが、そんな中で、麻生総理の発言は、私から言わせていただくならば、かなりその住民の皆様方の思いとは大きく乖離している。きょうは、その怒りを鳩山大臣にぶつけさせていただくと思いますので、どちらかといえば少し行き過ぎた発言もあろうかと思いますが、お許しをいただきますように、前もってお断りをさせていただいておきます。

 それでは早速質問に入らせていただきますが、大臣は、麻生総理の指示のあった、地域の元気を回復するための施策として、地方分権改革の推進、地方税財源の充実、行政改革、ICTの活用、郵政民営化、五項目を挙げられて、それに大臣の理念とする自然との共生を述べられておるわけであります。この五項目に自然との共生をどのように組み合わせていかれるのか、長くなりますので一つの例で結構でございますので、御説明をいただきたいと存じます。

鳩山国務大臣 私が自然との共生と申し上げておりますのは、日本は、縄文文明以来、自然と共生する基本的な考え方を持っている。これは神道のような多神教には非常にそれがよくあらわれているわけで、仏教でも、山川草木悉皆成仏という言葉があります。神道では、すべてのものに神が宿るという発想がある。人間が特別に偉いのではない。

 これは批判するわけではありませんが、概して一神教の国は、キリスト教でもイスラム教でも、非常に科学技術は発達しやすい。非常に直線的な発達、発展を目指すのがそうした宗教観のもとでの活動なんだろう。それに比べて神道や仏教は、循環、輪廻転生的な考え方がある。

 そういう中で、すべてのものに神が存在するという神道はすばらしい宗教であって、アニミズムの一種とも言われていますが、要は、人間だけが特別に偉いのではない。人間は霊長類と言われて、万物の霊長であるから地球から何を奪ってもいいんだ、そういう発想は間違いではないか。そういう発想で物事をやってきているから、これだけ地球の自然環境が破壊をされて、世界食料危機、温暖化、砂漠化、あるいは環境ホルモンというような問題が起きてしまっている。だから、すべての政策は、いわば環境効率性で見直した方がいい。

 環境、環境と言うとすぐ、温暖化、エコというような言葉で使われるので、私は、それよりもむしろ、人間も自然界の一員として生きていく謙虚さを持つべきであるという意味で、自然との共生ということを申し上げています。

 先生から質問通告を受けまして役所が書きました、子供たちが農林漁業体験や自然活動などを通じて自然や生物の多様性を学ぶ子ども農山漁村交流の推進、都市から地方への移住・交流の促進、ICTを活用した地球環境問題への対応、自然環境に恵まれた地方でも仕事が可能なテレワークの推進、こんな浅薄なことを私は考えているのではないということを申し上げておきます。

森本委員 ありがとうございました。

 今、私もよく例を出すのですが、「篤姫」がNHKの大河ドラマでかなりの視聴率。そこの西郷さんが敬天愛人という言葉を大事にされております。今、総理を天の声とか、財務省を神と言われる大臣のそうしたお言葉というものは、私は余り評価はさせていただけない、正直。大臣としては、天の声があるならば、それは今の大臣の言われておる自然との共生ではないというふうに私は思っています。

 ですから、そうしたお言葉は、神は確かに自然界、敬天、これは私も認めるところでありますが、やはり天を敬いながら人を愛する、そういう中から、自然。森は命であり、我々の生きざまであるということから、地方こそ人が育つというその認識は同じだと思いますので、今から申し上げる郵政民営化は、そういう意味では地方を非常に閉塞させてしまった一つの法案だというふうに私は思っています。そこのところを少しお聞きさせていただきます。

 十月一日に郵政民営化がスタートしたわけでありますが、その後の状況を見た場合、やはり大きな問題があったのではないか、とりわけ、四分社化され、郵便と郵貯と簡保が分離されたことは大いに問題があったと私は考えております。それまで一つの郵便局内で三事業が一体で運営されていたことによる連携体制が崩れることで、さまざまな弊害が生じておるわけであります。それも、特に地方や過疎地において今申し上げたことが生じておるわけであります。

 郵政事業が一体であることでさまざまな地域機能が維持されていたのが、民営化、分社化でできなくなったために地域自体が崩れつつあるという現実があるわけですが、大臣はどれぐらいこのことを認識されているのか、そのあたりを大いに危惧しているわけであります。

 そこで、大臣が郵政民営化、分社化についてどのように評価をされておられるのか、お聞かせを願います。

鳩山国務大臣 郵政民営化という大改革については、実は、自民党内でもいろいろありましたように、私も、これは絶対に進めるべきものであるかどうか、随分自問自答をいたしまして、最終的には、大変大きな行政改革効果があるということで賛成に回りましたが、かなり多くの疑問も抱えたまま賛成をしたというのは事実でございます。

 したがいまして、完全民営化、完全というか、民営化してから一年ちょうどたつわけでございまして、それは、昔は官業と言ったわけですが、官のお金が民に回ることがいいことだとか、あるいは、局会社、事業会社あるいは貯金銀行もかんぽ生命も自由度が増すということで、それは国際物流に乗り出したり、ローソンと提携とか、クレジットカードの業務とか、がん保険とか、いろいろやってきているわけで、その成果は上がっていると思いますが、片や、簡易郵便局が四百余り閉鎖されたり、さまざまな影の部分があるものですから、やはりこの影の部分を取り除くための見直しというのは我々も懸命にやっていくべきだ、今そう考えております。

森本委員 大臣、その影の分野の認識が非常に大事だというふうに私は思わせていただいています。

 確かに、都市部では、今おっしゃられたことについての多少のプラスはあるでしょう。しかし、ばらばらになったこの郵政民営化は、地方のお年寄りにとっても地方にとっても全くこれは地域をばらばらに、地域の皆様の支えどころであったいろいろな郵便局の皆さんが支えていただいた地域は、安心もすべてこれでなくなったというふうに私は思っています。小さなところを細かく分散して分ければ分けるほど、効率は都市部とはさらに悪くなるというのは、これは比例の方向で物すごく悪くなるんです。

 ですから、特に過疎地、先ほども申し上げました、地域によっては、このことによって、貯金がとれなくなる、簡易保険は全く少なくなっていく、そんな中で人員は減る。いわゆる市町村合併でなくなりつつある地域の閉塞感に、この郵政民営化はさらに拍車をかけていったということが今の現実であります。ですから、年金を受け取ろうとしても年金を受け取る場所もないし、それをお願いする郵便局員さんの姿もないし、地方自治体と連携しておったいろいろな分野があります、不法投棄の問題、福祉の問題、少しお体を壊されていますよというような情報すら、それほど余裕は全くない。

 そんな事情を十分お酌み取りいただいて、これらの改革、ぜひこの三社は一体的に経営をしていかなければ、地方の郵便局はもう破綻していく、そしてまたその地方の皆様にとって郵便局のありがたさは感じられないというような方向になっていきますので、そこのところは強く要望させていただいておきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次に移らせていただきますが、先ほど寺田委員からもこのことには質問があったわけでありますが、定額給付金の問題であります。

 この給付金については、所得制限をするとかしないとか、一人当たり一律一万二千円、また十八歳以下の子供、六十五歳以上の高齢者を八千円上積みするとか、法律上は所得制限を行わないが、高所得者の対応や支給方法などは市町村にゆだねるというふうにされたわけであります。

 肝心の補正予算案をいつ提出されるのかにもよりますが、そもそも年度内に支給するというのが守られるのか、私はこれは甚だ疑問であります。

 ちなみに、参考までに、平成十年度に実施されました地域振興券のときと比較してみますと、地域振興券のときには、十五歳以下の子供のいる世帯や低所得者の高齢者ら約三千五百万人に対して一律二万円、全体で約七千億円。今回はその約三倍。これは、先ほども言われておりますが、全国民対象、しかも一律ではなく、子供と高齢者に上乗せする、規模も二兆円。格段に複雑なものになるわけであります。にもかかわらず、予算がいつ出されるのかわからない現状にあります。

 前回は、平成十年の十二月四日に閣議決定をされて、十二月十一日に予算が成立しておるわけであります。市町村の対応は、早いところでは翌年の一月に実施できたところもありますが、大部分は三月、一部は四月にまたがっております。

 では、今回はどうなんでしょうか。前回より規模がはるかに大きく、しかも、世帯構成について金額も異なる。支給の窓口になる市町村は大変だろうと思いますし、しかも、具体的な支給方法など市町村に丸投げですから、果たして年度内に対応できるのでしょうか。市町村に迷惑をかけないで実施できるという自信はおありでしょうか。

鳩山国務大臣 これはスピードの問題であって、与党で決めて、政府で決めて、緊急な生活支援ということでぱっと配るという意味で年度内を目標にしてきたわけであります。

 年度内に配るということであるならば、市町村の窓口が物理的に混乱をする、あるいは制度が複雑で周知徹底しないというようなことは絶対あってはならないと思って、私は、シンプル、シンプル、シンプルと言い続けてきたわけでございます。補正予算がいつ成立するかという問題もございますが、できるだけシンプルな形にして、年度内に間に合わせるということを旨としてこれから努力をしていきたいと思いますし、一昨日立ち上げた実施本部にも、シンプルで、地方自治体にできるだけ迷惑をかけない方法を研究させようと思っております。

森本委員 このことについて総理が、高所得者の関係そして支給方法、このことは迅速、公平の中から、分権発言をされました、地方分権だからそれでいいんじゃないかと。

 これは、私は全く総理のこの認識というのは理解ができないんですが、このことについていかがお考えですか。

鳩山国務大臣 私は、総理が先月末に、夕刻、記者会見で生活対策を説明されたときに、全世帯に配ると。あのときに一万二千円と八千円というのは決まっておったわけではないと思いますが、夫婦二人子供二人ぐらいで、あのときは六万円とおっしゃったのかな……(森本委員「一世帯」と呼ぶ)一世帯。標準的な世帯で六万円ぐらい全部に配りますとおっしゃったから、私はそれを貫きたいという思いでずっと見てきたわけで、いろいろな意見があって、総理は聞き上手なものですからいろいろな意見を取り入れて、では高額所得者はどうするかとか、いろいろとお考えになったんだと思いますが、私は、原則として、あの最初の、総理が記者会見で話された、全世帯に受け取る権利があるというのは、最後まで貫くべきだと思います。

森本委員 それは大臣、大臣らしくないです、その今の答弁は。

 私は、今の、分権と総理が言われた、市町村にそれを任せるのが分権だからそれでいいんじゃないかという総理の発言はいかがでしょうかとお伺いしたんですから、全く今の発言は違います。

鳩山国務大臣 地方分権ということは地方にさまざまな権限を与えることで、自主的な地域経営を自由に行えるようにすることが地方分権の本旨だと思っております。

 ですが、今回のように、全国民的な話題で、一人一万円とか一万二千円とか、十五歳、六十五歳は八千円増しというようなことで、そもそもが定額減税であったものを定額給付金に変えた経緯から考えれば、私は、全国一律に行き渡るのが一番正しい姿だと申し上げておりまして、それは決して地方分権を害するものではなくて、地方にかえって煩雑な事務負担を与えることの方がよくない、こう思います。

森本委員 今のは、質問と全く違いますよ。ちょっと……(発言する者あり)

赤松委員長 では、森本哲生君、もう一度。

森本委員 後で申し上げようと思ったんですけれども。今回は、これは、国の手抜き工事を市町村に手直しをしろと言うのと一緒なんですよ。市町村は国の下請機関ではないと思います。

 ですから、高額の方々の額も決めろ、そして窓口で自由にやってください、地方分権の精神だからそれでいいのじゃないかという、この総理の発言というのは、私は、市町村から見たらとんでもない、総理がそういう地方分権の考え方を持っておられるということが、非常に地方の皆さんにとっては不満だと思いますよ。

 そこのところをやはりもう少し大事に発言していただかないと、大臣、地方分権というものはもっと根底的に違うはずですよ。こういうのを例に出して地方分権だといって堂々と言われる総理の心理が理解できない、大臣はいかがですかというふうに私は申し上げたのです。

鳩山国務大臣 総理は、総務大臣を二年間務められて、地方分権ということについては最も明るい政治家の一人であって、そして、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長と総理の会談にも私は立ち会いまして、総理の並々ならぬ決意を感じました。それは、出先機関の廃止、統合については私が決断しますという一文まで所信表明演説に入っておりました。

 そういった意味で、私は麻生総理は地方を最もよく知る方だというふうに思っておりますが、今回の定額給付金について、各市町村で自由にという考え方は、私はかえって混乱が起きる可能性が強いと正直思っておりますので、そういう答弁をもって私の気持ちを御理解ください。

森本委員 大臣は珍しく逃げておられる。

 ですから、地方分権を尊重するのであれば、今、寺田議員の質問があったときに、この給付金は市町村が自由にやらせていただいていい。強制的に、暗黙のうちに、自由にやってもいいけれどもこことここは守れという半強制に、請負業者の皆さんに、契約をしたからその契約どおりやりなさいと国が言うような、それは圧力的な、ここは例が悪いかわかりませんが。

 ですから、例えば大変な事務量がこれは要ります。それともう一つ、一千億円を切ってみせるというお話をいただきました、寺田議員の質問のときに答えられましたが、私はこれは逆だと思います。市町村に迷惑をかけるんだから、市町村が必要とする費用は目いっぱい見るというふうに国が申し上げていただくのが大臣の筋だと私は思うんですけれども、そのあたりの発言はいかがですか。

鳩山国務大臣 それはおっしゃるとおりです。

 口座振り込みだって、それぞれ口座番号を聞いて金融機関に連絡をとるわけですから、そう簡単なことではありませんよね。そういう意味でいえば、地方がかかるお金はすべて国がお支払いをするということは決めてあるわけですけれども、それでは二兆円配るのに幾らぐらいかかるのかというふうなことで、今まだ試算段階まで行っておりませんが、一千億はかからないでできるだろうというふうな読みが実施本部の中にはあります。

森本委員 そういう説明でしたら理解はできます。しかし、今、寺田議員の質問の中で、一千億円は切ってみせるということは、私は、一方では、これは値切る、このぐらいの費用が要るけれどもそれを内数ももう少し少なく抑えるんだ、そういうことを大臣が発言をされて、そのように解釈されると思うんですよ。

 ですから、先ほどの答弁は訂正されるということで、一千億円以上必要であればその予算は見るという、このことは、今の答弁を変えられるということでよろしいですね。

鳩山国務大臣 先ほどの私の物の言い方が、確かにそういうふうに、地方を、極端に言えばいじめてでも低額に抑えてみせるというふうなことに聞こえたとすれば、その発言は訂正をいたします。

 むしろ、私が一千億円を切ってみせると申し上げたのは、いろいろな工夫、方法等を徹底して実施本部で研究をさせて、一円でもお金がかからないような、地方公共団体もやりやすいような方法を実施本部に考えさせてみせる、そういう意味で申し上げたわけで、それは、すばらしい方法を考えてやってみても、地方で大変配付にお金がかかったというのであれば、これは値切ることなく、けちることなく、満額お支払いはするということです。

森本委員 はい、ありがとうございます。了解しました。

 この今回の国の給付金は、配らなくても罰せられるものではないという解釈は、くどいようですが、よろしいですね。市町村、例えば横浜市長は、これは横浜市に任せていただきたいという発言をされる、それはオーケーと考えてよろしいのですね。

鳩山国務大臣 先ほども大分やりとりいたしましたが、法律をつくらないで自治事務でやっていただくということでございますから、これは十分の十の一〇〇%補助でお金をお渡しして配っていただくという形になりますので、おれのところはやらぬ、そういう自治体が出てまいりましたら、それをやらせる強制力はありません。

森本委員 了解しました。

 それでは、次に移ります。

 追加の経済対策について、地域活性化に資するきめ細かなインフラ整備などを進める地域活性化・生活対策臨時交付金、これは仮称ではございますが、交付するとしております。この財源については、地方公営企業等金融機構の前身である公営企業金融公庫が上げた利益や、想定金利より低く資金調達ができ含み益が出たことで不要になった金利変動準備金を活用して三千億円、国の財政投融資特別会計の余剰資金からは三千億円という報道がなされておりますが、これについてははっきりしない点がありますので、お聞きしたいと思います。

 機構法の附則十四条を見てみますと、将来にわたって債権管理に必要がないと認められる場合に限って、準備金の余裕分を国庫に移せると定めているわけであります。発足直後の同機構について、鳩山大臣も、債権管理が将来円滑に運営できるかという判断が今できるはずがないと強調し、準備金三・四兆円の取り崩しは絶対できない、地方が積み立てたことを忘れてはならないと発言したとの報道があります。

 さらに、大臣は、十月三十一日の閣議後、記者会見において、金利変動準備金は取り崩さない、附則十四条をきちんと守る、既に低金利で調達しているもので、確実に利益として新機構に入ってくる分がある、きょうまでの間に七、八百億円あり、これからも入ってくると述べられております。

 そこでお聞きしたいのは、既に七、八百億円あるという剰余金はどういうものなのか、金利変動準備金でしょうか。二つ目が、金利変動準備金であるとすれば、準備金を取り崩さないという発言とどう関係するのでしょうか。今後実現するとしている残りの二千二百億円か二千三百億円は、今年度中に実現するものなのか、来年度以降なのか。五つ目として、三千億円の財源手当ては機構法の附則十四条の適用によるのか、他の条文なのか。その他、自治体の理解が得られているのか。

 それらの点についてお伺いをします。

鳩山国務大臣 公営企業金融公庫という時代が長くあって、十月一日に地方共同機関として、地方公営企業等金融機構というふうに変わって、そのときの附則の十四条について今先生から御指摘があったと思っております。

 これは、よく埋蔵金論議というのがあります。例えば、悔しいんですけれども、交付税特会の借金の三十三兆六千億円というのは逆埋蔵金というのかななんというふうに言うことがあります。結局、外為特会の話にもありましたように、この地方公営企業等金融機構というか、従来の公営企業金融公庫に金利変動準備金というのが三・四兆円あったわけですね。それを今度、機構に変わったときに、新勘定に二・二兆円移して、旧勘定が一・二兆円だと。現在、二十三兆円貸しておるので、ちょっと高目の金利変動準備金として三・四兆円を積んでおる。

 早い話が、実際にこれをもっと使えという圧力は私のところには相当強くありました、政府全体でいえば、出せと。しかし、私がそのときに申し上げたのは、これはもともと営々と、地方が借りて、公営企業法で借りて返してきたお金だから、その資金調達が政府保証債であっても、これは地方が払った利息等の金だから、非常に地方の色彩が強いものなので、そう簡単に財務省にとられてたまるもんかというような、ちょっと言い方は悪いけれども、そういうような感覚のことを、正直に言えば言うわけですね。正直、そういうふうに言う、それは地方の金だと。もちろん、財務省は全然違う見解を持っているわけで、政府保証債で資金調達して貸したんだから、これは財務省のおかげでもうけた金じゃないかなんという暴論さえ言われることがある。

 そういう中で、何とか少しでもお役に立ち、しかも金利変動準備金を傷つけない方法はないかということを一生懸命考えたわけです。金利変動準備金が埋蔵金でないというのは、これは、逆に調達金利がうんと上がって貸し出す方が安くなったら、これはあっという間に消えてしまって、それこそ逆埋蔵金が出てくるというような性質のものでございますから、この三・四兆円は切り崩したくない、切り崩すべきでない、こう考えたわけでございます。

 先ほど先生が御指摘のように、ただ、法律が、十九年三月にこの機構の制度設計がされた。そして、本年十月一日までの間に、予想していたよりも低い金利で調達できて高い金利で貸し出せていて、それで八百億ぐらいは余剰金が生まれている。既にそうやって、貸す方は長期ですから、二十何年というわけですから、結局、確定的に入ってくるお金がさらに二千何百億あるから、これを合わせると三千億というお金になって、三千億を出すならば、旧勘定と新勘定には分かれますが、三・四兆円の金利変動準備金は減らさないで済む、こういう解釈のもとで出しました。

森本委員 どうも、大臣、質問の中心部分を外されますので。

 これは、二千二百億円足らぬのですよ。ですから、その三千億円、今の原資がどこからということを聞きたいのですが、もう次に移りたいので、ここで確認をさせていただきます。

 ですから、五年、十年まだかかるお金という理解でよろしいですね。それでもうオーケーなら、よろしい。(鳩山国務大臣「何年かかるか、ちょっと」と呼ぶ)もう何年だけで。あと、短く言うてください。

久保政府参考人 要するに、三・四兆を十月一日、公庫が廃止された時点で確保しているという制度設計であるという前提に立って法律ができ上がっているというふうに私ども解釈をしておりまして、現実に、今大臣から答弁申し上げましたように、公庫は大体十年間で資金を調達しております。十年間で資金を調達しておる分が、十九年三月以降この十月一日までに調達を新たにしたり借りかえをしたりしている部分があって、これが既に十九年三月時点で想定していたよりも低い金利で借り入れができている……(森本委員「そこはもうわかっておる。短く、何年だけ」と呼ぶ)

 それで、含み益を全部実現させようとすると、十年間が、平均で残っている部分がございます。ございますが、それを既に確定しているということで入れて、三・四兆は確保できているということでございます。

森本委員 本当にマジックみたいな数字ですね、これは。ここは、また後日改めて議論をさせていただきます。

 そして、財政悪化の要因について、少し方向を変えて質問をさせていただきます。

 自治体財政の現状について大臣の認識、自治体の財政健全化に基づきまして、先ほど二〇〇七年度決算の内容が、暫定値が公表されました。その結果、普通会計で四十三の自治体が早期健全化基準以上に該当し、公営企業会計でも多くの自治体が経営健全化基準に該当することになったわけです。

 近年、自治体財政が圧迫の度を増しているわけですが、そもそもこうなった理由はどこにあるのかといいますと、一九九〇年代に、地方債等を財源とする景気対策が相次いでなされた。国の経済政策が地方に協力を求められて、その結果として、きょう厳しい財政圧縮が求められるようになって、過去の元利償還金で少ない財源が費やされているというのが一番大きいと考えています。つまり、最終的な財源責任は自治体にあるわけですが、国の責任も極めて大きかったと私は言わざるを得ません。

 九月末に早期健全化基準に該当した自治体について、ある調査でも、一九九〇年代の前半の普通建設事業費の急増と今日の公債費の急増が財政圧迫の要因であり、人件費水準は一定の水準を推移しているというような結果が出ておるわけであります。要するに、人件費の水準は直接的な財政圧迫要因にはなっていないのではということであります。にもかかわらず、現に、一部の自治体では、財政悪化を理由に人件費の削減が、六割もの自治体で独自の給与カットがなされておる事態。

 このように、本当の要因は別のところにあるにもかかわらず、対策として真っ先に人件費が削られてしまうという、このことについて大臣の認識、そもそも自治体財政の悪化の原因をどう見られておるのか、国の責任についてどのような認識をされておるのか、お伺いをします。

鳩山国務大臣 あれは九月だったのでしょうか、財政健全化法の本格施行は来年度からですけれども、今の状況で当てはめるとこういうような自治体が早期健全化団体になりますよという一覧が出ました。そのときに、財政再建団体になるのは、夕張だけでなくて、あと二つ三つぐらい指摘されておったのかなと、いろいろな指標を見ての数字だと思います。

 先生がおっしゃっていることは、私は基本的に間違っていないと思います。もちろん、それぞれの地方自治体の運営のうまい、下手、失敗、それはいろいろあると思います。ですが、ここまで地方財政が悪化した原因は、早い話が、最初、冒頭にきょうも御議論があった、地方の一般的な収入が減った、地方税収や地方交付税が減ってきた、それは三位一体の影響ももちろんあるわけでございます。最近の景気低迷等によって、地方交付税の原資となる税の落ち込みも大きいということだと思います。それから、バブル経済崩壊後に、景気対策をそれぞれ地方もうんとやった。その地方債の元利償還金が圧迫をしているということ。それから、これは国、地方を通じて言えることは、義務的な社会保障の経費が増大をしておる。

 これが国政絡みで実際に地方を非常に苦しめていて、したがって、人勧があり、人事委員会が、あれも勧告でしょうか、結論を出しても、それをさらに下回る賃金カットを地方公務員の方々が受け入れざるを得ない状況の中で、先ほどお示しいただいたように、地方の一般的な歳出がこの数年間で十何兆円も減っているという状況が起きている。そのことは我々はまず基本的にあるというふうに見ていかなくちゃならない。

 また、ラスパイレス指数を見ても随分下げてきているわけですから、地方の人件費は今や、そういう財政を不健全にしている主たる要素では全くあり得ない。それだけのスリム化あるいは賃金カットをやってきているというふうに思いまして、ほかの要素が中心となって、早期健全化とかそういうような指標にひっかかるところが出てくるのかなというふうに思っております。

森本委員 今、財政の運営がうまい下手ということも言われましたのですけれども、しかし、そこは自治体も横着かったというところも、それは一部にはあったと思うんです。しかし、建設の公共事業とか地域総合整備事業債、ほとんど交付税でもう次見たろ見たろというような話の中で、どんどんこういう事業をされて、正直に国の方向どおり実行された町が実際苦労されておるという現実なんです。

 ですから、そこのところ、大臣もそのように、一〇〇%ではありませんが、私と同じような認識をしていただいておりますので、この件につきましては次に進ませていただきます。

 次に、財政健全化法では、財政悪化の状況に応じて、警告レベル、早期健全化基準と、深刻な状況に至った財政再生基準という二つの基準があります。そのうち、早期健全化基準がいわばイエローカード、財政再生基準がレッドカードのようなものと言えるかもしれません。

 現実に何が起こっているかといいますと、早期健全化基準以上に該当した自治体については、本来は、財政悪化が深刻な状況にならないように留意しながら、あくまでも自治体が自主的、主体的に財政健全化を行っていくべきものと思うのですが、実際には、財政基準に過剰に反応してしまって、必要な公共サービスまでも切り込まざるを得ない状況をもたらしてはいないかというふうに思っています。

 大臣、早期健全化基準に際して、国のかかわり方についてどのような認識をお持ちでございましょうか。

鳩山国務大臣 私は、正直言って地方財政の専門家であったことが全くないわけですから、それほど詳しくはありませんので、例えば、実質赤字比率とか連結実質赤字比率あるいは実質公債費比率、将来負担比率、これのどれにひっかかるかによって、どれくらいひっかかるかによって、早期健全化あるいは財政再生団体というふうになるわけですから、その数字が妥当であるかどうかは、今まで専門家が決めてきたことであろうから、これは一応認めなければならないと思っております。

 これにひっかかってはいけないということで行政サービスを低下させるというようなことが起きるとするならば、それは非常に悲しいことであって、そういう例が物すごく多い、例えばこのどこかの基準の一つが厳し過ぎて、そのために行政サービスの質が落ちるというようなことが相次ぐというようなことであれば、当然見直すということは必要になってくると思いますが、今のところは、私は与えられた基準というものを見ながら考えて判断しているところでございます。

森本委員 このイエローカードの件については、やはり市町村の自主性、主体性にお任せを、自治体に任せていただくということが私は国の一番のとる道、方向だというふうに思わせていただいております。

 次に、財政健全化法では、財政指数の算定式の分母が、地方税、地方交付税、地方譲与税等で構成される標準財政規模となっておるわけであります。標準財政規模の額も、特に地方交付税など、その年の国の財政施策の方針で大きく変わるものであり、地方自治体で劇的に増加させることはできません。本来ならば、税財源の国から地方への移譲が必要だと思うのですが、国の都合で借金が増加したり歳入が変化したりしては、自治体の努力では財政健全化は限られてしまうわけであります。

 健全化法には、財政診断としての機能だけであり、早期健全化基準以上の自治体になっても財政措置は設けられておりません。再生振替特例債という制度はあるわけですが、元利償還の交付税措置はなく、単に地方債を発行できるのみであるわけであります。このため、必要以上に公共サービスを切り詰め、困難を伴う償還計画にならざるを得ず、実際に夕張市でも厳しい財政運営がなされております。

 財政が深刻な状況に至っている自治体に対しては、今以上の財政措置の必要があると考えますが、特に、私は、今夕張は職員は半数以下の百数人になっておりますし、給料も六割、そして退職金も二十カ月、ですと恐らく五百万か六百万の退職金という、これは破格の額になってしまっておるわけであります。ですから、今一人がやめても、だれかに申しわけない、その仕事のウエートがいく。そんな厳しい中で、職員の皆さんが必死で今の財政規模、今の自治体を守ろうとしておりますが、私は、これは何年も続けば、十八年の償還とか、先の見えない、ある程度光が少しでも当たってこないと、これは体ももたないし、自治体そのものももたないというふうに考えております。

 ですから、そこのところは、今大臣には、こうしたところには今後何らかの措置を考えていかないと、私は、地方そのものが、自治体そのものが崩壊していく。そのことについて、簡単で結構でございますのでコメントをいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 私、夕張へ行きまして、大変風光明媚で、それこそ自然という財産は十分に持っているところなんでありましょうが、炭鉱がああいう形で閉鎖されて住宅が残り、それを市が買い取り、また、人口の急減によって病院も一階しか使わないというような状態で、炭鉱がなくなったわけでございますから、これは他律的な、夕張市の市政の責任ではない、他から与えられた条件によって非常に苦労しておるわけでありますから、こういうところをどうやって救うことができるかということは、それこそ先ほどの第三者委員会ではありませんが、温かく見詰める目を持つ必要があると思います。

森本委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 それでは、最後になります。内閣の人事局についてお伺いします。

 御承知のとおり、さきの通常国会におきまして国家公務員制度改革基本法が成立し、その中で幹部人事を一元管理する内閣人事局の設置が明示され、ことし六月の施行から一年以内、つまり来年の六月までに関連法案を提出するということになっています。もし関連法案の提出のみならず来年度中に人事局を設置するのであれば、予算要求を考慮しますと、組織構成や人員規模などの骨格をもう決めなければならない時期に来ておるわけであります。今、どのような機能や組織を内閣官房に移してくるのかという議論が大詰めに来ていると聞いておりますが、当然のことながら、総務省が当事者でありますから、そこでお聞きします。

 まず、総務大臣、総務省からは行政管理局や人事・恩給局を移すということが案に上っていると報道されていますが、そうなった場合、どのようにお考えになっておられるのか。また、本当に幹部人事の一元化を図ろうと思ったら、どれくらいの強力な機能が内閣人事局に求められるのか。そのあたりについてもお聞かせください。

鳩山国務大臣 これはちょっとまだ歯切れよく答弁できる内容ではないのかもしれません。

 内閣人事局については、来年度に法律を出すわけですが、来年度中に内閣人事局が店開きするのかどうかは全くまだ決まっていないのかなという気がします。そうであるならば、予算要求するというのは、先生のおっしゃるとおりだと思っております。

 この件は、もちろん総務省が深くかかわるわけでございますけれども、これは恐らく甘利明内閣府特命大臣が中心になってやっているところでございまして、現在は国家公務員制度改革推進本部顧問会議とワーキンググループで大議論をやっているわけでございます。

 当然、総務省といたしましては、人事・恩給局と、それから、内閣人事局が定員管理をやるということになりますと、いわゆる行政管理局、これとの関係がどうなるかということを我々も検討しているところでございます。

森本委員 時間が参りましたので終わりますが、これは渡辺前大臣がおっしゃられておるとおり、このことについては、例えば人事院や財務省、ここの関連機能をすべて統合して強力なものにしなければならない。拙速な議論を渡辺前大臣も牽制されています。私自身、横断的な組織がもっと必要だというふうに思っておりますが、そこのところは大臣も認識は同じと考えさせていただいてよろしいでしょうか。

鳩山国務大臣 少なくとも、内閣人事局というものは、省庁再編というか統廃合ででき上がるものではないと思うんですね。うちの人事・恩給局と行政管理局を上げました、くっつきました、それでできましたという話のものではなくて、内閣人事局というのがすばらしいものになるとするならば、もっと本質的な議論が必要だと思います。

森本委員 ぜひ頑張っていただきますようよろしくお願い申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、公立病院及び産科、小児科、救急医療等への財政措置について質問をいたします。

 最初に公立病院の問題について伺いますが、大臣の所信、発言の中でも公立病院の改革のことが述べられております。また、総務省はことしの七月から、公立病院に関する財政措置のあり方等検討会を開催し、公立病院等についての財政措置についての議論が行われているわけであります。

 公立病院、自治体病院の位置づけそのものは、大臣もよく御承知のとおり、例えば地方公営企業決算の概況などでも、自治体病院は、地域の公的な基幹病院として、小児医療、救急医療などの不採算部門や、がん治療などの高度な医療、医療過疎地である山間僻地、離島における地域医療を担うなど、民間では採算性確保の上で困難な医療を担っている、こういう医療機関として位置づけられております。もともと、住民の福祉の保持、向上のために行っている不採算な事業も担うわけですから、適切に手当てをしなければ赤字になってまいります。

 そこでお尋ねするわけですが、この間、自治体病院の損益収支の状況を見ますと、経常損益が、平成十五年度に九百三十二億円、平成十六年度に千三百十七億円、十九年度には二千六億円と、一千億円、二千億円も超えてしまったわけですけれども、この赤字が増加傾向にあるのはなぜなのか、その点についてまずお伺いいたします。

鳩山国務大臣 塩川先生御指摘のとおり、平成十九年度決算では、六百六十七事業体のうち四分の三が単年度の赤字である。これはフローですよね。そのフローの分が、今御指摘のように、年々急増して、ついに単年度でフローの赤字が二千億を超えた。どうも累積としては二兆円を超えたのではないかというふうに、非常に厳しい状況にあります。

 これは先生が既に御指摘をされましたように、公立病院は、要するに、採算がとれにくいところで採算のとれにくい医療をやるということなんでありましょう。僻地の医療、救急医療、あるいは高度先進医療等、非常に採算性の悪い、難しい医療を担ってきていることがまず原因として挙げられて、そこにいわゆる医師不足があって、診療科目の休止というのが行われる。たしか、正確な記憶ではありませんが、夕張の病院も、ほとんど何もできなかったところに今ボランティア的な形でお医者さんが見えて、随分、市民の健康が回復してきたという話も聞きましたけれども。それに加えて診療報酬の減額改定があったということがありまして、これがまた赤字要因にはなってくるわけでございます。

 職員数の削減などの医療提供体制の見直しとか、費用の削減、合理化もやっておるわけでございますけれども、まだそれに十分対応したものになっていない。つまり、医業費用の削減の方は、収入の減に比べればそれほど進んでいないということで、ますます悪化が進んでいるというのが現状認識でございます。

塩川委員 大臣の御答弁にありましたように、採算のとれにくいところで採算がとれない事業を行っている、こういう点が当然赤字に反映をされる。加えて、医師不足というのは、この間の国のいわば過去の失政がツケ回しとしてこういう自治体病院にも影響が出ているという点でも、国の責任が大きいわけであります。

 そこで、このように赤字が拡大していく一方で、実際に、自治体病院に対する繰り入れ、一般会計など他会計からの繰り入れの金額がふえていない、どちらかというと微減になっている、これはどういう状況なのか、その点についてお伺いいたします。

鳩山国務大臣 直営の公立病院というのは、これは大体特別会計で運営をしている地方公営企業ということになるんだろうと思いますが、一般会計からの繰り入れについては、地方公営企業法の規定によって一定の制限がある。例えば、過疎地の医療や救急医療など、能率的な経営を行ってもなお採算をとることが客観的に困難な経費、つまり、先ほどから経営悪化の原因になっているようなそうした事柄については、一般会計から繰り入れを認めることになっています。

 ですから、公立病院に赤字が発生した、では一般会計からそれを繰り入れて補てんするということは、法的にでしょうか、認められていないわけでございまして、病院施設の整備費の二分の一までは繰り入れていいというように、あらかじめ定められた、繰り入れていいものの基準があるわけでございまして、したがって、経営が悪化したら一般会計で埋めていいという原則がないものですから、悪化しても一般会計からの繰入金の増加は余り起きていない、こういうことでございます。

塩川委員 大臣もお話しになりましたように、一定の制限はあるといっても、不採算部門などについては繰り入れができるということに当然なっているわけです。

 お話しされたように、不採算部門を抱えているわけですから、そこについて適切に繰り入れが行われていないのではないのか。私は、このように、繰り入れについて、自治体が繰り入れを行う際に、本来、繰り入れを行う上でもそのきっかけともなる交付税が適切に措置されていないのが、結果として繰り出し額、繰入額がふえないという形にあらわれているんじゃないのか。その点についての総務省としてのお考えをお聞きしたいんですが。

久保政府参考人 先ほどの大臣の御答弁にも若干補足をさせていただきながらお答えをしたいと思いますけれども、平成十五年度と平成十九年度の損益収支の決算、これを比較してみますと、一般会計からの繰入金は四%減少しておりますけれども、一方で、公立病院の事業規模を示します医業収益、これも四・五%減少しているということでございますので、私どもといたしましては、一般会計からの繰り入れといったものはこの事業規模の縮小に見合った形をとっているのではないか、こう考えております。

 先ほど大臣が御答弁申し上げましたのは、一般会計がある意味では当然負担しなければいけないもの、これは地方公営企業法第十七条の二によって負担区分のルールがある、それに従って負担すべきものだということになっておりますけれども、現実には、これは委員御承知のように、それに見合ったような、一般会計から見たら繰り出しでしょうか、それがされていないケースもあろうかと思いますし、あるいはまた、最後はとにかく赤字を埋めなきゃいけないといった形で、それ以上に繰り出しをしているというか、でこぼこは多少あろうかと思いますが、傾向としては医業収益の減に、その繰り入れ、繰り出しでございますが、これも見合ったような形で減少しているのではないかというふうに理解をしております。

塩川委員 お話がありましたように、結局、地方公共団体の体力が伴わない中で赤字が拡大をするということ自身に、医師不足の問題などはまさに国策の反映ですから、そういう結果として赤字が拡大するのに対して、本来は経営を維持するために、地域に必要な医療を提供するために地方公共団体が繰り入れをしようと思っても、それもできなくなってきているわけですから、それに伴って、当然のことながら、必要な需要を踏まえた地財計画もつくるし、見合った地方交付税の増額の措置が必要なんじゃないのか、そこを問うているんですけれども、大臣、いかがですか。

久保政府参考人 もうこれも委員御案内のとおりの話になって恐縮でございますけれども、昨年の夏ぐらいから、公立病院のあり方自体をどう考えるべきなのかということで、公立病院の検討懇談会を設けまして、昨年の十二月の二十四日に公立病院改革ガイドラインというのをお示しいたしました。

 今年度中に改革プランというのをそれぞれの病院の事業体でつくっていただくということにしておりますが、そのガイドラインの中で、一番最後のところで、実は、予告といいますか、やっておりましたのが、交付税といっても一応、その額がふえるというわけでもございませんから、重点化すべきところ、そして、あるいは、多少薄目と言うと言葉はよくないんですけれども、配分の仕方をもう少し変えるべきなのではないか。例えば過疎地でありますとか、あるいはまた診療科目によってもそういう現象が起きているのかもしれないといったようなことをガイドラインでも指摘をさせていただきまして、それは今後検討していこうということにいたしました。

 ことしになりまして、たしか六月だったと思いますけれども、公立病院に関する財政措置のあり方等検討会というのを設けて、今申し上げました趣旨で検討していただいております。ことしじゅうに結論をいただきたい、こう思っております。

塩川委員 久保局長のお話にありましたように、交付税がふえないので重点化を図る、配分を変える。交付税がふえないという前提でやりくりをするからこういう事態になるわけで、私どもは、適切な需要を見た場合にこの交付税の枠でいいのか、交付税のこの決まった枠の中でこっちをふやしてこっちは減らすとか、こういうやり方自身が問題なんじゃないのかという提起をしているわけです。

 その上で、今お話も出ました検討会の中で、やはり今地域でも大問題になっております周産期医療や小児医療、また救急医療について検討会の中でも議論が行われているわけです。

 そこで、検討会の資料にも出ておりますけれども、数字の確認をしたいんですが、周産期医療、小児医療、救急医療についての平成十九年度決算額で、一般会計の繰り出し金額と特別交付税の措置額を示していただけますか。

久保政府参考人 平成十九年度決算におきます周産期医療、小児医療、救急医療に係る一般会計繰入金額と地方交付税特別交付税の措置額を申し上げます。

 まず、周産期医療でございますが、一般会計繰り出し金額八十七億円、特別交付税の措置額が三十八億円でございまして、四四%の措置ということになっております。

 次に、小児医療でございますが、一般会計の繰り出し金額が百六十九億円、特別交付税の措置額が六十九億円でございまして、四一%でございます。

 それから、救急医療でございますが、一般会計繰り出し金額が八百四十九億円、特別交付税措置額が二百四十四億円でございまして、二九%となっております。

塩川委員 一般会計繰り出し額に対する交付税措置額が低いわけですが、この検討会の議論の中で、取りまとめを行っていく上での論点整理メモが出されております。そこで、産科、小児科、救急医療等に関する財政措置の充実の項目で、地方公共団体の一般会計からの繰り出し実績を踏まえ、周産期医療、小児医療及び救急医療に関する交付税措置額の水準について充実を図るよう検討すべきとあります。このように取り上げている理由は何なのか、お聞かせください。

久保政府参考人 公立病院に関する財政措置のあり方等検討会における検討作業におきましては、論点整理に先立ちまして、地方公共団体からの意見募集でありますとか、公立病院関係者からの意見聴取を行っております。

 その結果、産科、小児科、救急医療などの分野に関する意見のほとんどは、これらの分野における財政措置の充実を求める、それで占められていたということでございます。

 このため、検討会の私ども事務局といたしまして、これらの分野に関する論点整理のたたき台を提示するに際しましては、地方公共団体からの主な意見の内容などを踏まえながら、産科、小児科につきましては、特に医師不足が深刻で、必要な医療体制を確保するための財政需要が想定されること、そして救急医療につきましては、救急の搬送件数が増加し、これに対応する体制整備が迫られる中で、救急医療に係る一般会計負担も増加していることを理由として、財政措置の充実が必要ではないかとの問題提起を行ったものでございます。

 あわせて、これらの分野におきましては、地方公共団体の一般会計からの繰り出し実績が、先ほど申し上げましたように、特別交付税措置額の水準を大幅に上回っているという状況にあることにつきましても御紹介をいたしまして、委員間の議論の参考としていただいたということでございます。

塩川委員 大臣にお伺いします。

 東京新聞の報道でも、この検討会の議論を紹介する中で、検討会は、医師不足が深刻な産科や小児科、救命救急センターがある公立病院を抱える自治体に対する地方交付税の増額を政府に求めることで合意したとあるわけですが、地方交付税を増額する方向なのかという点について大臣のお考えをお聞かせください。

鳩山国務大臣 基本は今、久保財政局長が御答弁申し上げたことに尽きるんだろうと思っておりまして、この検討会があって、要するに、採算性で割に合わない、そしてまた医師不足が目立つ過疎地、産科、小児科、救急部門等、今後の地方財政措置のあり方全般について有識者や公立病院関係者の方々に検討をお願いしておりまして、そこでは、一般会計からの繰り入れというのか繰り出しというのかわかりませんが、実態を踏まえ、財政措置の充実を図るべきであるという方向で議論が行われていると聞いておりまして、そういうことで、今月末に報告書が予定されておりますが、そうした中で地方財政対策すべてを総合的に見ていく中で、公立病院に関して、検討会報告に沿った形で、一般会計からの繰り入れに対する特別交付税措置の割合が少しでも高まるように努力していくことになるのかなと予測いたしております。

塩川委員 周産期や小児、救急などは特別交付税措置があります。それをふやす方向かなというお話であったわけですが、あわせて、検討会の議論では、普通交付税の議論で、病床数については病床利用率に改めるという点が検討課題になっているわけですけれども、これについて、先ほどの東京新聞の報道では、引き続き検討とあるわけですが、この病床利用率についての議論、方向というのは、これはどういうことになるのでしょうか。

久保政府参考人 病床利用率というのを何らかの形で反映させるべきではないかといった御意見が多いというふうには伺っておりますけれども、それでどういうふうにするとか、そういうことをまだ、方向性まで確実にこういう方向だということが固まっている、固まりつつあるということではまだないと理解しております。

塩川委員 これは前も議論しましたが、病床利用率が低い原因として、医師が確保できない、医師不足、医師がいないことによって結局はベッドが埋まらないということが生まれるわけです。医師が確保できないのはまさに恒常的な状況になっている。国策として今までの医師抑制政策をとったのが反映しているわけですから、単純に病床利用率にすることによって実態に合ったものになるということではないということが前提で必要です。

 ですから、何か病床利用率を導入することによって浮いたお金をほかの方に回すんだという話であってはならない。先ほどの答弁にもありましたように、交付税がふえない中で、重点化を図る、配分を変える、そういうやり方ではなくて、やはりそもそも医師や病院に回すお金自身が少ないわけだから、それをふさわしく需要として見込んで、それに対して交付税措置を行うということが必要なわけです。

 そういう点でも、病院事業に交付税措置をしっかり増額ということで行うと同時に、そもそも大枠としての交付税について、大臣の所信の中のお話でも、一般財源の総額の確保ということを述べただけで、先日私が質問した際に、御答弁では、地方交付税が増額できるように全力で頑張ると述べておられたわけですが、その立場にお変わりはないと思いますけれども、いかがですか。

鳩山国務大臣 地方の一般財源の総額の確保、総額の確保というのですから、増額とか倍増とか言っているわけではないので、これに大変苦労するような状況であるということは、先ほど申し上げましたように大変悲しいことでございます。

 私は、三位一体改革のときに、何で三位一体なのかなと。それは、地方も国も行政の効率化をする、あるいはスリム化をする、行政改革というのはふだんの健康管理のジョギングのようなもので、これは常にやらなければいけないことだと思うわけでございます。補助負担金を減額して、そして地方に税源を移すというのは本当にいいことだと思ったわけですが、三位一体改革というのは、三位一体というのはもともとニケアの宗教会議か何かで出てきた話だと思いますが、二つにもう一つつけて三にするのが好きだとして、そこになぜ交付税の問題が出てきて、五兆円、五・一兆円の減額になっていったのか。この復元が成っていない。このときの五兆円の減額が徹底的に響いて、今、塩川先生が問題にしておられるような病院のこと等にも響いていることは間違いありませんので、私は、地方交付税の復元に頑張っていきます。

塩川委員 大いにその決意で御奮闘いただきたいと思っています。地財計画や交付税の総枠を変えないままで、その中のやりくりではもう済まなくなっているのだという点での交付税の復元、増額という立場での取り組みを強く求めるものです。

 最後に、国立病院への自治体の補助金支出の要件緩和の問題について質問します。

 ことしの三月に、地方財政再建促進特措法に基づき、地方公共団体が国等に寄附金等を支出できる場合の要件、手続を規定した地方財政再建促進特措法の施行令が改正されました。これまで、国立病院が自治体の求める救急医療体制などに参加した場合に、自治体からの寄附等が制限をされていた、今後は可能にするという改正なわけですが、その中身についてお伺いします。

 一つは、この中で、特別に医療の提供を行う場合と述べているものとは何なのか。もう一つ、通知の中でも紹介されていますが、どのような事例が想定をされているのか。その二点についてお答えいただけますか。

久保政府参考人 御指摘のように、ただいまの政令改正によりまして、地方公共団体の要請に基づいて独立行政法人などが住民に対して特別に医療を提供する場合に、当該費用への寄附、補助等が可能となったわけでございます。

 この特別に医療を提供する場合ということでございますけれども、これは個々の具体的な事案に即して判断されるということになりますけれども、当該独立行政法人等が通常の業務の範囲として行う医療の提供を超えて医療を提供する場合でございまして、具体的には、地域住民に対して新たに実施される医療の提供、または従来の医療の提供が拡充された場合における当該拡充部分がこれに当たると考えております。

 そこで、地方公共団体に例示としてお示しをしておりますけれども、御紹介いたしますと、国立大学附属病院が、都道府県の策定する医療計画のもとで、新しく救急救命センターや周産期医療センターを設置して地域の救急医療等の提供を行う場合の補助とか土地の提供でありますとか、あるいは産婦人科医の不足によって分娩ができなくなった地域の医療を支援するために、国立大学附属病院が、それまで行っていなかった普通分娩を実施する場合の機器整備への助成あるいは機器の貸与といったことが考えられると思います。

 いずれにいたしましても、法令の規定の趣旨にのっとって、個々の具体的な事案に即して判断がなされると考えております。

塩川委員 そこで、大臣にお伺いしますが、現場では、やはり国立病院ですから、独立行政法人の機構であればその機構として、本来国がしかるべき財政手当てをしなければいけない、そのもとで国民に対する医療提供が必要だと考えます。同時に、現状のもとでは、やはり国、地方を挙げて、必要な地域医療の提供のために努力をしなければいかぬ、そういう点で今回の措置につながったのだと思います。

 そこで、具体的な事例として、一般論としてお聞きしますけれども、一つは、二次救急、例えば、週七日ある場合に、現状では、かつて七日というのが三日しか今埋まっていないといったときに、週一回国立病院が参加をしています。地方公共団体がその国立病院に対して、今の週一回をぜひとも週二回にしてもらえないかという要請を行った場合に、地方公共団体が、ふやしたことに対して寄附を行おうと考えた際に、その寄附を行うことができるのか、国立病院側は地方公共団体から寄附を受け取ることができるのか。その点を確認させてください。

鳩山国務大臣 一般的に、地方公共団体は、国や独法、国立大学法人、特殊法人に寄附を支出してはならない、当分の間というのがついておりますね。ですが、総務大臣の同意を得て支出できるということも書かれていますが、今先生の御指摘のように、国立病院が輪番に加わって、その県の二次救急医療体制の中で活躍をしてくれるというような条件であるならば、地方公共団体は必要に応じて寄附を行うことは認めるべきだと私は考えております。

 ただ、それにしても、国立病院機構というのは独法だと思いますが、国ができなくて地方公共団体がそれに寄附するというのは、医療政策としては何か情けないなという面は禁じ得ません。

塩川委員 もう一点、具体的な事例で確認をしますが、この間、東京都で起きました妊産婦の方が亡くなるという悲しい事故、その際にも、出産前後の医療を担う周産期医療の体制の充実というのが求められております。その際に、総合周産期母子医療センター、同時に、二次医療圏などでつくる地域周産期母子医療センターというのがあります。

 その場合で、ある国立病院が、現状は地域周産期母子医療センターを受けている、それをいわば格上げするといいますか総合周産期母子医療センターにする、このことについて、地方公共団体側から要請があり、地域から総合に切りかえるのであれば必要な寄附行為などを行いたいといった場合には、この国立病院は地方公共団体の寄附を受けることは可能なのか。その点について確認をさせていただきます。

鳩山国務大臣 地域周産期母子医療センターが総合周産期母子医療センターに格上げされるわけですから、これは規模も大きくなるんでしょう、それから技術的にも向上するんだろうかと思いますが、そういうような医療を提供するということであるならば、地方公共団体が国立病院機構に寄附をすることは可能だと思います。

塩川委員 私の住んでおります埼玉県というのが、全国的に見ても周産期医療での整備がおくれている、総合が一つ、地域が五つという状況で、これを大いにふやしたいと県の方も考えております。しかし、受け皿となる医療機関の困難さもあるものですから、ここは皆さん、知恵を出して、必要な財政負担なども行って、しっかりとした整備を行っていくということで力を尽くしたいと思っています。

 大臣おっしゃるように、国がやっている医療の提供は国がしっかりと面倒を見なさいよ、そういうことを大いに要求していくと同時に、地方の自主的な取り組みについては、これをしっかりとサポートするという立場で御努力、ぜひ同意の方もお願いしたいということを要望して、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 簡潔に質問いたします。

 まず、地方財政問題について大臣の認識をお伺いいたしますが、大臣は所信表明の中で、地方団体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保すると述べられました。

 そこで、まず、地方財政の状況についてどういうふうな認識をお持ちなのか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

鳩山国務大臣 それは、とにかく地方は大変なスリム化を国以上に行ってきておるわけでございますが、また、地方単独事業などを三分の一に減らすような状況に追い込まれながら、現在なお非常に厳しい状況にございます。

 百九十七兆円の借入金残高がございます。これは地方全体としてでございますが、交付税特会の借り入れ三十三・六兆円が含まれます。一般的に計算をしますと、地財計画で五兆円を超えるような財源不足が生じてしまいます。それから、社会保障関係費、これは義務的なものが、民主党さんから一括交付金という話がよくあるんですが、例えばこの義務的経費がどんどんどんどんふえてくるという中で大変厳しい状況にあります。

 私は、きょうも何度もお話をしておりますように、地方交付税の減額五・一兆円とも言えますし、四・七兆円の補助負担金を減らしたときに税源移譲は三兆円しかしなかった、その差額の一部もいわば地方交付税の減につながっているというふうに考えるわけでございまして、それがボディーブローというより以上に強烈にきいてきている。

 また、では今がいいのか、こう思いますと、現在の経済、景気状況を見ますと、地方税収がどんどん入るという状況にもありませんし、また、交付税の原資となる国税五税の入り方も現下の経済状況で大変厳しいという状況にありますので、地方公共団体は本当に厳しい状況になるんだろうと思っております。

 ちょっと余計なことを申し上げますけれども、私の母方の祖父がブリヂストンという会社をつくって、これが久留米に工場があるわけですが、この間、市長さんや財政関係者が見えて、市の状況は厳しい、おたくの会社も景気が悪くて法人事業税が半分ぐらいになってしまうので大変だ、こういうことをはっきりおっしゃって、ああ、ブリヂストンもそんなに景気が悪いのかなと改めて思ったわけでありますけれども、これが実体経済としてさまざまな分野に、この間トヨタの減益も出ておりましたが、こうなりますと地方はますます厳しくなるなと思います。

重野委員 今、大臣の認識と私の認識はそう変わらないのでありますが、具体的に言うと、地方交付税五兆円、それから地方への補助金四兆七千億を削って、今度は、入る部分、財源は三兆円しか移譲されなかった、だから地方はこんなにくたびれたんだというふうに大臣は申しておりますが、その認識は全く私と同じであります。

 ある講演の中で、減額された交付税五兆円はいずれ戻さなければならない、財務省が反対しても全力を尽くすんだという決意を述べられております。その覚悟は、先ほどの答弁の中にもその部分が若干ありましたけれども、変わりありませんかということ、また、いずれはという文言、これはいつごろを念頭に置いて、いずれはという発言につながったのか、そこら辺をお聞かせください。

鳩山国務大臣 申すまでもなく、そういう大仕事は、私のような者の一人の力でできるような話では全くありません。

 本来的には、税制の大抜本改革というのがあって、日本国にあるすべての税金を全部洗い出して、これを国と地方に分け直すぐらいのことがあって一対一というものが実現できればいいわけでありましょうが、それは何年かかるかわからないと思った場合に、やはり地方交付税が五兆円以上削られた、先ほど重野先生おっしゃったように補助負担金が四兆七千億削られながら三兆円しか税源移譲がなかった、その差額の一・七兆円だってもろに響いているわけでございまして、これらを、いずれはと申し上げておりますのは、私の任期でできる話ではありません。できれば、この三年、五年というような時間をかけて、与野党大連立でもいいんですけれども、みんなで力を合わせて地方のために闘っていただいて、私も頑張るが、諸先生方にも頑張っていただいて、これを昔の水準に戻すような努力をしたい、これを実現しなければ地方は元気にならないであろう。

 そういう中で、総理の一兆円発言があったものですから、とりあえず一兆円は戻したかな、こう思ったわけですが、そうは簡単にいっていないのかもしれません。

重野委員 この間の交付税の減額のやり方、一般歳出額は圧縮はするわ、地方財政計画ベースでどんどん削っていって、気がついたら、九九年度と〇八年度で比較すると、九兆円、地方一般歳出が削られているわけですね。

 私は、こうしたやり方にまず最も大きな問題があると思います。必要な経費は必要な需要額としてきちんと積み上げていく、それがないと自治体は立ち行かない、このように考えるんですが、その認識を共有していただけますか。

鳩山国務大臣 平成十一年度から十八年度の間をとりますと、七十九・一兆円から六十六・五兆円と、先生の数字をさらに拡大して、地方の一般歳出が十二・六兆円、パーセンテージにして一五・九%も減っている。しかも、財政力指数の弱いところほど一般歳出の削減率が高いということを考えますと、まさに地方は危機的な状況にあるので、これを救うために全力を尽くさなければならないという意識は先生と共有しているつもりでございます。

重野委員 次に、景気後退局面ということがよく新聞でも書かれているんですが、そういう局面に伴う自治体財政について幾つかお聞きしたいんです。

 アメリカ発の金融危機、これが実体経済に波及をして、内閣府が先日発表しました十月の街角景気指数というのがあるんですが、これは、二〇〇〇年の調査開始以来最低の二二・六となっている、こういうふうに報告されております。つまり、「景気の現状は急速に厳しさを増している」、そういう表現に下方修正されました。

 景気後退を受けて、国税において上半期の法人税収が四割も減少した、最終的には五兆円もの税収減になる、このように言われております。

 そこで、地方の税収の落ち込みはどの程度になって、計画とどの程度乖離するのではないかというふうな見積もりを持っているかどうか、そして、そういう現状に対してどういう対策を打つおつもりなのか、その点についてお伺いします。

鳩山国務大臣 要するに、一番恐れていることが起きているわけですね。地財計画をつくった、しかし景気の落ち込みによって税収に穴があくということで、これは正確な数字は税務局長からお伝えいたします。

河野政府参考人 地方税収の動向につきましてお答えをいたします。

 法人二税について申し上げますと、平成二十年度の地方財政計画におきまして、法人二税の収入見込み額、約九兆七千六百億円ということで見込んでおります。

 国税の状況についてお話がございましたけれども、現時点におきまして、この法人二税の決算見込み額につきまして、まだ確たる見通しということを申し上げられる状況にはございませんけれども、現在、九月末現在の調定状況を把握してございます。

 この数字で申し上げますと、先ほど申し上げた地方財政計画計上額、これを達成いたしますためには十九年度の決算見込み額に比べまして六・五%の伸びというものが必要になるわけでございますけれども、これに対しまして、九月末現在の調定額の累積で見ますと、前年同期を逆に五・八%下回っている状況にございます。こうしたことから見ますと、相当程度の減収が生じるおそれがあるというふうに考えております。

重野委員 そして、そういう状況に対しどのような対策を打つおつもりですか。

久保政府参考人 従来から、年度途中で地方税収が減額していくということがはっきりいたしました場合、御案内のように、私ども、本来、地方交付税がそれをカバーするというのが地方財政の基本的なスキームでございまして、八月ぐらいで、ことしは八月の十五日だったんですけれども、交付決定をした交付税、これの基準財政収入額と乖離が生じているということになりますと、通常のスキームは翌年度以降三年間で交付税の世界で精算していくということになりますけれども、それを選択せずに減収補てん債を発行して、同様に、後年度、七五%の元利償還金を交付税措置をするといったことを選択するという道もございます。

 まことにありがたいことでございますけれども、ことしの十九年度の補正予算関係の交付税法の改正で、地方財政法五条の適用対象以外の事業にも、当分の間、今の減収補てん債が充てられるということにもしていただきましたので、そういったことを活用するということを基本に考えていくのかなというふうに今の時点では考えております。

重野委員 そこで、ちょっと視点を変えまして、二〇〇八年度の地方財政計画で、法人二税は対前年度計画に対して一・四四%増の九兆七千五百五十億円を見込んでいる。〇七年度で既に計画を下回っているにもかかわらず〇八年増額、このような計画をなぜ立てたのかという点についてお聞かせください。

河野政府参考人 お答えを申し上げます。

 お話がございましたように、平成二十年度の地方財政計画におきましては、法人二税につきまして、前年度計画額を一・四%上回る約九兆七千六百億円を見込んだところでございます。

 これは、税収の見積もり作業は十二月の時点で行うわけでございますけれども、その時点で判明しておりました調定実績あるいは国の予算における法人税の見積もりの状況等を勘案して見込んだわけでございますけれども、この時点では、並行して十九年度の決算見込み額の状況につきましても見積もり作業を行っておりまして、その時点で見込まれた、いわば発射台となります十九年度税収の見込み額につきまして織り込んだ上で税収を見込んでおりまして、その上で一・四%伸びの九兆七千六百億円という数字を見込んだものでございます。

重野委員 私は、今の局長の答弁、ちょっとずさんだなというふうに言わざるを得ませんね。何のために国家統計をとっているのかということを言わざるを得ないんです。米国発の金融危機が予想を超えた規模とスピードで実体経済に波及したという側面は、確かにあります。しかし、全く不測の事態ではないんじゃないか。つまり、景気の変調は昨年秋には見え始めているわけです。まして、〇七年度の税収見込みは計画を下回りそうだということは把握していたと思うんですね。

 それで、地方財政計画の役割としては、これは地方財政の毎年度の財政運営の指針があるわけで、各自治体が指針とすべき計画が結果的に私はずさんであったというふうに思うんですが、そういう指摘に対して、大臣はどのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 各自治体の財政運営は地財計画を指針とするわけでありましょう。先生から厳しく御指摘いただいたように、地方税収の見込みに対して、実際は減額したものしか入ってこないということが続く。

 そういった意味で、地方税収の見込みというのは非常に重要なものでありますから正確でなければいけないわけでございますが、また、さまざまなデータを駆使して、できる限り正確な見積もりが得られるように努力しているのでありましょうが、何とも、経済情勢の激変とも言われる、また、百年に一度というグリーンスパンさんの話ではないが、そういうような状況に出会いますと、決算額との間にひどい乖離が生じるわけでございまして、当然、その地財計画を指針として各自治体が組まれた予算も目算と大きくずれてしまうわけでございます。

 ですから、そういう事情をごしんしゃくいただければありがたいと思います。

重野委員 見積もりと結果の乖離という問題、最終的には自治体が一番の被害者になるわけですね。現に、自治体が今悲鳴を上げています。私はやはり、地方財政計画というのはそんなものであっていいとは思わないんです。やはり地方財政計画というのは、地方自治体にとって、ある意味では羅針盤みたいなものなんですね。

 さて、現在来年度の地財計画がつくられていると思うんですが、また来年こんな指摘をすることのないように、やはり入念な地財計画づくり、これは国、地方あわせてやってもらいたい。私は、こういう乖離というものは、まず反省すべきだというところからスタートしないと事は運ばない、このように思うんですが、いかがですか。

河野政府参考人 先ほど大臣からもお答えがありましたけれども、地方税収の見込みにつきましては、地方団体の財政運営の指針となります地財計画におきまして大変重要なものでございまして、それぞれ年末にこの税収見積もりを行います時点で、入手可能なさまざまなデータなどをもとにいたしまして、できる限り正確な見積もりが得られるように努力をいたしておるところでございます。

 しかしながら、特に法人関係税、非常に景気の変動の影響を受けやすいということもございまして、なかなか、結果的に見積もりと違う場合も出てまいりますけれども、今後とも、できるだけいろいろなデータの入手に努めながら、正確な見積もり作業というものに努めてまいりたいと思っております。

重野委員 次に、新総合経済対策について。

 これはそれぞれ委員の方から質問されておりますので確認したいと思うんですが、結論から言うと、総務大臣が言っている、七千億は別です、一兆七千億ですと。ところが、国土交通大臣はそうではない、こういうふうなことを言っておるんです。それに、経済財政担当大臣も国土交通大臣と同じようなことを言っておるんですが、我々からしてみれば一体どっちが本当なのと言わざるを得ません、同じ閣内でそういう意見があるということは。

 そこで、改めて大臣の考え方を明らかにしていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 総理は、道路特定財源の一般財源化に伴って一兆円を地方に配賦するということを追加指示という形でされたわけでございまして、このときに総理の頭の中には、いわゆるガソリン税の四分の一の約七千億、六千八百二十五億円というものを変えて、三千億足して一兆円にするというような発想は全くなかったと思います。

 ですから、それとは全く別なんだ、別なんだということをおっしゃっておられるわけで、だから私は別枠と申し上げているわけですが、この七千億円の方は、一般財源化すると一たんは消えていくものだと思うんですね。ですから、そこに道路目的財源としての六千八百二十五億円はやはり消えるわけですね、一たんは。それを、だから、同じぐらいの金額を別途、道路だけに使うお金というのではなくて、もっと地方に使い勝手のいいお金として同じように積んでもらう。だから、総理がおっしゃった一兆円と、新たに積んでもらう、七千億いけば一番いいんですが、これは別枠だ、私はそのように主張し続けているわけでございます。

 少なくとも、総理が六千八百二十五億円という数字に足して一兆円にするという発想をお持ちでなかったことだけは間違いないと思います。

重野委員 次に、NHK問題についてお伺いいたします。

 受信料の訪問徴収が廃止されました。徴収率はどうなるのかなという懸念を持つわけです。新しい方式がスタートして間がありませんから、すべて今こうなったということを言えるかどうかというのは疑問があるんですが、まずスタートしたわけですから、それについて一つ。

 それと、NHKの経営委員、これがこの十二月に任期が切れるわけです。新聞報道によると、今度の国会に提案されるというふうなことが報道されておりましたが、経営委員の選任に当たっての基本的なスタンスとして注文をつけておきたいんです。視聴者重視、だから、視聴者から公募するとか、あるいは視聴者の推薦とかそういうようなものがあった人、そういう仕組みをつくって経営委員のいわゆる選考をやるんだ、方向について、私はそうあるべきだと思うんですが、その二点についてお伺いいたします。

大西参考人 御質問にお答え申し上げます。

 先ほど御指摘のとおり、訪問集金に当たりましては、これまで訪問集金でお支払いをしていただいていた方に、この四月から九月にかけて、口座、クレジットの方に切りかえていただくという活動を展開してまいりました。六十八万件この上半期で増加をさせました。その結果、十九年度末に二百二十万件訪問集金の対象があったわけでありますけれども、九月末には百四十八万件にまで減少しております。十月から新たに継続振り込みの振り込み用紙をお送りして、今現在請求中であるということでございます。現状の報告を申し上げます。

 以上でございます。

重野委員 いずれにしても、新しい仕組みになったわけですから、そこで徴収率が低下するというふうなことにはなっちゃいけないわけです。

 同時に、今まで訪問集金に当たっていた方々の処遇の問題とか、そこについても、この間、そこら辺も同時に議論をし、新たなシフト、それをやっているというふうに聞いていますので、そこにも十分注意していただきたいと思います。

 最後に、給付金問題について、幾つも幾つも用意したのですけれども、時間もありませんから後でやりますが、何人がこの給付を受けないという点について、アルバイト等々雇わなきゃならぬというふうな自治体も出てくると思うんですけれども、そういう場合のかかった経費、これは地方自治体がその仕事をやるのですが、それは間違いなく国が負担するんでしょうか。

 大臣、ちょっと待って。向こうが終わってから。答弁漏れが一つあるから。

岡崎政府参考人 今回の定額給付金でございますけれども、給付金の費用そのものはもちろんでございますが、実施に係る地方団体の事務費につきましても、今お話ありました人件費も含めて全額を国費で措置するということを考えております。

山川政府参考人 先ほど、NHK経営委員の人選につきまして、公募制あるいは視聴者の推薦等の仕組みを検討すべきではないかという御指摘がございました。これにつきましてお答え申し上げます。

 NHK経営委員の任命に当たりましては、NHKの公共的性格にかんがみ、国民全体の意思を反映させるため、国民の代表でございます国会の御同意を得ることとされているところでございます。

 この国会同意という大変重い手続が定められている趣旨を踏まえまして人選を進めていくことが必要と考えておりまして、政府として、現時点で公募制あるいは視聴者の推薦ということを導入することは考えておりません。

 いずれにせよ、国会で御同意いただけるようなしっかりとした人選を政府として行っていくことが重要と考えております。

重野委員 時間が来ましたので、最後に一問だけ。この給付の問題について、麻生総理はきのうの記者会見でこう言っているんですね。だって地方分権だからいいじゃないですか、こういうふうに答えたと新聞に書いてあった。また、自民党の保利政調会長も、国がやり過ぎると自治権を侵害することになる、こんなことを言っているんですね。これは、私は、本当にあいた口がふさがらない、まさにそのとおりだと思うんです。自分たちで処理できない問題を自治体に押しつけて、基準や公平性の担保を国に求めると、今度は地方自治を盾にとる。

 鳩山大臣、所管大臣として、こうした発言をどういうふうに受けとめますか。そのとおりだと感じているのか、いや、そうじゃないだろうというふうに感じているのか、どちらですか。

鳩山国務大臣 私は、この問題の所管というよりは、配る方の、自治事務の方の所管ということなんだろうと思いますが、とにかくシンプルでなければいけないし、総理は最初に全世帯に配るとおっしゃったんだから、その方向にほとんど狂いがないような結果を出すべきだと思うし、私は、もちろんこれは自治事務ではありますが、所得制限というものは、基本的には自治体が設けなければその方がすんなりするなというふうには思います。

重野委員 今の答弁は質問に答えていないんです。総理の発言だとか保利さんの発言に対してどうですかと聞いているんです。

鳩山国務大臣 私の発言でどういう違いがあるかを御理解ください。

重野委員 もう時間も過ぎておりますので、きょうはこれで終わります。

 以上です。

森山(裕)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.