衆議院

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第5号 平成20年11月20日(木曜日)

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平成二十年十一月二十日(木曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 大野 松茂君 理事 岡本 芳郎君

   理事 実川 幸夫君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      稲田 朋美君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    木挽  司君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    谷  公一君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      土井 真樹君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    古屋 圭司君

      松本 文明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    玄葉光一郎君

      佐々木隆博君    田嶋  要君

      寺田  学君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   内閣官房副長官      松本  純君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          川村 卓雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            吉田 耕三君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 村木 裕隆君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           吉崎 賢介君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  谷垣 禎一君     土井 真樹君

  福田 昭夫君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  土井 真樹君     谷垣 禎一君

  佐々木隆博君     福田 昭夫君

    ―――――――――――――

十一月十八日

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査要請書(武正公一君外百十二名提出、平成二十年衆予調第四号)

 特殊法人の組織等に関する予備的調査要請書(原口一博君外百十二名提出、平成二十年衆予調第五号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長川村卓雄君、事務総局人材局長尾西雅博君、事務総局給与局長吉田耕三君、総務省人事・恩給局長村木裕隆君及び統計局統計調査部長吉崎賢介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 お時間をいただきまして質問させていただくことをお許しいただきまして、まことにありがとうございます。早速ですけれども、質問に入ります。

 きょう、人事院勧告についてが議題なのでありますけれども、それに入る前に、一つ質問を鳩山大臣にしたい。それは、きのう全国知事会において麻生総理が発言をされた、医師不足、医師確保に関する発言についてであります。

 報道によりますと、昨日の全国都道府県知事会議において、地方の医師不足への対応を問われて総理がいろいろ発言をされた。その中で、はっきり言って社会的常識がかなり欠落している人が多い、うちで何百人も扱っているからよくわかるなんていう発言をされたということが報道に取り上げられています。なお言えば、その後いろいろなことを言われた後で、これだけ、医師不足が激しくなればということだと思いますけれども、責任はおたくらの話、おたくというのは医師のことを指すんだろうと言われている、話ではないんですか、こういう話までされたということが報道に出ておりまして、愕然といたしました。

 医師不足あるいは地方の医療崩壊という問題がなぜ起こっているのか。それはいろいろな要因が絡み合っているところではありますが、例えば、今の病院勤務医の方々なんかは日ごろ、昼間勤務を普通にする、それから夜当直に入る、当直に来たら救急、急患を受けたりして、夜も、当直といいながらほとんど通常の業務に近いものをこなす、そしてまた次の日も勤務をこなす。こんなことが一週間に一度だけでは済まないかもしれないぐらいな形での勤務をされていて、それは例えば労働基準法的に見てどうなのか、問題があるんじゃないのか、そうした中で勤務をされているようなところがある。

 もともと医師というのは、勤務医についてですね、不足をしていたんだろうと思う。それが、昨今いろいろな出来事が重なり、医療費の削減だ何だかんだあって、もうこんなに報われないんだったら勤めるのをやめようといって医師が去っていく、それが医療崩壊につながっているのだと言われている。

 それは、常識が多少欠けた人もおられるかもしれないけれども、医師不足あるいは医療崩壊という問題が、個人の問題として社会的常識が欠落している人が多いからということで起こったのだ、そういう認識をもし麻生総理あるいは政府がしているのであれば、これは厳重に抗議をしたいし、認識を正していただかなければならない重要な問題だと私は思いました。

 鳩山総務大臣は、自治体の病院をどうするか、経営をどうするかという問題も抱えておられるし、今回の人事院の勧告でも、国立病院の医師の手当などについて引き上げをする、そうした形でも触れられているところでありますが、今回の麻生総理の発言についてどのようにお感じになっているのか、所感をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 昨日は全国知事会議がございまして、都合五時間行いまして、最初の前半の一時間四十分ぐらいは総理が御出席をしておられたと思います。五時間全部私が司会をいたしたわけでございますので、たしか、堂本千葉県知事ほかの方から医師不足の問題が指摘された際の総理の発言であったと記憶をいたしております。

 私は横で聞いておりまして、正直、おやとは思いました。しかしながら、恐らく、御自身が病院を経営しておられたときの記憶がにわかによみがえってくる中で、非常に扱いにくいと総理が当時思われた、我々と常識が違うと思われた方が、一人か二人かわかりませんが、そういう方がおられた、そんな記憶がよみがえってきてこういう発言になっているのかな、正直私はそのときそう思いました。

 ですが、全体のトーンからいいますと、医師というものは、それこそ我々と同じような感覚で暮らすことのできない厳しいあるいは特別な職であるという意識も強く持たれて、それが価値観という表現になったのかなとも実は思ったわけです。

 私自身、正直言って、血を見ると怖いと思う、料理が好きで、自分の指をちょっと切っただけで恐怖におののくような人間であって、政治家としてはいろいろなことをやっておりますが、例えば、人の命を預かるとか、人の命、病気について相談を受けて、人様の健康に直接タッチするなどという仕事は自分には絶対できない、何度生まれ変わってもできない。それほど、私の感覚では、医者を目指す意思力というのは絶対生まれてこないと自分で思っているわけです。

 今、橋本岳先生御指摘のように、きょうは国家公務員や地方公務員の臨時職員等の質問も出るようですけれども、いわゆる職務条件、勤務条件としても非人間的と思われるような状況が医師の世界で、勤務医の世界であるということも聞いておりまして、私は、非常に誤解を招きやすい発言をされたということは認めますけれども、それは一つは、総理自身が御経験になった当時のことに加えて、医師というのは通常の意思力ではできない大変厳しい仕事だという認識も同時に強く持たれての発言ではなかったかと存じます。

橋本委員 誤解を招きやすい発言だった、本当にそうだなと思いますし、そういう御経験があったのだろうという話も、そういうこともあったのかなとは思います。

 ただ、飲み屋で話をするならばともかく、公の場での発言としては決して適当ではないと思いますし、経営者として、経験として、自分たちが雇用をして使っておられた方々に対して、内心どう思っているかというのは別にして、社会的常識がかなり欠落している人が多いなどということを公の場で発言することは、過去のことですが、私は、経営者としての資質というのは果たしてどうなのかなと疑いを持たざるを得ない感覚を正直持ちます。これは、総理大臣としてお務めの上でも、鳩山大臣からのサポートをぜひお願いしたいと思うところであります。行政の責任だって当然あるわけですから、そこは総務大臣の所管ではないですけれども心していただきたい、強くお願いを申し上げるところでございます。

 本題に入ります。

 今回の人事院勧告が出されたときに、人事院総裁、谷総裁が談話を出されました。その中で、「行政の破綻とも言うべき事態や幹部公務員の不祥事など、公務及び公務員の在り方にかかわる問題が相次いで生じ、国民の不信や批判を招いていることは、」云々という強い指摘が冒頭にされています。その上で、国民の信頼を一日も早く回復していくことが大事だ、こういう指摘が談話の中であえて付されました。

 このことについて、政府として、総務大臣としてどのように受けとめて取り組んでいくお考えか、教えてください。

鳩山国務大臣 人事院勧告の際に、総裁おられますが、総裁の談話あるいは報告というのが三つセットで出されるわけでございまして、人事院総裁談話において、国民の信頼を回復することが急務である、つまり、信頼を失うようなことが余りに多くありはしませんかという御指摘を受けた、こういうふうに考えるわけでございます。八月十一日にその談話が発表されて、その当時、総務大臣は増田さんでございまして、直後の閣議において、一人一人の職員が国家国民に奉仕するという使命感を持って全力で職務に取り組むよう、各大臣に改めてその趣旨を徹底してくれるように要請したわけでございます。

 今後とも、そういう服務規律の問題、公務員倫理の問題、当時は社会保険庁だけじゃなくていろいろな問題があったかと思いますが、公務員全体が使命感のもとで誇りを持って働いてもらいたいと痛切に願うわけでございます。

 私自身、役人の息子でございまして、自分の父親が大蔵省という職場にいて、国から給料をもらっている、公のために仕事をしている、パブリックサーバント、公の奉仕者という言葉を知ったのは高校ぐらいかと思いますが、幼少のころより、自分の父親が国家のために働いているということは子供としても誇りでありましたから、私は、国家公務員にしても、もちろん地方公務員も同様でございますが、公務員たるものは公に奉仕するという精神を片時も失わずに国民の信頼をつなぎとめるような仕事をしていくべきものと思います。

橋本委員 最近の事例を見るとどうも、そうあってほしいと私も思うんですが、そうなっていないことも見かけられるので谷総裁の発言になっているんだと理解をしておりますので、ぜひとも、そこをでは具体的にどうするのかということをしっかり取り組んでいただきたいということを、あわせて申し上げます。

 公務員の人事管理に関する報告の中に、先ほど触れたところの続きになりますけれども、「各府省の最高幹部をはじめとした各段階の責任者はそれぞれの所掌分野の行政の目的・目標を明らかにし、」という一文があります。

 来年度から公務員制度改革の中で新しい人事評価をやるということになっている。それは、目標を立ててそれに対する管理をしていくということになりますが、そのときに、その部門、部署の目標なり目的なりがきちんと定まっているというのが大前提になると思います。実際、今、各府省の局だとか部だとかいう単位で目的、目標というのは明らかにされているのか、それを確認、把握されているのかどうか、総務省、教えてください。

村木政府参考人 現在、各府省におきましても、それぞれの方法で所管行政の目標を明らかにして業務を遂行していると思いますけれども、このたび、さきの国会で成立いたしました国家公務員制度改革基本法九条におきましては、先生の御指摘のとおり、人事評価につきましては、「業績評価に係る目標の設定は、所属する組織の目標を踏まえて行わなければならない」というぐあいにされておるところでございます。それで、私ども、この法律の趣旨に沿って、先生御指摘の新しい人事評価制度を来年度から施行するということで今準備を進めておるところでございます。

 それで、この新しい人事評価制度におきまして、業績目標をそれぞれ職員が期の初めに設定をしていただくわけでございますが、その設定の際には当然上司に面談をしながら設定をする、こういう方法を考えております。そういう上司と部下の話し合いの中で業績目標が、きちっと組織の目標が明らかになって、それで、評価される本人が期初に業績目標を立て、期終にそれを自己点検し、評価する管理者がチェックをして最終的に評価する、こういう流れを考えています。そういう過程を通じまして明らかにされるというぐあいに考えてございます。

橋本委員 組織の目標、目的、特にこれは私企業じゃなくて役所ですから、公に対してどういう目標を持って責任を持ってやるということを明らかにするのは当然のことだと思いますので、ぜひきちんとやっていただいて、その上で人事評価なり公務員の仕事というのをちゃんとやっていただくような人事制度になることを期待します。

 終わります。

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。

 本日は、二十年度の人事院勧告につきまして質問をさせていただきますが、今回のこの二十年度の人事院勧告の内容、概要を拝見させていただきますと、公務員一般職の給与について、月給、ボーナスとも現行水準を据え置くという内容のようでございます。改定を見送るということでありますけれども、この改定の見送りというのは二〇〇六年以来二年ぶりだということのようであります。

 また、先ほどの質問にもありましたけれども、医師不足の状況というのがありますが、国の医療機関で働く医師の給料だけは今回引き上げされたようであります。これも一九六〇年以来四十八年ぶりということで、年間大体約百二十七万円医師給料がアップされたという概要のようであります。

 そこで、まず初めにお伺いをさせていただきたいのは、この人事院勧告、人勧制度のあり方について、まず初めに人事院総裁にお伺いをいたしたいわけであります。

 人事院勧告制度、この発足は昭和二十三年、一九四八年十二月からスタートした。ちょうど六十年になるわけでありますね。それで、この六十年間に我が国は大きく変容いたしました。当時、敗戦の焦土から、我が国が今経済大国第二位というところまで参りまして、昭和四十年代ぐらいまでは高度経済成長ということでどんどんどんどん、将来が明るい、この国のあり方もどんどん変質をしてきたわけであります。最近の状況でいうと非常に少子化も進んでまいりましたし、このような少子化だとか経済成長、安定成長に入っておるわけであります。このような六十年間の我が国の大きな変化、変質、このような中で、人事院勧告というものは民間準拠を原則とされておられるわけでありますが、現在、この人事院勧告制度が六十年間にどう変化されたのか、お伺いをいたしたいと思います。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、この勧告制度は、国家公務員法の情勢適応の原則に基づきまして、社会一般の情勢に適応するように、そしてそうした適正な給与とするようにということで私どもに義務づけられておるわけでございますが、制度発足以来、日本の経済社会が変化するにつれまして、時々の人事院勧告もその影響を受けて変化をしてきたところでございます。

 高度経済成長期には、民間の賃金水準に大幅な上昇が見られましたので、月例給につきまして、公務員につきましても一〇%を上回るような引き上げというのが何度もございました。

 ところが、最近は、民間企業の厳しい経営環境、日本経済の状況を反映いたしまして、平成十四年に初めて月例給の引き下げ勧告を行うということがございまして、その前の平成十一年から一昨年までの間の国家公務員の年間給与の状況を見ますと、減少または据え置きという状況が続いている状況でございます。

 それから、給与勧告制度は従来から給与制度そのものの見直しについても対象として行っているわけでございますけれども、近年、民間企業におきまして経営の合理化、効率化が進められます中で、年功的な賃金制度を見直して、仕事や成果に応じた賃金制度を導入するという動きが広まってまいりましたことから、公務員給与制度におきましても、俸給、諸手当制度全般にわたる給与構造改革を実施する必要があると判断いたしまして、改革前の給与制度が形づくられたのは昭和三十二年でございましたけれども、その三十二年以来の抜本的な改革を平成十八年度から五年かけてただいま実施中でございます。

 そのほか、例えば、我が国全体の少子化対策が推進されているそういう状況にも配慮をいたしまして、扶養手当につきまして、子に係る手当額を重視する改定を行いますなど、我が国の経済社会情勢の変化に応じまして人事院勧告を行ってきているところでございます。

谷口(隆)委員 やはり、先ほど申し上げましたように、民間準拠という大原則がありますよね。この民間準拠ということは、国民一般に大きく違和感がない、こういうような国民の空気を感じるということが重要なんだろうと思うんですね。

 そういう観点で、この人事院勧告の制度、どのように今まで対応されてこられたのか、また二十年度の人事院勧告においてはどのようにそれを配意されたのか、お伺いいたしたいと思います。

谷政府特別補佐人 最終的に国民の意思を反映して決定されますのは国会の場でございますけれども、私どもも私どもとしての考えをまとめます際に、できるだけ多くの国民の方々の御意見をお聞きして検討を進める必要があると考えております。

 給与勧告における公務員給与の改定を検討するに当たりまして、例えば全国四十を超える都市において有識者の方々との懇談会を開催いたしますとか、あるいは中小企業経営者の方々などとの意見交換を行うということもやっております。それから、人事院が委嘱しております国家公務員に関するモニター、これは全国から五百人の方を選ばせていただいているわけでございますけれども、こういう方々の御意見などを伺いまして、できるだけ広く国民の御意見を伺いたいということで取り組んでおります。

 それから、本年の勧告につきましては、月例給、ボーナスともに公務員と民間の水準がほぼ均衡しておりましたから、水準の改定を行わず据え置きとしたところでございますけれども、先ほど申しました五年計画で進行中の給与構造改革に関しましては、本府省の業務調整手当につきまして、先ほど申し上げました各界との意見交換において御意見もお聞きしながら検討を進めてまいったところでございます。

 それから、医師の給与につきましても、勤務医の確保が社会的に重要な課題となります中で、適切な給与水準を確保する必要がありますことから、その引き上げを勧告させていただいております。

 今後とも、国民の方々の御理解をいただけるような公務員給与とするために、引き続き、できる限り広く御意見を伺いながら勧告をしてまいりたいと考えております。

谷口(隆)委員 給与法は国会で審議されるわけですけれども、やはり民間のお考えと大きく乖離をしてはならないわけでございます。そもそも民間準拠の大原則というものがあるわけでございますので。

 ですから、つまびらかにその詳細、今まで六十年間の歩みの中でどういうようにやってこられたのか、こういうようなことも非常に重要なんだろうと思いますが、きょうは質問の時間がそこまでないものですから、そういうことを念頭に入れていただいて、ぜひやっていただく必要があるんだと思うんです。

 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、やはり、最近、公務員の姿勢に対するいろいろな国民の批判が高いわけであります。このときには、給料の問題も当然入っておるわけであります。

 次に、総務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 総務大臣、先ほどおっしゃったように、お父様がやはり公務員でやっていらっしゃったというお話がありました。

 最近の状況を見ますと、私も選挙区に帰っていろいろな話を聞きますと、やはり農水省の事故米、汚染米のチェックの問題を指摘される方もいらっしゃいますし、また、社会保険庁の職員自体が記録を改ざんしたとか、こんな話もあります。また、地方公務員は不正経理をかなりのところでやっておって、これを指摘されておられるわけでございます。こういう、公務員のあり方について大変厳しい国民の見方というのがあるわけですね。

 そういう状況の中で、公務員を所管されていらっしゃいます総務大臣が、一体信頼に足り得る公務員、公務員制度とはどういうものなのか、こういうことを、ちょっとお考えをお述べいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 今の谷口先生の御質問は、絶対に必要で、そうあるべきなんですね、国家公務員たるもの。地方公務員も同様だと思います。

 ですが、そのためにはどうすればいいのかと言われると、これは、とにかく一人一人の公務員が、全体の奉仕者としての強い意識を持って、自分たちはパブリックのために仕事をしているんだ、民間人とは違うんだ、民間なら許されても自分たちでは許されないという事柄もいっぱいあるんだ、そういうことを強く意識して、みずからの能力も高めなければならないと思いますし、公務員だから威張っていいというわけではないので、むしろ国民の立場に立って、みずからの責任を自覚して、でき得るならば誇りを持って仕事をしてもらう、そういうことをいわば教育をしていく必要があるんだろう。教育というのは、いわゆる文科省的な教育というよりも、日々の仕事の中で上司が自分よりも若い人たちに対してそういう話を常にするということが大事ではないか。

 一般的に申し上げれば、多様で有為な人材を登用、育成し、能力、実績に基づく評価、処遇等を行えるようにする、あるいは、国民全体の奉仕者としての職業倫理を確立し、セクショナリズムの弊害の是正を図る、こういうことで表現されるわけでありますが、それ以前に、私は、そういう厳しい職業倫理を徹底すること、これを我々は全力で考えていかなければならないし、国会の先生方にもお考えいただきたいと思います。

谷口(隆)委員 戦後の歴史を振り返りますと、やはり我が国は、今、資源もない、貿易で成り立っておる国でございます。そのために、戦後、官僚の皆さんがまた財界の皆さんと一緒になって海外にどんどん出ていって先鞭をつけて、それが貿易の取引につながって、現在我が国が経済大国第二位という立場を築いている。このような国全体のことを思い、やっていかなければならない、先ほど大臣御自身がお父様の話を通じておっしゃったわけでありますけれども、こういうような役人の皆さんがふえていただかなければならないんですが、最近の状況を見ていると、起こっておる事件も含めて、どうもそう感じられるような方が少なくなってきたというようなことは私自身が感じているところであります。

 このような規律といいますか、公僕であるという国家公務員の今の立場を十分認識したあり方、これについて何か具体的に考えていらっしゃることがあれば、おっしゃっていただければありがたいんですが。

鳩山国務大臣 それがすらすらと答えられる状況には私はまだなっておりません。これは、どういう方策が一番効果的なのか。いわば職業倫理の問題、公務員の自覚の問題。

 この場でお話しするのはちょっと不適当かもしれませんけれども、先ほどの父の話でございますが、私の母は、ブリヂストンという会社の創業者の娘だったわけです。よく言っておったのは、お父さんは大蔵省という役所で国家のために仕事をしているから、大きないい仕事をしているから、給料が安くても我慢して仕方なくやっているんだという言い方をよくしておったんです。つまり、当時は、民間の給与が高くて国家公務員の方が低いというのが非常に常識だったから、私はその話を聞いて、なるほどな、国のためにいい仕事をしているから給料が高いんじゃなくて、いい仕事をさせてもらっているんだから逆に安い給料でも頑張るんだなと。

 ちょっと人事院勧告に関する質疑の中で申し上げることじゃないかもしれないけれども、そういう時代の公務員の内部にあった倫理観というのは相当高いものがあったんじゃないか。その復活のためにどうすればいいのかというのは大問題であって、本当にみんなで考えなくちゃいけないし、どういう方策が一番いいのか、我々も懸命に考えていきたいと存じます。

谷口(隆)委員 これで質問を終わりますが、民間の皆さんはやはり利益を追求してやっていらっしゃるわけでありますが、一方で、公務員は国民また地域の皆さんのために働いていただくということを念頭にして採用されていらっしゃるわけでありますので、おっしゃったように、何とかこの意識改革をやっていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い順次質問しようと思ったのでありますけれども、麻生総理が、一兆円は自治体に、二兆円は国民に、世界には十兆円ということで、大きな花火をどんどん打ち上げるものでありますので、総理の側近として、これらに関連して大臣の認識をちょっと確認していきたい、こう思っております。

 特に、前回の定額給付金の関係なんでありますけれども、配付方法は市町村に任せる、丸投げだ、自由に任せるんだからそれが地方分権だ、そう麻生総理は言っておるのでありますけれども、地方分権をそういう認識でよろしいんでしょうか。

 というのは、私は、この定額給付金でありますけれども、欠陥商品を国がつくって、それを国民に配れ、クレームがついたら市町村が何とか修理してやってくれみたいなようにしか思えないのであります。その部分、これが地方分権をしっかりやろうとする意味合いでの大臣の認識なのか、お尋ねいたします。

鳩山国務大臣 私の考える地方分権、これは総理が考えている地方分権も基本的に同じだと思いますが、一つには、今現在、地方分権改革推進委員会が盛んに議論しておりますように、国と地方の役割を見直していって、国の事務あるいは事業の中で地方に移せるものを考える、あるいは、国の出先機関で二重行政になっているものは場合によっては廃止したりあるいは地方に移すとか、そういう意味で、権限も移すことによって、都道府県や市町村がより自由に権限を持って行政を決めることができるというのが地方分権の本来の意味だろうと思います。もう一つは、税財源をきちんと保障することによって地方自治体が行政をしやすいようにする、これが地方分権あるいは地方自治の本来の意味だろう、私はこう思うわけでございます。

 定額給付金のときに、市町村に丸投げをしたというふうに私は考えてはおりません。これはもう原則等は繰り返しませんけれども、総理が、十月の三十日だったかと思いますが、生活対策として記者会見をしたときに、この定額給付金は、定額減税という形をとらないで定額給付金として約二兆円をお配りします、子供二人ぐらいの世帯だと六万ぐらいは行くようになるんだろうということをおっしゃって、全世帯に行きます、こう言われたわけでありますから、これが総理の公約というのか宣言であって、これを何よりも重んじるというのが、私、総務大臣の立場でもあります。

 ただ、これは法定受託事務ではなくて自治事務で行いますので、いわば十分の十の補助金を配る、もちろん事務手続費用も配る、こういう形になるわけでございます。そうなりますと、先般の総務委員会でも質問が出ましたが、ある自治体がうちはそういうものは配らぬというふうに決めてしまったらどうなるか。これは論理的にはそういうところにはお金も渡しませんし、当然住民にも配らないということは、論理的にはそういうふうになるわけですが、国策として、生活支援を中心とする定額給付金ということでございますから、その辺はきちんと地方公共団体に理解をしていただけるだろう、こう考えております。

 そこで、高額の方に、所得制限という言葉がいいのかどうかわかりませんが、御遠慮願うかどうかという、御遠慮願うべきだと思う自治体があればそれを排除はできない、こういうことで、地方の、市町村の判断に任せたということで、自治事務という意味で一種の地方自治だ、こういうことだろうと思います。

黄川田委員 自治事務にしないで、法律で法定受託事務にしたらいいんじゃないですか。しっかりしますよ。

 それから、大臣になってから、やはり育ちがいいんだなというところ、麻生さんもそうなんですが。私は市町村職員から国会議員をさせてもらったものですから、高級官僚というのはよくわかりません。ただ、ずっと、お上からお金を配る、あるいはまた、お金のある人たちが施しをするというふうな、何か底辺にそういう思いが漂っておるように聞こえるものですから、首長からすれば、これから国と地方の役割をしっかりとしていくんだ、あるいはまたまちづくりは我らがやるんだ、そういう思いからすると、相変わらずひもつき補助金みたいな、十割交付の補助金だ、自由に使いなさい、生活関連だ、地域経済活性化だとはいいながら、その奥にある思いがどうも私と共通認識になれないというふうな感じがいたします。

 それから、もう一つなんですけれども、今度は一兆円の話であります。

 大臣は、七千億の道路臨時交付金とは別だ、一兆円は別なんだよというふうな形で前回議論をされたような、麻生大臣の認識はそうだよということで、その後、一兆三千億以上は確保しなきゃいけないと。多分、一兆三千億というのは、七千億と、六千億補助金がありますから、足して一兆三千億だ、それ以上じゃなきゃいけない。でも、外枠だというのであれば、一兆三千億にプラス一兆円の二兆三千億、そういう考え方もできますし。

 一兆三千億以上だというのですけれども、総理とのいろいろな話の中で、額は確定しておるんですか。また一方、一兆円は交付税という話をしていますが、どうなっているんですか。

鳩山国務大臣 総理と私の間で確定している点は、一兆円は使い勝手のいいものにするべきであるという点でございまして、先ほど話題に出ました昨日の全国知事会議でも、使い勝手のいいという表現とほぼ同等のものを使われたと思いますので、私はこれは地方交付税を意味しているんだなと改めて確認をいたしましたし、その後の記者さんとのやりとりか何かで、地方交付税という表現が出たようでございます。

 そもそものいきさつは、道路財源の一般財源化に伴って一兆円を地方へ配分するという総理指示というものが出たわけでございます。私はそのときに、一兆円というこの総理指示は、もちろん今までの六千八百二十五億あると言われているガソリン税の四分の一と関係のあるものではありませんね、こう申し上げたら、ああ、それは関係ないということは総理はおっしゃったわけです。

 でも、考えてみれば、関係ないのが当たり前なのかもしれない。というのは、目的税が一般財源化するわけですから、ガソリン税の四分の一が臨交金という形で自動的に道路目的財源として地方に入るということはもうあり得ないわけですから、一たんこれはチャラになってしまうわけです。

 補助金の、ことしの数字は五千五百八十一億円でしょうか、こっちの方はいわゆる補助金で、多分補助国道なりに使われている場合が多いかと思うんですが、こっちの場合は補助金ですから直ちに消えるものではないんだろうと思いますが、要するに、道路目的財源が一般財源になれば一たん整理されて新しく組み立てられていくものだろう、こう考えまして、とにかくまず一兆円の地方交付税が地方に移される。あとの、今ある七千億とか六千億、正確には六千八百二十五億と五千五百八十一億ですが、この臨交金と補助金の、今後の組み立て方がどうなっていくかというのはさまざまな論議があるんだろうと思いますが、それよりも、それらがゼロ・ゼロで、一兆円だけが交付税で来るということであれば、三千億も減るわけで、そんなことは絶対ありませんよということを総理はきのう知事会議で説明された、こういうふうに思っております。

 できればベストは二兆三千億でございますが、それは財源とかさまざまな問題がありますのでそう大きくは出られませんが、私は、一兆七千億やあるいはそれを超えるものは地方に行かなければ地方はこれから大変なことになる、こういう危機感を持っております。

黄川田委員 使い勝手がいいから自由度が高まる交付税ということですが、では、ほかのものは使い勝手が悪いのをどんどん地方にやるということなんですか、言葉を返せば。

 それはそれとして、地方六団体が望んでいるのはやはり地方交付税の復元ですよ。大臣が所信でお話しされたとおりですよ。どんどん花火を上げないで、たった一つでいいですよ。地方交付税の五兆円の復元をおれはやるんだ、こう明言してもらえばいいだけのことなんでありますけれども。

 先ほどの続きで、ちょっと質問、忘れたところがあるんですけれども、自治事務だという話なんでありますが、地方分権計画にあっては何と書いてあるかということでありますけれども、地方に勝手に事務を押しつけちゃならないということで、必ず国が行う交付金等に関しては法定受託事務でやりなさい、こう書かれておるはずなんでありますが、その点の認識はどうですか。

鳩山国務大臣 これは、自治事務と法定受託事務というのは現在きちんと分けた概念になっております。昔の機関委任事務という概念はなくなっているわけでございまして、これは現在でも両方存在し得るものと私は理解しております。

 自治事務も法定受託事務も両方あるわけで、どっちかを禁止するとかなくすということではないと思います。

黄川田委員 いや、何で自治事務でやって、法定受託事務ということでしっかりと自治体に交付金を与えて仕事をさせる、そういう形にしないんですか。

鳩山国務大臣 スピードの問題があったんではないか、こう思います。

黄川田委員 それはちょっと……。

 大臣あるいは総理がぶら下がりで何だかんだ言うのはいいですけれども、委員会であれだと……。

 スピードといったって、実際、実務になれば、出納閉鎖の五月三十一日には間に合わないと思いますよ、現実にやったとしても。

鳩山国務大臣 少なくとも、定額給付金のことに関しましては、最初は定額減税という形で夏のころ出てきたのでありましょうか、私はそのときには閣内にはおらなかったわけですが。定額給付金という形になっていくプロセスの中で、とにかく年度内に配るようにしようということで、こういうスタイルで、つまり、金額を決めて十分の十の補助金という形で自治事務でお願いをして事務費を配っていくという形で、何とか年度内に配るようにしようということで決定されたものと思います。

黄川田委員 どうも答弁として納得いかないところがたくさんありますね。

 事務方できちっと答えられないのですか。大臣は大臣の答弁なんでしょうけれども。

 では、これをやっていると、時間があるので、後で理事会で……(発言する者あり)

赤松委員長 総務大臣、答えますか。

 総務大臣。

鳩山国務大臣 私としては、今申し上げたことしか答えられないので、少なくとも私は自治事務でやることに問題がないという判断をして、ここまでやってまいりました。(発言する者あり)

赤松委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

赤松委員長 速記を起こして。

 鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 定額給付金の具体的な給付方法について、これは、先ほど申し上げたように十分の十の補助金という形になるのですが、市町村が実施する自治事務という考え方をとりました。この場合は法律の手当てが必要ないわけでございますが、要は、平成十年の地域振興券のときとこの仕組みは同様でございまして、地方自治体に押しつけるものではないという解釈をいたしております。

黄川田委員 では、逆に、自治体で、うちはやりませんといったときに、国が直接、事務を引き受けてやるという場合もあるんですか。

鳩山国務大臣 これは、論理的に言えば、うちはそういう定額給付を行わないという自治体があれば、それを押しつけて強制させることはできないと思います。

黄川田委員 それを踏まえて、国家が直接やるという場合もあるんですか。

鳩山国務大臣 それは、今回の自治事務の性格から考えて、国がかわってやるということはあり得ません。

黄川田委員 前にも、うちの寺田委員も質問しましたけれども、あるいはまた森本委員さんもですかね、やらない市町村があっても構わない、そういうことなんですよね。

 というのは、来週具体的に、担当者、自治体職員を集めて説明するはずなのでありますけれども、そういう段取りはしっかりできているんですか。想定問答といいますか、首長さんからいろいろな質問があると思うんですが。

鳩山国務大臣 来週二十八日にいろいろ自治体を呼んでお話をするという会議は、とりあえず第一弾で都道府県と政令市に来ていただいてまずお話をする、その後、実際に給付する主体となる市町村からのさまざまな御意見を吸い上げていって、実施本部の方で工夫をして、一番シンプルでいい形を考えていこうということだと思っております。

黄川田委員 もう一つ議題がありますので、ちょっと自治事務……(発言する者あり)では、理事会でその辺の整理をお願いいたします、先ほどの答弁ですが。

赤松委員長 はい。では、理事会で今の混雑を整理すると。

黄川田委員 それで、実は、総理が郵政株式売却凍結をということで、これまた花火を上げているわけなのであります。総理の言葉で言えば、こんな株が下がっているときにしゃにむに売らなきゃいけないって、そんなあほな話があるのか、株は高くなったときに売るのが当たり前ということで、実は、御案内のとおり、参議院を通りまして、今衆議院の方に株式凍結法案がつるしになっておるわけであります。もちろん国対筆頭同士の話でこれから動くわけなのでありますけれども、大臣として、この総理の所見、それからこの法案の進みぐあいとか、どう感じておりますか。

鳩山国務大臣 昨日の総理の御発言は、株というものは、今非常に日経平均も下がっているわけでございますし、世界的な金融危機であって、これは売り急ぐようなときではないという認識がおありだと思います。

 それは、一般に上場するというのは、業務の実績等が三年とか、私、詳しいことはわかりませんが、そういう年限が経過をした中で上場をして、株式の評価が定まるということなのでありましょう。ただ、それを短縮して、例外的に早めて上場するというようなことも今まであったかと思うわけでございまして、そういうことはする必要はないという認識をお述べになったことと思いますし、今のような状況であれば、当分、株式は売却すべきでないと。

 と同時に、総理は、郵政民営化によって五つの会社ができたわけでございますが、日本郵政という持ち株会社のもとにぶら下がっている四つの会社がきちんと採算がとれることが大事である、もうかるという言葉も使われることがありますが、それを私どもにもよく指示をされて、そういう観点での郵政民営化というものの見直しというのは、そういうことも含めて、四つの会社がぶら下がっておって、きちんと採算がとれるようにするということを大きな観点として見直しはしていくべきだというのが総理のお考えだと思います。

黄川田委員 小泉郵政改革ということで、三年後の見直しも迫っているのでありますけれども、政府・与党として、改革を総括して、こういう方向に持っていくんだ、その部分ではしっかり固まっておるんですか。

鳩山国務大臣 それは、郵政民営化委員会の議論も待たなければなりませんし、中身が固まっているわけではありませんが、きちんとした見直しを行うという方針は出てきていると思います。

黄川田委員 さまざま花火が上がっていまして、そして、例えば国土交通であれば高速道路の料金の問題、厚生労働であれば後期高齢者あるいはまた年金、またこの総務に関してもそうなんですが、我々の政策提言がどんどん行くものですから、すべて我々の政策をつまみ食いしているんじゃないか、こう思うところが多分にあるわけですよ。つまみ食いは虫歯になるわけでありますので、やはりしっかりやらなきゃいけないということだ、こう思っております。もとからしっかり食べて、本当にやらなきゃいけないと思っております。

 さはさりながら、環境に優しい大臣でありますので、残り時間、なくなってきましたので、最後に、ちょっと地域振興ということでお尋ねしたいことがあります。

 九月二十四日、麻生内閣が発足した折、鳩山大臣は、総理から、地域の元気回復に第一に取り組んでほしい、こう言われた、しっかり頑張るということであります。それから、大臣は地球環境にさまざまな思いを持たれるということであります。

 そこで、大臣、超党派議員の国土幹線パイプライン促進議員連盟の会長を務めておられますね。北海道で、商工会や中小事業者が出資して、目と鼻の先のサハリンからパイプラインで天然ガスを引っ張ってきたい、こういう取り組み、プロジェクトが日ロ合弁で進んでおるわけなのであります。現在、環境アセスメントを行っておる段階でありますけれども、稚内から財政破綻した夕張までということで、旧産炭地を経由しまして、苫東再開発等を含めて苫小牧まで至る第一期計画ということで進んでおるようであります。

 そこで、疲弊し切った北海道の経済、そしてまた、できればその波及効果として東北も元気になろう、こう思っておるのでありますけれども、クリーンなエネルギーの安定供給ということで大いに促進してもらえればと思うんですが、大臣の認識はいかがでしょうか。

鳩山国務大臣 国土幹線ガスパイプライン促進議員連盟というものの会長をいたしております。これは、民主党におられた鮫島先生と私と二人でつくり上げた議員連盟でございます。

 実は、こういうふうに聞きますと、いかにも何かガスのパイプラインを引くだけの会のように思われますが、これはいわば日本の環境、世界の環境をどう考えるかという意味で、水素エネルギーをもっと使おうというところから発想したものでございます。

 我が国には国土幹線のガスパイプラインがありません。ありませんということは、各家庭に天然ガスを使ってもらえるようにするためには、新たにいろいろな線を引かなくちゃならない。幹線パイプラインを例えば高速道路等に併設して全国に引いておけば、そこから網の目のように張りめぐらせればいいわけでございます。

 私たちの最大の構想は水素エネルギーを使うというわけでございますので、水素発電、すなわち燃料電池を使いたい。ガスが各家庭に来ている、そこで水素に変換をして燃料電池で発電をしようという、このことによってエネルギーの効率というか、二酸化炭素の発生を物すごく下げる。天然ガスをただ燃すということでも、それはほかのエネルギーよりは随分二酸化炭素の排出量は減るんですが、それ以上、その先に燃料電池ということを考えて、鮫島先生と私とで一生懸命考えてきたところでございます。

 では、具体的にどうかというと、やはり目の前にサハリンがあるものですから、天然ガスの宝庫があるものですから、鮫島先生と私は他の議員も伴って二回サハリンに参りまして、サハリン1、サハリン2とか計画をしまして、サハリンの海底を通って北海道へ上陸して、それがずっとまた日本全体に広がるような、そういうものを構想して、これからもあきらめずに頑張っていきたいと思っております。

黄川田委員 大分鮫島さんと連携よろしくやってこられたわけでしょうから、そのエネルギーを、もっと麻生さんにもパイプラインをつないだらよろしいんじゃないですか。よろしくお願いいたします。

赤松委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 先ほどの黄川田委員の御質問、少しつなぎたいと思いますが、大臣、先月、ガソリン税の減収に伴う交付金、議論をさせていただきました。先月ですね、御記憶かと思います。四月一カ月分の暫定税率の失効に伴って、わずか六百億円、あのとき私はわずかと申し上げました。六百億円を地方自治体に配分するのに、御丁寧に法律、根拠をつくられて予算措置されたわけです。

 今回、これは二兆円ですからね。私は、法的な根拠と予算措置、もちろん予算措置については明らかにされるんでしょうが、そこを御担当の総務大臣としては、厳にこのお尋ねの趣旨を受けとめていただき、きちんとした御説明をいただきたいと思います。

 後ほど理事会で整理されるということをお聞きしておりますので、この場ではこれ以上深追いいたしませんが、御答弁をお聞きしていて非常に違和感があること、改めて強調したいと思います。

 きょうは人事院勧告についてのお尋ねですから、本題に入らせていただきます。

 人事院総裁にお尋ねします。

 この間、約十年間、国家公務員の、せんだっても、行政職の責任者であられた方々が相次いで凶行な事件に倒れられる。大変痛ましくも凄惨な事件でありまして、心から御冥福をお祈り申し上げ、またお見舞いを申し上げたいと思います。国家公務員という仕事そのものの人気をはかる、これはいろいろな考え方があり得るわけでありますが、一つの指標を御紹介申し上げます。

 国家公務員採用1種試験、十年前の受験者三万五千人、昨年度二万二千人。2種試験、十年前六万四千人、昨年度三万八千人。3種試験、十年前は九万二千人、昨年度一万七千人。この受験者数の落ち込み、一つの人気の低下、魅力の低下だと思いますが、人事院総裁はこの点をどのように受けとめておられるか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおりでございまして、採用の数の変移ということももちろんあるわけでございますけれども、一般的傾向はおっしゃるとおりでございます。

 この背景には、ここ数年の民間企業の採用拡大、あるいは受験年齢人口の減少ということもございますし、また、法科大学院などの専門職大学院の設置等に伴います人材供給構造の変化などの影響もあると思いますし、それから、不祥事等によりまして公務、公務員に対する世間の評価、国家公務員の評価が低下しているということの影響などもあるというふうに考えております。

 非常に、これからますます重要になってくる人材の確保でございますので、何とか手段を尽くして人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

小川(淳)委員 いろいろな意味で魅力を高めていく必要があるんだと思いますが、今回の勧告の中身、医師に対する初任給の調整手当、そして勤務時間の短縮、そしてもう一つ、今回これを特にお尋ねしたいと思いますが、本府省、本省勤務の職員に対する手当の創設。

 公務員に対する人気の回復なり、職場としての魅力の回復。本省勤務の職員に対して、今回の制度、八%の手当を支給する。これは月給三十万円の方ですと二万四千円、四十万円の方ですと三万二千円、これで本省に必要な人材を確保することが可能ですか。あるいは、手当の措置に明確に書いておられます、本省に「必要な人材を確保することが困難になっている事情」と人事院みずからが認めておられるこの事情との兼ね合いにおいて、この八%の手当というのは十分なものですか。人事院にお尋ねします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、今先生、八%の手当というふうにおっしゃいましたけれども、実は、本府省の課長補佐には、現在既に俸給の特別調整額という形で八%相当額が支給されておりまして、今回の本府省業務調整手当は、その八%をそちらへ移換するということでございます。新規にふえるのは、係長級が四%、係員級が二%というふうになってございます。

 それで、本府省業務につきましては、業務の特殊性、困難性が非常に高いということ、それから、昨今のいろいろな状況のもとで業務の複雑高度化が進んでいる、あるいは繁忙度も増しているというようなことがございます。さらに、最近の職員の傾向として、いわゆる地元志向が強い。ですから、地方で採用されて本省で勤務する方が、地方へ戻りたいというようなことを持つ方が多いとか、そういう諸般の事情が全体としてそういうふうになっているということでございます。

 こういう状況に対する対応といたしましては、一つは、これまでも例えば給与等で、本省を含めてですけれども、繁忙度が非常に高いところ、あるいは困難な業務をやる方に対しては昇給を多く与えるようなことをするとか、あるいは、本省の場合は超過勤務の問題もございますので、そういうことへ取り組むということ、それから、新規採用者に対して……(小川(淳)委員「簡潔に」と呼ぶ)はい。新規採用者に対しても特別の措置をとるというようなこともやってきておりますが、給与について係員や係長さんのレベルで若干増額をする、そういう趣旨でございます。

小川(淳)委員 私が申し上げた八%よりさらに低いということであります。

 委員長のお許しをいただいて資料をお配りさせていただきます。ちょっと目を通していただきたいんですが、これは国家公務員の、私、自分自身が国家公務員でしたから、大臣のお父様と一緒です。非常に嫌だったこと、大変に長い超過勤務でした。もちろん、これは国会の側にも大きな責任があります。

 資料を拝見いたしますと、各省別ですね、一ページ。本省の超過勤務の年間の最大時間、六百七十時間。これは社会保険庁です。容易に想像がつくわけであります、この間の情勢を見ますと。四百時間を超えるところ、法務省、財務省、国税庁、この三つ。

 しかし、大臣、六百七十時間とはいえ、これは最大です、最長が社会保険庁で六百七十時間。月の勤務、例えば一カ月に二十日間勤務すると仮定しますと、一日当たり三時間です。ということは、八時か九時には退庁している。あくまで平均ですけれどもね。これは非常に実感、実態と合いません。

 ちなみに、私自身、税の仕事をさせていただいておりましたときには、毎日帰宅するのは大体午前三時、まず例外なく。土日もそんな状況です。これを単純計算して、先ほど電卓をたたいてみたんですが、月の時間にしますと百八十時間、年間二千百時間なんですよね。

 恐らくこれは、社会保険庁で現在御勤務の本省庁の方々あるいは各省庁での本省勤務、この人事院が把握されている超過勤務の時間、これは総裁にお尋ねしますが、妥当ですか、的確ですか、正確ですか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども人事院で把握しておりますのは超過勤務命令に基づく超過勤務時間数でございまして、各府省におきましては、正規の勤務時間終了後に職員がそういう超過勤務命令を受けずに在庁している、そういう実態もあるというふうに思っております。

 そのため、今各府省におきまして、超過勤務命令に基づくかどうかというものにかかわらず職員の在庁の実態につきまして適切に把握して、不必要な在庁時間を削減する必要があるということから、そういう取り組みを行っているところでございます。

小川(淳)委員 今の御答弁、現場で勤務した経験のある人間からすると甚だ不本意な答弁でありまして、だれが好きこのんでそんな夜中まで残りますか。

 本府省の手当を創設するのも、それは悪くないでしょう。しかし、まず正確に、職員が、これは大臣は毎日何時ごろ退庁されているんですかね。あるいは、その後、大臣の部下である総務省の職員の方々が何時ごろまで御勤務されているか、皮膚感覚で、御就任から一月ちょっとですか、二月ぐらい、どんな感覚をお持ちですか。私が申し上げていることの趣旨を酌み取っていただけますか。

鳩山国務大臣 私、二月弱でしょうか、総務大臣をやっておりまして、私が全庁を見回って歩くわけではありませんで、どうしても大臣室あるいは国会対策をやっている部屋の方々との接触が多いわけですが、とにかく、私が参ったときには全員そろっておりますし、私が帰った後もいろいろな連絡で追いかけてくる方も大勢おられますし、とりわけ総務委員会の前日ということになりますと、ほとんど半分徹夜状況でやっておられるということはよく把握いたしておりますから、先生御質問のみずからの御経験のお話、年間二千百時間とおっしゃいましたね、そういうような、それに近いような実態の職員がかなりいるのではないか。

 ちょっと話をしたところ、月二百時間というのはありますよねという話を聞いておりますから、そういう超過勤務の実態、要するに、超過勤務手当と別の、実際の労働としての超過勤務という実態があるであろうことはもう十二分に推測できます。

小川(淳)委員 今大臣から、かなり本音に近い形で御答弁をいただきました。

 実態を申し上げます。余り暴露合戦をやってもいけないんでしょうが。

 月末になりますと、各課の庶務、労務担当の方が勤務時間を書かれて、私、小川という判こを持っているんでしょうね、小川、小川、小川、小川と、三十日分ですか、印鑑を押せばそれでしまい。それが恐らく人事院に出されているんでしょう。総裁、長い御勤務経験からして、その実態は御存じでしょう。いかがですか。

谷政府特別補佐人 私も多年公務に身を置きまして、それぞれ省庁によりまして取り扱いが異なるとは思いますが、先生の御指摘、理解できるところでございます。

 ただ、このずれと申しますか、正規の超過勤務命令と在庁実態のずれ、このことにつきまして、私ども、取り組みは、遅きに失したと御指摘を受けるかもしれませんけれども、やはりこれはきちっとしていく必要があるということで、その実態を調べ、業務の合理化でカバーし得る範囲、それから必ずしも必要でない範囲、それから必要である範囲、そのものを明らかにして、それに対応した措置をとっていく必要があるということで、おくればせながら実態調査を始めているところでございます。

小川(淳)委員 国家公務員の方々は労働基準法の適用外ですから、このことそのもの、人事院の存在意義ともかかわってきますが、だからこそまず正確な実態把握から、さっき総裁がおっしゃいましたけれども、きちんと調べて、これは近いうちに御報告いただけますね、総裁。委員会なり理事会なりにきちんと本当の実態を報告していただきたいと思います。

谷政府特別補佐人 この調査といいますものは、非常に多岐にわたる、非常に難しい状況がいろいろございまして、どのような形で調査結果をまとめることができるかということを今責任を持って申し上げることはできません。しかし、いずれにいたしましても、このことについてはきちっとした処理をするということが必要でございますので、そのことについてしかるべき時期に明らかにしていかなければならないと思います。

小川(淳)委員 国家公務員の勤務環境については、資料の二ページです、超過勤務が平均で二十九時間だとか、あるいは超過勤務手当の支給が平均で四万円だとか、こういうところについては、私はきちんと正当な手当てをしていただきたいという立場であります。

 一方、少し広範にお尋ねしたいんですが、長らく、きょうの御質問の中でもございました、約六十年間にわたって行われてきた人事院勧告、国家公務員なり、また、ひいては地方公務員、あるいは、場合によっては還流する形で民間企業に対しても給与水準というものを定めていく大きな指標だと思います。私ども国会の側も、これは非常に尊重した考え方でずっとおつき合いをしてまいったはずでありますし、世の中の一般の見方というのはそうなんだろうと思います、非常に中立、公正、客観的なものだというふうにみんなが思い込んでいるわけです。

 その観点から、少し突っ込んでお尋ねしたいんですが、この人事院勧告、二年前ですか三年前ですか、民間給与実態調査は百人以上の事業所を対象にするということでありました。それを、中小の勤務実態をより国家公務員の処遇に反映するんだという観点から、五十人以上の中小零細事業所まで含めて調査対象にするというふうに方針を転換されました。私どもは、五十人以上あるいは百人程度の会社をよく調査されているんだろうなとある意味思い込んでいるわけであります。しかし、よくよくそれを見ていきますと、どういうことか。

 まず、総務省に数字だけ確認したいと思いますが、国内にどのくらいの数の事業所がありますか。そして、人事院の調査対象になり得る五十人以上の事業所とはそのうちどのぐらいですか。

 さらに、人事院の調査対象、標本集団に加えている会社の数はどのぐらいですか。最後に、実際に調査している会社の数はどのぐらいですか。それぞれ数字だけ簡潔にお願いいたします。

吉崎政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年の私どもで調査しております事業所・企業統計調査の結果でございますが、全国の事業所数は六百三十五万百一事業所となってございます。

 また、そのうち、私どもで常用雇用者数という概念で把握しておりまして、この五十人以上という企業でございますけれども、これに属する事業所数は六十六万四千九百五という形になってございます。

 また、事業所の常用雇用者数、それぞれの事業所が常用雇用五十人という事業所数は、平成十三年では十五万二千七百四十二、こういうふうになってございます。

 以上です。

小川(淳)委員 人事院からお答えいただけませんか。

吉田政府参考人 民調の関係の調査対象企業数でございますが、企業規模五十人以上、事業所規模五十人以上ということで、三万二千九百七十七社でございます。それから、これを抽出をかけて、実際にその調査対象となるものは八千七百六十九社になっております。

小川(淳)委員 大臣、今お聞きのとおりなんですね。六百万ぐらい事業所が全国にある。恐らく、企業単位ではかりますと二百万ちょっとでしょう、二百五十万とか二百七十万。そのうちの約一割。五十人以上の会社ということで絞り込みますと、一割しかないわけです。

 さらに、五十人以上の会社六十万のうち、標本に加えているのが五万事業所、会社数でいきますと三万ちょっと。実際に調査している事業所の数は一万ちょいですね。会社の数でいうと八千。これは、五十人以上で調査していますと言い切る以上、本当にどう正確に反映しているのかというところが大変問題になってくるわけであります。

 資料の三ページ、国家公務員法にはこういう規定がございます。第二十八条、給与や勤務時間その他の勤務条件については国会により社会一般の情勢に適応するんだ、社会一般の情勢に適応する。これを勧告するのが人事院、怠ってはならないという規定になっております。

 今申し上げました、全事業所のうち約一割の、五十人以上、中、大以上が対象になっている。そのうちのさらに一割を標本に加え、そのうちの三分の一ぐらいを調査しているというこの民間の給与実態調査なんですが、今回、さらにこれを細かく拝見させていただきました。一体、五十人以上というのは実際にどう反映されているのか。

 四ページの資料をごらんいただきたいと思うんですが、これは、あえて今回人事院に整理をしていただきました。一番下をごらんいただきたいと思うんですが、五十人以上で百人未満の会社は全国に三万社余りございます。割合的にいきますと五三%、これは五十人以上全部に対する割合です。このうち標本に加えている会社は一万二千社、約三分の一です。標本に加えた一万二千社のうち実際に調査した会社は二千七百社、そのうちの約四分の一、そういう割合になっています。

 一方、今回あえて整理をしていただきました従業員数一万人以上の大変規模の大きい会社、全国に九十五社あるようです。このうち標本に加えているのは八十二社、九割ですか。八十二社のうち実際に調査したのは七十六社、ほとんど調査対象に加えている。

 総裁、これを御存じでしたか。これは大企業に余りにも偏ったことになっていませんか。五十人から百人、百人から三百人、三百から五百、五百から千、千から三千、三千から五千、五千から一万、一万以上、あえてこれは標本別に整理していただきました。ざっと申し上げますと、千人以上の大企業と目されるような会社、全国には三%。この割合でいきますと、三%しか存在しないのに一三%加味している。

 人事院総裁、これは御存じでしたか。御存じの上で、どうこの件評価しておられましたか。

谷政府特別補佐人 ただいまのこの表、こういった分析については、私、承知しておりませんでして、今回初めて見ました。ただし、全体的な傾向ということについては承知いたしております。

 調査に当たりましては、調査の効率それから正確性、そういったことを確保する必要もございますので、専門家の方々の御意見を聞き、また関係者の意見も聞いて、現在のような調査をしております。

 それから、統計的なことは私は専門ではございませんけれども、母数が少なくなりますと調査の正確性を確保するために対象数を多く拾わなきゃならぬということはあるんだろうと思います。しかし、御指摘のように百人未満の部分においてかなり率が落ちている、これは、専門的に申しますといろいろ先ほど申し上げましたような調査上の問題があるわけでございますけれども、そういう事情であると承知しております。

小川(淳)委員 総裁、これを改めてごらんになって、さっき国家公務員法の二十八条をごらんいただきました。社会一般の情勢ですよ。私、何も国家公務員の給与を引き下げるべきだとか、さっき本府省手当について議論いたしました。やるところはやらないといけません、正確に実態を把握した上で。

 しかし、問題は、人事院勧告というのは百人以上でやっています、百人以上でやっていますと言い続けてきたわけです、六十年。ましてや、五十人に引き下げました、より中小零細で苦労しておられる方々の生活実態、勤務実態あるいは実感を取り入れるために五十人以上に引き下げましたということをさんざんアピールしている。この一方で実態はこうじゃないですか。

 これは一体だれがどこで判断しているんですか、この割合。これは信頼性にかかわりますよ。いかがですか。

吉田政府参考人 技術的な点ですので答弁をさせていただきます。

 まず一点、平成十七年以前、百人以上を対象にしてやっていたじゃないかという御指摘でございますが、これは、昭和二十五年か二十六年か、民間給与実態調査が始まってからずっと事業所規模は五十人以上で調査してまいりました。昭和三十九年ですか、公労委の方で企業規模百人以上に比較対象を変えたときに、国家公務員につきましても事業所規模五十人以上にあわせて企業規模百人以上を導入した、それがずっと続いてきたということでございます。

 なぜ事業所規模を五十人以上にしているかといいますと、実地調査でやっておりますので、それ以上数をふやしますと郵送にしなければいけないとか正確性が期せないとかいう事情があって規模は五十人。

 それで、もう一つ。この問題につきましては、今先生、資料の四ページで、企業規模別のウエートといいますか抽出をお示しになりまして、大企業については非常に多く入っているじゃないか、中小というか規模の小さいところは落ちているところが多いじゃないか、だから大企業に偏っているのではないか、こういう御指摘だと思います。

 私たちは、これは規模数あるいは事業所数をベースにやっているのではなくて、そこに勤務している方々の、従業員の数、従業員ウエートでやっております。ですから、層化するに当たっては、企業規模、あるいは本店、支店の別、産業というもので企業を分類して層をつくります。それぞれの層から同じウエートで人がとれるように設計していますので、従業員ウエートで見ると大企業からも中小企業からも同じようなウエートで人をとっているというふうに考えております。

 ですから、言われるように、大企業にシフトした調査になっているということはないと思っております。

小川(淳)委員 その従業員規模別に資料は整理されているんですね、これは。

吉田政府参考人 層別のものがそのものではございませんが、先生が提出していただいておりますこの四ページを見ていただきますと、民調の母集団の、真ん中の表、これの下に、常用雇用従業員数八百六十四万人という表が入っております。これで、一万人以上は百三十万人、一五%というふうになっています。それは民調の母集団です。

 それに対しまして、一番下が賃金センサスの正社員数でございまして、千四百三十万という数が出ておりますが、これを見ていただきますと、一万人以上は一四・七%でございます。ですから、おおむね均衡したものになっているということです。

小川(淳)委員 これは従業員規模別で見たときに、従業員数で見たときに、百人未満一五%。標本は、百人未満、これでもまだ九・八%ですよ。おおむね均衡と言い切るには甚だ不十分なんですよ。

 それともう一つ、百人以上とか五十人以上とかいう雑駁な言い方ではなくて、もうちょっと階層別に、社会一般の情勢に符合しています、あるいは合わせるように努力していますということをきちんと来年から人事院勧告の中で詳細に報告、御説明いただきたいと思いますが、総裁、その点、いかがですか。

谷政府特別補佐人 現在も調査事業所の内訳につきましては、このように詳細ではございませんけれども三つのグループに分けまして、その詳細を明らかにいたしております。全体の資料のバランスの中でこういった表現の仕方も考えておるわけでございますけれども、御指摘も踏まえまして、職種別の民間給与実態調査の結果の公表の仕方につきましては、引き続き検討してまいりたいと存じます。

小川(淳)委員 総裁は御存じだと思いますけれども、三つというのは、五十人から百人、百人から五百人、五百人以上、その三つですよ。今私が問題にしているのは、大企業と言われるものも含めて、もう少し階層別にきちんと表現すべきではないかと申し上げている。人事院勧告の信頼性なり公平性なり客観性の説得材料を高めるために申し上げているんですよ。ぜひ前向きに御検討をいただきたいと思います。

 大臣、最後に一言いただいて質問を終わりたいと思いますが、この間のやりとりをお聞きになって、いかがですか。

鳩山国務大臣 基本的に、どのような調査をするかというのは人事院の権限の中で行っていることでございまして、私がくちばしを挟む事柄ではないかと思いますが、こういう統計調査というのは大変難しいものだなということを、小川委員の質問とその答弁を聞いておりまして感じました。

 例えば、全勤労者の、民間の従業員でもいいんですが、正規従業員の全部の相加平均というのがとれたとしても、合成の誤謬ということがあって、それが世の中の社会情勢を反映するとは限らないという面もあるでしょうから、懸命に工夫をしてやっていくしかないなというふうに、今の受け取りの中で印象を持ちました。

小川(淳)委員 こういう時代だからこそしかるべき処遇と、そしてその根拠についてはより客観的で説得力に富んだものにしていただくようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 人事院勧告、報告に関連して、本府省業務調整手当の新設について質問をいたします。

 人事院勧告の報告では、「近年、各府省において本府省に必要な人材を確保することが困難になっている」としております。総裁に伺いますが、人材確保が困難となる要因の一つに超過勤務の増加の問題があるのではないかと私は考えますが、総裁の御見解、お考えをお聞かせください。

谷政府特別補佐人 希望者が減ってきておりますということについてはいろいろな事情があると思いまして、それぞれの要素の影響を正確に分析し切るということはできないと思います。しかし、公務員を志望するということの中にはいろいろな要素があるわけでございまして、その中には、公務員の勤務の実態がどういうものであるかということも当然含まれると思います。具体的に超過勤務の実態がどうであるかということについてまでは申し上げられませんけれども、勤務条件のあり方が影響するということはあり得ると考えております。

塩川委員 勤務条件のあり方が問題となり、公務員の勤務実態として超勤の問題があると思っております。

 そこで、数字でお伺いしますが、本府省及び本府省以外の超過勤務時間について、平成十五年と平成十九年においてそれぞれ何時間か、年間と月平均の数字でお示しください。

川村政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家公務員の平均超過勤務時間数ですけれども、平成十五年の実績でございますが、年間で二百二十二時間、本府省が三百三十九時間、本府省以外が二百五時間となっております。月平均にしますと、全体で十八・五時間、本府省が二十八・三時間、本府省以外が十七・一時間ということでございます。

 十九年の実績でございますけれども、同じように、年間で二百三十一時間、本府省が三百五十七時間、本府省以外で二百十一時間でございまして、月平均にいたしますと、全体で十九・三時間、本府省では二十九・八時間、本府省以外で十七・六時間という状況でございます。

塩川委員 この間の推移ですけれども、地方は横ばい傾向ですが、本府省は地方に比べて残業時間は大変長いですし、しかも増加傾向にあります。ここにあらわれないようなただ働き、サービス残業の問題もあるのではないかと思っております。

 人事院は超過勤務の縮減を求める上で、超過勤務の縮減に関する指針を平成十一年に出しております。その中では、「一年につき、三百六十時間を目安としてこれを超えて超過勤務をさせないよう努める」としております。同時に、国会関係、国際関係、法令協議、予算折衝等に従事するなど、業務の量や時期が各府省の枠を超えて他律的に決まる比重が高く、三百六十時間の目安が困難となる事情のある部署においては、この三百六十時間によらないということができるとしておりますが、今回の本府省業務調整手当が支給されるような職員というのはこの指針で示しているような他律的な業務の比重が高い部署に相当すると思いますが、そうですね。

吉田政府参考人 今回の本府省業務調整手当の支給対象につきましては、今先生おっしゃいましたような本府省の非常に固有な業務に従事されているという方もいらっしゃいますが、ただ、本府省の中でそれと一体になって作業をしている、例えば庶務の方とかそういう方も対象にしておりますので、一概にすべてがこれに該当するとは限らないというふうに考えております。

塩川委員 すべてが該当するとは限らないということですけれども、本府省の固有の業務に相当する、他律的に決まる側面、要素もあるということであります。人勧の報告では、「国家行政施策の企画・立案、諸外国との折衝、関係府省との調整、国会対応等の本府省の業務に従事する職員の業務の特殊性・困難性」とありますから、本府省業務調整手当の対象となる業務が他律的な業務に相当するということが言えるということであります。

 そこで、今回の人事院勧告の報告では、「他律的な業務の比重の高い部署における超過勤務の上限目安の設定等の検討」を進めるとあります。

 人事院が定めた他律的業務に対する超過勤務時間の目安というのは何時間を考えておられるのか、そしてその根拠はどのようなものか、お示しいただけますか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生先ほど御指摘になられましたように、現在人事院が定めております超過勤務の縮減に関します指針で、一般的には、一年につきまして三百六十時間を超過勤務の上限の目安としておるところでございますけれども、お話がありましたように、他律的に決まる比重が高い、そういう業務はこの目安によることが困難である特段の事情があるということでございまして、当面はこれによらないことができるというふうに今の指針ではなっております。

 しかしながら、このような他律的な業務につきましても、職員の健康の維持を図る等の観点から、やはり上限の目安時間を設定することが適当であるというふうに考えられますので、現在それを検討しておるところでございます。

 現在、検討の過程でございますけれども、上限とする目安時間といたしましては、関係者からの意見等も踏まえまして、一年につき七百二十時間を検討しております。これは大体、月に直しますと、月六十時間ということで、一日三時間ぐらい。十時以降のそういう深夜勤務にはならないようにというようなのを一つの目安として考えておるところでございます。

塩川委員 七百二十時間、月六十時間、大変長時間になるわけですけれども、この月六十時間というのはどれだけの残業時間に当たるのか、健康との関係でも問われてまいります。

 例えば、社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所の白書などを見ますと、残業がふえれば生活習慣を乱す、特に睡眠時間が減る傾向にある、家族との関係は残業が六十時間以上になると問題がうかがえる、自殺への思い込みというのも六十時間以上になるとふえるということで、「以上の結果からは、残業はしてはならないもの、特に六十時間以上はしてはならない」、こういう指摘があるわけですが、現状、月六十時間、年間七百二十時間を超える勤務をしている、そういう公務員というのはどれぐらいの人数に上るのか、本府省と本府省以外の数字でお示しいただけますか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 職員数全体で申し上げますと、大体二十二万六千を対象にいたしまして、七百二十時間というのはこのうち大体四千三百人ぐらいございます。

 本府省と本府省以外に分けますと、本府省、大体三万一千というのが全体でございますけれども、七百二十時間以上は二千二百。それから、本府省以外ですと十九万五千でございますけれども、このうち七百二十時間以上というのは大体二千人ということでございます。

塩川委員 ですから、七百二十時間を超える超過勤務をされている方は、本府省以外では全体の一・一%ですけれども、本府省だけとると七・一%と、大変高い比率になってくるわけです。

 その際に、このような長時間勤務が心と健康にどういう影響を与えているのか、そういう調査というのは行っておられるんでしょうか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 職員のメンタルの関係を初めといたしましていろいろな健康の保持ということは大変重要な課題であると思っております。

 一般的に、そういう健康保持の観点からも、超勤はできるだけ縮減することが重要であるというふうに考えておりますが、具体的に何時間でしたらどうというような形での調査というのは行っておりません。

塩川委員 七百二十時間を容認するような数字というのが、目安ですから、それすら超えるような実態というのが現に生まれているわけで、そういう点でも極めて重大であります。

 長期の病休者数、長期の病休者率の推移を見ましても、平成八年、平成十三年度、十八年度という五年刻みで見ましても、国家公務員全体で千百八十一人、〇・二一%が、十三年度には二千二百十八人、〇・四六%、十八年度には三千八百四十九人、一・二八%と増加をする中で、特に平成十八年度を見ますと、本府省以外では一・二一%なのに、本府省では一・四二%と健康被害が増加もし、その中でも、今言ったのは精神疾患に関連しての数ですが、増加をしているわけです。そういう点でも、長時間労働の影響というのは大変重大だと思っております。

 そこで、人事院総裁に伺いますが、こういった七百二十時間ということで、こういう長時間労働を容認する実態で意欲を持って働くことがそもそもできるのか、お伺いします。

谷政府特別補佐人 大変厳しい勤務環境というのは多年にわたって続いてきたところでございまして、その中で、本府省に勤務する職員は努力を重ねてきてくれたと思っております。

 このことにつきましては、差し向きの問題としてこういう目安を設けておりますが、並行いたしまして、超勤縮減対策というものを内閣及び各府省の御協力をいただきながら進めているところでございまして、そういう意味で、いろいろな角度からの対応策というものを検討していかなければならぬと考えております。

塩川委員 大臣に伺いますが、年間七百二十時間を容認するかのようなこういう目安というのは、私は大いに問題ありだと思っております。その点についての大臣のお考えを一つお伺いしたいのと、そもそも、超過勤務時間の解消を訴えても、業務量そのものが変わらない、あるいは逆にふえているかもしれない、そういったときに、現場では必ずしもふさわしく人員の配置が行われていない。これでは超勤の解消もできませんし、意欲を持って働ける職場もつくれないということで、私は、全体としての定員削減、人員削減というのが、こういったしわ寄せに影響が出ているんじゃないのか。ですから、そういう点でも、人員削減について、もう限界に来ているんじゃないのか。この点についてあわせてお伺いしたいんです。

鳩山国務大臣 先ほどから七百二十時間という目安が議論されておりまして、十二で割って月六十時間。しかし、これも恐らく超過勤務命令が出たという前提での七百二十時間でございましょう。そうすると、実際には千時間とか千五百時間、二千時間ということがあるとすれば、これはまさに人間的な生活、ワーク・ライフ・バランスなどということが盛んに言われながら、全くその実態に反するような状況があって、そうした中で、健康を害する、病気休職者数がふえてきているという状況、この因果関係は当然推定されるだろう、こう思うわけでございます。

 一方で、行政改革を大変進めてきましたし、これからも行革だ、無駄ゼロだということで、定員については、スクラップ・アンド・ビルドではありますものの、五年五・七%というような計画も実施中でございます。

 そういう意味で、業務内容や業務量というものをよく精査しながら、公務能率の一層の向上に努めつつ、必要な定員というのはどれくらいであるかは、適切に本当に措置しなければならない。場合によっては、私は今でもいいことかどうか、悪いことであるのかよくわかりませんが、非常勤職員を活用して補うというようなこともなされているし、これからもそういう必要性が増していくのかもしれません。

 いずれにいたしましても、職員に過重な負担がかからないような、そして能率が向上するような、そういう業務形態を考えていかなければならない。しかしながら、実際問題として、先ほど小川淳也委員からもみずからの体験の御披露がありましたように、相当なきつい労働の圧力というのが国家公務員にかかっているという実態は素直に認めなければならないと思います。

塩川委員 長時間労働に歯どめをかけなければいけない、サービス残業、法違反を容認するような立場であってはならない、そういう点でも、私は定員削減を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 人事院勧告について数点お聞きしたいと思います。

 まず、本府省業務調整手当についてでありますが、今回の勧告では本府省業務調整手当を新設することが盛り込まれております。国家公務員法第六十二条に規定されております、給与は職務と責任に応じてとあるように、職務給の原則があるわけです。今回の本府省業務調整手当はこの職務給の原則に抵触するのではないかという疑問を持ちます。第一点です。

 第百六十国会で当時の佐藤人事院総裁が「職務給というのはあくまでも本俸に対して当てはまる考え」と述べられ、さらに「手当というのは別途、個人的な、あるいは個別の事情、例えば、どういう地域に勤務しているとか、扶養家族があるとかないとか、そういうことで手当をそれに乗っけている」、こういう答弁がなされているわけであります。

 そこで、今回も手当だからよいというふうに答弁されるかもしれませんが、本府省業務調整手当は、個人の事情、佐藤人事院総裁の言葉をかりれば、地域あるいは扶養家族の有無などとは全く事情が異なるわけでありますが、この点についてどう考えておられるか、お聞きします。

谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、国家公務員法六十二条は、「職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」と定めてあります。また、同法は、この職務給の原則のもとで、俸給のほかに特殊な勤務に対する手当や勤務条件が特別なものについての給与の調整を定めることを規定しております。それから、先ほど御指摘がございました、佐藤前総裁の答弁でもこのことに触れておるのはそのとおりでございます。

 今般の本府省業務調整手当でございますけれども、国家行政施策の企画立案、諸外国との折衝、関係府省との調整、国会対応等の本府省の業務に従事いたします職員の業務の特殊性、困難性を踏まえまして、また、近年、各府省において本府省に必要な人材を確保することが困難になっているという事情もあわせ考慮いたしまして新設するものでございますが、この職務給の原則に抵触するものではないと考えております。

重野委員 今回の手当の原資、これは給与構造改革により生じた原資で賄う、こういうふうになっております。これでは、本府省以外で働いている人の賃金を削って本府省キャリアに手厚く盛るという形になりはしませんか。

 本府省以外で働いている公務員も十分に困難な業務を自覚と責任を持って遂行しているわけでありまして、そういう点では著しく均衡を欠いている、このように思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 本府省業務調整手当は、今先生が御指摘のように、給与構造改革の一環として、俸給表の水準を平均約四・八%引き下げたところから出てくる財源を使いまして、いわば配分の見直しとして措置するものでございます。

 それで、この本府省業務調整手当の対象となる職員は本府省に勤務する職員でございますが、課長クラスで見ますと約七割、係長あるいは係員クラスで見ますと約八五%が2種、3種等採用職員になっておりまして、御指摘のように、いわゆるキャリア職員が専ら受けるというようなものではないというふうに考えております。

重野委員 今回のこの本府省業務調整手当導入で給与が下がる、そういうケースはあるんでしょうか。あるとすれば、どういった職種にそれがあらわれるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 行政職俸給表(一)が適用される職員の本府省業務調整手当の手当額は、役職段階別・職務の級別の定額制といたしております。課長補佐で申しますと俸給月額の九・四四%、係長では四%、係員では二%となってございます。

 行政職俸給表(一)以外の俸給表が適用される職員、例えば公安職とか税務職でございますが、こういった職員につきましては、該当する俸給表のそれぞれの職務の級に相当する行(一)の職務の級の額を支給することとなっております。したがいまして、現在既に本府省でいわゆる課長補佐相当で俸給の特別調整額八%を支給されている職員のうち、行(一)よりも水準差を持った、つまり行(一)よりも水準が高い俸給表の適用を受けている人、税務職であるとか公安職でございますが、こういう人の中に、本府省業務調整手当に切りかえることによって手当額が下がる人が出てまいります。

 これは、本府省業務調整手当というのは、本府省の業務に従事する職員の業務の特殊性あるいは困難性、あるいは各府省における人材確保の必要性ということで設けるものでございますので、いわゆる水準差俸給表の基礎になっております職務の困難性というものとは別のものであろうということで、俸給表にかかわらず行政職俸給表(一)と同額を出すということにしたためでございます。

 なお、このほか、現在、本府省の課長補佐に対する俸給の特別調整額が支給されている職員の一部で本府省業務調整手当の適用対象とならないケースもございますが、この場合には当然給与が下がるということになります。

 今ちょっと言い間違いがございまして、先ほどの先生の御質問で、本府省業務調整手当の対象となる職員のうち、課長補佐クラスで七〇%が2、3種職員でございます。

重野委員 そこで、ちょっと視点を変えまして、確かに、本府省の皆さんの労働時間が非常に長いという点については、先ほど来るる指摘もございました。

 そこで、そういう過重な労働時間の原因の一つに、自民党の国対が野党に提出する資料を事前にチェックする、こういうことが以前問題になりました。そういう行為などが、私に言わせれば余計な仕事、それが長時間労働の一因をなしているというふうな指摘を私はしたいんでありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

松本内閣官房副長官 お答えいたします。

 野党からの資料要求についての自民党国対への事前相談、すなわち事前の情報提供の件につきましては、資料要求の実態を把握することを目的といたしまして、自民党から各府省に対し依頼があったものと承知をしております。

 国対への情報提供自体は大きな作業を伴うものではなく、超過勤務をふやす一因となっているとは考えておりませんで、議院内閣制のもとでの政府・与党の関係を踏まえると、与党から、このような依頼に応じて資料要求について情報提供を行うことは、特段の問題はないと考えているところであります。

 なお、資料要求への対応につきましては、資料の内容や提出の可否の判断、自民党国対への事前の情報提供を行うかどうかの判断につきましては、各府省の大臣の責任のもとで行われているところでございます。

重野委員 大変苦しい答弁と私は受け取りました。そんなことが恒常的に行われるということについては、与党の側もしっかり自制をしなければいけないと思います。

 時間も少なくなりました。非常勤職員の問題についてお聞きします。

 いわゆる公務における非常勤職員、法の谷間に置かれている、官製ワーキングプアなどという言葉まで生まれるほど、低賃金で不安定な雇用労働条件に置かれている。今回の勧告で給与決定のガイドラインが設けられたことは、私は問題の解決に向けた第一歩として評価いたします。

 そこで、報告の中に、非常勤の中には、業務面から見ると、恒常的に必要と考えられる業務を代替している者が含まれるとあります。人事院の報告では、委員や顧問、参与などを除く十二万人、その十二万人のうち、どのくらいの人がこうした恒常的な業務を代替していると見ているか、お聞かせください。

吉田政府参考人 総務省の調査でございますが、一般職の非常勤職員は、委員、顧問、参与等の諮問的非常勤職員を除くと約十二万人ということになってございます。今般、非常勤職員給与の指針の策定に当たりまして、各府省から、非常勤職員がどのような職務に従事して、どのような給与決定方式あるいは給与水準となっているかヒアリングを行いました。

 この十二万人のうちには、保護司が約五万人在職しているほか、各府省において庶務等の事務補助の業務に従事している職員や窓口で相談業務に従事する職員など、多種多様な職員がいたというふうに認識しております。この中には、恒常的に必要と考えられる業務を代替している職員も含まれていると思いますけれども、今回のヒアリングの中では、その具体的な数までは把握しておりません。

重野委員 私はやはり把握すべきだと思います。

 そこで、今回のこのガイドライン設定でとまるんじゃなくて、この非常勤職員の位置づけであるとかあるいは制度のありようについて、私は、関係する、使用する側、使用される側、もろもろの関係者の話を十分に聞いて、そして抜本的な改善を図るべきだと考えるんですが、その点についてはいかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 先般、給与に関する指針を各府省にお示ししたところでございますけれども、このことに加えまして、休暇それから健康診断のあり方についての検討も行いますし、また任用形態、勤務形態のあり方についても問題意識を持って考えております。

 この非常勤職員の問題は、業務運営の方法、組織・定員管理、それから予算、人事管理方針などと密接不可分の関係にあるものでございますので、今後におきましては、政府全体としてこの非常勤職員のあり方をどのようにしていくかということについて幅広く検討を進めていくことが必要と考えております。人事院としても、必要な検討を進めますとともに、政府全体の取り組みに対しまして積極的に協力をしていかなければならないと考えております。

重野委員 時間も来ましたので、最後に、給与法の提出について大臣にお願いしておきたいと思うんです。

 政府は、この人事院勧告が出される、これはもちろん公務員の労働基本権の代替措置としてあるわけでありまして、そういう点を十分に踏まえて、直ちに給与法の閣議決定を行って法案提出を行うべきだ、このように考えておりますが、最後にこの点について大臣の御所見をお伺いします。

鳩山国務大臣 御承知のように、人事院勧告は労働基本権制約の代償ということでありますから、大変重要であって、政府としては速やかに完全実施すべきものだと、本来、そう思っております。

 今回、給与関係の閣僚会議を二回、三回と開いた中で意見が集約されて、完全実施しよう、完全実施といっても本俸が上がるわけではないんですけれども、完全実施するということで閣議決定をいたしたわけでございますので、給与法等速やかに提出したい、こう考えておりますが、与党とのスケジュール調整をいたしておりますので、多少の時間がかかっておりますが、できるだけ、アズ・スーン・アズ・ポシブルという考え方で臨んでまいります。

重野委員 終わります。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十七分散会


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