衆議院

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第6号 平成20年12月9日(火曜日)

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平成二十年十二月九日(火曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 大野 松茂君 理事 岡本 芳郎君

   理事 実川 幸夫君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      稲田 朋美君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      近江屋信広君    川崎 二郎君

      木挽  司君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    冨岡  勉君

      中谷  元君    永岡 桂子君

      葉梨 康弘君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    平口  洋君

      古屋 圭司君    馬渡 龍治君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      寺田  学君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   参議院議員        大久保 勉君

   参議院議員        自見庄三郎君

   参議院議員        那谷屋正義君

   参議院議員        長谷川憲正君

   参議院議員        近藤 正道君

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月九日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     近江屋信広君

  谷垣 禎一君     小里 泰弘君

  葉梨 康弘君     中谷  元君

  萩原 誠司君     永岡 桂子君

  古屋 圭司君     馬渡 龍治君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     盛山 正仁君

  近江屋信広君     谷  公一君

  中谷  元君     葉梨 康弘君

  永岡 桂子君     冨岡  勉君

  馬渡 龍治君     古屋 圭司君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     萩原 誠司君

  盛山 正仁君     谷垣 禎一君

    ―――――――――――――

十二月八日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(参議院提出、第百六十八回国会参法第七号)

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 第百六十八回国会、参議院提出、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員自見庄三郎君。

    ―――――――――――――

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

自見参議院議員 ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 昨年十月一日、日本郵政公社は民営・分社化され、持ち株会社である日本郵政株式会社のもとに、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の四会社が設立されました。

 三年前に審議が行われた郵政民営化関連六法案は、民営化に当たって多くの危惧、弊害が指摘され、第百六十二回国会において一度は参議院で否決されましたが、小泉内閣は衆議院を解散し、総選挙の結果を経て、第百六十三回国会において成立したものであります。

 法案審議の過程においては、小泉内閣総理大臣及び竹中郵政民営化担当大臣から、郵便局はなくさない、サービスダウンは行わない、労働条件もダウンさせないと、再三にわたる答弁があり、また、参議院の郵政民営化に関する特別委員会においては、同趣旨の附帯決議も付されておりました。

 しかしながら、民営化法の成立後、全国各地における多くの簡易郵便局の閉鎖、千を超える郵便局での郵便配達業務の廃止、過疎地におけるATM、現金自動預け払い機の撤去、さらには送金手数料の大幅な引き上げが行われるなど、国会審議の際の政府答弁も附帯決議も今やほご同然の状態であります。

 このような状況が生じたのは、経営者の利益至上主義の考え方にも問題がありますが、より根本的な原因は、本来、公共の福祉の増進を目的とする郵政事業を、利潤追求を目的とする株式会社に変更し、さらに、一体的、効率的に運営されていた日本郵政公社を、十分な検証を行わず五つの会社に分割し、しかも、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を十年以内に全部処分することとした、郵政民営化の制度設計そのものに大きな欠陥を有していることにあります。

 そもそも郵政事業は、郵便、郵便貯金、簡易生命保険の三事業を一体的に経営することにより、その効率性が確保され、税金を全く使うことなく、全国二万四千余りの郵便局が維持されてまいりました。したがって、仮に郵便事業だけで郵便局を経営しようとすれば、ニュージーランドやドイツの例を挙げるまでもなく、ほとんどの郵便局の経営は成り立たず、早晩廃止に至ることは必定であります。

 郵政民営化関連法では、郵便局は、郵便局株式会社の「営業所であって、郵便窓口業務を行うもの」と定義づけられており、郵便貯金、簡易生命保険のサービスの提供は義務づけられておりません。しかも、日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、すべて処分することとされています。今後、株式の処分が進み、民間株主が支配する会社ということになれば、郵便貯金銀行も郵便保険会社も、赤字を出してまで地方の郵便局に業務を委託することは考えられません。その結果、多くの郵便局が閉鎖に追い込まれ、利用者である国民の利便が著しく低下することは必至です。

 このような事態とならないように、郵政民営化の制度設計全体を早期に見直すべきであるとの観点に立ち、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等について定めるため、本法律案を提出した次第であります。

 株式の処分については、承継計画において民営化後三年目の上場を目指すこととされているものの、法律上はいつでも可能であり、できるだけ早く本法律案を成立させ、株式の処分を凍結すべきであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、政府は、郵政民営化法等の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する日本郵政株式会社の株式を処分してはならないものとしております。

 第二に、日本郵政株式会社は、郵政民営化法の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を処分してはならないものとしております。

 第三に、郵政民営化法のうち、完全民営化までの移行期間中の郵便貯金銀行及び郵便保険会社の業務についての規定の運用に当たっては、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分が停止されていることを考慮しなければならないものとしております。

 第四に、郵政民営化については、国民生活に必要な郵政事業に係る役務が適切に提供されるよう、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な見直しが行われるものとしております。

 第五に、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとしております。

 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容であります。

 さて、最後に一言申しつけ加えますと、数年前までは直接金融時代のお手本のように評価されてきた米国の大手民間投資銀行、リーマン・ブラザーズが本年九月十五日に破綻いたしました。アメリカ金融市場の混乱が続いており、金融経済のグローバル化の影響もあり、我が国を初め全世界の実体経済に深刻な影響を与えております。ある識者によれば、ベルリンの壁の崩壊に匹敵する、全世界の経済、社会、政治の世界史的な大変革の始まりであると言う人もいます。

 何とぞ、この法律案の歴史的な意義をお酌み取りいただき、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君及び専務執行役米澤友宏君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室長振角秀行君及び総務省情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山裕君。

森山(裕)委員 おはようございます。自民党の森山裕でございます。

 ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案についてお尋ねをいたします。

 自見先生、長谷川先生に質問をする機会があろうとはゆめゆめ思っておりませんでした。

 先ほどの趣旨説明によりますと、郵政民営化の制度設計全体を早期に見直すべきであるとの観点に立ち、日本郵政株式会社、ゆうちょ銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等について定めるため、本法案を提出したと御説明をいただきました。

 そこで、民営化推進室にお伺いをいたしますが、郵政民営化法における三年ごとの見直しの期限はいつなのか、念のため確認をしたいと思います。

振角政府参考人 それでは、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 今お尋ねがありました郵政民営化法における三年ごとの見直しでございますけれども、これは郵政民営化法第十九条第一項第一号に規定されておりますけれども、この規定の施行日というのは平成十八年四月一日となっております。したがいまして、その三年後でございますので、その三年後は平成二十一年三月末ということになりまして、それまでに意見書を取りまとめることとしているものでございます。

森山(裕)委員 見直しの期限は二十一年三月三十一日であるということが確認をされました。

 鳩山総務大臣に伺いたいと思いますが、日本郵政の実施計画によりますと、株式の上場時期について、「遅くとも民営化後四年目、可能であれば、東証の審査基準の特例が認められることを前提に、民営化後三年目」とされており、また、西川社長も国会の委員会等で同趣旨の御答弁をしておられます。すなわち、一番早くても上場は二十二年度である。すなわち、先ほどの答弁のありました見直しの期限、平成二十一年三月三十一日の一年先であるということが確認をできるというふうに思うわけであります。

 もちろん、民営化法上は、非上場での売却を禁止しているわけではありません。しかし、国民の財産である日本郵政グループの株式を上場によらずに売却することは不適切ではないかというふうに思いますし、増田前総務大臣も同趣旨の答弁をしておられるところでありますが、鳩山大臣にこの件についての見解をお聞きしたいと思います。

鳩山国務大臣 基本的には森山先生と同じ考え方でございまして、そもそも日本郵政グループの株式は、日本郵政と、それから四会社のうち売却がこれからされると言われておりますのはゆうちょ銀行とかんぽ生命でございますけれども、もともとすべて、国民の財産がもとで形成された会社であり事業を続けてきた会社でございますから、森山先生御指摘のように、それらの株式は国民共有の財産であると考えられます。したがって、国民すべてが平等に購入できる機会が与えられる、すなわち、上場され市場での適正な評価がされてから処分されるべきものだと考えております。

 私は、最近の法律がどうなっているかはわかりませんが、一般の上場されている株式を、相対で、兜町とか北浜という証券取引所を使わないで売買する場合も、たしかそのときの株価の前後何%と狭く定められているわけでありましょうから、あくまでも市場価格で売却をすべきであって、法律上はいつ売却ということは書いてありませんが、上場するまでは売却をすべきではないと思っております。

森山(裕)委員 大臣、ありがとうございました。

 次に、西川社長に伺いたいと思います。

 今、総務大臣の御答弁も、上場によらない株式の売却というのは不適切だというふうに御答弁をしておられます。西川社長も恐らくこの考え方と同じくされるのではないかというふうに思いますが、念のため、まずそのことをお聞かせいただきたいと思います。

 それから、もう一点西川社長に伺いたいと思いますけれども、政府は十月三十日の日に生活対策をまとめました。その中で、金融資本市場の安定対策として、政府等が保有する株式の市中売却を一時凍結するという方針を決めて、そのことを実施中であります。政府が、いかに経済対策と株式市場との関係があるかということを強く示す証左であろうというふうに思うところでありますが、先の話になりますけれども、西川社長、上場後売却をされるというときには、当然のこととして、政府と御相談の上、一つの方針をお決めになるのだろうというふうに私は思っておりますけれども、そのことについて社長のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。

 二点でございます。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 まず、株式の上場前の売却ということについてでございますが、これにつきましては、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式を上場前に売却することは全く想定をいたしておりません。

 それから、株式の処分の具体的な時期等についてでございますが、上場時期につきましては、かねてより申し上げておりますとおり、遅くとも民営化後四年目、二〇一一年度。可能であれば、東証の審査基準の特例が認められるということを前提に、民営化後三年目、二〇一〇年度でございますが、これの上場が可能となるよう準備を進めているところでございます。しかしながら、具体的な上場スケジュールにつきましては、適正な価格で株式処分が行えるよう、市場環境を十分に見きわめながら適切に判断をしてまいりたいということでございます。

 以上でございます。

森山(裕)委員 西川社長、ありがとうございました。適正な価格で処分をしていくということが基本的な考え方であることはよく理解をいたしました。

 それでは、もう一点伺いますけれども、この法律ができた当時の経済状況と現在の我が国の経済状況、世界の経済状況を考えますと、上場し売却するという判断は非常にその当時に比べて私は難しくなってきているのではないか、環境が大きく変わってきているのではないかというふうに思うところでありますが、その認識は私と西川社長は一致するものでしょうか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 上場の際の市場環境ということになりますと、これから二年後あるいは三年後というところはなかなか読みづらいところがございますが、この一年あるいは半年の間に起きている事柄、これを考えますと、当初想定したような状況ではないということは事実でございます。

 したがいまして、やはり今後の金融情勢あるいは実体経済の動きというものをよく見ながら、そして市場環境をよく見ながら、上場の時期につきましても考えていかなければならないことかと思っております。

 以上でございます。

森山(裕)委員 西川社長、私が聞き漏らしているかもしれませんが、上場後売却をされるときには政府と相談されるのかどうかということについて御答弁いただいていないような気がするんですが、そこのところをもう一遍お願いいたします。

西川参考人 お答えいたします。

 大変失礼を申し上げました。当然のことながら、上場の時期については政府とよくすり合わせをしながら考えてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

森山(裕)委員 上場の時期についても政府とよくすり合わせをするということですから、売却のことについても当然その延長線上にあるものだろうというふうに理解をしております。

 株式の上場は、早くても見直し期限の一年後であることがはっきりいたしました。また、上場前の売却もないということも確認がされたと思います。すなわち、三年ごとの見直しのために株式の売却を凍結するというこの法案の意味というのがどこにあるのかなということを私は少し疑問に思うところであります。法律に基づき株式の処分を停止することよりも、国民に約束したよりよい民営化実現のために検討をしていくということが何より大事なことなのではないかなというふうに思っております。

 ところで、この四条には、「株式の処分が停止されていることを考慮しなければならない。」というふうに記されているところでありますが、まず、その趣旨をお聞かせいただきたいと思います。

長谷川(憲)参議院議員 お答えを申し上げます。

 先ほど森山先生から、こういう形で質問と答弁になろうとは思わなかったというお話がありましたが、私もそうでございまして、きょうこうして答弁をさせていただくのを非常に感慨深く思っております。

 今の御質問ですが、法の四条についての御質問でございました。この法律は、ごらんをいただいておりますように非常に簡単な法律でございまして、一条で法律の趣旨を述べて、二条と三条で、日本郵政株式会社、そして郵便貯金銀行、郵便保険会社、それぞれの株を別に法律で定める日までの間に処分してはならないということを言っているだけでございまして、あとは、言ってみれば、念のためあるいは読みかえの規定を置いているわけでございます。

 この四条につきましては、民営化法の中に第八章第三節という部分がありまして、これは、郵便貯金銀行の移行期間中の銀行法等の特例等について定めている部分であります。同じく九章の第三節には、郵便保険会社の同じく移行期間中の保険業法の取り扱いについての特例等が定めてある部分であります。

 これは、一言で申し上げますと、この二つの部分で何を言っているかというと、十年以内に株を全部売って、二つの会社が普通の銀行になり普通の民間生命保険会社になる、そうなれば普通の銀行と同等のことができるわけでありますけれども、途中、株を売って移行していきますので、株を売っていくその移行期間中においても、民間との競争を考えたときに問題がないというふうに認められたときには、特に特別の制約を設けることをせずに、民間の銀行と同じようにやってもいいじゃないかというようなことを定めているところでございます。

 ここで、この処分のいわば停止に伴って、この二つの節の運用についていろいろ考慮しなければいけないというふうに法律の中で書かせていただきましたが、当然のことながら、移行期間中であろうと新規業務等やらなければならない、あるいはやりたいという状況が生じてくるだろうというふうに思うわけでございまして、それを考えるに当たっては、全株を国が持っている、持ち株会社は全株国が持っておりますし、貯金銀行そして保険会社につきましても持ち株会社が全株持っているという状態、いわば国有の事業体という形になっているということを前提として新しい仕事について慎重にお考えになったらどうですかということを念のために申し上げた趣旨でございます。

 そこで言っております趣旨は、新規業務を全面的に認めてはならないということを言うつもりではございませんで、十分に、民間の動き、あるいはもともと公社としていろいろなことができるような仕組みに公社法時代もできておったわけでございますから、その辺を勘案した上で慎重におやりになるべきだということを念のために書かせていただいた次第でございます。

森山(裕)委員 長谷川先生、わかりやすく言いますと、新規事業を民営化法の制限以上に制限的にするということにつながるのではないかなというふうに思うところでありまして、これがどういう意味を持つものなのか、私にはなかなか理解ができないところであります。

 私が最終的に申し上げたいことは、株の凍結ということではなくて、やはり、この法律を成立させた歴史的な背景を考えて、また、一昨日の世論調査によりましても、多くの国民が郵政民営化の見直しというものに関心を持っていることもよくわかりますので、国民に約束をした民営化というものにさらに近づけるために努力をしていくということが大変大事なことなのではないかなというふうに思っております。

 第百六十三国会で、当時の小泉首相は、所信表明演説で次のように述べておられます。国民の間には、民営化によって、過疎地の郵便局がなくなるのではないか、郵便局で貯金や保険を扱わなくなるのではないかという不安が存在するのも承知しております。国民の貴重な財産である郵便局のネットワークを維持し、国民の利便に支障が生じないようにいたしますということを言っておられます。この発言は、第百六十二回国会での施政方針演説には含まれていないわけであります。百六十三国会で、国民の不安に対して当時の小泉総理はこう述べておられます。そのことに対して我々はやはり真摯に立ち向かっていくということが大事なことだと思っておりますし、自民党におきましても、一月中に結論を出すべくPTを立ち上げまして、今議論が進んでいるところでございます。

 西川社長に最後にお尋ねをいたしますが、東証の特別なルールを使って一年早く上場するということはしないということを明確に言われた方がいいのではないか、どうもそのことがひっかかって疑心暗鬼が広がっているのではないか、そういう気がしてなりません。今までの西川社長の答弁を聞いておりましても大臣の答弁を聞いておりましても、特例措置を使って上場することはないんだなということはよくわかりますけれども、そのことを明確にされるということが非常に大事なことなのではないかなというふうに思うところでございますが、そのことに御答弁をいただきたいと思います。

西川参考人 お答え申し上げます。

 さきにお答え申し上げました内容につきましては原則論を申し上げておるわけでございまして、金融情勢の大きな変化やあるいは実体経済の急悪化といったこと、そしてマーケットの状況ということを考えてまいりますと、二〇一〇年度、再来年度の上場というのは、事実上大変難しい状況になってきているということは事実でございますが、その点につきまして、今後さらに推移を見ながら決断をしてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

森山(裕)委員 終わります。

赤松委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 引き続き、郵政問題について質問をさせていただきます。

 現在、自民党内では、郵政事業の検討・検証プロジェクトチームを設けまして、関係者から意見を聞いて検討作業を進めております。これまで四回開催しまして、郵政会社、そして全国郵便局長会から意見を伺いましたが、過疎地、地方の郵便局をいかに維持するか、また、郵便事業会社と郵便局会社の連携のあり方、郵便局を通じた金融サービスの維持、展開、ネットワーク、サービス水準の維持、郵便局の会社のあり方、現場との意思疎通などにおいて検証をいたしておりまして、来年の一月中ごろに具体的な事項、考え方を取りまとめる予定でございますが、郵政事業をよりよいものとし、また、会社及び郵便職員の皆さんの意欲を向上するため検討を重ねております。

 さて、この法案は、株式の処分停止をさせる内容でございますが、どんなに急いでも株式の上場時期は再来年であります。来年三月の見直しの後の一年後ということで、現時点において法律によって株の売却を凍結する意味は全くありません。この法律は、別に法律で定める日まで株式の処分をしてはならないとありますが、別に法律で定める日とはいつのことでございますか。この法律案が国会に出されて既に一年以上経過をしておりますが、野党三党として見直しの具体的な案、項目などは合意をできているんでしょうか。民主党の提案者にその時期と内容についてお伺いをいたします。

那谷屋参議院議員 今二点について御質問をいただきましたので、お答えをしたいと思います。

 まず、御指摘の法案第二条にあります、別に法律で定める日ということで、これはいつなのかという御質問だと思いますけれども、これは郵政事業の見直しと連動させているものでありますけれども、郵政事業の見直しは、国会において郵政民営化法その他の郵政民営化関連法律の見直しについての十分な審議を通じて行われるべきと考えておりまして、国会における審議にかかわる問題でもございますから、その検討期間は法律上特に明示をしてございません。しかし、見直しまでの間の株式処分の停止という暫定的な措置を長期間にわたり継続させるということは適当とは考えておりませんので、できるだけ、可及的速やかに検討が行われるべきものと考えているところでございます。

中谷委員 それでは、その見直しが不十分な場合に株を凍結すればいいじゃないですか。何も決めていないのに株を凍結してどうするんでしょうか。これほど無責任なことはありません。

 というのは、第四条で、預け入れの限度額、業務の制限、子会社の保有、合併など、株式処分が停止されていることを考慮しなければならないとありまして、株の売却がないとこれらの事業は一〇〇%できません。念のためとお話がありましたが、これでは株を売らないと事業ができる可能性はゼロでありまして、郵政各社の事業をこのまま手足を縛り、塩漬けにしておくということになりますが、いつまでたっても新規事業ができないということは、会社がつぶれてしまいます。提案者は郵政民営化を凍結するというお考えなんでしょうか。

大久保(勉)参議院議員 御答弁申し上げます。

 まず、この法律案に関しましては、国会に可及的速やかに提出すべきだと考えておりまして、また、凍結すべきであるか、先生御指摘の点に関しましては、株式が売れないからこの法律案はつくる必要がない。

 私は証券市場にも長くおりましたが、株式を上場しなくても、上場するための準備が必要であります。例えば東証の上場規則等ございまして、今でも、西川社長におかれましては、すべて利益を上げるために一部のサービスの切り捨て、いろいろなことが行われております。そういう意味で、こういった法律は国会に可及的速やかに提出する必要があると考えているわけであります。

 また、私どもの考え方は、国民生活に必要な郵政事業に係るサービスが適切に提供されるように郵政事業の見直しを行うための暫定措置として株式処分の凍結をする必要があると考えておりまして、こういった法律を提出しているわけでございます。

 株式処分凍結後における具体的な郵政事業の見直しの内容については、この法律の成立後の検討にゆだねられることが必要でありますが、一番としましては、郵政事業の四分社化の見直しによる、郵便局のサービスを全国あまねく公平に、かつ利用者本位の簡易な方法で利用できる仕組みを再構築することが必要だと思います。

 さらには、郵便局における事業、郵政三事業の一体的サービスの提供の保障と株式保有を含む株式会社のあり方の検討による郵政事業の利便性と公共性を高める改革などが必要であると考えております。

 どうぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。

中谷委員 現状におきましては、預け入れの限度額が一千万とか、子会社が持てないとか、本当に手足を縛った状態でありまして、これで収益を上げろといっても難しいわけでありますので、私は、株を公開して、新事業もできるようにしなければならないと思っております。

 我々はこれから連続で、ゆうちょ、かんぽ、郵便局も、郵政四社から意見を聞く予定ですが、本日は郵政会社の西川社長に質問をさせていただきます。

 平成十九年の十一月二十九日に総務委員会でされた決議には、郵便局のネットワーク維持、郵便局を通じた貯金、簡保のサービス提供の維持、郵便局舎の借料の維持など、大切なことがたくさん盛り込まれております。西川社長は、その決議への対応についてどう考えて、どう対処しておられるのか、また、どのような点の見直しを行ったらいいのか、その必要性があることについてお考えがあるならお聞かせをいただきたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま先生御指摘の衆議院総務委員会での決議につきましては、私ども経営サイドといたしましても、これを最大限に尊重して経営に生かしてまいるべきものと考えております。そのように実行をしてきているつもりでございます。

 例えば、郵便局ネットワークの維持に関しましては、目下問題になっておりますのが簡易郵便局の一時閉鎖問題ということでございますが、この解消のために、取扱手数料を引き上げるなどの抜本的な見直しによりまして、民営化後、約百二十局を再開させるなど、取り組みを進めているところでございます。

 また、例えば、旧総合担務実施局におきまして、郵便の集配担当者が配達先で金融サービスの申し込みを受け付けることができなくなった点につきましては、これをきちんと郵便局に連絡していただきまして、郵便局会社の社員が対応するということを徹底いたしますなど、サービス水準の維持に努めているところでございます。

 そのほか、いろいろとこの決議に基づいてやっていることがございますが、我々の要望といたしましては、先生からも御指摘をいただきましたように、郵便貯金並びに簡易保険の限度額管理について一定の緩和をお願いしたい。郵便貯金について申しますれば、日常、出入りが頻繁に起きてくる通常貯金を限度額管理から除外していただきたい。あるいは、簡易保険につきましても、いろいろな保険がございますので、一千万の限度の緩和をお願いしたいといったところが、ただいま現在いろいろと要望しておるものの中心的な事柄でございます。

 いずれにいたしましても、御指摘の決議につきましては、今後とも最大限尊重をさせていただきまして、経営にも生かしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

中谷委員 国会決議は尊重する、遵守するということなので、これに沿ってよろしくお願い申し上げます。

 我々心配しているのは郵便局会社のことでありまして、現在、収入における手数料の割合はどのくらいでしたでしょうか。また、貯金、簡保の割合はどのくらいでございましたでしょうか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十年度中間決算におきます郵便局会社の三事業会社からの手数料収入は合計で六千二百五十二億円でございます。また、営業収益六千三百五十一億円における手数料の割合は九八・四%となっております。

 三事業会社各社から郵便局会社への委託手数料は、郵便事業会社九百九十六億円、ゆうちょ銀行三千百五十五億円、かんぽ生命二千九十九億円ということでございますが、およそ、郵便事業会社一に対してゆうちょ銀行三、そしてかんぽ生命は二という割合になってございます。

 以上でございます。

中谷委員 御説明があったように、九八・四%がこれの手数料ということでございますが、そうすると、これからずっとゆうちょ銀行、かんぽ生命が郵便局に業務委託をしなければ、郵便局ネットワークの維持、また過疎地の郵便局における貯金、簡保のサービスの提供はできなくなると考えますが、この点はいかがですか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 ゆうちょ銀行及びかんぽ生命から見ますと、ゆうちょ銀行では、ただいまの貯金残高約百八十兆円のうち九割強が郵便局において預けられたものでございますし、また、かんぽ生命保険の主力でございます個人契約のほぼ一〇〇%が郵便局において獲得をした契約でございます。

 こういう事実からも明らかなように、この金融二社は、郵便局会社との受委託関係なくしては成り立たないビジネスモデルとなっております。したがいまして、郵便局会社とゆうちょ銀行、かんぽ生命との全国一括の受委託関係は将来にわたって継続する必要のあるものであると考えておりまして、過疎地の郵便局における貯金、保険のサービスの提供も当然のことながらしっかりと維持されていくものと考えております。

 以上でございます。

中谷委員 これからも、業務委託をしないと、郵便局ネットワークの維持、局における貯金、簡保のサービスの確保が難しいということが確認をされました。私もそう思います。

 では、今後どうやって長期的に業務委託を継続するかという問題でありますが、もう一つ大事なことは、単に業務委託をするだけでは不十分でありまして、過疎地の郵便局を維持するに足りる手数料、これを払ってもらわなければならないということであります。

 ことしはインセンティブ契約や人員の異動によって一定の収益は確保されましたが、これも現場の職員の皆さんの血のにじむような努力があってこそでありまして、現場は、将来に対して大変不安に思っております。

 あと十年たって完全民営化されたときに、ゆうちょ、かんぽは、完全に株式関係もなくなった一民間企業になってしまいます。私は、完全民営化されたゆうちょ、かんぽが今のように手数料を払ってまで郵便局会社に業務委託するとは、少し疑問に思っております。それは、完全民営化ですから、株主がいて、株主訴訟を起こされるかもしれないということでありまして、社長が言うように、完全株式売却後も必要だからゆうちょ、かんぽが郵便局と契約を締結すると言われましても、その根拠を伺いたいわけでございます。

 こういった点に対して、その根拠と担保をどこに求めたらいいのか、社長に伺いたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 確かに、地方の過疎地の郵便局の中には、単独の郵便局としては赤字経営の郵便局が多うございます。ほとんどそういう状態であるというふうに申し上げても過言ではないと思います。しかしながら、これを金融二社は、一局ずつ契約をしているということではなくて、郵便局会社と一括の、そして長期の契約をしておるということでございます。そういう契約の仕方で受委託関係を結んでおるということでございます。

 そして、現在は、移行期間中の十年間、この期間を契約期間としておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、金融二社は郵便局を代理店として将来ともに受委託関係を結んでいかなければ経営が成り立たない、こういう状況でございますから、この十年という契約期間を、早い時期に、今からでもいいわけでございますが、さらに長期化をして、十年を超える契約、例えば二十年でございますとか、こういった長期の契約を結ぶということも十分可能でございますので、長期的な受委託関係について担保すべきものが必要ということであれば、適切な期間を選んで、とりあえずさらに延長した契約とするということをやらせていただいてもよいのではないか、こう考えておるところでございます。

 以上でございます。

中谷委員 十年をさらに延ばす、二十年をということでお話がありましたが、そのときも西川社長さんにはぜひ社長さんを続けていただきたいと思っておりますが、それは希望的観測ではないかと思います。しかし、将来リーマン・ショックのようなこともあるかもしれませんし、外資系が株を買うということもありまして、やはり何らかの担保というものが必要じゃないかと思っております。

 この問題のポイントは、やはり地方の郵便局につきまして業務契約がなされてネットワーク維持に必要な手数料が支払われることの確実な担保ということでありまして、この点が見直しの最大の課題ではないかと思っております。

 郵政事業の存続につきましては、国民にとっても地方にとっても、株式処分を凍結すること自体に意味があるのではなくて、現状をどのように改善していくか、その改善によって国として最良の民営化の姿となっていくものであるということを示していくことが今重要なものであります。

 今後とも、政権与党としましても、しっかりと郵政の現状を検証し、郵政民営化をよりよいものにしていくということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 まず冒頭は、政府に基本的なことを御確認させていただきたいと思います。

 郵政民営化法上では、日本郵政株式会社は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式を、移行期間中、平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までに全部処分をしなければならない、こうされておりますけれども、一方、法律上株式をいつから処分しなければならないという規定はあるのかないのか、これは政府に御答弁を求めます。

振角政府参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 今御質問がありました件でございますけれども、御趣旨のように、郵政民営化法第六十二条の規定によりまして、日本郵政は郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の全部を移行期間中に処分しなければならないという規定になっているわけでございますけれども、お尋ねの処分の開始時期については特段法律上規定はございません。

伊藤(渉)委員 郵政の民営化法上では、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の株式を、今御答弁ありましたように、いつから処分しなければならないとはされていないという内容でございました。

 ここで、また改めて西川社長にお伺いをいたしますけれども、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の株式の処分の時期について現時点でどのようにお考えをいただいているか、改めて御答弁をお願いいたします。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融二社につきましては、郵政民営化法の規定のほかに郵政民営化推進本部からの御指示もございまして、できる限り早期に上場が可能になるよう準備をいたしておるところでございます。

 上場時期につきましては、さきにもお答えを申し上げましたが、遅くとも民営化後四年目、可能であれば、東証の審査基準の特例が認められるということを前提に、民営化後三年目の上場が可能となるよう準備を今いたしておるところでございます。

 しかしながら、具体的な上場スケジュールにつきましては、適正な価格で株式処分を行うことができるよう、市場環境を十分に見きわめながら判断をしてまいりたいということでございます。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 社長は十一月二十八日の記者会見でも、日本郵政グループの中期経営計画について、現下の金融不安もあり公表にはもうしばらくかかるといった趣旨の発言をされたと聞いておりますけれども、この点についても、現状どのような状況になっているか、御答弁をお願いいたします。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 中期経営計画につきましては、この中間期の決算発表時に中期計画もあわせ発表させていただくべく準備を進めてまいりましたが、急激な経済情勢の変化や実体経済の悪化見通し等によりまして、金融分野はもちろんでございますが、物流分野におきましても、中期的な経営見通しを今固めるということにつきましては非常に困難な状況でございます。したがいまして、大体つくったものも、計画を策定したものも、さらに外部環境の行方も見据えながら、より慎重に見直しを進めていく必要があると考えて先送りをしているものでございます。

 しかしながら、では、どこまでもやらないのかといいますと、そうは当然まいりませんので、例えば株式上場がいつになれ、近い将来上場するということであれば、来年の夏ごろには投資家向けの説明会、いわゆるIRと言われるものでございますが、このIRにも着手をしてまいらなきゃならない、こういうことになりますので、その時期には当然マーケットに向けて、あるいはその他ステークホルダーの皆さんに向けて私どもの中期計画を発表していく、それについて御理解を得るという必要がございますので、そう長い間先送りをする考えのものでもございません。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 今も御答弁いただいたように、西川社長、この中期計画、中期経営計画の公表時期も変更を余儀なくされる、そういう状況、これはよく理解ができますし、経営者として上場の時期、さらには上場後の株式処分に至るシミュレーション、これを描いていくのが非常に難しい時期だと思います。

 そういう意味で、今少し触れてもいただきましたけれども、現時点で、環境が非常に流動的ですから大変難しいことだとは存じますが、西川社長が具体的なイメージを描かれているものがございましたら、この点についても御答弁をお願いしたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 現在の株式市場は、例えばPBR、時価総額と、会社の自己資本、ネットワースでございますが、これとの関係が、株価総額が会社の純資産、ネットワースを下回っている会社の方が過半数を占めている、六、七割そうなっているという状況でございます。

 こういう非常に異常な状況に陥っておるということでございますし、こういった状況が改善されていくという見通し、これが果たしていつのことかということになりますと、なかなかこれについて確たる見通しを持つということが難しい状況でございます。したがって、市場の状況をやはりよく見ながら、この先適切な判断の時期を選んでいきたいということでございます。

 以上です。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 率直におっしゃっていただいたとおり、非常に経営判断をするには難しい時期だと思います。

 一方で、これは政府にお伺いしますが、郵政の民営化委員会は三年ごとに見直しをすることになっておりますけれども、これが来年の三月に迫ってきております。この点についても、政府としても非常に難しい状況判断を迫られると思いますけれども、現状の進捗状況、そして今後のスケジュール等について御答弁をお願いいたします。

振角政府参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 郵政民営化委員会におきましては、今御指摘ございました三年ごとの郵政民営化の進捗状況に関する総合的な見直しにつきまして、本年八月より本格的な調査審議を開始したところでございまして、現在、実情把握を中心に審議を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、これまで、第一点としまして、民営化会社、関係省庁あるいは関係業界等へのヒアリング、第二に、民間の有識者、オピニオンリーダーに対するインタビュー、第三に、郵便局の視察等を実施しておりますとともに、現在、国民一般から郵政民営化に関して幅広く意見を募集している最中でございます。

 今後、委員会におきましては、引き続き幅広く実情を把握した上で、中立的、専門的立場から調査審議を行いまして、来年三月末までに郵政民営化推進本部長に、これは内閣総理大臣でございますけれども、意見書を提出する予定でございます。

伊藤(渉)委員 ここまでるるお聞きをしてきましたけれども、冒頭まず確認をさせていただいたとおり、法的には株式処分を開始する時期は定められておりませんし、また、西川社長の答弁の中にもありましたけれども、株式の処分の時期は早くても民営化後三年目、一方で、目下の状況を踏まえると中期計画もなかなか策定が難しいような経営環境にある、そんな中で何とか上場をしようということで、郵政各社、今血眼になって準備に追われているんだろう、そのように思います。そして、あわせて、政府の方では来年の三月に三年ごとの見直しが行われる。

 いろいろな状況が重ね合わされているこの現時点で、今回提案されている法律のように、凍結ということは果たして必要なのかどうか、もう少しきちっと状況を見て判断をしていくべきではないかと私率直に考えますけれども、この点、提案者のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

長谷川(憲)参議院議員 伊藤先生にお答えを申し上げたいと思います。

 私は、こういう状況であるからこそ、今法律で株式の売却を凍結すべきだというふうに思っているんです。この民営化法の一番の問題点はどこかといえば、先ほど来お話に出ておりますように、貯金と保険が完全な民間会社になって、十年後にはもう政府としては銀行法や保険業法でしか手が及ばない組織になるということなんですよ。

 ですから、今、西川社長が、十年間は安定的な契約をやるんだ、それを二十年にしてもいいとおっしゃいましたけれども、十年後に株を売り払ってしまったときに、それを買われた株主の人たち、これはどこかのハゲタカファンドになっているかもわからないわけですよ。その人たちが、いや、経営者の言うことなんか、それはもう全然株主の利益に反する、自分たちの思うとおりにやるんだと言われたときに、経営者も抵抗できないし、国も何の抵抗もできない。そういう状況になっている法律なわけですよ。

 だから、これを早く見直さないと、先般発表された郵政の半年の決算、その前にも半年後の決算がありました。二回の決算を見てみると、郵便局株式会社の収入というのは、三つの独立した事業会社からの委託料、受ける方からいえば受託料で成り立っているわけですけれども、金融の二つの貯金と保険の企業から受け入れている金額というのが全体の八割を超えているわけですよ。そこが、何の縛りもない、ユニバーサルサービスをするという義務をどこの法律にも書いていない。独立して普通の銀行と生命保険会社になって、郵便局に本当に委託がされるんだろうか。先ほども疑問だという声がありましたけれども、私は、もうそんな独立した銀行が郵便局、全国津々浦々に赤字を出してまで委託をするなんということはとても考えられない。

 それは、竹中さんとも議論をしたところでありますけれども、ニュージーランドでも、郵便貯金を売ってしまって、それで郵便局からみんな出ていったわけですね。結果として三分の二の郵便局が閉鎖をされた。ドイツでは、同じようなことがあって、八割の郵便局が閉鎖をされた。それが日本で、今の二万四千の郵便局がそのまま残るはずがないじゃないかと。

 だから、そういうことについての見直しをすぐにもやらなければいけないんですけれども、こういう政治情勢の中で、いつまでにきちんと法律ができて、ああ、安心だと言えるようになるかわからない。だからこそ、法律できちんと株の売却は凍結をしておいて、その間に腰を落ちつけて議論をしたらどうですかと。

 到達すべき最後の姿については、各党いろいろなお考えがあると思います。しかし、これはもう政治の課題というよりも、国民生活を守るという意味で各党共通の課題だというふうに思いますので、私は、冷静な議論をするためにも、ここは経営者任せの株の売却ではなくて、きちんと法律で凍結をかけていただくべきものだ、そのように考えておりまして、そういう趣旨でこの法律を出させていただいております。

伊藤(渉)委員 重ねて私から申し上げますけれども、冒頭確認したように、株式の処分を開始する時期はこの法律では定められておりません。また、法律を提案されている皆様方も、総論としては民営化そのものに反対をしているわけではないと私は理解をしております。そういう意味では、こうした状況下で、現時点で株式を処分することだけをとめるということではなくて、必要であれば、全体の議論を進めていくことが当然の帰結ではないかと思いますということを申し上げておきたいと思います。

 最後になりますけれども、またこの株式上場に対して、これまでも御質問ありましたけれども、現在のこの世界金融の混乱の中にあるものの、日本郵政株式会社、ゆうちょ銀行、そして郵便保険会社の株式上場、これはとりもなおさず、海外の投資ファンド等の参入も無視できない、こうした問題になってまいります。既に、信託型のライツプラン、こうしたものによる買収防衛策を講じているようでございますけれども、より一層万全の対応、こういったことも考えていく必要がございます。この点について、あわせて、やはり現時点の西川社長のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 金融二社には、導入する敵対的買収防衛策について、既に、企業買収についての有識者でございますとかあるいは市場関係者から意見を聴取いたしまして、国会審議等での御議論や他の民間会社における導入状況などを踏まえまして、幅広く検討、議論を行いまして、これらをもとに、民営化時に金融二社の定款において、敵対的買収防衛策の導入と守るべき企業価値の定義を規定したところでございます。

 現時点では、先生御指摘のとおり、信託型ライツプランを採用いたしまして、企業価値の向上が認められないという場合には、原則的に防衛策を発動するということを考えているわけでございます。

 買収防衛策のあり方につきましては、まだ市場や経済界において議論の過程にございますので、そのスキームの最終決定、そして導入手続は株式上場までの適切な時期に判断をしていくつもりでございます。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間もございませんので、早速、私から端的に何点か質問をさせていただきたいと思います。

 郵政の分割・民営化が進みまして、正式にスタートして一年がたったわけですが、まず最初に、西川社長にお伺いをしたいんですけれども、分割・民営化後の一年間、この間の評価ですね、これはどうお感じになっているか。よかった、悪かった、課題あり、なし、そのあたりについて、まず西川社長とそれから鳩山総務大臣の方に、一年間の評価についてお伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 民営化をいたしまして一年二カ月ほど経過をしたところでございます。民営化会社の経営、そして業績面につきましては、民営・分社化当初は、郵便局の業務ふくそうでございますとか一部システムのふぐあい、あるいはふなれということがございまして、お客様に御不便、御迷惑をおかけする事態が生じておりましたが、その後は大きな混乱もなく、この上期はまず平常時の運営に戻ったと申し上げてよいのではないかと思います。

 しかしながら、各事業ともにいろいろと課題や問題点を抱えております。こういったことにつきまして、さらに引き続き、この課題の解決そして問題の解決に注力をしていく必要がある。その中で、顧客サービスの充実、そして大きな課題でございます各事業会社の効率化策の実行、これが目下のところ最も重要なことであると考えておるところでございます。

 以上でございます。

鳩山国務大臣 郵政民営化から一年余り経過しております。来年三月末をめどに民営化委員会が見直しというものの案をつくっていくんだろうと思いますが、もちろん、総務省としても、この一年間のありようについては十分に、できれば検証まで本当はしなければいけないんだろうと。そういう思いで見てきておりますと、日本郵政グループ各社で、例えば国際物流とかローソンとの提携とかクレジットカードとかがん保険の販売とか、いろいろ新しい事業をやっておりますが、必ずしもすべてが好調というわけでもないと思います。

 官から民へという大きな流れの中で郵政民営化というものは行われた。しかしながら、いつも申し上げますように、光があれば影があるわけで、大胆な郵政民営化という大仕事をやっただけに、影の濃さもやはりかなりのものがあるのではないか、こう考えるのが当然であって、正すべきところは正していく、見直すべき点は見直していくということが私どもの、少なくとも私の基本的な態度でございます。

 例えば、簡易郵便局が、一時閉鎖された数がかなり多かった、これはまた少し戻ってきてはおりますけれども。あるいは、郵便局長さんが集荷できない。昔は、郵便局長さん来てちょうだいといって集荷する、その信頼関係の中で郵便ネットワークによる宅配が行われたりしていた。そうしたことがだめになっていく。そういうことを考えますと、金融サービス、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、正式名称ではありませんが、やはり私は、これらのサービスがユニバーサルサービスとして継続されるべきだと考えております。

 それが、もし二つの会社が移行期間経過後に完全に糸の切れたたことなって、つまり、国あるいは日本郵政から全く離れた純粋の民間銀行、民間保険会社になったときに、その手数料によって成り立っている郵便局会社、郵便事業と郵便局会社はユニバーサルサービスだ、こういうふうになっているわけですから、しかし、手数料収入が入らなくてこのユニバーサルサービスが壊れてしまうというようなこともやはりあってはいけないと私は思っておりますから、そういう意味で、これはなかなか複雑、微妙であって、どういうふうに見直していったらいいのか、これは与野党の垣根を越えて議論をすべきことではないだろうか、こう思うわけでございます。

 もうちょっといいですか。ちょっと余計なことを申し上げますが、私は、郵便局というのは一つの日本の文化であったことは間違いがない。その地域の、地域社会というのか、この間ゲマインシャフトという言葉を使ったんですが、その中枢に郵便局長さんたちがしばしばおられたわけでありますから、この文化というものは日本独特のものであって、何も欧米の猿まねをする必要は全くないわけで、この文化が壊れるようなこともあっては困るなと正直思っております。

逢坂委員 今のお二人の認識を伺って、総務大臣からは極めて重要な発言があったかなというふうに思っております。完全な、純粋な民間化されることへの懸念という発言がございました。あるいは、これまでの文化というようなこともあったわけでございます。

 一方で、私、西川社長の認識を聞いておりまして、当初は混乱があった、システムのふぐあいがあった、でも上期は平常だったというような話をされましたけれども、果たしてそうなのかなという認識を持ってございます。

 まあ、それはちょっと置いておくことといたしまして、今のような総務大臣の認識あるいは西川社長の認識を踏まえまして、株式の処分に関して、現時点での見通しだとか予定される日程というのはどのように想定されているか、お伺いしたいと思います。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 これまでもほかの先生方の御質問にお答えしてきたところでございますが、株式の処分につきましては、やはりまず上場ということでございまして、これが遅くとも二〇一一年、そして東証の特別措置が認められるということを前提にしまして二〇一〇年度、これを目標といたしまして今準備をしておるということでございます。しかしながら、マーケットの状況が急変をしてきておりますので、その時期については慎重に判断をしていかなければならないと考えておるところでございます。

 以上でございます。

逢坂委員 私は、株式の処分についていろいろな考えはあるとは思うのですが、先ほど伺った現状認識が相当にやはり甘いのではないかというふうに思うわけですね。確かに、マーケットの動向ということをおっしゃられました。しかし、マーケットの動向以前に大事なことがあるというふうに思っております。

 まず利用者の皆さんの声でございますけれども、日本郵政株式会社で郵便局等の顧客満足度調査というのをおやりになられているそうですが、これを拝見いたしますと、何と六七・三%のユーザーの方がこの民営化後の状況について満足と答えているという御認識をお持ちのようなんですね。これはアンケートの結果がそうだというふうに言っているわけです。本当に皆さんそのようにお考えになっておりますか。私は、それは全く違うと思うんですね。

 例えば、手元に、これは郵政関係のある団体からいただいた要請書によりますと、各種手数料が大幅に値上げされた、ATMの撤去があった、簡易郵便局の廃止があった、年金の引き落としができない、総合担務が廃止されて郵便を配達する職員に貯金などを預けることができない、あるいは郵便の遅配や誤配が増加している、あるいはポストを撤去する、あるいは郵便物の取り集め回数の削減があるというようなことで、非常に問題が多いということが言われているわけですね。

 それから、ここにジェイピー総研リサーチという雑誌がございまして、これを見ると、民営化に伴う事務手続の煩雑さや分社化による業務範囲の限定などでお客様への利便性に大きな影響が出ている、それから、労働力の裏づけについても、基本的な要員問題の解決に至っていないとか、問題だらけだということを言っているわけですね。

 さらに、この雑誌の中を見ましたら、山形県の西川町長さんという方が、この方は郵便局に長くお勤めになって、局長も務められていた方であります。この方の文章に、「民営化としてスタート。一年が経過しました。「民営化になって良くなった」、「良かった」と言う声は、利用者から或いは職員からひとつでも寄せられているでしょうか?」という問いかけをしていて、いろんな声は聞こえてきますけれども、私には全くノーですというふうに言っているわけですね。

 まさに郵便局の局長さんとして現場にいた方、そして今自治体の長をやっている方からもこういう話が出ているということでありまして、私は、やはり、現状認識が相当違っている中で当初決められたプログラムどおりに進むのはいかがなものかというふうに思っております。

 そこで、西川社長にお伺いしたいんですけれども、郵便局に対して、民営化されるされないにかかわらず、国民の皆さんが求めているものは何だと思いますか。先ほど総務大臣からユニバーサルサービスなどという言葉が出ましたので、大臣の方の御見解はよろしいですので、西川社長、それはどう思われますか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 国民の皆様に対するサービスといたしましては、まずは郵便局ネットワークをきちんと維持していく、そしてこのネットワークを通じてサービスを提供する、これが出発点であろうと思います。

 そのサービスの内容につきましては、民営化によりまして、従来やっていたものが一部できなくなった。例えば郵便配達の方が行っておった総合担務ということでございますし、また、郵便局長がやっておりました地元特産品の集荷、ゆうパックで送っていただくために行う集荷、こういった集荷の方は車による集荷ができなくなった、こういった変更が一部ございました。

 そういった変更あるいは仕組みの変更によりまして、お客様に従来どおりサービスができないといったことについては、郵便事業会社そしてゆうちょ銀行、あるいは郵便局と郵便事業会社との間の連携関係の中で解決策を見出し、それを実行していく、そういうことでサービスの、旧来のサービスでございますね、これの維持を図るということにただいま注力をいたしておるところでございます。

 以上でございます。

逢坂委員 私は、今の西川社長の話を聞いて、多分、国民の皆さんが期待していることと全く違う感覚でお話をされているんじゃないかなと思うんですね。国民の皆様が郵便局に期待しているのは、本格的な生命保険や本格的ないわゆる銀行業務を期待しているのではないというふうに思うんです。いわゆる保険業法や銀行法に規定されるようなものを期待しているのではなくて、簡易で簡便で身近に利用できる、簡単に利用できる、そういうサービスを期待している。あるいは郵便などに関しても、気軽に、全国どこにいても同じように出せて、同じような料金で簡単にやれる、そういうものを国民の皆様は期待しているはずなんですね。

 ところが、今回の改正ではそれとかけ離れたことをやろうとしているということを、出発点が国民の意識と違っているということをぜひ御認識いただきたいと思うんです。難しい言葉をどんなに並べても、それは国民にはすとんと落ちません。地域を歩いていると、おじいちゃん、おばあちゃんたちから聞こえてくる声はそんな声ではないんです。このことをまず指摘しておきたいと思います。

 それから、これはこれまでも何度もこの場でも言われていることですが、郵政民営化準備室がアメリカと十八回にわたって交渉というか会議というか会合というか、これを開催しているということでございました。仲間の議員も私もこの点について、開催時期や人数や内容について明らかにせよというふうにこれまで何度も言ってきましたが、明らかにできないという部分が相当に多いということでございましたけれども、政府参考人にお伺いしますが、今もってこの姿勢は変わりございませんでしょうか。

 簡潔にお願いします。

振角政府参考人 お答えいたしたいと思います。

 御指摘の十八回の会合につきましては、昨年十一月……(逢坂委員「できるかできないかだけでいいです」と呼ぶ)六月に当委員会の理事会に提出された資料に加えまして、委員会の理事会で説明させていただきましたけれども、当時の担当者から話を聞かせていただきました。

 その結果、十八回あったわけでございますけれども、面談者等につきまして、当方側がそのときに……(逢坂委員「今まで以上のを出せるか出せないか聞いているんです」と呼ぶ)そこで聞きましたところによりますと、この交渉というものは……(発言する者あり)可能な限りそこで説明させていただいたところでございます。

赤松委員長 逢坂誠二君。(発言する者あり)

 今逢坂君が質問しようとしているんだから……(発言する者あり)

 逢坂君。

逢坂委員 今のこの件に関して、例えば平成十七年の十月の答弁ではこう言っているんですね。これは、当時の竹中国務大臣でありますけれども、外交上の会談内容や民間関係者との面談内容または相手方の氏名その他を相手方の了承なくしてこの場で個別具体に申し上げることは差し控えたいというふうに言っているわけですね。このときはこういう答弁をしているんですよ。外交上の問題だから答えられないんだという答弁をしているんですよ。これは、平成十七年十月十一日の郵政民営化に関する特別委員会、我が党の石関議員に対する答弁なんですね。

 ところが、先般、これは二十年の二月八日予算委員会、まさに今の原口委員に対する答弁でございますけれども、当時の準備室の担当に聞きに行かせましたところ、メモを作成したケースはあったと思われるが、面談の内容が儀礼的なものや日米規制改革及び競争政策イニシアチブなどで主張されている要望と同様の陳情的なものなどであり、保存を要するほどのものではないから破棄されたというふうに言っているわけですよ。全く整合性がとれていないんですよ。

 外交上の重要なもので相手の了解がなければ出せないと言っていたものが、実はそんな重要なものじゃないから破棄をしたなんということを言っていること自体が、私はそもそもおかしいと。

 なぜ私がこういうことを言うかというと、今回の民営化に関してアメリカの圧力でやられているんじゃないかという懸念が国民の中にある、だから、これは、その政策を推進する皆さんは、そうじゃないんだということを国民に説明する責任があると私は思うんですね。ところが、外交上の秘密で出せないと言っておきながら、今度は軽易で捨てている。結局は、説明責任を逃れているだけじゃないかという指摘を強くしておきたいと思います。

 では、きょう、法案の内容でございますので……(発言する者あり)では、どうぞ。

振角政府参考人 では、重ねて答弁させていただきたいと思います。

 過去においていろいろなやりとりがあったことは私も承知しておりまして、その間、メモとしまして、理事会にやりとりの概要については御報告させていただきました。その後、さらに何かできないかということで、当時の担当者からも当時の室長がヒアリングしまして、その内容については理事会では説明させていただきました。ただし、指摘がありましたように、当時メモは残っていなかったということでございまして、当時の担当者から聞き取りした内容については説明させていただいたというところが現在までの状況でございます。

逢坂委員 いずれにしましても、当初は外交上の問題だというふうに言っていて説明しない、今度はメモがないというふうに言っているというのは、国民に対する全くの背信行為だというふうに私は思うわけでありまして、その点は強く指摘をしておきたいと思います。

 さて、そこで本法案の提案者にお伺いをしたいんですけれども、簡潔で結構ですので、今回凍結をするということの趣旨、意味について簡潔にお伺いしたいと思います。

那谷屋参議院議員 お答えいたします。

 本法案が前提といたします郵政事業の見直しにおいては、株式保有も含む郵政会社のあり方についての検討も大きな論点となり得るというふうに考えられるわけでありまして、しかし、こうした見直しを行うとしても、一度処分された株式を、例えば政府、日本郵政株式会社の責任のもとで確実に買い戻すということをしようと思っても、そこに困難を伴うということから、あらかじめ、政府、日本郵政株式会社による株式の処分が凍結されることを法律上きちんと担保しておく必要がある、このような理由からこの法律案を提出し、可決をお願いしている次第でございます。

逢坂委員 最後に何点か指摘をして終わりたいと思うんですが、まず一つは、やはり私は、今回のこの株式の処分というのは凍結すべきだというふうに思います。その理由を五つ述べさせていただきます。

 一つは、国民、ユーザーの皆さんが今回の民営化によって大変不利益をこうむっている、この状態のままでこの会社の形態を存続していくということは、やはりどう考えてみてもおかしいだろうというふうに思うんですね。それはさまざまな声が多分皆さんのところにも来ているはずだと思います。

 もう一点が、現場、職場の皆さん、よく郵政の皆さんはフロントラインというふうに呼んでいるようでございますが、現場が物すごく混乱をしている、職員の皆さん方は夜も寝られないというような方たちがたくさんいる、この状況を放置したまま、あらかじめ法で決まっているからといって株式を処分するということについては、やはり私はとめるべきだと。

 それから三つ目ですが、経営の見通し、先ほど新事業については余りうまくいっていないという話がございました。あるいはまた、郵便事業についても必ずしも見通しが明るいわけではないという話はいろいろなところで聞かれるわけです。経営の見通しが立たない中で、株式というものは軽々しく扱うべきではないというふうに思います。

 それから四つ目、政策の正当性であります。政策の正当性、これは一体だれがどういうふうに言ってこの郵政分割・民営化が行われたのか。アメリカの声があるんじゃないかということに対して政府の皆さんが全く説明ができない状況の中でこれを推し進めている。政策のレジテマシーという点でもこれは問題があるということであります。

 それから最後です。この郵政分割・民営化を推進した当の政府・与党の皆さんが、現時点、きょうこの時点で大きく揺らいでいるということであります。きょうも、お聞きしますと、郵政分割・民営化を推進するだか堅持するだかという議連ができるとかできないとか、あるいはまた、逆の動きで、総理大臣が、実は株式の売却については少し凍結した方がいいんじゃないかという話が出るとか、あるいは、先ほどの総務大臣の発言もそうでありますけれども、完全民営化になったら懸念されることがあるような話が出るとか、この政策を推進した当の政府・与党、その人たち自身が、みずからが今揺らいでいる。こういう状況の中で、この制度の根幹を揺るがすような株式の処分については見合わせるべきだというふうに私は思うんです。

 総務大臣にまずこの御見解を伺って、最後に法案提出者に見解を伺って終わりたいと思います。

赤松委員長 鳩山総務大臣、時間が来ておりますので短目にお願いします。

鳩山国務大臣 さまざまな議論が党内にもあると思っております。私は、不都合が生じたり、あるいは将来不都合が生じそうであるという予測が明確になるならば、それは見直しは積極的に、大胆に進めるべきだと思っております。

大久保(勉)参議院議員 三点だけ簡潔に申し上げます。

 私どもは、まず、政府の郵政民営化に関してはさまざまな問題が今生じているということです。二点目としましては、これからも問題が広がっていくということです。そこで見直しが必要であります。理念としましては、国民生活に必要な郵政事業に係るサービスの適切な提供が必要である、こういうことでございます。

 よろしくお願いします。

逢坂委員 終わります。どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 郵政株式処分停止法案について質問をいたします。

 三年前の郵政民営化の特別委員会でもずっと議論をしてまいりまして、そのときに、何よりも郵政民営化でサービスは維持をする、サービスは向上する、利便性の向上だとさんざん約束をしたわけであります。実態はどうか、その検証こそ必要だ。

 その点で、一つ取り上げたいのは総合担務の問題でございますが、郵便局の方が、郵便屋さんが郵便配達時に貯金を預かったり、保険、年金を届けたりする、こういう業務、総合担務がこの郵政民営化に伴って廃止となりました。鳩山大臣も、十一月二十一日の記者会見の場で、なじみの郵便配達をされる方が私の簡保の積立金を持っていってくれる、こういうことができない、こういう話があると述べておられます。

 今まで行われていたサービスが行われなくなるんですから、これはサービスの向上どころか後退だと私は思うんですが、この総合担務の廃止によってサービスがよくなったと言えるのか、大臣に率直に伺います。

鳩山国務大臣 以前に答弁したとおりでございまして、やはり民営化という大きな流れについては、これは大改革として推進しなければなりませんが、郵便局というのは一つの日本の文化をつくっていたことも事実でございまして、なじみの郵便配達をする人が、簡保のお金を預かることができなくなる、あるいは定額貯金に積むお金を預かることができなくなっているという、総合担務ができないという状況は決していいことではないから、あるいは先ほど申し上げた、郵便局長が集荷できなくなっているという状況もありますので、その辺どういう改善をしたらいいのか、これは検証しながら、具体的にいい方法を考えていくべきだと考えております。

塩川委員 今までのサービスが提供されなくなる、いいことではない、結果として悪くなっているという事態であります。

 金融サービスの問題では、あわせて、この間の株価の下落も反映した投資信託が大きく落ち込むという問題がございます。

 そこで、日本郵政に何点かお伺いしますが、この投資信託の基準価額、一万に対して、今幾らぐらいになっているか。十六種類あります投資信託について、下落幅が一番小さいもの、全体下がっていると承知しておりますけれども、下落幅が小さいものと、大きく下落をしている、その数字についてお示しいただけますか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行におきます投資信託の販売は公社時代の二〇〇五年十月から開始しておりまして、現在、取扱商品は九種類、十六商品となっております。

 これらの取扱商品につきまして、直近の基準価額につきましては、最も高いものが野村の世界六資産分散投信、安定コースで八千三百十円、最も安いものがDIAM世界リートインデックスファンドで三千四百七十五円でございます。

塩川委員 すべて下がっている中で、いいものでも八千円台、悪いものでは、REITということもあります、三千円台ということです。大きく下落をしておるわけです。

 そこで、今、日本郵政、ゆうちょ銀行におきまして、この口座全体の評価損率が一定割合以上の顧客に対しアフターフォローするということを聞いております。評価損率が一定割合以上、私は二割以上、二〇%以上というふうに聞いておりますけれども、そういう顧客というのは、今、投資信託の全口座、五十四万口座というふうに承知していますが、それのうちのどのぐらいの口座数になるのか、お示しください。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行におきましては、委員御指摘のとおり、従来より、口座の評価損率が一定率以上のお客様に対しましてアフターフォローを行っているところでございます。

 この十月及び十一月には、全受益者約五十四万口座のおおむね半数に当たります約二十六万人のお客様に対しましてアフターフォローを実施したところでございます。

塩川委員 この評価損率が一定割合以上にアフターフォローする。今言った二十六万の数というのは、これは二割以上下落ということで承知しておいてよろしいですか。その点だけ確認。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 正確に申しますと、百万円以上御購入になられましたお客様につきまして、評価損率が二〇%以上ということでございます。

塩川委員 五十四万のうち二十六万ですから、半数の方が二割以上下落をするというのが実態であります。郵便局に預けている方というのは小口の方で、貯蓄性の高いものをということでやっている。そういう方々の中に、結果としてこういった投資信託の運用を通じて下落をするような事態が大きなショックにもつながっている、不安の声も広がっているわけであります。郵便局への信頼を大きく損なう事態にもつながっている。

 あわせて、日本郵政の方で今わかれば教えてほしいんですが、簡易郵便局の閉鎖というのも数多いわけですけれども、民営化直前の公社の最後の時点の簡易局の一時閉鎖が幾つで、現時点での簡易局の一時閉鎖が幾つかというその数字、お示しいただけますか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 一時閉鎖局の局数でございますけれども、九月末で四百十七局でございます。

塩川委員 もう一つの、民営化直前の公社の最後のときには幾つだったか、その数字はわかりますか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 直前が四百十七局、十一月末で見ますと四百四局というふうになっております。

塩川委員 違うんですけれども。つまり、民営化の時点では四百十七なんですが、そのときに、一度に六十八局を閉鎖しているんですよ。ですから、それを差し引きますと、公社の時代の最後というのは、一時閉鎖は三百四十九なんです。それに対して今現在四百十七ということであれば、大きく減少したまま、そういうことは明らかであるわけで、この点でも金融サービスが後退をしている。ATMの撤去や手数料の引き上げなどを初めとして、金融サービスをとりましてもこれだけの大きな後退をしております。

 そこで、法案提出者の方にお伺いをしますが、総合担務の廃止や簡易郵便局の閉鎖など、郵政民営化によって金融のユニバーサルサービスが投げ捨てられる結果になっているのではないのか、このことを思うわけですが、お考えをお聞かせください。

自見参議院議員 先生御指摘のとおり、総合担務の廃止、決して好ましいことではないというふうに鳩山大臣も言われましたけれども、そういったことが出てきた原因と結果というのがあります。それは決して個人に帰するものでなくて、この法律が持っている総合的欠陥だ、構造的欠陥だ、そういうことを我々は御存じのように申して、それが、今はもう、まず過ちを直すにしかず、こういうことでございまして、まず株式の売却を凍結して、そしてまさに、これはいろいろなお立場もございますけれども、本当に、明治以来続いてきた、国民のための、特に過疎地における金融の基本的なライフラインと申しますか、そういったことをきちっとやはり確保するような構造にやり直さねばいけない。三事業一体だというふうに我々は申しております。

 そして、何も、利益、利益、利益というのはもう民間、普通の株式会社の本質でございますが、その中にも、そうではなくて、公共性と公益性を含む、やはり国民のものである、そのことをきちっと組み直していかなきゃならない、そういうことでございます。

 総合担務の廃止というのはその結果出てきたことでございまして、そのことは先生もよくおわかりだ、こういうふうに思っております。

塩川委員 サービス向上を掲げた郵政民営化が、現状としてサービスの後退になっているわけですから、見直しが必要なわけで、そういう点でも、郵政株式の売却の凍結というのは何よりも求められている、そのことを述べて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 まず、凍結法について伺いますが、参議院で可決されて、一年放置されてきたわけであります。与党の責任は大きいと言わなければなりません。

 この一年、随分経済環境は変わってまいりました。バブルははじけ、国際的な金融危機のあらしの中に、今、日本経済も巻き込まれている、こういう客観的な状況がございます。

 そこで、まず提案者に、今回のいわゆる凍結法が可決されることでどういったことが期待されるのか、この点についてお伺いいたします。

近藤参議院議員 お答えをいたします。

 郵政民営化法の成立以後、今ほど来御議論がありました、全国各地で数多くの簡易郵便局の閉鎖がございました。千を超える郵便局で郵便配達業務の廃止がありました。過疎地におけるATMの撤去もたくさんありました。そして、送金手数料の大幅な引き上げもありましたし、今ほど議論がありました総合担務の廃止という問題もありました。また、現在においても、株式の処分を前提とした対応が進められておりまして、サービスの切り下げが進行してきております。これらによりまして、郵便局の現場では混乱が生じ、国民の間に郵政民営化や郵政事業に対する不安が広がっております。

 本法案によりまして、まず株式の処分の凍結を法律上担保することでこれ以上のサービスの低下を防ぐということが第一でありまして、その上でさらに、郵政民営化を見直すことによってユニバーサルサービスや国民の利便性の確保が図られることが期待できる、このように確信をしております。

 以上でございます。

重野委員 今、提案者の答弁を聞いて、我々と全く同じ目線でとらえておられるという点について、ますますこの法案を成立させていかなければならぬ、このようなことを実感いたしました。

 次に、かんぽ会社について聞きますが、郵便保険会社はいわゆるサブプライム関連の投資を行っていないと国会で答弁されてまいりました。ディスクロージャー誌においてもそのように公表されておられます。今回のこの危機の特徴は、どこにどれだけサブプライム関連の損失が潜んでいるのかというのが不明なところに問題があるわけです。

 くどいようですが、間違いなく投資は行われていない、このように断言できるのか、お伺いいたします。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命におきまして、サブプライムローン関連証券化商品については保有をしておりません。

重野委員 では、理論的に、こういうサブプライム関連の商品を購入してはならないということが規定づけられているんでしょうか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金運用につきましては、貯金者や加入者に対しまして、貯金の元利金や保険金等の支払いを確実に行うため、事業の健全経営を確保していくことを基本に実施をしているところでございます。

 このような考え方からも、海外への投資につきましては、外国国債のように比較的シンプルな資産への投資を中心に行ってきておりまして、サブプライム関連証券化商品のような複雑な仕組みの債券には投資をしてこなかったというところでございます。

重野委員 竹中前郵政民営化担当大臣はこのように言ってきたんです。大変大きなお金を集めている今の郵政が、その制度的な縛りがあって一定の投資活動しかとれない、それを、より自由な投資選択の主体になっていただく、こういうふうに述べておられました。

 株式を処分する、つまり、国が株式を手放して、自由な投資選択を株主の意向に沿って行うということになれば、今回たまたまと私は思っておりますが、手を出していなかったサブプライムローンに手を出し、巨額の損失を出す可能性があったのではないか、このように思うんですね。

 そこで、将来にわたって、サブプライムローン問題と同様なことが起こる可能性は十分にある、このように思うんです。郵政が預かっている貯金や保険は、国民が最も郵政を信頼し、安心して預けているわけです。これを、小泉、竹中流に、国際的な投機の渦中に、自由な投資選択などという言葉でつぎ込むことは断固としてやめなければならぬ、このように確信いたします。民間企業の論理だけで運営されてはならない、それは郵政を信頼している国民を裏切ることになる、このように思うんですが、その点について、提案者の見識、認識をお伺いいたします。

近藤参議院議員 お答えを申し上げます。

 郵便貯金と簡易生命保険の資金は国民の貴重な財産でございます。金融危機や金融不信などが叫ばれる中で、民間企業の論理だけで運営してはいけない、国際的な投機の渦中にこの大事な資金をつぎ込むことには問題があるのではないか、反対だという委員の御指摘はごもっともなことだというふうに思っております。

 先ほど、竹中当時の担当大臣のお話がございました、発言がございました。自由な投資選択の主体になるべきだと。もし、今のアメリカ発の金融危機と、先ほどの自由な投資選択の主体になる、これを重ね合わせたときに、一体どういう事態になっていたか、考えるだけでもちょっとぞっとする気がいたしております。

 本法案は、まさに国民が安心して信頼できる郵政事業が行われるようにするために、政府、日本郵政株式会社による株式処分を凍結した上で、郵政民営化の見直しを行うとするものでありまして、ぜひとも委員各位の御賛同を賜り、可決いただくことをお願いする次第でございます。

 以上でございます。

重野委員 大臣に伺いますが、大臣は、きょうも再三答弁に立っておられますけれども、二十五日の参議院の総務委員会で、見直しがあってしかるべき、日本郵政が株を全部売ってしまった場合ユニバーサルサービスはどうなってしまうのか、このように述べておられます。

 私は、その大臣答弁を聞きながら、今回の凍結法は大臣のお考えと方向性が一致している、こういうふうに思うんですが、大臣の御認識を。

鳩山国務大臣 民営化という大前提は崩さない、そして、民営化して今のように日本郵政とあと四つの会社をぶら下げる形でやっていく、そこで問題があれば見直していこうという意味では、先ほどから提案者や先生が話されていることと、私自身そんなに方向は違わないと思います。

 ただ、株式の売却を何も今凍結する必要はないという点で全く異なっているわけでございまして、来年の三月に郵政民営化委員会が見直しの案というものを出してくるわけでありましょう。そして、我々も不断に検証を続けていく中で、将来の形がどうあるべきか、それは本当に、見直しをやっていく中で、今の分社化のあり方だって見直す可能性はゼロではない、どこかとどこかをくっつけるということだってあり得ないことではない、私はそう思っております。

 総理がおっしゃるように、今の金融情勢の中で株を売るということはあり得ないと思いますし、また、先ほど森山先生からお話があったように、上場しないで相対でどこかに株を売るということもあってはならないと思いますし、会社というものは三年間ぐらいどんな会社になるかじっくり実績を見せてその後上場するという意味でいうと、例外規定もできるだけ使わないで、西川社長とは若干意見が違うかもしれませんが、私は、平成二十二年の四月になってから考えればいいことではないか、こういうふうに思っております。

重野委員 そのほかもっと通告しておったんですが、もう時間が来てしまいましたので、答弁を予定されておった方には大変恐縮ですが、御理解いただきたいと思います。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 けさほどからのいろいろな議論を聞いておりまして、三年前、あるいはまたそれ以上前からこの議論をやっていたわけでございますが、その当時のことをいろいろと思い出しながら聞いておりました。

 あの当時から、間違った民営化を強引にやれば必ずこういう結果になりはしないかという懸念を持っていたわけでございますけれども、今の現状、また与党の皆様方からも御指摘のあったような点は、当時私ども十分に懸念をしたことであり、また議論をしたことばかりだと思います。そういう中で、今一斉に見直しが必要だというような空気が次第次第に強くなってきていると思います。ということは、とりもなおさず、あの分社化、民営化ということ、その基本的な制度設計、ビジネスモデルにやはり誤りがあったのではないかというように私は思うわけでございます。

 先ほど来、鳩山総務大臣、かなり踏み込んだ答弁もされておられまして、分社化についても見直すこともあり得るというような、そういう趣旨の御答弁もあったように思います。

 そもそも、郵政三事業というものが、官から民への流れの中で民営化、民営化ということになっていったわけでございますけれども、郵政三事業が本当に民営化の対象になるような事業であったのかどうか、その点の基本的な御認識を大臣に承りたいと思います。

鳩山国務大臣 私は全くうそをつけない人間だといつも申し上げておりますから、当時のことを思えば、郵政民営化ということについて、私は、これが本当にいいことなのかどうか、党内でも大激論がある中で、賛成すべきか反対すべきか、相当迷いました。ただ、今先生おっしゃいましたように、官から民への大きな流れというものがある、そして、民営化された中で、それは、効率化すること、あるいは新しく生まれ変わっていく中でいいこともあるだろうということで、最終的には賛成をしたし、私は、民営化ということに賛成したことについては、今でも間違ったとは思っておりません。

 しかしながら、私がそれぐらい迷ったわけでございますから、民営化することによって、日本の郵便、郵政、あるいは郵便局という一つの文化、日本独特の文化、地域コミュニティー、ゲマインシャフトといったような文化が破壊されるようなことがあってはいけないわけで、そういう意味で、先ほど総合担務のお話もありましたが、影がいろいろ出てきているならば、その影は早く取り除いていかなければならないし、見直しというのもできる限り大胆に行っていった方がいい、そう思っております。

 例えば、亀井先生は、私、大変すばらしい先輩議員として御尊敬申し上げ、今までいろいろと教えも請うてきたわけでございますが、あのような郵政民営化の中で、今は先生と政党を異にしておりますことは大変残念なことだと今でも思うわけでございまして、この場合、与野党の垣根を越えて、今後の日本郵政を初めとする五つの会社のありようについてはみんなで正しい見直しをやっていくべきだ、こう思っております。

亀井(久)委員 もともと郵便局の仕事というのは、もちろん事業でございますから収益性を求めるということは当然ですけれども、その一方において高い公共性、公益性を持っているということは申し上げるまでもないと思います。ですから、地域の生活の拠点として国民から信頼され、愛されて長い間続いてきたということだと思います。

 その収益性と公益性、公共性というのを両立させる経営形態としてどういう経営形態がいいのかという、この議論はさんざん私どもやってきたわけですね。そして、その議論の結果として、橋本内閣当時、今から十年前ですけれども、中央省庁等改革基本法、その中で、新しい国営の公社として再出発をさせるべきだ、そういう結論を得たわけで、そのときに、御承知のとおり、「民営化等の見直しは行わないものとする」という、わざわざ条文に入れているわけです。

 ですから、私は、あの議論をやるときに、もし民営化をするのであれば、その中央省庁等改革基本法の条文を見直すという、そこからスタートしなければこれはおかしいですよ、いまだにその法律は生きていて六法全書にも載っているというような、そういうことで民営化がそもそも進められるということはおかしいじゃないかということも言っていたわけでございます。

 そこで、今、私思い出してみますと、小泉総理が国会でこういう答弁をされておりました。郵政民営化の目的は何ですかという質問に対して、貯金と保険の二つの会社を切り離して、そして上場をして株式を全株、市場で売却することが目的だということを言われたんですね。私は、小泉さんは正直な方だから本音を言われたんだなというように思いましたけれども、小泉改革の本丸と言われた郵政民営化というのは、郵便事業とか郵便局の仕事をどうするかということではなくて、まさに、金融二社、貯金と保険の会社を完全に切り離して、そして民営化して株式を売却するという、それが目的だったというように私は思うわけでございます。

 そして、三年前の選挙の後、小泉さんに私は問いかけたことがあります。それは、まさに郵政民営化というのは、当時の小泉総理、小泉さんの強烈な従来からの思いと、それから、先ほど来御指摘ありましたけれども、アメリカの金融機関あるいは保険会社、そうしたところがこの金融二社を取り込みたいという、その強烈なアメリカの意思。それに、もう一つは、裏に隠れておりますけれども、財務省がいいとこ取りをやっているわけですよね。

 これは、従来は、公社のころは国庫納付金という形で財政に貢献してまいりましたけれども、民営化すれば、もうけてくれれば今度は法人税が入ってくる。あるいは、株式を売却する、すべて国が持っている株式を売却するわけですから、売却益が国庫に入ってくる。あるいはまた、三事業会社から郵便局会社へ事業の受委託が行われる、そこの手数料に対して消費税がかかるということでございますから、財務省にとってみればいいところばかりある。

 それからもう一つ、国債を安定的に消化させなくてはいけないということですから、それについては、旧勘定を切り分けて、独立行政法人を財務省所管のもとでつくって、そこが所管をしたものを貯金銀行に預けて運用はやらせる、しかし国債は引き受けなさいよという縛りをかける、そういうようなことをやるわけですから、財務省にとってはいいところばかりである。

 その三者の一つの利害が一致をして、言ってみればそれをマスコミがあおってしまった、その結果ではないかというように私は今でも思っております。

 そこで、郵便事業というのは、今回の中間決算でも明らかでございますけれども、もともともうかる仕事じゃないですよね。大臣、どのように思われますか。

鳩山国務大臣 郵便事業というものは、これは絶対のユニバーサルサービスが必要な事柄でございます。一般の企業であれば、もうかるところはやるが利益を生まないところは切り捨てるというのが一般の経営者の当たり前の方針だろうと思います。それに対して郵便事業というのは、あまねくどこへでも届けなくちゃいけない、離島であろうと富士山の上の測候所であろうと届けなくちゃならぬという意味では大変なユニバーサルサービスという巨大な責務を負っておりますので、単純に利益だけを求めていける会社ではない、そういう事業ではないと考えております。

亀井(久)委員 全く同じ認識でございまして、それは、封書にしても、はがきにしたって郵送コストが違うわけですから、遠距離に運ぶのと近間に配るのじゃ当然コストが違う。それを全国一律、均一料金でサービスをしている。それはやはり国民生活を支える上で不可欠なサービスだからそういうことをやっているので、だからこそアメリカでも国営で行われている。ほとんどの国で国営ないし公営で行われているというのはそういう意味だと思うんですね。

 ですから、民営化といいますけれども、完全な民営化ではないですよね、今の制度設計。郵便局会社と郵便事業会社は特殊会社ですよね。日本郵政という西川社長の持ち株会社、そこが株式を全株保有する、そういうことになっておりますから、これは純粋な民営会社ではない。純粋な民営会社を目指しているのは、あくまでも貯金銀行と保険会社である。

 ですから、郵便事業会社、郵便局会社というのは、これは民営化には全くなじまない、そういう仕事なんだというように思います。それを全体として一くくりにしておかなくてはいけないから、非常に複雑なそういう制度設計をやらざるを得なくなったということだと思います。

 これは郵便局の収支を見ればそのことは明らかでありまして、郵便事業に関して言えば、少し前の調査ですけれども、九四・五%の郵便局は赤字なんですよね。郵便局全体で、三事業全体で見ても、全郵便局の中の七一%は赤字なんです。

 都道府県別に見て、では、黒字を出しているところはどういうところかというと、四十七都道府県の中で三十五の府県は赤字ですよ。十二の都府県しか黒字を出していない。黒字を出しているところはどういうところかというと、主に三大都市圏ですよね。東京、千葉、埼玉、神奈川、それから中部圏の愛知県、岐阜県、静岡県、あるいは大阪、奈良。だから、三大都市圏を除いて黒字を出しているところといったら、岡山県と香川県と福岡県、その三つしかありません。

 ということは、その両方を重ね合わせてみますと、三大都市圏の金融の仕事が郵政事業を支えていたと言っても言い過ぎではないわけですね。それを金融のところを切り離すわけですから、それはどう考えてみたって、西川社長がどんなに苦労をされたって、将来、郵便局会社と郵便事業会社がもうかるというような、そういう展望は全く出てまいりません。

 ですから、私は、ある意味では西川さんは大変お気の毒だと思う。銀行経営者としてすばらしい能力を発揮してこられた、そのことは私ども十分わかっております。しかし、西川さんは、貯金銀行や保険会社のトップではなくて日本郵政という全体のグループのトップでございますから、やはり、郵便局会社、郵便事業会社の将来というものを考えておかなくてはいけない大きな責任を負っておられる。

 今、現場を歩いておりますと、西川社長に対する不満というのは非常に強いんですよ。あの方は金融のことしか考えていないんじゃないか、そういう声が非常に強く聞かれます。そして、何か局長会と西川さんが対立をされているような、そういう印象を受けてしまう。これは私は大変残念なことだと思っております。やはり従業員の人たち、スタッフ、その人たちと経営者との間の信頼関係というものがなければ、郵便局は成り立つはずはないと思っております。

 ちょうど公社の生田前総裁は、ユニバーサルサービスについても、最初は郵便だけのことかと思っていた、ところが実際に歩いてみたらそうじゃない、地方の人たちは、金融の仕事、貯金、保険を含めてユニバーサルサービスを期待しておられるということがよくわかりましたということを言っておられましたけれども、今、そういう現場の声があることに対して、西川社長はどのように受けとめておられますでしょうか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 確かに私は金融の出身でございます。しかしながら、私がこの日本郵政グループの中で最も今力を入れておる会社は郵便局会社でございますし、また、郵便事業をいかに安定的な収益の上がる会社にしていくかということ、これが私の大変大きな課題であるというふうに考えております。

 もちろん、このゆうちょ銀行、かんぽ生命も、将来上場ということになりますと、これも今の状態のままではなかなか難しいところがありますから、新しいビジネスモデルを導入していくといったこともやらなきゃならないわけでございますけれども、それよりも難しい問題というのは、やはり郵便局会社の経営、それから郵便事業会社の経営でございます。

 その経営の中で、ただいま、郵便局長は私は金融のことしか関心がないという声があるというお話がございましたが、私は、グループの中で一番、郵便局長会の方々、郵便局の方々とコミュニケーションを密にしておるつもりでございます。いろいろと局長会の皆さん等から御意見を承りまして、そして新しい施策に結びつけていくという努力を一生懸命やってきたつもりでございます。

 この二月末にも、郵便局活力向上宣言というものを発出いたしまして、前後三回にわたって百四十項目にわたる改善項目を出しましたが、これも私が、私がというのもおかしいのでございますけれども、郵便局長の意見をいろいろ聞いて、これをどうしていくかということの中で出てきた答えでございまして、全く金融以外に関心がないと言われるのは甚だ不本意でございまして、引き続き努力を傾けてまいりたいと考えます。

亀井(久)委員 今の御答弁どおりであれば結構だと思いますけれども、今、利用者の人たちからも大変な批判の声が出てきておることは御承知のとおりでありますし、また、そこで働いている人たちも、従来より働きにくくなったということをみんな一様に言っておるわけでございます。

 その一つのあらわれだと思うんですが、従業員持ち株会への加入率というものを見ておりましても、貯金銀行の方は、やはり将来性があると見ておるのか、六割以上、七割近いものがありますけれども、郵便事業会社、そして親会社の日本郵政の従業員持ち株会への加入率が極めて低い、三十数%しかないということは、やはりそこで働いている人たちが将来に展望が開けていないということだと思います。

 やはり、二十三万六千という大変な人を抱えているそのトップにおられるわけですから、将来に対して夢を持ち得る、そこで働いている人が夢を持てるような、そういう環境をつくるために精いっぱいの御努力をお願いしたい。まあ、基本的な制度設計を変えることは政治の役割でありまして、その中で相撲をとっていただくのが社長でございますから、そのことをお願いしたいと思います。

 それから、時間があればまだまだ伺いたいことがありますが、時間がありませんので、最後に。

 与党の皆様方の御質問を伺っておりまして、やはり、私どもと意識がそう違っているわけではない、しかし、基本的な制度設計を変えるというところまで与党の皆様方が踏み込めるのかどうだろうか、そのことに対しては私は大変疑問に思っております。

 先ほど、株式の売却をとめる必要はないじゃないか、来年の三月から見直しをやるんだから、その後に株式の上場ということは予定されているから凍結する必要はない、そういう御趣旨の御意見もありましたけれども、私は、やはり先ほど提案者からいろいろ御答弁がありましたように、そういうことであるならば、また逆に、凍結に対して反対をするという根拠もどうもはっきりしないわけでございまして、堂々とこの法案に賛成をされて何もおかしなことはないだろう。根本的な見直しが必要だということについては一致しているわけでございますから、その見直しをやるまで株式の売却を凍結するというのは当然の帰結だろうと思いますので、皆様方にも賛成をしていただけるだろうということを期待いたしまして、私の質問を終わります。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。

大野(松)委員 自由民主党の大野松茂です。

 私は、自民党、公明党を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に反対の立場から討論を行います。

 反対の最大の理由は、本法案を成立させ現時点で株式の処分を停止しなくとも、現行の郵政民営化法上、実際に株式が処分されるより前に民営化に関する見直しを行うことになっているからであります。

 郵政民営化法においては、三年ごとに、民営化各社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行うこととなっております。この三年ごとの見直しは、来年三月末に到来いたします。

 他方、現下の金融情勢等を踏まえれば、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の時期については慎重に対応することが必要と考えておりますが、日本郵政株式会社においても、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式については、遅くとも民営化後四年目の平成二十三年、仮に東京証券取引所の審査基準の特例が認められることを前提とした場合であっても、民営化後三年目の平成二十二年の上場を目指しているということであります。

 したがって、上場が行われるのは、来年三月の三年ごとの見直しが行われた後であります。

 なお、上場前にあっても、特定の者への相対での取引による株式処分は可能でありますが、本日の審議においても、総務大臣より、上場前の処分は適当でないと答弁されており、日本郵政株式会社社長からも、想定していない旨の発言があったと承知しております。

 株式処分を停止すること自体に意味があるのではなく、民営化後、地域住民等から指摘されているさまざまな御指摘を踏まえ、民営化後の状況を検証し、真に国民の視点からどのような見直しを行うのかが重要なのであり、自民党、公明党としても、しっかり対応していきたいと考えております。

 政府及び日本郵政株式会社を初めとする民営化各社におかれましては、郵政民営化関連法案の審議に当たっての附帯決議、昨年十一月二十九日の衆議院総務委員会における決議である、国民の権利を保障し利便向上を図るための郵政事業の推進に関する件を尊重し、関係法令、国会での答弁などに従い、国民のためになる民営化を実行していくことを期待しつつ、反対の討論といたします。

 以上であります。ありがとうございます。(拍手)

赤松委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 二〇〇七年十月一日、政府・与党の制度設計により、郵政民営化が実施されました。郵政民営化を推進した小泉元総理は、民営化によって郵便局のサービスが向上すると豪語しておりました。しかしながら、現在の郵政事業には、国民生活の利便性が低下していること、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があること、事業を担う四社の経営の見通しが不透明であることなど、深刻な問題が山積しております。また、郵便局の全国ネットワークやユニバーサルサービスの維持が困難になり、十分なサービスを受け続けられなくなるのではないかという国民の不安が高まっております。このような不安は、格差に苦しむ地方で顕著に見られます。

 郵政民営化の現状には多くの問題点が残されており、抜本的な見直しを行うことが求められています。それにもかかわらず、現在の民営化の制度設計のまま、政府のスケジュールどおりにゆうちょ銀行やかんぽ生命保険の株式が売却されることになれば、問題が顕在化しても修正は事実上困難であります。よって、本法案のように、日本郵政株式会社やゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式の売却を凍結する措置は必要不可欠であります。

 郵政の株式売却凍結をめぐって、麻生総理は十一月十九日、凍結した方がいいと述べました。しかしながら、その翌日には、高いときに売るという話だと述べ、みずからの発言が凍結を意味するものではないとの考えを示しました。麻生総理は、定額給付金や地方に移す一兆円と同様、郵政の株式売却についても発言がぶれる迷走を繰り返しました。総理としての資質に欠ける麻生総理に、郵政事業の見直しという重要課題を任せることはできません。

 最後に、政権交代を実現し、郵政事業における国民の権利を保障するため、また、国民生活を確保し、地域社会を活性化することを目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組むことを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対する賛成の討論を行います。

 郵政民営化から一年を経過して、政府・与党が主張してきた民営化のメリットが全くのでたらめであったことが明らかになってきました。

 民営化で利便性が向上するどころか、各種手数料の値上げ、集配郵便局の統廃合など、国民へのサービスは大きく後退しました。投資信託の発売では、国民に大きな損害を与え、これまで培ってきた郵便局の信頼を大きく損ないました。また、郵政労働者の労働条件の悪化も深刻です。

 そして、官から民へ資金を流すといううたい文句は、その大もとになっているアメリカ流金融、いわゆるカジノ資本主義自身が破綻し、まさに今現在、世界じゅうを混乱に陥れた元凶となっているではありませんか。

 利便性の低下からも、見本としたアメリカ流金融の破綻からも、小泉内閣が行った郵政民営化に未来はありません。根本から見直すときです。

 以下、賛成の理由を述べます。

 法案にあるように、国は日本郵政の株式を一〇〇%保有し、日本郵政がゆうちょ銀行、かんぽ保険の株式を一〇〇%持ち続けることが、全国の郵便局ネットワーク、金融サービスのユニバーサルサービスの維持など、公益優先の経営への見直しへの不可欠の条件だからです。

 また、法案は、見直しの具体化については国民的議論にゆだねていますが、利便性の低下、アメリカ流金融の破綻という現実の上に立って、徹底的な見直しの議論を行うことが重要であると考えています。私たちは、その事実の検証に立てば、四分社化を見直し、三事業の一体経営、国民にあまねく公平に貯金、保険のサービスを提供する金融のユニバーサルサービスを義務づけるなどの見直しの方向で合意が形成されるものと考えています。

 私は、郵政民営化見直しの国民的な議論によって、本来あるべき郵政の姿が浮き彫りになり、国民の財産としてその役割をしっかり果たすために力を尽くしていくことを申し上げまして、賛成討論といたします。(拍手)

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。

 社民党は、郵政民営化によって、公共性や利便性よりも採算性や経営判断が優先されることになり、そのツケは国民、利用者に負わされることになること、同時に、郵便及び金融のネットワーク、ユニバーサルサービスが崩壊させられ、過疎地域や離島での生活、高齢者の利便性が損なわれることを強く危惧し、郵政民営化関連法案に反対しました。

 郵政民営化の前から、千四十八の集配局の削減、一人の外務職員が郵便、貯金、保険の三事業すべての仕事をこなす総合担務の廃止などが行われてきました。それに加えて、民営化を機に、為替や振り込みを中心にした各種料金の引き上げ、時間外窓口の縮小、簡易郵便局の閉鎖、局外ATMの撤去、各種商品、サービスの廃止など、営利主義的な経営のもとで、コスト、採算性優先の動きがどんどん実施されています。

 一方、郵便局長を調査対象とした民営化後の実態に関するアンケートでは、民営化すればサービスは向上するとした政府公約とは逆の、サービス低下を指摘する声が七割以上であること、経営の自由度も増し経営の基盤も確立されるとした政府公約とは逆で、特に郵便局ネットワークの危機的状況にあること、職員もモチベーションが低下し、働きがいのない職場となっている点が浮き彫りになっています。

 麻生首相も、かつて、元経営者の立場で、五年たったらうまくいかなかったと証明できるんじゃないかと思うと述べています。また、先月十九日には、日本郵政グループの株式売却を当面凍結する意向も明らかにしています。まずは株式売却を凍結して必要な見直しをすべきではないかということを呼びかけ、私の賛成討論とします。(拍手)

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 第百六十八回国会、参議院提出、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君及び常務執行役伊東敏朗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、行政評価局長関有一君、情報通信国際戦略局長小笠原倫明君、情報流通行政局長山川鉄郎君、情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、消防庁長官岡本保君及び厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 ありがとうございます。久しぶりの質問で、限られた時間でございますが、大臣に何点かお尋ねをしたいと思います。

 麻生内閣も、昨今のいろいろなマスコミの報道によれば、支持率も大変厳しい状況というふうになっているところでございまして、自民党を初め与党の方でもいろいろな声が出ていることも事実でありますが、この前、我が党のあるベテランの方が、今のいろいろ動きを見てみると、与党として、厳しい風ではあるけれどもじっと我慢する、耐えるという意味の辛抱、それから、党を支える、あるいは政府・与党を支える中枢の方々の心棒、それもややなくなってきているのではないかという苦言を聞きまして、私も、なるほど、そのとおりかなと。やや、いろいろな、政局も含めて、軽率な発言なり挑戦的な発言をするのはいかがなものかな、そういう余裕が果たして我が国にあるのかという思いも持っているわけであります。

 じっと我慢する辛抱、それから心棒をしっかり持っておかないと、それこそ国民からの信望も離れてしまうのではないかと思うわけでございますけれども、そういう最近の動きについての大臣の所感を、政治家鳩山大臣の所感をお尋ねしたいと思います。

鳩山国務大臣 御承知のとおり、百年に一度の経済金融危機というふうに言われるそういう状況の中にあって、テレビをつけると、雇いどめの話、住むところもなくなったというような派遣社員の話とか、大変厳しい経済状況についての報道が満ちあふれているわけでございます。

 そういう中で麻生内閣は誕生いたしたわけで、誕生時はいわゆる世界的な金融危機という状況だったかもしれませんが、それが実体経済に波及をしてきた、とりわけアメリカ、中国、ヨーロッパの経済的な低迷というものが、加工貿易立国である我が国にとっては、輸出が激減するという形ではね返っているわけでございます。

 そういう意味で、景気とか雇用の問題は大変大きな問題でありますから、麻生総理を中心として、みんなで力を合わせて対処していかなければならないときだというふうに考えております。

 そうした中で、谷先生のおっしゃる心棒として、総理が自信を持って、求心力を持ってやっていただきたい、こう思っているわけでございます。

 ただ、総理の御発言の中で幾つか、確かに問題を残すものがあった。そのほとんどを私はすぐそばにおって、自分で耳にしたものでありますから、話の脈絡全部を聞けばなるほどという、街頭演説の中の一部の言葉ならなるほどということでありましょうが、その一部を取り出してみれば確かに問題発言というのはあったかと思っております。

 そのことによって逆に萎縮をされては困るわけでございまして、麻生カラーというのか、総理持ち前の自信と直観力をもって、これから、生活対策も雇用対策もあるいは地方を元気にするための対策も、果敢に推進していただければありがたいというふうに思っております。

 やはり政局がどうしても議論されてしまうし、選挙が数カ月以内に確実にあるということになりますと、すべてが政局、政局というような形で、非常に残念に思う場面も多くありますけれども、しかしながら、政策をきちんと実行していくということによって国民のいわゆる信望というものを得ていくというのが正しい道であろう、こう思っております。

 経済的にも厳しいし、あるいは国会もねじれ現象というものの中にあるわけでありますが、我々政府あるいは与党の皆様方は、それに耐えていく、辛抱していく力を十分に身につけていくことが必要なのではないか、そんなふうに思います。

谷委員 我々も時として辛抱しなければならないし、大臣におかれましても、心棒を引き続きしっかり持っていただいて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 昨日、政府・与党の中で、道路特定財源の一般財源化の方向について決定をいたしました。マスコミは必ずしも好意的ではありませんけれども、我々、地方の、地域の声を十分聞いている者からすれば、地方の道路財源を引き続き確保する、それから国の幹線道路などの財源も確保する、そして三つ目に地方の自由に使える交付税をふやしていくという三つの方程式を解く一つのやり方として、一兆円の新たな交付金制度の創設ということは私は評価したいと思いますし、納税者の理解も、こういうやり方であれば、完全に一般財源化するよりもより得やすいのではないかと思うわけであります。

 そういう中で、では、残された地方の交付税の確保がこれからどうなるかということでありますけれども、一兆円なのか数千億なのか、額も含めてこれからの政府・与党内の調整にかかってくるかと思いますが、そのことについての大臣の見通しといいますか決意といいますか、お聞かせ願いたいと思います。

鳩山国務大臣 総理が当初、道路特定財源の一般財源化の際に、一兆円を国から地方へ移す、そういうお話がありまして、その言葉の解釈をめぐって、私は、一兆円は、地方にとって最も使い勝手のいい、一般財源としての地方交付税が望ましいということを申し上げてきたわけでございますが、結果としては、略称臨交金、これは六千八百二十五億、ことしの場合はありますけれども、約七千億というお金に、道路特定財源として扱われてきた幾つかのものを合わせて一兆円として、これをいわゆる地方が比較的自由に使える、主として公共事業、しかしソフトにも使うことができるお金として確定をしたんだろうと考えております。

 ですが、昨日決めました政府・与党の合意文書の中にも、最後の一行なんですが、地方交付税の増額は予算編成の過程で考えていくということでございます。

 これは、地方財政計画、つまり平成二十年度の地方財政計画に基づいてそれぞれの自治体が予算を組んで、既に執行中でございます。そして、その地財計画に基づいて、交付税の九四%分は既に配り終え、今月と三月とで残り六%の特別交付税を地方にお支払いする。まさか、自治体が予算を組んでやってきたものに対して、穴があいたから返してくれというわけにはこれはいかないわけでありますから、ことしの景気の悪化によって国税五税の収入も減るであろう、あるいは地方税の収入も減っていくであろう、この穴埋めのための作業というのが、これはまた財務省と相談して決めていかなくちゃならない、こういうことでございます。

 そして、来年度予算についても、地方交付税に関しては大変厳しい情勢にありますが、予算編成過程で、場合によっては政治的な決着ということで増額の道を開いていただきたい。その場合に一番重要なことは、穴を埋める地方交付税という考え方ではなくて、地方のあるべき歳出を積み上げていく、つまり基準財政需要がふえたからという形で地方交付税の増額をお願いしていきたいと思っております。

 逆に言えば、骨太とかいろいろな方針が幾つかあったんだと思いますけれども、交付税が五兆円以上減額されていった時点というのは、基準財政需要の積み上げを減らしていったわけで、そこで一番その打撃をこうむったのが地方単独の事業ではなかったか。それは、人員的な意味での単独のもの、そしていわゆる事業としての単独のものが恐らく三分の一ぐらいになってしまっているんではないか。

 しかし、地方単独のものが行われないということは、地方の個性が出ない、首長さんたちが真の経営者になり得ないということでございますから、そういう意味で、私は単独事業の積み上げというのはこれからぜひともやっていきたいと思っておりますので、穴埋め財源というものは、平成二十年の地財計画の結果としては、決算としてはあり得ることでございますが、平成二十一年度の地財計画においては、穴埋めとしての地方交付税でなくて、歳出の積み上げに見合う交付税の増額というものをお願いしていきたいと思っております。

谷委員 大臣のおっしゃられるとおりだと思います。我々が、交付税、結果的に二十一年度がこうなったというときに、交付税をふやしたふやしたと幾ら市町村長さんなり地方団体の首長さんに言うても、国民の方は、では何のためにふやしたのか、それでふやしてどうなるということをやはりしっかりと説明しなければならないと思います。その意味で、穴埋め、財源不足の補てんというような消極的なことではなくて、こういうことのために、地域医療を守るためにこの分を積み上げて必要額を確保したとか、そういう説明がぜひ必要なのではないかというふうに思っています。

 大臣言われるように、以前と比べて単独事業が三分の一というか、合併している市町村は、私の感覚ですけれども、五分の一ぐらいになっているんじゃないかと思います。合併前にそれぞれやっていた事業が、合併後の新しい市でどれぐらいやっているかというと、本当に少なくなっている。ですから、そういう意味で、ぜひその辺も、我々も全力で取り組みますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それに絡んで、今与党の税調、税制調査会の中ではさまざまな、住宅ローン減税を過去最大級にやろう、あるいは景気対策のために自動車取得税、自動車重量税を時限を限って相当思い切った軽減措置ということが検討が進められているわけでございます。

 結論はまだ出ておりませんけれども、仮にそれらをした場合、相当市町村の税収に影響してくる。市町村民税であるとか、自動車取得税は形式上は都道府県ですけれども、七割が交付金として市町村に行くわけですから。重量税は譲与税の全額が市町村です。そういう場合の補てんについても、しっかりと完全補てんを目指して頑張っていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

鳩山国務大臣 住宅ローン減税については、本当は所得税で全部やっていただければありがたいという思いがございます。

 ですが、数年前に、補助金の一般財源化に伴って、補助金の削減に伴って、三兆円の税源移譲をして、住民税が五%、一〇%という税率を一律一〇%にした。したがって、一定の所得以下の方は、所得税の額が減ったために、住宅ローン減税の恩恵を受けても、みずから払っている所得税よりも大きな税額控除になるから、いわば引き切れないので、その分は住民税から引きますということでありましたが、これは全額特例交付金で補てんをされたところでございます。

 今回は、総理が史上最大の住宅ローン減税ということでございますので、多分、一人当たり六百万ぐらいの税額控除が今計画されているんだろう。そうなりますと、より引き切れない金額が大きくなる、こういうことで、住民税にもその影響が及ぶ。つまり住民税から引き切れない分を引く、こういうことなのでありましょうが、やはり住民税というものは一種の町会費みたいなもので、地域社会の会費としての性格がありますので、余りむちゃな引き方は困る。少なくとも、税源移譲前の姿というものを考えて、五%分は地域社会の会費ですから、そこに食い込むような住宅ローン減税は正直言って困るなというふうに考えております。

 そしてまた、そうでなくても、減税されてしまう分、地方税収が減る分については、それはしっかりと満額の補てんをお願いしていきたい。また、自動車取得税と自動車重量税の譲与税分、地方に来る分について、これもまた減税がうわさされているわけでございますが、これも、地方財政に影響が及ばないように適切な補てんをお願いしたい、こう思っております。

 お願いというのは、国会の先生方に、あるいは与党の先生方にお願いをしなければならぬと思っております。

谷委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後にちょっとデジタルの話でございます。

 デジタルに対応できるように今総合的に進められているわけでございますけれども、経済的に困窮度が高い世帯が、なかなかお金がかかるということで、要求では生活保護世帯だけということでございますが、このたび、与党のデジタル放送推進ワーキングチーム、私もメンバーに入らせていただいて、いたんですけれども、NHK受信料全額免除世帯を対象に、もう少し、もう少しというのか倍ぐらいになりますが、市町村民税非課税の障害者であるとか、社会福祉事業施設入所者などにも拡大してはどうかという申し入れをさせていただいているんですけれども、そのことについて、デジタル化に必要な機器の貸与の拡大について、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

鳩山国務大臣 与党として考えをおまとめいただいて、この間お話を承りましたので、ぜひそういう方向でやらせていただきたいと思っておりまして、最初に総務省として生活保護世帯、こう考えましたときは百二十万世帯でございましたけれども、障害者のおられる市町村民税非課税世帯が百二十万世帯、社会福祉施設入所者が二十万、こう考えますと、大体、マックス二百六十万世帯ということになろうかと思っております。

 このことは一つだけ非常に派生的にいいことがあるわけでございまして、それは、チューナーをお配りするという場合には、受信料免除世帯ですから、当然、受信契約を結んでいないとこれはお渡しできないわけでございますので、今、受信契約をしておられる方というのは七割ぐらいだと思いますが、このことによって、もちろん免除されるような御家庭であっても、受信契約を結んでいただくインセンティブにはなると思っております。

谷委員 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、薗浦健太郎君。

薗浦委員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 きょうは、今、私の前の谷先生に引き続きまして、地上波デジタルについて幾つかお伺いをしたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、先般総務省の方が発表しましたアンケート調査で、いわゆる地デジの受信機の普及が計画よりも大分おくれている、四六・幾つでしたか、そういう数字が出ました。

 その数字自体もそうなんですけれども、同じ調査で、たしか四人に一人の方がまだ二〇一一年にアナログ放送が終わるということを御存じないというデータも出ています。

 この数字に関して、大臣、率直にどう思われるかという御感想と、それから、今、対策を含めてどういうことを考えていらっしゃるかというのをお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 恥ずかしいことでございますけれども、私自身、総務大臣になったときに、アナログからデジタルへ移っていくことは知っておりましたが、その完全停波が、当時、私の就任のときだと千何日後に迫っているということは知りませんでした。つまり七月二十四日という日付は知らなかったわけでございます。それまでは裁判員制度の始まる日にちばかり頭にあったものですから、ですから七月二十四日という日にちを知りませんで、知らなかったことがもう一つ、全くアナログが完全に停波するということも知りませんでした。何か一部残るんじゃないかなと思っておったわけですね。

 そういうことですから、実際、国民の方々とお話をすると、デジタルへ移っていくということはわかる、何かデジタルというのはいいことがあるんだということもわかる、しかし、それが完全になくなってしまうということについての認知度は、私はかなり低いと思うんですね。そういった意味では、広報宣伝はテレビ局にも随分お願いしておりますが、もっともっとやらなければいけないというふうに思っております。

 それから、ことし九月の時点で、受信機の世帯普及率は四六・九%で、我々の計画が大体五割ぐらいをねらっていたところが四六・九%であった。これは、正直言って、北京五輪というものを当てにして、北京五輪を契機にデジタル受信機をみんな買ってくれるんじゃないかと思っていたところが、ちょっと当てが外れた。しかしながら、実際普及している台数は、目標が四千百三十万台だったところ、四千二百二十五万台と上回っておりますから、この数字は悪くないと思っております。

 いずれにいたしましても、二〇一一年の七月二十四日まであと九百五十七日しかございませんので、その間に、最後は一部衛星に頼らざるを得ない、衛星ということはキー局のものしか映らないんだと思いますけれども、若干あると思いますが、すべての御家庭が地上のデジタル波を受信できるように、国策として決めた以上、全力で頑張ってまいります。

薗浦委員 ありがとうございました。

 ぜひ、七五という先ほどの認知の数字が一〇〇になるまでこれは頑張っていただきたいなと思います。

 裁判員制度からデジタルへと頭の切りかえが進まれた大臣だと思いますけれども、地上波デジタル放送というもののメリット、一方で、そのデメリットというものも少々はあろうかと思うんですけれども、その認識は引き続きお伺いできますでしょうか。

鳩山国務大臣 地上デジタル波によるメリットというのは、何といってもゴーストのないハイビジョンの高画質やCD並みの高音質の放送を楽しめる、データ放送、ワンセグというような新しいサービスが可能になる、あるいは、一つのテレビ局から何チャンネルも出てそれを一度に受けることができるとかあると思うんですけれども、やはり、電波がアナログに比べて有効に利用できるわけで、大体アナログで使用していた周波数の三分の一を節約することができるので、それを携帯電話だとか安全情報とか、そうしたことに振り向けることができるということが最大のメリットではないかというふうに思っております。

 デメリットというのは余り頭に思い浮かびませんけれども、普及させるのがちょっと大変だというデメリットが一番大きい。それから、UHFの電波が直進性が強いから、回り込む、回折性というんでしょうか、これが弱い電波になりますと、やはり受信障害が出る地域が広がるということがあるのかもしれません。

 それから、これはアナログだから大丈夫ということではないんでしょうけれども、CDとかデジタルの放送で音域をすごく狭めて放送するわけですね。

 私は前にもお話ししたかもしれませんが、人間は、もともと森の中から生まれた、森林浴で森の中に行くと非常にいい気持ちになる。それは、木が水を吸う音とかミミズがはう音とか、大変高周波の音が、つまり、聞こえない、感覚していても知覚できない、物すごい音の広さというのが雑木林の中にある。最近の研究によると、そういう音を人間に聞かせると、音は聞こえないんだけれども、脳からエンドルフィンとかドーパミンが出てすごくいい気持ちになると。

 それが、実はCDとかデジタル放送というのは物すごく狭めている。だから、これが幼児とかあるいは教育という面で、もしかすると幼児の発達過程で悪い影響があるかもしれない。ですから、今後の技術開発によってデジタル放送がうんと広い音域で音を流していただけるようにしないといけないんじゃないかなと思っております。

薗浦委員 僕が、今大臣がおっしゃるメリットもよくわかりますし、それも十分に把握をしておるんですが、一つちょっとデメリットという部分で危惧をしていることがございまして、今、アナログ放送とデジタル放送のテレビを横に並べて見るとタイムラグがあるというのは、総務省、当然御存じですよね。

 これが、サッカーの試合を見ていて、アナログを見ている人とデジタルを見ている人で、おおっと歓声が上がる時期が一秒二秒ずれました、これは笑い話で済むと思うんですけれども、先般の岩手・宮城内陸地震、あのときに気象庁が緊急地震速報というものを始めました。受像機、いわゆる受信側のデジタル処理のおくれで通常放送もおくれるんですけれども、この警報の場合はさらに数秒おくれるというふうに伺っております。

 とするならば、それこそ一秒、二秒を争うあの速報が、アナログだと間に合った、火を消せた、だけれどもデジタルの場合だったら間に合わなかったということが起こり得るのではないかというふうに思っているんですけれども、その辺は総務省はちゃんと把握されているんでしょうか。

山川政府参考人 地上放送のメディアは、国民生活に密着した情報サービスとして、緊急地震速報の提供に非常に重要な役割を果たすものであると私どもも認識しております。

 現在のデジタル放送におきましては、この緊急地震速報を放送番組の映像に重ね合わせて伝送しております。そのために映像情報圧縮のデジタル信号処理に若干の時間がかかるところでございまして、そのため、速報内容の視聴者への伝達に一定の遅延が生じております。これは承知しております。

 こうした緊急地震速報のより迅速な伝送の実現というのは極めて重要であるということも私ども認識しておりまして、総務省といたしましては、この遅延をできる限り短縮するために、情報処理の時間を低減するための高速の処理の研究開発に取り組んできております。

 また、今般、デジタル放送の民間規格の策定を行っております電波産業会あるいはデジタル放送推進協会に対しまして、例えば、緊急地震速報と映像情報を別々に放送するということをすれば、デジタル放送の遅延の影響を受けないことが可能となります。こうした新たな技術的手法の検討につきまして要請をいたしまして、現在、今年度内の取りまとめを目途に検討が進められております。

 総務省といたしましては、今後とも、緊急地震速報のできる限り速やかな伝送の実現に努力してまいりたいというふうに思います。

薗浦委員 努力をしておるというのはよくわかったんですが、メディアはいろいろございますけれども、例えば新聞というメディアの特徴が記録性とか調査報道というものにあるとするならば、やはりテレビというのは速報性、すなわちスピード感というものが大きな武器であって、だからこそ、今言った地震速報なんかもテレビでやる。決して新聞でそういうことはできませんから、テレビでやるということになったんだと思います。

 であるとするならば、アナログより速報が遅いデジタルが始まってしまう。始まってしまうという言い方は失礼かもしれませんけれども、これは二〇一一年までにキャッチアップできるんでしょうか。というか、キャッチアップをしてもらわないと困ると思うんですけれども、その辺の予定というか、先ほど大臣が国策とおっしゃったものですから、それは国策としてやるべきではないかと思いますけれども、重ねてこれはお伺いしたいと思います。

山川政府参考人 今の先生の御指摘でございますけれども、私ども、この伝送方式の実現を今要請しておりまして、今年度末に取りまとめられますと、これを制度化するのに大体半年ばかりかかろうと思います。制度化された後、それを製品として具体化しまして、これが市場に出回ってきて普及すれば、解消に向かう、ある程度の遅延速度のおくれを取り戻すことができるようになるだろうというふうに思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 今から年度末に向けて取りまとめて、その後、半年で制度化をして遅延の解消に向かうというのは、これは受像機の話だと思うんですけれども、その間にというか、今までに買っちゃった人、それから制度化をされて新しい基準に合うまでに、いわゆるデジタルテレビ、これは高い買い物ですから、それまでに買っちゃった人への対策という意味では、送信側のことをもうちょっと考えてもらわなきゃならないと思うんですけれども、プラスアルファで何か考えていることはございますか。

山川政府参考人 御指摘のように、既にテレビをお買いになった方もおられますので、私どもといたしましては、例えば、映像にスーパーインポーズする従来からの方式に加えまして、字幕機能の併用、これは速報内容を別途字幕データとしても伝送するということにつきましても検討してまいりたいと思います。

 そうした幾つかの方式を検討することで、先生の御指摘のような御心配に対応していきたいというふうに思っております。

薗浦委員 アナログの停止までにアナログ放送と同程度でデジタル放送においてもいわゆる速報が出せるということを、先ほど大臣、国策とおっしゃっていただきましたので、国策としてこれもぜひやっていただきたいというふうに思っています。

 話を少々かえまして、日本方式の地上波デジタルというのは非常に技術的には優秀だというふうに伺っております。先般、ブラジルが日本方式の導入を決めていただきましたけれども、それまでには大勢の方が官民を挙げてブラジルに行き、お願いをし、そして導入をしていただいたという経過がございます。

 一方で、例えば、韓国がアメリカ方式を決めたりだとか、中東の方ではヨーロッパ方式というものがどんどん席巻をしておって、日本方式というものの普及がいまいちおくれておるような気がするんですけれども、これについての御認識はいかがお持ちでしょうか。

鳩山国務大臣 日本方式、私は詳しいことがそれほどわかっているわけではありませんが、大変優秀なやり方であって、ワンセグができるのも日本方式だけだと私は聞いておりますが、正直言って、日本方式、欧州方式、米国方式、これは今は陣地のとり合い合戦になる。これが国際競争力の問題にもなってまいります。

 薗浦先生御指摘のように、ブラジルが日本方式に決めてくれたということで、今アルゼンチンとも相当交渉をして、アルゼンチンと大体話がまとまるわけですが、やはり日本方式を採用してくれと言うと、じゃ、日本企業への協力要請とか、いろいろあるんですね。正直言って、金がかかる事柄もあるんだろうと思いまして。日本とアルゼンチンとの協定が結べるのではないかというところに今来ております。十二月に協定が結べる場合にはゼロ泊四日で行ってきませんかという誘いも受けましたけれども、ちょっと国会の都合で行けないと思いますが、ちょっとおくれても来月あたりには協定が結べるのではないか。

 それから、ペルーについては、この間総理が行かれたときに相当話を詰めていただいた。それから、フィリピンについても相当話を進めておりまして、できる限り日本方式を採用してくれる国がふえることは、我が国の経済、国際競争力にとって大変重要だと思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 まさに今大臣がおっしゃったとおりで、私が二年前、ブラジルにお伺いをしたときに、実は、ワンセグの日本のテレビ番組を録画していきまして、それをガルシアという大統領補佐官に直接見ていただく機会がありました。そのときにガルシアさんは何とおっしゃったかというと、いろいろな国がいろいろなものを持ってくるけれども、こんなちっこい、いわゆる携帯電話で、これほど鮮明な画像が見られるとは思わなかったというふうに日本の技術力を大変高く評価をしておりました。その一方で、じゃ、日本方式を入れるからブラジルに日系企業の半導体工場を二つぐらいつくってくれぬかということもありましたけれども、まさにそれはもう大臣のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、メーカーの人たちなんかに話を聞きますと、今大臣がまさしくおっしゃった国際競争力、産業振興というものにプラスアルファをして、いわゆる大量生産というものが軌道に乗れば、国内のものも非常に価格低下が見込めるんじゃないかという話をしておりましたので、これはぜひ、いろいろな省庁と連携をしてという話になるんでしょうけれども、やっていただきたいと思います。

 一方で、メーカーとの協力というものもこれから必要になってくると思うんですが、大臣、そちらの方は、国内のいわゆるメーカーとの話とか技術開発について、リーダーシップというかそういうものをとっていただく意思はおありでしょうか。

鳩山国務大臣 薗浦先生おっしゃるとおり、日本方式が世界に広がれば、その機器の生産数がふえるわけですから、当然一台当たりの価格が安くなる、これは事実でございます。そして、いろいろな家電メーカー等からも我々は後押しを受けて、この日本方式の普及に努めていっているつもりでございます。

薗浦委員 ありがとうございました。

 まだまだちょっと海外のことも聞きたいのですが、最後に、先ほど谷先生からもお話がございましたけれども、いわゆる全世帯普及のための方策というものが、先ほど与党の合意というものがございました。百二十万世帯だったのを、それからふやしていこうよという話もしておりますけれども、大臣自身は、今の御自身のお考えとして、これはやるべきであるというふうにはっきりお考えなんでしょうか。

鳩山国務大臣 この間、与党の方々がお見えになってお話し合いをして、やろうと思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 いろいろ新しいものをやろうとするときには混乱が起こりがちですけれども、テレビというのは今は切っても切れない国民の生活必需品でございますので、ぜひとも混乱が起こりませんように万全の対策をしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 きょうは、まず初めに、公立病院の経営支援ということでお尋ねをさせていただきたいと思います。

 御存じのとおり、今、公立病院が大変危機的な状況になっております。地域の医療を提供していくという観点で非常に重要な役割を担っておるわけでございます。全国的に約一千ほどあるということでございますが、近年、過疎地、また産科、小児科、救急医療の医師不足が大変深刻化しているということと、診療報酬のマイナス改定というのがやはり大分影響しているようであります。また、地方財政が御存じのとおり大変悪化しているというようなことで、経営環境というのは大変厳しい状況でございます。

 総務省では、定住自立圏構想ということで、地方が崩壊しないように、今大臣中心で進めていただいておると思いますが、その中でも、やはり地方の病院の存在というのは大変大きなものがございます。

 それで、従来から私も、副大臣をいたしておりましたときに幾つかの自治体から陳情も受けたのですが、その問題意識を持っておったのですが、先日、十一月の二十五日に、公立病院に関する財政措置のあり方等検討会というように、有識者の皆さんが集まっていただきまして、取りまとめをしていただいたわけであります。

 その概要をちょっと私の方から申し上げますと、例えば、具体的に申し上げますと、過疎地に関する財政措置の充実ということで、不採算地区病院に関する特別交付税措置を改正すべきであるというようなことであるとか、産科、小児科、救急医療等に関する財政措置の充実ということで、今度審議をいたしますけれども、国家公務員の医師の給与は百二十万ばかり上がるということになります。これの状況を踏まえまして、公立病院の医師給与についても所要の地方財政措置を講じるべきであるとか。

 また、最近公立病院の経営形態が多様化をいたしておりますが、そのようなことの財政措置ということで、公立病院と同等の医療機能を提供する公的病院、公益法人立の病院等に対して助成をしている場合に、現行の不採算地区病院機能に加え、救急、周産期、小児医療等の特別交付税措置も準じて適用すべきであるとか。それと有床診療所です。先日も大臣が夕張の有床の診療所の視察に行かれたと聞いておりますが、有床診療所については、不採算地区病院等の特別交付税措置を準用すべきであるとか。

 また一方で、やはり公立病院もこれは改革していかなければなりません。びっくりするぐらい豪華な公立病院もあるわけでございます。そのようなところはやはり改革していかなければなりませんし、また、病床の利用率の状況等もやはりある程度反映をしていかなければならないと思います。

 このような検討会の取りまとめがあったわけでありますが、私の方から、尋ねるというわけではありませんけれども、ぜひ今回、財務省との間で交付税総額で大臣も頑張っていただいておると思いますが、地財措置また特交措置、特別交付税で何とかこの取りまとめで書かれておられるようなことを実現するために大臣に頑張っていただきたいというように思っておるわけでございますが、今申し上げたことにつきまして大臣の御見解をお述べいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 谷口先生のお話のとおりで、そのとおりやっていきたいと答えればそれで終わりというぐらい、先生のお考えと私どもの考え方は一致をいたしております。

 従来から、公立病院は非常に重要であって、先ほどの郵政のユニバーサルサービスではありませんが、やはり不採算地域でも病院はなくてはならないという意味で置かれている公立病院等もあると思います。一方、経営面では非常に厳しい状況に置かれており、現在の医師不足、あるいは産科、婦人科、小児科の医師の不足ということも大きく響いているわけでございます。

 したがって、ベッド数やその機能に応じて交付税措置を講じていかなければならない。とりわけ医師不足の著しい過疎地の問題、産科、小児科、救急医療に関する財政措置という意味では、特別交付税でできる限りの措置ができるように頑張っていきたいと思います。また、日赤のような公的な病院に対して自治体が助成するというような場合に、お金がかかることでございますから、これも特別交付税で措置をしていきたい、こう考えております。

 いずれにいたしましても、二十一年度の地方財政計画というものは間もなくあらあらの姿を示すわけでございますし、そうした地方財政対策において、地域の医療体制の確保のためには、地方交付税を中心としてきちんとやっていかないと国民の健康が危機に瀕することになるというふうに思っております。

 また、逆に、先生からも御指摘があったように、余りに豪華で、金のかけ過ぎ、無駄ではないかというようなことについては、もっと効率的な医療供給体制をつくるように要請をしていきたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 大阪府内の、自治体の名前は申し上げませんけれども、ある自治体で、公立病院、市立病院を経営しておって、そこで内科の先生が当時五人おられて、五人とも全部やめられたわけです、突然。それで、その病院の経営が全く成り立たない。内科の先生が五人全部やめたわけですから。

 その原因は、やはり医師の給料にあるわけですね。やはり開業医の皆さんと比べますと、労働現場がかなり過酷でございますし、それで給料も安いということで、そういうところが日本全国のところで出てきておりますので、非常にきめ細かく、財源の問題も、また働きやすい環境ということも含めて、ぜひ大臣の方から御尽力賜りますよう、よろしくお願いいたしたいと思います。

 その次に、今度お聞きいたしたいのは、新型インフルエンザなんです。

 きょうは厚労省からも来ていただいておりますけれども、新型インフルエンザ対策でお伺いをいたしたいと思います。後ほどお聞きしますけれども、消防庁も救急現場でこれからいろいろ大変重要な役割を担っていただかなければなりませんし、地方がどのような対応をとっておるのか、これは非常に重要でございます。

 御存じのとおり、この新型インフルエンザというのは、もういつ起こってもおかしくないというような状況でございます。私が、この八月に離任しましたけれども総務省の副大臣のときに、川崎市で新型インフルエンザの訓練をいたしました。そのときにも担当の先生がおっしゃっておられましたけれども、新型インフルエンザというのは、来るか来ないかというような問題ではなくて、必ず来ると。必ず来るということですよね。それで、国立感染症研究所の感染症情報センター室長は、十年後までに一〇〇%発生するとの認識を持つべきだ、こういうふうにおっしゃっているわけです。

 それで、そのリスクは今どんどんどんどん高まりつつあるわけで、政府の方も一体となって新型インフルエンザ対策を講じておりますし、与党のところでもPTをつくって対応を今検討いたしておるところでございます。最悪は、六十四万人の方がお亡くなりになるかもわからないというような状況でございます。

 それで、新聞報道を見ておりましたら、十一月の中旬にインドネシアで集団感染が疑われる事態が発生したという新聞報道がございまして、インドネシアというのは従来からそういうようなケースが多かったようでありますけれども、ちょっと簡単に御紹介します。

 十一月の十二日から十三日にかけて、南スラウェシ州の州都マカッサルで、同一地区の住民十七人が高熱と呼吸障害を起こして病院に運び込まれ、鳥インフル感染が疑われたため一般患者とは隔離をされた。今月上旬、患者たちの近所で約三十羽の鶏が死んだとも言われている。十四日になって、集中的な治療の結果、十七人のほとんどは症状が改善してきた。ただ、ジャカルタ・ポスト紙は、病院と地元大学の研究室が患者たちに行った初期の血液検査でいずれもH5N1の陽性反応を示したとも伝えたというような状況でございます。

 これは、結局、二十日に至って、インドネシア保健省は、病院から送られてきた患者の血液とたんの検査結果について、検査結果は陰性だということで、おさまったわけでございます。しかし、もしこれが陽性であれば、今大変緊張感のある世界が警戒レベルを上げなければならないという大変重要な状況であったわけでございます。

 このような報道があったわけでありますが、初めに、きょうは厚生労働省からおいでいただいておりますのでお伺いいたしたいと思いますが、WHO、世界保健機構や厚労省からも何の情報もなかったと言われているわけです。それで、このようなことについて、今回、厚生労働省に情報として入っておったのかということをまずお伺いいたしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事例につきましては、厚生労働省といたしましては、現地で報道があった直後に、大使館から情報を把握し、直ちに現地に派遣していた専門家を通じて情報収集を行いました。

 その情報収集の結果、この事例につきましては、まず鶏が死亡したとの報告があったため、発熱等の兆候があった者を念のため予防的に幅広く入院させた、また当初報告された十七名以上には入院患者が増加をしなかった、それから飛躍的に人から人へ感染していると判断できる事実が確認できなかった、それからH5N1であるとの検査結果が出ていなかったということでございまして、鳥インフルエンザの集団発生である確度は低いものというように判断をいたしまして、地方自治体への注意喚起は行わなかったところでございます。

 なお、問い合わせがあったところにつきましては、その時点における国の情報をお伝えするという対応をいたしました。

 厚生労働省といたしましては、集団的な新型インフルエンザ発生を疑わせる事例が発生した場合には、情報収集と、適時適切に関係者に対する情報提供を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

谷口(隆)委員 この新聞報道を見ますと、この事件と申しますか、これが生じたのは十一月の十二日から十三日で、最終的にインドネシア保健省が陰性だと言ったのが二十日なんですね。それで、この新聞報道によりますと、全国七割の三十二都道府県が、インドネシアで入院の一報があったその日かまた翌日に情報を得ているというような状況であったようでございます。逆に言いますと、三割の県が知らなかったというようなことになっております。

 この情報提供は、厚生労働省が各地方に連絡をする、情報提供するというようなことになっておりますが、私が思うのは、十二日、十三日にこういう事件が発生して、一週間ほど大変大騒ぎだったと思うんです、インドネシアでは。この辺の情報をやはり地方に情報提供する必要があるのではないかと思うんですが、なぜやらなかったんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明いたしましたとおり、私どもが専門家を通じて情報収集をした中で、この事例につきましては、鳥インフルエンザH5N1型の集団発生である可能性は低いというふうに判断をいたしまして、地方自治体への注意喚起を行うには至らないという判断をしたということでございます。

谷口(隆)委員 それはどういう根拠でそういう判断をされたかわかりませんけれども、しかし、私が思うには、そのような確定的な判断が下せないという状況のときには、まずはやはり地方にこういう情報を流すべきだと私は思うわけでございます。そういうようなことをやらないと、今政府の方ではこの新型インフルエンザ対策を各役所集まってやっておるわけでありますが、必ず抜けてしまうというところが出てまいるわけでありまして、これは今後ぜひそういう観点でやっていただきたいと思います。

 今度は総務大臣にお伺いいたしたいと思います。

 今厚生労働省がそういうことをおっしゃったわけでありますが、どうも、状況を聞いておりますと、各都道府県、地方でも対応がまちまちで、おくれておるところもあるというようなことが懸念されておるわけでございますが、大臣の方から、そういう進捗状況等がおわかりであれば教えていただければと思います。

鳩山国務大臣 新型インフルエンザということであれば、その対策は当然厚生労働省の担当でありましょうが、やはり、情報を早く伝える、とりわけ地方自治体に対策を打たせるという意味では総務省も責任が大きいと思っておりまして、現在内閣官房を中心に改定作業を進めております新型インフルエンザ対策行動計画というのがございまして、それに基づいて関係省庁が地方自治体と連携協力しながら発生段階に応じた総合的な対策を推進するということとしておりますので、どこにどう責任を持たせるかということがありますが、都道府県、市町村にできるだけ早く情報が伝わるように、そういうシステムをつくるように努力をしていきたいと思っております。

 また、総務省は消防庁を持っておりますので、情報が来ればすぐ各消防本部に連絡をとるようにいたしておりますし、消防本部がどういう業務計画を策定するかという、そのためのガイドラインの作成も今進めているというところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど先生からおっしゃった南スラウェシ州のマカッサルというところは、いわゆる昔から、ウジュン・パンダンと言われているところでございまして、近くにはバンチムルングという非常に美しい渓谷地帯があるので、私も遊びに行ったことがありますから、観光客はそう多くはないでしょうが、日本人も十二分に行くところで、もしこれが新型インフルエンザであったならば確実に日本に来ていたのではないかなと背筋が寒くなるような思いはいたします。

谷口(隆)委員 消防庁長官、きょうおいでいただいていますので。

 私も訓練いたしましたが、救急隊員の皆さんは前線で働いていただかなければなりません。モラールの問題もありますし、一言、時間がありませんので、今の状況を長官の方から御報告いただきたいと思います。

岡本政府参考人 委員御指摘いただきましたように、二月に、当時谷口副大臣に御指示をいただきながら、消防庁としての対策本部を立ち上げました。

 三つの対策を講じておりまして、一つは、まず適切な初動対応をどうやれば確保できるかということで、先ほどお話ございましたように、この五月に神奈川、川崎等で、政府と地方団体のいわば初動対応の連携というための訓練を行いました。この訓練におきました成果あるいは対策推進上の留意点といったものを全国の消防本部にも情報提供したところでございまして、来年もその訓練をぜひしたいというふうに考えております。

 二つ目は、感染防止対策ということでございます。御指摘ございましたように、救急隊員は最初期に接触する可能性が高いようでございますので、感染防止対策というのが急務でございます。そういう意味での消防本部への感染防御資器材の配備というのを現在進めております。平成二十年度、本年度の地方財政対策におきましても地方交付税の措置を大幅に増額いたしました。また、国の当初予算におきまして、また第一次の補正予算におきましても、主要な国際空港周辺でありますとか、いわば一番そういう可能性の高そうなところについての資器材の配備を重点的に進めさせていただきました。

 三つ目は、各消防本部におきます業務の継続を確保するということでございますので、この業務継続確保のための計画というものを、ガイドラインを現在検討を進めておりまして、本年中にも業務継続計画のガイドラインとして各消防本部にお示しをしたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 今おっしゃったことでありますが、私が自分自身でその訓練に参加した経験から申しますと、ぜひ訓練をしていただきたい。訓練をしないと、頭で感じているのと訓練の現場で全く違うということがありますので、ぜひそういうふうにお願いいたしたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 きょうは、主に郵政、年金を中心に質問をさせていただきたいと思います。委員長にお許しいただいて、パネルと、それからお手元に資料を配らせていただいています。

 日本郵政の西川社長におかれましては、予算委員会に次いでまた質問させていただきますが、まず、西川社長、先日私が指摘をいたしましたJR梅田駅での郵便物残留事故の発生、これの原因、おわかりになりましたでしょうか。

西川参考人 お答えをいたします。

 今回の事故は、九月二十三日に埼玉の新越谷支店から送られたJRコンテナが新大阪支店に配達されず、十一月二十七日までの二カ月間、大阪の梅田駅、貨物専用駅構内に残留していたものでございます。

 本件につきましては、十二月三日に総務省及び十二月四日に国土交通省から、法律に基づき、本件事案について網羅的な調査を行い、その調査状況、原因分析、再発防止策等を十二月十二日までに報告を求められているところでございます。

 本件の原因は、新越谷支店から新大阪支店への輸送を請け負った業者及び梅田駅でコンテナを引き取り輸送する業者双方のチェック漏れ、並びに新大阪支店での到着が確認されていなかったというものによるものでございます。

 まことにお粗末な事態でございまして、深くおわびを申し上げたいと存じます。

原口委員 これは何回も出させていただきました。郵政民営化すればどんなによくなるかという紙芝居を自民党さんがおつくりになりましたが、先ほど鳩山大臣がお話しになったように、懸念がある。

 私たちが一番懸念をしたのは何かというと、郵政事業における国民の権利が侵害されてしまうんじゃないか。鳩山大臣の言葉をかりれば、郵政というのはゲマインシャフトを支えているんですよ。ゲマインシャフトそのものがこうやって、高齢者の方も、銀行には行けないけれども郵便局には行けていた、それが行けなくなる、あるいは遠くになる、そして何でもかんでもやられて、逆に今度は地域を圧迫するんじゃないか。そういうゲマインシャフトそのものの崩壊を私たちは懸念していたわけです。

 今、西川社長がお話しのように、これは三社のミスですよね。当初におけるコンテナの到着確認も不十分というのは、これは郵便事業会社ですね。郵便事業会社のチェックができていない、そして、請け負ったところ二社が外している。こんなことがあるなんというのは、そもそもどこに原因があるかということをきっちり考えなきゃいかぬ。

 そこで、日本郵政グループの平成二十年度中間決算、私が予算委員会で求めて、特にゆうちょ銀行の決算資料、予算委員会で提示していただいたものをここに出させていただきました。これは、十月八日の予算委員会で、私は麻生首相に、受託手数料の決め方と月別、事業別の具体的な金額をお調べになってくださいということをお願いして、それでやっていただいたものでございます。

 鳩山大臣、この中間決算をごらんになって、受託手数料の決め方をごらんになってどのように判断されますか。決算の中に、やはり数字の中に一番現状がよくあらわれています。そのことについて大臣の答弁を求めます。

鳩山国務大臣 十一月二十八日に郵政グループが中間決算を公表したわけでございまして、純利益二千二百二十四億円、通期見通しに対してはほぼ順調に進捗しているんだと思います。

 原口先生が問題にされているのは手数料の問題だと思いますけれども、やはり目立つのは、インセンティブのところが八月、九月とふえていることで、これは多分、定期性貯金をふやそうということでインセンティブを与える意味で、局会社に対して励ましの意味でそれだけ割り増しした手数料を払ったのかな、こういうふうに見ております。

原口委員 鳩山大臣が御指摘のように、定期性貯金のところでも多分残高維持、ずっと一兆円規模で落ちていましたから、それを何とかもとに戻そうということでこれをされたんだと思いますが、これをごらんになってください。今大臣が御指摘の、インセンティブと大臣はおっしゃいました、そこのところの「純増実績額×料率」、それから「事務品質実績×一定額等」と書いてあります。

 役所で結構ですから、事務品質実績、これはどういう意味ですか。日本郵政じゃなくて結構ですよ。どうぞ。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 事故がなければそれだけ手数料がもらえるというような品質を立派にやっているということでございます。

原口委員 先ほど西川社長がお話しのような、事故がない、これはもう当たり前の話で、普通、銀行にはこういうものが本当にあるのかなと思いますが、これは多分、そんなに変動していない。一生懸命日本郵政の皆さんが頑張っていただいて、ここまでぎりぎりにやっていただいている。

 それで、多分ふえているのは純増実績額だと思います。今、鳩山大臣の答弁によれば、定期性貯金、ここがふえたのか何なのか、この中身は何ですか。私が前に聞いていたところによると、多分、定期性貯金と年金の自動受け取りの口座を現状を維持しよう、現状を維持できたらインセンティブを与えますよ、こういうことなんじゃないか。

 これは想像ですけれども、総務省いかがですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

原口委員 私の想像が間違っていなかったということがわかりました。

 と申しますのも、これは中間決算全体を見ると、郵便局株式会社の中間純利益は、鳩山大臣、二百九億円ですよ。つまり、何を申し上げたいかというと、仮にここのインセンティブのところで、八月、九月で約百億ずつふえていますね。つまり、三事業会社合計で二百億円近い手数料額の増額が行われているわけですが、もしこれがなかりせば、これは中途で多分基準を、インセンティブですから、こんなに減らされたらいかぬ、局会社に頑張ってほしいということで設けられたと思うんですが、それがなければ、これはひょっとすると赤字だったかもわからない。

 しかも、今度赤字が出ている郵便事業会社からも手数料の改定が行われています。この夏、手数料の改定が行われていますけれども、これがなければ、純利益は平成十九年度四十六億円でしたけれども、それと変わらないか、それ以下の状態であったのではないかと思われるわけです。

 また、先ほども指摘がありましたけれども、局会社の職員を貯金、保険に転籍させつつ局の仕事も行わせておられるみたいで、これは局会社の人件費負担を貯金、保険で賄って、局の利益を実態以上に支えるというか大きく見せるということにつながっているのではないかと思いますが、大臣の所感を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 中間決算で郵便事業会社が赤字になっておりますのは、これは年賀はがきの季節が入っていないからで、十月から翌年三月にはこれは黒字になるようでございます。

 そして、局会社の純利益が二百九億でしたっけ。確かに、だから私も役所の者に言いました。インセンティブが八十一、九十三、八十四、八十三億と来て、百八十二、百八十一とふえております。約百億ずつふえて、二百億ふえているから、もしこれが、インセンティブをより与えない、八月、九月も八十億ぐらいだったら純利益はほとんどゼロになるの、こう言ったら、いや、これはいろいろないきさつがあって、多分その場合は四、五十億の純利益だったのではないでしょうかというふうに専門家は答えておりました。

 いずれにいたしましても、こういうあり方については十二分に検証していきたいと私は思っております。

原口委員 鳩山大臣から検証という、これは重要な答弁でありますが、やはり私たちは今、国民に向かって説明責任を負っています。これは安住さんの紙芝居ですけれども、こうならないためには、やはり郵便局は、手数料で局会社は成り立っていますから、それが安定的に入るのかというところを確認しておかなきゃいけません。

 つまり、西川社長とは私、財務金融委員会の筆頭理事時代にも、これは銀行の方でやりましたけれども、普通、銀行には、こういう一気にインセンティブがぼんとふえるというのは、私たちは余り見ませんでした。と申しますのも、これは日本郵政の名誉のために言いますが、これは局会社と郵貯会社が違いますから、その中でいろいろなことがあるというのはわかります。しかし、それを透明にしておかないと、これは不良な会社がよくやることですが、利益のつけかえあるいは飛ばしといったことを疑われてはなりません。ですから、今こういうお話をしているところでございます。

 委員長、ぜひこれは理事会で協議をいただきたいんですが、この手数料収入のもととなった計算、それからブレークダウンした数字、それから、恐らくこれは手数料収入を変えるためには、そこで取締役会か何らかの会議を開かれていると思いますので、その資料の開示をお願いしたいのと、これは監査法人が入っていますから、私たちが今まで見ているような普通の一般の銀行ではなかなか目にしない数字なので、監査法人の意見がどうであったかということも、念のためですよ、私は日本郵政が変なことをするとは思っていません、むしろ西川社長のもとで一生懸命やっていらっしゃるので。ただ、少し気になる数字でございました。維持をするということにインセンティブを入れているけれども、もう多くの委員が御指摘をされたように、十年後、民営化後十年後ですね、もうあと何年後ですか、そこにはこれは入ってこない可能性もあるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 さて、次のページをごらんください。これも郵政公社時代と業績の比較でございます。

 なぜ私たちが凍結法案を与党の皆さんと議論してきたか、あるいは、なぜこの委員会で、共通の理事会に郵政の見直しの検討の委員会をつくったか。先ほど、どなたか、全然、もうここにはおられなくなりましたけれども、私たちが凍結法案だけ出して、そして見直しの案を示さないのは無責任だなんという、わけのわからぬことを言った委員がいました。そうじゃないんですよ。与党の皆さんと大臣がおっしゃるように、党派を超えて、これは国民の権利を守ることだから、だから、この委員会に与党、野党の枠を超えてそれをつくっているんです。大臣、こんな対立国会の中で、私がそれを提案するのは、私にもリスクがあるんですよ。与党と一緒に何をやっているんだ、政権交代してやればいいじゃないかという声は、我が党の中にもあります。しかし、それでは国民の権利が守れないから共通の基盤をつくってやっているにもかかわらず、何という委員だったか忘れましたけれども、そういうことを言うのは、まさにみずからの所属している委員会の権威もおとしめるものだというふうに強く抗議をしておきます。

 そして、なぜ凍結法案を出すかというと、現場ですよ。現場を見直しして、その見直しが現場に届くまで何年かかりますか。見直しの法律をつくる、それが通る、それが実施される、二年とか一年半とかかかるんです。これだけ巨大な組織です。現場に徹底させるためにも、そういう時間がかかるんです。その間に株式を凍結されない。今だって、法律上はいつでも売れることになっているんですよ。だから私たちはやっているんだということを御理解いただきたい。何も、民をもとの国営に戻そうなんという気は全くないということを御理解いただきたいと思いますが、大臣、その辺の共通認識はよろしいでしょうか。

鳩山国務大臣 株式売却を凍結するということについては、私はその必要性はないと思っておりますけれども、基本的に、もともと国がつくり、国民の財産によってできたものが郵政でありますから、日本郵政を初めとする五つの会社すべて国民の共通の財産ででき上がったものですから、これを民営化という方向で改革をいたしましたが、それぞれの会社がきちんと立ち行くようにしなければいけない。どこかの財閥がつくった会社ではないわけですから、国民の共有の財産としてでき上がった会社ですから、その行く末はすべてきちんとした道をたどってもらいたい、こういうふうに考えております。

原口委員 いや、だから、私たちがその手続のために腰を落ち着けて、いつ売られるかわからない、今たまたまこういうリーマン・ショック、百年に一回と言われるものがあって、私は、賢者は歴史に学ぶと思います。そうでない人たちは、経験ばかりを振りかざして、そして、何をやるかというと、状況に応じて原理原則を変えるんですよ。

 だからおかしなことになるわけで、私は、鳩山大臣だから言いますけれども、あなたが都知事選にお出になったときに、世界に先駆けた政策をつくっていたじゃないですか。今だから言うけれども、私、その政策に随分いろいろな意見を言わせていただきました。今、オバマさんが太陽経済と言っているけれども、あれは鳩山さんが言っていたんですよ。私たちは、緑の分権構想と、あなたの意思を継いで、民主党の中でやっているんです。民主党副代表、早く戻ってきてください。それがどうして、どういうわけか二周おくれのバスに乗って。

 私たちが今言っているのは、大臣、わかっているはずなんです。ゲマインシャフトなんですよ。ゲマインシャフトで、リテールバンクなんです。巨大なメガバンクをあと一つ二つつくってみたところで、それは国民にとっては、東京三菱さんとか西川社長がおられた銀行とか、それがもう一つふえたからといって、新たな選択肢にはならないんですよ。鳩山さんは、もう十年前にも二十年前にも先見のあることを言っているんです。一個だけ間違ったのが、二周おくれのバスに乗ったことなんですよ。私は、あなたに戻ってきてくださいと家まで行って、本当においしいというか、物すごく辛いマーボー豆腐を食べさせてもらって、髪の毛が、まあこういう冗談はどうでもいいんですけれども。

 私たちは、一人一人の国民の権利を守るために……。これは三月ですよ、見直し、それで、来年からはもう株を売れるんですよ、今だって売れるんですよ、そのところをよく皆さん考えて、本会議の採決は、よくよく私の質問を考えて、きょうの投票行動と違う行動をとられることを期待いたします。

 さて、もう一つですが、これは次のページをごらんになってください。郵政グループ各社の社員一人当たりの純利益ですよ。これを見ますと、郵便局ネットワークが、西川社長の間は維持できるかもわからない。しかし、別の経営者になり、別の株主が生まれてきたときに、本当に維持できるでしょうか。

 一人当たりの純利益をごらんになってください。中間決算値ですよ、これは。郵便事業会社はマイナス十九です。郵便局会社は一人当たり十八万円。先ほど指摘をしましたゆうちょ銀行は千二百六十五万円。もし、この千二百六十五万円の郵貯会社に株主が生まれたら、その人たちは、ネットワークが必要だからといって郵便局を津々浦々までそれを維持する義務がありますか。ないですよ。

 オランダのINGにも行きました、イギリスのロイヤル・バンクにも行きました。鳩山大臣は先ほどおっしゃいましたけれども、大改革があってその影が生まれているんじゃないですよ。あなたが迷われたように、大仕事で影が出ているんじゃないんです。大仕事といったものが、そうではなくて、間違ったことだったんです。あなたは、もともとそれを直観力で違うと思っていたから迷ったんですよ。もともとの原理原則を思い出してください。知事選であなたがおっしゃったことを思い出してください。そこの原則に戻れば、今の四分社化ありき、分社化ありきの民営化は直ちに変えなきゃいけないんです。どうですか。

鳩山国務大臣 昔から長いおつき合いでございますし、マーボー豆腐もつくりましたし、それはなかなかいい話をされるなと思って今聞いておりました。

 私は、日本という国は、最初に経験した文明の質から違うわけで、ドライではなくてウエットな文明の国であると信じておりますし、そうでなければ日本らしさが発揮できない。そこにあるのは、いわゆる和の精神であり、地域共同体という考え方であり、それも利益共同体ではなくて精神共同体である、ゲマインシャフト的なものが日本の最大のよさである、こう思っておりまして、郵政とか郵便とか、あるいは特定郵便局長という方々がゲマインシャフトの中心に位置しておられた。そういうウエットな社会において、庶民の簡便で小口なものを扱う金融機関として郵貯と簡保というものがあったわけで、ほかのメガバンクと同じものを郵貯や簡保が目指すべきでは断じてない、そう思うわけでございます。

 したがって、正直申し上げて、私は閣僚ですから今は法律どおりの方針でやっていかなければなりませんけれども、仮に、日本郵政が予定どおり郵貯、簡保の株を一〇〇%売り払った場合には、この二つの金融会社は、国とは全く縁の切れた、全く一般の金融機関になってしまう。その金融機関が、もうおれたちは人口の少ないようなところでは営業したくないというので、郵便局とは一切契約をしなくなったときには、郵便局、郵便事業という、いわゆるユニバーサルサービスをしなければいけないところが経営が立ち行かなくなるおそれがある。

 ですから、その点についてはこれから、民営化委員会もいろいろ考えておられると思いますが、我々も意見を言って、庶民のための小口の簡便な金融会社二つが健全に残ってもらうようにしたい、こう考えております。

原口委員 やっと原理原則に戻っていただきましたね。

 ここに、エドウィン・F・ゲイさんというハーバード・ビジネス・スクールの初代学部長の言葉があります。彼はこう言っています。

 世界じゅうで危険なまでに恐慌の程度が深まっていった。景気循環をつくり出す要因、そして長期的な変化のトレンドの双方が恐慌に影響を与えている。だが、経済変動の専門家たちは、恐慌の諸要因を見きわめ、計測可能なものについてはその衝撃の比率を考慮したが、最終的に、従来の分析手法では現状を判断できないことに気がついた。どうやら、計測不可能な要因が作用していた。つまり、それは各国にとどまらぬ世界全体の信用経済の問題であり、経済回復のためには国ごとの対応だけではなく、世界全体の施策が必要であることを示唆していると。

 これは一九三二年に書かれた論文です。私は、これを全部読んだときに、今のことではないかと思いました。つまり、紙の上での利益を人々が現実にお金にかえ出すと、紙の上の利益だけが大きく広がっていますから、現実にはかえられないんです。それが今起きていることなんです。

 私たちは何をやるべきか。今までのパラダイムと違うことをやるべきなんです。あなたが知事選でおっしゃった太陽経済をつくるべきなんです、地域の緑の分権化構想をやるべきなんです。しかし、何をやっているかというと、状況に振り回されて原則を顧みない、ばらまきの対策をやろうとしている、今までの成功したものを次もやろうとしている。これで何が起きるかというと、多くのツケが将来に回り、そして世界の生産的資源を費やしてしまうんです。それをやめるべきだということを、きょう私は強く指摘しておきたい。

 さて、岡崎官房審議官、例の定額給付金ですが、一個だけ聞いておきます。

 所得制限を設定する場合の基準額の下限である所得一千八百万円を超える人の数は、日本でどれぐらいいらっしゃいますか。

岡崎政府参考人 所得でございますが、世帯単位での統計、正確なものはございませんが、国税庁統計年報の申告納税者数の分布を参照して推計いたしますと、個人単位で平成十九年度において所得が一千八百万円以上の者としては、おおむね三十万人ないし四十万人が該当すると思っております。

原口委員 今お聞きになったとおりです。所得制限をするというのは、我が国の国民の中の三十万人、四十万人、こういう方々に辞退をしていただくためにやるわけですよ。

 しかし、これは地方分権にも反しているんです。もともと、地方に中央政府が勝手に施策を押しつけてはいけない、自分で考え、みずからの責任でみずからで立つ地方をつくろう、地域をつくろうというのが地方分権の基本理念です。しかし、皆さんが書いてきたこの答弁は何ですか。統一見解を私は求めました。そうしたら、鳩山大臣、どういう答弁が来たと思いますか。いわゆる法定受託事務というのは減らさなきゃいけないから、たくさんつくっちゃいけないから、だから自治事務にしましたと書いているんですよ。逆でしょう。

 もともと、こういうものは押しつけちゃいけないんですよ。お願いする場合にもちゃんと法律をつくりなさい、また、法律をつくった場合も、それは際限なく広げちゃいけませんというのが地方分権の基本ですよ。その基本を外して、そして市町村に多くの政策のツケを回す、これは許せないというふうに思います。

 また、年金についても、鳩山大臣だったらおわかりになると思うから、これをごらんになってください。これはずっと言っているんです。キャッシュフローマネジメント、ことしだけでどれぐらい運用収益で損しましたか。消えた年金だけじゃなくて、損なわれた年金も国会ではちゃんと議論をすべきです。

 つまり、相手の手を見ずに、ポートフォリオを変えないで、どんな経済状況になろうがポートフォリオを変えませんから、将棋でいうと相手が歩を指そうが飛車を指そうが、同じことをやっているんですよ、日本の年金は。

 それで、これは十九年度の実績ですけれども、五・八兆円の赤を出している。ことしはもっと赤ですよ。これをやっていたら、私たちの国は年金を支払えません。

 また、この総務委員会の所管でいうと、あの消えた年金第三者委員会で、鳩山大臣は、優しい対応だとおっしゃいましたね。しかし、多くの人たちは泣き寝入りしているんです。なぜか。私が鳩山会社に勤めていたということを証明できても、年金の保険料が控除されていることが認められなければ、年金は返ってこないんです。その事実について御存じでしょうか。

鳩山国務大臣 大体承知いたしているつもりでございます。

 もちろん、私は年金確認第三者委員会の方の担当でございまして、年金そのものについて日ごろから勉強しているわけではありませんから決して詳しくはありませんけれども、要するに、保険料を支払ったということ、これを会社が控除しているということの証拠が必要だという基本的な扱いになっていると思います。

 ですから、非常に難しいんですが、私が第三者委員会へ行ってできる限り優しくと言ったのは、ぎりぎりの判断をするときには、挙証責任の転換とまでは言わないけれども、申立人に有利な方向で見ていただけないかということを言ったつもりでございます。

原口委員 やはり鳩山さんは正直な人ですよ、早く民主党に帰ってきてほしいと思うけれども。

 これをごらんください。先日、舛添大臣のもとで調査委員会がありました。彼らはどこを調べたかというと、ちょっとここは見えにくいのでこの絵を出しますけれども、消えた年金の中で、オンライン化後、しかも標準報酬月額の改ざん、しかもこの三条件が重なったところのたったの六万九千件を調べたんです。

 しかし、その六万九千件の中でも何が出ているかというと、組織的改ざん、これは制度のゆがみが現場に行っているんですよ。だったら何をやらなきゃいけないかというと、この全体像を調べなきゃいけないでしょう、全体像を調べないで何が起きたかというのはわからないわけだから。鳩山大臣がおっしゃる、それぞれの人の権利に注目した救済もできないんです。

 だから、サンプル調査をやってくださいということを言っているんですが、役所はどうすると思いますか。責任逃れをしようと、これが広がらないようにするんですよ。ちょうどこの重なったところがありますね。重なったところだけを調べてください、あとのところはどうぞ見ないでくださいと。本当はここからこっち側に問題があるにもかかわらず、そこには行かせまいとするんです。それを突破するのが政治です。

 そして、報道によると、内閣府に調査の機関を置くなんということを言っていますが、それはやめてください。年金第三者委員会に知見があるんですよ。今までいろいろな人たちの話を聞いて、総務省行政評価局がありますから、そこで、社会保険庁でもない、厚生労働省でもない、第三者委員会に調査の権限を与える、鳩山大臣がリーダーシップでこれをやりなさいと言う、そうすると年金は回復してきます。

 どうぞ検討を約束していただきたい。私はあなたにひっかけの質問も何もしていない。年金ももらえず亡くなっている人たちのために、全容調査を総務省の中でやれるような仕組みを提案してくださいということを申し上げています。

鳩山国務大臣 実は、この六万九千件の問題は、第三者委員会でいろいろとやってきた中で確かに具体的な案件として出てきているわけですが、仕方がなかったのかもしれませんが、この三つの円というのは実に不思議な円なんですよね。報酬下げと脱退が同時、これはいいですよ。しかし、六カ月以上さかのぼって引き下げというのが、三カ月以上でやったら円がぐっと大きくなるんですね。五等級以上というのも、例えば三等級でやったら円が大きくなるわけですよね。

 だから、こんなところでちょうどいいかといって六万九千件を選んでいるわけですが、第三者委員会を所管している身からすると、これはちょっと恣意的にこの円を縮め過ぎているし、変な言い方をしますけれども、三つが出会ったところが優先的に調べるべき部分であるということはわかるけれども、例えば、ちょっと一年前の法務大臣に戻った場合、黒い証拠が一個あるか二個あるか三個あるか、三つあるから実際に犯罪を犯していて、二つだったら犯していなくて、一つだったら犯していないということにはならないわけですね。一つの証拠だって、それが有力であれば、実際、犯罪を証明できるかもしれないわけですね。

 だから、このやり方は、とりあえずという形でこういうことをしたんだろうなと。私はこれを見て、非常に恣意的な円の描き方だなと、こんなことを言うと舛添さんに怒られちゃうかもしれませんが、正直そう思いました。しかも、我々、年金確認第三者委員会でやっておりますのは、オンラインじゃない、ペーパーのものでも同じようなケースが出てきておりますから、ペーパーの方もきちんとやらなくちゃならないということなんですね。

 ただ、どういうところでこれをやるかということなんですが、我が第三者委員会は、今……

赤松委員長 大臣、時間が超過しておりますので、短くお願いします。

鳩山国務大臣 大変チームを多くして、行政評価局の人間が総がかりみたいになってしまっている。マンパワーの問題もありますし、年金確認第三者委員会と、この改ざんを専門に調べるのがマッチングするかどうかという問題もあるかなと思って、今考慮しております。

原口委員 もうこれでおしまいにしますが、実は、この合わさったところが、今第三者委員会であっせんが認められているところなんです。これ以外はほとんどはねられているということを申し上げます。

 最後ですが、大臣の選挙区のところ、福岡県久留米市から、指定暴力団道仁会が、私の地元、佐賀県みやき町に住居を、もと大きな会社の保養所だったそうですが、まさに九州最大の暴力団、そして、昨年は無実の人を暴力団員と間違って、入院されている人を射殺までしています。

 私は、国家の意思として暴力に対してどう立ち向かうのか。市民にまで被害を及ぼしている集団は、解散命令できるのは、大臣、破防法とかそういうのしかないんですよ。それは憲法上の権利がありますから慎重にしなきゃいかぬけれども、まさにテロそのものの極悪非道な暴力団そのものにきっちり立ち向かわないかぬというふうに思います。

 地域の安全、安心、これは合併で随分いろいろな地域のきずなも壊れてきました。大臣の決意を最後に伺って、質問を終えたいと思います。

鳩山国務大臣 たまたま、確かに久留米にそうした組織がございますし、それが原口代議士の地域の方に進出をしているということもありますが、これは地域の問題であると同時に、私は、国全体で暴力団というものに対してどこまで厳しく当たれるかという問題ではないか、そういうふうに把握いたしております。

原口委員 終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 午前中、郵政の株式売却の凍結法案の審議をしました。引き続いて午後におきましても、郵政関連、特に投資信託に関連して質問をいたします。

 午前中の中でもこの点について日本郵政からお答えいただきましたが、二割以上下がっている方が全体の半分近くある。そこでもう一点お伺いしたいんですが、その場合、百万円以上の投資信託を購入されている方の中で二割以上の下落の方が二十六万件ということですが、この百万円に満たないような方というのはどのぐらいの件数に上るのか、およそで結構なんですが、教えていただけますか。

米澤参考人 お答えいたします。

 今ほどのお尋ねでございますけれども、午前中も申し上げましたけれども、百万円以上御購入の方で評価損率が二〇%以上、こういう方が二十六万人。全体で五十四万人の受益者のお客様がいらっしゃいますので、もちろん、この中で損失をこうむっておられない方あるいは百万円以下の方、両方の方がいらっしゃいますけれども、その差し引きの部分がそれ以外の部分というふうになろうかと思います。

塩川委員 その百万円以下の購入者の方のおおよその人数を教えていただきたいのですが。

米澤参考人 申しわけございません。手元にちょっと資料が、数字がございません。後ほど御説明に上がりたいと思います。

塩川委員 よろしくお願いします。

 そこで、こういう資産運用商品としての投資信託ですけれども、その顧客に対して販売をする際に、顧客の資産がどのぐらいあるかとか、対象とする方についての目安というのはどのようにお考えなんでしょうか。これだけ以上持っている人に対して対象にするとか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいのですが。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 投資信託の販売につきましては、いわゆる適合性の原則というものがございます。すなわち、そのお客様に売ってよろしいかどうかという判断が必要になってくるわけでございます。

 その中でも、その財産、どのぐらいお持ちなのかであるとか、あるいは生活資金であるのかないのかとか、さらには金融知識が豊富であるのかないのかといった多面的な形で判断をしているということでございます。

塩川委員 三割ルールがあるんだということを承知しているわけですけれども、その点をお聞きしたいのですが、もちろん不動産は除いて、金融資産におきまして、大体そのうちの三割ぐらいを最大の枠として投資信託を購入してもらう、そういうことを内部でルールとされているということをお聞きしているのですが、そのとおりですか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 一定の目安としてそのようなものはございますけれども、資産が大変大きな方、その方の三割と、あるいはそうでない普通の方の三割ということでは相当違ってきますので、そういった場合も実態に合わせて判断をしております。

 ただ、一般的に申し上げますと、そういうリスク性の商品について一定の割合以下というふうなルールを設けているところでございます。

塩川委員 少ない方についてと大きい方については違うという話ですが、少ない方であっても三割ルールというのが一つ基準としておありだということでは、少ない資産の方においても投資信託の対象とされておられるわけで、実際、購入されている方の六割は六十代以上の方だとお聞きしております。老後の資金として運用されておられる。

 そういった方の中で、実際、投資信託を購入された方のお話を幾つかお伺いしました。まさかこうなるとは思わなかった、こういう声に対して、郵便局、ゆうちょ銀行の方が、下がることもあると説明したよねと、こういうふうに言いますと、それはそのとおりだけれどもというやりとりになるわけですが、こんなに下がるとは思わなかったのと聞かれたのに対して、それはそうよ、だって郵便局だものという答えなわけですよね。あるいは、証券会社だったら買っていなかった、郵便局のあなただから買ったんだ、こういう声ですね。

 実際、その勧める商品としても、この投資信託のうち野村世界六資産分散投資、これは郵便局独自の商品です、野村が郵便局のためにオリジナルの商品をつくったんですよと言われると、あ、そうなんですか、それだったらという話になるわけですね。つまり、皆さん、郵便局だから信頼して購入している。もちろん、手続上に瑕疵があったと申し上げているわけではない。しかし、郵便局への信頼なしには購入しなかった、これが少なくない方の声だということなんです。

 そこで大臣に伺いますが、このように投信を購入された方が、郵便局だから購入したんだ、ほかの勧めだったら買わなかった、こういう声が上がるのはなぜなのか、その点について、お気持ち、お考えをお聞かせいただけますか。

鳩山国務大臣 郵便局の信頼というのは、百三十年を超す事業の継続、あるいはそれを支えてこられた特定郵便局長さんを初めとする方々、先人の労苦のたまものだろうと思うんですね。しかも、国民、庶民にとって身近な金融機関として、私たちも子供のころ小遣いをもらってこれを郵便局に預ける。これは国ですから、絶対に安心だという気持ちで預けてきたということがあります。

 私自身の体験から申し上げると、物心ついてからバブルの崩壊までというのは、投資信託というのは大体、ちゃんと利益を生むものだという印象があったと思うし、おびただしい投資信託に関する宣伝とか勧誘というのがあって、単発の株を買うと、それは物すごく得をすることもあるが大損することもあるが、投資信託という仕組みであれば余り損はしないものだという宣伝がずっと行き届いてきたんではないか。

 それでも、最近のいろいろな金融情勢ですから、それは投資信託でも元本割れする、損することもあるということぐらいは何となくわかっていても、やはり郵便局ですからね。郵便局で投資信託を買うと何かこう安心感がよりあるんだろうと思うわけです。そういった意味では、購入をする方に対しては、実際にリスクが相当あるんだということをできる限り懇切丁寧に説明する必要があるのではないかな、そんなふうに思っております。

塩川委員 身近な金融機関としての郵便局への信頼があるからだ、国そのものだからということであるわけで、購入される方というのはこれまで要するに郵便局に裏切られたことがないわけですね。ですから、小口貯蓄ですから、元本保証のあるものが大好きな方といいますか、そういった方にしてみれば、投資信託の購入を機会に、率直に言って、利用者が最も大切にしてきた安心の郵便局というサービスが損なわれてしまったのではないのか、この点が今言えることだろうと思っております。

 そこで、重ねて伺いますが、〇五年の十月から販売が開始された投資信託ですが、郵政公社の時代に法改正が行われました。投資信託の販売を導入した理由、これは何だったのか、お聞かせください。

鳩山国務大臣 郵政公社の時代に始まったわけでして、私が今申し上げたように、郵便局と投資信託というのはイメージ的には本来結びつきにくいものではないかなというふうに思いますが、平成十五年の五月に証券市場の活性化策として検討されたというふうに聞いておりまして、そして、平成十七年十月から販売が開始されたんですね。

 このときに、ちょうど麻生総務大臣の時代でして、これは平成十六年に答弁しているんですよね。一年前のことを言っているんですね。昨年の五月の証券市場、アバウト八千二、三百という時代であったと。今と何か似ているんですね、日経平均の値段は。それが、今は一万一千ぐらいになっておりますけれどもというような答弁をしながら、やはり郵便局の方の収益源の多様化ということも考えようということを言っておりますし、証券市場の活性化ということも当時から答弁されているわけで、そういう中で投資信託の販売が始まったものと思っております。

塩川委員 その答弁は私の質問に対しての答弁になっていくところですが。

 郵便局の収益源の多様化というのも、その麻生大臣の答弁では、民営化を想定しての収益源の多様化と述べておられる。それにあわせて、証券市場の活性化のためという二点が目的でした。

 あの当時、〇三年の四月に株価が七千六百円、それを割るかという状況がありましたから、そのときに株価対策として導入されたのが郵政公社での投資信託の導入だったわけです。そういう点では、動機が不純だったんじゃないのかということが問われますし、当然民営化を展望して行われたのが投資信託でもありました。

 そこで、民営化後の収益源の多様化のためと言われる投資信託、日本郵政に伺いますが、投信の手数料収入の推移がどうなっているのかを教えていただけますか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 投資信託の販売は、平成十七年十月から開始しておりまして、投資信託関係手数料につきましては、平成十七年度二十億円、平成十八年度百二十一億円、平成十九年度上期八十六億円となっております。

 また、平成十九年十月以降、ゆうちょ銀行となってからの手数料につきましては、平成十九年度下期四十九億円、平成二十年度上期四十七億円となっているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 平成十七年度は後期だけですが、二十億、十八年度百二十一億、十九年度、公社と民営会社、通算して百三十五億円、二十年度上期で四十七億円。この手数料の実績というのは、日本郵政としては多いと考えているんでしょうか少ないと考えているんでしょうか、評価について聞かせていただけますか。

米澤参考人 大小につきましてはなかなか評価は難しいところではございますけれども。

 ゆうちょ銀行全体の業務純益、先般出しました中間決算では二千八百十二億、グループ全体で見ました中間利益が二千二百二十四億。これに比べると、そう大きなウエートではないということではございますけれども、一方で、こういった新しい収入源、まさに先ほどお話ございました収益源の多様化という側面は重要であるというふうに認識しております。

塩川委員 新しい収入源として重要だということでは、その点では今郵政会社としては手数料稼ぎに非常に躍起となっている。投信などの金融商品販売というのは、もうかるところに力を入れていくことに当然なりますから、それだったら、結果として、金持ちを相手にすればいいんじゃないのかという話にもなりかねない。

 そもそも、あまねく公平にと行われていた郵貯の事業において、資産のある人、お金のある人を対象にこういう事業が進められるということが、結果として、あまねく公平にと言われる金融のユニバーサルサービスそのものを損なうものになっているんじゃないのか、私、率直に思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

鳩山国務大臣 先ほど原口委員の質問に対してお答えしましたように、郵貯、簡保というもの、ゆうちょ銀行、かんぽ生命という会社になっても、やはり国民や庶民にとって、簡便で小口の身近な金融機関としての役割は失ってもらいたくないという思いを強く持っております。

 そういう意味で、ユニバーサルサービスがこれからも続くことを願っておりますし、株式完全売却後においても金融二社と郵便局会社との間で代理店契約を継続するから大丈夫だというふうに言われるわけでありますが、しかし、一〇〇%株式を売却すれば、政府とは完全に関係の切れた銀行、保険会社になるわけでございますから、やはりそうした場合に、ゆうちょ、かんぽと郵便局会社が切れてしまうという可能性があって、その懸念の声があるわけで、その辺にどういう対処をしていったらいいか、どういう見直しをしたらいいかということが大きく絡んでくると考えております。

塩川委員 金融のユニバーサルサービスの義務づけが外される、そこにおいても郵貯の性格が変質していくのではないのか、このことがやはり問われてくるだろう。

 そもそも官から民への資金の流れというのはアメリカ仕込みで行われてきたわけで、こういった郵政民営化が、本丸、もともとのアメリカ流のカジノ資本主義が破綻をしたときでありますから、こういう官から民への実態を考えたときにも、破綻したモデルに追随をするのか、このことが問われているわけで、その点について一言伺って、終わりにします。

鳩山国務大臣 郵政民営化委員会が見直しの案を出すと思いますし、我々も真剣に見直しについて考えていこうと思っております。

塩川委員 アメリカ流のカジノ資本主義の追随を転換せよということを求めて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 まず、低料第三種郵便についてお伺いいたします。

 低料第三種郵便を利用して、企業が、実質的にはダイレクトメールと変わらない郵便を大量に発送していたということが判明いたしました。その数は数千万通に及び、数十億円が割り引かれた、このように報じられております。

 今回の事案について、郵政として具体的な調査はどの程度進んでおるか、また、いつごろからこうした利用があったのか、郵政として把握しているかどうか、何社で、総数としてどのくらいの通数になるのか、その結果減額された金額は幾らになるか、お聞かせください。

伊東参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、心身障害者用低料第三種郵便物制度を利用して商品等の広告を内容とするダイレクトメールを大量に郵送する事案が生じたことは事実でございます。

 このような事案につきまして、そもそも第三種郵便物というのは、郵送料を安くすることによりまして購読者の負担の軽減を図り、その入手を容易にするという制度でございます。したがいまして、郵便法におきましても、その条件の一つとして、あまねく発売、つまり有料というのが条件になっているわけでございます。具体的には、一回の発行部数に占める発売部数の割合が八〇%以上ということになっているわけでございます。

 この事案が生じましたことを我々といたしましては非常に重く受けとめまして、今、心身障害者用低料第三種郵便物というのが十月一日現在で二百十七件承認をしております。これらにつきまして今利用実態を調査しておりまして、数が大変多うございますので、一つ一つその関係のところとやりとりをしているわけですが、その中で、必要な資料を求めて、一定の期間までにそれが提出できないということを繰り返す中で、承認を取り消したものが一件ございます。また、廃刊届が提出されたものが四件ございます。

 まだこれは途中段階でございまして、一応私どもの目途といたしましては今年内、今年内を目途に、今の、総数二百十七件あるわけですけれども、これらにつきまして、今申し上げました条件を具備しているかどうか、具備していないとすればそれはいつからなのか、その結果、先ほど先生も御指摘ございましたように、どのぐらいの通数が本来支払われるべき郵便料金が払われていないのかというようなことを精査いたしまして、数が非常に多うございますので、全部まとめ切れるかどうかわかりませんけれども、現在の調査の私どもの目標といたしましては、年内を目途に結果を取りまとめ、公表させていただきたいと考えているところでございます。

重野委員 そうすると、新聞各紙が報道している数字というのは、では、あれは郵政として認められる数字なんでしょうか。あれよりか少ないのか多いのか、あるいは、あの数字は否定されるべき数字ではないという認識なのかどうかですね。

伊東参考人 お答えいたします。

 新聞報道によりますと、確かに、通数、金額等につきまして幾つか表示されているものがございます。これは私どもの推測でございますが、それぞれ独自の取材に基づいて、一定の対象通数と、さらにその一定の前提条件で仮定した料金額、これを掛け合わせて算出されたものと認識しておりますが、先ほど申し上げましたように、いつからそういう不正があったのかということの精査がまだできておりません。それによって当然、その間扱った通数が出てきますし、それがわからないと全体の金額というのも、現段階では、新聞報道のものより多いのか少ないのかというのは、ちょっと具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

重野委員 それでは、今、答弁では、年内に調査を仕上げる、こういうことであります。

 その中で、完全に調査して、そして本来払わなければならない料金を払わず、それを利用した企業は、その分それは利益になっておるわけですね。したがって、それに対する損害賠償、実際に郵政は労力を使って配達しているわけですから、当然、そのことはやるんでしょうね。

伊東参考人 先ほど申し上げました調査の結果も踏まえまして、損害賠償請求等につきましては検討させていただくこととしております。

重野委員 それでは、その調査を年内までにきっちりやっていただいて、国民が納得できる結論を出していただきたい。要望しておきます。

 次に、年賀はがき。

 私は、ことしの通常会のときにもこの年賀はがき問題を質問したんです。ことしも既に何件か新聞で報道されているんですが、私は、社員やあるいはアルバイトの人たちが自腹を切って購入しているのではないかということをやはり懸念するわけですね。先回の質問に対する答弁は、実需のない買い取りはないようにする、こういう答弁をされていたんですが、どうですか。ことしも年賀はがきの季節が来たんですが、私も先般ずっと局を回ってきたんですが、既に、うちの局でウン万枚という話がやはりあるわけですね。

 いわゆる自爆営業という表現はいかがなものかと思いますけれども、そういう状況というのを把握しておるのかどうか、あるいは、国会で答弁したように、そういう無理なノルマは課していないということなのかどうか、そのあたりについての答弁を求めます。

伊東参考人 お答えいたします。

 毎年先生の方から御指摘をいただいていることでございますし、先ほど自爆という言葉も出てきましたので、私どもといたしましては、コンプライアンス違反ということで、常にその例として掲げて、そういうことを行わないように指導しているわけでございますが、そもそも、私どもの郵便事業会社の健全な経営を確保するために、さらに年賀はがきの需要拡大に努めるということから、営業目標を掲げて社員に努力を求めていくということは会社経営として当然だというふうに考えているわけでございます。

 しかしながら、先生御指摘のようなことがあってはならないということで、コンプライアンス違反ということで厳正に対処していきますということを、ことしもこの年賀の時期に社員指導をしておりますし、そういったことがないというふうに私どもの方も認識しているところでございます。

重野委員 昨年もそういうふうな答弁をいただいたんですが、ことしも、もう既に金券ショップ等々で年賀はがきが売られているわけですね。もちろん、そこで売られている年賀はがきは一枚五十円じゃないわけですね。例えば、新橋の金券ショップでは一枚が四十七円で売られている、インターネットでは四十五円とか、あるいは、大阪の金券ショップにおいては一枚四十円で買い取っておる、こういうふうな報道があるんです。

 郵政がそうやっていないと言っても現実そういうふうなことが起こっているということは、私はやはりゆゆしき問題だと思うんですよね。私は、やはり背後には過大なノルマ設定と、あるいは達成するようにという圧力があるのではないかというふうに疑わざるを得ないんですね。

 そこで、ことしの発行枚数は幾ら発行して、あるいは一人当たりのノルマはどうなっておるのか。昨年の場合は、アルバイトの人も含めれば一人平均で四千五百枚、正社員だけで割り返すと一人九千五百枚、こういうふうに答弁されているわけですが、その数字にことしは変化があるのかどうか、それについてもお聞かせください。

伊東参考人 お答えいたします。

 まず、ことしの発行枚数についてでございますが、私ども、郵便会社におきまして、それぞれの券種につきまして、お客様のニーズが高い場合には追加発行をしております。具体的には、いろどり年賀というものとかキャラクター年賀というものを現在一億五千二百万枚追加発行しております。この追加発行は、またこれからいろいろなニーズを見ながら出てくる可能性もありますが、それらも加えますと、現在の発行枚数は昨年より七千八百万枚ふえているところでございます。

 一方、目標でございますが、ことしの目標はグループ全体といたしまして三十八億六千万枚。昨年は四十億枚で目標を設定いたしましたので、先ほどの郵便事業会社に関して申し上げれば、一人当たりの目標、非正規社員、アルバイトも全部含めてですけれども、約四千五百枚という数字はほとんど同じ数になっているところでございます。

重野委員 昨年の数字と変わらないという答弁ですが、であるならば、昨年私が指摘をしたさまざまな問題点がまたことしも現場においては起こるのではないか、こういうことを懸念せざるを得ませんね。

 ですから、それはもう発行したものは今さらどうしようもないわけですが、少なくとも、横流しをするみたいな形で、自分ではさばけないからもう自分で二万、三万の負担はしようがない、こういう形での現場の実態が起こることのないように、これはやはり厳にぴしゃっとやっていただきたい、このように思います。

 それから、公的サービスの推進体制について、先般それぞれの会社ごとに報告された冊子が届いていましたけれども、その中で労使協約の問題について幾つか書かれておりました。例えば、争議条項として、争議行為内容の通知を、遅くとも十日前までに日時、場所、争議行為の概要を通知、七十二時間前までに形態、規模、日時、時間、場所などを通知というふうに文字があるわけですね。

 これは、いわゆる労使の交渉の中で正式に確認をされて、確認書として、あるいは、労働協約あるいは労働協定の中にきちっと書かれて双方が確認をした内容であるかどうか、それについて確認したいと思います。

佐々木参考人 先生、今お示しされた関係につきましては、関係労働組合と交渉の上、労使関係に関する協約といたしまして、労使双方の合意によりまして労働協約を締結しているものでございます。

重野委員 このレベルは、他の同類というか企業あるいは会社と組合が結んでいる労働協約の中身と比較をしたときにどういう水準にあるのか、お聞かせください。

佐々木参考人 公益事業であります郵便事業の場合、労働関係調整法第三十七条の規定に基づきまして、「争議行為をしようとする日の少なくとも十日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。」こととされております。

 また、労働関係調整法施行令十条の四第三項によりますと、当該通知は、「争議行為をなす日時及び場所並びにその争議行為の概要を記載した文書によつてなさなければならない。」と規定されておりまして、今般、関係労働組合と締結した労働協約において同様の内容を盛り込んでいるところでございます。

 その上で、今先生御指摘がありましたが、公益事業が公衆の日常生活に欠くことのできない事業であるということで、他の公益事業の例も参考に交渉を行いまして、十日前、七十二時間前に事前通知を行う協約を締結したということでございます。

重野委員 以上で終わります。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。鳩山総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山国務大臣 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年八月十一日、一般職の職員の給与及び勤務時間の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、新たに本府省業務調整手当を設け、行政職俸給表(一)等の適用を受ける職員のうち管理職員でないものが国の行政機関の内部部局の業務等に従事する場合は、当該職員には、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員にあっては当該職員の属する職務の級等における最高の号俸の俸給月額に百分の十を乗じて得た額を超えない額を月額として支給することとしております。

 第二に、初任給調整手当について、医師等に対する支給月額の限度額を四十一万九百円に引き上げることとしております。

 第三に、職員の昇給は、人事院規則で定める日に、同日前において人事院規則で定める日以前一年間の勤務成績に応じて行うものとしております。

 第四に、勤勉手当の支給について、職員の基準日以前における直近の人事評価の結果及び基準日以前六カ月以内の期間における勤務の状況に応ずるものとすることとしております。

 第五に、期末特別手当の額について、職員の基準日以前における直近の人事評価の結果及び基準日以前六カ月以内の期間の在職期間における勤務の状況に照らして勤務成績が良好でない場合に減ずるものとすることとしております。

 第六に、職員の勤務時間を一週間当たり三十八時間四十五分とすることとしております。

 第七に、職員の勤務時間の改定に伴い、国家公務員の育児短時間勤務の勤務の形態及び育児短時間勤務職員の並立任用について必要な改正を行うこととしております。

 第八に、国家公務員の育児短時間勤務の勤務の形態等との均衡を考慮し、地方公務員の育児短時間勤務の勤務の形態及び育児短時間勤務職員の並立任用について必要な改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することとしております。

 引き続きまして、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、退職手当制度の一層の適正化を図り、もって公務に対する国民の信頼確保に資するため、退職後に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められるに至った者の退職手当の全部または一部を返納させることができることとする等、国家公務員退職手当法等について必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、退職後に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められるに至った者の退職手当の全部または一部を返納させることができることとするなど、退職手当について新たな支給制限及び返納の制度を設けることとしております。

 第二に、総務省に退職手当・恩給審査会を置き、退職手当・恩給審査会は、国家公務員退職手当法及び恩給法の規定によりその権限に属させられた事項を処理することとしております。

 第三に、国家公務員退職手当法の改正に伴い、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法について所要の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

赤松委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 この際、御報告いたします。

 去る十一月十八日、議長より本委員会に送付されました、議員武正公一君外百十二名からの独立行政法人の組織等に関する予備的調査及び議員原口一博君外百十二名からの特殊法人の組織等に関する予備的調査の両要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る十一月二十日、調査局長に対し、いずれも予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十二分散会


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