衆議院

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第5号 平成21年2月26日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十一年二月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      新井 悦二君    今井  宏君

      遠藤 宣彦君    小川 友一君

      川崎 二郎君    坂本 哲志君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      渡部  篤君    小川 淳也君

      河村たかし君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 舘  逸志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 西川 正郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        椎川  忍君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐村 知子君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    惣脇  宏君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局勤労者生活部長)      氏兼 裕之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石井喜三郎君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            清水 弘之君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            寺崎 由起君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     新井 悦二君

  逢坂 誠二君     河村たかし君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     萩原 誠司君

  河村たかし君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役米澤友宏君、常務執行役藤本栄助君、執行役清水弘之君及び執行役寺崎由起君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、大臣官房審議官舘逸志君、大臣官房審議官西川正郎君、大臣官房審議官湯元健治君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、大臣官房地域力創造審議官椎川忍君、大臣官房審議官佐村知子君、行政評価局長関有一君、自治行政局公務員部長松永邦男君、自治財政局長久保信保君、自治税務局長河野栄君、情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、生涯学習政策局生涯学習総括官惣脇宏君、文化庁次長高塩至君、厚生労働省労働基準局勤労者生活部長氏兼裕之君及び国土交通省大臣官房審議官石井喜三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 おはようございます。民主党の寺田と申します。

 一時間質疑をさせていただきたいと思います。

 質疑の前に大臣の方から我が県の知事選についても御心配をいただいて、ありがとうございます。

 ただ、目下、麻生政権というものの心配が、国民全体にとっても非常に大きいものになっていると思います。それこそ通告していないんですが、ちょっと本題に入る前に大臣にもお伺いしたいんですが、何でこんなに支持率が低いんですかね。ざっくばらんに御正直なところをお話しいただけるとありがたいんですが、どのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 確かに、世論調査の数字を見ると、非常に厳しい数字だとは認識いたしております。

 私は、麻生太郎という非常に個性の強い政治家、その個性が国民からまだ十二分に理解されていないのではないか、非常に強い個性ですから、理解され始めると事態は一変するのではないか、そういうふうに期待をいたしております。

寺田(学)委員 総務大臣をされていたこともありまして、お人柄等を私も、一部かもしれませんが存じ上げる部分があって、非常に正直に物事を話される方だなというところはあったんですが、最近は、正直なところが裏目になったり、また少し強がられるところがあって、御理解がいただけなかったりというところがあると思います。

 また、数日前には、内閣改造をすべきじゃないかと一部閣僚の方がお話をされていました。大臣は、この内閣改造をすべきじゃないかという話については何かお考えをお持ちでしょうか。

鳩山国務大臣 内閣のメンバー、閣僚のメンバーを決める、閣僚を任命するというのは内閣総理大臣の専権事項であって、他の者が本来言うべきことではない。

 ただ、与謝野大臣が、財務、金融、経済財政、何大臣分と言ったらいいのか、三大臣分というのか、兼務されることは大変ではないか。

 つまり、財務大臣というのは昔の大蔵大臣でございますから、予算、決算、税等、大変な役である。経済財政大臣は、私、仕事内容を熟知しているわけではありませんけれども、経済財政諮問会議の取りまとめも司会から全部なさる役であって、昔の経済企画庁長官のように現下の経済情勢についても国を代表して発言する。

 そういう役が全部、与謝野馨という政治家、同期生ですし、非常に天才的な頭脳の持ち主で、天才与謝野馨だから務まっているというふうに私は思いますけれども、いずれ兼務が解かれるということになった場合にはとにかくもう一人補う、そのときにミニ改造があるのかなというふうに思われた方がいるということではないでしょうか。

寺田(学)委員 なかなか慎重な御答弁ですね。

 本題の方に入りたいと思いますが、交付税法の話ということできょうは質問をさせていただきます。

 先般の予算委員会の中で、鳩山大臣みずからが、まさしく数年前の三位一体改革に関して、私は初めてと言っていいほどだと思うんですけれども、明確に失敗をした部分があるというお話をされたと思います。

 大臣から見て、数年前の三位一体改革、どういう部分が失敗であったかということをより具体的に御答弁いただけたらと思います。

鳩山国務大臣 世の中で一つの改革を、それも刺激的な改革をやれば、一〇〇%すべてが成功するということは常識的にはあり得ない、当然そこには光と影が出てくる、こうやってみてすごくよかったけれどもこういう弊害が出たというのは常識的なことだろう。私は、そういう意味で、三位一体改革について、やはり結果としてまずい結果になった部分があることは率直に認めるべきだというふうに思います。

 ついでに申し上げれば、私は、三位一体改革の意義は十分認めながらも、部分的には、自民党内で反対の急先鋒を張ったようなこともありました。

 それは、私かつて文部大臣を務めておったものですから、義務教育費国庫負担制度というものは、フランスのように義務教育諸学校の先生を国家公務員にしている国もあるぐらいでして、これは国が全面的に負担をし保障すべき点ではないか。この負担割合を二分の一から三分の一にした場合に財政力の弱いところにはしわ寄せが行くのではないかという観点で、私は相当な懸念を持っておったわけでございます。その点は案外うまくいっているのかもしれませんが。

 そういうことで、結局は四・七兆円の補助金の削減があった。税源移譲をやったことは画期的なんですけれども、それが四・七兆円の税源移譲ではなくて三兆円にとどまった。そのころ地方税は比較的税収の伸びがよかったから案外目立たなかったのかもしれないけれども、それに加えて、地方交付税が五兆円以上減額されたことが、その後の経済や景気状況の中で、地方自治体に対して非常に厳しい影響を与えてきた。

 補助金が減ったのは税源移譲とペアではありましたけれども、やはり急激に地方交付税が減ったことは、結果として地方財政あるいは地方自治体に対しては影の部分として作用した、私はそう思っております。

寺田(学)委員 本当にちゃんと振り返って検証しないとだめだと思いますので、今大臣が言われた言葉、一つ一つメモをとっているんですけれども、まずい結果、今、最後の御答弁の中では、急激に交付税を減らしたということがいわゆるまずい結果を起こした主犯のように言われています。

 三位一体、補助金のこと、交付税のこと、税源移譲のこととあるんですが、もっと端的に、具体的に、まずい結果というのは何を指し示されているんでしょうか。

鳩山国務大臣 これはすごく難しい問題です。

 私、余り祖父鳩山一郎が書いたものを詳しく読んだことはないんですけれども、ただ、あれはいろいろなところで話したり書いたりしたものをまとめた「私の信条」といった本だったか、古いぼろぼろの本があるんですが、それを読み返してみますと、行政改革という言葉ではないんですけれども、要するに、財政の規律というものは非常に大事だということが書いてある。

 祖父は、一言で言うと非常に官僚嫌いの点がございまして、物すごく官僚が日本の政治に悪い影響を与えているということを盛んに演説しているころに自分の息子威一郎が大蔵省へ入ってしまうということで、随分矛盾があったのかもしれません。でも、そのころ、やはり行政改革の重要性みたいなものは永遠のテーマで、つまり、ジョギングとか健康管理みたいにいつも必ず行政改革をやっていなくちゃいけないというようなことを祖父は言いたかったのではないか。

 ところが、この時代、とにかく行政の効率性と行政改革というのがありとあらゆる面で声高に叫ばれた。それだけ無駄があったのも事実だろうと思いました。したがって、三位一体改革のときには、例えば補助金が四・七兆円削減されても税源移譲が三兆円だったというのは、あと一・七兆円分は効率化しろという意味が含まれていたんだろう、私はそう思うんですね。地方交付税の改革もそういう意味合いがあったんだろうと思うんです。

 しかし、結果として、国よりも地方の方により多くしわ寄せが行ったという部分があったのではないか。その部分をまずかった部分、つまり、財政力の弱い地方公共団体は本当に自由に使える財源が減ってしまった、その結果、私は今数字を持っておりませんが、地方単独事業というのが物すごく減った。つまり、自由に使えるお金がなくなったから地方単独事業が半分とか三分の一という水準に減っていく。私はその辺を指摘したいと思っております。

寺田(学)委員 大臣が今御指摘をされていること、先ほどの御答弁の中でも言われていること、急激に交付税を減らすのは問題じゃないかとか、行革のあり方、小さい団体、自治体に対してのフォローのあり方ということをさんざんこの総務委員会で議論してまいりましたが、時の政府は、いや、交付税を減らすのは借金があるんだから仕方がないんだ、毎年減らしていることなんだから仕方がないんだということを強弁されておりました。

 当時の、その三位一体のある意味責任者、担当大臣だったのはどなただったか、大臣御存じですか。

鳩山国務大臣 麻生総務大臣という時代が二年以上あったことは存じております。

寺田(学)委員 まさしく今の総理が進められたことそのものなんですよ。今、鳩山大臣が御指摘をされたこと自体が、野党のみならず与党の一部の中からも議論の中にあったのを、まさしく小泉氏、そして担当大臣だった麻生氏が、議事録を見れば一目瞭然ですけれども、そのような懸念はないのだと言って推し進めて、結果として今の現状があるということだと思います。

 この麻生当時の総務大臣、現の総理大臣の責任というものは、この三位一体改革においてはどのように位置づけられているものだと大臣はお考えになられていますか。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、国も地方も挙げて行政改革、効率化に取り組まなくちゃならないという大きな流れの中で三位一体改革というものが主張されるようになって、これが実行に移されていった。

 その中で、三兆円の税源移譲ということについては、とりわけ所得税から住民税へ税源を移譲するなどということは、私も大蔵官僚の息子でございますけれども、当時の大蔵省、今の財務省から考えれば、ちょっと考えられないような事柄であった。そういった意味では、三兆円の税源移譲は、三位一体改革の偉大な効果であり、金額には不足がありますけれども、これは光の部分と言ってもいいのかもしれない。

 また、補助金の削減について、地方六団体でしょうか、あるいは知事会でしょうか、そうしたところに意見を求めて、どの補助金を減らしたらいいか意見を聞いたというやり方も非常に新しい、地方を重視したやり方であったというふうに思うわけでございます。

 しかしながら、バブルは崩壊しておったとは思いますけれども、当時、地方税が伸びていく状況の中で、地方の疲弊につながるという予測は余りされていない方が多かったように思えるわけです。そんな中で、結果として、先ほどから私が申し上げたような影の部分が色濃く出てきたわけですから。ただ、これは、一つの改革をやって、光と影がどう出るかというのはやってみてしばらくたたないとわからないということでございますので、麻生総務大臣がどこまで予測できたかということに関していえば、それほど影の部分は生じないだろうという確信と信念でなさったのではないかと思うわけです。

 ただ、あの方は非常に正直な方で、御自分が無役になって全国百六十一カ所を回る中で、ああ、あの三位一体の影の部分がこういうふうに影響しているなということを痛感されて、それで、今回の予算編成に当たっても、地方を重視しなくちゃならないと言われて、私に対しても、とにかく地方を元気にするためにおれも頑張るからと、いつもある意味で私を励ましてくださったのは、そういう、御自身が直接予測しなかったけれども影の部分があらわれて、それを全国百六十一カ所行脚の中で現実そのものとして見詰められて、その若干の自己反省というのもあったのかもしれない。だからこそ、今地方重視の姿勢を強く打ち出しておられるのではないか。こう思います。

寺田(学)委員 何事もやることには光と影があるという一般論をもって、政策を失敗したことを反省せずに、責任もおよそないんだというような話は、政治においての責任をすべてなくしてしまうような話だと思っています。

 この間の三位一体改革、私も理念、考え方自体は賛成をしております。ただ、確実に、やり方に関して、急激であったりバランスが悪かったり、そしてまた、地方が要求する補助金のカットではなくて負担金という形でごまかしたりというところが、失敗の大きな原因だと思っています。

 そういう意味で、今まで長年政権を続けられているわけですから、以前の失敗というものに関しても謙虚に感じていただいて、それをただ単にその後になってやり直すということではなくて、政権交代という形で責任をとられるのが国民にとっても一番いいことだと私は思っていますので、その点はしっかりと責任をお感じになられながら、その当時は反対だったとか、そういうことを言わずにやっていただきたいものだと思っています。

 交付税の話をしていく中で、やはり地方の歳出というものが実際どのようになっているかということは重要な話だと思っています。大きな交付税議論というものが必要だと思いますが、その中における、本当に具体的にどのように支出をされているのかということは、つぶさに見る必要があると思っています。

 そういう意味で、数日前に大阪府の橋下知事が、いわゆる省庁が所管をしている公益法人、百十ぐらいの法人に対して、負担金及び寄附金等を半ば強制的に取られている部分があって、それを負担したくないという話の提言をされました。

 このことは知事会の中でも非常に問題になっていて、佐賀の古川知事を含めて、いわゆる法令外分担金に関して削減をしてくれということを長年要求しておりまして、応じていただいているところもあれば、応じてくださらないところもある。そして、ほぼ例外なくそういうような公益法人には天下りが行われている。やはりこういう状態を放置しておくべきではないというふうに思っています。

 うちの県においても、外部の監査報告等いろいろ調べてみますと、ここの分担金、本当にこれぐらい負担する必要があるんでしょうかというような指摘もありました。

 そういう意味で、総務省においてはあまた指摘しなければならないような団体があるんですが、きょうは二つ、地方自治情報センターと自治体国際化協会、中でも自治体国際化協会について特に議論したいというふうに思っております。

 一個一個問題点というのはほぼ同じぐらい含んでいるんですが、まず簡単に、うちの県で指摘した部分があるんですけれども、自治情報センター、LASDECというのですか、パンフレットを拝見しまして、組織図、役員・評議員というのがありまして、常勤のいわゆる役員の方が四名いらっしゃいます。小室さん、犬塚さん、須貝さん、林さんという方がいらっしゃいますが、この常勤の役員の中で、いわゆる天下り、省庁出身者の方は何人いらっしゃるか、参考人の方で結構ですので、御教授ください。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘の財団法人地方自治情報センターの常勤の役員の件でございますけれども、今読み上げられました四人の方は、中央省庁の出身でございます。

寺田(学)委員 今、常勤の四名の方がすべて中央省庁だということでした。

 具体的な省庁名を御存じだと思いますので、この四名の方の具体的な省庁名を教えてください。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 四人とも現総務省の出身でございます。

寺田(学)委員 内閣府等で定められている公益法人の仕組みとして、理事等は管轄している省庁の三分の一を超えてはならないということにはなっているんでしょうが、理事には、福岡県知事であったり大阪市長であったり、さまざまな充て職を入れられて、結局のところ、常勤のいわゆる役員四名すべてが総務省の方だということでした。

 この四名の方に払われている役員報酬は、総額でお幾らになるんでしょうか。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 一般会計の管理費、役員費というものを財務諸表から拝見いたしますと、三千五百万というふうになっております。

寺田(学)委員 きのういろいろお伺いしている中のお話と違うんですが、四名合わせて七千万を超えているというようなお話がありましたが、そこら辺は違うんですか。この常勤の方四名で三千万ちょっとでよろしいんでしょうか。御訂正はないでしょうか。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 七千万、八千万というのは、恐らく自治体国際化協会の方の数字ではなかったかというふうに記憶しておりますけれども、私どもの地方自治情報センターは、一般会計の管理費、役員費という財務諸表から見ますと三千五百万ということになっております。

寺田(学)委員 紙ベースでいただいている部分があるんですが、役員の数を減らしているのかどうかわかりませんけれども、もうそれ以上お答えになられないのであれば。七千万と私の方は伺っていますけれども。

 理事長小室さんの役員報酬はお幾らでしょうか。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 理事長の給与額は、現在、約千九百三十万円でございます。

寺田(学)委員 ほとんどじゃないですか。ほかの常勤の方はアルバイトなんですか。

 理事長になられた方は二千万ほど役員給与をもらわれているわけですよ。そのほかに三人常勤の方がいらっしゃって、まさしく天下りでやられている。まずはこのような状態になっているわけです。

 では、この組織、資金はどこから集めているかということになれば、さまざま、都道府県、市町村から、会費であったり、交付金であったり、都道府県負担金であったり、また補助金であったりということで、百四十三億円ぐらいの収入を得ている。

 具体的に何をしているのか。パンフレットを見る限り、非常にさまざまなことをされていまして、総括して申し上げることは非常に難しいんですが、秋田県の外部監査の中で指摘されていることは、契約額ということで、随意契約されているみたいですけれども、地方消費税都道府県間清算システム、このことをするだけで五十万円県から持っていっています。これは何か均等割みたいですので、全国で二千万程度集めて地方消費税都道府県間清算システムを運営しておるのだと。それ以外に、軽油流通情報管理システムの運用業務委託費ということで、秋田県からだけで五百八十二万円、たばこ流通情報管理システム運用業務委託ということで百五十七万円、利子割還付調整システムの運用業務委託、三十八万円、自動車税分配テープ作成業務委託、五百十万円。これは平成十八年の話ですが、さまざまな形で、そして、住基台帳を運営しているということで、またそれ以外にも何百万という形で負担金を求められている。

 必要な業務なのかもしれませんが、本当にそれが費用対効果で正しいのか、そしてまた、その役員構成を含めて、天下りを全員入れて、理事長が二千万円の給与をもらってやっているということ自体が果たして適正なのかどうかということはやはり議論しなければならないと思っています。

 大臣、今お話しした範囲の中で、御感想があれば。いかがですか。

鳩山国務大臣 予算委員会等でも公益法人についてのさまざまな御指摘があり、公益法人と天下りの関係、わたりの関係等が随分議論になっておりますので、それは私も承知いたしております。

 要は、公益法人については、基本的に全面的に見直すべきものであって、本当に必要なものもあるだろうし、役割を終えているものもあるかもしれないし、役割に比べて組織や予算が大き過ぎるのもあるかもしれないし、これは不断の見直しが必要な分野だ、こういうふうに思っております。

 それから、もちろん私は、寺田先生の御質問ということですから、きょうも朝五時半ごろに起きてからいろいろ勉強したりレクを受けたりいたしておりますけれども、恐らく役所の人は怒ると思いますけれども、今、公務員制度改革の中で、要するに、肩たたきというか勧奨退職をやめて、みんなが定年まで働くようにすればいい、そうすると、人件費が物すごく大きくなるから、一定の働き盛りからちょっと過ぎた人間は、再任用という手もあるんですけれども、減給していくという方法を考えなくちゃいけないということが議論されていますよね。

 そういう中で、いわゆる公益法人に転職した場合に、まるで役所の現職の給与が保障されるようなあり方に問題があるのではないかな。それは非常に重要な公益法人もあると思うけれども、指定職の何号俸で、これは次官級です、これは局長級です、これは審議官級ですという給料を保障するようなあり方に、多分みんな怒っていると思いますけれども、私は問題があると思います、正直言って。

寺田(学)委員 本当にそのような認識のもとで実行できるかどうかというところが一番問題になると思うんです。

 私がけしからぬなというのは、いわゆる地方の味方であって、地方に自由な裁量、財源を持たせるべきという役割を持つ総務省が、私はショバ代とかと言っていますけれども、地方からこのような形でショバ代を取って、必要な業務なのかもしれませんけれども、必要以上にお金を取って天下りを支えるような仕組みに見えるような、私としては実態としてはそうなっていると思いますけれども、そのような形にしているということが本当にけしからぬというふうに思っておるんです。

 これからお話しする国際化協会なんて、単純明快でもっとひどいような構図があって、私は一個一個御指摘をしたいんですが、この自治体国際化協会、そもそも、聞くところによると、二十年ぐらい前にできたと伺っております。二十年たった今もこの協会自体が以前と変わらず必要な組織であるかどうかということは、参考人からでも結構ですので、まず御答弁いただけたらと思います。

鳩山国務大臣 先ほどの地方自治情報センターについては、正直言って、私は余り直接仕事上の関与をしたことがないのでさしたる大した答弁はできないわけですが、自治体国際化協会というものについては、これは、かつて文部政務次官をやっていたころかと思いますが、JETプログラムというものが、小規模で、あのころは文部省予算で始まったのかなと。

 今はこの自治体国際化協会が大きくやっているわけで、世界最大規模の人的交流プログラムであって、大体五千人ぐらいの外国の青年が日本にやってきて、その外国語を教えたり、あるいは地方自治体に勤めて地域とか自治体の国際化のための事業を実施している。このことについては当時から多少関与しておりましたので、その事業の有益性については、私は認めたいと思っています。

寺田(学)委員 大臣が文部政務次官だったときというのは、何年前なんですか。

鳩山国務大臣 私が三十四、五歳ですから、残念ながら、寺田委員は生まれてはおられましたが、二十五年ぐらい前かなと思います。

寺田(学)委員 その当時は必要であった可能性は高いのかなということは、二十何年前ですので推測する範囲にとどまりますけれども、では現状において必要なのかどうかということは、いろいろ議論したいと思います。

 まず、きょうお配りしている資料は、全部国際化協会に関する資料です。

 一枚目の左に、これまた役員の一覧があります。常勤と書かれている方が五名、役所の説明によると、参与の方は役員に入らないというような御説明でしたが。理事長、専務理事、常務理事のお三方、そして監事の成田浩さん、参与の久賀さん、この五名が常勤ですが、この方々の御出身の省庁、省庁じゃなければそれ以外のものでも結構ですけれども、この中においていわゆる中央省庁出身者は何名いらっしゃるのか御答弁いただいて、中央省庁だとすればその役所名を教えてください。

岡崎政府参考人 今お話ありました五名の役員の方でございますが、理事長それから専務理事は総務省のOB、出身でございます。それから、常務理事につきましては外務省の出身の方でございます。常勤の監事は地方公共団体の出身でございます。それから、参与の方は文部科学省の出身でございます。

寺田(学)委員 この成田さんという監事を除いて、全部中央省庁の出身の方ということになると思います。

 この常勤の方々に対する役員報酬の総額はお幾らになっているんですか。そして、理事長の給与額もあわせて教えてください。

岡崎政府参考人 五名の方の年額の報酬の合計でございますが、約八千万円でございます。

 それから、理事長の報酬でございますが、給与規程上、国家公務員の一般職給与法に定める指定職俸給表の六号俸相当額というふうになっておりますので、金額に換算いたしますと、約二千七十万円というふうに伺っております。

寺田(学)委員 高いですね。それが高いかどうかというのはいろいろ弁明の余地があるのかもしれませんけれども。

 この理事長ポストというものが、先日我が党に資料が来ました、五代連続同じ省庁から天下っているところの公益法人ということで、先ほどの自治情報センターも、そしてこの自治体国際化協会も該当する、いわゆる総務省の指定席になっています。

 まず、このような形で行われ続けている現状に関して、大臣から、何かお考えはありますか。

鳩山国務大臣 自治体国際化協会については、先ほども申し上げましたように、私は立派な仕事をしているというふうに思っておりまして、海外事務所も、三つでしょうか……(発言する者あり)七つあるんですか、それも実態を見てはおりませんけれども、それなりに仕事をしてもらっていると思うわけであります。

 ところが、さっきも申し上げましたけれども、役員報酬規程に基づく報酬額が、理事長は指定職俸給表の六号だ、専務理事が指定職俸給表の四号俸相当額だ、常務理事が二号俸相当額だ、常勤監事が一号俸相当額だというふうに役員報酬規程に決まっているわけですね。

 だから、そのことが、私は、それはそれぞれ個人がおられるから失礼かと思うけれども、やはりどんな立派な仕事をしておられても、現職の総務省の次官から局長からが懸命に仕事をしておられる、そういう方々が次に就職する場所にこういう何か給与保障があるようなことが、天下り、天下りと言われる大きな原因の一つではないかな。

 もう一つだけ言わせてください。

 これは私、議院運営委員長をやったときにびっくりしましたのは、大体、衆議院の事務総長か参議院の事務総長か、今は変わったようですけれども、国立国会図書館長になるでしょう。たしか、ほとんど同じ給与だと思うんですね、事務総長と。あるいは高くなるのかわかりませんが。

 やはり国立国会図書館も立派なところだと思うけれども、衆議院の事務総長や参議院の事務総長が必ずそこに、いわば一種の天下りのように行って、給与が同じかそれ以上というのは絶対おかしいと思った。そういう疑問はいつも感じるタイプなものですから。

寺田(学)委員 大臣、大臣というお立場ですので、疑問を感じたら行動してください。前半の部分で、いわゆる公益法人に関して、このように給与が決まっているのはおかしいと思うと。所管大臣ですよ。

 では、大臣として、具体的に、この法人のみならず、少なくとも総務省の所管の公益法人に関して、今の疑問点をどのように御解決される予定ですか。

鳩山国務大臣 とりあえず、すべて調査はしたいと思います。

寺田(学)委員 調査というお話がありましたので、ついでにお願いしたいんですが、私が一度質問主意書で、地方自治体が国の役所の所管の公益法人に対して補助金、負担金、寄附金等で出している総額等はどれぐらいになっているかとお話をしましたら、そんな資料はないというような回答になりました。

 今、本当に調査をされるということであれば、少なくとも総務省所管の公益法人に関して地方自治体がどれぐらいの額を拠出しているのか、お調べになっていただけることは大丈夫でしょうか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 総務省という役所は、もちろん旧自治省、内務省の仕事を引き継いでいるわけでありますから、それこそ、地方公共団体とは極めて密接な関係があって、地方公共団体の発展のために体を張ってでも仕事をするというのが総務省という役所だと思っております。

 それだけに、大変地方自治体と関係が深い。このような総務省関係の団体が地方自治体とどういう関係があるのか、つまり、その関係において負担金等をどのように求めているかということは、これは当然調べなければならないことと思います。

寺田(学)委員 今調べていただけるというお話をいただいたので、本当にそれは参考にさせていただきたいと思います。

 その負担金のみならず、寄附金、補助金、交付金、さまざまな形で地方自治体から国の所管する公益法人に多額のお金が、召し上げられているという言い方はよくないんでしょうけれども、渡っています。大阪府及び知事会もそれを問題として、その負担金のあり方はどうなんだということを言っていますので、総務省として、総務省所管の公益法人に、私は全省庁やるべきだと思いますけれども、まずはそれを早急にやっていただきたいと思います。それはお約束いただけますね。はいということを着席しながらお話しいただきました。

 では、この国際化協会、何をやっておるか。JETプログラムの話をされました。御存じの方もいると思いますが、中学校、高校及び小学校に対して、外国の方を招き入れて、当時AETとか言われていたと私は思うんですけれども、英語のアシスタントの先生を派遣する。この国際化協会の主な仕事は何ですかと言われると、まずJETプログラムという話をされます。

 このJETプログラム、お渡しした資料の一枚目の右側にあるんですが、細かくて申しわけないんですが、二〇〇四年の六千人、役所の方に聞くと、このころがピークだったということでした。そのピークから、二〇〇八年の段階で四千六百八十二名まで減っています。役所の方からのレクチャーの中では、正直お金がもたないところは民間の英語教室から採用したりしているようですという話をされました。

 それこそ二十年前及び大臣が政務次官だったころはさすがに、全国あまねくいろいろなところで英語の教師の方、外国の方を採用するというのは、さまざまな意味で苦難があったと思いますが、もうこれほど国際化が進んで、大体のところで、何とかすれば民間の英語の教室から英語の先生を派遣してもらう等々ということは十分できるような環境になってくる中で、やはり当然のごとく、このJETプログラムを利用して、いわゆるAET、ALTというのですか、それを招き入れる総数というのはどんどん落ちてきているんです。

 この落ちてきているJETプログラムを中心にやっている団体なんですが、一番最後の三枚目の資料の右側にあるんですけれども、各自治体からの分担金で成り立っています。これは都道府県と政令指定都市からお金を分担金としていただいているんですが、どういう基準で決められているのかわかりません。正直、秋田県は一千四百万円この国際化協会のために負担金を払っています。上にある宮城県、人口ではかなり宮城県の方が多いんですが同じ額だったり、突出して東京都が多かったり、大阪府が七千八百万円。私の秋田県が払っている一千四百万なんて、理事長の給料にすらならないんです。そういう中において、皆さんからあまた集めたお金というものをJETプログラム及びこの協会の運営に使われているということになっています。

 二十何年前にはこの協会自体及びJETプログラムの意味というのはあったのかもしれませんが、これからどんどんこのニーズというものは代替可能になっていく状態になると思います。そしてまた、このような多額の負担金を出していることからして、この負担金を減らして、民間で何とかして英語の教師の方を採用したいなという健全な、健全というか当然の知恵を働かせる方々もたくさん出ると思うんですね。

 これは民間の代替ということも可能だと思うんですが、これからもこのJETプログラムということはこれぐらいの予算をいただきながら続けていくべきことなのかどうか。参考人の方でも大臣でも結構です、いかがですか。

岡崎政府参考人 御指摘いただきましたように、確かに、最近JETプログラムの参加人数が減少しているのは事実でございまして、理由としては、基本的に地方団体が財政危機によって非常に厳しい状況になったということとか、日本に来た参加者が途中で就職しちゃったりした場合の後補充等がなかなか今までのシステムではうまくいかない、中途補充の関係等がありまして、その辺は、今いろいろ文科省あるいは外務省とも相談しながら改善を検討しているところでございます。

 民間でできないのかというお話でありますけれども、JETプログラムの参加者は、単に語学指導だけではなくて、地域における国際交流活動へ協力していただくなど、地域の国際化にも寄与しているという認識でございます。また、都市部だけではなくて、全国津々浦々のJET青年を希望する団体に確実に配置するという意味では、非常に重要な役割を果たしていると思っております。

 それから、語学の教育ですが、正しい英語を使えるかどうかというようなものを、在外公館で判定委員会をつくってちゃんと試験をして採用しておりまして、単なる外国語指導助手のあっせんというだけでなくて、そういう政府が関与する世界最大規模の人的交流プログラムとして、海外からの評価も高いものだというふうに理解をしております。

寺田(学)委員 別に民間の英語の教員の方であったって、それなりの期間その地域にいれば地域との交流もしますし、もし本国に帰られるのだとしたら、それは当然その経験を生かして知日派にもなられますから、特別、JETプログラムで来た方だけがそういうようなことになるような言い方は、私は誤解を招くのではないかなと思います。

 それで、三枚目の右側の方には各地方自治体の負担金、その左の方に二十年度の収支予算総括表というのがあります。その中で、上に科目、一般会計、そして右側に外国青年招致事業特別会計というのがあります。この外国青年招致云々というのは、これはJETプログラムの特別会計です。この左側の一般会計は、JETプログラムとは切り離した形の経費になっています。下に目を移して、雑収入。

 主に自治体からのいわゆる負担金、分担金で賄っているんですが、JETプログラムは九億四千万、一般会計の方は二十五億かかっているんです。JETプログラムは大事だ大事だと言いながら、予算の大半はそれ以外のところに使われている。

 では、それ以外のことというのは何だろうということになると、ちょっとページを戻してもらうんですが、一ページ前に海外事務所の表が載っていると思います。何と七カ国に、さまざまな家賃が含まれながら、七つの事務所をこの予算をもとに運営しています。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー、北京。

 ニューヨークの住所は、これは引っ越しをされたということで前の話ですが、前はフィフスアベニューという、だれが見ても超一等地のところに事務所を構えて、役所の方からいただいた引っ越し後の賃料というものがほぼ同額だった、及び少し高くてとまったということなんですけれども、四百二十万。ロンドンの場合は百五十万、パリが百三十万、シンガポールが二百七十万、ソウルが百七十万、シドニーが二百十万、北京が百三十万。このような賃料を払いながら、約二十人程度のスタッフを擁して、ここに事務所を構えて何をやっているか。いろいろお伺いするんですよ、レポートを出しています、地方自治体から来た方のアテンドをしています、さまざまな研究をしていますと。そういうような形で、この二十五億円ぐらいが使われているということになっています。

 時間もないのではしょりながらやりますけれども、そこで問題点が出てくるんですね。

 右側の一般会計財産目録というところになるんですが、ここの固定資産の中の特定資産、海外事務所開設準備等積立資金、これは合計が百二十七億あるんですよ。毎年地方から二十数億集めておいて、JETプログラムという今の時代においてはさして重要でもなくなってきそうな事業をやって、そして海外に七つもこのような高額の賃料のところに人を雇い、そしてまた資産として百二十七億ためているんです。

 この海外事務所開設準備等積立資金とありますけれども、この七事務所以外、まだまだ広げるおつもりなんでしょうか。参考人の方でも結構です、いかがですか。

岡崎政府参考人 御指摘の、海外事務所開設準備等積立金という名前になっておりますけれども、この活用ということにつきましては、海外事務所の新設、移転、あるいは、外貨払いが多いものですから、為替差損の発生等に対して備えをするというのが趣旨であると聞いております。

 そこで、御指摘の海外事務所でございますけれども、新設につきましては現時点で具体化している計画はないというふうに伺っております。

寺田(学)委員 開設の用意がないのに、何で百二十七億もためる必要があるんですか。為替差損と言いますけれども、ディーラーでもやっているんですか。単純に調査をしているだけでしょう。家賃等の事務経費の為替差損は多少出ると思いますけれども、百二十七億必要だというのはどう考えてもおかしいと思うんです。大臣、おかしくないですか、この百二十七億というのは。

鳩山国務大臣 確かに、百二十七億というのはかなり大きな数字で、自治体からいろいろ負担を求めてきた、JETプログラムをやってきた、いろいろやってきた。そういう中で、国際化、つまり、在外公館ではないけれども、在外公館の地方自治体共同機関的なものとまでは言えないけれども、地方自治体の方が海外へ行って、国際化の研修をしたり経験したりするための拠点という意味があるんでしょう。

 ですから、これからさらにふやしたいという気持ちを本来持っていたのではないかなというふうに思いますけれども、もしこれ以上ふやす計画がないならば、この百二十七億というのはかなり大きな数字であって、最近、各都道府県からいただく、負担してもらう金額を一割ぐらい減らしてきたという話でございますが、これを当分使うつもりがないならば負担金をもう少し減らせばいいな、私は直観的にはそう思います。

寺田(学)委員 その直観的なことを、所管ですから、何かしらこちらに働きかける必要があると思うんですね。百二十七億もためて為替差損だとかと言っている時点で、私はむちゃくちゃな理由だと思いますよ。

 理事長が天下り、及び大半の常勤理事が各省庁からの天下りで、JETプログラム自体の重要性も二十数年前に比べると希薄化して、七つの海外事務所を持ってと。もちろん、外務省自体が、いわゆる海外の大使館がそこまで業務できないというのであれば、物すごく単純な話ですけれども、総務省の人間の部屋一つでももらって、そこで何とか手配した方がいいぐらいの話ですよ。わざわざこんな一等地に七つも事務所を構えて、それで今後のために百二十七億、為替差損のためだなんと言っている時点で、これがいわゆる埋蔵金と言わずして何と言うのかということだと思うんです。

 大臣自身、これはどうですか。地方自治体も、一千万、二千万、東京都に至っては億ですよ、そういうのを出して百二十七億円ためられているんですよ。もうちょっと強い意気込みで是正されるようなお気持ちはありませんか。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げたとおりのことしか言えないわけで、ふだん目にする金額でもないし、百二十七億というのは巨額だなと正直思いますけれども、百九億というのは随分安いなという議論もしてきていますよね。だから、金額の多寡というのは、事柄に応じてすごく大き過ぎたり小さ過ぎたりするものですから、私も百二十七億という数字について今その場で判断はできませんけれども、それだけの自治体に、たしか年間十八億ぐらい自治体から払ってもらっているのでしょうか……(寺田(学)委員「二十数億です。全部合わせると三十億弱です」と呼ぶ)自治体からですか。ああ、全部合わせると。それとの比較をしながら考えていくべき問題だと思います。

 今私が、直観的にこの百二十七という数字が物すごく大きいとか、百九億というのは絶対安過ぎると確信を持って言えた金額ですけれども、百二十七についてはちょっと今自信を持って言えません。

寺田(学)委員 大体の状況は御説明したはずですよ。それこそ、常勤理事は大半が天下りで、二千万理事長がもらっていて、JETプログラムもこういう形にだんだん衰退をして、海外事務所自体も本当に必要かどうかという疑念があって、百二十七億円ためているということですよ。

 橋下知事がこの協会に対して、天下りしているんだったら、天下りという理由一つでしたけれども、負担金、分担金をこんなに払いたくないという話をされていました。私はごもっともなことだと思うんです。全国各地の分担している方々が、役所に説明させるとこれは地方のためにやっているんだという話をしますから、皆さんで一気にボイコットすればいいんですよ、百二十七億きっちりなくなるまで払う気はないと。それぐらいのことをしないと、役所の無駄遣いというのはなくならないですよ。しかも、それを地方の味方である総務省がやっているというのは本当にけしからぬことだと思います。

 大阪府知事が言っている、分担金をこんな状態だったら払いたくないというのは一定の理解をされる部分もあるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 私もよく自分で調べたわけでもありませんから、これが無駄遣いであるかどうかということについては何ともお答えのしようがない。なかなかよくやっていて、有効に使われているお金なのかもしれない。

 ただ、百二十七億というのがたまっているとすれば、それは、拠出金というのか分担金というのか、平成十九年度から一〇%減額されていますが、もっと減額すればいい、直観的にはそう思います。

赤松委員長 椎川大臣官房地域力創造審議官。

椎川政府参考人 先ほど寺田先生の最初の御質問、突然の御質問でちょっと失礼をいたしましたので、補足ないし修正をさせていただきたいと思います。

 地方自治情報センターの常勤の役員四名のうち、中央省庁の出身者は三名でございます。それから、常勤役員に対する報酬でございますけれども、一般会計の役員費は三千五百万でございましたけれども、トータルの常勤役員に対する報酬の合計は約七千万というふうになってございます。

寺田(学)委員 一応通告していたことですから、急にというのもなんなんですけれども。

 大臣の話に戻しますけれども、私がお伺いしているのは、橋下府知事の、こんな団体にはもうそんなに払いたくないというところは一部理解できる部分はないですかという話を聞いているんです。できないということなんでしょうか。

鳩山国務大臣 ですから、この団体がどのような活動をしているか、私はもちろん報告は受けておりますが、そこが物すごく無駄なことをしているのか、非常に有効な、有益な仕事ばかりしているのかというのは、私はまだ判断できませんからお答えできません。

 ただ、基本的に地方公共団体というか、都道府県と政令市がお金を出し合ってでき上がっている機関でございますから、これはお父様を含めた知事会だとか、そういうようなところで十分に話し合っていただくというのが私は正しい方向だと思います。私は、もちろん担当の大臣として関与はします。

寺田(学)委員 旧自治省、今の総務省が所管しているんですよ。そこの天下りの人たちが理事長及び中心人物になっているわけですよ。そこに対して指示してください、こんなのじゃ高過ぎると私は大臣として思う、所管大臣として思うんだと。その直観をお伝えいただいて、そして、少なくとも総務省所管の公益法人が地方自治体から幾らもらっていて、どのような活動をしているのか、適正な額を皆さんから分担していただいているのか、事業が適正かどうか、それをお調べいただけるということはできますね。大臣、お約束ください。

鳩山国務大臣 私として、所管の公益法人について調べることはもちろんできますが、今のこの団体については、もちろん私が調べることはできるし、どういう権限があるかはよく調べてみないとまだわかりませんが、これは地方公共団体がみんなでお金を出し合ってできている団体でございますから、知事会等でも大いに議論をいただきたいと願います。

寺田(学)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、先ほど御答弁の中で、総務省の中のいわゆる分担金、負担金のことに関しては調べるというお約束だけは守ってください、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

赤松委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 予算関連法案についてお尋ねをいたしたいと思います。

 その前に、鳩山大臣、これは御準備いただいておりませんので、個人的な御所感で結構です。二、三お尋ねをしたいと思います。

 私、今週月曜日、上京する前に、地元香川県なんですけれども、坂出市というところにかんぽの宿がございます。そこへ実際に行ってまいりました。瀬戸大橋を見おろす大変風光明媚な地形の中に、全四十一室、見事な施設でございました。

 とにかく、まずは現場を拝見したいという思いで行ってまいったんですが、私の方から御説明しました、総支配人の方に。昭和四十三年の建築でありまして、総取得費は二十億近い費用をかけております。現在の簿価は四千八百万円、固定資産評価額が五億六千万円。私が総支配人に御説明申し上げました。総支配人はびっくり仰天しておられました。

 現在、全国の七十施設余りが一様に恐らくそういう状況なんだろうと思います。この点、きょうも勇ましいコメントを大臣にいただきたいような気持ちもあるんですが、ちょっと、あえて逆サイドから私は申し上げたいと思うんです。

 これは、郵政会社は、二〇一二年の九月までにこの抱えた赤字施設を売り切らなきゃいかぬわけですね、現行法を前提にしますと。大臣は、郵政民営化そのものに対してはいろいろな思いがありながらも、最終的には賛成されたということでありますし、その間の真情もこの間吐露しておられます。

 この民営化法の附則、かんぽの施設を売り切る期限を定めたこの条項、最近、参議院の方ですか、見直す考えもあるやなしやにお聞きをしておりますが、今のような現場のお声ももちろん酌み取っていただきたいと思います。一方で、こういうたがをはめたのは政治の側です。これを売り切ろうとして郵政会社は必死でしょう、恐らく。

 そういう状態の中で、大臣、この附則、改めて見直しも含めて、そこまでおっしゃるなら、ある種の御決意が必要かと思いますが、その点についてまず御所感をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 坂出のかんぽの宿は大変立派ですね。おふろもすごい。七十施設全部が全部ではないでしょうが、そういう非常に立派で、改修されて、さらにいっぱいになっているようなものが数多くあることをよく存じ上げております。ごらんをいただいて、お泊まりになってはいないんですか。できれば定額給付金を受け取って、お泊まりいただけるとありがたいとは思います。今、一万一千円ぐらいですから泊まれる計算になるかな、こういうふうに思うわけであります。

 かんぽの宿等の宿泊施設、これはメルパルクも一緒なんでしょうが、五年以内に譲渡または廃止という附則二条があります。ですから、私自身は、その附則二条を全く無視した答弁はできませんけれども、ただ、郵政民営化の見直しという中では、その部分だって、これは法律でございますから、国会の皆様方の御意見がそういう方向であれば見直しして構わない条項だ、こういうふうに考えているわけでございまして、私が一人で見直すと言って、そう見直すというか附則二条を変えると言ったって、それで通るわけではありません。賛否両論いろいろあると思いますから、最終的には国会でお決めになることだと思いますが、今後の経済情勢等も見ながら、公的な宿泊施設のあり方等についても、議論がすべて終わってしまっているわけではありませんから、考えながら、私も考えますが、国会もお考えいただきたい、こう思います。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 重ねてこの点、逆サイドから意見を申し上げさせていただきたいと思うんですが、全般に元気のない麻生内閣において、鳩山大臣の存在感というのは、大変勇ましく、また楽しい、今のやりとり一つお聞きしても、際立った存在感だと思いますが、何か人気も急上昇のようなことも報道でお見受けいたします。

 しかし、私、これは本当にリスクがあります、野党内含めていろいろな意見がありますからリスクがありますが、あえて申し上げたいんですが、この間の大臣の郵政会社に対するおっしゃり方について、私、一言持っております。

 例えば、競争入札とは言えない、疑念だらけだというコメント。言いわけのオンパレード、見苦しいというコメント。そして、きわめつきは衆議院の本会議、二月の十二日、西川社長のおっしゃることが変わった、価格競争と企画提案の審査の混合であるとのわけのわからぬこと。これは、私は、わけがわからぬことはないと思います。

 こういう一連のコメント、私は大変わかりやすいですし、歯にきぬ着せぬからこその鳩山大臣だと思いますが、現在、郵政会社は、株式会社化されたとはいえ、一〇〇%国の子会社であります。その所管の担当大臣は、十分な説明を受けていないとか経過を承知していないとか、いろいろなおっしゃり分はあるでしょう。

 しかし、御自身が最終的な責任者であり、監督、許認可の権限を持っておられる方が、御自身の傘下にある郵政会社に対する、あるいはその西川社長を初め責任者に対する物のおっしゃり方としては、私は、下とは思いませんが、上ではない。やはり、家庭内では厳しくしかればいいですよ、厳しく叱責すればいい。しかし、外向けには、御自身の所管である、いろいろ経過はあったでしょう、御自身の所管であることに対するある種の責任感、規範意識を感じながら外向けにはおっしゃった方が、より値打ちが上がるのではありませんか。大臣、その点いかがですか。

鳩山国務大臣 すばらしい御忠告であり、御指摘だと思います。

 私も性格が割かし単純なものですから、言葉を選んでしゃべることが兄と違ってできないものですから、本当に単純に物を言ってしまうんです。それで、実は、やはり反省しなければいけないことがあるなと率直に思っております。

 結局、いろいろな反論が出てきます、社説とかそれ以外の記事で私に対する厳しい批判がある。そうすると、何か単純に腹が立って、言葉が激しくなってしまう。

 例えば分社化の件に関して、局会社と事業会社が一緒になったら、郵政の九割を占める巨大な郵政ファミリー、巨大な郵政利権の復活であるという文字が新聞に出ていました。そういうのを見ると、これは一生懸命働いている事業会社や局会社の方に対する冒涜だ、そういう怒りを感じてしまう。

 それから、要するに、鳩山邦夫は全く企業とか経営とかいうのがわからない、赤字の企業だったら一万円で買ってくれても、そのまま赤字が出るより一万円で買ってくれたら御の字だというようなのを見ると、またかあっとなる。どうしても物を激しく言ってしまう傾向がある。

 そこで、この間、最近国会が忙しくて確かに余裕のない日々を過ごしておりますが、ふろに入っていてふっと思ったんですね。やはりこの問題の本質というのは、こういうことが二度と起こらないようにすることであって、今のことを解明することももちろん重要だけれども、二度とこういうことが起こらない、国民に信頼される政治であり行政である、国民から信頼される日本郵政株式会社であり、四つの会社でなければならぬ。要するに、日本郵政をいい会社に改めるのが私の仕事なんだな、本来の仕事はそこにあるんだな、そこに監督権限も報告徴求の権限も与えられているんだな、そう思いまして、至らぬ者でありますから、これからも言葉の行き過ぎはあるかもしれませんが、今の小川先生のお話は、本当にすばらしい薬としてのませていただきたい、こう思っております。

小川(淳)委員 過分な御答弁をありがとうございました。

 今、特に政治に関してわかりやすい発信とか、あるいは単純明快なコメントとか、そういうのがもてはやされる傾向にあるんだと思います。それには確かに一つのニーズがあるのでしょう。しかし、恐らく、本来政治はわかりやすいものではないでしょう、世の中がこれだけ複雑ですから。そこには私たちはある種あらがいながら、抵抗しながら、本当のことを礼節を持ってまじめに、できるだけ本当の意味でわかりやすく伝える努力が必要なんじゃないかと改めて思います。

 大臣から過分な御答弁をいただいたことにお礼を申し上げ、加えて、経験豊かなこれだけの方に私のような駆け出しの者がこういったことを申し上げた失礼についてはおわびを申し上げたいと思います。

 さて、本論の地方財政に入りたいと思います。

 最近の流れを見ておりますと、先ほど寺田委員の御質問の中に、地方の負担金に対する自治体の側からの異議申し立て、これも公式、非公式にございました。加えて、大臣もよく御存じです、このところ、大戸川ダムや川辺川ダムに対する自治体の異論、そして、新潟や佐賀での整備新幹線の負担金に対する異論。自治体の側からは、まさに知事の反乱といいますか、これまでは余り考えられなかったような強い意思表示がなされております。

 今からこの地方財政対策全般を議論いたしたいと思いますが、こういった知事側、地方側の反対論を前にして、この論争があるとすれば、にしきの御旗は私はむしろ地方側にあるんじゃないかと思いますが、まずその点に対する大臣の一般的な所感をいただいて、具体的な中身に入りたいと思います。

鳩山国務大臣 基本は、国の形にある。つまり、一般的に言われている言葉で言うならば、国と地方の役割分担というところにある。そういう意味で、地方分権改革推進委員会の二次勧告が出て、これは地方の出先機関の廃止や整理ということばかりが注目されますが、実は、そうではなくて、やはりそこには地方と国の事務権限のありようが中心にある。

 ですから、今委員おっしゃった中で、直轄事業の負担ということを考えるならば、この負担の割合を減らすというような議論よりは、直轄事業を減らして、河川でも道路でも、大部分を直轄国道から地方管理国道に移すということが先にあるべきではないかな。そういうことの中から本当の意味での地方分権が生まれてくる、そういう筋道を私は考えております。

小川(淳)委員 静止した状態で見ると、恐らくそういう冷静な議論ということになるのでしょうが、この間の最近の経過を動態的に見ると、今この瞬間においては、私は地方の言い分に理があるんじゃないかと。そういう方向感でぜひ以下の議論も進めてまいりたいと思います。

 今般の八十二兆五千億の地方財政計画に関してお尋ねをいたします。

 まず、内閣府にお越しをいただきました。この八十二兆五千億の地方財政計画の前提にもなっていると思いますが、来年度、平成二十一年度の経済見通し、これは既に財務金融委員会やその他におきましても甘いんじゃないかという指摘があろうかと思います。委員長のお許しをいただいて資料をお配りしていると思いますが、来期の国内総生産は名目で〇・一%の伸び。プラスだと。この点、いかがですか。内閣府、お越しいただいていますが、御説明いただけますか。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の政府経済見通しでございますが、二十一年度、この姿については、原油価格の低下などによります交易条件の改善に加えまして、政府の経済対策の効果が本格的に発現することにより、二十一年度後半には民間需要が持ち直し、低迷を脱していくことが期待されると考えております。

 こうした観点で、実質GDPの成長率は〇%程度、名目成長率については〇・一%程度、こういう見通しを立てているところでございます。

小川(淳)委員 重ねてのお尋ねです。

 ついせんだって、今月の十六日ですか、今年度、昨年の十月から十二月期の三カ月間で、年率換算でマイナス一二%という大変衝撃的な数字が報告をされたはずであります。これとの関連はいかがですか。十月から十二月マイナス一二%で、来年度はプラス成長に戻るか、この関連はいかがですか。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、先日、十―十二月期のGDP統計が出ました。二十年度の経済成長につきましては、これまでのところ、GDPの伸びはおろか、輸出、機械受注、消費者のマインドなど、経済指標というものが非常に悪化しており、厳しい状況にある点につきましては、御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、二十一年度につきましては、私、先ほど御説明いたしました交易条件の改善あるいは累次の経済対策の効果、こういうものが発現すると見込んでおります。

 もちろん、世界経済につきましては、不透明感も強く、今後、その影響が日本にさらに及びまして、景気の下降局面がさらに厳しく、また、長くなるリスクが存在することについては十分認識いたしております。

 現在のところ、経済財政運営の基本的態度といたしましては、まずは、第二次補正予算のうち、公共事業については可能な限り執行を促進させるとともに、その他の事業についても、第二次補正予算関連法案が成立し次第、執行を直ちに開始し、速やかな実施を図ることを考えております。

 二十一年度当初予算についても、早期成立をお願いするとともに、成立後、年度当初から速やかな執行をとり行って、こういう流れの中で経済財政運営に当たっていきたいと考えております。

小川(淳)委員 簡潔な御答弁をお願いしたいんですが。

 ちょっと、これだけ確認しますよ。昨年の十月から十二月期で年率換算一二%、大臣、GDPが一割減るというのは、恐らくこれは下限でしょうね、年率換算で一割減るというのは。これが十月から十二月期で出ました。これを確認したのはいつですか。そして、この経済見通し、来期の伸びの推計の基礎になった経済指標を確認したのはいつですか。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 十―十二月期のGDP統計は先週の月曜日発表になっており、その発表の時点で我々は認識いたしました。

 政府経済見通しの策定は十二月に作業を行っておりますので、その策定時点までの経済指標を検討の対象として作成したところでございます。

小川(淳)委員 大臣、御確認いただいたとおりでありまして、来年度予算の背景になっている経済見通しは、一二%減という大変戦慄に値するような数字だと思いますが、これが確認される前の段階の経済指標をもとに来期を見通し、そして税収を見積もり、地方財政計画に至っているということであります。

 この点だけは改めて確認しておきませんと、来年度の予算案なり地方財政計画は甚だ不十分なものという議論の種が残ったまま、直近の大変悪い経済指標を前提にしないまま、来年度予算、そして来年度の地方財政計画を議論しているというこの現実、ぜひ改めて御認識をいただきたいと思います。

 こういう中で、国家予算、国の予算は八十八兆五千億、史上最大規模と言われています。六・六%増です。この借金もぐれの中での状況ですが、それでもそこまで伸ばしました。

 鳩山大臣にお尋ねいたしたいんですが、今般の、昨年の秋ごろからの経済危機は、よく世上言われています、百年に一度、百年に一度。これは本当に百年に一度ですか。だとすれば、国家予算は六・六%増、大見えを切って大盤振る舞いしています。これでも、さっき申し上げたとおり、年率換算で一割近いGDPの落差が予想される以前の段階での経済指標がもとです。

 鳩山大臣、地方財政計画八十二・五兆円は、前年度との比較でいいますとマイナス一%です。今般の経済危機は本当に百年に一度ですか。そして、大臣が示された地方財政計画、前年比マイナスの地方財政計画は、国内外に対する地方財政の責任者としてのメッセージの点から十分なものですか。

鳩山国務大臣 百年に一度というグリーンスパンさんが使った言葉が一般化しておりますが、私はよくわかりません。

 先ほど委員がお示しになった来年度の経済成長率が〇・〇というのが示されたときに、ああ、それでは百年に一度というほどではないのではないかなと思ったことはありました。ところが、この間の年率換算、まあ、瞬間風速と言っていいのかどうかわかりませんが、マイナス一二・七%という数字を見たときには、やはりこれは百年に一度なのかなとまた思い直すというのが私の心の中の実態でございます。

 瞬間的にマイナス一二・七であったものが、これが続いて実際に二けたとか二けた近いマイナスに実績としてなった場合には、この国はどうなるのか。例えば、法人税がどうなるか、所得税がどうなるか考えただけで、地方交付税がまた発射台がうんと下がったら穴埋めをどうするのか、そこまで考えてしまう実態がございます。

 委員の質問に対するお答えとして申し上げれば、確かに地財計画上はマイナスになっておりますが、それは、かつて総務省におられた委員の方が私よりも百倍お詳しいように、いわゆる不交付団体の水準超過経費の大幅な減収という形で前年度比一%減になってしまっているわけでございます。

 ですから、不交付団体を除いて考えれば、もちろんすべての数字はプラスになるわけでございますし、地方の一般歳出は四千億円以上増加するので、これは平成十一年度以来十年ぶりの積極的な計画となっている。四千億円でどこまで自慢できるかわかりませんが、久しぶりにこれだけのプラスになったということが言えると思います。

 地方交付税につきましても、ずっとマイナスが続いてきて、平成二十年度でちょっとふえた。二十一年度、この経済状況でプラスになるかどうかという、いろいろな加算等がありましたが、大体六千億ぐらいのマイナスになっていたところ、総理から一兆円特別の追加をいただいて、それで十五兆八千二百億という、前年度比四千百億円ぐらいのプラスになった。

 こういうことで、これがとりあえず精いっぱいだったという思いがあります。

 それと、二次補正で入っております、これは非常に評判のいい地域活性化・生活対策臨時交付金六千億というのがあります。もちろん、舛添厚労相がいつも言っておられる、雇用創出のための二千五百足す千五百イコール四千億円というのもございます。そういうものを全部トータルで考えて、今のところは何とかこれが精いっぱいというのが、正直言って私の思いでございます。

 話がちょっと戻りますが、東京都とか愛知県の不交付団体は、好調な税収があったときに、水準を超えた経費、水準超経費に相当する額を使ってしまっているわけではなくて、将来に備えた基金へ積み立てたり、地方債発行額の圧縮にこれを使ってきておりますから、今回、地財計画上はこのような数字になっておりますけれども、基金を取り崩したり地方債発行を拡大して、東京も愛知県も実質的な歳出規模を維持して、むしろ拡大をしてくるのではないか。ですから、地財計画上はマイナス一%になっておりますが、実際実行される地方財政はプラスになるだろうと思います。

小川(淳)委員 本当に現在の経済危機をどの程度深刻に受けとめるかということとも絡むんだと思いますが、いろいろと、大臣、不交付団体のこととか、ここは言いわけを本当はしないで済む方がいいんですよね、格好いいか悪いかという意味でいうと。格好いいかよくないかという意味でいうと、万全の対策を講じましたと言い切れた方が格好よかったんだろうなと思います。

 これは、いずれにしても、今後の経済情勢を見通しながら、迅速にいろいろな対応を行っていただく。我が方としては、当然、今回の予算そのものを出し直しじゃないかということぐらいまで主張しているわけでありますが、そうした主張にもぜひ耳を傾けていただきたいと思います。

 ちなみに、これは本当に百年に一度なのかどうかは、私も定かには言えません。言えませんが、もちろん百年前にさかのぼれば一九二九年の世界恐慌まで入るわけですから、そこまで入れるとどうなのか、これはいろいろな判断があるでしょう。

 しかし、戦後だけでちょっと考えてみたんですね。年率換算で一割近いGDPの下落ということが、果たして過去にあったんだろうか。やはり一番に思い立ったのは、あのオイルショックのときでありました。この点、少し数字をいただいて見たんですけれども、一九七四年の一月から三月期がマイナス三・四%です、四半期で三・四%。今回話題になりました二月発表の速報値は四半期でマイナス三・三%ですから、このオイルショック後の、七四年の落ち込みに次いで、戦後、史上二番目の落ち込みであります。

 ところが、これは奇妙なことに、あえて政府側を擁護するつもりもないんですが、マイナス三・四%七四年に落ち込んだ後、プラス〇・七、プラス一・三、マイナス〇・五、プラス〇・一、プラス二・二と、急回復しているんですね、そのときは。今回はどうか。こういう楽観的な見通しに果たして立つことができるかということが一つ大きな論点になろうかと思います。

 そこで、きょう、せっかく副大臣にお越しいただきましたので、御判断いただきたいと思いますが、参考までに申し上げます。

 一九七四年に一月から三月でマイナス三・四%の実測を計測したときには、民間消費のマイナス、下落がほとんどの要因でありました。最終消費支出がマイナス六、住宅がマイナス七・五、企業設備がマイナス四・五。これに対して、輸出はプラス五・七でした。これは資料をお渡しできていなくて申しわけありません。これが一九七四年のことです。

 今回、同じく全体ではマイナス三・三でありますが、消費支出の下落分は極めて小さい。最終消費支出はマイナス〇・四。企業設備は少し出ています、マイナス五・三。しかし、住宅はプラス五・七。これは官製不況と言われた建築基準法の改正分のはね返りでしょう。これに対して、輸出の減はマイナス一三・九であります、今期は。

 そうすると、推測、推察の域を出ませんが、急回復をした七四年は、極めて好調な輸出の中で、国内的な民需がオイルショックに伴って落ち込んだ。今回は、内需に関しては、日本経済はもともと弱い構造をつくってきました、これに関してある程度の落ち込みは見られるものの、輸出が急減している。これは、私は七四年当時と同じような楽観的な見通しに立つことはできないと思いますが、副大臣、御見解をいただきたいと思います。

宮澤副大臣 今、小川議員からいろいろ御指摘を受けました。まさにおっしゃるとおりでありまして、今の日本の状況、消費というのは案外に堅調に来ております。ただ、消費もこのところに来て少し下振れてきましたので、大変心配をしております。

 今回の特徴というのは、百年に一度かどうかということは別にいたしましても、金融危機から世界同時不況になった。その結果、日本の得意とする自動車、家電、さらに工作機械といったところで輸出が大幅に減少する。また、それに乗じて生産の方も大変下がってきている。こういう状況から、三・三であり、年率一二・七というGDPの速報ベースになったわけでございます。

 これからどうなるかということは、もちろん、いろいろな光が見えていない部分がないわけではない。例えば、中国の内需が少し回復して、鉄鋼の船なんか随分動き出しているといったところがありますけれども、日本の主要な輸出先であるアメリカ、ヨーロッパというところを見ますと、まだまだ時間がかかるのかなという気がいたします。

 そうした点からいいますと、国内的にいえば、まず今来ておりますのは輸出の減少、売り上げの減少に加えて、恐らく調整局面、在庫の調整等々ということで大変生産が落ちてきているわけでございますけれども、早く調整局面が戻ってくれなければいけないし、その後、輸出がいつ伸び始めるのかということになりますと、委員のおっしゃるとおり、決してこの第四・四半期にそれが実現する状況ではない、大変厳しい状況にあると私自身も認識しております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 改めて二点確認したいと思いますが、来年度予算なり来年度の地方財政計画、そして来年度の経済見通しは、戦慄に値するGDPの下落比の前段階を前提に議論がスタートしているということが一つ。そして、七四年の急回復と比べますと、これは世界的な景気の回復を前提にしませんと、日本一国ではどうにもならない構造化に追い込まれているという、この点が一つ。この二つを今後の、来期の経済運営、予算運営に当たってもぜひ御当局には心していただきたい。改めてこの二点を確認した上で、次に入りたいと思います。

 さて、鳩山大臣、こういう中での八十二兆円の地方財政計画、もちろん、地方税は大変法人を中心に落ち込むことが予想されていますし、そして地方債計画にも万全の対応を大臣としてはとっておられるでしょうし、また、麻生総理の肝いりですか、地方交付税の一兆円の増額というようなことも盛り込まれているやにお聞きをしております。

 しかし、もともと地方交付税制度は、そろそろ、個人的には諸先輩方もたくさんおられる中で申し上げにくい点もありますが、あえてこれは将来のために議論をしておきたいと思いますが、限界に来ているんじゃないかという気がいたしております。大臣も常々、あるいは先ごろ総務委員会でもおっしゃっておられました。この総額を確保するために将来の財源を先食いしていくことにはもう限界があるんじゃないかという、大変、御見識を既にいただいているわけであります。

 そこで、今年度の交付税総額については、十五兆八千億を確保する見込みとお聞きしています。ピークは二十一兆円でしたから、これでも六兆円近い減ですか、そういう中で十五兆八千億を確保しておられる。

 しかし、交付税の財源の本体というべきものは、大臣御存じのとおり、所得税を初めとした法定五税、消費税や法人税、酒税、そしてたばこ税ですか、これの約三割が地方の財源だというのが大きな原則であり、建前であります。それからいいますと、来期の見込みで法定五税は、法定五税から繰り入れられる交付税の財源本体はわずかに十二兆円。十二兆円の財源しかない中で、十分とは言えませんが、それでも十五兆八千億を確保された。この差額分の三兆円余りの財源は、どうやって準備されたのか。御当局でも結構です、お答えいただきたいと思います。

久保政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、法定五税で入ってまいりますのは十二兆二千億でございました。それに国税の決算と予算との差で精算をしなければいけない分等々で、それよりも差し引きマイナスになっていくというので、大体、法定税関係では十一兆ちょっとということでございました。

 では、どうやって十五兆八千億を加算したのかということになりますけれども、まず一つは、法定加算というのがございます。これは、過去、国と地方との間で財源をどういうふうにして地方のマイナスを補てんしようかというのを決めて、法律でそれを措置しているという分がございまして、これを、平成二十一年度で使える分、七千二百億円を全額使うということにいたしました。

 それから、財源不足が十兆五千億生じましたが、財源対策債の増発等々を行っていきまして、地方交付税法の附則四条の三に規定しております究極の補てん方策、折半ルール、これを使わざるを得なくなったということによって、折半ルールを適用することによって、国からの特例加算、臨時財政対策特例加算が二兆五千億ほどございます。これを使う。

 そしてさらに、先ほどございましたような、これは総理の肝いりといいますか、一兆円を特別に加算するといったようなこと等々で十五兆八千億を確保したということでございます。

小川(淳)委員 これは年々複雑な制度になってきているという気がしますし、その意味では当局の皆さんも本当に大変でしょうね、毎年毎年。国の予算当局とも大変でしょうし、これは制度をメンテナンスしていくだけでも大変な労力なんだろうと思います。

 国税との精算、貸し借りもあるでしょうし、これはよくごらんになる表ですね、お配りさせていただいた資料の二枚目をごらんいただきたいと思いますが、本来返さなければならなかったはずの交付税特別会計の借入金の償還図であります。十九年の当初残高で総額三十三兆円。これは、平成十九年から平成三十八年まで二十年かけて返しますという約束の金額については、資料をごらんのとおりです。

 平成十九年の返済予定額五千八百六十九億円については、全額後年度に繰り延べ。平成二十年度の返済予定額六千四百五十六億については、全額後年度に繰り延べ。来年度、七千百二億の返済予定額についても、全額後年度に繰り延べ。

 そして、加えて申し上げたいと思いますが、今年度予算は、さきの第二次補正段階で当初より七兆円減収になりました。七兆円減収になりますと、当然、地方財政には、交付税ではその三割分の影響が及ぶわけですから、二兆円の財源を確保しなければならなかった。これも、大臣御存じのとおり、後年度から持ってきたわけですね。去年、平成十九年にも同じような補正段階での減収、このときは二兆円の減収がありました。地方への影響分は三割ですから六千億円、これも後年度から持ってきました。

 こうした矛盾をすべて吸収していた制度は、交付税特会の借り入れでありました。しかし、それを平成十三年に確かに廃止をした。廃止をしたけれども、結果としてこういう形で財源を先食い、先食いしていくのでは、破綻することは明らかなんじゃありませんか。

 毎年毎年、これは問題の先送りであり、このままやっていけると思っている方、今、大臣初め、そして局長さん初め諸幹部の方、一同おられます、平成三十八年にこうやってやりますということを責任持っておっしゃる方は、この中には一人もいない。こんな形でやっていくことには、私はもう甚だ限界に来ていると思いますが、大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 小川委員のおっしゃっていることは基本的に間違っていない、大変危機的な状況にあると思っております。

 例えば今、地方自治体とのやりとりの間で、何か、例えば補正予算でもいいんですが、こういう事業をやりたいという申し出があって、わかりました、補助金が半分出ます、残り半分は起債を認めましょう、その起債の主たる金額のまた四割とか五割とか六割は交付税で見ます、こういうふうに約束したものがすごく多いけれども、もう地方自治体もだんだんそれがわかってきて、将来の交付税で見てくれる、すなわち、基準財政需要に積んでくれるということではあるが、交付税がふえない、減っていけば、結局他の需要に食い込んでいくだけだということに気がついてきて、もちろん前から知っておられるんでしょうけれども、真水でなければ困るんだよと。知事会あたりからも、徹底して真水だ真水だと、将来の交付税で見てやるからというのは、交付税がふえていくならいいけれども、むしろこんなに交付税が減ってきた段階で将来の交付税で見てあげるというのは困るんだよと。これが危機的状況のあらわれ方の一つだろうと思います。

 今先生御指摘の、交付税特会での借り入れが三十三兆あると。要は、今の地方の借入金残高百九十七兆円と言われているうちで、交付税特会から借り入れたもの、それから公営企業債を除くと百三十とか四十というオーダーになりますが、その約半分ぐらいが臨財債とか財源対策債とか減収補てん債というのは、いわゆる臨時的なものになっていますね、普通の建設地方債ではなくて、財源の穴埋めみたいなものが半分ぐらいを占めるようになってしまって、これもいずれ返さなければならないということでございますから、そうなってまいりますと、このままいけば制度的に破綻することは間違いがありません。

 ですから、中期プログラムも含めて、将来の地方税財源について、例えば税源は国と地方が一対一を目指すとか、あるいは国税からの法定の繰り入れの率をふやしていくとか、地方消費税の増額を図るとか、抜本的な対策を打たなければ、地方財政はもたないと思っております。

 私は、中学生か小学生の六年ぐらいのときに、地方交付税というのがありますと。そのときは国税三税だったと思いますね。所得税、法人税、酒税の三税ではなかったか。それで基準的な需要と収入の間を埋めると。やはりこの原則が大事なので、この原則が通用できる水準にしなければいけない、そこのところが最大のポイントなんだろうなと思うんです。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 そのとおりだと思います。ちょっとそこを後追いさせていただきたいと思うんですが、私は、何も地方に財源確保せよ、確保せよということを申し上げたいわけではありません。むしろ、来年度予算で言うべきことは、もちろん景気対策は別途やればいい、別途やればいいんですが、本来、総務大臣として地方に言わなければならないことは、来期の実入りは十二兆円しかない、この中でやってくれということを言わないといけないわけです。景気対策分は景気対策分で別途用意すればいい。この交付税制度という中に潜り込ませたことにわかりにくさがあるし、また、この交付税という制度の性格をあいまいにもしていますし、私は、対処のしようがないところまで追い込んでいるような気がします。

 その関連であえて申し上げますよ。麻生総理がつけ加えるように言った一兆円のうち、五千億、半分は地域の雇用対策、雇用創出推進費だという名目がついている。

 お配りした資料の三枚目をごらんいただきたいんですが、私も、恥ずかしながら、この単位費用の一覧というのを初めて見ました。地方交付税の分配基準たる各単位費用、ちょっと汚い字で恐縮ですが、丸印をつけています。上からずっと見ていきますと、八番目に、下から二番目の八番目に地域雇用創出推進費という名目が立っています。これは道府県分でありますが、単価は人口一人当たり二千百七十円だと言っている。これは、人口一人当たり二千百七十円で何の地域雇用対策をやるんですか。御答弁いただきたいと思います。

久保政府参考人 その前提といたしまして、先ほど来お話が出ておりますように、交付税、折半ルールで埋めて十四・八兆を通常のベースで確保した上に、地方交付税を一兆円増額したということでございまして、単に一兆円増額をしていただいただけで終われば、臨時財政対策債が振りかえるだけになってしまってもいけないので、それに見合う歳出も一兆円立てていただきたい、こう申し上げておったところでございまして、一兆円の歳出が地方財政計画で立ちました。そして、その半分を、御指摘がございましたような地域雇用創出推進費ということで、二十一年度と二十二年度、二カ年これを維持するということにしていただきました。

 交付税上は、先ほどお話がございましたような形で、県の場合には二千百七十円、市は千八百四十円という形で単位費用を算定いたしましたけれども、考え方といたしましては、この五千億を交付税上も臨時の費目として雇用対策に使おうということでございまして、需要額が県と市町村それぞれほぼ同額でございますから、二千五百億ずつを県分、市町村分ということで振り分けました。そして、人口を基準にして配る。そして、補正をやっていきますけれども、県の場合でありましたら、有効求人倍率とかそういったものを使おうと考えているところでございます。

 これは、やはり交付税でございますから、それぞれの地方公共団体が創意工夫していただいて、雇用対策に使っていただきたい、こう考えているわけでございます。

小川(淳)委員 いいですか、大臣、今お聞きのとおりで、これをなぜ県は人口一人当たり地域雇用の創出に二千百七十円なのか、私はその積算の根拠をお聞きしました。市町村については資料をつけていませんけれども、千八百四十円なんですね。なぜ県は二千百七十円で、なぜ市町村は千八百四十円なのか。

 もっと申し上げます。幾つか丸をつけていますが、地方再生対策費、これは去年ですか、おととしですか、入ったもので、人口一人当たり千三百円。地域振興費は人口一人当たり六百十四円。何で商工行政費は人口一人当たり二千百三十円なんですか。なぜ上の、五番目の労働費は人口一人当たり五百四十八円なんですか。これは説明できないでしょう。

 つまり、大臣、これは、特に今回の雇用創出推進枠の五千億は、典型的であります。もともと五千億だから、半分ずつ県と市町村に配ることにしました、ついては人口一人当たりこのぐらいの計算になりますという話です。

 私が申し上げたいのは、それでやるならそれでやればいいんです、それでやればいい、交付税全体は、それでやるということはこういうことです、さっき申し上げました、ことしの実入りは十二兆円しかない、ついてはこれを都道府県も市町村も、分配の基準にはいろいろあるでしょう、大臣がおっしゃった事業費補正みたいなことはやらずに人口と面積という本当に基本的な指標で分配すべきだと思いますが、来期の実入りは十二兆円なので、この分でやってもらいますよ、ついてはこういう基準でだれの目から見ても明らかなように配りますというふうにすべきです。

 ところが、一方で、ここが問題です、地方交付税というのは、地方の財源不足額を埋めるものだ、基準財政需要額、標準的な自治体にはこれだけの経費が必要だ、しかし標準的な自治体にはこれだけの税収しかない、その差額分を埋めるのが交付税だというもう一方の建前をとっている。だから、来期の実入りが十二兆円しかないのに、四苦八苦して後年度からわけのわからぬ財源まで持ってきて、総額で十五兆円超えているものを確保して、それを大きな顔して配るんでしょう、ことしに限って言えば。しかし、こんなやり方でこの先やっていけるわけがないことは大臣もお感じのとおりですし、御担当いただいている皆さんが一番それは感じておられることだと思います。

 そこで、大臣、本当に時間も限られていますから、最後に申し上げたいことを申し上げて御所感をいただきたいんですが、私、考えたんです、ことしの補正予算を審議したときにも思いました、なぜ二兆円を来期以降の後年度から持ってくるんだろうと。去年も思いました、なぜ六千億円足りないから後年度から持ってくるんだろうと。

 それは、大臣、仕組みとしては御存じだと思いますが、地方交付税を十一月で配り終えるんです、税収が確定する前に。配り終えたら、是が非でもその金額については税収が落ち込んでも確保しようとする。これは逆でしょう。売り上げが落ちたらその範囲でやってくれ、税収が落ちたらやれる範囲でやってくれと言って、初めて地方財政というのは規律が芽生えるのではありませんか。

 私は思ったんですよ、結局これは、地方交付税だけとは言いません、すべてが成長期の仕組みなんですね。経済も、人口もふえてくる時代に、まさかことしの予算は、来期の予算は、去年より減ることなんてあり得ない、約束したとおりの額は最後まで配れる、ことしよりも来年はもっといいはずだと。私は、地方行政に関して言えば、成長期の仕組みをそのまま置いているがために、今のような人口減少、低成長の時代に入ったら、制度の理念として仕組みそのものがやっていけない時代に入っているんだろうと。

 これは、実は地方財政だけではありません。年金制度もそうです。雇用市場、雇用の仕組みもそうです。教育もそうです。恐らく、すべては一九六〇年代にその基本形をなした成長期の仕組みのまま、その継ぎはぎでここまでやってきている。ついにその矛盾は吸収し切れなくなって、ごらんいただいたような状況に至っているということではないかと思います。

 大臣、最後に、こういう交付税制度そのものが限界に来ていること、そして、せっかくお配りした資料ですから、もう一つおめくりをいただきたいと思いますが、総務省さん作成の、国と地方の支出のウエートの比較表であります。

 日本は、地方が国の四倍ぐらい支出している計算になるんです。アメリカは、地方が国の二倍。丸をつけているドイツ、これもやはり地方が国の四倍ぐらいですね。カナダ、これも地方が国の四倍ぐらい支出しています。一方で、イギリスは国の方が多いですね。フランスも国と地方が一対一ぐらい。イタリアもほぼ一対一。

 大臣、お気づきだと思いますが、地方の支出割合が極めて多い三つの国、アメリカ、ドイツ、カナダ、これは連邦制の国であります。国の支出が多いイギリスやフランスは、単一国家で大変中央集権の強い国。

 日本は、そういう意味では極めて異質です。連邦制の国に近いぐらい地方が役割を果たしている。しかし、今般議論しました地方交付税、そのほかにも補助金、地方債の同意、こういったことによってその自由度が極めて低い国、ボリュームは大きいけれども極めて自由度が低い国、これが地方、日本の特色であります。

 交付税は、もう財源保障はできない、これからの時代、財源保障なんてできない、実入りのある分でやってくれという、規律のある仕組みに変えるべきだと思いますし、この地方自治体の財政のウエートを考えれば、大幅に連邦国家に近いぐらいの分権化を進めなければ、結局、資源配分が最適化されないということだと私は思います、各地域隅々まで。

 この二点、総務大臣の御見識をいただいて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 おっしゃっておられる事柄は、それなりに響くものがございます。

 地方分権をもっともっときちんと進めなければならない、国と地方の役割分担をきちんとしなければならないというふうにまず思います。

 それから、地方交付税のあり方は今のままでは通用しなくなるわけですから、これは地方交付税法の第六条の三に明確にうたわれているように、地方交付税は、国税五税を基本として計算した額、基準財政需要と収入の差が埋めるべき額ですね、これが乖離がひどい場合には地方行政に関する制度の改正か交付税の法定率の変更を考えなければならないとなっているわけですから、この法律に従って地方交付税の抜本的な見直しをしなければならない、そう思います。

 でも、それ以上に、あなたは重要なことをおっしゃったので、私は、もう十五、六年前から、右肩上がりの経済成長が幻想となる、そのときに政治は大転換が求められるけれども、これがうまくいくかどうかが国の運命を左右するということを、環境を中心に議論する者として訴え続けてきた。

 今回の、百年に一度という話は、実は、人類の経済活動がそろそろ右肩上がりが幻想に近づいているのではないか、そういう認識に至りつつあります。

    〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕

小川(淳)委員 ありがとうございました。

森山(裕)委員長代理 次に、森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 地方税、地方交付税の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきますが、その前に、大臣所信について少しお伺いさせていただきます。

 先般の郵政民営化の総理大臣の発言でございますが、四分社化を国民の皆様が余り理解をされておらなくて、その郵政民営化、総選挙になって今の小泉大勝利があったということなんですが、国民の皆様が四分社化に余り理解がなかったというような発言については、国民の皆様に大変失礼な総理の発言だというふうに私は思っております。

 そのことについて総務大臣はどのような感想を持っておられるのか、まず冒頭お聞きします。

鳩山国務大臣 先般の総理の御発言は、私はこう受け取りました。

 つまり、平成十七年九月の総選挙は、確かに郵政民営化が一つの大きな争点でありました。かといって、それだけが争点であったわけではないと思います。

 そのときに、郵政民営化によって国家公務員が大幅に減るということ、そのことが盛んに訴えられた点ではなかったか。ですから、いわゆる国家公務員の数が減るという意味での大行政改革ということが一番主張されて、何分社化するかということの説明を、例えば与党の議員がして歩いたのではなかったのではないか。

 だから、国民は、結果として、大行政改革である民営化、しかし、その民営化後の姿については詳しく知っていた人はそれほど多くないのではないか、こういう認識をおっしゃられたのではないかなと思うんです。

森本委員 これについては余り議論はいたしませんが、いずれにいたしましても、この四分社化というのが根幹になる法律でございますから、そのことを国民の皆様が理解されておらなかったというようなことは、私は大変失礼な発言だというふうに思います。(発言する者あり)

 こちらの方からやじも飛んでいますが、ここのところは相入れない部分だというふうに思っておりますから、ここは何度申し上げてもこのような発言。しかし、私は、極めてそうした発言が、国民の皆様と国会議員の中で、本当の意味での現場から大きく離れていってしまっているんじゃないかなということを大変残念に思っておりますから、そのことをきょうはあえて申し上げた次第でございます。

 それと、これは質問通告をいたしておりませんが、くどいようですが、定額給付金。

 私は、やってはいけない政策だ、政治はやらなければならないこととやってはいけないことというようなことを先般申し上げましたが、この給付金、大臣にとって、後日、後悔されるような給付金にはならない自信はおありですか。

鳩山国務大臣 一つの政策をやるときに、その結果を一〇〇%正確に予測するということはできないと思いますが、私は、定額給付金の場合はまず誤解が先にあるような、そんなふうに思えてなりません。

 つまり、七十五兆円の経済対策の中の二兆円を、いわゆる緊急の生活支援、そして経済が上向くための一つのきっかけ、景気回復に使おうということで行われるものでございまして、二兆円の定額給付金をやるから例えば高齢者の医療とか障害者の福祉とか学校の耐震化が進まなくなる、すぐそういう議論になりますが、それはそういう方向でまた別途、一次補正、二次補正、あるいは本予算で雇用の問題も含めて手を打っているわけでございますから、議論としては正しくないと思うのです。

 この定額給付金は、実はもう申請書を住民に送付し始めているところが多い。申請書を送付して、申請を受け付け始めているところもあると聞きます。大体四月の初めまでにはかなりの自治体が申請書の交付は終わるだろう。こういうことで、これから進んでいく中で、その一万二千円あるいは二万円の使い道を皆さんがお考えになるようになる。

 地域が考えて、きょう聞いたニュースでは、ある自治体は、二万円の方、つまり十八歳未満あるいは六十五歳以上の方には二万一千円配る、また、同時に一割増しのプレミアム商品券を出す、そういう計画が次々と地方自治体から上がってきておりますので、自治体の間でも大分空気が変わってきているのではないかというふうに思い、これから定額給付金の理解は一層進んでいくと思います。

森本委員 既に進みつつある給付金、これについては理解をいたしております。しかし、このことが余り役に立たなかったなということを後日言われないように。そのことは今ここで確認をさせていただいておきます。

 それでは、これは所信に述べられておりますが、地域の元気回復・活性化を図ることを第一にもろもろの施策を展開するとされておりますが、特にどの分野を指されるのか、お聞かせください。

鳩山国務大臣 地方の元気回復・活性化というのは、いわば私の仕事の目標そのものでございますから、すべてが地方の元気回復や活性化につながるように導いていかなければならないと思っております。

 平成二十一年度の地方財政対策においては、別枠の一兆円の増額というのがあったわけでございまして、先ほども議論が出ましたが、この一兆円のうち、半分の五千億円は地方の雇用創出という形に使われてまいります。残りの五千億のうち、二千億円は要するに公債、地方債の返済に充てられるようでございますが、残り三千億をまたさまざまな地方の元気回復に使っていただこうと考えております。

 話すと長くなりますから名前だけ申し上げますが、例えば、私が特に強く提唱しております定住自立圏構想の推進、これは約八十億円を支出いたします。それから、「頑張る地方応援プログラム」に基づいて実施する地域人材力活性化事業、これは、額は九千万と少ないのですが、意味は大きいと思います。また、過疎地域集落再編整備事業、これは三億。それから、携帯電話が利用できない過疎地域のエリア整備、これは九十億円近くというようなことで、全部が新規事業ではないと思いますけれども、こうした事柄を行うことによって、地方の元気回復を図っていこうと考えております。

    〔森山(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

森本委員 今の大臣の一兆円の発言もありますが、私は、それで地方が活性化するとはとても考えられません。今、続いてお話をさせていただいて、後でその議論をさせていただきます。

 自然との共生、これは一度聞かせていただきましたが、この理念を二十一年度の施策の中にどのように取り入れておられるのか、そのことについてもお伺いします。

鳩山国務大臣 私は、自然との共生というものを私の政治目標の中心に置いております。

 これは、話すとちょうど一時間ぐらいかかるのでございますけれども、大幅に省略をいたしますと、人間が万物の霊長といって地球システムから何を奪ってもいい、そういう考え方で生きていくことは、結局、周りの自然を破壊して、人類の繁栄、発展が短期間で終了することにつながるという信念でございまして、先ほどの小川委員とのやりとりの中で、私が、右肩上がりの幻想というものをいつまでも持ち続けてはいけないと申し上げているのは、その点でございます。

 そういうことで、自然の中の一員として、我々は、本来ならばフロー社会で生きていくべきなんです。ストックを食いつぶす、つまり、石油、石炭、あるいはその他、レアメタルでもそうなんですが、ストックを食いつぶすようになってくると限界が近づくから、本来ならばエネルギーも全部フローで供給できれば一番いい、こういうことなのでありましょう。

 そういう中で、私は、総務省という役所の中で考えた場合には、地域と地域の共生という考え方を取り入れていきたい、こう思っております。

 来年度から始めますのは、若者が都市から農山漁村に働き手として長期間、最低一年以上行っていただく地域おこし協力隊、青年海外協力隊の国内版のようなもので、これは特別交付税で考えたいと思っております。

 それから、ちょっと持論が入り過ぎているかもしれませんが、本来、流域というのが一番重要なのではないか。要するに、川の上流、中流、下流、本当は流域で全部、市町村も都道府県も分かれていけばいいんだろうというふうに思っておりまして、流域協定など、自治体間が協定を結んで水とか森等のボランティア活動をやる。そういう自然保護活動に、都市と地方両方、つまり川の下流から上流まで全員が参加するような枠組みをつくりたい。これも特別交付税で考えたいと思っております。

 また、定住自立圏構想と申し上げておりますのは、一つの中心市と周りの自治体とで、あわせて全体で人口が減らないというような構想でございまして、中心市と周辺の市町村が提携すれば、周辺の自然は壊さないで、中心市でいろいろな、例えば医療とか福祉とかそういうのを引き受ける、これも一種の自然との共生ではないか。

 それから、過疎地域の集落支援員という制度をつくって、過疎地域の集落の見回り等をしてもらって、限界集落と言われているようなところが安心して暮らせるようにするなど、いろいろあるわけでございますが、私は、みずからの最大の主張、年来の主張である自然との共生を総務行政の中ではそういう形で生かしていきたい、こういうふうに考えております。

森本委員 流域という考え方は大事だ、ここのところは私も同感でございます。

 ただ、大臣、いろいろな施策をやられますが、これはセーフティーネットも助けるだけの、活性化してくれる施策ではないというふうに私自身感じます。

 今申し上げますが、戦後植林をされました。人工林と森、森でも、森と森林という、これは専門的にいろいろ考えられる方がありますから、森と限定させていただきますと、ここは自然界の生態系がきっちり守れるところです。しかし、戦後植林をした、森林と言われる、林業をやられておるところについては、適正な管理をされない限り生態系は維持できません。今、その生態系はほとんど維持されていないような状況が多いわけです。

 しかも、地方はここのところが暮らしの原点になっていました。ですから、森と、田畑を耕して、その水をうまく海に流して、そこで自然界の生態系が守られて、お魚を食べて、日本の食がずっと守られてきた。それが、パン食になって少し食事も変わってきて、そして、輸出産業を中心とする産業の中から、森がどちらかといえばもうけられない産業として位置づけられてしまった。

 大臣、今、二ヘクタールの森林、六十二年生ですよ、昨日聞いた話で、山の奥とかふもととかいろいろありますが、何とこれが百万ですよ、百万。それで、山の仕事で、六十歳、年金をもらわれておる、国民年金を取られておる方が、一日五千円稼げないような状況が今の地方なんですよ。米をつくってみえる方、二ヘクタール、三ヘクタールでは、とてもじゃないが、その程度の、五千円ぐらいの日当にしかならないでしょう。

 今の寺田議員の、一人に二千何百万円と払われている世界と、たとえ年金暮らしでも、五千円でもいただいて二十日間働いて十万円いただけたら、何とかこの地域で、ボランティアもやって、組長、区長もやってということができるというようなことをお話しされているときに、余りにも国の政治というものがここと乖離しているというふうに私は思っています。私自身がそうした地域、山の中に入っておりますから特に感じることかもしれませんが、全体に、そうした今の地方の現実でございます。

 事は簡単なんです。森林は、国の責任で植林をしました。植林をした以上、適期適期できっちりと作業をして、間伐作業、枝打ち作業をやって、人間でもそうですけれども、保育園、小学校、中学校ときっちり教育をして、そして一人前の人間として育っていくわけなんですが、山の場合は植えて放置されるという現実。これは、経済が動かないから現実がこうなります。

 ですから、もっと木材の利用を高めながらここのところを活性化すれば、私は、それほど国がどんどんお金をほうり込まなくても解決していく問題になると思っておりますが、現実は悲惨な状況であります。百ヘクタール、二百ヘクタールと所有されておる森林のトップの方々が、私自身はその方々を殿のような存在で幼いころあがめておりました。しかし、今は正直、全く私自身と同じような生活。そんな中で今必死にもがいておられる姿を目の当たりにしています。

 そういうことから、特に天然林として今流域があるところは非常にいい流域になっていくと思いますが、手を入れた森林というものはきっちりやらないと、これは、今大臣がおっしゃられる基本的な流域が確実に崩れてしまうということ、このことを私自身強く思っておりますので、そのことについても少し申し上げて、御感想があれば、後の質問もありますので簡単に、よろしくお願いします。

鳩山国務大臣 非常にいいお話だと思います。

 私が申し上げた定住自立圏構想は別にいたしましても、流域協定とか地域おこし協力隊あるいは過疎地域の集落支援員というような事柄については、基本的に山村や農村にもっと雇用が生まれる必要があるわけでございます。そういう政策と合わさっていきませんと、集落支援員を希望して行ったけれども全く何にもすることがなかったということになれば効果を持ち得ないわけですから、地方に雇用を生ませる、地方に活力が増すような政策をどんどんやらなければならない。

 その一つの考え方として、私は、昔の水源税のようなものがいいのではないか。地域と地域の共生と言うならば、少なくとも大都会は、食料は農村から調達をし、空気は山村できれいにしてもらい、きれいな水を飲むことができるとするならば、大都会は地方の恩恵によって発展、繁栄をしていると考えるならば、その分を目に見える形で地方にお返しする、そういう形の環境税というのも絶対に考えていく必要があるだろう。そう思っております。

 それから、森本先生のお話の中で私が心から同意いたしますのは、戦後の、まあ戦前からかわかりませんが、戦後の日本の政策の最大の誤りの一つが純林行政だったと思うわけでございます。広葉樹林という生態系の宝庫を皆伐して、そこに杉とヒノキの純林をつくっていった。これは、生態系が破壊されるだけでなくて、いわゆる災害にも非常に弱いものになっていった。

 そういった意味でいうならば、不法伐採の外国のものは絶対使わないということで、国内の木材を日本で消費するように努めることはもちろんでありますが、できる限り杉、ヒノキの純林を広葉樹との混交林に戻していくということは、未来世代へ日本の美しい自然を受け継がせるためには大変重要なことだと考えています。

森本委員 私どもにはその責任がありますので、ここのところはまた別な意味で議論をさせていただきたいと存じます。

 それでは、地方財政の問題で、少し病院の財政措置についてお伺いをさせていただいておきます。

 たしか、二十年度内に公立病院の改革プランを作成されて、あり方検討会が二十年の七月に報告書を出されたというふうに記憶しておりますが、二十一年度で交付税の対応も考えておられると。

 戻りますが、あり方検討会では四つのテーマで大体報告がされたというふうに聞いておりますが、公立病院の財政措置とその存在価値、そして民営化についてのお考えを簡単に御説明いただけないでしょうか。

鳩山国務大臣 公立病院は千以上あるのかなと思いますが、全く医療施設のないところに公立病院が存在をしている、つまり地域の唯一の病院が公立病院であるという例がありますように、採算がとれない、あるいは過疎地であるというようなところにも公立病院は置かれて、医療を提供しなければならないわけでございます。したがって、民間の医療機関と違って最初から大変厳しい条件が課せられているところに、医師不足の問題がある、あるいは診療報酬の問題があるということで、一層厳しい状況に置かれておるわけであります。

 したがって、公立病院に関する地方交付税の措置は、ことしは七百億円ほど増額をいたしまして、三千六百億以上の地方交付税措置にいたしました。つまり単価アップ、これはベッドに比例したんだと思いますが、単価アップも図っているところでございます。

 そういう形で、平成十九年十二月の公立病院改革ガイドラインで示したとおり、公民の適切な役割の分担のもとで公立病院の今後のあり方を考えていこうということで、ガイドラインにおいては、公が施設を提供した上で民間の経営を活用する指定管理者制度、つまりこれは公設民営というのでありましょうか、私は夕張に参りましたが、夕張の村上先生という方は、この指定管理者制度という形で夕張の病院を経営されていると思います。あるいは、場合によっては民間に譲渡ということもあり得るかもしれないと思っております。

 いずれにいたしましても、それぞれの地域の実情があるということはわかります、それぞれ改革のプランをつくっていただくことも必要でございますが、やはり公立病院だけに課せられている、つまり、不採算のこともやらにゃいかぬよ、不採算の地域でもやらにゃいかぬよということを重く見て、地方交付税の措置は厚くしていかなければいけないものと思っております。

森本委員 ありがとうございます。そのように理解をしていただいておるということで、大変うれしく思います。

 それと、大臣、公立病院はやはり今緊急医療の中核として任を担っておるということでございます。地方と都市というような考え方で私も今御意見を拝聴したんですが、そういうことも含めながら、民営化の議論については慎重にお取り計らいをいただいて今後進めていただきますことをお願い申し上げて、次に進ませていただきます。

 そして、実は、小川委員の方からかなりレベルの高い話の中で質問がありました。今回の地方交付税の総務大臣としての感想については今も議論があったところでございますので、ことしの一兆円がふえた分ということについて質問をさせていただこうと思っておりましたが、このことについては、感想はあえてここでカットをさせていただきます。

 次にお伺いをさせていただきたいのが、これも今ありました、十三年度から始まった臨時財政対策債は、平成二十一年度は二十年度より二・三兆円多い五・一兆円。発行可能額の累計は現在どの程度の金額に上っておるのか、お聞かせください。

久保政府参考人 御指摘のように、平成十三年度から、財源不足が生じたときに交付税特別会計で借り入れをするということはやめていこうというので、地方の負担分として臨時財政対策債という制度を導入いたしました。

 そこで、お尋ねの平成十三年度からの累計でございますが、平成二十年度までを累計いたしますと二十六・一兆円でございます。それに平成二十一年度分を含めますと三十一・二兆円になると見込んでおります。

 なお、平成二十一年度末の臨時財政対策債の残高、これは二十七・九兆円と見込んでおります。

森本委員 最後、もう一回。二十七・九兆円。

 その前段は。

久保政府参考人 その前段でございますけれども、平成二十一年度分を含めると三十一・二兆円。二十六・一兆円でございますから、それをさらに発行いたしますので、三十一・二兆円でございます。

 それで、私が言いましたのは残高ですね。一部返済をしておりますので、残高が二十一年度末では二十七・九兆円になる、こう考えております。

森本委員 失礼しました。そこのところは理解をしました。

 減収補てん債を含む、これは赤字地方債と言っていいのかどうか、この金額についてはおわかりではありませんか。

久保政府参考人 減収補てん債は臨時財政対策債と若干違っておりまして、年度途中で基準財政収入額と実際の収入見積もりとがずれたときに発行いたしますけれども、これの残高が、ちょっと古くて恐縮でございますが、今私が持っておりますのは平成十八年度末で四・九兆円になっているということでございます。

森本委員 この数字はなかなか出にくいという理解ですね。十八年末の金額が四・九ですね。

久保政府参考人 申しわけございません。突然だったものですから、私、資料を用意していない、あればすぐわかると思います。

森本委員 それでは次に、旧公営企業金融公庫、平成二十年の十月に地方公営企業等金融機構が貸付対象を拡大して臨時財政対策債などに対応できるということでは、地方で一定の評価が実はあります。

 私自身は、それによってますます借りやすくなって財政が悪化していくのではないかという心配。また、政府保証もなく、地方公共団体から出資もない状況で、逆に、貸し出しがふえますから、新機構の経営は大丈夫なのかということについて。二点、お伺いします。

久保政府参考人 御指摘のように、公営企業金融公庫時代と異なりまして、昨年から発足しました今の機構でございますけれども、これは、政策金融改革において地方共同の資金調達機関として創設されたということ等を踏まえまして、国あるいは地方公共団体に対して新たな出資や政府保証を求めないということになっております。

 このたび、現機構法を改正いたしまして、一般会計にも貸し出しができるような、名称も地方公共団体金融機構と改めるという御提案をいたしておりますけれども、これになっても、これは地方共同の機関でございますので、新たな出資あるいは政府保証は求めないということにしております。

 そこで、お尋ねの御懸念になってまいりますけれども、地方債計画に計上いたします貸付規模、これにつきましては、当然でございますけれども、市場からの信認について十分留意して対処をしないと、例えば市場から資金調達する規模が大きければ金利が高くなったりしてしまうといったようなこともございますので、機構の財務基盤の枠組みによって可能な範囲で、しかも機構の意見も十分に踏まえて貸付規模等を設定する必要があると考えております。

 そうした観点で、来年度の地方債計画における機構資金は、御指摘ございましたように、臨時財政対策債が急増しておりますので、これの一割程度をここで引き受けようというので、五千億円の増額をいたしております。

 全体の資金調達、そして貸し付け、これについては慎重にやっていく必要があると考えております。

森本委員 今、小川委員の方から、交付税の特会借入金についてもお話がありました。

 そこのところについては私もお伺いをしたかったのですが、例えば、その三十四兆円、そして地域総合整備事業債等、後年度それを交付税に算入していこうという約束。

 そんな中で、私は小川委員のこの資料をお借りするわけでございますが、三十八年が三・五兆円ですか、三兆円近くの金が大体三年間。こういうむちゃな資金の償還計画というものはどこかでリセットしないと大変だということを感じさせていただいて、そして今、小川委員の質問に対して大臣はその答弁がありましたので、あえてそこのところも、十分認識はされておるということでございますが、こうしたこれまでの質疑を聞かせていただいて、消費税の話もありましたが、再度総務大臣に、こうした現状の中で、どこかでリセットするか、ほかの財源をもって処理するか。これは、今の小川委員からの質問、私の今の質問を聞いていただいて、大変な状況だということ以外の何物でもないんですが、もう一度簡単に答弁いただけますか。

鳩山国務大臣 バブル経済崩壊後に、当然、税収の落ち込みが国税、地方税ともにあったわけです。景気対策をやるというので、減税もありました、公共事業の追加というのもありました。そういうようなことが全部加わって、地方の借入金残高が、交付税特会借り入れ三十三・六兆円を含めて百九十七兆円に上っております。

 この百九十七兆円から交付税特会と公営企業で借りているものを除いたものの中の半分が財源穴埋めのためのいわゆる赤字特例債のようなもの、国で言う建設国債のようなものは半分ぐらいしかないというぐらい地方は厳しい状況にあるわけでございまして、その元利償還が今後の地方財政を圧迫することは間違いがない。ことしの地財計画でも元利償還金が十三兆三千億という金額でございますから、八十兆余りの地財計画の中で非常に大きな要素を占めているということでございます。

 結局、財政が厳しいから借金をする、国に穴を埋めてもらったときは折半ルールでやはり半分地方が負担をする、将来の負担をするということで、将来の地方交付税の先食いをしてしまって、それで交付税がふえればいいんだけれども、交付税はふえない。先食いをして、結局、他の単独事業等に使えるお金がますます減ってくるということでございますので、国と地方の税源を一対一にするとかいう目標を掲げながら、中期プログラムと言われるような計画の中では、地方消費税の充実を絶対に図ってもらわなければいけないし、地方交付税の法定率のあり方ももはや避けて通れない問題になってきているという認識でございます。

森本委員 それでは、そのことをしっかり踏まえて、今後、地方そして国で検討をいただきたい、そのようにお願いをしておきます。

 少し地方税法についての質問があったわけでございますが、時間があればということで少し確認を、建設業の退職金の共済制度についてお聞かせください。

 これは総務省が勧告をしておる分野でありますが、この共済制度、利益剰余金が、平成十四年二百八十八億円、十八年度末で八百二十一億円。現在どのようになっておるのか、数字をお聞かせください。

氏兼政府参考人 お答え申し上げます。

 十九年度におきましては、株式市場等の低迷によりまして運用損が生じておりまして、百十四億の当期損失が生じました。その結果、十九年度末におきます建退共給付経理における累積剰余金につきましては七百六億円というふうになってございます。

森本委員 この百十四億円の損失の内容については、後で細かい資料をいただけますか。

氏兼政府参考人 御報告いたします。

森本委員 それで、二十四月未満の、ということは、支払いをしなくてもいい方々の中で、十年以上の未更新が平成十一年度末で百七十四万人、十八年度末で二百三十一万人。今、どのぐらいになっていますか。

氏兼政府参考人 お答え申し上げます。

 掛金納付月数が二十四月未満、すなわち給付要件を満たしていないということでございますが、かつ十年以上共済手帳の更新が行われていない者の数字でございますが、平成十九年度末において二百三十六万人でございます。

 ただし、これは昭和三十九年以降のストックの数字でございまして、毎年積み上がる性格のものでございます。

森本委員 それで、例えば、二百三十六万人、これは、貼付されてお支払いする額が二年で十五万程度ですから、仮に一年で大体四万か五万と置きましょう。その場合、一千億円。そういう計算は乱暴ですか。

氏兼政府参考人 手帳更新がないまま十年経過したという方でも、再びこの業界に戻ってこられる方という可能性はありますけれども、そういう留保をつけさせていただいた上で、委員の計算をしますと、そのような数字になるということでございます。

森本委員 たびたび申しわけないです。責任準備金にこの分野は入るのか。責任準備金としてこの金額を想定されて用意されておるんですか。

氏兼政府参考人 そこは、責任準備金に入るものもございますし、入らないものもあるということでございます。

 失礼しました。申しわけございません。責任準備金の対象には入らないということでございます。

森本委員 そうなると、この方々が請求をされた場合は、責任準備金でありませんから、利益剰余金がないと支払えないという考え方でいいんですね。

氏兼政府参考人 これはあくまでバランスシート上の問題でございますので、機構の手元に資金がございましたら請求は可能ということでございます。

森本委員 それと、受給資格があって三年以上未更新、四十一万人、約六百四十億円。これは責任準備金に入っていますか。

氏兼政府参考人 対象になってございます。

森本委員 それと、例えば中小企業退職金の共済制度、中小企業、例えば建設業のいわゆる常雇いの方々がこの退職金制度を使っておられる場合、ということは臨時の方に張られないということですよ、自分の会社の従業員に張ったときにでも支給はできるという現実を聞いていますが、いかがですか。

氏兼政府参考人 現に一般の方の中小企業退職金共済制度の被共済者である者につきましては、特定業種退職金共済契約の被共済者にならないというふうに中小企業退職金共済法第五十四条で定めがございます。

 したがいまして、御質問のような状況は制度上想定されていないということでございまして、重複する加入をいただいた場合においても、二つ以上の契約が同時に効力を有するものではない、すなわち、一方が無効であるというふうな理解でございます。

森本委員 それは、確実に氏名等でチェックできる体制というのはあるんです。

 それともう一つ、従業員に張っておられるから証紙が余ってくるから、インターネットオークションにかけられて、例えば三百十円の印紙を、十万円台としますと三十一万円、その印紙がオークションで十七万円でかけられて、それをぺたぺたと張ったら、オークションで買ったのをそれに張りさえすれば、二年間で十五万円の退職金がもらえるということなんです。

 これはほとんど、そういう例は少ないと思いますが、片や、せっかく納めても、一番大変な所得の低い方々にそのお金、この共済制度が生きていない。今、一千億円ぐらいありますよね。張っても、実際、責任準備金にも入っていない。こういう矛盾というものはしっかりやっていただかなければいけませんし、これは余り申し上げるといろいろなところで弊害が及んでくるかもわかりませんが、本来張らなければならない方に貼付をしないで、そして自分のうちの従業員にそれを張るとすれば、この共済制度はかなりゆがんだ部分になっておると私は思います。

 ですから、そこのところを国土交通省、総務省、そして厚生労働省が連携をとってしっかりやっていただかないと。こういうようにインターネットオークションで流れて、罰則もない。私はこういう制度はおかしいと思いますが、いかがですか。

氏兼政府参考人 現在、中小企業退職金共済機構においては、ITシステムの入れかえの作業を行っておりまして、これは平成二十三年十月に起動する予定でございます。これが入りますと、一般の中小企業退職金共済制度と建退共との間の名寄せが可能になるということでございますので、一生懸命やっていきたいというふうに思います。

 その間、現在取り組んでおります、こういった加入申込書に、現に特退共に入っている人は加入できないというようなことをパンフレットに明記しますとともに、また、先ほど申し上げましたシステム最適化の間までにどのようなことに取り組めるかということにつきましては、先生の御指摘もありますので、また検討させていただきたいというふうに思います。

森本委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に、勧告をされている総務省としての見解を簡単に聞かせてください。それで終わります。

関政府参考人 十四年の勧告を受けまして、厚生労働省の方からは、勧告に沿った措置をとるという回答がございました。

 その後、特殊法人でありましたものが独立行政法人になりましたので、今は、独立行政法人評価という仕組みの中でチェックをするということでございます。

 各省に置かれました独立行政法人評価委員会がまずチェックをするわけでございますけれども、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の方にその評価結果が送られてまいりますので、その仕組みの中で、我々の方としては、厚生労働省の方でとられた措置、それから機構の方でとられた措置についてきちんとチェックをしていきたい、かように考えておるところでございます。

森本委員 インターネットオークションは総務省は確認していなかったということでよろしいですね。これで終わりますが。知っていましたか、インターネットオークションにかけられたのは。

関政府参考人 承知をしておりませんでした。

森本委員 終わります。

赤松委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 先日は、鳩山大臣におかれましては、郵政民営化準備室が十八回にわたりアメリカ側と交渉した相手について氏名を公表するとのお約束をいただきました。ぜひ早目に出していただきたいと思いますが、半歩前進だと感謝をいたしております。しかし、内容の公表をすれば鳩山大臣の評価がさらに高まって、ポスト麻生と言われるかもしれなかったので、非常に残念に思っております。きょうもぜひ勇気ある答弁を期待して、質問をさせていただきます。

 まず、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラムについて、宮澤内閣府副大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、中福祉・中負担の社会についてであります。

 安心強化の三原則の第一の原則に、「中福祉・中負担の社会を目指す。」とありますけれども、これは小泉さんが進めてまいりました小さな政府路線をやめるということなのかどうか、お伺いをいたします。

宮澤副大臣 昨年末に閣議決定いたしました中期プログラムにおきまして、おっしゃるとおり、中福祉・中負担という方向を打ち出させていただきました。中福祉・中負担といいましても、きっちり定義をしているわけではございませんけれども、北欧型の非常に大きな福祉をやっている国、また、アメリカのように医療保険がないような国の中で、今の日本の現状的なものを中福祉という表現をさせていただきました。

 一方で、今、小さな政府との関係というお尋ねでございましたけれども、恐らく根源的には、揺りかごから墓場までというように高福祉をする国が大きな政府であり、福祉の小さな国が小さな政府というのがもともとの語源ではあったと思いますけれども、与謝野大臣も国会で答弁されておりましたけれども、小さな政府というのは、行政改革を徹底的にやっていく、官の肥大化を防ぐ、予算の無駄遣いを防ぐといった意味で、小さな政府ということは、今でも小さな政府を目指さなければいけないと我々は思っております。そうした意味で、小泉政権下で小さな政府ということを言った連続性をまた我々の中期プログラムでも当然打ち出したと考えております。

 一方で、福祉につきましては、中福祉と申し上げましたけれども、大変ほころびが目立ってきている部分もある。そういう中で、ほころびを補いつつ、一方でやはり国債に頼らざるを得ないという状況の中で負担の方も考えていかなければならないということで、今回、中福祉・中負担という方向を打ち出させていただきました。

福田(昭)委員 非常にあいまいですね。中福祉・中負担の社会を目指すことにならないんじゃないですか。

 例えば、国民負担率は何%程度を考えているんですか。財務省がつくった資料によると、イギリスは五二・一%、ドイツが五六%、フランスが六六・三%です。中福祉・中負担というならば、国民の皆さんの負担率、国民負担率をどの程度にするのかという議論なくして中福祉・中負担ということは言えないと思うんですが、いかがですか。

宮澤副大臣 今回のプログラムの中で、国民負担率といった観点の議論は当然しておりません。ですから、そういう御質問だったと思います。

 一方で、潜在的国民負担率という概念がございますが、この場合は国債の発行額がプラスされるわけでございまして、そうした意味では、今回、消費税等税制で手当てをするといった意味では、潜在的負担率という観点からすると、大きく変わるものではないんだろうというふうに思っております。

福田(昭)委員 副大臣に失礼ですけれども、潜在的負担率も、財務省の資料ではまだ四三・五%ぐらい。基本的にまだ五〇%に行っていないんですよね。ですから、それも含めて中福祉・中負担と言うならば、少なくとも国民負担率は五〇%以上にならないと中負担にならないと思うんですよね。

 ですから、そういう意味で、麻生内閣は、すべてあいまいなんですけれども、朝令暮改内閣ですけれども、これも朝令暮改内閣のようにしっかりとした議論をしていないということなんですね。それが一つよくわかりました。

 では、二つ目は、法人税の実効税率の引き下げについてであります。

 「税制抜本改革の基本的方向性」の中で、法人課税について、「社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人実効税率の引下げを検討する。」とありますけれども、これはどういう意味なのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

宮澤副大臣 今、中福祉の話で若干誤解を招いたかなと思って、もう一度その点だけ申し上げますと、潜在的国民負担率は足して四七、八%でございます。今回、中福祉・中負担といって、たとえ消費税等々税制改正をして歳入増をした場合であっても、この潜在的負担率とそれほど違わないレベルだということを申し上げたわけでございます。

 それから、中期プログラムの法人実効税率でございますけれども、ともかく企業の法人税というのは、非常に難しいのは、企業というのは国境をまたいで活動をいたしますので、ほかの国とそれほど違った税制というものをし得ないというところがございます。そういう中で、国際的整合性の確保ということを述べております。

 一方で、社会保険料につきましては、実は統計的になかなか難しいところがございまして、フランスなどは随分企業の負担が高いようでございますけれども、恐らくアメリカはかなり低いといった中で、その辺も見据えながら税制改正を考えていかなければいけない、また、社会保険料についても考えていかなければいけない、こういう意味でございます。

福田(昭)委員 実は、これは専修大学の町田教授がまとめてくれた資料なんですが、GDPに対する日本の法人の公的負担を見ますと、確かにアメリカやイギリスよりは日本は高いんですけれども、それでも八%弱です。フランスやスウェーデンは一四%前後です。OECD平均は九%ぐらいでして、OECD平均よりも日本の企業の国民負担率は実は低くなっております、軽くなっています。したがって、法人税の引き下げは全く必要ない、私はそう思っております。

 この町田先生の文章をちょっと紹介いたしますが、「法人税引き下げを主張する前に」ということで書いてございます。

 「財界は日本における法人所得課税負担が重いと強調するが、社会保険料雇用主負担は軽く、両者を合計するとOECD平均を下回っているのである。大企業が他のアジア諸国と比較して質の高い労働力、整備されたインフラの下で企業経営を行いながら、公的負担についてアジア並みを主張するのは、国民生活を配慮しないエゴイズムである。 仮に法人所得課税の税率引き下げを実施する場合には、これまで法人に対して行われてきた多様な優遇措置の廃止」、例えばここにも書いてありますけれども、「課税ベースの拡大による増収分の範囲内で実施すべきである。重要なのは雇用の非正規雇用者へのシフトにより、厚生年金や健康保険の収入基盤が弱まりつつあることである。雇用主負担分については労災保険と同様に支払給与総額を賦課ベースとすることにより、非正規雇用者の分についても社会保険料を負担させる必要がある。」と町田先生は見事に指摘をいたしております。

 したがって、これは余りにも経団連からの要求をそのまま取り入れたような文章でございまして、こうしたことはやるべきではない、私はそう思っております。

 次に、「経済財政の中長期方針と十年展望」について、宮澤副大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、三段階の取り組みについてであります。

 「国民に温かい効率的な政府を目指す」と、ここには小さな政府は出てきませんが、「温かい効率的な政府を目指すという考え方を基本とし、持続的な経済成長と財政健全化の両立を図る。」として、「当面(景気対策)、中期(財政再建)、中長期(改革による経済成長)の三段階で日本経済の立て直しを図る。」とのことですが、私は、これは二番目と三番目は順序が逆だと思うんですね。「当面(景気対策)」、これは一致をいたします。しかし、二番目の中期的が改革による経済成長であって、中長期的が財政再建を果たす、こうした順序でないと、私は経済も財政も再建できないと思いますが、いかがですか。

宮澤副大臣 中期プログラム、十年展望で三段階に分けて記述をしております。これは、それぞれ当面があって、中期があって、中長期があるということではなくて、今からこの三つ、景気対策、財政再建、改革による経済成長、この三つを目指していこうと。

 ただ、まさに今、景気対策というのは一番焦眉の急でございます。一方、例えば財政再建については、景気対策と若干矛盾するといいますか、お金が要るといったところがあるわけでありますけれども、やはり財政再建というものを頭に入れながら景気対策をするといいますか、景気対策がいずれ財政にプラスで戻ってくる、税収で戻ってくるといったようなものに配慮するというようなこともありますし、また、改革による経済成長というのも、当面の景気対策がすべて終わってから始めるのではなくて今から始めていくという、三つが書いてあります。

 いずれにしても、財政再建の方は、ある意味でいえば、これは法律で決めればできる話であります。なかなかそこまでいくのが難しいわけでございますが。

 一方、改革による経済成長というのは、官、公の話ではなくて民の話が大きくなりますので、少しスパンが長くなるといった意味で中長期という表現をしているということでございます。

福田(昭)委員 どうもよく意味がわかりません。

 何か与謝野大臣も、景気がよくなった上り坂のところで増税する、そのときに消費税を上げるんだと、まあ、三年後をめどにという話をしておりますが、これは全く大失敗をすると思いますね。

 その大失敗の例が、実はきょうは息子さんもおりますけれども、橋本内閣のときに、ちょっと景気がよくなって消費税を三%から五%にしたんです。それで見事に沈没しちゃったんですよ。このことについて、橋本元総理は、後々、失敗だったという反省の弁をちゃんと述べているんですよ。そうでしょう。だから、これは同じ過ちを繰り返すんじゃないですか。いかがですか。

宮澤副大臣 先生がおっしゃるところが本当に一番難しいところでありまして、私どもとしては、前回、上げるタイミングを少し間違えたなという気持ちがございます。

 景気というのが大変難しくて、実感できるときには大体山の最頂部にいるようなところがありまして、一番高いところにいるときは次は落ちる瞬間でございますので、その辺、上がり際というところがどこというのを見きわめる、しかも、これは政治的に、法律でございますので、コンセンサスができるかどうか、この辺が非常に難しいところを今与謝野大臣が大変苦労されているんだろうと思います。

福田(昭)委員 もし増税するんだったら、実は、アメリカのクリントン大統領が五年で財政黒字にしたんですね。今度オバマ大統領もやると言い出しましたけれども、増税するのなら大金持ちと大企業ですよ。全く増税する部分が違うと思いますよ。中流家庭や低所得層には減税ですよ。ですから、これは全く増税する対象が違うんですよ。ここもしっかり考え直すべきだと思います。

 そこで、二つ目は財政健全化についてであります。

 その一点目、基礎的財政収支の定義についてであります。

 これは財務省がつくった資料ですけれども、下段の方に「基礎的財政収支の均衡」ということで、「政策的支出を新たな借金に頼らずに、その年度の税収等で賄えている状態」、こう言うんだそうですが、内閣府もこの定義でよろしいですか。

宮澤副大臣 そのとおりでございます。

福田(昭)委員 それでは、この基礎的財政収支の定義はこれでいいということですが、二点目として、国と地方の基礎的財政収支の違いについてぜひお伺いをしたいと思います。

 資料の二をごらんください。これも財務省がつくった資料ですが、この資料によると、国は一般会計ベース、地方は地方財政計画ベースになっているんですね。内閣府がつくった資料は、多分、国民経済計算、SNAベースでつくっているかと思いますが、どうしてこういう違いが出てきたのか、おわかりなら教えていただきたいと思います。

宮澤副大臣 プライマリーバランスの均衡という観点から書かれたのは二〇〇六年骨太でございますけれども、私も当時国土交通部会長をやっておりまして、この議論に参加いたしました。まさにおっしゃるとおり、国民経済計算、SNAベースの議論で、正直言いましてなかなかなじめなかった議論をいたしましたけれども、すべてその時点から政府として正式なものは国民経済計算、SNAベースで出してきております。

 したがって、この財務省の資料でございますけれども、財務省がどういう趣旨でつくったかはよくわかりませんが、正確ではないことは確かでございます。恐らく、マスコミ等々にわかりやすい資料ということでつくったものであって、決して政府全体のものではございません。

福田(昭)委員 副大臣、予算、決算を預かる財務省がつくった資料が政府全体の資料じゃないといったら、これはちょっと聞き捨てならない話ですよね。

 実は、この間ちょっとお聞きしましたらば、どうも、このSNAベースでつくったプライマリーバランスの資料ではわかりづらいから、もうちょっとわかりやすくつくれと当時の小泉総理が指示したらしいんですね。そうしたら出てきたのは、国は一般会計だけ、特別会計は入れない、そして地方は地方財政計画という資料が出てきたんですね。

 これをよくごらんいただければわかりますように、これは、地方は地方財政計画上プライマリーバランスが黒字、国は赤字だと。私は、これは疑うんですが、実は、このときちょうど三位一体の改革もやっていたんですよ。国の一般会計の赤字を地方につけかえるための資料にこれは使われたんじゃないか、こう実は思っているんですね。国は赤字ですよ、地方は黒字ですよということで、たった三年間で六兆八千億、三位一体の改革で、今まで地方に配ってきたお金を減らしました。これで国は少し助かりました。こういう材料に使うというのは大変けしからぬ話で、小泉総理の道路公団改革も郵政民営化も全部ペテンですよ。これもまさにペテンの一つですよ。とんでもない話であって……(発言する者あり)そうです、そのとおりです。なかなかいいやじですよ。

 それで、問題は国と地方の基礎的財政収支の違いですけれども、国と地方では基礎的財政収支の意味が違うと思うんですが、もし違いがあるとしたらぜひ教えてください。

宮澤副大臣 このSNAベースというのは、本当に、私最初に申し上げましたように、大変わかりにくく、私自身もなかなかなじめなかったものを、簡略化して少し正確でない資料がここに出ているんだろうと思います。

 私自身も財務省の出身でありますが、一方で、うちのおやじは旧自治省で、知事もしておりまして、国と地方、両方に目配りをしなければいけない立場だと私自身思っておりますが。

 やはり、プライマリーバランスについていいますと、正直言って、数字を出しますと、国が大変悪くて、地方がよくなっている数字というのは間違いなくあるわけでございますが、一方で、地方の収入の状況等々、先ほども鳩山大臣の答弁等々を聞かせていただきましたけれども、大変厳しい状況があって、国の方が国債を出す力があるといった意味では信用力が高いといった部分があることは間違いないわけでございまして、その辺を考えながら毎年度予算編成をしていく、こういうことだろうというふうに思っております。

福田(昭)委員 そういう意味では、地方は、国の、総務省の指導のもと大変な努力をしたんです。プライマリーバランスも、実は全体としては黒字になってきたんですよね。でも、国の努力が足りないんですよ。国の努力が足りないのに、国の赤字を地方につけかえるようなやり方をしたんですよね。

 私はびっくりしましたけれども、内閣府がつくった二〇〇六年の骨太方針に、今資料を出しておりませんが、二〇一一年度に国、地方の基礎的財政収支の黒字化と。「目標」に、資料の一番下を見るとこう書いてあるんですよ、「国の基礎的財政収支についても、できる限り均衡を回復させることを目指し、」と。国としてもじゃなくて、国がまず地方に模範を示すというのが先じゃないですか。何か地方を先にやらせて国は後からやるんだと、こういう目標のつくり方は、私はないと思いますよ、基本的に。

 ところで、この基礎的財政収支の黒字の幅というのはどの程度が適切なんですか。これは通告しておりませんけれども、政府参考人でもいいですが、どの程度が適切なんですか、黒字幅というのは。

西川政府参考人 基礎的財政収支の黒字化につきましては、できるだけ早く達成した方がいいということ、それから、その先、債務残高のGDP比をさらに引き下げていく必要があるということで、具体的に黒字幅をどの程度までにするのがいいということではなくて、最終的には、債務残高を引き下げていくのに資するようなレベルまでしていかないといけないというふうに理解しております。

 ただ、金利と成長率との関係で、例えば名目二%程度黒字といったような議論がされたこともございます。

福田(昭)委員 GDPの二%程度ですか、黒字幅は。

西川政府参考人 成長率と金利の差が二%程度あるような、そういう黒字ということです。済みません。

福田(昭)委員 わかりました。

 私は、先ほどの質問でしたが、国のプライマリーバランスと地方のプライマリーバランスは違うと思うんですね。これは先日、鳩山大臣とも一致したんですが、国のプライマリーバランスは、余りプライマリーバランスにこだわり過ぎると、かえって日本の経済成長そのものをとめちゃうと思うんですよ。それは、国は、御案内のとおり、通貨の発行もできるし、いざとなったら徳政令もできるんですね。それから、金利の上げ下げもできるんですよ。それだけ強大な権限を持っている国ですから、余りプライマリーバランスにこだわると、かえって日本経済を萎縮させてしまう。

 プライマリーバランス、収支均衡主義は、そういった意味では、まさに日本経済の成長を望めないようにしちゃう、さらに、財政再建はできないようになってしまうんじゃないかと心配をいたしております。そういった意味では、小さな政府路線、それから均衡財政、緊縮財政、消費税増税、この三つの呪縛から逃れることが日本の経済と財政を立て直すために大変重要だと私は思っております。

 一方、地方の場合は、実は私、栃木県のプライマリーバランスを黒字化しました。これは十四年ぶりです。十四年ぶりに黒字に二カ年連続させてもらいました、知事として三年目、四年目で。

 十四年ぶりに黒字化させてもらいましたが、地方自治体の場合のプライマリーバランスも、私は、全部沈みっ放しじゃだめだと思うけれども、浮いたり、プラスになったりマイナスになったり、これでいいんだと思うんですよ、基本的に。景気がよくなれば上に行くし、悪くなればプライマリーバランスは沈むし、そのために財政調整基金みたいなものがあるわけでしょう。ですから、プライマリーバランスが常に黒字でなくちゃならぬという考え方は私はおかしいんじゃないかな、こう思うんですよ、基本的に。

 ですから、そうしたことで、今、財務省が進めてきたようなというか、政府が進めてきたような小さな政府路線、一年間の収入で一年間の支出を全部賄う財政均衡主義、そして消費税増税、この三つをやめなかったら、絶対、日本の経済、財政も立て直しできないと思いますよ。ぜひもう一度、頭のいいところで考え直してください。

 それでは、次に行きます。

 四点目は、名目GDPと実質GDPの今後の見通しであります。

 今回の十年展望で、閣議決定をするに当たって、比較試算を行っておりますが、名目GDPと実質GDPの実額が逆転するのは、世界経済が急回復する場合、順調に回復する場合、低迷する場合と三通りで、あるいは消費税をどうした場合とか、シナリオを十七通り試算しておりますけれども、名目GDPと実質GDPの実額が逆転するのは何年ころなんでしょうか。その見通しを教えてください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の経済財政の中長期方針と十年展望に関します内閣府の比較試算、さまざまなケースを出しておりますが、御質問のございました、名目GDPの水準が実質GDPのそれを上回るような場合というのは、主に世界経済が急回復したシナリオの場合であって、表章しております表におきましては、二〇一八年度という場合でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 副大臣、今お聞きになったように、名目GDPと実質GDPの実額が逆転するのは、世界経済が急回復した二〇一八年ごろという見通しをしているんですよ。これじゃ、とてもとても日本の経済の立て直しも財政再建もできないじゃないですか。

 この本文の中を読んでみると、実は長年の懸案でありましたデフレを脱却するという言葉はどこにも出てこないんですよ。一言も出てこないんですよ。デフレを脱却しなかったら、経済の成長も、成長の果実も、国民が果実を手にすることもできませんし、それこそ借金も減らないし、財政再建もできないんじゃないですか。いかがですか、これは。

宮澤副大臣 今、役所の方から答弁いたしましたように、二〇一八年で、最も望ましいケースで、実質GDPを名目GDPが抜くわけでございます。

 一方で、ある意味では、これは統計の魔術みたいなところがございまして、すべての数字が、今、二〇〇〇年比のGDPのデフレーターでやっております。その結果、二〇〇二年だとマイナス一・八、二〇〇三年マイナス一・三というように、一%前後のマイナスがずっと続いてきておりました。

 その結果、将来の見通しも、実は、名目がなかなか伸びない、こういうことになっておりますが、足元でいいますと、例えば昨年の七―九はGDPデフレーターはマイナス一・六でございましたが、十―十二はプラスの〇・九というふうになっております。二〇〇九年度の見通しでも〇・一のプラス、二〇一〇年度でも〇・三四のプラスということでございまして、いわゆるGDPデフレーターベースで言うと、プラスということを想定して今計画がつくられております。

福田(昭)委員 試算値は閣議決定していないようですけれども、しかし、少なくとも文章の中に、どうやってデフレを脱却して、この十年間名目経済と実質経済が逆転しちゃっていますけれども、それをさらに正常に戻すんだという意欲がなきゃ、経済も財政も再建できないんじゃないですか。そこをぜひもう一度考え直していただきたいと思います。

 時間がだんだんなくなってきましたので、いよいよ鳩山大臣にも質問しないと申しわけないので、次に御質問させていただきます。

 財源不足の補てんについてであります。

 先ほど我が方の小川委員や森本委員から質問がありましたので、重複を避けながら申し上げたいと思っていますが、三つ飛ばしまして、四つ目の地方財源の確保策についてであります。

 先ほどから指摘がありましたように、もう地方交付税制度は破綻をしてしまった。地方は財源がなくて大変な厳しい状況で、どうやって予算を組んだらいいかわからないような状況であります。今、知事さんたちが反乱をしておりますけれども、第一回目の知事の反乱は、地方分権を求めるための理念的な反乱でした。しかし、今の反乱は、そうじゃなくて、財政が逼迫してどうにもならないという中での反乱なんですね。大阪の知事や新潟の知事、あるいは大淀川ダムとか、熊本の、みんな財政が逼迫して、もうどうにもならない中での反乱なんですね。

 そこで、鳩山大臣は、地方の財源確保をどんな方法でどんなふうに進めていきたいと思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 引き続き巨額の財源不足が生じているわけでございまして、今回の平成二十一年度の地財計画においては十兆円を超すものが出現をしたわけでございます。そういう状況でございますと、いわゆる地方交付税法第六条の三第二項、つまり、本来の地方交付税は、私の子供のころは国税三税、今国税五税の法定率で計算したものが十一兆とか、そういうようなオーダーになってしまう。しかし、基準財政需要と基準財政収入の差はそれよりもはるかに大きいものがある。この乖離が多分一割以上あったら、もう大きな乖離。それが三年以上続いたら、長く続いている。こういう判断だとすれば、地方交付税法第六条の三第二項に基づいて、地方行財政制度の改正または地方交付税の法定率の引き上げを行うことが必要だと。今こういう現状にあるんだろう、そう考えております。

 ですが、国も大量の公債を発行する厳しい財政状況にあることを考えると、これは、私は法定率を上げたいと思いますけれども、直ちに引き上げることは現実にやや困難であるとすれば、地方交付税の特例加算や臨時財政対策債の発行で財源不足を補てんしているというのが今の状況でございます。

 しかし、これは御承知のように、臨財債の発行というのは、将来、全部地方交付税で見るということは、地方交付税の先食いをしていることになるわけですから、先食いしているということは、地方交付税がふえていけばいいけれども、ふえていかなければ何か別のものを、タコが自分の足を食うようにして食っていかなくちゃならぬということになるわけですから、本質的な問題の解決にはならない。

 したがって、本当の地方分権を目指すという観点で、国と地方の税収の比を一対一を目指す。つまり、三兆円の税源移譲をしましたが、大胆な税源配分の見直しというものを考えていかなくちゃならない。

 中期プログラムについては、先生は批判的におっしゃいますけれども、中期プログラムで消費税の議論が行われるならば、ここは偏在性の少ない地方消費税の充実を図る絶好のチャンスかなというふうにも思っております。

 なお、先ほど宮澤副大臣と先生のやりとりを聞いておりまして、プライマリーバランスの件について一言だけ申し上げるとすれば、地方は地方債残高が若干減ったりしている、つまり、プライマリーバランスは黒字ではないか、地方は余裕があるのかなんて言われると、これは全く大変な誤解を招くわけでございまして、地方のプライマリーバランスが若干黒字化したというか、若干地方債の発行総額が減ったのは、いわば住宅ローンとかいろいろなローンを背負っている家計が食費を削ってローンを返した状況だ、こういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。

福田(昭)委員 大臣、私は、黒字だと思っていないですからね。これはあくまでも地方財政計画上、財務省がつくった資料は黒字になっているということですから、誤解のないように。

 今、税源の配分、資源の配分という大臣の話がありましたけれども、まさに私もそのとおりだと思います。

 国の骨太の方針〇八では、〇六を引き継いでいまだに歳出歳入一体改革と言っているんですよ。でも、これは私は間違いだと思っているんですよ。歳出歳入一体改革ではなく、歳出歳入構造改革なんです。

 つまり、それはどういうことかというと、各省庁ごとに予算の割合、シェアが変わらないで予算編成が毎年されている。これを、経済社会の仕組み、構造が変わっていますから、変わった構造、本当に必要なところに実は資源配分を振り向ける、予算を振り向ける。ですから、そういう歳出歳入の構造改革をやらないとだめなんです。一体改革じゃないんですよ。

 内閣府がつくった〇八の骨太の方針を見ても、社会保障費削りましょう、公共事業費削りましょう、公務員の人件費削りましょう、その他ODAなど削りましょうと具体的項目が書いてありますけれども、その項目は、すべて自然体だとこう伸びますよということで、そこからこういうふうに削りましょうという目標なんですよ。これでは資源配分は変わらないんです。

 ですから、世の中が少子高齢化社会になってどんどん社会保障費がふえていくのは当たり前の話なんですから、そちらは是認しましょうと。もちろん、無駄は省かなきゃなりませんが、例えば公務員の人件費とか公共事業費とかその他の経費は現状維持でいきましょうという方法だってあるんですね。ですから、まさに、本当に日本の社会で、どの分野が今お金を必要としているのか、予算を必要としているのかという分野に資源を振り向けていく、そういう構造改革をしなきゃだめなんです。

 そういう意味で、地方財源の確保も、そういう観点から交付税の法定率もしっかり見直していただく。そういうことも大事だと思いますし、またさらに、お金の効率的な使い方ということであれば、我が党が掲げておりますような国庫補助負担金の一括交付金化というのも大変な効率化につながるわけでございまして、そういった意味も含めて、ぜひ幅広い検討をしていただいて、地方が困らないように、麻生総理も言っておるわけでありますから、それこそ地方栄えずして国の繁栄なしと言っているわけでありますから、ぜひそういった観点から地方財源の確保についても御努力いただきますことを心から御期待して、ぜひ勇気ある発言をしていただいて、本当に頑張っていただければと思っています。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 きょうは、質問の順番を変えてもらうのに、関先生、橋本先生、申しわけありませんでした。

 私の方からは、二十分しか時間がありませんが、大臣においでいただいておりますので、大臣中心にお話をお伺いいたしたいと思いますが、午前中の審議の中でも公立病院改革について言及されておりました。

 公立病院は、地域医療の核を担って非常に重要な立場にあるわけでございます。しかし一方で、医者不足、特に小児科、産科等の医者不足、また、過疎が進んでおりますので、地方の公立病院は経営上も大変厳しい状態にある。診療報酬もマイナスでありますし、そもそも地方団体の財政状況が非常に悪いというような状況があるわけであります。

 新聞報道によりますと、関東一都六県の公立病院の半数以上が自治体の直営方式の見直しを検討しておるというような報道がございました。自治体の方は、一つは非公務員型の地方独立行政法人化をしようとか、指定管理者制度を利用した民間医療法人への運営委託だとか、また公務員型の地方独立行政法人への移行だとか、こんなことを検討されておられるようでございます。

 そんな中で、政府の方も、この問題は非常に重要でございますので、二十一年度以降、地方交付税の措置総額、現行二十年度では二千九百三十億円でありましたけれども、これを七百億ほど増額したということなんですが、私自身が思うところは、やはりこれは財政が非常に厳しいという、財政の当面の手当てである。ですから、もっと抜本的な対応をしていかなければならないのではないかと思っているんです。

 それで、きょうの日経新聞の朝刊に、厚生労働省が今進めておる地域の中核となる民間病院の育成策を固めておる、公共性の高い民間病院を社会医療法人として税制上の恩典を与えようと、もう既に二十年度の税制改正で法人税の減額であるとか、また、二十一年度、これから出します地方税の中に、このようなところの固定資産税、都市計画税、不動産取得税を非課税にしようというようなところも入っておるわけでございます。

 これは、厚生労働省が中心となりまして、認定要件が大変厳しいんですが、認定されると一般の民間医療法人より、先ほど申し上げた法人税だとか、今審議の対象となっております地方税の税目だとかが非課税になるということであります。

 こういう状況の中で、財政、七百億ほどふやしたわけですが、この公立病院の運営に対して抜本的に変えていかなきゃいかぬ、非常に答弁は難しいんだろうと思いますが、一つの方向性として大臣がどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 厚労大臣ではありませんので、余り正確なことはお答えできないことはお許しいただきたいと思います。

 私は、谷口先生のお話を聞いて、まず第一に思うことは、国民皆保険という制度の中で、これは世界的にはまれな制度だと思いますから、どこでもある一定以上の医療を受けることができる、それはプライマリーケアから二次、三次とあるんだと思います。そのことが大事でありますから、全国的に適当な配置がなされていなければならない。それを民間がやったっておかしくはないわけですから、公と民との間でうまく配分されても構わないわけで、そういう民間の病院に税法上の特典等を与えるのは正しい姿だと思っております。

 ただ、そういう前提のもとで申し上げれば、一千余りあるかと思われる公立病院は、もともとが不採算地域、あるいは不採算になりがちな救急医療とか産科、小児科とか、そうしたものを多くやらされてきている。あるいは、その地域で、いわば僻地ということでしょうが、そこ一個しかないというような状態で、患者さんがさほど多くなくても存在しなければならなかった公立病院というのも数多くあるだろう。

 やはり、公立ゆえの宿命というのか、公立ゆえの責任というものがそこにあったわけですから、経営の効率性という意味でいえば民間よりもはるかに不利である。したがって、一般会計から繰り出してそれを助けるということは当然やらなければいけないことでございますので、今回、七百億円ばかり増額して三千六百億円ぐらいが地方財政計画に盛り込まれたところでございます。

 ただ、問題は、私の決して詳しくない厚労省的分野、つまり医師不足あるいは診療報酬という問題も経営破綻しやすい要素となっておりますから、その部分も同時に解決をしなければならない、こう思っておりますが、基本的には、公立病院の民間病院と違った特殊性に着目をして、できる限り経営が成り立つように総務省としては全力で応援をしたい、こう考えております。

 なお、指定管理者制度というような形で運営されるようになった公設民営の病院もあります。夕張もそうだったと思いますが、これは本筋だとは思いません。

谷口(隆)委員 冒頭私申し上げましたように、いろいろアンケートをとると、今大臣おっしゃったような指定管理者制度を利用した民間委託の公立病院みたいなものもやりたいという自治体もたくさんあるようでございますが、大臣がおっしゃるように、やはりここは少々の財政的負担を国が担ってもやらなきゃいかないところもある。公立病院が担っている役割というのは非常に、パブリックなところを担っておるわけでありますので、私は、今の大臣の答弁はそのとおりだというように思う次第でございます。非常に難しい問題であります。ただ、経営が成り立たなくなったら大変ですから、そういうことでよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今度は、地方公共団体財政健全化法についてお伺いをいたしたいと思います。

 本会議の質問でも若干このことを言及しましたけれども、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率また将来負担比率、この四つの指標をもって、そもそもこの制度そのものが、レッドカードを出す前にイエローカードを出そう、地方団体の財政に問題がある、そういう傾向があるといった場合には、その中間段階で出していこうという早期是正措置になるわけでありますが、このトライアルとして、十九年度決算に関して、昨年の十一月に公表されました。

 この状況を見ますと、実質赤字比率が早期健全化比率を上回る団体が二団体、このうち一団体は再生基準を上回っている。連結実質赤字比率でいいますと、早期健全化比率を上回る団体が十一団体、このうち二団体は再生基準を上回っている。実質公債費比率は、三十三団体が早期健全化比率を上回っている、このうち二団体が再生基準を上回っている。また、将来負担比率で上回っているのは、これはもう早期健全化比率だけですから、将来負担比率は五団体が早期健全化比率を上回っている、こういうような状況であったわけでございます。

 これは、先ほど私が申し上げました早期是正措置という意味もありますが、余りこれを厳しくやると、一方で行政サービスが低下するんじゃないか、このような懸念を持っていらっしゃる方もおられるわけでございます。このような懸念も念頭に入れていただいて、この四つの指標をトライアルとして十九年度決算で出したんです。

 本年の三月末の会計年度からいよいよ全面施行です。ことしの秋にはこれが出されるわけでありますが、そういう意味で、地方団体は、今回、連結でもありますし、また第三セクターもこの中に入るわけです。将来負担比率というのは第三セクターも入るわけで、この三月までに何とか地方団体も処理すべきものは処理しなきゃいかぬということでやっておるわけでございますが、大臣に、このような懸念も含めて、今回のこの四つの指標について御見解を、また評価をお伺いいたしたいと思います。

鳩山国務大臣 谷口先生御指摘のとおりの数字でございまして、トライアル段階で計算をしますと、財政再生基準以上というのが、実質赤字比率も連結実質赤字比率も実質公債費比率も出てくるわけで、将来負担比率を含めて、早期健全化しなければいけないところがかなり多くの自治体になってくるわけでございます。

 これは、いよいよ四月から本格実施する中で、それに間に合わせるように早期健全化基準等をクリアできるように各団体が努力をしていることと思います。確かに、地方自治体の財政が破綻しては困るわけでありますから、このような法律を施行いたしますが、この基準があるがために無理をして行政サービスを落とすというようなことが本来は余りあってほしくない。そう思いますと、地方自治体に対する別の面での援助策というものが十分とられなければいけないだろう。まずそう思います。

 それから、将来負担比率というのがあって、将来負担が四〇〇%ぐらいになって初めて、これは基本的な財政規模の四〇〇%という意味だと思いますが、早期健全化基準になる。

 たしか新聞で見たんですが、東京都二十三区のうち二十一区は、将来負担比率を出すとプラスだというわけですね。つまり、利益の方が残る。ですから、千八百幾つかの自治体で、本当にこの財政状況というのは違うんだと、その違いの大きさに驚くばかりでございますので、この法律は施行いたしますが、もちろん早期健全化というふうになる団体もあるかもしれませんし、それは夕張市の場合は財政再生の基準にひっかかってくるとは思いますけれども、すべての自治体に対して、総務省としては、ありとあらゆる意味で全力で支援をしていくということをまず第一にして、基準は本来はあくまでも参考なんだという気持ちで地方行政に取り組むのが正しい姿だと思います。

谷口(隆)委員 第三セクターだとか、塩漬けの土地を持っている土地公社だとか、こういうところの処理に大変困っている地方団体が多いわけですね。ですから、今度もその処理に対して国の支援というのですか、そういうこともあるようなことを聞いておりますが、この財政健全化法が浸透して、財政状況がつまびらかになるということは非常にいいことでございます。しかし一方で、急激にやりますとそういう副作用があるというようなことも踏まえてやっていただきたいと思います。

 それで、これも前に申し上げた、地方公会計というのがあるんですね。大臣、地方公会計とはどんなものなのか、簡単に言っていただけませんか。

鳩山国務大臣 私は先生のような専門家と違って、そういうのは不得意でございますが、早い話が、公会計というのは、フローだけで、その一年間のフローの赤字黒字だけを判断するのではなくて、ストックも合わせていろいろな財務諸表をつくって、その企業あるいはその団体の健全性というのか、状況を判定することだと把握しております。

谷口(隆)委員 大臣のおっしゃるとおりなんですが、ただ、国の会計また地方の会計というのは、いわば大福帳的会計なんですね、簡単に申しますと、現金の出入りだけやってあって。民間会計は発生主義に基づいてやっているわけです。そういうような民間会計の考え方をやはり入れていこうというのが地方公会計の一つのポイントでございます。

 例えば、ある団体がその年度の会計を集約したものを最後につくる、これをずっと、ことしも来年もその次の年もとやっていくと、これは、トレンドではわかるわけですね、去年に比べて財政状況がどうなったのかということは。ところが、隣の団体と比べることはできない、同じ規模の隣の団体と比較することができないということがございます。

 ですから、今回、二十一年度に、地方公会計を地方団体に要請しているわけです。ちょっと前倒しで、本来なら二十三年度からやる予定だったものを二年間前倒しでお願いして、ちょうど財政健全化とあわせた形で出していただくということなんですが、このポイントは、民間会計を入れるということと、あとは、垂直的な比較だけではなくて水平的な比較ができる、同規模の団体との間の財政状況を比較できるわけであります。それによって、今、我が地方団体の立ち位置はどこにあるのかということがわかるわけで、そういう意味で、このひな形も今合わせておりますので、これもばらばらのひな形では比較のしようもないということでございます。ですから、今回、この垂直的比較、また水平的比較と、縦横で比較するということでやっていただいておりまして、もうひな形もできております。

 このような観点で、これが出てくると、地方団体の皆さんは、みずからの団体以外に、その団体が今おられる全体の中での状況も理解できるということでございますが、そのような状況について、大臣のお考えがもしあればお述べいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 本当に素人で申しわけありません。地方公会計、財務書類四表というのだそうですが、この整備によってストック情報等を正確に把握することが可能となり、先生の御指摘のとおり、ちょうど地方公共団体財政健全化法が施行されますので、その取り組みとあわせて進めていくことが大事なんだろう、こう思っております。

 例えば、その地方公共団体が保有する土地の価格がどうだとか、施設の減価償却費だとか、将来支払う退職金の引当金の額とか、そういうのをストックとかコストという形で見るんだろうと思いますが、私どもとしては、健全化法の取り組みをより実効あるものとするために、財務書類四表を整備するように促して、それぞれの地方公共団体で規律ある財政運営が推進されるように励ましていくわけです。

 現在、各自治体で財務書類四表の導入に向けた準備をしているんだと思いますが、とりわけ中小規模の市町村での整備がおくれている可能性がありますので、作業手順をわかりやすく解説した手引書とかワークシート等を配付して、できるだけ丁寧に対応して、すべての自治体が早期に整備できるように支援をしていきたいと思っております。

谷口(隆)委員 ぜひ一層推進をしていただきますように大臣に申し上げまして、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、関芳弘君。

関委員 ありがとうございます。私は、自由民主党の関芳弘でございます。

 きょうは、大臣に幾つか質問をさせていただきたいと思います。短い時間でございますので、全部いけるかどうかちょっと不安でございますが。

 以前から、日本の国というのは財政難、財政難、国と地方が物すごい財政の赤字を抱えて大変なんだというふうな話があるわけでございます。私も、地域に行きますと、住民の方々と話をしておりまして、あれもしてほしい、これもしてほしいと。話をお伺いしていますと、まさにそのとおりで、あれもしてあげたい、これもしてあげたいと思うんですが、やはり負担と給付の関係もあって、なかなか全部ができずにつらいなと思うようなところなんです。

 昨年の十一月二十五日なんですが、地方六団体が地方財政確立・分権改革推進に関する決議というものを出しました。その中で、歳出の削減だけではもう住民の暮らしを支えることさえ困難だ、このようなことを言っております。

 今、本当に大変な時期に大臣になられたのでございますが、政府としまして、財源不足、長期債務の状況、また個別団体の財政需要、こういうふうなことをいろいろ考えて、今後どのような改善の目標を持っていらっしゃるのか、御意見を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 まず、関先生、少し大胆に言い切るとすれば、国も地方も財政的に非常に大変である。これは百年に一度の危機がなくてもそうであった。そういう現象は世界で決して珍しいわけではない。

 私は、外国のまねをしろと言うわけではありませんが、我が国の借金はどれくらいあるのか、正確に知りませんけれども、例えば、国が六百兆で地方が二百兆で、合わせて八百兆だとか九百兆だという議論がされる。これは、大体諸外国では、地方の分は国が肩がわりしているというか、国の借金は大きくても地方の借金は小さいということが目立つわけでございまして、日本も本来はそうあってもらえれば総務大臣というのは気が楽だなというふうに思える部分がございます。

 基本的に、地方財政が、千八百の市町村、それに四十七都道府県、合わせて百九十七兆円の借入金がある。先ほどから出ておりますように、ことしも地財計画の中で十三兆を超すお金をいわば借金返済に充てなければならない。社会保障関係は義務的にどうしても経費が増加してきている。

 それから、これは意外と知られていないので、例の総理官邸で行われる経済財政諮問会議の方々にも説明するのになかなか骨が折れるのは、社会保障関係というのは大体国がやっているだろう、こう思うと、意外と地方の単独事業が多くて、これが全国規模でいうと十兆円規模になってきているんだと。単独事業ですよ。やはりこれも減らすわけにはいかないわけですね、地方でやってきている、単独でもやってきていることですから。

 そういう意味では、一般に言う例えば医療だとか介護だとか年金だとか少子化とかいうだけでなくて、地方の義務的経費というのは増加の一途をたどっている。そこに、百年に一度と言われる世界金融危機が襲った。地財計画をつくるに当たって、十・五兆円という財源不足が生じてしまった。それを一生懸命埋めて地財計画をつくったわけですけれども、結局、五兆四、五千億が、折半ルールというので、その半分ですから二兆七千億円ぐらいは地方が臨財債を発行して穴を埋めた、こういう状況でございます。

 そうなりますと、平成二十年度の二次補正で、地方交付税法をこの委員会で可決していただいたわけですけれども、あれも、平成二十年度の国税がどんと減って、地方交付税がどんと減って、埋めた穴が二兆三千億ぐらいだった。それは国が埋めてくれたけれども、これも折半ルールですから、半分は、五年間かけて半分ずつ国に返していくということは、将来の交付税の先食いである。こうなると、タコが一本ずつ足を食っていくと、五本食った、六本食ったといって、二本足のタコになってしまう、そうならないうちに早く手を打たなくちゃならぬ、こういう思いでございます。

関委員 本当に、日本の国の財政というのが苦しい、苦しいというのは世界各国からも言われているところだと思いますけれども、さはさりとて、何とか、世界で第二位の経済大国であるこの日本がますます今後繁栄していきますように、また大臣にもぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 では、続きまして二つ目の質問でございます。

 先般も関西で、私、地元で大学生が集まっているところに寄せていただいて、意見交換とかをさせてもらいました。同志社とか同女とか関学とか立命とか、そのほかの大学生もいっぱい来ておりましたけれども、ちょうど今就職活動をいろいろやっているんです、もう本当に就職大変です、景気悪いですねとよく言われます。今、百年に一回の経済危機と言われていますけれども、僕たちには実感が、どういうことなのかよくわからないんですけれども、そうやって新聞でもテレビでもニュースで言われるので、実際そうなんやと思うんですけれども、では、国として、百年に一回の危機に対して、百年に一回と言われるような斬新な対策というのはとってくれているんでしょうねというのを学生から言われました。そうですね、私ら頑張っていくんですよというような話をしたわけなんです。

 百年に一回の危機と言われるこの中にあって、百年に一回と言われるぐらいの知恵を振り絞ったような対策というのを聞かせていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 これは、総理大臣に聞いていただきたいし、天才与謝野馨に聞いていただきたいという思いがありますが。

 百年に一度の経済危機であるかどうかというのはわかりません。しかし、先ほど民主党さんのどなたかの質問の中で、年率一二・七%という昨年十―十二月の風速が一年間続いたら、これはまさに百年に一度の大経済危機ということになるわけですから、例えば雇用創出という意味で都道府県に四千億基金を積んだ、一兆円のうち五千億円の地方交付税で雇用対策をやるということではありますが、例えば、もっと雇用を生むような財政政策をやる。これは多分金融政策でどうにかなるという事態ではない、やはり、金融政策もあるでしょうけれども、財政政策の出番なんだ、こう思います。

 関委員の方が私よりもいろいろお詳しいでしょうから、皆さんでまたアイデアをどんどん出していただければありがたいと思います。

関委員 それでは、時間が大分迫ってきておりますので、本当は二時間ぐらい大臣にしゃべっていただきたいような項目をちょっと聞きたいんですが、実は自然との共生についてなんですけれども、時間がなくなったので質問をすべて飛ばさせていただいて、最後の質問に移らせていただきます。

 私も、自然との共生というのに、大臣が以前からおっしゃっていることに実は物すごく共鳴をしております。

 この間、文部科学省の方々がまとめている資料なんかを見ていますと、今の小学三年生、四年生にチョウチョウを見たことがありますかとか言ったら、見たことがありますという人たちが三割とか四割しかない。僕らが子供のころというのは、今私は四十三歳ですけれども、チョウチョウやトンボとかを見たことがなかった小学生というのはいなかったんじゃないかなと思うんですね。

 私も昆虫が大好きで、今もオオクワガタを十七匹ほど飼っていて、家内と娘から物すごく嫌がられております。それとかドジョウとか金魚とかタニシとか、そんなものを飼うのが大好きなんですけれども、そういうふうに自然と触れ合ったりすることというのは本当に大事なことだと思います。

 そして、今は、例えばパソコンの前にずっと座って、朝から晩までパソコンを打ち続けて、それも三百六十五日ずっとやっているとか、このようなコンピューターばかりさわっているような生活というのは本当に人間の体にいいのかなという心配もすごくあります。

 大臣がよくおっしゃっている、本当に人間は自然との共生をしていかないといけないというふうな中にありまして、来年度予算でも特別対応がとられておるわけでございますけれども、来年度予算とかに限ることなく、今本当に大切な、人間、人類としてますます発展していきます中において、どういうことをやっていかないといけないのか。今は本当に夢のないような、若者が先ほども言ったように、こんな苦しい社会だと言われておりますけれども、もっと学生にも夢を与え、人類が繁栄していく大きな大きな観点で、大臣の御意見を賜りたいと思います。

鳩山国務大臣 鳩山プランだとか地域おこし協力隊とか、そういうことはきょうは省略をいたしますが、関先生がクワガタムシを飼い、私がチョウチョウを飼育しているわけでございまして、そういうことは存じ上げておりますから、本当に自然愛好者としての同志意識を先生には強く感じ、また、私の環境の勉強会にも毎回のように御出席をいただいておりますことに、心から厚く御礼を申し上げます。

 一番我々が知るべきことは、恐竜は、ジュラ紀、白亜紀、その前のときから合わせれば一億年以上も繁栄をした。六千五百万年前に突然絶滅をしたのは、多分ユカタン半島に直径十キロの隕石が落ちたからだろうとは思いますが、別の理由かもしれません。

 しかし、人類は、まだ産業革命から数えれば本当に何百年、現生人類をクロマニョン人の誕生から見るのかあるいはオーストラロピテクスあたりから計算するのかわかりませんけれども、本当に短い期間しか人類として生きていないのに、みずから環境を壊すことによって滅びようとしている。

 滅びようとしているというのは、どんな環境学者に聞いても、今のような形で地球のそれこそストックから物を奪ってこれだけ環境破壊をしていったら、五十年後に先進国が先進国らしい生活ができるはずがないと。三十年後だと言う人もいるんですよ。だから、右肩上がりの経済成長などというものは幻想になってくることは間違いないんですよ。しかも、幻想になるというのは、本当に十年とか二十年という期間で幻想になってくるだろう。

 ところが、右肩上がりの経済成長というのは、要するに、実体経済としての成長ができなくなると、今度はサイバー経済に走るわけですよ。ですから、MアンドAだとかTOBだとか、そういうことばかり考えて、金で金をふやそうとする。何とか一万円でかんぽの宿の跡地を買ってやろう、こういう発想になってきたときは、もう実体経済から離れてマネーゲームに走っている。それで見せかけの経済成長があったって、それは本物の経済成長じゃない。経済成長を続ければ、環境に負荷がかかり過ぎて、エントロピーが増大をして、人類が人類らしい繁栄を享受できなくなる。

 だから、一番大事なのは自然を知ることであって、自然の中の一員だから、必要以上に威張りくさって万物の霊長だといって何を使ってもいいんだと、アメリカなんかはしばしば、その思想がたまに出ますよね。例えば、COP3の話のときだって、これは我が国の産業にはマイナスだなんという演説をはっきりされて、そっちの方の意見が議会で勝っちゃったりする。そういうことが非常に怖いわけでございます。

 私は、ここの委員の皆さん全員が、私はやったことはないですけれども、カブトムシを飼ったらいいんじゃないかと。そうやって自然というものを本当に理解する、そうすると、自然の怖さもすばらしさも強さも、あるいは、自然の前で人間はどうにもならないという人間の弱さも感じることができるのではないか。私は、そういうところから、やはりまず教育から始めるのが必要なのかなというふうに思っております。

関委員 ありがとうございます。

 大臣が今おっしゃられたとおりだと私も思います。今、いろいろ経済が先行していって世の中を牽引してきたのも事実だとは思うんですけれども、もっと生命だとかそういうふうなところに観点を置いて、その観点からこの総務委員会としても、原則のところから考え方をとって、どういう施策をとっていったらいいのかを考えていくことは本当に大事だと思います。

 今も財政のところが非常に苦しくて、経済経済、数字数字となっておるんですけれども、いま一度、生命だとか心の問題ですとか、そういうふうなところに基本を置いた総務委員会の政策をまたいろいろ考えていくというのも非常に大事なことじゃないのかな。どうも目先の政策ばかりに走っているような感がして残念であるのですが、今は本当に百年に一回の危機と言われているので、まずはそっちの方が大事だというのもわかるんですけれども、まず、心の問題だとか自然との共生だとか、そういうところの方にも予算配分をしっかりとしていっていただいて、ますます世の中が、日本が世界の牽引車となれるような、そんな立派な国になっていけたらなというところでございます。

 きょうは、短い時間で恐縮でございましたけれども、質問時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

 以上でございます。

赤松委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 皆さん、お疲れさまです。自由民主党の橋本岳でございます。

 関先生からは大変マクロな、高邁な議論がございまして、鳩山大臣からも、環境負荷だとかエントロピーだとか、そういうところまで及ぶ極めてマクロな議論があったわけでございます。その後、甚だ具体的な質問をするので、ちょっとレベルが落ちてしまうかなというふうに思えるんですが、しっかりさせていただきます。よろしくお願いします。

 きょうのテーマは、地方税法等の改正案あるいは地方交付税法の改正案ということでありますが、まず、きょうの質疑を聞いていても、地方自治体、財政難が大変だなというところは皆、背景として持って議論をされているように伺いました。

 例えば、私の地元は岡山県ですが、昨年六月に財政危機宣言というのを出しました。十一月に岡山県財政構造改革プランというのを出して、何とかそれを改めていこうという努力をしている。岡山の者として、うちの県は財政危機なの、宣言しちゃったのと大変驚いたわけですが、改めて伺ってみると、既に去年の六月の段階で十五道県がそんな宣言をしているということであって、実はあっちこっちが危機だらけだというのが今の地方財政の現状なんだろうということであります。

 何でかというところで、いろいろな理由が確かに挙げられます。三位一体の議論もきょうされておりましたけれども、それも、交付税が削減されて響いているということも現実問題ありますし、それから、さらに今後について言えば、今年度、来年度、景気が悪化をいたしまして税収も減る、そういうこともこれから響いてくるということもあるんだろうと考えております。

 そんな中で、来年度の予算、地方財政計画では、既定の加算とは別に交付税を一兆円増額するということがあります。きょうの質疑でもいろいろ議論はございましたけれども、たまたまこの月曜日に岡山県の総務部長さんとお話をする機会がございまして、そのときに、その一兆円の増ということも含めて、今回の措置によって予算がやっと組めるようになった、よかった、大変助かった、本当にありがたいという言葉がありました。ぜひ、倉田副大臣からも大臣の方に、そういうような現場の声があったということはお伝えいただきたいと思っております。

 では、具体的に幾つかの問題で質疑をさせていただきます。

 自治体の財政難というときに、もちろん本体の財政が大変だということはあるんですが、同時に、外郭団体でありますとか第三セクターでありますとか、そうしたところがいろいろな理由によって赤字を出していて、それが負担になっているという面もあります。

 今回の地方交付税法の改正の中で、第三セクターの改革に関して地方債の特例が創設されるということがありますが、まず、こちらについてどういう効果を期待されているかを教えてください。

倉田副大臣 鳩山大臣のように十分にお答えができるかどうかわかりませんけれども。

 第三セクター等につきましては、先ほど来お話がありましたけれども、地方公共団体財政健全化法が二十一年度から全面施行されるということがありますので、条文に書いてありますとおり、この五年間をめどとして、地方公共団体の多額の損失補償とか債務保証とかがある第三セクター、これを早急に処理していっていただきたい。将来負担比率ですか、そういうもの等の公表ということもありますので、ここからも始めなくてはいけないのではないか、そういうことを考えております。

橋本委員 ありがとうございます。そういう形で取り組んでいかなきゃいけないのだ、方向性としてはそうなんだろうと思うんですね。

 そこで、ちょっと具体的な話をさせていただきます。

 日本経済新聞のことし二月十五日の記事で、「岡山県・北海道「赤字隠し」」こういう見出しの記事が出ました。記事によると、岡山県と北海道が、それぞれ公社などに対して貸付金を適正に会計処理しないで赤字決算を逃れていた、こういうような指摘がございます。当然、総務省さんもこの件について、記事でも「総務省はこうした処理を問題視。改めるよう要請してきたが、岡山県と北海道は従っていない。」こういうことがありますから、把握されているんだと思います。

 岡山県の例について、まず、これは「赤字隠し」という見出しになっていますが、そういうものだというふうに認識をされておられるでしょうか。

久保政府参考人 岡山県の林業公社及び住宅供給公社に対します平成十九年度の短期貸付金への償還につきましては、平成十九年度の歳入として調定されまして、平成十九年度の出納整理期間中に、県は、法令の手続に沿って公社からの償還金を平成十九年度の歳入として収入したと承知しております。

 年度内に適正に調定が行われて、納入の通知に基づいて貸付先から償還された現金につきましては、仮にその現実の償還が出納整理期間、四月、五月になされたといたしましても、当該償還金を当該年度の歳入にするということは会計処理としておかしいということではない、法令に沿っているということがまず言えます。

 ただ、一般会計などからの翌年度の短期貸付金を財源とする公社からの償還金を一般会計等の当該年度の歳入とすることを繰り返し行っているということは、一般論として申し上げますと、出納整理期間を利用した年度間の財源を調整している行為であるというふうにもとれるわけでございまして、私どもといたしましては、出納整理期間の趣旨を逸脱した不適切な財務処理ではないか、こういうふうに考えております。

 したがいまして、私どもといたしましては、岡山県に対しましては、繰り返しそういった面からの助言を行ってきたということでございます。

橋本委員 一点確認ですけれども、これは法令違反ではないですね。

久保政府参考人 似たようなケースとして夕張市の場合がございましたけれども、夕張市の場合は、一般会計と同一の市長が管理をしている特別会計との間でそういうことが行われた。これについては、会計年度独立の原則に対しての違背をしている、こういう御指摘をいたしたことはございますけれども、岡山のケースあるいは北海道のケース、これは公社と一般会計との間の処理でございまして、明確に一般会計に適用される会計年度独立の原則に反しているということは言いがたいと思います。ただ、不適切であるということは間違いないと思っております。

橋本委員 不適切というふうに言われれば、確かに一般的に言えば自転車操業のような状態だというのは当たっているところはあるわけで、ないにこしたことはないわけです。

 レクに来られた方に、では、どうやったら適切になるのという質問をしたときに、三月三十一日で公社の方が金融機関とかから借りて、それで一度ちゃんと期間内に返して、また翌年県からの補助金などでそれを返して、そういうことをやってください、要するに、年度をまたぐので、その間は金融機関からちょっと借りてやりくりしてくださいという話なわけです。

 その理屈はわかるんですが、実際のところ、六百億円とか七百億円とかいう数字のものを、ただそれだけのために手数料だの利子だのをかけてというところに、何とか節約をしたいというところでこの話はあるわけで、違反ではない、確かに紛らわしいこともあるかもしれないし、そういうことが悪用されれば夕張のような例になりかねないところとは思いますけれども、これはやむを得ないものなんじゃないかなと私は思うわけであります。

 そもそも、林業関係の公社の経営が、多額の債務があるというのは別に岡山に限った話ではなく、滋賀県は特定調停に手を挙げたということもあるし、総額一兆二千億円にも上るというふうに言われている、これ自体大きな問題でありまして、これは簡単でございますけれども、国としてやはりそれなりに責任があるかと思いますが、どう対応を考えておられるか、教えてください。

久保政府参考人 林業公社につきまして、一般的に申し上げますと、これはもう御案内のとおり、木材価格が大幅に下落をしているとか、全国的にその経営環境は極めて悪化をしておりまして、平成十九年度末現在の債務残高、三十六都道府県四十公社合計で一兆三百九十二億円に達しております。

 私どもといたしましては、昨年の十一月に、林野庁、地方公共団体の代表、我々によって、林業公社の経営対策等に関する検討会というのを設置いたしました。この検討会では、今月の十九日に中間取りまとめを行いまして、平成二十一年度の対策といたしましては、林業公社への利子補給等に対する特別交付税措置の拡充といったことを盛り込みました。また、本年の五月を目途に、さらに本格的な経営対策について検討して取りまとめをするということにいたしております。

 今回の中間取りまとめを踏まえまして、林野庁と連携しながら、特に林業公社の既往債務の軽減方策について、さらに深掘りをしていきたいと考えております。

橋本委員 自治の問題といえば自治の問題なんですが、林業というのは国土保全という意味もあるわけですし、地方財政という面から見ても、負担がおもしになってしまっているというのは問題であるわけですから、ぜひしっかり今後とも取り組んでいただきたい、こう思っております。

 続けて、今度は自治体病院の話を取り上げたいと思うんです。

 きょうの質疑でも、何人かの方が取り上げられておりました。今回の交付税の措置で少し充実をされているということを伺っております。簡単に、自治体病院についてどういうふうな措置を今回拡充されているか、教えていただけますか。

倉田副大臣 公立病院におきましては、例えば過疎地における医療など、不採算でも地域の医療確保のために必要不可欠な経費というものが要るわけです。これを地方公共団体の一般会計が負担することとなるわけですから、必要に応じて地方交付税措置をとっていかなきゃならない、こう思っているんですが、平成二十一年度におきましては、地方財政対策を踏まえまして、公立病院に関する地方交付税措置二千九百三十億円に加えまして、これを大幅に、つまり七百億円程度増額する、こういうことをするところでございます。

 具体的にはどういうことに使っていくのかということがあるんですが、まず、各公立病院に共通する課題である医師確保対策、これは厚労とも関係してくるんですが、その充実のための財源に充てるために、普通交付税の病床当たり単価を二割程度引き上げる、こういうことがあります。具体的に言いますと、一床当たり年間四十八万二千円が現行でございますが、来年度からは五十九万円程度というぐあいに思っております。これに三百億円とりあえず入れた。

 また、過疎地の小規模病院であります不採算地区病院の要件を緩和して、現行では二百三十二とされているところを三百二十にふやす。生活圏で唯一の病院ということになる病院につきましては、特別交付税による措置を八割程度といたしますと、六十八万円から百二十万円。そうしますと、先ほどの一般的な上げ方に加えまして、百八十万ぐらいかな、こんなことにもなります。

 さらに具体的にいっぱいありますけれども、お時間が押しているようですから。

橋本委員 ありがとうございました。

 そういうことで、単価をふやすとか対策をしていただいたということはありがたいことだと思うんですが、その前提として、把握されているかどうかというのを伺いたいと思うんです。

 というのは、自治体病院が、これは自治体の病院、公立病院に限らない問題でもあるんですが、労働基準監督署から、違法な残業をさせているとか残業代を払っていないとか、そういう指摘をされる例が結構ちらほらとあるんです。ちょっと簡単に調べてみたら、例えば宮城県の大崎市民病院、残業代六千万円未払い、これは河北新報という新聞に出ていた。それから、山梨県中央病院では残業代一億円未払い、これは読売新聞に去年の七月に出た記事。佐賀県立病院好生館という病院でも、勤務記録を改ざんして時間外手当を払わないというような指摘がされたということもある。ちょっと調べただけで、それぐらい出てくるんです。

 医師不足の対策というのは、最終的にそれは報酬だとか給料だとか、もちろんそれ以外のいろいろな、モチベーションをどう保っていくかとかあるわけですけれども、要するに、労働基準法というものがあって守られていないという状態があるということ自体、モチベーションを下げる大きな原因にもなるんだろうと思うんです。

 だから、もちろん公立病院だけに限った話じゃないですし、だとすれば、診療報酬だとか、それは厚生労働省方面の問題かもしれませんが、しかしながら、公立の病院の中でそういう違法状態があるということ自体は、早急に改善をされないといけないんだろうと思うんです。

 そういう意味で、まず、こういう事態、要するに公立病院に対して労働基準監督署が指摘をしたり勧告をしたりということが、例えば一年間どのぐらいしていますとか、そういうことを総務省さんは把握されているでしょうか。

倉田副大臣 先生が御指摘された三つの例、佐賀県、山梨県あるいは大崎市、こういうのは、網羅的ではないけれども事例的には掌握をしているんですが、現在のところ、全体的に網羅的に統計をとっているとか、どことどこがどういうことがあってどうなんだと統計的に調査しているとかいうことには、申しわけないけれども、至っておりません。

橋本委員 やはりそれは問題だと思うわけです。

 きちんと法令に基づいていなければならない。それは皆そうですが、民間だろうと公立だろうとそれはそうなんですが、やはり公立の病院の中で違法状態がある、それを別の役所から指摘されて初めて気がついて云々ということは決して望ましいことではないですし、それはその自治体を所管する総務省としてもしっかり把握をして、把握をするだけで終わるんじゃなくて、そこからもちろん対策を打っていただかないといけない。そのためにも、こういう問題があるんだということをしっかりと頭に置いて、できればこれからまず現状の把握、そして対策に取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、時間になりましたので終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 原口さん、時間をちょうだいしまして、きょうはありがとうございます。

 私もずっと商売をやってきまして、よう考えるんだけれども、私らの一番苦しいところは、やはりよりよいものをより安くつくること。これは、商売をやっておられる方がお見えになるかどうかわからぬけれども、商売をやっておる人の一番の苦労は、実は価格競争なんです。だけれども、一向に、よりよい公共サービスをより安く提供する、いわゆる減税、これが全然あらへんじゃないですか、この世の中に。

 ところが、世界を見てみますと、アメリカもイギリスもみんな減税だわな。日本だけ増税だと言っておられるので話にならぬのですけれども。そういう苦しみの中で、どえらい不景気でねと言われますけれども、本当に不景気の実感があるのかね、先ほど言われましたけれども。

 そういうことで、私も名古屋の方で御奉公させていただいて、またそれが日本のためにならぬかということで、減税とか、もっと民主主義を一番ベースのところで日本にはぐくんでいくためにはどうしたらいいかというふうに考えまして、きょうは前半はその質問。

 それから、後半は、今ちょっと鳩山さんは見えぬけれども、皆さん、東京の丸の内に行かれますと、今東京駅は工事しております。あれは何かというと、あそこの上に実は爆弾が落ちまして、三階建ての建物の一番上が壊れて二階の赤レンガになっておった、あれを今復元しておるんです。一方、その真ん前にある東京中央郵便局、後で文化庁に答弁してもらいますけれども、あれは国の重要文化財ですよ、言っておきますけれども。となるような建物を壊しかけておるというとんでもないことは、鳩山大臣が環境だ環境だと偉そうなことを言っとるけれども、言っとることとやっとることが全く違う。それから、ここにも入札疑惑があるということで、それは後半にやりたいと思います。

 まず一つ、総務省、余り知られておらぬのですけれども、私が総理だったら消費税の減税をするんですけれども、なかなか総理になれぬものですからいかぬのですけれども、市民税の減税。市民税というのは所得割でいきますと六%、それから法人も所得割でいきますと一二・三%、こういうわけです。これはできるんですか、どうですか。

河野政府参考人 市民税、市町村民税についての減税のお尋ねでございます。

 市町村民税につきましては、地方税法で標準税率が定められております。この標準税率といいますのは、地方税法におきまして、通常よるべき税率でその財政上その他の必要がある場合には、これによることを要しないとされておりまして、地方団体の条例によって標準税率を下回る税率を設定することによって減税することは可能でございます。

河村(た)委員 よう聞いておってちょうだいよ。ほとんどの人は知りませんよ、これは。

 それで、平成十八年までは、市民税を仮に減税しようとするとどうなったんですか。

久保政府参考人 地方債の話になってくるんだろうと思いますけれども、標準税率未満の課税団体に対する許可制度がございまして、そういうふうなことにする場合には、現在では許可、地方債許可になっております。

河村(た)委員 もう一回ここは確認していかないかぬけれども、平成十八年までは、いわゆる標準税率未満の団体は、まあ六%下げる、それから頭割りの三千円も下げると仮に言った場合は、これは起債そのものができなかったということでいいですね。

久保政府参考人 そのとおりでございます。今は許可になっているということでございます。

河村(た)委員 それが、十八年を越えてから、それはできると。ただし、許可制のもとなら、どこかの市長が出てきて、わしはその分ちゃんと行政改革するだがや、市民税を一割なら一割減税しますと言った場合、それは、いわゆる起債は許可制ですけれども、それはできるということで、もう一回はっきり答えてください。

久保政府参考人 当該地方公共団体の状況をいろいろとお聞かせいただいて、判断をするということでございます。

河村(た)委員 それは起債の許可制の内容なんですけれども、今言いました市民税の減税は、そのことはできるようになった、起債との関係です、許可制のもとにできるようになったと。そういうことをはっきりもう一回言っておいてください。

久保政府参考人 許可制のもとでそれはもちろん地方債許可になったということでございます。(河村(た)委員「減税できると言ってください」と呼ぶ)できます。それは先ほど言ったのは、標準税率以下で課税するということは可能でございますから。

河村(た)委員 できるということね。何じゃ、二人で役割が違うんですか。

 だけれども、ここはなかなか知られておらないから、もう一回。

 今言いましたけれども、標準税率未満の税率に下げることはできるということをもう一回はっきり言っておいてください。

河野政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、標準税率は通常よるべき税率でございまして、条例によってこれと異なる税率を定めることは可能でございます。

河村(た)委員 下げると言いましたか。声が小さいので聞こえやせぬじゃないですか。

 標準税率より、減税する、下げることはできるかということです。

河野政府参考人 標準税率を下回る税率を条例で定めることは可能でございます。

河村(た)委員 ということなんですよ、実はこれは。

 だから、自治体もいろいろなことを言いますけれども、本当に何で商売だけ価格競争するんですかね、この苦しいのに。自治体は財政危機だ、財政危機だなんて言っていますけれども、これは自分のところのいわゆる価格競争ですよ。税率の競争をしないと言うけれども、実はできる。

 私も、総務省は、久保さんお見えになるけれども、ずっと住基ネットで闘ってきましたのでね、ろくでもない制度をつくるところだと思っていましたけれども、実はなかなかいいこともやるんですよ。これは減税が認められておるんですよ。

 ということでございまして、では、そういう標準税率未満の税率でやる団体というのは、どこか今までありましたか。

河野政府参考人 お答えします。

 最近の状況でございますけれども、私どもの方で、市町村税の税率等に関する調べというものをまとめておりますけれども、昨年四月一日現在で、市町村民税について標準税率未満の税率を設定している団体はございません。

 同じ調べで、二十年ほどさかのぼって調べてみましたけれども、市への移行に際して経過的に均等割の税率を標準税率未満とした例はあるようでございますけれども、これを除きまして、市町村民税について税率を標準税率未満に設定して減税を行ったという団体はございません。

河村(た)委員 となると、これを名古屋で仮にやりますと日本初ということになりますが、それで結構ですか。

河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、二十年ほどさかのぼって調べてああいう状況でございますけれども、それ以前について正確なことは申し上げにくい状況でございます。(河村(た)委員「二十年間でいいです」と呼ぶ)

 先ほど申し上げましたように、二十年間調べましたところ、市町村民税について、市制の施行、市への移行に際して均等割について経過措置を講じた例はあるようでございますけれども、市町村民税について標準税率未満の税率を設定した団体はございません。

河村(た)委員 ということなんですよ、これは。

 よく総務省のものなんかを読んでいますと、キーワードみたいなもので、みずからの地域を経営できるなんということが書いてありますけれども、価格競争をしないようなところが経営なんですか。こんなものは、だれでも市長でもやれますよ。総理だって、増税するならだれでもできますよ。だけれども、先ほど言いましたように、実は総務省はそういうことを用意している。住基ネットというろくでもないものをつくるところでございますけれども、ちゃんとこういういいこともやっておるんだということです。

 先ほどちょっと久保さんが言われましたけれども、起債が許可制になる、このこと自体あほらしい話です、後で言いますけれども。何でそんな、例えば会社をやる人がどこかで金を借りるのにだれかの許可を受けるなんて、社長と言えぬですよ、そんなばからしいことは。そうでしょう。

 それは後で言いますけれども、久保さん、一応現行制度で許可制になるというと、不許可になる場合はどういうときですか。

久保政府参考人 今、一般的に、こういう場合だから不許可にするとか、そういうことを申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと。

 団体の置かれたいろいろな意味での財政状況とか、あるいは行政改革も含めていろいろなことに対する取り組みの状況とか、そういったことをいろいろ総合的に判断して決めたいと思います。

河村(た)委員 私も若づくりしておりますけれども、六十になりまして、国会でも十六年間ですか、やらせていただいておるんだけれども、私も、税金の無駄遣いをなくそうということで、民主党国会Gメンということで、亡くなりました石井紘基さんとか、原口さんもいますけれども、一緒に税金の無駄遣いで非常に闘ってきた方だけれども、そもそも減税せずに税金の無駄遣いはなくなるんですか。大臣がおらないかぬけれども、局長さん、これはどうかね。

河野政府参考人 お答えします。

 もちろん、歳出について常に無駄遣いのないように効率的な使用をするということは大事でございますし、同時に……(河村(た)委員「もうちょっと大きい声でちゃんと言ってくれな聞こえせんがな」と呼ぶ)

 歳出につきまして、無駄が生じないように合理化を進めていくということは大変大事でございますけれども、同時に、税収についても、必要な歳出を賄うための税収を確保していくということもまた必要なことであろうと思います。

河村(た)委員 何を言っておるか、わけわからぬですけれども。

 商売の場合は何で頑張るかというと、会社の中の無駄遣いがなぜないかというと、それは売り値が下がるからです、はっきり言いまして。これは経済学のどてっぱつの理論ですけれども、いわゆる需要供給曲線というのがありまして、これはやはり安いものは売れるということです。自分はこれだけだといって見積もりを出したって、たとえ一万円だといって出したって、隣の店は七千円で出したら、私のところは財源ありませんからできませんなんて言えませんよ、商売は。それを言ったらさよならですよ、はっきり言いまして。

 ということで、まず減税ありきではないか、そもそも政治の世界というのは。減税というのは、やはり市民と議員の関係です、それのサイズに合わせて行政がやるということでございますので。

 もう一回久保さんに言いますけれども、要するに、減税を行うと必然的に行政改革が起きます、本当の減税なら。これは行政改革をしなきゃどうしようもならぬ。そうした場合に、例えば市民税一割減税ということになりますと、例えば名古屋ですと、今、市民税収入が二千四百億ありますと、二百四十億円になります。この分行政改革に成功したと。その場合は起債は許可になるんでしょう、これは。

久保政府参考人 いろいろな状況があろうかと思いますので、今委員が言われただけで判断できるとは思えませんが、要するに、許可をするときに我々考えなきゃいけないのは、減税といいますか、標準税率未満で課税をして借金に頼るということがどういうことなのか、それに尽きると思います。

河村(た)委員 ということでございまして、そもそもまず借金かどうかという議論があるけれども、これはまたやらなあかんところでございますけれども、そういう、きちっとやった場合はいいであろうと。

 では、なぜ十八年に法改正を行って、今までは市民税の減税をすると全く起債が事実上できなかったわけです、したがって市民税の減税は事実上不可能だった、それをなぜ可能なように変更したんですか。

久保政府参考人 多分、委員御案内のとおりのことと思いますけれども、今のじゃなくて従前の地方分権推進計画に基づきまして、地方債制度につきましても原則として発行を自由にするようにということが勧告でございました。そして、政府がつくりました、閣議決定いたしました分権推進計画にもそのことが明記をされて、そして、分権一括法で地方債許可制度を改めて協議制度へ移行した。それで、その施行が平成十八年度から一定の準備期間を置いてそういうふうに持っていきました。

 ただ、一定のもの、例えば実質公債費比率が高いとか今のように標準税率未満で課税をするといったようなところには、依然として許可ということにしたということでございます。

河村(た)委員 自由にするという流れは流れですわ。

 それでは、もう一回、久保さん。ということは、いろいろな自治体で減税していただきたいのか、いただきたくないのか。これはどうですか。

久保政府参考人 今の減税をする、しないは地方公共団体の御判断であろうと思います。したがって、我々は、そのことによって、地方債の許可申請が出たときに、どういう状況でそういうふうになったのかということをつまびらかにお聞かせいただいて判断をするということでございます。

河村(た)委員 それは当然自治体の判断だけれども、そういう制度を変えてできるようにしたということは、将来は、今言われたように起債を自由にするための一歩か〇・一歩か知りませんけれども、少なくともそういうことですので、自治体が判断されればどしどし挑戦をしていただきたい、そういうふうに理解していいですか。

久保政府参考人 今までできなかったものが許可制になったということでございます。

河村(た)委員 ということは、言いにくいだろうけれども、ぜひ挑戦していただきたい、そういうふうに。当然ですよね、制度が変わったんだから。できないものができるようになったんだから。ということでございます。

 それでは、先ほどの話ですけれども、鳩山大臣がお見えなので、ちょっと聞こうかね。

 最近、いろいろな議論があって、議論というか、国債とか地方債を借金だと言って、すぐ財政難だと言う。それで、借金漬けで大変だと言うんですけれども、今の国債とか地方債はひょっとして、民間の貯蓄が銀行、金融機関に入るんですね、その金融機関が投資ができない、いわゆる民間貯蓄過剰と経済学でいいますけれども、実際は民間貯蓄過剰の受け皿になっておるんじゃないですか。そう思いませんか。

 市場にない金を政府が分捕ったと。ではなくて、銀行は、実は銀行自体、庶民には金がない、これは大不況です、だけれども銀行は今すごい金余り。だから、国側に、借りてくれ、借りてくれ、使ってくれと。だから、鳩山さんのおられる政府の中には、金はじゃぶじゃぶにあるんじゃないですか。

 反対に、そのお金を使わないと銀行に金が余っちゃって、銀行に金が余るとどうなるかといったら、これは当然、なしみたいな利息ですけれども、それは利息を払わないかぬですから、銀行は倒産しますよ、銀行が金を貸せないと。それと、その分経済が縮小します。それが投資されて、所得を生んで、また貯蓄に回ってくる、この循環が断たれますので、これはそこでストップしちゃいます。

 だから、今日本じゅうを支配しておる財政危機、日本の公債は、赤ちゃんがおぎゃあと生まれたら六百万借金がある、この話はうそじゃないですか、どうも。経済学の一番基本を踏まえていないんじゃないですか。どう思いますか、大臣。

鳩山国務大臣 昔は、資金運用部資金というのか、郵貯のお金がいろいろなところに出回っていましたよね。地方がそれを借りるということもあったと思うし、財投にも使えておったわけですけれども、現在は、確かに、地方債、民間の金融機関が引き受けているというケースはかなりあると思っております。ですから、見方によれば、地方が借金をしているわけではありますけれども、民間の金融機関が投資しているというのは変かもしれませんけれども、そういうように見ることもできないわけではない。

 ただ、それはそうですが、そういう形でお金がめぐってくる、つまり、地方の借金が実は民間金融機関からというのはふえてきているようでありますが、地方自治体としてみれば、それは地方債を発行しなくて済む方がいいわけでございまして、現在百九十七兆円も残っているというのは決していいことではないので、これはできるだけ減らさなければならないとは考えております。

河村(た)委員 これはそもそも間違っておるんですわ、悪いけれども。貯蓄・投資バランスというのをやりますけれども、要するに貯蓄は投資と等しいということです。民間に金が余った場合は政府が引き受ける、これは経済学の初歩の初歩なんだ、実は。だけれども、一番いいわけではありません。一番いいのは民間で使うことです、お金を。民間のお金は民間で回すこと。だけれども、今は余る。

 だから、私ようテレビなんか見ておって思うんだけれども、借金の話をして、増税、増税と言う。まず、病気だったら、今は心電図とか血液検査というのをちゃんと出すじゃないですか。だから、実際は日本の中のお金が今どうなっているんだと。それを言わずに、何か国債は、余り名前を出しちゃいかぬけれども、東京電力社債はどえらい多いんですよ。それから、中部電力社債、トヨタの社債もありますよ。それは、社債を持っておる人は、これは財産でしょう。これが国債になると、なぜ突然借金になるんですか。国からいえば借金かもわからぬけれども、トヨタの社債だって、トヨタの経営者からすれば借金ですね。しかし、そういう言い方はほとんどしない。こんなことを言っておってもしようがないんですけれども。

 それと、本当に金がないなら、なぜ金利は低いんですか。これも質問通告しておらぬのでいかぬけれども。金がないなら金利は上がるはずです。これはわかるでしょう。日本の国債の金利はとにかく下がりっぱなしで、今一・二ぐらいしかないですね。アメリカは、やはり発行したら金利は上がってきたじゃないですか。だから、金のないところを政府がとってから上がるんですよ。

 ということでございまして、これはきょうのあれとはなんですけれども、日本が借金漬けだということだから、増税やむなしという議論はもうやめていただきたい、本当に。

 ただ、民間でお金を回すのが一番いい。しようがないときは政府が引き受ける。もう一つあるんですね、外債に入れるというのが。だけれども、外債に行くよりは政府が引き受けた方がいいですよ。だけれども、それをやりますとどうなるかといったら、庶民の金が国へ行きますので、要するに税金を払う庶民は苦労して、税金で食っておる方は極楽ということになるし、地方の金も国に入るから、地方は苦しんで東京だけ潤うという欠陥はあります。しかし、まあ、そういうことでございます。

 総務省におかれましても、ぜひ地方税を減税するという新しい流れが出てきて、これは公債に依存するわけじゃありません、減税すると行政改革は起きるんです。反対に言いますけれども、減税しないで行政改革なんかできるはずがありません。放蕩息子に金を出すときに、おまえ、自立せよ、自立せよと言って、同じ金をおばあちゃんが渡しておったら絶対自立しませんよ。お金を減らすと、あなた、自分で自立しなさいと、それならこれは初めてそうなる。

 だから、そこのいわゆる基本的なところ、商売人だけ苦労せぬようにさせてください。いいですか、政府もすべからく価格競争をやってください。よりよい公共サービスをより安く提供する、この原則に立ち戻った自治行政をぜひお願いしたい。

 最後にちょっと総務省に一発、答弁してください。

久保政府参考人 地方債は、原則として許可制度から自由にするようにして協議制度に移行をした。その過程の中で、先生御指摘の、標準税率未満で課税をするという団体につきましては、平成十八年度までは起債できないということにしていたのを許可制度に切りかえたということでございます。

河村(た)委員 では、その後は自由にする方向に、何年かかるかわかりませんけれども、それは視野に入れておるということでいいですか、起債は。

久保政府参考人 原則自由にという勧告を受けて、長い間準備をして今の協議制度をつくった。それはもう先生御案内のところでございます。

 繰り返して、それをどうしてそうしたのかということでございますけれども、財政融資資金等の公的資金をどういうふうにして割り当てるかとか、あるいは、元利償還金について地方財政計画とかミクロの地方交付税制度において財源保障したいといったようなことがありますから、やはり協議ということで私どもとして承知をしたいというところに今の制度はしているということでございます。

河村(た)委員 では、減税の方はそのぐらいにします。

 それからもう一つ、これはなかなか総務省も、住基ネットというようなろくでもないのをやるところでございますけれども、ええこともやっておるんです。それは、平成十六年ですけれども、地方自治法二百二条を改正しまして、これは地域自治体という制度をつくったんですね。

 これはどういうことかといいますと、私も地元では二百年ぐらい続くお祭りの会長もやらせていただいておりますけれども、本当に、本当の根っこのところ、地域のことは自分で決めるというお題目はありますけれども、本当に住民の人たちがみんな夜でも集まって、地域の都市計画も含めて、本当は介護とか医療とかそういう身近なこと、それから子育て、文化、スポーツ、何でもいいじゃないですか。何でそういうのを上から押しつけられなあかんのですか。そこに予算を割って、自分たちで決める仕組みを事実つくっているんですね。わしはびっくりしましたよ、こんなええことを総務省がやることあるのかしらと思って。びっくりしました。

 この地域自治体ですけれども、そこには、条文によりますと、「地域協議会を置く。」と書いてあって、そのメンバーについて、これは首長が選任すると書いてありますが、ここには選挙によるかどうかというのは余りはっきり書いてありません。それは公職選挙法の適用でもないようでございますけれども、公選制によって選ばれた人を首長が選任するということでよろしいですね、制度上は。

佐村政府参考人 今お話のありました地域協議会についてでございますけれども、おっしゃるとおり、自治法上の制度でございますけれども、市町村長の附属機関であるという位置づけになっておりまして、地方自治法では、その構成員は市町村長の選任によるということにされておりまして、公職選挙法に基づく選挙によることはできないと考えております。

 これは、地域協議会というのは、住民と地域に根差した諸団体等の主体的な参加を求めながら、いろいろなさまざまな意見の調整を行って、地域と協働していくかなめになるというふうなものであることから、構成員につきましては、その地域の住民から選任をするということにしたものでございます。

河村(た)委員 それで、選任するときに、これはちゃんと何遍もわしは話しておる、あなたのところと。ここは重要なところなんですよ。変な意味でボス支配になるといかぬのです。皆さん、よう選挙やってみえるからわかってみえると思いますけれども。

 ここで本当にいろいろな人が立候補して自分たちで決めていくということは非常に重要なので、やはり選挙の仕組みというのは非常に重要なんです。これは当たり前ですけれども。だから、選挙で選ぶ、公選法の適用はないけれども選挙で選ぶ。そこから首長が選任する。そういうことはええと言っておりますよ、何遍も。これはちゃんとそう言ってくださいよ。

佐村政府参考人 今先生がおっしゃった、公選法の適用がないということでございますけれども、例えば条例で公職選挙法に準ずるような規定を設けるとか、そういうことをお考えかと思うのでございますけれども、地域協議会の構成員の選任について条例で定めるということはもちろん可能でございますけれども、いずれにいたしましても、市町村長の選任権を拘束するような方法をとるということはできないものと考えております。

河村(た)委員 何かわけのわからぬことを言っておりますけれどもね。

 準構成員いう名前でもええですけれども、何遍もあなたのところ来て回って、これは選挙をやったところがあるじゃないですか、実際に。あるでしょう、選挙をやったところ。あるんです。一たん選挙で選ばれた人の中から首長が選任するということは言ってください。ええですと、ちゃんと。ありますよ、既に。

佐村政府参考人 失礼いたしました。

 先生が今おっしゃるような例といたしましては、地域協議会の委員は長の選任ではございますけれども、公選に準じた手続をとったような例、例えば、委員の資格をお持ちの者から公募をいただいて、その公募に応じた者から投票を行ってやる。そのうちの、首長については拘束はされないんですけれども、投票の結果を尊重して委員を選任するというような方法をとっている例はございます。

河村(た)委員 何かわけのわからぬことを言っておりますけれども、要は、それはええということです。だけれども、最後は首長が選任するということですわな。そういうことでしょう。ここははっきりしてもらわぬと困るんですよ。そういうことをやったところがあるから。ちゃんと答えてください。

 もう一つ言いますと、いわゆる公募の一形態として、公職選挙法の適用はないけれども、選挙のような手続をやることも可能であると。これはきちっと言っていますよ、あなたのところの人は。

佐村政府参考人 失礼いたしました。

 公募でやることについては何も問題はございません。

河村(た)委員 いや、公募の一形態として、公職選挙法の適用はないけれども、選挙の手続によることは可能であると。そのとおり、そうですと言ってくれればいい。

佐村政府参考人 公募をされた者の中から選び出すときに投票という方法はございますけれども、今、先生がおっしゃられたようなこと、ちょっと私の方には例を持ち合わせておりませんけれども。

河村(た)委員 ちょっと時間が。これは打ち合わせしたんですよ。うちに来た人おるでしょう、それはいいと言っていますよ。名前言ってもいいけれども、萩原さん、いいと言っていますよ。それはいいんです。やったところがあるんですよ、もう。

 これは困るので、ちょっととめてもらわないかぬ。

佐村政府参考人 一番最初申し上げたのでございますけれども、ちょっとお聞き取りにくくて失礼いたしました。

 市長が委員を選任しようとするときは、委員の資格者のうちから委員に選任されようとする者を公募して、公募に応じた者について投票を行い、当該投票の結果を尊重して委員を選任しなければならない、そういう例がございます。この例を御説明申し上げたかと思っております。

河村(た)委員 いやいや、そこはもう一回あれかな、普通のと言っちゃなんですけれども、この間言ったのは、条例で公職選挙法に準じた条例をつくって、これは答弁書いただいています、それは可能になっていますね。公職選挙法の適用はないから、公職選挙法に準じたというか、そういうような条例をつくって、そこに罰則をつくるということは可能ですね。

佐村政府参考人 地域協議会の構成員の選任については、おっしゃるとおり、条例で定めることは可能でございますけれども、ただ、市町村長の選任権を拘束するような、そういうようなつくり方、方法はできないのではないかと思っております。

 罰則の意味が、どういうふうな罰則になるか、私どもの方もちょっと今よくわからないんですけれども。

河村(た)委員 いやいや、その選ばれた……

 ちょっと、だめだ、これは。

赤松委員長 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

赤松委員長 では、速記を起こして。

 佐村大臣官房審議官。

佐村政府参考人 失礼いたしました。

 公募もできますし、また、拘束しなければ投票の方法も大丈夫でございます。失礼いたしました。

河村(た)委員 お願いします。早う言ってちょうだいや。ということでございますので。

 それからもう一つ、これは条文にありますけれども、いわゆる地域協議会の方を無報酬とすることもできますね。任期は何年かも答えておいて。四年。

佐村政府参考人 失礼いたしました。

 先生よく御存じのとおり、無報酬とすることは可能でございますし、任期は四年でございます。

河村(た)委員 ということで、これを中学校単位ぐらいでずっとあまねく、名古屋でなくてもいいんですけれども、やりかけたところもないわけじゃないです。政令都市なんかでこういうことを全面的にやろうというのは、これは日本で初になりますか。

佐村政府参考人 先ほどちょっと緊張して答えが不正確でございまして、委員の任期につきましては、御承知のとおり、四年以内で条例で定める期間ということでございまして、失礼いたしました。(河村(た)委員「日本で初ですか、大きく政令都市で全面的にやるのは」と呼ぶ)

赤松委員長 ちゃんと手を挙げて言ってください。

 大臣官房審議官。

佐村政府参考人 そうですね、大変画期的な試みかと存じます。

河村(た)委員 何て言った。(発言する者あり)画期的ですか。

赤松委員長 佐村審議官、要するに聞こえなかった。だから、同じことを大きい声で。

佐村政府参考人 ちょっと質問がよく聞こえなかったので、失礼いたしました。

 政令市初ということでございます。

河村(た)委員 ということでございます。

 私としましては、こうやって地域で、自分たちで、こっちはボランティアの議員の方が出てきて、予算も持って、まちづくりやらいろいろな地域のことを本当に自分たちで決めていく。どうも海外は、イギリスはパリッシュというんですか、フランスはコミューンというらしいんですけれども、市町村の下にもう一つあるんですよ、こういうのが。それが日本の民主主義の一番根っこをつくっていってくれるといいな、そんなふうに思っております。

 それでは、次は、問題の郵便局の話に行きましょう。大臣、よく聞いておってよ。

 まず文化庁からいきましょうか。大臣がまず文化庁から答弁させてくれと言いましたので、文化庁から。

 東京の丸の内にあります中央郵便局の建物、あれは、前にも聞きましたけれども、重要文化財となるのではないかというふうに思っておるんですけれども、その価値はどうでしょうか。

高塩政府参考人 一昨年十二月の決算行政監視委員会でも先生から御質問がございましたが、私どもといたしましては、東京中央郵便局舎は、戦前の近代建築のすぐれた作品の一つであり、重要文化財の指定を検討するに足りる価値を有していると認識をしておるところでございます。

河村(た)委員 本当によく聞いておってよ、大臣。いいですか。重要文化財ですよ、言っておきますけれども。国の重文の価値を有する建物であると。

 では、文化庁は、これを保存するように今まで努力されたことはありますか。

高塩政府参考人 文化庁といたしましては、これまで総務省並びに日本郵政株式会社との間におきまして、この局舎の保存を図りながら再整備を図る方法の提案を行ったり、また、日本郵政株式会社が設置いたしました歴史検討委員会の委員長へ申し入れを行うなど、文化財としての局舎の保存が可能となるような働きかけを行ってきたところでございます。

河村(た)委員 大臣、今聞いたですか。文化庁は、保存してほしいということで行動も起こされておるということでございます。

 それでは、今の計画、郵政が出しました計画、これは、このとおりにいきますと文化財となるんでしょうか。どうなんでしょうか、文化庁。

高塩政府参考人 平成二十年六月二十五日に発表されました日本郵政株式会社の再整備計画によれば、建物の一部が保存されるとともに、旧局舎の外観の再現を行って継承するという計画を承っているところでございますけれども、現在の局舎の大半は失われることになりまして、重要文化財と指定することは困難であるというふうに考えております。

河村(た)委員 重文もそうですけれども、もう一つ、登録有形文化財というのがあるんですけれども、そちらも困難じゃないんですか。

高塩政府参考人 登録有形文化財につきましても、登録も難しいというふうに考えております。

河村(た)委員 また後で聞きますけれども、鳩山さん、今の話を聞かれて、どう思っています。

 先ほど環境のことを非常に言われたし、私も同い年ですけれども、こんなことやっておいていいんですか、日本国は。

鳩山国務大臣 環境と文化の鳩山邦夫と呼ばれたいとは思います。実際には呼んでくれる人はほとんどいませんけれども。

 私もかつて文部大臣をいたしましたから、例えば伝建というのがありますね、伝統的建造物群保存地区、町の保存。ああいうところへ行くと、本当にいいですよね。実際、そういうところが日本全国にいっぱいあるわけではない。だから、重要文化財、もちろん国宝とかさまざまなものがありますけれども、大切にしたいという思いがいっぱいある。

 あの中央郵便局は、私は子供のころよく切手を買いに行ったんです。あそこに記念切手だけでなくて、立山航空とか大仏航空とか、そういう切手を兄弟仲よく買いに行ったことが十回やそこらあるんですよ。その建物がやはり重文の価値があると高塩さん言ったでしょう、重文の価値があるものが重文の価値がなくなるようなことをしてはいけないとは思いますね、率直に。だって、貴重なものが失われるわけでしょう。

河村(た)委員 いや、いいことを言っていただいた。私はいいことは褒めますよ、本当に。これは日本のもうぎりぎりの良心です。

 今も現に壊されつつある、ひさしが取られて。だから、かんぽのことをやっているでしょう、かんぽは、重要な財産を譲渡するには鳩山さんの認可ということですよ。これはまだ、かんぽは残るじゃないですか。これは壊したらなくなるんですよ、重要文化財が。国民共有の財産がなくなる。かんぽよりさらにたちが悪いじゃないですか。だから、ここで中断するとはっきり言ってください。

鳩山国務大臣 御承知のように、なぜか日本郵政の財産処分には私の認可はかからなくなっている。ただ、会社分割にはかかる。この中央郵便局は局会社のものらしいですね。局会社のものについては、簿価十億以上で私の認可はかかるんだけれども、これは売るわけじゃなくて、局会社のもののままつくりかえるから、残念ながら私の認可にはかかりません。

 かかりませんが、やはり重要文化財になるものはそうありはしないんですよ、世の中に。だから重要文化財だ。重要文化財であるものを重要文化財でなくするというのは、トキを焼き鳥にして食っちゃうような話でしょう。だから、その辺は慎重によく検討しますよ。

河村(た)委員 重要文化財であるものを重要文化財でなくしたら、これは文化財保護法違反で、たしか五年以下の懲役ですよ。今のところは指定されていないけれども、要するに郵政が判を押すとなるんですよ、はっきり言いまして。こんなことをやっていいのかということです。

 それと、もう少し聞いていてほしいけれども、これは大成建設が、名前を出しますけれども、これは大成が老朽化調査工事という名目で随意契約で工事を受注したという情報がある。それで、落札したのは大成です。この辺の情報を知っていますか。

鳩山国務大臣 申しわけありませんが、その間のいきさつは知りません。

河村(た)委員 それから、これも名前を言いますけれども、三菱地所がいろいろな設計を請け負っておりますけれども、ここの方が、請け負っておる人が郵政に出向しておったという説があるんですが、これを御存じですか。

鳩山国務大臣 申しわけありません、存じ上げておりません。

河村(た)委員 まずこれを調査してください、とにかく。かんぽと同じような問題が指摘されております、入札疑惑が。だから調査してください。

鳩山国務大臣 事務方とよく相談します。

河村(た)委員 相談じゃないですよ。調査をすると言ってくれなきゃ、何のために議員をやっておるかわけがわからぬじゃないですか。(発言する者あり)

鳩山国務大臣 それは、案件の中身が私には詳しくはわかりませんから、まず事務方と相談するところから始めなければいけないと思います。

河村(た)委員 変なことを言う人がおりますね、がたがたがたがたと。

 文化庁、来ておりますので。

 文化財保護法二条に、「「文化財」とは、」云々というのがあります。この郵便局というのは、少なくとも重要文化財は今指定直前、ただオーケーを……。本当は職権でできるんです、実は文化財というのは。だけれども、長年の慣習で所有者の承諾が要るとしておるだけです。だから重要文化財になっていないだけですけれども、少なくともこれは文化財保護法二条に言う文化財には該当しますね。

高塩政府参考人 御指摘の文化財保護法二条の文化財というのは、指定、未指定関係なく文化財という形で、建造物につきましては、建造物のうち、我が国にとって歴史上、芸術性の高いものを文化財というふうに規定しているところでございます。

河村(た)委員 したがって、中央郵便局もこの二条に言う文化財ということでいいですね。

高塩政府参考人 文化財というのは、指定、未指定にかかわりなく文化財になっておりますが、文化財の指定に当たりましては、先生からもお話ございましたように、所有者の同意を前提として指定を行うということで行政を行っております。

河村(た)委員 だから、中央郵便局は二条に言う文化財ということでいいですね。(発言する者あり)

高塩政府参考人 そのとおりでございます。

河村(た)委員 今がたがたわけのわからぬことを言っておりますけれども、これが文化財になりますと、四条で、「文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」。こういう規定を持っておるんですよ、ちゃんと。

 それから、三条は、「政府及び地方公共団体の任務」として、文化財について、「その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。」とあるんですよ。

 今がたがた言っておりますけれども、大臣、この規定によってあの文化財を、「保存が適切に行われるように、周到の注意をもつて」、だから、あなたが今答弁しているのでいいんですよ。その義務を忠実に履行されておる。そういうことですよ。わかっていただけたですか。

 それでは、これは周到な注意は行われましたか。(発言する者あり)

赤松委員長 場内でやりとりしないでください。

鳩山国務大臣 一般的な文化財という定義がどうなっているか私はよくわかりませんが、私も文部大臣をいたしておりましたから、文部大臣が指定する史跡あるいは名勝、天然記念物、国宝等がある、文化庁長官がこの変更について、変更というのは、例えば小石川後楽園という、これは特別名勝、特別史跡ですが、東京ドームができると景観が害されるというので、こういうのは景観が害されるけれども大丈夫かというのは文化庁長官の方の権限になっておったように記憶をいたしております。

 私は、私有財産の処分権と一般的な文化財との関係についてはわかりませんが、先ほど高塩さんが、これは重要文化財に指定できる価値のあるものだと、つまり重要文化財級のものだと申し上げたから、それは貴重なものだ、それを害することがないようにしなくちゃならぬと御答弁申し上げているわけです。

河村(た)委員 立派です、これは。だから、大臣、ぜひこれは悲しいことやめてくださいよ、東京の玄関ですよ。

 一方、東京駅は本物に復元しているんですよ、横で。そこで本物を壊すんですか。ちょっと行きますと、三菱一号館がありますけれども、これは一たん壊しちゃったものを、今また昔のとおりに復元工事、今終わっております、きれいな建物になっています。だから、三菱一号館が明治の建物、東京駅は大正、それからこっちが昭和六年にできていますけれども、そういう本当の歴史の回廊として、これは日本の玄関ですよ。

 だから、大臣、本当に、これはぜひ内閣で一遍話し合ってくださいよ。こんな悲しいことは、私有財産、私有財産と言っていますけれども、もともと株主は全部……。これは何ですか、郵政のだれか個人のものですか。郵政、来ておるけれども、何を考えておるんですか、一体。たまたま法律が通って民営化と言っておるだけで、これは全部国民が持っているじゃないですか。少なくとも国会にお伺いを立てるぐらいはないんですか。

 郵政、ちょっと答えて。とんでもないよ、本当に。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 東京中央郵便局につきましては、先生の御指摘や、また建築団体等からの保存要望があったことを重く受けとめておりまして、平成十九年七月に東京中央郵便局歴史検討委員会を設置いたしまして、その歴史的な価値等についての議論の結果、保存に関する提言をいただいたところでございます。

 私どもといたしましては、この検討委員会の提言や技術的な検討を踏まえまして、具体的には、東京駅前広場側の景観を継承する観点から、構造を含めた二スパン部分を保存するとともに、その他の部分についても外壁を忠実に再現し、歴史的な景観の保存に努めることとしております。また、高層棟をスリム化し、セットバックするなどして、低層棟により東京駅前広場側の高さのそろった軒ラインを構成しまして、景観と調和を図るようにし、再開発の計画を進めることとしたところでございます。

 また、都市計画手続の過程におきまして、千代田区の景観まちづくり審議会、東京都の条例に基づく環境アセスメントの説明会や、東京都が行われました都民の意見を聴く会の開催、東京都の都市計画審議会等での議論を行うなど、幅広い議論を踏まえまして計画を進めてきたところでございます。

 このように歴史的な建築物としての保存、景観等への配慮をできる限り行っておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。

河村(た)委員 今文化庁がはっきり言いましたけれども、あなたのところの保存は、重文には当然ならないし、その前段階というか、下と言っちゃなんですけれども、別個のカテゴリーですけれども、登録文化財にもならないとはっきり答えているんですよ。あなたは文化財を壊すと言っているんだ、はっきり。これはあなたの財産ですか。あなたの金でつくった建物ですか。これはどうなっているんですか。まあ、あなたに責任はないけれども。上がろくでもないから、こういうことをやるんだけれども。

 それから、国土交通省が来ていますので、ここはいわゆる特定街区制度といって、東京駅もそうです、上が、経済的な問題もありますので別個に売れるようになっておるんです。なぜそういう制度をつくったかというと、こういう歴史的景観を残すためにわざわざつくったんです。あそこもそうなんです。だから、郵政に何の損害もないんですよ、実は。あのまま五階にして、上は全部売ればいいんです。これは買いたい人ばかりでしょう、あそこだから。

 これは、国交省、ちょっと答弁してくれますか、そういう制度を。

石井政府参考人 先生の御指摘の特定街区ではなくて、特例容積率適用地区という制度でございますが、公共施設が十分にあり、広い道路等があって、敷地間の容積の移転を使うことで未利用の容積の活用を推進して土地の利用度を上げられるというところに指定をするものでございます。

 御指摘の大手町、丸の内、有楽町地区につきましては、東京都の方でこの制度の趣旨を踏まえまして、歴史的建造物の保全、復元、文化的環境の維持向上などを図るとともに、地区全体としての土地の高度利用を促進し、質の高い業務機能への更新、商業や文化機能の集積などを図ることにより都市再生を推進することを目的として、平成十四年に指定をしていただいております。

 以上でございます。

河村(た)委員 大臣、今聞いておったでしょう。歴史的建造物を保存するためにわざわざ東京都がこういう制度をつくったんです。それを無視してぶっ壊すとは何事だと。先ほどいろいろ言っているように、これは私有財産じゃないですよ。株主は全部国民ですよ。

 それから、国会では百五十三人の皆さんが本当に超党派で、自民党は平沢さんが熱を入れてやってくれました。それから、今鳩山さんが言われたけれども、切手好きの松木謙公さんてみえるけれども、あの方も非常に熱心で、残そうということでやってくれたんですよ。だから、少なくともこれは国会にお伺いを立ててほしい。国民の共通の財産であり、先ほど文化庁が言っておるように、これは皆さんが守る責務があるんです。

 だから、鳩山さん、一遍国会で議論するように持っていくという答弁をしてくださいよ。

鳩山国務大臣 国会でそういう議員連盟ができているんですか。(河村(た)委員「はい」と呼ぶ)まあ、そういう国会議員の中でこれを守ろうという動きがあることは承知しておりましたが、ただ、この問題の決着を、国会に説明して、国会に求めるというたぐいのものではないだろうと思います。

 私が申し上げているのは、しつこいようですが、同じことでございまして、かつて文部大臣をやった人間として、文部大臣が指定する、つまり、国指定の重文とか史跡、名勝、天然記念物、国宝等は非常に重いということを申し上げているわけです。

 例えば千代田区の景観まちづくり審議会が了承したとか、東京都の都市計画審議会が了承したとはいっても、もしこれが重文の価値が十二分にあると文化庁が認めるならば、その上に行くんですよ。それは、千代田区がどうの、東京都がどうのという話じゃないんですよ。まさに国民が最も大切にすべき国指定の重要文化財になり得るかどうか、なる価値が十分あるものが、今度の工事によって価値がなくなってしまったら、それは国家的損失になるわけです。

 ですから、これは、私が協議すべきはむしろ塩谷文科大臣なのかなという思いがいたします。

河村(た)委員 文科大臣とは協議をされるということですね。一応答弁してください。

鳩山国務大臣 これは重大な問題ですから、文化財の問題ですから、塩谷文科大臣と協議する必要があると思います。

河村(た)委員 いや、きょうはよかった、本当に。それだから環境の鳩山さんですよ。こういうことは本当に勇気を出さないかぬ。こんなのは超暴挙ですよ、言っておきますけれども。

 それと、先ほど言いましたように、かんぽと同じような、非常に疑惑がある、入札の疑惑が。ですから、同じ流れ……(発言する者あり)同じことですよ、それは。出てきたらどうしますか。(発言する者あり)何を言っておる。だから、調査してください。調査してください、とにかくこれは。疑惑にとどめておきますから、私も。疑惑にとどめます。そういうお話があるんだけれども、調査していただきたいということでございます。

 国交省、もう一回最後に。

 今こういうことを受けて、取り壊しになる場合は国交省がゴーサインを出す必要があるんですよ。だから、国交省、少なくともこれはとめてもらえますか。

石井政府参考人 今御指摘の件は、建物の取り壊しでございますか。(河村(た)委員「はい」と呼ぶ)

 建物の取り壊しについて、私どもの方に都市計画上等でこれをとめるという法的な権限はございません。

河村(た)委員 ないかね。

 じゃ、最後に郵政。

 今鳩山大臣が文部大臣と協議すると言ってくれましたので、取り壊しについては直ちにストップすると言ってください。

米澤参考人 よく御当局に御説明を申し上げて、御理解を賜れるよう努力をしたいというふうに考えております。

河村(た)委員 それは一体何ですか、御理解を賜る言うて。大臣が二人で協議すると言うのに、着々と壊すわけですか。少なくとも大臣が言っているんだから、ちょっと取り壊しは停止すると。当たり前じゃないですか、そんなこと。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 よく御当局と御相談申し上げたいと思います。

河村(た)委員 そういうことでございますので、皆さん、ぜひ注目していただいて、鳩山さんも文部大臣もやられて、本当にこれは日本の悲劇ですよ、重要文化財になるようなものを目の前で取り壊して。それが当たり前だという国は、私は日本はそんなひどい国だとは思っていません、本当に。ですから、大臣、ぜひ先ほどの答弁で結構ですので、これはみんなで守りましょう、日本の玄関ですから。お願いします。

 終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、まず、国民共有の財産である郵政事業について、この間問題となっておりますバルク売却の問題について改めてお尋ねをしたいと思っております。

 一昨日の委員会で、私は、郵政公社時代の三回のバルクの落札者代表がすべてリクルートコスモス、現コスモスイニシアであり、できレースと見られても仕方がないと指摘をいたしました。大臣も、リクルートコスモスが三回とも全部落としていることを考えると、偶然なのかと疑問を抱くのは私だけではない、できる限りの調査をしなければならないと答弁をされました。

 その際、日本郵政にも資料要求をし、原口理事や、また松野委員の質問、私からの要求もあり、その一部が理事会、委員会に提出されました。

 そこで、お尋ねをいたします。

 提出された日本郵政、旧郵政公社の資料の中で、公社不動産処分検討委員会資料というのがございます。その中の、平成十八年三月二十日付の公社不動産処分検討委員会議事録というのがございます。議題は、十七年度公社不動産の売却結果について、また十八年度公社不動産の売却についてなどでありました。

 そこで、日本郵政にお尋ねしますが、十七年度公社不動産の売却結果について、この議事録で委員長は何と発言をしておられますか。

藤本参考人 お答えいたします。三月二十日の委員長の発言でございますね。

 三月二十日の公社不動産処分検討委員会議事録がございます。そこで、高橋委員長の発言に、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。グルーピングの方法やもっと高く売れる方法を考える必要がある。」との発言がございます。

塩川委員 委員長の発言として、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。」と記録をされております。

 これは、私が、リクルートコスモスにおいて三年間連続落札をしているという経緯も含めて疑念がわくということを申し上げておりましたが、当時、この公社内の公社不動産処分検討委員会においても、委員長自身が、バルクでリクルートは転売して相当もうけたと聞いているという発言をしている。極めて重大な発言であります。

 そこで、日本郵政に、昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当もうけたと聞いているというのはどういうことなのか、お尋ねします。

藤本参考人 そういう委員長の発言がございました。そこで、事実関係を確認してまいりました。

 二月二十六日現在の登記簿でございますが、確認の結果、これは、当時のリクルートコスモスに移転登記をされております国分寺泉町の物件であろうかというふうに思われますが、これにつきましては、平成十八年三月二十日に売買がされまして、三月二十二日に所有権の移転登記がございます。

 その後、商号変更がされまして、リクルートコスモスからコスモスイニシアに名称が変更されてございますが、それからさらに移転登記がされたというのがございませんで、結局、今見ますと、リクルートコスモスが保有されている、こういうふうに認識をいたしてございます。

塩川委員 委員長の、リクルートは転売して相当もうけたと聞いているということについての事実関係そのものは確認をしておられないんですか。

藤本参考人 時間の関係がございまして、直接当時の委員長に確認しているわけではございません。

塩川委員 この議事録でありますけれども、昨年のバルクということで、このいただいた資料、今言った議事録ですね、この議事録の入っている一連のA3とA4の資料の一番後ろに、参考資料として、六番、「バルク売却D・E物件のその後」というのがあります。

 ここには、ごらんになっていると思うんですけれども、十七年度バルク売却したD・E物件、A、B、C、D、EのDとEの物件のことですね、そのD・E物件の件数と、売却先がほかへ転売をしたという件数が書かれております。それは、それぞれ何件ですか。

藤本参考人 お答えいたします。

 このページ、「6 バルク売却D・E物件のその後」という記述がございます。AからD、Eまで物件があるわけでございますが、D、Eと申しますのは比較的市場性の低い物件のことでございます。

 そこの記述を見ますと、十七年度バルク売却したD・E物件といたしましては、評価のDというものが四十八件ございます。そのうち、売却先が他へ転売したものが三十八件ございます。それから、E物件が十六件でございまして、そのうち、失礼いたしました、先ほどのDの四十八件のうち、売却先が他へ転売した物件は、ちょっと計算いたしますので……(塩川委員「合計でいいんですけれども、ここに書いてある数字ですから」と呼ぶ)D、E合わせて申し上げてよろしゅうございますか。(塩川委員「はい、結構です」と呼ぶ)合計六十四件中、売却先が他へ転売した案件が、三足す五十七の六十でございます。

塩川委員 この郵政公社の資料で見ても、D、Eの物件ということで、売却先がほかへ転売したというのが六十四のうち六十に及ぶわけですよ。すぐ転売をしているわけですね。

 ですから、転売で相当もうけたと聞いているという事実関係というのは、全部のバルク売却の物件について調べてこそ明らかになるんじゃありませんか。そういう確認調査をされましたか。

藤本参考人 本件バルク売却におきまして、リクルートコスモスの方で所有権登記を移転されたというのは、私が先ほど申し上げました国分寺泉町二丁目の社宅のみであったというふうに認識をいたしております。

 したがいまして、このD、Eにつきましては、現在の認識でございますが、リクルートコスモスのものではないと思いますが、なお調査させていただきます。

塩川委員 一昨日に確認しましたように、参入をしているグループの事業者の中には、SPCもございましたし、リーテックもありました。それはいずれもリクルートコスモスの関連企業だったのではないかということは、日本郵政自身もお認めになりました。

 ですから、リクルートと言う場合には、リクルートコスモスに限らず、リクルート関連企業全体を明らかにしてこそ、この指摘に即した事実関係が解明できるのではありませんか。ですから、関連企業も含めて全体を明らかにしていただきたい。その点をもう一度確認させてください。

藤本参考人 お話ございました出資の関連のあるSPCも含めまして、調査をさせていただきます。現在調査中でございます。

塩川委員 まさに国民の共有財産がバルクという形で切り売りされたのではないのかということを、郵政公社自身が知りながら容認したんじゃないのかと率直に疑念を持つわけですが、どのように受けとめておられますか。

藤本参考人 私どもの認識を申し上げますと、リクルートコスモスで移転登記を受けておられますのはこの国分寺のものでございますし、あと、G7―1というSPCがございました、これが赤坂の社宅用地の移転登記を受けられておったわけでございます。

 そういうものも含めましてさらに転売があるかどうか確認いたしておりますが、今わかったところで申し上げますと、G7―1からその他へ移転登記はございませんで、吸収合併されまして、今、所有権が移転しているというのはございます。ただ、それから先への転売というのはないというふうに認識をしてございます。

 ただ、それも部分的な話でございますので、全部調査をいたしたいと思っております。

塩川委員 鳩山大臣に伺います。

 今、旧郵政公社の内部の検討委員会の資料におきましても、その委員長の発言として、「昨年のバルクでは、リクルートは転売して相当儲けたと聞いている。」と述べている。また、D、Eの物件ということで見ましても、六十四の物件のうち六十件が短期間で転売をされている。建て売り業者に行ったり投資ファンドに行ったりしているわけですね。

 ですから、転売をして相当もうけたと言われるような実態があった、当時もそういうことが議論になっていた、それにもかかわらず、解明も事実関係の確認もされていない。こういうことでいいのか、大臣の御認識を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 私は、かんぽの宿の件について疑念を強く持ったものでありますから、それなりに調査をいたしておりますし、皆様方がいろいろ調査された結果も興味深く承っております。

 しかし、そういう日本郵政の体質を考えれば、民営化以前にも、公社時代にさまざまな売却があった、本当にこれがすべて国民の財産をきちんと、一円でも高く売るようなものであったならよかったと思いますが、かんぽの宿から類推をしますと、また疑惑を招くような、あるいはできレースと思われるような、あるいは特定のところに利益、利得をもたらすというようなことが前提となってバルク売却が行われたとすれば、それは国民は許さないことでありましょうし、私にとっても大変残念なことでありますが、先ほどからの、あるいはこの間からのさまざまな質疑応答を聞いておりまして、リーテックに売った、私も書類を見ておったら、いやリーテックは書き間違いですなんという、何を隠しているんだろうかという疑惑を感じてしまいますよね。

 そういう意味で、私はかんぽの宿問題を取り上げてきたわけでございますが、それ以前の問題も解明しないと国民には納得してもらえないなと非常に重苦しい気持ちになっているのは事実でございます。

塩川委員 国民は納得できないわけであります。リクルートコスモスのぬれ手でアワの転売疑惑についての解明が必要であります。

 関連して、私は一昨日の質問で、平成十八年度の入札経緯が不透明であることを指摘いたしました。

 そこで、お尋ねします。

 十八年度、十九年二月の入札の参加者は二社であり、落札者はコスモスイニシアでありました。日本郵政が明らかにしました資料を拝見しました。確認ですけれども、この十八年度、十九年二月の入札の際にコスモスイニシアと争った相手方はどこですか。

藤本参考人 お答えいたします。

 平成十八年度バルク売却の入札参加者は、コスモスイニシアほか六社の一グループ、その他は有限会社駿河ホールディングスほか一社でございます。

塩川委員 有限会社駿河ホールディングス。ホールディングスといいますから持ち株会社かと思いましたら、有限会社。極めて不可思議な話であります。

 ほか一社というのはどこか教えていただけますか。

藤本参考人 有限会社駿河ホールディングスが代表者でございまして、その共同購入者は合同会社CKRF4とございます。

塩川委員 この有限会社駿河ホールディングスというのはどのような会社なのか教えていただけますか。

赤松委員長 日本郵政藤本常務執行役。答弁を急いでください。

藤本参考人 手元に履歴事項全部証明書がございますが、そこを見ますと、出資一口の金額が金五万円でございまして、発行可能株式総数六十株、発行済み株式の総数六十株、資本金の額、金三百万円の会社でございます。

 あと、申しわけございませんが、ちょっとその出資関係、すぐ手元に資料がございませんので、調べてお答えをいたしたいと思います。

塩川委員 この会社の設立がいつで、この会社は解散をしているようなんですけれども、その解散の時期はいつか、おわかりですか。

藤本参考人 今、手元にございますのは、入札参加時点の証明書でございまして、それを見ますと、会社成立の年月日は平成十六年十月七日となっております。

塩川委員 平成十六年の十月七日にできた会社が十八年度のバルクに参加をしている。登記簿を見ますと、この会社が解散をしているのが平成二十年の五月であります。ですから、十九年の二月に入札に参加したと思ったら、もうその一年後には解散をするような会社だった。

 これが、このバルクの入札でいえば百億円になるようなバルク売却を扱うような事業者だと、どうして言えるんですか。

藤本参考人 不動産取引実績の証明書がございます。それを見ますと、当該会社は約百二十一億円の売買代金総額の取引を行ったことがございまして、私どもの基準でいいます五十億円以上の取引のある会社という条件を満たしておるわけでございます。

塩川委員 その関係についての資料を出していただけますか。

藤本参考人 はい、お出しいたします。

塩川委員 この有限会社駿河ホールディングスというのは、宅建業の届け出というのはしているんでしょうか。

藤本参考人 直ちにはわかりませんので、調べて御回答申し上げます。

塩川委員 東京都に確認したところ、宅建業の届け出はないということでありました。ペーパーカンパニーではないのかという疑いを強く持つわけであります。

 こういう実態について、明確に疑いが晴れるような調査をしていただきたいと思いますが、お答えください。

藤本参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました駿河ホールディングス、それから合同会社CKRF4、こういうものにつきまして、調査をいたしまして御報告申し上げたいと思います。

塩川委員 大臣に伺います。

 この十八年度の二社の入札におきまして、非常に経緯が不透明ではないかということを一昨日も申し上げました。今のように、相手方についての実態というのがこのような取引にふさわしいのかということを率直に疑わざるを得ません。こういう実態についてしっかりとした調査を求める。

 大臣の率直なこの入札の経緯についての受けとめをお聞きしたいのと、しっかりとした調査を改めて求めたいと思います。以上二点、お願いいたします。

鳩山国務大臣 かんぽの宿だけでなくて、公社時代の何度も何度も行われたバルク売り、あるいはバルク以外もあるかもしれませんが、そういう、昔でいうならばまさに払い下げと言われる概念に当たるような国民の財産の売却について、徹底して調べなければならなくなったというのは大変残念なことでございますが、私なりにできることがどこまであるか、総務省の権限でどこまでできるか、それを調べながら、できる限りの調査をしたい、こう思っております。

 お話を承っておりますと、ペーパーカンパニーなのか、どういう会社なのか、大体、SPCというのもどういうたぐいの会社なのか、私にはよくわからないことが多過ぎます。

 最初、かんぽの宿のときに、二十七社が名乗りを上げたときに、最初に何社かはじかれたりしている。はじかれた会社の中には、四百億とか五百億を提示したけれどもはじかれたと言っている会社もあるわけですね。それは何らかの要素をもってはじいたんだと思うけれども、こっちの十八年度のバルク売却では、もう全くわけのわからない会社でも何でもいいといって認めている。

 とすれば、その二十七社が名乗り出たときに何社かをはじいたやり方と、全く実態があるかどうかわからないようなものまで認めちゃう。それは、レッドスロープというのも、何という会社だかわからないと週刊誌には書いてあった。リーテックだって、CAM6とか7とか、G7―1とか2とか、何か私まで名前を覚えちゃったけれども、何だか、にわかづくりでつくったのか、そのためだけにつくったか、そういうようなものを平気で認めておいて、片やかんぽの宿のときにははじいたりしている。その矛盾があるなというのが感想です。

塩川委員 三回のバルク落札がいずれもリクルートコスモスで、一回目、二回目の入札の際に争った業者に長谷工コーポレーションなどがあったわけですが、三回目には相手方にはならずに、リクルートコスモスを代表とするグループの中に長谷工コーポレーションが入って、その中で枚方レクセンターという優良な物件を受け取れると。そういう点では、全体ができレースなんじゃないのかということを率直に言わざるを得ません。

 こういった入札、十八年度の入札の経緯も含めて徹底解明をして、国民共有財産を勝手に切り売りするようなことは許さないということを、大いにこの委員会としても決意を新たにしていく、そういう質問としたいと思っております。

 そこで、地方交付税の財源不足問題に入ります。

 地方財政の財源不足が十四年連続して生じている。このことは、地財三法の本会議質問での鳩山大臣の答弁の中にもございました。重大な事態であります。

 地方交付税法は、一割を超える財源不足が三年以上連続して生じた場合には、地方行財政制度の改正か交付税率の変更を行うことを求めております。

 そこで、総務省にお聞きしますが、この地方行財政制度の改正及び交付税率の変更というのは、それぞれどのような場合に実施、適用されるのか、その点、お答えください。

久保政府参考人 今委員御指摘のように、これまで国会答弁等で、地方交付税法の六条の三の二項の解釈をした場合の要件、これは、巨額の財源不足が平成六年から生じておりますので、平成八年度から、そういった条文の言っている要件を満たしているということでございます。

 では、どういうふうな形でやったのかということでございますけれども、まず、交付税率の変更についてお話をいたします。

 過去、地方交付税の法定率の変更があったケース、これを申し上げますと、昭和二十九年度から四十一年度まで、地方財政の状況が極めて厳しい一方で国税には大きな自然増収があったということで、交付税率が引き上げをされております。

 それから、消費税の導入などの抜本的な税制改正に伴って、あるいは国庫補助負担率の引き下げによる影響額を補てんするため、あるいは国税の減税による減収の補てんを行うためといったことで何回か交付税率が変更されておりますけれども、これは、地方交付税法の六条の三の二項に該当して法定税率を引き上げたというものでは、厳密の意味ではないというふうに思っております。

 ただ、冒頭申し上げました、昭和二十九年度の地方交付税制度の創設から四十一年度までに法定率を引き上げてきておりますけれども、直接的には今申し上げましたように法六条の三の二項に基づくというものではないけれども、趣旨としては、地方財政の状況を踏まえて引き上げが必要であるということでございましたので、法六条の三の二項の趣旨を踏まえて行われた。ただ、厳密の意味では、基づいて行ったものじゃないと考えております。

 そうしたら、先ほど申し上げました、平成六年以降、特に平成八年度以来、この法六条の三の二項の規定に該当する状況が生じているということでございまして、したがって、法定税率の引き上げをしなかったということでございますので、我々としては、その都度、地方行財政制度の改正を行って対処をしてきたというふうに考えております。

 そこで、どういうふうな形での行財政制度の改正なのかということでございますが、平成八年度と九年度におきましては、それぞれ単年度の措置といたしまして、財源不足額のうち地方交付税対応分について国と地方が折半して補てんをするという形で地方交付税法を改正いたしました。

 それから、平成十年度から平成十二年度までにおきましては、これは三年間の措置ということで、財源不足について交付税特別会計の借入金によって補てんをして、借入金の償還については国と地方が折半して負担をするという形で地方交付税法を改正いたしました。

 それから、平成十三年度以降でございますけれども、これは三年ごとに財源不足について国と地方が折半して補てんをするということにいたしまして、国は一般会計からの特例加算、そして地方分については臨時財政対策債の発行によって対処をするということでございまして、平成十三、十四、十五の改正を行いました。そして、十六、十七、十八で二回目の改正を行いました。

 そして、現在は、十九、二十、二十一年度ということで、今、あのような地方交付税法の附則の四条の三の規定を設けているということでございます。

塩川委員 地方行財政制度の改正については、折半ルールという形で、この間、平成八年度以降の対応がされているということですが、この六条の三の第二項に基づく交付税率の変更というのはないんだというお話でございました。

 では、そもそも、法律においては、財源不足についてどういう事態が生まれれば交付税率の変更を行うということを想定しているんですか。

久保政府参考人 地方行財政制度の改正ということで不足額に対応してきたということを申し上げました。

 その制度が切れましたらどうやって補てんをしていくのかと、切れるときに財務省とも議論をいたします。その都度議論をしてまいりますけれども、やはり国の方も、これまでのことでございますけれども、大量の赤字国債に頼っているといったようなこともございますので、法定率の引き上げということには至らなかった。これは今までのことを言っているだけでございます、至らなかったということでございます。

塩川委員 私がお聞きしているのは、六条の三第二項において、財源不足が生じた場合に地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うとある。ですから、皆さんは、今、地方行財政制度の改正で対応していると言っておられますけれども、では、そもそも法律が想定をしている交付税率の変更というのは、どういう事態となれば適用、実施をされるのか、それをお聞きしているんです。

久保政府参考人 どちらかを行うという法律の規定でございますので、これまで我々は地方行財政制度の改正で対応してきたということでございます。

塩川委員 地方交付税の解説などを見ていますと、こういうふうに書いてあるわけです。法第六条の三第二項の適用に当たっては、地方行財政制度の改正によって財源不足が解消されることが望ましいというのが同項の規定の趣旨であり、これによっては地方財源の過不足が恒久的に解消されない場合に、交付税率の変更を行うことになると述べています。これは一般的な解釈だと思うんですが、そのとおりでよろしいですね。

久保政府参考人 それでいいと思います。

塩川委員 そこで、大臣にお聞きしますが、十四年連続財源不足が生じているという事態の中で、どう対応するのかということが問われてまいります。

 そもそも、財源不足に対応する措置としての交付税率の変更というのが、厳密に言えば一度もなかったんだというのは大変驚きなんですけれども、大臣はそういうことは御存じだったんでしょうか。

鳩山国務大臣 総務大臣になるまでは、それほどこういう勉強をしておりませんでしたから、それは比較的最近の知識でございますが、この法六条の三第二項というものを素直に読めば、法定率の引き上げを考え始めなければならない、検討しなければならない時期に来ているというふうに読むのが素直なのではないかなと思います。

 ただ、御承知のように、国の財政の方も火の車でございますから、そう簡単なことではありませんけれども、中期プログラム等を検討するのであれば、こうした問題について当然検討しなければならないはずだと思います。

塩川委員 交付税法の六条の三第二項で、財源不足が生じた場合の措置として交付税率の変更を行う、こういう規定が法律で行われたのは、さかのぼるといつのことなんでしょうか。戦後すぐのころ、およその時期がわかれば教えていただきたいんですが。

久保政府参考人 御案内のように、今の地方交付税法は、もともとはシャウプ勧告に基づいて平衡交付金法という形で発足をして、昭和二十九年に法定率ができて、一定のものを交付税の原資にするといった形で、安定的な制度に切りかえた。昭和二十九年度に今の地方交付税制度がスタートをしております。

塩川委員 制度としては五十年以上前にあるんですけれども、一度も使われたことがないと。抜かずの宝刀といいますか、抜かずにさびているのかもしれませんけれども。こういう状況があった上で、大臣も、素直に読めば交付税の変更をするのが筋だろうという話でございました。

 では、具体的に、この規定に沿って財源不足の解消策として交付税率の変更を行う、使うつもりだ、使うお気持ちがあるということでよろしいですか。

鳩山国務大臣 昭和二十九年に平衡交付金から地方交付税に変わったとき、この条文が最初からあったとすれば、当然、予想外にいっぱい入ってきたときもまた考慮するということだったでしょうね。今はちょっと考えられないけれども、物すごくいっぱい入ってきちゃった、予想外にふえてきたから、これはまた行財政制度を変えるか、率を下げるかということ、実際にはそういうことはなかったようですが、それでも、二十九年、地方交付税法ができたときにはその両方の予想があったんだろう、そう思います。

 私は、いつも申し上げますように、地方税と地方交付税という、地方が自由に使えるお金が十分なければいけない。そうしないと、地域は、地域の首長さんの自由な発想のもとの経営というのでしょうか、そのもとに置かれるような形にならない。つまり、逆に言えば、市町村長さんや都道府県知事さんや、あるいは地方議会というものが地域の真の経営者たり得るというのが理想だ。その場合には、財源として自由に使える財源、補助金、交付金でなくて、地方税と地方交付税が潤沢になければならないという前提で地方税財政制度を考えております。

 ということは、当然、この地方交付税が制度的にふえる方法の一つとして、法定率の改定というものは目指していきたいと思います。

塩川委員 地財三法の本会議質問の際に、私は、地方財政に関連して、十四年連続の財源不足が生じている、地方行財政制度の改正ではもう限界だ、だからこそ交付税率の引き上げが必要だという質問を行いました。同趣旨の質問は原口議員の方からもございましたけれども、それに対して、いずれも大臣の答弁においては、そろそろ地方交付税の算定率についても議論を始めていい時期ではないかと考えている、国税五税の算定率を上げて、地方交付税の基本的な額が少しでもふえるようにしなければならないのではないかという議論が始まっていい時期ではないかと述べておられます。

 それで、地方行財政制度の改正としてこの間措置してきた折半ルールが三年ごとに、多少形は変わっていますけれども更新をされて、それが〇九年度、来年度いっぱいまで一応枠がはまっている。再来年度からどうするかというのは今のところ白紙なんだと思うんですけれども、そういう点では、今はいい機会だろうと率直に考えております。

 ですから、〇九年度まで枠組みが決まっている、逆に言えば、その先は決まっていないわけですから、まさに検討するいい機会で、その点で、その先をどうするかということで、今大臣はどのようにお考えですか。

鳩山国務大臣 地方交付税法第六条の三第二項に基づいて地方行財政制度の改正か地方交付税の法定率の引き上げを行うことが必要なわけですから、地方交付税の法定率の引き上げはとにかく検討しなければならないし、政府の中でも、できれば国会でも議論をしていただきたいと思っております。

 中期プログラムというものがあって、これは経済状況が好転することが前提になっているとは思いますが、そこで中福祉・中負担が議論されていく。その際に、消費税の話、そして地方消費税の話、その他の基幹税目のあり方というのも検討課題に入っておりますから、ここでもこの議論は持ち出さなければいけない。

 地方消費税のありよう等によっては、地方交付税の法定率の議論をしなくて済むというような事態もあるかもしれませんけれども、いずれ俎上に上る議題でございますので、真剣に検討を続けていこうと思っております。

塩川委員 地方交付税の交付税率の引き上げも検討の対象となるということでございました。

 あわせて、中期プログラムの中で、地方消費税の話が出てまいりましたけれども、私どもは、消費税というのは、所得の少ない方により重い負担のかかる逆進性の強い税制で、福祉破壊の税金だ、こういう形で手当てをするということは、消費税の増税ということには断固反対であります。

 大臣がおっしゃる地方消費税の拡充、充実というのは、消費税の増税を前提としたものということでお考えですか。

鳩山国務大臣 今は四%の消費税に一%の地方消費税ですね。これは、確たることは言えないんですが、消費税を将来一〇%にするということをお考えの方がおられるとして、九%が消費税で一%が地方消費税というような案も、いや、今現実に検討されていると言っているわけではありませんが、そういう案も存在をしているようでございまして、そういうことは絶対に認められないなと。そうであるならば、もし消費税が一〇%であるならば、そのうち二%、できれば三%を地方消費税にしてもらいたい、こう思います。

塩川委員 消費税増税を前提とした地方税の拡充や、あるいは交付税の算定率の引き上げということは、やはり福祉破壊にもつながる、認められない。法に基づいたふさわしい対策を強く求めて、質問を終わります。

 申しわけありません。就学援助について質問する予定でしたが、次の機会にさせていただきます。文科省の方、引き続きよろしくお願いします。失礼しました。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 前回の質問の折、通告しておりましたけれども、そこまで行き着かずに時間が来てしまいましたので、まずその部分から入らせていただきます。

 三位一体改革についての大臣の考えをお聞きいたしたいんですが、大臣は事あるごとに、改革の光と影、そういうことを強調され、改革には影の部分もあったんだ、そういうことを申しております。私は、三位一体改革に果たして光の部分があったんだろうか、そういうふうな思いを持つわけです。

 もともとの考え方、なぜ三位一体と言われたのかという点ですが、改革の流れが補助金、交付税の削減に偏重しかねない情勢の中で、地方への税源移譲、自主財政権の確立こそが重要だというふうに思っております。だからこそ、この三つを一体として行うべきだという中で生まれたこの三位一体という言葉のはずなんです。

 十分な税源移譲は三位一体改革の中心をなすべきものでなければならぬ。成否を決する最大のポイントは、つまり、税源移譲であります。私も、十分な税源移譲が行われていれば光の部分はあったと考えます。ところが、実際に実行されたのは、不十分な税源移譲と、それをはるかに上回る大幅な補助金、交付税の削減。このことは大臣もお認めになられていることだろうと思います。

 そのことが、結果として地方が大変な状況に追い込まれた。その点についても、大臣とある部分認識が共有できるのではないかと思うのですが、二月十二日の本会議で、我が党の日森議員の質問に対する大臣の答弁を聞いて、本当にそういう認識に立っているのかなという疑問を持たざるを得なかった。

 大臣は答弁の中で、三位一体改革当時は税収も伸びており、大変になったのは、急激な財政の悪化等があると地方交付税の急激な減少が響いて地方は厳しい状況になっている、こういうふうに発言されております。昨年の秋以降の世界的な金融危機と国内の景気悪化を原因とした今年度の税収不足と来年度の税収の減少、そのことを指していると思うんですが、私は大臣の答弁を聞いておりまして、ちょっと認識がずれてきたのかなというふうに言わなければなりません。

 三位一体改革が光を失った原因は、繰り返しますけれども、不十分な税源移譲なんです。三位一体改革当時は順調だったという大臣の答弁、これが問題なのでありますが、財政制度審議会が見解を出しておりますけれども、その中で、地方税は増加している、交付税が減額されて財政が悪化しているわけではない、財政体質は改善している、こういうことを言っておるんです。平成二十一年度予算の編成等に関する建議で財政制度等審議会はそのように言っている。私は、これは了とするわけにはいかない。

 これに追随をして大臣が議論を構成するというのであれば、これはやはり変えてもらわぬと困るというのが率直な私の思いですが、その点について大臣の答弁を求めます。

鳩山国務大臣 私は、三位一体改革が始まったときに、二つの疑問を持っておりました。

 それは、先ほどからしつこく申し上げておりますが、私は文部大臣をやって教育に一生懸命打ち込んでいた時期があったものですから、義務教育国庫負担制度というものはとても大事だと。これは、フランスのように義務教育諸学校の先生を国家公務員にするという中央集権型は考えませんけれども、ただ、義務教育の国庫負担制度というのは、本当に、子供の数が減ったりふえたり、あるいは人口が移動したりしても、全部に対応しなくちゃならない事柄ですから、国ができるだけ責任を持つべきだ、こう考えておったわけでございます。

 もう一つの疑問は、それでも補助金を削減するというのは一つの道ではあるな、税源移譲があればすばらしいな、でも、何で一緒に交付税に手をつけるのかなという疑問があった。

 もちろん、それらはいろいろ党内の議論の中で私も納得して賛成はしたわけでございますが、やはり結果としては、地方交付税の見直しによる減額が非常に急であった。補助金が四・七兆円削られて、税源移譲が三兆円。税源移譲が行われるということはすばらしいことだと思った。これは一つの光だと思った。だけれども、その差の一・七兆円というのは何なんだろうと。結局、行政の効率化で地方に行革を押しつけるものなのかな、でも、地方もまだラスパイレス指数が高いところもあるから、これで頑張るといいのかなと思ったのが当時の私の気持ちなんです。

 ですから、重野先生にあえて誤解を解きたい部分が一つだけあるのです。三位一体改革で地方交付税が急激に減った中で、みんな地方財政は厳しくなった。ただ、あの時代は、まだ地方税が比較的伸びがよかった時代だったので、それによってその痛みが少なかったところもあったのではないかという意味で申し上げたわけでございますので、それは誤解なきようお願いをしたい、こういうふうに思っております。

 結局、三位一体の期間中、都市部の法人関係税を中心に地方税は増加したんでしょう、地方歳出の抑制に取り組んだ結果、交付税は急減した。結局、財政力の弱い自治体にしわ寄せが行って、極めて厳しい財政運営を強いられるようになった。これが私の認識でございまして、光と影といえば、まさに影であり、もう一つの大きな改革をやれば、うまくいくところもあれば、うまくないところもあるわけで、うまくないところがここへ出てきているという考え方でございます。

重野委員 今の大臣答弁は、私も了としたい。今確認できてよかったな、このように思っております。

 そこで、具体的に入っていきますけれども、やはり今我々が求めるのは、削減された補助金、交付税に見合うだけの税源移譲が必要だという結論になるんですね。繰り返しますけれども、これがなければ、本当に地方財政というのは、大都市は別といたしまして、特に私どもが住んでおりますような地方の自治体にとっては暗黒の改革だ、こういうふうに言わなければなりません。

 もう一点、大臣は本会議の答弁の中で、地方交付税法第六条の三第二項の規定、つまり、五税の税率を引き上げるべきではないかという我が党日森議員の質問に対して、直ちに引き上げることは現実には困難だとしながらも、そろそろそのような法定の算定率について計算し直すことも議論に乗っていいのではないかと考えている、このように答弁されております。

 そろそろ議論と言いますが、振り返ってみると、地方自治体は、もう何年間、財源不足が続いているんでしょう。もう既に十五年以上にわたって、恒常的に財源不足は続いている。六条の三第二項の中で、「普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて」云々という文言がありますが、この「引き続き」というのは一体どういうことなのかということが一つ。それからまた、「各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合」の、その「著しく」というのがどういう状態を指すのか、答弁いただきたい。

鳩山国務大臣 「著しく」というのは、一〇%、一割以上の乖離、一割以上の不足ということだろうと。「引き続き」というのは、二年間それが続いて、三年目もまずそういう方向で行きそうだというふうに私は聞いております。

 ですから、そういう状況にある限り、法定率の引き上げか地方行財政制度の改正を行うということは必要であり、先ほど久保局長が御答弁申し上げましたように、さまざまな行財政制度の仕組みで埋めてきた、国と地方の折半だとかいろいろ答弁をいたしましたけれども、地方交付税の法定率の引き上げは常に検討をしていかなければならない課題であることは間違いがありません。

 そんなところです。

重野委員 もう十五年以上にわたって一割以上の不足が続いているわけですね。この十五年間のうちに、好況時、不況時はありました。それでもずっと足らないわけです。しかも、一割以上の不足、これは小さなものじゃありません、大幅に足らないということが続いている。

 総務省はさまざまな特例を実施してきたと言われるかもしれませんが、しかし、三、四年続いた、あるいは単年度でたまたま大きな不足があったというのとは違うんですね。十五年です。これは一過性というには余りにも長期にわたる構造的な問題だという認識に立つべきではありませんか。地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正での対応ではなく、私は、先ほどもお願いいたしましたが、法定率を変えるべきだと。

 大臣、そろそろではなくて、直ちに検討を始めるべきだと思いますが、今後の展望、私が展望が開けたと思えるような、そういう答弁をしていただきたい。

鳩山国務大臣 国との話し合いになるわけでございますから、これは検討をして国に要求を突きつけていかなければならない時期になっておりますが、例えば、法人税の法定率を倍にしたら、この百年に一度の危機で国の法人税が半分になっちゃったので結局変わらなかったなんという、想像したくない事態が絶対に起きないとは言えない。

 つまり、国の経済状況が、あるいは、平成二十年度において法人税が六兆、七兆という割合で減収になっていくという状況があるものですから、やはり一定の経済回復というもののタイミングを見計らいながら、今から戦闘準備は整えておくというところなのかと存じます。

重野委員 今の大臣の答弁を前向きに受けとめておきたいと私は思います。

 やはり光と影の部分があるんですよ。言うならば、財政力豊かな大都市、富裕県と、九州は福岡を除けば概して弱い県、もう明らかにそこの差がこんなに開いているんですね。その部分をどうするかという視点もこれあり、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、雇用対策について伺います。

 昨秋以降の景気の急激な悪化と大企業の派遣切り、請負切りに対して、各自治体は緊急の雇用対策を打ってまいりました。その中で、臨時職員の募集を行っている自治体はたくさんあるわけです。ところが、調べてみますと、この臨時職員の募集定員をはるかに下回る応募しかなかったというケースが多数でありまして、なぜだというふうな思いを持つわけです。

 そこで、総務省は、この昨秋以降の景気の急激な悪化と大企業の派遣切り、請負切りに対して自治体が行った雇用対策、特に臨時職員の募集の状況、どういう募集に取り組んで、その結果どうであったのかというところを調べておるかどうか、そしてなぜそういうギャップ、ミスマッチが起きたのか、そこら辺について検討しているのかどうか、回答願いたい。

松永政府参考人 お答えいたします。

 雇用情勢の悪化に伴いまして、現在、多くの地方公共団体におきまして、緊急的な措置ということで、臨時、非常勤職員の募集を行っているということは承知いたしております。

 ただ、募集、その応募者、あるいは採用、こういうものの数というようなものについてお尋ねでございましたが、これはそれぞれの地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じまして、任期とか対象者の設定など、非常に多様な形で対応しているところでございまして、総務省としてこの全体を残念ながら把握していないという状況ではございます。

 なお、現在、特別交付税の三月分の交付に向けまして、算定に用います数値といたしまして、直接の雇用も含めました雇用対策、地方公共団体が行われたものでございますが、これに要しました一般財源の所要額、こういうものを調査、集計しているというところでございます。

 それから、募集に対しまして、報道等によりますと、実際の応募が少ないというような状況が見られるという御指摘等があるところでございますが、この原因につきましても、いろいろな理由があろうかと思いますが、一つは任期が限られているということや、いわゆる職種のミスマッチと申しましょうか、こういうものが一つの理由として挙げられるのではないか、このように思っているところでございます。

 以上でございます。

重野委員 麻生内閣は、新年度予算編成の中でこの雇用不安に対処する雇用対策というのが相当にウエートの高い位置づけがされている。それが、この間の自治体末端における結果を見ると、これは幾ら予算を積んでも、それが本当に生きるものにしていかなきゃならぬという点から見ると、その結果について掌握していないということは甚だ遺憾である。

 私は、政策を打つときには、現状はどうなっているのか、それは那辺に問題があるのかという究明がなされないと、打つ施策は有効なものにならぬと思うんですね。それを把握できる能力は私は総務省にあると思うんです。すべての自治体末端まで神経が行き届いているわけですから、それを最大限利用して、どうしたらいいのか、どういう手を打てば有効なのか。それは、額も、トータルしますと小さな額じゃありませんからね。結果的に、予算はつけたけれどもそれが有効に生かされなかったというような総括をされるようなことではいけない。だから、この点についてはしっかり調査をし、状況把握をしなければならぬ。

 その点について、大臣、ひとつ約束してください。

鳩山国務大臣 現下の雇用の問題は、例えば、今、関連財源法案の成立を待っております二次補正における地域活性化・生活対策臨時交付金でも、これは雇用が生まれるような使い方をお願いしたいと申し上げております。また、四千億のお金が積まれているのは、いつも厚生労働省が言っている話でございます。また、本予算における一兆円の交付税の積み増しのうちの半分の五千億を、雇用推進特別枠として都道府県に二千五百億、市町村に二千五百億配って雇用に結びつけてもらいたい、これは二年間続きますので。そういった意味で、お金は出しているわけです。

 それが実際の雇用に結びつかない、ミスマッチがあった、結びつかなかったというのでは、全く意味がないので、そこの辺がきちんといくように総務省としては各自治体と全力で連絡をとり合っていく必要があると思います。

重野委員 そこで、自治体におけるそういう臨時職員の問題について掘り下げていきたいと思うんです。

 さっき、なかなかかみ合っていないということを申し上げましたが、自治体が今回の問題で臨時職員を雇用するというときに、大体二カ月、あるいは長くて三カ月、そういうふうな形で雇用しますというアプローチをかけるわけですね。私は、その雇用が良質な雇用なのかどうなのかという点で見ますと、やはりこれでは問題があると思うんですね。

 離職者ですら敬遠をする自治体における臨時職員ということになるんですが、今実態を調べてみますと、自治体では同様の低賃金のいわゆる臨時職員がどんどんふえているんですね。五十万とも六十万とも言われております、自治体に働く臨時職員の数は。その中身は、半数以上が時給九百円未満なんですね、月給十六万円以下。こういう実態なんです。

 一方で、正規職員は、総務省が見ている以上に、今、自治体では正規職員の減員、人員削減がどんどん進んでいる。これは総務省の予想したテンポよりか、もっと速い。一般行政職だけをとっても二十万人近い人が減らされている。

 そこで、何が正規が減って、非常勤がどんどんふえている現実を導き出しているのか、そこら辺について大臣の認識をお聞かせください。

鳩山国務大臣 私どもで、地方公共団体の臨時、非常勤職員数は大体五十万人ぐらいととらえておりますが、それは、半年以上勤めている、あるいは勤める予定、それから週二十時間以上は勤めるというような形でしか統計がとれていないんですね。したがって、先生のおっしゃった二カ月とかいうのを入れれば、あるいはもうちょっと週の勤務時間が短いのを入れれば、これは六十万、七十万、八十万人いるかもしれないので、そこのところは何とも言えないところでございます。

 一つは、地方がそれぞれ行政改革を進めて、簡素で効率的な体制にしろといって人員削減をしてきた。これは重野先生御承知のように、国は五年で五・七%純減と。どうも地方の場合はこのペースでいくと、五年で六・七%とか八%の純減になるという、地方もお金がないから行政改革をやるという部分もあるんだろうと思いますが、進んできている。それで、やはり行革をどんどん進めていくので、臨時、非常勤職員に置きかわっているという面があるのかなというふうに思わざるを得ません。

 したがって、今後、彼らの待遇、処遇の問題は、これは新ワーキングプアをつくり出すわけにはまいりませんので、給与や手当は支払えない、報酬と費用弁償しかできないということではありましょうが、人事院からも何か意見が出ておるようでございますし、この問題は決して軽視してはならないと考えております。

 ただ、これは本当は言ってはいけないことかもしれませんが、世の中、非常にアルバイト希望というのかそういう空気が若者の中に強くあるということも事実でございますが、それは世の中全体ではそういうことは大きく影響していると思いますが、地方自治体における臨時、非常勤職員がふえてきていることは、そのこととは直接関係がないと思います。

重野委員 自治体の財政事情ということが必ずその場合出てくるので、それは私も全く否定するわけではありません。

 この臨時職員というのは、その賃金の出どころは物件費なんですね、給与じゃないんです。物件費の中から臨時職員の給与が出ている。そうでありますから、結局安く雇用をしなければならぬという必然があるわけですね。

 私は、効率化、効率化ということを言われますけれども、真の効率化というのは人件費の総額を下げることなんですかという問いをしなければならぬと思うんです。実際に、人は減っても、その自治体に課せられた業務の幅も深みも変わらないんですね。ますます行政ニーズというのは高まっている。ところが、そういう形でそれを担う職員は間違いなく減らされる。しかも、総務省が見るペース以上のペースで人が減らされている。こういうことになるわけですね。

 私は、最も大事なことは、これはやはりぴしゃっと人件費の中にカウントすべきであると。上から下まで物件費なんかで賃金を出すというふうな認識が、私は結果として現実を隠ぺいする形になっているんじゃないかと。地域の最賃に近い時給による低賃金。

 私は、大臣に聞きたいのは、非常勤というのは、本来正規の職員がやる仕事も含めて、この非常勤の方々が実際やらされているという実態をまず認めるところからスタートしないと、この問題についての解決策というのは出てこない。今や、非常勤、臨職というものを抜きにして自治体の業務が前に進むということは語れないというほどに、役所の中に占めるそういう方々のウエートというのは高まっているということですね。そこからスタートしないと、この問題の根本的な解決というのは出てこないと私は思うんですが、その認識について。

松永政府参考人 お答えいたします。

 今、臨時、非常勤職員につきまして、賃金が物件費として扱われているという御質問等ございましたが、臨時、非常勤職員の労働の対価につきましては、決算統計上、報酬として人件費に位置づけられるものと、賃金として物件費に位置づけられるものがございますが、これは任用や勤務の形態に応じましたあくまで統計上の分類でございます。

 いずれにいたしましても、臨時、非常勤職員は、臨時的、補助的な業務に従事されるということではございますが、いずれもいわゆる正規職員と並びまして、それぞれの職責に基づきまして行政サービスを担っていただいている職員の方々であるというふうに考えておるところでございます。

重野委員 今の非常勤あるいは臨時職員に対する認識というのは、私は了とするわけにはいかない。

 今や、自治体、あるいは国もそうでありますけれども、その仕事を進めていく上で、こういう方々がもしなかりせばというように、どんどんどんどん正規職員は定数削減で減らされていく、五%、六%減らせと。そして、それをカバーするマンパワーがもし仮にないとすれば、役所の仕事は毎日できませんよ。やはりそういう認識をしっかり持たなきゃいかぬと思うんですね。

 私が遺憾に思うのは、こういう臨時、非常勤の皆さん方については、給与も安いんですが、通勤費、あるいは一時金、退職金がもちろん出されておりません。人事院が、昨年の八月に、「一般職の職員の給与に関する法律第二十二条第二項の非常勤職員に対する給与について」という通知を発出しております。その中で、基本となる給与は類似する職務の常勤職員の級の初号俸を基礎とすると具体的に書いているんですね。それから、通勤手当に相当する給与を支給する、相当長期、これは六カ月以上と書いていますが、相当長期にわたって勤務する者に対しては、期末手当に相当する給与を支給するよう努めると。人事院が各省にこういう文書を出しております。

 私は、自治体においてもこの問題については同様の扱いをしなければならぬと思うんですが、まず、総務大臣、人事院が、いわゆる勧告じゃありませんが、そういうことを各行政庁に求めた、各自治体でもそのように行うべきであるという私の主張、それに対する認識と見解を出してください。

鳩山国務大臣 人事院とは話が合わないことも随分あるのでございますけれども、この件はそうやって突っぱねるわけにはまいりません。

 人事院から、非常勤職員に対する給与、通勤手当等、いろいろなことが通知がなされているわけですから、この精神は当然地方公務員の世界でも生かされるべきだと思いまして、少なくとも、通勤手当という名前でないならば、通勤の費用弁償というのは出すべきだというふうに考えております。本当に、非常勤の方々の待遇というものについては真剣に考えなければいけないと思っております。

 ちょっとだけ、一、二分お時間をいただいて。

 実は、私、チョウの研究をしておるんですが、チョウの研究の手伝いで、明治大学を出た男が私のところに二年ほどおりました。ところが、彼は一念発起して勉強して、九州大学で修士、博士と進みまして、九州大学で博士号を取ったわけでございます。これがオーバードクター問題の始まりで、ドクターになると四十万、五十万の給料を払わなくちゃいけないというので、どこも雇ってくれません。

 彼は、その後、東大へ出てまいりまして、東大で非常勤職員をやっておるわけです。もう博士になって七、八年はたつんでしょうか。博士ですが、おまえ、東大で非常勤職員をやっていれば、東大の生協で食事しているのかと言ったら、とんでもない、生協のような高い食事は絶対食べられません、月給十三万ぐらいだからと。こんな報酬なんですね。家賃等もありますから、彼は、東大の生協で食べたらあっという間になくなっちゃうから、肉のハナマサというところへ行って安い肉を大量に買ってきて、食事は三度三度家に帰ってそれを焼いて食べているんです。かわいそうなので、私が月に一遍ぐらい栄養補給をしてやっておるわけです。

 もちろん、東大は国でも地方でもありません、今や国立大学法人です。しかし、正規職員でない非常勤だからといって、物すごい低報酬のもとに置くということは、改めなくちゃいかぬなとつくづく思います。

重野委員 いい話を聞かせていただきました。

 関連して、定員管理について聞きます。

 今回もまた二万五千人減らすとなっておるんですね。派遣などの非正規雇用の増大によって、企業は容易に人員削減ができるようになりました。昨年末から年始めにかけて、全国で展開されたあの姿ですね。これがもし正規の社員であれば、企業も簡単に首を切るなんということはできなかったと思うんですね。また、ここまでの雇用危機というものは発生しなかったのではないかと考えるんです。

 働く人たちは、職場を一歩出れば、今度は消費者なんですね。安定した雇用があれば、景気後退による消費縮小にも一定の歯どめがかかると思うんです。企業が好き勝手に非正規の雇用を奪い続ければ、今五十万とか六十万とか言っていますが、三月の年度末、一体どれぐらいになるのかと本当に心配です。

 今やこの国の経済、景気も底が抜ける寸前まで来ている、こういうふうに言う方もおりますけれども、私は、そういう意味では、本当に今の状況というのは危機的状況にあるんだと。何とか雇用を維持させる、あるいは雇用を創出する、そのためには不安定な雇用を生み出した派遣法の規制強化が必要だという意見が世論の多数派ではないのかな、私はこのように思うんです。

 公的部門での雇用の吸収も当然必要になってくる。積極的に雇用を拡大する、正規雇用での吸収が求められている。それで、二万五千人の雇用を減らすということをやろうとしているんですが、これをやったら、今のままでほっておけば三万三千人弱の臨時、非常勤職員がふえることになる。これは私の試算であります。

 今回、雇用創出を政府は前面に出しているわけですが、片方で良質の雇用をなくして、片方でワーキングプアをつくり出す、アクセルを踏みながらブレーキを踏むというようなちぐはぐな対応はやめるべきだ、私はこのように思うんですが、その点について大臣の見解をお聞かせください。

鳩山国務大臣 平成二十一年度の地財計画で、結局、二万五千人の定員削減という、純減という計画になっておりまして、これは、国が五年で五・七%、地方も五年で五・七%と同じ目標でやってきて、国を上回るスピードで純減してきているわけでございますから、効率化、無駄を減らす行財政計画という意味ではこの二万五千人の純減という計画は実現しなければならないというふうに思っておりますが、そのことが常勤職員を減らして非常勤に切りかえるということであっては困るわけでございまして、実態をよく把握して、そういう形にならないように、正規職員が中心となる行政体制を基本的につくっていく、やむを得ないときにのみ臨時、非常勤職員を任用するという形がきちんとできるように指導はしなければいけないと思っております。

重野委員 まだあと三項目ほどあったんですが、時間が来ましたのでやめますけれども、私は、人を雇う、雇用するということが経営的見地から見れば、その分人件費が高くなるんだというような狭義の見方ではなくて、この国の経済を支えているのは労働者なんだ、その労働者が良質な労働につくということが回り回って経済の底上げに非常に大きいんだという認識も絶対忘れぬでやっていただきたい、そのことを要望して、終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


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