衆議院

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第22号 平成21年6月18日(木曜日)

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平成二十一年六月十八日(木曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君

   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君

   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君

      今井  宏君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    小野 次郎君

      坂本 哲志君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      土井  亨君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平口  洋君    福井  照君

      古屋 圭司君    松本 文明君

      渡部  篤君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    小平 忠正君

      田嶋  要君    寺田  学君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    保坂 展人君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         佐藤  勉君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           河内 正孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊岐 典子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          横山 邦男君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          妹尾 良昭君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役)            清水 弘之君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     小野 次郎君

  重野 安正君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     田中 良生君

  保坂 展人君     重野 安正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長西川善文君、取締役兼代表執行役副社長高木祥吉君、専務執行役横山邦男君、専務執行役米澤友宏君、専務執行役佐々木英治君、常務執行役伊東敏朗君、常務執行役妹尾良昭君及び執行役清水弘之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室長振角秀行君、総務省大臣官房総括審議官河内正孝君、自治行政局公務員部長松永邦男君、自治財政局長久保信保君、情報流通行政局長山川鉄郎君及び情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)委員 おはようございます。一番バッターとして、二十分という短い持ち時間ですが、質問させていただきます。

 佐藤新大臣におかれましては、御就任おめでとうございます。また、まことに御苦労さまでございます。とはいえ、私たちの任期はあと二カ月余でございますので、大臣におかれましては、どうぞ健康に御留意されて、残された任期、頑張っていただきますように心からお祈りを申し上げたいと存じます。

 同時にまた、選挙後にできる第二次麻生内閣のときは引き続き大臣をお務めになられるかもわかりませんので、そういう意味も含めて御質問させていただきたいと存じます。

 まず一点目は、郵政民営化についてであります。

 郵政民営化をめぐっていろいろな論調があるわけでございますが、私、率直に言って、この半年間ぐらいは、かんぽの宿問題とか中央郵便局の建てかえ問題とか、どちらかというと郵政民営化に否定的な光を当てるような論議が続いた、このように考えております。そして同時に、こういった論調の中からさまざまなことが出てきたわけであります。また、一番最初にかんぽの宿の問題が話題となり、前総務大臣がお話をしたときに、まことにもっともだと思いましたし、私もそのとおりだと思いました。しかし、それがたび重なるにつれて、何か別なところで意図があるのかなと思っていたわけであります。

 そこで、私は、改めて原点に戻って、総務大臣というのは郵政民営化を推進する立場でありますから、こういうお立場に戻ってしっかりとやるべきことをやってほしい、このように思っております。

 郵政民営化は、前島密の明治以来の大改革であります。そして、いろいろな論議があったにせよ、もう既にページは一ページめくられたわけであります。郵政民営化法が平成十七年十月に可決、成立をして、平成十八年四月から実施になっているわけであります。現在はまだ移行期でありますけれども、また同時に、三年たったら見直すという規定があるわけですから、それぞれ見直すという規定にのっとって見直すことについては、いささかもひるむことなく見直していただきたいわけであります。

 しかし、基本は、あれだけの大論争をやって、国民に信を問うて、その上で郵政民営化の方向に行こうということを国民的意思として決定したわけでありますから、だからこそ我々はみんなここにいられるわけですから、そういうことからいったら、真摯にこのことを受けとめて、大臣としてさまざまな課題に対して前向きに取り組んでいっていただきたい、このように考えます。

 例えば、予定されているユニバーサルサービスはこれからも維持できるのかどうか。郵便事業会社、郵便局会社の経営は、どちらかというと薄利ということになっておりますから、こういうことがこれからも継続できるのかどうか。あるいは、ゆうちょやかんぽ生命などは、これからも民間に伍してきちっとしたことがやっていけるのかどうか。こういうことについて大きな課題があって、現在移行期でありますから、そういう骨太の課題について前へ進めるということが大事ではなかろうかと存じます。

 ためにする批判ではなくて、まあ、そういうこともあるんですけれども、そういうことに余り耳を傾けずに、本筋においてこれからしっかりとした民営化をやっていただきたい。そのことが、多くの郵便局員も、複雑な心境ながら新しい時代が来たと思っているわけでありますから、こういうことにこたえて頑張っていってほしいと思いますが、そのお気持ちをお聞かせいただきたいと存じます。

佐藤国務大臣 おはようございます。

 今先生がおっしゃられましたように、私も郵政民営化に賛成した議員の一人として、しっかりとそれはやらなければいけないと思っております。

 民営各社におきまして、新規のサービスの展開を初めといたしまして、民営化のメリットを発揮すべく努力しているというふうに私は思います。

 しかしながら、地域の住民の方々から、やはり簡易郵便局の一時閉鎖とか、例えば郵便配達の社員に貯金や保険料を預けられない、また逆もあるわけでありまして、貯金とか保険を預かりに行ったときにこの郵便を出してくださいと言われて、それはちょっと私の職務上できないなんということ等々が本当にいいのか。金融二社の株式完全処分後の郵便局ネットワークの水準、そして郵便局を通じた金融サービスの提供は維持されるのか。また、先生がおっしゃられたこと等々、さまざまな御指摘があることは承知しております。

 まさしく住民の方々の本当にこれでいいのかなという思いがなかなか議論されていないのが現状だとすれば、ここはしっかりと議論をさせていただいて、民営化を前提として、改善すべきところはしっかりと改善をして、民営化の推進に努めたいというふうに思っております。

土屋(正)委員 今お話が出ました、例えば郵便局会社の職員に従来は預けていた年金の支払いなどが預けられないといったような問題は、確かに一つの問題であります。

 とりわけ過疎地などにおいては、私は中国地方の集落が五戸という限界集落に行ってまいりましたが、そういうところにおける郵便のデリバリーサービスというか、こういうものは非常に住民の心に響くものだろうと思います。

 それはいろいろな工夫の仕方があるわけでありまして、私も現場の皆さんにはいろいろな提案をいたしておりますが、また大臣のところにも具体の提案をさせていただきたいと思いますが、そういった郵便文化を維持しながら実際に民営化にどのように進むかということについて、力強くお願いをいたしたいと存じます。

 なお、マスコミの皆さんはその都度いろいろなことを言うんですけれども、例えば、六月の五日、政治がなすべきことはトップの首のすげかえではない、朝日の社説であります。六月の四日の東京、六月の六日の毎日も同様であります。六月の五日の日経は、首相は西川氏続行でまとめるべきだと。こういうのがマスコミの社説であります。ところが、こういう事態になってくると手のひらを返したような話になるわけでございます。

 いろいろなマスコミの報道があってもこれはやむを得ないことでありますが、本筋は何か、骨太の方針としてこれから解決しなければならないことは何かということを前向きにお取り組みくださいますように、心からお願いを申し上げたいと存じます。

 二点目に、地方自治をめぐる基本的な方向について質問させていただきます。

 最近、地域主権とか地方主権とかという言葉がはやりました。私も地方自治の現場にいて四十数年になるわけでありますが、そのうち、地方主権とか地域主権とかということがはやり出したのは十数年前であります。私の記憶ですと、平成二年、今から十九年前に行革国民会議が作成した「地方主権の提唱」というパンフレットがそのスタートだった、このように考えております。地方分権イコール善、イコール、政治的なジェスチャーも含めて、地方主権という言葉はいいというようなことになり、大分使うようになってまいりました。

 ついに石原東京都知事も平成十四年に施政方針の中で使ったわけであります。私は驚きまして、果たしてその真意は何かということを地元の都議会議員に質問していただきました。その結果、石原知事はそれ以来使わなくなったのでありますけれども。

 この問題点というのは、少なくとも我々が主権と考えているのは立法、司法、行政の三権であります。国民主権と言う場合には、国民にこの立法、行政、司法の三権がある。これはよく言われるように、君主主権とか王権とか、あるいは独裁国、党の独裁、宗教的独裁、こういうところに対する、国民のいわゆる国政に参加する基本が立法、司法、行政だ、このように考えられるわけであります。

 どのような行政学の本でも、主権の中身というのは立法、行政、司法と決まっているわけでありますが、地域主権とか地方主権とかという言葉を使うと、それでは、例えば北海道なら北海道、何々県なら何々県に立法や司法や、行政は今あるわけでありますけれども、こういうことも全部ゆだねるのかということになるわけであります。ですから、厳密な意味で使っていくと、結局、連邦国家しかないということになるわけであります。

 しかし、大きな流れとして、地方制度調査会においても、第二十八次地方制度調査会においては非連邦型道州制ということを言っているわけでありまして、第二十九次の地制調の中にも、少なくとも連邦制を志向するというような議論はないわけであります。

 でありますから、我々は、こういう言葉が安易に使われて、国民に誤解を与え、あたかも国民におもねて、地方分権をした方がいいではないかと思う国民の気持ちにおもねるということにならないように気をつけるべきだ、そうしないと、これからの地方自治論をお互いに論ずるときに非常に大きな誤りをもたらすことになるだろうと私は思います。

 したがって、地方主権とか地域主権とかと言われていることについての大臣の御見解をお願いいたしたいと存じます。

佐藤国務大臣 スペシャリストであります先生にお答えするのは大変おこがましいのでございますけれども、麻生総理も答弁しておられますが、道州制につきましては、地方自治体の権限と責任で地域の経営を行えるよう地方分権改革を進めていく、そして、最終的には地域主権型道州制を目指すというふうにお答えをいただいております。

 地域主権型の道州制の具体的内容については、現在、道州制ビジョン懇談会において議論をしております。

 私といたしましては、御指摘の連邦国家という姿は、我が国の歴史そして社会のあり方から見ると、我が国に適するのかどうか大変疑問があるというふうに思っております。

 私といたしましては、地方自治体がみずからの権限と責任で地域経営を行えるよう、地方分権の推進に全力を尽くしてまいりたいと思いますし、地方分権の成果の上に立って、その後に道州制を目指してまいりたいというふうに思っております。

土屋(正)委員 今大臣の答弁にありましたように、実はことしの施政方針の中でも総理が地域主権という言葉を使われて、私は非常にけげんに思って心配したわけであります。だれが振りつけているのかよくわからないけれども、総理がそうおっしゃるということについて、私は、総理は経済や外交には大変強い方だと思いますが、地方自治はそこそこの方ではなかろうかと思っております。でありますから、そこそこの中で、もうちょっと議論を詰めていただいて、総理の言葉というのは重いわけですから……(発言する者あり)それぞれ得意不得意がありますからね。ということで、ぜひひとつ議論を深めていただきたいと存じます。私はそこそこと言っているのであってね。

 さて、最後の質問でございますが、今までの分権論の中で見過ごされてきたものがある、このように考えております。

 地方分権一括法の施行のときもそうでありましたが、国はどういう役割、どういう行政分野を果たすか、あるいは都道府県はどういう分野を果たすか、市町村はどういう行政分野を果たすかという、行政分野ごとに切り離して、これは国、これは都道府県、これは市町村と、こういうふうな議論が重ねられてきたわけであります。

 ただ、これからもそういうふうなやり方だけでいいのか、あるいは日本の行き方としてこれでいいのかという議論があります。今のようなやり方を分離的自治論というわけであります、分離的分権論、こういうことになるわけですが、私は、実際は、一つの行政目的に向かって、同じ行政目的で国や都や市町村がそれぞれ役割を果たしてきた、果たしてきているというのが今までの自治の姿ではなかろうかと思います。

 例えば、道路をとってみても、全国をネットする国道、域内の基幹道路の都道府県道、それからコミュニティーを中心とする市町村道、こういうふうに分かれますし、教育においても、憲法第二十六条に基づいて、国が教育基本法や学習指導要領などを定めて、都道府県が教員、そして具体の教育施設の実施は市町村ということになっております。介護保険にしても、二〇〇〇年の四月からスタートしたわけでありますが、これなどもそういう仕組みになっているわけであります。国民健康保険もそうでありますし、長寿医療もそういうふうになっているわけであります。

 さらに、治安などについても、昔は都道府県警察ということになっておりました。治安は都道府県警察がやる。したがって、警察庁は、行政官庁であっても司法警察権は持っていない。失礼しました。国家公安委員長に向かって大変失礼いたしましたが、そういう仕組みになっていたわけであります。

 しかし、国際的なテロ事件や麻薬、マネーロンダリングみたいなことがあって、こういう特殊な事件については警察庁が司法警察職員として働くということになったわけであります。つまり、都道府県の上に国家警察が出てきたわけであります。さらに、この十年ぐらいにわたって、地域内のピッキングの被害だとか振り込め詐欺の被害だとかがあって、警察だけではやり切れないので、都道府県警察よりもっと小さな自治区である市町村が、例えば生活安全条例といったようなものをつくったり、あるいは違法駐車防止条例といったようなものをつくったりしながら、市町村も責任を持つよということになってきているわけであります。

 つまり、治安は専ら都道府県がやるものと思っていたのが、国家警察と市町村の治安対策みたいなものができてきたわけであります。ですから、首都圏においては、どこの市でも防災プラス安全という言葉を入れて、治安対策などにも目配りをしてくるようになったわけであります。

 このように、一つの治安なら治安という行政分野の際にも、当然のことながら、国家警察あるいは市町村的な治安、こういうものが重なってきているわけでありますから、こういうのを融合的自治というわけであります。

 外交などの場合も、専ら国の専管事項とされていたのが、最近ではNGOとか、あるいは、外務省の総務課の中に地方連携室というのが数年前にできたわけでありますが、市町村や都道府県と連携して、総合的な外交を進めよう、日本国民の総合力をもって外交を進めよう、こういうふうになってきているわけであります。

 ですから、一定の行政目的に向かってさまざまな形で国や都道府県や市町村が役割をしていくという方向、こういう融合的自治論について議論していく必要があるのではなかろうかと存じます。

 分離型の自治の失敗の典型的なものがあります。国民年金であります。

 国民年金は、地方分権一括法に基づいて、保険料徴収事務を市町村から社会保険庁に移管いたしました。このとき、平成十二年ごろからそういう話があったんですが、平成十三年に七〇・九%だった納付率は、平成十四年では何と六二・八%。八ポイントも一挙に落ちたわけであります。それは、市町村が、市町村長のもとでやっていた納付事務をやらなくなったからであります。

 このように、分離的自治でいくのか、あるいは融合的な自治でいくのか、きょうここですぐ結論の出る話じゃありませんが、また永田町に戻ってこられたらこういう話も本質的な話として引き続きさせていただきたいと思いますし、何か御見解があれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 地方自治法では、国は、本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方自治体にゆだねることを基本として、適切な役割分担をすることとされております。したがいまして、地方自治体が、権限と責任にふさわしい財源を持って、地域の経営者として住民に身近な行政を主体的に行うようにすることが基本であると思います。

 いずれにいたしましても、国と地方の間において、適切な役割分担を基本としながら必要な協力を行い、国民の福祉の増進を図っていくことが肝要だと思いますし、先生がおっしゃられること等々を踏まえて、これからいろいろ議論をさせていただきたいというふうに思っております。

土屋(正)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 大臣、御就任大変おめでとうございます。

 これまでもずっと地デジのことについて取り組みを進めてまいりました関係で、きょうはまず、これまでの取り組みも含めて、大臣にきちっと認識していただきたいこともありまして、引き続き地デジのことで御質問申し上げます。

 これはもう改めて申し上げるまでもありませんけれども、二年後の二〇一一年七月二十四日、これが地デジの完全移行の日でございます。残すところあと二年となりまして、現場ではよりきめ細かい対応、さまざまな問題も惹起をしてきております。

 完全移行が近づくに従っていよいよきめ細かい対応が求められてくる、こういうふうに思いますけれども、まずは佐藤新大臣の完全移行に向けての御決意をお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 昨年、私は総務省で副大臣をさせていただいて、この担当をさせていただきました。各地域、沖縄を除いた各総通局を全部回らせていただきました。その際に、いろいろな状況をお伺いしながら、一一年の七月二十四日に向けてのデジタル化というのは推進しなければいけないと。

 思いを申し上げれば時間が足らないぐらいでございますので、この辺にしますけれども、一生懸命取り組ませていただいて、間違いなく、二〇一一年の七月二十四日というのは必ず成功させなければいけないというふうに思いますし、一軒でも漏れがあってはいけないという気持ちで頑張ってまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。非常に心強い答弁をいただきました。

 時間の関係で、きょうは、これまでも予算を獲得してきた受信機の購入の支援ですとか、あるいは高齢者、障害者の皆様へのサポートの整備とか、この辺の予算をどう現場で執行していくか、非常に重要な問題ですので、対応についてお伺いをしようと思っておりますが、少し順番を入れかえさせていただいて、その中でも特に力を入れてきた受信障害対策の共聴施設のデジタル化の対応のことで、いま一度、これは政府参考人の方で結構ですけれども、質問をしたいと思います。

 二十一年度予算、補正も含めて、これに対する対策予算がつきました。大臣、これは改めて申し上げるまでもありませんけれども、今までの受信障害対策施設は、テレビの電波が出ていて、そこに後から建物が建ったものですから、建物が原因者となってできる陰に対して受信障害対策施設をつくってきました。今回は電波がアナログからデジタルに変わることで、基本的にはデジタルの電波は回り込みがいいので受信障害のエリアは小さくなるんですけれども、やはり若干残るところが出てくる。そこは今までの対策施設のままだとデジタル放送が受信できないので、これをどうするんだ。こういう問題でずっとやりとりをしながら、予算もかなり大きく拡充してまいりました。

 お金がついたんですけれども、この助成の対象となる条件として、受信障害対策施設は有線テレビジョン放送法あるいは有線電気通信法の規定による届け出がなされていないといけない、こういう条件がついています。この条件なんですけれども、今年度の予算の算出の基礎として、受信障害対策施設、全部で約五万施設ということがあるんですね、基礎数として。五万施設あるんですが、今言った法律に基づく届け出がされていない施設は相当あるんじゃないか。これは以前から質疑の中でもやりとりをさせていただいてきました。

 その点について今調査を進めていただいているんですけれども、これは先月なんですが、やはり東海総通の方で中間報告を聞いたところ、千三百三十三物件の調査に対して九割近い千百二十四物件で登録がされていない、こういう結果が少し見えてきた。これはもう大臣も御承知だと思います。

 そうすると、そもそも現時点の受信障害対策共聴施設の総数が五万ということでは済まないんじゃないか、こういうふうに今心配をし始めているところですけれども、総務省の御見解をお伺いいたします。

山川政府参考人 先生の御指摘の点でございますけれども、私どもの方で有線電気通信法により届け出が行われている受信障害対策共聴施設としてつかんでおりますのは約五万施設でございます。

 御指摘の、届け出等の行われていない施設数の全体像につきましては、現在のところ把握できているわけではございません。

 しかしながら、現在、デジサポや総合通信局等を中心とした働きかけを行う中で、不動産の業界団体等を通じましてその把握を行うべく取り組んでおるところでございます。今般の東海総合通信局の調査結果もこのような施設の一部と認識をしております。

 いずれにせよ、こうした施設も含めまして、二〇一一年七月二十四日までにはデジタル放送を受信できる環境を整えていくことが重要であると認識しております。デジサポを中心にきめの細かい説明対応を図ることで、円滑にデジタル化を推進していけるよう取り組んでまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 現場でデジサポの方の、法律上の届け出がなされた受信障害対策施設の訪問が始まっています。現状とかを把握していっているんですけれども、これも、どこまでも法律で届け出られているということで訪問がかかっているので、その外にあるところをぜひ把握していただかないとまずいな、こういうふうに大変心配をしております。

 国からの助成がスタートをしているわけですが、繰り返しになりますけれども、その条件が有テレまた有線電気通信法上の届け出ということになっておるわけですけれども、今申し上げたとおり、現状は、例えば千三百三十三物件の調査に対して九割近い物件が登録をされていないという現実が見えてきております。ここはもちろんこれまでもしっかり対応しておくべきだった、こういうことを指摘せざるを得ないわけですけれども、今から、どういう受信障害対策施設で登録されていないものがあるのか、これはぜひ調査をスタートしていただきたいというふうに思います。

 また、アナログの電波障害対策をケーブルテレビで補償する原因者は、当然のことながら、今の届け出は不要なのでしていません、受信障害対策施設はありませんから。同様に、現行のアナログ放送が見えている場合、当然、受信障害対策施設そのものがないですから、補償もないですし、届け出自体もないです。

 このケースで、後ほどまた少し細かく言いますけれども、地デジの移行によって新しい電波障害というのがやはり一部出るんです。新しい電波障害が出ると、そもそも届け出がないですから、今出ている予算に対して届け出がされていることが条件になっているので、そもそも届け出がされていないものに予算が投入できないという問題もあるんです。これが現場で起こってきている問題ですので、大臣、ぜひ御認識をいただいて、対策に乗り出していただきたいな、こういうふうに思います。

 今御説明したように、今年度の当初と補正の地デジ移行への調査、改修等の予算が十分に活用されていくかどうかは、この法律上の届け出も非常にポイントになってまいります。よって、この届け出を、法の趣旨にもちろん即しながら、かつ地デジ移行の円滑化の観点も踏まえて、予算が十分活用されるように適切な運用がなされなければならない。

 平たく言うと、届け出というのは結構ややこしいらしくて、そんなことをしていたら、今年度の予算の締め切りというのはたしか十二月二十、何かあるんですよ、年内に届け出をやらないと予算が執行できないという。そんなことを言っていると、せっかくついた予算も使えないんじゃないかという心配をざっくばらんに言うとしていまして、この辺も必要であれば適切に見直していかなければならない、こういうふうに考えておりますけれども、総務省の御見解をお伺いいたします。

山川政府参考人 御指摘の手続でございますけれども、有線電気通信法の規定によりまして、届け出をする際には添付資料が必要かというふうに思っております。こうした添付資料につきまして、恐らく現場の方でこれをそろえるのがかなり困難な事情が生じているという御指摘かと思います。

 こうした添付資料につきましては、それぞれの法目的に照らしまして必要最小限度のものとしているということをまず御理解いただきたいと思います。

 具体的には、有線電気通信法の場合は、有線電気通信の方式の別、設備の設置の場所、設備の概要等を記載した事項書を添付することになっておりまして、こうした事項を添付していただくことで、他人の設置する有線電気通信設備に妨害を与えないものであること、あるいは、人体に危害を及ぼし、または物件に損傷を与えないものであることといった技術基準への適合性を判断するために必要なものとしていただいておるわけでございます。

 また、有線テレビジョン放送法の規定により添付が必要な書類につきましては、受信者利益の保護あるいは有線テレビジョン放送の健全な発達といった法目的に照らして必要最小限度のものとしております。

 具体的には、道路占用許可や電柱共架の承諾書等の写しをいただいておりますが、これは、同法の第十二条の二におきまして、道路占用許可を受けないで設置された設備等を使用して有線テレビジョン放送を行ってはならないとしているため、実態を把握する必要があるものでございます。あるいは、再送信同意の写しをいただいておりますが、これにつきましても、同法第十三条の二項におきまして、放送事業者の同意がなければ再送信してはならないとしているため、実態を把握する観点から必要なものでございます。同じく、業務区域を記載した地図につきましては、同法第十六条におきまして、業務区域における役務提供義務を課している関係から添付書類とさせていただいておるところでございます。

 いずれの書類につきましても、届け出によりまして業務運営の実態を行政庁が把握し、必要に応じて一定の規律を適用するために必要なものでございまして、有線電気通信法あるいは有線テレビジョン放送法の規定によって届け出の際に提出を求めている書類でございます。これは、法律の施行に必要最小限度なものでございまして、その必要性につきましては御理解いただきたいと思います。

 しかしながら、例えば総合通信局等も、こうした届け出をどのように行うかということにつきましては相談に乗っていきたいと思っておりますので、御相談いただければというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 私も質問で申し上げたとおり、当然、法の趣旨、その必要性は十分承知した上で、ただ、現実問題、千三百三十三件中九割が登録されていない。これは登録しながら予算を執行していかなきゃいけない、しかもあと二年しかないという現実をよく踏まえた上で、繰り返しになりますが、法の趣旨にのっとった上で、できるだけの改善をしないと、本来の目的である国策としての地デジの完全移行ということに非常に大きなブレーキになってきかねないということだけは、きょう御指摘をしておきたいと思います。

 引き続き、受信障害対策の共聴施設の話ですが、私、地元は愛知なんですけれども、先ほど新たな受信障害という話をしましたが、大臣、例えば愛知は、御存じのとおり、もう言うまでもなく、テレビ塔という名古屋市内にある送信点から瀬戸市内にある瀬戸タワーというのに変わります。そうすると、太陽が東から西に動くのと同じように、陰の向きが変わるものですから、新たな電波障害というのが発生してきます。これも以前御指摘をさせていただいて、これに対しても助成がスタートをしてきました。

 でも、やはり現場を歩いていますと、これは愛知だけの問題ではなくて、例えば静岡県では、これはぎりぎりまで調べたら場所が見えてきまして、細かい話ですが、多分静岡市内なんだと思うんですが、アナログのときには賤機局という中継局があったらしいんですね。だけれども、デジタルになると電波の回り込みがよくなるということで、この局はなくなるらしいんです。そうすると、幾らデジタルが回り込みがいいといっても、この賤機局がなくなることでやはり新しい電波障害が出てしまうようなエリアがある、こういうこともわかってまいりました。

 こういう意味で、私は以前からこの愛知の問題を中心に新たな電波障害ということを申し上げてきましたけれども、どうも愛知だけじゃないなと。アナログからデジタルに変わることで、電波の届きがいいという理由でなくなっていく中継局というのも全国的にありそうだな、そうすると、全国的に新たな受信障害というのがどうも出てくるんじゃないか、こんなことも心配しております。

 この点も政府にお伺いしますが、新たな受信障害の発生状況というのをどういうふうに把握されていますでしょうか。

山川政府参考人 先生御指摘の、アナログ放送のときには存在した中継局が廃止されまして、デジタル放送が他の中継局から送信されることによりまして新たな受信障害が発生する可能性があるということは私どもも承知しております。

 デジタル化に際しましては、アナログ放送の中継局につきまして約千局が全国で廃止される予定でございます。その多くは、既にケーブルテレビによって視聴している世帯が大半を占める地域の中継局でございまして、そういう意味では新たな受信障害の発生は少ないものと想定をしております。

 しかしながら、例外的には新たな受信障害が発生する可能性がございます。そのため、平成二十一年度の補正予算におきまして、私どもは約百施設分の共聴施設の新設に対する補助経費を手当てしておるところでございます。

 デジサポ等を通じまして全国の状況把握を行うとともに、新たな受信障害の発生に伴い施設の新設が必要になる場合はこうした補助事業の活用を促進していただくことによりまして、円滑にデジタル化促進を図ってまいる所存でございます。

伊藤(渉)委員 次は、これも前から取り上げているんですが、なかなか前向きなお答えをいただけていない案件ですが、これはぜひ大臣にお聞きしたいんです。

 私は、地デジ、これはやはり国策だと。もともとは民民の問題だといって、現場は非常に心配をしていたところを、政府の方にも理解をいただいて、さまざまな予算を拡充してきていただきました。

 もう一つ私が非常に懸念をしているのは、国策というふうに見たときに、今、受信障害対策施設の改修まではインセンティブを与えるようになってきましたけれども、実は、改修した後、今までの受信障害対策施設を取らなきゃいけない。しかも、取るのは結構お金がかかるというのが現場の声なんですね。この撤去費をどうするのか、こういう問題が必ず出てきます。

 このときに、地デジへの移行はどこまで行っても国が主導で進めるというふうに考えたときに、この撤去費に対しても何らかの手を国として打っていかなければ非常に現場が動かなくなる可能性があるな、こういうふうに大変心配をしております。ぜひこの撤去費の問題にも対応をするべきだ。

 これは政府の方に聞くと大体答えは見えているものですから、細かい話ですが、あえて大臣にお伺いをしたいと思います。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃっている趣旨は、私もよく理解をしているつもりでございます。

 管理者、住民の方々にみずから対応していただくということが原則であるということも先生わかった上での御質問だというふうに理解をしておりますが、他方、デジタル化後の既設施設の撤去ということになりますと、デジタル放送の視聴に直接必要なものではないということでありまして、改修工事の妨げとなる機材の撤去の場合を除き、原則助成対象とはしないというふうになっております。

 管理者等の御負担をお願いするものでありますが、よくよくこの辺は今後の課題として検討してまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

伊藤(渉)委員 大変にありがたい答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。

 これまでもそうでしたけれども、ずっと、現実の問題が近寄ってきてこれはいかんともしがたいとなると結局最後は動いたりしていただけるものですから、やはり早々と手を打っていくことの方がいわば国の行政サービスとしては非常に重要だろうな、こういうふうに思います。声が大きくなってから動く、要するに後手に映る、政府・与党としてこれは本当にマイナスだと私は常に感じておりますので、ぜひ大臣の御見識に御期待をして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。

 佐藤新総務大臣におかれましては、冒頭お祝いを申し上げます。

 私も次の内閣の総務担当として、幾つかの問題について議論をしていきたいと思います。

 まず、委員長のお許しをいただいて資料を配付させていただきますが、一をごらんください、佐藤大臣のポストでございます。これを見ると、八つのポストを兼ねるということであります。この一つ一つが、例えば国家公安委員長、防災担当、郵政民営化担当、あるいは分権改革なんというのはまさに改革の中の改革です、このすべてをあなたが所管される。本当にこれで職務を全うできるんですか、大臣。

佐藤国務大臣 冒頭、おめでとうございますというお言葉がございましたが、素直になかなか受けとめられないというところもございまして、大変恐縮でございます。

 総務大臣の兼務の発令をいただきまして、その重責に改めて身の引き締まる思いでございます。所掌する範囲は御指摘のとおり大変広いものがございますが、幸い、私、先ほども申し上げましたように、総務副大臣、そして総務委員長を務めさせていただきましたし、従来から関心を持って取り組んできた分野でもあるので、任命をしていただきました総理の期待にこたえるべく、全力を挙げて職責を果たしてまいりたいと思います。

 ただ、もちろん、私自身そんなに能力もございませんし、そういう中でこの職責を全うするという観点で考えれば、三名の副大臣、五名の大臣政務官にもお手伝いをいただき、そして何よりも各省の役人の方々のサポートをいただいてしっかりとやっていかなければいけないというふうに思います。また、そういうサポートをいただく際にも、決して丸投げをするということではなくて、一つ一つしっかりと判断をさせていただきながら対処してまいりたいというふうに思います。

 所信でも申し上げましたように、赤松委員長を初め、理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。

原口委員 あなたが所管される現場は広く、北方問題も焦眉の急であります。もう目の前に、長い間ふるさとを追われ、そしてふるさとに帰ることを待ち焦がれた方々がおられます。だから、外にも行かなきゃいけないでしょう、ロシアにも行かなきゃいけないでしょう。また、二十三日は沖縄の日ですね。そういう中で、あなたが国会で御説明をなさる委員会だけで五つです。とてもこんなことでは、思いはあってもできない。大臣がころころかわるようでは役人をコントロールできずに、しかも、その大臣が八つも兼任をするということは、まさに、官僚に丸投げはいけない、官僚をグリップしようと思っても物理的にできないんだということを最初に申し上げておきます。

 さて、資料の二をごらんください。

 赤松委員長を初め、皆さんにお願いをしますと言われながら、十二日に前の総務大臣が辞任をし、月曜の四時に至るまで、私たち理事はおろか、委員長にもその説明はありませんでした。ですから、十六日に内閣から来ていただいて、何が起きたんですか、大臣はどこへ行ったんですかということで聞いたのがこれであります。ごらんください。

 日本郵政の件で辞任しているわけです。日本郵政が業務改善命令に対してどのように真摯に対応していくか、こうした問題を冷静かつ慎重に、また客観的な事実に基づいて判断していかなければいけないが、鳩山大臣の言動が先行した結果、郵政事業に関して、政府と郵政会社との間に混乱が生じたような印象を与えたことは否めない事実であることから、総理が辞表を受理したと書いてあるわけです。つまり、一連の問題についての、日本郵政の社長人事のことで辞任をしているわけです。

 私たちは、そもそも分社化ありきの民営化が間違いだと。株式売却を凍結して、何も民営化をもとに戻せなんて一言も言っていません、会社のコンプライアンスを問うたら、なぜそれが民営化、改革に逆行するというのか全く理解できないんですけれども、分社化形態の抜本的見直しを行うべきだと主張をしています。

 さて、六月二十九日が株主総会です。そこでくだんの人事案件が決定をされます。ここに言っている「調整」、この「調整」をするためには、日本郵政から業務の改善計画あるいは責任の所在についての報告がなければなりません。佐藤大臣のところにどういう報告が来ているか、教えてください。

佐藤国務大臣 日本郵政株式会社の西川社長から、六月十六日火曜日に業務改善命令に対する措置の検討状況について説明を受けました。

 そのポイントでございますけれども、国民共有の財産の処分という認識に立った不動産売却ルールの整備、持ち株会社に不動産売却等審査会を設置し個別売却事案が適正かを検証、そして、ガバナンスの点から経営陣の関与の強化、かんぽの宿について平成二十三年度に黒字化を目指す等々、話がございました。

 その際、私からは、なるべく早く解決に向けて動き出したいので早急に報告されたいという旨の要請をしたところでございます。

 したがいまして、総務省といたしましては、日本郵政株式会社からの報告を待って精査、検証を行いまして、事実を踏まえて、法律に基づいてしかるべき判断をしたいと考えております。

 その上で、官房長官、財務大臣と御相談をさせていただきまして、総理にお諮りすることとなると思っております。

原口委員 第三者委員会ができまして、かんぽの宿等の問題をここでも議論しました。不動産売却等について第三者委員会の委員長をお招きをお願いしていたんですが、御都合がつかぬということで、事務局でも結構ですから、質問をいたします。

 第三者委員会の資料を見ますと、西川社長、稟議書もない、非常に極めて不適切であるというようなことがたくさん書かれていました。そして、今大臣がお答えになった、国民共有の財産であるという認識がなかったのではないかとこの国会でも議論をしました。果たして、西川社長に伺いますが、国民共有の財産であるという認識がないというのはどこからきたのか。

 今、お手元に、三ページをごらんください。これは、西川社長が公社時代の総裁になられてから、日本郵政、現在に至るまでの不祥事に対する役員の措置事例であります。これをごらんいただくと、持ち株については何の責任もとられていません。つまり、これほど多くのことが起こりながら、持ち株の皆さんは何の責任もとらない。本当にそれでいいんだろうか、それがガバナンスというんだろうかと思います。

 そこで、西川社長にお願いをしたいんですが、中間的な報告を、今、佐藤大臣が明らかにされましたが、それを私たちにも開示していただけませんでしょうか。そこにおいて社長御自身の責任をどのように総務大臣にはお伝えになっているのか。この二点について、開示をしていただくことのお願いと、それから社長の責任の所在についてどのようにお考えなのか、これを伺いたいと思います。

西川参考人 お答え申し上げます。

 業務改善命令に対する回答は、現在、総務省とも事務的に御相談しながら、改善、是正措置についての検討を行っているところでございまして、来週中には御報告できるよう作業を急いでおります。

 先日御説明いたしましたのはこの内容のいわば骨格ということでございますので、詳細についてもうすぐ御報告ができると思いますので、それをぜひごらんになっていただきたいと思います。

原口委員 いや、中間報告を出していただきたいんです。

 先ほど申し上げたように、佐藤大臣が兼任をされていますから、例えば来週の火曜日、二十三日は私たちは定例日です、しかし、佐藤大臣、二十三日は国会におられますか。

佐藤国務大臣 大変恐縮でございますけれども、沖縄の慰霊祭がございまして、そちらに出張ということになります。

原口委員 私たちは、国民を代表してこの問題について質疑をしなきゃいけない、二十九日の株主総会を白紙委任するわけにはいかないんです。ですから申し上げているんです。

 西川社長、もう一回お伺いをいたします。

 総務大臣に出した中間的な報告を私たちにも開示してください。よろしくお願いします。

西川参考人 お答えいたします。

 内容的にそう大きく変わることはないと思いますが、中間的な御報告を申し上げている概略のところと最終的な詳細のところで食い違いがあれば大変失礼なことだと思いますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。

原口委員 いや、西川社長、私たちにも時間的な制約がありますので、この委員会を何回も開くというわけには、私は筆頭理事をさせていただいていますが、先生方にも、あるいは国民の皆さんにも……。

 大臣、来週出て、調整しなきゃいけないでしょう。来週、いつ出るのかわかりませんよ。だけれども、調整しなきゃいけない。そこにおいて西川社長の責任というのはどのように書かれているんですか。今の段階で結構ですから、大臣に認識を伺いたい。

 そして、改めて西川社長に。その時々においてやはりしっかり開示をする。稟議書もなくて、どうしてそれが違法でないということが言えるのか、私たちにはよくわからないんです。ぜひ開示をしていただけませんか、西川社長。

 大臣と西川社長に再度質問いたします。

佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、六月十六日に西川社長から業務改善命令に対する措置の検討状況について説明を受けた際、一連の問題は日本郵政グループのガバナンス不足に起因するものと認識しておりまして、実効ある改善、是正のために総務大臣の業務改善命令における指摘等に対する自己評価が不可欠でありまして、この命令に対する報告は、これも含めていただきたいという旨のことを申し上げたところでございます。

 今後、日本郵政から提出される業務改善命令に対する報告には、西川社長の責任論に対する何らかの言及があるものというふうに考えておりまして、それを法に照らさせていただいて、財務大臣、官房長官、そして総理の御判断をいただきたいというふうに思っております。

西川参考人 お答えいたします。

 何度も同じことを申し上げて大変恐縮でございますが、内容的に最終報告と幾らかなりとも異なることがあるということになりますと、これまた問題がございますので、もうしばらくお待ちをいただきたいということでございます。

原口委員 いや、納得できませんね。

 というのは、総務大臣のところへ出た中間報告の中には、西川社長初め日本郵政の執行部について、今ガバナンスの問題とおっしゃいましたね、ガバナンスの問題というのはトップの責任の話なんですよ、トップの責任の話が書かれていない。

 私は、別に西川社長に敵対しようとかなんとかという気持ちは全くありません。むしろ、よくこの火中のクリを拾われた。御本も読ませていただきました。御家族が反対の中、この場に来られたと。それは、民間からこの場に来るというのは大変なことだったと思います。しかし、今なおさまざまなことが起きて、しかも、大臣までやめて。総務省から私たちはこの法案をお願いしますと言われて、一生懸命修正協議をしている中で、大臣がやめて空白ができているから聞いているわけですよ。そんな軽い話じゃないんですからね。

 総務大臣、今の段階で西川社長の責任についてどのようにお考えかということは総務大臣にはまだ伝わっていないということでよろしいですね。

佐藤国務大臣 そういうふうに考えていただいて結構だと思います。

原口委員 今回の指名委員会の問題についても、きょうは日本郵政の指名委員会の委員長、牛尾治朗委員長にお見えいただきたいということでお願いをしていました。しかし、お時間がつかないということでお見えでない。ぜひ指名委員長にお見えをいただいて、何がどう議論されたのか、二十分だということですが。

 指名委員会にお入りの高木副社長がお見えでございます、高木副社長にお伺いしたいと思います。

 この人事案はどなたが案をおつくりになったのか、ほかに選択肢はなかったのか。そして、第三者検討委員会の報告書において稟議書もないし国民共有の財産の認識もないという指摘をされながら、ガバナンス上の責任ということについてどのような議論をされたのか。あなたは執行部でもいらっしゃいますが、執行部の方が指名委員会の委員にお入りになるというダブルのお立場ですから、なかなかお答えにくいのはわかりますが、そのことについて事実を教えてください。

 また、指名委員会のその二十分の議事録というものがもし開示できるとすれば、開示をしてください。お答えください。

高木参考人 お答え申し上げます。

 まず、だれがつくったかということでございますが、これは委員長の方から委員会の最初に御提案があったわけでございます。これについてほかに案はなかったのかという御指摘でございますが、もちろん、その委員の方はいろいろな御提案をしようとすれば、それは可能なわけでございます。ただ、そういう御提案がなくて、皆さんの意見が一致して今の体制で引き続き責任を持ってやるべきだという御結論だったというふうに私は理解をいたしております。

 それから、いろいろな課題があるわけでございますが、先生御指摘のように、かんぽの宿、中間報告の問題もありますけれども、指名委員の先生方は皆様取締役でございます。ですから、日ごろから取締役として経営上の課題等について、かんぽの宿の問題も含め、いつもいろいろな経営上の課題につきまして議論あるいは検討されてきているということでございます。

 特に第三者検討委員会の中間報告につきましては、これは取締役会に五月の二十二日に報告をされております。その五月二十二日は、株主総会にかける人事案が取締役会にかけられた日でございます。ですから、その第三者検討委員会の中間報告と人事案は同じ日に取締役会に報告されておりますので、その中間的な報告についても理解した上で人事案が議決されているということでございます。

 よろしくお願いいたします。

原口委員 社外取締役といえば、ガバナンスそのものをしっかりとチェックする人たちですよね。社外取締役から何らかの、みずからの責務に対する責任が出てしかるべきなんです。

 西川社長に伺います。

 御著書を私も大変感銘して拝見しました。もともと、財界のある方から日本郵政社長の就任の打診を受けたのは二〇〇五年の九月の終わりごろのことでしたと御著書に書かれています。この財界のある方というのは、牛尾治朗さんのことですか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 人事に関する話でございますので、どなたであるということを具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

原口委員 いや、西川社長がお書きになっているからお聞きしているのであって、指名委員会の委員長からこうやって懇願されて、仮に牛尾治朗さんから懇願されて火中のクリを拾われたとしたら、その指名委員会の委員長が別の人を指名するというのはなかなかないだろうと思うから聞いているわけです。

 牛尾さんでないということでよろしいですか。別に実名を挙げていただく必要はない。牛尾さんでないということだけ確認できればそれで結構です。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいまも申し上げましたように、牛尾さんでないということを申し上げるのも、これまた人事の機微に触れることでございますので、御遠慮申し上げたいと思います。

原口委員 他の選択肢の検討もなくこのような案をつくるのは、どうやってこういう案になったかというのはやはり御本人から聞かざるを得ない。指名委員会の委員長、牛尾治朗委員長にぜひ本委員会に来ていただきますようにお願いをしたい。委員長、理事会で協議をお願いいたします。

赤松委員長 引き続き協議をいたします。

原口委員 ありがとうございます。

 さて、次の資料をごらんください。佐藤大臣、これがこれまで日本郵政グループ等に対する主な措置であります。黒字で書いてあるのが監督上の命令、いわゆる業務改善命令であります。

 かんぽの宿関連が平成二十一年四月三日、低料第三種郵便物関連が平成二十年十二月二十六日。そして、次のページがかんぽ支払い不足関連。そして、七ページでございますが、JPエクスプレス関連、そしてコンテナ残留関連においても平成二十年十二月十五日に監督上の命令、それからまた平成二十一年三月十六日に監督上の命令、郵便認証司関連でも平成十九年十月二十四日に監督上の命令を日本郵政は受けているんです。

 これだけ受けていて、本当に上場ができるんですか。そして、これに真摯に一つ一つ日本郵政が対応されていたら、今回のかんぽの宿のようなこと、つまり、国民共有の財産であるという認識がなかったなどということはあり得ないと思いますが、佐藤大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 改善命令の中にガバナンス不足というところをうたわせていただいておりまして、こういう答えがいまいち明確になっていないというところもございまして、出てきた上でいろいろな判断をしなければいけないというふうに思いますが、まだ出てこない状況にございますので、その辺をしっかりと精査、検証させていただくということが今一番求められていることではないかなというふうに思っております。

原口委員 何回もコンプライアンスが重要だ、ガバナンスだということですけれども、先ほど皆様に御提示をさせていただいた公社以降の不祥事に対する役員の処分のリストをごらんください。これは全部現場ですよ。日本郵政そのものは無傷ですよ。

 五月二十二日に発表された前年度通年の決算を見ると、ゆうちょ銀行は百七十八兆円の貯金残高に対して、利益はわずか二千三百億円程度です。また、日本郵便は一兆九千億円程度の売り上げがあるが、利益は三百億円程度にすぎない。民営化を前提にして考えれば、これだけの資産を使って、これだけの売り上げがあって、なぜ利益が出ないのか。今私が読み上げた言葉は、民営化委員会の委員長田中直毅さんがお書きになっているものであります。

 中期経営計画の問題、かんぽの宿等の問題等を考えるとしても、経営者としての責任をとるということは大事じゃないんでしょうか。

 これまで総務大臣や国会等のさまざまな指摘に対し、今後しっかり対応するということをずっと西川社長は主張されてこられました。しかし、問題は、今後対応をどうするかではなくて、過去の指摘に対してどのような反省をし、どのような責任をとるか、ガバナンスが機能していなかったものをどのように、なぜそこがそうなったかということを総括することじゃないでしょうか。

 先ほど高木副社長がお話しになりました。それは、指名委員会の議事録が出るでしょう、どういう議論をしたか、開示できませんでしょうか。

 西川社長に、みずからの責任についてどのようにお考えになっているのか。私は、社長が困難な中、松山でも御一緒しましたが、一生懸命やってくださるだろうと思った。しかし、現場にだけ責任を押しつけて、トップがみずからの責任について言及しなければ、その組織は腐りますよ。そのことについてどのようにお考えなのか。

 議事録の開示は高木副社長に。それから、責任について、恐らく二十九日まで質疑ができる機会というのはそんなにないと思います、このお答えを西川社長から伺いたいと思います。

高木参考人 お答え申し上げます。

 指名委員会の議事録につきましては御提出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいま監督上の命令等に対する改善、是正措置につきまして、来週できるだけ早い時期に総務大臣に提出申し上げるべく作業を急いでおるところでございますが、それと並行いたしまして、私自身のけじめのつけ方につきましても一定の処分を考えてまいりたいと思っております。

原口委員 残りわずかになりましたので、具体的な二点について、これは西川社長じゃなくて結構です、日本郵政に伺いたいと思います。

 一つは、住友VISAカードの選定についてであります。

 私、稟議書をいただきました。これは情報開示ありがとうございます。しかし、この稟議書の中には評価表が入っていない。たしか第二位はクレディセゾンであった、第一位が三井住友VISAカード、そして三位がJCB。最初は一位だけに提携が決まって、後からJCBが入っています。

 佐藤大臣、ゆうちょ銀行からすると、幅広いカードが使えるとやった方が楽なはずなんですが、なぜ二位が抜けているのか。私は特定企業を擁護する立場にないです、また、そんなことはやってはいけない。しかし、なぜ、幅広くカード会社を使えるようにすることがゆうちょ銀行の利益であると考えられるのに、このようなことがされているのか。稟議書に評価表がないのはなぜなのか。これをお答えいただきたい。これが質問の一番目です。

 それから二番目。この間、池袋の旧簡保健診センターに行ってきました。驚きました、たったの十三年で閉鎖。今、健康や医療に対する関心が高まっていて、地方では、先ほど土屋先生がお話しになりましたが、本当に地域が崩壊している。その中では病院一つも満足に建てられない。中に入りました、真っ暗な中、ぴかぴかの施設がそのままです。ぴかぴかの施設がそのままで、なぜこれを売却しなければいけないのか。

 そして、たしか郵政民営化法には、簡保の関連の施設は持ち株に譲渡するというふうになっていると思いますが、局会社に譲渡しています。その理由についてお尋ねをしたいと思います。

米澤参考人 クレジットカードについてお答え申し上げます。

 JPバンクカードについて、当初、VISA及びマスターブランドの発行が二〇〇八年五月一日、そして二〇〇九年一月十三日にJCBブランドということで、そこに時間差があるのではないかという御指摘もございました。

 二〇〇八年当時、受託会社ジェーシービーにおいては基幹システムを更改中でございました。このシステム開発のスケジュールが相当程度遅延をいたしてしまいましたので、JCBブランドの開始がおくれた理由は、主として受託会社側の準備に時間を要したものでございます。

 先生御指摘のとおり、お客様へ複数の選択肢を提供するとの観点、あるいは複数の受託社間での競争を生じさせることで結果として効率的に事業を運営するとの観点から、国際ブランド及び業務委託会社は複数とするのが望ましいというふうに考えておりまして、現在は、三ブランド、業務受託会社は二社という体制になっております。

 具体的に申しますと、VISA、マスターブランドにつきましては、民営化当初の営業事務の効率性あるいはボリュームディスカウントの効果を勘案いたしますと、VISA、マスターカードブランドは一社にプロセッシングを委託することが望ましいであろうということで、その評価結果が第一位であった三井住友カードにプロセッシングを委託した。そして、JCBブランドにつきましては、これはプロセッシングを希望しておりましたのはジェーシービーだけでございましたので、こちらにお願いをしたというふうな経緯でございます。

 また、評価表につきましては、これは別途の機会で内部的に説明をしております。

 また、三井住友カードが第一位であった旨は、この決裁文書の中にも記載はされているところでございます。

 以上でございます。

清水参考人 二点目の点についてお答えさせていただきます。

 旧東京簡易保険総合健診センターにつきましては、公社時代の平成十八年二月に将来の採算性が見込めないことを理由に施設等の廃止を決定し、平成十九年七月に営業を終了しております。

 このセンターにつきましては、日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画、いわゆる実施計画でございますけれども、これにおきましてグループ各社が日本郵政公社から承継する資産を定めております。先生御質問のセンターにつきましては、この実施計画において郵便局会社に承継させることが記載されております。

 この実施計画につきましては、準備企画会社である日本郵政株式会社において、経営委員会で平成十九年四月に決定した上で、同年四月に内閣総理大臣及び総務大臣に認可申請し、同年九月十日に内閣総理大臣及び総務大臣の御認可をちょうだいしております。

 以上でございます。

原口委員 もう質疑時間が終わりましたので、これで終わりにしますが、十一ページをごらんください。

 今お話しの「郵便局株式会社の重要な財産の譲渡の認可」であります。これが十一ページの資料です。「相手方」について「未定」とあります。そして、皆さんからいただいた資料ですが、日付も入っていません。

 私自身は、やはりガバナンスということであれば、しっかりと説明できること、先ほど二位についてなぜ落ちたかということも答えられませんでした、しっかりとした説明責任を果たすことが日本郵政再生あるいは民営化の成功のかぎであるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要です。

 佐藤大臣、御就任おめでとうございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは所信に対する質問でございますが、私も、郵政に関して質問通告しておりませんが、一問お伺いをしたいというふうに思っております。

 昨日、党首討論が行われまして、私も見ておりまして、その中で麻生総理が、民営化された株式会社に対して政府の介入は最小限であるべきだ、このようにおっしゃってございます。鳩山大臣辞任で新たに総務大臣になられたわけですから、佐藤大臣もこの点は同じお考えを共有されているという理解でよろしいでしょうか。

佐藤国務大臣 私、総務大臣には、日本郵政株式会社法第九条に基づく取締役の選任の決議に対する認可権限がございます。それには日本郵政グループが郵便のユニバーサルサービス義務等々を負ってといういろいろな観点がございまして、国益の確保を任せる人材であるということを基本に、その人事に当たってはしっかりと検証しろという法律がございます。

 したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、私が置かれている立場というのは、今出てきておるいろいろな資料を精査して、それに対して私のできる範囲で法律に基づいてその任命に当たってのいろいろな検証をするということが私に与えられた責務だと思います。

 その上で、総理がおっしゃっている、民営化に当たって余り口を出すべきではないという御認識もございますが、私に与えられた仕事というのは、検証してそれにふさわしいかどうかということをしっかりと御報告申し上げ、財務大臣、官房長官と御相談を申し上げるというのが私の立場ではないかなというふうに認識をしております。

田嶋(要)委員 ちょっと不明瞭だと思います。

 国民の前で、党首討論ではっきりと民営化された株式会社に対しては政府の介入は最小限であるべきだと。私は、それをすっと聞くと、なるほど、そうかなとも思うんですけれども、同じお考えを共有されているんでしょうか、その一点を確認させてください。

佐藤国務大臣 私も、民営化を目指している会社等々でございますから、基本スタンスでいけば、余り口を出すことがいいのかどうかというのは総理とそう変わらないというふうに思います。

 ただ、私の立場というのは、また違う立場にあるというふうに認識しておりまして、改善命令を一年九カ月のうちに五回ないしそういうものを出すという異常事態みたいなところもございまして、やはりそこは株主である国がしっかりと判断をしなければいけないという点もあるのではないかなというふうに思っています。

田嶋(要)委員 会社のガバナンスあるいは所有ということで考えますと、民営化といいましても、あるいは株式会社と申しましても、現在国が所有をしているわけでございますね。そうすると、その一〇〇%株主である国の判断が介入というふうに呼ばれることに私は大変違和感を感じるんですが、その点はいかがでしょうか。一〇〇%株主ですよ、郵政の。

佐藤国務大臣 介入と言うのがいいかどうかは私もわかりませんけれども、やはり責任はあるのではないかなという思いはいたしております。

田嶋(要)委員 言葉としてはっきりと民営化された株式会社と、民営化と言った途端に世の中の人は政府の手を離れていっているというふうな錯覚をするのではないかなというふうに思いますが、現実的には今国が一〇〇%所有している状況にある中で、国のあるいは国民共有の財産に対して国が発言できない、あるいはそれを介入と表現されてしまったら、やはり国民に大きな誤解を生むんじゃないかなというふうに私はきのう印象を受けました。その点を一言申し上げたいと思います。

 続きまして、本来の質問に入らせていただきます。

 しばらく私の地元で選挙が続いてございましたけれども、先週、ついこの間の日曜日に千葉市長選挙が終わりました。きょうは所信に対する質問ということで幅広い分野の質問ができるわけでございますので、その市長選挙を通じて少し感じたことも交えながら御質問をさせていただきたいと思います。

 千葉市長選挙の大きな争点の一つとして、国、中央官庁などから助役になって、そして助役の方が市長になるという歴史が私の地元の千葉市では四代続いてございました。六代続いていたのが大阪市でございますが、その大阪市も二年前にそういう流れがとまりまして、全国十八の政令指定都市の中でただ一カ所、私の地元千葉市ではそういった伝統というか習慣というか、助役さんから市長になるという流れが続いていたわけですが、今回、全国最年少の市長が誕生した。まさに一つの世論、有権者の意識としては、そういった形での市長じゃない市長がいいという意思決定のあらわれ、すなわち、変えてほしいという大きな変化が背景にあったのではないかというのが私の思いでございます。

 そこで、資料をお配りしておりますので、一ページをごらんいただきたいのでございますけれども、いわゆる中央官庁から地方自治体に人が行き、その中の一部の方がやがて助役から選挙を経て市長になる、そういった形が、この千葉市の歴史が終わったということで全国政令指定都市の中ではなくなったわけでございます。

 やはり、天下りの問題もそうでございますけれども、官僚がいろいろなところでそういった支配をしていくという、俗に言う官僚支配のあり方ということに、多くの国民がちょっとまずいんじゃないか、変えなきゃいけないんじゃないかと思っておるのも事実でございます。

 先ほどどなたかの質問に対する御答弁でも、佐藤大臣御自身が、身近な行政は地方自治体にゆだねる、適切な役割分担、こういうこともおっしゃっておられました。その点も踏まえましてこの一枚目の資料をごらんいただきますと、中央の府省から副知事、副市長へどのぐらい出向しているかという表でございますが、特に総務省が一番大きなポーションを占めておるわけでございます。

 この数字をごらんになって、特に上に上がっていくと最近の数字でございますが、なぜこういった状況がさらに数字がふえる状況になっているのか。私は、地方分権ということを言うのであれば、本来こういうことも減っていってしかるべきではないかなというふうに思うわけでございますが、今申し上げた千葉市民の民意ということも重ね合わせまして、なぜこういう形の人事が行われているのか、そしてそれがふえる傾向にあるのか、御答弁を願いたいと思います。

佐藤国務大臣 総務省から地方公共団体への出向は、基本的にはその地方からの要請であるというふうに伺っております。また、その在任中においては、知事など任命権者の命に従いまして、当該団体の発展と振興に全力を尽くすべきものというふうに考えます。

 人材をどのように確保するかは、知事、市町村の考え方によりますけれども、個別の地方公共団体の状況、求めに応じて必要な人材交流を行うことは地方分権時代においても重要ではないかなというふうに思います。

 先生のおっしゃる趣旨はよく理解をさせていただきますが、やはり地方のニーズもあるということも御理解をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

田嶋(要)委員 地方からそういう要請がある、形だけの要請もありましょうし、本当の意味での要請の場合も僕もあると思います。しかし、俗に言うそういった習慣が長く続けば、いつまでたっても依存される、依存するという関係から抜け出せなくなってしまうのもこれまた事実ではないかな。発展途上国を支援する場合でもそういった議論が経済学の世界ではあると聞いておりますが、やはりどこかで自立を考えていかなきゃいけない。

 例えば、私の千葉県にも優秀な副知事の方が中央から来ております。個人では確かに優秀であります。しかし、こういった全国での習慣が、求めに応じているからいいんだよということでいつまでも続けていていいのか。やはりそれぞれの地域にも優秀な人材はいるはずですし、しかし、当たり前のように中央官庁から一名副知事とかということになりますと、それはなかなか前例を崩すことが難しくなって、ひいては地方分権といいながら中央集権が続く一つの側面ではないかなというふうに私は思うわけであります。

 一方、人材交流という御指摘も昨日いただきました。私は、若干違和感を持つのは、本来、人材交流であればもうちょっと中堅どころ、若手、中堅の人材交流であれば、地方自治体から中央官庁、中央官庁から地方自治体、あるいは中央官庁から民間企業という形もあるし、その逆もある。それは、左右対称でありますし、育成という観点から非常に意義深いことであろうというふうに思っておりますが、何といっても会社でいえば副社長のポストですね、そういうポストに中央官庁からいつまでも人を派遣していることが、先ほど大臣もおっしゃった身近な行政は地方自治体にゆだねるという原則からすれば、ゆだねていないんじゃないかというふうに私には感じる。そして、傍証としては、民間企業の副社長に中央官庁から派遣をすることはあるかと。そういうことは余り考えにくいなというふうに思っておるわけでございます。

 そういうことを総合的に思いますと、求めに応じているからこれは正当化できるんだということではなくて、やはり、この時代の流れの中で少しずつ人材を調達というんですか、人材を発掘するのも自分たちの頑張りが求められる、まさに財源、権限を地方に移していくのとセットで人も自前で育てていくということが私は本道であるべきだというふうに思っております。

 そして、こういった習慣は、私は悪弊とは言いたくはありません、言いたくはありませんが、本当にこの分権の流れの中で、この間の千葉市長選の結果を見ても、民意は、中央から来た人がだんだん地方のトップになっていくような流れというのはちょっと今の時代よろしくないんじゃないかという感覚を持っているわけですし、十八政令指定都市で千葉市が最後だったということを見ても、徐々に全国でそういう流れが起きているあかしだと思います。

 そういう意味でも、こういった形が本当にこれからも続くのが私は地方分権の時代に余りいいこととは思っておらないわけで、改めて大臣から一言御意見をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨はよく理解をさせていただきました。今後、もちろんそういう御要請もあるわけでありますから、それをむげに断るというわけにはまいりませんと思います。そういう中で、一方、立ち返って、今先生がおっしゃられた趣旨も勘案をしながら、これからしっかりと真剣に考えていくようにしてまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 中央に優秀な方が大勢おいでなので、そこの人材プールに手を伸ばしたいという欲求は私もよく理解いたします。繰り返しになりますが、そういうところに人材を安易に求めるのではいけないんじゃないかというふうに、どこかで立ちどまることもそろそろ必要な時代になってきているのではないかなと私は思っております。

 続きまして、もう一点、同じく市長選の中で感じた点でございますが、資料の二ページ目を大臣にごらんいただきたいと思います。これも法律でどうのこうのという話ではないわけでございますが、これは一つの事実としてこういうことがあるということです。

 選挙をやっていて思うわけですが、それぞれのまちづくり、どういうふうにほかの町と比較をしながらいい市政を実現していくか、そういうことを考えるときに、その市の職員というのは一体どの町に帰属しているのかなということを調べてみますと、例えば私の千葉市の場合には、七割弱の人が千葉市に住んでおられる。逆に言えば、三割以上の方が千葉市には住んでいないけれども千葉市の市民のための仕事をしている。そういうことがございます。

 ほかの政令市を見ていただいても、一番低いのは大阪市、四一%の方しか実は大阪の市民ではない。これは、大阪の市民じゃないからだめだということには私もならないとは思います。そして、なぜそういうことになったかということを調べてみますと、当時、土地の価格が高過ぎて大阪市内には家が買えなかった、そういうふうな事情もあるやに聞いております。そういう意味では、市の職員がその市内にいないからだめだということにはなりません。

 しかし、理想的には、その市の職員もやはり市民として、まさに市政から受ける行政サービスがどういうものか、そういうことを肌で感じながら、一市民の目線から気づきがあり、市の改革につなげていくのが私は一番いいんじゃないかなと。現に、例えば地方議員、市会議員さん、県会議員さんが自分の選挙区に住んでいないというのは余りないと思いますね。私も国会議員として自分の選挙区に住んでおりますし、あるいは、当選した市長が千葉市に住んでいなかったら、これまた違和感を多くの市民は持つんじゃないかと思います。

 そういう意味では、すべての職員がその市に住んでいなきゃとは思いませんけれども、例えば、じゃ、副市長はどうなんだ、幹部はどうなんだといったときに、やはりある程度、その町のために働く職員もできればその町に暮らす住民であってほしいなというふうに私自身は思うわけでございます。そういう観点からすると、若干幾つかの政令市に関して、政令市だけ見てみたわけですが、政令市に関してももう少しこの割合を高めていって、本当に生活者としてその町に愛着を持ち、その町の課題を我が問題として考えていくような場にいないといけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 その点に関して、これは市長選挙を通じて感じた点でございますので、大臣にどういうようなお考えをお持ちか、御意見をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨はよく理解させていただきました。基本的には、自分がその場の空気を吸い、その場の地域を見、そしていろいろな仕事に当たるというのは確かに基本だろうというふうに思います。

 ただ、それを法律的にどうのこうのと言うとまたいろいろ問題がございますので、そういう趣旨を踏まえて、やはりそういう意識が高まるようなこと等々も、その市ないし市町村で考えていくべきではないかなというふうに思います。かといってその市に住んでいなければいけないのか、逆に、ほかに住んでいて客観的にその市を見るというのも一方であるのかなというふうなこともございまして、一概にこれがいいということは言えませんけれども、先生の御趣旨を踏まえていろいろ私どもも考えられることがあればしっかりと考えてまいりたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 絶対こうしろというものは私もないと思いますが、企業に例えて言えば社員持ち株制度という傾向がずっと強く出てきてございますけれども、社員でありながら、被雇用者でありながら、同時に株主としての意識を持つ、その会社の成長をともに共有していくというような流れから、社員持ち株制度というのを多くの会社が導入をしてきて今日に至っております。

 同じように、その町の住人ということは、ある意味、一つの見方としては、その町の株主という言い方もできるわけでございますので、社員、つまり職員でありながら、同時にその町のいろいろなことに直接的な利害をさらに持つという意味での住民にもなるということが私は望ましいのではないかなというふうに思ってございます。

 国がどうするかということに関しては、基本的には地方自治それぞれの取り組みであろうかと思いますが、しかし、インセンティブをつけるとか何らかの形でその町により多くの職員が暮らすということが、まさにこれからの地方自治を進めていく上では重要ではないかなというふうに私は思っております。よろしくお願いいたします。

 ちょっと順序を入れかえまして、次に、若干技術的な話に入らせていただきたいと思います。

 最近、私ども民主党でも、いわゆる仕分け作業というのをさせていただきました。与党の方々も、きのうも名前が出ておりましたけれども、河野先生などを中心に仕分けの作業が行われたということを聞いております。私が担当いたしましたのは、総務省の平成二十一年度の予算計上がなされてございます事業といたしまして、省エネ型のホームネットワークというものの研究開発でございます。今この施策をもとにいたしまして少し一般的な質問を大臣にさせていただき、問題点の指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 余りにも話が何のことかわからないといけませんので、この平成二十一年度約七億円のついてございます総務省の施策、三年間で二十二億円程度でございますが、この施策がどういうものか、まず概要を御説明いただきたいと思います。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 この消費エネルギー抑制ホームネットワーク技術の研究開発でございますけれども、一点目は、家庭内の消費エネルギーを効果的に抑制するために、さまざまな規格の端末とか住宅設備をネットワークで接続しまして、センサー等と連携制御するホームネットワーク技術、それから、将来的に消費エネルギーのさらなる抑制等を実現するために、ホームネットワークをブロードバンドと接続することによりまして、消費エネルギーの抑制に資するサービス提供を可能とする共通制御プラットホーム、こういったような研究開発等を実施する予定でございます。

田嶋(要)委員 たくさんあるいろいろなプロジェクトに、具体的には三百六十六、総務省に今回予算がついているわけですね。その中の一つでございますので、全体の予算からすれば微々たるものでございますが、さりとて二十億円以上の国民の税金を使うわけでございます。

 このホームネットワークというのをインターネットで検索してみますと、いろいろな主体が、役所でそれにかかわっておるということが見えてくるわけでございますが、この研究開発を一体どういうところが行っているのかという点を御説明いただければと思います。

河内政府参考人 消費エネルギーの抑制ホームネットワーク技術以外に、家庭内でのエネルギー抑制という観点では、例えば私ども総務省の中の独立行政法人でございますNICT、情報通信研究機構、それから、経済産業省におきましても、異なる観点からの研究開発等が行われているというふうに承知しております。

田嶋(要)委員 そこで、いわゆる事業仕分け、すなわち、国民の税金の使い方に無駄がないかというのをミクロで精査していったわけでございますけれども、一般論として、研究開発というのは聞こえはいいですが、一体どういうアウトプット、費用に対してどういう効果が生まれているのかというところが大変見えにくいという難しさがございます。

 この特定のホームネットワーク関連の研究開発は、今おっしゃられたように、総務省と総務省の独立行政法人NICTがございます。そして一方で、経済産業省と経済産業省の独立行政法人のNEDOというのも実はホームネットワークの関係で研究開発をしているということでございます。例えばこの四つに特定をしても、この四つの間でいわゆるホームネットワークというキーワードで研究開発に国民の税金が使われている。その間の研究開発に同じ研究開発の重複がないということはどのように確認をされておるのでしょうか。

河内政府参考人 こういった研究開発は、それぞれのところで研究されているわけでございますけれども、具体的に予算要求をするとか施策を実施する段階で、連絡会などさまざまなチャンネルで情報交換を行って、重複等が起きないように効率的な研究が行われるように進めております。

 特に、経済産業省との間ではこれまでも共同で研究会を開催しまして、お互いの情報共有を図って中期的な視点の中で進めているというようなことでございますし、また、予算編成過程の中で、総合科学技術会議におきまして、施策の意義、あるいは重複がないかといったようなことについて審査がなされているというようなことでございまして、そういうもののトータルの中で先生御指摘のようなことがないように効率的に研究が進められるように行っているところでございます。

田嶋(要)委員 きのうも、今名前の出ました総合科学技術会議の場でそういう税金の無駄遣いが起きないように事前にチェックがなされているんだという御説明がございましたが、ここで、いろいろな団体、主体が行っているホームネットワークに関して重複がないかどうかの検討というのは、どのぐらいの長い時間を費やして検討が行われているわけですか。

河内政府参考人 個別の時間についてはちょっと詳細を把握しておりませんけれども、まず、こういった研究開発につきましては、それぞれの省庁から詳細なペーパーを出しまして、それで事務的な形で中身についての審査が行われます。さらに、その後、総合科学技術会議の中の議員の先生方等の前で、こういった研究開発についての意義とか重複とかそういうことについてさまざまな観点から御質問をいただき、それに対してお答えをする中で御審議をいただいているというようなことでございます。

田嶋(要)委員 縦割り行政の非常に弱点であろうと思いますけれども、昨日も、総合科学技術会議の方に総務省とNICTの方は同席をして、そこで事業の説明をし、約二十分間、御専門家約十名の方に審議をいただいて、重複がないということでゴーサインをいただいているというような解説をいただきましたけれども、その同じ場に、まさにエネルギーあるいは環境ということですから経済産業省との重複が最も考えられるわけですが、現に二〇〇三年ぐらいからホームネットワークという言葉がよく出てくる経済産業省とNEDOの関係資料がたくさんございますが、そういった方々との間に本当に重複はないのか。

 あるいは経済産業省がそれまでに行ってきた研究開発にどういう成果が見られて、そして、その成果を踏まえて今度新たにお金をかけて総務省がここから先をやるんだ、そういうような議論が本当にその二十分なら二十分の場ではっきりと確認ができるのかという点がやはり一番のポイントだろうというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。

河内政府参考人 総合科学技術会議の議員の先生方の前で御説明する機会というのは時間的にはそのようなものかもしれませんけれども、その前段階で事務的にさまざまな御検討をいただくというようなこと等もございますし、それから、日常的に総務省と経済産業省との間では、政策を立案する中で、さまざまなチャンネルでそういった重複が起きないようにというようなことを行っておりますので、御懸念の点についてはないように十分配慮しているつもりでございます。

田嶋(要)委員 そういった科学技術会議のような場所というのが、儀式と言うと言い過ぎかもしれませんが、ある程度そこを通過すればオーケーなんだというような意識で、本当に国民の税金を絶対に無駄にしないというふうに考えた姿勢でやっておられるかどうかというのは、私は大変懸念をします。現に、この問題に関しましては二カ月前ぐらいから仕分けでずっとやってきましたが、全体像を示す資料というのは一度も出てこないですね。

 総務省からは総務省あるいはNICTの関係の資料は出てきますが、総務省と経産省、NEDOもNICTも全部合わせて、このホームネットワークという今後非常に重要だと考えられる技術に関して、こういうような役割分担でやっていきますよという政府全体としての取り組みの説明資料はないような認識を私はしておりますけれども、その点はいかがですか。

河内政府参考人 研究開発の政策の省庁横断的な整合性につきましては、総合科学技術会議の中で毎年重点計画というものを立てておりまして、その中で全体的な研究開発の方向性あるいは効果的な研究開発の推進ということを行っているところでございます。

 個々の研究の詳細なところにつきまして、そういったような計画が詳細につくられているかというと、必ずしもそこのところはそういったような認識はしておりませんけれども、先ほど御説明しましたように、具体的に施策をつくり、あるいは研究開発の中身をつくっていく中で省庁間で調整が行われ、また、その科学技術会議の中でも事務的な点も含めて調整が行われているというようなことでございます。

田嶋(要)委員 大臣、伝統的に縦割りの行政の中で、我が省という考え方、あるいは我が省とそれにくっついている独法という考え方にどうしてもなりがちじゃないかな。それは大前提で、そこに本当に無駄が多く隠されているのではないかというふうに、今回この一つの案件を見ても、研究開発というテーマ、あるいは何とか推進プロジェクトという案件等は、さまざまな無駄、本来使わなくてもいいお金を使っているのではないかという懸念が強くいたします。

 そこで、大臣に最後に御答弁いただきたいんですが、国等がやっている千差万別の研究開発は、一テーマ一機関ということで予算を集中して、特定のところでずっと継続的に行う方がはるかにこれはいいというふうに思います。横断的なプロジェクトが必要であれば、経産省と総務省の人も一緒になってやっていく、あるいはNICTもNEDOも一緒になってやっていく。そういうような形をとらないと、同じようなプロジェクトを八年前も五年前も今もやっている、そんなことが繰り返されているんじゃないかという懸念を強く、これは私自身だけではなくて、外部の人に意見を求めてもそういうような御指摘が多々あるところでございまして、一事が万事、相当こういうところに税金の無駄遣いが発生をしておるというふうに思ってございます。

 今申し上げたように、一プロジェクト一主体、一テーマ一主体という原則を御検討いただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 研究開発のテーマによっては、広くさまざまな分野にまたがって専門性の高い技術課題を含んでいるものがございまして、このような場合には、それぞれの技術課題について専門性を有する組織が担当し、これらの組織が互いに連携を密にして研究開発を推進することが効率的で、先生おっしゃるとおりだと思います。

 したがって、研究テーマごとにその推進体制を判断すべきであるというふうに私は考えておりまして、決して反論するつもりはございませんけれども、一テーマ一主体という原則がすべてではないというふうに思います。

 ただ、効率をよくするという点では連絡は密にしなければいけないというふうに思いますし、また、こういうところで研究をしている方というのは、どうしても自分のテーマを追求する傾向にございます。したがって、これを披瀝し合って、先生がおっしゃるようなことで合致をすれば、そこで研究を一緒にやっていくことも可能だろうというふうに思いますので、今後、今先生がおっしゃられたようなこと等々を各機関が綿密に、そして緊密に連携をすることによって、先生がおっしゃられる懸念を払拭していけるのではないかなというふうに思っておりますし、努力をしていきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 一主体ということが難しい場合は、先ほど申し上げたように、私どもの求めに応じてその研究テーマにかかわるあらゆる主体の全体の俯瞰図が何も出てこないというのは、まさに十分なコーディネーションなくしてそれぞれが勝手な方向に走り出しているというふうに言っても過言ではないと思います。そういう資料がないこと自体、話し合いが行われずに今お金が使われている。国民の税金を無駄にしないという姿勢をもっと強化していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 佐藤先生、このたびは総務大臣に御就任おめでとうございます。それにしても、大臣が八つ兼務するということでは、大臣が幾ら力があっても成果を上げるのは難しいのかなと思いますが、ぜひ体は壊さないように気をつけてやっていただきたいと思います。

 それでは、時間の範囲の中で、郵政行政について質問をさせていただきます。

 大臣は所信の中で、「民営化を前提としつつ、改善すべき点は改善してまいります。」と述べておられますので、その民営化の見直しを中心に、特に大臣がどれぐらい見直しの本気度があるのか、その辺をお伺いさせていただければと思いますので、簡潔にお答えをいただければと思います。

 初めに、郵政民営化の見直しについてでありますが、一つ目は、この郵政民営化がアメリカの要求どおりにつくられた郵政民営化についてであります。

 大臣は、郵政民営化法がほぼ米国の、アメリカの要求どおりにつくられたということを御存じですか。いかがですか。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私にはそういう認識はございません。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 認識はないということでございますが、それでは、当時の郵政民営化準備室、竹中大臣ほかが、法案作成に当たって、平成十六年と十七年に十八回にわたって米国側と交渉したということは御存じですか。

佐藤国務大臣 郵政民営化について、民営化準備室は、当時、小泉総理の大方針のもと、経済財政諮問会議で議論し閣議決定をされた郵政民営化の基本方針と竹中郵政民営化担当大臣の指揮のもとで法案化の実務的な作業を行ったものでございまして、実質的な権限が与えられているものではなかったと伺っております。

 したがって、御指摘の十八回の面談により法案の内容が決定されたというようなことはなかったというふうに報告を聞いております。

福田(昭)委員 官僚は何とでも報告できるのかと思っているんですが、実は、この十八回の交渉の日付とアメリカ側の交渉人は、やっと前回、鳩山前総務大臣が公開してくれたんですが、その十八回の打ち合わせのメモは依然として不存在だというんですよ。そんなわけはないと思うんですが、大臣はどう思われますか。

佐藤国務大臣 以前から総務委員会で郵政民営化推進室長から答弁をさせていただいているようでございますが、御指摘のメモは、作成されていたとしても、郵政民営化準備室から現在の推進室には引き継がれていないというふうに伺っております。

福田(昭)委員 そういう認識でありますが、ここは、これからまた続けられるというときには、ぜひ確認を、追及をしていただきたいと思っています。

 二つ目は、先進諸国の郵便事情についてであります。時間の関係で二つだけはしょってお話をして、お伺いをしたいと思っています。

 一つはニュージーランドでありますが、ニュージーランドは昭和六十二年に郵便事業と郵便貯金を分離し、民営化をいたしました。しかし、その結果が余りにもひど過ぎるので、平成十四年には郵便貯金を改めて政府がお金を出して復活をいたしました。つまり、ニュージーランドは郵政の民営化は失敗をいたしました。

 そして、ドイツでありますが、ドイツも成功したように言われておりますが、平成七年にドイツは郵便、郵便貯金、通信の三事業を分割・民営化をいたしました。しかし、その結果、郵便料金は値上げされ、郵便局は、直営店が三万局あったものが、直営店が五千、委託が八千、一万三千局と半減をいたしました。公共サービスは犠牲になりました。そうした中で、郵便事業会社と郵便貯金銀行において委託料をめぐって騒動が起き、大変な混乱が起き、政府は郵便貯金銀行と郵便事業会社を一体化させました。つまり、ドイツの民営化も失敗をいたしております。

 当時の竹中大臣がコンビニのようなことができると言ったのは、これは逆でありまして、コンビニなんかをやっているところに郵便事業を委託したということであって、もともとの郵便局がコンビニ事業を始めたわけではありません。全くの認識違いでございます。

 したがって、ニュージーランドもドイツも郵政民営化は見事に失敗をいたしております。こういう話を御存じですか。もし御存じであったら、どう思われますか。

佐藤国務大臣 御指摘の諸外国のうち、郵政民営化が行われたニュージーランドとドイツでありますが、各国とも郵政市場における新規参入が図られているところでございまして、各国の状況はそれぞれ異なっているというふうに承知をしております。

 今おっしゃられたように、ニュージーランドでは、民営化後の金融会社ポストバンクがオーストラリア資本のオーストラリア・ニュージーランド銀行に買収をされ……(福田(昭)委員「簡潔で結構です」と呼ぶ)済みません。いずれにしても、さまざまな流れがあって、民営化という道を模索したということだろうというふうに思います。

 したがって、こういうことも踏まえて、日本の民営化が今先生がおっしゃられるような懸念に陥らないようなこと等々を踏まえて、民営化というものをしっかりとはぐくんでいかなければいけないということで仕事してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは次に、アメリカ、米国でありますが、アメリカは、二〇〇三年、平成十五年、当時のブッシュ大統領が郵便事業の国営を堅持ということを打ち出したんですね。その翌年、二〇〇四年、平成十六年に、アメリカは対日改革要望書で郵政民営化を日本に強く要求してきたんですね。自分のところは国営を続けると宣言しておきながら、本当に日本には民営化を要求してきた。多くの識者によりますと、平成十六年九月一日の日米首脳会談によって、ブッシュ・小泉会談によって郵政民営化が決定されたと言われているんですね。

 それでは、そのアメリカがなぜ国営を維持することになったかという話なんですが、当時、アメリカでも民営化について検討されたそうであります。米国の郵便庁は、郵政改革の改革プラン、三つの選択肢というのをつくったそうであります。

 その第一が、全国一律のユニバーサルサービスを担い、その見返りとして国庫補助を受けるという国営、独占維持、これが第一であります。第二が完全民営化、この場合はユニバーサルサービスの義務はなくなる。第三は、ユニバーサルサービスの義務を負うが、同時に民間企業への出資等を通じて多様なサービスを提供する国有企業とする。この三つを選択肢としてつくったそうであります。

 そうした中で、米国郵便庁は第三の国有企業は維持し自由度の高まる経営を望んだそうでありますが、この郵便事業の見直しをしておりました大統領委員会は国営維持を勧告したそうでありまして、その理由は、ユニバーサルサービスの絶対死守、これが基本的な考え方で、ブッシュ大統領も国営を維持するという宣言をした。こう報告がありますが、いかがですか、こういう話を聞かれてどう思われますか。

佐藤国務大臣 私も、この件についてはかなりいろいろ勉強させていただきました。

 アメリカにおかれましては、銀行等々の業務等々、日本みたいに振り込みができるかとか、そういうこと等々は非常に脆弱という話も伺っております。したがって、郵便の重要さというのは先生がおっしゃられたとおりだと思いますし、そういうことにかんがみてユニバーサルサービスをしっかりと大事にしているのではないかなというふうに思っております。

福田(昭)委員 そうした経過でアメリカは郵便事業は国営を維持するということを決めたわけでありますが、一方、日本には民営化を要求してきて、それを受けて小泉総理は、それこそ衆議院では可決され、参議院で否決されたにもかかわらず、衆議院を解散して郵政の民営化を進めたわけであります。

 その動きに対して、イギリスの当時のブレア首相は、日本だけが世界の流れに逆行しているようですねと皮肉っておられるようでございます。そういった意味では、十年後、大変心配されるのが日本の郵政民営化でございます。

 そこで、このニュージーランド、ドイツ、米国、英国の郵政、郵便事情によってよくわかることは、ニュージーランドもドイツもいろいろ失敗したけれども、もとに戻せたのは株式を国が持っていたからです。日本は、十年後、二〇一七年に完全売却することになっておりますが、完全売却しちゃったのでは、とてももとに戻すことは不可能になってまいります。したがって、ここは一つ学ぶべきこと。それから、もう一つは、ちゃんとユニバーサルサービスを維持する。この二つを先進諸国の郵便事情から学んで郵政民営化の見直しをやっていくべきだ、私はこう考えております。

 三つ目でありますが、そうした中で、郵便、貯金、簡保の三事業の一体化についてであります。

 今まで郵政公社は、この三事業一体だとシナジー効果があって大変よい運営ができ、国民へのサービスが最大限発揮できるとPRをしておりましたけれども、このシナジー効果について大臣はどう思われますか。

佐藤国務大臣 まず、株の件に関しては、もちろん慎重に対応しなければいけませんし、十年後に株を売却するということになっておりますが、この件についても、これから運営を含めてしっかりと検証した上でいろいろな行動をとるということではないかなというふうに思います。

 四分社化ということで話がございましたが、いずれにいたしましても、民営化という点でいろいろな御不満が出ているという点は先生御指摘のとおりだというふうに思います。したがって、私は、柔軟にその辺は受けとめさせていただきながら改革を進めなければいけないというふうに思います。

 ただ、民営化ということは決して悪い方向に向いていないというふうに私は思っておりますので、これを維持しつつ、いろいろな御不満、そして指摘にこたえるべきではないかなというふうに私は思っております。

福田(昭)委員 我が党も、民営化そのものはだめだとは今は言っていないんですね。

 そうした中で、今、株式の処分の話がありましたが、四つ目の株式の処分についてであります。

 先ほど申し上げましたように、ニュージーランドもドイツも、国が株式を持っていたためにいろいろな過ちがあってももとに戻せたんですね。しかし、日本の場合は十年後に完全売却するというので、もしかすると来年あたりから売却を始める予定なんですよ。ですから、そこが一番心配なんですが、大臣、郵便貯金銀行とかんぽ生命の株式をもし完全売却したとすると、一番心配されることは何だと思いますか。

佐藤国務大臣 やはり、外資の侵入だというふうに私は理解をしております。

福田(昭)委員 私もおっしゃられるとおりだと思います。

 外資に経営権を握られますと、まさにゆうちょやかんぽが持っている莫大な運用資金を自由に運用することができるようになりますね。鳩山前大臣も買収防止策を考えると言っておりましたが、私は、しっかり法律で定めなかったら絶対だめだと思います。アメリカにげんこつをもらったら、だめだと言えますか。言えませんよ、今の政府では。ですから、ここはしっかり法律で買収ができないように定めることが大事だと私は思っています。

 仮に外国の資本に経営権を握られたら、今ゆうちょやかんぽの莫大な運用資金の運用先は国債と地方債ですよ、もし日本の国債が売られたら大変な話です。日本の国債は暴落します。そうしたら、それこそ日本の国家財政破綻の引き金を引きますから。それこそ、何年か前に橋本元総理がアメリカに行って、アメリカの国債を売りたい気分になると言われただけでげんこつをもらったじゃないですか、それと逆のことが今度は起きるんですよ。とんでもない話です。ですから、こんなことをやっちゃいけないと私は思うんです。

 ですから、国家国民の利益を外国に売り飛ばすような民営化はよくない、私はこう思っていますが、いかがですか。

佐藤国務大臣 先生、すべておわかりになってお話をしていただいているというふうに思いますので、そこは適時適切に判断をさせていただきたいというふうに思いますし、その件についてもやはりまだまだ深掘りをしていかなければいけないという点もございますので、議論が必要かというふうに私は考えております。

福田(昭)委員 そういった意味では、やはり株式の処分はしばらく凍結をするということが大事だと思います。しっかり見直しをした上で、もし可能であれば処分をするということもいいと思いますが、その辺いかがですか、まず凍結するということについて。

佐藤国務大臣 慎重に対応してまいりたいというふうに思います。

福田(昭)委員 それでは、だんだん時間も押してまいりますので、急いでいきたいと思っていますが、五つ目の国の信用力についてであります。

 小泉内閣のときに、地方にできることは地方に、民にできることは民にということで、何でも自己責任、自己決定ということで国の役割はほとんどなくなるような構造改革というのを進めたんですね。これはまさに構造改革じゃなくて構造改悪だったわけでありますけれども、そうした中で、大臣は国の信用力というものをどう使ったらいいと考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 いろいろな意味で、国が信用されなければいろいろなことが進まないということでありますから、基本的に先生がおっしゃられるようなことも含めてしっかりとした対応をしていく。いろいろなことが起こりまして、今地方が疲弊をしているという現況も踏まえて、やはり正すべきところは正していくということにつながるのではないかなというふうに思います。

福田(昭)委員 そういった意味では、小泉構造改革はやめなきゃだめです。

 ここに紺谷典子さんが書かれた「平成経済二十年史」という本を持ってきました。紺谷さんはこの二十年間をよく研究して書いてくれております。

 小泉構造改革ですが、「「改革」するたび、生活は悪化した。」「年金改革…保険料は値上がりし、年金は削減された」「医療保険改革…医療は崩壊し、医療費の自己負担のみ増大」「「官から民へ」…行政は、国民への数々の責任を放棄」「「中央から地方へ」…地方は権限なきまま財政負担のみ増え困窮」「郵政民営化…簡易保険の市場を狙うアメリカのためにやった」「金融改革…外資による日本の銀行潰し」と、見事に言い当てておりますね。私は、これは真実だと思っております。紺谷さんに感謝をしなくちゃならないほど、よくまとめてくれております。

 私は、国の信用力というのは、やはり、個人個人の国民の財産をしっかりふやしたり、企業がしっかりと会社の経営ができるように、あるいは地方自治体も安心して地方自治体の運営ができるように、そのために国の信用力というのは発揮するべきだと思うんですよ。もしそうしなかったら、国の存在意義はないと私は思うんです。

 ですから、今回小泉さんがやった改革、竹中さんがやった改革は、全くそれと正反対の改革をやったんです。それが今紺谷さんが見事に言い当てたような実態に実はなっている。したがって、小泉改革ノーだ、これが国民の本心だと私は思います。基本的に、それが麻生内閣ノーにもなっていると思います。ですから、ぜひとも、国の信用力をどう使うかということが、これは政府の役割、役目なんです。

 実は、今回のアメリカ発の金融危機、経済危機で政府系金融機関が今どんなふうになっているか御存じですね。政府系金融機関も民営化されたために、お金を貸し渋ったり貸しはがしているんです。そうした中で、せっかく政府系金融機関を民営化した中で、政府が新たに金融機関を三つもつくったんです。時間の関係でしゃべっちゃいますが、一部の大企業や中堅企業のために株式会社産業革新機構というのをつくりました。それから、中小企業のために中小企業基盤整備機構という金融機関をつくりました。そして、地方自治体のために地方公共団体金融機構というのをつくりました。新たに三つもつくったんですね。では、何で政府系金融機関を民営化したんだということが問われるわけであります。

 そこで、大臣、この国会で公共サービス基本法というのが成立したことを御存じですか。

佐藤国務大臣 詳しくは伺っておりませんけれども、成立したことは存じ上げております。

福田(昭)委員 これは与野党が合意をして、本音を言えば、そこまで原口先生が皆さんに言っていたかどうかわかりませんが、小泉構造改革の行き過ぎた規制緩和、民営化を見直して、行政、官が果たすべき役割というのはちゃんとあるんじゃないか、それをしっかりともう一度見直して、それこそこの政府系金融機関や郵政民営化、あるいはいわゆる市場化テスト法からいろいろなものをしっかり見直して、本当に行政と民間の果たすべき役割を見直して、国民の幸せにつながるような改革、改悪じゃなくて改善をやっていこうというのがこの公共サービス基本法をつくった本当のねらいです。ぜひそこをしっかり大臣にも踏まえて対処をしていただければと思っております。

 そろそろ時間がなくなってまいりましたので、次の議題に行きたいと思っています。日本郵政株式会社の西川善文社長の進退問題についてお伺いをしたいと思います。

 まず一つ目、鳩山邦夫前総務大臣の辞任についてであります。

 西川社長は、かんぽの宿の売却を初め、さまざまな不祥事があり、業務改善命令を受けている社長であります。日本郵政として初めての通期決算となる〇八年度は、グループ全社が民営化前に定めた承継計画の純利益を下回っております。つまり、利益は上回っておりません。いまだに日本郵政の中期計画も定めておりません。

 こういうことを総合的に勘案すると、どう考えても西川社長がやめるべきであって、鳩山前総務大臣がやめる必要はなかったというのが私の考えでありますが、佐藤大臣、どう思われますか。

佐藤国務大臣 先ほど来からお話を申し上げておりますように、私ども、改善命令というものを会社側に出させていただいております。その答えをしっかりと精査するというのが今私に与えられた仕事だというふうに理解をしておりまして、その改善命令についてしっかりと精査をした後、財務大臣、官房長官、総理の御判断をいただきたいという私の立場は堅持してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 先ほどから我が党の原口筆頭理事の方から質問をさせていただいておりますので、そのことはそれ以上はお尋ねいたしません。

 二つ目は、西川善文社長の進退についてであります。

 西川社長、来週には業務改善計画書がまとまるということでございますが、西川社長は先ほど原口委員の質問に自分としても一定のけじめをつけたいと述べられたようでありますが、業務改善計画書を提出した上でおやめになるということですか、お伺いをいたします。

西川参考人 お答えいたします。

 私にもいろいろと至らぬ点もあり、これまでの経緯を振り返ってみますと、反省すべき点もあったと考えております。しかし、私といたしましては、この大事業を一たんお引き受けした以上、民営化の土台をしっかりと築いて、必要な改革を推進していくということが私に与えられた責務であり、また果たすべき責任であると考えておるところでございます。

 以上です。

福田(昭)委員 それでは、西川社長、業務改善計画書の中で一定の責任ということですが、その中身はまだ発表しないという話でございますので、三点お伺いをします。

 かんぽの宿の問題についての責任、承継計画を上回る利益が出せなかった責任、そして中期計画書がつくれなかった責任についてはどう考えていらっしゃいますか。お答えいただきたい。

西川参考人 お答えいたします。

 かんぽの宿の件につきましては、業務改善命令を受けておりますので、この回答を申し上げるということでございます。

 それから、実施計画を業績が下回っておるという点につきましては、これは前提条件もかなり変わってまいりました。金融情勢が相当大きく変わってまいりました。郵政四事業会社があるわけでございますが、その中で大きなものはゆうちょ、かんぽでございまして、これが大きく金融情勢の変化の影響を受けるわけでございます。この両社の利益水準が全体を大きく左右するという状況にございますので、実施計画を策定した段階とは少し状況が違う。別に言いわけではございませんが、最大限努力をいたしておりますけれども、そういう状態であるということでございます。

 中期計画につきましては、実は昨年中にも策定すべく準備をいたしておったわけでございますが、この点につきましても昨年秋からの激変が大きく影響してまいりますので、それをきちんと読み込んだ上で、今年度の後半には中期計画を策定して発表させていただきたいと考えておるところでございます。

 以上です。

福田(昭)委員 現時点ではそういうことが言えるかと思いますが、しかし、中期計画を定める期限はとっくに過ぎているんですね。金融危機が起きる前に実は中期計画をつくる期限は切れておりまして、そういう言いわけは現時点での言いわけになるのかなと思っております。中期計画を立てておいて修正するというならわかりますよ。

 ですから、そういった中で佐藤大臣にお伺いをいたします。

 佐藤大臣は業務改善計画書を見た上で判断を下すということでありますが、民営化を維持しながらも、先ほど私が申し上げたように、諸外国、先進諸国の事例を見ると、一つは、問題が起きたときにもとに戻せるのは株式を国が持っていたからです。株式を処分したら、西川社長は完全処分するために今社長業をやっているわけですよ、完全処分する社長をやっている人をそのまま認めるということは、全く見直しができなくなるということです。ですから、少なくとも凍結をしないんだったら、西川社長を更迭しない限り、株式の処分は来年から始まりますよ。

 それからもう一つは、大事なことはユニバーサルサービスを維持する、そのためにはやはり三事業一体というのは私は必要だと思いますので、ぜひそうした観点から西川社長の再任を認めるかどうかという判断を下すべきだと私は考えております。

 回答は要りません。時間が来ましたので、以上で質問を終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 佐藤大臣に質問をさせていただきます。

 郵政事業についてでありますけれども、一昨日の総務委員会における総務大臣発言の中で、郵政行政について、「郵政行政については、民営化後、簡易郵便局の一時閉鎖、郵便局における金融サービスの維持に関する懸念等、地域の住民等からさまざまな御指摘をいただいているほか、かんぽの宿の問題、障害者向け低料第三種郵便物の不適正利用、簡易生命保険の保険金等の支払い不足など、国民の信頼を損なう事態も生じております。」と、幾つもの諸課題、諸問題を列挙されておられます。

 まず最初に伺いますが、こういう諸問題、諸課題が噴き出したのはなぜなのか、どのようにお考えなのか、お聞かせください。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられますように、私は会社側にガバナンスの問題があったのではないかなというふうに思います。改善命令を今出させていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、一年九カ月の間に五回もの改善命令を出さなければいけないという、これは異常事態と言っても過言ではないと思います。

 そんな点も含めて、今まで先生方からいただいた御提言等々を踏まえて、このあり方についてはしっかりと判断をしなければいけないというふうに思っております。

塩川委員 私は、郵政民営化そのものの矛盾が噴き出していると考えております。

 そこで、大臣は会社のガバナンスの問題があったというお話をされました。先ほど来の質疑の中でも大臣は、日本郵政の社長人事の問題につきまして、四月の業務改善命令に対する日本郵政の報告を精査して、関係大臣と協議もし、取締役の認可を判断するとおっしゃっておられます。

 しかしながら、この四月の業務改善命令、六月末に回答を求めているこの業務改善命令は、かんぽの宿の問題だけであります。これだけ諸問題が噴き出しているにもかかわらず、なぜ日本郵政社長の人事の判断基準をかんぽの宿問題だけに矮小化しているんですか。お答えください。

佐藤国務大臣 もちろん、かんぽの問題というのが基本にございまして、今、それ以外のことについても改善命令を求めているところでございます。詳しいことは後でまたお話をさせていただきます。

塩川委員 それ以外の問題の改善命令といいましても、今出されているのは、この四月のかんぽの宿という事案についての業務改善命令だと承知していますが、これ以外に回答を求めている命令が出されているんですか。

佐藤国務大臣 改善命令を出していない部分もございますが、例えば低料第三種郵便の不正利用とかJPエクスプレス等さまざまな問題、国会や報道等で指摘されている点についても、どのような措置をされているかということを伺っております。

塩川委員 しかし、先ほどからの答弁でも、この業務改善命令についての回答を踏まえて判断をするとおっしゃっておられたわけで、今のお話のように、低料第三種の問題などについては別に命令を出して回答を求めていないわけですね。

 だとしたら、大臣自身が先ほどかんぽの宿が基本だと言っているわけですから、結局は、このかんぽの宿問題に係る命令に対する回答を踏まえて判断をする。それ自身が、過去のガバナンスの全体の問題を問うのではなくて、あくまでもかんぽの宿の問題に限定した日本郵政の社長の対応について問うということですから、そういう点では極めて事を矮小化した判断にならざるを得ない。西川社長のいわば続投を前提にした対応となっていると言わざるを得ません。

 国民サービスの後退や新たな郵政利権が大問題となっているのに、この不祥事に責任を負う西川社長の続投を容認するような立場での今回の措置では、かえって国民の不信を拡大するだけであります。私どもとして、西川社長がやめるのは当然だと考えております。

 このような国民サービスの切り捨てや新たな郵政利権づくりといった一連の不祥事は、西川社長に起因するだけではなくて、私は、郵政民営化路線そのものから生まれていると言わざるを得ません。

 四年前の郵政選挙を思い起こしていただきたいんですが、ここに、当時自民党のマニフェストに出されていました「改革を止めるな。」というのがありまして、改革の本丸郵政民営化という宣伝が行われました。ここでも、改革の本丸郵政民営化でどういうことが生まれるのか。少子高齢化のもとでも年金、医療など社会保障の充実が可能になる、雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復になる、また、三位一体の改革で地方経済の立て直し、あるいは、戦略的外交の推進、安全保障の確立。郵政民営化でなぜ外交までよくなるのかわかりませんけれども。こういった形で、郵政民営化を行えば年金もよくなるし景気もよくなるし外交もよくなるといって大宣伝したのが四年前の総選挙だったわけですね。

 これは、郵政民営化でこういう効果があらわれたんですか。当時選挙も戦われた佐藤大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 その冊子自体、ちょっと私拝見をしたことがない、使った覚えがないものですから何とも申し上げられませんけれども、いずれにしても、おっしゃられるように、若干不満等々皆様方から出ているというのは、事実、ございます。

 そういうものを是正するということはもちろん必要でございますが、やはり郵政民営化という路線は私は決して間違いではないというふうに思っておりますので、是正すべきところは是正し、今後につなげていきたいと思っております。

塩川委員 いや、四年前にこれはマニフェストで皆さんが配ったわけですよ、自民党が。自民党の公約なんですよ。郵政民営化、改革の本丸を行うことでどうなったのかという検証が必要なんじゃないですか。

 では、例えば、郵政民営化で年金はよくなったんでしょうか。大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 そういう因果関係があるのかどうかというのは、ちょっと検証しておりませんので何ともここで申し上げられることでは、今私が持ち合わせている情報の中では、ちょっと申し上げられないかなというふうに思います。

塩川委員 少なくとも四年前の郵政選挙のときのこういう宣伝というのは、この宣伝の仕方そのものが中身を含めて間違いだったということは、まずは認めるべきなんじゃないですか。大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 私は、郵政民営化の路線というのは、大きな流れで見れば、決して間違いではないと思います。

 ただ、そういう中でいろいろな問題が噴き出しているというのは事実でありますから、そういうものを払拭していくということがまずは大切なのかなというふうに思っております。

塩川委員 責任を持って自民党が国民に向けて訴えたマニフェストの中身ですから、これについて、今四年、次の総選挙を迎えるときに、何だったのかということを問うべきであります。

 担当の大臣として、郵政民営化によって年金も景気もよくなるんだというようなこの四年前の宣伝が正しかったのか間違っていたのか、このことについてぜひお答えください。

佐藤国務大臣 今申し上げましたように、いろいろな改革をする中で、経済の状態もそれに加わったということもございます。いろいろな条件の中で、果たしてそれが正しかったか正しくなかったかというのは、私ども、今いろいろな資料を持ち合わせておりませんので、これからしっかりと検証させていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 いや、何も日本経済、グローバルな話をしているのではなくて、大臣が所管をされている郵政行政、郵政事業にかかわって、郵政民営化は何をもたらすのかといったことについて、四年前、自民党は、景気も年金もよくなる、外交もよくなると言っていたわけですから。何もよその話とか大臣の所管外の話をしているわけじゃなくて、まさに大臣が所管している問題について聞いているんですけれども、正しかったのか間違っていたのか、改めてお答えいただけませんか。

佐藤国務大臣 決して私は間違っていたとは思っておりません。

塩川委員 郵政民営化そのものの議論はこの後でまた少ししますけれども、この宣伝は正しかったのか。どうですか。

佐藤国務大臣 それ自体、私は詳しく拝見しておりませんので、お答えは差し控えたいと思います。

塩川委員 極めて無責任だと思います。

 郵政民営化によって私たちに何が起こるのか、四年前の郵政の特別委員会のときも議論をしましたけれども、結局は、日米の大銀行などの要求にこたえて郵政事業をばらばらにして切り売りするのが最大のねらいであって、結果として、国民サービスが後退をすることになる。これはまさに今の現状がそのことを示しているわけで、結果は明らかであります。

 ですから、それを踏まえて、やはりそもそも郵政民営化が間違いだったんじゃないのか、こういうことを改めて今はっきりさせる必要があると思っていますが、大臣は不満が出ているとか是正すべき点は是正すべきと言うわけですけれども、では、郵政民営化でよかったことというのは何なんですか。

佐藤国務大臣 民営化後の民営化した各社におきまして、新規サービスの展開を初め民営化のメリットを発揮すべく努力をしているというふうに思います。

 しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、簡易郵便局の一時閉鎖や配達員が貯金、保険料を預からないという国民の皆様方の不満も出ているわけでございまして、こういう御指摘を踏まえて、今後、民営化が本当によかったという方向づけを、私どもは指導していかなければいけないというふうに思っております。

塩川委員 鳩山大臣も光と影という言い方をされましたし、もちろん麻生総理御自身も不十分な点は直して改革を進化させていくんだという言い方をされておりますけれども、光と影という、影ばかりは皆さんよく御存じなわけですよ。でも、光の部分について、特に四年前の選挙のときに国民サービスは向上するんだとさんざん言っていたわけですよ。

 国民サービスが向上したということについて国民が実感できるような成果が語れないのが今の郵政民営化じゃないですか。逆に、郵政の資産、国民が築き上げてきた共有の資産を切り売りするようなことばかりが目立ってきた、新しい郵政利権を生み出したというのが結果だったんじゃないですか。こういう郵政民営化そのものが間違いだったという立場で施策に臨む必要がある。

 何か国民サービスの向上やよくなったことがあるのかどうか、その点をお答えいただきたいのと、間違いだったときっぱり認めるべきだ、その点についてお伺いします。

佐藤国務大臣 確かに先生がおっしゃる趣旨は、そういうところもあるかもしれませんが、それを踏まえてしっかりとした民営化というものを目指していかなければいけないと思いますし、間違いだったか間違いじゃないかと言われれば、私は、決して間違いではなかったかなというふうに思っております。

塩川委員 郵政民営化の目的としていた国民サービスの向上について、その成果を一言も語れなかったというのが今の答弁だったわけで、郵政民営化は間違いだった、この立場から、今からでも、四分社化の見直しや三事業の一体経営や金融のユニバーサルサービスの義務づけなどの必要な郵政民営化の見直しを一から行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、佐藤大臣、総務大臣就任おめでとうございます。

 今、総務省は、郵政問題で世間の耳目を引いております。これ以外にも、地方財政をどうしていくのか、二年後の地デジ完全移行の問題、あるいは年金記録問題など、国民生活の基盤と直結する課題を所管しているのが総務省であります。非常に巨大な官庁であり、他の大臣と兼務できるような、そういう代物ではないと私は思っています。

 ところが、大臣は、既に国家公安委員長、沖縄北方担当大臣、防災担当大臣を務めておりまして、地方分権改革と合わせますと五つもの役職を兼ねることになります。大臣とは内閣委員会でも議論をさせていただいておりますが、果たしてこれだけの兼務が可能なのか。

 報道などによりますと、週のうち二日は総務省で執務をし、二日は警察庁となるやに聞いております。そういう多忙な中で、本当に大臣として、政治家佐藤大臣としての思いというものが具体的に述べられるんだろうか。そういう点で危惧をいたしておりますが、それは単なる危惧で終わるんでしょうか。大臣の認識をお聞かせください。

佐藤国務大臣 御懸念の点は私も理解をした上で、お答えをさせていただきたいと思います。

 もちろん、先生が御心配をいただいている点はあろうかと思います。ただ、私は、与えられた職務をしっかりとこれから全うしていくべく、いろいろな方々に御支援をいただき、もちろん、官は官、そして政は政として、官の皆様方にも御支援をいただき、全うしていかなければいけないというふうに思っております。また、副大臣、大臣政務官も十分に力を発揮していただくべくこれからもお願いをしてまいりたいと思いますし、でき得ることを肝に銘じて、皆様方の御批判をいただかないように、これからしっかりと頑張ってまいりたいと思います。

重野委員 六月十五日、読売新聞からの配信でありますけれども、その中で、総務省の幹部から早速、大臣にレクチャーする時間がなかなかとれないというぼやきが聞こえる、こういうふうな記事がありました。大臣はその中で、やれるのかというより、やらなければいけないという気持ちで身をなげうって頑張っていきたい、このように決意を述べておられたようでありますが、同僚議員からも、一人の仕事量としては多過ぎるのではと心配する声が出ていると。

 この心配が単なる心配で終わることを祈っておりますけれども、基本的に、一人の政治家として抱える量をオーバーしている、こういうふうな人事というのは、ある意味では私は問題ありという意識、あるいは指摘をしなければいけないんじゃないか、このように思います。

 そこで、鳩山前大臣でありますが、こういうふうに言っておりました。この点について大臣がどのように考えておられるか聞いておきたいんですが、「政治家が弱過ぎる、リーダーシップが弱い、大臣になっても弱い。役人のつくった文章を棒読みする、これは役人にとってはいい大臣かもしれませんけれども、政治家や大臣のリーダーシップが弱いことが日本の政治の問題点」だと。これは鳩山前大臣の言葉でありますが、この言葉に対する佐藤大臣の認識、どういうふうに受けとめておられるかをお聞かせください。

佐藤国務大臣 政治家や大臣がそのリーダーシップを発揮して政策を進めるというのが、先生がおっしゃるように極めて大事なことだと私は思います。御批判にございましたように、いわゆる官僚主権国家と言われないために、やはり我々のしっかりとしたリーダーシップを発揮いたしまして、そういうことをしていくことが鳩山前大臣と同じ認識ということにつながるのではないかなというふうに思います。

 私は昨年、総務省で副大臣をさせていただきました。このときにいろいろな施策もさせていただきましたが、副大臣という立場で何を一番やったかというと、私は人材の交流というのを大切に図らせていただきました。そういうことを含めて、やはり役人と意思を通じていろいろなものをしていく、また私の言葉を意気に感じて仕事をしていただく。私は、各府省に行って心がけることは、そういうことに徹しております。

 したがって、判断すべき面はしっかりと自分なりに判断するという観点で、これからもしっかりとしたリーダーシップをとって、政治家としてそしりを受けないような判断をしてまいりたいというふうに思っております。

重野委員 それでは、ちょっと内容をかえて、地方財政について聞いておきたい。

 大臣は所信の中で、地方税財源の充実確保を述べられました。今日、地方財政は疲弊をしていると思いますが、その最大の原因は、三位一体改革と歳出歳入一体改革による税源移譲が不十分なまま地方交付税の削減あるいは補助金の削減が行われた、ここに原因があるというふうに私は思っております。この点について、大臣、同じ認識を共有できますか。

佐藤国務大臣 地方財政の疲弊ということになろうかと思いますが、まず一つには、バブル経済崩壊後の税収の低迷が続いております。そして、税収の落ち込みの補てん、減税や公共事業の追加のための地方債を増発したこと、社会保障等の義務的経費が増大していること、財政健全化のために歳出を抑制せざるを得ないことなどが原因として考えられるというふうに思います。

 また、おっしゃられるように、三位一体の改革においては三兆円の税源移譲等、地方税財政改革の第一歩でございましたが、地方交付税の縮減が結果として急激であったというふうに思っておりまして、財政力の弱い地方団体を中心として厳しい財政運営を余儀なくされたことが原因ではないかなというふうに思います。

 このため、平成二十一年度においても別枠で地方交付税を一兆円増額したところでございまして、今後も地方財政の充実確保に取り組んでまいりたいと思っております。

重野委員 今、大臣の答弁にもありましたように、そういうことをやらなければならない、それほどに地方は疲弊しているということです。ですから、今後の地方財政対策の中で、そこから出発をして議論をし、地方にこたえる結論を出すべく頑張ってもらいたい、このことを申しておきます。

 次に、地方交付税の算定率について、鳩山前大臣は本会議で、「現在のような厳しい地方の財政状況であるならば、そろそろそのような法定の算定率について計算し直すというようなことも議論に乗っていいのではないか」、このように述べました。加えて当委員会においても、そういう延長線上に今から戦闘準備を整えておくと、なかなか前向きというか意気盛んな見解、認識を述べておられましたけれども、この点について大臣はいかがですか。

佐藤国務大臣 地方財政は、その巨額の財源不足が続いておりまして、地方交付税法に基づいて、地方行財政制度の改革または地方交付税の法定率の引き上げを行うことが必要な状況にあるというふうに思います。

 地方交付税の法定率の引き上げは、私は常に検討すべき課題であるというふうに思っておりまして、ただ、その一方、国も大量の国債を発行する厳しい財政状況にございます。地方交付税の法定率を直ちに引き上げることは現実的に大変困難であるために、景気回復を最優先しつつ、地方交付税の特別な加算等により財源不足を補てんしているところでございます。

 今後、経済状況を好転させることを前提に、消費税を含む税制抜本改革に取り組む際には、地方消費税の充実、そして地方交付税の法定率のあり方等々、地方財源の充実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

重野委員 今の答弁は、総務大臣の答弁としては私は極めて不十分と言わなければなりません。財務大臣の答弁ならいざ知らず、地方に責任を持たなければならない総務大臣としては、であるけれども、しかしという後の言葉がないと私は不満である、このように申しておきたいと思います。

 次に郵政について聞きますが、単刀直入に、鳩山前大臣が更迭をされた、このことについて佐藤大臣はどのような認識を持っておられるか。

 世論調査等々を見ましても、西川さんが社長を続けるべきであるということを思っている人は一八・五%、辞任すべきであるが六九%とか、鳩山更迭は評価するが二一・七%、評価しないが六五・九%。かんぽの宿売却について、問題ありが八〇・七%、問題なしが九・五%、これは読売新聞の世論調査ですけれども。一般にはそういう見方があるんですね。

 この問題について、大臣はどういう認識ですか。

佐藤国務大臣 そのような御意見をお持ちの国民の皆様が大勢いるということは、先生がおっしゃるように承知をしておりますが、日本郵政株式会社の社長の人事に対する認可権限は、私自身、非常に重いものであるというふうに認識をしておりまして、その行使に当たっては、先ほど来から申し上げておりますように、日本郵政株式会社からの最終的な報告を待って精査、検証を行い、事実を踏まえて、法律に基づいて、あるべき判断をしたいというふうに考えております。

重野委員 時間が来ましたから終わりますけれども、前大臣が郵政問題に対して強い関心を持っておられました。事あるごとに、瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さず、この言葉を盛んに使っておられましたけれども、私もそういう言葉には共感を感じております。そのことを佐藤大臣においてもしっかり受けとめていただいて、頑張ってほしい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興です。

 佐藤大臣とは、私、自民党におりましたころから一緒に仕事をしたり、友人として長くつき合っておりますので、個人的にお人柄等については十分に承知をしております。友人としておめでとうございますと言いたいところですけれども、あえてそういうことを言う気になりません。大変厳しい状況の中で重責を担われたということに対して、本当に御苦労さまでございますというように申し上げておきたいと思います。

 先ほど来、各委員から御指摘ありましたけれども、佐藤大臣、いろいろな仕事を兼務しておられる。国内の治安の責任者でもありますし、また防災担当大臣でもある。私もかつて国土庁長官をやりましたときに防災大臣を兼務しておりましたけれども、今梅雨に入っておりますけれども、こういう梅雨の時期などになりますと、いつ、どこで集中豪雨が起こるかわからない、大きな災害が起こらなければいいんだがなと、毎日毎日祈るような思いで仕事をしたことを思い出すわけでございます。

 こういう重責を幾つも担っておられる上に、さらに総務大臣というのは、これは旧自治省や総務庁そして郵政省所管の非常に幅広い分野を所管される大臣ですね。それを、しかも国民が注視をしている中であえて引き受けられるというからには、よくよくの自信と覚悟がおありだったと思うんです。そのことについて、まず伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたこと等々を踏まえてお答えをさせていただきたいと思いますが、決して私は自信を持ったりという気持ちはございません。自分の能力も自分なりにはわかっていると思います。

 そういう中で、この大臣をなぜ引き受けたのかと言われれば、やはりしっかりと郵政の民営化等々を国民の皆様方にわかっていただく、そして、民営化の方向づけをしっかりと見出すということが必要ではなかったかなというふうに思います。

 そこで、大変多岐にわたる大臣を本当にできるのかという御質問もあるわけでございますけれども、そこは、先ほど来申し上げておりますように、広く人材を活用し、そして副大臣、政務官の助けをいただきながらこの仕事を全うしていかなければいけないと思っておりますし、また、身を粉にしてそういう立場で頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 これ以上ちょっと申し上げることもございませんので、大変恐縮でございますけれども、頑張らせていただきたいというふうに思っております。

亀井(久)委員 今月の二十九日に郵政の株主総会が行われます。そこで政府として議決権を行使されるという立場にあるわけですけれども、官房長官と財務大臣と鳩山前総務大臣の間で調整の余地がなかった、そして、郵政会社と総務省との間に何か大きな混乱が生じているという印象を国民に与えてしまっている、そうしたことで鳩山総務大臣が辞任をされた。これは鳩山総務大臣の辞任ということになっておりますけれども、その後の鳩山前総務大臣の言われていることから考えても、これは明らかに罷免ということだったのかな、そのように私は受けとめているわけでございます。

 このことについて、いろいろな情報が私のところにも寄せられておりますけれども、麻生総理が物すごく迷いに迷った、その上でのことだったと思うんですね。ですから、佐藤総務大臣が指名をされたということは、麻生総理の特別の信頼があったというように受けとめられるわけですけれども、指名されるに当たって麻生総理からはどういう話があったんでしょうか。

佐藤国務大臣 総理からのお話は、急な話で申しわけないがしっかりと支えていただきたいということ等々と、今問題になっている郵政の問題についてしっかりとやってくれと。

 正式には、総務大臣及び内閣府特命大臣を兼務していただくということと、郵政株式会社社長の件については法律と事実に基づき対処していただきたいということと、地方分権改革についても進めていただきたいというお話がございました。

亀井(久)委員 鳩山前総務大臣が今までとってこられた行動というものは私ども評価をしておるわけで、そのことを国民も高く評価しているからこそ、その直後の内閣支持率の大幅な低下と、また、どうして鳩山さんを切ったのかということに対する批判も数字の上であらわれていると思います。

 内閣がかわりましても、行政の一体性、継続性というものは大事なことですね。特に自民党の内閣であれば当然のことですけれども、同じ内閣での総務大臣の交代ですから、私は、当然前大臣のやってこられたことの継続性というものにはやはり責任があると思うんですが、鳩山前総務大臣からは、郵政の問題についてはどういう引き継ぎをされておるんでしょうか。

佐藤国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、郵政の問題については改善命令が出ているわけでございまして、その改善命令に沿ってしっかりと検証、精査をした上でいろいろな結論を出すべきではないかというお話をいただいております。

亀井(久)委員 改善命令を出される前に、御承知のとおり、日本郵政の方からいわゆる十七箱の段ボール箱の資料を取り寄せて、それを精査した上で問題点を整理された。

 それに基づいて改善命令を出されているわけですけれども、その整理をされた論点、問題点の指摘というものを見ておりますと、私は、これは本当に法律に明らかに触れているとしか思えない、そういうような受けとめ方をするわけです。したがって、私どもは刑事告発なんということはしたくもないんですよ。だけれども、よくよくのことが感じられたから、あえてこれは刑事告発をしたということで、これをもう東京地検が正式に受理しているわけですから、それだけの重みを持って総務大臣としても受けとめられるべきだと思うんです。

 そういう改善命令を出さざるを得なかったという、その日本郵政のあり方について、総務大臣としてどう思われますか。

佐藤国務大臣 先ほど来からお話し申し上げておりますように、先生がおっしゃられるように、一年九カ月で五回の改善命令を出さなければいけなかったというのは、私はやはりその会社に異常な点があったというふうに言わざるを得ません。先生がおっしゃられるように、法に違反すること等々については、私も、逐一細かく今整理をさせていただいておりますが、まだ結論を出しておりませんけれども、自分なりに整理をさせていただいております。

 したがって、重大なことであるということは、私、認識をさせていただいておりますし、当然、そういうことに対して会社側もしっかりとした答えを持ってきていただけるものと信じておりますので、その答えについてしっかりと整理、精査をしたいと思っております。その上でいろいろな判断を下したいというふうに思っております。

亀井(久)委員 先ほど西川社長も、改善命令に対する報告をするときに、何らかの自分に対する処分というようなことも言外に含めて言われたわけで、何がしかのことはあるんだろうと思いますけれども、一方で続投の意思というものは表明されておられますから、おやめになるという選択肢はないだろう。

 その改善命令を踏まえてということですけれども、佐藤総務大臣は、西川社長の責任のとり方ということについて、おやめいただくという選択肢もその中には今あるんでしょうか。

佐藤国務大臣 現時点でそういう考えを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。申しわけありません。

亀井(久)委員 時間がありませんので先を急ぎます。

 高木さんにわざわざお越しをいただいておりますので、高木副社長にもお伺いしたいことは山ほどあるんですけれども、きょうは限られた時間ですので、指名委員会のことについて伺いたいと思います。

 指名委員会の議事録を出していただける、先ほどそういう御答弁がございましたけれども、指名委員会で西川さんの続投を認められたという、その再任の一つの基準というものは、どういうことが基準としてあるんでしょうか。

高木参考人 お答え申し上げます。

 取締役の候補者に選任する基準につきましては、欠格条項、選任してはいけないという基準が一つと、それからもう一つは、選任基準として、これは定款ですか、三条に書いてあるんですが、専門的知識を有すること、それから経営判断能力、経営執行能力にすぐれていること、指導力、決断力、先見性、企画力にすぐれていること、取締役にふさわしい人格及び識見を有すること、それから健康上の支障がないこと、この五点を規定いたしております。

亀井(久)委員 最終的に決められる、議決をされるというそのことは、どういうやり方なんですか。表決ですか。多数決ですか、全員一致ですか。

高木参考人 規定上、まず一人一人について議決をしてまいります。それで、その当事者は議決権を持ちませんので、それを除いた、例えば、五人ですから、私の場合ですと私を除いた四人ですね、その過半数の方が出席して、それで過半数の議決で決めるという規定になっていたと思います。

亀井(久)委員 ちょっと確認しますが、高木副社長は退席をされたんですか、そのときは。

高木参考人 ほかの四人の委員のときは退席をしておりません。

 ただ、西川社長につきましては、いろいろな議論があったものですから、御本人に退席いただいて議論したということでございます。

亀井(久)委員 まだ伺いたいんですが、もう時間がありませんので、最後に委員長に申し上げておきたいと思います。

 郵政民営化が果たして国民にとってよかったのか悪かったのか、郵政民営化そのもの、またいわゆる構造改革路線というもの、それを総括することはどうしてもやっておかなくてはいけないことだと思っております。

 今度のかんぽの宿の売却のことにしても、その根拠になっておりますのは、日本郵政会社法の附則に五年以内に売却をするということが入っている、それを根拠にされているわけですけれども、それは、当時の準備室の責任のある人から私直接確認をいたしましたけれども、明らかに当時の竹中担当大臣の指示でその附則を入れたということを確認しているわけです。そこから始まっているということですから、鳩山前総務大臣の、これはできレースと言われても仕方がないという発言が出てきていることかと思うんです。

 したがって、あの当時、竹中五原則ということを強調されたけれども、いいことばかり言われて、現実に今の状況を見ておりますと、竹中五原則はすべて私はうまくそのとおりにいっていないというように思いますので、ここはどうしても竹中平蔵さんに本委員会にお出かけをいただいて、直接私どもと議論をしないと、何事もその結論が出ないだろうと思うんです。

 竹中さんは、そんな急に言われたって自分は忙しいんだから出られませんよと言われるでしょうけれども、テレビの番組にはどんどん出ておられるし、自民党の会議とか自民党の議員の集会なんかに出ておられるわけですから、委員長、ここは竹中さんの都合をある程度確認して、その上でとにかく確実に出ていただけるということを、理事会で御協議の上、お諮りいただきたいと思います。

赤松委員長 今、亀井委員お申し出の件につきましては、かねて理事会でも議論の対象になったことでありますので、今の御趣旨を踏まえて理事会で協議をいたします。

亀井(久)委員 終わります。

赤松委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十四分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、法務省大臣官房審議官高宅茂君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、厚生労働省大臣官房審議官伊岐典子君及び大臣官房審議官榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 佐藤総務大臣には、午前中の委員会質疑、そして引き続きの質疑ということで、本当にお疲れさまです。それでは、通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 大臣、ここに私の地元の一関市の広報がございます。五月号であります。韓国、中国、ブラジル、タイの方々への日本語教室の様子が表紙を飾っております。それで、「外国人でも日本人でも相手を尊重し違いを認めること それが多文化共生の時代に必要」という形で大きく広報の一面を飾っておるわけであります。ちょっと中身を見ますと、「病気になった時どうすればいいか、医師への説明、診察申込書の書き方などの表現」、あるいはまた、「一一〇番、一一九番への連絡方法。」まあ、生活に密着したそういう情報が本当に必要なんだなということをつくづく感じるわけであります。こういうふうに多文化共生の時代は今現実にありまして、これはどんどん広がっていくと思っておるわけなのであります。

 そこで、外国人も地域社会の一員であるという多文化共生の考え方が浸透しつつある中において、大臣はこの共生の考え方についてどんな認識を持っているか、お尋ねいたします。

佐藤国務大臣 地方に暮らす外国人は、近年、大変急増しております。また、十七組に一組ということで、いわゆる国際結婚といった状況にございます。

 このような中で、外国人の住民も日本人同様ともに地域社会を支える主体と考えておりまして、おっしゃられます多文化共生の地域づくりを図ることが大変重要だというふうに思います。このことは地域の活力を維持する上でも極めて大事な観点であると考えます。

 このため、総務省としても、地方交付税措置などの対策を行ってきておりますが、今後とも、先生のおっしゃられる多文化共生の推進のため、できる限りの支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

黄川田委員 前の鳩山大臣は、ともに生きる社会といいますか、友愛の精神でつくりたいということできずなを大事にするということでありますけれども、新しい大臣は、座右の銘といいますか、前大臣は友愛という言葉を言われましたけれども、何かあったらお知らせください。

佐藤国務大臣 なかなか鳩山大臣の域までは達しませんので、座右の銘と言われましてもすぐ出てまいりませんが、日本の文化というのはどこに暮らしても隣組というのが大事でありまして、やはり自分では何もできないわけでありますから、その方が外国人であろうとも仲よく共生をしていくということが大事だろうというふうに思います。

 特に、私は、外国人であるがゆえに大事にすべきではないかなという思いの中で進めていきたいというふうに思っております。

黄川田委員 外国人住民に対する行政サービスは質、量ともどんどんふえていくわけでありまして、先ほど大臣がお話しのとおり、総務省の方でも、たしか多文化共生の推進に関する研究会を立ち上げたりしてさまざま勉強されておるということだと思うのであります。

 この外国人に対する施策でありますけれども、これをどのような方針で展開するのか、より具体的にお話をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 定住外国人施策の総合調整には、ことしの一月、内閣府に定住外国人施策推進室が設置をされまして、教育、雇用などさまざまな施策の取りまとめを行っているところというふうに伺っております。

 総務省としては、従来から、外国人の住民も日本人とともに地域社会を支える主体と考えておりまして、地方自治体に対し多文化共生の地域づくりに関して助言や支援をしてきたところでありますが、今後は、内閣府とも十分連携をしながら、外国人に係る施策を展開してまいる所存でございます。

 引き続き、国籍、民族などの異なる方々が地域社会の構成員としてともに生きていけるようにすることを目指し、地方自治体の支援を図ってまいりたいというふうに思います。

 当然、外国人は生まれも育ちも全く違う文化の中でいらっしゃるわけでありますから、我々が変に思うこと等々もわからないでやっているところもありますから、やはり親身に話し合いを持つようなコミュニケーションを図っていくことが大切だろうというふうに思いますし、そういう面で何らかの措置ができればしっかりと支えていくという方向づけを示していきたいというふうに思っております。

黄川田委員 外国人施策も、ややもすると省庁縦割りということで、何かそれぞれやっているんじゃないのというふうに思われがちでありますが、このたびの大臣は八つぐらい大臣がやらなきゃいけない部分を担当しているということもありますので、縦軸だけじゃなくて横軸をしっかりと構築していただきたいと思っております。

 そこで、法案に入りますけれども、この住基法の改正でありますが、これは法務省の入管法とリンクされた形での改正だと思っております。切り口、見方がどこにあるかで考え方が大きく変わってくるんじゃないかと思っております。

 例えば、外国人を管理するための法律をしっかりとつくるんだという見方、それから、今大臣が、隣近所、みんなで生きていくのは大事だよ、日本人、外国人、そういう区別はないんだよと。やはり国際社会に開けた日本としてそういうものに果敢に取り組んでいこうということでありますので、先ほど言ったように、この法律の制度設計を外国人の管理という形から見るのか、あるいはまた多文化、多民族共生の社会をつくっていくというところから見るのか、大臣の立ち位置はどこにあるのでしょうか。どちらにあるのでしょうか。

佐藤国務大臣 私は、先ほど先生がおっしゃられるような観点で、やはり多文化共生という形で考えるべきではないかなというふうに思います。

黄川田委員 現行の外国人登録は九十日以上在留する外国人が対象ということでありまして、在留資格の有無を問うてはおらないわけであります。それで、外国人登録制度には現在二百十五万人が登録されておりますけれども、この中には一・八万人の在留資格を有しない者も登録されております。現行法では、この人たちは住民基本台帳に移行する際に対象にならないと思われる方もあるわけですね、在留資格のカテゴリーでもって入管法と住基法をリンクさせようということでありますので。

 そこで、住基の対象者を三十条の四十五のように限定した理由を改めてお尋ねいたします。

久元政府参考人 今回の改正案におきまして、住民基本台帳制度の対象者を第三十条の四十五で規定しておりますが、その考え方につきましてお答えをさせていただきたいと思います。

 住民基本台帳制度は、市町村長が、住民の居住関係の公証、これは居住関係を公に証明するという行為でありますが、そういう住民の居住関係の公証など住民に関する事務の処理の基礎となるものであります。そして、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳を作成する制度であります。

 こうした住民基本台帳制度の趣旨から申しますと、今回の改正法案では、観光目的で入国した短期滞在者を除く、適法に三カ月を超えて我が国に在留する外国人を対象とすることが適切であると考え、今回の改正案を立案させていただいたところでございます。

黄川田委員 在留資格を持つ適法の方々をそれぞれ台帳に登載ということであります。

 公共サービス、行政サービスについてちょっとお尋ねいたします。

 各制度でサービスの対象範囲を定めていると思っておりますけれども、そもそもこのサービスの中には、人道的見地に立って在留資格の有無にかかわらず提供されるものがあると思っております。在留資格がなくても対象となる行政サービス、在留資格がある場合に対象になる行政サービス、これはどのようなものがあるか、具体的にお答えいただきたいと思います。

久元政府参考人 外国人の方に提供される行政サービスの対象範囲は、それぞれの制度、法令によって定められております。例えば義務教育や助産施設における助産、結核予防のための健康診断などにつきましては、在留資格がない者でもその対象とされているというふうに承知をしております。

 一方、国民健康保険や国民年金、生活保護などにつきましては、在留資格を有する者のみがその対象とされているというふうに承知をしております。

黄川田委員 重ねて伺いますけれども、それらのサービスは住基法の改正に伴っても今までどおり受けられるということでよろしいでしょうか。

久元政府参考人 今回のこの住民基本台帳法の改正によりまして、これまで提供されてまいりました行政サービスの対象範囲が変更されることはないというふうに考えております。

黄川田委員 そこで、外国人登録のようにこれまで登録されていた方々が、今度は登録されない方々が出てくる。例えばホームステイなどの非正規滞在者や難民申請中の仮放免許可者などが除外されていくんだと思っております。一方、行政サービス、公共サービスは縮減されることはありませんという答弁でありますけれども、現行法から外れる方々は、これから行政に見えない存在といいますか、台帳記録管理の部分から外れてくるわけでありますよね。こういう方々の情報は今後どのように処理されていくのでありますか。外れたままになるんですか。あるいはまた、外れた方々のさまざまな情報というのはこれからどう把握していくんでしょうか。

久元政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の住基法の改正案によりまして、行政サービスの対象範囲が変更されることはないわけであります。

 外国人登録制度が廃止されることによりまして、そのことによって対象範囲は縮減されることがないわけでありますけれども、こういうサービスが具体的に提供されるためには、それぞれの地方自治体においてそういうサービスが提供されるための対応というものが必要になってくるわけでありまして、私どもといたしましては、関係省庁と十分連携をいたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。

黄川田委員 外国人登録は法定受託事務、それが住基に入ることによって自治事務だ、さまざまなサービスは自治体がおのおの提供するんだと。そういう中で問題がもしあるというのであれば、各省庁と連絡して指導するという答弁なんでしょう。

 大臣、一関市というところを覚えておりませんか、岩手県一関市。去年六月十四日に岩手・宮城内陸地震ということで大変な被害をこうむったところであります。

 大臣は防災大臣も兼ねて、どっちが兼ねているんだろうな、総務大臣が兼ねているのか、防災に関連して、自治体の中でだれがどこに住んでいるということは最も大事な情報なのであります。災害のときに外国人と日本人を区別して災害復旧、災害救助、いろいろなことをするわけはないし、むしろ平等に扱うという大臣の今までの答弁でありますので、そういう大事な部分が消えていくわけですよ。

 例えば日が照っていると、立っていると影が出ますよね。存在するんだけれども、影が見えない。影の部分というのは、例えば台帳に記録されておるとか、どこかにその人たちの捕捉される部分があるということなのでありますけれども、あるいはまた伝染病であるとか、さまざま非正規滞在者の方々もある意味地域社会の一員ということでありますので、片方で自治体に適当に、適当にという言い方はちょっと言い過ぎかもしれませんが、それぞれの職務でそれぞれの方々を見つけ出して何とか管理しなさいというふうな、何かほうり出されたような意味合いであれば、最初の基本的な理念といいますか、多文化共生社会をつくり上げていくんだぞというそのものが逆にまた見えなくなるわけなんですよね。

 その辺の認識といいますか、ただ単に自治体にお任せでいいんですかと。先ほど言ったように、災害なんかのときには人がどこに住んでいるかというところが一番大事なところでありますので、その方向性といいますか、ただ単に自治体の自治事務だということじゃないところがあるんじゃないですかという意味合いのもとで、大臣の言葉で……(佐藤国務大臣「局長、答えて」と呼ぶ)いやいや、大臣が先ほど……(佐藤国務大臣「答えますが、先に局長に答えさせてください」と呼ぶ)そうですか。

久元政府参考人 実務的な観点から、まず私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、住民基本台帳制度はそれぞれの市町村における行政サービスの基礎となるものであります。同時に、市町村は、例えば災害弱者あるいはひとり暮らしのお年寄りの方、いろいろな観点から住民の居住の実態を把握する必要があるわけでありまして、それぞれの観点から別途そういう記録の整理がなされていることが多いのではないかと思います。

 私どもは、そういうような自治体の取り組みは大変重要であると考えておりますので、これはそれぞれの省庁にまたがる部分があろうかと思いますが、総務省も自治体との関係がいろいろと深い役所でありますから、この法律の改正を契機といたしまして、必要な助言等は今後ともより適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

佐藤国務大臣 今局長が申し上げましたように、やはり災害が起きたときに受けるサービス、サービスといいますか救助等々の問題は大変大事なことだろうというふうに思います。

 そういう観点で、日本の社会というのは自治会があって、自治会長さんがいてという社会ができ上がっておりますから、どこにだれがいるか、少なくとも私の田舎なんかではちゃんとわかっておりますし、あそこに外国人の方がいらっしゃるというのも大体把握をしているわけでありますから、今局長が言われたようなこと等々も含めて、そういう情報を的確に市町村が把握できるようなシステムというのはこれから考えていかなければいけないというふうに思っております。

黄川田委員 新しい改正住基は、カテゴリーをつくって、それ以外は除外という形なので、除外された方も現実に地域住民として住んでいるということでありますので、さまざま今答弁いただきましたが、その部分は具体的な形になるように鋭意やっていただきたいし、それからまた、基本的な情報の部分ではやはり総務省との連携も大事だと思っておりますので、基礎的部分は総務省から来るんでしょうから、その部分も十分やりとりをしていただきたいと思っております。

 時間がありませんので、実は、改正住基法によりましてこれまで紙台帳であった外国人登録の部分がコンピューター化されるということで、さまざま経費がかかるわけであります。例えば、施行まで三年ぐらいあるんですか、仮住民票を作成するであるとか、何といっても住基のネットワークシステムあるいはまた住民記録システムの改修が必要だと思います。

 そこで、これまでの現行の外国人登録事務については法定受託事務でありましたので財政支援があったと思うんですが、これはどのような仕組みで、どのぐらいの金額の財政支援があるのでしょうか。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 現行の外国人登録事務は法定受託事務でございまして、市区町村で事務が行われておりますが、その財政措置につきましては、地方財政法の規定に基づきまして、その事務に係る経費のすべてを外国人登録事務委託費として毎年法務省が市区町村に交付しております。

 その金額は、平成二十一年度の委託費で約五十一億四千万円でございます。

黄川田委員 今お話しのとおり、法定受託事務ということで地方財政法で担保しているわけでありますが、今回の改正に伴って外国人登録に要する事務が地財法から除かれるわけですよね。なおかつ、新しい住民基本台帳に外国人登録がされる、しかしながら、入管法に法定受託事務も残るということだと思っておるのでありますけれども、地財法から取り除く、でも法定受託事務が残るということの中で、その件の財政支援というのはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。

高宅政府参考人 今回の入管法の改正で、市区町村から外国人の住居地情報を法務大臣に通知していただくといったような市区町村が行う法定受託事務が残りますが、これにつきましては、現行の外国人登録事務と同様に、市区町村の財政負担が生じないよう、その財政措置について関係省庁と協議を進めていく所存でございます。

黄川田委員 関係省庁の総務省はどう考えているんですか。しっかりと対応できるんでしょうか。財政支援をお尋ねいたします。

久元政府参考人 財政措置につきましては直接の私の担当ではございませんけれども、外国人登録制度の変更に伴って、地方公共団体にとってはこれは必要な事務でありますので、財政局においてしっかりと対応するように、私ども、関係する制度を持っておりますので、必要な協議をさせていただきたいというふうに存じます。

黄川田委員 次に、戸籍の付票であります。

 たしか現在は紙レベルで市町村がお互いに通知をし合っていると思っておるのでありますけれども、今般住基ネットに入れるということでありますが、戸籍の付票の通知はなぜ当初から住基ネットに入っていなかったんでしょうか。

久元政府参考人 住基ネットの稼働に当たりましては、大変多くの課題がございまして、さまざまな議論がございました。そういう中で、戸籍の制度は法務省の所管でありまして、戸籍の付票はいわば戸籍と住民票との間をつなぐ書類でございます。そういうことから、当時、住基ネットの対象とするかどうかについては、必ずしも十分議論が行われないままに住基ネットがスタートしたというふうに承知をしております。

 現在はこれは郵送によって行っているわけでありますけれども、行政の合理化の見地からは、住基ネットにより転出地市町村に送信する転入通知と同様に、住基ネットを利用した通知ができるようにという要望が多数の市町村から寄せられてきたわけであります。

 今回の外国人住民に係る制度改正にあわせまして、住基ネットのシステム改修が必要となるわけでありますが、これとあわせて戸籍の付票につきましても住基ネットの対象とすることがシステムの改修上効率的であるというふうに考えて、今回こういう改正をお願いしているということでございます。

黄川田委員 市町村の実務担当者からすれば、ネットで行き来すればずっと事務の効率化にはなると思うのでありますが、先ほど戸籍は法務省ということでありまして、この記載事項には、本籍情報というんですか、身分関係とかさまざまなものが含まれておりますので、高度なセキュリティー対策といいますか、そういうものも必要じゃないかと思うのでありますけれども、その辺のセキュリティー対策はどうなっておるんでしょうか。

久元政府参考人 住基ネットのセキュリティー対策についてお答えを申し上げます。

 住基ネットの保有情報につきましては、専用回線を利用した上で、指定情報処理機関が管理するファイアウオールにより厳重に通信を制御するほか、通信相手となるコンピューターとの相互認証の上、データを暗号化し、独自のアプリケーションで通信するなど、制度上、システム上、さまざまな保護措置を設けております。さらに、守秘義務について通常よりも重い罰則を科すことにより、多角的にセキュリティーの確保を図っているところであります。

 総務省といたしましては、今回の改正を契機にいたしまして、さらに住基ネットの安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

黄川田委員 総務省お話しのとおり、本籍情報などが入っていますので、これがネットを行き来するということでありますので、しっかりとしたセキュリティーが大事だと思っております。

 では、最後であります。

 住基ネットの関係で、未接続団体は今二団体ですか、東京都の国立市と福島県の矢祭町ですか、これについてはそれぞれ知事から是正勧告、是正の要求というような形で出ておるようでありますけれども、このネットワークシステムの接続を拒否し続けている自治体に対して、この違法状態を是正するため、地方自治法の改正などの検討を始めたとの報道が一カ月ぐらい前にあったような気がしておりますけれども、この報道は事実なのか。事実であれば、俎上に上がっている改正項目、あるいはまた今後の検討についてお尋ねいたします。

久元政府参考人 現在、国立市と福島県矢祭町が住基ネットに接続しておりません。この不接続の状態が違法であるということは、最高裁判例に照らしても明らかであると考えております。

 また、この二自治体の住民の方について見ますと、年金の受給に当たって現況届の提出を余儀なくされておりますし、いわゆる五千万件を超える未統合の年金記録、これらは住基ネットによって相当解明が進んできておりますが、そういう解明の道も閉ざされているということから考えますと、これ以上放置できない事態であると考えております。

 このため、去る二月、地方自治法に基づきまして、まず、総務大臣から東京都知事に対し指示を行い、東京都知事から国立市長に対し是正の要求を行ったところであります。

 この是正の要求に対しまして、国立市長は地方自治法の規定に基づいて第三者機関に不服申し立てができるわけでありますが、国立市長はこれを行わず、かつ、住基ネットにも接続しないという違法状態が続いております。

 いわゆる地方分権一括法によって導入されました国、地方間の係争処理手続は、こういう地方自治体の違法状態が国と地方の間の法律解釈の違いから生ずるということに着目いたしまして、第三者機関を設置してその判断を仰ぎ、最終的には司法的判断によってこれを解消するという制度をとっております。裁判所の判断に国も地方も従うという制度になっております。

 こういう係争処理手続に地方自治体が背を向けるという事態は、現行の地方自治制度上想定されていないわけでありまして、こういう事態を解消することが課題になっていると考えているところであります。具体的な改正項目や作業方法等につきましては、検討スケジュールを含め、大臣の御指示を仰いだ上で検討していきたいと考えております。

黄川田委員 総務省お話しのとおり、年金の現況調査ですか、さまざま利便性が高いということでありますけれども、地方分権が進む中で国から自治体に向けてさまざまな、強制的にとは言いませんけれども、法的には違法だということは出ていますけれども、一歩間違えば国からの関与みたいな話になりますので、今担当官は大臣の方針に基づいてというお話をされましたので、最後の最後になります、大臣はどういうふうにこれをお考えですか。どのように取り組まれますか。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨を十分踏まえた上で、住民に対し法律や条例の遵守を求めるべき立場にある地方自治体の首長が、みずから法律を守らないということは、法治国家にあるまじき残念な事態であるということだと思います。

 今後、地方分権を進める上で重大な支障となるため、私といたしましては、このような事態に対処するため法的な手段が必要と考えておりますが、この問題は、国、地方の関係の基本にかかわる、先生もおっしゃるような課題でありますので、御指摘のとおり、地方側の意見をお伺いするとともに、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

黄川田委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 住民基本台帳法について質問いたします。

 最初に、リンクしています入管法に関して法務省に伺います。

 住民基本台帳法の三十条の五十「外国人住民に係る住民票の記載の修正等のための法務大臣からの通知」と対になっている入管法改正案の六十一条の八の二「住民票の記載等に係る通知」の部分についてお尋ねします。

 入管法では、政令で定められた一定範囲の住民票情報について、地方自治体に対し、国へ通知することを義務づけております。そこで法務省に伺いますが、地方自治体が国に対して通知をしなければならない住民票情報とは何を指しているのか、お答えください。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の住民基本台帳法第三十条の五十と改正入管法六十一条の八の二の規定は対になっておるわけでございますが、六十一条の八の二の規定と申しますのは、法務大臣が外国人から届け出のあった氏名等の変更情報などを市区町村に通知するに当たりまして、その通知を行うべき外国人の範囲、あるいは通知先の市区町村を正確に把握するためというものでございます。

 具体的には、改正入管法のこの規定に基づく政令で定めることになりますが、例えば、外国人住民が出生、死亡したことにより外国人住民票を記載または消除した場合にはその旨の情報を、あるいは行政区画の変更などがあった場合には変更後の住所情報をそれぞれ市区町村から法務大臣に通知してもらうというようなことを考えております。

塩川委員 外国人の出生や死亡の事実、この変更や、住所の変更あるいは行政区画の変更の場合などに通知をするということですけれども、住民票の記載には、住所にとどまらず、世帯情報や国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、年金、児童手当など、さまざまな情報が含まれているわけです。

 世帯情報を初めとして、住民票に記載されている社会保険加入状況や福祉施策の受給状況に関する住民票記載情報というのは、これは将来にわたって国に通知しない、将来にわたって国に通知するものではないということですか。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 市区町村から法務大臣へ提供される情報というのは、あくまで、法務大臣が外国人から届け出のあった氏名などの変更情報を市区町村に通知するに当たって、その通知を行う範囲あるいは通知先を正確に把握するために必要なものに限定するという方針でございまして、外国人に係る住民基本台帳制度上の例えば世帯情報などに変更があったとしても、その情報をこの規定により市区町村から法務大臣に通知していただくということはありません。

塩川委員 政令事項ですから聞いているわけですけれども、要するに、今現在定まっているわけじゃないわけですから、その点で、将来にわたってやらないという担保はあるのかということなんです。

高宅政府参考人 目的から限定されますので、その目的に反するような政令を定めることは考えておりませんので、当然、世帯情報等を通知していただくことが必要になるということはございません。

塩川委員 必要なものに限定してということに当然なるというお話ですけれども、であれば、それは法文上で書いてもらえばいいわけですよ。政令事項じゃなくて法文上にきちんと、今言った、法務省から市町村に通知をする、それに関連するような情報についての変更情報を提供してもらうというのであれば、はっきり法文上に書けばいいんですけれども、何で書かないんですか。

高宅政府参考人 この六十一条の八の二で、市区町村が法務大臣に通知すべき外国人住民に係る住民票の記載、消除または記載の修正の事由については政令で定めるというふうにしておりますが、これは、現行の住民基本台帳制度において、住民票の記載、消除あるいは記載の修正の事由というものが政令で定められております。住民基本台帳法の施行令で定めております。そういう関係から、法制上の、いわば技術的な理由からこうなったものでございます。

塩川委員 住民票の情報というのが国に対して提供されるわけですから、その範囲はやはり限定をされることが必要なわけで、その点でも、法文上にはっきり明記する必要があるんだと考えます。

 住基法の改正案の三十条の五十では法務大臣から市区町村へ通知する情報というのは具体的に記載をされているわけですから、それに対応するような形で、市区町村から国に対する情報についてもきちっと法文上で明記をするということが必要なんじゃないですか。

高宅政府参考人 この点につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございますが、現行の住民基本台帳制度が政令に住民票の記載、消除、記載の修正といった事由を委任しておりますので、その関係でこのような規定になったという制度上の問題というふうに御理解いただきたいと思います。決して、必要のないものをとるということは考えてございません。

塩川委員 ですから、必要のないものという、その必要のないという判断が法務省、国ということですから、法文上で明記されなければ国の判断でその範囲が変わるということであるので、その点について、やはり法文上で明記をすべきだということを申し上げているわけです。政令事項のままでは、国の都合次第で住民票記載情報の通知範囲が無限定に広がりかねないという懸念が生まれるわけです。

 住民基本台帳法では、国が氏名や住所、生年月日の情報写しを閲覧しようと思えば、例えば十一条で、事由などを明らかにするなどの請求手続をした上で行うことになりますし、また十二条の二などでは、戸籍の表示についても交付の請求をして初めて得られる情報となっているわけです。国が情報を取得する場合には当然個別の手続が必要とされるわけですが、今回の入管法の改正の場合では、外国人住民については、このような手続さえ国が行わずに自動的に情報収集する仕組みになっている。これは外国人住民だけ情報提供する仕組みを新たにつくるものになる、こういう点が問題になってくるわけです。

 そこで、佐藤大臣に伺いますけれども、こういう自動的に外国人住民の情報を国に提供するような仕組みをつくる、これはやはり住民基本台帳法の個人情報保護にもかかわる手続に穴をあけるものになるんじゃありませんか。

佐藤国務大臣 住民基本台帳に係る事務処理に当たっては、市町村長に対して住民票に記載されている事項の漏えい防止などの措置を義務づけるとともに、事務に従事している職員等に対して守秘義務を課しております。

 また、平成十八年、十九年の住基法改正によりまして、何人も住民基本台帳の閲覧、住民票の写し等の交付を請求できるという制度を見直しまして、相当の理由がある場合に限定するなど、個人情報に十分配慮した制度として再構築をしたところでございます。

 さらに、すべての市町村においても個人情報保護条例が制定されておりまして、これらに基づきまして、住民基本台帳に限らず、市町村の保有する個人情報の保護が担保されているというふうに思います。

塩川委員 今回の入管法が、前提として所属機関からの情報収集の強化を含めて外国人の管理強化を強めるものという枠組みになっているのは重大で、これとリンクした形で住民基本台帳法の改正が行われている。そういう点でも、外国人の管理強化に市町村を組み込むような仕組みになっているという点が重大だと申し上げているわけです。住民基本台帳の個人情報保護のルールを逸脱するような内容を含んでいるものであり、国による外国人情報の収集や一元管理はやめるべきだということを申し上げておくものです。

 続けて、外国人住民への行政サービスの基準の問題ですけれども、厚生労働省に伺いますが、住民基本台帳法の改正に伴って、市町村が外国人についても住民として正確な情報を把握して、住民に関する各種行政サービスの適切な提供に利用される基盤を整備するとされております。

 そこで、国民健康保険についてお聞きしますけれども、外国人についての現行制度の適用基準はどのようになっているでしょうか。

榮畑政府参考人 国民健康保険は市区町村の区域内に住所がある方を対象としておるところでございまして、現在、外国人につきましては、外国人登録があること、それから入管法に定める在留資格があり、一年以上の在留期間が決定されていること、これには一年以上日本に滞在すると考えられるケースも入ってございますが、これを双方ともにクリアする人を被保険者としておるところでございます。これは、住民基本台帳法における基準を踏まえ、一年未満の短期滞在者などについては我が国に生活の本拠を有するとは考えられないということによるところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 一年未満については生活の本拠を有するとはとれないというお話でした。

 改正案では、ここで外国人住民として規定をされます中長期の在留資格の方という点で変わるわけですけれども、そういう意味でいいますと、この一年という基準は妥当性を欠くと思うんですが、この点、住民基本台帳法が改正をされた場合にどのような対応をされるのかについてお聞かせください。

榮畑政府参考人 今回の住民基本台帳法の改正案におきましては、住民として各種行政サービスの対象となり得る外国人を住民基本台帳の対象とするとの考え方から、在留期間六カ月以上の外国人住民の方を住民基本台帳に記録することとしたものと承知しております。

 厚生労働省といたしましては、住民基本台帳に記録される外国人につきましては国保の適用になるものと考えておりまして、住基法の改正案が成立し、それが施行されるときに合わせまして、国民健康保険につきましても所要の法令上の整備を行おうというふうに考えております。

塩川委員 最後に大臣に伺いますが、このように、外国人住民の方、新たに規定をされた場合に、現行の各種の行政サービスについても見直しが求められてくるわけです。そういったことについて、厚生労働省を初めとして、あるいは文科省など関係府省と連携をとり合って、各種行政サービスに係る基準や条件の見直しということは当然求められてくるわけです。

 総務省として、その点について何らかの基準といいますか方向性といいますか、そういうことも示す必要があると考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられる趣旨を理解した上で、各省庁とよく相談をさせていただきながら、そごのないように対応してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 住民基本台帳法において、やはり外国人住民の方が、一定範囲の方が対象から排除されるという仕組みが入管法とのリンクの中でも生まれてくるわけです。そういう点でも、私たちは、一律に排除するような仕組みというのは改めるべきだということを申し上げたいと思っておりますし、住基法と入管法がリンクしたような形での今回の法改正というのは枠組みとして問題があるというふうに考えております。

 そういう意味でも、外国人住民として規定をすること自身は積極面はありながらも、入管法の管理強化の側面と一体となっている、こういう仕組みはやはり見直すべきだということについて、改めて大臣のお考えをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

佐藤国務大臣 今御指摘をいただいた点も踏まえて、協議をしてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 終わります。

赤松委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、私はいつも法務委員会におりまして、この一月余り、入管法の審議をやっているわけですけれども、大変重要な点だと思いますが、今回の両法案の改正案によって、外国人の住民サービス、今ほど総務省からはその住民サービスは変わらない、こういう答弁がございましたけれども、ここの点についてちょっと確認をしていきたいというふうに思います。

 今回の改正案をそのまま読むと、外国人住民票の制度で、いわゆる難民申請者あるいは非正規滞在者が、生活実態はあるが住民基本台帳に登載されないということにもなってくるのではないか、とすれば、外国人登録制度からは大きな後退になるのではないかということを感じてきました。

 この点は変わらないという先ほどの話だったんですが、外登法上は、在留資格の有無を問わないで、九十日以上の在留外国人に対して地方自治法の住民として扱ってきたということですが、この概念、位置づけは今回外登法が廃止されても変わらないのかどうかという点をまず総務省に伺います。

久元政府参考人 今回の改正の契機は、法務省において在留管理制度を見直すという見地から入管法の改正を検討され、また、その一環として外国人登録制度が廃止されるということが前提になっております。

 これまでは、外国人登録制度は、これは在留管理を目的とする制度でありますが、現実には市町村がみずからの行政サービスを提供する際の基礎に活用されてきたわけです。

 そこで、この外国人登録制度が廃止されることに伴って、外国人の方の住所地情報をどういうふうに考えるかということについて総務省として検討をして、結果的には、住民基本台帳の対象とする、住民票を作成することが適当なのではないかということで今回の改正案を用意したわけでありまして、その範囲としては、適法に我が国に在留する外国人の方を対象にすることが住民基本台帳制度の趣旨からいって適当である、こういう基本的な考え方のもとに、改正案を用意させていただいたところでございます。

保坂委員 今の答弁ですと、それでは、外国人登録法上、従前は在留資格の有無を問わずに住民サービスを提供してきた、今回からは変わるということですか。つまり、今のお話だと、適法にという前提がつくので、そこは在留資格の有無で振り分けていく、こういうことですか。

久元政府参考人 住民基本台帳制度は、居住関係の公証をするということ、そして市町村が住民サービスの基礎とするということを目的としておりますが、それぞれの行政サービスの対象は、先ほども国民健康保険について厚生労働省からお答えがありましたように、それぞれの法令、制度によって決められるわけであります。

 今回の改正案は、そういうこれまで不法滞在者の方を含めて提供されてきた行政サービスの範囲を変更するものではないということは、先ほどから御答弁を申し上げているとおりでございます。

保坂委員 では、法務省の方に聞きます。

 例えば、仮放免をされて九十日以上在留する外国人が住民サービスを受けたいということで、その際何らかの在留資格が必要となる。法務省では、具体的にどのような措置をどのように凝らしていこうとしているのかという点についてお答えいただけるでしょうか。総務省としては外国人に対する住民サービスの提供というその基本線は変わらないんだということをこれまで聞いてきましたけれども、その点、かみ合っているのかどうか。

高宅政府参考人 仮放免の段階というのは手続中の段階でございまして、この時点では不法滞在者の方が仮放免になっても在留資格を有するということにはなりませんので、この段階では一応不法滞在者という形が継続されるわけでございます。その場合には、本人の身分事項につきましては、一応仮放免の許可証のようなものを交付しておりますので、それである程度確認ができるかと思います。ただ、いずれにしましても、早急な手続によってこの未確定の状態を確定するということが必要かと思います。

 ちょっと状況の御説明をしますと、今回の入管法の改正案、在留管理制度関係は三年を超えない範囲で政令で定める日からの施行となっておりますが、平成二十一年一月一日現在で不法残留者数は約十一万三千人おります。改正法施行までの間にもちろんこの減少に努めてまいりたいと思いますが、その中で、退去強制すべき者はもちろん退去強制いたしますが、在留特別許可を認めるべき者、これについては認めていくという方向を考えております。特に、登録をしている不法滞在者を減少させることが急務だと考えております。

 それから、在留特別許可につきましては、これまでも個々の事案ごとに総合的判断ということでございますが、これについても、透明性を確保するという観点から、現在、既に事例等を公表、あるいはガイドラインをつくっておりますが、これもいま一度吟味していきたいと思っております。

保坂委員 それでは、総務大臣に、ちょっとこの点は大事なので確認したいんですけれども、これまでのいわゆる外登法が廃止をされた。これまでは在留資格の有無を問わずに住民サービスは提供してきた。今回、入管法と住基台帳とクロスするわけですけれども、基本的に外国人住民に対するサービスの提供という点の基本線は変わらないのかどうか。

佐藤国務大臣 私どもとしては、先生がおっしゃられるように、変えるつもりはないという気持ちでおります。

保坂委員 文部科学省に伺います。

 平成十八年の初中局長通知「外国人児童生徒教育の充実について」というところで、就学手続の居住地確認方法などについて、この際、外国人登録証明書による確認に限らず、居住地の確認に関して、一定の信頼が得られると判断できる書類によって確認するなど、幅広く柔軟にやろう、こう通知をされていますが、文科省、この線は変わらないんでしょうか。

前川政府参考人 我が国に滞在する外国人が、その保護する子の公立義務教育諸学校への入学を希望する場合におきましては、すべての子供の教育を受ける権利の保障を求めております国際人権規約、児童の権利条約等の規定に基づきまして、在留資格のいかんを問わず、無償での受け入れを行っているところでございます。

 今回の住民基本台帳法の改正が行われた場合におきましても、台帳への記載の有無にかかわらず、希望があれば公立の小中学校等に受け入れるという取り扱いに変わりはございません。

 また、先生御指摘の平成十八年の初等中等教育局長通知につきましても、その方針について変更するつもりはございません。

保坂委員 次に、厚生労働省に伺いたいんですが、我が党の参議院議員だった大脇雅子議員が平成十二年の四月二十八日提出の質問主意書で尋ねたことに対する政府答弁なんですが、非正規滞在者であっても、福祉、医療の制度の適用は可能な限りこれを保障していく、こういう政府方針が示されているんですけれども、この方針について変更がないのかどうか。

 また、この際、先ほど文科省に答えていただきましたけれども、住所の確認等の事務手続をどのように地方自治体に求めていくのか。

 さらには、医師法十九条において、診療を拒否することはできないとなっていますけれども、とりわけ非正規滞在者に対する診療拒否などが起こらないように公立病院などで必要な措置をとるべきではないかという点についてどうお考えなのか。

 厚労省に伺います。

伊岐政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の政府答弁書におきましては、非正規滞在の外国人につきましても、助産施設への入所、養育医療や育成医療の給付、母子健康手帳の交付、定期の予防接種の対象となり得ることをお示ししているところでございますが、今般の住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立した場合におきましても、これらの制度の適用についての方針に変更が生じるものではないというふうに理解をいたしております。

 また、このように方針変更がない旨につきましては、必要に応じ、地方自治体等へも周知してまいりたいと思っております。

 さらに、これらの制度における非正規滞在の外国人につきましての住所確認につきましては、現行におきましても適宜各自治体で行われていると認識しておりますが、その事務手続の例示につきましては、その必要性も含め、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

保坂委員 外国人の住民票から選挙人名簿登載有無欄の削除、こういうことが提案されているということなんですけれども、これは、この国会で成立はしておりませんが、ここ約十年にわたって、地方参政権の付与に踏み切るべきではないか、私たちはそう思っていますけれども、そういう方向、あるいは二百以上の自治体で外国人住民の住民投票権を定めた条例がつくられていることとも逆行してしまうんじゃないのか。これをあえて削除せずに空欄にしておく、こういう扱いでもいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。総務省にお願いします。

久元政府参考人 外国人住民票から選挙人名簿登載の有無の欄が削除されるという御指摘をいただきましたが、今回の法案によって外国人住民票は創設されるわけでありまして、その際、現在日本国籍を有しない者は選挙権を有しないわけでありますから、外国人に係る住民票で、選挙人名簿の有無は記載事項とはならないというふうに考えております。

 なお、外国人に対する地方参政権のあり方につきましては、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であり、各党各会派で御論議いただきたいというのが政府としての一貫した考え方でございます。

保坂委員 システム設計というのはお金がかかりますので、空欄にしておいて、いざそうなったときには、そこに記入しておくということでもいいのではないかと思います。

 先ほど、厚生労働の榮畑審議官の方がちょっと手を挙げられたので、何か補足答弁があればお願いします。

榮畑政府参考人 先ほど保坂先生から、医師法の関係、医師の応招義務の関係で御質問がございました。

 医師法第十九条第一項におきまして、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」というふうになっておるところでございまして、具体的な各事案におきましては、患者の容体や医療機関の受け入れ体制等の諸事情を総合的に勘案する必要はございますが、一般的には、適法滞在でないこととか費用が払えないということなどを理由として診療を拒否することはできないというふうに考えておるところでございます。

 この医師法十九条の規定は、今回の住基法の改正におきましても、当然のことながらこのままでございますから、私どもとしましては、公立病院も含めましてこの取り扱いというのは徹底させていかなければならないと思っておるところでございます。

 以上でございます。

保坂委員 最後に、総務省に一点だけ。

 これは入管法とセットで在留カード、そういったカードができてくると思うんですが、そのカードナンバーというのがあらゆる情報のいわばキーになって情報がマッチングされるということは、既に法務省からはそういうふうに私は説明を受けているんですが、これは住基ネットの原則に反するんじゃないかというふうに思うんです。時間がありませんので、一問だけ聞いて終わりたいと思います。

久元政府参考人 在留カードの番号につきましては、外国人に係る住民票の記載事項としておるわけでありますけれども、これは、市町村と入国管理局において情報のやりとりをする場合などにおいて、それぞれが保有する情報の突合の迅速化を図るために記載事項としているものでありまして、御指摘の御懸念というものは当たらないというふうに考えてございます。

保坂委員 もう質問は終わりますが、その番号で法務省の所管しているさまざまな情報とリンクして、そのナンバーで情報を引っ張ってこられるわけですから、これはやはりリンクしているというふうに私は指摘をしたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会


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