衆議院

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第3号 平成22年2月19日(金曜日)

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平成二十二年二月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      石田 三示君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    佐藤  勉君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     奥野総一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十二年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷啓君。

大谷(啓)委員 民主党の大谷啓でございます。

 本日は、総務大臣の所信に対する質問のお時間をトップバッターでいただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、議員になる前、十四年間にわたり、民間の会社、商社でIT関係の事業投資あるいは新規事業開発、そういった仕事に携わってまいりました。大変やりがいのある仕事ではあったんですが、仕事をやるにつれ、諸外国に比べてなかなか元気が出ない日本、そして、なかなか新しい産業が芽生えてこない日本、さらには地方がどんどん疲弊し尽くされる、そういう日本の現状を肌で感じまして、何とか日本再生のために力を尽くしたい、その思いで議員になることを決意したところでございます。

 そういう意味で、大臣のおっしゃいます地域主権改革あるいはICT維新は、まさに日本を再生させるための肝の改革であり、私も、民間での経験を生かしながら本委員会におきまして力を尽くしてまいりたい、そのように思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 では、質問に移らせていただきます。

 まずは、地域主権改革に向けた取り組み、姿勢に関する質問です。

 私は、昨年の政権交代の意義は、有史以来、お上、官僚に任せっきりにしてきた日本の政治行政に対して、国民がみずからの手で初めて政治権力をつくった、そのことに大きな意義があるというふうに考えています。そういう意味で、これから、国民が主役の政治を本当に根づかせなければならず、その手段として、市民が自分たちのことは自分の責任で決められる地域主権、あるいは新しい公共というものがあるというのが本質だというふうに考えています。

 その一方で、原口大臣あるいは鳩山総理が幾ら地域主権、地域主権と叫んでも、国民の中ではなかなか大きな盛り上がりを見せてこない、将来に対して明るい展望を持つことができない。また、地域主権の主役たる基礎自治体においても、さきの三位一体改革以来、国に裏切られ、財政的にも疲弊し尽くされている、そういう中で、不安だ不安だという声しか上がってこないというのも現状だというふうに考えています。

 私は、これから地域主権に向けた具体的なプロセスをつくっていく中で、まずは国民、そして基礎自治体に対して、もっと関心と期待を持ってもらう、あるいは、明るい日本の未来に向けた前向きな雰囲気をつくっていくことが何よりも重要だと思うのですが、それに対する大臣の御見解をお聞かせください。

原口国務大臣 大谷委員にお答えいたします。

 大谷委員は商社で世界を飛び回っておられました。まさに、今世界は新たなパラダイム、新たなダイナミズムの中で動いています。だから地域主権改革なんです。私たち国会議員は、ルールにおける競争でしっかりと勝ち抜いて、この日本の国益を極大化する、もっと明るくてオープンで、開かれたダイナミックな議論の中で、しっかりとした日本をつくっていきたい、こう考えております。

 今お尋ねの、国民の皆さんや基礎自治体の皆さんが地域主権改革にどのように関心を持っていただくか。まさにこのことが私たちの民主主義の基本であり、地域づくりの基本だということを、総務省としてもしっかりとお伝えをしてまいりたいというふうに思います。

 ICTを使ったさまざまな産業発展、あるいは生産性の向上。これからは、ICTは産業自体ではなくて、ICTを媒介とした経済の成長力、これの源泉になってまいります。そういう意味でも、地域主権改革とこの情報通信改革をセットにする。ですから、これからも大谷委員のお力をますますいただいて、そして、それぞれの地域がみずからのことをみずからで決め、みずから決断をし、そしてみずからつくっていくことで何が生まれるかという、その未来像をつくっていただきたい。

 お生まれになった神戸、ちょうど、私も遠縁になる者が市長をしておりました。神戸株式会社と言われたことがございました。また、今は、世界的に見ると各国が、政府が強力なバックアップをして、新たなルールや新たなパラダイムや新たな産業進出を強力に後押ししている、そういう状況でございます。私たちは依存と分配の政治にかかずり合っているような暇なんてないんです。世界をしっかりと視野に入れたことをこの日本で行っていくためにも、地域主権改革、それぞれの地域のことは地域にお任せをする、そして自由に発想して成長していただく、このことを前に進めてまいりたい。その御理解を進めるために、いろいろなところでタウンミーティングやさまざまな交流の機会をふやしてまいりたいと思います。

 ICTの世界の中でも、今ツイッターをやっているんですけれども、ツイッターで今フォロワーが五万人ぐらい、これもすごいですので、またツイッターで、まあ、特定のメディアを言っちゃいけませんけれども、そういうものの中でも、広げていくお知恵をいただきたいというふうに思います。

 大変期待しています。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、前向きな雰囲気づくりに大臣が力を尽くされることを期待しております。

 また、地域主権社会に向けては、エネルギー、食料、歴史文化資産等の地域資源を最大限に活用して地域を活性化させていく緑の分権改革推進プラン、原口大臣がまさに提唱していることですが、これはまさに地域主権社会を実現し得るかどうかの肝だと、私も大いに賛同しているところでございます。

 しかしその一方で、今の地方にそのノウハウが一体どこまであるのか。特にエネルギーの分野に関して言いますと、これからの低炭素化社会に向けて重要な施策にもかかわらず、今まで何もやってこなかった、具体的にこれから何をやっていいのかさっぱりわからない、そういう状況だ。そういう意味で、なかなか緑の分権改革自体が地方に浸透し切れないのではないか、そういう懸念もあるかというふうに思っております。

 〇九年度の補正予算におきまして、いわゆるクリーンエネルギーの賦存量の調査、こういったところにもお金がついているわけでございますが、これから緑の分権改革を地方に浸透させるための具体策、あるいは、特に地方における人材の育成についての大臣のお考えを教えていただけますでしょうか。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 先日、岩手県へ参りました。ここにいらっしゃる黄川田先生の遠野市、それから紫波町というところへ行きましたけれども、地域に眠っている資源というのは山ほどあるんですね、遠野では口承文化というもの。階政務官と一緒にずっと回ったんですが、みずからの地域の文化を興すことで、そして多くの人たちがその地域に来てくださる。

 あるいはエネルギーについて言うと、今までは、だれか大きな人たちが中央で、たくさんのエネルギーをつくってそれを分配する。例えば、これはある試算がありますけれども、宮崎県だけを見ると、宮崎県は一年間に五千億円ものエネルギー代を外に払っているわけです。もしそのエネルギー代がみずからの地域に落ちると考えてみていただく。今、この試みはもう日本各地で行われていますが、私たちは固定価格買い取り制度というのを言っています。いわゆる分散型で、地域密着型の、そして自然エネルギーに特化した、そういうエネルギーのパラダイムに変えていくことでお金の流れが変わるんです。遠野市や紫波町のような、黄川田先生、紫波町では今食料自給率が一七〇%なんですね。そういう地域をつくることができる。

 まずは、モデルを幾つも幾つも国民の皆さんにこの一年間にお示しをさせていただいて、そこを集中的に私たちは支援をし、そして、ああ、こうやればお金の流れが変わるんだ、地域の豊かさが変わるんだ、富をみずからの地域でつくることができるんだ。このモデルをつくって、そしてそこには、今大谷委員がおっしゃるような人材の育成が一番ですから、その人材の育成に力を入れてまいりたい、こう考えています。

大谷(啓)委員 あともう一点は、ICT政策に関してでございます。

 さきに申し上げたとおり、これからの日本の成長戦略を描くにおいて、ICTの分野はまだまだ潜在力があり、最も重要だと私自身も考えております。しかし、これは何も新しい話ではなくて、これまでも総務省あるいは経済産業省においてさまざまな政策が実行されてまいりました。しかし、幾ら予算をつけてもなかなか実りある成果が生まれてこなかった。携帯電話を中心にしたネットビジネス、そういった一部では成長しているものの、ICTの基盤となる要素技術あるいは基盤サービスといった分野ではなかなか国際競争力が持てず、諸外国におくれをとってしまったと言わざるを得ません。特に、総務省が幾らユビキタス、ユビキタスと長年叫んでいてもなかなか新しい産業が生まれてこなかった、そういうわけでございます。

 原口大臣は就任早々、ICTタスクフォース、有識者を入れたタスクフォースを立ち上げられ、この分野に御注力いただけるものだと大変期待しておりますが、今までの政策ややり方の何が一体間違っていたのか、そして、これからのやり方がこれまでと何が違うのか、大臣の見解をお伺いいたします。

原口国務大臣 本質的な質問ですね。すばらしいと思います。

 今までのやり方は、例えば、二〇〇五年に日本は世界一のブロードバンド環境を達成したと言ったんです。ところが、ファイバー・ツー・ザ・ホーム、これはまだ三〇%なんです。光の道自体はできてはいないんです。つまり、すべての人たちが高速ブロードバンドにいかにアクセスできるかといったところ、それから政治の、コンピューターの言葉で言うとOSができていないんです。OSができていないところにそれぞれアプリケーションだ、ソフトだということを言うから、何が起きていたかというと、各省のタコつぼの中におっこちているわけです。

 今回、インドとの間でさまざまな協定をさせていただきました。世界の成長点と基準を合わせる、あるいはプロジェクトを同一にする。つまり、これが、私たち政治がやらなきゃいけないOSそのものなんです。OSのないところにはアプリケーションもなければプラットホームもないんです。

 ジョナカウスキーFCC委員長と、私は情報通信大臣でもありますから、アメリカのジョナカウスキーさん、この方はオバマさんの同級生でいらっしゃいますけれども、大臣に就任していち早く、ジョナカウスキー委員長との間で四つのタスクフォースを立ち上げたのも、まさに委員がおっしゃるように、共通のOS、政治のOSをつくり上げて、そしてウイン・ウインの関係を世界の成長点の皆さん、世界のルールをつくっている皆さんと一緒につくり上げていく、ここに目的があったわけです。

 大きな戦略の中、それで、今度はこの戦略を数値化して、ビジョン化していきます。ぜひお力をいただければというふうに思います。

大谷(啓)委員 私は今おっしゃることも一つ真理だと思いますし、あとは、やはり今までのやり方自体が、大企業あるいはメガキャリアを中心にした論理でさまざまな政策がつくられてきたことにも大きな問題があるのではないかなというふうに思っておりますので、私も、ぜひいろいろと御意見を申し上げていきたいというふうに考えております。

 最後になりますが、行政における電子政府、電子自治体の取り組みについてでございます。

 これも従来からなされていたことでございますが、なかなか市民に浸透し切れていないというのも現状ですし、また何よりも、コストがかかり過ぎている。旧社会保険庁や国税といった大規模システムでは、開発費のみならず、保守を含めた維持管理にも膨大なコストがかかっているのが現状でございます。

 私は、自分の経験からしても、これは特にソフトウエアにおける受託開発型の物づくりがいまだに残っていることが大きな原因ではないかなと。これからクラウドコンピューティングという新しいITの時代に入っていく中で、私は、このような物づくりから脱却することが日本のICTを変えていく何よりも大きな、重要なことではないかなというふうに考えております。

 また、行政改革の一環としても、総務省として、霞が関あるいは地方のシステム構築のガイドラインをもっときめ細かく策定してチェックしていく、そういうことも必要なのではないかなというふうに考えておりますが、大臣の御見解をお聞かせ願います。

原口国務大臣 全く同じ考えを持っています。

 みずからの情報、みずからの行政サービス、高い公共サービスに国民がいかにアクセスできるか、そのために各自治体の情報通信ネットワークはどうあるべきか。

 このクラウドコンピューティングの時代において、行政情報化推進経費は、平成二十年度だけで四千四十二億にも上っているわけです。その中で、もっとクラウドできないのか。そして、さらに言うと、レガシーシステムの状態がまだあって、それぞれのベンダーごとにたくさんの経費がかかっている。情報システムの経費は、政府全体で約六千三百億円の規模に上っているわけです。これを改革せずして、電子政府もなければ高い公共サービスもないと思っています。

 今、経団連との間で、電子政府のタスクフォースを立ち上げています。ぜひその中にも委員も御参加いただいて、早急にクラウド化して、そして各自治体の共通のフォーマット、これはあっていいんです。旅費の精算システムだって、何人の人がそこにかかわっているか。こういったものをこの一年以内にきっちり整理をして、そして未来の基盤をつくってまいりますので、よろしくお願いいたします。

大谷(啓)委員 ありがとうございました。

 質問時間が来ましたが、最後に、ぜひ原口大臣には、原口大臣の明るいキャラクターで国民に対してもっと発信をしていただきまして、国民がこれから明るい未来の展望を持てる、そういうような活動にぜひ注力していただきたい、そのことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野でございます。

 きょうは、原口大臣に、今地方自治体にとっては極めて重要な、歴史的なというか、そういう時間帯にある、意欲的に国と地方の協議の場をセットするということが法的に担保されようとしている、そういう時間帯でのこの委員会でありますので、きょうは主として関連した質問をしたいと思います。

 まず、具体的に、一括交付金について質問をいたします。

 地方分権が叫ばれて久しくなります。しかしながら、これまで行われてきた地方分権とは、小泉改革の三位一体改革に象徴されるように、負担を地方に一方的に押しつける内容であった、本来の意味での地方分権とは大きく異なるものであった、私はそのように受けとめております。

 この改革の結果、地方自治体の多くは深刻な財政難に陥りました。地方は疲弊してきた。この状態を改善していくことは鳩山内閣に課せられた最も重要な使命である、私はそのように受けとめております。我が党もその一翼として、大臣を支えながら頑張っていきたい、まずこのことを表明しておきたいと思います。

 そこで、本日は、まず地域主権改革に関して幾つか質問したいと思います。

 まず、一括交付金についてであります。今回の大臣の所信では、地方の自主財源の充実強化が必須であるとしている。交付税を一兆円以上増額とあわせて、地方が自由に使える一括交付金を順次スタートできるように検討すると述べられました。民主党のマニフェストでも、国のひもつき補助金は廃止する、地方の自主財源に転換、このように書いております。

 自主財源という場合、通常、自治体みずからの権限で収入し得る財源であると理解しておりますが、この一括交付金はそういう性格のものと解してよろしいのでしょうか、まずその点を伺います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 重野委員におかれましては、来年度予算案の中でも特に一・一兆円の交付税の増額、本当に、重野幹事長がおられなければこれはできなかったことだと思います。改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今の一括交付金ですけれども、まさに地域が自由に使える、こういう地域の財源としての設計を、今、地域主権戦略会議において、平成二十三年度からの段階的実施を目的として設計をさせていただきたい。検討しているところでございまして、このたび第二次補正の中にも、きめ細やかな交付金ということで前出しの交付金があります。これはもう通していただきましたので四月から使える。そして、子供たちの学校の耐震化やあるいは医療といったものもしっかりと支えられるような交付金になっておりまして、地域の創意工夫によって、さらにこういうものを広げてまいりたい。

 そして一方で、一括交付金化すると、では、もう一括交付金で自由に使えるんだから全体の総額は少し少なくしてもいいだろうというような暴論を言う人がいますが、全く私はそういうことを考えていません。逆に言うと、まさに今委員がおっしゃったような、傷んだ地方をしっかりと回復させていくためにも地域の独自財源をさらにふやしてまいりたい、このことを申し上げておきたいと思います。

重野委員 そこで、今一括交付金についてはわかりましたけれども、この一括交付金と現行の地方交付税との間にはどういう関係が成り立っていくんだろうか。将来的には地方交付税と一括交付金というものをセットにして、またあるべき姿を追求するんだ、今の時間帯はその過程にあるんだ、そういうふうな受けとめでいいんでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 地方交付税は、委員御案内のとおり、地方独自の財源です。ですから、補助金を一括交付金化していく流れと、それから地方独自の財源をさらにふやしていく流れ、今この二本が進んでいるというふうに御理解いただいて、そういう意味では、ある意味ではまだ過渡期ではあります。

 今回、地方交付税については、特に財政の厳しい、そして小規模な市町村に配慮したそういうやり方、配分方式を今指示しているところでございますけれども、さらに地域主権戦略会議やあるいは各党の皆様のお知恵をいただきながら、より理想に近い形にしていきたい。

 と申しますのも、今までは地方交付税を補助金化して使っているんじゃないかと、この委員会でもお話がございました。そういったものを排して、できるだけ地方の自由、そして独自性を重んじた制度設計にしていきたいと思っておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。

重野委員 次に、重要な点でありますが、総額という言葉が盛んに使われているわけです。この総額というのはどのように算定し、だれが決めるのかという点について伺います。

 自治体が自由に使えるお金といっても、それはいいのでありますが、その総額が減少すれば、結局、自治体を疲弊から救うことはできない、こういうふうに思うんですね。

 小泉時代、三位一体改革だ、地方分権だ、このように言っていましたが、何のことはない、交付税、補助金が税源移譲以上に減らされた歴史なんですね。自治体が自由に使えるお金という性格も、そういう意味では非常に重要なんですね。総額をきちんと確保すること、これも極めて重要だ。この総額をどのように算定して、また、どこで決めるのかということも知りたい。

 小泉時代のように、国の借金を地方にツケ回すということをやっていたんですね、そういうふうなことは我々は絶対やってはいけない。念を押しておきたいと思うんですが、その点については、大臣、いかがでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに委員の御認識と同じものを、先ほども少し総額についても触れましたけれども、これは中央政府が勝手に決める話じゃありません。国、地方協議の場、この国会に法制化の法案も出させていただいていますが、国、地方が密接に協議をしながら、そして、やはり税収そのものをふやしていく。

 先ほど、明るい、未来を見据えたというお話がございましたけれども、本来、一九九七年、これも重野先生に御指導いただいていたときですけれども、あのときの財政の中期展望だと、ことしは九十二兆円の税収があるはずなんですよ。九十二兆円の税収が何で三十七兆円になっているのか。つまり、国富を生み出す力、地域の富を生み出す力そのものがなくなっているわけです。それを変えることが私たちの変革の中心だというふうに思います。

 これは、国、地方の密接な協議を通じて総額を決めてまいりたいし、成長戦略の中で、さまざまな公共サービスを支えるお金について地方と議論をしてまいりたいと思います。

重野委員 次に、義務づけ、枠づけの問題について伺います。

 現在、義務づけ、枠づけの廃止に向けた取り組みが行われていると理解しております。我が党も、国が真に直接的な財政責任を負う部門を除き、国の関与、義務づけを縮減、廃止すべきと考えています。

 ただ一方で、不安もあるんですね。例えば、保育所の設置基準などの緩和に対する国民の不安があることも事実。そういう視点に立って、ナショナルミニマムをどう構築していくのか、これは大きな課題です。特に、自治体財政の急速な好転が現状ではなかなか展望できない中にあって、この義務づけ、枠づけの廃止が急激な公共サービスの低下につながる、これは本末転倒なことなのであって、そんなことがあってはならないわけです。

 義務づけ、枠づけの廃止が、自治体、住民に対して、みずからの力でナショナルミニマムの構築を求めることになる、その考え方はそうだと思います。これは、地方自治あるいは地域主権の確立という方向性の観点から理解できるのでありますが、同時に、細心の注意を払った、一歩一歩確実な前進が必要だ。急速にアクセルを踏むとエンストを起こす、そういうふうな話もありますし、現にそういうことがありますけれども、そういうことを包含しながら、この枠づけ、義務づけ問題について大臣の見解を伺いたい。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思っています。

 ナショナルミニマムは中央政府がしっかりと保障する、これはもう基本であります。しかし、ナショナルミニマムをしっかり守っていく、あるいは基準をつくっていくということは、地方と、地域に住む皆さんとの協働でやるべきだ。

 例えば、児童虐待防止法という法律をつくらせていただきました。重野先生、これにも大変お力添えをいただきましたけれども、これはどうなっているかというと、中央政府と地方政府の役割がクロスしています。つまりセーフティーネットは、ちょうど前政権の、前の前の政権ぐらいのときには、ここからここが国だ、ここからここが地方だという仕分けの話がありました。しかし、人間の尊厳の部分は協働なんです。人間の尊厳の部分は地方も中央政府もお互いに協力し合って、それをしっかり守っていく、こういう体制にしていきたいと思いますから、一方的な、新自由主義的な、あなたのところがやればいいんだと地方にぶん投げるような、そんなことは義務づけ、枠づけの中では絶対にやってはならない。

 慎重に、エンストしないように頑張っていきます。

重野委員 関連して、義務づけ、枠づけが取り払われた場合、財源保障の制度的な根拠をどこに求めていくのかという問題が出てくると思うんですね。その点についてはどのように考えておられますか。

原口国務大臣 義務づけ、枠づけを撤廃したから財源も全部なくすんだ、中央政府がその関与をなくすんだ、それはないと思います。

 何となれば、ナショナルミニマムというのは、中央政府というか、国がしっかりと保障する最低の基準だからであります。その最低の基準を支える責務というものを、義務づけ、枠づけを一義的に中央だけで決めるというものをなくしたからといって、その下支えの責任まで放棄するなんてことは絶対にあってはならない。

 ですから、さまざまな財政調整機能も残した中でしっかりと地方の自主財源を保障する、この仕組みを国の中でつくっていきたい、こう思っています。

重野委員 最後に、きょうの朝日新聞に「「国・地方協議」法案固まる」という新聞記事が出ております。国と地方の協議の場について、工程表、いわゆる原口プランのことを新聞は書いておると思うんですね。地方側の意見として、これに対する期待というのは、今までこういう装置はなかったわけですから、これは新しい装置として非常に有効なものであるというふうに私は評価をいたします。

 しかし、そこで、国と地方の協議の場であるけれども、ともすれば国と地方という上下関係みたいな感じでこの場が設定されていくということになったら、これは元も子もない。そうでない、本当に国、地方が対等の立場で大いにこの議論をし、その結論を出し、進んでいく、こういう姿にしていかなければならぬと思うんですが、この国と地方の協議の場に対する大臣の認識、見解をお聞かせください。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、国、地方の協議の場については、国と地方が対等な立場で協議することが必要でございます。政府税調にも社民党の皆さん、大変御指導をいただいていますけれども、その中でも、税もフィフティー・フィフティーです。私は税調会長代行ということで、財務大臣と同格の役割を与えていただいているわけで、国、地方が、まさに上下ではなくて対等で話し合うところからさまざまな可能性が生まれてくる、これを堅持していきたい、このように考えています。

重野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、大野功統君。

大野委員 自由民主党の大野功統でございます。

 原口大臣、大臣は昨日の所信表明の中で、一丁目一番地の改革である地域主権改革を強調されておられました。けさも民主党の大谷委員から地域主権ということを、もう随分と、何回も聞かされて、その議論がありました。私は、ちょっと首をかしげるのであります。

 もちろん、今日本として大事なことは、防衛、外交を除けば、やはり地方の発展が日本の再生につながっていく、これは大臣も同じ考えだと思います。

 なぜならば、日本が直面している問題、深刻な問題というのは、三つばかり挙げるとすれば、一番は少子高齢化の問題、そして二番目は、国際化された経済、金融の中で日本は将来どうやって経済を再生させていくか、こういう問題があります。これは財政赤字を抱えながらの問題であります。三つ目の問題として、人間同士の思いやりの気持ち、人間のきずな、これがだんだんとなくなってきているような状態でございます。こういう深刻な問題を解決するためには、やはり地方の再生、地方の発展が大事である。

 言ってみれば、地方に雇用をふやして、若者が東京で就職するのではなくて地元で就職する。お父さん、お母さんの近くで住む、あるいは同居してもいいんです。

 御存じのとおり、東京の特殊出生率は一を割っておりますけれども、地方の特殊出生率は高い。例えば東京で、二十五歳から二十九歳までの女性の結婚率はわずか四割程度であります。ところが、例えば地方、秋田県へ行くと、結婚率は七割程度になっている。まず結婚して、そして特殊出生率を上げていく。これはやはり、地方の環境、おじいちゃん、おばあちゃんがそばにいてくれる。お母さんが働きに行きたいとしても、赤ちゃんができますと、東京では仕事をやめざるを得ない。いかに会社で保育施設をつくっても、お母さんが赤ちゃんを抱いて満員電車に乗るわけにいかない。東京の狭いアパート暮らしの夫婦が、赤ちゃんの夜泣きを気にして、もう二人目はやめておこうとなってしまう。こういう意味で、少子高齢化問題を解決していくには、まず地方の発展である。

 あるいは思いやり。この気持ちがなくなっていくのも、人間同士の触れ合い。子供が人間の触れ合いの中で育っていく環境がつくれるのは、やはり田舎、地方でおじいちゃん、おばあちゃんの肌に触れ合いながら子供が育っていく。これが大事だと思いますね。

 経済だってそうです。経済だって、国際化された経済、国際競争の激しい中、物づくりが得意な日本でありますけれども、レーバーコスト、労働コストから考えれば、どんどん中国へ行ってしまう。もっともっと地方を開発して、地方の経済を発展させて、地方から直接外国へつながるような経済発展を考えていけば、日本の経済も将来明るいんじゃないか。だからこそ、地方が大事なんです。その地方を担当されているのが原口大臣でございます。

 しかしながら、私は、きのうから、いや、その前からずっと気になっているのは、この地域主権という言葉。地域主権という、本当におかしな表現をされるなと。私は、地域主権の中身を聞いているわけではございません。大臣、主権というのはどういう意味ですか。地域主権というのはどういう意味なんですか。

 考えてみますと、主権という問題を歴史的に見れば、君主主権から国民主権へ、日本では天皇主権から主権在民。民主主義の大原理なんですよ。中央集権とか地方分権とかいう議論がありますけれども、これは御存じのとおり、国としてはどこに住んでいても同じレベルの生活を保障しなきゃいけないから、中央集権が絶対必要である。しかしながら、近代国家というのは、住民が土地の特色を生かしながら頑張っていかなきゃいけない、こういう意味で地方分権を進めていかなきゃいけない、中央集権と地方分権をどのように調和させていくか、これが大きな問題であります。

 ところが、大臣のお使いになっている地域主権という言葉を聞いていまして、わけがわからないんですよ。日本語が間違って使われているんじゃないか。しかも、けさの大谷委員の言葉をかりますと、原口大臣は明るいキャラクターの方である。そうしますと、明るいキャラクターの方がねじ曲げられた言葉をまるでコマーシャルのキャッチコピーのようにお使いになりますと、地域主権という言葉がどんどんひとり歩きして広まってしまう。これは大変危険です。

 大臣、政治というのは信が大事なんです。信という言葉を見てください。にんべん。人間が言う、人間の言葉と書いてありますよ。この人間の言葉、信が崩れたら一体どうなるんですか。私は、もっともっと大臣に言葉の正しい使い方をしていただきたい。このねじ曲げられたような言葉の使い方について、私はそう思っていますが、大臣、正しいと思われるのなら、どうぞおっしゃってください。

原口国務大臣 大野委員にお答えいたします。

 大野委員は、ジュネーブに四年間いらして、まさに国家、国権を代表して世界の国際舞台でお戦いになってこられた方ですから、私が申し上げている意味もおわかりだと思います。香川のあのすばらしい、私も行かせていただきましたけれども、たくさんの若い方々をお育てになって、地域から日本を変えようという御努力をされておられますので、そのことにまず敬意を表します。

 私たちが、地域主権という言葉で何を指すのか。これはあくまで憲法を前提としつつ、地域のことは地域に住む住民が、まさに主権のある国民が、みずからの地域をつくることができるんですよという、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底をなす理念でございまして、日本国憲法の理念のもとに、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにして、これは委員に私が四国で二十年前に教えていただいた、当時、地方自治の神様と言われた先生が地方主権という言葉をお使いになっていた、これは国家主権に対峙する言葉ではなくて、主権者である国民が、みずからの意思において、みずからの創造性において地域をつくることができるんだ、その責任を持つんだということでございまして、ぜひ御理解をいただきたい。

 日本国憲法が民主主義を基本として国民主権を掲げ、また、地方自治の原則、この基本を規定しておりますけれども、こうした日本国憲法のもとでしっかりとした地域の創造に取り組めるような、そういう形を私たちは目指しておるわけでございまして、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

大野委員 それで、地方分権と地域主権とはどう違うんですか。私は明らかに違うと思いますけれども。

原口国務大臣 地方分権というのは、まさに、先ほど委員がお話しになりましたように、中央にあったさまざまな権限を地方に移していく、分け与えていくというパラダイムであります。

 私たちが問題としているのは、この民主主義は国民に多くの学びと参加と行動を要求しますけれども、地域というのは一体だれがつくっていくのか。地域をつくっていくのは、どこかから分け与えられた権限ではなくて、もともと国民が固有に持っている。みずからの地域に参加し、みずからの地域の、先ほど温かなきずなのお話もされました、委員の御著書を私も読ませていただきましたけれども、地域に参加してそういう地域の歴史や伝統や文化を継承し、はぐくみ、そして子供たちをはぐくむ、その権利を国民が有しておるわけでございまして、行政を、ここからここまではあなたの権限ですね、ここからここまでは中央に集まっているものを分け与えますねという考え方ではなくて、みずから国民主権のもとでしっかりと地域を創造していけるんだ、こういう発想に立っておるわけでございます。

 例えば、消費者基本法という法律を先生方に御指導いただきながら御一緒させていただきましたし、山口先生が筆頭理事でいらっしゃったときに公共サービス基本法という法律もつくらせていただきました。その根本は、国民がどういう権利を持っているんだ、まさにそこから発想した言葉でございまして、これまでの分権改革と全く意を異にするものではございませんけれども、国民主権に視座があるということで御理解をいただければというふうに思っています。

大野委員 大臣のおっしゃっていることを聞いていますと、中央集権と地方分権、これははっきりしているんですよ。だけれども、主権という言葉は、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。

 主権というのは、最高の統治権を持っているということ、そして他の国からの干渉は絶対許さない、こういうのが主権で、国家主権という言葉は使いますよね。国家主権に対して地域主権という言葉はないと私は思います。

 大臣のおっしゃるようなことであれば、住民主権という言葉であればまだ理解できないことはない。しかし、地域主権といって、何だかすべて地域が権力を持っている、最高の統治能力を持っている、こういう言い方というのはやはり言葉遣いとして正しくない。

 言葉を使うというのは本当に政治家として大事なことなんです。これは釈迦に説法ですけれども、例えばヨハネ伝福音書の冒頭に、初めに言葉があった、言葉は神とともにあり、言葉は神であったというふうに書いてあるんですね。言葉が大事なんです、政治にとって。また、信なくば立たずという孔子の教え。これは政治家として基本的なものでありますけれども、まことに政治家というのは、口におぼれちゃいけません。口先だけでごまかすとか、口先だけで相手を丸め込むとか、大臣、これは何と言うか。詐欺師ですよね。絶対、詐欺的な政治をやっちゃいけない。言葉を本当に正しく使ってもらいたい。

 そういう意味で、私は、きょう、中身よりもむしろ言葉の問題を議論させていただいております。したがって、この問題をもう少し追及させていただきたいんです。

 まず、地域と言った場合、これは基礎自治体のことをいうんでしょうか、それとも何のことをおっしゃるんですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 その前に、今、大変大事な御議論をされたと思います。国家主権に対峙する意味で私たちは地域主権という言葉を使っているんじゃないということを、委員がよく御指摘いただいて本当にありがたいと思います。

 主権は国家にあり、その国家にある主権は、一人一人の国民が中央政府に対してまさに統治というものを任せている国民主権に発したものでございまして、私たちが地域主権と言う場合に、これはよく、地域にさも主権があるのかというふうな誤解を受けていますが、そんなことはございません。つまり、主権を持つ国民がみずからの地域をみずからの責任においてつくっていくんだ、こういうことを申し上げているので、まさに委員の御理解のとおりのことを私たちも考えておるわけでございます。

 言葉が大事だ、そのとおりであります。ですから、私たちは、民主主義においてお任せ民主主義なんというものが絶対あってはならないと思うんです。みずからの地域をみずからの責任においてつくる、あるいは、政治はだれがやっても同じだ、政治家、どの政党に入れようが何しようが関係ないんだといったことがまさに民主主義の外側にある勢力をふやしてしまいますので、そういう思いでつくっているということをぜひ御理解いただければというふうに思います。

大野委員 質問は、地域というのはどういうものを考えていらっしゃいますか。それからもう一つ、今、地域主権と国家主権との対立関係はないんだということでございますが、まるで対立関係があるような印象を与えてしまうんですね、地域主権と言った場合。なぜそういう怪しげな言葉を使うのかというのが質問の趣旨ですよ。

 大臣は国家主権と地域主権とは対立しないんだとおっしゃっているんですが、一般から見れば対立する。なぜならば、主権というのは大変とうとい民主主義の原理である、しかも排他的なものである。それなら、地域が独走してやれる、こんな地域主権のような言葉が、まるで言葉遊び、コマーシャルのキャッチコピーのように出回っていく、ひとり歩きしてしまう、これは政治として恐ろしい現象だ、こういうことを私は申し上げているんです。

 それなら、なぜ地方分権という言葉を使わないのか。そういう怪しげなる言葉がまさに公用語として使われ始めているんですよ。大臣自身、地域主権推進担当大臣。こういう公用語になった言葉を使っていらっしゃいますが、そういうこと自体が世の中をおかしくしていくんじゃないかな、これが私の指摘なんですよ。

 それは、解説をすれば、国家主権と地域主権は相対立しませんと。だれもそんなふうに思いませんよ。あなた自身はそう言っておられるかもしれない。だから、そんな言葉を使うのはおかしいということを私は言っているんですよ。言葉遣いをもうちょっと正確にやってほしいということです。

 質問は、地域とは何でございますかということです。

原口国務大臣 地域とは何かという御質問でございますが、主権を持つ国民みずからがさまざまな、先ほど基礎自治体というお話がありましたけれども、きずな、あるいは公共サービスやさまざまなサービスを受けるためにつくっていくその自治体、その総体を指して私たちは地域というふうに呼んでいます。

 ですから、例えば基礎自治体、市町村である場合もございましょうし、あるいは都道府県である場合も、それから道州制といったときに、その道州制も視座に入れて私たちは地域というふうに考えております。また、市町村の中で、各集落といったもの、行政区域の中にも入らない、それぞれ歴史的にあるいは伝統的に生まれてきた、そういったものについても地域と定義をするのではないかというふうに思っています。

 その上で、私たちは言葉遊びをしているのではありません、ぜひ委員に御理解いただきたいのは、国家主権をしっかりと貫徹するためにも、その主権を行使する国民の側が、基礎的な自治体であろうが、あるいは広域自治体であろうが、そこに積極的に参加をし、関与をし、そしてみずからの責任において地域をつくっていくことが必要なんだ、このことを指して地域主権と申し上げております。

 大変大事な御議論をいただきましたことをお礼申し上げたいと思います。

大野委員 地域の定義をお尋ねしたところ、地域というのは、基礎自治体であり、県であり、あるいは道州であると。非常にあいまいなんですね。主権というのは極めて重大な概念でありますから、これをどこが持つのか。主権を持った地域というのは大変な力を持つわけですよ。それがどこになるかわからない。こういうような物の言い方をされると、ますます混乱してしまうんです。どこが一体その地域になるのか。

 それから、もう一つお伺いしたいのは、前原国交大臣のインタビュー記事なんです。

 日経コンストラクション十月号ですか、コンパクトシティーのような考え方にならざるを得ない、集まってもらわなければ医療や介護などの提供ができなくなります、このエリアに集まってもらえれば一定のナショナルミニマムは供給できるけれども、そのエリアを外れると供給できなくなってしまうのではないでしょうか、一定のエリアに住んでもらわなければ一定のサービスを供給できないというのは、行政の立場として仕方がないと。こんな趣旨のことをおっしゃっているんですね。

 読んでいますと、同じ閣内で地域主権とおっしゃる方がいらっしゃるし、こっちの方はむしろ都会主権みたいな話ですね、都会でなきゃだめみたいな。この辺のことについて、大臣、どう思われますか、前原国交大臣のこのような考え方。地域切り捨て論なんです、はっきり言うと。

 地域切り捨てと言う人がおる一方において、地域に主権があるんだと言う人がいたり、地域というのは一体何だろう。私は、地域主権と言った場合、そういう疑問を持つものであります。

原口国務大臣 委員にお答えします。

 委員の問題意識がわかりました。要するに、国家に主権があるのと同じように、地域主権という言葉で、地域にあたかも主権があるかのような誤解を受けているじゃないかということをお話をされているということがよくわかりました。

 私たちは、この地域主権という言葉は、さっきから何回も申し上げていますけれども、地域に主権があるなんということを言っているんじゃなくて、日本国憲法にある概念は、まさに国家主権という言葉と国民主権の二つなんです。その国民主権のさまざまな統治の仕組みをみずからつくっていくということに反射をして、地域をみずからつくる権利がありますよという、国民の側のことを申し上げているわけです。

 それで、前原大臣のその発言は、私は直接聞いたことがありませんから、それは御本人から聞くしかないんですけれども、多分コンパクトシティーのことをお話をされているんだと思います。ある一定の効率性を持って行政サービスのコストを抑えるためには何が必要かということをおっしゃっていることであって、地域を切り捨てるなんということを前原大臣が言うはずはないなというふうに思っております。

大野委員 その前原国交大臣の発言についてはこれで終わりにしておきますけれども、やはり切り捨てですよ、地域の切り捨て。

 地域を大事にしようという気持ちを込めたのが地域主権。ところが、地域主権は一体何だと言うと、国家主権に対立するものではありません、それは誤解するなと。何だかさっぱりわかりませんよ。地域主権と言ったら、地域が主権を持っている、こういうふうにみんな理解しますよ。なぜ地方分権と言わないんですか。

 こういうような言葉遊び、言葉をねじ曲げて使うということは、本当に政治にとって大変信用を失うことである、まずこのことを申し上げたいと思います。

 そうすると、対立しないとおっしゃるのでありますが、一般から見れば、私の目から見れば、地域主権という言葉を使った途端に、何だか地域主権国家というのは分裂国家みたいな響きになってしまいますけれども、皆さんはどうですか。地域主権、各地域が主権を持っているといったら、これは分裂国家になるような感じがしますが、それはどういう御感想を持ちますか。言葉遊びをするなということを私は強調しているんですよ。

原口国務大臣 委員がお話しのように、これは大事な御議論だと思います。言葉遊びをする気も全くなく、それから、国家を分裂して統治するなんということはもとより考えているはずもございません。

 例えば、連邦国家のように、それぞれが連邦という中に主権を持って、それがさらなる上位の統治体である国家をつくる、こういう考え方もよその国にはあります。しかし、私たちがとっているのはそういう形ではありません。

 主権はあくまで、国家主権という意味での主権は国にあるわけでございまして、繰り返しになって恐縮ですけれども、主権を持っている国民が、みずからの責任においてみずからの地域を創造する、あるいはみずからの地域をつくっていく権利を行使していきましょうと。今までは、大変申しわけないですけれども、中央で決めて、義務づけ、枠づけを地方に押しつける、あるいは直轄事業負担金やさまざまなものを有無を言わせず取る、そういったことは国民主権から見てもおかしいのではないか。みずからの地域を創造していく、みずからの地域をつくっていく権利があるはずじゃないんですかということを申し上げているわけでございます。

 私は、委員の本を先ほど読ませていただいたと申し上げましたけれども、同じことを違う側から申し上げているのではないかな、先ほどからの御議論を聞いてそう感じています。言葉遊びなんということは全く考えておりませんので、ぜひまたよろしくお願い申し上げたいと思います。

大野委員 とすれば、今のように、国家主権と対立する概念でないとすれば、中央集権と地方分権という考え方でいいんじゃないでしょうか。地方分権という言葉を使えば、地域主権推進担当大臣じゃなくて地方分権推進担当大臣。この言葉に戻せば、はっきり、すっきりしますよ。

 私は、地方分権はどんどん進めていくべきだと思います。陳情行政はやめるべきだと思います。そういう意味では全く同じ考えですが、私が指摘したいのは、何か幻想を与えて、ねじ曲げた言葉でメッセージを変えてしまっている、こういう問題なんです。

 では、もっと具体的に聞きます。

 例えば憲法の第八章で「地方自治」というのがあります。そこには、地方公共団体の組織、運営というのは法律で定める、こういうふうになっていますね。九十三条では、法律の定めるところにより議会を設置します。九十四条は、法律の範囲内で条例を決めてください。九十五条になりますと、一の公共団体のみに適用されることは住民投票が必要です。こういうことが書いてあるんです。そういう憲法の条文に地域主権という言葉は何だか反するような感じになってくるんですよ。

 だから、私は、原口大臣は憲法改正を考えているのかな、邪推か何か知りませんが、そこまで感じますよ。ここはどうなんですか。憲法第八章「地方自治」改正論者ですか、どうですか。

原口国務大臣 憲法については、委員が防衛大臣、防衛庁長官ですか、なさっていたときから私には私の考え方があります。しかし、鳩山内閣としては憲法を改正するつもりも何もない。

 それで、今、九十二条、九十三条のお話をされましたけれども、九十二条に地方自治の本旨に従いという言葉がございます。では、地方自治の本旨というのは一体何を指すのか。これはいろいろな議論がありますけれども、広く言われているのは、住民自治、団体自治、そして補完性の原則であるというふうに思います。ですから、この九十二条の住民自治の原則、みずからの地域はみずからがつくる、そのことをさらに明示したものでございます。

 私も分権という言葉を使っていないわけじゃないです。緑の分権改革ということで、特にエネルギーの問題については、中央でセントラライズしているものを分散型に、そして小型にすべきだというように言葉を使っていまして、九十二条、九十三条といったことについても、私たちは相当吟味してつくった言葉でございまして、私自身が憲法の八章を変える気があるかと言われると、そんなことを考えているわけではございません。

 九条の議論についても、委員ともいろいろな議論をさせていただきましたけれども、憲法を不磨の大典だと言う気は全くありませんけれども、しかし、この地方自治の問題については、そのことを射程に入れて議論しているものではございません。

大野委員 憲法第八章を変える気持ちは全くない、こういうふうに理解させていただきます。

 そうだとすれば、また地域主権という言葉がわからなくなってまいりました。そういう意味で、どうぞ正しい言葉遣いをこれからよろしくお願いいたしたいと思います。

 そこで、さらにお伺いするとすれば、もっともっと地方自治を進めていく、これは地域主権でも地方分権でもいいんですけれども、地域主権と言った場合は、我々が受け取る印象としては、もう総務省なんか要らないね、地域の住民が全部決めたらいいんだね、こういう印象を持っちゃうんですよね。そういう意味で、総務省の今後のあり方、組織、これについて大臣のお考えを聞かせてください。

原口国務大臣 お答えいたします。

 総務省が要らないなんて一回も思ったことないです。逆に言うと、地域主権改革を進めていく上でも、各中央省庁の中で、義務づけ、枠づけの問題もそうでございますし、先ほど重野委員から御質問がありました一括交付金の問題もそうでございますし、総務省の役割は、お隣にお二人の大臣経験者がおられますけれども、増すことはあってもなくなることは全くないというふうに考えています。

 その上で、では、組織をどうすればいいかということですが、より地域のニーズに即応できるような、それから、先ほど自主財源というお話がございましたけれども、自主財源をしっかりと確保できるような組織が必要だろうと思います。

 また、今、電子政府化、クラウド化ということも提案をさせていただいて、各地方自治体ごとに個々にやっていくと大変ロスの生まれるものもございまして、そういったものについてもしっかりと総務省としての役割を果たしてまいりたい。あるいは、行政監視やICTやほかの役割もいっぱい持っておるわけでございますが、地方分権ということについても、総務省の役割は増すことはあっても減ずることはないというふうに考えております。

大野委員 大臣のお話を承りまして、ますますまた頭が混乱してまいりました。総務省は絶対必要である、しかし、地域のことは地域で決めるんだと。何だか総務省は絶対必要だという話と矛盾してしまうんですね。そのところは、本当に地域主権という言葉が巻き起こす大混乱みたいな気がしますね。

 総務省は要りますよ、全体の調整をするために。これは財源の調整から始まって、いろいろな意味で調整は必要なんですが、地域のことは全部地域で決めて、一般交付金が出ていくならば、もう一般交付金だけ配分したら総務省の役割は要りませんよねということになってしまうわけですから、地域主権という言葉じゃなくてもっと正しい言葉遣いをしてほしい。これは何回も繰り返して言っていることでありますが、そのことを再度申し上げたい。

 それでは、地域主権があれば、例えば税制なんかは全部その地域で決めていいんでしょうか。例えば消費税。消費税は国税として全国一律であります。しかし、もし地域主権というのがあって、消費税は各地域で決めるんだ、四国は四国で消費税は何%ですよ、中国は中国で、九州は九州で何%、こういうことを決めていいというお考えですか。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 まさに、税というのは国の根幹を決めるものでございます。この国の根幹、私たちは地方税というものを所管していますけれども、このことについても、これは国で、そして国会で決めるということになっておりまして、そのことを否定するものでは全くありません。

 ただ、一方で条例の上書き権、あるいは各地方自治体の税自体をみずからつくっていく、そういう権限についても地方自治体がある一定程度持つことを検討してもいいのではないか、こういう御議論があることは事実でございますが、委員御指摘のように、税というのは国の根幹のものでございまして、それを所管する総務省は、今回も幾つか地方税務局に対して、安定的に中央で税を徴収して、それを安定的なサービスに振り分けられるような新たな税のあり方がないのかと検討を指示しているところでございまして、その点については委員と全く同じ認識でございます。

大野委員 お話を聞いていますと、余り現状から変更がない。しかし、地域主権という言葉を聞いた途端に、ああ、何だかすばらしい世界が出てくるんじゃないか、こういう誤解を生んじゃうんですよ。話を詰めて聞いていますと、ほとんど現状から変更がない、こういう印象を受けてしまいます。

 私は、税については、国税は別として、地方税は、例えば将来道州制を導入すれば、四国の中で四国だけの税金をつくったっていいじゃないか、そういうふうに思う一人でございますけれども、そこはまた全体の調整というようなお考えを原口大臣の方は優先されているような気がいたします。

 何だか甘い、夢のあるような地域主権という言葉をよくよく聞いてみると、余り変化がない。現状と変化がない。言葉だけで甘い言葉をささやいているんだな、こんな印象を受けるのは私一人だけでしょうかという疑問を持ちます。

 そういうことで、今、税金の話が出ましたので、税金の話をちょっとさせていただきます。

 びっくりしましたのは、昨年十二月二十二日に公表されております、平成二十二年度税制大綱でございます。民主党のです。その副題として「納税者主権の確立」と書いてあるんですね。ここでも主権という言葉が躍っています。主権という言葉、納税者主権の確立というのは一体何を意味するんだろう。私は、途端にびっくりしました。

 大体、納税者主権という言葉、税金を納めていないと主権がないんでしょうか。

原口国務大臣 その前に、私たちの変革は、大きな変革をもたらすものでございますけれども、甘いささやきじゃないんですよ。甘いささやきでだれかをだますのではなくて、地域のことは地域で責任を持つということですから、半端な首長を選んだり、半端な議員を選べば、その責任は、それを選んだ主権者である国民、地域の住民に返るということでございまして、ここは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 ですから、公共サービス格差を私たちはしっかりと埋めたいと思っていますけれども、しかし、そのサービス格差を埋めるためにも、今のような全国一律で、中央にお金を集めて地方に分配するというやり方をやっていては、地域の創意工夫がなければ格差を埋める財源すらなくなっていくんだという問題意識を持っていることをぜひ御認識いただきたいと思います。

 それで、納税者主権について言うと、私たちは、納税者の権利憲章というものをつくらせていただいて、主権者がいきなりさまざまな納税の不利益を受けないような方式を法律案にして野党時代に出させていただいているところでございまして、納税をしていない人が権利を奪われるなどということではないと御理解をいただければというふうに思います。

大野委員 お話を聞けばわかるんです。だけれども、言葉から受ける印象は全く違う。これは地域主権の場合も申し上げているんです。だから、言葉遣いを、冒頭に戻ります、二度繰り返しになって恐縮ですが、政治には言葉が大切なんですよ。納税者主権という言葉を使われた途端に、これは日本の歴史をさかのぼってみますと、納税者だけが有権者であった時代がずっとありましたよね。明治二十二年から大正十四年までですかね、税金を納めていないと選挙できない。こういうような印象を受けちゃうんです。

 大臣、納税というのは、税金というのは、憲法上、義務なんです、権利とは書いていません。義務という言葉を憲法上使っているのは、私の記憶では三カ所使っていると思います。労働、教育、納税、この三つだと思うんですが、納税のところだけは義務としか書いていません。教育と労働の方は、権利と義務と両方書いてありますよね。それだけ納税というのは義務の面が強いんですよ。それを主権と書かれるものですから、非常に言葉遣いが怪しげな内閣だなと思っちゃうんですね。

 そこを、どうぞひとつ言葉遣いを正していただきたい、そういう意味で私は申し上げているわけでございます。公用語でありますから、一般の会話の中で使う分にはいいですよ、公用語として使う場合、本当に言葉というのを大事にしていただかなきゃいけない。

 納税者主権も、そういうびっくりするような話であります。もっともっと言葉を大事にして、納税というのは本当に義務なんですよ、権利じゃありませんよ。権利なんて思うと、税金を払わなくて、贈与税を払わなくて、知らなかったからいいんだみたいな感覚になったらどうするんですか。これは本当にゆゆしい問題です。納税というのはやはり義務なんですよね。その義務のところへ納税者主権なんていって、払っても払わなくてもおれの権利だみたいな感覚が生まれてきたら大変なことになります。どうぞひとつ言葉遣いをきちっとしてください。

 結論として私が申し上げたいのは、冒頭にも申し上げましたけれども、こういうような全くおぞましい言葉の使い方、あやふやな意味を発生しかねないような言葉遣いを、大臣という、今からの日本を地方から再生させていかなきゃいけない、こういう重大な責務を負った方が軽々しく使ってもらうと、まるでそれがひとり歩きして間違った印象を与えていく、このことを非常に私は恐れておるんです。どうぞ言葉遣いに注意をお願いしたい。

 地域主権担当大臣を地方分権推進担当大臣とお直しになるお気持ちはありませんか。

原口国務大臣 委員も大臣をお務めになっておられましたから、これは、地域主権担当大臣におまえがなれといって私がならせていただいたわけじゃなくて、総理からいただいたものでございまして、地域主権担当大臣としてまたしっかりと務めを果たしてまいりたいと思います。

 ぜひ御理解をいただきたいのは、前のパラダイムから新しいパラダイムをつくるときには、それに新しい意味を持たせた言葉が生まれてきます。ただ、委員が御指摘のように、それをもてあそんだり、あるいは、先ほどお話がありましたように、何か甘い、バラ色だけを振りまくということはあってはならない。言葉の定義をしっかりと支えて、そして鍛えてやっていくことが大事だという委員のそのお考えは、私も全く同感だというふうに思います。

大野委員 同感であれば、どうぞそういう誤解を発生するようなことを直してくださいよ。本当に、お考えを聞いていると、中身はなるほどと思うんですよ。何でシャポー、帽子を直さないんだ。みんな帽子を見ていますよ、地域主権、あるいは納税者主権なんという。(発言する者あり)いや、中身を議論する前に、こういう誤ったメッセージを出すことが……。

 では、もう一遍申し上げましょうか。

 政治というのは信である。信という言葉、人間の言葉ですよ。にんべんに言と書くわけですからね。信のない内閣でいいんでしょうか、信のない原口総務大臣でいいんでしょうか。

 私は、原口総務大臣がおっしゃることは、ある程度納得できるところもありますよ。そうだそうだというところもありますよ。だけれども、帽子は間違ったメッセージを出す帽子をかぶっておいて、中身はあなた方と同じですよ、こういうような話をされているから、これでは信用のない内閣、信用のない政治をするイカサマの政治の民主党内閣というふうになってしまいますよ。私はこのことを追及しているんですよ。

 だから、根本的に、同じような土台の中で言葉がまるで外国語と日本語でしゃべっているような議論じゃなくて、同じ言葉でしゃべっていただきたい。言葉というのは、それだけ政治にとっては大事なことだ。大臣、このことをもう一遍聞かせてください。

 どう思いますか。言葉は大事なんだ。だからこそ、この地域主権という言葉は直さなきゃいけないなと少しでも思ってくれたのかどうか。

原口国務大臣 言葉は、まさに政治家にとっては命でございます。そして、それに対する信頼、政治は信なくば立たずですから、委員の御指摘のところを、いきなり私が地域分権改革大臣になりますなんてここで言えるはずがないということも御理解されての上での御質問だと思います。

 委員がこの間ずっと地域主権改革という言葉の持つ危うさや疑問についてここでこうしてただしていただいたこと、本当にありがたいと思います。委員のお気持ちを体現しながら、私も頑張ってまいりたいというふうに思います。

大野委員 地域主権の議論とか納税者主権の議論をしたこと自体を評価してくださったことで、きょうはここで地域主権の問題は矛先をおさめさせていただきますけれども、どうぞひとつ、言葉が大事なんだ、地域主権担当大臣は仰せつかったからやっているんじゃなくて、もっともっと大臣みずからが、地方分権改革をやっていこうじゃないか、そして地方の発展のためにおれは頑張るんだ、こういう意気込みでやっていただかないと日本の将来はない、それほど地方の発展というのが今日本にとって大事であるということを申し上げたいと思います。

 次に、一括交付金の流れについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私も、一括交付金というのは大切な問題で、その流れは賛成でございますけれども、一括交付金のメリット、デメリット、両方あると思うんですね。特別交付金の場合には、ひもつきであって、ひもがついている以上は監視役がいる。ところが、一括交付金になると、監視役がいなくなってしまう。中央からの監視役ですよ。みずから自浄作用を行うということはありますけれども、中央の監視はなくなる。そうすると、一体このメリット、デメリットをどういうふうに考えていけばいいのか。これが一つの問題。

 それからもう一つは、交付金ではなくてむしろ自主財源としてつくり上げていった方がいいのではないか、将来の方向性。一括交付金の流れは私は大賛成ですが、デメリットもあるんですね。だから、そのデメリットをどういうふうにチェックしていくんだろうか、この点のお考えをお示しください。

原口国務大臣 これも大事な論点だと思います。

 できるだけひものつかない一括交付金化して、地域の創意工夫、そして、将来、今賛成だとおっしゃってくださいましたけれども、地域が独自に使える財源まで持っていくということは、長い先を見通した御議論だというふうに思います。

 その上で、一括交付金のデメリットということも、これは国、地方の協議の場でも御議論いただくし、この国会でも活発に御議論いただきたいテーマでございますが、それがないとは私は思っていません。

 たしか、きのう委員がレクの中で私どもの役所の者にお授けいただいたように、イギリスでは国務大臣が任命する監査委員会というものがあって、それがさまざまなチェックを各地域においてもやっています。こういう考え方を持っているところもあるということは何が問題になるかというと、まさに財政の野方図な拡散といったことになってはならない。私たちは、その部分も地域に、まさにさまざまな権限を、みずからの監査、みずからの独自のチェック体制というものをお願いする一方で、中央政府としてはどういう仕組みが必要かということも今委員の御指摘に沿いながら議論を詰めていかなきゃいけない、そういう問題であるというふうに思っています。

大野委員 一括交付金の場合は、本当に自治体がきちっと使ってくれれば全く問題がないんですけれども、例えば地方公務員の給与引き上げに充てるとか、あるいは庁舎のぜいたくな新築に充てるとか、そういうことになってくると、やはり要注意、監視をしなきゃいけないという問題が起こってくるわけです。その辺は、ひもつきでないことは非常に大事ですけれども、やはり監視体制というのをぜひとも考えておいていただきたい、このことをお願いするわけでございます。

 ただ、問題は、やはり自主財源。私は、もう陳情行政さようなら、これが今からの地方の最大の問題だと思いますので、自主財源をつくっていく方向についてはどうでしょうか。

 例えば道州制の制度の発足が見られれば、州の中で一つのしっかりした税財源制度をつくっていくことが大事なことだと思います。恐らく、今の国税であっても、五税の一定割合を地方の財源にするという交付税交付金制度じゃなくて、例えば所得税からたばこ税からみんな地方の税金にしちゃおうじゃないかという動きがあっていいと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 大事な御議論だと思います。例えば昨年の政府税調の中の議論でも、私の方から地域の環境税、地方環境税ということについて提言をさせていただきました。つまり、環境対策をやっているものはさまざまな主体がありますけれども、地方の役割というのは大変大きゅうございます。では、その環境対策を独自に賄う税財源というのは一体何なのか。あるいはこれから福祉や医療やさまざまな地方の公共サービスの需要が伸びる中で、安定的な地方の税財源というのは一体何なのか。

 これは地方消費税の議論についてもお話をさせていただいたところでございますが、今委員がお話しのように、歳入構造そのものをどう変えていくかというのは極めて大事な議論でございまして、直間比率の問題、国、地方の税財源の見直しの問題。そして、もっと言うと、今お話しになった道州における、あるいは、私たちは基礎自治体と言っていますけれども、そこにおける、みずからの税をつくって、みずからがみずからの公共サービスを賄う、その自由についてどう考えるか。こういったところは極めて重要だと思いますので、さらに私たち税調の中でも議論を詰めてまいりたいと思いますし、与野党を超えた枠組みで御指導をいただければ幸いでございます。

大野委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問項目です。

 せんだって新聞に出ておりました総務省顧問、びっくりしましたね。私も役人、公務員をやっておりましたけれども、昔は、顧問というのはせいぜい一人か二人でありました。大蔵省の例で言うと、大蔵事務次官がやめて、残務整理のためにしばらく顧問として残ってやっていたという程度でございましたが、総務省は顧問を二十数人雇っておられるということを新聞報道で見ましてびっくりしました。

 なぜそんなに顧問が必要なんでしょうか。そして、今、何人顧問がいらっしゃるんでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 現在、二十一名でございます。

 委員が御指摘のように、過去の政権においては一人、二人、増田大臣のときは五名と承知していますが、その多くが総務省顧問といいながら総務省の役所の方であられました。私はそれが必ずしも悪いとは言いませんけれども、私たちは新たなパラダイム、新たな変革をしたいと考えておりまして、この総務省顧問は二つに分かれてお願いをしています。

 一つは、総務省は非常に大きな役所でございまして、情報通信に対する国民の権利をどのように保障していくのか、あるいは、先ほど大谷委員からございましたけれども、世界のOSが崩れる中で、さまざまな政治のリンケージあるいは発展の基礎をどのようにつくっていくのか、心理学や精神科学という中からどのようにそれをチェックしていくのか。これは中の知恵だけではとてもできないものでございました。また、私たちは、今郵政改革、さきの国会で凍結法案を通していただきましたけれども、今までの郵政の総括についてもやらなきゃいけない、コンプライアンスを保障するためにもこれをやらなきゃいけないということで委員をお願いしました。

 もう一つの流れは、地方自治体の長の方々です。この方々は無償でございますけれども、国、地方協議の場を立ち上げるに至って、中央政府が持っているさまざまな権限を地方にまさに分権し、そして地域みずからがみずからで設計をしていくためには何が必要か、これは私たちだけではわかりません。ですから、変革の先頭になってくださっている方々をお願いした。そして、テレビ会議を定期的にやって、これは全部公開になっておりますが、改革の方向性、国、地方協議の場の法制化についてもやっと何とかめどが立ってきましたけれども、その法制化や工程表をつくる段階でも各首長の皆さんにお知恵をいただいた。六団体の長の皆さんに、どなたがいいでしょうかということでお願いをして、それだったら私がなるよと言ってくださった方もいらした。

 私は、党派でいうとさらに広げて、この総務委員会にも大変な御知見をいただいていた議員の方でも苦杯をなめておられる方もいらっしゃいます、そういう方でも、もし党がお許しいただければ顧問になっていただいて、党派を超えた地域主権のドライブをかけることができればと、このように考えているところでございます。

大野委員 新たなパラダイム、新たな変革のために顧問が必要だ、知恵が必要だ、こういうお話でございましたが、この二十一人の中で自治体の首長を除いた何人かの方は、どのぐらい総務省に来られて、どの程度の時間働いて、その報酬はどの程度になっているか、これを簡単に御説明ください。

原口国務大臣 待遇のうち、謝金については、予算で定められた共通の単価として勤務時間に応じて決まっておるところでございます。

 また、それぞれの顧問については、登庁頻度の高い方が二人おられます。その方々については、非公開情報を含め取り扱う情報量の多さ等に応じて、さまざまな、例えば日本郵政をめぐるコンプライアンスの確保、あるいは地上デジタル放送の国際的展開のあり方について、これまでの豊富な知見を生かして総務省の施策に参画いただいているところでございます。

 また、総務省が行いました事業仕分け、これは私たち事業仕分けをして、その後各省がさらに切り込むようにという指示がありまして、私も行政刷新会議担当でございますけれども、来ていただいて、行政評価、さらなる総務省予算の切り込み、あるいは物品調達の契約の適正化等に御知見をいただいているところでございます。

 一カ月間にお見えいただくのは、それぞれの委員によってばらつきがありますけれども、その二人を除けば、まさに月額十万円に上らない、そういう頻度でございます。

大野委員 あと、部屋があるとか、秘書がついている、車がついている、こういうこともお伺いしようかと思ったんですが、時間の関係で……。

 最後に申し上げたい。

 この顧問を大量に、しかも、落選された元議員まで来ていただいている。これは、何だか仲間顧問、友愛顧問と言わざるを得ない。何をやって、どういうふうに役立っているのか、これはもうちょっと検証してみる必要があると思いますが、これまでは官僚支配政治と言われておりましたけれども、大臣の今のお話を聞いていますと、もっともっと顧問をふやしていいんだ、こんな雰囲気でございます。今からは顧問支配政治になっていくのではないか。官僚支配政治から顧問支配政治。

 総務省自体が顧問というのは本当に必要な場合だけにしていただいて、何のために顧問という制度をつくっているのか、何のためにこの方に来ていただいているのか、明確でないことは、効率化とか行政の無駄とか、こういうことを省く観点が大変大事ですから、そういう意味で顧問制度をもっともっとスリムにしていただく。これは、私は、国民の目から見ても大事なことだと思っております。

 もしそういうふうな顧問制度をつくるなら、委員会制度に直したらいいんですよ、大事なテーマがあれば。委員会制度にして、その委員会で集まってもらって、あるテーマについて議論してもらったらいいわけです。それを何か、友達みたいだから選んだ、落選されているから来てもらおう、こういう感じで、友愛顧問支配政治にならないようにひとつお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 大変大所高所に立った大野先輩の後でやりづらいわけでございますけれども、初めての、我々自民党の大臣所信に対する質疑がきょうであります。新内閣発足以来五カ月もたったきょうにまでなったということは、大変我々としても残念でございます。今までの国会運営についてのいろいろ思いもございますけれども、きょうはその点はおいておいて、一時間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。

 原口大臣がアグレッシブに、さまざまな分野に精力的に御活躍されていることにつきましては敬意を表したいと思います。

 ただ、政治は結果でございます。具体的に、これからお話しするそれぞれのことについてどういう見通しで、どういう結果がもたらされているのか、地域の現場の声も踏まえながら質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど大野先生から顧問の質問がございました。ちょっとそれを引き続いてでございますけれども、大臣、先ほどの御説明では、いろいろ知見を有する方に幅広く意見を聞くんだと。それにしては、次期の選挙の出馬がうわさされているような方を何人もなぜ顧問にする必要があるのか。今は二十一名ということですけれども、その大臣の理屈でいけば顧問を百名でもいいのか、やはりそこは大臣、政治家としての良識というのか常識というのか、それがあろうかと思うんです。

 意見をいろいろな方に聞くということであれば、別に総務省顧問という肩書がなくても、我々がそうであるように出かけていって話を聞くとか、あるいは大野委員から今話がございましたように、何かのタスクフォースを立ち上げるとか、いろいろな手法はあろうかと思いますけれども、その点について、どうですか。政治家を、元議員あるいは前議員を、何か党派のバランスも考えているかのような……(発言する者あり)いや、一般の方はですよ、我々もどうしてもそういうふうに見てしまいます。ああ、この人は国民新党だ、この人は民主だ、あるいはこの人は社民だと。そういう誤解というか、我々あるいはマスコミの目から見て極めて恣意的じゃないか、総務行政のあり方について何かおかしくなりはしないか、そういう誤解を与えかねないことについての大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 委員にお答えいたします。

 委員はかつて自治省にも、それから消防庁にもおられたことがおありになると思いますので、やはりかなり広いんですよ、そして変革を一遍に進めたいということで今回の形になったわけでございまして、私は松下幸之助さんから教わりましたけれども、松下さんが毎日私たちに何を言っていたか、衆知を集めなさいということを言っていました。

 この顧問の中をごらんいただければ、何も民主党政権に甘いことを言っている人ばかりじゃないです。自公の方々がお選びになって、そして地方で、こんな民主党の地域主権改革でいいのか、とんでもないというような方もお入りいただいているし、それからお二人の町長さんにお入りいただいていますけれども、このお二人は、まさに自民党政権を支えて、そして活躍をされた方々でございます。

 ぜひ御理解をいただきたいのは、衆知を集めて改革を、できたものはすぐやるというためには、先ほど大野先生が、委員会制度にする、これも一つの考え方でございます。ですから、そういうタスクフォースを今立ち上げているんですけれども、しかし、年内に何としても工程表をつくりたい、それから改革の道筋をつけたい、郵政改革なんというのも待ったなしだったので、そのことを御理解いただきたい。

 ただ、委員が御指摘になるような恣意的なものを私は入れたつもりは全くありませんで、政権を支える人たちを中心として顧問を選ぶということだけをここでやったわけではないということも、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

谷委員 どうも余り、これをこれ以上やっても認識の違いというのか、それで終わりそうでございますので、次に、疑惑三点セットと言われる、鳩山総理、小沢幹事長、そして北教組の裏金疑惑についてお尋ねしたいと思います。

 またまた、大臣、北海道教職員組合の裏金という疑惑が報道され、あれは警察ではなくて検察庁ですか、家宅捜索も入ったということであります。本会議でも質問をさせていただきましたが、あれは文部科学大臣でした。

 公職選挙法、政治資金規正法を所管する大臣として、しかも公務員である先生が裏金というようなやり方で、裏金ということは、要は表に出したらまずいということを十分認識していたということですから、そういうことをやっている、しかも氷山の一角にすぎないということについての大臣の所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 総務省としては、個別の事案については実質調査権を有しておりません。ここはやはり、この大臣としての、歴代大臣もそうでありますけれども、しっかりと守らなきゃいけない、個別の案件についてのコメントを控えるということは、具体的な事実関係を承知する立場でないのでお答えを差し控える、これは堅持しなきゃいけない姿勢であるというふうに考えています。

 その上で、一般論でございますけれども、この間、行政機構についても、さまざまなプール金や国民に説明できないお金がないのかということで、聖域を設けずに行政評価という形で、しっかりと説明責任が果たせるようなそういう作業を総務省の中の行政評価局を中心に要請したところでございまして、いかなる理由、いかなることがあっても裏金などということはあってはならない、そのように考えています。

谷委員 それに関連して、きょうは階政務官もおられますが、石川議員が逮捕、起訴されて、我々は辞職勧告決議案を出させていただいているんですけれども、無視されて、放置されて、たなざらしという状況であります。

 この前の委員会でも、同期だということでいろいろ仲間を支援というんですか、そういう会合にも出られたということでありますけれども、政務官、どうですか。同期であれば、辞職勧告決議案を我々が出すということであれば、いやいや、そんなものは辞職する必要ないと、堂々と否決すればいいんじゃないですか。お考えをお伺いしたいと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 辞職勧告決議案については、まだ出されておりませんので、仮定の質問についてはお答えいたしかねます。

谷委員 何か形式的なあれを……。提出したんですけれども、議運預かりということではないかと思いますが、まあよろしいです。じゃ、仮におろしても……(発言する者あり)まあまあ、いいです。

黄川田委員長代理 質疑を続行してください。

谷委員 はい、質疑を続行させていただきます。

 天下りの問題についてお尋ねしたいと思います。

 手元に資料があると思います。総務省の資料で、五代連続ポストの府省庁によるあっせん件数がどれぐらいあるかということで、これは質問主意書に答えるときに総務省が調べて、原口大臣が再度指示して、それで件数がふえた。大臣が再度指示してなぜふえるのか、よくわからないんですが、その辺の経緯を教えていただけますか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 五代連続法人の特定ポストに関する府省庁のあっせん状況ということで調査をさせていただきました。これはずっと私たちが調査をしてきたところですけれども、五代連続のポストを、民主党わたり調査PTの要求により判明した三百三十八法人、四百二十二ポスト、これは平成二十一年の五月十四日時点について、再就職者のそれぞれのあっせんの有無を調査し、十二月四日に結果を報道発表したものでございます。

 それで、初回の調査結果は不十分と判断し、再調査を実施して、再調査結果は十二月二十五日の閣僚懇で報告して、各大臣に精査及び適切な対処を要請、あわせて結果を報道発表したものでございます。

 天下りの根絶については、あっせんの禁止はもとより、隠れ天下り批判などの国民の疑念に対して、総務省の横ぐしの機能を駆使して実態を明らかにし、その是正を図ることが必要であるというふうに考えておりまして、判断の基準が甘かった、前の判断で本当にいいのかということで再度精査をさせたわけでございまして、さらにこれは続けてまいります。

谷委員 この資料の読み方ですけれども、これは五代続いてですから、四百二十二のポストの五倍ですから、二千百十のうち二百三十四ですから、一割ぐらいが天下りであった。大臣、そういう理解でよろしいですか。

原口国務大臣 おっしゃるとおりであります。

谷委員 今大臣は、天下り、いわゆる裏下りに近いものも含めて調査をするかのような発言がございましたが、そもそも選挙前に、民主党のマニフェストなり、あるいは今の総理が代表のときに党首討論で、四千五百の法人、二万五千人の人たち、そこに十二兆一千億というお金の流れがあるということを何度も何度も繰り返し述べられました。そういう天下りの実態を総務省で調査されるという理解でよろしいんですか。

原口国務大臣 おっしゃるとおりです。

 いかなる天下り、先ほどお話しになった裏下り、まさに省庁のあっせんによってポストを独占する、あるいは、その先で官製談合やあるいは随意契約の温床となる、こういったものを私たちは野党時代から追及をしてきたわけで、これは総務省でしっかりと調査をして公表していきたい、このように思っています。

谷委員 今、大変大きな発言があったと思いますよ。

 私は去年十一月に質問主意書を出したんです。内閣に対して質問主意書を出しました。政府の天下りの定義というのが、別の、みんなの党の山内議員の質問主意書で、「天下りとは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいう」と定義しているんです。早く言えば、府省庁のあっせんがあるものだけが天下りだ、こう定義した。

 だから、その定義に基づいて、鳩山総理が選挙前、国家基本政策委員会合同審査会、いわゆるQTで、「四千五百の天下り団体に二万五千人の天下った方々がおられて、そこにですよ、国の予算がどのぐらい出ていると思います、十二兆一千億のお金がそこに流されているわけです。」と断言しているんです。

 ですから、その関係はどうか。選挙前は、四千五百の団体、二万五千人の天下りしている人たちがいる、それは本当かと私が質問主意書を出したら、内閣の答えは、いやいや、個々に再就職すべてについてあっせんの有無を確認する必要があるから、調査に膨大な作業を要するから答えられない。要は逃げたんです。その数字が正しくないということを暗に認めているんです、政府は。

 では、総務省は、もう一度いわゆる天下りの全体を調査される、そしてその天下りというのは、調査の対象は、政府の定義による府省庁のあっせんによるものだけを指すのか、それともそれ以外の、いわゆる裏下りと言われるものも指すのか、その辺なんです。なかなかこれは大変ですよ。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 お答えいたします。

 私たちは、まさに再就職者のそれぞれのあっせんの有無、まずはこれを調査しなきゃいけない。そして、実質的にあっせんがあったかなかったか、それはだれがやったのかを調査して公表したいと思います。これが、政府が定義をしているまさに狭い意味での天下りについての調査でございます。

 では、それで足りるのか。本当に政府が定義をしている天下りだけで足りるのか。このことも今政務三役で議論をしておりまして、また先生のお知恵をいただければというふうに思います。

 官房その他からあっせんは実質的にはなかったかもわからないけれども、しかし、こうやって五代連続で回しているとすれば、それは何を意味するのか。ポストの固定化であり、国民から見るとなかなか理解できないことではないか。そこについての一定の見解を今議論しているというところを御理解いただきたいと思います。

谷委員 先ほどの大野先生の質疑じゃないんですけれども、大臣、言葉を正確に使っていただきたいと思います。

 天下りは、狭い天下りというのは大臣が言っちゃだめなんです、政府なんですから。天下りとは何ですかと我々が聞いたら、省庁のあっせんがあるのが天下りという。それを狭いと大臣みずから言ったら、天下りの定義を変えてもらわなきゃならないんじゃないですか。いや、その思いはわかります、私も政治家として。ただ、天下りというのは何ぞやということを政府がはっきり定義しているんですから、それに基づくものは調査をします、それ以外も、裏下りというのも調査をしますというならわかります。ですから、ちょっとそこのところを正確な意味で使っていただきたいということ。

 それから、いわゆる政府の定義する天下り以外は、もう一つよくわからないんですけれども、その対象範囲はどう絞るんですか。裏下りというのはなかなか難しいと思いますよ。

 五代連続してというのが冒頭お話しさせていただいた資料です。これは五代です。では、なぜ五代なのかというのは私もよくわかりません。たまたま五代ということで調べただけだと思うんです。それ以外に、いわゆる省庁のあっせんを受けないけれども、OBとかいろいろなところで、事実上それに近いような形態になっているというのは、国民の多くはそう思っていますよ。その範囲をどう調べるのかということについて、まだきちんと決めていないのかもわかりませんけれども、今のお考えをお尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 政治家同士の議論で狭いという言葉は、確かに、それはそうですね、議員がおっしゃるとおりであります。

 政府が定義しているいわゆる天下り以外に、問題のあるような退職公務員のさまざまな行為があるのではないか。それは、何が問題で、どれぐらいあるのかということをまず議論しているわけでございます。例えば人件費についても、人件費以外で特定ポストを、非人件費の部分で特定ポストを占めていたといったこともございまして、今、さまざまな観点から御意見をいただきながら議論を詰めているというところでございまして、中におられたわけですから、中におられた方にも、ぜひ、どういうことが起きているのか教えていただければ幸いであります。

 これは、逆に言うと、次官を頂点とするピラミッド形の機構で、若いときに肩たたきをされて、それで行かなきゃいけない。これはある意味、国の責任として、それが必要であった部分というのがあると思います。いや、ないとは絶対言い切れない。だから、今私は台形のシステムに、きょう公務員制度改革の法案について閣議決定をさせていただきましたけれども、では、台形の制度になったらこういう天下りや裏下りのようなことはなくなるのか。だとすると、どれぐらいのコストが削減できるのかということも、あわせて指示をして検討させているところでございますので、お知恵をいただければと思います。

谷委員 天下りなり、あるいはそれに類するものについて総務省で独自で調査をする、そういう大臣の決断に私は評価をさせていただきたいと思います。

 確認ですが、それは大臣の判断なのですか、どなたかの指示ですかということが一つと、大臣、いつまでにこれをされるんですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 だれかの指示ではありません。総務省は行政評価機能を持っています。常に、国民に対してしっかりと各省庁のパフォーマンスを説明する責務がございます。その意味で、私の判断でやらせていただきます。

 いつまでにということでございますが、先ほどの、台形型になったらどうかということの試算はもう出ております。ですから、理事会でお認めいただければ、また委員がお求めいただければ、この委員会に出させていただきたい。

 ただ、それは単純計算をしているもので、台形にすると約二割ぐらい逆にコストがふえると。その計算は本当にそうですかと、もう一回精査して、その先で官製談合とかあるいは随意契約といったものをなくすといったファクターも入れて、もう一回計算すべきじゃないかということを今指示しているところでございます。

 そして、調査自体は、その基準が決まれば適宜適切に行ってまいりたい。年内に幾つか、年内というかこの一年の間に、幾つかの指標を決めて、また国会に御報告していきたい、このように考えています。(谷委員「それはいつまでかということをお尋ねしているんですけれども」と呼ぶ)いつまで、時期ですね。

 ですから、今、何をどのように基準を決めて調査するかということを議論していますから、できましたら三月ぐらいまでの間にその調査項目を決めて、そして年内には一つの道筋、あるいは調査の結果を皆様に御報告できれば、このように考えています。

谷委員 これは、大臣も民主党のときに膨大な資料要求をされたんですね。あれも、そんな九カ月もかかっていないんじゃないかと思いますけれども。できれば調査を始めて春までに、来月なら来月まででいいと思うんです、しっかりとどの範囲を調査するというのを決めていただいて、できれば三カ月か四カ月ぐらい、参議院選挙のときは国会がないわけでございますので、夏ぐらいをめどに調査をまとめていただくように要望をしたいと思います。

 それに関連して公務員制度改革です。

 大臣がおっしゃるように、我々が政権をとっているときに、天下りといって公務員の方を責めればいい、とんでもないことをしているという、新聞も含めた、メディアも含めた大変厳しい批判がありました。OBの方が転々とわたりをするのは論外にしても、五十代の方が、同期がだんだん役所の中で絞られていって、それで去っていく。いい悪いは別にして、そういう慣習の中で天下りというものが生じている。そして、そういう方自身も、子供の教育がかかり生活もかかっている。そういう現実をしっかり踏まえるならば、やはり制度全体を、今のままではなくて、中央省庁の仕組みを変えていく必要があろうかと私は思います。その意味では大臣と同じ思いだと思います。

 きょう国家公務員法の改正が閣議決定をなされたというふうに聞いております。ところで、この改正案、まだ私も詳しくは承知していないんですけれども、新聞で報じられるところによれば、今ある官民人材交流センターは廃止され、民間人材登用・再就職適正化センターをつくるということになっているようでありますけれども、勧奨退職をされる方はここで面倒を見ていただけるんですか。これは階政務官かな。

階大臣政務官 この新しい民間人材登用・再就職適正化センターというところは、昨年九月の総理発言によって、再就職あっせんは、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き一切行わないと言われたことを受けてつくるものでございますから、今申し上げたとおり、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合にのみ再就職あっせんを行うということですから、すべての退職勧奨のケースにつき再就職あっせんをするということではございません。

谷委員 この国家公務員制度改正はまた正式に国会に出されたときに、内閣委員会になるのか合同委員会になるのかよくわかりませんが、そこで十分議論も深める必要があると思います。

 ただそれにしても、政務官、今、新内閣発足以来、省庁のあっせんというのは一切やっていないですね。やっていないです。そうすると、新たに民間人材登用・再就職適正化センターというものをつくる、しかしこれは職制の改廃などによるものだけだ。今でいえば社会保険庁ですか、そういうものだけですから、各省庁に勤めている幹部職員の方はここに相談するわけにいかない。どうするんですか、そういう方は。自分で探せ。もう一切、各省庁の官房ももちろん世話をしてくれないですし。しかし、今のあれからいえば六十まで、定年というのはなかなか難しいですね。局長を四年、五年もするわけにいかない。では、その方たち、部長でも課長でもいいです、どうしろという考え方だと思えばいいんですか、きょうの閣議決定の法案は。

階大臣政務官 お答えいたします。

 今の谷委員の問題提起は、私どもも非常に重要なことだと思っていまして、この法案の通った次の段階では、まさに定年まで勤め上げられるために、人事制度、処遇の仕組みをどうするかということをしっかり固めていかなくてはならないと思っております。

 先ほど大臣も答弁いたしましたとおり、普通にやっていくと人件費が大きく膨らんでしまうということでございますから、これから、定年まで勤め上げた場合にどういう処遇をしていくかということをしっかり検討して、制度を固めていきたいと考えております。

谷委員 いや、階政務官、それはひどいよ。余りにもひどいと思いますよ。そういう新たな仕組みだけつくって、これから人事制度を考える、これはないと思いますね。やる気をなくしますよ。

 ですから、私がというか霞が関の方たちは、もうそこそこの年の人は本当に、再就職をどうしようかということを内心では、だれも世話してくれない、かといって在職中は探せない、しかも六十まで身分ももたない。自分で探すしかないんじゃないですか。そして今、どうするんですかと聞いたら、大きな問題意識を持っていると。当たり前ですよ。問題意識を持ってもらわなきゃ困ります。ただ、それとセットで今回の法案をするというならわかりますけれども、仕組みだけ先行して、この後考えますと。この後って、今現在働いているんじゃないですか。

 もう一度答弁を求めます。

階大臣政務官 公務員制度改革推進本部の方で、退職まで勤める場合の処遇をどうするかという検討のプロジェクトチームもあるわけでございまして、早いうちにその全体像、どういう対策をするかということはお示しできるのではないかと考えております。

谷委員 これ以上、まだ法案も見ておりませんし、法案の審議のときに議論をさせていただきたいと思います。

 先ほど原口大臣が言われました、何か試算をしたことがある資料、もう一つイメージがよくわからないんですけれども、また別途、委員長、理事会の方で協議をしていただきたいと思います。たとえ試算であっても、今後のいろいろ制度を考えるときの参考になればぜひ我々も見させていただきたいし、勉強させていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお取り扱いの方をお願いいたします。

近藤委員長 理事会で協議させていただきます。

谷委員 次の問題に移ります。

 地方分権改革推進委員会の二次勧告、三次勧告についてであります。

 国の出先機関を原則廃止するという二次勧告に基づいて、また、行政刷新担当大臣が枝野さんにかわられて、新聞報道によると、大変精力的にどんどん取り組むということのようであります。

 これは、国の出先機関を廃止するということは地方自治体にとっても大変大きな関心でありますし、また、廃止して、その職員の受け皿はどこにあるのかというと、また地方自治体ということをいわば安易に国が考えないとも限らないというのか、既に考えているかと思うんですが、そういう意味で、総務大臣の方も大変高い関心を持って見ておられるかと思うんですけれども、今どういう状況になっておられますか。枝野大臣が中心にやられるということですか。総務大臣がどう絡むのか、その辺が私はよくわからないので、その辺の関係も教えていただけますか。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 出先機関の問題については、枝野大臣としっかりとタッグを組んでやるということで、きのうもお話をさせていただきました。

 地方分権推進に伴う地方移管などによって、私たち、これは連立政権でありますが、民主党のマニフェストにおいては、地域主権という中で、国家公務員の総人件費を二割削減しようということを考えておるわけでございます。

 そこで、職員の雇用の確保を前提とし、人材の移管等を、これは先ほどの公務員全体の再就職の件でも御議論ありましたけれども、やはり丁寧に進めていく必要がございまして、本年夏をめどに策定予定の地域主権戦略大綱に国の出先機関の基本的な考え方を盛り込むべく、地域主権戦略会議、これは総理が議長でいらっしゃいますが、そこで検討を進めていくということにしております。また、同大綱を踏まえ、政府として、制度面の課題を含め、事務権限の見直し、それから今お話がございました人員の地方移管、組織のあり方の検討を進めてまいりたい。

 谷委員、私は、やはり今の組織で相当の改善点、変えなきゃいけないところがたくさんあると思います。一方で、今度はナショナルミニマム、先ほど重野委員がお話をいただきましたけれども、国全体として保障しなきゃいけないもの、例えば労働のさまざまな権利をモニターする、あるいは監督をする。そういったものをしっかりと仕分けをしながら、枝野刷新担当とともに、それから地方との協議の場も含めて議論を進めてまいりたい、このように考えています。

谷委員 国の出先機関の廃止を考えるときに、二次勧告の後で、我々が与党だったわけでありますけれども、いろいろ政府と議論をするときに、大臣、欠けていた観点というのもあるかと思うんです。それは一つに危機管理だと思います。

 例えば整備局は、私は兵庫ですから、近畿の整備局という国の地方機関がある。それを、いやいや、道路、河川はもう都道府県で、関西であれば二府四県でやればいいんじゃないかと。そうしたら、現実にできるかどうか。いざという大きな災害のときに、今整備局が担っているような危機管理上の対応ができるかどうかという観点が大変欠けていたと私は思います。

 地方分権を進めるという視点ももちろん大事です。大事ですけれども、地震とか台風とか集中豪雨とか、今そういう自然災害への危険性というのが便利になればなるほど高まってくるというのは、大臣よく御承知のとおりかと思います。その点もぜひ十分加味していただいて、この問題を考えていただかなければ、国の出先機関はなくなったけれども、いざというときにしっかりとした復旧とかあるいは人命救助ができなかったといえば、そういう地方機関を整理した者の責任も問われるかと私は思います。政治の責任も問われるかと思います。ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。

 大臣の所見をお願いします。

原口国務大臣 大事な御視点だと思います。

 特に関西の方からは、広域圏で、国の出先機関を自分たちに任せてくれたら、それは各都道府県ごとは無理かもわからないけれども、関西丸ごと、自分たちのさまざまな行政を行っていきたい、こういう御要望も出ております。

 その一方で、今お話しの危機管理。危機管理の基本はやはり、谷委員、ミニマックス理論だと思います。考えられる最悪の事態をどのように極小化するかということ。これは防衛の議論の中でも相通ずるものでございますが、この観点からすると、では、そこにおける中央政府の役割というのは一体何なのか。いざ問題があったとき、例えば、日本全体で見るとカリフォルニアぐらいの面積しかありませんけれども、この首都東京にかわる危機管理都市というものも、これはないわけでございます。それをどのようにつくるかということも私たち政府の中で、今、問題提起をして議論しているところでございます。

 地方整備局が危機管理について持っている役割について、大変有意義な御提案をいただきましたので、私たちの議論の中でもしっかりと詰めてまいりたい、このように考えています。

谷委員 大臣、本当によろしくお願いします。

 この点は、やはり閣内で議論するときもしっかりそういう視点で、かわったばかりですけれども、防災担当大臣の発信力もやや弱いように思いますし、私も十四年前、神戸で地震に遭いましたので、そういうふだんからの備えなしに、あるいは最悪の事態に備えていないとどんな悲惨なことになるのかというのを身をもって経験しているつもりですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 二次勧告は国の出先機関の廃止、三次勧告は義務づけ、枠づけの見直しでした。原口大臣も大変頑張っておられますが、義務づけ、枠づけの見直しについての内閣の決定について、新聞は大変厳しく、各紙とも、地方要望の三分の一を満たしているのにすぎないのではないかとも評価されています。評価というか批判をされています。どう思われますかね。十分やったというふうに思われているのか。

 例えば保育所でも、あれほど地方の方が、保育所は任せてちょうだいと強く望んでいた。国が基準を示してもらう必要なんかないですよ、地域の現場に応じたものを自分たちが責任を持ってやりますよという自治体が多かった。本当に力を入れていた。しかし、長妻大臣は頑として、一部の例外、ごく限られた例外は設けたにしても、基本的に、いやいや、地方に任すことはできない、やはり引き続き国が基準を決めるんだということを変えられなかった。原口大臣もそれを追認した。閣議決定したわけですから。

 どうですかね、その辺をどう考えておられるのか、正直な気持ちを。私は今の、これは一歩一歩というところもありますから、パーフェクトを求めているわけではございませんけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 新聞記事については、頑張れという応援だというふうに思っています。

 その上で、今回の第三次勧告、まず、百四項目のうち回答が来たのが大体七十項目なんですね、条項で。残りは何かというと、これは文科と、今委員がおっしゃった厚労なんです。ここは補助金とセットになっていて、文科や厚労が懸念されているものも、要するに、基準を中央でなくした瞬間に補助金もなくなります。そして中央政府の、いわゆるナショナルミニマムを保障することさえ放棄するんじゃないか、今までそんな目にたくさん遭ってきました、だまし討ちみたいなものはもう結構ですという現場の声があることも事実なんです。

 私の立場からすると、それこそ、ちゃんとした首長を選んで、ちゃんとした議会で決定すれば、そのことが保育や教育に対する保障を、先ほど重野先生との議論の中でも言いましたけれども、中央政府も地方政府もちゃんと責任を持っていく、こういう重層型のセーフティーネットをつくれるんだ、私はそう思っております。

 今、項目数にしてみると、四十九の項目中、四十二項目に回答をもらっているわけです。さらに、地方のさまざまな公共サービスに対する今のような御懸念、保育所や幼稚園やそういったところに働く人たち、あるいは保護者の皆さんの御懸念を払拭する中で、より地域が地域のことをみずから決めるというやり方を、今まさに委員は一歩一歩とお話しになりました。地域の皆さんがやはり恐れていては、幾ら私たちがこうだと言っても、それは逆の効果も生んでしまいますので、一歩一歩、丁寧に丁寧に進めていきたい、しかし大胆に進めていきたい、こう思っています。

谷委員 私の見るところ、原口大臣は地域主権ということを、先ほど大野委員とのやりとりの中で、一生懸命言われます。その熱意はわかります。実行力も私は評価しています。ただ、内閣の中では結局、原口大臣だけじゃないですかね。

 この前、新聞を読んでいますと、「鳩山内閣の地方分権への姿勢をどう評価しますか。」ということで、ある方がコメントしています。「各大臣や政務三役が自分の省の政策で、鳩山内閣が「一丁目一番地」とする地方分権を実行するつもりになっていないため、司令塔となる政府の「地域主権戦略会議」に各省が従っていない。これから「国と地方の協議の場」が法制化されるが、役割分担も見えにくい。政策の中身も基礎自治体のあり方など、どの方向を目指しているのかよく分からない。」元総務大臣の増田さんです。私もそのとおりだと思います。

 原口大臣の熱意を何も疑うわけじゃない、一生懸命やっていると思います。ただ、各省の取り組みが弱いということは、結局、鳩山内閣のリーダーシップにもやはり問題があるように私自身は思っています。

 現に、先ほど来出ております地域主権戦略会議、昨年の十一月にできましてから何回開かれましたか。

原口国務大臣 昨年、戦略会議を開かせていただいて、そして実務者会合というのを三回行わせていただきました。そして今、国会で皆様へこういう御説明をさせていただく、これと並行して、近々さらに会議を開いていきたい。

 それから、増田元総務大臣、これも御激励ですね、ありがたいことだと思います。その中で、地域主権についてのリーダーシップ、きょうも鳩山総理からのさらなる強い御指示がございまして、強力に進んでいっている、このことだけは御理解をいただきたい。

 特に、例を、省庁を挙げて悪いですけれども、前原国交大臣のところは、公営住宅に対する入居基準あるいは道路の基準、こういったものを大胆に変えることができるというのは前原大臣の強いリーダーシップによるものがあるというふうに思います。

 また、少し足踏みをしているかなと言われております厚労についても、やはりこれは補助金があるわけで、補助金との関係を整理するということを鋭意やっておりますので、ぜひ御支援と御理解をいただきたい、このように思っています。

谷委員 もちろん御支援といいますか、地方分権のために、地方が元気になるために、それは頑張ります。

 ただ、繰り返しになりますけれども、大臣、主権会議はわずか一回しか開いていないでしょう。実務者会議といっても、こんなのはだめなんですよ。もっと各大臣が、分権とか枠づけの見直しというのは政治の強いリーダーシップが必要だということは大臣がこの野党席に座っているときに何度も何度も言われていたんじゃないですか。それが今問われているということです。ですから、私はそういう意味で、大臣ももちろん頑張っていただかなければならないのは当然ですけれども、内閣全体としての取り組みが弱いところがある。

 それに地方の方は、内閣で一新だと言っていても、枠づけ、それから義務づけについては結局三分の一しか実現できなかった、それに今までのさまざまな、まあ、八ツ場ダムはおいておきます。それ以外でも、一次補正の全国の子育て応援特別手当は、我々の政権でしたということなのか、子ども手当の財源ということで突然凍結した。あんなのでも自治体の方は怒っていますよ。独自で出した自治体があるというのも大臣御存じかと思いますけれども、私の兵庫県の三木市は出しました。市民にずっと広報で知らせている、個々にも通知している、国の都合でこんなものをやめられたら、国ではなくて市の方の信頼をなくするといって、なけなしの基金を取り崩して七千六百万円、それを子供たちに配ったんです。それは三木市だけではありません、ほかの自治体もあります。そして今回の児童手当です、群馬県の方は計上しないといって決議したと新聞で出ていました。

 結局、地域が見るのは、こういうような取り組みをしたと打ち上げることではなくて、現実に何をしているかということです。それが地域主権という名で必ずしもそういうふうにやっていないのじゃないか、そういう冷ややかな目があるということも事実かと思います。

 大臣、コメントがあればお願いします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これは一般論ですけれども、国が決めたら地方は何でも従うべきだ、有無を言わせない、決めたんだから後は、税源も財源もこっちが握っているんだから、いろいろな文句を言ったら後でひどい目に遭わすぞ、こういう風土が長い間あったような感じがいたします。これは、首長の皆さんとお話をしていく中でも幾つか出てきます。

 しかし、谷委員、私たちはそれを変えようとしているんです。税の仕組みについても、まさに政府税調をこういう形にしました。それから今の地域主権戦略会議、これは六月までに六回やります。これは、少し足踏みにごらんになられているかもわからないけれども、これは国、地方の協議の場をどのようにするか、それをずっと詰めていたので、それは絶対に足踏みではございません。

 ただ、その上で、冷ややかな目についても私たちはそれを謙虚に受けとめて、いやしくもそういう誤解が生まれないように、あるいはそういうことが続かないようにしっかりとやっていきたいと思っております。

谷委員 いや、大臣、その点については、冷ややかにという言葉を使いましたけれども、怒っている自治体も少なからずありますよ、本当に。今回の子ども手当のあれでも、民主党のマニフェストでは全額国庫だとあれほど言っていて、結局は児童手当の負担分をそのまま継続だと。そのことについて、群馬の自治体の方はもう計上しないと。こんなことはあれほど批判された後期高齢者医療制度でもありませんでしたよ。

 私は、そういう声があるというのを謙虚に総務大臣に聞いていただきたい。そういう地方の声を代弁するのは、内閣の中では総務大臣しかいないじゃないですか。厚生労働大臣は、長妻さんは、何やかんや言うていますけれども、やっていることは地方無視ですよ。それこそ中央集権的です。子育て応援特別手当でも、手紙一つです。申しわけない、子ども手当のより充実した制度をつくるからと。

 そういうやり方、私はこれは本会議で国家社会主義的と言いましたけれども、こういうやり方自身を変えないと、幾ら言葉で地域主権と言っても、国民なり自治体は信頼しないと思います。冷ややかに見ると思いますので、その点でも御指摘させていただきたいと思います。

 時間も少なくなってまいりました。情報通信でちょっと御指摘をさせていただきたいことがあります。

 きのう、PHSの事業者のウィルコムが会社更生法の適用を申請したということであります。二千六十億の負債、通信事業者の破綻としては過去最高額ということであります。そして、企業再生支援機構に正式に支援要請をしてきたということで、JALに続いて二例目であります。

 しかし、再生機構そのものは、もともと我々がつくった意図というのは、地方の中小企業の支援のために、当時野党だった民主党の皆さん方と協議しながらつくったんですけれども、何か、日本航空に続く大企業への支援ということになれば、地方の金融機関から、支援対象の考え方があいまい、おかしいのではないか、もっと地方の中小企業にも目を向けてほしい、そういう声も既に出ているところです。

 また、ウィルコムの前身のKDDIの子会社、DDIポケットは、JALの会長に就任した稲盛さんが実質的な創業者で、この稲盛さん、小沢幹事長に近いとかよく報道されていますけれども、また支援案件に立て続けに関与することについて、何か不透明感といいますか、そういうものが漂っており、機構の支援基準の明確化ということが大きな論点になってこようかと思います。

 きのうのことなので、まだ詳しくは大臣の方もお聞きになっていないのかなと思いますが、しかし、通信事業は総務省が規制する許認可事業でもありますので、行政とこの倒産とのかかわりということについて、いろいろまたこの委員会などでも議論になってくるかもわかりません。これについて所見があれば、大臣でも内藤副大臣でも結構です。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに、ウィルコムは昨日、会社の再建に向けて会社更生法の適用を申請しておるところでございます。

 現状を申しますと、現行のPHS事業に加えて高速モバイルデータ通信を展開するに当たり、財務体質の抜本的な改善を機動的に推進することが不可欠と判断し、二〇〇九年九月に事業再生ADRを申請、その後、債権者と協議を重ねたものの、ADR手続内で事業再建を実現するに至らず、会社を取り巻く環境のもとで事業再生を実現するための最善の手段として、昨日、会社更生法に基づく会社更生手続の申し立てを東京地裁に実施した、このように考えております。

 また、委員が御指摘の、企業再生機構に対し支援をということでございますが、これは一般論としてでございますが、株式会社企業再生支援機構法において、企業再生支援機構が再生支援を決定しようとするときは、あらかじめ主務大臣に通知し意見を述べる機会を与えるほか、主務大臣から通知を受けた事業所管大臣は、過剰供給構造その他の当該事業者の属する事業分野の実態を考慮して必要があると認めるときは、企業再生支援機構に対して意見を述べることができるとされております。

 企業再生機構から総務大臣に対し、現時点で再生支援に係る意見招請は行われておりません。意見招請があれば、四百万人を超える利用者、やはり利用者の方々が影響を受けるということはあってはならない、それを最小限にする観点から対応を検討してまいりたいと思っております。

谷委員 情報通信のもう一つの問題として、NTTの再編について、いろいろな方がいろいろなことを言われていますが、どうも大臣の就任後の発言はNTT寄りではないか。また、内藤副大臣もおられますけれども、NTT出身だから、そちらの方に有利になるのではないか。現に献金もいただいているんじゃないか、これはオープンになっていますから。

 グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースで今検討しているんですか。例えば、最終的には政務三役の方でさまざまな方針を決められると思います。そういう懸念について、いや、何も私が野党だからということじゃなくて、一般の業界の方もそういうことを新聞雑誌にもいっぱい書いています。

 どう思われますか。最後ですから、大臣と副大臣、それぞれお願いします。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 特定のキャリアに寄った考え方は全く持っていません。

 むしろ、世界の競争を、しっかりとそこで勝ち抜くためには何をすればいいのか、あるいは国内の公正な競争条件を確保するためにはどのようなことが必要かということでタスクフォースで議論をいただいていて、委員、むしろ私は今、光の道構想ということを出させていただいています。この光の道をファイバー・ツー・ザ・ホームまでしっかりやるということは、今おっしゃる特定企業の利害とは反するものかもわからない。しかし、あえてやらないと私たちの未来はないというふうに思っていますので、そのような誤解がないように今後ともしっかりと、行政を中立、公正、公平に、そしてダイナミズムも持って進めてまいりたいというふうに思っています。

 ありがとうございます。

内藤副大臣 通信・放送を所管しております副大臣の内藤でございます。

 せっかくの御質問でございますので、時間は切れておりますが、お答えをさせていただきたいと思います。

 確かに、委員御指摘のように、私は十年間NTTで技術者として働いてまいりました。その知識なり知見を生かして、この十数年間、国会議員として情報通信分野の議論をしてきた。まかり間違っても、だからといって一事業者の肩入れをする、そんな議論をやってきたという思いは全くありません。

 私は、これからはタスクフォースの中で、グローバルな観点、あるいはまた市場構造の変化、そういったものを踏まえてしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。

 以上です。

谷委員 ありがとうございました。

 疑惑というのは出身だけじゃなくて、どこの出身であるとか、あるいはどういう場所で、その発言がどちら寄りであるとか、あるいは献金がどうなっているのか、いろいろな観点から言われますので、誤解であれば誤解を与えぬようにしていただかなければ、そういうポストにいるわけですから、よろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田でございます。

 野党として初めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど来、答弁をお聞きいたしておりまして、原口大臣にぜひ最初に申し上げておきたいというかお願いしたいのは、一つは、ぜひ端的にお答えをいただきたい、それからもう一つは、横文字をできるだけなくしてお答えいただきたい、そのように思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、陳情の問題についてお伺いをしたいと思うんです。

 私も地方自治を長くやってまいりましたけれども、地方にとって中央官庁等にいろいろ陳情させていただく、これは我々の行政を運営する上で非常に大事なことだというふうに思います。そういう中で、今回、民主党の方から、陳情の一本化のルールというんですか、そういうものが出てきまして、これは我々もびっくりしましたけれども、地方の行政を預かっておられる皆さん方にとっては大変な戸惑いだと思うんですね。いやあ、どうしたらいいんですかと私も随分と相談を受けまして、私は、ちゃんと役所へ行って思うことを言ったらいいんだ、そういうふうに申し上げてきたわけであります。

 この問題について、大臣、一体どういうふうに思っておられるかということを端的にお答えをいただきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 海南市長として名市長を務められた委員にお答えいたしますが、まさに、これは全部自由に、そしていつでも来ていただいて、それぞれの地域から選ばれた方々でいらっしゃいますので、私たち総務省はいつでも開かれている。

 ただ、党が言っているものは、これは自民党政権の時代もなさいましたけれども、巨額の巨費を投じて東京まで来るのを一時禁止されましたね、あのとき多分、中川幹事長さんだったんじゃないかと思います、そういうものはもう結構ですよ、地域でその県連にお渡しいただければ結構だ、そういう陳情みたいなものの簡素化をしていこう、こういうことではなかったかと思います。

 総務省としては、すべて、いつでも来てください、いつでもお話を伺いますという姿勢で一貫して臨んでいるところでございます。

石田(真)委員 陳情というのは政治家が政治家に行うのもありますけれども、そうでないのも多いんですね。行政官に、実務をやっておられる方に、陳情したいことの実情、それは道路とかそういう土木建築だけでなしに、例えば鳥獣害対策だってそうですよね、いろいろなことを、本当に現場の声を聞いてもらいたいと。そして、それにフィットするような、きちっと合うような施策とか予算づけをしてもらいたい、そういう思いをどこかで聞いてもらいたいというわけでありまして、まあ、民主党に来なさいと、もう官庁へ行かなくていいような言い方というのは、私は、これは逆に地方も困りますし、行政の劣化というのが随分進むんじゃないかな、そういう懸念をいたしております。

 大臣は自由にとおっしゃっていただいたのでいいんですが、実は、我が党の舛添議員が参議院の予算委員会で鳩山総理に御質問したときに、総理はこれは内閣と連立与党の中で協議をして決めているルールなんだというふうに言われているわけです。そうしますと、今大臣が言われたこととちょっと違うのかなと思いますが、どうでしょうか。

原口国務大臣 そのことと矛盾するものではないと思います。

 先ほど申し上げましたように、党に対するものは一元化させていただきます、そして、個々ばらばらに……。多分、党が心配しているのは族議員化だと思うんですね。どこかに政府以外の、政府と党を一元的に責任を持つ、これは政治主導ということでやってきているんですけれども、それをどこか別のところが権限を持ったり、あるいは情報をそこに集めたりということはもうしませんよ、してはいけませんよ、そこは全部開いて国民に説明をしますということでございますが、いずれにせよ、委員が御指摘のように、陳情だけではなくて、さまざまな情報交換はとても大事でございます。そうしないと、行政が劣化し、政策そのものが成り立たないというのは、まさにおっしゃるとおりだと思います。

石田(真)委員 それでは、今言われたようなことを政府全体の考え方ということでぜひ総務大臣から地方にきちっと発信をしていただきたい。地方では大変な誤解がありますよ、陳情に行けないんじゃないかと。そういう誤解があると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 それで、総理がその同じ委員会でこういうふうに言われたんですね、霞が関もうで、永田町もうでによって利権政治が平然と行われるようになったと。こういう発言は、我々からはちょっと考えられないですね。こんな発想で、今言われたような、先ほども言われましたけれども、情報の公開がないんだとか密室でというような話に通じていくんだと思うんですけれども、こういう発想は私は大問題だというふうに思いますね。このあたりについて、一体、大臣はどのようにお考えか、お聞かせいただきたい。

 私から言わせれば、逆に、民主党みたいに自分のところへ持ってこいと言う方がよっぽど密室になるじゃないですか。そうでしょう。私はこの総理の発言はいかがかと思いますけれども、大臣の御所見をお聞かせいただきたい。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私も佐賀県連の代表をしているんですね。県連には何を言っているかというと、陳情を一本化したら全部公開しなさいと。そして、何がどのようになったかというのをしっかりと御説明できるようにしなさいということを申し上げている。

 多分、総理がその場でおっしゃったのは、私も聞いておりましたけれども、そんなことではなくて、むしろ業界団体が閉じて圧力団体になることによって、先ほども御懸念がありましたけれども、一部の人たちだけの利益がそこに通るようになることがあってはいけませんね、そのための陳情であるんだったら、それはやめた方がいいと。これは先ほどの繰り返しになりますが、自民党さんの時代にも、それを一時、あるいは一年か二年ぐらい多分続いたんだと思います。私は、それは御炯眼だなと思います。

 そのことと意見交換や自由な議論、これを分けて私たちは考えるべきだ、そのように思います。

石田(真)委員 その委員会で、総理が、野党にも国民の声を聞いていただく、そして、それを政府に伝える役割を果たす、そういう趣旨を言われたんですね。それで、その後、これが問題なんですよ、前原国交大臣が何と言われたかというと、自民党を初め各党が、各地域で意見をまとめ、都道府県で要望をまとめるといったルールをお互いにつくることを真剣に検討したいとの趣旨の発言をされたんですね。

 大臣、どう思われますか。

原口国務大臣 これは、さまざまな陳情ルールについて、政党と政府の間、あるいは党が異なる場合に、公開性のある、あるいは説明責任を徹底した共通のルールというものをつくれるんじゃないかという御趣旨だと私は聞いておりました。

石田(真)委員 これは無所属の方はどうされるんですか。

原口国務大臣 無所属の方も同じように、つまり、多分、そのとき請願権の議論だったと思うんですね、請願権は国民の持っている権利でございますから、その人が何党であろうが、あるいは無所属であろうが、阻まれるものではないし制限されるものではない。また、そういう提案のルールについても、無所属の人を排除するということはないと思います。

石田(真)委員 いや、排除しないでも、無所属の人は行くところがないじゃないですか。

原口国務大臣 多分、それは前原大臣の自民党さんに対する答弁だったと。手元に答弁書がないですからつまびらかにはわかりませんけれども、無所属の方々あるいは党派性のない方々を排除すべきだと前原大臣はその場で言ったのではないと承知しております。

石田(真)委員 私は、今の答弁は納得しません。ですから、ぜひ総務大臣として、少なくとも地方自治体に対して陳情のルールについてこの間から発言されていることをきちっと発出していただきたい、そのように思います。それでないと誤解は解けませんよ。誤解は解けない。

原口国務大臣 ありがとうございます。これはそのルールを党が言った瞬間に、私は、あれは地方六団体の会合だったと思いますけれども、今石田委員がおっしゃっている趣旨で六団体の代表の皆様に、随分な数がいらっしゃったと思いますが、そこでも申し上げましたし、全国知事会やさまざまな機会でも申し上げております。委員がおっしゃるように、私たちの基本的な考え方について何らかのペーパーで発して、それをまた御理解いただき、誤解を解くという作業を検討していきたいと思います。

石田(真)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 この陳情に関連しまして、国交省で箇所づけの漏えいの問題がございますね。大臣、どのようにお考えですか。

原口国務大臣 これは予算委員会で今ずっと御議論をいただいているところでございまして、私の場合、それ以上の事実関係は承知しておりません。総務大臣としての御指摘のところについての発言は差し控えたいと思います。

 これは一般論で、箇所づけ、あれは仮配分という言葉を国交省は言っていますから、この問題ではないということをまず前提に申し上げると、個別の箇所づけやいろいろなものを権力の源泉としてきたような、あれはたしか公明党の富田委員が御指摘をされた片山元知事の御発言でしたけれども、自民党時代はこそこそやってきた、それをこんなに大っぴらにやるのはどうかというような御発言の引用がございました。私は何がどうあったかという事実を知りません。ですから、その知らないという上でお答えをするのは何かと思いますが、すべての行政はやはりオープンであり公正であるべきだ。そして、後から見ても、だれに説明をしても不思議がられない、いぶかられないということが大事だ、このように考えています。

石田(真)委員 大臣も、先日発売された本の中でも書いておられましたけれども、政治というのと行政の中立性というのは違うわけですよ、そのあたりを混同しているんじゃないかな、私はそんなふうに思います。ですから、そのことについて、ぜひ閣内でも御発言をいただきたいというふうに思います。

 時間がないので、予定していた質問を飛ばしまして、次の質問に行きます。

 鳩山内閣は、総理自身が今政治資金の問題で大変な状況で、我々からいえば、疑問がいっぱいあるのにきちっとした御説明をいただけないわけなんですね。そういうふうに考えていきますと、この間も不適格だと与謝野先生から御指摘されましたけれども、職にとどまることが不適切なんじゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、どうも鳩山内閣にはそういう方が何人もおられるんですね。それで、この委員会の中でもお聞かせいただきたいと思います。

 先ほど同僚議員からもお話をしましたけれども、石川議員の勧告の問題についてもたなざらしのままですよね。こういうのは早く意思表示をすればいいわけですから、それは私は民主党の方はぜひ応じていただきたいと思います。

 このことに関連して階政務官に、前にもここで、ここにおられる赤澤議員が質問されまして、石川代議士の逮捕を考える会、会長は福田筆頭理事でございますが、その会に出席されたことについて、小川政務官ともどもどういうことであったかということを聞かれた。そのときに答弁されましたですね。もう一度簡単に、階さん、答弁していただけますか。簡単に要旨だけでいいです。

階大臣政務官 お答えいたします。

 私は、政府の一員でもありますけれども、国会議員としての立場もある。日本国憲法上、議院内閣制をとっている関係で、政府に入っている一員が国会議員としての権能を行使できないかということは一義的には明らかではありません。一方で、国会議員の重要な権能として不逮捕特権というのがございまして、その不逮捕特権は、ひとり逮捕されている議員のためにだけあるものではない、衆議院、参議院という各議院の審議権を保障するためにもある。そういう意味で、逮捕されている石川さん以外にも、我々一人一人、国会議員一人一人が考えるべき重要な問題であるということで、石川さんの問題については政府の一員である私も国会議員として検討するに足りるんじゃないか、こういうことを申し上げました。

石田(真)委員 原口大臣、今の答弁についてどう思われますか。

原口国務大臣 私たちは、政治資金規正法を所管する役所でございます。そして、さまざまな司法がやってくることに対して、私たち自身がそれをしっかりと真摯に受けとめて、国会議員一人一人とすれば、疑いを受ければそれをしっかり説明するということが大事だと思います。

 今、階政務官がお話をしたのは、国会議員と政務官という形の権能について法的なみずからの考えを述べたものだというふうに考えておりますが、いずれにしても、政府の一員としての自覚と国会議員としての誇りを持ってこれからも政務に邁進をしてもらいたい、こう考えています。

石田(真)委員 私が問題にしているのは、そういう使い分けというのは本当はできないんですよ。やはりその任にある間は政府高官です。

 それで、平野長官が政府関係者の出席は問題があると指摘されたんですよね。これは小川政務官もここで発言をされました、注意されたと。このことについて原口大臣はどう思われますか。なぜ平野長官は政府関係者の出席は問題があるとされたのかということです。

原口国務大臣 お答えいたします。

 特定の案件に対して政府が一つの主張や特別の立場を持っているかのような印象、誤解を与えるということはあってはならない。私もこの場で何回もお答えをしていますけれども、個別の案件についてお尋ねがあっても、それは私たちは答えられないと言っておるわけでございまして、今回の階政務官や小川政務官の話がそういう誤解を与えてはならないという意味で官房長官が注意をしたのだというふうに思っています。

石田(真)委員 恐らく、平野官房長官はどう思われたかわかりませんけれども、私は、今大臣が言われた部分と、それから、基本的に使い分けはできないんだぞということを自覚して行動をしなさいということを言われたんだと思うんです。

 それで、階政務官一人のことを申し上げて申しわけないけれども、先ほどもちょっと引用した原口大臣の本の中で、こういうふうに言っておられる。

 私の地元の岩手県は、達増知事が民主党ということを鮮明にして行政を行っていますが、それに対して非常に批判があるのです。自民党の議員が党派色を出さないで中立的な立場で行政をしなくてはいけないということを言っているという趣旨ですね。それで、自分は推薦をもらった、そして選ばれたんだと。そのことを「中立にならなければならないのか理解できないですね。」と言われているんですね。これは大問題なんですよ。

 ところが、その次、さすがに原口大臣は実に適切に答えられている。これはその自民党の議員さんに対して言ったことだと思うんですが、「そこは、行政執行の中立性と政策の中立性を一緒くたにしているのです。」政策はやりたいのをやればいいんだ。しかし、「行政執行においては、ありとあらゆる人に分け隔てなく、公正に、公平に、中立的にやらなければいけないということの議論が混同されているのだと思います。」と言っているんです。そのとおりなんですよ。

 ですから、先ほどの議論も混同しているんですよ。今の議論も混同しているんですよ。政府の高官が、そういう甘い認識というか、甘い理解のもとに行政をやってはいけないんです。そのことを厳しく言っておきます。

 次に、労組の問題です。

 労組の問題に関係して申し上げますと、新聞に出ている北海道の教職員組合ですね、裏献金千六百万。これは恐らく、自民党の我々から見ると、すごい額ですよ、考えられない。それが、予算委員会でも指摘されましたけれども、ほかもありますね、雑誌にもいっぱい出ています。平野官房長官とか直嶋大臣とか、そういうのが出ているんですね。

 それで、先ほどもお話ありましたけれども、原口大臣と内藤副大臣がNTT労組アピール21から献金をもらわれたということですが、これをちょっと調べてみますと、アピール21は、平成二十年、民主党の議員さんに、国会議員ですよ、地方議員にも配っておられるけれども、国会議員さんに総額七千四百万を超えているんですよ。それで、一番最高の方は一千万を超えているんです。五百万の方が何人かおられる。すごい額ですよ、これは。

 それはそれでおくとして……(発言する者あり)それは事実で、別に法に違反していませんからね。うらやましいですが。昨年十一月の参議院の総務委員会で、公明党の澤議員が、原口大臣と内藤副大臣に、去年のことですから選挙前後ですね、献金をもらわれたかという質問に対して、原口大臣は三百万円献金を受けたと。そのとき大臣は返還を検討されるということを答弁されていますけれども、もうお返しになられましたか。

原口国務大臣 返還を検討しております。

 それは、私がこの職になっていただいたものではありません。しかし、今コンプライアンスの担当の皆さんとさまざまな議論をして、そして、一方で企業・団体献金を禁止しようというふうに考えておるわけでございまして、事務所に返還に向けた法的な手続と整理を指示しているところでございます。

石田(真)委員 もう昨年の収支は締め切ったんですよ、十二月三十一日までですから。だから、その収支報告書をしっかりつけていないということなんですよ。いつまでに結論を出すんですか。

原口国務大臣 コンプライアンス上のさまざまな問題があって、その返還をどこにどうするのかということもあって、そこを詰めているところでございます。

石田(真)委員 時期は何遍やってもおっしゃらないかわかりませんが、既に十二月三十一日で昨年分は一応収支報告書は締め切っているということですから、十分そのことは御認識ください。

 さて、内藤副大臣も献金をもらわれた。どうもそのときには返還の意思はないような答弁をされたように議事録を読ませていただきましたけれども、内藤副大臣はどうされますか。

内藤副大臣 お答えをいたします。

 改めて申し上げるまでもなく、アピール21というのはNTTの組合が合法的につくり上げた政治団体でございます。

 そこで、ちょっと申しわけないことに、昨年、澤さんの質問に対して献金をいただいているというふうに言ってしまったんですが、実は、正確な意味で献金はいただいてはおりません。どういうことかといいますと、当然のことながら、皆さん方もそうであるように、私も活動報告誌をつくっております。何万部もの活動報告誌を昨年そういったNTTの組合の皆様方にお配りをしました。その対価としていただいたものであります。

 以上です。

石田(真)委員 わかりました。そういうふうなもらわれ方を、もらわれ方というか、買っていただき方を随分されているんですね。それはまた次の機会にさせていただきます。

 内藤副大臣は情報労連の推薦をいただいてやっておられるわけです。時間が余りないので申し上げますけれども、これは文芸春秋ですね。文芸春秋にこんなふうに書かれているんです。大臣のこともちょっと書かれていたんですが、それはカットします。「副大臣にNTT労組出身の内藤正光参院議員が就いたのも逆サプライズ。それは国交省の副大臣にスーパーゼネコンの幹部を起用するも同然。族議員が幅をきかせていた自民党政権でも、ここまで露骨な登用はしなかった。」と書いているんです。

 それから、週刊ダイヤモンド。「労組はカネも出すが口も出す。なかでも露骨だったのが、NTT労組出身の内藤正光参院議員が総務副大臣に起用されたことだ。これには連合内部でも「明らかにNTT労組による人事介入。いくらなんでもやり過ぎだ」という声が上がった。」その後、プレス民主号外を買ってもらったと書いています。

 いろいろ書いていますけれども、時間がないので読みません。

 次に、長谷川政務官。

 長谷川政務官の資金管理団体は憲正会、政党支部は国民新党憲正会ということですよね。うなずいていただけたら結構です。(長谷川大臣政務官「憲友会」と呼ぶ)憲友会ですね。

 まず、政党支部である国民新党憲友会の収支報告書を見せていただきましたら、大変驚きました。何と党費または会費を納入した人の数は、平成十九年分ですね、十九万六千八百三十六人。一人千円として、一億九千六百万余り集めておられるんですね。すごいでしょう。それで、憲友会から寄附された相手が大樹全国会議、これは何回かに分けていますけれども、総額で九千万足らず寄附されています。それで、もう一つは国民新党本部にも寄附をされている。それで、二十年ですね、二十年分を見ますと、党費を納入された方が二十二万三千四百七人。ですから、二億二千万余り。そして同じように、今度は郵政政策研究会、これは恐らく大樹会の後の団体だと思うんですけれども、ここに一億四千万余り出しておられる。

 次に、憲正会ですね。憲正会の十九年分の収支のうち、その当該年度の収支は、繰越金を除いた分で三千五万八百六十四円。ところが、大樹全国会議から三千万来ているんです。収入のほとんどは大樹全国会議から来ているということ。それから次に、二十年分ですね、これはその年の収入は一億二千万。それで、一億二千万のうち、九千万円は国民新党本部から来ています。しかし、三千万円は郵政政策研究会から来ている。

 これはお金が郵政関係団体だけで成り立っているというふうに思うんですけれども、どうですか、長谷川政務官。

長谷川大臣政務官 お答えをいたします。

 憲正会というのは、私の個人の資金管理団体であります。それから、国民新党憲友会というのは、御指摘がありましたように、かつて自民党の職域団体として郵政関係者の皆さんがつくっていた大樹という組織がございましたけれども、現在、国民新党の中の職域団体としてつくっている国民新党憲友会という組織であります。これは党員組織でございまして、昔も今も同じでございますが、党員になられた方々が党費を払い、そこから全体の経費が出されているという状況になっております。

 多くの方々から献金をいただいているものでございまして、もちろん郵政関係者の方々もおられますし、そうでない方々もおられます。決して郵政だけに限られているものではございません。

石田(真)委員 もう時間が来ましたけれども、その長谷川政務官が今郵政の見直し論議の中心におられる一人だと私は思っております。大変郵政問題に詳しいですから、当然そういうふうになるんだろうと思うんですけれども、先ほどの内藤副大臣と同じなんですね、「国交省の副大臣にスーパーゼネコンの幹部を起用するも同然。」というような、自民党政権時代でもここまで露骨な登用はしなかった、そういうたぐいに私はなってくるのではないかと思いますが、最後に大臣の御認識を、なぜそういう方を任命されたのか、お聞かせください。

原口国務大臣 内藤副大臣については、民主党の次の内閣でずっと副大臣をし、情報通信だけではなくて、さまざまな知見を持ち、それから参議院においては政調会長としての立派な実績がある、このことを評価して副大臣にお願いしたものであります。

 それから、長谷川政務官については、まさに国民新党そのものが郵政を見直すということをしっかりと党是とされておるわけで、その中の人を政務官に選んではならないということであれば、それは国民新党の人ははなから政務官になれないということでございまして、何も偏った、不正なことがあるというふうな認識は全く持っておりませんので、御理解をいただければというふうに思います。

石田(真)委員 もう時間になりましたので、また昼からよろしくお願いします。昼からは副大臣、政務官は結構です。

近藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石田真敏君。

石田(真)委員 内藤副大臣が発言の機会をと言われていますから、ごく短くお願いします。

内藤副大臣 発言の機会、ありがとうございます。一分ほど答弁をさせていただきたいと思います。

 先ほど先生の方で雑誌のことがいろいろと取りざたされました。事実を申し上げますと、どの雑誌社も私のところに取材には一切来ておりません。

 ただ、一つ事実関係を申し上げます。アエラという雑誌が、昨年十一月だったか、来ました。そして、三十分とか一時間にわたって取材に応じました。全く違う案件だったんですが、帰り際に、これから情報通信政策の議論は大変ですね、ええ、大変です、グローバルな観点で議論していきますと言っただけなんです。ところが、翌週の雑誌を見て私はびっくりしました。あたかも情報通信政策について取材に来たかのごとく書いてあって、そして、NTTの議論をしたくないがためにグローバルというものを持ち出すということを書かれておりました。だからというわけではありませんが、これも一つの事実として申し上げます。

 しかし、先ほど谷先生からも御指摘いただきましたように、これからも一層、李下に冠を正さず、襟を正して邁進をしてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

石田(真)委員 ちょっと長過ぎましたけれども、まあ、いいです。朝の議論の締めをさせていただきたいと思っていたんです。

 私は、先ほど大臣もおっしゃられたように、内藤副大臣、長谷川政務官、お二人の能力を否定するとかそういうのは全くないんです、お二人は立派な方だと思うんです。ただ、余りにも団体と関係が近いですよね。これはだれでもみんなが知っていることなんですね。そういうことがわかっていながらということになると、今、内藤副大臣がいみじくも言われましたけれども、李下に冠を正さずと。政治と金でいろいろな問題が起こっているときには、国民の信頼を得るためには、そういう方は任命をしない。別の副大臣なり別の政務官の立場で御活躍いただくという方法だってあるわけですから。そういうことを大臣はどのように思っておられたかということです。

原口国務大臣 石田委員にお答えいたします。

 まさに石田委員は、公平公正で透明な政治を目指して、私も与党と野党で違いましたけれども、これまで活動されてまいりました。今の御指摘をしっかり受けて、いやしくも疑われるようなことがないようにやっていきたい、そのように思います。

石田(真)委員 民主党の皆さんは、野党時代は政治と金に特に厳しかったんですよ。ところが、鳩山内閣になってみると、今問題になっていることから始まって、随分ルーズだな、わきが甘いな、そういうふうに思いますので、今後、こういうことのないように十分御注意をいただきたいと思います。

 次に、きょうは亀井大臣にお越しをいただきました。昼からお見えいただくということでございましたので、お待ち申し上げておりました。時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。

 まず、郵政民営化ですけれども、これは私から申し上げるまでもないんですけれども、そもそもこの郵政民営化の議論が起こったのは、郵政事業の効率化を図る、あるいは金融事業が肥大化している、そういう指摘があって、民間にできることは民間で行うという方針で、平成十七年の総選挙で国民が本当に我々も驚くほど圧倒的支持をしたわけですね。そういう状況の中で始まった。

 ただし、我々もそのままでいいということではなくて、自民党の中でも三年目に見直すということでしたから、PTをつくりまして、自民党の中でPTをつくっていろいろと検証してきました。それは民営化の推進委員会へも我々の思いということで提出をさせていただきました。そして、今現在もまた別のPTをつくって、我々としてどういう改革案がいいかという検討を進めておるところなんですね。

 一方、日本郵政の方では、田中直毅さんが委員長の郵政民営化委員会も、二十一年三月十三日ですから、これは三年目の見直しに向けての意見書を出されているんです。こういうような流れがあったわけですね。

 こういう、一応見直そうというような流れがあったわけですけれども、去年の臨時国会はひどかったですよ、我々から言わせれば。四日間で衆参の委員会も本会議も郵政凍結法案を上げろということでしたから。この方針を転換しようということについてそういうような議会運営はなかったのではないか、私はこれは民主党の皆さん方に厳しく申し上げておきたい。我々から言わせれば、実質的な強行採決ですよ。強行採決をされた。

 今回、こういう郵政問題について初めてこの場で質問をさせていただくわけです。ただ、時間がありませんから、物すごい項目があるんですが、基本的なことをお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、原口大臣にお聞きをします。

 去年の総選挙、政権交代が起こりました、その中で、郵政民営化を主眼に主張された国民新党は綿貫代表と亀井幹事長が落選されたんですね。そして、去年の選挙では、十七年の総選挙のように郵政問題は争点にならなかったと私は思います。郵政問題は争点にはなっていない。

 そういう中で、連立政権ができてから、天下り批判、再国有化するのか、そういう批判を押しのけてでもどんどん見直しをやっていく姿勢に我々は見えるわけですけれども、去年の総選挙で国民はそこまで認めたんでしょうか。去年の選挙において郵政民営化見直しが民意であったと考えるかどうか、原口大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私たち多くの民主党の衆議院候補は、国民新党さんの推薦を受けています。その際に、政策の協定やさまざまな郵政に対する考え方を示した上で受けておりまして、私も、自分自身、衆議院選挙を戦う中でこの郵政民営化の見直しというのは大きなテーマでございました、必ずその中で申し上げていた。分社化ありきの民営化や、あるいは地域を無視した、私たちは民営化自体が悪いなんということをこのたび言ったわけではありません。しかし、余りにもひどい劣化が起きている。それで、この総務委員会でも、委員も御一緒でしたけれども、凍結法案まで一時は合意をしかけたところまで来た。

 だから、私たちは、そんなことがしっかりと国民の皆さんに示されたものだというふうに考えております。

石田(真)委員 原口大臣、我々は総選挙でそういう意思を問う選挙をしたということでしたけれども、私から言わせれば、そうであれば、先日発表された改革素案についても、政府・与党内の意見の違いとか、長谷川政務官がわざわざ補足の意見を述べる、そういうことはなかったと。恐らく、原口大臣は民主党の時代に大塚副大臣と一緒に調査会か何かつくられたでしょう、そのときの案が公約になりましたよね、そのこととは少し違ってきているんじゃないかな、私はそのように思います。

 ところで、先ほどと同じ質問ですけれども、亀井大臣にお伺いします。端的にお願いいたします。

亀井国務大臣 私どもは民主党と郵政見直しについてきっちりと協定を結んで、その上で、国民新党が推薦をする民主党の候補者の皆さんとは、特に郵政見直しについては強い盟約のもとで選挙戦を戦ったということをぜひ御理解いただきたい。

 ただ、残念ながら、私ごとき者は当選しましたけれども、綿貫代表、亀井幹事長が落選をするという悲憤に見舞われて、極めて残念至極でありますけれども、しかし、国民の皆さん方はやはり四年前のあれとは全く逆の判断をされた、このように私どもは確信をいたしております。

石田(真)委員 私は少し違って、先ほども申し上げましたけれども、やはり一たん物事をやってみる、それで三年後に見直しがある、それで見直しをする、そのことは当然だと。いろいろな問題点を検証して、それを見直すことはいいのではないか、私は国民の気持ちというのがそういうことだったんだろうと思うんですね。

 あのときの争点は、政権交代とか、あるいは、テレビでやられたのは子ども手当であったり、ガソリンの暫定税率廃止とかそういうことであったわけで、決して郵政民営化の見直しが、それも今回のような根本的な見直しまで国民の皆さんが意識されたとは私は思っておりません。

 そこで、私は先ほど田中直毅委員長の郵政民営化委員会の意見ということを申し上げましたけれども、亀井大臣はこの意見書を読まれましたですか。

亀井国務大臣 私は、小泉、竹中さんの主導のもとで置かれました郵政民営化、その流れの中での見直しについてもちろん関心がなかったわけではありませんが、我々は基本的な考え方が違っておりますので、私どもとしては、一顧だにしないわけではございませんけれども、選挙においても、民主党と四年前なされた郵政民営化を抜本的に見直すということで合意をしてやったということをぜひ御理解いただきたい。

石田(真)委員 恐らく、この郵政民営化委員会の意見書を読んでおられないということだと思うんです。ここに書いているのは、郵政民営化は十年間の移行期間が設けられており、まだ最初の一、二年が過ぎたばかりだ、ようやく業務運営も安定してきた、そういう指摘なんですね。それでいてなおかつ難しい問題もあると。だから、もう少し冷静に成果を待って判断をしていく、そういうことではないかというような意見書であったということなんです。

 これを一顧だにしないとは言わないと言われましたけれども、それでは最初から根本的に見直すんだという見直しありき、そういう方針であったと言わざるを得ないというふうに思います。

 さて、二月八日に郵政改革素案が発表されました。このことについて、あるマスコミはこのように書いています。「政府出資を残して公益性を重視する「官業への回帰」を強める一方、」新規業務参入を原則自由にする方針を示すなど「経営の自由度を高める「拡大路線」が鮮明になった。民業圧迫や経営合理化の先送りにつながる懸念がぬぐえない。」こういうふうに報じられておりまして、ほとんどの、すべてだったかわかりませんが、社説の見出しを見ていましても、随分厳しい社説が並んでおったわけであります。

 その上に、私どもからいえば、税制の優遇策とか財政支援、こういうことについても言及されておられまして、これは郵政政策が振り出しに戻ってしまうのではないか、そういうような懸念を抱かせるような内容になっておると思うんですけれども、亀井大臣、どのように御認識されておられますか。こういうようなことで国民の理解を得られると思いますか。

亀井国務大臣 私は、かねがね申し上げておりますように、小泉・竹中路線の中でがたがたにされた郵政事業を、それ以前のもとの姿に戻す気持ちは全然ございません。今度の改革は、歴史の審判にきっちりとたえる改革をやっていくつもりでございます。マスコミの論調の中には、残念ながら、小泉、竹中さんのおやりになったあの改革に従ってやらない改革は間違いだという一つの前提に立った批判が非常に強いということは極めて残念であります。

石田(真)委員 それでは、もう少し詳しく大塚副大臣にお伺いします。

 大塚副大臣は、改革素案の記者会見でこのように発言されたようですね。日本郵政は業績が厳しくなる、業務を自由にやってもらわないと自立できない、こういう発言をされたんですが、どういう部門がどう業績が悪化するのか、お示しいただきたいと思います。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 石田委員もよく御存じのことかとは思いますが、例えば郵便については年率三%で取扱量が減っております。また、貯金の残高はピーク比約百兆円を下回る水準になっております。また、簡保の契約数もピーク比四割減少しております。これらのことなどを含めまして、大変厳しい経営状況にあるというふうに申し上げました。

石田(真)委員 それは、前の郵政民営化の議論の中でも起こっておりましたですね。それがそのまま、まだ続いているということだと思うんです。

 もう一点お伺いしたいんですけれども、これも大変注目をされておったのが、郵貯や生命保険の限度額の引き上げ幅ですね。それと政府出資比率の決定、これが一番大事な部分ではないかなと思うんですが、これについては先送りされたといいますか、いろいろな案が並記されたというようなわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、民主党さんのもともとの考え方と、連立を組まれておられる国民新党、社民党との考え方に大きな違いがあるのではないかというふうに思います。

 恐らく、大塚副大臣、大変苦労されておられると思いますけれども、政府・与党内の検討状況について御説明いただきたいと思います。大塚副大臣で結構です。

亀井国務大臣 私が責任を持って原口大臣と緊密な協議を行いながらやっておるわけでございます。ただ、大塚副大臣にも関係者のいろいろな意見の聴取、その調整をやっていただいておるわけでありますが、現在、連立三党の間において大きな意見のそごはございません。改革の方向においても、我々としてはぴったりと呼吸を合わせながらやっておりますので、間もなく結果をお示しいたします。

石田(真)委員 大塚副大臣に。

大塚副大臣 今大臣が御報告申し上げたとおりでございますが、先ほど先送りという御表現がありましたので、それは違うということだけ御理解をいただきたいと思います。

 二月の八日に、初めて与党議員の皆さんに政府としての素案をお示ししたわけでございます。したがって、御指摘のありましたような限度額の問題、出資比率の問題、そして、最初の御質問であった、コストをだれが負担するかという財政負担や税制上の問題、いわばこの三つがトライアングルとなって最終的な着地を見出さなければならない大変重要な論点でありますので、与党議員の皆様方に十分な上にも十分御議論をいただいて結論を出すという意味で、二月八日の段階ではそこのところは各論を並記する形でお示ししたということでございます。

石田(真)委員 今、亀井大臣から連立三党は意見のそごがないというようなお話でございました。

 大塚副大臣にお伺いします。

 先ほども申し上げましたけれども、原口大臣とともに野党時代に郵政改革調査会で民主党案づくりをされましたね。その民主党案と現在の素案との違う点について御説明ください。

大塚副大臣 私どものかつての案をよく読んでいただいて大変恐縮でございます。

 確かに、二〇〇五年、郵政国会の折、当時、私は民主党の郵政改革調査会の事務局長を務めておりました。その際にまとめた案は、非常に大きく申し上げれば、限度額を引き下げるとともに、郵政というのは地域の皆さんや金融、郵便過疎にお困りになるような皆様方にきっちりとサービスを提供する公社のような存在としてしっかり守っていくべきだ、こういう案をまとめたわけでございます。

 しかし、先ほど来石田委員も御指摘のように、二〇〇五年の選挙で現実には私どもの案は否定されたということに基づいて、その後の自公政権下での民営化が行われたわけでありますので、歴史の時計は過去に戻せませんので、現在の日本郵政グループを前提といたしまして、これを今抱えている問題点を解決するためにどういう方向に持っていったらいいかという議論をしているわけでありまして、先ほど亀井大臣が申し上げましたとおり、過去に戻すということではなく、今後の日本国及び日本国民の皆さんにとってどのような経営形態がいいかということを議論している次第でございます。

石田(真)委員 それだったら、先ほど限度額は逆の話をしているじゃないですか。戻るのではなくて逆の話をしているじゃないですか。(発言する者あり)筆頭は答えてくれなくていいんです。

 今詳しく御説明いただいていませんけれども、その民主党案を変更するということについてどう考えているのか、あるいは変更したことについてどうお考えなのかということをぜひお答えいただきたいんですよ。

原口国務大臣 二〇〇五年の私たちの民営化案は、二つの基本的な考え方に立っていました。一つは、金融サービスにおいて肥大化した部分がある、日本郵政から見るとリスクに当たる部分をヘッジしながら、そこは縮小させてもっと自由にさせていこう、これが一つの考え方。もう一つは、金融社会権なるものを、石田委員の御地元もそうでありますけれども、皆さんが決済をする、その決済権をしっかり保障していこうということでございます。

 それから五年の月日がたちました。そして、私たちは亀井大臣の国民新党さんと重野先生がいらっしゃいます社民党さんと連立を組む、その政権を目指す中で幾つも案を重ねてきたわけです。

 どこがどう違うかというと、そこに佐藤前大臣がおられますが、佐藤前大臣が松山で講演なさいましたよね、そして、山口先生もその場にいらっしゃいました。思った以上に郵政が劣化しているんです、郵政が劣化してこのままではサステーナビリティーが持続できない。そこから私たちはこの案をつくっておりますので、ぜひその間の経緯をよくごらんください。このままいけば郵政には大きな国民負担が入ってしまう、そんなことは民営化の趣旨ではないだろうということを私たちは言っておるわけでございます。

石田(真)委員 今、原口大臣が、郵政の劣化が起こっていると言われましたね。ぜひ、具体的にどういう部分でどのような劣化が起こっているのか、お聞かせいただきたいと思います。亀井大臣の発言はわかっていますから。

原口国務大臣 わかっているとおっしゃれば、亀井大臣と同じだと答弁しますが。

 三つあります。

 一つは、それこそ佐藤大臣のときも随分御苦労されましたけれども、かんぽの宿を中心とする公的な、いわゆる郵政事業というのは国民の財産であるということを忘れたものであります。

 もう一つは、これは石田委員とも理事のときやらせていただきましたが、手数料収入でネットワークを維持しています、その手数料収入でネットワークを維持できないぐらい劣化し、先ほど大塚副大臣が申し上げましたけれども、簡保も郵貯も契約数が大幅に落ちる、一カ月で一兆円も落ちる、こういう状況を示していたわけです。

 それから、三番目はコンプライアンスです。郵政を分社化ありきの民営化をしたためにどれだけ今待ち時間が大きくなっていますか。中山間地域や過疎地の人たちがどれだけ不便を感じているか。あるいは働く人たちのモチベーションについても、もうアンケートで結果が出ているところでございます。

石田(真)委員 今三つおっしゃっていただいた。手数料収入が落ちてネットワークを維持できないと言われましたね。これは、先ほど大塚副大臣が言われたように、郵貯、簡保に対する契約量が下がってきているということの一環でしょう。しかし、そのことはトレンドとしてあって、そのことを前提に今までの郵政民営化というような議論がなされてきたのではないですか。私はそのように思いますよ。

 そのことも議論の一つであった。ですから、議論の前提の目的という中には、そのことは入っていたんです。だけれども、今言われたのは、それを今度逆手にとってという感じ。

 それから、先ほど国民負担がふえないようにということですけれども、マスコミの社説なんか随分見てみますと、何紙もこんなことでは将来国民の負担がふえるんじゃないかと書いているんです。改革素案ですよ。

 だから、我々は国民の負担がふえないように、しかしネットワークはきちっと維持できるようにといろいろなことを、これは先ほど言われた連立方程式で難しい問題ですよ。難しい問題ですけれども、そういうことも今まで議論してきたし、これからも見直せるところはきちっと見直しながら議論していこうというスタンスなんですよ。それを、えっ、あっと驚くような大胆な案を強行的にどんどん進めようとされていることに、我々も、あるいは国民の多くの方も、本当にこのままで大丈夫なのか、そういうような懸念を抱いておられるんだと私は思います。

 この郵政の問題は、きょう初めてですから、まだまだこれからきちっと議論をやっていかないといけないと思います。

 副大臣が次の委員会に行かないといけないらしいので、最後に一つだけお聞きしたいんです。

 郵政民営化のときも同じなんですよ。郵政事業の将来は厳しくなる、何とか維持しないといけない、そういう思いでやってきている。ところが、民業圧迫とか金融の活性化、そういうことも一方である。そういう中でやっていこうということでやってきた今の郵政民営化の制度、今度素案で変えられるつもりですけれども、何が悪かったですか。

大塚副大臣 私の私見も若干入りますが、二点申し上げます。

 一点は、今のトレンドは以前の議論のときにも前提となっていたというお話でございますが、当時の竹中大臣がお示しになった骨格経営試算によりますと、例えば郵便業務は国際事業が二百億円ぐらいの収益を生むとか、ローン業務、信用リスク業務が三十五兆円ぐらいの残高規模になるとか、あるいは保険については第三分野が三割を占めるようになるというようないろいろな試算をお示しになっていたわけでありますが、実際に民営化がスタートしてもう既に二年余が経過しているわけでありますが、全くその傾向が見られないということは、以前の議論の前提がかなり崩れたということを一つ大きな問題として私は認識しております。

 それからもう一つは、私どもの素案をよく読んでいただいて大変恐縮なんですが、タイトルのところに、「「公益性の高い民間企業」が担う「政府の国民に対する責務」」というタイトルをつけさせていただきました。以前の改革のときの議論に欠けていた点は、一体、金融と郵便に対するアクセス権を国民の皆さんに対して保障するというのは、だれのだれに対する義務であったのか、責務であったのかという議論が不明確であったという反省の上に立って、私どもは、今回、これは政府が国民の皆さんに対して負っている責務であり、それを日本郵政グループに負っていただくというふうに論理構成を明確にする。

 主にこの二点が問題であった、そして今後の課題であるというふうに私は思っております。

石田(真)委員 副大臣、どうぞ結構です。

 今、そういうお話をいただきまして、これから法案が提出されてくる中で、もっと細かい議論をさせていただかないといけないと思います。

 ただ、いずれにしても、目指す方向はそんなに変わらないんですね。うまくネットワークを維持していきたいとか、先ほど副大臣が言われた連立方程式を何とかうまく解けないか、私はそういうことだと思うんです。

 しかし、進め方ですけれども、郵政だけではございませんけれども、政権をとったら何でもできるんだというようなやり方だけはぜひ御勘弁をいただきたい。独善的にならないように。それから、強行的な委員会運営、採決、そういうことも十分控えていただきたい。

 それで、これはきちっと議論をしていかないと、将来大変大きな禍根を残すことにもなりかねません、議論の仕方によっては。ですから、今後、そういうことで議論をやっていかなければなりませんが、ぜひこのネットワークが今後ともうまく維持できるように、そして、国民の負担がふえてはいけないんですよ、どうすればふやさないで効率的にやっていけるか、そういうことを案としてつくっていただきたいし、何といいましても、一番最初に私がお聞きをしましたけれども、国民的な理解が得られるかどうかですよ、国民の支持が得られるかどうかですよ、これが得られないような制度だったら長続きしません。幾ら数で法案が通ったとしても、その制度自体が長続きしない。そのことだけは肝に銘じていただいて、お互いにいい議論をこれからもさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 きょう私は、道州制、それから道州制特区、また地方分権という視点で質問させていただきたいと思うんです。

 最初に、先般、予算委員会の一般質疑でも道州制については質疑をさせていただきました。ほとんど時間がありませんでしたので、きょうは少し原口大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 大臣におかれましては、地方のことを大変よくわかっていらっしゃる大臣、このように私は思っておりまして、そういう意味では、総務大臣の任につかれて心強い、このように思っている一人でもございます。

 先般の予算委員会では、私の方から、道州制をやるのかやらないのかという単刀直入な質問をさせていただきました。その際に、大臣の方から率直に、地域主権型の道州制を目指すということが、ずばり聞かれたら、そう答えますということでお話しされました。公明党も、地方分権、地域主権型道州制ということを提唱しておりまして、その意味では、基本的な考え方は同じくするところが多い、このように思っております。

 そこで、きょうは少し具体の中身について議論をさせていただいて、この議論が今後の道州制や地方分権、地域主権というところに少し深みを増すような、そういう議論をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 最初にまず、いわゆる関西広域連合について伺いたいと思います。

 これは、御承知のとおり、国からの権限移譲の受け皿として関西広域連合の動きがある、このように承知をしております。ただ、現時点では、京都府、大阪府など七府県での取り組みですけれども、今後この広域連合の設立に必要な手続である、各府県議会にも規約案の提出をしなければならない、そして県民生活へのメリットが十分に説明ができるのかどうか、そういう課題もあるようで、ある一定程度の時間はやはり必要だろう、このように思っております。

 今後、地域のさまざまな難しい調整等のハードルをクリアして関西広域連合が仮に実現した場合には、面積あるいは人口が大変大きいものですから、広域組織としてはかなり画期的なものになるだろう、このように受けとめておりますけれども、現行制度上、この広域連合が国からの権限の移譲を求めた場合、国から権限移譲が可能かどうかという素朴な質問ですけれども、まずこれを伺っておきたいと思うんです。

 もちろん権限移譲の内容にもよるのかもしれませんけれども、原口大臣は、この関西広域連合から、例えば地方支分部局に関する権限とか財源の移譲がもし要望としてあった場合、これは仮定の話ですから大変恐縮なんですけれども、そうなった場合にどう対応されようとするか、まずこの点をひとつお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 稲津委員にお答えいたします。

 ともに地方議会議員の経験があり、また、稲津委員におかれましては、福祉や医療に大変造詣の深い御提案をいただいておりますことに心からお礼を申し上げます。

 それで、今の関西広域連合の状況ですけれども、端的に言って、そういう地方支分部局の権限、財源を移してくださいという声を幾つもいただいています。これに全力でこたえることが私の使命である。

 地域主権改革については、国全体で一遍にどんとやれる部分もあると思います、その工程表もつくっています。しかし、先行する地域、委員の北海道あるいはこういう関西で合意がまとまり、法的な検討をクリアした上で、できるだけその御意向に沿った地方の分権、あるいは地方支分部局も含めた移行といったことを検討してまいりたい、このように考えています。

稲津委員 北海道の話が出ましたので、そこで、私の地元の北海道のことについてちょっとお話を申し上げたいと思うんです。

 北海道は、道州制の議論が比較的活発な地域であるというふうに私は思っております。特に、平成十八年に道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律、いわゆる道州制特区推進法が成立をいたしまして、道州制特区の対象地域、これは特定広域団体と呼びますけれども、それは現在のところ北海道だけが指定をされているという状況でございます。

 先ほど、関西広域連合に関して、国からの権限等の移譲のことについて伺いましたけれども、この道州制特区推進法というのはまさに、特定広域団体の提案を受けて、国の事務事業、権限を移譲していこうという仕組み、骨組みをつくった、このように言えると思うんです。

 北海道はこれまで、合計四回にわたりまして提案を出しました。そして、この政権交代直前の昨年七月ですか、このときに第四回目の提案が出てまいりまして、具体的な内容を全部は申し上げませんけれども、例えば、条例による上書き権の創設ですとか、国の出先機関に係る予算や人員の情報開示ですとか、合計五項目にわたる提案が出てまいりました。

 この提案に対して、現在のところ、まだ政府からの方針が示されていないという状況でございまして、これらの提案についてぜひ前向きな対応をお願いしたいと思うんですけれども、この提案に対して、どのような方針でいつごろ政府としてお示しをする考えなのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 昨年七月、委員が御指摘のように、北海道から第四次の提案、これは、条例による法令の上書き権、ここまで踏み込むというのはちょっと、全体的にかなり法制的な整備が必要だと思っていますが、それ以外のところ、国の出先機関等に係る予算、人員等の情報開示、これは積極的にやらなきゃいけない。あるいは郵便局の活用が可能な地方公共団体事務の拡大、これも検討に入っています。

 時間の関係で全部は申し上げませんが、今申し上げたように、政府において鋭意検討しているところでございまして、三月中に道州制特別区域推進本部において対応を決定するよう指示をしているところでございます。

稲津委員 ぜひ、この年度内にお示しをいただく。これまでもそうでしたけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、そういうことになりますと、この道州制特区の北海道からの提案については、大臣としても前向きにこれを検討していくということを今お答えいただいたことになると思うんですが、この道州制特区推進に関して、この法律を今後どう取り扱おうというふうに現時点では考えられているのか。

 私は、国から地方への事務事業とか権限の移譲というのはどんどん積極的に進めていくべきだ、そういう立場をとっております。北海道から第五回目の提案が新しい年度になって出てくるということを前提にしてお聞きしたいんですけれども、この提案をまさに今後もしっかり受けていくべきだ、このように考えますけれども、大臣の現時点での見解をお伺いします。

原口国務大臣 まさに委員がお話しのように、私たちは地域主権型の道州制を射程に置いて考えておるわけでございまして、将来の地域主権型道州制の導入の検討に資するため、特定広域団体からの提案を受けて、国からこの場合は北海道ですけれども、北海道に移譲する事務事業を追加していく、こういう基本的なスタンスを考えています。

 そして、やはりこれは事務とか事業だけ追加しても、それに税財源が伴わないとかえって地域は疲弊をしてしまいますので、その問題についても、今回、緑の分権改革ということで、北海道は、創富力、富を生み出す力は日本の中でも有数の地域だと思います。緑の分権改革の中で、地域が持つ資源を最大限に生かせるように、総務省としても全力を挙げて支援をしてまいりたい、このように考えております。

稲津委員 そこで、これまで過去四回の北海道から出された提案、特に三回についてはお答えをいただいておるんですけれども、私はもう少しこの提案が、これは北海道からの知恵の出しどころもあると思うんですけれども、もう少し権限移譲にしっかりつながっていくようなものになっていかなければいけないなというふうに思っているんですね。

 そういう意味では、これは地方から、特に北海道から出てくる話ですから、当然、地域振興につながるようなことも北海道としてはやはり考えるんですね。それが、すなわち権限移譲に伴って、今大臣がおっしゃったように、この地域の発展ということにつながってくると思うんです。したがいまして、この道州制特区の提案については、今後もぜひ前向きにさまざま検討いただくとともに、大臣からのアドバイスなんかもいただければな、このように思っているところでございます。

 さて、次の質問に移りたいと思いますけれども、次は地方分権改革の推進計画について伺いたいと思うんです。

 地域主権、地方分権を行っていく上で、大事な要素というのはだんだん絞られてくるものであろう、こう思っております。中でも、地方分権改革推進委員会が第二次勧告と第三次勧告で示しました義務づけ、枠づけの見直しは非常に重要な改革になってきます。これは原口大臣も同じ御認識であると思うんです。

 その上で、政府は昨年の十二月十五日、第三次勧告で具体的に講ずべき措置として示された八百九十二条項のうち、特に地方要望分の百四条項については地方分権改革推進計画の中に盛り込む決定をいたしました。しかし、推進計画では、勧告どおりの見直しは百四条項のうち三十六条項と、三分の一にとどまったにすぎないという状況でございます。

 計画決定と同日に出された地方六団体の声明でも、十分御承知かと思うんですけれども、一定の評価はしながらも、保育所、老人福祉施設などに関して、勧告では「参酌すべき基準」、それから「標準」とされた条項について、自治体の裁量の余地が乏しい「従うべき基準」として、それらについて法施行の状況を踏まえ再検討するという形で先送りをされるなど、政府が掲げる地域主権の理念に沿った内容とは十分言えないのではないか、私はこのように思っていますし、六団体もそのような認識をしている。

 このことについての大臣の所見を伺いたいと思います。

原口国務大臣 稲津委員にお答えいたします。

 地方分権改革推進計画における義務づけ、枠づけの見直しの取りまとめに当たっては、地方から実際に要望のあった事項を中心に取り上げたところでございます。

 正直、一次の答えが出てきたときは、私はよくここまでやったなと思いました。それは、今までほとんどゼロだったからです。しかし、こんなもので満足していてはならない。分権計画、法律の条項数でいうと今委員がおっしゃったとおりですけれども、今回、要望分の四十九項目のうち四十二項目を見直すことに、ぎりぎりやって成案を得たものであって、地方側からは、今回の見直しが政治主導で進められ、一定の前進が見られたことは率直に評価したいというお声をいただいています。

 ただ、今申し上げたように、これはまだ通過点です。補助金とナショナルミニマムというところで今回ひっかかっているわけです。地方はやはり、そんなこと言ったって、基準をなくして義務づけ、枠づけを地方に任せたら、支える税財源までとるんだろう、今まで何をやってきたんだということを、その不信が非常に強いんです。

 ですから、私たちは、先ほど石田委員がお話しになったように、正しいからといって、えいやっとやっていいとは思っていません。この中にも、基準は、ナショナルミニマムはしっかりと守れという方がほとんどだと思います。その制度をしっかり担保する中で前向きの地方主権改革を進めていきたいと思いますので、ぜひ、お力添えをよろしくお願いいたします。

稲津委員 そこで、原口プランの話に移らせていただきたいんですけれども、この地域主権戦略の工程表、いわゆる原口プランには、第三次勧告の残り分を本年夏に策定する地域主権戦略大綱に盛り込むとしております。このことが、本当に大丈夫ですか、できるんですか、こういう不安の声も実は聞こえてきているのも確かなんです。

 国の関与をなくすということは、これは当然、今大臣もおっしゃいましたけれども、税財源、それから権限の移譲をしていくということですから、冒頭申し上げましたように、大臣は地方のことをよくわかっていらっしゃるので、当然そこでリーダーシップを発揮される、私はそのように思っておりますけれども、一方で、各省庁の抵抗というのはないのかどうか、なかなか難しい問題があるんじゃないだろうかな、私はこのように思っております。

 大臣は、具体的にどのようにこの義務づけ、枠づけの見直しを図っていくのか。本当に実行していく、その大臣の決意とリーダーシップの発揮どころを改めてお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。お答えいたします。

 この原口プランの進め方については、国、地方協議の場の法制化、義務づけ、枠づけの見直し、地域主権戦略会議の法制化による体制強化を盛り込んだ地方分権改革推進計画、まさに委員御指摘のように、去年の十二月十五日に閣議決定しています。

 分権計画に基づいて、所要の法案を今国会に提出を予定していますが、地域主権戦略会議、これがやはり何といってもエンジンなんです。だから、先ほど顧問についても少し御批判がありましたけれども、情報発信力のある人たち、そして国民との対話能力のある方々、やはりこれは国民の皆さんの理解なくしてやれないんですね、そこのところをしっかりとやっていきたいと思いますし、特に総理も、けさ、念を押して、これは絶対にやるんだという強い御意思を表明なさいましたけれども、これは全閣僚が聞いていたと思います。

 また、行政刷新会議担当に枝野さんがなってくださいましたので、枝野さんともしっかりタッグを組んで、見える形で、実は、基準を守っているんだけれども、その先にいる国民は守っていないんだというようなことも私は率直に言って散見されます。それを国民の皆さんとともに変えることによって変革を推進していきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

稲津委員 まさに、そこが私は一丁目一番地なんじゃないだろうかなというふうに思うわけですね。

 そこで、今大臣からもお話ありましたけれども、義務づけ、枠づけの見直し、国と地方の協議の場、これはしっかり夏までに法制化に向けて検討したいというお話だったと思うんです。そして今度、三年後の二〇一三年の夏までの第二段階で、補助金の一括交付金化、それから直轄事業負担金の廃止、出先機関の見直し、こういうことを行ういわゆる地域主権推進大綱を策定する、このように私は承知していますけれども、工程表を通して、課題をしっかり整理して全体像を示すというのはよしとしても、第二段階が二〇一三年までというのはいささか期間としては長過ぎるんじゃないだろうかな、このようなことも考えてしまうわけです。

 出先機関の見直しなどはもう既に地方分権改革推進委員会が詳細な勧告を行っておりますし、政権交代を理由にこれをまた白紙に戻すようなことがあったら、これは大変効率の悪い話だろうと私は思うわけでございます。分権委員会の議論を十分に活用した上で、私は工程表よりもむしろ前倒しでやるぐらいの、スピード感を持った対応も必要じゃないだろうかなというふうにも見えるんですけれども、この点について大臣はどのようにお考えですか。

原口国務大臣 稲津委員がおっしゃるとおりだと思います。

 国と地方の協議の場をつくって、そして現場の皆さんとも丁寧に丁寧にやりながらということでこれを書いているわけですけれども、実際に地域主権戦略会議の中でも、各委員の皆様からも委員と同じ問題意識の御発言が続きまして、そして私の方からも、非常に控え目にこれを書いておったんですが、前倒しをしたいという意向を示させていただいたところでございます。

稲津委員 それは、ぜひそのような検討に入っていただきたいと思うんです。

 もう一つこれに関連して申し上げたいと思うんですが、さっきもちょっと議論させていただきましたけれども、特に出先機関の見直しということになってまいりますと、申しわけないですけれども、これは関係省庁の抵抗がより強くなってくるということは、私の考えとしては明白だというふうにも思うわけです。

 義務づけ、枠づけの見直しでさえ、事実上ゼロ回答の省庁があった。これは、それなりの理由があったというふうに大臣も御答弁されましたけれども、私、これはちょっと怒られるかもしれませんけれども、現政権になってから、大臣を含めた政務三役の皆さんが各省の主張に沿った発言をしている面もあるんじゃないだろうかなというふうに思うんです。

 いや、それは違うと否定なさるかもしれない。しかし、例えば、同僚議員の農水委員会での質問がありまして、これは昨年ですけれども、地方農政事務所は今後も残すんですか、こういう質問をいたしました。農水大臣は明確に、残しますと発言されました。私は傍聴席で聞いておりましたので、自分の聞いたことが本当かなと思って後で議事録を見てみたら、まさにそのとおり、そういう発言をされているんです。この地方農政事務所、今国会で設置法を改正して、三百四十六拠点ですか、これを地域センターという名前で六十五の拠点に集約するらしいですけれども、廃止をするということを本当に考えているのかなと。これはちょっとよそのことですから、これ以上言いませんけれども。

 何を言いたいかというと、大臣がリーダーシップを発揮されて、そしてそういった省庁の抵抗はしっかり排除してやっていくんだという御決意に立っているということは私もわかります。しかしもう一方で、やはり政府が一枚岩になってこういうことに取り組んでいかないと、私は十分な効果は得られないと思うんです。

 恐らく前政権の時代にも、私は議員じゃなかったからわかりませんけれども、しかし恐らく相当な苦労をなさったんだろう、こう思います。この省庁の抵抗を破るには、私は、まず大臣がリーダーシップをしっかり発揮していただくということ、それともう一つは、やはり総理のリーダーシップにかかってくると思いますよ、そう私は思うわけでございます。

 それで、次の質問に入りますけれども、総理のリーダーシップといえば、国と地方の協議の場についてお話し申し上げたいと思うんです。

 この問題について、法制化に向けていろいろな議論がされていると思うんですけれども、実は、これも多分議論になったと思うんですが、きょうの一般紙等にも随分取り上げられておりますけれども、国と協議の場、総理大臣は外れるという話でございました。これは地方六団体がかねてから主張していた、いわゆる総理のリーダーシップが必要だということで、総理がこの協議の場の議長を務めるよう要望をなされておりました。

 報道によりますと、議長は総理ではないということで、そこを考えてみますと、政府側は、総理に相当する立場の方が地方側におらず、対等な協議の場としてバランスを欠くから、こんな理由を言われているということも聞こえてくるんですけれども、これは総理大臣がぜひ議長をされるべきだったんじゃないだろうかなと私は思うわけでございます。

 そこで、そのことについて、これは大臣に少ししっかりとお話をいただきたいと思うんですけれども、地方の側がこのことを要望してきたのに、なぜ議長は総理大臣にならなかったのか、そのことをお答えいただきたいと思います。

原口国務大臣 稲津委員にお答えします。

 基本的な考え方は、この間、稲津委員と全く同じでございます。

 それで、先ほど地域主権戦略会議を何回開いたかというお話がございましたが、物理的な理由、もう本当に、この国の総理というのはどれだけ忙しいんだろうか、よくにこにこして不平も何も言わずに頑張っているわけですけれども、物理的に、大臣をそろえるとなるとまた大変なことになります。それよりもむしろ頻繁に協議を行い、そして稲津委員の御質問に答えると、国側からは、弾力的な会議運営の観点から、総理は構成員とはしませんが、以下のように協議の場に総理が関与する仕組みを御説明しました。

 一つ、協議の場の招集権者は総理である。それから、議長等の指定は総理が行う。つまり、総理が関与する明確な仕組みを提案させていただきました。そして、総理はいつでも協議の場に出席し発言することができることとする。

 これにより、きのうの場で、地方側にも法制化の骨子の全体について御理解をいただいたものと認識をして、この法制化へ向けた作業を一歩前に進めたところでございますので、ぜひ御理解をください。

稲津委員 総理の議長指名とか、協議をする権限は総理に持たせたわけですね。それはなぜなんですか。議長は忙しいから、なかなかだという話なんですけれども、それは総理が関与する余地を残したということなのかもしれないけれども、指名権とか招集権とか。

 指名権、招集権を残したというのは、そこがちょっとよくわからないんですけれども、それは、総理がこの協議の場に関与する形を残したという解釈でよろしいんですか。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、地方側からは、総理をこの協議の場の議長としてほしいということであったわけです。

 ただ、私たちは、国と地方で、国側のトップが総理であるわけですけれども、今お話しのように構成員とはしないものの、総理が強いリーダーシップを、これはやはり総理御自身のリーダーシップがなきゃいけない。いや、総理が議長になれないんだったら私にやらせてくれとまで言ったんですけれども、おまえは一総務大臣だから、官房長官とかそういった者がなるのがもっとふさわしいということで、いずれにせよ、委員が御指摘のように、強いリーダーシップをどのように振るえるかということに配慮をしたというふうに御理解をください。

稲津委員 ちょっとそこは私と見解が違うんですね。

 それはよしとしても、官房長官が議長で、副議長が原口担当大臣、それから地方からも副議長を担当させるんですか。そうなってきますと、これは私の私見ですけれども、総理大臣が指名権とか招集権はあるにせよ、議長としての指揮権をとらないというのであれば、ますます原口大臣のリーダーシップによるところが大きくなってくるんじゃないだろうかな、こう思うわけです。

 そこで、今回、そういうことで協議の場については、構成員はそういう形になったわけですけれども、改めて原口大臣の、この協議の場における御自身のリーダーシップ発揮の御決意をいただきたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 まさに、この国、地方協議の場で何を議論するかということにかかっていると思います。やはりまだまだ、理不尽とまで言うとちょっと強過ぎますけれども、不合理な仕組みがたくさんあるんですね。それを一つ一つ、あるいは同じ地方議員をさせていただいていましたから、地方議会の場から見ても、ここはすぐ変えられるじゃないか、すぐ変えられるのにどうして変えられないのか。義務づけ、枠づけもそうですし、あるいは直轄事業負担金だって、地方からどれだけ長い間これをなくしてくれと来ていたかわからない。あるいは、まだことしは実現できませんでしたけれども、国税五税の地方交付税の法定率の上げというのは何年、何十年と要望をされてきたわけです。そういったものが機動的に実現できるように、しっかりと力を尽くしていきたいというふうに思います。

 また、こういうリーダーシップを発揮するためには党派を超えた御協力が必要でございますので、ぜひ御協力、御指導をよろしくお願いいたします。

稲津委員 わかりました。ぜひ、この協議の場につきましては、実のある協議、実効性のある内容を、十分な御検討をいただきたいというふうに思います。

 私が何でこのことにここまで言うかというと、次のことにつながってくるんですけれども、制度の性格は違うかもしれませんが、地方に権限を移譲していくという意味では道州制特区推進法も非常に似通った部分があるんですね。

 というのは、この法律について、大臣はもう十分に御存じかと思いますのであえて言いませんけれども、北海道からの提案に対して政府の対応を決めるに当たっては、道州制特区推進本部で決定をするということが定められております。この道州制特区推進本部というのは内閣総理大臣を本部長として、すべての閣僚がメンバーになっておりまして、さらに提案者である北海道知事も参与として加わることができる、こうなっております。

 私は、この推進本部で政府の対応を自主的に決めていくというふうに運用すれば、まさに政治主導ということになるのではないかな、実は、道州制特区推進法にはそういった画期的な仕組みが講じられているということを改めて申し上げたいと思うんです。

 ところが、そうであっても、現実的には北海道の提案がどこまで権限移譲につながっていったかということについてはまだまだ一考の余地があると思うんです。何を言っているかというと、ちょっと回りくどいですけれども、それだけやはりいろいろな抵抗勢力が現実にあるのだということを重ねて申し上げたいというふうに思います。ぜひ実行力を発揮していただきたい、このように思うわけでございます。

 それで、ちょっと話が別の方に行きますけれども、現在、北海道以外の地域が道州制特区の対象地域になるためには、いわゆる三以上の都府県が合併する必要がありますけれども、例えば、この法律を仮に改正して、先ほどお尋ねさせていただいた関西広域連合にも適用できるようにしたらどうだろうか。これを一つぜひ聞きたいと思うんです。もちろん、道州制特区推進法の適用を受ける場合も、実際に提案権を使うか否かというのは広域連合の判断でありますけれども、そういう道を政府として将来的に開くということは現時点での大臣のお考えの中にどの程度描かれているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 いい御提案だと思います。

 地域主権型の道州制というものを視野に入れて考えますと、今の委員の御指摘のように、道州制特区推進法の対象となる道州制特別区域は、北海道、これはもう指定されているわけですけれども、または密接な関係を有する三以上の都府県が合併した都道府県のことを指す。これは同法第二条で、今、広域連合は対象外になっているんですね。

 そういうことからすると、私たち民主党の政策集で、地域主権の確立ということで、地域主権国家の母体は基礎自治体ということを言っていますけれども、補完性の原理に基づいて広域連合や合併を実施、あるいは地域主権型道州ができた場合に、そこに積極的に権限や財源を移譲していくべきだというふうに思います。

 ただ、一つだけ懸念されるのは、都道府県をそのまま残したまま、広域連合をベースに道州制となった場合に、また三層制になっちゃいますね。三層制になるというのは住民負担の観点からも、あるいは効率化の観点からも好ましくないんですけれども、いずれにせよ、自治体間の連携は地域の自主的な判断に基づいて自発的に形成されていくことが重要でありまして、そういう試みを総務省としても積極的に支援をしていきたい、そこのお声をしっかりと踏まえた政策決定をしていきたいと思います。

 特に御党は、私の家の隣も御党の、私の同級生が市会議員をしています。本当によく活動しますよ。選挙のときに私を応援してくれたらもっといいんですけれども。何が言いたいかというと、そういう三千ものネットワークで細やかに拾われたお声というのはとても大事だと思います。そういう地域の声を大事にしながら私も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

稲津委員 時間が参りましたから、きょうはこの程度で終わらせていただきたいと思います。

 恐らく、地方分権とか地域主権という基本的な考え方は、やはり今に生きている我々議員たちの共通の課題だと思うんです。それをいかに、どうくみ上げていくかという問題。基礎的自治体をどうしていくのか、あるいは都道府県にどういう新たな機能を持っていただくか、あるいは道州制ということもどんなふうに描いていくのか、そうすると国の役割はどうするのかという、これは本当に詰めた議論をいっぱいしていかないといけないと思うんです。しかし、刻々と時間は過ぎていく。そして、きょうの議論の中で、大変大臣からも、私の意見ともかみ合ったのは、いわゆる省庁の抵抗ということをどうするのかということ。

 これらのことについては、これからぜひさまざまな場で議論させていただいて、またさらに深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、地デジの問題について質問をいたします。

 二〇一一年七月のアナログ波の停波まで五百二十日で、一年半。きのうの大臣所信では、完全移行に向けて環境整備、支援に全力を挙げると述べておられました。同時に、進捗状況に懸念の声も広がっております。

 そんな中で行われたのが、石川県珠洲市におけるアナログ停波のリハーサルでございました。能登半島の先頭に位置する石川県珠洲市と能登町の一部地域で、一月二十二日正午から四十八時間アナログ放送の電波がとめられました。こういった長時間のアナログ停波は初めてのことであります。

 そこで大臣に伺いますが、この珠洲市のリハーサルの結果というのは、来年七月の地上デジタル波への完全移行に向けてどのように生かすことができるものでしょうか。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 今お話しのように、デジサポから委託を受けた地元電器店が、直接受信世帯を中心に戸別訪問して、希望に応じて簡易チューナーを無償貸与する。今回、石川県の珠洲のアナログ放送終了リハーサルにおいて、チューナーの支援や住民への周知といったことを行わせていただきました。

 これは七千五百世帯でございまして、事前に周知広報を徹底しましたけれども、一月の長時間休止では、デジサポ珠洲に四十九件の問い合わせがございました。現在、現地において事後アンケートを実施しておりまして、長時間休止の結果を分析し、今後、全国における取り組みに生かしていきたいと思います。

 委員は、この総務委員会で、私もずっと御一緒していましたけれども、ビル陰とかそういったところについての問題意識も特に強く持っておられます。これは、今回、石川県でございましたけれども、都市部のビルの部分についてもさまざまな知見を有することが大事ではないか、このように考えています。

塩川委員 来年七月のアナログ波停波に向けての取り組みに生かしていきたいというお話でしたか、少し具体的に伺いたいんです。

 今回のリハーサルについては、実際には、相談件数が七千五百世帯停波をしたにもかかわらず四十数件だった。そういう点では、事前の取り組みがかなりしっかり行われていたということをその限りでは示しているんだろうと思っております。国や自治体や業界団体挙げて手厚い支援があったというのが実態だった。

 そこでお尋ねしますけれども、地デジチューナーの貸与が行われたわけですけれども、その貸与はどのような規模と内容で行われたのか、お示しいただけますか。

原口国務大臣 冒頭、まずお礼を申し上げなきゃいけません。石川県珠洲市の皆さん、それからこの試みに協力をいただきました地元の住民の皆さん初め、多くの皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。

 それでお答えですが、昨年十月から本年一月に、全世帯七千五百世帯のうち、約千九百世帯と二百三十の事業所に、台数にすると、世帯の分が三千六百台、事業所が三百五十台、貸与をしたものでございまして、その中で、大変な周知広報、戸別訪問のおかげでこういう状況を生むことができました。

 以上でございます。

塩川委員 要するに、希望される世帯についてはお配りした。一世帯最大四台まで、アナログのテレビで地デジが見られるようにチューナーを設置する。一軒当たり最大四台までと言いましたけれども、実際、事業所ではたくさんテレビを抱えているようなところがありました。民宿などでは十台、各部屋にテレビがあったりする。それも全部貸与、つまり、国の費用で行われたわけであります。

 そういう取り組みがあったからこそ、アナログ波を停波しても、実際には苦情が上がらない。つまり、負担そのものも国が行いましたし、また、周知広報の徹底につきましても、全戸訪問をし、国がお金も出してきた、デジサポを中心に業界団体と一緒に行われてきたというのがこういう結果になってきていると思うんです。

 もしこの珠洲市のアナログ停波リハーサルの教訓を生かすのであれば、まさにこういった取り組みこそ必要だと思います。でも、実際に珠洲市で行われたような、つまり、希望する全世帯にチューナーを配布するようなこととか、すべての世帯を訪問するような活動というのは、全国規模で行えるんですか。

原口国務大臣 そういう意味でも、珠洲市の試みは私たちに多くのことを学ばせていただいたと思います。では、これを全国規模でやれるかどうかといったことについては、予算の関係もあり、それはなかなか厳しいのかなと思っています。

 しかし、委員、これは地域によって特性がありますよね。先ほどビル陰と申しましたけれども、そういったところでどのようなことが起きるのか。そして、今だったらまだ対策を練ることができますから、クラスターというか、その地域特性ごとに検討をして、全部は無理だけれども、幾つかのチューナーの支援、あるいは実験、これをどれぐらいできるか検討をしてみたいと思います。

塩川委員 チューナーの配布を検討したいというお話がございました。

 現状でいいますと、この珠洲市の場合、七千五百世帯のうち、二千世帯に対しチューナーが配布されたわけであります。ですから、全体の四分の一以上に配られているわけですね。それに対して今全国規模でどうなっているかというと、全国五千万世帯に対して、現行でチューナーの無償配布を決めているというのは、NHKの受信料の全額免除世帯であります。これは最大規模でも二百七十万ですから、全国の世帯数にしたらわずか五・四%です。

 ですから、本気でアナログをとめてもいいというのであれば、少なくともアナログテレビで地デジが見られるようにするチューナー配布は最低限の仕事である。にもかかわらず、現状はそういう状況ですよ。

 つけ加えて言えば、アンテナも、VHFのアンテナではだめで、UHFに切りかえる必要があります。しかし、この珠洲市においては、既に現行UHFのアンテナですから、アンテナの改修費はかかってないんですよ。でも、関東はみんなVHFですから、そのアンテナの改修の費用まで含めたら、七万とか十万とかかかってくるわけなんです。そういう費用負担についてどうするのかというのは、この珠洲市のリハーサルでは教訓をくみ出すことができないんじゃないですか。そういう点でも、私、現行の計画というのは非常に無理があるということを率直に言わざるを得ません。

 その点、いかがですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 私も委員の質問をずっと聞いていましたので、多分そういう御質問になるだろうと思って……(発言する者あり)いや、それはとても大事なことなんですよ。

 つまり、この地域の特性に沿った実験であって、今おっしゃるような、関東、特に都市部、ビル陰のあるところについてはまた違う結果が出てくるかもわからない。あるいは集合住宅、それぞれの地域との結びつきが必ずしもこの珠洲のように密接でない地域も、それはあると率直に認めなきゃいけないと思いますので、だから先ほどのお答えをしたところでございます。

塩川委員 実際、珠洲市というのは、そういう意味でも条件の有利なところで、ケーブルテレビについても各戸が受けるような状況が整っているところでもあります。そういう点では、これをもってうまくいくという話には絶対ならない。

 逆に言うと、リハーサルであっても、このような規模でやらなければ一〇〇%にならないということを見たときに、率直に言えば、リハーサルの結果というのが、全国規模で停波を行うのが困難だということを示すものじゃないのかということを言わざるを得ません。

 もう一つ、この停波に関して困難さを指摘したいのが、アナログ停波にとって大きな障害の一つとなっているのが、先ほど大臣も紹介をされた、都市部の受信障害対策の共聴施設の問題であります。

 珠洲市の場合でいいますと、受信障害対策共聴施設はわずか二つなんですよ。その二つは当然措置をされているわけです。ですから、この受信障害対策共聴施設についてリハーサルは何の教訓にもならないわけであります。

 二〇〇九年九月末現在、一番の直近で把握しているデータでいうと、全国ベースでデジタル化の対応済み率が一八・七%です。つまり、受信障害対策共聴、ビル陰の受信障害に対して対策をとっているというのが二割にもならない。さらに言うと、関東では七・八%、近畿は八・三%にすぎません。

 ですから、総務省としても、関東や近畿では、施設数が多いにもかかわらず対応済み率が低いため、特に重点的な対応が必要としております。そもそも、計画なしという割合が高いんですよね。関東では計画なしの割合が七〇・九%、近畿では八五・五%ですから、何の検討も具体化がされていないというのが圧倒的というのが受信障害対策共聴の現状であります。

 そこでお尋ねします。

 この受信障害対策共聴施設のデジタル化対応について、今までは目標すら持っていなかったわけですから、それが今は目標は持つようになりました。今後、どのような目標と対策を持って取り組むのか、受信障害対策共聴のデジタル化対応について、目標と対策についてお尋ねします。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、いわゆるビル陰難視というのはまさに都会が抱える問題でございまして、実際に対応済みのものは一九%に満たない、計画も含めてようやく四〇%というところでございます。

 このビル陰難視に対しての対応は今年度からようやく始めたということで、確かに出おくれ感を認めないわけにはいきません。ただ、これら都市部の問題という認識のもと、これから残り一年半、実質ことしが最後の一年だという認識を持ちながら徹底的に対応していきたい、いろいろな支援策、予算的な措置も含めて対応していきたいと思います。

 ただ、一つ御理解をいただきたいのは、ビル陰難視というのは、実は、アナログ時代とデジタル時代で大きく変わってきます。ビル陰難視というのはどういうものかというと、ビルに電波が反射して、複数の電波がぶつかり合って互いに干渉し合って見えなくなるというものでございます。しかし、デジタルになると一番強い電波をキャッチして見られるようになるということで、むしろデジタルになって一気にビル陰難視というものが一掃されるということも大きく期待されているわけでございます。

 しかし、だからといって、何もせずに安心するわけにはいきません。しっかりと、調査を踏まえながらどこを対処すべきか、そういったものを早急に検証しながら進めてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

塩川委員 内藤副大臣もよく御存じだからわかることですけれども、ビル陰共聴の場合につきましては、もちろん、アナログに比べて障害を受けるような世帯が減るだろう、十分の一になるとか場合によってはなくなるような場合もあるだろうと。しかし、減ったとしても残るわけで、その場合に、残った世帯をどうするかというのは引き続き課題となるのは同じであります。

 同時に、全部なくなったとしても、これまではビル陰の共聴施設という形で、被害を受ける方は無料でそういう施設の提供を受けていたわけですけれども、今後はそれを自分の懐で賄うのかといった問題が出てきたときに、でも、そんなのはもともとビル陰の問題があったんだからマンションの管理者の責任でやるべきじゃないのか、そもそもアナログから地デジに切りかえたのは国なんだから国の責任で負担してくれ、こういう声が上がるのは当たり前で、だからこそ、この利害関係の調整、関係者の調整に丁寧な努力が必要なわけですよ。それが、これだけたくさん残っているのに、何で一年半という短期間でできるのか、このことが聞きたいんです。いかがですか。

内藤副大臣 先ほども議論になりましたが、珠洲市の事例から得られる教訓は何かというと、やはり一にも二にもきめ細かな対応ということでございます。

 そういったことも踏まえて、デジサポ、地方自治体、そしてテレビ事業者、そういった協力も得ながら、相互に連携をしてきめ細かな説明並びに相談をことし一年かけてしっかりとやってまいります。

 今までは、相談だとかそういう説明会は特に重点的に行ってきたわけではありません。しかし、これからは、例えば高齢者だとか、あるいはビル陰難視を抱えるエリアを対象にして行うだとか、そういうふうにめり張りをつけた説明会、相談を行っていくことによって、向こう一年半で完全実施に向けて取り組んでいきたいと思っております。

塩川委員 今まで進んでいないものが、一年半でそういう利害関係の調整が本当に進むのかという懸念が当然出てくるわけです。それはもちろん、人手をかければ話し合いのスタートは切れるかもしれませんけれども、どう決着がつくのか。そのことなしに実際には対策は進まないわけですから、そういう意味でも、私は、現行の受信障害対策共聴施設についてデジタル化対応をすべて来年七月までにいくというのは困難だということを率直に言わざるを得ません。

 同時に、全国規模で見た場合には、アンテナの直接受信の世帯についても、それこそ一軒一軒訪問してこそ必要なのに、現状でいえば、ことし九十万訪問で、来年度百万の訪問軒数ですよ。五千万世帯あるいは直接受信世帯二千万に比べれば、ごくごく一部でしかないわけで、それでどうして徹底してできるのか。珠洲市のリハーサルの教訓は生かせるのかということが言われているわけで、率直に言って、現行で本当に間に合うのかということを改めて言わざるを得ません。

 その上で、原口大臣に伺います。

 受信機の普及の面でも、この受信障害対策共聴を含めた共聴施設の整備の問題でも、おくれが明らかであります。

 原口大臣が、昨年九月十八日の記者会見で、まずは目標どおりにデジタル化を完成していくということを述べながらも、地デジについて、普及率が九五%いっていればあとはお配りした方がいい、九五%いっていなければやめた方がよいというような検討の結果がありました、このようなことを述べておられます。一つの目安を設けて、普及率が届かないようであれば一定の時期にアナログ停波の延期を決断する、今こういう検討を行うときに来ているんじゃないのか、そのように考えますが、原口大臣、いかがですか。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 野党時代に、当時の旧政権の進め方を見て、これは大丈夫だろうかと正直に思っていたところなんです。

 それで、今、私がその責任者になっているということで、真っ先に大丈夫かと不安に思いましたので、アメリカのFCCに行きました。アメリカは、あそこも停波を延ばしたんですね、半年でしたか、延ばしたんです。それで、丁寧に丁寧に聞き取りをしました。その上で何が必要かということが、今お話しの、それは野党時代の私たちが民主党の総務部門会議で一定の結論を得たものであります。

 しかし、これを半年なりなんなり延ばしても、そのコストはだれが払うのか、それから、いつまでそれをやるのかを考えてみても、現実的ではない。今、塩川委員が前段で御指摘をされたように、しっかりとビル陰対策をやって全力でそこに向けて障害を取り除いていく、このことが今求められていると考えています。

塩川委員 少なくない視聴者の方が別にアナログでもいいと。地デジの電波について、そもそも国民的な要求で出発しているわけではないわけです。そういう意味でも、テレビが見られなくなるようなことは決してあってはならない、そのためにこそ全力を挙げるべきであります。

 もともと国策として進めたんですから、コストの問題が出てくるとしたら、それはこのコストを減らすために努力しながら、住民、利用者に負担を押しつけるようなことは絶対あってはならない。そういう意味でも、映らないということが起こらないようにする、また、余計な負担を住民、利用者に押しつけないようにする。

 そういうことを考えたときに、やはり一定の普及率に達しないようなときには、一定の時期に延期を決断するような目安こそ必要です。だから、アメリカの場合においても、総務省と業界団体の方が現地調査に行って報告書を出されたというのも承知しておりますけれども、その報告書の中でも、アメリカの移行はおおむね成功したというのも、移行期限の延期というのが結果的に功を奏した、こういうことも述べているわけですよね。そういうことであれば、アメリカがまさに政権交代でオバマ政権になってから延期を決断したわけですけれども、こういう機会ですから、過去の自公政権のしがらみにとらわれず、必要な時期に必要な延期の措置をとるということを政策的に示すべきときに来ているんじゃないのか。

 改めてお聞きします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 しがらみにとらわれずと、その言葉は、確かにそのとおりだと思います。

 ただ、アメリカでFCCと議論したときも、少し騒ぎ過ぎた、半年延長したんだけれども本当に延長する必要があったのかと。四十ドルだったと思いますけれども、カードを配ってデジタル化が早期にできるようにしたというのがアメリカだというふうに認識をしていますけれども、まずは、ここまで計画も進んできましたから、委員が御指摘のような地域について集中的に資源を投資して、国民の御理解、御協力をいただきながら目標を達成していく、私はそこを今変える気はありません。

塩川委員 延期をしたアメリカの現状は、実際にはケーブルテレビや衛星の普及が高いところですから、日本のように地上波を直接アンテナで受けるような直接受信の世帯というのは少ないんですよ。そういう意味でも、日本は延期の判断をせずに突入するということがいかに無謀なことかということが問われてくると思うんです。そういう意味でも、今しっかりとした対応策をとって、しかるべき時期にしかるべき延長の手続を踏むような、そういう選択肢を示すことが今求められているということを述べておくものです。

 残りの時間は、ケーブルテレビに関してです。

 私、前々から要求しているんですが、ケーブルテレビで地上デジタル波の放送を見るということを総務省としても推奨しているわけですけれども、その場合の負担が大きいわけです。工事費や加入料の負担も五万とか七万とかかかったりしますし、それだけではなくて、月額の料金負担というのは少なくありません。そういう点で、情報通信審議会の答申の中でも、こういった負担の軽減ということが言われているわけです。

 珠洲市の場合でも、実際にケーブルテレビに切りかえた方がいらっしゃるんですが、加入金と工事費で七万円から九万円かかる、月額料金は最低でも千五十円だ。地デジ視聴のために新たに加入した方は、テレビを買いかえてケーブルテレビに加入したら十五万円かかった。それに、月千円は高い。つまり、今までテレビを見るのにお金を払っていないわけですから、それが毎月毎月千円出るということ自身、負担を感じるというのは当然のことだと思うんです。

 そこで、この数字は細かいからお聞きするのも恐縮ですけれども、昨年九月末現在で、この地上デジタル放送のみの再送信サービスについて、地域を限定せずに提供している事業者がどのぐらいに上るかというのは、よろしいですか。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

内藤副大臣 難視聴地域だとかそういったものを限定することなく全国に提供している事業者は、昨年九月末の調査によりますと、二百社となっております。

 以上でございます。

塩川委員 これは、ケーブルテレビ事業者全体からしますと、三七・三%なんですよね。四割にまだ届かないわけです。そのうち月額料金が千円以下の割合というのが百五社ですから、一九・五%、二割に届かないんです。つまり、情報通信審議会の答申でも、繰り返し、アナログでいえば一から十二チャンネルだけを見られるようなケーブルテレビの料金設定をしてほしいということをこの二年間要求しているにもかかわらず、千円以下という安い料金でやっているというのは、まだわずか二割にも届かないという現状なんですよね。

 そういう中でも、結構地域に結びついた、市が出資をしているようなケーブルテレビ事業者というのは、それなりに配慮をして一定低い金額に抑えた別枠の料金設定もしているんですが、問題は大手なんですよ。大手のケーブルテレビ事業者はどうなっているのか。最大手と言われるジュピターテレコム、JCOMですね、今いろいろ買収の話の方が盛り上がっていますけれども、いわば成長株の企業ということでもあるでしょうが、このJCOMの今言った地デジ放送のみの再送信サービスについて、地域を限定せずにしたサービスメニューというのは提供しているんですか。

内藤副大臣 先ほど委員が千円以下でサービスを提供している事業者は、最新情報によりますと、百七十五社になっておりますことを御報告申し上げます。

 そして、御質問の件、ジュピターテレコムでございますが、ことしの一月に関東で地デジ・BSパックとして電話とセットで月額二千四百八十円のサービスを開始し、順次、札幌、関西、九州とサービスを拡大しております。一方で、地上デジタル放送のみのサービスについては、難視聴地域等に限定して提供しているものと承知しております。

塩川委員 最大手のJCOM自身が、地デジのみのメニューをつくっていないんですよ。IP電話、固定電話とセットで二千四百八十円でも安いじゃないかと言われても、別にそっちは要らない、地デジだけでいいんだ、千円以下にしてくれあるいは五百円にしてくれ、こういう声が現にあるんですよ。それなのに、いまだに最大手がこういう状況ですよ。

 あるいは、二番手でいえばジャパンケーブルネットですけれども、ジャパンケーブルネットはどうですか。

内藤副大臣 地デジのみにつきましては難視聴地域のみが基本でございまして、その他はトリプルサービスと言われる、いわゆるテレビ、電話、ネット、三位一体でのサービス提供となっております。これが月額七千円だと承知しております。

塩川委員 ですから、ジャパンケーブルネットのエリアの住民の方が、地デジだけ見たいというのでケーブルテレビを契約しようと思ったら、いや、インターネットもついています、IP電話もついています、だけれども料金は七千円ですと言われるんですよ。こんなことでいいんですか。

 つまり、ケーブルテレビ事業者というのは、現実的には実質的に地域の独占ですから選びようがないという状況も生まれているわけですよ。ですから、JCOMのエリアだったらJCOM、JCN、ジャパンケーブルネットのエリアだったらJCNだけといった場合に、二千四百八十円とか七千円とか言われても困る。

 ですから、住む場所によってこういった地デジ受信の定額のサービスにばらつきがあるようなことであってはいけないのじゃないのか。本気で地デジに完全移行するというのであれば、ケーブルテレビでの受信を促す上でも、地デジのみの料金設定のメニューをすべての事業者にしっかり持ってもらう、こういうことこそ必要で、そのためにこそ知恵を使うべきだと思いますが、原口大臣、いかがですか。

原口国務大臣 地上デジタル放送のみのサービスの導入の是非や具体的な提供条件等については、これはあくまで資本主義市場でございますので、事業者が経営戦略に基づき独自に判断、決定すべきものと認識いたしますが、他方で、今委員がおっしゃるような地域の独占といったこともこれあり、地上放送しか視聴しないので安価な料金でという視聴者の希望が今委員がおっしゃったようにあるのも事実でございまして、総務省としては、各ケーブルテレビ事業者においてこうした視聴者の要望にこたえていただきたい、こう考えているところでございます。

 また、地デジの普及についてもさらに一層の御助言、御指導をいただければと、そのように考えています。

塩川委員 ですから、住んでいる場所で高かったり安かったりするということじゃまずいだろうと。

 つまり、国策で進めているものですから。別に利用者が希望して、地デジにしたいから、その場合にケーブルテレビは高くて仕方がないねという話じゃないんですよ。迫られてそうなっているんですから。そういったときに、しっかりとした対応というのは、ぜひもうちょっと知恵を出して頑張っていただけないですか。最後に一言。

原口国務大臣 お答えいたします。

 地デジへの完全移行については、これはやはりいろいろな悩ましい問題があります。知恵を出してということでございますので、次回の政務三役会議でも検討事項として議論を進めてみたいと思います。

 この政務三役会議をどうするか。与党議員だけ公表するか、開放するか、参加してもらうか。場合によっては、お許しを党からいただければ、皆様にもどこかで参加をしていただいて、オープンな場で議論できる、あるいは知恵をさらに練れるように頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

塩川委員 終わります。

黄川田委員長代理 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤でございます。お疲れさまでございます。

 午前中の質疑でも出たようでありますけれども、NTTの再編の問題について少しお伺いをいたしたいと思います。

 NTTの組織形態については、旧政権下の通信・放送の在り方に関する懇談会が、通称竹中懇談会でありますが、「二〇一〇年の時点で検討を行い、その後速やかに結論を得る。」という方針を打ち出してきました。ことしが、まさにその二〇一〇年なわけであります。

 原口大臣は、昨年十月に、新しい情報通信政策のあり方を検討するタスクフォース、いわゆるICTタスクフォースを立ち上げて、ここでNTTの再編の議論を真っ正面から行われるのではないかというふうに私たちは見ておりました。しかし、原口大臣は就任早々の記者会見で、NTTに関して、アメリカでも言われなくなったような切り刻みが改革とされている、自公政権の二周おくれの規制改革論議の枠組みでやる気は全くないと、NTTの組織再編には後ろ向きともとれる発言を早々と行っております。さらに、手足を縛られていては飛べないというふうにお話しになられていて、それがNTTの、むしろ再統合を意味するのではないかというふうに受けとめられている部分もございます。

 二〇一〇年にNTTの組織再編の検討の議論を行うというのは閣議決定事項でありますが、ここまでの原口大臣の御発言を見ておりますと、それがどうなってしまうのかなというふうな気もいたします。タスクフォースで議論を行って、当初の予定どおり二〇一〇年度中に成案を得るという見通しがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 柿澤議員にお答えいたします。

 きのう、まさに柿澤委員は予算委員会でベトナムとUAEのお話をされました。

 私が申し上げているのは、再編の議論のことを言っているのではなくて、むしろ、Aという時点でドミナントであったものがBという時点でドミナントでなくなる、そのこともちゃんと議論をしましょうということで、再編議論をとめる気は全くありません。むしろ逆に、アメリカでもアンバンドル化の議論がありましたように、世界の標準に対して競争条件を、二〇〇五年においては、日本は世界最速のインターネット網、ブロードバンド網と言ってきたわけです。しかし、それが現実には三割しか普及をせずに、そしてファイバー・ツー・ザ・ホームについてもまだまだ未完全なんです。その未完全なところの競争条件をどのように独占的な競争を排してやっていくかというのが一つ。

 もう一つは、世界との競争、この競争に打ちかつために、政治がOSとして何をすればいいかということを議論したのです。

 きのう柿澤委員は外務の方で、外務大臣に大変いい御提案をされていましたけれども、それに沿った競争政策を今タスクフォースで議論していただいている。

 何も後ろ向きではないということを御理解ください。

柿澤委員 そうしますと、当初の閣議決定において決まっております、「二〇一〇年の時点で検討を行い、その後速やかに結論を得る。」という方針については、この方針に沿って進めていくということでよろしいですか。

原口国務大臣 竹中懇の閣議決定、その内容が当初想定していたものを私は是認しているわけではありません。

 私たちは、今の時代に即した再編、より競争的で、より開かれた、そしてより国際競争に打ちかつといった視点で御議論をしていただいていて、そして、この結論を得て二〇一〇年以内に再編の結論を得るということに、その部分は変わりありません。

柿澤委員 二〇一〇年中に結論を得るということは変わりがないというお話でありました。

 やはり政権もかわったわけでありますので、基本的な考え方の基軸というものも変わってくることはまた理解もできる部分でありますけれども、先ほど原口大臣は、Aの時点でドミナントであったものがBの時点でドミナントでなくなるかもしれない、また世界的な、グローバルな、大変な競争ということも視野に置いて日本の通信政策、行政を考えなければいけない、こういう趣旨のお話をされておりました。

 その目で見ますと、むしろ、通信業界では自由化や多様化が進むどころか、この間、NTTの独占がますます強まる傾向になっております。光回線では、皆さん御承知のとおり、NTTの市場占有率が七五%というレベルに達してしまっている。このままNGN、次世代ネットワークに移行をするということになると、このネットワークの特性もあって、NTTの市場に対する支配力はますます強まるというふうにも言われております。

 しかも、私の手元にある、ちょっとつくっていただいた資料では、NTTグループの役員人事というのは網の目のようになっていて、持ち株会社をピラミッドの頂点として、あっちに行ったりこっちに来たりという形で役員人事の交流が行われている。NTTが分社化されて再編をされたということだったわけですけれども、むしろ、この間の事業展開において、結果的にグループの一体性は強まる方向になってきているのではないかというふうにも見受けられます。こうした状況については、他の通信事業者も大きく懸念をするところになっております。

 NTTがある意味では独占を強めている、現下のこうした状況についてはどのようにお感じになられますか。

原口国務大臣 NTTについては、独占部門と競争部門とを分離することによる競争の促進などを目的として、平成十一年に、今委員が御指摘のように、持ち株会社のもとで、地域電気通信事業を営むNTT東日本及びNTT西日本と、長距離電気通信事業を営むNTTコミュニケーションズとに再編がなされたものでございます。

 昨今、電気通信市場においては、IP化、ブロードバンド化、モバイル化など、市場環境が大きく変化しています。また、インターネットの普及により、国境を越えて多様かつ高度なサービスを提供、利用できるようになり、国際的な競争が進展しているところでございます。このようなことを受けて、今、現状を分析していただいている。

 いずれにせよ、先ほどから何回も申し上げていますけれども、非競争性がある分野というのはできるだけなくしていきたい。それから、アクセスの制限や、あるいは情報通信におけるダイナミズムを阻害する、こういう要因があってはならないというふうに思っております。

 今、光通信の全世界を覆うファイバー網も、ある意味、日本をパスし始めている、こういう危機感を持ってしっかりとした競争政策をとっていきたい、このように考えています。

柿澤委員 非競争性のある分野というのをなくしていく、ダイナミズムを阻害するそうした要素を取り除いていくというお話がありました。

 そうであるとすれば、NTTという会社が、政府の出資を残した形で通信の基礎的インフラを保有し、一方で、サービス事業を同じグループのもと行っている、こういう形こそ見直していかなければならないのではないかなというふうに思っております。

 そもそも、NTTは民営化からもう二十五年が経過をしているわけでありますけれども、いまだに政府が三分の一も株式を持っている状態であります。これはいささか変則的でありまして、通信産業で各社が対等に競争を展開していく上では、NTTの完全民営化というのが必要になってくるというふうに思いますけれども、この最終的な完全民営化の姿というものを描いておられるのか、見通しがあるのかどうかお伺いします。

原口国務大臣 政府が、国の責任において、どのような国民の通信事業における権利を保障するかということと、それから、各通信事業者、これはもとは電電公社の時代を経たものでございますけれども、そこにおける国民の財産というのは一体何なのか、それから、さらなる自由主義市場における競争政策を推進する上では何が必要なのか、まさに今委員がお話しになったことをこのタスクフォースの中で、私がお願いをしていて、今議論をしていただいている最中でございます。

 その議論を総務大臣がこっちだというふうに先導することはなるべく避けたいと思うんですが、私の考え方はたった一つです。国民の情報通信における権利を保障するために、いかにダイナミズム、そして未来の時代を先取りしたそういうものをつくっていけるか、それをだれの責任において、だれのコストにおいてやっていくのか、このことについての結論をいただきたい。

 そして、コミュニケーションの基本は人間ですから、例えば、一遍に七つ以上のことを人間は、これはスパン・オブ・アテンションという、まあ、英語を言うなと石田先生から言われたので、スパン・オブ・アテンションは日本語にすると認知の範囲というんですかね、認知の範囲といっても何だか余計わからなくなるんですけれども、要するに人間の生活や暮らしに沿った、そういう情報通信をしっかり提供できる民営化会社はどうあるべきか、そこでの出資形態、出資比率はどうあるべきか。

 私自身は、できるだけ自由に、政府から独立をしたものがある方がいいというふうに考えています。

柿澤委員 NTTの組織については、私たちは、最終的にはインフラとサービスを水平分離して、その上で情報通信法という一般法で横ぐしをかけて、それによって規制、また行政を行うということが望ましいというふうに考えております。

 総務省の情報通信審議会は、既に、放送と通信の融合を目的とした情報通信法というのを総務大臣に答申をされておられるわけです。本来、二〇一〇年二月の通常国会にこの関連法案の提出を目指していたはずでありますけれども、これについてはどうなっていくのでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 通信と放送との融合、あるいは新たなパラダイムの中で放送法や電波法、そういったものがそれぞれどうあるべきかというのを整理いたしまして、私たちはその一部をこの国会に出させていただきたいと考えているところでございます。

 その上で、委員はお若い議員でいらっしゃいますから、今まさに黒船来襲なんですよ、この情報通信の世界は。明治の黒船は見えました。浦賀沖に船が来て、そしてそれが砲撃をするということで見えましたけれども、今の黒船は見えません。見えないだけに、国民の皆さんや国会でも問題意識が非常に共有しにくい。私はそういう危機感を持ってこの情報通信政策を推進していきたいし、逆に、この間クロスオーナーシップの話をいたしましたけれども、一つの巨大な資本がメディアも情報通信も全部支配してしまったときに何が起きるか、そんなことまで議論をし、そして言論のとりでと言われるものをつくるべく、今タスクフォースを動かしているところでございますので、未来と今の危機感から発した御議論をこれからも続けさせていただきたい、そのように思っております。

柿澤委員 大ぐくりな構想としては、私もお話を聞いていると、なるほどな、そうかなというふうな気もするわけですけれども、具体的にどのような絵姿が立ちあらわれてくるのかということについては、現時点でなかなか見えてこない部分もあります。

 また、当初の、就任早々の御発言などがマスコミなどで取り上げられる形で、大臣を初めとする皆さんがNTTを、あたかも既得権益を守る方向の考え方をお持ちなのではないかというふうに受けとめられたことも、ある意味では非常に残念なことだったというように思っております。

 人によっては、このNTTの再編議論の今の状況をあたかも郵政民営化の見直し作業になぞらえて、結果として、NTTと東、西、そしてコミュニケーションズを統合してしまって、その上でドコモとデータを下にぶら下げる。今回の郵政民営化の見直しスキームになぞらえた形で、結果的に、国の関与を強めて、情報通信政策についてもNTTを守っていくことにするんじゃないか、こういうことを書き立てる向きもあります。

 ぜひ、そういう方向に行かないように、今おっしゃられたような黒船来襲とも例えられた、まさにこのグローバルな競争の中で、日本の情報通信産業がむしろ世界に向かって雄飛して羽ばたいていく、そうした絵姿をタスクフォースを通じてつくっていただくことを大いに期待いたしたいというふうに思います。

 今、郵政のお話もさせていただきました。

 今まさに制度設計が行われているところでありますけれども、先ほども限度額の問題が出てまいりました。まさに郵貯の一千万という限度額の撤廃というようなことに向けた議論を、今、地域の信金さんや信組さん、あるいは銀行業界全体が非常に心配をしながら見詰めております。

 この結論は近々決定をして発表されるということになると思いますが、現時点でもいろいろな形で心配の声が聞こえてきている。全銀協の三菱東京UFJの頭取は、まさに今までの業務内容の拡大というのは完全民営化に向けたものであって、完全民営化を見直すのであれば、むしろ郵貯の限度額は縮小すべきであるということをおっしゃられています。また、信用組合中央協会の会長さんは、官の状態での限度額撤廃は御勘弁いただきたい、こういうことをおっしゃられております。

 こうした業界の声というものをぜひ真摯に受けとめた上で御議論を、結論を得ていただきたいというふうに思いますが、こうした形で限度額を撤廃して、例えば三千万にする、段階的に全部取っ払うということにした場合、民間金融機関に対する影響がどの程度及ぶのかということを皆さんは試算等をされているんでしょうか、お伺いをしたいと思います。

亀井国務大臣 委員御指摘のように、ユニバーサルサービスを担保していく中で、ゆうちょ銀行、また、かんぽのそうした限度額をどう扱えばいいのか。

 今までも、各界各層、いろいろな方面からの意見を今丁寧に聞いておる最中であります。さらにこれについては、どこまでそういう点を調査あるいは意見聴取すれば、ぴたっと当たるような結論が出るというほど私は自信はございませんけれども、あとう限りいろいろな意見をさらにさらに集約した中で、信金、信組、第二地銀、あるいは保険の代理店等が苦しい状況に置かれて今地方経済を担っておる、地方の人たちの生活を支えておられるわけでありますから、そういうことに悪い影響が起きないように、かつ、ゆうちょの、またかんぽの国から与えられたユニバーサルサービスの責任が果たしていけるような、そのための業態はどうあるべきかというのを今真剣に考えておりますので、委員は別に今与党じゃございませんけれども、全く関係ございません、ぜひひとつ委員のお立場からまたいろいろと御意見を賜れば、真剣に聞かせていただきたい、このように考えております。

柿澤委員 もう一つお伺いをいたします。

 このところ亀井大臣は、郵貯の資金の運用先の拡大というものの一環として、アメリカの国債を買うんだ、こういうことについて踏み込んだ御発言をされております。

 去年の秋にも質問に立たせていただいて、あのときは株式売却凍結法案の質疑でありましたけれども、あのときにも、原口大臣が御答弁をされておりましたけれども、国債で八割運用している、こんなことではいけないのではないか、こういうお考えをお示しになられておりました。

 今の郵貯の資金量を所与のものとして考えると、運用先の拡大をして米国債を買うんだというと、そのかわりに日本の国債を売らなきゃいけないということになるわけでありますけれども、そうすると、皆様方は、日本の国債をこれから売りますよというメッセージを市場に対して発信しているのかということになります。ここの部分についてどのようにお考えになられているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

亀井国務大臣 私が発言いたしました趣旨というのは、今までのような運用、八割以上が国債という状況というのは、これはもちろん、国家財政に対して大変安定的な寄与をしているという面もありますけれども、もっと地域経済に対して寄与していく、あるいはグローバルな形で寄与していく、そうしたことがあっていい、私はこのように思っておるわけであります。

 また、今郵貯も百兆円ばかり、当初よりか減ってしまっておるわけでありますけれども、一方では、郵貯はどんどん縮小した方がいいんだという一般の金融機関からの声もありますけれども、一方ではたんす預金に化けてしまっておる。国民のそういう金融資産というのが、預金をするのが非常に不便になっておるわけでありますから、そういう形で、せっかくの国民の金融資産が眠ってしまっておる、そういう状況も一方にあります。そういう全体の中で、私はこういう問題も考え、運用面も考えていきたい。

 ただ、今の日本郵政が運用についてちゃんとしたノウハウを持っているかというと、これは極めて私は疑問だと思います。齋藤社長ともお話をしておるわけでありますけれども、今後、やはりそういうノウハウをどう身につけていくか。大事な預かった財産でありますから、国家に対しても、地方に対してもというようなあれをしていきたい。

 何も米国債を買うことに夢中になるというのではなくて、私は、アメリカが困っておるときには、アメリカが借金をするときに日本が助けてやるのは当たり前だろうと思っておりますから、その一つとして郵便貯金が使われていくということはあってもいいと思っておるわけであります。

柿澤委員 国会答弁ですから、今のは相当なコミットメントだと私は思います。

 さらに言えば、今の答弁を聞いていてどう思われたかわかりませんけれども、私は、これは限度額を撤廃して郵貯の資金量をふやした上で、そのふえた分の資金で米国債を買ったり、あるいはさまざまな資金運用を考えるんだ、こういうふうに聞こえました。そういう意味では、まさに資金量の拡大、限度額の撤廃によってそれが推し進められて民業圧迫になるのではないかというふうな懸念を今の御答弁を聞いていて禁じ得なかったわけでございます。

 この部分については、残余の時間ももうありませんので、これからぜひ御議論を続けさせていただきたいと思っておりますけれども、亀井大臣、何か御答弁があれば。

亀井国務大臣 現に百兆円ばかり減っていることは事実でありまして、郵貯の金が百兆減ったことが国民経済的に、いろいろな面にこれが寄与したということには私はなっていないと思います。

 民業圧迫ということをすぐ言われるわけでありますけれども、民間金融機関も健全にどんどん事業展開をして発展していくべきであって、郵貯が手足を縛られれば自分たちの商売が楽だなんて、私は、そんな発想はとるべきではない。何度も申し上げますように、特に地方の信組、信金、第二地銀等の営業が間違った形で圧迫をされない、そのあたりとの協調がうまくできる、そうした方法を我々は考えておるわけであります。

柿澤委員 時間もなくなっておりますので、これにて終わりにしたいと思いますが、今の御答弁を踏まえて、これからまた続けて議論をしてまいりたいと思っております。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十二年度地方財政計画について説明を聴取いたします。原口総務大臣。

原口国務大臣 平成二十二年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、地域主権の確立に向け、地域に必要なサービスを確実に提供できるよう、地方財政の所要の財源を確保することで、住民生活の安心と安全を守るとともに地方経済を支え、地域の活力を回復させていくとの基本理念に立ち、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方、地域のニーズに適切にこたえるために必要な経費を計上するほか、安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額の確保を図ることを基本としております。

 過去最大規模の財源不足については、適切な補てん措置を講じることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。

 以上の方針のもとに、平成二十二年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、八十二兆一千二百六十八億円となり、前年度に比べ四千二百八十九億円の減となっております。

 以上が、平成二十二年度地方財政計画の概要であります。

近藤委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。原口総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 支え合う社会を実現するとともに、経済、社会の構造変化に対応し、国民が信頼できる税制を構築する観点からの税制全般にわたる改革の一環として、個人住民税における扶養控除の見直し、自動車取得税及び軽油引取税の税率の特例措置の見直し、地方のたばこ税の税率の引き上げ、地方税における税負担軽減措置等の適用状況等に関する報告書を国会に提出する措置の創設を行うとともに、税負担軽減措置等の整理合理化等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、個人住民税の改正であります。個人住民税については、十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除を廃止するとともに、十六歳以上十九歳未満の特定扶養親族に係る扶養控除の上乗せ部分を廃止することとしております。これらの改正は、平成二十四年度分の個人住民税から適用することとしております。

 その二は、自動車関連諸税の改正であります。軽油引取税については、現行の十年間の暫定税率は廃止した上で、当分の間、現在の税率水準を維持するほか、揮発油価格の異常な高騰が続いた場合には、本則税率を上回る部分の課税を停止する等の措置を創設することとしております。また、自動車取得税については、現行の十年間の暫定税率は廃止した上で、当分の間、現在の税率水準を維持することとし、自動車重量譲与税については、自動車重量税の税率の引き下げに伴い地方に減収が生じることのないよう、自動車重量譲与税の譲与割合を三分の一から千分の四百七に引き上げることとしております。

 その三は、地方のたばこ税の改正であります。道府県たばこ税については千本当たり四百三十円、市町村たばこ税については千本当たり千三百二十円、税率をそれぞれ引き上げることとしております。

 その四は、地方税における税負担軽減措置等の透明化に関する措置の創設であります。地方税における税負担軽減措置等の適用実態の透明化を図るとともに、適宜適切な見直しを推進するため、地方税における税負担軽減措置等の適用状況等に関する報告書を作成し、国会へ提出することとしております。

 その他、税負担軽減措置等の大幅な整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十二年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税の法定率分に、法定加算額等を加え、交付税特別会計における借入金利子支払い額を控除した額に、雇用情勢等を踏まえた当面の地域の活性化に資する施策の実施に必要な財源を確保するために一兆四千八百五十億円を加算した額十六兆八千九百三十五億円とすることとしております。

 次に、平成二十二年度に予定されていた交付税特別会計における借入金の償還を平成二十八年度以降に繰り延べるとともに、平成二十三年度から平成三十七年度までの間における国の一般会計から同特別会計への繰り入れに関する特例等を改正することとしております。

 また、平成二十二年度における措置として雇用対策・地域資源活用臨時特例費を設けるほか、平成二十二年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 あわせて、公営競技を施行する地方公共団体の地方公共団体金融機構に対する納付金の納付制度を五年間延長するとともに、平成二十二年度に限り、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができるとする旨の特例を設けることとするほか、地方公共団体に対して貸し付けられた旧資金運用部資金等の繰り上げ償還に係る措置を三年間延長することとしております。

 さらに、子ども手当の創設に伴い地方特例交付金を拡充することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上です。

近藤委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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