衆議院

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第5号 平成22年3月1日(月曜日)

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平成二十二年三月一日(月曜日)

    午前十時三十一分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     高井 崇志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長久保信保君及び自治税務局長岡崎浩巳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。

大野委員 おはようございます。自由民主党の大野功統でございます。

 地方税法、地方交付税法の一部を改正する法案につきまして質問する前に、ぜひとも原口大臣から所見を伺いたい。

 それは何かといいますと、前回の質問のときにも申し上げましたけれども、政治の基本はやはり信である、信頼である。前回は信頼ということを言葉遣いの面からお伺いしました。原口大臣の日ごろの歯切れのいい御答弁に比べますと、ちょっと私は納得のできないところがあったのでありますが、きょうは言葉遣いの面からではなくて、実際の政治のあり方、こういう面から御質問させていただきたい、御所見を伺いたい。

 今、我々国会を取り巻いている状況は何かといいますと、やはり政治と金の問題。鳩山総理の一日五十万円の子ども手当の問題であります。それを知らなかったといって、あるいは贈与税の税を後で納めたらいいんだろう、これも納税意識を大変損なうものであります。納税というのは、憲法三十条に書いてあるとおり、義務であります。納税者主権とか、そんな言葉遣いで何だか権利のように言われると困るんです。これは言葉遣いで前回質問しました。それから、コンクリートから人へなんといいまして、実はコンクリートから政治資金の疑惑が生まれる、こういう状態を一体どう考えるんだ。あるいは地方自治体、地方にとっては本当に一日も早く知りたい箇所づけの情報を予算が通る前に漏らしてしまう、こういう状況をどう考えるんだ。

 こういう意味におきまして、やはり私は、こういう状態をもっともっと解決して信頼を得た上で、地方税法あるいは地方交付税法の議論をやるべきじゃないかな。数の力でこういう議論を封じ込んでしまっている、そして国会の運営、委員会の持ち方につきましても、多数の力を頼んで強引に委員会立てをしている、職権立てをしているということにつきまして、大変私は疑問を持っているわけでございます。

 そういう意味で、原口大臣、政治は信である、政治と金の問題、そして国会運営のあり方、今の状態についてどういうふうにお考えか、御所見を伺いたいと思います。

原口国務大臣 おはようございます。

 大野委員にお答えいたします。

 まさに、政治に一番必要なことは信頼である、大野委員がおっしゃるとおりでございます。

 昨日も津波が日本を襲いましたけれども、各自治体、国民の皆さんの御協力、これも政府に対する信頼があってこそだというふうに考えております。

 ちなみに、十時十五分ごろ津波注意報が解除されましたけれども、引き続き国民の皆様には警戒を怠らないようにお願いしたいとあわせて申し上げたいと思います。

 その上で、政治と金の問題について、これは私が個別の案件についてお答えできないというのはあらかじめ申し上げておきますが、やはりしっかりと不断の監視のもとに置いて、国民にいささかの疑いも持たれないようにする。政治活動も自由であります、あるいは選挙活動も原則自由であります、それぞれの自由の中にもしっかりと規律を持ってやっていくということが大事であるというふうに考えております。

 また、国会の運営については、委員、申しわけないですけれども、政府の職にある者としては、これは国会がお決めになることで、私がコメントできないということはお許しをいただきたいというふうに思います。

 いずれにせよ、予算案はもとより、御審議をお願いしている地方税法、交付税法、この税の根本も、やはり委員がおっしゃるように信であります、信頼であります。安定的な地方財政の運営、地域経済の活性化にとって重要な法案でありますことから、一日も早い成立をお願い申し上げたい、このように考えておるところでございます。

大野委員 今の御答弁は、政治と金の問題についてはきちっと議論していくべきである、こういうふうに私は受けとめました、一般論としてという前提はありますけれども。

 今度は、言っていることとやっていることが違うと、せっかくいいお話なのに、やっていることが違うとまた信を失ってしまいますということを申し上げて、税法の質疑に入らせていただきます。

 まず第一の問題点は、今度の税制改正の大綱にも書いてありますように、所得控除から手当へ変えていくんだ、こういう論点でございます。

 今回は、子ども手当とか高校の授業料無償化という問題がありまして、扶養控除をかなり変えておりますが、全体ではありません。そこで問題点につきましてお尋ねしたいのは、まず第一には、地方税の扶養控除も含めて廃止する、この考え方であります。

 地方税というのは、もし民主党のおっしゃるように地域主権ということであれば、国の政策に左右されるような対応をしてはいけないんじゃないでしょうか、こういう問題点であります。地域主権とおっしゃるならば、地方税は地方税で独自の行き方があるはずじゃないか。それを、国の扶養控除廃止と同時に地方税も廃止していく。これは、やはり地方税の独自性、おっしゃるような地域主権の問題です。地域主権という言葉は私は使いたくないんですけれども、わかりやすく言うと、地域主権の問題です。地方税というのは応益性その他がありますから、国の政策に左右されてはいけない、私はそういうふうに信じているんです。恐らく、民主党の中でもそういう議論があったのじゃないか、こういうふうに思っております。

 そこで、まず、国の政策税制によって影響されている、これは私はおかしいと思うのでありますが、こういう住民税というか地方税の性格に照らして、地域主権とおっしゃりながら、どうして今回扶養控除の廃止をなさったのか、こういう点について伺いたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 個人住民税については、委員がおっしゃるように、地域社会の会費として住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという性格を有しています。諸控除については、項目、金額ともに所得税の範囲の中としているところでございます。

 私たちは、まず控除から手当への流れをしっかりとやっていきたい。今までは、後で御質問があるかもわかりませんが、配偶者控除についても、中央政府自体が働き方を規定する、あるいは個人の生き方について、税という形ですけれども、こっちの方がいいんじゃないかという誘導をすることをやめていこう。もう一個は、控除は、委員もう御存じのとおり、高額所得者に有利な制度でございまして、これを手当にという形を私たちは考えておるわけでございます。

 今回、地方の個人住民税の諸控除のあり方については、個人所得課税、個人住民税、今後の所得税における今申し上げたような控除の整理の仕方も踏まえて検討を進めてまいりたいと思っております。

 今回、地域主権ということと反するのではないかという御質問でございますが、私は、将来的には、委員がおっしゃるように、地域がみずからの税を決め、そして、これは検討の仕方ですけれども、みずから徴収の仕方についてもさまざまなことがあっていいんだというふうに思っていますけれども、まずは諸控除の見直し等については個人住民税の基本的な性格を前提として今後検討していきたいと思っておりまして、必ずしも地域主権の考え方と今回のが矛盾するというふうには思っていませんで、むしろ控除から手当へという流れを優先したというふうに考えていただければ幸いでございます。

大野委員 とおっしゃることは、要するに、地方税についても控除はすべてなくしていくという方向で考える、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

 だとすれば、今回のやり方ですけれども、扶養控除というのはいっぱいありますよね、扶養控除、特定扶養控除、成年扶養控除、老人扶養控除。ところが、今回は一部だけ、高校授業料無償化、あるいは子ども手当と見合った分だけやっておられるんですね。だから、何となく中途半端になっているような気がします。

 それともう一つは、地域主権、地方の税の独立性の問題についてお触れになる、これは後で時間があったら詳しく原口大臣と議論をしたいと思っておりますけれども、今の、何だか中途半端になっているのが、これは将来全部整理していこう、こういう方向で考えていいんですか、国税、地方税とも。

原口国務大臣 大きな流れとしては、控除から手当へ。それから、中央政府が行うものは今回の子ども手当のような現金給付、そして、地方は安定的で偏在性のない税によるサービス給付、こういう形に整理をしていきたい。今、その中途でございまして、確かに、今回、配偶者控除等のほかの諸控除についても税調で議論をしたのは、委員がおっしゃるように事実であります。

 ただ、今の家計の状況、あるいは賃金の下方硬直性、デフレ、こういったものも考えながら、配偶者控除というものを一遍にとれるのかという議論も一方であったことは事実でございまして、全体的な流れとしたら、冒頭申し上げましたような整理の仕方で、国、地方の役割の分担、それから、地域主権というのはみずからがみずからの地域をつくる、こういうことでございますので、そこに向けたステップを一個一個上がっていきたい、こう考えておるところでございます。

大野委員 その途中過程と考えさせていただきましょう、扶養控除を全廃する途中段階と考えさせていただきましょう。

 と考えても、今のやり方は、つまり、扶養控除を廃止して、こっちは税金を取る方ですね、それから、子ども手当を出す、これは税金を給付する方です、取ったりやったりされているんですよね。それも一部だけやっておられる。取ったりやったりしているのを現実に見てみますと、例えば、今回の子ども手当、一万三千円を十二カ月で年間十五万六千円でございますけれども、限界所得税率一〇%の方で見ますと、標準モデルケースがいろいろありますけれども、単純計算しますと、七万一千円の増税になって、十五万六千円くれるわけですから、八万五千。これは課税最低限のカテゴリーですね。十五万六千円と言いながら、実は八万五千円しか給付されない、こういうふうになってくるんですね。

 やったり取ったりしている、見せかけ子ども手当を大きくしているんだけれども、それは一体何のためだろう。それならば扶養控除を残したまま給付を小さくしていくというやり方の方が、やったり取ったりして目くらましをやっているよりいいんじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

小川大臣政務官 恐れ入ります。技術的な点を少し補足させていただきたいと思います。

 再三大臣が御答弁申し上げておりますとおり、控除が比較的所得の高い層にききやすいのに対して、手当は均等に定額できくということで、一つそこで哲学を変更したいという面がございます。

 それからもう一つ、今の委員の御指摘、大変的確な御指摘をいただいているわけでございますが、実際の適用年限も慎重に見きわめて制度設計を考えさせていただきました。すなわち、所得税の控除の廃止がきき始めるのは二十三年分でございます、この二十三年に間に合うように子ども手当の全額支給に向けて全力を尽くすという政府の方針。

 これらをあわせ考えていただきますと、改めて控除から手当へ、定額で所得に関係なくききやすい制度を貫徹するための全体としての設計ということでぜひ御理解をいただきたいと思います。

原口国務大臣 委員が御指摘のやったり取ったりということは、税調の中でも議論をしました。すぱっと変えてしまうという案もあったわけです。

 ただ、やはり過渡期においては幾つかの所得控除、配偶者控除も含めてですけれども、そういったものを残さざるを得ない。ですから、今のような形になっているので、控除から手当へという大きな流れは変えるものでもありませんし、逆に言うと、その控除を残しながら手当の額を減らすということであれば私たちの基本的な哲学からも反するということで、こういう形になっているところでございます。

大野委員 小川政務官から制度上の観点からの御説明がありました。

 扶養控除というのは税制上余りきいていないんじゃないかという問題点であります。それを直すためにということであれば、私に言わせれば、なぜ所得制限を子ども手当にしなかったんだろうか。所得制限をしない子ども手当は、一体、社会保障制度なんだろうか、景気対策なんだろうか。この二点の疑問が起こってまいります。お答えください。

原口国務大臣 子ども手当は、これは私の所管というより厚労ですから、厚労の方が答えるのが正しいと思いますけれども、社会全体で子供の育ちをしっかり支えていこうということでございまして、御案内のとおり子供に特別の所得があるわけではございません。また、そのこととあわせて所得の把握、これは去年も定額給付金のときにこの委員会で随分議論がありました、私たちが将来を考えるように一人一人の所得がきっちり把握をされて、その事務が簡易であるのであれば、委員がおっしゃるような形もあるのかもわかりません。しかし、私たちは、そのことよりも、むしろ社会全体で子供の健全な育ちあるいは育児というものをしっかりと支えていこう、こういうことで今の制度になりました。したがって、所得制限というものを残すよりも、理念というものをしっかりと前に出していこうと。

 厚労の方からも副大臣がお見えでございますので、補足の答えをさせていただきますが、税調ではそういう議論をしたところでございます。

長浜副大臣 従前より御指導いただいている大野先生に御質問をいただきましてありがとうございます。

 今、原口大臣からも御説明を申し上げましたように、次代の社会を担う一人一人の子供たちを社会全体で育てていこうという極めて大きな哲学に基づくところの今回の政策でございます。今まで家庭において子供を育てるというような概念から、社会全体の中で子供を育てていこうという大きな哲学の転換をするというエポックメーキングな法案、政策の提出だというふうに思っております。

 先生は諸外国で御活躍をされた期間も長いわけでありますし、四年ほどジュネーブで外交官としても活動された中においても、諸外国で実施されている子ども手当においては所得制限がされていないということも付加して御説明を申し上げさせていただきたいと思います。

大野委員 ありがとうございました。長浜さん、ありがとうございました。

 その哲学について、私は、大変疑問に思うんです。みんなで支え合おう、当然のことです。だから、社会保障なりこの国のあり方の考え方として、自助、共助、公助、こういう考え方があるんですね。それをお金という切り口で考えれば、税収があって、その税収の中から困った人の方へ給付していく、これが社会保障の考え方であるべきである、そのように思いますから、お金持ちの子供でもだれでも同じような給付をやっていくのがみんなの助け合いだという考え方だとすれば、私は、これはちょっと考え直してもらわなきゃ大変なことになるな、こういう気持ちでいっぱいでございます。

 それでは、次に、暫定税率の話に移らせていただきます。

 租税特別措置の見直しで暫定税率を廃止していこう、こういう考え方が打ち出されておるところでございます。暫定税率という、暫定という言葉がよっぽどお嫌いなように見受けられますけれども、揮発油税ですが、十年間の暫定税率は廃止しますとうたっておられて、当分の間、現行税率とおっしゃっているんですね。

 そうすると、当分の間の税率は何と呼ぶんでしょうか。暫定税率にかわりまして、当分の間税率とおっしゃるんですかね。何だか言葉の遊びみたいな感じがしてなりません。そして、この措置は何年ぐらいか。当分の間とおっしゃっているんですが、一応、十年間というものを当分の間に直しているんです、暫定税率という言葉はもうやめた、言葉というか暫定税率という考え方はやめた、こうおっしゃっているんですが、この二点、暫定税率のかわりに何と呼ぶんですか、十年間のかわりに何年間なんですか。

小川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 暫定税率という言葉そのものは、恐らく、法律用語ではなく俗称といいますか、この間の性格をとらまえて定着をした呼び名であろうかと思います。

 これとの対比で申し上げますと、今回御審議をいただいております法案には、当分の間あるいは当分の間規定する税率という表現をさせていただいておりまして、これをどのように呼ぶか、あるいはどういう呼び名が定着するか、少し時間を待ちたいと思いますが、一般的に、租税法体系の中に当分の間の措置として特例を設けるというのはそう珍しいことではございません。これらに引き直した形でぜひ御議論をいただければと思います。

原口国務大臣 今政務官がお話をしたとおりですけれども、暫定税率は廃止し、現行の十年間の暫定税率は明確に廃止。ただ、原油価格等が安定していること、あるいは地球温暖化対策との関係に留意する。地方の税を見てみますと、委員御案内のとおり、環境対策をやっているのはほとんど地方ですね、先ほどの冒頭の御質問にもありましたように、地方が安定的な税制を持つ、あるいはグッド減税、バッド課税といったことも配慮する必要がある、厳しい地方の財政の現状にも配慮する必要があることから、今回、当分の間という現在の税率水準を維持したものでございます。

 これは私の私見で、まだ税調で議論をしている最中ですけれども、地方環境税といった提案も地方の方からいただいておりまして、そういったものもあわせて議論しながら、今後検討をしてまいりたい、こう思っています。

大野委員 この暫定税率部分、とりあえず当分の間税率と呼びます。当分の間税率の部分ですが、一リッター当たり二十五円十銭。これは取ったり取らなかったりするんですね、石油価格の値段の上下によって。そうしますと、今、原口大臣のおっしゃった環境税なんだということもおかしくなってくる。環境税であれば、環境対策ですからずっと取り続けなきゃ。当分の間じゃなくて、ずっと環境問題は大事なんですよ。まあ、暫定税率ということは廃止して当分の間ということになった、やはり何か偏見があるような気がしてなりません。

 ただ、私はそういうことを聞きたいんじゃなくて、二番目にお伺いしたいのは、市場で形成される価格を今度のトリガー税制によって大幅に乱しているということなんです。なぜかといいますと、石油価格一リッター当たり百六十円を三カ月平均価格が超えますと、この一リッター二十五円十銭という税率は停止される。ということになりますと、例えば平均値が百六十一円で三カ月来ますと、二十五円十銭下がっちゃうんですね。何だかこれはおかしいなと。それから、今度回復するとき、当分の間税率部分が回復するときは、百三十円を一円でも下回ったのが三カ月続くと、二十五円十銭ばかり石油の値段が上がっちゃうんですよ。消費者にとってこんな不利な、納税者主権とか、あるいは税の考え方が、公平、透明、納得とおっしゃっていますけれども、納得が消費者から得られるんでしょうか。

 私は、市場価格を反映しないこういう決め方は何のためにやるんだろうか、不思議でなりません。本当に市場価格を反映しない値段になりますと、恐らく価格を変えようという圧力がどこかから来るんじゃないか、人為的な圧力が来るんじゃないか。それは二十五円ぐらい変わってくればいいんですけれども、例えば百六十円を一円上回ってもこのトリガー税制は発動される、百三十円を一円下回っても発動される、こういう制度はおかしい、本当におかしい。

 こういう制度が諸外国に一体あるんでしょうか。日本の税制の中で、私は薄学にして知りません、こういう税制は今までなかったような気がします。その点はいかがでございますか。

古本大臣政務官 お答えいたします。

 二点御質問があったかと承知をいたしております。

 まず、市場価格を反映できるんだろうか、こういう御指摘であります。

 総務省の小売統計に基づいて毎月二十六日の週に取りまとめをいただきます、後ほど政務官から補足があると思いますが、そのデータは、全国四百四十四カ所を定点観測いたしましてデータをとります。この価格によって発動、先生が今おっしゃった百六十円を上回った場合には、翌月の一日をもって、今おっしゃっておられます当分の間の、張らせていただきます租特の課税執行を停止する、こういう仕組みであります。したがって、この四百四十四ポイントというのは市場価格でありますので、この市場価格に基づいた判断でトリガーを発動するという意味においては御指摘は当たらない、このように思います。

 二点目でありますが、国際的にこういう事例があるのかというお尋ねであります。

 ヨーロッパはモータリゼーションの先進国ですから、少し参考にいたしますと、イギリス、フランスなどでは過去にこのような措置を講じている事例がある、このように承知しています。

大野委員 まず、市場価格を反映しているかしていないか。

 市場価格を反映しているとしても、一円ばかり下回っただけで二十五円十銭上がるということは、消費者にとっては不満です、納得できません。この点はどうかという質問をしておるわけでございますけれども、それはもうわかり切ったことで、こんな税制は消費者から見ると納得できません。今まで例えば百三十円ぐらいしていたのが、一円下がったからといって二十五円十銭上がるわけですからね、石油の値段が。こんなばかな税制はあり得ない。

 日本でもあったのかという質問はお答えいただかなかったですけれども、日本ではどうですか。

古本大臣政務官 大変失礼いたしました。

 内国法では、個別の間接税でこういった事例はないということであります。

 他方、関税においては、輸入品、農産品を中心に大変日本に輸入がふえたときには、少しそれをセーフティーガードをきかせるということで差額関税を発動するというような事例はございます。したがって、先生の御理解のとおりだというふうに思います。

大野委員 全く納得ができない税制でございます。

 暫定税率についての最後の質問ですけれども、徴収の問題です。

 ガソリンスタンドは全国で四万ぐらいあると思うんですが、例えば四月一日に発動しようと思うと、三月三十一日末の在庫調査で徴税するか税の還付をするか決定していくんでしょうが、一体これは正確に徴収のデータがとれますか、どうですか。徴収上の問題です。

古本大臣政務官 お答えいたします。

 執行については、御案内のとおり、国税庁の方で行っておりますけれども、二〇〇八年の四月の一カ月間、いわゆるガソリンの暫定税率が下がったあのときでありますけれども、あの際には、要するに高値で仕入れたものを安値で売らざるを得ないという、いわゆる市場圧力がありました。この分をガソリンスタンドの皆様がみずからかぶるというケースが大変出ました。他方、五月一日付で当時の自公の皆様がもとに戻されましたので、その際にはいわば安値で仕入れたものが高値で売ろうと思えば売ることができた、これは想像でありますけれども、こういう入りと出の問題が二回ございました。

 このたびは、下がったときについては、これはきちんと戻し税を行う、還付を行うという措置を国税庁挙げて対応をとるということでございます。一方、トリガーがまたもとに戻す、課税の停止をまたもとに復帰させる際には、この分は手持ち品課税をきちんとやる。

 御案内のとおり、ガソリンスタンドは、POSシステムで大体管理をされておられるGSが多いというふうに承知いたしておりまして、タンクの中に残っている、これは十キロリットルで線を引きますけれども、油槽タンクに、在庫の分につきましてはきちんとPOSによって管理をされている申告に基づき課税をすることによって、いわば便乗値上げは回避したいというふうに思っております。

大野委員 私が伺いたいのは、国税の方で正確に徴収できるかどうか、こういう問題であります。この点について、もうお答えは要りませんけれども、消費者にとっては納得できない、国税の事務負担を増大させる、このような税には私は絶対反対と言いたいと思います。

 それでは次に、たばこについてお伺いしたいと思います。

 たばこについて、私が一番驚いたのは、一本、税金で三・五円、小売で五円の値上げをするのに激しい議論が民主党の中からほとんど聞こえてこなかったということであります。自民党では、たばこ一本一円上げようとしたら、物すごい議論になって大変であります。そういう意味では、議論もなく納得が、納得というのは、考えてみれば、国民の納得という意味は、国民を代表する議員の皆さんがいろいろな議論をやって、議論を終結する、こういうことじゃないか。議論もなく納得があるんだろうか、こういう気がしてなりません。

 議論が一体あったんでしょうか。もし議論がないとすれば、これは地域主権とか納税者主権じゃなくて、本当に独裁者主権と言わざるを得ない。私は、議論もなく五円も値上げしたということに対して、全く不思議な決め方だなと意思決定のプロセスを疑問に思うものでありますが、どういう議論があったんでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これは総務大臣としてというよりか税調会長代行としてですけれども、委員がおっしゃるように、かなり激しい議論をいたしました。税調の議論は全部オープンでございますから、これは葉たばこ農家に対する影響についても大変多くの議論を費やしたところでございます。

 また、今回、三・五円ということで、私たちは幾つかのオプションを、これは地方にとっても大事な税収でございますので、税収がどれぐらい伸びるだろうかと。たしか、自民党さんの時代は一本一円以上上げられたことは余りなかった、ほとんどない。

 消費についても、どういう性向を示すかという議論もいたしました。自民党さんがなさったように一円以内に抑えておくと、国民の方はなかなか痛税感というものがそれほど得られないということで、消費はそう落ちません。したがって、税収についての影響は、逆に言うと、じわりじわり上げていった方が税収は安定的だという数字も出ております。では、本当にそれでいいのかと。一円以内に抑えるという自民党方式というか、自民党政権でなさっていたようなことも私たちは議論しました、そっちの方が税収が上がっていいんじゃないかと。

 ところが、このたばこ税の増税というのは一体何かというと、これは健康に対する負荷を踏まえたもので、やはりやめていただきたい。国民健康保険やさまざまな保険税制にも負荷を与えるだけじゃなくて、まず御本人の健康に対してこれはネガティブな影響が出ているので、そのことをまず重視しようじゃないかという結論に至ったわけで、これはかなり激しい議論をしていまして、今回の三・五円の中の一部、一円部分ですか、そういったところについては、葉たばこ農家あるいはたばこ関係の産業の皆さんの打撃に使おうじゃないか、そういったこともあわせて議論をしておりますので、御理解をいただければというふうに思います。

長浜副大臣 今、原口大臣から御説明がありましたように、政府税調がインターネットですべて公開されるまま開かれておりまして、後ろにいる古本財務政務官あるいは小川総務政務官から連日のように激しい攻撃を受けながら、私は、健康の観点から何としてもここで大幅に価格を上げないと、いわゆるたばこ枠組み条約、日本も批准している条約を健康の観点から履行することができないということで、大分長い期間、何回やったか、ちょっと記憶にありませんが、そういう状況の中で議論をしました。

 確かに、大野先生がおっしゃられますように、八九年からの歴史から考えますと、二十本一箱を十円上げたり二十円上げたりという、大変厳しい、たばこに関してはたばこ農家の問題、あるいは税としてたばこ事業法の問題、こういったものの絡みの中において健康をどう考えるかということで、自民党政権の間でもいろいろ議論、御苦労されたということがあると思います。

 今回は三百円から四百円ということで、ある方からすると大幅、私からすると小幅な値上げになっているわけでありますが、大きな変化があったことは事実でございます。

大野委員 長浜副大臣から、今回の五円の値上げは小幅な値上げである、こういう御説明でございました。それは健康のためというのが原口総務大臣の御説明、簡単に言いますと。

 そうすると、いろいろな議論があるんですが、私は、日本のたばこ税というのは、どちらかというと諸外国に比べて負担率は割合高い方だ、こういうふうに分析しておりますが、その議論はきょうはやめておきます。

 健康についてだけお尋ねしたい。

 健康についてだけ申し上げますと、喫煙率というのは日本人はどんどん下がっています。下がっているけれども、今、世界の平均というか、日本より高いところはロシアとかドイツとかフランスがありまして、ロシアと日本を比較しますと、おもしろいのは、日本とロシアの場合は男女の喫煙率の差が物すごく違うんですね、異なっている。ほかの国は大体似たようなところでありますが、しかしながら、日本人の喫煙率というのは平均かちょっと上の方にありますけれども、長浜副大臣、日本は世界一長寿国なんですよ。男女の格差があるというのはありますよね、七歳も八歳も男女の格差がある。ロシアなんかもっとありますよね、十何歳、十三歳ぐらいあると思いますが。そういう意味で、健康との関係が何だかよくわからない。

 もう一つは、健康との関係でわからないのは、今のは喫煙者比率と長生き、寿命の関係ですが、喫煙者率と肺がんの死亡率であります。

 喫煙者率は、全体の傾向としては減っておりますが、肺がん死亡率というのは上がっているんですね。そうすると、どういうふうにここをごらんになっているのか。たばこは健康に悪いから今回は税金を大幅に上げるんだ、こういう御説明でございましたけれども、まさにこれは日本人にとってはジャパン・パラドックスと言っていいぐらいのおもしろい、おもしろいと言ったらしかられますけれども、何だか理解できない、論理的でない現象があらわれている。

 そこで、一体それを断定していいんだろうかどうだろうか、私は疑問に思っておりますが、いかがですか。

長浜副大臣 さまざまな疫学の調査が上がっているわけでありますが、国立がんセンターの祖父江先生、がん疫学の権威、第一人者でありますが、たばこを吸わない男性の四十歳時点の平均余命が四十二・一歳であるのに対して、たばこを吸っている男性では三十八・六歳と三・五年短いという報告があるなど、さまざまな報告が出ております。また、たばこを吸わない人の方が長生きすることから、結果として、生涯を通じての医療にかかる額からすると、たばこを吸わない人の方が当然高くなるような状況にもあります。

 また、喫煙率が下がっても肺がんになる方がふえているという先生からの御指摘を今いただきました。しかし、アメリカなどの調査では、たばこを吸わなくなった、きょうから禁煙しますよ、それですぐ健康になるかというと、必ずしもそうではない、十年間ぐらいのタイムラグが存在をしているということも事実でございます。

 さまざまな疫学調査を説明する時間はないと思いますので、先ほど申し上げましたたばこ規制枠組み条約でありますけれども、平成十六年六月に日本が条約に批准をして、十七年二月から条約が発効しております。二〇一〇年一月時点で百六十八カ国が批准をしておりますが、この中の第八条、「たばこの煙にさらされることからの保護」という条文の中に、「締約国は、」つまり日本もですね、「締約国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する。」こういう条項があって批准をしているということも事実であります。

 また、先ほど申し上げましたように、条約第六条、「たばこの需要を減少させるための価格及び課税に関する措置」という規定の中において、「締約国は、価格及び課税に関する措置が、」「消費を減少させることに関する効果的及び重要な手段であることを認識する。」「たばこ製品に対する課税政策及び適当な場合には価格政策を実施すること。」こういうことが定められている条約に批准をしているということも付言をさせていただければと思っております。

大野委員 ありがとうございました。

 こういう議論をしている私自身も、四十八歳までは一日に百本吸っておりましたが、それ以来はぴたっと一本も吸っておりませんことを申し上げて、たばこに関する議論は終わります。

 最後に、時間がなくなって残念なんですが、税制改革の基本的な考え方で、地域主権を確立するための税制を構築する、こういう項目があります。みずからの財源をみずからの歳出を賄うために確保する、本当に大事な考え方であると思います。

 私は、地方が自分でメニューをつくって、自分で料理をして、自分で楽しく食べる、讃岐うどんが食べたいのに、カレーを食べないと補助金はやらないよ、こういうシステムはもうやめにしたい、同じ思いだと思います。

 しかしながら、残念なことに、国と地方の税源配分の問題は、平成二十一年十一月九日の地方分権改革推進委員会の第四次勧告では、五対五と書いてあるんですね。何で五対五なんだろう、実際は今六対四ですよ。もっともっと地方に分権をして、地域主権じゃありませんよ、分権ですよ、分権をして、地方に仕事をしてもらって、それだけの財源を配分していく。なかなか難しいことです。それは、地方税というのは偏在性の問題もありますし非常に難しい問題ですが、何だか理想に燃えていない、五対五というのは。もっともっと政治には将来を見通した国の姿づくりがあっていいんじゃないかという問題についてコメントをいただきたい。

 それからもう一つは、財源を譲るとすれば、消費税以外、法人税は偏在性がありますから難しいんですけれども、これは、大臣、私は香川県ですけれども、例えば香川県にインフラ整備をして、コンクリートをどんどんやって道路をつくって、そして、工場が、産業が立地できるような県にして、産業を振興させて雇用をつくる、これが大事なことで、雇用をつくっていく、産業を興す、そうすれば法人税も地方に上げてもいいぐらいの問題になるんですね。どういう税源を移譲するのか、いつすることを頭に描いていらっしゃるのか、この二点についてお伺いして、終わります。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 公的歳出全体で見ても、五対五じゃないですよね。税は、今六対四で国の方が多いんですけれども、公的歳出は地方が三分の二を担っているわけです。こういうものからしても、委員がおっしゃるように、地方の独自財源、自己決定、自己責任の体制を支える自治財政権を確立することが大変大事だというふうに思っております。

 また、百本吸っていた方が、大変な意思の力でゼロ本というのはすごいと思います。やはり地域がみずからの意思を持って、みずからの工夫の中で産業を伸ばすという形が大事でございます。

 今委員がお話しのように、地方が自由に使える財源を拡充するという観点から、国、地方間の税財源配分のあり方を見直す、それから、地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築する。これも絵にかいたもちにしないためには、委員がおっしゃるように、まさに産業の基盤、もう今は地域間競争なんですよ、国からお伺いを立ててカレーを食べなさいじゃなくて、私もぜひ讃岐うどんを、香川に行ってもなかなか讃岐うどんを食べる機会がなくて、本当に自分たちが欲しいものを自分たちでつくる、こういう体制をつくってまいりたいと思います。

 すばらしい御指摘をいただきました。感謝を申し上げて答弁にしたいと思います。ありがとうございました。

大野委員 終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田でございます。

 それでは、原口大臣に主に御質問させていただきたいと思います。前回も申し上げましたが、まず初めに、大臣には簡潔に御答弁をいただきたいのと、横文字をできるだけ使われないようにということをよろしくお願いしたいと思います。

 私は、現下の地方経済について、今回の予算、あるいは税制、いろいろ絡んでくるわけですけれども、大臣の御認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。

 地方経済が厳しいというのは今さら申し上げるまでもないわけですが、私はこの場でも申し上げたことがありますけれども、今までの地方経済というのは、基本的には、農林水産業の第一次産業、それから地場産業、建設業、また、それに付随する小売商業、あるいは飲食、そういうもので地方の小さい町なりの経済というのはある程度成り立ってきているわけですね。

 ところが、今現在、冷戦の終わりから始まって、グローバル化とかICT化とか、あるいは少子高齢化、大変な構造変化が起こっておりまして、今まで地方の中心になって支えてきた産業が、どれもこれもなかなか立ち行かなくなってきている。これが非常に今の地方経済を厳しくしている。私自身はそういうふうに思って、これに対してどういうふうに取り組んで地方経済を活性化させていくか、なかなか難しい問題なんですけれども、私なりにいろいろ考えておるんですけれども、大臣は今の地方経済の状況をどのように認識されておられるのか、あるいはどういうような形でその再生を図っていかれようとされているのか、簡単にといったってなかなか難しいですけれども、できるだけ簡単にお願いしたいと思います。

原口国務大臣 地方経済を引っ張ってきた古い枠組みというか従来の枠組みでは、地方経済を引っ張れなくなっているという御認識は、石田委員のおっしゃるとおりだと思っています。

 その上で、何が今地方の足を引っ張っているかというと、一つはやはり三位一体改革。公的な歳出に負う部分が多かった旧来型の枠組みの中で、公的歳出が一遍に減っている。それに、片仮名語を使うなということですけれども、デフレというのはほかの言葉だとなかなか使いにくいので、デフレという言葉だけは片仮名で使わせていただきますが、日本のデフレを見てみますと、賃金の下方硬直性が非常に問題だなと思っております。

 世界的に経済が広がる中で何が起きたかというと、たらいの水が全体に広がると、高さが変わりますよね、かさが総じて低くなります。今まではたらいの面積の中に水が入っていた、これを富だとすると、自由主義経済が広がったことによって、たらいの水が外に流れ出すのと同じように、一国当たりのかさが減ってきた。その中で、では、何が行われるべきかということが答えだと思っております。

 日本の産業構造は、依存と分配の中で極めて特殊な形をしていました。一つは、今委員がおっしゃるように旧来型、つまり、高コストで、規制に守られて、生産性が低い産業群。では、ここの産業群の方が頑張っておられないかというと、そうではなくて、一生懸命頑張っていても、後で公的なところが出てくるから、いわゆる依存と分配の政治と手を結んでいた方が勝っていくという産業群。もう一つは低コストで生産性の物すごく高い産業群、委員の御地元にもあると思います、そういうところは何が起きていたかというと、その人たちは一生懸命頑張っているんだけれども、国が低い生産性群に所得移転をしてしまうので、ここも頑張りがいがない。

 委員がよくおっしゃいますけれども、頑張った人がしっかりとその果実をみずからの頑張りに比して受け取れることがかぎではないか、私はそう考えております。これが緑の分権改革の基本に流れる考え方でございます。

石田(真)委員 構造変化にどう対応するかということで、これは本当に皆さん、日本国じゅうと言ってもいいんですけれども、悩んでおられるというか、苦しんでおられるわけであります。その中で、私は、基本的な大きな枠で考えれば、やはり既存の産業をどう活性化させていくかということを一方で考えないといけないし、また一方では、今まで地方で雇用創出力が弱かったようなものでも新たなものをどうやって生み出していくか、そういうことを考えていく以外にないんだろうと思うんです。それは、大臣の地方経済に対する認識をお聞きしたということにとどめます。

 そういう中で、今回の鳩山内閣は、予算編成の理念がコンクリートから人へということになるわけです。それで、その中身をちょっと見せていただきます。

 これは、時間がありませんから大ざっぱな議論ですが、地方の一般歳出の合計は、〇・一兆円、一千億円の増額なんですね。そういうふうになっている。それで、増要因というのを見ますと、何かというと、子ども手当が一・三兆なんです。それで、差し引きした地域活性化・雇用等臨時特例費は五千億、〇・五兆なんですね。これはふえているんです。それで、減の要因は何かというと、投資的経費が二兆二千億なんですね。それを地方に当てはめてみますと、人口減少ですから子ども手当の対象者は少ないんですね。同時に、先ほど公共依存というお話がありましたけれども、投資的経費が減額されるんです。

 そうしますと、一方で、先ほども言いましたけれども、これからは既存産業の活性化と新規産業の創出だという我々が目指すべき社会はありますけれども、現実問題、今の状況の中でより改善するというか、きちっと下支えをしていかなければいけないという大変な使命もあるわけですね。そんな中で、今回の予算編成で本当に地方経済が底割れしないでやっていけるのかという問題があるんです。

 例えば、これはある確かなところのアンケートですけれども、子ども手当を子供の将来のための貯蓄や保険に使うというのが五四・四%ですよ。地方には子供さんは少なくて、手当が来る量は少なくて、来ても貯蓄に回す、一方で投資的経費をぼんと減らすわけですよ。そういう中で、本当に地域経済を、まず当面の地域経済を守っていけるのかどうか、大臣の御認識をお聞かせいただきたい。

原口国務大臣 お答えいたします。

 税調で私が主張した議論が、まさに石田委員がお話しのところです。

 中央、地方を、カリフォルニアと同じぐらいの面積だと言いながらも、地方を一つの枠で考えてみると、おっしゃるように地方には子供が少ない。そこでの公共事業が思いっきり減ると、全体としては地方の方に厳しい変革になるんじゃないか、だから一・一兆円交付金をふやすべきだし、国税五税の算定率を、もう何十年も変わらない算定率をふやすべきだ、これが私が主張した主張でございます。

 その中で、逆に、今回きめ細やかな交付金、これは第二次補正予算ですけれども、自由に地方がお使いいただけるものを厳しい財政状況の中でぎりぎりふやしてきたというのが現状でございまして、今これで地方が夜が明けたように、黒い雲が全部とれたようによくなる、こういう予算には残念ながら……。まだその段階を踏んだところだというふうに思います。

 委員の御指摘は大変大事でございます。ただ、これはぜひ御理解いただきたいのは、公共事業をふやしても維持費もふえるわけで、自由に使えるお金をふやすということをまた頑張ってまいりたい、こう考えておるところでございます。

石田(真)委員 交付税一・一兆円ふやされたということなんですけれども、ことしの不足額は十八兆ですか、ですから大変大きい中でなんですよね。

 それで、交付税をふやされたと言いますけれども、先ほども申し上げましたけれども、一般歳出の合計では一千億しかふえていないんです。一千億しかふえていなくて、先ほど言いましたように、増の要因が子ども手当一・三兆、臨時特例費ということで〇・五兆、合わせて一・八兆ですよ。ところが、投資的経費は二・二兆下がっているんですよね。数字的にも下がっているのに、中の要因を見たら、地方により厳しいのではないかということを私は申し上げているわけなんです。ですから、こういうような組み方だけでやっていけるのかということです。

 大臣、何かあったらおっしゃっていただいて結構です。短くお願いします。

原口国務大臣 ここは大事なところなんですね。よく、予算を切ると、あれをやるな、これをやるなと言われるのはわかりますけれども、ちょっと大事なところなので。

 確かに、投資的経費の減一兆二千百二十五億については、地域活性化・雇用等臨時特例費を九千八百五十億円創設していますね、それらにより同額の一兆二千百二十五億円を歳出に計上しているわけで、一般歳出もふえているんですよ。それからまた、給与関係費の減、投資的経費の減や地域雇用創出推進費の減といった要素がある中で、子ども手当の創設や高校無償化の実施に伴う一般行政経費の大幅な増加、これを二・一兆円やっているわけです。それで、一般財源ベースでもふえ、一般歳出ベースでもふえている。

 とりもなおさず、中抜きの経済はやめましょう、やはりいろいろなものを中央に依存してしまうと中途で抜かれてしまう、地方が自由に使える財源をふやしたということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

石田(真)委員 今大臣言われましたけれども、我々もちゃんと計算しているんです。トータルで一千億しかふえていないんですよ。それで、その中身が私は問題だと言っているんです。これ以上数字のやりとりをしてもあれなので、また恐らく参議院でも厳しい議論があると思います。

 次に行きますけれども、先ほど大野先生とお話があった子ども手当です。

 私は、これは大変心配していることがあるので、ちょっと話がずれますけれども、申し上げたいのは、この子ども手当は、公約違反ですよ。それで、大臣も反対されたけれども、児童手当が存続ということになりました。来年これを本当に実施するということになったときに、恐らくこの児童手当は、当然のことですけれども、廃止をされるということでよろしいんですね。

原口国務大臣 平成二十二年度においては、児童手当法を現行のまま存続させ、従来の児童手当を支給する仕組みを残すということにしておりますが、平成二十三年度以降については、地域主権戦略会議等の場において、地方が実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担を考えながら経費負担のあり方について検討を行う。

 私は、子ども手当といわゆる児童手当の並立した制度が今回暫定的に行われたと考えておりまして、国、地方、事業主が費用を負担し、残りの部分について全額国庫で負担するという暫定的な今回の措置が二十三年度以降も残るというふうには考えておりません。

石田(真)委員 ちょっとあいまいでしたけれども、大臣は当初から児童手当制度を含めるのはおかしいということを主張されていて、恐らく今回の決着の中でも地方はみんなそういうふうに思っておると私は思っています。同時に、それであるならば、来年、満額で実施するということになると大変な額になるということの中で、財務副大臣がお二人とも難しいんじゃないかという発言をされました。

 しかし、一方で鳩山総理は、私から言わせれば、何か見込みもないまま、ほかの問題もそうですよ、普天間でも余り見込みがないのにどんどん物を言われるんですけれども、今回も見込みもないまま言われたということになって、今回、子ども手当法案も出ていますけれども、一歩踏み出したときにこれは後戻りできないですよ。恒久財源の目当てもないままに踏み出してしまって、本当に後戻りできるのか。

 下世話な言い方をすると、私は毎月二万六千円もらえると思ったから子供を産んだと言われて、やめられますか。ですから、本当にこれは大きな一歩を踏み出すと私は思っているんですよ、大変危険な一歩を踏み出すというふうに思っているんですよ。

 大臣、御所見をお聞かせください。

原口国務大臣 ここでは委員とやはり認識が違いますね。控除から手当へという流れ。

 今回、いろいろな経済情勢もあった、それから時間的な準備というものもありましたから、控除から手当へということは、これは先ほど大野先生の御質問にもお答えさせていただきましたが、完璧には行っていない。予算のつくり方についても、多くの国は、まず国民と約束をしたマニフェスト項目だけやりなさい、あと足りないところは今までの各省の予算を削りなさいというやり方をしているわけです。

 委員が御心配されるのはわかりますけれども、国と地方の協議の場で、しっかりと約束どおり、子供をつくったから中途でそれをとめるなんということはできないわけですから、私たちは、子ども手当という形で社会全体が子供の育ちを支えていくという制度に変えていきたい、この強い意思は表明しておきたいと思います。

石田(真)委員 大臣、それは大変な発言なんですよ。これを踏み出してやめられないと言われたでしょう。しかし、ある程度めどが立ってやらないと、後でにっちもさっちもいかなくなりますよ。

 控除から手当へ、それは考え方としていいですけれども、それを裏づけするものはどこにどうあるんですか。現実にないから、ことし困ったんじゃないですか。私は、そのことを鳩山政権でもう一度きちっと議論しないと、これは本当に国民に対する大変な裏切り行為になると思いますよ。ただ単に控除から手当へやるんだという、理念だけの問題じゃないんですよ。時間がありませんから、そのことだけ厳しく申し上げておいて、どうするか、ぜひ私はもう一度御検討されるべきだというふうに思います。

 先ほどの議論で、もう一方の減の要因としての公共事業です。これは、自公政権時代も公共事業をずっと下げてきたんですね、御承知だと思いますけれども、十年間にわたって半分以下にしました。いっときは十四兆数千億円あった公共事業費を七兆を切るところまで、六兆台に落としたんですね。ところが、余りに経済的影響が大きくなったということで、去年、七兆円台に戻しました。おまけにリーマン・ブラザーズ・ショックの中で、これは何とかしないといけないということで、補正予算を組みまして、それをスムーズに執行してもらうために一・四兆円の公共投資臨時交付金まで創設したんですよ。そうやって下支えをしようとしたわけなんですね。

 しかし、今回、そういう状況にかかわらず、鳩山内閣は、本予算で一八・三%ですか、削減をされました。私は、もう十年間の長い長いトレンドの中で半分以下に下がった、その中でなおかつ一八・三%どんと下げる、コンクリートから人へという理念はそれはそれでいいと思いますよ、民主党の理念ですから、しかし、これは余りにも急激な引き下げではないか。

 これは名前を言えば御存じの、有名なエコノミストも、この間講演を私がお聞きしましたら、こう言っているんですよ、公共工事請負金額は余りにも低過ぎると。大臣、この公共事業の急激な引き下げについてどのような御認識をお持ちか、お聞かせください。

原口国務大臣 これは、平成二十二年度の国の予算においては、昨年十二月に閣議決定された予算編成の基本方針に掲げられたコンクリートから人へ、今おっしゃるとおりその理念に基づいて一八%減となったものでございまして、この基本的な方向性を踏まえたもので、来年度の地方財政計画において投資的経費の地方単独事業においても一定の削減を行っています。

 でも、問題は、私は中身だと思うんですよ。この間、道路台帳の整備等、長寿化対策について勧告を行いました。つまり、額は確保した、しかし、その中身は、台帳も整備されていない、どこにどれだけ危険なものがあるかわからない。差し当たって今やっていることを一時とめて、維持管理やその危険性に対するコストについて計算をし直すというのは当たり前じゃないかと思うんです。

 私は、自民党政権が公共事業を減らされたことを批判する気は全くありません。逆に言うと、その中でも、重点的な社会資本整備のためにも、コスト意識と、維持管理にもお金がかかるんだ、いや、維持管理が逆に言うと国民の命を守るためには大事なんだという視点で今回こういう形になった、そのように理解をしています。

石田(真)委員 それは、これから中身については随分議論していかないといけないと思うんですが。

 もう一点、公共事業に関して、民主党は、一体どのぐらい公共事業を下げていかれるんですか。大臣はよく財政でも予見可能性と言いますね、地方自治体はこれからどうなるんだろうと思っているわけなんですね。

 それで、実は私は市長時代に、もう十年以上も前になりますけれども、自分の町の経済、雇用がどんなになるかなと思っていろいろ見ている中に、産業別の従業者数というのがあったんですね。それを見ていましたら、当時の日本の就業者数は六千五百万人、建設業関連はその一割、一〇%の六百五十万人ですよ。その当時、アメリカとかヨーロッパは大体六から七%でしたね。ですから、ああ、これから成熟社会になってきたら建設業の割合は下がっていくんだな、恐らく三割近く下がるなというふうに私は感じていたんですよ。そのことは建設業者さんにもお話をしていました。

 それで、去年の末、建設業は、私が見たとき六百五十万だったのが今五百二十万台ですよ、従業者数が。もうそれだけ下がってきた。全従業者に占める割合でいうと、八%ですよ。アメリカとかヨーロッパは六、七%だったですけれども、さっき言われた維持管理の問題があって、上がってきているんですね。大体七%台になってきているんですよ。

 それで、日本の地形とかいろいろ考えたときに、私は、もう大体これぐらいで需給バランスがとれてきているんじゃないかなと思うんですよ、従業者数というところから見た公共事業の需給バランスがとれてきているのではないかと。

 そうなってくると、予見可能性を含めて、民主党としたらどのくらいこれから公共事業を減らしていくつもりなのか、やはり国民の前に明らかにすべきだと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これは国土交通大臣が言う言葉だと思います、私の所管からいうと。それにしても、今委員がおっしゃったような時期に私たちも同じような議論をしていたわけです。世界百八十万社ある建設事業者の中の六十万社がこの日本にあるというのはどう考えればいいのか、しかも、委員がおっしゃったように、その多くが非常に小さなものだ、依存と分配の中で公共事業を通してさまざまな政治的な支配をしていた面があるんじゃないかということでその当時議論をしたわけです。私もそのときに、アメリカに対して六百三十兆の公共事業を約束したときに、次の時代には公共事業そのものをこうやってふやすことはできない、これからは維持管理の時代になるんだと。私も、私ごとで恐縮ですが、親戚が建設会社をやっています、ある意味、冬の時代が来るという話をしてきたわけです。そこは委員と同じです。

 では、これからどうするか、今が均衡に来ているかと。これは、今後、今の台帳も含めた維持管理のコストをどれぐらい下げられるか、あるいは、今後の国家経営の中で経済成長をどれぐらい見込むかということにかかっていると思います。この部分を五月ぐらいに私たちは国家戦略担当を中心に出していきたいと思っていますので、今こういう数字ですというところには来ておりません。

 ただ、申し上げたいのは、それまでに精査をします。五〇%も台帳がないということは、そこに向かうその維持管理のコストも今の段階では計算する手を持っていないということでございますので、国交省に対しても総務省の方からしっかりとその数字を出すように求めていきたいと思っています。

石田(真)委員 これは国土交通大臣の問題ではないんです。やはり地方を担当されていますから、地方経済というのもありますし、地方自治体の抱える悩みというものもあるわけなんですね。それをやはりきちっと踏まえていただいて、政府の中で、地方の立場からのきちっとした議論をしていただかないといけないんです。だから私はあえてこういうことを申し上げているということなんです。

 コンクリートから人へ、それは理念ですからいいんだけれども、それがきちっと、地域に混乱の起こらないような状況の中でどうやっていくか、それはやはり大臣の手腕にかかっているんです。そういう意味で、一方では地方の今の現状を十分踏まえていただく中で、政府の中で議論を展開していただきたい、このことは強く申し上げておきたいと思います。

 実は、私は、第一次補正予算の見直しの中で、定住自立圏等民間投資促進交付金、これは本当にけしからぬと思っているんですよ、けしからぬと思っています。民間がやろうといって九百億ぐらいの案が出てきているのに、五百五十億ですか、それを百億まで落としたというのは、地方から考えたら、何だと、コンクリートじゃなかったんですけれども、自分らのマニフェストを実現するためにこんなことまでやるのかというような大変な憤りがあると私は思います。

 そういうことに対して、原口大臣は、やはり地方はそうはいかないんだということを政府の中できちっと地方の立場で発言をしていただかなければいけないということを強く申し上げたいと思います。

 それで、時間がないので詳しくお聞きできないんですけれども、名古屋市と半田市で減税をやりますよね。これは詳しくお聞きしたかったんですが、聞けないのであれですけれども、大体どのくらいの財政力だったらいいんですか。総務省としては、それに対する見解を持っておられますか。つまり、財政力があるからやるんですよ、財政力がないところはできないんですよ。例えば選挙の公約なんかに掲げて出る人だって出てくるわけで、総務省としてそれは全部認めるのか、対応をどうするのか、もう一問したいものですから、簡単にお聞かせください。

渡辺副大臣 税収の豊かなところはできる、つまり、標準税率を下回って減税をすることはできる。ただし、人気取りのために減税をやって、あとは地方債を発行して穴埋めするというようなことはできない。あくまでもこれは行財政改革をやるということを前提にどちらの市もやるということでございますので、その点につきましては、我々としてはその行く末を注視しているところでございます。

石田(真)委員 だから、それは認めるとか認めないとかというような総務省の対応があるのかということが一つ。

 もう時間がないので、もう一点、次の問題です。

 それで、財政力があるというのは、ほかの自治体、全国千七百ぐらいある自治体は交付団体ですが、その交付団体はみんな努力していないのかということですよ。努力しているんですよ。私の町の市長さんでも、企業誘致に百社ぐらい回った。反応が悪いんですよ。ところが、名古屋市なんて企業誘致の努力をされましたかね。例えば港区、千代田区は、一社でも企業誘致を努力しましたでしょうか。そんなことはしていない、それでいて税収は上がるんですよ。税収が上がるから、杉並区じゃないけれども、将来何かしようといってためていこうなんて。

 つまり、努力ではなしに所与の条件でこういう格差が出てくる中で、一方ではさまざまな公共サービスをやれるけれども、一方ではやれない。こういう問題への対応について、大臣はどのようにお考えですか。

原口国務大臣 委員がおっしゃっている意味はよくわかります。

 ただ、私たちが考えるべきは、やはり増減税の権限も地域が持っていいんじゃないか。日本は、世界の十五の主要先進国の中で最も治安のいい国ですね。とすると、多くの人たちが日本に来る上でも、その地域独自で減税がある、あるいは移り住んでいただく、そういったことについても一定の競争があっていいんじゃないか、あるいは独自の減税政策を持つことによって地域の経済政策とリンクさせることもできるんじゃないかというふうに考えております。

 委員御案内のように、市町村民税については、地方税法によって通常よるべき税率として標準税率が規定されておりますが、財政上その他の必要がある場合にはこれによることを要しないとされておりまして、地方自治体の独自性も一方で考えていきたい。

 ただ、今委員がおっしゃるように、特段の努力をせずに地理的な条件で独自に減税できるところがあるという、その認識は私も同じ認識を持っています。(石田(真)委員「どういうふうに対応されるんですか」と呼ぶ)しかし、そこを、その人たちから税をはがすというような対応はできませんね。逆に言うと、先ほどから大野委員にもお答えをしましたけれども、偏在性の少ない税でもって地方が安定的な公共サービスができるような形にする、そういう税制改正というのは私たちの視野の中に入っておりますが、そこが具体的に非常に条件有利であるから、例えば東京都から今三千億取っていますけれども、そういったものを新たに新設するなんという考え方はなく、むしろ逆にそういうものはなくしていくべきだと思っております。

石田(真)委員 終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 おはようございます。

 弥生三月一日、春間近となってまいりました。きょうはPRしておりますけれども、私の選挙区ではチューリップの切り花の生産をしております、こう見せた方がいいですね。一足早い春を感じていただきながら、質問に入っていきたいと思います。時々やわらかくなりますが、時々またちょっと、まだ冬も残っているものですから厳しくなったりするかもしれませんが、その辺、行ったり来たりしながら、ちょっとお昼どきにかかりますが、どうか十二時半過ぎまでよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最初に、地方財政計画、地方交付税法等の一部を改正する法律案の御質問をさせていただきたいと思います。

 まず地方財政計画ですが、歳入見積もり、十月仮試算を先にお示しをいただきながら、十二月、そして二月に最終的な決定となっております。やはり少し数字が動いている部分はございます。把握もしておりますが、一応ここの部分、事実関係ですが、小川政務官、お願いいたします。

小川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 十月段階の仮試算でございますが、概算要求時点での経済情勢等を踏まえて機械的に算出をいたしました。その後の変化でございますが、法人所得の減あるいは子ども手当等の新規施策等を踏まえまして、地方税でマイナス一・七兆円、国の補助金が一・七兆円のプラス、地方債が〇・八兆円のプラス、臨時財政対策債が一・三兆円のプラス等となっております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 やはり地方税は厳しかったなという感じがしております。その部分はまた第二次補正予算での、五千億円のきめ細かな交付金等で補っていただいた。コンクリートから人へではありますけれども、やはりコンクリートも場合によっては必要だという御認識をお持ちだというふうに理解をしております。

 そこで、地方税の主たる要素というのは、個人住民税と固定資産税、そして法人二税ということになるかと思います。もちろん、後でお話をしますが、有価証券の配当割とか、あるいはたばこ税、いろいろあるわけですが、やはり大きいものは今申し上げた三つ。それぞれ、実は対前年の増減率は異なっております。一番景気に影響を受けるのは当然、法人二税でありますし、固定資産税は三年に一度の評価がえ等で変化をしていくわけであります。

 そうなりますと、年末に地方財政収支見通しというものを公表いただいているわけですが、これはちょっと技術的ではありますが、実は、この見通しのときには地方税一本で出てくるんですね。もちろん、各県市町村の財政課等には細かいことを教えていただけるんですが、私は首長経験者でありますので、一般論としては、ぼんと地方税一本で来るんですね。それはやはりちょっと間違えるときがある。何となくうちもふえるのかなと思ったら、いや、実は法人税がふえるところがふえたとか、いろいろなことがあります。できれば三税ぐらいに分けて見せていただいた方が親切ではないかという思いを持って、これは何度か事務方にお話ししたんですが、お考えはいかがでしょう。

小川大臣政務官 それぞれの税の性格を踏まえた、大変的確な御指摘をいただいたと思っております。

 ただ、例えば今年度の地財計画でございますが、去年の十二月二十五日に、御指摘の地方財政収支の見通しを発表いたしました。その場では、地方税から地方債に至るまでの歳入全般、そして歳出全般、どちらかといいますと一覧性を重視した形になっております。それと、同日十二月二十五日に、地方税及び譲与税の収入見込み額というものを同じ日に発表しておりまして、この中にそれぞれの税目ごとの増減がございます。

 ぜひ、各自治体の現場では、この二つをうまく組み合わせて御利用いただければというふうに考えております。

橘(慶)委員 そういうお答えではあったわけですが、逆に言いますと三行ふえるだけなので、後でよく考えていただきたい。そしてまた、市長会等でもよく総務省さんが御説明に来られるわけですが、割合そこではぱっと、あっさり地方税ではと御説明されている向きもありますので、ぜひそこは、三税を説明いただいた方が間違いがない。

 というのは、その次の質問に入るわけですが、法人二税、ここが一番、この景気回復期の、リーマン・ショック前の段階で悪さをした部分だと思っております。三位一体の改革等もございましたし、交付税はいろいろ厳しかったわけです。地方税としては伸びている時期だったんですが、先ほどの石田先生のお話ではありませんが、それが非常に偏在したために、自治体によって、よかった、その時期非常に税収が伸びていろいろなことができた、いわゆる基準超経費というところですね、そこが伸びていったわけですけれども、そうじゃなかったところが大方だった。

 それを、実際、都道府県別人口の一人当たり税収額の指数、これはお出しをいただいたわけですが、これで見ますと、最大と最小の倍率ですが、平成十一年度は東京対青森で四・六倍、これが十五年度には、東京対沖縄ですが、五・二倍に拡大し、二十年度には六・六倍、これは東京と奈良なんです。要するに、一番いいところと悪いところで見ますと、四・六倍から六・六倍へと拡大を遂げてきたわけであります。

 やはり税収の偏在性がこの間の地域間格差というものを助長したのではないかと思うわけですが、この時期、なぜこういうふうに拡大をしていったのかという理由、私も今質問でちょっと申し上げたような感じもありますが、改めてどのようにお考えであるか、総務省さんとしての見解。では大臣、お願いいたします。

原口国務大臣 橘委員にお答えします。

 そのチューリップのように春のような御質問、ありがとうございます。やはりチューリップが何でいいかというと、早くから競争していますよね。だから、地域もしっかりと自由に競争できる。また、偏在性の少ない税でもって支えるということが大事だと思います。

 その上で、今委員がおっしゃるように、地方法人二税、法人住民税、法人事業税は地方の基幹的な税でございまして、その一方で、毎年の景気変動による税収の不安定さ、地域の経済力の格差等による地域間の税収の偏在がございます。今委員がおっしゃった、最大の東京都と最小の奈良県の六・六倍に対して、地方消費税は一・八倍、個人住民税は三・〇倍ですから、大きく偏在していると言っていいと思います。法人関係税は、景気好調時は偏在度が拡大し、景気低迷時は縮小する傾向がございます。

 いずれにせよ、今回、私たちは平成二十二年度の税制改正大綱において、地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方の改革の方向性として、国と地方の税源配分のあり方の見直しについて明記したところでございまして、引き続きまた御意見をいただきながら前進をさせていきたい、こう思っています。

橘(慶)委員 少し私の質問の先の方までお答えいただいたような感じになりましたけれども、ちょっと順番に、そこの階段を上らせていただきたいと思います。

 今大臣がおっしゃったように、景気のよろしいときには偏在性が拡大するんだ、それはおっしゃるとおりなんですが、それは言ってみれば波のある話。もう一つ、いわゆる性格としてといいますか性質として、やはり後戻りしない部分で変わっている部分も私はあるように思っております。

 それは何かといいますと、情報産業はいろいろなものが非常に発達しまして、いわゆる全国展開をしている会社でありますと、大企業においては、今まで出先の事務所や工場にあった管理機能というものが、今、それこそ溜池山王といいますか、千代田区や港区や中央区、こういうところへ、東京へ集まってきているわけであります。

 また、ホールディングカンパニーというものをつくるようになりました。そうなりますと、今まではそれぞれの会社で例えば納税していたものが、ホールディングカンパニーの場合は全国に支店をつくる必要はないわけですよ。極端なことを言えば、東京にホールディングカンパニーがあります、その支社として、いわゆる子会社としていろいろな工場で物をつくっていますということになると、自動的にどんどん、その富といいますか利益というものが東京都、あるいは本社があるところに上がりがちになってくるという問題があるように思います。

 そこで、法人事業税のいわゆる分割基準というのがありまして、これを拝見しますと、例えば事務所割。実は、事務所数と従業者数を半々で都道府県の方の法人税はやっているわけであります。しかし、市町村の方は一本で、従業者数だけでやっている。例えば事務所数の方でやれば、もう少し数字が変わるかもしれない。あるいは、私は別にこれは増税ということで言っているわけじゃありません、同じ税金を法人に払っていただくにしても、ホールディングカンパニーのときに、その子会社の方の規模等に着目して払わせるとか、決して増税とかそういう意味じゃなくて、ルールという意味では、少しそこは変化させてもいいのじゃないか、私はそのように思っております。

 それは、私の言葉で言うと、地域主権というものがあれば、その対極には当然国家主権というものも残っているわけですから、そういったルールブックみたいなところについては、もう一つ、従業者数主体の算定方法を現状に合わせた形で考え直す時期に来ているのじゃないかという質問なわけですが、お答えをお願いします。

原口国務大臣 これは、企業の形態が大きく変化していますね。委員が御指摘のところは大事な視点だと思います。

 複数の地方団体に事業所等を有する法人については、その課税ベースを分割基準によって各地方団体に分割し、地方法人二税を課税している、そのとおりです。法人事業税の分割基準については、これまでも、事業活動に応じて税収を的確に帰属させるための見直しを行ってまいりました。直近は平成十七年度、従業者数のみであった非製造業の分割基準に事業所数を追加する改正を実施しています。

 ただ、今おっしゃるように、管理機能の本社への集中、それから持ち株の設立など企業形態が変わっていますから、今申し上げたような分割基準の見直しについては、事業活動に応じて税収を帰属させるという観点が重要だと思います。偏在性の少ない税についてどのようにすればいいか、これからも税調でしっかりと議論をしてまいりたい。

 大事な御視点だと思います。

橘(慶)委員 大臣のお株をとらせていただきたいと思います。前進的な答弁をありがとうございます。一緒に頑張りましょう。

 それでは次に、個人住民税の方へ入りたいと思います。

 個人住民税の配当割ですけれども、実は今、上場株式等の配当の百分の三が県、市へ来るわけですね。平成二十四年から百分の五に引き上げられる予定になっております。これは何かというと、全体で今、上場株式は、いろいろ有価証券税制の中で市場の動向にも配慮されて、百分の十を適用しております。百分の十のうち、百分の七が国、百分の三が地方であります。これを平成二十四年、本則に戻すと、百分の十五と百分の五になるわけであります。

 こういうことなんですけれども、これはよくあることなんですが、大体、本則に戻そうとするころに株価が低迷したりすると、これは大変だということになって、また先送りということをこれまで何回かやってこられたことだと思います。

 そこで、私は、これは提案でありますが、こういうことについてはいわゆるじわりじわり方式というのもあってもいいんじゃないか。たばこ税は先ほど大臣の答弁がございましたが、じわりじわり方式ですね、百分の三からそっと百分の三・二とか三・三とかに上げていけば、別にそんなに市場からも怒られずに、余り話題にならずにできるんじゃないか。よく民主党さんが言われる四年でやりましょう、私はそれはある意味で賛成なんですよ。一年で百分の二ぽんと上げると、また株価がとかいろいろ抵抗されるんじゃないか、それを〇・五ずつ、四年でやったらうまくいくんじゃないかという提案ですが、いかがでしょうか。

小川大臣政務官 大変重要な御指摘をいただいております。

 平成二十四年分から本則に戻すということでございまして、その刻みの幅は一〇%と二〇%ということですから非常に大きなものになります。そこで、刻むことも一つ考えられるという御指摘ですので、これは十分受けとめさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、景気情勢、経済情勢に十分配慮した上で実行していくというのが基本的な考え方でございますので、御指摘の趣旨は十分受けとめさせていただきたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。だんだん調子が出てまいりまして、このままホームランを打たれないように頑張っていきたいと思います。

 次に、確認でございます。偏在性のない安定的財源としては、地方消費税に頼っていくということがやはり一つ大きな、基本的な出口ではないかと思います。一応ここで御見解をいただきたいと思います。

原口国務大臣 全く同じ認識を持っています。

 安定的なサービス給付、あしたから介護職員の方に、税収が大幅に落ちたから来ないでくださいなんて言えないわけです。介護や教育やあるいは福祉の質を落とすということはできません。したがって、今おっしゃるように、偏在性の少ない安定的な財源を地方が獲得するということは極めて重要である、こう考えています。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。ぜひ、このあたり、安定的な税源、財源確保ということでよろしくまた御検討をいただきたいと思います。

 これで大体、歳入、入りの方の御質問を終わりました。続いて、今度は出の方であります。

 歳出の評価というところで、先ほど石田委員からもお話をいただいたところでありますけれども、実は、ここ数年、集中改革プランを着実に地方は実行していまして、給与関係費、この地財計画でも〇・四兆円、四千億円の削減、こういうことになってまいりました。また一方、一般行政経費の補助分の方では、これは子ども手当が一番大きいわけですけれども、二・一兆円の増、投資的経費の方では二・二兆円の減、これは先ほどおっしゃったような理由でされております。地域活性化・雇用等臨時特例費の方で〇・五兆円増の手当てということでありまして、どうもやはり感じとしては、地方へのお金の流れ方というのは、もちろん一・一兆円の交付税増額は大変助かる話、また臨時財政対策債も含めて、このあたりは手当てされているんですが、実はこれ、よく見ますと、地方税の落ち込みが余りにもひどいものですから、これと大体相殺するような形での手当てになっているという部分もあります。

 問題は、地財計画全体で歳出増が一千億円、基準超経費のところの団体は減りますから、もうちょっと一般の地方ではふえるわけですけれども、それにしましても、仮に三千億、たしか基準超で減っていますけれども、四千億というのは、考えてみれば給与関係費というところと大体合ってくるような話でもあります。

 問題はやはり、公共投資をこれだけ大きく削減すると、先ほど大臣もちょっとお話がありましたが、地方により公共投資削減の効果はきつく出る。子ども手当の効果は、より子供の数の多いところ、すなわち、どちらかというと都市部に出る。そういうことになりますと、そのおつりの部分、前回はきめ細かな交付金ということで、最後に五千億つり合わせていただいたわけですが、今回は大丈夫かなと。

 これは予算委員会の話になりますけれども、九十二兆円というかなり目いっぱいの予算も立てられたという中で、さらに地方へのいわゆる財政出動というのは非常に難しいような気もしますが、この辺はどのように見ておられますか。御見解をお願いします。では、渡辺副大臣、お願いいたします。

渡辺副大臣 今御指摘のあった件でございまして、まさに景気の下支えというのは官主導でやるか、民主導でやるかということになろうかと思います。

 私どもとしては、今御審議いただいている子ども手当あるいは高校無償化の法案によって、子育て世帯、一番この国の中で頑張っている世帯に対して、私どもとしては、その子育てのコストを減らす、負担が減ることによって個人消費を刺激することができる、そういう考え方のもとで我々としてはやっているわけでございます。まさに御指摘のように、地方の景気の下支えとして、今の公共事業の点からすると、この数年来の傾向としてどんどん減っているではないか、先ほどの石田委員の御指摘にもありましたけれども、まさにそれから変わる大きな転換期として、ここはやはり個人消費の拡大、民主導の景気の下支えに転換していこうという我々としては考え方でございます。

 ただ、地方財源のこれからにつきましては、先ほども予算委員会の分科会の中で、私はあの後、坂本委員と質疑をやりましたけれども、やはり今後、恒久的財源としてはなかなか厳しいものがあるというのは、抜本的に考えていかなければいけないということは、委員と認識は一緒でございます。

原口国務大臣 これは、委員がおっしゃったのは極めて重要ですね。デフレギャップが三十五兆円あるときに、では、普通の国家はどうするか。簡単に言うと、デフレギャップを財政で埋めた方が一番安全なわけです。地域がこれだけ傷んでいると、そのギャップを財政出動で埋めたい。ただ一方で、ボンドマーケットも見ておかなきゃいけない。国債の市場、地方債の市場、それから国全体の体力。

 ですから、本当に狭い道の中を今回はぎりぎり通していったということでございまして、これからも地方の景気を下支えする。今、景気指標を見ていると、随分いいものが出てきました。ただ、一番気になるのは賃金なんですよ。賃金がどうしてこんなに下方硬直性を持っているのか。その中で、デフレを放置していてはありとあらゆる経済政策が打てませんので、しっかりとした経済成長の道筋を示して、実行に移していきたい、こう考えています。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 ただ、それは賃金がなかなか上向かないという意味ですよね。それは下方硬直性とは多分言わないと思います。下方硬直性というのは下へ行きにくいという意味のはずで、上方に上がっていかないという意味ですから、弾力性がないとか、何かそんな話じゃないかな。ちょっとこれは、済みません、本筋じゃございませんので。ちょっとだけバントヒットしたような話ですかね。わきを締めながらさらに続けていきたいと思います。

 普通交付税について、ちょっと技術的な質問を一つしておきたいと思います。

 これは政調の部会でもちょっと来ていただいたときに聞いたんですが、算定方法は、毎年いろいろな事情で単位費用を見直していかれます。技術的内容ですが、道路橋梁費中、道路の面積一千平米当たりの単価が、都道府県で八千円マイナス、市町村はプラス二千六百円と、方向性は大体いつも同じになるような気がするんですが、ここだけは増減が逆に出ておりましたので、ちょっとここでひとつ休憩ということで、技術的な部分ですが、お答えいただきたいと思います。自治財政局長さんにお願いします。

久保政府参考人 道路橋梁費のうち、道路の面積を測定単位とするものでございますけれども、これは、道路の維持補修や路面清掃などに要する経費、あるいは道路の管理に従事する職員の給与費といったような、道路橋梁費のいわゆる維持に係る需要を算定しております。

 平成二十二年度におきましては、道府県分及び市町村分ともに、道路の維持補修に要する経費につきましては実態に即して見直しを行いまして、適切な算定を行ったことによって増加をしております。ただ一方で、これは御案内であると思いますが、道府県分につきましては、維持管理に係る直轄事業負担金が特定の事業を除きまして廃止をされるということに伴って減少しているということでございます。

 したがいまして、単位費用全体としては、御指摘のように、市町村分につきましては二千六百円増加しております反面、道府県分につきましては八千円の減少ということになっております。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。それで納得をいたしました。

 そして、先ほどボンドマーケットというお話が大臣から出てまいりました。この部分で一番私の気にしているところをこれから御質問したいと思います。

 臨時財政対策債、いわゆる実質的な地方交付税とも言われますし、鏡を裏から見ると赤字地方債ということになるわけですが、この問題について少し数字も挙げながら、御見解もお伺いしたいと思います。

 平成二十年度末の残高は二十一・六兆円になりました。平成二十二年度末には三十四・三兆円程度に増加してまいります。元利償還額が公債費に占める割合は、二十一年度では一〇・九%に達しております。つまり、元利償還しながら、またそれを公債費で償うということになってくるわけであります。基準財政需要額に占める割合、これは二十一年度の数字しかありません、まだそれほど大きい数字ではありませんが、三・〇%。しかし、これは確実に五%、一〇%へと進んでいくかと思います。

 私は何を申し上げたいか。政府の御見解は、これは「臨時的かつ例外的な地方債であり、このような特例措置の解消に向けて取り組んでいくことは当然」、これは当然のことなんです。こういう大変ありがたい御見解を十一月の質問主意書のお答えとしていただいております。

 しかし、問題は、この話というのは実は国全体の、四条の特例公債と似たような話であります。昭和五十年の初めから、あのオイルショックの後の景気低迷のときに導入された赤字国債。何度もこれでやめるということで、あるときには発行もやめた時期もあったけれども、結局なかなか、景気が悪くなるとやはり頼らなくちゃいけなくて、今や六百六十二兆まで積み上がってきたわけであります。

 臨時財政対策債、平成十三年ごろから入れまして、三位一体改革の中で税収も上がってきたときに落としていって、このままフェードアウトするのかと思ったところ、リーマン・ショック。これは仕方がない。仕方がないんですけれども、ここで既に三十四兆円の残高の積み上がりになっているということであります。地方の債務二百兆円のうちで、いわゆる一般会計の地方債は、数字をいただいていますが、百四十兆程度、そのうち三十四兆円を占めているわけであります。

 一方、地方は、集中改革プラン等でいろいろな努力をして、いわゆる債務残高としては二百兆のところで何とかかんとか抑え込んでいるんです。ですから、いろいろな意味で既に、地方の自分の事業という意味では公債費を減らす努力を一生懸命している、住民の方も大変心配している、それは実ってきている。しかし、どうしても、こういう事情の中で臨時財政対策債で補っちゃうと、結局、それぞれの自治体の起債残高がふえてくる。また、住民一人当たり五十万円とか六十万円ということで、自治体は住民の皆さんと最前線で向き合いますから、首長さんは非常につらい立場になってくるということであります。

 このことについて、改めてこの臨時財政対策債をどうしていきたいかという、この時期での御答弁をいただいておきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 これは同じ危機感を持っているわけです。本当にこれは持続可能性のあるものなのか。だから、臨時特例の一時的な措置。ただ、そう言いながら赤字国債はどうなったかということを考えると、できるだけ早い時期に歯どめをかけるということが大事だと思います。ですから、今回、緑の分権改革ということで、地域みずからが富をつくる、地域みずからがみずからを支えるお金をつくることができるということに力を入れているのは、まさに委員がおっしゃる問題意識でございます。

 一方、これは、地方団体の経営という観点からすると、一生懸命財政赤字を減らしているのにこれが乗りますから、全体で見ると、そこがどれだけ自分で減らしたか、それは都道府県民からは見えにくくなる。つまり、地域の経営努力といったものについても、それを可視化する逆の方向のベクトルを持っている。

 こういうことを踏まえながら、今大変厳しい時期ですから仕方がないと御理解をいただいたわけですけれども、いつまでも仕方がないなんということを言っていられない、このような認識で考えております。

橘(慶)委員 きょう段階の認識としては大変ありがたいお答えだったと思います。

 この問題は、最後は、総務大臣さんとしてやはり財務大臣に、地域主権ということを財政面で裏づけていくためには、国家財政がこうだから、交付税特会ではそれは賄えないからということではなくて、本来交付税で出すものは交付税できちっと出せばいいわけでありまして、後年度の交付税で賄うとまでおっしゃるなら、なるべく早くそういう形になるように、ぜひ、これは大いに閣内で御主張もいただきたいと思います。

 政府見解、質問主意書の答えでは「今後の見通しを具体的に述べることは困難」という御答弁をいただいております。それはそうでしょうけれども、やはり青天井であっていいわけではありません。国債の方は何か青天井っぽいので非常に危ないわけですが、臨時財政対策債を青天井にしないためには、今、菅大臣の方でも国家財政のフレームをつくるということであります。どうでしょうか、大臣、この際、臨時財政対策債も天井を決めて、中期的にはこの辺でもうとめるよというのもどうですか。思い切ってどうでしょう。

原口国務大臣 だから、国が、地方の独自財源である地方交付税をしっかりと支える、法定五税算定率についても正直に、それをふやします、地方の財源を確保しますということを言うべきなんですよ。歴代総務大臣は頑張ってこられましたけれども、そこまではまだ至っていないんです。今回、私も、それをずっと言いながら成功しませんでした。来年こそは成功させたい、そう思っています。

橘(慶)委員 では、来年のこの委員会を楽しみにしたいと思います。

 続いて、制度の話をあと一、二点、小川政務官が何度か、私がまだ国会に出る前ですけれども、御質問をされておった部分で、問題意識は大いにおありだと思います。

 地方交付税の後年度の加算、減算を見ますと、法定加算分ということで、過去の積み残しで八・八兆円あるわけですが、だんだん減算分がふえてまいりまして、今回のセットでは四・〇兆円まで減算分が達してまいりました。急速に先食いが進んできているような心配をいたしております。今後の見通しはいかがでしょうか。

小川大臣政務官 野党時代から私自身も同じような問題意識を持ち、今こういう職責を預かる立場からも、大変危機感を共有している一人でございます。

 その上で申し上げますが、加算分に比較して減算分が非常に膨れ上がってきている。今の体系から申し上げますと、各年度ごとに法定加算分を上回らない範囲内で何とか各年度間に割り振るという大変苦渋の措置を続けておりますが、いずれにしても、このこと自体に限界があることは事実でございまして、大臣が再三申し上げておりますように、基本的な財政余力を高めるための経済成長、そして交付税率の繰り上げ、かさ上げによる抜本的な解消、この二つの道しかないのではないかというふうに考えております。

橘(慶)委員 今度は、交付税特別会計借入金の計画的償還の問題であります。

 平成二十二年度分の七千八百十二億円を二十八から三十七年度にまた繰り延べるなど、実行についてはだんだん困難性が高まっておるということかと思います。

 まして、きょう現在、平成二十二年というときに、平成四十年とかそういったことを計画を立てたところで、本当にそれはどうなんだろうと。言ってみれば、一世代後の人たちのことまで今決めておいてもなかなかこれは大変だというのも、実は小川政務官さんの御質問をそのまま受け売りで出しているわけですけれども、であれば、方向性はわかりました、しかし、このあたりでやはり抜本的見直しということでアクションも必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小川大臣政務官 基本的に、御指摘のとおりだと思っております。

 先ほど御議論いただいた四兆円の減算分に比較しますと、この交付税の特会借り入れはもう三十五兆円です。しかも、今年度から償還を開始しますということを法律上明記していたのに、今回こういう形で御審議をいただいている。大変じくじたる思いがございます。

 この問題については、いずれにしても、過去背負ってきた負債と当該年度の財源確保、そして将来の負担軽減、この三つの非常に複雑な方程式になりますが、これを大変苦渋の思いで今後も解いていきたいと思っております。

橘(慶)委員 できれば、やはりそれを、それこそ工程表に乗せて頑張っていただきたいという思いをつけ加えさせていただきます。

 ここで一つ、実は事前に計算をしていただいているはずなんですが、地方財政健全化法に財政健全化指標というものを挙げておられるわけでありまして、実質公債費比率、これがかなり今話題になっております。ただ、この実質公債費比率の計算をする際には、臨財債やあるいは合併特例債のような交付税措置のある特別地方債は算出対象から抜いておられます。

 これは今、平成二十年度の数値は、都道府県平均一二・八%、市町村平均一一・八%でありますけれども、言ってみれば、グッド減税、バッド課税じゃありませんけれども、グッド借金、バッド借金みたいな感じになっているわけですが、そうはいっても借金は全部一緒でありまして、実際、そういったものを全部入れた場合に、この数値はどれくらいになるのかというのをここでお伺いしておきたいと思います。

小川大臣政務官 事実関係をお答え申し上げます。

 今御指摘の平成二十年度の実質公債費比率で申し上げますと、御指摘の一二・八%が二五・一%に上がります。これは都道府県分です。市町村分は、一一・八%が二四・三%に上がると試算しております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 私もちょっとびっくりしたんですが、二五がイエローカードのところなんですよね。もっとも、これを国に当てはめると八〇%を超えるということで、レッドカードをもっと通り越しちゃっているわけですけれども。しかし、要するに、二五パーになっているということをぜひ共通認識として持たせていただいて、これこそが地方財政の、地方分権と言ってもいい、地方主権と言ってもいいんですが、それを確立するための本当の意味での背骨になりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 少し質問を飛ばしまして、あと十五分ちょっとですから、地方税法の方に入らせていただきたいと思います。ここでは、ちょっと順番を変えまして、先にeLTAXのお話から始めさせていただきたいと思います。

 すべての委員の方々になじみがあるかどうかわかりませんが、政府の電子化はいろいろなことを言われていて、なかなかうまくいかない中で、私、それこそ半年前まで現場におりましたので、このeLTAXシステム、つまり地方税ネットワークといいまして、要するに税の申告等を電子化していくということなんですが、これは結構うまくいっている、また、いわゆる垣根を越えた連携もできているものではないかと思います。

 そんな実感を持っているんですが、ここで改めて、このeLTAXの自治体における導入状況と対象業務の現況を。現状でありますので、自治税務局長さんの方からお願いいたします。

岡崎政府参考人 御質問いただきましたeLTAXでございます。

 地方税の電子化につきましては、ICT化が進んだ社会環境を踏まえた納税者の利便性の向上、それから行政側の税務事務の効率化等の観点から極めて重要でありまして、地方団体は共同で、電子申告の受付などを可能とする地方税ネットワーク、これは国税のe―TAXに対して、ローカルのLを入れましてeLTAXと言っておりますが、その推進を図ってきております。

 電子申告受付サービスの前提となりますeLTAXにつながっている団体は、接続につきましてまず申し上げますと、ことしの一月現在で、都道府県はすべて、それから市町村については千五百九十市区町村でございます。千七百八十三市区町村のうちの千五百九十市区町村が接続をされております。なお、二十二年度中、来年度中には全地方団体が接続するということが予定されております。

 それから、単につながっているだけでなくて、実際に電子申告の受付サービスを行っている地方団体につきましては、やはりことしの一月現在で、全都道府県は行っておりますし、市町村では六百五十九市町村が行っております。法人住民税、法人事業税等の電子申告を受け付けたり、個人住民税の給与支払い報告書等の電子的な受け取りを行っているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 デジタルデバイドという言葉もありますが、せっかく全部つながってくれば、やはりそれをみんなが使って申告できるようにするということは、またICTの戦略の上でも大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、これは国税、あるいは場合によっては年金の方へも広げていける、つまり税務署さんとか社会保険事務所へも広げていける、そういうシステムになり得ると思うわけですが、この辺の今後の進め方、考え方をお願いしたいと思います。渡辺副大臣さん、お願いします。

渡辺副大臣 今税務局長の方から御説明をしましたけれども、市町村でまだまだ六百五十九という数字でございまして、加入はしているんだけれども対応ができないと、よくわからないことをこの間も役所が言っています。それではまるで、使えない道路を引いているみたいなもので、これは早く使えるようにするべきだ。これは何が理由なんだと聞きましたら、なかなか地方の自治体の中にも、まだまだ電子申告の必要性について認識が一定ではないというような意見もあります。

 これは、実は先週の予算委員会の分科会で、我が党の菅川さんという税理士さんの方がやはり指摘をされたんですけれども、既に地方の端末の配備についても交付税措置をするようなこともやっております。この負担が、ちょっと試算をさせましたら、もし電子化が進めば、例えば川崎市の例ですけれども、大体一億円ぐらいの人件費の削減になるじゃないかということもございまして、これは早急に進めるべきだと。

 ましてや、まず地方ができていないのに、国との連携をと言われてもなかなかできませんので、早急にとにかく地方自治体の理解が進むように、国の方から今鋭意しりをたたいて、ぜひ導入するようにということで進めて、その上で、ぜひとも国税との連携を進めてまいろう、そのように考えているところでございます。

 以上です。

橘(慶)委員 ぜひ、所得税と住民税なんかも連動しますし、それから企業でいえば、源泉徴収なんかをする際にも、そういったデータが二度打ちしないでやりとりできるというメリットがあると思いますし、年金まで含めますと、やはり納税者番号制度なんかのプラットホームにもなるものだと思っております。

 そして、いろいろ電子政府については試行錯誤が続いているわけですが、これは地道に前へ進められるものだと思います。改めて、こういう普及による社会のメリットなどを含めて、お答えをひとついただければ。大臣、お願いします。

原口国務大臣 これは極めて大事な御指摘だと思います。

 私たち政務三役の会議は、今月からタブレットPCによってペーパーレスにします。紙がなくなることによってどれほどコストが落ちるか、あるいは環境負荷にもよろしゅうございますし。

 今、私たちは、あわせて国民IDの議論をしています。今までは、それこそ管理のための番号だった。しかし、今回、きのうの津波もそうですけれども、トロンのようなシステムがそれぞれの国民にあれば、どこにどれだけ、危険な地域にだれがいらっしゃるかということも把握できるわけで、そういう国民の利便を、あるいは安全や安心のためにも議論を進めてまいりたい。

 それから、電子政府にするときには、紙と両方でやれば余計コストがかかり、大変なことになりますので、そういったことを御理解いただきながら、また御意見をいただいて、これは与党、野党関係ありませんから、ぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 この部分については、ぜひ、またよく実態を把握されて進めていただければと思います。

 それで、順番が戻りまして、あと残ったところは少し辛口になってまいりますけれども、地方税法の、先ほど大野先生の方からもお話のあった暫定税率の問題であります。

 当分の間という言葉は大変あいまいな言葉でありまして、一般に当分の間といいますと、当分というのはいつまでも当分なんですね。逆に言うと、これは暫定税率から、ひょっとしたら、当分の間というのは恒久税率になったような感じになってしまう。ただ御答弁では、そうじゃないんだ、ちゃんと税制改正大綱でも、地球温暖化対策のための税については云々、二十三年度実施に向けて成案を得るべくさらに検討を進める、こうなるわけですね。

 ただ、私は思うんですけれども、今、法案を提案されてそれを審議しております。先ほど地方交付税特会の話がありましたが、物によっては平成三十年、四十年までのことを全部決めて、プログラムしてある法律もあるわけであります。

 来年のことであります。提案される政府としては、来年のことであれば、それは来年は成案を得るんだ、それくらい法律にプログラムで書かれてもよかったし、あるいは子ども手当法のように、二十二年度の子ども手当はこうなんだとおっしゃった。であれば、二十二年度の税率はこうなんだで、当分の間とされる必要はなかったんじゃないか。

 ちょっと意地悪い質問ですが、裏から読むと、当分の間にしておけばサボタージュもできるということであります。その辺の縛りというのはどういうふうにお考えなのかというのをまず御質問させてください。

小川大臣政務官 先ほどの議論にも関連をいたしますが、当分の間というのは、文字どおり、期限は定めていないが恒久措置ではないというような意味合いかと思います。

 そこで、今般御審議をいただいております国税の改正関連法案の附則におきまして、国税、地方税をあわせた形で、二十三年度に向けて成案を得るよう検討する、努力をするという規定がございまして、ぜひ、この点についてはここであわせ読んでいただく、その前提で御審議をいただきたいと思っております。

原口国務大臣 これはサボタージュのために当分の間としたわけじゃないんです。私たちは、地域主権を進める上で、国、地方協議の場の法制化についても今回国会にお願いをしております。

 地方の税についての問題でございますが、まさに国、地方よく協議しながら、御理解をいただきながら一定の方向性を見つけていきたいということでこういう形にしている部分もあるということも御理解をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 今の小川政務官さんの御答弁で、国税に書いてあるというのは私も聞いていたんですが、しかし、地域主権であります。地方のための総務省さんであります。だから、国税に書いてあったって、地方税法でもやはり書いたっていいんじゃないですかね。ちょっと素人質問でしょうか。

小川大臣政務官 御指摘の趣旨はしっかりと受けとめたいと思います。

 ただ、過去、例えば二十一年度改正かと存じますが、自公政権下でこういう形がとられた法改正の仕方も一つの参考にはなったのかもしれません。不正確ではいけませんけれども、そのような実例があったこともあわせて御紹介をさせていただきたいと思います。

橘(慶)委員 何かヒットが打てそうですね。では、過去と変えていったっていいんじゃないですか、政権交代だから。どうぞ。

原口国務大臣 答弁書に、過去はあなた方もそうやっていたでしょうというのは、よくないですね。やはり一歩一歩前に前進、今の小川政務官が悪いというわけじゃなくて、しっかりと書き込むように指導をしていきますし、ただ、今申し上げたように過渡期でいろいろな協議をしておりますので、法律の中身がまだまだ整備されていないところについては、今委員の御指摘を受けて、しっかりと前進できるように目配りをしていきたい、こう思います。

橘(慶)委員 私は一年生委員で、全く右も左もわかりませんが、こういうときに委員会で、では、その附則を書いちゃいましょうよとやるのが修正なのかなと思ったりしますけれども、皆さんいらっしゃいますから、どうお考えになるか。ただ、私個人として、別に私どもの集団とも相談していません、勝手に思いましたけれども、別に何の問題もないなら改正しちゃったらどうですか。格好いいなと思いますけれども。

 それはそれとして、もう一つ同じように地方を守るという意味で、トリガー規定の問題であります。

 これも、平成二十年四月の例によるとということで、ちゃんとそのときは、もし変動して税が取れないときはちゃんと地方に手当てしますと大臣答弁をしっかりいただいているわけですが、そうであれば、安心してそのことも法律に最初にビルトイン、要は書き込んでおかれたらいいんじゃないかなと思うんです。私に任せてくださいというのはわかるんですけれども、中には答弁がどんどん変わるという方もないわけではないものですから、原口大臣に限ってはそういうことはないと思いますが、いかがでしょうか。本当は法文に書いてもいいんじゃないかと思うんですけれども。

原口国務大臣 ここは税調の中でも厳しく議論をしました。

 トリガー税制、原油高騰で価格が変動することによる税制ですけれども、その分、地方の減収分への対応については、減収が発生した時期やその規模を踏まえて検討する必要があるために、具体的な補てん方法については改めて決定するということにしていますが、いずれにせよ、私たちが当時の財務大臣と話したところも、地方には絶対迷惑をかけない、しっかりとその分は中央政府が面倒を見るということを、ここで改めて明言をしておきたいと思います。

橘(慶)委員 答弁は大変ありがたいわけですが、それを本当は法文上担保するということがあったらどうか、これも委員の皆様方に問題提起をさせていただきたいと思います。

 大体時間がいいところへ参りました。一つ最後に、地方環境税の話をちらっと原口大臣さんもおっしゃいました。私の出身県の富山県知事、石井隆一知事が、かなり知事会で頑張ってまとめておられた案でもありました。また、石井知事さんは総務省の御出身でもあります。

 締めくくりに当たりまして、地方環境税の知事会の提案についての御感想なり考え方についてお伺いしておきたいと思います。

原口国務大臣 今委員がおっしゃるように、富山の石井知事さん、私のところにも何回も来ていただいて御提案をいただきました。私は、特定の知事をいい知事だ、悪い知事だと言う気はないですけれども、大変前向きの、本当にありがたい御提案をいただいた、こう考えております。

 また、先ほど大野先生にも御答弁させていただきましたが、環境対策というのは地方がやっているんですね、多くのものは地方自治体がやっている。ですから、その地方自治体がやるさまざまな環境対策についてしかるべき財源があるということは大事だということを考えておりまして、政府税調の中でも私の案として出したところでございます。

 成案を得るように頑張っていきたいと思いますので、富山の石井知事さんにもよろしくおっしゃってください。

橘(慶)委員 ありがとうございます。私もこれで知事に顔が立ったような気がいたします。

 これでちょうど時間となったわけですが、きょうは、原口大臣や渡辺副大臣、そしてまた小川政務官、さらに自治財政局長、自治税務局長さんと、まさに全員野球で御答弁いただきました。私は国会法の改正には余り賛成しておりませんので、ぜひ、場面場面で、全員野球で取り組んでいただいた方が私はいいんじゃないかな、これは個人的意見であります。

 無事、何とかホームランに遭わずに終わったような気がしておりますけれども、実は、万葉集男と言われておりまして、自分で名づけておりますが、万葉集の故地でありますので、せっかく春でございますので、一首詠んで終わらせていただきたいと思います。

  石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

 きょうはどうもありがとうございました。

近藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時三十六分開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。森山裕君。

森山(裕)委員 自由民主党の森山でございます。

 原口大臣、まず御就任を心からお喜び申し上げたいと思います。また、副大臣、政務官の皆さんも頑張っていただきますようにお願いを申し上げます。

 原口大臣、けさ新聞を見ておりましたら、珍しい、うれしい記事がございまして、昨日、民主党の佐賀県連の大会があって、そこに小沢幹事長が御出席をされて、大臣のことを大変褒められたという記事があります。私も剛腕と言われているが、原口総務大臣は私以上の手腕を発揮し、地方交付税を復活させたと、べた褒めされたという記事があります。大変うれしい記事だなと思いますし、ひょっとしたら、近く総理大臣になられる方ではないかなというふうに思っております。

 そういう大臣でございますから、きょうは少し地方財政をめぐる基本的なことについて大臣と議論をさせていただければと思います。

 大臣、私は、二十三年地方議会におりました。国政に参りましてちょうど十二年がたとうとしておりますが、半分の六年は参議院におりまして、半分の六年は衆議院に議席を持たせていただいています。また、参議院のときには財務大臣政務官を務めさせていただきましたし、衆議院に参りましてからは財務副大臣を務めさせていただきました。どちらかというと地方の現場で地方財政を見てまいりましたし、また、財務省の立場で、国全体の中で地方財政がどうあるべきかという見方をしてきたつもりでおります。

 まず、国と地方の財政というのはやはり車の両輪でなければいけないのではないか、私は基本的にそう思っています。一部、財務省と総務省の関係をおもしろおかしく言う風潮はありますけれども、決してそうではなくて、総務省にしても財務省にしても、国家の財政を考え、地方の財政を真摯に考えて長い間議論を続けてきて、そのときそのとき一番ベストだと思われる政策の選択をしてきたのではないか、そう思っているところでありますが、まずは、そのことについての大臣の基本的な考え方を一遍お聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 森山先生は、まさに、大人(たいじん)という言葉がございますが、私も野党筆頭時代に大変お世話になりまして、公共サービス基本法やさまざまな修正も、森山先生がいらっしゃらなければできなかったというふうに思います。この場をかりて、冒頭、お礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今の御認識は大変大事だと思います。財務と総務、よく財総戦争なんということを言う人がいますが、全く皮相な考え方であるというふうに思います。ともに財政規律、それから、それぞれ国民あるいは地域に責任を持って、いかにすれば財政の持続可能性、あるいは財政を通した質の高い公共サービス、国民や地域の住民の皆さんの負託にこたえるということでは総務省も財務省も全く区別はない、このように考えております。

 その上で、一時期ですが、財政の効率やあるいは目先の庭先だけをきれいにすればいい、そういう風潮があったのも事実だというふうに思います。ですから、私たちは先生の御指導をいただきまして、今回交付税を一・一兆円ふやす。これは何も、私たちが野党時代に言い出した話ではなくて、自民党の中でも心ある皆さんは、このままの地域ではだめだ、地域を何とか復活させなきゃいけない、きょう冒頭の御質問に大野先生がお話をされていましたけれども、そういう皆さんの御協力や御認識があってこそ、今回の一・一兆円が獲得できたものだと思います。

 今後ともよろしく御指導をお願い申し上げます。

森山(裕)委員 大臣、ありがとうございました。

 まず、国の財源不足というのは、私はある意味構造的なものなのではないかなというふうに思っておりますが、地方の財源不足というのは、大臣、どうなんでしょうか。近年の経済危機によるものなのでしょうか、あるいは国と地方の関係による構造的なものというとらえ方が正しいのでしょうか。ここはどうお考えになりますか。

原口国務大臣 私は、財政を単に赤字のバランスシートだけで見てはならないと考えております。財政の赤字が片方で積み上がる中で、何とバランスしているのか。中央政府の財政でいいますと、国の借金は国民が国債という形で買っていただいている。そういう意味では、国内のバランスはとれているわけです。しかし、ではそれでいいかといえば、これ以上財政赤字が積み上がれば硬直性が増しますし、それから政策の自由度を奪います。ですから、これはこのままではならない、必ず財政健全化の道筋を立てるということが大事だと思っています。

 その上で、今の先生の御質問に対してお答えをすると、二つあるだろうと思っています。

 一つは、地域から富を奪う仕組み。この後、税財源のお話を多分していただくのだと思いますが、地域そのものが富をどれだけ生み出せるか。鹿児島は、まさに日本でも最も豊かな地域であります。しかし、その豊かな地域、人材を輩出している地域がなぜ今のような状況になっているか。私の佐賀もそうです。つまり、富を生み出す力そのものが弱まっている、あるいは富をつくる記号の価値づけ、ここに少し問題があるんじゃないか、これが私のまず第一の問題意識です。

 その上で、景気循環のものも確かにあります。リーマン・ショック以来、大変な景気の状況にある。しかし、そのことよりも、地方が自立的に財政をみずから選び、みずから地域のためにつくる、それから地域のための財政の道筋をつける、この自由がない。依存と分配の政治によって、自立と創造性がないところが今回の地方の財政赤字の大きな積み重ねになっているんじゃないか。

 森山先生は市会議長をなさっています。当時、私も県会議員をさせていただきましたけれども、何と言われていたか。事業をやりなさい、後は交付税で見ますよと。だけれども交付税は減っているわけで、その結果は何をもたらしているかというと、地域の財政赤字をふやした。まさにそういう構造的な要因というのを無視できない、私はそう考えています。

森山(裕)委員 ありがとうございました。

 そこの認識は、大臣と私はそう違うものではありません。今大臣がお答えになりましたとおり、やはり地方の財源不足というのも、ある意味構造的なものを含んでいるんだろうと思います。そうしますと、国の極めて厳しい財政状況を考えますと、国から地方に対する措置というものを今後さらにふやせるかどうかといいますと、これもまた限界があると思います。

 ここでやはり大事なことは、国の財政と地方の財政というのは、最初に申し上げたとおり車の両輪でありますから、両方、両輪が前に進まない限り、いい政治はやっていけないということだろうというふうに思いますし、国が厳しいとか地方が厳しいとかということを競ってみても余り建設的ではないと私は思うわけであります。国か地方かではなくて、国全体としてどう財政の健全化を図っていくかということをしっかり考えることが地方財政にとっても大事なことではないかというふうに思っております。

 正直に申し上げて、今年度の予算を見てみますと、税外収入というところをかなり計上しておりまして、十兆六千億円ぐらいでありますが、いわゆる埋蔵金と言われるものだろうと思います。ただ、この予算にいたしましても、財投特会のところで四兆八千億円ほど見ているわけでありますけれども、これは特例的に、いわゆる剰余金分、フロー分を一兆四千億見たということは非常に特徴的なことだったなと思いますし、外為特会でも、大臣御承知のとおり、二十二年度分の剰余金のフローの分まで見ているということでございますから、言い方をかえれば、少し先食いをしているのかなという感じがしないでもありません。また、外為特会のところはバランスシートで見てみますと、時価会計では既に赤が出ているわけでございますから、税外収入というものが後年度も期待できるかというと、私はそう期待できないのだろうというふうに思っています。

 ここで、どう財源を求めていくかということと、どう改革を進めていくかということが、ある意味、また車の両輪でなければいけないというふうに思うわけであります。

 仕分けの作業というのは、自民党でも実は無駄撲滅とかをやって頑張ってきたんですけれども、国民の皆さんに見える形でやるという知恵がなかったものですから、余り評価はいただけませんでした。しかし、金額については幾らかのものを頑張れたというふうに思っています。

 ただ、この仕分けなんですが、仕分けの一番最初というのは地方自治体から実は始まってきているということが正直なところだろうと思います。

 私は、全国の自治体はかなり頑張ってきたと思います。しかし、やはり全国的に仕分けみたいな作業というものを進めていく必要があるのではないか。そうしないと、いまだにわたりがある、私の選挙区の自治体もいまだに残っている、そのことではやはり、住民の皆さんの地方自治に対する信頼というものがどうなっていくのかなということを思いますときに、大臣が少しリーダーシップを発揮していただいて、地方の自治体の仕分けというものを何か仕組みとして考えていただくというお考えはないか、そのことを少しお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 大変本質的な御議論をいただいていると思います。

 まずは御質問に対する直接的なお答えですけれども、地方の財政をしっかりと自立的にする、依存と分配じゃなくて、自立と創造にする方法は三つぐらいあると思っています。

 一つは、みずからの税財源にみずからが責任を持つ仕組み。今は中央から、先ほども予算委員会であっておりましたけれども、たくさんの予算を持ってくる、それをどのようにうまく配るか、ここに私たちも大きな関心がありました。しかし、みずから生み出す税だとなると、これは違ってきます。また、増減税の権限がみずからあるということになると、さらに地方の議会の方々、首長はみずからの財源に責任を持たなきゃいけません。つまり、この責任の改革というのが一つです。

 それからもう一つは、ぼったくりバーという言葉がありますけれども、これは都道府県にもやはりあるんだろうと思います。市町村から負担をいろいろなことでしていただいている、それについてもまだ過大なものがたくさんあると私は考えています。ですから、監査制度そのものの見直し。

 それから三番目は、やはりこれだけICTが発展していますから、共通のものは電子政府化して、そして、それぞれベンダーごとに違うところに発注するというんじゃなくて、全国共通のシステムがあってもいいし、電子政府でさまざまな手続が簡便化すれば、それだけ人の効率性というのも上がってくるんだと思います。

 その上で、先生が前段おっしゃったところで大変大事な、国、地方の財政をどう健全化するか、ここの議論もやはり建設的にやらせていただきたい。

 私は、まだいろいろな資産が寝ていると思っています。例えば知的な財産。日本は世界一の知的財産大国ですが、私は国会に送っていただいたときに、中央政府が幾ら知的財産を所有しているんですかと聞きました。国民の財産で一千四百兆円という話がありますが、中央政府が当時管理しているお金は九十六億円でした。つまり知的財産が寝ているんです。

 あるいは、先ほどおっしゃったような外為特会やそういったもの、これも先生がおっしゃるとおりです。今のバランスシートでいうと、負債の部分が膨らんでいます。ですから、簡単に埋蔵金が使えるなんという話はできません。しかし、持っている資産を本当にフルパワーで生かしているか。このことも、総務省の中にプロジェクトチームをつくって、今、持てる力を最大限生かすということが大事だと思います。

 私の総務大臣室には、まさに先生の鹿児島の先達であられます大久保利通公の書があります。まさに鹿児島の先達がなさった、あの明治五年になさったことを、もう一回私たちが今の時代においてやる。それは教育の改革であり、国富をつくる改革だ。国富が上がっていなくて、税を右から左、あるいは国から地方に幾ら動かしてみても、それはどこかにほころびが出る。

 大変すばらしい御議論をいただいていることを感謝申し上げて、若干答弁が長くなりましたけれども、以降はできるだけ短くいたしますので、御勘弁をください。

森山(裕)委員 やはり地方の行革というものも積極的にやっていかなきゃいかぬということを申し上げておきたいと思います。

 それと、これは大臣、どうなんでしょうか、財源をどこに求めるかということでありますが、これはみんな言いにくいことですけれども、どこかで消費税をお願いしなきゃいけないな、これは共通した認識なのではないかなというふうに私は思っています。

 また、地方にとっても、消費税というのは大変大事な財源だと思います。今、地方の消費税の取り分は一%ですけれども、残りの部分をまた交付税で交付していただいておりますから、大体半分ぐらいずつになるんでしょうか。

 そうすると、民主党さんの今までの答弁を聞いておりますと、四年間は消費税は引き上げないのだということを言っておられるように私には聞こえるんですけれども、この議論を避けて、後年度三年間の予算を本当に組んでいけるんだろうかなということを実は正直に心配をします。

 だとすれば、ここはやはり与党、野党、消費税議論というのはもうちょっとオープンに、国民の前でしっかり議論をしていくということが大事なことではないかなというふうに思いますし、そのことを避けてはなかなか地方の財政というのも難しいというふうに思います。ここのところ、正直な気持ちをお聞かせいただきたいというふうに思います。

原口国務大臣 税調会長代行としても、私は、今回の平成二十二年度税制改正大綱の中には何と書いているかというと、歳入歳出の一体的改革と書いているわけです。これを私が提案して書かせていただいた。その意味は、今先生がおっしゃるように、まさに間接税の議論から逃げないということも含んでいます。ただ、私が思うのは、これだけ三十五兆もデフレギャップがあるときに、では消費税を上げるという選択肢が本当にあるんですかと。

 先ほど申し上げたように、やはり一九九六年、七年、あの橋本構造改革の轍を二度と踏んではならないというのが私の基本認識です。消費税を三%から五%に上げました。しかし、税収は減じて、財政赤字は拡大しているんです。私は橋本さんにそのときに何回も申し上げました、このタイミングで消費税を上げていいんでしょうかと。サンセット条項をつくるべきじゃないかということまで申し上げました。あのときはアジアの通貨危機でした。今回のリーマン・ショックはあのときの比較じゃないです。

 では、このときに私たちがとり得べき方法は何かといえば、一回仕事のやり方を全部変えて、そして構造を変える中で、次のステップが間接税についての議論だというふうに私は思っています。だからといって議論を封印していれば、何が起きるかというと、財政の予見可能性やあるいは持続可能性について市場が信頼しなくなります。ですから、ここは一刻も早く与野党の垣根を越えて成案を得ていくという形が望ましい、本音でそう思っています。

森山(裕)委員 ありがとうございました。

 消費税議論はまた機会を見てやらせていただきたいと思いますし、構造的に変えていくという議論もまたぜひやらせていただきたいなというふうに思います。

 最後にもう一つだけ議論をさせていただきたいと思いますが、私は、地方財政の現実を見、国の財政の状況を見ますときに、申し上げにくいんですけれども、地域間格差を是正していくためにはもう少し水平的な調整機能というものを持たせておかなければいけないのではないか。現実に、都市部の税収と地方の税収を見ますとかなりの格差がありますし、東京はいろいろな役割を担っておりますから、東京に税収が多いというのはある意味理解はできますけれども、それでも地方とはかなりの格差がある。これを水平的な調整機能というものを全然考えないで、本当に地方財政というのが成り立っていくんだろうかということを少し疑問に思います。

 それと、最近、地元の市町村長の皆さんと話をいたしますと、社会資本整備総合交付金や農山漁村地域整備交付金というのは大変ありがたいけれども、今までの補助事業は地域性を考えたり財政を考えたりして、補助率等いろいろな配慮がなされてきたことも事実だし、そこでさらに格差が広がることがないのかなという心配が、財政力の弱い、過疎地を多く抱える市長さんの悩みであり、また町長さんたちの心配なのではないかなというふうに私は思うわけでありますが、ここのところをどう考えていけばいいのか。そのことは、我々はこうするから大丈夫だという仕組みがもうでき上がっているのかどうか、そこのところをちょっと教えていただきたいのであります。

原口国務大臣 まさに全く同じ視点で、今回、交付税の配分比率も変えます。つまり、より財政力の弱い市町村、今まではどちらかというと都道府県に厚いものでございました、その部分を、今委員がおっしゃるように、より市町村に厚い仕組み、これはもう政権発足した当時から、当時の財務大臣は藤井大臣でございましたが、藤井大臣と、財政力が弱いところ、それから規模の小さいところ、あるいは今おっしゃるように産業としても非常に厳しいところ、そこに傾斜配分をしていこう、こういうことを今回の交付税でもねらっているところでございます。

 ただ、それで万全か。安心して任せなさいというところにはまだいっていません。これは、緑の分権改革が進み、ICTによる教育維新が進まないと生産性そのものが上がってきませんから、これはまだ過渡期だと思います。

 その上で、今おっしゃる水平的な調整機能をどこまで持たせるか、これも議論でございまして、今、都市間競争になっています。都市間競争になって、大阪だったら大阪、東京だったら東京が、シンガポールやほかの都市よりもさらに大きな潜在力を持っています。その潜在力を持っている都市をより自由にしていくこととあわせて、そこから生み出すものを地方にどのようにまた分配するか。新しい公益税制ということも私たちは考えておりますが、そこにいらっしゃる皆さんが逆にふるさとに寄附をする、そういったことも含めて、今後とも御指導をいただいていきたいと思っております。

森山(裕)委員 今後、水平的機能をどう持たせるかというのは引き続き議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 また、今回の交付税の見直しの中で、市町村あるいは財政力の弱いところにしっかりと焦点を当てて御配慮いただいているということはありがたいことだと思いますし、そのことで、財政力の弱い市町村も過疎地を抱えて頑張っている市町村も、勇気を持って新年度予算を編成して、議論が進んでいるところだと思います。

 私は、大臣に一つお願いを申し上げておきたいことがございます。

 総務省が地方自治体を見るときに、これは私が少しひがんだ見方かもしれませんが、今までは、どちらかというと都道府県の方を見過ぎていたのではないか。やはり二眼レフであってほしいと思います。その目の大きさは、市町村にも都道府県にも同じ目の大きさで見ていただきたい。そのことをお願い申し上げて、何かお考えがあったらお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 私たちは基礎自治体主義ということを申しておりますけれども、市町村がみずからの決断によってさまざまな公共サービスをされておられます、そこに配慮した予算の枠組み、税財源の移譲といったことをやっていきたいと思います。

 あした、私たちは政務三役で、特別交付税の分配も全部オープンにして、そしてより市町村に、より厳しい地域に特化できるように、あるいは災害であるとかさまざまな特殊要因があったところに特化できるように、これは今まではある意味、私の認識違いかもわかりませんが、ブラックボックスで、今見ていると、どうも当時の与党の有力議員のところにたくさん配分されているのではないかと思われるものも正直あります。そういったところについては、ならして、そして予見可能性をしっかりと、だれが見ても大丈夫だ、政権をとって、政権与党だから応援したところにたくさん金を渡すんだなんということが絶対にないように、あしたオープンで議論をしていきたいと思いますので、またそれをもとに御指導いただければというふうに思っております。

森山(裕)委員 終わりますが、特交の話が出ましたので、一言申し上げておきたいと思います。

 大臣、実は、桜島が、観測史上爆発回数が最も多いのでございます。今、一日に三回、四回爆発をしまして、これが鹿児島市内の方に灰が降りますとニュースになって、大臣のところにも、ああ、そうかということが届くのかもしれませんが、残念ながら、今、私の選挙区の方にだけ実は来ておりまして、ここには降るのが当たり前なものですからニュースにならないんです。

 ただ、先日は公明党の皆さんも現場を見ていただいて、民主党の地元の国会議員の皆さんも現場を見ていただいているわけですけれども、本当に厳しい状況です。ですから、そこの関係市町村にはぜひ御配慮をいただきたいなということを、これは陳情になってしまいますけれども、お願いを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

原口国務大臣 ありがとうございました。

 まさに私も同じ九州でございますので、あの灰、たまに見る分には、ああ、噴火して勇壮だと思いますけれども、本当に地域の生活にとってはこんなに障害になるものはございません。先ほど災害という言葉をわざと強調しましたのも先生のお顔を見てからでございますので、その辺の、ただ、これは全部公平にしたいと思います、そして、だれから見ても変なことがないという形にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 本日は、質問の機会を与えていただいてありがとうございます。

 それで、今大臣の口から特交が有力な議員のもとにというようなことをおっしゃいましたけれども、現に今箇所づけの問題などで、私はこの間予算委員会で質問させていただきましたけれども、前原大臣がトップに立って予算配分し、道路の予算については、十一月の事業計画のときよりは、なぜか大臣のお地元である京都、ゆかりのある鳥取が一番伸び率が大きいというようなことが現に報じられているわけです。まさに、他人に向かって言うのではなくて、御党の関係の閣僚の中で、有力議員に予算が多く行くというようなことのないようにぜひしていただきたい、そういう思いを強く感じたので、冒頭、申し上げさせていただきます。

 それで……(発言する者あり)同僚議員からオープンな議論というようなことがあったので、非常に抽象的な美辞麗句で答弁されることが多いので、オープンな議論というのは具体的にどのようなことをおっしゃるのか、特別交付税について公平に配分をしていくということのためのオープンな議論、どんなことを考えておられるのか、冒頭、聞かせていただきます。

原口国務大臣 同僚議員からのアドバイスで質問いただいてありがとうございます。

 三つ考えています。

 一つは、先ほど森山先生に御答弁申し上げましたけれども、災害です。例えば豪雪地帯、今、もうさまざまな予算を使い切っておられるところもございます。特殊要因として多くの困難を抱えておられる、そこに傾斜配分できるように、これが一つの基準です。

 それからもう一つは、これも先ほど答弁させていただきましたけれども、小さければ小さいほど厳しい、財政力が弱ければ弱いほど厳しい、そうなるとどうなるかというと、最低の公共サービスにも支障を来す。そういう条件不利が二つ目の基準でございます。

 三番目、それは今までどう見たって政治的な優遇で、例えばこの地域は本当は同じような条件不利地域なんだけれども、何でかしら、当時与党の有力議員がおられて、こっちには一〇〇の特交がつき、こっちには二〇の特交しか来ていないというところがあるやに見受けられます、それは逆にならしていきたい。

 いずれにせよ、あしたの総務三役会議で今の三つの基準をもとにそれぞれの基準について議論をして、これは全部インターネットでオープンに配信をしておりますので、必要であれば御参加いただいても結構でございますが、多くの皆様に納得していただくような、そういう配分の仕方にしていきたいと思っております。

赤澤委員 ありがとうございます。

 やはり強く感じたことは、箇所づけの話に戻らせてもらえば、報道などでも、私どももそう思いますけれども、重点選挙区と思われるところについては伸び分が大きい。それは、ほかのBバイCとかミッシングリンクとかいろいろな基準を入れても同じように扱われておかしくないところがそうなっておらず、何かほかの配慮で重点区があるんじゃないかというような感じを現に受けるわけで、総務省の特交の場合はそういったことにはならないという大臣の決意があったわけでありますから、ぜひそのとおりにやっていただきたい。だれが見てもそういう疑いのないような配分をぜひしていただきたいものだというふうに申し入れておきたいと思います。

 それで、同僚の委員の先生方から多く質問が出されまして、地方税法、あるいは地方交付税法の主要な論点についてはもうかなり御審議がある、私ももちろん関心を同じくするものでありますが、そこについては極力避けてきょうは質問したいと思うんです。

 ただ、私の思いとして幾つか申し上げますと、これはさんざん同じことを聞かれて答えておられるのでお答えは結構でありますけれども、地方税法について言えば、個人住民税の扶養控除見直しというのは国民にとっては不意打ちになっているのではないかと感じます。マニフェスト違反と言えるのではないか。あるいは暫定税率を、当分の間ということで、減税すると言っていたのにしなかったのは、やはりマニフェスト違反じゃないか。

 さらには、トリガー税制と言われるものについては、これは市場の動向に税率が左右されるということで、自治体の税収、あるいは財源が不安定にならないかという問題。そして、これは大臣がお答えになりましたけれども、トリガー発動時の地方税収減の補てん、これはちゃんとやるということでありましたけれども、やはり自治体としてみれば、その点はまだ非常に不安を感じる部分であるだろう。もう少しきちっと制度的なたてつけなり、何らかの確約、保証がないと、自治体からすれば非常に不安を禁じ得ない。

 また、たばこ税についても、大臣の方はいろいろな議論は中であったとおっしゃるけれども、必ずしも国民から十分見える形でたばこ税の増税が議論されているとは言えないんじゃないか、拙速で非常に大幅な値上げに見えるといった点も御指摘をさせていただきたいところであります。

 あと、交付税については、税法と比べると、私どももこれはやらざるを得ないなという感じを強く持つものでありますけれども、税収減の補てんについては七割が赤字地方債である臨財債でやっているとか、あるいは国税五税の繰入率を上げると大臣おっしゃって挑戦をされたわけですけれども、なかなかそこがうまくいかず、その道筋が不透明であるといった点も残されております。そういう意味では、この交付税法の改正についても問題がないわけではないという感じがいたします。

 以上、もう既に繰り返されてきた論点でありますので、いろいろとお答えいただいているけれども、私どもとしてはやはりここには問題があると強く感じるということを申し上げて、きょうの質問に入っていきたいというふうに思います。

 まず冒頭は、地域主権です。

 これについては、大臣からいろいろなところで、定義についてどういうことだと大分議論になったものですから、お話をいただいておりますけれども、まだまだ紙の形できちっと政府の統一見解が出ているとまでは言えないというふうに私は理解しておりまして、そんな中で伺いたかったのは、地方財政健全化法に基づいて再生団体とか早期健全化団体とかいろいろなものが指定されますけれども、この国の関与です。

 これについては一部では自治体の自立に任せるべきだという声もある。あるいは、平成十七年三月に策定された集中改革プランを公共団体に要請するという十七年指針が出されております、これに基づいて自治体は総人件費改革とか公共サービス改革、地方公会計改革といったものを進めていくというやり方になっているわけです。

 こういう現在進行中の地方行財政改革の取り組みについては地域主権との関係でこのままでいいのか、これを推し進めていくのか、あるいは地域主権ともなれば別のやり方があるのか、その辺について、簡潔で結構ですので、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 不断の行革努力、先ほど森山先生にもお話をしましたが、これは不断に続けられるべきであって、いささかも遅滞があってはならない、こう考えております。

 ただ、今の集中プラン、あるいは地方健全化計画については、まさに国、地方協議の場、これも法制化いたしますので、その中でも地域のお声を聞きながらどのような工程にすればいいのか、見直すところはないのか、もっと言うと、財政の論理だけで、この委員会でも御議論いただきましたけれども、地方の大切な公立病院についても大きな声が上がっているところでございまして、そういったものも踏まえながら協議を続けていきたいと思います。

 私は、今のままでいいというふうな認識は持っていません。行革努力をしっかりとする中でも、それはむしろ地域がみずから選んで、みずからが実行していく、そういう問題であるというふうに考えております。

赤澤委員 ちょっとわかりづらいところがあったので確認させていただきます。

 国の関与と地方の行財政改革について、今のお話を聞くと、むしろ弱めていく、地域に任せるという感じにも聞こえましたけれども、その辺についていかがなものでしょうか。

原口国務大臣 私は、国の関与は極力少ない方がいいと思っています。

 何となれば、大野先生にもお答えをしましたけれども、みずから自立的に、財政にみずからが責任を持つということは、逆に国が関与するということは、困れば何とか面倒を見てくれると。私は、もうその時代は終わったんだと思うんです。みずからの間違ったリーダーを選べば、その間違ったリーダーを選んだツケはその住民に来るという鉄則がなければ。私は、地域主権改革というのは甘い改革だとは思っていないんです。むしろ国民、主権者の皆様にみずからの選択に責任を持っていただく。これは民主主義としては当たり前です。当たり前の改革を当たり前にやっていこうと考えておりますので、健全化についても、中央政府が手とり足とり、ああでもないこうでもないと言い、起債の権限についても、総務省と財務省の印鑑がなければ実質的にできないというようなことは変えていった方がいい。

 しかし、これは私が勝手にこれだけやりますとここで言ってできるものではございませんので、国、地方協議の場で真剣に議論をしていきたい、こう考えておるところでございます。

赤澤委員 総人件費改革なども、国と地方の協議の場の中で見直していく、国の関与を少なくする方向でという感じに理解をいたしました。

 次に、地方への補助金の一括交付金化ということを伺いたいと思うんです。

 原口プランとして提示された今後五年間の地域主権戦略の工程表案、これによれば、おおむね平成二十二年夏までを地域主権戦略フェーズ1、二十二年夏から二十五年夏までをフェーズ2、補助金の一括交付金化については、フェーズ1において基本的な考え方、論点を整理する、フェーズ2においてひもつき補助金を廃止して、平成二十三年度から段階的に実施する、こういうことのようです。

 民主党のマニフェストでは、庁費等四・五兆円、委託費〇・八兆円、施設費〇・八兆円、補助金四十九・〇兆円の中から六・一兆円削減すると言っています。私は、ここは非常に危惧をするのは、無駄、無駄と言いながら、なかなか無駄の削減ができていない状態でありますけれども、この六・一兆円削減するというのは、一体補助金総額は幾らぐらい圧縮する考えなのか、これをお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 まず、原口プランとマニフェストの関係でございますけれども、私たちは、マニフェストの六・一兆円を所与のものとしてやっていこうということを考えているわけではないんです。むしろ国、地方協議の中でしっかりとやっていこうということを考えておるわけでございまして、平成二十二年度、国土交通省と農林水産省において地方にとって自由度の高い交付金が創設されるわけでございまして、また、ひもつき補助金の一括交付金化については、平成二十三年度から段階的実施をしていきます。

 この補助金の範囲をどこの範囲にするかということは、まさに協議の対象だと思っていて、これをマニフェストの六・一兆円、これは連立政権なので、民主党単独政権であれば控除だって全部倒していくという形でしたけれども、今回のような状況になっています。まさに協議の中で決めていく、額についても協議の中で決めていく、こういう問題だと政府としては認識しております。

赤澤委員 私はちょっとびっくりしたんですけれども、これは所与のものではない、協議の対象だということで。マニフェストでというのは、ポイントは、国民が本当に民主党政権あるいは民主党連立政権に期待をして政権交代をしたというのは、やはりあれだけ無駄を削減するんだ、自公連立政権のやっていることは無駄だらけなんだと。いろいろなことを聞きましたね。一割ぐらいは、大胆な組み替えで二十兆はすぐ出るとか、総理も八兆円、九兆円は軽いと言っておられたし、あるいは天下り法人に十二兆円の無駄な金が流れているというのも、皆さん各選挙区で連呼されていたと思うんですよ。

 そんな中で、六・一兆円というのははっきりとマニフェストに書いてあるわけで、そこについて節約額と言おうが削減額と言おうが、その無駄を見つけ出してくるというのは国民との間では契約ではないんですか。

原口国務大臣 だから、それは民主党の政調会長に聞いてくださいと。私がここで申し上げていることは、そのマニフェストを受けて連立政権の中でどうするかというのは私の判断でございますから、六・一兆円の中には例えば人件費の改革、先ほど森山先生にお答えをした人件費の改革もございます、あるいは一括交付金にすることによって無駄がなくなる部分もございます。あるいは、先ほど申し上げているように、電子政府ということで仕事を仕分けて、その無駄をなくす部分もあります。そして、逆に言うと、私たちが今考えていかなきゃいけないことは、予算の組み方そのものも変えたいと思っているわけです。

 つまり、ここからここまではこの予算でやってくださいよと。今回、全体的にはマニフェスト予算を一部達成することができましたけれども、予算の組み方自体が、委員も役所におられたからおわかりだと思いますけれども、各省が出してきた予算をクリップどめして概算要求という形にしている。それを次からは、私たちがマニフェストで想定している六・一兆円は、まずはここからここまでを削りますよ、そして、この予算は政府の意思として、国民の意思として確保しますよ、あとクリップどめするんだったらクリップどめしてくださいというのがそのマニフェストに書いている予算の基本的な考え方でございますので、よく御理解をいただければと思います。

赤澤委員 なかなか理解できないんですね。

 今おっしゃったのは、とにかく連立政権であるから社民党と国民新党の考えを聞いてというようなことですね、そうでなければやったんだけれどもと。私は、少なくとも、原口大臣は民主党から出られている閣僚として、民主党のマニフェストは六・一兆円の削減を目指すのが当然だろうと思っています。あわせて、今、社民党と国民新党はどれだけ削ると言っているんですか。

原口国務大臣 社民党、国民新党に聞いてください。

赤澤委員 これは明らかにおかしいでしょう。だって、それを実現するのは、実際に地方への補助金を一括交付金化する総務大臣の仕事としてやらなきゃだめじゃないですか。社民党と国民新党に聞いてくださいって、だれが責任者で、だれが当事者で、だれがこれを決めていくんですか。ほかのことをいっぱい聞きたかったんだけれども、こんなところでひっかかっていると、また聞けなくなってこれだけになっちゃうんだけれども、やはりこれはおかしいですよ。

原口国務大臣 民主党のマニフェストの六・一兆円に当たる部分について、社民党や国民新党がどのように考えておられるかということを、私が閣僚として言う立場にないということを申し上げているので、それは、その協議の中でどのようにお考えですかと聞きながらやっていきますということを申し上げている。逆に、私が社民党はこう考えておられますと決めつけて言う方が僣越だということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 では、少なくとも民主党から出ておられる閣僚として、六・一兆円の削減、これは民主党が約束されたんです、その実現を原口大臣としては目指されるつもりはあるんですか。

原口国務大臣 民主党の六・一兆円を説明しろという……(赤澤委員「いや、目指す気があるんですかと聞いているんです」と呼ぶ)ありますよ。

 それは、民主党のマニフェストを説明しろというのは、私は閣僚としてそれを踏まえながらやるけれども、連立政権でもあるし、国、地方協議の場というものもあるので、それがすべてでないということを申し上げているわけで、六・一兆円の内訳は、天下りの在籍する……(赤澤委員「いいです、質問に答えてない」と呼ぶ)だって、そうでしょう。「天下りの在籍する独立行政法人、特殊法人、公益法人などへの支出や、国の契約を見直して、国の政策コスト、調達コストを削減する。」それから、「補助金改革で関連の事務費、」……(赤澤委員「質問に答えてないですよ、もうやめさせてください」と呼ぶ)「人件費を削減。」する……(赤澤委員「いいです」と呼ぶ)いや、だって、どういうことかと聞かれたから答えているわけで、民主党のマニフェストはこうなっていますと言っている。時間稼ぎしているんじゃないですよ。

赤澤委員 いや、時間稼ぎですよ、明らかに。

 堂々めぐりになったんですけれども、要は六・一兆円削減する気があるんですかということを大臣に聞いたら、民主党のマニフェストにある以上、私としては実現を目指すと答えればいいものを、所与のものではないとか、むしろ自治体との協議の対象だとか、さらには連立政権ということを言われたから、今少し混乱をしているのであって、現時点においては大臣としては、民主党から出ておられる以上、そのマニフェストの実現を目指すということは間違いがないんですね。そこを答えてくださればいいんですよ。

原口国務大臣 いや、私は質問の趣旨がよくわからないんですよ。要するに、民主党のマニフェストどおりやれとおっしゃっているのか……(赤澤委員「やるように努力するかと聞いているじゃないか」と呼ぶ)

 私は、民主党選出の閣僚ですから、それに近ければ近いほどいいと思っています。しかし、それだけでできない経済情勢の問題もあり、あるいは連立政権の問題もあり、そして、国、地方協議の場という中で議論して詰めていきますということを申し上げているわけです。

赤澤委員 結局、今のは、やはり私は不十分だと思っています。どういうことかといえば、民主党として国民に提示して戦ったマニフェストは、実現できない場合があるともう既に言っているわけですよ。これは契約だ契約だと言って、あるところでは、マニフェストの中身を実現するのはマニフェストに書いてあるからといって強行したりいろいろなことをしている中で、ここについてはどうも自信がないんだなというのがよくわかったと思うんですよ。

 やはり今のお話はおかしいですよ、実現できない可能性があるということを現時点で宣言されたということであって、私は、そこは大いにおかしいと思っています。(原口国務大臣「完璧な決めつけです」と呼ぶ)いや、そんなことはないですよ。

近藤委員長 原口総務大臣。

赤澤委員 いや、質問していませんから。質問してないですよ。と思いますと言っているのであって、大臣、私が質問してなきゃ、あなたは立てないんですよ。(原口国務大臣「委員長から指名されたんです」と呼ぶ)質問していないのに。

近藤委員長 ちょっとお待ちください。赤澤亮正君としては答弁が不十分だということでおっしゃっているんじゃないんですか。それに対して原口総務大臣が答えたい……(赤澤委員「言っていません」と呼ぶ)

 では、赤澤亮正君。

赤澤委員 それでは、今度は地方公務員の数について伺いたいんですけれども、原口大臣は、現在の公務員の数、国家公務員、あるいは地方公務員、さらには公務員全体の数についてどのように評価されているかを教えていただきたいと思います。

小川大臣政務官 事実関係にとどめさせていただきますが、地方公務員に関して言えば、かつて三百三十万人近かったものが、平成に入って不断の見直しをした結果、今二百八十万人余りということでございまして、そういう意味では引き続きこうした合理化の努力は進めていくことになろうかと思います。

赤澤委員 では、今の小川政務官の答弁で、まだ多いという認識をされているということでよろしいですね。引き続きこの努力を続けるということですから、そういうことにならざるを得ないと思います。これは、時間がないので、もういいです。そうでないというんだったら答えてください。いいですね。

 では、先に進めさせていただきたいと思うんです。

 私自身は、公務員の数について言えば、これは本当に詳細な検討をしてみないといけないと思っている。我が国の公務員の数は多いという見方ができるのかというのは、本当に地方と国を別に分けて、それぞれ先進国と比べてみる必要があると思っていますので、いたずらに減らせばいいということではなくて、よく精査していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 次に、地方財政法の改正については必ずしも議論がされていないので、一つ伺いたいのは、昭和四十五年から実施されている公営競技納付金制度です。

 私は、かつて国土交通省でモーターボート競走の振興と、日本船舶振興会、日本財団の所管をしておりましたので、この辺についてちょっと問題意識があるわけであります。

 公営競技納付金制度というのは、公営競技の収益の一部を公営競技施行団体以外の団体に均てん化する、これが目的であります。ただ、平たく言えば、公営競技が物すごくもうかっていた時代に、施行団体のひとり勝ちでは、分け前にあずかれない周囲の地方公共団体がおさまらなかったというのが実態だというふうに理解をしております。

 現在、公営競技の経営が悪化をしておりまして、私自身は、公営競技納付金制度というのは役割を終えたんじゃないか、もう廃止していいんじゃないかという感じを強く持っておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。

原口国務大臣 確かに、この公営競技納付金制度は、昭和四十五年度の創設以来、長期間これが経過しています。ただ、刑法の特例として認められている公営競技について、公営競技団体に偏在する収益金の全国的な、今委員がおっしゃる均てん化を図る仕組みであって、黒字収益がある場合に、その一部を地方公共団体の金融機構に納付し、機構から地方団体への貸付金の利下げに活用しております。

 この間、その改正、まあ、黒字のときにたくさん払って、また今も厳しいから何とかしてくれというお話がございまして、修正案を出させていただいて御理解をいただいたところでございますが、近年、全般的に売上額の減少傾向が続いておりまして、極めて厳しい経営状況にあるものの、経営努力等により一定の黒字収益を確保して一般会計への繰り出し等に活用している施行者も存在するところでございまして、財政力の弱い町村からすると、これは一気になくしてくれというのもちょっとつらいんじゃないかというお声もございまして、今回、延長改正に当たっては、累積赤字がある施行者や収益の低い施行者の納付金の免除と納付率の一律引き下げ、納付金の三年分割納付を当分の間可能とするなどの見直しを行ったところでございます。

赤澤委員 大臣、もう少しその中身を調べていただきたいと思うのは、要するに刑法の特例ということを今おっしゃったですね、刑法の特例を認める、端的に言えば刑法で禁じられているかけごとのたぐいですよね、これをやることを認めるんだから均てん化だという御説明に今聞こえたんですよ。確かに総務省はそういう説明をするんだけれども、実は、制度としてはそれは必ずしもそうじゃないんですよ。

 というのは、四十五年から始まった制度でしょう。均てん化をするのが刑法の特例を認める理由だとするならば、公営競技はそのはるかに前から始まっているんですよ。始めてから四十五年に至るまでの間は均てん化していないから刑法の特例を認められない、違法だったという話にはならないんですよ、これは。ということなので、そこについては刑法の特例を認めるために均てん化が要るみたいな議論は、残念ながらできないんですよ。

 もう一度、そこのところは何かコメントがあればコメントしてください。

原口国務大臣 これは、納付金制度そのものが刑法の特例として認められている公営競技についてということを申し上げているので、均てん化が刑法の特例だから認められているということを言っているわけじゃございません。

 逆に言うと、私も赤澤委員とこの辺は認識が少し一致しているのかなと思いますのは、一つの公営競技のところが一つの町です、一つの雇用体です。そういう意味からしても、今回、先ほど申し上げたような延長改正をしたというのも、まさに地域に貢献をする。単に、ギャンブルだからお金を払うのは当たり前だというような考え方は持っていないということも、御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 後で議事録をチェックしていただければ、今大臣は私の言ったことと違うことを答えています。

 要するに、総務省が割とよくやる説明は、均てん化というのは、公営競技をやるについて、本来刑法に触れるような行為だけれども特例として認めることの条件だというような説明になっている。

 ところが、制度の起こりからすると、公営競技が刑法の特例として認められるためには、むしろ日本財団に一定の割合を渡して公益事業をやったり、大臣の地元にもあると思いますけれども、日本財団のマークのついたおふろカーとかリフトのついた車とかが走っている、まさにあれが刑法の特例を認めることについて国民の理解を得るための措置なんですよ。

 だから、均てん化の部分というのは、途中から始まったことからもわかるように、かけごとに当たることを自治体がやることの条件には決してなっていないので、今となってはその制度を存続する理由というのはほとんどない、希薄であるというのが私の趣旨だということはぜひ理解をしてください。

 それからもう一つ、同じ地方財政法の一部改正なんですけれども、補償金免除繰り上げ償還措置の話です。これも一問だけお伺いをします。

 五%以上というのを高金利という扱いにしましたけれども、ちょっと伺ってみると、現在は、三年据え置き、十五年償還ということであれば、金利一・六から一・七%ぐらいで借りられる。二%もしないんですよ。そうすると、五%以上が高金利と言われても、自治体にとっては二%も三%も四%も過重な負担だとまさに感じているはずで、五%未満は、ざっと計算してみると約七十兆円債務残高がありますよ。これについて今後少しでも軽くしていくお考えがあるのか、お答えをいただきたいと思います。

渡辺副大臣 私の地元でも、各種自治体からこの点については大変たくさんの要望がございました。

 今お話しの点でございますけれども、平成二十一年度末の見込みで、五%以上の地方債が三・七兆円、ここの負担を軽減することがまず最初にやるべきことであろうと考えております。

赤澤委員 残りは一兆円ぐらいだと理解をするので、その先の検討をぜひ副大臣も前向きに、地元からも要望を受けておられるようですから、自治体の財政が大変厳しい中ですから、お願いをしたいと思います。

 最後に、総務省の顧問の問題、これは質問主意書も私は出させていただいて、法制局の審査を経て閣議決定もされて出していただいているんでしょうから、その関係をちょっと御指摘と質問をしたいんです。

 総務省については、やはり顧問の数が突出をしているように思うんです。政権交代前は、一番多かったときで五人ですよね。ところが、今や顧問が二十五人、参与を入れると二十七人に急増をしたということであります。

 顧問に限って言えば、各省庁で最多となる二十五人任命して、そのうち十二人は国会議員経験者です。国民新党の前幹事長とか、社民党前副幹事長とか、新党大地代表代行とか、前首長さんとか、お友達と呼んでいい方たち四氏で合計百万以上のお金を得ているということです。この辺については原口大臣が自民党の方でもいいですよというようなことをおっしゃったけれども、それは開き直りだと私は思うんですよ。そのようなことでは、やはりおかしい。

 顧問について言えば、私は、今までにない、二十何人も任命するというようなことをされるのであれば、総務省の規則を変えて、要件を、融通無碍ということではなくて、裁量の余地が少なくなるように変えた方がいいと思うんですよ。

 今のままだと重要な施策に携わらせるために任命するぐらいのことしか書いてなくて、実際に、識見とかそういうものが高い人をきちっと任命して、どういう仕事をさせるのか。見識が高いというだけであれば、本当に多くの方がおられるんです、選に漏れた人で見識の高い人はいっぱいおられます。もちろん、他党の関係者にもいますよ。加えて、特定のプロジェクトに必要があるんだったら、そういう人を委員会ごとにきちっと委員にしたらいいんです。顧問でずっと置いておく理由が私にはよくわからない。

 だから、その辺は、今後裁量の余地のないように制度的にもそう見えるようにぜひ変えていく。顧問のあり方ということは考えるということを一言いただきたいと思います。

原口国務大臣 見解を異にしています。

 例えば、天下り批判があって、官僚がいろいろなところへ天下るのはやめろと。逆に言うと、民間の知恵をこの霞が関の中に入れる、あるいは国会議員として立法府で頑張ってこられた方々のお知恵を入れる、何かしら霞が関と違う人たちを入れると、それは異物だと排除するような考え方は私はとりません。

 菅元大臣が横に座っておられますけれども、ある意味、小泉改革のよかった点は民間の知恵をどんどん入れてきたということだと思います。これだけたくさんの官僚機構、前の顧問は全部役所のOBの方じゃないですか、本当にそれで新たな改革ができるんだろうか。

 私は、この二十人だって、本当に知見を持った方々、総務行政に大変思いの深い方、そして発信力が高く改革を前に進める方、そういう方をお願いしているので、このことを変える気はありません。

赤澤委員 これで終わりますけれども、役人を外して落選議員の方を入れたみたいなことは、やはり明らかに私には処遇に見えるんです。国民からもそう見えると思います。なおかつ、自民党の関係者も入れていいといったら、一体何人任命する気なんですか。二十人、ほかの党も入れたら四十人、五十人と、これは私は明らかに常軌を逸していると思うし、顧問制度というものの使い方を間違えていると思います。

 そのことを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 大臣所信に続いて、法案にも関係のあることについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、天下りの問題であります。

 この前の金曜日の総務委員会で、原口大臣は、政府として初めて天下りの実態調査を行うということを明言されました。しかし、どの範囲の調査をするのか。

 天下りというのは、今の政権の定義によれば、省庁のあっせんがあって再就職した者を天下りだというんだ、省庁のあっせんがなければ天下りとはいわないと定義しているわけであります。それ以外に、いわゆる裏下りという言葉も鳩山総理は使い始めました。しかし、裏下りというのももう一つよくわかりません、後でまた大島副大臣にその点についてはお尋ねしたいと思うんですけれども。

 まず総務大臣、もう一度確認いたしますが、政府としての天下りの調査はどの範囲までやるのか、そして、いつごろから調査を始めて、いつその結果を我々に、国民に公表されるのか、そのことを明確にしていただきたいと思います。

 それに関連して、金曜日に、予算委員会の集中審議で我が党の町村委員が、私の昨年十一月の質問主意書を引用しながら総理大臣に質問をしたんですけれども、どうも議事録を見る限り、総理は政府として調査をするなんということも言っていない。本当に政府はしっかりやるつもりがあるのかどうかという懸念も持っていますので、その点も踏まえて、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 谷委員にお答えいたします。

 公務員の天下りに関する委員の質問主意書で、政府が定義した公務員の天下り、おっしゃるように、あっせんによるものに該当する者の数は二万五千人と一致するのか、受け入れ企業、団体に対し国から支出された金銭の交付総額は十二兆一千億円と一致するのかということで、これは内閣府が作成してお答えをしていると思います、お尋ねの天下りに該当する者の数及び金額云々ということで、それは私の方からは申し上げません。

 総務省におけるあっせん実態調査は、改正国公法の施行による府省庁のあっせん禁止、官民人材交流センターのあっせんも平成二十一年九月に、一部例外を除き禁止されているところでございまして、改正国公法に基づき、退職公務員の再就職状況を把握し、定期的に閣議報告、報道発表をしているところでございます。

 なお、改正国公法前の、平成十八年から二十年の退職公務員に対するあっせん件数も公表済みでございます。これは平成二十一年の四月二十四日に行っています。

 いわゆる累代ポストに関する実態把握として、五代連続法人の特定ポストに関する府省庁あっせん状況調査ということで、これは平成二十一年十二月二十五日に行いました。ただ、ここでの初回調査結果は私は不十分だと判断し、再調査を実施し……(谷委員「いや、それはもうお聞きしました。天下りの全体の調査をどの範囲でやるのかということです」と呼ぶ)

 それで、天下りの根絶については、あっせん禁止はもとより、いわゆる隠れ天下り批判など国民の疑念に対して、総務省の横ぐしの機能を駆使して実態を明らかにし、その是正を図ることが必要だ、こう考えているわけです。

 特に、今申し上げたような五代連続法人の特定ポストについては、本年三月中に調査項目を決めて、四月一日時点で改めて再調査を実施する予定でございまして、この調査結果も踏まえ、あっせん規制等に違反する疑いの事例があった場合には、国公法改正で新設予定の監視機関との連携により厳正に対処するなど、監視体制の強化を図っていきたい、こう考えています。

谷委員 いや、大臣、明らかに答弁が食い違っていますよ。

 十九日の私の総務委員会の質問で、大臣ははっきり、天下りの実態を総務省で調査する、全体的な天下りの調査をすると言われたじゃないですか。そのことの確認で、どの範囲をやるんですかと。いわゆる政府の言う天下りに加えて、裏下りと言われるものもしっかりしますということであれば、そのことをしっかり言っていただきたいんです。そして、いつ調査を始めて、いつ公表されるのか。その二点です。

原口国務大臣 失礼しました。答弁が今のはずれていました。それは申しわけないと思います。

 まさに、前に答弁しましたように裏下りの実態も踏まえて、そして先ほど申し上げました、三月の頭に、これは五代連続の特定ポストですけれども、それ以外にどういうものがあるかということを調査し、そして調査項目を三月中には決めていきたいと思っています。その調査項目によってはさまざまな範囲の違いが出てくるんだと思います。例えば玉突きで、実際には省庁はあっせんしていないんだけれども、実態的に天下りが放置されている、そういった例も報告をされておりますので、調査項目について精査をしていきたい、こう考えているところでございます。

谷委員 わかりました。

 そうしたら、要は、私が先ほどから聞いているのは、質問主意書で、民主党は選挙の前に鳩山総理が、当時代表でしたけれども、何度も、四千五百の法人、二万五千人の天下り、十二兆一千億というのを繰り返し繰り返し言った。その実態が明らかになる、そういう理解でよろしいですね。

原口国務大臣 先ほど申し上げましたように、その中身の精査をしていきたいと思います。要するに、あっせんという形で行われたものはいつか、今の十二兆六千億円の中で使っている……(谷委員「十二兆一千億」と呼ぶ)まあ、それは減ってですね、六千が一千に減ったんですけれども、時点によって違うわけですけれども、十二兆一千億円の中でどのようなことが行われていたかというのを精査していきたいと思っています。

谷委員 大島副大臣にも来ていただいていますが、それは、内閣全体として、公務員制度改革担当の副大臣としての取り組みだ、そういう理解でよろしいですか。

大島副大臣 谷委員の質問にお答えしたいと思います。

 天下りの実態について、内閣としてどういう調査をしていくかということだと思うんですけれども、府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や、行政の無駄などの原因となるような職員の再就職については国民の厳しい批判があるものと承知をしております。政府としても、そのような再就職は問題であると考えております。

 先ほど原口大臣が述べました、いわゆる五代連続ポストや独立行政法人の役員等への就職状況についてはこれまで適時調査を実施しておりますが、事実上の再就職あっせん慣行に関しては、いわゆる五代連続ポストについては、総務省においては、ことし、先ほど原口大臣が御指摘されましたとおり、本年五月以降、調査内容を拡充し、改めて調査を実施する予定であり、調査の実施に際しては内閣府の関係部局も連携して行うこととしております。

 また、このような再就職に関する調査情報からあっせん規制等に違反する疑いのある事例があった場合には、監視機関においてさらに調査を行い、厳正に対処してまいります。

 こうした取り組みにより、国民からの批判のある天下りの根絶に取り組んでまいりたいと考えております。

谷委員 副大臣、質問と答弁がやや食い違っていたかと思います。私がお尋ねしたかったのは、総務大臣が調査をするというのは、政府全体で調査をするという取り組みと理解していいかという確認なんです。

 何度も繰り返すようですけれども、四千五百の法人、二万五千人の天下り、十二兆一千億の資金というのは本当の実態はどうかと、政府として見解を出してくださいよ、これを繰り返し言って、それで、総務大臣は十九日に初めて、政府として、政府の定義する狭い意味の天下りだけじゃなくて、総理の言われるいわゆる裏下りも含めて調査をすると言明された。それは、内閣全体としてそういう調査に取り組むということと理解していいかという確認です。イエスかノーかだけです。いえ、副大臣。総務大臣はもうその答えはわかっていますから結構です。

大島副大臣 お答えいたします。

 総務大臣の御答弁、要は、総務大臣が述べられたことは政府の意見として理解しておりますので、政府の意見、政府の考えであると承知をしております。

谷委員 それでは、しっかりやっていただきたいんですけれども、私が一番聞きたかった調査対象の範囲についてはまだふわっとしています。

 そこで、副大臣にお尋ねします。

 裏下りというのはどういうことかについて、みんなの党の山内議員が政府に質問主意書を出して、次のような回答がありました。「お尋ねの「裏下り」については、一般的に定義されているものではないが、例えば、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職がこれに該当するものと考えている。」という答弁でした。

 私は全然これはよくわからない。定義になっていないですよ。裏下りとは何かと聞いているのに、「例えば、」と言って、こういろいろ言われている。この定義では全然納得できないんですけれども、裏下りの定義というのはないんですか。お尋ねします。

大島副大臣 谷委員にお答えをいたします。

 繰り返しになるんですけれども、裏下りについては、谷委員が述べましたとおり、一般的に定義はされておりませんけれども、例えば、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職がこれに該当すると考えております。

谷委員 大島副大臣、今の答弁を僕が読みましたよ。一緒ですよ、これ。

 ただ、私が言いたいことは、何も言葉じりをとらえていることではなくて、しっかりした定義なしに調査なんかできないということですよ。どの範囲を調査するかというのをはっきりしないと、いわゆる天下りというのは政府は定義しましたから、これははっきりすると思います、あっせんの有無を一人一人みんな確認すれば済むんですから。ただ、裏下りというのは、質問主意書の答弁によれば、例示しか出していないわけですから。

 ですから、その辺についていまだよくわかりません。これはまた別途、私自身、質問主意書を出すかどうか、しっかり定義なりあるいは調査の範囲を確かめさせていただきたいと思います。

 さて、天下りの根絶ということを政府は言われている。それは私も基本的にはいいと思います、そういう方向は。

 ただ、問題は、現実にそれをする場合、今中央省庁では早期勧奨退職というのがなされている。そして、この前いただいた総務省のペーパーによれば、勧奨退職者が平成十九年度でも三千人を超えている、平均年齢は五十六・七歳だ。だから、早く言えば三歳以上若く再就職している。この早期勧奨退職制度があるわけでありますけれども、副大臣、引き続きこの制度は残して、肩たたきをやっていくんですか。

大島副大臣 今、谷委員から御指摘ありました点は、まずは鳩山内閣においては天下りとかわたりのあっせんは根絶をするとともに、あわせて、公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備することなど、公務員の抜本的改革についても今検討しているところでございます。

 ということで、答弁とさせていただきます。

谷委員 もう一つ大きな問題で質問したいので、きょうはこのあたりにしておきますけれども、前回でも指摘させていただきましたけれども、大きな問題ですよ。

 国家公務員改正法を今度国会に出されました。そして天下りはやめる。では、現実に今三千人を超える方が早期勧奨に応じている、そしてそれが、だれも再就職の世話をしてもらえないということであれば、それはやめないですよ、公務員の方も。だって、みんなそれぞれ生活がかかって、ローンを抱えているんですから。その仕組みをしっかりつくるべきではないかということをこの前も質問させていただきましたし、階政務官の答弁では極めて不十分でした。

 十分な答えが得られるとは思いませんので、きょうのところは問題点の指摘、余りにもひどいじゃないかということですよ、余りにも。新たな幹部職員、次官から部長まで一本の名簿にして、それで自由にそこを行き来できる。そういう幹部職員だけで一般職は何も手をつけず、しかも幹部職員の生活のことをまじめに考えているとは思えない政府の姿勢に、大変、どうかと。もっと言えば、怒りさえ覚えますわ、みんな生活しているんですから。一生懸命、国のためと思って頑張って汗かいている職員は、幹部の方はいっぱいいますよ。

 ぜひ、その点についてしっかりとリーダーシップをとって検討していただくようにお願いします。

 質問を移ります。

 地域主権と厚生労働行政ということです。

 きょうは副大臣に来ていただいています。先ほど聞いておられたかどうかわかりませんけれども、副大臣、原口大臣は常日ごろ地域主権ということを熱心に言われている。一生懸命、交付税も法定率を上げるということで、実現はしませんでしたけれども、そう努力をされているということは私も素直に認めます。評価をしているわけです。

 しかし、国全体としてどうだろうかというと、全く正反対のことをやられているのではないか。典型的な行政の分野の一つが厚生労働行政です。

 子育て応援特別手当、突然廃止しました。前にも総務委員会で具体例を出していただきました。私の選挙区ではありませんけれども、同じ兵庫県の三木市の藪本市長、個人的にもよく知っていますけれども、支給停止に頭にきて、だって各戸に皆ビラを配っているんですよ、出ます出ますといって。そして、突然支給停止に怒りを込めて、なけなしの金を、三木市は花火大会への助成なんかを皆やめたんですわ、財政が苦しいから。そして行財政改革のための厳しい計画も立ててやっているその市が、なけなしの財政調整基金を七千万余り取り崩して、独自の、市単独の子育て応援特別手当を出したんですよ。

 あるいは、もう一つの例として子ども手当があります。地方負担はない、ないとずっと言われた、長妻大臣も。そして副大臣も言われたかもわからないです。結果的にあったんじゃないですか。群馬県の町村会は、当初には計上しないということを意思統一した。こんなことは、我々も政権を持っているときにいろいろ攻撃された後期高齢者医療制度でもなかったですよ、こんな事態は。

 どう思われていますか。副大臣の所見をお伺いしたいと思います。

長浜副大臣 子育て応援特別手当の御質問をいただきました。

 確かに、九月にこのポジションに就任をさせていただいて、十月の記者会見は、私はそのおわびの記者会見をした記憶があります。確かに、一度決められたことを停止するということは、正直に言えといえば、まさに苦渋の決断ということになったというふうに思っております。

 谷さんが御指摘のように、大変この不況の状況の中で、三歳から五歳までの児童一人当たり三・六万円ということを今回廃止することになってしまったという状況の中においては、強いて申し上げるとすると、この状況の中においてさらなる、今御指摘があった子ども手当というものを用意して、この制度よりはより支給対象を広げて、そして、より充実した制度を実施するための財源があれば可能な部分もありますけれども、限られた財源の中においては、より高い効果を出すということでこの決断をさせていただいたわけでございます。

 もちろん地方六団体の皆様にも来ていただいて、一月十三日だったでしょうか、地方六団体の皆様にも御説明を申し上げて、麻生知事、森市長、山本町長を初めとして、谷さんと同じように、大変厳しい御意見もちょうだいをしました。

 こういった状況の中において、さらなる地方公共団体の御理解を得るために、最初に申し上げましたように、苦渋の決断の中でおわびを申し上げましたけれども、子ども手当の制度の中においても、さらなる地方の御意見もこれから聞いてまいりたいというふうに思っております。

谷委員 私は経緯はよく知っていますから、経緯はいいです。どう考えるかということだけ答えていただければよかったんです。

 苦渋の選択、それはそうです。ただ、地域の現場から見ると、地域主権なんというのは言葉だけだ、全然その地域の現状を踏まえていないんじゃないかという怒りがあったんですよ。そうでなければ、七千万円も一つの自治体で計上しますか。

 そして、その怒りは子ども手当でもそうです。では、当初予算の子ども手当で頑張ってくれるのか、政府として絶対に地方に負担をかけないように、国が全額国費でしっかりやってくれるのかと期待していたら、何のことはない、従来分は二十二年度の特例だということで負担をさせられた。

 ですから、今言いましたように、一つの県の町村会が一致して計上しないなんというのは極めて異常なんですよ。そういう怒りをあなたはわかっているかということを私は尋ねているんです。どうも、本当に地域の現場の怒り、声というのがわかっているように思えないですね。本当にわかっていたら、子ども手当はもっと頑張ったんじゃないですか。もう一度答弁をお願いします。

長浜副大臣 子ども手当のことに関してもそうでありますが、私も地域から選出をされておりますので、地域の首長さんの、あるいは議員の皆様方のお声は十分理解をしているというふうに思います。それで、正直に苦渋の選択ということを申し上げたわけでございます。

 群馬のケースが例に出ておりましたけれども、これも、新聞等で報じられましたように、町村会の理事会、全部ではないですが、二十三になるんでしょうか、二十三の町村会のうちの十二の町村の理事会でこういった決定がなされたということも聞いております。そして、先生の御質問等にあわせて、県の方にも問い合わせをしながら確認をしております。

 今の時点の中においては、多分、町村の中での予算の策定、議会への提出という過程の中で議論をされていることだというふうに思いますが、国会審議を経て地方負担が確定した場合等においては、その時点で方法論を協議する、こういう選択もされているようでありますので、地方においても、大変そういう状況の中での苦渋の選択をされたんだというふうに理解をして、私自身も痛みは理解をしております。

谷委員 副大臣、苦渋の選択じゃないんですよ、怒りなんです。当初予算を計上しなくても、国の予算が成立したら補正で組む、当たり前です、そうしなければもたないもの。これは国の施策ですから。ただ、そういうような自治体の思いというのをしっかり受けとめているのかということです。

 町村会で決めたけれども、十幾つの団体だと。本当に地域の実情がわかっているということであれば、現場の市町村が国の施策に公然と反旗を翻すということが、どういう思いでそういう決断をしているかというのをあなたはおわかりですか。そういう姿勢を問うているわけです。

 子ども手当が初めてではない、その前に子育て応援手当があったんじゃないですか。では、その苦渋の選択は子ども手当の予算のときにどう生かされたのか。みんなの見る見方は、私もそうですけれども、結局、厚労省といったら口だけだ、口ではわあわあ言っていても、最終的には財務省にやられているんじゃないか、信用できへんと。

 来年度以降もそうですよ。二十三年度、子ども手当が満額支給ということに仮になって、そして全額国費だったとしましょう。でも、児童手当の負担相当分は子育て支援に回してちょうだいといって国庫負担を減らすということは、さまざまな資料から十分考えられます。そういう思いだということを、副大臣、ぜひしっかり認識していただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 住民に密接した行政だけに、厚生労働行政、特に旧厚生省関係、頑張ってもらわなきゃならないんです。何も私は非難ばかりするつもりじゃなくて、その姿勢をもっともっと、地域主権と言われるならば、言葉だけじゃなくて態度で、実績で示してくださいよ。示していないから言うんです。

 もう一つ例を挙げます。

 難病治療研究、難病対策、これは都道府県の方から超過負担が大変だ、大変だと。そこに元知事の福田委員もおられますけれども、毎年のように、一生懸命、大変な超過負担だ、本来国が負担すべきものが肩がわりされている、押しつけられているという要望は、かねてから御承知のとおりかと思います。完全解消のために予算措置をされましたか、お尋ねします。

長浜副大臣 先生がおっしゃられるとおり、副大臣室の私の部屋にも、難病関係の方々が来られるケースが大変多いということでございます。

 端的に申し上げれば、今回、難病患者の医療費助成、特定疾患治療研究事業について、平成二十二年度の予算で二百七十五億円を計上しております。数字的に見れば確かに、二十一年度の二百六十一億円、当初予算二百三十二、プラス補正の二十九でありますが、この状況よりは、今御指摘があった超過負担の部分を解消するべく、この予算の増額を図ったわけでありますが、これで一〇〇%、当初の二分の一の負担を担えるのかという質問であるとすれば、この状況の中においても担えないということを正直に申し上げざるを得ません。

谷委員 ですから、していないんじゃないですか。子育て応援特別手当を突然切って、子ども手当は地方の負担を強いて、そしてかねてより強い要望のあった、超過負担の典型例とさえ言われている難病の補助金はほとんど増額なし。

 そういう姿勢について、最後は総務委員会ですから原口大臣に、要望かたがたお伺いしますけれども、もっと内閣全体として取り組んでほしいです。地域主権、名前だけですよ、こういうような行政をやられていては。原口大臣の取り組みの決意をお伺いして、質問を終えたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 名ばかりと絶対に言われないように頑張りたいと思います。

 私は、総務省にも申し上げたんですが、旧内務省の感覚があるのかわかりませんけれども、国がやるんだから地方はついてくるのが当たり前だ、負担するのも当たり前だ、こういう考え方を持って、そして有無を言わせず地方負担を、今お話しのようなものをやる、政策変更も、あとはついてこい、文句を言うなというようなことをやっていれば地域主権はできないと思います。そういう意味でも、意識から変えていく、自分たちだけが政府を担っているんじゃないんだと。

 そういう意味でも、委員、御理解をいただきたいのは、国、地方協議の場もつくります。法制化いたします。ぜひ賛成していただいて、古い中央集権の枠組みを打破する、その御協力をお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員 どうもありがとうございました。

 国、地方の協議の場の問題については、拒否権があるのかどうかなどにつきましては、またあした質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。

近藤委員長 次回は、明二日火曜日午後一時十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時八分散会


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