衆議院

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第6号 平成22年3月2日(火曜日)

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平成二十二年三月二日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      村越 祐民君    湯原 俊二君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田中 一穂君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     村越 祐民君

同日

 辞任         補欠選任

  村越 祐民君     寺田  学君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件

 地方税財政基盤の早期確立に関する件

 過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、自治税務局長岡崎浩巳君及び財務省大臣官房審議官田中一穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 原口大臣、このたびは大変御苦労さまでございました。地方交付税一・一兆円、財源対策債も含めますと実質三・六兆円の交付税の増額ということで、地方六団体の皆さんは大変喜んでいると思います。本当に御苦労さまでございました。

 そこで、地方税法、地方交付税法等の審議に当たり、提案も含めて幾つか質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 最初に、私の基本的な考え方を述べさせていただきます。

 私は、現在の日本の最大の課題は、景気対策と十年デフレから脱却することだと考えております。そのためには、政府がしっかりとした成長戦略を定めて、政府と日銀が力を合わせ、この間、内部留保資金を四百兆円も集めた大企業の皆さんや、あるいは国民の皆さんにも政府が要請をして、官民挙げてデフレ経済下から脱却するということが一番大きな課題だと考えております。その上で、経済が成長軌道に乗ったら、今までの不公平な税制を正して、担税能力のある方、あるいは担税能力のある企業から応分の負担をしていただくということが大事だというふうに考えております。

 そうしたことを前提として、以下、質問をさせていただきます。

 まず、地方交付税の総額確保について大臣にお伺いをいたします。

 国税が大きく減少する中で、地方交付税の総額を確保するのは相当難しい話だと考えておりますが、大臣は法定率の見直しなども考えたいと発言をされておりますが、今後どのようにして総額を確保されようとしているのか、お伺いをいたします。

原口国務大臣 福田委員にお答えいたします。

 一・一兆円、これの増額についても大変なお力をいただいて、ありがとうございます。

 地域をしっかり支える、このためには国税五税の法定率を上げるだけではなくて、今回、実質的に、地方交付税は過去最高の約二十四・六兆円を確保したところでございます。しかし、これはまだ中途です。今委員がおっしゃるように、成長力、経済を成長させなきゃいけない。

 きょう私は閣議で完全失業率についても発表いたしましたけれども、初めて四・九、これは明るい数字です。しかし、これでもって安心するわけにはいきません。今おっしゃるように、デフレの脱却と経済対策。これから、私たちがこの間成立させていただいた第二次補正予算が地方に、国民に届き始めます。そして、この平成二十二年度の予算案もしっかりと御審議をいただいておりますが、これも成立をして届くことが大事だというふうに考えております。

 一方で、緑の分権改革、ICT維新ビジョンというものを出させていただきました。経済成長の基礎はやはり教育です。そして、ICTによる基盤によって生産性を上げていく、このことだと思います。そして委員の御持論でありますけれども、やはり富が偏在しています。より働く人たちに、より成長分野に、そういう再配分というものが大事だ、私はそのように考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。ぜひ大臣には頑張っていただきたいと思っています。

 私は、特にこの交付税の総額を確保する上では、交付税の原資となっている国税五税のうち、特に所得税と法人の負担の見直しをして財源を確保していく必要がある、そのように考えております。時間の関係で、ここは質問じゃなくて意見だけを述べておきたいと思います。

 次に、不公平な税制、アメリカで始まりましたレーガン税制でありますけれども、その税制について原口大臣と峰崎財務副大臣に御質問をいたします。

 資料をごらんいただきたいと思います。この資料は、不公平な税制をただす会・財源試算研究会が試算した数字でございます。

 まず平成十九年度分でありますが、国と地方を合わせて、不公平な税制を正すと、何と二十一兆八千億も税金が入るというんですね。平成二十年度でありますが、二十一兆円税金が入る。一番最後のページでございますが、平成二十一年度でございますが、不公平な税制を正すと、何と国と地方を合わせて十九兆八千億円もの税金が入る、実はこういう試算をいたしております。

 これによると、不公平税制、つまり、小さな政府を目指して大企業と高額所得者への税負担を軽減し過ぎた、やり過ぎたということなんですね。これを是正すると、国、地方合わせて二十兆円の税財源が確保できるという試算をしているんですね。

 私も、実は、頑張る人が報われる社会は原則大賛成であります。しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしという教えも実はあるんです。したがって、まず景気をよくしたら、消費税を云々する前に、少なくとも私はこの半分、二分の一、国、地方合わせて十兆円の税財源を確保できるような税制改正をやはりすべきだと思うんですね。十兆円というお金は消費税にすると四%分です。これだけの税源をしっかりと、まず、消費税を議論する前に。

 なぜかと申し上げますと、消費税を上げると景気は確実に悪くなります。そういったことを考えると、こうした税金を負担する能力のある高額所得者や大企業からそれなりの負担をしていただくというのが、より公平、公正な税制だと思っておりまして、こうしたことに対して、原口大臣と峰崎副大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 これは税調でも、今福田委員の御視点で議論をしました。特に、今年度の予算の中に反映しているものは、租特、租税特別措置法がございます。その租特のPTをつくって、これは隠れた補助金とも言われるようなものでございまして、不公平な税制を是正してきたところでございます。

 また、個人住民税については、地域社会の会費という応益的な性格もございますので、地域間の税源の偏在の縮小に資するという観点から、平成十八年度改正における所得税から個人住民税への税源移譲に伴い、一〇%、これはフラットにしたわけです。

 税はできるだけフラットであればあるほど、わかりやすければわかりやすいほどいいですけれども、しかし、おっしゃるように、累進性というところで問題を抱えているものも幾つもありますので、引き続き税調で議論を重ねていきたい。

 大事な御視点だというふうに考えております。

峰崎副大臣 いつも貴重な御提言をいただいておりまして、ありがとうございます。

 今原口大臣からお答えをいただいたわけでございますが、それに、私自身の立場からすると、特に八〇年代の半ばぐらいから、やはり相当、レーガンやサッチャーや日本でいえば中曽根、そういう流れが明らかにこの税制改正の中に私は流れていると思います。その意味で、よく言われる、トリクルダウン効果と言われますが、これが本当に機能したのかということを含めて、私はやはり再検討しなきゃいけないというふうに思っております。

 その意味で、御指摘なさった点は、今、税制調査会の専門家委員会で、まず八〇年代のそういう世界的な、ある意味では税の思想が変わってきていますから、それは一体私たちの国民生活にどういう影響を与えたのか、どういう問題があったのか、こういうことをしっかりと論点を整理していただこうと。今ございましたように、累進性が非常に緩和されているとかさまざまな問題がありますので、これらの点についてもよく検討していきたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 そこで、ぜひ、時間もなくなりましたのでお願いしておきたいと思っているんですが、ここに「消費税によらない豊かな国ニッポンへの道」という、先ほど申し上げました不公平な税制をただす会の事務局長が書いた本でございます。こうした事務局長とか、それから専修大学の町田教授もやはり同じような考え方をいたしております。ぜひとも、こうした先生方にも税調の専門委員会に加わっていただいて、やはり、より公平公正な税制をして、国としても税財源もちゃんと確保していくということをぜひ検討していただきたいと思っています。

 それから、何といっても一番大切なことは、テレビやマスコミが、新たな税財源は消費税を増税するしかないと言っているようでありますが、こうしたことは全くないんだということをぜひ政府税調として認めて、大いにPRをしていただければというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 三十分の時間の中で質問させていただきたいと思うわけでございますが、まず、地方税法の質問に入る前に、先般の予算委員会で、民主党政権が掲げております人件費の二割カットの実施について、これを本当に四年間でやるということの中で、定数の削減はもちろんですが、給与の引き下げ、このどちらか、あるいは組み合わせでやっていかざるを得ないと思うわけであります。

 国家公務員は三十三万人おりますけれども、六割強の二十一万人は地方の出先機関で働いているわけでありまして、これの身分を国家公務員から地方公務員にただ変換するだけでは本当の改革にはならないし、民主党はその改革によって一・一兆円ぐらいの財源を生み出したいということで数字まで入れているわけですから、これから検討する、するという話だけじゃなくて、やはりしっかりと大臣としての方針を示していただきたい。

 特に、この間の総理の御発言で看過できないのは、国から地方への移管というものを進めて、その財源、つまり人件費の財源ですね、これを全部国が支払っているのであれば何の改革にもならない、しっかりとした仕組みをつくり、当然のことながら、国が全部保障するという話はあり得ないと総理は明言されているんですよね。地方にとってみれば、人件費の財源移管もないままに出先機関だけ受け入れてくれと言われたって、そうですねという話には当然ならないわけでありまして、大臣としての御所見をまず冒頭伺っておきたいと存じます。

原口国務大臣 秋葉委員にお答えいたします。

 まさに、この四年間で総人件費を二割削減する、そのためには幾つかの思い切った変革が必要です。三つぐらいあると思います。一つはICT化して電子政府化する。仕事そのものを仕分けていく。もう一つは、今委員がおっしゃる地方への移管。

 総理がお話をしたのは、単に数だけそこに移しただけでは改革になりませんね、お金をつけて移しただけでは改革にならない。仕事そのものも仕分けなきゃいけないし、国と地方で、例えば地方支分部局の例をとりますと、そこで重複しているものもある。重複しているものをそのまま地方に移管したら、それは地方にとっては過重な人員を抱えることになりますので、そんなことはしない。

 多分、委員は、中央が抱えているものを地方に財源もなしに押しつけちゃいかぬということをおっしゃりたいと思いますが、私は全くそのとおりだというふうに思っています。ただただ自分たちのところが厳しいから、中央政府が厳しいから、支分部局はお金も上げませんけれども受け取ってくださいということでは、それは地方に赤字をつけかえただけだ、このことを総理はおっしゃりたかったというふうに考えております。

秋葉委員 端的に伺います。結論として、国の出先機関を統廃合して見直す際に、その人件費を地方側に押しつけるということはないんですね。そこは確認しておきたい。

原口国務大臣 それはありません。

秋葉委員 明言をいただきましたので、この四年間の成果を楽しみにしたいと思いますし、我々もいろいろなプラン、アイデアがありますので、具体に提言をさせていただく中で改革できればいいと思っております。

 さて、これは民主党政権になっても、やはり地方への財源の手当ては本当に厳しい状況にあるなと。交付税もいろいろ増額措置はされておりますけれども、臨時財政対策債も、この委員会の議論でもずっとございますように、積み上げで、二十兆円がもう二十四・六兆円にもなってまいりました。対前年比でのプラス幅も一七・三%ということで、二〇〇一年から特会をやめてこの制度を導入してきたわけですが、伸び率では一番高いわけですね。そしてまた、発行額も過去最大になっているわけです。

 国の財政スキームもそうです。我々も与党のときに財政再建プログラムで、二〇一一年にプライマリーバランスを達成するんだという目標でずっとやってまいりました。私は、この地方の税源確保の問題も、法人二税が落ち込んでいる中で、基本的には税制の抜本改革をして、安定財源を確保できるような道筋をつけていかなきゃいけない。たまたま総務大臣は、今、政府税調の中で代行だったですか、副会長というかナンバーツーのいわば役どころにいるわけですから、大臣のお話を聞いていても、地方消費税を含む偏在性の少ない財源でやっていくんだと明言をしているわけですから、この四年間の中で、そうした地方税制の抜本改革を目指してぜひ努力していただきたい、こう思うわけです。

 その一方で、これはだれが大臣に就任しても、地方で穴があいている部分を手当てせざるを得ないわけですけれども、その一方で、やはり青天井になってもだめだと私は思うんですね。ですから、これから、例えば臨時財政対策債なんかの発行のスキームというんですか一つの指針というのを、こういう考え方で、こういう配慮でやっていこうと、青天井にならないような工夫というのをしっかり考えていくべきだと思うんですが、その辺は、大臣として担当者にどういう指示を出しているんですか。

原口国務大臣 秋葉委員とは同じ松下政経塾で学びましたので、政経塾で学んだことをそのまま言っています。

 一つは、人を生かしてください。それから臨財債については、ことし確かに過去最大ですけれども、地方の努力と今回乗った部分とがちゃんとわかるようにしてください。つまり、借金の見える化ですね。

 二つ目の指示は何かというと、この臨財債を使うところと、交付税のいわゆる生のお金を使うところを分けてください。つまり、臨財債で措置できるところは、一部には大変申しわけないけれども、比較的財政の余力のある都道府県を中心に、それから交付税は、まさにより小さい、あるいはより財政力の弱いところを中心に、そういう配分の仕方をしてください。

 いずれにせよ、この間、税収の弾性値を一・一、それから経済成長率一・七五、三・五という、財政の中長期の後年度負担試算というお話をしましたけれども、秋葉委員、やはり税の基本は成長なんですよ、暮らしなんです。民のかまどから煙が上がっていないで税が上がるなんということは絶対ない。だから、私たちは国民を温め、将来、国家百年の計を示して、そしてビジョンを数値化しなさいと今言っています。

 この十年で何をやるのか、この五年で何をやるのか、そのためにどのような戦略が必要か、このことが一番大事だと思いますので、ぜひ同志として御協力をお願いします。

秋葉委員 とにかく大事なのは、何とか地財計画にこたえて、対応して、交付税もふやしたといって胸を張ってみても、現状の本質は、いわば借金の先食いをしてやりくりをしているということがあるわけです。このことが一般の方には見えにくくなっているわけですから、そうした借金の体制というものを常に意識しながら、やはり青天井にならない一つのスキームを何かしら今後示していく中で、事務方で調整させていかないと、結局、不足額分だけはとにかく目いっぱい対応していくというその場しのぎになってきて、またこれがどんどん累積をして、地方においても大変な負担になってくるわけでございますので、今後の検討の中でしっかりとしたスキームを示していただきたいと、お願いを申し上げておきたいと思います。

 それから、個人住民税の扶養控除廃止の問題について次に伺いたいと思います。

 残念ながら、マニフェストに掲げた公約がすぐ達成できるものではもちろんないとは思いますが、民主党政権になって国民もいろいろ期待はしたんだと思うんですが、やはり非常に公約違反が目立っていることは事実だと思うんですね。天下りの問題もそうですし、ガソリンの暫定税率の継続の問題もそうです。

 個人住民税の扶養控除廃止の問題も、マニフェストには一切出ていない話なんですよね。いわゆる所得税の扶養控除廃止というのはマニフェストの中に掲げられておりますけれども、個人住民税にまで、明記されてないのに、なぜ今回これをそもそも廃止することになったのか。これは、特定扶養控除の上乗せ部分とあわせて廃止になっているわけですけれども、マニフェストに書いてないことをなぜやるようになったのか、明確に伺っておきたいと思います。

原口国務大臣 秋葉委員もよく御存じのとおり、マニフェスト選挙、これは四年間で達成するもので、私たちは公約違反を続けているという認識は持っていません。

 その上で、今、所得税の扶養控除については子ども手当の創設と相まって廃止する、これはマニフェストに書いています。

 では、個人住民税の扶養控除についてはどうするのか。所得税と税体系上の整合性、これは地方団体からも相当いろいろな要望が来ました。そして、今委員がおっしゃっているように、財政赤字を発散させちゃいけない。ボンドマーケットというのは何も中央政府の国債のマーケットだけじゃないんですね、地方債のマーケットもある。そういったことを踏まえて、地方団体の税源充実の観点及び国民に与える影響、きのうも申し上げましたけれども、連立三党の中で、私たちがマニフェストでこの控除は廃止した方がいいと考えていたものについては、一部できなかった、民主党の立場でですよ。では、それに引きかえ、影響が比較的少ないものは何なのかということで政府税調において総合的に判断した結果、廃止するということになったものでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

秋葉委員 残念ながら、その大臣の説明ではやはりすとんと腑に落ちないわけですね。よほど税財源を確保するのが難しかったんだろうと言わざるを得ない。

 大臣も御存じのとおり、平成十九年の税制改革で、所得税から個人住民税への税源移譲、三兆円やっているわけですよね。あのときに、地方税財源の独自分をふやそうということで、地方の取り分をふやす改革をやっているわけですね。ですから、そもそも、ぽんと個人住民税は地方税としてはふえたわけですね。それで、もちろん控除分をなくせばさらに手取り分がふえるということにはなるわけですけれども、三兆円も既に我々は改革をしてきているわけです。

 特に私が問題だと思うのは、二十四年度からの実施にはなるんでしょうけれども、示されている税収の見込みが、都道府県税、市町村税合わせて、一般扶養控除の分で四千億円ちょっとになっているわけですね。これはある意味では子ども手当に相殺されるみたいなところがありますから、百歩譲っても、これはそういう相殺分で見ることができるという言い逃れはできると思うんですが、特定扶養控除の見直しについては、これはもう本当に不公平感が出てくる問題ですよね。つまり、特定扶養控除の対象になるのは十六歳以上十九歳未満ですから、全く子ども手当は支給されない。そして控除もされなくなる。つまり負担がふえるわけですね。こういう不平等の問題というのは税調でどんな議論になったんですか。

 しかも、税収を見たって三百九十二億円しかないわけですよ。もちろん大金ですけれども、そういう大きな、子ども手当に回したり、大きな税財源になるというほどの規模にはなっていないわけです。ですから、そこの不公平感というのを説明し切っていないと思うんですね。どう考えていますか。

小川大臣政務官 少し技術的な点が伴いますので、お答え申し上げたいと思います。

 特定扶養控除につきましては、これは直接関連づけるものではございませんが、やはり高等学校の無償化に向けた取り組みとの兼ね合いで、税制調査会の中では議論をいたしてまいりました。

原口国務大臣 今、これは特定扶養控除を全部なくしたわけじゃないですよね。十九歳から二十二歳、四十五万円、これは残っている。今回廃止したのは、特定扶養控除三十三万円は残っているんだけれども、いわゆる上乗せの十二万円分を倒しているわけですね。

 つまり、ここについては高校の無償化が入りますねと。そのとき、秋葉委員、私たちは秋葉委員と同じ議論をしたんですよ。では、高校に行かせていない人たちはどうなるんですか、そのパーセントはどれぐらいだ、そこにどのような手当てをするんだということも議論しながらこの決断をしているということも御理解ください。

秋葉委員 いずれにいたしましても、平成十九年の税源移譲の改革というのは非常に重いわけで、この部分に関しては、相当自主財源として措置しているということはやはり銘記していただいて、そして、より所得の弱い人たちには配慮するようなことが大事だと思うんですね。

 民主党政権になって、いろいろなことの中で選択と集中が大事だということをよく言うんだけれども、選択と集中が本当に必要なのは給付面ですね。歳出面における選択と集中ということをしっかり見きわめていかないと、私はやはり悪平等みたいになっちゃうんだろうと。必要な人も、必要でない人も均等に手当てするという考え方が本当にいいのかどうか。これは税制全体の議論ともつながってまいりますけれども、しっかりとその辺も踏まえて今後対応していただきたいことを申し上げておきたいと思います。

 それから、本当はもっと細かいことで伺いたいことがありますけれども、時間がございませんので、次の質問に参りたいと思います。

 自動車関連の暫定税率の廃止の問題も、何人かの委員から議論がもう既に出ておりますけれども、これも明確なマニフェスト違反、公約違反になるわけでありますね。民主党の皆さんは、あれだけガソリン値下げ隊とかと、のぼりを立てて、何か選挙のときのように自転車も仕立てて街頭演説されていた姿を思い出すわけでございます。国民はこれを大分支持して、票を入れたという人も多いと思うんですが、あっさり実力者のツルの一声で継続になったわけでありますが、当分の間続けるということで各委員が質問して、それにいろいろ大臣も答弁なさっていますが、いまいちすとんと理解できないものですから、当分の間というのはいつまで続けるつもりなのか、改めてお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 これは、秋葉委員、まだ判断するのは早いですよ。確かに総理が謝罪をし、私たちもガソリンの税のところを下げたい、そういう思いでしたけれども、一方で、やはりこの部分については地方に大きな穴があく、そして先ほどおっしゃったように、地方財政は厳しいということでございます。

 それで、当分の間というのは、この間それこそ大野委員にお答えをしましたけれども、当分の間税というような言葉を使ってもいいような間で、私自身が考えているのは、環境対策はほとんど地方がやっているわけです。地方が独自にやる環境対策について、グッド減税、バッド課税という観点からしかるべきところを、また新たな税の議論の中から捻出することができないか。地方環境税ということができないか。例えばEU基準だと、今の税率よりも大体五パーぐらい下がるんですかね。それぐらいのところで、地方環境税ということで来年度に向けて議論をできないか、こう考えているところでございます。

秋葉委員 結論からいうと、それは国にとっても地方にとってもやはり切れない税財源だった、こういうことじゃないかと私は思うんですよ、実質的には。

 私はこれは党内でずっと、大体三年から五年ぐらいで延長を繰り返してきたのは事実ですけれども、今回十年にした理由というのはいろいろあって、結局、道路整備計画に合わせるという考えも一つあったし、やはり一番大きかったのは、そもそも本則に入れちゃうという議論もしたんですよね。本則に入れてしまう。

 なぜそういう議論が出たかというと、揮発油税にしても軽油税にしても、日本は、実は諸外国、OECDの国と比べても高くないんですよね、むしろ低負担だ。やはり国際スタンダードまで負担してもらってもいいんじゃないか。ただし、その使い道は、特定財源じゃなくて一般財源化してやろう、こういう議論でおさまったところのいきさつがあるんです、当時、党内のいろいろな議論の中で。

 これを廃止できなかったのは事実だし、これは多分、当分続くというか続かざるを得ないんですね。ですから、私は、ここでしっかりその必要性を国民に訴えて、本則に戻すことも考えていくべきじゃないかと思いますけれども、どう思いますか、大臣。

原口国務大臣 それこそ私たちは、直轄事業負担金を廃止して、暫定税率の分を下げようということを言ってきたわけです。今回、いわゆるぼったくりバーだと言われている直轄事業負担金については事務部分を廃止することができました。全体までは廃止に行っていない。

 秋葉委員がおっしゃる議論も、私は一つの議論だと思います。そういったものを正直に国民の皆さんにお示しをさせていただいて、あるいは地方の意見も国、地方協議の場で取り入れながら、どれが適正な税率であるかということをしっかりと説明していく。逃げない姿勢こそ大事だと思います。

 ただ、増税が責任ある立場かというと、私はそう思っていません。私の師匠さんの、あなたもそうですけれども、松下幸之助さんは無税国家論ということを言っていたわけです。先ほど福田先生がお話しになったように、ダム式経営をやっていけば将来は無税国家になるんじゃないかと。(秋葉委員「結構です」と呼ぶ)いや、これは大事なところなんです。増税こそすべてだという考え方からは距離をとっておきたいと私は思っています。

秋葉委員 もちろん、松下幸之助さんは、国民から税金を取るのが当たり前だと思っている政治家は失格だと、厳しいことを我々御指導いただいたわけでございますから、そういう意識を持つのはもちろん大事なんですが、ただ、現実に困るのは地方であり、財源なければ政策なしという現状があるわけですからね。

 ですから、意外と、これを引き上げるときにもなかなか国民の皆さんに御理解いただけなかったのは、先ほども申し上げましたとおり、揮発油税も軽油税も、租税負担率は実は日本は高くないんだ。大臣、認識として、例えば軽油税だとか揮発油税だとか、OECDの中で順位は何位ぐらいか御存じですか。

原口国務大臣 そのとき議論しました。今いきなりの御質問ですから、後で調べてお答えしますが、下の方でしたね。逆に言うと、今回エコカー減税とかなんとかをやっていますから、その分でいうと暫定税の部分はもう下がっている、そういう認識をしています。

秋葉委員 今御答弁いただいたように、OECDの諸国で見ても、例えばガソリン税で見ても、一リットル当たりの税負担割合が大体半分で、OECDの二十九カ国中二十三位なんですね、税負担率は。非常に低いということなんです。軽油税で見ても、日本はリッター当たり三十二・一円なんですね。一番高いのがイギリスで、リッター当たり百十四円ぐらい負担している、フランスもリッター当たり六十七・三円、ドイツも七十四・三円ということで、日本は、そういう意味では租税負担率はむしろ低く抑えてきているわけです。

 ですから、そういう意味で、暫定の部分というのを暫定として上乗せするのではなくて、本則として考えていくというようなこともやっていかないと、代替措置ができればいいですけれども、長く安定的な財源として確保していかざるを得ないんだろうと私は思っておりますので、ぜひ、当分の間税ということで逃げるんじゃなくて、今後どうするのか、はっきりしていっていただきたいなと思います。

 それから、たばこ税の引き上げについても同じなんですね。これもマニフェストに書かれていたわけじゃないんですね。やはり幾ら事業仕分けをしても、結果的に、税源確保が難しくて、取りやすいところから取ろうというような結果のあらわれじゃないかなと私は思うんですね。

 特に、御案内のとおり、たばこ税も過去十年間の間に三回引き上げられてきて、何か税源確保できないかとなると、たばこがいつもやり玉に上げられてきた歴史があるわけですけれども、平成十年、十五年、十八年と上げてきたんですが、いずれも八十二銭ぐらいの、一円に満たない小幅な上げ幅でその影響を抑えてきたわけですね。きのう、厚労省副大臣の長浜さんの、上げ幅が足りないという答弁を聞いていて私は驚いたんですよ、三・五円も上げていて、むしろ、もっと大きな上げ幅を考えていたんだみたいな発言がありまして。今までの経過から考えても、きのう大野先生の議論にもありましたが、党内でもいつも大変な議論になるテーマでございまして、健康との因果関係あるいは喫煙者の増加の因果関係は、いろいろな論文があって、なかなかこれだという決め手がない部分もありますけれども。

 いずれにしても、やはり取りやすいところから取る、そして三・五円も一気に引き上げるというのは、私はかなり拙速なやり方ではなかったかなというふうに思うんですが、改めて大臣の認識を伺っておきたいと存じます。

原口国務大臣 その前に、秋葉委員、私は、逃げるとかとりあえずという言葉は大嫌いなので、逃げる気は全くないです。今回の税調でも真正面からこれを議論しました。

 それから、たばこ税については、税を確保する側からすると、今秋葉委員がおっしゃったとおり、一円を超えない範囲で上げていった方が、それこそぬるま湯にカエルを入れると、熱くなるまで時間があるので、たばこを吸う方をカエルに例える気は全くないんですけれども、要するに痛税感が、ぬるま湯の中のカエルと同じように痛みを感じないので、たばこをやめる、あるいは本数を減らすというところになかなか通じない。逆に言うと、税率を上げた分だけ、その分が地方や中央政府の税収になる。税を確保する側からはこれがいいんですよ。(秋葉委員「消費が減るかもしれない」と呼ぶ)やめないから減らないんです。

 それからすると、きのう長浜副大臣は、うちの小川政務官と財務省の何とか政務官が鬼のように見えたみたいな話をしていましたけれども、厚労省は、今回の税をたばこの消費そのものの抑制に重点を置いたんですね。やはり健康についても、あるいは副流煙といって、隣で煙を吸う方々にも、あるいは子供たちにも影響があるだろうということでこの結果になった。大激論の結果こうなったので、秋葉委員はたばこを吸われますか。(秋葉委員「いいえ」と呼ぶ)吸われない方は往々にして、もっと上げろ、吸う方は、いや、これはおかしいじゃないか、本当に大激論の中でこうなったということも申し上げておきたいと思います。

秋葉委員 これは、本当にいろいろな影響をトータルに換算すれば、さっきの議論でも消費税を上げれば景気は必ず落ち込むというのと同じで、いろいろな、農家に与える影響とか、そして意外とたばこの問題で皆さんに知られていないのは、既に、日本のたばこの税負担分の割合というのは今回の改正で恐らく六五%ぐらいになるんじゃないかと思いますが、六割が今でも税金なんですよ、六割が。

 アメリカは、たばこの中に占める税負担の割合が二割もないぐらい。アメリカが突出して安いのであって、ヨーロッパの例えばイギリスやドイツやフランスを見ても、これは比率、パーセンテージを計算していませんけれども、大体七割ぐらいで、日本の六割ぐらいが、これで六割以上の負担になるわけですから、実は、たばこの販売価格に占める税の割合というのはかなり高いんです。(発言する者あり)ですから、たばこの価格に占める税金の割合が、日本は既に六五%なんだということなんですよ。そして、欧米においても七割ぐらいが税金だということなんですね。

 ですから、これ以上、たばこにばかりねらい撃ちのように重税感を押しつけることはなかなか難しいということを申し上げておきたいと思います。ですから、安易なところから取ってはいけないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 質疑時間も参りましたので、最後に、国と地方の協議の場を法制化するという、ちょっと法案からは離れますけれども、これを伺って終わりにしたいと思うんです。

 恐らく、予算が上がれば自治法の改正なんかの議論にも入っていくんだと思うんですけれども、国と地方の協議の場の法制化について、これはもともと前政権で決めていたことですから、早期にやっていただくのはいいんですけれども、同時に、地方議会から上がってくる意見書や決議の数も相当になっているんですけれども、これも結局、レスポンス義務がないんですね。

 ですから、このレスポンス義務もあわせて、国と地方の協議の場をつくるときの立法の中で検討していただくか、自治法をやるときに見直すかをやっていただかないと、協議の場だけでは、それはあくまでも行政部局の長としての協議の場でしょうから、議会の方もしっかりと、出しっ放しで終わることのないように、一定期間が来ればレスポンスがあるような、同時に議会側の充実、議会側の改革ということもあわせてやってみて、初めて国と地方の協議の場ということが成立するんじゃないかと思うんですね。

 ですから、そういった地方議会からの意見書や決議に対するレスポンスをどうしていくのか、そういう問題について大臣のお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 これは地方政府基本法という、今、自治法の改正とお話しになりましたけれども、そこでも、さまざまな意見書や、あるいはこれまで以上に地方議会の役割というのは高くなってくると思います。地方議会が議決されたこと、あるいは意見書をまとめられたことに中央政府がどうレスポンスするか、これはとても大事なことです。

 あした地域主権戦略会議を開く予定でございますので、またその中でも議論をしていきたいと思いますし、今の委員の問題意識に沿った改正をどこでやるか。協議ですけれども、地方六団体、特に議長会ともお話をしていきたい、こう考えています。

秋葉委員 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 谷公一でございます。

 きのうに引き続いて質疑をさせていただきたいと思います。

 質疑の前に、先ほど秋葉委員の扶養控除の問題がありました。住民税の扶養控除の廃止、子ども手当の創設に伴って、今度配偶者控除を見直すということであります。

 私も本会議で指摘させていただきましたが、この問題は、原口大臣が本会議での私への答弁でお話をしていました。次のように原口大臣は本会議で答弁されました。「個人住民税の扶養控除については、所得税との税体系の整合性や地方団体の税源充実の観点及び国民に与える影響も踏まえて、」「総合的に判断した結果、廃止することとした」ということでありますけれども、我々が問題にしているのは、選挙前に、住民税はしませんよ、所得税だけですよと、民主党の時の役員室長は、今の平野官房長官ですが、我々の幹事長にまで文書で抗議されている。そういうデマを言わないでくれ、いいかげんなことを言わないでくれ、我々は住民税は廃止しないんだと明言している、そう選挙前に言っていたことを、ころっと変える。そういうことについて強い怒りといいますか、そういう思いだということをまず指摘させていただきたいと思います。一貫していないということを我々は問題にしているということです。それが指摘でございます。答弁は結構でございます。

 交付税法の改正に絡んで、まず一つ、一括交付金のことについてお尋ねしたいと思います。

 現政権は、国からさまざまな補助金とか負担金とか交付金があるのを、使い勝手がいいように一括交付金を二十三年度を目指して今検討を進めているということでございますが、実は、平成二十二年度でも、大臣御存じのように、国土交通省では社会資本整備総合交付金二兆二千億、農林水産省では農山漁村地域整備交付金一千五百億が創設されました。これら二つの交付金は、政権が目指す、大臣が考える一括交付金の、いわば先駆けといいますか、モデルですか、お尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 御案内のとおり、平成二十二年度は、国交省、農水省において、地方にとって自由度の高い交付金が創設されることになっております。一方、ひもつき補助金の一括交付金化については平成二十三年度から段階的実施ということで、私はこれが一括交付金のモデルだとまでは言い切ることはできないと思っているんです。

 それは、他に国、地方協議の場で一括交付金のあり方についても話をしていきますが、確実に、大きな方向性としては、地方の自由度を拡大するというところでは大きな一歩である、このように考えております。

谷委員 地方の自由度を拡大する大きな一歩だ、今回の交付金がそういうような制度設計になるようにぜひ大臣の方からも強く指摘し、それに向けて実現をしていただきたいと思います。

 ただ、これは、大臣、大変な懸念があるんですよ。地方財政についてある程度御存じの全国の地方自治関係者、市町村長、あるいは都道府県知事は、この交付金をこういうやり方でされるということであれば、結局は国からの支出は減るだけじゃないか、そういう懸念を持っているということです。

 例えば、具体的に言ってみましょう、国土交通省の社会資本整備総合交付金二兆二千億、これが二十二年度予算です。この交付金に見合う二十一年度の予算は幾らか、大臣、御存じですか。恐らく御存じないと思います。私も国土交通省に照会して、すぐには出ないと言われました。それを独自に調べました。私の調査したところでは、交付金となった補助金は二十一年度が幾らになっているのか、二兆八千五百七十三億です。二兆八千五百億が二兆二千億に縮減されているんです。要は自由度を高めるという美名のもとに、結局国からの支出を抑えている。率でいいますと七七・〇%です。こういうことを地方団体の方は懸念しているんです。

 一括交付金というのは、何か使い勝手がいい、何年か後に地方のためにやってくれるというふうに思っておられる方もいますけれども、物のわかっている方はそんなに甘くないよと。国の財政が、一括交付金という名で結局は今の補助金、負担金をぐっと圧縮して、額は少なくなったけれども自由度が高まったじゃないか、自由に使えるからあんたらはいいじゃないか、こういうことになりはしないかということです。

 もう一度繰り返します。私の調べた二十一年度の国土交通省の社会資本整備交付金二兆二千億に見合う前年の数字は、二兆八千五百七十三億、七七・〇%。これについて、大臣、いかがお考えですか。

原口国務大臣 これはさまざまな公共事業全体を見直しておりますので、ちょっと私もその数字を手元に持っておりませんが、今の委員の御指摘、問題意識は大事だと思っています。

 一括交付金にすれば自由をふやすんだから額は減ってもいいだろうというようなことになると、それは逆に言うと、地域からすると、必要な社会資本整備もできなくなりますから、慎重に考えなきゃいけないと思っています。

 ただ、この間もこの委員会で答弁させていただきましたが、自治体によっては、自分のところはそれでも受け入れる、それよりももっと自由をくれというところもありますので、国、地方協議の場でも、今の委員の御指摘を踏まえながら、私は、一括交付金になろうが何にしようが、地方の予算は今減らす時期では全然ないと思っているんです、これまでずっと減ってきましたから。そういう観点でしっかりと制度設計をしていきたいと思っています。

谷委員 今大臣がおっしゃるように、額が少しぐらい減ってもいいや、自由度が高まる方が大事だという自治体もあると思います。それは端的に言って裕福な自治体です。ただ、私から言わせれば、そういう自治体はほっておいても大丈夫なんですよ。

 多くの自治体は、毎年度毎年度、財政運営で大変苦労して、税収の確保に苦労して、今後、どうしてこの市、町、あるいは県の経営をしていこうかということに四苦八苦しているんです。そういう自治体にとってみれば、交付金は便利で使い勝手がよくなるからというて、今までいろいろな名目でもらっていた一〇〇の金を七七ぐらいにされて満足するとは思えません。そういう姿勢がいいと私は思いません。

 大事なことは、中央政府は財政的に力の弱いところにしっかり目配りしていくことだと思いますので、ぜひ、大臣に再度お願いします、まずこの事実をしっかりと確認してください、国土交通省なり農林水産省に。なぜこうなったのか。これが今後の一括交付金のあり方をモデル的に示したということであれば、我々は大変問題視して、一括交付金について絶対認められないというあれを貫きますし、その辺についてしっかりお願いしたいと思います。これは調べていないんですよ、政府においてもしっかり調べていない。だからこそお願いするんです。

原口国務大臣 正直、私たちは、ひもつき補助金を廃止して、それを地方が自由に使える交付金化しました、そういう認識を持っています。

 今委員の御指摘は、今ある交付金が実際に七七パーぐらいで……(谷委員「いや、補助金なりいろいろ名目はありますよ、それが交付金になっている」と呼ぶ)つまり、交付金自体が減ったというんじゃなくて、私が言おうとしていた、ひもつき補助金をなくして、それが交付金化するときに約二割強減っているという状況について今御指摘をいただいたと。このことについては実態を調査してみます、私たちの一括交付金化するときのさまざまな議論。

 ただ一方で、委員も御理解いただけると思いますけれども、今は非常に都市間競争になっています、都市自体が大きな力を持たなきゃいけない。そういう中で、自由をくれ、減ってもいいからくれというところにも配慮をしたいんですけれども、それが地方に行くお金を減らす口実にされちゃいかぬと思いますので、しっかり調べたいと思います。

谷委員 先ほど秋葉委員から国と地方の協議の場の話がありました。設置法案は今週金曜日に閣議決定されるんですかね、何か新聞報道によればそのように出ておりましたけれども。国と地方の協議の場、地方自治体の意見を国が十分吸い上げて、地方にかかわりあるさまざまな施策について協議しながら進めていくという姿勢については全く異議はございません。

 問題は、これがどういうふうに現実に働くかということかと思うんです。きのうも私は長浜厚生労働副大臣に厳しく言いましたけれども、現実にはまだまだ国が押しつけ、一方的といったものが多々あります。国と地方の協議の場というのは、法案は五日というふうに新聞に出ていますけれども、地方団体の方は拒否権があるんですか。

原口国務大臣 これはまさに協議の場で話をしますけれども、いきなり地方団体が拒否権を持つということはまさに憲法にもかかわることでございまして、また、国会がお持ちの国権の最高機関としてのお立場についてもやはりしっかりと議論をしていかなきゃいかぬというふうに思っております。

 国、地方協議の場、ちょっと閣議決定がいつかは私はまだ承知をしておりません。(谷委員「新聞に」と呼ぶ)新聞が書けばそうなるかどうかはわかりませんが、いずれにせよ、これは国、地方と協議しながら、原口プランというか工程表もまとめました、その中でしっかりと意見を踏まえながらやっていけるように頑張っていきたいと思います。

谷委員 それでは大臣に、総務大臣か地域主権担当大臣かどちらの立場かよくわかりませんが、今の大臣の立場で、幾つかの項目について、これは国と地方の協議の場で行うべきことなのかどうかということをお答えいただきたいと思います。

 一つは交付税。交付税をどう決めるかというのをこの場でいろいろ意見を交わすかどうか。二つ目、消費税、これも交わすかどうか。三つ目、子ども手当の満額支給、これもこの協議の場で議題とされるのか。四つ目、一括交付金についてどうか。五つ目、地方機関の廃止。

 もう一度繰り返します。

 一つは、交付税です。交付税がどれだけ決まるかというのは全国の多くの地方自治体にとって大変な関心事です。この交付税について国と地方の協議の場で議論をするのか。

 二つ目、消費税です。消費税についてされるのかどうか。

 三つ目、子ども手当の満額支給。満額支給はいかがなものかなという自治体の長の声も少なからずありますけれども、子ども手当の満額支給について協議をされるのか。

 四つ目、今の一括交付金。一括交付金の仕組みづくりのときに協議にかけるのかどうか。

 五つ目、地方支分部局の廃止。先ほど秋葉委員も、もし国から地方へということであれば大変な数の職員が国家公務員から地方公務員になりますけれども、それも協議されるのか。

 まだしっかり固まっていないと思うんですけれども、大臣としての考えをお尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるように、現時点では具体的な協議事項を決定しておるわけではございません。協議事項の設定については、今後、地方側の意見を踏まえ、政府内でも調整の上、適切に対応する、これが紙に書かれた回答です。

 その上で、私なりに今の五項目の中で、なじむかどうか、間違いなくやるのは子ども手当、これはやらなきゃいけません。これは四大臣会合で、国、地方協議の場、あるいは地域主権戦略会議ということが出ています。それから、一括交付金、地方支分部局、これも地方にかかわることでございます。交付税、これも地方独自の財源でございます。

 問題は消費税ですね。消費税、地方消費税については、これは議論はあると思いますが、やはり税全体については一義的に国会で御議論をいただく、そして政府が基本的な考え方を示す。地方税については、もちろん国、地方協議の場という形になるのではないか。

 これは、あくまで現時点での私の考え方で、これがそのとおりになるかどうかというのは担保できるものではありません。

谷委員 ぜひ幅広く激しい議論をしていただきたいと思います。激しい議論で、何度も決裂というようなことが必要だと思います。きのう厚生労働副大臣に私は厳しく問いただしましたが、本当に地方団体の声をその場で聞いて、何度も会が流れるぐらいな会であってほしいと私は思います。

 質問を移ります。がらっと変わります。選挙の話です。

 来年は統一地方選挙です。実は、私の兵庫県は、十五年前に阪神・淡路大震災がありました。ちょうど統一地方選挙の年でした。とても選挙じゃないということで、特例的に二カ月選挙を延ばしました。六月に統一地方選挙を、県会議員、神戸市会議員、芦屋市長、幾つかの被災地は選挙を延ばしたわけです。そして、何年かたって、やはり四月とは別に選挙をするといろいろお金がかかるので統一選挙に復帰してほしいということで、平成十一年から復帰しました。そして、十五年、十九年。そして、来年が選挙です。

 さて、選挙は四月に行われます。今までの法律によれば、四月の第二日曜日が県会議員、神戸市会議員の選挙日です。来年のカレンダーを見ますと、四月十日です。当落は、その日にもちろん判明します。では、いつから任期なのかというと、六月十日なんです。空白の二カ月と言われています。これはどうしたものか。

 私も兵庫県で働いていて、十五年前、神戸で大震災を経験しましたけれども、今の現状は、兵庫県だけではなくて神戸市もそうですけれども、当落はわかりますよね。例えば私が、市長選挙でもいいです、まあ、市長選挙はちょっと置いておきまして、県会議員、神戸市会議員選挙に出る。私と同僚の秋葉先生と戦って、仮に秋葉先生がおっこちた、私が通ったとしましょう。秋葉先生は現職だったと。四月十日に結果がわかるのに、六月十日までは県会議員は秋葉先生なんです。私は公的には何の権限もない。また、行事なども、正式に任期が始まっていないから呼ばれない。その間、議会はどうなっているかというと、事実上、招集しないんです。何も決められない。こういうことが私は前からひっかかっていました、これは危機管理上問題はないのかと。

 我々国会議員でもそうです。昨年は、選挙は八月三十日でしたか、それから二カ月たってから衆議院議員の任期が始まるんだなんということになれば、その二カ月間、敗れた自民党が好き放題のことをやって……(発言する者あり)いや、そういうことも現実にはあり得るわけです。

 これについて、もちろんいろいろな問題があります。これはなぜこのまま放置されていたかということは、問題が単純でないからです。合わせるということになれば、選挙が統一地方選挙だとすると、任期を短くしなければならない。任期を短くすると、地方議員は年金の問題もある。また、下世話な話で、六月一日がボーナスの基準日です、そういう問題もある。

 そして、そもそも統一地方選挙というのは、三月一日からたしか五月末までなんです。もともとタイムラグはあるんです。統一地方選挙で選ばれても、すぐ任期が始まるわけではない。阪神・淡路大震災の前は、五月三十日までの任期の地方議会の場合は一緒に選挙をしていた、五月三十日か三十一日でしたか正確には忘れましたけれども、震災の後、それを十日だけ延ばしたんです、特例で。十日だけじゃないかという議論もありますけれども、私はやはりひっかかる。

 それは十五年前地震を経験して、危機管理ということがいかに大事か、いざというときのことを仕組みとしてやはり我々議員がしっかり考えなければならないんじゃないか。地元からの声とは別に、あるべき姿としてどうかなという問題意識を持っていますが、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

 現時点ですぐにどうのということじゃなくて、所見というよりも、ぜひこの問題について検討していただきたいということを私は総務大臣にお願いしたいんです。大きな話ですので、できれば大臣の方に。

原口国務大臣 先ほどの例をとると、秋葉先生には早くやめてもらわないといかぬという思いは……。いや、例をとるとですよ。この日曜日も、津波の避難で選挙が延びたところもございます。そういったことからすると、統一地方選挙がばらばらいろいろなところでずれていく、それから、今おっしゃるような任期について、余りにも長いラグがあるということについては好ましいことではないと思います。現行法はもう御案内のとおりです。

 総務省の中にこの間それを指示いたしました、これはもっとまとめることができないのか、もっと合理的なことができないのかと。いずれにせよ、これは地方公共団体の御意見も伺いながら、今の委員の問題意識に沿った検討を進めてまいりたい、こう考えています。

 秋葉先生がやめなきゃいけないというのは取り消しておきます。

谷委員 大臣、ぜひよろしくお願いします。これはできる限りまとめるということは、ある意味では、任期満了の期間も、余り広げると今のように問題になってくる、しかしそれを狭くすると合理的でなくなる、そういう相矛盾するところがございますけれども、私自身も、あるいは我々自身も、この問題はいろいろな場で問題提起をして検討してまいりたいと思いますので、総務省の方でもぜひよろしくお願いしたいと思います。

 時間がなくなりました。最後に、過疎の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 きょうは、過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案が、趣旨説明後、全会一致で通るという見込みであります。今は席にはおられませんけれども、我が党の山口先生ともども、私も三年間この問題に取り組み、全国十数カ所、数百の方々から我々は意見を聞きながら、新たな過疎法を目指して一生懸命頑張ってきたつもりでございます。

 選挙の後、そこに座っておられます民主党の黄川田委員、奥田委員等々、超党派の先生方と協議を進めながら、お互い思いはございます、我々自民党としては新たな法律で、十年間の時限立法をぜひつくりたかった、そういう思いはありますけれども、そこは全党一致という今までのよき慣例をできる限り生かすということで、今回、六年の時限立法、いわゆる過疎債のハード事業の対象拡大、そして、これは画期的だと思うんですけれども、医療とか住民の足の確保であるとか、集落の再生、若者の定住、そういったソフト事業にも直接過疎債を充てることができる、また、そのための基金をつくることができる、こういう仕組みで全党派合意して、これから採決しようという状況であります。

 大臣、この法律のポイントの一つに、新たなソフト事業があります。全国の過疎の市町村、約七百五十かと思いますけれども、新たにソフト事業を過疎債ですることができる。ただ、我々の議員立法の法律では上限が決められている、上限は総務省令ということで、総務省の方でお決めいただくという仕組みにはなっていますが、事実上、立法府としての思いを最大限に生かした省令にしていただきたいと思うんです。

 そこで、大臣、それぞれの自治体にとって、どれぐらいそういうソフト事業がやれるんだろうか。六年間であれば、ある自治体が仮に一億としますと、六年間でいえば六億の事業をやれる。仮に三千万ですと、それが二億になる。極端な場合、一千万しかだめだよと言われると、六千万だ。そこは、全国七百団体ございますので、初年度、一団体平均一億はいくような、それぐらいのソフト事業のための過疎債の枠を、これは大臣の裁量でできるわけでありますから、ぜひともよろしくお願いしたいわけです。

 それは私だけではなくて、与党である黄川田先生、奥田先生を初め、本当に過疎地域のために汗をかいて、我々がしっかり頑張らなければ、支えなければ、守らなければという思いでいる議員共通の願いでございますので、その点についての大臣の力強い御答弁をぜひお願いしたいと思います。

原口国務大臣 この過疎法の制定に当たっては、各会派で精力的に御議論をいただいて、近藤委員長、福田筆頭、大野筆頭を初め、民主党は奥田先生、黄川田先生、自由民主党は山口先生、谷先生、公明党は石田先生、日本共産党は塩川先生、社会民主党は重野先生、国民新党は下地先生が、各会派の実務者協議会のメンバーとして成案を得るまで大変な御努力をいただいたというふうに思います。この場をかりて心からお礼を申し上げたい、そして、本委員会のすべての委員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今のお尋ねでございますが、ソフト対策事業については、過疎地域の市町村が、地域の実情に応じ、しっかりと創意工夫を凝らして実施できるように財源確保をやっていきたいと思います。住民の命と暮らしを守る事業について支援を万全にできるように、今おっしゃる枠づけ、枠取りをしていきたい。

 ソフト対策のあり方についても、これは画期的だと思います、初めてじゃないでしょうか、こういったことができるようになるのは。研究会を設置し、意欲的に取り組んでいる過疎地域の市町村長等から具体的な取り組み状況や過疎債に対する御意見などを今伺っておりますが、今、委員の御指摘を踏まえ、しっかりとした枠組みをつくり、過疎債の平成二十二年度の地方債計画計上額は二千七百億円でございまして、対前年比二・四%増を確保したところでございますが、この法律が成立すれば、さらに私たちとしても総務省令の中でしっかり支えられるような取り組みを、万全の取り組みを行っていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

谷委員 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 二十分の時間を与えていただきました。早速に質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、昨年の十二月二十三日、「平成二十二年度予算における子ども手当等の取扱いについて」という、先ほどからも出てまいりました四大臣合意のことについて質問をさせていただきます。

 その中に、「住民税の扶養控除の廃止及び特定扶養控除の縮減に伴う地方財政の増収分については、最終的には子ども手当の財源として活用することが、国民に負担増をお願いする趣旨に合致する。」こういうふうに述べられております。

 この合意でございますが、私が考えるに、どうして総務大臣はこれに合意されたのかなという疑問を持っております。地方の立場からして、これはふさわしくないのじゃないかということでございます。国の都合でふやしたのだから国の都合で使ってもいいというふうにお思いじゃないとは思うんですが、そこのところをお伺いしたいと思います。

 住民税は地方の自主財源ということからすると、この四大臣に地方の自主財源の使い道に関してこのような合意を決定する権限があるのかどうかというのが、私は大変疑問でございます。その辺についての見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 お答えいたします。

 四大臣合意についてでございますが、住民税の扶養控除等の見直しによる増収分を、「最終的に」と書いてあるわけです。めぐりめぐってという話であって、それを充てなさいという話じゃないんです。本当に各省間の取り決めはこの一言一句に魂が込められておりまして、私は、この「最終的に」というのが入っていなければサインなんかするわけないんです。子ども手当の財源として活用することが国民に負担増をお願いする趣旨に合致するとしておりますけれども、この趣旨は、必ずしも増収分を直接子ども手当の財源とすることを決めたものではなくて、子育て政策に係る国庫補助金の一般財源化。

 私は、もともとサービス給付のところに国が補助金を出しているわけです、そういったものも、この間、西委員からも御指摘がありました、あるいは予算委員会でも御指摘がございましたけれども、ちゃんと整理をして、どこからどこまでが中央政府の責任ですか、地方政府はみずからの地方財源でやってくださいねということを案として出したわけです。ところが、いろいろ紆余曲折があって、抵抗勢力がいたことも事実で、今のような形になっています。

 したがって、住民税の使い道を国が決めたものではなくて、今後、住民税が自主財源であることを踏まえつつ、地方の意見も十分に伺いながら、地域主権戦略会議において議論を行っていきたいと思いますので、その辺は御安心ください。

西委員 最終的にということは、それはそれなりに理解はできるんですが、物事の出発点としてこれは一言異論を差し挟まざるを得ないという思いで先ほどから申し上げました。

 若干これに関することですが、先日の本会議の質疑で、住民税の扶養控除を子ども手当の財源にしたことに関して、先ほど質問された谷議員が質問されたことに対して、総務大臣は、「平成二十三年度以降の子ども手当については、地域主権戦略会議等で議論することとしておりますが、その議論に当たっては、例えば、扶養控除の見直しに伴う地方の増収分をもとに子育ての政策の補助金を一般財源化し、それにより浮いた国費を子ども手当の財源とすることなどが考えられます。 したがって、年末、谷議員、四大臣合意をしました。その中で、扶養控除の見直しに伴う地方の増収分は、あくまでも最終的には子ども手当の財源に活用するとしたものであって、必ずしも直接的に子ども手当の財源にしようとするものではございませんので、御理解をお願い申し上げます。」先ほどの御答弁に若干近いような形の趣旨だと思いますが、こんな発言をされております。

 直接的にせよ間接的にせよ、増収分は国からの支援が減り、結局は子ども手当に充当されるというふうに考えられるのではないかと私は思うわけでございます。

 平成二十三年度以降は、住民税の扶養控除の廃止及び特定扶養控除の縮減に伴う地方財政の増収分として約四千五百七十億円。これは、都道府県で約千八百三十億円、市町村分で約二千七百四十億円。これは子育て政策に関する国の財政支援を減らしていくということになります。減額される財政支援の規模は、厳密に考えると、計算上四千五百七十億円というふうになるんですが、そういうことかどうかということです。

 子育て支援策としてはいろいろあります。保育所運営費の負担金、児童保護費の負担金、地域子育て支援対策費、児童福祉施設整備費、児童扶養手当など、さまざまありますが、廃止もしくは減額される子育て支援はどういうふうにお考えなのかということについて、具体的にお示しをいただきたいと思います。

原口国務大臣 今回、子ども手当を実施するに当たって、地方の皆様からもいろいろな意見を出していただきました。複数の都道府県から出たのが、都道というか道は入りませんけれども、いわゆる原口案として出させていただいた、先ほど申し上げた、サービス給付は地方で、そして地方の財源で、それから、現金給付は中央で、それは中央政府のしっかりとしたみずからの財源でということでございますが、二十三年度以降については、国、地方協議の場、地域主権戦略会議等で議論をすることになっていますが、今ある補助金をどうするかということは全く決まっておらないんです。

 私は、どうしたらいいかと言われれば、私個人としては先ほど申し上げたような案にすべきだと考えておりますが、ここもこれからの議論の推移を見ながらやっていくところだというふうに考えております。

西委員 先ほどの議論にもありましたけれども、国と地方の関係で、例えば一括交付金にするときに、まあ、減額というのは今事実関係ははっきりしなかったですけれども、そういう一括に際して縮減をしていくとか、今まで国と地方との関係の強い部分についてさまざまな圧力というのはあったというふうに私は感じます。

 そんな意味で、今回もこれにかわって子育て支援という面で国から予算を配分していくというような意味のことがあったとしても、これが本当に今までの財源を十分に補うだけのものがあるのかどうかということも、原口大臣ですからそんな心配はよもやなかろうと思いますが、そういう危惧を抱いたことがあるものですから、若干細かい指摘になったかもわかりませんが、こういうことを申し上げました。

 次に、先ほどからも議論がありました地方と国の協議の場、これの法制化が進んでいると思います。今回の地方税の増収分の扱い、それから子育て支援の国庫支出の削減に関しては、まさにこの協議の場の議題としてふさわしいと思います。先ほど子ども手当のことについてはやるんだという大臣のお話がございました。

 そこで、この地方税の増収分の扱い、それから子育て支援策の国庫支出削減問題について、この議論のテーブルにのせるのかどうか。先ほど子育てについてはそういうふうに考えているというお話がございましたけれども、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 これは、先ほど谷先生にお答えしましたが、現時点においては具体的な協議事項を決定しておりませんから、あくまで現段階の私の意見ということです。

 西先生おっしゃるように、今回の現物給付、それからサービス給付の話をしたときに、一番言われたのが西先生から言われたことなんですよ。そんなこと言ったって後で減らすだろう、国の責任を放棄して、義務づけ、枠づけ、最低基準も減らした上に、予算まで減らすだろう、それが今までの国のやり方だと。おまえがかわったからといって信頼できるかという人までいたんですよ。それほど中央政府に対する地方政府の不信感、三位一体改革が一番きいたんじゃないかと思いますが、これをぬぐうところからやるべきだ。

 私は、西先生のおっしゃるとおりで、特に子育て支援策、地方税の増収分については議題とすべきである、これは私個人としての考えでございますが、やはり丁寧に丁寧にやっていかなきゃいかぬ、不信感をお互いが持っていたのでは成るものも成りませんので、そのような考え方を持っておるところでございます。

西委員 ありがとうございます。

 次に参ります。

 税の基本原則と今回の税制改正の関係について御質問申し上げます。

 昨年の十二月二十二日に閣議決定されました平成二十二年度税制改正大綱では、公平、透明、納得、こういう三原則が打ち出されております。同時に、十分性の原則がだんだんと満たせなくなってきた、これはある意味では事実だと思いますが、そういう指摘がなされております。

 そこで、今回の税制改正は、先ほどから大臣がおっしゃられていますように、所得控除から手当へ、こういう方向性が示されて、これは、ある意味では税制の抜本的な改正になるであろうというふうに思います。

 そうなりますと、全体的な姿がどうなるのかということを必ずはっきりさせていただかなければいけないと思いますが、現状では必ずしもこの全体像がはっきりしているとは言えないというふうに思います。このまま一部の扶養控除、特定扶養控除を都合によって廃止するということだけでは、これは拙速であり、財源のつまみ食い、今の状態は一部虫食いになっていると考えざるを得ない、私はそう思っております。さらに、所得控除から手当へということで、税制、支出両面の改革でどのような垂直的公平が図られていくのか、これも残念ながらまだ全体像が見えておりません。

 そんな意味で、現状としては公平、透明性に問題があるというふうに私は思っておりますが、大臣の率直な御感想と、今後の方向性がおありだったら、それについても御答弁をいただきたいと思います。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 公平、透明性については初めて、前の政権のことを私はできるだけ言いたくないんですが、インナーというようなものは私たちにはありません、インターネットで二十五回全部開示しました。委員の御趣旨はそこにあるんじゃなくて、全体像を示せということだと思います。

 全体像はやはり控除から手当へ。つまり、一人一人の人生、ライフ・ワーク・バランスを社会全体で支えていく、こういう税制にしていきたいと思います、いわゆる専業主婦の方も、あるいは働く女性の方も。

 この間、男女共同参画で一番問題にしていた女性の働き方のM字カーブというのがございます。日本ともう一カ国くらいがこのM字カーブを示していて、先進国の中では非常にまれなんですね。これは何が起きているかというと、女性は、一回就職するけれども、その後の子育てやいろいろなことで働けない。このM字カーブが、今少しMのこのところが少なくなっているんですよ。それが何なのか、働きやすくなったか、あるいは育児がしやすくなったかと思ったら、そうではなくて、晩婚化というか結婚できなくなっているんですね。

 こういったことを支える上からも、控除から手当へ、そして累進制の、やはり控除というのは金持ちの方によくききますから、一人一人の働く人たちをしっかりと支える税制にしていきたい、個人住民税についても所得税における整理を踏まえて検討しているところでございまして、ぜひまた御指導をよろしくお願いいたします。

西委員 期せずして大臣がおっしゃられたM字カーブの問題ですが、まさしく時代は大きく変わっている。我々が少し当然のこととして考えていた女性の働く機会とか、そういう社会的な条件も随分変わってきているし、それになかなか我々の政治が追いついていないというのが税制なんかにもまだまだあらわれているんじゃないかなという感想を私は持っておりますが、いずれにしても、政権がかわって新しい方向性を打ち出されたわけですから、そういう物事の整合性といいますか、新しい公平性を担保する、そういう全体像をぜひとも早くつくり上げていただきたいというふうに要望いたします。

 それから、今問題にしていますのは、財政上均衡がとれている税制改正になっているかどうかという問題でございます。

 所得控除から手当へという方向性のもとに、子ども手当、高校の授業料無償化、さらには農業の戸別所得補償など、大きな支出が相次いでおります。こうした、ある意味ではばらまき型の施策と言われているこの施策の実施が歳入歳出の大きな不均衡の原因となっている。これは前にも地方財政において申し上げたとおりです。国債発行額五十兆円、それから地方財政も、臨時財政対策債の発行が七・七兆円ということで、いずれも急増しているわけですけれども、大変な財政の事態になっていることは、これは申し上げるまでもなく、大臣が十分認識されていることだと思います。

 そういう意味では、みずからが掲げた十分性の原則というのは必ずしも満たされていないのではないかというふうに思います。公平、透明、納得、この三原則に照らしても問題であり、一番重要な国民の納得というのが、この過大に膨らんだ予算、もちろんやむを得ない面もあるんですが、十分納得できるものであるかというのは、これは非常に厳しい指摘が出るのではないかというふうに思います、十分な税収がある税制改正になっていないということもございます。国民の納得、つまり、ツケを次の世代に回すというような形の今回の地方の財政になっていることについて、大臣の御答弁をお願いいたします。

原口国務大臣 これは大事な御指摘で、ある意味では鶏が先か卵が先かという議論とよく似ています。

 今回、私たちがマニフェストでお約束したものは、社会がすごく荒れて、教育の機会の均等、あるいは農業、高一の子供たちについて、この春はもう二度とないわけです、この春しかない、だけれども経済的な理由で学校に行けないということがあってはならないということで、これだけ社会が内向きに閉塞してくると、私たちの政策がどうしても社会的なもの、応急手当て的なものになるというのは、これはしようがないことだと私は思っています。

 マニフェストをつくったときのネクストキャビネットの閣僚の一人としても、委員がおっしゃるように、こんなことをやっていいんだろうかというのは常に私たちの中の議論にあったわけです。では、何より優先したかというと、農業だってもう六十五歳以上ですね、この方々が離農されたら日本の農業はもう再生できない、ぎりぎりのところにあるということで、私たちはこの政策をとっているわけです。

 その上で、では、どうするかというと、やはりこれからはしっかりとした成長の道筋を示していきます。それから、先ほどから何回も申し上げているように、財政の健全化の仕組み、地域経済が、先ほど福田先生もお話しになりましたけれども、上向かないとこれはできません。その成長戦略をしっかりと共有していくことによって国民の皆さんに納得をしていただきたい、こう考えているところでございます。

西委員 時間が参りました。終わります。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、個人住民税の扶養控除の廃止に関連して質問をいたします。

 今回の地方税法の改正案の中では、個人住民税の年少扶養控除の廃止と特定扶養控除の縮減が行われます。

 そこで質問しますけれども、この個人住民税の年少扶養控除廃止と特定扶養控除の縮減によって、平年ベースで見たときに増収額がどのくらいになるのかを教えてください。

小川大臣政務官 お答え申し上げます。

 年少扶養控除の廃止による増収が四千百七十七億、特定扶養控除の縮減による増収が三百九十二億、合計で四千五百六十九億と試算をいたしております。

塩川委員 大臣に伺いたいんですが、この個人住民税の扶養控除の廃止、特定扶養控除の縮減が、今お話しのように増収額として四千億円を超えるものであります。

 これは自治体にとって見れば増収で結構な話ですけれども、しかし、負担をする住民にとっては負担増だ。住民にとってみたら、四千億円を超える負担増で増税ということになるんじゃありませんか。大臣として一言お答えいただけますか。

小川大臣政務官 この点は税制調査会の中で大変真剣に議論した部分でございます。ただ、よく個人住民税の扶養控除の見直しが単体で国会でもこの間御指摘をいただいてまいりましたが、ここは、公約のそもそもの姿であります配偶者控除の見直しとセットで御議論をいただく必要があろうかと考えております。

 この配偶者控除、扶養控除のセットでの見直しを選挙で掲げてきた民主党は、結果として配偶者控除の存続を決断し、子ども手当や高等学校の無償化を初めとした政策も着実に実行していくという、トータルで御判断をいただきますと決して負担増にはならないというふうに慎重に設計したものでございます。

塩川委員 所得税と住民税の違いはあります。住民の皆さんにとっての住民税という点では、負担増、増税となるのは明らかですねと。その点の確認なんですが、いかがですか。

原口国務大臣 控除を廃止するというその一点だけをとってみると、それは増税です。

 ただ、委員御理解いただきたいのは、先ほど小川政務官が申しましたように、私たちは、扶養控除、これは特定扶養控除、年少扶養控除、あるいは成年扶養控除、こういったものがございますけれども、所得税についてはそれぞれのことを倒して、それで控除から手当へという流れをマニフェストでお約束したわけです。しかし、現下の経済が大変厳しい、あるいは個人の生活も厳しいということで、それらの控除については残すということにして、必要最小限のものについて今回の住民税の措置になったわけでございまして、地方団体からも扶養控除を見直すのであれば所得税と住民税を一体として見直してほしい、あるいは、課税最低限が逆転してしまうという問題もありますし、納税者の事務負担が増大するということもございまして、それぞれの家計あるいはそれぞれの個人というものに着目して、総合的な判断の上でこういう結論になったということをぜひ御理解いただきたいと思います。

塩川委員 控除の見直し、廃止という点では増税となるという話ではありました。

 そこで、私がこの問題を取り上げていますのは、個人住民税におきましての過去の負担増、地方団体としての増収の額を見ましたときに、この四千億円を超える金額というのは大変大きなものであるわけです。

 そこでお尋ねしますけれども、過去四十年間を見た場合に、総務省の方が各年度ごとに税制改正による事項別増減収見込み額を出しております、そこで見たときに、今回の四千五百六十九億円を超える個人住民税の増税が行われたのはいつで、その金額は幾らなのか、その点についてお答えください。

小川大臣政務官 事実関係をお答え申し上げます。

 今の金額に見合うのが、定率減税の縮減並びにその廃止、平成十七年、十八年でございます。これとあわせて三兆円規模の税源移譲が行われたときには、その分、住民税は増収、増税になっております。

塩川委員 三兆円の場合は税源移譲ですから、所得税が軽減をされて、その分、フラット化が住民税で行われたということであります。

 ですから、今回の四千五百六十九億円も住民にとって増税になることは明らかでありますけれども、この四千億円を超える規模で個人住民税の増税が行われたというのは、税源移譲は対象としては適当ではありませんから、定率減税の縮減、廃止であります。これ自身がもともと恒久的な減税と言われていたものを、その他の法人税は減税措置は恒久化を図りながら、庶民の所得税、住民税における定率減税は廃止をするということで、これは私どもも当然こういうことは許されないということで反対をいたしましたし、民主党の皆さんもその立場でおられたと思います。

 そういう点でいえば、十七年度改正で定率減税の縮減三千八百八十億円、十八年度改正で定率減税の廃止四千二百七十四億円、合計して八千億円を超える大増税となったわけですが、これに次ぐ過去最大規模の負担増となっているのが今回の扶養控除の廃止であるということは事実としてお認めになりますね。

小川大臣政務官 その限りにおいては事実でございます。

塩川委員 過去最大規模の増税であることは明らかであります。

 そこで、この問題について、民主党として総選挙でどう言っていたのか。この間、自民党の谷委員からもこの問題で指摘がございましたけれども、民主党は、住民税の扶養控除の廃止について、増税となる住民の皆さんに対して政権につく前に説明をしたことがあるんでしょうか。大臣、いかがですか。

原口国務大臣 民主党としては、個人住民税の扶養控除廃止についてはやらないという説明を選挙の直前にしているというふうに認識をしています。

塩川委員 今でも民主党のホームページに掲載されているということは谷議員も紹介しておられましたけれども、私も拝見いたしました。「民主党が主張している配偶者控除と扶養控除の廃止は所得税のみであり、住民税は含んでいません。」と今でも掲載をされております。民主党の総選挙マニフェストには、住民税の扶養控除廃止は盛り込まれていないわけであります。

 そういう点でいえば、増税を強いられる住民の皆さんに対して何ら説明をしていないというのが今回の措置ではありませんか。

小川大臣政務官 少し大事な点ですので、きちんと順を追って御説明させていただきたいんですが、税制調査会で、公開の場で議論を申し上げ、そして、この国会という、これ以上ない公式な場で精いっぱい説明責任を果たそうとしている、そのことは御理解をいただきたいと思います。

 その上ででありますが、そもそも、配偶者控除と扶養控除をあわせて所得税に限って廃止するというのが我が党の案でございました。そのことの是非に対する御批判は、これは甘んじてお受けをしたいと思っております。

 しかしながら、それを踏まえて年末にかけましてさまざま議論を行いました。まず、所得の再分配機能を全国区で行う所得税と地域の会費としてお納めをいただく住民税でこういう控除に格差を設けた場合、納税をいただく方、課税最低限が大幅に逆転する、こういう問題が税の性格からしてどうか。同じ所得課税としてすべて控除項目をそろえ、むしろ控除額も住民税の方を少なく制度設計してきた歴史的な経緯からいってどうか。そして、課税庁である市町村からいえば、この所得課税の情報はすべて税務署から経由していただいておりますので、ここが大きくかけ離れることになりますと申告上も大変大きな問題が出てまいります。

 さらに、税収の増減でありますが、当初、政権公約上予定をしていた所得税の配偶者控除、扶養控除、合わせて一・四兆円の増収と、所得税、住民税で扶養控除を廃止した場合の一・四兆円、増減収上、これは幸い公約違反にならない。そして、配偶者控除は、子ども手当との関係でいえば、恩恵の及ぶ世帯がかなりかけ離れる可能性がある。

 数多く申し上げましたが、非常に重要な点でございまして、これらをまさに総合的に検討した結果でございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 課税する側の都合は説明されているんですけれども、課税される側の住民に対する説明がないんだということを私は申し上げているわけです。そういう点でも、マニフェストにも書かれていない、やらないとまで言った住民税の扶養控除の廃止をしたということが厳しく問われなければなりません。しかも、それが過去最大規模の負担増となっているという点も極めて重大であります。

 それとの関係で、先ほどの議論でもありましたけれども、個人住民税の扶養控除の廃止などについて、その扱いにつき四大臣が合意されております。この四大臣合意の趣旨といいますか、そこが意味するところは何なのかということについて簡単に御説明いただけますか。

原口国務大臣 これは、四大臣、菅大臣と当時の藤井財務大臣と総務大臣である私、この三人は税調会長と会長代行であったわけです、それに加えて厚生労働大臣、まさに子ども手当を所管する大臣との間で、今後どうするか、今回の子ども手当の財源も含めて、あるいは二十三年度も含めてどのようにやるかと。

 先ほどから御説明を申し上げているように、今回の案を出してきた厚生労働大臣と、私が申し上げているような、まるっきり児童手当というものをなくして、子ども手当と地方へのさまざまな保育サービスを中心としたサービス給付という形にした私の案との間でせめぎ合っていたわけで、それをさまざま調整して、来年は同じような形にしませんよ、二十三年度は児童手当というものを併置した案というものは私は認められないと主張したわけです。その中でこういう形に落ちついているというふうに私は認識をしています。

塩川委員 「子ども手当等の取扱いについて」という四大臣合意ですけれども、この中に、「所得税・住民税の扶養控除の廃止及び特定扶養控除の縮減に伴う地方財政の増収分については、最終的には子ども手当の財源として活用することが、国民に負担増をお願いする趣旨に合致する。」とありますけれども、ここで言っている「最終的には」という言葉の意味について説明いただけますか。

小川大臣政務官 少し技術的に補足をさせていただきます。

 今、児童手当の地方負担分として自治体は約七千億負担しています。これが子ども手当に全額国費が実現すれば、この七千億が地方にとっては自由に使えるお金になるということであります。加えて、今回の扶養控除の見直しで約四千億の増収効果がある。合わせて一・一兆円前後になります。一方、現在の児童手当あるいは保育所の運営を含めた国全体で行っております子供政策が約二兆円です。この枠組みはその半分を地方が負担している。

 ということは、ここの現金給付で地方が負担をしている七千億、そして増収になる四千億の一兆円で、もし国の側が地方に自由に子供政策を任せてみようという決断をいただければ、まさに大臣がかねてから主張しています、現金給付は国で、現物支給はしっかり各自治体でということが実現する。そこに込められた思いが「最終的に」というその一言に込められているということでございます。

塩川委員 大臣、今の小川淳也大臣政務官の言葉について、本会議で問われたとき原口大臣の答弁としては、子育て政策の補助金を一般財源化し、それにより浮いた国費を子ども手当の財源とすることが考えられると述べているわけですけれども、子育て政策の補助金を一般財源化するというのは、今お話のありましたように、国が現金給付、地方が現物給付、サービス給付という観点の中で、そういった中には民間保育所の運営費の交付金、補助金について、これを一般財源化する、補助金を廃止するということも含まれているということでよろしいんでしょうか。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 まさにその部分をずっと議論してきたわけです。つまり、サービス給付については、地域の実情、一番住民に近い人たちがみずからの自主財源によって、中央政府はその最低の基準やさまざまな保障を支援しながらも、みずからの判断においてやれるようにする、それがいいのではないかということを議論してきたわけです。

 しかし、これで最終的な結論が出ているわけではなくて、私たちが、今小川政務官が申し上げた案と、今皆様にお願いをしている子ども手当、全額国費で子ども手当を行う一方、児童手当については地方、事業主負担があるハイブリッド案との間で議論をして、今年度限りにおいてこの制度を実施に移すように皆様にお願いをしているというのが現状でございます。

塩川委員 民間保育園の補助金の一般財源化というのも含まれ得る、排除されていないということであります。

 この間、報道で見ますと、昨年十二月の四日に国会内で原口大臣と長妻厚生労働大臣が会談をし、原口大臣が、児童手当の廃止で浮く地方負担分を保育所運営費などに対する国の補助金約五千五百億円分に充当し、国の補助金は廃止する案を提示したと伝えていますけれども、これは事実ですか。

原口国務大臣 議論の過程においては幾つか案を出していますから、今お話をされたものがすべてではございません。

 これは、地方の側からも、自分たちも知恵を出すよ、先ほど浮いた分という表現がありましたけれども、それをそっくりそのまま自分たちがほかの財源に使うということも考えてはいない、そういうお話が地方の団体からもございまして、今お話しのところは一つの案として検討に加えたことは事実でございます。

塩川委員 幾つかの案のうちの一つとして検討を加えたという話でした。

 私は、保育園の運営費交付金の一般財源化というのが、公立保育園に対する補助金の一般財源化によってどうなったのかということが事実として問われてくるんだろうと思います。

 日本保育協会の調査では、公立保育所の運営費が一般財源化をされた前年の平成十五年度と、その後の平成十九年度の保育所運営費の入所児童一人当たりの月額経費を比較してみると、全市平均で二・四%の減額となっている。

 いわば、公立保育園における一人当たりの子供にかける金額というのが減らされているという実態が生まれているわけです。私はそのことを強く懸念し、また、保育関係者からもこの点について非常に懸念する声が上がっているということを率直に政府として受けとめる必要がある。こういう形での公立保育園に対しての補助金の一般財源化がもたらしたマイナスということを民間保育園でも繰り返すのか、このことが厳しく問われているわけですから、こういうことがあってはならないというのが現場の声だ。

 この点についてはどうお考えですか。

原口国務大臣 委員がおっしゃったのは、私たちの政権でというよりか、前の政権でなされたことによって、結果、保育の現場にいろいろな不安が広がったと。今回も同じような話がたくさんありました。

 義務づけ、枠づけ、保育園の最低基準についても、それを中央政府が一気になくすのかと。そして、なくすだけじゃなくて、支えるお金そのものも、さっきの西先生との議論のときも全く同じなんですよ、何か制度を変えるときには、変えたふりして額も減らすんだろう、それが国のやり方だよね、もうそんなことは二度と認めたくないという御意見があった。私のコンピューターは、保育の関係の方がどこでメールを調べられたかわかりませんけれども、物すごいメールで、昔、菅総務大臣も同じような思いをされましたか。(発言する者あり)大丈夫でしたか。何で私だけなのかよくわかりませんが、それでしたよ。

 私は、それを、私たちの政権になったら変わりますよと言いたかったけれども、現場でそういう御不安を考えたり懸念を持っておられたら子育てにも影響しますから、今回、長妻案といいますか、厚労大臣の案を受け入れたわけでございます。

塩川委員 時間ですから、この問題は機会を改めてまた深めていきたいと思いますけれども、国のナショナルミニマムに対する責任の一環として、この保育の問題にどう対応するのかというのが問われている。義務づけ、枠づけの廃止の問題と一体に、私たちはその点を国の責任を放棄するものではないのかということで指摘をしてきたわけです。

 今回の住民税の扶養控除の廃止というのは恒久的な措置ですけれども、四大臣合意にありますように、子ども手当の法案というのは一年限りのものであります。一万三千円とは書いてあるけれども、再来年度から二万六千円にするということは一言も書いていないわけであります。そういう点でも、私は、子ども手当については現状でいえば一年限りの措置なのに、その見合いでの扶養控除の廃止は未来永劫続く、こういう形での負担増を押しつけるような仕組みというのは許されない、このことを指摘して、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 原口大臣、本当に毎日毎日お疲れさまでございます。きのうは予算委員会の集中審議に、私の質問に御答弁をいただく予定で原口大臣に御出席をいただいたんですけれども、時間が足りなくなりまして、原口大臣に御答弁をしていただくことができなくなってしまいました。本当に申しわけなく思っております。

 また、毎日毎日、この国会論戦を初めとしてさまざまな職務に精励をされておられまして、その御奮闘ぶりは、日々、本当に感嘆する思いで拝見をさせていただいております。また、その傍ら、御自分のお仕事に関することや、また日々感じたことをさまざまな形で発信しておられる。私もツイッターをやっておりますけれども、原口大臣とはツイッターを通じていろいろと、発信する情報を受けとめたり、またお考えの一端をのぞかせていただいたり、そんなことをさせていただいております。

 きょう閣議後の記者会見で、原口大臣がチリの地震の影響での津波に関して、ツイッターを通じて津波の状況を発信したということが話題に取り上げられたようであります。私もリアルタイムで、あの津波が押し寄せてきた日曜日、原口大臣からいろいろと発信をされるツイッターの情報を拝見いたしましたけれども、この地域は何メートルになる見込みです、避難をしてください、これは訓練ではありませんと、大変細かな詳しい情報が、しかもしっかりと見きわめられた形で発信をされていたというふうに感じております。それを参考にして行動をとられた方もいたのではないかというふうに感じております。

 私も日々国会での模様などを、今、差し支えない範囲でツイッターで書かせていただいていますけれども、大変有用なツールだと感じております。きょうのきょうのことですから通告をいたしておりませんけれども、チリの地震の津波の問題ということではなくて、このツイッターというツールの有用性と、なぜこのようにしてお使いになられているかということについて、原口大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。柿澤委員にはツイッターでもいろいろな御指導をいただいておりまして、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 幾つかあると思います。私たちは行政にいながらも、リアルタイムのものをすべての、これは放送、紙媒体を問わず、情報通信という形で国民にしっかりとお知らせをする、説明責任を果たす、これが大事だと思っております。

 きょう閣議後の記者会見でも、私がチリの災害について逐次やったことについて、NHKの記者さんでしたか、大臣として不適切じゃないか、成り済ましが起こるんじゃないかというお話がございました。しかし、ツイッターで五万人もフォローするというのは、成り済ましはできません。

 むしろ逆に言うと、そのことよりも、情報が伝わらないことによってパニックになる、正確な情報が伝わることによって、私がちょっと危機感を持ったのは、原発が大丈夫かみたいなものがずっとふえてきたんです。それは、大丈夫ですということを言わないと流言飛語が生まれるし、防災対策会議の中でもきょう中井大臣が言っておりましたけれども、消防庁の危機管理室に入って陣頭指揮をしておりましたから、リアルタイムですべての情報がわかりますから、私は、それを国民の皆さんにお示しすることが、この何十年に一回という危機においては一番大事だと思ってやらせていただいたところでございます。

 新たな可能性に挑戦する中で、皆様と常時つながる、こういう温かいメディアをこれからも活用していきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。

柿澤委員 この原口大臣の御答弁が、恐らく、衆議院でツイッターという用語が使われた初めての機会になるのではないかというふうに思います。恐らく参議院では藤末さんが審議でやられているのではないかと思いますので、衆議院では初めてということでありますけれども、そういう意味では、御答弁をいただきましてありがとうございました。

 きのうの予算委員会で、依存と分配という、原口大臣のよくお使いになられる言葉をひもときました。公共事業の仮配分、箇所づけ問題に関連をして、民主党政権が、本来、依存と分配の政治から脱却するということを目指していたにもかかわらず、場合によっては、あたかも依存と分配の新たなメカニズム、システムをつくるかのように誤解をされている、こうした状況をどのように払拭していくのかということで、前原大臣から、仮配分について、来年度からは国会の審議に付する形で公表する、大変画期的な御答弁をいただいたところでございます。

 この依存と分配、国に対して陳情もうでをして予算を獲得して、そして自分の地元に予算を引っ張ってくる、こうしたやり方そのものを根本から改める。これはまさに、地方分権、地域主権の一つの目的でもあるというふうに思っております。

 きのうは、公共事業の補助金を原則廃止してつくられる社会資本整備総合交付金のことについても触れさせていただきました。地方の使い勝手をよくして、自由度を高めた交付金だということを言っておりますけれども、何のことはない、国が審査をして交付を決定する、補助率に関しても、基本的に今までの補助金の枠組みとそんなに変わったところはない、ひもつき補助金をやめたといっても、ひもつき交付金では仕方がないではないかということを申し上げさせていただいたところであります。

 そういう意味では、一括交付金、そしてさらには地方に対する税源移譲というところに進んでいかなければなりませんが、一括交付金については、来年度の中で制度の設計を示されて、そして一部、再来年度から行っていくというような方向だというふうに理解をいたしております。

 しかし、税源移譲ということになると、今回の質疑で、例えば地方消費税の充実確保ということについてさまざまな方が質疑で取り上げられて、偏在性の少ない消費税を初めとする財源は地方にとって非常に重要だという御答弁を原口大臣もされていました。しかし一方で、この四年間で消費税を引き上げることはしないということでもありますので、地方への税財源の移譲の具体的な見通しというのは、なかなか見通せないというふうにも感じております。

 地域主権戦略の工程表、原口プランというのを見ても、それぞれの分野について、さまざまな工程表、ここで大綱をつくって、ここで実施をすると書いてありますけれども、地方税財源の充実確保ということについては、ただただ矢印がずっと二十五年まで続いていくだけで、ここから先、どのような見通しで行っていくのかということについては、具体的な言及はなされていないわけであります。

 これを、ある意味では斜めに見れば、本当のことを言って現政権は、なかなか難しい問題であるので、税財源の移譲、地方消費税の充実確保、こうしたことについては本当にやる気があるのかなというふうな疑いも幾らか持たざるを得ないような気もいたしております。

 我が党、みんなの党はマニフェストで、この消費税について、地方の基幹財源として移譲をしていく方向性を明記いたしております。

 この点について、税財源の移譲と地方の自主財源の確保について、原口大臣、どのような見通しで、いつまでに何を行っていくのか、具体的なお考えを語っていただきたいと思います。

原口国務大臣 いや、すばらしい質問だと思います。ありがとうございます。

 というのは、依存と分配の反対は何かというと、自立と創造なんですね。私たちは、OSでいうとリナックス型の政党を目指してきたわけです。そのリナックス型が、こういう権力を囲い込んだり、何かしら税財源を自分たちの選挙や一部の有利なことに使い始めた瞬間に、私たちは死ぬと思っています。ですから今回も、交付税についても皆さんにオープンに、特交についての基準をこの後会議で示すと思っているわけです。

 前段の委員の御指摘はまことにそのとおりで、さすが、もと民主党におられた方だなと思います。その上で、そこが空白になっているというのも大事な御指摘で、これはあえて空白にしているんです。逃げてやっているわけじゃなくて、先ほど塩川委員にもお答えをしましたけれども、まさに、税というのはすぐれてその人たちにとってのものですから、これは国、地方協議の場で決めるべきだということを考えてそこを空白にしているんです。

 だけれども、じゃ、おまえはどう考えるんだと言われれば、それは地方消費税の部分を厚くしたい、あるいは地方環境税をふやしていきたい。先ほど、控除を倒すということ、つまり控除をなくすということを言いましたけれども、控除から手当へという形でさまざまな地方の独自財源をつくっていきたいと考えています。

 この工程表は、国、地方協議の場が法制化されて、あした地域主権戦略会議の中でも多分議論をされることだと思います。できるだけ早くこの道筋を示すことが、委員がおっしゃるような責任のある政治である。消費税からも逃げないで、しっかりと議論をしていきたい。

 みんなの党が基幹税として位置づけられているというのは、まさに地方の安定的な税財源で、偏在性のないものを使うというのは見識であるというふうに思っております。

柿澤委員 関連の質疑で公明党の西先生もお話しになられていましたけれども、原口大臣は、かつて民主党議員として、法人二税と消費税の税源スワップ、こんなお考え方も示されていたと記録に残っております。そういう意味では、さまざまな議論を行って結論を得ていくということは、国と地方の協議の場も活用されて、どんどんスピーディーに進めていっていただきたいというふうに期待をするものであります。

 この税源移譲については、地方は長年、国に対して求めてきて、先送りに先送りを重ねてきた。そして今回の工程表を見て、またか、こういう思いを抱いているところもあるように聞きます。そういう意味で、ぜひ具体的な方向性を早く打ち出せるようお取り組みをお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。古賀敬章君。

古賀(敬)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案に対しまして、賛成の立場から討論を行います。

 まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案について申し述べます。

 地方は、三位一体の改革によって傷つき、そこに急激な経済悪化の追い打ちが加わって、疲弊し切っています。地方の暮らしの下支えや地域活性化のための抜本的対策を講じることが待ち望まれているのです。

 本法案は、雇用状況などに配慮した雇用対策・地域資源活用臨時特例費の創設による別枠加算等により、地方交付税の総額を一・一兆円増額しております。また、本法案は、高金利の地方債の公債費負担を軽減するため、徹底した行政、経営改革を行う地方自治体を対象に、平成二十二年度から三年間で一・一兆円規模の公的資金の補償金免除繰り上げ償還を行う規定を盛り込んでいます。

 これらの措置が、深刻な経済雇用情勢に直面する地方を救い、地方再生の起爆剤となることが期待できます。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について申し述べます。

 これまで、税負担軽減措置等については、適用実態が必ずしも明らかでない、特定の業界や一部の企業に恩恵が与えられている疑いがあるなど、さまざまな問題が指摘されてきました。

 政府税制調査会で地方税における税負担軽減措置等を大きく見直した結果、本法案で廃止する項目はサンセットも含めると四十七項目、縮減する項目は十項目となっています。さらに、本法案は、税負担軽減措置等の適用実態を把握し、その結果を国会へ報告する仕組みを規定しています。

 これらの措置は、納税者の視点に立った、公平、透明、納得の税制の確立に資するものであります。

 以上申し述べましたように、地方の財源を拡充する地方交付税法等改正案、国民の視点に立って地方税制のあり方を大きく変える地方税法等改正案は、いずれも高く評価すべき法案であります。

 最後に、地方が地方財政関連法案の一刻も早い成立を待ち望んでいることを申し述べ、私の賛成討論を終わります。

 以上でございます。(拍手)

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 私は、自由民主党・改革クラブを代表し、地方税法等の一部を改正する法律案に反対、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の討論を行います。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について、反対の理由を申し上げます。

 第一に、政府案は、事実上、子ども手当の財源を確保するために、個人住民税の扶養控除の見直しを行うものである点であります。

 本来、個人住民税の控除については、税制の抜本改革の全体の中で体系的に議論すべきであります。政府案は、消費課税を含む税制の議論から逃げ、子ども手当の財源確保のために所得控除の廃止を利用する場当たり的なものであり、無責任きわまりないものであります。恒久的な施策は恒久的な財源のめどが立ってから実施することは、財政のイロハではありませんか。

 第二に、ガソリン税に連動して、軽油引取税の暫定税率の課税停止を行う点であります。

 市場の動向という他動的な要因による減収リスクを一方的に地方に押しつけるばかりでなく、地方の減収をどう補てんするかについても法律上何も触れておらず、地方は極めて不安定な状況に置かれます。加えて、国民生活の面から見ても、課税停止のたびに国民生活に大混乱が生ずることは明らかであります。

 そもそも、マニフェストを形式的に守らんがために暫定税率を廃止して、当分の間の税率を設けるという詐欺師顔負けの説明を弄し、子供でも言わないような詭弁を弄し、マニフェストの誤りを覆い隠そうとしたこと自体、羊頭狗肉を地でいくものであります。

 第三に、地方たばこ税について、十分な検討を行わないまま税率を引き上げる点であります。

 たばこ税を引き上げる際には、たばこと健康の関係、葉たばこ業者やたばこ小売店への影響などについて十分な検討を行う必要があります。政府案は、議論が生煮えのまま、数字のつじつま合わせのために税率を引き上げる極めて乱暴なものであります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総合的に我々自民党として、健全野党として判断し、賛成するものの、懸念事項を申し上げます。

 第一に、額であります。平成二十二年度の財源不足額は前年度より約八兆円も増額し、過去最大の十八兆円を超える中での増額であり、一兆一千億円の増額では焼け石に水の状況であります。

 第二に、今年度限りの特例措置であるということであります。交付税率の引き上げは全く実現せず、地方交付税の増額も、原口大臣の主張の三分の一にも満たなく、しかも単年度限りの措置であり、平成二十三年度以降の保障は全くないものであります。

 第三に、歳出です。地方交付税総額の増額に伴って、地方財政計画の歳出に、特別枠、地域活性化・雇用等臨時特例費九千八百五十億円を新設しておりますが、一方で、前年度措置された地域雇用創出推進費五千億円を廃止し、あわせて、コンクリートから人へと称して投資的経費の単独事業を何と一兆二千百二十五億円も削減しており、差し引きすると、七千二百七十五億円もの地方の支出が減っております。

 第四に、一般財源です。政府は、地方税が減る中、一般財源が三千億円増額したと宣伝していますが、これも、子ども手当五百億円など一般行政経費の増に係る一般財源の五千億円の増額や公債費の増額一千億円を含んでおり、差し引きすると、実質的に一般財源は三千億円ものマイナスとなっております。

 総じて見れば、今回の地方に対する税財政措置は、予算も含め、子ども手当の財源の地方へのツケ回し、国民を欺く暫定税率の実質的な継続など、みずから口にした国民への約束すら守れない虚飾に満ちたものであり、デフレスパイラルの渦に巻き込まれつつある地方をしっかりと支えるためには力不足のものと断じざるを得ません。

 鳩山内閣は、地域主権、緑の分権改革など目新しい言葉を並べて、地域の創富力を高めるなどと口当たりのよいことを言っておられますが、地方が今望んでいるのは、目前に迫った危機を何としても回避し、中長期的な見通しをしっかりと立てることであります。

 国、地方を通じて、子ども手当の創設など、さらなる負債を将来世代に押しつけようとする財政的児童虐待をこれ以上進めないことを強く主張して、我が党の討論を終わります。

 以上です。(拍手)

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成し、地方税法等の一部を改正する法律案に対しては反対する立場から討論を行います。

 まず、地方交付税法等一部改正案については、前年度の地方交付税総額を増額させたこと、そして補償金免除繰り上げ償還を行い、公債費の負担軽減を図っていることは評価したいと思います。

 次に、地方税法等一部改正案について申し上げます。

 今回の税制改正は、マニフェストありきで、その財源をどう捻出するかに終始し、経済対策の視点を欠いた戦略なき税制改正です。住民税の扶養控除や特定扶養控除の一部廃止、軽油引取税の暫定税率の維持などについては、明らかな公約違反です。子ども手当について、結局、財源を十分に確保できずに、マニフェストに載せていない住民税の扶養控除等を廃止するのは筋が通りません。

 さらに、扶養控除等の廃止による増収分を最終的に子ども手当に充てると四大臣が合意するなど、地方の自主財源について、権限もなしに使い道を決めています。また、子ども手当の財源として現行の児童手当の一部を残し、地方に一方的に負担を押しつけるなど、地方を無視した姿勢は言語道断であります。

 今回の税制改正は、平成二十二年度税制改正大綱で示された公平、透明、納得という三原則や十分性の原則など、みずから掲げた理念から見て大きな問題があります。所得控除から手当へという方向性が示され、税制の抜本的な改正になるにもかかわらず、全体的な税体系がどうなるのか極めて不透明であります。また、歳入歳出両面の改革でどのような垂直的公平が図られるのか、これも全体像が示されていません。こうした状況のもとで扶養控除や特定扶養控除の一部を廃止するのは、財源のつまみ食いと言わざるを得ません。

 さらに、財政上、均衡がとれている税制改正かどうか疑わしいという問題もあります。子ども手当、高校の授業料無償化、農業戸別補償などばらまき型施策の実施により、国債発行額が五十兆円を超えるという極めてゆゆしい事態を招き、速やかにこれら施策の財源確保策を明確にすべきであります。

 このように、今回の税制改正は、公平、透明、納得の三原則に照らしても問題であり、一番重要な国民の納得は到底得られるとは思いません。

 以上のような理由により、地方交付税法等一部改正案に賛成し、地方税法等一部改正案に反対することを申し上げて、討論といたします。

 以上です。(拍手)

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税及び地方税の改正二法案に対し、反対の討論を行います。

 地方交付税法案に反対する理由の第一は、地方の財源不足への国の責任が果たされていないからであります。

 地方交付税法第六条の三第二項は、地方財源不足が三年にわたって生じる場合には、地方行財政制度の改正または交付税率の引き上げを定めております。十五年連続となる地方財政の財源不足は、これまでの行財政制度の改正では限界であることを示し、原口大臣も繰り返し交付税率の引き上げを主張してきたのであります。

 ところが、この肝心かなめの交付税率の引き上げは行わず、来年度も財源不足額のうち、十兆七千七百六十億円を国、地方で折半するというものです。これでは到底、地方財源の総額確保への国の責任を果たしているとは言えません。

 反対理由の第二は、地方財源を安定的に保障する措置がないからであります。

 自公政権の地方交付税の大幅削減によって、地方の一般歳出は抑え込まれ、医療、福祉、教育、雇用など住民サービスは深刻な事態となっています。昨年度に比べ、地方交付税額は一兆円余の増額ですが、これは一年限りの別枠加算によるもので、臨時的、特例的な措置では地方財源を安定的に保障することにはなりません。

 反対理由の第三は、構造改革路線に基づく地方公務員の定員純減と給与抑制が断ち切られていないからであります。

 私の質問に対し、原口大臣は、国が数値を押しつける地方行革が住民サービスの後退をもたらし、地方破壊を進めたと答弁されました。そうであるなら、行政改革推進法や骨太〇六など、今なお地方に定員純減を押しつけている仕組みは撤廃すべきです。二〇一一年度までの地方公務員の純減方針を定める骨太〇六に基づき、来年度地方財政計画は二万人以上の地方公務員純減を盛り込んでいるのであります。

 構造改革路線からきっぱりと決別することこそ求められています。

 地方税法案において重大なことは、年少扶養控除の廃止と特定扶養控除の縮減で、平年ベースで四千五百六十九億円もの過去最大規模の大増税をもたらすことであります。

 そもそも、民主党のマニフェストには個人住民税の扶養控除廃止はありません。国民には何の説明もない、公約違反の大増税であります。政府は、この増税分は最終的に子ども手当の財源として活用するといいますが、その検討方向は、民間保育園への国庫補助の一般財源化やさらなる規制緩和を進めるというものです。

 子ども手当のまともな設計も示さず、その一方で公約違反の扶養控除廃止による大増税を押しつけ、保育、子育てへの国の責任を投げ捨てるやり方は容認できません。やめるというのであれば、証券優遇税制の軽減税率の継続こそやめるべきであります。

 以上述べて、反対討論とするものです。

近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、黄川田徹君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五会派共同提案による地方税財政基盤の早期確立に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税財政基盤の早期確立に関する件(案)

  地方公共団体が安定的かつ充実した行財政運営を行い得る地方税財政基盤を早期に確立するため、政府は次の諸点について措置すべきである。

 一 現下の厳しい経済環境の下において、地方財政の収支の悪化が急激に進み、地方の疲弊も極めて深刻化していることにかんがみ、地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ地方公共団体の安定的な財政運営に必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含め、国、地方を通ずる抜本的な見直しを検討すること。

 二 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、地方公共団体間の格差是正を図る観点に立って、国、地方を通ずる税体系の抜本的な見直しと国、地方間の税源配分の見直しなどを行い、速やかに偏在度が小さく、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。

 三 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることにかんがみ、計画的に、地方財政の健全化を進めるとともに、臨時財政対策債をはじめ、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 四 地方税財政に係る諸制度の見直しに当たっては、特に財政基盤の脆弱な市町村に対し、特段の配慮を行うこと。

 五 政策的促進策の下に、多くの市町村合併が行われてから相当の期間が経過している現在、合併当時に予想できなかった社会経済情勢の変動が生じている団体も多いことにかんがみ、合併市町村の合併に伴う特例措置の適用状況と行財政運営の現状を分析し、これを踏まえ、合併市町村の今後の行財政運営に不測の支障が生じることがないよう、適切な措置を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地方税財政基盤の早期確立に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原口総務大臣。

原口国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

近藤委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において御協議願ってまいりましたが、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 御承知のように、過疎対策については、昭和四十五年の過疎地域対策緊急措置法制定以来、これまで四度の立法が超党派の議員立法として行われてきたところでありますが、平成十二年に制定された現行の過疎地域自立促進特別措置法は、この三月末日をもちまして有効期限が経過いたします。

 しかし、これまで、これらの法律に基づき、総合的、計画的な過疎対策が積極的に推進され、過疎地域の産業振興や交通通信基盤・生活基盤の整備などに一定の成果が上がっておりますものの、過疎地域は、なお、引き続く人口減少と著しい高齢化に直面し、農林水産業の衰退、いわゆる限界集落の発生、地域医療体制の弱体化など、さまざまな課題が生じております。

 これは、過疎地域の住民にかかわる問題というにとどまらず、過疎地域が、食料や水の供給、エネルギーの提供、国土の保全、災害の防止、地球温暖化の防止等はもとより、都市住民への安らぎや教育の提供の場として、極めて重要な公益的機能を有していることを思えば、国民の安全・安心に直結する重要な問題であり、過疎地域については、その公益的機能を適切に認識、評価した上で、過疎問題の解決を国民全体にかかわる重要課題ととらえ、実効性ある対策を切れ目なく講じていく必要があります。

 このような現状認識にかんがみ、過疎地域自立促進特別措置法について、期限延長を行うとともに、過疎地域の要件の追加や計画策定等の義務づけの見直し、ソフト事業に対する支援措置の拡充等を行うこととし、ここに本起草案を提出することとした次第であります。

 次に本案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、現行法による過疎地域に加え、人口及び財政力に関する一定の要件を満たす地域を過疎地域として追加することとしております。

 この場合、人口要件に関しましては、国勢調査の結果によって、平成十七年人口の昭和三十五年人口に対する減少率が三三%以上であること、またはこの人口減少率が二八%以上であり、かつ、平成十七年人口における高齢者比率が二九%以上もしくは若年者比率が一四%以下であること、または平成十七年人口の昭和五十五年人口に対する人口減少率が一七%以上であること、のいずれかに該当することとしております。なお、平成十七年と昭和三十五年の間の人口減少率による場合には、平成十七年人口の昭和五十五年人口に対する増加率が一〇%未満である場合に限ることとしております。

 また、財政力要件に関しましては、平成十八年度から平成二十年度までの財政力指数の平均が〇・五六以下であること等としております。

 第二に、都道府県が策定する過疎地域自立促進方針、過疎地域自立促進市町村計画及び過疎地域自立促進都道府県計画について、これらの策定に係る義務づけを廃止するとともに、市町村から都道府県に対する事前協議の内容を見直す等の所要の措置を講ずることとしております。

 第三に、過疎対策事業債の対象施設に関し、認定こども園、図書館、自然エネルギーを利用するための施設を対象施設に追加するとともに、小中学校の校舎等についての統合要件を撤廃することとしております。また、地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化その他の住民が将来にわたり安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図るため特別に地方債を財源として行うことが必要と認められる事業として過疎地域自立促進市町村計画に定めるものの実施に要する経費について、人口、面積、財政状況その他の条件を考慮して定める額の範囲内で、過疎対策事業債の対象とすることとしております。なお、この場合、基金の積み立ても対象事業に含むものとしております。

 第四に、所得税及び法人税に係る特別償却を行うことができる事業及び地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置の対象業種のうち、ソフトウエア業を廃止し、新たに情報通信技術利用事業を追加することとしております。

 第五に、現行法の有効期限を平成二十八年三月三十一日まで、六年間延長することとしております。

 第六に、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしておりますが、有効期限の延長に係る改正については、公布の日から施行することとしております。また、関係法律の改正その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、本案施行に要する経費は、平成二十二年度約六十億円の見込みであります。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

    ―――――――――――――

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。原口総務大臣。

原口国務大臣 本法案の提出に際して、議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表するものでございます。

 政府といたしましては、過疎地域の現状にかんがみ、本法律に異存はございません。

 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて適正な運用に努め、過疎地域の自立促進を図るため、なお一層の努力をしていく所存でございます。

近藤委員長 お諮りいたします。

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。(拍手)

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、黄川田徹君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の六会派共同提案による過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山口俊一君。

山口(俊)委員 ただいま過疎法の改正案につきまして御採決をいただきました。

 心から感謝の意を表しながら、ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件(案)

  過疎地域は、引き続く人口減少と著しい高齢化に直面し、財政状況も厳しく、農林水産業の衰退、維持・存続が危ぶまれる集落の発生、身近な生活交通の不足、地域医療の危機など、住民生活にかかわる様々な課題が生じている。

  一方、過疎地域は、安全・安心な食料や水の供給、エネルギーの提供、国土の保全、災害の防止、地球温暖化の防止等はもとより、都市住民へのやすらぎや教育の提供の場として、当該地域の住民の福祉の向上のためのみならず、国民全体の安全・安心な生活を支える極めて重要な公益的機能を有している。

  過疎対策の推進に当たっては、過疎地域が有するこれらの公益的機能について、過疎地域以外の都市部等の住民を含む国民全体が適切に認識し、積極的に評価した上で、過疎問題の解決を国民全体の課題と捉え、実効性ある対策を切れ目なく講じていく必要がある。

  こうした現状認識にかんがみ、今般、本委員会は過疎地域自立促進特別措置法の失効期限について六年間の延長を行うとともに、平成十七年の国勢調査の結果に基づく過疎地域の要件を追加するほか、いわゆるソフト事業に対する支援措置の拡充を図ること等を内容とする過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案を提出することとした。

  以上を踏まえ、政府は、過疎対策の推進に当たって次の事項の実現を図り、過疎地域の自立促進に万全を期すべきである。

 一 過疎地域を中心に集落の高齢化が進行するとともに、集落機能の維持・存続が危ぶまれる集落が増加し、これらの集落において、相互扶助機能の低下、身近な生活交通の不足、空き家の増加、森林の荒廃、耕作放棄地の増加などの課題が深刻化していることを踏まえ、集落の現状と課題を十分に把握しながら、各集落の実態に即して、住民の安全・安心な暮らしを確保する事業の実施や、集落を支援する人材の育成・確保など、きめ細かな集落の維持及び活性化対策がこれまで以上に積極的に講じられるようにすること。

 二 各地域の実情に応じた主体的な取組を最大限尊重すること。

 三 過疎地域が、豊かな自然環境、再生可能なクリーンエネルギー、安全な食糧、歴史文化資産といったそれぞれの有する地域資源を最大限活用して地域の自給力を高めるとともに、国民全体の生活にかかわる公益的機能を十分に発揮することで、住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を図ること。

 四 過疎地域の置かれた現状を踏まえ、今後は特に、地域医療の確保、就業機会の創出、生活交通の確保、情報通信環境の整備、子育ての支援、地域間交流の促進等が積極的に実施されるようにすること。

 五 今般の法律案については、過疎地域からの要望を踏まえ、過疎対策事業債の対象を拡充し、地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化など、住民の将来にわたる安全・安心な暮らしを確保するために実施するいわゆるソフト事業についても対象としたところであり、その趣旨を踏まえ、制度の運用に当たっては、次の事項について特に留意すること。

  1 過疎対策事業債については、引き続き所要額を確保するとともに、特にソフト対策に係る資金の確保・充実に万全を期すこと。

  2 過疎地域の実情に応じた主体的かつ創意工夫に富んだソフト対策の取組を十分尊重すること。

 六 過疎地域の厳しい現状を十分に踏まえ、実効性ある過疎対策を行うため、本法律施行後速やかに総合的かつ抜本的な検討を開始し、施行後三年を目途として、その検討結果や平成二十二年の国勢調査の結果、地方分権改革の進展状況等を勘案し、必要な措置を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 それぞれ御尽力、御心配いただきました皆様方には心から感謝を申し上げ、そして委員各位の御賛同をお願い申し上げて説明を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原口総務大臣。

原口国務大臣 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案について委員長提案の御決定をいただき、まことにありがとうございます。

 これに関して、過疎対策の推進による過疎地域の自立促進に関する件としていただいた、ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。

 大変な作業の中、まとめてくださった皆様に総務大臣としても心からお礼を申し上げて、一言、決議に対する発言にさせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十四分散会


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