衆議院

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第8号 平成22年3月16日(火曜日)

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平成二十二年三月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      中野渡詔子君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    佐藤  勉君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      山口 俊一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     中野渡詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田国義君。

野田(国)委員 民主党の野田国義です。

 きょうは、総務委員会におきまして初めての質問をさせていただくこと、大変感謝を申し上げたいと思います。

 原口大臣、十七年前だったと思いますけれども、私が当時の最年少で市長に当選させていただいたときに、八女の地まで激励においでいただきました。そして、あれからもう十七年、大臣は野党で大変長く議員生活されたということで大変だったと思いますけれども、このたび政権交代が起こり、そして総務大臣に就任されたということでございまして、心からお喜びを申し上げ、そして、原口大臣にこうやって質問できることを私も大変うれしく思っておるところであります。

 民主党も、総務委員会だけ見ても首長出身者が大分ふえまして、今十二人ですか、デモクラッツの会ということで今勉強会もさせていただいておるところでございます。それで、私は合併の実践者として、本音の部分も含めて少し話をさせていただきたい、論議を交わさせていただきたいと思っております。

 私は、市民の目線で、オープン、フェア、クリーンな市政をやっていかなくてはいけないということでやってまいりました。そして、ISOの14001とか9000シリーズなども取得しながら、何とか地方自治体を元気にしなくちゃいけない、そして市民の目線でしなくちゃいかぬということでやってきたところでございます。そういう中で、地方は、今までもだと思いますけれども、ずっとここ数年間、乾いたぞうきんを絞るかのように努力をしてまいっておるのではなかろうかな、そういう気がしておるところでございます。

 それで、私は国会に来まして、ちょっと苦言になろうかと思いますけれども、国の方が緩んでいるんじゃないかなという気がいたします。例えば電気の明るさにしても、私、どうも電気を消す癖がついておりまして、トイレの電気なんかも消して回っているような状況なんですけれども、しかし、国民にやはり国会が、あるいは国会議員が範を示すということが一番大切なことじゃないのかなと思っておるところでございます。

 本題に入らせていただきます。

 平成の大合併が平成十一年から始まったということでございまして、今申し上げましたように、私が市長をしておった市も、その大きな波の中で合併協議をやってまいりました。思い出しましたところ、それで五つの協議会をつくりました、久留米とか筑後市とか八女郡とか。そういう中で、結局二つが成就したということでありました。

 小さな自治体の財政の立て直し、あるいは地方分権の受け皿づくりの整備だというようなことで合併が迫られたということでございます。大きかったのは、やはり国の主導というものが大きかったのではなかろうかなと思っておるところでございます。

 こういう中にあって、今、総務大臣として、原口大臣がこの平成の大合併をどう評価されておるのか、ぜひともお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 おはようございます。

 野田代議士におかれましては、全国最年少、三十四歳の市長さんとして、私ももう二十年近く一緒に歩いてこれたことをまず心から誇りに思いますし、市長さんの時代にお書きになった、地方に帰って市長になろうじゃないか、あの御本は私にとっても今でもバイブルです。何となれば、自分のふるさとを自分たちの力でよくするんだ、そこにこそ、地方自治のまさに志の原点があるというふうに考えます。

 その上で、お尋ねでございますが、まず、この合併は国主導の部分もあったと思います。しかし、その中で大変な御苦労をはねのけて合併をされてこられた皆さんの御努力に、現政権の総務大臣としてもまずもってお礼を申し上げたいし、敬意を払いたい、これがまず第一であります。

 その上で、大合併はことしで一つ区切りにするわけですけれども、メリットとすると、やはり広域的なものができる、そして事務の簡素化もできる、そういったものでございます。

 ただ気をつけなきゃいけないのは、まだ過渡的であるからかもわかりませんけれども、中心部だけがよくなって周辺部が寂れてしまったんじゃないか、あるいは役場が遠くなって不便になったんじゃないか、旧市町村地域の伝統や文化やあるいは地名などが喪失してしまったんじゃないか、こういう心配の声も上がっていることも事実でございます。

 これは合併そのもののデメリットなのか、それとも、創富力というか、富を生み出す力をその間に随分奪いました。あるいは三位一体改革で地方が疲弊したということは事実でございます。ですから、これをすべて合併のせいだというふうに総括するまでには至らないかもわかりませんけれども、引き続き、合併した市町村が合併の効果をより一層発揮していただけるように、あるいは、合併に伴い生じるさまざまな課題に着実に対処し、合併したから文化がなくなったなんというのは絶対あってはならないというふうに思いますので、総務省といたしましても、しっかりと地域を支える、そういう政策を遂行してまいりたい、このように考えております。

野田(国)委員 ありがとうございました。

 それで、私は合併を振り返ってみまして、本当に苦しかったこともいろいろ思い出します。

 ある意味では、逆に、一番合併を拒んだものは何かなと考えますと、やはり政治生命。市町村長あるいは議員は合併をすると失職することになるということでありまして、そういった本音のぶつかり合いと申しますか、そういう思いで、今回の合併でも多くの首長あるいは議員の方々もおやめになったということであります。三役と議員で約二万一千人減ったということで、また、経費だけ考えても一千二百億円から削減がされたということでございます。ぜひともこれを、本当に地域のためだと思ってやられた首長の皆さん、あるいは議員の皆さんの思いというものをしっかりと受けとめていただいて、今後とも、基礎自治体、市町村に対する御支援を、地方再生のためによろしくお願いをしたいなという気持ちでいっぱいでございます。

 しかしながら、片方では、国の方がまだまだ改革が進んでいないんじゃないのかなと思いますので、このあたりのところをまたリーダーシップを持ってしっかりやっていただきたいと思います。

 それで、合併の一つの目的でありました受け皿づくり、これを考えてみますと、市町村の四分の一はまだ人口が一万人以下ということなんですね。今後どうしていくかという中で、国の形のあり方ということになっていくかと思いますけれども、ここが非常に大きな問題ではなかろうかなと私は思っております。大臣がおっしゃっておりますように、一括交付金なども基礎自治体に自由に使ってくださいということで示されるということになりますと、小さな自治体では非常に難しい部分が出てくるのではなかろうかなということを思っておりますが、大臣はそのあたりのところをどうお考えであるか、お聞きしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 委員がおっしゃるように、公共サービスを提供できる、公共サービス基本法というのをさきの国会で、この総務委員会で成案をつくっていただいて、そして議員立法で成立させていただきました。公共サービスの最低のラインというのはやはりあるんだと思います。それを提供できる、国民の公共サービスにおける権利を保障できる最低ユニットは一体何なのかということが、今の委員の御質問に対する答えになるんだと思います。

 私は、例えば三百人、四百人の市町村であっても、もしそれが可能であれば、それは何も、なくしていいという自治体ではない、そういう認識をしていますけれども、では、果たしてそれでできるんでしょうかと。まさに一括交付金の受け皿として、自治体の最適規模の議論というのもやはり一方であるんじゃないかというふうに思います。

 私が住む佐賀市は人口が二十三万ちょっとです。小さな市だといいますけれども、ニュージーランドに行けば、上から三番目ぐらいの大きな町なんですね。だから、その規模についてはこれからよく議論をしながら、まずは私たちは地域の創富力、富を生み出す力をしっかりとつくっていく、そして国全体の形を、国、地方ともに、一緒にデザインをしていくことが大事なのではないか、このように考えております。

野田(国)委員 ありがとうございます。

 それで、私、合併のことを総務委員会で質問するということで、合併した、私が元市長をしておった八女市の職員にちょっと聞いてみましたところ、しかし、いいことがありましたと。私がびっくりしたのは、市民の、まちづくりという思いのレベルが上がったと。

 小さい町のときには、何でもかんでも行政に頼めばいいじゃないか、そういうレベルであった。しかしながら、合併して数年がたってきたところで、やはり自分たちが何かをしていかなくちゃいけないというような、レベルが非常に高くなってきたことは事実ですよというような話を聞きました。私も大変喜んでおるところでございますので、これまた数年間たっていきますと、時が過ぎていきますと、今の評価とまた変わってくるということもありますので、そのあたりもしっかりと見きわめた上で判断をしていかなくてはいけないのではなかろうかなと思っておるところでございます。

 そこで、私、先ほど申し上げました国の形の問題で、今後どういう方向に行かなくちゃいけないのかということを考えますと、やはり国が、国の形を示すべきだと私は思うんです。ですから、合併を推進している中で私が何度も何度も地域住民の方に言ったのは、この後には道州制があるんですよ、だから合併せざるを得ない。確かに財政も交付税がどんどんどんどん減らされて厳しくなる、しかし、この後にそういった道州制があるんだということで私は合併を進めた一人なんですね。

 ですから、ぜひともそのあたりのところを、国がどうなっていくのかということを、今いろいろ戦略会議などでも論議されておるようでございますけれども、示す必要があると思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおり、私たち自身が、あるべき国の姿、明治維新以降、一回中央にお金を集めてそれを地方に分配するという、ある意味ピラミッドの構造をしていました、そのピラミッドの構造を、反対に今、市長さんの時代になさったように、どこからでもその力がわき起こるような形に変えていく。そして、そこで最適の行政の姿というのは一体何なのか。中央省庁にはたくさんの優秀な方々が、エリートと言われる選ばれた方々がおられます。では、この方々が本当に依存や分配の政治にいつまでもかかり合っていいのか、半分ぐらいは外に出てくださいと。

 私のところは情報通信大臣でもありますから、世界との、きのうも南米のリマに向けて、デジタル方式を採用いただくというのをスタートします、そのメッセージを送らせていただきましたけれども、中央政府は、世界のGDPのこれだけ多くを占めるこの国は、世界をしっかりと射程に入れた中央政府であるべきだし、その結果として、地域のさまざまな公共サービスは地方自治体、基礎自治体がやって、そしてその基礎自治体の意思が道州に向かうというのであれば、九州というのはオランダぐらいのGDPがありますから、九州を一つの道州にすれば、さらに経済政策はやりやすくなる。どこに大きな港湾をつくるかとか、どこに空港をつくるかというのも一元的にできるわけです。

 そういうものを、今、経団連や多くの経済界の皆さんともタスクフォースをつくって、この夏に一つの、道州制を射程に入れた、もちろん私たちは基礎自治体主義ですけれども、道州制も射程に入れた姿を描き切ってみたい、こう考えているところでございます。

野田(国)委員 基礎自治体、そして県、国、道州制ということになるわけでありますけれども、私の十六年間の経験から申しますと、県の存在、ちょっと県会議員の経験者の方もいらっしゃるかと思いますが、この県の存在が一番少し邪魔されたというか、私はそういう思いが非常に強うございます。

 市長時代はなかなか言えませんでしたけれども、もうやめましたので言えることなんですが、本当に、はしの上げおろしと申しますか、例えば直接総務省などに行きますと、何で行ったんだというおしかりを受けるような状況でありましたので、私は、県が基礎自治体を余り指導し過ぎるというか、そういうことを思いますので、そうなると、道州府、九州府とかやっていましたけれども、そのあたりがいいのかなという印象を持っておりますので、ぜひとも参考にしていただけたらと思っております。

 最後に、きのうの朝日新聞に「マニフェスト実行、担当記者が採点」ということで、地域主権の分野では、地方の自主財源の大幅増はA、国と地方の協議の場の法制化はA、ひもつき補助金廃止はB、国直轄事業の地方負担金廃止はAというような評価もなされておるようでございますので、今後ともしっかりと、総務省の皆さん、原口大臣を中心に頑張っていただきたいと思います。ともに頑張りましょう。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 十分という時間でありますので、大臣、答弁は簡潔によろしくお願いします。

 まず、平成の大合併に対する評価と検証という視点で質問いたします。

 日本が近代国家になりまして以降、三度の自治体合併時期があったと理解しております。一回目が明治の大合併であり、二つ目が昭和の大合併、そして今回の平成の大合併、こういうふうになるわけです。

 過去の二度の大合併、大まかに申し上げますと、明治の大合併というのは小学校や戸籍に着目した合併だった。昭和の合併を見れば、例えば、中学校一校を効率的に設置管理していくという視点があったと思います、全部じゃありませんがね。一方、この平成の大合併を見ますと、地方分権の推進の中で、市町村合併後の自治体数は千を目標とするというふうな方針を踏まえて合併を推進するというものであった。

 前者、明治、昭和の二つは、教育など、住民サービスの向上といった行政上の個別具体的な目標に基づくものであった。それに対して、平成の大合併は地方分権の推進を目的にしていますが、現実には地方分権は進まず、地方交付税や補助金の一方的な削減だけが目につく、こういうことであります。平成の大合併は、結果的に、地方の財政を圧迫する、特に周辺部の住民サービスの低下を招いたと言わざるを得ない。

 大臣、この平成の大合併について、半ばでありますが、どのような評価をお持ちなのかお聞かせください。

原口国務大臣 今委員がお話しになった三つの合併、大変的確な御指摘だと思っています。

 平成の大合併は、確かに地方分権の受け皿、このことで大変な御議論、そして御努力をいただいた、まずここに敬意を表したい。

 その上で、では、なぜ住民に対して合併のメリットが感じられていないか。そこは今委員がおっしゃったように、分権、みずからが決定してみずからがつくるという、先ほど野田委員がお話しになったいい効果とともに、三位一体改革が直撃しているために、財政のための合併だったというふうに、国の庭先をきれいにして地方がそのツケを受ける、こういうものがあったので、なかなか合併のメリットが生かされていないんじゃないか。

 これからは、多様な選択肢を地域が獲得できるようなそういう政策を行ってまいりたい、そして、合併をしたところについてもしっかり下支えができるような政策を行っていきたい、こう考えておるところでございます。

重野委員 さらに議論を深めたいと思うんですが、総務省が三月五日、「「平成の合併」について」という報告書を発表されています。これまでの平成の合併について現時点において総括するというものです。

 その文書の中に読売新聞の世論調査が出ているんですが、その調査の結果を見ますと、合併で住民サービスがよくなったと答えた方は二五%にすぎない、六三%がよくなったとは思わないと回答している、このように報じております。今回の報告書では、こうした各種マスコミなどの世論調査をもとに問題点がずっと列挙されているんですね。

 その一方で、随分さかのぼるんですが、二〇〇六年に総務省は、市町村合併の効果についてという報告書を出しております。それを見ますと、住民サービスの維持向上、利便性の向上など、いいことずくめ。さきの報告にもあるとおり、実態はそうなっていない。総括文書に列挙されている以上に、まだまだ問題点はたくさんあると私は感じています。

 今後も、平成の大合併についての検証作業を継続して徹底的に行う必要があると考えますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

原口国務大臣 全く同じ認識でございます。

 いいことだけを言えば、もちろん合併の効果というのはこれから十年、二十年して出てくる。しかし、合併の効果が今出ていないのはなぜかということをしっかりと総括する、それが大事だと思っています。

 なぜ出てこないかというのは、先ほどの創富力、富を生み出す力、あるいは財政を切り下げられた、こういうところがあると思いますので、合併の効果を生み出すためにも、あるいは住民の皆様に合併の効果を実感していただくためにも総括が必要である、こう考えております。

重野委員 特に目につくのは、合併した市役所のある中心部は別として、市役所から離れていけばいくほどその地域が明らかに後退している。それは道路一本見たって、以前と今と比べたら、明らかに手が届いていない。これはもう何回も私は申しているんですが、そういう部分をピックアップして、一つ一つやはりきちっと整理をして、どう対応するかということを真剣に考えてもらいたい。

 「「平成の合併」について」を参考に申しているんですが、基礎自治体にかかわる今後の課題として、「今まで以上に、市町村の責任と判断で住民の負託に応えていく必要がある。」このように書いております。また、こうした観点に立って、「市町村の行財政基盤の強化を図り、より一層の効率化を図るべき市町村も存在していると考えられる。」とか、そのようなことがずっと書かれているんです。

 二〇一〇年三月で、九九年以来の合併推進について一たん区切りをつけるとしている。今後、具体的にどのような方策で行財政基盤を強化していくのか、その点について。

原口国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、合併して中心部だけ栄えたというような話がございます。したがって、今後どうするか。

 国、県の合併に対する積極的な関与、これはもうやめよう。ただ、自主的な合併を選択する市町村については、合併を円滑化するための特例を内容とする合併特例法改正案を今回提出して御審議いただいておるわけでございます。

 そこで一番大事なのは、やはり行財政基盤の強化。それとともに、仕事のやり方を仕分けして、電子政府あるいは効率化をする一方で、公共サービスで働く人たちは、住民に対する対人サービス、こういったものをより手厚くできるように仕事のあり方そのものの整備もさせていただきたいし、今回、交付税を一・一兆円ふやさせていただきましたが、まずは公共サービスをしっかりと供給できる財源を地方に移管していきたい、こう考えているところでございます。

重野委員 それでは終わりに、平成の大合併は、最初にも述べたとおり、地方分権の推進等をその目的の一つにしております。また、「「平成の合併」について」でも、地域主権を担い得る行財政基盤の強化が挙げられている。これらは団体自治という側面が強く出ていると思うんですね。一方、住民自治がどうなっていくのかという問題がある。

 あめとむちを使った平成の大合併では団体の規模が追求された。結果として、住民自治の観点が欠落していたのではないか、このように思うんですね。報告書でも指摘されている、吸収合併によって町や村を代表する議員がいなくなった、地域のそういう不満の声があることも事実。自治に対する意識が、小さな町や村に比べて、合併によって大きくなったことで希薄化したのではないか、こういう危惧も持つわけです。

 住民自治と団体自治は車の両輪だ、そういう観点から、今後、どのような課題があり、それに対してどのような対策を考えていこうとしているのか、その点についても確認しておきたいと思います。

原口国務大臣 憲法九十二条に明定されている自治の原則、これは住民自治、団体自治、補完性の原則、こういったものがございますが、今最も大事で欠けたものは、今おっしゃる住民自治のところだと考えています。

 そのためには、住民参加のあり方、これを地方行財政検討会議においても検討しておりますが、まずは、住民がみずからのきずなをつくり、みずからの地域に参加してつくっていく、この仕組みをどう維持し、あるいは発展させていくかということが大事だと思います。

 参加なくして住民自治はございません。それから、住民自治なくして自治そのものがないわけでございますので、総務省としても、コミュニティー、それから集落や町内会レベルの住民自治の振興をしっかりと支えてまいりたい、こう考えております。

重野委員 今大臣が申しましたように、住民自治、住民が参加する場をどう目的意識的につくっていくか、これは国も地方も真剣に、常に意識して取り組んでいただきたい、このように思いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 谷公一でございます。

 きょうは、今の野田委員、重野委員の質問と問題意識はダブるところがあるかと思いますが、これからの自治のあり方についてということが一つ、年金運用についての考え方を二つ目に、そして三つ目には、先週成立いたしました過疎法の一部改正の今後の取り組みについて、この三点について原口大臣などに御質問をさせていただきたいと思います。

 これからの自治を考えるときに、原口大臣、もう一つ考え方が私はよくわからないところがあります。基礎自治体の重要性ということは、たびたび大臣が言われる、鳩山総理も言われる。そして、今までの民主党のマニフェストを見てみますと、例えば市町村合併について、二〇〇三年、平成十五年、私が初めて当選させていただいた年でありますが、その年のマニフェスト、それから翌年の参議院選挙、そして郵政選挙のときのマニフェストにも合併は推進する、こうはっきり書いてある、民主党のマニフェストに。そして、三年前の参議院選挙には、全国を三百程度の基礎自治体に再編するということも書いてあった。昨年の選挙では何も書いていない。

 そもそも基礎自治体を、どういう規模で、どういう権能を持ったものと考えているのか。まあ、国民の目から見れば、選挙のたびにころころ変わっている。三百自治体というのは、いつの間にか、あれは地方自治体の反発が強いせいなのか、取り下げたというふうに見ております。どうですか、大臣、この基礎的自治体の今後のあり方。直ちにではなくて、こういうふうな基礎自治体にするんだというのはあっていいと思うんですよ、考え方として。御答弁をお願いします。

原口国務大臣 ありがとうございます、大変本質的な御議論をいただいて。

 私たちは、マニフェストを変えたという考え方を持っているのではなくて、むしろ逆に、進化をさせてきた。つまり、自治というものは、中央政府がこの形だと一方的に決めて、上からばさっと押しつけて、こんなものだ、これでやってくださいね、皆さん、このひな形に、先ほど野田委員がおっしゃいました、県があれもやれこれもやれというものではないだろう。

 私たちは、確かに、全体の数字としたら三百というような数字を出したこともございました。しかし、それを決めるのは私たちなんだろうか。それこそ国、地方協議の場で、まさに一緒に絵をかくような形が大事なんじゃないかという、真の、先ほど参加なくして自治なしというお話をさせていただきましたが、そこで数字を落としているわけでございます。

 一方で、委員の問題意識のように、最適な公共サービス、あるいは最適規模というのはどれぐらいなのか、その議論はあっていいというふうに思いますが、私たちがマニフェストからその三百という数字を、これは激論しました、これは残すべきだという人もいっぱいいました。いや、こんなものを上から押しつけることこそが参加と自主決定に反するんじゃないかと。それは、地方が三百と本当に言っているのかということで今それを外しているということでございますので、御理解をいただいて、そして、どの規模が一番最適なのかということは、またこの委員会でも御指導をいただければというふうに思っております。

谷委員 大臣は、これは進化したんだと言われますけれども、もう一つ理解できないところがあります。

 ただ、国あるいは政府の方が一方的に押しつけるという考え方ではうまくいかないという御意見には、私もそのとおりだと思います。ただ、政権を担っている政府は、あるべき姿というのは当然提示しなければならないと思っています。これは地方の皆さんが決めるべきことですというふうに問題を投げるだけでは、私はいかがなものかなと思います。現在の都道府県、市町村、そして国という仕組みをどう変えていくのかということは、政府として地方と十分協議することはもちろんですけれども、考え方が、今、大臣は、変わったのではない、進化したのだと言われますけれども、もう一つよくわかりませんね。

 では、具体的にもう一つ聞きます。

 前の選挙で、民主党のマニフェストではなくて、正確にはインデックス二〇〇九ですか、次のように述べています。「基礎的自治体については、その能力や規模に応じて、生活に関わる行政サービスをはじめ、対応可能なすべての事務事業の権限と財源を、国および都道府県から大幅に移譲します。例えば、人口三十万人程度の基礎的自治体に対しては、現在の政令指定都市と同等レベルの事務権限を移譲します。」とあります。

 三十万というのは、例えばというのがありますから例示だと思います。三十万人という規模の都市を目指しているわけではないと、恐らく大臣は言われるかと思います。例示でもいいです、三十万人の基礎的自治体は現在の政令市と同等レベルの権限移譲を求めていく。現在の政令市と同等ということであれば、相当な権限ですよ、現在の仕組みですと。国の管理も政令市がやります。それから、児童相談所なども設けます、都市計画も相当権限があります。そういうものを三十万人程度であれば与えていいという考え方だと理解させていただいてよろしいんですか。

 これは、民主党のマニフェストの解説を答弁いただくというよりも、大臣の考え方を、総務大臣として、あるいは分権担当になるんですか、お尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 本当に谷議員とのやりとりは、本質的で、私の考えも深めさせていただいて、まずお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、国、県、市でそれぞれ事務主体が違うことによって、国が企画をして実施をしたり、県や市がダブルでやっていたりして、多くの不都合が起きているというふうに私は考えているんです。ですから、この地域主権型社会の基本を基礎自治体に置いて、原口プランに示させていただいているように、地域主権改革において基礎自治体への権限移譲を積極的に推進したいと考えているわけでございまして、例えば三十万人という、その行政の一定の基礎的なマンパワーがあれば、今委員がお話しされたような権限についても実施できる基礎体力があるのではないかということで、そのマニフェストについては例示をさせていただいているということでございます。

谷委員 三十万人規模は、体力があれば今の政令市並みの権能を持っても十分やっていけるというお考えだというふうに理解させていただきました。

 そうしたら、もう少し具体的に聞きます、抽象的ではなくて。

 市町村にその権限をしっかり今まで以上に持ってもらって、分権の受け皿として頑張ってもらわなければならないのだというのが、先ほど野田委員との質疑でもあったかと思います。

 しかし、市町村はさまざまです。特に町村です、平成の大合併をとりあえず終えたというかピークは過ぎましたけれども、人口一万人に満たない市町村は全国にたくさんあります。私の兵庫県は、全国で唯一と言っていいかと思いますが、人口一万人未満の町村は一つとしてありません。それだけ合併が進んだということでありますけれども。そういう町村に、今まで以上に受け皿となるには、最低限の福祉サービスもしっかりやっていただかなければならないと思います。今の町村が市と違うのは、大臣御存じのように、生活保護です、福祉事務所です。私個人としては、平成の合併で一千七百余りの市町村に再編されてここまで来たのだから、基本的には市町村、特に町村に生活保護も含む福祉行政をすべてやってもらうことを原則にして、それができないところは府県がどういうふうな役割で出るかという考え方でもう一度考え直した方がいいのではないかと思います。

 その点について、町村はどこまでの権能かということと、市町村の規模について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 私は、この平成の大合併は、もちろん、先ほどるる御議論がございますように、メリットだけじゃなくてデメリットについても公平に見ていかなきゃいけないというのは事実だと思います。

 ただ、その上で、合併をしたものをどう生かすかという視点もとても大事だ。ですから、基礎自治体にさまざまな権限を獲得していただこう、それから、緑の分権改革で泉のように地域の創富力を高めていこうということをお話ししているわけです。

 一方で、そういう権限が来れば、委員がおっしゃるように、責務も、あるいは義務も負っていただかなきゃいけないわけでございまして、市町村がどのサービスの義務を負うかということは大変大事なところでございますので、これこそ国、地方の協議の場で……。たしか、権限移譲、財源移譲のときに、地方が一番バッターから九番バッターまで、これは地方に移管してくださいねといったときに、今おっしゃる生活保護は、野球でいうと一番から九番のレギュラーには入っていなかったんですね。その後ろに入っていたというか、それは国でやってくださいよというのが地方のお話だったと思います。負うべき公共サービスについても、協議の場でしっかりと議論をしてまいりたい、こう考えています。

谷委員 何か上手な答弁にはぐらかされたという感じで、もう一つよくわかりません。

 もう一度お尋ねします。

 原口大臣は、最も基礎的な自治体の市町村、まあ、市は今生活保護をしていますが、町村は生活保護をやるべきだとお考えですか。私は、基本的に、町村でも、一万人未満というよりも、一千人未満の町村も全国で少なからずあります、そういう実態、現実には福祉事務所を設けてケースワーカーというのは難しいというのは十分承知しているつもりです、ただ、あるべき自治のあり方として、最も基礎的な自治体に権限移譲、財源移譲、もっと力をと言っていながら、福祉行政のセーフティーネットである生活保護を町村が行わないというのはいかがなものかなと思っているんです。平成の合併をも経たんですから、功罪はいい、メリット、デメリットは別にして、それを踏まえて具体的にお尋ねしているんですが、大臣のお考えを再度お尋ねします。

原口国務大臣 まさに、そこが補完性の原則なんだと思うんですね。

 今も委員がおっしゃったように、千人規模の自治体で果たしてそれができるかどうかというのは、私はかなり多くの議論が必要なのではないかと思います。では、そのサービスをしなければ、権限、財源はもらわないのか、もらえないのかというのが一方であります。それからもう一つは、これはこの間の生活保護、それから保育についても議論がございましたけれども、人間の尊厳のナショナルミニマムについては中央政府がそれを保障しなきゃいけないんじゃないか、何で生活保護を地方自治体がやらなきゃいけないのかという一方の意見もあるところでございまして、これは、私が今ここで生活保護もそういう小規模市町村がやるべきだと言い切るだけの確信は持っておりません。むしろ逆に、人間の尊厳のところは中央政府が最低限保障しなきゃいけない。

 今、出先機関の議論もしています、農水や国交もどこまでどうするのかという話をしていますけれども、中央政府の役割と密接にかかわるところなので、上手な答弁で逃げるなと言われるかもわかりませんけれども、そこはここで言い切ることは私は正直できません。逃げているわけじゃありません。

谷委員 生活保護なり福祉行政について国の役割というお話がございましたが、私にしてみればもう一つよくわからない議論です。

 余りセーフティーネットだから国の役割という理念で考えると、それこそ年金記録問題の、社会保険庁の二の舞になると思います。現実のきめ細かなサービスは、国にはその力がないと私は思っています。ないんです。国には、住民の皆さん一人一人の生活の状況を事細かく把握してサービスを供給する体制もないと思っています、私自身は。そのない力を、あると言って引き上げたのが社会保険庁でした。その引き上げた結果が、年金の収納率の急減によくあらわれたと思っています。

 ですから、一部に、生活保護は自治体よりも国というふうな考え方をされる方は、地方分権なり政府の言われる地域主権の考え方から見ればいかがなものかなと。逃げてはいけない、権限を持つということは責任も負うということですから。そういう意味で、私はどうかなと思います。

 大臣にこれ以上答弁を……。

原口国務大臣 私は、谷委員と考え方はすごく似ていると思います。

 私自身は、保育のサービスも住民に身近なところでやるべきだと。前から申し上げているように、現金給付は中央政府、サービス給付については地方政府、自治体がやることが一番いいと。それはもうおっしゃるとおりで、嫌なものは負いませんよという地域主権はあり得ないということだけは申し上げておきたいと思います。

谷委員 その絡みで、先ほども少し出ましたが、道州制についてお尋ねしたいと思います。

 そばにおられる秋葉委員が、三月十一日に、道州制について大臣の考えをいろいろ御質問されていました。大臣の答弁の中で、先ほど来大臣がお話ししていますように、余り国の方で道州制はこうあるべきだ云々というよりも、まず地域でいろいろ考えていただく、選択していただくという手法が正しいのではないかという答弁だったと思います。しかし、私は、それでもひっかかります。そういうことでこれからの地方の自治体の姿というのはグランドデザインできますかという疑問です。

 基礎的な自治体をしっかりさせるというのはわかります。私も大賛成です。議員になって一貫してそのことを主張し続けたつもりです。では、その上の都道府県のあり方は、今のままでいいと私は思っていません。我々自民党は、道州制ということを打ち出して、選挙では常にマニフェストでそのことを明記しているわけでありますけれども、民主党のマニフェストは、先ほどの基礎自治体と同様に、大臣、これは大きくぶれていると思いますよ。

 二〇〇三年、平成十五年は、「十年後をメドに道州制に移行」「十から十二の道州に再編」ということを明確に言われていました。翌年の参議院選挙ではややトーンダウンして、「基礎自治体の規模拡大、基盤強化の中で、道州制の実現へ向け制度整備に着手」とトーンダウンをした。二〇〇五年もトーンダウン。それで、二〇〇七年、三年前の参議院選挙で大きく修正したと私は思います。「当分の間、広域自治体は道州によらず、現在の都道府県の枠組みを基本とします。」となっています。そして、昨年の選挙です、トーンダウンがやや戻ったという理解なのか、どう理解していいのか私も苦しむところですが、マニフェストには「将来的な道州の導入も検討していきます。」とあります。

 これは、大臣、素直に考えて、相当ぶれていますよ。どうでしょう、御所見は。

原口国務大臣 これは、さまざまな国の形を考えるのに、歴史や成り立ちと無縁のものはないというふうに考えているんです。ぶれととらえられるというのは、ある意味私たちの真意ではございません。

 何を説明すればわかっていただけるか。例えば、コンピューターと脳のニューロンの違い。脳は、熱ノイズなんというのは、ノイズをもとに、それこそ実際のコンピューターでいうと何億台分の複雑なものを処理しているわけです。これはよほど高次なものです。恐らく谷委員がおっしゃっているのは、今僕らがつくっているのは、コンピューターが目指すようなアーキテクチャーを示せ、そのアーキテクチャーがないからおまえのところはぶれているんだと言われているような印象を受けているんです。

 私たちは、そうではなくて、地域の声や協働を入れて、脳のニューロンのようなさまざまな変化に対応できるものをつくりたいと思ってやってきたわけです。リジッドな絵をかくよりも、この時代は変化が激しいですから、それぞれの皆さんと一緒に協働しながら一つの射程を目指す方が大事だと。私は、この間、秋葉委員にお話をしました。これは脳の理論で、今先進的になっている理論なんですが、私たちはそのように考えて、ピラミッド形の組織でないので進化をさせてきたわけでございまして、道州制は射程に入っています。ただ、連邦制を射程には入れているわけじゃございません。

谷委員 高度過ぎてよくわかりませんでした。大臣から、それは我々も野党だったときに、あるべき姿というのは多少右左に揺れて、時代とともに変わってきたところもあるかもわかりませんけれどもという答弁をいただければ、これ以上言わなかったんですけれども、どうも難しいあれで、きょうはおいておきます。道州制の問題は、また一般質疑のときに詰めます。

 きょうは長浜副大臣にもお越しいただいていますので、この前は地域主権のあれで厳しくたださせていただきましたが、きょうはそういうことはございませんので御安心ください。

 今お手元に資料があるかと思いますが、先週、日経新聞に「迷走する年金運用」という記事が二回にわたって連載をされました。この記事を読むと、原口総務大臣は積極運用を主張し、厚生労働相は安全運用を主張しているということで、なかなか意見対立が激しいという記事でございます。

 なぜ原口総務大臣がこういうことにいろいろ意見を言われるのかというと、これは、独立行政法人が厚労相が定めた目標に沿って公的年金の運用をしている、そういう独法の業務を評価する機能が総務省にある、原口大臣の言われる横ぐしの機能ということで言われているかと思うのです。

 ただ、私が調べたところ、行政評価局では、独法のいろいろな見直しについて、この運用をもっと積極的にという意見、勧告の方向性はないと思うんです、今まで。ということは、事務ベースというか行政評価局が、常日ごろ、この独法についてもっと積極的な運用をしろと言っているかというと、言っていない。これは原口大臣が、総務大臣としてのお考えで、今の年金の運用のままではだめだ、もっと積極的に資産がふえるように運用すべきだと思われて主張されているという理解でよろしいですか。その確認です。

原口国務大臣 きのうも論説懇をやらせていただきましたが、その理解は正確ではございません。

 私は、行政刷新会議の議員を兼ね、政府税調の会長代行でもございます。もちろん、総務大臣としての行政評価で勧告の方向性の指摘をやりまして、今後のGPIFの運営のあり方の検討のためのGPIF検討会を設置しているところでございますが、そこで私たちが議論をしているのはガバナンスのあり方なんです。

 つまり、運用を積極的にやるべきだ、あるいはパッシブにやるべきだということを議論しているのではない。運用というと、大体四つありますね。国内外のボンドマーケットは国債、海外債、国内外のストックマーケットは株やさまざまな投資、この四つの組み合わせなんです。ところが、このポートフォリオについて、例えば日銀であれば、日銀の政策決定会合でどのような議論がなされたかというのが公開されて、金利を上昇させるの何のというのは国民が理解をされるわけです。しかし、このGPIFについては、さまざまな運用のガバナンスについて多くの指摘があるところでございまして、理事長がおられて、そしてそこに厚労省から来られた方々が一緒におられて、ポートフォリオを随時見直すべきと書いてありますけれども、ポートフォリオはこの間見直しをされていない。また、巨額の資産運用の意思決定を理事長単独で行うのか、専門知識を持つ者が協議の上で行うのか、そういったことも私たちの問題意識としてあるわけでございまして、まずはガバナンスの議論をしているということでございます。

 何もそこで、もし債券で扱えというのであれば、国債でやれといえば、国債の金利は今一・五ですから、国民にお約束というか目標というか、それはいろいろな言い方があると思いますが、予定利率は四・一なわけです、四・一のものを一・五でずっと運用するということは、その間についてはちゃんと説明してくださいね、四・一をやりますと言いながら一・五のパフォーマンスだということは、その間は税で埋めるんですねということですし、ポートフォリオをもし動かさないということであれば、七十九人のGPIFの職員は過大でありますから、これは財務省やさまざまなところでも運用ができるんじゃないですかという意見もあると。まずはガバナンスのことを議論しているというふうに御理解をいただきたいと思います。

谷委員 長浜副大臣、新聞記事では、積極運用と安全運用の考え方の溝がある、それでこのGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の運営のあり方の検討会も渋々厚生労働省は設置したというふうに書いていますけれども、原口大臣の答弁のとおりですか。

長浜副大臣 谷委員におかれましては、前回に引き続き御指導ありがとうございます。その前は、私は環境をやっておりましたものですから、豊岡でもコウノトリの御指導をいただいたことが記憶に残っているところでございます。

 渋々やっているということではございません。ちょっと長ったらしい名前ですが、年金積立金管理運用独立行政法人の運営の在り方に関する検討会、原口大臣はGPIFとおっしゃられましたが、この運営のあり方について原口大臣から御提案をいただき、今御答弁ありましたように、内容を見直したらどうだ、こういう議論をやっていこうじゃないかということで、主管は厚生労働大臣でありますが、そこに原口大臣を初めとする総務省の政務三役、それから、総務省の顧問をされていると思いますが、山崎さんにも入っていただきまして、積極的にこの運用の議論をしているところでございます。

 大変円満に進んでいると理解をしております。

谷委員 副大臣もお忙しいですから、もう一つだけお聞きします。

 そうしたら、年金の運用について、本来出すべき大臣の利回り目標が示されていないでしょう。示されていないということは、四月以降、従来どおりやらざるを得ない、従来のポートフォリオを維持せざるを得ない。こういうことで厚生労働大臣としての責務が果たされますか。やるべきことは、年度内にしっかりやらなきゃならないのと違うんですか。その点について副大臣のお答えをお願いします。

長浜副大臣 谷先生からの御質問は、中期目標計画をどのように策定するかという部分だと思います。

 今回の中期目標期間は、平成二十二年四月から二十七年三月までの五年間を予定しているところでございます。何がその間に挟まるかというと、これまた先ほどマニフェストの議論が出ましたけれども、マニフェストの中で二十五年までに新しい年金制度を、これは与野党ともにこれからまた議論をいただくところでありますが、こういった年金制度をつくるという、こういう中における暫定的な運用のあり方として、現在まで引き継がれてきた安定的運用のポートフォリオを維持するような形での運用ということを現在決めているわけであります。

 と同時に、先ほど御説明をしました総務省の方々にも入っていただく検討会も続いておりますので、そういった検討会においても十二月末において、一つの方針のあり方が出てくると思いますので、見直しの時期は、遅くとも、あえて申し上げますならば、新たなる年金制度ができまして、そのときの年金財政、運用等の計算等をする段階においてまで議論は続いていくというふうに思っております。

谷委員 どうも釈然としませんが、時間も押しておりますので、この問題で大臣に最後に一つだけお尋ねしたいと思います。

 大臣は、何も自分は積極運用ということがあれではなくて、これは新聞が、メディアがそう報じたのであって、自分としてはガバナンスの問題について一番問題意識を持っているという答弁であったかと思います。

 地方自治体でも、基金をさまざまな方法で運用していますね。その基金の運用について、今ほとんどの自治体は、国債とか地方債とか、そういう安全な運用をしているのが大部分だと思います。安全な運用ということは、昨今の経済情勢でいえば、ほとんどそれで運用益を得ていないということですね。それについて、総務大臣として、自治体の方はこうあるべきだと、今は指導というのはおかしいですけれども、何か考え方がおありですか。

原口国務大臣 これは総務大臣としても、行政刷新、あるいは税調の代行としても申し上げているのは、キャッシュフローマネジメントです。つまり、お金を寝かせない、資産の有効活用こそ大事だと。特に、先ほどこれは年金でも、真の意味での安全運用というのは何かというと、資産運用の中心である国債にも価格変動リスクが存在し、中途売却することで損失発生もあるわけで、より安全性を高めるためには、将来年金を幾ら払いますよと国民にお約束をしたものと負債の期間とをマッチングさせた年限のものを組み入れて満期保有させることでリスクを軽減する。どうすればリスクが軽減するかという議論がなければ、これは責任のある運用とは言えませんよということでございます。

 GPIFについて言うと、これまで資産運用のポートフォリオはファンド・オブ・ファンズなんですね、ポートフォリオが一回も見直されたことがない。年金というのは長期に国民に対してお約束しますから、長期に成長分野に、イギリスの年金がアメリカの産業を支え、成熟国の年金がそれぞれ新しい国の産業をずっと支えてきたんです、成長点にしっかりとした資源を配分することなしに将来にわたって国民に対する年金へのお約束は果たせないということを申し上げていて、地方自治体も、これほど負債ではありませんからこの考え方とは微妙にずれるんですけれども、しっかりとキャッシュフローマネジメントをやるべきだというふうに考えています。

谷委員 ありがとうございます。

 あと、三つ目が残っていましたので、過疎の問題についてお尋ねしたいと思います。

 関係自治体の悲願である過疎法が、先週火曜日、参議院を全会一致で成立しました。その陰には、原口大臣の地域の要望をしっかり踏まえたいろいろな新しい取り組みがあったというふうに、党派を超えて私も感謝を申し上げたいと思います。その上で、大臣の考え方と、ぜひよろしくお願いしたいということがございます。

 それは、今回の過疎法の目玉はソフト事業です。ソフト事業を過疎債で充てることができる、そして、どういうものに充てることができるかということは、総務省の方で具体的にこれから決めるということになっている。これがなかなか難しいと思います。いろいろ地域の事情もさまざまです。ですから、私個人としては、何に充てることができるというのではなくて、何についてはだめよ、それ以外は地域の工夫で取り組んでくださいと。例えば、一つは、経常的な人件費とか施設維持費とか公債費はだめですよ。二つは、生活保護費のように法令で補助負担率がしっかり決まって、地方の財政措置もしっかりなされているもの、そういうのに過疎債というのはないでしょうねと。三つ目に、貸付金の償還財源があるようなもの、これはだめでしょうねということはあるかと思います。そういう三つの原則以外は地域の工夫に任せる、それこそ自治体の創意工夫を呼び起こすような、そういうおおらかな姿勢で省令なり仕組みをぜひお願いしたいということが一つ。

 もう一つは額です。額も、地方債計画は二千七百億でございますが、全国の過疎の団体が七百五十余りということを考えるならば、初年度は七百というような、まあ、一団体にならすと、粗っぽく言えば一億ということになろうかと思いますけれども、それぐらいの規模でしっかり国は支えていきますよというメッセージをぜひ発していただきたいし、それを過疎地域の関係の方々は待ち焦がれているかと思います。

 内容と額について、大臣の考え方を最後にお尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 本当にありがとうございました。谷委員を初め皆様の御熱意と御努力がこの過疎法をよりよいものにしていただいたと思います。

 その上で、先ほどおっしゃるような、ネガティブのリストみたいなものをつくって、それ以外は大丈夫だというような形をぜひ検討させていただきたいと思います。また、今後の運用をつくるに当たっては、超党派でおつくりいただいたので、総務省の中にもお見えいただいて、立法者の御意思がしっかり反映できるような形で運用をやらせていただきたいと思います。

 それから、二点目については、きょう特別交付税の交付を決定いたしますけれども、ここは今までとは、どこから見ても、だれから見ても公正だと。そこでも、委員がおっしゃるように、過疎地域、減少、急減地域に思い切って傾斜をいたしました。中には皆さんの御地元で、おれのところは減っているじゃないか、何だ、原口はと言う方がいらっしゃるかもわかりませんが、そこは、前年の合併とか特別な地震や災害で大きくふえているので減っているところは確かに出ていますけれども、公平公正に、しかも過疎地をしっかり支えようということでやらせていただきましたので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

谷委員 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。

 質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。前回の一般質疑の時間がちょっと短かったということで、三時間三十分という時間でやっているということで、一般質疑にわたる部分もちょっとお話を聞かせていただきたいというふうに思います。

 それで、これは情報がないという意味でお尋ねをするんですが、総務省の顧問で既に退任をされた神野関西学院大学教授、あるいは上田埼玉県知事、橋下知事、この方たちが顧問に就任をされたのは政権交代後という理解でよろしいですか。

原口国務大臣 そのとおりでございます。

赤澤委員 それでは、ちょっと問題意識を幾つか申し上げたいと思うのは、まず総務省顧問について言うと、我々は、原口大臣のいわゆるお友達が選任されているんじゃないかということでずっと疑念を申し上げているし、大臣は、いや、立派な方たちだというような感じで、ある意味かみ合わないやりとりが続いているわけであります。

 この方たちは、特に支給された旅費等も全くゼロのお三方でありまして、政権交代後、ですから九月十六日以降、十二月までの御就任だったということです。それだけの短期間で、具体的に一体どういう役目を果たされたかということについて、私は正直なところ何か疑問がある。要するに、三カ月ぐらいで何かしら役に立つ仕事をされたのかどうかというのは、これは改めて検証ができるものならしてみたいと思いますし、それ以上に気になるのが八代英太さんなんですね。

 八代英太さんは、元衆議院議員、今は新党大地代表代行ということでありますし、過去の質問主意書でもう明らかになっていることは、これ以外にも、落選をされた議員であります亀井久興、あるいは保坂展人、さらには水島広子元議員のお三方も含めて、四人で百万以上のお金が税金から支給をされているという実態があります。

 私どもはそれを引き続き問題視しているものでありまして、八代英太議員について言うと、二十六万二千六百円が謝金で払われております。特に公金から出している以上、前の神野教授、上田知事、橋下知事と比べても、もう退任されているわけですから、彼の貢献、業績というものは一区切りしているわけですけれども、どのような具体的な業績があったのか、彼を顧問にしたことで一体どれだけの貢献があったのか、それもかなり具体的なものとして、政治主導のもと、大臣、副大臣、政務官から、どのような貢献があったのかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、我々が申し上げているのは、どうも落選した議員に、失業対策とは言いませんけれども、お友達を呼び込んで顧問にしていろいろな謝金とかを払っているということについては本当に疑いの目で見ておりますので、その辺は明確な、具体的なこういう貢献があったということをお話しいただきたいと思います。

原口国務大臣 八代先生については、元衆議院議員で、元郵政大臣でございます。総務省が抱える諸課題、特に情報通信、郵政、それから委員も御案内のとおり、障害者基本法の起草者であります。私と一緒に、当時は八代先生は自民党でいらっしゃいましたけれども、障害者基本法をおつくりいただきました。

 これからのICT社会における障害者政策のあり方、または今回、日本郵政のさまざまな問題についての調査検討チーム、それからもう一つは、総務省事業仕分けの実施及び行政評価機能の強化の検討を進めていただきまして、事業仕分け、第一弾をやりましたけれども、その後各省でやったんですね、そこでも大変な御知見をいただきました。

 二十六万二千六百円というこれまでの謝金、それは、謝金のために総務省顧問を引き受けていただいたなんというのは全く違うことでございまして、皆さんも御案内のとおり、私たちはまさに志を持ってここに来ておりますので、八代先生については、地域障害者福祉行政についても御意見をいただきました。二十六万円のお金にふさわしいものがあったかというと、それに倍する、あるいは、もうそんな数字ではあらわせない御貢献をしてくださった、そのように感謝をいたしております。

赤澤委員 今みたいな説明で税金をお友達に使えるなら、もうだれにでも使えるということだと思うんですよ。

 具体的に、この期間に八代さんがやった提言、どういういい提言があったんですか。政治主導なんだから、大臣、副大臣、政務官のどなたかが、八代さんがこういうことを言いましたというのをかなり具体的に言ってくれないと、我々としては何の実感もないです。今の説明でよければ、だれでも顧問に就任させられるということに違いないと私は確信いたします。

原口国務大臣 八代先生の名誉のためにも明確に反論します。

 八代先生は、事業仕分けにおいて、例えば行政の電子的に申請するシステムについてもいろいろな経緯を御存じでした。やはり大臣をやったというその知識はほかの人にはかないません。しかも、政権与党でもってこれまでやってこられた。そして御自身も障害をお持ちでありますけれども、そのお立場から御提案いただいたことも数々ございました。つまり、今までのICT政策は人によっていない、人を中心にICT政策を組み上げるべきだ、こういうお話もいただきまして、私は余人をもってかえがたい方だというふうに確信をいたしております。

赤澤委員 私どもとしては、なかなかこれは納得できる説明ではないんですけれども、八代先生については、新党大地代表代行ということでこれから選挙を戦われます。総務省顧問という肩書を持たれていることは、私は大変選挙にプラスになることだなと思いますけれども、大臣はその辺はどう考えられますか。

原口国務大臣 委員、この方は元郵政大臣ですよ。郵政大臣なんですよ。だから、総務省顧問という、それも私はしっかりとした肩書だと思いますけれども、郵政大臣をされて、そしてこれまで自民党の中でも数々の御貢献をされている、そのことをぜひ御理解いただければというふうに思います。

 私も、個人の話なので、なかなか踏み込んでは言えませんけれども、八代先生がこれまで郵政行政でやってこられたことは、まさに御一緒されていた自民党の方だからこそよく御存じなんじゃないでしょうか。

赤澤委員 私は今、民主党からということを超えて言っていますけれども、なぜわざわざ新党大地代表代行と言うことになったかというと、けさの時点で確認しても、八代先生のオフィシャルホームページに「元郵政大臣 八代英太・新党大地代表代行 総務省顧問」と書いてあるわけですよ。端的に言えば、いまだに彼は総務省顧問の肩書をホームページで宣伝し、加えて、自分は総務省顧問として議論をしているんだということを世の中に向けて出しているんですよ。

 この点については大臣はどう思われますか。

原口国務大臣 もうおやめいただきましたから、総務省の顧問についてはホームページを削除していただきたいと思います。

赤澤委員 そのような疑わしいことについて、私どもはやはりやってほしくない。肩書について言えば、顧問をおりたのであればその辺はきちっとしておいていただきたい、そういう思いを強く持っています。

 この件は、私は本当に民主党の体質が出ているんじゃないかと思っているわけですよ。どういうことかと申し上げれば、ほかの質問主意書で明らかになったとおり、鳩山総理御自身は、公邸に入るに当たって史上最高の改修費を使われたということがわかっています。当初四百七十四万円という回答だったかと思いますけれども、什器といいますか、いろいろ直して、そして答弁漏れがあったということで追加、清掃費など二百二十四万円が落ちていた。要するに、合わせれば、公邸に入るに当たって七百万円使われた。

 自公連立政権が無駄だらけだ、無駄遣いだと言いながら、総理が公邸に入るときは、過去の総理のだれよりも多く費用をかけて公邸を改修されたという事実が一方であります。(発言する者あり)けたが違うというやじはひどいですね。一円たりともこれは税金ですよ。今の話は本当に議事録に残っていいんですか、けたが違うなんという話。七百万、額が小さいからいいんですか、そんな話じゃないでしょう。税金なんですから、きちっと一円たりとも無駄にしないということは、そうでなきゃおかしいはずですよ、これは。

 加えて、もう一つ指摘しておきたい。

 内閣官房の専門調査員というものが今二十五名任命されています。これは民主党職員の方たちなんですよ、内閣官房専門調査員。私、びっくりしたのは、この人たちは無給だ無給だというから、念のため調べて聞いてみたんです。交通費を出していますと。びっくりしたのは、政務三役の随行でも何でもないのに、民主党職員の方が内閣官房専門調査員になって、意見交換という名目で米国出張しているんですよ。その旅費を今精算中なんです。

 いいですか。民主党職員の方を内閣官房専門調査員にして、政務三役の随行でも何でもなくて、意見交換で米国に行かせている。このことは特に原口大臣に通告もしていませんし、恐らく総務省関係ではないと思うので、きょうはこれ以上聞きませんけれども。

 総理は、公邸に入るに当たって史上最高の改修費をかける。総務省顧問で落選した議員の先生方に、お友達にお金を支給する、これも税金です。加えて民主党職員の方が、単独で、あるいは少なくとも政務三役の随行ではなくて、米国に意見交換に行く旅費も出している。これは内閣官房専門調査員にして、無給で非常勤ですからと言って出しているんですよ。

 こういうことというのは、一言で言えば、民主党の方たちが国民の税金を自分たちの仲間で、こそこそとは言いませんけれども、使っているというふうに私には見えるんです。なので、この顧問の問題も、あるいは改修の問題も、額が小さいとか軽く見ていますけれども、あれだけ無駄遣いについて文句を言い、税金の使い方が公平公正でなきゃいけないと言って、税調の役員というか幹部でもあるということをおっしゃっていましたけれども、私は、その辺については余り褒められたものではないと思いますよ。一個一個見て額が小さいなんと言っていて、そこに何かしら、自分たちが政権与党になったんだから、税金は思いのまま仲間で使っていいというような体質が見えているように私は思うんです。

 その点は、今初めて聞かされて原口大臣も困ったような顔をされていますから、専門調査員の米国出張の旅費を精算中だなんて話については、どうしてもコメントされたいのであればコメントして結構ですが、そういうことを私は申し上げたいということであります。

原口国務大臣 いずれにせよ、すべて国民の税金ですから、しっかりとした明確な基準、それから厳しい精査の上で、まさに顧問については、委員もお話しのように、国民にどのように役に立つか。地域主権改革、さまざまな工程表もつくらなきゃいけない、あるいはこれまでのお知恵もいただかなきゃいけない、やはり知恵を集めるということが私たちの一番の目的でございまして、友達を優遇しようとか、何か殊さらに偏ったことをしようなんという気持ちはさらさらないということも御理解をいただきたい。

 ただ、委員がお話しのように、税金の使い方についてしっかりとした基準を設け、そして疑いが生じないように、私たちもこれから努力を重ねてまいりたいというふうに思います。

赤澤委員 きれいごとはいいので、ぜひ、おっしゃったことはきちっとやっていただきたいと思うわけです。

 それで、専門調査員については、これは総務省にも実際に出張されている実態があるかもしれないので、改めてちょっと申しておこうと思います。

 税金の使い道はしっかりと基準を設けて、大臣がおっしゃったその言やよしであります。

 しかしながら、この無給、非常勤とされて、場合によっては米国出張の旅費まで出してもらっている民主党職員は、専門的知見に基づいた情報の提供及び助言を行うというだけの基準であなたたちが自由に選んで決めているんです。その方たちについて名前を教えろ。答えがありました。しかしながら、職歴を教えてくれ、この人たちは専門的知見というのはいかなるものがあるんだということを聞いたら、個人情報だから答えられないというんですよ。結果、大臣のおっしゃっていた明確な基準に基づいて税金を使う、この米国に意見交換に税金から旅費を出してもらっている人も含めて、我々はチェックのしようがないんです。国会でもできない、一般国民はどうやってチェックするんですかという問題があることは、大臣、認識しておいてください。

 総務省にも、石田委員が出された質問主意書で、内閣官房専門調査員二人がどうも出張されている実績もあるようです。その辺については、やはりその来ている方についても、これは一義的には内閣官房の専門調査員ということでありますが、総務省でもその方を受け入れて一緒に仕事をし意思決定にも参画する以上は、大臣もきちっと、その方たちはどういう人なんだ、しかも専門的知見に基づいた情報の提供、助言、こういうことを行うとされているわけですから、どういうバックグラウンドがあって専門的知見に基づいた情報の提供、助言ができる人なのか、それはぜひチェックの上で使っていただきたいと思います。これは後で必ず検証させていただきたいと思うんです。

 イギリスの制度を参考にしながらいろいろやっておられる。結構でありますけれども、本当に言いたいことだらけでして、イギリスでも確かに党の職員が政府に入ることはあります。ただ、私が理解している限り、それは本当にここで言うとおりの、専門的知見がすばらしい人ばかりなんですよ。弁護士の中でも確立されて定評のある弁護士さんであるとか、あるいは大学の先生の方たちが顧問に就任されたりとか、そういう形はあるでしょうけれども、専門的知見のところでこの専門調査員の方たちについて言うと、今、全くチェックができない状態になっていますから、イギリスの制度をお手本にされているんでしょうけれども、そこで行われているような知見のチェックを国民がしても全く問題のない方が、まさにその基準をクリアして入っているのかについては大きな疑義があるということを本日の時点では指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 それから、有識者会議についてちょっとお話を伺いたいと思うんですけれども、地方行財政検討会議とか地域主権戦略会議とか、似たようなものがかなりあります。現時点での設置数をお答えいただきたいんです。幾つ設置をされていますか。

原口国務大臣 十三でございます。

赤澤委員 済みません、実はちょっとびっくりしたのは、読売新聞の三月六日土曜日の記事だと十八になっていたので、むしろ、その後またやる気満々の原口大臣がふやしているんじゃないかと思って、二十ぐらいという答えが返ってくるかと思ったら十三だったので、ちょっと戸惑ったわけであります。

 では、就任以降、十八の有識者会議を設置された。これは事実関係の問題ですから、数がもし違っていたら後で訂正もしてもらえばいいし、その辺は余りこだわる気はありませんが、他省と比較しても総務省の新設数というのは本当に突出していて、多過ぎないかという感じを持っています。そして、この地方行財政検討会議、地域主権戦略会議以外にも地方関係の有識者会議というのは設置されていたと思います。具体的には、地方制度調査会、総理の諮問機関などもあるわけですね。

 月一回開催して、大臣が必ず出られるだけでも結構大変かなと思うんですけれども、突出した数の有識者会議を置いて、これは大臣として、その相互関係とか、きちっと整理されているとお考えですか。

原口国務大臣 総務大臣に就任後、政務三役の主宰において新たに研究会を、先ほど申し上げたように十三立ち上げたわけですけれども、委員も御案内のように総務省というのは物すごく広いんですよ。ICT分野、あるいは消防防災、それから地方自治、または行政評価。むしろ地域主権のところについて言いますと、それまでいろいろな、地方分権改革推進委員会であるとか道州制検討委員会とか、そういったものがたくさんありました。それを三つにまとめたんです。

 一つは、エンジンたる地域主権戦略会議、これは総理が議長であります。それからもう一つは国、地方協議の場。そして三番目が、地方財政を検討していただく、これは神野先生にトップになっていただいていますが、検討会議。この三つにまとめていて、むしろ逆に推進体制は、今まで審議会や何かでいろいろなものがございました、そういったものを今スクラップ・アンド・ビルドしているというふうに御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 これは私だけが感じるというよりは、過去の新聞の記事などにもあったように、原口大臣がやる気満々でちょっと手を広げ過ぎているんじゃないかということについて、心配する国民が私も含めて多いということなんですけれども、今のお話であれば、有識者会議については数をむしろ絞る方向でやっているということであります。

 言うまでもなく、国民の原口大臣に対する期待というのは、地域主権、一丁目一番地ということを宣言されている政権の主要閣僚でありますから、地方の自立や、自治への住民参加の徹底を目指すとか、そういった方向で国民に早く具体像を示す、あるいは国から地方への財源の移譲により積極的に取り組むとか、国と地方の役割分担をきちんと整理して、税源そのものを地方に移して財源を確立するとか、とにかくその分野でやらなきゃいけないことが山積みのはずです。私は、原口大臣にはそこで本当に集中的に仕事をして、一内閣一仕事という言葉もありますけれども、スーパーマンであってもなかなか、ありとあらゆる分野で在任中にすべての仕事をこなせるわけではないので、ぜひそっちの方をしっかり取り組んでいただきたいなというふうに強く思っております。

 この際、ちょっと余計なことも触れておけば、大臣はツイッターを一日に二十回以上も発信されたこともあるというような話もあるので、その辺も含めて、職務専念をしていただきたいという声はかなり強いということをあわせて申し上げておきたいと思います。

 それで、今度は市町村合併特例法の話を聞かせていただきたいと思います。

 市町村合併については、一八八九年から明治の大合併をやったというふうに記憶をしております。一九五三年から昭和の大合併だったかと思います。大体五十年間隔ぐらいのイメージで、ちょっとそれよりは長いかもしれませんが、大合併に取り組むということで我が国はやってきているわけであります。

 平成十一年以来、全国的に市町村合併を積極的に推進してきた。いわゆる平成の大合併でありますけれども、私はこれについて、今回の法案で一段落ということについては委員共通の認識だと思いますけれども、今後、一定の時期に、平成の大合併の効果をきちっと検証する必要があるのではないかということを強く感じます。そこについてはぜひ大臣も考えを共有して、大体いつごろに検証したいというようなことも含めて、お話をいただければありがたく思います。

原口国務大臣 赤澤委員と同じ問題意識を持っています。

 先ほど重野委員にもお答えしましたけれども、やはり検証しなきゃいけない。それも、少し長い目で見ながらの検証というのも必要かなと思います。大変な思いをしてここまで、合併にたどり着いてくださったところもたくさんあるわけでございまして、今この財政的な厳しさの中から、本当に合併がよかったのかという声がいろいろなところであるのも事実です。しかし、それだけで本当に済むのかなと。先ほど野田委員がお話をされましたけれども、ここまで苦労して合併してきた、その果実をさらに拡大させていくためにはどうすればいいか、こういう観点でも検証させていただきたい。

 夏に地域主権戦略大綱を書き上げます。それぐらいのところに一つ射程を置いて、これまでの合併について功と罪の部分があると思いますが、むしろ、その罪を殊さら言い募るのではなくて、ただ、今まではいいことばかりしか書いていなかったという御批判もありましたけれども、デメリットのところも踏まえながら、では、そのデメリットをどう克服するかということについても議論を前に進めていきたい、こう考えておりますので、ぜひ御意見、御指導をお願い申し上げます。

赤澤委員 今明確に、地域主権についての考えを最終的にまとめていくに当たって、夏をめどに、この市町村合併、平成の大合併の成果といいますか評価についても、一定の方向性で取りまとめられるということを言っていただいたというふうに思います。ぜひ、そのことは私もきちっとやっていただきたいなと思うわけであります。

 それで、その前提で幾つか、ぜひ視点として持っていていただきたいと思うことは、これは自公連立政権時代の反省点も当然含めてということなんでありますが、全国町村会が、道州制と町村に関する研究会というのを持っております。ここがヒアリング調査をやった結果、「「平成の合併」をめぐる実態と評価」というのが平成二十年の十月時点で取りまとめられております。

 その中で、実は、市町村が自主的に望んでいないにもかかかわらず、合併を余儀なくされた側面が少なくないというような指摘が出てきているということです。したがって、この点についても、検証していくに当たってはつぶさに声を拾っていただいて、そういう実態があったなら、どのような実態だったのか調べていく必要があると思いますが、現時点で大臣の認識、その点についてはどのようなお考えでしょうか。

小川大臣政務官 町村会初めさまざまな機関、それぞれの立場なりから、いろいろな調査なり調査結果がございます。

 全般的な傾向ですけれども、確かに、特に市民、町民の皆様の評価というのは二分をしている。しかし、行政当事者の側からしますと、合併を評価、あるいはある程度評価といったような声が比較的多いように感じております。

赤澤委員 ちょっと質問と必ずしも答えが合っていなかったようには思うんですが、市町村が望んでいないにもかかわらず、かなり合併を余儀なくされた側面が少なくないというコメントなんですね。この点については今の時点でどのように受けとめられているか。今のは、まさに住民の方という感じの政務官のお答えだったので、ちょっと違うのかなと思ったんですけれども、そこはいかがでしょうか。

原口国務大臣 失礼しました。

 今おっしゃるように、そういう意見が出てくるのは何かというと、これは本音ベースで話をしてみると、ある意味兵糧攻めされたんだ、ないそでは振れぬ、しようがなく、財政的な意味でも合併を迫られたんだということをおっしゃる方は私も何人かお会いをいたしました。

 ただ、その意味でも、合併によるプラス効果もあったんですね、専門職員の配置など住民サービス提供体制の充実が強化されるとか、広域のまちづくりというものもございましたが、やはりそういう声があったということはしっかりと受けとめなきゃいけない、こう考えております。

赤澤委員 ちょっと今、次に聞きたいことに既に触れていただいたようなところがあるんですけれども、ガバナンスという話をさっき原口大臣はされていました。だれが責任を持って物を決めて国の形をつくっていくかというのは、いろいろな主体があるので、少なくともこのような、望んでいないにもかかわらず合併を余儀なくされたということによって、実は市町村長さんたちは、不本意だったけれども、やってみたら思わぬメリットがあって、やはりやってよかったという場合もあるように思うんですね。その辺で、検証をきちっとやっていくに当たっては、そういう声もあったけれども、実際、それからしばらくたった後はメリットの点でどうも納得をいただけたようだという場合もあれば、余儀なくされてやらされて、実際にやはりだまされたみたいな話もあるかもしらぬ。その辺はきちっと検証する必要があると思うんですね。

 現時点で、私はぜひ大臣に伺いたいと思うのは、市町村合併のメリットですね。要するに、余儀なくされたけれども、よかったということがあるとすればどのあたり、そしてまた、合併を強いられて、先ほど政務官がおっしゃったことでもありますけれども、デメリットを市民が非常に感じているとしたら、大体現時点でどのようなことが大臣の耳に入っておられるのかということについてお答えをいただきたいと思います。

原口国務大臣 先ほど少し言いかけましたけれども、やはりメリットとすると、専門的な職員、例えば栄養士さんとか保健師さんとか土木技師さんとか建築技師さん、司書さん、そういう方々について、合併前の各市町村が配置していた職員数と比較して、合併後の職員数の方がはるかに充実した。

 あるいは広域的なまちづくりで、これは石田委員の御地元ですかね、和歌山県のみなべ町、合併により梅の生産量が日本一となった、特産品であるブランドを中心に売り出すことができた。そういう規模のメリット。

 あるいは適正な職員の配置や公共施設の統廃合、こういったこともできたということがございますので、やはりメリットについてもしっかりと総務省としてもお伝えをし、そして、それがより引き出せるような体制をとっていきたい、こう考えています。

赤澤委員 それから、民主党の政策集のインデックス二〇〇九との関係でちょっと気になる部分があって、その中で、いろいろないいことを言っておられますが、今、質問に当たって引用しておきたいのはここなんですね。「権限の移譲に並行する形で、自治体の自主性や多様性を尊重しながら、基礎的自治体の規模や能力の拡大を目指」すとインデックス二〇〇九に明記されているわけであります。

 端的に言って、権限の移譲と並行しなきゃいけないから、それが進んでからだという話もあるかもしれないけれども、いざそれをやろうとしたときに、自治体の規模の拡大を目指すには、この市町村合併の手法というのは多分、一番直接的で効果が高いと思うんですよ。

 ところが、今回、今まで五年だった期限を十年に延ばして、もう促進はしない、障害を除くだけだという方向に移行するわけですけれども、インデックス二〇〇九との整合性というのはちょっと私は気になっているところでありまして、いざ、権限の移譲をやった形でそのときに規模を拡大しようと思ったときに、これは残しておいたらよかったというような話にならぬかなというあたりについては、大臣はどう考えておられますか。整合性も含めてお答えください。

原口国務大臣 要するに、一区切りするという意味は、国や県が積極的に関与してこうしなさい、ああしなさいと、先ほど委員がお話しになったような、財政的にも非常に厳しい中で地方の選択肢を奪うような合併を上から押しつけるようなことはやめましょう。

 ただ、先ほど谷委員の御質問にもお答えをさせていただきましたけれども、公共サービスを担う責務、権限が来ればその責務も、あるいは義務とはっきり言い切った方がいいかもわかりません、その義務を負うわけです。そして、地域の皆さんが地域のことをみずからの責任においてつくっていく、こういう義務を負っていくわけでございます。

 皆様にきょう御提案させていただいているこの法律でもって、中央政府は、自主的な合併を支えていく、あるいは合併のメリットをさらに引き出していく、この責務については引き続き負うものでございまして、インデックス二〇〇九が言っている、自治体の自主性や多様性を尊重しながら能力の拡大を目指すということは、まさにこの方向を示しているものと理解をしております。

赤澤委員 もう一回ちょっと聞かせていただきたいんですが、上からやらせるわけではないと言いながら、いろいろな条件はついていますけれども、明確に、基礎的自治体の規模の拡大を目指すと書いてあるわけですね。民主党として、政策集インデックスの中でそう宣言をしておられるわけで、その場合、では、上からやるんじゃないんだけれども規模の拡大を目指すというのは、具体的に大臣はどういう手法でやるということを念頭に置いておられるんですか。

原口国務大臣 まさに権限や財源の移譲という形で行っていくことだと思います。それからもう一つ、手法ということで言えば、もう御提示をさせていただいておりますが、緑の分権改革ということで、みずからの地域をはぐくむ富をつくっていく創富力、これがキーワードになると思います。

 今までは、拡大をしようにも合併しようにも、まさに厳しいところと厳しいところが合併をして、後でまた別の支えが要るというようなことではなかなか規模を拡大できませんね。やはり地域が発展してこそ自治体規模の拡大というのもあるんだ、このように思っています。経済の発展なくして自治体の基盤というのを強化することはできないんじゃないか、私はこのように考えているところでございます。

赤澤委員 私自身はこれは大事な点だと思っているので、もうちょっと聞かせていただきたいんですが、今、権限の移譲で規模を拡大していくというようなお話をされたと思うんですけれども、それはわからないではないんですが、おっしゃっている意味が、権限を移譲するに当たって、この権限を基礎的自治体におろすのであれば、もうちょっと規模的にまとまってくれなきゃおろせないよというような話だとすると、やはりある程度条件づけをして、この権限が欲しければまとまってくれと。

 自治体にとってはいろいろなお考えがあると思うんですよ。それを乗り越えて規模の拡大を目指していくという方向が打ち出されている以上は、かなり何らかの制度なり、仕組みなり、仕掛けを用意しないと、そう簡単に進むものでないようにも思うわけでありますけれども、その辺についてはどう思われますか。

原口国務大臣 今御議論のところが、先ほど谷先生の質問の本質のところだったと思います。つまり、権限だけは欲しい、ただ提供できる公共サービスはこれだけに限りますよということでは、それは中央政府としても、財源までお渡しをするわけですから、なかなかそれには応じることができないのかな。

 つまり、国民に対して、私たちは公共サービス基本法で国民の公共サービスにおける権利というものを明定しています。その権利の保障を担えるかどうかということが大きな分かれ道になるのではないか、こう考えています。

赤澤委員 今のお話を聞いても、具体論については、実際に権限を移譲できる時点でどういった形で進めるのかについては、もう少し、物が明確に動くことが説得力を持って関係者に納得いただけるような仕組みなり、仕掛けをつくってもらわないかぬというふうに思います。そこについては、一つ非常に大きな論点で、民主党が掲げておられるインデックス二〇〇九を実現していくに当たっては乗り越えなきゃいかぬものでありますから、検討の結果などを、またその時点時点で教えていただきたいというふうに思う次第であります。

 先ほどガバナンスという話をされたので、その関係のことを聞いておきたいので、GPIFの話にちょっと戻らせていただきたいんです。

 原口大臣がガバナンスを大事にされているということはよく理解をしました。谷委員の質問に、ガバナンスの点で自分たちは物を申すんだ、こういうことでありました。

 ただ、率直に申し上げて、地域主権を目指す原口体制のガバナンスというものが、むしろ国民から見るとわかりづらくなっていないかという点を私が気にしているというのは、きょうの質問で理解いただけるかと思うんです。端的に言えば、有識者会議、大分整理をされたということでありますけれども、一般にはかなり多く、やる気満々の原口大臣が有識者会議をつくられて、一つの地方についても三つも四つもある。どこで、だれが責任を持って議論して、どの会議の結果が地域主権を形づくっていくのかというのが、どうもすっきりとは見えてこないというような声が一方であるわけであります。

 顧問の数も、非常に多くいるということでありますし、とにもかくにもガバナンスといったときには、やはり指揮命令系統をはっきりさせてもらって、最終的にだれが権限を持ち、だれが責任を持って判断するんだ、逆に言えば、うまく動かなかったときはだれが責任を負うんだということをはっきりしてもらわないとやりづらいところがあるので、そういう意味では、少しわかりづらい点があるということは御指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、先ほどのGPIFの議論に戻らせていただけば、要は何が問題かということで、原口大臣がそこに口を挟まれる、意見を言われるということについて言えば、先ほど言った長ったらしい名前ですけれども、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFのガバナンス、そういうことですね。要は、積極運用かどうかとか、その目標は利率どれぐらいに置くべきかとか、そんなことについて物を言おうとしているんじゃない、ガバナンスの部分だ、そういうことですね。その点はもう一度確認をさせてください。

原口国務大臣 その前に、地域主権戦略会議はシンプルでして、これは鳩山総理が議長で、私が補佐をして強力に進めてまいります。

 その上で、お尋ねですが、GPIFについては勧告を二十一年十二月にいたしました。

 そのときの主な指摘事項は、運用受託機関について、運用実績等を勘案し適時に見直す。また、手数料の低減に努める。

 つまり、年金積立金というのは国民からお預かりした大切な資産であり、安全運用が基本なんです。だけれども、これは安全運用というと、では、もうどこか、何にも使わないでたんすに置いておいてくれ、そうしたら減らないじゃないか。では、これは安全運用かというと安全運用じゃないんです。つまり、国民に対する負債というものをバランスシートに置いているわけですから。だから、ちゃんとした安全運用、手数料の低減に努めなさいねと。

 運用委員会の議事録は、市場への影響に配慮しつつ、一定期間経過後、これは日銀の政策委員会と同じように、発言者を明らかにして公表してください。

 組織面の見直しとして、管理部門、調査研究部門及び運用部門の人員配置を見直してください。特に、常勤職員七十六人中二十人が配置されている管理部門の見直し。

 こういったことを指摘したわけでございます。

赤澤委員 運用のガバナンスについてというお話でありますので、先ほどおっしゃっていたのは、要は、七十九人職員がいるけれども、ポートフォリオを動かさないのであれば、この職員は無駄なのではないか、こういう疑義があるとか、あるいはトップ一人で物を決めていいのか。

 繰り返しになりますけれども、国債が一・五%の利率で、予定利率が四・一、その差額について税金で持てという意味なのかということも含めて、ここについてはもう少しポートフォリオの見直しをやっていけと。具体的に目標とする利率については触れないけれども、ポートフォリオを動かせ、これは不断に見直して、より利率の高い運用をするように心がけろということ。大臣のおっしゃっていたガバナンスの見直しというのは、だれが意思決定しているのかもきちっと明らかにした上で、加えてポートフォリオを不断に見直して動かせ、それが原口大臣のGPIFに対するメッセージだと思って間違いはないですか。

原口国務大臣 これは私のメッセージじゃなくて、ポートフォリオについては適時適切に見直さなきゃいけないということが書いてあるわけです。つまり、何が起ころうが何にもしない、何も議論しないということは、簡単に言うと、将棋をやっていて、相手の手を見ずに歩を打つようなもので、それだったら負けるに決まっているわけですね。それはだめですよと。

 これは、年金運用については長い歴史がございまして、昔は年金運用を丸投げしていたんですよ。たしかあのとき五百億ぐらい手数料収入があって、マイナス二八とかいう年金運用損をしてもだれも責任をとらない、あるいはグリーンピアとかにそのお金を使う、これを私たちはずっと一貫して追及してきて、その一環で、私たちは、本当の安心運用、安定運用というものについてきっちり国民に説明ができるようにしてくださいねということを申し上げているところでございます。

赤澤委員 では、時間が来ましたので、私の理解としては、少なくとも新聞で報道されているように、原口大臣が、積極運用しろとか、何%以上の利率を生み出せとか、そのたぐいのことを言っているのではない。その辺は、あの新聞を読んだ人は、年金の運用についての今の政府・与党のガバナンスというのはだれが責任を持って、どこでやっているのかようわからぬということなので、私の今の時点での理解は、少なくともGPIFが運用については責任を負い、加えて、所管大臣という意味では長妻大臣がそこの責任を負っているということをきちっとさせておいていただきたい。それは間違いないということのようなので、それで結構であります。

 最後、税金の使い方については、先ほどの内閣官房専門調査員、意見交換のために旅費まで出してアメリカまで行っている。こういう方たちが民主党の職員から出てきているわけで、総務省の二人の実際に出張されている方についても今後実態を明らかにさせていただきたいし、明確な基準で税金を使うとおっしゃった以上、その方たちにどういう専門的知見があるのか、その辺をきちっと明らかにしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 市町村合併の法律についての質問ということで、また大臣、副大臣、政務官に役割分担をしていただきながら、一部事実に関することは自治行政局長さんに、広域連合と後期高齢者医療保険制度にかかわることについては足立政務官からお答えを賜れば大変幸いであります。

 質問は、平成の大合併の検証ということを前半に、後半につきましては、この合併でいろいろ市町村の形、地方の形が変わってきた中で、今後取り組むべき課題、どのようにやっていくかということについて幾つかの点をお伺いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 歌は最後にさせていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。少し期待を持たせていただきながら進んでいきたいと思います。

 それでは、まず、今次大合併におきまして、平成十年度末三千二百三十二あった市町村が、二十一年度末は一千七百二十八と、ほぼ半減する見込みということでございます。合併が、私ども富山県でいいますと、三十五市町村が十五ということで七分の三ということですかね、そういうところもありますし、余り進まなかった、まあ、いろいろな地域事情はあったかと思います。

 この辺、改めて、四十七都道府県での市町村数の減少の度合いということから見て、どの程度の開きがあるかということを確認させていただきたいと思います。

久元政府参考人 お答えを申し上げます。

 本格的に平成の合併を始めましてから十一年間の市町村の減少率を都道府県別に見ますと、一番高かったのは長崎県でありまして、七十九団体が二十一団体になり、減少率は七三・四%となっております。最も低かったのは大阪府でありまして、四十四団体が一団体減り、四十三団体というふうになっております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 都市部では、余り必要がないというか、交通などが便利で、割と団体の財政規模もよかったということもあるのか、いろいろなことがあるんでしょうけれども、北海道あたりも、実は、取り組みがゆっくりだったということもあって余り進まなかったとも言われております。もともと、かなり規模が大きかったということもあるかと思いますが。

 そういうことをいろいろ勘案しながら、今度はある程度自主的にということではありますけれども、余り進捗を見なかった都道府県についてのお考えというのをここでお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 歌を楽しみにしております。

 おっしゃるように、大都市部を抱える都道府県は、率直に言って、面積が小さな市町村が数多く存在していまして、行政サービスの受益と負担の間に乖離が見られています。公共施設の円滑な利活用や一体性のある広域的なまちづくりの観点から、合併や広域連携などを含めて、行政運営や事務処理方法のあり方が課題である、このように考えています。

 一方で、面積が物すごく広くて、福田筆頭のところはすごい広いですね、離島などの地理的要因などにより合併が進捗していない都道府県もございまして、いずれにせよ、これは少し、今回総括をすると言っていますが、総括の中で、市町村間の自主的な取り組みを引き出すにはどのような方策が必要なのか、このこともあわせて検討をしてまいりたいと思っています。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 やはりまだ平均的になっているというわけではない、それぞれ、大都市には大都市の課題、地方には地方の課題、こういうことだと思います。

 そのことに関連して、二つ、順番にお伺いしたいわけですが、人口が少ない団体、先ほどから各委員からも出ております一万人以下の団体を数字で見てみますと、平成十年度末千五百三十七であったものが、二十一年度末には四百五十八と三分の一以下にはなった。ただ、やはり四百五十八団体残っておるという形でありまして、先ほどからどの程度の事務をしていただきながら、どの程度の権限がとかいろいろなお話がございましたけれども、こういった、言ってみれば規模の小さい団体についてどのようにサポートをされていくか、対応をしていくかということをお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 非常に小規模というか、一万人以下の団体につきましては、これは今現在全国で四百五十八ございますけれども、今回の交付税措置の中でも、非常に人口が急減少をしているところ、さまざまな要因で非常に進んでいるところにはかなりの補正措置をとりまして、地方の過疎化も含めて、小規模な町村に対して支援できるようにいたしました。

 今現在、こうした形で進めておりますけれども、今後、自主的に合併を選択していこうという自治体につきましては、今回考えております地方自治法の改正法案の中で、例えば監査委員事務局等の共同設置を可能とするような法案を提出しまして、事務の軽減はもちろんでありますけれども、将来広域的に考えていかれるような機運を高められる一助となるのではないかなというふうに思いまして、小規模な自治体、人口一万人未満の自治体でありましても、今後、きめ細かく、自治体としての運営ができるような後押しは考えてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 地方自治法の改正等で対応されるということであります。

 ここまでの議論では余り話題になってこなかったんですが、実は、先ほど原口大臣からもお話のありました大都市圏で非常に面積の小さい都市というのもございます。人口は、それこそ五万、十万あるわけですが、こういったところで、この数カ月の中でちょっと驚かされたわけです。例えば首都圏あたりでは、広域ごみ処理で、今まで一括処理していたものが、待てよ、お隣の町のごみは我が町に持ってきてもらっては困るというような住民感情。それはそれでわからないわけではないのですが、そういうことでごみ処理場を分けていくというような話も出たりしておる。こういうことが問題になるという話も新聞記事で見まして、ちょっと驚かされたわけであります。何となく大都市圏だと、いろいろな方が地方から出てこられて、我が町、帰属意識がどうなのかなと思いましたけれども、意外とこういうごみ問題などでは強いものがあるようです。

 しかし、考えてみれば、この二つの町が一緒になってしまえば、それはお互い我が町になって、逆にこういったことは生じないという問題もあります。そう思うと、やはり面積要件というようなことも本当はあるんじゃないか。人口は十分あるけれども、先ほどありましたが、サービスを提供していく上で、必ずしもそれは別々でなくてもいい。

 地方交付税の配分なんかを考えましても、ある最適なところにごみ処理場を全国に置くとして、いや、私たちは面積が小さくてもそれぞれ持ちたいんですよと言われれば、全体としてはそういうことで交付税も当然算定されていくわけですから、結局、限られた財源が必ずしも適正配分されないということにもなりかねない。もちろん、住民自治でありまして、住民の方の考え方は大事だ。そのことは否定しないんですが、一面、そういう問題も出てくるやに感じるわけであります。

 そこで、大都市部であっても、面積が小さいままそれぞれやっていかれる、自治ではありますけれども、それがいいのかどうか。その辺についてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。交付税についても、これも限りある資源でございますので、最適配分というものがとても大事だと思います。

 もちろん、委員がおっしゃるように住民自治、決定というのはその地域にあるわけです。しかし、野方図にさまざまな施設を各自治体がとれば、これから今のような成長率だと、都市部の方が高齢化が進むと、逆に公共サービスの需要は飛躍的に拡大していきますので、そういったところも踏まえた対応を要請していきたい、こう考えています。

橘(慶)委員 こういうことについては、それぞれ自治体は御苦労も多いと思いますが、やはり適正化で、また、いろいろな意味でアドバイスもしていただきたいなと思うわけであります。

 今度は少し観点を変えまして、今までの市町村合併特例法の中で、言ってみれば合併に対するメリットの一つとして、法の中にありましたのが合併特例債という制度だったかと思います。かなり交付税措置を後からしていただけるということで、発行額についてそれぞれ規模によって定められておったわけですが、ここまでのところ、どの程度の総額に対してどの程度の利用額になっているか、総括としてお伺いしておきたいと思います。

久元政府参考人 合併特例債は、今御指摘がありましたように、旧合併特例法下で合併した市町村が発行する地方債でございます。そして、合併関係市町村ごとに合併後の人口や合併関係団体数に応じた発行可能額を設定しております。この発行可能総額は、約十一兆八千六百億円ということになっております。

 そこで、これまでのこの合併特例債の起債総額は、これは平成二十年度同意債まででありますが、約二兆六千七百億円という数字になっております。

橘(慶)委員 これは、実はちょっと意外な数字であったわけであります。

 私も、先ほどの野田委員と同様、合併ということを経験した市長であったわけでありまして、私あるいは私の周りの場合は、いろいろな意味で、公共施設をちょうど更新しなければいけない時期でもありましたので、合併特例債は非常に有効な起債手段ということで使わせていただきまして、助かったなという思いがあったわけですが、今お伺いしますと、全国的には三割弱にとどまっておる。ある意味では、それだけ地方がいろいろ節約をされて、財政運営に非常に規律を持たれて進めておられる結果かなと。

 一面、前の地方財政計画の議論でもありましたが、臨時財政対策債とかいろいろな形で、実質的な交付税といいましても、起債に頼らざるを得ないということもあって、前回の議論では、地方財政健全化計画に定められております実質公債費比率も、すべての起債を入れればもう二五%というようなことも反映されているのかなと思っております。この辺で、国の財政の厳しさというものが地方にしわ寄せが行かないように、ぜひよろしくお願いしたいとも思うわけです。

 また、この合併の後半におきまして、総務省におかれては、集中改革プランに各自治体は取り組むようにということになったわけであります。平成十七年度から二十一年度、もうすぐ終わるんですが、この三月末まで、五年間の集中改革プランにそれぞれ取り組んだわけであります。このプランの成果ということで特に職員数あたりが一番注目されたかと思いますが、この成果についてお伺いをしたいと思います。

小川大臣政務官 平成十七年以来、さまざまな法律や閣議決定、あるいは行政通知等を通じて不断の見直しに努めてまいりました。先般の委員会でも御報告申し上げたかと思いますが、これによります地方公務員数ですけれども、かつては三百二十万人時代が、平成十七年で三百万人強、現在では二百八十五万人ということで、そういう意味では順調に見直しが進んでおります。

橘(慶)委員 三百万人から、この五年間でも二百八十五万人。十五万人となりますと、五%くらい減っている。たしか数字では六%を超えるような、目標を超える削減が進んだということで、この合併によりまして、先ほどお話がありました特別職や議員の方も、二万一千人の方がリタイアされた、それに伴って都道府県などを担当する職員を減らすことができた。そういうことで、ある意味でこれは合併の大きな効果として出てきたと思います。その分、今度は国はどうするのかという問題が出てくるんだと思いますけれども。

 ここで、もう既に一度お答えされているようには思いますが、この集中改革プランはこれで切れるわけですが、今後、国としてどのように地方自治体の行財政改革について臨まれるのか、お伺いしたいと思います。

原口国務大臣 ポスト集中改革プランということでございますが、対象期間が終わる平成二十二年度以降についても、引き続き各地方公共団体が自主的に行政改革に取り組むことが肝要だと思います。

 今後、自主的な取り組みを支援するとともに、前も御答弁申し上げましたが、地方自治体も電子政府化、クラウド化、それからICT化、私は地方自治だけやっていればいいという話じゃなくて、なぜこのICTに力を入れているかというと、地域の自主的な財源、あるいは成長を生み出すためにも、このICTの持つ力というのは非常に大きゅうございます、こういったものでも支援をしていきたい、こう考えております。

橘(慶)委員 次に、合併でかなり市域が大きくなった自治体がありまして、旧町村レベルの地域コミュニティーの維持が課題となっているという声もあるわけであります。ここについても、この合併特例法の中では、地域審議会、地域自治区、あるいは合併特例区、こういったものを活用してそういったことに対応するようにというスキームであったと思います。

 ここで、これも言ってみれば一つの総括ということで、こういった地域審議会制度、地域自治区制度、あるいは合併特例区制度はどの程度の利用があったのかについて事実関係をお願いいたします。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

久元政府参考人 今御指摘のとおり、現行の合併特例法におきましては、旧合併市町村単位の住民を、合併した後の市町村経営に反映させるための制度を幾つか設けております。

 まずその活用状況を順次御説明申し上げますと、一つは、地域審議会でありまして、これは平成十九年十月一日現在の数字でありますが、二百十七団体で七百七十五の審議会が設置をされております。もう一つは、地方自治法に地域自治区の制度がありますが、合併特例法におきましては、例えば区長を設けることができるといった特例を設けております。この特例つきの地域自治区につきましては、これはことしの一月一日現在の数字でありますが、三十七団体で八十七の自治区が設定をされております。もう一つは、法人格を持つ特別地方公共団体としての合併特例区でありますが、これは七団体で十七の特例区が設定をされております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 いろいろな形で地域コミュニティーの維持ということは、当然合併された自治体では細心の注意を払って頑張っておられるわけでありますが、そうはいいましても、いろいろなお声がある中で、多いのは、役場が遠くなったとか、何となく広くなって地域コミュニティーが大変ですという声もないわけではありません。この辺が合併の光と影の部分の一つではないかと思うわけですが、地域コミュニティー、やはりこういったものが非常に大事な時代だと思います。そういったものの維持について、何か国としてのお考えがあればお伺いします。

原口国務大臣 まさに地域コミュニティーを住民一人一人が参加してつくる、これが国づくりの基本であり、地域づくりの基本である、ひいて言えば、民主主義の基本だと考えております。

 そこで大事なことは、合併の中にも、先ほど特例区の例を出させていただきましたが、そういう制度的な支援とともに、今回は創富力、緑の分権改革そのものが、良質な公共サービスを受けた経験のある人は地域コミュニティーに参加をする、あるいは地域づくりに参加をする、それから公共に対する信頼が非常に高うございます。そういう意味でも、歴史や文化、伝統、そういったものの継承性、あるいは地域づくりの中に学びそのものをどう埋め込むかという観点でも緑の分権改革を推進してまいりたい、こう考えています。

橘(慶)委員 それぞれの地域コミュニティーを守るということについてはぜひ意を用いていただきたい、このように思うわけであります。

 さて、以上ずっと大合併の検証ということで来ましたけれども、後半であります、今後の課題ということで、今せっかくこういう一千七百団体ぐらいになった日本の地方の自治の形を、これからさらにどう前へ進めていくか、展開していくかということについて何点かお伺いしたいわけです。

 少し順番を変えまして、足立政務官に一つお伺いしたいということであったので、最初は足立政務官から参りたいと思います。

 広域連合という制度があるわけでありまして、これは後でまた質問を続けますけれども、都道府県が入るものもあるわけですが、市町村で組むこともできる。後期高齢者医療制度の際に、四十七都道府県がすべてこれをつくった形で後期高齢者医療制度というものが始まったわけであります。私どもも、現場におりまして、協議会をつくったり、連合長を決めたり、いろいろなことを実際経験いたしました。そして、医療制度は別として、広域連合ということではそれぞれかなりのエネルギーを使って動かしてきて、これで二年、三年というところかと思います。

 そこで、今、後期高齢者医療制度の見直しということがあるわけですが、せっかくつくりました広域連合というものを、もういいんです、また新しい形でと言われても、地方自治の方から見れば何かもったいないな、せっかくつくった仕組みを有効に使われてはどうかということであります。

 そしてまた、今、国民健康保険は市町村で運営しているわけですけれども、だんだん交通網が便利になってきた中で、県の中で川あるいは道路一つ挟んで保険料が違うというのも、わかったようなわからないような部分もあります。介護保険は、これは一部事務組合等で取り組んだ事例がかなり多いんですけれども、こういったものも含めて、厚生労働省の医療保険関係を広域連合単位でさせていくということも、せっかくつくった制度ですから、あり得ると思うのです。

 この辺のアイデアについての御見解をここでお伺いしたいと思います。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 橘議員の認識は、市的エリアというものが保険や医療や介護にはあるんだろうという御主張のもとに今質問されているんだと思います。その考え方は、私は正しいと思います。

 例えば、参考のために、アメリカのIHN、インテグレーテッド・ヘルスケア・ネットワークでは、やはり市的な人口あるいはエリアというのがあるわけで、我々は、民主党の野党時代には、そういう健康生活圏というものの単位で保険、医療、介護をとらえようというふうにしてまいりました。

 しかし、今行政の立場で私がお答えするとすれば、後期高齢者医療制度の改革会議でも、これは大きく六つの条件、前提ということで今やられておりますが、その中でもとりわけ大きいのは、一つは年齢区分をなくすこと、もう一つは市町村国保の拡大化の見直しをやることとしておるわけです。その会議の中では、広域連合ということよりも、残念ながら都道府県単位でという主張の方が今のところ多いようでございます。それから、介護については、現状は市町村単位で行うということがかなり定着してきているというような状況の中で、まずはそれぞれの制度をしっかりやっていただくということでありますけれども、私の考えといたしましては、橘議員の主張される市的エリアあるいは人口という単位で保険、医療、介護をすべて見ていくという考えはどうだというのは大いに参考にしたいと思っております。

橘(慶)委員 政務官、結構でございます。

 せっかくつくった制度を前へ進めていくということで、せっかくつくったものをすぐ数年で壊してしまうということでは、これは逆に総務省さん側のお話にもなりますけれども、もったいないなという感じもいたします。うまく接ぎ木をして前へ進めていただくということが大事ではないかな、これを意見として申し上げさせていただきます。

 そこで、その広域連合なんですけれども、今までの広域行政というものは、過去、自治省、あるいは総務省、地方制度調査会などでいろいろな議論があって、何年も何年もいろいろな議論を積み重ねながらだんだん前進してきた経緯があると思っております。一部事務組合の練習を幾つも幾つもしながら、今回の平成の大合併の際に、合併の枠組みを決める際には、そうだな、消防も一緒にやったぞ、水道も一緒にやっているな、そういったことが実はかなり素地になって、あなたとあなたと一緒になりましょうかということが多かった、私の地元を見ますと、そういうふうに思います。

 そういった中で、いわゆる道州制の議論がいろいろあるわけですけれども、私が非常に心配いたしますのは、天から降ってくるように道州制ということにして、例えば道州をつくって、そこへ地方出先機関を持っていくのは非常に困難だと思うんですね。つまり、これは一度内閣委員会で原口大臣とも議論したわけですが、都道府県同士で一緒に汗をかいて物に取り組んでいるという事例は非常に少のうございます。例えば、知事さん、あなたは理事者、私は副理事者とか、そういうことになってみたり、議員を出して協議会をつくって何かをやるという経験はほとんど都道府県はしていないわけであります。

 そう思いますと、多分、地方制度の長い長い議論の中で広域連合という仕組みを地方自治法の中にビルトインされたというのも、都道府県の問題を進めるための一つの戦略として置いておられる。ただ、今、関西とか九州府、いろいろありますけれども、議論を見ておりますと、期限からいうと、もうできているはずなのにまだできない。それは何かといいますと、そこで何をやるのかということがなかなか見えてこない。それこそ府議会とか県議会で議論をしていても、それは何をやるのか、どんなメリットがあるのかということが、なかなか答えが出ないんだと思うんですね。もちろん、道州制特区でも、三つの県が一緒になってというのがあったわけですけれども、これもなかなかできない。

 そうしたときに、この広域連合をうまく活用して、まず一度そういう枠組み、受け皿をつくらせておいた方が、原口大臣は地方出先機関の仕分けということもおっしゃいましたけれども、国が何か地方にお願いするにしても、受け皿づくりということは国としてある程度戦略的に取り組まれた方がいいんじゃないかと私は思うわけであります。

 そうなりますと、そこには県をまたいで一緒に取り組む事務のイメージというものがあった方がいい。それは実質的に地域主権ではあるわけですが、これは、そうはいってもなかなか難しいと思います。何かいいイメージというものをお持ちか、あるいはそういうものを打ち出していくお考えはないかということをお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。市町村合併がある程度うまくいったところは、委員が御指摘のように、一部事務組合等の共同処理、つまり、一緒にやっているという実績があったからなんですね。道州制というのも、単にやると言っただけで、僕はそこにはいかないと。全く同じ認識を持っています。

 そのために、都道府県間での共同処理というのは、調べてみると意外と少ないんです。例えば、広島県と山口県を構成団体としてダム管理に関する連絡調整を行う小瀬川ダム管理事務協議会、あるいは、鳥取県、島根県を構成団体として港湾管理を行う境港管理組合、長崎県、熊本県を構成団体とする、自動車航送船、これはフェリーのことですが、フェリーの運航を行う有明海自動車航送船組合、こういうものがございます。

 一つは、やはり経済的な一体性かなと思います。経済政策を道州の中で一体的にやる、その前段階の戦略が一つとしてある。それからもう一つは、先ほど厚労の政務官にお尋ねになっていましたけれども、福祉政府という考え方がありますね、福祉政府はできるだけその地域に根差せばいい。しかし、今のような基礎的な自治体だけで負えるかというと、福祉というのはやはりヘッジですから、できるだけ広い範囲でさまざまな保険的なものを掛けておいた方がいい。こういうものについて国、地方協議の場でも議論をして、何が一番その地域にとってベストな選択なのかということを考えて戦略を練ってみたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 ぜひこのあたりは研究をいただいて、研究の成果をまたお伺いしたいと思うわけです。

 というのは、たまたま足立政務官が残っておられますが、厚生省、あるいは労働省も、地方事務官制度を国の方へ吸い上げた歴史もありました。厚生労働行政の方でブロック単位で取り組めるものが結構あるような感じもいたします。

 また、いろいろと議論しておりますと、先ほど市町村の事例ではごみの共同処理の問題がありましたが、都道府県、あるいはある程度ブロックということでいいますと、産業廃棄物の処分場なんというのが、意外と隣の県のものは受けたくないという議論が出やすい分野でもあります。何かそういったものの中で汗をかけるもの、そして、県庁の組織を一括して連合へ移せるようなものがあると、非常にメリットが出てくる、見えてくるんだと思います。

 そういったものを割と連担性のある、経済的にまとまりのいい、あるいは、関西圏であってもいいでしょう、九州であってもいいでしょう、何かそういう事例をつくっていかれるということが、地方出先機関の改革には回り道のようであるけれども、実は正しい道ではないかと思うわけであります。

 せっかく申し上げると、一極集中是正ということで首都機能の移転というお話もあったわけですが、それが結局国会の移転へ結びついてしまって、国会の移転が難しいからすべて進まなくなったという事例があるわけであります。上からやろうとするとなかなか難しい、底辺から積み上げていくとできるということもあるということを、あえてアイデアとして御指摘させていただきたいと思います。

 そこでもう一つ、この提案もどうなのかな、いろいろな意見があると思うんですが、例の議員年金の問題であります。

 この議員年金の問題については、健全運営ということについては、新法の第五十八条第三項においても引き続き国として努力しますとなっているわけであります。これについていろいろな検討が今進められているところでありますが、現状、これからの進め方についてお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 これは、地方議会の議員年金については三つの案を出させていただきました、残念なことに廃止ということも選択肢として、A案、B案。

 つまり、これは、一気に合併が進んで、年金を払ってくださる地方議員の数そのものが減っていますので、市町村については二十三年、都道府県については三十三年という枯渇のときが見えてきています。

 では、そこで何をやればいいか。私としたら、これは、地方議会というのは民主主義の基盤である、民主主義の学校と言ってもいい、そういうところでございますので、そこにボランティアの考え方というのを、日曜日も河村さんとお話をしましたけれども、ボランティアの考え方が、無償であればボランティアだというのは、それはある意味ちょっと前の考え方で、しっかりとしたものにはしっかりとした財政的な下支えが必要であるということで、これはできる限り国民の御理解をいただいて、五割以上税金を入れるというのに御理解いただけるかどうかというところが一番の肝なんですが、議員年金を存続させていきたい。今、そこで汗をかいているところでございます。

橘(慶)委員 私はもう少し考えがラジカルでありまして、私は特別職でいたわけでありますが、特別職の首長とか副市長はみんなその間だけ地方公務員共済に加入できるわけであります。言ってみれば、人生でそんなに長く勤められるわけもないわけですけれども、たとえ四年であれ八年であれ、その任期の間は共済に入れるわけであります。

 ところが、議員さんというのは、共済に入らずに、国保であったり、国民年金、あるいは今言われた議員年金という形での受け皿になっているわけであります。しかし、考えてみれば、今おっしゃったように、なかなか議員さんのなり手が云々とか、議員さんとしての活動保障ということを考えれば、決して、個人事業主という感じかといえば、別にこれでお金もうけをするわけでもありません、営業をするわけでもありません。こう考えたときに、私は、議員の方々に職員共済組合に入っていただくというのも一つの解決策ではないかということを、ちょっとラジカルだと思いますが、あえて申し上げてみたいわけであります。

 そのときにどんな問題があるのか、あるいはそういう可能性があるのかということについて、せっかくの機会なので、お伺いしたいと思います。

原口国務大臣 地方公務員等共済組合法においては、組合員の範囲は原則として常勤職員とされています。

 その一方で、地方六団体からも、地方議会の議員の身分をしっかりと保障し、確定すべきじゃないかという御提案が来ておりまして、そことの関係で、どのような財政的な措置がふさわしいのか議論をしていきたいと思います。

 今、地共済については、組合員との間での合意によっていろいろな運営がされていますから、あくまで、私たちがそこで何ができるかというのはこれからの検討であるというふうに思います。

 決してラジカルだとは思いません。

橘(慶)委員 ラジカルでないと言われると、もう少しお話ししてもいいなと思うんですが、大臣は県議会議員も経験されておりました。県議会、例えば五十人とか六十人という方に対して、県庁の職員の方々が、多分、何千人とおられるわけでありまして、そういった海の中に入れていただければ、この問題は一つ前進をしていく。短期は簡単ですが、長期だって組合員の皆さんの了解があれば、そういう方法もあるかもしれません。

 あるいは、市町村はなかなか難しいんですが、これだけ議員さんの数が減ってまいりまして、住民の声として議員さんの数を減らしたり、いろいろなことがあると、この制度を何回見直しても、続けていくのはなかなか難しいような気がします。

 平成十四年、平成十八年、平成二十二年、これで三回もこの問題について見直しがなされました。しかし、なかなか安定してこない。そのために、実は、総務省さんにも職員の方を置かれている、研究会もやる、報告書もつくる、そしてまた立法作業もやる、大変な事務費用というものがかかるわけですね。それを渡し切りでもいいから国がある程度応援をして、OBの方はOBの方でそのまま続ける、あるいは現役の方はいっそ年金の通算という形へ持ち込めば、この後、金輪際この問題が発生しないという意味では究極の行財政改革になるような気もするわけであります。こういう機会でありますので、あえてそういったことも申し上げて、また検討の素材にしていただければと。

 確かに非常勤ではあるんですけれども、いわゆる非常勤職員の皆さんとは選ばれ方の違う議員さん。つまり、住民の方々から投票していただいて選ばれているわけですから、その非常勤職員と一緒ではないと思っております。せっかくですから、そんな考えもあるねでもいいですけれども、答弁をいただいていいですか。

原口国務大臣 大変真摯な御議論をありがとうございます。

 やはりこれは地方議会の位置づけ、あるいは、今、地方政府基本法というものをつくって皆様に御議論いただきたいと考えておりまして、その中でもしっかりとした位置づけがあればそこの支え方というものも必然的に導き出されると思いますので、御提案を一つの検討材料としてこれから考えてまいりたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 あと、市となるべき要件の特例、三万人の問題です。三万人、五万人、今まで議員修正、議員立法で何回かなっている。私なりにこの過去の経緯を調べさせていただきましたら、昭和二十三年から二十九年は、これはもともと三万人という基準でありまして、昭和三十三年の半年三万人特例。それから、昭和二十九年、五万人になった後も、いわゆる合併計画に基づく合併については三万人という時期もございました。そんなことも含めて、三万人特例が結構されていたということもあるので、これはどちらかというと議員さん皆さんの問題になるわけですけれども、ぜひこういうことも検討する価値はあるのかなと思っております。

 時間どおりしっかり終われということで、歌を歌って終わりたいわけであります。

 雨が上がりまして、きょうは非常に春うららかという感じで、春も間もなくであります。

 さっと歌うと、おまえ、何を歌ったかわからぬということであります。あと三十秒ぐらいです。きょう歌いたいのは、大伴家持が越中の国庁で、春に桃の花が咲いたときに歌われた歌。春の園、紅におう桃の花、下照る道に出で立つ乙女という、大変うららかな歌でございます。朗誦してまいります。

  春の園紅にほふ桃の花下(した)照(で)る道に出で立つ娘子(をとめ)

 きょうはどうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 橘先生の後は若干やりにくいわけですが、気を取り直してやらせていただきます。

 まず初めに、今回の法律の条文の意味について、少し逐条的ですが、質問させていただきます。

 現行法の第七条第一項の、市となるべき要件の特例を削除した理由についてまずお伺いをしたいと思います。

 この規定が削除されますと、もともとの地方自治法第八条第一項の規定が要件となります。この自治法の規定については、四つの要件があるんですが、どうして中心市街地に全戸数の六割以上なければいけないのかということが一つの疑問でございます。また、商工業などに従事する世帯が全人口の六割以上、こういう要件もございます。さらに、各都道府県の条例で定める都市的施設などの要件が、本当に今の時代に合理的なのかという疑問を持っております。

 この規定については再検討を行うべきでないかというふうに私は思っております。面積が大きくて分散的に住民が住んでいる、つまりその六割という要件がなかなか整わない、そういう要件のところも今後問題になってくるのではないか。過疎地域、それから農山漁村地域を抱える自治体には、これから市制を目指す上では不利になるのではないかというふうな意見を持っておりますが、大臣の御所見をお願いいたします。

原口国務大臣 西委員の御指摘は、大事な御指摘だと思っています。

 この要件、人口五万人以上とか、全戸数の六割以上が中心市街地を形成、全人口の六割以上が商工業その他の都市的業態に従事するか、その者と同一世帯に属する等の要件を備えていなければならない、これが市となるべき普通地方公共団体の要件になっているわけです。

 これは前からの法律そのものなわけですけれども、あわせて今、委員の問題意識を踏まえて、地方行財政検討会議において、本当にこれがふさわしいのか、つまりモータリゼーションあるいは今のICT化というものの前の要件になってはいないか、あるいは、確かに人口は集積していない都市であっても、先ほどから何回も申し上げているように、市としての公共サービスをしっかり担える、そういう主体であればまた別なのではないか、こういう議論があっていいと思いますので、地方行財政検討会議において検討をお願いしているというところでございます。

西委員 今後の市制のあり方の基本的な要件について、非常に大事なことだと思いますので、しっかり御検討をお願いしたいと思います。

 次に、現行法第十七条第一項の、地方交付税の額の算定の特例も廃止ということになっておりますが、今後、合併に伴い臨時に増加する経費についてどうするのかということでございます。また、特別交付税で対処するという考えもあるというふうに内々お聞きをしておりますが、特別交付税の配分基準の明確化を図るという基本的な方針の中で、基準の一つというふうにされるのかどうかの御説明をお願いしたいと思います。

 また、もう一つの特例で、合併後五年度にわたって適用される総務省令で定める率について、これは普通交付税に関する省令第四十八条に規定されているというふうに思いますが、これに対して変更をされるおつもりがあるのかについてもお聞きをしたいと思います。

渡辺副大臣 委員にお答えいたします。

 市町村合併の円滑化を図るためには、引き続き、合併直後に必要となる経費を措置することは必要だという認識でございまして、必要となる経費、コンピューターシステムの統一等につきましては財政措置を検討しております。

 また、合併直後の歳出の節減不能額を措置するために、一定期間、旧団体別に普通交付税の算定を行う合併算定がえについては、引き続き存置をするということでございます。また、御指摘のありました激変緩和措置につきましても同様に、現行法と同様の制度とする方向で検討をしているところでございます。

西委員 ありがとうございます。

 続いて、法案第四十九条第一項第二号の、合併特例区の財産の処分等の制限に関してでございますが、財産という文言が今回、不動産というふうに変わっております。この理由について簡単に説明してください。

小川大臣政務官 御指摘の点でございますが、現在、地方自治体の財産信託に関しまして、かつて、財産の信託に関して議会の議決を要するという規定がございました。しかしながら、そのうち有価証券等につきましては、通常、毀損するおそれが非常に少ない国債を初めとした安定資産が中心でございますので、議会の議決に係らしめるほどではないだろうということで不動産に限定したという経過がございます。

 これとの並びで、合併特例区の財産信託に関しては、長の承認を要するものを今回不動産に限定させていただいたという、自治法の改正の経過を踏まえた今回の規定でございます。

西委員 もう一点。現行法第六十三条の合併協議会に係るあっせん及び調停についてでございますが、国と都道府県の関与を廃止する一環として削除されることになりました。

 名称や市役所の所在地については、これは相談するというより自分たちで決めるべきことだと思うんですが、もし、市町村が財産処分問題などで国や都道府県にあっせんや調停を求めたくても、今後はそのことについては受け付けないというふうに理解していいのかどうかお尋ねをいたします。

小川大臣政務官 法律の事実関係でございます。

 確かに、積極的な関与を廃止するという観点から、このあっせんや調停の権限は廃止をしたわけでございますが、今回の改正法案の五十八条でございます、市町村の求めがあった場合については必要な措置を都道府県は講じるということでございまして、あくまで市町村の求めがあった場合には十分な機能を果たせるように、今後も役割を果たしてまいりたいと思っております。

西委員 今度は、まず基礎自治体のあり方についてちょっと御質問したいと思います。

 これから地方分権、地域主権を議論していく上で、基礎自治体のあり方が大変重要なかぎとなります。どのような基礎自治体にしていくかということによって、今後の制度設計が変わるというふうに考えられます。

 地方分権や地域主権では、国の権限を道州に与え、現在ある県の権限の大部分を現在の市町村に与えて、できるだけ生活に関連した権限は身近なところに移る、今後そういう基本的な発想のもとに行われていくんだろうと思うんですが、県庁で行っていたことが市役所でできる状況にならないと、小規模市町村や過疎地域の住民から見て、道州制が導入された場合、ますます不便になっていくという現実があります。それゆえに、地域主権の確立のために、受け皿となる市町村の強化は絶対的に重要なことでございます。

 ところで、民主党の二〇〇七年参議院選のマニフェストでは、三百程度の基礎自治体の構成ということを提唱しておりました。前回の衆議院選マニフェストでは、先ほどだれかが指摘されましたように、それが消えて、ことし二月十六日の衆議院本会議でも、総務大臣は、三百の基礎自治体構想については否定をされております。今後の地域主権の議論は、均質的な基礎自治体ではなくて、巨大な政令指定都市から小さな村まで、多様な基礎自治体が存在するという前提のもとに進んでいくということになろうかと思います。

 民主党の政策集インデックスでは、「基礎的自治体については、その能力や規模に応じて、生活に関わる行政サービスをはじめ、対応可能なすべての事務事業の権限と財源を、国および都道府県から大幅に移譲します。例えば、人口三十万人程度の基礎的自治体に対しては、現在の政令指定都市と同等レベルの事務権限を移譲します。」こういうお考えが示されております。

 そうしますと、この条件を満たすのは、政令指定都市十八市、それから中核市が四十一市、これで五十九の市でございます。四月から相模原が中核市から政令市へ変わるというふうにお伺いしておりますが、その事情はございますが、今のところはそういう数字になっております。このほかに、三十万人以上の市でありながら中核市になっていない市が十一市あるというふうにお聞きをしております。これを合わせても七十の市です。

 三十万人以上の五十二市に、新たに、政令指定都市と同レベルの事務権限とそれに見合う財源を移譲するというふうな基本的なお考えと理解してもいいんでしょうか。この点について大臣にお伺いします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさにこれは例示でございまして、先ほど前段で委員がお話しになりましたように、多様な地域の担い手としての市町村を私たちはつくっていきたい。そして、地域主権型社会の基本は市町村であって、地域主権戦略工程表、原口プランにお示しをさせていただいているように、今後、地域主権改革において基礎的自治体への権限移譲を積極的に行うものでございますが、三十万以上なきゃいかぬ、あるいはそういう政令市に次ぐようなものでなきゃいかぬということを言っているわけではございません。

 先ほどから御議論がございましたように、地域の公共サービスの担い手たり得るかといったことがとても大事なことであって、それぞれの行政努力の中でそれができるのであれば地域の主体たり得る、このように私は考えております。

西委員 さて、昨年十一月十二日の参議院の総務委員会で、総務大臣は、「市町村合併については、全国的な合併の推進は現行特例法が失効する今年度末をもって一区切りとすることとし、市町村が自主的に合併をする際に障害となることがないように新しい合併法制を整備するとともに、市町村間の広域連携制度の充実を図ってまいります。」こういう発言をされております。

 今回の改正案は国や都道府県の関与を廃止しておりますが、船に例えれば、今までの法律は合併の方向へ推進するかじやスクリューでもって一定の方向を目指していたわけですが、これをなくしていくという方向とも言えると思います。この法律案単独では、新たな市町村合併のインセンティブはなかなか働かないのではないか、こう思っております。

 市町村合併を希望している自治体はまだあります。しかし、多くの場合は、財政問題が大きな障害になっている。それぞれの市町村の固有の問題が残っておりまして、そこが障害になっているというふうに考えられるんですが、合併を今後行いたいと望む市町村の立場に立って、国がどのような支援を考えているのかという質問でございます。それとも、市町村合併については一区切りであり、国としてはこの法案以上の支援は考えていないということなのか。少しここの部分についてお伺いをしておきたいと思います。

原口国務大臣 今の委員の御質問に例えるならば、船を解体したわけでも、スクリューやエンジンの速度を緩めるわけでもございません。逆に言うと、もっともっと住民に近い、快適な船にしていこうというのが今回のものでございます。

 合併円滑化の観点から、合併算定がえ、合併前の交付税を一定期間保障すること、あるいは地方税の特例、あるいは議員の在任特例など、必要な特例措置を講ずる内容をこの改正案に入れさせていただいております。また、財政面やさまざまな面から、しっかりと情報提供を行い、合併に対するインセンティブを引き続き持っていただけるように支援をしてまいりたい、こう考えています。

西委員 合併により、それぞれの自治体の行政部門の力を向上させていくということは大変重要なことでもありますし、引き続き、自主的な合併ではありますけれども、それが推進できるような工夫をしていく必要があると思います。

 市町村合併を総括いたしますと、県からの権限移譲が進んでいるところほど市町村合併が進んでいるという事情がございます。

 三月五日に発表されました「「平成の合併」について」の公表という書類が私の手元にあるんですけれども、この中で、一万人未満の自治体がどういうふうになったかという一覧表がございまして、それを見ますと、いわば小さな自治体が大幅に減っているところと、意外とそうでもないところ、二極に分化されているような気がいたします。それは、一概には言えないそれぞれの地理的状況、今までのいきさつ等もあると思うんですが、その差というのが今後どういうふうに、地方分権というか地方の重要性が増してくるにつれて、将来どうなっていくかということが大きな課題になってくると思うんですが、ぜひとも、今後、さらにまた合併が自主的に促進できるような体制をお願いしたいと思います。

 そう考えてみますと、自主性を尊重するというのはもちろんですが、国や都道府県も市町村合併をしやすい環境づくりを引き続き続けていかなければいけないということを考えるわけです。市町村合併に対する国や都道府県の関与のあり方について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 この特例法によって、いわゆる平成の大合併については一回総括をしよう。そして、その上で、今委員がおっしゃるように、自主的に合併を選択しようという市町村から求めがあった場合には、合併を進めるに当たっての留意点、取り組むべき課題、あるいは合併後のまちづくり等について助言または情報提供を行うものでございまして、やはり合併のメリット、先ほども申し上げました専門職員がふえる、あるいは行政が効率化する、そしてさまざまな住民サービスにそれが反映をする、こういったことについても積極的に前に進めてまいりたいと思っています。

西委員 小規模な市町村について今後どうするかというのが課題として残ると私は思っております。参議院の総務委員会の発言では、市町村合併は一区切りがついたので、次は市町村間の広域連携制度の充実を図るというふうにおっしゃっておられますが、これは市町村合併という手法ではなくて、小規模の市町村間の広域連携を推進して、そしてそこに権限を移す受け皿をつくっていくという意味なのかどうか、これについてお伺いをしたいと思います。

渡辺副大臣 私の選挙区は伊豆半島でございまして、過疎指定を受けているところもあれば、人口一万人を下回る、まだ小さな町がございます。

 そんな中で、これから県を通してお願いしたいなと思いますのは、一つのゾーンとして、圏域として、例えば観光であるとかあるいは地域振興であるとか、例えばこの地域はこのゾーンと、何かネーミングをして、一緒にやることによってスケールメリットがあるということ。例えば首長同士が一緒にやること、議員同士が一緒にやること、住民同士がそれぞれ一緒にやることによって、やはりスケールメリットがある。

 あるいは地域の足を確保するに当たっても、それぞれどういうふうにしたらいいか。例えば、不便なところ同士がお互いに運営し合えるような、そういうお互いがメリットがあるという形で、何よりも一緒にやることの方が、かけがえのないパートナーとしてやっていかれるという機運を醸成するために、さまざまに地方とも連携をして施策を講じていくべきではないのかなというふうに思います。

 これまでのように、親が決めたいいなずけ同士だから、本人たちの意思はどうあれ、とにかく早く一緒になれみたいなそういう形ではなくて、自然に、お互いがかけがえのない相手であるという形になるように進めていきたいと思います。

西委員 非常にわかりやすい例を挙げていただきまして、ありがとうございます。

 広域連携制度、先ほども副大臣から御説明いただきましたように、地方自治法でいうと、一部事務組合をつくるとか、広域連合、協議会、機関等の共同設置、事務の委託。既存の制度にのっとってこれをやっていこうというふうにされているんだと思いますが、これら以外に何か制度を検討されているのか、もし何かありましたらお願いをしたいと思います。

 上からの押しつけと言われないようにしながら、どのように進めていくかということだろうと思います。先ほどからも、一部事務組合とか、そういうふだんの市町村を超えた議会とか行政の連携によって今回の合併というものもスムーズに進んでいった、こういう一つの方向性が議論されましたけれども、私も確かにそういうものはあると思います。

 ただ一方で、今までの一部事務組合を初めとする連携が自治体を超えているものですから、意外に、住民に余り見えにくいというか、また公開もなかなかされにくい、関心も薄い、そういうものが一部事務組合等にもあったんじゃないか。議会で諮られるものであれば皆が関心が高いんですけれども、そういう欠点もあるような気がしておりまして、責任の所在も意外にあいまいな部分もあったのではないかというふうに私は思っております。

 これらの点について、ほかにどういうことを考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 とても大事な御視点だと思います。つまり、責任の所在がどこにあるか、これはとても大事なところで、全国各地の取り組み事例について情報提供に努めるほか、選択肢を追加し、広域連携が進展するよう、今回、委員会の事務局や内部組織などの共同設置を可能とするための地方自治法の改正、これを今国会に提出する予定でございます。

 組織や職員の配置などの事務処理体制や財政基盤が必ずしも十分でない小規模市町村にとっては、広域連携を活用して、専門職員の配置による事務処理体制の強化、事務の効率化による財政基盤の強化といったものを支えてまいりたいと思います。

 そして、委員、やはり仕事の仕分けだと思います。だれが、どこで、責任を持って何の仕事をするかといったことをきっちり支えることができるように総務省としても心を砕いてまいりたい、こう考えております。

渡辺副大臣 先ほどもちょっとお答えしましたけれども、今大臣からお話ありました、今回の地方自治法の改正によって可能となる共同設置のイメージを考えております。

 例えば、先ほど申し上げた監査委員の事務局、あるいは税務課とか会計課という役所の内部組織を二つの自治体で共同設置できないかというようなこと、また、これは一つの案ですが、いろいろ御異論もあったんですけれども、議会事務局はできないかと言ったら、ある町は、それはちょっと、いろいろと地域の議会の事情があるからどうだろうかと、いろいろ意見もありましたけれども、まさにこういう、委員会ですとか委員の事務局、あるいは内部組織を共同で持てるような形で地方自治法の改正を今検討しているところでございます。

西委員 今お伺いしますと、意外に、今の内部の行政の重要な部分まで共通した事務の扱いをしようという発想があると聞いて、今までのような、必要に迫られての一部事務組合みたいな感じじゃなくて、本当に中心の部分で共同していけるということになれば、さらにまた一歩進んだ新しい展開が可能なんじゃないかというふうに思います。その議論を私どももお伺いしながら、今後また、次の段階に向かってお互いが議論を進めていければというふうに思います。

 最後に、さらに「小規模な基礎的自治体が対応しきれない事務事業については、近隣の基礎的自治体が共同で担う仕組みをつくるか、都道府県が担うこととします。」また「基礎的自治体が担えない事務事業は広域自治体が担い、広域自治体が担えない事務事業は国が担う」という、よく大臣がおっしゃられる「補完性の原理に基づいて改革を進めます。」という考えが示されております。

 先ほどの広域連携との関係で見ると、広域連携にメリットがない場合には、広域自治体や国に補完してもらうというふうな形で、だんだんと上に上がってくるのではないかという心配がございます。

 また、この補完性の原理に基づいて広域自治体や国が担う事務事業とは法定受託事務のことなのか、法定受託事務だけではなくて、自治事務についても適用されるというふうに考えているのか。今、若干お考えも示されたようですが、このことについて改めて質問をさせていただきます。

原口国務大臣 大事な御指摘をありがとうございます。

 地域主権改革とは、今委員がお話しのように、地域のことは地域住民がみずから決定し、その責任を持つことでございます。そのためにも、住民に身近な行政は、できるだけ住民に近い基礎自治体が担うことが基本でございます。

 一方、市町村は規模がやはりさまざまですよね。そのことを踏まえて、単独で事務を実施するほか、市町村間の広域連携による事務処理も有効にしたい。そのため、委員会の事務局や内部組織などの共同設置、先ほど渡辺副大臣が答えたところでございます。

 その上で、どうしても市町村が行政サービスを提供することが困難な場合に広域自治体による補完等が考えられるものであり、その場合の事務については、法定受託事務であるのか、あるいは自治事務であるかをここで一律に問うものではない、このように考えております。

西委員 先ほどからの議論を通じまして、いずれにいたしましても、基礎的自治体をいかに充実していくかということが分権の最も肝要なことでございます。

 今後、合併についても、一応推進していくという立場はこれで一段落いたしますし、事実そういう流れにはなっているわけですが、強い自治体をつくっていく、また専門職の多い、能力のある自治体をつくっていくという意味においても、この流れは推進ができるような可能性をずっと残していっていただいて、先ほどの数々の共同した事務などを通して、お互いが理解と合意をさらに得られるように努力をしていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 市町村の合併特例法に関連して質問をいたします。

 最初に、平成の合併の総括、平成の合併の検証についてお尋ねをいたします。

 平成の大合併におきましては、基礎自治体である市町村の規模、能力の充実、行財政基盤の強化が必要とされ、いわば国策として市町村の合併が推進をされました。

 そこで原口大臣にお伺いしますが、平成の大合併によって合併市町村の行財政基盤の強化が図られたと言えるのか、この点についてお聞かせください。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 市町村合併は相当程度進展しました。大変な御苦労の中で進めていただいた皆さんに、改めて敬意を申し上げたいと思います。

 合併市町村においては、住民サービス提供体制の強化や少子高齢化に対応、つまり、ワンセットでできるわけですね、今まで別々にやっていた、そういうものから行財政の効率化などに取り組まれており、全体的に見ると行財政基盤の強化につながっているものと認識をしています。

 ただ、その中で、先ほど光と影という御議論がございましたけれども、みずからの地域に対して遠くなったと感じてみたり、あるいは地域に対する参加の度合いが減るとすれば、創富力、富を生み出す力そのものも減ってしまいますので、財政基盤の強化にはそれはつながらない。逆に、中央政府が庭先をきれいにするために三位一体改革等で地方の財政基盤を弱くした、こういったところについても着目をしておかなければいけない、そう考えています。

塩川委員 サービス提供体制などが強化をされたという話がありますけれども、合併をして専門職を置けるようになるとかいう話もございますけれども、一方で広域連合などを通じて小さな市町村が共同して保健師を配置する、保健センターなどを維持していく、こういう取り組みもあるわけですから、合併という選択肢しかないという状況ではございません。

 そういう点でも、合併の検証に当たってやはり問われてくるのが財政面の問題であります。

 今大臣の方からもありましたように、行財政基盤が強化をされたと言われても、実際、合併が行われた時期というのは、三位一体改革のもとで地方交付税が大幅に削減をされたわけですから、結果として、合併した自治体に財政余力が生まれた、財政基盤が強化をされたということは検証できないのじゃありませんか。その点はいかがですか。

原口国務大臣 先ほどもお答えしましたように、合併によってさまざまなメリットの部分と、それよりもはるかに地方の疲弊、経済や地域のきずなやコミュニティーの大変な疲弊、そして政策的な、地方に向かう独自財源の減少、こういったものを分けて考えなきゃいけないというふうに思います。

 一方で、先ほど申し上げたように、兵糧攻めをされて無理無理合併せざるを得なかったんだという声があることも事実でございまして、評価に当たってはさまざまな尺度で総括をしなければいけない、そのように考えています。

塩川委員 今お話にもありましたように、財政面で本当に効果があったということについて、現時点で検証はされていないというのが率直なところだと思います。平成の大合併で合併市町村の行財政基盤の強化、特に財政基盤の強化が図られたという検証は、現状ではできないわけですから。それにもかかわらず、政権がかわっても、引き続き基礎自治体の行財政基盤の強化が合併策の理由として掲げられております。

 この平成の大合併について、総務省が「「平成の合併」について」という文書をまとめております。その中を拝見しておりますと、市町村合併による行財政基盤の強化の必要性をうたっております。この文書の中でも、「平成の合併は、全体としては大きく進展したものの、地域ごとには大きな差異があり、特に大都市部を抱える都道府県や面積の広大な北海道などはあまり進んでいない。また、人口一万未満の市町村が四百五十九存在し、特に市町村合併の進捗率が低い都道府県に数多く所在している。」このように述べています。

 そこでお尋ねしますが、人口一万未満の市町村は引き続き行財政基盤強化のため合併が必要だと原口大臣、今の鳩山内閣はお考えなのか、その点をお聞かせください。

渡辺副大臣 お答えをいたします。

 これまで政府が一万未満という線引きで合併を進めてきましたけれども、今後、私どもの政権としては、総務大臣の合併推進基本指針を廃止しておりまして、一律に人口一万未満といった基準を設けて、この基準をもとに合併に関して何らかの対応をとるようなことは考えておりません。

塩川委員 あわせて、大都市圏の市町村で合併が必要だとお考えでしょうか。

小川大臣政務官 事情は、小規模市町村と同様のところと異なるところ、いろいろあろうかと思いますが、国を挙げて、政府を挙げて合併に向かって積極的な取り組みをするということはここで一区切りつけるわけでございまして、いずれにしても、各自治体の自主的な判断を尊重し、必要とあらば助言なり協力を惜しまない形で進めさせていただきたい、これが基本的な考え方でございます。

塩川委員 この間合併を迫られた市町村の多くが、率直に言って、三位一体改革での地方交付税の削減があり、一方で合併特例債などもある、大臣もおっしゃっておられたように、いわばあめとむちという中で合併に追い込まれたところが少なくなかった。将来、さらに地方財政措置が削減されるのではないかという危機感で合併を選択せざるを得なかったというのが、平成の合併の実情だったのではないかということであります。

 そこでお聞きしますが、要するに、市町村に対して安定的な地方財政措置を行うのであれば、行財政基盤の強化のための合併は必要ではないのではありませんか。それとも、市町村合併に追い込んだ三位一体改革のような地方財政措置の大幅削減というのを考えておられるのか、その点をお聞かせいただけますか。

原口国務大臣 地方財政措置の大幅削減は全く考えていません。というのは、この一・一兆円だって、やっと一息ついた、ずっと下がり続けてきたわけですから、それが一息ついた。これですべてだとは思っていないわけです。むしろ逆に、私は、地方の独自財源をふやすべきだし、緑の分権改革やさまざまな改革で地域が持っているパワーを引き出さないと、この日本全体、国づくりさえ障害が出てくる、このように考えています。

 今おっしゃったように、私は余りあめとむちという言葉は使わないんですよ、多分、私の言葉じゃなくて渡辺副大臣の言葉じゃないかと思いますけれども、そういうもので合併をいや応なくするというのではなくて、人口は確かに一万人以内だけれどもやれるんだと。だって、人口三十万の国だってあるわけだし、あるいは人口がもっと小さな国だってある。そういう中での一人一人の国民の持つ、住民の持つ力を引き出す、そこに焦点を当てていきたいと思っています。

塩川委員 独自財源をふやすべきだとおっしゃっておられるわけですから、そういうことであるのだったら、地方自治体に、市町村に対し、安定的な地方財政措置を行うことになる。そうであれば、行財政基盤の強化、特に財政基盤の強化のための合併というのは、必要ないじゃないかと思いますが、改めて、いかがですか。

原口国務大臣 行財政基盤を強化するということは、何も努力をしないということじゃないですね。むしろ、先ほど申し上げたように、電子政府化をしたり、クラウド化をして、これは目的ではなくて、行政改革をし、みずからも強い財務体質を持つということは何を意味するかというと、御一緒につくらせていただきました公共サービス基本法、まさにそこに住まう方々に対する公共サービスの質を高め、それを保障するためのものである、このように考えています。

 ですから、多分、委員がおっしゃりたいのは、行財政基盤の強化ということで、またどんどん外側から真綿で首を絞めるように自治体を、それこそ牛の鼻輪を持つように水のところへ連れていくことはやめなさいということだと思いますが、まさにその点は委員と全く意見が一致しています。

塩川委員 そういう点では、平成の合併というのが、行財政基盤の強化を掲げながら、実際に財政基盤の強化が図られたというのは検証されていない。そのもとで同じ理由で推進するということには、私は率直に言って道理がないと考えております。

 同時に、自主的な合併を促していく際に、きょうは同僚委員からも御議論があったように、民主党の地域主権において権限移譲の問題がございます。これは総務省の文書でも、「今後、地域主権改革の進展により、都道府県から市町村への権限移譲、義務付け・枠付けの見直しなどが実行されると、今まで以上に、市町村の責任と判断で住民の負託に応えていく必要がある。 こうした観点に立つと、市町村の行財政基盤の強化を図り、より一層の効率化を図るべき市町村も存在していると考えられる。」このように述べているわけですけれども、ここでいわゆる権限移譲を理由にして、基礎自治体の行財政基盤の強化が必要だ、だから合併だ、合併が必要だということになりはしませんか。

原口国務大臣 そこは、頭とおしりがひっくり返っています。先ほど申し上げたように、良質な公共サービスを保障するために行財政基盤の強化が必要なのであって、行財政基盤の強化が合併の目的でもなければ、まさにゴールでもございません。

 逆に言うと、私たちが何を目指しているかというと、例えば高齢者や障害者の支援策一つとってみても、国と県と市町村で権限が分かれているわけです。身体障害者手帳の交付は県がやり、市町村が介護保険、社会福祉の現場事務をやる。身近な市町村で高齢者、障害者の暮らしをトータルサポートするためには、独自の財源を地域が獲得することも含めて税財源の基盤の強化ということが大事だ、こういう論理で言っております。

 今までと逆ですから、私たちも頭を切りかえて国民の皆さんに御説明を申し上げたいと思います。

塩川委員 小規模団体のお話を伺っても、自立して頑張っていこうという自治体の首長さんのお話などを伺えば、この間で、地方財政措置、交付税が少しでもふえているというのは、将来の見通しが立ってありがたいと。そういう中で、合併しなくても頑張れる、特に住民に根づいた行政を行っていくという自負といいますか自信というのが生まれてきているわけですね。そういうときに、上からかぶせるように権限移譲を行いますということで、結果として合併の枠組みづくりにつながるようなことであれば、それこそ本末転倒なものであります。

 そういう点でも、インデックス二〇〇九にありますように、基礎的自治体の規模や能力の拡大を目指すとあるのが、権限移譲を理由として、小規模団体などが望んでいないような権限移譲を迫ることになって、結果として合併という枠組みに結びつくものになる、そういう懸念は率直に言ってぬぐえないと思っていますが、大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 そこはさっきから何回も御答弁していますけれども、頭としっぽが逆転しないようにというのが私たちの基本的な考えです。

 ですから、自主的な取り組み、私はその自負があるということはすばらしいことだと思います、みずからの地域の自主性やアイデンティティーを守りながら自分たちでやっていく。だから、先ほどから、これは権限がありますから合併しなきゃ与えませんよなんということは言いません、ただ、権限を受け取るについては、公共サービス基本法で明定したように、地方団体においても公共サービスの質を確保する、国民の公共サービスにおける権利を保障する責務がある、そこのところは外してはいけないんだというふうに考えております。これはあくまで責務の話です。

塩川委員 この公共サービス提供の責務というのは、国も広域自治体も基礎自治体も協働して責任を負うものであります。この間の合併を見れば、中心市に権限が集中して周辺が寂れていく、そういう声が上がっているときに、そういう周辺自治体が本当に住民サービス、公共サービスをやろうと思ったら、自立してやっていこうということを選択するわけです。その際に、規模の効果が働かないような業務であれば、それは県が担う、あるいは国が担う、こういうことを含めて行うべきで、基礎自治体に権限移譲を進めることが、結果として周辺自治体などの合併を迫るものになるんだ、こういう懸念はぬぐえない。

 この間、昭和の合併のときにも産業基盤の強化ということを理由に合併が進められましたし、平成の合併も地方分権改革の名のもとに合併が進められましたし、今度、地域主権の改革の名のもとに合併が推進されることになりはしないか、そういう強い懸念を持っていることを申し上げて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 原口大臣、大変お疲れさまでございます。

 私は、この質疑の冒頭に、いささか大きな前置きを置きたいというふうに思います。日本のこれまでの政治の最大の問題点は、国家のビジョンがないこと。あったとしても、それをそのとおり実行するリーダーシップが欠けていたことにあったと思います。五十年後、百年後、日本がどうなっているのか、それを視野に置いて今何をするのか。それなくして、ただその場しのぎの近視眼的なびほう策ばかりを弄してきたのがこれまでの政治ではなかったかと思います。あすが見えないことが国民の不安を増幅して、日本全体が縮み志向に陥っている。そうした状況を何としても政治が脱していく、その第一歩をしるしていかなければいけないというふうに感じているところです。

 このところの報道で、原口大臣は次の総理候補だ、新人議員を集めて勉強会を開いて若い世代をお育てになられている、こんなふうに報道されております。そういう原口大臣ですので、大きな期待を込めて、日本のこれからの五十年、百年の国家の見取り図、これまで日本にそうしたものが欠如していた、こうしたことについて、ぜひ政権の一員として原口大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 国家百年の計を立てるということは、とても大事なことだと思います。

 その上で、これからの百年は日本はどう行くべきか、そこについて申し上げると、依存と分配の中央集権のピラミッド形を壊してそれぞれの地域が創意工夫ができる、先ほど委員は縮み志向とおっしゃいました、まさにそのとおりで、出るくいはたたかれるどころか、今出るくいは外から引っこ抜かれるんです、引っこ抜かれて、まさに他の国で活躍をするというようなことがあっては決してならない。私の師匠は、大番頭国家をつくれということを言っていました。

 つまり、アメリカが世界の中での大きな役割を果たすとすると、日本はそれを補佐しながら世界の貧困や紛争を極小化する役割を積極的に担っていく。そのためには、ぜひ依存と分配にかかわり合っている人たちのマンパワーを世界に引き出すべきだ。この間、予算委員会で委員がお話をされたように、世界のダイナミズムをつくり、世界の貧困と飢餓、そして紛争と闘える基盤を日本が世界に向けてつくっていく、これが私たちがこの百年においてやっていくことだというふうに思います。

 その上で、私は三つの平和ということを申し上げていますけれども、地球環境の平和、世界のいわゆる暴力のない平和、そして心のうちなる平和、この三つを実践していくことが、私たちがこれからやるべきことだというふうに考えております。

柿澤委員 大変雄弁に語っていただきました。これを冒頭にお伺いしたのは、別に原口大臣を持ち上げて何かしようというつもりは全然ありません。

 ここからちょっとお伺いをしたい。

 国家の基本構造であります地方制度について、民主党、そして原口大臣、現政権は、二層構造を考えているのか、三層構造を考えているのか、ここについては今もって明確でないというふうに思います。この点について、原口大臣は、二層構造にするのか、三層構造にするのか、基本的な考え方としてどっちなのか、明快に御答弁をいただきたいと思います。

原口国務大臣 国家の層は、簡単であればあるほどいいと考えています。つまり、依存と分配のピラミッドの、こういう縦であればあるほど弱い。先ほど脳とコンピューターの違いについてお話をしましたが、変化に対応できるシステムというのは多層構造なんです。つまり、リナックス型で、オープンソースで、さまざまな人たちがプロジェクトごとに集まってきて、そして対応して、後はまた地域へ散っていく、こういう形が大事だと思っています。

 二層構造か三層構造かと言われれば、私は二層構造が望ましい、しかし、過渡的に三層が生まれることはあり得ると思っています。

柿澤委員 二層構造が望ましい、こういう総務大臣としての御答弁をいただきました。

 当初、民主党自身も参議院選挙のときはマニフェストで三百の基礎自治体による二層構造を打ち出していたわけです。そして、道州制についてはどちらかといえば否定的な姿勢だったというふうに思います。衆議院選に向けても基本的にその方向だったというふうに思うんですけれども、去年の四月には、次の内閣で、全国の千八百ある市町村を五から十年後に七百から八百に集約して、最終的には三百程度に再編する、分権政策を進めていく、こういうことで政策の取りまとめをされていたというふうに思います。

 しかし、六月になって、この方針が随分大きく変わったと思います。これはどういうふうに影響したのかわかりませんが、大阪の橋下府知事から、二層制が最終ゴールというなら日本は滅ぶ、政権担当能力がないと言われても仕方がない、こんな物すごいけんまくで批判をされて、結果として、その後というか、それと軌を一にする形で、自治体の自主性や多様性を尊重しながら基礎自治体の規模や能力の拡大を目指す、将来的には州の創設についても検討をするということで政策を転換したわけであります。

 当時、次の内閣の総務大臣だった原口大臣と橋下府知事との会談で、原口大臣は橋下府知事からお話を聞いて、涙が出るぐらい感激したというふうに絶賛をしておられます。人気のある橋下知事に批判をされて、慌てて政策転換をしたというふうにも見えるけれども、二層構造、三層構造というのは先ほど申し上げたような国家の基本構造にかかわる部分でありますので、こうした形でひょいっと政策転換をしたようにも見えるわけですけれども、この点、定見があるんだろうかというような疑問も感じられてなりません。その点についてはどういうことなのか、お伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 だから、脳とコンピューターの違いをお話ししたわけです。

 つまり、プロジェクトごとに、私は道州というのも一つの形態だと思っているわけです。ただ、道州が実現できる価値が一体何なのかというと、恐らく経済的な価値なんだろうと思います。橋下さんがおっしゃっているように、自分たちに経済の、どこに空港をつくるとか、どこに港湾をつくるというのを自由にやらせてくれたら、今、都市国家間の競争になっているので、その競争に勝ち抜ける、そういうプロジェクトでやるのであれば道州というのは非常に有意義だと。

 私が涙が出るほど感激したというのは、彼の提案というよりも、当時、巨大与党の中で彼が来てくれたので、それで思わず涙が出るように感激したと言ったので、彼が声がでかいから、その意見に流されたわけでは全然ございません。

柿澤委員 先ほど御答弁で明確に、二層か三層かといえば、二層の方が理想的には望ましい、こういうお話もありました。そのことを確認させていただきましたが、我が党は、前にもこの総務委員会で申し上げましたけれども、地域主権型道州制を目指している立場として、将来的に都道府県、例えば関西がまとまって関西州を目指しますよという場合には、それはどうぞおやりくださいということで推し進めていくんだ、バックアップしていくんだというお話だったと思いますけれども、このスタンスでは、残念ながら、私たちが目指しているような地域主権型の道州制の姿はなかなか実現しないというふうに思っております。

 地方自治のプロであります石原信雄元官房副長官も、道州制はまさに国家構造を変える話であって、都道府県の合意を待ってでは無理である、困難さは憲法改正と同じだ、こういうことをおっしゃられています。そういう意味では、私は今の原口大臣のここまでの御答弁を聞いておりますと、最初にある種の国家観を語っていただきましたけれども、実情は残念ながら、今の都道府県制で基本的にはやっていくというふうに言っているように聞こえました。

 話をちょっとかえたいと思います。議員年金の問題に触れたいと思います。

 これは民主党時代の話になりますけれども、私が都議会の民主党の政調会長をやらせていただいたときに、地方議員年金の廃止の意見書をつくろうということで都議会民主党の中にプロジェクトチームをつくって、平成十七年でしたが、やっていたことがありました。そのときに、今名古屋市長になった河村たかしさんにおいでをいただいて、勉強会でいろいろお話を伺ったことがあります。

 その結果、平成十八年一月二十七日、議院運営委員会で、民主党提出の国会議員互助年金法を廃止する法律案の提案理由説明で、河村たかし現市長が民主党議員として「昨年末、都議会民主党は、我が国初めてとなる地方議員共済年金の廃止を求める意見書を取りまとめました。残念ながら、賛成は民主党と生活者ネットのみ、他のすべての会派の反対多数で採択されなかったそうです。」と、国会の中でこういう取り組みを紹介してもらったことが過去にございました。

 この地方議員年金制度について、今まさに積立金が枯渇して資金的に立ち行かなくなる状況に陥ってしまっております。いわゆる平成の大合併と言われる市町村合併の進展により、年金受給対象となる議員退職者が急増する、一方で現役の議員の数は減っていく。掛金と給付金の収支について、今や一人の現役議員が約三人の退職者を支えているという不均衡が生じてしまっている。こういう状況の中で、まさに今申し上げたような、二〇一一年度には市議会と町村議会の議員年金制度は積立金枯渇という事態に至るということが言われているわけです。

 この地方議員年金制度については、早ければこの通常国会にも法的な見直しを行う方針が当初あったようでありますけれども、残念ながら、これは来年以降に先送りということにされてしまったようであります。この地方議員年金制度は、私は、ある意味では地方議会の側からそのような制度はもう廃止したらどうか、こういう提言をした最初の部類の一人として、持続可能性もかなり乏しい制度になりつつありますので、やはり廃止に向けて取りまとめをしていくべきだと考えますが、御見解をお尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 その前に、先ほどのあれで言いますと、本当に道州制を射程に入れようとしたら、私たちが考えているようなやわらかいシステム、変化にいつでも対応できるシステム、ぜひこれはシステム論で後で御議論したいと思います。そっちの方が先に行くと思います。

 それから、議員年金については先送りしたわけではなくて、まさに議会の身分にかかわることですから、統一地方選挙がございますよね、統一地方選挙で多くの都道府県民に聞きたい、これはどうあるべきかと。そういうお話も地方議会の方からも伺っております。三つ私たちが案を出して、東京都議会の民主党が出された案というのは、これも一つの画期的な案だというふうに思っています、それも含めて議論を進めていきたい。

 ただ、地方議会の議員にかかわるボランティア、私はよく河村市長と議論するのですが、ボランティアの定義そのものが私は河村市長とはちょっと違っています。そこのところでいろいろな議論をしておるわけですけれども、今の御提案も含めてしっかりと、これは国民、有権者が御判断されることだと思いますので、総務省としたら、私の今の意見は、できるだけ存続をし、地方議会の権能やさまざまな役割をもっともっと強化できる方向に進めばなというふうに考えているところでございます。

柿澤委員 できるだけ存続をしというお話でありまして、私は、ここは廃止に向けた御答弁があるのかなというふうに思っておりましたので、やや意外に受けとめております。

 いずれにしても、この地方議員年金制度を存続させるということになれば、大変な見直しと、かなりの公費負担が避けられないということが指摘されております。これは廃止をした場合でも同じなわけでありますけれども、しかし、基本的な考え方として、地方議員に国民年金を初めとした基本的な年金が一方で支給をされているにもかかわらず、議員だけに特化をした年金制度を、公費負担が例えば四割とかいう中で存続させるというのが果たして正当化できるんだろうか、この問題意識を持って制度の見直しに取り組んでいただきたいというふうに思っております。その点につきましてはいかがでしょうか。

原口国務大臣 私たちはマニフェストにおいて、すべての年金を一元化したい、そういうことを約束しているわけです。その上で、これは国会議員年金もそうですけれども、地方議会の議員年金も国民の御理解なくして存続することはできません。国会議員年金についてはもうなくなったわけです。国民の理解と、それから議員という、先ほど議員の役割の強化とか……。

 これは公的なものをだれの負担でどのように支えるかという話ですから、しっかりと今の観点も踏まえて議論を詰めてまいりたいと考えています。

柿澤委員 ありがとうございました。終わります。

近藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、議題となった市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案は、市町村合併に対し、都道府県が積極的かつ強力に関与することを初め、当時の政権が国策とした平成の合併を推進するために、累次の改正の中で盛り込んできた合併押しつけの仕組みを大きく削除するものでありますが、合併の可否についての住民の参加、意思の反映が十分には保障されていないという、合併特例法が持っている問題点は基本的に変わっていないからであります。

 旧合併特例法は、一九九五年には合併推進を目的とした方向に大きく転換され、一九九九年の地方分権一括法など、その後も改正が重ねられました。とりわけ二〇〇四年には、総務大臣による市町村合併促進の基本方針の策定や勧告など、合併推進への都道府県知事の権限強化などが盛り込まれ、合併を押しつけるための集大成となったのであります。

 全国の市町村数は、一九九九年の三千二百三十二から、本年三月末までに千七百三十まで激減することとなりますが、日本列島の各地で住民サービスの低下、行政と住民相互の連帯の弱まり、周辺部の衰退など、深刻な弊害がまざまざと浮き彫りとなっています。一昨年九月、全国町村会はこれ以上の合併推進を行わないことを求めましたが、当然であります。

 そもそも、合併するかしないかという自治体にとって最も重要な問題は、住民の十分な参加と圧倒的な同意によって決せられるべきであることは明らかです。本法案が、合併押しつけのための仕組みを大きく削除することは当然であります。しかし、例えば有権者が五十分の一以上の署名をもって合併協議会設置を請求できる住民発議制度が合併推進側だけに与えられているなど、偏った内容を残しています。住民の参加、意思の反映が十分には保障されていないという問題点は基本的に変わっていません。

 反対理由の第二は、鳩山政権は、権限移譲を強引に進め、その受け皿となる基礎的自治体の行財政基盤の強化が必要としてこれを進めようとしていますが、これは前政権と同じように、市町村を合併しかないという状況に追い込んでいくことになるからです。

 昨年の総選挙での民主党政策集には、「権限の移譲に並行する形で、自治体の自主性や多様性を尊重しながら、基礎的自治体の規模や能力の拡大を目指す」と明記しています。基礎的自治体の行財政基盤の強化、これは前政権が平成の合併を進めてきた看板文句でした。幾ら強制でなく自主的にといっても、権限移譲の受け皿にふさわしい基礎的自治体にと行財政基盤の強化を迫るのでは、市町村は合併選択への不安から解き放たれることはないのであります。

 反対理由の第一として述べたこととあわせ、本法案は、行く行くは合併を選択せざるを得なくなる市町村に、その一歩を踏み出させるために使われるものとなるのであり、以上を述べて、反対討論とするものであります。

近藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより採決に入ります。

 市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、黄川田徹君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

黄川田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 今回の改正により、法の目的が、市町村の合併の推進から自主的な市町村の合併の円滑化に改められたことを踏まえ、関係制度の適正な運用に努めること。

 二 近年、市町村合併が政策的に推進されてきた経緯にかんがみ、合併市町村の行財政運営や住民参加、住民サービスの状況を引き続き調査・分析し、合併市町村の円滑な行政運営の確保に必要な措置を講ずること。

 三 近年の市町村合併の進展を踏まえ、市町村への権限移譲を積極的に推進するとともに、それを支えるに足る地方税財政制度の確立に向け、地方との誠実な協議を行うこと。

 四 広域的な行政の在り方や市町村合併により難い小規模市町村における事務執行の在り方などについて、引き続き検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原口総務大臣。

原口国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

    ―――――――――――――

近藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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