衆議院

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第10号 平成22年3月25日(木曜日)

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平成二十二年三月二十五日(木曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      阿知波吉信君    小川 淳也君

      小原  舞君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      中後  淳君    寺田  学君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      皆吉 稲生君    森山 浩行君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    遠藤 利明君

      佐藤  勉君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         小丸 成洋君

   参考人

   (日本放送協会会長)   福地 茂雄君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  今井 義典君

   参考人

   (日本放送協会技師長・専務理事)         永井 研二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 金田  新君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 日向 英実君

   参考人

   (日本放送協会理事)   溝口 明秀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     阿知波吉信君

  藤田 憲彦君     森山 浩行君

  佐藤  勉君     遠藤 利明君

  菅  義偉君     菅原 一秀君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     奥野総一郎君

  森山 浩行君     藤田 憲彦君

  遠藤 利明君     佐藤  勉君

  菅原 一秀君     菅  義偉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長山川鉄郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。原口総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口国務大臣 日本放送協会の平成二十二年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものでございます。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千七百八十六億円、事業支出が六千八百四十七億円となっており、事業収支における不足六十一億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が九百六十一億円、資本支出が九百億円となっております。この資本支出において、地上デジタル放送設備の整備など建設費七百九十億円を計上しております。

 次に、事業計画につきましては、多様で質の高いコンテンツの提供、受信料の公平負担の徹底、円滑な完全デジタル化に向けた取り組み等が盛り込まれております。

 資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものでございます。

 これに付する総務大臣の意見といたしましては、これらの収支予算等について国民の協会に対する意見、要望等を踏まえて着実に遂行すべきものと認めた上で、収支予算等の実施に当たって、国民目線の放送を充実させること、平成二十三年七月のデジタル放送への完全移行に向けた対応に万全を期すため、受信環境の整備に関して、公共放送としての役割を十二分に果たすとともに、デジタル放送日本方式の国際展開に積極的に取り組むこと、業務全般を国民の目線に立って見直し、合理化、効率化に努めること、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むことなどの点に特に配意すべきであるとしております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上でございます。

近藤委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長福地茂雄君。

福地参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成二十二年度は、三カ年経営計画の二年目として、新たなデジタル時代に向け、諸計画を達成するための取り組みを確実に進める重要な年度であると考えております。

 事業運営の基本となります放送においては、放送の自主自律を堅持し、正確で公平公正な放送に努め、信頼できる情報や多様で質の高いコンテンツを積極的に提供するとともに、多様化する視聴者の期待にこたえる情報番組や地域放送の充実等に力を注いでまいります。また、国際放送による日本とアジアの情報発信の強化にも努めてまいります。

 あわせて、組織の改革に全力を傾注し、視聴者からの信頼を高めるとともに、構造改革を推し進め、取材、制作の体制を強化し、効果的かつ効率的な業務運営を行ってまいります。

 協会の主たる財源であります受信料につきましては、受信料制度への理解を促進し、公平負担に向けた取り組みを強化するとともに、一層効率的な契約収納活動を推進します。

 円滑な完全デジタル化に向けて、デジタルテレビジョン放送の普及に努めるとともに、国や一般放送事業者と協力した受信環境の整備を進めてまいります。

 次に、建設計画におきましては、平成二十三年のデジタルテレビジョン放送への完全移行に向け、放送設備の整備などを計画的に実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千七百八十六億九千万円、国内放送費などの支出六千八百四十七億九千万円を計上しており、事業収支における不足六十一億円につきましては、繰越金の一部をもって充てることとしております。

 また、資本収支につきましては、支出において建設費など総額九百億円を計上し、収入には、それに必要な財源及び事業収支の不足を補てんするための財源として、前期繰越金、減価償却資金など総額九百六十一億円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の改革に向けたこれらの施策を一つ一つ着実に実行し、視聴者の期待にこたえていく所存でございます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

近藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井(崇)委員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうは、NHK予算質疑のトップバッターで立たせていただきました。福田筆頭理事さん、それから奥田理事さん初め、理事の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 実は、私はこのNHK予算審議に立たせていただくのが夢でございました。といいますのは、私は大学時代に四年間、受信料の集金、契約のアルバイトをさせていただいておりました。大学の授業が終わってから、夕方五時ぐらいから夜十時ぐらいまで、夜間を中心に回らせていただきまして四年間やりました。

 皆さん、本当にこの受信料契約は大変です。どなられるなんということは日常茶飯事でございまして、時には包丁を突きつけられたり、日本刀を振りかざされたりといった経験もございます。当時一緒に働いた下北沢や亀戸の営業所の皆さんもひょっとしたら見ていただいているかと思うと本当に感無量でございます。そして、全国五千八百人の営業スタッフの皆さんがいらっしゃるからこそ、NHKは成り立っているんだと思います。

 福地会長も、現場を大切にされる会長だとよく伺っております。きょうは、営業の責任者、大西理事さんも来ていらっしゃいますけれども、営業部門の方がいずれNHKの会長をされるような、そういう組織になっていただいたら本当にいいなというふうに思っております。

 そういったわけで質問に移らせていただきますけれども、私は受信料に対して人一倍思い入れがございます。ですから、きょうは時間が短いので、受信料に対する私の見解、思いを述べさせていただいて、それについて後ほど原口総務大臣と福地会長に、それぞれお答えをいただきたいと思っております。

 受信料で一番大切なのは公平性だと私は思います。払っている人と払っていない人がいるというのは、やはり正直者がばかを見る制度であってはいけないと思います。

 私が二十年前に仕事をした経験でありますけれども、やはり払っていない人は結構いる、そしてその理由の多くは、テレビを持っていない、あるいは留守番の者ですからわかりませんという答えが大変多かった。でも、テレビを持っていないといっても、こんな立派な一軒家に本当にテレビがないのかなと思ったことも何度もありますし、また、何度行っても留守番の者ですと、どう見ても一家のあるじと思われる方が留守番の者ですと言って払わない。やはり、こういう悪意の不払いの方を見逃していいのかというふうに思います。

 私は、負担の公平性という観点を考えれば、ある程度採算を度外視してでも、経費がかかっても、この負担の公平性という観点から、受信料契約率をもっともっと高めていくことが必要だと思います。そのためには、やはり受信料の支払いの義務化を法律上はっきりと明記するべきであるというふうに考えます。

 また、もちろん、法律で定めれば済むという問題ではありません。イギリスやフランスなどでは、イギリスは大変高い契約率でありますけれども、実はさまざまなサポートがあって、郵便局から転居情報をもらったり、あるいは電気屋さんからテレビを購入した人の情報を提供していただいたり、あるいは自治体からも住民登録情報などを提供してもらう。そういった国を挙げてのさまざまなサポート体制をとっていかなければならない。もちろんプライバシーの保護という観点はあると思いますけれども、しかし、それはイギリスだってフランスだって同じことでございますから、ぜひそういったことも乗り越えて、受信料の支払いをもっともっとしていただけるような体制を組むべきだというふうに考えております。

 ただ、そのときに、私は受信料の義務化と受信料の値下げがセットであるというふうには必ずしも考えておりません。先ほど申し上げましたとおり、受信料の義務化というのは、これはあくまでも負担の公平性を図るということでございますから、必ずしも値下げとセットでなければいけないということはないと思います。

 ただ、受信料契約率が上がれば増収になるわけですから、その増収分はどうするかといえば、私は番組の質をもっともっと向上することに使ってはいかがかというふうに思っています。

 昨今のNHKさんの番組を見ておりますと、やや視聴率を意識し過ぎて、質の低下ということはありませんけれども、視聴者が少なくても、ほんの少数の人しか見なくても、しかしその人にとっては本当に必要で、そして歴史に残るような、そういう番組をもっともっとつくっていただくのが、民放とNHKという二元体制、世界に誇る我が国の放送体制だと思いますが、その体制を維持するためにもNHKの公共放送としての責務であると思いますし、受信料が一割下がれば、月百四十円下がるわけですが、その百四十円を値下げしていただくよりも、番組の質の向上に充てていただく方が国民・視聴者は喜ぶと私は思います。

 以上、たくさんのことを一遍に申し上げてしまいましたけれども、総務大臣と福地会長からの御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

原口国務大臣 高井委員から、学生時代の、受信料をまさに自分の足で徴収された経験をもとに貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。

 委員がおっしゃるように、公平公正の観点から、NHKが一層の信頼回復と、現行制度のもとで最大限に受信料の公平負担に努めることが大切だと私は考えています。

 公共放送たるNHKが良質な放送番組を提供しているということは、とりもなおさず、日本の文化や社会に対してさまざまないい影響を与える。

 受信料の義務化と値下げについては、もともと公共放送として、なぜ受信料をみんなが公平に負担していただいているか、これは現在の契約義務との違いを含めて、国民・視聴者の間で十分な議論と合意が必要だと思います。私は、何でもかんでも法律で義務化する社会というよりか、みんながみずからの権利とその背景にある義務を果たして、そして公共を育てていく、契約の中で公共を育てていく。これはまさに教育にかかわることなので、ここはしっかりとした議論が必要だ。私は、義務化よりも、むしろそちらの方が先に来るんじゃないか、そのように考えています。

 受信料収入の一〇%還元については、今後もNHKの経営判断を注視してまいりたい、このように考えています。

福地参考人 まずは、NHKの収納活動に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 おっしゃるとおり、NHKの受信料制度を支えておりますのは公平負担の原則です。公平負担のために私たちは営業費も使っている、多くはそういった契約のマンパワーでございますけれども。それから、私どもの大きな方針の一つに、支払い率、収納額じゃなくて支払い率を三年後に七五%にしますというのも、公平負担の原則からでございます。

 そういった方針を達成するために、私どもは営業費を使って、主としてマンパワーの営業費を使って収納活動をしておりましたが、一方、近い将来の世帯数減少、そういったものを見込みますと、営業費の効率的な圧縮も必要でございます。そういったことから、マンパワーを収納活動から契約の取り次ぎ活動の方にパワーシフトいたしまして、これが大変成功いたしまして、契約の取り次ぎにつきましては今年度もほぼ目標に近いところを達成する見込みであります。

 それと同時に、今御指摘のございました支払い義務化の問題でございますが、現在、契約義務化ということで取り組んでおりますが、私どもといたしましては、まだ過去の最高の支払い率のところまで到達しておりません。それまでは現在のやり方でやはり努力をしながら、かつては七九%ぐらいまでを同じような契約義務化の取り組みの中で達成しておりますので、もっともっと、現在の営業努力を貫きながら収納活動を進めていきたいと思っております。

 それから、番組の質の問題でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、私は会長就任のときから、番組の質を落とすようなコストカットはいたしませんということを会長就任の当日に公約いたしております。それから、放送法七条で、「豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送」云々というふうに記述されております。

 私どもは、まずはやはりお客様にとってNHKらしい、NHKでしか、そういった報道をし、番組をつくっていく、放送していくということが私たちに課せられたミッションであるというふうに考えております。

 以上でございます。

高井(崇)委員 もう時間でございます。

 多岐にわたる質問に対して丁寧に御答弁いただき、ありがとうございました。本当に、受信料が支えている、そして現場感覚、視聴者の感覚というのをぜひ大切にして、これからも頑張っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、永江孝子君。

永江委員 民主党の永江孝子でございます。

 きょうは、NHKの福地会長初め専務理事や理事の皆様方をお迎えいたしまして、貴重な質問の機会をちょうだいいたしましたこと、まずは感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速でございますが、私の地元は愛媛県の松山市でございます。去年の暮れからNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の放送が始まりましたが、あの「坂の上の雲」のふるさとでございます。

 地元でもたくさんの方があのドラマをごらんになって、ああ、しっかりつくられた、いいドラマじゃと本当に喜んでおります。実際、ドラマをごらんになって観光に来られる方もふえておりまして、私も地元の松山市民の一人として本当にありがたく、うれしく思っております。

 地元では、あれだけよくつくられたドラマじゃったら、どのぐらいお金をかけてつくられとるんじゃろうという話がよく出るんです。ですから、きょうせっかくの機会をちょうだいいたしましたので、スペシャルドラマ、まだこれは放送が続いておりますので、数字を出すのが難しければ大河ドラマでも結構なんですけれども、一本当たりの制作費というのはお幾らぐらいなのか教えていただけますでしょうか。

福地参考人 一本当たりの原価につきましては、後ほど日向放送総局長からお答えをいたします。

 「坂の上の雲」は随分かかっているだろうなという御指摘をいただくんですが、私も実際に川口のロケ現場に行ってまいりました。草っ原の中に船を、船首と船尾を切った船をつくって、その一つの船の模型が六隻の船に変わる。煙突の向きを変えたり、マストのあれを変えたり、そういった工夫をしております。大海原で船が進んでおりますが、実際に見ますと、あれは川口の原っぱでございます。

 なぜ川口かといったら、宿泊出張、宿泊ロケを伴わないように、首都圏から通勤のできるところ、そういった細かな配慮もいたしておることを申し添えます。

日向参考人 お答え申し上げます。

 制作費につきましては、NHKは、放送法の三条で編集の自由を確保するということがございまして、個別の番組の制作費を申し上げると、いろいろな、編集過程、それから番組の中には守秘義務のかかった出演料とか放送権料などがございまして、今のところ、情報公開その他についても対象外というふうにさせていただいております。

 ただ、今お尋ねの「坂の上の雲」でございますけれども、おっしゃるように、今まだ制作中でございますので申し上げられませんけれども、大体、一本当たりの制作費で大河ドラマの数本分ぐらいということで、かなり高額な予算をかけているというふうに御理解いただければと思います。

永江委員 わかりました。(発言する者あり)いや、大変力を入れてつくられているということはよくわかりました。

 ただ、申し上げたいのは、情報公開というのはすごく大事なことだろうと私は思うんです。といいますのは、制作費というのは受信料で賄われております。ということは、受信料を払われている国民の皆さんが負担されているということであります。

 ですから、問題なのは、その制作費がたくさんかかっているか少ないかということではないと思うんです。それは、公共放送として、ここは民間放送にはできない、先ほど福地会長が、しかできないことをやろうとおっしゃいましたけれども、公共放送として、ここは責任を持ってしっかりとした番組をつくるんだ、お金をかけるんだ、そういう姿勢を持ってつくられるのであれば、それはそれですばらしいことだと思っております。

 ただ、判断されるのは国民の皆様だと思うんですね。ですから、番組をごらんになって、それだけお金をかけた価値があるのかどうかというのもしっかり判断をいただく。そのためにはやはりある程度の数字というものの情報公開が必要ではないか。それで、NHKとしては、ここはこれだけ経費削減の努力もしているけれども、ここにはこれだけかけるんだという丁寧な説明があって、受信料の徴収率のアップというものもそういう姿勢の上に成り立つものだと私は思うので、ぜひ、これは詳細について公表をされていかれた方がいいのではないかというふうにも思っております。

 一本当たりの目安というのは確かにジャンルごとに公表はされておりますけれども、こういう丁寧な説明と情報公開、そういうものが大事ではないかと思うんですが、前向きに取り組まれるお考えというのはいかがでしょうか。

日向参考人 今御指摘があったように、ジャンル別の番組の予算というのは、幾らから幾らぐらいの間でいろいろな番組を出していますという数字と、それから、それぞれのジャンル別にどのぐらいの予算をかけているかについては公表しております。

 例えば大河ドラマですと、トータルコストで大体六千万ぐらい、一本当たりかかっているということでございます。もちろん、ドラマといってもいろいろな種類のドラマがありますので、もっと安いものもありますし、「坂の上の雲」のような特集番組で、さらにお金をかける番組もあるということなんですけれども、全体としてジャンルごとにどのぐらいのお金をかけているかというのは公表しておりますし、例えばイギリスのBBCでも同じような方法で、大体ジャンルごとにどのぐらいの幅で予算を設定していて、それぞれが、ジャンルごとにどのぐらいの予算を全体の中でかけているかというのも公表しております。

 それから、その効果については、平成十七年から外部有識者による評価委員会というのを設置しておりまして、その中でNHKの放送サービスの価値を評価していただくというようなことをやっております。

 平成十九年に、最新の調査ですけれども、その結果によりますと、例えば受信料が一体どのぐらいだったら払えるか、どのぐらいの価値があるかというような質問に対して、地上波でいいますと月額千八百十四円、それから衛星で月額千二百六十九円というような数字が出ております。この結果を見ると、現行の受信料を上回っておりますので、そういう意味では、放送全体に対しては非常に高い評価をいただいているのかなというふうに思っております。

 いずれにしましても、情報公開というのは非常に大切なことだと思いますので、これから、さまざまな可能性とか、いろいろな問題をクリアしながら進めていきたいと思っておりますので、そのように御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。

永江委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと、お願いを申し上げます。

 時間が限られておりますので、次に移らせていただきますが、NHKには膨大な映像あるいは音源の素材というものが蓄積をされております。これは一般向けにも提供されておりますが、その使いやすさということをちょっとお尋ねしたいと思っております。

 例えば私が、環境活動をしているNPO法人を立ち上げて活動していて、自分のところの活動を紹介するDVDをつくりたい、そのために、自分では撮影は無理だから、地球規模の環境破壊がこんなに進んでいる、砂漠化ですとか、南極で氷が崩壊している様子とか、そういう映像にぜひNHKの素材を使いたいと思ったときに、それを三十秒使わせてもらう料金というのを、料金は公開されておりますので、私なりに計算してみました。

 そうしましたら、これは、検索料それから試写料、その上に使用料というのがかかってまいります。映像の価値に応じてランクが三つにABCと分けられておりますが、地球規模の大変撮りにくい映像ということになりますと、これはランクCということになりまして、十秒が基本料金六万円でございます。それらを足しますと、トータルで十四万四千円、三十秒で十四万四千円。これはかなりハードルが高いと思うんですね。

 そもそもこういう素材というのは、受信料で取材をした、あるいは制作をしたものでございますので、言ってみれば国民共有の財産だと思うんです。ですので、もっと広く一般の方も使いやすいように、手軽に二次利用ができるような料金設定ですとか体制などを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

溝口参考人 今御指摘いただいた例示でいいますと、我々の計算では、コンテンツ料がおよそ三十秒で四万九千円になるかと思います。それから、そのほかに、提供にかかわる実費を別途徴収させていただいておりますけれども、それがおよそ三万九千円ぐらいかかると思います。

 ただ、この四月からは、実は料金の改定をしようと思っているところです。四月一日から実施いたします。特に教育機関とか、NPOの皆さんとか、あとは自治体、そういった公的な機関が利用する場合には思い切って値段を下げるということにしたいと思っていますので、委員御指摘の例でいうと、コンテンツの料金については、四万九千円、今現行でいただいておりますけれども、我々の試算ではそれが一万六千八百円になるということになっております。それからあと提供実費の方も、三万九千円ほど今ちょうだいしておりますけれども、これについても一万円は下げるということを考えております。

 それからあと、使い勝手の面ですけれども、一々足を運んでいただくとか非常に御不便もかけていますので、この一月から、実はインターネットを利用して、ウエブでもって試写ができるということで、もちろん地方のNPOの皆さん、それから地方民放の皆さん、使い勝手は格段によくなるものと思っております。

永江委員 ありがとうございます。ぜひ、そういった取り組みが、映像文化ですとかいろいろな文化活動を守り立てていく原動力にもなろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、小原舞君。

小原委員 民主党の小原舞です。

 本日は質問の機会を与えていただきまして、心から感謝申し上げます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、来る来年七月二十四日から始まります、アナログ停止による地上デジタル放送への完全移行に向けた取り組みについて、NHKと原口大臣に、そのお取り組みについて御質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 NHKを初めとする放送事業者や国、地方公共団体の御努力によって、来年七月にアナログ放送が見られなくなることの認知度というものは、昨年九月のデータによると八九・六%、半年たっておりますので、かなり認知度は高まっていると思っております。

 私も、地元の京都北部で週一回集会を開くんですけれども、そのときに、地デジへの移行を御存じの方はいらっしゃいますかと、そういう逆質問をさせていただくんですけれども、そんなことは当たり前、知っているよという御返答が返ってまいりますので、かなり認知度というのは高まっているのではないかと思っております。

 しかし、今までのアナログ放送では受信できていましたけれども、デジタル放送が受信できないという新たな難視聴地域の問題。今、総務省によると、全国で約三十五万世帯発生すると推定されていますけれども、NHKではどのような対策を行っておられるのかお伺いいたします。

福地参考人 ことし一月現在の総務省の調査によりますと、新たな難視地区は十三万世帯というふうに言われておりますが、この十三万世帯の対策につきましては、NHK独自でも、あるいは民放、地方自治体と協力をしながら、今対策を進めておるところです。しかし、中継局の開設に伴って、その十三万世帯をさらに上回る新たな難視がふえてくることも、これは初めてのことでございますので、考えられます。

 NHKといたしましては、その対策として、ケーブルテレビへの加入でありますとか、あるいは中継局の設置でありますとか、あるいは高性能アンテナの設置、そういったものに対しての支援を一部お手伝いしようと、そういった予算措置も新たにいたしました。そういった取り組みでございます。

小原委員 ありがとうございます。

 おっしゃられるように、一度とめてみなければ、どういう結果が出てくるかわからないところでございますので、今後とも慎重な御対応をよろしくお願いいたします。

 実際に新たな難視聴地域に自分の家が当たるのか、そして、実際に地上テレビ放送が見られるのか、そういったことをどこに相談すればいいのか、まだまだ周知し切れていない部分があると思っております。地デジ化の認知は高まっていますけれども、どうしていけばいいのかという部分、そして、チューナーをつけたら今までのアナログテレビでも使い続けられるとか、そういった細やかな対応でこたえられる必要があると思っております。

 そこで、NHKでは来週から始まる、上下が黒い幕で、今使っているテレビがアナログですよというふうな形でお伝えする、いわゆるアナログ放送のレターボックス化を行うということですけれども、その際に、黒い部分に常時、相談先である、例えば総務省が取り組んでおられる地デジコールセンター、〇五七〇とか、デジサポの連絡先を明記してみてはいかがでしょうか。

 このレターボックス化の実施方法を、目的とともにお伺いいたします。また、テロップの内容などをどのように検討されているのかもお伺いいたします。

日向参考人 今お話しいただいたように、NHKのテレビ放送、アナログ放送に関して、とりあえず三月二十九日からは、ニュースそれから一部の生放送番組を除いて、いわゆる横長のレターボックス化にいたします。衛星については、ほとんどを新年度からレターボックス化するというふうな計画を立てております。

 そして、御指摘のように、レターボックス化をいたしますと上下に黒い部分ができますので、そこを使って、デジサポとか、どのようにしたらデジタル化が可能なのか、そういう問い合わせの番号その他、周知に資するような情報をそこに出していくという計画でございます。

 四月からいきなり全部、常時というのは、ちょっとなかなか技術的な問題がありまして、難しい問題もありますが、少しずつそれをふやしていくという計画でおります。

小原委員 ありがとうございます。

 相談先をしっかりと周知していくことで視聴者の皆様の不安や疑問が解消できるとともに、レターボックス化によって、NHKを初めとする放送事業者の方々に対する問い合わせが殺到することも予想されます。NHKで先行してレターボックス化をされるということですけれども、急に今までと変わったということでNHKに問い合わせが殺到すると、新たな人員配置とかそういった負担も考えられますので、それを軽減できれば幸いだと思いますので、ぜひ相談先の明記をお願いしたいと思っております。

 今回の予算でも、追加経費二百五十二億円を含む七百十五億円が地デジ対策費として計上されていて、公共放送として応分の負担をしていると考えます。しかし、NHKを初めとする放送事業者による周知活動には一定の限界があると思います。国とNHK、民放の役割分担を明確にして、お互いが押しつけ合いをして周知活動がなおざりにならないように、うまく連携していただけたらと要望いたします。

 周知の件ですけれども、実際、総務省では、戸別訪問、昨年の目標九十万件を達成されたということですけれども、説明会などの直接面談形式の周知活動を行い、相談を受けているデジサポの活動と課題について総務省に伺います。簡潔によろしくお願いいたします。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 デジサポでは、特に、地デジに関する情報が届きにくいと考えられる高齢者等を対象といたしまして、今年度、きめ細かな説明会、相談会や戸別訪問を実施してまいりました。例えば、説明会につきましては二月末で約七万七千回、戸別訪問につきましては二月末の時点では約八十万回の実施をしております。

 今後とも、こうした情報が届きにくい方々に対しては丁寧な説明を行い、具体的な対応を行っていただくために、きめ細かな説明を続けてまいりたいと考えております。

小原委員 ありがとうございます。

 これから来年の七月に向けて、私が重視して言わせていただきたいのは、ひとり暮らしの方々、高齢者の方々は本当にテレビを楽しみにしておられます。そういった方々に、防災などの観点からも周知活動が重要になってくると思います。限られた時間の中で効率よく対応していく必要が出てくると思っております。

 すべての方々にしっかりと周知し、必要な準備をしていくためには、やはり住民の皆様に一番近い地方公共団体の力が必要となってくると思います。自治会、民生委員の方々の協力というものが欠かせないと思っておりますけれども、現状は、地域によって積極的なところと消極的なところというふうに実態が分かれていると思っております。

 個人情報保護法の観点からも、いろいろと難しい点もあると思います。また、地域主権の観点からも、国から情報を教えてくださいというのもいろいろと議論があると思いますけれども、地方公共団体からの十分な協力を得るために必要な措置を講じるべきだと思います。大臣のお考えをお伺いいたします。

原口国務大臣 小原委員にお答えいたします。

 地上デジタル放送完全移行まで、もう残り四百八十六日です。

 地方公共団体の御協力、デジサポを初め多くの人たちから大変な御協力をいただいていますけれども、それにしてもまだ周知徹底できないところがございます。広報誌による周知徹底、あるいは自治会や回覧板、掲示板への掲載、デジサポ説明会への御協力、あるいは民生委員、いろいろなものがありますけれども、お隣に住んでいらっしゃる方、あるいは子供さんが、お父さん、お母さん大丈夫かと。

 これはまだ、ビル陰の問題も集合受信施設の問題も、やはり電波だから見えなくて、デジタル化しなきゃいけないというのはわかっていても、実際にどうすればいいかわからないんですね。近い人たちから働きかけてもらう、あるいはそういうデジタルデバイドがないように、しっかりと総務省としても支援を行っていきたい、そう考えています。

小原委員 力強い御答弁、まことにありがとうございました。

 時間も参りましたので、最後に、公共放送として、NHKには全国あまねくの精神でさらなる御協力を、そして国にはしっかりと対応していただきたいとお願いし、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 放送法を見ますと、NHKの目的としては、「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い」と規定されております。

 私は、この公共放送の任務を果たすために、受信料制度というのはその根幹だと思っております。NHKの収入の大宗を占めます受信料は、強制的に徴収される税金でもなく、サービスの対価でもありません。だからこそ、公共放送の自主性、中立性が保たれるということだと思います。その一方で、今申し上げたような公共放送としての目的を達成できるような水準まできちんと受信料を払っていただこうとしますと、NHKの番組、業務全般について国民から御理解をいただく、信頼を得ることが不可欠になると思います。そして、その御理解、信頼を得るために、まさに国民の目線に立つ経営を促すことになるのではないかというふうに感じております。

 そこで、まず、受信料収入について伺います。

 調べてみますと、かつては、受信料の契約率は大体八割ぐらい、支払い率も七九%ぐらいありました。それが、平成十三年には、契約率は余り落ちなくて七七%、支払い率が七〇%を切るところまで落ち込んだわけです。こうした受信料収入の落ち込みは、一連の不祥事が続いてNHKへの信頼が失われた結果ではないかと言えるのではないでしょうか。

 そこで伺いますが、この平成二十二年度予算におきましては、過去最高水準の六千五百五十億円の受信料収入を見込んでおられるようであります。この支払いが増加している要因をどのようにお考えでしょうか。NHKへの信頼が完全に回復した結果とお考えでしょうか、伺いたいと思います。

福地参考人 御指摘のとおり、平成十五年度には六千四百七十八億円でございました。十六年に不祥事が発覚をいたしまして、十七年度には六千二十四億円と大幅に減少しました。自来、毎年毎年増加をしてきまして、ことしも、目標こそは達成できませんが、この六年間で最高の受信料額となっております。

 来年、過去最高になるわけでございますが、私は、NHKに対する信頼の裏返しが受信料にあらわれているんじゃないかと。ということは、不祥事が起きますと受信料ががたっと落ちてしまいます。そういったことから、信頼が回復してきたのではないかというふうに思っております。

 実は、この三月に、NHKの放送文化研究所、これはNHKの世論調査を担当しているところですが、それがNHKに対するいろいろな調査をいたしました。その中で私どもが一番関心を持っておりました「信頼」という項目が、この三年間、確実に上がってきました。特に、昨年、二〇〇九年現在でございますが、二〇〇七年平均が六一、二〇〇八年平均が六二、二〇〇九年平均が六五というふうに上がってまいりまして、私どもは大変ありがたいことだと思っておりまして、お客様のこういった信頼を裏切らないような放送を続けていくということを心してまいりたいと思います。

 以上でございます。

奥野委員 今お話がありましたように、信頼が回復してきている。その一方で、経営計画の見込みよりは今年度の実績はどうも下回りそうですし、来年度予算を見ましても、予算ベースでは経営計画を下回る予算になっているということでありますけれども、受信料収入予算が経営計画を下回っている要因についてお伺いしたいと思います。

福地参考人 この計画を立てますときに、一番想定できなかったのが支払い免除世帯でございます、生活保護世帯の増加件数。

 さっき申し上げましたように、収納額自体は目標の六千四百九十億円には到達しませんが、今、六千四百四十五億円ぐらいの見込みでおります。しかし、その減収の大きな要因になっておりますのは生活保護世帯の増加でございまして、例えば、平成十九年度では毎月平均三千件ございました、平成二十年度は毎月平均六千件になります、二十一年度は何と毎月平均一万三千件でございまして、これは私どもの予想の枠を大きく超えておりまして、こういったことが大きな原因となっております。

 以上でございます。

奥野委員 不可抗力のような面もあるというようなお話でございますけれども、そこで問題になってきますのが例の一〇%の還元の話でありまして、同じく経営計画を見ますと、平成二十四年度から受信料収入の一〇%を還元します、こうはっきりと書かれているわけであります。ざくっと言って、経営計画の見通しでは二十四年度は大体七千億ぐらいの受信料収入を見込んでおられるようなんですが、その一割ということになると、大体七百億円ですね。

 昨年のこの委員会におきましては、還元については値下げが主であると考えているというような答弁もあったやに記憶しておりますけれども、そうすると、仮に七百億円値下げするとなると、大体六千三百億円ですね。ことしの予算が大体六千九百億円ということでして、デジタル化の経費が施設設備費とかで大体七百億円ぐらいですか、それを引くと六千二百億円ということで、少しでも受信料収入の見通しを下回れば、この一〇%の還元というのはなかなか難しいような気がいたします。また、それありきで合理化を進めていくと、公共放送としての使命がなかなか果たせないということで、余り強引な効率化も私はよろしくないと思うんです。

 そこで伺いたいんですが、一〇%の還元というのは受信料の値下げを意味するのかどうか、それから、経営計画に言っているとおり、還元という言葉を使っておりますけれども、平成二十四年度から実際に還元をスタートできるのか、この二点について伺いたいと思います。

福地参考人 現在、大変厳しい状況にございますが、まだ三カ年計画の一年目が終わろうとしている段階でございます。私どもといたしましては、現段階でこの三カ年計画自体を修正するつもりはございません。ただ、経営委員会の方で四年目に一〇%還元という動議を可決しております、それに向けて私どもは努力をしてまいります。

 ただ、本年度は、予算は収入については見込みを下回りましたけれども、入るをはかって出るを制するではありませんが、支出の抑制に努めまして、本来は赤字予算でございましたが、黒字に転換する見込みでございます。明年度の計画で、最後の繰越金が二年でちょうど計画どおりになる予定でございます。

 いずれにいたしましても、一〇%の還元につきましては、現在の段階で計画を修正する段階ではないというふうに考えております。

 以上でございます。

奥野委員 厳しい状況ながらも実現に向けてということでありまして、還元が値下げかどうかということについては、はっきりと御答弁はなかったんですが。

 あわせて、今受信料の見直しを検討されていると思うんですけれども、大臣意見でも、「受信料体系の在り方についての検討に当たっては、広く国民の意見を聞きながら進めること。」とあります。この際、受信料体系についてもあわせて見直す予定があるのでしょうか。

福地参考人 四年目の受信料の値下げと同様に、同時に受信料体系がどうなったらいいかということにつきましては、今視聴者のメディアへの対応の仕方が大幅に変化しつつある、そういったものをきっちりと見きわめて受信料体系に織り込んでいこうと。私は、フルデジタル化後の大きな視聴者の動きがあるかどうかということを見きわめてこの問題に取り組んでいく方が、より視聴者の現状に近いんじゃないかというふうに考えております。そういったことで今取り組んでおります。

 以上でございます。

奥野委員 時間が参りました。

 最後に、大臣に、公共放送のあり方、受信料制度のあり方についてお考えを伺いたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 国民目線に立って、経営改革においても十分な情報公開と国民の意見の反映に努めることで、国民の知る権利にこたえ、先ほどお話しになりましたけれども、まさに、受信料というのはサービスの対価じゃないんですよ、みんなが公共放送というものを支えていくための、その参加のためのお金なんですね、そういう観点に立って、健全な民主主義の発達のために言論の自由と国民の権利保障に、積極的にNHKが果たすように、それを期待するものでございます。

 一方で、NHKは、これは知的財産の山です、本当にすばらしい作品がたくさんあります。私はこの間、南総里見八犬伝を、これは一九八〇年代につくられたものです、坂本九さんがナレーションをされていますけれども、今の僕らの話し方と全然違いますよ。相手を包み込むようなゆっくりとしたピッチ。そして、温かい。まあ、坂本九さんのお人柄によるものもあるんですけれども、そういう日本古来のものをしっかりと伝えてきたNHKの原点、これを大事にしてほしい。

 そして、受信料についてもしっかりと国民に還元をしてほしい、こう考えておるところでございます。

奥野委員 以上で終わります。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 早速、質問に入ります。地デジについて数点聞いておきたいと思います。

 地デジ完全移行まであと一年余りになりました。そこで、まず、地デジ移行問題についてお聞きしたいと思います。

 来年七月段階で、依然としてデジタル難視世帯が残ることが予想されております。そうした世帯に対して、衛星セーフティーネットによって暫定的な対策を打つことになっていると聞いておりますが、最終的にどのくらいの世帯がセーフティーネットの対象となるのか、そのうち首都圏以外の道府県においてセーフティーネット対象世帯がどの程度あるのか、まず聞いておきたい。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 地デジ難視対策衛星放送、衛星セーフティーネットでございますが、これは、アナログ停波までに地上デジタル放送を届けられない地区の方々を対象に実施するものでございまして、この一月に総務省が公表した対象世帯は、関東地域の一都二県の約五千四百世帯でございましたが、今後、順次追加していく予定でございます。また、NHKのアナログ放送が難視聴の地区も本放送の対象としております。

 最終的な世帯規模でございますけれども、私ども、デジタル放送を始めましたときに、難視聴の規模をシミュレーションいたしまして、全国で最大三十五万世帯発生するものと予測をいたしました。この予測に沿って、現在、受信状況を調査しておりまして、絞り込みを行っております。したがいまして、現段階では、この三十五万世帯よりも全体は少なくなるというふうに思っております。

 また、地域には、これは全国にまたがるものでございまして、具体的には、富山県以外の四十六都道府県につきましてはすべて該当する可能性がございます。現在まで特定されている状況というのは、これは十三万世帯ございますけれども、先ほど御説明をしました四十六都道府県すべてにおきまして発生するものというふうに考えております。

重野委員 衛星セーフティーネットでは東京の番組が放送されることになると聞いております。

 そこで総務省にお尋ねしますが、選挙における政見放送あるいは経歴放送も当然東京のものが流されることになるんだろうと思うんですね。また、台風などの災害情報も衛星セーフティーネットでは東京からのものになる。こうなるといろいろな問題が惹起されるのではないかと思うんですが、そこら辺の問題意識とそれに対する対策はどういうふうに考えておるか。

原口国務大臣 重野委員にお答えいたします。

 地デジの難視聴対策衛星放送、要するに、地上デジタルでは届かないから、上から、衛星から、宇宙から一遍に地デジの波を通そうということで、これはどうしてもしようがないから講ずる措置でございまして、総務省としては、今おっしゃるように、地域の放送が、災害情報はラジオで入るからいいじゃないかなんて、こんな話じゃございません、まさに、地域の放送が受信できるように早期に恒久的な難視対策が講じられるよう、放送事業者等の関係者とともに取り組んでいきたい。まさに、放送というのは、それぞれの地域の文化であり、あるいは伝統であり、そして地域をはぐくむ大きなツールでもございます。また、今おっしゃるように、選挙のときの政見放送は、東京のを見ていても地方で投票できませんから、総務省として万全の対策をしてまいりたい、このように考えております。

重野委員 その点については、別途、そういう特殊な問題については技術的に対策を講ずることができるわけですね。

山川政府参考人 このセーフティーネットは、利用する周波数が特定されておりますので、東京のチャンネル七チャンネルしか放送ができません。したがいまして、今大臣が申し上げましたように、できるだけ早く地域の番組をお届けするように努力をしてまいりますけれども、その間につきましては、東京のキー局で行います災害放送でございますとか、あるいは地域の、ローカルのラジオ局の放送、こういったものを御活用いただくことで御理解いただきたいと思っております。

重野委員 今の答弁で、はいそうですかということにはなりませんね。これは、本当に対策をいろいろな角度から研究して、そごのないようにやってもらわないと、困った問題が起きると思いますよ。その点はひとつしっかり受けとめていただきたいと思います。

 同時に、衛星セーフティーネットを利用する世帯が払う受信料はどうなるんですか。自動的に衛星放送そのものも受信できるようになると思うんですね。その場合に、受信料という問題が一つ出てきやしませんか。

福地参考人 衛星セーフティーネットを受信するためには、当然でございますが、BSのデジタル受信機が必要なわけでございます。そうなると、本来でありますと、衛星放送の受信料をいただくということになりますけれども、衛星セーフティーネットを御利用いただく理由が、これまでアナログ放送が視聴できたにもかかわらず、二〇一一年のアナログ放送終了までに地上系のインフラによってデジタル放送が受信できない地域の方々に暫定的に地上系の番組をごらんいただく趣旨のものでございます。

 また、衛星セーフティーネットを御利用いただく放送は、もともとは地上デジタル放送の内容を再送信したものであります。そういったことから、受信規約上は地上系のテレビジョン放送ということも考えられます。

 そうした事情にかんがみまして、地上デジタル放送への円滑な移行に資するために、衛星セーフティーネットを利用した場合の契約種別につきましては、その期間中の暫定措置として地上契約を適用することといたしました。

 以上でございます。

重野委員 わかりました。

 次に、口座引き落としへの移行状態がどうなっているかということを聞いておきたいと思うんです。

 今回の予算では、前年度予算から六十億円、決算見込みからは百億を上回る受信料収入が計上されています。一昨年秋に集金業務の廃止が行われた中で、口座引き落としなどにどの程度移行できたのかということを聞いておきたいのと、また、NHKとして現在の不況による受信料収入への影響をどのようにとらえているのか、聞いておきたい。

大西参考人 お答え申し上げます。

 口座振替、クレジットへの移行状況の御質問でございましたが、訪問集金の廃止をした時点、十九年末の時点で二百二十万件あった訪問集金の対象者の中から約半数程度を二十年度末で口座、クレジットに移行させていただいております。

 それから、不況の影響をどのように見込んでいるのかということでありますが、先ほど会長の方からも答弁させていただきましたが、当初、四万件が全額免除になるという計画でありましたけれども、こういう景気の状況の中で約二十万件に拡大するというふうに今考えております。二十二年度については十五万件を想定しておりますが、訪問集金を廃止した、収納システムを変えました、そのパワーシフトによって契約収納業務をさらに強化して収納額の確保に邁進したいというふうに考えております。

 以上でございます。

重野委員 後を予定しておったんですが、もう時間も来ましたので、以上で終わります。

近藤委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田真敏でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、福地会長にお伺いをさせていただきます。

 御就任以来、丸二年が過ぎまして、この間、お聞きしますと、本当に精力的に全国の放送局を回られたり、国民のNHKに対する信頼も随分回復してきたのではないか、あるいは経営も改善に向けて取り組んでこられたということで、その御活動に対して心から敬意を表する次第でございます。

 そういう中で、大変驚きましたけれども、会長の任期は来年一月までということでありますけれども、一年近く残したこの時期に、去就について言及をされたということでございますけれども、一つは事実かどうか、あるいはまた、その御真意についてお聞かせいただきたいと思います。

福地参考人 私は、かねがね、経営はゴーイングコンサーンでありますし、それから改革というのは、ここまで行ったら終わりではない、改革にはゴールがないと思っております。

 改革にはゴールはないんですが、会長には三年という任期がございます。その中で、私は、かつて、もう年ですから二期も三期もできませんとある講演で言ってしまったことがございましたけれども、トップが進退をしゃべりますと、社内外、とりわけ社内に極めて大きな動揺が走ります。私は、それ以降は一度も自分の進退について口外したことはございません。

 以上でございます。

石田(真)委員 ということは、もちろんこの任期中はお続けになられるし、それ以降についても十分にその意欲はあるというふうに受け取らせていただいてよろしゅうございますか。

福地参考人 そのお答えは御勘弁をお願いしたいと思います。

 いずれにしても、私は、この会長就任三年間に与えられた、会長として、私の区間ランナーとしてのミッションはきっちりと果たしたい、そういうふうに思っております。

 以上でございます。

石田(真)委員 私がそう申し上げるのも、ことしは三カ年計画のいよいよ二年目ということになりますから、三年目はどうするのかという話になってくるわけなんです。そういう意味で、今まで以上にしっかり頑張っていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、先ほども御質問がございましたけれども、この三カ年計画のいよいよ二年目ということになりますけれども、一年間の計画の進捗状況あるいは達成見込み、本当は一〇%還元もお聞きしたかったんですが、先ほど御質問がございましたのでそれはいいといたしまして、進捗状況あるいは達成見込みについて、この一年を振り返ってお答えをいただけたらと思います。

福地参考人 三カ年計画の初年度の方針といたしましては、放送について接触者率を三年後に八〇%にする、それから、支払い率を三年後七五%にするということが大きな方針でございました。

 接触者率というのは、タイムラグを持って発表されますので、現時点の接触者率が果たして目的値に達しているかどうかということは不明でございますけれども、先ほども御質問がございましたので申し上げましたが、放送文化研究所の調査の中で、私どもが一番問題視しておりました「信頼」と「親しみ」、NHKの番組に親しみを持っているかというふうなところが三年連続で上がっております。そういった面から見ますと、放送につきましては定性的には目標を達成しつつある。受信料支払い率七五%の問題につきましては、初年度の目標はほぼ達成できるというふうな見通しに立っております。

 以上でございます。

石田(真)委員 計画どおりの達成を心からお願いしたいと思います。

 さて、今国会に放送法の一部改正が提出されておるわけですけれども、これは昭和三十四年の法改正で、それまでは会長が経営委員会のメンバーに入っておられたんですけれども、権限が大きくなるということで法改正されて、今はそういうことになっていない。これをまたもとへ戻すというような感じになるわけで、今後国会で審議をするわけですけれども、せっかくですので、会長にそのことについて率直な御意見をお聞かせいただけたらと思います。

福地参考人 今度、NHKの会長が経営委員会に加わるということが決まったわけでございます。私といたしましては、一歩前進だというふうに考えております。

 と申しますのも、NHKの経営というものが、アメリカ的な経営と執行の完全な分離ということが果たしていいのかどうかということにつきましては疑問に思っておりまして、そういった面で、執行の一員が経営に加わるということは私は結構なことだというふうに思っております。

 今御指摘の、それでは会長の権限が強過ぎるんじゃないかという御指摘でございますが、これにつきましては、昭和三十五年でございましたか、そのとき以来、経営委員会の権限が強化されておりますので、会長が暴走するということはないんじゃなかろうかというふうに判断しております。

 以上でございます。

石田(真)委員 それでは次に、年金の問題についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 先般来、日本航空の問題で、再生に当たって企業年金の問題が大変大きな問題であったというのが記憶に新しいところなんですが、高齢化がこのように進んでまいりまして、企業年金というのはどの企業にとっても大変なことだと思うんです。

 そんな中で、一部マスコミでもNHKの年金の問題が報じられているわけでありまして、これについてやはり十分時間をかけて対応しておくということが大事なのではないかな、そのように思っておりますので、現在のNHKの企業年金についてどのような状況になっているか、お聞かせをいただきたいと思います。

金田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、御指摘のように、事業主と職員が折半で掛金を拠出します確定給付型の年金制度を設けております。この確定給付型の年金制度のもとで、退職給付債務と既に積み立てている引当金及び年金資産との差額、これを積み立て不足と申しますけれども、他の企業年金と同様に、十九年度から、あるいは二十年度にかけまして、サブプライムローンの問題、あるいはリーマン・ショックということで市場環境は大変に悪化したという事情にございまして、運用資産が大変減少しました。その結果、積み立て不足は二十年度末の時点で三千三百億となっております。なお、二十一年度につきましては運用環境の好転が見込まれておりまして、年度末の積み立て不足は大幅に減少するものと見込んでおります。

 以上でございます。

石田(真)委員 大変な額の積み立て不足ということで、これはいろいろ対応を考えていかないといけないということになると思うんです。特にこれは特殊法人ですから、もし年金運用というのが非常に難しくなってくる、苦しくなってくる、では受信料からと、そういうわけにはなかなかいかないですよ。国民の理解はそう簡単には得られない。これは日本航空の問題のときも同じですけれども、私はそのように思っております。

 そういう一方で、一般的に、マスコミの給与とかいろいろな支給、待遇が一般に比べると非常に水準が高いのではないか、そういうことを言われているわけですから、今現在OBの方もおられる、現役の方もおられるわけですけれども、そういう方を含めて十分話し合いをしながら、将来にわたって持続可能な年金制度というものを今からでもきちっと対応していかないといけないのではないか。そのときになって、運営が難しいんですと、それは国民的な理解はなかなか得られないのではないかというふうに私は思っております。そういう対応を今現在からやっておられるのかどうか、また、これから日本航空の状況を見てそういう対応をされる御予定があるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

金田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、二十二年度、四月一日以降でございますが、年金制度の大幅な改革を決めております。現行の確定給付型の年金制度の四割につきまして、いわゆる確定拠出型年金に変えていくということでございます。これによりまして、協会としまして、資産運用のリスクを大幅に減らすとともに、年金経費の削減を図ります。現在ございます積み立て不足、先ほど申し上げました三千三百億円でございますが、大幅に圧縮していく計画でございます。すべては、先生御指摘の持続可能な年金制度ということでございまして、そのための改革だというふうに理解しております。

 今後も経済情勢等を注視しつつ、定期的な制度の見直し、点検を図りまして、御指摘のような見直しを進めていきたいというふうに思っております。よろしく御指導いただきますようお願い申し上げます。

石田(真)委員 不足額が大きいわけですから、これは議論すればもっといろいろ議論できると思いますが、時間もございませんから、十分に先を見込んで、持続可能なということで対応していただきたいというふうに思います。不都合が生じたから国民に負担を求めるということは絶対にできないということで、職員の皆さんも役員の皆さんも一致して、そういう認識のもとでこういう問題に取り組んでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 次の問題なんですが、報道の公平、公正、中立ということについてでございます。

 福地会長は雑誌のインタビューで、一年ぐらい前の雑誌でしたけれども見せていただきました、その中でこのように言われておられるんですね。「視聴者にとって何がいちばんいいか、この報道が視聴者にどんな意味があるかを考えて行動しなさいと。なすべきことをきっちりとやっていたら、それが最終的には視聴者の共感を得て数字に結び付く」このように述べておられるわけです。私もそのとおりだと思います。そして、そのことが恐らくNHKの番組に対する評価が高まってきているんだろうと思うんですね。

 その上で、さらにこのようにも述べておられるんです。公共放送としては編集権の自律、ジャーナリストの公平、公正、中立といった義務、そういうものを負っているんだ、そういうふうなことも言われておられます。このとおりだと思うんです。

 ただ、放送番組につきましては、御承知のように、今現在訴訟になっているとか物議を醸しているものもあるのは事実なんですね。そういう中で、今御紹介をさせていただいた会長のインタビュー、公共放送は公平、公正、中立、その義務を果たしていかなければいけない、そういうことについてどのような手だてを講じておられるのかということ、それから、会長としてこの二年の間にどういうふうに指導してこられたか、そのあたりについてお聞かせをいただきたいと思います。

福地参考人 まず、会長としての行動から、考え方から申し上げます。

 間もなく、四月一日になりますと、本年度の新入社員が入ってまいります。昨年も一昨年もそうでございますが、まずは新入社員に、約三百名でございますが、入局式に際しまして、それから、新入社員の入局式はもちろんですが、報道関係の会議、各放送局を訪問した折に職員との対話の中でも私が必ず申しますのは、公共放送に携わる者として、ジャーナリストだから何を言ってもいいというわけじゃないんだ、編集権の自律という権利は不偏不党という義務によって担保されなければならない、それを銘記すべきだということは私は口を酸っぱくして申しております。

 そういったことと同時に、私といたしましては、すべての番組を検証するわけにはいきませんが、どういうふうな仕組みでできているかということにつきまして、解説委員会議にも先般出席しまして、もう何回か出席しております、それから大型番組、例えば「NHKスペシャル」の企画会議、編集会議、そういったものに顔を出しまして、そういった仕組みが守られているかどうかという検証をしているつもり、これはトップとしての検証をしているつもりであります。

 それから、仕組みといたしましては、放送法の規定を踏まえまして国内番組基準というものがございます。この中で「全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保」することを明記しております。その上で、「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」といったことも定められております。一つの番組だけでなく、NHKの放送全体として公平性を確保することに努めております。それから、NHKの新放送ガイドラインというのがございまして、ここでもさまざまな角度から論点を明らかにしまして、いろいろな主張を紹介することによって視聴者の判断の材料を提供する姿勢を基本に据えております。こういった方針をこれからも堅持してまいりたいと思います。

 以上でございます。

石田(真)委員 先ほど御紹介いたしました雑誌の同じ記事の中で、こういうことも書かれていたんですね。福地会長になられて、現場でいろいろ思い切ってやれ、こういうふうな雰囲気になってきた、そうすると、現場の暴走を懸念する声もということになるんですね。一方ではそういうことがあるんです。

 それからもう一方は、先ほどお話ありましたけれども、「坂の上の雲」ですが、これは真偽はわかりませんけれども、一部の人が、一部の実力者がこれをぜひやれと言ったのでやるようになったということも、まことしやかにうわさされているわけですね。

 こういうことになりますと、本当にちゃんとした基準で番組が決定されていっているのかとか、放送内容が決定されていっているのかという疑問がやはり出てくる、国民の皆さんの中にもそういう疑問が出てくるわけなんですね。それで、先ほど言いましたけれども、場合によったら訴訟にもなるような、そういう問題にもつながっているのではないかというふうに思います。

 それで、今、基準あるいはガイドラインについての御答弁をいろいろいただきましたけれども、私は、どういうメンバーでどういう基準でどういうふうにして決めるんだ、そういうことについての決定のプロセスを、今の時代ですからやはり透明化していくことが必要なのではないか、特に公共放送、先ほど言われた不偏不党、そういう意味からいっても、プロセスを透明化していくことが大事ではないかなと思うんですが、会長の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

福地参考人 今申し上げましたように、いろいろな、新放送ガイドラインとか、そういったガイドラインがたくさんございます。そういった中で不偏不党の精神というのは貫かれているんじゃないかというふうに私は思っております。

 それから、いろいろな放送上のモニターの声を聞きましても、NHKの報道、それから番組に対しまして、何かを教えてくれる、何かを考えさせてくれる、制作者の意図がはっきりしている、それから正確で迅速だ、そういうふうな評価をいただいておりますので、私はそういった心が貫かれているんじゃないかというふうに拝察をいたしております。

 以上でございます。

石田(真)委員 そういう一面は当然ありますけれども、先ほど言いましたように、訴訟にもなるというような一面もある、あるいは、ほかのこともうわさされることもあるわけですから、私は今この場で会長にはもうこれ以上申し上げませんけれども、やはり、決定プロセスのより透明化を図る、そういうことも大事だと思いますので、これは答弁は求めませんけれども、強く強く要望をしておきたいというふうに思います。

 それで、もう時間がありませんから、次の問題へ移ります。

 実は、私もNHKはいい番組をよくつくっておられるなと思います。それで、この間、三月二十二日、放送記念日特集、私は夜、宿舎へ帰りましたら、「ネット時代のジャーナリズムはどこへ?」というような特集をやっていたんですね。ですから、最初から全部見ていないんです、最後の部分だけだったんですけれども、おふろへも入らないで、思わずずっと聞いていました。やはりいい番組だなというふうに思いまして、深く、本当に深くそういうことを考えさせられました、ネット時代のジャーナリズムというものを。

 それで、そのことについてお聞きするんですが、これは本当に時間的余裕はないですよね、地上波デジタルもそうですけれども、それ以上に放送と通信に、いろいろな問題が進んでいますから、早急に対応していかないといけないと私は思うんですが、そのとき感じたのは、ネットが充実していくと、広告収入に頼っている……。これはネットだけじゃなくて、景気の問題もあると思いますけれども、民間放送は今大変御苦労されていますよね。これは至るところで言われているわけです。それで、御苦労されているけれども、その御苦労がだんだん高じてきますと、本当に良質な番組を制作する余裕があるのかなと。あるいは、取材をするためのネットワークですか、こういうものも維持費は大変ですから、そういうものが本当にできるのかという懸念があるわけなんですね。

 そういう意味でいうと、こういう時代だからこそ公共放送というのは本当に重要な役割を担う、私はそのように思うわけであります。そんな中で、ネット時代の公共放送のあり方ということで、例えばイギリスのBBCなんかもいろいろな取り組みをされているし、検討もされています。ところで、NHKは、こういう問題について具体的に内部でどういうような取り組みを、ネット時代の公共放送のあり方という考え方でどのような取り組みをされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

福地参考人 公共放送としてのNHKの報道、放送の内容は、アナログの時代であってもデジタルの時代であっても変わるものはないわけでございますが、しかし、今、視聴者の映像を見る態様が、御指摘のとおり急速に変化しつつあります。若者のテレビ離れというふうな声で聞きますけれども、私は映像文化が絶えることはないと思いますが、極めて多様化してきている。

 その視聴者の、映像のメディアの多様化に対して、私どもはスリースクリーンズということで今この三カ年計画で着手をしたところでございまして、新しい方向として、私は、スリースクリーンズであっても、最後はそれぞれのメディアに適応したコンテンツの制作能力が問われるのであって、それぞれのプラットホームに合ったきっちりとした列車が走らせられれば、映像文化が途絶えることはないというふうに考えております。

石田(真)委員 今いろいろ言われたように、幾つかの守るべき大事なことがあると私は思うんですが、一つは、良質な番組をどうつくるかということです。

 それから、先ほどお話がありました、大切な、不偏不党の正しい情報をどう発信するか。そのためには、取材網、ネットワークを維持していく。そういうことには大変な費用がかかるわけですね。それが、本当に今の民間の放送業者さんは御苦労されているんだろう。そういう中で、やはり国民の期待は、NHK、公共放送に対してはそういうことがあると思いますので、ぜひその点をきちっと中心に置いてお考えをいただきたいなというふうに思います。

 それで、もう一つ大事なのは、先ほども言いましたけれども、ネット時代にジャーナリズムをどう守るか。つまり、大臣はよく御存じで、ネットは生情報ですよね、あの番組でも言っておられましたけれども、一次情報、あるいは二次情報も入ってくる、うわさも入ってくる、本当に玉石混交の場所になっているわけですね。そんな中で、きちっとコストをかけて、先ほどから出ている、公平、公正、中立、ジャーナリズム、そういう精神に基づいて発信をしていく二次加工した情報、この場というのも私は物すごく大事だと思うんですよ。では、それをだれが担っていくのかということになるわけで、これはやはりコストがかかるだけになかなか難しい問題だと思うんですね。そういう意味では、NHKというのは、そういう部分についての国民の期待も、受信料というようなことで、あるのではないか。

 ですから、先ほども申し上げましたけれども、公平、公正、中立、そういう中でジャーナリズムを、きちっとしたものを我々も担っていくんだ、そういうような思いといいますか取り組みといいますか、そういうものもぜひお願いをしたいと思うんですが、会長の御決意といいますか、お聞かせをいただきたいと思います。

福地参考人 御指摘のとおりでございまして、メディアが多様化する、玉石混交のさまざまな情報がはんらんする、そういう時代だからこそ、自主的な編集判断に基づく責任のある情報でありますとか、多様性のある質の高いコンテンツの提供がNHKの大切な役割だと考えております。

 そして、それを実現するのはやはり人材だと思います。私はかねがね社内で言っておりますのは、どんな時代になってもロボットがコンテンツをつくることはできない、取材をすることはできない、やはりジャーナリストは体じゅうに熱い血の流れた人間にしかできない、その人材を教育することが私たちの使命だというふうに思っております。適性を見きわめる人事採用、専門性を高める研修、人材育成、コンプライアンス意識を根づかせる研修、それから、組織横断的な枠を超えた異動、そういうものの中でNHKの将来を担う、現在もそうですが、人材を育てていきたい、かように考えております。

石田(真)委員 BBCがことしの三月に新経営計画案というのを出したようですね。その中で、意識は、ここではデジタル化時代ということなんですが、ネットのこういうときにどうやっていくか、どういう経営をやっていくか、どういう国民の期待にこたえられる方針でやっていくか、そういうことが中を読むと出ているわけで、私は、NHKも、ネット時代の公共放送、ネット時代のジャーナリズム、そういうことを念頭に置いた将来像といいますか、そういう戦略といいますか、これはぜひ検討して国民の前に発表していただきたいなというふうに思います。

 そういうことをお願いできるかどうか、一言で結構ですからお答えいただきたいと思います。

日向参考人 御指摘のように、NHKといいますか、公共放送としての使命というのは変わらないと思いますけれども、放送は、確かに一斉にいろいろなところに情報を送ることができるという非常にいい機能がありますし、一方では、自分の好きな時間に好きな情報をとりに行くということでいうと、非常に不適な部分があります。ネットの方は自分の知りたい関心のあるものについての情報をとりに行くときには非常に有効ですし、逆に、自分の関心のないものについて非常に情報が抜け落ちてしまう。それぞれそういう長所、短所がございます。そういうものを総合的に展開しながら、NHKとしてのサービスのプランをこれから考えていかなければいけないと思いますし、ぜひそういう新しい提案をしていきたいというふうに思っております。

石田(真)委員 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、大臣にお聞かせをいただきたいんですが、大臣はインタビューで、多様なジャーナリズム、多様な意見を守らなければならない、このように述べた、そのとおりだと思います。その上で、巨大資本が言論を牛耳ることに危機感を持っている、こういう発言もされているんですね。それはネット時代のいろいろなことを意識されているんだと思いますけれども、ネット時代というのは放送の姿も変わりますよね。そういう中で、私が先ほど申し上げたネット時代の放送の姿が変わる中での公共放送のあり方、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

原口国務大臣 先ほどから石田委員の御議論を伺っていて、極めて私の問題意識に近いと思いました。それは何かというと、瞬時に無限大のネット世界、もっと言うと、ICT社会が進化すると、ジャーナリズム、あるいはジャーナリスト一人一人の課金モデルが一時的にビジネスモデルとして成り立たなくなってきているわけです。では、その時代にジャーナリズムを守るためにはどうすればいいかということが、石田委員の問題意識であられるし、私の問題意識。

 そこでNHKが果たす役割というのは非常に大きゅうございまして、まさに言論のとりでであり、表現のとりでとしての公共放送、これを大事にしていきたいし、もっと言うと、今石田委員はNHKに、ICT社会におけるNHKのあり方のビジョンを示してくれとお話をされていましたけれども、私も全くそのとおりだと思います。

 NHKというのは巨大な言論の生産機関であり、ジャーナリズムを再生する機関であり、そして、その中の一つのツールが放送であり、もう一つのツールとしてICTを視野に入れたビジネスモデルをつくっていくべきだ、それを総務大臣としてもNHKに大きく期待するものでございます。

 大変すばらしい質問、ありがとうございました。

石田(真)委員 終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 本日は、質問の機会をいただきありがとうございます。

 福地会長はメーカー出身の経営者らしく、現場で、現物を、現実にという三現主義を重視されて経営に当たっておられます。また、放送と営業と技術と管理という四つの歯車がきちんとかみ合うのを見ていくのが私の仕事であるということも、常々いろいろなインタビューの機会に述べておられます。そのお言葉のとおりの経営を展開されて、現在は着実に、受信料の支払い拒否といったようなものも低下をしてきておりますし、加えて、番組の中身に対する評価も高くなってきているということは私は理解をしております。

 しかしながら、本日、少々辛口の申し入れをいたします。すべての視聴者から愛されるNHKでいていただきたいという熱い思いの発露でありますので、真摯に受けとめて善処をお願いしたいということであります。

 まず冒頭、昨年一月末に発生をした、ロシアの国境警備当局による我が国漁船の拿捕事件、私の地元、境港籍のカニかご漁船が拿捕されてナホトカ港まで連行されたという事件の話をちょっとさせていただきたいんです。

 過去、我が国の漁船がロシア国境警備当局に拿捕された場合、通常、船員が月単位で帰国できないというのが普通でありまして、長ければ船長や機関長は一年以上帰国できない、加えて船体の没収も覚悟しなければならないという事態でありました。

 幸い、関係者の思いが通じまして、懸命な努力が実を結んで、カニかご漁船、発生から十二日後には、すべての船員と船体ごと無事に境港に帰国できたんです。過去の拿捕事件の中では、事実上最短期間で解決された事例となりました。本当によかったと思っています。

 ということで、不幸中の幸いと言ってよいケースだったわけですけれども、事件の発生から解決に至るまでの報道に関して、NHKにぜひ善処していただきたいという点があるので、申し入れを行います。

 それは、私が事件解決までの間、被害に遭った水産会社に長時間滞在をし、社長以下社員の皆様と一緒になって、私の意識の中ではほとんど当事者として、事件に関する情報収集や報道対応をNHKも含めて行った経験の中で感じたことです。それは、事件の被害者である会社や御家族、今回の例でいえば、漁船を拿捕された水産会社と漁船の乗組員の御家族に、もう少し配慮した報道をしていただけないかということであります。

 私にとって長い長い拿捕解決までの十二日間の後半になって、NHKは、ロシア国境警備当局と在ウラジオストクの日本国総領事館が、カニかご漁船の解放について合意したと報じました。これは大変うれしいニュースでありましたけれども、被害者である水産会社にはまだその情報が入っていなかったので、同社や関係の御家族が混乱をいたしまして、御家族から会社あてに、今流れているニュースは本当かという問い合わせが入ったわけであります。

 そこで、私から現地のNHKの記者などに対して、被害者である会社や御家族がニュースを見て驚くことがないように、ニュースを流す直前でいいから、被害者である会社にはニュースの内容を御一報いただけないかとお願いをしたわけであります。しかしながら、この依頼は効果がなかったようで、事件解決の最終盤になって、NHKは再度、水産会社に一報を入れることなく、カニかご漁船がナホトカ港から境港を目指して出港したというふうに報じたわけであります。

 この報道を受けて、御家族から会社あてにやはり事実関係の確認が入りましたが、実は、この報道は誤報でありました。ナホトカにいたNHKの記者が、カニかご漁船が岸壁を離れて湾内を移動し始めた時点で、境港に向けて出港したと誤解して報道したわけですけれども、実は、このときはロシア当局の指示で水や油を積み込むために船を移動させただけで、積み込み完了後、また改めてナホトカ港の岸壁に接舷されたわけです。NHKの報道を信じて、勇んで事実関係を会社に問い合わせた御家族にとってはぬか喜びということが起きたわけであります。

 私としては、ロシア当局と我が国の当局がカニかご漁船の解放について合意したという報道があった際に、次回の報道からは、三十分前でもよいから会社に御一報を入れていただけないだろうかということを申し入れたにもかかわらず、再度、会社に一報なしの報道を行った上、今回、誤報でもあったということで、正直なところ、当事者と一緒になって腹を立てたわけであります。

 私は、決して、報道するなと言っているわけではもちろんないわけです。報道の自由は完全に認めておりまして、その上で、被害者である会社と御家族を驚かすことなく、かつ、両者間の連絡を円滑に、信頼関係を円滑に保つために、報道の直前に被害者である会社に一報を入れることがどうしてできないのか、このような対応を続けると、被害者の皆様への配慮が不十分ということにならないかと私は強く感じたわけであります。

 私は、境港の拿捕事件について文句を言うのが目的でこのお話をしているつもりはありません。今後、起こり得るすべての事件報道に当たって、被害者である会社や御家族に今申し上げたような配慮をしていくということをぜひやっていただけないでしょうか。それは、愛するNHKになるためには大事なことであるというふうに感ずる次第であります。

 お答えをよろしくお願いいたします。

日向参考人 お答えいたします。

 ナホトカの、ロシアの拿捕事件に関しては、確かに、それぞれ御家族の皆様は大変な思いをされたと思います。

 今回のミスにつきましては、さまざまなニュース源があったり、非常に緊迫した情勢の中で、なかなか会社側への連絡を確約できる状況になかったということでございました。大変に申しわけありません。

 今後、事件事故、それから災害などの取材において、被害者、それからその家族の御心情を十分に配慮して、これから対応を十分に心がけていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

赤澤委員 今のお答えで、確かに、いろいろと事件現場というのは秩序立って行動できない場合もあるので、できる限り、最大限、被害者である会社や御家族への連絡に努めるという御表明をいただいたものと理解してよろしいですね。被害者の方への対応ということなので、本当は会長御本人にお答えいただきたかったわけですが、今の専務のお答えについては会長も同感であるということでよろしゅうございますね。うなずいておられるので、そういうことで、先に進ませていただきます。

 次に、ジャーナリズムのあり方が問われた事件について伺います。

 先ほど石田委員が触れた話とかぶるところがありますけれども、昨年四月に放送されたNHKスペシャルの「シリーズJAPANデビュー」の第一回目ですね。日本の台湾に対する植民地政策をテーマといたしましたけれども、放送後に、内容が偏向しているという抗議が相当数あった上、その後、さらに、当該番組を視聴したことにより精神的被害をこうむったといって、八千人以上が損害賠償を求めて訴訟を起こしたものと承知をしております。

 この件について、きょう御本人がおられますけれども、日向総局長は会見で、番組を恣意的に編集したことはないと反論されたとのことであります。ただ、一部には、植民地政策は悪という結論ありきで番組がつくられていないか、これは先ほど、多分同じ記事を石田委員も読んだんだと思います、福地会長が現場を尊重する余り、制作現場がつくりたいものをつくれるようになったのはよいけれども、それゆえ現場が暴走していないかと指摘するような向きもあると。

 私はここで番組の内容を論じるつもりはありません。報道の自由を尊重いたします。しかしながら、公共放送であり、公正中立であることが求められるNHKが、八千人以上の視聴者から訴訟を起こされているというのは異常事態と言えると思います。このような事態を避けるために、大きな論議を呼びそうな番組の内容については、事前によく調査の上、例えば、この点についてはこれこれこういう反対の意見もありますなどという文字を流すとか、少なくとも両論併記の方式を取り入れることができないか、検討をいただけないでしょうか。

 というのは、結論は、それをやらないと、意見が二分されるような大きな問題については批判を恐れてNHKは報道をやめるか、あるいは、報道した上で毎回何千人から猛抗議を受けて訴訟が起きるみたいなことになってくるんですね。これは、公正中立な報道、公共放送ということで、公共の福祉のために報道をやっておられるNHKとして好ましいと私は思いませんので、何らか両論併記といったような方向が考えられないか、この辺についてお考えを伺いたいと思います。

日向参考人 基本的に、意見が対立している論点、それから今非常に争点になっているようなものについては、番組の中でもできるだけ多角的にといいますか、今おっしゃったような両論併記ということを心がけております。

 今御指摘の番組については、そういう意味では、事実関係やその他いろいろ、内部でも外の方もいろいろな形で検証をいたしましたけれども、今は基本的に大きな問題はないという認識でおります。

 ただし、私も申し上げておりますけれども、視聴者の皆様にも、それぞれどういう疑問が呈されていて、それに対してどういうふうな考え方をNHKは持っているのか、事実関係としてどうなのかということについてはホームページその他を通して説明をしております。

赤澤委員 これは、報道の内容にはなかなか踏み込みづらいところがあるので、これ以上ちょっとお話がしづらいので、もう一つ、今度は事実関係の誤認や間違いが多かったんじゃないかという指摘があるものについても触れておきます。いろいろな批判とか耳に痛いような意見、コメント等もとりあえず受け入れて、善処をしていただきたいということでお話をします。

 昨年の十月十一日日曜日午後九時から、NHKスペシャルの「原発解体 世界の現場は警告する」というものが放映されました。番組がテーマとした原発解体というのは、原子力関係者が廃炉解体工事と呼ぶものであります。用済みとなった原子力発電所から放射能を取り除いて解体して、跡地を昔に戻す工事のことだそうであります。

 この番組についても、原子力発電への不安をあおっているとか、番組を通じて流れるおどろおどろしい音楽や暗く沈んだナレーション、恐ろしげな情景描写からは、制作者が抱く原子力への嫌悪感が透けて見えるなどという指摘があります。

 私自身はここでも番組の内容を論じるつもりはありません。報道の自由を尊重いたします。しかしながら、廃炉解体を研究している原子力デコミッショニング研究会の調査によれば、同番組が報じた内容に、五十二カ所に及ぶ事実誤認や間違いが見つかっているという指摘がされています。一時間番組、正確に言えばこれは五十八分番組のようです。ネットでチェックするとそういうことでした。五十八分番組で五十二カ所の間違いといえば、平均して、ほぼ一分間に一つずつ間違った計算になります。もしこれが本当であるとすれば、廃炉解体という、視聴者のほとんどが初めて見聞きするような特殊な専門分野をテーマとした番組だけに、視聴者に大いなる誤解を与えたおそれが強いと言ってよいと思います。

 取材に協力した原子力関係者の怒りを買ったという指摘もありますし、確かに、この問題を取り上げた記事は、私が見つけただけでも、日本原子力文化振興財団理事長が昨年十一月前半に新聞に書いたもの、報道の比較的直後に書かれたもの、あるいは原子力デコミッショニング研究会主査が本年一月に学会誌に書いたもの、それから、日本原子力技術協会最高顧問が現在発売中の月刊誌に寄稿したものと、引きも切りません。

 これらの記事は原子力関係者が書いたものですが、これら以外にも、昨年十二月号の雑誌に科学ジャーナリストが書いた記事を引用させてもらえば、「「原子力デコミッショニング研究会」は「世界の原発解体現場の客観的事実を公平に示すことなく、一部だけを意図的に取り上げ、多くの事実誤認を含む番組を制作・放送され、一般視聴者に多くの誤解を与える結果となった」として十月十五日にNHKに抗議し、訂正を要求した。その理由を「一部の事実だけを一般化させて、処理場に関し多くの事実誤認を生んだ作為に満ちた番組と感じたからだ」と書いている。全く同感だ。」という記述が、原子力関係者だけでない、より中立性の高い立場だと思われる科学ジャーナリストが書いた記事の中でも出てきております。

 作為として指摘されている例を一つ挙げれば、番組の中で、「ふげん」の廃止措置現場で、配管の切り口から滴り落ちる水滴の映像に、至るところに汚染がある可能性があるとのナレーションがかぶっております。だれしもが、液体の滴下で放射能汚染が進むかのような感じを覚える、極めて生々しい現場映像の趣でしたが、実のところ、切断された配管は放射能とは関係ない窒素ガスの配管で、滴下していたのは凝縮水だから、汚染の可能性は全くないといったようなことが指摘をされております。

 繰り返しになりますが、わかりやすくするために今の例も引きましたけれども、私は報道の自由は尊重いたします。ここで論じたいのは番組の内容ではなくて、廃炉の解体という特殊で専門的な分野、すなわち、私を含む一般の視聴者が評価する知識を有しない分野に関する報道番組が、その分野の専門家とされる複数の関係者から間違いだらけと指摘され続けている状態というのは、公正中立な、真実の報道を行う公共放送の使命を負っておられるNHKにとっても国民にとっても、決して望ましい状態ではないというふうに考えます。

 報道番組の内容について、ほぼ一分に一回の事実誤認や間違いがあったというような重大な指摘については、単に、取材内容には自信を持っていますなどというありきたりな紋切り型の説明で事足りるとするのは私は適当でないと思っていまして、専門家やジャーナリストあるいは一般市民の代表などから成る第三者機関による検証を行うなど、専門的知識のない一般視聴者も納得できるような、説得力のある仕掛けを工夫する必要があるように思いますけれども、いかがでしょうか。

日向参考人 御指摘の原発解体の番組でございますけれども、団体から抗議を受けたことは事実でございます。

 それに関しては、一つ一つ、それぞれ疑問点については御説明をして、団体の中で御理解をいただいているというふうに私は今認識しておりましたけれども、もし御指摘のようなことがあるのであれば、きちっとそれぞれの事実関係について、五十二項目というふうにおっしゃいましたけれども、要するに、個別ではなくて一般の方々に向けて説明をする必要があるかなというふうに思いました。

 それから、もちろんNHKの内部でもいろいろなチェック機関がございますし、それからBPOという第三者の機関もございます。そういう中で、それぞれ番組についてのさまざまなチェックや検証を今しているところでございますので、必要に応じて、当然、専門家の方々の意見を聴取するということも必要かというふうに思いますが、基本的にはそういう考え方でおります。

赤澤委員 率直に言って、全く不十分だと思います。というのは、公共放送の立場で、本当に大きな力を持っておられます。大きな力には大きな義務が伴うということをぜひ自覚していただきたい。

 今のお話から出てくることは、結論、クレームがあれば個別にその人に対して説明をいたします、加えて社内でも検討しています、必要があれば専門家に聞きます。それじゃ足りないんですよ。これはほかの民放と違って、ある意味、受信機のある人からは受信料を必ずもらえる建前でやっている公共放送ですから、責任ははるかに重くて、視聴者全員に納得できる形で、その事実は間違いでないんだと、公開の場でそれをきちっとやる気がなければ説得力はないですよ。

 そこの点は、ちょっとほかのことも聞きたいので指摘にとどめます。ただ、今のお話では全く、要するに、問題の指摘があっても見えないところで処理をして、それについて疑問に思っている視聴者の疑問は解明されないというやり方でしかないだろうと私は思っています。

 次に参りますけれども、今申し上げたとおりで、NHKについては、受信機を設置した方が全員支払うという建前の受信料なので、最大多数が視聴したときに最大収益を得るという商業放送、民放放送とは根本的に違う財政的な基礎が与えられております。これは、NHKに、災害放送を流すなどの公共的役割を果たすことに加えて、視聴率にとらわれず、大衆におもねらない報道をすることが期待されているという意味です。言いかえれば、伝えるべきなのに民放が伝えないことを、ちゃんと伝える役割をまさにNHKが負っているということだと思っています。その役割を果たすのでなければ、何のための日本放送協会かということになってしまうと思うんです。

 この点から、日ごろから番組づくりには十分反映をさせていただきたいんですが、一点伺いたかったのは、民放とコラボレーションをやっておられます。これについては、御本人がおられる前で恐縮ですが、福地会長は知らない現場のやりとりで、やることが決まって、結果的には、会長は、よい番組ができればいいのではないかというのでここも現場の判断を尊重していただいて、よしということになったわけです。

 最後にお伺いをしたいのは、視聴率至上主義とされる民放に引っ張られるリスクを冒しながらも、なお民放とコラボしなければ達成できないNHKの使命というのは一体何なのか。民放とコラボして初めてできるよい番組とは、どのような番組のことをいうのか。私は、NHKは単独で、今申し上げた趣旨に沿うような放送をやるべきでないかと強く思うものでありますから、民放とコラボしなければできない、民放とコラボして初めてできるよい番組というのは一体どういう番組なのか、具体的に教えていただきたいと思います。

福地参考人 民間放送とのコラボレーションにつきましては、私は、私自身も民放に出演したことがありますが、それは民放と一緒になることによって、例えば地域放送であれば、地域の活性化により結びつくとか、例えば環境問題の取り組み、NHKはもちろん環境問題の取り組みも、自社の中でもやっておりますし、放送を通じてもやっております。同じように民放さんもそれぞれやっていらっしゃる。それを総合的にやっていく方がいいようなことについては一緒にやりましょうと。

 むしろ、私は、御指摘のような視聴率というのは余り考えておりませんで、平成二十年の上半期にNHKが、初めてですけれども、ゴールデンタイムで視聴率ナンバーワンになりました。そのときに、私、放送関係者を集めまして、なぜとれたかわかるか、これは視聴率をねらわなかったからとれたんだと。視聴率競争ではコンペティター、私は、コンペティターを見る前にまずコンシューマー、視聴者を見なければいけない、それが結果的に視聴率に結びついたんだということを考えております。

 民放とのコラボレーションは、決して視聴率を気にしたものではございません。それによって、さっきのような、さらに増幅されるということについてはやはりコラボレーションした方がいいんじゃないかというふうに考えております。

 以上でございます。

赤澤委員 ありがとうございます。

 会長のお気持ちは私は十分尊重いたしますが、現に、民放に追随をするNHKに受信料を払う必要があるのかみたいな議論も一方であるので、ぜひ、その点はしっかりと肝に銘じてやっていただきたいというふうに思います。

 私は思いつきで申し上げたわけではないので、きょうは時間がないのでこれで終わりますが、先ほど申し上げた御家族への配慮、両論併記方式、あるいは視聴者に見える形での間違いや事実誤認という指摘に対する回答、説得力のある説明といったものの三点を強く申し入れて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 ちょうど四時間の審議も折り返しになって、皆さんもお疲れかもしれませんけれども、答弁の方をよろしくお願いしたいと存じます。

 先ほど我が党の石田議員からも、福地会長の辞任報道についての質疑がございましたけれども、十九年ぶりに民間からNHKに会長をお迎えして、本当にこの間、福地会長はよく御努力をされていただいたと思います。いろいろな仕事との両立の中での、しかも現場を大事にしながらの御活躍ですから敬意を表したいと思っておりますが、しかし任期は来年の一月まででございます。

 先ほど二期目の続投についての明言がございませんでしたけれども、二〇〇四年に不祥事が多発をし、二〇〇八年もインサイダー不祥事があり、また、昨年も残念ながらNHKの不祥事が続いております。具体的に申し上げるまでもございませんけれども、取材中のトラブルでありますとか、ディレクターが不法な持ち帰りをした、あるいはウィニーの開発者が著作権法違反の幇助の罪に問われる。

 毎年この委員会でコンプライアンスを徹底するんだという経営陣の意気込みが示され、そして、実際そうした取り組みを強化いただいているわけですけれども、相変わらず、なかなかこの不祥事が根絶しない。こういう原因をどう分析し、本当に、ことしこそはこれをゼロにしていかなければいけないと思っておりますけれども、福地会長の御所見をまず伺っておきたいと存じます。

福地参考人 コンプライアンスの問題につきましては、形といいますか、仕組みにつきましてはもう既に私の就任前に、前会長のときからできておりました。いろいろな委員会をつくる、マニュアルをつくる、規約をつくる、そういった形はできておりました。しかし、その後も続発をしました。

 私はかねてから、形だけではだめなんだ、やはりそれに心を込めないといけない、心とは何だろう、それは組織風土にまでコンプライアンスが高まることだろうというふうに考えておりました。

 組織風土まで高めるためにはどうすればいいか。まずはやはりアナログコミュニケーションといいますか、顔の見える会長、声の聞こえる会長、そういったことを通じて職員と向き合うことだというふうに考えまして、新入社員の入局式のときにもこのコンプライアンスの問題を申します。いろいろな会議、それから放送局会合の折にも、コンプライアンスの大切さ、たった一通の不祥事を告発するメールによって、御承知のことと思いますが、世界のコンサルタント、数万人の職員が路頭に迷ったことがあるんだ、NHKといえども一回の不祥事で、受信料拒否に遭えばこの日本からなくなることだってある、そういったことを説いてきております。そういった中でコンプライアンスの徹底を図っていきたい、かように思っております。

 以上です。

秋葉委員 今の会長の御答弁のように、やはりこれまでのように現場への訪問を大切にしていただきながら、現場主義の上で、さらにコンプライアンスの徹底に努めていただきたい。私は、NHKの会長を外部から登用して、そして民間の発想で指導していただいているから、むしろこういった状態におさまっているという見方もできると思うんですね。ですから、そうした民間の意識というものを、民間の感覚というものを現場に根づかせていただきたいと思います。

 十七年に受信料収入が本当に落ち込んだわけでございますけれども、二十二年度の予算額では過去最大規模ぐらいに戻るまでに見込まれておりますので、これもやはり会長あるいは経営委員長の指導の成果と、前向きに評価することもできるのではないかなと思っております。

 端的に、福地会長に最後にお伺いしたいのは、先ほど二期目の続投の意思について明言がなかったものですから伺うわけでございますが、一期で退任するにしても、後継者を決めるときも、私はぜひ外部からの人材の登用を前提に決めていただきたいと思っておりますけれども、御自身の続投の問題を含めて、端的にお答えいただきたいと思います。

福地参考人 私自身の問題も後継者の問題も、横に座っておられます経営委員長の権限でございまして、私に権限はございませんが、今までずっと社内から会長が選出されておった、十九年か二十年ぶりに社外から出てきたということが一服の清涼剤になったのであれば、今後もそうであってほしいというふうにも思いますし、私は、社内であれ社外であれ、適任者がなればいいというふうに思っております。

 以上でございます。

秋葉委員 本当に、福地会長の御努力には敬意を表したいと思っております。

 次に、小丸委員長も、二〇〇八年十二月の御就任から、もう早いもので二年目に入られていらっしゃるわけでありますけれども、経営委員会が導入された当初は月一回の会合だったと伺っておりますが、今は二回が定例であり、三回やることもあるというふうにも伺っております。

 経営委員会の委員による不祥事などということもございましたけれども、今、福地会長に申し上げた点、小丸委員長としてはどのようにお考えか、すなわち、NHK会長の登用のあり方についてのお考えを伺っておきたいと存じます。

小丸参考人 経営委員長といたしましては、経営委員十二名の、お互い、いろいろな考え方の相違がございますけれども、NHKの会長というのは今現在は民間から来られていますけれども、やはり民間の、民の力というものが今期、もう残すところわずかでございますけれども、まさに今期、その実績が出たというふうに私は考えております。

 コンプライアンス、あるいはいろいろな不祥事がございましたけれども、しかしながら、これはもう改善をしておりますので、将来は何といっても民間から、このまま会長はしっかりと続投していただきますけれども、その点はやはり民の力だというふうに考えております。

秋葉委員 小丸委員長から大変力強いコメントをいただいたと思います。

 やはり内部改革では限界があるというふうに私は思っています。会長にしろ委員長の人事にしろ、外部の発想、外部の力というものを最大限に導入して組織を活性化していく、そこがNHK改革の本丸でなければならない、私はこのように思っておりますので、今の小丸委員長の答弁を本当に高く評価し、また万が一、福地会長が一年後交代するということがあっても、外部から登用されるということを心から期待したいと思います。

 次に、先般も、チリの大地震によります我が国の津波被害ということがございました。NHKにおきましても、十七年ぶりとなった大津波警報あるいは津波警報の発令とともに、緊急警報の放送を初め、各地の港に津波が押し寄せる様子を生放送いただくなど、大変適宜な報道だったと思っております。

 振り返ってみますと、緊急地震速報の運用が始まったのは既に三年前になるわけでありまして、今回の報道で十四回目になるわけでございます。振り返って、アナログと地上デジタルでのタイムラグという問題もございまして、今後の緊急地震速報についてのデジタル放送における遅延の問題というものをどう克服していくのか。NHKにおかれましては、この問題、昨年からいろいろ御検討いただき、この夏ぐらいから順次迅速化を図っていくという計画だと伺っておりますけれども、具体的な取り組み状況についてお伺いをしておきたいと存じます。

永井参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました緊急地震速報等の迅速化につきましては、総務省が検討を要請して、昨年の九月に電波産業会から複数の手法が報告されております。

 NHKとしては、視聴者の即時の判断、それから行動を促すという点で緊急地震速報の必要性を考え、まずは現在の受信設備でも受信できるということ、それから早期に導入可能であるということから、文字スーパーを利用する手法の実施をすることによって、アナログ放送の時代とほとんど変わらない時間で全国にお届けできるというものを、既に設備を整備することに着手しております。この秋ごろまでには整備が完了するように……(秋葉委員「一〇〇%」と呼ぶ)はい。全国でできるようにということで整備を行っているところであります。

秋葉委員 この秋までに、アナログに引けをとらないリアルタイムでの報道が実現できるということですので、ぜひその方向で頑張っていただきたいと思うわけでございます。地デジへの移行まで五百日を切っているような状態でございますので、適宜、計画的に着実に進展をさせていっていただきたいと思うわけでございます。

 一方で、気象庁の方は、ことしの五月の末から実施だと伺っておりますけれども、従来の気象警報を、今度は市町村別に報道するということにいたしております。最近は大雨や台風による被害が大変目立っているわけでございますけれども、NHKにおきましても、この市町村単位の新しい情報について、これから速報できるようなシステム面での整備というのはどういった時期に、この気象庁の市町村別の報道と合わせて対応が可能になっていくのか、現況と今後の方針、計画について具体的に伺っておきたいと存じます。

日向参考人 御指摘のように、気象庁で、市町村単位の非常に細かな気象情報を出すようになりました。これについては、NHKとしては既に、特にデータ放送なども含めて、それに対応した情報の提供を今進めております。

 ただ、放送の場合は非常に細かな情報になってしまって、逆に、画面で非常に見にくいというような御意見も一方ではいただいています。デジタル化すれば、非常にその辺はやりやすくなるんですけれども、今アナログを受信されている方々にとってはそういう問題もあるので、その辺はちょっと慎重に考えながらやっておりますけれども、基本的には、個別の細分化された気象情報に対応してお伝えするというふうな体制をとっております。

秋葉委員 そうすると、デジタル化への完全移行とともに完全実施になるということで理解していいですか。ちょっと確認します。

日向参考人 そのように理解していただいて結構だと思います。

秋葉委員 わかりました。前倒しでもできるようになればなおいいわけですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 NHKでは、平成二十一年度からの例の経営計画におきまして、「いつでも、どこでも、もっと身近に」というキャッチコピーの中で、さまざまな多メディアの展開をしていくということで伺っているわけであります。

 具体的には、例えばことしの四月からは、NHKオンラインに、新たに気象や災害情報のページも設けることにしているというふうに伺っておりますけれども、本当に今はモバイル時代でありますから、モバイルへの提供も含めて、まさに多チャンネル化を図っていくべきだと思っておりますけれども、今後の取り組みについて確認をさせていただきたいと思います。

日向参考人 災害報道に関しては、御指摘のように、これまでのテレビ、ラジオの放送だけではなくて、特に携帯端末は皆さん今お持ちですので、携帯向け、それからパソコン向け、そしてデジタル放送やデータ放送もございます、それからワンセグの独自サービスというのもございますので、そういうメディアを駆使しながらやっていきたいというふうに思っております。現実にもう既に、例えば、先日の津波のときも特設ニュースのサイトを特別に立ち上げたり、最新の情報をパソコン、携帯、それにワンセグのデータ放送に提供しております。

 これからも、デジタルのメリットをフルに利用して、特にそういう災害情報、防災情報についてはさまざまなメディアを通して情報を提供していくつもりでございます。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

秋葉委員 今、実際、災害情報については有料のサイトでリアルタイムで提供するというのは結構あるんですけれども、私は、本来的には、気象庁あるいはNHK自身も、無償化をしてもっと供給を充実させていくということが必要だと思っております。ぜひ、そういった点も御検討していただければありがたいと思っておりますので、要望しておきたいと存じます。

 次に、いわゆる障害者向け放送の拡充という問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、NHKでは、収録済みの番組については、たしか平成十八年度末にようやく一〇〇%文字放送を実現したというふうに認識をしておりますけれども、やはりなかなか生放送のものについては、技術的な問題あるいは予算、マンパワーの問題もあって、計画どおりの進捗状況だとは言いがたいのではないかと私は認識しております。

 行政の指針に基づく七時から深夜零時までの時間帯における文字放送時間の割合は、平成二十二年度の計画値が示されておりますけれども、二十一年度の計画値では総合テレビで五六%、教育テレビでは四八・三%にとどまっております。年々充実はしてきておりますけれども、やはりこの進捗状況を充実させていくということがまずは必要だと思っておりますが、文字放送の充実についての取り組み状況を伺っておきたいと存じます。

日向参考人 御指摘のように、いわゆる収録された番組、生放送以外の番組については一〇〇%、既に字幕放送が可能になっております。

 それから今、生放送についても、いわゆる生字幕というふうに私たち申し上げておりますけれども、生字幕化を進めております。御承知のように、特にニュース、それから先ほど御指摘もありました災害情報とか、そういうものについてはやはり正確な情報が必要だということで、生字幕の場合はどうしても、正確さを優先するということになりますと、なかなか、技術的な問題がまだ幾つかございます。それから、おっしゃるようにマンパワーの問題もありますし、実際に、育成するためには数年の年月が必要だということもございますので、これについてはそうすぐに、一気にということにはなりませんけれども、おっしゃっていただいたように、今、さまざまな工夫をしながら、生放送についても字幕化をさらに進めていくつもりでおります。

 当然、総務省の行政の指針については、字幕についても前倒しで達成をしておりますし、計画をさらに加速化するような方向で頑張っていきたいというふうに思います。

秋葉委員 これは大臣、総務省で指針を出してもっと充実しなさいと言っている割には、この字幕化への取り組みの予算は平成十六年度をピークに年々減少してきているんですね。ですから、予算面でのバックアップということも、やはりプライオリティーの問題ですね、総額がそんなにふやせない、受信料収入が伸びているからいいけれども、地デジの関係では支出がふえている。ですから、優先順位ということの中での判断にはなるんですけれども、私は、これは極めて優先順位の高い、しかも災害列島なわけですから、いわゆる耳の不自由な方にもしっかりと対応していくという意味でも、プライオリティーの高い事業として、予算づけの方をしっかりしてもらいたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 字幕放送は着実に、ゆっくりではあるけれども進展をしているわけでございますけれども、一方で、いわゆる視覚障害者向けの番組については、なかなかその進捗度が、字幕化と比べますと低調であるという実態にございます。

 具体的に申し上げますと、今、NHKの総合番組で見てみましても、アナログとデジタルとそれぞれ数字がありますけれども、デジタルで見た場合に、総放送時間に占めるいわゆる解説放送時間の割合は五・九%ということで、字幕に比べれば格段に低い数値になっているわけですね。それから、七時から夜中の十二時までに占める解説放送時間の割合で見ても七・六%。アナログ放送で見ましても、それぞれ四・三%、五・三%というような数値になっております。

 これはもちろん、民間と比べれば、さすがNHK、大分いい数字にはなっているというふうに思っておりますけれども、やはり視覚障害者向けの解説放送ということも字幕放送と同時に充実していかなければいけないというふうに思っておりますが、現況の数字をどのように認識しているのか、そして、これからこの充足に向けてどう取り組んでいくつもりなのか、お答えをしていただきたいと思います。

日向参考人 現状は、行政の指針に関して言いますと計画どおり進んではいるんですけれども、おっしゃるように、まだ不十分だというふうに認識しております。

 これは、特にアナログ放送の場合、ステレオ放送をやっておりますと解説放送ができないというデメリットがございます。これが完全にデジタル化した場合は、ステレオ放送を楽しんでいただきながら解説放送も聞いていただける、そういうことが可能になりますので、それが一つの加速化させるきっかけになろうかというふうに思っております。

秋葉委員 やはり、二〇一一年に私たちがデジタル化を図るという意味はそこにあるんだと思うんですね。こういった分野での充足を図るということがデジタル化の最大のメリットなわけでありますから、私は、こういったものに、もっと優先順位が高いレベルで事業が進んでいかなきゃいけない。そして、民間の放送会社を見ますと、一%いっていないんですね。そういう状況から見れば、NHKはよくやっているなということは言えるとは思うんですけれども、この充足を強く要望しておきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、次に、国際放送の充実についてお伺いをしておきたいと思います。

 御案内のとおり、平成二十一年の二月からNHKワールドが始まりました。前半三十分がニュース番組、後半三十分が日本やアジアの政治、経済、伝統、文化などを取り上げている番組でございますけれども、まだまだ放送のエリアといいますか、受信している国が少ないなという感じがいたしております。

 NHKで国際放送に本格的に力を入れて取り組むようになったのは近年のことでございますから、そういう意味では順調に来ているというふうに言えるかもしれませんけれども、ぜひ、福地会長あるいは小丸委員長にも強く認識をしていただきたいのは、お隣の中国、それから韓国は日本以上に進んでいるんだ、もうこんな格差があります。ですから、これを埋めていくためには、恐らく来年度見直すであろう、まさに中期計画の中でしっかり位置づけて、国際放送の充実を加速度的に進めていかないと、中国はもちろんですけれども、お隣の韓国に引き離される一方だという大変強い危機感を私は持っているんですね。

 ですから、そういった意味で、NHKワールド・プレミアムについても、受信できる国は百五カ国ぐらいにふえてはいるんですけれども、実際これを受信している世帯がまだわずか一千二百万世帯にすぎないという現状がありますし、NHKワールドについても、八十カ国、一億三千万世帯で受信可能だというふうなデータがあるにもかかわらず、実際に受信されている、いわゆる認知のパーセンテージというのはまだまだ低調なんですね。

 ですから、まず冒頭伺っておきたいのは、NHKが、国益を代表する我が国の国営放送として、我が国の国益につながる情報を世界に広く発信していく、このことは非常に大事なわけでありまして、繰り返しになりますけれども、とにかく、お隣の中国や韓国に比べるとかなりおくれをとっている現状だと私は認識しております。ですから、国際放送の充実ということに向けて、取り組みを加速度的に強化すべきだと思っておりますが、福地会長、あるいは小丸委員長はどのように認識しておるか、時間もございませんので、簡単に御認識を伺っておきたいと存じます。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

福地参考人 私の会長就任前から、会長就任が決まりましてから、いろいろな方から国際放送の充実といいますか、国際放送に踏み出さないとだめだというふうなアドバイスを受けております。おかげさまでスタートいたしました。

 スタートするに際しまして、私は、これはNHKだけじゃなくてオール・ジャパンの体制でやっていきたいということで、資本の注入につきましても、資本金の額よりも株主の数の方が大事だというふうなことでスタートいたしまして、大変多くのオール・ジャパンの体制ができてスタートしたと思っております。充実を図っていきたいと思っております。

 以上です。

小丸参考人 お答えいたします。

 経営委員会といたしましては、直接番組の編集にはかかわるわけにいきません。しかしながら、先生の今のお言葉に対しましては、これから議論をしてまいりたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

秋葉委員 時間もございませんけれども、改めてNHKワールドの認知度について、数字をここで示しておきたいと思うんですね。

 ワシントンDCにおける百九十万世帯においてNHKワールドの認知度を調査したところ、認知度はわずか一五・九%ですよ。これでは、この番組を受信しよう、選択しようというふうにはなかなかならない。香港においても、認知度は香港が一番高いわけですけれども、九十五万世帯中、それでも五割いかない。イギリスにおいては一六・一%。こういう数値が出ているわけでありまして、この数値というのは中国あるいは韓国の国際放送よりも劣っている。我が国は今そういう現況にあるんだということをしっかり御認識いただいた上で、これから強力に国際放送の充実ということに努めていただきたい。

 というのは、私が申し上げるまでもなく、これは国益に直結する問題になってくると思うんですね。番組の編成、内容というのも重要ですけれども、やはり日本から日本の情報を発信していくということに、プライオリティーを高くして取り組んでいただきたいということを申し上げまして、きょうの私の質問とさせていただきたいと思います。

近藤委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 私の方からは、収支予算、貸借対照表、そしてまた大臣意見について、さらには、NHKさんは地域においても大事な拠点であると思っております、その地域の拠点としてのNHKさんということで、三つの観点から順次質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、収支予算。

 特に収入の根幹であります受信契約でありますが、二十二年度末には地上契約が二千二百万件、衛星契約が一千五百万件と見込まれており、特に衛星契約がここ数年ずっと伸び続けているわけであります。もちろん、収納率、支払い率も大事ですが、今伸びている衛星契約がこの後どの程度まで伸びる見通しでおられるのか、伺います。

大西参考人 御質問にお答えします。

 衛星契約につきましては、平成元年の有料化以来、毎年着実に増加しております。二十年度の年間増加数は五十三万件の実績であります。二十一年度は六十五万件の見込みであります。二十二年度は六十五万件の計画をいたしております。契約総数における衛星契約の割合は、平成二十年度は三八%、二十二年度の計画では約四〇%になるというふうに考えています。

 今後の衛星契約につきましては、三カ年経営計画で、二十一年度以降、毎年六十万件の増加を計画しています。この計画数については、毎年の衛星放送の普及状況を見ながら見直してまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 ある意味で、当面はこれがドル箱の一つであるということかと思いますし、これをどう有効に使われていくかということは支出の方の問題になると思います。

 ここで、先ほど御質問が出ていたんですけれども、今地デジ対応ということで、人口希少地区における衛星放送としても活用していかなければいけないということであります。料金面の話なども先ほどありましたけれども、一応、総務大臣政務官さんの方からちょっとお答えをいただければと思います。

長谷川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今お話のありました地上デジタル放送の電波の届かない地域に対する対策として、最後の手段として暫定的に衛星放送を利用していただくということを考えておりまして、既にこの三月の十一日から五年間の予定で放送を開始しております。ただし、これは、今申し上げましたように、電波が届かない地域を対象にしておりますので、いわゆるスクランブルをかけておりますので、一般の方々がごらんになることはできないというものでございます。

 これに対しましては、もちろん衛星用のアンテナを用意していただくとかチューナーが必要だとかということになりますけれども、これは国の政策に従ってそういうことをやっていただくわけでございますので、追加的な経費は全額国が負担をする、NHKの受信料だけはお支払いをいただく、こういうことになっております。

橘(慶)委員 この点はデジタルデバイドの解消ということもあると思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、今経費の方、支出の方で一番大きいウエートになりますか、現時点の施策の中で大きいウエートになっているのが地上デジタル化追加経費であろうかと思います。これは二十一年度から二十三年度まで、三年間で六百六十億円と計画されておったわけであります。二十一年、二十二年度予算が予算化されたところまでで、今三百五十二億円になりました。まあ、節約できるものであれば、節約すれば後からまた楽しみも大きいということであろうかと思いますが、最後の二十三年度については、残り三百八億円のうちどの程度の見込みでおられるのか、伺います。

福地参考人 デジタル化の追加経費につきましては、自主共聴といいますか共同受信施設への支援でありますとか、地上デジタルの難視聴対策でありますとか、混信対策、アナログ放送終了に向けた周知広報、そういった対策などで、完全デジタル化に向けた周知広報等の対策など公共放送が負担すべき範囲を見定めつつ三カ年の経費として計上いたしたものであります。

 二十一年度百億円、二十二年度二百五十二億円を予算化しまして、現在これらの対策に取り組んでいるところでありますが、完全デジタル化に万全を期すために、三カ年経営計画で想定した六百六十億円は今も必要だというふうに考えております。

 二十三年度につきましても、デジタル化の追加経費を計上しまして、地上デジタル放送の普及動向を確認しながら国や民放と協力して適切に対応していきたい、かように考えております。

橘(慶)委員 確かに、計画でありますから、今は全額といえば全額なんですが、節約できればそれにこしたことはないと思います。

 今まで収支の方を聞いておったわけですが、当然、もう一つあるのは貸借対照表ということかと思います。先ほど年金資産の問題について質問があったわけですが、私の方は、一点だけ、この貸借対照表で固定資産の中に長期保有有価証券ということで二十二年度末は一千九百五十九億円という予算計画になっておるかと思いますが、これが健全であるということの確認をしておきたいと思いまして、どのようなもので運用されていて、時価評価してどうなっているかということについてお答えいただければと思います。

金田参考人 NHKが平成二十年度末に保有します長期の有価証券でございますが、簿価で二千八十七億円でございます。その時価評価が二千百二十三億円となっております。約三十六億円の評価益が出ているという状況でございます。

 長期保有の有価証券でございますけれども、国債や政府保証債、地方債、格付の高い事業債など、安全性を基本に運用しております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 しっかり元本が確保されているというのはいいことかと思います。年金債務の方はもう少しいろいろ努力が必要ということでありますが、やはり大事な財産ですから、大事にしていただきたいなと思うわけであります。

 そこで、二つ目の観点で、総務大臣意見、原口大臣からの意見を踏まえた今後の課題ということで、未来へ向けたことと過去をさかのぼることの二つをお伺いしておきたいと思います。

 最初に、未来に向けて。

 今までもハイビジョン放送など、新たな放送技術の研究開発ということについては積極的に取り組んでこられたわけであります。そして、今、デジタル放送という、また大きな一つの技術的な山を乗り越えていくわけであります。であれば、その次にはどんなことにチャレンジされるんだろうか。この辺、夢をひとつお聞かせいただきたいと思います。

永井参考人 お答えいたします。

 NHKは、今御指摘のとおりに、技術研究所を中心にこれまでハイビジョン放送、衛星放送、デジタル放送など研究開発を進めてきまして、先導的な役割を果たしてきました。日本だけではなくて、世界のテレビの発展に貢献してきたというふうに考えております。

 デジタル放送への完全移行後のさらなるイノベーションを続けなければいけないということで、大きく三つのテーマでくくっております。

 先ほどから御議論がありましたインターネットのモバイルというところにも、放送、通信の連携をテーマとしまして、両者、放送のいいところ、通信のいいところ、こういうことを生かしたサービス、それから、より便利な端末はないかという研究もしていきます。

 二つ目としては、将来の放送のサービスの研究ということで、さらに臨場感が高い、そういうものを体験できるスーパーハイビジョンであるとか、今世の中でいろいろ出ているのは眼鏡をかけた、立体でありますけれども、眼鏡をかけなくても、ごろんと横になっても立体を見られるというものも研究をしていくつもりであります。

 三つ目、これは今の問題でありますけれども、高齢者、障害者の皆さんにもデジタル放送を楽しんでいただこうということで、人に優しい技術にも取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えております。

 今後とも、公共放送の研究機関、国民の福祉や安全、安心を守るという視聴者の目線に立った研究と、長期的な視野に立った、視聴者に夢を与える研究というものを両立させながら、日本と世界の放送文化の発展並びに向上に貢献していければというふうに考えている所存であります。

橘(慶)委員 大変ありがとうございました。

 世界への貢献という気持ちで頑張っていただければ、日本の国もいいのかなと思います。テレビから飛び出してくるような、三Dみたいなものもあるんでしょうけれども、子供がびっくりしないようなものをうまく開発していただければと思うところであります。

 さて、今度は過去にさかのぼりますと、大臣意見の方にも、NHKの保有する放送番組は時代を超えた国民の貴重な遺産であり、我が国の文化の向上に寄与するようにという御指摘があるわけであります。先ほど原口大臣からも南総里見八犬伝のお話がありまして、坂本九さん、そして辻村寿三郎さんの人形であったかなと思うわけですけれども、そういった過去のすばらしい番組、コンテンツというものを将来に残していくということも大事なお仕事だと思います。今はすべての番組をデジタル化されて保存されているようですが、過去の番組で、例えば大河ドラマなどは視聴者の方にお願いをされて収集をされたりしておられるということも伺っております。

 次代に残す、NHKさんの歴史の中での放送遺産の整備について、今後どのような方針で取り組まれるのか、ここでお伺いしたいと思います。

日向参考人 お答えします。

 一つは、今お話のあったように、視聴者の方々が持っている映像がございます。NHK自身、過去の番組については、ビデオテープが非常に高かったということもありまして、記録がないものもございますので、そういうものについては、これからも視聴者の皆様の御協力を得て、復元といいますか、記録を保存していくことに取り組んでいきたいと思います。それから、あわせて、今保存されている映像素材なんですけれども、それをファイル化することでさまざまなメディアに多角的な展開ができるような、そういう保存の方法も今検討をしております。

 それから、もちろん、今後も番組、ニュースについては保存を続けていくんですけれども、今も経営計画にも載せておりますけれども、例えば「新日本風土記」とか、「戦争証言アーカイブス」とか、これまで撮ってきたもの、それから今後撮るものを、体系的にいわゆるデータベース化したようなものをホームページとかいろいろなところで公開をしていくというようなことも進めていきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。視聴者の方々とみんなで復元をするというのも視聴者参加型で大変楽しいことではないかとも思いますし、「新日本紀行」のように民俗学的な資料として残るものもあると思いますので、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、三点目、地域の拠点としてのNHK。

 何せ最後には歌を詠まなければいけないということもありますので、時間をうまく配分しながら最後まで行きたいと思っております。

 まず、地域の各放送局は、域内のニュース報道はもとより、地域づくりを公開録画や番組制作面でも大いに応援いただいておると思います。大変期待される各放送局の存在、その中で地域に出ていただいている各放送局長さんの果たすべき役割は大きいものと思っております。もう一度ここでそのことについて会長さんの御意見をお伺いしたいと思います。

福地参考人 御指摘のとおりでございまして、三カ年計画の主要な柱の一つに、各放送局が地域を元気にするための拠点になるということを一つの方針として打ち出しております。

 そして、各五十三放送局局長が、ホームページで私の放送局はこういうふうな力になりますということを決意表明いたしております。そういったこともございまして、今までは地域の情報を地域にと、これは当たり前でございます、今はそれに加えて地域の情報を全国にというウエートをふやしております。このローカルで制作しました地域放送、もちろんニュースはそうですが、番組にいたしましても、全国放送する数が随分とふえてまいりまして、特に最近言っておりますのは、地域の情報を世界にと、先ほど国際放送のお話がございました、例えば平城遷都千三百年ですか、これは日本だけじゃなくて、奈良の情報ですけれども、世界に国際放送でしたらいいんじゃないかというふうなことも言っております。一つの例ですが、そういった取り組みもございます。

 ということで取り組んでおりまして、これから先も地域の放送局が地域の拠点となると同時に、放送を通じて地域のお役立ちになるということを取り進めていきたいと思っております。

 以上です。

橘(慶)委員 ありがとうございます。地域のことを日本に、世界へと発信していただける、そういうことも大事な放送の役割かと思います。

 その中では、大河ドラマとか連続テレビ小説の舞台になった地域については、大変全国的に認知度が向上して、地域の元気や観光振興にも大いに効果が上がっているケースが多いかと思います。原口大臣のお言葉をかりれば創富力ということになるのかと思いますが、近くは、私の先輩の赤澤先生のところが「だんだん」というので随分評判になっておったと思いますけれども、私どもの地域も、将来は、北陸新幹線のできるころには木曽義仲と巴御前をやってほしいなとか、そんな話もあるんですが、そのことのお答えは結構でございますので、そういった意味で、各地域に大河ドラマとか連続テレビ小説といったものでどのようにNHKとしてかかわっていかれる方針であるかということについてお答えいただきたいと思います。

福地参考人 木曽義仲のお話は頭にこびりついております、銘記いたしております。

 NHKのドラマが地域の活性化に役立つということは、いろいろと各地からお声が寄せられております。一昨年の「篤姫」、昨年の「天地人」もそうでございまして、観光客が大変多く来られるようになったと。ことしの「龍馬伝」についても、早くもそういったお声を聞いております。それから、朝ドラについては全国を一巡いたしまして、朝ドラについても同じようなお声を聞いております。先般の埼玉県の川越の紹介もそうでございます。こういったものをNHKとしてはこれからも有効に使っていきたい。

 今後は、本年度は衛星放送でも地域ドラマを充実する方向で放送総局の中で企画をいたしております。視聴者の皆様にも満足していただけるドラマづくりを進めていきたいと思っております。

 以上です。

橘(慶)委員 それでは、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 実は、二〇〇八年から、NHKさんでは早朝に「日めくり万葉集」という番組を放映されておるわけであります。これは万葉集愛好家の支持が非常に高く、テキストでは私の出身の高岡のイベントも含めていろいろ万葉ゆかりの地を紹介をいただいているところであります。

 先ほどちょっと会長さんもお触れになったんですが、ことしは奈良の平城京の遷都千三百年にも当たるということで、この「日めくり万葉集」はこれからどんな展開を予定されているのか、ちょっと教えていただいたら、歌でお返ししたいなと思います。

日向参考人 ごらんいただきましてありがとうございます。

 「日めくり万葉集」は、ことしは平城遷都千三百年ということで、来年度は新たに二百四十本を制作する予定でおります。その中には、当然、平城京の様子やそういうものを重点的に特集するようなものも考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。うまく時間におさまりましたね。

 きょう詠ませていただくのは、実はきょうの朝放送された「日めくり万葉集」で、巻十九、四千二百九十番、私の大好きな大伴家持卿の歌がたまたま取り上げられておりましたので、これを朗誦させていただきたいと思います。ちょうど夕方にぴったりの歌で、春の野に、かすみたなびきうら悲し、この夕影にウグイス鳴くも。

  春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影にうぐひす鳴くも

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 文化の薫りの高い橘先生の後でやりづらいところでございますけれども、十人目となりました。質問がダブらないようにさせていただきたいと思います。時間が限られておりますので、簡潔に答弁を願えればありがたいと思います。

 最初に、NHKの受信料についてです。

 受信料について、先ほどのやりとりの中で、原口大臣は、サービスの対価ではなくみんなで支えていくものだというふうにおっしゃられました。それは、そのとおりだと思います。

 ただ、受信料は、個々の家庭だけではありません。旅館、ホテルでも払わなければなりません。従来は、旅館、ホテルはテレビごとに皆同じように取るというのが原則でありました。しかし、それは余りにも酷じゃないかということで、我々も政権のときにそれを検討させていただきまして、とりあえず昨年の二月から二台目以降は半額ということで決定いたしました。しかし、これでも、私の選挙区でもそうですけれども、旅館、ホテルの皆さんは大変なんです。二台目以降は半額といっても、私は城崎温泉が選挙区でございますけれども、大きなホテルでは受信料を年間百万近く払っている。それは、お客さんが来る来ないにかかわらずなんです。そして、景気はこういうぐあいですから、それを何とかしてほしい。

 イギリスのBBCはどうやっているか。こういう大口の場合、十五台までは一台カウント、五台ごとに追加をもらうというやり方です。では、それを計算すると、例えば十五台の場合、BBCですと三万一千七百円、我が国のNHKの場合は幾らか、二十万四千百六十円。これだけの差があるんです。

 今すぐにとは申しません。三カ年の経営計画の後に受信料の還元ということを言っておられる。観光の振興、全国各地域の観光業界は、これから伸びる分野ですけれども、今大変なんです。会長、ぜひ検討をお願いしたいと思いますが、答弁をお願いします。

福地参考人 先ほどからお話に出ております受信料につきまして、まずは公平負担という大きい問題が一つあります。それから、NHKの母体を支えていく収納総額の問題があります。そういった中で今のこの取りまとめの問題が出てきたわけでございますが、まだいろいろな問題があろうかと思います。今後の受信料体系の中で、いろいろな検討をしていく課題の一つであろうというふうに考えております。

 以上です。

谷委員 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。

 公平負担というのは、各家庭で見ている方から同じようにいただく、これは公平です。しかし、旅館ですよ。週末しか、しかも、部屋が満杯になるのもなかなか厳しい状況で、昨年の二月から二台目以降は半額になりましたよ、それが本当の公平かということです。

 会長は企業の経験もおありですから、本当の公平ということを、機械的じゃなくて、現実を見ていただいて、また、これからどの分野で日本の地域の経済を活性化するか、そういう大きな観点でもぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。

 二点目の質問に移ります。ラジオの問題です。

 実は前から言われていることなんですけれども、西日本の、私は選挙区は兵庫県です、南の三田から丹波篠山、日本海全部、いわゆる但馬地方が選挙区で、兵庫県の面積の四割です、一人で。それで、特に北の方、但馬の方は、大変NHKのAMの受信が悪いんです。NHKよりも北朝鮮の放送の方がはるかによく入るんです、本当に、冗談ではなくて。例えば、私などは週末ごとに帰ってずっと選挙区を移動していても、なかなかAMラジオが入らないんです。

 それで、平成十六年、台風二十三号という、大きな台風が選挙区に大変な被害をもたらしました。小泉総理にも来ていただいたほどの被害です。そのときもなかなかラジオが入らないということで、困った方も少なからずいたように思います。停電になれば、テレビは当てにならないんです。ラジオしかない。また、どこかに避難するにもテレビを持っていくわけにいかないですから、情報はラジオしかないんです。

 そういう意味で、どういう地域が不感地域かというのを、実は事前にNHKの方に資料をいただきました。全国で十五カ所あるというんです。この調査は、私の感覚からいうと、全く不徹底です、全然こんなことはありません。私の選挙区では兵庫県の新温泉町だけとなっているが、そんなことは全然ないですよ。

 ですから、お願いしたいのは、まずきっちりした調査をしてくださいということです。幸い、例えばNHKであれば、地域スタッフの方でも五千人いる。また、長谷川政務官がおられますけれども、全国の郵便局に、あなたのところはAMが入りますかと調査をすれば、二万四千六百はすぐわかるんです。そういうことを、いざという災害に備えるためにも、できる限り早く調査をやっていただきたいと思いますが、会長のお考えをお伺いしたいと思います。できれば会長にお願いしたいと思います。

福地参考人 お説のとおり、私はNHKの現場力ということについては、現場の調査力ですが、自負をしております。しかし、今度のアナログの問題、それからラジオの難聴問題につきましては、やはり点でお説のような地区があることと思います。さらなる調査を徹底していきたい。

 ただ、御指摘のございました地域スタッフは、今減少の方に回しておりまして、また別の角度で調査をしないといけないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

谷委員 地域スタッフは減少というのは承知しています。ただ、例えばいるということで、別にそのやり方についてはお任せしますけれども、そんなにお金がかかったり手間がかかったりすることはないのではないかと思います。今政務官が座っておられるので、例えば郵便局の協力を得ても、正確な状況がよくわかると思いますよ。

 それは、私の兵庫だけではなくて、隣の京都もそうだと思います。割と西日本の日本海側、朝鮮半島に近いところが多いというふうに言われています。障害物がないですから、海ですから、AMのあれはよく入るんです、特に夜中に。NHKよりもはるかによく入る。NHKは大変聞きづらいという、笑っておられる方もいますけれども、何かあると本当に笑い事じゃないんです。

 その点、まず調査をしていただくのが第一歩です。それから、その対策を、総務大臣がおられますけれども、総務省で十分詰めていただいて、ぜひお願いしたいと思いますが、大臣、御見解をお願いします。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 国民が情報に接することができる、あるいは情報をしっかりと受け取ることができることはとても大事な権利である。特に、今委員がおっしゃったように、防災上のラジオの重要性というのは、これはもう言葉を尽くす必要がないぐらい皆さん大事だと感じておられるわけで、私たちも総務省の中で何らかのNHKに対するサポートができないか考えてみたいと思います。

谷委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。二つ注文をいたしました。

 次は、NHKが頑張っておられるということを御紹介し、ぜひこれからも今のスタンスでいっていただきたいというお話をさせていただきたいと思います。アナウンサーの話す速度です。

 先ほど大臣も言われていましたけれども、話す速度が昔と比べて全体的にだんだん速くなってきていると思います。特に民放のニュースは速い。特にお年寄りの方から、ニュースが聞き取れないというんです、民放の方は。速くて何を言っているかわからない、横文字も多いと。その点、NHKはゆっくりと、わかりやすい速度で話をしているということを聞いたことがあります。アナウンサーがニュースとか情報の語り手として、今と同様に内容がしっかり伝わるような、滑舌というんですか、口や舌の動きとか、あるいは間をとる大切さとか、そういうことをぜひ守っていただきたいというお願いでございます。

 激励と要望でございますが、会長、コメントがあればお願いします。

福地参考人 NHKの技術開発の中の一つで、話速変換システムというのがあるそうです。御指摘のように、高齢化社会が進んでくると、耳が、私も、自分のしゃべる言葉は早いんですが、人様の早口が聞こえにくくなってきました。これは後で技師長に補足をしてもらいますが、アナウンサーの話す言葉を一五%ゆっくりにすると聞きやすくなるということだそうです。

 今、アナウンサー自体もいいんだというふうにお聞きをしましたけれども、アナウンサーの言葉の一五%といいますと、六十秒でしゃべるところが六十九秒になると聞きやすいそうなんです。では、九秒はみ出したものはどうなるんだ、放送時間が足らないじゃないかと聞きましたら、それは、人間の話す言葉に、ええ、あのうとか、息継ぎとか、余分な言葉がございますが、話速変換システムには余分な言葉がないのでおさまるんだというふうなことを聞いております。NHKの技術の中でも、そういった人に優しい技術ということもこれから大きな課題だというふうに心得ております。御指摘のとおりだと思います。

永井参考人 この研究はもう既に二十年近くやっているもので、既に商品になっております。先ほど言ったように、おくれないでゆっくりするというのがみそでありまして、人間の聞きたいところを少しゆっくりやって、はしょっていいところははしょるという方式でありますけれども、高齢者の皆さんにも大変好評で聞かれているということで、御利用いただければと思います。

谷委員 ありがとうございます。

 それでは、経営の問題に移ります。

 NHKの繰越金、今出ている財政安定のための繰越金が、二十一年度末見込みが一千百二十三億円、二十二年度末が一千三億円とあります。では、この十年間、この繰越金、剰余金はどういうふうに推移をしてきたのか、NHKに資料をいただきました。

 平成十年から十四年度までは大体五百億余りで、その後、十五年度末から三年ほど三百億台に落ちている。いろいろなこともございましたから、なかなか苦しい状況ではなかったかと思います。それが十八年度末で五百五十七億に回復し、十九年度末は九百二十四億円、二十年度末は一千百六十六億と、一千億を超えた。

 このことは経営として大変好ましいことですし、私が知る限り、昨年なりおととしの予算案の審議のときの繰越金残高を二百億ほど超えていると思います。そういう意味で、NHKの方は、収入面でも支出面でも、いろいろな取り組みで頑張った成果がここにあらわれてきていると思います。

 そこで、会長、こういうことであれば、三カ年計画の後に、国民に約束された平成二十四年度から一〇%還元というのは、おおむねめどが立ったのではないか。過去の経営を自分なりに分析し、繰越金の推移をずっと見、そしてバランスシートを見、やや見づらい資料でわかりづらかったんですけれども、そういう財務構造になっているのではないかと私自身は判断しています、一〇%還元できるだけの財務体質が整ってきたと。

 会長、どうでしょうか。

福地参考人 三カ年計画終了後に一〇%の受信料値下げをするという体制については、まずはこの三カ年計画をやり遂げた上でのことでありまして、現在ではまだそのめどは立っているわけじゃございません。

 ただ、御指摘のように、比較的大きな繰越金、剰余金がございますが、私は、受信料の値下げというのはエンドレスの問題でありますので、これはストックじゃなくてフローの中から、要するに一〇%といいますと約六百五十億になりますので、年間六百五十億を支出しても本体の放送の制作に支障を来さないというめどがやはり大事だと思っております。

 したがって、ストックの繰越金につきましては、むしろ一時的な支出に。例えば、今、渋谷のセンターを建てかえますと二千億近くかかります。あれをつくったときで千五、六百か七、八百かかっております。中に入りますと潜水艦の中みたいで、ここで直下型地震があったらどうなるんだろうというふうな建物でございます。そういったものでありますとか、今、フルデジタル化のために各地域の放送局の建てかえを、もうかなり古くて耐用年数が過ぎたものもありますが、建てかえを保留しているものもあります。そういったものを一つやりますと約四、五十億かかります。直下型地震がありますと、数百億減収になったり、かかってくる。そういった不時の支出に、おかげさまで、おかげさまというのはおかしいんですが、不祥事があって、その一年間に四百億も減収になっても支えられたのは、やはりその前の剰余金があったから支えられた。そういうふうな不時の支出に備えていきたい、そういうふうに考えております。

 以上です。

谷委員 会長もはっきりとは明言されませんでしたが、ただ、国民の皆さんに、三カ年の計画を着実に実行して二十四年度から一〇%を視聴者の皆さんに還元できる収支構造を構築しますということを明言されているという事実は、これは重たいですよ。

 よほどのことがないと、これは崩してはいけないと思います。よほどのことは、それは直下型大地震は含むと思います。ただ、建てかえとか、それは理由にならないと思います。そういうことは前からわかっている。どこの企業だって大変なんです。ですから、これは必ずやるんだという強い意思でもってやっていただくように最後にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 本日は、NHKの平成二十二年度予算についての審議ということで、初めに会長の方に御質問申し上げたいと思います。

 実は、先日、NHKで放送記念日特集「激動のマスメディア テレビ・新聞の未来を徹底生討論!」、こういう番組を拝見いたしました。

 ネットの急激な普及によりまして、既存のマスメディアが大変厳しい状況に置かれている、こういうことがひしひしと伝わってくる内容でございました。特にリーマン・ショック後の景気低迷は、広告収入の大幅な減少をもたらして、これがマスメディアの死活問題となっている、こういうことでございます。一方、これも先ほどちょっとお話がありましたけれども、若年層だけではなくて、新聞離れ、それからテレビ離れが一層進んできている。こんなことで、番組では、マスメディアがいかにネットの利用を進めるかが大きな課題として指摘をされていたわけでございます。

 一方、NHKは、平成二十一年度から既に始まっております三年計画、NHK経営計画でございますが、これは通信分野に関しては、一つはオンデマンド事業、その次に、先ほどもおっしゃっておられましたスリースクリーンズ、それから三つ目が技術開発、こういうことで挙げられておりますが、新時代にどういうふうに本格的に対応しているのかということがもう一つ見えないのではないか、もっと力を入れるべき分野ではないかというふうに実は思っているわけでございます。

 先ほども申し上げましたように、メディアを取り巻く環境が激変していると言ってもいいと思います。そんな中で、どのような経営戦略をお立てになっているのか、NHKは今後どんな方向に進んでいこうとしているのかということについて、会長の御見解をお願い申し上げます。

福地参考人 NHKだけではございませんが、NHKも、視聴者目線ということを常々言っております。視聴者の放送に対するニーズは極めて多様化、高度化が進んでおります。その一つが、多様化の中でメディアへの接触のあり方が変わってきた、今御指摘のとおりでございます。

 こうした状況を踏まえまして、NHKでも、多様なメディアで、いつでも、どこでも、もっと身近にNHKに接していただこうということでスタートいたしましたのがスリースクリーンズでございます。テレビだけでなくて、PCであったりワンセグであったりで接していただこう。その接していただくときに、単なる媒体としてだけじゃなくて、それに一番好ましい形が必要だろう。必要でありましたら、またこれも技師長に補足をしてもらいます。

 例えば、災害報道というのは公共放送としてのNHKにとって極めて大事なことですが、家でテレビを見るときに災害があるとは限らないです。町を歩いているときに限ると、町を歩くときにテレビを持って歩くわけじゃございません、やはり携帯を持って歩いている。携帯を切っていたらどうなるんだろう、携帯を切っていても携帯を起こせないか、それがやはり本当の携帯の価値だろう。今そういう研究が進んでいるようですが、携帯を持っていても、今切っておりますが、災害があればぱっとこれがオンになる、災害報道になるというふうな工夫もするのが携帯の本来の意味だろう。

 いろいろな面で、このスリースクリーンズ、それぞれの特徴を生かしたものを開発するような方向で取り進めております。

 それから、もう一つはNHKオンデマンドでございます。これは、私が会長に就任しまして間もなく、川口のアーカイブスセンターに行きまして、ニュース、番組を含めまして五百万アイテムぐらいの映像がございます。これはNHKの財産じゃなくて国家国民の財産だ、これを有効に活用しよう。もっとも、権利処理の問題で、とてもそれは今できないんですが、見逃した番組と同時に、こういった価値のあるアーカイブスを活用していく。これもPCで活用していくわけですけれども、こういったものも新しい取り組みだろうと思います。

 それから、技師長から申し上げましたスーパーハイビジョンでありますとかこういったものも、今、実験段階ではかなり進んでまいりまして、例えば、今度、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場がNHKの開発しているスーパーハイビジョンをぜひ活用したい、メトロポリタンと同じ間口の劇場をどこでもつくる、そうすると、その大きさの劇場中継がリアルタイムでできるんだ。いろいろな面の期待が持たれております。医学の面でも、例えばこのスーパーハイビジョンに対する期待が持たれている。それから、立体テレビについてもそうです、眼鏡をかけないで見える立体テレビでありますとか。

 そういった本格的なデジタル時代においても、NHKが放送法に定められました業務範囲の中で、民間企業と併存しながら、そういった取り組みを進めていきたい、かように思っております。

西委員 ありがとうございます。

 ハイビジョンの当時、また、今の日本の新しいデジタルの方式、世界に広まろうとしている方式と、やはり日本が技術的に世界に先駆けて、特にNHKさんが頑張ってこられた。そういう時代を拝見しますと、もう一度そういう先端的な技術開発だとかまた方式だとか、これぞNHKというものを、ぜひとも戦略的に開発をしていっていただきたい、このことをお願いいたします。

 次に、大臣にお伺いいたします。

 メディアをめぐる技術革新の中で、今、まさに、放送・通信制度の対応を誤ると大きくおくれをとっていくという時代ではないかというふうに私は思っております。そういう中で、NHKは、放送番組等をブロードバンド等の電気通信回線を通じて一般の利用に供する業務、いわゆる放送法九条二項二号の業務の実施に当たっては、総務大臣の認可を受けて定める基準、インターネット実施基準でございますが、これに従って行うということになっております。

 このことは、NHKはインターネットの利用について制約を受けているということを意味するのではないかと私自身は解釈しておりますが、このような状況を総務大臣がどう見ているのかということをまずお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 西委員にお答えいたします。

 NHKがインターネットを介して放送番組を提供することができるように放送法の規定が改定されたのは、平成十九年でございました。

 インターネットの利用が広く国民の間に広がっている。私は光の道構想というのを出して、ICT維新ビジョンというものを提示させていただいていますが、ただ、NHKは公共放送を本来業務とする特別な法人でございまして、その維持運営のために国民に広く受信料を負担していただいているところでございます。したがって、NHKの業務について受信料で国民全体が負担することが、その業務は適当なのか、あるいは民業を圧迫するものではないか等の観点から、一定の制約を受けるということは合理性があるものだというふうに思います。

 一方で、西委員が御指摘のように、これは日進月歩ですから、いささかもおくれてはならない。私たちは、NHKさんや民放連、今、今井理事さんがいらっしゃいますけれども、大臣就任後、すぐリマへ行きまして、ISDB―T方式、日本方式を今、世界に一緒に広げようとしているわけです。

 大事なことは、政治そのものが、世界の最先端、私たちは世界最高速で大容量のブロードバンドネットワークを持っているわけでございまして、これにおくれをとらない先見性を持つということが大事だ、このように考えております。

西委員 これも大臣にお聞きしたいと思うのですが、NHKの将来像についてのことでございます。

 日本放送協会は、放送法に根拠規定が定められております。これからのNHKは、公共放送から公共メディアへと、放送の枠を超えた存在になっていくべきではないか、みんなが支えるという意味の大きな枠として、やはりそういうことも必要ではないか、こう思っておりまして、その意味では、放送法に根拠を置くNHKに関する規定のあり方というのはもう時代にそぐわないのではないかというふうに考えております。

 NHKの将来像について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 つまり、NHKは、一方で放送、報道、表現の自由の、まさに言論のとりでとしての役割を果たしてきました。自主自律と、国民の皆さんが受信料を負担していただく、そのおかげで、どこかのスポンサーに左右されることなく、あるいはそこに気兼ねすることなく自由な表現をすることができました。そして、放送というものがそれの媒体であった。

 ところが、今、西委員がおっしゃるように、放送と通信が限りなく垣根が低くなってくると、NHKのあり方そのものも変わってくるだろうというふうに思います。それは何かというと、今おっしゃったような総合メディアの創造の中心であり、あるいは技術革新の中心であり、国民が知る権利を保障される、その権利の保障の中心部分を担うということでございます。

 ですから、今回六十年ぶりに通信と放送の、ある意味、融合という言葉をどう使うか、ちょっとここは慎重にしなきゃいけませんが、融合法制を出させていただいているのもそういう意味でございまして、私も、まさにNHKはイノベーションの中心であり、そして創造や報道の中心、その観点から、例えばIPTVなんというのが出てくると、即、二次利用、三次利用して国民がそれを享受することができる、新しい時代の先駆けとなるものだ、このように考えております。

西委員 全く同じ考えでございまして、これからの、本当に急速に進展する放送と通信の大臣がおっしゃられた融合といいますか、そういう観点からしても、私は、ぜひともこのことにNHKが積極的に関与できる、国民の期待にこたえられる体制をつくっていく必要があるのではないか、こういう思いを持っております。また大臣の方で、そのことについてもしっかり推進をお願いしたい、こう思っております。

 次に、津波情報のことについてお伺いしたいと思います。

 チリの地震に関してですが、その後、気象庁の方でもお話がありましたし、いろいろなところであの地震情報についての論評がありました。その中に、中井防災担当大臣が三月二日の閣議後の記者会見で、気象庁の出す津波に関する警報についてこのようにおっしゃっております。大津波警報と津波警報の間にもう一ランク設けることができないかとか、新たな対策を考えていきたい、こういうふうに述べられたとお聞きしました。

 これは、今回のことを契機にして、やはり速報性、それから、NHKも本当に長時間にわたっていろいろな情報をあのときに流していただいたのですが、残念ながら、規模等において十分に反映できなかった面もありまして、さまざまな技術的な側面。それから、それを放送する側の課題、さらにそれを受けた住民のサイドの課題、さまざまあるのですが、放送をしていただく、情報提供の側面についての課題をNHKの方ではどう見ておられるのかということについてお答えをいただきたいと思います。

日向参考人 お答えします。

 今回のチリの地震につきましては、気象警報を大津波警報から注意報まで、約一日以上にわたって放送いたしました。

 今回も、実は地震の後、東北地方で調査を行いましたけれども、やはりテレビに対する期待が非常に高いということを調査でも改めて認識しましたので、NHKとしては、災害対策基本法に基づいて、きちっと迅速に情報を伝えるということと、今回のチリの地震のときもそうでしたけれども、津波というのは非常にわからない部分が多い。例えば、第一波がもし大きくなくても、第二波、もしかしたら第三波というふうに、逆に大きな津波が出てくる可能性も非常に高いので、そういう減災に資するような情報を、今回も随分繰り返して放送いたしましたけれども、そこがやはり一番大きな役割だと思いますし、その辺については、これからもきちっと取り組んでいきたいというふうに思います。

 それから、一つ、日本列島の地図をずっと出しっ放しにしておりました。これについてはいろいろな御意見もございましたので、もっとわかりやすく、しかも気にならないというのは変ですけれども、わかりやすいような表示の仕方ということについてはこれからも研究をしていきたいというふうに思っております。

西委員 最後におっしゃられた地図の問題ですが、私も、若干気になるなと思いながら見ておりました。ただ、いつつけても状況がわかるという意味では、それはプラスになったのかもしれません。またいろいろ調査をお願いしたいと思います。

 地デジの対応について、大臣にお答えいただきたいと思います。

 総務省が平成二十一年度から実施している受信障害対策共聴施設のデジタル化改修等に対する助成金の制度です。今回拡充されました。いよいよ最後の一年というところまでやってまいりましたが、その助成制度の申請期限については、予算の範囲内で実施するため、予算の上限に達した時点で申請受け付けを終了する、こういうふうな仕組みになっているわけでございます。足りない場合は、予備費または補正予算などでぜひ対応していただきたい。

 また、このままでは来年七月以降も、こうした助成がしばらくは必要であるかというふうに思われます。二〇一一年七月以降も引き続き助成を続けるお考えがあるのかどうかについても、あわせてお伺いをしたいと思います。

長谷川大臣政務官 若干実務的な部分もありますので、私から答弁させていただきます。

 御指摘のとおり、受信障害対策共聴施設のデジタル化の改修につきましての助成金制度でございますが、今一生懸命やっている最中でございまして、基本的には改修の経費の二分の一を助成、新規については三分の二を助成ということでやっておりまして、委員御指摘のとおり、二月からはこれまた拡充をさせていただいております。

 二十二年度の予算で五十七億一千万円を用意いたしましたので、私どもは十分だと思っておりますが、御指摘のように、仮に予算が足りなくなったというようなことが生じた場合には、それはそれなりの大きな事情の変更があろうというふうに思いますので、その場合には必要な追加措置を検討させていただきたいと思っております。

西委員 来年デジタル化が実現した後も、引き続き、ある程度は予備的にはお願いできるというふうに理解してよろしいでしょうか。

原口国務大臣 西委員がおっしゃったように、私たちは、このデジタル化は国の政策でやるわけでございますから、やはりしっかりとした責任のある体制を、二〇一一年七月二十四日以降もしっかりととれるように検討してまいりたい、このように考えております。

西委員 最後に、地上デジタル化の完全実施、いよいよ来年でございますが、現場ではさまざまな対応が要求されておりまして、お聞きすると、なかなか複雑に入り組んでいる問題がたくさんあります。

 例えば、私がお聞きしたのは、マンションの施工会社や管理会社が倒産しちゃって、マンション建設当時の電波障害の事前調査がなくて、現在、近所の何世帯を補償しているかわからない、こんなケースがあります。管理組合が役所で情報公開を請求して、ようやく入手いたしました。あるケーブル会社と二十年分の前払い契約を前の管理会社が行っていた、ここまではわかったんですが、契約しているのはだれなのか、地デジに関してはどのような扱いになっているかわからない。だれと契約しているのかというのは個人情報との関係で教えてくれない。こんなことで困っているケースがある、こういうふうにおっしゃっております。二十年の契約が切れたときに、各自が管理組合に言ってくるまでは、どこが契約しているのかわからないというようなことが問題になっているというふうに言っております。

 時間が来ましたので、もう一点、簡単なことだけです。今、自治体で光ファイバーの敷設が着実に進んでおりますが、もともと共聴でずっと皆さん運営をしていたんですが、ケーブルが敷設されるにつれて、それに乗りかえている人たちが結構たくさんいる。そういうことで、結果的には、残った人たちが同じ共聴システムを立ち上げるのが大変苦しくなってきているというようなことがあったり、この間にいろいろな、それぞれの事情があって解決が難しいというふうなことが私のところに寄せられております。

 個々についてのお答えをしていただく時間はございませんが、ぜひとも、しっかりと個々の問題について取り組んでいただけますように心よりお願い申し上げまして、時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本題に入ります前に、一言、私の方から意見として申し述べさせていただきたいと思います。

 平成十六年、十七年、相次いだNHKの不正経理また不祥事、国民の皆さんからも大変な御批判がございました。そうした中で、現在、福地会長のもとで、NHKの職員の皆さんまた役員の皆さんがさまざまな経営努力、またコンプライアンス向上に御努力いただいていると思います。そうしたことが今、NHKに対する国民の皆さんの信頼回復になってきている、私はこのように思っております。その上で、このことにつきましては、ぜひ今後も不断の御努力をいただきたい、このことをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、順次質問に入らせていただきますが、私からは大要二点、いわゆる受信料収入に関する課題と、もう一つはオンデマンドについて伺っていきたいと思います。

 まず、受信料の収入に関する課題につきまして、先ほど来各委員からも同様の質問がありましたが、私の方からも改めて伺いたいと思います。

 それは、経営計画の中における一〇%還元のことでございまして、この一〇%還元を本当に実現が可能なのかどうか。あわせて、これも先ほど来さまざまな御質問がありましたけれども、その還元の考え方について、ここはぜひ私に対しても会長の方から御答弁いただきたいと思います。

福地参考人 経営計画では、受信料の増収を図りまして、それを視聴者の皆様に還元する、そういったことを目指しております。

 現状では、景気低迷による生活保護世帯の急激な増加で、受信料免除世帯が増加している。そういったことから、受信料収入が二十一年度では四十五億円、二十二年度では九十億円、それぞれ計画対比で下回る見込みであります。このために、私どもといたしましては、契約活動それから収納活動を強化するとともに、視聴者の皆様に公共放送の役割あるいは受信料制度の理解を深めていただく施策に、今組織を挙げて取り組んでおります。

 現在は経営計画の初年度が終わりつつある段階でございますので、経営計画の達成を目指して、残り二年、引き続き受信料の支払い率の向上と収入の確保に全力を尽くしてまいります。その上での一〇%還元でございまして、現在の段階で一〇%還元を見直すかどうかということについては、まだ時期尚早だと考えております。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 そこで、今度は、受信料の支払い率向上に対する取り組みについて、少し具体的にお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、受信料の支払い率はNHKが目指す最も重要な指標の一つ、このように認識をしております。NHKでは、受信契約率推計方法等検討委員会を設置しまして、統計、調査に関する外部専門家の知見を得て検証を行う、それで半年間にわたる検討を経て、受信契約率の推計方法等についてという報告書が昨年の六月に取りまとめられたというふうに承知をしております。

 そこでお伺いをさせていただきますが、まず、本報告書を踏まえて、今後の推計方法のさらなる精度向上に向けた取り組みの方針についてお伺いをしたいと思います。

 あわせて、受信料の公平負担の観点からは、報告書でも示されておりますけれども、地域別の受信料契約率の公表が必要ではないか、このように考えますが、この点についてお示しをいただきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 受信料の支払い率の向上に向けた取り組みについてでありますけれども、三カ年の初年度に当たる二十一年度は、契約収納活動の強化により、年間支払い率は七二・二%という目標を掲げておりましたけれども、目標達成ができるという状況であります。

 二十二年度においても、訪問集金廃止後の新たな契約収納体制をさらに定着させる、それから民事手続による支払い督促の実施を全国展開する、あるいは郵便局からの文書による請求の強化、あるいは事業所割引の活用による対策を強化するなど、目標については七三・四%、確実に達成できるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 今、もう一点お伺いしました。いわゆる地域別の受信料契約率の公表の必要性についても、御答弁をあわせていただきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 支払い率については、さまざまな統計をしながら全国で集計をしております。地域別に集計するということは、単身率であるとか、あるいは世帯構成であるとか、免除世帯の構成であるとかというのが推計できないために、地域別に支払い率を設定して数値にすることは難しいというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 支払い率の向上についての具体的な数値もお示しをいただきまして、それはそれで理解ができるんですけれども、もう一点、今重ねての質問の中でお伺いいたしました、いわゆる地域別の受信料契約率の公表について、今の御答弁ではなかなか難しいというお話がありました。そのことにつきましても、ある一定程度の理解はできるんですけれども、しかし、実際に受信料がどの程度公平に負担をされているのかどうかということは、国民の皆さんのやはり知りたいところでございますし、これは、今御答弁いただきませんけれども、今後ひとつ検討いただければなということを申し述べさせていただきたいと思います。

 次に移ります。

 契約収納関係の経費につきましてですけれども、平成二十年十月から訪問集金を廃止して、新たな収納体制のさらなる定着と強化、それから多様な活動による契約、未収対策の強化を図る一方で、地域スタッフを削減、並びに効果的で効率的な外部委託の促進ということでいわゆる営業経費率の縮減を図る、このようにしております。

 そこでお伺いしたいんですけれども、この訪問集金の廃止に伴う新たな地域スタッフ体制への移行によって、受信契約の増加、未収対策にどのような効果が出ているのか、それから地域スタッフの削減状況についてもあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 訪問集金廃止後の効果ということでありますけれども、従来、訪問集金に要していたパワーを、未契約、未収者の対策に重点的にパワーシフトするために訪問集金を廃止しました。その結果、地域スタッフの取り次ぎは前年度比で一一〇%、支払い再開についても前年度比で一四六%ということで一定の効果を上げております。

 地域スタッフについては、従来、訪問集金に要していた二千四百人のうち半数の千二百人を段階的に削減を図ってきた、残り千二百人を契約開発あるいは未収対策などの対策強化に振り向けていきます。地域スタッフは、十九年度は五千六百人でありましたが、現段階では、二十二年度は四千七百人になるというふうに見込んでおります。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。実際に効果を上げているという御答弁をいただきました。

 ところで、もう一方では、お年寄りなどから集金の人が来なくなると寂しいとか、それから、支払いは現金でするものじゃないですか、こういう声も聞こえてきております。郵便局やコンビニ納付も、体の御不自由な方々あるいは高齢者でひとり暮らしの方には大変だ。そういった現場での課題にどのように対応されようとしているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 訪問集金廃止後も、重度の障害により、金融機関やコンビニエンスストアまで自身で振り込みに行くことができない、振り込み用紙によるお支払いが困難だという方に関しては、特例措置として、定期的に訪問集金を行うなどのふれあい収納を行っております。

 地方自治体におけるごみの個別収集や公共料金における料金収納についても同様の対応を実施しており、NHKとしても、社会福祉の見地から必要な取り組みであるというふうに考えております。

稲津委員 ふれあい収納ですか。人に優しいNHKとして、それらの取り組みも推進をぜひ図っていただきたい、このようにお話をさせていただきます。

 それで、時間の関係上、準備をしておりました質問を少し省略いたしまして伺いたいと思うんですけれども、次は、営業システムに関する課題について、一点だけお伺いをさせていただきたいと思います。

 二〇〇一年から二年度にかけて、次世代営業システム、抜本的に刷新した、営業全体を幅広くサポートする大規模システム、EGGSができましたけれども、この開発目的は何なのか、この点について簡潔にお答えいただきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、膨大な受信契約に関するデータを効率的に管理するということで、平成十五年度より、営業全般の基幹システムとして、従来のシステムの機能を大幅に向上させた、先ほど申し上げました通称EGGSというのを本格運用しております。

 これは、先端技術を導入して、顧客管理システム、携帯端末システム、コールセンターシステムを一元化させて、お客様の満足度の向上を図ってまいりたい。それから、営業活動の効率的な活動を展開してまいりたい。それから、システムの経費の削減等を図るために開発したものであります。携帯端末と同様に、NHKの契約収納業務においても必要不可欠なツールだというふうに考えております。

稲津委員 業務の効率化に大きく貢献をしているということはわかりました。この点について、一点だけ申し述べさせていただきたいと思います。

 既に御承知おきだと思いますけれども、二〇〇七年の三月から二〇〇八年の四月の間に、口座振替と継続振り込みの前払いを利用している視聴者への請求金額が一部誤っていたということが発覚しました。誤請求が百八件、そのうち五十六件で、合計二十三万八千五百五円の金額を余計に受け取っていたということもわかりました。

 こういうことが一度起きると、我が家も払い過ぎているんじゃないだろうかとか、そういう懸念も出てくるわけでございます。したがいまして、時間がありませんのであえて質問しませんけれども、いわゆる再発防止、管理運用に一層注意を払っていただきたい、このことを申し述べさせていただきたいと思います。

 それで、もう一点、次はNHKオンデマンドに関する課題につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 オンデマンドが始まって一年三カ月が過ぎました。この間、関係者の方々、大変な御苦労をなさってこられたというふうに思っております。また、多くの方々からの期待の声もある、このように承知をしております。

 会員数は、現在、二〇〇九年の十二月ですけれども、三十万人ということで大変ふえている。ただ、会員登録だけでしたら無料なんですけれども、これで収入が決してふえるわけではない。ですから、むしろ、会員をふやすことはもちろんですけれども、あわせてサービスの購入率を上げる取り組みがぜひとも必要なわけでございます。この収入向上に向けた取り組みについてどのように考えているのか、まずお伺いしたいと思います。

日向参考人 御指摘のとおりで、購入率をどうやって上げるかというのが最大の課題だというふうに認識しております。今、五%程度なんですけれども、それをできるだけ一〇%近い水準に上げたいというふうに思っています。

 そのために、御承知のように、インターネットの今の環境ですと、どうしても無料のサービスが当然という考え方がまだ根強くありますので、そこの中で御理解をいただくという努力を重ねていこうというふうに思っているんですけれども、この二月に、見逃し見放題パックという、一カ月間、見逃しサービスを自由にごらんいただけるというパック料金の設定がございますが、これを千四百七十円から九百四十五円に値下げをいたしました。おかげさまで購入者数は大幅に増加いたしまして、二月の新規契約数は約五千件ふえました。通常の月の六倍程度ということで、こういう値下げをすることによって、単品で購入すると三本分で、一カ月間自由にごらんいただけるというようなことが御理解をいただけているのかなというふうに思います。

 それから、PC向けでいいますと、今まで、ある特定のPCについてはごらんいただけないという物理的な問題がございましたけれども、四月からはすべてのPCでごらんいただけるようになります。

 それから、見逃しの番組については、特に週末にごらんになる方が多いので、今まで十日間だったんですけれども、権利者団体の御理解をいただきまして、二週間に四月から延長いたします。週末に二回、見たい番組をごらんいただくチャンスができるということで、これも、皆さんにごらんいただける一つの大きなきっかけになるのではないかというふうに思っております。

 そのほか、権利者団体との話し合いも今進んでおりまして、いろいろ御理解をいただいておりますので、それに沿って、さまざまなサービスをこれから展開していきたいというふうに思っております。

稲津委員 今、かなりよくなってきているというお話をいただきましたけれども、実際にはまだそこまでいっていないと思いますよ。むしろ、やはり赤字が少しふえてきている状況じゃないかなと思うんです。その要因がどこにあるのか。

 一つは、今お話のあったように、実際に料金を払って見ていただくというところがまだまだ、ふえていっていないという現実。もう一つは、これもいろいろな意見交換の中でもお伺いしましたけれども、著作権の問題とか各種権利の問題ですね。ここのところをきちっとやっていかないと、実際のオンデマンドの普及というところにはなかなか結びついていかないんじゃないだろうかな、このように思うわけでございます。

 それで、最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、この権利処理についてどういうお考えをお持ちなのか。あわせて、先ほど冒頭に一〇%還元の話をさせてもらいました。仮に一〇%還元の方途として、例えばアーカイブスを、やはり当面広げていく一つの方策として考えられないのか。最後に、この点を会長にお願いいたします。

福地参考人 御承知のとおり、NHKオンデマンドは受益者負担で行うという事業になっております。そのために、それに要する経費は利用料金であります視聴料収入で賄う、受信料を財源とする一般勘定と明確に区分するということが放送法で定められております。このために、権利処理費用についても視聴料収入で賄うことになっておりますのも、御承知のとおりでございます。

 したがって、このNHKオンデマンドの権利処理費用を受信料収入で賄うことができるのかどうかということは検討が必要だというふうに考えております。

 以上です。

原口国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 デジタルコンテンツ、知的財産の戦略は国家の成長の基礎にもかかわることでございまして、私たちは、このNHKのオンデマンドのような放送サービスのあり方について、大変な関心を持って注視をしております。

 ちなみに、地上テレビ番組の二次利用率というのは、日本では一四%なんです。その一方で、インターネット上で地上テレビ番組の不正な流通が横行していまして、インターネットのブロードバンド利用者数七千六百七十三万人のうち、動画投稿サイトで、無許可に投稿された日本のテレビ番組を見たことがある方は実に千六百四十二万人、二一・四%でございまして、まさに権利が侵害されているわけです。

 そこで、私たちは、権利処理の一元化の促進、映像コンテンツ権利処理機構の設立、これは去年行われたわけですけれども、総務省は実証実験を行いまして、権利処理窓口の一元化、そして不明権利者探索の一元化、そして権利者団体と放送事業者による連絡会の設置、先ほど国際放送のお話がございましたけれども、このアーカイブスにあるデジタルコンテンツというのはまさに日本そのものを紹介するものでございまして、外に開くということが私は極めて大事だと。そのために、総務省としてもしっかりとサポートをしてまいりたい、このように考えております。

稲津委員 終わりますが、最後に大臣からもお話ございましたように、私も、いわゆる権利のところの集中管理の促進とかは本当に大事なことでございますので、大変イバラの道かもしれませんけれども、ぜひ今後御検討いただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 NHKの予算案について質問をいたします。

 NHKには、放送法に基づいて、テレビ放送があまねく全国において受信できるよう措置をしなければならないというユニバーサルサービスの義務がかかっております。そこで、NHKの地デジの受信対策について伺います。

 資料をお配りさせていただきましたが、NHKのつくりました資料で、「地上デジタル放送の受信世帯分布」とありますけれども、ここでありますように、二〇一一年の七月までに、現在アナログ放送を受信している世帯に対して九九・五%をカバーするとなっております。残り〇・五%についての対応ですけれども、おととしのNHKの予算審議の際に、NHKからは、この〇・五%について、二〇一一年七月のアナログ停波までの期間にこの〇・五%の数字を縮めていきたいという答弁がございました。

 そこで質問しますけれども、この〇・五%を縮めていくためにどのような取り組みを行ってきたのか、あるいは行うのか、その点をお聞かせください。

福地参考人 御指摘の〇・五%、大体二十万世帯になるわけでございますけれども、この地上デジタル放送の難視聴地域にお住まいの方々は、ことし三月から始まります地デジ難視対策衛星放送、いわゆる衛星セーフティーネットの対象となっております。国の計画で平成二十二年から五年間の暫定措置とされておるわけですが、この間に、NHKは放送事業者として、難視聴を解消するためさまざまな手段を活用して地上系の放送基盤の拡充に努めていくこととしております。

 今後とも、技術の進展でありますとか、あるいは状況の変化を勘案しつつ、関係機関と協力しながら具体的な検討を進めてまいります。

 以上です。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

塩川委員 二〇一一年七月に地デジ受信できない世帯というのが約二十万世帯という話でございました。この資料にもありますように、一番右側に「アナログ放送でも難視」と、現時点、そもそも地上波でアナログ放送が見えないよという世帯というのが約四万世帯ですから、二十四、五万。三十万近い世帯というのが二〇一一年七月のアナログ停波の時点で地デジが見られない世帯として残されるわけであります。アナログ放送でも政令市の規模に匹敵するような世帯数、この視聴者の方がテレビを見ることができないということになります。ですから、私は、この〇・五%の方について、二〇一一年七月に向けて最大限の努力を行うということも必要だと思っておりますし、視聴者の努力では解決できない受信環境の整備に万全を期すことこそNHKの最優先の仕事だと考えます。

 その上で、具体的な支援策に関してお尋ねします。

 この間、NHKとしてもさまざまな支援策を追加、拡充してまいりました。資料の二枚目、これはNHKがつくった資料でございますけれども、一連の支援策についての図になっております。

 もともと、この地デジの受信環境の整備ということでも、追加の経費について予定どおり執行されていないというのは現場でのおくれがあるわけです。自主共聴などの対応についてもおくれているというので、NHKが当初予定した地デジ対応の追加経費も執行できていないというのが現状でありますから、そういうおくれがある中で、私は、そういう事態を踏まえて、さらにその支援策を拡充すべきだと考えています。

 一つは、新たな難視地区に対する対策であります。対策手法として、これは国や民放とも一緒に協力してやっているわけですけれども、中継局の設置や自主共聴施設の新設、ケーブルテレビへの加入ですとか、高性能アンテナ対策などが挙げられております。

 そこで、ぜひNHKに具体化をお願いしたいのが、NHKのアナログ放送は映るのに地デジは映らなくなるという新たな難視地区については、共聴施設への支援を行うというのは自主共聴施設への支援に限られているわけですが、私は、そもそもNHKの放送が映らない地域なんですから、NHK共聴で対応することも行うべきではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

福地参考人 NHKといたしましては、新たな難視聴地域の視聴者の負担を抑制するために、共同受信施設の設置でありますとか、ケーブルテレビへの加入とか、あるいは高性能アンテナの設置、そういった受信側の対策が実施された場合にその経費の一部を助成していきたい、そういうふうな新たな予算措置をいたしました。

 以上でございます。

塩川委員 それはここにも書いてある話でございまして、自主共聴への支援にとどまらず、そもそもNHKのアナログ放送が映っていたのに地デジで映らなくなる地域ですから、そこにNHK共聴を行うべきではないのかという点はいかがですか。

永井参考人 御指摘の点でございますけれども、新たな難視地域については、ただいま国が中心になって補助金の制度とかそういうのを組み合わせながら民放、地元の自治体と連携しながら協議をしているところであります。

 大きくまとまったところは中継局を設置しようということで、これはNHKと民放が一緒に中継局を設置していく。少し少ない世帯数のところについては、ケーブルテレビがあればそこに加入していただくとか、自主的に共聴を引くよというところがあればそれでやっていくということで、そういうところには先ほど言ったように助成金を出すということで進めているところであります。

 これからまだ数が出てまいりますので、その検討の中で何ができるかというのは今後検討していくことになろうかというふうに考えます。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 何ができるか検討するという中には、NHK共聴は排除されていないということでよろしいですか。

永井参考人 現在のところは入っておりません。

塩川委員 それは、NHK共聴も含めて支援対象を具体化すべきだと思います。

 もう一点、この資料の二枚目の左側に半円がありますけれども、その内側に、「デジタル電波のカバーエリア」というふうになっているところの左側にビル陰などの受信障害対策共聴の絵もあって、括弧して「助成対象外」となっております。

 私は、こういったビル陰などの都市受信障害対策共聴においても、NHKが映らないという場所でありますから、NHKとして何らかの支援策を行うべきではないのか、助成対象に加えるべきではないかと思いますが、会長、いかがですか。

永井参考人 お答えいたします。

 もともとビル陰の地域は、アナログ時代からNHKの電波が届いているところに後でビルが建って、その陰で見えなくなってきた、それがデジタルの電波にかわったということで、国としても、そこへいろいろな検討を加えながら、補助金を加えながら対策をやっているというところであります。

 この実効がどういうふうに上がるのかということは見なきゃいけませんし、NHKとしては、もともと電波が届いているところですので、そういうところに受信料を直接使うのはいかがなものかと考えております。

 それで、逆にNHKとしては、例えば技術的にどうやったらいいのかとか、支援センターに対して要員も出しておりますので、その支援も含めて今後のところでお助けをしていけないかということをやっております。また、一方で、こういうビル陰の共聴のところで、五万施設というものがあるんですが、それの一つ一つが本当に今デジタル化になっていないか、なっているかというのがまだよく調査が行き届いていないところがありますので、そのような調査もNHKとしてはみずからのところでやろうということにしております。

塩川委員 大いに調査や技術支援でNHKの持てるものを発揮していただきたいと思うんですが、現状はビル陰共聴をこのまま放置したら間に合わなくなるということになっているわけですから、放送事業者、国が、実際に本当にこの現状を打開するというのであればしっかりとした対応が必要なわけで、調査や技術支援に限らずに、具体的に、おくれているのをおくれを取り戻すような作業をやらなくちゃいかぬ。

 もともと民民の関係で、この資料にもあるように、当事者間の協議による対処が原則となっていたわけですけれども、国も、それまでは民民なのでお金を出すという話もなかったのに、この間お金を出すようになったわけですよ。助成もして、その権利関係について協議が調ったところで支援を行っていくといった取り組みを行っているわけですから、現にNHKが映らない地域について、実際の受信障害の原因者がなかなか特定できないような現状ということであれば、そういうことを踏まえてNHKが映る環境をつくるんだというところで一歩踏み込んだ助成策を考えるべきじゃないのか。会長としてぜひお考えいただけませんか。

永井参考人 今後、受信障害共聴についてどのように進展するのかということもありますが、我々は、受信料をいただいて、それをどのように使うかというのは制約があります。その業務範囲の中で何ができるかというのを検討していきたいと思います。

塩川委員 NHKが映らないんですよ、原因者もなかなか特定しにくいような環境で。だからこそ、国としても電波利用料を含めた支援策を行うということになっているわけですから、国費を投入するという点でも、こういった原因者の特定できないようなビル陰共聴の対策をしっかり行うという点でも、NHKの受信料を使うというのは説得的な理由が当然あると私は思っております。その点を含めて具体化をお願いしたい。

 会長として一言、いかがですか。

福地参考人 ビル陰共聴を含めまして、難視聴地域がふえてきておるわけですが、これによってNHKも、いろいろな費用の増額だけでなくて、人間の、技術的な人材の異動を伴う問題です、そういったことで不定期の異動を行いました。そういった地域に、今、不定期の人事、技術陣を送り込んで対策を講じている、そういった工夫もいたしております。経費的にはNHKの予算がこのために赤字になるぐらい、このフルデジタル化については私どもの重要な仕事として取り組んでおります。

 以上です。

塩川委員 やるべき仕事ですから、当然、果たしていくという点では必要な経費は投入するものだと私は思っております。

 こういう取り組みをやっても、実際には、現状のまま二〇一一年七月にいく場合でも、努力があったとしても、地デジの難視世帯が残されます。暫定措置として地上波を衛星放送で放映することになるわけですけれども、同僚委員からも質問がありましたが、東京のキー局を放映するのでは、災害情報、防災情報というのはまさにその地域とかみ合わないものになるということであります。そういう点でも、地域情報をしっかり提供しよう、地域放送を充実しようというのがNHKとしてやってきた今の方向ですから、それに逆行するようなことが起こってしまう。こういう衛星による暫定措置というのは、私は、視聴者の納得が得られないんじゃないのかと思いますが、会長はどのようにお考えですか。

福地参考人 御指摘のとおりでございますけれども、セーフティーネットの受信する地域におきましては、セーフティーネットが終了する五カ年間のなるべく早い段階でデジタル中継局の地上系のインフラの整備をする、そういうことで地上デジタル放送の番組をごらんいただけるように民間放送とも提携をしながら最大限スピードアップして取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 今の地デジの計画で、二〇一一年七月のアナログ停波には現実には視聴者は対応できない、チューナーを含めた受信機の普及の問題もありますし、ビル陰共聴の問題もあります。既に放送局が責任を負うべき地デジ環境の整備においても、NHKでさえ〇・五%、それこそ先ほど言ったように、政令指定都市の世帯に匹敵するような世帯が地デジが見られないという形で残されるわけですから、私は、そういう点でも二〇一一年の七月のアナログ停波は延期をすべきだと訴えてまいりました。

 そこで大臣に伺います。

 前回、この点で質問をした際にも、大臣の方は、地デジの完全実施に向けて全力を挙げるという答弁でございました。私は、現状では地デジ放送が届かない世帯を残す中でのアナログ停波は延期すべきだと思いますけれども、大臣として、延期できない理由は何なのか、それはどういう理由なんでしょうか、お答えいただけますか。

原口国務大臣 私たちは、二〇一一年七月の完全移行まであと四百八十六日でございまして、関係者と連携し、デジタル化推進の運動の輪を広げて、テレビが見られなくなる方が生じないように国として万全を期しておるわけでございます。

 アナログ停波の延期ができない理由、それは幾つかございます。サイマル放送による放送事業者の負担増、アナログ放送用機材の維持、運用が困難であること、国民生活に必要な新サービスの早期開始、節減した電波の利用、あるいは期限を決めて関係者が連携して取り組むことが重要、このように考えています。

 野党時代に、残り五パーもあるのであれば、それは延期をしなきゃいけないんじゃないかという試算を私たちの部門会議で出したこともあります。しかし、今、委員が出していただいたこの資料にもございますように、新たな難視聴地区をケーブルに移行してみたり、自主共聴のデジタル化改修をやってみたり、高性能アンテナをやっていますし、それから、集合住宅では、これはあくまで自己確認ですけれども、地上デジタル放送が受信できますということも申し上げて、こういうステッカーも配布をさせていただいております。

 いずれにせよ、完全移行まで国としてしっかりと関係者と協力し、国策として取り組んでおるところでございますので、御理解をいただければと思います。

塩川委員 住民、視聴者にとって新サービスの提供といっても、テレビが見られなきゃ意味がないわけですよ。そういう点でも事業者側の負担の問題が出てくるわけですけれども、NHKとして、アナログ停波を延期した場合にどのぐらいの費用がかかると試算されておられるんですか。

福地参考人 御質問のことですが、NHKといたしましても、フルデジタル化は最優先の仕事として取り組んでおりますので、当然延期は考えておりませんけれども、アナログの送信設備というものをつくりまして既に二十年以上経過しております。延期をした場合に、故障等の事故が発生する懸念も出てまいります。それから、設備の補修とか更新、回線の借用、電力料、こういったものに多額の経費がかかってまいります。こういったことから、年間で、地上アナログで四十億円、衛星アナログで大体二十億円、合わせて六十億円ぐらいが余分にかかってくるというふうに試算いたしております。

 以上です。

塩川委員 年間七千億円近いNHKの予算を考えれば、一%ですよ。この間の努力の中で一〇%還元の話なんかも出るわけですから。一〇%還元はもちろん視聴者への還元としては重要だと思いますけれども、それよりもまずはこういうところにこそお金をかけて、視聴者に迷惑はかけないということこそ行うべき仕事じゃないでしょうか。私は、そういう点でも、このままアナログ停波に突き進めば大量の地デジ難民を生み出す、政府としてアナログ停波の延期も視野に入れて事業者と協議をすべきだということを申し上げたい。

 その上で、今回の予算を見ても、受信料の収入の目標についても、実際には今年度も目標に達しない、来年度も経営計画との関係では大きく乖離が拡大をするという状況になっている。私は、そういった背景となっている経営計画における一〇%還元についても、もう一度議論すべきだと率直に思います。

 最後に一言申し上げて終わりますが、経営計画では過大な受信料収入目標を掲げるだけではなくて、国内放送費や人件費のキャップシーリングや契約収納費の削減を行う構造改革を進めるものとなっております。結果として、良質な番組提供に悪影響が出たり、収入確保のための督促強化や民事手続の拡大など、視聴者との信頼関係を損なうことになりはしないか懸念をしています。必要な見直しを行うことを検討すべきだと思いますが、会長に一言、無理な受信料収入目標を掲げることが、結果として視聴者にツケを回すことにならないのか、NHKの信頼を損なうことになりはしないのか、この点について一点お聞きして、終えます。

近藤委員長 質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

福地参考人 お答え申し上げます。

 現在掲げております受信料の支払い率目標というのは、過去に達成したことがある水準でございます。それ以上になりますとおっしゃるとおりのことがあるかもわかりませんが、努力目標の範囲であるというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょう質問に立たれた皆さんの中で、私が唯一のNHKの出身者です。平成七年から、入社をして記者をやらせていただきました。新人研修のときに今井副会長が新人研修の講師としてお話をいただいた、そのときのことを思い出すわけでありますけれども、福地会長、今井副会長を初め、皆さん本当にお疲れさまでございます。

 今回のNHKの予算審議に当たって、NHKの出身者として、いろいろと先輩方から御意見を聞いてみました。一番大きかったのは、おれたちは何でこんなに早くやめなきゃいけないんだ、こういう声なんです。NHKで不思議なことは、退職年次が早いということです。大体、局次長クラスは五十六歳がほぼ定年、関連会社にその年で行ってしまうのが大多数です。NHK本体に五十六歳以降も残れる人というのは極めて少数ということになっております。もちろん、一般管理職は六十歳、平のままだと六十五歳ということではあるんですけれども、しかし、NHKの一線で中核を担ってきた人たちの多くが五十六歳前後でいわゆる肩たたきを受けるような形で実際に退職していくということなんです。まさに今の官僚と同じことが行われているんですね。

 このような退職管理のあり方は世の中の流れとはいささか逆行しているのではないかというふうに思いますけれども、福地会長、この点について御意見をお伺いしたいと思います。

福地参考人 私もNHKに参りまして最初におかしいと思ったのが、その辺でございました。すぐ改めました。

 NHKの定年は六十歳なんですが、五十七歳になったら管理職は自動的に関連団体に行く。関連団体も困ると思うんです。もちろん、関連団体も経営幹部の人材を欲しがっております。ただ、欲しいところが、欲しい人、それから本人も行きたいといった場合には、それはいいだろう。しかし、自動的に五十七歳になったから関連団体に、押しつけるわけじゃありませんが、行くということはグループ経営としていかがなものかというふうに考えております。それから、これから先、人材不足の時代になってきます。やはりNHKの中にも人がいないと困る。

 ただ、天下りと違いますのは、NHKの関連団体はグループ経営の一つ、人事管理の一つとしてやっておりまして、永井技師長なんかは、関連団体に転籍をいたしまして、またNHKに戻ってまいりまして、とうとう専務・技師長までなりました。そういったグループ人事・経営の一貫ですからいわゆる天下りとは少し違うんですが、しかし、自動的に五十七歳になったら行くというシステムは改めております。これを大幅に減らす、必要なところだけが行くというやり方に改めております。

 以上です。

柿澤委員 大きな慣行としては、肩たたきを受けて幹部職員が天下りのような形で関連会社に再就職するというのは、これも官僚機構と非常によく似ているなというふうに思うわけでございます。

 パネルをつくってまいりました。このパネルをごらんいただきたいというふうに思うんですけれども、NHKの下には、子会社としてNHKエンタープライズ、NHKエデュケーショナル、そして関連公益法人としてNHKサービスセンター、NHK交響楽団などの財団もあります。そして、関連会社としては放送衛星システム。こんな形で、これだけの子会社、関連会社、関連法人があるわけです。

 本来、NHKが行うことを効率よく業務遂行する、また副次収入をNHKに還元をして受信料の軽減にも貢献することが、関連を誕生させた当時は主な目的だったのではないかというふうに思うんですけれども、これを見てわかるとおり、NHKからの業務委託がほとんどという実態が変わらないままの会社が結構あるんですね。グローバルメディアとかアイテックとかメディアテクノロジー、ビジネスサービス、こうしたところです。

 しかも、内部からお伺いをいたしますと、こうした会社は高コスト体質を抱えていて、NHKからの支出が大変高い単価で行われているということも聞きました。しかも、こうした関連会社、子会社は結構もうけているんですよ。技術系のアイテックを見てください、十七億円も当期純利益を上げている。NHK本体は赤字予算ですよ。まさに母屋でおかゆをすすって、離れですき焼きを食っている、こんな話が前にありましたけれども、こういう話になってしまっているのではないかと思います。

 なぜこれほどの関連会社が必要なのか、そして、早期退職して関連団体に天下るこのシステムをどう考えているのか、福地会長の御所見をお伺いしたいと思います。

福地参考人 平成十年度には六十五団体ありまして、現在二十九まで減ってきました。これは機能別に関連団体を統合して、現在も減らす方向に行っております。もっとも、関連団体は必要があって生まれたものですが、必要性が薄くなったものについては当然統合したらいいわけですから、そういったことで進めております。

 利益の問題については、もちろん、NHKは協会ですが、関連団体は公益法人と株式会社になっております。当然、利益を上げて効率化を進めろということを言っております。利益を上げた場合には、大幅な配当金がNHKに入ってくる、そういった仕組みを構築しております。

 以上です。

柿澤委員 さらに、こうしたところを含めて、多くの仕事がNHKから随意契約で発注をされております。平成十八年度ベースで、子会社等との随意契約は八八%、金額ベースでは九三%ということになっておりました。これも霞が関と天下りの独立行政法人、公益法人と何か似ているような感じがするわけであります。NHKも、もちろん、いろいろな御指摘を受けて随意契約の見直しをやっておられるということは承知をしております。その進捗状況をお伺いしたいというふうに思うんですけれども、子会社等との随意契約の見直しがどのくらい進んだのか、ぜひ明らかにしていただきたい。

 また、随意契約から例えば企画コンペ、企画競争等に契約形態を改めたというものが、見直し後かなりあると思うんですけれども、その中で、企画競争をやったけれども結局子会社が契約を結んだケースがどのぐらいあるかということについてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。

金田参考人 子会社との随意契約の見直しでどれくらい進んだかという御質問でございます。

 まず二十年度でございますけれども、子会社との競争契約でございますが、三百六十一件ございまして、金額は百三億円でございます。自主共聴への地上デジタル放送導入促進、特に先ほどの、九八%をカバーする鉄塔を建てるような、局をつくるような仕事でございますが、そういうものの競争化を図ったところ、十九年度に比しまして、百十件、九億円の増となっております。

 現在、NHKでは、番組制作関連以外で、二十五年度には金額ベースで全体の四〇%超の競争化を目指して努力しているところでございます。二十年度につきましては、競争契約率が三一%でございます。今後とも、そういうところについては努力をしていきたいというふうに思っております。

 御指摘の番組関係でございますが、これにつきましては、現在二五%から三〇%の企画競争比率アップということで考えております。御了解いただきたいのは、特に創造性に係る番組制作業務につきましては、どうしても随意契約という要素も残るところにつきましてはいろいろ御理解を賜りたいというふうに思っております。

 以上でございます。

柿澤委員 今の御答弁は非常に複雑でわかりにくい部分があったと思いますけれども、結局、企画競争を導入してコンペをやりました、結果としてそれでも子会社が契約をしましたというのが結構あるんですよね。そういう意味では、契約のあり方の不断の見直しがやはり必要ではないかというふうに思います。

 旧政権下の二〇〇六年六月に、通信・放送の在り方に関する懇談会の報告書で、子会社に関しては、抜本的な整理統合に着手し、子会社の数を大幅に削減すべきであるとか、NHK本体と子会社との関係の抜本的な見直しが必要ということが書かれております。もちろん新政権になっているわけですけれども、今の状況が十分なものだというふうに言えるとは私は思いませんので、そういう意味では、これからも取り組みを進めていただきたい。

 民間の経営者としての視点でぜひ福地会長に最後に御答弁をお願いしたいのと、原口大臣、もし何かあったら、お尋ねをしたいと思います。

福地参考人 御指摘をまつまでもなく、整理統合を進めていくという考え方でおります。

 以上です。

原口国務大臣 母屋でおかゆをすすって、離れですき焼き、あれはたしか上田さんと私が予算委員会で塩川大臣に問うたときの答弁だったと思いますけれども、この構造を変えるべく、今回の大臣意見書の中にも整理統合の徹底ということを申し上げたところでございまして、これに沿った努力をNHKがなさるように期待をしております。

 以上でございます。

柿澤委員 NHK出身者とは思えないような質疑になってしまいましたが、お許しください。

 どうも御協力ありがとうございました。

近藤委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、黄川田徹君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・改革クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。赤澤亮正君。

赤澤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 平成十六年以降に発覚した協会内部の一連の不祥事が、国民の信頼を著しく損ね、受信料不払等世帯が増加し、受信料制度の根幹をも揺るがしかねない事態を招いたことを、協会は真摯に受け止めなければならない。

   協会においては、より一層コンプライアンス施策の徹底を図るとともに、職員一人ひとりが視聴者の視点に立って、高い倫理意識を確立し、組織をあげて改革に取り組むこと。

 二 協会は、放送が社会に及ぼす影響の重大性を深く認識し、放送法の趣旨を踏まえ、放送の不偏不党と表現の自由を確保して、公平、公正な放送の徹底に努めること。また、民主主義社会における自由な報道及び憲法で保障された表現の自由を確保することを、行政権を担う政府においても放送法の趣旨を踏まえ遵守すること。

 三 受信契約の未契約及び受信料の不払いの割合が依然として全体の約三割に達している現状にかんがみ、協会においては、引き続き、あらゆる策を講じて国民・視聴者の理解を得て、その減少に努め、受信料の公平負担を図るとともに、受信料収入の国民・視聴者への還元の具体的方策について真摯に検討すること。

   また、受信料収入に対する契約収納関係経費の比率がなお高い水準にあることから、受信料制度への視聴者理解に不可欠な地域スタッフの業務に配慮しつつも、契約収納業務の効率化をさらに進め、経費削減に努めること。

 四 協会は、地上放送の完全デジタル化に向け先導的な役割を果たすとともに、政府は、放送が災害時等における貴重な情報源であることを踏まえ、共聴施設の改修や経済的弱者等の世帯における受信設備のデジタル化の支援等にあらゆる対策を講じ、地上放送の完全デジタル化の円滑な実現に万全を期すこと。

 五 協会が行う外国人向け映像国際放送については、我が国の文化・産業等に係る情報発信を通じて、正確な理解及び日本の対外イメージの向上等に資するよう、番組内容の充実等に努めること。

   また、多額の受信料が投じられていることにかんがみ、より効率的・効果的な放送が実施されるよう、業務体制及び放送内容の不断の見直しを行うこと。

 六 協会は、公共放送の質の向上に資するよう、業務全般について徹底的な見直しを行うとともに、子会社等の統廃合を含めた一層の合理化を進めることにより、グループ全体の業務の効率化・スリム化を図ること。

   また、協会と子会社の取引は、依然として随意契約比率が高いことから、競争契約比率を高めるなど取引の透明化・明確化を図るとともに、積極的な情報の開示に努めること。

 七 協会は、地域の活性化に資するよう、地域からの情報発信強化等、地域放送の充実に努めること。また、災害時等において、国民が必要とする地域生活に密着した正確な情報や最新ニュースを時宜に応じて提供する必要があることから、緊急報道体制のさらなる充実・強化に努めること。

   さらに、高齢者、障害者に関わるデジタル・ディバイドの解消が喫緊の課題となっていることから、字幕放送、解説放送等のさらなる拡充を図ること。

 八 協会は、番組アーカイブについて、利用者のニーズを踏まえて、提供するコンテンツの充実やサービスの利便性の向上に取り組むなど、サービスの見直しを適宜行うとともに、早期に収支の改善が図られるよう努めること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、原口総務大臣及び日本放送協会会長福地茂雄君から発言を求められておりますので、これを許します。原口総務大臣。

原口国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、日本放送協会会長福地茂雄君。

福地参考人 日本放送協会の平成二十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認をいただき、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。

 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを十分踏まえて、業務執行に万全を期することで公共放送の使命を全うしたいと考えております。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十八分散会


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