衆議院

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第15号 平成22年5月11日(火曜日)

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平成二十二年五月十一日(火曜日)

    午後三時十七分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      瑞慶覧長敏君    高井 崇志君

      玉城デニー君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      福嶋健一郎君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    近藤三津枝君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    徳田  毅君

      山口 俊一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     玉城デニー君

  奥野総一郎君     藤田 大助君

  皆吉 稲生君     瑞慶覧長敏君

  谷  公一君     近藤三津枝君

  森山  裕君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  瑞慶覧長敏君     福嶋健一郎君

  玉城デニー君     逢坂 誠二君

  藤田 大助君     奥野総一郎君

  近藤三津枝君     谷  公一君

  徳田  毅君     森山  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  福嶋健一郎君     皆吉 稲生君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

五月十一日

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 これより質疑を行います。(発言する者、離席する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 それでは、速記を起こしていただきたいと思います。

 ただいま自由民主党・無所属の会所属委員が退席をされました。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより自由民主党・無所属の会の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕

    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕

近藤委員長 これにて自由民主党・無所属の会の質疑時間は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 きょうは、大要三点の御質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、原口大臣の夕張視察について。それから、一括交付金について。それともう一点が、がん対策ということで、とりわけ女性特有のがんの検診の事業について。三つ伺いたいと思っています。

 本題に入ります前に、きょうのこの委員会は委員長職権で立てられました。私は、やはり合意形成ということを強く申し上げたいと思います。ぜひ、委員長、さらなる御努力をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、原口大臣の夕張視察についてお伺いしたいと思います。

 夕張は、御案内のとおり、いよいよ再生に向かっての新たな一歩を踏み出した。そういう状況の中で、大臣が四月十七日ですか、早速夕張に行かれて状況等を把握されて、そしてまた、国からのさまざまな支援策についてもお示しをされたということです。私は、この大臣の視察については、もちろん地元のあの地域に住んでいる者としても、また、かねてから夕張の財政再生に向けて私も私なりに取り組んできた経緯もございまして、評価をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、まず第一点目に、実際に大臣が夕張に行かれて、どのような感想をお持ちになったか、その点についてお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 稲津議員も大変な御努力をいただきまして、公明党さん、あの地域においてのさまざまな再生にお力を下さっていることを、この場をかりてまずお礼を申し上げたいと思います。

 夕張市を訪れてみて、まず頭に浮かんだのは感謝です。大変困難な中を、市長さんを先頭に、議会も市民も一丸となって、この苦境を乗り切ろうと再生に取り組んでおられる、そのことに対する敬意と感謝、これがまず第一のことです。そして、だからこそ私たちがやらなければいけないことがいかに大きいか、このことを実感いたしました。

 今回視察をさせていただいて、まだ雪が残っていました。そして、打ちっ放しのコンクリートそのままのブロックがおうちなんですね。そこに高齢者の方が一人でお住まいで、約千六百人もの方が独居。そして、おふろのない住宅も多く、おふろも今度集約をするわけですけれども、実際に寒い中を歩いておふろに行けるかというと、本当につらい思いをされているひとり暮らしの高齢者の方がたくさんおられるんじゃないか、このところは正直胸がふさがる思いでありました。

 ただ一方で、新千歳空港、私は過去二回ぐらい訪れたことが、まだ元気だったころの夕張ですけれども、貴重な農林水産資源が数多くあり、夕張メロンもそうですし、新千歳空港からは一時間ぐらいで行けますね。地域としても大変有望なところでありますし、今回の視察を第一歩と自覚して、引き続き、北海道と連携をしながら、地域の創富力そして自給力を引き上げて、一刻も早く夕張市民の方々に安心をお届けしたい、このように感じたところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 その公営住宅のことなんですけれども、かつてはいわゆる炭鉱住宅と言われた住宅ですね。そこが非常に老朽化をしていて、とはいえ、新たな住宅の建設というのはなかなかこの間進んでこなかったというのも事実でございます。

 そうした公営住宅もそうですけれども、もう一方では、かつての市立病院、現在の医療機関ですね、ここも非常に老朽化している。また、あの夕張市がウナギの寝床のように南北に非常に長くて、言うならば、当時はその市の中心にあったんでしょうけれども、利便性も非常によくないということで、この病院の建てかえ等についてもいろいろな検討がなされているというふうに承知をしております。

 そこで、夕張が今度進めていく事業等の支援策についてなんですが、大臣は夕張に行かれたときに、過疎債の拡充で年間九千万、そして一・一兆円の地方交付税の増額分、段階補正による寄与とか、そうしたことを申し述べられたというふうに伝え聞いております。

 私も国会に来て大臣に質問させていただいた中で、既に大臣もこのことについて触れられておりますけれども、そこでもう一つのポイントというのは、他省庁への協力の働きかけ、このことも大臣は触れられたというふうに承知をしております。では、他省庁の協力は具体的にどういう方向で、また現在どういう状況にあるのか、この点についてもお示しいただきたいと思います。

原口国務大臣 委員がおっしゃるように、私が非常に気になったのは医療ですね。医療センターでも直接お話をいただきましたけれども、ケアつき住宅ができないかと。

 実際に、今、稲津委員がおっしゃるようにウナギの寝床で、しかも住宅は山ほどあるんです。山ほどあるけれども使えない。そして、ツムラを初め花畑牧場やそこで働く人たちは、働き場は少しずつできています、しかし実際にそこに住む人が住める住宅がない、これをケアつきにできないかということで考えています。

 それともう一つは、やはり子供です。私は、行きっ放しではなくて、参議院選挙が終わったら、もう一回夕張に入らせていただこうと思っているわけです。そして今委員がおっしゃった各省のパッケージを、これは夕張市あるいは北海道と相談しながらですけれども、今回、羽田空港が非常に天候が悪くて、三時間ぐらいしか夕張にいられませんでした。できたら一晩泊まらせていただいて、子供たちに私みずから勉強の仕方を教えてみたり、あるいは、二十三区の広さから集まってきますから、ICTを使ったいろいろな教育ができないかとか、あるいは今友人たちにお願いをして、今度私が夕張に入るときには、夕張を元気づけるコンサートというようなこともできないかということを友人たちには働きかけているところでございます。

 いずれにせよ、各省、やれるパッケージを出してくれということで今お願いをしているところでございますが、中でも大事なことは、医療、介護、そして教育ではないかというふうに考えていますので、関連省庁にさらなる協力を要請してまいりたい、このように考えています。

稲津委員 関係省庁への働きかけについてはわかりました。どの程度進んでいるのか、多分、これからの一番大事な検討事項だと思うんですね。そこについて、さらに詳しくお聞きすることはきょうはいたしません。

 今、大変大事な視点がありました。それは私も同感なんですけれども、一つは、企業誘致が思いのほか進んでいるということ。ただ残念ながら、夕張に定住して働くことができるかというと、先ほどの冒頭の話のように住宅問題があるんですね。これが一つです。その住宅問題はもう一つ、とりもなおさず、今ケアつき住宅の話がありましたけれども、本当に高齢者の方々が多いんですね、ひとり暮らしが圧倒的に多い。そうした方々は、ここで生涯暮らしていくというお考えの方ばかりでございますので、ぜひ、この取り組みは積極的に、さらに進めていただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 次に、一括交付金化について数点伺いたいと思います。

 まず、一括交付金化の議論は政府内でどこまで進んでいるのか、この点をお示しください。

原口国務大臣 現在、三月三日に、第二回の戦略会議で基本的な論点を審議いたしました。そして三月三十一日、第三回の地域主権戦略会議において、関係府省からのヒアリングを行いました。そして四月二十七日、第四回の戦略会議、地方側からのヒアリングの報告を受け、基本的な方向性を審議いたしました。

 今後、戦略会議においてさらに審議を進め、この夏に策定する地域主権戦略大綱に一括交付金化の基本的な考えを盛り込むこととしています。

 そこで、できるだけ幅広く一括交付金の対象範囲や制度設計等について基本的な議論を行ったところでございまして、大体議論の整理ができたというのが現状でございます。

稲津委員 議論の整理ができてきているというお話がございましたけれども、私は、もう一方では、一括交付金というのはやはり、目指すべき国の形が見えてきて初めて意味のあるものになるのではないかなとも思うわけですね。何を一括交付金化にして何をしないのか、その基準が余りよく見えないんです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、この基準策定についてどのように考えているのか、この点を伺います。

原口国務大臣 これは、神野先生を主査に、地域主権戦略会議の中で一括交付金化の基本的な方向性を提示していただいて議論を行ったところでございます。

 この中で、一括交付金化の対象範囲については、対象範囲を最大限広くとる、そして、これは私も何回も答弁させていただいておりますが、現金給付は国、サービス給付は地方との原則に基づいて対象範囲を整理すべきだということで方向性を出してきているわけでございます。

 その中でも、特に私たちは一括交付金化の何をどのようにするのか。一括交付金化の対象となるひもつき補助金の範囲を最大限広くとるんだ、それから、くくり方もできるだけ大きいブロックにくくるべきだ。つまり、細かくすればするほど実質的にひもつきになってしまう。それから、地方の自由度拡大と国のかかわりで、国の事前関与を抜本的に見直すべきだ。そして、配分、総額についても地方の安定的な財政運営に配慮すべきである。

 このような基本的な方向性をお示しいただいて、そして、これをもとに各省、それから地方側との協議、ヒアリングを今終えたというところでございます。

稲津委員 今、範囲と対象についてお答えいただいたわけでございます。

 次に、新聞報道によりますと、この一括交付金に対して各省庁ほぼゼロ回答、こういう記事がございました。これはどういうことなのかなというふうに思うわけなんですけれども、各省庁がそれぞれ独自の縦割り交付金、これを一括交付金の先取りだ、このように新聞報道では出ておりましたが、そうなりますと、結局は今大臣おっしゃったような細かなものになっていって、事業分野別になっていったりとか、使途が限定されてくる。こうなってしまうと、その先は、結論として補助金を束ねたものになってしまうだろう。したがって、各省庁横断型の交付金ができて初めて意味があるということも言えると思うんですが、この点についての御見解はどうでしょうか。

原口国務大臣 稲津議員の御指摘は、極めて大事な御指摘だというふうに考えています。

 四月二十七日の第四回の地域主権戦略会議においては、そのくくり方に関して、地方の自由度を拡大する観点から、できる限り大きいブロックにくくるべきだという基本的な方向性が提示されて、省庁縦割りにならないように工夫すべきという意見が全国知事会から、四月十九日に実施した地方ヒアリングにおいても提示されたところでございます。

 やはり私たちが今やらなければいけないことは、縦割りの弊害の打破であるというふうに考えます。そして、そのことがまさに地方の自由度の拡大を図るということだと考えております。一方で、災害復旧のように臨時、巨額の財政負担に対するものや、防衛施設に関する交付金などについてどうするかとか、それぞれ個々具体の事情はございます。しかし、そういったものを踏まえた上でも、省庁横断的な、できるだけ大ぐくりな一括交付金化に向けた議論、制度の方向性を確認してまいったところでございます。

稲津委員 非常に大事なことを、率直に御答弁いただいたというふうに私は思います。

 今の御答弁の中に、災害復旧等の取り扱い方についてもお示しなされましたけれども、災害復旧とか、それから例えば社会保障、義務教育をどうするか、こういうところも非常に大事なことになってくると思うんですが、それは、また後ほど少し関連してお伺いしたいと思います。

 一括交付金についてもう一つお伺いしたいと思うんですけれども、地方ヒアリングでも、一括交付金が、一方的な国の財源捻出の手段となっていくのではないか、こういう地方側からの懸念がありました。国と地方の協議の場で、十分地方側の意見を聞いて、それをしっかり反映すべきと思います。大事な視点だと思うんですけれども、この点についても改めて伺います。

原口国務大臣 私は、この職につかせていただいてやはり思うのは、何か国が制度を変えるときには、表向きはいいことを言っているんだけれども、あの三位一体改革のように、実際は全然違う、地方側は常にばばを引くという表現はあれですけれども、厳しい思いをさせられるんじゃないか、稲津議員、この不信感はすごいです。

 もう何回も、総務大臣、あなたが言っているのはわかる、だけれども、結果、最後は削るんでしょう、最後は国の財政赤字の帳じり合わせを地方でするんでしょうというのを何回も言われます。そんな気持ちは全くないし、地域から日本を興さないと日本はつぶれるんだということを言っても、いやいや、前の人たちもそんなことを言っていたんですというのを何回も聞くわけです。

 前の人たちというのは具体的にはどういう方を指しておられるのか、言われている方によって違うんですけれども、やはり地方側の主な意見としては、三位一体改革の二の舞にしないでくれ、それから、地方の自由裁量拡大に寄与しない補助金は対象にしないでくれ、必要な予算総額を確保してくれ、国の事前手続等を極力簡素化すべきという御意見がございました。

 今後制度設計を進めていく際にも、今度、国、地方協議の場も活用し、今回法案をお願いしておりますが、しっかりと地方の意見を伺っていき、まずはイコールパートナーだ、私たちが一方的に決めてそれを、不利益を押しつけることはないんだと。この不信感を払拭するのに、どうでしょうか、あと十年もかかるんじゃないか、そんな危機感さえ持ったこともございます。しかし、ぜひ御協力いただいて、今の御視点に沿った改革を進めてまいりたいというふうに思います。

稲津委員 一括交付金化の質問のまとめとして、私なりの意見を少し述べさせていただきたいと思うんです。

 知事会から、実質的な地方の自主財源に転換するものであること、地方の自由裁量拡大に寄与しない補助金は対象にしないことという要望がございました。全くそのとおりだというふうに私は思います。そして、当然、総額が確保されて初めて地方側が納得するものである、こう思っておりますし、この点、ぜひ制度設計の中できっちりと反映をしていただきたい、このことをまとめとして私の意見を述べさせていただきます。

 さて、残りの時間で、がん対策に関連して数点お聞きしたいと思うんです。

 きょうは、大変お忙しい中、山井政務官にもお越しをいただきました。実は地方交付税のことと非常にリンクしてくる点がございますので、きょうは政務官にもお越しをいただいて、厚生労働省としての取り組みについても数点伺っていきたいというふうに思います。

 まず最初に、がん対策に関連して、特に女性特有のがん検診事業、これは前政権におきまして、公明党の強い主張で、二十一年度の補正予算で二百十六億円が計上されました。全額国庫負担で、子宮頸がんと乳がんの検診が無料で受けられるクーポン券が、対象年齢の方々に配付をされたところでございます。

 それに対して、今年度はその約三分の一の七十六億円。減額になった理由は何なのか。また、概算要求段階では百十四億円と承知をしております。検診費が十分の十、事務費が二分の一だった。なぜ検診費が二分の一になって、予算額が七十六億円になったのか。あわせて、昨年度の実施自治体はどの程度なのか。政務官にお聞かせいただきたいと思います。

山井大臣政務官 稲津委員にお答えを申し上げます。

 女性特有のがん検診推進事業について、平成二十二年度の予算では減額した理由につきましては、がん検診については、既に平成十年度から地方交付税措置により市町村が実施主体となって行われてきたこと、また、平成二十一年度は、まさに今補正予算とおっしゃいましたが、補正予算によって起爆剤として補助率を十分の十といたしましたが、制度普及という目的は平成二十一年度において達せられたというふうに考える等により、今年度においては市町村に応分の負担を求めることとして、補助率を十分の十から二分の一に変更しました。

 そして、昨年度の実施自治体数は、全市区町村数千七百九十五自治体のうち、千七百六十七の自治体で実施されました。

 なお、市町村の負担分については総務省から地方交付税が講じられているところであり、今後とも、あらゆる機会を通じて市町村へ丁寧な説明を行い、混乱のないよう理解を求めてまいりたいと考えております。

稲津委員 見解がちょっと違いますね、この後の質疑で少し中身を詰めていきたいと思いますけれども。

 要するに、概算要求段階で百十四億円要求しているんですよ、しかし七十六億円になってしまった、今それについてのお話もありましたけれども。私は、最初の段階での検診の普及目的が達せられたかのような御答弁がありましたけれども、ちょっと違うと思いますね。それは後で少し聞かせてもらいます。

 次は大臣にお聞きしたいんですけれども、我が党の松あきら参議院議員が質問をされました。総理に質問をして、総理が答弁で、本来、がん検診は市町村が行うものとして、市町村負担分は地方交付税で措置して、これまでどおり実施できる、こう認識を示していましたけれども、これはどういう意味になるのか、簡潔にお答えいただければと思います。

原口国務大臣 今、山井政務官がお答えをいたしましたように、平成二十二年度の女性特有のがん検診推進事業については、がん検診が健康増進法に基づき市町村が行う事業でございますことから、市町村に応分の負担を求めることとし、補助率を二分の一として実施するとされたところでございますが、これに伴い、所要の地方負担額について地方交付税の基準財政需要額に算入をしているというところでございます。

 鳩山総理はそのことを申し上げたということで御理解をいただきたいというふうに思います。

稲津委員 そこで次の質問なんですけれども、実は、公明党は先般、全国の自治体に対して独自の調査を行いました。それはどういう調査かということなんですけれども、その前に、全自治体から回答が得られたわけではございませんけれども、一千七百五十市区町村のうち、七百八十一市と東京二十三区、四百七十八町村の合計千二百八十二自治体から回答をもらうことができました。

 これは、要するに、この女性特有のがん検診事業を二十二年度も実施するかどうかという問いなんですけれども、昨年と同様の方法で実施すると回答したのは、七百五十市区四百四十三町村の合計千百九十三自治体で、九三・一%。それから、一部自己負担に切りかえたり、すべてのがん検診の無料化に取り組むなど、それ以外の方法で実施するのは、二十九市区十八町村の合計四十七自治体、三・七%でした。要するに、今年度何らかの形で事業を継続する自治体数は九六・七%になるということが判明したわけです。

 これは大変な意味のあることだと思いますけれども、ただ一方で、政府の予算削減で事業を断念することになった自治体が四十二あったということでございます。こうなりますと、現実は鳩山総理の言っているとおりになっていないんじゃないだろうか。この結果をどう見るかということなんですけれども、政務官、どうでしょうか。

山井大臣政務官 稲津委員にお答えを申し上げます。

 稲津委員御指摘のとおり、公明党の調査結果から、九六・七%の自治体が今年度も実施をするということは評価ができるわけではありますが、残念ながら、三・三%の自治体が断念するということは、やはりこれは問題であると認識をしております。

 厚生労働省としては、平成二十二年度の当該事業の実施について、自治体へのヒアリング等、あらゆる機会を通じて要請を行ってきているところでありますけれども、引き続きまして事業の実施の必要性について働きかけをしてまいりたいと考えております。

稲津委員 そうですね。その事業の必要性をしっかり訴えていただくということは極めて大事なことだと思います。

 なぜ私が、あるいは我が党が、このことについて強く主張させていただいているかというと、もう御案内かと思いますけれども、日本の乳がん、子宮頸がんの検診率というのは二〇%程度だったんですね。これは、先進国の世界標準の五〇%と比べても極めて少ないわけでございます。

 今回のこのクーポン事業で、乳がんが一四%、子宮頸がんが九%検診率が押し上がった、こういう結果を日本対がん協会が二月に行った調査でも出しております。私は、まず二〇%から五〇%に向かっていくという段階において、このクーポンの事業実施というのは非常に大事なことであって、ある意味では国益にかなうものにもなり得ると思っているんです。

 政府のがん対策基本計画に定められた検診率五〇%、この目標を達成するためにも、私は極めて大事な施策じゃないかと思うんですけれども、政務官、どうでしょうか。

山井大臣政務官 稲津委員にお答えを申し上げます。

 以前、私たちが野党であったときに当時の与党であった公明党、そして野党であった民主党も力を合わせて、特に欧米に比べて非常におくれているということで、公明党のリーダーシップもありまして、がん対策基本法が成立して、そのもとでがん対策推進基本計画もできました。

 余りにも受診率が低い、救える命が救われていない、さらに緩和ケアの必要性、そして受けられる治療が余りにも差があり過ぎる、そういう中で尽力しているわけでありますが、このがんによる死亡率の二〇%減少を達成するための一つの手段として、がん検診の受診率を、五年以内、平成二十三年度末までに五〇%以上にすることが目標とされました。

 そのために、厚生労働省としては昨年度より、がん検診五〇パーセント推進本部の設置や、がん検診に係る地方交付税の大幅な拡充、さらに、子宮頸がん検診及び乳がん検診の無料クーポン券及び検診手帳を配付する、女性特有のがん検診推進事業の実施、がん検診五〇%集中キャンペーンの実施、がん検診五〇%推進全国大会の開催、働く人の検診率を上げるため、がん検診に理解の深い企業との連携、また、かかりつけ医が患者に対してがん検診を受診勧奨するためのパンフレットを作成するなど、さまざまな取り組みをしております。

 これからも、基本計画の目標達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 政府の予算削減で結果的に事業を断念するという四十二自治体、いわゆる地方持ち出し分があることから断念せざるを得なかったという見方もできると思います。

 私は、この事業は、乳がん検診も子宮がん検診も対象を五歳間隔で区切っていまして、本来、全額国庫負担で五年間継続してやり切って初めて、この事業の公平性が保たれると思うんですね。この点をもう一回だけ政務官にお聞きしたいと思います。

山井大臣政務官 稲津委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のように、これは確かに五年ごとなわけですから、五年たって初めて、全員の方々ががん検診を受けられるということになるわけであります。

 昨年度、全額、十分の十国庫負担とするということもあった、その力によりまして、制度普及という目的は平成二十一年度において達せられたというふうに理解をしておりまして、申しわけありませんが、市町村に応分の負担を求めることとしたところでありますけれども、本事業が引き続き自治体にて実施していただけるよう、実施の必要性について自治体に働きかけてまいりたいと考えております。

稲津委員 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほどの一括交付金化の議論と関連する点もあるんですけれども、現行補助金で行っている国の事業の中には一括交付金になじまないものも当然出てくると思うんですね。例えば、先ほどお話しになりました災害復旧のこともそうですし、国家補償的性格のものもそうであろう。社会保障、義務教育関係、ここもそういう見方ができると思います。

 私は、特に、がん対策もまさにそうだと思っておりまして、命を守るという政策を考えれば、まさに国家プロジェクト的事業であると思いますし、検診率五〇%という政府の目標を達成するためには、これは自治体にどうぞというのではなくて、しっかりと国の責任で事業を進めていくべきであると考えます。

 補助金ではなくて、全額国庫負担でやるべき事業もあるのではないか、こういった考え方について大臣に最後にお伺いして、質問を終わります。

原口国務大臣 私は、一括交付金はできるだけ広くとるべきだ、この前提の中で、交付金化になじまない補助金等の類型を整理するということが大事かなと思っています。

 今委員がおっしゃったように、災害による臨時、巨額の財政負担に対するもの、あるいは国策による国家補償的性格を有するもの、地方税の代替的性格を有するもの、そして今おっしゃった、国策としてナショナルミニマムというか、しっかりとした下支えをすべきもの。ただ、これも、濫用すると何でもかんでも国策で、ではまた補助金ですという形になるので、そこは極めて限定的にすべきだというふうに考えておるところでございます。

稲津委員 もう終わりますけれども、私は、なぜこのことを強く言わせていただいているかというと……

近藤委員長 稲津さん、時間が来ております。

稲津委員 わかりました。

 国家的プロジェクトでがん対策をきちっとやっていくという視点をぜひ見失わないでいただきたい、このことを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、地方公務員の非常勤職員の労働条件の改善の問題について何点か質問をしたいと思っています。

 総務省が、昨年の一月に地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書を公表しております。この報告書に向けて、地方自治体の臨時職員、非常勤職員の実態を調べております。

 最初に数字を確認したいんですけれども、二〇〇八年四月一日時点及び二〇〇五年四月一日時点での地方公務員の常勤職員の定数及び臨時職員、非常勤職員の数がどのようになっているのかをお答えください。

渡辺副大臣 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 常勤の地方公務員の職員数は、平成十七年の四月一日現在でおよそ三百四万二千人、平成二十年四月一日時点でおよそ二百八十九万九千人、これが常勤の公務員数でございます。臨時、非常勤の職員数は、平成十七年四月一日現在でおよそ四十五万六千人、平成二十年の四月一日時点ではおよそ四十九万八千人となっております。これは総務省の調査によるものでございます。

塩川委員 今お答えいただきましたように、常勤職員はこの三年間で十四万人余り減少している。一方で、非常勤、臨時職員が四万人以上と大きくふえております。自治体の正規職員は、直近データの二〇〇九年四月一日現在では二百八十五万五千百六人となっておりますので、さらに減少し、一九九五年以降、十五年連続で減少しております。言うまでもなく、この間、地方行革大綱や集中改革プランや行革推進法、骨太〇六の方針のように、自公政権下で定員を一律に厳しく削減してきたことが反映をしております。

 一方で、地方自治体の業務が減ったわけではございませんので、そういう意味でも、この定員削減で担えなくなった恒常的、本格的な業務をも広く臨時職員、非常勤職員が担っているという現状がある。

 原口大臣にこの点についてお尋ねしたいんですけれども、現状、この臨時、非常勤職員というのが実態として恒常的、本格的な業務を担うような状況になっているんじゃないのか、その点についての大臣の御認識をお聞かせください。

原口国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 人間らしい働き方ができる、これが基本だというふうに考えています。

 地方公共団体の業務は多種多様でございまして、臨時、非常勤職員の任用については、各地方公共団体において、その職務の内容と責任に応じて適切に定めていただくべきものでございますが、臨時、非常勤職員については、今委員が御指摘のように、本来、臨時的、補助的な業務に従事することが前提であることから、恒常的な業務に長期にわたって従事することは想定されておりません。ここが非常に地方を今まで締めつけてきた、あるいは地方に向かう財源を、三位一体改革に象徴されるように一方的に削ってきた、そこのしわ寄せが働く現場に押し寄せてきているというような認識を一人たりとも持つような状況であってはならないというふうに考えております。

塩川委員 重ねてお聞きしたいんですけれども、確かに、自公政権下で厳しく財政的な抑制が行われてきたというのが地方の現場を深刻にしている。

 この総務省の研究会の報告書におきましても、市町村の臨時、非常勤職員数の職種別構成比を見ても、保育士が二三・一%、給食の調理員が九・三%など、実態を見れば、恒常的、本格的な業務についても臨時、非常勤職員が重要な役割を果たしているという実態があります。ですから、研究会の報告書でも、「臨時・非常勤職員の中には、職務の内容や責任の程度において、常勤職員と同様の仕事をしている事例があるとの指摘もある。」こういう指摘はもっともだと思いますが、原口大臣のお考えはいかがですか。

原口国務大臣 今お話があった、そのような指摘があるということは私たちも聞いておりまして、一刻も早く、人間らしい、しかも一人一人の働く人たちの権利が保障されなければ、良質な公共サービスを国民に対して、あるいは地域の住民に対して保障することもできない。これは御一緒につくらせていただいた公共サービス基本法の十一条に掲げた私たちの理念でございますので、その理念がしっかり貫徹できるように私たちも努力を重ねてまいりたいと考えています。

塩川委員 大臣がおっしゃったように、やはり働く者の権利が保障されるということが適切に公共サービスを提供する土台となっているということであります。その点で、率直に言って、臨時、非常勤職員の置かれている実態、労働条件というのが決してこういう権利が保障されているような状況となっていないという問題があります。その一つの事例としてお話をしたいのが、地方公務員の臨時、非常勤職員の退職手当の問題でございます。

 まず、現行がどうなっているのかということについて確認でお聞きしたいんですけれども、地方公務員の臨時、非常勤職員の退職手当について、支給は現行どのようになっているのか、臨時、非常勤職員に対して退職手当を支給されないのか、この点について御説明をお願いいたします。

小川大臣政務官 お答え申し上げます。

 地方公務員の退職手当でございますが、各自治体の条例で定められております。それを前提に、仮に国家公務員と同様の規定、準じた内容を定めている例が多いと思いますが、同様の場合は、国家公務員の非常勤職員の例が適用されるわけでございまして、要件が三つございます。

 一つは、常勤の国家公務員と同様の勤務時間により勤務をしていること。二つには、その勤務時間により勤務した日数が十八日以上ある月が六カ月を超えていること。最後に三つ目ですが、引き続いて六カ月を超えるに至った日以後は常勤の国家公務員と同様の勤務時間により勤務することが予定をされていること。以上三要件が準用されているのではないかというふうに推察をいたしております。

塩川委員 国家公務員法に準拠しての退職手当、地方公務員の臨時、非常勤職員についても、今お話しいただいたような要件を踏まえて支給が可能ということでありますけれども、そういう場合には六カ月以上の場合も退職手当の支給となると承知をしておりますが、その点はいかがでしょうか。

小川大臣政務官 三つ目の要件は、今申し上げたとおり、六カ月を超えるに至った日以後、同様の形態で勤務をすればという、いわば仮定の条件になっておりますので、文理上、委員御指摘のようなことはあり得るのではないかというふうに理解をいたします。

塩川委員 このように一定の要件を満たしていれば、臨時、非常勤職員も退職手当の支給の対象となるわけでありますけれども、率直に言って、現場がどうなっているかというと、必ずしもこういった臨時、非常勤職員の方の権利が保障されていない。

 その点で一点御紹介したいのが、群馬県の渋川市の事例のお話でございます。これは事前に総務省の方にもこの件で該当のペーパーもお渡しをしたところでありますけれども、渋川市採用臨時・嘱託職員給与形態一覧表というのがございまして、これは市の方から議会に提出された資料でございます。

 その中を拝見いたしますと、渋川市の採用臨時・嘱託職員給与形態一覧表におきましては、わざわざ「臨時職員に対しての退職手当は支給しないことから、」云々という記述があるわけであります。「臨時職員に対しての退職手当は支給しないことから、退職手当の支給基準である、「職員について定められている勤務時間以上勤務した日が十八日以上ある月が引き続いて十二月を超えるに至ったもので、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているもの」とならないような勤務形態とする必要がある。」として、「一日の勤務時間が七・七五時間以上で一箇月の勤務日数が十八日以上の月が十二箇月以上継続しないこと。」ということを図入りで説明しているものであります。

 こういったことが現場で行われている。働く者の権利が保障されてこそ公共サービスがしっかりと提供される。そういう点で、このような、一つの事例ではありますけれども、渋川市の臨時、非常勤職員に対して退職手当は支給しないというやり方について、私は率直に言っていかがかと思いますが、大臣としてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

原口国務大臣 大臣の立場で個々の自治体がどうかというのは、塩川委員、控えることをお許しいただくとして、一般論でありますけれども、退職手当を支給しないために勤務条件を逆算してつくるということは、法の趣旨からするとやはり反対だと思います。

 なぜならば、先ほどから答弁をしておりますように、働く人たちの権利を保障し、それは退職手当の支給もその中には含まれているわけでございまして、それを、当該市がどうかということはコメントいたしませんけれども、財政上の要件か、あるいは法文を少し別の角度から読んだのかわかりませんけれども、一人一人の権利をしっかりと守るような形で運用が行われるように総務省としてもしっかりと助言をしていきたい、このように考えています。

塩川委員 ぜひその点での取り組み方をお願いしたいと思っております。

 最後に、非常勤職員の任期のことについてお尋ねをしたいんですけれども、臨時、非常勤職員については、特別職としての非常勤職員、また一般職の非常勤職員、臨時的任用職員となっているわけですけれども、これらの任用期間について地方公務員法はどのように規定しているのかについての御説明をいただけますか。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 臨時的任用職員の任期につきましては、地方公務員法第二十二条において、六月以内、しかし、さらに六月以内で更新可、つまり一年というふうに定められております。非常勤の職員につきましては、明文の規定はございません。その職の性格等を踏まえれば、原則一年以内と考えられているところでございます。

塩川委員 実態は、任用については実質一年以上継続しているということが行われてございますし、また、研究会報告書を受けての公務員課長の通知におきましても、一般職非常勤職員について法律上明文の規定はないけれども、臨時的、補助的業務に従事するという職務の性格、職務の臨時性、補助性、毎年度の予算で職の設置が措置されるものであることから、原則一年以内である云々というのがありますけれども、この場合でも再任用はあり得るものであるとしているわけであります。そういう点では、特にこの公務員課長通知というのが両面の性格を持っているものですから、これをもって機械的に一年で雇いどめにするようなことがあってはならないと考えております。

 そういう意味でも、この通知をもって機械的な雇いどめの横行などが起こらないように、これは総務省としての通知でありますから、対応方をぜひお願いしたいと思うんですが、その点についてお答えいただけますか。

原口国務大臣 おっしゃるように、四月二十四日、公務員課長通知ということですけれども、これは、臨時、非常勤職員の任期の終了後、再度同一の職務内容の職に任用されること自体は排除されるものではない、また、雇いどめのトラブルを未然に防止するため、任用時の勤務条件の明示を徹底するというふうにしているところでございまして、委員御指摘のように、逆読みされないようにしっかりと助言をしていきたいというふうに考えています。

塩川委員 非常勤職員の権利保障のためにしっかりとした対応方をお願いいたしまして、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、一般質疑ということで、今、内閣委員会で国家公務員法が付託をされておりまして、審議も大詰めというような段階でもございます。また、先日、連合審査で私自身も質問に立たせていただきましたので、公務員制度のことについてお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。

 この連休中の新聞報道で、鳩山内閣が今検討している国家公務員の退職管理基本方針の原案が固まった、こういう報道がありました。その中で、おや、これはというような部分がありましたので、幾つかお尋ねをしてまいりたいというふうに思うんですけれども、この中で幹部を対象とした高位の専門スタッフ職を新設するというようなことが言われております。この高位の専門スタッフ職とは一体どういうものを想定しているのか、現時点で話せる範囲で結構ですので、御教示ください。

階大臣政務官 お答えいたします。

 現時点で話せる範囲ということでございますけれども、高位の専門スタッフ職制度というのは、既に専門スタッフ職というのは課長級以下にあるわけです。そういう課長級以下の専門スタッフ職とは別に、今回、幹部職の方がずっと部長とか局長とか、あるいは事務次官にとどまっていると組織の新陳代謝が進まないということで、そういった方たちが定年まで働いていただける仕組みの一つとして新たな高位の専門スタッフ職というものを設けたらどうかということで、これから具体的な制度設計を検討していくということにしております。

柿澤委員 これは高位の専門スタッフ職ということでありますので、今ある専門スタッフより、繰り返しになりますけれども、高位になるわけです。今の専門スタッフ職の三級の給与というのは大体年収一千万から一千二百万程度のはずでありますけれども、これよりも高位のスタッフ職になるということでよろしいんでしょうか。

階大臣政務官 今、課長級のスタッフ職との比較でおっしゃいましたけれども、当然のことながら、部長級のライン職の方との比較でいえば、大幅に下がることになると思います。

柿澤委員 前段のお言葉で言えば、専門スタッフ職三級の年収一千万―一千二百万程度の、今の専門スタッフ職より上の立場になるということだと思います。

 この退職管理基本方針の原案は、報道されているものによれば、この新設の高位の専門スタッフ職のポストについては、省内に居残るキャリア職員の給与についてポストに対応した水準を人事院に要請するというようなことが明記されていると書かれております。

 そういう意味でいうと、天下りを禁止し、根絶していくという方向になって、定年まですべての国家公務員が働き続けることができる環境を整えるということになれば、幹部職のポストにつきながら出世コースから外れていく方々も省庁の中にとどまることになる。こういう方々の受け皿として、この高位の専門スタッフ職をつくって、ある意味では幹部から外れた人を天下りのかわりに役所内部で処遇するためのポストを新たにつくろうという話に思えます。

 そうであるとすると、仕事のためにポストがあるわけでありまして、ポストのためにポストをつくるということになってしまって、大変本末転倒ではないかというふうに思います。また、こんなポストをつくって、一たん幹部になった人は、幹部のままでそういう水準の待遇を保障されて定年まで働き続けるということになってしまえば、国家公務員の総人件費の二割削減などというのは到底できないことになってしまうというふうに思います。

 こういうことになるとすると、例えば幹部から外れた人を、皆、高位の専門スタッフ職とした場合、今まで勧奨退職で役所の外に出ていたということがなくなるとすると、これは人件費の相当な増額要因になってくると思いますけれども、こうしたことに関して試算をしてみる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

原口国務大臣 柿澤委員はまだ報道ベースでお話しになっていますから……。

 私たちの基本は、総人件費を一・一兆円、四年で二割削減する、それから、出先やさまざまな給与の体系についても複線型にする。

 この高位の専門スタッフ職制度は、定年まで働き続けることができるんだけれども、天下りして、そこで随意契約をやったり、官製談合をやったり、ひもつき補助金を創業型でやるなんということはもうやめさせるんだ、そして、一方で職員給与の抑制を可能とする、そのためにやるわけでございますので、もうじき全体像が出てまいりますから、その中をごらんいただいて、私たちがいかにスリムで効率的な、天下りのない制度を目指しているかということをぜひ御理解いただければというふうに思います。

柿澤委員 このお話については、先日の内閣委員会と総務委員会の連合審査でもお話をしましたけれども、まさに肩たたき、退職勧奨をやめていくと、役所の中に幹部になった方々がそれと同程度の水準で居残っていく、こういうことが大幅に行われていく。これを何とかしていかないと、総人件費の抑制にはつながっていかないということになるのではないかと思います。その意味で、私たちは、やはりこの身分保障の問題についてしっかりと答えを出して、国家公務員制度の改革のあり方について早急に全体像を示すべきだということをこれまでも申し上げてきたわけであります。

 さらに、この退職管理方針の原案については、独立行政法人への現役出向のことが書いてあります。これについては、独立行政法人への現役官僚の出向を円滑に進めるため、各大臣の任命権のもと、職員が役員出向する場合、そのポストは公募の対象にしないことができるということを明記しています。こういう形で独立行政法人への現役出向というものをこれからふやしていこうと政府は考えておられるようですけれども、基本的な考え方をまず伺います。

階大臣政務官 今、委員がおっしゃった独立行政法人等への現役出向ということですけれども、これは別に新たにそういう現役出向枠をつくるということではございません。そもそも、独立行政法人には現役出向というのが認められていました。

 その現役出向というのは何のためにあるかといいますと、役所をやめずに一たん外に出て、自分の能力、経験を生かして働いていただいて、そこで学んだことをまた役所に戻ってきて活用していただくという意味でございますので、天下りとは全く違います。

 そうした中で、現役出向というのは大臣の人事権の一部として従来から認められていたわけでございまして、ここまでを一切やらないという必要はないのではないかということで、あえて現役出向についてはやってもいいことだということで、確認的に今回の退職管理基本方針についても入れる方向で検討しているところでございます。

原口国務大臣 少し補足いたしますと、法人役員としての現役出向は、次のようなメリットがあります。国家公務員の職務経験の多様化を図る。法人役員として経営感覚を磨いた職員を国の幹部職員として引き続き活用可能となる。それから、退職金を二重取りしているわけですよ、一回国家公務員をやめて、そこへ行ってまた戻ってくる、そんなことはさせない。早期退職慣行の是正にも資するということで、この制度についての検討をしているところでございます。

柿澤委員 まさに退職金の二重取りをしているんだというお話がありましたけれども、逆に言えば、この現役出向と天下りとは、退職金が一回分減ること以外にどこがどう違うのかというような気もしております。

 四月の末に独法仕分けがありました。また、独立行政法人通則法の質疑もありましたが、そこでURなど非常にガバナンスの点で問題があったという独法が相当数見受けられました。まさに、この独立行政法人が、省庁のいわば植民地として役員に天下り、その庭先として役所の下請を行っているかのような業務を行ってきた。こういう所管官庁と一体化した運営がなされてきたことが、これまでの独立行政法人制度の大変な問題点だったというように思います。

 その認識に立った上で、ガバナンスをしっかりときかせていくための制度改正というものを私たちは法案としてお示しをさせていただいたつもりだったわけですけれども、現役出向がふえていくとすれば、まさに今言ったようなガバナンス上の問題、そして、独立行政法人は結局は所管官庁の出先機関、植民地、こういう形がさらに強まってしまうことになるのではないかというように思いますが、御見解はいかがでしょうか。

原口国務大臣 それは、独法そのものを今仕分けしているわけです。今ある形の独法をそのまま残して、そこに現役出向を際限なくやれば、今委員がおっしゃったようなことが起こると思います。

 逆に、今おっしゃったURについても、私は野党時代でしたけれども、あれはたしか大阪の和泉だったと思いますが、産業廃棄物をその中に入れて、都市開発をしている。そのことを知らない人たちがその土地を買う。そして、ガバナンスは何にもきいていないということで、これは事件になりました。私たちはそういったものを一つ一つ追及する中で、ガバナンスをしっかりきかすために、独立行政法人改革を一方でやりながら、今回、オーバーフローする部分を現役出向ということにしております。

 民主党で一緒にやっていたときも、御存じだったと思います、私たちがいかにこの独法のガバナンスに疑問を持っていたか。その姿勢は、今も変わっていないということを御理解ください。

柿澤委員 採用の問題について最後にお伺いをしたいと思います。

 一般職国家公務員の新規採用者を二〇〇九年度比で半減をするということが鳩山内閣の方針として示されておりますが、これについて総務省が採用枠ごとの削減目標を各省に通知した。それによると、いわゆる1種のキャリアと2種は二割減ということで、原則廃止を公約として掲げている地方の出先機関については八割減らす、こういうことになっているということであります。

 十四日の閣議決定を目指しているということでありますけれども、先ほどの高位の専門スタッフ職のこともそうですし、これは見ようによっていろいろな解釈が成り立つんだと思いますけれども、キャリア職員については、ある種、高位の方々については二割減、一方で地方の出先機関については八割抑制ということになるとすると、一体これはどこの方向を向いてこの採用抑制を実施しようとしているのかなというような印象も抱いてしまいます。また、こういう形で採用の半減ということを行っていくことについて、既に各省庁からさまざまな否定的な意見の表明などもなされている。こうした状況の中で、十四日の閣議決定を目指しているということですから、それに向けてどのように進めていくのかということをお尋ねしたいと思います。

原口国務大臣 スリムで効率的な政府を目指すわけです。大赤字を出していて、去年と同じような採用をしている企業があったら、その企業はつぶれますよ。国の出先機関は原則廃止すると私たちは言っているわけですから、その出先機関について、二十年、三十年、四十年働く人たちを去年と同じように採ること自体がおかしいんですね。そこはぜひ御理解ください。

 私たちが肥大化した官を今のような形にはしないんだと強い意思を持って現在臨んでおり、そして、各省はいろいろなことを言ってきました。確かに、専門職があったり、それから治安であるとか、これからさらに重要になる職責についてのもの、そこは私たちも丁寧に今聞いておりますけれども、原則は、現在のこのような財政赤字、そして、事業そのものも減っているのに、去年と同じということはあり得ませんということで、今おっしゃるような新採も方針を出させていただきました。退職管理方針についても、希望退職制度といったものを入れて、できるだけ効率的で、そして公共サービスをしっかり保障できる、そういうタフな仕組みにしていきたいと考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

近藤委員長 質問時間が終わっておりますが、柿澤未途君。

柿澤委員 冒頭申し上げたように、幹部職員に対して高位の専門スタッフ職というポストを新設して、そこを受け皿にして役所の中にとどまってもらう、こういう形のものをやっている限り、総人件費の抑制というのは限定的なものにとどまってしまうのではないかというような印象が禁じ得ません。

 今回、国家公務員法の改正案、今審議をされて大詰めであるわけですけれども、やはり身分保障の問題、こうしたところにしっかりと手をつけて、真っ正面から議論をし、降格、降給も可能になる制度をしっかりと全体像を示しながら進めていかなければいけないというふうに思っております。そのことが、残念ながら今回不十分なまま進んでいる。これからの議論に期待をしたい部分もありますけれども、しかし、これからどこまで進んでいくのかということについて、私たちもいろいろな思いを抱きながら皆様方の施策を注視してまいりたいというふうに思っておりますので、質問を終えるに当たってそのことを申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 次に、内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案及び本日付託になりました高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。原口総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法等の一部を改正する法律案

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口国務大臣 放送法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した制度の整理合理化を図るため、各種の放送形態に係る制度を統合し、無線局の免許及び放送業務の認定の制度を弾力化する等、放送、電波及び電気通信事業に係る制度について所要の改正を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、放送に係る制度の整理合理化を図るため、放送関連の四つの法律を一つに統合するとともに、放送を基幹放送と一般放送に区分し、放送の業務の参入について、基幹放送は認定、一般放送は登録とするとともに、放送の業務と電気通信設備の設置、運用を一の者で行うことも、それぞれを別の者が担うことも選択可能にする一方、地上放送において放送の業務と無線局の設置、運用を一の者が行う場合には、無線局の免許のみで足りる現行の制度も併存させることとしております。

 第二に、放送の多元性、多様性等を確保するため、基幹放送について、いわゆるマスメディア集中排除原則の基本的な部分を法定化し、複数の基幹放送事業者への出資に関しては、一定の範囲内において定める水準を超えないことを原則とすることとしております。

 第三に、放送については、このほかに設備の維持、重大事故が発生した場合の報告、放送番組の種別の公表、有料放送の提供条件の説明、再放送同意をめぐる紛争に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁等に関する規定を整備することとしております。

 第四に、電波利用に係る制度の合理化、弾力化を図るため、主たる目的に支障のない範囲で、一つの無線局を通信及び放送の双方の目的に利用することが可能となるよう、無線局の免許及び目的変更の許可に関する規定を整備するとともに、免許を要しない無線局の空中線電力の上限の見直し、携帯電話基地局の免許の包括化、電波監理審議会による意見の聴取等に関する規定を整備することとしております。

 第五に、電気通信事業に係る制度の整理合理化を図るため、いわゆるコンテンツ配信事業者等と電気通信事業者との間における電気通信役務の提供をめぐる紛争等に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者の接続会計に関する規定を整備するとともに、有線放送電話に関する法律の廃止及びこれに伴う規定の整備等を行うこととしております。

 第六に、附則において、政府は、この法律の施行後三年以内に、表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための制度のあり方について、放送の健全な発達を図り、国民にその効用をもたらすことを保障する観点から、新聞社、通信社その他のニュースまたは情報の頒布を業とする事業者と基幹放送事業者との関係、いわゆるクロスメディア所有規制のあり方を含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電気通信紛争処理委員会の委員の任命に関する改正規定等は公布の日から、電波監理審議会による意見の聴取に関する改正規定等は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、免許を要しない無線局に関する改正規定等は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 続いて、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、デジタルテレビジョン放送の送信設備等の整備を引き続き促進するため、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の廃止期限を平成二十七年三月三十一日まで延長するものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

近藤委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十二分散会


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