衆議院

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第20号 平成22年5月25日(火曜日)

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平成二十二年五月二十五日(火曜日)

    午前十時九分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    勝又恒一郎君

      菊池長右ェ門君    小室 寿明君

      近藤 和也君    空本 誠喜君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    三村 和也君

      皆吉 稲生君    森山 浩行君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    佐藤  勉君

      坂本 哲志君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          利根川 一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     森山 浩行君

  逢坂 誠二君     空本 誠喜君

  階   猛君     菊池長右ェ門君

  寺田  学君     花咲 宏基君

  谷  公一君     坂本 哲志君

  森山  裕君     後藤田正純君

  山口 俊一君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    階   猛君

  空本 誠喜君     逢坂 誠二君

  花咲 宏基君     近藤 和也君

  森山 浩行君     藤田 大助君

  坂本 哲志君     谷  公一君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     勝又恒一郎君

  藤田 大助君     大西 孝典君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     三村 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  三村 和也君     寺田  学君

    ―――――――――――――

五月二十五日

 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五六号)(参議院送付)

 国と地方の協議の場に関する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案並びにこれに対する石田真敏君外二名提出の修正案及び西博義君提出の修正案並びに高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案及び両修正案を議題といたします。

 この際、放送法等の一部を改正する法律案に対し、黄川田徹君外一名から、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合の二会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。黄川田徹君。

    ―――――――――――――

 放送法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 この修正案は、委員会における審査等を踏まえ、電波監理審議会による建議及び資料の提出等の要求に関する規定を削除しようとするものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

近藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び各修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信国際戦略局長利根川一君、情報流通行政局長山川鉄郎君及び総合通信基盤局長桜井俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 両案及び各修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西博義君。

西委員 開会前、昨日夕方から先ほどまでの理事懇、理事会について、私は、到底認められない今回の議事運営だということをまず申し上げたいと思います。

 昨日は、いろいろ議論がありましたけれども、最終的には委員長の職権でもって本委員会を立てられました。私たちは、そのことについては全く同意はできておりません。しかし、本日八時五十分からの理事会は、そのことを別にして、私たちは責任を果たすために理事会に臨ませていただきました。

 その後、まず修正協議の議論を行いましたけれども、この修正協議も、私ども、それぞれ自民案、公明案に対する説明もし、そして持ち帰っていただいたにもかかわらず、電監審の一項目だけに固執をして、それ以外は全く一顧だにせずというその態度、しかも、その上に、その理由さえも私たちにはっきりと明示しないままに一方的に修正案の協議を打ち切ってしまう、こういう暴挙に出たわけでございます。

 その上に、その協議の中でわかったことは、私ども、自民党、公明党両修正案の共通の項目である電監審における建議について、民主党、社民党、つまり与党みずからが修正案を出す、こんな考えられないような結論が発表されました。

 しかも、これを、先ほど趣旨説明がありましたが、本委員会に上程して、これを含めて今から質問をしろ、こういう今まで考えられないような議会運営を委員長は許可されました。今までのルールは、特に議員立法においては前日の四時までに質問の内容を提示して、そのことについて質問するというルールを全く無視して、今から質問しろ、こういう暴挙でございます。

 こんなことが許されていいものでしょうか。これからの国会審議にそういうことが前例としてあり得るとするならば、それは委員会そのものが成り立ちません。趣旨説明をして、その日に、即刻、我々に法案を提示して、それで質問しろと言うに等しいような、そんなことはあってはならない、私はこのように思います。

 委員長並びに与党に対して私は厳重なる抗議をして、今回の質問に入りたいと思います。

 この電波法並びに放送法は、数々の論点があります。今までの委員会は、どちらかというと、何点かの大きな課題に絞って議論が闘わされてきたように思いますが、私は、きょうは少し視点を変えて議論をしてみたいと思います。

 今回の電波法改正の一つの柱は、新技術導入を促進するために、技術基準策定の申し出制度、それから技術基準適合命令制度など、技術に関するものが多く目につきます。それは、日進月歩の技術にどういうふうに法的に対応していくか、大きな観点であると思いますし、大変大事なことだというふうに思います。そのようなことについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、放送法改正案第九十三条第一項免許の認定、それから電波法第七条第二項の無線局の申請審査、こういう二項目について技術的能力があるという要件を今回追加されました。これはどういうことを意味するのかということを、一点、簡単に説明していただきたい。

 それと、事業者は、放送法改正案第百十一条第一項で、総務省令で定める技術基準に適合するように維持する、こういうふうにうたっておるわけですが、この改正の背景について、同様の規定を持つ電気通信役務利用放送法や有線テレビジョン放送法を統合した以外に何か理由があるのかどうか、説明をお願いいたします。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 二問、先生から御質問いただきましたが、説明のしやすさから順番を変えてお答えをさせていただきたいと思います。

 改めて申し上げるまでもないんですが、テレビ放送というのは、大変公共性が高いメディアでございます。にもかかわらず、実は重大な事故が頻発をしております。

 具体的に申し上げるならば、平成二十一年、公表されている事故だけを取り上げてみても、例えば、その影響が五十万世帯に及ぶ事故が三件、そして一万世帯以上の事故が九件発生しております。その中で、どれぐらいの規模かということを申し上げますと、十時間以上の放送中止に至った事故が三件、一時間以上については六件、これが実態でございます。

 公共性が高いにもかかわらず、このような事故が頻発をしているということをかんがみて、私どもは、今回の放送法改正案の中で、技術基準への適合を求める旨の規定を設けさせていただきました。しかし、それだけでは十分ではございません。技術基準への適合を担保するために、技術的能力という要件をそこに付加させていただいたわけでございます。

 具体的に申し上げさせていただくならば、その技術基準への適合の実効性を担保するため、免許または認定の際に、平常時に円滑な運用を行えるものであるかを確認するため、実務経験から見て十分な能力を有する者を擁しているかどうかという点、そして、災害が発生した場合に迅速な技術的対応が可能な体制を整えているかどうか、そういった点、これがまさに技術的能力という点の具体的な中身でございます。

 先ほど申し上げましたように、事故が頻発をしているという背景を踏まえて、私どもは、新たな規定として、技術基準への適合、並びにそれを担保するための措置として技術的能力という要件を付加させていただいたということで御理解をいただきたいと思います。

西委員 この件に関しては、大変重要な内容だと思います。必要不可欠なことですので、きちっと対応ができるように体制を整えていただきたいと思います。

 次に、今回の改正は、広範囲または長時間にわたる放送中断などの事故を防ぐことが改正の一つの目的だというふうに、先ほどの答弁をお聞きしても想定されます。

 チェック体制としては、まず、みずからメンテナンスをしっかりすること、これは当然のことです。そして、放送法改正案の第百十五条には、総務省職員が設備に関する立ち入りや検査を行うことができる、こういう項目がございます。しかし、多分、通常はこの立入検査というのは何か問題が生じたときの事後チェックというのが現実ではないかというふうに思われますが、この点について確認をしておきたいと思います。

内藤副大臣 これについても私からお答えをさせていただきたいと思います。

 今般の改正で、設備の毀損または故障により放送の停止等の事故が生ずることを防止する観点から技術基準を整備することとしておりますが、そうした規律も遵守されることがなければ、法改正の目的を達することはできないわけでございます。実際に技術基準が遵守されない事態が発生した場合に、その実態を把握できなければ、設備の改善命令等の措置を講ずることも不可能となってきますし、あるいは講ずる根拠が不透明になってしまうわけでございますから、報告の徴収や立入検査の規定を盛り込ませていただいたわけでございます。

 そこで、委員御指摘の、総務省職員が設備に関する立入検査ができるという第百十五条なんですが、これはあくまで、百十一条の設備の技術基準への適合性維持、二つ目といたしましては、第百十三条の重大事故の報告、そして三つ目といたしましては、第百十四条の設備の改善命令などの規定の施行に必要な、これら三つの実行に必要な限度において立入検査をできるようにしたわけでございます。

 そこで、例えば電波法では定期的な立入検査をしているじゃないか、なぜそうしないのか、事後的なものにとどめておくのかという委員の御指摘でございますが、実は、基本的には、今の法律の仕組み、流れといたしましては、事後的な規制になりつつあります。

 しかしながら、なぜ電波の分野に関してだけは定期的な立入検査になっているかといいますと、電波は、御存じのように、もし違法電波を流すことによって混信だとか干渉を起こしたら、ほかの放送にも影響を与えてしまうという特殊な事情があるわけでございます。ですから、電波はほかの事案に比べてより慎重に対処していく必要があるという観点から、特例として、電波の場合については定期的な立入検査をさせていただいているというふうに御理解をいただきたいと思います。

西委員 次に、放送における事故の防止に関して、より効果的な対策を講ずるために、電波法の登録点検事業者制度の、これからは登録検査等事業者制度というふうに変わるそうですが、このように定期的なチェックをどうして行わないのかということでございます。

 放送法上、事故防止策に重点を置くような点検、検査制度について検討すべきではないのか。その際、この登録点検事業者制度はよく機能している、今までよくやっていただいているという評価だというふうにお伺いしておりますが、車検と同じように、設備の性能が高くなれば、点検の頻度などについても、今後、やはり一層の緩和、簡素化が日進月歩のこの時代の中で可能ではないかというふうに私は考えております。

 そうすると放送事業者への過度の負担とならないという観点から、放送法上、新たな定期的な点検、検査を導入する際には、電波法の定期点検、検査はより緩和する方向で検討されてはいかがかというふうに思いますが、この考え方についての見解をお願いいたします。

利根川政府参考人 お答えをいたします。

 今、副大臣からも御答弁申し上げましたけれども、電波法の検査につきましては、混信防止といったような観点から定期的に行う必要があるということで従来から規定をされているわけでございますが、今回の設備の維持に関する観点からの技術基準等の規定につきましては、高い公共性を有する放送の業務が、設備に起因する事故によって停止することがないように定めているものでございます。

 こうした技術基準につきまして、先生御指摘のとおり、定期的に検査をすることにいたしますと、新しい制度でもございますし、事業者にとって過度な負担となるおそれもあると考えられますことから、参入時においては確認をいたします、しっかりとした体制とか技術基準ができているかということについては見ます。その後においては、とりあえず、放送事業者においてその設備が技術基準に適合するように維持するという状況に努めてもらいまして、仮に適合していないと認められる場合には、事後的に改善命令を図ることで担保をするということで今回は制度化をさせていただいたということでございます。

 今後につきましては、状況を見て、必要なものがあればまた検討してまいりたいと思います。

西委員 観点を変えます。

 私ども、今回、修正案を三項目出しましたが、三項目めに政省令への委任ということを申し上げました。つまり、総務省令への委任について、「この法律を実施するため必要な事項」というふうに出ておりますが、確認のために、現在、どのような事項を具体的に考えているのかということについてお伺いをいたしたいと思います。

 また、この規定では、何でも総務省令で定めることができるのかという、私たちは、その後、想定されないことが出てくるのではないかという危惧を若干抱いております。それとも、この規定には何らかの範囲があるのか、この規定を使う上で何か運用基準のようなものがつくられているのか、もしくは今後つくる予定があるのかということも含めて、この総務省令への委任についての考え方をお答えいただきたいと思います。

利根川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、改正放送法の第百八十二条の規定でございますけれども、この規定は、法律の実施のために必要な事項を総務省令で定めることができる旨を規定する、いわゆる実施省令に関する規定でございまして、昨今の立法例ではこのような規定を整備することが一般的でございますことから、今回、放送法でも規定の整備を行ったものでございます。

 ちなみに、電気通信役務利用放送法、有線テレビジョン放送法、それから有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律、今回、放送法に吸収しますこの三本につきましても、同様の規定が設けられているところでございます。

 この実施省令で定める内容でございますけれども、運用基準等は策定してございませんけれども、一般に、実施省令と申しますものは、法律を実施するために必要な細目的事項、主として手続事項を規定することができるにとどまりまして、実質的に国民の権利を制限したり国民に義務を課することとなるようなことを規定することは許されないというふうに解されておりますことから、改正放送法の第百八十二条の規定に基づく総務省令につきましても、放送法の実施に必要な手続的、細目的事項を定める予定でございまして、例えばでございますけれども、放送番組の内容に関する事項を盛り込むですとか、そういったことは予定もしてございませんし、許されるものでもないということでございます。

 では、具体的にこの百八十二条の規定に基づき定める総務省令とはどういうものがあるかということでございますけれども、例えば、放送事業者による申請や届け出は各地域の総合通信局長を経由して行うことができるとする規定とか、申請書等を書面ではなく電磁的方法によって作成し提出することができるとする規定、あるいは、立入検査をする職員が携帯する検査職員の証明書の様式を定める規定といったものを定める予定にしてございます。

西委員 今答弁がございましたとおり、私どもも、その後についてもきちっと検証してみたいと思っております。我々、修正案として出した限りは、それは検証してみたいと思いますが、長く国会におりますと、政省令というものが意外な行方で浮かび上がってきたりということがあるものですから、ぜひとも、今おっしゃった、きちっとした範囲の中での規律ある立て方をしていただきたい、このようにお願いをしておきます。

 次に、今後のメディア関係法律のあり方も展望しながら質問をさせていただきたいと思うんですが、これは大臣にお願いをしたいと思います。

 今回の放送法改正案の議論を通じて思うことは、現在の著しい情報通信の技術革新に法律がなかなか追いついていかないという、もちろん、今回新しい法律を出されたということは一つの対応だと思いますが、そういう気がしております。当総務委員会でも、放送の定義をめぐる問題点の指摘が既にありましたけれども、これなども、必ずしも時代に合わなくなってきた放送、通信という枠に合わせようということから生じてきているというふうに思うわけです。

 放送大学の林敏彦教授はこのようにおっしゃっております。インターネットの出現はこれまでのネットワークの概念を変えてしまった、例えば電話時代のネットワークでは、ネットワーク全体のインテリジェンスは中央にあり、電話は発信、着信だけのツールであった、インターネットが革命的であったのは、端末にインテリジェンスを持たせたことだという趣旨のことを述べておられます。iPadのように、こんな端末の状況を見ると、もはや新聞業界も出版業界もインターネットへの速やかな対応を迫られているというのが実感できるわけでございます。当然、放送業界も同じです。

 事実、きょうの一般紙に、「iPad暮らしに浸透中 四月発売の米国、百万台突破」ということで、「変わる日常」という記事が載っておりました。「携帯電話ともパソコンとも異なる新しい機械は、読書などの娯楽や、教育、ビジネスなどに幅広く使われ始めている。人びとの暮らしを、どう変えるのか。」と、これはちょっと小さいんですが、大きく紙面に載っておりました。情報通信の世界の進み方の大変な速さを印象づける内容でございました。

 これは速やかに概念の整理を始め、メディア関係法制度のあり方について検討されるべきではないかというふうに思います。現実的に通信分野と放送分野との競合が起きていることも踏まえて、いかに公平な競争条件を確保するかという観点からも早急な検討が必要であろうと思いますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 極めて重要な御指摘だと思います。

 通信においては通信の秘密の保護が、放送においては表現の自由の確保が重要であるように、通信と放送では互いに維持すべき法益、目的が異なるために、それぞれの概念や規律の基本はそのまま維持することとし、今回、電気通信事業法と放送法を一本化しませんでした。

 ただし、今先生が御指摘の、林先生がおっしゃっているように、端末にインテリジェンスを持たせたインターネットはまさに革命的で、ネットワークの分散化がインターネットの基本思想である、林先生はそうおっしゃっておりますが、瞬時に無限大の、しかもだれでもが情報を発信できる、こういう新たなパラダイムができてきているわけでございまして、通信と放送の際が極めてあいまいになって、融合という言葉を使う方もいらっしゃいますが、新しい時代が出現しています。一方で、クラウド、あるいはアンドロイド、さまざまなこれまでになかった技術が生まれてきています。

 今委員がおっしゃるように、情報通信分野は、インターネットの出現に見られるように、技術の進展が極めて顕著でございまして、法体系や規律の内容については、御指摘の観点も踏まえ、不断の見直しが必要である。時代を先取りする大きな理念と、それに基づいた法改正の不断の検討といったことを目指してまいりたいと考えています。

西委員 私、先週の参考人質疑の折にも、ちょうど民放連の会長さんがお見えになっておりましたので、ラジオのことについて少しお聞きをいたしました。

 テレビにつきましては、来年七月、全面地デジ化ということで、議論が大変活発に行われており、その対策も進んでいるわけですが、その一方、ラジオについてはなかなかこの議論も進まないし、現実もそこに追いついていかないという現実がございます。

 調べてみますと、ほうっているのかというと、そうではありませんで、総務省さんの方もいろいろ議論を進められているようですが、ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会を既に設置されているというふうにお聞きをしておりまして、この六月にもそういう内容の報告書が上がってくる、こんなこともお聞きをしております。

 それから、ことしの二月には、日本放送協会と日本民間放送連盟のラジオ委員会の両者が、NHK・民放連音声メディアの将来に関する意見交換会、こういうものも発足させて取り組みを始めた、こういうふうな話をお聞きしました。このそれぞれの取り組みに私は期待したいというふうに思っているんです。

 ところで、放送業界にとっては、地デジへの対応に見られるように設備投資負担が非常に重いようです。先日の参考人質疑でも、民放連の会長さんが、印象としてはテレビよりも重いとおっしゃったのかなというぐらいの、何か設備については大変な状況になっているという印象を私は受けました。結局、広告収入が減少する、これも激しい落ち込みのようでございますが、そんなことでコンテンツにはなかなかお金が回らない、その分貧弱になってくる、こういうことも悪循環になっているというふうな話も現場ではお聞きをしております。

 そうしますと、テレビ、ラジオ離れが進むという、今のこの悪循環に陥る危険性、特にラジオについては、全体の地デジ化の移行についてもテレビのようにいきませんから、非常に厳しい状況に落ち込んでいくのではないかというふうなことが心配されます。

 そういう意味で、できる限り設備投資への負担を軽減する、こういうことにやはり取り組んでいくべきではないかというふうに思います。趣味だからということではなくて、緊急時の、例えば災害時の放送だとか、停電しても、ラジオは大体各家庭に携帯で持っているというようなこともあって、それなりの社会的な役割も当然今まで同様にあるわけですから、このことについても大変重要な課題ではないかと思っております。

 例えば、私、和歌山県なんですが、和歌山県の南の方、紀南地方というんですが、この地域へ送信するにはどこがいいかといいますと、一番適地は徳島県なんですね。私たちは小さいころ、ずっと四国放送を聞いて大きくなりました。紀伊半島の中心に向かって川が流れているんですが、そこに向かって徳島から発射しますとずっと聞こえるんだろうと思うんです。一方、和歌山市からいくと、尾根が連なっていますから、なかなか聞こえない。こんなこともあって、四国放送を聞いて大きくなったんですが、そういうものを四国から発射することはできないというふうにお伺いをしました。地域的な関係があるんだろうと思うんですが。

 先日、民放ラジオ局の試験配信、ラジコに関して、好評だという報道があり、私もきのう試しにちょっと聞いてみました。インターネットを通じてラジオを聞くというのは非常におもしろいんですが、非常に音もよく、いい内容の番組をやっておりました。例えば、ラジオのデジタル化に当たっても、新たに設備投資をするのではなくて、こうしたネットを活用すれば負担が少なくて済むということもあります。また、ネットではなくて、仮にデジタル放送の施設設備が必要だということであれば、NHKなどの既存の施設設備が利用できないかなど、いろいろと観点があろうかと思います。

 技術的に可能な限り、設備投資の負担軽減について検討をお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 西委員にお答えいたします。

 おっしゃるように、ラジオは受信機が安価で操作が簡単でございますし、受信エリアが広いといった特徴を有しています。

 各地域に密着した情報の発信。先日、西委員の御地元の和歌山、これは石田先生も御地元ですけれども、伺わせていただきました。和歌山は、もともと奨学制度の発祥の地というか、地域で多くの子供たちをはぐくむ、その伝統があるということで、私は、松下幸之助さんに学ぶということで和歌山県が主催をされまして講師として呼んでいただいたんですが、やはり地域に密着して、お互いがお互いを温め合う、きずなのメディアがラジオであるというふうに思っています。

 したがって、今ラジコのお話をされましたけれども、新たなメディアの時代において、私はラジオは極めて有望で大事なメディアだというふうに思います。その観点から、総務省では、本年二月から、ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会を開催いたしまして、新しいデジタルメディアも視野に入れてラジオの将来像について多様な角度から検討しておりまして、六月中に一定の結論を得る予定でございます。

 例えば、今委員がおっしゃったような、V―LOWの周波数を用いた新しいデジタルメディアもできると思いますし、V―HIGHについても別の利用を研究しています。

 また、この研究会の中で、御指摘の、鉄塔など既存の放送局の設備の利用、適切な放送対象地域の設定、それから放送事業者の初期投資負担の軽減など、ラジオのデジタル化の設備投資負担軽減策について検討しておりまして、実際にしっかりとラジオを支えてまいりたい、このように考えていますので、御指導をよろしくお願いいたします。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

西委員 質問時間が終了しましたけれども、冒頭申し上げましたとおり、まだまだ課題はたくさんあります。修正協議にしても、今、一方的に打ち切られましたけれども、きょうのこの委員会の質疑を通してまた新たに方向性が出るということもありますので、ぜひとも慎重審議を、しっかりした審議を当委員会で放送法に関してやっていただけるように委員長にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 放送法の審議に当たりまして、本日の委員会運営に当たって、与党並びに委員長のやり方に強く抗議をするものであります。

 本日の委員会立てそのものも、二時間半という形で委員長が職権でお決めになりました。さらには、修正協議を一方的に打ち切った上で、与党修正案の趣旨説明についても委員長の職権でお決めになる。さらには、この与党修正案について本日の議題とするということも、理事会に諮りもしないでお決めになっている。

 理事会の最後のときに委員長はどうおっしゃっておられたのか。趣旨説明を行うということを言いながらも、その質疑については与野党の筆頭間の協議をお願いしたいと言っていたじゃありませんか。質疑について与野党の筆頭間の協議にゆだねたにもかかわらず、先ほど、委員長は職権で議題としてお立てになった。これについてはどのように説明されるのか、委員長にまずお尋ねしたい。

近藤委員長 趣旨説明を委員会でお願いしたい、その質疑については筆頭間で御協議をいただきたいということであります。

塩川委員 いや、委員長は、議題とすることを含めて、質疑については筆頭間の協議をお願いしたいとおっしゃったんです。それなのに、委員長はこの場で、冒頭の委員長の発言において、与党修正案も含めて議題とするという発言をされておられるじゃありませんか。これについてどのようにお考えなのか。与野党の筆頭間の協議、この立場でこそ議事整理して行うべきじゃありませんか。

近藤委員長 ですから、趣旨説明はお願いをしたいということで、趣旨説明はさせていただくというお話をさせていただいたところであります。

塩川委員 議題にはしていないということでよろしいんですか。

近藤委員長 趣旨説明をお願いするということであります。

塩川委員 議題にしているということで御発言があったわけであります。理事会において、委員長が、与野党の筆頭間で質疑についての協議をお願いしたいと言っておきながら、みずからの言明をほごにして、一方的に破棄をしてこの場で議題とする、こんな運営がどうして認められるのか。そのことこそ問われているんじゃありませんか。委員長としての考えをお聞きしたい。

近藤委員長 ですから、何遍もお答えいたしておりますように、趣旨説明をお願いするということであります。

塩川委員 議題としていないということですか、もう一度お聞きします。議題と……。いや、ちょっととめてくださいよ、委員長、これは整理されていないんですから。筆頭間をやっているんだから、ちょっととめてくださいよ。とめてくださいよ。(発言する者あり)

近藤委員長 ですから、三修正案について、議題とさせていただきますというお話をさせていただきました。趣旨説明をさせていただくというお話もさせていただきました。質疑については、両筆頭間で御協議いただきたいというお話をさせていただきました。

塩川委員 では、この場において、与党修正案について質疑はできるんですか、できないんですか。委員長はそれをどうお考えなんですか。

近藤委員長 それは、先ほどの理事会の席でも申し上げましたように、既に御提案をなさっておられる、また修正案の中で触れておられることでありますから、関連して御質疑いただくことは結構かと思います。

塩川委員 要するに、委員長が仕切った理事会の場においての筆頭間協議ということをほごにして、委員長が勝手にお決めになっている。こういう乱暴な運営は認められないということを申し上げなければいけません。改めて理事会協議で整理をいただきたい。

 先ほど西委員もおっしゃっておられましたように、修正案については、前日の四時までに質疑を通告するということを与野党の合意で決めているんですよ。それなのに、なぜ、きょう質疑ができるんですか、きょうの今提案をされたものについて。今後の質疑の日程が決まった段階で、その前日の四時までに質問通告をするのに、こういう理事会合意そのものもほごにしているというのが委員長のやったことじゃありませんか。こんなやり方は認められないと強く抗議をするものであります。

近藤委員長 私の理解は、昨日からの修正協議の中での一つの答えとして与党から修正案が出た、こういう理解であります。

塩川委員 ぜひ筆頭間もやっていただいて、理事会での協議も引き続きお願いしたい。(発言する者あり)私の質問時間ですから、大いに今後についてもしっかりと質疑をするということの前提についてお聞きしたいと思っています。(発言する者あり)

近藤委員長 ちょっとお静かにしていただけますか。

塩川委員 では、とめてくださいよ。整理していないんですから。(発言する者あり)

近藤委員長 塩川鉄也君、質問を続行ください。

塩川委員 こういう暴挙に暴挙を重ねた上で、本日、質疑終局、採決などということは認められないということを改めて申し上げて、この法案については、問題点はまだまだただされていないんですよ。十分な審議が必要なんだ。

 私は、その点できょう、まずはマスメディア集中排除原則についてぜひ質問したい。

 大谷委員への答弁の中で、マスメディア集中排除原則を明記する一方で、出資規制については現況を見ながら少し緩めていますと答弁されておられます。マスメディア集中排除原則の出資についての法定化とともに、出資上限の緩和がされているわけですが、この出資上限緩和の理由は何なのかについてお尋ねします。

原口国務大臣 地域の諸問題について、地域住民が報道等を通じて多様な情報を入手できる環境は大変重要でございます。放送局は、情報を発信し共有することによって、人々の社会への参加を促し、民主主義をしっかりと強固なものにするといった大事な役割を担っています。

 一方、放送局は、広告収入が減少する中で、特に今お尋ねの地方局は厳しい経営環境にございますので、その経営がうまくいかなければ、我々は、こうした地域の民主主義の拠点と言ってもいい、そういうものを失うことになってしまいます。

 そこで、今回の法改正におけるマスメディア集中排除原則の法定化に際しては、放送メディアの環境の変化に柔軟に対応できるよう、出資による支配の基準について、十分の一以上三分の一未満という枠組みを設定したものでございます。

塩川委員 地方局、ローカル局の経営が困難となっている。放送局の広告収入の減などという説明をされておられます。

 総務省としては、今回の法改正は、赤字経営のローカル局への資本増強を具体化しようとするものだという御説明であるわけですが、ローカル局が赤字となっている理由は何なのかということについて、どのように分析しておられるんですか。広告収入だけが原因なんですか。

原口国務大臣 一般に、これは地域主権改革の方から見ても、地域がみずから生み出す富が非常に減っている。また、三位一体改革によって、自治体が小さければ小さいほど、余計ひどい経済状況になっています。そういった全般の経済の悪化、その結果として、そういうものを背景とした広告収入の減少、そしてもう一つ言うとメディアの多様化、こういったことも大きな原因にある。

 人々の意識の変化やさまざまな環境変化といったものが背景にございますが、極めて環境的に厳しい。しかし、その一方で、今申し上げたような地域におけるローカルメディアの果たす役割は極めて大きいと考えておりまして、このような措置をしたものでございます。

塩川委員 ローカル局が経営が困難だ、赤字になっている理由の話として、広告収入の減とメディアの多様化という話をされましたけれども、中継局の建設などの地デジ投資の問題があるんじゃないですか。ローカル局を中心に、中継局建設などの地デジ投資による減価償却負担というのがピークになっている、そういう事情が赤字ということにあらわれているんじゃないですか。

原口国務大臣 これは、野党時代にも御議論を、この委員会で私も委員としてさせていただきましたが、今委員がおっしゃる地デジ移行についての投資も、経営については大きな要因であるというふうに考えています。

塩川委員 もちろん、広告収入の減の問題など、構造的な問題があるということは承知をしています。しかし、今の赤字という問題について言うと、やはり地デジの投資における減価償却負担というのが大きい。このことは、今の、こういうローカル局の経営分析をする指摘の中でもある話であります。

 ローカル局の地デジ負担が大きいという話の一方で、ローカル局は付加価値率が高いという指摘もあるわけですね。例えば、民放連の研究所の主任研究員の方が分析をしている中で、少し読み上げますが、

  民放、とくにローカルテレビの財務指標の最大の特徴は付加価値率の高さである。番組の大部分がキー、準キー局から配信されているローカル局は、自社の番組制作費を低い水準に抑えることができるため、歴史的にかなり高い付加価値率を実現してきた。それは経常・営業利益率がほとんどゼロになった現在でもあまり変わっていない。付加価値の中で利益が減価償却費に置き換わった格好である。逆にいえば、今後、減価償却費が減少していけばその分利益は増加し、二〇一一年にアナログ放送が終了し、サイマル関連のコストが消滅すればさらに利益率は回復するはずである。

これは、民放連の研究所の研究員の方の指摘であります。

 もちろん、利益確保のために番組制作費を削り込んでいるとか、こういう問題点があるということも承知をしております。しかし、こういった事情もあるんだということは法改正の背景として考慮されているんでしょうか。

原口国務大臣 付加価値率についての議論というのは大事な議論だと思います。

 一方で、今委員がお話しになったように、独自の制作が各民放でどれぐらいになっているのか、そして、それがどのように切り込まれてきているのか。たしか一三という数字があったと思いますけれども、みずからの地域の核でありながら、みずからの地域の情報をみずからが発信する、この体力さえも奪われてきているというのも事実でございます。

 一一年から、減価償却あるいは地デジに対する負担というものがなくなれば、それは付加価値率ということからしても回復を、私たちも希望として見たいわけでございますが、それを上回る経済環境の悪化、そして経営の環境の厳しさといったものを勘案しておるところを御理解いただければ幸いでございます。

塩川委員 ローカル局の経営実態をしっかりと踏まえたものになっているのかという点で、結果として、ローカル局支援を口実にした出資上限の規制の緩和の根拠が見えてこないということがあります。では、実際にだれが支援するのか、キー局かといった場合に、実際に経営困難のローカル局を本当にキー局が支援するのかと、株主から指摘されるんじゃないかという問題もあるわけですから、そういう点でも、実態を踏まえないマスメディア集中排除原則の出資上限緩和というのは、結果として、多様性、多元性、地域性を損なうものにもなりかねないという懸念はぬぐうことができない、このことを指摘しておくものであります。

 その上で、マスメディア集中排除原則違反に対する総務大臣の免許取り消し権限の問題であります。

 改正案では、免許期間、五年間以内でも、出資規制違反が発覚した場合は総務大臣が免許を取り消すことができると規定をしております。もちろん、出資規制を遵守するのは当然のことであります。その上で、なぜこのような規定を設けたのかについての御説明をいただけますか。

内藤副大臣 私から答えさせていただきたいと思います。

 マス排原則は、放送に求められる多元性、多様性、地域性を確保するために必要不可欠なものでございまして、本来的には免許の期間中であっても遵守されるべきものです。ただ、今の法体系では入り口のところ、免許時においてのみ審査して、期間中においては一切チェックする仕組みがない、これが現行法制の現状でございます。

 したがって、今回の法案では、マス排原則の基本的な部分を、国権の最高機関である国会の審議を経たルールとして法定化することにあわせて、免許の期間中でも遵守されるように措置を講じたものと御理解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

塩川委員 マス排原則の法定化とのいわば見合いといいますか、並びということでの話であります。

 そういう点で、しかし、いろいろな行政処分がありますけれども、無線局の運用停止ですとか、あるいは業務停止といった措置ではなくて、一足飛びに免許を取り消すことができる権限となった理由は何なのかということについて疑問に思っているわけですが、御説明いただけますか。

内藤副大臣 委員の御指摘は、なぜいきなり取り消しなのか、業務の停止だとか業務の改善命令といった中間措置がないのかという御指摘だと思います。

 御案内のように、マス排というのは業務の運用に係るものではございません。では何かというと、組織の適格性に係る要件であります。ですから、業務に関しては、それが違反している場合については業務の停止だとか業務改善命令という措置があったとしても、これはあくまで組織の適格性に係る要件でありますので、それにはなじまないだろうというふうに考えております。では、どういうものかといったら、外資規制と同様に免許を受けられない、すなわち、取り消すことができるとする措置の対象として、今回、このマス排違反については整理をさせていただいた次第でございます。

 ただ、外資規制とは異なり、放送事業者が、その保有される議決権について直接管理、把握し切れない事情を考慮いたしまして、外資規制に対する「取り消さなければならない」とはせずに、今回は、マス排規制の違反については「取り消すことができる」、そういう任意的な取り消しとさせていただいた次第でございます。

 以上でございます。

塩川委員 もともと、委託放送の認定に当たりまして、外資規制違反は「認定を取り消さなければならない」となっていたわけですけれども、今回、この委託放送の認定の規定を基幹放送の認定に持ってきたわけですね。その上で、マス排の出資規制違反については、今御説明がありましたように、外資規制違反と同等の処分は重過ぎるので、「認定を取り消すことができる」としたということです。そして、この認定の規定を電波法の免許の規定にも入れている、それで免許を取り消すことができると。

 この屋上屋を架すような、接ぎ木をするような規定のあり方というところに、私としては十分納得がいくものではないのですが、その点、もう一回説明いただけますか。

内藤副大臣 マス排違反が免許を取り消しできるとしたことの趣旨については御理解いただけたかと思います。

 その適用に当たっては、利用者、視聴者の利益を考えたときに、その運用に当たっては、いきなり取り消すということは考えにくいだろうと思います。やはり、そこに至るまでには注意だとか警告等の行政指導等がまずあって、そして、たび重なる行政指導とか警告、そういったものにそれでも従わない場合は、最後の最後にとり得る手段として免許取り消しというものもあり得るんですよというのがこの法体系の仕組みでございますので、どうか、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

 決して、委員の指摘するように屋上屋とはなっていないものと考えております。

塩川委員 私は、六十年ぶりの大改正を口実にして、余りにも総務大臣の権限強化になっているんじゃないのかと。今のこともそうですし、認定における業務停止命令もそうですし、与党でさえその誤りを認めざるを得なかった電監審の権限強化もそうであったわけであります。

 そういう点で、私は、六十年ぶりの大改正を口実にした、総務大臣の権限強化ばかり目立つ法案だ、こういう問題について慎重審議が必要だということを申し上げ、もう一点お尋ねいたします。

 放送の定義の問題でございます。

 これは、柿澤委員の方から、インターネットを通じた放送類似のサービスは放送法の対象かという御質問があった際に、こちらがしっかりとボタンを押して求めなければならないという説明があったわけですが、テレビでも、こちらがしっかりとボタンを押して求めなければ映らないんじゃないのかということがございまして、どこが違うのか。インターネットの動画サイトが放送ではないということを、ぜひ、条文に即して説明していただかないと納得することはできない。

 これについて丁寧な御説明をいただけますか。

内藤副大臣 先日私が、ボタンを押すと申し上げたのは、比喩的な言い方でございまして、あくまで画像の送信を要求するという点で、ボタンを押すということを申し上げた次第でございます。テレビは、あくまでテレビ受像機というもののスイッチを入れるということで、画像の送信要求とは全く違うものですので、御理解をいただきたいと思いますし、また、私が誤解を招くような答弁をしたのであるならば、この際、しっかりとここで明確に答弁をさせていただきたいと思います。

 そこで、新しい「放送」の定義、放送関連四法が一つの法体系になって、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」ということになった、これが本当にニコニコ動画だとかそういったものを含まないんですねという質問なんですが、キーワードとして、公衆、直接、そして送信というものの三つを特に指摘させていただきたいと思います。

 公衆ということは、つまり限定をしない、不特定多数の者ということでございます。その際、送信要求をかけたということは、もうその時点で特定の者になっていますので、この規定からは外れます。

 そして、さらに申し上げるならば、そこは公衆と、直接、送信という合わせわざで理解をいただきたいのですが、送信者は、一つの送信行為で不特定多数の者に対して同じ情報を同時かつ一斉に送信する者というふうに規定されます。そういったときに、送信要求をかけて画像を送ってもらう者については、この規定からも外れることになります。

 ですから、関連四法が統合したことによって新たに定義されたこの「放送」の範疇には、申し上げましたように、ニコニコ動画だとかユーチューブ等、こちらが要求をかけて送信されてくる画像については、決して含まれないということを改めて明言させていただきたいと思います。

 以上でございます。

塩川委員 公衆と直接と送信というキーワードがあるという御説明ですけれども、この直接と送信が組み合わさって、同時かつ一斉に送信となるところもよくわからないのですが。

近藤委員長 質問時間が過ぎておりますので、御協力をお願いします。最後のお答えをお願いします。

内藤副大臣 公衆についてはよろしいですね。

 次に、直接という文言をちょっと丁寧に説明をさせていただきたいと思いますが、直接という文言は、送信者と受信者との間に第三者が介在しないということを意味いたします。

 次に、送信という文言は、あくまでこれは一つの送信行為、複数の送信行為ではなくて一つの送信行為ということで読み取っていただきたいと思います。

 その上で、公衆及び送信という文言からどのように解釈されるかといいますと、同じ情報を同時かつ一斉に、受信者からの要求に応じることなくという意味が酌み取れるかと思います。

 それで御理解いただきたいと思います。

近藤委員長 質問時間が終了いたしました。

塩川委員 送信が一つの送信だという説明のところも含めてよくわからないわけですし、今の答弁で、どれだけ皆さんが御理解いただけたかというのもよくわかりません。そういう点でも、この定義一つとっても十分な審議が必要なわけで、納得が得られなければ国民的な批判を浴びるのは当然であるわけです。

 ですから、この審議というのは、こういう問題点を含めて引き続き質疑を行うことが求められているわけですから、間違っても質疑打ち切りや採決などにならない、そんなことは論外だということを強く申し上げて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。(発言する者、離席する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 筆記を起こしてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 それでは、筆記を起こしてください。(発言する者あり)

 筆記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 速記を起こしてください。

 どうぞ、柿澤未途君、質問をしてください。(発言する者あり)柿澤未途君、質問をしてください。どうぞ。(発言する者あり)柿澤未途君、どうぞ質問……(発言する者あり)柿澤さん、どうぞ。(発言する者あり)

 柿澤未途君、質問をお願いします。(発言する者あり)柿澤さん、質問をお願いいたします。(発言する者あり)

 筆記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 では、筆記を起こしてください。

 柿澤未途君。それでは、柿澤未途君、先ほどの……(発言する者あり)ちょっと筆記をとめてください。

    〔速記中止〕

近藤委員長 筆記を起こしてください。

 柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 朝方の理事会で与えていただいた時間に応じて、これから質問を行わせていただきたいと思います。

 今、いろいろ委員長席周辺で協議を行っていただきましたけれども、そもそも、きょうの質疑が始まる段階で与党側から提出をされたこの法案の修正案について、質疑の対象になっているのかどうかがはっきりしないまま、ここまで来てしまいました。しかも、この与党の修正案なるものは、与野党の修正協議を与党側から打ち切りをして、一方的に提出をしてきたものであります。

 また、そもそもこの中身についても、政府・与党が合意した上で提出してきた政府案の一部を、自分が出した条文を自分で引っ込める形で提出してきている。これは非常に、そもそも、この法案に関してある種の欠陥があったということを与党さんみずから認めるということになってしまっているのではないかと思います。(発言する者あり)政府と与党は違います。だからこそ、与党側の修正案提出者に質疑をしたいということで申し上げたら、こんなことになってしまったではないですか。

 ですから、ようやく黄川田先生に修正案提出者としてお座りをいただきましたので、質疑を行わせていただきたいというふうに思いますが、今回、電監審による建議及び資料の提出等の要求に関する規定を削除しようという内容の修正案を与党側として御提出されました。その理由について、まずお伺いをいたしたいと思います。

黄川田委員 柿澤さんにお答えいたしたいと思います。

 まずもって、放送法の一部改正でありますけれども、我々与党とすれば最善の一部改正だ、基本的にこう思っておるわけであります。しかしながら、審議を通じて、あるいはまた先般の参考人質疑を通じてさまざまな意見がございました。

 原口大臣の、放送の自由、あるいはまた表現の自由をしっかり守っていくんだという熱意は伝わったことと思いますけれども、ただ、しかしながら、そういう仕組みがつくられれば、放送番組の内容までの介入であるとかの疑念といいますか、法律はつくればそれが、だれが大臣になるかにかかわらず、その法律に基づいてさまざま動いていきますので、一つでも二つでも疑念があれば、それは正していかなきゃいけないというのも、我々、党の思いであります。

 そういう中で、大臣は何度もこの質疑を通じて、表現の自由を守るんだということは柿澤さんにも伝わっておると思うのでありますけれども、ただ、答弁の中で、放送行政に対するチェック機能なんだ、あくまでも、対するのは、行政機関に対するものなんだ、こういう部分がなかなか伝わらないで、ここに至っておるところであります。

 であるならば、一つでも二つでもいい方向に持っていくためには、総務省として、むしろ、放送の自由の部分をさまざまな場面でしっかりと訴えていく中で電監審の仕組みも構築していった方が、繰り返しますが、参考人質疑の中で五名の方々がそれぞれ言われた部分も踏まえれば、今般の改正の中では、調査、資料の提出、それから建議の部分の規定は削除することが次善の策かなということで提案したわけであります。

 以上であります。

柿澤委員 金曜日の参考人質疑、私の部分で、この電監審の機能強化にかかわる条文改正を今すぐ行うべきかどうか、そもそも、やるべきかやるべきでないか、端的にお答えくださいということで五人の参考人にお尋ねをしました。全員そろって、やるべきでない、そして慎重に議論をすべきで、今すぐやるべきでない、こういう意見で口をそろえたわけであります。

 これは別に野党側だけが集めた五人ではない。与野党の合意のもと、さまざまな立場の、放送法に関する見識を持った人が全員そろって、今すぐこの改正はやるべきことではないということをおっしゃったわけであります。それを踏まえて、今回、与党側として、自主的にこの条文を削除する修正案をお出しになられてきた。この経過を見ても、まさに、この電監審の機能強化にかかわる法改正の提案というのは、いかに拙速で、そして放送関係者の合意を得ていない、コンセンサスを得ていないものだったかということが明らかになってしまっているのではないでしょうか。

 先ほどの、この委員会開会前の修正協議の場においても、奥田先生が、参考人と委員会審議を踏まえて、今すぐやるべきでないという判断をしたということをおっしゃられていました。それは、要はこの法案提出が拙速だったことを認めるということですかと言ったら、そういうふうには言っていませんけれども、そういうふうな受けとめもあるかもしれないと、拙速な法案提出だったということを半ば認めるような御発言を奥田先生がされておられました。

 黄川田提出者も、この法案提出、この条文においてはやはり議論が未成熟のまま提出をしてしまった、こういう思いがあるんでしょうか。

黄川田委員 お答えいたします。

 柿澤先生から、この法案の未成熟さというふうなお言葉をいただきましたけれども、閣法としてしっかりした法律だという思いの中で提出されたわけでありまして、未成熟さというのは私は当たっていないと思うのであります。

 ただ、そのことは表現の自由、基本的な権利の部分でありますので、それらに対してさまざまな切り口から意見があるのであれば、そういうものを払拭することはまた大事だということで、少しく国民の皆さんに対する説明の機会を持って、法律とすれば一たん撤回して、そして、その思い、趣旨をしっかりと、大事に、あらゆる機会をとらえて説明する中で、法案に改めて盛り込むことがいいのではないかというふうな形で思っております。

 それから、金曜日の参考人質疑の中で、五人の方々がそれぞれという話でありましたけれども、五人の方々の中でも温度差といいますか、危惧を感じる等々の中でも、その表現の仕方、言い回しの中で温度差はあったのではないかと思っております。ただ、疑念を持たれる、あるいはまた心配を持たれるという部分では、法律として書き込むということでありますから、そういうもののない法律が成立するということが一番大事だ、こう思っております。

柿澤委員 疑念を持たれて、また拙速であるという点では、私は、NHKの経営委員会にかかわる条文についても基本的には同じことなんじゃないかというふうに思うんですよ。

 これは、放送法改正案の審議入りに当たって院の調査室からもらった、質疑に資するための資料ですけれども、主な論点、日本放送協会関係についてどう書いてあるか。「今回の通信・放送の総合的な法体系に関する一連の審議においては、本件のようなNHKの経営形態に関わる事項は検討対象外とされ、具体的に議論された形跡はない。」こういうふうにこの基礎資料にまで書いてある。全く議論が行われていない中でこの条文が盛り込まれたということは、衆目が一致をしているものではないですか。

 しかも、参考人質疑で、もちろん、当の本人のNHK会長また経営委員長はともかく、ほかの有識者の皆さん、参考人の皆さんは、NHKの経営委員会に会長が入ることについて、必ずしも賛成、大賛成という意見ではなかった。明確に、それは行うべきではない、こういうスタンスをとられた方もいたと思います。

 だとするならば、なぜ、電監審の部分は削除をして、NHKの経営委員会について、拙速で、なおかつ慎重な検討を要するという参考人からの意見も表明されている。同じことじゃないですか。なぜこれは削除しないんですか、黄川田提出者。

黄川田委員 柿澤先生にお答えいたします。

 今度はNHKの関係の部分でお話しされました。

 我々は電監審の部分ということで修正案を提出しておりますけれども、自民党さんの方では四項目にわたっての修正案ということ、それから公明さんの方では三項目の修正案ということ、そして共通する部分といいますか、例えば、公明さんと自民さんの共通するところは、NHKの会長を経営委員会の中の構成員の一人とするというところと電監審のところでありますか。

 修正協議、本日も含めて三度ということでありますけれども、我々は基本的に、閣法は最善の法律だと思って提出されておりますし、我々も、そういう意味合いの中で与党としてかかわってきました。

 ですから、認識の違いといいますか、NHKの部分では参考人質疑の中でも、当事者であります経営委員長、あるいはまた会長、それから民放連の方も、積極的に、何だこんなものはというふうなことではなかったと私は思っていました。ですから、三人の意見。それからあと、弁護士さんの方は中立かなと。あと、山本さんがちょっと反対の形の中で意見を表明されているなというふうな形でありまして、柿澤さんと認識の違いといいますか、同じ言葉の中でもやはり受け取る側の部分がありますので、民主党とすれば、与党とすれば、その部分の改正までは必要ないということの認識でおります。

柿澤委員 NHKの経営委員会のことについてお伺いをしていきたいと思います。政府の側にお伺いをします。

 先日の参考人質疑でも、NHKの福地会長から、平成十九年の放送法の改正以降、執行部と経営委員会との関係がややバランスを欠いてしまった、会長を初めとする執行部の知らないところで経営にかかわる重要事項が議論をされ決まっていく、こういうことが見えるようになった、その典型的なケースとして、受信料の一〇%還元の問題などを言われていました。

 こうした平成十九年の放送法改正以来、経営委員会のガバナンスが強化をされた、ここまでの三年間の経営委員会と執行部との関係を見て、やはりこれは問題だ、こういうふうにとらえて今回の、会長が経営委員会入りをする法改正をするということに至ったという認識でよろしいのかどうか、お伺いをしたいと思います。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 さきの参考人でも、福地会長からそのような答弁、発言があったというふうに承知をしておりますが、ただ、会長の発言があったからというのではなくて、平成十九年の法改正以降、国民の代表者が集うこの衆参の総務委員会において、経営委員会とNHK執行部との関係がバランスを著しく欠いたものではないのか、そういった質疑が幾度にもわたって行われてまいりました。そういったことを踏まえて、私たちは今回の改正に至ったわけでございます。

 十二名に新たなる一名として加わることで、経営委員会というのはいろいろな立場の方々が集う場でございます、そういった意味でいうと、やはり経営の最前線を預かる会長がそこに加わることで、より密度の高い議論がなされて、そして本当に地に足のついた経営計画が策定されるものと私どもは期待をしているところでございます。

柿澤委員 古森委員長の時代に、非常に、経営委員会が執行部の考え方と相入れない経営方針を打ち立てて、それを議決する、こういうことがたびたび見られたということが言われているわけであります。

 典型的な例でいえば、二〇〇八年十月、NHKの経営委員会が、執行部が提出した次期経営計画案の内容の承認を拒否する、こういうこともありましたし、さっきの一〇%引き下げ、受信料の還元ということについても、執行部が考えているのと正反対のことを経営委員会に決められてしまった、こういうことを福地会長は参考人質疑の中でおっしゃられているわけであります。

 この間の古森体制といいますか、三年間の経営委員会と執行部の関係に関して、原口大臣、政府案提出者としてどのように総括というか見られているか、お伺いをしたいと思います。

原口国務大臣 NHKは、受信料で成り立っている公共放送であります。この公共放送について、執行部と経営委員会、この経営委員会というのは、受信者の幅広い代表のお声を体現し、そしてNHKという公共放送にしっかりとしたガバナンスを与える、そういうものでございまして、今、具体的に古森委員長の時代のお話がございましたけれども、私たちは、この委員会で議論をしたとおり、経営委員会と執行部との間の適切な緊張関係、そして協力関係が大事であるというふうに考えています。

 私は、今回の改正で、経営委員の中に、つまり受信者の代表である方々、幅広い方々と執行部が意見を交わし、そして公共放送としてのあるべき姿を追求していく、このことは極めて重要であるというふうに考えています。

柿澤委員 古森委員長については、もともと安倍総理の私的な勉強会のメンバーであったというようなことも言われていて、時の政権からNHKに送り込まれたトロイの木馬である、政府また政権の方針をNHKに実行させるための役割を担った存在として経営委員長に送り込まれた、こういう形の論評も今まで行われてきました。

 そういう意味で、私は、それが正しいとか正しくないとかいうことではなくて、NHKの経営委員会が時の政権から独立性を持って、公正中立な立場でNHKの経営にかかわっていくことが非常に大事だというふうに思っておりますが、この点について原口大臣のお考えをお聞かせください。

原口国務大臣 公共放送としての独立性、そして、だれからも干渉を受けないということは極めて大事であるというふうに考えております。

 また、先ほど調査室の御紹介がございましたけれども、例えば、これは参議院の総務の筆頭でありました世耕先生が私との議論の中で、「私は、会長が入るのは個人的にはいいことだと思いますよ。」「経営委員会の中に一人として会長が入られて、そしてその会長がその経営委員会での議論を踏まえて業務を執行していかれる、そしてまた業務の執行状況を経営委員の一人として経営委員会に対して責任を持たれるというのは、これはおかしいことではないと思います」、自民党の、放送行政に大変造詣の深い世耕委員がこのようにお答えになっています。

 私たちは、こういうしっかりとした、言論のとりでを守る、そして公共放送としての役割、受信料を払ってくださる皆様に対してきっちりと責任を負うガバナンスを追求することが大事だ、このように考えています。

柿澤委員 言論のとりでを守るということで、政治的な公正中立性をNHKが守っていく、この体制整備はやはり非常に重要だという認識が原口大臣から語られたと思います。何度も引用されていますけれども、原口大臣みずからが、「誰が権力につこうが、決して侵されることのできない自由。言論の自由を守る砦が必要だと私は思います。」というふうに御自分で書かれている。

 そうした中で、ちょっと気になる部分があるんですけれども、今回、NHKの経営委員で国会に提案をされている人選を見ていますと、この人はどういう理由で選任をされたのかな、こういうふうに思える方が何人かいらっしゃいます。

 例えば漫画家の倉田真由美さん。この方については、何かいろいろ週刊誌で記事が出ていますけれども、そのことは私は触れるつもりはありません。しかし、二〇〇六年の八月、民主党が次期衆議院選挙、この間行われた衆議院選挙ですね、それに向けて候補者の公募を行ったときに、公募の選定にかかわる有識者会議のメンバーとして選ばれている。今回、この総務委員会の中にも、公募で選ばれて衆議院に出馬して当選するに至った方、いらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、そうした皆さんを選ぶプロセスにかかわっている。こういう方が、NHKの経営委員として、今度国会に提案をされております。

 また、プロップ・ステーションの竹中ナミさん。この方は非常に見識の高い方でありますけれども、しかし、例えば、ことし一月に原口大臣と、ICT政策について、雑誌に非常に大きく対談の記事が載っかっている。

 さらに、作家の幸田真音さん。この方は、つい先日、小沢一郎幹事長の小沢一郎政治塾で講師を務められて、その後、ことしになってから、御自分のラジオの放送番組で、小沢幹事長を二回にわたってゲストにお招きしてインタビューをされている。

 こういう、まさに時の政権と大変深いかかわりのある方々が次々に登用をされて、国会に選任また同意を求められる提案をされているわけであります。特に、倉田真由美さんに関しては民主党の候補者選定にもかかわられた、こういう方でありますので、今おっしゃられたようなNHKの経営委員会の政治的な公正中立性とこの人選と、どういう整合性があるのかという気がするわけでありますけれども、この点について明確な御説明をいただきたいというふうに思います。

内藤副大臣 委員御指摘の倉田真由美さんですとか、竹中ナミさん等々については、御存じのように、経営委員会というのは、各界を代表する幅広い人たちに集まっていただくというのが放送法で規定をされているわけでございます。

 ですから、倉田真由美さんが二〇〇六年ですか、候補者選定の委員に入っていたかどうかということは、正直申し上げまして、私は存じ上げません。

 ただ、私は、この方を候補者として御推挙させていただいたのは、今NHKにとって一番大きな問題は何なのかといったら、やはり若い人たちの心をつかむことではないでしょうか。そういった観点で見てみると、今の経営委員会のメンバー、大体六十歳の前後でして、なかなか若い人たちの心をつかむという政策には入り込んでいない。そういった中、この方は、御存じのように、漫画家として二十代、三十代に絶大な人気を博している方でもございます。私たちはそこに期待をかけたい。

 だから、若い人たちの心をつかむ、そういった観点で、経営委員会の中の一メンバーとして活躍をしていただきたい、これが私たちが推挙した理由でございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。

柿澤委員 内藤副大臣、今おっしゃられた中で、二〇〇六年八月の衆議院選の、公募の選考の有識者会議のメンバーであったことを知らなかった。これは、提出者として、基礎的なプロフィールにかかわる部分について知らないという答弁をされるというのはどうなんでしょうか。それで、なおかつ、経営委員会にかかわる法改正の提案を出してこられている。

 しかも、若い人の心をつかむために。これは私は賛同しますよ。賛同しますけれども、なぜこの人なんですか。明確な理由に全然なっていないではありませんか。むしろ、原口大臣が先ほど御答弁をされたように、だれが権力につこうと言論の自由を侵されないように、そうした細心の注意を政権として払っていかなければいけない、そういう大臣の基本的な考え方に、まさに今回の顔ぶれは逆行してしまっているんではないですか。そういうふうに指摘をせざるを得ないと思います。

 この点について、原口大臣、ちょっとお考えを聞かせてください。

原口国務大臣 全く逆行していません。

 先ほどお話しになった竹中ナミさんは、前政権の時代でも政府の審議会の委員をされ、そして、さまざまな方とのインタビューもされておられます。それから、今お話しになりました倉田真由美さんは、幅広い、公平公正な論説で定評のある方でございまして、特に地域、これはさまざまな地域の代表ということでもございますし、女性の割合、そして老若男女、今回、七十一歳の方もお入りいただいていますけれども、幅広い受信者の代表ということで公正に選んだ、その結果でございます。

近藤委員長 柿澤未途君、質問時間が終了しておりますので、質疑を終了してください。

柿澤委員 今の経営委員会の人選の問題もここで取り上げさせていただきました。

 福地会長の持論である、経営委員会に会長が入るということについても、今回実現をするわけでありますけれども、福地会長は去年の十二月に一たん辞意を表明する、こういう場面があったというふうにも聞きます。それが慰留を経て、結局、一たん表明した辞意を撤回するということがことしの三月に報道された。

 この間にどんな話があって、どういう約束が交わされたのかはわかりませんけれども、結果として、今回、この法改正をめぐる議論の中ではほとんど提起をされない、議論の俎上に上らない形で、唐突に、会長がNHKの経営委員会入りするという条文が盛り込まれるということになりました。会長の思いを事実上受け入れる、こういう形で法改正が行われることになったわけでありますし、また、時の政権が福地会長の思いに、ある種寄り添った形の法改正を行われる、提案されるということになったわけであります。

 それに加えて、今回、今私がいろいろな、私なりの考えを言わせていただきましたけれども、経営委員会の顔ぶれが提案をされている。まさに、原口大臣が御自身でおっしゃっているNHKの公正中立性というのと全く真逆の、古森委員長時代に旧政権が行われたと論評されているような、まさに疑念を一部には抱かせかねないようなことが、法改正及び人事の提案として行われてしまっているのではないかと私は言わざるを得ないというふうに思うんです。

 これ以外にも、放送の定義についてですとか、さまざまな点について懸念が残されている。修正協議も、まだまだ行っていくべき段階であったにもかかわらず、それを一方的に打ち切って、しかも、みずからが、政府・与党で合意をして提出した法案の一部条文を削除して修正案を提出した。しかも、それを法案提出者に質問できるかどうかも、あんなすったもんだしなければ決めることができない。

 こういう中で、この法案をこのまま、きょう午前中に採決するんですか。午前じゃないですね、もう十二時を回っていますから。もしそうであるとすれば、これは断じて認めることはできないというふうに思います。大変な禍根を残すことになる。さらに議論を深めていただくことを、私はそうしていただけるものと確信をしておりますが、再度お願いを申し上げさせていただいて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 大野君。

大野委員 緊急動議であります。

 あと八十分の質疑時間が残っております。さらに、ちょうどお昼の時間になりました。午後一時からは本会議が予定されております。したがいまして、我々は、ここで若干のお昼の休憩時間をとることを提案します。

 よろしくお願いします。

近藤委員長 ただいま大野功統君から動議が提出されました。

 これについて採決をいたしたいと思います。

 ただいまの動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立少数。ただいまの動議は否決されました。(発言する者、離席する者あり)どうぞお戻りください、動議は否決されましたので。

 次に、橘慶一郎君。(発言する者あり)どうぞお戻りください。橘慶一郎君、どうぞ質問をお願いいたします。動議は否決されたわけですから。(発言する者あり)

 委員会を、質疑を続行いたします。質疑を続行させていただきます。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 それでは、大変質問の組み立ても難しいような雰囲気で、本当に残念なんですけれども、今までのいろいろな事情ということも踏まえながら黄川田提出者に、また、事前に通告していた質問を織りまぜながら質疑を続けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、黄川田提出者にお伺いをしたいと思います。

 建議の部分の削除、資料提出等の部分の削除という提案をなさったわけであります。先ほど柿澤委員からも多少話は出ておりましたけれども、当然、与党とすれば、閣法ベストということで出して、それを審査されるといいますか、事前にお話も聞かれると思います。今問題になりました建議の部分、あるいはNHKの会長と経営委員会の関係、さらに経営委員の欠格事由の関係などは、事前にいろいろな場面で検討あるいは発言等が余りなかった、国会の中は別としまして、そういうものであったということはいろいろとこれまでの審議でも出ているわけであります。

 実際、事前に閣法ということで説明を受けられた中で、こういったことについてどのように認識をされていたのか、お答えをいただきたいと思います。

黄川田委員 橘委員さんにお答えいたしたいと思います。

 二点ありました。修正項目の中で、一点目は電監審の部分ですか、もう一点はNHKの部分ということであります。

 もちろん、我々、政府・与党でありますので、この放送法等の改正案は最善の法律だと思っております。そしてまた、我々も、議員政策研究会というのもありますし、政策会議もありますし、そういう中で議論をさせていただきました。特に電監審の部分は、言論の自由をしっかり守るという大前提の中で、放送行政のチェック機能強化のための仕組みであるのだけれども、いかんせん、その組織は総務省の中の、自立した、あるいは独立した組織であるや否やとか、いろいろなことがありましたので、大臣の真意といいますか、そういうものをお聞きしながら一部改正の議論をしたわけであります。

 それが、我々とすれば、大臣の思いはそういうことなんだなということで理解をしながら提出したのであります。しかしながら、放送の自由であるとか表現の自由であるとかというのは本当に極めて過敏な部分でやらなきゃいけないところでありますので、審議の中でどういう展開になるのかと。こういう展開になるとは我々自身も基本的な認識はなかったわけで、大臣答弁の中で理解されるんだなと思っていました。特に金曜日の参考人質疑の中で、それぞれの委員さんへの御意見の開陳の中で、少しでも疑念を持たれるような部分があるのであれば、総務行政の中でむしろ疑念を払拭するような、改めて出す機会もあるのかなと、審議される中でも、我々も議員政策会議を開きながら意見交換する中でも。

 それからもう一つは、修正協議の場をつくるということで、それぞれ提出していただきたいということで、御案内のとおり、自民さんは四項目、先ほど答弁しました公明さんは三項目ということで、特にこの電監審は共通する項目でありますし、我々とすればこの委員会の審議の中で各委員も大臣の答弁によって払拭できるかなと思っていましたけれども、繰り返しますが、そこまでまだいっていないのかなという認識もありましたので、党内手続といいますか、全体の判断の中でその部分は最大限、修正協議のまないたには上げてもいいんじゃないのかと。

 でも、それは、現場で、我々委員の中でしっかりと決めていく決め事だ。そういう中で与党の社民さんと足並みをそろえて、その一部改正を提出させていただいたという経緯であります。

橘(慶)委員 今ほど黄川田提出者の方から、私の質問を要約して二つとおっしゃっていただいた。一つが今の建議の部分だったと思います。もう一つがNHKの経営委員の部分のお話も一緒にしたかと思いますが、そこの御答弁はいただけないですか。

黄川田委員 失礼しました。

 確認しますけれども、会長が経営委員会の構成員の一員になるという、この部分では公明さんと同じ修正項目ということ、それから、自民さんは独自に、たしか欠格事由の一年というところが削除されるというところは、この放送法の基本的な考え方の中で入れられた項目じゃないのか、何で今この時期にというところがあったかもしれませんが、参考人質疑の中でも御答弁されたところがあるんですが、欠格の部分なんですが、適任者と思われる方々が、会社の外部取締役とかいろいろな方々がおられる、能力のある方々、持てる力を発揮できる方々が……(発言する者あり)そういう中でいろいろと選択肢の幅をふやしてほしいというのがありました。

 それから、前段の部分、構成員の一員になるという部分の中では、当事者の方々といいますか、経営委員長、会長、それから民放連の会長さんも含め、会社経営もそうでしょうし、あるいはまた放送行政でもそうなんですけれども、国民の受信料でもって経営されているNHKという中で、この五年間、経営委員長と会長とのあつれき、あつれきといいますか、いろいろなことがあったという事実がありますので、国民にしっかりと、的確に執行できるためには、執行部の意見と経営委員会の意見が癒着するんじゃなくて、お互いの意見をきっちりと出せる場所、そこはしっかり確保しておきたいなという部分であります。

 それから、会長が経営委員会に入ると何でもかんでも権力が増大していくということではなくて、その中でも議決権とか一定制限された形もありますので、我が党とすれば、議員政策研究会でも、その部分は当事者の方々の思いを体しての部分でしょうから、修正というところまでは必要ないんじゃないのか。

 逆に言えば、修正協議の中で、五項目、三項目、共通する部分二項目、さまざま出ましたけれども、我々も、修正できる可能性があるのは電監審の部分の削除ということになったわけであります。

橘(慶)委員 今の経営委員会と会長さんの部分についてもう少しお聞きしたいことがあるのですが、先に電監審の部分。

 これはある意味で私どもの修正案と同じ案になってきたわけですね。こういうものを削除する。

 そこで、一つ御認識をお伺いしておきたいわけですが、最初の閣法ではこの電監審に建議という機能を与えようとされたわけですね。もちろん、資料の提出とかもありましたけれども。この建議という機能は、今、国のすべての審議会にあるわけではありません。実は、この委員会でもお話がありましたように、消費者委員会とか証券取引等監視委員会とか非常に特殊なところにある権能になっております。

 そこで、今おっしゃった政策研究会ですか、そこでいろいろ議論される中で、この建議についてはどういう認識を持って受けとめておられたのか、一応確認しておきたいと思います。

黄川田委員 お答えいたします。

 独自に建議ができるという形の法案の構成でありますけれども、あくまでもその部分は放送の番組内容に介入するとかということではなくて、ちょっと資料を持っていませんが、放送法第三条でしたかね、あの部分の趣旨を体してしっかりとやる。ですから、メッセージは、あくまでも行政機関に対するチェック機能強化。そういうメッセージなんですけれども、そこがなかなか伝わっていないところが私も残念だと思っているわけであります。

原口国務大臣 今、修正案提出者が述べられたとおり、放送法の第三条、これは大変重いんですね。ですから、何人たりともその放送内容、編集権というものに入ってそれを差配することはできませんし、それをできる条文はどこにもないということがまず第一の前提です。

 建議とは、一般的に、審議会等が行政機関に対し単に意見を述べる際に使われるものでございます。現行法でも、大臣の諮問による建議というものが規定をされているわけでございます。これを受けた相手方を拘束するものでない点では勧告と同様であり、勧告よりさらに力の弱いものとされているところでございます。

 また、諮問を受けることなくみずから調査審議し、関係大臣に建議または意見を述べることができるということでございまして、何回もここで繰り返し答弁をさせていただきましたけれども、行政に対するものであるということをぜひ御理解いただきたかったというふうに考えております。

橘(慶)委員 せっかく答弁をいただいたので、議事録に残すというのが割と私の主義なものですから、そこで申し上げれば、今大臣からお答えがあった中で、特に今回問題になったのは、諮問に応じて建議できる部分ではなくて、みずからの意思で建議ができるというところが非常に重大にというか、大きな権能として受けとめられたんだ、そういう議論であったかと思います。

 そこで、今度は政府の方にお伺いするわけです。

 おっしゃったとおり、いろいろな場所にあるんですけれども、この国の中では建議ができる機能を持っている審議会は、実は非常に限られているわけであります。先ほど例を挙げましたけれども、その中に労働政策審議会とか中央医療関係の審議会とかありますけれども、総務省の中でも建議ができる審議会というのはほとんどないはずなんですね。社会資本整備審議会とかそういうところにもありますけれども、非常に限られたところにあるわけであります。

 実は、地方は、原口大臣は県も御存じでしょうけれども、県や市の方には割合ポピュラーにある。だから、私ども地方から来た身でいえばポピュラーなんですが、国の中では余りポピュラーではない権限になっているかと思います。

 当然、立法者ですから、政務三役さんは情報をおまとめになる立場でしょうけれども、事務方からいろいろなお話もあったかと思いますが、どういうところにあるのかということも多分いろいろ見られて、今回ここに持ってこようとされたんだと思いますが、その辺のいきさつを、せっかく御答弁もあったので、お伺いできるならお伺いしておきたいと思います。

原口国務大臣 おっしゃるように、その建議という言葉自体を聞くと、物すごく大きな権能というふうに誤解をされがちですけれども、地方自治を所管する立場からすると、そんな珍しいものではない、これも委員がおっしゃるとおりでございます。

 電監審の建議の規定は、無線による放送のみならず、有線による放送についても審議、答申する機能を担い、放送行政に関する知見が蓄積されることとなる電監審に、放送行政のあり方について大所高所から総務大臣に建議する機能を担わせるものでございまして、他の審議会との横並びからも、また、大臣が諮問をした、だから権能が大きくなるとかいう話ですけれども、むしろ諮問を受けずにみずからが総務大臣に対してその行政をチェックできるということですから、ここで御議論いただいていたように、さまざまな政治的な介入、これはありはしないんですけれども、放送行政のあり方をチェックする観点からも、当該規定を設ける妥当性が十分にあるんだ、こういう説明を受けたところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。大体経緯についてもお話があったので……。

 実は、隠れみのというお話もいろいろな場面でありました。それはどういうことかというと、大臣おっしゃったとおり、基本的には行政に物申すということでよさそうなんですが、逆に言うと、どういうわけか、向こうからボールが飛んできますと、大変な建議をいただいたのでというところから物事が始まる場合があるということなんですね。

 これは何でこういうことを申し上げるかというと、余り昔話ばかりしてもいけないんですが、私がもともとおった役所の審議会に実は建議という機能がありまして、それはもう二十年も前で今の行政とは違うわけですが、そのときはむしろ役所が言いづらいことを建議していただくというような形で使い回されていたということを、私が自分の実体験として役所の中で聞いておった。北海道開発庁の話ですが。昭和三十年代の話ですから、それは昔の話。ただ、今回言われる、こんなことがあったらいけない、あんなことがあったらいけないという議論の中では、そういったことが気になる方もあったというふうに理解いただければいいと思います。これは自分の昔話ですから、答弁は結構です。

 もう少し黄川田提出者には、先ほど申し上げたNHKの話もあるので、そこは聞きたいんですけれども、せっかくいただいた時間の中で、事前に通告もしておりまして、特に政務三役さんあたりの御認識ということで幾つか確認をしておきたいところについてはしっかりやらせていただきたいと思いますので、大分雰囲気も静かになってまいりましたので、ここで橘流で順番に質問させていただきたいと思います。

 万葉集はちょっと御容赦いただきながら、雰囲気によっては途中入るかもしれません。それで最後にまた盛り上げていきたい、そういう意味でございますので、よろしくお願いします。

 順番に参ります。

 地方局の経営の現状及び今後の見通しということです。

 この間から、これは何人もの委員の方々が、現状、ローカル局は二十年度決算は非常に厳しかったわけですが、大臣からもこういう話がありましたが、ここで局長さんの方から、収支面で考えた場合にCM事業収入はどうしても減っていく、その中でコンテンツ事業云々というお話が原口大臣からもあったんですが、いわゆるその他事業収入なんかを考えた場合に、競合するメディアもふえてくる中でCM事業収入の減少を本当にそういったところで補っていくことが放送局としてできるのだろうかという疑問を若干持つわけであります。そういったことを一応問題意識として持ちながら、再度、収支面についての地方局の経営の現状及び今後の見通しについて伺います。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年度の決算では、民放のテレビ社百二十七社全体の営業収益は二兆三千三十億円でございまして、平成十九年度との比較では千二百三十三億円の減収となっております。一方、営業費用は二兆二千六百八億円でございまして、最終の純利益では百二十七社全体でマイナス百七十五億円となってございます。全社トータルでの赤字は、総務省が把握する限り初めてでございます。放送局の収支の状況といたしましては、全体としてこのように大変厳しい状況であるというふうに思っております。

 委員から今御指摘のございました、放送事業収入以外のコンテンツ事業の収入など、いわゆるその他事業の収入ということでございますが、これで放送事業収入の減少が補えるかということにつきましては、私ども、その他事業収入の数字につきまして、ローカル局全体でどのぐらいの収入があるかということは把握していないわけでございますけれども、例えばキー局で申しますと、キー局五社の売り上げ、この放送事業収入の合計は一兆四百二十四億円ございますけれども、平成十九年度との比較では七百二十一億円の減少でございました。その他事業収入の合計は千八百四十四億円ございます。これをどう評価するかということでございますけれども、平成十九年度との比較では百三十一億円ふえたわけでございます。

 したがいまして、キー局で見る限り、二十年度決算における放送事業収入の減少分をその他事業収入の増加分で補うことは非常に難しいということでございます。全体としては千八百四十億円あったわけでございますけれども、減少分を増加分で補うという、ミクロで見た場合は非常に難しい面があるというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 やはりCM事業収入は非常に幹になっていまして、コンテンツ事業はこれからまだ伸びるとしても枝葉で、分母が、言ってみれば十対一ぐらい、今数字が挙がったところで違うわけですね。その十対一の一のところをさらに伸ばしていかなければいけないのですが、なかなか十のところを補い切らぬのかな。というのは、十のところが今競争にさらされて、この間、中二階というお話もいたしましたが、いろいろなメディアに横からあるいは上下から絞られていくローカル局の姿ではないかと思います。

 そこで、CATV事業者のことを考えた場合、私は、大臣がおっしゃる光の道というこの言葉は非常に意味があったと思います。というのは、光の道には放送も乗りますけれども、インターネット通信、いわゆる通信も乗るわけです。このCATV事業者の今となっての強みは、伝送路を張りめぐらせているという、ここにいろいろなものを乗っけていける、一度初期投資した伝送路の中にいろいろなものを乗っけられるというところが強みだ。

 ですから、私が例えば自分の地域でCATV局の姿を見ておりますと、やはりインターネットのプロバイダーの事業を始められてから非常によくなった。そういうものは、言ってみればお金も受信料的なものと一緒ですから、加入者は一回加入すると、毎月着実に預金通帳から引き落としになるということで、後の営業も要らないということでいえば非常にビジネスとして安定するものだと思うわけであります。

 しかし、ローカル局の場合は、当然そういうインフラを持たない放送事業者ですから、逆に地デジなどをやることになってきたときの放送設備の設備投資はむしろ大きいですけれども、それは伝送路ではないものですから、今申し上げたような光の道を利用することはなかなか難しいのではないか、こんなことも思うわけであります。

 そういった中で、この一四%しかない、これは世界的には割といい数字だと言われた。このローカルのいろいろな文化を伝える仕事、そういった部分についてローカル局の役割があるとすれば、この後、中二階というローカル局を、ビジネスモデルとして難しくなってきた部分もあるローカル局をどういうふうに育てていくといいますか、守っていくと言えばいいのかな、そのあたりのお考えをここでお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、地域の創富力、つまり、広告収入そのものを支える地域の経済力、これがやはり一番大事だなというふうに思っています。地域が一体として、文化や歴史やさまざまな行事参加を一体とすれば、そこに必ず地域の放送局の大きな可能性がさらに広がってくるというふうに思いますし、みずからの地域をみずからが学ぶ機運もとても大事だと思います。

 それと一方で、今、橘委員は大変大事な御議論をされましたが、光の道と既存の放送局というのはそこで無縁なのか。例えばIPTVが出てみたり、つまり、電気通信網を持ってさまざまな、今回の改正ではまだそこまで至っていませんが、先ほど西委員も御質問されたように、放送と通信がもっと融合してくると、CATVのお話をされたようにさまざまな可能性が放送事業者の方にも、コンテンツだけではなくてプラットホームビジネスとして成立をしてくるのではないか。あるいは地域から真っすぐ海外にさまざまな情報を発信していく道も、今の放送の電波だけだと限られますけれども、さらなる可能性も出てくるのではないか、このように考えておるところでございます。

 また、その可能性をしっかりと支えて、担保できる仕組みを私たちがつくっていくというのも国政に課せられた一つのミッションではないか、こう考えておるところでございます。

橘(慶)委員 大臣のこのビジョンをお伺いしているんですが、先ほど私が申し上げた心配な点は、収入の中でCM事業とその他事業収入の差があったように、確かに伸びるんですけれども、今の放送局の収入の中でそのシェアが小さいということです。ですから、その部分としては伸びていくかもしれないけれども、全体を賄うかどうかということは非常に疑問が出てくる。

 そうなってくると、これから、今おっしゃったプラットホーム、いろいろなことがあったとしても、当分は減価償却を減らしていくことで賄えるのかもしれませんが、真の意味で本当にうまくやっていけるかどうかということは、非常にある意味で注視していかなければいけない大事な時期ではないか。今までのような右肩上がり、単純な話ではないと思います。

 そこで、こういう機会に、県単位の民放局の数の議論というのは、昔はふえればふえるほどいいということで進めてこられて、この間の参考人の話にもありましたが、三、四、五と、五までいくと大変だという話もあったと思いますけれども、現状、そういったことについてどのようにお考えになっているのか、ここでお伺いしたいと思います。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、昭和二十八年以降、地域の人たちの要望に基づいて、県内の放送局の数が順次ふえてまいりました。最も多いところで、茨城県は除くのですが、関東広域圏の六局というのがございます。

 では、今後はどうするかということですが、本当に地方局の大変な財政的な厳しさ、経営上の厳しさということを踏まえたならば、引き続きふやせふやせという雰囲気ではないかと思います。やはり私どもとしては、今の局数をいかに維持していっていただくか、そういった観点で総務省としてもさまざまな支援策を講じていくべきだというふうに認識をしております。

橘(慶)委員 そこの姿勢はわかりました。要は、現状維持の形ということだと思います。

 そこで、質問をちょっと飛ばして六項目めに移ります。

 そうなってきたときに、結局、ローカル局として現状維持される中において、CATVも非常に伸びてくる中で、この地上テレビジョン放送の再放送同意をめぐる紛争事案というものも多分出てきているんだと思います。増加しているという中で、今回はそこの仲裁、あっせん、いろいろな制度も入れていくということで、順次御質問したいんですが、まず、今申し上げたようなこともあると思うんですが、この紛争事案そのものが増加している理由をどのように受けとめておられるかをお伺いしたいと思います。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が実施いたしました調査結果によりますと、平成二十二年の一月末現在の数字になりますが、地上テレビジョン放送の再放送同意をめぐりまして、全国で百八十六件の協議が継続中でございます。この有線テレビジョン放送法に大臣裁定制度が導入された昭和六十一年には、約二十件が不同意の状況でございました。当時と比較して解決が必要な事案は大幅に増加しております。

 このような状況が生じている主な要因といたしましては、再放送を実施するケーブルテレビ事業者の数自体が大幅に増加したことがございます。昭和六十年度末、四百二の事業者でございましたけれども、許可施設のみでございますが、千五十事業者ということで、倍以上に増加しております。また、放送事業者がそもそも協議を拒絶したり、放送事業者の経営に対する悪影響への懸念のため協議が膠着したりするケースも多くなっております。さらに、同意の条件、あるいは技術的事項、地域間の関連性、こういった事柄につきまして意見が対立するなど、事案が非常に多様化、複雑化していることも要因になると思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 やはり、CATVの事業者の数などをお伺いしていますと、この間ここで私が申し上げた、県単位のローカル局の下に、市町村単位といいますか、そういう地域単位の、今市町村が一千七百ぐらいある日本の国ですから、言ってみればちょうど市町村レベルぐらいのところにしっかりそういうCATV局ができてくる。視聴者の立場からすれば、あまねくいろいろな情報をとれたらいい、多チャンネル化というのは大変ウエルカムなことなわけですけれども、一面、このローカル局を地域で守っていかなきゃいけないといいますか、それが大事だということになれば、そこに何らかの調和というものが必要になるんだと思います。

 そこで、この有線テレビジョン放送法で昭和六十一年に導入された、そして新法第百四十四条にそのままスライドしてきた、この総務大臣の裁定制度を設けているそもそもの趣旨について、ここでお伺いをしたいと思います。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 再送信同意というのは、御存じのように、それを認めてしまうと、その同じ地域で営業している地上波放送局にとってはライバルがふえるということで、できればこのデジタル化を機にやめたいという会社が多いわけです。ということで、この紛争の件数は今かなりたくさんたまっているわけでございまして、そういった問題をできるだけスムーズに解決を図っていきたいという観点で、今回、放送関連四法が一つになるわけですが、もともと有線テレビジョン放送法にあった同趣旨の制度を、改めてしっかりと新しい法案の中に規定させていただいたわけでございます。

 簡単に申し上げさせていただくならば、当事者間で多数の協議が進行中でありまして、引き続き法的拘束力を伴う制度を維持することによって、再放送の円滑かつ適切な実施を確保し、受信者利益の確保等を図る必要があることから、放送法に同様の規定を整備させていただいたわけでございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 そういう裁定制度の中で、百四十四条第三項には、今の局長さんの御答弁も踏まえながら最後にお聞きするわけですが、いわゆる同意しないことの正当な理由がある場合は同意しなくてもいいことになるんだと思うんですけれども、この正当な理由がある場合というのは、どんな場合を想定されているんでしょうか。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 改正後の放送法の裁定制度における正当な理由の解釈につきましては、現行の有線テレビジョン放送法における裁定制度と同様の解釈によって法律を運用していくことを予定しております。

 そこで具体的にはということでございますが、平成二十年四月に総務省が策定、公表したガイドラインのとおり、次のような場合には放送事業者側に正当な理由があるとして同意すべき旨の裁定を行わないとすることを想定しております。

 どういうことかといいますと、まず一つ目といたしまして、放送番組の同一性やチャンネルイメージについての番組編集上の意図が害される次の五つの場合でございます。一つ目、放送番組が放送事業者の意に反して一部カットして放送される場合。二つ目、放送事業者の意に反して異時再送信される場合。三つ目といたしまして、放送時間の開始前や終了後に、そのチャンネルで別の番組の有線放送を行い、放送事業者の放送番組か他の番組か混乱が生じる場合。四つ目といたしまして、有線放送事業者としての適格性に問題がある場合。最後になりますが、有線放送の受送信技術レベルが低く、良質な再放送が期待できない場合。この五つの場合を適正な理由として挙げさせていただいております。

橘(慶)委員 今お伺いいたしますと、きちっとできるところ、しっかりしているところで全面的にちゃんと放送すれば、基本的に同意しなきゃいけないような感じになっちゃうと思うんですね。今、そういうふうに正当な理由については受けとめさせていただいたんですが。

 そうなってくると、最初に申し上げた、このCATV局とローカル局の問題。そして、強いて言えば、お隣の県の天気予報はこっちで見なくてもいいという程度のことはあるかもしれませんけれども、この再放送同意のあり方ということについて、今後どういうふうにお考えになっているのか。これはあっせん、仲裁制度も導入されて取り組まれるわけですが、きょうずっと議論させていただいたローカル局の現状なり、そういった全体を踏まえて総務大臣としてどのようにお考えか、ここで承りたいと思います。

原口国務大臣 一番大事なことは、実情に応じた、迅速、円滑かつ専門的な処理が大事だというふうに考えています。今るる御質問がありましたように、多様化、複雑化していますよね。ですから、この状況を踏まえ、総務大臣による裁定制度に加えて、電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁制度を設けて、事案の程度に応じた多様な紛争解決手続を選択可能にすることが大事だというふうに思います。

 また、法案成立後ですけれども、あっせん、仲裁制度について、政省令の整備など制度の詳細を設計する際に関係者の意見を十分にお聞きして、運用面では昨年四月に作成したガイドラインを踏まえた当事者間の協議の促進を図ることによって、迅速かつ適切な問題解決を図っていけるようにしたいと考えています。

橘(慶)委員 ここまでお伺いしたローカル局の状況、今後の方向性、そして再放送同意の問題、こういった問題はこれからの放送法の運用では地域のテレビ局にとっては大事な部分だと思います。ぜひそのあたりをしっかり運用いただくということと、私どもはそれを見詰めさせていただきたいと思います。

 あと一つ、ちょっと政治的にといいますか、大臣の考え方もあると思いますので、電波法の方で一つだけお伺いをしておきたいと思います。先に局長さんの方からお答えいただいて、後に大臣さんということになると思いますが。

 電波法の改正の中で、総務大臣の登録を受ける事業者に、無線設備等の点検事業者に加えて、検査等事業者ということで新たに、いわゆる今まで無線設備が大丈夫かどうかという、三項目の一ですが、無線設備が大丈夫かどうかという点検を今まで既にアウトソーシングしていた、その点検のデータを持ってきて、そのデータが確かに大丈夫かどうかということの検査は今まで国のお役所の方でされていた、いわゆる地方の局でされていた、今回それを新たに出していくということですが、そうされる理由についてお伺いしたいと思います。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電波法におきましては、無線局は、原則として国による定期検査を受けなければならないというふうにされているところでございます。委員御指摘のとおり、さらにそれに加えまして、定期検査におきましては、いわゆる点検事業者による点検を受けて、その点検結果が国に提出された無線局については、国はその点検結果に基づいて無線設備が法令に適合していることを書面で判定することができるというふうにされているところでございます。

 今回、さらに、総務大臣の登録を受けた者、これは登録検査等事業者と呼んでおりますけれども、この者の点検を受けた上で、さらにそれに加えてその者が法令に適合している旨の判定を得た無線局については、国による定期検査、書面審査、その検査そのものを省略することができるようにしております。これによりまして、免許人の負担を一層軽減するとともに、行政事務の効率化を図ることを目的としたものでございます。

橘(慶)委員 この手のアウトソーシングというのは、法律の中で登録制度をつくったり指定法人にしたりいろいろするわけですが、今のいろいろな物事の流れという意味では、一応ネガティブチェックという意味では、それがまた新たな公益法人の仕事づくりになったりしたら困るというのはさんざん今議論されていることかと思います。

 そこで、これは確認ということで、こういったアウトソーシングをすることによる経費面あるいは行政執行面でのメリットが本当にあるのかということと、それが決して、何かよく言われるような問題ではないというところについての確認をさせていただきたいと思います。

原口国務大臣 これも大事な御指摘だと思います。

 何か新たな制度をつくって登録検査事業ということをやると、そこに中抜きのシステムが出る。これは、私たち、行政刷新会議でも随分目を光らせてきたところでございます。

 ただ、今回の改正は、定期検査を登録検査等事業者が行うことを可能にすることにより、免許人の負担の軽減、行政事務の効率化につなげるものでございまして、私もこれをチェックしてみると、改正後の電波法は登録検査等事業者について公益法人であることを登録の要件としていません。加えて、登録検査等事業者には現行の登録点検事業者がそのまま移行することになると考えられますけれども、現行の登録点検事業者は、そのほとんどがメーカーや通信事業者の子会社など一般の民間事業者です。

 ちなみに、平成二十一年度末現在で千七百二十三事業者ございますが、公益法人は一事業者のみです。これは国交省所管の財団法人航空機安全運航支援センターでございまして、今委員がおっしゃったような中抜きのシステムのようなことがないように、しっかりと私たちもチェックをしていきたいと思います。

    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕

橘(慶)委員 ここは確認ということで、そういうことを議事録に残せれば私としてもありがたいということであります。

 一時を回ってまいりまして、また黄川田議員さんの方へ戻っていくところへ来たかなと思います。

 放送と通信の融合ということで、昔に比べたら、随分、デジタル化したことによって瞬時に多くの情報がいとも簡単に送れる、そこからいろいろなビジネスチャンスが広がる、そういう時代になってまいりました。

 そんな歌が万葉集にあるのかといえば、三十一(みそひと)文字で、三十一文字で一日を詠んでしまった歌があるので、それをきょう冒頭紹介しようと思ったんですが、何となくムードがムードだったので失礼をしたなと思います。きょうは、朗誦は避けて、こういう歌を詠もうと思っておりました。「珠洲の海に」、珠洲市というのは今地デジの試験をしているところで、石川県です。「珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば」、朝スタートしてこぎ来れば、「長浜の浦に」、着いた長浜の浦には「月照りにけり」ということで、朝から晩まで三十一文字で一日を語った、そういう状況もわかると思います。

 ただ、これは海が波静かでないと一日では来れないという意味では、この委員会も波静かならいいなというふうに思うと、何となくこの歌でよかったのかなと思いながら、朗誦は避けまして……。ちなみに、これは巻十七、四千二十九番ですが、それは、まあそういうことで。

 最後に、黄川田委員さん、少し緊張感を持ってお願いをしたいと思います。

 NHK会長人事の部分、NHK会長さんと経営委員会との問題については、消極的に言えば、これは今回このままでよかろう、野党側からの修正案があったけれどもそれは与党としては入れない、こういうことだと思います。

 そこで、そもそも経営委員会のあり方、先ほどちょっと委員の人選の話もありましたが、言ってみれば多様な視聴者の代表の方々が委員になっておられる中に会長さんということで入っていく、そういうボードのあり方が本当によろしいのかどうかということの御見解をまず提出者にお伺いいたします。

黄川田委員 橘委員さんにお答えいたしたいと思います。

 NHKの経営委員会に会長が構成員の一員になるかというところの中で、今御指摘のとおり、会長の権限はかなり大きなものがある、あるいはまた、対等の立場でといいますか、それぞれ主義主張を言い合いながらNHKのいい経営ができるようにということで、かつて会長の力が大きかったという流れの中で、三年前ですか、平成十九年に放送法の改正で経営委員会の強化ということで、同じぐらいの力関係といいますか、そういう部分で大いに議論を活発にということで。そしてまた、お話しされたとおり、経営委員は国会の同意人事ということで、さまざまな立場、あるいはまた地域性も加味しながら来られるわけであります。

 そういう中で、参考人質疑の中でお話を聞いてみますと、やはり意思の疎通といいますか、経営委員十二人がそれぞれの意見を持って、当然、国民のために受信料をもってやっているNHKということであるんですが、執行部の説明責任といいますか、そういう会議の中でしっかりとしたいと。今の法律でも求められれば出られるところはあるのでありますが、加えて、積極的に説明責任を果たすという意味合いの中での形だと私たちは思っておりますので。

 修正協議の場の中でも、会長の権限は強いんだ、それがひとり歩きしたならば、あるいはまた、人に属するんだ、しっかりと組み立てをしておかないと、経営委員長、あるいはまた会長、どんな仕組みをつくっても、人がやることですから、その部分でさまざまなことが生じないようにという御意見もありましたけれども、現実の現場の声といいますか、御本人たちのお声をお聞きすれば、やはり意思疎通が大事だということと、的確にスピード感を持って執行したいという意味合いの中であれば、重ねての答弁でありますが、その部分についてはあえて修正を加えなくてもいいんじゃないのかということであります。

橘(慶)委員 ルールを変えていくというのは、そのルールをだれがどういうふうに使っていくかということが常にいろいろ問われることだと思います。きょうの委員会についても、理事の皆さん、いろいろ真摯な御議論をされて今運営されているわけですが、やはりルールというのは、そのときはそれでよくても、何か違う方が違う形で使っちゃうと、とんでもないことになったりするというのがルールかと思います。

 実は、これはもう法案としては終わっているわけですが、国家公務員法の法案のときに、民間人材登用・再就職適正化センターというセンターの下に再就職等監視・適正化委員会というのがあります。私は時々形式的なことを申し上げますが、今まで再就職等監視委員会というのは内閣府の委員会でした。内閣府の附属の委員会、審議会みたいなものですね。そういうものを、今回の法案において、いわゆるセンターという内閣府の機関の下に置かれる一つの委員会に変えたわけです。

 要するに、内閣府の、ある意味で省庁の出先機関の運営委員会みたいなところに位置づけたわけです。そこの委員を国会同意人事に係らしめたんです。それは今まで事例がないんです。そうでしょう。本府省の審議会ぐらいの同意人事をとるのが当たり前。ところが、今回、施設等機関に置かれる審議会の同意人事を盛り込まれたわけです。これは今は別に問題はありません。しかし、それをまた違う人が見たら、何だ、施設等機関の委員まで国会は同意人事にしてもいいのかということになったときには、今度は前例ありになっちゃうんですね。そういうことを私としては非常に心配する。

 そういうことを事務方を含めてよく検討いただかないで、そのときはこれでいいんだとどんどんやっちゃうと、どこでどういう落とし穴があるかわからないというのを心配するわけです。それは例えの話で一つそういう話をしましたが、これは質問主意書も出していますから、お答えをいただけるんですが。

 そういうふうに考えたときに、このNHKさん、日本銀行の話があった、JRAさんの話があった。先ほど黄川田提出者もおっしゃった、経営委員さんは国会同意人事なんですよと。国会同意人事の経営委員会の中で選ぶということであるけれども、会長さんだけがいわゆる同意人事には係らしめられない、そういう人が経営委員会に一人入っているということになるわけです。それは、現状における国のほかの機関に事例がないということであります。

 その辺について、当然、この委員会でも審議はあったわけです、意見もあったわけですが、そのことについては今どうお思いであるかということを、提出者と後から大臣にもお伺いします。

    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕

黄川田委員 お答えいたします。

 一般の会社と違って、放送事業は、原口大臣が言論のとりでという形の中でたびたびお話ししますけれども、放送の自由の確保、表現の自由の確保の中で、会長職という部分は国会同意人事じゃなくて経営委員会が指名する形になっておると思うのです。逆に言うと、会長の立ち位置といいますか、それは国会同意人事というよりも、そういうものから離れたところで決められるのがいいのではないか、そう思っておるわけであります。

    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕

原口国務大臣 これはぜひ御理解いただきたいのは、以下の三点であります。

 公共放送としての役割を担っているのはNHKだけです。つまり、公共放送として公共的性格と、公権力からの干渉の排除。ですから、私たちは、この言論機関の特殊性にかんがみ、業務の執行の最高責任者である会長については、放送番組の編集の自由を享受し、何人からも干渉されない番組編集を行うことができるようにする。これが一つです。

 もう一つは、全国の受信者の代表である経営委員会による、経営委員による経営方針の決定等が、実際的な業務執行の観点から見ても、より適切、迅速に行われ、NHKの公共的役割がしっかり果たされる。

 それからもう一つは、私たちも政権を交代して思うのは、中からも国際的な人材を、NHKはたくさんの国際的なすばらしい人材をはぐくんでいます。と同時に、外からもしっかりとした、国際的な公共放送、これからは世界にしっかりと日本の情報を発信する、そういう観点からも内外のすばらしい人たちをしっかり取り入れる仕組みが必要なんですね。

 私は、政権をとらせていただいてこの八カ月、外からの人を排除しよう、なかなか中に入れまいという組織は弱い組織だというふうに考えています。広く多くの人たちにNHKのさまざまな経営の中にかかわっていただいて、さらなるガバナンスをしっかりと確保していく。この三つの観点からやっておるところでございます。

 これは、自民党さんは非常に自由を大事にされます。この間、柿澤さんもお話しされましたけれども、官僚であればいいのか、天下りであればいいのか、そこのプロパーの人であればいいのか、私はそういうことでは決してないと思います。プロパーの人たちの思いをしっかり大事にしながらも、広く人材を他に求めることができる開かれたガバナンスを目指していることをぜひ御理解いただきたいと思います。

橘(慶)委員 この部分は、黄川田提出者さんも大臣も、私の問題意識とある意味ですれ違った部分があるかと思います。

 確かに、外部からの干渉を避けるために、国会同意人事にせずに、経営委員会の方で、政治の世界じゃないところで会長さんを選ぶんだ、それはそういうことだと思います。また、経営委員会の中でいろんな議論をする中で会長さんも当然役割を果たさなきゃいけない、それもそうだと思います。

 ただ、せんだってこの場で参考人として来られたNHKの経営委員長さん、会長さんもおっしゃっていたように、現状においては、お伺いしてびっくりしたんですが、経営委員と同じくらいの人数の執行部もみんな入られて、そこで説明をしたり話をしたりしている状況。そこから何が変わるかといえば、ワンボート、一票持つかどうかみたいな話になってくる。それがどうして一票持たなきゃいけないかというのが、なかなかわかったようでわからない部分があります。

 一面、最初に申し上げた、そういうお初の制度をつくることの副作用が本当にないのかどうかということを一応懸念しているわけであります。

 どうしてもワンボートが要る、それがなぜそうであるべきなのか、私のような懸念がないのかということについて、黄川田提出者の方にお願いしたいと思います。

黄川田委員 ワンボード、経営委員会と執行部との緊張感ある、まあ、人間性といいますか、そういうものじゃなくて、一つのものということの懸念だと思うのでありますけれども、先般の参考人質疑で、経営委員長、会長のさまざまな経営の取り組みの中で、やはり意思疎通、説明責任をしっかりしてもらえるような、説明責任といいますか、執行部としての、あるいはまた経営委員会としての思い、意図、経営計画はこういうことなんだよということを緊密に意思疎通してもらうというのが一番大事なところだと思っておりますので、ワンボードと言われますけれども、懸念は極めて少ないのではないかと思っております。

    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕

原口国務大臣 橘委員の御懸念というか、制度をつくるときには、そこは非常に慎重に私たちはつくったつもりです。

 ワンボートというお話ですけれども、そのワンボートの中身でも、会長にはボーティングの権限がないものがございます。経営委員長の選任や監査委員の任免といったNHKのいわゆる統治の根幹にかかわる事項、これはボーティングの権限はありません。

 もう一つは、会長の任免、役員の給与等の支給基準や報酬、退職金、交際費など、会長自身の利害にかかわる事項について会長に議決権を認めないこととしておりまして、今御懸念の、経営委員と会長の権限との均衡というのは、ここでしっかりとれている。

 ワンボートの中身が違うんだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 趣旨についてこれでやりとりができたということですが、これを残していくということかと思います。そういう形で、やはりいろんな問題について、ある程度、どういう立法者の意思だったのか、そういうことをしっかりさせていく必要があると思います。

 きょうは、国家公務員法の話を一つしましたが、決してあのときも質問がなくなったということではなくて、今申し上げたセンターのことも聞かなきゃいけなかったわけですが、あそこで打ち切られたのは、この委員会ではありませんが、非常に残念だった。そんな意味では、ぜひこの後もまたいろいろな意見を交換させていただいて、いい法案に練っていただきたいと思います。

 では、終わります。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 まず冒頭、やはり私も抗議の意思を表明しておきたいと思うんです。

 それは言うまでもなく、与党及び近藤委員長の、非常に民主的でない、横暴と言っていいような委員会運営についてであります。

 幾つか理由を述べさせていただけば、まず、本日の総務委員会を職権で立てられたことであります。加えて、審議時間も二時間三十分に限定をされました。私の理解するところ、修正協議を打ち切られた、その上で、修正案がけさ提出をされました。さらに言えば、修正案をこの委員会で突然議題とされたということであります。

 私の理解するところ、理事会の合意において、議員立法の質疑が行われる場合には、前日の午後四時までに質問を通告するというルールになっております。ある意味では質疑者にとっての権利でもあるんじゃないでしょうか。四時までに通告しておかなければ満足な答えが返ってこないかもしれない、そういうことであります。

 そういった理事会のルールを無視して、修正案を議題としておられます。しかも、修正案を新たに議題としたことについて、質疑の時間を追加するとか、しっかりと時間を確保するというようなことも行われておりません。

 その上で、これはまだ危惧の時点で、この議事次第には書かれておりませんので、あえて注意的に申し上げておきますが、これは六十年ぶりの放送法大改正なんですね。放送法を制定して以来の大改正と言ってもいいような改正であります。加えて、九本の法律を改正するという大改正でもあります。にもかかわらず、まだ審議時間は参考人質疑も入れて十時間余りですよ。十時間をはるかに超えるようなものになっていません。修正案が出る前でも、我が自由民主党は二十時間の質疑時間をお願いしてまいりました。

 しかしながら、聞くところによると、これは特にインターネット経由で、リアルタイムでこの中継を見ておられる国民も多数おられると思います。聞いておいていただきたいのは、私の見るところ、小沢幹事長から郵政法案をこの国会で上げろという指示が出た途端に、突然、議事運営が非民主的なものになり始めたということだと思います。

 昨日、実は、倫選特でも強行採決が行われました。そのときに、驚くべきことを民主党の理事の橋本筆頭が口走られた。理事会においてでありましたけれども、インターネット選挙解禁法案、これについては民主党が大変熱心で、参議院議員の櫻井委員が一生懸命、やる、やるということで言っておられて、結果、国民の期待は完全に、この夏の七月十一日の参議院選挙からインターネット選挙が解禁される、こういう理解である。そして、倫選特、昨日原口大臣にもお伺いしたところ、私と完全に認識が一致している。投票率の向上にも資するような制度であるし、これはぜひやったらいい、そういうことでありました。にもかかわらず、橋本筆頭がきのうおっしゃったのは、我が党の幹事長のゴーサインが出ないんです、こういう話ですよ。

 これだけ国民の期待が高まって、大臣も我々も、そして、このインターネット選挙なんというのはもともと民主党の皆様の方が熱心だったんです。うらやましいかな、皆さんの方がITのリテラシーが高いような気がいたします。原口大臣初め、ツイッターをやっておられる方も多い。そちらから出てきたことであります。そして投票率の向上にも資するから、我が自民党も意を決して、いい話だから乗ろうじゃないかと、四月二十八日に議員立法も提出済みなんですよ。

 にもかかわらず、これは参議院選に間に合わせるには、罰則つきの法案、周知期間が一カ月ぐらい要りますよ。それを考えると、七月十一日、選挙公示日六月二十四日、周知期間を考えたら、五月二十四日には公布されていなきゃいけない。公布手続を考えたらもう間に合わないんですよ。その段階でなお、櫻井議員はやる、やるとおっしゃっているけれども、選挙ルールですから、衆議院から始まるはずの審議、担当委員会である倫選特の筆頭理事は、小沢幹事長のゴーサインが出ないからできないと。これは万事、幹事長、幹事長、幹事長じゃないですか。

 天の声が下ると、途端に非民主的な、今まで予想だにしなかった、理事会でも理事懇でも筆頭間協議でも一言も出なかったような話がすぐに始まってしまう。こういうのは本当に、民主的な国会運営とは絶対言えないですよ。その辺のことは本当に反省をしていただきたいです。

 郵政法案を上げろと言われたから、放送法のこの大事な法案が、皆様からはどうもふん詰まっているように見えるんでしょう。もう一気に勢いを上げてやっちまえという勢いがありありなんです。議事次第には書いてないけれども、きょう採決を強行されるようなことは決してないですねということを私は強く委員長に申し上げておきたいし、これは、国民の多くの皆様がインターネット経由で、リアルタイムでこれを見ているんですよ。その前で、幹事長の天の声が下ったから、突然審議を打ち切って強行採決するというようなことは決してしないでいただきたい。

 本日の採決については、理事会でも合意はできていないと私は理解をしております。よもや緊急上程まで予定するというようなことはゆめゆめなかろうと私は確信をしております。そのようなことが行われたら、過去に強行採決、公務員制度改革法案についても内閣委員会で行われてきておりますし、加えて、地球温暖化法案についても環境委員会で行われてきている。三度目かということを、今これを見守っている、リアルタイムで見ておられる国民の皆さんにはぜひ見ておいていただきたい、そのように思うものでございます。

 以上、冒頭強く抗議を申し上げた上で、法案についての質問に入らせていただきたいと思います。

 修正案というのが出てきたわけでありますから、私は、そこについてまずお話を伺いたいというふうに思うわけであります。

 冒頭、原口大臣にこのお話を伺いたいんですけれども、修正案を出すに至りました。出ているということは、これはもとの案の加工でありますから、原口大臣も党の意向には従われるということだろう。いまだに反対だ、原案がいいということはおっしゃらないと思うんですけれども、このような経緯で電監審の権限強化の部分が削られることについて、どのような教訓を得られましたか。

原口国務大臣 お答えする前に、今、天の一声というお話がございました。

 私も筆頭理事をさせていただいておりました。理事会でどんな内容が出たかというのは私には知る由がありません。ただ、そこでの話は外に出さないというのが信義則ではないかというふうに思います。他の委員会でございますけれども、反論の機会がない委員のことについて、それをもとに抗議をなさるということでございますが、私はそのことだけ申し上げます。

 赤澤委員は大変紳士的で、真摯な、前向きな御議論をなさいます。インターネット選挙についても、私は党派を超えた同志だと思っております。そういう意味でも、今回、電監審の権限強化ということで、党の方が、いろいろな野党の御意見、国会での御意見、それから参考人の御質疑ということを踏まえた上で今回の決断になったというふうに考えております。

 事言論のことについては、私たちは前の放送法のときも、あそこにいらっしゃいます山口筆頭を初め、多くの皆様と一緒に修正をすることができました。私たちは、この電監審というものについての建議は極めて大事だというふうに考えておりますが、こういったものについても、国会の御理解あって初めて成り立つものであり、これからも丁寧に立法過程についても御説明を申し上げていきたいと考えますし、広く、多くの皆様の御懸念がないように、丁寧に丁寧に一つずつ説明をしていく、これが総務大臣としての務めである、このように考えています。

赤澤委員 電監審の話について、中身の質問をすることも後ほどさせていただきたいと思うんですけれども、今、原口さんが一生懸命、私のことを褒めてくださいました、誠実に議論をすると。大変そこのところは感謝をするわけでありますし、そう言われると、今から申し上げるようなことを申し上げるのは何か心苦しいような気もいたしますけれども、しかしながら、国民のために、ここは心を鬼にしていかないといけない。

 私はしばしば、大臣の適格性の問題を、質問の最初にいつもさせてきていただいているんです。一言で言って、原口さんが、二つの点で適格性にどうも問題があるんじゃないかということを私は申し上げました。

 一つは、顧問の問題でした。これはどうも、お友達と言われる方たち、特に落選した議員の方たちを顧問にして、何かそこに顧問料を払っている。失業対策と国民からとられるようなことは、李下に冠を正さずということでやられない方がいいんじゃないですか、そういう意味で、お仲間を顧問として集められるのはやめてくださいということを申し上げました。

 加えて、内閣専門調査員が総務省にも配置されています。これは二十五人、民主党職員の方が内閣専門調査員になって、無給ということでありますけれども、各省に配属されている。中には、政務三役の随行でもないのに、アメリカ出張の旅費まで血税から払ってもらって出張した人までいる、こういうことです。

 そのときに原口さんに私が伺ったのは、こういう方たちが、血税を出すにもかかわらず、我々がそこから交通費を払うにもかかわらず、どういう選任過程で、どういう基準で選任されたのか、その方の履歴についても明かしてもらえない。質問主意書などで質問をすると、どういう答えが返ってくるかというと、個人のプライバシーだからお答えできないんです。こんな話。

 そうすると、我々国会議員は選挙を通っているから、公明正大なルールで、厳しい基準で選ばれていますから、歳費の多寡についての議論はあっても、歳費を払うこと、国民は少なくともだれに払うかは、選挙で決まった人間に払うことには文句ないと思います。公務員についても、厳しい試験があればこそ、これは歳費の高い安いはあっても、どの公務員に払うんだ、合格者と不合格者が試験で公明正大に決まる分にはいいんですよ。しかしながら、見ていると、国民の血税を、交通費を払うに当たって、内閣専門調査員がどういう基準で選ばれているのか、この点についても、原口さんに私は明快な説明を求めますよという話をしましたけれども、これについてのやりとりもまだ終わってはおりません。

 私は、いろいろな意味で、大臣の適格性の問題について疑念を発してきましたけれども、きょう申し上げることはその中でも非常に大きなものだと思うんです。それは何かというと、民主主義社会において、権力者に求められる謙虚さが決定的に欠如しているんじゃないかということなんですよ。

 私は、この点を指摘するのは本当に大事なことだと思っています。先ほどからの答弁でも議事録にも、だれがなっても問題のない、そういう制度をつくり上げるのが私の仕事だということを原口さんはおっしゃっています。しかしながら、私は、自分に絶対の自信、すなわち、自分が保持している権力を常に国民のために用い、絶対に濫用しないという絶対の自信を持っておられるようにお見受けするんです。

 しかも、その点で二点言っておかなきゃいけないのは、やはり大事なのは、自分の後継者としてだれが総務大臣になっても権力を濫用できない制度をつくり上げる、これは大事なことですよね。加えて、絶対の自信を持っている御自身であっても、権力は腐敗する、絶対的な権力は絶対に腐敗する、このことは歴史の教える知恵であって、この二つの事柄は肝に銘じていかなきゃいけないと思うんですよ。

 電監審の権限強化の話も、私は、その辺について原口さんの認識が甘いから出てきていると思うんです。

 一つだけ、本当にこんなものが議事録に残っていいのかと思う原口大臣の答弁があるんですよ。それは、五月十三日、大口委員が質問をされました。これは総務省令に対して、必要な事項を白紙委任していないかというやりとりがあったときです。覚えておられると思います。そこで、引用ですから短くしたいと思いますけれども、「総務省令に白紙委任するものではないということも、ぜひ、大口委員には、私がそんなことをする人間ではない、もともと、むしろ厳しく厳しくやってきたということも御存じのとおりでございますので、御理解をいただきたい」と。

 私は、この答えはやはり、なってないと思うんですよ。原口さんがおっしゃるべきことは、もし私が魔が差したとしても、絶対に権力の濫用が起こらないような制度をつくり上げたから、国民の皆さん安心してくださいというのが原口さんに期待される答えであって、ここにあるように、私がそんなことをする人間ではない、もともと、むしろ厳しく厳しくやってきたんだから御理解くださいと。私は、これは許されない答弁だと思いますよ。そこについてはいかがお考えでしょうか。

原口国務大臣 私は、自分自身に絶対の自信を持っているというわけでは逆にありません。

 自分のことを申し上げてあれですけれども、私の先祖というか、明治維新にかかわり、その後、二・二六にもかかわったというふうに言われている者がいます。ですから、私は、自分自身がもしファシストになったとき、あるいはそれに類するような者になったとき、どのようになるんだろうということを常に頭の中に置いて行政を執行しています。

 今赤澤委員がおっしゃるように、どんな権力も腐敗をする、あるいは、もっと言うと、権力におぼれてそれを濫用する。あの戦争に向かうときの話をしているのは、何も人のことを言っているのではない。私たちの中にある権力の魔物というんですか、そういったものに対して、しっかり抑制をきかすべきだということを申し上げておるところでございます。

 それで、今の、そんなことをする人間ではないという答弁は、いわゆる省令への白紙委任についての質問でございます。

 私たちは、この委員会でも何回も、省令への白紙委任はいけませんねと。ただ、今回の法案の省令は、今ある幾つかの法律を一つにまとめたために、今ある条項をそのまま横にスライドさせるものだということを答弁したものでございまして、少し言葉が足りなかったとすれば、今、補正をさせていただきます。

赤澤委員 私は、その言葉に本当にあらわれていると思うんですよ。

 今原口さんがおっしゃったことに私は全く賛成なんです。だけれども、では、この電監審の権限強化の問題。日弁連の日隅さんという参考人が、おおよそこういうことを言っておられます。私、非常に印象的だったのは、日弁連の代表の方ですら、原口さんであれば心配ないと思う、今の民主党であれば心配ないと思う、だけれども、政権がかわったらわからないというぐらい、権力者には気を使うんだなと。日弁連の代表にしてこれですよ。私はこれは本当に驚きました。

 その上で申し上げますけれども、日弁連の方が何を言っているか。要は、この電監審は総務省の一部の機関でしょう、しかも、その委員は五人おられるけれども、総務大臣が任命をされるということです。彼が何を言っているかというと、まさに今原口さんがおっしゃったように、自分がもし悪魔に魅入られた、あるいは魔が差したというような趣旨をおっしゃったと思うけれども、そうなったときに、日弁連の方が指摘したことがやはり起きるんですよ。電監審を隠れみのにして、自分が言ったのではないように装って、例えば放送の内容に介入をするようなことというのが、法令上、見たらできるようになっているじゃないですか。

 その点について、私は、今おっしゃったことと、実際にこの電監審の権限強化を出してこられたことは話が合っていないと思いますよ。

 それで、三条についてもいろいろおっしゃっていましたけれども、三条があるからそれは起きないんだというようなことにはならないですよ。電監審の権限というのは、三条で言う、法令で別に定めているという例に当たっちゃうんだと私は思いますよ。そういう解釈をする人が出てきても全然不思議じゃないです。

 その辺のことを全部考えたときに、私は、原口さんが出してきたこの電監審のものは、原口さんがというんじゃないですよ、大臣が乱心したときに、例えば、マスコミが何かしらどうも自分のことをたたき過ぎると思ったときに、電監審を隠れみのにして自分の意向を実現したいと思わない保証はない、そのときにやはり電監審を使えないようにしておくべきなんでしょう。明確に、大臣がこういうことを諮問すると言った場合しか電監審が権限を行使できないようにしておくのが、だれが総務大臣になっても、決して濫用されないような仕組みをつくったと言えることなんじゃないんですか。その辺、いかがですか。

原口国務大臣 その隠れみの論というものが、本当にどこまで正当性を持つのか。

 私は、赤澤委員がおっしゃっている、ファイアウオールを幾つもつくれというのは賛成ですよ。しかし、先ほど申し上げた放送法第三条、これを超えて総務大臣が何かできるということがあるでしょうか。あるんだったら教えていただきたい。

 「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」この三条の規定は物すごく大きな規定であり、強い、重い規定なんですね。電監審の建議の規定によって総務大臣の権限がふえるものではないことは、再三再四答弁をしてきたところでございまして、電監審を隠れみのにして、本来できない放送番組の内容への介入ができるものではないというのは論理的な帰結だというふうに思います。

 例えば、どんなふうにするんでしょうか。私が放送番組に介入をしたいと考えたとします。そうすると、自分で選んだ電監審の委員に、これを建議してくれと言うんでしょうか。そういったことについても、全部開示の対象になっている。その開示の対象と説明責任。

 私たちは、この職になって、すべてをオープンにしてきました。そんなことを裏でわざわざやって、意見具申というものをもらって、そして、わざわざそんなことをやるということをどうして考えられるのか。これは、建議という言葉がいろいろなところに出てきますから、消費者委員会もそうですし、証券取引等監視委員会もそうでございます、企業会計審議会も建議ということでございまして、そこのところは、少し論が走り過ぎているんじゃないか。

 ただ、議論が、そうやってファイアウオールをもう一つ求めるべきだということであれば、私がこの答弁で、建議、電監審についてのさまざまな働きかけについてもすべてオープンにします、こそこそ隠れて何かをするなんてことはありませんということを申し上げているわけでございまして、これ以上のものはあり得ないと考えております。

赤澤委員 だとしたら、何で今回削除することになったのか、何でこれだけ批判の声、あるいは反発というのが生じたのかについて考えてみていただきたいと思うんですね。

 しかも、大体、全部後手だと思うんですよ。要は、顧問の問題についても、御指摘したときに、自民党のお友達とはおっしゃらなかったけれども、自民党推薦の方でも顧問にしますから言ってくださいといいながら、二十五人の顧問は、実は原口さんの人脈から来ている。今回の話も、そういう話であれば、電監審の議事録は全部オープンでやりますよと。

 そうじゃなくて、あらかじめそういう疑義を持たれないような制度をつくって、だれが総務大臣になっても、本当に権力の濫用の余地があり得ないようにするのが仕事だと私は思いますよ。

 その上で言えば、諮問をした場合にしか動かないという形にしておくのが、やはり大事な安全装置なんだと私は思うんですよ。諮問の内容は文書でやりますでしょう。こういう文書で諮問がされた、そのときに動いたと。大臣が電監審に何を求めたか、まさに大臣が選ぶ委員で構成されている電監審ですから、総務省の一部なんですから、指示が明確に文書で国民にわかる、そういうことで安全装置が働いているんだと私は思います。

 自由に建議できます、そのメンバーの方とは、任命されるのであれば、当然、通常いろいろな機会に、非公式にも、国民が見ていないところでもお話はされるわけですから、その辺のことについては、隠れみの論というのは決して荒唐無稽な話でもないし、きちっとその辺について理解をしてやっていただきたいと私は思うんです。

 もう一つ指摘をしたいのは、原口さんだけではなくて、もう一人、これはどなたかお名前は申し上げませんけれども、政務三役でこの委員会においてお話をされた方が、盛んに大臣をかばうような御発言をされたんです。自分は役所出身であるから、役所の中では決して、放送の内容に関与するような議論なんか私はしていません、先輩そして同僚、後輩ともに、そんな議論はしていないんです、原口さんもそんなことは決して考えていません、そのことは私が保証申し上げますみたいな質問があったんですね。質問の最後にそういうことを述べられた委員の方がおられた、御記憶の皆さんが多いと思いますけれども。

 私は、この辺に本当に危うさを感じるんですよ。要は、与党から選ばれている閣僚である原口さん、そして与党の委員がそろって、問題の所在を履き違えているように私は思うんです。原口さんはいい人ですから信じてくださいというような、お門違いの議論を国会でやってはならぬのだと思うんですよ。

 私は、正直、失望を通り越して愕然といたしました。国民から政権を任された与党から選ばれた閣僚も、与党の委員の方も、自分も判断を誤ることがあるかもしれません、そのような場合でも、権力を濫用できない仕組みを誠心誠意つくり上げましたから、国民の皆様、どうぞ御安心くださいというのが仕事だと私は思うんです。私たちはおかしなことを考えておりませんから御安心くださいなどという答弁や発言で、危険を内包した制度を盛り込んだ法案を国会通過させようとして結託するなんというのは、私はほとんど漫画の世界にしか出てこないことだというふうに感じます。繰り返しになりますけれども、失望を通り越して愕然としました。

 ちょっと話が違うかもしれませんけれども、権力者がおれのことを信じろと言ったときは信じちゃいけないというのは、いろいろな文筆家が歴史の教訓として言っていますよ。ちょっと事例は違うかもしれないけれども、最近は、自分のカウンターパートにトラスト・ミーと言われて信じて、大変な苦労をしておられる米国の大統領もおられるということもあります。とにもかくにも信じてくださいじゃなくて、言葉じゃなくて、行動でつくり上げる法律、政令、省令、あるいは制度で、しっかりと国民の利益が守られる、そういうものにしていただきたいなと強く思うものであります。

 原口さん、それについてはどう思われますか。

原口国務大臣 赤澤委員は一定のストーリーをつくられて、少し決めつけて議論をされているんじゃないか。

 顧問の問題についても、後づけで言ったのではなくて、現に、自民党を支援してきた方々を、あるいは公明党さんの推薦、自公推薦の方も顧問になっていただいて、それは民主党支持という一党一派に偏していませんよということを申し上げた。

 そして、さらに言えば、今の件についても言論のとりでということで、ICTタスクフォースで議論していただいていますが、それはまさに赤澤委員がおっしゃった、だれがなろうが守られるべき言論の自由、報道の自由、表現の自由があるから、そのためのファイアウオールは何が必要か、そのための制度は何が必要かということ。

 現に、皆様があの「発掘!あるある大事典」を機に、私たちから見ると大変厳しい、放送局の、その内容にも介入するかのごとき法律案を出されて、たまたまあのときは、当時の与党の委員長を初め筆頭がリベラルな方であったから、修正が、参議院選挙で私たちが過半数を得て勝ったからそういうことができたけれども、大事なのは、赤澤委員がおっしゃっている趣旨は大事なんですよ、だれがなっても介入がされない。そういうもので制度をつくっている、その自信を申し上げて答弁にします。

赤澤委員 それがそうでないから、あるいは、少なくともそうでなく見えるから、大きな反発が起きているんですよ。与野党推薦の参考人がこぞって、これはやめた方がいいと言うようなものが紛れ込んじゃうのは、私はやはり、与党が権力についての物の考え方を、先ほどから申し上げているとおり、履き違えているからだと思いますよ。十分抑制的に、本当にだれがなっても、要するに、自分の間は大丈夫だという発想はだめなんだということを、やはり原口さんにぜひ持ってほしいと思いますよ。

 というのは、さっきも申し上げたように、権力というのは腐敗するんですよ。原口さんが立派にやったら、私はそれを信じないわけでもないです。しかしながら、そういう濫用の余地がある制度をつくっちゃったら、やる余地が出てくるんです。そういったことは自分から率先してなくしておかないといけないということを、ぜひ理解いただきたいと思います。

 どうしても私が気になっているのは、電監審の話で、放送法の、今回の改正案の第三条ですね、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」電監審の権限は、これは明らかに法律に定めがあるんですよ。干渉されちゃうということじゃないですか。どうやってこの三条がファイアウオールだと読めるんですか、説明してください。

原口国務大臣 この三条、今お読みになったとおりであります。放送法第三条、これはシンプルな条文ですね。それは、内容について、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」

 例えば、自主規制機関としてBPOがありますね。そのBPOについて、さまざまな権能についても、私たちは自主規制という形で、放送番組を放送事業者みずからが自主規制をされています。権力がその中身について、あれを書きなさい、これを言いなさい、これは言いなさんなということはどこにもないんです。そのことを定めた法文でございます。

赤澤委員 しかしながら、「法律に定める権限に基づく場合でなければ、」といって、法律に定める権限に基づく場合であれば、何人からも干渉されちゃうんですよ、あるいは規律されちゃうんです。そう読めます。

 加えて、その法律の定め、電監審の今回の定めについては、法の目的の一条がそのまま全部書いてありますでしょう。それは、放送の内容についておよそ電監審が物を言う余地がないというのは、法文上は読めませんよ。どうやって読むんですか。

近藤委員長 原口総務大臣、質疑時間が終了しておりますので、御協力ください。最後の御返答とします。

原口国務大臣 いや、今のものはこの改正にかかわることじゃないですね。そうすると、この電監審の条項というのは皆さんがおつくりいただいたときもあったわけでございまして、今、この法律の改正に限ったことではないという答弁をさせていただきます。

近藤委員長 質疑時間が終了しておりますので、質疑を終了してください。

赤澤委員 では、きょう採決しないと言ってくださいよ。とにもかくにも、答えになっていないですから、今からお話しすることにきちっと答えてもらわなければなりません。

近藤委員長 質疑時間が終了しておりますので、質問を終了してください。(発言する者あり)

赤澤委員 今の原口さんの答えは恥ずかしいですよ。というのは、制度が変わったでしょう。電監審は、書面がなくて自分で建議できるようになっているんですよ。

近藤委員長 稲見君。

稲見委員 動議を提出いたします。

 両案及び……(発言する者、離席する者あり、聴取不能)討論を省略して、直ちに採決されることを求めます。

近藤委員長 ただいまの……(発言する者あり、聴取不能)稲見哲男君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 放送法等の一部を改正する法律案及びこれに対する各修正案について採決いたします。

 まず……(発言する者あり、聴取不能)修正案に賛成の諸君の起立を求めます。もう一度申し上げます。(聴取不能)賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)お静かに願います。もう一度確認します。石田真敏君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を……(聴取不能)よって、本修正案は否決されました。(聴取不能)西博義君……(聴取不能)修正案について採決いたします。西博義君の修正案について採決いたします。(発言する者あり、聴取不能)起立少数。(聴取不能)次に、黄川田徹君外一名提出の修正案について……(聴取不能)本修正案について賛成の方の起立を求めます。(発言する者あり)起立多数。よって、本修正案は可決されました。(聴取不能)

    〔議場騒然、拍手、聴取不能〕

    〔委員長退場〕

    午後一時五十三分


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