衆議院

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第21号 平成22年5月28日(金曜日)

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平成二十二年五月二十八日(金曜日)

    午前九時十二分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      神山 洋介君    川村秀三郎君

      工藤 仁美君    小室 寿明君

      近藤 和也君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      寺田  学君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      藤田 憲彦君    皆吉 稲生君

      山岡 達丸君    湯原 俊二君

      若泉 征三君    渡辺  周君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      小泉進次郎君    後藤田正純君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     川村秀三郎君

  藤田 憲彦君     近藤 和也君

  湯原 俊二君     神山 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     湯原 俊二君

  川村秀三郎君     山岡 達丸君

  近藤 和也君     藤田 憲彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     工藤 仁美君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 郵政改革法案(内閣提出第六一号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第六二号)

 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第六三号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政改革法案、日本郵政株式会社法案及び郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。亀井国務大臣。

    ―――――――――――――

 郵政改革法案

 日本郵政株式会社法案

 郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

亀井国務大臣 初めに、郵政改革法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、郵政改革について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めるとともに、郵政事業の実施主体の再編成、当該再編成後の実施主体に関して講ずる措置その他郵政改革の実施に必要な事項を定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、郵政改革の基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めております。

 郵政改革は、郵政事業の経営の自主性、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性、地域経済の健全な発展、民間の経済活力の向上への寄与を旨とするとともに、労働環境の整備、郵政事業と地域経済との連携に配慮しつつ、公共サービス基本法の基本理念にのっとり、国民の権利として、郵政事業に係る基本的な役務を、利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることを確保し、長年にわたり国民共有の財産として築き上げられた郵便局ネットワークを活用すること等を基本として行うものとしております。

 このほか、郵政改革の基本方針として、日本郵政株式会社は、平成二十三年十月一日に、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の業務等を合併により承継すること、政府は、常時、日本郵政株式会社の総株主の議決権の三分の一を超える議決権を保有すること、日本郵政株式会社は、常時、郵政事業に係る基本的な役務を提供するための契約を締結した関連銀行及び関連保険会社の総株主の議決権の三分の一を超える議決権をそれぞれ保有すること等を定めております。

 第二に、関連銀行、関連保険会社の業務に関する重要政策事項を調査審議する等のため、内閣府に郵政改革推進委員会を置くこととし、その運営等について定めております。

 第三に、日本郵政株式会社等の合併に係る実施計画及び合併後の日本郵政株式会社の業務等について定めております。

 第四に、関連銀行、関連保険会社の業務に関し、政府が保有する日本郵政株式会社の議決権の割合、日本郵政株式会社が保有する関連銀行、関連保険会社の議決権の割合がともに二分の一以下となった等の日までの間、両社は、業務の内容、方法を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出ることとし、内閣総理大臣または総務大臣は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないこと等の基準に適合していない等のときは、郵政改革推進委員会の意見を聞いた上で、両社に対して勧告をすることができることとしております。

 以上のほか、あわせて提出した郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案による郵政民営化法の廃止に伴う経過措置、届け出の特例等、所要の規定を置いております。

 なお、この法律は、平成二十三年十月一日から施行することとしておりますが、一部の規定については、この法律の公布の日、この法律の公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日またはこの法律の公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、それぞれ施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、日本郵政株式会社法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、郵政改革を実施するため、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に、かつ、あまねく全国において公平に利用できるよう、日本郵政株式会社法の全部を改正し、日本郵政株式会社、以下、「会社」と申し上げます、の目的及び業務の範囲、郵便局の設置等について定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、会社の目的を、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を行うことと定めております。

 第二に、会社の業務の範囲について、この目的に則した業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、届け出により、その他の業務を行うことができることと定めております。

 第三に、会社は、国民の権利として、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的に、かつ、あまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有することと定めております。

 第四に、会社は、総務省令に定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならないものとし、設置状況の届け出について、所要の規定を設けております。

 第五に、関連銀行の預入限度額、関連保険会社の保険金額等の限度額を、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性及び両社の経営状況を勘案して政令で定めることとし、内閣総理大臣または総務大臣は、両社がこれに違反していると認める等のときは、両社に対して、勧告をすることができるものとしております。

 第六に、会社は、業務ごとの収支の状況を総務大臣に提出し、また、経営に関する情報等を公表しなければならないこととしております。

 以上のほか、会社、関連銀行及び関連保険会社の議決権保有、会社に対する監督、経過措置等の所要の規定を置いております。

 なお、この法律は、一部の経過措置を除き、郵政改革法の施行の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 最後に、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴い、郵政民営化法、郵便事業株式会社法、郵便局株式会社法等、四つの関係法律を廃止するほか、三十七の関係法律の規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、郵政改革法の施行の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

近藤委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので……(発言する者あり)お静かにお願いします。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野委員 皆さん、おはようございます。民主党の奥野総一郎でございます。

 私は、もともと郵政省におりまして、平成十年から、財投改革法案、そして公社法案とずっと携わってまいりました。そして、この十年余りの間に、郵政省から郵政事業庁、事業庁から公社、公社から民営四分社化という姿を見てまいりました。

 国民の皆様に混乱を与え、また現場の皆様の士気を損なう、本当にこの十年間、この改革、申しわけなかったという思いでいっぱいであります。今度こそ、きちんと、半世紀以上もつ制度にしていきたいと思っております。その思いで、しっかりときょうは質問をさせていただきます。質問の機会をお与えいただいたこと、本当にありがとうございます。

 郵政事業の意義と申しますと、明治以来、税金を入れてこなかった、そして物流、金融サービス、最近では住民票の交付等の公共サービス等を税金を入れずに担ってきたということであります。まさに明治以来の知恵ですね。民活とか、最近は新しい公共と言われていますけれども、郵政はずっとそれをやってきたんだというふうに私は思っております。

 これを、このいいところを実は壊したのが今回の小泉・竹中改革だと私は感じております。この小泉・竹中改革とあえて言わせていただきますけれども、ねらいはやはり郵貯、簡保の廃止だったと思っているんですね。なぜ廃止だと言うかというと、国の資本が入っているような金融機関は認められない、そういう極めて市場原理主義的な考え方に立って、ばっさり切ってしまったということだと思っております。これは暗黙の政府保証とのつながりもありますので、後ほど、時間の許す限り質問をさせていただきたいと思っております。

 問題は、郵貯、簡保の資金をどうやって民間に流していくかということであって、国の資本が入っているかどうかというのは必ずしも関係ないと思うんですね。銀行法、保険業法をきちんと適用していけば、おのずと資金は流れていくはずなんです。

 そして、あのときに言われた財投との関係ですけれども、私は平成十三年の財投改革をやったんですね。切れているんですよ、橋本行革のときに財投改革ということで、郵貯の財投への預託義務をやめる、それから簡保の財投機関への直接貸し付けをやめるということで、平成十三年で切れている。経過措置を含めても、平成二十年には切れてしまっているんですね。ですから、郵貯、簡保があるから資金が自動的に流れて無駄遣いを助長しているんだということは間違いで、むしろ、出口改革を怠ってきたということが問題だと思っております。ですから、最大の小泉改革は、郵貯、簡保の廃止ということで、資金の流れを変えるという意味で、財投とは切れているということも改めて指摘をさせていただきたいと思っています。

 その上でなお、私は、民営化そのものは必要だったと思っています。そうせざるを得ないということですね。

 財投改革のときに預託金利の上乗せがなくなっているんですね。市場で調達してきた国債の市場金利プラス〇・二%ということで財投に預託をしてきた。ほっておいてももうかる仕組みがあったわけです。ところが、財投改革の際に、この金利のげたがなくなったんですね。市場金利で調達してきて、市場金利で運用しなきゃいけなくなったわけです。ですから、ビジネスモデルを変えなければいけない。きちんともうかる資金運用をしなきゃいけない。そういった意味で、きちんと保険業法、銀行法を適用して民営化すること自体、私は間違いではなかったと思っております。

 しかし、この郵政のビジネスモデルというのは、郵貯、簡保で稼いで郵便局ネットワークを維持していくというモデルであります。ですから、民営化した上で、自由にして稼いでネットワークを維持していくことは必要であります。ただ、小泉改革はこのドル箱を売り払ってしまった。そこに問題があると思っております。

 このドル箱の郵貯、簡保がなくなって、では、どうやってやっていくんだということで、当時いろいろ言われていたんですが……(発言する者あり)ここから質問に入りますけれども、コンビニになるんだ、あるいは不動産業をやっていくんだ、あるいは住宅リフォームをやっていくんだなどということが言われておりました。実際そうなったかというと、全然なっていないですね。郵便局のコンビニなんて一体どこにある、何店舗あるんですかという話です。

 さらに、そうした新規業務をやってもうかるんだということで、骨格経営試算というのが当時発表されたんですね。この骨格経営試算によれば、六千億も新規業務でもうかる、それで維持できるんだというふうになっていたと思うんです。

 ここで質問を大塚副大臣にさせていただきますけれども、先日、大塚副大臣の方で、「日本郵政グループの経営に関する「ケーススタディ」」というのを出されていまして、その中でこの骨格経営試算について評価されているというふうに理解しておりますけれども、現実にはこの骨格経営試算はどうなっているか、結果はどうなのかということをお答えいただきたいと思います。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 三月十二日の参議院の予算委員会でも申し上げましたが、そもそも、この骨格経営試算でありますが、このように明記をされておりました。「政策意図や経営判断とは一切無関係であり、郵政民営化準備室として決定したものではない。」「本試算の結果は、四民営化会社の将来を保証し、拘束するものではない。」そういうふうに明記があったわけであります。事実関係として申し上げます。

 その上で、二〇〇九年度の決算の結果でございますが、先日私がケーススタディーをお示しした後に発表されましたが、例えば、この骨格経営試算では五千九十四億の税引き後利益というふうに試算されておりましたが、結果は二千九百六十七億、郵便局会社においては二千十五億というふうに試算では計上されておりましたけれども、実際には三百二十九億となっております。

奥野委員 どうもありがとうございます。

 まさに、絵にかいたもちだったということだと思います。こんないいかげんな試算をもとに四分社化が強行されたということであります。

 民営化のあえて失敗と言わせていただきますけれども、これだけじゃないんですね。今のは制度面の失敗だと思いますけれども、ガバナンスの失敗というものもございます。ガバナンス検証委員会、調査専門委員会の報告書が先日まとめられたと伺っておりますけれども、かんぽの宿の問題、あるいはJPエクスプレスの問題等を取り上げているようであります。その概要を御説明いただきたいと思います。

長谷川大臣政務官 委員のお尋ねの日本郵政ガバナンス検証委員会でございますけれども、ことしの一月に総務省内に立ち上げた委員会でございまして、弁護士でございますとか公認会計士の方、経営学の専門家、こういった方々に御参加をいただいた委員会でございます。前政権時代に国会等でいろいろ問題になりました事案について検証を行っていただきまして、当時の企業内の意思決定が適切になされていたかどうかという検証を行っていただいたところでございます。

 そこで取り上げられた課題は、かんぽの宿の売却の問題でございますとか、日通のペリカン便と小包郵便物との統合の問題、いわゆるJPエクスプレスと言われている問題、郵貯カードの業者の選定の問題、あるいは広告代理店の選定の問題といったようなことでございました。

 結果的に、この検証の中で言われておりますことは、会社としての収益性を余りに軽視し、一方で迅速性といいますか、早く物事を変えなければいけないということで事業の選択がなされた、余りにも急ぎ過ぎていたのではないかというようなこと。あるいは、取締役会が形骸化して、執行陣の不適切な運営に対する十分な監督機能が発揮できなかったのではないかというようなこと。あるいは、取締役会というものが、きちんと記録がとられるわけでございますけれども、これが極めて簡単なものしか残っておりませんで、どういう過程で意思決定がなされたのかというのが確認ができないというようなこと。あるいは、事業の選択におきまして、落札企業の出身者が評価に加わっているというようなことで、その選定の過程が不適切であったというような点が、いわゆるガバナンス上の問題としていろいろ指摘をされているところでございます。

 総務省としては、これを受けとめまして、五月二十四日に日本郵政に対して報告徴求を求めているところでございます。

奥野委員 どうもありがとうございました。

 今、二つの話がありました。骨格経営試算、そしてガバナンスの問題ですね。

 結局、この数年間の経緯を見ますと、郵政事業がばらばらにされて切り売りされていく、そのさまが明らかになっていると思います。三事業一体経営で、税金を投入しないでユニバーサルサービス、公共サービスを提供している、この郵政事業のいいところが毀損されてしまったというのがこの改革の結果だったということであります。

 改めまして、亀井、原口両大臣に伺いたいと思いますけれども、ここまでのいわゆる小泉・竹中改革の評価をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 これは、もともとの郵政民営化なるものの目的が、明治以来、敷設されたユニバーサルサービスをどう維持するとか、利用者の利便だとか、地域への貢献だとか、国家全体への貢献をどうしていくか、そういう視点がほとんどこれは欠落をしたものであったということは、今の報告にもありますように、現在の検証結果でも明らかであると思います。

原口国務大臣 私の方からは三点。

 一点目は、分社化ありきの民営化ということで、シナジー効果も無視し、そして分社化が先にあるということで、郵政の強さあるいはネットワークというものをばらばらにしてしまった。

 二点目は、ガバナンス。この検証委員会をお願いした弁護士さんたち自身がひっくり返るような、怒りに震えるような状況がございました。先ほどお話のあったJPエクスプレスだけでも九百億を超える損失が出ている。まさに郵政を食い物にしたとしか言えないというふうに思います。

 三番目、サステーナブルでないということであります。十年後にゆうちょ、かんぽ会社を売り飛ばす、そういうモデルですけれども、では、郵便局を何で支えるんでしょうか。税金で支えるんでしょうか。年金もよくなる、コンビニもできる、国際ロジスティックもできると、バラ色の夢を言っていましたけれども、それは全部失敗をしました。

 私たちは、それを立て直すためにこの法案を出させていただいております。

奥野委員 どうもありがとうございます。

 サステーナブルでないというお話がございました。いいかげんな見通しのもと、いいかげんな経営のもと、サステーナブルでない仕組みをつくってしまったということが評価ではないでしょうか。

 そして、今回の改革に移りますけれども、経営が成り立つように、銀行法、保険業法の適用のもとで、なおかつ三事業一体で、税金を入れずにやっていく。しかも、民間金融機関にはそれなりに配慮している。本当に御苦労されて、私がこう言うのも変ですが、すばらしい案だと思います。

 そこで伺っていきたいんですが、これから問題になっていくのは三事業一体なんですが、先ほど申し上げた、経営として成り立つかどうかという話をこれから考えていかなきゃいけない。貯金、保険がきちんと稼いで、ネットワークを維持できるような仕組みをつくっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 イコールフッティングという話をよく金融機関の方がされるんですが、今見ると、イコールフッティングは完全にできているんだと思うんですよ。預金保険機構にも入っています、それから税金も払っています。しかも、税金は消費税までかかっているんですね。民間金融機関が払っていない、委託に係る消費税まで払っている。民間金融機関以上にさまざまな義務を課されているのが今の郵政グループだというふうに思います。

 こう言うと、いや、暗黙の政府保証があるんだというふうな反論が返ってきます。いや、むしろ郵政の方が不利なんだ、縛られていて不利なんだというふうに言うと、暗黙の政府保証という議論になってくるんですが、果たしてそうなんでしょうか。今、一〇〇%政府出資の会社なんですが、資金量はどんどん減っているんですね。もし暗黙の政府保証が働くというのであれば、リーマン・ショックのとき、どんどんお金が集まってきてもいいはずなんですけれども、どんどん減っているわけです。

 大塚副大臣に伺いますが、暗黙の政府保証についてどうお考えになりますか。

大塚副大臣 結論的に申し上げれば、暗黙の政府保証はございません。

 今、非常に端的な事例をおっしゃってくださいましたが、金融危機の中で、そういう暗黙の政府保証があれば、おっしゃるように残高がふえた蓋然性はあるものと思います。

奥野委員 暗黙の政府保証はない、はっきりとこうおっしゃっていただきまして、ありがとうございます。

 であれば限度額をフリーにしてもいいんですが、なおかつ、これは民間金融機関にこういうふうに配慮して今回上限を設けられた、御苦労の結果だというふうに私は理解をしております。

 さっき、経営の健全性という意味で言いましたけれども、これ以上資金量が減れば、郵貯が赤字になり得るというふうに言われています。この数字が合っているかどうかはあれですけれども、大体、資金が百五十兆を割ると、利回りが〇・八%ですから赤字になる、こういうふうに言われているわけですね。ですから、今回、採算をとる意味で、最低限の限度額の拡大は絶対に必要だったと私は思っております。そして、限度額の問題、資金量の問題と同時に、やはり運用面を改善していかないと利益は出ていかないんですね。今、運用面も縛られております。

 そこで、今度はかんぽについて伺いたいんですけれども、新規業務ですね。WTOに提訴との記事が新聞に出ておりますけれども、その事実関係、一体何を問題にしているかということについて伺いたいと思います。

大塚副大臣 私が聞き及んでいる点につきましては、まず、民間の金融機関との競争条件の公平性が担保されていないという概念的なことに加えまして、特に、かんぽ生命の業務等に大変関心を持っているというふうに聞き及んでおります。

奥野委員 国際交渉ですから、自分の国が自分の国の企業のことを国益を考えて言うのは当たり前なんですね。我々も当然そういう視点に立って、びしっとはねつけて、国内政策ですから、きっちりこの問題を乗り切っていただきたいと思っています。

 簡保は、どんどん今、契約量、資金量も減っているわけですね。このままだと早晩立ち行かなくなることは明らかです。義務だけ課されて縛られているのはおかしいと私は思います。

 その上で、最後、大臣にまた伺いたいんですが、郵政改革の試算の中でも第三分野への進出ということが触れられていて、政策会議なんかの場でも前向きな答弁をいただいていたやに記憶をしておるんですが、がん保険、第三分野の解禁について、私はすぐやるべきだと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

亀井国務大臣 新しい郵政が新しい分野に出ていくことについては、まず日本郵政自体が主体的に判断をしていくことでありますけれども、しかし、一方ではやはり民業との関係、国家全体の国益といいますか、そういうものとの関係等もあり、第三者委員会を設置いたして、そこでチェックをするという機能もはめ込んだわけでございますが、これは民間会社でありますから、基本的にはそういうものは自由である、このように私は考えております。

奥野委員 委員会のスキームの方でというお話だったと思うんですが、経営に影響が出ないうちに、できるだけ早くお認めいただきたいと思っております。

 郵政改革推進委員会の方なんですが、株式の売却が進んだ段階で、なくなるというふうに規定されております。大体これはいつごろまでに売却が進められるのかということを、難しいと思いますけれども、大塚副大臣に伺いたいと思います。

大塚副大臣 難しいと思いますがというふうに言ってくださいましたが、まさしく、現時点で見通しを述べることは難しいと思います。

 ただ、日本郵政株式会社の株主は政府でございますので、政府が、この郵政事業についてどのような考え方で臨むかということに加えまして、郵政グループの経営状況を見て判断するものと思います。

 また、子会社の、日本郵政株式会社が持っている株式の売却については、親会社が判断するものと思います。

奥野委員 事実上の上乗せ規制が恒久規制にならないように御配慮をいただければと思っております。いずれにしても、経営の状況を見ながら、新規業務等については柔軟に認めていかないと、やはり経営が成り立たない、この制度が成り立たないというふうに思っております。

 最後に二点伺いたいんですが、株式の売却益について、どう使われるかということですね。日本郵政株式会社の売却益については、直観的には国庫に入っていくんだろう。しかし、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の売却益は、本来であればユニバーサルサービスの維持に使われるべきだというふうに考えておりますが、その点について亀井大臣に伺いたいんです。

亀井国務大臣 基本的には、委員御指摘のように日本郵政株式会社において、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のそうした株の処分に伴う利益については、そこが得るということであると思います。

奥野委員 売却益は、民間会社ですから、企業として、そのユニバーサルサービス義務のために使えるというふうにはっきり答弁いただいたと理解をいたします。

 最後、まとめですけれども……

近藤委員長 奥野君の時間を過ぎておりますので、御協力ください。

奥野委員 わかりました。

 この制度をきっちりこれから運用していかなきゃいけないんですけれども、その決意を原口、亀井両大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

原口国務大臣 郵政事業というのは国民の共有の財産でございます。この財産を毀損させることなく、一刻も早く、株式を上場すると言っていたわけですね、それさえできない、まさに過去の政権の反省にかんがみ、私たちはこの郵政事業の持続可能性をきっちりと担保していく、これが大事だというふうに考えています。

近藤委員長 亀井国務大臣、ありますか。では、最後、短くお願いいたします。

亀井国務大臣 委員の皆さん方の御協力、また国民の御協力をいただいて、日本郵政、新しい出発をきっちりとやっていくように、私どもとしても全力を挙げて努力をいたします。

 よろしく御協力をお願いいたします。

奥野委員 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、小室寿明君。

小室委員 郵政のエースの奥野さんの後で、地方の立場からお尋ねをさせていただきたいと思います。民主党の小室寿明でございます。

 三点お尋ねをいたします。構造改革と郵政、それからユニバーサルサービス、郵便局のあり方ということでお伺いしたいと思います。

 私の選挙区の島根県では、大変今、医療過疎が進んでおります。離島とか、県西部の石見地方とか、中山間地域とか、命のさたもまさに住んでいるところ次第というところがあるわけですが、私は、これは郵政の問題も同様だというふうに思っております。

 生活を営む上での基礎的なサービスが提供されない、市場原理で切り捨てられてしまっている、そういう中で、地域に住むことをあきらめたり、怒ったり、そういう現状が日本の津々浦々で見られていることは、ここにおられる方は皆さん御承知のとおりではないかと思っております。その中で、誇りの持てる郷土をどう再生していくのか、その思いこそが昨年の政権交代に結びついたんだというふうに私は思っております。

 私も県会議員をさせていただいておりましたが、構造改革なかりせば、なかんずくこの郵政の問題がなかりせば、二〇〇五年の郵政解散の選挙で挑戦することもありませんでしたし、昨年、総選挙に出ることもなかったんだろうなというふうに思います。亀井大臣も長谷川政務官もここに座っていらっしゃいますが、国民新党をつくって政権交代に結びつけてきたというのは、まさに、この地方切り捨ての怒りの思いではなかったかというふうに思います。

 そこで、亀井大臣に、市場原理と格差に置き去りにされてきた日本の地域社会の現状、そして、まさにいけにえのように翻弄されてきたこの郵政の現状をどういうふうに見ていらっしゃるのか、小泉構造改革の総括としてお聞きしたいと思います。

亀井国務大臣 委員まさに御指摘のように、いわゆる改革という名のもとで、日本人が営々と積み上げてきた生活の仕方、また財産、そういうものを一挙に破壊し尽くしてしまう、そうしたことを残念ながらやってしまわれた。今の日本の状況を見れば、まさにそのとおりであります。

 それは経済的な状況にとどまりません。我々日本人一人一人がばらばらになってしまって、かつての日本の社会とはさま変わりした社会になってしまったのは、私は、やはり一つは、改革と称して経済の仕組み、生活の仕組みを変えてしまったことが大きな原因であると思います。郵政民営化はその一つの象徴的な例であったと思いますので、皆様方の御協力をいただきまして、これをぜひともしっかりと未来を見詰めた、地域が生き生き、日本が生き生きとしていくてこになり得る、そうした郵政事業に仕上げていくことが大事だ、このように考えております。

小室委員 ありがとうございました。思いを同じくさせていただいたところでございます。

 恐らくは、今野党におられる皆さんも、当時、与党の中でいろいろな思いをお持ちになりながら、この郵政の問題にかかわってこられたんじゃないかなというふうに思います。長い歴史をきちっと総括しながら、ともによい方向を目指していければありがたいなと思うわけでございます。

 この郵政改革法案策定に当たりましては、経営形態とか持ち株比率の問題、限度額、いろいろ議論が行われてきたところでございます。将来にわたって、国民生活に不可欠な基礎的サービスである郵便、貯金、簡保を国民あまねく提供していくために、どういう郵政改革の枠組み、あるいは基本的な考え方のもとにこの法案がつくられているのか、お聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私は、がたがたになってしまった社会を立て直していく一つのてこにしたい、特に地域における生活のきずな、これを取り戻していくきずなにしたい。そういう意味で、ユニバーサルサービスをきっちりとやっていただく。しかも、税金を投入しないでこれをやっていく。そのためには、民間会社のメリットをやはり最大限発揮できる会社にもしなければならない。一方では、先ほど言いましたような国家的、国民的な要請もきっちりとこなしていける、そういうことが両方やれるための組織形態、権能はどうあるべきかということで私どもとしては検討をして、この法案をつくったつもりでございます。

小室委員 次に、今お話のありましたユニバーサルサービスについてお尋ねをしたいと思います。

 民営化の現制度の中でのユニバーサルサービスの位置づけと、今回の郵政改革におけるユニバーサルサービスというのは異なっているのではないかと思いますけれども、この点、どういうふうになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

大塚副大臣 御指摘の点は、提出をさせていただいております会社法案の第六条に、次のように規定をさせていただきました。

 「国民の権利として、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務」、これがユニバーサルサービスの内容であり、現行の民営化法とは、金融においての基本的な利用権を保障しているという点が異なっております。

小室委員 島根県でも、銀行などというのはとっくの昔に支店をどんどん縮小してきているというのが現状でございます。ここ二、三年ではJAも地域から撤退をする中で、まさに最後の金融のとりでが郵便局なんだ、こういう声も上がってきているわけでございます。

 特に、金融のユニバーサルサービスというのは大変重要だというふうに私は思うんですけれども、この点、どういうふうに政府の責任で確保されていくのかということについてお尋ねしたいと思います。

亀井国務大臣 御案内のように、事業が分断をされましたために、従来のようなサービスが預金者に対してもできない状況が起きておるわけであります。

 そういう意味では、非常に交通の不便なところに住まいをしておられる方々、郵便局の窓口においても老齢の方々を中心に、預金の手続その他を含めて、極めて不便を感じておられる状況があるわけでありますので、このたびのような形で事業を再編した結果、そういうことが、具体的なサービスを提供するその中身においてそれを抜本的に変えて、利便性を向上させていくことができる、このように考えております。

小室委員 郵便、貯金、それから簡保、このユニバーサルサービスというのは基本的に政府の責任である、その上で郵政グループにこの責任を担わせていくんだ、こういう組み立てでございますが、先ほど奥野委員からも指摘がありましたように、ユニバーサルサービスを確保していくためには、経営がきちっと健全に確保されていく、サステーナブルでなければならないということが重要であろうかと思います。

 この点、先ほどとちょっとかぶりますけれども、このユニバーサルサービスを確保させていくために、郵政グループの経営の自由度をどう確保していくのか。これはちょっと逆説的になって申しわけないですが、政府がどう関与して守るのかという問題もあろうかと思いますし、一方では、経営の自由度をどう高めていくのかということもあると思うんですが、この点についてお尋ねしたいと思います。

大塚副大臣 考え方については大臣から、高い見地からの御答弁があろうかと思います。

 法律においては、先ほどの御下問とも関係がございますが、政府がしっかりこの責務を担保するためには、改革法の第六条に議決権を保有するという形での関係を残す一方で、法の中に、経営の自由度に最大限配慮するという規定も設けさせていただきまして、そのバランスをとることとしております。

小室委員 現在の民営化法制下では、株式を売って基金を積んで過疎地の郵便局を支えていく、こういう枠組みでやっているわけですね。税金で支えるという考え方なわけですが、そこをやらない、そこを今回は変えるという趣旨の中で、今、新しい制度を組み立てようとしているわけですので、ぜひこの点は国民の皆さんに御理解をいただきたいと思うわけでございます。

 次に、もう時間がありませんので、郵便局の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 全国二万四千、本当に津々浦々に郵便局ネットワークが張りめぐらされて、ユニバーサルサービスの拠点であると同時に、まさに地域のよりどころだと私どもは思っているわけですけれども、郵便局がなくなるという国民の皆さんの懸念に、きちっと、そうではないんだ、これからこういうふうにして我々は郵便局ネットワークを守るんだ、この決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。

長谷川大臣政務官 郵便局がなくなるという地域の皆さん方の不安というのは、まさに今の郵政民営化法の最大の問題点だと私どもも思っているわけです。

 明治の時代から一貫して、国のお金を一銭も使わないで維持をしてきた事業であります。それでも全国に二万四千の郵便局が維持できていた。それを今回、事業をばらばらにして、特に、郵便貯金事業と簡易保険事業を株式会社化したものを十年以内に一株残らず全部売り払ってしまう。郵便局と貯金事業、簡易保険事業との関係が切れてしまう。その結果、郵便局の収入全体の八割を失うことになるかもしれない。そこに最大の欠陥があったというふうに思っているわけでございます。

 今回は、三事業を一体でできるような形に戻すという法案の中身でございますので、郵便局はなくならないように、私たちもこれから努力をいたしますし、そういうたてつけになっております。

小室委員 簡易局についてちょっとお尋ねしたいんです。

 簡易局の皆さんも、市中銀行と同様の厳密な業務処理が求められておりまして、そこまでやらなくていいんじゃないかとか、非常に負担が重いという声もあるわけですけれども、今回の法改正でどのような対応がなされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

大塚副大臣 簡易局については、保険業務を行っていないところ等もございますので、そういったところに対しては、現状に対する配慮と追認をし得るような仕組みになっております。

 また、簡易局を含めた小規模な郵便局に対する配慮も、改革法の第十四条に明確に規定をさせていただいております。

小室委員 最後に、郵便局をどう再生させるのかという点で、一点だけお尋ねしたいと思います。

 島根の隠岐島というところでは、郵便局に小包の話をすると、その真ん中にある拠点局の西郷に電話してくれと。西郷に電話すると、隣の県の米子の集配センター、拠点の方に連絡してもらわないとできないというようなことが、これは分社化の弊害だと思うんですけれども、出てきているわけですね。そういう郵便局の不便になった実態というものをどう把握しておられるのかということが重要だと思います。また、それをどういうふうに解決していくのかということだと思うんです。

 二つほど。一つは、こういう郵便局再生に向けて、どういうふうに便利になっていくのかということ。もう一つは、地方の業務を受け入れてということでやっているわけですけれども、現実にはなかなか進んでいないわけですね。だから、総務省の部局もあるわけですけれども、地方自治体が、これから郵便局を地域の拠点としてどう使うのかということについて、具体的なところも含めてお聞かせいただきたいと思います。

近藤委員長 長谷川総務大臣政務官、質問時間が終わっておりますので、簡潔にお願いします。

長谷川大臣政務官 委員御指摘の点は、まさに分社化の最大の問題点の一つだというふうに思います。

 隠岐島の例で申しますと、集配局でありました西郷郵便局が窓口と郵便部門に分かれてしまったものですから、郵便部門の人たちが日中しかいないというようなことで、取り扱いなどのお願いをするといっても人もおりませんので、わざわざ米子にまでお客さんが連絡をとられるというような不便な事態が生じたわけでございますが、今回の法律が通りますと、それは改善をされて、もとに戻ります。

 それから、地域の利用ということでございますが、自治体の方でも大いに郵便局に対してアプローチをしていただいて、いろいろな知恵を出していただくということが今回求められていると思っております。

小室委員 一緒に頑張りましょう。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 郵政改革全般にわたり、質問させていただきます。

 まず、亀井大臣、そして総務の長谷川政務官、郵政民営化によって至るところでサービスが低下した、こういうようなことが言われております。窓口での待ち時間が大幅に延びたであるとか、郵便配達の誤配あるいは遅配がふえた、あるいは局に行っても、郵便貯金、保険の窓口が別で融通がきかないだとか、こういうふうな話がたくさん耳に入ってまいります。民営化すればサービスが向上するという言葉が一時期語られていましたけれども、やはり実態は全然違うな、こういうふうな話です。こうしたサービス低下に直面して、国民は当時の野党に投票して政権交代が実現した、こういうことです。

 ところが、サービス低下は民営化に伴う一時的な混乱だ、こういうふうな言い方をされる向きも一部ではありますが、私は、そうではない、このように思います。民営化が直接、間接の原因だと考えます。

 サービス低下と民営化の関係について、大臣並びに政務官はどのように受けとめておられるか、お聞かせください。

亀井国務大臣 サービス低下については、仕組み自体を、権限自体をばらばらに変えてしまったことが一つ大きな原因であると思います。

 従来の、郵便局員がお互いに協力をしながら、業務を一体となって遂行しておったのができなくなったという一つの大きな問題もございますし、郵便局の中も、私が行きました鳥取県の智頭の山奥のちっちゃな郵便局も、三つに仕切られてしまって局員が行き来できない。また、監視カメラが局長のところをじっと一日じゅうにらんでおって、ビデオで撮ったものを年二回、本局から来てそれをチェックするというような中で業務をやっておる。また、四十三万人ぐらい職員がおりますが、そのうちの二十万人以上、半分近くが非正社員という形で、同じ仕事をしながら給料が三分の一以下、ボーナスが年二万、三万というような、そうした低劣な労働条件のもとで同じ仕事をして働いておる、そういう実態もあります。

 そうした中で、モラールが極めて低下をしておったことは事実であります。暗い顔をして仕事をしておった。これを、この際きっちりと、明るい、生き生きとした職場に変えていく、こういうことだと思います。

長谷川大臣政務官 重野委員にお答えを申し上げます。

 サービス低下と民営化、どのような関係があるのかということでございますけれども、まず、やはり民営化によって、会社の運営が効率化一本やりになったというところに一つの問題があろうというふうに思っております。その結果、地域との関係が非常に薄れまして、そのことがサービス低下につながったということもあります。

 それから、今大臣から御答弁を申し上げましたように、本来であれば正規の職員でやってきた仕事が、これまた効率化の名のもとに非常勤の職員に置きかえられていった。そして、配達区域も従来に比べて非常に大きな範囲になったというようなことから、地域の事情がわからない者が配達に参りますので、これまたサービスは低下し、あるいは誤った配達をし、あるいは場所がわからなくて持ち戻るというようなことが多発をしているわけでございます。

 それ以外にも、会社が分かれたことによるお互いの連携の不足というようなことがたくさん出ておりまして、私は、やはり非常に大きな関係があったというふうに思っております。

重野委員 次に、現在、二百五十近い簡易郵便局が閉鎖されたままになっているんですね。今後の具体的な対応については日本郵政が判断していくことになるのだろうと思うんですが、ユニバーサルサービスの観点から、できる限りの再開が必要になっていくのではないかと考えるんですが、この点について亀井大臣のお考えをお聞かせください。

亀井国務大臣 ユニバーサルサービスをあまねく行き渡らせるという視点から考えた場合、いかに交通の便、いろいろな面が変わってまいりましても、やはりその地域における一つの拠点としての郵便局の存在価値というのは、その地域にとっても、郵便局全体の、トータルの運営の中においても、私は重要性はあると考えておりますが、これは日本郵政が具体的に判断をしていくことでありますけれども、私が今申し上げましたような視点を踏まえてやる、このように私は確信をしております。

重野委員 地域住民にとっては、特に高齢化が進んでいる地域においては、郵便局というものは本当に重宝な存在であります。そういう点を十分配慮して、これの解消に努力をしていただきたいと思います。

 次に、民営化以降今日まで、郵貯はずっと規模が減少してまいりました。小さな額じゃないんです。十兆円規模で減っていったんですね。なぜ減少してきたのかという原因究明、どのようにこの原因をとらえているのか、この点について長谷川政務官。

長谷川大臣政務官 郵貯の減少の原因ということでございますけれども、実は、委員御承知のとおりに、郵便貯金の減少というのはつい最近始まったわけではございません。平成十二年の三月末に二百六十兆円という規模がございましたが、これをピークにいたしまして、その後ずっと減ってきているわけでございまして、理由は、その時期その時期においていろいろあるというふうに私どもは分析をしております。

 最初は、定額貯金の利率が非常に高い時期にたくさんの預入がなされたものが、その後、低金利時代に入りまして、言ってみれば定額貯金の魅力がなくなったというようなことから、最初の減少が始まっているというふうに思います。その後、郵貯の方で、非常に残高が大きいというようなことを世の中から批判されまして、意図的に営業を控えたというような部分も影響しているというふうに思います。

 そして、最近の減少がとまらないということにつきましては、本来はもう、民間と比べまして何ら利率においても高いところはございませんし、保証においても民間と変わらないという状況でございますから、優位な部分がないわけであります。一方、民間よりも悪い部分がないんですから、そんなに減らなくてもいいというふうに私どもは思いますけれども、相変わらず減っておりますのは、郵便局の手続が非常に複雑になったというような利用者の方々の不満、そういうところが非常に大きいというふうに思っております。

重野委員 今の説明はそうだと思うんですが、いずれにしても、この間の郵政民営化路線から転換するわけであります。郵貯の活用方法等々、どう生かしていくかという検討も、多面的な検討をしていかなきゃならぬ。そのことを通して国民に奉仕していく、こういうことになると思うんですね。その点について、十分よろしくお願いいたしたいと思うんです。

 特に、この点について限度額の引き上げの問題ですね、貯蓄の動向、利便性あるいは郵政事業の経営状況などを勘案して、郵貯それから簡保の限度額を引き上げていくということになります。

 過去、具体的には、一九九〇年の五百万から七百万への引き上げ、一九九一年の七百万から一千万への引き上げでは、預貯金残高の伸びが郵貯と民間銀行で大きく異なっているという数字が出ているんですね。なぜこうした違いが発生したのか、どのような総括をされておるのか、その点についてお伺いします。

大塚副大臣 まず、事実関係について認識を共有させていただきたいんです。

 限度額を引き上げたときに、郵貯の残高が一方的に急激にふえたというような印象を持たれている方が非常に多いんですが、実際はそうではありません。

 古くは、まず三百万から五百万に上がったタイミングでは、その時点で郵貯は七・二%ふえましたが、国内銀行は七・七%、これは全国銀行です、信用組合はそこで一二・一%ふえております。また、五百万から七百万に上がったときには、郵便貯金は一・三%ふえたわけでありますが、国内銀行は一一%増、信用金庫は九・六%増、信用組合は一一・九%増であります。そして七百万から一千万に上がったときが、郵便貯金が九・三%増、国内銀行は一・四%増、信用金庫が三・九%、信用組合が二・八%ということであります。

 この時点においては、御承知のとおり、七百万から一千万に上がった段階は平成三年でありますので、バブル崩壊後の民間金融機関の信用不安というものと重なっていた時期でありますので、そういうタイミングも大きく影響しているというふうに思っております。

 なお、今後の限度額の引き上げについての影響は、私どもは、これは全く予断を抱けないというふうに思っております。新聞の論調も随分変わってまいりまして、日本郵政の二〇〇九年度の決算が出た際の、五月十五日の日経新聞においてもこのように明記をされております。「郵貯の預入限度額が現行の一人一千万円から二千万円に広がっても減少に歯止めがかかるのがやっと。」というふうに記述をしております。

重野委員 わかりました。

 次に、ちょっと視点を変えまして、雇用の問題についてお伺いいたします。

 亀井大臣が言われておられる非正規の正規化という考え、私も大賛成であります。

 郵政で働く非正規労働者の実態、最賃に近い水準の時給、先ほど大臣もお話の中でその点に触れておられましたけれども、聞いてみればみるほど、本当に大変厳しい。非正規の方々が自腹で、郵便局が発行する商品を購入する。自爆なんという言葉が現場では語られるんですね。そういうことまでさせているという現実については、私は、明らかに社会正義に反する行為、このように言わなければならぬと思います。

 日本郵政の服を着ている人を見つけるのが困難だというふうな職場もあるんですね。そうでない、私服で仕事をされている方もたくさんおられる。非正規の労働者がそのように多いんだという状況を見ることができます。これが日本の流通を担う大企業の実態なのかと思うと、本当にやりきれない気持ちになる。

 郵便事業では非正規の比率が六割を超えているんですね。社会の平均では三人に一人というふうに言われていますから、これは異常に高い数字なんです。郵便事業ではそのように、社会通念の倍近い非正規の社員等がいる、その事実というのはやはり問題だ。そこで、その原因について大臣はどのように考えておられるのか、そして、どのようにしようとしているのか、その決意を伺いたい。

亀井国務大臣 日本郵政の雇用形態が、一般の大企業の雇用形態以上に非正社員の占める割合が多くなっている現状、これは、一つはやはり、日本の社会全体をいわゆる構造改革という名のもとで、コストを下げればいいということで、人間を人間として扱わないそうした雇用形態でも構わないんだという風潮が、この十年間、日本じゅうに蔓延したと私は思っておりますが、大企業においても、今、大体三分の一ぐらいがそうなっております。

 また、公務員の中でもそうした非正社員の比率が非常に高くなっておるわけで、私は、非正社員でなければならない仕事の分野というのはあると思います。しかし、本来は正社員であるべきところまで、コストの面だけでそうしてきている状況は、ある意味では異常な事態が、今、日本の社会に起きておると思うわけであります。

 特に郵政については、民営化、まさに改革の旗手だということで、雇用形態についてまでそうした、人間を人間扱いしない市場原理至上主義といいますか、そういうものが極端な形であらわれてきた、このように私は理解をしております。

 今、齋藤社長のもとにおいて、ことしの十一月をめどに、非正社員のうちで大体六万五千名程度を正社員に登用していく試験を実施して、試験に落ちた方も再度チャレンジをする機会も与える、そうした教育機関も置くというようなことを含めて、正面から今取り組んでくれておるわけであります。ざっと非正社員が二十万強、ちょっと超えておりますが、二十一万近くおると思いますが、そのうちの半分近くが正社員を熱望しておられるという状況があるのではないか。まだこれは推計でありますけれども、そういう状況である。

 私は、郵政改革の大きな柱であると。ただ組織的に、機械的にユニバーサルサービスをちゃんとしたからといって、郵政改革が実現するものではない、私はそのように考えておりますし、また齋藤社長も、そのような気持ちで今真剣に取り組んでおります。

重野委員 今、大臣から決意が披瀝されました。しっかり頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

近藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時五分開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大野功統君。

大野委員 自由民主党の大野功統でございます。

 私のふるさとは、香川県の豊浜町という小さな町でございまして、愛媛県との県境にあるのでありますが、私のおじいさん、祖父がこの豊浜町で郵便局長をやっておりました。そのころでございますから、三等郵便局長というふうに呼んでおりました。したがいまして、私の血管の中は赤い郵便ポストの血が脈々と流れております。私も、政務次官をやるときは、ぜひとも郵政政務次官をやらせてもらいたいということで、当時、そこに座っておられます長谷川さんは四国の郵政局長をおやりになる、郵政の未来、我がふるさとの未来を語り合ったことを今懐かしく思い出しているのであります。

 そういう私ですら、今の郵政民営化、これは国際的視野、基本的、長期的視野から見て、この構造改革というのは正しい方向である。なぜならば、構造改革という意味では、構造改革とは言うまでもありません、民でできることは民でやる、効率的にやっていくということでありますが、この正しい方向へ進み出している構造改革、その構造改革という哲学のもとで郵政民営化が始まっているのでありますけれども、郵政民営化の列車が走り出して、もっともっと走ってから検証するならいいんですけれども、走り出した途端にストップ。これはわかりませんね。ストップどころか、逆行しろと。逆行した上に、もとへ戻るのかと思ったら、もと以上に巨大な官業になってきている、こういうような感じがしてなりません。

 したがいまして、あらゆるいろいろな問題があるのでありますが、その前に皆さんに問いかけていきたい。

 それは何かというと、今、国会運営を見ておりますと、特に総務委員会の委員会運営を見ておりますと、これはもう民主主義の危機だというふうに感じざるを得ないんですよ。

 なぜならば、昨日、近藤総務委員長解任決議案が本会議で審議されました。私は二十年以上国会議員をやっておりますけれども、近藤委員長ほど温厚で篤実で誠実な国会議員は見たことがないんですよ。こんなすばらしい人がなぜ解任決議案を出されなければいけないんだ。こんなに誠実な近藤委員長の背景には、やはり操り師がいるんだな、こんな気がしてならないんですよ。

 特に申し上げたいのは、当日ですね、その日に修正案が出てきて、その日のうちに質問をしろ、その日のうちに緊急に採決してしまう。こんなことはかつてなかったことですよ。それ以上に、筆頭間協議も理事会での協議もなく、いきなり委員長が単独で委員会立てを委員長職権で決めてしまう。こんなことがあっていいのかどうか。

 私は、今までの国会運営のやり方を見てきておりますと、やはり少数政党に対する思いやり、少数政党の意見をできる限り聞いてあげよう、その上で自分たちの主張を通していこう、相手と議論し合おうという気持ちがここにあったと思うんです。この国会の委員会の中にあったと思うんです。それがいきなり法案製造機になってしまった。きょうの新聞に書いてありましたよ、法案製造機と。法案製造機みたいになってしまっている、これは大変残念なことである。

 ある新聞ですが、「国会は多数派による機械的な法律製造工場ではない。」こう書いてありますよ。「少数派の異論にも耳を傾けながら、法案や政策を議論し、内容をよりよくしていく」のだと。少数党の意見も、少数派の意見も聞いて中身をよくしていこう、ああ、こういう意見もあったんだな、これが与党の基本的な立場ではないでしょうか。今この総務委員会の審議を見ていると、その基本を本当に忘れてしまっている。残念ですよ。

 だから、私は、政治家がそこにお二人、亀井大臣、原口大臣がお座りでございますが、これは郵政改革法案担当としてではなくて、一人の政治家として、高い見識をお持ちのお二人のすばらしい政治家として、今の国会運営、特に総務委員会の一方的な運営について感想をお述べください。

亀井国務大臣 私も余り長くはありませんが、三十二年間ばかり国会議員をやっておりますが、かつてはあなたと同じ自民党にも長くおりました。

 その間、自民党の国会運営によって、乱闘国会もあれば、サボタージュ国会、深夜にわたる国会、明け方までの国会、いろいろなことがありましたよね。本当にそう思いますよ。それに比べると、今は本当に与野党とも極めて紳士になったなと。そのことがいいか悪いかは別ですよ。

 それで、私は、今の状況、委員が冒頭におっしゃいましたように、すばらしい委員長であり、きっちりとした委員会運営をしようと極めて真摯に取り組んでおられる、ぜひ野党の皆さん方もそれに真摯に協力をしていただければと思っております。

原口国務大臣 大野先生がおっしゃるところ、大変賛成をするところは多いと思います。

 その一つは、やはり近藤委員長のお人柄。こういう人はめったに会ったことがない。私はずっと隣でいるんですけれども、温厚篤実で、私たちが走り過ぎるときも必ずブレーキをかけてくださる、これが近藤委員長であると思っています。

 また、国会がなさることを私たち閣僚がさまざまに言うことはできないんですけれども、先生のおじい様が郵便局長だったということで、これは官から民にじゃないですよね。もともとは、郵便局というのは、先生のおじい様、またそのお父様のような方々が私財をなげうって、日本全体で官だろうが民だろうが支えていこうというのが郵政だったというふうに思います。その中で、私たちはよりよい郵政の改革についてしっかりと頑張ってまいりたいと思います。

 私たちも答弁でできるだけ公正にやりたいと思っているんです。先ほど参議院の本会議で放送法について御議論があって、菅総務大臣が当時電監審を隠れみのにして命令放送をなさったかのような質疑がありましたから、私たちはそんなことは思っていません、公正なことをやってこられているという答弁をしておきましたけれども、何党であろうが、公正な立場に立ってしっかりと私たちは政府ののりを越えず国会の御議論に供する、これが必要であるというふうに思っておりますので、御指導をよろしくお願い申し上げます。

大野委員 私が伺っているのは、近藤委員長の性格についてではございません。これは皆さん一致してそう見ているんですから、何も答弁なんか要りません。私が伺っているのは、この国会運営で与党、大多数党が少数党の意見を聞きながら、よりよき案を国民のためにつくっていこうじゃないか、そういうことが失われているんじゃないでしょうか、この点をどう思いますか、こういうことを聞いているんですよ。話をそらさないでお答えくださいますようお願いします。

 それから、本論に入る前に、もう一つお伺いしたいのは、この郵政の法案の審議のやり方でございます。

 我々は、この全体像の中で、御存じのとおり、小泉政権下でやったときには百二十時間三十二分かけて審議をしております。中でも大事なことは、地方公聴会、参考人意見、あるいは合同審査、こういうことをきちっとやって、あらゆる意見を聞きながら、それを参考にしながら船を進めているわけですね。郵政民営化の船を進めている。

 ところが、今回は、その全貌をお示しくださいと幾ら我々が与党の先生方にお願いしても、理事の先生方にお願いしても、全貌が見えない。本当にこれは情けないことです。本当に国民の皆様の御意見を聞かないでいいんでしょうか。地方の声を聞かないで、こういう逆戻り、先祖返り法案を推し進めていっていいんでしょうか。そういう意味で、私は、この審議のやり方、あり方について本当に疑問を持ち、かつ、危機感を感じているものでございます。

 委員長、そういう点について御所見があれば、温厚篤実なる近藤委員長、どうぞお答えくださいますようにお願いします。

近藤委員長 けさの理事会でもお答えをさせていただきました。

 委員長としては、理事会の中で与野党で御協議をいただくことが大前提である。ただ、野党の筆頭からもお話がありました、地方公聴会、あるいは合同審査、参考人質疑、そういうことについては可能な状況の中で与野党でしっかりお話しいただきたい、進めていきたいというお話をさせていただいたということであります。

 以上です。

大野委員 委員長の誠実なるお答え、御答弁を評価させていただきたいと思います。

 やはり幅広い視野からこの問題を考えていかなきゃいけない、当然のことであります。ただ、その後、何かよく理解できない御発言が委員長からありましたけれども、そのところは聞かなかったことにしておきますけれども、これは本当に大変ですよ。こういう大きな大きな歴史の流れを逆行させるわけですから、本当にあらゆる人の意見を聞いて、そして十分審議し合って、少数意見にも耳を傾けてやっていかなきゃいけない、このことを冒頭に強調させていただきたいと思います。

 そこで本題に入らせていただきます。

 冒頭申し上げました郵政民営化という列車を、走り出したばかりでとめてしまって、逆戻り。何が悪かったんでしょうか。

 こういう議論は朝もございました。朝の議論を聞いていまして、私が感じましたことは、例えばユニバーサルサービスが欠落してしまったよ、こういうような話が、これは亀井大臣からだったと思いますけれども、ありました。

 ユニバーサルサービスというのは、これは公的性格を持つものであります。例えば、ユニバーサルサービスがどういうふうになっていくかは、これは民営化の問題で考える場合に、本当に絞って絞って考えていかなきゃいけない問題であります。ところが、今回の改正案では、ユニバーサルサービスを郵便貯金にも簡保にも拡大していく、これは私はまことにおかしな考え方ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。御所見をいただきたい。

 それから、原口大臣の、分社化が先にあったからこれが大欠陥なんだ、あるいはガバナンスがなくなったんだ、サステーナビリティーがなくなったんだ、こういうお話がありました。これは、私は運用の問題だと思いますよ。システムをどういうふうにつくり上げていくか、運用をどうやっていくか、そこでガバナンスとかサステーナビリティーの問題が確立されていくわけでございますから、今のような原口大臣のお考えは、民営化が悪いというよりも、民営化のやり方に反省があるのではないか。私はその運用の問題ととらえておりますが、御所見があればお伺いしたいと思います。

 それからもう一つ、亀井大臣から、生活の仕組みを変えてしまって、これは大変なことだと。私もそういうふうな感触、つまり、構造改革をすべて競争関係で考えますと、これは論理的な問題ですよね、強い者が勝ち残る、弱い者が脱落していく。こういうような社会であった場合には、その欠点を直していくのが我々政治家の務めである。だからといって、構造改革が悪いんだというのは、これは本当に論理としておかしいんですよ。

 構造改革はいいんだけれども、そこから出てきた欠点をどう直していくんだという議論をやらなきゃいけないのに、そういう問題が出てきたから民営化自体が悪いんだという議論は、何だか本当に人の目をごまかすような論理になってしまっている。

 これを格差の問題として考えれば、私は、唯一の解決策は地方の発展。郵政の民営化先祖返り、民営化法案の先祖返りじゃなくて、郵便局の先祖返りじゃなくて、むしろ地方の発展、これをどうやっていったらいいんだろうか。地方に雇用が生まれて、そして若者が地方に、ふるさとに帰って、おじいちゃん、おばあちゃん、みんなと一緒に働けるようなふるさとをつくれば、必ずいい子供が育っていく。こういうふうな発想の方が大事であって、郵政民営化が間違っているというような発想は少しおかしいんじゃないか。けさの発言をお伺いしまして、そういうふうに感じました。

 それぞれ御所見を賜れればありがたい。

亀井国務大臣 委員の、郵貯、簡保の世界までユニバーサルサービスをというのはちょっとおかしいんじゃないかという御指摘でございますけれども、委員のところも山の中か知りませんけれども、相当不便なところがあると思いますが、今、そうした地域に住まわれる方々がお金の出し入れをしたいという気持ちは都会に住んでいる人と同じようにあるんですね。しかし、残念ながらそれが極めて不便になってきているという現実があるんです。

 何とかという大臣がかつておっしゃったように、便利な生活がしたい、いい生活がしたいのなら東京に出てこいという割り切り方をされれば別でありますけれども、そうでなければ、日本国民である以上、そういう人たちについて、金の出し入れについてもやはりちゃんとした利便性を図るのが国としての責務である、このように私は考えております。

 また、委員が御指摘のように、今のこの世の中はおかしくなっているという点について、私と同じ感慨を持っておられるようでありますが、私は基本を間違えたからそうなっておるということ。では、その基本はだれがやったのか。政治がやったんですね。そのやった基本はそのままにしておいて、それから出てくる弊害だけを除去しようとしたって、これは無理な話であります。郵政事業について、やはり基本が間違っていたために、委員がおっしゃるように部分的な手直しをするということではもうどうにもならないから、このたび抜本的な改革に取り組むということであることをぜひ御理解賜りたい。

 ただ、議員が御指摘のように、地方がどう活性化していくか、それに郵政事業がどういうかかわり合いを持っていくかということは極めて大事なことであります。郵便局のために地方があるわけじゃありません。この点はしかと受けとめながら改革をしなければならないと思っています。

原口国務大臣 大野先生の御議論は極めてかみ合う議論にできると思いますので、ちょっとお時間をいただいて。

 まずは、構造改革。

 この構造改革の反省点というのは二つあると思います。一つは、先ほど御議論にありましたけれども、入り口改革で、出口改革を先送りした。つまり、財投の改革、官の大きなお金が、何が問題だったか。それが天下りや随意契約や官製談合といったことに使われて、結果として官の肥大化を招く、だから入り口を絞ろうと。私は、これは正しかったと思います。しかし、出口をどうしたか。今、総務大臣として横ぐしの機能を発揮して各省の予算の執行状況を調査していますけれども、出口はぼろぼろなんですね。随意契約が九割ですよ。それから、そこには天下りがたくさんある。ここを同時にやらなきゃいけなかった。

 もう一つ言うと、郵政は、逆に言うと、郵政をどのように市場でチェックできるかということもずっと議論をしていましたから、市場がきっちりチェックできるんだったらそれにこしたことはない。だけれども、そこで失敗をしたのは何かというと、よく民営化といいますけれども、民営化という言葉は、日本語は非常にきれいな言葉なので、いろいろな多義を持っています。これはいろいろな国の人たちと話すと、コーポラタイゼーションという言葉を言います。つまり、コーポレートガバナンスをきかすために、さまざまな市場によるチェックをきかす、あるいはさまざまな株主によるチェックをきかすということですけれども、さっきガバナンスの危機だというのは、実際に何が起きていたかというと、プライバタイゼーションになってしまっていたのではないか。

 つまり、ここに調査専門委員会で判明した主な事実とありますけれども、実際に決定をする人たちの中に決定をされる側の方々がおられた、あのかんぽの宿の問題。JPエクスプレス問題については、自公政権でこれはとめようじゃないかと。そこに佐藤前大臣おられますけれども、自公政権でもこれはやはりまずいんじゃないかというふうに言われてきたわけです。つまり、ガバナンスがしっかりきいているか。

 もっと言うと、三事業一体としてやっていたことをばらばらにして、暗黙の政府保証というような概念をどこかから持ってきて、それで郵政を余計に縛りつけた。暗黙の政府保証というのは、ここで確認をさせていただきたいのは、小泉政権下においてもない。さっきあるかのような御発言をどなたかがされていましたけれども、これはないということは、小泉政権下でも確認をしてきたことではないでしょうか。(大野委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)もうこれでおしまいにします。

 すなわち、事業としての計画性、あるいはサステーナビリティー、これについて大きな欠陥があったと私は考えています。

大野委員 さまざまな問題点が今浮き彫りになりました。これを全部やっていますと時間がたってしまいますので。

 まず、お金の出入りが不便になった、こういう話でございます。そうしますと、お伺いしたいんですが、まず、民間の金融機関がないところは全国に二十一村だと聞いておりますけれども、そういう村でも郵便局はあるわけですね。そこで聞きたいのは、郵政民営化が始まって以来、どのぐらいの郵便局がなくなっていったのか、郵政民営化が始まる前にどのぐらいの郵便局の数の変動があったのか、これを教えてください。

大塚副大臣 事実関係ですから、私の方からお答えを申し上げたいと思います。

 郵便局の数は、平成十四年度末にはトータルで二万四千七百五十二ございましたが、平成十四年度から毎年減った数を申し上げますと、二十一、三十七、三十七、四十七、五十七、三十四と減ってまいりまして、民営化の時点では二万四千五百四十でございました。そして……(大野委員「民営化の前後で明快に言ってください」と呼ぶ)今申し上げたのが民営化の前でございます。その後も七つが減っております。

 事実関係は、以上のとおりでございます。

大野委員 今伺いましてびっくりしました。民営化後は七つしか減っていないんですね。その前は随分数が減っているんですよ。民営化の影響でしょうか、郵便局が減ったのは。

 それからもう一つ、簡易郵便局の方は別だと思いますけれども、これはきょうは話題にしません。そう考えますと、どうしてそういう、郵便局が減ってくるというような議論が出るのか、私はよくわかりません。民営化の後が減り方は少ないんですよ、ぐっと少ない。

 それから、亀井大臣、コンビニでATMをお使いになったことはありますか。コンビニで、ATMで本当に簡単に出し入れできるんですよ。だから、出し入れが不便になったとおっしゃることが、何だか国民の皆さんに誤解を与えるような発言になっていませんでしょうか。

亀井国務大臣 コンビニも、私の住んでいるところのあたりはよっぽど田舎なのかもしれませんけれども、委員のところはコンビニがそんなにあちこちあちこちあるんですか。ありませんよ、うちのあたりは。

大野委員 質問では、コンビニがどこにあるか、どこにないかなんて質問はやめますけれども、よく調べておきます。

 次に、本当に我々の情感に訴えてくるのは、郵便配達の方がおばあちゃんのために郵便貯金のお金を入れたり出したりかわってしてくれるんだ、それがなくなっていっている、こういう問題をよく指摘するんですが、おばあちゃんにかわって郵便局のお金を出し入れしているケースは年間どのぐらいありますか。

長谷川大臣政務官 お尋ねの、郵便配達の途中に貯金でございますとか保険の業務をやる、これは郵政の中では総合担務制度というふうに言われている制度でありまして、郵便配達も貯金も保険も一緒にできるような仕組みが民営化前はあったわけであります。それをやっておりましたのは、全部の集配局四千六百九十五局のうち三千六百八十三局でございます。(大野委員「何件ぐらいありますかと聞いているんです」と呼ぶ)

 件数は、毎日毎日出かけてお客さんの業務を請け負って仕事をするわけでございますので、全体の数字の統計は郵便局ではとっておりません。

大野委員 まことに感情的な、我々のハートに訴えるような話ですよ。おばあちゃんにかわって郵便局の郵便貯金を入れたり出したりしてくれる、ああ、いいなと本当に思います。

 私は郵政政務次官をやっていましたころ、郵便配達の皆さんのお年寄りに対する一声かけ運動、本当にいいと思いましたよ。しかし、この一声かけ運動と郵便貯金の出し入れの問題は全く別です。郵便貯金の出し入れには誤りが起こるかもしれない、こういう問題があるんですよ。

 そういう問題も含めて、今、何件やっているかわからない、やれる局は三千幾らだというお話で、漠然とした回答で、具体的に一体そんなに多くやっているんだろうか。先ほど申し上げましたが、民間の金融機関がないような村が二十一あるけれども、そこには郵便局はあるはずでしょう。そういうことを考えますと、どうもそういう感情論で、論理的にしっかりしていない。

 つまり、今まで議論してきたことは運用上の問題であって、郵政民営化ということに余り関係のないような議論じゃなかろうか、こういうふうに思えて仕方がないんです。郵便局長が、例えば小包集荷が制限されるんだとか、郵便局窓口の待ち時間が多くなったとか、こういう問題ですけれども、すべてこれは運用上の問題ですよ。民営化とかそういうシステムの問題じゃなくて、システムを先祖返りさせるために使われている議論だというふうにしかとれません。今のは金の出入りの問題。

 それから、基本的な問題。

 これは、私、前に発言したとおりでありますので、繰り返しません。簡単に言いますと、やはり出てくる弊害というのは直していかなきゃいけない。だけれども、基本が間違っているんだという考え方は、私はとりません。基本は正しいんです。間違っているところを直していけばいい。こういう問題ですから。

 例えば、非正規職員が一般の会社であれば三分の一なのが、郵便局の場合は二分の一、半分は非正規だと午前中おっしゃっていましたが、こういう問題。なぜ今の世の中で非正規が多くなっているんだろうか。私は、景気の問題、経済の問題だと。だから、郵政民営化をやるよりも経済政策に熱中するべきですよ。

 しかも、どういう問題が背景にあるかといいますと、今、大臣御存じのとおり、企業が払う、法人が払う法人税は十兆円以下です。しかし、社会保障、企業が負担している年金保険料というのはもう三十兆円近くあるんですよ。だから、今の年金制度をどう改革していったらいいんだろうか、支払い保険料が多いから企業はやはり非正規で雇いたいんだな、こういう問題だってあるんですね。そういう問題を基本的に考え直していくべきではないか、こういうふうに思うところでございます。

 何か御所見があれば。簡単にお願いします。

亀井国務大臣 私は、基本的に認識が委員とは違います。

 企業が利益を上げていくために、やってはならないことを改革という名のもとで、残念ながらこの十年間自由にやってきた。その結果、本来であれば正社員として働ける人が、正社員になれないで劣悪な労働条件のもとで働いておる。その差額が、残念ながら経営者のポケットの中に入っていっているということは理不尽であります。

 今の日本の社会にある、一部の人たちだけがそういう利益を得て、他の者はそれの犠牲になっていいということが、私はあるべき姿であるとは思わない。日本郵政にしても、同じ仕事をしながら三分の一以下の給料で働いて、将来に望みがない。私のところに何万というファクスが届いています。悲痛なファクスばかりです。

 私は、今委員がおっしゃいましたように、大企業が今過大な、いわば半ば公的な負担をしておるから、その原資としてそういう従業員の待遇を悪くしてもいいんだという……(大野委員「そんなこと言っていませんよ」と呼ぶ)いや、あなたが言っていることを聞いていると、そう聞こえるのです。

 だから、私は、日本郵政はこうした世の中を変えていくてこにしたい、齋藤社長もその気持ちでおりますので、きっちりとやってまいります。

大野委員 私が言っていないようなことを、何で言ったように言うんですか。

 こういう問題、つまり、労働問題は、本当に深刻な問題ですよ。この問題を解決するには、郵政民営化じゃなくて、もっともっと、社会保障の分野、あらゆる分野から、経済成長の問題、経済成長や有効求人倍率は上がるんですよ、そういう意味で正規社員……(発言する者あり)ふえるんですよ。だからこそ、今一番我々が取り組んでいかなきゃいけないのは、この世の中で社会保障制度をどうやっていくか、こういう問題に取り組むのが一番で、郵政民営化を逆戻りさせて正規問題、非正規問題を解決できるなんてとんでもないですよ。これはもう全くあきれ返ります。(発言する者あり)

近藤委員長 お静かにお願いします。御静粛に。

大野委員 原口大臣、何かありますか。

原口国務大臣 先ほど委員がおっしゃった年金の負担、これは事業主負担が半分。ですから、約三十兆の事業主負担を回避するためにいわゆる非正規化している、これは極めて深刻な問題だという認識を持っています。そこで、私たちはこの年金制度についての改革案を出しています。それから、年金の運用についても今までGPIFにある意味丸投げをしていた、それを今厚生労働省と総務省との間で議論しています。

 だからといって、この郵政改革をしなくていいなんという話じゃなくて、単なる運用の問題ではなくて、委員も郵便局長のお孫さんであればおわかりだと思いますけれども、郵便局を、自律的な経営の郵便局ネットワークを税を入れずに維持するためにどうすればいいか。私たちは、公社に戻すなんということを言っているんじゃないんです。

 税金を投入するのではなくて、自律的な経営の郵便局ネットワークを維持するためには、今三事業とも金融二社からの手数料に依存して、三事業とも厳しい経営状態です。金融二社の手数料収入は郵便局会社の収益の八二%ですけれども、小泉、竹中さんがおっしゃっていた承継計画、あるいは先ほどあったさまざまな事業計画からすると、ずっと下回っているんです。このままでは税金を入れなきゃいけない。このような事態を変えるためには、三事業一体の経営にする必要がある。だから、今回の改革法案を出している。そのことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

大野委員 三事業一体と民営化というのは別の話でしたよ。いいですか。(発言する者あり)その辺を明快にしていかないと誤解が生じますよ。

 とにかく、民営化の上で、この運用をどうやっていくか、民営化のシステムをどうやっていくか、こういう問題ですからね。ここは誤解のないように。

 それから、私は重大な問題を二、三聞きたいと思いますので、ちょっとこの問題はおきます。これは基本問題で、社会保障とかいっぱい広がっていきますので、際限なく議論しなきゃいけませんから、ちょっとおいておきます。

 そこで、まず、私、本当におかしいなと思いますのは、郵貯、簡保の限度額を大きくしているんですよ。政府が株を、国が株を持っている限り、その土俵はなるべく小さくしておかなきゃいけない。ところが、土俵まで大きくしちゃっている。なぜ土俵を大きくする必要があるんですか。

亀井国務大臣 今までもいろいろと私は答弁申し上げてきましたけれども、一般の金融機関に課していない責務を日本郵政に対してお願いする以上は、今、限度額は、御承知のように民間は青天井であります、それに対して手足を一千万とか縛っておるわけでありますから、それをそのままにした状態で、他の金融機関に与えられていないコストまですべて吸収して経営をしてくれというのは、私はやはり無理だと思います。

 しかし一方、民間金融機関に対してのいわゆる圧迫といいますか、預金を郵貯の方に預けたらいいというような流れが極端に起きていかないためには、一応限度額を二千万とか二千四百万という形で抑えたということでありまして、民間金融機関は青天井であるということ、また、そういう責務が課せられていないということを前提に置いた議論をしなければならない、私はこのように思っています。

大野委員 お話を聞いていまして、冒頭にきょうは亀井大臣の提案理由説明をお伺いした、ここの、「第一に、郵政改革の基本的な理念」、その理念を私は耳で聞いた後、二回、三回読んだのですが、よくわからないんです。

 どう書いてあるかといいますと、「郵政事業の経営の自主性、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性」、これは民間との競争ということを言っているんですね、完全に民営化の考え方。次に書いてあるのは、「地域経済の健全な発展、民間の経済活力の向上への寄与」、これは公の考え方なんです。それから、「労働環境の整備」等々、これはやや社会保障の考えも入ってくるかもしれません。さらに、最後には「一体的に利用」「公平に利用できる」と書いてあるんですね。これはどういうたぐいのものであろうか。一体これは蛇なのかウナギなのかアナゴなのか、さっぱりわからない。だから、その性格がわからないから、いろいろな議論が出てきておかしくなってしまうんだなということを申し上げたい。

 その議論もやりたいんですが、私が聞きたいのは、これは事前通告してありますけれども、まず、限度額をなぜ拡大したかというのが私は聞いていてわかりません。

 ユニバーサルサービスは郵便物だけだったのが、郵便貯金、簡保まで広げて、しかも限度額を拡大する。もちろん、一千万円までは従来どおり保証されて、あとの一千万―二千万円までのところは保証はされていないんですけれども、一般の国民から見れば、国が株を持っているんだから絶対保証だ、こういうみなし保証みたいなのがあるわけですね。これは、ないとかあるとかいう議論が朝ありましたけれども。

 そうすると、やはり民間から見れば、限度額は拡大されて、政府の見えざる、国の見えざる保証があるとすれば、例えば信金、信組から郵便局へ流れていくし、地方銀行から資金が流れていく。そうでしょう。それを期待して二千万になって、二千万を運用して、それで利益を出していろいろなサービスをするんだというのが亀井大臣の今の御説明だったですよ。そういう意味で、そういうことをやった場合、どういう問題が起こるんだろうかな、このことをやはりお伺いしたいと思うんです。

 今でも個人預金の二割は郵便局が抱えている、その八割は国債へ行っている、こういう構図ですね。そういう中で限度額を引き上げて、暗黙の政府保証があって、どんどん民間金融機関の金が入ってくる。そして、それが国債へ全部流れてしまう。八割流れてしまうとすれば、一体……。

 二つ質問があります。

 一つは、民間で流れるお金がなくなってしまいますから、地方経済に貢献するとか書いてありますけれども、一切貢献しなくなっちゃう。地方の経済をいじめる、地方の中小企業をいじめる法案ですよ。それが一点。

 それからもう一つは、今、日本の場合、これは世界的に見ると特殊なんですけれども、国債の利回りと預金の利子率に格差がある。国債の方がちょっと高い。だから何とかやっていけているんですよ。これが一緒になる。もう、もうけは出ませんよ、利益は出ませんよ。そうなったら、一体どうするんですか。

 この二点、お答えください。

亀井国務大臣 私は委員のお話を聞いていて、ちょっと前提が、今の我が国の経済規模を固定して考えて、固定したパイの取り合いみたいな考え方をすべきじゃないと思いますよ。今国民の持っているお金が預金としてどこに行くか。問題は、経済がどんどん成長してでかくなっていけば、郵貯の預金もふえる、信金、信組や一般銀行の預金もふえていくんですよ。その場合に、郵貯だけ一千万に抑えるというのは、私は、先ほど言いましたような責務を課しておるわけですから、やはり不公平だと。別に二千万まで保証をしておるわけじゃありませんから。問題は、国民の懐がでかくなるということを前提にしていった場合、郵貯だけが限度額を抑えていくというのはやはり不公平なのであって、それはせめて二千万まで上げるというのは私は当たり前の話であろうと思います。

 それから、国債の問題については、本来は国債を発行しないのが一番いいに決まっているんです。ところが、現に税収がないから発行せざるを得ない。その国債について、郵貯がその大きな引受先になっているという現実。何か郵貯が引き受けているから悪いみたいな話でありますけれども、東京三菱や三井住友や一般の金融機関が、政府が発行する国債を全部引き受けられるかという問題があるんですね。やはりそうした郵貯という大きな金がそれを引き受けていることによって長期金利も上がらないという、政府が発行する国債が安定的に消化されていくことについて郵貯が貢献しているわけであって、貢献しているものを悪者扱いするのは私は本末転倒だと思いますよ。

 だから、かつて郵政民営化のときにこの点をよく議論されましたけれども、国債や財投の原資になっているからけしからぬというのはおかしいんですよ。さっき原口大臣もおっしゃいましたけれども、出口なんですよ。そうした国債を現に何に使っておるかという問題、また、財投がどういうところに投資をされておるかという出口の問題なんですよ。また、もっと言えば、国債を発行しなくてもいい努力をどうしていくかという問題が先にある話なんですね。私はそのように思います。

近藤委員長 原口総務大臣、簡潔に。

原口国務大臣 これは大事な御議論なので、ぜひ確認をしておきたいんです。

 大野筆頭は、現行法においても、郵政は暗黙の政府保証があるというお立場での御質問ですね。私たちは、過去の政権においても、民営化された会社において暗黙の政府保証はないという答弁をいただいてきました。しかし、その前提が違うというのであれば、過去の政権において暗黙の政府保証はあったということでやらなきゃいけない。もし暗黙の政府保証があるというんだったら、日本郵政は貸倒引当金、預金保険料をなぜ一千億近く払う必要がございますでしょうか。それは、ないから払っているわけでございまして、そこのところの議論はしっかり確認をさせていただきたいと思います。

大野委員 まず、経済がどんどん伸びていけば当たり前のことだと、これは亀井大臣のお答えですよ。日本の経済は伸びていますか。過去十何年間、GDPは全部五百兆ですよ。外国はどんどん伸びています。やがて中国にもGDPは抜かれるんですよ。そういうパイを伸ばすことが一番だと私は何遍もこの場で言っていますよ。パイが伸びない中でそういうことをやっていいんでしょうか。

 それから、国債を引き受けているから日本の経済政策に貢献しているんだと。それでは、これは国債引き受け法案ですか。そうじゃない。それが国債を引き受けたら、どこへ使っていくか。昔の財投の繰り返しになる、こういう議論がありますよ。

 それから、原口大臣、暗黙の政府保証を言うのは、今まではどんなことがあっても預金保険機構の話で一千万までは保証されていたんですよ。それが今度は二千万になって、一千万を超えるあとの一千万は預金保険機構では保証されない。だけれども、実際は国が株式を持っているから保証されているねという新たな問題なんですよ。昔の問題と混同しないでください。

 それから、これが一番大事な問題ですけれども、どうも私の話が長いのか御答弁が長いのか……。金利がどうなったかというお答えがありませんでした。金利が国債利回りと同じになったら、もうもうけは出ないんですよ、郵便局は。それを認識しておいてください。(原口国務大臣「委員長」と呼ぶ)全部質問してからにします。今のが利ざやで稼いでいけないよという問題です。

 それから、もし民間金融機関から、つまり、もう指摘しましたが、中小企業をいじめちゃうよという問題が一つある。

 さらに、もし新たに資金を運用するとすれば、どういう問題が出てくるんだろうか。住宅ローン、中小企業貸し付けの問題とありますけれども、ここで申し上げたいのは、まず一番は、そういうノウハウを持っておられますかという問題。

 それから、認可制じゃなくて届け出だけで済む。これは、もちろん銀行業の認可を受ければいいんですけれども、今までそういう貸し出しのノウハウがない、マネタリストもいない、そういうところへいきなり銀行業務を認可するというのはどういうことなんだろうかという疑問が出てきます。

 それからもう一つは、両大臣とも外国投資のことをしきりにおっしゃっているが、外国投資の場合はリスクが大きいんですよ、為替変動のリスクが。国民の本当に苦心に苦心を重ねてためたお金がそんなリスクにさらされていいんでしょうか。直接国民のお金をそんなリスクにさらしていいんだろうか。こういう問題があります。

 そこまで、何か感想があれば。

原口国務大臣 先ほどの暗黙の政府保証については、後で大塚副大臣の方から答弁させていただきます。

 今、不思議なことをおっしゃるのは、国債の金利がいわゆる市場金利と一緒になればもうけが出ない、そのとおりですね。ですから、私たちは資金運用を多元化しなきゃいけない、内側も外側も多元化しなきゃいけない。これはあくまで日本郵政が運用ということで独自に判断をされるところですけれども、単に国債の引受機関だけになっていれば、国債が持つリスクをそのまま日本郵政が負うことになる、そのことを申し上げているので、委員と私が言っていることが違うとは全く思いません。

大塚副大臣 御質問時間もあとわずかですので、いただいた御質問に簡潔にお答えを申し上げます。

 まず、利ざやの問題でありますが、国債の金利とのバランスが崩れた場合に大変なのは、これは郵政だけではありませんで、国債を大量に持っている民間金融機関も同じ状況でございます。したがって、金利の運営、利ざやの動向については、郵政にとどまらず、金融システム全体の問題としてしっかり考えてまいりたいと思います。

 中小企業が苦しめられるのではないかということでありますが、改革法の十三条を御確認いただきたいんですが、私どもは、むしろ、民間金融機関が間接金融機能を十分に果たせなくなっていることを是正するという意味も込めて、十三条で中小企業金融にしっかり貢献するということを明記させていただいております。

 そして、運用の面でございますが、ノウハウについての御懸念は多々いただいております。おっしゃるとおりだと思います。したがって、どのような内容をどのようなタイミングで新たな業務としてやっていただくかということは、郵政御自身もみずからの能力を考えて届け出をされると思いますが、しかし、その届け出の内容が合理的でない、あるいは今先生が御懸念のようなリスクを抱えているということであれば、そのときは今回の新しい枠組みで用意をいたします郵政改革推進委員会がしっかりとチェックをする体制になっております。

 もっとも、ゆうちょ銀行の社長には、民間から大変な投融資経験をお持ちになった社長をお迎えしておりますので、そういう方々のノウハウがこれからしっかりと生かされていくというふうに思っております。

 外国債券に対する為替変動リスクについても、これも民間金融機関も同じことであるというふうに思っております。どうしても為替変動リスクが懸念をされるということであれば、その場合には為替の先物予約でヘッジをすることになりますが、ヘッジをした分、仮に高利の債券を買っても、その利回りのベネフィットを得られないという因果関係にあるということでございます。

大野委員 ありがとうございました。

 問題は、そういうスペシャリストが今育っていないところへ、いきなり銀行業務の認可をして、あとは全部届け出でいいよなんというばかなことをしてはいけないということを言っているんです。少なくとも初期段階はすべて認可制にする、このぐらいの覚悟でやってもらわないと、一般の人、一般の預金者は、国民は大変な不安を持つかもしれない、こういう懸念を持っているところでございます。

 残り時間わずか二、三分になりましたので、最後に、人事の問題についてお伺いしたいと思います。

 これは何かといいますと、民主党は、官から政へ、官僚ではなくて政治主導だということを何遍もおっしゃっているわけですね。その割には、郵政会社の役員は、トップは全部役人なんですよ。これはびっくりしますよ。名前は時間がないので一々言いませんが、とにかく、社長は元大蔵省次官、副社長も郵政事業庁の大幹部、それからもう一人の副社長も元大蔵省。こういうことで、何か言っていることとやっていることが違うんですよ。

 そういう意味で、私は、民主党のやっていることは帽子と中身が全く違うなと。帽子ではしきりに官僚支配の打破、政治は官主導で、これは当たり前のことですよね、と言いながら、やっていることは、なぜ官僚をトップに三人も据えなきゃいけないのか。

亀井国務大臣 私は、民主党ではなくて国民新党であります。

 委員も大蔵省の優秀な課長をお務めになりましたね。私は、役人をやったからといって、その役人がその人生において他の仕事についてはいかぬということもないし、また、ある意味では、能力のある、かつて役人の経験をした人もきちっと重用していく、これが国家としての活力が出てくると思いますよ。そういう意味では、自信を持って齋藤社長を私が決めたわけでもあります。他のあれについても、そういう形で決まっておるわけであります。

 役人をやっておったら、何か欠格者だみたいな言い方、扱い方はすべきじゃないと思っています。

大野委員 亀井大臣の話もわからぬではないですよ。私が聞いているのは、官僚支配から脱却、政治主導だ、天下り廃止、天下り禁止、こう言いながらこういうことをやっているから……。

 これはむしろ、亀井大臣よりも原口大臣に御答弁願います。

原口国務大臣 まさに政治主導で、私が亀井大臣にお願いしたのはたった二つです。一つは世界的な金融がわかる方、そしてもう一つはパワーエリート、大野先生のようなパワーエリートですね。要するに、この改革には力が要るんですよ。この二つの条件に合った人を探してきてくださいと亀井大臣にお願いして、齋藤次郎というすばらしい方をやっていただいた。あっせんしたわけでも何でもないんですよ。そのことをぜひ御理解いただきたいと思います。

大野委員 原口大臣はお世辞がお上手だということは今わかりましたけれども、中身については全く納得できません。官僚支配、天下り禁止と言うならば、少なくとも、なぜこんなに三人とも官僚を採っているのか、官僚に幹部を務めさせているのか。私は全くわからない。

 もっともっとマネタリストを、世界的に通用するようなマネタリストを任用すべきじゃないか、このことを申し上げまして、時間が参りましたので、残念ながら、もっともっと議論したいんですよ、だけれども、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 みんなの党から御質問させていただきますが、今回の法案は、一言で言えば、これはツルの一声ならぬカメの一声で歴史的な大逆戻しをする、そういう法案にほかなりません。

 しかもこの法案を、与党は、何ときょう一日の、たった五時間四十五分の質疑で衆議院で採決しようというんですか。

 今回、郵政民営化法案の質疑時間を分単位で調べましたけれども、衆議院百九時間二十五分、そして参議院八十一時間五十七分、合わせて二百一時間二十二分。もちろん解散後、選挙後に、その後二十時間余りやっています。これだけの質疑時間をとって行った郵政民営化を、わずか五時間余りの質疑でこのまま採決しようというやり方は、とてもじゃありませんが、信じられません。そのことをまず冒頭に申し上げて、質疑に入りたいというふうに思います。

 まず、そもそも、なぜ郵政民営化は必要だったのか。それは、民営化をしなければ郵政がいずれは破綻に至る、じり貧を避けられなかったからじゃないですか。

 かつては、財投が郵貯から借り入れをするときに通常より高い金利を払って、それが資金運用部への預託が廃止をされて、何もしなくても高い利ざやを稼げるという構造がなくなって、みずから資金運用して収益を稼ぎ出す必要が出てきた。民営化して一人前の銀行となって、貸出業務を含めて事業の多角化を行っていかなければ、将来、郵貯、簡保が破綻をしてしまうことは目に見えている。それをしないまま、かつ郵便ネットワークを維持しようとすれば、その選択肢は税金の投入しかない。結局、今回の郵政民営化の見直しというのは、口ではどう言っても帰着するところは、郵政の再国営化に第一歩を開くということにならざるを得ないんです。

 五年前の郵政民営化の議論においては、政府から、民営化しないと郵政はじり貧になって、やがて破綻は避けられない、こういう試算が政府の試算として正式に出されています。簡単に言えば、年間一兆円にも達する補給金が財投のシステムを通じて郵政に配分されてきたのが打ち切られたために、郵便事業及び人件費をやがては賄い切れず、赤字垂れ流しになっていかざるを得ない、こういうシナリオであります。

 今の政府は、この五年前の、郵政がじり貧で、やがて破綻は避けられないという政府試算の考え方を変えたということでしょうか。お尋ね申し上げます。

亀井国務大臣 無理やり、やってはならない民営化をやるために、勝手な試算をはじかれたものだ、このように私は見ております。

 日本郵政は、今、新しい未来へ向けての出発をしようとしておりますが、委員が考えておられるようなお先真っ暗なことではありません。地域のために、将来のために頑張ってまいる日本郵政であります。

大塚副大臣 可能であれば、委員に一つ御発言の訂正を願いたいんです。

 政府試算を変えるのかという御下問でございますが、午前中の質疑でも申し上げましたとおり、五年前の骨格経営試算はここにございますけれども、この骨格経営試算には何と書いてあるかというと、「政策意図や経営判断とは一切無関係であり、郵政民営化準備室として決定したものではない。」といって出されたんです。だれがつくったものかわからないんです。

 委員の今のお立場としての御発言はわかりますが、五年前に、私も郵政民営化特別委員会で長時間議論をさせていただいた立場として、一体これはだれのクレジットでお出しになったものですかということを聞いても、最後までお答えがなかった。したがって、政府の試算というものは存在しないということを御確認願いたいと思います。

柿澤委員 後ほど、大塚副大臣の今回の試算について少し言及をさせていただきたいと思います。

 この試算があったかなかったかということについての御言及がありましたけれども、郵政民営化をした郵政のあり方を見直していくに当たって、これからの青写真を示さないままこの法案を通そうとしているということの説明にはならないように思います。そして、郵政事業というのは、この法案を通して業務の拡大、そして限度額の拡大を進めて郵貯に資金を集めていくということになれば、これは、うまくいかなければ先ほど言ったような破綻の道をたどり、うまくいった場合は民業圧迫になってしまう、こういう二つに一つのコースをとらざるを得ない、そういう道筋になるのではないかというふうに思います。

 もう一度お伺いします。今私が申し上げたことが政府の試算であるかどうかはわきに置いて……(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛に。

柿澤委員 私が申し上げた、郵政がじり貧で、やがては破綻が避けられないという私の考え方が、違うなら違うということをしっかりと御答弁いただきたいと思います。

原口国務大臣 柿澤委員も二〇〇五年のことを覚えていらっしゃると思いますが、あのときは二つあったんですよ。一つは、郵政を民営化すればどんどんよくなる、要するに拡大モデルですね。その根拠もなかったんです。現実は、承継計画からはるかに落ちている。あなたがおっしゃっているのはもう片方の方で、このままいけばもっともっと落ちていくということでございまして、ぜひ民営化の本質を見誤らないでほしいんです。

 私たちは、公社に戻すなんて一言も言っていないんです。普通会社のままやるんです。だけれども、税金を入れないでネットワークを維持するためには、今のようなガバナンスではだめだと。例えば、みんなの党は行政改革を言っていますよね。分社化をしたことで中間経費がどれぐらいになったかおわかりですか。要するに、それぞれに中間的な経営部門を持たなきゃいけなくなるでしょう。そうすると、それが今までの一・二倍とか一・三倍になって、これが経営を圧迫しているんですよ。それをやめましょうと言っているだけなんです。

柿澤委員 いずれにしても、この議論は、これから実行されていく段階で結果が見えてくることだというふうに思います。

 これまでの国会審議で、私の質問に対して亀井大臣が、今の日本郵政が運用についてちゃんとノウハウを持っているかというと、これは極めて疑問だと私は思いますと、極めて率直に認めております。先ほど来申し上げているように、利子補給というかミルク補給がなくなった分、郵政は自前で稼がなきゃいけない、こういうことは事実としてある。そういう中で、まさに大臣みずから自他ともに認める、資金運用のノウハウがない。こうした日本郵政の資金運用の体制というのが急速に改善をする、こういう見通しを大臣として持っておられるんでしょうか。

亀井国務大臣 持っております。

 今、齋藤社長のもとで、貴重な郵貯、簡保の資金の運用をどうしたらちゃんとやっていけるか、今懸命な努力を続けている。これは、どの民間企業だって、最初から神様のような運用技術その他を持っているわけじゃありません。それぞれが努力して身につけていくものです。日本郵政も今、一生懸命頑張っております。

柿澤委員 今、私は、急速に改善をする見通しを持っているのかということをお尋ね申し上げたんです。今のお話は、一からやるという話ですよね。だとすれば、私は、まさにじり貧になりつつある郵政の経営構造、体質というのは急速には改善をしない、やがては厳しい状況に陥ってしまいかねないというふうに思います。

 御答弁がありますか。

大塚副大臣 柿澤委員は野党ではあられますけれども、去年御当選されて、今、みんなの党というお立場ですから、一番中立的に物をごらんいただけると思いますので、冷静にごらんいただきたいんです。

 さっき柿澤さんがおっしゃった、二〇〇五年の詠み人知らずの試算によれば、二〇〇九年度は日本郵政グループ全体で七千九百五十八億の税引き後利益が出るということになっていたんです。ところが、先週出た決算では四千五百二億。今の形のままだとむしろじり貧なので、そうならないように、将来、税金を投入したり、金融システムに影響を与えることのないように改革をさせていただくということですから、ぜひ認識をともにしていただければ幸いでございます。

柿澤委員 そうならないように限度額を拡大して、預金を分捕っていくんですか。そういう話なんですか。これは、何度も申し上げているように、じり貧のシナリオを回避するとすれば民業圧迫にならざるを得ない、こういう話ではないかというふうに思うんです。

 大塚副大臣がおつくりになられた試算だと、民業圧迫になる影響は極めて小さい、こういう試算になっています。これも政府としての責任を持った試算ではありませんので、そんなに踏み込むつもりはありませんけれども、先ほど、七百万円から一千万円に限度額が拡大したときの影響の度合いについて大塚副大臣から、この質疑の中で御答弁がありました。郵貯が九・三%ふえて、銀行は一・四%と言っていましたか、そして信金が三・九とおっしゃっていたと思います。

 私も、公開資料をもとに資料をつくらせていただきましたが、この限度額の七百万から一千万の拡大を行った前後五年、各金融セクターの資金の増加率の変化を見ると、これはやはり限度額の拡大を境に顕著な変化が出てきていると言わざるを得ないのではないかと思います。この赤囲みをしたゆうちょ銀行、限度額拡大の前が三三%の伸びであったのが、限度額を拡大したら、五年間で六〇%。一方、銀行は、五年間で五二・三%が三〇・四%、信金は一四%が九・八%、こういうふうになっているわけです。

 今回、一千万から二千万円の限度額の拡大。どうなるかは予断を持って言えない、こういう御答弁でありました。そして、先ほど日経新聞を引かれて、この限度額が仮に拡大したとしても今の資金量を保つのがやっとではないか、こういうお話もされていましたが、この過去のケーススタディーを見る限り、まさに一千万から二千万円の限度額の拡大が民間金融機関の経営に大きな影響を及ぼすことは明らかではないのでしょうか。お尋ね申し上げます。

大塚副大臣 まず、私の資料をごらんいただいて感謝を申し上げます。

 ただ、私の資料は、影響がないというふうに申し上げているわけではなくて、後半のところで委員がおっしゃっていただいたように、予断を持って影響は予測ができないということを申し上げているわけであります。

 したがって、例えば、過去一年間の伸び率で預貯金残高がふえていく場合には、郵貯が全くふえない場合には逆に銀行が四十三兆ふえるとか、信金が六兆ふえるとかというふうにしておりますが、過去五年間のトレンドと逆に郵政がふえることになった場合には、郵政が十・三兆ふえる場合には、確かに信用組合は一千億減るとか、客観的にお示しをしているだけであります。

 そして、大事なのは、私の資料の中にも書かせていただきましたが、先々、意見の違う方々にも御確認をいただけるデータに基づいて、客観的に条件を提示してケーススタディーをすることだと思っておりますので、私は、影響が大きいとも小さいとも申し上げません。だから、逆に、今委員がおっしゃったように、将来大きな影響が出ることは間違いないというふうに断定されるのも、余り根拠として明確なものがないということはぜひ御理解をください。

 その上で、確かに、私の資料も政府として正式なものではございませんが、少なくとも私の資料に関しては、お尋ねいただければ私がすべてお答えをいたしますが、先ほど引用された五年前の資料は、一体、この中身の真偽について、当時の与党のどなたに聞けばいいのかさっぱりわからないんですね。検証のしようがないんです。この問題の根深さは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

原口国務大臣 柿澤委員は郵政をどうされたいのか。つまり、自公政権がつくった郵政民営化法がじり貧法で、このままいけばじり貧だから、何とかしなきゃいけないとおっしゃっているとしたら、それは正しいと思います。

 現に、平成十一年からこの二十一年まで百兆円、毎年、郵貯の預金残高は年間十兆か十二兆おっこちて、百兆円近く落ちているわけです。この状況を変えるためには、さっき、共通部門の人員、本社では一・八九倍になっているんですよ、支社では一・二二倍になっている。つまり、先ほど郵貯が拡大した時期の話をされていますけれども、それは三分社化がされていない時期のお話でございます。

 また、ぜひ議論をそろえるために、暗黙の政府保証はないんですよ。それは、どんな株を政府が持っていようが、ないというのが前の政権の答弁です。すなわち、これは金融法上の、銀行法上の、保険法上の一般会社なんです。一般会社に二千万という制限があること自体が、それはかなりの制限である。

 そのことをまず御議論で踏まえた上で、これもやはり柿澤委員に申し上げたいのは、十年間に五回変えられていますから、ある方は、それこそ二〇〇三年の議論をまだされている方もいらっしゃる、二〇〇五年の時点の議論をされている方もいらっしゃる。だけれども、もう私たちは二〇一〇年にいるんです。二〇一〇年の今の状況を踏まえて、この民営化をしっかりと軌道に乗せなきゃいけないんだ、そのための法案だというふうに御議論をまとめていただきたいと思います。

柿澤委員 今の御答弁の前の、大塚さんの御答弁に対してお話をちょっと申し上げたいんです。

 ケーススタディーの資料の十ページになるのかな、今回のいわゆる試算というものが前提とする金利の設定なんですけれども、資金運用利回りが預託金を除いて一・一〇%、資金調達金利が、預金ですね、〇・二〇%ということで想定をして各種のシミュレーションを行っている。この水準であれば、これは郵貯がどういうシミュレーションに基づいても経営的にやっていける、こういう数値になってしまっているのではないですか。

 こういう形でシミュレーションをしているというのは、結局、ほとんどケーススタディーということにはならないんじゃないでしょうか。結局、うまくいく試算をして、それを見せているということになっているだけなのではないかと思いますが、お尋ねします。

大塚副大臣 先ほど申し上げましたように、私は、検証可能な客観的なデータですべて作成しております。今おっしゃった数字は、資金運用利回りは一・一〇%、資金調達金利は〇・二〇%。過去二年間の実績を反映して、そこからケーススタディーをやっております。

 しかし、柿澤委員、お手元に私の資料をお持ちであるならば、ぜひ四ページをごらんいただきたいんですが、先ほど委員が引用された五年前の資料は、何と、二〇〇九年以降の調達金利は〇・〇四%というふうに置いているんですよ。私の、この過去二年間の実績に基づいた前提よりもはるかに低い金利で、しかし実際は、実績値は〇・一九です。四捨五入して〇・二〇ということで使っているわけでありますが。

 したがって、もし私がお示ししたケーススタディーが今委員の御指摘になったような状況であるとしたら、五年前の資料というのはとんでもないでたらめだったということになります。

柿澤委員 今申し上げたとおり、こういうふうに調達金利と運用利回りのこれだけのギャップがある。この金利をフィックスしてシミュレーションを行うということでは、まさに金融機関としての郵政の最大のリスクは金利変動にかかわるリスクでありますので、将来の設計図をこれによって示したということにはならないというふうに思うわけであります。

 さらに今、この郵政の、まさにイコールフッティングを損なうのではないかということについて、アメリカを初めとした国々から大変強い懸念が表明をされている。そして、WTOの場においてこれが議論の俎上に上る、こういうことも考えられるような状況になっている。そういうときに、五年前だってなかったじゃないかという話にまたなるかもしれませんけれども、この大塚副大臣の個人的なスタディーとしての試算というもので、海外から表出される懸念に答えるということはできないというふうに思います。

 いずれにしても、そうした場面において、政府の責任を持った、これは民業圧迫にもイコールフッティングを損なうことにもならないんだという試算を出さなければいけないということになるのではないかと思いますが、違いますか。

大塚副大臣 御下問の件は、WTOの提訴にかかり、パネルがセッティングされたらという仮定の御質問だと思いますので、仮定の質問にお答えするのは現状では適切ではないと思います。

 ただ、やはり国際通商交渉というのはそれぞれの国の言い分というものがありまして、それを調整していくからこそ交渉なわけであります。委員におかれては、新しく議員になられたこれからの政治家として、日本も言うべきときは言う交渉をするということをぜひ御理解いただくために、これは経済産業省がつくっている不公正貿易報告書という、毎年更新している、自民党政権時代からあるものなんです。

 この中に、例えばアメリカについてどういうふうに書かれているかというと、「米国はWTO金融サービスの約束において極めて多くの適用留保事項を残しており、これを改善する動きも大きくない。」さらには、「金融に関して州ごとに規制が異なっており、幾つかの州では、外国銀行の支店及び代理店の設立が禁じられている。」「このような厳しい担保要件を課しているのは先進国において米国のみであり、早急な撤廃・緩和が期待される。」とか、いっぱい書いてあるんですよ。

 こういうことを、今我々が国内で、国内の問題を解決するために行おうとしている改革に対して、もし諸外国の立場から何か要求があるとすれば、それは、そうであるならば諸外国としてもどのような改善をなされるのかということを、まさしく対等な立場で交渉するべきものと思っております。

柿澤委員 ここのところ、大塚副大臣に答弁を連投していただいていますので、ずっとごらんになられています亀井大臣に、ちょっとこの件については御答弁を求めたいと思います、日本の政府の代表として。

亀井国務大臣 大塚副大臣がお答えしたとおりでありますけれども、今アメリカが、ある意味ではヨーロッパを巻き込んで、まだ法案が成立しない段階からいろいろと、民業圧迫になるとかイコールフッティングでないとか、そうした主張をああいう場でしておられるのを、非常識だと私は思っています。

 私は、もっと、国と国との間の問題というのは、やはり国と国との間で真摯に、お互いに協議すべきものは協議をしていくべきであり、今までも、アメリカ・サイドから郵政改革についていろいろ要望、御意見があったことに対しては、金融庁としてはこれについて誠実に説明をしてきたつもりであります。

柿澤委員 非常識だというお言葉がありましたが、こういうことをおっしゃるんだなというふうな感じで聞いておりました。

 ファミリー法人についてお伺いをいたします。

 この件については、私は質問主意書を何度も出させていただいて、御答弁をいただいてまいりました。私の質問主意書に対する答弁書では、ファミリー法人、当時は百五十七社に七百十六人天下りがいて、一千三百三十五億円の取引額があるということが明らかになりました。

 先般、齋藤社長も、このファミリー法人との関係を全面的に見直して、また天下り役員に退任要請をする、こういうことを言っておりますけれども、これはいつまでに、どういうふうに実行していくということになるんでしょうか。

亀井国務大臣 政府といたしましても、齋藤社長に対して、ファミリー企業の今までのあり方を徹底的に見直して、そしてあるべき姿に変えてくれという要請を強くしてまいりましたけれども、齋藤社長も、郵政改革においてこれはどうしてもやらなければならない面であるということで、現在、積極的に取り組んでおります。

 この法律の施行が来年の十月ということを予定しておりますけれども、それまでの間においても、やるべきことはどんどんやっていくということで、現在も進行をしております。

柿澤委員 徹底的にやるということを指示しているという話なんですが、この質問主意書を出したときに、質問主意書ですから、基本的には七日以内に答弁書が返ってくるものだと思いますが、非常に多岐にわたる調査であったことは確かに事実でありますけれども、答弁書が返ってくるまで三カ月もかかった。そして、総務省としてもファミリー企業との関係を一から調べ直した。要は、そのときには実態を全く把握していなかったんですよ。

 その時点で、去年の十一月ですけれども、皆さん、問題意識を全く持っていなかったんじゃないですか。そういう意味で、だからこそ一から調べ直して、私の質問主意書に対して答弁書が返ってくるのに三カ月もかかった。これで徹底的にやるんだということで、もう先が思いやられるじゃないですか。本当にできるんですか。やるんですか。

原口国務大臣 それは、それまでの政権が問題意識を持っていなかったわけで、柿澤委員は御存じのとおりで、私はあなたと一緒に、答弁をして、そして調査をしているんですよ。それは立場もあって、選挙も近いからそのように言わなきゃいけないのかもわからないけれども、私たちはきっちりやっているんです。ファミリー企業についても、それから、すべての天下りについても全部調査をしているんです。

 最初、あなたの質問に対して答えが返ってきたのは、それは莫大でだめだからというのが政務三役に上がってきたんです。そんな、もう私たちは政権をかえたんだから、柿澤委員が言っているのが正しいんだから、ちゃんと調査をしなさいと言って、その調査に入って、そして答弁書が返ってきた。その経過は御存じでしょう。私はあなたに申し上げましたよね。ぜひ、それは御理解をください。

柿澤委員 これからの実行を確かに見ていきたいという気持ちはあります。そういう意味では、その点、ぜひよろしくお願いします。

 これは最後にしますけれども、私の質問主意書で、平成二十一年度の現金絡みのコンプライアンス違反事例が、何と平成二十一年度の一年間だけで二十億円に上る。国民の財産を預かる金融機関としてあり得ないこういう実態が、日本郵政に関して明らかになっております。

 ところが、同じく私の質問主意書に対して、日本郵政グループは、全国の郵便局に設置をした防犯カメラを、これから三十二億円かけて撤去するということを答弁として返してこられています。しかも、その理由は職員の士気が下がるということで、要は、監視されているみたいで嫌だということなんでしょう。しかし、今申し上げたように、去年一年で二十億円という、民間の金融機関では考えられないような現金の横領、窃盗、紛失が相次いでいる。こういうことに対して、防犯カメラを設置しようというんだったらわかりますけれども、三十二億かけて撤去する、こういう答弁書を返してきている。

 これは一体どういう方向性の改革なんですか、お尋ね申し上げます。

亀井国務大臣 そのカメラの撤去は、私の方から齋藤社長に要請をいたしました。

 委員は実態を御承知ですか。これは防犯上のために設置されていたんじゃないんですよ。特定局長の挙動監視をするために設置されたとしか思えないような設置のされ方がしてあった。そういう状況はよくないということで、撤去をした方がいいという要請をして、それでやっておるわけであって、別に私は悪いことを要請したとは思っておりません。

近藤委員長 柿澤未途君、質問時間が終了しておりますので、御協力をお願いします。

柿澤委員 とにかく、今、質問時間も過ぎてしまっていますけれども、これが最初で最後になるかもしれないこの質問であります。

 こういう状況の中で、申し上げておきたいんですけれども、だれだれが悪いとか、だれだれの陰謀だとか、場合によってはそういう考え方に基づいて、まさに非現実的というか、うまくいけば民業圧迫、そしてうまくいかなければ経営的に行き詰まる、国費の投入、税金の投入にならざるを得ない、こういう民営化の見直しをやって、そしてなおかつ、ほとんど議論なしに通そうとしている。こうした状況は、本当に私は残念で、また憂慮にたえません。そのことを最後に申し上げまして、私の質問はきょうは終わりとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 先日来の当委員会の運営を見ていきますと、まず、放送法の突然の打ち切り、強行採決。続いて、職権による、きのう、きょうの一方的な委員会立て。このことは一たんは取りやめましたけれども、きょうの委員会も、最終的には十分な合意が得られなくて委員長の職権による委員会立てという結果になりました。まことに残念です。十分な、本当に落ちついた議論のできない場にこの総務委員会がなってしまったということは、まことに残念なことでございます。

 さらに、今マスコミ等にも報じられているとおり、わずか五時間余りの質疑で終局をして採決に至るという考えられないような委員会の運営が行われるかもしれない。こんな状況の中で、私は、主導権を握っている与党の皆さんの良識を信じたい、またこの議場の運営の権限を握っている委員長の良識を信じたい、このように思うわけでございます。

 初めに、委員長にお聞きをしたいと思いますが、委員長、このわずか五時間余りの委員会でよもや採決というようなことはなさらないということを一言御答弁をお願いしたいと思います。

近藤委員長 私は、先ほど理事会でも考えをお話しさせていただきましたように、しっかりとした審議をしていただく、それは与野党でお話しいただいて、その合意のもとに進めていくと。私、午前中の委員会でもお話をさせていただきました。しっかりと、参考人、あるいは合同委員会、地方公聴会、こうしたものをやるべきだという考えを持っております。

 以上です。

西委員 委員長から今の御答弁をちょうだいいたしました。私は、委員長並びに与党の皆さんの良識を信じて、これから質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、金融機関がない過疎地域などでも本当に公平に金融サービスが受けられるのか、このことについて何点かお伺いをしたいと思います。

 政府は、昨年十月の二十日、郵政改革の基本方針を閣議決定されました。基本方針では、「郵政事業に関する国民の権利として、国民共有の財産である郵便局ネットワークを活用し、郵便、郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスを全国あまねく公平にかつ利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的に利用できるようにする。」このように書かれておりまして、さまざまな考え方がその後に並んでおります。

 郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスについてはどうかといいますと、「ユニバーサルサービスを法的に担保できる措置を講じる」、こういうふうになっておりまして、日本郵政株式会社法案では、親会社である日本郵政株式会社にユニバーサルサービスを提供する責務がある、こういうふうに書かれています。

 ところが一方で、郵便貯金銀行と郵便保険会社には義務は課されていないんですが、この理由についてまず初めにお伺いをしたいと思います。

亀井国務大臣 親会社にその義務を課しておれば、その子会社でありますゆうちょ銀行、かんぽへの業務委託という形の中でそうしたユニバーサルサービスの責任を果たしていける、このように考えております。

西委員 そうすると、銀行、保険会社については、間接的にやはりユニバーサルサービスに関する責務というのがあるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

亀井国務大臣 それは我々としては一体として日本郵政のあり方を考えておりますから、そういう意味では、当然、ゆうちょ銀行、かんぽがそういう責任を現実的に果たしていく、業務委託をしていくということで果たしていくことになると思います。

西委員 わかりました。若干ゆうちょとかんぽは違うようなニュアンスがあるかと思いますが、その辺については大臣の答弁を理解させていただきます。

 次に、ユニバーサルサービスを提供することにつきましては、より具体的には、郵便局の設置をどうするかという問題に尽きるというふうに思います。

 郵政改革の基本方針では、郵便局を「地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点」、まさしく私もそうあるべきだと思います、こういうふうに位置づけております。また、郵政改革素案では、「金融事業はユニバーサルサービスを提供すること。とくに、中山間地等の過疎地域に留意すること。」それから、「今後の過疎化の進展等によっては、現在拠点がない地域においても、政府の要請により新たな拠点を設置することもあり得る。」こういうふうにした文言がございます。

 これらを踏まえて、郵便局のいわゆる設置基準をどのようにお考えになっておられるのかということを明確に御答弁願いたいと思います。

原口国務大臣 現在の郵便局の設置基準は、郵便局株式会社法施行規則において、地域住民の需要に適切に対応することができるように設置すること、それから、いずれの市町村についても一局以上設置すること、地域住民が容易に利用できる位置に設置することのほか、過疎地においては、現行の郵政民営化法の施行時の水準の維持が義務づけられているところでございます。

 今回の法案では、郵便、貯金、保険のサービスを一体的に利用できる体制を整備することも一つの大きな目的としておりますため、郵便局の定義については、現行では「郵便窓口業務を行うもの」としておりますが、今回の法案では、三つのサービスの窓口を行うものと変更しているところでございます。

 郵便局の設置基準については、今後、具体的に検討を行うこととしていますけれども、少なくとも現在の水準が低下することがないように、地域住民の需要、地域特性を勘案の上、決定することとしてまいりたいと思います。

 この基礎にあるのは、西委員、金融社会権という考え方なんです。つまり、郵貯法、簡保法の一条でそれぞれうたっていたもの、隣にいらっしゃる後藤田さんとも、昔、ロイヤル・ポストですか、オランダの、ヨーロッパに行きましたね、そのときに、まさに一部の人たちだけが金融の決済権を持ってしまうと社会が弱くなってしまう、だから、今、西委員がおっしゃったようにすべての過疎地においても金融の決済機能、まさにすべての人に金融の社会権を保障できる、こういうことを念頭に私たちは改革を進めておるわけでございます。

西委員 今大臣からお答えいただきましたように、郵便局の設置基準については、今回の日本郵政株式会社法案では、現行の郵便局株式会社法と同様に総務省令で決めることになっているというふうに理解しております。

 現行の郵便局株式会社法施行規則では、「会社は、過疎地については、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として次に掲げる基準により郵便局を設置するものとする。」と、現行が基準ということでございます。こういう規定がなされておりますが、先ほども申し上げましたように、法案で規定される総務省令はこれと同じ規定になるのか、それとも「現に存する郵便局ネットワークの水準を維持する」という現状維持規定を削除して新たな基準になるのかということについて、若干今大臣の方からもございましたが、もう一度お答え願いたいと思います。

原口国務大臣 現行の水準を低下させるということはありません。

 先ほど答弁をしましたように、重複を避けますけれども、大きく違うのは郵便局の定義です。現行では「郵便窓口業務を行うもの」としている。今回の法案では三つのサービスの窓口を行うという変更をしているわけでございまして、郵便局の設置基準については、今後、具体的に検討を行うというふうに、前回も省令で同じことをしていますね。だけれども、そこで地域住民の需要、地域特性を勘案の上決定することとしてまいりたいと考えていますので、またいろいろ御指導をよろしくお願いいたします。

西委員 この法案では、新たに日本郵政株式会社に対して「郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務」というのが課されております。

 そこで、この責務が本当に果たせているのかどうかについて、だれがどのような基準で判断をしていくことになるのかということについてお伺いをしたいと思います。その妥当性をどう確保するのかということについても明確に示していただきたいと思います。

 法案でも、総務省令で定められる設置基準に基づいて、最終的には会社の経営判断にゆだねることになるのではないかというふうにも思うんですが、このことについても明確に御答弁を願いたいと思います。

大塚副大臣 他の委員の御質問の中でも解説をさせていただきましたが、ユニバーサルサービスを国民の皆さんに提供する責務は、これは国が負っているという前提でございますので、改革法の第四条に「国等の責務」というふうに明記をさせていただいております。

 したがって、ユニバーサルサービスが受けられない地域、しかもその地域というのは、相当広域にわたって、どこに行っても金融や郵便にアクセスできないようなことがあっては困りますので、そういう事態になれば、この法の四条に基づいて国が責任を持って対応する法のたてつけとなっております。

西委員 次に、観点を変えまして、今回の郵政改革は十分な検討や実態を踏まえた制度設計が行われているのかということについて少し議論をさせていただきたいと思います。

 郵政改革素案では、ユニバーサルサービスに伴うコストについて、先ほどからも議論がありましたが、税金で直接費用を賄うのか、または、税金の免除などで間接的に支援をするのかという選択肢が示されております。そのうち、政府は、明示的に税金を投入しない形態の方が国民の理解を得られやすいという立場に立っているというふうに書かれております。つまり、間接的な支援を形の上でしていくということになろうかと思うんですが、今回の郵政改革においてユニバーサルサービスに伴うコストをどうするのか、この点が制度設計において非常に重要なポイントになっているかと思います。

 したがって、議論のあり方としては、ユニバーサルサービスに伴うコストについて、間接的な負担だけではなくて、政府が直接負担するケースについても、これは十分な検討をする余地があるのではないか、また、そうすべきではないかというふうに考えております。

 例えば、他の金融機関が存在しない地域に限定して金融サービスを提供するというような制度設計も考えられるのではないか。ユニバーサルサービスといっても、金融事業に関して言えば、先ほどもありましたように、中山間地、離島、それから過疎地、そういう他の金融機関が存在しない地域にどんなサービスを提供するのかという問題としてとらえることができるわけですが、このように限定した場合など、どれくらいのコストが必要かとか、さまざまなシミュレーションがあり得るんだろう、こう思っております。

 「日本郵政グループの経営に関する「ケーススタディ」」、これは先ほども若干引用されました大塚担当副大臣のシミュレーションの資料でございますが、これが一つ参考としてあります。十分検討したかどうか、私的なものだというふうな位置づけだと思うんですが、制度設計の根幹にかかわることだと私は理解しておりまして、そうした検討なしでは、初めから郵政の存続がまずありきだとか、郵政の拡大、充実がまずありきというような批判は免れないのではないかというふうに思っているところです。

 とりあえず、先ほどの大塚副大臣の資料をもとにすると、過疎地域の金融業務収支は四百六十四億円の赤字というふうに示されております。これはよろしいですね。

 一方、郵政グループ内の取引に課せられる消費税を免除する優遇措置も設けられて、その額は年五百億円というふうにされております。国民の直接負担ではなくても、結局、税金が使われ、国民負担が発生する、こういうことだろうというふうに思います。間接負担であっても直接負担であっても、ほぼ同じ五百億円規模の国民負担ということになるわけですね、金額上は。

 国民にとって今回の郵政改革が本当に妥当かどうか、十分な検討を行って、幅広く国民に意見を聞いていくということは、これは大変重要なことでございます。妥当性が高いとする政府の根拠、これは必ずしも私は十分議論を尽くされたようには見えないんですが、国民の判断に資するべく、コストに関するシミュレーションを正式に提示していただくべきだというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。国民に選択肢を明確に示していただいた上で、幅広く国民の意見を聞いていただくということが正しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

大塚副大臣 考え方については両大臣から御答弁いただきますけれども、事実関係だけ簡単に御報告申し上げます。

 一定の前提に基づいて四百六十四億円というコストが想定も可能だという内容で私が御提示申し上げたのは、そのとおりでございます。

 その一方、今委員が御質問の中で消費税も減免ということになっているがとおっしゃられましたけれども、消費税減免ということにはなっておりません。そういう議論もありました、ユニバーサルサービスを、国の責務として負っているものを、日本郵政グループにやってもらうわけですから、そのぐらいのいわばコスト負担を国がするべきではないかという議論がありました。しかし、結局、日本郵政グループ側が、今までも特別の対応はしてもらっていないので、自力でそのコストは賄いたいという意思もございまして、現時点では消費税の減免ということは組み込まれておりません。

 もっとも、これまで税制面で対応されておりました登録免許税等については、法の二十九条等で今までどおり行うという仕組みになっておりますので、もし消費税等の新たな対応が必要となるという場合には、政府税調等で議論の上、決定をされることと思いますが、その場合には、委員が御指摘のようにしっかりとしたコストの提示がなければならないものだと私も思います。

原口国務大臣 二点、補足でございます。

 私たちは、税を入れずして三事業一体のビジネスでもってこの民営化モデルを成功させよう、これが私たちのモデルであります。でも、委員が御指摘のように、最終的に、全く生産性が上がらない、あるいは採算が合わないといったところについてどうするか、これはまた別途議論があると思います。

 それからもう一つ、シミュレーションについてです。

 これは、私が当選したての十四年前に、当時の内閣に出してくれと。ずっと出てきませんでした。そして、やっと、あれは二〇〇〇年の頭ぐらいでしたが、三事業ごとに、各郵便局ごとにこんなに厚いものが出てきました。それからすると、過疎地についてはかなりのコスト。私は郵政を担当する大臣としたら、この郵政事業そのものもクラウド化してさまざまなコストのカットをしなければいけない。そのクラウド化する中で、新たなビジネスモデルの中で、どのようなシミュレーションが必要か、これは委員がおっしゃるようにとても大事なところだと思います。

 ただ、現状のモデルをもって三事業ばらばらにしたものを、旧政権が出してきたものをモデルにしても、それは採算モデルになかなか達しないのではないか、そのこともあわせて申し上げておきたいと思います。

西委員 ありがとうございます。

 やはりこれからさまざまな試行錯誤、もちろん法律的にはこういうことになっておりますが、現実の問題として、各地の実情がございますので、その辺は十分な検討をされることをお願い申し上げておきたいと思います。

 結局、政府は、ユニバーサルサービスを維持するということで、今回、郵便貯金銀行の預け入れ限度額を一千万から二千万に、かんぽ生命の加入限度額は千三百万から二千五百万円に引き上げる。私どもは、今回のこの引き上げというのは、特に経済的な急激な変動があったときとか、そういうときには大きく民間からのシフトが起こるのではないか、特に郵便貯金銀行に関しては、かんぽよりも資産の流動が起こるのではないかということを心配しております。それは全国的に起こるのか、各地方で突発的に起こるのかということも含めて、規模等はあらかじめシミュレーションはできませんけれども、そういうことはあり得るのではないか、民業圧迫という事態が起こるのではないかということを心配しているところでございます。

 預け入れ限度額を引き上げるに当たっては、実態がどうなっているのか、こういう確かな数字に基づいて検証しなければいけないというふうに思うんですが、ゆうちょ銀行では名寄せが現在行われているというふうに伺っておりますが、これはきちんと運用されているのか、まず名寄せの状況を伺いたい。さらに、どうして二千万円までの限度額の引き上げという結論に至ったのか、名寄せの状況も踏まえてお答えをいただきたいと思います。

原口国務大臣 まず、名寄せについてお答えいたします。

 ゆうちょ銀行においては、月に一度、すべての預金に関して氏名及び生年月日をもとに名寄せを実施しておるところでございます。

 限度額の超過者に対しては、郵便局等を通じて減額要請を行い、どうしても減額に応じない預金者に対しては、強制的に預金を払い戻す等の措置を実施しているところでございます。このような努力によって、平成二十一年九月時点で、限度額超過者は全預金者の約〇・二%まで減少しておるところでございます。

 国民の貯蓄動向、国民の利便性、郵政事業の今後の経営動向等を勘案して、今般、限度額の引き上げを予定しておるわけでございますが、私は、これが民業圧迫になるというのは、それは暗黙の政府保証を前提にした議論ではないか。西委員も御案内のとおり、民間に間接金融でどれぐらいお金が回っているのか。この間接金融の改革をずっと叫んできたわけです。四十九兆円のお金を入れて、公的な資金を入れて、金融国会で私たちはさまざまな議論をしましたけれども、逆にそれが民間の貸し出しになっていないということであれば、それこそが民間圧迫ではないか。

 私たちは、郵政を巨大なものにしようなんということは考えていません。逆に、先ほど柿澤委員がお話しになった、今の劣化するこの日本郵政の状況をとめなければ膨大な税金投入ももう目の前に来ている、このような危機意識からこの改革法案を出しているというところも御理解をいただきたいと思います。

西委員 次に、日本郵政株式会社法案では、保険の窓口業務を公共サービスというふうにみなしておりますが、金融過疎が発生していない生命保険までユニバーサルサービス、公共サービスとして位置づけなければならない明確な根拠はあるのかということについてお伺いしたいと思います。

 もし、生命保険の窓口業務を公共サービスとみなすならば、これは同様のサービスを過疎地などで行っている民間会社も同じく公共サービスということになってしまうわけですが、このことについてどういうふうな御理解をされているのか、お伺いをしたいと思います。

亀井国務大臣 私は、民間の保険会社も、やはりそうした業務自体が公共的な性格を帯びておると思います。これは、言ってしまえば、あらゆるものが一面では公共的な性格を帯びておるというのが実態であろう、このように思っております。それであるがゆえに、金融庁は簡保業務についても金融業務についても検査監督等もやっておるわけでもあります。

西委員 次に行きます。

 三番目、日本郵政のガバナンスのことについて質問させていただきたいと思います。

 日本郵政のガバナンスには数々の問題があると思われます。まず初めに、政治に介入されたり影響されたり、会社が自律性を失っているという問題であります。

 昨年末にも総務委員会で指摘させていただきましたが、社長人事について、会社法及び日本郵政株式会社の定款に基づかずに政府によって選ばれたという問題が一つございました。さらに、亀井大臣は、先ほどもお話がありました非正規職員の正社員化、また、地元からの物品の調達について日本郵政に要請した、こういうふうに言われております。また、貯蓄マネーを新幹線、高速道路、それから海外での原発の整備に使えないかということなど、原口大臣は郵政マネーの運用先の多様化に大変関心が高いという報道がなされております。

 こうした事項については、これは経営陣が決めることではないのか。経営に関する過度な干渉は大臣の権限を逸脱するものというふうに私は思うのですが、このことについて両大臣のお答えを求めたいと思います。

亀井国務大臣 私は、就任以来、一切過度の介入はした覚えはございません。

 人事につきましても、郵政改革を実施していく上において新社長はだれが適当かということについて、やはり政府の責任においてこれを選んでいくという責任があると私は思っております。

 また、非正規社員の正規社員化の問題、これも先ほどお答えいたしましたけれども、これは本来は私ごとき者が一々雇用関係について言及すべきことではありませんけれども、残念ながら、今の日本の経済社会全体において人間を人間として大事にしていくということをしない雇用形態が一般化しておる。まさに郵政民営化なるものがそういう面でも先兵としての姿を見せていることに対して、これをきっちりと是正して、今の社会を覆っている間違った風潮を変えてもらいたい。これは、鳩山政権は、総理みずからが言っておられますように、弱肉強食、市場原理至上主義から決別をするということを鳩山総理は高らかに宣言しておる政権でありますから、そういう観点から日本郵政の雇用形態についても私は要請をしたことは当然であります。

 また、物品調達にいたしましても、従来はその地域で調達しておったわけでありますけれども、それを今は中央で一括調達をするということで取り上げてしまったんですね。やはり地方を大事にしていく、これも鳩山政権の基本的な方針であります。地域を、社会を大事にしていく、言葉だけではしようがありません、それを日本郵政の経営の中でも実践していただくということをお願いしたわけであります。

原口国務大臣 前の政権においてのガバナンスの御質問かと思いました。そのことについては、私たちはしっかりと調査チームをつくってまだ検証しているところでございまして、はっきり申し上げてガバナンスはほとんどきいていなかった。

 今回の取締役選任の経緯は、もう御案内のとおり、十月二十日、郵政改革の基本方針を閣議決定した当日夕刻、前社長が辞任を表明され、二十七日に、指名委員会の委員長であります奥田委員長が定足数要件を確保できないため指名委員会は開催できないと御判断なさいました。指名委員会というのは五名なんですね、そのうち四名が欠席を奥田委員長に表明されました。それを受けて決定されたもので、二十八日に取締役会、そして臨時株主総会。つまり、正規の会社法の規定に基づくもので、コンプライアンスの観点からも何ら問題はございません。

 また、私が海外投資に積極的だとおっしゃっていますが、それはまさに報道の一面でありまして、これは西委員がおっしゃるように日本郵政が判断するものです。

 ただ、先ほど大野委員も御質問なさいましたけれども、長期金利が上昇して国債が厳しくなっていけば、それこそ国民に対しても、あるいは郵政事業の持続可能性といったものが非常に厳しくなる、つまり、ファンド・オブ・ファンズの考え方に立ってポートフォリオについてもしっかり考えなきゃいけない、こういう議論を紹介したところでございます。その中の一つが、いわゆる政府系投資。もう一つが、亀井大臣がよくおっしゃっているマイクロファイナンスとか地域を回るお金。そういったものの使い方が他国にあるということを申し上げていることであって、日本郵政にあれこれしなさいと言ったことは一度もございません。

西委員 亀井大臣のおっしゃる雇用問題につきましても、これは一般論ではなくて、日本郵政内部の個々の事情を数字を挙げておっしゃっておられるということは、非常に大きな日本郵政に対する影響力を持つものだと思います。我々は、とかく国と近い関係の会社については、JALもそうですけれども、政治家があれやこれやとよく口出しをしているのか、ただ単に言っているのか、その辺のレベルは別にして、私は節度を持った発言をされるのが正しいのではないかというふうに思っているところでございます。答弁は結構です。

 さらに、末端の組織である郵便局をめぐっても、先ほどの柿澤委員の質問主意書のことについてもお話がありましたように、郵政グループの郵便局長らが貯金などを横領した金額が平成二十一年度で二十億円に達した、大変な大きなお金でございます。そのうち郵便局株式会社が十八億五千万円と、これが大勢を占めております。これら数々の不祥事を初め、企業のコンプライアンス体制にも大きな問題があります。ほかにも特定郵便局長の採用過程をめぐる不透明さが問題となったり、さまざまな問題があります。

 ところで、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のホームページに「お客さま情報の紛失について」というプレスリリースが掲載されております。ゆうちょ銀行では最も多いのが約十二万人分、かんぽ生命では最も多いのが一万二千九百人分のお客様情報が紛失している。お客様情報とは、客の氏名、住所、生年月日、口座番号、取引金額、印影、保険証書記号番号、保険料額、貸付金額、電話番号、こんなところでございます。ゆうちょ銀行では、先ほどの十二万人分のほか、そこの情報では、九万七百人分、それから五万一千三百人分、三万三千六百人分と、一万人を超える紛失が起こっている。こういうことになっております。

 私は、ここに出ているのが本当にすべてなのかなという疑問を実は持っております。とにかく、多くのこういう情報を紛失しているということは、金融機関としては大変遺憾なことでございます。このことについて、お客様情報に関して全体の調査を行っているのかということをお伺いしたいと思います。お客様情報の紛失に関する全体の状況についてもあわせて報告を願いたいと思います。

大塚副大臣 御指摘のような事故はあってはならないことでございますので、ゆうちょ銀行のみならず、すべての金融機関に対して、銀行法に基づいてしっかりと対応すべきものというふうに思っております。

 したがって、ゆうちょ銀行だけに何か特別の調査をしているということではございませんけれども、これは監督官庁として金融庁が事故が起きれば当然報告を受け、その報告の内容について精査をし、調査が必要だという場合には法の命令権に基づいてしっかり対応をいたします。また、民間金融機関に比べて、ゆうちょ銀行がそうした事故率が高いのかどうかということについては、今後もしっかり精査をしてまいりたいと思っております。

西委員 この点については、上がってきたものがこんなにホームページにアップされているということでしょうけれども、これからのゆうちょ、かんぽのことを考えると、きちっとした体制をぜひともとっていただきたい。きちっとした調査を、もちろん、民間銀行、保険会社もそうですけれども、ゆうちょ、かんぽは私たちが本当にかかわってきた会社ですから、ぜひともこの体制は、出発に当たってきっちりとした調査をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

大塚副大臣 しっかりと体制を整備するように法の権限に基づいて指導監督をさせていただきたいと思います。

西委員 監督という言葉が出てきましたけれども、やはりきっちりした実態調査をぜひともお願いしたいと思いますが、その点についてお願いします。

長谷川大臣政務官 総務省の立場から答弁をさせていただきます。

 御指摘のように、たくさんの情報漏えい事故が発生しているのは事実でございます。今、貯金銀行、かんぽ生命、それぞれのお話がありましたが、郵便事業会社、郵便局会社においても同様に小さな事件は起きております。これにつきましては私どもも調査をしておりまして、会社におきましても、今までの各種記録物を外部倉庫に集中保管するというような対策を急遽進めているところでございます。

西委員 対策はいいんですが、本当にこれだけかという疑問に対してぜひとも答えていただきたい。きちっとした調査をぜひともお願いしたい、このように私は思います。

 こうしたずさんな情報管理問題がなぜ起こるのか、やはりこの原因及び対策をぜひとも考えるべきである。

 もう一つ私が気になるのは、先ほどの情報管理問題と、前段申し上げました横領、この問題が関連したときに一体どういうことが起こるのかということを実は心配しております。こういうことがなければいいんですが、関係があるのかどうか、確認のために聞いておきたいと思います。

大塚副大臣 関係があるかどうか、今ここで断定的にお答えをする材料は持ち合わせておりませんけれども、しかし、これは先ほど申し上げましたが、ゆうちょ銀行にとどまらず、他の民間金融機関も含めて、情報が流出するということ、あるいは顧客の資金を横領するというようなことはあってはならないことでありまして、もし他の金融機関に比べて事故率が高いというようなことであれば、他の金融機関よりもより厳しい対応をするのは当然でございますので、委員御指摘の点をしっかりと意識しながら、必要に応じて調査も行い、指導をしていく所存でございます。

西委員 監督は、もちろん常にしていただくことは大事なんですが、やはりこういう問題をきちっと解決するだけの体制、仕組みがなければいけないと思います。それを別々のこととして、一方では横領があり、一方では資料の紛失があり、この二つがつながらない、つながっているのかつながっていないのか、これは非常に大きな問題をはらんでいると私は思います。そういうことがずさんなままでこの議論は成り立たない、こう思いますので、これからまたしっかりとした調査をぜひともお願いするものでございます。

 時間がやってまいりました。まだちょっと質問項目も残っているんですが、法案には検討が不十分な点とか不公平な問題もまだたくさん残っております。また、今後、必要な資料も皆さん方にお願いをして提出していただきたいとも思いますが、何よりも審議時間を十分とって、連合審査、参考人質疑、また、地方の問題は地方の公聴会等で、さまざまな問題を、委員長も今私の質問に対して前向きに答えていただきました、充実した審議を今後も続けていただけるようにお願いをしまして、質問を終わります。

 以上です。

近藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 郵政改革法案について順次伺ってまいります。

 まず、株式売却について伺いたいと思います。

 株式についてですけれども、政府案のとおりにいきますと、新会社発足時には、新たな体制では日本郵政の株式は政府が保有をして、金融二社の株式は新たな日本郵政が全株保有するということになりますね。そして、その後はそれぞれ三分の一超の保有義務が課せられておりますけれども、それ以外の株式は処分をすることは可能ということになっております。

 しかし、現行法のように日本郵政に対する保有比率はできるだけ早期に減ずるとか、金融二社については平成二十九年九月三十日までの完全処分、こういった処分時期や処分期限が現行法は明文化されていますけれども、改革法案にはそれが明記をされておりません。

 そこで伺うんですけれども、この株式売却時期を明記しなかった理由はどこにあるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 これは日本郵政事業が展開をしていく中で、この株を売却し得る状況がいつの時点で生まれるかということを今の時点できっちりと決めることは非常に難しいことでもあります。それと、日本郵政に対して手足を縛るということはしない方がいい、そういう判断で決めなかったわけでございます。

原口国務大臣 もう一つ大事な視点を申し上げると、現行法は十年以内に金融二社の株を完全売却と言っているわけです。完全売却をしたら、この郵便局ネットワークはどうやって、だれが維持をするのか、その担保はどこにもないわけです。もう一回買い戻すということもできますよと。一たん売った株を市場に出て高値で買うなんというのは、まさに国民共有財産を毀損することではないか。郵政民営化法の、前の小泉政権の質疑のときに最大の問題になったのがここなんですね。

 私たちがそのとき指摘をしていたとおり、一年以内の売却はできませんでした。つまり、分社化ありきの民営化によって、この郵政というものを弱くしてしまった。そして、株式上場さえできない。それを十年で完全売却するなどということは、普通、経営形態としてはあり得ないことだ、私はそのように考えています。

稲津委員 原口大臣の御見解は、それは御見解として私もお聞きしました。

 亀井大臣は今御答弁の中で、要約すると、経営状況を見ながらということであると思うんです。そのことを踏まえて伺わせていただきたいんですけれども、三分の一超にとどめた理由なんですけれども、これは恐らく民間企業としての自主性を尊重していくということがまず大前提にある、私はこのように思って受けとめているんですけれども、この処分期限を決めないと、結果として全額または相当高い政府の持ち株比率が長期にわたって維持される可能性もある。そうなりますと、政府の株の保有比率が高いまま推移していくと、企業としてのガバナンスはどうなるのかということももう一方では問われるわけですね。この辺について亀井大臣の見解を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 これは、日本郵政が事業展開をしていく中で株式を処分していく場合、市場との関係もあるわけでありますので、まさにこれは国民的財産でもあるわけでありますから、その処分について、やはり日本郵政の業績の状況、市場の状況等も勘案をしながら決めていくべきことでありまして、政府がこれを早く売れとかあるいはまだ売るなとか、そういうことを日本郵政に対して強く強制するよりも、日本郵政自体が自主的に判断をしていくということが主体になっていくと思います。

稲津委員 今、日本郵政の自主性にゆだねるという御答弁をなされました。

 そこで伺いますけれども、民営化以降、経営の効率性が高まっているという声も聞いております。今後、株式を公開することによってさまざまな角度から、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、いわゆる監視され、あるいは、これが一番大事なんですけれども、経営の透明化が図られる。そう考えていきますと、会社が今後成長しようというガバナンスをきかせることにもなる、私はこう思うわけでございます。そういう期待もあるということを申し上げたいと思います。

 しかし、今回のこの改革法案では、金融二社の完全処分というのが撤回されて、新たな郵政会社の株式も含めて処分期間の明記がない。そうなりますと、ある意味では非効率な経営に戻るのではないか、こういうことを危惧する声があるのも事実でございまして、経営の効率性、それから、先ほど申し上げました透明性をどう確保されるのか、この点について見解をお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 私は、日本郵政としては自分たちの自主性をできるだけ発揮していく体制を望むと思います。そういう意味では、私は、日本郵政が株式をどんどん処分していける状況を積極的につくる努力をしていくだろう、このように思います。

稲津委員 そうしますと、大臣、株をどんどん売却できるような方向に進めていくとおっしゃいますけれども、もう一度伺いますけれども、そういう方向でよろしいんですか。

亀井国務大臣 それは、私は先ほど言いましたように、これは国民の大事な財産でもあるわけでありますから、それの処分については市場との関係もあります。そうした意味で、やはり日本郵政としては、政府全体の判断ということも株式を処分する場合に勘案をしていくことも当然あり得るだろうと思います。

原口国務大臣 稲津委員、民営化後効率化が進んだとおっしゃいますけれども、例えばどんなところですか。私たちは、先ほど申し上げた共通部門の人員で、本社で一・八九倍、支社では一・二二倍、五分社化ありきの民営化によってまさに非効率になっているわけです。あるいは、亀井大臣も御指摘をされていますけれども、全国を二社に備品の発注をした、その発注は、この総務委員会でも指摘をしましたけれども、これまでより高いものですよ。そして、地域ときずなを失って、郵貯や簡保の営業の拠点さえ失っている。逆に言うと、どこが分社化による効率化なのか。

 その一方で、不動産売却については何が行われていたか。これも検証委員会で指摘をされましたけれども……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてくださいませんか。理事があそこまでしゃべる。

近藤委員長 御静粛にお願いします。

原口国務大臣 これまでの退職引当金をもとに不動産売却をしようとしていたわけです。

 だから、民営化でも、先ほどから何回も申し上げていますけれども、本当のコーポレートガバナンスをきかせるためには、亀井大臣がおっしゃるように、早く市場がチェック機能を持たなきゃいけない、そこは私たちも同じです。しかし、形だけの民営化によってガバナンスがきかなければ国民共有の財産は毀損する。このことも、稲津委員、ぜひ認識を共有させてください。

稲津委員 私は亀井大臣に一生懸命質問させていただいているんですけれども、原口大臣が間接的に御答弁なされて、ちょっと済みません、この後ぜひ亀井大臣に御質問させていただきたい、時間も限られておりますので。よろしくお願いします。

 株式の問題についてもう一点伺いたいんですけれども、株式の売却時期の明記がない、政府の関与がいつまで、どの程度残るかわからない、こういう状況の中で関連銀行、関連保険会社が行う新規事業について認可制から届け出制に変更する。そして、今度はある意味容易に事業拡大ができる道を開いた。これはどういうことなのか、この点について亀井大臣にお伺いしたい。

亀井国務大臣 ユニバーサルサービスをきっちりと担っていただくと同時に、民間企業としての自主性、創造性、そうした民間企業のメリット部分を日本郵政に最大限に発揮していただきたい、私はそういう観点からこの仕組みその他を含めて考えておるわけであります。

稲津委員 ちょっとよくわからないんですね。

 では、ちょっと方向性を変えて質問させていただきたいと思います。

 今、株の売却状況が明記されない中で、今度は事業についてはある意味届け出制に緩和をして事業拡大できるようになっていく。確かに、この改革法案には「同種の業務を行う事業者の事業環境に与える影響を踏まえ、当該事業者との競争条件の公平性に配慮して行われるものとする。」と明記されております。具体的にどのような基準でこの競争条件の公平性が保たれるのか。公的関与が強化、永続される中で公平な競争条件の確保というのは難しいと思いますけれども、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 この第三者委員会の設置というのは、日本郵政が、これは日本一の会社でもありますから、その体力に物を言わせて民間企業をどんどん自由に圧迫していくというような事態、そういうことは起こり得ないと思います、良識的な経営をされるわけでありますから。しかし、それを第三者委員会が、これは大体十名ぐらい予定しておりますけれども、これは総理大臣の任命によってそういう方々が、新しい事業展開、これは適当であるか適当でないかということを国民の立場に立って御検討いただく、それに基づいての届け出をやるわけでありますから、第三者委員会が適当でないというような判断をされた事業については、事実上、日本郵政はそれに手を出すことができないという形になっていこうと思います。

稲津委員 大臣もコメントなされているみたいですけれども、実は、私も、金融八団体から御要望、御意見をいただきました。何点かありますけれども、一つだけ御紹介しますと、もう既に十二分に御存じだと思うんですけれども、この「共同声明」の中には、「政府が、日本郵政株式会社の総株主の議決権の三分の一超を常時保有し、経営上の重要事項に係る拒否権を保持し続けるなど、現在のみならず将来にわたって政府の強い関与が残る日本郵政グループは官業と見做さざるを得ず、金融事業の規模を縮小の上、民業補完に徹すべきである。」、こういう要請内容がございました。

 やはり、これまでの段階で御質問させていただいたように、株をこれだけ保有して公平性が十分保たれない中では、私が先ほど主張したような状況にならざるを得ないんじゃないだろうか、このように思うわけでございます。

 時間がありませんので次の質問にさせていただきますけれども、大臣、今私が申し上げましたこの八団体等の御意見、懸念、こういうことに対してどのようにお答えするか、ぜひ見解を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 八団体の御懸念は当たりません。

 私どもは、八団体の方々に、郵政法案をつくる前から丁寧に御意見を聞かせていただいております。その過程の中で申し上げておるのは、金融機関自体がみずからの社会的責任をしっかりと自覚した上で、ぜひあなた方自体が業務展開をしていただきたい。そうして、ある意味では競争相手であることも間違いないわけでありますが、競争相手の競争条件が今までよりも強くなりそうだということで過剰な反応をされることは、これは余り適当ではない。それよりも、みずからの社会的責任をきっちりと果たしていかれる中で、国民、預金者の方々からきっちりとした信頼をかち得ていかれることの方が大事なのではないかということを私は申し上げております。

 また、ここで言うことではないかもしれませんが、御承知のように、今、金融機関全体としてはほとんど税金は払っておられません。今の金融業界は、過去の大きな痛手の中から立ち上がっていく中で、御承知のように、ある意味では国民の全面的な支援を受けているわけです。支援を受ける中で、現在は税金をすらほとんど払っていないという現状から一日も早く脱していく、そうした気持ちを持っていただきたい、私はこのように思っております。

稲津委員 もう一回話をもとに戻しますけれども、競争条件を変えているような状況の中で、それはちょっと、私、違うと思いますよ。

 では、なぜこの八団体がこのような共同声明を提案されてくるのか。ほかにも個別にお聞きしましたよ。やはり、民業圧迫につながっていくという強い懸念の声がありますよ。ですから、ここのところは絶対しっかり受けとめていただきたい。

 時間になりましたので終わらせていただきますけれども、これは委員長に申し上げたいと思いますけれども、先ほど西委員からも提案がありました、そういった方々の声をぜひ聞いていただく、あるいは質疑を我々もさせていただく、そういう機会を与えていただきたい。

 これは民主党の皆さんにも一言申し上げたいと思いますけれども、きょうも一つありました。二〇〇五年の衆議院選挙、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を引き下げる、こう申されておりましたよ。ですから、私は、要するに、整理がつかないような状況の中でこれはいけない、ぜひさらに議論をさせていただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 郵政改革法案について質問をいたします。

 五年前の郵政民営化法案のときにも特別委員会で私は質疑しましたし、原口大臣とも当時、そういう中での論戦を一緒に行ったものでございます。

 五年前の郵政民営化法というのが、郵便やあるいは金融のユニバーサルサービスを損なう、国民サービスを後退させるものであって、結果として、アメリカや財界の要求にこたえた形で国民共有の財産を食い物にする、こういう点で大反対をいたしました。この五年間がもたらしたものは、まさにそのとおりだ。そういう点でも、この郵政民営化にストップをかけるという点で、私ども立場を同じくするものであります。その上で、今後の制度設計をどうしていくのか、この点が今度の法案で問われてきているところでございます。

 私たちは、郵便とともに金融のユニバーサルサービスをしっかりと保障していく、そのためにも持続可能な経営形態をしっかりと確立していく、この立場でこの法案についてただしていきたいと思っております。

 そういう点でも、五年前に大いに議論した点では、小泉首相と一国会で五回も論戦を行いましたし、時間をかけて質疑も行いました。亀井大臣や原口大臣の御意見をしっかりと受けたいと思っていますし、大いにこういう議論を積み重ねていくその第一歩として、きょう質問をさせていただきたいと思っております。

 最初に亀井大臣に伺いたいのは、金融のユニバーサルサービスの確保の問題でございます。義務づけということで掲げておられるわけですが、この金融のユニバーサルサービスを確保する仕組みはどのようなものになっているのか、その点についてお答えいただけますか。

亀井国務大臣 ユニバーサルサービスを具体的に実施していく組織、機関、これは具体的には郵便局がそれを担っていくという形になると思いますけれども、それの業務に、ゆうちょ、かんぽの業務を業務委託していくという形の中で日本郵政株式会社がその責任を果たしていく、そういう形になってまいると思います。

 このユニバーサルサービスをどう担保していくかということでありますけれども、私は何度も申し上げますが、すべてこれを機械化して、コンピューター化してそれをやっていくといいましても、これは人を相手にする仕事でありまして、じいちゃんばあちゃんからいろいろな方々、その地域に住んでおられる方々を相手にサービスをしていくわけでありますから、私は、やはりこの日本郵政の職員がそういうことをきっちりとやっていける、そういう仕事のやり方をしなければならない、このように考えております。

 そういう観点からも、職場のモラール、職員のモラールが極めて大事だということから、本人が希望しておられる場合、業務の形態からいって正社員が適当な場合は、非正社員を正社員にする。これは御党も同じように主張されておる点でありますので、共通する点でもあろうかと思いますけれども、私どももそのように考えておる。ただ機械的に、組織的に、形だけやればうまくいくというものではない、このように思っております。

塩川委員 組織は人の問題ですから、非正規の正規化という点で、この具体化の実現のために、大臣としても大いに奮闘いただきたいと思っております。

 その上で、実際、その金融のユニバーサルサービスを確保する仕組みという制度設計の話として、今大臣は、業務委託契約という形でお話しになりました。もちろん義務がかかっているのは日本郵政会社ですから、でも実際に金融サービスを提供するゆうちょ、かんぽには、民間の金融会社となると、その義務はかかっていないということであった場合に、業務委託契約を通じて、どうやってそれが担保されるのか、その点についてお尋ねしたいんですが。

大塚副大臣 御懸念のような、論理的な懸念はあろうかと思います。したがって、法律の中には、関連銀行、関連保険会社という考え方を持ち込ませていただいておりまして、これは改革法の第八章六十四条以降と第九章の六十七条以降に規定をしております。

 この関連銀行、関連保険会社をなぜ日本郵政株式会社が持つかといえば、日本郵政株式会社は、金融と郵便の基本的なユニバーサルサービスを顧客に提供するために、そうした関連銀行、関連保険会社を持つことができるというたてつけになっておりますので、もし今御質問のような、現実にはなかなかあり得ないと思いますが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命がしっかりその責務を果たせないということになれば、他の先と委託契約を結ぶということも論理的にはあり得るということであります。

 したがって、法的にはどのように担保されているかと問われれば、今申し上げました第八章と第九章によって担保されているということになります。

塩川委員 株式保有の三分の一超、これによって、いわば拒否権を発することができるということで担保されるという趣旨です。

 実際に、業務委託契約の場合で、これは郵政改革素案の資料のところにも、資料の六として「出資比率による経営関与のあり方」、今大塚副大臣が御説明になった出資比率に応じての関与のあり方についての表があります。そこで、「(金融二社の定款に「郵便局を通じた金融サービスの提供」を記載し、当該定款により金融ユニバーサルサービスを実現しようとする場合に必要な株式保有割合等)」ということで、三分の一超であれば拒否権を発動できますよ、定款について、何か重大なことを書きかえるということであればストップをかけられますよという旨のことが述べられているわけであります。ですから、三分の一超の株式を保有すれば、「経営上重要な事項に係る決議を単独で阻止可能」という仕組みとなっているわけです。

 ですから、金融二社の定款によって金融のユニバーサルサービスを確保する仕組みとなっている。その三分の一超の株式保有によって、定款変更を阻止することと相まって担保がされているということになるわけであります。

 そこで質問ですけれども、私は、そういう意味でも、そうなると定款がどうなるのかということに当然関心がいくわけであります。金融のユニバーサルサービスを実現する場合には、この資料の六の書きぶりでは、「郵便局を通じた金融サービスの提供」と書いてあるんですけれども、例えばここについて、郵便局と単に書くんじゃなくて、すべての郵便局を通じた金融サービスの提供とか、提供すべき金融サービスについても具体的に列挙して、提供すべき金融サービスを掲げるとか、そういった措置も必要なんだと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

大塚副大臣 的確な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 午前中の他の委員の方の御質問にもありましたが、簡易郵便局においては、現状ではフルセットでの金融と郵便のサービスを行っていないところもございます。そういった先に、保険業務をやっていない簡易郵便局にいきなりそれができるかというと、なかなか難しい面もございます。したがって、すべてというふうに記述することはなかなか難しいところではございますが、しかし、日本郵政株式会社全体に、全国あまねく公平にサービスを提供する義務が課されておりますので、そうした現状を前提としつつ、今の法的責務を果たせるように、これから経営をしっかり行っていくということだというふうに理解をしております。

塩川委員 定款の書きぶりについては今の段階できちんと示せないということでありましょう。そういうお話でありました。

 繰り返しますけれども、今回の法案では、ユニバーサルサービスの確保の仕組みというのは、この金融二社の定款と、その変更を単独で阻止することができる株式保有ということで担保しているわけです。しかし一方で、この金融二社というのは、銀行法上、保険業法上の民間会社となっているわけで、経営の自由を縛られず、その一方で、親会社のユニバーサルサービス義務を保障するサービス提供を求められているという矛盾の中に置かれるわけです。これが両立する定款が可能なのかどうかということがまさに検証されなければいけないと思うわけです。

 そういう点でも、私は、しっかりとした定款、民間会社としての営利追求と、ユニバーサルサービス義務を保障するサービス提供を求められている、これを両立する定款がどういうものなのかということについて、まずは委員会に出していただいて、たたき台として議論していただきたい。それについて、ぜひお出しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 それは、極めて定款が重要であると思いますけれども、私どもといたしましては、委員も御指摘のように、そうしたユニバーサルサービスをきちっと遂行できる、そのためにはどうあるべきか、一方では民間企業としてどうきちっと利益を上げていけるか、そういうことについて、やはり両方を満足するようなことのできる、それを可能にする定款でなければならないと私どもは考えておりますので、委員御指摘のように、そういう視点で定款というのは決めてまいりたい、このように思っておるわけです。

塩川委員 そういう趣旨の提案となっているかどうかというのを検証する上でも、ぜひその案というのを委員会にお出しいただきたい。

 ぜひ、理事会でお取り計らいいただきたいと思います。

近藤委員長 理事会で諮らせていただきます。

塩川委員 金融のユニバーサルサービスを保障する上で、親会社、日本郵政会社にその義務をかけるわけですけれども、本来、わかりやすくするのであれば金融二社にかければいいわけですよね。金融二社に義務づけをかければいいということが明瞭だと思うんですけれども、そうしなかった理由は何なのかについて簡単に御説明いただけますか。

亀井国務大臣 それは、やはりトータルとして責任を負う、そういうものがなければならない、そのように考えておるわけでありますので、この法案のようにいたしたわけであります。

塩川委員 いや、それは余り個別の説明にはなっておりませんけれども、なぜ書けなかったんですか。

大塚副大臣 ユニバーサルサービスという言葉は固有名詞のように使われておりますけれども、実は一般名詞でございますので、この場合のユニバーサルサービスとは、明治三年以来、郵便事業と金融の基本的な事業がセットになったユニバーサルサービスを国民の皆さんに提供しているという形で今日まで来ているわけでございます。

 したがって、今大臣が申し上げましたように、これをばらばらに、例えば日本郵政株式会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命というふうに責務を課した場合、個々の業務についての責務は負えても、トータルとしてだれがその責務を負っているかという主体が不明確になりますことから、親会社である日本郵政株式会社にその責務を課す法律体系といたしまして、そして、日本郵政株式会社自身は固有の金融業務を行う権能を持っておりませんので、関係の深いゆうちょ銀行とかんぽ生命の代理店業務を行えるという形にして、実態的に一体となった責任の主体を明確にした次第でございます。

塩川委員 亀井大臣は、本会議の答弁で、「限度額の引き上げについては、御承知のように、民間金融機関は青天井であります。その中で、山の中まで、島までユニバーサルサービスをお願いする以上は、一千万の限度額で手足を縛ってやれというのはむちゃだ、私は、このように考えて、二千万に上げる措置をとったわけでございます。」と答弁されておられます。金融二社については、銀行法上、保険業法上の民間会社でありますから、法律上、ユニバーサルサービス義務づけということにはなっていないわけですけれども、義務が課せられているのは日本郵政会社になるわけです。

 そうすると、例えば大塚副大臣のケーススタディーを拝見していても、ユニバーサルサービスのコストを負担するのは、今回の法律案では日本郵政グループと説明されているんですけれども、ユニバーサルサービスのコストを負担するのはこの義務づけのある日本郵政会社ということなんですか。

大塚副大臣 一義的にはそういうことになります。もっとも、今後の株式の保有比率の推移等にもよりますが、この子会社が連結対象である間は、結果として、連結決算が行われる中で、間接的にゆうちょ銀行とかんぽ生命も負担をするという構造にはなると思います。ただ、繰り返しになりますが、一義的には、そのコストを負担するのは日本郵政株式会社であるわけであります。

 そして、そのコストについては、先ほど西委員の御質問にもありましたが、国の負っている責務を日本郵政株式会社に課すわけですから、国がさらに本源的にコストを負担するべきだという議論もありましたが、これまでの経緯もありますので、日本郵政株式会社自身が負っていくという法の構造にさせていただいた次第でございます。

塩川委員 郵政公社時代まで、税金の投入もそもそもなかったわけですから、そういうことでやってきたわけであります。そういう点で、今お話しのように、一義的にはそういうことになるということでした。

 その上で、金融のユニバーサルサービスのコストは幾らになるということでお考えになっておられるんでしょうか。

大塚副大臣 これは、先ほども申し上げましたが、明確に定義をすることがなかなか難しいということで、私自身が担当副大臣として一つのケーススタディーをお示ししたわけでございます。

 もしお手元に資料があれば御確認をいただきたいと思うんですが、今、金融のユニバーサルサービスというふうにおっしゃいましたので、過疎地域の金融業務という定義で計算を仮にしてみると、平成十五年度までに過疎地域の郵便局の平均費用とか平均収入というデータがございましたので、そこから算出をしました平均赤字額に過疎地域という定義の中に該当する店舗数を乗じますと、その金額が四百六十四億円になったという次第でございます。

塩川委員 今のように、大塚副大臣のケーススタディーで、ユニバーサルサービスコストについての試算を行っておられます。ここで、事業別に見た郵便局のコスト、及び当該コストに地域性を勘案した整理では、金融のみの場合に、ケース1は九千五百五十億円、ケース2の場合は七百二十億円、ケース3は三百九十億円となっております。

 その上で、ユニバーサルサービスのコストについて、一義的には日本郵政会社が負担をするけれども、金融二社についても、間接的に負担もという話も今ございました。

 私は、こうしたコストを民間金融二社が、民間会社としてそれは受け入れられないということもあり得る話だと思っておりまして、負担を拒否する権利というのは当然あると思いますが、そういう点では、例えば手数料の額をどうするかといった点でも、当然意見の相違というのが出るかもしれない。

 そういった日本郵政会社と金融二社の間で意見の一致がない、対立が生まれるといった場合に、これをどういうふうに調整するということになるんでしょうか。

大塚副大臣 大変本質に迫る御質問をいただいていると思っております。したがって、だからこそ今回の改革が必要であり、そして先ほどの御質問にありましたように、定款が重要になってくるわけでございます。

 民間企業と一口に申しましても、それぞれの企業がどういうことを目的にした経営を行うのかというのは、それぞれの企業の判断でございます。その判断は、株主の意思にもかかわりますが、株主総会を経て決められる定款によって規定される部分がございます。

 もし、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が、この郵政改革の後の郵政事業に参画をすることによって、このユニバーサルサービスを担保するための業務を行うことが民間企業としての自分たちの経営の目的だというふうに定款等に定められる場合には、今委員の御懸念のようなことはなくなるわけであります。

 ただその一方で、民間企業でありますので、いや、もうそういうことには参画したくない、独自の意思で経営を行っていきたいということになった場合には、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が日本郵政グループから離脱する可能性があるわけであります。だからこそ、百三十年、四十年続いてきた郵政事業が、徐々に自由な郵政事業として発展していくこのプロセスにおいて、平成二十九年までにその株式を完全売却するということは拙速に過ぎるという判断のもとで、当面の間は三分の一超の株を持つことによって、重要な経営の決定事項についての拒否権を持つ、つまり定款の変更権も持つという形にいたしました。

 そのことによって、例えば、仮定の話でございますが、今お話にありましたような、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が、もう郵政事業というユニバーサルサービスには参加したくないというようなことを早々に形にするというようなことは、政府として、あるいは日本郵政株式会社として阻止できるような経営構造にさせていただいた次第でございます。

塩川委員 先ほど、定款の変更権と……。定款の変更の拒否権でいいですか。

大塚副大臣 正確に申し上げますと、会社法上は、経営上重要な事項に係る決議を単独で阻止可能ということでございますので、この決議等が、定款変更との関係等においても優位な効果を持つというふうに理解をしております。

塩川委員 ですから、そういう点でも定款案がどんなものかなというのは大変関心があるわけで、今言ったように、そういうことが一番の担保になっているわけですから、私はしっかりお示しいただきたい。それなしには、本当に確保されたと私としては認めがたいということを申し上げておきます。

 それで、ドイツにおきましても、現にこういった対立というのはあったわけですね。ドイツ・ポストとポストバンクが郵便局の手数料をめぐって対立したということになっているわけですけれども、この点についての事情はもちろん御承知だと思うんですが、これはどういうふうに決着したんでしょうか。

長谷川大臣政務官 最終的に、ドイツの場合には、分離されました郵便貯金銀行が郵便局への委託を全部取りやめたという形になったわけでございます。

塩川委員 ドイツ・ポストがポストバンクを一〇〇%子会社にするということだったんじゃありませんか。

長谷川大臣政務官 正確に申し上げますと、ドイツ・ポストから独立をした郵便貯金銀行、ポストバンクが郵便局への委託を全部取りやめるという話になりまして、その株を全部ドイツ・ポストが買い戻した、こういうことでございます。

塩川委員 一〇〇%の子会社にした。もちろん、郵貯の規模が違いますから、単純にこれをスライドさせる話ではありませんけれども、しかし、これが歴史的な一つの事実としてあるんだという点はしっかりと見なければいけない。

 そういう点で、五年前の郵政民営化法と今回の法案の違いですけれども、今回の法案では、誕生する新日本郵政株式会社は、株式会社で、政府の株式保有割合は三分の一超となっています。これは小泉民営化法と同じ。ゆうちょ銀行とかんぽ生命は、銀行法、保険業法上の民間会社であり、この点でも小泉民営化法と同じ。

 違いは、小泉民営化法では、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を、日本郵政株式会社が一たんは全株式を処分するという仕組みであったのに対して、今回の法案は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の三分の一超を日本郵政株式会社が保有し続けるということだけでありまして、その点では小泉民営化というのが、彼らの立場でいえば、筋を通して完全民営化を目指したわけですけれども、今回の場合は、民営化ではあるけれども、不完全民営化といいますか、そういうスタンスのものだなと受けとめております。

 しかし、金融二社は、利潤追求の民間会社とすることには変わりがないわけであります。そもそも、金融二社をなぜ民間会社とする必要があるのかという議論なんですが、その点はいかがですか。

大塚副大臣 その点は、政府・与党内でも随分いろいろな議論がございました。固有名詞を出して恐縮でございますが、当委員会の筆頭理事の福田先生などは、公社的な存在の方が、やはりユニバーサルサービスを国民の皆さんに責任を持って提供する上では適しているのではないかという御意見もありました。

 しかしその一方で、やはり今のゆうちょ銀行、かんぽ生命の業務の内容が余りにも限定的になっておりますことから、これをより自由な形で発展をさせていく、そして他の金融機関との業務提携等も念頭に置きつつ、地域の経済や国民経済全体に寄与し得るような展開を想定いたしますと、特別法のもとに置くよりも業法のもとに置いて、他の民間金融機関と同じ競争条件のもとで、行く行くはしっかりと新しい業務に取り組めるようにした方がいいであろうという判断のもとで、子会社については業法のもとに置くという法案とさせていただきました。

塩川委員 新規業務にもどんどん参入していく、そういう同じ競争条件でやっていくということで、機動的に対応するということであります。

 小泉郵政民営化では、郵政事業はじり貧だから、それで民営化をして、新規事業、新規業務を行うことでじり貧から抜け出す必要性が強調されていた。この辺は議論されたわけですけれども、この点については今の政府も同じ認識なんでしょうか。

大塚副大臣 基本的には同じでございます。

 じり貧という表現が適切かどうかは微妙なところでございますが、やはり郵政事業というのは、特に金融二社については徐々に、規模もその内容も、やや発展性に欠ける方向に来ていたということは事実だというふうに思っております。

 ただその一方で、小泉総理のもとでの民営化においては、きょう柿澤委員からも御指摘がありました、当時の骨格経営試算という、クレジットがだれの者かはよくわかりませんけれども、その骨格経営試算によると、民営化をするとその傾向が劇的に改善するという説明であったわけでありますが、現実にはそうではなく、むしろ、それまでのトレンド以上に資金量も減り、そしてガバナンスについても脆弱な状態になってきておりますので、今回、私どもの改革は、それを改善する方向で内容を検討し、提示をさせていただきました。

 したがって、御質問の内容に戻りますと、徐々に脆弱になっていた日本郵政グループの経営を強化し、発展させる方向を念頭に置いているという意味においては、そのとおりでございます。

塩川委員 このじり貧論、じり貧という認識は基本的には同じという話で、先ほど骨格経営試算の話を出されましたけれども、竹中大臣がじり貧論の根拠としてさんざん使ったのが骨格経営試算だったわけですね。その点は大塚副大臣なども指摘をされておられたわけですけれども、この骨格経営試算で、郵政事業がこのままでは行き詰まると描き出して、民営化による新規業務で大幅な利益が得られる、民営化をバラ色になると正当化するための試算という指摘だったわけです。

 そうした政策誘導のための試算であっても、これは五年前に我が党も議論をしましたように、郵政公社が存続した場合において、郵政公社が赤字に陥ることなく存続するシミュレーションも成り立つということを佐々木憲昭議員などが指摘をしたわけであります。ですから、新規事業を可能とするための民営化の必要性が証明できなかったということにもなるわけです。

 そこで、この大塚副大臣のケーススタディーについてなんですが、シミュレーションの一つとして、ゆうちょ銀行にとって一番不利な条件のもとで、ゆうちょ銀行の収益が出されていると思うんです。ゆうちょ銀行の損益に関するケーススタディーにおいて、一番不利な条件のもとでの収益見込みについてどのような試算を出されているのか、お答えください。

大塚副大臣 これは先ほども申し上げましたが、どなたでも後々検証可能な、客観的なデータしか使っておりませんので、今御指摘の点について、もし私の資料をお持ちであれば十ページのところをごらんいただきますと、ゆうちょ銀行については、「過去二年間の金利状況を前提条件として、仮に五年間で貯金残高が一千億円増加すれば、五年後の資金運用収支は約九億円増加する」、こういう計算をしているわけであります。

 その一方で、残高については、私が提示申し上げたケーススタディーで、ミゼラブルな方で申し上げれば、今後五年間で他の金融機関も含めた金融全体の個人預貯金残高全体が変化しない場合で、郵貯だけが減少して他の金融機関が増加するという前提に立てば、十・三兆円減少するわけでありますので、一千億円で九億円ということになりますとその約百倍になりますので、九百億円の減益になるという計算になります。

塩川委員 そういうシミュレーションで、この資料の十二にありますけれども、預金が十・三兆円減少する場合に、経常利益では四千百三十一億円という数字、これはそのとおりですね。

大塚副大臣 確認でございますが、それはかんぽ生命の場合でございますか、十二ページと申しますと。(塩川委員「資料の十二」と呼ぶ)資料編の方でございますか。(塩川委員「ええ、ケーススタディーの方で、右から二つの」と呼ぶ)失礼いたしました。

 資料の十二、おっしゃるとおりでございます。

塩川委員 竹中大臣の骨格経営試算でも、このケーススタディーの場合でも、いわば新規業務なしのスタイルでも郵貯事業が一定の収益が確保されることになっているわけです。ですから、必ずしもじり貧ではない。

 この間でいえば、もともと生田さんのころは、多過ぎる、危ないから減らせという方針だったわけですし、西川さんのころというのはあれだけの混乱ですから、実際、伸ばそうと思っても、結果的には減少せざるを得なかったというのが実態であるわけですよ。

 そういう点で、私は、新規業務をやらなければサステーナブルではない、持続可能とならないという試算をしっかり示していただきたいんです。大臣が、新規業務とか限度額引き上げと言うわけですけれども、では、本当に新規業務をやらなければ持続可能にはならないという試算をしっかり示していただきたいと思うんですが、いかがですか。

大塚副大臣 これもまた、二〇〇五年を経験させていただいた立場からすると大変興味深く、本質的な御質問をいただいたと思うんです。

 竹中さんが当時、骨格経営試算でお示しになったのは、今塩川委員がおっしゃったのと多分同様のロジックで、したがって新規業務をやればこういうふうになるというふうに、いろいろな新規業務を想定されたわけであります。

 例えば、郵便については、国際展開をすれば二百億円の収益が上がる、業務の効率化で三百億円。貯金については、融資等運用を行うと三千二百億円の収益が上がる。そして保険については、短期間のうちに三〇%が第三分野になって、五十億円になる等々。

 こういう想定を置いた結果、結局、それまでのトレンドでありますと、二〇一六年度には四千二百八十三億円のグループ全体の利益に低下していくところを、その新規業務で六千五十億円を付加して、二〇一六年度にはグループ全体で一兆三百三十三億円の利益を上げるという試算を、だれのクレジットかわかりませんが、御提示をされて議論したことは委員も御記憶にあると思います。

 したがって、この新規業務をどのように想定するかというのは非常に難しいわけでありまして、政府がこのような新規業務を想定するといってもし提示をした場合には、では、それは一体、政府としていつ認可をするのか、いつその業務を認めるのか、そういうことまですべて予定調和のように示した上でないと、結局、骨格経営試算と同じようなことになるので、大変難しい御提案だというふうに思っております。

塩川委員 そうしますと、なぜ新規業務をやらなければいけないのかという論拠を示さないままになってしまうんじゃないのかということであります。

 もともと、新規業務をやってくれというのは国民や利用者の要望ではなくて、日本郵政から出されているものですから、日本郵政自身は株式会社として、利潤なりもうけを上げるということについては、当然、その筋での要求は何でも行ってくる。それが正しいかどうか検証するというのが政府の姿勢であり、我々の果たすべき役割だと思っております。その点について、きちっとした検証もないままに進めていいのかということが問われてくるわけです。

 金融二社を民間とするのであれば、ゆうちょ銀行を、政府出資、全国ネットワーク、三事業一体から切り離して、形式上イコールフッティングを確保した小泉郵政民営化法というのがいわば正しいというか、整合的というか、その筋でいえばそういうふうになるのかもしれません。しかし、小泉郵政民営化がもたらしたのは、金融のユニバーサルサービスの義務を廃止して地域から郵便局を奪っていく、こういった中身だったわけですから、国民が審判を下したのだと。

 であれば、今回の法案は、金融のユニバーサルサービス確保の展望が本当に見えてくるのか。郵政グループに政府出資、全国ネットワーク、三事業一体という特権を認めて、中小金融機関とか、国民にとっても地域経済にとっても利益がなく、郵政グループだけが得をするような、そういう法案となっているのではないか。この点についてのしっかりとした検証が問われているということを申し上げておくものであります。

 時間の関係で、最後に、郵政の非正規の問題について、ぜひ亀井大臣にお伺いしたいと思っています。

 今や郵政グループは、二十万人を超える日本最大の非正規雇用を抱える事業体となっており、貧困と格差を拡大した小泉構造改革の象徴でもあります。郵政民営化の見直しでは、当然、郵政グループの非正規雇用の見直し、正規化が不可欠の課題です。

 郵政グループが、五月七日に、期間雇用社員の正社員への登用について発表しました。正社員登用に応募できる者は、勤続三年以上、月給制契約社員は勤続二年以上で、週所定労働時間が三十時間以上の六十歳未満の期間雇用社員とするとされています。

 我が党の大門実紀史参議院議員が、三月十二日の参議院予算委員会で、三年以上の契約を繰り返している非正規雇用の社員が十二万一千七十人いるという事実を示して、正社員化を求めました。亀井大臣は「議員のおっしゃるとおりにいたします。」と答弁をされて、これは非正規の皆様を大いに励ますものであったわけであります。こういった利潤追求のあり方を転換していくという点でも重要な答弁だったと受けとめております。

 しかし、郵政グループの方針は、三年以上働いているという非正規の人十二万人を正社員化の対象としているんでしょうか。

亀井国務大臣 今、十一月時点で六万五千人程度の方々に正社員になっていただく、そうした方向での検討をしておりますけれども、十万人近くの人が正規社員を望んでおられる、また、業務の中身においても正社員として働いてもらうことが適当だというのは大体その程度になるのではないかという、まだ正確ではありませんが、雇用の実態について、そういう診断を齋藤社長はしておるわけであります。

 その基準でありますけれども、現在、まだきちっとしたものをつくっておるわけではございませんけれども、私が内々に聞いておりますところでは、大門議員からも非常に具体的な御提起もいただき、また委員からもそういう御提起をいただいておる、そういう状況も我々はきちっと承知をしておりまして、日本郵政が今具体的な中身を詰めておる最中でありますけれども、大根を切るみたいにぴしっと仕分けをしてしまうということはしないで、ある程度弾力的にそのあたりは運用したい、このように考えておりますので、一応、六月の中旬ぐらいをめどに具体的なものをつくり、従業員に対して提示をする準備を今しております。

 相当弾力的な運用をいたす予定にしております。

塩川委員 その点で、最後に一問伺って終わりにしたいんですが、正社員化の対象が実際には半分になった。例えば週三十時間未満で働いている方も多いんですけれども、その対象として、今、日本郵政が考えていると言っているのがそうで、今大臣がおっしゃるように、大根を切るようにすぱっとやるんじゃなくて、弾力的にやってもらいたいという線で、大いに頑張っていただきたいと思っておるわけです。

 そういった週三十時間未満という方も、要するに、郵便局の方から三十時間以内にしてくれと言われて実際に働かされているわけで、皆さんもやはりしっかり働きたいし、正規化を願っている。そういう方も含めて、ぜひ対象としてお願いしたい。

 その上で、私はそういう意味でも、非正規が拡大するという背景は、大きく言えば、構造改革路線のもとで労働分野の規制緩和が行われたことが非正規を拡大させたわけであります。そういう意味では、郵政においても同じことが行われている。

 郵政事業、郵便事業において、信書便法などについての見直しを通じて規制緩和が行われて新規の事業者が参入をする、クリームスキミング、いいとこ取りがある中で、結果として郵便事業の採算が落ちていく。そういうもとで、郵便局で働く方の多くが非正規に変わってしまう。また、同じように宅配事業者でも、実際に働いている方は皆さん非正規ですから、こういう不当な競争のもとで、いずれにしても非正規が拡大するという結果しかもたらさなかったんじゃないのか。こういう点についての見直しこそ必要なんじゃないのか。

 郵政改革という見直しを行うのであれば、こういう郵便事業における規制緩和を見直すことで、郵便のユニバーサルサービスも保障するし、労働者の非正規の正規化を求めていく、こういう転換こそ行うべきだということについて、亀井大臣、原口大臣、ぜひ一言ずつお願いします。

亀井国務大臣 日本郵政、これは日本最大の企業でもあるわけであります、また世界最大の企業でもあろうかと思います。これの雇用形態をノーマルなものにしていくことが、今日本を覆っている、人間の犠牲の上に立って、とにかく利益を上げていくのが当たり前だという、今の形態を変えていくまさにその先兵になってもらいたい、このように私は考えております。

 なお、先ほどの三十時間というのは今変えさせておりますので、それは、さらに弾力的にやるような予定にしております。

原口国務大臣 塩川委員の御指摘は、大事な御指摘だと思っています。

 特に、やはり人間らしい働き方、これが基本です。非正規社員が会社員の大きな割合を占める背景には、郵便市場の規制緩和のほかに、非信書送達分野での競争や経済の停滞、行き過ぎた効率性の追求、効率性といいながらも、さっき申し上げたように物すごく非効率で、一部の人たちだけが得をする、こんなことはあってはならないというふうに考えておりまして、亀井大臣とともに、働く人たちを大事にする郵政、これは人間がやる企業でございますので、人間らしい働き方が基本であるべきだ、このように考えています。

塩川委員 郵政民営化の見直し、郵政改革を行うというのであれば、郵便市場の規制緩和路線も見直すべきなのだ。この点について訴え、こういう審議こそ必要でありますので、質疑終局、採決などをきょうやるようなことは断じて認められない。来週以降もしっかりとした審議を行うことを強く求めて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、菅義偉君。

菅(義)委員 自由民主党の菅でございます。

 きょう朝から亀井大臣の答弁を聞いていますと、郵政民営化に賛成をした私たちと反対をした亀井大臣との言というのは、かなり違うんだなと思いながら実は答弁を聞いておりました。

 私たち、郵政民営化の原点というのは、まさに巨額の郵貯資金、これが財投計画を通じて特殊法人に流れて、無駄な事業だとか天下りの温床になってきた。大きな問題となって、私たちは、この郵貯資金というものを政治の支配からまず解放しよう、そして郵政の民営化を通じて郵貯も簡保も縮小し、資金の流れを官から民へ、そうした方向に変えることを目指して、あの衆議院選挙で国民の皆さんから信を得て、西川社長のもとで民営化を推進してきたわけです。

 結果として、国営時代というのは国庫納付金はゼロ円でした。しかし、株式会社として五千五百億円の税金を納めていたということも事実です。そして、金融二社、貯金も保険も、早ければ今年度中には上場できるところまで準備を進めてきていました。

 しかし、結果として、昨年の選挙で政権交代があって、今回このような法案が出てくるわけでありますけれども、この法案というのは、まさにそうした民営化路線を真っ向から否定して、持ち株会社と郵便事業会社、そして郵便局の事業会社が合体をする。全体として見れば、郵政の九割以上の人がこの一つの会社に復活をするわけであります。そして、金融二社にはそれぞれ倍の限度額を認めるなど、明らかに、私たちが進めた、まさに官から民の流れに逆行する改革であると言わざるを得ません。

 そこで、今回の法案について質問してまいりますけれども、今回のスキームと現在のスキームを比較してみますと、例えば郵貯とか簡保に今回はユニバーサルサービスをつけています。さらに、社会・地域貢献基金制度を廃止しています。そして、早期の上場が明示をされていません。さらに、非常勤の職員を正社員化するということであります。こうしたことを考えてみますと、経営悪化の要因そのものが多いスキームだというふうに私は思っています。

 そこでお尋ねをしますけれども、この新しいスキームの中で年間四千億円の黒字経営というものを維持できるのかどうか、まずこのことについてお尋ねをしたいと思います。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

亀井国務大臣 委員おっしゃいましたように、残念ながら、あなたのような優秀な議員と基本的な郵政のあり方についての考え方が違ったわけでありますし、委員が今のこの惨たんたる郵政事業の実態を見られてもなお同じ考えを持っておられることが、私にとっては極めて不思議でありますと同時に、残念であります。

 今我々が考えております郵政改革、今御審議いただいておりますこの法案、これを実施することによって、基本理念が違うわけでありますから、全く基本理念の違う中での新しい事業展開というのは、私は、間違いなく地域社会または日本国全体にとって、国民のために生き生きとしたものになっていくという確信を持っております。

 では、どれぐらい黒字になるかどうなるか、そこまで算定するわけにはまいりませんけれども、我々は自信を持ってこの法案を提出しております。齋藤社長以下が、本当に現時点においても死に物狂いで、この大転換をきっちりと混乱なくやっていくという努力を今もやってくれております。

原口国務大臣 事実関係のところでございますので、少しお話をしておきたいと思います。

 平成十八年度の公社の経常利益は約一兆三千億円でございました。それに対して、民営化後、平成二十年度の日本郵政グループの経常利益は八千三百億円なんです。公社時代の方が利益水準は高くなっています。

 また、一円も納付していないというお話でございますが、公社時代、国庫納付額は約九千六百億円あったわけでございます、四年分でございますけれども。こういった税金を、当時は公社ですから税とは言いませんけれども、国庫納付金があったということも事実として御指摘を申し上げておきます。

菅(義)委員 私は、国営化時代の話をしたんです。公社時代にそれだけの納付金があったということは承知をしています。

 そこで、亀井大臣は、現スキームの四千億円の黒字がどうなるかということはわからない、ただ一生懸命頑張る、そういう答えでありました。

 さらにお尋ねをします。

 この限度額、貯金については二千万、そして保険の加入限度額は一千三百万から二千五百万ですか、これを引き上げようとした際に、グループ間の消費税約五百億円を支払うかどうかということで、これは新聞記事でありますけれども、閣内で議論されたということが報道されていましたが、今大臣は四千億円について全く言及されませんでした。この消費税について議論をされるということは、新しいスキームというのは、私は、経営悪化というものをかなり想定しているんじゃないかな、そういうふうに思わざるを得ないんですけれども、これについてはいかがですか。

亀井国務大臣 経営悪化を想定なんか全然しておりません。

 今からの事業展開の中で、先ほど消費税の話をされました、これは混乱を起こしたと。あれは違うんです。きょうもマスコミが来ていますけれども、マスコミがいかぬのです、あれは。

 あれについては、我々としては、私が記者会見で聞かれたときに、消費税については、同じグループの中の取引なんだから、それに税をかけるということでない方がいいんじゃないかな、そういう面では、それを外すように我々としてはお願いしたいと。ただ、これは結果からいったら税調で出る話でありまして、その問題であの時点で菅大臣と具体的に議論をしたり検討をしたわけじゃない。一方的に、そうなったらいいなということを私が言ったことを、マスコミがああいう形で報道して混乱が起きておる、ほかの面でもそうですよ、こういうことが実態でございました。

菅(義)委員 先ほど、朝からの議論の中で、収支見通しだとか経営合理化の具体策を、本来であればしっかり示した上で議論すべきだというふうに、私はこれは当然のことだと思いますけれども、大塚副大臣、これについてはなかなか難しいという答弁をされていましたけれども、なぜこの概略というものを出すことができないんですか。

大塚副大臣 朝から私が御提示申し上げましたケーススタディーで議論していただいておりますが、政府として正式にコミットするのは難しいとはいえ、やはり議論のたたき台としていただくために私のクレジットで御提示を申し上げたわけであります。

 尊敬する菅先生のお言葉でございますが、そうであるならば、ここは質問する立場ではございませんけれども、二〇〇五年のときになぜ明確にどなたかのクレジットでそうしたケーススタディーなり政府試算をお出しにならなかったのか、私は疑問でございます。

菅(義)委員 先ほどから今の二〇〇五年の繰り返しでありましたけれども、今度、私たちは新しい法案について質疑をしているんですよ。

 そして、当時は完全に官であったんですね。今はまさに民営化して、皆さんも民営化を進めていくんでしょう。ですから、今はそれなりの基盤があるわけですから、私は、国民の皆さんに少なくとも概略というものは示していかないとなかなか理解を得られないと思いますけれども、いかがですか。

大塚副大臣 これは、私どもの政府・与党内の議論の中でも先生と同様の御意見をお持ちの方もいらっしゃいましたので、私はこのように申し上げました。

 こうすればこれだけの収益が上がるというふうに簡単に言うことはできても、実際にそれを行っていくのは日本郵政で働いている社員の皆さんであって、言ったことを政治家や議会が本当に担保できるのであるならば、先ほども申し上げましたように、その新規業務について政府としてはいつまでに認可を出すのかということ等もいわば責任を持って申し上げないと、なかなか経営試算というものは難しいという議論が中でございました。

 その結果、私としては、先ほどのケーススタディーをお示しし、これも本文を読んでいただくとおわかりいただけると思いますが、日本郵政にとっても、競争相手である民間金融機関の皆さんにとっても、それぞれの経営計画を練る上での参考にしていただきたいという思いで提示をさせていただきました。

 したがって、法律の構成上は、今後、この法案がもし可決をしていただけた後には、業務計画については主務官庁である総務省の認可事項となっておりますので、その業務計画を立てる過程で日本郵政自身が経営のシミュレーションをするものというふうに考えております。

菅(義)委員 私は、国民の理解というのは得られないと思いますよ。よほど収支見通しに対して自信がないんじゃないか、私はこう申し上げたいというふうに思います。

 次に質問いたしますけれども、第一条、郵政改革の定義の中で、「郵政事業の経営基盤が脆弱となり、その役務を郵便局で一体的に利用することが困難」とか、いろいろ書かれておりますけれども、私は、何事であっても、新しいものを行うについては、今までのものについて分析して、どこに問題点があったということを明らかにすべきだと思います。

 今回の法案の中には、現状についてしっかりしたことを書かれていないですよね。そのままで、そういう状況の中で限度額だけが上がってしまう、私、非常に問題だと思いますけれども、これについてはいかがですか。

大塚副大臣 限度額については、きょう、他の委員の方の際に両大臣からも御答弁がございましたが、この限度額の引き上げは、必ずしも経営を改善させるために引き上げを方針として決めたということではございませんで、郵貯については平成三年から十九年間、簡保については昭和六十二年から二十二年間据え置かれている現状を踏まえ、ユーザーである国民の皆さんの金融資産がその間どれだけふえたかということ等を勘案して決めさせていただいた水準でございます。

菅(義)委員 限度額を引き上げて、それをユニバーサルサービスに使うということを大臣は記者会見で言っているんじゃないですか。

 そこで、この経営形態変更についてお尋ねをします。

 今までの郵政事業の五分社化から、今回は三分社化になるわけですよね。郵便事業と郵便局会社と持ち株会社が一つになる。そして、貯金と保険、三分の一をこの親会社が出資をする。そういう状況の中ですけれども、五分社化から三分社化にした理由をお尋ねします。

亀井国務大臣 あのときの五分社化というのは、これは水かけ論になりますからここで言ってもしようがないんだけれども、私は、あのときおやりになったことは、郵政事業をさらに生き生きと強化をするという視点ではなかったと思いますよ、簡単に言いますと。もう一つは、郵貯を縮小していく、簡保も含めて縮小させるんですよ。当然ながら、明治以来の敷設されたネットワーク、これがどんどん効率のないところは消えていく、消えさせる。そういう視点ですから、事業体自体が今後それぞれ民間企業としてきっちりと生き延びていくということは、私は考えていなかったと思いますよ。消してしまえばいいんじゃないかという、極端に言いますと。

 だから、それが民業圧迫にならないんだと。その分を民間の金融機関なり保険会社が吸収していって、官から民へこの資金が流れていけばいいんだと、乱暴な言い方だと。そして、小ぶりになった、民間会社になったあの会社は、MアンドAによって簡単にアメリカの手に渡っていくことを可能にすればいいんだという、その道筋をつけちゃえという、そういうことじゃなかったんですか。これは見方の違いによるかもしらぬけれども。

 だから、このことについては、本当に残念だけれども、議員と幾ら議論をしてもかみ合わない。

菅(義)委員 大臣でしょう、大臣が自分の方向を示すのに、それを説明できないなんておかしいじゃないですか。それをしっかり説明して、説得してくださいよ。それは大臣として失格だと私は思いますよ。

 そこでお尋ねします。

 これは三社化しますよね。今まで質問をしてきましたけれども、数字がなかなか明らかにされていないんですね。非常に不透明な部分が多いですよ。やはり、効率性だとか透明化というのも物すごく大事だというふうに思いますよ。

 この三分社化じゃなくて、郵貯と簡保のお金で運営していくんでしょう、現実問題としては。そうでしょう。最終的には、郵便事業会社だとか郵便局の窓口会社、これが非常にじり貧になってきている、そこで黒字の二社からまさに補助をして成り立たせようというのがこの三分社化の仕組みだと私は思いますけれども、そういう考え方でよろしいんですか。

亀井国務大臣 違います。

 消極的なそうした事業展開を考えておるわけではございません。当然、ゆうちょ銀行、かんぽのその事業展開の中で日本郵政のユニバーサルサービスを実質的に支えていくという大きな役割を果たしてもらうということは、これは事実であります。

 しかしながら、今事業会社、郵便事業そのものが、赤字でおんぶにだっこされる立場でいいとは全然考えていませんよ。それ自体がやはり付加価値を生んでいくような経営をどうやってやればいいか、これは真剣に取り組んでいかなければならないということであって、その部分は全部赤字で、ゆうちょ、かんぽにおんぶすればいいんだなんて、そんなことは私は全然考えていません。

 思い込みで御質問されるのは、ちょっとおやめいただきたい。

菅(義)委員 この三分社化で、例えば郵便局の窓口会社は手数料が八割でしょう。そうですよね。事業会社だって、郵便がどんどんどんどんメールの普及などで減り続けますよね。ここは否定できないと思いますよ。そういう状況の中でユニバーサルサービスを行う。この限度額を二倍にしたのも、やはりこの二つの金融会社によって郵政全体を運営していこうということがあるんじゃないですか。それは全くないということでいいんですか。

亀井国務大臣 私は、全くないなんて答弁したことは今まで一度もありません。

 そうじゃなくて、今までの事業の内容を見ていても、窓口業務だとか宅配業務だとか、いろいろなそういうことの中で今直ちに大きな付加価値を生んでいくということはなかなか大変だなという問題意識はあります。

 しかし、そこをどうちゃんとしていくかということは私は大変大きな課題だと思いますよ、やり方によっては。それは、その部分がお先真っ暗だというのであれば、同様の業種をやっている民間は違いますよ、違うんだけれども、同じように金融とか保険をやってないいろいろな業種、そういうものが新しい時代の波にさらされていきますよ、全部。そういう新しい時代の波にさらされていったら全部だめになってしまうのかというと、そんなことはない。

 私は、郵便事業も含めて、そういうものを乗り越えていく経営をやるべきだと思うし、やっていくと思いますよ。

菅(義)委員 私もそこは当然大臣と一緒ですよ。しかし、この三分社化によって、結果的にはそこの部分が見えなくなるじゃないですか。郵便事業なり郵便局会社は非常に不透明になるんじゃないですか。そのことを私は心配しているんです。

亀井国務大臣 今、限度額の問題が俎上にのって、郵貯、簡保だけに議論が集中しているのであって、郵便配達をしていく業務あるいはその他の面について今の日本郵政も一生懸命収益を上げるための努力を現在もしておる、私はこのように思う。ただ、なかなか難しい分野であることは事実だということです。

菅(義)委員 いずれにしろ、この三分社化による不透明な部分がぜひなくなるように、そして、効率性というものをしっかり推進をお願いしたい、ここをしっかり申し上げておきたいというふうに私は思います。

 これは将来像が示されていないんですね、公社化か民営化か。これは中途半端な今回の案だと私は思うんですよ、民営化と言っていますけれども。実際は、ユニバーサルサービスを貯金や保険にまで今度は課すわけでしょう。ですから、そこが極めてあいまいだというふうに私は思っています。

 そこで、これは売却の時期、条件など、何ら示されていませんね。先ほども稲津委員からこれについていろいろ質問がありました。政府が一〇〇%持ち続けていくことも可能ですね。時期が明らかにされていない。そして、官なのか民なのか、これはやはりあいまいだと思いますよ。お金の使い道、だれが差配、だれが責任をとるのか。これは日本郵政だと言うんでしょうけれども、今までは亀井大臣の意向ですべてが動いてきているように私は思っているんですけれども、どうですか。

原口国務大臣 これは、菅前総務大臣、大分誤解をされているようなところがたくさんあります。

 まずは、どんぶり勘定になんか絶対ならないわけです。今回の法案をごらんいただければ、三社合併後も郵便業務、金融受託業務等の業務区分ごとの収支状況、これは私が野党時代に、小泉さんが隣に座っておられますけれども、それぞれどんぶりだったのを、何年かけて分けていただいたか。六年かかったんですよ。六年かけて、原口一博が変な質問をしおってと言われながら出てきたもので、それを後ろに戻すことはありません。

 それから、亀井大臣の意向とおっしゃいますけれども、今の五分社化のロスをもとに戻そうと。先ほど申し上げましたが、中間的なところばかりふえて、やるから。金融ということでおっしゃれば、では、NTTはどうなのか。NTTは国が三分の一の持ち株を持っていますけれども、あとの子会社は一〇〇パーですよ。だから、私は、菅委員がおっしゃるように、できるだけ早く市場にこれを開放すべきだと思っているんです。ところが、今私たちがやっているのは検証作業なんです。西川体制で行われてきたさまざまな事業計画の検証、総括をしないと、この総括なしには前に進めないので、そのことをぜひ御理解いただきたいと考えています。

菅(義)委員 大臣が今答弁をされました。これでまずもとに戻らないということですから、そこは私も絶対に戻してはならないというふうに思います。どんぶり勘定だけは絶対にだめだというふうに思います。

 きょう採決をするんじゃないかといううわさがずっと出ているんですけれども、少なくともあの郵政民営化のとき、亀井大臣御承知のとおり、私たちは衆議院で百十時間もやったんですよ。それを、きょうたった一日で採決するんじゃないかなというのは全く非常識ですよ。今大臣からお話がありましたけれども、そうしたことをこれからもしっかり審議する時間は私は必要だろうというふうに思います。

 そこで、さらにこの郵政民営化でありますけれども、やはり私は官業回帰だと言わざるを得ないと思いますよ。予算委員会でも質問しましたけれども、齋藤社長は天下りじゃないですか。先ほどもこの問題についてお話がありました。民主党は、脱官僚、天下り根絶、そして政治主導の政治と、あれだけ選挙のときに言ってきた。だから、私たちはここに問題があるということを言っているわけであります。まさに天下り先からわたりの官僚の社長を据えて、そして、金融二社に対しては三分の一を超える株を持ち続けるわけですね。さらに、金融二社というのは事実上の政府系金融機関であると私は言わざるを得ないと思いますよ、先ほどこれについて否定がありましたけれども。まさに金融の肥大化につながっていきますし、当然、国債の引き受け、さらには財投の復活にもつながるのではないか、こういうふうに危惧しておりますけれども、これについてはいかがですか。

原口国務大臣 私たち民主党は、天下り、官製談合、随意契約、そして特別会計の徹底的な追及というのを言ってきました。一方で、官を開くということで回転ドアということもずっと言ってきたわけです。

 私が亀井大臣にお願いしたのは、先ほど申し上げましたけれども、たった二つの要件です。パワーエリートであること、金融がわかること、この二つです。これがどうして財投の復活になるのか。総務大臣をなさいましたからおわかりだと思いますが、これは民間企業です。そして、これを差配することは、政府の中の権限にはどこにもございません。まさに、今までのように、年金資金もこういう郵貯の資金もポートフォリオも全く考えずに丸投げをしていることの方が官業の肥大化である、そう申し上げておきたいと思います。

菅(義)委員 今大臣はそういう答弁をされていましたけれども、いろいろな閣僚から、インフラ整備や海外投資、さらに国家ファンドとしてお金を使うとかいろいろな発言が出ていますよ。こういう発言を私ども聞くと、やはり日本郵政に対して政府が融資先を指定できるんじゃないかな、こういう思いさえするわけですよ。これはいかがですか。

亀井国務大臣 とんでもありません。齋藤社長は、政府の言いなりになるような、そんな人物じゃありません。あなたはよく知っておられるかと思うんだけれども。

 日本郵政が主体的に運用をしていくわけです。ただ、今までのように、これは運用ノウハウがなかったからかもしれないけれども、日本郵政が国民から預かっているお金を主体的に運用することがなかった状況から脱して、何も国債を引き受けて国債経由で産業資金を供給するということじゃなくて、場合によっては直接産業資金にも郵貯のお金を流していく、地域経済のためにも流していく、あるいは、原口大臣が提起されておられますように、世界の人たちの幸せなくして我々日本人だけの幸せということはあり得ない。世界経済の中で生きている我々日本経済でありますから、そういう視点から世界にも目を開いてこの郵貯のお金、簡保のお金を運用していくという、これは運用主体は日本郵政であります。

菅(義)委員 結局、今大臣からそんな話を聞くと、やはりこれはまさに財投の復活と同じようなことじゃないかと。それぞれの大臣がいろいろなものにお金を使うということを発言していますから、それで私は危惧を持って今申し上げたということであります。

 そこで、民主党政権は事業仕分けということで公益法人などの出口の無駄を今なくそうと取り組んでおるようですけれども、しかし、郵貯、簡保の限度額を引き上げる、逆に入り口にまさにお金が集まるわけですから、この二つの政策は整合性がとれないような思いですけれども、これについてはいかがですか。

原口国務大臣 いや、むしろ逆に、先ほど構造改革の失敗というのは、入り口の改革を喧伝する余り、出口の改革をやってこなかった。だから、今なお九割以上のいわゆる随意契約がある。異常なことですよね。また、国の出先機関についても、この間、権限仕分けをさせていただきましたが、どれだけ重複があるかわからない。

 今回、私たちは、財投、いわゆる国が政策目的で一定の投資をやるということを日本郵政に押しつける気なんか全くありません。私たちがさっきから申し上げているのは、国債を持つことだけが安全資産の運用じゃありませんよ、これは大野委員が看破されたように、長期金利が上がってきて、市場金利と国債のスプレッドが変化をすれば、たちまちこれも危険な運用になりますね。だから、さまざまな運用については、今までどおり官僚機構に丸投げするのではなくて、しっかりとみずからで運用してくださいということを申し上げている。

 それに対して、私たちは政府全体として、さまざまな国に売り込んでいかなきゃいけません。これは菅大臣が頑張っていただいたおかげで、ISDB―T方式も、この間コスタリカが、二日前に成功しました。そういったもののファンドやいろいろなものについても、私たちは利用させていただくことがあるかもわからない。しかし、それはあくまで日本郵政あるいはゆうちょ銀行、かんぽ生命がお考えになることですということを再三再四言っているのです。

 財投の入り口改革を失敗させたのは、出口と一緒にやらなかったからであって、私たちは出口をしっかりと改革をしてまいりますので、御指導をよろしくお願いいたします。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

菅(義)委員 いやいや、大臣、そういう発言をしますけれども、大臣の発言というのは物すごく大きいんですよ。亀井大臣は公共事業に使いたいと言うんです。インフラ整備だとか海外投資だとか、あるいは国家ファンドに、そういうのに大臣が投資をしたいと言えば、日本郵政は無視することはできないでしょう。ですから、私はそのことを心配して今申し上げたのであります。

 そして、これは原口大臣にお尋ねをしたいんです。

 先ほど来、二〇〇五年の話をされていますけれども、民主党は二〇〇五年の郵政民営化法案の審議の過程で、対案として名前も同じ改革法案を出されました。そのときの案では、公社体制を維持しながらも、資金を官から民へ流すために、貯金については一千万円の預け入れ限度額を五百万円にするという法案でした。そして、貯金については、これは段階的に最終的に廃止をする、そういう法案であったと思いますけれども、これはどこでどうなってこのような全く逆の法案になったのか、お伺いをいたします。

原口国務大臣 詳細については副大臣からも補足をしていただきますけれども、二〇〇五年の私どもがつくった郵政改革法案、あのときと現在とでは全く違います。

 あのとき私たちが考えていたことは、過剰な郵政の肥大化によって、定額貯金という郵政にとっては大変危険な商品がございました、まずこれを外づけしようと。これは旧勘定の中で最も郵政のサステーナビリティーを奪うもので、これについては限度額を五百万にすることによって、郵貯は五百万にしようと。

 それから、今、郵貯をなくそうとおっしゃいましたけれども、私たちがなくそうとしたのは、郵貯ではなくて簡易保険。簡易保険については類似のものもあるから、簡易保険については縮小あるいは廃止という方向がありますねということでした。

 しかし、現状はどうかというと、ピーク時と比べて、郵便物数は一〇%強、貯金残高は三〇%強、保険契約件数は四〇%強の減少でございました。あのとき私たちが、これぐらいの適正規模で、まさに税金を入れないでやっていけると思っていたモデルをはるかに下回っているわけです。

 今何をやらなきゃいけないかというと、大きな鯨に幾重にもひもをつけて泳げなくして東京湾に浮かべていたんだから、まずはこのひもを外して、太平洋に、少し泳げるようにしよう、これが私たちの改革でございまして、時系列を考えていただければ御理解いただけると思います。

菅(義)委員 まさに、この当時、資金を官から民へというのが民主党の法案だった。これを変えたのは、今大臣いろいろ言われましたけれども、先ほど柿澤委員が言われましたが、カメの一声だったと私は思いますよ。やはり亀井大臣が発言をすると、そうした方向になってしまう。

 あの限度額の二千万円についても、これは新聞報道ですからわかりませんけれども、菅大臣だとか仙谷国家戦略大臣がこんなことをしたら経済に大きな影響が出るからすべきじゃないという議論があったように私は聞いていますけれども、亀井さんの腕力によってほかの人は全部発言をやめちゃったんじゃないですか。

亀井国務大臣 とにかく、菅議員とは思えないような質問を受けて、今、私は面食らっているんです。あなたは、だめになった自民党だけれども、今の自民党を、私のふるさとを、本当に再生される人じゃないかと思ってひそかに期待をしておるんだけれども、しかし、今、あんな推測の、マスコミが書いたことをあなたがこういう公式な委員会の場で言ったら、国民が信用しますよ。

 そういう事実はないんです。また、限度額にしても、原口大臣ととにかく詰めに詰めて、協議に協議を重ねて決めたことであって、そういう意味では、私はあなたが思っている以上に気の弱い男でありますから。

菅(義)委員 亀井大臣が気が弱ければ、私は何と言ったらいいかわからないのでありますけれども。

 ただ、こうした改革、これは抜本改革ですね、これを行うには私はやはり国民の皆さんの理解を得なきゃだめだと思うんですね。前回の衆議院選挙の際に、確かに国民新党はこのことをやるということを選挙で訴えていました。しかし、民主党の人たちは、ここまでやるということは訴えていなかったと思いますよ。ですから、私は亀井さんに先ほどカメの一声で決まったんじゃないかなということを申し上げたんですけれども、亀井大臣、国民新党は前回の選挙でこのことについて民意を得られたと思っていますか。

亀井国務大臣 余り人の嫌がることを聞くものじゃないですよ。

 しかし、国民新党はしっかりと民意を受けて活動しておるからこそ、あの地獄の底で自民党から追っ手まで差し向けられる中で我々は戦って生き延びて、現在、我々をそういう状況にした自民党と戦っておるじゃありませんか。ある意味では、盟友民主党、社民党とともに、あの間違った改革を根底からひっくり返しておるじゃありませんか。我々は民意に沿う政治をやっているから、そうなんですよ。

菅(義)委員 いや、今大臣は民意を得られたと言いますけれども、国民新党の代表の綿貫さんや、亀井さんと違って非常に静かだった亀井久興幹事長、こうした人が残念ながら議席を失ったのではないでしょうか。ですから、これだけの改革を行うのであれば、やはりもっともっと国民の皆さんに説明をする、国民の皆さんに信を問うてやるぐらいのことが必要だということを私は指摘しておきたいと思います。

 次に、金融二社であります。

 これについては民間の金融機関なのか、あるいは政府系の金融機関なのか、先ほどは政府系じゃないという話をしましたけれども、今回のスキームにおいては、会社法で設立し、銀行法で規制をし、預金保険機構に加入している、まさに民間の金融機関であるという位置づけのようでありますけれども、しかし、政府の間接出資があって、間接的にユニバーサルサービスというものが課せられた。やはり、ゆうちょとかんぽというのは政府系の金融機関と言わざるを得ないと私は思いますけれども、いかがですか。

原口国務大臣 いや、全く違いますね。まさに、持ち株に対して三分の一政府が持つ。それがまた三分の一。これを全部売っ払うこと自体がおかしな話で、幾ら金融機関に対して政府が株を持とうが暗黙の政府保証はないというのは、菅元大臣、これは皆様の御答弁ですよ。暗黙の政府保証はない。

 それから、先ほど民主党はそんなことを言っていなかったとおっしゃいますけれども、テマセック・モデル、INGモデルというのはまさに私たちが言ってきたモデルで、現に就任直後、あれはある報道機関でしたけれども、私はこのモデルを出しました。そうすると、これもまた間違った報道ですけれども、亀井大臣が直接私に電話をかけてきて、おまえ、何てことを言うんだと。そんなことをおっしゃる方じゃありません。剛腕の方ですけれども、非常に柔軟で、私たちの自由の領域、国民の郵政事業における権利を守りたいと思って命がけでやってきた方です。

 国民新党が信を得ていないとかおっしゃいますけれども、私たち民主党は、ほとんど国民新党の推薦をいただき、社民党の推薦をいただき、重野先生や亀井久興先生らとともに、地をはうようにしてやってきたわけでございますので、まさに同志とまとめた案が今回の案だということを申し上げておきます。

菅(義)委員 大臣、そういう答弁をされましたけれども、実際、郵政を今度もとに戻そうというシンボルは、やはり綿貫先生であり国民新党の皆さんだと私は思いますよ。ですから、国民新党そのものが、亀井大臣にしかられそうですけれども、たった三議席しか得られなかったというのは、やはり国民新党への民意というものは得られなかった、こう断言せざるを得ないというふうに私は思います。

 それと、先ほど来、原口大臣が、政府保証がないということを私どもが答弁してきたということをずっと言ってきました。私は議事録を調べてみました。政府保証がないということは言っていないですよ。言っていないです。

 竹中大臣は二回答弁をしていますけれども、「銀行業と保険業というのはとりわけ信用が背景にある大変特殊な業種でありますので、その信用が背景にある特殊な業種に国が関与するということは、これはやめなければいけない。」それで、「株式については一たんは完全処分をして」、これは完全処分するということですね。もう一つ、もう一人の方への答弁については、「移行期間に限っては、これは限度額についてイコールフッティングでありますとか国の関与の在り方を勘案して、これは段階的に制限を緩和していくように政令で定めるということにしたものでございます。」「このプロセスにおきましては、民営化委員会の意見聴取を義務付ける」こととしますと。かなりここは下がった形で述べていると私は思いますよ。

原口国務大臣 竹中大臣の答弁というのは、非常に、どっちかから見たらまた別の意味になるというものもございます。ここに議事録がちゃんと残っています。

 これは皆様がお選びになった、私たちは郵政民営化委員会で本当に血みどろの議論をしました。お隣におられる小泉さんのお父さんと竹中さんは、私の選挙区に三回ぐらい入られましたかね、もう本当にすりつぶされるような選挙でした。そこでこういう答えをされています。これは平成十九年の四月三日。この類似の答弁は多いですよ。暗黙の政府保証にかかわる田中直毅郵政民営化委員長の御発言。郵政民営化委員長ですからね。こう答えておられます。

 「政府が株式を保有しているからといってこの金融二社の債務の返済等について政府が保証するなんていうことはあり得ない。もし破綻が起きるとすれば、それは一般の他の金融機関と同様、破綻法制上の問題になる。」「十月一日以降について暗黙の政府保証なるものは存在しないはずだ、」こういう答弁はいろいろなところにございます。

 だから、この郵政民営化委員会の委員長の御発言を違うとおっしゃるのであれば、それはまた別の展開だというふうに思います。

菅(義)委員 当時の責任者でした竹中大臣の答弁の中がそういうことだったものですから、政府が株式を所有している間は、やはりこれは暗黙の政府保証があるだろうと私は思います。それは大臣が幾らないと言っても、ある、ないというのは、これはやはり金融機関だと国民が見ると思いますよ。ですから、その受けとめ方によってこれは違うだろう。少なくとも株式を保有している間はあるというのは、これは自然なことだろうというふうに私は思います。

 そこでお尋ねをします。

 これは私どもの民営化法と違って、これも先ほど議論があったようですけれども、民営化の工程だとかスケジュール、こういうものが示されておりません。また、株式売却の義務さえありません。これは、いわゆる持ち株という親会社が過半数かそれ以上の株を未来永久に保有することも想定をしていらっしゃるんですか。

原口国務大臣 それは想定しておりません。

 ただ、ちょっと今のは、国民がどう思うかによって法律が違ってくるのであれば、例えば預金保険機構にゆうちょ銀行は貸倒引当金というか預金保険料を払っているわけですけれども、もし暗黙の政府保証があるという前提であれば、ゆうちょ銀行はこのことをやめることだってできる。国民はそう思っておられますから、どうぞ暗黙の政府保証があるんだから払わなくて結構ですよという議論になるので、そこは、さすがの自民党のエースと言われる菅元大臣でも、ちょっと論が飛躍しておられるんじゃないかと思います。

菅(義)委員 いや、逆に、私は払うのがおかしいと思っているんですよ。私はそう思っています。政府系の金融機関であると私は思っていますから、株式を保有しているときは、これはたしか五百億円ですか……(発言する者あり)一千億ですか。これは払うのがおかしいというのが私の考え方です。

 そこで、限度額の引き上げについてでありますけれども、これは先ほども議論がありましたけれども、倍にした根拠というのは何かあるんですか。

大塚副大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、前回の限度額の変更時からの国民の皆さんの金融資産の伸び率、また、金融広報委員会等が調査をしております貯蓄の希望額等々を勘案いたしまして決定をさせていただきました。

菅(義)委員 引き上げ後の預金残高とか、生保の加入残高の見通し、これについてどう思っていますか。

大塚副大臣 今後の見通しということでございますか。それは、もう何度もほかの委員からも御質問がございましたが、予断を全く抱いておりません。限度額が上がったからといって、必ずふえるというふうにも予測をすることは難しいと思っておりますし、かといって、引き続き減り続けるのかということについても、それを予断を持って申し上げることは困難だと思っております。

菅(義)委員 しかし、先ほど来、その話も柿澤委員との間で大塚副大臣はやっていましたけれども、少なくとも倍にして、何も見通しがないというのは余りにも無責任じゃないですか。

亀井国務大臣 おわかりと思いますけれども、あれは預け入れることのできる限度額が二千万になったということであって、それで預金額が二千万に自動的に上がる話じゃありませんよ。一方の、他の金融機関は青天井という状況があるわけでしょう。そういう中で、預金がどういう動きをするかということは、郵貯が今度一千万から二千万まで預けることができるようになったからといって、信金や信組に預けている金を郵便局へという、そういうマターは私は短絡的にとらえることはないと思います。

 日ごろから金融機関が社会的責任を果たしながら預金者と密着をした活動をしておられれば、郵貯の限度額が二千万になったからあっちへ移ろうという短絡的な行動をとられるという予測は、私はできない。

 だから、私は金融機関に言っているんです。あなた方は、日ごろの活動の中で、国民の皆さん方の支持を得られるような、預金者の方々の支持を得られるような努力をしなさいと私は申し上げている。

菅(義)委員 亀井大臣は、亀井大臣の言うことを絶対引かないわけですけれども、少なくともそういう八団体の人たちの声に客観的に耳を傾けていただきたいと思います。現実的に、これが倍になったら、それなりに私はふえると思いますよ。これはふえないわけはないですよ。

 大塚副大臣、これを倍にしたというのは、多分、過去二回ぐらいに分けて上げていますよね、そうしたこととかいろいろなことを試算した上で上げているんでしょう。

大塚副大臣 午前中の答弁の繰り返しになって恐縮なんですが、過去三回、もちろんデータは検証しております。

 三百万から五百万に上がったときは、ゆうちょは七・二%ふえましたが、国内銀行は七・七%、信用金庫は八・四%、信用組合は一二・一%ふえました。

 五百万から七百万に上がった際には、ゆうちょ銀行は一・三%ふえたのに対して、国内銀行は一一%、信用金庫は九・六%、信用組合は一一・九%ふえました。

 七百万から一千万に上げた平成三年は、ゆうちょ銀行が九・三%ふえましたが、国内銀行は一・四%、信用金庫は三・九%、信用組合は二・八%。

 ただし、このときは、繰り返しになりますが、バブル崩壊後の金融システムの環境や、やはりペイオフの金額が影響していると思います。一千万の直前のゾーンというのは、やはり多くの方々がそのゾーンでいろいろな金融機関に預けようという行動をとられますので、そういうことが影響したと思っております。

 最後になりますが、もう一回新聞を引用させていただきますが、五月十五日の日本経済新聞ですら、「郵貯の預入限度額が現行の一人一千万円から二千万円に広がっても減少に歯止めがかかるのがやっと。」というふうにコメントをしております。

菅(義)委員 亀井大臣は新聞は信用するなということを言っていましたけれども。

 大塚副大臣、そういう今までの経緯の中で計算をして少なくとも倍にしたと私は思いますから、その数字を出されるのはおかしいと思います。このことを指摘しておきたいというふうに思います。

 さらに、新たに設置をされます郵政改革委員会でありますけれども、経営の自由度というものがここで一応審査されることになっていますけれども、先ほど大臣は、これは郵政が最終的に判断するんだという答弁でした。また、大塚副大臣は、これは改革委員会で判断をするということを言われました。私は、この委員会そのものは、大臣が言われたように判断する権限というのはないんじゃないかな、そう思いますけれども、この改革委員会というのはどこまで権限があるのですか、ないのですか。

亀井国務大臣 新しい金融関係の市場に出ていくかどうかを決めていくのは、ゆうちょ銀行であり、かんぽの会社であるということは当たり前の話であります。

 それが民業圧迫ということになるのかどうか。また、我が国のいろいろな状況にとってその商品なりそういうものを開発して取り組んでいくことが適当なのかどうかということを、そういう利害関係者じゃない方々で、総理大臣が任命した第三者機関の方々に判断をしていただいて、それはだめだという判断が大勢で出るようであれば、主務大臣がそういう問題について、日本郵政に対して、また総理大臣であっても、そういうアドバイスをしていくということになると私は思います。

 最終的な判断というのは日本郵政ですけれども、しかし、こういうチェック機関をつくっておきますと、現実問題において、日本郵政が一人で勝手に事業展開をやっていくことはできないと思います。

大塚副大臣 大変大事な御質問ですので、ぜひ一度法律も御確認いただきたいんです。

 例えば、銀行の場合ですと、この改革法の六十四条で、この場合、名あて人はゆうちょ銀行ではなくて「関連銀行」というふうに申し上げておりますが、「関連銀行は、」「同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性」等を「阻害するおそれがないこと。」ということが規定されておりまして、それを阻害するおそれがある場合には、その次に掲げております六十五条で内閣総理大臣または総務大臣が勧告をできることになっております。

 そして、この委員会が何をするかといえば、勧告を行う際の基準を決めるということを十八条で法によって担保されておりますので、これはこの改革委員会がしっかりとその職責を果たすことによって先生の御懸念は解消されるものと思っております。

菅(義)委員 ということは、基準を決めるだけでなくて、多分、ここで不許可という権限もあるということですか。

大塚副大臣 委員会には、許可という権限は法律上は定めておりません。

 ただし、この基準を決めたことについて、これを尊重する義務が政府側にも郵政にもかかりますので、ここの委員会が出す結論、その基準についての考え方というのは重きをなすものというふうに理解をしております。

菅(義)委員 これは、ここでしっかりチェックできるようにしていただきたいというふうに思います。

 最後に、非正規社員の正社員化であります。

 今の社員の人は、みんな試験を受けて入ってきておると思います。今、民主党政権は、国家公務員の新規採用を四割削減しよう、そういうことも言っております。そういう方針と、これは一挙に六万五千人採用するということですから、経営というものを考えたときに、試験によって毎年数千人ずつ採用していくのが本来の姿ではないのかなというふうに私は思います。これが一点。

 そしてもう一点は、人件費はどう捻出するかということです。経費の徹底した効率化の中でみずから費用を生み出していく努力をすべきだと思いますけれども、ここについては全くないわけであります。

 この二点についてはいかがですか。

亀井国務大臣 これもちょっと意外な質問を受けましたけれども、当然、試験をやって登用するわけです。ただ、落ちたからといっておしまいということじゃなくて、再試験も受けられるというような形で実施をしていきます。一挙に全員をということにはなりません。やはり段階的な正社員への登用という形になると思いますが、今、日本郵政が、具体的な計画、応募要件等を含めて最終的な検討をやっておる最中でございます。

 あと、人件費。これは、あなたがおっしゃることとは思えない。それが原価なんです、人間を人間として大事にして対価を払っていくというのは、これは原価なんです。それをけちってというか、日本郵政の場合も給与は大体三分の一ですよ、同じような仕事をしていて。そういう形で日本郵政が利益を計上しても、これはあるべき利益ではないと私は思いますよ。これは郵政だけじゃなくて、他の一般の企業も同じことだ、このように私は思います。これは原価なんです。

 齋藤社長の話によりますと、十万人近くこれを切りかえていった場合、ざっと三千億から四千億程度になるんじゃないかという大まかな試算をしておりますが、郵政の事業の中でその費用を消化していくのは当たり前であります。それができなかったら、経営をやる資格はありません。

 これは他の一般の企業についても言えることなんです。人間を大事にすることなく、それを自分たちの金もうけのためにどんな状況で雇用してもいいというようなことは、私は菅議員がそう考えておられるとは思いませんから、私は今あさっての答弁をしておるんじゃないかなというようにちょっと思っているんです。

菅(義)委員 雇用というのは大事だと思いますけれども、しかし、一挙に六万五千人を採用すると、少なくともその負担が国民負担になる、このことを私は非常に懸念していますので、そこは日本郵政としても、その費用の捻出努力をするというのは当然のことでありますので、ここを強く申し上げたいと思います。

 最後に、これは委員長に私は質問したいと思います。

 きょう採決するんじゃないかと、いろいろな報道がありますけれども、民主党の小沢幹事長がこの郵政法案というものをこの会期内に成立をさせると特定局長会合で発言してから、この委員会そのものの運営までまさに強行、強行になってきているじゃないですか。

 そういう中で、その小沢幹事長と同じ席で、参議院の総務委員長が、事もあろうに、最終盤で相当強引なことをやらなきゃならない、こういうことを発言したようでありますけれども、これについて委員長の見解はどうなのか。委員長は絶対そういうことはしないと私は信じていますけれども、これについてお答えいただけますか。

近藤委員長 私もその場所におりましたけれども、佐藤総務委員長がそうおっしゃったこと、私は委員長としては、やはりきちっと、公平に、中立に、そして、この問題につきましては、先ほども午前中あるいは午後にもちょっとお答えさせていただきましたが、しっかりと議論していくことが大事だ、こういうふうに思っております。

 以上です。

菅(義)委員 終わります。

近藤委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず冒頭、本法案について、私は、今の堕落した民主党政権の象徴的な法案である、それと同時に、権力におぼれた国会運営の象徴的な総務委員会審議であると思います。

 亀井先生、どう思いますか。どうぞ。

亀井国務大臣 私は全然そう思いませんよ。

 私は、委員長が誠実に公平に職務を遂行しておられる、このように考えておりますし、別に民主党や国民新党や社民党の国対が、国会運営について強引なことをやっているとは思いません。

 私もかつて自民党におりましたよ。長い、まあ三十年ぐらいおったんですか。その間、経験しましたけれども、簡単に言いますと、私はとめなかったんだから私も責任があるかもしらぬけれども、相当強引な、めちゃくちゃな運営をしましたよ、自民党は。これは現実ですよ。私はそれをよかったと言っているんじゃない。乱闘もあれば、深夜国会もあれば、朝までの、どう考えたって理不尽な国会運営というのを、残念ながら私の古巣の自民党もやったんです。私はそれがいいとは思いません。思いません。だけれども、私は、今の民主党や国民新党、社民党がそのまねをしておるとは思いません。

 私は、ぜひお願いしたいのは、野党もやはり、ちゃんと筋の通った審議の対応をしていただくこともまた大事なことである、このように思います。

後藤田委員 権力におぼれた国会運営というのは、今、亀井大臣は自民党の話をいたしましたが、我々の自民党のとき、例えば国民の皆様が不審に思っている小沢さんの問題、ああいう問題はもちろんのこと、まさに大臣の辞職勧告決議案も含めて、我が党は、政治と金の問題があったときも、しっかりと証人喚問に応じました。そして、政倫審でももちろんやりましたし、数々の場面で我々はしっかりと説明責任を果たしてまいりました。

 そういうことに対して、今、亀井大臣おっしゃったように、自民党もいろいろあったんだと思います。ただ、それを変えようということで、皆様方民主党は、昨年の衆議院選挙で国民の信を得て政権を得たわけですから、このことについて、私は逆に悪くなっていると思いますよ。

 そういう出席説明責任等も果たさないあなた方与党の幹事長がいる中で、そして同時に、恐らくや、先ほど来の委員長のお話があるとおり、強行採決ということはないと思いますよ。なぜなら、この郵政法案というのは、これはもう国家戦略なんですね。本当は総理大臣も来て当然審議をしなくてはいけません。きょうも私は国家戦略大臣をお呼びしたかったんですが、韓国に行っていらっしゃる。時期をよくして海外に行かれたと思いますよ。

 我が党の郵政法案においては、先ほど来ありますとおり、百二十時間、日数にして四十八日間、そして総理出席は三回の十九時間。本法案というのは、こういうことをやるだけの国家戦略にかかわる重要な法案である。こういう認識は大臣におありになりますか。

亀井国務大臣 極めて大事な法案である。先ほど申し上げましたように、自公が残念ながら、やってはならないことを改革と称してやってしまったことをこの鳩山政権は正しているんですよ。まさにその一丁目一番地的な役割をこの郵政改革法案が果たしておると思います。

 私は、言うわけじゃないですけれども、郵政について自由民主党も余り大きなことを言えないと思いますよ。いいですか。衆議院であのとき可決をして、二院制のもとで参議院で否決されたら、これは解散権を行使したのは小泉総理だけれども、自由民主党がそれをちゃんと認めたんでしょう。いいですか。それによって、可決をした衆議院を解散したんですよ。これ以上強引な国会運営があると思いますか。私は見たことがない、こんなことは。憲政の常道に反したことをやって、あの郵政改革をやったんですよ。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

亀井国務大臣 この改革法案は、粛々として審議を今やっておるわけです。我々も誠実に皆さん方の御質問に対してお答えをしておるわけでありまして、私は何も批判をされる理由はない。

 また、政治と金の問題を言われましたけれども、ここで私は演説する気はないけれども、かつて自民党時代も、自民党の要職にある方が俎上に上ったことは何度もありますよ。私自身がそのときにどういう体験をして、野党との間でどういう対応をしていったか、そういうことも経験しておりますが、全部ケース・バイ・ケースです。ケースによって違うんですよ。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

亀井国務大臣 その個々のケースによって、証人喚問が適切な場合もあれば、あるいは参考人が適切な場合もあれば、いろいろな事態があるのであって、それを金太郎あめのように同じような対応、処理をしなかったから今の民主党なり与党がけしからぬということをおっしゃるのは、私はいささかどうかと思う。(発言する者あり)

 私がここでこういうことを申し上げるのが適当かどうかは別として、議員がそういう御質問をされたから、私は関連して申し上げておるんです。

後藤田委員 お言葉ですけれども、大臣、過去の自民党の話をされました。あなたこそが過去の自民党なんです。小沢幹事長こそ、過去の自民党なんですよ。それと一緒にしていただきたくないんです。

 それと同時に、先ほど解散の話がございました。我々は、政党の前に国民があるんです。いいですか。政党のエゴで法律を通すんじゃなくて、国民に信を問うたんです。だったら今回も解散してくださいよ。それで国民の皆さんがどう判断をするかを仰ぐべきなんですよ。

 だからこそ、一大臣クラスがこの委員会でやる法案じゃないと言っているんです。総理大臣を呼んでください。委員長、どうですか。委員長、総理大臣を呼んで審議してください。どうですか。(発言する者あり)

近藤委員長 まず亀井国務大臣、どうぞ。(後藤田委員「いや、委員長が答弁してください」と呼ぶ)では、理事会で引き取らせていただきます。

 亀井国務大臣、どうぞ。

亀井国務大臣 では、一々、国会の審議の中で与野党で意見が違う、院によって意見が違った場合は、国民に信を問うんですか。では、何のために国会議員というのは存在し、衆議院が存在し、参議院が存在しているんですか。

 私はさっき言っている、ではちょっと、逆に質問しちゃいかぬけれども、あなたがこういう問題を提示したから申し上げるけれども、いいですか。郵政民営化法案ですよ、あのとき、それを参議院で否決して、これも国民の代表の意思表示ですよ。それを、可決していた衆議院を解散して民意を問うというのは、あなた、当然の憲政の常道の手続だと思いますか。答えてください。

後藤田委員 あなたが言っているのは、国会議員が万能で、議会が万能であるということをおっしゃりたいんでしょうけれども、国民主権なんですよ。国民に信を問うというのが一番なんですよ。そのことをあなたは否定しているじゃないですか。そんな言い方をしていたら、議会制民主主義で、あなた方が多数決をとれば何でもできるのか。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

後藤田委員 我々の自民党時代は、与党は与党の中でちゃんと審議をして、与党の中でもまさに離党させられて、それぐらいしっかりと議論した上で、最後は信を問うたんですよ。あなた方は何ですか。亀井さんと小沢さんに一言言われたら、党内で何も議論が出ない。その方がよっぽど不健全だ。

 そういう不健全な立法府であり議会であることが、まさに、国民の皆さんの民主党支持率低下のあらわれじゃないですか。どうですか。おまけに、国民新党は支持率が出ていないですよ。

亀井国務大臣 これは、この委員会が何を審議している委員会なのかちょっとわからなくなったけれども、後藤田議員が問題提起をされておられるので、私はその問題についてもお答えしますけれども、いいですか。国会の審議についてはやはりルールがあるでしょう。そのルールを……(発言する者あり)いいですか。さっき言ったように、可決した衆議院を解散するというようなことが、民意を問うということで正当化できるんですか、あなたは。その問題をすりかえて言ったらだめですよ。自分たちがやった間違ったことは、間違ったということの前提に立たないと今の国会運営を批判することはできません。

後藤田委員 亀井先生ともあろう方が感情的になるというのが、私は、では、今ルールにのっとってとおっしゃった。委員長、まさにルールにのっとって、先ほども与野党の合意の上でやると。

 一説によると、先ほど来、何かきょう、この時間をある程度延ばして審議時間をとったということにして、それで、その後強行というようなことがちまたで言われていますけれども、委員長、そういうことはあるんですか。

近藤委員長 私は聞いておりません。

後藤田委員 本法案は、先ほど冒頭申し上げました、堕落した民主党政権、そして公約違反オンパレードの民主党政権の象徴的な法案なんです。

 その理由を申し上げます。

 天下り根絶と言いつつ、天下りがたくさんいる。先ほど原口大臣の答弁を聞いていると、今回、この法案によってまさに、官僚機構に丸投げしない、民間の経営努力によってこの会社を運営すると言いましたね。官僚機構に丸投げしないとおっしゃったですね。にもかかわらず郵政の社長は、過去官僚じゃないですか。どうなっているんですか。その理屈は整合性が合っていないですよ。どうなんですか、原口さん。

原口国務大臣 一大臣クラスで質疑ができないという言葉は取り消してください。これは与野党の理事で合意をされ、委員長のもとで、私たちはここで粛々と答弁をしています。幾ら議会だからといって、その言葉はぜひ引っ込めていただきたい。

 そして、先ほど申し上げたのは資金の運用についてであって、これまで年金基金、GPIFというものに丸投げをしていました。そして、ポートフォリオ。ファンド・オブ・ファンズの、まさに、どこに何を投資するかということもしっかりと議論さえなかった、そのことを申し上げているわけです。大野先生から質問があって、国債を持つということだけでも、それもリスクでしょう、国債だったら何でも安全だということはあり得ませんねということを申し上げているわけです。

 私たちは二つのことを言ってきました。回転ドアで官を開く。官から民にという形で、たくさんの人たちが官僚機構に入って、そして今までの閉ざされた官僚機構を変えていく。そして天下りをやめて、官製談合や随意契約や、あるいは特別会計といったものを徹底的に改革するんだということを申し上げてきていて、そのことと今回の、ポートフォリオを官に丸投げしてやってはいけないということは全く矛盾をしていません。

後藤田委員 私は先ほど、皆様方、大臣にだけの議論では、この国家戦略たる郵政法案は結論は出ないという意味で申し上げたので、そのことについては変えるつもりはありません。

 加えて、今ちょっと大臣の答弁を聞いていて、もう一度質問します。

 官僚機構に丸投げしないとおっしゃったその官僚機構と、今度社長になった、副社長になった官僚というのはどういう違いがあるんですか。

原口国務大臣 この方々は過去官僚であって、現在官僚ではありません。あっせんという形でやったものではありません。

 私たちは、この郵政を立て直すに対して……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。後ろの全然関係ない人がしゃべっている。

近藤委員長 御静粛に。御静粛に。

原口国務大臣 よろしいですか。私が亀井大臣に申し上げたのは二つでした。金融、経済、財政がわかること。巨大な国債の保有機関になっている。これだって急には変えられないんです。国債が急になくなれば、それは国債市場に対しても不測の事態になる。だから、そういうことがわかった人。もう一つはパワーエリート。この二つを亀井大臣にお願いして、亀井大臣が適宜、適切な方を選んでくださった。それ以下でもそれ以上でもございません。

後藤田委員 天下りの議論になると、答弁がいろいろ、すごく中途半端になるんですけれども、では、過去官僚というのは天下りじゃないということでいいんですか。

原口国務大臣 あっせんを受けた天下りではございません。

後藤田委員 それも詭弁でしてね、あっせんを受けるかどうかとおっしゃったけれども。

 政治家が、今、経営能力があるかのごとくの話がありましたけれども、それはどうやって証明できるんですか。元役人で霞が関にいて、今事業仕分けで頑張られている枝野さんや寺田さん、そういう人たちが、まさに官僚組織の効率化を進めようということでやっているわけですよね。そもそも、そういう人たちの中で卓越した人がいたのかというのは、僕は不思議でしようがないんです。そのことについてのちゃんとした根拠を説明しないと、あなた方が昨年の選挙で、マニフェストの中で、また鳩山さんも天下りの根絶と言ったことは、これも選挙の争点として、もう一回選挙をやっていただきたいぐらいですよ。

 どうなんですか。言っていることが違うんですよ、大臣。

亀井国務大臣 委員御承知のように、私は民主党じゃありません、国民新党です。国民新党の立場は、官僚をやった人は一切登用すべきではないなんということは、国民新党は一度も言ったことはありません。

 そうして、では、齋藤社長の能力はどうかといったら、私だって神様じゃあるまいし、そんなことわかりっこないけれども、私なりの、あなたから見れば能力はない男かもしらぬけれども、どういう人物であるのか、どういう能力を持っておられるのかということを私なりに、遊び半分で選定したわけじゃありません。全力を挙げてこの人選を私はしたわけであって、それについてあなたからとやかく言われる筋合いはない。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

後藤田委員 お言葉ですが、不適切な発言をする大臣にとやかく言われる筋合いはありません。

 原口大臣、民主党という立場でお答えいただきたいと思います。

原口国務大臣 私たちは、あっせんによる天下り、それから、今何を調査しているかというと、あっせん以外でも例えば五代連続天下りポスト、それから実質的な天下り、人質型の天下り、あるいは創業型の天下り、そういったものを調査をし、各省の組織による天下りの徹底的な排除というものをやっています。

 それに対して、私たちは、過去官僚であったからといってその方が、さまざまな人材活用で、活用されてはいけないなんということは一言も言っていません。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

原口国務大臣 後藤田さんとも議論をしましたね、あなたともブラッセルで議論をした。私たちはどういう官僚形態が必要かということを、あなたと議論しました。公正で公平で、そしていかに能力のある人を集めてくるか、これが政府にとって一番大事だということはあなたと議論をしたはずです。そのことからしても、全然、どこに出してもおかしな結論ではない、私はそう考えています。

後藤田委員 これは国民の皆さんが判断していただけると思いますが、原口さん、大臣の発言で気になるのはパワーエリート。

 エリートという言葉を民主党さんがお使いになるのは、何か役人に対して非常に違和感があるんですね。そして、パワーのあるエリートというのはどういう意味ですか。

原口国務大臣 パワーのあるエリートじゃないですよ。パワーエリートで一つの単語です。

 これは何かというと、国際金融にも通じ、やはりいろいろな交渉をしなければいけません。これから日本郵政というのは、クラウドといって、まさにさまざまなイノベーションをやらなきゃいけない。先ほど菅元大臣がおっしゃいましたけれども、コストカットをずっとやっていかなきゃいけないんです。人を大事にしながら、そういった財政の観点、あるいは国債管理の観点、あるいは金融の観点、そういったものがわかる方ということを申し上げているんです。

 一方で、後藤田さん、ぜひ御理解をいただきたいのは、民間の企業の人たちも私たちは大事にしたいと思っています。しかし現実に、三井住友のトップだった方がおられて、その方が辞意を表明されて、そして、それにかわるだけの人材というのはなかなか、さまざまな人事をお願いするにしても限られてくるというのも御理解をいただきたいと思います。

後藤田委員 とにかく、原口大臣ともあろう人が役人をエリートという言葉で、それがエリート意識を植えつけた結果、役人が効率化を失ったんですよ、コストカットの努力を失ったんですよ。それを今、おたくらのもう一人の大臣が、まさにコストカットを進めるために、役人の今までやってきたことをただしているわけです。まあ、これ以上質問いたしません。

 次に、今回の郵政法案。まさに、これはだれのためのものかということです。

 また、皆様方は前回の選挙で、利益誘導政治からの脱却、そういうことをおっしゃった。我々、国民の皆様も疑問に思っているのは、まさに新聞でもあったとおり、亀井大臣と小沢幹事長が、国会の審議の前に郵便局長さんたちだけを集めて……(亀井国務大臣「集めたんじゃないよ」と呼ぶ)集まっているところに行きましたね。そして、我々、国民の負託を受けた議員の議会の場で議論する前に、幹事長と亀井大臣が、絶対法案を成立させますと。

 これはおかしいじゃないですか。だれのための郵政改革法案ですか。利益誘導政治そのものじゃないですか。

亀井国務大臣 議員、ここは、やはりある意味では神聖な場所ですよ。国民が見ている、聞いている、そういう場で、不正確なありもしないことを発言することは質問としても許されませんよ。

 では、テープレコーダーでもって調べてみなさいよ。私が郵政法案を成立させますなんて言いましたか、あなた。言っていないじゃないの。小沢幹事長は党の立場で言っているのであって、私は大臣の立場でそんなことは一言も言っていませんよ。皆さん方の真摯な審議を受けてこれを成立させる、当たり前の話じゃありませんか。

 言ってもいないことをあなたは勝手におっしゃるんじゃない。取り消しなさい。

後藤田委員 今、亀井大臣がおっしゃったように、小沢幹事長という、まさに与党の幹事長がおっしゃったということはお認めになったですね。

 亀井大臣はおっしゃっていないと、今おっしゃいました。であれば訂正いたします。

 ただ、神聖な委員会の場でしっかりと議論していただくということを、公衆の面前で今大臣がおっしゃったので、非常にありがたく思っております。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛に。

後藤田委員 それと、今、だれのための郵政改革かと申し上げました。一体だれのためでしょうか。(発言する者あり)今、訂正をさせていただきました。

 質問です。だれのための郵政改革ですか。

亀井国務大臣 これは国家国民のための法律です。

後藤田委員 だとすれば、この委員会審議でも当然のことながら、質疑時間はもちろんでありますが、参考人招致をして、本当に地方の現場の方々の声、地方自治、公共団体の声、そして、これによる負の影響を訴えている金融機関の声、公聴会、こういうことをしっかりやるということを、大臣、お約束いただけますか。

亀井国務大臣 重要な法案について、皆様方が国民の代表として真摯に議論をされ、また私どもに対して質問をされておられるわけであって、我々は、皆様方のその声を国民の声として受けとめながらこれに対応をしておるわけであって、皆様方が国民を代表していない、もっとほかの人の声を聞きたいなんて、そんな皆様方を軽蔑するようなことを私は申し上げるつもりはない。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いいたします。

後藤田委員 ありがとうございます。

 今、法案提出者の亀井大臣が、しっかりとした委員会審議、また参考人質疑もやってくださるということをお約束いただいたということで、これは大変ありがたく思っております。

 今回、まさに国家国民のためとおっしゃいますが、一義的には、皆様、亀井さんもそうだと思いますが、私のところも田舎がございます。過疎地がございます。そういう場でのユニバーサルサービスだとかナショナルミニマム、これは私も当然必要だと思うんですね。

 しかし、このいわゆる地方サービス、いわゆる公正というものと同時に、やはり効率というか経済、この両立が公共経済学の基本だと思うんですよ。そういう中で、今まで亀井さんのお仕えされていた中曽根元総理初め、そして亀井さんも、この前、私は財金委員会で質問させていただいたけれども、国鉄民営化のときには大変頑張られた。まさに公正と効率というものをどう両立させるかというときに、亀井さんはしっかりとした御見識を持っていたはずなんですよ。それが、なぜ今回こういうことになってしまったのかなと。

 いわゆるユニバーサルサービスというのと、後でまた御質問しますし、先ほど来の答弁を聞いていてわかりますが、国債管理の考え方についても、亀井大臣は、郵政会社の役割としてあるやの御答弁を再々されていました。しかし、どう考えても、ユニバーサルサービスとか国債管理政策というのはまさに公正の方なんですね、公共の方なんですよ。一方で、効率とか経済という部分がまことに今回の法案は欠けていると思うんです。

 私は、原口大臣にお伺いしますが、本来ならば田舎の過疎地域は、結論からいうと、税でやってもいいんじゃないかと思っているんですよ。それと、これから、皆様方が考えるユニバーサルサービスだけじゃなくて、まさに行政サービスもそう。お買い物に行けない独居老人、お年寄りもいる。原口大臣は、非常に見識ある、過疎法を我々野党とも一緒になっておつくりになったですよね。過疎対策も含めて、地方行政サービスも含めて、そして、地域でまさにユニバーサルサービスやナショナルミニマムを受ける、そういうものをしっかりと税で担保する。

 しかしながら、ゆうちょやかんぽは、今、金融機関の皆様が反対しておられるように、生命保険会社、金融機関として野に放たれてしっかりと金融サービスをする、保険サービスをする、競争をする、こういう方がよっぽどわかりやすいんじゃないですか。どうですか。

原口国務大臣 後藤田委員の御質問は、極めて大事な御質問なんです。

 これは十年間に五回組織が変わりますから、今の御議論は、二〇〇三年当時に私たちがやっていた議論なんです。それはどういう議論かというと、今、後藤田委員がおっしゃるように、郵貯、簡保というのはもう完璧に民営化して、そして郵便事業を税でやろうと。

 ところが、今、私たちはここには一円も税を入れていませんね。ずっと一円も入れてこなかった。小泉郵政民営化も、その二〇〇三年の議論を経て二〇〇五年に、税を入れないで、この三事業のモデルを民営化という中で生かしていくためにはどうすればいいかというのが小泉郵政民営化モデルなんです。その意味では、私たちが今提案をしているものも、税を入れないでという中のものなんです。

 では、今、税をどれぐらい入れられるかというと、例えば郵政事業におけるネットワークを維持するのに、私たちが今九十三兆円、九十四兆円、九十五兆円という年間予算の中で、これだけ大きな予算の中で国債の発行額も、ある意味、ギリシャの状態があって、ぎりぎりまで来ている。では、今の段階で、ロイヤル・ポストのようにもう一回税を入れるという選択ができるか。それはやりませんよと。

 いわゆる小泉郵政民営化とそこのところは構造は同じなんだけれども、テマセックやINGと同じような形態で、三事業を一体化することによって、あるいは事業をクラウド化することによって、もっとやれることがあるじゃないかというのが私たちのモデルなので、二〇〇三年時点に後藤田委員がそれを選択されていたら、また別の議論になっていた。そこのところだけは申し上げておきたいと思います。

後藤田委員 ここに岡田代表のときの「マニフェスト8」、これはうそっぱちの8かもしれません、「本物の郵政改革 官から民へ」。「本物の」と。これを読ませていただきますと、「本当の「官から民へ」の民主党案VS政府出資の小泉民営化案」。これは、あなた方がやっていることとまさに矛盾があるんじゃないですか。

 ここに書いていますけれども、「郵貯・簡保を徹底的に縮小し、「官から民」へ資金を流します。 郵便局の全国一律サービスは維持します。 民主党は、二〇〇四年参院選・二〇〇三年衆院選のマニフェストから一貫して、郵政改革を進めることを主張してきました。」

 一貫性。おたくらの政党というのは、民主党、一貫性がないんですよ。ここには、現在三百四十兆円ある郵便貯金と簡易保険は適正規模に縮小します、預入限度額を五百万円に最後は引き下げます、八年以内に郵便貯金二百二十兆円を半減させますと書いてあるんですね。

 どうしてそんなに民主党さんは、今度のマニフェストもそうだけれども、高速を無料にすると言ったら無料にしなかったり、子ども手当もやるのかやらないんだかわからなかったり、普天間についても、きょう大変な日にちにぶつかっておりますが、これにまざって、郵政をどさくさに紛れて成立させようなんて、そんな魂胆はないと思いますが、あなた方のマニフェストという言葉を国民はもう信頼していないんですよ。

 ぜひ、このときの民主党さんの考え方と今の考え方で何がどう違ったかというのを説明してください。

原口国務大臣 これは、民主党に対する批判以外はいい質問だと思います。

 なぜかというと、それは二〇〇五年に私がつくった案です。その当時は、まさに旧政権の中で民間と張り合って、特に、郵政の一番危険な部分というのは定額貯金部分でした。民間が何か商品をつくれば郵政もつくる、そしてそのつくり合いをしていったわけです。そして、それを何とかヘッジするためには、定額貯金部分を外に出して、それを縮小化しなきゃいけないというのが私たちの案なんです。二〇〇五年の案なんですね。

 ところが、私たちがそのとき八年にやると言っていたものをはるかに上回る劣化をしたんです。例えて言うと、鯨に大きなひもをつけて東京湾に浮かべていたんです。その間に、後藤田委員が前の質問でおっしゃった、もう税を入れないとやれないようなモデルになっている。ガバナンスがきかなくなって、例えばJPエクスプレス問題だけでも、これは弱者連合をやったんです。そして、佐藤前大臣のときもさまざまな御議論をされて、結果、その計画を認可されないように……。今、一千億近い赤字が出ているわけです。今私たちがやらなきゃいけないことは、まず、どんどん下降している郵政を普通の軌道に戻すということをやろうとしているわけです。

 どこがどう違うかという後藤田委員の質問は大変ありがたい質問で、全く状況が違うし、この間、分社化ありきの民営化によって、日本郵政はぼろぼろになったというところが答えでございます。

後藤田委員 だから、今の議論で、ぼろぼろになったのであれば、これは市場経済の中でもまれるしかないんですよ。

 先ほど私が申し上げたように、だれのための郵政改革かというと、まさに過疎で暮らす、そういう方々へのナショナルミニマムと同時に、民間金融市場がより活性化するという国家戦略も同時にあり、また同時に、現在、農協さんを初め信金、信組の方々も農業サービスのいろいろな融資をされている、中小零細企業に対するサービスもされている。そういう金融市場、市場経済について、金融機関が反対声明をされているように、その点についての明確な回答が出ていないんですよ。

 私は、そもそも、金融大臣と郵政大臣が兼任されているということが間違いですよ。これは利益相反なんです。この点について、金融機関のいわゆる懸念、反対声明に対して、金融大臣としてはどういうお考えなんですか。

亀井国務大臣 お言葉ですが、鳩山総理に兼務をさせていただいて本当によかったと私は思っております。

 日本郵政は、郵貯、簡保という膨大な金融部門を抱えておるわけであります。これをどう改革して、どう位置づけていくかということは、我が国の金融に対して大変大きな影響も与えていくし、また、我が国の金融をある意味では活性化していく大きな力にもなっていくわけであります。

 私は、前に申し上げましたように、小泉総理がおやりになった、あの前の状況に郵政事業を戻す気は全然ありません。地域社会の活性化のために、日本のために、また広く世界に貢献できていく、そうした日本郵政が事業として発展をしていくための、これがそのための法案であります。

 そういう意味で、私は、鳩山総理に兼務させていただいたことを大変ありがたく思っております。

後藤田委員 今、亀井大臣が、地域にも貢献して、市場経済にも資する、国際社会にも貢献できるとおっしゃいましたけれども、今、銀行というのはオーバーバンキングなんですよ。生命保険だっていっぱいあるんですよ。

 そして先ほど来、今度の法案、今度の会社が政策金融的なものをやるというような話を原口大臣も答弁されていますが、今まさに政策金融公庫だとか政投銀だとか、政策金融はしっかりとした予算の裏づけの中でやっているんですね、そういうことも。そこにまさに巨大な鯨が来て、そして、今までしっかりと市場経済の中でやってきた金融機関、彼らが反対、懸念をしているところに、ざぶんと鯨が入ってくるんですよ。

 そして、政策金融の皆様方はしっかり、我が党のときもそうでしたけれども、政投銀、政策金融公庫がちゃんとある、そういうことでしっかりと政策を進めている中で、また新たに政策金融をふやすというのは意味があるんですか。いや、亀井大臣、お願いします。

亀井国務大臣 私は、残念ながら、我が国の金融機関が本来の責任を果たしておる状況にはない。私はそういう立場から、思い切った、本来の任務を金融機関が果たしていただく。何もバブルの崩壊のときだけではありません、私は、過去のそうした、社会的責任を放棄したと思われても仕方がないような過去のことについて深刻な反省をした上で、あるべき金融業界としてよみがえってもらいたい。

 委員御承知のように、今、銀行は何行が税金を納めているんですか。過去の、何も私は金融機関だけの責任にしておるわけじゃありませんが、金融機関にも責任がありますよ。そういう中で、国民の税金も金融機関にどんどんつぎ込んでいくというような状況の中で、膨大な欠損を出して、それを埋め合わせるために、現在利益を上げておっても税金を払っていないじゃありませんか。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

亀井国務大臣 こういう状況から早く脱却をしていただく。そして、日本郵政もともに、民間金融機関あるいは政府系金融機関とともに我が国のあるべき金融を担っていただきたい、今そういう改革をやっておるわけであります。

 私は、委員もぜひ過去の、もう二周おくれの化石みたいな市場原理至上主義にとらわれないで、時代がどんどん進んでいるんです。国民のため、国家のための金融行政はどうあるべきかということについても、またぜひ御指導も賜りたいと思っています。

後藤田委員 やはり大臣、あなたは郵政大臣は、まあそれはおやりになって結構ですが、金融大臣はやめた方がいいですよ。

 世界の金融市場の中で、金融機関は上場している中で配当もしなきゃいけない、利益も出さなきゃいけない、そういう努力の中で、また世界経済の変化、今の日本経済の低迷の中で、やはりやるべきことはやっていると思いますよ。過去にも税金を払ってきていますよ。おまけに、大臣はモラトリアム法案なるものを出して、まさに政治主導でやって、税金を払えるわけないじゃないですか。そういうことも含めて、政策に私は矛盾があると思います。

 そして、大塚副大臣にお伺いします。

 先ほど来の議論でも、大塚ペーパーというのが出ているんだけれども、副大臣が、これは政府のコミットではない、そして副大臣のペーパーであるというふうにおっしゃいました。

 やはり株式会社は株主に説明責任がないと成り立たないんですね。まさに国債も、国債管理政策も含めて、やはり国民の理解がないとだめですよ。このようなペーパーでは、大臣の、また政府のコミットしたペーパーをこの場でしっかり出さない限りは、私どもは審議をこれ以上続けるわけにはいかない。

 それと同時に、原口大臣、先ほど来申し上げましたけれども、過疎地域で、一体どれだけの地域がユニバーサルサービスを求めていて、そのために税負担にした場合はどれだけのコストが必要であって、国家国民と大臣はおっしゃったけれども、国家戦略全体で、どういう形で今度の郵政法案が資するのか。こういう資料というものは出ていないんだけれども、この資料もないと我々は審議ができないんですよ。

 委員長、この請求資料がない限り、私は質問できない。

大塚副大臣 後藤田委員におかれては、午前中からの議論も聞いていただいていたと思いますけれども、まず一点目、私の資料に関して申し上げれば、二〇〇五年の議論のときには、政府関係者のクレジットのある経営試算は正式には何も出ていなかったということは、きょう明らかにさせていただきました。その上で、私なりに審議のお役に立てれば幸いという意味でのケーススタディーをお示ししました。それが一点目であります。

 それから、私どもが何を目指していたかということについて、菅委員の御質問とも関係がありますけれども、何か亀井大臣のカメの一声ですべてが決まったという御表現がありましたけれども、菅委員におかれましても、私どもは、郵政改革について、今まさしくここで審議していただいているような内容を実際にやるということをマニフェストにも書かせていただいて今日まで来ているわけであります。

 さらに申し上げれば、二〇〇七年の参議院選挙の後の、二〇〇七年十月二十三日からの国民新党さんと民主党との参議院統一会派結成に関する合意書などから、ずっと首尾一貫して今日まで来ているんです。(発言する者あり)

 それからあと二つ、ぜひ、これは大事な議論です、後藤田さんがおっしゃるように国家戦略にかかわるんですよ。だから、あと二点だけ言わせてください。

 まず一点目は、二〇〇五年の私どものマニフェストについておっしゃいましたけれども、原口さんの御説明の考え方が一つ。

 それからもう一つは、私どもは、皆さんが出された案に対して、さっき後藤田さんがおっしゃったような考え方の対案を出しました。出したけれども、選挙で私たちは負けました。だから、皆さんが、今日のこの民営化の案を実際に形にされた。

 私たちは、過去の二〇〇五年まで戻って、二〇〇五年に国民の皆さんが出した民意を否定することなんかできませんよ。だから、皆さんの案で進んでいる現状を改善するための案を出させていただいているということをぜひ御理解ください。

 そして、最後に……(拍手、発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

大塚副大臣 最後の一つですが、政策投資銀行の改正案についても、皆さんの単なる民営化の方向では間違っているということで、去年、改正法の審議のときに附帯決議を付させていただきました。(発言する者、離席する者あり)

近藤委員長 御静粛に。今答えていますから、お戻りください。お戻りください。

大塚副大臣 その内容が、今の方向性についてでございます。(発言する者あり)

近藤委員長 いや、答弁しますから。原口総務大臣。(発言する者あり)答弁中ですから、どうぞお戻りください。

原口国務大臣 後藤田委員からは、過疎地の郵便局のどれぐらいが赤字で、どれぐらいのコストがかかるか、そういう御質問がございました。

 先ほど菅委員にもお答えをしましたが、まだ私が野党時代に、二万四千六百のうちの五千の集配局、これを六年かけて、あのときは小泉総理が自分が出すと言ってくださったおかげで出てきました。五千局のうちの約八割が赤字でございます。

 では、この赤字がどれぐらいのコストになるかというのは、当時は三事業が一体となっていて、それぞれのコストを出すことができませんでした。したがって、今委員がおっしゃっているような、五千局のうちの八割、つまり四千局が、どこにどれぐらいの赤字があるかということをシミュレートする、その原資料は今のところないんです。ですから、今回法律で、三事業がまたどんぶりのようになってはいけない、それぞれの事業計画とそして事業の決算を出して、その上で判断をしましょうということです。

 それから、もう一つ答弁をさせてください。

 後藤田委員の質問で大事なものは、オーバーバンキングというキーワードです。確かにオーバーバンキングなんです。では、私たちはこれでいいかというと、それはいいとは思っていないんです。逆に、今、先進国の中で最もベンチャーに対する投資が少ないのが日本です。

 後藤田議員は、特定の金融界とかそういったものに癒着がある人ではないから、そういう人たちの声をここに持ってきておられるんではないということを私は信じています。

 その上で答弁をすると、私たちは本当に、民業圧迫といって、金融機関の圧迫だけを考えていていいのか。亀井大臣がおっしゃったように、民間をはぐくむだけの、だって、個人の金融にしろ民間の中小企業にしろ、私たちのときは通知表が一から五でした。五が全部そろっていないと貸し出しをしないということは、これはまさに民間圧迫じゃないか。それを変えるのが私たちの改革だ。

 ぜひ一緒にやろうじゃないですか。

近藤委員長 質問時間が終了しておりますので、御協力をお願いします。

後藤田委員 今、原口大臣の御答弁ありましたけれども、結局、資料がないんですね。(原口国務大臣「データがないんです」と呼ぶ)データがない中で、こういう法律を出してくるということは論外ですよ。しかも先ほど来の、副大臣の、政府コミッションのないペーパー。こういう論拠のもとで本法案を審議しようというのは、そもそも間違っていますよ。その資料が出てくるまで審議はまだまだ続くと思いますよ。どうですか。

亀井国務大臣 今からの、日本郵政の将来の採算等について精緻な数字を出していけと言われましても、それは、今、郵政そのものをやりかえているところですよ、皆さん。だから、これをやりかえていって、どういう日本郵政になっていくか、その収支決算まで精緻な形で無責任に出すわけにはいかないけれども、ただ、御承知のように、大塚副大臣は極めて優秀な大臣でありますから、現在時点においてあとう限りのいろいろな推計等もやってそうしたペーパーを出しておるわけで、私は、これが外れないだろうと思っております。(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

後藤田委員 今、無責任な資料は出せないとおっしゃいましたけれども、それはそうですよ。だからこそ、資料がないということは無責任な法案ですよ、これは。

 そしてもう一つ、先ほど来、原口大臣も税を使っていないと言いますけれども、国債の運用をあれだけしている中で、結局、予算の中での元利払いは今二十兆ありますよ。そして、国債というのは、まさに低利率の安心資産というものを国民の皆様に押しつけて、その金利は結局税で払っているんですよ。税を使っていないとおっしゃるけれども、まさに、ゆうちょ銀行が国債頼りでやっているというのはおかしいじゃないですか。

原口国務大臣 二つ御質問がありました。

 今、後藤田委員が御質問になったのは、私があの郵政民営化のときに求めた資料なんです。それで、民営化をすればもっとビビッドにわかると。ところが、後藤田議員、その旧政権下においては、例えば新債の数さえもビビッドにわからないんです。

 では、わからないからといって、今の出血の状態をそのままにしてそれでいいのか。だから、あらかたの推計をしてここで皆さんにこの法案をお願いしている。これをまず御理解ください。

 それから二番目、国債についてですけれども、国債は、ギリシャと違って、私たちは消費税二〇%、あるいはさまざまな経常収支の赤字を抱えている国ではないんです。ですから、まず基本的に皆さんに申し上げたいのは、税調の会長代行としても皆さんに御理解をいただきたいのは、日本とギリシャは全く違う。つまり、国債はコントロールされているということです。

 しかし、その上で、国債を保有しているからといって、日本郵政だけが税をただ食いしているという議論は少し飛躍がありますよね。私たちは、むしろ逆に一兆円近い国庫納付をやっているわけです。その国庫納付をするだけの力がもう今、日本郵政になくなってきていますということを申し上げている。

 それから……(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

原口国務大臣 田村さん、少し静かにしていただけませんか。私、大事な議論をしているので。

 もう一つ申し上げると……(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

原口国務大臣 金融機関との間も、これは後藤田さんがまじめに議論を、本当にいい議論をされているから私は答えているので、本当に静かにしていただきたいのは、金融機関とも競争だけじゃないんです。

 例えば、先ほど預金保険機構の預金保険料率という話をいたしました。預金保険は真っ赤っ赤なんです。しかし、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、貸倒引当金、預金保険料を一千億払っているわけです。一千億払うということは何に資しているかというと、信金、信組の、ひいては保険料率にもそれを低くする役割も果たしているわけです。

 ウイン・ウインの関係にある、同じ船に乗っているということも、ぜひ、後藤田さんだったら御理解いただけると思います。

後藤田委員 先ほど来、資料請求をさせていただいていますが、副大臣のまさに私案でこの法案を、国家戦略とおっしゃった議論はできません。加えて、今、過疎地のユニバーサルサービスの現状も、全然資料がない中ではできません。そして、国債管理政策も含めて、皆様方は六月に財政健全化計画を立てるんでしょう。その議論がない中でこの法案を議論することはできない。(発言する者、離席する者あり)

近藤委員長 今、答弁の中でもデータがないということでございましたし、今のやりとりの中で答弁はされていると思っております。

 大塚副大臣。(発言する者あり)どうぞお戻りください。お戻りください。お戻りください。大塚内閣府副大臣。

大塚副大臣 後藤田委員の御質問は、経営試算についての御質問だと思います。

 きょう午前中から何度か申し上げたことをもう一度申し上げますが、骨格経営試算という、後藤田さんが今の御質問の背景に踏まえておっしゃっておられる二〇〇五年の資料はどういうふうに書かれていたかというと、このように明記されておりました。当時の与党の皆さんの資料です。「政策意図や経営判断とは一切無関係であり、郵政民営化準備室として決定したものではない。」というふうに明記をされている資料なんです。そういう資料で、どなたがお出しになったかもわからない。そして、今日、この資料についてだれが説明できるかすらわからない資料で二〇〇五年の審議が行われました。

 今回の資料については、すべて検証可能なデータで……(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

大塚副大臣 皆さんの審議に資するようにお出しをさせていただいておりますので、後藤田委員の御指摘は……(発言する者あり)

近藤委員長 御静粛にお願いします。

大塚副大臣 当たらないものと考えております。

後藤田委員 あなた方の法案ですから、二〇〇五年のことは聞いていないんです。あなた方の資料を出さない限り、質問できません。

大塚副大臣 過去十六回の政府・与党内の政策会議の資料もすべて公開をしております。それらの資料で後藤田委員の御疑問にお答えするデータは整っていると思いますので、どうぞ十分に御検討ください。

近藤委員長 後藤田正純君。(発言する者、離席する者あり)

 ただいま内閣府大塚副大臣から資料についての御答弁はあったと理解しております。

後藤田委員 出てないです。

近藤委員長 違います、資料は既に提供されている。手に入るという意味です。(後藤田委員「総務大臣も含めて、出てない」と呼ぶ)

 大塚内閣府副大臣。

大塚副大臣 繰り返しになって恐縮ですが、政府・与党内の過去十六回の政策会議の資料はすべて公開をしております。その中で、十分に審議にたえ得るデータや情報は御提示申し上げておりますので、後藤田委員におかれては十分に御検討いただきたいと思います。

近藤委員長 公開されているという答弁であります。(発言する者あり)

 資料については既に公開されたものがあるということでありますが、大塚副大臣から追加で御答弁がありますので、大塚内閣府副大臣、どうぞ。

大塚副大臣 せっかくの御質問でございますので、過疎地の赤字等についての御質問であったと思いますので、例えば、私の資料の七ページにございますように、郵便局における黒字、赤字の局数はすべて公開をさせていただいております。そしてコストについても、どのような前提でどのようなコストになるかということは、ここに明示をさせていただいております。

 その上で、先ほど来、何人かの委員からも御質問がありましたが、過疎地域の金融業務、ユニバーサルコストについての試算の数字、四百六十四億円ということも提示をさせていただいております。(発言する者あり)

近藤委員長 ただいま答弁があったと理解をしております。今の大塚副大臣の御答弁でよろしいですか。(発言する者あり)

 稲見君。

稲見委員 動議を提出いたします。

 ただいま議題となりました郵政法案について、質疑を終局し、終了して、直ちに採決されることを望みます。委員長の御心情はよくわかりますけれども……(聴取不能)

近藤委員長 ……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)

稲見委員 委員長の心情はわかりますけれども、動議を定めに従って取り扱いをいただきたいと思います。(発言する者あり)

近藤委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)それでは、郵政改革法案についての採決を行います。

 賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、同法案はそのとおり可決されました。(発言する者あり)

 続きまして、日本郵政株式会社法案について採決いたします。

 賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 賛成多数。よって、同法案はそのとおり可決されました。(発言する者あり)

 続きまして、郵政改革法及び日本郵政株式会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決を行います。

 賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 賛成多数。よって、同法案はそのとおり可決されました。(発言する者あり)

 続きまして、ただいま可決されました法案についての委員会報告については、委員長に御一任いただけますでしょうか。賛成の方の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

近藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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