衆議院

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第1号 平成22年8月3日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十二年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 黄川田 徹君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 松野 頼久君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      高井 崇志君    中後  淳君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    藤田 憲彦君

      松木けんこう君    皆吉 稲生君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    小泉進次郎君

      後藤田正純君    佐藤  勉君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

平成二十二年八月三日(火曜日)

    午後三時二十六分開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 黄川田 徹君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 松野 頼久君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    階   猛君

      空本 誠喜君    高井 崇志君

      玉木 朝子君    中後  淳君

      永江 孝子君    野木  実君

      野田 国義君    花咲 宏基君

      藤田 憲彦君   松木けんこう君

      皆吉 稲生君    山岡 達丸君

      湯原 俊二君    若泉 征三君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    小泉進次郎君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     自見庄三郎君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       福岡  徹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          中城 吉郎君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     山岡 達丸君

  逢坂 誠二君     玉木 朝子君

  高井 崇志君     花咲 宏基君

  湯原 俊二君     稲富 修二君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     湯原 俊二君

  玉木 朝子君     空本 誠喜君

  花咲 宏基君     高井 崇志君

  山岡 達丸君     江端 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     大谷  啓君

  空本 誠喜君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

七月三十日

 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五六号、参議院送付)

 国と地方の協議の場に関する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五七号、参議院送付)

 地方自治法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五八号、参議院送付)

 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

近藤委員長 この際、原口総務大臣及び自見国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。原口総務大臣。

原口国務大臣 総務大臣の原口一博でございます。総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつ申し上げます。

 地域主権戦略大綱による地域主権改革とあわせ、緑の分権改革を推進します。ICT政策では、光の道一〇〇%の実現や地上デジタル放送への完全移行に向けた取り組みなどを推進します。また、行政評価機能の強化など、横ぐし機能を発揮する取り組みを推進します。このほか、郵政事業の改革を着実に推進します。また、国民の命と財産を守る安心、安全の消防行政に努めます。

 引き続き、副大臣、大臣政務官とともに全力で取り組んでまいりますので、近藤委員長を初め、理事、委員の皆様方の御指導を心からお願い申し上げます。(拍手)

近藤委員長 次に、自見国務大臣。

自見国務大臣 郵政改革担当大臣の自見庄三郎でございます。総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。

 去る六月十一日、亀井静香前大臣の後を引き継ぎ、郵政改革担当大臣を拝命いたしました。よろしくお願いをいたします。

 郵政改革担当大臣として、まず私に課せられた使命は、さきの常会で廃案となった郵政改革関連法案を再び提出し、速やかな成立を図ることです。

 明治四年の郵便創業以来、百三十九年の歴史を持つ郵政事業は、郵便、貯金、保険の三事業一体で運営されてきました。しかし、五年前の郵政選挙で圧勝した小泉政権により、過度の規制緩和、市場原理主義のもと、行き過ぎた、理念なき郵政民営化が進められてしまったと思っております。

 我が国は、四季折々の豊かながら厳しい自然に囲まれた国であります。高く険しい山々、奥深い雪国、四方を海に囲まれた離島の数々。どの地域にも、先祖から受け継いできた人々の暮らしがあります。

 私は九州の出身であります。全国でも特に離島、半島、過疎地が多い地域です。都市とは違った地方の皆さん方の厳しい暮らしを、この足で回って見てきました。

 郵便局が提供する郵便、貯金、保険のサービスは、人々の暮らしに欠かせません。全国どこに住んでいても郵政三事業のサービスを受けられるユニバーサルサービスの仕組みは、国家が備えるべき基本的なインフラであります。

 私は、第百二十三代郵政大臣として、行政改革、省庁再編の議論に携わってまいりました。郵政省から郵政事業庁、日本郵政公社に至る郵政事業の制度設計をさせていただきました。当時の基本的な考え方は、離島、山村、過疎地など、全国どこにおいても郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスを確保すべきだというものでありました。そのためには、郵政事業が長年担ってきた公益性、公共性の役割が十分に発揮されることが重要であると思っております。

 こうした考え方は、民営化された現在の郵政事業にも当てはまるものです。さきの常会において、亀井前大臣と原口総務大臣が連携し、衆知を結集し、郵政改革関連法案を作成、提出いたしました。

 残念ながら、常会では成立に至りませんでした。しかし、民主党菅代表と国民新党亀井代表の間で、郵政改革法案と同一法案を参議院議員選挙後の臨時国会における最優先課題として速やかな成立を図るということが、公党間の約束として確認されたところであります。

 両党の信義を重んじ、約束の趣旨に沿って、政府において所要の法律案を提出し、速やかな成立に努めてまいります。

 以上、所管行政の一端を申し上げました。

 国民利用者の視点に立った郵政改革の実現に向け、原口総務大臣と緊密に連携し、大塚副大臣、田村大臣政務官、また長谷川大臣政務官とともに全力で取り組んでまいります。近藤委員長を初め、各党各会派の理事の方々、あるいは委員の皆様方の御指導を心からお願いする次第でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

近藤委員長 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役中城吉郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局郵政行政部長福岡徹君及び法務省刑事局長西川克行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田真敏君でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 自見大臣には、私が国会へ来させていただいて以来、同じ政策研究グループで大変お世話になってまいりました。まさかこういうふうになるとは夢にも思っておりませんでした。しかし、昔からよく存じ上げている方だけに、しっかり御活躍いただけるように心からお祈りを申し上げたいと思います。

 まずお伺いをしたいのは、先ごろの参議院選挙、これは皆さんも御承知のように、民主党は大きく議席を減らし、そして国民新党は議席を失われたわけですね。こういう国民の厳しい審判が下されたわけです。そういう中で、今大臣からのごあいさつにもございましたけれども、七月の二十二日に菅総理と国民新党の亀井代表が会談をされまして、郵政改革法案を臨時国会で最優先課題として速やかな成立を図る、そういう方針を確認されたということでございます。しかし、いわゆる直近の民意はこれを認めなかったのではないかな、私はそういうふうに思っておるわけでございます。

 自見大臣そして原口両大臣に、まず、この参議院選挙において示された郵政改革法案に対する民意、ほかの民意は結構ですから、この郵政改革法案に対する民意についてどのように総括されておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

自見国務大臣 石田真敏議員の一番最初の補欠選挙のときもしっかり下働きをさせていただいたのをきのうのように思い出しますけれども、こういった質問をいただくことを大変光栄に思っております。

 今、石田議員から、今回の参議院選挙において一体民意はどうであったのかという御質問でございます。

 主権在民の中で行われる国政選挙、参議院選挙でございますから、それはそれで大変重たいものがあるのは当然でございますが、私自身、参議院議員でもございますし、そう思っております。

 しかしながら、今さっきも予算委員会でいろいろな意見が各党各会派で出ておりましたけれども、この郵政改革については、もう先生御存じのように、五年前のいわゆる小泉さんの俗称郵政選挙、小泉劇場というときには大変大きなテーマでもございました。その後、三年前に行われた参議院選挙でもその揺り戻し的な意見がある程度はあったというふうに思っておりますが、五年ほど前のように大きな国民の関心は呼ばなかったのではないかなというふうに私は政治家として思っております。

 今回、この選挙においては郵政改革というのは、我が党はしっかり訴えたつもりでございますが、余り大きな争点ではなかったというふうに、むしろ、今さっきから予算委員会でも消費税のことが大変大きな議題になっておりまして、そういった意味で、私は大きな争点ではなかったというふうに思っております。

 しかしながら、選挙の結果というのは大変厳粛なものでございますし、また国民新党は御指摘のとおり議席は獲得できなかったというのは事実でございますが、国民新党公認の長谷川憲正候補は四十万票の票を、公明党さんは一番たくさんの票をとられましたが、その次に、社民党の幹事長がおられて大変恐縮でございますが、福島みずほさんよりもたくさんの票をとらせていただいた、結果としては落ちましたけれども。

 そういったことを勘案しながら、私は、やはりこの郵政改革そのものは、特に農村地帯あるいは僻地、離島を歩きますと、特にお年寄りから、公的年金を郵便局へもらいに行っているんだけれども、自見さん、これはこのままもらえるんですかという声を大変私もいろいろ聞きました。また、北九州市の隣でも、二つ町村がございまして、そこは集配特定局が昔あったのでございますが、一千個を廃止しまして、そして、実は今、土曜日、日曜日は近隣の市までもらいに行かなきゃいけない。そこで、大変おばあさんに怒られまして、大変利便性が落ちた、車で行って帰って四十分かかるんだというおしかりをいただきました。

 そういったことを感じて、私は、こういったことを勘案すれば、政治家として、また国民新党の党員として、郵政改革は、国民新党を含めて、連立与党として最優先の課題として取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

石田(真)委員 短くお願いします。

原口国務大臣 答弁する前から短くと言われましたが。

 もう自見大臣がお話をされたとおりで、民意を真摯に、しかも真剣に受けとめなければならないと考えています。

 その中で、私は、地方を所管するということもございまして、この選挙期間中だけで一万六千キロ移動させていただきました。特にそこで多くお声を聞くのは、郵政事業についての、私たちはどうなるんだろうか、地方は切り捨てられないんだろうか、非常に厳しくなった、役所も遠くなった、農協その他の金融機関もなかなか厳しい、その中でぜひ私たちのよすがを守ってほしい、こういう意見を大変多く聞きました。

 長谷川政務官はまさに公明党さんを除けば最多の得票ということでございますが、私たちはなお、この民意をしっかりと受けとめながら、法案の成立に全力を期してまいりたい、このように考えています。

石田(真)委員 お二人から、争点では余りなかったという、これは私は詭弁だと思いますね。

 というのは、その選挙の直前に、先ほどもお話にありましたけれども、これは廃案になったんですよ、強行採決をして。それで、その強行採決が、今回の強硬な国会運営というのが一つの大きな批判の材料だったと思いますし、そしてその後、国会を閉じたころでしたか、亀井前大臣がやめられたですね。それだけに、国民から見ていれば、この問題というのはやはり大きな争点の一つだったんですよ。

 私は、実は昨年の総選挙が終わった後で質問させていただいたんですよ。あのときも国民新党は、綿貫先生と亀井久興先生が落選されましたですね。そして、あのときはそれこそ、民主党のマニフェストも書いていたかどうかわからない、本当に争点ではなかった。だけれども、それは民意だったんですかと御質問したら、亀井前大臣も原口大臣も、いや、あれは民意だったんですよと言われたんですよ。それで今回は争点でないというのは、私は、これは全くの詭弁だというふうに思います。ですから、この郵政改革法案というのは、やはり国民から大きく批判をされたというふうに我々は理解されるべきではないかと思います。

 ただし、我々は、自民党は見直し自体は否定していないんですよ。見直しについては、まず郵政民営化という基本方針を維持するということ、それからその民営化法に基づいて三年ごとの見直しをやる、さらには運用で見直せることはそれによるというような方針まできちっとつくっているんですね。しかし、前回出てきた郵政改革法案というのは、これは我々が到底受け入れることはできない、そういうことで反対をさせていただいたということなんです。

 ですから、我々の主張の方が国民の皆さんにお聞き届けいただいた、私はそう思っております。ここで押し問答しても仕方ないですから、民意は前回の郵政改革法案について反対であったということだけははっきりと申し上げておきたいと思います。

 それで、七月十四日の朝日新聞ですから、選挙後で、二、三日後ですね。原口大臣が「「野党の意見も十分採り入れながら法案の作成をしなければならない」と述べ、法案の中身の見直しも含め柔軟に対応する姿勢を示した。」というふうに報じられているわけなんですけれども、先ほど自見大臣が、菅代表との合意もあって臨時国会に出すということですけれども、それは修正した法案を出すということですか。

原口国務大臣 ねじれた国会の中で法案に対する御理解をいただくためには、やはり政策の軸それから問題認識を一致させていく丁寧な作業が必要だというふうに思います。

 石田委員も、私、野党の筆頭理事のときに、さまざまな法案を御一緒に修正させていただきました。私たちはあの法案がベストだというふうに考えておりますが、税を入れずして、三事業一体で、経営形態は民営化形態のまま持続可能性を追求するためにはどうするか、これが問いなんですね。この問いに対して与野党ともに真摯な御議論をいただいて、そして、ぜひ、私たちはあれがベストだと考えておりますけれども、至らぬ点、どこがそれではいけないと思っておられるのか、その野党の御意見もしっかり伺いたいということを申し上げたわけでございまして、法案そのものを現時点で変えるということを申し上げたのではございません。

石田(真)委員 しかし、十分御意見を聞いてというのは、法案を出してから聞くんですか。

原口国務大臣 それはいろいろなやり方があると思います。石田委員が私と経験をされたように、法案を内閣が提出しながらも、国会の方でいろいろな御議論をいただいていた、そういうやり方もあるんだろうなと思います。

 私がまず申し上げたいのは、虚心坦懐に、私たちも郵政を悪くしようなんて考えていません。小泉郵政民営化を全否定して、国営に戻そうとも考えてはいないわけです。

 しかし、何回も申し上げますが、株式上場も現実にできなかったわけです、委員も。そこが違うんであれば、自民党さんの中からも、あのとき、鹿児島の先生でございましたけれども、株式上場はすべきでないということを委員会でも与党の立派な、中心となる議員さんがおっしゃって、そしてそのとおりだということで凍結をしてきているわけでございまして、その辺の認識もぜひ一致をさせていただき、丁寧な御議論をさせていただければというふうに思います。

石田(真)委員 株式上場のお話をしますと、これは十年間ですから、そして順次やっていくということだったわけですから、これからだったんですよ、いよいよ。全部一遍にやるわけじゃなかったわけですから、そのときの経済の状況を見ながらやるということだったわけですから、できなかったということではなかったということだけは御理解いただきたいと思います。

 それで、この朝日新聞では、原口大臣は「野党の意見も十分採り入れながら法案の作成をしなければならない」となっているんですよ。だから、先にお互い議論し合うのかなというふうに思ったということなんですが、その点、どうですか。

原口国務大臣 私たちは一義的に、与党・国民新党さんとのお約束がございます。そして、政府としては、あの法案がベストだと考えているわけです。その中で、ベストの法案と思っているけれども、ではそれだけで法律が通るかというと、野党の方々が反対されればそれは通らないわけでございますから、いろいろな選択肢があろうかということを申し上げているわけで、あくまで私たちは、今の形態では持続可能性がない。現実に預金も減り、そして石田委員御案内のとおり、ネットワークは八割が金融二社の手数料で成り立っているわけです。その手数料が毎年落ちているという状況の中で、この間ゆうパックの遅配の問題もございましたけれども、ガバナンスそのものも、分社化をしていますから、総務部門だけがそれぞれに広がって、かえって非効率になっているんですね。そういったものもしっかりと見直させていただきたいということを申し上げているところでございます。

石田(真)委員 今の大臣の議論については後ほどちょっとさせていただきたいと思うんですが、そうすると、法案はとにかくそのまま出すということですね。そのままで、修正も何もしないんだということですね。

 次に、もう一点お伺いしたいのは、大塚副大臣は、さきの強行採決された総務委員会の席で、みんなの党の柿澤さんにもそうでしたし、あるいは我が党の後藤田さんにも、郵政民営化時の骨格経営試算は政府のものではないという御発言をされたんですね。そのことについては、もうテレビでも報道されましたけれども、竹中元大臣がそうではないというお話をされました。

 それで、私もちょっと見てみました。皆さんのお手元に委員長の許可をいただいて配付させていただいている資料なんですが、「主要検討項目について」ということで、一番下に「内閣官房郵政民営化準備室」というふうに明記されていますね。それから、一枚めくっていただくと、「骨格経営試算の性格」ということで、ポツ一の方は省きますけれども、ポツ二を読ませていただきますと、「税制や委託手数料などを含めすべての前提条件については、政策意図や経営判断とは一切無関係であり、郵政民営化準備室として決定したものではない。」、こう書いているわけです。

 これを普通に読んだら、それはそうだなと。郵政民営化準備室が税制や委託手数料、そんなものを決められるわけがないわけですから、それはそうだなと思うんですが、そのときに、さきの総務委員会で大塚副大臣は、その前の部分を省いて、その後段部分だけ発言されたんですよ。「政策意図や経営判断とは一切無関係であり、郵政民営化準備室として決定したものではない。」、だから政府がやったものじゃないと言われたんですね。そのことについて、竹中元大臣から、そうではないんだという指摘がありました。

 大塚副大臣の答弁を求めます。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 その件につきましては、正確に御報告を申し上げますが、私が五月十四日付で政府・与党の政策会議に提出をいたしました資料でも、私自身、二〇〇四年十一月十七日に公表された骨格経営試算ということで、政府が公表したということは当然理解をしております。

 ただし、その中に今委員が御指摘のあったような記述がありましたことなどを主因に、五年前の国会においても、この骨格経営試算を根拠に郵政民営化をしても大丈夫だという当時の政府の御主張というのは、当時の野党の私どもとしてはなかなか受け入れがたかった、こういう議論の展開がございました。

 したがって、私は五月十四日の資料の中で、もちろんこの骨格経営試算が一定の有意性を備えていたことまでは否定しないということを明記した上で、さりながら、この内容は、「その時点における傾向値等に基づく将来の経営見通しを、過大な新規業務収益と不透明な前提条件によって嵩上げしていたものと思われる。」というふうに明記をして説明させていただきましたので、以上が私の認識でございます。

石田(真)委員 いや、そういう議論をしているんじゃないんですよ。副大臣が、政府として出した資料でないと言ったことですよ。だから、これは政府として出した資料だということをもう一遍言ってください。認めてください。

大塚副大臣 その点の誤解があったとすれば訂正をさせていただきますが、私自身は、今申し上げたような経緯で、政府としての資料の信頼性に欠けるものであるという趣旨のことを申し上げたわけでございますので、以上のとおり答弁をさせていただきます。

石田(真)委員 いや、そんな答弁をしていたらだめですよ。そんな答弁をしていたらだめです。政府の資料が信頼できるかどうかということを聞いているんじゃないんですよ。政府の資料かどうかと聞いているんですよ。だから、政府の資料であると認めたらいいでしょう。大塚さんも政府の資料と認めたわけでしょう。それでいいんですね。首を振っておられるから、そのように認めたということにします。いや、いいですよ。

 それで、政府の資料であるということであるのに、前の答弁では、政府はそういうものを出していないという答弁をされたんですよ。その答弁に基づいて強行採決をしたわけです。ですから、虚偽答弁ということになったということなんですよ。それはもう今ここで言ったって押し問答ですから、一応認めて、その誤りはきちっと訂正をしたということで私は了解します。

 その上で、この次ですよ。今、法案を出されるということを言われましたけれども、それだったら、政府としての骨格経営試算、これは議論の前提ですから、その中身が正しいかどうか、それは政府としてのきちっとした試算に基づいて出していただいて我々は判断するし、いろいろな方が判断するわけですから、政府としての骨格経営試算はぜひ出していただかなければならないと思います。

 自見大臣、お願いします。

自見国務大臣 なかなか、こういうのは基本的に、私も専門家ではございませんけれども、シミュレーション、こういうのをやると思うんです。前提をいろいろつけてシミュレーションというのを、私も若いころ衛生統計というのをやっておりましたので、いろいろな前提をつけてシミュレーションをやるわけでございます。

 前回も骨格経営試算というのを出されたという話はもうお聞きしておりますが、前の亀井静香大臣のときに、そういった国が出すシミュレーションといいますか試算はやりませんというふうに答弁しておられるようでございますから。これはなかなか、今、原口大臣も言われましたように、この組織を国営にしたり公社に戻したりすることではございません。あくまで会社組織として、その中で改革をしていこう、改善をしていこう、ユニバーサルサービスを金融の方にもお願いしようじゃないかと。あるいは、三事業一体でやる方が効率的である。しかしながら、WTOを初め、こういった競争機会の公平ということも非常に大事でございます。

 そういった意味で、要するに企業の自主性、それから競争条件の公平ということを確保せねばなりませんから、そこら辺で前の法律ではいろいろ苦労されたようでございますが、基本的に、こういった政府の予測というのは出さないというふうに私は思っています。

石田(真)委員 いや、それはおかしいんですね。前の委員会で亀井前大臣が出さないと言われたのは、私は知っています。しかし、そのときに大塚副大臣が言われたのは、前の議論のときも政府は出さなかったんだと言われたんですよ。

 ですから、前の政府は出しているんですから、今度の政府が出すのは当たり前じゃないですか。

大塚副大臣 今委員が御指摘をいただいたときの答弁を私は現時点では正確に記憶しておりませんけれども、私が申し上げたかった趣旨は、先ほども答弁させていただきましたように、五年前、当時の竹中大臣は、この骨格経営試算に基づけば、郵政を民営化すれば十年後にはこうなる、だから大丈夫だという御説明を、私たち、当時の野党として随分聞かせていただきました。

 ところが、実際には、かなり無理のある前提条件がそこに盛り込まれた上で、新規業務等については十割目標を達成するというようなことを前提にさまざまな御説明をされたために、現実の数字を一つ申し上げますと、二〇〇九年度の決算においても、全体で約八千億の収益を上げると言っていたのが四千五百億、そして、先ほど原口大臣もお話しになりましたように、全体として郵政グループの経営が徐々に厳しくなってきている。

 そういうことを考えますと、同様の前提を置いた、あるいは同様のアプローチでの政府による経営の試算というものはこの議論にはなじまないのではないかということから、私どもは、提出することは適当ではないというふうに考えさせていただいているという次第でございます。

石田(真)委員 そんなものは、全く逃げているじゃないですか。議論の前提でしょう。皆さんは、よくなると思うから改革法案をつくるんでしょう。だから、どうよくなるんですか。それは数値で示さないとだめなんです。郵政民営化のときに、このようによくなると言ったんですよ。そういうつもりでいろいろ試算をした。

 それで、今、十年後にこうなると言われたけれども、今は郵政民営化が始まって何年ですか。まだ二年ちょっとですよ。それを十年後の答えまで求めて。それは無理ですよ。もちろん途中経過というのはあると思いますよ。それは変動というのはあるんです。しかし、そのことをもって、その当時は、やはり政府は政府としてのきちっとした試算を出した。それは誠意ですよ。

 今度は、いや、それは悪いけれども、我々がやるとこんなによくなるんだと。よくなるんだったら、試算を出すべきですよ。それに基づいてでないと、我々はどうやって議論するんですか。こんなの議論できませんよ。

大塚副大臣 当時の政府・与党の骨格経営試算と比較をすると、余りにも民営化後の実績の乖離が激しいために、私どもは、原口大臣も先ほど申し上げましたとおり、民営化という当時の民意を否定するということではなく、この郵政事業が国民経済に大きな影響を与えないように、スピードコントロールをするために出資比率等について所要の調整をさせていただきたいというのが趣旨でございます。

 その上で、私どもが提案をさせていただいた前国会でのあの内容を行った場合にどうなるかということについて、政府がコミットメントすることはできないので、私が担当副大臣として、私個人のケーススタディーをお示しした次第でございます。

 もし、五年前の政府の骨格経営試算と同様の試算を今の政府・与党もやるべきだという御指摘であるといたしますれば、ぜひ一度、私たちが五年前に聞かせていただけなかった、なぜあの骨格経営試算ではあのような前提条件が置かれていたのかとか、そして、なぜそれぞれの新規業務というものがそのように盛り込まれ、それが五割達成されるとか十割達成されるという見通しを出されたのか、それを拝聴させていただいた上で、私どもが同様の対応をするべきかどうかということについて検討すべきものと思います。

石田(真)委員 そんな答弁をしていてはだめですよ。それは政府が責任持ってやればいいんじゃないですか。当たり前ですよ、そんなもの。何で私どもが言わないといけないんですか。何をやっているんですか。

 これは議論を幾らやったって一緒だから。ただし、要求は、骨格経営試算が出ない限りは審議できないということだけは申し上げておきます。

 それで、法に基づいた見直し、郵政民営化委員会の田中直毅委員長の報告、私聞きましたけれども、亀井前大臣は見たこともないと言っていましたよ。そんな状況ですよ。その田中直毅委員長の報告では、いろいろやっている、いい面も悪い面もあるけれども、もう少し時間をかけてみようというのが委員会の報告だったんですよ、郵政民営化委員会の見直し作業の。それを無視してやっているわけですから。だから、今度は、あなたたちがこの法案がいいというんだったら、いいという試算を出すべきです。

 この議論をやっていたってだめなんで、私は、その試算が出ない限りこの法案の審議はできない、議論の前提条件が整わないということだけははっきり申し上げておきます。

 それで、時間があと八分を切りましたので、次のことをちょっと言います。今のことにもかかわるんですよ。

 幾つか質問したかったけれども、全部できるかどうかわからないんですが、原口大臣が、さきの私の総務委員会での質問で、なぜ民主党は二〇〇五年の考え方を変えたんだという質問をしたんですよ、そうしたら、余りにもひどい劣化が起きていると答弁されました。そして、きのうの予算委員会で、松野委員の質問にも、民営化して劣化した旨の答弁をされましたよ。そうでしょう。

 しかし、郵政事業というのは、劣化というか、悪くなると予測されたからこの民営化の論議が起こったんでしょう。それはそうなんですよ。だから、このままではだめだから、どうしようかと。先ほど大臣が言われた、一つのビジネスモデルとして郵政民営化という議論がなされたんですよ。これによって金融も簡保も、それから郵便事業もあるいは郵便局も何とか自立してやっていけないか、できないものはどうやって助けるか、一つの考え方を示したのが郵政民営化であったわけですよ。

 そして、その中で、例えばよく情緒的に言われる総合担務の問題とか間仕切りとか本人確認、これは、郵政改革素案、この間出されましたよね、その別紙に書いていますよ。それは運用でほとんど改善できているんですよ。書いていますよ。ここに資料がありますよ。運用でほとんど改善できているんですよ。だから、そんな情緒的な話じゃないんです。おばあちゃんが年金を引き出しに行けるとか行けないとか、そんな話じゃないんです。そのことは大事だけれども、それは運用で改善できると書いているんですよ。おたくの資料ですよ。そう書いているんですよ。

 だから、そういうことではなしに、本当に、民営化によって何が劣化したんだ、そのことについて、情緒的な話ではなしに、具体的な話をお聞かせください。

原口国務大臣 石田委員は、あのときの郵政民営化の議論、石田委員がおっしゃるように、確かに、このままでは郵便事業も先細りだからどうするか、縮小モデルにするかという議論があったのは事実です。しかし、当時の政府がお出しになったのはそうではない。民営化すれば拡大モデルにいくんだ、民営化すればまさにバラ色になるんだというのをお出しになっていたわけです。

 ですから、さっきの骨格経営試算についても同じ前提を用いよというのであれば、私たちは五分社化を変えますから、そこで計算することはできます。だけれども、今委員がお配りになったような資料にも書いてありますように、この前提には政策判断が入っていない、そこでエポケーされているものだから、その結論が違ってくるんじゃないですかということを申し上げているわけです。

 現実に、経営の基本指標を見ますと、預金残高や保険契約件数はピーク時の七〇%、六〇%なんです。また、郵便物数は毎年約三%の減少が継続するなど、三事業とも非常に経営は厳しいんです。

 ここにおいでの佐藤大臣のときに、松山で、佐藤大臣が四つの問題ということで、あのときは副大臣でしたか、御提起をされました。まさに炯眼だと思って私は聞いていたわけです。

 そこで、ことし、二十一年度の経常利益を日本郵政公社時のものと比較しても、経営指標、基本指標そのもの、経常自体が約四割程度にとどまる状況なんです。では、これで郵便局のネットワーク、二兆円の基金とおっしゃいますけれども、維持できるんですか。少なくとも、間接部門を少なくして、そして三事業一体で国民に提供することがなければ、もちろんこれは税金を郵便事業に入れろというのであればまた別ですよ、また別の選択肢がありますので。その辺のところをぜひ石田委員には御理解いただきたいと思います。

石田(真)委員 今ぐらいの答弁では、民営化による経営の根本にかかわる劣化という説明になっていないんですよ。そんなことは予測されたんですから。もうどんどんどんどん下がっていくということを予測されたわけですよ。

 だから、二〇〇五年の民主党の案は何ですか。限度額を引き下げて、郵貯を一千万から五百万にするんでしょう。簡保廃止と言っていたじゃないですか。

 それはなぜか。やっていけないし、今言われた財投の問題もあるし、いろいろな問題があるから、こういうふうな改革をしようという案を出されたわけですよ。今言われているのは真逆ですよ。それで、真逆で言っていて、予測できたその劣化を、いや、民営化による劣化だと言いかえているだけですよ。

 ちょっと待ってください。もう時間がない。あと二分しかない。もっとさせてくれるんだったらいいですけれども。

 私に言わせれば、だから、本当に民営化によって何が劣化したのかということをきちっと出すべきですよ。そんな情緒的な話だけで、情緒といろいろなデータをひっくるめてやってはだめです。

 それで、もう一点、時間がないので、最後にお聞きします。

 私は、これから郵政事業はまだ下がると思いますよ。右肩下がりだと思いますよ、特に郵便事業は。そうでしょう。郵便事業が下がっていくのを、あなたたちは、郵貯と簡保を拡大することによって補う、補てんする、そういうことですか。それでは、それをいつまでやるんですか。これは物すごい拡大になりますよ、あなたたちがおっしゃるような論理でいけば。

原口国務大臣 石田委員、少し矛盾したことをおっしゃっていませんか。

 先ほど、骨格経営試算というのは、では、当時の政府は縮小モデルを出されていますか。出されていないんですよ。つまり、郵便事業が縮小し、金融も簡保も縮小するというモデルになっていません。(石田(真)委員「いやいや、なっていくんですよ、郵便事業はふえるはずがないじゃないですか、郵政じゃないよ、郵便事業ですよ、だめだめ」と呼ぶ)

 いや、それこそ情緒的な言い方であって、当時の民営化モデルというのは経営拡大モデルなんです。その拡大モデルから余りにも乖離をし、そして、先ほどお話しになった二〇〇五年のあの法案も私がつくってますから。あれは、肥大化した部分を政府の力によって、特に郵便貯金の中にあるものを極小化してリスクを外に出すという案なんですよ。だから、今、石田委員がおっしゃっている考え方にむしろ近いことを私たちは言っていたわけです。

 だけれども、当時の政府は逆のことをおっしゃっていて、それがいろいろなところでガバナンスも……(石田(真)委員「いや、違う違う、全然違いますよ」と呼ぶ)ちょっとよく聞いてください。委員は、御自身の意見は正しいと思っておられるかもわからない。私も、石田委員を大変尊重していますよ。尊敬していますよ。特に、フランスやいろいろなところへ行きました。

 私は、その中でもぜひ、今の議論はとても大事なんですよ。もし拡大モデルでないのであれば、私たちはこんな法案を出す必要はないんですよ。それを大幅に乖離して、そしてガバナンスも含めた統治の危機を迎えているからやっているわけです。

 また議論させていただきたいと思います。

石田(真)委員 いや、大臣、全然違うんですよ。

 郵便事業が下がるということは、みんなの一致した認識なんですよ。だから、それをどうするかという議論をやっていたということですよ。そうでしょう。

 ですから、これから下がるのに、それを、今、政府の案は郵貯と簡保で賄おうとするんだったら、どんどん下がれば郵貯と簡保をふやさざるを得ないんじゃないですかと言っているんですよ。民営化のときは、それを民営化というビジネスモデルの中で改善しようとしたんですよ。

近藤委員長 原口総務大臣、質疑の時間が終わっておりますので、簡潔にお願いします。

原口国務大臣 つまり、三事業一体で何とかもたせよう、ここは一緒なんですよ。

 ところが、あのときの竹中モデルというのは、コンビニをやります、国際ロジスティックをやります、そういった全体で劣化していく郵便事業を残そうとしていた。だけれども、今起きているのは郵貯、簡保の方も縮小しているんだということ、それを前提に議論しているということを御理解ください。

石田(真)委員 終わります。

近藤委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 自見大臣、御就任まことにおめでとうございます。

 きょうは、私が心から尊敬する大野筆頭理事と石田理事がかつて同じ政策グループにおられたということで、粗相のないようにと言われておりますので、粗相のないように、しっかり聞かせていただきたいというふうに思っております。

 それで、そういう意味では耳ざわりのよくないことを申し上げて大変恐縮なんですけれども、端的に質問に入らせていただけば、報道によりますと、いろいろな報道がありますけれども、全国郵便局長会、全国特定郵便局長会の会員やOB、家族らでつくる政治団体、郵政政策研究会が、パーティー券購入や寄附を行うことで、過去三年間で国民新党に八億円もの資金提供を行った、こういうふうにされております。

 そうすると、私ども、先ほどまでの御議論を聞いていて、私もそうでありますけれども、さきの国会に提出された郵政改革法案については、やはり内容的に、限度額の問題とかいろいろなことも含め、国民としてはマイナスといいますか否定的な評価をしていた、そのことが選挙に反映されたと私は理解しておりますが、一方で、その郵政民営化見直しを目指される国民新党あるいは同党所属議員の政治活動と金のあり方についても、やはり国民は厳しい目を向けたのではないかなと私は感じる次第です。

 きょう御出席いただいておりますけれども、自見大臣、そして長谷川政務官、いずれも郵政民営化見直しについて大変な熱意で取り組んでおられます。みずからの政治の理想を実現するために熱意を持って活動するという点では、私も同じ政治家でありますので、その点は大いに敬意を払うものでありますけれども、国民新党及び同党所属議員の皆様の政治と金のあり方について、きょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 三年間で八億円という国民新党への郵政政策研究会からの資金提供で言われているのは、主に、大体国民の感覚からすると二点だと思うんですね。

 申し上げれば、まず一点目は、丸抱えじゃないか。余りに特定の団体丸抱えで政治活動をやる党というのは望ましいことなのか。報道によれば、そのまま申し上げますけれども、「政党交付金という国民の税金を受領している公党としては、特定勢力の「丸抱え」の印象を、一般の有権者に持たれぬよう襟を正し、過度な資金依存は改めるべき」ではなかろうかと。

 これは、さきの委員会でも、石田委員からも御質問申し上げたとおりのことです。ゼネコンの幹部が国土交通省の副大臣なり政務官になったみたいな活動はやはりおかしいのじゃないですか、こういう言い方を石田委員はされていたと思います。それが一点目の、国民感覚からすると問題に感じる点。

 それからもう一点、これもあわせて自見大臣に認識を伺いたいのですが、もう一つ指摘される問題は、特定の法案、いわゆる郵政民営化見直し法案の成立を目指す代償として、郵政政策研究会から国民新党及び同党所属の国会議員が巨額の資金提供を受けるという構図に、法令的あるいは道義的な問題というのはないのか。

 政党活動が特定団体の丸抱えになっているという批判、あるいは特定の法案の成立を目指すことの代償として巨額の資金提供を受ける、そのようなあり方について、選挙の結果も踏まえ、国民の厳しい目が向けられているのではないかという点について自見大臣の御所見を伺いたいと思います。

自見国務大臣 赤澤議員の質問にお答えさせていただきます。

 私も五年前は自由民主党の党員でございまして、十二年前に郵政大臣をやらせていただきました。

 私は、率直に申しまして、ここは政治の場でございますから、ユニバーサルサービスというのは、郵便、貯金、保険が二万六千ぐらいの拠点がございまして、今三千三百の市町村の全部にかつてはございまして、実際歩いていますと、先生御存じのように、うちではもう農協が合理化のためにその村から支店を引き揚げましたというふうな、決して情緒的な話じゃございませんが、現実に非常に、東京におればなかなか理解しにくい話でございますが、私はさっき言ったように九州でございますから、九州の町、村に行きますと、そういった声を非常に聞く。

 また、明治四年以来、郵便が一番最初でございますが、たしか郵便が明治四年、明治五年に郵便貯金ができたと思っておりますが、大正時代に簡易保険ができたと思います。やはりそれが一つ、基本的な日本人としての、どんな過疎地にいても、どんな僻地にいても、それだけは国民が利用できる最低限のインフラだということですね。

 私は、国家というのは自由と平等だということが大事でございますが、自由ということも非常に大事でございますが、やはり国民であれば、どういった山村僻地におってもそのことが基本的に享受できる国家を保障せねばならないというふうな、少し青臭い考えでございますけれども、そういったことで実は郵政民営化に反対をさせていただいたわけです。

 その最大の理由は、今いろいろお話がございましたが、十年たって一〇〇%郵便貯金と保険会社を民営化すると申しますと、確かに企業というものは公益性、公共性もあるものでございますが、私の町でもかつて、大手の私鉄が長い間赤字が続きまして、大手でございましたが、結局、その電車を引き揚げざるを得ないというような状況を私も政治家として経験をさせていただきました。当然ですが、営利事業というのは営利を、利益というものを重視せざるを得ない。

 そうなれば、郵政大臣にさせていただいたものですから、山村僻地あるいは九州の、たしか十二年前は、郵政三事業は九州は全部赤字なんですね。そういった意味で、郵政事業というのはきちっと国民の最低限の、やはり日本人として金融サービスと郵便サービスは受ける必要があるのじゃないか、その可能性が、そういったきちっとした持続可能なビジネスモデルでないと私はいけないのじゃないか、そう思って、自分の判断で自分の行動をとらせていただいたわけでございます。

 当時、五年前のあのときの御党の公約をよく見ていただきたいのですが、郵政民営化は改革の本丸だ、こう言っておりました。そして、小さな政府でこそ、小さな政府というのはマニフェストに三回大きい面に書いてありまして、小さな政府で景気も社会保障もということを書いてありました。小さな政府ですから、これはもう大野先生を初め御専門でございますが、当然、必要な歳出までカットせざるを得ない。当然、大変なプライマリーバランスの話もございますけれども、私から言わせれば、それで必要以上に歳出を、地方からも地方交付税交付金を削減せざるを得ない。それから、骨太方針二〇〇六というので、毎年毎年社会保障を二千二百億削っていかねばならない。それから規制緩和。必要な規制緩和は必要ですが、過度の規制緩和。

 そういうのをひっくるめて市場原理主義と言う人もいますが、私はそういう思想そのものに、実は政治家として、こういったことでは日本の国がうまくやっていけないと思って、それは私の信念、勝手な信念でございますが、それによって私は一年十カ月落選したわけでございますが、それを是正するために少しはお役に立とうと思って、実は参議院に来させていただいたわけでございます。

 今、先生から献金の話が出ましたけれども、私もことしで二十五年。おかげさまで、衆参、与党、野党、与党、野党、与党とひっくり返りましたけれども、衆議院と参議院をやらせていただきました。やはり政治家というのはきちっと一つの考えを実現するために、当然いろいろな支援団体はございますが、そして、その支援団体が合法、適法なものであれば、政治にはいろいろ必要な資金がかかりますから、それはありがたい話でございます。いろいろな団体から支援を受けたことはございますが、それゆえに自分の政治家としての信念、考えというのは、いろいろな方から票をいただくわけでございますから、それは変えてはならないというふうに私は思っております。

 確かに、今先生御心配のとおり、郵政研からたくさん献金をもらったんだからそれに縛られるんじゃないか、こういう話でございますが、これは地方に十二ございまして、別々の独立した団体でございまして、会計者も違いますし所在地も違います。それから歴史的に申し上げれば、特定郵便局というのは、少し長い話になりますけれども、これは明治四年にできたとき、大体……(赤澤委員「委員長、お願いします。そろそろ」と呼ぶ)

近藤委員長 自見国務大臣、簡潔に御答弁をお願いします。

自見国務大臣 済みません。馬で行ける範囲が実は部会になったわけですね。自然発生的なもので任意団体でございます。

 そういったことで、いろいろなこと、支援団体があると思いますが、そこら辺はきちっと適法、合法なことであって、何らやましいことはないというふうに政治家として思っております。

赤澤委員 先ほどの石田委員の質問を聞いていて、私も大変危機感を覚えて、実は、自見大臣に聞こうと思う質問を全部一つにまとめてさせていただいたわけであります。大変正解だったなと思います。

 私も、粗相のないようにと言われておりましたので、途中やじることを決してしませんでした。しかしながら、関係があったのは最後のやましいところはないということで、理由は特に全くありませんでしたし、信念を変えてはいけないというのはそのとおりですけれども、別に、郵政政策研究会から多額の献金をもらわなきゃ信念が変わるということも決してあり得ないんだろうと私は思うんですね。加えて、何か営利事業は利益を上げなきゃいかぬというので、ひょっとして政治家は営利事業だと思っておられるんじゃないかというぐらい、ちょっと今の話は冗長過ぎたと私には聞こえました。

 今のようなお話も含めて、国民の多くが、要は、特定の党に郵政政策研究会という特定の団体から三年間で八億、議員の数はそんなに多くないですよ、十人もおられない、それで八億。これだけないと、これだけ丸抱えしないと政治活動ができないのか、一体それは何のために提供されているんだ、何かの対価じゃないのか、特定の法案を成立させるためか、こういう厳しい目が当然あるということを改めて指摘させていただきたいと思います。

 その点について十分思いをいたしていないから、自見大臣の今のような、大変ある意味ではメルヘンチックと言うと変でありますけれども、非常に昔を懐かしむような話になっちゃうんですけれども、現実、国民の政治と金の問題を見る目はどんどんどんどん厳しくなっているということでありますから、少し選挙の結果も踏まえて、時代認識を改めていただいて、まさに丸抱えの批判、あるいは特定の法案の成立の代償としてお金を受け取っているんじゃないかといったような批判について正面から受けとめていただきたいというふうに思います。この辺が選挙の結果にしっかりあらわれているんだと私は考えております。郵政改革法案の内容だけではないということを改めて厳しく申し上げさせていただきたい。

 その上で、刑事局長にきょう来ていただいていますので、幾つか伺います。

 刑法第百九十七条以下に規定されている収賄罪についてお尋ねをしたいんですが、まず、単純な収賄罪が成立する要件として、職務権限の行使と、やりとりされた金品の対価性の二つというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

西川政府参考人 あくまで一般論でお答えいたしますが、いわゆる単純収賄罪の構成要件は、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたこととされております。

 なお、賄賂とは、一般に、公務員の職務行為に対する対価としての不正な報酬をいうものとされております。

赤澤委員 今、対価性ということと公務員の職務行為ということで権限と関係があるんだ、こういう御説明だったと思います。

 さらに、請託があれば、受託収賄罪という呼び方だったかと思いますが、罪が重くなるという理解でよろしいでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる単純収賄罪の法定刑は五年以下の懲役でございますが、請託を受けたときの法定刑は七年以下の懲役ということになっております。

赤澤委員 あともう一点お尋ねをしたいんですが、衆参の国会議員の職務権限には、質問をするとかいろいろありますけれども、議員立法の提出、あるいは議案に賛成をするといったような投票行動も含まれるのかと思いますが、議員立法の提出が含まれるかについてお伺いをいたします。

西川政府参考人 これもあくまで一般論でございますが、国会議員が法律案を発議できることについては国会法に定められている、御案内のとおりでございまして、職務に当たるというふうに考えられます。

赤澤委員 それで、きょうちょっと資料を配付させていただいたので、これは長谷川政務官にかかわるものですので、特に政務官によく見ていただきたいと思うんですけれども、平成十九年、第百六十八回の臨時国会で、株式処分凍結法案をめぐる動き。

 これは、御案内のとおり、郵政民営化見直しをするためには、株式が処分されてしまっては取り返しがつかないということで、郵政民営化見直しをされる方たちはこれをイの一番に挙げて、とにかく株式が売却されないようにということで、最終的には、強行採決で政権交代後に成立をした法案でありますね。

 その前置きはいいとして、時系列で見ていただきますと、平成十九年の十月二十二日に、いわゆる全特、全国特定郵便局長会から国民新党に対して、郵政民営化の見直しについて要望書が出されたということであります。要望書の中身について言えば、民営化の見直しに必要なことをきちっとやってくれということですから、株式処分凍結法案といったような内容の法案の成立を目指すことは当然含まれているということだろうと思います。

 翌日、二十三日に、参議院にいわゆる株式処分凍結法案が提出された。自見現大臣と長谷川憲正現政務官は当時、参議院議員でいらっしゃって、政務官ではなかったということで、提出者に名を連ねておられます。

 そして、ちょっと飛びまして、十二月六日には株式処分凍結法案の審議が行われて、これは当然でありますが、法案提出者である長谷川憲正政務官は当時、参議院議員でありまして、答弁者として答弁に立たれて、法案の成立に努力をされているということであります。

 そして、その審議が終わった翌日に郵政政策研究会から憲正会へ、これは政治家としての長谷川憲正先生の個人的な政治資金管理団体だと思いますが、二千万円の寄附が行われているということであります。

 その後の経過としては、十一日に委員会で株式処分凍結法案が可決をされ、そして十二日には参議院本会議を通過しているということであります。

 この後の経過をざっと言えば、当時はまだ政権交代は起きておりませんので、衆議院では法案は否決をされた。その後政権交代が起きて、なお改革の熱意を燃やされてというか見直しの熱意を燃やされて、最終的には株式処分凍結法案と言われる法案が現在成立をしているということは、皆様御案内のとおりであります。

 さきの参議院通常選挙において長谷川政務官は議席を失われたわけでありますけれども、なお政務官として改革に熱意を燃やしておられるわけでありますけれども、これは国民の目から見れば、私、先ほど刑事局長に収賄罪について要件を確認させていただきましたけれども、国民の目から見れば、少なくとも形式的には収賄罪の要件を満たす可能性があるのではないかというふうに感じるんです。国民の目には収賄罪の嫌疑があり得るように見えないかと。

 つまり、当時の長谷川参議院議員が議員立法の提出という、まさに刑事局長が議員の職務だと言ったことを行った。その後、同法案の成立を図り、提出者として国会の質疑において答弁をした。その法案の成立に努めた翌日に、巨額の資金二千万円を受け取っておられる。さかのぼれば、これも精査する必要はあるんでしょうけれども、十月二十二日には要望を受けていて、請託であるようにも国民の目には見えるだろうというふうに思います。

 それで、私がまとめたもの、これは先生のホームページと、基本的には収支報告書をチェックした上で、きのう党からの指示などもあって、私が時系列に並べた中で一番気になった点を紙にさせていただいていますので、事実関係は間違いないとは思いますけれども、その事実関係と、それから今私が指摘した御自身の一連の政治活動、資金の流れについて、政務官御自身がどのように評価しておられるのか、まずその点を伺いたいと思います。

長谷川大臣政務官 赤澤委員にお答えを申し上げます。

 まず冒頭、大事な衆議院の総務委員会のこの貴重な時間に、私の問題でこうした時間をお割きいただくということ、私の不徳のいたすところでありまして、委員の皆さんにも委員長にもおわびを申し上げたいと思います。

 その上で御指摘にお答えをしたいと思いますが、私は、先ほど自見大臣がおっしゃいました、まあ、大臣と政務官という立場でありますから一緒に論じるのはいかがかと思いますけれども、私も当選をいたしまして以来と申しますか、当選以前からこの問題に一生懸命取り組んできたものでありまして、現在の民営化の状況の中で郵政事業がうまくいかない、これを何とか救済しなければいけないという思いでこの問題に取り組んでいるわけでございまして、それ以上でも以下でもないということをまず申し上げておきたいと思います。

 この郵政株式のいわゆる凍結法案につきましては、私が原案を書きました。それは間違いございません。そして、この法案をつくるべきだということは、郵政解散の後、平成十七年の秋に法案が成立して以降、私はずっと主張していることでございまして、何も、このときに急に、特定局長会から何か要望書があったので急に思いついてつくったというようなたぐいのものではございません。これは、法案を国会に提出するに当たって、局長会からもやはり意見を聞いておくべきだという国民新党の中の判断がございまして、党の方で意見をお聞きになったというふうに記憶をしております。

 それから、十二月七日に、この法案の審議の最中に寄附が行われたということでございますけれども、これは、きょうこういうことも聞かれるのかなと思って資料を持ってまいりましたが、私の手元の資料によりますと、平成十九年は十二月十一日に、私どもの会計の方に確かに寄附をいただいております。

 ただ、これは毎年のことでございまして、私は、自民党時代から国民新党を通じまして、毎年年末、十二月八日、十二月十八日、十二月十一日、こういったことで毎年年末に寄附を受けているものでございまして、この審議そのものとは関係がございません。

赤澤委員 今のお答えを聞いて、私は、やはり国民の目からわかりづらいと思うんですよ。

 それは毎年もらっているという言い方もいいですし、それから、日にちについては私も実は今御指摘しようと思ったんですけれども、今、どちらの方をチェックされたのかわかりませんが、おっしゃった。まず憲正会ですね、資金管理団体の方は、少なくとも私が確認したところ、十二月七日に寄附を受けたという記録になっていて、郵政政策研究会の方の、資金の出し手の方の収支報告書をチェックすると、四日後の十一日に寄附したということになっているはずなんですよ。だから、そこもちょっと私はおかしいなというので、時間がない中でこれはきょう質問しないようにしようと思ったんですけれども、要は、郵政政策研究会が寄附したというのは、先生の資金管理団体が受け取った四日後ということに記録ではなっているんですね。明らかにずれています。ということがあるので、その辺も今後ちょっと問題になり得るかなと思っています。

 それで、国民の目から見て一番わかりづらいところは、毎年もらっているからいいんですという話にやはりならないんですよ。というのは対価性の部分です。職務行為は明らかにある。刑事局長に聞いても、国会法に書いてあることだから、議員が法律を提出すること、議員立法をやることは権限の範囲内だと。もう一個の要件は対価性なんです。

 その部分について言わせてもらえば、国民の目から見て、二千万円のお金、一体何をしたらもらえるんだろうという額ですよ、対価性がないとおっしゃるけれども。さかのぼれば、毎年もらっているものが全部合わせて対価なんじゃないですか。とにかく、その辺について、何で二千万円もらえているんですか。国民の目から見たらわからないですよ。毎年もらっているからいいんですという、その感覚は私からすると信じられない。毎年もらっているものが全部合わせて、郵政民営化法案を成り立たせて、処分凍結法案をまずやって、郵政民営化見直しをすることの対価に実はなっているんじゃないですか。国民の正常な感覚だったらそういうふうに受けとめると思いますよ。時間がない中なので、この点についても、もしコメントがあれば言っていただければ結構なんですが。

 先ほどの話にちょっと戻って指摘をしておきたいのは、私がやはり問題に思うのは、政治の理想を追う、その理想がいいものかどうかというのは、まさに郵政改革法案の中身そのものだと思うんですけれども、その政治手法ということも本当に問われていると思うんです。

 残念ながら、郵政政策研究会と国民新党が協力して全力で取り組んでいる郵政民営化見直し、これは悪い言葉で言えば、癒着して血道を上げているなんという言い方になりかねないところですけれども、これまでに判明しただけでも、巨額の資金提供による丸抱えがある。十人もいない党に三年間で八億円。あるいは今、毎年もらっているからいいんだと言われたけれども、その全体との対価の関係というのがあり得るんじゃないか。この件についても、毎年もらっているから対価性がないなんということには決してならないと私は思いますし、もっと言わせてもらえば、もらわなくたってやったということと対価性は関係ないんですよ、残念ながら。もらわなくてやったことについても、対価をもらえばそれは十分対価性がある、こういうことであります。もらわなくたって、私は信念でやっていたといって、そのことが決して消えるわけではありません。

 なので、巨額の資金提供による丸抱え、あるいは収賄罪の嫌疑の可能性、そして収支報告書の間違いですね、払ったという側ともらった側が四日ずれているんですよ。それもあり得ないことに、払ったという側の方が四日遅いんですよ。ということが起きている。その辺を考えると、郵政民営化見直しの中身の問題はあるけれども、それ以上に、あるいはそれと同等と言えばいいかもしれない、以上にとは言えないかもしれません、その政治手法というのが国民新党にとっても所属議員を見ても残念ながら金まみれだ、政治と金の大きな問題があると、これは国民の目から見て指摘されてもしようがないんじゃないですか。

 私は、改めて申し上げれば、国民新党が国民の一定の支持を得ていることは百も承知であります。繰り返しになりますし、恐縮ですが、自見大臣、長谷川政務官がみずからの理想である郵政民営化の見直しに大変な熱意を燃やされている、このことは同じ政治家として本当に敬意を払うものでありますけれども、本当にこのような政治と金のあり方、目標追求のあり方を国民が支持をしているのか。それはいわゆる郵政ファミリーの方たちも含めてですよ。中から、お金について、もうたくさんだという声も私のところに聞こえてきていないこともありません。そういうことも含めて、本当に大いに疑問である。

 最後に一言申し上げたいのは、これは質問とあわせてでもいいんですが、政治と金について問題が指摘されている以上、平成十六年以降、長谷川参議院議員の誕生以降の、寄附及びパーティー券の購入などを含む資金の流れに関する一切の資料、帳簿とかそういうものをぜひ当委員会に提出をしていただきたいと思います。その点、していただけるかも含め、長谷川政務官からお話があれば伺いたいと思います。

長谷川大臣政務官 党の経理に関しましては私が代表して答弁する立場にはありませんけれども、必要な資料はすべて公開をされておりますので、それはぜひごらんをいただき、分析をいただいたらいいと思います。

 繰り返しになりますけれども、私は、請託を受けて仕事をしたことはございませんし、請託があってもなくても、特定の個人や団体のために仕事をしたこともございません。

 それから、毎年もらっていることをいいことだというふうに私は申し上げたわけではなくて、十二月のこういう時期にもらったというのは、たまたまそういう時期であったということを申し上げただけのことでございます。

 それから、先ほど来、八億円、党の方に寄附があるという話が出ておりますけれども、新聞にそういうふうに書いてございますが、それはいわゆる党費の支払いを含めたものでございまして、職域団体としての、党員からの献金がそのうち六億から七億円入っているはずでございまして、一般の寄附とは違います。そのことはきちんと御理解をいただきたいと思います。

赤澤委員 今の御説明も私は非常にわかりづらいと思うのは、特定の団体のためにという言い方だったか、政治をやった覚えは全くない、こうおっしゃるんですけれども、国民からするとわかりませんよ、それは。一つの党が郵政政策研究会から八億円もらっているんですよ。しかも千万単位でお金をもらっているんですよ。その方が郵政政策研究会のために何か期待されている仕事をしていないなんてことは国民は思わないと思う。

 現に、先生の国政レター、憲正国会レターだったですかね、あの中で誇らしげに、この法案の流れで自分がどういう活躍をし、この法案成立のためにどれだけ努力したかを、もう特集号みたいなものを、十七号だったかと思いますけれども、つくって、皆様のために頑張った、皆様のために頑張った、皆様のために頑張ったって繰り返しておられるじゃないですか。それを見て、特定の団体のためにやっていないと言ったって、国民はそれは信じません。今みたいな答弁でこれが済まされると思っておられたら、その認識は甘いです。あのレターの中で、皆さんのためにこの法案を頑張ったということについて、国民全体だとだれが思うんですか。私は、その辺は本当におかしな答弁だと思います。

 それで、時間の関係もあるんですが、まず委員長にお願いをしたいのは、この関係、彼は、党のものは全部オープンだとおっしゃいましたけれども、個人のものについて言えば、例えば政治資金パーティーのパーティー券、どんなものが購入されているか、どこに購入してもらっているかみたいな話というのは、これは明らかになっているものとなっていないものが当然ありますよ。

 私はこの件だけについて言うんじゃなくて、ざっと見ただけでも、やはり同じ十九年に、郵政グループとして、郵政OBの方たちをさらに雇用することでマンパワーを補充すべきだというようなことについて質問に立たれて、その前後に資金が振り込まれているといったようなことも、これは確認をすればできることです。

 なので、資料を、この点については、私も実はここまで調べて自分でこのことを質問する気では必ずしもなかったんですけれども、議員でなくなられてからなお政務官におられて、私は、この点は本当に総理の任命責任も問われる問題だと思っているんですよ。こういう政治手法でやってこられて、郵政改革法案の中身、あるいは国民新党の政治手法、長谷川憲正政務官の政治手法、この点について選挙で負の評価があったという認識を持って、その時点で政務官の任期をやめてもらう、御退任いただくということが総理の当然あるべき任命責任の果たし方だったと私は思っているんです。ところが、なお政務官で残っておられる。

 ここで総理はおられないから聞けませんけれども、それが適切だったと言うんだったら、今我々が提示した疑義にきちっと答えてもらって、パーティー券の、どこから買ってもらったかとか、そういうのも全部含めて、先ほど申し上げたとおり、委員長のお計らいで、平成十六年以降、長谷川参議院議員が議員に就任してから一切の、帳簿とかあるいは寄附の関係もそうです、パーティー券の代金もそうです、その関係の資料を当委員会に出していただくようにぜひお取り計らいをいただきたいと思います。委員長、よろしくお願いできますか。

近藤委員長 理事会で諮らせていただきたいと思います。

赤澤委員 ということでありますので、ちょっと今の長谷川政務官の御答弁だと私は全く納得ができませんので、この点については今後とも引き続きお話をさせていただきたいと強く感じる次第であります。

 時間が参りましたので、きょうはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 皆さんの御配慮で、質疑順序について変更させていただきました。ありがとうございます。

 私の方からは、きょうは停波まで一年となりました地デジへの移行の問題、アナログ停波の問題について質問をいたします。

 アナログ停波まで一年足らずとなったわけですが、アナログのテレビは視聴できたのに地デジのテレビは見られなくなるという新たな難視世帯、これが実際には数十万世帯も生まれることを前提にしたのが今回のアナログ停波の計画であるわけで、この点からも見直しが必要だということを私は訴えてまいりました。受信側の準備の問題でいいましたら、やはり経済的な理由でデジタル化対応が困難な世帯の問題ですとか、ビル陰難視のデジタル化対応について関係者の協議が調わない問題など、とてもあと一年足らずでの地デジ対応は困難だと私は思います。

 視聴者の多額の地デジ負担というのは大変大きなもので、全国消費者協会の調査などでも、地デジ対応のために幾ら費用がかかりましたかという問いに対して、平均して二十七万円という額が出てくるわけです。

 そこでお尋ねしますが、政府としてさまざまな支援策を行っております。低所得者への支援策も行っておりますが、受信機器の購入等の支援の対象となっているNHKの受信料全額免除世帯の中で、生活保護世帯が何世帯ということで予算措置をされておられるのか。また、厚労省がここで発表いたしました平成十九年の国民生活基礎調査特別集計による推計に基づく最低生活費未満の世帯、いわば生活保護相当以下の世帯の方がどのぐらいあるのか。

 こういう数字について、この間、総務省の方でも答申などを含めて出されておりますので、お答えいただけますでしょうか。

内藤副大臣 お答えをさせていただきます。

 NHK受信料全額免除世帯は全部で二百七十万世帯あるわけなんですが、そのうち、生活保護世帯は百三十万世帯となっております。

 そしてまた、次にお尋ねの、厚労省の調査によってどういう実際の数字が出ているかということでございますが、生活保護世帯を除いた生活保護基準未満の世帯は、まず一つ目の仮定として所得のみを考慮した場合は、二百三十一万から五百九十七万世帯という幅のある数字となっております。そして、所得のみならず資産をも考慮した場合は、約十四万から二百二十九万世帯となっております。

 以上でございます。

塩川委員 情報通信審議会の七月の答申の中で、この厚労省の推計で、最低生活費未満の世帯は五百九十七万世帯というようなお話がございました。このときの被保護世帯数が百八万ですから、いわば捕捉率と言われるような数字の考え方でいえば、実際の生活保護の世帯というのは対象となる方の一五・三%ぐらいじゃないのか。極めて少ない割合。四百万世帯以上の方々が、政府の支援の対象にならないような低所得の世帯ということでもあるわけであります。

 実際には、こういう世帯がたくさんあることに加えて、先ほど言ったようなビル陰共聴についての実際の関係者の調整がおくれて、政府の支援措置も予定どおり進まずに、さらに先送りするようなことにもなりかねないような状況があるわけです。

 ですから、そこで原口大臣に伺いますけれども、来年の七月の時点で、こういったアナログの停波によってテレビが視聴できなくなる世帯が出ない、生じないというふうに大臣はお考えなんでしょうか。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

原口国務大臣 塩川委員にお答えします。

 今、大事な御指摘をいただいたと思います。現実に捕捉をされている生活保護世帯が、私たちは新政権になって貧困率という数字も出させていただきました。本当に正しいマッチしたものなのか、この精査はしなければいけません。

 それから今おっしゃるように、まだ各省の施設でも、この間、閣僚懇でも私の方から数字を出させていただきましたが、中央省庁でさえまだ未整備のところもございます。これを十二月までに、すべて各省はめどをつける、公的施設については計画も全部立てるというふうにしています。

 今委員が御指摘の民間施設についても、一つ一つの都道府県ごと、あるいは市町村ごと、この間、石川県で完全停波を実現しましたけれども、各自治体にもお願いをし、御指摘のような事態が生じないように、連携をしてデジタル化推進の運動の輪を広げてまいりたい、このように考えています。

塩川委員 テレビ難民が生じないと考えているのかということについての直接のお答えがなかった。そういう点では、テレビ難民が生まれることを否定できないということでもあると思います。

 先ほど言った石川県の珠洲市の事例というのはまさに総がかりでやった結果ですから、それと同じ規模で今できているのかといえば、そうはなっていないわけですから、そういう現状を踏まえて対応しなければいけないわけですし、テレビが視聴できない人を放置してはならない、そういう点でも、あまねく義務のないアメリカにおいても二回にわたって延期をしたわけですから、日本はあまねく義務がかかっているわけですから、アナログの停波の時点でテレビが視聴できなくなるような世帯を残すことというのは絶対に許されないわけであります。

 ですから、私は、アナログの停波は延長すべきだということをずっと申し上げてきたわけですが、アナログの停波の延期をすることによって、まさにテレビの視聴者にとって何か迷惑というのは生じるんでしょうか。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 改めて言うまでもなく、今、放送局はアナログとデジタルのサイマル放送をやっているわけなんですが、御存じのように、今アナログの送信機は新たには製造しておりませんし、また取りかえ用の部品もつくってはおりません。ということで、放送局の方々に言わせれば、だましだまし今アナログの機器をもたせているというところでございます。それが仮に延期となったら、当然のことながら、放送途中に故障する可能性も出てくる。そういった不安定な状態でアナログ放送を視聴者の方々に提供しなきゃいけないということがあるわけでございます。ですから、総務省としても、絶対にこの七月二十四日に完全実施するんだという、その決意で取り組んでいるところでございます。

 そして、もう一つだけお答えをさせていただくならば、この完全実施が済んだ後、アナログの空き地帯を使って国民に有益なサービスを提供しようと考えております。その一つの例を申し上げさせていただくならば、新たなラジオでございます。

 御存じのように、今、ラジオは特に東京だとかなどの都市部においてはほとんど聞こえない状態でございます。しかし、ラジオというのは国民の方々に災害情報等を適時的確にお伝えする大変身近な機器であるのですが、それが特に都会においては機能していない、これはゆゆしき問題であるということで、デジタルラジオ、V―LOWという言い方をさせていただいておりますが、そういったものを私のもとで、研究会で議論をさせていただいておりますが、空き地帯を使ってデジタルラジオ、つまり、V―LOWでもって国民の皆様に災害情報等を適時的確にお伝えする、このサービスの展開がおくれてしまうということも懸念をされるということを申し上げさせていただきたいと思います。

塩川委員 お尋ねしたのは、アナログの停波を延期することで、テレビの視聴者の方が何か困ることがあるんですかということなんです。だって、地デジに対応できない方は、アナログのままだったら見られなくなる、そういう方に対してアナログ停波を延長するという措置をとることがテレビ視聴者にとって困ることなんですかというお尋ねなんですが。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

内藤副大臣 それは私が最初にお答えしたものでございまして、今、アナログの機器、送信機器についてはつくっておりませんし、その取りかえ用の部品についてもつくっておりません。つまり、かなり耐用年数を過ぎた中で使い続けなきゃいけないという状態が続く。これを延長するとなると、ますます故障が発生する可能性が高くなる。これは、アナログテレビを受信する方にとっては大変大きな不利益であると考えております。

 以上です。

塩川委員 それは放送事業者の都合なんですよ。テレビの視聴者の皆さんにとってアナログの停波そのものが、地デジに対応できていない方にしてみれば、テレビが見られなくなるというテレビ難民の問題ですから、そこが問われているわけです。

 そこで、その放送事業者の話ですけれども、今、アナログの設備が対応できなくなるという話がありましたけれども、その点については、そもそもサイマル放送をすることによって経費がかかる、事業者側のコストの問題について、三月の質疑の際に、原口大臣からも延期ができない理由として述べられたことの一つでありました。

 このアナログ停波の延期による放送事業者のコストの問題についてお聞きしたいんですが、放送事業者あるいは総務省の試算として、このアナログ停波の延期による放送事業者のコストについて、そういう試算があるのかどうか、あるとすれば幾らなのかをお答えください。

内藤副大臣 お答えをいたします。

 NHKについては、福地会長が過去の会見においてこのようにおっしゃっております。仮に一年間延期をしたとした場合、六十億円程度負担増になるということをおっしゃっております。

 その他の民放五局については明言しておりませんし、また、そもそも延長することを考えていないから試算もしていないということでございますが、恐らく、決して少なくない額の負担が一年間継続されることになるだろうと思料しております。

塩川委員 三月二十五日の質疑の際に、私がアナログ停波の延期ができない理由は何かということについて質問した際に、原口大臣は、「それは幾つかございます。サイマル放送による放送事業者の負担増、アナログ放送用機材の維持、運用が困難であること、国民生活に必要な新サービスの早期開始、節減した電波の利用、あるいは期限を決めて関係者が連携して取り組むことが重要、このように考えています。」という話ですが、先ほどのデジタルラジオの問題もそうですけれども、そもそもアナログのテレビが見られなくなってしまう、つまり、今まで見られたテレビが見られなくなるということ自身が国民にとって大きなマイナスであるわけですから、その一方で新たな国民に対するサービスが提供されるよといっても、これは納得の得られる話ではない。

 その上で、延期ができない理由としての放送事業者のお話をされたわけですけれども、内藤副大臣がおっしゃった、アナログの設備が対応できないという話は、それはもう停波ということを前提にしているからメーカーの方が何の準備もしないという話であって、延期をするということでしっかりと対応することをメーカーに求めればいいわけなんです。そういう方針を政府が出すかどうかということが問われているんじゃないですか。

 NHKに六十億円の中身の話を聞きましたけれども、それは、だましだまし使う、アナログの設備を使い続けるということを含めて、かかる経費として六十億円と見ているわけですよ。ですから、その意味では、放送事業者のコストの問題ということが延期ができない理由となっているわけですから、そこの問題についてしっかりと考えるべきじゃないかということであります。

 そもそも、放送事業者のコストを挙げて延期ができない理由としているんですけれども、今のお話のように、民放でどれだけかかるかということも調べていないじゃないですか。それで何で放送事業者のコストが大きいという話になるんでしょうか。NHKにすれば、受信料全体の収入の一%にもならない金額が六十億円です。民放についても、民間の研究者の方のお話でも、NHK、民放合わせて二百億円ぐらいで、民放の売り上げにすれば一%程度じゃないかということが言われています。もともとNHKが今の経営計画をつくるときに、アナログ停波に伴うリスクの試算をしているわけですね。受信料収入がどれだけ落ち込むのかという数字として、百九十五億円の減収というリスク要素があるということを言っているわけです。アナログ停波によって見られなくなる人が受信料を払わなくなる。

 ですから、一方で六十億円のコストがかかる。他方では、受信料の減収が起こるのは百九十五億円だ。差し引きしたってアナログ停波を延期することの方が、放送事業者、NHKにとってもかえってプラスとなる話であるし、また民放についても、視聴者が減れば広告収入が大幅に落ち込むことにもなるわけですから、そういうことを考えても、私は今のあり方について見直すことが必要だということを申し上げておくものです。

 今、内藤副大臣がおっしゃった中で、跡地利用の話もありましたけれども、実際にその跡地利用として、節減した電波の利用、つまり、跡地利用の話で実際に利益を得る事業者がだれなのか。それは携帯電話やあるいはITSなどの事業者であるわけです、携帯電話事業者や自動車メーカーにとって大きなメリットを得るということですから。

 最後に大臣に伺いますけれども、テレビ難民を生み出しかねないようなときに、そういった跡地利用で携帯の事業者やあるいは自動車メーカーなどの都合を優先するような、利益を優先するようなあり方は決して許されない、国と事業者の都合を優先して国民に負担を押しつける、テレビ難民を生み出すようなことは決して行うべきじゃない、そのことについて強く申し上げておきますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 これは、長い計画の間進められてきたデジタル化だと、まずこれを御認識いただきたいと思います、それは前政権であっても。

 そして、NHKで四千億、民放で一兆円ぐらいの投資をして、そして雇用効果でも十七万人を超える雇用といったものでこのデジタル化を進めているということを前提に、今おっしゃった地デジへの完全移行に向けた、円滑な放送を行うための必要な支援策を実施しておりまして、私たちは、この施策に対する費用は、周波数の効率的な利用につながり、無線局全体の受益となることから、電波利用料を充てているところでございます。

 オークションについても、今さまざまなところで議論をしていただいています。限りある公の資源である電波をどのように使っていくのか、それはだれが負担するのか、公平、公正性が求められるということは委員がおっしゃるとおりであるというふうに考えています。

塩川委員 放送事業者やあるいは跡地利用の事業者の都合を優先して、結果としてテレビ難民を生み出すようなことは決してあってはならない、アナログの停波の延期について真剣に考えるべきだ。具体化を強く求めて、質問を終わります。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 まず初めに、前国会の終盤のことについて一言申し上げたいと思います。

 与党は、郵政改革法案を成立させるために、横暴な国会運営を行って国会を大きく混乱させたという、私たちは苦い経験をいたしました。政府・与党には、再びそのようなことがないように国会に臨まれるよう強く申し上げたいと思います。

 さて、参議院選挙の結果を踏まえると、先ほど石田委員からも話がありましたように、郵政改革を進めようとする与党側が負けて、郵政改革は民意を得ていないということが明白になった、私もそのように思っております。

 その上に立って、それでも郵政改革を進めようというふうに思われるのかということを、まず郵政改革担当大臣にお伺いをさせていただきます。御高説は十分長くお聞きしたいんですが、できるだけ簡潔にお願いを申し上げます。

自見国務大臣 西委員に簡潔にお答えいたします。

 今回、参議院選挙において、郵政改革については私は主な争点ではなかったというふうに考えております。また、国民新党は議席が獲得できなかったということは大変厳粛な事実でございますから、大変そのことを重たく受けとめますが、郵政改革は本当に一億二千五百万人の、都会であり、またまさに僻地であり離島であり、そういった方々の生活の利便に資するものであるから、私はやはりきちっと、そういった意味では、今さっきから長々と申し上げましたけれども、大きな争点ではなかったし、賛同を得られているというふうに私自身は体感をいたしております。

 いずれにしても、郵政改革というのは、今さっき原口大臣も言われましたように、これをまた公社に戻そうとかあるいは国営にしようという話じゃなくて、今の株式会社形態を、金融の二つと申しますか、郵貯と簡易保険でございますが、そこにユニバーサルサービスをかけて、なおかつ持続可能な形態にしよう、そういう話でございますから、私は、いずれにしても国民新党としては、菅総理が予算委員会でもまたそのことを両党首間の約束について申し上げておりましたが、政府としても万全を尽くしていきたいというふうに思っております。

西委員 ありがとうございました。

 私は、特に終盤国会、当委員会で、一日六時間で強行採決をしてまでこれを成立させようとしたということは、国民にとっては非常に衝撃的でしたし、そのことはかなり国民の関心は高かったというふうに思っております。

 次に、これも赤澤委員から話がありましたが、郵政改革法案をめぐって、全国特定郵便局長会関係者の政治団体、郵政政策研究会から国民新党が多額の資金提供を受けているということが報道されております。

 政治資金規正法第十八条では、政治団体の下部組織に当たるいわゆる支部について、本部と一体として扱い、パーティー券購入については全体として一団体とみなす、こういうことにされております。郵政研の規約には、本会の下部組織として地方本部を置く、こういうふうに郵政研の規約がなされていると言われております。

 そういたしますと、政治資金規正法第二十二条の八に規定されるように、本部、支部、今のいわゆる郵政研においては地方本部というふうな位置づけがされておりますが、これは下部組織ですから支部ということで、それぞれ百五十万ずつ支出できるということではないというふうに私は理解をしております。したがいまして、郵政研が地方本部を迂回する形で提供した分については法律違反ではないかと指摘をされているとおりでございます。

 そこで、地方本部が支部なのかどうか、また法律違反なのかどうかについて事実関係に基づいて答弁を求めるとともに、この件に関する原口総務大臣の見解を求めたいと思います。

原口国務大臣 個別の事案については、具体的な事実関係を承知する立場にございません。これまでの大臣同様、お答えは差し控えさせていただきます。

 なお、一般論として申し上げれば、政治団体の支部は政治団体の組織の一部に当たると解されておりますが、政治資金規正法においては、政治団体の支部についての定義規定はございません。

 具体の事案が政治団体の支部に該当するか否かについては、一義的には当該政治団体において判断されるべきものと思料をしておるところでございます。

西委員 大臣はそういう御答弁だと思いますが、明確に規約に「下部組織」というふうに指定をされておりますので、地方本部というふうに銘を打っておりますが、事実上の支部ではないかという疑念は残ると私は申し上げたいと思います。

 それから、郵政研から国民新党への多額の資金提供は郵政改革法案をめぐるものである、これは先ほどからの種々の議論でも、そういうことがかなり濃厚だと思います。法案をめぐるもので、露骨な利益誘導ではないか、こういうふうに疑念を持たれております。

 政治資金規正法において、寄附に関する量的制限は、巨額の政治資金の授受が腐敗、癒着に結びつきやすいことから、公正な政治の実現を図るために規正されております。その趣旨に照らし、亀井氏に続いて郵政改革担当という重要な職権を持つ大臣の職責を担っている自見大臣には、このような多額の資金を提供されていることについて説明責任が求められていると思います。この事実を明らかにして説明をいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 まず、郵政研からの寄附が郵政改革法案実現のための露骨な利益誘導ではないかという御指摘でございますが、郵政事業改革は連立政権における合意に基づく内閣の方針でございまして、私はその方針の下で郵政改革担当大臣として職務に取り組んでおりますので、露骨な利益誘導ということとは全く無縁なものだというふうに断言させていただきます。

 それから次に、郵政政策研究会は総務省へ届け出られている適法な政治団体でございまして、当然、それに基づいて公開をいたしております。そして、私どもは、この団体から適正あるいは適法な手続を経て寄附を得ているものであり、何ら問題はないというふうに認識をいたしております。

 また、御器谷さんという、これは法律事務所でございますが、その方からもコメントをいただいておりまして、これはもう先生御存じのように、支部といえども実態が大事でございますから、実態としては、これは当然、十二のすべてのブロックに所在地がございますし、会計責任者も別でございますし、そういった意味では実態として別々のものであるというふうな認識をいたしております。そういった意味で、我々は、このことについては全く適法、合法なことであるというふうに確信を持っております。

 それから、郵政研の前は大樹という会でございます。さっき、どなたかからございました。私が九年前に自民党の組織本部長をさせていただいたとき、大樹から多額の、当時は党費でございましたが、自由民主党について、党費を通じて適法、適正な献金があったということも事実であるというふうに思っております。

西委員 この件については、また機会がありましたら詳細に論じたいと思いますが、時間の都合で次に進ませていただきます。

 次に、七月二十三日、岡田外務大臣は、アメリカのクリントン国務長官との会談で郵政改革法案について問題提起をされて、WTO協定を含めた国際条約との整合性を確保すると答えたというふうにマスコミでは報じられております。どのような問題提起があり、どのように答えたのかということを外務省の方から報告をお願いいたします。

吉良大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、外相間のやりとりの前に、一つ前提についてお話をさせていただきたいんですが、EU及び米国政府からは事あるごとに郵政改革について問題提起がされております。その問題提起というのは公平な競争条件の確保ということでございます。それが内容でございますので、郵政改革についてということがあれば、内容的にはそのことだという前提がまずございます。

 その上で、外相会談の中では、クリントン国務長官の方から、郵政改革について日本政府の努力をお願いしたい、こういう旨の発言がございました。これに対して、岡田大臣からは次のように答えております。さきの通常国会では審議未了で廃案となり、今後の扱いは参議院選挙後の国会の状況を踏まえて決まっていく、いずれにせよ、WTO協定を初めとする国際約束との整合性を確保していく、このように岡田大臣からは答えております。

 以上でございます。

西委員 それでは、今答弁がありましたように、整合性を確保するというふうな御答弁が岡田大臣からあったと。

 この点について、整合性を確保するということについて、政府として具体的にどのようにしていくという方針なのか。もしくは、今のでいいんだということもあるのかもしれませんが、このことについての自見大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 今回の郵政改革においては、関連銀行、ゆうちょ銀行でございますが、それから関連保険会社、かんぽ生命は、他の民間銀行、生命保険会社と同じ規制、いわゆる業法ですね、銀行法あるいは税法等を受けることに加えて、金融のユニバーサルサービスの一翼を担いながら、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮し、限度額等の上乗せ規制が課されることとなっております。

 その一方で、他の民間銀行あるいは生命保険会社には金融のユニバーサルサービスというのは御存じのように課されておらず、そのような上乗せ規制というのは普通の一般の民間銀行、民間の生命保険会社にはないわけでございます。それは御案内のとおりでございます。

 こうした現状も踏まえつつ、郵政事業の経営の自主性と、同様の業務を行う事業者との競争条件の公平性とのバランスがとれた制度設計としたわけでございます。

 それから、具体的な上乗せ規制としては、限度額については、法施行後の関連銀行、関連保険会社について、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性等を勘案し、預入金額及び保険金額等の限度額を政令で恒久的に設けることとしています。

 それからもう一つ、業務規制というのがございますが、当然、業務規制については、法施行当初の関連銀行、関連保険会社である郵便貯金銀行、郵便保険会社に対して、一定の期間でございますが、業務の内容それから方法の届け出を義務づけることとし、当該届け出は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性を阻害するおそれがないこと等を条件としております。

 届け出事項が上記条件に適合しない場合などには、内閣総理大臣または総務大臣が、有識者から成る郵政改革推進委員会、たしか十人の有識者だというふうに私は記憶いたしておりますが、その意見を聴取した上で勧告することができるといった措置を講じております。

 このような郵政改革は、経営の自主性と競争条件の公平性のバランスのとれた制度設計とすることにしており、WTO協定を初めとする国際条約との整合性は確保しているというふうに思っております。

西委員 詳しく御説明いただきましたけれども、結論として言うならば、前国会で審議した郵政改革法案そのものが、要するに、既にWTO法上の御懸念には当たらない、こういうふうにおっしゃりたい、こういうことでよろしいんでしょうか。

自見国務大臣 そのとおり、WTOの懸念には当たらない、整合性を確保しているから当たらないというふうに思っております。

西委員 多分、クリントン国務長官も、この間の議論、また法律の内容については御存じの上で問題提起をされたのではないかというふうに思います。あの法律は通過いたしませんでしたけれども、公表されておりますし、また、六時間とはいえ議論もいたしました。それを踏まえて、さらにこのことが議論になるということは、やはり引き続き懸念があるのではないかというふうに私は見たんですが、このことについて若干コメントがあれば教えていただきたいと思います。

原口国務大臣 私は直接アメリカへ参りまして、CFRやあるいは米政府とも話をいたしました。

 例えば、暗黙の政府保証といったものに対する懸念、これは前の政権時代も、それはないということでWTOをクリアしているわけですね。むしろ逆に言うと、私たちは、暗黙の政府保証がない中で預金保険を払い、しかもユニバーサル義務を負わせ、先ほどの石田委員のお言葉をかりれば、劣化していく郵便事業をこの二事業で支えることにしているわけです。つまり、おもしを乗せているわけです、その前提に立てば。そういったものであって、むしろ逆に言うと、負の競争条件を課されていると言ってもいい。

 大きなガリバーの話を、CFR、アメリカの外交評議会では日本通の皆さんにお話をしましたけれども、このガリバーは、手足をずっと長い間縛られているガリバーであって、東京湾を出て、外に打って出てサンフランシスコ湾まで行くような、まだそんな体力はないんだというようなお話も率直にしたところでございます。

西委員 時間がなくなってしまいました。あと二分ほどでございますが、最後に一問、御質問申し上げたいと思います。

 先月十七日、地上デジタルへの完全移行に関して、アナログ停波の延期を求める放送関係のジャーナリストらの提言がございました。提言は、十項目の問題点を挙げて延期を求めておりますが、理由の第一と第二は、デジタル放送対応テレビの絶対数の不足、それから世帯普及率の低さを挙げております。

 政府は、ことし九月でエコカー補助金の打ち切りを決めたというふうにされております。エコポイントはことしの末で終了しますが、国土交通省は住宅エコポイントの延長を検討している、こういうふうに言われております。きょう新聞を拝見しますと、ビル陰世帯向けの地上デジタルの助成、これは継続するというふうにおっしゃっているという記事が出ておりましたが、これは結構なことだと思っております。

 地上デジタル放送への完全移行の最後の追い込みの期間の途中で家電エコポイントが打ち切られるというふうにタイミング的にはなるわけですが、地上デジタル放送への完全移行をより推進するために、これは延長していいんじゃないかと私は思っておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 この家電エコポイントは、経済対策、それから環境対策、そして今おっしゃる地上デジタルの推進、この三つに大きな役割を果たしました。そして今、十二月末ということで一定の期限を置くことによって、そこに向かってドライブをかけている状態でございます。

 西委員の御指摘も踏まえて、さらにどのような追加や検討ができるか考えてまいりたい、このように考えます。

西委員 前向きな答弁、ありがとうございました。

 終わります。

近藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社民党の重野安正であります。

 きょうは、郵政改革法案に対する両大臣の考え方について質問をいたします。

 過ぐる通常国会では郵政改革法案が廃案となった、極めて残念であります。同法案については、社民党も、その作成過程からかかわってまいりましたし、郵政民営化の問題点を正し、ユニバーサルサービスの確保のためには必要な法案だと認識しております。

 そこで、まず自見大臣、今後どのような日程で郵政改革法案の成立を図っていくおつもりなのか、また原口大臣、郵政改革に向けて、今後どのような考え方で進むおつもりなのか、それぞれお聞かせください。

自見国務大臣 重野先生は社民党の幹事長をしておられまして、先般の七月二十二日、福島みずほ党首と亀井静香代表で、「労働者派遣法改正案及び郵政改革関連法案の次期国会での成立を期すこと。」ということ、これは本当に両党の党首で署名をしていただいております。

 また、今先生から話があったように、我々は、当時、社民党、民主党、国民新党、参議院では多数でございましたが、政権を持っていないという時期から、この郵政の株式凍結化法案を、社民党さんあるいは民主党さんの御指導をいただきながら、国民新党もその一翼に加わらせていただいて法律を出させていただいたことなど、大変貴重なことを思い出させていただいたわけでございます。

 今、重野委員から、今後どのような日程で郵政改革法案の成立を図っていくのかという御質問でございます。

 今、社民党さんともそういう話をさせていただきましたが、民主党さんとも同時に、そういったものは次期臨時国会における最優先課題として速やかに成立を図るというふうにされているところでございますので、今先生からも話がございました、全国において郵便局の基本的なサービスを一体的に提供できるように、また、どういう僻地、山村、離島でもきちっと、ユニバーサルサービスと申しますか郵便局のサービスが受けられるように、そういった持続可能な、三事業一体な経営形態に再編するために、速やかに法律を提出して成立を図らせていただけるということが、当然国会の御審議がございますが、私は、そういったことが私に課せられた使命であるというふうに思っております。

原口国務大臣 この法案の作成と申しますよりも、国民の郵政事業における権利を保障するために、重野先生も、ゼロから私たちと一緒に長い間の検討を加えてくださいました。重野先生、社民党の皆さんと一緒につくり上げたこの法案を一刻も早く国民にお届けする、これが基本姿勢でございます。

 先ほど石田先生と、いい議論をしていただいたなと思いました。つまり、これから将来、厳しい郵便事業を、では何で支えるのか。金融二社を離してしまって、では分社化のまま支えることができるのか。私たちは、それはできない。コンビニをやろうが、あるいは国際ロジスティック、これは結局失敗に終わっているわけですけれども、そういったことでもできないんだと。

 できないとするのであれば、三事業が民営化形態のまま一体的にサービスを提供できるようにするためにはどうすればいいか、これがこの法案の中身でございますので、引き続き御理解をいただいて、そして、私は、今回の審議のあり方を閣僚が言うのはあれでございますが、十年間に四回変わっていますから、非常に議論が発散しています。丁寧な丁寧な御説明を私たちは国会に対して申し上げて、国民の御理解を一つ一つ得ていくような、そういう努力を重ねてまいりたい、このように考えています。

重野委員 先ほど自見大臣からもお話がありましたように、国民新党とも話し合いをし、約束をし、両党首で調印したという経過もございますので、ぜひその趣旨を実現するように頑張っていただきたい。

 次に、話をかえますけれども、ゆうパックの遅配問題というのが出ました。今回発生したゆうパックの大規模な遅配問題は、私は深刻な問題だと思っています。

 報道によりますと、七月の一日から七月七日、三十四万個の遅配が発生したということです。原因について、既に郵便事業会社より報告が総務省に出されているとのことでありますが、この報告書について、大臣、どのように受けとめておられますか。

原口国務大臣 宅配便事業の統合は、きのう、予算委員会での松野委員の御質問にも答えましたとおり、前経営陣のもとで決定されて、実施まで三年を要した非常に困難な案件でございます。しかし、それを差し引いても、あってはならないことであるということで、厳しく、総務省としては一月から、この七月の繁忙期に向かうが大丈夫かということをずっとフォローしてきたわけです。しかし、今回の事故の原因は、全体を総括すれば、本社の準備不足や危機管理体制の認識の不足との内容でございます。

 これは、重野委員、ゆうパック、つまり宅配便事業だけで起きているのか。いや、そうではなくて、信書便でも同じようなことが起きる素地があるのではないかと私は極めて深刻にこれを受けとめまして、日本郵政に対して、まず郵便事業会社から報告徴求を求め、そして関連情報の公表時期のおくれの原因等は、本社自体が現場の状況を把握する上で時間を要しています。つまり、都合の悪い情報が入ってこない、その体質そのものを変えないと、また同じようなことが起きるんではないか。

 今後とも、厳しく監督をしてまいりたいと考えています。

重野委員 同じような事件というか問題が起こっているんですね。カタログ通信販売サービス、ふるさと小包で、注文したのに、受けた会社がそれをほったらかしておった、こんなことは考えられないことなんですね。そういうことで客離れが始まっているというふうな報道もあるんですね。ゆうパックからヤマトに変えた企業もあるという報道もありました。それだけでなくて、ゆうちょ銀行のATMについても、先月の十二日の午後、やはり事件が起こっているんですね。

 私は、この一連の背景を考えたら、七月一日に統合の事業計画を認可しているんですね。ちょっと慌ただしくいき過ぎたんじゃないか、もっとそこら辺は慎重に、あるいはいろいろな場面場面を想定した議論というものが内部でなされてしかるべきだったのではないかというふうな気がしてならない。

 それで、それに対して総務省が、認識が甘かった、あるいは訓練が不足していた、スペースが足らなかった、保管庫が狭かった、対応におくれが生じたと。こんなのはイロハのイですよね。そんなことを通り越してばっと走ったというところに、やはり会社の焦りというのか、そんなものもあったんじゃないかと僕は思うんですね。だから、やはり事前に起こるべくして起こったのかなというような感じがしないでもない。

 そこのところは、今後の大きな課題としてきちっと内部的に整理されて、そして本当に国民の期待にこたえる方向で頑張ってもらいたい、このように思いますが、その点について、大臣、どうですか。

原口国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、御迷惑をかけました利用者の皆様に改めておわびを申し上げたいと思います。

 私たちは、赤字を早期にとめなきゃいけない。つまり、これがずっと三年も延びていることによって、お客をとられ、顧客をとられ、そして赤字がどんどん膨らんでいる。一千億近い赤字になってきたわけです。だけれども、そのことは理解するけれども、七月の夏季繁忙期になると思うが、この時期に組織が大きく変わることについてどのような対策を練っているのか、一月の二十八日に報告を求めました。それから、訓練、研修にどのような予定をしているのか。今おっしゃったシステムの異常はシステム会社のことで、郵政の問題ではなかったんですが、しかし、こういう開発や端末配備等についてどのような状況になっているか、ずっと厳しくやっているわけです。

 しかし、それが、やってみて、準備がおくれましたというんだったら、私たちに何を報告していたのかということでございますので、ここは、今委員がおっしゃるような反省に立って、厳しくさらに事業計画あるいはガバナンスをきかすということで指導をしてまいりたいと考えています。

重野委員 以上で終わります。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 自見大臣、御就任おめでとうございます。先ほどエレベーターで、私の父との古い御縁をいろいろと聞かせていただきまして、何となく心が温まるような気持ちで質疑に立たせていただきましたが、郵政改革についてはかなり立場を異にしているところがございますので、そういう点、御容赦をいただきながらお尋ねをさせていただいてまいりたいと思っております。

 先ほど、石田委員からの御質問の中で、骨格経営試算の話が出ました。これは、私が郵政法案の質疑のところでお尋ねをしたところ、大塚副大臣から、可能なら発言の訂正を願いたい、こういうことまで言われた事柄でございまして、本当に、先ほどのような、大塚副大臣から発言の訂正みたいなことがありましたけれども、今回質問する予定がなかったので今いらっしゃいませんけれども、いずれにしても、これから秋の臨時国会で改めてこの郵政法案について議論をすることになるんだろうというふうに思います。こうしたことについて、もう一度、これからぜひ鋭意議論をしてまいりたい思っております。

 そういう中で、さきの通常国会のこの総務委員会で、たった六時間でありましたが、私が質問に立たせていただいたところで、さまざまな御答弁をいろいろな方からいただいております。その中で非常に気になったのが、先ほど西委員からもお話がありました、WTO等における、諸外国からこの郵政改革に投じられている懸念の声に対してどう答えるのかということでございます。

 特に自見大臣に、亀井郵政改革担当大臣の後任ということでされているわけですので、ぜひお伺いをしたいんですけれども、さきの通常国会の郵政法案の質疑で、亀井大臣は私に対してこういうふうにお答えになられています。私が、「イコールフッティングを損なうのではないかということについて、アメリカを初めとした国々から大変強い懸念が表明をされている。そして、WTOの場においてこれが議論の俎上に上る、こういうことも考えられるような状況になっている。」、これについて日本の担当大臣として亀井大臣はどのようにお考えですかと。こういうことについて、亀井大臣はそのときにこういうふうにお答えになられています。アメリカがヨーロッパを巻き込んで、まだ法案が成立しない段階からいろいろと、民業圧迫になるとかイコールフッティングでないとか、そういう主張をああいう場でしておられるのを、非常識だと私は思っています、こういうお話をされています。

 また、法案の閣議決定のときをひもとくと、これは亀井大臣が記者会見の場で明らかにしたことでありますけれども、外務省、岡田外務大臣から、この法案の内容について、アメリカを初めとするさまざまな意見について申し伝えられたと。アメリカの主張をそのまま押しつけてくる、外務省はアメリカの国務省の分局じゃないか、こういうことを亀井大臣は、この閣議決定に当たる記者会見で、岡田外務大臣にかみつく形でおっしゃられております。その流れの中で、七月二十三日にハノイで、岡田外務大臣に対するクリントン国務長官の問題提起というのがあったのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味で、亀井大臣の後任であられますので、アメリカがイコールフッティングについてやいのやいの言ってくる、非常識だ、そして、それをまた取り次いでくる外務省はアメリカの国務省の分局だ、こういう認識を、同じ政党でもありますし、共有しておられるのかどうか、引き継がれるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

自見国務大臣 柿澤未途議員にお答えをさせていただきます。

 二十七年前だったと思いますが、私が衆議院に上げていただき、柿澤未途議員のお父さん、柿澤弘治先生、参議院を二期した後、衆議院におかわりになったわけでございますが、当時、渡辺美智雄元大蔵大臣のもと、本当に長い間一生懸命勉強させていただきました。外務大臣を経験されましたので、特に、今聞きながら、柿澤未途議員がまさに国際的な、日本がやはり調和してこの世界の中で生きていかねばなりませんから、そういう御質問かなということを思わせていただいたわけでございます。

 まず、今先生の御指摘のとおり、米国、欧州等の政府等から、対等な競争条件が確立する前の業務範囲の拡大は、サービスの貿易に関する一般協定、先生御存じのようにGATSでございますが、その内国民待遇義務に違反する旨の懸念が表明されていることは承知をいたしておりまして、先般も、駐米大使が私の大臣室においでになられまして、このことを申し上げられました。

 しかし、今回の郵政改革においては、関連銀行、関連保険会社は、他の民間銀行、生命保険会社と同じ規制、業法ですね、銀行法あるいは生命保険業法でございますが、そういった一般の業法それから税制等を受けることに加えて、金融のユニバーサルサービスの一翼を担いながら、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮し、限度額等の上乗せ規制が課されることになります。その一方、他の民間銀行、生命保険会社には金融のユニバーサルサービスが当然、御存じのように義務を課されておりませんので、そのような上乗せ規制も、普通の銀行、生命保険会社にはございません。

 こういった状況を踏まえつつ、郵政事業の経営の自主性と、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性とのバランスのとれた制度設計とすることとして、具体的には、上乗せ規制として規制したのは、ユニバーサルサービスと、限度額それから業務規制でございます。

 その限度額については、法施行後の関連銀行、関連保険会社についても、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性を勘案し、預入金額及び保険金額等の限度額を政令で恒久的に設けることにしております。

 業務規制については、法施行当初の関連銀行、関連保険会社である郵便貯金銀行、郵便保険会社に対して、一定の期間、業務の内容、方法を届け出ることを義務づけることとし、そして、当該届け出は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性を阻害するおそれがないこと等を条件とし、また、届け出事項が上記条件に適合しない場合などには、内閣総理大臣または総務大臣が、有識者から成る郵政改革推進委員会の意見を聞いた上で勧告することができるというふうになっております。

 ちょっと棒読みをしたようで申しわけございませんが、これはアメリカ国政府も実は欧州の政府もみんな聞いておりますので、それが国会というものでございますから、ちょっとくどくど言ったようなことでございますけれども、そのことは外務大臣の御子息さんだからお許しいただける、こう思っております。

 このような郵政改革は、経営の自主性と経営条件の公平性のバランスがとれた制度設計とすることとしており、岡田大臣の発言のとおり、WTO協定を初めとする国際的な約束との整合性を確保していく考えでございます。

 以上、少し長い答弁になりましたけれども、こういった事情を勘案して、お許しいただきたいと思います。

柿澤委員 端的に、亀井大臣の、アメリカはいちゃもんつけてきて非常識だ、こういう発言は引き継がないということでいいですね。はい。もう答弁は求めません。

 もう一問だけさせてください。本当に長い答弁で、大変恐縮です。

 六月二十二日に、政府の国家公務員の退職管理基本方針というのが出ております。この退職管理基本方針で、幹部公務員の局長、審議官級の現役での民間企業等への役員出向ということが書かれていて、「対象法人の拡大」というところで、特殊会社がその中に含まれています。特殊会社の三十八法人という中には、成田空港やNTTやJR東日本、こういうのと並んで、日本郵政が入っているわけです。

 そもそも日本郵政は、郵政改革が政権交代後に行われて、亀井大臣が西川社長の後にだれを選ぶのかなと思ったら、齋藤次郎さんをお選びになられた。私の責任で選任をしたということで、しかも、副社長にも坂さん、足立さんと、いわゆる過去官僚と呼ばれるような方々が次々と就任をされて、私たちから見ればこれは天下りであるということになるんですけれども、いろいろな議論の対象になってきたものであります。

 私たちから言わせれば、通常国会において郵政を再国有化の方向に持っていくかのような法案を出している、そして今度は現役出向で、現役の官僚の皆さんを場合によっては日本郵政に役員として送り込む、こういうことになったら、これは一体、国営会社になってしまうのではないですか、文字どおり。

 こういう方向性を皆さんとして持っているのかどうか。そして、自見大臣、まさに亀井大臣が齋藤次郎さんを選任された当事者、そしてその後任でありますので、こういうことについてどのようにお考えになられているのかお尋ねをして、時間は終了しておりますので、これを最後の質問にしたいと思います。

原口国務大臣 柿澤委員にお答えしますが、再国有化の気持ちは全くありません。

 さっきから何回も申し上げているように、ネットワークをだれの負担によってどのように維持するか。それから、現役出向についても、官を開くということで、現場がわからなければ政策はできないわけです。これは、今まで、退職をして退職金をもらって、またその先で天下ってまた官製談合や随意契約を繰り返す、これをやめようということですから。

 それと、もう一つお願いをしたいのは、全体像、私たちは、総人件費を抑制し、そして官を小さくする中でこれをやっています。柿澤さんだったら前に私たちと一緒でしたから、私たちが目指している方向、逆に言うと、階さんのところで素案をつくりました、これを野党の皆さんにもお示しをして、虚心坦懐に、では一・一兆円どのように削減していくのか、そして官を効率化する中でいかに国民サービスをよくするか、これを提案させていただきたいので、ぜひまた次の臨時国会まで、そんな建設的な御議論をいただければ、このように考えています。

自見国務大臣 柿澤議員から、社長さんに就任した齋藤次郎さんは旧大蔵省の事務次官でありますが、いろいろな御質問をいただきましたが、能力のある方でして、大野功統先生と我々は、十七年前だったと思いますが、細川連立内閣ができまして、野党の自民党におりました。当時、少し余談になりますけれども、大蔵省の事務次官で、我々は本当に、やっつけられた方と言ったら大変語弊がございますけれども、齋藤さんと当時の通産省の事務次官と二人で、当時第一党ではございましたけれども、野党の自由民主党が翻弄された張本人とは申しませんけれども、そういった意味で大変能力のある方でございますし、私は本当に適材適所だというふうに思っております。

 齋藤氏の社長の就任は、株主提案によって取締役会選任という法的手続にのっとったものであり、天下りではないというふうに考えております。

柿澤委員 本当に時間が足りないので、いろいろと申し上げたいこともありますけれども、またこれは機会がございますので、またお尋ねをしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次回は、来る六日金曜日午後一時理事会、午後一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十三分散会


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