衆議院

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第4号 平成23年3月10日(木曜日)

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平成二十三年三月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 大野 功統君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      橋本 博明君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    石田 真敏君

      加藤 紘一君    川崎 二郎君

      佐藤  勉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田中 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       石井 信芳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     大谷  啓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長田中順一君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官石井信芳君及び大臣官房審議官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中後淳君。

中後委員 おはようございます。民主党の中後淳でございます。

 総務委員会におきまして、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。質問の機会を与えていただいたことに、心から感謝申し上げます。

 質問に入る前に、私の私見を含めて、昨日来報道されている土肥議員の竹島に対する問題について申し述べさせていただきたいと思っております。

 今回の発言を聞くと、うかつだったとかということでお話がされておりますけれども、領土の問題、国家主権の問題については、大変重要な問題でありますし、毅然とした対応をとるという発言のとおりの対応をとっていただきたいと思っております。また、この問題をうやむやにするようなことがあれば、私も居場所、立ち位置をしっかりと考えていかなければならないと思っておりますので、しっかりと対応していただきたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 私も、平成十二年に地方議員、富津市という自治体で市議会議員に送っていただいてから政治家をさせていただいているんですが、この平成十二年というのは、地方分権一括法が施行された年です。四月から施行されて、私も四月から議員として活動させていただいておりますので、地方分権一括法が始まってから、私は議員として、政治家として活動を開始したということになっております。

 それ以来、さまざまな変化がありました。三位一体の改革があり、平成の大合併があり、自治体を取り巻く環境も随分と変わってきているように思うんですが、まず冒頭に、その大きな枠組みについて、これからしっかりと考えるタイミングだという思いから質問をさせていただきます。

 まず、地域主権戦略大綱の中にもあるんですが、この工程表の中に、自治体間連携・道州制ということが取り上げられております。これが一番大きな枠組みになるのではないかと思うわけですけれども、工程といいましても、これはずっと継続的に検討するような形で書かれているわけです。

 そのような状況の中で、全国各地、いろいろなところでさまざまな動きが出てきております。大阪都構想であったり九州広域連合、そして新潟州、新潟都、中京都の構想ですとか、いろいろな動きが出てきているわけですが、民主党としては、こういった方向に進みましょうという正式な方針というのはまだ検討段階にあるというふうに私は認識しているわけです。基礎自治体を強くして、国と自治体の二層構造にするという考え方もあれば、これは地域主権型道州制ということになるのかと思いますが、道州制を視野に入れた三層構造まで、枠組みについて考えられているという中で、今、いろいろな動きが出てきております。

 この動きについて、地域主権改革を進める上での見地から、大臣の見解を伺いたいと思います。

片山国務大臣 お答えを申し上げます。

 今、民主党の広域行政に関する言及がございましたが、私が民主党のマニフェストを読んだ感想といいますかを申し上げますと、民主党のマニフェストでは、当面、基礎的自治体、市町村を中心に我が国の内政は運営していくというのが基本だと思います。それを広域行政体である道府県が補完するということだと思います。

 道州制については、当面、具体的な施策の検討には恐らく入らないということがマニフェストには書かれていると思います。もちろん、昨年の地域戦略大綱では、道州制も視野に入れる、射程に入れるということでありますから、当然検討はしますけれども、今、具体的な政策づくりに着手するという段階ではないと思います。

 それから、もう一つはっきりしておりますのは、当面四十七の都道府県体制でいくにしても、これらが自主的な合併とか広域連携を図ろうとする場合には積極的に応援をしよう、これが基本的な考え方だろうと思います。そういう文脈の中でいいますと、今回出てきております九州広域行政機構でありますとか関西広域連合などは、その民主党のマニフェストの大きな流れ、考え方に沿うものであると思いますし、非常に自主的な取り組みだと思いますので、私も担当大臣として、九州などの取り組みには全面的に協力をしたいと思っております。

 あと、都構想について言いますと、先ほど言いましたような道府県の合併については自主的な合併を応援しようということでありますが、府県と市との合併については、これは言及がないわけで、これをどうするのかというのはこれからの課題だろうと思います。

中後委員 もともと民主党は、地域主権改革を進めるということで、これは以前から政権の一丁目一番地という位置づけで進められていると思いますので、地方の動きから広域連携のあり方等について見ていくということについてはそのとおりなんだと思いますが、やはり国としての方針、方向性なりを示さない限りはなかなか大きな動きにはなってこないと思っておりますので、その辺のタイミング等もしっかりと見きわめていただきたいと思います。

 それと、今、都構想についての話も少しありましたけれども、それ以前に、今の制度の中で、都道府県と指定都市の関係というのも、いろいろな意味で考えなければならないところがあるのではないかと思っております。いわゆる二重行政の象徴的なところもあるのかなと思っております。

 都道府県の事務と指定都市の事務というのは、警察ですとか教育、河川、そういったもの以外はほとんど指定都市が行うことになっておるはずです。顕著な例は神奈川県になるのではないかと思いますが、神奈川県でいえば、数字で言うと、大体、人口九百万人のうち指定都市に五百五十万人、横浜、川崎、相模原におります。そうすると、県会議員さん、数を調べてみたんですが、定数百七名のうち指定都市から選出されている人が六十七名で、過半数を占めております。実際の事務はその過半数以外の事務が都道府県の主な事務になるはずなんですが、議場に入ってみると、その方々が非常に少数派になっているという実態があるかと思います。

 こういったいろいろな問題も含めて都構想なんかも出てきているのではないかと思うんですが、都道府県と指定都市または基礎自治体の関係についての見解を伺いたいと思います。

片山国務大臣 基礎的自治体の中で、私は、大都市のあり方というのは、これからできるだけ早く国として検討を始めなければいけないと思います。今までいろいろな、地方自治制度でありますとか地方分権改革とか地域主権改革とかが論じられ、検討されてきましたけれども、昭和六十年代以降、大都市問題について少し検討がなされていないと思います。

 この間に何が起こったかといいますと、政令指定都市が非常にふえました。本来と言うとおかしいですが、もともとの政令指定都市というのは旧五大市を中心に構想されたものでありますけれども、それが今、当時想定していなかったような都市も、その後、人口が増大をして大都市の規模になったものですから、たくさん参入したということになっておりまして、現状から見ますと、やはり大都市と府県との関係などを少し整理しなければいけないと私も思います。

 どんな問題があるかといいますと、一つは、人口が二百万、三百万になっている、そういう自治体を基礎的自治体と呼べるのかどうか。しかも、そこには、民主主義のもとに選ばれた議員が数十名それから首長が一人ということでありまして、本当に地方自治というものが円滑に行われるのかどうかということがあります。

 それからもう一つは、今議員がおっしゃったように、広域行政体である府県との間の二重行政でありますとか、もっと言えば、府県から政令指定都市に相当権限が移譲されますので、府県の事務の空洞化というものが起こっている。にもかかわらず、代表としては人口の多い指定都市から相当代表される、こういうアンバランス。

 その他いろいろな問題がありますので、ぜひ総務省としても、大都市の行政体制のあり方というのは、なるべく早く検討体制に入りたいと考えているところであります。

中後委員 今大臣からもありましたけれども、横浜でいえば人口が三百五十万を超えているようなところもありますし、また町村でいえば人口数百人のところもあるわけで、今、指定都市と中核市、特例市、一般市と町村、いろいろな枠組みがあるわけですけれども、大きな枠組みそのものの方針が決まらないと、交付税ですとか地方税財源等についてのしっかりとした腰を据えた検討というのは、なかなか本質的なところというのはできないのではないか。また、形が変われば方向性も変わってくるのではないかと思っておりますので、この枠組みをしっかりと決めていくことが国としての大きな責務、これから先の地方主権、地域主権改革を進める上での大きな課題だと思っておりますので、地方自治を預かる総務省としてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。道州制ですとか広域連合のお話もありますし、大都市、町村などの枠組み全体についての検討について、本当に地方の財源不足という大きな課題がありますから、これを解決するためにも、この枠を先に決めなければいけないのではないかと私は個人的には思っているところです。

 ぜひともその点についてしっかりと取り組みを進めていただきたいということの決意について、大臣からもう一度伺いたいと思います。

片山国務大臣 先ほど申しましたように、大都市については、その枠組みについて本当に検討する必要があると思います。

 それから、小規模の基礎的自治体をどう評価するのかということでありますが、これは非常に難しい問題だと思います。

 ともすれば小規模の自治体というのは、行政効率も非常に悪いといいますか高くない、それから、どんどん住民サービスの質は高度化していかなきゃいけない、そういうときに、なかなかその質の高度化についていけないのではないか。そこで、いわば規模をそろえるといいますか、ある程度の規模になるべきだといって進めてきたのが市町村合併でありますけれども、それも功罪がありまして、特に罪の方もかなり大きなものが最近露呈してきていたりします。

 そこで、こういう小規模の自治体を、等し並みに自治体をそろえるという方向に行くのか、それとも、それはもう自主性に任せて、それを前提にして、先ほどおっしゃった交付税制度とか、その他の税財政の仕組みだとか行政の仕組みを考えていくのか、そこのところをよく議論して了解に達しなければいけないと思います。

 私は、まだ今の段階では、規模をそろえるべきだという整理派という考え方と、それから、任意に、自主性に任せて、規模はばらばらであっても、そのばらばらに応じたさまざまな財政その他の仕組みを構築していくべきかというのが、少し合意が形成されていないような気がします。正直言いますと、私は後者の方の考え方でありますけれども、国会議員の皆さん方も、それから霞が関の各省の考え方も、ぜひ、できるだけその考え方のコンセンサスを得るような取り組みを少ししなければいけないのではないかと私は今思っております。

中後委員 今大臣おっしゃったとおり、いっときは、中核市、三十万人規模の自治体が望ましい的な雰囲気がある中で、合併特例債で誘導されながら平成の大合併が進んできたわけですけれども、一たんここで取り組みとしては区切りがついたということですので、これから先のあるべき姿についてぜひとも考えていただきたいと思います。

 それでは、交付税についての質問に入ります。

 交付税財源なんですけれども、三位一体改革以来、大きなテーマになっております。地方交付税が大幅に削減されて、補助金等の廃止、また税源の移譲が余りされなかったということで、自治体の財政状況が非常に厳しくなってきたということがありますが、それでも、一たんは、財源不足、地方税財源全体の不足額というのは、平成二十年までは減っておりました。平成十九年で四・四兆円の不足、二十年で五・二兆。

 それが、二十一年から急激にまた悪化を始めました。二十一年は十・五兆円、昨年は十八・二兆円と過去最大。ことしは、少し改善はしましたが、十四・二兆円の不足分があるということになっております。

 こういう状況にあって、いわゆる交付税財源である国税五税の法定率についての引き上げ等は以前から検討されているわけですが、今回は見送られました。折半ルールというのが引き続き継続されることになったわけです、二十三年から二十五年まで。折半ルールは、国が臨時財政対策加算、これは一般会計からの繰り出しになると思います。地方は臨時財政対策債、これは後年度の交付税措置ということになるわけですので、交付税特会での借金等をやめましょうということなんですが、最終的には国の借金につけかわっているような気がしております。

 こういう状況の中で、なぜ交付税の法定率の引き上げ等の措置がとれないのかということについて総務省の見解を伺いたいと思います。

片山国務大臣 交付税法の原則からいいますと、自治体の財源不足、これはリーズナブルな算定をした上での財源不足に見合う交付税というものが用意されなければいけない、これが大原則であります。交付税法の仕組みもそうなっております。

 ところが、現時点で、自治体のリーズナブルな財源不足額をすべて交付税で補てんしようとしますと、恐らく、現在の国税五税、交付税の対象税目になっております国税五税の七割近い額を交付税の方に回すということになります、理論上は。そうすると、残った三割が国の、国庫の方の財政に充てられるということで、これは恐らく現実的でないだろうと思います。

 本当はもっと何年も前から、この財源不足の解消ということについては、これまでやってきたような、今でいう臨時財政対策債のような、その場しのぎとまでは言いませんけれども、そのときそのときの臨時特例的なやり方ではなくて、交付税率を変えるとか、微増させるとか、それから地方税の体系を改正するとか、そういうことをやってくるべきだったとは思いますけれども、今日まで長い間、臨時特例的な措置を継続してきた結果、先ほど言いましたように、それを今一挙に整序しよう、解消しようとすると、国税五税の七割近くまで交付税に回さなければいけないというような状況になっておりますので、今は、急には何ともしがたいことだと思います。

 私は、議員がおっしゃったように、できるだけこれは本来の姿に戻す必要があると思います。一挙にはできませんけれども、これから少し中長期的な視野を持ってこれを本来の姿に戻していくという考え方で、これからの財政当局との折衝とか、交付税法の改正とかの作業に当たっていきたいと考えております。

中後委員 全くそのとおりだと思います。

 今の状況が健全な状況だとは思えませんし、臨時財政対策債にしましても、ほかのことに関しましても、ある意味つけかえであったり、先食い、先取り、先送りとかというような状況であることは皆さん共通の認識ではないのかなと思いますので、ぜひとも健全な状況になるような方向、これはやはり枠組みを決めていかないと、なかなか、地方税財源に何を充てたらいいかという答えが出てこないような気がしますので、最初の話に戻りますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、地方税財源の方のお話に移りたいと思います。

 税財源についても、これは以前からいろいろと言われているところです。景気の変動が大きいものが充てられている、都道府県税に関しては法人二税の影響が非常に大きい。東京都だけが不交付団体で、その他の団体は、少し前までは愛知県も不交付団体だったと思いますが、今はずっと東京都一団体しかありません。そういうような状況の中で、税源の格差についていろいろと言われているところです。

 ちょっと資料を見せていただくと、地方税収の一人当たりの税収でいうと、平成二十年のデータだと東京と沖縄の格差が一番大きくて、一人当たりで三倍、税収に差があるということになります。ただそれが、法人二税に限っていえば、東京と奈良、沖縄が一番格差があって、奈良、沖縄の両方とも、東京に対して六・六倍の開きがあるということです。以前から言われていることですが、地方消費税に関しては、一番格差が開いているところでも一・八倍ということですので、そういう観点からも全体の見直しを進めていただきたいと思うわけです。

 市町村側についてちょっと着目させていただくと、私がいた富津市というのは不交付団体でした。去年、一気に不交付団体が半減しましたので、その中の一市に入ってしまいまして、二十二年度から交付団体になってしまいましたけれども、それまではずっと不交付団体でした。財政力指数が一・〇幾つというところをずっと推移しているような団体だったわけです。

 なぜ不交付団体だったかというと、これは、一つ大きな電力会社があります。今、東京電力の富津火力発電所という発電所が日本で一番大きな火力発電所であって、世界最大級の火力発電所です。また、LNGの京葉、京浜両発電所への供給基地にもなっているということで、そこからくる固定資産税、大規模償却資産税になりますが、これが大きな税収源となっておって、それがあるかないかで、近隣の市町村と比べると圧倒的に財政力が違うという状況になっております。

 私も少し調べてみたんですが、不交付団体になっているところは、やはり原子力発電所とか発電所があるところ、大きな工場があるところ、観光地、あとは首都圏の中に限られておるんです。例えば、全国平均をとると、市町村民税が四割ぐらい、固定資産税がまた四割ぐらいという構成になっております。しかし、不交付団体を見ると、固定資産税が圧倒的に多額を占めているところが非常に多いです。場所によっては、九七%が固定資産税なんというところもあります。大概、五割は超えているようなことになっているわけです。

 土地等については、これは地方の税源としては当然だと思います。そこに企業が投下する設備投資等に関しても自治体そのものの税源として適当なのかということは、私、以前から個人的なテーマとして考えておりました。

 というのは、近隣との差が、一企業が投資をするかしないかで大きく差が開いてきます。隣接している自治体にはそういった財源というのはありませんので、それが自治体の財政力を決める大きなファクターになっているというのは、もっと広い、例えば県ですとか国ですとかが、大規模償却資産税に当たるような企業の設備投資等に関しては、そちらの方が税源としては適当なのではないかと考えておりました。

 私の住んでいたところはそのおかげで裕福な団体ということだったんですが、逆にそのことで、隣の町と比べると全然違う財政状況とかを見てそう思いますし、また、京葉工業地域、東京湾に面したところは不交付団体が多いわけです。ただ、内陸に入っていくと全然そういう状況ではない。

 企業が立地するということについては当然理解するわけですし、その自治体の努力というのもあります。ただ、そこに投下される資本については、それを自治体の財産として見るのかどうかというところ等も含めて考えなければならないのではないのかなとずっと考えておりました。

 そういうことも含めて、地域間格差が大きいような税源を地方税の財源として持っているということについて、検討をしなければならないのではないか。先ほど言った都道府県の法人二税についてもそうですし、市町村については、私が見ている中では、やはり固定資産税の偏在のようなものも是正していく必要があると考えております。

 大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 地方税の体系というのは、やはりこれから、必要に応じてといいますか、むしろ積極的に見直す必要があると私も思っております。

 議員がおっしゃったように、今の地方税の中で、道府県税の中では法人所得課税がかなりの部分を占めているわけでありますけれども、これは非常に変動性が大きいわけであります。景気のいいときには非常に税収もいいですけれども、今のような不景気のときにはどんどん税収が下がっていく。しかし不景気のときには、府県は社会保障その他でむしろ支出が増すということで、そのアンバランスもあるわけです。

 そういうことからしますと、一つの考え方としては、例えば、地方法人所得課税は国税の法人税の方に税源を回して、その分、個人所得課税とか消費課税の方を国から地方に移してバランスをとるといった方が、偏在性と変動性の少ない安定した税体系になるだろうと思います。

 それから、市町村に固定資産税がありまして、土地と家屋と償却資産ということで課税対象にしておりますが、土地と家屋は偏在性が比較的少ない税でありますけれども、償却資産、なかんずく大規模の償却資産については非常に偏在性が強い。それが小さな自治体で不交付団体を生んでいる一つの要因になっていることは確かであります。

 これも議論がありまして、本来、そういう大規模の償却資産は道府県が課税すべきではないかという議論があって、実は、今の地方税の仕組みの中に、大規模償却資産については一部を道府県が課税する、課税権を持つというのがありますが、これも該当の市町村の反対がありまして、できるだけ道府県の課税分を少なくするような改正をかつて行ってきておりまして、いわば空文化している面もあります。

 しかし、やはり大規模の償却資産というのは偏在性があるということと、それから急速に減価償却をするという面があって、実は、該当の市町村も、財政に非常に大きな変動要因が生じてしまうという面もありまして、これらの償却資産については、特に発電所とか大規模の工場とか、そういうものに伴う大規模償却資産というのはもっと広域の団体が課税をしていいのではないかという議論が前からあります。

 こんなことも含めて、今後、税体系の見直しがある場合には、その一つの検討課題とすべきだと私は思っております。

中後委員 今の大臣の答弁のとおりだと思います。ただ、地方は、時間的には余り余裕がない財政状況になっておりますので、速やかに検討を進めていただきたいと思います。

 もう一点、今、市町村の一般会計を大きく圧迫しているものとして、国保特会への繰り出しというのがあります。そして、これがまた非常に大きな格差を広げております。

 一般会計からの繰り出しというのが常態化していて、財政力の豊かなところは国保税の引き上げを行わずに済んでいるんですが、財政力の厳しいところは何度も何度も国保税を上げながら対応している。これが本当に地域間格差を広げているということになります。財政に余裕がある団体とそうでない団体で、国保料、サービス両面において、著しい格差が出てきていると思います。これは、子供に対する医療費の補助等についても同じような状況がありました。

 国保は市町村が保険者となっているわけですが、今後、財政状況が厳しい自治体では、これが財政運営に非常に大きな影響を及ぼしてくることは間違いないと思います。私の地元の市長さん等からも、何とかしてくださいという声が本当に強く上がっているところです。

 厚労省からも来ていただいておりますので、まず、市町村が保険者となっている理由についてお聞かせいただければと思います。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が保険者になっている理由でございますけれども、国民健康保険制度というものが、住民の健康それから福祉ということで、住民の皆様の非常に身近な問題でございますので、この仕事につきましては、基礎的な自治体である市町村にお願いをしているということでございます。

 ただ、今先生から御指摘がございましたように、市町村国保の運営状況は非常に厳しくございまして、二十一年度の決算で百一億円の赤字でございますけれども、これは一般会計の繰り入れが別途三千百四十四億円あるということで、合わせて三千二百四十五億円の赤字になっている、そういうような状況でございます。

 また格差というものにつきましても、保険料水準の格差は、都道府県内で最大で二・五倍あるというふうなことでございまして、私どもといたしましても、自治体、総務省さんとも御協議をさせていただきながら、運営の広域化について検討を進めているところでございます。

 以上でございます。

中後委員 これは、これから大変大きな問題になってくると思います。財政力が豊かなところは国保会計への繰り出しを続ける。法定外の繰り出しを続けることで保険料が抑えられる。それがまた格差を広げる要因にもなっていると思いますので、このことについて、総務省としてもしっかりと検討をいただきたいと思っております。

 質問時間が参りましたので、本来、一括交付金等の話もしたかったんですが、きょうは交付税の問題ですので、別の機会に回させていただきまして、とにかく枠組みについてしっかりと方向を示さない限り、この大きな問題を解決する突破口というのは、腰を据えて検討できないと思いますので、ぜひともその点を強く要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。

 平成二十三年度の地方交付税に関する法律の一部改正について質問させていただきます。

 その前に、この一週間で起きました案件、事件の中から、二つほど大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 一つは、年金業務監視委員会で三号運用の問題が指摘をされました。私は、これは総務省の行政評価局の存在を高からしめたというふうに、非常に評価をしております。うれしく思っております。

 これまで、ともすれば評価局は、官が官の政策を評価するということで、お手盛りではないかというような目で見られがちでございました。政策の評価というのは非常に難しいわけですが、評価と同時に、やはりこれからは総務省の方で、あるいは評価局の方で、監視機能というのをもう少し強める、こういうことが必要ではないだろうかというふうに思います。大臣、どう思われているか、一点お伺いいたします。

 それともう一つは、今回は課長通知というのが問題になりました。

 以前は、課長通知、局長通知、事務次官通達あるいは大臣、副大臣と、いろいろな通知、通達があって、大臣は、一片の通知で、例えば軽油引取税あたりの使用の仕方、こういったものを通知の一片でやるべきではないというような持論もお持ちのようであります。もう一度、総務省が中心になって、評価局が中心になって、通知が本当に事務的な通知であるのか、それとも今回のように、住民の方々の利益を損ねるようなものも含んだ通知になっていやしないか、もう一度点検する必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 まず、この二点をお伺いします。

片山国務大臣 最初に、総務省の行政評価局の業務の評価ということであります。

 私も議員と考え方がほぼ同じでありまして、評価局に限らず、内部のチェック、特に距離感を置いた、客観性を持ったチェックというのは非常に重要だと思います。それぞれの各省の部局が、基本的には一生懸命、誠実に仕事をしておられると思いますけれども、やはり間違いがあったり勘違いがあったり、中には、例外的には履き違えがあったりするのが世の中の常でありまして、それを自浄能力によって自律的に抑えられればいいですけれども、それがなかなか難しいということもありますので、他者によるチェック、客観性を持ったチェックが私は重要だと思います。

 そういう意味で、行政評価局というのは従来、私も見ておりまして、ちょっと遠慮がちであったような気がしますけれども、これから、非常に重要な任務を持っているという自覚を持って、今やっていただきつつありますので、大いに意欲と能力を伸ばしていきたいと思います。

 それから、各省が通知を出しているということでありまして、私もかねて一片の通達というものを批判してきましたが、これは二つの意味があります。

 一つは、政府が自治体に対して出す通知、これは二〇〇〇年の地方分権改革以来、基本的には無効であります。場合によっては違法であります。あるとすれば技術的助言などであります、その範囲に限られるということ。そののりを越えて、規範性を持つとか拘束性を持つようなものを出したとすれば、これは違法であります。

 ですから、これの点検はしなければいけない。その仕事は、地方分権といいますか地域主権の方向の任務を帯びている総務省がやはりやるべきだと私は思っておりまして、まず隗より始めよで、総務省内の通知の点検なども私の手でやっているところであります。

 もう一つは、政府が部内の組織に、主として地方機関などに出す通知、それから所管の独立行政法人に出す通知があります。これが本当に国家行政組織法その他の法令にのっとって合法の範囲内なのかという形式上の問題と、それから、内容が国民の権利義務にわたるようなものに及んでいないかどうか、国民の権利義務に及ぶものであれば、これは法律事項によるのを原則といたしますので、そういう内容のチェック、これをやはりやるべきだと思います。

 今回、いみじくも、総務省の年金業務監視委員会というチェック機関によって、厚生労働省の通知の妥当性について疑念が出てそれを指摘したわけでありますけれども、これなどは本当に客観的なチェックというものがきいた、ある意味ではいい事例だと私は思っております。

 今回のことを一つのきっかけにして、政府各省においてどういう通知がなされていて、それが妥当なものなのかどうか、これについて少し総務省としても関心を持つような、そういう取り組みをしてみたいと思っているところであります。

坂本委員 今回の監視委員会については、直言される郷原先生という先生がいらっしゃったことも一つの大きな要因だろうと思いますし、それでなくても、通知のたぐいについては、今大臣が言われました二つの意味でありますけれども、その二つの意味をやはりもう一回全部点検していただきたいなというふうに思います。

 私も総務省の通知をインターネットで見てみましたけれども、総務省に関しては大した問題はないような、まさに事務連絡的なものであるようでございますけれども、やはり農林関係、厚生労働関係あるいは経済産業関係、こういう生活現場を持ったところへのさまざまな通知というのはいろいろな利害得失に絡む問題があると思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、熊本で、いたいけな三歳の幼児が殺害をされました。

 犯人は大学二年生でありました。熊本学園大学というのは、熊本では最も歴史が古い大学でありまして、地元の市町村役場あるいは金融機関、こういったところに多くの人材を輩出しているところであります。そういう大学の学生が、幼児をああいう形で殺害したということが大変ショックであります。二番目は、熊本のような田舎でもこういうことが平然と行われるということがショックであります。そしてもう一つは、スーパーあるいはデパート、こういった人が集まる場所については犯罪の温床になるなというふうなことを思いました。

 その中で、今回犯人の早期逮捕につながったのは、防犯カメラ、監視カメラであります。考えてみますと、人が集まる場所、これは自治体がそうであります。政令指定都市の市役所、県庁所在地の市役所あるいは県庁、そしてスポーツ関係の公共施設、あるいは図書館も含めたさまざまな公共施設、考えてみますと、ここでいつ何どき、どういうものが起きてくるかわからないということを改めて思い知らされます。であるならば、やはりそれなりの対応策は必要であると思いますし、防犯カメラ、監視カメラ、この公共施設に対しての万全の措置、それを張りめぐらすというのは大切なことだと思いますけれども、これは今、交付税措置の中に入っているんでしょうか、財政的にどうなっているんでしょうか、お伺いします。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 まず冒頭に、今回の熊本の事件でありますけれども、本当に言いようのない悲惨なものでありまして、私も大変悲しい気持ちになっております。亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと思います。

 まず、お尋ねの交付税でございますけれども、防犯対策に係る取り組みにつきましては、警察費、小学校費、中学校費などにおいて所要額を措置してございます。

 具体的には、警察費、これは道府県分でございますけれども、この単位費用において三億三千万を措置してございます。内容としては、交番相談員等の配置のほか、地域住民と警察署の連絡システムの整備や、自主防犯活動に対する支援等の内容となってございます。

 また、小学校費や中学校費におきましては、単位費用において、防犯カメラや緊急通報システムの設置、運営等の学校安全対策に要する経費を想定し、道府県では五千万円、市町村では六百万円を措置してございます。

 なお、地域の実情に応じたさまざまな取り組みに係る経費については、平成十九年度から、これは道府県、市町村ともに共通する経費でございますが、包括算定経費において措置をしておりまして、防犯対策に係る取り組みもその対象としているところでございます。

 以上です。

坂本委員 警察費の三億三千万、あるいは小中学校については、防犯対策をするのは当たり前のことであると思いますが、私は、国の役割として、自治体の役割として、住民の生命と財産を守るということでありますので、生命を守るということでありますから、公共施設への監視カメラの設置、こういったものには、単位係数も含めて万全の措置をこれからしなければいけない、予算獲得をしなければいけないというふうに思います。

 大臣、いかがですか。

片山国務大臣 地方交付税といいますか、その前の地方財政計画というのは、自治体の財政、歳出なら歳出の見込みをとらまえて、それに応じて必要な財政措置をしていく、そういう仕組みでありますので、自治体の方でそういう取り組みが積極的になれば、それがおのずから地方財政計画に反映して、交付税にも算入の度合いが増す、こういうことになるんだろうと思います。それが一つです。

 あと、私はこのたび、私も熊本にかつて住んでいたことがあるものですから、非常に今回のことはショックだったんですけれども、何はともあれ、私などは子供を六人育てましたけれども、人込みに行ったときは絶対手を離さないという親御さんの皆さんの、こういう社会にあって子供を安全に過ごさせるということの自覚と気構えというものをいま一度再確認していただきたいと私は思うんです。

 道を歩くとき、交通事故に遭わないように、それから人込みの中で誘拐されたりアクシデントに遭わないようにするには、手をしっかりつないでおくというのは、私などはずっとそれを励行してきたものですから、ぜひ、今の若い保護者の皆さんにもそのことを声を大にして私は訴えたいと、このたびの事件を見て思ったところであります。

坂本委員 親の自覚と気構えというのは、これは大切なことで、大臣がおっしゃるとおりでございますけれども、やはり公共の場で、公共施設で、あるいは市役所とか区役所とかそういったところで犯罪が起きた場合には、いろいろな責任問題にもつながってまいりますので、ここはぜひ万全の態勢をお願いいたしたいと思います。

 それでは、二十三年度の交付税関係についてお伺いをいたします。

 昨年の補正予算で、地方交付税は三千億円でした。私たちは、平成二十一年度の決算剰余金五千八百億円そのままを地方交付税にという主張をいたしました。もちろん、三千億円の補正で残りを翌年に回すというのは、財政を組み立てる上で、予算を組み立てる上で一つの考え方であると思いますし、それはそれとして理解をいたします。しかし、そのことは予算編成上の一つの安全策でしかないというふうに私は思います。

 ここで何が一番大事かということを考えていかなければいけないと思います。地方を守る立場としては、地方の活性化が叫ばれている今、とりわけ民主党の場合には地域主権という言葉で地域の裁量を高めるというものであるならば、予算編成の過程で、その安全策を考える前に、どのような理念を優先させるかというのが私はまず大切なのではなかろうかと思います。

 政治主導というのなら、まさに貫くべき姿勢、すなわち総務省の政治姿勢があったのだ、本来ならば、なければいけないというふうに私は思います。それは、まず地方の固有の財源は守るということであります。将来に向けた地方固有の安定財源を確保しようとするならば、私はここで筋論を押し通すべきだったというふうに思います。

 資料を配らせていただきました。この資料は、自民党の場合の補正予算、地方交付税でやったときはどうなったか、あるいは今回の二十二年度の補正予算、地方交付税がどうであったかというのを各財源別に区分けしたものであります。

 その中で、将来の姿として、地方の主張は、このグラフの中にあります十・五一兆円、国税五税の法定率分をいかに厚くするか、このことをまず総務省としては考えなければなりませんし、そのことが地方の固有の財源の安定化につながるということは、先ほど大臣も言われたとおりであります。この法定率分を引き上げるための既成事実をいかに積み重ねていくかということが、やはり総務省としては自治体のためにやるべきことではないだろうか、あるいはやるべきことではなかったのだろうかというふうに思います。

 二つ問題点を指摘させていただきます。

 だとすれば、私は、五千八百億円をまず確保すべきだった。その上で、昨年十二月十三日に地方財政審議会が発表いたしました、地方交付税法の定める本来の姿に立ち返り、地方の財源不足は法定率の引き上げにより解消すべきとの意見に沿って、平成二十三年度分の財源不足に対して、法定率を引き上げるというような主張をすべきであったというふうに思います。

 そして二番目に、繰り越しを一・〇一兆円しましたね。その分だけ、出口ベースでは地方交付税は二十三年度ふえたような形になっておりますけれども、この一・〇一兆円繰り越した分、不足分の折半ルール対象が減って国の財政負担が軽くなったということは、地方と国の関係でいえば、地方にやはりしわ寄せが行ったということでありますし、総務省と財務省の関係でいえば、財務省に押し切られたということになりはしないかと私は思います。

 この二点について、地方の固有の財源として、法定率を少しでも引き上げるための既成事実をつくり上げていくためにはどうしたらいいのか、どういう理念を通さなければならないのか。あるいは、総務省と財務省の間にその辺のさまざまな取引や、いろいろな言い分がそれぞれあったと思いますけれども、結果として、やはり財務省に押し切られたのではないかというふうに思いますが、この二点についてお答えください。

片山国務大臣 坂本議員が基本的な理念としておっしゃったことには、私もほとんど違和感はありません。法定率分の引き上げで交付税というものはきちっと措置をすべきだということ、それから、国の財政当局に対しても、きちっと地方の立場を踏まえた要求なり折衝なりをすべきだということ、これはそのとおりだと思います。基本的には、そういう考え方と理念のもとにやってきております。

 一つは、例えば法定率分の話になりますと、これは先ほども少しお話を申し上げましたが、今全面解決をしようと思いますと国税五税の七割相当になるということ、これはもう全く非現実的でありますから、とても受け入れられる話ではないと思います。やはり一歩一歩だと思います。

 もう一つ、交付税の問題は、毎年毎年、年末に翌年度の交付税の総額を、単独の折衝といいますか、予算編成の過程で決めていくというやり方をしておりまして、本来、もっとやはり安定的であるべきだと私は思います。自治体の大きな、一般財源という非常に重要な財源であり、かつウエートも高いわけですから、そこで予見可能性が必要になってきます。安定性と予見可能性です。

 そんなことを織りまぜて、今の民主党政権では、とりあえず、交付税の算定の基礎となります一般財源総額について、自治体が必要となる一般財源総額について、二十二年度から三年度間、総額を確保するということをまず決めているわけです。これは法定税率の問題では必ずしもないんですけれども、広い意味でのルール化という面では大きな一歩を踏み出したんだろうと思って、私は、昨年の地域主権戦略大綱に書かれたこの部分については評価をしているところであります。

 その上で、一般財源総額を安定させて徐々に、国税の改正などもにらみながら、地方交付税の法定税率分の課題を解消していくという努力をする、これがこれからの方向性だろうと思います。

 それからもう一つ、昨年の決算剰余金などをそのまま繰り越さないで、当該年度に配ったらよかったのではないかという臨時国会のときからの御主張でありますが、もともと二十二年度も財源不足が大きくて、交付税だけでは足らなくて各種の加算措置をしたり、それから臨財債などで賄っているわけです。

 そうしますと、もし御主張のあのお金というものを昨年度充当するということになりますと、いわば交付税の再計算といいますか、それをやることによって、法定税率分がふえたので、その分、では特例加算をどうしましょうかとか臨財債をどうしましょうかという話になっているわけでありまして、仮に加算の分とトレードオフ、チェンジしたとしますと、二十二年度は国庫の方がその分浮いてくる、こういうことになるわけであります。

 そうしますと、結果的には、二十二年度、二十三年度を通じて見ると、国庫とのやりとりというのは、全くとは申しませんけれどもほとんど変わらない、そういうことにもなり得るわけでありまして、私は余りこのことにこだわることはないのではないかと思います。

 臨財債だとか特例加算とか、そんなものは二十二年度そのままにしておいて、五千八百億円なり一兆円なりをそのまま自治体に配分したらよかったんではないかという議論もなされておりますけれども、これはちょっと、やはり私は今の現下の地方財政の状況から見ると、それはいささか地方から見ると虫がいいといいますか、ちょっと暴論ではないかと率直に思います。きちっと算定をするとすれば、二十二年度に国費が浮いてきていたはずだと私は思います。

坂本委員 そこは、私は、総務大臣としては暴論であるとかいうのは言うべきではない、虫がいいというのは言うべきではないと思いますし、五千八百億そのまま地方交付税に交付していたら、それは特例加算とか別枠加算が減ったであろう、それはもう既に出口を見た言い方であって、さっき言われましたように、今、本当に地方の財源を安定させようと思うならば七割の法定率が要る、では、それに向けてどれだけ、もちろん一気にはできませんけれども、近づけるような努力をするかというようなことが一番大事であって、そのためには、地方の立場を一番熟知している総務省として何を主張するか、これがやはり一番私は大切なことであろうと思います。ですから、どうせ出口が一緒だから、要するに、五千八百億円だったらその分減らされるという考え方自体が、私は一歩後退している考え方ではないだろうかなというふうに思います。

 それで、いわゆる入り口ベース、出口ベースの話になりましたので、入り口ベースの一般会計の部分で御質問させていただきますけれども、いわゆる一般会計でいえば、二十二年度比で七千億円減少いたしました。

 衆議院の予算委員会で、我が党の金子一義議員が同趣旨の質問をしましたけれども、片山大臣はこのときも、一般会計から特別会計にどうなるかということではなく、特別会計から自治体に総額がどれだけ交付されるかが一番重要と答弁されております。今の答弁と一緒であります。もっともな話であります。自治体の手取りがふえればいいというわけであります。

 現実的に、実際に入り口ベースでは、二十二年度の十六・九兆から十七・四兆と四千八百億円ふえているわけですね。ある意味ではそうでありますけれども、しかし、将来のことを考えると、やはり一般会計でどれだけ財源を確保するか、ここから入っていくべきであるし、そこは片山大臣に筋論を通していただきたいというふうに思うんです。先ほど言いましたように、地方の固有かつ安定的な財源確保というのをまず第一に優先するということであります。

 国と地方の歳入、税収については三対二と言われます。税の使い道、歳出については逆の二対三というふうに言われております。歳出と歳入の配分の差が国と地方では逆転しているわけでして、このことがやはり国の優位性といいますか、差配権といいますか、そういったものを握っていると思いますけれども、先ほど大臣も言われましたけれども、それを是正すること、ある程度フィフティー・フィフティーにしていくこと、そして地方の財源を確保して、権限を行使できるバックボーンというのをきちっと組み立ててあげることが大切であるし、民主党が地域主権と言うならば、それがまさに地域主権のあるべき姿であろうというふうに思います。

 であるならば、固有の財源を確保するための正論は、私は一般会計にあるというふうに思います。現在の法定率では到底足りない、だから法定加算して、あるいは別枠加算して、特例加算して、そして一般会計の中で財源を積み重ねていく、それが既成事実となって、ひいては別枠とか特例とかいう制度で財務省の顔色をうかがうということではなくて、正面突破で国税五税の法定率分を引き上げていく、引き上げにつなげていく、そして住民税や固定資産税という地方税と相まって安定的な地方の財源を確保する、やはりこの筋論を崩してはいけないと思うんです。

 もう一度さっきの資料を見ていただきますと、下から四段が特別会計ですね、政府案の方で見ていただければ。ですから、繰越分は特別会計なんです。上の四つ分が一般会計というふうに区分けをされておりますが、やはり一般会計でまず勝負をしていくということが私は大切であると思いますし、金子議員への予算委員会での答弁なども、私は大臣の苦し紛れの答弁としかどうしても思えませんけれども、いかがですか。

片山国務大臣 交付税というものの基本的性格を申し上げますと、地方団体の財源不足額をどうやって補うかということであります。したがって、その財源不足の補い方としては、基本は国税五税の一定割合ということでありまして、本来ならばそれを議員がおっしゃるように、財源不足の方が大きくて国税五税の一定割合で足らなければ、交付税率を上げるということでありますが、それが現実にはなかなかかなわないということで、ではどこから財源不足の補てんをするかということで、そこで一般会計から持ってくるというのも一つの手法になりますが、交付税特別会計の中に何らかの余剰金があれば、それを充てるというのも当然あり得るわけであります。

 要は、自治体の財源不足をどうやって補てんするかということが基本であって、一般会計から幾らもぎ取ってくるかというのは、それは手段の一つでありまして、決して目的ではないと思います。

 たまたま今、交付税は特別会計で運営しておりますけれども、本来の財政運営の原則に立ち返って、一般会計の中で交付税を処理したとしますと、そのことは非常にわかりやすくなるんだと思います。なまじということは言いませんけれども、特別会計をつくっているために、一般会計と特別会計とのやりとりがあって、入り口ベース、出口ベースという、いささか複雑になっておりますけれども、これを一般会計で全部処理したとすれば、今議員が問題提起されたようなことは実は解消するというか、なくなるわけでありまして、その原則に立ち返ってみても、交付税というのは、今で言う出口ベースの方が一番重要だと私は思っております。

坂本委員 そこはいろいろ考え方の違いがあると思いますけれども、私は、出口ベースは大事だけれども、それに至るまでの地方の財源を確保する、その筋はやはりしっかり主張しなければいけない、守らなければいけないというふうに思いますので、この点は、これからの予算編成の中でもぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、昨年の補正予算のときに、五千八百億丸々補正の段階でつけても、地方が消化できないというような総務省関係者のお話がありました。

 私は、こういうような考え方がもし総務省内にあるなら、財政当局にあるなら、これは、民主党さんが何のために地域主権と言っているんだろうというような気になります。一方で、ひもつきを外す、使途自由な財源をうたい文句にした一括交付金という制度をつくり上げながら、もう一方で、地方交付税について、補正で五千八百億を今地方に交付しても、なかなかそれは使途が定まらないのではないか、消化できないのではないかと言うことは、これは地域主権のかけらもないなというふうに思っておりますし、内心はやはり地方軽視である、あるいは地方蔑視であるというふうに思います。

 そういう点からも、私は、交付すべき財源はきちんと配分して、そして地域の、地方の自主性にゆだねるということをやるべきではなかったか。さっきの筋論とはまた別に、地方の裁量権、裁量性といいますか、裁量に至る能力を高めるという意味からもそうすべきではなかったかというふうに思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 補正で地方交付税を配っても使い切れないと、どういう文脈の中で言ったか、私もちょっと想像しておりますけれども、思い当たる節はあります。

 どういうことかといいますと、あの臨時国会が終了した時点で交付税を、かなりまとまった金額を配ったとして、私も自治体の首長をやっておりましたけれども、その段階で幾ばくかの金が来たときに、そのお金が来たから、では、何に使おうか、あれに使おうこれに使おうというような検討は、恐らく私が首長、知事を続けておりましてもしないだろうと思います。もしこれが交付税ではなくて何らかの交付金、よくありますけれども、地域振興交付金だとかそういうものでありましたら、さて何に使おうかと一生懸命考えて、使い切りの算段を多分考えたと思います。

 自治体の財政運営はそういうものでありまして、使途が特定されていて、使わなければ返すという性格のものは一生懸命使おうとします。しかし、交付税とか税のような一般財源はできるだけ節約をしてとっておこう、これが財政運営の、よしあしは別にして実情であります。したがって、交付税というのは本当に自治体の自主性を尊重した自由な財源でありますから、こういうものはできるだけとっておこうということになりますから、恐らく、配ったとしたら基金の方に積み込んだと思います。

 それはそれで合理性があるとは思いますが、マクロで全体を考えた場合に、今の地方財政というのは借金で賄っているわけです。臨財債とか国からの特例交付金とか、そうやって四苦八苦しながら財源調達をしながら、しかし補正で配ったら、五千八百億円がほとんど、全部とは言いませんけれども、多くは自治体の貯金の方に回ってしまったというのは、これはちょっと、なかなかうなずけないものがあるわけです。

 そうだとすれば、配るよりは、私どもは翌年度に繰り越すということをやったんですけれども、仮にそうでないとすれば、その年度、二十二年度で、例えば借金をするものを減らしてそれと切りかえるとか、もしくは問題の、例の交付税特別会計の借入金を何らかの形で返済するとか、そういう形で使う方が私は合理性があるのではないかと、そのときも思いました。

坂本委員 自治体にとっては、やはり各首長さんに聞きますと交付税が一番ありがたいんです。そして、いろいろ使い道を考えるその職員の能力を伸ばすのも、交付税をどう使おうかということでもあります。ですから、私はそういう意味でも、厳しい財政事情であるからこそ裁量性を持たせる、そういう姿勢は必要であるというふうに思います。そういうことで、はなから、どうせ借金返済に回るだろう、あるいは貯金に回るだろうというようなことで地方を見るという視点はいかがなものかなというふうに私は思います。

 次に移ります。

 先ほど、法定率を引き上げる、安定的な財源が大事だと。これはもう一番大事であります。しかし、さはさりながら別枠加算も、今の現状では別枠加算というのは地域活性化にとって必要不可欠なものとなっております。

 法定率分では当然足りない現状において、別枠加算ということはいろいろな交付金という形をとりますので、いわゆる政府からの地方に対するメッセージ、あるいは思いやり予算というような言い方もできると思いますが、この加算分が一兆二千六百五十億円、前年度より二千二百億円減少しております。地方を本気で活性化しようという気持ちがあるのかどうか、そういう交付税になっているのかどうか、これを見るとそういう思いに駆られます。

 菅総理は雇用、雇用と言っておられます。一方で国土交通関連予算やあるいは農林関係予算が削減されている現状において、地方の裁量権を持った予算として最も活性化のために役立つことができるのは、やはりこれは別枠の加算措置であるというふうに私は思います。なぜ、もっと雇用促進のための臨時特例費としての加算を大幅に積み上げできなかったんですか、お伺いします。

片山国務大臣 この別枠加算といいますのは、いろいろな名目をつけておりますけれども、こんなことを言うと身もふたもないかもしれませんけれども、交付税総額を確保するための一つの手法だと私は思います。交付税でありますから、地域振興とかいろいろな名目はつけていても、必ずしもそれに使わなければいけないというものではないわけで、自治体は、別枠加算であっても一般財源として自由に使えるし、将来のためにとっておく、そういう道もあるわけであります。

 なぜこれが多少減ったのかというのは、これは多少の理由はありますけれども、結果として、それでも御指摘になられたように一兆三千億弱の額を確保しているわけでありまして、これは、私は、本来ならば交付税の法定率の引き上げで解決をすべき問題が、現実そうはいきませんので、それの便法と言うとちょっと変ですけれども、一里塚だろうと思います。余りこのことを言うと、財政当局の方は将来のことを警戒して予防に走りますので、余り大きい声では言いたくありませんが、率直に言いますと、法定税率の引き上げの一種の代替物といいますか、一里塚だろうと思いますので、これには努力をしたということです。

 多少減っておりますのは、これを始めたときには例の埋蔵金がありまして、特定の埋蔵金については地方財政の方の寄与分もあるだろうということで、その埋蔵金を加算の方に持っていく、そういう合意がなされたようでありましてやってきたんですけれども、埋蔵金がなくなったので、若干その分が減った。

 しかし、埋蔵金がなくても一兆三千億円の別枠加算というものを確保しておりますので、それなりに財政当局に対してきちっと要請をして成果も得ていると、自画自賛するわけではありませんけれども、私はそういうふうに評価をしております。

坂本委員 埋蔵金が減った、なくしたというのは私も聞きましたけれども、リーマン・ショックで百年に一度の不況が訪れるといったときに、まず地方を救済するためにどうすればいいかということで、交付金も含めて大幅な補正を組んだ。そして地方を重点的に、特に合併をした市町村を中心に、さまざまな雇用対策や景気対策をやった。これが、結果として、二十一年度あるいは二十二年度の決算剰余金につながっていると私は思います。確かにそうであります。

 そう考えるなら、私は、額の確保と同時に、どうすれば地域の活性化ができるのか、あるいはそこで雇用が生まれるのか、さらに、税収増につながるような事業ができるのかというような視点でまず考えていくべきである。それならば、今の時期、法定率が上げられないならば、もっともっと総務省として別枠加算、あるいは特例加算、こういった枠は確保するために努力をすべきであったのではなかろうかなというふうに私は思います。そういう中で、地域活性化・雇用等の対策に対応した交付税というのがありまして、本当に雇用にこれが役立つんだろうかというふうに思います。

 例えば、この交付税の中の子育て支援サービスについて、菅総理が本会議でも社民党の阿部知子議員らの質問に答えまして、地方独自の現物給付を充実させるべきという質問に対しまして、地方財政計画に子供の現物サービスのための特別枠を設け、地方交付税に一千億円を加算して現物給付を拡充したというふうに答弁をされております。

 しかし、この子育て支援サービスは、子ども手当とは根本的に違います。子育て支援事業は、自民党政権時代に最も力を入れていた事業でありますし、厚生労働省を中心に、文部科学省あるいはそれぞれの各府省を入れて政策を担ってまいりました。総務省も、市町村中心の子育て事業を展開するために、さまざまな予算をつけてきたはずであります。

 それぞれの市町村が子育て日本一の自治体を目指して、保育に欠ける子供たちを含めた、多様な保育サービスの提供を進めてきました。延長保育や一時預かり、病児、病後児の保育の推進など、自治体を中心として幅広い、呼応する企業やNPO法人などに働きかけてこういった子育て支援対策を進めてきたわけでありますので、これは何も、一千億円を交付税の中に盛り込んだというようなことで菅総理が言われるような筋合いのものではないと私は思います。しかも、現物給付と現金支給のバランスという意味からいっても、片や三兆円弱、片や一千億円というのでは余りにもバランスがとれていないというふうに思います。

 この一千億円は、子育てのための現物給付という観点からも、それから雇用の促進という観点からも中途半端で、私は双方に効果が出ないというふうに思います。もっと地方の実態に照らした推進事業に改めるべきであり、規模ももっと拡大しなければいけないというふうに思います。ちなみに、自民党は予算の組み替え動議の中で二千億円を主張しております。

 まず、子育て現物給付をこういう形で充実させるんだというようなことが、本当に地域のために、そして雇用につながるのか、活性化につながるのかお伺いいたします。

片山国務大臣 子育て施策というのは、今、地方自治体、特に市町村のレベルでは非常に重要な、最も重要な課題の一つだろうと私は思います。

 その市町村が子育てにわたります各種の政策を円滑に実施できるようにするためには、相応の財源が必要になってきます。その財源をどうやって保障するといいますか、裏打ちするかということが課題になってこようかと思います。これは今、社会保障と税の一体改革の中で、子育ても含めた制度設計のあり方とその財源について検討を始めておりますので、その中でもぜひ整理をしていただきたいというか、私もメンバーでありますので、積極的にそれに加わっていきたいと思います。それが一つであります。

 その際に、どういう財源でこれを手当てするのかというのは、実は非常に悩ましい問題があります。私は、理想的には、地方交付税制度の中で、現物給付を中心にする自治体の子育て政策というものがちゃんと行えるような財政措置がされるべき、これが一番理想的だと思います。自治体が、その中で、その財源を使って自由に制度をつくっていく、地域の実情に応じて独自の制度設計をすることが可能になる、これが理想的であります。

 しかし、さっき言いましたように、交付税というのはしょせん一般財源でありますから、何に使おうといい。貯金をしようと過去の借金の返済に使おうといい。こういうことでありますから、国が、現物給付を中心にした自治体の子育て政策に使ってもらいたいということで交付税の中で用意したからといって、それがそのまま使われるわけでは必ずしもない。もちろん、もっと使う自治体もありますけれども、過少にしか使わないところもあるわけでありまして、この辺が非常に悩ましいところであります。

 だとすると、特定の政策目的、今回の場合には、子育てのために特定の財源を政府から支給した方がいいのではないかという議論も出てくるわけでありまして、これをどういうふうにするのかというのは、実は、私自身も長年この分野に携わってきておりまして、理想と現実とのかなり大きなギャップにいつも思い悩んでいるところであります。

 できれば、本当は自治体の方が、一般財源を使って本当に地域の住民の皆さんにとって必要かつ十分な政策を実現していただける、こういう認識とか気概を持っていただければ一番理想的な姿になるのではないかと思っております。

坂本委員 その悩ましさが、今の民主党政権の迷走や、看板と実態の違いになっているというふうに私は思います。

 一方で一括交付金などを創設しながら、できるだけ地方に自由に使っていただこう、そのことをやりながら、一方では、やはりより効果的に使ってもらわなければならない、そのために政策誘導というのは一定程度課さなければいけない。その政策誘導の中で地域の活性化をやる、これをどう区分けしていくか、整理していくかというのが一番大事でありますけれども、そこの整理がなされていないというのが一番問題であるだろうというふうに思います。これは、子ども手当にしても、あるいは農家の戸別所得補償制度にしても、高速道路にしても全く同じようなパターンで、私はそのようになっているというふうに思っております。

 その中で、次に、首をかしげざるを得ないような二点についてお伺いします。

 一つは、住民に光をそそぐ事業についてであります。これは、昨年の補正で大々的に一千億円計上されました。今回は三百億円、しりすぼみになっております。

 片山大臣は昨年の記者会見で、光をそそぐ事業で何と言われたか。覚えていらっしゃると思います、こういうふうに言われているんです。弱者に寄り添う政治、行政が民主党らしさになっている。強者の論理ではなく、格差社会の中で声の小さい人、弱い立場の人が相対的にふえている。菅内閣の、これまでとはちょっと一味違ったアクセントに呼応して、自治体として何ができるか云々と、格好いい言葉を並べておられるわけですね。

 今回の民主党政権の予算を見ますと、弱者、環境という名前がつくと予算がつぎ込まれております。しかし、その弱者がどういう人であるのか、どのような地域であるかという政策的な検証は、あってしかるべきだと私は思いますが、それがない。それがないままに、自殺の防止や、家庭内暴力で苦しむ方への対応など地域での対策というふうになっております。そして前回は一千億円、今回は三百億円であります。

 そういうものを地域に任せることも大事かもしれませんけれども、国家的な研究を加えて、その研究や検証結果に基づいて、一定のガイドラインを通して、そしてきちんとした制度設計をした上で地域に予算を投入しなければ、結果として、やはりこういうものはばらまきになってしまう。弱者のために、あるいは環境のために、いろいろなためにということで、先ほどの話ではありませんけれども、地方に交付するけれども、それがばらまきになっているというようなことになってしまうわけであります。

 それで、質問でありますけれども、光をそそぐ事業で地方はどのような対策を立て、予算を執行したのでしょうか、補正予算からこれまでにかけて。果たして、それがどれだけの地域生活と雇用増につながっているのか示していただきたいと思います。でなければ、この予算は経済効果が全く出ないというようなことになりかねないと思いますが、いかがですか。

片山国務大臣 最初に、先ほど私が子育て支援策を例にとって、一般財源で自治体に財源措置をするのが理想的でありますけれども、現実には特定性を持った財源の方が、自治体の方はそれに対して非常に反応が高い、こういうことで悩んでいるということを申し上げました。それが民主党の、他の高速道路でありますとか農家の戸別所得補償と同じように迷走しているとおっしゃいましたけれども、それは全く違う話でありまして、それは、それらの政策のよしあしをそれぞれの所管のところで論じていただければいいと思うんです。

 私が申し上げておりますのは、地方自治の理念、これは自由、裁量、そういうものと実際の自治体の行動との間にやはりギャップがある、そういうことを申し上げたわけでありまして、高速道路とか、戸別補償とか、子ども手当の国策とは直接は関連しないものでありますので、誤解のないようにしていただきたいと思いますのが一つです。

 昨年の臨時国会で補正予算を認めていただきまして、住民生活に光の当たる交付金というのをつくりました。これは、先ほども御紹介いただきましたけれども、私は自治体に長い間かかわってきまして、今の自治体の行政を眺めた場合に、本当は必要なんだけれども、当事者の皆さんの声が小さいとか立場が弱い、そういうところがこの間少し、相対的に力の入れ方が低下しているのではないかということを率直に思ってきました。

 それは、一九九〇年代から我が国は景気対策に余念がなく、そのための財源を自治体に相当交付してきましたけれども、その陰で、ほとんど光の当たっていない分野がやはりあります。一方でしかし、行革の時代になりますと、等し並みに削減率をかけられてしまう。今までふやしていないのに削減率だけかけられる、そういう分野がやはりあるんです。そういうのが消費生活センターであったり、消費者行政であったり、さっき挙げられた自殺予防であったり、児童虐待であったり、DV対策であったりしますし、それから、知的な社会にしなければいけないので、非常に重要な課題を抱えている分野として試験研究であったり、図書館であったりするということ。

 従来は、公共事業などにしか使えない財源というのはかなり豊富に自治体に供給されましたが、今回は、逆手をとって、今まで余り光の当たらなかったところにしか使えない、そういう逆張りをやったわけであります。そのことで自治体の行政が少し、質的な転換の契機になればと思っております。

 どんな効果があったのかというのは、これはまだ、補正予算が昨年の暮れに通って、それで自治体の方で何に使うかということを決めて、実は、今年度使うのは全部ではありません。来年度以降に使ってもいいということになっておりますので、まだ効果のほどは検証されておりません。

 ただ、私も気になるものですから、断片的にはいろいろ伺っております。例えば私が関係しております鳥取県では、市町村の方に聞きますと、図書館にかなり使っております。その結果、今まで司書がいなかった公共図書館に司書さんが何人も配置されたとか、そういう雇用にも実はつながっております。

 それから、図書館のケースでいいますと、本を購入します。見てみますと、特に子供の本なんかをたくさん購入しているケースが多いようでありまして、これは、実は出版業界の方から聞きましたら、今まで青息吐息だった子供向けの書籍を出版する出版社が一息ついたとか、これも、公共事業とは違いますけれども、一種の景気効果があったのかなと思っております。

 断片的には、何もないということでは決してありません。部分的には雇用にもつながっておりますし、今までとは違った分野に、業種に光が当たっているということはあるようであります。これは、適当な時期をとらまえまして、ぜひ一千億円の効果のほどというのは検証してみたいと思っております。

 それから、来年度は、昨年の補正でつけたものは、これは補正の交付金でありますから、とりあえずはありません。補正でもない限りはありません。そこで、とりあえず交付税として、これは一般財源でありますけれども、光の当たる交付金で始めた事業をぜひ継続していただきたいということで、三百億円をとりあえず計上しているということであります。

坂本委員 どうも看板どおりにいっていないというふうに私は思うんですね。ですから、今検証されると言われましたので、これは各自治体にとりましても非常に参考になることですので、それぞれの自治体がどういう政策をやっているのか、一度全部、一覧表ででも出すべきだというふうに思います。もう去年の補正で一千億円積んでいるわけですので、当然いろいろな形でやられていると思います。いつぐらいまでに出せますか。

片山国務大臣 これは自治体の方から要望なんかをとりましたので、ちょっと今私も、どういう資料をいつ出せるかということは正確にはお答えできませんけれども、できるだけ早く、現在ある資料はお出ししたいと思いますし、それから、ぜひ適当な時期をとらまえて、この事業で例えばどういう雇用につながったかとか効果があったか、何に使われたかなどというのは、できる範囲内の資料になりますけれども、お出しをしたいと思います。

 実は、議員の方にも、この光をそそぐ交付金についての評価などがあるいは伝わっているかもしれませんが、自治体の経営者側といいますか首長側からは、余り高い評価が出ておりません。ところが、一方、現場のスタッフとか、その行政の対象となる住民の皆さん方からは非常に大きな反響があります。

 その一例が、図書館などは、首長さん方からは、あれで非常に図書館政策が進んだなんという声は私のところへは入っておりませんけれども、図書館、学校図書館の司書とか読書活動をやられているような住民グループの皆さん方からは、実は本当に絶賛をされているわけであります。画期的だと言われているんです。これは消費生活、消費者行政の分野でも全く同じであります。

 私は、これが実は今の自治体の一つの、病理とまでは言いませんけれども課題だと思うんです。こういう分野に余り首長さんが関心を持っていただけない。どっちかというと、公共事業だとかハード系の補助金なんかには非常に熱心なんですけれども、こういう本当に声の小さい、立場の弱い住民の方々、それから知的社会を構築しようという分野について余り関心を持っていただいていないというところが、実は私は自治体の問題点だと思って、そんな認識もあるものですから、こういうものをあえて昨年の補正予算の中に入れたということであります。

坂本委員 図書館の問題だけ取り上げて言われましたけれども、図書司書の問題は大事な問題で、そして、もしそれを政策誘導するならば、やはりきちんとした形で政策誘導しないといけないと思うんです。

 私も、小さな町村の教育長から、もう少し図書館を充実させるような方法はないのか、もっと本を読めるような環境づくりができないのかというふうに言われました。これは、光を当てる事業あたりも大切なことですけれども、その中で、いろいろなガイドラインというのをやはりつくっておくべきだというふうに思います。例えば図書館で図書司書がふえたから、それでこの事業は効果があるんだというようなことと、この光をそそぐ事業のねらいとはまた別の問題であると私は思います。

 似たようなものでもう一つ、最後にお伺いしますが、地球温暖化対策暫定事業。

 これは、鳩山政権が、一九九〇年比で二〇二〇年までにCO2二五%削減という、普天間と同じように実現不可能な数字を挙げておられまして、環境、緑、グリーンと名がつけば何でも予算をつけるというようなことになっております。そして、今度は交付税の中に、地球温暖化対策暫定事業はこういうふうに書かれているんですね。地球温暖化対策に係る地方財源の確保、充実の仕組みについて二十四年度実施に向けた成案が得られるまでの暫定措置として、国産、地域産材の利活用、再生可能エネルギー導入云々というふうにあるんです。

 全くこれは何のことかよくわかりません。二十四年度、財源確保が確実になるまでに、暫定的に国産材を使ってほしい、あるいはことし一年限りでいろいろな対策をしてほしいということだろうと思いますけれども、この問題、二十四年度はどうなるかわかりません。そして単年度で、しかも暫定的にという制度そのものが私はナンセンスだと思いますし、こういった予算は即刻廃止すべきだと思います。

 そして、二十四年度からそういうような対応策があるならば、二十四年度に向けてこれから制度設計をしっかりと組めばいい。しかも百億円でありますので、これが都道府県と市町村にわずか五十億円ずつ配られる、交付される。全く捨て金にしかならないと私は思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 最初に図書館について、御地元の教育長さんから、もっと図書館の充実がやれるようになればいいのにという声を聞かれたということでありますが、今でもやれるんです、やる気になれば。やる気にならないから予算がついていないだけなんです。だから、あえて、こういう政策をやってみたらいかがですかと水を向けるための交付金なんです。そこが実は、今の自治体の問題だということなんです。やれるんです。

 私は、自分のことばかり言って恐縮ですけれども、鳥取県で図書館というものに随分力を入れてきましたし、小さい県で貧乏県ですけれども、十分それはやれました。教育長さんは予算がつかないからやれない、やれないと言いますけれども、それは、自治体の首長さんとか議会の選択の問題であります。

 それで、地球温暖化対策でありますが、これは確かに、わかりにくいとおっしゃるのもむべなるかなと思いますが、実は、地球温暖化対策税との関連で、この経費は地方交付税の中に織り込むことにしました。

 温対税と言われるものの使途に、自治体が、例えばここに書いてありますような木材の活用とか森林政策とか、そういうものを行う財源としても活用できるようにしてほしいという要望があります。今回の政府の税制調査会では、実はそこまでの議論に至りませんでした。というのは、まだこの温対税が、国税の改正で認められたとしましても、平年度化するまでに何年かかかりますし、初年度は額も非常にわずかなので、地方に回すというようなことを議論するのは後にしよう、二十四年度にしようということになったわけです。

 ぜひ、我々としては、温対税が平年度化する過程では、地方の財源にもしてもらいたいということを主張していこうと思っておりますけれども、それまでのつなぎ、温対税が認められれば、金額はわずかでありますけれども国には入ってきて、森林経営以外の温暖化対策はやられます。そうすると、自治体もそれに呼応して、地元で森林経営などの温暖化対策をやっていただきたいし、やる意欲も十分あります。そのための財源を、いささかでありますけれども当面つないで、つなぎの意味で交付税の中で措置をしていこうということであります。

 したがって、これは政府税調の中ではいろいろ議論もあるんですけれども、温対税のあり方を議論するまでの、つなぎの暫定措置だという性格であります。

坂本委員 つなぎだけだったら、やはり私は結果的に、百億円といえども、ばらまき的になるんじゃなかろうかと思います。

 それから、先ほど図書館の問題で、やれるんですと言われましたけれども、いわゆる首長の姿勢の問題もあります。ですから、やれるならやれるような政策誘導というのはやっていかなければ、一方で一括交付金みたいに自由に使いなさい、一方でこういうことをやりなさい、これはまさに政策矛盾であると私は思います。

 今後、地方の裁量権を広げることと効果的な予算の使い方を地方にしてもらうこと、その辺の仕分け、区分け、あるいは制度の設計をしっかりとしていっていただきたいと思います。それを要望して、質問を終わります。

原口委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、交付税法の改正で、六十分時間をいただきました。大きく、地方財政と年金救済策、この二つについてお尋ねをしたいと思います。六十分といっても時間が限られていますので、片山大臣、答弁は簡潔に、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、社会保障と税の一体改革であります。

 全国知事会の麻生会長が、この四日に総理の方に、自分たちの意見も反映してほしいということを要望し、知事会だけではなくて、全国の自治体、地方の方は大変危機感も持っていると思うんです。

 社会保障に必要な財源が要ることは、だれでもわかっている。でも、消費税を増税するならば、地方の方でもそういう社会保障を担っているのだから、やはりそれなりに増収分を配分してほしい、下手をすると配分ゼロではないか、そういう危機感というのを持っているかと思うんです。

 消費税を増税した場合の地方配分について、きょうは尾立政務官が来ていただいていますが、財務省の考え方をお尋ねします。

尾立大臣政務官 谷委員にお答えをいたします。

 消費税のあり方につきましては、まず、あるべき社会保障の姿というものを議論した上で、社会保障の安定強化のために必要となる財源の安定的な確保、そして同時に財政健全化を達成できるような、そのような消費税を含む税の抜本改革というのをこれから議論させていただくこととしております。

 したがいまして、国、地方間での税財源の配分のあり方につきましては、社会保障における国と地方の役割分担を踏まえつつ、今後決定されるものと承知をしております。

谷委員 片山大臣の考え方は。

片山国務大臣 今、社会保障と税の一体改革の検討が始まっておりまして、当面は、社会保障制度のあり方の検討に重点を置いております。その検討の結果によりまして、国と地方の役割分担、地方が担うべき仕事の量、質、そういうものが決まってまいります。そうしますと、それに対して財源がどれほど必要かということもおのずからわかってきます。

 そうすると、既存の税制、交付税などで賄える部分と賄えない部分があって、それをどうするかという議論になってきて、その段階で、仮に消費税の増税ということになりましたら、その中からどれだけを地方に回さなければこの社会保障の仕組みは賄えないか、こんな議論になるだろうと思っております。

谷委員 みんなの党の柿澤委員だったかと思いますが、この前、二月八日、衆議院の予算委員会で与謝野経済財政担当大臣が、今のところ地方に増収分を配分するという考え方はだれもおっしゃらない、こう新聞に出ております。また別の新聞には、同じことで、今のところ地方に配分するという考え方はだれもおっしゃらない、財務省に聞けば地方にはやれないと言うだろう、公式な場でそういうふうに言われているんですね、片山大臣もよく御存じかと思いますけれども。

 では、その後、この社会保障と税の一体改革をめぐり、与謝野大臣がこう言われるように、そんな話は全然出ていないんですか。今のところ出ていない、そういうことはだれもおっしゃらないということは、明らかに与謝野大臣は、常識的に考えれば、とてもそんな余裕はありませんよということを暗に言われたと思うんです。その後、どうですか。

片山国務大臣 さっき申しました社会保障と税の一体改革を集中的に検討する場がありますけれども、今そこでは、専ら社会保障制度のあり方を論じておりまして、消費税をどうするこうするという議論はまだ出ておりません。したがって、消費税を引き上げた場合に国と地方の割合をどうするかなんというのも出てこないわけであります。

 そういうことを与謝野さんが言われたのかなと私も同じ予算委員会の場にいて聞きましたけれども、誤解を与えてはいけませんので、私も柿澤議員の質問にあえて手を挙げて答えまして、さっき谷議員にお答えしたような、これからの社会保障と税の一体改革の道行きと、それから地方財源のあり方、その中で地方消費税がどういう役割を果たすのかということについては、せっかくの機会でありますから、そのときに持論を答弁しておきました。

谷委員 片山大臣にお尋ねします。

 仮に社会保障制度の国と地方の役割分担を整理していって、片山大臣の頭の中には、やはり消費税増税のときは地方にも配分する必要がある、そういうふうにお考えですか。今の時点での大臣のお考えです。

片山国務大臣 それは、どういう国と地方の役割分担になって、その結果、地方がどれほどの財政的負担を伴いながらこれから社会保障制度を賄っていくか、担っていくかということによって決まると思います。

 もう一つは、その際に、他の財源、地方税それから地方交付税、それらでどれぐらい賄えるのか。それによって、増税が仮にあった場合の地方消費税にどれだけ地方が要求をするかということになってくるだろうと私は思います。

 地方からもいろいろな懸念がありまして、仕事だけ担わされて、消費税も何も財源の付与がないとすればとんでもないことになるという、それはそうなんです。とんでもないことになるんです。

 私は自治体の皆さんに申し上げているんですけれども、財源がないのに仕事だけやれと言ったら、それはできるわけないんですから、そのときはきちっと、できませんと言えばいいわけであります。それより前に、ちゃんと今は地方の、年金以外はほとんど地方が担っているわけですから、その知見に基づいて、どんどんどんどん拡大する社会保障というもののワニの口とでもいうものを閉じるような、そういう方策をやはり地方からも提言して、国も地方も財政負担が余り拡大しないような、そういう方策を今は考える時期なんだから、そういう提言をしましょうということを今申し上げているところです。

谷委員 ワニの口の例が出ましたけれども、大変口がかたくて、方向性はまだ言われないというふうに、大臣の答弁を聞いてそう思いました。

 尾立政務官に再度確認します。

 さまざまな新聞報道で、財務省は、地方にはやれないというような記事も出ていますけれども、そんなことはないという理解でよろしいですか。

尾立大臣政務官 先ほども御答弁させていただきましたように、まず社会保障のあるべき姿の議論があった上で、国と地方の役割分担が決まってこようかと思います。それに従って、必要な税財源、こういうものが国と地方の間で決まってくるものだと思っております。

谷委員 では、この問題はもうこれ以上しても同じ繰り返しになると思いますので、次に、財源不足額の問題について話を移します。

 平成六年以来、いわゆる地方財政の財源不足というのは急速に拡大してきています。一時的に収束したといっても、平成二十二年、昨年、過去最大の十八兆二千億、今年度は十四兆二千億と総務省の資料ではなって、引き続き巨額の財源不足だということであります。

 ここで、一つお尋ねします。

 この財源不足、十四兆二千億というのは、先ほどの坂本委員の方の質問にも少しは絡むんですけれども、前年からの繰り越しを加味しているんですか。これとは別に、十四兆二千億プラス一兆、だから単年度の本当の財源不足は十五兆二千億ですか。まず、その事実関係からお尋ねします。

片山国務大臣 昨年度からの繰越金は法定税率分の交付税と同様の扱いをしておりますので、それが、基準財政収入額といいますか、あった上で財源不足を計算しておりますから、議員がおっしゃることでいえば十五兆円ということだと思います。

谷委員 そうだと思いました。私、きょう質問をするときに初めてわかりました。どうも計算が合わない。

 だから、要は一兆円を当然のものとしてカウントしているんですね。ですから、こういうのは普通の企業ではあり得ないですね。だって、その年の見積もりを見る場合、その年の歳入、企業でいえば収益です、その年にかかる費用、その差し引きでどう経営計画を立てていくか。ただ、これは、前年からの繰り越しを常に入れて、あと不足が十四兆二千億という対策になっているかと思うんです。これは正確ではないと思いますよ、大臣。やはり平成二十三年の財源不足は十五兆二千億じゃないですか。

 その点について、政務官でもよろしいですし、ちょっと検討していただきたいと思います。私、これはちょっとおかしいと思いますよ。

片山国務大臣 財源不足額の計算というのは、企業でいう事業年度の経営分析をするためのツールではないと思うんです。財源不足額というのはあくまでも、今回のケースでいいますと、二十三年度の交付税を算定するといいますか、地方財政計画でどれほど財源手当てをしなければいけないか、それを判定するためのツールであります。

 したがって、昨年度から繰り越されたものが余剰金としてあれば、交付税を確保するとき当然その分は除外していいわけですから、企業の当該年度の経営分析とちょっと混同しているような印象を受けました。

谷委員 大臣、それは違うと思いますよ。大臣とこの場でやりとりしてもあれでございますので、ぜひ検討していただきたいということを要望しておきます。

 何もこれは、だからどうのこうのということではなくて、平成二十三年の地方の方の財源不足は幾らと正しく計算するときに、一兆円の繰り越しがあるから十四・二兆だと見るのか、それとも、繰り越しは除いて十五・二兆、この不足を、我々は立場が少し違いますけれども、先ほど坂本委員からお話がありましたように、では一兆をまず充てて縮小して、それでほかのいろいろな対策とか、その方が国民にもわかりやすいし、それこそ透明じゃないですかということを、もうこれは要望にかえますから。

片山国務大臣 それはおっしゃるとおりです。地方財政が年々悪化しているのか、それとも好転しているのかというようなことをトレンドとして見るためには、議員がおっしゃったように、夾雑物とは言いませんけれども、繰り越したり年度間の調整をしたようなものは取り除いて単年度のネットの姿を比較して見る、これは意味があると思いますので、検討に値すると思います。

谷委員 ぜひ、検討していただいて、わかりやすい形で議論をした方がいいと思いますので、お願いします。

 さて、平成二十三年の財源不足額の補てんについて総務省と財務省でやりとりされて、平成二十三年から二十五年まで財源不足の対応は、この三カ年というのは中期財政フレームの対象期間に合わせたかと思うんですけれども、従来からの折半ルールとされたところであります。

 そうしたら、この間は、交付税率の引き上げということは、総務省はもうあきらめて要求しないということで両省間で合意された、こういう理解でよろしいんですか。

片山国務大臣 特にそういう、交付税率についてやりとりしないというようなことを合意しているわけではありません。

 ただ、現下の財政状況で、それこそ、先ほど財務省の政務官からもお話がありましたけれども、税制の大きな変革をにらみながら検討している段階でありますので、現実の問題として、この法定税率をこの期間内に大きく動かそうというようなことは現実には起こりにくいだろうと思いますけれども、先ほど言いましたように、あえてそのことを口封じしている、そういう合意はございません。

谷委員 今の答弁で、尾立政務官にきょうは来ていただいていますので、もう最後の質問ですが、よろしいんですか、政務官の方も。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 二十四年、二十五年に関する交付税の法定率の引き上げ等につきまして、二十三年度の地財対策の中で、両省間で明示的に引き上げを行わないというような取り交わしをしたことはございません。(谷委員「明示的にないなら、黙示的にあるの」と呼ぶ)そういう合意をしたことはございません。明示的にも、暗示的にもございません。

谷委員 ありがとうございます。

 政務官は結構です。ありがとうございました。

 さて、二十三年度の資料を見ますと、今、各委員のお手元に資料を何枚か配らせていただいておりますけれども、一ページ目が、今の消費増税分の新聞記事です。二ページ目は、総務省ではなくて、実は財務省の資料なんです。

 財務省の資料によれば、右下、ちょっと鉛筆でこちょこちょとしていますけれども、「事業仕分けの評価結果等の予算への反映」というのがあります。総務省の資料を見ても書いていないんですね、こういうような事業仕分けが。例の蓮舫さんの事業仕分けがどう交付税に反映したかというのは、よくわかりません。

 そこで、お尋ねします。

 資料二によれば、一般行政経費単独における追加財政需要額、要は抑えたということなんでしょう。あと地方再生対策費とか幾つか、こういうことが、いわゆる事業仕分けによって、事業仕分けの評価結果を踏まえて、地方財政を、財務省ですから、抑えたということになろうかと思います。

 どのような措置について、どう見直したんですか。金額は幾らですか。これは逢坂政務官の答弁ですか。どこにも書いていないんですよ、総務省の資料に。教えてくださいよ。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 多少長くなりますけれども、個別に……(谷委員「いや、簡潔でいいですから」と呼ぶ)項目が多いものですから、金額が幾らかということでありましたので。

 いずれにいたしましても、今、事業仕分けで指摘のあったことを踏まえて、その対応をして、さらに中期財政フレームにおいて定められたルールの一般財源総額を確保しているということは、まず冒頭、御理解いただきたいと思います。

 まず、一般行政経費単独における追加財政需要額については、事業仕分けにおいて、地方財政計画額と決算額の乖離があるという指摘がございました。これも踏まえまして、近年の地方公共団体における活用状況等も勘案し、一千億円減額し、四千七百億円を計上してございます。(谷委員「五千七百から四千七百ということですか」と呼ぶ)はい、そうです。

 それから、地方再生対策費については、法人事業税の偏在是正効果を活用し平成二十年度に創設されたものであるが、事業仕分けにおいて地方財政計画額と決算額の乖離の指摘があったことも踏まえ、景気の低迷等により偏在是正効果が当初見込み額を一千億円以上下回って推移し、その部分が臨時財政対策債により財源措置をされていることを勘案し、一千億円減額して、三千億円を計上してございます。

 さらに、別枠加算につきましては、平成二十二年度は単年度限りの措置として一・五兆円が加算されましたが、事業仕分けにおいて交付税総額決定のルール化を促進すべき等の指摘があったことも踏まえまして、交付税総額の安定的な確保が図られるよう、二十三年度においては、合計一・三兆円を確保するとともに、中期財政フレームの期間及び税制の抜本改革時まで継続するようルール化したものでございます。

 それから、臨時財政対策債の元利償還金については、事業仕分けにおいて地方財政計画全般の計上について地方の実態を踏まえるべきとの指摘があったことも踏まえ、地方公共団体における償還年限の実態をさらに精査して積算し、一・九兆円を計上したものでございます。

 さらに、特会借入金の償還につきましては、事業仕分けにおいて確実な償還をすべきとの指摘があったことも踏まえ、平成十九年度から繰り延べが続いてきていたわけですが、交付税特別会計借入金について、今回新たに償還計画を定め、平成二十三年度に一千億円を償還し、着実な償還を開始することとしたものでございます。

 それから、最後でございます、特会借入金の利払いについても明確に地方負担化をすべきとの指摘については、事業仕分けにおいて、地方財政において返済すべきであることを徹底すべきとの指摘があったことも踏まえ、臨時財政対策債の利払い費と同様、特会借入金利払い費について、国と地方の折半により賄うのではなく、地方財政により賄うこととし、三年間で段階的にそちらに移行することとした上で、平成二十三年度において一千四百五十四億円を地方負担分としているところでございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

谷委員 長い説明でした。総務省の方からこういう資料を出していただければ、逢坂政務官、何も私は質問しなかったんです。

 それで、合計額は幾らですか。新たに幾ら負担になり、幾ら減らされたんですか。何か今の説明によると、七千億ほど負担がふえたということですか。ふえたというか、事業が減って負担がふえた、その合計は七千億ほどあるということですか。

逢坂大臣政務官 今私が話したものの全体像をにわかに私もこの場で計算できないものですから、必要があればまた後ほど御説明をさせていただきたいと思います。

谷委員 では、委員長、また委員会の方に、それぞれの、この私の資料に基づく、二十三年度の交付税にどういうふうに反映されたのか、数字でもってきちんと提出していただくように要請します。

原口委員長 理事会で協議させていただきます。

谷委員 ありがとうございます。

 さて、その次に、人件費に話を移したいと思います。

 国家公務員総人件費二割削減というのは、民主党のマニフェストにあります。ただ、最近は、ちょくちょく新聞に書かれるようになりましたが、とても無理じゃないか、もうあきらめたというような報道もされているところです。

 昨年、本院、衆議院の総務委員会で、我が党の秋葉議員の質問に対し、原口委員長は、当時は大臣でございましたが、二十五年度に達成するよう努力をしていきたい、総人件費二割削減ですね、明確に言われました。さらに、我が党の秋葉議員の質問主意書に対する答弁の中でも、これは昨年の十二月ですけれども、二割削減という目標について、「二十五年度に達成するよう努力する」とあります。

 ところが、年が明けて二月の、我が党の橘議員の質問主意書に対する答弁書では、達成時期は、いろいろ言いわけが書いていますが、「ある程度、幅を持って考えることが必要である」として、先日、私も質問主意書を出して、達成時期がずれているんじゃないか、マニフェストを見直したのか、そう尋ねますと、何も直接的には答えられず、「二十五年度までにめどをつける」。「めどをつける」に変わっているんです。二十五年度に達成するよう努力するというのが、二十五年度にめどをつける。明らかに時期がずれた、だれだってそう思います。

 大臣、どうでしょうか。

片山国務大臣 私、昨年の九月十七日の菅改造内閣で公務員総人件費二割削減担当になりまして、今全力でその目標に向かって取り組んでいるところでありますけれども、一つ一つの要素をこれから具体化していこうということで吟味、点検をやっていきますと、だんだん、大ざっぱには処理できない課題が出てきます。

 これを真剣に考えますと、これは先送りとかなんとかということではなくて、これを真摯に達成しようと思うと、多少の幅が必要だということであります。これは、私が担当大臣として今日まで検討してきたことの結果、率直に質問主意書の答弁なんかでも書いているわけです。

 なぜかといいますと、幾つかの要素がありまして、一つは、今まさにその検討を進めておりまして、今通常国会に必要な法案を出したいと思っております給与の引き下げであります。これは、法案を出してそれが通れば、それは現実のものになります。それから、退職手当だとか各種手当についても、多分それは可能だと思います。

 一方で、定員の削減の問題の一つに地方機関への移管の問題がありまして、今これを地域主権改革の中で進めておりますけれども、ブロック単位で移管を進めるという作業などもあるんですけれども、これが、きょうあすにはやはりできません。大きな世帯をどさっと移すわけでありますから、今、九州とかから協議を始めておりますけれども、どうしてもこれは、必要な法案を出して、それから移管計画をつくりますと、実際に移管するのが二十六年度からになります。

 そんなこと一つ一つを具体的に、着実にやっていこうということを今工程表に置き直してみますと、多少の幅がなければこれは難しいということに担当大臣としては思い至るわけであります。

 しかし、マニフェストの関連もありますので、少なくとも二十五年度までにはきちっと全貌が明らかになることにしたいというのが今の方針であります。

谷委員 ですから、大臣、明らかに変わっているんです。原口大臣のときは「二十五年度に達成するよう努力する」、大臣の方は、今いろいろ言われましたけれども、確かに、常識的に考えて、大臣もまじめだから、大変ですよ、総人件費二割。人員を減らすのも給与水準を下げるのも、あるいは、いわゆる出先機関を地方移管も含めてするのは大変だ。そんなことは我々がずっと言ってきましたよ。だから、こんなマニフェスト、四年間で一・一兆円、国家公務員総人件費二割削減、こんなものはできもしないことだということは言っていたんですけれども、しかし、昨年までは「二十五年度に達成するよう努力する」と言われた。

 では、今の大臣の答弁ですと、もう二十五年度はできない、達成するという目標は明らかに変わった、そう理解させていただきますが、よろしいですか。

片山国務大臣 目標を達成するためには努力するという、今その努力の過程なんです。その努力を一つ一つ要素ごとに検討していくと、あるいは二十五年度末までに一・一兆円の削減が難しいかもしれない。それは、これからの地方機関への移管の状況などによります。ですから、担当大臣としては、真剣に考えますと、多少の幅を持たせていただきたいということであります。

 マニフェストとの関連でいいますと、マニフェストというのを本当に一言一句全部たがえないのが守ったことになるのかどうかというのは、やはり与野党でよく考えていただきたいと思うんです。一つの大きな目標で、それを一つ一つ具体的にやっていこうとしますと、やはり多少の応用問題というのはあってしかるべきではないでしょうか。それを期間経過時点で有権者の皆さんがどう評価していただくかということだと思います。

 多少違うからだめだ、だめだと言われますと、一生懸命やろうとしているのに何か元気がそがれてしまうわけでありまして、大枠については、その大枠を守りながらやっているわけですから、それをよしとするのであれば、ぜひこの際は応援していただきたいというのが私の率直な気持ちであります。

谷委員 全然大臣はおかしいですよ。マニフェストを与野党でと言ったって、勝手に民主党がマニフェストをつくっているだけですよ。だから、何もマニフェストを一字一句なんということを私も言っていないですよ。十六・八兆円を出してもらえばいいんです、マニフェストで書いたから。そのことがほとんどされていない。その典型的な例が国家公務員総人件費二割削減だ。

 今の大臣のまじめな答弁を聞いて、二十五年にできるなんて思っている人は、恐らく与党の議員の中にももういないと思います。もう無理なんです、実際問題。そのことだけを指摘させていただきたいと思います。(発言する者あり)一緒に頑張ろうと言う前に、素直に、率直にまず言うことが大切ですよ。とてもできなかった、そういうことを素直に、率直に謝れば、我々だって協議に応じる用意はありますよ。全然その、こういう話になりますと何か政党間のやりとりのようでございますので、話を戻します。

 さて、大臣、今言われました給与の引き下げを内容とする法案は、何月に出るんですか、どういう内容ですか。何割ぐらい引き下げるんですか。一割ですか、五%ですか。教えてください。

片山国務大臣 以前からお話し申し上げておりますとおり、給与の引き下げに必要な国家公務員給与法の改正案になると思いますけれども、これを今通常国会に出して成立を期すということでありまして、その大枠の中で、できるだけ早くということで今作業を進めている段階であります。

 率直に申しまして、これは、人事院勧告という仕組みによらない、いわば異例の措置でありますので、できるだけ公務員労働者の皆さんの理解を得つつやらなければいけませんので、今そんな手順を踏んでいるところでありまして、詳細については、現段階では御答弁は差し控えたいと思います。

谷委員 公務員労働者だけではなくて、国民の思いをしっかり受けとめていただきたいと思うんです。

 大臣も、鳥取県知事のときに給与を引き下げたと思います。なぜ引き下げたか。それは、県民の県職員に対する給与水準の思いがあるから、当時知事であった大臣は引き下げられたと思うんです。

 ぜひよろしく頑張っていただきたいんですけれども、実は私、余り期待していません。とてもできるとは思いません。これは、労働組合とけんかをして、敵に回してもやるという気概がなければとてもできないと思います。その気概が今の内閣にあるとはとても思えません。

 平成十七年の郵政解散のときに、少し話はそれるんですけれども、我々も特定郵便局長を本当に敵といいますか、私も目の前で罵倒されたこともあります。それでも、それぞれ政治家の信念を持って、こういう選択は正しいのだとそれぞれ我々は頑張ったわけであります。

 この問題も、そういう気概、たとえ今まで支援していただいた方でも、その方を反対陣営にやることになってもやり抜き通すんだという気概が必要かと思いますけれども、大臣の決意をお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 先ほど議員がおっしゃった国民の理解といいますか、国民感情を考えるというのは非常に重要なことだと私は思います。あと、国の財政事情ということも当然あると思います。もちろんマニフェストがあるということもありますけれども、そういう背景がある中で、国家公務員の給与の水準を引き下げようという作業を今始めているわけであります。

 ただ、そのときにはやはり、国家公務員の労働基本権の制約の代償としての人事院勧告制度というものとは違った給与の決定方式をとろうとしているわけでありますから、できる限り理解を得たいということで今作業しているわけであります。場合によっては対立してけんかをすることになるかもしれません、組合もいろいろありますので。しかし、私としては、私の方の考え方をできる限り理解していただく、そういう努力をしたい、できる限り理解を得たいと思っているところであります。

谷委員 それに関連いたしまして、地方公務員の給与水準についてお尋ねをしたいと思います。

 平成十八年に行政改革推進法、大臣も御存じかと思いますけれども、これが成立し、その中で自治体の行政改革についても、職員数の純減要請、これは五十五条ですか、あるいは給与制度の見直しの義務づけ等々がありますが、大臣は知事のときから割と、国が集中改革プラン、鳥取県はつくらないぞ、独自でやるんだということで、されませんでしたけれども、今、現実には法律があります。

 それで、地方公務員の給与水準について、どういうふうなレベルにある、これはもっと抑制すべきだとそもそも考えておられるんですか。今の水準で問題はないという認識なのか、そこをちょっとお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 地方公務員の給与水準というのは自治体ごとに差がありますので、一概にどうだということは言えないと思います。国家公務員との比較を一つの基準とすれば、妥当なものもありますし、国家公務員の水準より高いと思われるものもありますし、低いと思われるものもあります。それはまちまちです。

 地方公務員の給与の決め方というのは、これは国が決めるわけではありませんで、給与条例主義で、それぞれの自治体が条例でもって決めます。そのときの決め方は、現行制度でありますと、都道府県とか大きな市でありますと人事委員会というのがありまして、そこで国の人事院と同じような調査を行って、官民較差があれば必要な勧告をするということで、それぞれ自律的に決まる仕組みであります。一時期、旧自治省が音頭をとって、国家公務員の人事院勧告に倣って何%切り下げろ、上げろというようなことをやっていた時期がありましたけれども、私は、あれはやはりおかしいと当時から思っておりました。そもそも給与水準が違うところにもってきて、一律に引き上げろとか引き下げろなんてことを言うこと自体が実情にも合っておりませんし、それぞれの自治体が現行の地方公務員法の規定に従って自律的に決められるべき問題だと思います。

 なお、私も鳥取県で知事をやっておりましたときに、給与の問題というのは、独自に切り下げをしたり、いろいろなことをやりましたけれども、既に自治体は、かなりの自治体において国に先行して人事委員会の勧告よりもいわば深掘りをして給与を引き下げているような、そういう努力をしているところもあります。していないところもあります。それぞれのところが法律にのっとって適正にやっていただきたいというのが総務省の考え方であります。

谷委員 ぜひ、国家公務員の方も深掘りをダイナミックにやるように、期待はしていませんが、要望しておきます。

 子ども手当に移ります。

 子ども手当は、昨年も単年度でした。今年度も単年度です。こんな状態、今の予算、児童手当の枠組みは残して、それを超えるものは全額国庫、こういうような決着に終わったということをどう思われていますか。

 それに絡みまして、そもそも、総務省にある地方財政審議会も昨年十二月にはっきり述べています。「子ども手当は地方自治体に裁量の余地のない画一的な現金給付であるから、国が全額負担すべきである。」、自分のところの審議会もそこまで明確に述べている。

 大臣のお考えをお伺いします。

片山国務大臣 平成二十三年度の子ども手当も単年度限りの特例措置になったということでありますが、私は、ぜひ二十四年度以降はちゃんとした安定的な制度にしたいと思っております。

 率直に申し上げますと、昨年の九月の中旬に大臣に就任いたしまして、その後、臨時国会もあったりしまして、なかなか時間的な制約もありました。例えば、もっと年度当初からこの問題に携わっていたら、いろいろなやり方があったのではないかと思ったりもしましたけれども、時間的制約もありましたし、それから、例の控除から手当へという流れの中で税法の改正が行われていて、その改正の増収効果というのがまだ平年度化されていない過渡期であるというようなこともあって、二十三年度も暫定措置である、特例であるというのはやむを得ないのかなと思ったところでありますが、ぜひ二十四年度からは、できれば地方財政審議会の意見のとおりにしたい。

 その際には、いろいろ課題もあります。児童手当の地方負担分と国の地方への交付金、その他の負担金などとの財源調整の話とか、いろいろなことはありますけれども、ぜひ、大方の皆さんに誤解を与えない、理解を得やすい制度にすべきだと私は考えております。

谷委員 ぜひ二十四年度はしたいということですけれども、ずっと前からなんですよ、大臣、この問題は。二十二年度ですったもんだして、単年度限り、児童手当法の仕組みを残しながら、その上積み分だけ全額国庫という極めていびつなもので、これは単年度ですよ、来年度にはしっかり地方と話をして恒久的な制度にしますと政府・与党は一貫して説明していました。一年過ぎました、できませんでした、また来年。期待の話はもうよします。

 資料の三、四に、これは読売新聞、三月六日、見直すべき民主党マニフェスト、一番多いのが子ども手当の支給です。

 きょうは、年金の問題で実は大塚副大臣に来ていただいているんですけれども、通告はしておりませんけれども、このアンケートを見て、副大臣、どう思われますか。こんなに評判が悪いんですよ、現場では。非常に不信感ですわ。これは厚生労働行政に対する不信感にもつながっていると思いますよ。重く受けとめていただきたいですけれども、副大臣の受けとめ方をお尋ねします。

大塚副大臣 直接の担当ではございませんが、お尋ねでございますので、感想を申し上げさせていただきます。

 やはりこういう世論には真摯に耳を傾けなければならないというふうに思います。子ども手当の理念そのものは今後の日本にとって一つの重要な考え方だと思っておりますので、自治体の皆様方にも御理解いただけるような制度の必要な見直しは、合意ができればぜひさせていただきたいというふうに思っております。

谷委員 理念は人によって、あるいは政党によって違うと思いますので、ちょっとその話は置いておきます。

 しかし、多くの自治体の方は、子ども手当は現金ですから、地域によって差があるわけではない、そういうのは皆全額国庫で、あと現物サービスと言われる保育サービスなどは地域の実情に応じた、例えば東京の二十三区、それから鳥取県もそうでしょうし、私の選挙区などもそうでしょう、やはり地域に応じたサービスは自治体に任せてほしい、そういう声が強いということはよく御存じかとは思いますけれども、総務大臣の、これからのそういう役割分担についての考え方をお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。現金給付は国が全国一律に該当者に対して行う、子育てについての施策は自治体がそれぞれの地域の実情に応じて創意工夫を凝らして自主的にやっていただく、これが、この分野の国と地方との役割の原則だろうと思います。

谷委員 それでは、あと一括交付金と特別交付税もあるんですけれども、厚生労働の大塚副大臣にも来ていただいておりますので、年金救済策の問題に移らせていただきたいと思います。

 これは厚生労働委員会で何度も何度も、きょうあるのかないのか、ちょっとそこまでは把握しておりませんが、やっております。

 まず、総務省にお尋ねいたします。

 昨日ですか、年金業務監視委員会の意見が出されたかと思います。要は、厚生労働省のいわゆる運用三号に係る案件についての委員会としての意見であります。どういう意見でございましたか。

内山大臣政務官 谷委員に簡潔にお答えいたします。

 意見の内容については、平成二十二年十二月十五日、厚労省が出した課長通知、本来一号未納者を三号加入者として対応するいわゆる運用三号は、その内容が国民年金法に違反する疑いもある上、年金受給者間において著しい不公平をもたらしていると考えられることから、廃止すべきである、年金記録上、既に第三号被保険者の資格を失っているにもかかわらず、第三号被保険者として記載されている者に対して何らかの対策を講じる必要性があることも否定できないところであり、早急に、公平公正な対策を検討し、必要な立法措置を講じるべきとの内容でございます。

 以上です。

谷委員 明快に、運用第三号は廃止すべきだ、早急に必要な立法措置を講ずるべきだというのが委員会の結論で、これは八日ですから、おとつい出たわけですね。

 この年金業務監視委員会の意見を受けて、総務大臣はどう対応されるのか。また、法的にはどう受けとめればいいんですかね。監視委員会からこういう意見が出る、何か尊重しなければならないというような規定はあるんですか。それとも、意見は意見として受けとめて、あとは大臣の裁量で、その意見どおりに別にやらなくてもいいんですか。その辺も含めて、ちょっとお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 年金業務監視委員会は、今回の場合は意見ですけれども、これを総務大臣に出すということで、私が受け取りました。郷原委員長からいただきました。そこから後は、総務大臣が今回のケースで厚生労働大臣にどういうふうに物を申すかというのは、規定上は私の判断、総務大臣の判断であります。

 私の場合には、この年金業務監視委員会からいただいた意見をもとにして、それを細川厚生労働大臣にお渡しをしつつ、私の方からも、法的な根拠を置く仕組みに変えていただきたいということ、それから、できるだけ公正な、そういう仕組みにしていただきたいということ。

 ただ、今回の場合、長年の間にいろいろな事態が進行しておりますので、例えば、高齢で既に年金を受給している方で、法的に整理をしたときに、過去からさかのぼって過払いが生じるというような人も出てきますので、そういう人たちに対してしゃくし定規にやるのかどうかということについては、一定の配慮をしながらやっていただきたいということも口頭で申し上げました。

 いずれにしても、法的な根拠を持った仕組みにすることと、それから、できる限り公正な仕組みにしていただきたいということを細川厚生労働大臣に直接申し上げたところです。(谷委員「いつですか」と呼ぶ)これは八日であります。(谷委員「その日のうちに」と呼ぶ)そうです。

谷委員 では、八日に意見があって、その日のうちに片山大臣は細川大臣にお伝えした。

 さて、厚生労働省の方でございますけれども、実はこの問題は、厚生労働省の年金記録回復委員会で、昨年はいいと言っていたんですね。了解を得てやっていた。

 年金業務が適切にされているかどうか第三者の立場からチェックする監視委員会が、早く言えば、いや、これは不公平だ、課長通知でこういうことをやってはいけない、そういう意見が出されたということについて、厚生労働省の年金記録回復委員会の意見というのは、どういう意見ですか。三月八日付のこのペーパーを見ても、私は趣旨がもう一つよくわからないんです。教えていただけますか。

大塚副大臣 ただいま先生から御下問のありました総務省の年金業務監視委員会が、一昨日、意見を総務大臣に御提出になりまして、総務大臣から厚労大臣に、その職責において意見をお伝えいただきました。

 同日、既に従前からセッティングをされておりました、厚労大臣に対する助言機関である年金記録回復委員会に私も出席をいたしまして、総務省の監視委員会から総務大臣に意見が出され、その意見を厚生労働大臣が承った旨、御報告を申し上げました。

 そして、年金記録回復委員会の中で議論が行われまして、私、その間ずっと同席をしておりましたが、すべての委員の方から意見が出た後に、以下のような意見がまとめられました。その部分だけ、四行ですから、朗読させていただきます。「いわゆる「運用三号」については、昨年三月の当委員会の総意としては、やむを得ない対応であるとしたところだが、これについては、当時の状況からすれば、従前の対応との連続性の観点及び今後への是正策の観点から一つの考え方であったと思料する。」こういう意見が公開のもとでまとめられました。

 同時に、二番は長くなりますので全部は朗読いたしませんが、総務省から御意見いただいたり、あるいは国会でも御指摘いただいていることを考えますと、厚生労働大臣が法改正を視野に置いた改善策を講じるというふうに方針を示し始めていることは、諸事情にかんがみると妥当なことであるという意見もあわせてまとめられたということでございます。

 そして、私どもとしては、年金記録回復委員会のそのような意見を、まさしくそのとおりに受けとめさせていただいているという現状でございます。

谷委員 副大臣、手元にあるんですけれども、もう一つわからない。だって、去年、年金記録回復委員会で検討して、運用三号はいいと結論を出したんでしょう。その後、総務省の委員会の方は、いや、それはだめだと言って、もう一回検討して、当時の状況からすれば一つの考え方であったと思料する、そしてその後のいろいろなあれについては、諸事情にかんがみると妥当なところであると。明らかに矛盾していますね、去年の対応とことしの対応は。

 では、去年のは間違いだということを暗に認めているということですか、この理解は。

大塚副大臣 結論からいえば、それは違うと思います。

 どういうことかといいますと、この問題の背景はよく御存じだと思いますので、詳しくは申し上げませんが、昭和六十一年以降、現場で事実上の運用三号と同じことが行われていたということが一昨年明らかになったものですから、それを、つまり厳格に対応すると無年金、低年金になる方々もいらっしゃるので、どのように救済するかということと、しかし、記録はなるべく正確に訂正をしてちゃんと制度どおりに運営するという、いずれにしても、救済と公平のどこか真ん中に落ちる案を考えなくてはいけない中で、去年は、そのバランスをとる形で、一つの考え方としてやむを得ないというふうに御判断をこの委員会としてはしていただいたと思うんです。

 ところが、実際に運用され始めてみて、やはりこれはバランスにおいて公平性に欠けているのではないかという世論、あるいは国権の最高機関である国会での御指摘、さらには年金業務監視委員会、総務省のこの委員会は、先生方が政権を担われておられた時代に、年金制度は行政監視的な目からもチェックする必要があるといっておつくりいただいた組織の後継組織でありますので、その後継組織からも御指摘をいただいた。

 世論があり、国権の最高機関の御指摘があり、そしてチェック機関の御指摘もいただいた以上、去年はやむを得ないと判断したこのバランスが、救済と公平の観点で、やや公平の観点から見直す必要があるという結論だというふうに厚生労働省としては受けとめております。

谷委員 時間も参りましたので、最後、一問だけ、もう一回お尋ねします。

 回復委員会の委員の方々の責任云々という話はしません。しかし、これは役所として、昨年のは一つの考え方、ことしのは、いやいや、いろいろな諸事情を考えると、今副大臣が言われたように、妥当だということで、要は取り扱いを変えるわけですね。

 だれがどう責任をとるんですか、この問題、この混乱。これほどみんなに不安を与えて混乱させ、現場も含めてですよ、その責任のとり方についてどうお考えかということを最後にお尋ねして、終わりたいと思います。

大塚副大臣 それまで現場の運用で行われていたことなので、引き続き運用的対応で解決すればいいという当時の判断が、やはりもう少し国会でも御議論いただくべきだった等々のより深く考えるべき点があったということも含めて、昨日、厚生労働大臣以下の処分が発表されておりますので、そのような形で責任をとらせていただいているということだと思います。

谷委員 では、時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


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