衆議院

メインへスキップ



第6号 平成23年3月24日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十三年三月二十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 坂本 哲志君

   理事 西  博義君

      井戸まさえ君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    加藤  学君

      笠原多見子君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    中野渡詔子君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      皆吉 稲生君    吉田 統彦君

      渡辺 義彦君    あべ 俊子君

      赤澤 亮正君    加藤 紘一君

      佐藤  勉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   総務大臣政務官      森田  高君

   参考人

   (日本放送協会会長)   松本 正之君

   参考人

   (日本放送協会技師長・専務理事)         永井 研二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 日向 英実君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  石井  章君     渡辺 義彦君

  中後  淳君     中野渡詔子君

  湯原 俊二君     吉田 統彦君

  川崎 二郎君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     中後  淳君

  吉田 統彦君     井戸まさえ君

  渡辺 義彦君     加藤  学君

  あべ 俊子君     川崎 二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     湯原 俊二君

  加藤  学君     石井  章君

同日

 理事大野功統君同日理事辞任につき、その補欠として石田真敏君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月二十三日

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事大野功統君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に石田真敏君を指名いたします。

     ――――◇―――――

原口委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 日本放送協会の平成二十三年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千九百二十六億円、事業支出が六千八百八十六億円、事業収支差金が四十億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が八百五十億円、資本支出が八百五十億円となっております。この資本支出において、地上デジタル放送設備の整備など建設費七百五十億円を計上しております。

 次に、事業計画につきましては、テレビ放送の完全デジタル化に向けた万全な対策の実施、衛星テレビ放送を二波に再編した上でのテレビ放送四波の個性を発揮した放送サービスの実施、受信料の公平負担に向けた取り組みの強化等が盛り込まれております。

 これに付する総務大臣の意見といたしましては、この収支予算等について、受信料収入の増加と事業支出の伸びの抑制により三年ぶりの黒字予算を編成しつつ、テレビ放送の完全デジタル化への取り組みを徹底するものとなっているなど、妥当なものと認めた上で、実施に当たっては、国民・視聴者の目線に立って、抜本的な経営改革を進めること等を期待するとしております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

原口委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長松本正之君。

松本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 それに先立ちまして、東北関東大震災で被害に遭われた大勢の方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 NHKは、地震発生直後から、この震災報道にすべての力を注いでおります。今後も、被災地の被害状況や復興活動などの正確で迅速な報道に最大限努めまして、公共放送の使命に全力を傾けてまいりたい、果たしてまいりたいと考えております。

 さて、平成二十三年度は、三カ年経営計画の最終年度といたしまして、全組織を挙げて計画の達成に向け取り組む重要な年度であると考えております。

 テレビジョン放送の完全デジタル化に向けまして、デジタルテレビジョン放送の普及に努め、国や他の放送事業者と連携した受信環境の整備を行うなど、万全な対策を実施してまいります。

 事業運営の基本となります放送におきましては、放送の自主自律を堅持いたしまして、公平公正で信頼できる情報や多様で質の高い番組をあまねく提供いたしますとともに、幅広い視聴者の期待におこたえする番組や地域放送の充実等に力を注いでまいります。衛星テレビジョン放送は、ハイビジョン二波に再編いたしまして、地上波も合わせましたテレビジョン放送四波の個性を発揮したサービスを行ってまいります。また、国際放送による日本とアジアの情報発信の強化に努めてまいります。

 協会の主たる財源であります受信料につきましては、公平負担に向けた取り組みを強化いたしまして、受信料制度への理解を促進いたしますとともに、一層効率的な契約収納活動を推進いたします。

 さらに、組織の改革やコンプライアンスの徹底に向けまして全力で取り組み、視聴者の皆さんからの信頼を高めるとともに、構造改革を推し進めまして、効率的な業務運営を行ってまいります。

 次に、建設計画におきましては、地上デジタルテレビジョン放送の受信状況の改善やサービス充実のための設備の整備を行うとともに、非常災害時における報道のための設備の整備などを実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千九百二十六億九千万円、国内放送費などの支出六千八百八十六億八千万円を計上いたしております。事業収支差金四十億円につきましては、債務償還に使用することとしております。

 また、資本収支につきましては、支出において建設費など総額八百五十億円を計上し、収入には、それに必要な財源として、前期繰越金、減価償却資金など総額八百五十億円を計上しております。

 最後に、資金計画におきましては、収支予算及び事業計画に基づきまして、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べました。今後の事業運営に当たりましては、事業計画の一つ一つの施策を着実に実行いたしまして、国民の皆様がこの未曾有の困難に心を一つにして立ち向かうことができるよう、公共放送の使命を全力で果たしてまいります。

 委員各位の御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永江孝子君。

永江委員 おはようございます。民主党の永江孝子でございます。

 まず、質問に先立ちまして、今回の東北地方太平洋沖地震で多くの方々が亡くなられました。大切な人を亡くされた皆様方、それから今つらい生活を送っていらっしゃる被災地の皆様方に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、被災地の皆様の命と暮らしを守るために昼夜を分かたず復旧活動それから支援活動を続けていらっしゃる方々に、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

 きょうは、NHKを率いる松本会長においでをいただきました。どうもありがとうございます。

 十一日の地震発生以来、NHK職員の方々も、被災地である地域の放送局の最前線に立つ方々を初めといたしまして、懸命の災害報道を続けておられます。このことには心から敬意を表したく思っております。

 ですが、NHKといいますと、今回の会長人事をめぐっていろいろ混迷もございました。それから、職員の質あるいは職員教育を問われるような不祥事もございました。

 このことは、視聴者であります国民の皆様との信頼関係を損ないかねないことでございますし、それからNHKが経営目標に掲げております受信料の支払い率七五%の達成の妨げとなるような事柄でございますので、いろいろと申し上げたいこともございますが、今、日本は、全国民が心を一つにして頑張っていかねばならないときであります。そのときに、公共放送でありますNHKの果たす役割は大きなものがあると思っております。

 ですから、大切なのはこれからということで、これからNHKがどういう姿勢で放送に当たるのか、それからどういうふうに国民の皆様の期待にこたえていくかだと思っております。

 まず、松本会長、この国難の折に会長に就任され、公共放送を率いていかれるに当たっての御決意のほどをお聞かせいただけますか。

松本参考人 私は、NHKの会長になる前は鉄道の仕事をいたしておりました。鉄道の価値観は絶対の安全ということでみんなが求心するということでありました。

 NHKにおいては、やはりその事柄は、視聴者あるいは国民の皆様からの信頼感ではないかと思います。その信頼感は、今お話にありましたように、豊かでよい番組、それからそれをつくる社員、組織のコンプライアンス、あるいは組織の効率化というようなことかと思いますけれども、そういう役割につきまして、やはり私一人ではできませんので、みんなの力を求心いたしまして、そして総合力という形でこれを実施してまいりたいと思います。

 また、私が参りまして、この大震災という事柄に遭遇いたしておりますが、現在、私が、NHKの人たちがこれに向かって一致結束してやっている姿を見ますと、その姿を踏まえて、NHKを、先ほど申し上げましたような公共放送として信頼される役割をきっちり果たすという形で率いてまいりたいというふうに考えております。

永江委員 どうかよろしくお願いをいたします。

 そして、きょうは二十三年度予算の審議ですが、今回の地震災害で、放送設備それから施設なども被害を受け、これからまた災害放送、災害報道を続けていかれるということで、いろいろ変更せざるを得ないところもあろうかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

松本参考人 この災害に当たりまして、私は、まず、社員に対してこういうことを話をしました。この非常の状況下の中で、皆さんが不安定な心理状況になられるわけなので、そういうことを頭に置いて、被災された方々あるいは支援に取り組んでいる方々、あるいは多くの心配されている視聴者の皆様、そういう方々の目線とか立場というものに配慮したきめ細かい取り組みが必要だ、こういうふうに言っております。

 そして、事実を正確に、一番必要な生活情報を丁寧に、できれば被災された方々を力づける、元気づけるような情報、あるいは支援の輪とかそういう努力の紹介などというような情報提供に努めて、そして、国民全体が力強く困難に立ち向かうことができるような形の報道ができればということで、一致結束してこれをやろう、こういうことにいたしております。

永江委員 ぜひ、被災地の皆さんを支えるような、それから復興支援のところに多くを割けるように業務の効率化などに努めていただきたいと思っております。

 それでは、災害放送について伺いたいと思います。

 災害時におきましては情報というのが大切なライフラインであるということは、皆さんもうよく御存じのところであります。そして、このたびの大災害で、公共放送であるNHKの役割やNHKに対する期待も従来に増して大きくなっております。ライフラインが、大事なその情報が必要なところにしっかりと届けられる体制が準備されていたのかどうかについてちょっと聞かせていただきたいんです。

 といいますのも、東京でテレビを見ておりますと、各地の被災状況、これは中継も交え、空撮なども交えて、さまざまな情報をいながらにして知ることができました。でも、被災地の皆さんはといいますと、あの情報よりは、よりもっと生活に密着しているといいましょうか、身近なといいましょうか、安否情報であったり、避難所情報であったり、水や食料はどうしたらいいのかなど、そういった情報の方を必要とされていたのではないかと思います。

 実際、私も、民主党内にあります災害対策本部におりましたら、外からの電話で、被災地の皆さんには別の情報が届いているんでしょうねというふうに、もっと役立つ身近な情報が届いているんでしょうねというようなお声もいただきました。

 ですので、被災地の外に対しての情報と、それから被災地の中で必要な情報の二種類の情報がきちんと送り出せるような体制が準備されていたのかどうか、その点について教えていただけますでしょうか。

松本参考人 先ほど申し上げましたような考え方に基づきまして、例えば安否情報の放送につきましては、地震が起きました三月十一日から、教育テレビとかFM放送、デジタル教育テレビあるいはBSハイビジョンのデータ放送というようなところで情報を流しております。これで紹介したものは一万件に上ります。また、避難所に設置いたしました安否伝言ポスト、これは実際身近なところでありますが、そこに寄せられたメッセージの紹介も始めております。また、避難所にお見えになります避難者の名簿に関する放送も行っております。

 生活情報でありますけれども、避難所の場所、給水あるいは医療機関、交通、さらには計画停電などもございましたが、そういうものにつきましても、十二日から、衛星放送第一あるいは教育テレビ、衛星放送第二ということで、情報を提供し続けてきております。

 また、今回特に、インターネットや携帯電話が大変普及している世の中でございますので、それを積極的に活用するということで、被災地でテレビをごらんになれない多くの方々には、今回が初めてなんですけれども、特別措置ということで、地震発生当日から、総合テレビのライブストリーミングをユーストリームで提供していますほか、あと二つのそういう業者に、放送と同時に配信するということを認めております。これらの三つのサービスを御利用になった方は、延べ三千二百万人程度と推定されております。また、ラジオも非常に重要なものですから、これのインターネット同時配信も今回行っております。

 こういうようなことの中で、一つ御紹介しますと、この情報で人、家族が見つかったとか、そういうようなお言葉もいただいたりして、それを励みにまたみんなが努力しているというところでございまして、今後も、そういうようなことを考えながら役割を果たしてまいりたい、こういうふうに考えております。

永江委員 やはり被災地での情報をまずは取材する、集めるためには地域の放送局の力が本当に強くなければ無理なことだと思いますので、そちらの強化と、何かあったときにはすぐに支援部隊が送れるような体制ですとか、あるいは、NHKはチャンネルを幾つもお持ちですから、それをしっかり前もって分けておくですとか、そういった準備もまたお願いをしたいと思っております。

 それから、災害報道についていろいろとお聞きしたいこともあったんですが、時間がないので、ラジオの方ですね、音声放送。これも、安心ラジオの役割を果たすというのを重点事項に掲げておられますが、ラジオそのものが家庭から消えているという時代でもございます。

 では、いざというときにはどういった方策でもって国民の皆様に情報を届けていくのかについても、これはNHKだけの問題ではないと思いますので、放送界全体の問題として、また民放放送とも連携をしてその点についても方策を講じていただきたいというふうに思っております。

 それでは次に、デジタル化の話についてちょっとお伺いしたいんですが、七月二十四日の完全デジタル化まであと四カ月となりました。被災地でのデジタル送信施設の被害というのはいかがでしょうか。

平岡副大臣 お答えいたします。

 地震の発生直後におきましては、判明している範囲で申し上げれば、東北、関東の被災各地で、電力の途絶等によりまして、テレビジョン中継局についてはこれまで最大百二十カ所の停波が確認されております。内訳を申し上げますと、百二十カ所のうち二カ所が倒壊によるもので、残り百十八カ所が停電ということでございました。

永江委員 ぜひ、被災された皆さんの生活支援の一環として、情報格差が生まれないように、ちゃんと電波が届く支援もお願いしたいと思っております。

 といいますのは、先ほどお答えをいただきました、送信施設そのものが流されたり壊れたりしているところ、そういったエリアにお住まいの方々というのは、例えばこれからデジタルテレビを買ったとしても、すぐさまテレビが見られないという状態にあるわけですので、すぐにでもできる地デジ難視対策の衛星放送の対象世帯を広げることをぜひお願いしたいと思っております。この対象世帯、ホワイトリストに加えていただきますとテレビが見られるようになるということですので、ぜひ復興支援策として御検討をいただきたいと思っております。

平岡副大臣 先ほど被災直後のお話を申し上げましたけれども、停電が中心だったということでありますので、その後の電力の復旧によりまして停波局数というのは減少してきておりまして、今、岩手、宮城の両県で四十二カ所の中継局が復旧をしていないということなんです。さらに、この中継局は比較的小規模のものでございましたので、平均千世帯程度をカバーするのが一局ということでございます。ということで、これからの復旧作業で何とかもとに戻ることができるのではないかというふうに思っております。

 委員御指摘の衛星対策で行うことについては、もともとこの衛星対策というのは災害ということを考えてやったものではないわけでございますので、ちょっと趣旨が違うわけではございますけれども、いずれにしても、今回の震災ということを踏まえて、地元の意向も伺いながら検討してまいりたいというふうに思っております。

永江委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 それから、例えば家が半壊して、住むところのまずは建て直しということに皆さん必死になられると思うんですね。そういった中でテレビをデジタルに買いかえるというのは大変な御負担になろうかと思いますので、そういった被災世帯へのデジタルテレビあるいはチューナーの配付など、支援措置の拡充などについてはいかがお考えでしょうか。

平岡副大臣 テレビ放送については、まさに国民にとって最も身近で必要不可欠な情報入手の手段であるということでありますので、我々としても、被災世帯の方々を含めて、しっかりとテレビの受信ができるような状況にならなければいけないというふうに思っております。

 御案内のように、今までの中でも、低所得者の方々については、例えばNHK受信料全額免除世帯についてはチューナーとアンテナの無償給付、あるいは、今度始まりました、市町村民税非課税世帯についてはチューナーの無償給付といったような対策を講じているところでありますけれども、被災世帯については、さらなる支援が必要かどうかについては、被災や復興の状況を見きわめながらその可否を検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

原口委員長 永江君、質疑時間を終えております。

永江委員 はい。

 ぜひ、情報格差が生まれないようにということで、ライフラインを国民全員が確保できるように支援を尽くしていただきますようにお願いを申し上げます。

 最後に、松本会長、ぜひ被災地の皆さんが……

原口委員長 永江君、質疑時間を守ってください。

永江委員 はい。失礼いたしました。

 ぜひ、これからも、被災地の皆さんの復興に向けて、心の支えとなりますような番組づくりをお願いいたしまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、この大きな震災で被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、こういうときこそ、NHKの果たす役割、災害の現場から、そしてまた被災された方々を勇気づける、いろいろな意味で大変大きな役割があると思っております。よろしくお願いを申し上げながら、せっかくのお時間、予算に関連して、経営、放送、組織ということで端的にお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、受信料支払い率ですけれども、二十二年度七三%をクリアし、二十三年度には経営目標であります七五%達成を目指すわけです。この後の次なる目標の考え方、そしてまた今後の取り組み方針をお伺いしたいと思います。

 あわせて、私どもの会派で議論がございました、やはりブロック別にかなり受信料の支払い率にばらつきがあるんじゃないか、そういうことを把握されて対処していかなきゃいけないんじゃないか、あるいは公表しなければいけないんじゃないか、こういう御意見もございます。こういったことを含めてお答えをいただきたいと思います。

松本参考人 受信料の支払い率を向上させまして公平負担を徹底していくということは重要な経営課題であるというふうに認識してございます。平成二十一年度からの三カ年計画では、支払い率を二十三年度末に七五%、二十五年度末に七八%まで高めることを経営二大目標の一つとして掲げております。

 次なる目標でございますけれども、現在の三カ年計画の考え方をベースにいたしまして、社会経済状況の推移とか、あるいは今進めております完全デジタル化による影響、さらには、このたびの大震災の影響なども踏まえまして設定してまいりたいというふうに思っております。今後とも、支払い率の向上に資する幾つかの施策を実施いたしまして、受信料の公平負担の徹底に取り組んでまいります。

 また、営業活動におきましては、やはり地域別に十分分析、把握いたしまして対策を実施すべきというふうに考えております。したがいまして、例えば単身世帯とかオートロックマンション入居者の面接困難世帯等が多くて契約化が困難な大都市地域、あるいはその他の地域等それぞれあると思いますが、そういう分析を踏まえまして手厚い対策活動を実施するなど、支払い率の向上に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ブロック別の数値の公表のところはいかがでしょうか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 地域別の支払い率については現在把握できていません。しかしながら、二十一年度に統計学の専門家の人たちが参加した受信契約率の推計方法の検討委員会の報告の中でも、サンプル数をふやすなどして地域別に集計を把握して推計が可能かどうか検討していくということで、できるかどうか、可能かどうか、さらに検討を重ねてまいりたいというふうに思っています。

橘(慶)委員 当然、営業活動をしていく中では体感温度としてのそういうものはもちろんお持ちだと思うので、そういったものを公表ということによって、よりまた公平感が増してくるということもあると思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 二つ目であります。今度は利益還元策ということですが、皆さんに御負担いただいて、事業収支は今回、四十億円黒字計画の予算になっております。さらに、この後、地上デジタル化追加経費の支出枠というものもあいてくるわけであります。

 そこで、以前から約束されておりました利益還元策について、二十四年度以降の考え方についてここでお伺いをしておきたいと思います。

松本参考人 一〇%の還元問題につきましては、検討課題ということで考えております。また次期の経営計画の中でそれを総合的に検討してまいりたいというふうに思っております。

 今お話がありました中で、デジタル化についてでございますけれども、これについては事前経費ということで支出いたしておりますけれども、そのほかに、暫定的に衛星を利用いたしております衛星セーフティーネットにつきましては二十七年度まで続くということ、あるいは共聴施設への、今回のいろいろな災害について対応していく設備等々ありまして、二十四年度以降も受信環境整備の経費、支援に係る経費も含めまして発生するという見込みでございます。

 また、経営の支出という意味では、デジタル化を最優先に進めてきたということから、結構老朽化した各地の放送局の建設とか、あるいは伝送設備のハイビジョン化などの整備もやってまいらないといけないと思います。また、今回のこういう災害のときの放送機能という意味でさらに強化すべきところもあるのではないか、設備的な強化をすべきところがあるのではないか。これは今後検討したいと思いますけれども、そういうようなものも中身に入ってくるのではないかというふうに思います。

 一方で、大震災で受信料収入の減少ということも考えられます。これらさまざまな事情を考慮いたしまして、次期経営計画を検討する中で、一〇%還元問題への対応、どうするのかということを考えてまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 きょう現在においては、来年以降の問題ですからまず方向性ということでしょうけれども、皆さんに公平に負担をいただく、そして果実については目に見える形で、それはいろいろな方法があるでしょうけれども、いろいろな形で還元をしていく、そういうキャッチボールということでさらに信頼を回復していくということがやはり大事ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 放送の方に移らせていただきます。

 まず、ハイビジョンの方は、三波が二波体制に再編されるわけであります。聞くところによりますと、衛星放送の視聴者層については、結構高齢者の方々がお楽しみである、こういうこともデータ的に伺ったこともあるわけですけれども、このハイビジョン二波、どういう形でこれから運営されていくのか、方向性を伺います。

日向参考人 今お話しいただいたように、衛星放送は、四月一日からハイビジョンの二チャンネルということになります。一方で、衛星放送の受信者の方も非常にふえておりますので、地上波を合わせて四つのチャンネルのそれぞれの個性を発揮しながら、幅広い視聴者の関心と興味にこたえていきたいというふうに思っております。

 衛星については、BS1、それからBSプレミアムというふうに私ども申し上げておりますけれども、BS1については、国際情報をより充実させるということと、それからスポーツについても、特に若い世代の方々にごらんいただけるようなスポーツも充実させていこうというふうに思っております。

 BSプレミアムの方は、皆さんに満足いただける、非常に見ごたえのある番組を充実させていこうというふうに思っておりますし、特に、高齢者の方だけではなくて、四十代、五十代の方々にも満足いただけるような番組を充実させていこうというふうに考えております。

橘(慶)委員 衛星放送は、今、やはりNHKさんの営業収支の中のある意味でこれからの稼ぎ頭でもあるわけで、ぜひまた充実をお願いしたいと思うわけです。

 一つ質問を飛ばせていただきまして、地域とのかかわりというのが非常に大事だと思います。県単位の地域放送の実現についての視聴者ニーズは強いものがあると思います。しかし、関東圏においては地形的なこともありまして、これがなかなか困難であったと思いますけれども、このあたりはどのように前進していくのか、実情をお伺いいたします。

松本参考人 その前に、先ほど、衛星セーフティーネットが二十七年三月末ということで、これは二十六年度までということです。二十七年度と申し上げたかもしれませんので、二十六年度までということでございます。

 地域放送ということで、テレビ放送では全国で関東のみが県域放送を行ってまいりませんでしたので、デジタル化を契機に、茨城県で二〇〇四年十月に県域放送を開始いたしております。

 また、現在の中期計画では、完全デジタル化への移行というのをめどに、群馬県、栃木県で県域テレビ放送サービスを開始することを検討します、こういうことになっておりまして、この方針に従いまして、現在、平成二十四年度のできるだけ早い時期に両県で県域放送サービスを開始することを目途として、今、関係者と協議を進めております。

 両県の視聴者のNHK県域放送に対する期待も大変大きいということを聞いております。ぜひその要望にこたえたいというふうに考えて、進めております。

橘(慶)委員 ぜひ地域との関係を大事にしていただきたいと思います。

 最後の項目、コンプライアンスのところ、組織的な運営の問題に入ってまいります。

 年明け来、残念な事象が幾つか御報告もいただいておるわけでありますけれども、会長さん、今まで鉄道経営ということで、先ほども安全第一ということで、たくさんの御経験をされてまいりました。このコンプライアンスというのはいろいろな取り組み方があると思いますが、これはある意味で、またトップの方のいろいろなお考えもあると思います。

 これまでの経験を踏まえて、松本新会長として、NHKのコンプライアンス、こういうふうに自分自身は取り組んでいきたいという、ここは自由答弁でぜひお願いいたしたいと思います。

松本参考人 前任の鉄道の経験で申し上げますと、先ほども申し上げましたように、絶対の安全というものを守るためには社員の規律ということがすごく重要になります。そういう意味で、NHKについては視聴者・国民の皆さんからの信頼というのが基本になると思います。そういう事柄でいいますと、やはり価値観というのは一緒のところがある、こういうふうに考えます。

 それで、NHKでコンプライアンス関係のいろいろな形を進めているということを見まして、それなりによくやっているというふうには思います。しかし、そういうことが起きるということは事実でありますので、これは具体的な事柄を一つ一つ対策を打つ、つぶす。そして、一度起きたことがまた起きるということでございますので、過去に起きた事柄についてもう一回チェックをしてみる。こういう具体的な事柄で一つ一つつぶしていって、つぶすものが多くなれば残るものは少なくなる、こういう考え方でいきたいというふうに思います。

 それから、起きたことについて、いろいろ現場を回っておりますと、NHKの職員はすべて、それに対して大変な痛みを感じております。したがって、そういう痛みをみんなで共有するということが重要で、しかし、起きた事柄については厳しい対処をしていく、こういうふうにしていくべきだろうと思っております。

 そういう中で、起きる前に防ぐためには、コミュニケーションといいますか、そういう情報をきちっととるということがあって、それがコミュニケーションだと思いますので、そのコミュニケーションをどういう形で生きた形にできるかというふうなことを今考えておりますけれども、そういうふうなことを踏まえて、NHKへの信頼というものをきちっとしてまいりたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 絶対の真実。絶対の安全が、NHKでは絶対の真実ということかもしれませんが、ぜひ松本会長色で、いい意味でNHKをいい形に染め上げていただきたい、このようにお願いを申し上げ、いろいろなコンプライアンスのことについてはまた機会を見て御質問させていただきたいと思っております。

 「日めくり万葉集」、よろしくお願いしますと申し上げて、最後は万葉集で締めたいと思います。こういう日本に戻りたいという思いで、あえてこの歌にしました。巻八、一千四百二十四番、山部赤人。

  春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ野をなつかしみ一夜寝にける

 早くいい日本に戻るように頑張ります。どうかよろしくお願いします。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきますが、その前に、私からも、このたびの震災そして津波で亡くなられた方々、また御家族の皆様に心から哀悼の意を表させていただきますとともに、避難所生活等を余儀なくされている皆様にお見舞い申し上げる次第でございます。

 それでは質問に入らせていただきますけれども、予定して通告を申し上げさせていただいたとおりにすべてできるかどうか、時間も短いので、そこはひとつお許しいただきたいと思いますし、それから、既にお二人の方が質問に立っておりますけれども、一部重複する点があるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。

 最初は、被災地における受信料の免除ということで、十六日でしたか、NHKは、今回の震災それから長野県の北部の地震におきまして放送料金の免除を決定して、総務大臣から承認を受けました。これは震災を受けた方々にとっては大変重大な、大事な措置だった、このように思っております。

 そこで、改めて今回の措置の内容についてお伺いしたいということと、それから、実際の手続において、NHKの調査もしくは契約者からの届け出によって手続を行う、このようにしてありますが、避難所等の被災されている方々にきちんと手続ができるのかどうか、その実効性についてお伺いしたいと思います。

松本参考人 今回の大震災の受信料免除につきましては、災害救助法適用地域に受信機を設置されておられ、半壊、半焼または床上浸水以上の被害を受けた方、あるいは災害対策基本法に基づく避難勧告を一カ月以上にわたり受けた方々を対象といたしまして、通常二カ月ということでありますけれども、免除期間は六カ月ということで、六カ月間に延長するということにいたしております。

 また、災害免除の適用につきましては、実態としてNHKにおいて個別の被災状況を把握するということが難しいため、過去の震災におきましても、基本的に被災状況を正確に把握されている自治体に御協力いただいて、対象となる方を特定してきております。

 今回の震災においても、可能な限り自治体に御協力いただきたいというふうに思っておりますが、難しい場合は、自治体が発行される罹災証明書などに基づいて災害免除の適用を確実に実施してまいりたいというふうに思っております。

 なお、震災の被害によりまして自治体が機能していない場合などにつきましては、機能が回復し次第、改めて御協力をいただくというようなこととか、柔軟かつ適切に対処してまいりたいというふうに思います。

稲津委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。もう既に年払いをされている方もいらっしゃいますので、それらも含めて対応をしっかりとお願いいたします。

 それでは次に、地デジ移行について、確認の意味でお聞かせいただきたいと思うんです。

 今回、被災を受けて避難所生活を余儀なくされる方々、今度は仮設住宅へという移行もございます。あるいは、その後また別のところに移られる。いろいろなケースが考えられるんですけれども、実際に、テレビというのはもはや生活の必需品と言ってよいと思うんです。果たして、このような被災を受けている状況の中で、この七月の完全デジタル化移行というのができるのかどうか、あるいは、その必要性について一部問い合わせの声もございましたので、改めて、確認の意味も含めて聞かせていただきたいと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 何度かこの委員会でも地デジ完全移行へ向けての進捗状況については御答弁を申し上げたことがございますけれども、現在の状況としては、地デジ対応受信機の世帯普及率という意味では、昨年十二月末の時点で約九五%ということになっております。また問題となっております、見えないところが出てきてしまう、そういう問題については、ビル陰とか山間部における共同アンテナのデジタル対応など受信環境の整備が進んでおりまして、未対応の世帯も残り少なくなってきているという認識に立っております。

 いろいろな対策がありますけれども、例えば辺地共聴というようなものについては、対応済みが八八・一%、計画ありを含めますと一〇〇%というような状況になっているということでございまして、我々としては、現在のところ、取り組みとしては相当程度進んできているというふうに思っていまして、委員が言われました七月の完全移行に向けては、我々としても引き続き努力をしていきたいというふうに思っています。

 ただ、災害の御指摘もございまして、その問題については、我々も引き続き状況を見きわめていきたいというふうに思っているところでございます。

稲津委員 今御答弁いただいて、その一番最後のところの問題なんですけれども、実際に被災を受けている方々が改めてまたテレビを購入しなきゃならないという場面が出てくるわけですね。先ほどの質疑の中にもありましたけれども、デジタルテレビの購入それからチューナー等々も含めて、今やってきた支援策がありますけれども、ぜひ、こうした震災のことも含めて拡充をすべきという意見を付させていただきたいと思います。

 それから次に、今度は予算関係の方に移らせていただきたいと思います。

 まず初めに、NHKの受信料収入と一〇%還元の実現の可能性の問題です。これはもう既に何回か議論をされてきているところですけれども、改めて伺います。

 この経営計画で掲げた二十四年度の一〇%還元を実現するためには、当然収入の伸びが前提になるわけですけれども、そこで、この一〇%還元の見通しについて、現段階で実現可能かどうかということも含めて、ここはしっかり見解を伺いたいと思います。

松本参考人 今回の東北関東大震災でございますけれども、広範囲にわたりまして甚大な被害が出ているということで、現在においても被害の全容が明らかになっていません。

 そのため、受信料の災害免除の対象になる方についても詳細に把握できる状況ではありませんけれども、過去の災害等を参考にいたしまして、かつ、それらよりも規模が大変大きいということも踏まえまして推計いたしておりますが、それによりますと、災害免除適用額としては五十億円規模の影響があるのではないかというふうに現時点では考えております。

 さらに、契約収納活動なども、実際に道路の事情とか被害に遭われた方々の状況などで停滞いたしておりますし、災害免除以外の要因による受信料収入への影響もあると考えております。ただ、どの程度になるかというのは現時点では明らかではありません。

 一方、一〇%還元問題でありますけれども、平成二十四年度からの次の経営計画の中で議論をさせていただくということで、検討すべき課題ということで認識をいたしておりますが、今のところ、具体的な中身ということで検討の段階にはまだ入れていないというふうに考えています。また、今回の震災の被害がどこまで拡大するのか、経営にどの程度の影響があるのかということが明らかでありませんし、また、デジタル化移行の推移等々ほかの要素もございますので、それらも含めてこの一〇%還元問題については考えてまいりたいというふうに思います。

 現時点では、そういうような状況でございますので、これがこうだという形のものを申し上げられない状態でございます。

稲津委員 災害免除五十億円云々という話がありまして、実際かなり、二十四年度の実現というのは非常に難しいのかなというのが率直な感想です。ここは現実に即して対応していかなければならないということも一つあると思うんです。

 それからもう一つは、なぜ一〇%還元をするのか。これは、受信料を支払っている方々に対するサービスの拡充という視点があると思うんですね。ですから、一〇%還元だけに限らずサービスの拡充と還元、ここのところはいろいろな見方があると思いますので、総合的にぜひ御検討いただければと思います。

 そこで、オンデマンドのことについて触れさせていただきたいと思いますけれども、会員登録は非常にふえてきていると思っているんですが、なかなか黒字化のところまでは手が届いていないというのが現実で、そこの大きなネックになっているのが、いわゆる権利処理の問題、著作権等々の問題ですね、ここをどうするのかということがあるんですけれども、まず、その対応についてどういう状況になっているのか。

 それからもう一点、一緒に聞かせていただきますけれども、先ほどの受信料の一〇%還元という視点、このことについては、例えばこの権利処理関係の経費に充てるという考え方、回りめぐっては、そのことがオンデマンドの普及につながっていくようなものになればと思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。

日向参考人 御指摘のとおり、権利処理の費用というのは総経費の中で三九%程度を占めています。したがって、かなり大きな負担になっていることは事実なんですけれども、ただ、会員が六十万人を超えているんですが、実際に購入していただける方が六%程度ということで、そこが一番大きな問題かなというふうに認識しております。

 それで、実は二十一年度から、価格の見直しとか、いろいろな価格体系の再設定をしまして、売り上げは、徐々ではありますけれども順調に伸びております。二十二年度は、二十一年度の倍になっております。したがって、右肩上がりの傾向というのがずっと続いておりますので、二十五年度には黒字になるのではないかというふうに今考えております。

 今の現状ですけれども、二十二年度は十八億円の赤字を今見ておりますけれども、二十三年度については十四億円の赤字にまで減らしたいというふうに考えております。さまざまな施策の効果を最大限にするように、周知広報も含めて努力をしていきたいと思います。

 おかげさまで、伸びの程度というのはそれほど高くはないんですが、順調に売り上げは四半期ごとに倍々で伸びておりますので、そういう意味では、努力をすることによって黒字を目指すことができるのではないかというふうに考えております。

稲津委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ちょっと最後のところは御答弁を明確にいただけなかったと思います。

 ただ最後にちょっとだけ、委員長、よろしいですか、コストダウンに向けた取り組みというNHKの姿勢について一点だけ申し上げたいと思うんです。

 このNHKの二十三年度の予算、効率的業務運営の徹底ということがうたわれています。衛星放送を三波から二波にしていくということ、なぜ二波にするのかということがちょっと伝わりにくいところがあります。僕は単純に、国民目線から見ると、三から二になればコスト縮減が相当図れるのかなと思ったんですけれども、実際は、予算の中を見てみるとマイナス四億円程度ということで、ここはもう少し工夫の必要があるんじゃないかなということを最後に意見として付させていただいて、質問を終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東日本大震災などで被災された方々に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 NHK予算案の審議に当たりまして、まず、被災者に対するNHK受信料の免除措置についてお尋ねをいたします。

 今回の免除措置について、災害対策基本法に基づく避難の勧告、指示または退去命令を継続して一カ月以上受けている方についても対象となっております。原子力災害対策特別措置法に基づく避難指示の対象となる原発災害の避難者及び自主避難の方も免除されるのか、この点をお尋ねしたい。あわせて、免除対象なのに口座引き落としが行われてしまうようなことがないのか、その点も添えてお答えをいただきたいと思います。

松本参考人 今回、避難勧告等ということでありますけれども、福島の原発の避難勧告等につきましても、災害対策基本法に基づくものでありますので、これを一カ月以上にわたり受けた場合については災害免除の対象とさせていただくということであります。

 また、自主的に避難されている方につきましては、災害免除の対象とはならないということなのですけれども、一カ月のすべてにわたりやむを得ず避難されている方につきましては、自宅が空き家状態になっていて、受信機が明らかに放送の受信を目的としない状態になっているというような場合について、当該月については受信料はいただかない、こういうことになると思います。

 また、今回の大震災はこれまでに類のない大規模な災害でありますので、請求や手続などの運用に当たりましては、被害が甚大と想定される地域につきましては、口座等への受信料の請求を一たん延期するなど、柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 NHKの受信料の免除については、被災者の実情に合わせて判断基準の必要な見直しをぜひやっていただきたい。

 あわせて、NHKの受信料全額免除世帯には、地デジ対応の支援を国が行うことになっています。ですから、そういう点では、地デジテレビの設置も含めて、国としてテレビが視聴できるような環境を整えるべきだ、この点を強く求めておくものであります。

 次に、アナログ放送の終了、デジタル化に伴う問題点について何点かお尋ねをしたい。

 一つは、新たな難視対策によるケーブルテレビへの移行に伴う視聴者の負担軽減策についてお尋ねをいたします。

 新たな難視は、今までアナログ放送は届いていたのに、デジタル放送が届かないという地域になります。対策手法としてケーブルテレビに加入するというのも入るわけですが、そうしますと、毎月毎月のケーブルテレビの利用料金が発生をいたします。NHKは、この新たな難視の場合、ケーブルテレビ加入の際には初期費用についての負担は行います。しかしながら、毎月毎月発生する利用料金について、何らかの負担軽減策というのはありません。

 実際に調べてみましたら、新たな難視地域で、ケーブルテレビで対応するという地域で月額の利用料金は幾らか。新潟県のある地域では月額二千七百三十円、山梨県のある地域では月額三千百五十円、こういう負担が発生する地域が現にあるわけですね。

 NHKの受信料負担でも、地上契約千三百四十五円、衛星契約であれば二千二百九十円です。新たな難視で、つまりNHKの放送などが届かない、いわば送信者側の都合で受信者側がケーブルテレビに入らざるを得ない。それなのに、毎月毎月三千円の負担、NHK受信料、衛星を加えれば毎月五千円もの負担を強いられる。こういうことが放置されていいんだろうか。

 これはNHKとして何らかの負担軽減策を考えるべきじゃないのかと考えますが、いかがでしょうか。

永井参考人 お答え申し上げます。

 地元の皆さんが御要望で新たな難視の対策手法としてケーブルテレビを選択した場合には、御指摘のとおりに、NHKからも助成金を出して、ケーブルで受信していただくというふうにしています。

 このとき、月額料金が高額な場合でございますけれども、地デジを低廉に提供していただけるようにケーブル事業者に対しては国が働きかけをするということを聞いておりますので、そのようにお願いしたいというふうに思っております。

塩川委員 会長に重ねてお尋ねしますけれども、例えば、中継局を打たない、NHKの共聴施設をつくっている地域、NHK共聴ですね、その場合については、毎月毎月の維持管理費について、大体、全国平均的に千円だと聞いています。そのうちの半分はNHKが持っているというわけです。そういう点では、NHK共聴施設においては、毎月毎月の維持管理費の負担を軽減しようという点でのNHKの取り組みをやっているわけですよ。

 中継局も建てない、NHKの共聴施設もつくらない、ケーブルテレビ会社にお任せというのに対して、毎月毎月発生する利用料金に高額な負担を押しつけたままでいいのか。地方でいえば、毎月毎月の現金収入が月に三万、四万円、国民年金だけという高齢者世帯だってあるわけですから、そういった月に三万、四万の方に受信料を含めて五千円もの負担を強いる、これが皆様のNHKなのか。

 こういう点でも、新たな難視地域におけるケーブル加入世帯に対応した利用料の負担軽減策をしっかりとるべきじゃないか。この点についてお尋ねします。

松本参考人 ケーブル料金が高くて、NHKだけでよいから視聴したいという要望で地元が一致するような場合、この地域は、NHK助成の対象外とはなりますが、NHK単独で置局するケースというものも出ております。

 今後も、地元の意向を踏まえ対応していきたいというふうに思います。

塩川委員 要するに、民放を見たいからケーブルテレビ加入なので、NHKとしてはそういう希望に沿ってやっているだけなんだという話なんですけれども、NHK共聴でも民放も一緒に見られるような仕組みで、千円の負担のうち五百円をNHKが負担し、残りの五百円を視聴者が負担するというのは、それは民放分の負担という趣旨なんですよ。そういうことを含めて、本当に実態に合わせて対応することが必要だ。

 その点で、総務省としてこういう事態をどうするのかについて、一点お聞かせいただけますか。

平岡副大臣 お答えいたします。

 新たな難視の対策については、ケーブルテレビ加入対策を含めいろいろな対策を講じているということでありますし、ケーブルテレビについては、今委員から御指摘があったように、国あるいはNHKの方からも初期費用の負担をしているということでございます。

 視聴料についても、できる限り利用しやすい料金で提供することが必要であるというふうに我々としても考えておりまして、既に、文書によりまして、ケーブルテレビ事業者等に対しまして協力要請を三回にわたってやってきているところでございます。

 現在のところ、先ほど委員から御指摘あったような地域も残っていることは事実でございますけれども、地デジのみの再送信を提供するケーブルテレビ事業者については三百六十社ほどありまして、そのうち六割強が千円以下の利用料になっているというような、成果といいますか、要請した結果としての実情になっております。

 いずれにしても、総務省としても、引き続き、ケーブルテレビの利用料金が低廉となるようにこれからも要請をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 実際に高い料金のところは、地方で経営も大変なところなんですよ。そういうところでしっかりと引き下げられるような仕組みを国として、NHKとしてしっかり行うことによって、テレビが見られないような世帯をなくす、高額な負担はなくしていく、そのために全力を挙げてもらいたい。

 もう一点地デジ関係でお聞きしたいのが、離島の話であります。

 長崎県の五島列島の五島市、中心の福江島からさらに離れた二次離島の久賀島という地域があります。ここは、現状でも放送を一時無線に転換して送信するものですから、天候が悪いとき、台風のとき、こういうときにはテレビの中に雨が降るような、画像が乱れるわけですね。そういう地域が現に残されています。

 これまで中継局があったところを、NHKは民放とともにケーブルで対応すると移行を決めたところであります。現状の無線設備のままでは、天候不良で放送に影響が出る。デジタルになった場合でも、デジタルであれば障害が出ると真っ黒になっちゃう、一層見えなくなるということも予測されるわけで、電波がまともに届かない、放送の品質が保証されない、こういう事態に対してNHKとしてはどのような対策をとる考えなのかをお答えください。

永井参考人 お答えいたします。

 御指摘の長崎県五島市の久賀島、ここには二つの事業者があると聞いております。その一つの事業者で、今のような、無線で飛ばしているところがあるというふうに聞いております。地元の皆さんとお話し合いの結果、ケーブルで地上デジタル放送を受信していただくということになっていると承知しております。

 テレビをケーブルで再送信する際の品質については、基本的にはケーブルテレビ事業者が確保するものというふうに考えていますが、我々も必要に応じて技術的な面で協力は行っていきたいというふうに考えております。

塩川委員 大臣にお尋ねしたいんですが、この久賀島は、現状でも台風になると本当にテレビの映りが悪くなるという地域であります。そういう点で、災害時のライフラインでもあるこの地上波テレビ放送が十分保証されるのか、このことが問われているわけです。

 ぜひ、こういう問題について、関係者のいろいろな経緯もあってこうなっているわけですけれども、そのことを含んだ上で、やはり住民の方、視聴者の方は、ちゃんとテレビが見えるようにしてほしいというその一点なわけですから、そういう点で、さらなる努力をして、しっかりと品質が保証された放送が行われるために総務省として全力を挙げていただきたいと思うんですが、大臣のお答えをいただきたい。

片山国務大臣 議員もおっしゃったように、地元でもいろいろな事情があるように聞いておりますけれども、ぜひ、地元の自治体とケーブルテレビの事業者とがよく協調して、住民の皆さんに品質のいい放送が送れるような、そういう体制を整えていただくように総務省としても少し働きかけをしてみたいと思います。

塩川委員 永井さんもぜひ現場に行っていただいて、住民の方から話もよく聞いていただくことをNHKには強く求めておくものであります。

 最後に、地デジ完全移行、アナログ放送終了についてお尋ねします。

 今回の震災で多くの視聴者の方が被災しておられます。大きな費用負担が発生するようなデジタル化を強いるときではないと考えております。特に被害の大きかった東北の三県は、いずれも世帯普及率が低い地域であります。全国平均が九五%に対して、福島が九三・九%、岩手が九三・三%、宮城が九〇・七%です。またこの三県は、海岸線が入り組んでいるものですから、地上波が届きにくい地域にもなっています。ですから、結果として、衛星放送、セーフティーネット対応になっている地域にも含まれるということであります。

 つまり、津波被災を受けているような、地震の被害を受けているような地域で、衛星放送対応で、地元の放送を見ることができない。ですから、そういう地域には宮城の気仙沼とか岩手の宮古や大船渡なども含まれているわけであります。肝心の地元の災害情報が流れないような地域が残されているのが、この三陸などを初めとした沿岸部になっているという状況であります。

 私は、こういう事態も含めて、全国的にも、低所得者の方、高齢者世帯の方、あるいはビル陰難視の地域を含めて、アナログ放送を停波する環境にない。テレビ難民を出しかねない状況がありますから、七月のアナログ停波は延期すべきだと考えます。少なくとも全国一律にアナログ放送の停止をすることは見直したらどうか、このように考えますが、大臣、お答えをいただきたい。

平岡副大臣 お答えいたします。

 先ほども同じような御指摘があったわけでございまして、私たちとしても、今回の東北地方太平洋沖地震の影響については大変憂慮しているところでありますけれども、七月二十四日の完全デジタル化に向けてこれまで一生懸命取り組んできたわけでございまして、方針としてはぜひこれを達成していきたいということでございますけれども、委員御指摘の影響等については、これからも引き続き状況を見きわめてまいりたい、このように考えているところでございます。

塩川委員 状況を見きわめた上で無理だと判断したときには適切に延期する措置を強く求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、さきの東日本地震で被災された皆さんに本当に心からお見舞いを申し上げたいと存じますし、政府は、これら復旧に全力を挙げ、一日も早く皆さんの元気が取り戻せるように努力していただきたいことを申し上げておきたいと思います。

 同時に、福島で発生いたしました原発事故により、多くの方々が今避難をしているという現実がございます。食料品の汚染の問題も日を追って広がっているという深刻な問題が惹起されている。これについても、火急かつ速やかに適切な対応をとっていただきたいということをまず最初にお願いしておきたいと思います。

 そこで、きょうはNHKの予算の審議でありますが、第一に、NHKの速報体制についてお伺いいたします。

 NHKとして、どのような体制で、今回のような地震が発生したときの緊急速報、あるいは津波が発生したことに関する警報、注意報、どういうふうな形で、あるいはどういう仕組みで放送しているのかということが第一点。また、気象庁が地震、津波の速報を出してからテレビで放送するまでの時間差はどの程度あるのか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

永井参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、緊急地震速報、津波警報は、気象庁から送られてくる情報をもとに、NHKで受け取り次第、テレビとラジオ、すべての放送波で全国に放送しております。特に緊急地震速報は、情報を受け取った後、直ちに自動的に送出するという仕組みを構築しております。津波警報については、気象庁の情報をもとに作成された地図画面を確認した後、遅滞なくすぐに放送するということにしております。

 どのぐらいおくれが生じるかということですが、いずれの場合も、情報を受け取った後にデータの処理をするのに一秒程度かかっております。ただし、アナログ放送もデジタル放送も同じように、一秒後にはすぐ出せるということにしております。

重野委員 今回の地震速報に関しては、放送局によって速報の扱い方に違いがあったのではないかなというふうに私は感じております。最も早かったNHKと比べて、数分程度おくれた局もあったとも聞いています。

 地震や津波発生時には、どれだけ早く情報を視聴者に伝えるのかが重要であることは言うまでもないわけでございます。緊急地震速報や津波警報などの放送の仕組みについて、民放とNHKとの間に何か統一した取り決めや仕組みがあるかどうかということが一点。

 二点目は、地震や津波などの天災発生時の一分一秒を争う速報に限って、迅速で的確に放送する仕組みが必要ではないか。どの局を見ていても国民が同時にそういう速報を受けることができる、こういうことはしっかり考える必要があるのではないかというふうに考えるんですが、現状はどのようになっているか、お伺いします。

平岡副大臣 民放の話も含まれておりましたので、総務省の方からお答えしたいと思います。

 民放の東京キー局の例で申し上げますと、緊急地震速報も津波警報も、NHKと同様に、気象庁からのデータに基づきまして放送される仕組みが整えられているというふうに承知しておるところでございます。ただ、全国放送のNHKと関東広域圏をエリアとする東京キー局では、どこの地域の地震データかによって放送するタイミングに差が出ることはあり得ることであるというふうにも承知しておるところでございます。これが、委員の御指摘の第一点でございます。

 委員のもう一つの御指摘について申し上げれば、緊急地震速報も津波警報も、視聴者には一刻も早く放送でお知らせすることが重要なことであるというふうに考えておりまして、気象庁から送られてくるデータに基づきまして迅速的確に情報提供が行われるように、各放送事業者の取り組みを奨励してまいりたいというふうに考えているところでございます。

重野委員 次に、地デジがこの七月までに移行が完了する、こういうふうなことは、この間、この委員会でもずっと確認をされてきたところでございますが、今回の地震によってそれがどうなるのかということを私は懸念しているわけです。

 今回の地震では、被災地域における情報の不足が大きな問題として浮上しました。テレビの中で、被災者がそれぞれそういう問題点を指摘している映像をずっと見たわけであります。非常に大きな問題だと思います。

 今回の地震では、被害が広範囲にわたって発生しています。この被災地域での放送受信機の普及状況はどうなっているのかということが一点。

 昨年十二月時点での地デジ難視対策衛星放送対象リストというのがございますけれども、それを見ますと、今回被災した地域もかなり含まれているんですね。いわゆる地デジ移行の七月以降も、衛星によるセーフティーネットが当然見込まれると思うんです。

 しかし、生活支援に向けた情報発信の場合、地域に密着した放送内容が問われます。しかし、このセーフティーネット、いわゆる東京の放送が地方に流れるという仕組みでありますが、そうなると、地域に密着した放送内容が流れない、こういうことになるわけですね。そうすると、その地域の情報というのを視聴者は最も求めているわけで、これにこたえることができない、こういうことになる。

 この点について総務省としてどう考え、どう対応していこうとするのか。先ほども同様な趣旨の質問がありましたけれども、あえて改めて問うておきたいと思います。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

平岡副大臣 被災地域の受信機の世帯普及状況でありますけれども、これは県単位で調査をしているものですから、例えば県の中で被災地域、この地域についてはどうだという統計は持ち合わせておらないところでございますけれども、県単位で被災県の状況を申し上げますと、青森県では九〇・八%、岩手県で九三・三%、宮城県で九〇・七%、福島県で九三・九%ということで、昨年十二月時点での調査の結果ということでございます。この数字は、全国の世帯普及率が九四・九%であったということからすれば、少し低い数字になっているというふうに認識をしているところでございます。

 次に、委員の二つ目の質問でありました、暫定対策としての衛星放送のお話でございますけれども、我々も、この衛星放送については、あくまでも暫定的な措置であるというふうに思っておりまして、できる限り早く地域に密着した放送が受信できるように、中継局とかあるいは共同受信施設の整備が実施できるように放送事業者等関係者とともに取り組んでいきたい、そういう基本的な気持ちは持っております。

 ただ、御指摘のように、それができるまでの間、東京キー局の放送内容で行われます衛星放送については地域の放送が視聴できないということになりますものですから、その点についても地元の方々の御理解を得なければいけないということで、説明会の開催とか、あるいはパンフレットによる周知等を図ってきているところでございます。

 ただ、デジタル放送の場合には、衛星放送のデータ放送で地域の気象情報あるいは気象警報等をごらんいただくことが可能でございまして、関東以外の地区におきましては、データ放送対応の受信機を調達して対応していくということで考えているところでございます。

重野委員 今の質問では、我々が懸念しているように、被災地におけるいわゆる放送ギャップが当然派生してくるという非常に危機感を私は持っているんです。それに対して、さらっとなでたような答弁で、私は、もっと個別具体的に地域の要望あるいはこの現状というものを克明に調査して、やはり個別具体的に対応していくという基本的な姿勢がないといけないんじゃないか、このように思いますので、その点については、ひとつ十分に配慮して取り組んでもらいたいと思います。

 次に受信料について聞こうと思ったんですが、先ほどもう話もありましたので、これは省きます。

 次に、震災が予算案にどういう影響を与えるか。きょうはNHKの新年度予算を審議する場でありますが、これは地震発生前につくられたものなんですね。今回のこの未曾有の震災で、収入、支出の両面で予算作成の前提が大きく変わったのではないか、このように思います。

 例えば、受信料収入として、支払い率七五%、金額で六千六百八十億円を目指すとしております。これが、率、金額で果たして達成可能なのかという疑問があります。また、支出を見ますと、地震、津波などの被害で放送施設にも当然被害が出ているんだろうと思うんですが、こうしたものの修繕費などが見込まれた予算には当然なっていないわけで、これが今後必要になってくる。

 そういうふうなことを考えていくと、今回の地震がこの予算に大きな影響を与えると見るのが妥当ではないかと思うんですが、そういう点についてNHKとしてどのように考えておられるか、伺います。

松本参考人 今回の大震災がNHKの二十三年度予算に及ぼす影響ということで、受信料の災害免除とか、あるいは被災地の救援、復興のための補修とか、収入面の減少あるいは支出の増加というのが考えられます。

 収入については、今、免除対象者の方が詳細に把握できる状況ではありませんが、過去の災害も含めまして、それらより規模が大きいということで、免除額は五十億円程度の影響が出るのではないかというふうに考えています。

 また、収納活動の停滞というような事柄での受信料収入の減少という影響も考えられます。ただ、今の時点でどの程度になるかというのは、確実な形で把握はしておりません。

 また、二十三年度に入りましても、今回の震災の影響が少なからずあるというふうに思います。ただ、二十二年度の受信料収入が、契約総数とか収入額、あるいは衛星契約が比較的順調であるということですので、そういうプラス要素、それから二十三年度末の支払い率七五%、あるいは受信料収入六千六百八十億円の確保ということで、いろいろな条件はありますけれども、全力で取り組んでいくという覚悟でおります。

 また、そういうような状況の中で、影響を詳細に詰めているということでございますけれども、収支への影響ということにつきまして、収支両面にわたる経営努力、あるいは予算総則の適用による繰越金あるいは予備費の流用というようなことを含めまして、何とか乗り切っていきたいというふうに考えております。

 したがいまして、現在審議いただいております二十三年度予算の中で対応していくという考えでございますので、よろしくお願いいたします。

重野委員 あと沖縄の基地周辺の電波障害について通告をしておりましたけれども、もう時間が来ましたので、次回に持ち越しということで、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、今回の震災で犠牲になった余りにも多くの方々に心からの御冥福をお祈りいたします。また、被災地で厳しい生活を送っている皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。同時に、不眠不休でニュース報道に当たっている皆さんに、本当にお疲れさまですというふうに申し上げたいと思います。

 私もNHKの記者出身でありますので、災害報道に携わった経験がありますので、現場の御苦労はよくわかります。その上で、きょうは一言申し上げたいというふうに思うんです。

 まず、災害報道の現地取材陣と現地の被災者支援活動とのかかわりであります。

 今回の地震、津波災害では、発災当初、被災地の現場にアクセスできる唯一の手段がヘリだったと思います。その中で、数多くの報道ヘリが被災地の上空に向かいました。私たちも報道ヘリからの衝撃的な映像を目の当たりにすることになったわけですけれども、もう一つ胸が痛くなる映像がありました。報道ヘリが避難者、生存者を上空から見つけ撮影をする。まだ行政や自衛隊の皆さんの支援の手が届かない中、物資の欠乏と氷点下の寒さの中で生き延びている、そういう方々です。助けが来たと思ったでしょう。手を振り、声を上げ、助けを求める。その姿を見おろしながら上空で旋回し、撮影が終わるとそのまま去っていく。どれだけ落胆をし、絶望を感じたか、これはもう想像にかたくないと思います。

 被災地では、被災直後から多くの被災者が物資不足に悩まされたわけです。食料も水もない。私は三日後に、十四日、仙台市を訪問して物資を届けましたけれども、市街地にある高砂市民センターというところでも、二日間何も届かないで、十一日の発生から二日たった十三日の夜にようやく、初めておかゆを食べた、こんなありさまだったそうです。一日せんべい一枚で一週間近くしのいだ、こういう避難所もあったそうであります。毛布ない、ガソリンない、夜は氷点下の寒さの中、避難生活を送っているわけです。

 こういう中で、災害報道の取材陣が大挙して、何の物資も持たずに被災地に入り、映像を撮り、インタビューをして、逆に言えばそれだけで帰っていく。何度も言うけれども、これは、場所によっては行政や自衛隊より早く報道陣が入った被災地があったはずなんです。そうした被災地に少しの物資でも届けられればと思うのは人情だと私は思います。

 客観的であるべき報道は当事者になってはいけない、私は記者だったからそれはわかります。その原則はわかりますけれども、今回、極めて大規模な人命の危機であり、手を差し伸べられる者が報道陣以外にいない局面が多々あったはずだと思うんです。被災者を見つけた場合は行政に必ず通報する、被災地に入るときは可能な限りの物資を持っていく、私はそうあるべきであったと思う。

 今回、災害取材のNHKの取材陣は、そのようなことをどのぐらいやったのかをお尋ねしたいと思います。

日向参考人 災害報道におきましては、被害の全体像をいち早くお伝えするということが極めて重要であるというふうに考えております。今回の大震災の場合でも、例えば、NHKのヘリコプターから撮られた津波それから原子力発電所の映像につきましては、世界の放送局がそのまま生中継で放送いたしました。各国からのいち早い支援、それから援助の動きに役立ったものというふうに考えております。

 御指摘のことでございますけれども、現地で取材している記者から、メールで本部の方に、助けを求めているのではないか、それから孤立している人たちがいるといった命に関する情報は、できる限り自衛隊、それから県の災害対策本部、関係機関に伝えるようにしております。それから、放送を見た防災機関からの問い合わせにも素早くお答えするようにしております。

柿澤委員 最大限そのことに努力をした、こういう御答弁だったと思いますが、このことについては、国民の皆さんがある種の評価判断を下すことにもなると思います。

 もう一つ、報道ヘリによる災害の現場取材を報道各社が共同で行えないのか、こういうことについてお尋ねをしたいと思います。

 今回、震災の状況について、携帯電話が全くつながらない中で、情報伝達と発信に非常に役に立ったのがツイッターだと思います。私もなるべくツイッターに情報を書くようにしました。すると、私のところにさまざまな国民の意見が寄せられました。その中で、報道ヘリの飛行を規制してくれという意見が無視できない数に上りました。ヘリのホバリングの騒音が地上の救助活動の妨げになるとか被災者の不安をあおるという意見、また、アナウンサーを乗せてレポートするヘリがあるんだったら食料の一つでも持っていったらどうだ、こういう意見、報道各社がばらばらにヘリを飛ばすということに対する批判もありました。

 かねてから、災害や事件の現場報道に各社の取材陣が一斉に殺到する、いわゆるメディアスクラムというのが問題とされてきました。こうした中にあって、災害のたび、事件のたびに、現場におけるマスコミ取材に対する風当たりが年々強まっていると私は肌で感じております。

 こうした緊急報道の現場では、私は、一定程度の取材活動を報道各社の共同取材とするのも考え方ではないかというふうに今回思いました。例えば、報道ヘリによる撮影を代表取材にしてプールする。宮城はNHKが撮影をする、また岩手はTBSが撮影する、こういうやり方をしてもよかったんじゃないかというふうに思うんです。これは、やれないはずはないんです。オリンピック報道では、NHKと民放各社がジャパン・プールという形で放映権獲得をして、人と物を出し合って共同取材、放送をしているではありませんか。

 同様に、大規模災害や事件のときに、報道ヘリの取材だけでも共同取材のプラットホームを事前につくっておいて、大規模な事件が発生をしたときに、それぞれの役割分担でここにヘリを出す、こういうことを、各社がばらばらに行うのじゃなくて共同で行っていく、こうしたものをつくることが、今、国民のマスコミ取材に対する理解を確保するために必要になってきているのではないかと私は思います。

 こういう共同取材のプラットホームをつくるとすれば、このイニシアチブを握るのはやはり公共放送のNHKだというふうに思うんです。こうしたことに取り組む考えは、今回を踏まえて、ないかどうかお伺いをします。(発言する者あり)

日向参考人 NHKでは、被災者に不安を与えないよう、それから救助活動の妨げにならないよう十分な配慮をして、一定の高度を保つといったルールをつくっております。そういう中で、節度ある取材を続けておりますけれども、御指摘のように、例えばそういう、複数のヘリコプターが同じところの上空を旋回し続けているというような状況があることは確かに好ましきことではないというふうに考えますので、各社とも連携をしながら、これからも協議をしていく必要があるかというふうに思っております。

柿澤委員 今後、各社が連携しながら、複数のヘリが飛ばないように協議をしていく、こういう一般論の御答弁ではもはや済まないと私は思うんです。

 今、この委員室の中からも声が飛びました。防災行政無線が聞こえない、こういうことになってしまっているとすれば、私は、今申し上げたように共同取材を、これは事件事故が発生してから、災害が発生してから、では共同でやりましょうということをみんなで集まって会議するなんということはできないわけですから、今の時点でこうしたプラットホームを構築するために話し合いを進めていく、そうした考え方だけは持っておかなきゃいけないというふうに思うんです。

 そこのところを、私は、明確に今回御答弁をいただきたいというふうに思います。もう一度お願いします。

日向参考人 御指摘のメディアスクラムの問題もございます。この問題については、確かに、これからもきちっとした協議の場を設けるとか、さまざまな検討をしていきたいと思います。今は災害報道に全力を挙げている段階ですので、それが終わった段階で、またそういう検討をぜひ進めていきたいというふうに思います。

柿澤委員 こうした共同取材に向けて、各社に呼びかけて検討の場をつくる、こういう答弁をいただいたというふうに理解をいたします。

 松本会長に、この問題の最後にお尋ねしたいと思います。

 松本会長、JRにいらっしゃったわけですから、JRとしてメディアスクラムに直面をした、こういう経験を恐らく持っていると思います。その経験を踏まえて、新会長として、今のやりとりを聞いて、こうした災害取材、事件取材のあり方についてどのように改善をしていくべきだというふうに考えたか、率直な感懐をお伺いしたいと思います。

松本参考人 私も長年鉄道をやっておりまして、鉄道というのはある意味では危機管理システムという形になっております。常に日々の運行、その中で何が起きるかわかりませんので、その場合にどういう対応をするかということを、体制あるいは訓練等を含めてやってきているわけです。

 今回、こういう大震災が起きて、NHKがどういうふうな動きをするのかということを自分の経験を踏まえて見る、同時に自分自身も指揮をする、こういうことでやってきているわけですけれども、危機管理機能としてのNHKは大変すぐれている、こういうふうに思います。

 先ほどヘリコプターのお話もありましたけれども、ヘリコプターの配置についても、起きた、すぐ飛び立つ、そして対応する、こういうことができたのも、日ごろのそういうものに対応する姿勢というものが生きたというふうに思います。それから、すぐに本部をつくって全国から動員をかけて、そしてまた、本部には一般の方々からの電話に対応するためのセンターをすぐにつくる。現場に行きますと、それがすぐ機能している。そういうようなところを見ますと、大変そういう意味ではすぐれた危機管理機能を持っているというふうに思います。

 それから、現場に行ったとき職員がどういう対応をすべきか、こういうことが重要なことなのでありますけれども、先ほど少し申し上げましたけれども、被害に遭われた方、それから支援をする方々、そして全国からNHKの放送を見ていろいろな情報を得る方々、そういう方々の目線といいますか、そういうことにこたえるきめ細かい対応をする必要があるというふうに思います。

 そういう形でやっておりまして、私も過去の経験を生かしながらやってまいりたいというふうに思います。

柿澤委員 もう一点だけお尋ねさせていただきます。この震災の名称の統一についてです。

 私、冒頭に、今回の震災に当たりというふうに言いました。私も今回の震災をどう呼んだらいいかわからないんです。行政は東北地方太平洋沖地震、NHKは東北関東大震災、その他のマスコミはおおむね東日本大震災と呼んでいます。今回の震災を何と呼ぶか統一されていないわけです。

 これは、阪神・淡路大震災に当たっても、当初の行政の呼び名はたしか兵庫県南部地震と言っていたと思います。それで、マスコミが関西大震災とか阪神大震災とか阪神・淡路とか呼び始めて、最終的に、それを政府が追認する形で阪神・淡路大震災という統一名称が決まった、こういうことだったと記憶しております。

 そろそろ用語の統一を考えるべきではないでしょうか。NHKだけが東北関東大震災と呼んでいるわけです。そのことに少なくない国民が、何でNHKだけ違う名前を言っているんだろうと違和感を持っていると思います。既に、東日本大震災という名前が人口に膾炙しつつある。ばらばらの名前を使っていることで視聴者も混乱すると思うんです。行政も報道機関も呼び名がばらばらであることが、大げさに言えば、被災者や国民の何とも言えない不安な感じを、感覚を助長しているようにも私は思うんですよ。

 こういうことは、後になってから修正するのはどんどん難しくなっていく、早いうちに転換した方がいいというふうに思うんです。NHKが今、今回の震災を呼んでいる東北関東大震災というのを、それ以外のほぼすべてのマスコミが使用している東日本大震災と統一すべきではないか、こういうふうに考えますが、見解をお伺いします。

原口委員長 日向専務理事、質疑時間が尽きていますので、簡潔に。

日向参考人 今回の震災につきましては、東北、それから関東地方も非常に深刻な被害を受けております。そこで、NHKとしては今、東北関東大震災というふうに呼んでおります。

 NHKだけではなくて、ほかのところでもそういう呼び方をしているところもあるかと思いますけれども、今は各社それぞれの判断に基づいてその呼称を使っているという段階でございます。

 この後、阪神・淡路大震災のような形で統一されることもあるかと思いますけれども、当面は私どもはこの呼称を使っていこうというふうに考えております。

柿澤委員 こんなことの話し合いも報道各社で成立しないのであれば、報道ヘリの取材について共同取材のプラットホーム、本当にできるのかな、こういうふうにも思います。

 いずれにしても、こういう緊急災害の対応について、きちっとあらかじめ報道機関が、ある種、統制のとれたという言い方はよくないですけれども、しかし、統一して、国民に対して不要な混乱等を与えないような対応をするということが大事だと思いますので、先ほど御答弁をいただいた、特に報道ヘリの共同取材のプラットホーム、この話し合いは一定の段階で必ず進めていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、古賀敬章君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古賀敬章君。

古賀(敬)委員 民主党の古賀敬章でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  今般の日本放送協会の新会長選出過程における情報の錯綜及び混乱を招く事態となった経営委員会の体制の不備は、公共放送の経営に関する最高意思決定機関としてあってはならないことであり、国民の信頼を著しく損ねた。その上、いまだに、不祥事を起こす職員が後を絶たず、由々しき事態となっている。

  協会及び政府は、かかる深刻な事態を厳粛に受け止め、協会に対する国民・視聴者の信頼を回復し、公共放送としての使命を全うできるよう、次の事項についてその実現を期すべきである。

 一 経営委員会は、協会の業務執行の監督及び経営に関する最高意思決定機関として、その重い職責を担うものであることを十分に認識し、協会を共に構成する執行部との意思疎通を十分に図りながら、早急に新体制を構築し、国民・視聴者から信頼される公共放送の発展のための努力を行うこと。

   また、政府は、委員については、全国、各分野から幅広く、公正な判断をすることができる十分な経験と見識を有する者が選任されるよう配意するとともに、今後の委員の人選の在り方について十分な検討を行うこと。

 二 協会は、内部統制機能の強化によるコンプライアンスの徹底に努めるとともに、職員の一人一人が、視聴者の目線に立ち、公共放送に携わる者としての高い倫理意識を確立し、組織一体となって改革に取り組むこと。また、その取組の状況を広く国民・視聴者に説明し、信頼の回復に最善を尽くすこと。

 三 協会は、災害時等において、国民が必要とする地域生活に密着した正確な情報や最新ニュースを時宜に応じて提供する必要があることから、緊急報道体制のさらなる充実・強化に努めること。

   また、今回の東北地方太平洋沖地震においては、放送される情報が被災者に適切に提供されるよう最善を尽くすとともに、その後の被災者の状況を含め被災地の復興過程が国民・視聴者に伝わるよう配意すること。

   さらに、高齢者、障害者に関わるデジタル・ディバイドの解消が喫緊の課題となっていることから、字幕放送、解説放送等のさらなる拡充を図ること。

 四 政府は、放送が災害時等における貴重な情報源であることを踏まえ、共聴施設の改修や経済的弱者等の世帯における受信設備のデジタル化の支援等にあらゆる対策を講じ、地上放送の完全デジタル化の円滑な実現に万全を期すこと。

 五 協会は、国民・視聴者との信頼関係に基づき負担される受信料により維持運営されていることを深く認識し、公平負担の観点からも、契約の締結と受信料の収納が確保されるよう、公共放送の存在意義と受信料制度に対する国民の理解促進に努めること。

 六 協会は、放送が社会に及ぼす影響の重大性を強く自覚し、自律性、不偏不党性を確保して、真実に基づく報道、豊かで良質な番組の放送に一層努めること。

 七 デジタル放送への移行等、放送をめぐる環境が大きく変化する中において、引き続き協会が新しい時代の放送の担い手として先導的役割を果たすよう努めるとともに、新時代の公共放送の在り方についても検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、片山総務大臣及び日本放送協会会長松本正之君から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

原口委員長 次に、日本放送協会会長松本正之君。

松本参考人 日本放送協会の平成二十三年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいります。

 また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを十分踏まえまして、業務執行に万全を期したいと考えております。

 東北関東大震災への対応につきましては、今後とも、被災者の皆様への配慮を初め、被災地の復興を中心に、協会としてできる限りのことをし、公共放送の使命を全力で、一致結束して果たしてまいりたいと存じます。

 本日は、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.