衆議院

メインへスキップ



第12号 平成23年4月21日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十三年四月二十一日(木曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      後藤 祐一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    中後  淳君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    小里 泰弘君

      加藤 紘一君    川崎 二郎君

      橘 慶一郎君    中谷  元君

      長島 忠美君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     小里 泰弘君

  谷  公一君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     佐藤  勉君

  長島 忠美君     谷  公一君

    ―――――――――――――

四月二十日

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

同月二十一日

 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五六号、参議院送付)

 国と地方の協議の場に関する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五七号、参議院送付)

 地方自治法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五八号、参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 第百七十四回国会、内閣提出、参議院送付、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、国と地方の協議の場に関する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。民主党の湯原俊二です。

 まずもって、東日本大震災でとうとい命が多く亡くなられましたけれども、哀悼の意を表したいと思いますし、被災された方にお見舞いを申し上げ、現地で今なお職務に一生懸命専念されている方に敬意を表したいと思います。

 さて、限られた時間でありますので、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、地域主権改革を進める上で、実際の現場の地方の風景について少し議論をさせていただきたいと思うわけであります。

 大臣はかねがね、二元代表制のもとでの地方議会、つまりは、首長が提案をする、条例案、予算案も提案しますし、最終決定はやはり議会がしていく、条例はもちろん発議権もありますけれども、地方議会についてどのような所見を持っているか、お伺いしたいと思います。

 特に、私が申し上げたいのは、中山間地域を初めとした過疎地域の地方議会の現状をどのように認識されているか。私なりに考えますと、今、統一地方選挙が行われているわけですけれども、立候補者も少ない、無風であったり、定員も一名オーバーぐらいの選挙であったりするところがあるわけであります。首長へのチェックの力あるいは政策立案の力が、実際の過疎地域の地方議会においては落ちているんじゃないかという危惧を持っているわけでありますけれども、地域主権改革が進めば進むほど一番大切になってくる地方議会についての現状認識をどのようにお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。

    〔委員長退席、稲見委員長代理着席〕

片山国務大臣 すべてを認識しているわけではありませんが、私がかいま見たといいますか知り得たところなどの印象を総括しますと、必ずしも本来の機能、期待されている機能を発揮していないところがやはり多いのではないかと思います。

 私の経験からいいますと、率直に申し上げますと、選挙を経て議員になろう、そういうプロセスに心理的抵抗がかなりあるのではないかという気がしました。湯原議員も御承知の、例のと言ったら変ですが、郡民会議というのを鳥取県でつくりましたけれども、そのときに、選挙ではなくて抽せんという方法をとりましたらかなり手が挙がったわけですが、当初選挙でということを想定しておりましたら、かなりネガティブな意見も強かった。

 それやこれや考えますと、もう少し選挙のハードルというものを、心理的な面を中心にして下げてあげる、そういう環境整備が必要なのではないかなと考えております。

湯原委員 今大臣は、機能を十二分に生かし切れていない、発揮していないということと、選挙に立候補するハードルを下げるということをおっしゃったわけであります。

 私は、平成二十一年度、直近でありますけれども、市議会で首長が提案したものを原案どおり可決した率を調べたら、九九%が原案どおり可決、それから修正したものが〇・三%、だから千に三つ、否決が〇・二%でありますから、千のうち二つであります。町村議会も同様に、九九%が原案どおり可決という状況であります。

 私は、原案どおり可決が悪いというわけではありませんけれども、その中の議会のあり方、実際どの程度活性化しているかというところをやはり注視していかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

 一方で、大臣がお答えになったように、選挙に出るハードルを下げるという意味では、おっしゃるように、選挙に出るというのは、清水の舞台から飛びおりるぐらいの勇気がないとなかなか出られない状況。結果的に、過疎地域の町村議会においては、自営業者、男性、おじさんの年齢が非常にウエートが高くなっている。住民の声というものをどの程度反映していくかというのをちょっと懸念している状況であります。

 私は、在職立候補とか、他の国々でやっているこのハードルを低くすること、住民の声が反映できる地方議会にする、こういう施策を地域主権改革の中で国が一つの選択肢として提示していくことも必要なんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 そのもとで、地域主権改革、地域の自主性、自立性を高める改革の最終目標は、国から都道府県、都道府県から市区町村にただ単に権限移譲されることが最終目標ではないと私は思っております。そこには、住民参画ということが活性化されて初めて地域主権改革の目標が達成される。

 しかしながら、現状を見ますと、残念ながら、住民参画がどの程度できているかということは、御案内のとおりだと私は思っております。後で大臣に所感を求めたいと思いますけれども、やはり住民のまちづくりに対する関心が高まっていない状況があるんじゃないかなと思っています。

 改革を進めて、ショック療法的に、他の自治体と違った施策によって住民が初めて目覚めて住民参画が行われるということもあろうかと思いますけれども、国として、やはりそれなりの手だては必要なんじゃないかなというふうに私は思っています。

 直接請求をしやすくする、このこともありますけれども、例えば地域の自治体においては、幾つかの自治体がやっている、小学校区、中学校区ごとでのまちづくり協議会たる、裁量権を持たせるようなことであったり、あるいは、小さい子供のときから一人の有権者になるための教育、有権者教育といいますかシチズンシップ教育等をカリキュラムに入れていって、そういった社会性あるいはまちづくりに参画するための知識とか訓練を小さいときからすることによって住民参画が促されていく、こういうことだと思っています。

 地域主権改革を進めていって、結果として地域の自治体において、例えば首長が、よらしむべし、知らしむべからずみたいなワンマン行政を行われたりとか、あるいは迎合主義的なまちづくりを行われているのでは、本来の目的が達成できないというふうに思っております。

 この点について、やはり国としても、ああしろ、こうしろではないけれども、一つの施策の展開としてそういうことも念頭に置いていかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、大臣の所見を求めたいと思います。

片山国務大臣 地方自治というのは、講学的なことで申しますと、団体自治の強化と住民自治の強化と二つの要素があって、国とは違った団体の自治体の権限を強化する、それから自由度を増す、これが前者の団体自治の強化であります。

 その団体の中で住民の政治参画の機会が乏しいということになりましたら、本来の地方自治、民主主義というのは全うされないわけでありますから、住民の政治参画機会がより拡充されて、かつ、そのプロセスにおいて住民の意思をより反映しやすくする、この観点は欠かすことができないと私も思います。現状でも、いろいろな住民自治を発揮させるための手法はありますけれども、これがなかなか十分な機能を発揮していない、そういうもどかしさがあります。

 そこで、現在考えておりますのは、例えば、お触れになった直接請求の仕組みをより使い勝手がいいといいますか機能しやすくするということも一つでありますし、それから、別途、今後の地方自治法の改正で検討対象になっておりますのが、部分的にでも住民投票制度を導入してはどうかということ、これは重要な一つのテーマになると思います。

 あとは、せっかく代表制としての議会制度というのが基本的にはあるわけでありますから、その議会制度の中で住民の政治参画機会がもっとふえてもいいだろうということで、一つは選挙の面での幾つかのハードルを下げるというのもありますし、議会活動の中で、例えば公聴会とか参考人質疑とか、こういうものがもっと活用されてしかるべきだと思います。今も枠組みは用意されておりますけれども、余り活用されていないし、活用されても極めて形骸化した活用のされ方ということがやはり目立ちますので、もっとこれが柔軟に機能的に活用されるようにする必要があると思います。

 そこで、例えば、今、委員会だけにしか認められていない公聴会など、小さな自治体でありますと本会議でもそれが活用できるようにすべきではないかというようなこともありますし、私などはもっとこれを、義務化と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、重要な条例案などの審議のときにはそれが必ず開かれるようにするとか、そんなことも一つのアイデアとしてあるのではないかと考えたりもしておりますけれども、それやこれや、これから住民の皆さんの政治参画機会の拡大というのをぜひ検討していきたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 もう一点、これは付言で、質問ではないですけれども、地域主権改革で、行政サイドに流れていくんですけれども、例えば情報、住民が情報をどうやって得ているかというと、地域の基礎的自治体の情報よりも中央の情報であったり、あるいは、もっと言うと他国、アメリカのことは情報でどんどん流れていって情報を得るんだけれども、実際の自分が住んでいる基礎的自治体、町村のまちづくりの情報がどれだけ今流れてきているかというと、残念ながら流れてきていない。

 ですから、地域主権改革を進めれば、進める中で情報の提供、マスコミがどうあるべきかというのはまた国が関与すべきではないとは思いますけれども、こういったことも考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 あと、過疎地域の自治体の中で改革が進めば進むほど、やはり専門的人材がどうしても必要になってくる状況だと思います、権限移譲をすれば。しかしながら、現状で、過疎の町村、自治体の中で専門的人材が確保できるかというと、なかなか難しいところがあります。例えば設計技師さん、あるいはソーシャルワーカーとかになりますけれども、児童の臨床心理士なんというのはなかなか確保できない。

 事務の共同化ということもうたっておられますけれども、この専門的人材の確保について、現状をどう思っていらっしゃるか、御答弁願いたいと思います。

片山国務大臣 これは非常に重要な問題だと思います。一つの問題意識は、私は、それほど専門化して高度化した事務が小さな自治体にまで移譲されてきている、そういう現状があると思います。

 基礎的自治体を中心に仕事をするということで、権限移譲を進めるということは基本的にはいいことなんですけれども、行き過ぎますと、小さな自治体で、専門的な職員も十分いないのに事務を担わなきゃいけない、こういう矛盾が生じてきておりますので、権限移譲というものがやはり適度でないといけないといいますか適切でないといけないというのは、一つ問題意識として持っておかなきゃいけないと思います。

 その上で、そうはいっても、いろいろな事務が市町村の事務になりますから、それについてちゃんと処理をしなきゃいけない。その際に、自分のところだけでは確保できないということになりますと、いろいろな手段で事務の広域化、共同処理、そういう創意工夫が必要になると思います。共同的な組織として一部事務組合をつくるということも一つのやり方でしょうし、それから個別の事務を委託するということも一つの方法でしょうし、機関の共同設置ということで、職員や組織を部分的に近隣の市町村と共有するということもあるでしょうし、それから県との間の垂直的な協力関係を築いていくということもあると思います。

 それらをそれぞれの実情に応じて選択されたらよろしいのではないかと思いますが、一つだけぜひ県にお願いしたいのは、そういう柔軟な多様な取り組みというものを県の中でいわば保障するような、そういう心の広い取り組み方がやはり各都道府県には求められるんだろうと思います。

湯原委員 私は、大臣がおっしゃったとおりで、町村の水平レベルでの共同もあると思いますが、やはり都道府県と市町村との共同事務、人材の分野で専門的人材を確保していくということが非常に現実的なのかなというふうに思っております。

 時間も限られております。最後になりますけれども、先日来、一昨日もありましたが、義務づけ・枠づけの見直しについてであります。

 先般来は、福祉団体の声に基づいて、どちらかというと、拠出の問題でもそうですけれども、大丈夫かという議論でありました。あの当時、大臣もバランスということをおっしゃっていましたけれども、片一方でこのたびの条例で委任する、片一方で政省令では従うべき基準、標準、そして参酌すべき基準を設けていく。私は、国の関与というのは、逆に言うと、地域主権をしながら、片一方では骨抜きになる可能性も出てくるんじゃないかなというふうに思っています。

 平成二十一年十月の地方分権推進委員会で、条例制定に関する基準についての考え方として、従うべき基準の範囲を超える場合は違法とする、また標準についても、合理的理由がない場合は違法とする、参酌すべき基準についても、基準の策定を行ったときに国の基準を参照しないなど説明責任が果たせないときは違法とするということであります。つまり、条例で委任しながら、政省令で基準を設けていって、逆に従わない場合は違法とする。

 地域主権というものが、あるいは自主性、自立性を高める改革というものが、政省令によって骨抜きになる可能性も片一方で出るんじゃないかという危惧を持っているわけでありますけれども、所感を求めたいと思います。

片山国務大臣 これは第一義的には、各省の政務三役のレベルできちっと、地域主権改革というものの理念を念頭に置いて、それと照らし合わせて検証していただくということが必要になると思います。

 もう一つは、自治体の側から見て骨抜きになっているかどうかというのはわかるはずでありますので、もし問題がありましたら、それをきちっと指摘していただいて、それを受けとめる政府の方の対応の仕組みということが求められると思います。各省任せにして、もうあとはほったらかしということではなくて、これは政府全体の責任として、内閣府を中心にして、そういう検証システムといいますか、顧客クレームと言うと変ですけれども、自治体からの問題提起を受けとめる仕組みがぜひ構築されなければいけないと考えております。

湯原委員 ありがとうございました。

 この間もありましたけれども、アフターフォローとチェックをちゃんとしていただきますようお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

稲見委員長代理 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 一昨日に引き続きまして質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、前回、一昨日のいろいろな議論を踏まえて、最終的ないろいろな確認ということも含めて、させていただきたいと思っております。

 私の自分で恒例にしております万葉集につきましては、一昨日も桜の歌を歌いましたけれども、だんだん春雨に桜が散っていく季節になってまいりまして、ああ、桜ももうことしも終わりかなと、ちょっと寂しい気もするという歌がありましたので、これを詠んで始めさせていただきたいと思います。巻十、千八百七十番、詠み人知らずであります。

  春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも

 ありがとうございます。(拍手)

 それでは、ちょっと桜が散るのを惜しみながら、早速始めていきたいと思います。

 まず、一昨日の議論を振り返りまして、大臣からもいろいろな御答弁をいただきましたが、いろいろな仕組みをつくる、ルールをつくる、それを運用するに当たっては、やはり常識ということを結構前回はおっしゃったように思っております。道路でいいますと、言ってみれば、道路の中をしっかり走っていればいいんですが、余り路肩に寄って、路肩から落ちていかれるとこれはいけない、そういうところにはガードレールも張らないといけない、こういうことかと思います。

 選挙の執行をめぐる限界的な事例が話題に上ったり、また議会の運営について、あるいは首長の専決、いろいろな問題で最近そういう限界的事例が発生しているわけですが、地方自治法の改正あるいは義務づけ・枠づけの見直しは、基本的に、あくまでやはり常識的に皆さん対応をいただけるということが前提だと思いますけれども、最近、時々そういう、今までに考えられないような事態も出てくるわけであります。

 ここで総括的に、もう一度改めて確認の意味で、今回の改正において、そういう違った使われ方というのは、そういうところのガードレールはしっかり張ってありますよねという確認と、そういう限界的な事例が最近出てくることについてどのようにお感じになっているか、そこの大臣の御所見もあわせてお聞きしたいと思います。

    〔稲見委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 一般的に、義務づけ・枠づけのような規制を緩めるといいますか、なくすということは、当事者の皆さんの自由度を高めるということになります。これは、私は一般論として正しいことだと思うんです。ただ、そのことによって野方図になるのではないかとか、部分的にとんでもないようなことが、非常識なことが起こるのではないかというのは危惧されないわけではありませんけれども、自由度を増すことの効用の方がやはり大きいというふうに観念すべきだと、まず思います。

 その上で、でも、そうはいっても、いろいろなハレーションが起きる可能性があるのをどうするのかということですが、一つは、国の規制、国のグリップを緩めるということは、今度はだれがそれをグリップするんですかといいますと、それは、このケースでいうと自治体であり、かつ、その中の住民の皆さんがそれをきちっと、自分たちで自主的にこれから守っていく。それは選挙を通じたり、いろいろな住民の政治参画機会を活用して守っていく。ですから、国のグリップがなくなってこれが野放しになるんじゃなくて、今度は住民の皆さんが自主的にグリップしていくという、ここのプロセスが作動されることが期待されているわけであります。それがなかったときには空白が生じてしまうということにもなりかねません。それが一つです。

 それからもう一つは、その上でなおかつ変なことが起こったときには、最終的には司法が解決する、これが当然前提とされているわけでありまして、国のグリップがなくなって、だれかが恣意的に勝手なことをやることが許されるわけじゃなくて、それは最終的には、何らかのプロセスを経て、司法の場によって是正をされるということであります。これが基本原則です。

 あと、そうはいいましても、今まで想定していないようなことも最近頻々と起こっておりますので、やはり必要なものについては、それはそれなりに事前ルールとしての制度を新たに構築していくということも必要だろうと思います。それが、例えば九州の阿久根であったような、議会を開かない、そういうケースをどうするかとか、先般も話題になりましたけれども、今回、決められた選挙を執行しない、これをどうするかというのは、やはり何らかの法的な手法といいますか、手続の構築が必要なのではないかなと思います。

 そういうふうに、基本的には自由度を増すという中で、それで足らざるところは手直しを部分的にしていく、こういうことをこれからやっていかなければいけないと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 法律に基づく行政という言葉がありまして、そしてまた、今おっしゃったように物事を濫用してはいけないということもありますし、最後は司法手続で解決していくことは、最後のところは担保されるにしても、そこまではかなり時間がかかるわけですから、何とかそういうことにならないように、なるべくなら、そういう道路の中に皆さんいていただく。ガードレールを張らなくても道路で走っていただければ、本当は一番いいのでありますけれども。

 そんな意味では、国においても、法律に決められていることがそのままなされているかどうかということは後でまたお聞きしたいわけで、みんながそういうことをある程度守っていかないと、どうしても路肩から落ちていくことが出てくるのかなと心配をするわけであります。

 二つ目ですけれども、きょうは済みません、質問があっちへ飛びこっちへ飛びしますけれども、地域主権改革という言葉についての確認であります。

 前回もありました。これは六文字の語句、地域主権改革という六文字の語句でないと、ちょっと法令用語としてはなじまないという判断を内閣としてされて、閣法として組み立てられた。前回もその経緯の説明はあったわけですが、それをちょっと逆に考えて、これも確認なのであえて質問するわけですが、では、地域主権という四文字であっては、内閣の立場としても、それは現状ではまだ法令用語としてなじまないという判断もされたということになると思います。そこの、四文字ではちょっと、まだまだいろいろあるのでというところの真意をここで確認しておきたいと思います。

片山国務大臣 地域主権、当時私も参画しておりませんでしたので、これはあくまで私個人の推測でありますけれども、地域主権という用語、この四文字も、世間的にはこなれていない、人口に膾炙していない、そういう事実認識というものがやはり根底にあったんだと思います。それが内閣法制局の審査などを通じて、そのことについて認識を政府内で共有したがゆえに地域主権改革という、その改革という内容をあえて六文字にして定義づけをしたのではないかと私は推測をしております。

橘(慶)委員 今の御答弁は、ちょっと僕としては不満なところがありました。というのは、当然、内閣法制局で精緻な審査をされているわけでありますから、その審査の結果というものを内閣としてお持ちになっていないというのはちょっと私としては解せないところであります。

 なぜ地域主権じゃなくて地域主権改革なのかというのは、言ってみれば想定問答ですぐ出てくるようなことが、今、推測とおっしゃったところについては、ううん、そうかなという感じがするんです。余りさら問いはしたくないんですけれども、推測ですか。

逢坂大臣政務官 委員長からの御指示ですので、私の方で答えさせていただきます。

 確かに、いろいろな議論があったのは事実でございます。法制局とのやりとりもさせていただきました。その際に、先ほど大臣が言いましたとおり、法令用語としてどうかという議論もさまざまあったことは事実でございます。

 ただし、地域主権ということは、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにしていくための、改革の根底をなす基本的な理念だろうというふうに我々は当時考えておりました。しかしながら、いろいろな議論があったことも踏まえて、法令上は地域主権改革という言葉で定義をさせていただいているところでございます。

橘(慶)委員 限られた時間なのでそれ以上は聞きませんけれども、本当は、そのいろいろな議論が何であったかということを議事録に残したかったという趣旨なんですけれども、きょうはここまでにいたします。

 次に行きます。

 地域主権改革といいますか、この今の法律でなされようとされている、言ってみれば地方分権推進からくる流れがずっとあるわけです。このお仕事をずっと内閣府で進めてこられているわけですが、今はある意味で根拠法がないというか、今制定しようとしているわけですから、臨時的な組織で今は取り組んでおられるはずであります。

 この臨時的な組織なんですけれども、これは外部の方はなかなかわかりにくいんですが、普通、内閣府とか内閣官房というと、何か官邸とか今の内閣府の本部の建物というのをよくイメージするんですが、これは時々私も委員会で申し上げますが、これが永田町の方のあるビルに入っていたり、それから民間のビルも借り上げておられたり、この地域主権、地方分権の改革については自転車会館というところにあるわけですね。名刺にそう刷ってあります。どこですかというと、アメリカ大使館の前の方のところでやっておられる。ほかに第四号棟にあるものもあったり、そうすると、行ったり来たりするのも大変かななんて思ったりもしちゃうんです。

 それはそれとして、ここでこういうことも一つ確認しておけばいいのかなと思ったのは、今、多分、法律でも府令でも政令でもない組織でやらざるを得ないという状態の中で、どういう形の組織で、どういう根拠法令に基づいて、今、たしか六十名のスタッフということで伺っているんですが、組み立てられているのか、一応確認をしておきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御案内のとおり、地域主権改革の事務は、自転車会館のところに事務所を置いてやっているんですが、内閣府の地域主権戦略室が担当している。

 これの設置の根拠でございますが、平成二十一年十一月十七日の内閣府訓令第五十号、これによって設置の根拠を持ってございます。

橘(慶)委員 訓令によって機動的にいろいろな組織をつくるというのは、それはそれでいいわけですけれども、やはりあくまで本来は、法体系というものが仕上がってくれば、そこに位置づけていった方がいい。それと、訓令でいろいろなことができるわけで、もちろん、こういう災害の場合なんかもそういうことが非常に大事なことにはなりますが、よく申し上げる、そういったものがだんだん肥大化してまいりまして、訓令でつくったものが、そのままあちこち林立しているというような姿にもなってきているわけであります。

 そうすると、本当にこういう形が望ましいのか、それとも、これは私の持論ですけれども、場合によってはもう少し総務省さんの中へ取り込んで、総務省も総合調整機能を持っているわけですから、そういう恒常的な形でやっていくということも、もし恒常的な仕事になるのであれば、そういうこともあるんじゃないかなと思うんです。

 片山大臣からも、内閣府自体はちょっと大き過ぎるかなというお話は何度かお聞きしているんですが、大臣も昔からこの国の行政を見てきておられますから、今申し上げたことも含めて、内閣府についての率直な御感想なり、もう少しこうした方がいいんじゃないかという思いがあれば、ここで確認をしたいと思います。

片山国務大臣 内閣府のようなところに機能と権限、それから組織が拡充されるというのは、歴史的な変遷なんかを眺めてみますと、各省の縦割りが非常に強くていわば硬直化してきているときに、そういう中枢機能のところの組織なんかが肥大化するという傾向が見られます。

 民主党政権になって、各省の縦割りを解除する、政治主導にするということでありまして、私は率直に申し上げて、以前に比べると随分変わってきたと思います。各省の縦割りの中で天下り系列を確保していく、そういう従来の慣行というのはかなりもう解体してきておりますので、そういう方面からも各省の縦割りの弊害というのはかなり変わってきている、解除されつつあると思います。

 そうであれば、各省の中で、主たる関係のある官庁が中心となってその事務を担っていく、何もかにも全部内閣府に供出するということではないやり方というのは、これから考えられてしかるべきだと私は思います。そういう意味でいいますと、この種の問題というのは、総務省で扱って十分に扱える問題だと私は考えております。

 ただ、現時点で、今私が申し上げたようなことが霞が関の各省の中で、それはそうだなというふうに快く共感されるかどうかというのはまだわかりませんので、これからの総務省を含めた各省の自制と努力、それによってこれから変わってくると思います。

橘(慶)委員 そこまで言っておいていただくとありがたいわけです。

 中には、知事さんの御経験の方、市長さんの経験の方もここにいらっしゃるわけですが、言ってみれば、知事公室とか知事政策室あるいは市長公室がそんなに大きい市役所なり県庁では動かないわけで、今おっしゃったように、ではそれは総務部でやってよ、それは土木部で調整しなさいと知事さんが言えば、普通やっていくわけですよね。そこは逆に、霞が関が、県庁や市役所あるいは町役場などを学んでもいい部分ではないかと私は思うので、ぜひ、そういう改革に入っていく。そのためにも、ただただ組織をつくる、つくるではなくて、スクラップ・アンド・ビルドとか、抑制的に考えていくということをぜひお願いしたいと思うわけであります。

 だんだん時間は過ぎていくわけですが、どうしても聞きたいところは最後に聞かせていただくことにして、もう少し続けていきます。

 この第三次勧告では、義務づけ・枠づけの見直し全部で、今カウントし直すと八百八十九条項の勧告があるそうであります。今回ある程度の措置はされまして、この後も、非常に大部な労作の法律を予定されていることも知っておるわけですが、それも含めて、どれくらい整理がされて、あとどれくらい残るという、次の法律も含めたことでの内閣としてのお仕事の現状をここで確認しておきたいと思います。

逢坂大臣政務官 条項数について申し上げます。

 今御指摘のありました第三次勧告の八百八十九条項のうち、平成二十一年十二月の地方分権改革推進計画等によりまして、まず百六条項を見直すこととしております。それから、昨年の六月の地域主権戦略大綱において五百三十条項。合わせて、現時点で六百三十六条項について見直すことを決定してございます。したがいまして、まだ見直しが必要なものは二百五十三条項あるということでございます。

 これらについては、三次勧告で取り上げたもの以外にもございますので、それらを含めて、今後さらに検討してまいりたいと思っています。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 八百八十九分の二百五十三と単純に言ってはいけないのでしょうけれども、一つ峠は越えつつあるという数字ではないかと思っております。

 そうなってくると、いよいよまた、いわゆる国と地方の関係における改革、あるいは、これから変えていくということについてはまだ幾つかのテーマがあるかと思っております。例えば国の出先機関の改革というお話も出ておりますし、前々から道州制の問題も残っております。あるいは地方自治制度のさらなる見直しということで、地方自治法のさらなる改正というようなこともお考えになっているように聞いたりもしております。

 いろいろなテーマがある、当然多岐にわたる分野ではありますけれども、当面、これからの一つの見通しとしてこういうことに重点を置いていくんだ、言ってみれば、その辺の方向感覚みたいなことをここでお伺いしておきたいと思います。

片山国務大臣 先ほどもちょっと触れましたけれども、地方自治を進展させる場合に、団体自治を強化することと住民自治を充実させること、この二つの要素がありまして、これを同時並行的に進めることが必要だろうと思います。ともすれば、従来は前者の団体自治の強化の方に重きが置かれていたような気がしますが、一番肝心なのは、やはり住民の皆さんの意思が反映するということですから、住民自治の充実強化ということも同時並行的にやらなきゃいけないと思います。

 そういう文脈の中でいいますと、前者の方の団体自治の強化という観点でいいますと、一つは、権限をできるだけ自治体に移譲するということでありまして、その一環として出先機関改革というのが出てくるわけでありまして、これは非常に重要なテーマであります。あわせて、財政が今非常に問題でありますので、財政面での自由度も高めるということで、これが一括交付金化というような一つのテーマになってくると思います。

 前者では、その二つが目下の課題であります。一括交付金化の方は部分的にスタートしましたので、これができるだけ円滑に定着をしまして、さらにこれが拡充されるような環境をつくっていきたいと思っております。

 後者の方は、住民の意思をできるだけ反映しやすくするためには住民の政治参画機会の拡大が必要となりますので、これは専ら地方自治法などの改正になっていきますけれども、住民の皆さんの意思を反映させるための直接請求制度の改正でありますとか、できれば住民投票の仕組みを何らかの形で導入したいというようなことを考えておりまして、これをできるだけ早く法律の改正案という形で国会に提出したいと考えているところであります。

橘(慶)委員 大体、今のプランといいますか、見取り図ということで今お聞きしたわけで、先ほどもうお答えをいただいちゃいましたので、ここは飛ばしますが、そういうことを、もし可能であればある程度、やはり総務省でやっていかれるものは総務省でやっていかれた方がベターではないかなと私は思います。

 たまたま今一括交付金の話が出ましたが、一つ質問が飛びますけれども、きめ細かな交付金は、ここのところ毎年続いていますけれども、ある意味では補正予算なり臨時的措置ということで理解しますが、地域自主戦略交付金については、今回、内閣府の権能として、そういうものの配分権といいますか計算をするという仕事も加わったわけですが、これはまた、何か地域主権戦略室とは違う形でされるようにも聞いたんですけれども、これはどこのセクションが担当されるんでしょうか。

逢坂大臣政務官 御指摘のとおり、きめ細かな交付金については内閣府の地域活性化推進室がやったわけでございますけれども、今回の自主戦略交付金は、この地域活性化推進室の職員を中心にして設置いたしました内閣府の地域自主戦略交付金業務室が担当することになっております。

 ただ、ここで一点御注意いただきたいのは、新たに人員をふやしてこういう室をつくったということではなくて、今までの活性化推進室と地域主権戦略室、この関係職員の併任によって組織をつくったということでございますので、効率的な業務の執行に配慮してやっているということでございます。

橘(慶)委員 もちろん、人がふえていないにこしたことはないんでしょうけれども、ただやはり、人間、肩書きが多くなって、看板が多くなって、自分が何であるかというのがいっぱいあるというのはアイデンティティーがつらいというところもありますので、それがいいかどうかということを疑問に思っているわけです。

 もう一つ言いますと、その地域活性化室というのは、私は臨調ビルと言っちゃいますけれども、永田町庁舎にありまして、そして自転車会館の方に地域主権室があるわけでしょう。そういうイメージというのは何か、機動的なというか、内閣府だというか、総合調整だというのとなじまないような気がするんですよね。そこは何とか是正されればいいと思うし、もっと言うと、やはり器の中におさまる程度の組織にされておかないと本当の意味で機能しないし、働いている方々もある意味で大変なんじゃないのかなと思っているというところまでにきょうはさせていただきたいと思います。

 それでは、あと四つ、どうしても聞きたかったところを聞かせていただきます、確認めいたこともありますが。

 まず片山大臣にですけれども、国と地方のあり方をいろいろなことで今改革していく中で、地方六団体の話題というのはいろいろ出てまいります。ただ、大臣の方のお話にもありますように、首長三団体と議長三団体では考え方が違うという場面もあるとか、あるいは大臣自身の御経験からしても、一つの会といっても一枚岩ではないとか、いろいろなお話も出ておりました。

 しかし、そうはいっても、やはり地方六団体と言ってみれば総務省なり国とが、内閣府も含めて、いろいろな協議をしていかなきゃいけない。そういう中で、相方になり得るべき地方六団体というものをどのようにお考えになっていて、どういうふうに地方六団体と話をしていこうと思っておられるか、確認をしたいと思います。

片山国務大臣 いろいろなとらえ方があると思いますけれども、私は、今はこういう立場ですし、以前は知事会に身を置いておりましたので別の立場だったんですけれども、両方をつかさどっていたり、現状いる、そういう立場としての印象を申し上げます。

 地方団体というのは、個別に分けますと四十七の都道府県と千七百余りの市町村でありますから、一つ一つを国と対比させますと非常に非力であります。もちろん、東京都のように非常に強大な自治体もありますけれども、小さい自治体が多い。非常に非力であります。

 ところが、実際にやっていることは、一人一人の住民の皆さん、それが同時に国民の皆さんでありまして、その皆さんに対して非常に重要な仕事をしているわけでありまして、そういう意味でいうと国も自治体も変わらないわけであります。もちろん量的には、国の方が全国民を相手にする、自治体はその当該区域の住民の皆さん。ですから、量的には少ないんですけれども。

 そういう重要な仕事をしている自治体が個別に分断されたままですと非常に非力でありますので、そこで、これは労働組合と同じような発想になるわけでは必ずしもありませんけれども、やはりある種のまとまりを持って、国との間でいわば対等ないし対等的なポジションを得て、それによってきちっと言うべきことを言って、さらにそれを実現させる、こういう手だてというのは必要なんだろうと思います。そういう意味でいいますと、全国知事会とかを初めとする地方六団体というのは、そういう意味があると私は思います。

 ただ、おのずから限界もありまして、それは、四十七の都道府県が決して利害を共有しているわけではない。もちろん共有している部分もあります。ですから、共有している部分を中心にしながら、先ほどの、個別では得られないようなポジションをもとにして、国ときちっと話をして必要なものを実現していく、こういうことだろうと思います。

橘(慶)委員 言ってみれば、それなりに固まっておられる一つの、団結というとあれですけれども、そういう団体であるということの認識の中で、ぜひ、そこは六団体とよくお話し合いをされて、地方自治法等も今まだ話し合いが続いているような話も聞いておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと一つ飛ばしまして、片山大臣にもう一つ確認をさせていただきます。

 例の地方制度調査会、前の通常国会の衆議院本会議で平野官房長官は、正確に言うと、廃止を含めて見直しを検討とおっしゃった。一昨日のお話を聞きますと、片山大臣なりのいろいろな思いも含めて、その範疇に入るかもしれませんが、廃止は当面考えないんだ、そういう形の状態に今あるというお話があったわけで、内閣の見解として、もう一度ここは確認をしておきたい。今のところは廃止は考えていない、こういうことでよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 私、この担当大臣になりまして、地方制度調査会の設置法ですか、根拠法について、これを廃止に向けて検討を進めているという事実はございません。我が国は法治国家でありますし、その法律が現在ちゃんとあるわけでありますので、これは、その法の趣旨を生かしていかなければいけないと思っております。

 もちろん、今後どうなるかというのは、これはあらゆる政策がそうでありますし、法制度がそうでありますけれども、それはそれぞれの、そのときの考え方とかによって変わり得るものでありますけれども、現時点では、そういう廃止に向けた検討を担当大臣としてしているわけではありません。

橘(慶)委員 そこで、きょうの冒頭の限界事例的な話とまたかみ合ってくる部分なんですが、法律に基づいてこういう組織がある、だけれども、そこの委員は今任命をされていない。それも、例えば半年とか一年はいいでしょう、そういうことはあることですから。ただ、先ほどの最初の話と同じなんですが、では、これがずっとこのままでいいかというと、それは不作為になっちゃうんじゃないかという気がするんですよ。どこから違法状態とは言えないけれども、短い期間ならそれはあるでしょう。でも、長くなったらやはり違法状態であって、内閣の立場として、それをどうするかと決断していかなきゃいけない。それは経済財政諮問会議にも同じ問題があると思います。

 だから、私はこれはつくづく思うんですが、最初に整理されるなら整理されてから新しいものを立ち上げるのならよかったんですけれども、それはそれで一たんおいておいて別のものを立ち上げて、そのままほっておいてはいけないと私は思うんですね。やはりどこかでそれは整理をしていく。そういうことがないと、国がそうしないと、今度は地方の、今のいろいろな限界事例に対して国が強いことを言えなくなるんじゃないか。

 全体に、法律に基づく行政ということをぜひここでお考えになっていただいて、きょう、今すぐとは言いませんが、いつかやはりそこは整理していくというのがある意味でお互いの務めではないか。これは指摘だけにきょうはさせていただきますけれども、お願いしたいと思います。

 そこで、環境省の方から時事問題を一つだけ聞かせていただきたいところがありまして、お越しいただいていますので、空振らないようにこちらから参りたいと思います。

 津波というのは地震とは違うわけで、つくづくわかったことは、地震だと、そこにあるものはそこで崩れるんですが、津波に遭うと、そこに崩れたものがよそへ行くということによって二次災害が起きる。私はたまたま港のこともやったことがあるもので、仕事をしたことがあるからわかるんですけれども、コンテナなんというのは、阪神・淡路の大震災なら港の中で崩れるだけなんです。それが波の力で持っていかれるから、周辺のとんでもないところにコンテナが、船もそうですけれども、そういうものが行ってしまう。

 ということで、瓦れき処理というのが今回非常に大変なお仕事になっている。また、それをきれいにしてあげるということがやはり復旧復興の最初のお仕事であろうと思っております。

 一日でも早くというのが皆さんのお気持ちであります。既に環境省さんが御指導されて、地元では調査会をつくったり、いろいろな形で始められているわけですが、関係資材の確保あるいは仕事の確保とあわせて、こういったことの促進ということについてやはり力を入れるべきではないか。今日的状況についてお答えをいただきたいと思います。

樋高大臣政務官 橘先生におかれましては、今回の震災対策も大変御熱心にお取り組みをいただいておりますこと、深甚なる敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 大切な御指摘をいただいたと認識するわけでありますが、災害廃棄物の処理につきましては、市町村によります仮置き場の確保も今着々と進んでおりまして、岩手県、宮城県、そして福島県の三県におきましては現在約二百八十カ所設置されておりまして、多くの市町村におきまして、災害廃棄物の仮置き場への搬入が既にあちらこちらで始まっているという状況でございます。

 また、先生今おっしゃいましたとおり、東北の岩手、宮城、福島の三県におきましては、環境省の呼びかけによりまして災害廃棄物処理対策協議会を開かせていただきまして、地域の実情に応じて具体的な進め方、処理の進め方について話し合いがなされまして、実を上げているということでございます。

 先生御指摘のように、瓦れきの処理に当たりましては、コンクリートなどは適正にリサイクルした上で道路の補修など復旧資材として活用することや、それらの業務に被災者の方を積極的に雇用させていただくということが重要である、このように考えております。先生の御指摘も踏まえさせていただきまして、リサイクルによる復旧資材の確保、あるいは被災地における雇用に配慮しつつ、災害廃棄物処理が迅速に進むように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 私自身も環境省の災害廃棄物対策特別本部長として、その陣頭指揮をとらせていただいておりますけれども、答えはやはり現地にある、現地にこそ答えがあるということで、現地調査に今まで七回入らせていただいたわけでありますが、現地の課題を的確に把握して、同時に、それぞれの課題を解決できるように誠実に取り組ませていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 日々変わる現地の状況をつかんで、またよろしくお願いします。

 逢坂政務官に道州制のところを聞きたかったんですが、またの機会にとっておきたいと思います。

 それでは、これで終わります。ありがとうございます。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして順次質問をさせていただきたいと思いますが、本題に入る前に一つ、東日本大震災の復旧復興に寄せて一点お伺いをさせていただきたいと思います。それは、自治体への寄附制度のことについてです。

 既に、日本赤十字社それから中央共同募金会などに寄せられた義援金が、被災を受けられた方々への支援としてその輪が広がっている、また今回、この大震災で被災した自治体を支援するための寄附金を送る、そういう動きもついてきている、このように認識はしているんですけれども、特に、被災者がこれまでの生活に戻るためには今なお相当の時間を要すると思います。その中で、例えば瓦れきの処理もそうですけれども、道路の整備ですとか、いわゆる社会基盤の整備というのは不可欠である。そういう中で、特別交付税あるいは復興の予算等々についても、これは当然のことですけれども、自治体が独自に使える財源としての寄附というのは大変ありがたい、このように思います。

 このような中で、被災地の復興のためにふるさと納税制度をもっと活用すべきではないか、こういう声も一部出ておりまして、その点についてまずお伺いしたいと思うんです。

 ふるさと納税については、もちろん各種のいわゆる税の控除の制度もありますけれども、こうした復旧復興に向けての支援というのは、何よりもさらに大きく輪を広げていく必要性があるだろう。今回、この震災に当たり、自治体への寄附の輪を広げていくという認知度というのは果たして高いのかどうかということもちょっと懸念しておりまして、私は、このふるさと納税制度を政府としてももう少しPRしていく必要があるのではないか、このようにも思っているところでございます。

 したがいまして、この自治体への寄附制度について、この際、所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 とかく義援金の方は非常に有名でありまして、国民の皆さんの間に広く日本赤十字社などの義援金の仕組みというのを認知していただいておりますけれども、ふるさと納税を通じて被災地を支援するという仕組みは必ずしも認識が共有されていないということがありますので、これは比較的早い段階で政府内でも、私が所属しております被災者生活支援特別本部でこの問題を取り上げまして、ぜひこれを広く周知しようということで、既に政府広報などを通じまして、ふるさと納税制度という仕組みを通じて被災地の自治体を支援する、そのことを通じて被災地の被災者の皆さんに対する支援の輪を広げてくださいと、こういうことをやっております。

 それぞれの自治体、個別の自治体ごとですとそんなに大きなまとまった金額にはなりませんけれども、ある程度の金額が、このふるさと納税を通じて資金が提供されているという実態もございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、この自治体への寄附制度についてさらにPRにお努めいただければと、このように思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、片山大臣の、昨年の参議院総務委員会、参考人の時点での御発言について数点、確認ということで、お伺いさせていただきたいと思います。

 まず、昨年、参議院先議で法案審議されたこの地域主権三法案ですけれども、大臣は、当時、慶応義塾大学の教授として参考人としての意見陳述をなされておられます。もちろん、現在は担当大臣というお立場で、参考人当時の御意見とは単純に比較することはできないというふうに承知をしておりますけれども、この審議している法案の中身について深めておきたいという視点から伺いたいと思っています。

 まず、地域主権改革推進法案についてですが、大臣は、当時、自治体に対する国の関与、義務づけ・枠づけの整理はほとんど意味がないのではないかと。もちろん、ただ反対するものではないという御趣旨の主張をなされております。

 それから、自治体の地方債発行に対する国の関与については廃止をすべきではないか、このようにもお話をされました。大臣になられてから、地方債発行の国の関与については見直す方向で検討されている、このようにも聞いております。

 それから、国と地方の協議の場に関する法律案について、これは反対の意を表明している、このようにも受けとめられます。

 まず、地域主権改革推進法案に対する考え、当時のお考えとお変わりないのかどうかということ。それから、国と地方の協議の場についての認識。今回法案が通れば、政府と地方六団体の協議、当然、出た結果についても尊重しなければならない。大臣になられた今、この辺をどのようにお考えになられているのか、この点について、確認の意味でお伺いさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 昨年の四月、まだ私は大学に所属しておりましたけれども、参議院総務委員会の参考人質疑で、参考人として招致をいただいて、自分の考え方を率直に述べた次第であります。そのときに、幾つか気になる点とか懸念とか、より改善をするにはこうするべきだとか、こんなことを申し上げたわけであります。

 例えば、一括法につきましては、数の大変多い見直しが行われますけれども、当時、私、今もそうなんですけれども、自治体の側から見て、特に私が自治体の首長をしていたときの経験から見て、いろいろな見直しがあっていいけれども、やはりこれがなければ画竜点睛を欠く、ぜひこれはやるべきだという、それが含まれていないことに対して懸念、危惧を申し上げました。それが、さっきお触れになった地方債に対する国の関与でありまして、まず第一にそれをやるべきではないかというのが当時の私の考え方でありました。

 その点につきまして、私、昨年の九月から総務大臣を拝命いたしましたので、早速に見直しを始めまして、地方債に対する国の関与を段階的に緩和していく、こういう方向を決めまして、既にこれは、次の義務づけ・枠づけの見直し、第二弾の改正法案の中にもう盛り込んでおりまして、国会に提出をしているところであります。

 それから、自治体が国に何らかの形で寄附をする、自治体が資金を提供しながら国と共同で何らかの事業を行うときにこれも禁止されているわけでありまして、禁止を解除しようと思ったら総務省の承認が要る、こんな仕組みもありまして、これも、私、年来、やめるべきだと主張しておりまして、当時、その参考人質疑のときも、それがないのはやはり一番基本的なものが欠けているのではないか、こういうことを申し上げました。これも、先ほどの第二次の義務づけ・枠づけの見直し法案の中に早速盛り込んでおりまして、国会に提出をしております。

 そういうことで、自分なりに当時の問題意識を解決しているところであります。

 国と地方の協議の場について、当時否定的なことを申し上げましたけれども、気になる点は幾つかありました。一つは、六団体というものが総じて、率直に言いますと天下りの拠点になっておりまして、当時天下り根絶ということを新政権が言われておりましたので、やはりその辺は少し見直しをすべきではないか、そういう問題意識がありました。この点は、実は全国知事会がもう既に、三月だったでしょうか、事務総長の更迭を行いまして、天下りでない方がつかれておりまして、私は随分改善をされたと思っております。

 したがって、その後のそういう状況の変化がありましたので、私が当時抱いておりました危惧というのはかなり解消されたという認識を現在は持っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 そこで、今大臣がお話をされた地方六団体への天下りのことですけれども、この点について一つお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 大臣は、鳩山前総理を議長とする行政刷新会議の当時の議員であったということ。それから、枝野現官房長官が行政刷新担当大臣だった時代に、昨年の四月二十日ですか、公益法人を対象とした事業仕分けの第二弾の中で、今お話のあった全国知事会について、総務省の天下りの団体ではないかというお話が当時の片山大臣からあって、まずこの天下りをなくすべきだという御主張をされた。この指摘に対して当時の枝野担当大臣が、広い意味で行政刷新の視野に入れる、こう応じた、このように認識をしております。ところが、昨年の事業仕分けのメニューを調べてみたら、結局入っていないということ。

 この行政刷新会議の議事録によりますと、原口当時大臣から、いわゆる地方六団体については、総務省の天下りは今後根絶したい、こういう強い申し出があった、結果として、事業仕分けの場では議論にならなくて、原口大臣のもとで取り組みを進めることで必要な改革がなされた、このような報告になっているというふうに認識しているんです。

 もちろん、今大臣から御答弁がありましたように、大臣として早速手を打って、総務省OBが地方六団体の天下りの拠点になってしまっているということをしっかり対応、解決したんだとお話がありましたけれども、果たしてそれで根絶の道は続いているのかどうかということ、このことを再度この機会に確認させていただきたい。

 それは、片山現大臣もそのようなことで御答弁を最初にいただきましたし、原口前大臣におかれても、そこはもう、当時、大臣としてしっかり対応されている、このような認識に立っているものですから、改めて、この天下りの根絶ということについて大臣のお考えを再度伺いたいと思います。

片山国務大臣 行政刷新会議のときのことにお触れになられましたが、必ずしも厳密に正確な記憶かどうかわかりませんけれども、当時のことを振り返りますと、国と地方との協議の場ということが議論になったというか、私がしたのかもしれませんけれども、その際に、六団体のすべてが天下りの事務総長を抱えているという実態の中で、対等の立場で国と協議をする、それにはいささか違和感がありますということを当時の鳩山総理に申し上げた記憶があります。

 それについて話題になりまして、たしか当時の原口総務大臣が引き取られて、それは知事会などに伝えますということでありまして、それがきっかけになりまして、お伝えいただいた結果が、人事でありますからしばらく時間がかかりますけれども、その結果が具現したのが三月の知事会の事務総長の更迭につながったんだろうと思います。ですから、これは大きな一歩だと私は思います。

 ただ、この種の問題で非常に微妙といいますか難しいのは、当方に人事権がありましたら比較的スムーズに問題の解決は可能なのでありますけれども、あくまでもそれぞれの主体的な団体があって、その団体に自律的な人事権があるものですから、こちらの方から問題の所在を伝えて、考え方を表明することは幾らでもできるのですけれども、最終決定はそれぞれの団体にあるものですから、ああせいこうせいと言うことはできないわけです。ですから、私どもの考え方、意を酌んでいただいて順次変えていただく、こういうことになろうかと思いますので、多少時間がかかるということは御理解いただきたいと思うのであります。

 それはそれとして、そういう前提の中ではありますけれども、私は、この間、やはり着実にそういう方向に進んでいるし、それをこれからもずっと注視し続けて、基本的な考え方、大切な理念というものはお伝えし続けていきたいと考えております。

稲津委員 わかりました。

 ともすれば地方六団体は、事務レベルでいうと総務省の出先機関じゃないか、そういうことをおっしゃる方もいて、まあ妙を得ているなということを私もかつては感じてまいりました。したがって、ここはぜひそうした姿勢で強く臨んでいただきたいと思っておりますので、お願いを申し上げたいと思います。

 次は、国と地方の協議の場法制化の意義と協議結果の尊重義務についてということで、数点お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、法制化の意義についてですけれども、御承知のとおり、国と地方の協議の場、今に始まったわけではなくて、平成十六年に一度、法律上の根拠を置かない形で設置をされている。しかし、これは、特に地方からの意見において、十分機能を発揮しなかった、そういう厳しい指摘、意見がありまして、法制化を求める要望が頻繁に出された、そしてこのたびの法案の提出につながった、私はこのように理解をしているところでございます。

 この平成十六年に設置された法的根拠に基づかない国と地方の協議の場について、地方側が厳しい評価を出すに至った理由についてどのように認識をしているかということ、それから、その反省を今回の法案に、その協議の場にどのように生かそうとしているのか、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御案内のとおり、国会の場ではいろいろな法案が審議されて決定されていく、あるいは政府の側からもいろいろな政策が発表され、それが実行されていくわけです。実は、その多くが、自治体の現場にかかわるものが非常に多い、これは事実であります。

 しかしながら、自治体の現場にかかわるものが非常に多いにもかかわらず、その法案の内容、法律の内容や制度設計が、自治の現場の実態に照らし合わせてみると、どうも実態に合っていないんじゃないかなと思う節が自治体の側にはあるというふうに私は思いますし、私自身も町長のとき、そう感じていました。

 であるならば、法案をつくるプロセスの中に最初から自治体を組み込んでいれば、自治の現場の思いがもっと入った、国民の実態に沿う形の制度あるいは法律というものができていくのではないかという思いが自治体の側にはあったというふうに思います。

 そのような観点から、対等な立場で政策の企画立案にかかわっていきたいというのが、今回の法制定を要求する強い思いだったのかなというふうに思っています。

 したがいまして、以前の、法に基づかない協議の場というのは、そういう思いが十分に達せられなかったというある種の不満が自治体の側にあったのではないかというふうに思っています。そこで、今回、そうした思いを少しでも払拭できるようにということで、法律的にこの制度をしっかりと担保していくということが第一歩目でございます。

 しかしながら、法案の中身を見ていただくとわかるとおり、余り微に入り細に入り、詳細のこと、手続などを決めておりません。それは幾つか理由がありまして、余り微に入り細に入り法の段階で決めてしまうと、逆に、実際運用していくときにお互いを縛ってしまって、よい結果にならないのではないかという思いもございました。

 そこで、今回のこの場ができ上がりますと、何度か何度か実践を積み重ねていく、いろいろなことを積み重ねていって、その中で、話し合いのスタイルといいましょうか、そういうものの質を高めていくということが重要かなというふうに思っております。今回の法案策定のプロセスには、そういったことも踏まえて工夫をしているつもりでございます。

 したがいまして、最初から一〇〇%十分にワークするということではなくて、お互いの努力で高めていこうというのが非常に重要なポイントかなというふうに思います。

稲津委員 そのときにやはり一番大事になってくるのは、要するにその協議の場がいかなる意義を持つかということであると思うんですが、やはり私は、何か地方の声を聞きおくみたいな、そういうことであっては決していけない、このように強く思っております。

 その意味に立って、協議の結果をどう受けとめていくのかという、協議の場の尊重について伺いたいと思います。

 第八条に、協議の場において協議が調った事項については、協議の場の参加者全員に協議結果の尊重義務が課せられている。そういう意味で、この協議の結果というのはどう担保されていくのか、この点をお伺いしたいと思うんです。もう一つは、協議が調ったというのは一体どういうことを指すのかということもあわせてお聞かせいただきたいと思うんです。この点についてお示しいただければと思います。

逢坂大臣政務官 今回の協議の場に関しましては、協議が調う調わないにかかわらず、その結果を国会に報告することになっているわけであります。当然、協議が調うということは、両者がある一定の事項についてこの方向で進みましょうというようなことで合意がなされることだというふうに思うわけです。その際に、国の側においては、そうした合意されたことについて、例えば予算措置をするとか、あるいは法案を立案していくとかといったような対応が求められていくというふうに思います。

 しかしながら、一方で自治体の側でございますが、自治体も随分と立場が違っております。小規模な自治体もあれば大規模なところもある、あるいは、農業中心の産業のところもあればそうでないところもあるということで、利害が随分錯綜しているのが自治の現場の実態ではないかなというふうに思います。そういう意味においては、自治体の側では、協議が調ったことを尊重するといっても、それでは全員に義務的にこの方向でやりなさいということは必ずしも言い切れないのではないかと私自身は感じております。

 したがいまして、協議が調ったことについて、傘下の自治体に全部お知らせをして、こういう方向になりましたので、みんなでこの方向で誠実にお願いしますねというようなことが求められるのかな、それが現実ではないかなというふうに私は思います。

稲津委員 もう一つは、では協議が調わなかった場合はどうなのかということについてもお伺いしておきたいと思うんです。

 協議の場において合意ができなかった、例えば協議が難航するとかいろいろなケースがあると思うんですね。その中で、例えば一つの例を挙げますと、昨年もことしもそうですけれども、子ども手当法案、一部の自治体が地方側の負担のあり方について反対の表明もされた。法制化された協議の場ではないにしても、一定の協議を行った結果、地方の側の理解が得られないままで、極端なことを言うと地方側の反対を押し切るような形で政府方針を決定してしまえば、これは意図するところでなくなると思うんです。こうした事態が頻繁に起きれば、協議の場というのはある意味では形をなくしてしまうだろう、国と地方との信頼関係というのを損なうのではないか、こういうことを懸念する声もあります。

 そこで、今回の法律に基づいた協議の場を設置することによって、この辺の部分についてはどのように整理しようとしているのか、この点についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 御指摘のとおり、協議が調わないといいましょうか、お互いが一定の方向で合意に至らないケースもあろうかというふうに思います。しかしながら、そういう場合に、例えば政府の政策としてそれらは全くやれるのかやれないのかというところについては、いろいろな議論があるというふうに思っています。

 私自身も自治の現場で仕事をさせていただいて、例えば住民の皆さんといろいろ話をして、住民の皆さんは反対をする、だけれども、その地域にある種責任を持つ首長として、反対をする政策であっても議会へ提案をして、議会の場で御判断いただくというようなこともあったのは事実でございます。

 なぜそういうことをするかというと、それは、仮に住民の皆さんが反対をしたとしても、遠い将来でありますとか、あるいは今住民の皆さんが持っている問題意識を超えたところで、これは手当てをしなければならないのではないかという地域のリーダーとしての責任から、そういうことをしているわけでございます。

 したがいまして、今回の国と地方の協議の場においても、もし仮に協議の方向性が一致しないものがあったとしても、そのことはまず国会に真摯に御報告をする、そして国権の最高機関の場である国会の中で、例えばその方向で本当にいいのか、あるいはもっと別の方法があるのかということがいろいろ議論され、決定されていくのではないかなというふうに思っております。

稲津委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしましても、先ほど平成十六年の話がありまして、そこから協議の場ということは法制化という議論がなされてきて、やはり地方の声を、政務官も首長経験者でいらっしゃるのでもう十分御承知かと思うんですけれども、そういう協議の場をつくっても、ただ地方の意見を聞きおくとか、話は聞いてあげようとか、そういう場に決してならないような取り組みを今後も進めていただきたいですし、我々も議論をさせていただきたい、こう思っております。

 終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 地域主権改革推進法案について、保育所の最低基準に関して質問をいたします。

 保育所の最低基準の中に、耐火上の基準という防災上の基準が定められております。東日本大震災を踏まえて、今、この安全基準が問われております。

 厚生労働省、小林大臣政務官にお尋ねをいたします。二階建ての建築物の場合に、避難路の確保について建築基準法上の最低基準と保育所の最低基準に違いがあると承知をしておりますが、どのような違いがあるでしょうか。

小林大臣政務官 建築基準法においては、二階建ての建物の場合、五十平米以上の保育所には地上に通じる直通階段が二カ所あればよい、このように規定されております。仮に五十平米以下の保育所があれば一カ所、直通階段については材質等の仕様は問われない、これが建築基準法でございます。

 一方、児童福祉施設最低基準においては、二階建ての保育所の場合、その面積によらず、常用する階段のほかに、一つは耐火構造であること、二つ目が壁面が不燃材料でつくられていること、三つとしては採光窓または予備電源を有する照明設備を備えるなどの要件を満たした避難階段または屋外避難階段を設けること、このようにされております。

塩川委員 今御答弁がありましたように、避難経路についても、建築基準法上の規定よりも、より経路を確保するということが措置をされる、あるいは耐火構造や不燃構造にする、こういう措置になっているわけであります。

 重ねてお尋ねしますが、なぜこういう違いがあるのか、その点についてお答えください。

小林大臣政務官 保育所につきましては、乳幼児は単独避難が困難でございます。職員の介助、誘導が不可欠である、そして、通所施設ではありますけれども、昼寝をしている時間帯がある、こういうことの特性を考慮して、二階以上に保育室等を設ける場合の耐火基準に関して、児童福祉施設最低基準において、建築基準法の規定に上乗せして規定をしているということでございます。

塩川委員 ゼロ歳、一歳、乳児や幼児の場合について避難が困難だということはだれにもわかることだと思いますし、昼寝の時間もあって、そういう際にいち早く避難ができるという措置を行う上でも、一般の建築基準法上の基準に上乗せをして保育所の最低基準を設けているという話であります。そういう点でも、複数の避難経路を確保するということは当然、最低限の措置であります。

 その点で、今回の法案では、保育所の防災の基準について、条例委任をした上で、参酌すべき基準としております。国の基準は参考にすればよいということになります。安全基準を引き上げることもできるかもしれませんが、現行の保育所最低基準を引き下げることも可能となります。

 現行でも上乗せは当然できるわけですから、結局、今回の法改正は、安全を守る基準を引き下げることを可能とする法改正になるだけじゃありませんか。厚生労働省としてお答えください。

小林大臣政務官 保育所については、その施設の運営の基準を適切に定めることなどによって、子供の健やかな育ちを保障することが重要である、このことが第一義でございます。

 現在御審議いただいている今回の法案において、参酌すべき基準と考えています避難階段等の基準についても、各自治体において、子供の安全、安心が守られるよう適切な基準を定めていただくことになり、引き続き保育の質が確保されるように適切な措置を講じていただきたい、このように考えているところでございます。

塩川委員 措置を講じていただきたいというお願いベースの話ではなくて、こういう安全基準というのは地域によって差があっていいものではない。そういう意味でも、そういう点での差が生まれないような国のナショナルミニマム保障としての基準を設けるということが厳しく問われている問題であります。

 今回の東日本大震災のとき、保育所の避難はどうだったか。

 これは四月三日付の東京新聞が報道しております。「園児背負い三十人救う 岩手・大槌町 保育士ら、急斜面駆け」という見出しの記事であります。

 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町の大槌保育園。園舎も避難場所も津波に襲われたが、必死の避難で園児を守った。

 八木沢弓美子園長によると、地震発生時は昼寝が終わったばかり。園児はパジャマのまま防災ずきんをかぶり外に。向かったのは国道沿いの小高い丘にあるコンビニ。町の指定避難所は空き地で寒さをしのぐ建物がない。保育園は、津波浸水想定区域のぎりぎり外にあるこのコンビニを独自の避難場所と決めていた。

 コンビニに着いて外を見ると、家の屋根をたくさん浮かべた高い波が迫ってきた。怖い、怖いと泣きじゃくる園児ら。覚悟を決めた。山に逃げよう。みんな、先生のそばにいれば大丈夫。

 国道は市街地から逃げる人や車で大渋滞。八木沢さんらは、一歳から年長まで残っていた園児三十人を散歩用の台車に載せて車道を駆け上がり約三百メートル先の山のふもとへ。

 さらに津波が迫ってきた。もう考えている暇はなかった。目の前には三十度を超えるような急斜面。でも登るしかない。八木沢さんら女性保育士二十人と男性保育士一人、さらに、近くに避難していたスーパー従業員の男女が手分けして園児をおんぶし、斜面に張りつくように四つんばいになって、切り株や木に手をかけて登り始めた。上へ上へ。

 必死だった。登りながら振り返った。大槌湾から押し寄せる波が、コンビニと園舎、指定避難所の空き地に向かう道路をのみ込んでいった。

 これが被災地における保育所の避難の実態なんですよ。まさに迫りくる津波のもとで、乳児や幼児を抱えて保育士の方々が避難をされる。そういう避難が、まさに一分一秒を争うような事態が現に起こったというのが今回の大震災であります。

 そういったときに、こういった安全についての基準、避難経路の確保について、こういう保育所の特殊性を踏まえた上乗せの基準を行っていたのを外すようなやり方をどうして認めることができるのか。

 改めて小林大臣政務官と片山大臣にお尋ねします。このような一分一秒を争うような事態が起こり得るのに、避難経路を減らすことを可能とするような法改正を行っていいのか、子供たちの命が守れるのか、このことが厳しく問われていると思いますが、それぞれお答えいただきたい。

小林大臣政務官 先ほども述べましたけれども、各自治体において、子供の安全、安心が守られるよう適切な基準が定められるもの、このように承知しております。

片山国務大臣 これは、今の例でいいますと、子供たちの安全というものについてだれが責任を持つのか、だれがその安全を担保するのかということでありまして、それを全国一律にすべて国が決めるというやり方なのか、それともそれぞれの地域で責任を持って決めるかという手法の違いであります。

 我が国は、そうはいっても、非常に広い国土で、地勢上も違います。環境もそれぞれの地域で違います。それから、地震とか津波なんかのリスク度も地域によって違います。そういう違いを踏まえて、それぞれの地域で責任を持って決めようということでありますから、私は、むしろ、全国一律になべて物事を律していくよりは、それぞれの地域で責任体制をつくって決めていくというやり方の方が妥当性が高いのではないかと考えております。

塩川委員 これは、最低基準を全国一律に定めている、これを外すという仕組みなんですよ。全国一律の最低基準がまず前提にあって、それぞれの地域の実情に合わせて上乗せをすればいい。それは現行でもできるわけです。この地域のように地震、津波の被害が想定をされるような場所であれば、地震、津波を想定した上乗せの基準を自治体が行う、これは自由に現行でもできるわけですから、こういうことこそ本来行うべき話であって、最低基準を引き上げる方向での取り組みこそ国が求められているときに、最低基準を外して条例委任にするというのは逆行しているんじゃないですか。今回の事態を含めても、こういうことはあってはならないと思いますが、改めていかがですか。

片山国務大臣 その発想ですけれども、国だけがそういうことをきちっと判定できるんだという考えではなくて、それぞれの自治体で責任を持って決める、そういう発想でもいいのではないかと私なんかは思うのであります。国が全部決めてあげなければ自治体はいいかげんなことをする、そういう考え方はこの際ぜひ改めていただきたいと思うんです。

 自治体の方がより住民の皆さんに身近な存在でありまして、子供たちの安全も、保護者により身近な存在である自治体の方が本来ならば親身に考えるはずでありますし、考えるべきであります。現状は必ずしもそうでないという認識をお持ちかもしれませんけれども、本来はそうであるべきで、ぜひ、こういう改革、改正をきっかけにして、これまで厚生労働省がずっと親身になって考えてきましたような事柄を自治体においてそれぞれの地域で責任を持って決める、そういう体制と習慣というものが身につくことの方が、長い目で見たらトータルとしての安全度合いは高まるのだろうと私は思います。

塩川委員 それは違うと思いますね。私は、今回の事態を踏まえても、安全の基準について後退させることは認められないということを申し上げたい。全国一律の最低基準なんですよ。最低なんですよ。それに穴をあけるような仕組みというのが今回あるわけですから、それは違うでしょう。上乗せをする方向で、自治体はまさに現場をよく知っているから適切な措置をとれるということこそ信頼をすべきものであって、私は、今回の改正そのものが、この前の質疑のときにも申し上げましたように、国が地方を縛るという話ではなくて、主権者である国民が、この問題でいえば安全という立場から、国と地方にしっかりとした取り組みを行えと義務づける中身である、そういうものを後退させてはならないんだということを重ねて強く申し上げておくものであります。子供の命を守る安全基準を後退させるような仕組みをつくることは絶対に認められないと重ねて申し上げます。

 その上で、保育所の面積基準の緩和についてお尋ねをいたします。

 政府の説明によると、保育所居室の面積基準については、東京等の一部の地域に限り、待機児童解消までの一時的な措置として、合理的な理由がある範囲内で国の基準と異なる内容を定めることができるとあります。

 厚生労働省にお尋ねをいたしますが、どのような場合に国の基準と異なる内容を定めることができるんでしょうか。

小林大臣政務官 保育所の居室面積の基準に関する特例措置は、待機児童の状況等に着目して、今後、省令事項として具体的に検討していきたいと思っています。あくまで特例措置として、一時的、地域限定的にすることを考えており、待機児童が多い地域で、かつ地価の高い地域を対象とするなど、保育所を整備するための場所の確保が困難な大都市部の待機児童解消に資する要件にしたいと考えております。

 なお、具体的な地域の指定については、さまざまな御意見があることを承知しており、この法律案の施行までの間に検討して、適切に対象地域を指定してまいりたい、このように考えております。

塩川委員 この面積基準の緩和ということは待機児童解消が目的ですよね。そういうことであれば、当然のことながら、面積基準を引き上げる方向には働かない、面積基準を引き下げる方向にならざるを得ないということですよね。

小林大臣政務官 先ほど答弁したとおりで、特に大都市部において待機児童の方が多い、あるいは地価が高くてなかなか保育所の建設が困難だ、こういうことなどを念頭に置いて検討していく、こういうことになります。

塩川委員 では、もう一回聞きますけれども、待機児童解消という目的で、面積基準、一人当たりの児童の面積について広げるということはあり得るんですか。

小林大臣政務官 先ほど言った特例措置ということの前提では、先ほど言ったような地域を想定して考えているということでございます。

塩川委員 結局、その中に含まれているわけですけれども、待機児童解消ということになれば、面積基準を引き下げる方向にしか働かないということを認めているということになります。

 そこで、待機児童が非常に多い地域というのは、五十人以上の待機児童がいる、いわゆる保育計画を策定している百一市区町村はもちろん対象になるということでよろしいですか。

小林大臣政務官 先ほど答弁したとおり、具体的な地域の指定についてはさまざまな御意見がございます。したがって、この法律案の施行までの間に検討して、適切に地域を指定してまいりたい、このように考えます。

塩川委員 地価が非常に高い地域とありますけれども、これはどういう地域か。地価が非常に高いということについて、これはまさに厚労省お任せの話ですから、この場できちんと聞いておかないと。役所任せの話になりますので確認しているわけです。地価が非常に高い地域というのは具体的にどういうものを指しているんでしょうか。

小林大臣政務官 これはさまざまなところも考えられますけれども、おおむね大都市部においてそういう傾向がある、このように承知をしております。

塩川委員 大都市部ということに当然なる。もともと保育計画を策定している市区町村は、現段階では百一区市町村と承知をしておりますけれども、ほとんどが三大都市圏や政令指定都市という大都市部に当たるわけであります。ですから、政府のペーパーなどを見ると、東京等でこういった緩和の措置をとるということですけれども、東京だけではなくて、まさに全国展開をするということが起こり得る話で、これをいわばアリの一穴にして全国展開をされるようなことにもなりかねないという極めて重大な中身であります。

 ですから、大臣にお尋ねしますけれども、先ほども小林大臣政務官にお尋ねしたわけですが、この面積基準の緩和についていえば、待機児童解消が目的ですから、当然のことながら面積基準を、一人当たり引き上げる方向ではなく、引き下げる方向になるということに働かざるを得ないというのは明らかですよね。

片山国務大臣 それは、現実に即して考えてみればそうだろうと思います。

塩川委員 その点が問われているわけであります。

 今回、全国の保育・福祉関係の団体から、この法案に対し厳しい意見が多数寄せられております。

 例えば全国福祉保育労働組合からの意見としても、施設の設備や職員配置は、子供やお年寄りの発達、既得能力の維持向上などに係る保育、教育、介護、発達などの科学的知見と福祉現場からの要請によって不十分ながらも積み上げられてきたもので、各分野からの検証抜きに一括に行われるべきものではありません、実際には、諸外国と比較して、世界的に見ても最低レベルの水準だと言われているもので、関係学会や福祉現場からは改善の課題こそ提起されているものです、先日の東日本大震災でも、職員配置が少ないために避難がおくれ、多くの福祉利用者が命を落としています、地方自治体の独自性がその基準に上乗せする形で実現されるよう、十分議論を尽くし、最低基準の条例委任を再考されますよう要求します、このように出されております。

 こういう声にこたえてこそ、関係者の意見を聞き、関連委員会との連合審査を行う。参議院では、厚生労働委員会や内閣委員会との連合審査を行いました。参考人質疑も行いました。地方における公聴会、地方での参考人質疑も行いました。この衆議院の総務委員会でも審議を尽くすべきなのに、きょう、質疑終局、採決という日程は許されない、こういう法案は撤回をすべきだと改めて申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 十五分という限られた時間でありますので、簡潔に要領よく答弁をお願いいたします。

 まず厚労省に聞きますけれども、先日も当委員会で、福祉関係に従事されている方からいろいろな意見をいただいているということを申し上げました。多くの方が不安視されている。保育所でいいますと、従うべき基準から参酌すべき基準になれば、保育の質が劣化するのではないかという不安を多くの方が持っている、こういうことを申しました。

 そこで、加えて、保育所に関して今回従うべき基準として設定されるのは、現在の児童福祉施設最低基準の三十二条から三十六条がありますけれども、その中でどの部分に当たるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。

小林大臣政務官 保育所の最低基準のうち、保育士の配置の基準、保育室等の面積基準、そして保育内容等については、直接保育の質に大きな影響を与えることから、従うべき基準として引き続き全国一律の基準を維持すること、このように考えております。その他の基準を参酌すべき基準としております。

 なお、居室の床面積の基準に関しては、特例として、一時的、地域限定的に標準とすることとしております。

重野委員 今回の法案では、附則四条に、保育所に関して居室の床面積について特例が設けられている。一般的には、待機児童が多く、地価が高い東京区部などが対象になっていると受けとめられていますが、実際にはどういった自治体がこの特例の対象となると考えているか、明らかに願いたい。

小林大臣政務官 東京等、こういう表現をさせていただいておりますので、東京に限定したものではございません。先ほど質問もありましたけれども、待機児童が多い地域で、かつ地価の高い地域、こういうことを考えていく必要があると考えております。

 具体的な地域の指定については、さまざまな御意見がありますので、そういう御意見を伺いながら対象地域を指定してまいりたい、このように考えております。

重野委員 そこで聞いておきたいんですが、現在、いわゆる待機児童は何名いるんでしょうか。

小林大臣政務官 大体四万人と承知しております。

重野委員 四万人の待機児童を収容できるためには、大体幾つぐらい保育所をつくれば、この四万人の待機児童を解消することができるんでしょうか。

小林大臣政務官 百名の定員と考えた場合は四百施設、このようになると考えております。

重野委員 四百の施設をつくるためにはいかほどのお金が必要となるのでしょうか。

小林大臣政務官 それぞれの地域あるいは建設の中身によりますので、ちょっと、即答する数字を今持っておりません。

重野委員 今、大都市部における収容人員だとか一人当たりの面積等々が、予想されるに、狭まるということになるんだろうと思うんですね。

 そういうふうに、小さな児童を今よりも悪い条件の中で保育するということをする前に、今、四万人、百名として四百施設、四百施設をつくるという発想はなぜ出てこないのか。

 今、少子高齢化社会、子育て、この国にとって将来を考えるときに、少子高齢化社会がこのまま進んでいったら大変なことになるというのは、もう万人が異口同音に言っていますよ。その子育てという点における保育所の果たす役割というのは決定的に重要なんです。

 規制緩和が進んで、労働者の賃金ももう十年前の水準にまで下がっている。そうすると、やはり共働きという、やむにやまれぬ状態がふえてくる。そうすると、保育という問題は避けて通れない問題なんです。これはもう極めて原則的な問題なんですね。この国が、どうやって少子化傾向に歯どめをかけていくかという上における保育所の問題というのは決定的に重要なんです。

 今言うように、全国で四百施設ですよ。全国で四百施設という施設をつくれば今の待機児童を解消することができるということがわかっていながら、なぜその努力をしないんですか。それをせずに、今言うように規制を緩和して、そして今の条件の中で児童を収容していこう、保育していこうとする、そのことに走るということ自体が本末転倒しているんじゃないか。子供本位、あるいはお父さんお母さんの切なる願いというものを全く受けとめていないというふうに言われてもしようがないんじゃないですか。

 だから、この四百という施設をつくるためにどれぐらいの金がかかる、そのかかるお金が、今のこの国の予算の中で捻出することができないのか。そんな話じゃないと思いますよ。いろいろな意味で、我々の意思に反するようなお金の使い方はあるわけだから。そんなことも考えて、本当に少子高齢化社会をどう乗り切っていくかという、この国にとって最も重要なテーマに対して挑戦する気迫がこの法案にはない。もう一度その点について答えてください。

小林大臣政務官 先生御指摘のとおり、子供を育てる、あるいは待機児童を解消していく、これは日本の課題だと認識をしております。短い期間に多くの保育所が順次できていく、このことが一番望ましいかと思いますけれども、なかなか時間的、物理的に難しい面もございます。

 待機児童解消については、政府としても、大変大事な取り組みだと認識しております。まず、その待機児童の解消を行うことも必要だと思っております。その上で、やはり今先生御指摘のとおり、保育所の建設についても大変重要だと思っておりますので、先生の御提言などをしっかり受けとめて今後も進めていきたい、このように思います。

重野委員 その点は、きょうはここまでにしておきますけれども、本当に切実な問題として、私は、厚労省にとっては物すごく大きな課題なんだという認識を持って頑張ってもらいたい。

 次に、今回、三つの基準がありますね。現在定めている基準をそのまま横滑りさせるつもりかどうか。

 例えば、きょう質問しています保育関係でいえば、現状の居室の基準というのは、設備も資金もなかった終戦直後に制定されたものなんですね。その水準は世界的に見ても非常に低い、劣っていると言わなければならない。そこで、私は、この基準そのものを引き上げる必要があるのではないかというふうに考えるんですね。

 また、人員配置についても同じことが言えるんです。先ほど塩川さんも申しておりましたけれども、いろいろな意見が届けられておりますが、今回の震災に関連して、保育所現場の保母さん、保父さんが、子供全員を無事避難させることにいかに努力したかということ。詰め込み保育だったら、子供をみんな避難させることができなかったかもしれない。こんな話。

 現行では、ゼロ歳児は三人に保育士が一人の基準で、津波のときに、三人の子供を一人で避難させるというのは非常に無理だ、両腕に一人ずつ抱きかかえて逃げる、これが精いっぱいだという切実な声が寄せられているんです。

 今言うように、こういう声に厚労省はどうこたえるのか。そういう点においても、今投げかけられている課題というのは非常に切実なものがある。その点については、厚労省、どう考えますか。

小林大臣政務官 御指摘の、保育所の環境、例えば職員の配置だとか居室面積などの最低基準については、子供が安全な環境で健やかな育ちを最低限保障されるために、これは現在、全国一律の基準としてこれを下回ってはならないもの、このように定めております。

 この法案成立後の保育所の基準の水準に関しては、国、地方とも、安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指して、質の確保された保育サービスを充実させることが重要との認識に立っていくことが必要だと思っております。

 現在、子ども・子育て新システム検討会議において、幼保一体化を含めた、子ども・子育ての包括的、一元的な制度の構築に向けた検討を行っております。この中で、職員の配置など、保育の質の向上についても検討をしてまいりたい、このように考えております。

重野委員 やはり子供たちというのは、将来のこの国を背負って立つ財でありますから、最大限配慮されるべき対象だということを私は重ねて申し上げておきたいと思います。

 最後に、大臣に聞きます。

 今回、この義務づけ・枠づけの見直しが出されているわけですが、それが結果的に福祉の現場にどのような影響を与えたか、あるいは与えるのかについてきちんと検証するための調査が私は必要だと思うんですね。そこは現場にというふうな話にすぐなるんですけれども、私は、そうじゃなくて、この際、ケース、ケースごとに徹底的な検証とそれに基づく検討が求められている、拙速にやるべきでないというふうに思うんです。その点について、総務大臣、どのように考えていますか。

片山国務大臣 この問題に限らず、このたびの義務づけ・枠づけの見直しというのは、今まで国が詳細に決めていた基準というものを、これからは部分的に地域において、自治体において責任を持って決めていただくということが眼目であります。したがって、基準を切り下げるとか水準を下げるということを目的にしたものでは決してありません。

 そういう観点で、今まで国が一律に決めていたことが、今度は本当に自治体の方で責任を持って決めていただく体制に果たしてなっているのかどうか、なるのかどうか。その結果、一番肝心な、この場合でありますと、子供たちにとって妥当な決め方がなされているのかどうか、そういう観点での何らかの検証は私は必要だろうと思います。

 法案にも、厚生労働省関係といいますか、福祉関係の分野については、見直しを行った上で必要な措置を講ずるということもありますので、それの一環として、何らかの検証をすることは当然必要だろうと思います。このケースですと厚生労働省ですけれども、関係の省とよく相談をしたいと思います。

重野委員 現場には、認可保育所と無認可保育所というのがあるんですね。言うならば、認可保育というのは国のかかわりが非常に強い。厳しく規則を、あるいは約束を迫るわけですね。しかし無認可の場合はそうではない。どちらかというと無認可保育所がふえているという傾向にあるんですね。

 だから、重ねて言いますけれども、子供は、この国の未来を背負う最も大事な資源なんですね。私はそこに、より愛情を注いでも注いでも、注ぎ過ぎたということはないと思うんですね。そういう発想で、子供を対象にするこの保育という問題については、政府としても最重点でやはり取り組むべきだ。このように重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を初めとするいわゆる地域主権三法案については、後ほど修正案が提出をされる、こういうふうに伺っております。

 しかし、地域主権という言葉を、日本の国の形を変えるキーワードとして使ってきた渡辺喜美元行革担当大臣が代表を務めるみんなの党としては、この文言を外すことが、今まで政府が進めてきた、また民主党政権が一丁目一番地と自称してきた地域主権改革のスピードをおくらせ、また質的にも変容させるものになるのではないかというふうに危惧をいたしております。中央集権の国のあり方を変えるため、補完性の原理に基づき、地域でやれることは地域で、こういう意味合いの地域主権改革の旗をおろすことには基本的には反対であります。

 今回の三法案が目指している方向性については、スピードがいささか遅いという残念な思いがありますけれども、基本的に異論はないところでもございます。

 そのような姿勢を採決の前にあらかじめ明らかにした上で、きょうの質疑を進めてまいりたいと思っております。

 地域主権改革、地域でできることは地域で、地域で判断できることは地元でやってもらう。先日の総務委員会でも片山大臣と、これは災害対応にまつわってこうしたお話をさせていただいて、片山大臣も、地元が責任を持って、もっともっとそこのニーズに合った策をみずからの責任で講じる、そういう生活習慣をつけてもらいたい、こういうお話がありました。まさしくそういうことだろうというふうに思います。

 そういう意味で、今回、地方自治法の改正が提案をされておりまして、地域における地方政府の統治機構のあり方についても、その判断権限を、自由度を高める、そうした施策が講じられております。そういう中で、それをさらに推し進める方向で、私はきょう一つのことを取り上げたいというふうに思っております。それはいわゆるシティーマネジャー制であります。

 アメリカのジョージア州に、サンディスプリングス市というのがあります。ここは、十万人の市を職員五人で経営している。日本の常識でははかれない都市であります。

 十万人の都市を職員五人でどうやるのかという話になるわけですけれども、これはPPP、要するに包括的民間委託で、市のサービスを民間会社に委託しております。CH2M社という会社があるんですけれども、ここに約百三十名の職員がいて、警察、消防を除く市の業務に当たっている。契約額は三千万ドルということで、三十億円弱ですね。十万人の都市をこの契約額、三十億円弱でやっているということなんですけれども、歳出規模は、同じ州の同等の人口規模の自治体と比較しても半分以下だということであります。

 このため、歳入の方も圧縮することが可能になって、市の主要な財源は固定資産税なんですけれども、この固定資産税の税率を近隣都市に比べて半分以下に設定することができた。要は減税をやれているわけですから、住民の満足度も大いに上がっている。これは、住民の満足度が高いということは、こうしたPPPをやってサービスの切り下げにつながっていないということのあらわれでもあるというふうに思います。

 それが一つ功を奏した形になって、周辺の都市にも同じ形の経営が広がって、市の共通サービスをシェアする、今そうしたシェアリングが進んでいる。シェアードサービスという形で、複数の市が共通するサービスを同じ会社に民間委託して担ってもらう、こういうことがジョージア州のこの地域では進んでいるということであります。

 こういうアメリカの先進的な都市経営をやっているところに特徴的なのが、いわゆるシティーマネジャー制というのをとっていることでありまして、サンディスプリングス市は、公選市長ではありますけれども、市長が市議会と一緒にシティーマネジャーを任命する形をとっております。シティーマネジャー制というと、議会がシティーマネジャーを選出する、それが市長のかわりに市政経営を行うというのが一般的な形でありますけれども、いずれにしても、アメリカの場合のシティーマネジャーに特徴的なのは、例えばMPA、マスター・オブ・パブリック・アドミニストレーション等、行政経営のプロが任命されるということであります。

 かつて埼玉県志木市が、構造改革特区構想として、議員の中からシティーマネジャーを選出する、こういう制度の導入を求めましたけれども、これは憲法に抵触するおそれがあるということで実施が見送られております。

 しかし、今回の地方自治法改正議論の中で、地方自治体、地方議会について、より住民に対する責任が大きくなる、それに伴うさまざまな、地元自治体、地元議会の自由度を高める方向性の改革が行われているところでありますので、市民から納められた税金、国や県から交付された公金、こうしたものを最も効率的に使うことが地方自治体、地方議会に課せられた最高の使命だというふうに考えた場合、今申し上げたようなアメリカのサンディスプリングス市の例などを見てみましても、このシティーマネジャー制というものを日本の国内でも導入できるようにするのも一つの考え方なのではないかというふうに私は思っております。

 これについて御見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 議員もお触れになっておられましたけれども、一つの基本は、地方自治の仕組みというのは、究極的には憲法で大枠は決められておりますので、その憲法の範囲を逸脱してはいけないということはあると思います。その際に、憲法には何が書いてあるかというと、長と議会というものを置くということで、その長と議会はそれぞれ直接住民が選ぶということでありまして、これは日本国憲法のもとでは逸脱できない原理であります。

 したがって、日本で言う長、これに該当する職責をシティーマネジャーというような形で直接、選挙によらない人をもって充てるということは憲法が許すところではありません。したがって、志木市の制度が必ずしもそこまで明確に書いていたかどうかという問題はありますけれども、そういう論点を含んでいるということもあって多分認められなかったんだろうと思います。

 その憲法の枠内で認められる範囲内であれば、いろいろな工夫が私はあると思います。いろいろな自由度があっていいと思います。例えば副市長とか副町長という存在がありますから、そこにそういう専門的な知見を持った人を任命することによって、それで、かなりの部分をその人の能力によって仕事を進めてもらう。これは事実上可能でありまして、実態にも、我が国の自治体の中にそういう市長の片腕とか、より進んで、外から見たらどっちが市長かわからないような人もいないわけではありませんので、それは工夫と言えるかどうかわかりませんけれども、いろいろなことはあるんだろうと思います。

柿澤委員 次に、法案の中身について触れさせていただきたいと思います。

 国と地方の協議の場について、今回、法制化をされるということになったわけでありますが、先ほど他の委員の方の質疑にも取り上げられていましたけれども、一体ここで何を協議して、そこで何を決めるのか、どこまでの権限をこの国と地方の協議の場に持たせるのか。全くなければつくった意味がないということになりますし、しかし、さまざまな国の重要事項をこの場で協議をするということになって、決定権を握るようなことがあれば、今度は国会との関係において問題が出てくる部分もある、こういうことであると思います。

 これについてはずっと議論が進んでいて、古い議事録をひもといてみると、平成二十一年の八月十七日に、地方分権改革推進委員会九十三回というのがありまして、ここでもう既にこんな論点の議論をしているわけです。なかなか国会を拘束するような権限を与えることは、現行憲法上まず無理だろう、その上で、地方が集団で意見を言うだけの場ではこれまたいけないので、差し当たって、地財計画の策定過程で意見を言い、協議をする、また、地方交付税の法定率の問題についてこの場で議論をする、こんなことがいいのではないか、こういうふうなことがこの時点でもう既に議論をされております。

 まず地財計画について、やはり地方の施策をさまざまな面から拘束というか影響を与えるものでありますので、この策定過程に国と地方の協議の場というのがどのようにかかわっていくことができるのか、ここが非常に関心の高いところでもあり、重要なポイントだというふうに思います。大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 いわゆる地方財政計画の策定プロセスの中に、こういう国と地方の協議の機能を入れるべきではないかというのは、現状で、なるほどなと思う面もありますし、それから、失礼ですけれども、ちょっと違うなという面も実はあるんです。

 といいますのは、本来の地方財政計画というのは、地方公共団体の歳入歳出の見積もりでありまして、言うなれば、今現状、自治体がどういう財政の実態にあるのかということをモニターする機能なんです。ですから、今自治体が歳入としてはどれだけ見込める、それから、歳出としてはどんなことをどれだけやられているというのを見込みでありますので見込んで、それを集計して国会に提出する、これだけのことなんです。

 ですから、そこに本来、政策の先導性とか誘導性とか、そういうものはないわけです。これが本来なんです。だから非常に淡々とした作業なんですね。それは何のためにやっているかというと、今の地方税の体系だとか地方交付税の総額だとか、そういうものが大体足りているのかどうかという検証を国会においてしていただくための作業なんです。

 ところが、実態は、ずっと長い間の伝統によって、毎年毎年、予算編成で地方交付税の総額を決める作業の前段階になってしまっている。したがって、地方財政計画を膨らませば交付税がふえる、地方財政計画を圧縮すれば交付税を縮めることができるというようなメカニズムが働いてきているものですから、年末のいわゆる地方財政折衝で、総務省対財務省が華々しく攻防を繰り広げるということに結果的になってしまっているわけです。

 私は、原点に立ち返って、地方財政計画というよりは地方公共団体の歳入歳出の見込みという原点に戻して、今、地方の財政運営の実態はどうなっているのか、それでどう過不足が、今は過というのはありませんけれども、どういう不足になっているのか、それならば地方税というものをどう変えるべきなのか。それから、差額を埋める地方交付税というものの国税に対する率は、今の水準で、現状でいうとよくありませんけれども、それをどこまで改善する努力をするのか、そういう基本的なところに戻した方が本当はいいと思うんです。

 そうなりますと、そこに国と地方の協議の場を通じた議論が介在するということは余り意味がない、必要がなくなる。実態をちゃんと正確に国の方で把握して、国会に報告すればいいということに論理的にはなるのではないかと思っております。

柿澤委員 これは何となく、何とか大学教授の講義の世界で、確かに解説としてはそうでしょうけれども、実態を静的にとらえるのではなくて、動的にどういうふうに変えて推し進めていくのか、まさに、このプロセスにおいて国と地方の協議の場というのが役に立つのではないかなというふうにも今の答弁を聞いて思ったところであります。

 最後に、一点だけちょっとお伺いをさせていただきますが、この国と地方の協議の場には、基本的に、全国知事会が想定をされている都道府県の長の全国連合組織の代表者、あるいは全国市長会が想定されている市長の全国的連合組織を代表する者一人、こういう方々が委員として出ることになっているわけです。

 ただ、世の中、想定外のことがいろいろ起こることがあるというのを今回まざまざと見ているわけです。例えば、これは全国知事会だということでみんなアプリオリに思っていますけれども、仮に、これは冗談で言うわけではないんですけれども、四十七都道府県が東京都を除いて二十三対二十三に割れて、東日本知事連合というのができて、西日本知事連合ができて、基本的に一人と書いてありますので、どちらかを代表に選ばなきゃいけない。こういうことになった場合、一体どうなるんだというのも、私は思考実験としては思うんです。

 そういう意味で考えると、全国知事会、全国市長会、町村会を初めとするこうした団体というのは、法的位置づけのある組織ではありませんし、内部統制のルールが定まったものとしてあるというものではない。今、知事会はまさに知事会長選挙をやっているわけですけれども、まさに、こうした法定化された国と地方の協議の場にある種の責任を持って出ていく、こういう団体になるんだとすれば、これは全国知事会や全国市長会に、この際、基本的に、基礎自治体あるいは地方公共団体を代表する立場ということを法的に与える、そうしたことが必要になってくるのではないかというふうにも私は思っております。

 このことについて御見解をお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 漠としているといえば漠としているんですけれども、一応、都道府県知事等の全国的連合組織として総務大臣に届け出があったものという定義を置いて、この届け出のあった全国的連合組織が内閣に意見を申し出たり、国会に意見を申し出た場合には、これに対して遅滞なく回答する、こういう文言は実は法律上あるわけです。

 ですから、従来は法律上何の取っかかりもなかったんですけれども、今はこういう形で、総務大臣に届け出るということで全国的連合組織が法定上認知されているということでありますので、これを、さらにもっと個別の法律で位置づけるかどうかという議論はあるとは思いますけれども、現時点では、こういうプロセスを経て、一応法的な、オフィシャルな立場を持っておられると思います。

柿澤委員 時間もなくなりましたので掘り下げませんけれども、最終的には、私は、地方共同税みたいなものを考えていくときに、知事会、市長会といった横の広がりを持つこうした場というのが極めて大切になってくる、そして権限と責任を明確化する必要がいずれ出てくる、こういう観点から質問をさせていただきました。

 質問時間も過ぎておりますので、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、各案に対し、小川淳也君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

 国と地方の協議の場に関する法律案に対する修正案

 地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員 ただいま議題となりました各修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 今回の修正は、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について、両院におけるこれまでの議論等を踏まえて提出するものであり、その内容は次のとおりであります。

 まず、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案についてであります。

 第一に、題名を「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」と改めることとしております。

 第二に、内閣府設置法の修正を行い、地域主権改革の用語を削除するとともに、地域主権戦略会議に係る規定を削除することとしております。

 第三に、施行期日が平成二十三年四月一日とされている改正規定の施行期日を平成二十四年四月一日に改めるとともに、これに伴う所要の規定の整備を行うこととしております。

 第四に、政府は、地方分権改革推進委員会による勧告において、地方公共団体に対する自治事務の処理またはその方法の義務づけに関し、具体的に講ずべき措置が提示された事項及び見直し措置を講ずべきものとされた事項のうち、この法律において措置が講じられていないものについて、できるだけ速やかに、当該勧告に即した措置を講ずるものとする規定を追加することとしております。

 次に、国と地方の協議の場に関する法律案に対する修正案についてであります。

 これは、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の修正に伴い、地域主権改革の用語の削除等所要の修正を行うものであります。

 次に、地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案についてであります。

 これは、昨年の常会で成立した所得税法等の一部を改正する法律に定める法人税法第二条の改正規定が平成二十二年十月一日に施行されたことに伴い、所要の規定の整理を行うものであります。

 以上が、各修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地域主権改革一括法等三法案に対し、反対の討論を行います。

 地域主権改革一括法案に反対する理由の第一は、本法案によって、福祉、教育分野を初め、ナショナルミニマムを保障するための国の責任が投げ捨てられるからであります。

 我が党は、国から自治体に対する中央集権的な統制や監督、関与の仕組みを縮小、廃止すること、国と地方のかかわり方は、住民自治と団体自治が拡充され、自治体が住民の福祉の増進というその責務を果たすにふさわしいものであるべきと主張してきました。

 本法案には、当然見直されるべき条例の委任化や運用の実態から見て、事務手続の簡素化につながるものも含まれています。

 しかし、保育所の最低基準や高齢者、障害者施設の設置・管理運営基準など、福祉や教育分野でナショナルミニマムを保障する国の責任が、地方への条例委任化などによって投げ捨てられることは極めて重大であります。

 本法案にある障害者自立支援法改正案について、政府が障害当事者の意見を聞いていなかったことが明らかになりました。障害者自立支援法廃止をめぐる訴訟の和解合意において、政府は、障害当事者の意見を聞かなかったことを深くわび、反省したにもかかわらず、本法案においても、第二次一括法案においても、障害当事者からの意見を聞いてこなかったことは余りにも重大であります。

 片山大臣は、義務規定がないから自治体が住民意見を聞かないことはないと答弁しました。しかし、政府自身が、みずからの反省もほごにして障害当事者の意見を聞かなかったことは、政府の説明が何の根拠にもならないことを事実で示すものであります。

 住民の意見聴取規定は、国の地方への押しつけではありません。国民の意見を施策に反映することを国と自治体に課すものであります。

 反対理由の第二は、民主党政権が進める地域主権改革は、国の財政再建論や新自由主義的地方構造改革と結びついた自公政権下での地方分権改革路線をそのまま踏襲したものであり、本法案は、この推進を図るものだからであります。

 東日本大震災から引き出されるべき教訓の一つは、福祉、防災に強い自治体づくりであり、自公政権が進めてきた、構造改革路線と結びついた地方分権改革路線からの根本的転換こそが求められています。

 なお、民主、自民、公明三党の共同提案による修正案は、文字の置きかえと削除だけであり、政府提出法案の内容を変えるものではなく、反対です。この修正案は、自公政権下での地方分権改革と地域主権改革が、違いがないものであることを証明するものでもあります。

 国と地方の協議の場に関する法案については、地方分権改革路線の推進を目的としている点で反対であり、地方自治法改正案については、現行の議員定数の法定上限を撤廃することによって、議員定数の歯どめのない削減につながること、行政機関等の共同設置は、徴税などの業務が住民から身近でなくなり、納税者の権利が脅かされるおそれがあることから反対であることを申し上げ、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 初めに、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小川淳也君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、国と地方の協議の場に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小川淳也君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、地方自治法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小川淳也君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び国と地方の協議の場に関する法律案に対し、古賀敬章君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及びみんなの党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。西博義君。

西委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び国と地方の協議の場に関する法律案に対する附帯決議(案)

  地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができる社会の実現のため、政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。

 一 地方の自主・自立に向けて、基礎自治体への権限移譲、国の出先機関の見直し、義務付け・枠付けの見直し、地方税財源の充実確保等の諸課題について、国と地方が多面的・総合的に協議しつつ、共通認識の下に、その解決のため早急な取組を強力に進めること。

 二 基礎自治体への権限移譲等については、その実現に向けて速やかに取り組むとともに、権限移譲等に伴い必要となる財政措置を同時に行うこと。

 三 国の出先機関の抜本的見直しについては、国と地方の役割分担の観点から事務・権限の見直しを進めるとともに、事務・権限を地方公共団体に移譲する場合には、地方の財源・人員の確保等に十分配慮すること。あわせて、国の権限に属する事務を出先機関を通じて行う場合には、可能な限り、各府省の縦割りにとらわれることなく総合的に実施する体制の整備に努めること。

 四 施設・公物設置管理に係る国の条例制定基準の設定に当たっては、地方公共団体が裁量を発揮できるよう配慮しつつ、現在行われている施設・公物設置管理の水準の維持・向上に資するように努めるものとし、必要に応じ、運用の実態について検証を行うこと。

 五 国と地方の協議の場については、国と地方の代表者による真摯な意見交換を行い、国と地方の関係が対等・協力の関係となることに資するため、地方の意向を尊重して議案を幅広く選定するとともに、政策の企画立案及び実施に地方が参画する機会を確保するよう積極的に開催すること。

 六 国と地方の協議の場の臨時の参加者や分科会の構成員については、自然条件、社会経済条件、団体規模等において多様性を有している地方公共団体の実情が適切に反映されるよう配慮すること。

 七 地方の基本的な在り方を検討するに当たっては、国と地方の協議の場をはじめとする法律に定める組織の最大限の活用を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本動議のとおり両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、片山国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山国務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、明二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.