第13号 平成23年4月22日(金曜日)
平成二十三年四月二十二日(金曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 原口 一博君
理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君
理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君
理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君
理事 坂本 哲志君 理事 西 博義君
石津 政雄君 内山 晃君
大西 孝典君 逢坂 誠二君
奥野総一郎君 金森 正君
川越 孝洋君 城井 崇君
後藤 祐一君 鈴木 克昌君
高井 崇志君 高橋 昭一君
永江 孝子君 平岡 秀夫君
藤田 憲彦君 松岡 広隆君
松崎 公昭君 湯原 俊二君
赤澤 亮正君 秋葉 賢也君
加藤 紘一君 川崎 二郎君
佐藤 勉君 橘 慶一郎君
谷 公一君 中谷 元君
森山 裕君 稲津 久君
塩川 鉄也君 重野 安正君
柿澤 未途君
…………………………………
総務大臣 片山 善博君
総務副大臣 鈴木 克昌君
総務副大臣 平岡 秀夫君
総務大臣政務官 内山 晃君
総務大臣政務官 逢坂 誠二君
政府参考人
(水産庁漁政部長) 柄澤 彰君
総務委員会専門員 白井 誠君
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
石井 章君 松岡 広隆君
大谷 啓君 金森 正君
笠原多見子君 城井 崇君
中後 淳君 川越 孝洋君
皆吉 稲生君 高橋 昭一君
赤澤 亮正君 秋葉 賢也君
同日
辞任 補欠選任
金森 正君 大谷 啓君
川越 孝洋君 中後 淳君
城井 崇君 笠原多見子君
高橋 昭一君 皆吉 稲生君
松岡 広隆君 石井 章君
秋葉 賢也君 赤澤 亮正君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
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○原口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
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地方税法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○片山国務大臣 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
東日本大震災の被災者等の負担の軽減を図る等のため、固定資産税及び都市計画税の課税免除等の措置並びに個人住民税、不動産取得税、自動車取得税、自動車税等に係る特例措置を講ずる等の必要があります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
その一は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。
東日本大震災に係る津波により区域の全部もしくは大部分において家屋が滅失、損壊し、または土地について従前の使用ができなくなった区域として市町村長が指定した区域内に所在する家屋及び土地に対しては、平成二十三年度分の固定資産税または都市計画税を課さないものとする措置を講ずることとしております。
その二は、個人住民税の改正であります。
東日本大震災によりその者の有する資産について受けた損失の金額については、所得割の納税義務者の選択により、平成二十二年において生じた損失の金額として、平成二十三年度以後の年度分の個人住民税の雑損控除額の控除及び雑損失の金額の控除の特例を適用することができることとしております。
その三は、不動産取得税の改正であります。
東日本大震災により滅失、損壊した家屋の所有者等がこれにかわる家屋を取得した場合や、当該被災家屋の敷地の所有者等がこれにかわる土地を取得した場合に、平成三十三年三月三十一日までの間の取得に対しては、当該被災家屋の床面積相当分等について不動産取得税を課さないようにする特例措置を講ずることとしております。
その四は、自動車取得税及び自動車税等の改正であります。
東日本大震災により滅失、損壊した自動車の所有者等がこれにかわる自動車を平成二十三年三月十一日から平成二十六年三月三十一日までの間に取得した場合の自動車取得税を非課税とするとともに、当該代替自動車等に係る平成二十三年度から平成二十五年度までの各年度分の自動車税及び軽自動車税を非課税とする特例措置を講ずることとしております。
その五は、軽油引取税の改正であります。
揮発油価格高騰時における軽油引取税の税率の特例規定の適用停止措置を停止することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○原口委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として水産庁漁政部長柄澤彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○原口委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。
○秋葉委員 おはようございます。
今般、政府におかれましては、本当に未曾有の大震災にかんがみまして、阪神・淡路大震災のときには軽減措置のなかったような地方税の軽減策も含めて四月中に対応していただいたことを感謝申し上げたいと思いますし、私ども自由民主党が緊急提言の中で取りまとめてまいりました提言の大宗を盛り込んでもらったことについても、改めて評価をさせていただきたいと思うわけでございます。
震災の日から、早いもので、もう四十日以上がたちました。私も被災地選出の議員として、四十日たった今でも、瓦れきが除去されることに伴って、毎日のように死体が発見されているような状況でございます。仙台市内については、一番おくれていたライフラインの中でもガスの復旧は一カ月をめどに完了いたしましたが、仙北の南三陸を初め、まだまだ、電気やガス、水道といったライフラインが全面復旧していない自治体が大変多く存在しているような状況でございます。
そういった中で、片山大臣におかれましては、震災の翌々日に、ヘリコプターでということだと思いますけれども、上空から岩手県庁、宮城県庁などに入っていただいたわけでございますけれども、ぜひ、地方行政を所管する最高責任者として、やはり被災地の基礎自治体にも訪ねていっていただいて、いろいろと現場の声に耳を傾けていただきたいと思っております。
片山大臣の今回の震災についての御所見と今後の現場訪問について、まず伺っておきたいと存じます。
○片山国務大臣 私は、かつてみずから知事をやっておりましたときに、大きな地震に見舞われまして、そのときの経験もありまして、幾つか教訓を得ております。
その一つは、まず、災害の全容、概略を把握するということが必要だと思いまして、被災翌々日に、今御指摘いただきましたように、ヘリコプターで現地に飛びまして、上空から被災地をずうっと南から北に見まして概要を頭に入れた次第であります。
率直に申しまして、本当にこんなことがあるのかと思うような大災害でありました。例えがいいかどうかはわかりませんけれども、いずれの入り江も、まるでかつて写真で見た広島の原爆の跡のような、そんなすさまじい状況でありまして、直ちに了解できたことは、基礎自治体が、壊滅的な被害を受けているところが余りにも多い。したがって、通常の災害でありますと、市町村が住民の皆さんの生活の支援を行う、復旧に向けて中心的役割を担うということでありますが、今次の場合には、その市町村の機能が十分に果たしにくいということを前提に考えなければいけないということもありました。
そんなこともありまして、岩手県庁と宮城県庁に行きましてそれぞれの知事にお会いをいたしまして、真っ先にそのことをお願いしました。基礎自治体の機能低下といいますか機能破壊というものをぜひ県において全面的にバックアップしていただきたい、それを国がもちろんバックアップいたしますということをお願いいたしました。あわせて、私の被災したときの経験を、幾つかあるものですから、それぞれの知事にお伝えしたということであります。
以後は、数日後に立ち上がりました被災者生活支援本部の本部長代理として、連日、被災地で必要としておられる物資とか人材とか、その他もろもろのニーズに対して迅速にこたえられるようにということで、各省の関係機関を指揮する、またそれが円滑にいっているかどうかをチェックする、こういう役割を果たして今日に至っております。
御指摘のように、私も、できれば機会を見つけて、もちろん県庁もそうでありますけれども、基礎自治体の方に伺いたいと思っておりまして、ぜひそれは、できるだけ遅くない時期にそういうスケジュールを組んでみたいと考えているところであります。
○秋葉委員 ある意味では、上空から見ていただくのが本当に一番わかりやすいわけですね。今回は、浸水面積だけで五百六十一平方キロメートルと言われております。大体、東京の山手線の内側の面積が六十キロ平米ぐらいでございますから、それの約八倍、九倍にわたって水が入ってきた。また、海岸線でいいましても、北は青森の八戸から南は千葉県の九十九里浜まで、浸水した海岸線を全部合計しますと二千キロ以上だ、こう言われているわけです。
その中で、宮城県も、深刻なのはやはり南三陸町、女川町、あるいは南の亘理町、ここは役場は流されなかったんですが、地震で庁舎が今使えない、まさに臨時庁舎の中で、手狭な最悪の環境の中で指揮をとらざるを得ない、こういう状況がございます。
ですから、大臣におかれましては、役場機能が喪失されてしまったようなエリアには、ぜひ本県の場合ですと足を運んでいただきたいな、こう思うわけでございます。今度の連休前後をにらみまして、ぜひ現場に行って生の声に耳を傾けていただきたい、こう思うわけでございます。
さて、今回の国会では、臨時特例法で、地方選の延期手続ができるように、二カ月あるいは最大で半年延長というのを決めさせていただいたわけでございます。私どもも、当初、もう目の前に四月の統一選の日程が迫っておりましたから、とりあえずということでこうした法案を通したわけでございます。
本当にあの大震災から落ちつきを取り戻すにはまだまだ時間がかかるわけでございますけれども、改めて、四十日たった今の現場の状況を申し上げますと、最大で九月に選挙を延ばしたとしても、宮城県の場合には、仙台市が何とか対応できるかどうか、少なくても北の気仙沼、南三陸、女川、石巻、あるいは南も名取、亘理あるいは山元といったようなところでは、九月の選挙も事実上難しいんじゃないか。それは、何も住民基本台帳が流されてしまったりとか役場機能がないからということ以上に、何しろ住民がいない、住民が町外に出てしまっているという問題がございます。また、福島県のように二十キロ圏内が立入禁止だというところにかかる自治体は八つ九つに及んでいるわけでございまして、国会の責任として、やはり早急に再延長についても明快なメッセージを与えてあげないと、現場の議員の人たちもそうですし、行政の対応という意味においても混乱が予想されます。
大臣として、再延長に言及しているような御発言も伺っておりますけれども、この地方選挙の延期問題について、明快な所見をお伺いさせていただきたいと思います。
○片山国務大臣 選挙につきましては、まさしく今おっしゃいましたように、当時、統一地方選挙がもう目前に迫っていたものですから、これを何とか、回避と言うと変ですけれども、選挙事務が執行できない自治体においては選挙というものはとりあえず延期する必要があるということで、いわば緊急避難的に、六カ月までの間ということで、延期を可能とする法律を成立していただきました。
それで、統一地方選挙というものを、必要に応じて必要な自治体においては延期するということになったわけでありますけれども、当時から、六カ月ということですべてカバーできるとは思っておりませんでした。しかし、そのときに、まだ事情も余りよく判明しない段階で相当期間をとるということも妥当でないと考えたものですから、半年という案を出したわけであります。
現在、今となっては現行法の規定によりまして延期をした自治体に、二カ月から六カ月の間に実施をするということになっておりますから、その意向とか事情はいかがですかということを照会しております。それを取りまとめつつあるところでありますが、幾つかの自治体においては、六カ月まで延ばしても選挙を行うことは困難であるという意向が伝わってきております。これを踏まえなければいけないと思っておりますのが一つです。
それからもう一つは、先般延期を可能としましたのは統一地方選挙に係るものでありまして、それよりも後の選挙についても配慮する必要があるという認識を持っております。具体的には、六月十一日よりも後に早速選挙期日が到来するという自治体において選挙ができるのかどうか、そういう考慮も必要でありまして、この二つが目下の課題であります。
率直に申し上げまして、その両者、半年を少し延期しなければいけないという事情があると思われる自治体、それから、統一地方選にはかからなかったけれども、その後に来る被災した自治体の選挙の期日をどうするのか、この二つの問題を解決する必要があると思っておりまして、現在、必要な法案の取りまとめをやっているところであります。できるだけ早く国会の方にその案を提出したいということで、今準備をしている段階であります。
○秋葉委員 大臣にも再延長やむなしの認識をお持ちいただいていることはよくわかりました。
私ども、やはり地元に帰りますと、今、地方議員の先生方も、避難所を回ったり、現地、現場に足を運んで本当に必死になってやっているわけですね。自分たちの身分にかかわるものがどうなるのか、やはりこれは当事者として、皆さん、大変問題意識を持っておられます。とてもとても半年後は無理だけれども、では、いつまでならいいんだということについて、総務省としては、地元の意向を尊重して対応してもらうのは当然でありますけれども、本当に、岩手そして宮城、福島、とりわけ福島については原発の問題がございますから、東電が発表した対応策を見ましても、落ち着くまで短くても六カ月ないし九カ月の期間がかかるということでございますから、また福島は、地元の意向をしっかりと踏まえながら特段の対応が必要なのかなという気がいたしております。
いずれにしても、見直しをするということはよくわかったんですけれども、この通常国会も、延長になるかどうかわかりませんが、基本的には六月の半ばが会期末でございます。そういうことからいいますと、今取りまとめ中ということでございますから、やはり今月中に取りまとめを終えて、そして大臣の御指摘にもあるように、統一選以外のことし予定されている選挙、そして来年予定されている選挙というものを、特にこの三県についてはしっかりと精査した上で、五月をめどに改正案、延長案を再び出さざるを得ないんじゃないかと私は思っていますが、提出の時期について明言をいただきたいと思うわけでございます。
○片山国務大臣 現時点で明確にいついつということを申し上げられる段階ではありませんけれども、できるだけ早くということで、それは当然この通常国会、予定されているスケジュールの中で、処理していただくことが可能なスケジュールということを考えておりますので、そういうことからしますと五月中、しかもできるだけ五月の中でも半ばを超えない、そういうスケジュール観を持って準備を今しているところであります。
○秋葉委員 わかりました。ぜひ急いで対応いただきたいと思います。
そして、今回は二カ月から六カ月という一つの幅を持たせていただいたわけでございます。今度の見直しの中でも、私は、最低でも来年の春以降だろうなという認識を持っておりますけれども、ぜひ地元の意向をしっかり踏まえながら、少し余裕を見て延長の範囲を規定していくということが大きな混乱につながらない結果になるだろうと思っておりますので、そうした幅を持たせた、余裕を持たせた対応というのを早く示していただきたいなというふうに思います。これはお願いをしておきたいと思います。
さて、今回、地方税だけじゃなくて、国税もあわせて大変ありがたい数々の減免措置をおとりいただいたわけでございますけれども、そもそもこの震災、まだ地元では、仙台市なんかでも、全壊住宅、半壊住宅がどれぐらいのボリュームなのかということ自体、四十日たった今でも調査中ということで、判明し切れていない、こういう状態がございます。
ですから、いろいろな意味で、経済的な損失額、とりあえずの暫定値は出しておりますけれども、まだまだこの数字は動いていく、こういう状況が現実にありますから、総務省としても、そもそもこの震災による地方税の減収額をどう見ているのか。大変難しいとは思うんですけれども、大臣、現状ではどのように御認識、見通しを持たれているか、お示しをいただきたいと思います。
○片山国務大臣 正直申しまして、現時点で、地方税の減収見込み額というのは、その試算を行うことすらなかなか困難であります。行政機能が非常にダメージを受けた自治体もありまして、通常でありましたら、それぞれの自治体に照会をいたしまして、概算でいいので教えてくださいということで調査できるんですけれども、今なかなか、てんやわんやの自治体にそういうことをお願いすることすらちょっとはばかられる面があったり、それから、自治体自身が大きなダメージを受けていて、そういう推計もなかなか難しいという面もありまして、ちょっとふだんと違うという認識を持っております。というようなことで、試算といいますか推計するのは困難であります。
ただ、過去の実績からしまして、被災した岩手、宮城、福島、この三県を取り上げてみますと、太平洋沿岸の市町村の税収とその市町村区域の県の税収、これらはトータルとして一体幾らあるのかということ。そうしますと、大体四千数百億あります。もちろん、これ全部が減免とか免除ということになるわけではありませんけれども、外延といいますか、最大限、今申し上げた数字の中、その範囲内で一体どれだけ減収になるのかという、こんな姿をちょっと頭の中には描いている次第であります。
○秋葉委員 本当に、今の時点で数字を出すのが困難なのはそのとおりだと思いますけれども、今後、国税、地方税の特例措置によって自治体は必然的に税収が減る。特に基礎自治体にとっては、固定資産税なんというのは、消費税と同じように、本当にぶれの少ない安定的な財源でございまして、基礎自治体の収入の屋台骨と言ってもいい税目でございます。
したがいまして、被災者の立場になって考えれば、もちろん今回のこうした特例措置、特に不動産関係なんかは十年のスパンでやっていただいていますから、大変ありがたいことだと思っております。ちなみに、宮城県の復興計画は、この夏を目指して、遅くても秋までには取りまとめたいと思って今鋭意頑張っていただいておりますが、おおむね十年スパンの計画を念頭にしております。仙台市などはまだ計画を何年で立てるか自体決めておりませんけれども。ですから、そういった意味で、長い取り組みにもなっていくわけであります。
こういった部分、今後、総務省として減収分をしっかりと補てんしていくということが必要だと思っていますが、こうしたことについて、大臣の所見を伺いたいと思います。
○片山国務大臣 自治体が本来、これまでですと歳入をしてきた税収が激減しますので、これらの自治体の財政運営に支障がないようにするためには、きちんと補てんをするということが必要であります。
したがって、この法律が成立しまして、それに基づいて課税を免除する。それから、幾つかの問題については、既存の地方税法に天災等の事由に基づく減免というのがありまして、これも減収になるわけでありますが、いずれにしても、交付税措置を通じまして手厚い措置が講じられるということになります。
○秋葉委員 本当に、私どもも緊急提言の中で、使い勝手のいい思いやり基金みたいなものを早く創設したりとか、国からのそうしたものとは別枠で、自由度の高い基金をつくって当面の対応に当たることが大事だというようなことも提言をさせていただいておりますが、今回の一次補正などには盛り込まれていなかったのは残念でございますけれども、いろいろな提言をしていきたいと思っております。
ぜひ、この間の特交などでも地元自治体には特段の御配慮をいただいているのは感謝を申し上げたいと思いますが、しっかりと減収分を手厚く補てんしていただくことを強く申し上げておきたいと思いますので、よろしく御対応をお願いしたいと思います。
今回のさまざまな特例措置の中では、やはり被災住民にとっては本当にありがたい項目がたくさん含まれております。住宅や工場の減免措置、自動車税関係の減免もそうでございます。
ただ、現場では、大臣、先ほどぜひ現場に足を運んでいただきたいということをお願い申し上げたのはそこにあるんですが、家ごと流されて全財産を失って、避難所で本当に大変な思いをしているわけでございまして、なかなか、ある意味での情報不足という問題がございます。
仙台市などは、それなりに本庁機能がございますから、ある程度しっかりした対応ができるんじゃないかと私は期待をしておりますが、やはり基礎自治体としての行政機能が著しく低下したようなところ、そして住民が地元自治体からよその自治体に避難してしまっているところ、こういったところでは、今回せっかく減免しても、そういった周知でありますとか運用において、知らなかった、あるいは手続ができなかった、こういった事態も私は大変懸念をしております。
こういうことに対して総務省としてはどういう方策をとられるつもりなのか、伺っておきたいと存じます。
○片山国務大臣 非常に重要な指摘でありまして、我々、問題意識を持っております。
今回の震災に対して、これまでもいろいろな手を打ってきているわけです。決めなきゃいけないことも順次決めてきておりますが、これがなかなか肝心の市町村にきちっと伝わっていない、そういう問題があることの問題意識を私は持っておりまして、過日、先ほど触れました被災者生活支援本部でこのことを取り上げまして、これをどうするのかということを検討いたしました。
そのきっかけは、先ほど現地に行くべしという話がありまして、実は、私は被災翌々日に行っただけなんですけれども、副大臣、政務官が手分けをいたしまして、かなり密に被災自治体の方に伺っております。
その報告を聞きますと、例えば被災者生活再建支援制度というのがありまして、今から支給しようとしているわけですけれども、この制度自体を役場の職員の方が知らなかった、役場が御存じなかったということで、これはちょっと大変なことだとか、それから、瓦れきの処理なんかは実質地元負担なしということにしたのですけれども、これもなかなか伝わっていなくて、相変わらず地元負担がないようにしてくれという要請が来たりするものですから、どうもこれは情報の流通がうまくいっていない。
そこで、国の方で、生活支援本部の方で、QアンドAといいますか、ちゃんとした簡単な資料集をつくって、これをもとに、県の方で被災地に向けてキャラバン隊でも出してもらいたいと。県庁に呼びつけるのじゃなくて、県の方から出向いていって、いろいろ国の制度はこうなっています、あわせて県の制度はこうなっていますとつけ加えていただいたら一番ありがたいのですけれども、そういうキャラバンを出していただいて説明をして周知していただくような、こういう工夫をしようじゃないかということにしたところであります。
それから、肝心の住民の皆さんへの情報の伝達ということも重要でありますが、域外にもう出られている方もおられますので、この方々で連絡がつかない方もかなりおられます。福島県などは、まだ二万五千人以上の方が連絡がとれないということであります。
そこで、とりあえずは住民の皆さんの動向を把握しなきゃいけませんので、全国の市町村にお願いをいたしまして、被災地から避難をされている方についての情報が市町村を経由して避難元、もともとの住所地の方に、今域外に避難されている住民の皆さんの必要な情報が届くようなシステムも稼働しているところであります。そこで住民の皆さんと連絡がとれましたら、今度は、役場の方からそこの住民の皆さんに必要な情報を何らかの形で届けていただくことが可能になります。
今そんなことをやっているわけでありまして、非常に重要なポイントだと思います。
○秋葉委員 大臣にも問題意識を持っていただいて、本当にありがたいと思います。
通常は、基礎自治体の責務として、住民にしっかり広報して対応していくということになるんですけれども、今それがなかなかできないのが現状でございます。例えばペーパーなんかも、自治体に丸投げしないで、国としてわかりやすいものを用意していただいて、それを一括して配付していただくような、少なくとも役場機能が失われているような自治体については最低限国の責任でやはりやっていっていただきたい。そうしないと、こうした今回の特例措置が生きてこないと思うんですね。被災者住宅支援法なんかも、さらに金額の増額も図ったりしながらやっていってもらわなきゃいけませんけれども、改めてお願いをしておきたいと思います。
今、大臣の答弁を伺っていて、通告はしていないんですけれども、ちょっと一つ思い出したことがあります。
今、仙台市では、行方不明者は何千人といるわけでございますけれども、行方不明の届け出がない方々も相当数いるんじゃないかと言われています。ですから、所在不明の住民が一体何人いるのか、これは思いもつかないような状況でございまして、確定値がいろいろと出せない原因の一つにもなっているわけでございます。
そういう中で、やはり担当者の方といろいろ議論すると、ある意味で、最終的には国勢調査での資料、住民資料なども活用させていただきながら、一件一件突合してつぶしていくしかないんじゃないかというような話も出ております。
私もかつて政務官をさせていただいたときに、統計局所管でございました。本当に川崎局長は大変優秀な方で、いろいろとフットワークよくやっていただいているわけでございますが、今まで、国勢調査の個人情報を出したということは過去ないわけで、法律で禁じているわけであります。今回は、今後の状況、推移をこれから見ていかなければいけませんが、場合によっては統計法を改正して、被災地の特定のエリアについて、個人情報、すなわち氏名も含めたものを、これはだれかれ構わずというのではもちろんなくて、特段の理由が生じたときには当該自治体に対して閲覧もやむを得ないというような見直しも視野に入れていかざるを得ないんじゃないかと私は思っています。
ちょっとこの件は通告しておりませんでしたが、せっかくの機会でございますので、大臣の御認識を伺わせていただければと思います。
○片山国務大臣 最終的には、何らかのこれまでとは違ったやり方というのを構築しなければいけないと私も思います。ただ、現在は、先ほど言いましたけれども、とりあえず住民の皆さんの所在というものをそれぞれの市町村がきちっと把握するということに全力を挙げるべきだと思います。
先ほどちょっと触れましたけれども、今、福島県内で八カ町村が役場庁舎の移転を余儀なくされております。住民の皆さんも避難を余儀なくされておりますけれども、被災前に七万三千人ほどの人口でありまして、そのうち二万五千人を上回る方は役場がまだ把握できていないわけであります。一方、福島県内の行方不明者の届け出というのは三千数百人でありまして、数字がどうしても合わないわけです。もちろん、どこかここかにおられる方が大半だとは思いますが、その方々をまず把握する、把握し切って、行方不明の方の数と把握できていない方の数がどれほど差があるのか、こういうことが一つのポイントになってくるのだろうと思います。
現在は、福島県に限らず、被災された地域からそれぞれ域外に移動されていて把握できていない方の把握に今全力を挙げる、それを全国の自治体の全面的な協力を得て今進行し始めているということでありますので、しばらくはその成果を待ちたいと思っております。
○秋葉委員 例えば戸籍なんかについては、法務局へ行けばバックアップがあったり、いろいろ対応できる面はございますけれども、やはり地元のこと、本当に歩いていて思いますのは、国勢調査というのは御案内のとおり五十戸単位で細かくやっていって、全部の世帯構成が出て、名前が原本には登録されているわけでございまして、最終的にはそういったもので一件一件つぶして確認していくという作業が終局のところで出てくるんじゃないかと私は思っております。
きょうは鈴木副大臣あるいは逢坂政務官にも出席をしていただいております。ぜひ、国勢調査の内容について、もう二十二年度調査も出ているわけでございますから、その中で、今回、自治体の要請があれば、特定の自治体に限って特例的にこれを公開する、そして現場での突合に活用させていただくということが可能なのかどうか、省内で検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木(克)副大臣 よく省内で検討させていただいて、なるべく御要望に、また現実に役立つような状況にしてまいりたいというふうに思っています。
○秋葉委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
冒頭申し上げましたように、今回の地方税法の一部改正案では私どもの緊急提言の過半を受け入れていただき大変感謝をいたしておりますけれども、そんな中で、揮発油税等のトリガー条項の問題については、我が党は首尾一貫これの廃止を求めてまいりました。政府原案でも当初廃止だと伺っておりましたけれども、いつの間にか、出てきたのは一時凍結ということでございます。
なぜ廃止ではなくて一時凍結ということになったのか、伺いたいと思います。
○片山国務大臣 これは、現在ある制度というものを、今回震災にかんがみまして、とりあえず早急にこの効力を停止する必要があるということで、現行のような法案にしているわけであります。
それから、地方税だけの立場でいいますと、軽油引取税にこのトリガー条項というのはあるわけですけれども、どちらかというと揮発油税の仕組みを考えるときにこれが設けられたわけでありまして、地方税の立場からいいますと、国税である揮発油税の取り扱いに合わせるということで、地方税法の改正案はこのような内容にしているわけであります。
○秋葉委員 これはあくまで凍結ですから、廃止じゃないということは、どれぐらいの見通しで凍結を考えているのか、そういう一つの見通しがあって今回凍結という判断になったのだと思わざるを得ません。
今後、いつまでこれを凍結していく見通しなのか、伺いたいと思います。
○片山国務大臣 これは別途法律で定めるということになっておりますので、そのときまでは凍結ということになると思います。
○秋葉委員 政府・民主党内においてもやはりいろいろ異論があるようでございますし、廃止じゃなくて凍結というままの状態が続けば、民主党内のガソリン値下げ隊の皆さんも引っ込みがつかないんじゃないかなと私は思いますので、しっかりと国民に対して、今特にガソリンが大変値上がりしておりますから、そういう意味で、廃止のメッセージをやはり打ち上げていくべきだということを申し上げておきたいと思います。
そのほか、私どもが今回緊急提言をさせていただいた中で、幾つか盛り込まれなかったことがございます。今回の特例法案はあくまで第一弾だというふうに理解をしておりますけれども、今後の取り組みの中で、例えば被災者向けの優良賃貸住宅の割り増し償却を法人住民税あるいは法人事業税で措置していくことも必要じゃないかと思いますけれども、今後どうされる見通しでいらっしゃいますでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○片山国務大臣 例えば割り増し償却といいますと、これは所得の計算方法の特例になるわけでありますけれども、地方税では例えば個人住民税、法人住民税それから法人事業税と所得関係がありますけれども、これらの税というのは総じて、所得の計算というのは国税に連動しておりますので、国税においてまずは検討されるということになります。その国税の検討は、二次の税法の改正に際して検討がなされるということになります。
○秋葉委員 時間でございますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
同様に農業対策においても、私どもは土地の譲渡益課税の特例についても言及をさせていただいておりましたけれども、今回は盛り込まれませんでした。これも第二弾の中でぜひ導入を検討していただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしまして、私の質問を終えたいと思います。
○片山国務大臣 これも所得の計算になりますので、所得税の特例をどうするかという検討が第二次の改正においてなされるものと思います。
○秋葉委員 いろいろなことを申し上げましたけれども、ぜひ連休の前後に、今度はヘリコプターではなくて、来週の月曜日からはおかげさまで仙台までは新幹線も再開になります、基礎自治体に大臣みずから行っていただいて、現地、現場の生の声に率直に耳を傾けていただきますようお願いを申し上げたいと思います。
きょうは、ありがとうございました。
○原口委員長 次に、西博義君。
○西委員 地方税法の一部を改正する法律案について御質問申し上げたいと思います。
まず初めに、これから地方を復興していくについて、生活を再建するためには、まず企業が事業を再開して、そして生き生きとその地方で活躍していただける、このために支援をしていくということが一刻も早くしなければいけないことの一つだと思います。今は、被災した企業に税負担を求めるというよりも、税負担を軽減することによってそれを助けていく、これが必要だというふうに思います。自治体にとっては税収がもちろん減少いたしますが、それは一時的であって、企業が復活したときにはまた後々税収も上がってくる、こういうことが考えられます。
今回の法案では、企業の事業用地への固定資産税の減免措置を講じるべきではないかというふうに思いますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
また、被災代替償却資産について、課税標準を四年度分二分の一ということで今回発表されておりますが、例えば、ある一定額以上の償却資産についてはさらに減免措置を講じるということが今後の復興のためにも必要ではないか、こう思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
○逢坂大臣政務官 今回の、被災区域内の企業の事業用の点についていろいろと措置を講ずるべきというのは、まさにそのとおりだというふうに思っております。
私の方から三点お話をさせていただきますが、まず一つは、津波により今回甚大な被害を受けた区域の土地家屋については、事業用のものも含めて、平成二十三年度分の固定資産税の課税を免除するというのが一点でございます。
二点目は、その区域内の償却資産あるいは区域外の固定資産については、地方税法の三百六十七条の規定に基づいて、個々の資産の被害状況に応じて適切に減免措置を講ずるようにということで、関係自治体にはお知らせをしているところでございます。
それから、御指摘のありました代替償却資産につきましては、阪神・淡路大震災時の特例措置を拡充する形で、企業の設備等が被災し、家屋や償却資産等の代替資産を取得した場合には、固定資産税を軽減する措置を講ずるということにしているところでございます。
そして、現在、西委員から指摘のありましたさらなる軽減措置ということでございますけれども、今後の復旧復興の状況、あるいは関係省庁からもさまざまな意見が出てくるというふうに思っておりますので、復興支援措置全体の中でこれからまた検討してまいりたいというふうに思います。
○西委員 ありがとうございます。十分検討していただきたいと思います。
続きまして、国税の特例では、被災事業用資産の損失で欠損金が生じた場合には、所得税、法人税については今回、二年さかのぼって繰り戻し還付を可能にということになっているわけでございます。
一方、地方税の特例では繰り戻し還付の措置は講じられておりません。事業を再開する人は繰り越しで必要経費に算入して処理できるわけですが、残念ながら、大きな災害で事業の再開をあきらめる人も、当然、阪神・淡路の例でもたくさんございましたけれども、そういう方も出てくるおそれがございます。そういう人はその機会もなくなってしまい、公平性に問題が生じるのではないかというふうに考えます。
法人事業税は応益的な性格があり、議論はあるというふうにも思いますが、少なくとも所得税、法人税に連動している住民税については、すぐに繰り戻し還付できなくとも、事務体制が整った後に、一定期間の間、還付できるように検討するということが公平ではないかというふうに考えられますが、御所見を賜りたいと思います。
〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕
○片山国務大臣 これはかなり税の基本的性格に関する論点になります。なぜ国税と地方税とは違いがあるのかということであります。
もともと国税は、所得税なんかが典型的でありますけれども、応能税と言われておりまして、その人の能力に着目して課税をしたり課税をしなかったり、そういう性格があります。
住民税の場合には、応益的。固定資産税なんかもそうですけれども、自治体のサービスを受けていることに対応して支払っていく、そういう性格があります。これを地方自治法では負担分任と言っておりますけれども、負担をみんなで分かち合うということでありまして、いわば毎年毎年の自治体の物入りを、そのときの住民みんなで負担を分ける、そういう性格のものであります。したがって、応能税と違って薄く広くということで、会費的な性格だと言われることもあるわけであります。
そんなこともありまして、個人の事情に着目して、さかのぼって税を調整するというのは、全くないわけではありませんけれども、これは非常に限定的にとどめている。もし、国税と同じような個人に着目した税の再計算ということをやることになりますと、いわば先ほどの会費の再計算もまたやらなきゃいけない、そういうことが理屈上も出てまいりまして、そこは割り切って、地方税の場合にはそういうことは導入しないということで今日まで来ているわけであります。
ですから、事務上の問題ももちろんないわけではありませんけれども、どちらかというと、税の基本的な性格から国税と地方税の両者の違いがあると私は思いますし、その違いはこれからも、その差はあってもいいと考えているところであります。
○西委員 ところで、先ほどの議論の延長ですが、国税の繰り戻し還付というのは、ある意味では、復興に対してのキャッシュフローの対策の一助にもなるという側面もあります。そんなことで、ちょっと議論はそれるんですが、別のキャッシュフロー対策について質問をさせていただきたいと思います。これは農水省の方にお願いしたいと思います。
施設の復旧や運転資金の借り入れに対する融資への保証を支援するために、平成二十三年三月末まで行われていたような漁業緊急保証対策を講ずるという検討をされているやにお聞きをしております。その際、保証内容については、前の対策の保証限度額二億八千万円、それから無担保無保証人の枠、千二百五十万円などの制限を今回はなくしていくということのようです。
その制限がなくなるのはいいんですが、当然、融資に対する審査はあるわけですから、そういう意味では、今回の融資を希望する事業者は、事業用資産が損壊したり、また全くなくなってしまったりということで、そういう面では大変厳しい状況のもとでの融資の相談ということになるのではないかと思います。せっかく保証制度を講じても、通常の融資審査では厳しい審査結果になってしまうのではないかということが危惧されます。
事業再開の支援という漁業緊急保証制度の趣旨を踏まえて、どのような制度運用をしていくのか。さらに、無利子融資もぜひとも拡充されるように希望したいというふうに思います。御答弁をお願いいたします。
○柄澤政府参考人 お答え申し上げます。
今般の大震災により被災されました漁業者の方々が、安心して養殖の施設の資金あるいは漁船建造の資金などの融資を受けられまして、できるだけ早く漁業を再開できるように、農水省といたしまして、現在、無担保無保証人での融資の円滑化を目的としました緊急保証対策を講ずることを考えております。
この無担保無保証の融資に加えまして、日本政策金融公庫資金や漁業近代化資金などにつきましては、貸付金利を実質無利子化するというようなこと、さらには償還期間や据置期間を延長するというようなこともあわせて行うことを考えております。
こうした措置をあわせて総合的に行うことで、据置期間中の返済が不要になるというようなことになりますので、今回の震災で、漁業再開後、すぐ返済が困難な漁業者の方でありましても、結果として円滑に融資を活用していただけるということを考えているところでございます。
○西委員 今お聞きした範囲では、震災で資産を大幅に失ったということを条件にしても融資を相当数受けられる無担保無保証ということを考えられているということで、積極的な対応をお願いしたいというふうに思います。
続いて、今回の法案では、原子力発電所災害に関する固定資産税の減免措置はまだ講じられておらないというふうに思います。原子力発電所災害の被災地にある家屋や土地等に関する固定資産税についても、当然、減免措置を講ずるべきではないかというふうに思いますが、この点についてお伺いいたします。
もし減免措置が必要と考えている場合には、政府が設定している避難区域、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域など、きのうもまた新たな方針が出されましたけれども、それぞれの場所について、これらすべての場所が減免措置の対象になるのか、それとも、そうではなく、何らかのお考えがあるのかということもあわせてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○片山国務大臣 原子力災害の被災地については、今回の地方税法の一部改正においては直接言及しておりません。というか、対象として想定しておりません。
さればとて、では、地方税法の現行規定に基づきまして粛々と課税をしていいのかというと、これは非常に大きな不都合を生じることになります。避難を余儀なくされている固定資産の所有者の皆さんにとりましては、土地家屋が使用収益できないわけでありますので、そういう実態は当然踏まえる必要があると思います。それが一つです。
ただ、現時点で、例えば避難をいつまで余儀なくされるのかということがまだ判然としません。そうしたときに、いわば一年間の税のあり方というものを現時点で決めてしまうということに対するためらいもあります。そんなこともありまして、現在は、市町村の方に連絡をいたしまして、期限を延長する、要するに、課税行為を現時点では控えるということにとどめていただいておりまして、そうしますと納税者の皆さんにとっては実害がないわけであります。
多少中途半端な状況が続きますけれども、いずれ事態がどちらかに判然とした場合に、必要となりましたら、また改めて法律の改正案を出すということにしたいと考えているところであります。
○西委員 確かに、大臣おっしゃるように、まだ現在、いつまで避難するかとか、お仕事がいつ再開できるかとか、さまざまな要件があって、今はっきりと決めることができないということはよくわかります。今後ある程度見通しが立った時点において、そういう課税に対するきめ細かな対応を、ぜひとも住民の立場に立ってお願いしておきたいと思います。
続いて、法案では、津波によって甚大な被害を受けた区域内の固定資産税の課税を免除するのは、今回は平成二十三年度分ということになっております。平成二十四年度以降の課税の免除についても行えるようにされるのかどうか。それから、平成二十四年度以降は、被災住宅用地の特例や被災代替住宅用地・家屋の特例で対応するというふうにお考えになっているのかについてお伺いをしておきたいと思います。
○逢坂大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、今回の固定資産税の課税免除は二十三年度のみの措置というふうになっております。
御案内のとおり、土地家屋の課税につきましては一月一日を基準的なルールとしてやっているわけですが、三月十一日はそれらのものが滅失、損壊してしまった、特に家屋はそういうことになっておりますので、今回のような措置を講じたということであります。したがいまして、来年の一月一日になると、そもそももう家屋の場合については、ないということもあるわけでございますので、今回とはまた違った考え方というものが場合によっては出てくるかもしれません。
いずれにいたしましても、今後の復旧復興の状況を見ながら、さらに二十四年以降、措置が必要であれば法的な仕組みが必要になってまいりますので、今後の状況の推移を見ながら、必要な検討があれば対応してまいりたいというふうに思います。
○西委員 確かに、一月一日という基準をもとにということであれば、復旧の度合い等、さまざまな要件がかかってくるかもしれません。きめ細かな対応をお願いしたいというふうに思います。
続きまして、被災代替住宅用地や代替家屋、住宅用地は三年度分、それから代替家屋は四年度分二分の一、その後の二年度分には三分の一と、特例の対象となる期間がそれぞれ異なっております。それぞれに理由があるのかもしれませんが、そういうことになっております。
例えば、当面、復興の重点期間を五、六年ぐらいというふうに定めて、その間、例えば三年間は免除する、残りの三年を二分の一にするなど、その地域で生活を再建し、生活が安定するように、見通しの立つような考え方の措置を講ずるべきではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○逢坂大臣政務官 御指摘のとおり、今回、被災用の代替家屋につきましては六年間ということで措置をさせていただいておりますが、どの程度やるべきかというのはいろいろ御議論があるかというふうに思っております。さらに、代替用の土地につきましては三年間という措置でございますけれども、土地を取得して三年ぐらいの間には、何らか対策、いわゆる住宅などを建てていただくということになるのかなという推測を持ってこうしているわけです。当然、そこの土地に住宅が建ちますと、現行の軽減措置、六分の一なりのものが適用されるということになろうと思っております。そういう点で期間をちょっと変えているということであります。
しかしながら、今御指摘のあったとおり、期間を区切って、さらなる見通しの立つような方向ということでありますけれども、これも、今後どういう状況で推移していくのかを見きわめて、そういう対応が必要になればまた検討することも考えてみたいと思います。
○西委員 今、最後の御答弁で、実情を見ながら、復旧復興の状況を見ながら、さらに考えることもあり得る、こんな御答弁だと思います。まだまだ始まったばかりですので、これからいわばスタートするということですので、今回はこういう形でスタートするとして、状況に応じた柔軟な、住民サイドに立った、実情に合わせた検討をいただければというふうに思います。
以上で終わらせていただきます。
○福田(昭)委員長代理 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
地方税法について質問をいたします。
本法案は、東日本大震災による被害が甚大なものであったことから、阪神・淡路大震災に関連してとられてきた措置をベースにしつつこれを拡充し、また、新たな措置を創設するものであり、賛成の立場であります。
その上で、何点か確認、あるいは幾つか新たな措置ということについて質問をいたします。
財産を失い、仕事を失った被災者の方は、地方税の納付期限の延長となっても、では、その後で納められるかといっても、その見通しが立たないということも当然起こり得るわけであります。既に滞納を抱えている被災者の方であればなおさらのことであります。
そこでお尋ねしますが、このような滞納を抱えた被災者に対して無理な取り立てを行うようなことはやらない、あるいは、期限延長したのに延滞金を取るようなことも行わない、これは当然のことだと思いますが、その点について確認をさせてください。
○逢坂大臣政務官 私自身も、何年か課税の事務をやったり徴収の事務をやったりした経験がございます。滞納をされている方の事情というのはさまざまでございまして、その滞納の状況に応じた対応が必要になると思っています。今回、その上に、さらに災害、被災ということが重なってきますので、平時以上に十分に配慮をした、滞納されている方々への対応というものが必要になるというふうに思っております。
その上で、現在の法律上の規定をお話しさせていただきますと、滞納者が災害の被害を受けた場合には申請に基づいて徴収猶予を行うことができることになっておりますし、滞納処分をすることができる財産がない場合などにおいては滞納処分の停止を行うことができることになっております。また、徴収の猶予やあるいは滞納処分の停止を行っている間の延滞金については免除することとされております。
以上でございます。
○塩川委員 その上で、納税者の資力が回復しないような場合については、当然のことながら、地方税の免除を含めた措置というのを行うことが求められていると思いますが、その点についてはいかがですか。
○逢坂大臣政務官 その点につきましては、地方税法の第十五条の七の四項に、執行停止の状態、すなわち、処分するような財産がない、資力が回復しないというようなことなどもあって執行停止がずっと続くんだと思われますけれども、それが三年間継続したときは消滅をするということになっております。
以上でございます。
○塩川委員 これは今後、現場での実情を踏まえて、執行がどうなっているのかについては、個々具体の問題があった時点で、改めてその点をただすということにしていきたいと思っております。
こういった減免によって地方税の減収分が生まれたような場合に、その穴埋めをどうするのか、国としてはこの点をどういうふうにするつもりなのかについても確認で御答弁をお願いします。
○逢坂大臣政務官 今回、自治体が独自に減免をしていくということになった場合の歳入の穴でございますけれども、これは歳入欠陥債によって補てんをしていこうというふうに考えているところであります。
さらに、これは現在のところ、災害の発生年度である二十二年度分だけということになっているわけですが、今後、二十三年度以降における減免についても同様に対応するということになれば、法改正ということも予定しなければならないというふうに思っております。
それから、歳入欠陥債の後年度の元利償還に対しての考え方でありますが、阪神・淡路大震災の際に講じた措置、基準財政収入額の算定を踏まえて七五%を交付税措置いたしておりますけれども、これに加えて、さらに、財政力に応じて最大二〇%の交付税の措置を予定できないかというふうに現時点では思っております。
○塩川委員 しっかりとした措置をお願いしたいと思います。
次に、今回の法改正で、津波被害に対する固定資産税の課税免除措置が創設されます。この特例措置の内容がどのようなもので、こういう措置を講じる理由が何かについて、あわせてお答えいただけますか。
○片山国務大臣 幾つかありますけれども、そもそも論からいいますと、固定資産税というのは、一月一日の現況によってすべて課税要件を決めてしまいますので、現行法によりますと、一月一日に現に存在している土地家屋についてはそのとおり課税をするということになりますが、これは幾ら何でも不都合であります。
したがって、津波に洗われて家屋が滅失してしまった、土地も大きな災害を受けているところについては課税免除をしよう、これが一つの内容でありますし、それから、以前も申し上げたことがあると思いますけれども、住宅が上に乗っかっている土地については、一定の面積は課税標準を六分の一にするという特例がありますけれども、これが、住宅が取っ払われますと途端に六倍にはね上がる、こういう不都合も生じますので、こういうことを避ける。そのほか幾つかのことがあります。
それらに伴って自治体は大幅な減収にならざるを得ませんが、これについては、すべて地方債の発行によって当面の歳入を賄うことになります。しかし、それが将来の自治体の財政運営に大きな支障を及ぼすということになってはいけませんので、それについては一〇〇%を後年度の地方交付税によって補てんする。
これが、特例の大まかな概略と、特例によって生じます減収の補てん策のあらましであります。
○塩川委員 津波被害に対する固定資産税の課税免除措置の御説明がありました。
それに対する地方自治体の減収分に対する対応で、地方債の発行で、これは減税補てん債のようなものの発行を可能として、こういった減税補てん債の元利償還金について、一〇〇%を交付税で措置するということを考えておられるということで、確認ですが、よろしいですか。
○片山国務大臣 今提案しておりますこの法案が成立をしまして、その成立後の法律に基づいて課税免除が行われるとした場合には、その課税免除の対象となった減収額というのは全額地方債を発行することが可能であり、かつ、その元利償還金については後年度、地方交付税で全額を見ていく、こういうことになります。
○塩川委員 それと、津波被害について、面的に課税免除の措置も行われるわけですが、今回の大震災では各地で地すべりや液状化による地盤被害が起こっております。
地すべり被害の状況についても、国交省が把握している地すべり被害で二十六カ所に及ぶと承知をしておりますし、液状化被害につきましては、地盤工学の学会、地盤工学会の現地調査では、東京湾岸地域の液状化被災面積は概算で約四十二平方キロとしております。朝日新聞でコメントを寄せておられます、調査に当たった安田進東京電機大学教授は、「阪神大震災では神戸〜尼崎市間で液状化が起きた面積は十平方キロ程度だった。今回、他の地域の分も加えれば国内で過去最大規模と言っていい」と述べています。
ですから、阪神・淡路のときに、ポートアイランドのような埋め立ての地域を含めて十平方キロで液状化が起こった。今回の場合は、東京湾岸だけでも四十平方キロの液状化の被害があるんじゃないのか。さらには、利根川の流域というのも広く液状化の現象が起こっているわけですね。そうしますと、千葉県と茨城県と埼玉県、こういった広い範囲で液状化の被害が生まれております。また、茨城の那珂川の流域、海に接するようなひたちなか市などにおいても同様の液状化の被害が広がっておりまして、地下の埋設物が浮き上がるとか、あるいは住宅も傾き、地下の中にあるさまざまな配管なども大きな影響を受ける。
言われているように、傾いた家をもとに戻すジャッキアップだけでも五百万円かかると言われておりますし、配管を含めて全体の費用を見るとしたら、一千万円以上かかると言われるような大きな負担を強いられるものであります。ですから、こういった過去最大規模の液状化被害に対応した被災者支援策が必要だと考えます。
大臣にお尋ねしますが、津波被害に対する固定資産税課税免除措置に準じて、広範囲に及ぶ地すべりや液状化による地盤被害について、固定資産税や都市計画税の減免など税の特例を設ける法的措置を具体化する考えはないか、お尋ねします。
〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
○片山国務大臣 御指摘のような、地すべりによる被害とか液状化による被害があることはもちろんでありますけれども、これらの被害の態様というのは必ずしも一様ではありません。被害の態様はさまざまであります。
例えば、液状化を例にとりますと、相当長期間使用収益が事実上できないような土地ももちろんあると思いますし、一方では、多少の手直しで比較的早期に使用収益が可能となる土地もあるわけでありまして、そういう被害の態様がさまざまな土地について、一律に課税免除とか一定の課税の規制を加えるということは必ずしも妥当ではないと私は思います。むしろ、そういうさまざまな態様に対しては、個別の自治体が現場の実態を見まして必要な措置を講ずるということの方が、結論においては妥当するんだろうと思います。
現に、地方税法に三百六十七条という規定がありまして、ここに、天災などによって不都合が生じた場合には自治体の判断で減免ができるという規定がありまして、その規定を使うことによりまして納税者の抱えている事情というものを解決していただく、これがルール、基本でありますので、そちらによっていただければと思っております。
○塩川委員 今回、津波被害に対しての面的な固定資産税の課税免除の措置なども行われている。そういうことをやるのであれば、液状化の被害などについては踏み込んだ対応というのも具体化をすべきときに来ていると思います。
液状化についても、それは地域によってのいろいろな差があります。東京湾岸と利根川流域と那珂川流域なんかでも態様の違いがありますけれども、しかし、共通する部分というのは当然あるわけですね。利根川流域の茨城や千葉の自治体で見ましても、千葉の香取市ですとか我孫子市とか、茨城でいえば潮来や神栖や鹿嶋などについては、要するに、住宅団地のところがもともと田んぼだったところで、下が砂地で、その下の砂のところは建設用の砂として取って埋め立てをして、少し高盛りをして住宅を建てるというようなところが、今回の地震で揺れて水が噴き出して傾くという点での共通性というのは広くあるわけですね。
そういった事態をしっかり踏まえた対応策というのはぜひお考えいただきたいということを改めて申し上げておくものであります。
最後に、今回は第一弾ということであります。当然、第二弾ということもお考えだと思いますが、その点でも、原発事故に伴う被害者への地方税の減免措置について、どのように取り組むのかについて最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
○片山国務大臣 原発の関係地域の、例えば固定資産税について、現時点で現行の地方税法どおりに粛々と課税することが妥当しないことは言うまでもないと思います。ただし、しからば、現時点において津波被害と同じように課税免除を地域的に行うということを判断するのは、それはそれでまた妥当しないと思います。
といいますのは、まだプラントの封じ込めの状況がわからない、避難の期間というものがいつまでになるかわからないというような状況の中で決めてしまうというのも妥当しないということ、先ほど申し上げたとおりでありまして、したがって、現時点では期限の延長ということをやっていただいておりまして、納税者の皆さんに負担が当面生じないようにはしております。
今後の推移を見計らいまして、一定の判断ができる状態になりましたときに、必要に応じて法案を出したいというのが現時点での考え方であります。
○塩川委員 ぜひ早急な具体化を求めて、質問を終わります。
○原口委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
まず、東日本大震災の税制上の対応についてお伺いいたします。
地方税法改正案の附則四十二条は、東日本大震災を「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害」と定義しております。対象は原発事故災害を含んでいるわけですね、この定義は。ところが、固定資産税及び都市計画税の課税免除が書かれております五十五条においては「東日本大震災に係る津波により」と書いておりまして、原発事故を除外している。これはどういう意味があるのか、なぜ除外されているのかということが一つと、今回の税制上の対応で、この五十五条以外に原発事故を除外したものがあるのかどうか。
というのは、四十二条で、今言いましたように、東日本大震災というのは大津波と原発事故の二つをあわせて規定しているわけですね。ところが、今言うように、この部分、五十五条についてはそうでないように書かれている。だから、ここ辺のところがなぜなのかという疑問を持ちますので、それについてお答えをいただきたいと思います。
○片山国務大臣 先ほど来申し上げているつもりなんですけれども、固定資産税については、減免をするなり課税免除をするというのは、一月一日には存在をして、自然体であれば課税をしてしまう、三月十一日に地震があったわけですけれども、一月一日の現況で課税してしまう、こういうことが今の基本的な地方税法のルールであります。ただ、津波災害によって大打撃を受けたところは、家屋はなくなっている、土地も当面、使用収益できないという明らかな被害があるものですから、それについては課税を免除しようというのが、今回の法律案の中の固定資産税、都市計画税のくだりであります。
他方、原発の地域といいますのは、もちろん沿岸部は三陸などと同じように津波で壊滅的な被害を受けておりますから、ここは同じような状況でありますけれども、そうでない内陸の方は、固定資産、家屋が滅失をしているというようなことはないわけであります。損壊もしていないわけであります。したがって、現時点で確かに使用収益できない、これは法的な規制を加えられて使用収益できないということはありますけれども、固定資産自体が滅失しているということではないわけであります。
したがって、極端なことを言いますと、できるだけ早いうちに帰宅が可能であって、それから平穏な生活が営めるということにもしなれば、一〇〇%かどうかはともかくとして、課税があっても不都合ではないということになります。これが長期化をして、もう本当に一年間帰れないというようなことになりますと、それは固定資産があっても使用収益できないということになりますから、それが判然とした段階ではやはりきちっとした法的な手当てをする必要があるだろうと思いますが、現時点では、それがまだ税の立場として明確に判断できないものですから、そこで、この法律の中には固定資産税は入れていないということであります。
そこで、前もお話ししましたように、さりとて、では淡々と、粛々と四月から固定資産税の課税行為が行われていいのかというと、それはそれで納税者の皆さんにとってはとても耐えられることではありませんので、そこで、あらかじめ三月中に自治体の方に通知をいたしまして、期限の延長ということをしていただいております。したがって、納税者に今課税が行われて税負担が生じるということはないようにしている、こういうことを先ほど来申し上げたつもりであります。
○重野委員 農産物等々については、いわゆる風評被害という形で、市場に出されても競りにもかけてくれないという時期がありましたよね。今でもまだその風評被害が続いている。
そうすると、この原発周辺の二十キロあるいは三十キロという地域の地価とか評価というのが、これもいわゆる風評被害じゃないけれども、実勢価格という点について暴落をするということだってあり得るのではないか。今大臣が言ったその検討が、そういうふうな事象というものを視野に入れた検討の余地が今後あるのかないのか、考慮すべき事象としてあるというふうに受けとめるか受けとめないか、その点について。
○片山国務大臣 例えば風評被害などの影響が、固定資産の価格にどういう影響を及ぼすかというのは非常に重要なポイントだと思います。しかし一方では、この被害といいますか影響の度合いというのは地域によって、土地によって大きく異なります。したがって、それらを、態様がさまざまなことに対して法律で一律の基準を設けるというのは恐らく現実的でないし、妥当しないと私は思います。
そういうことに対して、既に地方税法の中に減免の規定というのがありますので、影響の度合いを見て、それにふさわしい納税者の負担の軽減というのが図られる、これが一番現実的で、かつ妥当するんだろうと私は思います。影響の多いところについては負担をゼロにするということも可能でありますし、影響が軽微であってさほど致命的でないという土地であれば、負担の軽減を何分の一かにとどめるということも可能でありまして、そういう柔軟な仕組みが既にありますので、法律で一律に規制するよりは、それぞれの自治体において妥当な結論を導いていただくということの方がいいと思います。
○重野委員 この事故で、いわゆる二十―三十という円の中にいる方々で、この際、もう住まない、出ていくという方だって相当出てくるんじゃないかと私は思うんですね。そのときに、その人が持っている家なんだけれども、実際として人が住んでいないという形になるんですね。そのときに、それは、住んでいなくても持ち主だからその方に課税をするということになるんですか。そこのところはどういうふうに検討されるんでしょうか。
○片山国務大臣 現在の法律ですと、住んでいなくても持ち主に課税することになります。
それが、例えば半年後ぐらいのときに、状態によっては、当面だれもそこに住むことができないというような状態でありましたら、きちっとそれは課税をしない、課税免除をする、そういう法的措置が必要だろうと私は思います。
逆に、その時点で、住もうと思えば住めるというような状態に復しているとすれば、幾らかの減免をするということはあり得るとは思いますけれども、住んでいないから課税をしないということにはならない。
いずれにしても、そのときの態様、それから被害や影響の事情によって負担関係は決まってくる、場合によっては一定の法的な整備が必要になってくる可能性があると思います。
○重野委員 これは、明らかに国策によって福島に第一、第二原発をつくったわけですね。そこに住んでいる人は全く関係ないんですよ。住んでいる人はその決定過程に全く参加していないんですから。全く参加していない過程の中で出た事態に対して、そういう意味で、そこに住んでいる方々も、軽減はするけれども、負担をするという理屈は通らないんじゃないかというふうに私は思いますよ。これは明らかに、福島原発ができた、それがゆえに今があるわけですから。
それは、住民の方から国はどうしてくれるんだというふうに訴えられたときには、それを受けて、仮に裁判になった場合にどうするかという判断が迫られるときも来るのではないですか。だから、そういうことになる前に、私は、やはり国策で進めた以上は、国が万般もろもろ、すべて責任を持つという立場で対処していくことが求められているのではないかということを最後に強調しまして、私の質問を終わります。
○原口委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
きょうは、地方税法の一部を改正する法律案、震災関連の特別立法の第一弾がようやく提出をされたわけであります。先日、総務委員会で、阪神大震災のときは震災から一カ月でこうした地方税法の改正案が特別立法の第一弾で提出され成立を見ている、こういうお話をさせていただいて、三月十一日から見ますと一カ月半という期間でありますが、精力的にこの間御議論されて提出を見たことは私はよかったというふうに思っております。
この中で、軽油引取税のトリガー条項の一時停止というのが盛り込まれております。後ほどその件に関して私どもから修正案の提出をさせていただきますので、そのことについてきょうは質疑で取り上げさせていただきたいというふうに思います。
まず、本当に初めの確認でありますが、今回、軽油引取税のトリガー条項が凍結に至った理由というのをお伺いさせていただきたいと思います。
○片山国務大臣 このトリガー条項が仮に発動されますと、年度当初に見込んでいた税収額というものは大きく変動いたします。一般的にも、歳入が年度中途の状況によって激変といいますか大きく変わるということは本来の税制のあり方として好ましくない。まあ私が個人的に思う面もありますが。特に、今次のように大きな災害に見舞われまして、その災害復興のためにあらゆる歳入などを見直したり確保できる財源を調達しようという事情がある中で、思わぬ減収が生じてしまうということになりますと、これはとても財政運営に支障が生じるということになりかねません。
そんなこともありましてこのトリガー条項についての見直しの議論が行われてきたわけでありますが、何分、今おっしゃったように、震災に対する税制上の特例というのは国税、地方税ともなるべく早く決めなければいけませんので、そこでスピード感ということも考慮して、とりあえず凍結ということにしたわけであります。
○柿澤委員 ガソリン及び軽油の価格についていうと、この間、中東等の情勢もあってかなり上がってきていた状況の中でこの震災を迎えたわけです。特に被災地に入りますと、さまざまな要因でガソリン不足、燃料不足がありましたので、そういう価格の高騰の状況も見受けられる、そうした状況にありました。
そうした中、今、三カ月、ガソリンでいえば、百六十円を超えるとトリガー条項が発動する、こういうことにこれまでなってきたわけですけれども、もし仮にこの一時凍結がなされない場合にどうなるのかということを考えたいと思います。
そのために、まず、ガソリンや軽油の価格の今の動向についてお伺いをしたいと思います。
○逢坂大臣政務官 現在、私の手元にありますデータを見てみますと、例えばここ一年ぐらいの状況を見ますと、原油、軽油あるいはレギュラーガソリン、いずれにおきましても、昨年の十月あたりを一定の底として、それ以降、じりじりと現在に向かって価格が上がってきているというふうに認識をいたしております。
○柿澤委員 ガソリン価格の高騰、軽油価格の高騰というのは、まさに被災地も含めた経済活動に大きな影響と、またいわば打撃を与えるものでもあるわけです。そうした中で今回一時凍結を行おうというわけで、そういう意味でいうと、これは、ガソリン価格が幾ら高くなっても、軽油価格が幾ら高くなっても暫定税率の撤廃は当面行わないということになるわけですので、被災地で生活をし、経済活動を行っている方々に、日本全国そうですけれども、特にこうした状況の中でこのような決定が行われるということが本当に理解されるだろうか、こういうふうにも思うわけであります。
もちろん財政事情も背景にあるんでしょう。トリガー条項が発動されれば、国と地方合わせて四千五百億ぐらいの減収になるんだというふうに言われています。それだけの減収をどういうふうに賄っていくのか、こういう議論にもなる。年度途中に突然ということであれば、片山大臣がおっしゃるようなそういう面も確かにあるかもしれません。復興にかける費用が何十兆という単位で必要だと言われている中でありますので、私もそのことは理解をしないわけではありませんけれども、しかし、復興財源の調達の仕方として、こういうところから取っていくということが果たして正しいやり方なのかということについては、私たちは大いに疑問に思っています。
今回、やはり被災地の復旧復興を初めとする事業にかける予算は、私は、財政的な制約で、少なく少なくということではいけないというふうに思うんです。大きなしっかりとした予算枠をとって、そして踏み込んだ、大胆な復旧復興の事業を行っていく、こうしたことが必要だと思いますし、先日、全国知事会の皆さんも、災害に関する特別提言において、そうした観点から、足りない財源については日銀による国債引き受けを考えてもいいのではないか、こういうことも提言をされている状況であります。そうした中で、こういう形で復興の財源を確保しようとする、事実上、場合によっては増税になるような措置で確保しようとする、この手法で果たしていいのかというふうに思います。
せめて被災三県については、これだけ深刻な経済的な打撃を受けているわけでありますので、私は、このトリガー条項が、仮にガソリンや軽油が上がった際にはこの地域限定でも発動される、そうした仕組みをつくる必要があるというふうに考えますけれども、御見解をお伺いいたしたいと思います。
○片山国務大臣 いわゆるトリガー条項の凍結につきましては、いろいろ御議論があることは確かだろうと思います。議論のある中での一つの選択、割り切りであります。その際、それはひとえに被災地の復興のための財源確保、財源の安定化の一環でありますので、ぜひ被災地の皆さん方には御理解していただきたいと考えておりますし、また御理解をいただけるものと思っております。
御指摘のありました、例えば被災地に限ってこのトリガー条項が発動されるようにしたらどうかということでありますが、一般的な考え方として、そういう考え方がないわけではないとは思いますが、事消費課税につきまして、地域的に複数の税率を設けるということは非常に困難といいますか、消費課税自体にとっては想定していないことであります。そうしますと、物流に対して中立的でない要因を与える。別の地点で買って別の地点に別途持っていくとか、いろいろなことが行われまして、物流に対して、経済に対して中立性を阻害するということがありまして、税制上はとるべきではないと私は考えております。
○柿澤委員 まさしくそれは平時の考え方で、私たちは今、被災県をどういうふうに経済的な復興に向けて支えて、また後押しをしていくかということが求められているわけでありますから、そういう意味で、こうした平時の発想を乗り越えて、やはりこうした措置を講じていく必要があると私は思います。
本当に、現政権の皆さんがせっかくつくったトリガー条項なわけですから、こういうときに、仮に発動が必要とされた場合にやらなくてどうする、こういうふうに思いますので、後ほど修正案の提出をさせていただくことをあらかじめ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○原口委員長 この際、本案に対し、柿澤未途君から、みんなの党提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。柿澤未途君。
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地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○柿澤委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、みんなの党を代表して、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。
この修正案は、東日本大震災による被災状況が甚大であることを踏まえ、著しい被害を受けた県として総務大臣が指定する県においては、引き続き、揮発油価格高騰時における軽油引取税の税率の特例規定の適用停止に係る規定、いわゆるトリガー条項を適用するものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○原口委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
地方税法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、柿澤未途君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○原口委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○原口委員長 次に、内閣提出、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
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地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○片山国務大臣 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、地方議会議員年金の財政状況を踏まえて当該年金の制度を廃止するとともに、これに伴う経過措置として廃止前に共済給付金の給付事由が生じた者に対する一定の給付措置等を講ずるものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、地方議会議員の年金制度に関する規定を削除することとしております。
第二に、制度廃止時において既に地方議会議員を退職している者に係る給付の経過措置として、退職年金の給付事由が生じている者については、制度廃止前の退職年金の給付を行うこととしております。
第三に、制度廃止時において地方議会議員である者等に係る給付の経過措置として、退職年金の受給資格を満たす者は、制度廃止前の退職年金の支給と掛金及び特別掛金の総額の百分の八十に相当する額の退職一時金の支給のうち、いずれかを選択できることとしております。また、退職年金の受給資格を満たさない者については、掛金及び特別掛金の総額の百分の八十に相当する額の退職一時金を給付することとしております。
第四に、退職年金については、年額が二百万円を超える場合には、超える額の百分の十に相当する額を引き下げることとしております。また、退職年金の年額と前年の退職年金等を除く所得金額との合計額が七百万円を超える場合には、超える額の二分の一に相当する額の支給を停止するとともに、最低保障額を廃止することとしております。
第五に、制度廃止の方針決定後の平成二十三年一月以降に給付事由が生じた退職一時金については、同月分から平成二十三年五月分までの掛金及び特別掛金の全額を算入することとしております。
第六に、制度廃止に伴う経過措置としての給付に要する費用は、地方議会議員共済会が保有する残余の積立金を除き、地方公共団体が負担することとしております。また、地方議会議員共済会は、当該給付を行うため存続するものとし、業務がすべて終了したときに解散することとしております。
最後に、この法律の施行期日は、平成二十三年六月一日としております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十六日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会