衆議院

メインへスキップ



第16号 平成23年5月17日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十三年五月十七日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      磯谷香代子君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      花咲 宏基君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    小野寺五典君

      加藤 紘一君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         山縣 宣彦君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          斎尾 親徳君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     磯谷香代子君

  湯原 俊二君     花咲 宏基君

  赤澤 亮正君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     後藤 祐一君

  花咲 宏基君     湯原 俊二君

  小野寺五典君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

五月十七日

 「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」の撤回を総務省に求めることに関する請願(重野安正君紹介)(第七〇〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、東日本大震災被災地における地方行政、情報通信等の実情調査のため、去る十日から十一日までの二日間、岩手県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの小川淳也君、黄川田徹君、古賀敬章君、福田昭夫君、大西孝典君、自由民主党・無所属の会の石田真敏君、坂本哲志君、公明党の西博義君、日本共産党の塩川鉄也君、社会民主党・市民連合の重野安正君、そして私、原口一博の十一名であります。

 このたびの地震と津波により、岩手県におきましても、陸前高田市、大槌町など、壊滅的な被害を受け、集落・都市機能をほとんど喪失した地域を初め、臨海部を中心に被災し、五月九日現在、死者四千三百八十八人、行方不明者三千二百七十五人の人的被害、全半壊が一万九千棟を超える建物被害が確認されているほか、農地、事業所、道路、鉄道、港湾、漁港、また、電気、水道、ガス等のライフライン、情報通信インフラ等に甚大な被害が発生いたしました。そして、今なお三万七千人を超える方々が避難生活を送っておられるとのことであります。

 改めて、この災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 五月十日でありますが、まず、岩手県庁において、宮舘副知事、上野副知事等から、県内の被災状況、県から被災市町村等への支援の状況について説明を聴取するとともに、東日本大震災津波に関する要望として、災害復旧事業等に係る地方財政措置等の拡充、壊滅的な被害を受けた三陸鉄道等公共交通の早期復旧等に対する全面的支援、被災市町村に対する人的・財政的支援等について要望を受けた後、活きた被災市町村支援のための県の取り組み、政府の復興構想会議と県の復興委員会との整合、平地部分が狭隘な中での仮設住宅の立地と復興の両立、人口流出加速の懸念、被災者の地上デジタル放送の受信環境整備に必要とされる支援等について質疑応答を行いました。

 次に、ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイングにおいて、通信・放送・郵政関係の被災状況及び被災後の対応状況について、総務省当局、NTT東日本、NTTドコモ、NHK、岩手県内民間放送事業者及び日本郵政から説明を聴取するとともに、被災を通じた情報通信分野における教訓、災害時の公衆電話の効用、地上デジタル放送移行の延期をめぐる放送事業者と総務省の見解及び早期移行に向けた取り組みの必要、全壊郵便局の再立地の考え方及び簡易郵便局再開等について質疑応答を行いました。

 翌十一日は、まず、被災地の後方支援基地及びボランティア支援の拠点となっている遠野市を訪問し、本田市長から、今般の被災において機能した同市の後方支援拠点施設整備構想を踏まえた沿岸被災地域への後方支援活動、外部団体の活動概要、変化する被災者ニーズの把握と対応等について説明を聴取するとともに、遠隔医療システム及び地理空間情報システムといったICTを利活用した被災地の後方支援についての提案等をいただきました。

 次に、釜石市災害対策本部が置かれているシープラザ釜石において、野田釜石市長、山本宮古市長、山内久慈市長、東梅大槌町長職務代理者副町長、佐藤山田町副町長及び橋場岩泉町副町長から、被災沿岸各市町村の被災状況、復興に向けて抱える課題と要望等について説明を聴取するとともに、一括交付金の配分のあり方、中長期的に見て必要とされる措置、地上デジタル放送への移行をめぐり必要とされる支援等について質疑応答を行いました。

 次に、大船渡市役所を訪問し、戸田市長から、被災状況、復興に向けた対応状況、災害復興の基本方針及び必要とされる支援等について説明を聴取するとともに、海上、海中の瓦れき撤去の費用負担等について質疑応答を行いました。

 次に、市庁舎及び職員に甚大な被害を受けた陸前高田市を訪問し、戸羽市長から、津波被害状況等について説明を聴取するとともに、人的支援不足の有無、復興に向けての考え方、取り組み方針、地域における医療・教育面での課題等について質疑応答を行ったほか、陸前高田郵便局仮店舗を視察いたしました。

 なお、各訪問地間の移動の際、車中からではありましたが、瓦れきが散乱している被災地の現況を目の当たりにし、津波被害のすさまじさを肌身に感じるとともに、瓦れき撤去作業、真摯なボランティア活動等被災地復興に向けた諸活動に深く感銘いたしました。

 以上が調査の概要でありますが、委員長といたしましても、この調査を踏まえて、一日も早い被災地の復旧復興のため委員会として行うべきこと、また、政府に督励すべきこと等の整理を速やかに行い、的確に対処してまいる所存であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小田克起君、総務省総合通信基盤局長桜井俊君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、社会・援護局長清水美智夫君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君及び国土交通省大臣官房技術参事官山縣宣彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西孝典君。

大西(孝)委員 民主党の大西孝典でございます。

 質問に先立ち、このたびの東日本大震災で、とうとい命をお落としになられた方々に心からのお悔やみを申し上げますとともに、被災をされ、現在も不自由な生活をされておられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 五月十日、十一日の本委員会の被災地派遣に私も参加を許されましたことに、先輩、同僚委員の皆様方に感謝を申し上げます。また、本日の委員会でも質問の機会をいただき、重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 今回の委員派遣では、岩手県を初め、県内の多くの被災自治体の理事者の方々から御意見や要望をお聞きいたしました。被害の大小や人的被害の程度は差がありますけれども、すべての自治体で、自治体業務は平時と比べても著しく増加をしております。職員の人命が失われなかったところでも人手不足に陥っているとお聞きいたしました。一時の大混乱は脱したと思いますけれども、いよいよ本格的な復旧復興業務に取り組む中で、人手がないことで各種業務に支障を来すことがあってはならないと考えております。

 総務省として、被災自治体を全力で支援していかなければならないと考えますが、現在、十分な支援態勢が組まれているのか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 発災直後から、災害時相互応援協定や姉妹都市提携等によって積極的に自治体同士で人的支援が行われておりますし、また全国知事会のシステムによる人的支援も行われておるところであります。

 総務省といたしましても、被災市町村に対する支援の観点から、全国市長会、全国町村会の協力を得て、全国の市町村から被災市町村に対する人的支援の態勢を構築したところでございます。

 要はニーズに合った派遣をしていかなきゃならないということでありまして、果たして希望される職員の数、職種、派遣期間等々をまずきちっと把握して最も有効な人材を出していかなきゃならない、このところが大切な部分だというふうに思っておりまして、鋭意、いわゆるマッチング作業といいますか、そういったことをやっております。

 五月十日現在で八百五十一名のマッチングができておるところであります。当初六百七十三名の派遣要望でありましたけれども、それから徐々にふえてきておりまして、八百五十一名の派遣が出ております。

 いずれにしましても、だんだん御要望の内容も変わってまいりまして、最初はとりあえず短期の派遣ということだったのですが、現在では中長期ということになってきておりますし、派遣の内容も、いわゆる専門的な分野に入ってきておるということであります。

 そういった状況を踏まえて、本スキームの中でしっかりとニーズに合った形で人的支援ができるように鋭意努力をさせていただいておるところでございます。

 以上です。

大西(孝)委員 ぜひ、本当に不備がないように、一刻も早い復旧復興ができるように、総務省としても万全の態勢でサポートをお願いしたいと思います。

 時間がないので、次に移ります。

 被災された各自治体は、その自治体によって被害の程度というのは非常に違っておるというふうに見受けました。地形的な条件も違いますし、自治体の規模も違います。

 第一次補正予算では、被災地向けの特別交付税が千二百億円増額されました。これも有効に使っていただくわけですけれども、これからの被災市町村の復旧復興事業というのは、主に、単独では地方債とか地方交付税等を組み合わせて財源をつくっていくというふうにお聞きしておりますけれども、その地方交付税の配分について、これからも配分基準というのは平時のままでやるのか、あるいは特例があるのか、お答えをいただきたいと思います。

 また、一つの具体例として、被災した自治体の庁舎を建てかえる場合、仮庁舎の建築は今回補助制度が認められたようでございますけれども、本格的な建てかえにも国からの財政支援という新しい制度をつくってもいいのではないかと考えますけれども、いかがでございますでしょうか。

逢坂大臣政務官 まず最初に、特別交付税のことについてお答えしたいと思います。

 特別交付税は普通交付税と性質が違っておりまして、普通交付税は、広く一般的なルールによって捕捉できる事情によって配分をする、特別交付税は、個別、それぞれの団体特有の事情によって交付をするというような性格があろうかと思っています。

 しかしながら、個別団体の性格に着目する余りその算定方式が不透明になるということであれば、これはまた不都合なことでありますので、個別の団体に着目しながらなるべくルール化をしていくという二つの相反する側面といいましょうか、これをあわせ持つ必要があると思っています。

 そこで、災害関係の経費に係る特別交付税でございますが、これは、例えば亡くなった方の数でありますとか、行方不明者の数でありますとか、倒壊家屋の数などを基本の数値にして、一定の算式によって交付することを基本としているわけでございます。

 しかしながら、四月八日に交付税を特例交付させていただいておりますが、その際には基礎数値の把握が必ずしも十分ではございませんでした。しかしながら、なるべく一定の算式に基づいた交付を基本としながらも、個別の団体の事情に配慮して算定を行って交付したところであります。

 したがいまして、今後とも、なるべくルール化をする部分と、個別の団体の事情に十分配慮をする部分、この二つの面をあわせ持って対応してまいりたい、交付税についてはそう考えております。

 それから、庁舎の関係でございますが、御案内のとおり、庁舎については、一般的にはこれまで国から支援をするということはなかったわけでございますが、今回、阪神・淡路大震災の際にも対応しておりませんでした仮設庁舎について支援をしようということで、今現在作業を進めております。

 今度は、仮設ではなく本庁舎についてどうすべきかというお尋ねでございますが、これは、それぞれの自治体において、まちづくりの上でいろいろとその内容が非常に変わってくるものと思っておりますので、それぞれの団体の事情もよくお聞きをした上で今後考えてまいりたいというふうに思います。

大西(孝)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 時間がないので、お答えの方もできるだけ手短にお願いしたいと思います。

 次に、地方交付税の交付の仕方についてお尋ねをしたいと思うんです。

 今回、理事者の皆さん方のお話を聞いておる中で、自治体によっていわゆる復旧復興のスピードが違います。既に瓦れきの処理のめどがついたところもあれば、そうでないところもありますし、あるいは仮設住宅の用地の手当てがついたところ、ついていないところもあります。また、既に復興の具体的な方針を立案されたところもあるし、復旧に手いっぱいで、復興という言葉すら言い出しにくいというふうな自治体もあるとお聞きました。

 私は、あえて、交付税の交付を横並びにするのではなくて、いわゆる復旧復興のスピードに合わせて交付税の交付を加減していって、そしてトータルとして復旧復興のスピードを促進するということにすべきだと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

片山国務大臣 一般論で申しますと、交付税というのは特別の事業に充てるということが想定されておりませんので、むしろ、今議員がおっしゃったニーズからいいますと、各省の個別の補助金の決定とか交付を早くするということが、復興の自治体の取り組みを支援することになるんだろうと思います。

 それはそれとして、地方交付税の方の早期交付というのも必要になりますので、繰り上げ交付という制度がありますから、これの活用を既に四月にいたしました。

 あわせて、去る三月三十一日に地方交付税法を改正していただきまして、特別交付税も、特例交付ということで、従来は年末と年度末だったのを適宜交付できることになりましたので、四月八日に第一回目の特例交付を行いました。第二回目も、今実情を伺っておりまして、必要に応じて、これまでの慣例にかかわらず、特例交付を活用してまいりたいと考えております。

大西(孝)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、これもいろいろな委員会で質問されていると思いますけれども、今回も、各自治体の首長さんから、いわゆる住宅ローンであったり事業ローンであったり、これの二重ローンについてのお話がございました。せめて、マイナスではなく、ゼロからのスタートをさせたいというふうな御意見が多かったのですけれども。

 私的財産にかかわる問題でありますから難しいところはあると思いますけれども、大災害のたびに新しい制度ができて被災者を救済してきたという歴史もあると思います。そういった意味で、ぜひ、この二重ローンの問題について、実効性のある制度とか仕組みをつくるべきであると思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

和田大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 今御指摘いただいたとおり、この一カ月近くの間、さまざまな委員会の御議論の中でも御質疑をいただいております。私どもとしましても、被災者の方々の過去の債務からできるだけ自由になっていただきまして、新しい事業そしてまた住宅の建設に取り組んでいただければという気持ちは十分共有させていただいているところでございます。

 ただ、どういった仕組みでこれを救済していくかということについて、今、関係省庁とも協議しながら鋭意検討中でございますが、なかなかまだ妙案が浮かんでいないところでございます。

 実際に、今話題に出ております債務の免除等をするという判断は、各金融機関におかれても個別にやっていただくことに今後なっていくかと思いますけれども、今議論に出ております、一律に債務免除を行うということにつきましては、実際に債務者の状況が千差万別であることや、それから、金融機関にとりまして、お貸ししているお金の原資は預金者のお金でございますので、最終的に預金者にお返しできるという担保がない限り、全面的に債務の免除を行うということは非常に難しいということを御理解いただければというふうに思います。

 ただ、今も御指摘いただいているように、できるだけ前へ向いて歩いていただくために、実はお金の問題だけでなくて、被災地域においてもう一度事業の再興に取り組むためには、例えば被災地域がもう一回事業を起こしてよい地域かどうか、そういった法的な判断も難しゅうございますし、それから、実際に一事業者がその気になったとしても、例えば水産加工業は、一社だけで成り立っているわけじゃなくて、何十社もが共通に利用している冷凍施設のようなものがあったりで、ある程度、これから先、まちづくりとともに考えていかなければいけない仕組みだと考えています。

 昨日も予算委員会で総理の御答弁があったところなのでございますが、そういったお金目の問題以外も含めまして、すべての関係省庁が知恵を出し合えという御指示が参りましたので、これからもう一度皆さんで検討していきたいと考えています。

大西(孝)委員 ぜひ、我々も含めて、一生懸命そのことについては考えていきたいと思っております。

 次に、郵政の関係ですけれども、郵政の関連の施設、あるいは多くの従業員の方々も今回被災されました。

 私は、この視察と別に、五月二日に飯舘村の郵便局も訪ねてまいりましたけれども、いわゆる避難を前にして、新規の口座をつくったり、あるいは今まで持っていなかったキャッシュカードを作成したりということで、ふだんよりも本当に多い方々が来られておりまして、全国どこに行っても必ずあるという郵便に対する信頼感というのは本当に根強いものがあると思っております。

 こういう被災者の気持ちにこたえるように、ぜひしっかりと再建に取り組んでいただきたいと思いますけれども、具体的な内容についてお聞かせください。よろしくお願いします。

斎尾参考人 先日は、大変厳しいスケジュールの中、陸前高田郵便局の仮店舗、それから郵便事業会社の陸前高田支店の仮設を御視察いただきまして、そして社員を激励いただきまして、ありがとうございました。

 被災されました皆様にとりまして、郵便、貯金、保険の郵便局サービスは極めてニーズの高いサービスであるとの認識のもと、現在、郵政グループの総力を挙げて、全力でその復旧に取り組んでいるところでございます。

 まず、震災後の緊急の対応としまして、三月二十日より、避難所の付近等において最大十五台の車両型の郵便局を活用しまして、貯金の非常取り扱いや保険に関する相談受け付け、普通郵便物の受け付け等の郵便局サービスを実施しているところでございます。また、郵便につきましても、可能な限り避難所への配達を実施しているところでございます。

 そして、当面の復旧としまして、津波の被害を受けて郵便局でサービスが提供できていない地域では、地方公共団体との連携を密にしながら、拠点となる郵便局を優先して、四月二十六日に陸前高田市に、先日御視察をいただきました仮店舗を設置するなどしまして、営業再開に向けて取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、これらの対応に当たりましては、民営・分社化によりまして郵便局と郵便事業が別の会社に分かれたために、店舗の設置や車両の融通など、逐一会社間の調整が必要となり、迅速かつ円滑な対応に支障が生じている面があることも事実でございます。

 今後の郵便局の本格的な再建に当たりましては、地域の復興計画に沿って行う必要もあり、引き続き地方公共団体との連携を密にしつつ取り組んでまいりたいと考えているところでございますが、そのためにも、郵政改革法案の早期の成立をお願いしているところでございます。よろしくお願いいたします。

大西(孝)委員 質問時間が終わりましたので、質問ではなしに、ちょっと要望だけさせていただきたいと思います。

 被災地の民間の放送局の聞き取りもしました。被災地ですから、いわゆる広告収入とかそういったものも減少するわけで、また地デジが延期になりましたから、二重投資というか二重の費用もかかるというふうな中で、ぜひ政府としても、政府広報なり公的な情報を重点的に出稿するというふうなことをお考えいただきたいと思います。

 以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。また、委員長初め委員の皆様には、被災地の視察をしていただきまして、大変感謝を申し上げます。

 まず冒頭、片山大臣にお伺いをしたいと思います。

 実は、十三日でございますが、閣議の中で、公務員の給与一〇%削減、これは報酬それからボーナス含めての削減ということが発表されました。

 まずお伺いしたいのは、この一割削減というのは菅総理の指示から出たものなのかどうかということ、そしてこの一割という基準、どういう考えで一割ということを提案されたのか、これでどのぐらいの財源が見込まれるか、お伺いしたいと思います。

片山国務大臣 去る十三日に職員団体の連合組織との間で交渉を始めましたが、それに先立ちまして、閣議で、交渉に臨む基本的な考え方というものを私の方から閣僚の皆さんそれから総理にもお伝えしたところであります。

 この方針というのは、特に一割という総理の側からの指示ではございませんで、むしろ、私が昨年閣僚に任命された際に、公務員人件費の削減担当といいますか、そういうのを総務大臣にあわせて任命されまして、それに基づいて、担当大臣として部内それから関係方面と意見交換をしながらその方針を決めた次第であります。

 一割と申しますのは、いろいろな背景はありますけれども、特に考慮しましたのは、各地方自治団体が、国家公務員に先立ちまして、これまでもいろいろな給与の適正化とか削減の取り組みをしておりまして、もちろんばらつきはありますけれども、その中で、ざっと見ますと一割というのは一つの目安になるのではないかということで、国家公務員について一割ということにしたわけであります。

 交渉事でありますので、正式な交渉を始めたばかりでありますので、これから相手側からもいろいろな意見が出てまいりまして、最終的にどういうふうに落ちつけるかというのはこれからのことでありますので、今、予断を持って最終がどうなるということを申し上げる段階ではございません。したがって、今回の国家公務員の給与引き下げの交渉を通じてどれぐらいの財源が出るのかというのは、現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論で言いますと、給与費が三兆数千億円でありますので、新聞にも出ておりましたが、仮に一割ということで単純計算しますと三千億円程度になりますけれども、先ほど申しましたように、交渉の結果どういう政府案にするのかというのはこれからのことでありますので、しばらくお時間をいただければと思います。

小野寺委員 今のお話を伺いますと、知事としての地方公共団体の経営の経験もあるお立場から、国家公務員の人件費の削減というのは、地方公務員がここしばらく流してきた汗と血に比べてちょっと温存されたのではないか、それを比較した上ではやはり一割が適当ではないかということでこの一割という数字が出たと考えてよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 それももちろんあります。

 それからあと、先ほど申し上げませんでしたけれども、正式に言いますと、私が昨年大臣に任命されたときに総人件費二割削減というのが当時の民主党のマニフェストにありまして、それを実現するということも政府の課題でありましたので、その課題が私に与えられたということもあります。という枠の中で、単価といいますか、それについては一割というのが妥当であろうと判断したわけであります。

小野寺委員 と申しますと、私ども記者会見のペーパーを見ますと、復興財源という目的だということですが、今のお話では、もともとマニフェストで二割、そういうことがあった一環でもあるということなんですが、どちらが目的なんでしょうか。

片山国務大臣 昨年の十一月一日に当時の人事院の勧告を処理する作業がありまして、当時は、人事院の勧告をそのまま受けとめて、それを完全実施するということでありました。それに対して、もっと深掘りすべきではないかという意見が当時、自民党からもあったと思いますけれども、世論もありました。その際に、人事院の勧告は勧告でそのとき実施するけれども、来る通常国会、この通常国会ですけれども、通常国会までにいわゆる深掘りを検討して、それまでに成案を得てしかるべく法案を出すということを、十一月一日に閣議決定しております。

 したがって、震災前からこの給与の引き下げというのは政府の政策課題として提示していたわけでありまして、それを今日までかかって実現したいと考えているところであります。その間に震災がありまして、結果として、この給与改定が実現しますと、その改定分、引き下げ分が復興財源になり得る、経緯から申しますとそういうことだろうと思います。

小野寺委員 一つ心配なのは、例えば公務員の人件費というのはそれぞれの公務員の方の生活にかかわる問題で、復興財源というふうになると、何かこのことに関して物が言いにくい、今、そういう世の中の風潮があります。ですから、復興財源で必要なのか、もともとマニフェストでやろうとしているのか、そこを大臣は明確に目的を分けていただかないと、恐らく、何でもかんでも復興というと、あるいは津波というと、私ども被災地の議員からしたら大変ありがたい話ですが、ただ、何も物が言えなくなる風潮の中でどんどん進めていくということは、国会でやはりしっかり議論しなきゃいけないことだと思っております。

 その中で、きょうは人事院総裁においでいただいていますのでお伺いしたいんですが、昨年の勧告では、たしか月額〇・一九%減、ボーナス〇・二減ということでの勧告を出されました。今回の一割削減ということに関して人事院としてはどのようなお考えを持つか、お伺いしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 公務員の給与は、憲法によりまして、法律で定めるということになっております。国家公務員法上は、二十八条に規定がございまして、「給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。」ということで、国会が変更するに当たっては、人事院がしかるべき勧告あるいは報告を行うということになっているわけでございます。

 国家公務員はあわせて労働基本権が制約されておりますので、その代償機能としての人事院勧告もあるわけでございます。ただ、基本権が制約されているといいましても、公務員にも団結権、団体交渉権が認められておりますので、その認められている範囲で労使間の交渉があるということはあり得ることだと思うわけであります。

 交渉の結果は、上がることも下がることも当然あるのだろうと思うわけでありますが、最終的にそれを国会が判断するに当たりましてはしかるべき指標が要るわけでございまして、私どもは、毎年、民間給与の実態を調査して国会に御報告をし、それに基づいて勧告をしているわけでございますが、現行法制が変わっているわけではありませんので、人事院としては、基本的にこの機能を果たしてまいりたいというふうに思っております。

小野寺委員 ちょっと総裁に改めてお伺いしたいのは、今、片山総務大臣は、地方は大変血と汗を流して努力されていろいろな削減をしていると。地方にもそれぞれ、労働基本権が制限されておりますので、各地方公共団体にも同じような制度がございます。その中で、国がやはり高過ぎるので今回一割削減ということになれば、これは、人事院の見積もり、考え方が乖離しているというふうに総務大臣から言われているも同然のことだと思います。

 今回の一割削減というのは妥当なのかどうか、その一言をお伺いしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 私どもは、民間の給与実態調査をしまして、同じようなポストあるいは同じような仕事をしている人の給与を比較しながら、公務員の給与はいかにあるべきかというのを勧告している次第でございます。この勧告の内容につきましては、調査結果に基づいて公正に行っているというふうに私は認識しております。

小野寺委員 私は、もしかして、総務大臣の感覚が正しいんだと思っています。むしろ人事院の感覚がおかしいんだと思っています。

 今まで、私どもが政権にいたときにも、さんざん人事院から、現在の資料ということで、このぐらいの従業員数でこのぐらいの給与水準ということで、何度も何度も説明を受けました。そして、人事院というのは独立した機関であるから、そこの勧告というのは私どもは口が挟めないということで、給料が高いんじゃないかという国民の指摘をいただいても、私どもはそこについてはずっと我慢をして、これは独立機関だということで考えておりました。ですが、今の総裁のお話を聞くと、最終的には国会が判断する、自分たちは自分たちで一つの指標を出すと。そして政府は、どうもその指標は地方に比べて甘いんじゃないか、こういう評価がある。人事院が、もう要らない、そういうことに実はなっているんじゃないか。

 総裁には大変恐縮ですが、恐らく総裁も相当高額の報酬をいただいて人事院を運営されていると思います。政府がここまで人事院の機能について、ある意味では恐らく意味がないと。そうしたら、今回の一割削減がもしこの国会で通っていくということになりますと、人事院の意義というのが、もう要らなくなるということになるんだと思うんですが、このような状況に人事院が今置かれていることに関しての総裁のお考えをお伺いしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 人事院の役割は法律で決められているわけでございまして、私どもは、法律に従ってその役割を果たすということであります。その法律の中では、情勢適応の原則ということで、民間の実態を調査して、同じような仕事について、そのバランスをとって勧告するということでございます。

 私どもとしましては、公務員が労働基本権を制約されて、自主的な交渉に制限がある中でありますので、そういう第三者的な立場から客観的な指標をもとに役割を果たしていくのがその責務だということでございまして、これまでもその責務を人事院は忠実に果たしてきたのではないかというふうに思っております。

小野寺委員 総務大臣にお伺いをいたします。

 今、法律で決められたということで総裁は何度もお話をされておりますが、ここは立法府であります。当然これから、政府も含め、きょういらっしゃる各委員、政治家でありますので、この人事院のあり方ということ、今回の一割削減について、もし国民的に大きな異論が出ないということになれば、恐らく人事院の今までの勧告ということ自体がどうも実態に合わないのではないか、人事院の存在意義の問題にもなってくると思います。

 この給与水準を含めて、今後の人事管理制度についてどのような方針で臨まれるか、総務大臣にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 ちょっと整理をさせていただきますと、ポイントが二つあると思います。

 一つは、今回、給与カットをしたいということで組合側に提示しましたが、これは決して人事院の現在の存在を否定するものではありません。あくまでも人事院の勧告に従って昨年十一月には処理をしたわけでありますけれども、やはり現下の財政事情でありますとか当時の国民感情でありますとか、そういうものを考慮して、ここは深掘りをする方が適当だろうということで、いわば臨時特例の措置として交渉を始めているわけであります。決して、根こそぎ人事院を否定して、全部給与法定主義で、法律で、全部国会で議論してやるんだということではありません。あくまでも人事院の存在を前提にして、臨時異例の措置ということであります。これが一つです。

 もう一つは、現在、国家公務員は、地方公務員もそうですが、労働基本権を制約されておりまして、その代償措置として人事院なり人事委員会があるわけでありますが、今、政府・与党で検討しておりますのは、特に国家公務員ですが、労働基本権の制約を解除しよう、ある程度回復しようということをやっておりまして、そうなりますと、人事院の存在というのは、その方面から改編を加えられるということがあります。今、そのような状況にあるという認識のもとでの異例の措置として、法案を提出すべく準備作業をしているということであります。

小野寺委員 大臣のお話をずっと聞いていますと、冒頭では、やはり地方で、自治体で経営をされているさまざまな今までのリストラの状況を見ると国は甘い、だから一割ぐらいは、この何年間かの地方公共団体の削減に比べて、国はしていないのではないかというところからの一割というお話が持ち上がり、では、私どもは、それであればやはり人事院の見積もりがおかしいのではないかということでお伺いをしたら、人事院としては、見積もりは法律で定められているというお話があった。しからば、ではその法律自体を見直す必要があるのではないかと言うと、今度は総務大臣は、いやいや、人事院はちゃんとした機能を果たしていると。私はどうも、話がちょっと混乱してきます。

 一つお伺いしたいのは、今回、三年間ということで提示されておりますが、そうしますと、三年後にはもとに戻すということで考えてよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 これは法案をつくって正式に御提案して御審議いただきたいと思いますが、今、三年度間の時限立法を考えておりますので、三年後に何もしなければ復活をする、こういうことになります。

 ただ、さっき言いましたように、別途国家公務員の労働基本権の回復の問題がありますので、今回、これは担当大臣が違いますけれども、国家公務員の労働基本権の回復を実現するための法案をあわせて提案したいと政府としては考えておりますので、三年後どうなっているのかというのは、その動向によってまた別の事態が予想されると思います。

小野寺委員 私は、民主党のマニフェストは二割削減ということ、恐らく、数も減らしレベルも下げるということで今回一割という数字が出たとすれば、これは三年間で済む話ではないと思います。そうすると、これが今後ずっと一つの水準として延びていくということになりますと、当然、国家公務員の退職金、年金にもすべて影響してくる問題であります。

 民主党のマニフェスト、現政権のマニフェストの二割削減というのと、今回の三年間だけ下げるということの整合性についてはちょっと理解できないんですが、どう考えたらよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 これは、先ほど触れましたように、今、国家公務員の労働基本権の回復の問題がありまして、この成案を得まして国会に提案したいと思っておりますけれども、それが国会の審議を経て実現しますと、今の人事院勧告に基づく給与の決定原則から、労使の交渉に基づいて決まるということになりますので、順調に今政府が考えておりますことが実現をしますと、三年後には、労使間の交渉によって物事が決まっていくということになります。したがって、その時点でもしそういうことが実現していれば、新しい給与決定のルールに基づいて物事が決まる、こういうことになると思います。

小野寺委員 総務大臣は、中央省庁の経験もあり、地方の知事の経験もあります。率直なお考えをお伺いしたいんですが、このような、公務員に対してある面では労使交渉権を与えていくということ、もともと公務員は公正中立だということで長年日本は人事院の制度をとってまいりました、これを根底からある面では見直して今回労使交渉で行うということ、ある面ではさまざまな労働基本権が公務員に認められるということ、これが日本の公務員制度にとって妥当なのかどうか。

 政権の中にいらっしゃいますから多分いろいろなお考えをお持ちだと思いますが、本当にこれが日本の今後の公務員制度にとって適正なのか、妥当なのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 本来は、公務員といえども労働者でありますから、労働基本権は享受されるべきものだと私は思います。ただ、公務員労働者の特殊性にかんがみまして、これまで労働基本権の一部が制約をされてきたということだと思います。したがって、これをできるだけ回復させるということは、基本的には間違っていないと思います。

 私は、経験上、知事をやっておりまして、地方公務員の一般職については、国家公務員の一般職と同じでありますから、労働基本権を制約されておりますが、現業職というのが別途あります。これは国家公務員にも一部ありますが、地方公務員はかなりの人数で現業職というのがあるのですけれども、従来、これとは知事の時代に交渉しておりまして、交渉によって物事を決めていく。もちろん争議権はありませんけれども、労働協約を締結するという権利は現業職員にはありますので、そういう労使間の仕組みの中で八年間やってきましたので、特段の違和感はないつもりであります。

小野寺委員 これは言いっ放しにしておきますが、私も地方公務員の経験がございます。現業職というのはなるべく少なくなっていく、そういう方向で各行政体は考えているんだと思っています。それは、もともとの現業職の発生したさまざまな事案があって、その後それをしっかり適正化するという中で考えていると思いますので、私は、公務員の中立性、あるいは現在国民、市民が考えている公務員像とこの基本権が付与された公務員という中で、今後さまざまな違和感が出てこないのか、そういうことは慎重に検討していくべきだと思っております。

 さて、地方公務員に移りたいと思います。

 今回、こういう形で国家公務員についてはさまざまな削減を努力されるんだと思います。信じております。恐らく、大臣が一割と言ったからには、当然これが断行される。まさかさまざまな交渉の中でこれがどんどんひるんでいくということがあっては、民主党のマニフェスト自体にも、あるいは今の政権自体にも大きな信用失墜になりますので、そこは腹をくくって恐らく交渉されるんだと信じております。

 その中でお伺いしたいのは、今後、この一割削減というのがラスパイレス指数に影響があり、例えば基準財政需要額を考えていく中で、当然、各地方自治体の財政需要額を考える中では、標準の職員数とその単価ということで、このぐらいの人件費が必要ですねという需要額を各自治体で考えていくのだと思うんですが、国がこうやって一割削減するということになりますと、この地方公共団体の職員の単価も一割削減する、そういう総務省としての考え方があるんでしょうか。

片山国務大臣 今回、私が担当として交渉を始めましたのは国家公務員の給与水準でありまして、地方公務員の給与水準を決める責任の立場にありません。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に基づきまして所定の手続がありまして、細かいことは申しませんけれども、労使で誠実に交渉した上でそれぞれの地方議会で条例で改定を進めていくということになりますので、国がああしろこうしろ、一律にこうしろと言うものではありませんので、今回、地方公務員に例えば国が、何らかの結論を得ることになると思いますけれども、それに応じて、国に従って地方公務員について一律に国並みにしろ、そういうことを申し上げるつもりはありません。

小野寺委員 総務大臣は中央省庁で御経験もあるからおわかりだと思いますが、ラスパイレス指数があって、今回一割削減したその数値が出てきて、そしてそれに見合って、例えば何々県の給料が高い場合は当然交付税額にさまざまな影響が出てきます。

 また、交付税の算定の中で、例えば不交付団体なら問題ありませんが、ほとんどの交付団体については、それぞれ基準財政需要額というのが決められます。この需要額の金額というのは、職員の標準の数と職員の単価という形でも決められます。ですから、すごく財政事情がよくて不交付団体であれば別に、自分たちが勝手に決めることができますが、実はそれ以外の多くの自治体は、国の給与水準が下がれば、それから突出して高ければ、必ず交付税の算定でしっかり厳しく見られる。

 これは当然御存じなことだと思いますが、このような地方への影響についてはどのようにお考えですか。

片山国務大臣 これも、ポイントといいますか、考える視点は二つあると私は伺っていて思いました。

 一つは、地方公務員の給与の決定というのは、さっき概略を申し上げましたけれども、中身はどうやって決めるのかといいますと、幾つかの指標によって決めることになっております。その一つは生計費でありまして、二つ目が地域の民間給与の実態、それから他の自治体の職員の給与水準、それから国家公務員の給与水準というものを参酌して決めるということになっております。したがって、国家公務員が下がれば地方公務員の給与を決めるときに参酌する基準が変わりますので、それに応じて自主的に決めるところは決めていくということになると思います。それが一つです。

 それからもう一つ、地方財政のことを言いますと、本来の原則を言いますと、地方財政計画というものが地方交付税などを決める場合の前提になるのですけれども、地方財政計画というのは国会に報告するものでありまして、各年度の地方団体の歳入歳出の見積もりであります。したがって、今、歳入がどうなっているのか、それから歳出がどうなっているのか、給与水準、給与費がどうなっているのかというのは、それぞれの自治体の実態を見て地方財政計画を計上することになります。

 したがって、例えば国家公務員が下がった、それに応じて自治体が自主的にいろいろな給与の取り組みをやった、そうしますと、多少タイムラグがありますけれども、それが地方財政計画に反映されて、それが地方交付税に反映される、メカニズムでいえばこういうことになると思います。

小野寺委員 ですから、今認めたように、国が下がれば地方も努力して下げなきゃいけない、そして、その下げた努力に応じて交付税がちゃんと支払われる、そういう仕組みになっているんですよ。ですから、国家公務員が下がれば地方公務員が、特に財政事情が厳しいところは下げなければ、最終的には交付税で後でマイナスになってしまうということになるので、そこは必ず連動してくるんです。

 そういうことを含めて、総務大臣ですから、地方自治体、地方公共団体のことも考えるお立場ですから、全体のことを考えて今回のさまざまな対応をするべきということ、決して国だけの問題だという言いっ放しができないということを指摘したいと思っております。

 さて次に、ちょっと原発のことについてお伺いをしたいと思っております。

 きょうは資源エネルギー庁から来ていただいていますが、実は、今回浜岡が問題になりましたが、この浜岡の状況で、例えば原発停止をしても、電源立地地域対策交付金、例えば災害などで原発がとまった場合には八一%を上限に払うというような、こういう制度があって、今回浜岡はこれが適用される。ですから、言ってみれば、浜岡をとめても、この電源三法による立地交付金は減らしませんよというメッセージを冒頭から出されたと思います。

 さて、お伺いしたいのは、浜岡以外のところ、例えば日本全国にはさまざまな原発があります。我が地元でも、宮城県は女川原発というのがあります。ここがもし、今回津波である程度被害を受けて、ただ頑張って稼働していますが、いろいろな形で停止をして、これから復活をしようというときに、地方自治体にさまざまないろいろな影響があり、また浜岡の状況も見て、地方の強い反応、敏感な反応があるんだと思います、そのときに、地方自治体、都道府県の知事等がこれをもう一度稼働するのはなかなか難しいという判断になった場合、浜岡以外のほかの原発についてもこのような交付金を減額しないということが適用されるのかどうか、資源エネルギー庁にお伺いいたします。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 電源立地地域対策交付金につきましては、まず、交付規則上、二年前の発電電力量を算定基礎としてございます。これは、直近のデータが入手できるのが二年前になるわけでございますので、例えば平成二十三年度の交付限度額の算定に当たっては、二十一年度の発電電力量を算定基礎にいたします。そういう意味では、二十三年度、それから二十四年度は二十二年度がベースになりますので、この二十三、二十四についてはそもそも影響は生じないということでございます。

 それから、今先生御指摘のみなしの規定が別途ございます。これは、災害その他の理由により施設の安全性を確保するための運転停止である場合には、停止期間中も稼働していたものとみなす、そのときの年間稼働率の想定を八一%を上限とするというルールが別途ございます。したがいまして、仮に二十五年度以降についても、今回のようなケースの場合にはこのみなしの規定が適用されますので、減額はされないということでございます。

小野寺委員 ということは、浜岡だけではなくて、全国のたくさんある原発が、今後それぞれ、例えばこのような安全基準を満たすために当然点検、修理等で停止をしていく、そして、なかなかその復活というのが地域住民の強い反発があってできないという場合でも、これはずっと続けて今後とも支払われるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

横尾政府参考人 この点は、今のみなしの場合は、災害その他の理由により施設の安全性を確保するための運転停止である場合という要件がありますので、この要件に該当するかどうかで全国のいろいろな状況を個別に判断しなければならないと思いますが、この要件に該当する限りはみなし規定が適用されるということでございます。

小野寺委員 このみなし規定の解釈をはっきりしてもらわないと、恣意的に、国としてはこれはもう安全だと思っているから、再開しないとこの電源三法の交付金は出しませんよということが、逆にむちのような形で地方公共団体を追い立てるようなことがないのか、それを私たちは心配しているんです。

 ですから、みなし規定の政治的な使い方はない、あくまでも地方住民がこれは安全だと確認する、いわゆる地方公共団体を含めた同意が得られて初めて再開するものだと思っていますので、それまではこのみなし規定は生きているというふうに考えてよろしいんでしょうか。再度お伺いします。

横尾政府参考人 これは、国において施設の安全性を担保した場合に、国がゴーサインを出せば既に運転が可能なわけでございますので、その場合にはこのみなし規定は適用されないということでございます。

小野寺委員 総務大臣にお伺いします。

 今のお話で、安全性の確認というのは、地方公共団体の例えば知事がある程度認めて再開を認めるということが通常、今ルールになっていると思うんですが、この状況で、今のお話では、国が安全だと認めれば、地方自治体はだめだと言っても、それは安全だというふうに認めたのでただし規定が適用除外になり、電源三法による交付金がその公共団体におりなくなる。例えば御前崎市では、この交付金がたしか市の収入の半分を占めているということを伺っております。恐らく電源立地の各地方公共団体は同じような状況で、多分、この三法による交付金で相当の地方自治体の財源の運営を賄っていると思うんですが、今のようなお話では、ちゃんと安全整備できたんだから、後は、国は大丈夫と言っているんだから、これを稼働させなければ交付金を出さないよ、出さなきゃあなたの自治体はつぶれるでしょう、こういうふうに言っているのも同然なんですよ。

 私は、地方公共団体を実は守っている守り神が総務大臣だと思っています。今の資源エネルギー庁の発言は、地方自治体の考え方を否定したもの、国が決めたというお話をされました。ぜひこういうことに関してはしっかり、逆に言えば指導していただく、そのようなお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

片山国務大臣 電源立地交付金の運用のあり方というのは、自治体にとっては非常に大きな比重を占めますので、これは政府全体として検討する必要があると思います。それが一つです。

 もう一つは、安全かどうかということについて、これは自治体の方もきちっと納得できるものでないといけないと思いますので、政府が一方的に安全だと言うだけではなくて、本当にきちっと説明責任を果たして、自治体の首長さん初め皆さんが本当にそうだなとわかる、そこまでやはりちゃんと説明をされることが必要だろうと思います。

小野寺委員 今のが正しい答えなんですよ。資源エネルギー庁の立場としたら、国が安全だと決めたのではなくて、国は安全だということをデータで示して、それを知事なり首長が、それだったら住民の皆さんも納得する、これで初めて安全だと言えるのであって、今の資源エネルギー庁の発言については、ぜひ今の総務大臣の発言を重く受けとめて、政府としては、地方公共団体の安全だという確認、知事あるいは首長が大事だと思います。そこが了解した上で初めて再稼働については動くし、それまでは、今言った交付金について、これは資源エネルギー庁の担当でありますが、政府一体としてそのただし書きは有効であるということを確認させていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今、私がここで決定的なことを申し上げる立場にありませんので、そこは御寛恕いただきたいと思いますが、この問題については重要な関心を持って臨みたいと思います。

小野寺委員 よろしくお願いします。

 さて、次にお伺いしたいのは、実は今回、災害復旧で、地方公共団体はさまざまな財政負担を求められております。

 例えば瓦れきの撤去、これは国が一〇〇%ということで環境大臣等も発言をされておりますが、現実には、九割は国で一割が災害対策債で起債をする、そして元利の金額の償還は後で、総務省を含めて、後年度措置をしていくというふうに伺っております。

 また、例えば亡くなった被災者の方への弔慰金ですが、これは国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一ということになっています。やはり地方公共団体の負担というのがつきまといます。今回みたく死者・行方不明者が二万数千人、三万人弱になるような大変な災害の中では、少しでも多くの弔慰金を支払いたい、そう思っていても、地方公共団体が必ず負担についていかなきゃいけない。今回特交で一部そのお金は出していただきましたが、やはり常にこうやって、国がやると言っておきながら、必ず地方公共団体の負担がつきまとう。

 それから、きょうは黄川田先生もいらっしゃいますが、私どもの地元でも土地がないので、防災集団移転促進事業ということで、なるべく集団で高台に集落が移りたい、こういう事業もあります。この事業についても、実は四分の三が国、残りの四分の一が地方自治体。これも、さまざまな事業費、災害復興費その他を使って後年度措置をするというので、九四%が国費だということになるんですが、六%が地方公共団体ということになります。

 これをずっと全部積み上げていくと、実は莫大な金額になるんです。地方公共団体が、今回、後で後年度負担をする、後で特交措置をするということでずっと言われていても、金額自体が物すごく大きい。その一割をどんどんいろいろな事業で積み重ねていけば、大変な金額になる。もともとの市の財政規模をはるかに超えた実は借金の毎年の返済になる。そして、これが地方公共団体に対して、今言った起債措置だから、総務省は後年度負担措置をするというふうにお話をしていますが、相当の金額になるんです。

 しかも、地方自治体は、今回、例えば固定資産税は、既に家屋が全壊した、あるいは水没したということで、減免を行わなきゃいけない、それから住民税だってほとんど取れない状況。いわゆる被災自治体は収入がないんです。収入がない中で、いろいろな事業の地方公共団体負担分が積み重なっていくと、もう既に莫大な金額になっている。

 これだけのことをこれから何年にもわたって国がちゃんと支えてくれるのか、国がちゃんと交付税措置をしてくれるのか。言ってみればもう既に破綻をしているのが、今の沿岸の被災を受けた自治体なんです。国が最後までちゃんとこの交付税措置をするかどうか、それが心配です。

 このような実態について大臣はどうお考えか、お伺いします。

片山国務大臣 非常に重要な論点だと思います。

 確かに、例えば災害復旧事業でありますと、国費が充たったその裏負担については、一〇〇%当面起債をして、その九五%を後年度普通交付税で元利償還に充てるということでありますから、地方負担分はわずか五%、こういうことになるわけです。

 しかし、いろいろな事業をやりますと、合わせると相当な額になるということで、実は私どもも、当初その問題に気がつきまして、一定のシミュレーションをしてみました。

 阪神・淡路のときと例えば同じ仕組みをとったらどうなるかといいますと、事業量は神戸市の方が莫大に多いのですけれども、失礼ですけれども財政力の非常に弱い小さな自治体では、金額は少なくとも財政力に対しては非常に大きな比重になりますので、これではいけないということに気がつきまして、実は、もともとの根っこの国庫補助金の制度を今回は相当改善しました、さきの特例法で。従来の阪神・淡路のときには補助対象になっていなかったようなものを取り込むとか、補助率を引き上げるとか、そういうことを通じましてできるだけ国費を充当することをやりまして、阪神・淡路のときよりも地方費をできるだけ少なくするということも既に前段階でやっております。

 その上で、なおかつ瓦れきについては裏負担も一〇〇%実質交付税で見ようとか、そういうことをやっているわけでありまして、実はそこはかなり織り込み済みでありますので、小さな自治体の財政力に比して将来大きな負担にならないような制度設計をしてあります。

 その上で、なおかつこれから後年度財政負担が生じますので、それについては、各年度、特別交付税などを通じまして、財政運営にそれぞれ支障がないように十分配慮していきたいと考えているところであります。

小野寺委員 地方自治体は本当にこれから、後で交付税で措置をするとずっと総務省に言われても、きょうは首長経験の方もいらっしゃると思うんですが、後でこうやって見てみると、何だ、実際は余り来ていないじゃないかという経験を大分されたことが、御経験はあるんだと思います。

 ぜひ、私は、十年、二十年の間の地方交付税、この地域にはこのぐらい毎年必ず出しますよ、むしろそういう中長期的な各被災公共団体に対しての工程表を出して、ある程度中長期的に安定した交付税が毎年行くんだ、恐らく被害額の算定でこれは明確にわかると思います、そういう対応をしていただきたい、そう思っております。

 さて、もう一つ、実はこれは最近報道された内容ですが、被災直後、国からのさまざまな通知、通達が千件を超えている。厚労省は七百を超えている。きのうこれを聞いて、各省庁に聞いたんです。自分の役所でも一体幾つ出しているかわからないくらい、実は通知、通達が殺到していますと。

 出す役所は、各省の部署、部局です。でも、それが集中するのは、ちっちゃな役場の一つの課に全部集中するわけですよ。そうすると、国はいろいろなことを出すけれども、現場では、山のように書類が積み重なっていて、どれが重要でどれが重要じゃないのか、どれが今回すぐやらなきゃいけないのかわからない状況。それでいて、さらに災害支援をしなきゃいけない。こういう、自治体が目が回るぐらいの通達、通知のラッシュ。

 こういうことを本来は総務省でひとつ整理をしてきちっと対応する、そういうことが必要だと思うので、指摘をさせていただきたいと思っております。

 最後に、もう一つお伺いしたいのは、実は、今回各被災自治体で一番影響が大きかったのは、地域の中核の病院の被災です。

 例えば南三陸町は、映像でもありましたが、四階建ての病院がすべて水没をし、屋上に残った一部の方だけが生き残った。当然、入院していた方は皆亡くなった。こういう状況で、既に病院は使えません。そして、どういう形で今診療しているかというと、実は、私どもが支援をして、イスラエルの緊急医療チームが南三陸に入りました。そのイスラエルの皆さんは、自分たちでプレハブで診療所を建てて、レントゲンを含めて器材を置いて診療して、今、本国に戻られました。そのイスラエルの方々が残していただいた器材で、実はこの南三陸町の診療が行われているんです。

 実は、今回の補正予算の中で認められた診療所というのは仮設診療所、一棟三千百万ですよ。三千百万のプレハブのものを二つか三つ足したって、とても足りない。

 私は、今回、二次対策も早くするべきだと思いますが、ぜひこういう現場の、今、患者さんがいて、雨露の中で、日差しの中で外でいすを並べて、待合室ですよ、屋外で待合をしている、どこにそんな病院がありますか。被災してこんな悲惨な状況になっていて、今でもこんな立場で診療せざるを得ない。仮設住宅だけじゃないんです。病院だって同じような状況になっている。しかもこの南三陸町は、すべて病院がないんです。イスラエルが残したこのプレハブだけが唯一の残った診療施設。本来は、こういうことに関して率先して今回支援すべきじゃないかと思います。一棟三千百万のプレハブを二棟今回用意しました、これが政府の対応ですよ。

 こういうことをぜひ許さないで、地方自治体の心が折れないように災害復旧に対して支援をしていただくようお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回の視察、いろいろな面で教訓を得ました。改めてその悲惨な状況に私たちは息をのみましたし、その中で懸命に復旧作業をされておられる各自治体の首長さん、職員さん、あるいは市町村民の皆様方に心から敬意を表したいと思っております。

 しかし、その復旧作業の中で、市町村自治体と県と、あるいは国と本当に一体感を持ってやっているかというと、私たちは、市町村長さんたちの意見を聞きながら、話を聞きながら、そこに多くの不満、不安があるというふうなことを改めて感じました。

 一番感じたのは、こういう図式になっていると思うんです。首長さんたちはとにかく、自分の市町村は一日も早くどういう形ででも復旧をやりたい。しかし、目の前に広がる膨大な瓦れき、あるいは壊滅的な町の状況を見ると、どうしても復旧作業の機能、復旧作業そのもの、作業能力に不安がある。ましてやそれを裏づけする財政力、また自治体の財政負担、こういったものにやはり非常に不安を覚える。そういう中で、国が基本的なスキーム、あるいは実践的なスキームをなかなか出さない。そして、一方で復興構想会議のような大きな会議があって、その構想会議の提言を待って改めて対応策を検討する、あるいは実践的な対応策をする、そういうような状況になっているというふうに私は感じました。そういう図式になっていると思いました。

 一つは、やはり役所機能を働かせていない、各省庁、府省の機能を十分に働かせていないということに大きな欠陥の原因があるというふうに思いました。

 役所というのは、縦割り云々が言われますけれども、やはりさまざまな実務面ではプロであります。そして、作業の裏づけとなる予算というのは確実に自分たちが獲得してくる、あるいは執行する、そういう面でのプロであります。しかし、そのプロが政治主導という名でいつまでも指示待ちをしているというような状況であると思いますし、また政府の方は、政治主導と言いながら、どうしてもそこは実践的な号令がかけられない、観念論に終わってしまう。ですから、政治主導のもとで指令を出せない政治と指示を待っている各役所、こういったところが見合うような形で、相身互いの形で、やはり復旧また復興、そういったものがおくれている、そこに自治体の首長の皆さんたちが非常に大きな不満や不安やジレンマを感じているというのが現状であるというふうに私は思いました。

 これが端的にあらわれているのが、やはり海中の瓦れきの処理であるというふうに思います。

 今回は、三陸沿岸、海に関した被害です、津波による被害です。ですから、海中あるいは陸上の瓦れきは一体としてさまざまなスキームを出していかなければなりません。そこにはもちろんいろいろな各省庁の立場の違いもあるでしょうけれども、やはりそこは、それぞれの省庁でお互いに話し合いながら、早く実務的な海中の瓦れきの処理をやるというのが、自治体の皆さんたちが待たれていることであろうと思います。

 漁港内は水産庁で、港湾は国土交通省で、瓦れき全体については環境省で、沖合については海上保安庁でと、それぞれの各省庁の役割があるわけでありますけれども、それを早く一本化する、一体化する、そういうかけ声をやはりかけなければいけませんけれども、それがなかなかできていないというのが実情であると思います。

 そこで、まず、海中の瓦れきの処理に対してどういうような実態にあるのか、漁港を所管する水産庁、それから港湾を所管いたします国土交通省にお伺いをいたします。

山縣政府参考人 港湾の瓦れきの撤去についての御質問でございます。

 港湾内の瓦れきのうち、航路あるいは船が停泊いたします泊地にあるものにつきましては、国や港湾管理者でございます地元自治体が、港湾施設の災害復旧の一環として最優先で撤去を進めてまいりました。

 被災した国際拠点港湾及び重要港湾は全部で十四港湾ございますけれども、これらの港湾の航路、泊地につきましては、十四港湾中十三の港湾で瓦れきの撤去作業、いわゆる啓開作業が完了してございます。入港船舶の喫水の制限といったものはございますけれども、物資等の輸送に必要な港湾機能が復旧してきてございます。

 なお、航路、泊地以外にございます瓦れき、あるいは地方港湾におけます瓦れきにつきましては、その量や散乱状況を十分に把握できていないということでございます。

 国土交通省といたしましては、海中の瓦れき処理につきまして、関係省庁と連携し、検討を進めるとともに、地元自治体の御意見を伺いながら、港湾内の瓦れきの計画的な処理に全力で取り組んでまいります。

 以上でございます。

田名部大臣政務官 今回の大地震によりまして、太平洋沿岸部では三百十九の漁港が大きな被害を受けました。特に、中でも、先生は御視察をされてよく御存じだと思いますが、岩手、宮城、福島、こういったところは壊滅的な被害を受けているところであります。

 先生御指摘いただきましたように、この瓦れきの撤去というものは大変重要でございまして、漁業をやられている皆様が少しでも早く漁業を再開していただけるように私たちも全力で取り組んでいきたい、そう考えているところでございます。

 このため、今回の災害復旧事業によりまして、被災漁港を管理する県または市町村が、査定前に着工できる応急工事をフルに活用しているところでございまして、少し数字を申し上げますと、五月十三日現在でございますが、漁港内における瓦れき等の状況調査を百六十八の漁港で実施し、九十八の漁港で着工済みです。うち十四漁港については完了しているという報告があったところです。

 先生からもお話がありましたけれども、地域の声をしっかり聞いていくということは非常に重要だと思っておりまして、私どもも、調査員を現地に派遣して、それぞれの地域を足で歩いて地域の皆様の声をしっかりと聞きながら、これからもしっかりとこの瓦れきの回収等に努めてまいりたいと考えています。

坂本委員 大臣にお伺いいたしますけれども、今聞かれましたように、農林水産省は農林水産省で漁港を管理する立場としてやられている。また、国交省は国交省で港湾を管理する立場としてさまざまな作業が進んでいる。しかし、それを全体として取りまとめるのは、国のスキームをつくるのは環境省でありますけれども、この辺の政治的な主導というのが余り見られないし、国のスキームそのものがまだできていないというのが実態です。

 そこで、やはり一番苦労しているのは、一番困っているのはそれぞれの自治体でありますので、総務省の方で、陸上の瓦れきというのは、私も見てまいりまして、かなり処理が進んでおりますけれども、海中も含めて、もっと自治体の立場に立って、海中の瓦れき処理の国としてのきちんとしたスキームを早くつくってほしい、そういうような発言をすることが大事だと思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 財政面に関しましては、それぞれ漁港、港湾、それから漁場などのそれ以外のところというので、国と自治体の負担割合はもう既に早いうちに決まっております。補正予算も通っておりますので、そのスキームを使って、あとは実施を急いでいただくということだと思います。

 それぞれいろいろ困難な事情がおありだろうと思いますけれども、ぜひ県も、中心的な存在になって、市町村とよく相談されて隘路を解消するということをやっていただきたいと思いますし、その過程では国も、それぞれの所管官庁、これは港湾管理者とか漁港管理者でない場合であっても、そういうそれぞれの自治体の取り組みに協力をするということが必要だろうと思います。

坂本委員 今後、海中の瓦れき処理あたりについては、かなりまだ困難が予想されますし、いろいろな障害が出てくると思います。しかし、やはり航路あるいは漁業再開のためには欠くべからざることでありますので、総務省としてもぜひ声を上げていただきたい、環境省あるいはそのほかの省庁のしりをたたいていただきたいというふうに思います。

 続きまして、先ほど小野寺委員も言われました、地方の財政負担の問題についてお伺いをいたします。

 やはりそれぞれの自治体の首長さんたちの意見を聞いていますと、最終的にはどれだけの負担が自分の自治体にかかってくるんだろうか、この恐怖感が非常にあります。これをどうやって取り除いていくのか。これは、とりもなおさず、やはり総務省の責任であるというふうに思います。

 資料を配付させていただきました。これは、先般公明党の西委員が質問をされました、それを資料にしたものであります。今回の一次補正四兆百五十三億円、この分だけについてここに明記したわけでありますけれども、この四兆円の中で自治体補助が二・九兆円ある、二・九兆円の中で地方負担がどれだけあるかというような質問が出ました。その二・九兆円の中で地方負担は七千三百億円あるというようなお答えでございました。

 そのうちの起債対象事業が六千七百億円であります。ですから、各自治体は、今回の一次補正につきましては、この六千七百億円で起債を起こすわけでございますけれども、それが果たして、負担がゼロのものがどれだけあるのか、あるいは自治体が負担しなければならないものがどれだけあるのかということを、この前、大臣の答弁だったでしょうか、逢坂政務官の答弁だったでしょうか、答弁をしていただきました。

 それによりますと、災害対策債は、瓦れきに関しては〇%でございますけれども、その他のものについてはやはり五%の負担がございました。そして、補正予算債は、七百億円が起債対象でございますけれども、これは〇%、各自治体はそれぞれ負担をしなくていい。しかし、補助災害復旧事業債になりますと、五%の負担が出てまいります。一般単独災害復旧事業債はさらに、その財政力によりまして一四・五%から五二・五%まで負担があるということであります。

 ですから、どんなに軽く見積もっても、どんなに地方負担を小さく見積もっても、例えば三番と四番、四千四百億円について言えば、この一四・五%から五二・五%あたりを除くとしても、五%だけだとしても二百二十億円の地方負担が出てくるわけです。一次補正でさえこうです。これが、これから二次補正あるいは三次補正、そしてさらには五%ではない起債事業もありますので、それを加えると、本当にゼロ負担というのはわずか二〇%ぐらいの分野でしかないというふうになります。

 そういうことを考えたときに、これからの地方負担がどれだけ出るだろうかという首長さんたちの言ってみれば恐怖感、不安感をある程度和らげるために、どういう仕組みを考えればいいだろうかということを私たちはやはり提言していかなければいけないというふうに思います。

 そこで、首長さんたちとの話し合いの中からも、やはり自由に使える一括交付金的なものが必要であるというような御意見が出ました。今回の内閣府が設置いたしました一括交付金は、私たちは非常に無意味なものであると思っております。継続事業のつけかえだけでありますので、五千億円を各都道府県に交付した、そして来年はさらに五千億円を各市町村にそれぞれ交付するわけであります。その積算基準というのがどういうふうになっているのか、どうやって市町村に交付するのかというのはやはり非常に難しい、実現不可能に近いものであると思いますので、私たちは今回の一括交付金には反対をしておりますけれども、災害時の一括交付金は重要である、積算可能であるというふうに私は思っております。

 久慈市の市長さんだったと思いますけれども、久慈の被害総額が大体二百六十億円を見積もっている、その二百六十億円の八掛け、ですから二百八億円ぐらいになると思いますけれども、八掛けを一括交付金にしてもらったらありがたい、そしてそれを五年あるいは十年というようなことで交付してもらえば年間に四十億ぐらいになるわけですので、こういう使途自由な災害時の臨時一括交付金という形にすれば私たちはありがたいというような御意見をもらいました。非常に貴重な御意見だと思います。

 ですから、何掛けにするかというのは別にして、被害総額、被害がどの町に、どの市町村にどれだけあるかというのは大体計算することができる、見積もることができると思います。そしてその中で、首長さんたち、市長が、その市町村がソフトにもハードにも、あるいは人件費も含めて自由に使える交付金は必要であるというふうに思います。

 ですから、最終的には、地方交付税、特交、そして災害時の一括交付金、この三階建てによって各市町村のそれぞれの選択肢を広げるということで、裁量権を少しでも広げながらそこに復旧へのモチベーションを高めていくということは私は非常に大事なことであると思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

片山国務大臣 重要な視点だと思います。

 現在既にもう、今お触れになられましたけれども、被災地の自治体関係者からはそういう強い要望が出ていることは、私も現地を回りまして直接伺ったりして承知をしているところであります。

 また、私自身も、知事をやっておりましたときにかなり大きな震災に見舞われまして、その復興過程で、各省にそれぞれの補助金をもらいに行って交付決定を受けてというやり方よりは、選択肢が自治体にあった方が、より効率的に、少ない経費で効果的な成果をおさめることができるという体験もしておりますので、非常に重要な視点だと思っております。

 現行の仕組みではそういう仕組みになっておりませんので、これを実現するにはかなりの制度改変が必要であります。復興構想会議の中でもそういう地元からの要望を受けた議論が行われているようでありますので、それはそれとしながら、政府内でもそれについて検討すべきだと私も考えているところであります。

坂本委員 その検討、あるいは全体のスキームというのはできるだけ早く出していただきたい。おくれればおくれるほど、やはり皆さんたちの焦燥感は募ります。そういうことで、ぜひ、非常に自治体にとっての選択肢が広がるというような、こういう政策が必要であるというふうに私は思っております。

 次に、人的支援の問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 財源の問題とともに、どうしても、これだけ自治体機能が損なわれている、あるいは自治体の職員の方々が犠牲になっておられるということを考えますと、やはり人的な支援というのは非常に重要であります。

 しかし、それぞれの自治体で復旧の度合いが違います。スピードが違います。それと同時に、当初は一般職員、事務職員だけでよかったようなものが、技術者が必要である、福祉関係の専門家が必要である、あるいは保健関係の専門家が必要である、徐々に必要とする人材が変わってまいります。より専門的な人材を求める自治体が多くなってきております。

 ですから、総務省として、どういう人的派遣をするスキームにするかということを早急に考えるべきであると私は思います。

 本来ならば、自民党は一番最初に提言をしましたけれども、対口支援のことはやはりもっと十分考えるべきであったというふうに思います。四川省の大地震のときに中国はいち早く対口支援をして、そして、各自治体ぐるみでチームとなって四川のそれぞれの自治体を支援するということで、そこに友好関係や競争力やいろいろな協力関係ができ上がって、想像以上に復旧あるいは復興が非常にはかどったというような記事も出ておりますし、そういう報告書も読ませていただきました。

 今からでも私は遅くないと思います。例えば、関西広域連合は、対口支援というようなことで、それぞれの都道府県が三県の被災地の担当を決めてやっているようでありますけれども、やはりそういう対口支援の中にもっとチームをたくさんつくるということは大切であろうと思います。近隣の一番近い自治体が責任自治体となって、そして二十から三十、あるいは四十ぐらいの自治体がチームをつくって、それぞれの自治体に対しての対口支援をしていく。その中に、一般の事務職員、専門職、福祉職あるいは医療、こういった要望を受けながら、それぞれのチームで送り出すべき人材を確保していくということがやはり大事であると思います。

 そして、自治体にとりましては、六カ月というよりも、やはり一年、二年、非常に長期にわたる支援が欠かせないということも言っておられました。そうしますと、やはり複数の非常に多くのチームの中で、それぞれの自治体がやりくりをしていくということが欠かせません。

 ですから、現在行われている友好都市間による支援や、あるいは関西広域連合のような対口支援はそのまま残すとして、新たな支援スキーム、そして対口支援というものをやはり考えていくべきではないかと思いますけれども、大臣、どのように考えられますか。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

片山国務大臣 被災自治体に対する人的支援は非常に重要だと思います。

 その際に、今も御指摘になられましたけれども、中国で四川大地震のときに行った対口支援、ペアリングといいますか、それを導入すべきではないかという意見を私も何度も伺ったのですが、私の考え方としては、必ずしもそれは我が国には妥当しないと思っております。

 といいますのは、これから復旧復興の段階になりまして、いろいろな多様な人材が大量に必要になってまいります。例えば、もう既に総務省が中心になりまして、全国市長会、全国町村会の協力を得まして、自治体への派遣スキームというのを作動させているのですけれども、現時点で八百数十人の支援が大体ほぼ決まっておりますが、宮城県のある市などを見ますと百人を上回る支援が必要になってくるわけです。その中にいろいろな職種があります。これを一つの自治体で賄うというのは、まず無理であります。

 いろいろな多様な職種をある程度の期間大量に派遣するというのは個別の自治体では無理でありまして、やはり協力をしていただく全国のいろいろな自治体から募って派遣をするということが現実的だろうと思います。

 中国の場合には、我が国と国情が違いまして、地方自治が失礼ながら基本的にはありませんので、省政府が省内の市というものを大体掌握しております。八千万とか数千万、四千万とか大きな省がありまして、その中の自治体も数多くありまして、数限りない職員を抱えておりますので、省政府が市レベルの自治体職員を束ねてどっと派遣するということが可能なのでありますけれども、日本の場合にはそういう仕組みになっておりません。県知事が県内の市町村を全部支配して、コントロールして連れていく、そういう仕組みになっておりませんので、やはり国柄に応じた支援の仕組みがふさわしいと思います。

 現時点で、さっき申しましたスキームをつくっておりまして、これがもう既に八百数十人決まったと申し上げましたけれども、大変ありがたいことに、派遣要請に対してそれをはるかに上回るレスポンスがありまして、これからも、被災自治体の要請に応じまして、それに対してできる限りこたえていく、そういうことをやってまいりたいと考えているところであります。

坂本委員 中国はもちろん違います。ですから、中央政府の一存でとにかく決めることができました。日本の場合も、チームをつくるんですよ、対口支援チームというものを。それはできるはずです。そして、それの音頭をとるのはやはり総務省でないと、今八百何人の総務省からの職員と言われましたけれども、やはり自治体としては、これから二年、三年と長期に考えたときの不安感というのが首長さんには非常に大きいということを感じました。新たな日本式の対口支援はぜひ考えるべきであるというふうに思っております。

 最後に、やはり雇用であります。雇用問題を今後推し進めていく、そして、その自治体が自活できるような、離陸できるような、そういう体制に持っていくというのが非常に大切でございます。

 これは厚生労働省の方でつくっております被災者等就労支援・雇用創出推進会議、内容を読んでみますと、何か非常に粗っぽいものであります。果たしてこういうことで、財源をどうするんだろうか、あるいはどういう形で地域の自活あるいは自立をやっていくんだろうかというふうに思います。

 大まかに言いますと、二次補正で今考えられているようでありますけれども、二十万人の雇用を創出する、そしてそのうち十五万人は復旧工事に伴うところの土木関連あるいはその他の工事関連であり、五万人は県、市町村で雇い入れて、そして重点分野雇用創造事業基金の拡充によってさまざまな雇用を行うというふうにあります。

 しかし、この雇用基金で果たして五万人を自治体が雇用できるんだろうかというふうに思います。ミスマッチの問題につきましては、軽作業や見回りやあるいは声かけ、農産品のPR、こういったもので幅広く嘱託の職員として雇用するということでありますけれども、果たして財源的にはどうなのか。

 本当に五万人というものをこの厚生労働省の雇用基金の方で賄うことができるのかということを考えたときに、私は、さっきの一括交付金も含めて、やはり総務省が提示する新たな自治体の雇用対策、雇用財源は必要であるというふうに思います。もちろん雇用行政というのは厚生労働省であるわけですけれども、今回の場合は、やはり被災自治体を今後自立させる、そして離陸させる、そのためには、まず自治体が中心になって財源も確保し、そしてみずから率先してさまざまな職域を広げて雇用する。

 こういうことを考えた場合に、今後、二次補正をつくるときに、総務省の別枠の財源とか、こういったものをやはり主張する必要があるのではないか、そして雇用に対して責任を持つべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

片山国務大臣 当面は、先ほど御指摘になりました、緊急雇用の政府からの財源というものを精いっぱい使っていただくということが適当だろうと思いますが、その後のことになりますと、自治体によっていろいろな実情の違いもあろうかと思いますけれども、厚生労働省の枠組みとは違ったような雇用というものも考えるところはあると思います。

 それに対してどうこたえるかということでありますけれども、例えば特別交付税なども既存の制度で使えるものの一つの選択肢だろうとは思いますけれども、今おっしゃったように、仮に一括交付金のようなものをつくるのであれば、その中の対象事業のメニューとして雇用というものも自治体の選択によって使えるというふうにするのがふさわしいだろうと思います。

 一つの視点だろうと思います。これからの検討課題の中で問題提起をしていきたいと思います。

坂本委員 これはぜひお願いを申し上げたいと思います。

 この前、谷委員の質問で、大臣は、常勤であろうと非常勤であろうとそれは交付税の中でしっかり見てあるんだ、あるいは特交の中で積算されているんだというようなことでありましたけれども、いろいろ話を聞いてみますと、非常勤の場合には物件費というようなことで計数処理されているようであります。ですから、やはり非常勤職員の臨時雇用については、特に災害の特例ということで、新たな枠組みをつくることはできるというふうに思います。

 そこも考えながら、私は、これから二次補正の際にもそれを総務省としては強く主張していくべきであるということを訴えまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

福田(昭)委員長代理 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 先日、委員長を中心に、災害の派遣で岩手県下を回らせていただきました。その派遣の中で、被災地のそれぞれの取り組み、それから寄せられた御要望等を中心に、大臣初め関係の皆さんに御質問申し上げたいと思います。

 初めに、義援金の支給状況についてお伺いをしたいと思います。

 罹災証明書の交付や義援金の支給などの行政手続におくれが生じているようで、住民への生活再建の支援策がなかなか現場には届いていないということがはっきりいたしました。

 五月十三日現在、日本赤十字社、中央共同募金会等で受け付けた義援金は二千百二十八億円というふうになっております。日本赤十字社等から十五被災都道県への送金が七百八億円。その十五被災都道県から市町村への送金は今どうなっているのかということをお伺いしたいと思います。

 また、義援金の申請受け付けを開始した市町村の数、それから義援金の支給を開始した市町村の数、そして支給をした件数、支給の額等について具体的にお教えをいただきたいと思います。

清水政府参考人 義援金についてのお尋ねでございます。

 日赤における受け付けの金額あるいは被災都道県への送金は、今御質問のとおりでございます。

 被災都道県から先でございますが、配付対象となります百八十五市町村のうち、百八十一市町村に対しまして六百七十三億円が送金されているという状況が五月十三日現在でございます。以下も同じ日現在でございますけれども、配付申請受け付けが、この百八十一のうち百二十二の市町村ということになってございます。実際に被災者のお手元に義援金が渡っている市町村数は六十一ということになりまして、件数にして約三万三千、金額にして百十二億円というのが五月十三日時点での現状でございます。

 私どもも、被災者のお手元に義援金が速やかに渡ることは重要というふうに考えてございまして、五月二日にも、被害の全容の確定を待つことなく、一部の方からでもお渡しするようにということで自治体にお願いを申し上げたところでございます。

西委員 連休明け、少しずつ伸びてはいるようですが、予定額からするとまだまだ届いていないということになります。

 こういう話は、岩手のそれぞれの沿岸被災地に行きましても、十分な手続ができていないというところをたくさん拝見いたしました。支援するために私どもも懸命にやってまいりましたけれども、その当時はまだ雪が降る中で、一刻も早く被災地の皆さんのお役に立てていただきたいという思いが地元の方からひしひしと伝わってくる、そんな状況が、今もう二カ月以上たって、義援金が、そのうちの一部、全体の数からすると二千億円のうちの百十二億円、五%程度しか現場に渡っていないということについてはやはり本当に遅過ぎるというふうに言わざるを得ません。これにつきましては、結果的にはまだまだ当該市町村にとどまって、配分事務に手をつける余裕のない市町村が数多く存在するということがわかると思います。

 そこで、義援金配分業務のための職員を罹災した市町村へ長期派遣する必要もあるというふうに私は思います。それだけではないんですが、この一点をとりましてもまだまだ十分な態勢が整っていない、こういうことが言えると思います。

 次に、被災者生活再建支援金の支給状況についてお伺いをしたいと思います。

 大津波により地域、集落全体が壊滅的な被害を受けた地域については、被災者生活再建支援法の中の長期避難世帯ということに該当いたします。この長期避難地域の指定は県が行うということになっております。内閣府では一覧表をつくって、長期避難地域と定めて構わないということで各地域に案内をしております。現時点で長期避難地域の指定はどうなっているのかということを報告いただきたいと思います。

 内閣府の通知では、手続の迅速化のために、被災経験のある市町村等の職員の派遣要請や、県、市町村の合同審査方式の導入を勧めていますが、その状況についてもあわせて御報告をお願い申し上げたいと思います。

小田政府参考人 御報告いたします。

 まず長期避難エリアの設定でございますけれども、既に宮城県におきまして、気仙沼市、多賀城市、女川町の三市町で設定をされております。また現在、岩手県などでも順次設定される見込みだ、これは市町村からの問い合わせなどがあるということで、そのように理解しております。

 それから合同審査方式につきましては、福島県、宮城県において既に実施がされております。

 それから、被災経験のある市町村などからの応援でございますけれども、例えば岩手県につきましては、陸前高田市、山田町、大船渡市といったところに応援職員が派遣されている、被災自治体への応援が行われている、このように承知をしております。

西委員 今、気仙沼初め三カ所でしょうか、長期避難世帯ということで指定が行われているというふうに伺いましたけれども、これも、通達がある割には十分それが活用されていない。私たちが拝見したところだけでも、町全体が本当に壊滅的なところというのはたくさんありました。通達が千通というような状況の中で、十分処理できていない状況というものがあらわれてきていると思います。

 続いて、先ほど坂本先生からもお話がありました、私もこれで多分三回目だと思うんですが、被災自治体に寄り添うペアリング支援についてということで、たまたま私どもが行った派遣先の、二日目の朝の地元の新聞、五月十一日でしたけれども、この新聞の三面ですが、「論説」と書いております社説「ペアリング支援」ということで、またこの課題について地元の岩手の地方紙が訴えておられました。

 どういうふうに書かれているかといいますと、「東日本大震災の発生から、きょうで二カ月。」十一日ですからね、「長期的な支援のための新たなシステムをつくれないだろうか。 日本学術会議が三月下旬に緊急提言した自治体間の「ペアリング支援」だ。二〇〇八年の中国・四川大地震の際に行われた「対口支援」をモデルにしている。」と、学術会議の提言を紹介しておりました。

 学術会議の提言の概要というのは、一つは、互いに顔の見える持続的支援を行う。二つ目は、被災地の実情を踏まえたさまざまの支援を行う。三つ目は、国は支援に必要な法整備を行い、財源の手当てを行う。四つ目は、自治体間の組み合わせについては、総務省、知事会、市長会、町村会などが総合的に判断して決定する。期間は三年間ということで提案をされております。

 私も既に二度、この場でペアリング支援、対口支援について大臣にお話を伺いました。今回の委員派遣で、被災地ではこの要望が強いということを改めて感じました。

 岩手県からはこういう要請がございました。陸前高田市や大槌町など、庁舎の大規模な損壊や職員の被災等により行政体制や行政機能に支障が生じている市町村に対し、他の自治体から職員を派遣するなどの人的支援体制を引き続き全国レベルで講じるとともに、派遣等の経費について全面的な財政的支援を行うこと、震災復興計画の策定や復興住宅建設などの復興事業の実施において国等による技術支援を行うなど、人的支援を行うこととの要望をお聞きしました。

 また、岩手県の沿岸の市町村で結成している復興期成同盟からは、災害の規模が大きいことから、迅速かつ確実な復旧復興に向けた事務的、技術的業務に係る職員派遣の人的支援を行うことというふうに、人的支援を求める声は大変切実なものがあるというふうに思いました。

 自治体のペアリング支援の取り組みに対しては、国が行う大きな役割は二つあると私は思っております。

 一つは、まず、国は調整機能を積極的に発揮する。大臣は、強制割り当てを行うべきではないというふうに既に私にも答弁がありまして、否定的なことは承知の上でまた申し上げるんですが、私が申し上げているのはもちろん強制的な割り当てではありません。別な見方をすれば、ある自治体が被災地を支援するとなると、大臣がおっしゃったように、平等とか公平とかというふうに考えますと、例えば和歌山から岩手に今行かせていただいていますけれども、平等という観点からすると、果たしてどこに行くのがいいのかな、どこの市を支援するのがいいのかなというのは、かえってそのことによって平等を崩してしまうということも考えられます。

 関西は全体的に三県に分配していますから、彼らの間では平等だと思っておると思います。でも、そういう余裕のない、三カ所も行けないところは、どこに行っても不平等をこちら側が積極的につくり出していくわけですから、そういう意味では、私は、かえって自治体の担当を決めていただいて、その結果として平等に支援するという形の方がいいんじゃないか、こう思っております。

 私が見ますには、しっかりやってくれるところもあるし、もっとしっかりやってくれるところもあるけれども、しっかりやらないところはない、これが私は対口支援の原理だというふうに思っております。どちらかというと、大臣の今のやり方は行政には平等かもしれませんが、現実に住民にこれだけ、要するにサービスの格差があるということは、住民に対しては平等ではないんじゃないか、ここがだんだんとはっきり見えてきている。それは職員の能力とかそういうことではなくて、今の体制そのものが余りにも壊滅的で、立ち上がるには本当に大変な状況が自治体に存在するということをどうか理解していただければというふうに思います。

 結果的には、義援金それから生活再建支援金の支給とか罹災証明の交付など、行政手続におくれが生じて、住民へ支援が届いていないという状況にあるように思えてなりません。こうした市町村の現状について大臣の認識を伺うとともに、これからどういうふうに対応していこうとされるのか。さらに積極的な人的支援をお願いしたいと思いますが、大臣の見解をお伺いしたい。

片山国務大臣 先ほど申し上げましたが、人的支援は本当に必要だと思いますので、これから総務省として、市長会や町村会の協力を得ながら、しっかりやっていきたいと思っております。

 おっしゃった対口支援ということになりますと、対口支援的なものは、お触れになられた関西広域連合がやっているわけであります。数府県で、主として三つの県に応援をしているということでありますが、それはそれで私は結構だと思うんです。そのときに、平等だとかということも必ずしも考えていただかなくても結構だと思うんです。やれるところをやっていただいたらいいと思うんです。これからもぜひ、関西広域連合の活躍には期待しているところであります。

 今後のことになりますと、専ら市町村になります。それで、市町村の、特に専門的な知識や経験を有する職員を長期間、ある程度まとまった数で欲しいということになると思います。それについても、現在の市長会や町村会の協力を得た人的派遣のスキームを活用して需要に対応していきたいと思っております。

 その際に、対口支援的なものはどうかということでありますが、例えば、ある市などは百人を超える人数の派遣の要請があって、それに対して、もう今こたえることにしているんですけれども、仮にどこかの市が対口支援でペアリングしましょうといったときに、百人もの職員を長期間にわたって派遣するというのは、まずこれは無理であります。日本の自治体は比較的、広域合併を経た今日も、やはりそんなに大きくはありません。

 さっき申しましたように、中国の場合には省でペアリングをやったと思いますので、省の中で、省がコントロールのきく市でありますから、地方自治体と言えるのかどうかわかりませんけれども、地方公共団体でありますから、そこに声をかけて集めて支援をするということでありますから、これはこれで非常に効率的なやり方だろうと思うんですけれども、日本の場合にはそういうふうになっておりませんので、県が声をかけたらかえって反発するという自治体も、私の経験上もないわけではありませんので、やはり日本の地方自治の実情に即した支援ネットワークを組む方が、結果的にはうまくいくのではないかと思います。

 こんなことを申し上げるのはいかがなものかと思いますけれども、私のところにもこういう声が来ているんです。ある県で、知事があの県だと決めて、すべからく県内の市町村もあの県の市町村にやれと言って無理難題を押しつけると。実は、自分のところはつき合いがあって別の県の自治体に支援したいのにとか、県の求めに応じて市町村が職員を出したら、全部知事の手柄にされてしまってへんがないとか、いろいろな声が実はあるわけであります。

 そういう日本の実情に即した柔軟な、自主性の保てる、そういう支援の仕方が必要だと思いまして、今、そういうことを基本にしたマッチングシステムというものを作動させているわけでありまして、これを基軸にしながら、自治体のこれからの長期、専門、そういうふうなニーズにぜひこたえていきたいと考えております。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

西委員 私は、市対市ではなくて市対県という、やはりこちらが大きくないと、バッファーが大きくないと到底対応できない。もちろん、大きな規模のところには大きな都道府県を割り当てるということが原則だと思います。それで、小さな規模のところはやはり小さな規模のところをうまく割り当てていただくということによって、少々の要望にはこたえていける。

 何が大事かというと、長期にこれを支援していただくという思い、それから、お互いが支援し、支援していただいたというこの思いを、やはり五年、十年という長期にかかるこの復興の段階で、きちっと仕上げていくということがこれからお互いが助け合う日本の姿をつくっていくという意味で、単に必要だからとりあえずこれで一年間ということではなくて、今後、どこで、例えば私なんかの東南海・南海地震が起こったとしても、同じような思いで皆助け合いを続けていくという、一つの流れというものをつくっていけるのではないかというふうな思いで、再三にわたって申し上げているわけでございます。

 何もけんかするところばかりではございませんで、私ども、岩手に大阪も岡山も行っていますけれども、県だけではなくて、市町村も一生懸命に頑張ってそれを支えているという現実も御理解をいただければと思います。

 では、その次に行きたいと思います。今度は自治体の支援活動費用の財政支援です。

 被災した自治体の要請を待って、全国市長会を通じて照会をしているということでございますが、待ちの支援ではなくて、みずから情報を集めて対処する攻めの支援、これが必要だと思います。積極的な姿勢で臨んでいかれるよう期待いたします。さきの地元紙の「論説」の最後の文章、「長い道のりを歩むためにも、ぜひ実現してほしい。」こういうふうに結んでおります。今からでも遅くないという坂本先生のおっしゃり方は、全く私も同感です。

 国の果たすべき二つ目の役割は、支援している自治体の財政負担を、今年度限りではなくて、三年なら三年と複数年にわたって手当てをして、安心して支援をしていただける、そういう環境を国がつくっていただけることだと思います。国は、自治体の支援に要する費用を、複数年にわたって財政的な支援を行うという考えがおありなのかどうか、このことについてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 これは、災害対応の財政措置というのは単年度で、発生した年度といいますか、今回の場合でいいますと今年度で、単年度で終わるということではありません。今年度は、もう既に、一部特別交付税などの経費で財源手当てしておりますけれども、当然、来年度以降も該当する経費が出てくると思いますので、それに対しては特別交付税などの配分を行っていくという方針であります。

西委員 時間が迫ってまいりました。

 ちょっと一つ飛ばさせていただきますが、後方支援拠点の整備についてお伺いをしたいと思います。

 私ども、遠野市を訪れました。遠野市側からは、災害発生時の後方支援拠点整備の取り組みということについてお伺いいたしました。

 遠野市は、大槌町から陸前高田市まで、それぞれが半径五十キロ圏内に全部が位置するということ、しかも地質も安定しているということを災害時の沿岸の支援拠点に生かすために、二〇〇七年に、遠野市など岩手沿岸の九市町村で三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会を立ち上げた。消防庁舎や多目的体育館などを整備して、防災機能の集約を目指してきたというふうに言っておられました。

 これまで、県や自衛隊、消防、警察と大規模な訓練を重ねてきた。特に、自衛隊が速やかに活動を展開できたのは、みちのくALERT二〇〇八と呼ばれる大規模な訓練を実施して対処能力を高めてきたということでございます。訓練で各部隊が担当した市町村は、そのまま実際に災害が発生した場合の出動先として割り振られ、ある部隊では、毎年担当する自治体を訪れ、孤立する集落の位置を確認したり、自治体担当者と会合を持って人的なつながりを築くなど災害に備えてきた。そうした取り組みが、発生後十六時間ほどで灯油や水などの救援物資を被災地に送り届けるなど、いち早い救援活動につながったというふうに言われております。

 震災発生後、自衛隊や県警が集結、その後も支援自治体や医療チーム、ボランティア団体などが、遠野市が全国の支援部隊に提供する運動公園、それから公共施設に足場を置いて、この遠野市は支援物資の補給など後方支援の拠点となっているという姿を拝見いたしました。

 これまで後方支援の拠点整備に積極的な役割を果たしてこられた市に、私は本当に敬意を表したいと思います。

 協議会では、沿岸が被災した際の後方支援拠点を整備するよう国や県に、今回行ったときに提言をしておられました。具体的には、支援物資の備蓄や仕分けのできる施設の新設を求める。それから災害時には、この遠野市の施設も活用して、県や自衛隊の指揮本部や救急支援本部を置くといった計画を考えているようですが、まだ採用はされていないというふうにおっしゃっておられました。

 遠野市などの後方支援拠点整備の取り組みは、いつ起こるかもしれない大規模災害に備えるに当たって、大変有効な取り組みであったというふうに私は思います。もちろん、これはいつ起こるかわからないという前提ですから、なかなか難しい面もあるんですが、このように、単に防災拠点の整備にとどまらず、ふだんから関係機関と訓練やつながりを密にする取り組みを行っているというのは、一体、全国でここだけなのか、ほかにもおありなのかということをお伺いしたいのが一つ。

 また、福島第一原発事故では、オフサイトセンターが原発から五キロの位置で使えないという状況も発生しております。津波への対処という面で既存の防災拠点は大丈夫なのか。

 また、東海・東南海・南海地震や首都圏直下型地震など想定し得る大災害に備えて、それぞれの地域でも、この三陸地域の協議会が目指すような防災拠点を中心とした防災の備えが必要であるというふうに考えておりますが、お考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今御紹介のありました遠野市の事前の取り組みというのは大変貴重だと思います。日ごろから関係機関と連携を深めて、いざというときには、名刺交換などをする必要もなくツーカーで、共同で事態に対処できる、取り組めるということ、そういう状況をつくっておくことが必要だろうと思います。

 例えば、自衛隊と連携をしながら事前に訓練をするとか、そういうことをしている団体はかなりあります。昨年の報告によりますと、市町村単独ではよくわかりませんけれども、統計がありませんけれども、都道府県が主体ないし市町村と共同で主催をした震災訓練、総合訓練は六十六回あったようでありますが、そのうち自衛隊が参加したものは六十四回ということになっておりますから、一応、関係機関との連携はそういう意味ではとれていると思いますが、ただ、私の経験からしましても、密度がどれほどなのかというのはいろいろあると思います。単に参加してもらっているだけというところから、そうではなくて、本当に日ごろから、総合防災訓練のときだけではなくて日ごろからちゃんとやっているというところ、それはいろいろあると思います。

 ぜひこれから、実質的な協働の実が上がるような、そういう取り組みをしていただきたいと思いますので、消防庁からもそういう助言をしたいと思います。

 それから、既存の防災拠点は大丈夫なのかということでありますが、今回、やはりいろいろな問題が出てきて、教訓が得られたと思います。津波への対処という面で、果たして防災拠点というものが万全であったかどうかという点検をこれからする必要があると思いますし、それから、起こらないと想定していた原発災害も果たして起こりましたので、そういう面での防災拠点の安全度といいますか、そういうもののチェックも改めてしていただきたいと思います。そのための注意喚起などもこれからやっていきたいと思います。

西委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この間取り上げてまいりました液状化被害対策について質問いたします。

 五月二日、液状化に係る被害認定の見直しが行われました。対象範囲の拡大は重要であります。特に、健康被害に着目をした被害認定などは今後に生かされるべきものと考えております。その上で、液状化被害対策に関する不十分点や問題点を指摘したい。

 最初に、被災者生活再建支援法の適用要件の見直しを求めたいということです。

 埼玉県久喜市の南栗橋地区で広範囲の液状化被害が発生をいたしました。今回の被害認定の見直しによって大規模半壊となる認定件数が数十世帯に上るとされますが、全壊ということでは、現状ではそれが発生しないのではないのかと言われております。現行の支援法は、一定数の全壊世帯に基づき適用されることになっております。ですから、久喜市の場合には適用対象とならないという問題が出てくる。

 久喜市としても要望を出されておりまして、被災者生活再建支援法については、全壊家屋のみの判断だけではなく、大規模半壊または半壊二世帯を全壊一世帯として扱うなど弾力的な適用を図るとともに、支援金の支給対象の拡充及び充実を図ることとあります。

 こういう久喜市の要望もあるわけですけれども、内閣府として、この支援法の適用要件の見直しをぜひとも図っていただきたい。この点についてお答えをお願いします。

東副大臣 塩川委員がこの液状化対策について鋭く種々の問題提起をしてくださっていることに、心から敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、もう御案内のとおり、被災者生活再建支援制度というのは、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、被災世帯に対し支援金を支給し、国が支援金の二分の一を補助する、そういう仕組みになっている。この制度の趣旨というのは、被災市町村のみでは対応が困難な一定規模以上の災害が発生した場合には、全都道府県の相互扶助及び国の補助による支援によって対応しようとするものであります。

 したがって、今委員から御指摘ありましたとおり、具体的には、十世帯以上の全壊被害が発生した市町村に適用する等の要件のもとで都道府県が適用を判断しているものであって、御指摘の埼玉県久喜市については現行の要件に合わないのではないか、こういうふうに考えているわけであります。

塩川委員 もともと全壊のみが支援対象だった、それが支援法のスタートだったわけですけれども、二〇〇四年の法改正によって、半壊の中でも全壊に近いものがあるじゃないか、そういうものは支援する必要があるのではないかということで大規模半壊というのを設けて、この大規模半壊についても支援金を支給するということを盛り込んだわけであります。

 ですから、この被災者生活再建支援法の制度そのものが大規模半壊も対象にしているわけですから、全壊の件数にかかわらず、大規模半壊が出るのであれば支援の対象とすべきことは当然であって、この大規模半壊を入れたときに、大規模半壊だけでも適用できるようにすることこそ必要だったのに、それを行わなかったという点での制度上の穴を埋めるというのが今回やるべきことであって、このことは直ちに行う必要がある。この点について改めて伺いたいと思います。

東副大臣 委員の見解は見解として、それは受けとめさせていただきたいというふうに思います。

塩川委員 これは地元自治体の要望でもありますし、もともと制度が改正をされているわけですから、そういった制度改正に合わせて適用条件も変えるというのは当たり前のことであって、この点についての検討、そして具体的に措置をするということについて強く求めておくものであります。

 液状化被害に対しては、支援法の適用要件の緩和及び支援金額の増額、支援対象の範囲拡大を求めていきたいと思います。また、住宅ローン対策も重要であります。これは、東北三県を含めて、全国的な課題として具体化が求められている。さらに液状化被害ということでは、液状化の地盤対策が求められている。

 そこで、国土交通省小泉大臣政務官においでいただきましたので、お尋ねしたいと思います。

 今回の大震災に伴う液状化被害は広範囲に及んでおりまして、千葉、神奈川、茨城、埼玉など広いわけですし、もともと、津波の被害で覆い隠されておりますけれども、東北三県も含めて、液状化被害は広範囲に起こっていたわけであります。茨城県では、地盤液状化による住家被害発生の市町村というのが、県下四十四市町村中三十二に及んでいるということであります。東京湾岸でも、百平方キロの埋立地のうち四十二平方キロ、半分近くが液状化をしたとかということも言われております。小泉大臣政務官の地元の、茨城県の稲敷市の旧東村の西代地区、私も行きましたけれども、あそこでも液状化の被害も起こっておりました。

 かつてない深刻な被害ですが、液状化被害そのものは以前から知られていたわけであります。こういう地盤の液状化被害について広く認識されたというのはいつごろか、この点についてどのように受けとめておられますか。

小泉大臣政務官 塩川委員におかれましては、私の地元であります稲敷市も御視察いただき、まことにありがとうございます。私も千葉県と茨城県の液状化被害を視察してまいったところであります。

 今お尋ねの点でありますけれども、昭和三十九年の新潟地震で大きな液状化被害が発生して以来、この液状化現象というのを認識し、調査研究を進めてきたところであります。

塩川委員 昭和三十九年ですから、四十年以上前から、五十年近く前から液状化被害というのは広く知られておったわけで、研究も行ってきたということの御答弁でありました。

 このような過去の液状化地盤被害を踏まえて、国としてはどのような対策をとってきたんでしょうか。

小泉大臣政務官 今お話をさせていただきましたような調査研究を踏まえて、公共施設であります道路、下水道、そしてまた宅地等に関しまして、各市町村にその対策の情報提供をしてきたところであります。

塩川委員 これは具体的に、法令上の定めはどうなっているのか、情報提供してきたという、その情報提供の中身はどういうものかについてお答えいただけますか。

小泉大臣政務官 具体的な、法令上明示的に国の基準というのは、まだ定めるところまでいっておりません。

 なお、宅地等に関しましては、平成十年に宅地防災マニュアルを改定しまして、標準的な液状化地盤の判定方法や、適切な対策工法を選定する際の留意点等を地方公共団体等に情報提供させていただいているところであります。

塩川委員 四十年以上前から知られ、研究もしてきたけれども、国として行ってきたことは、平成十年の宅地防災マニュアルにおいて、要するに、自治体に対していわゆる技術的助言、事業者に対してのアドバイス、ここにとどまっていたということであるわけで、重大な被害が起こるということがわかっていたにもかかわらず、こういった対応策にとどまっていたという点は極めて重大だと言わざるを得ません。

 国の対応策として挙げられている宅地防災マニュアルですけれども、この宅地防災マニュアルに地盤の液状化の項目が加えられたのはいつで、どのような災害を契機として行われたものでしょうか。

小泉大臣政務官 先ほどもお答えをさせていただきましたように、宅地防災マニュアルを改定させていただいたのは平成十年度でございます。

塩川委員 これは平成十年ですから、平成七年の阪神・淡路大震災を契機として、平成十年、一九九八年に地盤の液状化の項目を加える改定をした、そういうことでよろしいですか。

小泉大臣政務官 委員おっしゃるとおりでございます。

塩川委員 旧建設省が、液状化の可能性をはかる、液状化マップ作成マニュアルを平成三年につくって、これも阪神・淡路大震災を機に見直して、平成十一年に旧国土庁が液状化地域ゾーニングマニュアルとしてまとめてもいます。

 この宅地防災マニュアルですけれども、阪神・淡路大震災では、ポートアイランドなど人工地盤での液状化が大きな問題となりました。その際の教訓を生かした液状化対策も行われてきたわけで、例えば、広範囲の液状化被害をこうむった浦安市、私も伺って市長のお話も伺いましたが、ここでも、市南東部のURの集合住宅の被害は非常に小さかったということを市の担当者からも伺いました。それは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた液状化被害対策をとったからだという説明で、この宅地防災マニュアルの解説の中にも「宅地造成(臨海部)における地盤改良工法」の参考事例として紹介されているのが、浦安市のURの事例でもあったわけであります。

 要するに、液状化対策もやればできるということを示しているわけで、重ねてお尋ねしますが、国としてしっかりとした対策をとっていれば今回のような大きな液状化被害を防ぐことはできたんじゃないのか、この点が問われていると思うんですが、お答えください。

小泉大臣政務官 委員御指摘のように、私も千葉県の香取市を見てまいりまして、地盤改良をかなりしっかりやったところはほとんど被害がなく、その点で不備な住宅が、三千五百戸近い非常に大きな被害を受けていたというのを現実に見てまいりました。

 その観点から、ただ、今回の地震の特徴は、非常に大きいだけではなくて、時間が長く揺れていたということで、今までの規模と比べてもかなり大きな液状化が出ておりまして、今般こういった状況をもとに、まず徹底的に、再度被害状況の調査分析を進め、技術的知見をしっかりと深めていくことが一番大切であると思っております。そして、その上で宅地開発等に係る液状化対策の基準の策定も、その可能性について検討を進めているところであります。

塩川委員 基準の策定の検討を進めているという話でありました。

 今回の大震災による液状化被害を受けた土地というのは、もともと海だったところを埋め立てたところがあります。また旧河川、河道跡につくったというところもあります。あるいは、昔、池や沼だった、こういうところを埋め立てて宅地にしている。

 ですから、単純な自然地形ということではなくて、過去、海や川や池沼があったような場所を人為的に造成して宅地にした、こういうところで発生をしているということですから、私は、やはり人の手によってつくられた造成地ですから、人の手によってこういった液状化被害を防止するということも当然行われなければならないということであるわけで、この点でも液状化対策の基準をしっかりと示すことが求められておりますし、あわせて、既存の造成宅地における今後の災害を防ぐ、あるいは軽くしていく減災、あるいは再発防止のための公的支援制度というのをこの機会にしっかりと創設することも国として求められていると考えますが、この点についてのお答えをお願いします。

小泉大臣政務官 今委員御指摘をいただきましたように、大変広範な、大きな被害が出ておりまして、住宅を新築したばかりの方でありながら、住宅ローンが残ったまま、全くこれを使用することができないというような事態にもなっているわけであります。

 今般の非常に広範な液状化現象に対して、今回、関係研究機関、関係省庁、そして関係学会に御協力いただきながら、液状化対策技術検討会議というものを五月十一日に立ち上げさせていただきました。そこで、まず現状をしっかりと認識する。特に、同じ埋め立てでありながら被害が出たところと出ていないところがあるわけでありますから、そういったものもしっかりと研究調査をすることによって、こういったことが起きないように、そういった技術的知見を深め、これを基準も含めてしっかりと検討していく所存であります。

塩川委員 規制に係るような基準をしっかりとつくるということと同時に、現在の被災者の方々の支援にもつながるような再発防止対策のための支援のスキームをしっかりとつくる。余震で傾きが大きくなっているという被災者の声も当然御存じだと思いますから、この点での支援策を早急に具体化すべきだということを申し上げます。

 この点では、宅地を造成した事業者の責任も問われるということで、片山大臣が鳥取県知事の時代に液状化被害についての支援策をつくったということをお聞きしております。その点でも片山知事は、当時、住宅を分譲、販売した県住宅供給公社も液状化対策をとらなかった、その責任から支援策を検討するんだとおっしゃっているということを報道で承知しております。

 千葉県も、浦安市などの埋立地を県の企業局が進めたということも支援策を行う背景にあるということをお聞きしておりますし、久喜市の液状化被害も、旧栗橋町による宅地造成だったということも指摘しておかなければなりません。

 そういった宅地を造成した事業者の責任も問われなければならないという点について、過去、そういった支援策をつくった片山大臣としてお考えのところをぜひお聞かせください。

片山国務大臣 地震が鳥取県で起きましたのは二〇〇〇年の十月でありましたが、当時は、住宅再建支援は、本体も含めて制度は何もありませんでした。百万円の生活再建支援金だけが国の制度としてありまして、その際に、住宅再建というのが被災地の一番の眼目だということがわかりましたので、三百万円を上限とする住宅再建支援制度を県独自に、市町村と協力をしながらやったわけであります。

 その際に、液状化もあったものですから、確かに全壊、半壊はしていないんですけれども、行ってみるととてもこれは住めないということが実感できましたので、これは何とかしなければいけないということで、放棄するよりは、ある程度の液状化対策を講ずるということで支援をした方がトータルのコストは安いということもありますし、それから被災者の皆さんの気持ちにも合致するだろうということで、百五十万円を限度に県と市町村とで支援をすることにしました、私の記憶によりますと。

 その際に、ただ、液状化が起きたところと起きないところがありまして、やはり造成、分譲をした業者の液状化対策の責任というものもあるだろうということで、それは実情に応じまして、ディベロッパーといいますか事業者からも、正確には記憶しておりませんけれども、幾ばくかの負担金のようなものを徴収した記憶がございます。

塩川委員 ぜひ、そういう点でも、被災者の暮らしをしっかりと立て直すという観点での取り組みをお願いしたい。現地は被害認定の見直しでかなり人手もかかりますから、ぜひ全国的な応援体制なども、地元から要望があれば積極的にこたえていただきたい。このことも求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 早速質問に入りますが、まず、今回の震災では、地方債を充当して整備された施設なども甚大な被害が出ております。その中には繰り上げ償還としているものもあると思います。しかし、今回の震災で、繰り上げ償還できる財政的余裕は全くないわけでありまして、そういうふうに考えるのが妥当な考え方だろうと思うんです。

 そこで、被害を受けた施設などに係る地方債残債の繰り上げ償還をどのように取り扱うのかということ、そして、そういう事態に対し、自治体から免除という声も上がっておりますが、そういう声をどのように受けとめておられるか、お伺いいたします。

逢坂大臣政務官 公共施設等の起債の残高についてお答えいたします。

 一般的には、公的資金については、約定等によりまして繰り上げ償還の取り扱いが定められているわけであります。公共施設が滅失、損壊して復旧しない場合、復旧をしないよと判断した場合は、それは繰り上げ償還をするというのが公的資金の約定上の一般的なルールだというふうに聞いております。復旧する場合は、それはしなくてもいいということであります。

 しかしながら、今回の東日本大震災の場合、非常に被害も大きい、財政事情も非常に厳しい状況になっているということでございますので、復旧を行わなくても、公的資金である財政融資資金や地方公共団体金融機構資金については原則として繰り上げ償還を求めない方向であるというふうに伺っているところであります。

重野委員 そういう配慮、あるいはそういう方向性というものが示されているという点についてはよしといたしますが、今後、こういうたぐいの話が次から次に出てくるんだろうと思うんですね。その場合に、やはり総務省としてもしっかり受けとめて、そういう現地の事情というものをしっかり理解を深めて、地方から見れば温かい配慮というものがなされておる、こういうふうに言われるように努力してもらいたいと思いますね。

 次に、地デジの問題について。

 現在、総務省においては、被災した地域の世帯に簡易チューナーを無償で提供すると聞いております。今回の震災では、地デジ移行のための共聴施設や光ファイバー網なども大きな被害を受けております。

 そこで、どの程度の施設が被害に遭っておるのかという状況把握をされているか、また、この復旧のための費用をどのように見積もっておるかということをまず第一に聞きます。

 さらに、自治体などから、この復旧に当たって国からの支援が欠かせない、こういう声も耳にしております。私のところに来ている要請文の中に、国庫支出金交付制度、これは仮称でありますが、そういう制度の創設を求める要望も来ておる。このことは国にも同様の要望が行っているんじゃないかと思うんですが、この点についてどのように考えておられるか、二つ伺います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 被害の状況でございますけれども、この点については、総務省と関係者で連携いたしまして調査を実施いたしまして、四月二十日に発表をさせていただいたところでございます。

 調査の結果としては、被害の中身等については、デジタル中継局一カ所が津波により流失。辺地共聴施設が約二百施設、これは世帯にいたしますと約一万一千世帯をカバーするものであります。受信障害共聴施設が約百施設、世帯数にしますと約一万世帯。集合住宅共聴施設が約三千三百施設、約二万四千世帯分でございますけれども、これについて津波流失または損壊という状況であります。それから、ケーブルテレビの三事業者の施設、約一万一千世帯に対応するものでございますけれども、これが津波流失または損壊したというふうに見ているところでございます。

 これらの施設を復旧するための費用につきましては、現在推計ができている範囲内では、中継局及び損壊した共聴施設の復旧に関しまして、七億円程度というふうに見積もっておるところでございます。なお、先ほど申し上げましたケーブルテレビの復旧に要する費用については、今後精査をしていかなければいけないという状況に今あるわけでございます。

 それから、委員が御指摘になりました、地方自治体からの地デジ施設の復旧についての要望ということでございますけれども、片山大臣に対しまして、四月二十二日に達増岩手県知事からも要望書が手交されていまして、我々としても承知をしているところでございます。

 総務省としては、岩手県から要望がありました共聴施設に加えて、デジタル中継局についても、地上デジタル放送への円滑な移行のために、地震、津波による被害があった施設の整備、改修への支援が必要と判断しておりまして、既に、四月二十五日に補助金交付要綱を改正することによりまして、従来の地デジ関連の補助事業の対象に追加をし、関係自治体にも周知をしたところでございます。補助率についても、今まで行っているものの中で最も高い率を適用するという形で整理をさせていただいているところでございます。

重野委員 よくわかりました。よろしくお願いをいたします。

 次に、地方公務員の給与について総務大臣に聞きます。

 先日、財務省が、地方公務員の給与をこの際引き下げようと画策しているという報道がありました。給与引き下げで地方交付税を減額するという魂胆が財務省にあるのは明白だと私は思うんです。

 大臣は五月十三日の記者会見で、この件に関して、地方公務員の給与は国が決める仕組みではない、勘違いがあると述べています。

 被災地では、消防職員、警察官、自治体職員、教員などが、それこそ昼夜を分かたず懸命に奮闘をしているわけでありまして、被災地はもとより、被災していない自治体でも応援や支援のために頑張っている、こういう状況の中でこうした報道が出るということについては全く遺憾としか言いようがない。改めて大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 国家公務員の給与は、所定の手続を経て、最終的には国会の法律で決める、これがルールであります。一方、地方公務員の給与については、それぞれの自治体において、所定の手続を経て、最終的にはそれぞれの自治体の条例で決めるということであります。

 私は政府の一員として、国家公務員の人件費の問題について担当しておりまして、今鋭意、交渉などの準備作業をしているところでありまして、地方公務員の給与についてああしろこうしろと言う立場にありません。それは総務大臣だけではなくて、政府全体にありません。それぞれの自治体において、所定の手続によって、それぞれの自治体の公務員給与というのは決められるべきもの、これが原則であります。

重野委員 大臣はそう言うだろうと思うんですが、財務省がそういうふうなことを言っているということについての新聞報道があるわけです。それに対して、大臣は今言ったようなことを述べられている。それはそうだろうと思います。

 ですから、この地方公務員の給与の問題というのは、地方自治体がそれぞれ話し合いの中で決定していくという原則を、政府としては改めて確認をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、教員免許の更新について文科省に尋ねます。教員免許更新について、今回の震災を受けてどのように対応していくつもりかという点です。

 被災地の教員からは、学校を再建していくために休みなく走り回っています、単に教壇に立つということだけではなしに、多くの避難者が学校の体育館なんかに避難しているわけですね、そういう方々のケアも含めて、学校現場は今、それこそ寝る時間がないぐらい頑張っているわけです。そういうことをしながら、一方、教員の中にも、みずから被災した方もたくさんおられるわけです。

 こういう状況の中で、地元を離れて三十時間もの講習を受けに行かなければならないのかという切実な声が上がっていることも御承知のことと思います。私はやはり、何らかの特例なり、あるいは制度の弾力的な運用が必要ではないのか、このように思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

笠大臣政務官 今先生御指摘のとおり、私も現地の方に何度か入らせていただく中で、現場の先生方が、学校はもちろんですけれども、避難所等々でも一生懸命、陣頭指揮をとっていただいておることには本当に敬服しております。

 今御指摘のように、私ども、弾力的な運用をするということで既に通知をしているところですが、まず、この平成二十三年三月三十一日に修了確認期限を迎えたいわゆる第一グループの現職教員については、一月三十一日までに修了確認の申請を行うこととされていたため、三月十一日時点においては、そのほとんどが既に講習の受講、必要な申請を終えておりました。

 ただ、修了確認申請期限を延期していた者についても、三月三十一日までにすべて、修了確認の申請や、あるいは今御指摘のように、今回の震災で被災をされたことなどによって受講が困難になったことを理由とする修了確認期限の再延期についても必要な手続を終えているところでございます。

 そして、平成二十四年三月三十一日に修了確認期限を迎える第二グループ及びその翌年度に期限を迎える第三グループの教員がこれからの問題でございますけれども、免許状の更新講習を受講していくこととなるが、今回の震災に被災している等により免許状更新講習の受講が困難な場合には、必要に応じて修了確認期限の延期ができるということにしており、このことについては既に通知をしております。

 ただ、今後とも、これを徹底できるようにしっかりと周知に努めてまいりたいというふうに思います。

重野委員 わかりました。現場で混乱が起こらないように、念には念を入れて丁寧にやっていただきたいと思います。

 市道、下水道の災害復旧について。

 地震、津波で道路、下水道などに大変な被害が出ている。その復旧に向けて、事前調査あるいは測量、設計などが必要になってくるわけですが、数が膨大であって、その費用も非常に多額に上ります。各自治体の財政上、非常に厳しい状況があると聞いております。

 この点について、ある市の例を拾ってみると、これは石巻市の例でありますが、市道で総額十六億円と推計される。国庫補助が二分の一で、石巻市でいえば八億円を負担しなきゃならぬ。下水道でも同じように、予期せざる負担はかかってくるわけです。やはり三陸沖一帯の自治体も例外ではありません。極めて厳しい財政事情の中でのこの地震、津波の追い打ち、非常に厳しいんですね。

 結論から言いますと、これらの対応としては、市道、下水道の復旧については全額国で面倒を見るという決断をしてしかるべし、私はこのように思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

三井副大臣 お答えさせていただきます。

 今先生から御指摘がございますように、今回の災害におきまして、大変甚大な被害を受けているのは当然のことでございます。そういう中で、地方自治体が大変御苦労されていることも承知しているところでございます。私も、今先生からもお話ございましたように、名取市の下水道を視察してまいりましたけれども、大変な被害状況でございました。

 まさに今先生の御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、この災害復旧につきましては、特に、設計図書の簡素化あるいは机上査定の適用限度額の拡大、また総合単価の使用の拡大等、大幅な災害査定の事務の簡素化を実施しているところでございます。具体的には申し上げませんが、地方自治体の負担を大きく軽減を図っているところでございます。

 なお、査定設計委託費につきましては、激甚災害法により特定公共団体に指定されまして国庫負担率がかさ上げされるなど、激甚な被害を受けた地方自治体につきましては二分の一以内が国庫補助されることとなっております。工事の中で対応すべき調査費につきましては、事業費の中で対応しているところでもございます。

 また今後とも、現場の状況に応じて適切な対応ができるように技術等の助言を行い、災害復旧作業ができるだけ早期に進捗するよう地方自治体を支援してまいりたいと思っております。

重野委員 こういう千年に一度と言われるような未曾有の大災害、自治体も極めて厳しい状況にあるわけで、今のお話に、さらに今後とも自治体の負担が少しでも軽減されるように、あらゆる知恵を出して対応していただきたい、このように思います。

 それからもう一つ、高台への宅地の移転について通告しておりましたけれども、時間が来ましたので、これは次に持ち越すこととして、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今月十日、十一日と総務委員会の視察、原口委員長を初め、参加された皆さん、本当にお疲れさまでございました。私は、ちょうど十一日に国土交通委員会と厚生労働委員会の質問がダブルで重なっていましたので参加できませんでした。残念です。

 きょうは、携帯電話がつながらなかったという問題についてお尋ねをしたいと思います。

 今回のマグニチュード九・〇の東北地方太平洋沖地震、それからずっと携帯電話がつながらなかったわけであります。災害の際にはいつものことでありますが、しかし、いつものことだからといって、そのままにしておいていいわけがないというふうに思います。とにかく、今回は携帯電話がつながらなかった。そして携帯メールも、送信できることはあったけれども届かない。遅延がひどくて相手のレスポンスは全く期待できない。こういうことで、被災地ではない東京でさえ、当初、家族の安否確認ができない、こういう状況が続いたわけであります。

 これは通信ネットワークのふくそうという現象によるものとされて、そのふくそうのために、最大九〇%程度まで通信規制が実施されたためだというふうに言われております。

 まず、改めて、地震後の携帯電話の通信障害の実態とその原因についてお尋ねを申し上げます。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の東日本大震災によりまして、ピーク時で、携帯電話では各社合計で一万四千八百局の基地局がサービスを停止しております。

 この原因といたしましては、津波ですとか地震そのものによりまして、基地局が倒壊したとか浸水したとか、あるいは回線が寸断されたといった被害が非常に大きかったということとあわせまして、非常に広範囲にわたりまして、かつ長時間の停電が起こりました。これによりまして、自家発電機の燃料が枯渇するとか、あるいは蓄電池の電源を使い果たすといったことが原因でございます。

 また、先生御指摘のふくそうでございますけれども、震災直後、被災地のみならず、特に関東地方におきまして、携帯電話がかかりにくいふくそう状態というのが発生しております。

 これは原因といたしましては、一つは、安否確認のために被災地への電話が集中したということと、それから関東地方におきましても、停電等によりまして帰宅が困難になった方々が一斉に自宅に電話をされようとしたということから、NTTドコモの場合ですと、最大で平常時の約五十倍の通信量、トラフィックが発生したということでございます。

 このため、通信事業者におきましては、警察、消防でありますとか、あるいは病院ですとか地方公共団体の通信を優先的に確保するという観点で、一般通話からの発信等を規制したというものによるものでございます。

柿澤委員 この携帯電話の不通というのが、被災地の東北地方などでは相当長期にわたってつながらない状態が続いたんじゃないかという実感があります。

 私の所属するみんなの党に、気仙沼の境恒春さんという方がいるんですけれども、県議候補として活動中に被災をされたという状況であります。

 震災発生当日の三月十一日から、境さんどうしているかなということで何度も電話したんですけれども、ずっと連絡がとれなかった。何度かけても、何日たってもつながらないので、気仙沼の様子をテレビで見ておりましたので、正直もうだめかなというふうにも思ったんですけれども、十日以上、二週間近くたって、私の携帯に電話がありました。無事でよかったなというふうに申し上げたんですけれども、済みません、ソフトバンクの携帯なのでつながらなくて、こんな話がありました。別にソフトバンクに他意があるわけじゃないんですよ、他意があるわけじゃないんですけれども、しかし、かなり長期間にわたって携帯がつながらないという状況が特にこの被災地であったことは、これにもあらわれていると思うんです。

 二カ月以上もたっているわけですから、もうかなり復旧はしているんだろうと思いますけれども、現状において、この被災地の携帯電話の不通の状況というのがどうなっているか、お伺いをしたいと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 先ほど被災状況については答弁がありましたけれども、その復旧につきましては、四月末までに携帯電話基地局の通話エリアについては、福島原発周辺地域などの一部地域を除きまして復旧されているという状況でございます。

 ちなみに、五月十六日現在では、固定電話が約一万二千回線、携帯電話基地局は四百九十局がサービスを停止しておりますけれども、これは福島原発周辺地域ということになっておるところでございます。

 なお、このほかに被災した内容としては、電柱の倒壊とか通信回線の寸断といったようなものがございますけれども、これについては、市街地の復興とか被災者の住宅再建というものとあわせて復旧していくということでございます。これについては、携帯とは直接は関係ありませんけれども、随時、通信事業者が地元自治体等とも連携して対応していきたいというふうにしているところでございます。

柿澤委員 これは、地震や津波あるいは停電でだめになったものが復旧した、復旧させましたということだけでは足りないというふうに私は思うんです。

 今申し上げたように、地震が発生をして以降、全く携帯電話がつながらなくなってしまった。いろいろな理由によるものでしょうけれども、例えば通信のトラフィックのふくそうによって東京でもつながらなくなって、さまざまな混乱が生じた。こういうことを考えると、こうしたことが起きないように、やはり抜本的な手だてを打っていく必要があるんだというふうに思うんです。

 災害が起きたら携帯がつながらない、こういうことが常識になってしまうというのは正しいことではない、そして、携帯事業者は民間企業だからといって企業の自助努力に任せていていいわけではない、こういうふうに私は思います。今後の対策についてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今回の震災で幾つかの教訓が得られましたので、それぞれ対応したり、それから検討したり、もう始めているところであります。

 例えば、携帯電話基地局が被災をした場合に、その代替といいますか、例えば車載型の基地局を持っていけるようにするとか、衛星携帯電話、これは今回被災地ではすごく役に立ったんですけれども、これの保有数をふやすとか、こういうことも必要だろうと思いますし、先ほど来答弁にもありましたけれども、緊急時のふくそう状態をいかに回避するかということ、これも重要でありまして、これはもう既に、技術面を中心にしながらその検討の体制をつくったところであります。

 そのほか、今回の教訓として、例えば立地をリスクの少ないところにする。津波などのリスクもありますけれども、今回の新しい教訓としては、原発の周辺にあった基地局などもありますので、こういう面も今後の課題として検討しなければいけない、そのような教訓を得たところであります。

柿澤委員 携帯電話がつながらないということで、現地の被災の状況がなかなか把握できないという問題も起きました。とりわけ津波で役場の機能が壊滅をしてしまった自治体などでは、どこに何人が避難をしているか、何が必要なのか、どこの道が通れてどこが通れないのか、こういうことを外から支援に入る人たちがなかなか把握できないということになってしまいました。そうした通信の途絶による初期情報の把握のおくれで人命救助にも支障が生じたということは、率直に言わなければならないと思います。

 その一方で、インターネットの回線は比較的生きていたというふうに言われております。例えば、ある企業ではインターネット電話のスカイプを利用して、社内の安否確認システムとインターネットテレビ会議によって、東北支社の全社員の安否状況等、被災地の概況を速やかに確認し報告を受けることができた、こういうことが言われています。

 これは私自身も実感として感じています。携帯電話がつながらない中、ツイッターは生きていたんですね。被災地から、携帯電話の通話はつながらないけれども、インターネットのツイッターを通じて、例えば、名取市の閖上地区の水没した家屋の上にいますよ、こういうことを発信した人がいて、それが行政機関に届いてヘリコプターで救助される、こういうケースも見てきたわけです。

 安否確認についても、インターネットの掲示板のシステムを通じて、例えばグーグルのパーソンファインダーというのがあって、そこで家族の安否を入力して、一方で確認をする、こういうことが多々行われました。インターネットのいわゆるソーシャルメディアを通じた災害時の情報発信と受信、相互連絡のネットワークは、今回大きな力を発揮したというふうに思います。

 こうした実態をきちんと調査、検証して、インターネット回線を活用した今後の災害時の情報発信、現地の情報把握等のいわゆる情報インフラを構築していくべきだというふうに考えます。お伺いをいたしたいと思います。

平岡副大臣 委員の問題意識と私たちの問題意識は全く同じでございまして、先ほど総務大臣の方から、いろいろな通信関係についての対応というようなことで、ふくそう問題をどうするかというようなこともありました。

 そういう問題も含めて、このインターネットの問題についても、実は四月八日に、総合通信基盤局長をヘッドとする大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会というものを、有識者の皆さん、あるいは通信事業者の皆さん、多くの皆さんに集まっていただいて、最初は、災害直後でありましたので、インターネットでいろいろなアイデアを提供していただくというような形で開催いたしましたけれども、ここでしっかりと検討していこうというふうにしておりまして、その中の一つの大きな項目は、今後のインターネット活用のあり方ということでございます。

 SNSを活用した情報共有であるとか、あるいは災害対策としてのクラウドサービスの活用であるとか、さまざまなアイデアを持ち寄って、そしてさらには、将来的な技術革新も含めてどういうことができるのか、ある意味ではそういう技術的な面が中心にはなりますけれども、しっかりと検討していきたいというふうに思っております。

 結論が出ましたものから随時実現に移していきたいというふうに思っておりますけれども、とりあえずは夏場ごろを目途に中間報告、そして年内に最終的な結果報告というものを出していきたい。これによって、これまで同じように何度も繰り返されたふくそうの問題、つながらないといったような問題について、しっかりと今後対応していきたいというふうに考えているところでございます。

柿澤委員 大臣の決意をお伺いしたいところですけれども、もう時間が過ぎておりますので終わりにしたいと思いますが、携帯はまたつながらなかった、インターネットは意外と役に立った、こういうような話を、この震災のサイドストーリーみたいな形で過ぎ去る出来事としてはいけないというふうに思います。

 そういう意味で、情報通信行政を担う総務省として、本格的な取り組みを御期待申し上げたいと思いますし、平岡副大臣の大変真剣なまなざしによる御答弁には大変期待が持てる、こういうふうにも思いましたので、ぜひ大きな成果を期待したいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.