衆議院

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第22号 平成23年7月12日(火曜日)

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平成二十三年七月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 石津 政雄君 理事 稲見 哲男君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      相原 史乃君    石井  章君

      内山  晃君    小川 淳也君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      大山 昌宏君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      平岡 秀夫君    藤田 憲彦君

      松崎 公昭君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    加藤 紘一君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    森山  裕君

      山口 俊一君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           黒羽 亮輔君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     渡邊 一洋君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十二日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     大山 昌宏君

  赤澤 亮正君     山口 俊一君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     相原 史乃君

  山口 俊一君     赤澤 亮正君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     黄川田 徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として財務省理財局次長飯塚厚君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君、社会・援護局長清水美智夫君、国土交通省大臣官房審議官井上俊之君及び総合政策局公共交通政策部長渡邊一洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山裕君。

森山(裕)委員 おはようございます。自由民主党の森山裕です。

 質疑の時間を与えていただいたことに感謝を申し上げます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 東日本大震災により避難をしている人々の住民登録等についてまずお伺いをいたします。

 東日本大震災による避難者の数は、内閣府が全国の地方公共団体の協力を得て、所在都道府県別、所在施設別の数として公表しております。六月三十日現在では、九万九千二百三十六人が避難生活を続けておられます。

 さて、住民は、市町村の区域内に住所、すなわち生活の根拠を持つものであります。市町村では、住民としての地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければなりません。このため、住民基本台帳を管理しております。

 住民基本台帳法では、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うように規定をしていると思います。

 そして、国及び都道府県の責務として、市町村の住民の住所の変更など、住民としての地位の変更に関する事務の処理がすべて住民基本台帳に基づいて行われるように、法制上その他必要な措置を講じなければならないと規定をしております。

 また、市町村長等の責務として、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるよう努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならないと規定をしているところであります。

 さらに、住民基本台帳法第二十二条では、新たに市町村の区域内に転入した者は、転入した日から十四日以内に、氏名及び従前の住所等を市町村長に届け出なければならないと規定をしております。

 ところで、総務大臣に伺いたいと思いますが、総務大臣は七月四日に福島市において、福島第一原発事故による避難民を受け入れている福島県内の十一市町村長と意見交換をされ、住民票を移すことをしなくても義務教育や介護サービス等の行政サービスを受けられるようにすること等を内容とする特例法案の骨子を提示されたと報道されております。

 さらに、市町村長との意見交換後に、今国会にこの特例法を提出したい旨発言をされるとともに、受け入れ市町村には、地方交付税の増額や補助金などで財政支援をする考えも示されたと報道にあります。

 避難のため住民票を移した住民がもともといた市町村の行政にも参画できるように、仮称住所移転者協議会の創設も盛り込むと表明されたようであります。

 そこで、まず、福島第一原発の二十キロ圏内及び計画的避難区域に指定された区域の住民に関してお尋ねをいたしますが、福島第一原発から二十キロ圏内に町全体の行政区域が入っている双葉町、大熊町、富岡町、一部が二十キロ圏内に入っている南相馬市、浪江町、葛尾村、田村市、楢葉町、また、計画的避難区域に指定された飯舘村、川俣町の一部、葛尾村と浪江町の二十キロ圏内を除く全域、南相馬市の一部、これらの区域の住民の住民登録について、特例法ではどのように対応しようとされているのか、まずそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 今おっしゃいました区域の住民の皆さん方は、現在、ほとんどの方が避難生活を余儀なくされているわけであります。本来その方々は生活の本拠地を移すという意思はお持ちでないわけでありまして、当面、しかし避難生活を余儀なくされているわけであります。その方々の意思をそんたくした上で尊重するとすれば、住民票は避難元の自治体に置いておくということが、御本人の皆さんの意思それから自治体の考え方にも合致するものだろうと思っております。

 冒頭議員がおっしゃったことが住民基本台帳法に基づく原則でありますけれども、今申し上げましたような、本人の意思に基づかないで避難を余儀なくされているという実情にかんがみまして、住民基本台帳の住民票は移さない、しかし避難先で支障のない生活を送れるような行政サービスを受けられる、そういう法的手当てをする必要があるのではないか、これが今回新しい特例法を考える一つの出発点になったところであります。

森山(裕)委員 大臣、今の大臣のお考えは、私は正しい考え方であろうというふうに思います。やはり自分たちのふるさとというのは捨てがたいものでありますし、新潟大地震のときにも、山古志村に帰ろうということが希望の星でした。そういう対応というのはもちろん必要なことだと思います。

 ただ、今回の場合には、期間がどうなるかというところとの関係を今どう判断しておくかということも一つの大事なことだと思います。最近の総理の御発言によると、三年、五年、十年、数十年という話が出てきたりいたしますと、今回はこの特例法で当面乗り切るといたしましても、将来的にどうするかという課題はやはり別途考えておく必要があるのではないかというふうに思います。また、今回の特例法で対応できる避難しておられる方々の数というのはどれぐらいを想定しておられるのか。また、そのためにどれぐらいの予算措置が必要だというふうに推計をしておられるのか。その三点についてお聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 今議員がおっしゃられました、当面の話を越えた将来の話については、場合によっては何らかのさらなる特別立法が必要になる可能性もあると私は思っております。当面は、三宅島の避難の例もありまして、住民基本台帳はそのままにしておいて区域外で行政サービスを受けられるようにするという、ありていに言いますと住民票を移さなくてもということが前提になっているわけですけれども、これが長くなったときに住民基本台帳法との整合性がどうかという問題は場合によって出てくる可能性もありますので、それは将来の問題として検討課題にしておきたいと思います。

 それから、この新しい、これから提案をいたしまして、それが成立したとして、その適用を受ける住民の方はどれぐらいおられるのかということでありますが、これは、現時点で必ずしも正確にはまだとらまえられていません。

 といいますのは、出入りといいますか、そういうものもないわけではありませんし、それから、避難元の市町村が住民の皆さんをすべて、全員所在を把握されているわけでも必ずしもありませんので、正確にはまだわかりませんが、恐らくは十万人を超える住民の方々がこの適用を受けられることになるだろうと思います。

 それに要する費用はどうかということでありますが、例えば教育については、避難元の自治体が避難先に区域外の教育施設を設けて自前でやるというようなケースも実はあるわけであります。それから、自治体によっては教育も避難先の自治体にお願いをするというところもあるものですから、それぞれこれから精査をすることになります。

 したがって、現時点でどれほどの所要財源が必要かということはわかりませんけれども、いずれにしてもどっちかで受けるわけでありますので、それについて、避難元で実施するにしても避難先で行政サービスを受けるにしても、支障のないような、例えば地方交付税措置でありますとか、それから厚労省や文科省のそれぞれ所要の財源措置が支障のないように交付されるような、そういう措置を講じていくつもりであります。

森山(裕)委員 大臣、ありがとうございました。

 十万人という数字を今大臣がお示しになったんですが、避難をしている数は六月三十日現在で九万九千二百三十六人であります。これは、強制的に避難をさせられている人以外の方も結構おられるんだろうと思います。そうすると、もう少し少ない人数になるのではないかなと私は予測をしているんですが、そんな十万人ということになると、この内閣府が調査した、そして公表している数字そのものをどう理解すればいいのかなという疑問が生じるわけでありますけれども、そこはどう理解をすればいいですかね。

片山国務大臣 これは、先ほど申しましたように、まだ正確な人数はつかめておりません。これは福島県でもつかめていないんです。

 先ほど私が十万人を超えるのではないかと申し上げましたのは、その根拠は、三月十一日現在で、双葉郡の八町村、それから全村が移転を余儀なくされております飯舘村の住民基本台帳の人口が当時八万余りでありました。それから、南相馬市ではいわゆる区域外の皆さんも避難をされている方はかなりおられまして、これはまだ推計値なんですけれども、一応の避難をされている方の割合というものを推計いたしますと、二万八千人余りの人が避難をされているのではないかという推計を今持っておりまして、それらを足し込みますと十万を超えるということであります。

 いずれにしましても、これからも、先ほど少し触れていただきました全国避難者情報システムを通じまして、現時点でもまだ情報が寄せられておりまして、いずれほぼ全貌に近い数字が明らかになりますので、その時点で正確な数字は固まるものだと思います。

森山(裕)委員 ありがとうございました。

 今回の特別立法で一番考えなければいけないのは、やむを得ず避難をしておられる方々のお気持ちをどう受けとめて法律をつくるかということであろうと思います。その方々の気持ちというのを十分にそんたくしていくことが大事なことであろうというふうに思っています。

 そういう意味からすると、大臣が現地でお述べになりました住所移転者協議会なるものは、一つの考え方としていい仕組みなのではないかなというふうに思うところでありますが、この協議会でもって何を大臣は期待しておられるわけですか。

片山国務大臣 被災地の自治体の皆さんと話をしておりますと、基本的には、住民の皆さんに住民票はそのままにしておいていただきたいと。やはり、できるだけ早くみんなで一緒に帰りたいということであります。

 したがって、今回の新しい法案も、考えております基本は、住民票はそのままにしておいて、でも生活の拠点が移らざるを得ませんので、そこで必要な行政サービスがちゃんと受けられるようにするということ、これを基本にしているんですけれども、しかし、住民の皆さんの中には、やはり子供の教育のことだとかいろいろな事情を考えると、万やむを得ず住民票を移さざるを得ない人も出てまいります。

 しかし、それは恐らくは、必ずしも本意ではなくて、できることならばもとのところに戻って子供の教育も受けさせたい、しかし今はできない、こういう事情であるがゆえにそういう措置をとられるものでありますので、やはり避難元の自治体との間のきずなといいますか、そういうものは維持する何らかの手だてが明示的に必要だろうと思うわけです。

 一番考えられますのは選挙権でありますけれども、これはしかし、住民票を移した人にもといた場所の選挙権というのはやはり一人一票という原則にもとることになりますので、選挙権ということは考えられない。そうしますと、選挙権以外の住民の政治参画機会を保障するということで、協議会のようなものを考えたらどうだろうかということで、市町村長さんとも相談をしたわけであります。

 そこでは、例えば、いずれ帰る日のためのいろいろな準備があります、その準備の仕方でありますとかそのスケジュールでありますとか、そういうことは当然、区域外に出られた住民の皆さんも大いに関心のあるところであると思います。それから、例えば年に何回かは子供さんに、皆さん、どこかに集まっていただいて顔合わせをして、心のきずななどを保つようにしていきたい、そういうプロジェクトもしたいという町村長さんもおられまして、そういうことの予算といいますか、どういう仕方をするか、そんなことも相談しようとか、いろいろなことが考えられると思いますので、そういうことを協議する場、やはり何らかの意思表明といいますか、考え方を述べる機会があってもいいのではないか、こんなことを想定しております。

森山(裕)委員 大臣、よくわかりました。

 ところで、この法案は、いつ閣議決定をされて、いつ提出をされる御予定ですか。

片山国務大臣 これは、今、法制局協議が最終段階に入っておりますので、確定的にいつということは今申し上げられませんけれども、とにかくできるだけ早く法案としてまとめて、閣議決定を急ぎたいと思っております。

森山(裕)委員 わかりました。

 次に、福島第一原発に係る避難区域となった市町村の自治体としてのあり方についてお伺いをいたします。

 飯舘村、葛尾村、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町では、住民が全員避難をしておられる状況であります。行政区域に住民がだれも住んでいないという状況であります。住民が全員避難をしている町村の町村長及び町村議会議員、さらには町村役場の職員の身分について、特例法において何か対応されようとしておられるのかどうか、そのことを少しお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 特例法では、特に、今御指摘の観点からの規定を置くつもりはありません。

 区域外に役場も議会も移転せざるを得ないわけであります。区域外で活動されるわけであります。特に、多くの住民の皆さんとともに避難をされている町村にあっては、区域外で今一緒におられますけれども、そこでこれからも役場の機能というのは果たさなければいけないということでありまして、その点で、町長さんでありますとか議員の皆さん、職員の皆さんの身分関係に変更はありません。

 ただ、一つ留意しなきゃいけませんのは、法律上、議員の皆さんは住所要件があります。仮に議員の中で住民票を移されるということになりますと、そこで形式要件が満たされないことになりますので議員の資格がなくなるということはありますけれども、それ以外のことでありますと身分関係には変更がないと考えておりますので、新しい特例規定を設けるという考えはありません。

森山(裕)委員 大臣、よくわかりました。

 先ほども申し上げましたが、今回の特例法というのは、全員が避難をしてもそこに住所があるんだという前提での特例法であろうというふうに思います。そのことはそのこととして意味があると思うし、今は必要なことなのだろうと思います。ただ、先ほど申し上げたとおり、これが何年も続いて、どうしても避難を続けておかなきゃいけないという状況になったときには、また新たな法律対応というものが必要であろうということを申し上げておきたいと思います。

 次に、福島第一原発避難民を除く東日本大震災の避難民についてお伺いをいたします。

 住民基本台帳法五十三条では、第二十二条の規定による届け出について、虚偽の届け出をした者、また正当な理由がなく届け出をしなかった者は五万円以下の過料に処すると規定をしております。

 福島第一原発の避難民を除く東日本大震災の避難民の住民登録についてはどうお考えなのでしょうか。これは少し意味が違うというふうに思うんですけれども、そこの考え方を少しお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 福島の原発の被災者の皆さんと違う点もあるとは思いますけれども、しかし、似た、同様の状況にあることも言えるのではないかと思います。原因は一緒ではありませんけれども、しかし、津波災害で家屋敷がなくなってしまって、帰ろうと思っても、それは現地には行くことはできますけれども、そこに生活の拠点を置くということは当面無理なわけでありますから、そういう意味でいいますと、似たような面があるんだろうと思います。

 その方々の意思というものも、恐らくは、もと生活をされていたところで本来生活をしたい、生活の拠点は本来そこにあるべきだし、あるはずだという意思がおありだと思いますので、今回もそういう方々について、特によそに避難をされているからといって、住民基本台帳法の規定をしゃくし定規に適用して、何日以内に移さなければいけないということ、これは常識にも条理にもかなわないことだと考えております。

森山(裕)委員 大臣、少し次の質問と関連をいたしますが、東日本の避難民を受け入れている受け入れ先の対応について少し伺っておきたいと思います。

 先ほど述べましたように、内閣府の全国避難者等の数によりますと、六月三十日現在、避難者は全国の四十七都道府県すべてに行っておられます。また、全国の千七百二十四市区町村の六割以上に当たる千百の自治体で現在生活をしておられるということであります。

 転入手続をとられないままの避難民に対して、市区町村ではごみの収集等の行政サービスを提供し続けておりますし、短期間であれば、緊急避難であるからということで対応ができるのでありましょうが、長期的になってくると、受け入れている自治体にとってはやはり相当な負担になってくるというふうに思います。

 そこで、避難が長期化したときの受け入れ自治体についての対応を大臣はどうされようとしておられるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 今お話がありましたように、全国の多くの自治体で、東日本大震災で避難を余儀なくされている方々の受け入れを行っていただいております。これは本当に、全国知事会、全国市長会などの関係団体がいち早くこういう意思を表明していただきまして、手はずを整えていただきまして、大変ありがたいことだと思っております。

 そういう自治体が何らかの負担をしていただくことになるわけでありまして、その負担について、やはり政府としてそれはちゃんと手当てをしなければいけないという考え方を持っております。

 長期化した場合に、例えば教育でありますとか生活保護でありますとか、そういう行政は相当お金がかかりますけれども、これらは住所の移転の有無にかかわらず普通交付税に算入されることになりますので、多少のタイムラグはあるかもしれませんけれども、それは支障がなくなると思います。

 ただ、さっきおっしゃったようなごみの問題でありますとか、その他もろもろ、普通交付税でとらまえられない需要がありますので、そういう点につきましては、きめ細かく事情をお伺いした上で、特別交付税できちっと処理をしたいと今考えているところであります。

森山(裕)委員 基本的には災害救助法に基づいて対応していくということが基本であることはよく理解をいたしますけれども、なかなかそれだけでは対応し切れない、長期になるのではないかなという気もいたしますし、また、避難をしておられる方々の人数というのもかなりの数に上ってまいります。

 私は、ここで我々が一番配慮しておかなきゃいけないことは、避難をしておられる方々が避難先の自治体で気兼ねなく生活をしていただくような仕組みをつくって、それをやはりすべての人に知らしめておくことが大事なのではないかなというふうに思っています。そうしないと、避難をしてきて、肩身の狭い気持ちで避難先で生活をするということはあってはならないことだと思いますし、ぜひそこのところを特別交付税なりなんなりできちっと対応するということをさらに明確にどこかの段階でしていただきたいと思いますし、受け入れている自治体も安心して住民サービスを提供できる担保をお願いしておきたいというふうに思います。

 最後にちょっとお話し申し上げておきたいことがあります。

 桜島が今以上に活発な活動を続けていた時代がございまして、東桜島町に位置します有村という集落に四トンぐらいの溶岩が落下するという事態が起きました。一つは家の真ん中に落ちてきて大変心配をしたんですけれども、幸いに死亡者はありませんでした。

 ところが、ずっと活動が続いたものですから、有村地区を集団移転しようということになりまして、議会でもその議案を議決させていただいて、住民の人たちも、これは大変だからこの際みんなで引っ越そうという話になったんです。一週間たち二週間たち、少しずつ噴火がおさまってきますと、最初はみんなで引っ越そうという話だったんですけれども、だんだんだんだんその気持ちが薄れまして、結果的に集団移転をなし遂げることができませんでした。

 私は当時、議会に議席を持っておりましたので、いまだに、あのときの判断が正しかったのかな、桜島が再び噴火をして有村が全滅するようなことがあっては、あのときの判断を間違ってしまったということになるのではないかなということを、有村地区を通過するたびに思うわけであります。

 ただ、住民の皆さんの気持ちというのは、やはり住めば都でありますし、他の住民からはわからない地域のよさというのがあるのだろうと思います。それは私は非常に大事なことだと思うし、そういう住民の気持ちというのも大事にしていかなければいけないのでありますが、災害等々を考えますと非常に難しい話だなというふうに思いますし、福島がどういう形で展開をしていくのかよくわかりませんけれども、願わくば、一日も早くふるさとに帰っていただくような形で収束できればいいなというふうに思います。

 ただ、将来のことを考え、健康のことを考えたときに、重大な決心をしなければならないときもまた現実にあり得るのかなということを考えますと、桜島の有村でのことと関連をして、非常に難しい問題だなというふうに思いますが、大臣はそのことについて今後どういう考え方で対応していかれるのか、お考えを少しお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 福島の原発被災地の皆さんは、やはり一日も早くもと住んでいた場所に帰りたいという方々ばかりであります。しかし、そのためには幾つかの条件が必要だろうと思います。一つは、一日も早く福島第一原子力発電所のプラントのいわば封じ込めといいますか冷温停止と、それから放射性物質の放出を完全にとめるということ、汚染水を処理するということ、これを急がなければいけないということがあります。それからもう一つは、それができたとしましても、例えば土壌汚染でありますとか、そういうことが除去されなければいけない。そういう条件を満たした上で、一日も早く帰っていただけるような、そういう段取りを整えなければいけない、政府一丸となって努力をしなければいけないと考えております。

森山(裕)委員 ありがとうございました。

 それでは、特例法の一日も早い御提案をお願い申し上げて、時間が参りましたので、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、山口俊一君。

山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。

 久しぶりに総務委員会で質問の機会をいただきました。諸般の事情でなかなか総務委員になれないんですが、きょうは機会をお与えいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 同時に、実は前々から、片山大臣に大変私は関心を抱いておりまして、とりわけ私が副大臣のころ等々ずっと拝見をしておりまして、一度ぜひとも質問をさせていただきたいと思っておりました。格別の思いでございます。

 ただ、こういった時期でもございます。まずは震災関係から質問させていただきたいと思っておったわけですが、これは一月ぐらい前から質問をどうかと言われておりまして、実はあのころに、先ほど我が党の森山委員の方からも質問がございました避難民の皆さん方の住民票の問題ですね、これは当時聞くところによりますと、住民票を移しなさいというふうな指導がされるかもしれないという話を聞いておりまして、これはちょっと大変だなというふうな思いがありました。私自身もこの問題に対しては思い入れがございますので、若干重なりますけれども、質問させていただきたい。

 先ほどもお話がございましたけれども、ある意味で、とりわけ住民票、住民基本台帳というのはまさにすべての根幹をなすものであります。やはり一つのきずなでもあるし、住民票、住民基本台帳というものをもとにして、いわゆる納税義務も発生する、選挙権もある、あるいはまた、その人数によって例えば交付税の算定も変わってくるというふうな話で、まさに地方自治の根幹をなすものだろうと思うんです。

 そういった中で、今回やむを得ずして、あるいはある意味で強制的に避難せざるを得なくなってしまったという皆さん方、やはり一日も早くふるさとに帰りたい、あるいはふるさとにおけるきずなを取り戻したい、コミュニティーを取り戻したいという大変強い思いがおありになるんだろうと思う。それを阻害するようなことは決してしてはならぬ。さっきも三宅島の話が出ました。三宅島のように特例的な措置で、住民票を移さずとも、その地域における、避難先における行政サービス等々をしっかりと提供していく必要があるんだろうというふうな思いでございます。

 ほとんど趣旨は同じかもわかりませんが、いま一度、大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 今回、原発被災地で避難を余儀なくされておられます住民の皆さん方は、本当に、一日も早くもとのところに戻って平穏な生活を送りたいということでありますけれども、しかし、現実は、やむを得ずある程度の期間、避難を余儀なくされるわけであります。

 その方々が仮に住民票を移されて避難先で生活をされる場合には、それは避難先の市民、住民として何の支障もなく行政サービスを受けられるわけでありますけれども、しかし、それは御本人の皆さんの意思とは違った形になってしまいますし、避難元の自治体の皆さんの意思とも反することになります。そうしますと、これもやむを得ず住民票は置いたままで、しかし避難先で生活をする。その際に、先ほどお話がありましたけれども、肩身が狭くなく、また気兼ねなく、ちゃんと行政サービスを受けられるようにする、そういう条件を整えてあげることが必要だと思います。これが原点であります。

 したがって、それに必要な施策というものが必要になるわけでありまして、避難元から要請があった事務については避難先できちっと、住民の皆さんと同じような生活が送れるようにするということ、これを新たに特例法として書くことが必要だと思いますし、あわせて、これも先ほどちょっと触れましたけれども、やむを得ず住民票を移さざるを得ない方も出てまいります。現におられますけれども、そういう方々が避難元の自治体との間の紐帯といいますかきずなを、一体感を保っていけるような措置も必要だと思います。そういうことを今回、新しい法律に盛り込みたいと思っております。

 昨日も、実は私、福島に赴きまして、双葉郡の八カ町村、南相馬市長さん、それから田村市、飯舘村、それぞれの町村長さんと一堂に会しまして、県庁も交えて意見交換をしてまいりましたけれども、大体、今私どもが考えております法案について賛意といいますか賛同が得られましたので、早く法案としてまとめて国会に提案して、御審議をお願いしたいと今考えているところであります。

山口(俊)委員 これは、住民票を移す方あるいは移さない方、いろいろあるんですね。避難元、避難先、それぞれこれは大変難しい調整というか検討というのが今後必要になってくるんだろうと思うんです。

 ただ、さっきお話をいただいたように、やはり住民の皆さん方の思いを大事にしていただくということで、もう面倒くさいから移してくださいということが決してないように、ぜひとも配慮していただきたい。恐らく住民の皆さん方にとって、自治体、自分が所属をしておったコミュニティーを守る一つの方法というのは、そこへ住民票を置くかどうかという話にもなるわけでありますので、十分そこら辺は配慮して、十四日以内にちゃんとしなさいよなんということがないようにお願いをしておきたいと思います。

 また、これは先ほど森山先生の方から御確認をいただきましたが、避難先における避難民に対するさまざまな住民サービス、これはある程度長期間にわたってきますと、当然その自治体の負担にもなってくるというふうな話でありますので、普通交付税あるいは特交等々でしっかり御配慮いただけるというふうなことでありますので、それはそれでよろしくお願いをしたいと思います。

 同時に、避難元ですね。例えば、新聞報道を見ておりますと、今回、既に住民票を移した方々が被災三県で昨年の三・四倍、三月から五月で三万一千七百五十二名というふうなことであります。これは当然、住民票を移してしまったということになりますと、もといた、いわゆる避難元の人口が激減をしてくるというふうな状況もあろうかと思います。とりわけ今回、被災地に過疎市町もあるわけでありますので、そこら辺で、本当に自治体が復旧復興できるのかというふうな瀬戸際に立たされていくおそれもあるわけですね。

 そういった中で、概算要求等々いろいろな時期が迫ってきておりますので、では、次年度の普通交付税の算定をどうするのかというふうな検討も恐らくなさっておられると思うんです。当然、住民の頭数が減ればこれは減りますよね。当然、行政サービスが少なくて済むのであれば基準財政需要額というのも減っていきますよね。これはある意味で、これからの復旧ということを考えると相反する事態にもなりかねないわけで、そこら辺のことをどう考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。

片山国務大臣 これは非常に重要な問題であります。私もそういう重要な問題だと認識をしております。

 実は、今回の原発被災地の自治体というのは一様ではありません、非常に多様であります。といいますのは、役場機能をそのまま移さざるを得ない自治体も数多くありますし、役場機能、市役所の機能は置いたまま、しかし一部の住民の皆さんが避難を余儀なくされるとか、そういう違いもあります。それから、役場機能を移さざるを得ない自治体の中でも、例えばその区域外で、避難先で小中学校を経営したいというところもありますし、それはしないというところもあります。自前で事務を継続したい、そういう事務もあるんですけれども、やはり委託せざるを得ないという面もあります。ですから、そういうことにきめ細かく配慮しなければいけないと思います。

 財政面でいいますと、普通交付税の基本部分の人口は国勢調査の人口を使っておりますので、これは本年の二月に概算といいますか、中間のところで速報値として公表いたしましたけれども、それを当面使いますので、実人口が減ったとしても交付税の基本部分は変わらないということになります。

 もちろん、小学校、中学校の子供さんがよそに移っていけば交付税は変わってまいります。しかし、残った事務をちゃんとやる財政措置はしなければいけない。その辺をきめ細かく算定いたしまして、それでもどうしても避難元の市町村で財政運営が困難になるというようなことが生じることがあってはいけませんので、それは特別交付税などで適切な措置を講じてまいりたいと今考えているところであります。

山口(俊)委員 お話しのとおりだろうと思うんですね。これは、大変煩雑な作業にいろいろなってくると思うんです。では保険がどうだから始まっていろいろ出てきますので、そこら辺はしっかり、きめ細かく、しかも地域の住民あるいは首長さんの思いをちゃんと聞いてあげて対応していただきたい。大臣は結構現地に入られて、いろいろお話を聞いていただいておるようでありますので、どこかのあの閣内不統一みたいなことがないようにしっかりと対応していただきたいと思っております。

 それと、今回の被災に関して、被災地以外の全国の都道府県あるいは市町村から、大変な援助あるいは職員の派遣等々があったわけです。これはもう御案内のとおりです。私の地元の徳島でも、県職員を初め市町村職員等、千五百八十四人派遣というふうなことが地元紙に出ておりましたけれども、職員の派遣がある。あるいは、震災直後に緊急の物資を送ろうということで、各県、非常用の備蓄の物資を持っていまして、これをお送りしたりしていますよね。たしか高知は全部お送りしたんじゃないかなと思うんです。徳島は慎重に三分の一か何かだったと思うんですが、そういったいろいろな援助をしてきました。

 これに対して、もちろん防災協定等々を結んでおるところもあるのだろうと思うんですが、当初は確かにボランティアというか、まさに緊急時お助けをするということでいいんですけれども、これはまだ職員を派遣し続けておるわけですね。そこで、派遣をした元の自治体の負担というのも当然出てきておるわけであります。

 ですから、そこら辺の、職員の派遣あるいは物資の援助等も含めて援助をした自治体に対して、そういった負担にはどういうふうにおこたえをなさるおつもりなのか、総務省としてのお考えをお伺いしたい。

片山国務大臣 今お話を伺っていて思い出したんですけれども、私が鳥取県の知事をやっておりましたときに、徳島県と防災援助協定を結びまして、その際、徳島に伺って、立派な防災センターも見せていただきました。そこにいろいろな防災のための物資、機材を備蓄してありました。そういうものの中から、恐らく今回、現地に支援をしていただいたんだろうと思います。

 そういう物資の支援を、全国知事会が中心になっていち早く今回やっていただきましたし、続いて人的な支援、これは短期派遣が中心になりますけれども、知事会、市長会が人的な支援、職員の派遣をやっていただいております。あわせて、これからは、ある程度長期的な派遣というものが今順次行われつつありまして、これからしばらくの間、全国の特にこれは市町村の職員が被災地に派遣をされているところであります。いずれにしましても、派遣をする、それから物資を送る側にとってかなりの負担になりますので、それは今回、政府としてちゃんと手当てをしてあげなければいけないと考えております。

 既に四月の段階で、特別交付税を今回、特例交付いたしました。たまたまと言うつもりはありませんけれども、本年の三月末に交付税法の改正が行われまして、特別交付税を年度中途でも随時交付できるという特例交付の規定が盛り込まれましたので、その規定を適用して、第一回目の適用は被災地へが中心になりましたけれども、支援をしていただいた全国の自治体にも既に特別交付税を交付しております。

 今後も、よく精査をいたしまして、実情を伺って、支援をしていただいた全国の自治体に対して適切な特別交付税の措置をしてまいりたいと考えております。

山口(俊)委員 ぜひとも、そういったことで、これは今回の大災害にとどまらない話なんだろうと思うんですね。例えば東南海・南海等も予測される中で、お助けをする、それも継続してずっと援助ができるというふうなことにもなるわけですから、今後のこともいろいろ考えて、ぜひとも、しっかりと措置をしておいていただきたいと思います。

 同時に、今のお話を聞いておって、ふっと私も思い出しているというか気がついたわけですが、これは通告をちゃんとしておりませんが、御感想なりを聞かせていただきたいと思うのが一つあります。

 瓦れき処理等、いろいろなことがなかなか進まないという御批判が物すごく出ておるわけですよね。事実まだ三割、そういった状況下にある中で、国として、かつて私どももいろいろ提案はさせていただいたんですけれども、例えば一般廃棄物は市町村ですよね。だから、例えば、瓦れき処理は市や町でやりなさいよ、そのかわり後で交付税でちゃんと見てあげますというわけですね。

 ところが、実態としては、それこそ職員の皆さん方の半分ぐらいが津波で流されてお亡くなりになられたところもあるわけです。あるいはまた、各市町村は、決められた予算の中で通年の予算執行をしておるわけですね。ですから、突如ああいうふうな大災害が起こって、それに対してこういうお金が要るよ、こういうお金が要るよとなった場合に、では、現実に目の前にお金があるのかどうかですね。後で交付税で上げるから先にやっておきなさいよというのでは身動きがとれないところも相当あるんだろうと思うんです。等々、そういったことがあって相当おくれてきておるのではないかというふうな思いが私はしたものですから、大臣、御感想でいいですから、どうですか。交付税ばかりでやるというのは限界があると私は思う。

片山国務大臣 今回の瓦れき処理について言いますと、大半は国費で措置をします。ただ、一〇〇%国費ではありませんで、若干すき間があって、それをとりあえず地方債で賄って、それを後年度、交付税で措置をする、こういうことになっているわけであります。

 したがって、交付税というのはいずれにしても後年度の話になるものですから、とりあえずは国費と地方債で対応するということで資金的には賄えることになっているんですが、私も調べてみますと、交付手続というものを必ずしも自治体の方で早くやっておられない。これは事情がありまして、国費の率というものが、これは災害一般でありますけれども、全体の事業費が見込めないと最終的な率が決まってこないという面がありまして、なかなか中途段階で申請をするということが、してもいいんですけれども、はばかられたんだろうと思います。そんなことがわかったものですから、これは関係省とも相談をして、中途段階でどんどんと申請を受け付けて、それで、とりあえず概算になると思いますけれども交付をしていくということに、大分以前にしたわけであります。

 一般廃棄物は市町村の所管、こういうことになっているんですけれども、ちょっと今回の瓦れきは一般の廃棄物と違いますので、そういう面での戸惑いも多少ありました。そういうこともあって、宮城、岩手、いずれも県の方がある程度主体的に取り組むということもあったりして、その間の調整もあったりして手間取った面はあるだろうと思います。

 もちろん基本は、あれだけの大量の瓦れきを集積する場所一つなかなか探せない、それから二次処理も、やはり相当の量でありますから時間もかかる、そういう制約もあったんだろうと思いますけれども、財政的といいますか資金面でいいますと、そういう面があったということは確かであります。

山口(俊)委員 そこら辺、総務省は総務省としてのそういった思いもおありになると思うので、やはり、今要るというお金があるわけですよね。当然そういった事業というのは前渡金等々があるわけなので、そこら辺がちゃんと動くように、総務省としてしっかり対応してあげていただきたい。ようやくそれらしき法案も出てきたようですけれども、遅いと思うんです。ちゃんと対応していただければとお願いをしておきたいと思います。

 それと、若干話題はかわりますが、消防団員とか職員の賞じゅつ金等、これは賞じゅつ金にとどまらず、御案内のとおり、いわゆる職団員に対する賞じゅつ金と団員に対する公務災害補償というのがあるわけですね。

 これに対して、一次補正でおおむね三十億強ですか、当時わかっておった、お亡くなりになった消防団員等が百十一名ということで出されたんだろうと思うんですが、これはその後、二百七十六名死亡と確認されたというふうなことで、当然、それなりの予算が必要になってくるわけであります。

 実は私ども、一次補正のときも、とりわけ公務災害補償等に絡んで、たしか百億ですよ、百億予算を組んだらどうだというふうな御提案をしたわけでありますが、いやいや大丈夫だということでこういう形になったわけですけれども、これについて御見解をまずお伺いしたいと思います。

鈴木(克)副大臣 私の方から御答弁をさせていただきます。

 今委員おっしゃいましたように、まさに一身を顧みず災害の犠牲になられた方々に対して、賞じゅつ金を支給させていただくということであります。

 お話にありましたように、第一次補正では三十三億円ということで組ませていただきました。当時、四月七日時点で、今お話にありましたように百十一名の方がということでありました。当然それ以外にも、今後、新たにそういう方々が出てくるということは考えられたわけでありますけれども、とりあえずその時点で確認できたということで、そのようにさせていただきました。しかし、現段階では不足が考えられますので、これは今後の補正予算の中できちっと対処をさせていただきたい。これは賞じゅつ金に対してであります。

 また、公務災害補償、いわゆる消防団基金の件でございますけれども、これも今、亡くなった方々の御遺族への補償金の支払いや、対象の可能性のある消防団員の方々の調査を行っておるところでございまして、財源措置につきましても、消防団基金とも協議をしながら必要な対策を講じてまいりたい、このように考えております。

 以上であります。

山口(俊)委員 副大臣今お話しのとおり、それこそ命をなげうって頑張ったわけですよ。私もお邪魔をして聞いたんですけれども、津波だ、津波が来た、みんな逃げろと呼びかけに行ったところをだっとやられたとか、あるいは樋門の方を見に行って波にのみ込まれた等々、もうそれこそ、職務を果たそう、みんなのために何とかという思いの中でお亡くなりになられたわけですよね。その皆さん方に対して、予算が足らないなんというばかなことがあってはならぬと私は思うんですよ。

 実は今回、私ども、この賞じゅつ金の関係は恐らく同じだと思うんですが、五十億円、そして公務災害補償で二百三十五億円、党として二次補正に入れてくださいという要望を今まとめさせていただいております。これはとりわけ、恐らく賞じゅつ金の方はそれなりの金額がすぐに積み上がるんでしょうが、スピード感が要るんですよ。もう既に百十一名の方はお支払いになっておられるわけです。それで、どんどんわかってきた、これはまだなんですね。とりわけ公務災害補償については、従来では基金に関しては交付税措置をしておりましたね、市町村分。これでは遅いです。ぜひとも、それ以外の方法で結構ですから、いち早く手当てをしていただきたい。

 また、消防協会の方の共済事業というのもあります。これは当然、協会が共済事業として独自にやっておる話なので、あえて国がというふうな話もあろうかと思いますが、これも哀れな状況なんですね、御案内のとおりですよ。泣く泣く減額ですよ。それに対しても、何らかの措置をぜひとも検討していただきたい。

 一言お願いします。

鈴木(克)副大臣 まさに委員がおっしゃるところ、私も同感でございます。できる限りの対策、対処をさせていただくことをお約束させていただきたいと思います。

山口(俊)委員 ありがとうございました。ちゃんとウオッチングしておりますので、ぜひともしっかりとやっていただきたいと思います。

 実はまだ、地方公務員制度とか、あるいは今回の国家公務員の給与削減に絡んで地方公務員はというふうな質問も予定をしておったんですが、あと五分でありますので、確認だけさせていただきたいと思います。

 今回、国家公務員の給与引き下げということになったわけでありますが、これは私も質問主意書を出させていただきました。答弁もちゃんと読ませていただきまして、確かに、地方公務員の給与に関しては強制するようなことはしないというふうな答弁書になっておりましたが、抽象的というか、私にすると、財務省がどうとでもできそうだなというふうな感じがするわけですよ。例えば、よくやる手と言ったらおかしいんですけれども、別に強制はしませんと言いながら、行革努力等ということで、人件費並びの交付税が減額をされるなんということもあり得るわけですよ。

 そこら辺、これまでせっかく麻生内閣以降二年続けて交付税というのは増加傾向にあるわけで、今、委員長席に座っておられるかつての大臣も大変頑張っていただいたわけであります。しかし、そういった傾向の中で、これは残念ながら交付税というのは色がついておりません。しょっちゅう知事さんや市町村長さんから言われるんです、ふやしたと言われるけれども、どこがふえておるか全くわからぬ、この部分は面倒を見ましたよというけれども全くわからぬ、こういうわけですね。

 ですから、ある意味で、人件費見合いが削られるのではないかという心配を物すごくしています。大臣、それはないとはっきりおっしゃってください。

片山国務大臣 今次の問題で、せっかくの機会でありますから、少し考え方を申し上げたいと思います。

 ポイントは二つありまして、従来は、国家公務員が給与を下げた場合には、給与を下げるという閣議決定をしたときにあわせて地方公務員についても言及をしまして、地方公務員も同様の措置をとるように要請する、指導する、そういうことを書き込んでおりましたけれども、これは、私が閣内に入りまして、昨年の十一月一日に当時の人事院勧告を処理したときにそういう文言は省きました。それは、原理原則にのっとって、地方公務員はそれぞれ地方公務員法に基づいて給与決定原則がありますから、国が決めたから同様にしろということは理にかないませんのでやめました。これは今次も同じであります。それが一つです。

 問題は、今議員がおっしゃったように、そうはいっても今度は交付税の方で切り下げるのではないか、そういう懸念がありますけれども、これは、例えば給与費というものを地方財政計画で見込む場合に、そういうことはしませんということを政府内で確認しておりますので、そういう御懸念はないようにしたい。これからいろいろな雑音が出てまいりますから、現段階で、一切そういう声が出てこないということまで私が保証することはできませんけれども、そういう声が仮に出てきたとしても、そういうことが具現化されないようにしたいと考えております。

山口(俊)委員 それこそ大臣、職を賭して頑張るだけの値打ちのある話でありますから、しっかり頑張っていただきたい。

 既に御案内のとおり、各自治体はそれぞれ頑張っておるわけですよ。人事院勧告に上乗せをして職員の給与カット等も既にいろいろなところがやっておる。あるいは議会も、定数削減から始まって、国会はなかなかですけれども、それこそ血を流すような努力をずっとしております。ただ、やはりこういう時期ですから自主的にやっていただくということは当然あるわけで、大臣のことですから、そこら辺は十分わきまえていただいておると思いますので、しっかり頑張っていただきたい。

 地方公務員制度につきましてもちょっとやりたかったんですが、終了しましたという紙が来てしまいました。ぜひとも、また機会があればいろいろと御議論させていただきたいと思います。

 いろいろとありがとうございました。終わります。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 きょうは、大要二つ質問させていただきたいと思っています。一つ目は、先ほど来の質疑にもありましたけれども、東日本大震災の避難者の方々の情報の把握、それから災害に強いシステムづくり。もう一点は、被災地の三県は別ですけれども、地デジ完全移行ということで、いよいよあと二週間を切ったこの時点での難視聴対策とか、そういった点について伺わせていただきたいと思います。

 最初は、避難者の方々の現状と全国避難者情報システムということで質問させていただきたいと思います。

 先ほどもありました、総務省の六月二十四日現在の調べで、全国避難者情報システムによって、岩手、宮城、福島の避難元三県へ八万二千四百三十一人の情報提供があったと。

 この全国避難者情報システムにつきましては、もう御案内のとおりですけれども、東日本大震災や福島の原発周辺の避難指示等で住所地以外に避難している方々の所在地を把握して、避難元自治体から避難者に対して各種通知、情報提供を行うことができる、こういうシステムでございます。

 ここで、この六月二十四日で八万二千人を超える方々の居場所を把握したということなんですけれども、残りどのくらいの方々の状況が把握できているのかということなんです。

 報道によりますと、宮城県内の各自治体で正確な住民人口がつかめていない事態が続いている、こういうこともありました。この全国避難者情報システムを活用した把握を進めているけれども、ここで一つ問題になってくるのが、延期をしている地方選挙を行う際の選挙人名簿の作成にも影響が出てくるだろう、こう思うわけです。

 そこで、質問なんですけれども、正確な人数がわからなくても、残りはかなりいらっしゃるんだということなのか、あるいは、ある程度はもうほとんど把握できていますよということなのか。あわせて、この避難されている方々の把握の状況ということをお伺いしたい。特に、今、地方選挙の話もありましたけれども、この延期をしている地方選挙にどのような影響が出ているのか、この点についてお示しいただきたいと思います。

片山国務大臣 四月に全国避難者情報システムを全国の自治体の協力を得まして作動させまして、今日まで多くの皆さんの情報提供をいただいておりまして、七月六日現在で八万七千五百十五件であります。

 私の印象で大変申しわけないんですけれども、大半はこれで把握できていると思いますが、必ずしも正確な数字はまだわかりません。

 といいますのは、この避難者情報システムを通じて届け出られた情報が、場合によってはダブルカウント、ダブりもあり得るわけであります。例えば、避難先が変わった場合に、それぞれまた届け出をされた場合にはダブルもあり得るわけです。それから、避難元の方でまだ完全に照合されていない面があります。三月十一日現在の住民基本台帳とすべて照合しなきゃいけないんですけれども、それが、例えば行方不明者の方がまだおられるとか、いろいろな条件があって、必ずしも完全に照合できていない。それから、残念ながら、まだ届け出ていただいていない方もおられます。といいますのは、七月六日現在でもまだ届け出数がふえているわけでありますから、まだ未届けの方がおられる。

 今こんな状況でありますが、この間ずっとウオッチをしてきたものからいいますと、大半は把握ができてきている、若干まだ残っている、そんな状況だろうと思います。もちろんこれは、自治体によって多少の差があることは確かであります。

 選挙との関係でいいますと、できる限りすべての有権者の方々が把握をされて、それが選挙人名簿に登録されるということが一番望ましいわけでありますけれども、恐らく、今のような状況でありますから、一〇〇%ということは残念ながら望めないのではないか。

 では、どの程度ならいいのかというのは大変難しい問題でありますけれども、できる限りこれからも把握する努力をすることによって、できるだけ全貌といいますか、全員の方が漏れなく登録されるような、そういう努力を自治体にもしていただきたいし、我々も、全国避難者情報システムがさらに、残った方々にも届け出ていただくような広報などに努めたいと今考えているところであります。

稲津委員 このシステムが導入されたということは非常に画期的なことで、避難を余儀なくされている方々への、状況の把握ができると同時に、さまざまなサービス、情報もお伝えできるということになると私は思うんですが、ただ、先ほどもありましたけれども、このシステムというのが、あくまでも県外に避難している方々の避難先の自治体を通して把握するということが大前提になっている。

 そこで、避難された方々へさまざまな情報をお伝えする、あるいはサービスを提供していく、そういうところが大事なんだということで先ほど来の議論があって、これも御案内のとおりですけれども、六月五日に報道された、大臣の福島県内十二市町村長との会談、意見交換の中で、被災地の方々が住んでいた自治体と同様の行政サービスが受けられるようにぜひ特例法の設置を図っていきたいということで、先ほどの質疑の中でも、この法の整備に向けて、閣議決定も含めて、今段取りを進めているんだというお話でした。

 重複した質問になって本当に恐縮なんですけれども、そこのところの行程というか状況を再度お伺いさせていただきますとともに、特に大臣としては、この特例法設置に当たって、ここを重点的にウエートをかけてやるべきなんだ、そういう大臣の御見解、お考えをお示しいただければと思います。

片山国務大臣 基本は、原発被災地の住民の方々で避難を余儀なくされている方々がこれから、場合によってはどれぐらいの期間になるかわかりませんけれども、その間、本当に肩身狭くなく、気兼ねをすることなく避難先で住民生活に必要な行政サービスをちゃんと受けられる、これを確保することが基本であります。

 もう一つは、場合によって住民票を移さざるを得ない方が出てきておられますけれども、その方々も、もといた住所地の自治体との間の一体感、きずなを保つこと、そして来るべき日に帰る、そのための準備を一緒になってやっていくということ、その機会が担保されること、これが基本であります。これを法制的に明らかにしていきたいということであります。

 ただ、この考え方を、もちろん受け入れていただいているんですけれども、実際に該当の市町村長さんなどと詰めて話をしていきますと、いろいろな問題が出てまいります。

 その一つが、先ほど申しましたように、自治体によっては小中学校を自分で経営する。しかしそれも、避難先はたくさん自治体があります。

 例えば、大熊町などは、多くの方は会津若松市に避難されているので、会津若松市で小中学校を開くわけでありますけれども、喜多方に行っている方もおられまして、では喜多方でも開くかというと、そうはいきませんので、喜多方の場合には喜多方市にお願いをするということになりまして、いろいろなバリエーションがあるわけであります。そういうものにもきちっと対応しなきゃいけない。

 それから、昨日も実は話があったんですけれども、避難元で行っていた単独の行政サービスの水準と、受け入れていただいた避難先の自治体の市民の皆さんに対する通常の行政サービスとの間に差がある、それをどういうふうに調整するのか。一つの自治体が多くの自治体から受け入れている、その受け入れ先、避難元の自治体の行政サービスがいろいろ多様である、それをあわせて受け入れたときにどうすればいいのかとか、いろいろな問題が出てまいります。もちろん割り切ってもらう面もあるのでありますけれども、住民の皆さんといいますか、自治体の皆さんの意向をできるだけ尊重するとすれば、いろいろな多様なことを考えなきゃいけない。

 細かいことかもしれませんけれども、法制的にできる限りそういう意向に沿うような調整を今しているところでありまして、若干その微調整に時間がかかっておりますけれども、できるだけ早くこの法案をまとめて国会に提出して、成立させていただきたいと今念じているところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 この法案の審議についてはまたの機会にぜひさせていただきたいと思っておりますが、基本的には非常に大切なことだと思っております。

 今大臣御答弁いただきましたように、やはり一番大事なことは、被災に遭われている方々や受け入れている自治体等々の現場の声を十分反映するような体制をぜひ整えていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 さて、今回の震災でも、情報インフラが破壊されたことによりまして、災害情報など重要な情報が入手できなくなった、こういった実態がありました。非常時でも破壊された情報インフラをどういうふうに構築していくのかということが、これから一つの課題であるというふうに思っております。

 そこで、ちょっと一つの例を挙げたいと思うんですけれども、私の住んでおります北海道の話で恐縮ですが、北海道のずっと北の方に初山別村という村がありまして、ここは世帯が大体六百世帯ぐらいということでございます。大変小さな村です。この初山別村で、住民の方々に携帯電話あるいは情報端末のiPadを無償で配付して、例えば災害情報の一斉送信ですとか高齢者の安否確認ですとか、あるいはネットによるスーパーのお買い物ですとか、そういったサービスを提供できるような情報端末として活用していただくということで、生活支援システムの構築に乗り出したわけですね。北海道の補助事業を活用していまして、二カ年のモデル事業なんですけれども、初年度、一千八百五十二万円という予算を計上しております。

 小さな村で、コンパクトにまとまっているのでできるということもあると思うんですけれども、いずれにしても、全住民を対象にして生活全般を想定したシステムをつくっていくということは、全国的にも非常にまれな先進的なケースではないかと思っています。

 私は、こういう過疎地であるがゆえに情報通信技術が威力を発揮する、このようにも思っているわけでございまして、ここに活用方法が新たに見出していけるだろう、こう考えています。

 そこで、こういった取り組みに対してどのような評価をされるか、それから、総務省としても、こうした先進的な取り組みに対して今後何らかの応援をしていく必要性がないのか、この点についての意見を伺いたいと思います。

逢坂大臣政務官 私の方からお答えいたします。

 初山別の取り組みですけれども、それぞれの地域で、地域の形に合うようなやり方でいろいろな情報化を図っていくということは、非常に意欲的ないい取り組みだなというふうに思って見ております。

 こういう取り組みは、総務省としても、それぞれの地域に合う形でどんどんやっていただきたいというふうに思っていますので、先進事例などをいろいろと集めまして全国に紹介するなど、支援のあり方について今後検討してまいりたいというふうに思います。

稲津委員 ぜひお取り組みを願いたいと思います。

 住民によるICTの活用ということと同時に、今度は自治体、行政におけるICTの活用も重要である。これまでも何度かこの委員会で取り上げさせていただいてまいりましたけれども、被災者の支援システムの中にこのICTの活用もきちんと位置づけていくことが大事であるということをまず述べておきたいと思います。

 次に、自治体クラウドの点についてお伺いしていきたいと思うんですけれども、総務省でもこの実証実験を行いながら本格的な導入に向けて今歩みを運んでいる、このように認識しています。有効性についてはたくさんありますね。例えば自治体ごとの莫大な情報処理のコストを削減できるとか、さまざまあります、これを一つ一つ申し上げる気はありませんけれども。

 ただ、この自治体クラウド、総務省として、現段階での取り組み状況はどうなっているのかということ、それから、この自治体クラウドについては先行して取り組んでいる地域もあるというふうに聞いておりますが、その先行事例についてどう評価しているのか、この点についてお示しいただければと思います。

逢坂大臣政務官 実は私自身も、自治体クラウドというふうに当時は呼ばれておりませんでしたが、十数年前、北海道町村会が中心になって、いわゆる電算化の共同利用の取り組みをやったことがございました。その際に問題点が幾つかございました。

 それは、それぞれの自治体の電算化に対するフォーマットが違っているというようなこと、あるいはそれぞれの自治体の機器の導入年度が違っているためにみんな一斉に更新できないというようなこと、あるいは、事務レベルで話が調っても、それぞれの自治体に議会がありますので、議会の意思が違って、必ずしも合意したすべての分野についていわゆる電算化の共同利用ができなかったなんという経験がございます。

 そうしたことを踏まえまして、今回、例えば神奈川県町村会で先進的な取り組みをしていると聞いておりますけれども、これらの隘路を乗り越えてやられた非常によい例ではないかなというふうに感じているところであります。

 総務省では現在、クラウドを進めるための推進本部を設置しておりまして、ここで、例えばデータの標準化をするような取り組みでありますとか、それからデータ移行するときに案外問題になりますのが外字、いわゆる標準にないような文字についてどう扱うかなんというのが非常に問題になりますので、こういったところについて支援できるようなことをやっているところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 さまざまな課題があると思います。ただ、やはり小規模自治体とか中規模自治体にとっては、この自治体クラウド化というのは非常にメリットが大きいと私は思っていまして、総務省としてぜひここは力を入れていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 時間がもう参りましたので、最後に一点だけお伺いをしたいと思います。

 いよいよ完全地デジ移行があと二週間を切ったということで、私の住んでいる北海道におきましても、この地デジ化の対応機器を購入なされていない方もまだ五%ぐらいいらっしゃるという状況でございます。

 一つまずお聞きしたいのは、いよいよあと一月だ、三週間だという時点で、例えば地デジ対応のテレビを買ってみた、そしてつけてみたら、初めてそこで我が地域が地デジの難視聴地域であるということに気づいたということも実際にございました。いよいよあと二週間という状況の中で、この啓蒙活動それから相談体制をどのようになさっておられるのか、この点についてお伺いしたいのと、もう一点だけ、済みません、あわせて聞かせていただきます。

 これも北海道の話で恐縮ですけれども、北海道の夕張市も、標高大体七百五十メーターぐらいの地域でして、全世帯が山間部です。その中で三十世帯余りが新たな難視聴地域であることがわかりました。ここは衛星放送のアンテナ、チューナーでの対応ということでカバーしていただくのですけれども、ただ、大事なことは、あの有名な夕張メロンの農家の方々がたくさんいらっしゃって、そこの農家の方々が、例えば天気情報というのが、地元のローカル番組が見られないということで、非常に苦慮しているという話もございました。

 こうしたことも含めて、今後のこの難視聴地域への対応ということも含めて、済みません、ちょっとまとめて、三つぐらいの質問になりましたけれども、お答えいただければと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたように、あと十二日程度の期限になってまいりまして、今、本当に最後の努力をしているところでございますけれども、委員が御指摘になりましたように、つけてみたけれども映らないことが初めてわかったというようなケースもございます。

 そういう事態もありますものですから、我々としては、いろいろな問題が起こったときにすぐに電話相談を受けられるようなコールセンターというものを七月二十四日前後のピーク時には最大千二百席ほど設けるというようなことで、相談体制を整えるということをやっております。

 さらに、相談体制ということでいけば、対面相談とか巡回相談等ができるような地デジ臨時相談コーナーというのを全国で約千六百カ所設けるというようなこともしております。

 そういう努力を通じて、七月二十四日に向けて、できる限り混乱が生じないように取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

 難視地域の問題でありますけれども、先ほど、夕張の天気情報のお話がございました。これらについては、確かにローカルのテレビが難視地域では見られないということはありますけれども、BSテレビが見られるような形でセーフティーネット対策の中でもなっておりまして、そこはそれぞれ地域ごとの天気情報がちゃんと見られるような仕組みにもなっているので、ぜひそれを活用していただきたいというふうに思います。

 さはさりながら、この衛星対策というのはあくまでも暫定的な措置であるというふうに我々としては認識しておりまして、七月二十四日以降にできる限り早く恒久的な対策としての、例えば中継局の整備であるとか共同受信施設の整備であるとか、そういうことをやっていきたいというふうに思っているところでございます。

 現在、対策計画が決まっていない地域については、今年度内に計画が策定できるように、地元自治体とか住民の皆さんとも相談の上取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

 ぜひ委員の皆様方の御協力もお願い申し上げたいというふうに思います。

稲津委員 終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東日本大震災の発災、そして原発事故から四カ月となりました。梅雨も明けて暑い夏で、被災者の方の避難生活も大変心配されるところで、体調不良なども懸念されるところであります。

 その際、仮設住宅の場合にはエアコンの設置などが当然行われているわけですが、災害救助法上の応急仮設住宅として扱われていない被災者向けの公的住宅の場合には、エアコンが設置されていない住宅も少なくありません。

 例えば、埼玉県春日部市のUR武里団地の賃貸住宅に入居している避難者の方は三十世帯に上ります。小さな赤ちゃんからお年寄りまでいらっしゃる。エレベーターのない五階建ての集合住宅のために、階段の上りおりだけでも大変だ。入居したときにはガス台しかなかった。もちろんエアコンもない。リサイクルショップや、支援団体の協力によって生活必需品を調達せざるを得なかった。そういう中で、でも、エアコンまでは手が回らないという、エアコンのない生活が強いられているという事態が残っているわけであります。

 最初に厚生労働省にお尋ねしますが、被災者向けの公的な住宅について、これは応急仮設住宅として扱えばエアコン設置は可能と聞いておりますが、いかがですか。

清水政府参考人 応急仮設住宅とエアコンの関係でございますが、御指摘のとおりでございまして、建築します応急仮設住宅にはエアコンを標準装備することにしてございます。

 したがいまして、公的住宅を含め、人の用に供する既存の住宅につきまして、救助の実施主体でございます自治体が応急仮設住宅としてこれを借り上げて被災者の方々に提供した場合におきましては、その場合のエアコンの設置に係る費用は災害救助法の国庫負担の対象とする、そういう用意をしてございまして、私どもは、この旨都道府県に通知をしているところでございます。

塩川委員 重ねてお尋ねしますが、仮設住宅として扱えば当然、一年そして二年間という入居期間となると承知をしておりますし、また家電六点セットについても赤十字からの支給が行われる、応急仮設住宅として扱われる場合にはそういう対応になるということでよろしいですか。

清水政府参考人 御指摘のとおりでございます。

塩川委員 ですから、公的住宅であっても応急仮設住宅として扱えば、家電六点セットを含めて、しっかりとした被災者の出発点からの支援が行われていたにもかかわらず、そういう対応が実際どうだったのかということが問われてくるわけであります。公的住宅でも家電六点セットもありエアコンもあればいいわけだけれども、実際にはそうなっていないというのが率直なところだ。

 そこで、公的住宅に係る各省にお尋ねします。

 財務省には国家公務員宿舎について、国交省には被災者向けUR賃貸住宅について、厚生労働省には被災者向けの雇用促進住宅について、続けてお答えいただいて結構なんですが、入居戸数は幾つか、そのうち応急仮設住宅として扱われているものは幾つか、応急仮設住宅として現時点で扱われていない場合には今後どのように対応されるのか、この三点について、各省続けてお答えください。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の被災者の方々を受け入れるための国家公務員宿舎等の提供状況につきましては、七月十一日現在で、全国で受け入れ可能として情報提供している宿舎等の数が一万九百九十六戸、そのうち実際に提供済みのものが一千二百一戸でございます。

 また、第二点目の御質問でございますが、国家公務員宿舎を提供する場合には、国から地方公共団体に無償貸し付けを行いまして、無償貸し付けを受けた地方公共団体が被災者に無償で提供する、こういう仕組みをとっております。そういったことから、こういった国家公務員宿舎につきましては、厚生労働省とも協議させていただいておりまして、災害救助法に基づく応急仮設住宅に該当するとされておるところでございます。

 しかしながら、実際に応急仮設住宅として提供するかどうかにつきましては各自治体の判断によるところとなりますので、先ほど申し上げた提供戸数のうち正確に何戸が応急仮設住宅としての扱いとされているかということをお答えすることはなかなか難しいわけでございますが、恐らくかなりの部分がそうした扱いを受けているというふうなことではないかと考えております。

 それから、三点目の御質問でございますが、財務省といたしましては、国家公務員宿舎を応急仮設住宅とすることに関しまして、各財務局等を通じまして都道府県に周知を図らせていただいているところでございます。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 被災者向けに提供しておりますURの賃貸住宅、昨日、十一日時点で確認しましたところ、八百十戸でございます。

 そのうち応急仮設住宅として、これは公共団体に借り上げていただくという手続が必要になりますけれども、借り上げて応急仮設住宅にしているものは昨日時点で二十戸でございます。

 今後、UR賃貸住宅につきまして公共団体の応急仮設住宅として取り扱う場合には、先ほど申しましたように借り上げが必要となりますので、公共団体の意向も踏まえながら、災害救助法の枠組みの中で厚労省と連携しながらしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

黒羽政府参考人 お答え申し上げます。

 七月七日現在で、雇用促進住宅の入居決定戸数は五千五百四十戸となっております。

 雇用促進住宅につきましては、所有者であります雇用・能力開発機構が被災者個人に直接貸与する仕組みとなっておりますことから、地方公共団体が災害救助法に基づく応急仮設住宅として借り上げたものはないものと承知しております。

 被災者の方々が入居する雇用促進住宅を災害救助法に基づく応急仮設住宅として取り扱うことにつきましては、関係地方公共団体の御要望等を踏まえ、現在検討を進めているところでございます。

塩川委員 今お話しいただいたのに加えて、被災者向けの公営住宅の入居戸数というのが六千戸余りあります。ですから、全体では一万三千戸ぐらいの被災者向けの公的住宅が既に入居されているという状況であります。

 ただ、その中身を見ますと、必ずしも応急仮設住宅としてなっているわけではない。公務員宿舎で対応しているんじゃないのかというお話がありましたが、正確な数というのは把握がされていない実情がありますし、雇用促進住宅にはそもそもそういう自治体借り上げというスキームがないから、災害救助法の応急仮設住宅という対応は今時点でできない。それができる方向で今検討しているということでありますから、そういう点でも、しっかりとした対応が可能なスキームづくりというのをお願いしたい。

 公営住宅では、しんぶん赤旗が首都圏で調査を行いましたところ、東京都が公務員宿舎とともに都営住宅について応急仮設住宅として扱うことは発表しておりますけれども、その他の県については、応急仮設住宅として扱わないとしているか、検討段階にあるとのことであります。

 そういう点では、ぜひ厚労省として、御答弁がありましたように、都道府県への通知なども含めて、都道府県、自治体側への周知というのはぜひ図っていただきたい。あわせて、国の各省等関係機関は連携をして被災者の方の支援に万全を期すということが必要であります。本来公的住宅は、真っ先に被災者を受け入れるためにエアコン設置などの基本的な備品を整えるのは当然のことであって、その責任を果たすべきだということは重ねて申し上げておくものであります。

 次に、避難者数の問題について内閣府にお尋ねいたします。

 この委員会でも、以前にも阿久津大臣政務官にお尋ねしましたが、政府の避難者数の発表データについて、従来の警察庁発表をやめて、内閣府被災者生活支援チームが全国の避難者等の数を発表しております。内閣府の全国の避難者等の数では、施設別にABCDとして区分して数を押さえているわけですね。公民館・学校等の避難所、旅館・ホテル、親族・知人宅等、それに公営、仮設、民間、病院含む住宅等という四類型で集計を行っております。

 そこで、内閣府にお尋ねをいたしますが、このように内閣府が施設別の避難者数を把握することを始めた趣旨は何なのか、お答えください。

阿久津大臣政務官 今回の調査は、避難者の方々の生活環境を把握し、避難所から住宅等への移転を促進し、避難所を解消することを目的として実施しています。この目的のもと、市区町村別及び施設別四類型で、避難者等の数を把握すべく調査を実施しています。

 調査に当たっては、全国の地方公共団体、都道府県及び市区町村の協力を得て、内閣府被災者生活支援チームが中心となって、消防庁と協力しまして、連名で本調査を各都道府県に依頼して実施しています。

 状況の変化のぐあいを把握するため、今後とも、二週間に一回の頻度で本調査を実施する予定でございます。

塩川委員 被災者の方の生活環境の改善、そういう点でも、避難所の解消、この把握のために生かすということですが、この点でいいますと、従来の災害のときには、避難者数というのは、避難所にいる人の数だけだったんですよ。つまり、避難所の入所の方を避難者数ということでカウントして、避難所が解消すれば避難者も解消ということだったんです。しかし、今回の場合には長期に及ぶ避難生活が想定される、特に原発事故の場合などは長期の避難というのは避けられない事態になっているわけですから、そういう点で、今回、単に避難所の避難者の数だけではなくて、知人宅ですとか、あるいは公的住宅を含めた住宅等を新たに把握することを始めた趣旨というのはどこにあるんでしょうか。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

阿久津大臣政務官 把握を始めた趣旨ですか。これは、先ほど申し上げたように、避難者の方々の生活環境を把握した上で、避難所から住宅へ移転を促進して、避難所を解消することを目的に把握したものと考えております。

塩川委員 わかりました。住宅への移転を促進するということであります。

 ですから、今、冒頭質問をしましたような公的住宅、あるいは民間賃貸の借り上げ、また仮設住宅への入居、それで終わりではなくて、その先も当然あるわけですから、そういう点でも、被災者、避難者の方々の生活環境改善のためにその居住形態をしっかり押さえていくということであるわけで、そういう点では、従来の避難所だけの避難者のカウントからすると、私は前向きな対応だと考えております。

 ただ、この内閣府の避難者数には幾つか不十分点があります。例えば、被災三県については、仮設住宅や民間借り上げや公的住宅の正確な避難者の数が反映をされていないということ、また、茨城県や千葉県、栃木県など、被災三県以外の被災県におけるその県民の避難者数が反映をされていないという問題があるわけですが、この点についてはどうされるお考えでしょうか。

阿久津大臣政務官 この調査は、全国の地方公共団体の協力を得て実施しております。

 岩手、宮城、福島においては、おのおののさまざまな事情等も踏まえて、負担量ということも踏まえて対応されているものと承知しております。これまで調査を三回実施してきましたけれども、状況の変化のぐあいを継続して把握する観点から、今後とも同じ方法で継続したいと考えております。

 ただ、私は、塩川委員の御指摘の趣旨というのはよくわかる気がいたします。避難者の生活環境の把握ということを目的としているのであれば、できる限り避難者数までわかるにこしたことはないというか、わかる必要があるのではないかというふうに思っております。都道府県、市区町村との関係もございますので、まず政府の側で、事務量をふやすことについて、少しその辺のニュアンスを確認した上で内部検討を始めたいというふうに思っています。

 それからもう一つ、茨城、千葉、栃木については、液状化現象による被害等もございます。こちらについては、まず三県の現状を把握することから始めていきたいと考えています。

塩川委員 最後に大臣に、この避難者数の点ですけれども、きょうの委員会でも議論がありました、きずな法案も出されるということで、避難元から避難先への避難者の方に対してしっかり行政サービスを提供し、また住民票を移した方々についてもふるさととのきずなをつくっていく、こういうことを行うのであれば、まず大前提として、避難者の数を正確に把握する必要がある。避難元自治体の避難者数というのは、法案を出す以上、当然把握をされていると思うんですが、その数というのは今出せるものがあるんでしょうか。

片山国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、正確な数字はつかんでおりません。三月十一日現在の住民基本台帳をもとにして、そこから、残念ながら死亡された方、届け出があって行方不明のままの方、それから域内、域外に避難をされている方で所在がつかめた方、これを照合して初めて正確な数字がわかると思いますが、そもそも、住民基本台帳自体が、昨年来いろいろ問題になりましたけれども、必ずしも実態と合っていないという問題もあるものですから、恐らく、最後まで一〇〇%正確ということは期しがたいのではないかと私は思っております。

 これは、数というよりは、避難されている方の所在と現況を把握するということが一番肝心なことだと思いますので、それに市町村は全力を挙げていただきたいと思いますし、総務省としては、全国避難者情報システムを通じて、できる限り一〇〇%に近い避難者の方を把握するような努力を全国の市町村とともにやっていきたいと考えております。

塩川委員 避難者の現況、所在を明らかにするという、それを形で示すのが避難者の数の把握という趣旨で言っているわけですが、そういう点でも、避難者支援の土台となるしっかりとした現状把握というのを行っていただきたい、このことを求めて、質問を終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野です。

 私は三点通告をしておりますから、その通告に従って質問をいたしますが、順序をちょっと変えまして、消防団員の弔慰金について質問をいたします。先ほど山口委員も触れておられました。

 今回の震災で亡くなったり、あるいは行方不明になった消防団員が二百四十九人。これは大変な数でありまして、総務省の資料によりますと、直近十年の平均が七・六人。ですから、この二百四十九という数字が本当に大変な数字だということが言えます。

 この二百四十九人については、そのほとんどが公務中と認定をされております。ところが、日本消防協会が運営する消防団員福祉共済の準備金残高の不足で、規定の四割しか弔慰金が支払われない、こういうことになっているそうであります。私はこれは大変大きな問題だと思います。

 消防職員の息子さんが亡くなったお父さんの手記を読んだのでありますが、救急車で出動して、そして家の前で懸命に患者さんを救い出そうとするわけです。もう津波がどんどん押し寄せている。高台に上っている近所の皆さんが、早う逃げろ逃げろと叫んだというんですね。しかし、一生懸命、職務遂行の中で、逃げるタイミングを失ってさらわれて、そして死亡した、こういう一つの話であります。

 私は、この二百四十九人というとうとい犠牲者のすべてがそういうふうな状況ではなかったのかな、このように思うんですね。そういう方の弔慰金を一方的に六割もカットするというのは、これはやはり我々の常識ではあり得ない。この六割カットに至る経過はどういう経過があったのか、まずその点について考えるし、私は、この二百四十九人の消防職員の方についても当然のごとく、約束に基づいて弔慰金が支払われるべきだ、このように思うんですが、まずその点を伺います。

片山国務大臣 消防団員の皆さん方というのは非常に危険と背中合わせでありまして、職務上、一身の危険を顧みず、地域及び住民の皆さんの安全のために尽力をされるという方々であります。現に今回も、今おっしゃったようなケースも含めて、本当に勇敢な活動をしていただいた。その結果、しかし残念ながら、命を失われた方も数多く出ている。まことに気の毒なことだと思いますし、また、その勇敢な行為には心から敬意を表したいと考えているところであります。

 こういう消防団員の皆様方に対して、その労苦及び功績に報いるために、政府が所管をしております、政府が関与しております制度として、一つは消防組織法に基づきます公務災害補償というのがあります。これは、該当する方に対してはきちっと補償しなければいけないということで、これは政府の責任であります。

 これ以外に、消防庁として、消防団員の皆さんの功績、特に先ほど言いました、一身の危険を顧みることなく職務に従事をされて傷害を受けたり、または死亡された、そういうケースについては、消防庁長官の表彰と、経済面ではいわゆる賞じゅつ金というものがあります。これもきちっと決められたルールに従って、賞じゅつ金の支給をしなければいけないということで、既にこれは一部補正予算で計上しておりますし、不足分は、政府の責任として今後の補正予算で対応しなければいけない。ここまでが政府の責任であります。

 それ以外に、日本消防協会という財団法人が任意の制度として、消防団員の皆さんからの、加入された方の掛金によって運用されているのが、先ほど来お話しになっております弔慰金であります。この弔慰金は、したがって政府は管掌しておりません、所管しておりませんで、日本消防協会の任意の制度であります。

 伺いますと、これが、今回非常に予想外の犠牲が出たということで、これまでの掛金で運営しておりました会計が、従来どおりのルールによる支給ではその支給ができない、そういうことに立ち至ったということでありまして、これは本当に残念でありますし、やむなくということでありましょうけれども、五月十日の理事会と代議員会において支給額を残念ながら減額する、そういう決定をされたというふうに伺っております。

重野委員 大臣は型どおりの答弁をされた。建前はそうなのかなと思うんですね。

 この組織というか制度に入っている団員の数は、八十八万人の方がこれに入っている。年間三千円ですから、掛けますと二十六億、年間に集まる。この組織がスタートして三十年。ですから七百八十億円、単純にですよ、金は集まっておるという形です。

 先ほど言ったように、年平均大体七・六人。七・六人ということは二億五百万。二億五百万で三十年しますと約六十億。七百八十億と六十億。そして今回、準備残高が三十四億円しかありません、だから七十億円払えませんという説明を、ああ、そうですかというふうに聞くわけにはいかない。

 そうすると、全国の団員、消防職員が、確かに三千円という額が安いか高いかというのは議論がありますが、三千円まじめにそういう前提を踏まえて払って、そして七百八十億というお金が集まっている。そして、今日まで建前どおりいって、平均でいきますと、言うように六十億しか払っていない。引きますと、まだ金は大分あるじゃないか、それでなぜできないのかという素朴な質問が当然のごとくあると思うんですね。

 そういう点を総務省はどういうふうに精査、ただしているのか。その上でそういう報告を聞いたのかという点について、もっともっと中身に入った説明がないと、二百四十九人の方は、そういう意味では浮かばれません。国は責任を果たしております、協会のやっていることは知りません、こうはならないと思うんですね、これは財団法人ですから。それはやはり国のかかわりはあるわけでしょう。そこ辺をもっともっと精査した説明がなされてしかるべきだと思うんです。

 消防団員の方というのは、仕事を持って、火事があったら飛んでいくんですよね。それで、各消防団によって違うんだそうですが、年間数万円、一度出たときに三千円。そういう状況があることを前提にしてこの制度はあるんだろうというふうに私なりに思うんです。そのことを、今、日本消防協会がやろうとしていることは見事に裏切っている。六割カットですからね。私は、やはりこれは所管する総務省として、はい、そうですかと言って、さらっといかせるものじゃないと思うんですよね。

 その点について総務省としてもっと精査をして、この問題について、そういう犠牲者になった方々の皆さんの思いというものを受けとめて、私が今指摘をしている内容について、私はもっともっと詳しく具体的に精査すべき内容だと思います。これはやはり、財団法人という人格を持つ日本消防協会ですから、一片の通知でこれは減額しました、以上終わり、こんなことを我々は唯々諾々と認めてはいけない。もっともっとその内容について精査すべきだと思うんですが、総務大臣、いかがですか。

片山国務大臣 これはお気持ちはわかるんですけれども、財団法人でありまして、法人格が異なっておりまして、もともと政府の方でこういう制度に関与してきたわけではありませんので、適正に手続を、その結果についていろいろ御不満とか、いろいろな考え方があるとは思いますけれども、適正な手続をとったことに対して、政府があれこれと言うということは私はできないと思っております、もともとが許認可事項でもございませんので。

 財団法人の所管でありますから、それが財団法人の寄附行為にのっとって適切、適正な手続がとられているかどうか、こういうことについては当然、所管官庁として関心はありますけれども、中身についてああしろこうしろと言う、そういう立場ではないと思います。

 先ほど、お気持ちはわかると申しました。私もお気持ちは非常によくわかるんです。ただ、それを、例えばしりぬぐいを政府にということは、これはできないことでありますし、私は、今後の問題として協会が考えることはあると思いますし、政府として何らかの助言をしてさしあげるとかいうことはあり得るんだろうと思います。

 例えば年額が三千円とおっしゃいましたけれども、それで運用している限りはおのずから限度があります。したがって、今回のような大災害のときになかなか対応し切れないということが出てくるんだろうと思います。当然、もっと掛金を高くすることが必要なのではないかというのが、任意の保険制度としては課題として出てくると思いますけれども、しからば、消防団員の皆さんに対する日常の処遇が適切かどうかという問題も出てくるわけであります。

 私は、問題意識としては、消防団員の皆さんに対する報酬というものは年々減額されている、そういう実態にあるものですから、そういうものをもっと市町村は、この消防団員の皆さんの使命とか役割にかんがみて、もう少し処遇の改善をしてもいいのではないか、こういうことを働きかけるとか、そういう面での間接的な支援というのはあり得ると思いますけれども、今回の消防協会の理事会及び代議員会で決定したことに対して、それがいいの悪いのという、そういう立場には国としてはないと思います。

重野委員 建前はそうだと思うんですが、私が言わんとすることは、確かに、消防協会のしかるべき機関の議を経てそうなったという説明をすれば、そうですかということになるんですけれども、問題はその仕事の性格。

 今回の、これはすべてにわたって予期せざる大事件でありますから、すべてに当てはまることなんですけれども、しかし、そうであっても、今回の日本消防協会の、いや、金がないからしようがありませんというやり方について、今、総務省は所管する庁ではないと言いましたけれども、私は、総務省がこの事態について、やはり一つの見識を持って日本消防協会に対して指導する、あるいは実態を聞く。この間、この会計がどういうふうな運営がされてきたのかということについても、きちっと呼んで聞いてもらいたい。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の震災について、南三陸町の防災対策庁舎の悲劇というのがありました。

 遠藤未希さんという二十五歳の若い女性職員が、津波警報を知らせる防災無線の放送を防災対策庁舎の二階で最後の最後まで続けて、そのまま津波に流されてしまった。津波警報です、早く逃げてください、そう呼びかける彼女の声とともに、全国にこれは報道されましたので、御記憶の方も多いと思います。

 今や骨組みだけになった南三陸町の防災対策庁舎、皆さんの中にも行かれた方がいらっしゃると思いますが、その防災対策庁舎の前には、最後まで職務を全うして犠牲になった若い遠藤未希さんに花を手向ける人が、今も後を絶たないということであります。

 このように多くの役場で、津波警報を受けて、命がけで防災無線のマイクにかじりついて警報を知らせた、こういう職員がいただろうと思います。しかし、このような形で、いわば手動で防災無線の放送をしなければならなかったのはなぜなんだろうかというふうにも思います。

 国民保護法制の制定に伴って、総務省消防庁において整備されたシステムとして、全国瞬時警報システム、Jアラートというのがあります。弾道ミサイルの発射や大規模テロ、地震・津波警報等の緊急情報を、人工衛星を用いて瞬時に区市町村に伝達をするというシステムです。国からの緊急情報を送信すると同時に、区市町村の防災無線を自動で起動して、例えば、弾道ミサイルが発射されましたとかの緊急情報を住民に瞬時に伝達できる、こういうもので、平成十九年から運用が開始をされております。

 また、平成二十一年度の補正予算ではこのJアラートの高度化を行って、あらかじめ登録された音声メッセージに加えて、状況に応じて柔軟な音声放送を可能とする、こういう改良が行われています。今お配りをした資料のおおむね一枚目のようなイメージが、Jアラートを通じた防災行政無線の自動起動のイメージです。

 このJアラートですけれども、既に平成二十二年二月のチリ地震津波において、関係する九十三市町村において津波警報を放送した、こういう実績があったということであります。

 さて、そうすると、今回の大津波では、なぜ大津波警報が発令された時点でこの防災無線の自動放送が行われなかったのか。行われたというケースもあったのかと思いますけれども、しかし、先ほどの南三陸町の悲劇のようなことがなぜ起きてしまったのか。なぜ役場の職員が命をかけてまでマイクに向かわなければならなかったのか、非常に疑問に思うんですけれども、これはどうしてこういうことになってしまったんでしょうか。お尋ねを申し上げたいと思います。

片山国務大臣 かねて市町村においては、いざというときのための住民の皆さんへの危険情報の伝達などのシステムについて、それぞれ整備の努力をされているところでありますが、その一つに、いわゆるJアラートというものがあります。

 これは平成十九年二月から運用開始をしてきておりまして、その間、さっき議員の御指摘もありましたように、いわゆる高度化のためのシステムの改善を図ったりしてきておりますが、いずれにしても、十九年二月から順次整備をしてきておりまして、二十三年三月、ことしの三月の地震発生当時は、全国の市町村の中で九百四十三の市町村が整備をされていたわけであります。整備率がこの時点では五四%ということであります。したがって、当時整備が完了していたところと、完了していなかった、整備途上にあったところと分かれているわけであります。

 ちなみに、伺いますと、整備が完了していた、例えば岩手県の洋野町でありますとか宮城県の東松島市では大津波情報の自動放送がなされたということが確認されております。整備されていないところはおっしゃるような自動的な伝達がなされなかった、残念ながら、そういうところがあるということであります。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

柿澤委員 今お話がありましたとおり、整備率が、三月の震災発生時点で九百四十三区市町村、半分だということでありますが、先ほど申し上げたように、Jアラートの高度化及び全国整備というのが今進められておりまして、平成二十一年度の補正予算に関連経費として百十二億円が計上されています。そういう形で、何とかこの平成二十三年度内にJアラートの高度化及び全国整備というのが完了する、こういうことで進められているわけでありますけれども、残念ながら、肝心の東北地方の地方公共団体における整備が全国でいわば最後に残ってしまった、こういうふうにも見える状況であります。

 政府の地震調査研究推進本部の調査では、平成二十二年一月十二日時点で、宮城県沖地震というのは十年以内の発生確率が七〇%、こういうふうに評価をされていました。本来ならば真っ先に、優先的に整備されてもおかしくないような地域ではなかったかというふうに思います。結果として、大半の市町村ではJアラートのシステム整備がこの震災の発生に、また津波の発生に間に合わなかったということになってしまったわけです。

 海溝型地震の発生確率が高いこの東北地方の地方公共団体で、Jアラートのシステムの高度化、整備というのが全国の中でもおくれてしまった理由はどこにあったんでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。

片山国務大臣 これは順次整備をされていたわけですので、特に全体的に何か共通した事情があるということではないと思いますが、そうはいっても、総じて言いますと、やはり財政上の問題があるのではないかということが推察されます。

 御指摘のとおり、東北の今回被災した県は、資料によりますと、これは三月十日時点での整備状況を見ますと、岐阜県が一〇〇%、当時整備をされております。愛媛県九五%というふうに非常に高い県があるのに比べますと、例えば岩手県ですと当時四七・一%、宮城県が四五・七%、福島県が四九・二%ということで、全国的に見て極端に低いことはないんですけれども、中位より低いというような状況でありました。これが非常に残念であります。もっと該当の地域が岐阜県、愛媛県並みに整備されておられましたならば、被害の状況もある程度変わってきたのではないかと思います。ただ、決してこの東北の各県が全国で一番低いということではありません。ちなみに、鳥取県などは二六・三%で非常に低い、そういう県もありますので。

 既にこれは、自来、整備が進んでおりまして、被災県を除きますと相当程度、現時点では整備が進んでおります。そういう現状にありますけれども、願わくば、もっと早く整備をされておかれればよかったと思う次第であります。

柿澤委員 この年度内にほぼ全地方公共団体で整備を進めようと言っていた、そのやさきにこうしたことが起こって、先ほど冒頭で申し上げたような、南三陸町の防災対策庁舎の悲劇的な、しかし本当に胸を打たれるような出来事も起きてしまったわけであります。

 これから、本当に災害はいつどこでやってくるかわからない、同じ場所でやってくるかもしれない、こういうことでありますので、もともと進められることになっていたこうした防災対策については、着実に、むしろスピードアップをして進めていただきたいなと、これを見て思うわけでございます。

 時間も超過をしておりますので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、高井崇志君。

高井(崇)委員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうは質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 短い限られた時間でございますので、私からは、今回の東日本大震災復旧復興に当たって、情報通信、ICTの活用策という観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど稲津委員や柿澤委員からも御指摘があったとおり、ICTという観点は非常に重要だと思っています。がしかし、残念ながら、復興構想会議やあるいは被災各県の復興計画を見ても、このICTという観点は余り考慮されていないんじゃないかというふうに思われます。これはどうしても、やはり目の前の復旧そして復興対策を担っている自治体の皆さんからすれば、少しICTというものは間接的なところがあって、なかなか難しいのではないかと思います。

 ただ、先進的な自治体で、例えば、相馬市ではデジタル地図を活用した罹災証明書の発行を行っていたり、あるいは釜石市などでは瓦れき撤去作業の進捗管理といったものをこのICTを活用してやっていますが、こうした自治体も、よほど首長に理解があるか、もしくは情報担当者に相当一生懸命な方がいるか、そうしないと、なかなかICTの活用というのは進まないのが現実だと思っています。

 そうした中で、私は、国がリーダーシップを強力に発揮しないとICTの活用というのは進まないと思っておりまして、具体的には、これまで総務省でもさまざまなモデル事業をやってきました。こうしたモデル事業を今後さらに拡大して、また、防災とか減災といったテーマを中心としたモデル事業を全国の自治体で、特にやはり被災地の自治体で実施をしていくということが重要であると思っています。

 こうしたモデル事業をやっても、なかなか横への展開が難しいわけでありますけれども、しかし、そうした観点も、やはり国のリーダーシップが大変重要だと思っておりますが、そうした観点からお考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 おっしゃったことは全く私も同感であります。

 ちなみに、今回の復興の過程において、ICTのことが議論されていないのではないかということでありましたけれども、必ずしもそうではなくて、被災地に行きますと、ICTとまで言えるかどうかわかりませんが、例えば、先ほど来議論になっております消防団員の方の犠牲に関連して、津波が来るので、防潮堤まで行ってそれを閉じるということをやりに行った方がかなり犠牲になっているわけでありますけれども、これを例えば、高い技術を使って遠隔操作にできないのかというようなことは実は議論されているわけです。ところが、地震で電源が落ちたらやはり役に立たないのではないかとか、そういうことは実はかなり真剣に議論がされているわけであります。

 ですから、今後の復興のプロセスで、そういうプリミティブなことだけではなくて、もっとまちづくりとかエネルギーの問題とかいろいろな面で、このICTというものを活用した取り組みというものをぜひ推奨してまいりたいと思います。

 それから、いろいろな事業を使ってモデル事業などをやってきておりまして、それなりに進んでいるとは思いますけれども、私も自治体の経験からいいますと、やはり国が幾ら旗を振っても当の自治体の皆さんが、特に首長とか議会の皆さんがその気になって、それをこれからの地域経営に生かしていこう、住民の皆さんに対するサービスの質の向上に生かしていこう、そういう意思がないとなかなか進まないのが実態であります。ですから、モデル事業を支援しながらやっていくということと同時に、自治体のこの分野におけるリテラシーといいますか意欲を高める、そういうこともあわせてぜひやっていきたいと思っております。

 総務省の中で、ICT地域活性化懇談会というものを設けまして、私が主宰しておりますけれども、事実上は平岡副大臣の方にお願いをして、この間ずっと詰めた議論をしてきておりまして、そういう議論の成果も踏まえて、これから自治体に対して働きかけを積極的にやっていきたいと思います。

高井(崇)委員 ありがとうございます。

 私も、地元の岡山県の県庁で三年間、情報政策課長で働いてまいりましたけれども、おっしゃるとおり、地域自治体の意識はまだまだ低いと言わざるを得ないです。ただ、だからこそ、やはり国がそういったモデル事業のようなものをやると、そういうきっかけがあると自治体も、よし、ではやってみようかということになるので、このモデル事業というものはいろいろ問題点もあるかと思うんですけれども、しかし、よりよいものに改善をして、ぜひこれからも続けていただきたいということをお願いしたいと思います。

 そしてもう一つは、今回の地震でさまざまな行政情報が失われてしまったという問題があります。これはやはり、バックアップというものをこれからしっかりとっていかなきゃいけない。その中では、先ほど稲津委員からもお話があった自治体クラウド、これが必須ではないかと思っています。ただ、この自治体クラウドを行うにしても、そもそもデータの電子化ができていないというところもあって、全国の調査でも、下位十五県の中にこの被災三県が入ってしまっているという現実があります。

 こうしたデータを紙媒体から電子化するという作業を、この際、これは雇用にもつながると思うんです、現地の方の入力作業という雇用にもつながるという観点から、全国的に、おくれているところは一気にこのデータ化というのを、まずは自治体クラウドをやる前に進めてみてはどうかということが一つ。

 それから、もう一つあわせてお聞きしたいんですが、自治体クラウド推進に当たっては、先ほど逢坂政務官からも御答弁ありましたように、自治体ごとの様式が異なっているということが大きな問題です。私も県庁にいるときに、もう七年前なんですけれども、岡山県の全自治体を集めて様式の統一化をやりました。これはかなり先進的にやったと思うんですけれども、七年たっても余り全国的に広がっていない気がします。

 また、意外と大きな問題なのが個人保護条例。これは、個人情報保護法をそのまま引き写してしまった自治体が多くて、これが足かせになっているという例がよく聞かれます。こういったことは自治体が決めることだというお考えかもしれませんけれども、やはり自治体の仕事と突き放してしまうのではなくて、国がガイドラインをつくってあげる、あるいは、県と市町村の共同でそういった取り組みをやってみたらどうか、進んでいる自治体はこういうことをやっていますよということをもっと国がリーダーシップをとってやるべきじゃないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 自治体の情報のクラウド化というのは私も非常に有効だと思います。重要だと思います。

 今回、戸籍は法務省の方でデータベースを持っておられましたので、復元がすぐできましたけれども、例えば選挙人名簿でありますとか、住民基本台帳の原票の情報などは失われたところが多いわけであります。たまたまというと語弊があるかもしれませんけれども、情報処理を委託していたところに残っていたとか、それから、基本四情報は県の方にありますので、それで基本的な部分は復元できたとか、そういうことでありますけれども、こういうものがきちっとクラウド化されていれば、今回のようなことがあっても、恐らく余り問題なく復元できることになっただろうと思います。

 また、今回の被災地の状況なども伺いますと、例えば医療などについて、もし一人一人の患者さんの、それまでの病歴などの医療情報がクラウド化されていれば、病院が今回流されたりしましたけれども、治療でありますとかケアに随分役立ったのではないかというような指摘もあります。

 それやこれやで、自治体のクラウド化というのは私も大変重要だと思います。それに当たっては、まず行政情報の電子化が必要だということで、それはそのとおりでありまして、それに際して、様式の統一でありますとか、それから個人情報保護条例との関係を整理する必要があるというのは、おっしゃるとおりであります。複数の自治体でクラウド化して経費を節減しようという動きも今起きておりまして、結構なことだと思いますけれども、その場合には当然、様式の統一化なども必要になってきますので、これについて総務省としても努力をしたいと思います。

 個人情報保護条例は、率直に申し上げて、それぞれの自治体が必ずしも必要性を痛感しないままつくられた経緯が多いと思います。みずからつくった個人情報保護条例に必要以上に縛られてしまって、その開示をどうすればいいのかという相談を受けたりすることも多いわけでありまして、それは条例を改正されたらいいんじゃないですかというような妙な助言をすることもあるんですけれども、改めて、この個人情報保護条例、いろいろな問題が今回被災地でも起きておりますので、本当に必要なものを必要最小限、条例としてはつくられたらいいのではないか、そういう注意喚起もこれからしていきたいと思います。

高井(崇)委員 それでは、もう一つ別の観点から、今回、電力の需給の逼迫ということがあるわけですが、この観点から、私はスマートグリッドが大変重要だと思っています。

 総務省が北九州で行った実験では二割の省エネ効果があったと聞いています。エネルギーの三割が原発でありますけれども、しかし、二割省エネができるのであれば、これは非常に大きな効果があるわけであります。

 そしてまた、このスマートグリッドの技術というのは日本がかなり世界でも進んでいる技術でありますが、しかし、世界的には今、アメリカ、ヨーロッパ、韓国が国を挙げて、アメリカなどは四千億予算を計上しているとか、韓国では済州島をことしじゅうにスマートグリッド化するとか、ヨーロッパでは二〇二〇年までに八〇%スマートメーターを導入するという目標を立てています。こういった国際戦略上も非常に重要だと思います。

 もちろん主管は経済産業省、エネ庁なんでしょうけれども、しかし、ICTを所管する総務省として、エネ庁も今忙しいですから、ここはぜひ総務省が旗を振ってやるべきことが多いんじゃないかと思いますけれども、今後、総務省としてどういった取り組みを考えておられるか。

 あわせて、横浜や北九州ではかなり大規模な実験をやりました。これを被災地で今回やってはどうか。手が挙がるかどうかということはあるかもしれませんけれども、実は、仙台市なんかではやりたいというような要望があるやに聞いていますので、ぜひ、そういう未来志向の、このスマートグリッドについて総務省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 総務省も、これまで、委員が御指摘のスマートグリッドの有用性というものについてはしっかりと認識してきておるわけでありまして、いろいろなモデル事業もやっております。

 先ほど委員が発言されました北九州市の地域実証もその一つですけれども、平成二十二年度には、この北九州市の件も含めて全国六カ所で実施をしておりまして、それぞれ一〇%から二〇%ぐらいの省エネ効果があったというような結果が出ております。この結果については、多くの地域へ展開、促進していくということが必要であることから、ホームページ等の広報とかあるいはリーフレット等によって普及促進を図っているということでございます。

 今後の話について言えば、実は、平成二十三年度の予算でグリーンICT推進事業、四億一千万円ぐらいあるわけでありますけれども、この中で、ICTのCO2排出削減効果の計測手法の開発といったようなことについても実行していくということにしております。

 委員が、被災地についても何かというお話がございましたけれども、まだ具体的に何ができるか確定はしておりませんけれども、第三次補正予算の中で何かできることがないのかということで、今、一生懸命検討を続けさせていただいているところでございます。何かできるようでございましたら、ぜひまた御協力をお願い申し上げたいというふうに思います。

高井(崇)委員 ありがとうございました。

 今お話があった第三次補正予算に、このICTを活用するという観点、一次、二次はなかなか盛り込む余地が少なかったと思うんですけれども、三次補正予算では、ぜひ全面的にその展開をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十二分散会


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