衆議院

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第25号 平成23年8月2日(火曜日)

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平成二十三年八月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 石津 政雄君 理事 稲見 哲男君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      井戸まさえ君    石井  章君

      小川 淳也君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      笠原多見子君    金子 健一君

      木村たけつか君    黄川田 徹君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      高井 崇志君    中後  淳君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      森本 哲生君    湯原 俊二君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      長島 忠美君    福井  照君

      松野 博一君    森山  裕君

      吉野 正芳君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   内閣府副大臣       山口  壯君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           金谷 裕弘君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  内山  晃君     金子 健一君

  大谷  啓君     木村たけつか君

  鈴木 克昌君     森本 哲生君

  藤田 憲彦君     井戸まさえ君

  赤澤 亮正君     吉野 正芳君

  加藤 紘一君     あべ 俊子君

  佐藤  勉君     松野 博一君

  谷  公一君     長島 忠美君

  中谷  元君     福井  照君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     藤田 憲彦君

  金子 健一君     内山  晃君

  木村たけつか君    大谷  啓君

  森本 哲生君     鈴木 克昌君

  あべ 俊子君     加藤 紘一君

  長島 忠美君     谷  公一君

  福井  照君     中谷  元君

  松野 博一君     佐藤  勉君

  吉野 正芳君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

八月二日

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案(内閣提出第八八号)

 東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための地方税法及び東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案及び東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための地方税法及び東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、厚生労働省大臣官房審議官金谷裕弘君及び社会・援護局長清水美智夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 おはようございます。自由民主党の坂本哲志でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 民主党の安住国会対策委員長が、三十日のテレビ番組で東日本大震災で被災した自治体の首長を批判したと新聞報道にありました。内容は、自治体の首長は、国からお金をもらって、自分は言いたいことを言い、できなかったら国のせいにすればいい、増税も無駄の削減も国会議員がやれと立派なことは言うけれども、泥はかぶらないという仕組みを何とかしなくてはいけないというものでありました。

 さきに松本龍復興担当大臣が、同じように自治体に対しまして上から目線の言葉遣いをして被災自治体の反発を買い、またやる気をそぐような言動があり、結果的には辞任をされました。

 今、地方と国が協力して復旧復興に当たらなければいけないときに、閣僚あるいは党の幹部が何と無神経な発言をするのだろうということに、私たちもやはり怒りを抑えることができません。

 自民党も、これまで数々の舌禍事件を閣僚が引き起こしてまいりました。しかしそれは、みずからの思想に基づいたもので、その発言が外交や防衛、また国民の一部の感情と相入れないというたぐいのものが多かったわけであります。今回のように、二回続けて起きましたように、自治体をさげすんだような発言は、かつて自民党の閣僚からはなかったというふうに記憶いたします。

 それは、自民党はあくまでも地方を大切にする政党であります。きょう、筆頭理事の石田先生もいらっしゃいますけれども、議員自身が首長や地方議員を経験した人たちが多くて、地方の実情を十分にわかっているからであります。その観点に立ち、国と地方の役割分担をいかにするか、いかに効率的な行政としていくか、そういった政治ができるかということを私たちは模索してきているわけであります。

 ところが、民主党政権は、口では地域主権が一丁目一番地と言いながら、このように閣僚や閣僚クラスが相次いで自治体を見下したような言い方をするのは、結局、地方のこと、首長や議員の立場がわかっていないからではないか。地域主権などという、私から言わせれば歯が浮くようなことを地方に対して言いながら、一方で、国会議員の意識と権限だけを振り回し、政治全体が理解できていない、そういうものが民主党政権の体質にあるというふうに私は思います。

 片山大臣、もしあなたが鳥取県知事として、今回の松本、安住両発言のようなことに遭遇したら、どう受けとめますか。どう受け答えしますか。また、地方自治を牽引する総務大臣として、今回の閣僚級の発言をどのように思われますか。御感想あるいは御意見をお聞かせください。

片山国務大臣 安住国対委員長の発言を私も直接伺っておりませんので、特にコメントをこれについて申し上げることは差し控えたいとは思うんですが、せっかくの御質問でありますから、多少思うところを述べさせていただきますと、私も知事をやっておりまして、ちょうどそのころ、二〇〇〇年の十月ですけれども、マグニチュード七・三という大きな地震に見舞われまして、当時、本当に無我夢中で、全力で復旧と復興に当たりました。そのころ、国からといいますか、閣僚から批判されるようなことはありませんでしたので、もしそのときに、何もやっていないじゃないかとか何か批判をされたら多分むかっときたと思いますけれども、そういうことは幸いありませんでした。

 このたびの東日本大震災に関連して、松本前復興担当大臣の発言、それから今取り上げられました安住国対委員長の発言が伝えられておりますけれども、私も、表現の問題はやはりもっと気をつけていただきたいと思います。ただ、お二人とも、やはり何がしかのもどかしさといいますか、そういうものを恐らく感じておられるんだろうということを拝察いたします。

 今回の地震で、この国会でもそうでありますけれども、いろいろなことで政府が批判されてきております。対応が遅い、何もやっていないじゃないかということで批判されておりますけれども、その中でよく取り上げられるもので、瓦れきの問題、最近は少なくなりましたけれども避難所の生活環境の問題、仮設住宅の建設の問題、最近では仮設住宅に入っておられる方々へのいろいろな意味でのケアの問題、それから義援金の配分が遅いという問題、こういうことが四大話のようによく議論になっておりますけれども、実はこれは、私などのようにずっと地方行政に携わってきた者から見ますと、すべて自治体の責務であります。もちろん、あれだけの大量の瓦れきをすべて原則どおり市町村で処理すべしということは無理であります。

 そこで、瓦れきの場合ですと、一義的には市町村の責務でありますけれども、広域自治体である県がそれをカバーする。今回の場合は県が相当力を発揮するということが想定されます。それでもできないときに国がそれを応援する。もちろん、財政面では国が全面的に支援をしますけれども、技術面でありますとか実動の面でも、本来は市町村、その次は県、だけれども、それで賄えない場合は国が対応する。これを補完性の原理というわけでありまして、今、坂本議員が役割分担が重要だと言われたのはまさにそのことであります。

 避難所も、被災された住民の皆さんと直接向き合うわけですから、これこそ市町村の本来の仕事であります。国が一つ一つの避難所で一人一人の避難者の皆さんに向き合うことはできません。国ができるのは財政面での支援、災害救助法による支援を行っております。それからあと、国は、いろいろな箇所での災害に対応してきた経験がありますので、避難所でこんなことに気をつけてください、こんなことにも配慮してくださいということを注意喚起する、場合によっては人員も派遣する、こういう役割でありますが、第一義的には市町村でありまして、それを地域的に補完するのは県の役割であります。

 そういうことなんですけれども、この間の議論は、国が悪いというような議論にほとんど終始しておりまして、国は何もやっていないじゃないかというような議論がありまして、私も実は、いささかバランスを欠いているなという感じは持っております。そういうものが、直接的といいますか、そういうもどかしさが、表現がつたなくと言うと大変お二人には失礼でありますけれども、口をついて出たのではないかと思っております。

 私も実は、被災者生活支援チームの一員として、また最近では被災地支援連絡会議のメンバーとして、週二回、内閣府の方で関連の担当大臣とか職員の皆さんといろいろなことを協議したり処理したりしているんですけれども、そういう中で、私の知事の経験としても、明らかにこれは県の仕事だということがなかなかなされていなくて、それが国の方にダイレクトに批判で来るということはしょっちゅうあります。

 そういう場合に、私の場合はどうしているかというと、直接知事に話をして、こういう問題があるから、ぜひこれは知事さんの方で県の担当部局の方におろして処理してくださいということをお願いして、わかりましたということで処理をしていただいたりしたこともあります。

 それから、例えば最近のケースでいいますと、仮設住宅のいろいろな問題が今出ておりまして、なかなか自治体の方で、現地で気がつかない問題もあります。むしろ国の方から、例えば仮設住宅で孤立化を防ぐためにいろいろ、見回りでありますとか、それなりのケアをしてくださいよとか、それからメンタルケアについても努めてくださいよとか、にわかづくりでつくっていますから、雨漏りだとか建具のふぐあいだとかいろいろありますから、そういうものもこれからちゃんとメンテナンスするようにしてくださいねと。

 これは全部実は本当は地元でやらなきゃいけないことなんですけれども、国の方からいわば注意喚起的に要請をしたりします。その際に、なかなか県の方で担当者が決まっていないというようなケースもありますので、こちらからしつこく、県の方の担当者をちゃんと決めてください、市町村の仕事かもしれないけれども、国もこれだけ一生懸命やっているんだから、県の方も担当部局を決めてくださいということを要請したりしております。

 ですから、私にも実はもどかしさはあるのであります。表現の仕方がお二人とは違って、個別具体的にやっているということなんですけれども、実は通底するものはあるように私も感じております。

 それはそれとしながら、しかし、この際、現場の市町村に本当に全力を挙げて頑張っていただかなきゃいけないし、それを補完して県としても全力を挙げていただかなきゃいけない。国も全面的に支援をいたしますから、三者がそれぞれ役割分担をしながら、よく連携をとりながらやっていかなきゃいけない。そういうときには、やはりそれぞれができるだけ気を悪くしないように、お互いが前を向いて協力できるような、そういう環境なりを醸し出さなきゃいけないと努めているところでございます。

坂本委員 与党であるならば、もどかしさというのはだれでもあると思います。やはりこれだけ複雑な社会でありますので、そのもどかしさをいかに解きほぐしていくかというのが与党の力であるというふうに思います。そのためには何をすればいいか。やはり適切に政策のプロたる官僚を使う、あるいはみずからが立法や政策に対して技術力を持つ、そして地方に対する、あるいはほかの住民に対するさまざまな発信の仕方を十分考えながらやっていく、これが与党やあるいは閣僚の役割であると思いますけれども、自分が言いたいことだけを言うということであればそれはだだっ子と一緒でありますので、私は、幹部として、あるいは責任者として失格の烙印を押さざるを得ないというふうに思います。

 二度にわたる閣僚級の発言は、これからの地方のあり方あるいは地方と国のあり方、こういったものを審議する我々総務委員会にとってもやはり聞き捨てならないことであるというふうに思います。特に、この被災状況の中で、地方の声をいかに聞いて、そしていかにここで十分審議をして、そして政府に要望することをきちんと決めていく、これが我々の委員会であります。

 ですから、我々の委員会としても、この二人の言動を契機に、やはり政府に対して、あるいは地方に対して何らかのメッセージを発信しなければいけないというふうに思います。この委員会で決議をするなり、あるいは委員長としてのさまざまな談話を出すなり、そういったことを委員会としてすべきであると私は思います。委員長、ぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

原口委員長 地方は、国の出先機関でも下部組織でもありません。まさに被災地に寄り添うという視点で、これは一般論ですけれども、きっちりとした委員会としての姿勢を示さなければいけないと考えますので、後日、理事会で、委員会あるいは委員長としての発言についてはお諮りをしていきたい、このように考えております。

坂本委員 こういうときこそ、いつもの委員長らしい思い切った行動をよろしくお願いいたしたいと思います。

 今回の、原発事故によります避難住民に係る事務処理の特例と住所移転者の措置に関する法案、いわゆる住民票を移していても移していなくても同じように避難先の自治体あるいは避難元の自治体が住民サービスをする責務を持つんだという法律案は、片山大臣の強力なリーダーシップのもとに進められてきたというふうに聞いております。そのことについては敬意を表します。地方の自治体の長を経験された方だからこそ、その辺の地域住民の気持ちがわかる、それが生かされた法案であると私は思います。

 しかし、経緯をたどってみますと、大臣が福島県の飯舘村を訪問され、そして行政サービスの提供と地域コミュニティーの維持の必要性を痛感されたのが五月九日であります。そして、その一カ月後、六月四日に福島市内で避難元の市町村長さんたちとの意見交換会を行って、今回の法案のたたき台を提示されたというふうに聞いております。さらに一カ月後の七月四日に避難先自治体や福島県との意見交換を経て、今回の法案の骨格が決まったというふうにされております。その審議が、また一カ月後のきょう、八月二日行われるわけであります。大臣の飯舘村訪問から三カ月を経過しております。

 住民の不安感、こういったものを考えるならば、そしてこの非常時ということを考えるならば、やはり飯舘村に行って住民の不安感や不便さを大臣が感じたのであれば、私は、もっと早くこの法案が提出できたのではないか、あるいはもっと早くいろいろな形で成立へ向けた努力をすべきではなかったかというふうに思います。

 三カ月もかかったことはまさに、今の政権は震災に対して打つ手が一カ月、二カ月常におくれている、そのことによって、私たち自民党が議員提案として瓦れきや二重ローンや仮払い法を提出せざるを得ないというような状況になっていると思います。

 この三カ月間、どういう審議、どういう作業が行われていたのか、そしてやはり三カ月間必要であったのか、大臣にお伺いします。

片山国務大臣 今議員がおっしゃったように、私は、五月九日だったと思いますけれども、宮城県の南部を始まりにしまして、福島県の新地町でありますとか相馬、南相馬、それから飯舘村を訪問いたしました。ぜひ飯舘村には伺いたいと思っておりましたのは、それとなく菅野村長の苦悩というものを間接的に伺っていたものですから、じっくり村長からお話を聞きたいと思って伺ったわけであります。

 その中で、全村避難ということで、村民のこれからの避難先での住民として受けるべきサービスを確保するにはどうすればいいのかということ、それには住民票を移してしまうというのがもちろん簡便な解決方法ですけれども、それだと、みんなで一緒にいずれ帰ろうね、そういう思いを共有することができないので、何とかこれを両立させることはできないか、そう伺って、それならば、二重市民権とまではいかなくても、一・五重市民権ぐらいのことができないかということを二人で相談した結果、こんな方向でということになったわけです。

 それから今日になるわけでありますけれども、実はこれはなかなか大変な事柄でありまして、地方自治の根幹に触れるような問題でもあります。それなりの法的な検討は法制局との間でも必要でありますし、それから義務教育でありますとか、福祉のサービスについては厚生労働省とのかなり綿密な相談も必要でありまして、それにある程度の時日を要したということは確かであります。

 その上で、飯舘を初めとする該当の市町村長さんに改めてこちらの考え方を伝える必要がありますので、お触れいただきましたように、六月四日に福島市に赴きまして、該当の市町村長さんとこの問題についての意見交換をしました。いろいろな問題が出てまいりました。

 例えば、当初我々の方は、住民票を移してもちゃんと避難元のところとのきずなが保てるようなことを念頭に置いていたんですけれども、そっちは従にしてくれ、二の次にしてくれと。まず、移さなくても避難したところで行政サービスが受けられるように、そこをメーンにしてくれというかなり強力な要請もあったりしまして、こちらの考え方を多少修正する必要に迫られたりもしました。

 そんな意見交換をやり、続いて七月四日には、今度は受け入れ先のところ、郡山とか福島とか会津若松とか、そこでの理解と協力がどの程度得られるかということも我々としても瀬踏みをしておかなきゃいけませんので、要請かたがた、やはり同じ福島市で、今度は該当の受け入れ先の市町村長さんに集まっていただいて、法案の概要を説明して、意見も伺って、そこでまた多少の修正を施したりもしました。

 その上で、七月十一日、翌週でありますけれども、もう一回福島市に参りまして、今度は双葉郡とか飯舘とかの避難を余儀なくされている市町村長さんと再度、最後の詰めをやったわけであります。このときに、あわせて税の減免、課税免除の法案のすり合わせもやったりしたわけでありまして、双葉郡を中心とする市町村長さんとの意見交換、それから受け入れ先との意見交換、そういうことにかなり力を入れたつもりであります。

 それならば、そこをもっと早くやればよかったじゃないかと言われるとそうかもしれないんですけれども、正直言いますと、実は国会審議の合間を縫って私も毎週現地に行ったわけであります。国会の審議は、補正予算だとかいろいろなことがありましたから、それはもちろん重要でありますので、その対応をしながら、その合間を縫ってやっていたわけでありまして、何かゆったりとやったとか、決してそんなことはありません。

 私としては、本当に重要で、かつ非常に特異な法案をきちっと詰めて、かつ当事者の皆さん方とすり合わせをしておくということ、これは急がば回れと私は思いますけれども、そういうことを丁寧にやってきたつもりでありまして、その上で、したがって今回の法案というのは、避難先の自治体にも避難元の自治体にも双方から受け入れられる作品だと思っておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。

坂本委員 リーダーシップをとるということも大事ですけれども、やはりみずからが背負い込むというのも時間がかかる原因になっている。政務三役がいらっしゃる、あるいは役所にはそれぞれの担当者がいらっしゃる。国会の合間を縫いながらも、やはりそこは、手分けをしながら、迅速に立法化措置をするというのが本来のあり方ではないだろうかというふうにも思います。

 私たち総務委員会では、先週、郡山市で移動委員会をやりました。各市町村長さんたちは、やはり政府に対しての反発、そしてみずからの町のみずからの感情の混乱、怒り、こういったものを述べられて、私たちも改めて、地域の市町村長さんたちの思いといったものに触れ、かなりの混乱があるなというふうに思いました。

 それは、一つは、やはり原子力発電所地域内の初動の避難のあり方、こういったものが非常に混乱したからだというふうに思います。

 三月十一日の震災発生当初は、まず、避難地域は三キロ以内でございました。その後、十キロ以内となり、一号機の水素爆発の後、二十キロ以内というふうになりました。三号機の爆発で三十キロ以内の屋内避難、そして三十キロ以外にあります飯舘村、川俣町にも高い放射線量が判明するということになりまして、屋内避難は非常識な形での一カ月以上になった。結局、最終的には計画的避難区域として避難をしたというような経過をたどっております。

 私は、政府の定見のなさに被災自治体が翻弄され、市町村や住民の政府に対する非難、反発がやはり増幅していったものというふうに思います。

 これはこれでやはり住民の方々は大変な苦労をされているわけでありますが、しかし一方で、原発被災地以外で、津波で家屋が全壊そして半壊した岩手あるいは宮城、こういった方々も着のみ着のままで避難をされております。今も避難生活が続いておられる方は九万人以上、全国千百五十五自治体に及んでおります。

 今回の法律は、政府が避難指示を出したということで、原発地域に限って住民サービスに支障を来さないように政府が責任を持つという理屈の上から、適用対象範囲というのが決められています。しかし一方で、政府の指示がなくても、勧告がなくても避難せざるを得ない人たちにも、同じような避難生活を余儀なくされております。家屋がない以上、そして地域が消滅した以上、指示があるないにかかわらず避難せざるを得ません。状況は一緒であります。

 住民サービスに支障がないようにするということは、国や自治体の責任であります。しかし、その中で、一つの自治体の中に複数の自治体が共存する、あるいは複数の自治体の住民が違う住民票を持って共存するということは、非常時という現実の中ではあり得ることであります。そして、それに差別なくサービスをしなければならないというのは、当該自治体よりも、やはり国の責任になってくるというふうに思います。もしそれができないのであるならば、法のもとの平等をうたった憲法にも抵触するような、そういう問題になるであろうというふうに私は思います。

 住民票を移す移さないというのは、非常時における各人の生活環境からくる判断にゆだねざるを得ません。その環境を一様に国が定義するということは無理があるというふうに私は思います。であるならば、避難指示を出した原発事故地域だけではなくて、事実上国の避難指示と同じ状況に置かれて生活の困窮をきわめておられる津波による被害者に対しても適用してもいいのではないか、弾力的に運用してもいいのではないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 原発被災地以外で、自然災害、地震、津波で家屋を失い、現状において避難を余儀なくされている方がおられまして、その方々も避難先において必要な行政サービスを受けるような手配をするということは当然であります。今も各省と協力しながらそれをやっております。それは、これまでの制度もありまして、事務の委託でありますとか事実上の要請でありますとか、いろいろなことでやっております。

 今回、何が違うかといいますと、自然災害の場合には、現状において確かに避難をされている多くの方がおられますけれども、一日も早く復興して帰ってほしいと自治体も願っておりますし、住民のほとんどの皆さんも早く帰りたいということで、それが第一義だろうと思います。それまでの間、暫定的、臨時的にどこかの避難先で行政サービスを受ける、そのときの暫定措置として住民サービスの提供をお願いするということになります。

 福島の場合には、似たところもないわけではありませんけれども、とにかく警戒区域などは帰れないわけでありまして、いずれ帰れるようにしなければいけないわけですけれども、一体いつまでこれが続くのかというのは今のところよくわかりません。その間は、皆さん本当に辛抱していただいて、避難先でとりあえず落ちついた生活をしていただかなきゃいけない。そのためには、現行の法体系ではやはり不備があると私は判断しましたので、異例ではありますけれども、特例法が必要になってくると思った次第であります。

 全村、全村民が避難を余儀なくされている。しかもこれがいつまでかわからない。その間、肩身が狭くなく住民サービスを受けられるようにするということが一つの眼目でありますし、それから、子供さんの教育なんかの関係で、やむを得ず住民票を移さざるを得ない方もおられます。しかし、その方もいずれ帰る、帰りたいということでありましょうから、それならば避難元の市町村との間にきずなを保っておく、帰るためのプロジェクトを共有する、こういう法的な地位というものも確保しておかなきゃいけない。こういう点が実は津波災害、自然災害の被災地とは違うわけであります。

 今申し上げたような特徴といいますか条件といいますか、苦しい条件にかんがみて、特別の立法を福島県の該当の自治体及び避難をされた方々に適用しようということであります。

坂本委員 同じように、郡山で行いました総務委員会で町長さんたちが口をそろえて言われましたこと、富岡町の遠藤町長、これは福島第二原発から八キロ以内の町であります、また川俣町の古川町長、声をそろえて、これまで毎年行ってきた防災訓練、避難訓練は何だったんだろうか、もともと初期の時点で指令を出すべき国、県の司令塔がなくなってしまった、すべてを喪失した中での、マニュアルもない中での住民の避難であった、全くこれまでの訓練が生かされなかったことが悔しくてたまらないというようなことを言っておられました。

 私も、都道府県の防災訓練なんかを見ると、やはりその訓練の見事さを表現するイベントのようにしか思えません。高校野球でいえば試合前のシートノックみたいで、非常に見事な芸術的なシートノックをされますけれども、試合になるとどういう球が飛んでくるかわからないというのと全く一緒であります。

 想定を余りつくり過ぎるということが、かえって防災訓練の邪魔になるというような場合もあります。岩手県の釜石だったと思いますが、想定なしに、とにかく高台に逃げなさいと群馬大学の教授が指導して、そこの小中学校は一人も犠牲者が出なかったというような実例があります。

 もっともっと民間も取り入れて、そして総務省が中心になって各府省協力して、いろいろな形の弾力的な防災訓練に抜本的に改めるべきだと思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 全く同感であります。

 私も全国の防災訓練の実情というのをつぶさに承知しているわけではありませんが、私の経験を申しますと、私が鳥取県知事になりまして最初の年の九月一日に防災訓練がありましたけれども、全く形骸化しておりました。

 災害があって、知事が自衛隊に出動要請をするというくだりがあるんですけれども、何と、卒業証書を入れるような筒の中に要請書を入れて自衛隊の代表に恭しく手渡しをする、そういうことがありました。こんなことを今どきするわけがないわけでありまして、電話、通信でもって要請するわけであります。

 事ほどさように形骸化しておりましたので、翌年から全く改めまして、図上訓練を取り入れたり、それから被害想定も、事前に周知するのではなくて、そのときそのとき集まったメンバーに知らせて、対応をみんなでそのとき考えていくという、考えるための訓練に切りかえました。

 そうしましたら、二カ月半後に本当にどかんと地震が来ました。実はそのときに想定していたのとほぼ同じ箇所で同じ規模の地震が起きて、まるでそのために練習していたかのようなことになって非常に助かったのでありますけれども、そういう経験をしております。

 大体、それまでの鳥取県の訓練もそうでありますし、私が幾つか見たのもそうでありますけれども、全部シナリオができていて、それぞれ役割を持たされた方がそれを読みこなす、だから防災訓練というのはシナリオを読む儀式だという印象を私も持っておりまして、そんなことでは実は上がりませんので、ぜひ改めていただきたい。いい機会でありますから、総務省消防庁の方から各都道府県に対して、いま一度防災訓練の実態というものを検証していただいて、実が上がるようなものに改善をしていただくようにお願いをこの際してみたいと思います。

坂本委員 これを機に、ぜひ官民あわせて訓練のあり方を変えていただきたい、実践に即したものにしていただきたいと思います。

 最後に、今回の避難先あるいは避難元で、やはり合併しなかった町村ほど住民の把握がしっかりしているということが、この前の私たちの委員会の意見聴取でもはっきりしました。

 川内村の遠藤雄幸町長は、ここは人口三千人ですけれども、すべての村民がどこにいるか全部を把握している、だから、いつかは必ず戻ろう、そして戻って村の再建をしよう、春は必ず来るから、それまで元気で、元気で頑張ろうというようなことをホームページで呼びかけておられます。私は、こういうことが自治体にとってやはり一番大事なことであると思います。

 ところが、今、複数の町村合併をしたところは、市役所の場所をどこにするのか、あるいは住民のそれぞれの文化が違うということで、かえって地域の自治体としての一体感をなくしている、あるいは対立状況にあるというのも現実でございます。

 平成の大合併が一段落しました。これからどういう形で、自治体の一体感や共同的な意識、あるいは住民意識の高まり、そういったものをやっていくのか。私は、一つのスローガンを掲げて、小学校校区あるいは田舎であれば農協、こういったものを中心に、いろいろな形で一つの地方改良運動、地方意識運動というのがやはり必要であると思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 今回の被災地の話を伺いますと、合併をしたところがかなりありますけれども、合併の効果があったという話もあります。一つの広域化された自治体の中で、一部の地域が被災をされて、その被災された方を同じ自治体の中で受けとめることができる、お世話をすることができる、そういういい面があったというお話もあります。

 しかし、他方では、合併して数年をまだ経ていないので一体感が醸成されていない、そのことで対応に種々問題が出たとか、それから、旧町村の役場機能がなくなっておりますので、支所、出張所になっておりますから、機動力が非常に低下をして、最初のときの初動の対応、すなわち被害の状況を把握することになかなか手間取ったとか、そういう負の面も伺っております。

 これはぜひ、いい機会でありますから、一段落しまして、市町村の方でも余裕ができたころに検証してみたいと思います。その上で、今回の、いざというときに自治体の一体感の醸成でありますとか、機動力を確保するにはどうすればいいのかということを抽出、あぶり出しまして、それを他の自治体にも参考にしていただくように、おっしゃるようなコミュニティーの一体感の醸成、そういうものに役立てていただけるような、そういうことを考えてみたいと思います。

坂本委員 これからの大きなテーマとして取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自民党の吉野正芳でございます。

 福島県に対して全国から、また全世界から温かい御支援を賜っていること、この場をおかりして御礼申し上げます。ありがとうございます。

 そして、先日は総務委員会の皆様方が郡山市で移動委員会を開いていただいて、生の声、現場の声を聞いていただいたこと、本当に感謝申し上げます。この首長さんの方々の思いを何としても実現させるために、皆様方の御尽力をお願いしたいと思います。

 さて、コミュニティー放送について最初に伺います。

 私は、福島県いわき市でございます。市の面積は千二百三十一平方キロメートルです。平成の大合併前は日本一広い市で、日本一ということで自慢していたんですけれども、平成の大合併で抜かれて、今は全国第四位くらいになっております。十四市町村が合併した広域な市でございます。

 コミュニティー放送が大分前にできました。シーウエーブFMいわきという名前でございます。これができたころは、大きな市なものですから、市の一番外側に行くとこの放送は聞こえません。ですから、私はそういうものなんだなというつもりでFMいわきを聞いていたんですけれども、今度の災害を受けて、広域の市の一番外側でも聞こえるようになったんです。

 あれ、何で聞こえるんだろうということでいろいろ調べてみましたら、臨時災害放送局という形で出力を百ワットにした。今までは二十ワットで本当に狭いエリアだったんですけれども、それは当たり前だ、FMいわきというのはここまでしか聞こえないんだというふうに私は思っていたんですけれども、今度の災害で、百ワットですから、かなり広い範囲で聞くことができました。

 えっ、FMいわきも広い範囲で聞くことができるんだ、だったら、私たちのような広大な広い市、そしてコミュニティー放送の本当に身近な、隣のおばあちゃんが何しているというところまで放送で言ってくれますので、これも、いわき市は一つなりという観点からすれば、臨時放送局はいつかは終わってしまうわけでありますから、常に百ワットで隅々の市民まで聞こえる、そんな放送局にしていけばいいのかなと私は思っているんですけれども、その辺について大臣のお考え方を聞きたいと思います。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

片山国務大臣 コミュニティー放送局、FM局というのは、今回の震災の際にも、地域で情報を共有するという意味において非常に大きな役割を果たしたという認識を私自身も持っております。

 おっしゃられましたいわき市のケースでありますけれども、確かに、出力の問題もある程度の改善になるということはあるのでありましょうけれども、それ以外にも、例えば中継局を設置することでありますとか、送信アンテナの種類や形状を改善することなどいろいろな改善策があり得ると思います。

 現に、所管の東北総合通信局でお話を伺って御相談をいただいておりますので、ぜひ、個別にできるだけいい改善策が施せるような、そういう対応をしていきたいと思います。

吉野委員 ちょっと大臣に確認なんですけれども、私もこの質問をするときにレクを受けていろいろ協議したんですけれども、二つあると。今おっしゃった、二十ワットは二十ワットで中継局をふやして広域に広めていく方法と、もう一つは百ワットにして中継局なしで広めていく方法と二つの方法があります。この二つについて御相談願えればという形でレクを受けたんですけれども、二つあるんですか。そこを確認したいと思います。

片山国務大臣 その二つのことも含めてよく現地で、これは個別の問題で、一番よく状況を把握できる立場にあります東北総合通信局の方で御相談をいただければと思っております。

吉野委員 実は、福島県全域をカバーするFMふくしまというのがあるんです。これもある意味のコミュニティー放送なんですけれども、ここは百ワットなんですね。ですから、福島県全域をカバーしている百ワットのFMふくしまさんと小さなFMいわき、相談すると、交渉すると、中継局をつくりなさいというような指導が強く感じられるんですけれども、百ワットにするのも一つの方法ということで理解して結構ですか。

片山国務大臣 とりあえず、現地の情報に一番強い機関で相談をいただくということがまず第一義だろうと思います。その上で、今後また、なかなか解決ができないとかそういうことがありましたら、ぜひ本省の方でもしかるべき措置をとりたいと思いますけれども、まずは、それぞれ所管の機関がありますので、そこでじっくりと御相談をしていただくということが有益ではないだろうかと思います。

吉野委員 ありがとうございます。

 まず出先ときちんと御相談して、それでもらちが明かなかったら大臣のところに持ってまいりますので、御判断いただきたいと思います。

 次に、今度の震災また原発事故で、仮設住宅が今つくられているんですけれども、すぐにはできませんでした。ですから民間アパートを皆さんが借りて、それを県が借り上げていただければ、民間アパートも被災地の方々、被災者の方々は仮設住宅と同じということで入居できるようになっております。

 そこで、家賃の問題なんです。福島県は最初、六万円だったんです。ただ、家族の多い方、五人以上いますと大きな部屋を借りなきゃならないので、六万円以上にオーバーしてしまいますので、それは、最近、五人以上は九万円という限度額が定められております。

 これはこれでいいんです。限度額が定められたのはいいんですけれども、例えば、郡山に避難した富岡町の役場職員、若い方です。家賃六万一千円だったんです。六万一千円だけれども、六万円を超えているから全部借りられなかったんです。だったら、六万円は県で出していただいて、千円は自分で支払うことのできるような制度にしていただきたいんです。六万一千円だから対象にならなくて、今現在も彼は六万一千円、全額自腹を切って入っているんですけれども、その辺、ちょっとおかしいなと私は思うんですが、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今御質問いただきました家賃のあり方についてでありますけれども、そもそも一部補助事業という形ではありませんから、一部補助をするということがこの考え方にはないわけでありまして、応急避難として避難をしていただいている皆さんの住居確保を支援していく、こういう考え方であります。

 そういった中で、お尋ねの民間賃貸住宅の家賃のあり方については、この上限についてどう考えるかということを七月十五日の通知で示しています。いわゆる六万円というのは参考金額でありまして、これを上限額としている取り扱いが見受けられる、しかしながら、当該参考金額はあくまで参考であり、実際の家賃については、次のような点を勘案し、それぞれの「都道府県又はその委任を受けた市町村において柔軟なうえにも柔軟な対応をしていただくようお願いします。」と、「柔軟なうえにも柔軟な」という言葉を書いています。

 地域の実情に見合った実勢賃貸料の設定をする。実情に合わない上限設定を行わないこと。それから先ほど委員御指摘の、家族構成員数の多寡を勘案した設定とすること。また、専用寝室を必要とする要介護者等の有無などを勘案した設定とすること。

 このようにしておりまして、今お話がありましたようないわゆる柔軟な対応をするべきケースがあれば、またそれぞれのケースで、もちろん地元自治体とも御相談いただきたいですし、厚生労働省本省でもそういった御相談は受けたい、このように考えております。

吉野委員 岡本政務官、今、そうやって国は各自治体に通知、通達を出したから、柔軟な対応をしているんだという答弁がありましたけれども、現実どうなっているんですか、現実は。皆さんが出した通達がきちんと守られて、柔軟な対応を現場はしていますか。答えてください。

岡本大臣政務官 今のお話でいいますと、最後にお話をしましたけれども、そういう柔軟な対応ができていないということでお困りの方がみえるということであれば、被災者の住環境改善のために、我々としても家賃設定等に関する相談をお受けしたい、このようにお答えをさせていただいたところであります。

吉野委員 まず実態を調べてください。

 一部家賃補助はしない、まあ結構ですよ。でも、現実に運用すれば限度額を決めなきゃならないんです。あと残りは自分で払っていいよと何で言えないのか。今、不動産屋さんが入っていますから、かなりその辺は上手にといいますか知恵を出してやっていますけれども、六万一千円なら、千円まけてよと言って六万円にして、県の補助で入ることができたんですよ、あと千円は自分で後から払うからねと。でも、ごまかしができないんです、彼は役場職員ですから、最初にまじめに六万一千円の契約なんです。全部パアなんです。

 この現実、どう改善できますか。

岡本大臣政務官 基本的には、現地に六万円を参考金額としてお示ししていますけれども、この金額より少ない不動産物件がないとすれば、それはやはり設定の仕方に問題があるということでしょう。六万円、その金額はそれぞれの設定によりますけれども、設定した金額よりも少ない金額の物件がないのであれば、今お話をしたように、それは引き上げていただきたいというお話をしていますし、あるのであれば、その金額までにおさまるような物件にぜひとも住んでいただきたい。我々としてはこういうお願いをしているところであります。

吉野委員 役場の論理で答えているんですね、被災者の目線に立っていないんです。一番大事なのは被災者の目線に立つことです。財務省がここまでしか出せないからとか、もうすべてそうなんです。

 瓦れき問題もそうなんです。前もって住宅を壊した方は、環境省、市が認めれば後からお金を払うよという形になっているんですけれども、役場から本人に来ればいいんですけれども、契約解除なんです。壊した業者は一たん受け取った壊し賃をお客さんに返して、そして市と再契約して、そこから払うよ、こういうばかなことをやっているんです。これは全く、行政の上から目線です。被災者の立場に立っていないんです。全くこれも同じです。

 ですから、現状をきちんと把握してそれなりの改善策をするということを、岡本先生、約束してください。お願いします。

岡本大臣政務官 先ほどもお話をしましたけれども、私も話を個別に聞いているわけではなくて、そういう事例があるという先生からの御指摘を受けたということは聞いております。

 繰り返しになりますけれども、どこかでやはり物事には線引きをしなきゃいけないというところがあるんだとは思いますが、その線引きの仕方、また制度の設定のあり方、それぞれに今、先生から大変すばらしい御指摘をいただいたわけでありますから、我々としてもその御指摘をしっかり受けとめて、個別の事例でこういう事例なんだというお話をいただければ、先ほどもお話をしましたけれども、厚生労働省本省で御相談に応じたいということでありますので、もう少し詳細に教えていただければと思います。

吉野委員 今、教えてくださいと言ったよね。あなたが調べるんですよ。あなたが調べるんですよ。上がってこなきゃ何もしません、この態度では本当に被災者の目線に立っていませんので、よろしくお願いします。

 あと、総務大臣にお願いなんです。

 福島県の県民の方々が四万五千人、沖縄から北海道まで避難しているんです。それで、県の借り上げ住宅制度をとっている県は十六県しかないんです。ほかの県はこの制度をとっていないんです。そこにも福島県の方々が避難しているんです。ぜひ、地方行政に全国の知事と懇意の総務大臣、十六県以外の県の県知事さんに、何とか県の借り上げ制度をとってくださいとお願いしてほしいんですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは先般、福島市に伺いましたときに、何人かの町村長さんからその問題が提起されまして、県の方で該当のところにお願いをするということでありましたが、必要がありましたら国の方で声をかけますからという話にしております。

 いい機会でありますので、これは、実は私も参画をしております内閣府の被災者生活支援連絡会議というのがありまして、そこで、各四十七都道府県において被災者の皆さんをお世話する、その元締めの窓口をつくっていただいておりますので、そこにこの問題もちゃんと届くように取り計らいをしたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。総務大臣、ぜひお願いしたいと思います。

 それでは、原発避難者特例法について質問したいと思います。

 本当にいい制度をつくっていただいて感謝申し上げます。これは各自治体の首長さんの一番大きな願い事でありましたので、感謝申し上げます。

 そこで、お尋ねなんですけれども、指定市町村については、いわゆる警戒区域、計画的区域、緊急区域だけなんですね。今度つくられた勧奨地点、ここの市町村は入っていないんです。なぜ入っていないのでしょうか。同じく、ここはちょっと汚染が強いから避難しなさいと国から言われて避難する地点なんですけれども、なぜ入らないのでしょうか。

片山国務大臣 これは法的に言いますと、警戒区域とは異なって局地的なものであるとか、それから、必ずしも原子力災害対策本部長の指示によるものではないということでありますので、この法案の中では区別をしております。

 しかし、実際にその対象の地点におられる方で、避難を余儀なくされるという状態は同じでありますので、その方々は、余り数は多くないと思いますけれども、その方々についても同様の措置が受けられるように、実質的な対象となるような取り組みをしたいと思います。

吉野委員 私の二番目の質問は、この地点の方々が他の市町村に避難された場合、同様の行政サービスが受けられるようにこれから努力をしていきたいという今の答弁だったんですけれども、レクで聞くと、受けられるという形で事務方から私の方に連絡がございました。これは今の自治法の個別協議でやっていくからできるんだということなんです。

 であれば、現在の法体系で個別協議すればできるというのであれば、なぜこの特例法が必要なのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 先ほど私が申しましたのは、現行法ではできるんです、いろいろな手続を経ればできるんですけれども、今おっしゃった特定の地点の、線量の高い地点の方で、警戒区域ではないけれども避難を余儀なくされる方についても、この法案で実施されることと同等のことを事実上なし得るようにしたいということを申し上げたわけであります。現行法でできるというのは当然のことでありますので、それ以上のことをしたいということを申し上げたわけです。

 現行法でなぜいけないのかということですけれども、現行法でやろうと思えばできるんですが、一つ一つの事務の委託について契約を結ぶとか、それについて議会の議決が必要だとか、告示をしなければいけないとか、煩瑣なと言うと現行法に対して失礼になりますけれども、非常に厳格な手続を要するわけであります。今回のように、多くの住民の皆さんが多くの自治体に避難をされているときに、現行法の規定を適用するということは現実的ではない、間尺に合わないと思いますので、今回の特例法というものを用意したわけであります。

吉野委員 いわゆる避難元の市町村が、困難な事務を大臣に提出する、こう書かれています。

 今現実に、郡山市に富岡町と川内村が避難しています。富岡町で決めた困難な事務と川内村で決めた困難な事務とがばらばらであったら、郡山市が提供する行政サービスもばらばらなものしか提供できないという事態が生じますので、それでは私はちょっといけないのかなと。ですから、事前にきちんと富岡町と川内村との調整というものが必要ではないのかなと思うんですけれども、そこについては、国としてある意味でどういう指導をして、調整しないのか、調整までしていくのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

片山国務大臣 これはよく調整をしたいと思います。

 現に、先ほど坂本議員のときに御答弁申し上げましたけれども、私が何回も現地に行きまして、その際には、県の幹部それから該当の市町村長さん、これは受け入れ先も避難元もそうなんですけれども市町村長さん、それから、実は私が行ったときには各省の局長とか審議官とか課長なども、関係の厚生労働省とか経済産業省とか文科省を連れていったんですけれども、そういう相談の枠組みはできておりますので、そういう場も活用しながら、ぜひ必要な調整を行いたいと思います。当然、県の方で第一義的には調整していただくことになりますけれども、県が受け入れ先の場合には県で調整していただきますけれども、国も必要な調整を各省を交えてやりたいと思います。

 ただ、今おっしゃったように、これは別のところでありますけれども、ばらばらになるというのはやむを得ない場合もあるんです。例えば、大熊町は会津若松に大勢の方が避難されておられますけれども、そこで小学校を経営されるわけです。そうしますと、小学校は困難な事務にならないわけです、自前でやりますから、それ以外の事務ということになりますので。しかし、大熊町の場合は喜多方にも避難されておられまして、そこでは小学校を経営されないわけです。そこでは恐らく、小学校の事務も含めた困難な事務ということでお願いをするわけです。

 ですから、避難元の自治体も、実は避難先によってばらばらのことをお願いしなきゃいけないし、それから、場合によっては受け入れ先の方も、やはり複数の自治体から受け入れた場合に、提供すべき事務がぴったり一致しないということはあり得るわけです。できるだけ受け入れ先の方で、受け入れた皆さんにはひとしくサービスが行えるということが多分望ましいと思いますので、そういう方向で調整はしたいと思いますけれども、できないケースもあるということ、自治体の意思を尊重すれば、それができないケースもあるということは御認識をいただいておく必要があると思います。

吉野委員 そこは私も理解をさせていただきます。

 避難先で独自サービスをしている、例えば百歳になったらお祝い金を上げるというようなことを避難先でやっていたとすると、新しく避難された方々もその避難先での独自サービスを受けることができるのか。受けない場合もあるし、受けることができる場合もあるしという、その辺はどうなんでしょうか。

 そしてさらに、もし避難先でいろいろなことをやったら、そこは財政的支援をするというふうにこの法律で書かれていますけれども、その財政的支援というのは十分の十なんでしょうか。その辺をお願いしたいと思います。

片山国務大臣 今回、法律案で、避難先自治体に義務づけると言うと語弊があるかもしれませんが、義務的に行政サービスをやっていただかなきゃいけないというのは、法律上の事務であります。

 ただ、自治体では住民の皆さんのために法律を上回る事務、法律にない事務をやっておられます。例えば、乳幼児の医療費の無料化などは単独事業であります。できればというかぜひ、単独であっても、そういう事務は避難先において避難された住民の方に提供していただきたいという思いもこの条文には書いております。ぜひ、そうしていただきたい。

 ただ、これは一般論ですが、医療費の無料化なども自治体によって非常に幅があります。三歳児未満、就学前、中には成人までとか、その辺はやはりいろいろバラエティーがありますので、最終的には避難先の自治体の判断によるものと思いますけれども、常識的な範囲内では、市民の皆さんに対するサービスと同じものをできるだけ提供していただきたいと考えております。

 では、そうした場合に財源はどうなるのかということでありますけれども、これは国の方に努力義務を書いておりますけれども、常識的なものを単独で提供された場合には、恐らく特別交付税などになると思いますけれども、それはきちっと提供したい、交付をしたいと思います。

 ただ、そのサービスが非常に常識とかけ離れて行き過ぎたようなものの場合に、そこまで国が面倒を見るのかという議論は当然ありますので、その辺はよく実態を見させていただきたい。恐らく福島県の場合には、東京都の一部でやっておられますような極端な医療費の無料化などはやっておられないと思いますから、余り問題はないと思いますけれども、その辺は今後実態をよく見させていただいて、常識的な範囲内のものは単独であってもちゃんと十分の十、特別交付税で交付をしたいというのが今の私の考え方であります。

吉野委員 ぜひお願いします。福島県民は常識の県民でありますから、常識の範囲内でしか独自サービスはやっていませんので、ぜひ十分の十、特別交付金で支給していただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、ちょっと時間もありませんので、税の方に行きたいと思います。

 固定資産税、都市計画税、今度のこれで減免をされるわけですけれども、ここも特定避難勧奨地点は減税の対象になっていないのです。

 同じなんですね、避難したという点では全く同じなんです。なぜ指定されたかというと、汚染されているんです。汚染されているから避難したんです。なぜ、計画的地域とこことで違うのでしょうか。

逢坂大臣政務官 今回の考え方を簡単に御説明いたします。

 今回の課税免除の対象区域でございますけれども、警戒区域それから計画的避難区域、緊急時避難準備区域、この三つの区域の中で市町村長が指定した区域について課税免除をするというものであります。

 これらの区域では、法に基づく国の指示によって住民が避難等を余儀なくされているということもありまして、土地や家屋が事実上使えないというようなことを勘案しながら、法律の対象区域とすることが適切だろうと、まず第一段階、判断をいたしました。

 ただいま吉野先生御指摘の避難勧奨地点でございますけれども、これは、国の指示に基づいて一律に何かをどうしなさいということは必ずしも言っていない地域であります。さらに、加えて言うならば、今回の地点は住居単位で指定をするというようなこともございまして、個人情報保護の観点から、例えば対外的に公示をするというようなことになじむかどうかという問題もあろうかと思っております。

 そこで、これらの地点について、土地や家屋の利用について非常に困難な状況があるというふうに判断される場合は、地方税法の本来の規定である三百六十七条、それぞれの市町村の個別の事情に応じて減免を行うという措置をとるのが適当ではないかな、そういう考え方に基づいて、今この法律を出しております。

 以上です。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

吉野委員 個別減免でやれということなんですけれども、先ほども言いましたように、やはり被災者の目線で今回のすべての法律をつくってほしいんです、役所の目線じゃなくて被災者の目線で。同じ避難なんです、計画的も緊急時も同じ避難なんです。なぜ同じことをしていて差があるのかというのが正直な疑問でありますので、ぜひ被災者の目線に立った施策をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 与えられた時間は二十分ということで、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、事務処理の特例法案の、適用の対象範囲ついてのお伺いです。

 今回の政府提出法案では原子力災害に限定しておりまして、さらに、政府が警戒区域等を設定した区域の避難だけが対象ということになっております。そういう意味では、津波などにより同じく避難を余儀なくされている場合は対象となっておりません。

 現実は、七月二十日現在でわかっているだけでも、宮城県で一万一千百二十八人、岩手県で二千三十一人、二県だけでも一万三千人が依然として県外に避難をされております。茨城県、千葉県など他の被災県についても、少し古い数字でございますが、六月二十九日現在で二千人が県外に避難している、こういう実態があります。避難先が県内であっても、住んでいる市町村の区域以外に避難しているという場合もたくさんあります。

 生活に大きな支障を来している状況を考えると、津波などによる避難についても事務処理特例の対象にすべきではないか。今回、原子力発電所ということだけですが、先ほども再三お話があったように、被災者目線に立てば、自宅を流され、避難を余儀なくされているという観点、しかもこれだけ大規模な被災ということを考えると、ぜひとも適用範囲の拡大をお願いしたいと思いますが、御答弁をよろしくお願いします。

片山国務大臣 自然災害で被災されて避難を当面余儀なくされている方に対して、避難先で必要な行政サービスをちゃんと提供できる体制を整える、これは本当に必要なことであります。これはぜひ、現行法でもできますので、丁寧にやっていきたいと思います。

 その方々の場合には、恐らくはそんなに長い間戻れないということではないと思いますし、また、そうであってはいけないと思うんです。お盆までという話がありましたけれども、仮設住宅をできるだけ早くつくって、もとのところに戻っていただけるようにするというのが第一義、本義だろうと思います。その上でなおかつ、でも何らかの事情で戻れない方がおられましたら、それは丁寧に対応していきたいと思います。

 原発被災地の場合には、全村、全住民が相当期間避難を余儀なくされるという異例の事態でありまして、今年度だけの特例的な行政サービスを避難先でちゃんと提供してくださいというのとはちょっと性格が違うものですから、ある程度の期間を見込まなきゃいけない地域もあります。そういう意味で、今回の特例法は、ちゃんと滞りなく行政サービスが肩身狭くなく受けられる、そういう法体系をつくる必要があるだろうということでありますので、その辺は原則としては区別をさせていただきたい思います。ただ、何らかの事情で自然災害によって避難を長期間余儀なくされる方がおられましたら、それは、漏れのないように丁寧に、同等の取り扱いをされるように努めたいと思います。

西委員 避難元の自治体がかなり無理をされているという事情がございます。これが一つです。もう一つは、仮設住宅ができるということが一つのめどだと思いますが、仕事がなくしてただ戻るということは大変難しい問題でもありますし、さまざまな事情が避難民の皆さんにおありだと私は思います。そういう人たちが同じところに行っても、例えば今回の原子力災害で避難した人と全く違う扱いしかできないということであれば、その間には本来差別はないはずですので、やはり丁寧な行政サービスの徹底をお願いしたい、こういう趣旨でございます。

 次に、自主的な避難をされた方です。

 特定避難勧奨地点、いわゆるホットスポットの扱い、それから自主避難の扱いについて方針をお示しいただきたいと思います。こうした自主的な避難も今回は対象とすべきではないのか、私はこういう観点からお伺いをしたいと思います。

 今回は自主的な避難は対象としないということで法案ができておりますが、しかし、自主的避難を対象とする場合があります。それは、南相馬市、田村市、川俣町の一部では、警戒区域などが設定されていない地域もございます。その住民が避難した場合は自主的避難ということに本来はなりますが、しかし、これらの市町が指定市町村に指定された場合は、町が指定されているものですから、この方も多分、適用される可能性が出てまいります。その点では、細かいことですが、政府の説明は一貫性がないとも言えると思います。市町村で指定するのでやむを得ないということですが、先ほど申し上げたとおりで、そもそも避難者の視点に立って自主的避難についても対応すべきではないかというふうに思います。

 最近のさまざまな現象を見ておりますと、我々が本来想定していないような原子力に対する影響も出てきております。稲わらなんかも、当初は全く想定していなかった現象です。また新たなホットスポットも今後出てくるとか。私たちが決めている範囲というのは人為的に決めたわけで、それに対して、全面的に政府を信頼してそこで住むのが当然とか、出ていった人は例外だということは、我が国初めてのこの事態に対しては余りにも酷だという気も私はしております。

 このあたりの考え方についても、対象の一つに入れるべきではないか、こう思っておりますが、お考えをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、特定避難勧奨地点というのは、警戒区域などとは法的性格が異なるものがあるものですから、今回の法案の中には入れておりません。

 それから、恐らく、そんなに多くの方、大量にということではないと思いますので、個別に丁寧に現行法で対応しようと思えばできると思いますけれども、しかし、避難された方にとってはやはり同じような状況でありますので、これはよく該当の自治体の御意見、御意向を伺って、そういう意向がある場合には、できるだけこの法案によって対応される方々と実質的に同じ対応ができるような工夫をしてみたいと思います。

西委員 ありがとうございます。

 いかなる場合であっても、どこに避難するような事態になっても、私たちは、どこでも安心して生活できるという前提をこの際つくっていただくのが国の大きな役割だと思いますので、丁寧な対処をお願いしたいと思います。

 次に、国の負担のあり方についてです。

 法案の第十条第一項で、自治体単独で行っている行政サービスについては、避難住民に対しても行うよう努めるものとし、第二項では、国は、その行政サービスの提供に係る経費について、「必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。」というふうに規定をされております。

 国が自治体に対して努力を求めるのであれば、自治体が行政サービスを提供した場合には、その経費については、必要な財政上の措置を「講ずるよう努める」ということではなくて、「講ずるべき」というふうにすべきではないかと思います。先ほどの議論のちょっと蒸し返しになりますが、お願いをいたします。

片山国務大臣 一般的にはそのとおりであります。ぜひそうしたいと思います。

 受け入れ先の自治体で、その自治体の市民の皆さんに提供されておられる行政サービスの水準というものを、避難された方、受け入れた方にも同じように、同等のサービスを提供していただきたい、その際には国は財政上の措置を講ずるように努める、こういうことにしてありますが、万が一ちょっとまゆをひそめるような過剰な行政サービスがあったときは、専ら総務省としては、通常はそういう放漫財政はやめましょうということで戒めているわけです。多分福島県内はないと思いますけれども、そういうものが万が一出てきたような場合には、そこまで特別交付税で措置するというのはちょっとはばかられますので、その辺の留保条項という意味合いでこういう規定にしているところでありますが、一般的には、常識的な範囲内であればちゃんと措置をしたいと思います。

西委員 私も、その点については同じ考えでございます。

 みなし仮設住宅への対応についてお伺いをいたします。

 岩手、宮城、福島などの被災者は、全国の都道府県に分散して、今、広範囲に避難をされておられます。自治体が民間アパートを借り上げて被災者に提供するみなし仮設住宅は、全国各地で扱いが異なるという事例が報告されております。

 そこで、全国的に、避難してきた被災者にみなし仮設住宅を提供する体制が整っているのか。これも先ほどと同じ質問になってしまいますが、その手続はどうなっているのか。予算上の対応は一体どうなのか。被災者名義で借りている場合でも、三月十一日にさかのぼって対象としているのか。その実態の報告を厚生労働省の方にお願いいたします。

清水政府参考人 まず、経緯から御説明申し上げます。

 今回の東日本大震災の応急救助に当たりましては、発災直後の三月十二日から、民間賃貸住宅の活用ができる旨お示ししてきたところでございますが、特に岩手、宮城、福島の被災三県では被害が大変甚大でございまして、行政機能も少なからず被災するといったような状況がございまして、被災者の方がやむなくみずから民間賃貸住宅を借りざるを得ない、こういう事情もあったわけでございます。

 このために四月三十日に通知を発出したところでございますが、その内容は、発災以降に被災者名義で契約した民間賃貸住宅でございましても、入居当初から県名義の契約に置きかえて対象とすることとする、これは県外避難者についても同様とするということにしたところでございます。これらに係る費用につきましては、予備費あるいは補正予算で十分手当てがされているところでございます。

 また、その後、宮城県などからは、入居当初までの契約の置きかえは難しいというふうなお話も聞きましたので、私どもも、特別な措置ということで、被災者、県、家主の三者間でお話を調えていただいて、既に支払われた入居費用、家賃などを県から直接被災者にお支払いできるようにという形をとってございます。これも県外避難者は同様でございます。

 さらに、これらを周知徹底するために、先ほども岡本政務官から御答弁ございましたけれども、七月十五日に、改めて留意点を取りまとめて、全都道府県に通知を申し上げてございます。

 その内容をかいつまんで申し上げますと、必要な戸数を確保できるような基準額の設定、あるいは基準額を絶対的な上限としないようにしていただきたい、世帯の事情などに応じて幅を持たせた運用にしていただきたいということで、本来の居住地を離れざるを得なかった被災者の方々に十分配慮した運用をお願いしたところでございます。

 私どもといたしましては、予算措置も十分いただいておるところでもございます、被災者生活支援チームとも連携をしながら、被災者の支援に今後とも努めてまいりたいと考えてございます。

西委員 細かな配慮をしていただいて、ありがとうございます。今後とも、被災者の立場に立って努力をいただきたいと思います。

 税制については先ほど話もありましたので、一つ飛ばさせていただきます。

 次に、災害対策基本法の見直しについて。これは内閣府の方にお願いをするということにしております。

 既存の災害対策基本法では対処できない事態に対して、今回、特例措置等で対処しております。これらのうちで、現在提案されている避難住民等に係る事務処理法案初め、国による災害復旧事業の代行に関する法案、瓦れき処理の代行などに関する特例法案、さまざまな法案は、今、国会で議論され、また成立しておりますが、今後の災害に備えて、災害対策基本法に規定をして、一たん災害が起こったときにすぐに適用できる、実施できる、こういうことで一般ルール化した方がいいんではないかという考えを持っているんですが、このことについて御答弁をお願いしたいと思います。

阿久津大臣政務官 災害対策は、実際に発生した災害の状況及び対応について検証を行い、そこから得られた教訓を踏まえ、必要な見直しを行うとの不断の努力の上に成り立つものと理解しております。

 今後、東日本大震災の対応についてもしっかりと検証を行い、その上で、得られた教訓を踏まえ、災害対策法制等のあり方も含め、必要な見直しを行う所存です。

 御指摘のような、今回特措法で対応した措置をあらかじめ規定しておくべきかについても、こうした見直しの中で考え方を整理してまいりたいと考えております。

西委員 さまざまな法案がありますから、一般論として成り立つものと、そうではないものとがきっとあるだろうと思います。今回は東日本というふうについていますが、一般論として、それを外しても成り立つ法体系というものが必ずあるはずです。同じようなことをまたやるということではなくて、すぐに適用できるというものをきっちり、一つ一つの災害の経験を生かしてそれを積み上げていくということが私は非常に大事な観点だと思っております。

 実は、こういう議論をするときにも、私は和歌山ですが、東海、東南海・南海地震のときにこれがあったらどうなんだろうかということを常に頭に入れながら、さまざまな議論をさせていただいているつもりです。ぜひとも、そういう観点の議論を政府内でもお願いしたいと思います。

 最後に、災害レベルの設定についてということです。これも内閣府です。

 災害対策基本法では、災害の対応は自治体が行うということが決まっております。大規模な災害の場合には国がぜひとも対応してほしい、例えば今回のような災害ですね、こういう要望が自治体からも既に上がってきております。

 災害規模に応じた災害レベルの設定と、市町村、都道府県の対応能力を超える大規模災害の際には国が第一次的な責務を負うよう災害対策基本法を見直すべきではないか。しょっぱなから国の主導で災害対策に取りかかっていくというレベルの災害があってもいいんじゃないか。今回の災害がまさしくそういう例に当たるんだと私は思うんですが、今後のこととして、そういうレベルに応じてどこが主導していくかということを考えていくのも一つの方法ではないか、こう思いますが、御答弁をお願いします。

阿久津大臣政務官 貴重な御指摘をありがとうございます。

 今般の東日本大震災は、東北三県を中心として東日本全体に被害が及んだ広域災害であることが特徴であり、このような中で、多くの市町村の行政機能が損なわれるというこれまでに経験したことがない事態が発生いたしました。

 こうした経験を含めて、今後、御指摘の、災害のレベルに応じた国と地方公共団体の役割分担や、市町村機能の補完のあり方について検証を進めることが必要と認識しております。

 今般の震災から得られた教訓を踏まえ、災害対策法制等のあり方を含め、必要な見直しを行ってまいりたいと存じます。

西委員 さまざま御質問申し上げましたが、今回のように本当に大規模で自治体機能が失われる、しかもそれが広域にわたる、こういう災害がたびたび起こってほしくはない、もちろんそういうことは想定されないわけですが、いざというときにこそ、いかに早く被災者に対して私たちが行動を起こすかということがまさしく問われているわけで、政府としてもそのあり方というものを不断に見直していく必要があるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 原発事故災害対処関連の二法案について質問をいたします。

 最初に、原発事故避難者の実態把握による支援策の拡充を求める立場から何点かお尋ねをいたします。

 総務省が把握しておられます原発事故に伴う避難者についてでありますけれども、原発事故による避難者数が何人か、そのうち福島県外への避難者が何人か、及び全国にわたる避難先の市町村数が幾つになるのか、この点についてまずお答えください。

久元政府参考人 法案が想定しております対象区域からの避難者数につきまして、福島県からの情報に基づいてお答えをさせていただきますと、双葉郡八町村、南相馬市、飯舘村、川俣町から全国に避難した避難者数は約十万六千人と見込んでおります。このうち約半数の約四万九千人が県外に避難をしておりまして、避難先の市町村数は九百七十三団体というふうに承知しております。

塩川委員 今御答弁ありましたように、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域に係る十二市町村のうち田村市は確認をされておられないということですので、それ以外の十一市町村で避難されている方が十万人を超える。その半数の約五万人の方が県外に避難をしておられます。

 避難先の市町村も、全国一千七百の市町村に対し九百七十三と大変大きな数に上っているわけであります。また、以前私がこの委員会でも確認しました、経済産業省が把握をしているこの三つの区域内の避難者数というのが十一万三千人という数字もございました。いずれにせよ、十万人を超える規模での避難者となっているわけであります。

 一方で、七月二十九日、東日本大震災復興対策本部が決定をしました東日本大震災からの復興の基本方針、ここに書いてあります避難者等の数は約九万二千人となっております。

 今御答弁いただきましたように、福島県の十一市町村だけでも十万人を超える原発事故避難者がいるのに、岩手、宮城など他の被災地も含むはずの復興の基本方針で掲げている避難者数が十万人に届かないというのは、実態とかけ離れているわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、この政府の復興の基本方針には多数に上る原発事故の避難者が視野に入っていないんじゃないのか、こう疑わざるを得ないんですが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

片山国務大臣 これは私も前々から気になっているんですけれども、どちらも推計なんですが、どちらからアプローチした推計にするかという違いがありまして、先ほど行政局長が申しましたのは、避難元の、今回の場合でいいますと福島県の市町村で把握をしたり、それから、一定の推計もあると思いますけれども、市町村の方でこれだけの方が域外に避難されているという、それを福島県が集計したものであります。避難元の情報をもとに集計したものです。

 一方、御指摘の、基本方針の方で触れております九万何がしという数字は、全国の受け入れ先の方で、今回の東日本大震災が原因で避難をされて受け入れている方が旅館に何人、公営住宅に何人、親戚、知人で把握しているのは何人というものを積み上げたもので、これをずっと三月以来やってきているわけで、それの一定時点のものをここに掲げているものであります。

 ですから、避難元で推計をするのか、受け入れ先の方で把握している方々を集計するのかで実はある程度の誤差があるわけでありまして、ここがまだなかなか一致を見ないということであります。

 最終的には、私は、避難元の方で、今、全国避難者情報システムを通じて現時点でもまだ情報が寄せられておりますので、これを突合してダブりをなくしてということで、精査をした暁にはかなり確度の高い避難者の数が把握できるのではないかと思っております。

塩川委員 大臣にお答えいただきましたように、避難元自治体が正確に把握をしている。ですから、本来、復興の基本方針も、避難元自治体の把握を踏まえた避難者数が載せられるべきだということだと思います。

 この復興の基本方針の九万二千人というのは、内閣府の避難者等の数に基づいています。これは調査室の資料にもついていますけれども、要するに、被災三県で公営住宅、公的住宅や仮設住宅や民間賃貸住宅の借り上げに入っている方は世帯数でしか把握していなくて、人数で把握していないからカウントされていないんですよ。被災三県で住宅に入っている方が六万八千二百二十三戸という把握はあるんだけれども、人数でつかんでいないんです。ですから、その人数の把握をもって初めて避難者数の全体が出てくる。

 六万八千ですから、平均してお二人がお住まいということを考えても、数とすれば十四万人とかいう数になってくるわけであります。ですから、九万二千と足し合わせても、二十万人を超える避難者というのが実際です。

 これまでの避難者というのは、一次避難所、ホテル、旅館などの二次避難所の範囲での避難者だったものが、今回は津波、地震、同時に原発事故の避難者の方は長期に及ぶだろう避難生活ということでいえば、仮設だろうが民間賃貸だろうが公的住宅だろうが、避難生活が継続するということは同じですから、それをくくって避難者として受けとめて把握しようという取り組み自身は前向きの方向だと思っております。そういう点でも、世帯単位ではなくて、実際の世帯の入居の状況をしっかり把握するということがなければ適切な対策を講じることにはつながらないということを言いたいわけであります。

 そういうことで、こういった避難所以外の避難世帯、公的住宅や民間賃貸住宅借り上げや、あるいは応急仮設住宅、これらに避難をしておられる世帯のうち、ひとり暮らしの方ですとか高齢者だけの世帯というのはどのぐらいあるのか、こういうことは政府として把握をしておられるのでしょうか。

久元政府参考人 まず、住民基本台帳におきましては世帯ごとに編製されることになりますので、世帯の状況は避難元でわかるわけでありますが、避難先におきまして世帯の状況がどうなっているのかを把握することは、同じ世帯でも異なる場所に避難しているようなケースもありますので、これは困難であろうというふうに思います。

 今回の法案におきましても、世帯単位ではなくて、個々の避難住民の避難場所を確認して、避難住民個人に対する事務を避難先団体において処理することができるというふうにしているところでありまして、避難先における把握というものは個人単位という現状にとどまっております。

塩川委員 そういう点でもひとり暮らし世帯とかの把握がなかなか困難だというお話で、そうはいっても、長期の避難生活が強いられ、やはり孤独死などの懸念というのは、だれもがなさる懸念になってまいります。

 内閣府が、被災者の孤立死を防止するための有識者会議というのを開催しまして、そういう中で、これまでの事例を集めて、こういう孤立死、孤独死をなくそうという、実践例を被災地に紹介しようという活動をやっておられます。そこでの孤立死を防ぐためのポイントとして前提となっているのが、ひとり暮らし高齢者、高齢者のみの家庭、障害者等の把握と必要な支援内容の確認ということで、実態把握というのが何よりも大前提だということを言っているわけであります。

 そういう意味でも、この取り組みを行うのであれば、ぜひとも、全国に散在する民間賃貸住宅の入居者の方とか公的住宅に避難している方、こういう被災者の実態を把握して孤立死防止対策を進めるということも極めて重要になってくると思うんですが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 それはそうだと思います。

 実は、孤立化防止策を内閣府で打ち出しましたのは、私も加わっております被災地支援連絡会議の中でこのことを提案したんですけれども、実はこれは仮設住宅に入居した後が非常に心配だということで、専らそこに焦点を置いたものであります。

 これは、相馬の市長さん、もともとお医者さんなんですけれども、その方が非常にこのことに関心を持っておられたのを私も直接伺いましたり、それから弁護士の堀田力さんがこの問題について造詣が深いということで、この方からも直接話を伺いまして、そんなことから会議をつくりまして、仙台の方で実際にシンポジウムなんかをやったりしたんです。阪神・淡路のときもそうなんですけれども、仮設に入って非常に孤立感を深めるというケースが多いものですから、なるべく見回りをしたり食事をともにする機会をふやしたりということで、そこから始めました。

 県外とかに避難されている方で孤立化されているというケースは多いんですけれども、多くは親戚とかそういうところがあるものですから、そこはある程度のケアはあると思います。

 ただ、おっしゃるように、公営住宅でありますとか公的住宅なんかにぽつんと入られている方もいないわけではないと思いますので、そこはよく避難元の自治体が実情を把握して、避難先と連携をとって孤立化を防ぐような手だてを講じる必要があると今改めて私も思いましたので、その点も一つの課題として被災地支援連絡会議の中で問題提起をして、解決できるようにしたいと思います。

塩川委員 避難者の入居先として仮設住宅が多いように思われるんですけれども、確認しましたら、応急仮設住宅の入居者は三万二百八十四、これは七月二十九日現在です。一方、民間賃貸住宅の借り上げが七月二十九日現在で四万七千四百八十五、それから公的住宅は七月二十七日現在で一万四千三百四十なんです。

 ですから、仮設住宅の入居の方も多いんですけれども、それ以上に、住まいがばらばらとなっている民間賃貸借り上げや公的住宅の入居者が多いんですね。こういった避難の実態を把握することで被災者の孤独死防止などの支援策をしっかりと行っていただきたい、このことを重ねてお願い申し上げるものであります。

 次に、地方税減免措置についてですけれども、原発事故に伴う警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域等における固定資産税などの課税免除措置は、当然の措置であります。しかしながら、新たに設定された特定避難勧奨地点は対象となっておりません。

 今回の法案における三つの区域等の地方税減免措置と同様に、特定避難勧奨地点も地方税減免措置の対象にすべきではないかについてお尋ねをします。

片山国務大臣 結果として、自主的に避難された場合には、課税免除をされる区域の方々と同じように税負担が軽減されるということは必要だろうと私は思います。

 ただ、特定避難勧奨地点といいますのは、必ずしも一律に避難ということでもありませんので、法律でもって一律に税負担を規定するよりは、実情に応じて該当の市町村において判断をされるのが適当だろうということで、こういう法体系にしております。

 もちろんそれに対して、恐らく減免されることになると思いますけれども、減免された場合の財政措置、財政支援についても怠りないようにすることにしたいと思っております。

塩川委員 特定避難勧奨地点というのは、六月十六日、原子力災害対策本部で、計画的避難区域とするほどの地域的な広がりが見られない一部の地域で、事故発生後一年間の積算線量が二十ミリシーベルトを超えると推定される空間線量率が続いている地点が存在しており、生活形態によっては二十ミリシーベルトを超える可能性も否定できないので、その場所を特定避難勧奨地点とし、そこに居住する住民に対して、注意を喚起し、避難を支援、促進する必要があると。

 ですから、つまり計画的避難区域も特定避難勧奨地点も、二十ミリシーベルトという点では同じなんですよ。特定避難勧奨地点も、政府として地点を特定し、住民に対する避難支援の必要性をうたっております。

 そういう点で、原災本部の出先であります現地対策本部が具体的な特定避難勧奨地点の設定も行っているわけですから、今回の法案において、この三つの区域における地方税減免措置と同様に国の関与は明らかでありますし、放射線量についても同等の水準であるならば同じ扱いとするのが妥当だと考えますが、改めていかがでしょうか。

片山国務大臣 先ほど申しましたように、結果として同等な扱いになるということが私もふさわしいだろうと思いますが、一つは制度が警戒区域などとは違いますし、それからどの地点が指定されたかということは第一義的にはわからないことになっておりますので、法律でもって、一律の基準でもって税負担について規定をするということは税制度としてはなじまないだろうと私は思います。

 ただ、指定をされて、それで避難を余儀なくされた方が警戒区域の皆さんと同じような税負担の軽減措置を受けられるべきだとは思いますので、それは、既にあります地方税法の減免の規定を適用して、市町村において減免措置を施していただきたいと思います。その旨は総務省からも、もう既に実は私の口からもお伝えはしておりますけれども、改めてしかるべき時期に助言を申し上げたいと思います。

塩川委員 ぜひ、自主避難者も含めた同様の減免措置を求めたいと思いますし、自治体が個別減免しやすいような、減収額を埋めるための地方財政措置についてもしっかり対応していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 五点ほど質問する予定にしておりますけれども、十分という時間内におさまらない場合はそこまで行き着かぬかもしれませんので、その点はお許しいただきたいと思います。

 まず最初に、地方税の地域の区分について大臣に伺います。

 地方税に関連して、今回の改正案では特例措置について、代替家屋などの取得に関する特例は二十キロ圏の警戒区域に限って適用される。土地家屋に係る二〇一一年度の課税措置の免除については、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域などで市町村長が指定したものというふうにしています。そこで、なぜこうした区分を行ったのか、その理由をお聞きしたい、それが一つです。

 計画的といっても避難しなければならない地域であることには変わりはないわけでありまして、緊急時避難準備区域についても、官邸のホームページでは、引き続き自主的避難をすることが求められる、こういうふうになっているんですね。また、特定避難勧奨地点は条例対応、こういうふうになっていると思うんですが、国として明確な対応をとるべきではないかというのが二つ目。

 さらに三つ目は、こうした地域以外でも、子供や妊婦のいる世帯では自主的に避難している世帯もあるわけですね。こうした世帯にも何らかの措置が必要ではないのか。

 以上三点、お伺いします。

片山国務大臣 今回、一定の区域内にあります固定資産に対する固定資産税の課税免除、それから、一定の区域内に住んでおられる方々が他の地域に代替的な固定資産を取得される場合についての特例を規定しているわけでありますが、二つのケースで区域の指定が違います。

 そのことの御質問でありますけれども、課税免除の方は、これは警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域のうち市町村長が指定した区域となっておりますけれども、これは今年度、恐らくちゃんとした使用収益はできない、特に警戒区域などは全然できない、他の区域についてもまずできないということが想定されますので、それを一律に市町村長が区域として指定するということ、ここに合理性はあると思います。

 ただ、代替資産の特例につきましては、警戒区域の場合ですと本当に入れない、入ったら罰則があるということですから、これは事実上、滅失していない、損壊していないけれども、使用収益という観点でいいますと全く使えないわけでありますから、他に代替資産を求めることに合理性が認められます。そのことについての特例があってしかるべきだと思います。

 ただ、計画的避難区域などは警戒区域とは違って、入ろうと思えば入ることは可能である、資産の保全管理もできる、一応そういう法的なポジションにあります。もちろん、しかし、事実上使えないということは多分あると思います。でも使っているケースもあるわけであります。工場などで、一部の企業では使っているケースもあるわけであります。ですから、その辺が警戒区域と違いますので、実態を見て市町村において判断をしていただいて、本当に使っていない、使えないということであれば減免をしていただくということをお願いしているところであります。その点では、納税者にとって不公正はないことになると思います。

 それから、特定避難勧奨地点も同じでありまして、これも先ほども申しましたように、一律に法律でもって課税免除とすることは適当ではないと思います、それは地点、区域の法的な性格が異なりますので。ただ、地点に指定されて、それで避難を余儀なくされた方にとっては警戒区域の方とほとんど変わりませんので、これは市町村においてしかるべく減免をしていただくように、これも既にお願いしておりますけれども、これからもちゃんと助言をしていきたいと思います。

 それから、それら以外の区域で、子供さんが小さかったり妊産婦であったりして、不安なので避難をされるという方も当然おられます。お気の毒であります。そういう方に対しても、実際に家は使えないわけですから、税負担の軽減がされてしかるべきだと思います。これも一律に法律で規定するのにはなじみませんけれども、実態を見て、市町村においてそういう方にはちゃんと減免をしていただければと思いますので、そういう助言も改めてお伝えをしたい、助言をしたいと思っております。

重野委員 今、市町村においてなすということですが、であるとすれば、その市町村の行った決定については、もう国は一切、それがいいとか悪いとか、指導するとか、そんなことはないというふうに受けとめていいですか。

片山国務大臣 重野議員が先ほど来御指摘になった、妊産婦がおられる方で自主的に避難をされたとか、そういう場合に減免をされることについて何か文句を言うとか、そういうつもりは一切ありません。

 ただ、全部一律に、ある自治体の中を全部固定資産税を減免してしまうなどということがもしあると、例えば、避難もしていない、役場の職員で所得もちゃんと従前どおり支給されている、所得もちゃんと確保されている、そういう方も全部、警戒区域の方と同じように、現に住んでいて所得もちゃんとある、仮にそれが役場の職員であったとした場合に、固定資産税がただになるということが本当に実情にかなっているかどうかというのは私は疑問に思います。現にそういうところがあるやに聞いているんですけれども、そういうところは、ああ、どうぞどうぞ結構でございますよ、全部財政補てんをしましょうということにはやはりいささか抵抗感があります。

 ですから、ちょっとそういう留保はつけておきますけれども、御指摘になったような常識的なケースについて、減免するのはいかがなものかというようなことを申し上げるつもりは一切ございません。

重野委員 時間もありませんので、次に進みます。

 東電への求償について聞いておきたいんです。

 今回の地方税の免除などについて、地方債の特例措置が講じられることになります。原発事故が発生しなければ起こり得なかったことであって、本来であれば、これらは東電に求償すべき性格のものだと考えるんですが、この点についてはどのように考えていますか。

片山国務大臣 本来、そういう考え方があってしかるべきだと私も思います。

 ただ、これは、原子力損害賠償の範囲を議論しておられます委員会の中で最終的にどういう結論になるか、まだわかっておりません。ぜひこの分野も対象に入れていただきたいということはお伝えしておりますけれども、まだ結論は出ておりません。

 そうした中で、自治体の方は、地方税法どおりにいきますと、警戒区域の中の固定資産であっても課税行為をして、払ってもらえなければ滞納処分をする、そういうことになるわけであります。でも、それが本当にいいのかどうかということで、とりあえず、そういう警戒区域なんかは課税免除して、その部分については財政補てんをしましょうというのがこの法案であります。

 そうしますと租税債権がなくなってしまうので、消えてしまうので、東電に求償できないではないかという心配がありますので、附則に、そのことの懸念を払拭するために、引き続き東電に対しては求償行為ができる、もしそれが可能な場合には国が財政補てんしなくてもいいわけでありますから、東電に求償されて財政は問題がない。そういうことを前提にした附則の条項も置いておりますのは、そういう意味合いを込めてのことであります。

重野委員 やはり物には順序がありまして、こういう事態を招いた原因者である東電に、当然、その部分は求めていくというのが最初にあって、しかし、結果としてそれがどうなるかわかりませんけれども、その後こういうふうな形でやることを担保しておくということも、それはわからぬでもないのでありますが、やはり物には順序があるという点については、この際、強く指摘をしておきたいと思います。

 次に、住所移転者に係る措置で、指定市町村という言葉が出てまいりますけれども、この指定市町村というのはどういう地域になるのかということが一つ。それから特定避難勧奨地点、地域ではなくて地点ですね、これも含まれるのかどうかということが二つ。

 それから、特定避難勧奨地点はもちろん、区域に指定されていない地域でも、自治体のモニタリングで年間二十ミリシーベルトを超える値の線量が観測されている、こういうところもあるわけですね。そうした地域に住む子供や妊婦が自主的に避難している場合もある。法の趣旨からいえば、こうした方にも適切な行政サービスが提供されるべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

片山国務大臣 具体的な区域の問題は後で局長の方から御答弁申し上げたいと思いますが、今最後におっしゃった、区域に指定されていなくても、不安、懸念で自主的に避難された方々がどうなるのかということであります。

 この方々も、避難先でちゃんとした行政サービスが得られるようにするということは当然必要なことであります。この法案の対象には必ずしも、法的には、厳密にはなっていないケースかと思いますけれども、個別に支障がないように、避難元と避難先とでちゃんと調整がされるようにしていただきたいと思いますし、それについて必要な犬馬の労といいますか調整は、県とともに、総務省としても積極的にやっていきたいと考えております。

久元政府参考人 法案の対象となっております指定市町村は、具体的には、当該市町村を包括する都道府県の意見を聞いて行うことになりますけれども、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域の三区域をその区域に含む市町村、すなわち、双葉郡八町村、南相馬市、田村市、飯舘村、川俣町が想定されると考えております。

重野委員 あと二つ通告をしておりましたけれども、終了したという紙が来ましたので終わりますが、最後に強く求めておきます。作業に従事している自治体職員の問題についてはどうも二の次に置かれているような嫌いがある、その点については、そういうことのないように意を用いていただきたい。

 以上申し上げまして、終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案並びに東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための地方税法及び東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部を改正する法律案、この二案が議題になっているわけです。

 舌をかみそうな法律案で、この間、地方税法の改正案でも、現下の経済、雇用情勢にかんがみてどうのこうのとか、この手の特例法が、国民から見て内容が大変わかりにくい法案名になっていることはやはり改善の余地があるかなという気もいたします。こんなことは質問しませんが。

 原発事故に関する避難者が、住民票を移動しないまま、受け入れ先の自治体で必要な行政サービスを受ける。それらの行政サービスを提供するための費用は、まず受け入れ先の自治体が負担をして、その後、国が必要な財政上の措置を講ずるということで、かかった費用を国が後から補てんをする、こういう内容になっております。

 まずお伺いをしたいんですけれども、受け入れ先の自治体が避難者への行政サービスの費用を負担して、国がその費用を後から補てんするということになると、これは、もともとの自治体に入る市町村税はどうなるのかということを思うんです。

 市町村側は行政サービスを提供しないけれども、税収はそこに入ってくる、受け入れ先の方でかかったプラスアルファの費用は国が補てんをするということになるわけですから、場合によっては、もともとの市町村に益税のような形で一定の税収がリザーブをされて残ってしまう、こういうことが起こる可能性があるのではないかというふうに思います。減免や課税免除がありますので、どの程度そういうことが起こるのかということは、私、現時点でわかりませんけれども、しかし、これは哲学の問題でいえば、租税の応益負担の原則を崩すことにもなる。また、それが一定の長期にわたって続くということをこの法制度は予定している部分がありますので、そうした点で、どう正当化されるのかということも少し考えてしまいます。

 こういう形で、もとの市町村に残る市町村税収というのは一体どうなるのかということをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 非常に理論的で、かつ玄人っぽい御質問で感銘を受けておりますが、問題提起されたことは、そのとおりであります。そういう問題は必ずあります。

 避難先の方で、避難者の方に対して行う住民サービスに必要な財政措置は、基本的には国の方でするということであります。そうしますと、避難元の方で行政サービスをする分が浮いてきますので、それをどうするかということだろうと思いますが、そういう面は確かにあります。ただ、実は全部かというと必ずしもそうではなくて、避難元に残している施設の管理でありますとか、一緒に避難している役場の職員の人件費でありますとか、そういうものは確実にかかってくるわけでありまして、ゼロになるわけではありません。

 それから、避難元の方の税収も大変おぼつかないものでありまして、固定資産税などは、多くの自治体はもうほとんど入ってこない状態になります。所得関係税、住民税なども相当激減をいたします。もちろん、それらについては補てん措置を国の方で講じますけれども、完全なものであるのかどうかというのは検証が必要になってまいります。あと、これからどういうことが起こってくるのか、正直まだ全容が予測できておりませんので、これは事態をよく見てみたいと思います。避難元の方の財政状況がどうなるのかということをよく見てみたいと思います。

 その上で、おっしゃったような理論的な意味での調整が必要になることもあろうかと思います。その場合には調整を交付税措置などでしたいと思いますけれども、今の時点では余り具体的なことがまだ見込まれていないものですから、いささか漠としたことで、御疑問を抱かれるのはそのとおりだと思いますけれども、現状は、今私が申し上げたようなことであるということで御理解をいただければと思います。

柿澤委員 御答弁をいただきましたが、これは、特に地方税の税収というのはやはり行政サービスの対価として払っているというのが基本だと思いますけれども、その行政サービスが一部の方々にとってはその自治体から提供されないにもかかわらず、税収はそこに入っていく。それがあった場合にどう使うのかというと、どういうふうに使っても、それは正当化されないということにもなりかねません。

 さらに、もともと被災自治体は財政力が弱いところが多いので、税収がそんなには上がらないんじゃないかという話もありましたが、しかし、いろいろな交付金を考えたりすると、原発のおかげで不交付団体だったような自治体もあるわけですので、このことについては、残った、そこにあるお金をどうするのか。受け入れ先の自治体に幾らかの費用負担としてお送りをするのか、あるいは将来の自治体の復興に生かしていくのかということは、やはり制度をつくる時点で一定の整理が必要なのではないかなというふうに思います。

 きょうは厚生労働省においでいただいていますけれども、同じことで、介護保険のサービスについてはどうなるのかということをお伺いしたいと思います。

 千葉県の鴨川市が、地元の亀田総合病院のコーディネートで、いわきの百二十人の老健施設、小名浜ときわ苑というのを、地元にあったかんぽの宿鴨川で施設丸ごと受け入れて、これは鴨川方式と言われて大いに注目を集めました。この場合は、小名浜ときわ苑は、介護報酬を従前同様、いわき市に請求する、こういうことになっていたかと思います。

 一方、今回の法案では、先ほど申し上げたように、避難者に対する行政サービスの費用は受け入れ先の自治体が負担をして、国が後から補てんをするということになっている。鴨川方式はもともとのいわき市に請求をするという形ですから、違うわけです。

 今回の仕組みで、避難者が受け入れ先の自治体で介護保険サービスを受けた場合の負担はどうなるのか。先ほどのケースでいえば、負担をするのはいわき市になるのか鴨川市になるのか、見解をお伺いしたいと思います。

金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございましたケースにつきましては、住居を移していないということになりますので、そういった意味におきましては、保険者はもともとのいわき市ということになろうかと思います。したがいまして、介護保険の事業者はそちらの方に請求をしていただくということになろうかと思います。

 ただ、今回の特例法におきましては、事務の届け出というのがございまして、その事務の届け出をどのくらいの範囲でお願いするか、それによって多分変わってこようかと思います。事務の届け出として、今の例でいうと、いわき市から鴨川市の方に行くどのような事務があるかということでは、恐らく介護保険の認定に係る部分というのは、今現実にいろいろなところに住民の方が行かれている、そういったところで認定を受けるときに、認定の審査会をそこで設置しなければならない、それは場所もいろいろ分かれているというふうなことから、そこら辺に非常に困難を感じている、そのようなお話は私ども伺っております。

 そういったものを想定しておりますが、介護保険の保険料の徴収、あるいはそれに伴います介護事業報酬等の支払い、そういったものをどこまで事務の届け出として、今の例で申しますと鴨川市の方にお願いをするか、そういうふうなところにかかってこようかと思います。法律的な世界でいきますと、例えば介護保険の事務を全部向こうに移すということになりますれば、介護保険料の徴収でありますとか、あるいはそれに伴います事業費の請求とか、そういったものはすべて鴨川の方に移っていくというふうなことになるのかと思います。

 ただ、その場合、もともとのいわき市といいますか、避難元の市町村の方がどのような形で事務の申し出をしていくか、いずれにいたしましても、その段階でそういったものは十分調整されるべきものではないかと思いますし、また、国の制度におきまして、そのような場合にどのような形での財政措置がされるかということにつきましては、総務省あるいは私ども厚労省ともども、政府全体でまた考えていく課題かというふうに認識をしております。

 以上でございます。

柿澤委員 今、長々御答弁をいただいたんですが、今のお話を聞いていると、現時点でこのことについて全く整理がされていないということなんじゃないですか。これからやってみて、受け入れ先の自治体ともとの自治体の間で協議をして、どこまで必要かということを個別に考えて対処していく、その場合の費用負担についても今後協議の対象になる、こういうことであるとすると、全く何も決めないまま走り出すということになるんでしょうか。

 ほぼじゃない、すべての自治体においてこの介護保険サービスについては、沖縄とか九州に避難して、これはもう、もとの自治体が提供できるはずがないはずです。そういう中で、その事務をどうするのか、それに関する費用はどうするのかということはあらかじめ総務省と厚生労働省が協議をして決めておくべき問題ではないかというふうに思いますが、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

原口委員長 答弁を簡潔に。

金谷政府参考人 簡潔に申し上げますと、要するに、事務をどれだけお願いするかということによって決まってこようかと思います。

 ただ、介護保険サービス自体はサービス事業者が提供いたしますので、それぞれの避難先の地元において、事業所がどのようなサービスを提供するかということであると考えております。

 なお、現状におきましては、住所を移さない状況におきましても、現地におきまして地元の介護保険サービスを受けられる、そのような措置もしておるところでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 最後に、この点について、総務省さんは厚生労働省さんとやはり協議が必要だというふうに思いますが、この間、どのぐらいそういうことをやってこられたのかということと、今後に向けて、総務大臣の御答弁をいただいて終わりとしたいと思いますが、いかがでしょうか。

原口委員長 質疑時間が尽きています。簡便に答弁をお願いします。

片山国務大臣 厚労省とよく協議はしたいと思いますが、今回の特例法の中で、介護保険の保険者としての事務は特例事務の対象としては想定していないということであります。引き続き避難元の自治体が保険者となるということを想定しております。

柿澤委員 それで本当にワークするのかなというふうにも思いますが、この点については、今後も両省で協議を進められるということでありますので、その推移も見守りながらというふうに思います。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、小室寿明君。

小室委員 民主党の小室寿明でございます。

 私の地元島根県には、全国の原発で唯一、県庁所在地、松江市に原子力発電所がございます。一号機は四十六万キロワットで、運転停止中でございます。二号機は八十二万キロワットで、現在稼働中でございます。三号機百三十七万キロワットは、現在、ほぼ工事が完了して燃料装荷の一歩手前、起動まであと一歩のところまで来たところで、今回の原発事故が起きたということであります。

 私は、国が定めたEPZ、十キロのぎりぎりのところに住んでおりますけれども、今回の福島原発事故を受けて、多くの松江市民やさらに周辺三十キロ圏域の住民が、原発の安全確保や防災対策に非常に大きな関心を寄せております。

 私自身、発災直後、当日でありますが、県の原子力安全対策室に夕方行きまして、福島原発のスクラム、自動停止を確認いたしました。あとは冷やして閉じ込めるということだねと担当室長と話をしていたんですけれども、その後、全電源喪失により危機的な状況となったのは御承知のとおりでございます。

 私は、早くベントしろ、海水注入しろ、何やっているんだ、こういう思いでこの問題を注視してまいりました。先週の委員会視察を通じまして、福島第一原発事故に伴う、よもやの避難を強いられた市町村と受け入れ側の市町村のお話をお伺いして、一朝事があったときの現場の苦悩というのを改めて実感させられたところでございます。

 首長さん方からは、先ほど来お話があるように、原子力防災、原発の安全確保、住民の健康管理と除染、あるいは生活再建、地域復興など重要な指摘をたくさんいただいております。我が島根県、そして鳥取県の一部も含めた三十キロ圏には、福島原発の約三倍、四十六万人が居住をしております。他人事ではなく我が事として、事故収束や安全、防災対策、エネルギー問題に取り組んでいきたいと思っております。

 さて、本日は、議題となっております被災者生活支援、生活再建にかかわる課題について伺いたいと思います。七問用意しておりましたけれども、今までのところで五問ほど終わりましたので、残された二問についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどもお話がありましたが、この避難住民支援の特例法案につきましては、一体、避難住民は何人いらっしゃるのかというところからしてなかなか判然としないということがございます。

 十一市町村の十万六千人の方が、避難区域から九百七十三団体に避難をされている。四万九千人が県外。こういうことでございましたけれども、さて、四カ月たっておりますので、既に住民票を移された方も多数いらっしゃいますし、この法案の対象となるいわゆる避難住民という方は一体何人いらっしゃるのか、このことをお聞きしておきたいと思います。また、十分に把握できていないとすれば、今後どういうふうに把握をしていくのかということについてもお尋ねをいたします。

片山国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、まだ確定した数字は把握できておりません。

 避難元で今一生懸命把握をしていただいておりまして、そのための支援措置として、全国避難者情報システムをつくりまして、全国の自治体から情報を提供していただいているわけでありまして、実は、いまだに情報が提供されているような状態であります。もちろん大半の方は把握できているんですけれども、しかし、まだ情報提供が続いているということは完璧ではないということ。これを、最終的にある時点で、三月十一日時点の住民基本台帳と突合していくということになります。

 ただ、三月十一日時点の住民基本台帳が本当に居住の実態に正確であったかどうか、これも疑問なしとしない点がありますので、本当に最終的にすべて正確に把握できるというのは、ある程度、これから時間がかかるのではないかと思います。

小室委員 先般お話をお伺いした市町村長さん方にとっても、この法案ができてしっかりとした行政サービスが受けられるということは、いずれ帰るという前提の大きな希望になるというふうに思っておりますので、しっかり把握をしていただいて対処していただきたいと思います。

 財政支援など強い要望が寄せられておりましたが、先ほど来お話がありましたので、一括省略をさせていただいて一つだけ。

 いわき市の方から要望が出されておりました。双葉郡から一万三千人、避難の方を受け入れていらっしゃるわけですけれども、高齢者介護の受け皿である特別養護老人ホームなどの整備に財政支援をしていただきたい、こういうことでございました。現状でも千人の方が特別養護老人ホームに入居の待機をしている、これはいわき市の方でございますけれども、それに加えて新たに避難住民の方を受け入れられて、介護サービスの提供等については財政支援は受けられるということであろうかと思いますけれども、施設整備も含めた対策が必要だということだと思います。

 仮設住宅にもケアハウスやグループホームをつくっていただいた会津美里町の取り組みも紹介されておりましたけれども、そういうやり方もあるでしょうし、プラス、やはり介護基盤をきちっと整備するということも、総務大臣も意を砕いていただいていると思うんですけれども、ここは所管の厚生労働省にもそのお考えをお聞きしたいと思います。

金谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、特養等のいわゆる大規模な施設の整備ということでございますけれども、定員三十人以上の大規模な特養ホーム等につきましては、平成十八年度から税源移譲による一般財源化がなされておりまして、それに伴いまして、国庫補助を行うことはできないということは御理解をいただきたいと思うんです。ただ、それに対応いたしまして、国庫補助相当分につきましては、交付税で措置をされます特別の地方債という起債を措置されることになっておりまして、それによって財政措置はなされるということでございます。

 また、定員二十九人以下、いわゆる小規模の地域密着型の特別養護老人ホーム等につきましては、介護基盤緊急整備等臨時特例基金というのがございまして、そういったものを活用いただきまして、被災自治体のニーズに応じた整備を積極的に御検討、御活用いただきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも、そういった被災者の状況を十分にお聞きいたしまして、できる限りの対応を図ってまいりたいということでございます。

 以上でございます。

小室委員 一般的なお答えをいただいたように思いますので、交付税で措置をされるという枠組みにも変わっているということのようですから、そこはしっかり現場の意向を聞いて対応していただきたいと思います。

 最後、ちょっと通告しておりませんが、時間がありますので、私の方から一つ提案、提起をさせていただいて、御検討いただきたいと思います。

 経済産業省の風力発電系統連系対策技術検討委員長を務めていらっしゃいます横山隆一さんという早稲田大学の教授の方が、クラスター型のエネルギーシステムというのを提案していらっしゃいます。クラスター型、産業クラスターとかと言われますが、ブドウの房のような、そういうエネルギーシステムを今後つくっていくべきだということなんです。

 お話をお伺いしたときには、気仙沼の一部では四カ月たっても電気が来ない。大規模発電所に依存する現状では時間がかかってしまう。自治体ごとに、町の中心にガスタービン発電や風力、太陽光、バイオマスなどのエネルギー拠点をつくり、役場や病院等の電気や熱を賄う。一般家庭は電力会社から電力を買うんですけれども、いざ災害時には、電気や熱、通信をその拠点で確保できる。クラスター型、ブドウの房のような集まりのエネルギーシステムがあちこちにあれば、復旧が早く無駄のない需給ができるんだ。こういうお話でございました。まさに、防災拠点とはこのことであろうかと思います。

 今話題の、賢い送配電網、スマートグリッドを広げていくためにも、こうしたエネルギー拠点があちこちに存在するということは非常に重要な復興の観点ではないかと思っております。また、こうしたことが実現をいたしますと、平時のピーク電力を初めエネルギー消費の低減を図ることができる、このようにも思っております。

 六本木ヒルズには二万四千キロワットの自家発電、これはロールスロイス社製と伺っておりますが、ガスタービンで熱と電気のコージェネレーションを行っているとお聞きをしております。テレビ朝日も、いざ事が起こっても、電気供給が行われて放送が継続できるということにもなるわけです。

 私が伺ったスウェーデンなどでは、各都市にバイオマス利用のCHP、コンバインド・ヒート・アンド・パワーの熱電併給システムが置かれております。地域分散型のエネルギー拠点がそこかしこにあるということでございます。ただ、自社内だけのエネルギーセキュリティー対策でこうした自家発電をつくっておられるということですから、違う経営者である病院に電気も熱も届けるということになりますと、電力小売等の法律的な制約も出てくるわけでございますが。

 こうした点を踏まえて、今後、復興基本法に盛り込まれた特区の制度の活用などによって、エネルギーセキュリティーの高い防災拠点、市町村役場や病院等も含めた関連拠点形成を後押ししていただきたい、このように思うところでございます。

 済みません、これは通告をしておりませんでしたので、所感で結構ですので、総務大臣、防災担当ということもございましょうから、お聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 今次の災害の復興に当たりまして、各地域といいますか自治体単位で、いわゆる再生可能エネルギー、ローカルエネルギーを一つの核として地域再生計画をつくられるというのは、大変私は賢明なことだと思います。ぜひ、地域にありますエネルギー資源、風力でありますとか、海岸線ですと波力でありますとか、それから木質バイオマスでありますとか、畜産バイオマスでありますとか、太陽光はもちろんでありますけれども、そういうものをできるだけ取り入れてエネルギーの供給体制ができるようにすることが、今後の地域の安定、発展に必要なことだと思います。

 今後、復興の基本方針にのっとって、市町村単位で復興計画をつくられますので、けさの閣議後の懇談会でも議論をしたのでありますけれども、ぜひ、政府各省協力をして、市町村の復興計画を早くつくっていただいて、ぜひその中に今御指摘されたようなことを盛り込んでいただいて、それを支援するということが重要な課題になってくるだろうと私も認識をしております。

小室委員 終わります。ありがとうございました。

原口委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案に対し、稲見哲男君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。西博義君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 この修正案は、国は、この法律に定めるもののほか、東日本大震災の影響によりその属する市町村の区域外に避難することを余儀なくされている住民に対し、その要因が解消されるまでの間、地方公共団体が適切に役務を提供することができるようにするため、この法律の規定に基づく避難住民に係る措置に準じて、必要な措置を講ずるものとする規定を附則第三条として追加するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 初めに、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、稲見哲男君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための地方税法及び東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案に対し、古賀敬章君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

坂本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「福島原発事故」という。)被災地の市町村を始め東日本大震災に伴い、住民の住所地市町村の区域外への避難を余儀なくされている市町村が多数存在していることを踏まえ、被災市町村住民に対する行政サービスの停廃を招くことのないよう、本法の趣旨に即し、最大限の配慮を行うとともに、被災地市町村の行政サービスの補完に努めること。

 二 避難住民の届出については、避難住民の置かれている状況を踏まえ、避難先団体による受付を認めるなど、その便宜が図られるよう努めること。

 三 避難住民に係る事務処理の特例制度の円滑な実施を図るため、指定市町村の指定や特例事務の届出、告示等の事務が可能な限り迅速に行われるよう努めること。

 四 本法により国の財政上の措置を講ずるに当たっては、対象団体の実情を十分に踏まえ、必要かつ十分なものとすること。

 五 福島原発事故被災地への避難者の帰還を促進するため、指定市町村の特定住所移転者に係る施策の実施を支援するとともに、福島原発事故の早期収束と放射能汚染された周辺環境の復元、地域経済の復興と雇用の確保等の施策の展開に最大限の配慮を行うこと。

 六 東日本大震災に係る避難者に対する役務の提供に関する措置を講ずるに当たっては、指定市町村以外の指定都道府県内の市町村の住民のうち福島原発事故災害の発生を受けて当該市町村の区域外に自主的に避難している住民の実態を早急に把握し、適切な対応に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。片山国務大臣。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするという住民主体の発想に基づき、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進に向けて取り組むことが求められております。

 本法案は、昨年六月に閣議決定しました地域主権戦略大綱を踏まえ、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、都道府県の権限の市町村への移譲を行うとともに、地方公共団体に対する義務づけを規定している関係法律を改正する等、所要の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民に最も身近な行政主体である市町村が地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにするため、都道府県の権限を市町村へ移譲することとし、関連法律の改正を行うこととしております。

 第二に、地方公共団体の自主性及び自立性を高めるため、地方公共団体に対する義務づけを見直すこととし、地域主権戦略大綱において示された項目その他所要の事項について、関連法律の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


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