衆議院

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第2号 平成23年10月27日(木曜日)

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平成二十三年十月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 内山  晃君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      磯谷香代子君    小原  舞君

      大泉ひろこ君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    川崎 二郎君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      主濱  了君

   総務大臣政務官      森田  高君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  佐川 宣寿君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    伊奈川秀和君

   政府参考人

   (内閣府地域主権戦略室次長)           渡会  修君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           花岡 洋文君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     中後  淳君

  杉本かずみ君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     杉本かずみ君

  中後  淳君     後藤 祐一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官佐川宣寿君、内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官伊奈川秀和君、内閣府地域主権戦略室次長渡会修君、総務省自治行政局長久元喜造君及び国土交通省大臣官房審議官花岡洋文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野木実君。

野木委員 おはようございます。民主党の野木でございます。

 川端大臣を初め、副大臣そして政務官の皆さん、御就任おめでとうございます。

 それでは、早速ですが、所信に対する質問をさせていただきます。

 今回、第三次の補正予算で、第一次、第二次を含めて、復興復旧事業に対する地方の負担をゼロにしたということは、極めて地方にとってはありがたいことだし、歓迎をされていることだと思います。あわせまして、今回、弾力的で、かつきめ細やかな対処をするために、取り崩し型の復興基金を県が希望すれば創設するということになっております。

 そこで、まずこの基金についてお尋ねをしたいと思います。

 弾力的かつきめ細やかということで、多分、各地方の裁量権をかなり認めた形での設立だと思いますが、その具体的な内容をまずお尋ねしたいと思います。

 特に、この手の基金で今まで問題になっていたのは、ほかの補助金で手当てをされていると、これは使えませんよという制約がつく場合がありました。この辺についてどうなのか。

 それから、この交付金をどういう形で配分していくのか。もしどこかの県がこれは要らないよと言った場合は、予算の範囲内でほかへ配分を移していくのかどうか。

 それから、この基金の運用の主体をどこにするのかということであります。県が直接やるか財団みたいなものをつくってやるか、どういうことになるかわかりませんが、いずれにしても、多分、県が主導的にやると市町村への対応が極めて厳しくなるというのが今までの例でありまして、この辺についても、かなり自由に裁量していただいて、市町村への対応を緩やかにしていただきたいな、その辺についての考えをお願いしたいと思います。

 また、設置をする場合には、議会での予算措置あるいは条例の措置等々が必要になってくると思いますが、それらを含めて、交付の時期がいつごろになるのか。

 この点についてまずお尋ねをしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 たくさんのお問いでしたので、抜けたらまた御指摘をください。

 御質問の件でありますけれども、今度提出いたします第三次補正予算において、東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分については、地方交付税を一兆六千六百三十五億円増額するなどにより、御指摘いただきましたように、個々の被災団体の負担をゼロにすることといたしました。

 これにあわせて、地域のさまざまなニーズに単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細かに対処できる資金として、東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体である九県が取り崩し型の復興基金を設置することとなる場合について、特別交付税により財源措置を講ずることといたしました。

 各県の交付税の措置については、青森県八十億、岩手県四百二十億、宮城県六百六十億、福島県五百七十億、茨城県百四十億、栃木県四十億、千葉県三十億、新潟県十億、長野県十億円を予定いたしております。

 この総額千九百六十億円というのは、これと対応する阪神・淡路大震災復興基金の実績、これは果実をとるという基金で、仕組みは違いますけれども、実質的な措置額九百六十億円の二倍を超えるものであります。

 これは、いわゆるいろいろな事業で復興復旧を支援する以外の部分でありますので、阪神・淡路大震災でいろいろやられた事業、そして今回全体でやる事業、それからそれぞれの地方の財政事情を勘案して、各地域における復興復旧ニーズに対して相当程度の対応ができると考えております。

 御指摘のような国庫補助事業の補完的な事業への活用を含め、基金を具体的にどのように使うかについては、交付税は基本的には使途に制限のない一般財源でありますので、各県の判断にゆだねられるところでありますし、地方公共団体が行う補助というのは、何でもいいというわけではなくて、公益上の必要がある場合に認められるというのは当然のことでありますが、適切にされるものというふうに思っております。

 そういう中で、県に対する措置でありますが、基金規模の算定に当たっては、市町村の財政需要、市町村それぞれの御要望もありますので、ここも踏まえて計算をいたしておりますので、きめ細かな事業に対応するという意味で、市町村事業に十分配慮した運用を期待しております。県が主体でありますけれども、そういうことを期待しております。

 この趣旨は各県にお伝えしておりますので、基金の運用のあり方については、それぞれの県と市町村で十分に話し合っていただけるものというふうに思っております。

 時期がいつごろかということでありますけれども、基金の設置は、予算、条例等で明らかになった段階で、要するに、きちっと確定した、仕組みができたという段階で速やかに交付する予定でありますけれども、一般的には十二月の県議会が多いようでありますので、基本的には十二月に交付できるということを念頭に、速やかにできる準備は進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

野木委員 ありがとうございます。

 次に、地方主権改革の推進ということで、全般についてお尋ねをしたいと思います。

 政権交代後の地域主権改革は、一丁目一番地という位置づけをしてまいりました。国が地方に優越する上下関係から対等なパートナーシップの関係へ基本的に転換をしていく、その上で、国民主権の原理のもと、主権者たる国民がみずからの責任で地域をつくっていくという理念でこのプランが立てられたわけであります。

 現在、義務づけ・枠づけの見直し等は、もう法令も通っていますし、自治体への権限移譲、補助金の一括交付金化、あるいは国の出先機関の改革等々、それぞれに進捗をいたしておりますが、現在の進捗状況を踏まえつつ、今後の国と地方との関係、あるいは地方のあるべき姿ということについての大臣の御所見を承りたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民の皆さんが責任を持って決められるようにするための改革という理念でございまして、新しい国の形をつくるための重要な改革であって、政権交代以降、着実に成果を上げてきているというふうに考えております。

 義務づけ・枠づけの見直し、基礎自治体への権限移譲については、ことしの四月に第一次一括法、八月に第二次一括法がそれぞれ成立をいたしました。引き続き、第三次見直しとして、さらなる見直しを現在検討しているところでございます。

 補助金等の一括交付金化については、今年度から地域自主戦略交付金制度を導入してスタートいたしました。今後、地域主権戦略大綱等を踏まえて、投資補助金の市町村分等の一括交付金化を現在検討いたしております。

 出先機関の原則廃止については、出先機関の原則廃止に向けての行動計画がアクション・プランという形で決定をされております。これに基づきまして、地域主権戦略会議のもとに推進委員会を設置して、事務、権限の地方への移譲の推進の検討を行っているところであります。

 十月二十日に、先般でありますが、地域主権戦略会議を開きまして、野田総理から、アクション・プランは政府として決定した方針であり、次期通常国会に法案を提出するとの強い意思が表明をされ、翌日の閣僚懇談会で、広域連合への移譲に向けて早急に議論を集約するよう、総理から関係大臣に積極的な取り組みの指示があったところでございます。

 地域主権改革は、野田内閣においても最重要課題の一つであり、総理のリーダーシップのもと、政治主導で強力に取り組みを推進してまいりたいと思っております。

野木委員 次に、昨日も内閣委員会でも問題になったようでありますが、国家公務員の給与についての基本的な考え方をお尋ねしたいと思います。

 言うまでもなく、人勧は、公務員の基本的権利を制約する裏負担といいますか、これを保障するための制度としてここまでずっと運用されてきました。今回、臨時特例法案が出ておりまして、この法案が通って法案どおり七・八%ということを実行することになると、やはり基本的には、労働者の基本権をどう守っていくのか、そこには労働協約の締結という問題も出てくるでありましょう。

 その辺を含めて、基本的に国家公務員の今後の給与のあり方をどういうふうに考えていくか、またこの問題が地方にどういうふうに影響を及ぼしていくかということを含めて、大臣のお考えをお尋ねしたいというふうに思います。

川端国務大臣 今回の東日本大震災はまさに国難とも言える未曾有の大事でありまして、厳しい財政状況の中でありますが、最大限の対応をしてまいりたいという中で、給与の臨時特例法においては、こういう厳しい経済状況であるということで、極めて臨時特例、異例のことでありますけれども、国家公務員の皆さん、仕事を懸命に頑張っていただいている皆さんに身を切る思いで七・八%の減額をしていただくという法案を国会に出していることは御案内のとおりであります。

 一方、言われたように、労働基本権の制約の代償措置としての人事院勧告があるという中でありますけれども、この議論はまたいろいろな議論があると思いますけれども、政府としても今、その部分に関して、一定の取りまとめの方向を持ちながら協議をしているところであります。

 一方で、かねがねの議論としての自律的労使関係のあり方ということが議論をされ、政府としては、先般、国家公務員制度に関する改革の関連法案を国会に提出しているところでありまして、基本的には、自律的に労使関係で労働条件等は決めていくという仕組みを持っていくのが望ましい形であろうという思いの中で提案をさせていただきました。

 両法案ともに既に政府として意思を持って国会へ出しましたので、いずれも国会でできるだけ早く成立させていただきたいというふうに思っております。

 こういう中で、これから、労使で協議をしていっても最終的には法律で、給与は給与法で決めなければならないということでありますので、自律的労使の中で、国民世論、世間の状況、民間との関係を含めて、この法案が通れば、将来的にしっかりとした健全な労使関係が築かれていくということを期待しておるところであります。

 地方においては、地方自治法に基づく地方としての関係の中で、それぞれが地域の事情に応じていろいろと決めていっていただいているということでありまして、これはこれでしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

野木委員 時間がありませんので、最後の質問は問題提起だけさせていただいて、今後の議論にさせていただきたいと思います。

 それは、地域を守っている消防団員が極めてここのところ減っているという実態であります。

 平成二年には九十九万七千人、百万人ぐらいおりましたが、二十二年では八十八万人というふうに減少いたしております。先般の大震災のときも大変な御活躍をいただき、命を落とされるような不幸な事態もありました。御冥福をお祈り申し上げるとともに、その仕事に対する使命感の強さ、これがやはり地域の安全を守る大変大きなかなめになっていたのではないかと思います。

 それで、今後この消防団員をどうやってふやしていくかということの手法が、いろいろそれぞれ地域で工夫はされておりますが、ある意味で、報酬じゃない、お金じゃないという考え方、とうとい考え方がありますけれども、やはりその辺の裏打ちもしておかないとふえていかないんじゃないかなということを考えております。

 したがいまして、今後、国として消防団員をふやすための施策というものを御検討いただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、台風十二号、私の地元の和歌山県、それから奈良県、三重県初め、大変な被害であったわけであります。その中で、激甚災害指定をしていただいて、今その復旧、対策を進めていただいているわけなんですが、ただ、今もせきとめ湖の問題とか、あるいは、復旧途上にあるということで、先日も、大雨注意報が出るだけで避難勧告、そういうことをしないといけないという状態が続いております。それだけに、関係自治体に対しまして今後も政府として全面的な支援をよろしくお願いしたい。このことは要望しておきますので、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、今も少しお話が出ましたけれども、人事院勧告、新聞報道によると見送るということでございます、そういうことに関しまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、さきの臨時国会、我々自民党は、提出されておりました給与の臨時特例法案の継続に反対をいたしました。その前の通常国会では賛成したんですけれども、臨時国会で反対をした。それはなぜかといいますと、人勧が出たということでありますね。それだけに、公務員の給与についての政府の考え方をもう一度整理して、その上で法案を提出していただきたい、そういう思いで継続に反対をしたわけであります。

 その後、今大臣からはまだ最終決定ではないような御答弁がございましたけれども、新聞を見ておりますと、やはり見送って、この出ております給与の特例法案を優先させたい、そういうことが報道されておるわけであります。

 しかし、人勧を見送ることになると、本当に異例の措置ということになるんだろうというふうに私は思います。今まで、昭和五十七年に一度、給与の引き上げを見送ったときには、訴訟にまで発展したということであります。

 今回は、もう一つの問題は、引き下げなんですね。これは国民の側から見ると大きな問題ですよ。引き下げるのになぜ人勧は実施しないのかということになるわけなんですね。ですから、そういう観点で、これは非常に大きな問題をはらんでいるというふうに思います。

 まず最初に、なぜ見送るのか、そのことの理由を、決定されていないということですけれども、新聞報道されているわけですから、御説明をいただきたい。それから、新聞報道の中にはこのように言われているんですね。政府関係者は、政権にとって、人事院勧告には従わなかったという形をつくることに意味があると述べ、異例の措置が含む政治的な意図をにおわせる、こういう報道をされているわけですよ。これは意味は何なんですか。わからないと言われるかわかりませんが、先ほども言われましたように、労働組合とのいろいろな話し合いの中でこういうことが報道されていると思います。このことも含めて、なぜ見送るのか、御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 政府としては、今回の人事院勧告の取り扱いについて、十月四日と二十五日、給与関係閣僚会議を二回開催して協議を行っているところでありまして、できるだけ早急に関係閣僚会議の中で意見を取りまとめたいというふうに思っている段階にあることは、まず冒頭申し上げておきたいと思います。

 そういう中で、二十五日、一昨日の会議においては、既に提出している給与臨時特例法案の早期成立を期して最大限の努力を払うこと、それから、今回の人事院勧告の内容及び趣旨は給与臨時特例法案の内枠であると評価することができると考えられるので、次回の給与関係閣僚会議までの間にさらに精査を行い、本年の人事院勧告を実施するための新たな法案は提出しない方向で検討を進めること、この二つを確認いたしました。

 早期に再度給与関係閣僚会議を開いて、その整理を踏まえて国家公務員の給与の取り扱いについて結論を出すこととなっておるところでございます。

石田(真)委員 昨日も内閣委員会でこの議論がされたようで、新聞報道がされていまして、藤村官房長官は、今大臣がおっしゃられたように、特例法案は勧告の趣旨を内包している、このように言われたわけであります。大臣自身も、記者会見でもそういう趣旨のことを確認されたということであります。

 それで、人事院総裁にきょうはお越しをいただいて、お伺いをさせていただきたいんです。

 まず、きのう、勧告が尊重されなければ憲法に抵触する問題が出てくるという旨の答弁をされておられます。それはもうお聞きをしていますからいいんですが、人勧を実施することと、今言われた給与特例法案の内枠あるいは内包されていると考える、これには違いがあるんだと思うんですね。具体的に、どういう違いがあるのか、そしてどこが問題なのか、総裁からお聞かせをいただきたいと思います。

江利川政府特別補佐人 この件に関します人事院の基本的なスタンスでございますが、人事院としましては、人事院勧告は国家公務員の労働基本権の一部を制約することに対する代償措置ということでありまして、憲法にかかわる制度でございます。そういう意味で、これは尊重し実行していただくというのが基本である。ただ、一方でまた東日本大震災という未曾有の国難があります。そういう未曾有の国難に対処するに当たりましては、必ずしも一般論だけでは通用しない側面があるのではないか。

 この問題について、財源の確保の一環として公務員人件費をどう見直すかが議論されておりますが、そういう観点から、これは別個に考える問題ではないかというふうに考えている、それが人事院の基本的なスタンスでございます。

 御質問の、内包されているかどうかということでございますが、これについては次のように考えております。

 繰り返しになる点もありますが、人事院勧告による給与改定は、労働基本権制約の代償措置として官民給与の均衡を図ることを目的としているものでございます。それに対しまして、臨時特例法案は、厳しい財政事情及び東日本大震災に対処するために公務員の人件費を削減することを目的とするものでございます。

 例えが適切かどうかわかりませんが、年金も医療も保険料を取るわけでありますが、年金の保険料を取れば医療の保険料は要らないかというと、そういうことではなくて、それぞれ制度の目的があるわけであります。今申し上げましたように、人勧制度の目的と特例法案の目的は、趣旨、目的が全然違うわけでございまして、趣旨、目的が違うものについて、どっちかがどっちかを内包するというふうな議論は起こり得ないものというふうに私は考えております。

 また、内容についてでございますが、本年の人事院勧告は、内容的には二つ大きな柱がございます。一つは、官民の給与水準の均衡を図るということで、民間調査をいたしました結果、民間に比べて公務員の給与が平均〇・二三%高いと出ましたので、その分を引き下げる改定を行う。これは、民間に準拠して、民間に合わせるということでございます。そしてまた、民間と公務員の給与を比較しますと、高年齢の人が高いというのが出ておりますので、この引き下げに当たりましては、四十歳代以上で行いまして、五十歳代の人には〇・五%の引き下げを行う。これは、係員であろうとも係長であろうとも課長補佐であろうとも課長であろうとも、五十歳以上の人を引き下げるということで、年齢に着目した引き下げでございます。

 それと、二つの柱のもう一つは、給与構造上の不公正を是正するということでございます。

 平成十八年度から実施しました給与構造改革の際に、現給保障という経過措置を講じました。五年以上たちました現在におきましても、全公務員の二割の人が受けているわけでございます。その受けている額は平均して一万円ぐらいありまして、今回の人事院勧告は八百九十九円の引き下げを行うわけでありますが、それの十倍以上大きな金額が平均して受けられているわけでございます。これを二年間かけて是正する。

 その経過措置のための財源は、全体の給与の引き上げを抑制する、昇給を抑制することによって財源を出しておりましたので、この経過措置を廃止することによって出てくる財源につきましては、若い人あるいは中年層を中心に昇給の抑制を回復させる、しかるべき水準に戻させる、そういう形で不公正是正をやろうということを考えているわけでございます。

 一方、特例法案の方は役職段階別でございますね。課長は一〇%、課長補佐、係長は八%、係員は五%削減するということで、いわゆる役職によって削減するものであります。これは、震災の財源をどう出すか、公務員給与をどう削減するかという観点に立てば、責任の重たい人に多く負担してもらうということはある意味で当然考えられる考え方でございますので、その考え方と、民間給与に合わせるという人事院勧告の考え方は、趣旨が全然違うわけでございます。

 こういうことでありますので、特例法案では年齢別の官民給与較差の是正という観点は入っておりません。それからまた、経過措置を是正する、現在一万円以上較差のある給与構造の不公正を是正するという観点も入っておりません。それからまた、特例法案は二十五年度までの時限立法でございます。二十五年度が過ぎますと、今回の人事院勧告の反映されていない現在の給与法に戻ることになっております。

 そういうことからも、制度の趣旨、目的からも内容面からいっても、今回の人事院勧告がこの中に含まれるということは考えられないというふうに私は思っております。

石田(真)委員 総裁から詳しいお話をいただいて、本当にありがとうございます。

 今、きのうの官房長官もそうですけれども、川端大臣の御答弁と、人事院総裁の見解が違うわけですね。

 それで、私は、こういうことは考えられないのかということをお聞きしたいと思います。

 つまり、給与特例法案で平均七・八%引き下げるということなんですけれども、全体像はそうして、まず人事院勧告分〇・二三を実施する、そして、これは数字上の問題で非常に難しい問題はあるでしょうけれども、七・八%から〇・二三を引いた分を今度給与削減法としてやる、そして合わせた全体を東日本の復興財源にする。

 そういうふうにするということは、私は、まず法律をきちっと守るということが政府として大事なんですよ。今、総裁もいろいろ言われましたけれども、やはり基本は守る。その中で、震災対応をどうするか、国民の要請にどうこたえるか、そのあたりをきちっとやっていくということなので、私が今申し上げたようなことはできないのかどうか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 人事院総裁もいろいろ御説明をされました。人事院勧告は、労働基本権の代償措置であるということで、極めて重いものであり、最大限尊重しなければならないのは当然のことでございます。総裁もおっしゃいましたように、一方で、東日本大震災で、国難とも言える事態に公務員がみずから身を削って財源捻出に協力していただくということとは趣旨が異なることは事実でございます。

 一方で、総額でいいますと、〇・二三%と七・八%という分の、額ということでいえば、はるかに上回る分の拠出をいただくということであります。数字的には、総額的にはそういうものを内包している、目的、趣旨ということではなくて、結果としてはなっているという判断を一つ考えておりますと同時に、賃金カーブの官民較差、年齢間較差のフラット化という年齢に着目した部分と資格に着目した部分の仕組みは異なっておりますが、個々に言いますとあれですが、年がいくほど資格が高くなるというのが一般でありますので、そういう意味では、五%、八%、一〇%という傾斜をつけることによって、結果としては、賃金は年齢間で一般的にはフラット化する効果もあるということも含めて、今、政府としてそれぞれの部分で精査をして、内包できるのではないかという議論をしているということは、前段御理解いただきたいと思います。

 今先生御指摘の案は、一つの考え方ではあろうというふうに思います。ただ、一〇%、八%、五%ということでしたら、それぞれの役職者あるいは役職にない者の部分は、一般的に生活する水準のぎりぎりの設定として、これ以上するといわゆる下げ過ぎることになるのではないかという設定をしたので、結果として七・八%になりました。

 そういう意味では、ぎりぎりの減額をしたときに、個々に計算しますと適当でない問題、例えば人勧実施で全般的に若い人で〇・四%下げて、後、七・七%下げたというときに、例の経過措置の部分を一万円下げますと、若い人で十万円ぐらい、一〇%以上下がってしまうということが起こりますので、そういう意味も含めて、トータル、内包した形として一体でやるのが一番適切であるという判断を現在のところはしております。

石田(真)委員 今の大臣の答弁は納得できないですね。総額と言われましたよ。それは、二千九百億、二年間で六千億と、一方は百二十億と、新聞にもよく出ていますよ。

 しかし、私は、総額は確保しろと言っているんですよ。まず〇・二三やったらどうですか。簡単に言うと、それで百二十億円確保したらどうですか。そして、残りの部分は給与特例法案でやればいい。二千九百億から百二十億引いた分ですよ、二千七百八十億、それは給与特例法案で削減したらどうですかと言っているわけですから、総額の議論は全く当たらないわけなんですね。それで下げ過ぎになるということにはならないですから。

 きょうはもうそんな議論をやっている間がないので言いませんけれども、もうちょっと中身を精査したものをきちっとやってもらわないと、大まかな議論ではこれは通りませんよ。憲法にかかわると言われている問題を今みたいなあいまいな形でクリアできていくと思ってもらったら、これは困りますよ。

 次に、地方への影響についてお伺いしたいと思います。

 これは、大臣、地方公務員の給与にどういう影響を与えると考えておられるかということです。

 人勧実施分〇・二三、これは、国、今の政府であれば実施しないと言っているわけですよ。一方で特例法案を実施すると言っているんですよ。地方はどうするんですかね。

 先ほど、地方は地方で、地方の実情に応じて決めるということですが、前原政務調査会長はNHKの討論会で、国、地方にかかわらずやっていかなければならないと、東日本大震災の復興財源を捻出するための公務員人件費削減について述べられたということなんです。

 地方への影響、そして政調会長の発言、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 後段の政調会長の御発言は、私はテレビを生で見ませんでしたが、そういう報道があったことは承知いたしましたが、正式に党としての御意見としてそういう御意見を伺ったことは、現時点においてございません。

 地方公務員の給与については、先ほど申し上げましたように、地方公務員法の趣旨に沿って、それぞれの地方公共団体において、議会で十分議論の上、条例で定められるという仕組みでございます。したがって、総務省としては、今回の国家公務員の給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に対して要請すること、あるいは地方交付税の減額により強制することは考えておりません。

 地方公務員の給与については、引き続き各地方公共団体において、国民、住民の理解と納得が得られるよう、情報公開を徹底するなどの自主的な取り組みを進めながら適切に決定することが肝要であると思っております。

石田(真)委員 政調会長の発言を党としての正式な御意見として伺っていないということですが、民主党はこればっかりなんですよ。テレビとか人の前でええ格好を言うんですよ。ところが、実際はしないんですよ。

 この間も、果樹議連というのがありまして、地元へ行ったらみんな、果樹も戸別補償しますと言うと言うんですよ。しかし、大臣とか農水省へ確かめたら、そんなことできませんと言うと言うんですよ。これは何遍も言っているんですよ。衆議院のときにも言った、参議院のときにも言った。この間青森の人が、知事選挙のときにも言ったと言っていますよ。どっちが本当なんですかということですよ。

 テレビの正式なNHKの討論会で発言する、それは個人の発言じゃないでしょう。そんなことでこういう答弁をしてもらったら困るんですよ、テレビを見た人はみんなそう思うんだから。そうでしょう。ああ、民主党はちゃんと地方公務員の給与もカットするんだな、そう思っているんですよ。今みたいな答弁だと、それはちょっと困ります。

 しかし、次に行きます。

 財務省、見えていただいていますか。今大臣が言われました、地方は地方でということですから、国と地方の対応が変わるという場合がありますね、公務員給与について。この間新聞にもちょっと報道されていましたけれども、その場合、義務教育費国庫負担また地方交付税への人件費算入に当たって、給与特例法案の削減分また人事院勧告の削減分について財務省は一体どう処理されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

三谷大臣政務官 地方公務員を含めた全体の人件費については、野田総理がかねてより、公的部門全体での取り組みが必要であるということを言われております。

 地方公務員給与については、先ほども総務大臣がお話をされたとおり、基本は地方公共団体において考えていただくものであります。また、野田総理は先日の国会で、地方公共団体において、国家公務員給与の改定を参考に的確に対応されるものと期待している旨答弁をされております。

 御指摘の地方公務員給与に係る地方交付税等の財政措置については、義務教育国庫負担金の取り扱いも含め、総務大臣初め関係閣僚及び関係省庁とよく協議をしながら、予算編成過程において適切に対応してまいりたいと考えています。

 いずれにしましても、まずは、今国会提出中の給与臨時特例法案の早期成立を期待しています。

石田(真)委員 政務官に来ていただいているから、再質問したくないですけれども、今の答弁じゃちょっと困りますね。

 地方は地方で的確にということです。それでは、それを尊重するんですか。ということは、地方の措置を国は認めるということなのかどうか。今後調整するというふうに逃げたらだめですよ、地方が困りますから。どうするんですか。国としての方針をぴしっと出すのか、地方が決めたら地方のとおりやるのか、どっちですか。

三谷大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、基本は地方公共団体において考えていただくものだと承知をしております。

 ただ、財政措置については、義務教育国庫負担金も地方交付税の財政措置についても、予算編成過程において、総務大臣初め関係閣僚ともよく協議をしながら適切に対応してまいりたいと考えています。

石田(真)委員 いや、それは物すごく大きな額が変わってくるんですよ。そんなことを今はまだ全然議論もしないし、財務省としての考え方は出せないんですか。これはまた別の機会で幾らでも議論できますから、この問題だけにかかずらわっているわけにいかないので、それはそういうことにします。またその問題はやります。

 財務省、今みたいな答弁では通りませんよ。それはわかりますよ、政府全体としての調整をせんならぬからね。しかし、この間新聞報道されていたことと全く違うじゃないですか。国民は新聞報道を見て、ああ、こうかなと思うんですよ。さっきから言っていることと一緒なんですよ。片一方でいいことを言っていて、片一方で違うことをやるんですよ。そんな政治はだめですよ、はっきり申し上げて。

 これはこれとして、次の問題へ行きます。

 給与特例法案と公務員制度改革関連四法案、この問題についてお聞かせいただきたいと思います。

 国家公務員制度改革基本法、平成二十年に成立しました。ここではどういうふうに書かれているかというと、「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置する」と定めているんですよ。これは二十年にできた法律ですよ。

 それに基づいて今度の国家公務員制度改革関連四法案が出ていると思いますが、今まで、現行制度、人事院勧告制度、代償措置のどこに問題があるのか、変えればどのようによくなるのか、そういうことについて、どんな形で国民に全体像を提示し理解を求めてこられたのか。また、今ギリシャで公務員の大混乱が起こっていますけれども、国民の理解は得られたと思って法案を提出されているのか。見解をお伺いします。

園田大臣政務官 石田先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十年、改革基本法が、自民党さん、公明党さんそして民主党の三党の中で協議をさせていただいて、また国会でそれが成立をしたという経緯がございました。

 その十二条の趣旨を私どもは踏まえさせていただきまして、自律的労使関係制度の構築の目的、制度の概要、そして今先生御指摘のあった便益、費用等を盛り込ませていただきました改革素案というのをまずまとめさせていただきました。

 加えて、昨年の年末でございますけれども、有識者による国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会、いわゆるスト懇というふうに言われておりましたけれども、それにおいて取りまとめられました報告を参考資料といたしまして、昨年の十二月二十四日から本年の一月十四日までの間に、まずパブリックコメントを実施させていただきました。このパブリックコメントにおいて示された国民の御意見も踏まえまして、先ほど申し上げた改革素案をもとに、さらに具体的な制度設計の作業を進めさせていただきまして、本年の四月五日に全体像をお示しさせていただき、本部決定というふうにさせていただいたところでございます。先ほど申し上げた改革素案と相まって、この基本法の第十二条における全体像にこれは相当するものであるというふうに考えておるところでございます。

 また、改革の全体像に沿いまして法制化作業を進めてまいりました。今回の自律的労使関係制度の措置に関する法案を、四法案でございますけれども、提出へと至った次第でございます。

 このような手順を丁寧に丁寧に私どもは踏ませていただきまして、先生御指摘の十二条の国民の理解のもとにという形に沿った対応を講じたものというふうに思っております。

 いずれにしても、先般大臣もお答えをさせていただいておりますけれども、当然ながら、民主的な国家の法制の中においては、主権者たる国民の代表者である国会における審議の後にこれが最終的に合意なされれば、国民の理解という形になっていくものではないかというふうに考えておるところでございます。

石田(真)委員 今御説明いただきましたけれども、私は、国民の大半はそのことを知らないと思いますよ。人事院勧告制度というのは戦後できたんですよ。もう何十年続いてきたんですよ。それを、ほんの少しのパブリックコメント、そういうことだけで変えていく。ちょっと民主党は前のめり過ぎるんじゃないですか。もうちょっと丁寧に国民的理解を得る、そういう方法をとられた方がいいというふうに私は思います。ほとんどの国民の皆さんは御存じないと思いますよ。

 さて、それはそれとして、次にお聞きしたいのは、給与特例法案それから公務員制度改革関連四法案を提出するに当たって、交渉された団体の名前と合意された団体名をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 給与臨時特例法案の検討に際して交渉を行ったのは、公務員労働組合連絡会及び日本国家公務員労働組合連合会であります。そのうち合意に至ったのは、公務員労働組合連絡会でございます。

石田(真)委員 その二つの団体ですね。そのうちの一つが合意されて、一つは合意されていないということですね。

 それでは、その合意された組合との合意の内容をお聞かせください。

川端国務大臣 給与臨時特例法案の検討に際して、当方が公務員労働組合連絡会に提案し、合意に至ったのは、一般職国家公務員の、一つは俸給月額をその職責に応じて五ないし一〇%削減すること、二つ目、期末・勤勉手当を一律一〇%削減すること、三番目、平成二十五年度末までの措置とすること等、給与臨時特例法案の減額支給措置の内容について合意をいたしました。

石田(真)委員 ちょっと違うんですよね。

 ここに、日本労働組合総連合会事務局長南雲さん名の「平成二十三年人事院勧告についての談話」というのが九月三十日に出ているんですよ。それから、今言われた公務員労働組合連絡会、これが出ているんですね。

 そこの文言の中にこんなふうに書いているんですよ。六月十日に連合に対し官房長官と関係大臣から政府公式見解として表明された、一番は、簡単に言うと、公務員制度改革関連四法案と給与特例法案の扱いについては、一体不可分である、政府・与党一体となって全力でその実現を図る、そう言われています。それから、消防職員に団結権を付与する。三番目、人件費引き下げについては、合意どおり地方公務員には波及させない。こういうことが政府公式見解として出されたということを書いているんですよ。

 もう一個、別のところには、今回、本来の姿を先取りした形で交渉を行っており、そのことの意味は相当重い、労使交渉により給与改定が行われた場合には、それを踏まえて対応していきたいと政府は約束したと。また、政府は、地方公務員の給与について、財政上の措置を含めて、国家公務員給与引き下げの影響を遮断することを明確に確認したとあるじゃないですか。

 こういう約束をしたのかどうか、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 今引用されたのは、九月三十日の南雲さんのということでよろしいですか。(石田(真)委員「はい」と呼ぶ)

 これは人事院勧告についての談話ということで、いわゆる連合の事務局長南雲さんから言われた部分は、政府は云々ということで書いてありますが、経過で申し上げますと、合意というものは、先ほど申し上げた給与法の中身のことに関して合意をされました。

 そして、これは連合のホームページにも載っておりますが、公務員連絡会としては、両法案を同時成立させること、あるいは地方公務員への影響遮断等々を明確化すること等の御主張がございました。そして、政府としては、両法案は同時に提出したい、両法案とも今国会で同時に成立できるよう全力を尽くしたい旨の意見表明をいたしました。

 その他、地方公務員の給与は、それぞれの自治体において、現状の給与水準をにらみながら、労使間で話し合って、その上で自治体と議会で決定されるべきもので云々ということで、これは合意以外の、要望とそれに対する見解のやりとりでございまして、その部分を集約して連合としては報告されたことで、御指摘のように、合意をしたということではないことだけ申し上げたいというふうに思います。

石田(真)委員 それでは、ここに書いていることは守らないこともあるということですね。

川端国務大臣 そういう御主張をされて、それぞれに我々の政府としての基本的な考えを申し上げたということでございます。

石田(真)委員 もう一度言っておきますけれども、ここには「官房長官と関係大臣から政府公式見解として表明された」と書いているんですよ。それから、もう一つは「明確に確認した」と。こういうことは、それは民主党政府と連合のことですからあれですけれども、やはり重いと思いますよ。今大臣が言われたようなことになると、これからもいろいろな問題が起こるんじゃないかなと御心配をします。

 それはそれとして、もう時間がないのでお伺いしますけれども、またここに、先ほど引用しましたように、書いておりました。公務員制度改革関連四法案は成立していないんですよ。成立していない段階で、先取りとして労使交渉をして、あげくに、法に基づいた人勧を守らない。これは発想が逆転していませんか。まず、政府は法を守るということが一番なんですよ。

 先ほど私が申し上げたように、まず〇・二三を実施する、法を守ります、その上で震災関連の予算。私も実は四月の段階で、これは国民的な問題だから、公務員、地方公務員を含めて、五%ぐらいカットして一兆円ぐらい生み出して、公務員はこれだけ身を切りますから国民の皆さんもぜひ協力してくださいということで、経費削減で一兆、年間二兆円出して、十年間やれば二十兆出るじゃないかと提言しているんですよ、私の考えとして、受け入れられませんでしたけれども。だから、私は、そういう震災を、みんなで、国民で分かち合って支えていこう、復興していこう、それはいいと思いますよ。しかし、その前提は、まず法律はきちっと守るということなんですよ。

 先ほどもちょっと引用しましたけれども、公務員労働組合連絡会は、ここで書いておられる、「今回、本来の姿を先取りした形で、交渉を行っており、そのことの意味は相当重い。労使交渉により給与改定が行われた場合には、それを踏まえて対応していきたい」と政府が約束したと言っているんですよ。政府がそんな対応をとっていいんですか。大臣の答弁をお願いします。

川端国務大臣 おっしゃるように、未曾有の震災に対応して国家公務員が懸命に仕事をしていただいている中にもかかわらず、みずからの身を切って財源に協力するという趣旨で、今回の給与臨時特例法を出しました。平均七・八%は相当な額でございまして、そういう部分で、事前にいろいろ話し合って、この部分にこういう法律を出すことは、一つの労働団体でありますが、連合系は合意をしていただいた、これが合意のすべてであります。

 そのときにいろいろな御意向を、一体でやるべきであるとかいろいろおっしゃった部分に関しては、政府は政府としての意思表明をする中で、やりとりと意見交換をした経過は間違いなくございますし、中身が公開されているものはそのとおりでありますので、それを踏まえて我々としては今回対応したということでございます。

石田(真)委員 それはおかしいんですよ。連合の会長さんが人勧見送りを主張した。その理由は、自律的労使交渉の確立に展望が開けたからですよ。それは、組合の団体としたら、通常考えたらおかしいんですよ。〇・二三、法律に基づいてやる。組合からいったら、〇・二三をやってくださいというのが普通に考えての主張ですよ。しかし、そうではなくて七・八と言ったということは、ここに書いているんですよ、先ほど言った、異例の措置を含む政治的な意図ですよ。そのことについて、おたくらはちゃんと話し合いをしているじゃないですか。そういうことを法律もできていない間からやるというのはどういうことかということなんです。

 まず、今ある法律は国家公務員法、給与は人事院勧告ですよ、それをやりなさい。我々は、今の震災関連の財源の給与特例法案、決して反対しているわけじゃないわけですよ。その上で、含めてやるんだったら、きちっと区分けをしてやったらどうですか、そのように主張しているわけです。

 まだ幾つも質問したいんですけれども、時間が来ましたので、これで終わります。ただ、この問題は、これからも我々の関係議員がいろいろな場所で質問させていただきたいと思いますが、政府として、組合との関係とか、余り前のめりになることなしに、もう少しきちっとしたみんなが納得できる方法で措置していく、そのように対応をお願いして、質問を終わりたいと思います。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 それでは、石田委員の後に引き続いて質問させていただきます。

 今、石田委員からお話のあった部分については全く同感するものでありますけれども、この後また坂本、平井委員と、私どもの党から続きますので、少し観点を変えたところで質問させていただくということで、ちょっとムードが変わることはお許しいただきたいと思います。

 万葉集で始めたいと思います。

 大臣は滋賀県御出身でありますので、琵琶湖を詠んだ歌を詠んで入りたいと思います。

 巻十三、三千二百三十八番であります。逢坂の峠を越えて琵琶湖を眺めた歌であります。

  逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花に波立ちわたる

 どうか、これからおつき合い、よろしくお願いいたします。(拍手)

 最初は、片山大臣からの引き継ぎにもあったと思うんですが、元来文部科学大臣もお務めでありました、学校の図書館への支援を、地域活性化交付金のうちの住民生活に光をそそぐ交付金というところで、自治体図書館もそうですが、昨年の補正予算、片山大臣はかなり力を入れられたわけですが、一千億円が自治体の図書館の整備あるいは図書購入に充当できる知の地域づくりということで充てられたわけでございます。その自治体における具体的執行状況がどうであるかということを一つ伺いたいと思います。

 あわせて、二十三年度は、地方交付税の方に移しまして、三百億円を見込んだところでありますが、今後の国のこの分野に対する取り組みをお伺いいたします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 冒頭、万葉集を御紹介いただきまして、聞いておりまして、まさに逢坂山を越えたら琵琶湖が見えます、その景色を頭に思い浮かべました。ありがとうございました。

 御指摘の住民生活に光をそそぐ交付金、二十二年度の補正予算で一千億円について、地方公共団体が策定した実施計画では、図書購入など図書館関係分として約四百億円が計上されております。

 今後の取り組みとしては、平成二十三年度から、地方公共団体が消費者行政、DV対策・自殺予防、知の地域づくりなどの施策を継続的に展開できるよう、相談員や図書館職員の充実等について、普通交付税三百億円程度による措置を講じているところでありますが、さらにこれに加えて、地域の実情に応じた地方公共団体独自の取り組みを支援していくため、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、特別交付税措置を講ずることとしております。

 今後とも、関係省庁と十分連携しながら、これらの措置について周知に努め、地方公共団体の取り組みの推進を図ってまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 よろしくお願いいたします。

 この交付金によることでいろいろな図書の購入というのが、今まで少しおくれていたものも結構回復した部分があるわけですけれども、ただ、この交付金は、補正予算ということで、一面、景気対策ということもあって行われたわけであります。地域経済活性化という観点からいたしますと、本来できるだけ地元の書店等を通じて司書さんがいろいろな本を選んで買っていただければいいわけですが、中には、この際ということで一括して大手のところへ頼まれたり、そういう形で使われたところもあるようであります。できれば地元は地元でということでお金を回すことがいいとは思うのですけれども、この点、交付金を所管しておられる内閣府の考え方をお伺いいたします。

福田大臣政務官 先生御指摘のとおり、平成二十二年度補正予算において措置された住民生活に光をそそぐ交付金を活用した地方公共団体における図書館の充実については、大手納入業者に依頼した例があることは承知をいたしております。理由としては、購入図書の選定からすべて任すことができる、納品の早さ、付随するサービスが充実しているということがあるものと考えられております。

 一方、図書館司書が、住民生活に光をそそぐ交付金の趣旨を踏まえて、購入図書を選定して地域の書店から購入した例も少なくありません。

 この住民生活に光をそそぐ交付金では、図書館司書の新規雇用等につながる事業を主に念頭に置いていたため、国として地域の中小企業等の受注機会への配慮を地方公共団体に要請しなかったということもありますので、過去の地方公共団体向けの交付金では明示的に要請したものもありますので、そうした点があるかと思っております。

 いずれにいたしましても、これまでの各団体において取り組んできた図書館行政の内容、司書のマンパワー、地域の書店の状況等の地域の実情に応じた取り組みがなされており、知の地域づくりや地域の経済の活性化に貢献しているものと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 ある時期が来たら、これからまたこういう交付金ということもやがてあるかもしれません。そういうときには、ぜひまた注釈といいますか、そういう要請を地方にしていただければいいんじゃないかなと思います。

 学校図書館につきましては、十九年度から、整備五カ年計画ということで、単年度二百億円、総額一千億円の地方財政措置が交付税の中で行われております。先ほどの御答弁にもありましたように、交付税は基本的には一般的に色のつかない財源ではありますが、そういった国の思いということも含めて、それをやはりしんしゃくしながら地方においてそれぞれ執行していかなきゃいけない部分もあると思うわけです。

 執行状況、どのように実際に二百億円というものが執行されているかということの確認をいたします。また、次期五カ年計画は二十四年度からということになりますが、今後どういうふうにお取り組みになるのか、お伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 学校図書館の図書については、平成十九年度から平成二十三年度までの新学校図書館図書整備五カ年計画に基づきまして、単年度二百億円、総額一千億円の地方財政措置を講じてきたところでございます。

 一方、平成十九年度以降の学校図書購入費の決算額は、文部科学省に確認いたしましたところ、平成十九年度百五十六億円、平成二十年度同じく百五十六億円、平成二十一年度百五十八億円、平成二十二年度は集計中と聞いております。

 平成二十四年度以降の学校図書館の図書の整備については、次期五カ年計画を策定した上で、引き続き地方財政計画を講じるよう文部科学省より要望をいただいているところでありますので、今後、平成二十四年度の地方財政計画の策定に向けて十分検討してまいりたい、そのように考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 福田政務官も私も自治体の経験があるわけですが、やはりいろいろな情勢、ニーズがある中でなかなかその配分というのも悩ましいわけですけれども、四分の三程度はそういうことでしっかり生かされていると受けとめましたし、また今後もよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、もう少し総務行政、その核心という部分に入っていくわけですが、地方分権改革であります。

 国と地方の協議の場については、これからまた福田政務官にも幾つかお答えいただくわけですが、御存じのように、私は、この法案についてかなり慎重な立場をとっていたわけであります。それは、国と地方の協議の場の運営を法定化すると、結局、非常に制約されるんじゃないか、かたいものになるんじゃないかという心配をしていたということは御存じのとおりだと思います。

 年四回定例会をやるということで、先日、第二回目を十月二十日にされたということでありますが、臨時会も八月十二日にやって、そのときは分科会を設置したわけですが、今後、年末に向けて、国と地方の間にいろいろな課題がございます、どういう運営を考えておられるのか、まず伺います。

福田大臣政務官 国と地方の協議の場につきましては、運営規則において、臨時に招集する場合のほか、毎年度四回ほど開催するということにされているところでございます。

 今後の年末に向けての具体的な開催時期については、関係者とも十分協議をしながら進めていきたいと思っています。

橘(慶)委員 そこで、私、一つわからなかったのは、第二回をされたときに、子ども手当についての分科会を設けられなかった。子ども手当については、地方からはそこはきちっと協議してくれということがあり、国の方も、臨時会のときに、例の通常国会の最後に成立した特別措置法の成立後速やかに、国と地方の協議の場において地方側と協議し、制度設計を進めていく、こういうことを言っておられたわけであります。

 そうすると、これは年末の予算編成までに、基本的には十二月末までに成案を見なきゃいけないはずでありまして、それが本当にスケジュール的に大丈夫なのか。先ほど来お話がありました、例えば公務員人件費の問題などでいろいろなことをもし財務省さんといろいろ協議されて決められたら、それも国と地方の協議の場に持っていかなきゃいけない、いろいろなことを国と地方の協議の場にかけなきゃいけない。本当に十二月までで大丈夫なんですか。

福田大臣政務官 先生御指摘のとおり、スケジュール的には非常に厳しいかと思っておりますが、分科会については、国と地方の協議の場に関する法律において、「開催、構成及び運営に関し必要な事項は、議長が協議の場に諮って定める。」とされているところでございまして、平成二十四年度以降の子供のための現金給付制度の成案に向けての国と地方の協議の場における具体的な議論の進め方については、これも関係者とよく協議をしながら進めてまいりたい、そのように考えております。

橘(慶)委員 確認ですが、分科会を設けるためにはどうしても臨時会をやらなきゃいけないという法のたてつけだと思いますが、いかがですか。

福田大臣政務官 政府としての考え方がしっかりある程度定まってこないとなかなか難しいかと思っていますが、子ども・子育て新システムの作業部会というのがございまして、これは私が担当じゃないんですが、私も一員として入っておりますが、内閣の方で進めておりまして、そこには、地方の代表、知事会や市長会、町村会の代表も入って協議をいたしておりますので、そちらの方である程度の方向性が見えてこないと、こちらの国と地方の協議の場に移すことができないのかなと考えております。

橘(慶)委員 そういうことを一々また臨時会をやらなきゃいけないとか、実は、そっちで実質的に協議して、こっちの協議の場では形式的に協議するだけだ、これでは本当は意味がないわけです。だから、そういうところは、運用されていって、また見直すときには見直されて、例えば分科会は別に本会議をやらなくてもつくれるようにするとか、そこは、これから運用されて、面倒なところはぜひもっと整理をされて、使いやすい協議の場にされたらいいということを提案させていただきたいと思います。

 続きまして、アクション・プランに基づく出先機関の地方移管の問題であります。

 これも福田政務官の御答弁になるんですが、私、これは、先ほど前のめりという言葉が石田委員からありましたが、そのとおりで、非常に大変じゃないかなと思っております。

 きょう、皆さん方のところには、今後の検討スケジュールということで、震災後に見直された、七月一日の第二回アクション・プラン推進委員会で示されたスケジュールというものをお配りさせていただいております。

 これでいけば、今は十月の下旬ですから、もうとっくに順次法案化作業に入っているはずだったんですが、そうは現実になっていない。その後、新しいスケジュールは出ておりません。しかし、野田総理は頑張りますと強くおっしゃったわけですね。大丈夫なんですか。今、スケジュールは変わっていないのか、伺います。

福田大臣政務官 御指摘のとおり非常に厳しいことになっておりまして、大震災などが発生したため、実質的に三カ月ほど協議が停止していたということもございますので、今、非常に厳しいスケジュールになっております。

橘(慶)委員 どちらかというと、皆さんを思っていろいろ申し上げております。どんなに格好いいことを言っても、時間はだれにでも、人生だれでも一日二十四時間しかないんです。一日四十八時間あればできるかもしれませんが、そうはいかないのが人の世の定めであります。どうかここは、やることをやはり絞られて、できることとできないことをもう少し、ぜひ政府の中で御検討された方が私は安全だと思います。

 そこで、スケジュールがおくれていることには当然理由があるわけです。皆さんも思いがあるわけです。それはここに、スケジュールの中にある、広域的実施体制の枠組み、移譲対象事務、権限の範囲、人員移管等の枠組み、それぞれに慎重に考慮すべき問題があるということを皆さんもお考えになっているわけであります。

 ぜひそこの部分、どういう問題があるのか、何を乗り越えなきゃいけないのか、御披露いただきたいと思います。

福田大臣政務官 出先機関のブロック単位での移譲という大きな課題に今取り組んでいることから、さまざまな論点がありまして、丁寧な検討が必要だと考えております。

 一つとしては、広域的実施体制の枠組みについては、ガバナンスをいかに確保するか、出先機関の管轄区域と広域的実施体制の区域の関係をどう考えるか。二つとして、移譲対象事務、権限の範囲については、出先機関単位ですべての事務、権限を移譲することを基本、丸ごと移譲が基本とされておりますが、移譲の例外となる事務についてはどのように考えるのか。三つとして、人員移管の枠組みについては、移譲される事務に係る職員の移管方法、身分、処遇についてどう考えるか。こうした課題が挙がっているところでございます。

橘(慶)委員 全くそのとおりだと思うんです。関西広域連合にしても、奈良県という問題があるということを思い当たります。

 このスケジュールで頑張りますなんて言っていると、本当に大変なことになっちゃうんじゃないか。十二月に閣議決定して、移譲対象出先機関と、移譲対象事務と権限を決めると書いてあるんですね。それはなかなか困難だから、十月七日に皆さんも新しいスケジュールをお示しになっていないと思います。ぜひここは慎重にお考えになって、なぜなら、やはりできないことを決めようとしてもだめですから、ぜひそこはよくもんでいただきたい。きょうは、このことをここまで申し上げておきます。

 そして、国家公務員総人件費二割削減の問題であります。

 これは片山大臣と随分いろいろさせていただいて、私の理解としては、今私どもが持っている衆議院の任期は二十五年のどんなに長くても八月の終わりまでであります、そこまでではちょっと難しいんだ、時期と割合ということは、目指すけれども幅を持って考えてほしいとか、あるいは二割ということについては少し幅を持って考えてほしい、そういう答弁を私は片山大臣からいただいていたと思うんです。

 ところが、野田政権になってから、また一生懸命頑張りますと。一生懸命頑張るのはいいんですけれども、現実問題、出先機関と今の給与の削減というのは車の両輪であります。しかし、この出先機関改革はどんなに急いでも、今の総務省のプランでも、二十六年度から入っていくわけであります。そうすると、論理的に二割削減ということは、今日的には二十五年度までの達成ということは無理なんじゃないか。これは要するに理屈の世界であります。御答弁を総務大臣からお願いいたします。

川端国務大臣 前大臣もこの委員会でいろいろ御答弁しておりますが、先生言われるように、課題もたくさんあります。

 そして、乱暴にやってはいけないことは事実であります。そして、今まで情熱を込めて一生懸命やってこられた方々の仕事が、より地域に密着してやれると同時に、仕事の質は向上しても退化してはいけない、こういう中で議論をしている。しかし、そういう中で、二割削減がこれに大きくリンクしていることも事実でございます。

 したがいまして、片山前大臣も申されましたけれども、二十五年には一定のめどを、こういうことをやり出したし、これをもっと広げていって、こういうやり方をすればこういうふうにできるというめどはつけたいというのが正直な現状でございます。

橘(慶)委員 ぜひその正直な思いを閣内で一致させていただきたい、総理にもそのようにお伝えいただきたいと思います。

 人事院勧告の問題は皆さんいろいろお話がありましたが、私は、少し周辺で、しかし大事な忘れてはいけない問題についてお伺いをしておきたいと思います。

 それは、今回の人事院勧告とあわせて、定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出がなされているわけであります。これは、二十五年四月から年金の支給年齢が、すべての方が一歳上がるわけです。三年ごとに一歳ずつ上がっていくんです。だから、六十歳で定年ということでは、二十五年四月には何もお金がもらえない人が出てくるから、ここは、定年を延長するというのを民間も今いろいろ検討し始めている問題であります。

 働いている人の立場、先ほどから大臣もおっしゃっています、その人の立場を考えると、人生設計ですから、こうなるんだということをやはり一年ぐらい前から示してあげるのが、使用者といいますか雇い入れ者の責務だと思います。

 そうすると、通常国会に出さなきゃいけない法案はぜひ早くまとめて出していただかなきゃいけない、その検討を始めていただかなきゃいけない、このように思うんですが、この意見の申し出の取り扱い、総務省の見解を伺います。

川端国務大臣 お答えいたしますが、その前にちょっと、誤解があるといけないので補足しておきます。

 人件費二割削減のめどをつけたい、そして一方で、地方移管に関しては、次期通常国会で法案が出せるように最大の努力をしてやるという総理の方針でありますので、それを目指して頑張りたいということでございます。

 退職金の問題でございますが、意見の申し出は、御指摘のように、定年が、年金の受給が延びる間の空白期間を公務員として埋めることを検討すべしということの部分でございます。

 今後、民間における高齢者雇用の動向を踏まえて、国家公務員の雇用と年金の接続に向けてどのように措置を講ずることが適切であるかについて、国家公務員制度改革推進本部、これは蓮舫現公務員制度改革担当大臣のところが中心となって、御指摘のように、対応がおくれないように制度設計を進めてまいりたいと思います。民間においての実情でいいますと、定年延長の措置を講じているところと、雇用継続制度、再雇用制度等いろいろな仕組みが考えられておりまして、一概に定年延長だけで対応していない実態もありますし、国民世論の動向を踏まえながら、しっかりとここで議論をさせていただきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 検討の考え方はわかりました。ちょっとさら問いさせてください。

 しかし、私がさっき言ったことは、働いている人の立場に立てば、来年の春ぐらいには姿を見せてあげないと設計できないんじゃないですか、それが務めじゃないですかという意味です。こういうふうに頑張りますということはここでお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 自分が六十になった後どうなるのかわからないというのは個人にとっては深刻かつ重大な問題でありまして、そういうことで、対応がおくれないようにしっかりとやることはその中に入っているということで御理解いただきたいと思います。

橘(慶)委員 私が申し上げたいのは、どうしてもそうやってやらなきゃいけないことというのは出てくるわけですよ。やらなきゃいけないことはちゃんとやらなきゃいけない。そのときに、今やらなくてもいいことがあれば、それはある程度おくらせていく、あるいは時間をかけるということで、工程表の全体の組み直しをぜひされないと、このままいくと、すべてのことが滝つぼから落ちていくことになるんじゃないかという心配をしているわけであります。

 そこで、退職管理基本方針、平成二十二年六月二十二日閣議決定、一年半たちました。しかし、ここで、政府の方でおっしゃったことです、専門スタッフ職というのをつくりたい、こういうことを方針として出されていたわけであります。これは原口大臣の時代だったと思います。まだ、いまだなされていない。

 きのう、いろいろ答弁打ち合わせをさせていただきました。人事院さんは総務省からお話がないと言い、総務省さんは人事院からお話がないと言われております。これはどういうことになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

川端国務大臣 専門スタッフ職の趣旨や意義は省略をさせていただきますが、新たな専門スタッフ職に対応した級を設けるためには、人事院からの勧告を受けて給与法を改正するという手続が最終的には必要になります。

 そういう意味で、退職管理基本方針に基づいて新たな専門スタッフ職に対応した級、四級を新設することについて、早急に検討し結論を得るよう昨年の六月に人事院に対して要請をいたして、今、人事院で検討していただいている過程にあると承知をしております。

橘(慶)委員 そこは人事院の今回の報告の中に書いてある文言と違うんですね。これはまた別の機会にさらにお伺いしたいと思います。

 それで、退職手当について、今回、二十三年、この間から、人事院に依頼をされて官民比較調査が始まりました。法改正検討も大事なことだと思います。

 私がきょう提案したいのは、先ほど申し上げた六十五歳定年制、そういう大きな変化をする二十五年四月に本当は退職手当も一緒に見直しておかないと本来全体の整合性がとれないんじゃないか、こういうことを思うわけであります。主濱政務官、いかがでしょうか。

主濱大臣政務官 お答え申し上げます。

 退職手当の水準の見直しにつきましては、現在、人事院に依頼をして、調査中であります。総務省としては、この人事院の調査結果を踏まえて、二十四年度中に退職手当の水準を見直すための改正法案を国会に提出することを目指しているところであります。

 定年の段階的引き上げに係る人事院の意見につきましては、今後、国家公務員制度改革推進本部、公務員制度改革担当大臣を中心にして、国家公務員の雇用と年金の接続に向け、どのような措置を講ずることが適当であるかについて検討が進められることになっております。その議論の中で退職手当制度についても実施時期も含めまして検討していきたい、このように考えているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 二十四年度中の法案提出に向けて頑張ると。しかし、きょうこれだけでも頑張る話はいっぱいありましたね。出先機関の改革も頑張る、それから退職手当も頑張る、高齢者の雇用についても検討して頑張る。

 さっき言ったとおり、一日二十四時間、一年三百六十五日ですよ。みんな生身の人間です。本当に何をやって、何は少しおくらせて、そこをやはり丁寧に考えていかないと、そして、この国会の審議で、みんなが納得できるような審議ができるような法案の提出をしていくということ、このあたりをよく考えられないと、結局だんだん行き詰まるばかり。行き詰まったとき困るのは、私どもではありません、今働いている人、実際ここで一生懸命公務に励んでいる人、そういう人たちが苦労するということをぜひお考えになってやっていただきたいと思います。

 もう少しある中で、福田政務官、これは私も福田さんも経験していることであります。

 人事院勧告がありますと、地方の給与を見直すわけですね。人事院勧告で大体俸給表をつくっていただいて、特に私どもは市でしたから、それに準拠して地方の給与を決めるわけです。だから、あるべき賃金体系としての人事院勧告の実施というのは、地方としては、そういう意味では、やはりそれがあって地方のスケジュールが流れるということだと思います。

 俸給表というのは地方団体において準用、参照されていると思うんですが、総務省において実態を把握されているところをお答えください。

川端国務大臣 地方公務員の給料表については、地方公務員法に基づいてそれぞれ条例で定められておりますが、平成二十三年四月一日現在、都道府県、政令都市合わせて六十六団体のうち、基本的に国の行政職俸給表を準用して給料表を作成していると思われる団体は四十五道府県四市、国と異なる独自の給料表を作成している団体は一都一府十五市となっております。

 指定都市以外の市区町村においては、多くの団体が国の行政職俸給表を基本的に準用、参照していると思われております。

橘(慶)委員 大臣、ありがとうございました。そういうこともよく考えていただきたいと思います。

 ちょっと順番を変えます。これは簡単にすぐ終わります。齋藤内閣官房副長官にお伺いいたします。

 某全国紙の十月二十二日朝刊に、人事院勧告の取り扱いについて内閣法制局長官の発言があった、このように報じられましたが、誤報であると思います。一応、簡単にお答えください。

齋藤内閣官房副長官 お答えします。

 そのような事実はございません。

橘(慶)委員 朝、新聞を広げて、私は地方にいてびっくりしました。そういうことは、誤報なら誤報ということをぜひ大いに宣伝していただきたい、このように思います。

 最後になりました。何とか久元局長さんに最後はお答えをいただけると思います。

 合併特例債、いろいろ期限の延長云々あります。ちょっと地方でわかっていないことは、新市建設計画に書いてあることしかできないという合併特例債。ただ、どうやら、お話を聞くと、新市建設計画そのものを今回のいろいろな事態において見直すということもできるようであります。これは地方としては非常に助かるわけであります。

 そこの辺、新市建設計画を見直せば合併特例債の対象になること、それから、どういうふうに見直せばいいのかということについて、最後、残った時間でお答えをお願いいたします。

久元政府参考人 大震災の発生によりまして、合併協議で予定されていた事業を変更する必要が出てきております。そのためには、旧法に基づく合併市町村であれば、市町村建設計画を変更することによって対応が可能であります。その手続は、都道府県知事に事前協議をしていただきまして、合併市町村の議会の議決を得ていただくということが必要になりますが、そういう手続によって追加していくことは可能でございます。

橘(慶)委員 私も現場にいた一員なんですが、意外とそのことがわかっていなくて、新市建設計画に書いてある書いていないということでいろいろ議論になるんですが、いわゆる住民自治、団体自治といいますか、そこで、今の状況で考えて、県と協議をすればそういうことも可能である。中には震災で庁舎が使えなくなったとか、いろいろな事態が生じているところがあるようであります。ぜひそういうことについてまたPRをいただきたい。今の法案の審議にかかわらずそれはできるわけですから、よろしくお願いしたいと思います。

 終わりますというペーパーがまだ来ないので意外でした。

 最後に申し上げておきたいことは、やはり人事院勧告、法律に基づく行政ということをよくお考えになっていただきたいと思います。〇・二三%を踏まえてまた深掘りするということもできます。

 きょう申し上げたとおり、あるべき賃金体系というのは非常に大事であります。そして、人事院勧告の中では、先ほどちょっと私は大臣の解釈が違っているような気がしましたが、年配者の方のいろいろな給与を直しながら、それを一面若い方々につけるということをやるはずであります。今はどうしても子育て中の若い方々の給与の方に問題があるわけでありまして、そういったところにはぜひつけるということもされて、あるべき賃金というのはこうだ、しかし今は厳しいからこうだと。それは三年後になるとまたもとに戻るという現象に一応なるわけですから、ぜひその部分をお考えになって、慎重な上にも慎重に、そしてまた審議を尽くしていただく姿勢で国会に臨んでいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 またよろしくお願いいたします。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 まず、TPPへの参加に対しまして、地域あるいは地方の活性化を担当されます総務大臣にお伺いいたしたいと思います。

 きのうは、日比谷の音楽堂でTPP反対の大きな集会がございました。また一方で、賛成の方々のシンポジウムその他も行われました。きょうも、私たち自民党は、早朝からTPPの問題について、外交あるいは農政、さまざまな観点からの合同部会というものを行ったところであります。

 そこで、川端大臣は文部科学大臣もされましたので、教育面での現象というものを一つ御紹介したいと思います。

 私の高校の同級生が、今、熊本の山間部の町で教育長をやっております。その教育長がいつも私にこぼしますのは、地方の、あるいは過疎地の教育のモチベーションが本当に下がっている、これは家庭も町も、あるいは学校も含めて下がっていると。その原因は何か。教育長は、やはり経済格差ということにたどり着くと言います。そこは山間地でありましたので、以前は林業で隆盛をきわめました。そして、さまざまな人材も輩出をいたしました。例えば世界を代表する北里柴三郎、こういった方々も山間の地域から出ていったわけであります。教育イコール金、収入ではありませんけれども、しかし、少なくとも必要最低限度の経済的なバックアップ体制、水準は必要であるということであります。

 そういう中で、昨年、突然菅総理の口からTPPという言葉が飛び出しました。そのTPPの内容がどんなものか、どういうメリットがあって、どういうデメリットが我が国にあるのか、そして、都市部に対してどうあって、地方に対してどうあるべきか、そういう具体的な論議がないままにここまで参りました。先ほどから、さまざまな問題で頑張る、頑張る、しかし、その途中に東日本大震災があったことがそれを阻む一つの大きな原因になっているというふうに言われますけれども、TPPに関しては、東日本大震災の問題があったにもかかわらず、この十一月に開催されますAPECの中で性急に野田総理大臣は結論を出そうというふうにしております。

 内容を見ますと、二十四の作業部会があります。その中で、特に地方にとってかかわりがあって、そして地方にとってとても重たい分野が数多くあります。物品市場アクセスがそうであります。原産地規制もそうであります。あるいは衛生植物検疫、これもそうであります。貿易の技術問題分野、これもそうであります。そして、なかんずく政府調達。

 こういった分野におきましては、地方の中小企業、農林漁業、あるいは中小商店街、こういったものが疲弊することは目に見えております。地方の産業や特産などは大きな打撃を受ける、このことは火を見るよりも明らかであります。TPPそのもの、これは国家として考えなければなりませんけれども、地方の視点に立って考えますと、やはり地方いじめの多国間条約であり、地方衰退に拍車をかける多国間条約である、これは間違いないことであるというふうに私自身は思います。

 地方の活性化をこれから図らなければならない、地方を総括する大臣として、このTPPの問題に対してどう思われますか。明確に御答弁をいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 TPP問題は、それぞれの政党、国民の中、あるいは関係者に幅広い議論があることは承知をしております。

 私も、民間の製造業におりました。そういう立場の観点から、貿易立国という、民間企業の部分でいえば、円高を含めて大変な状況の中で、一定の世界共通のルールの中でビジネスをしないと日本で仕事ができなくなるという意見の人もたくさんおられます。

 一方で、先生言われるように、やはり地方の部分においては、それでなくても大変厳しい財政状況、経済状況の中で必死に地域を守って暮らしている人がいるという状況の中で、これ以上の打撃をいろいろな部分で受けることは大変なことであるということの御懸念もいっぱい聞いております。

 そういう中で、一つは、この中身が、今先生がおっしゃったように、どういうことが具体的にどういうふうになることがあり得るのかという情報開示を含めての部分が余り今までは開示されてこなくて、だんだん最近わかってきて、二十一分野、二十四あることがわかってきたということで、私は、しっかりした議論をやるべきであり、そして、あちらとこちらというような二軸で対立することではなくて、両方の部分の接点があり得るということも一つの検討の仕方としてはあるべきであるけれども、本当に、貿易立国が成り立ったけれども、国民生活と地方はつぶれてしまったとしたら、何をやっているかわからないという大変悩ましい状況であります。

 しっかりと情報を開示した中で、オープンな議論の中で、最終的には政治の判断が求められるのであろうと思いますし、条約である限り、国会の議論も最終的には要るわけですから、国会議員の皆さん、国民を代表する皆さんの議論もしっかり踏まえて判断すべきものであると私自身は思っております。

坂本委員 情報開示がないままに、賛成、反対、感情論も含めてやはり激化しているというふうに思います。

 私は、民主党も含めて超党派で韓国の方に、このTPPの問題、FTAの問題で行ってまいりました。確かにソウルは活性化をしております。一方で、地方はやはり惨たんたるものであります。集落がなくなる、あるいは農業がなくなる、そういう道を歩んでおります。私は、必ず韓国に対してもいずれ揺り戻しは来るであろうというふうに思いますし、きのうのソウルの市長選挙では与党ハンナラ党が野党に敗れました。

 やはり、国家として、あるいは国民としてどういう選択をしなければならないか、本当に重要なときであり、拙速に、APECがあるからそこまでに回答を出さなければいけないという考え方そのものが、それは国際上そういうルールが決まっているわけではないし、国際の一つのモラルの問題かもしれませんけれども、我が国にとっての死活問題について、そういう短兵急なあるいは短絡な判断を下すべきではない。そのことを、地方を代表する総務大臣として、ぜひ閣内の中でも主張していただきたいというふうに思います。

 続きまして、大臣所信についてお伺いをいたします。

 民主党政権になりまして、三人目の総務大臣であります。大臣所信がこれほど変化するのかと、私は川端大臣の大臣所信を聞きながら思い、そして驚きました。

 こういうふうに言っておられます。「地域主権改革の推進」の中で、川端大臣は、地方自治法の改正案を今般設置された地方制度調査会で御審議いただくというふうにさらりと述べられております。

 原口大臣のときは、いわゆる原口プランに沿って、地方自治法の抜本的な見直し案を取りまとめるため、地方行財政検討会議を設置しました、この地方行財政検討会議の中で地方自治法の改正そのものを論議していくんだというような所信を述べられております。

 また、片山大臣は、住民自治の強化に向けた議会のあり方や直接請求、住民投票のあり方等について検討を進め、順次必要な法案を国会に提出してまいりますというふうに言われております。

 原口大臣は、私的諮問機関ともいうべき地方行財政検討会議をベースに地方自治法の改正のたたき台をつくるというふうに言われておりますし、片山大臣は、みずからの思想で法改正が可能なような言い回しをされました。そして、川端大臣になって、昭和二十七年に設置されました、地方制度調査会設置法に基づきます地方制度調査会という法的根拠にのっとった地方自治法の改正というような所信を述べられました。

 総務省の基本ともいうべき地方自治法の改正をめぐって、そのトップである三人の大臣がこれほどぶれるといいますか、これほどかけ離れた発言をされるということは、私は総務省にとっても大変な問題であるというふうに思います。なぜこのような変化が、このようなぶれが起きてくるというふうに思われますか。川端大臣、御答弁をお願いします。

川端国務大臣 経過の中で、地方自治法の改正、先ほど項目を述べられましたものを含めて、原口委員長、当時の大臣の思いも込めたいろいろな課題を片山大臣のときにテーマ設定としてあらあらまとめられて、改正案という形で取りまとめられて、それを片山大臣のときに地方制度調査会を第三十回の分を開催して、そこで御議論をいただきたいと。

 地方の議会のあり方を含めて、かなり意欲的な改革の方向性は原案として打ち出す中で、しかし、地方の現場でやっていただいている皆さんの声も、それから過去の経過も、有識者、学識者も含めて幅広く御議論をいただくということで、この審議会を活用することに至った状況を私は継承して進めていくということを申し上げたので、これほど変わったというふうに言われるのは若干心外でございます。

坂本委員 いや、私たちからすれば、一時期、地方制度調査会は無視の状態であったわけですよ。法的根拠にのっとったこの審議会を通り越して自治法の改正が行われる、そういうような危機感も持っていたわけであります。やはり広く意見を求める、このことがいかに大切かというようなことをぜひ大臣としても御認識いただきたいというふうに思います。

 先ほどから石田委員も橘委員も言われておりますけれども、やはり地域主権とか住民投票とか、耳に心地よいような言葉、そういったものを中心にして、すべてが前のめりになって、自治体と法律、あるいは地方と中央の関係ということに対して基本的な考え方が整理されていない。そして、広く意見を求めるということを忘れている。私は、ポピュリズム的自己陶酔型民主党政治というふうに言っているわけですけれども、まさにその象徴として、ここに三人の大臣所信としてあらわれているというふうに思います。

 そこで、地方行財政検討会議、これは昨年の一月、地方六団体の代表や有識者が委嘱されてスタートいたしました。昨年十二月末までに、本会議が七回、二つの分科会が九回開催をされております。その後、一年近く開催されておりません。

 大臣が地方制度調査会で御審議いただくと所信で述べられたのですから、ここではっきりとこの検討会議の廃止というものを明言すべきではないでしょうか。もう既に幽霊会議が存在するということになっておりますし、事業仕分け的に言うならば、無駄、形骸化の最たるものであると私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 法的に決められた地方制度調査会、総理大臣の諮問に応じていろいろ御議論を幅広くいただくという法定の部分以外に、この地方行財政検討会議は、趣旨としては、総務大臣を議長として、地方自治法の見直しを検討するために総務省に設置されたものでありますけれども、これは、いわゆる政務三役をそこのコアとして位置づけることによって、幅広く意見を伺うと同時に、政治判断を的確にするために御意見をいただく会議として設置をいたしました。

 異なる役割もあるというふうに思っておりますので、これから、今後こういうものがどうあるべきかの検討は進めてまいりたいと思っております。

坂本委員 先ほど橘委員も言われましたけれども、国と地方の協議の場が形骸化している。地域主権戦略会議、こういったものがあります。それに、全体の、大臣が言われた地方制度調査会があります。そして、地方行財政検討会議というのがあります。まさに、どこでどういうふうなものがしっかりとした形で討議されていくのか、会議だけが多くて、地方の道筋というのが全く見えません。だからスケジュール感が言えない、そういう状況になっているというふうに思います。

 そういう中で、地域主権戦略会議が十月の二十日に開かれました。一括交付金の問題であります。

 私たちは、昨年の時点から、この一括交付金、いわゆる地域自主戦略交付金、非常にあいまいである、制度設計が乱暴であるということを言いました。仮に都道府県分が五千億決められたにしても、その次の年、平成二十四年度には、市町村分の一括交付金、地域自主戦略交付金をどうやって決めるんだ、制度設計はできるはずがないというようなことを内閣府の方にも再三質問したところであります。

 せんだっての会議におきましても、こういうことを野田総理は述べられております。市町村分の一括交付金は、都道府県分と比べ、年度間の変動や地域間の偏在が大きいなどの課題が指摘されており、地方からも慎重な検討を求める意見がある、また、本年三月に発生した東日本大震災の影響等も勘案する必要がある、これを踏まえ、平成二十四年度においては、市町村の規模または地域により、導入対象となる地方公共団体の範囲を絞って検討してはどうか、例えば、まずは、市町村のうち、規模も大きく、都道府県に準じた権能を有する政令指定都市を対象に検討を進めてはどうかというようなことを言われました。

 全く設計が二転三転していると私は思います。菅総理は予算委員会の中で、今年度一括交付金五千億円、そして来年度一兆円を確実に皆様方のもとにお届けするんだというようなことを言われ、そして地域主権戦略会議では、こういう制度を変更せざるを得ないようなことをもう既に野田総理が言い出している。

 このこと自体、やはり一括交付金、自主戦略交付金への制度というのが非常に難しい時点に差しかかっているというふうに思いますが、今後の見通しについて、大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 一括交付金、いわゆる地域自主戦略交付金について、御指摘のように、都道府県分として五千百二十億円をことし措置いたしました。さまざまなレベルの会合を含めて、この戦略本部も含めて、地方六団体の皆さんからの意見も伺っております。

 そういう中で、知事会の側からは、より制度の拡充と増額を望む声が多いというふうに私は印象を受けました。

 一方で、御指摘のように、総理の発言もありましたけれども、現場の市町村の方からは、安定的な事業でない、いわゆる年度間のばらつきや偏在性もあるということで、地域の実情をしっかり見て丁寧に慎重にやっていただきたい、そのためには、いわゆる県分で先行をやった部分の実績、検証も踏まえる中でやって、拙速な導入には慎重であってほしいという意見がたくさん出ました。

 一方で、市に該当いたします中で政令市においては、事実上、県と同等の権能をほぼ有しているという状況がありますので、自分たちはこれに対して前向きに取り組む用意があるという旨の発言がありました。

 そういう意味では、全体の制度設計の部分の着実な、そして丁寧な進行を、手順を踏んで、拡大に向けて取り組んでいきたいと思っております。

坂本委員 私は、着実な進行では済まないというふうに思います。制度設計そのものにやはり非常に無理がある。この一括交付金、使い勝手をよくしようとすれば、それは限りなく地方交付税に近づくんですよ。そして、性格づけを明確にしようとしていけば、それは補助金に近づいていくんですよ。非常にあいまいで中途半端な制度であるわけです。

 私は、一たんこの制度については廃止をして、そして地方にとって、地方も、さっき言われたように、都道府県がある、そして政令指定都市がある、市町村がある、そのそれぞれの自治体にとってどういうふうな交付金がいいのか、あるいは地方交付税の方に加えた方がいいのではないかという考えも含めて、制度設計をやり直すべきであると思いますけれども、いかがですか。

川端国務大臣 今言われたように、さまざまな地方自治体のニーズにこたえるために、私たちとしては一括交付金化という方向を示し、スタートをしたところでありまして、一定の評価もいただいているところであります。検証は不断に行いつつ、充実、拡充をしていきたいというふうに思っております。

坂本委員 私が聞く限りでは、都道府県からも、そして市町村からも不評が多く出ているところでありますので、この問題については、また当委員会あるいは他の委員会の中で論議をしてまいりたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやです。

 私は、自由民主党のシャドーキャビネットの一応総務大臣ということになっております。

 きのう質問の通告をしていて思ったことですけれども、総務大臣は本当に所管が広いですね。しかし、大臣は理科系だということもお聞きしているし、特に得意な分野というのはございますか。

川端国務大臣 一応、大学と民間企業では化学と機械等々の仕事に携わっておりましたので、得意かどうかは別にして、非常に関心があることは事実でございます。

平井委員 ということですから、ITとか電波行政とか、そういうものに関しても相当おわかりになっているという前提で私も質問させていただいてよろしいということですね。

 その前に、きょう我々の同僚がいろいろお聞きした質疑のやりとりを聞いていて、ちょっと思ったことがあるんです。野田総理は相田みつをさんが好きで金魚とドジョウの話をされますが、相田みつをさんの名言で、いい言葉があるんですよ、「できない約束はしないことだな」という。これはもうどんぴしゃ当てはまりませんか、今の民主党の状況に。

 結局、公務員の人件費の二割削減の話も、大臣は旗をもう一回お上げになった。できないとは思っていないというふうに記者会見でもおっしゃっていた。この七・八%の今回の給与法の改正は、二割削減への第一歩ということでよろしいんですか。

川端国務大臣 臨時特例的なものでありますから、期限が切れた時点でどういうふうになるかというのは担保されているわけではない制度であることは御理解いただけると思いますし、私たちは、同じ時期に国家公務員制度の改革法案を出しました。その部分では、そこにおいての自律的労使関係の制定によって、しかるべく給与の問題が議論されるというふうに思います。そういう意味では、額的な問題が、給与の水準とそれから人数、あるいは退職金、諸手当等々、総合的な問題で二〇%ということでありますが、関連は非常にしているというふうに思いますが、確定的にしているという前提にはなっていないことは事実でございます。

平井委員 これは、復興財源のために七・八%下げるということでよろしいんですね。

川端国務大臣 趣旨はそうでございます。

平井委員 ということは、この二割削減の話とこの七・八%の話というのは、かぶっているようでかぶっていないということですね、さっきの説明だと。ですから、二割削減をした上で、なおかつ復興財源のために七・八%、二年間、給与を下げるということですね。

川端国務大臣 総人件費を二割というときに、ダイレクトに給料をどれだけ下げるということに直結するかというのはいろいろな議論があると思います。定数の問題もありますし、諸手当、退職金の議論もしていただいております。そういう意味で二割という目標を持っているということでありまして、復興財源のため身を切る思いで出していただくということと加えて、あと二割給料を減らすという意味ではございません。

平井委員 これでも、できないことは約束しないことだなというふうに私はつくづく思うんです。

 この七・八%は二年間だけで戻っちゃうわけですよね、仮に今回法案が通ったとしても。そういうことを考えると、二割削減という旗はもう一回考え直した方がよかったのではないかと私は思うんですよ、現実的に。つい言っちゃったものだからそれに縛られていますけれども、民主党内で本当にできると思っている方が何人いらっしゃるか、私は大変疑問です。ですから、もうここは、大臣、これから正直に進められた方がいいのではないかと私自身は思います。

 そして、さっき、労働基本権の代償措置の人勧の話とかいろいろ出た中で、連合の事務局長の記者会見では、公務員制度の改革法案と今回の給与法の改正は不可分な問題だと。でも、大臣の答弁を聞いていると、それは不可分というようなことを我々はちゃんと言っているわけじゃない、あれは、向こうはそうしてくれという要望を上げた、政府の見解としては、それは関係ないと。ですから、これは切り離されているというふうに判断してよろしいんですね。

川端国務大臣 連合の皆さんが強い思いでいわゆる自律的労使関係を求めておられる、長年の運動の経過があることは事実でございます。そして、今回、この給与の臨時特例法案と同時に提出いたしました国家公務員の法も、そういう思いも含めていろいろ議論の中で政府として判断して、一緒に出させていただきました。

 そういう意味で、連合の皆さんの思いとしては、ぜひともに一緒にやって、同時に通してほしいという強い強い思いを持っておられるということは私たちも承知をしておりますし、そのこと自体は重いものだと受けとめておりますが、政府の立場としては、これをするためにこちらを出したということではありませんので、両方の法案を出した以上、できるだけ早くに両方とも通していただきたいというのが基本の姿勢でございます。

平井委員 はっきりさせておいてほしいんですけれども、ですから、関係ないということですね。この総務委員会で議論する給与法の改正というのは、これのみ。公務員制度改革法案と関連づけて議論をする必要がない。要するに、そういう思いは受けとめているけれども、ここでは、復興財源が必要だから、この法案を緊急に皆さん議論してくださいねということですよね。

川端国務大臣 同時期に出しましたので、できるだけ早く両方通していただきたいということを申し上げましたけれども、この委員会において給与法を審議していただくときに、これと一緒でなければとか、あるいは切り離してとかいうこと、両方ともなくて、出した法案に関してしっかりと御議論をいただいて、私の立場でいえば、できるだけ早くに通していただきたいということでございます。

平井委員 こっちは通るかもわからないけれども、あっちは通らない可能性の方が高いですよね。(川端国務大臣「いや、それはわからない」と呼ぶ)いやいや、私はそう思うんです。

 だから、もうはっきり、関係ない、これはこれで通すのが私の責任だ、あっちの法案に関してはどうなろうと私には関係ないというスタンスを明確にされたということでよろしいんですね。

川端国務大臣 私の所掌している法律は給与法でありますので、給与法の御審議をしっかりしていただいて、通していただきたいということでありまして、政府の立場でいえば、両方とも出しておりますので、もう一方の法案は、所管の大臣のもと、委員会のもとでしっかりと御議論いただいて、立場としては通していただきたいということ以上に申し上げることはございません。

平井委員 私はこの質問をする気は余りなかったので、もう一つだけ。

 さっきの話で、前原政調会長の「日曜討論」の番組の中での、地方公務員も下げるということを当然やるんだというような話をされておりましたが、これとは大臣は全然意見が違うということでよろしいんですね。

川端国務大臣 詳細な発言の中身を、ちょっと、申しわけないですけれども、検証できておりませんし、本人に聞いていないのですが、地方公務員の給与に関しては、地方それぞれに独自にお決めになることであるということの基本的な考え方を私は持っております。

平井委員 そうですよね。地方は地方で決める。だから、例えば今回の前原発言でいえば、地方のことを下げろなんということに関して言えば、それははっきり言って勉強不足の失言だというふうに思われますよね、もし言っていたとしたら。いかがですか。

川端国務大臣 正式に見聞きしておりませんので、申しわけないですが、コメントを差し控えさせていただきます。

平井委員 次回の委員会までに、ちゃんとその発言を聞いた上で、直接御本人にも確認された上で、その意見、ぜひ次の委員会で申し述べていただきたいと思います。

 人件費の問題については、これからずっとしつこく我々の同僚がまた質問させていただきますし、これは恐らく予算委員会でも相当議題になる問題だと思いますので、私はそのほかのことについてきょうは少しお聞きしたいと思います。

 私は、自由民主党のIT政策の責任者をずっとやらせていただいています。今までいろいろな提言も出させていただいて、成長戦略に資するIT戦略、これは原口さんも随分おやりになったと思いますが、三月十一日の震災を受けて、その政策の物事の優先順位を多少入れかえなきゃいけないだろうという思いで、我々は、「デジタル・ニッポン二〇一一絆バージョン〜復興、そして成長へ〜」という形でまとめたものをもう既に発表させていただいています。

 時を同じくして、民主党政権、民主党内ですか、勉強会でヒアリングをされたということも聞いております。そのヒアリングした結果をどのような形で取りまとめられたかは私はまだ存じ上げませんが、我々は、はっきり言ってこれは与党だ野党だという立場じゃなくて、IT政策というのは継続性も必要だし、今、政府全体として、ついつい政策の優先順位が下がってしまうものを、やはりこれは自民党も民主党も乗り越えて、もっと上げていくべきではないかという思いでまとめさせていただきました。

 ぜひ大臣にも、我々の考えは皆様方とそんなに大きく違うことではないので、我々の提言をごらんになっていただきたいと思うんですが、読んでいただいたことはありますか。

川端国務大臣 ダイジェスト版を急いで見せていただきました。絵でかいてあるのでわかりやすかったので、大略は見せていただきました。

 そういう中で、まさにICTの戦略ということで、私もIT戦略本部の担当をしておったときもありました、いろいろ議論をされている中に大震災があって、改めてこのことの充実強化の重大さ、実際に効果があったことを、さらにこれから見直すときに、これを中心に考えねばならないと思っております。

 そういう意味で、御党のICT戦略において、被災者の支援という部分は喫緊の課題である、それから、災害に強い社会基盤構築は早急にスタートしなければならない、今後の成長戦略に向けた取り組みは中期の計画というふうな分類など、さまざまな施策を実にきめ細かくおまとめいただいたことは敬意を表したいというふうに思っております。

 基本的に、復旧復興だけではなくて、未来に向けた再スタートというんですか、創造的スタートという意味も含めてICTは不可欠というふうに思っておりますので、この認識、方向性は一致しているというふうに思わせていただきました。まさに、この問題は党が云々ということでなく、よりよい提言をもとにいいものが前へ進めるように、また我々としても取り組んでまいりますので、いろいろと御教示いただきたいと思っております。

平井委員 そこで、これは自民党時代も多少そういう問題があったんですが、一体だれが本当の責任者かというのがよくわからないんですね。IT担当大臣をおやりになっていたから、そのことはお感じになるでしょう。

 要するに、IT戦略本部というのはもはや形骸化しているという面もあるし、はっきり言って、だれが本当にITの予算全体をグリップしてドライブをかけて前に進めるのかというような体制をもう一回見直されるべきだと思うんですよ。政府CIOも、いるのかいないのかよくわからない状態がずっと続いている。IT担当大臣は担当大臣で、自分が本当に担当大臣かどうなのか、委員会の質問でも当たらなきゃほとんど問題意識もないという状態。もう何人かわったかもわからないぐらいですよね、本当に。

 そういうことを考えると、総務省というのは、原口大臣がおやりになって以降、結構IT政策に対しては省庁横断的な基本的な考えとか戦略もお持ちで進めてこられて、それが政府とどのような形で整合性がとられていくのか、政府全体としてどう進めるかということで非常に重要な役割を担うことになっていると思うんですよ。ですから、そのあたりの政府のIT戦略、ICT戦略の進め方について、ぜひ大臣なりの問題意識を持った上で一度整理されたらいかがかと思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 問題意識は全く同じであります。

 私、IT戦略本部の担当大臣をさせていただいたときに、まさに、各府省それぞれがいろいろやっておられる、大きな戦略があるようなないようなという実態でございました。そういう意味で、三つの分野の大きな柱立てをする中で、各府省から関係するテーマを全部挙げていただいて、そして重複しているものも全部整理をして、年度ごとにこのテーマはここまでというテーマの到達目標と担当府省を分けてという、要するに行動計画を、つくり直したというより初めてつくりました。

 一年たって、総務大臣に就任をいたしまして改めて、先生おっしゃるように、総務省がこの中で大変大きな役割を、リード的な役割と実務的な役割を果たしていただくのを実感いたしましたが、それぞれに出てきたテーマを、これは私がまとめたときのIT戦略本部のロードマップのどこに該当するのかと調べましたら、読めば該当しているのかなみたいな部分になっているところもありました。ちゃんとやっているところもありました。

 そういう部分では、やはりこれだけ国家戦略の基本にかかわる課題でありますので、いま一度、この本部のあり方、あるいはコントロールセンターの権限等々含めて、さらによくする検討は加えるべきだというふうには感じております。具体的には、これから私もそれなりに勉強してまいりたいというふうに思っております。

平井委員 これは総理にも進言して、ぜひそのあたりを整理していただきたいと思います。

 それで、今いろいろな予算なんかを見ていると、自治体クラウドというような言葉がいろいろなところから出てきます。民主党政権でIT担当大臣に最初になったのが菅さんだったと思うんですけれども、当時、私、委員会で質問したら、クラウドのことを御存じありませんでした。まさに雲をつかむような話でしたが、だんだん皆さん方もクラウドに関して勉強もされたし、クラウドという方向性を基本的に政府としては志向していこうということになっていると思います。

 そこで、今度、自治体クラウドを引っ張っていくのは総務省ということになるんですが、自治体クラウドを進めるに当たって重要なポイントは何だとお考えですか、大臣。

川端国務大臣 霞が関クラウドの場合は、いわゆる一元化というんですか、全部共通のシステムにしていこうということでありますが、自治体クラウドの場合は、その地域の特性に応じた部分でそれぞれが共同でいろいろなことをやっていくときのグループをつくろうという趣旨であるので、霞が関クラウド、いわゆるプラットホームとはちょっと性格が違うと思います。

 そういう意味では、どういう部分を共同でやればいいのか、そして、メリットとデメリットがどうあるのかということがきめ細かく議論されなければいけないという意味では、総務省としては、一つは、そういうことへの情報提供、促進を前提とした情報提供といろいろなサポートというのは必要であろうというふうに思っていますし、もう一つは、財政的な問題でそれをどうサポートできるか、この二つであろうというふうに思っております。

平井委員 地方がばらばらだから、またばらばらにやってしまったら、クラウドにする意味がないんですね。ですから、そのポイントを、大臣、首を振っておられるので、おわかりだと思います。

 そうだとしたら、業務の標準化というようなものに取り組んでもらうことをやはり総務省は明確に自治体にお願いする必要があると思います。そうでないと何が起きるかというと、今回の被災地に入った他の都道府県から来られた職員が、システムが違うために使い方がわからなかったというような事態も起きているんです。これはもう総務省の中の方もお認めになっていることですが、そうなると、要するに、地方は地方の自主性に任せるということになると、これはベンダーごとにクラウドができるんですよ。そういう問題意識をお持ちですか。

川端国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、クラウドというのは、小さく、いろいろ全部違うシステムでできることになるという懸念は、全体的に進めるときの大きな問題であるという認識はしております。

平井委員 ですから、そこは総務省が基本的な考え方を示さないと。

 広域災害にも耐えるようなクラウドをつくりたい、つまり、分散の考え方も当然あるし、みんなばらばらだったら困るわけですよね。おまけに、ベンダーにロックインされて、それぞれ違う何とかクラウド、何とかクラウドになってしまったら、これは本末転倒になってしまうんです。そして、やはり行政コストの削減ということになると、ブラックボックス化されるともっと困るわけですよね。それに、最近は電力の問題とグリーン化の問題も当然出てくるようになった。

 これは、やはり国がある程度基本的な考え方をびしっと示した上で進めないと、自治体に任せてしまったら、また同じようなややこしいことが起きてしまうと思うんです。これは、もっとリーダーシップを発揮していただく。自治体クラウドというのは、総務省内だって四階と十一階では違うわけですよ。私は、四階クラウド、十一階クラウドと言っていますけれども。だから、そういうことのないように、大臣として自治体クラウドに対する考え方をびしっと出していただきたいんですが、いかがですか。

川端国務大臣 ベンダーロックの問題は、将来広めていくときに入り口で障害になる、大変深刻な問題であるというのは認識をしております。

 そういう意味で、民間事業者の自由な経済活動というのもあるんですが、おっしゃるような一定の方向性をしっかり持たなければならないということは認識をしておりますので、しっかりとこれもまた取り組んで、御示唆を参考にさせていただきながら、問題意識を持って取り組んでまいりたいと思っております。

平井委員 あともう一つだけIT関係で追加させていただくのは、本人確認の問題が物すごく今回の被災地で顕在化したということですよ。自分が自分であることを証明できない方々が大変困った。一方で、成り済まして悪いことをするやからも被災地に大勢押しかけた。そういう中で、日本の国で、自分が自分であることを証明するというのは大変難しいということが今回わかったわけですね。

 今進めている政府のシステムやIT政策の中に、どうも本人確認に関する考え方をさらにもう一段上げていこうというものがちょっと見えないんです。

 要するに、四情報による本人確認ということがメーンになるんですが、四情報の中で変えられないのは生年月日だけで、あとは全部変えられるんですよね。そうでしょう。ですから、それを考えると、本当に今政府として、要するに、本人確認ができるというと、変な話、指紋をとっている犯罪者、犯罪履歴のある方とか、パスポートで登録した外国人の方ぐらいしかないわけですね。

 本人確認というのは、今後、また別途検討されております共通番号の問題等々のセキュリティーのことをいろいろ言われておりますが、結局、一丁目一番地で重要なことだと思うんです。本人確認に対するさらなる実効性のある、国民の安心できるシステムの構築のための研究みたいなものに、やはりこれから絶対に予算をとっていかなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 六月三十日に、これは直接この分野ではありませんが、政府・与党社会保障改革検討本部で社会保障・税番号大綱というのが決められました。ここで、住民基本台帳を改良した新たなICカードを交付するということにしております。ICカードの券面には、顔写真と四情報を記載することとされて、ICカードのICチップには、偽変造防止のために券面掲載事項を記録させるほか、インターネットを安全に利用できるよう、高度な暗号を活用した電子証明書を搭載するということでありますが、目的が本人確認のためにということではありません。

 したがいまして、先生言われたように、生年月日以外はいろいろ変更可能だということをどうするかを含めて、本人確認にこのICカードが大きく貢献することは事実だというふうに思います。ただ、住基カードを持っている人が非常に少ないとかいうふうなことも含めて問題はたくさんありますが、新たなICカードを交付すること自体は、先般の震災のときの、住基カードを登録しておられた方の本人確認は比較的スムーズにできたということも参考にいたしますと、これが貢献することは事実だというふうに思っております。

平井委員 カードは、本人確認という点では基本的に関係ありません。要するに、システムが個人を特定するID、アイデンティフィケーションと、本人が本人であることを証明する要素というのはオーセンティフィケーションというんですよ。それをごっちゃにして言うから、カードをつくればもう安心だみたいな話になっているわけです。

 結局、カードの話、私は新しいカードをつくることには反対ですからね、言っておきますけれども。またカードですか、全員に配るんですか、任意なんですかというような話になりますよ。もうカードで大失敗しているのにまたやるのか、カードに幾らお金を使うんだというような問題意識ですが、直接の御担当じゃないので、その話は私は今はやめておきます。しかし、安易にカードのことにつんのめったような話をされることだけは、やはり問題意識が足りないというふうに私は言わざるを得ません。

 カードの話とかそういう方向にいったので、ちょっと話はかわりますが、今、大臣、副大臣等々おられますが、住民基本台帳カードをお持ちか、お持ちじゃないか、それぞれお答えいただけますか。

川端国務大臣 持っております。

松崎副大臣 持っております。

黄川田副大臣 流れてしまいました。まだ再交付していません。

主濱大臣政務官 持っておりません。

福田大臣政務官 持っております。

森田大臣政務官 持っておりません。

平井委員 要するに、総務省の政務三役でさえ持っていない方がいるというぐらいのものなんですよ、住基カードというのは。

 大臣、今普及率は何%ですか。

川端国務大臣 何%というか、たしか数百万のオーダーで発行されているというふうに記憶しております。

平井委員 四百五十万とかそんなもので、四%ぐらいということなんですね。これは何で普及しないとお考えですか。

川端国務大臣 このカードを持つことによって利便性が増すということが、日常生活においてそんなに感じられないのではないかなと個人的には感じております。詳細な意識調査とかの結果を私は今手元に承知しておりませんので、個人的な感覚でいえば、私も持っておりますけれども、たまに行く、各種証明書が比較的早くもらえるということぐらいかなということで、めったに行きませんので。そういう意味で、ニーズに対してのマッチングができていないのかなというふうに感じております。

平井委員 ここは本当に、もう一回国民にはっきりさせておかなきゃいけないのは、国民の中には住基コードという番号が全員に振られていることさえ知らない人が多いと思うんです。カードを持っているのはたった四%しかいないんですね。

 国民は皆さん、住基コードを振られているということを知っていると思われますか、大臣。

川端国務大臣 数字を持っているわけではありませんが、余り知られていないというふうに思います。

平井委員 その状況で、今度また共通番号というものを住基カードから生成するということに関して、問題があると思われませんか。

川端国務大臣 今度の場合は、私は、今ICカードで議論されている趣旨は社会保障・税番号ということで、ほかの、カード以外の番号付与ということが、大きなニーズがあるというふうには思っておりますが、やはり、現状ではそのカードの持つ意味、あるいはそれによってもたらされるいろいろな役割や効果というものが余り承知されていないという意味では、そこをもっと力を入れなければならない状況だというふうに思います。

 と同時に、今回、災害等々で、冒頭御指摘のような身元の確認とか本人証明とかいう部分では、やはりこういうものが大事であるという国民の皆さんの関心はある程度、カードそのものに直結していませんが、そういうものが必要という関心は非常に高くなっている状況にはあると思っております。

平井委員 まず、国民に住基コードが振られているということをもう一回ちゃんとおさらいしておかないと、これで新たな番号を振るなんという話が突然出てきて、それで五千億もかかるなんという話が通るはずがない。

 いろいろな過去の経緯はありますが、結局、住基コードから、つまり住基を使って新しい番号を生成するということに大臣は賛成というか、政府の方針として進めていこうということでよろしいんですね。

川端国務大臣 いろいろな議論がされて、まだ確定しているわけじゃないですが、おおむねそういう議論、新しい番号を付与することが、いろいろな使い勝手とセキュリティー上有効な手法であるというふうに議論されていることを承知しております。

平井委員 過去、民主党は、住民基本台帳法の一部を改正する法律案、廃止法案を四回出しているんです。大臣も賛成者になられていますね。この住基法の廃止の理由は、要するに、住民の基本的人権を保護するため、この法律を廃止せよということで、四回お出しになっている。当然、提出者には今の大臣、玄葉さんも入っているし、賛成者には川端大臣も入っている。

 つまり、住基がだめだと言っていたというのは当時の民主党の考えで、今は住基を使うというふうに、政権与党になったら考えが変わったということでよろしいんですね。

川端国務大臣 法案が通って実施された以降はやはり、当初は、まだないものとして、要するに人権がどうなるかとかいうことの不安がたくさんあったという議論を記憶しておりますけれども、通った以上、安全にしっかり運営されるべきものということで、必要なもの、そして現状のいろいろな実績を見ますと、住基ネット自体がいろいろな意味で効果を上げているということで、いいものであるというふうに私は思っております。

平井委員 ですから、かつてはそう思っていたけれども、もう今はやはり住基を使うしかないんだということですよね。それでよろしいですね。

川端国務大臣 現在は、いろいろな、これからの番号制度のことも含めて、必要であるというふうに思っております。

平井委員 住基の振り出しをおやりになっているLASDECという法人は御存じですよね。LGWANとか住基の振り出しをやっているのはLASDECという法人です。

 皆さんが用意されていて、まあ、今回の法律が出てくるかどうかわかりませんが、それを地方共同法人に改組する、そして新しい番号もそこで振り出そうということをお考えのようですが、現状のLGWANとか住基の話は、民主党の仕分けにかかって、これはだめだと言われているものですよ。皆さん方がだめ出ししたところですよ。それを今度、共同法人みたいに大きくして、まだ住基コードがあるのに、また新しいカードをそこに振らすような権限を与えて、五千億みたいなシステム予算を突っ込むというようなことは、まかり間違ってもおやりになりませんよね、大臣。

川端国務大臣 今のLASDEC、それからLGWANを含めて、御指摘のような仕分けの議論はありました。そこで、運営に当たってのいろいろな課題の指摘でありましたので、現在、外部有識者を交えた契約監視委員会の設置を含めて、調達方法の点検、見直し等も含めて進めております。

 今後、番号制度の導入に伴って、番号生成の新たな業務になるということを今議論しておりますので、ガバナンスの強化をしっかり図らなければいけないということで、取り組みを強化させているところでございます。

平井委員 いや、ですから、この共通番号の話は今後どう転がるかわからない。大綱を出したけれども法律が出てきているわけでもないし、いろいろな問題があるとも聞いています。しかし、何かまかり間違って、新しい番号ができたときの受け皿がLASDECだというような話を先に検討するのはあり得ない話だろう。それだったら、今の住基番号の話とかLASDECのあり方についてちゃんと検証した上で、要するに、今の住基コード等々の管理、振り出しに関していろいろな問題があるかどうかも含めて、やはりやっていかなきゃならぬということだと思います。

 ですから、大臣、これは政治家がちゃんとグリップしなきゃいけないんですよ。省庁が自分の権益を大きくするために何かをやろうとするものをとめられるのは大臣しかいない。そのことを私は政治家として大臣に申し上げているんです。役所がどう言おうと関係ありません。政治家として、そこはやはり御自分の良心に従って明確な見解を持つべきだと思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 この番号制度がどういう議論で進むかはまだ未定な部分もたくさんありますけれども、先生御指摘のように、仕分けの議論だけではなくて、少なくとも、その委託を受ける機関が、国民の目から見て信頼できない、あるいは非効率であるというふうなことがあってはいけないということに関しては、厳正に私の立場で見て対処してまいりたいというふうに思っております。

平井委員 何をどうやるかがまだ余りはっきり決まっていないのに、だれがやるかなんということを先に決めることだけは、絶対総務大臣としてはやっちゃならぬことです。ですから、そういう法律がもし出てくる可能性があるんだとしたら、それは最後の最後じゃなきゃおかしいだろうと私は思っています。

 既に総務省さんは、金曜日締め切りの公募ですね、いろいろな発注をかけておられるんですよ、共通番号に関して言えば。まだ業者は決まっていないかもわかりませんが、もうお金を使っている。そういう、お金をもう使い始めている状況というのも含めて、ちゃんと大臣はこれからグリップをしていただきたい。政府のやっている発注案件に細かな口は出しません。しかし、余りにも前のめりになって、国民の理解のない状況でそういうものを進めるのは、私は大きな問題があると思います。

 そのあたりのところを十分に、本来、これは内閣委員会でやらなきゃいけないところですけれども、この番号の管理というようなものに関して言うと、やはり総務省になってくるんですよ。それと、この話は物すごく地方自治体に負担がかかる話です、システム的にも、仕事的にも、お金的にも。ですから、総務省がやはりしっかりしなきゃいけない部分があるんだけれども、自分たちの権益を大きくするというような発想になりがちなものをとめられるのは大臣及び政務三役しかいませんよ。ですから、後でだれにでも堂々と説明できるような判断をちゃんとしてくださいということを私から申し上げておきたいと思います。

 電波のことについて聞こうと思っていたんですが、大臣、電波銀座という言葉は御存じですか。

川端国務大臣 何メガヘルツかという数字を答えろと言われたら無理でありますけれども、言葉自体と実情は概略承知をしております。

平井委員 もう時間がなくなったのでこれで終わりますが、電波の問題に関していくと、空き地ができて、それをいかに有効利用するかといったときに、要するに、電波法で言うところの区分けがあるんですよ、百四に。これは信じられないようなややこしい区分けをしているんですよ、聞いたこともないような。これを見直しませんか。これは提案です。

 つまり、何を見直せというのは、百四に分かれている用途です。用途区分、これは総務省の省令です。これは百四区分あって、電気通信事業用にほとんど使っているんですが、水資源開発用とか核燃料事業用とか金融事業用、不動産、競争事業用、出版、索道、わけがわからないようなのがいっぱいあるわけですよ、百四。これは、絶対に今見直すチャンスなんですよ。既得権益みたいに、電波を独占した人とかというのは残っちゃうんです。これはぜひ問題意識を持っていただいて、まずは大臣に勉強していただいて、今後、この委員会での質疑の中で、大きく大胆に区分けを見直すという方向を、これは与野党で一緒につくり上げることを提案しますが、いかがですか。これを最後の質問にします。

川端国務大臣 私も、説明を受けまして、さまざまな電波を使う人がいることは承知をしております。そして、バンドも基本的には明らかにせずに、専用で使わなければならないという用途の部分もあれば、ローカル的に一気に共通的に開放して使った方がよりいいという分野もあります。

 貴重な御指摘でありますので、しっかりと私も勉強も踏まえて取り組んでいきたいと思いますし、また御提言があれば教えていただきたいと思います。

平井委員 質問を終わります。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 まず、川端大臣、そして各副大臣、政務官の皆様の御就任、お祝いを申し上げます。

 と同時に、この委員会におきまして、さまざま質疑を通してぜひ充実した委員会となるよう、私も微力ながら頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、大臣所信に対する一般質疑ということで、数点にわたり、私なりに、今地方の抱えているさまざまな問題というか、そういったことを質疑させていただきたいと思っています。

 まず最初に、地方自治体の財政についてということで質問をさせていただきます。

 きょうお座りの委員長、原口当時総務大臣、そして片山総務大臣、各大臣に、それぞれ御就任時にこのことについては質疑をさせていただきました。そこで、早速川端大臣にお伺いをさせていただきたいと思っています。

 まず第一点目ですけれども、十月十四日に総務省が、地方公共団体の平成二十二年度決算に基づく健全化判断比率、それから資金不足比率の概要を示されました。

 この健全化の判断比率は、もう御案内のとおり、実質赤字比率から将来負担比率までの四項目で判断していますけれども、これが前年に比べて、例えば北海道の江差町、由仁町、中頓別町、それから福島県の双葉町を初め、合計で七団体が早期健全化団体から脱したということでございます。

 その理由というか要因は当然いろいろ挙げられると思うんですけれども、特に、公共投資を縮減したとか人件費を削減したとか、いわゆる財政再建の道を歩んだ、その結果によってということになると思うんですけれども、この七団体が早期健全化団体から脱した要因について総務省としてどのように見ているか、この点についてまず最初にお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、財政健全化団体は、昨年度の十三団体から七団体減少し、六団体となっております。減少した七団体は、すべて実質公債費比率の改善により財政健全化計画を完了いたしております。

 実質公債費比率を改善させるためには、各年度の債務返済額を圧縮させる必要があることから、各団体においては、施設整備の抑制や職員数見直しなどの行革努力で捻出した財源により地方債の繰り上げ償還を行うことで、これを早期に改善したところでございます。

 以上でございます。

稲津委員 この七団体が脱したことによりまして、後ほど伺いますけれども、財政再生団体の夕張市を除いて、早期健全化団体は、あとは、北海道の洞爺湖町、それから青森県の大鰐町を初めとする、まさに今お話しさせていただいたように六団体残っているということでございます。

 この六団体のうち、例えば大阪府の泉佐野市は、当初の計画から六年前倒しで早期健全化団体から脱出する、出るという新しい計画をつくった、このように承知をしております。これは報道ベースです。それから、奈良県の御所市も一年前倒しができそうだ、こういう報道がありました。

 特に泉佐野市については、例えば市の一般職員の給与を引き下げる、こういったことに踏み込んでいく。それから、関西空港と対岸を結ぶ連結の橋を通行する車両について、一台百円を徴収する、いわゆる独自課税の案も検討中だと。もちろん、この独自課税については総務相の同意が得られるかどうかという大事なことがありますので、これはまたさらにいろいろな議論があると思うんです。

 いずれにしても、どの団体も、いち早く早期健全化団体からの脱却を目指したい、これは同じことだと思いますけれども、現段階で残りの六団体についてはどのような取り組みを進めているのか、健全化の見通しについてお伺いさせていただきたいと思います。

福田大臣政務官 引き続き財政健全化団体となる、先ほど御指摘のありました六団体については、それぞれみずから策定した財政健全化計画に沿って、人件費や施設整備の抑制、繰り上げ償還の実施など、財政の健全化に取り組んでいるところであります。

 現時点においては、各団体とも計画どおりに取り組みを進めているものと承知をいたしておりますが、今後とも、各団体からの御相談を受けながら、速やかに財政健全化計画を完了できるよう適切に助言してまいりたいと考えております。

稲津委員 総務省としては、それなりの支援というか、きちっと見ていきますよ、そういう趣旨の御答弁かと思いますけれども、ここで懸念をするのは、今、確かに早期健全化団体にまではなっていない、言葉が適切かどうかわかりません、いわゆるイエローゾーンに入っていないけれども、限りなくイエローゾーンに近い、そういう自治体もある、このように認識をしております。中でも私が非常に心配しているのは、今回の東日本の大震災で被災をした自治体が今後どうなるかという問題なんです。

 この委員会でも、震災復興に向けてのさまざまな議論の中で、被災地については財政規模が非常に小さい自治体が多くて、そこが大きな課題であり、しっかり支援をしていかなければならない、こういうことを、発災から今日に至るまで、さまざま議論のベースになってまいりました。極めて大事な問題だと思っています。

 この復旧復興については、そのほとんど大半が国費で賄われる、このように承知をしておりますけれども、ただ一方で、人口がどのようになっていくのか、人口減がどういうふうになっていくのか。それから、災害復興そのものよりも、災害復興に関連したいろいろな事業の中で歳出がふえていくであろうというケース、これが考えられるわけですね。

 私は、ここで一つ例を出したいと思うんですけれども、先ほどの残り六団体の中の北海道の洞爺湖町の話です。

 これは御案内のとおり、十数年前に有珠山の噴火がありました。この有珠山の噴火の時点で、国からの支援がさまざまありました。ただ、もう一方で、自治体独自にどうしてもやらなければならない事業もあった。ここに随分費用がかかってしまった。

 例えば、この有珠山噴火の復興対策費として、公営住宅の整備をしていった。それから、あそこは観光地でございます。北海道の観光のメッカと言ってもいい。ですから、そこで食べていくしかないとなると、いわゆる道路整備、特に町道関係の整備や改修も行ってきた。結果として、例えば二〇〇八年度末の時点で地方債残高が幾らあるかというと、百五十三億円。年度の償還額というのは十八億円ぐらいになってしまう。人口が一万ちょっとの町ですから、これは財政規模からいったら非常に苦しい。そういうことがあるわけです。

 ですから、私はここで申し上げたいことは、東日本の大震災で被災した自治体の財政状況は今後どうなっていくのか。それから、政府として、これはもう徹底してどこまでも支援していく、そういう姿勢が一番大事である、このように申し上げたいと思うんですけれども、この点についての所感を伺いたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 東日本大震災からの復旧復興に当たっては、被災団体が全力で取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の負担に影響を及ぼすことがないように、地方の復旧復興事業費及びその財源については、通常の歳入歳出とは別枠で整理するということは御案内のとおりでございまして、国費による措置を大幅に拡充した上で、地方財源を確実に確保することを基本としております。

 このために、一次補正においては、東日本大震災財特法を制定して、国費による措置を大幅に拡充するとともに、特別交付税を一千二百億円増額、第二次補正においても、四千五百七十三億円増額して、二千億円規模の取り崩し型の復興基金について財政措置をとることといたしました。

 三次補正においては、復興交付金の創設など国費による財政措置をした上で、東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について地方交付税を一兆六千六百三十五億円増額するということで、これは復興特別交付税ということで、通常の特別交付税とは別枠で、個々の被災団体の負担をゼロとするということで、被災地域においては、その他の地方自治体の財源に影響することなく、万全を期すことにしております。

 今後の地方財政計画の策定に当たっても、地方の復旧復興事業費及びその財源については、通常の歳入歳出とは別枠で整理して、国費による措置を大幅に拡充した上で、地方財源を確実に確保して、被災団体の円滑な財政運営に資するように努力してまいりたいと思います。

 もともと財政力が弱いところに、人口減、流出を含めて大変な事態が起こることにおける、いろいろな地方税に関しての手当ても別途とっておりますが、実情に合わせてきめ細かく対処できるように万全を期してまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 大変丁寧な御答弁をいただきました。

 別枠の財政措置も含めてというお話もありましたので、ここは大臣、ぜひしっかり力を入れていただきたいと思います。

 そのことについて、大臣からも一点触れられましたけれども、人口減のことです。

 これは質問とかそういうことではないですけれども、洞爺湖町の人口が平成十二年の有珠山噴火の被災でどのように推移をしていったのか、調べてみました。

 そうしますと、この時代ですから、どこの地域も少子化傾向で、洞爺湖町も、大体一万人ちょっとぐらいなんですけれども、毎年百人から二百人ぐらい人口は自然減しています。ところが、平成十二年、この年には四百四十五人減っている。要するに、流出したんですよ。翌年も二百五十人ぐらいです。ですから、二年間で少なくとも五%ぐらい人口が減っているという急激な減少傾向。

 これは恐らく、今回の被災地にもどういう影響が出るかわかりませんけれども、ぜひそういうことも含めてしっかり対応をしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、夕張市の財政再生計画の取り組みについて、その認識について何点かお伺いしたいと思います。

 これも、歴代というか、この二代にわたっての総務大臣にお伺いをしてまいりました。とりわけ、原口当時総務大臣には、この夕張問題、夕張支援については、かなり意のこもった御答弁をいただいたところでございます。

 今、我が国では唯一の財政再生団体である夕張市ということなんですけれども、この夕張市について、現段階での財政再生に向けての取り組み状況に対しての総務省の認識をまず伺いたいと思うんです。

 それと同時に、今後十六年間かけて取り組んでいくという再生計画になっていますね。この十六年というスパンをどう見るかということがあると思うんですけれども、これでも実は当初よりはかなり圧縮してきています。圧縮してきたけれどもまだ十六年間ということで、これは本当に長過ぎるんじゃないかという指摘が幾つかあるんですけれども、このことも含めて大臣の所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 夕張市は、一番多い昭和三十五年は十万七千九百七十二人が、平成二十二年の国調では一万九百二十五人という、まさにある種、日本の炭鉱産業そのものをあらわすような人口減ということで、大変御苦労をいただいていることは承知をいたしております。

 そういう中で、現在は、平成二十二年三月に策定した財政再生計画、お触れになりましたけれども、に沿って、市民一丸となって、本当にきめ細かく対応していただいているところでございます。

 これもお触れいただきましたように、十六年の長期にわたって債務を返済する計画になっておりまして、総務省としては、北海道とも連携しながら市のお話をよくお伺いして、夕張市の財政再生計画が着実に達成できるように、引き続きしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 そこで、実は先般、新しく夕張の市長になった鈴木市長から、十月の二十日ですけれども、十六年間というのはいかにも長過ぎる、この再生計画について短縮できる方策はないかということで、その具体的な考える場として、国とそれから北海道、そして夕張市の三者協議の場をぜひ設置していただきたい、こういう表明がありました。

 私は、この期間短縮には、歳出を減らして歳入をふやす、基本的にそれしかないと思うんですけれども、ただ、さまざまな角度から、いろいろな意見、アドバイス、期間短縮に向けた検討をするということは極めて大事なことだと思っております。

 そこで、これも大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、夕張市から三者協議を求められた場合、どうするのか、それから、何か具体的な期間短縮に向けての大臣としてのアドバイス、例えばそういうお考えがあるのか、この点についての見解をお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 財政再生計画の期間を短縮するためには、今お触れになりましたように、まさに入るをはかり出るを制するという言葉に尽きるんでしょうけれども、それぞれの限度もあることも事実であります。大変厳しい状況であることは承知しておりますが、債務返済額を毎年、少なくとも一番目に見える形でいえば、返済額をふやす。ふやすためには、入るをはからなければならないということだと思いますが、期間中に、これ以上出るを制することにどこまで耐えられるのかということは、正直言って大変厳しいことは承知をしております。

 そういう意味で、何かいいアドバイスというのは、本当の実態の中で、ほかの事例を含めてのアドバイスはあっても、今こういうふうにやったらいいというすばらしいアイデアを思いついているわけではありませんが、そういう協議、市長さんも、協議の場、三者協議というのは実務者レベルも含めての御想定のようで御発言でもありましたけれども、まさに道と市、それに加えて国が、実務者を含めて、実情の認識、そういうコミュニケーションを含めて情報交換し、協議を積み重ねることは極めて大事だというふうに思っておりますので、今後とも、連携を密にしながら、支援する体制を組んでまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございます。

 実務者レベルでの協議の場ということについて、今、大変前向きな御答弁をいただきました。

 その上で、大臣としては、例えば夕張市長との直接の対話とか、そういったいわゆる政治レベルの協議の場ということはどうでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 今のところ、具体に考えているわけではございませんが、実務者ではふだんから連携をとっていると思いますけれども、今まで以上にとる中で、実情はつぶさに報告をいただく中で、また必要がもしあればいろいろな機会に、意見交換をさせていただく機会があれば、させていただくのにやぶさかではございません。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひ意図するところをはかっていただきたいと思います。

 私も、夕張市長とも直接お会いしてその要望をいただきました。それから、市議会の議長からも同様の要望をいただいております。まさに、夕張市が向こう十六年間かけて再生計画を進めていくということは、大変長い道のりで、例えば、今五十歳だったら完成時にはもう六十六歳、四十歳だったらもう五十六歳ということで、そこまでのスパンでやっていくというのは大変な努力と辛抱が必要だと思うんです。ですから、ぜひそういったことでしっかりとした対応をいただきますことをお願い申し上げる次第でございます。

 次は、出先機関の原則廃止ということで、これは行財政改革の視点からお伺いしたいと思うんですが、先ほどは橘議員からも同様の趣旨の質問がございました。私からも、ちょっと簡潔にまとめさせていただいて、二点ほどお伺いしたいと思います。

 地域主権戦略会議、十月二十日に開かれたということでありました。実は私は、野田総理大臣の所信表明演説を伺っておりますと、どうも地域主権改革に対する思いというのが余り感じ取れなかった。多分、それは文章が短かったからだと思うんですけれども、熱意がないのかな、こんなふうに一部のマスコミからも指摘をされておりました。しかし、この十月二十日の戦略会議の冒頭あいさつの中では、政治のリーダーシップでしっかりやる、こう表明されたと聞いておりまして、一安心しているところであります。

 中でも、出先機関の原則廃止というのは、昨年の十二月に閣議決定されたアクション・プラン、これに基づいて進めてこられたということなんです。先ほどの質疑の中では、東日本の大震災のことあり、なかなかこれが具体的に進んでこなかった。いわゆる中間取りまとめについては、今のところ見送られているという現状にある。

 そこで、もう一方では、広域的実施体制の基本的枠組みに係る検討課題、この課題を列記した資料の提出というのがございました。この検討課題と題する書類を見たんですけれども、これを私は読んでみて、どういう位置づけにあるのかということ。読んでいると、ここに挙がっている課題をクリアしなければ出先機関の原則廃止というのは議論ができないのかな、こういうふうに受けとめてしまうような、言葉がどうかわかりませんけれども、非常に後ろ向きな書類に見えてくる。

 どうなのかということで、これまでの検討状況について、改めてお伺いしたいと思います。

渡会政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、昨年十二月にアクション・プランを閣議決定いたしまして、出先機関の原則廃止に向けた取り組み方針を具体的に定めたところでございます。

 その方針を前に進めるために、アクション・プラン推進委員会をことし一月に設置いたしました。その後、三月の震災を挟みまして、五月には、関西と九州の両地域から、当面の移譲希望機関として、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の三つの提示があったところでございます。

 それを受けまして、七月には第二回目、十月には第三回目のアクション・プラン推進委員会を開いて議論を進めているところでございますが、いずれにしましても、アクション・プランに沿って、国の出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲について、議論が今進んでいるという状況でございます。

稲津委員 そこで、もう一つお伺いしますけれども、結局、九月に予定されていた中間取りまとめがいつ出されるのか、このことを端的にお伺いしたいと思っています。

 それから、出先機関の原則廃止については、私は、やはり官僚の抵抗というのはそれなりに強いだろう、こう思っておりまして、ここはやはり政治のリーダーシップが必要であろう。ですから、その意味で、決意とか意気込みも含めて、これはぜひ大臣から、その点についてお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 先般の地域主権戦略会議において、総理の方から、強い決意に満ちて、リーダーシップを持って、来年の通常国会に予定どおり法案を提出するように最大限しっかりやれという御指示が出まして、翌日の閣僚懇でも各大臣に対してその旨の指示があったところでございます。

 先ほど御指摘のように、いろいろな課題が出てきているというのを読むと、これができない限りできないというふうに読めないこともないというふうな御指摘を今いただきました。私の方からも、課題があることはそのとおりでありますから、これをどうしたら乗り越えられるのか、こういう仕組み、こういう制度、こういう担保をやればクリアできるということを出してくるのが仕事であって、間違っても、やりたくないと誤解を受けるようなことはやめるようにという指示を改めていたします。

 と同時に、先生おっしゃるように、政治のまさにリーダーシップで、不退転の決意で進めるということ、これは大変な改革でありますということで、私自身も、関係各大臣に個別にも要請をする中で、しっかりとリーダーシップを持ってやっていくように、決意を込めて取り組みたいと思っております。

稲津委員 ぜひしっかりとしたお取り組みをいただきたいと思っています。

 これは決して嫌みでも何でもないんですけれども、このテーマというのは一丁目一番地、そういうふうに聞いておりますけれども、一丁目一番地と言われたいろいろなことが、どんどん何丁目何番地かわからなくなってきている傾向もややあると私は思っているんですよ。その意味で、今大臣がしっかりと決意表明をしていただきましたので、具体的に取り進めていただけるよう、これも強く要望させていただきます。

 それで、次の質問は、TPPについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これも、先ほど坂本議員から御質問がありました。実は、私も昨日は日比谷の野外音楽堂に行きまして、お集まりの皆さんの熱意というのを感じて帰ってきたんです。

 TPPのことについては、言われるとおりなんですけれども、最初はやはり農業のことが先頭に立っていた。しかし、この段になってきて、二十四項目、二十一分野の議論が少し出てまいりますと、まだまだ不十分だと思っているんですが、医療、それから先ほどの話では公共事業とか金融とか雇用問題とか、これはさまざまあるなということがわかってきた。例えば医療については、現時点では医療は交渉対象でない、こう政府は説明するんですけれども、私は、医療とか、特に薬局、薬店とか、そういったところについても、どうもやはりさまざまな問題があるだろう、こういう認識に立っております。

 きょうは、それを全部一つずつやっていると時間がありませんので、特に地方にかかわってくる問題ということで、ぜひこれは所管する総務大臣にお答えをいただきたいというふうに思っております。何かというと、政府調達分野、特に公共事業の発注ルールについて、これをお伺いしたいと思います。

 公共事業の外国企業の参入のハードルを低くするという議論が、これは当然、TPP参加となると進んでくる。そうなるとどうなるか。いろいろなことが変わってくると思うんですけれども、特に、発注関係の公文書を英文表記しなきゃならない、そういうことも出てまいりました。発注案件の公示期間の長期化など、こういうことも言われておりまして、そうするとどうなるかというと、地方、特に小規模自治体、そこの事務負担とかコスト負担というのは相当ふえてくるだろう、このように思っておりまして、非常に懸念しています。

 まずお伺いしたいのは、この政府調達分野において、いわゆる自治体の負担増になるのではないかという私の懸念に対して見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 TPPの部分でいろいろ、情報による話でありますから確たるものではありませんが、現在入手している状況の部分で言いますと、交渉参加国の間では、政府調達分野に関しては、現在、中央政府の調達について議論がされていて、地方政府等については今後取り上げられるのではないかという状況にあります。

 だから、TPPの政府調達分野における建設とか公共事業のサービスの中身がどうなっていくのかということは不明でありますが、現在、WTOの政府調達協定というものを我が国も締結しておりまして、それでは内外無差別の観点から調達手続に一定の義務が課せられております。

 例えば、二十三億円以上、都道府県及び指定都市が締結する案件。そして、事業所の所在地要件を適用しない。最低制限価格制度を適用しない。入札の四十日以上前に公告を原則。一般競争入札公告等においては、契約の手続において使用する言語を明らかにするほか、次の事項を英語、フランス語またはスペイン語で記載するということで、調達する物品等または役務の名称、数量、入札期日、公告または公示に係る契約に関する事務を担当する部局の名称というので我が国は取り組んでおります。

 これと同じレベルであれば、現状の日本のWTOの適用でいうと、建設業はゼロでありますし、二十三億円以上というのがそもそもの事業でありますので、ということで、余り大きな負担増にならないというふうに思われますが、議論の経過でどうなるかはわかりません。

 そういう意味では、適用の基準、あるいは対象となる地方自治体、事務手続について現行のWTO協定以上の対応を求められた場合には、現在適用外となっている部分については事務量やコストが増加するということで、負担増になるおそれがあることは事実でございます。

 現在は、具体的な内容が明らかでないので、どのぐらいの負担増になるかわかりませんが、いずれにしても、場合によっては大きな影響があるということを認識して、事態の推移を見守っているところでございます。

稲津委員 場合によっては大きなという話でありましたけれども、これは今WTOのことを例に挙げてお話しされましたが、根本的にそれとは違うんですよ。そこのところの認識を明確にしていかなきゃならない。

 例えばFTAのことで見てみますと、アメリカやオーストラリアで、地方政府の公共事業で外国企業参入の手続を整えるいわゆる基準額、これは日本の三分の一の水準とするFTAを実際に結んでいるんです。だから、TPPでこうした基準が採用されて、日本が仮に参加をすればどうなるか。海外の企業が参入してくるのはもう火を見るよりも明らかで、そうすると、当然値下げ競争が激化する。

 そうすると、私の今の質問は、地方の自治体のさまざまな事務量が負担増ですよねと言ったら、大臣からそれについての一定の御答弁が今ありましたけれども、同時に、もう一方では、地方を支えているようないわゆる中小の建設土木事業者の方々は大変な打撃を受ける可能性が非常に高い。だから、そうなると、地方の経済そのものが大きな影響を受けるわけです。

 このことについて、大臣、どうですか。

川端国務大臣 事態の推移を見守ると申し上げましたのは、確たることがわからないという前提でありましたので、仮の話で恐縮でございますが、仮に、今後TPP交渉において地方自治体の調達の適用基準額の引き下げ、今御紹介がありましたように、三分の一ぐらいになるという要求がある場合には、国の基準額の引き下げの状況等を踏まえるとともに、地域企業の育成の観点も含め、地方の意見も聞きながら慎重に検討すべきものと考えております。

 現在WTO協定の対象となっていない市町村にまで新たに対象を拡大することは、地域企業の育成の観点はもとより、外国企業の参入がほとんど見込めない場合においても多大な事務負担を課すことになることから、相当の困難を伴う事態が起こるというふうに認識をいたしております。

稲津委員 まさに、大臣御答弁いただいたそのとおりだと思うんですよ。ですから、地方に対してどういう影響を与えていくのか、これはもう本当にはかり知れない。

 私は今、公共事業のことについて一言触れましたけれども、例えば、日本薬剤師会からのさまざまな要望もありますけれども、地方の薬局がなくなってしまうかもしれませんよ、実はこういう提言もいただいている。外国資本のものがどんどん入ってきたら、例えばドラッグストアとか大手のものしか生き残っていけない。そうすると、町の薬局、薬店みたいなものはどうなっていくかという話ですよ。ですから私は、ここはやはり地方をしっかり支えていくという視点に立って、ぜひ大臣にはさまざま御検討をいただきたい。

 それで、私はそのものずばりお伺いしたいと思うんです。

 先ほどの御指摘の中で、TPPについて、その参加も含めてどう考えているのか、現時点での大臣の所見を伺うという御質問がありましたけれども、その中で大臣の方からも、さっきメモをとりましたけれども、地方の厳しい財政状況の中でということを踏まえて、情報が開示されていない、議論が必要だ、賛成、反対、そこの接点も必要ではないかというお話がありました。

 でも、私は、その話を聞いていて、どうもよくわからない。大臣が本当にこのTPPについてどういう認識に立っているのか。私は、再度そのことを大臣に明確にお答えいただきたい。このことを求めたいと思いますけれども、どうでしょうか。

川端国務大臣 最終的には政府の方針を決めるという内閣の一員でありますので、今、個人的な見解を含めて、まして大臣の立場を踏まえて一定の方向性を申し上げることは差し控えたいというふうに思いますが、実情としていろいろな困難がある。薬局のお話を御紹介いただきましたが、我が実家は江戸時代から薬局をやっておりまして、生の声は重々聞いて、承知をしております。

 ただ、申し上げましたように、日本のトータルの国益ということの中でどういう選択ができるのかというのは、本当に必死に、真剣に考えないといけない課題であることは十二分に承知をして取り組んでまいりたいということを申し上げて、答弁にならないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

稲津委員 時間がどんどん迫ってきていますので、これ以上のことは求めません。

 ただ、大臣、今、例えばJAを中心とした全国の反対の署名が一千百万人を超えているという状況、それから我々国会議員も、三百五十六人ですか、反対の請願の紹介議員になっているという事実。我々国会議員は、国民の声を代弁するためにここに来ている。その三百五十六人という人数は極めて重い意味があると思います。それから、各地方議会から寄せられている意見書とか、これも相当数ですよ。したがって、このことをぜひ、国民の声であるということを重く受けとめていただいて、大臣のこれからの姿勢を示していただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。

 それで、最後の質問になりますけれども、今度は子ども・子育て新システムについて、この中でもこども園について少し伺っていきたいと思うんです。

 まず、政府が、幼稚園と保育所を一体化した総合施設、いわゆるこども園の創設を柱とした新しい子育て支援体制を構築するために、平成二十三年の七月、子ども・子育て新システム検討会議のもとで開催されている基本制度ワーキングチームが「子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめ」を発表されました。その後も鋭意検討がされているというふうに認識しておりますけれども、こども園の施設基準について、現状どのような検討状況になっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

伊奈川政府参考人 お尋ねのありました、中間取りまとめ以降のこども園の施設基準の関係でございますけれども、この中間取りまとめの中では、幼稚園、保育所、そして学校と保育とを一体的に提供する総合施設、これをこども園と総称するというふうに整理をしております。

 そして、このこども園の指定を受けるための基準につきましては、施設、事業ごとの客観的な基準を全国一律の基準として定め、そしてその際、基準の客観性を担保しつつ、地方公共団体の裁量について検討するということになっております。

 また、新たに創設することとしております総合施設、これは仮称でございますけれども、認可基準につきましては、学校教育法及び児童福祉法上の位置づけを付与することを前提とし、学校としての基準、そして児童福祉施設としての基準をあわせ持つ基準を適用し、質の高い学校教育、保育を保障するということになっておるところでございます。

 今後、これらそれぞれの基準の水準あるいは策定形式につきましては、子ども・子育て新システムの成案の取りまとめに向けて検討を進めていくということになっております。

稲津委員 実は、この子ども・子育て新システムについて、私は先般、政府に対して質問主意書を出させていただきました。そこでかなり細かく答弁いただいているんですけれども、その上で、その質問主意書を見た方から、随分、十件ぐらいですか、直接電話をいただいております。

 その中に出てきている一番の問題というのは、地方の裁量権はどうしてくれるんだ、こういう意見だったんですね。この中間取りまとめの話、これは、基本的には「全国一律の基準として定める。」こういう記載がありまして、個々の給付とか事業について、地方の裁量権はどこまであるのか、こういうことを非常に不安視する声がたくさん寄せられています。

 時間が参りましたので、この点についてだけ最後に質問させていただいて、終わらせていただきたいと思います。

伊奈川政府参考人 御指摘いただきました国の基準と地方の裁量の関係等につきましては、地方団体等から地方の裁量権の拡大を図るといったようなことが求められているというふうに承知をしております。

 十月の十八日に、中間取りまとめ以降、基本制度ワーキングを再開したところでございまして、その中で、子ども・子育て新システムにつきましては、市町村が実施主体として地域の実情等に応じて保育、養育支援等の提供体制を計画的に整備することとしておりまして、すべての子ども・子育て家庭に必要な良質な支援を行い、地域主権を前提として、住民の多様なニーズにこたえるなどの観点も含めて、地方公共団体を初めとする関係者と十分に調整しながら検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

稲津委員 終わります。

原口委員長 午後零時三十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十五分開議

原口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、東日本大震災における被災自治体と被災者の負担軽減措置について質問をいたします。

 まず、震災復興特別交付税についてお尋ねをいたします。

 東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について地方交付税を加算するということで、この加算分については、震災復興特別交付税として、通常の特別交付税とは別枠で、個々の被災自治体における負担をゼロとするように、事業実施状況に合わせて決定、配分するとしております。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、被災自治体における負担をゼロにするということですけれども、東日本大震災の復旧復興事業に係る地方負担分についてはすべて震災復興特別交付税で措置されるのか。措置されない事業があるとすれば、どのような事業なのか、またその理由は何か。この点についてお答えください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 東日本大震災からの復旧復興に当たっては、被災団体が全力で取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の負担に影響を及ぼすことがないように、地方の復旧復興事業費及びその財源については、通常の歳入歳出とは別枠で整理し、国費による措置を大幅に拡充した上で、地方財源を確実に確保することが基本となっております。

 第三次補正においては、復興交付金の創設など国費による措置を拡充した上で、一つは今回の第三次補正予算に伴う地方負担分七千三百二十二億円への対応に加えて、二番目に平成二十三年度第一次、第二次補正予算等に伴う地方負担分六千三百十三億円、三番目に震災関連の地方税法の改正等による地方税等の減収分三千億円にもさかのぼって対応することとして、地方交付税を計一兆六千六百三十五億円増額としたところであります。

 この積算においては、基本的に補正予算等に伴う復旧復興事業に係る地方負担等を対象としたが、これで一応すべてできるということでありますが、例外として、従来から交付税措置を講じていない事業、すなわち、一つは公営企業債、公営住宅建設事業債及び貸付金の財源に充てるための地方債の対象となる地方負担額、二番目に農地農林施設に係る地方負担額のうち受益者負担により賄うこととされている地方負担額については、それぞれ公営企業の料金収入や公営住宅の家賃収入等により必要な財源が確保されるものであることから、今回においても対象としないとしているところであり、一番初めの公営企業債、公営住宅建設事業債、貸付金の財源に充てるためという部分では一千四百二十五億円、二番目のことに関しては百十一億円、計一千五百三十七億円としているところでございます。

 以上です。

塩川委員 今御答弁ありましたように、料金収入ですとか家賃収入によって費用をカバーする公営企業とか公営住宅建設に係る事業は対象外であり、また返済金を見込むような貸付金事業なども対象外となっているということであります。これらの事業を除くことの妥当性については、改めて別の機会に検証したいと考えています。

 同時に、震災復興特別交付税全体とすれば、復旧復興事業によって多額の地方負担分を抱える被災自治体の負担軽減を図る措置として重要だと考えております。

 そこで、具体的に何点か確認いたします。

 総務省にお尋ねをしますが、応急仮設住宅建設などに係る災害救助費の地方負担分もすべて震災復興特別交付税でカバーすると承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 ただいま大臣が答弁されたとおり、まずもって、第三次補正予算では、第一次、第二次の補正分も含めた東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について、地方交付税を一兆六千六百三十五億円加算されておるところでありまして、この増額分については、震災復興特別交付税として、通常の特別交付税とは別枠で、そしてまた、個々の被災団体における負担が御案内のとおりゼロとなるように、事業実施状況に合わせて決定、交付する運びであります。

 御質問の点でありますけれども、災害救助費の地方負担分についても当然この特別交付税で全額措置される、その認識でよろしいかと思います。

塩川委員 我が党は、震災復興に関連した提言を総理に申し上げ、先日も第三次提言を行いましたが、そういう中でも、災害救助を広く見て対応すべきだということを申し入れたところであります。

 仮設住宅や民間住宅の借り上げ、まだ残る避難所や在宅避難者の方など、被災者の実態に即して当面の生活環境を改善することが必要です。暖房とかふろの追いだきなどの機能を持つ、寒さや降雪への対策もしっかりとることが必要であり、バリアフリー化などのような、高齢者や障害者が安心して住むことができる住環境にする、そういうところにも災害救助費でしっかりと手当てをしていくという点で、今回の復興特交というのをぜひ生かしていくということが大事だと考えています。買い物や通院の手段なども、本来はしっかりと確保しなければいけない。こういうものも含めて広く対応できるような、そういう取り組みに資するようなものにしていくべきだということを申し上げておきます。

 続けてお尋ねしますが、震災等に伴う地方税の減免措置ですけれども、法律で定めました、法定化をされた課税免除だけではなく、条例減免、個別減免による減収分というのももちろんこの震災復興特別交付税でカバーすると承知をしておりますが、よろしいでしょうか。

黄川田副大臣 塩川委員御案内のとおり、現場を見れば、平時のときとはまた別な財政需要が生じておりまして、歳出の面でもしっかりと支えなきゃいけないし、それから一方、歳入の面でも手当てをしなきゃいけない、こう思っていました。

 それで、御質問でありますけれども、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律、この第八条に規定する地方税、使用料、手数料その他の徴収金で総務省令で定めるものの東日本大震災のための減免で、その程度及び範囲が被害の状況に照らし相当と認められるものによって生ずる財政収入の不足額については、御指摘のとおり、全額を復興特別交付税で措置することといたしております。

塩川委員 財政援助法の八条の御紹介がありまして、個別減免、条例減免の部分だということでの御答弁と承知いたしました。

 その点について、重ねてお尋ねなんですが、これまで、法律による課税免除、法定減免の部分と、この個別減免、条例減免、これについて実施をする場合に、起債による地方交付税の措置については差があったわけですよね。法定減免の方はしっかりと手当てするけれども、個別減免、条例減免の方は地方自治体の負担が一部残るというような仕組みだったわけですけれども、この点は、今回の復興特別交付税で見るということであれば、いわば、措置とすると、同じになったという理解でよろしいですね。

黄川田副大臣 それぞれ自治体によって条例減免ということで、私の岩手の方でもつくっておるわけでありますけれども、被災の実態に応じて、そして税の減免、しっかりと措置しなきゃいけないということでやっておりますので、答弁とすれば、それも含めて全部措置されてございます。

塩川委員 ですから、懸念として、やはり条例減免の場合については自治体としてなかなかしにくいという心配の声も一部あったわけですけれども、その点はしっかりと、負担がゼロになるという趣旨では同じ並びになったわけで、今回の措置によって、被災自治体の判断で被災者の実情に即した個別減免を行いやすくなるということであります。

 ここで、続けて宅地被害に関する被災者の負担軽減措置についてお尋ねをいたします。

 この宅地被害に関する被災者の負担軽減措置との関係で、まず、東日本大震災復興交付金について質問をいたします。

 復興交付金は、この創設により、被災自治体がみずからの復興プランのもとに進める地域づくりを支援し、復興を加速させるというものとなっております。被災自治体の復興地域づくりに必要なハード事業を幅広く一括化しているということです。

 そこで、宅地地盤被害に対する被災者支援の仕組みがどのようになるのかを確認したい。国土交通省、おいでいただいておりますので、お答えください。

 まず、造成宅地滑動崩落緊急対策事業というのが、この復興交付金の四十事業のうちの一つのメニューとして挙げられております。その事業の内容について、既存の制度であります大規模盛土造成地滑動崩落防止事業と比較をして、補助率ですとか対象とか要件がどのように変わっているのかについて御説明をいただけますか。

花岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今般の第三次補正予算案におきまして、盛り土造成地が滑動崩落した地区において再度災害が発生することを防止するため、造成宅地滑動崩落緊急対策事業というものを創設いたしております。

 この事業の補助対象要件でございますけれども、既存の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業の要件に加えまして、比較的小規模な造成地も対象となりますよう、盛り土をする前の地盤面が二十度以上であり、かつ盛り土の高さが五メーター以上である造成地についても補助の対象に加えております。また、その場合の盛り土上に存在する宅地の数を五戸以上ということで、引き下げております。

 また、盛り土造成地が崩落することによりまして、下にございます市町村道あるいは十戸以上の家屋に被害を及ぼすおそれのある盛り土造成地についても、補助対象とすることといたしております。

 さらに、国費率でございます。既存の事業は四分の一であったわけでございますけれども、これを二分の一といたしました。さらに、放置をすれば広域にわたり重大な支障を来すおそれがあるような施設を保護するものについては三分の二まで引き上げることといたしております。

 既存の事業の場合、そういった形で地方負担が多かったということもございまして、従来の事業の例では、そういった地方負担の一部を被災者の方に御負担いただいたといったものもあるように伺っております。ただ、今回の事業はすべて、御指摘のとおり、東日本大震災復興交付金において措置をすることといたしておりまして、地方負担については、交付率のかさ上げあるいは地方交付税の加算といったものですべてを手当てすることといたしております。

 以上でございます。

塩川委員 一件しか適用事例のなかった大規模盛土造成地滑動崩落防止事業と比べまして、今回の事業では、補助率のかさ上げも行われ、対象も拡大をし、要件緩和が行われたということは重要であります。

 そこで、重ねてお尋ねしますが、この事業によって、宅地部分については被災者の負担は発生しない。先ほど、地方負担は全部ゼロにするということですけれども、要するに、事業全体として、そもそも被災者の負担はそこには発生しないということでよいかどうか、確認をさせてください。

花岡政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業の趣旨は、当該宅地をどうするかということではございませんで、当該宅地の下にございます公共施設あるいは別の住宅の安全を守るというための事業でございます。

 そういった意味で、基本的には、国と公共団体の負担でそういったものを守る、そういう事業だと御理解いただいて結構かと思います。

塩川委員 宅地部分についての被災者の負担は発生しないということを確認しました。

 ただ、地盤がしっかりしたとしても、上物の方はまた別個の話ですから、上物をしっかり住めるようにすることの負担というのは当然被災者にかかってくるわけで、こういった家屋部分の被災者負担というのが課題となるわけであります。

 次に、復興交付金のメニューの一つであります液状化対策推進事業についてお尋ねします。

 この液状化対策推進事業の事業内容について、まずお答えいただけますか。

花岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の東日本大震災におきましては、臨海部の埋立地や内陸部の造成宅地等において、地盤の液状化が、広範かつ多数の被害が発生しているといったようなことになっております。復興を推進するに当たっての重要な課題、津波と並ぶ重要な課題であるといったふうに認識をいたしております。

 このため、液状化による再度の災害の発生を抑制しますための新しい支援策といたしまして、今般の第三次補正予算案におきまして液状化対策推進事業といったものを創設し、道路、下水道等の公共施設と民間宅地を一体的に取り扱って液状化対策を行います場合に、公共施設に対する対策費を支援することといたしております。

 被災者の方の費用負担につきましても、この制度の活用により、官民一体となって地盤改良を行うことにより、宅地側において必要となります対策工事がより簡単なものでいいようになるとか、あるいは共同して発注することによりスケールメリットが発生するといったようなことが見込まれ、個人負担の軽減が図られるものと考えております。

塩川委員 これまで、宅地の液状化被害については全く支援策がありませんでした。今回のような支援制度の創設も重要であります。ただし、実際に活用できるかどうかが問われるわけであります。

 お話でも、官民一体となって進めるということでしたけれども、この事業では被災者の方の負担はどうなるのか、この点についてお答えいただけますか。

花岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 民間宅地側におきます工事につきましては、基本的には土地の所有者の方の御負担になろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、いろいろな工夫をすることによりまして、それをできるだけ軽減したいということで取り組んでいるところでございます。

塩川委員 今お答えがありましたように、公共施設についての液状化対策を進める、例えば道路であれば、道路はもちろん公共施設としての液状化対策を国と地方で行う、その地方負担分はゼロにするということで、復興交付金のかさ上げと復興特別交付税で手当てするという仕組みになるわけです。

 それで、その道路の液状化対策のために、若干宅地部分をしっかり液状化対策をすることによって、道路の液状化対策を、防止をするというスキームなんですよね。でも、そもそも面的にやらなければ効果も上がりませんから、街路でいえば、格子状の街路の道路部分、それに接した宅地の一部だけをしても宅地部分の液状化対策になりませんので、そういった液状化被害の民地、宅地部分については、もちろん所有者の人がお金も出してやらなければいけない。つまり、復興交付金の事業の一つであるこの液状化対策推進事業を見ても、地方負担はゼロにするというふうになっていますけれども、被災者の負担が伴わなければそもそも事業が始まらないという仕組みになるわけです。

 地方負担をゼロにするということは重要です。同時に、本当の意味で被災者の暮らしを支援するということであれば、被災者の負担軽減をどう進めていくのか、ここに今力を注ぐということが必要になっているわけです。

 このスキームでも、もちろん液状化被害対策で被災者の負担を一部軽減できますということを国交省はうたっているわけですけれども、それでも残った費用負担というのは数百万円に上るだろうと言われているわけです。とても払えないという被災者が出れば、そういった面的な整備にならないということにもなりかねないといったときに、さらなる被災者の負担軽減策を講じる必要があります。

 このような造成地の宅地地盤被害や液状化による宅地地盤被害において、いかに被災者の負担を軽減するのか。その点で、復興交付金には効果促進事業というものがあります。造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業といった基幹事業と関連し、復興のためのハード・ソフト事業を実施可能とする、使途の緩やかな資金だとされております。

 そこで、復興対策本部でしょうか、お答えいただきたいんですが、今挙げました造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業において、被災者の宅地とか家屋の改修費用軽減のためにこの効果促進事業を活用することは可能ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 復興交付金に盛り込まれました個別の事業に関しましては、今回、それぞれの省庁におきまして、被災地の実情を踏まえまして、かなり制度の創設、大幅な拡充を図っておりまして、先ほど国交省から御説明申し上げましたように、造成宅地滑動崩落緊急対策事業あるいは市街地液状化対策事業、いずれも被災地や被災者の負担軽減に資する制度改正が図られているというふうに承知してございます。

 それと、今先生御指摘の、住宅の改修等の個人負担の軽減にどこまで対応するかという点につきましては、今回行いました各種の制度の拡充、改正、この大幅な拡充を超えまして効果促進事業でどこまで対応するかにつきましては、慎重な検討が必要というふうに考えております。

塩川委員 慎重な検討ということで、可能だとおっしゃらなかったわけですが、可能だと言えない理由は何ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅の改修等、個人の資産形成に関する負担軽減にどういうふうに対応するかという点につきましては、さまざまなこれまでの議論がある中でございまして、この効果促進事業の中でどう対応するかにつきましては、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 個人の資産形成に資する云々というのは、阪神・淡路大震災のときにさんざん被災者の立場での議論が行われて、被災者生活再建支援法を初めとして、個人の資産というけれども、それは地域の復興そのものに直結をしているんじゃないのか、地域の再建と住宅の再建は一体なんだ、住宅の再建なしに地域の再建はできないというのがこの間の議論だったんじゃないですか、そういう方向でこそ制度を拡充すべきなんだと。

 今言ったように、地方負担をゼロにするというのは結構ですけれども、事業を成り立たせるためには、被災者の負担の軽減が伴わなければできないんですよ。その被災者の負担を軽減する措置として、効果促進をするんでしょう、効果促進事業という名前までつけているんだから、被災者の住宅とか土地の改修のための費用として効果促進事業を使えるようにするのは当たり前のことじゃないですか。できるとはっきり答えていただきたい。

佐川政府参考人 今先生御指摘がありましたとおり、効果促進事業につきましては、基幹事業と関連しまして、その基幹事業のためのハード・ソフト事業ということで比較的自由度の高い資金を確保しているところでございまして、先ほどから繰り返して大変恐縮でございますが、住宅改修等の個人負担の軽減という点につきましては、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えております。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 この宅地の地盤被害のことについては、例えば液状化被害対策について、私、七月の予算委員会で当時の菅総理にお尋ねしました。

 私が、今の答弁にあるような、公共インフラの復興の延長線上で宅地の液状化被害対策というのではなく、宅地の液状化被害に対して直接の公的な支援制度をしっかりと設けるべきだと求めたのに対して、菅総理は、個人住宅の液状化被害に対して今の制度の中で対応するには、都市インフラの補強といった形の延長上で対応することが比較的迅速に対応できるということで述べたけれども、本質的に、個人の家の対応については新たな制度を含めて検討が必要だと答えているわけであります。

 この方向でその検討を具体化すべきときだ。個人の家に対する新たな公的な支援制度を具体化すべきだ。個人の宅地地盤被害に対し効果促進事業が活用できるようにする、そういうことも含めて、慎重な検討を踏まえた上でも実施ができるということを、地域の再建の立場でも先頭に立って頑張る総務大臣としてぜひお答えいただけないでしょうか。

川端国務大臣 直接の所管でない立場であることは御理解いただく中で、御主張の御趣旨はよく理解をいたしましたので、そういう御意見があることは、また機会をとらえて関係者に伝えていきたいと思っております。

塩川委員 ぜひ、被災者の生活再建支援について、この効果促進事業が使える仕組みにするという点での働きかけをお願いしたいと思います。

 関連して、総務大臣にお尋ねします。

 今回、取り崩し型の復興基金をつくられたということであります。私、これは特別交付税で措置しますから、自由度の高いお金として自治体の判断でいろいろできるというふうに承知しているわけですけれども、例えば公営住宅家賃などの料金減免を図る、もちろん今回の復興交付金のメニューとしても減免の仕組みもあるんですけれども、さらに軽減する措置を自治体として独自にやりたいといった際にこの基金が使えるのかどうか。また、今述べました造成宅地滑動崩落緊急対策事業や液状化対策推進事業に伴う被災者の負担軽減措置としてこの基金は活用できるものと私は考えておりますが、この点について、大臣はいかがでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 先ほど、一兆六千六百三十五億円の増額で実質負担をゼロとすることを措置すると申し上げましたが、それに加えて、今お触れいただきましたように、地域のさまざまなニーズに単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細かに対処できる資金として、東日本大震災財特法に定める特定被災地方公共団体である九県が取り崩し型の復興基金を設置することとなる場合については、特別交付税により財政措置を講じることで約二千億手当てをしたということでございます。

 今お触れになりましたのは、住宅の家賃あるいは個人の宅地取得、住宅の建設費、造成費等々の、おっしゃったのは主に個人分ですね、軽減対策を含めて、基金を具体的にどのように使うかについては、交付税は使途に制限のない一般財源でございますので、各県の判断にゆだねられるということになっております。

 ただ、一般論で申し上げますと、地方自治法第二百三十二条の二で、地方公共団体が行う補助については、公益上必要がある場合に認められているものであるということがありますので、その趣旨に沿って適切に判断されるべきものと思っております。

塩川委員 液状化被害などについて、既に、千葉県ですとか浦安市、あるいは私の地元の埼玉の久喜市などでも、独自の支援制度を実施するということでの予算措置なども行っているところであります。そういうものを促すことに当然つながる基金であろうということを今答弁で確認いたしました。

 この基金の点でいいますと、九県なんですよ。でも、今お話ししました埼玉県の久喜市というのは、液状化被害が局地的に大きくあるんですよね。旧栗橋町にあります南栗橋地区での液状化被害が深刻で、まだまだ避難生活でアパートを借りているような方なんかもいらっしゃるわけです。そういうところにこそこの復興基金というのはぜひ使ってほしいと思っておりましたところ、入っていないんですよ、埼玉県が。

 それは、理屈上、財政援助法で規定している特定被災地方公共団体が九県で、そこに埼玉県が入っていないという理屈なんですけれども、そもそも液状化被害というのは、当初は被害認定が厳しくて、被災が小さく出ていたわけですよね。それが、五月二日で被害認定を見直すことによって、傾きなどについてもかなり拾えるようになった。その結果、見直しを一回、二回したことによって、全壊とか大規模半壊とか半壊の世帯がぐっとふえたんですよ。

 だから、そういう意味では、被害の実態からいうと、財政援助法ができたゴールデンウイークの状況よりもさらに被災の状況が広がっているというのが久喜市の実態なんです。

 ですから、そういうときに、今言ったような被災者の支援のスキームとして、取り崩し型の復興基金を、埼玉県、特に久喜市でしっかりと使えるという改善はぜひ図っていただきたい。この点について最後に一言いただいて、質問を終わります。

川端国務大臣 今言われた仕組み、特定被災地方公共団体九県に取り崩し型の基金をつくってということは、いわゆる特別交付税として措置をするということは決めましたけれども、今おっしゃったような個々の、それ以外の部分のいろいろな事情に関しては、基本的に、実情をよく伺う中での、いわゆる一般的な特別交付税の対象としての議論としてまたお話を伺ってやるという仕組みの中で取り扱わせていただきたいと思っております。

塩川委員 財政援助法では、特定被災地方公共団体という枠組みと、特定被災区域という枠組みもあるわけで、そちらでは久喜市も入っているんですよ。そちらの方をとるとか、工夫の次第ではいろいろできるという点ではぜひ前向きな対応をお願いして、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 限られた時間でありますので、早速質問に入ります。

 まず、総務大臣にお伺いいたします。

 給与臨時特例法に関しては、五月二十三日に、当時の片山総務大臣と公務員連絡会、国公連合の間で交渉が行われて、自律的労使関係制度の導入との同時成立、今回の交渉が本来の交渉の先取りであるというところが確認をされ、同時に、地方への波及は遮断すること等々について、片山大臣の見解が表明されました。そして合意されたと聞いております。

 この交渉の内容、結果について、私は給与特例法の前提となるものと認識をしておりますが、まず、川端大臣の見解、そしてどういう態度で臨まれるのか、お聞きしたい。

    〔委員長退席、内山委員長代理着席〕

川端国務大臣 お答えいたします。

 政府としては、公務員制度改革関連法案と給与臨時特例法案は、既に六月三日に、さきの通常国会に同じ日に出していることは御承知のとおりでございます。大変重要な法案でありますので、政府としては、いずれもできるだけ早く成立をいただきたいという基本的な立場でございます。

 それを踏まえる中で、今お触れいただきました片山当時大臣と公務員労働組合連絡会の話し合いの場においては、五月二十三日に行われまして、この過程においては、先ほども答弁いたしましたが、この給与臨時特例法案の給与の減額等々を含めては意見の一致を見た、御了解、御理解をいただいたところでありますが、その席上で、公務員連絡会からは、給与引き下げのための法律案と労働基本権の回復を実現するための法律案は同日に閣議決定と国会提出を行い、両法案を同時に成立させることを約束されたい旨の発言がございました。

 片山前大臣からは、政府としては、両法律案ともに同時に成立させることができるよう、公務員制度改革担当大臣と協力して全力を尽くしたい旨述べられました。国会のことでございますので、両方ともができるだけ早くに、一緒に通すようにという御要望に全力で努力をしたいということを述べられているという経過があります。

 今の我々の立場は、基本的にそれに沿って対応しているところでございます。

重野委員 そこで、今、関係者の間では、その問題をめぐって一生懸命努力がされていると私は承知をしている。そういうさなかに、これは十月二十六日の日経新聞、財務省の考え方が、これは本当なのかどうなのか私は確認はしていないわけでありますけれども、公立小中学校の教職員の給与は下げる、あるいは、国家公務員の給与が大幅に下がる以上、関係機関の人件費も圧縮すべきだ、さらには、地方公務員についても同様の努力をすべきだ、こういうふうなことが報道されているのですね。

 私は、やはりこのやり方というのはちょっとおかしいと思うんですね。今、総務省を初めとして、人事院も含めて、関係機関、公務員の関係組合と真摯に向き合って議論している。公務員労働組合の側は、随分血を流すんだという認識の中で、少なくとも同時に決着をつけてもらいたい、今大臣はそれについては同様の見解を出されましたけれども、いいんですが、私は、この日経の新聞記事は、これはまた違ったところで、きょうは五十嵐副大臣が来ていますけれども、この問題で来てもらったわけじゃありませんから、きょうは聞きません。

 これは、やはりひとつ総務大臣も、関係閣僚として、こういうふうなことについてきちっと大臣として、こういうことが許されるのかという点について一言おっしゃってもらいたい。

川端国務大臣 先ほど来も同じような御議論をさせていただきましたけれども、地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨に基づいて当事者が自主的に決めるものであるということで、条例で決めるものであります。

 と同時に、その他の義務教育費国庫負担金や、あるいは地財計画の算定基準等々で、これを地方に強制的に促すというものでないということが政府の統一した見解でございます。その趣旨に沿って対応していくことに変わりはございません。

重野委員 次に、きょうは五十嵐さんに来てもらっていますが、まずその前に、またこれについてもちょっと総務大臣に聞いておきたいんです。

 十月十七日に五十嵐財務副大臣が記者会見を行って、そこで、ちょっと私は、私の五十嵐副大臣のイメージと違うんじゃないかなと。ここに私は本も持ってきたんですが、これは五十嵐さんが書いた本ですね。これを読んで、僕は本当に、ああ、いいなと思ったんです。ところが、新聞記事ですよ、これはうそか本当か知りませんが、新聞記事によると、五十嵐さんは、地方に対する仕送りに当たる交付税、こういうふうに言っていると新聞は書いているんです。

 冗談じゃない。私は、地方交付税が国からの仕送りになったなんという認識というか、そういう解説を見たこともないし聞いたこともない。いつから国は地方自治体の扶養者となったのかと言いたいですね。

 地方交付税は、地方固有の財源であり、財源の不均衡を調整し、すべて自治体が一定の水準を維持し得るよう財源を保障するためにあるというのが私の地方交付税の認識ですね。

 そうすると、この副大臣の言う仕送り論というのはやはり撤回すべきだと僕は思うんですね。後ほど聞きますけれども。

 そこで、野田政権は、この地方交付税を仕送りだ、よもやそんな認識は持っていないと思うんですが、まずこの点について総務大臣の見解を聞きたい。

川端国務大臣 私としましては、地方交付税は、決して国が地方に恩恵的に与えているものではなくて、地方の固有財源であるということについて、政府として確立した考えであると認識をいたしております。

重野委員 それでは次に、五十嵐財務副大臣にお伺いいたします。

 先ほどから私が仕送り、仕送りと言っているんですが、この仕送り発言というのは、財務省が本当にそんなことを考えているのか、本音なのかということをまず聞いておきたいんですね。

 ところで、五十嵐さんは民主党のネクストキャビネットで総務大臣であったと承知しております。また、二〇〇六年にこの「財務省支配の復活」という本を出されている。私も、これをよく読ませていただきました。

 その中では、財務省に対して、厳しく批判しておられます。三位一体改革について、例えば、十六兆円強の地方交付税の半分近くをカットしようという意気込みは尋常ではない、国の取り分を確保するために地方交付税を削減しようとするものであれば本末転倒と断じています。民主党は、基本原則として、地方交付税制度にかわる地方間財政調整制度を創設する、新制度は簡明なルールを法定し、中央政府の配分権は認めない、このように書いている。また、別の箇所で、国の権限を守る共通利益を捨てて地方分権に協力する官僚が財務省にいるとは思えないとまでもこきおろしているんですね。

 そのあなたが副大臣になった途端に、交付税は地方への国からの仕送り、そういう発言が活字になっているという点は、私は、甚だ残念、また理解できない、このように思うんです。かつて、この本でもそうですが、大蔵省解体とまで叫んだ五十嵐副大臣が、あの五十嵐さんはどこに行ったの、こんなことを私に言わせてはいけないと思うんですね。

 私は、言い回し云々で不適切であったというのであれば、速やかにこの言は撤回していただきたい、このように思うんですが、五十嵐副大臣、どうですか。

五十嵐副大臣 ありがとうございます。重野先生には長いことおつき合いをいただきまして、御指導いただいておりますので、大先輩として尊敬をいたしております。

 御指摘の会見での発言というのは、一つの財政支出の項目の性質として、一方では国庫補助金のようにひもつき、使い道を限定しているものがある、一方で自由に使えるお金という形で交付税があるという意味で、仕送りという言葉を使ったということでございます。だから、それについて解説をしているわけじゃなくて、まくら言葉で、先生がおっしゃったとおりなんですが、地方への仕送りに当たる交付税についてはという言い方をしているのは、特に思い入れがあって言っているわけではない、そういうことでございますので、御容赦をいただきたいな、こう思っているところでございます。

 考え方としては、私、全く変わっておりません。補完性の原理を日本にも適用すべきだ、イタリアの憲法を見習うべきだということを、鳩山元首相と一緒に勉強会で主張し、そうした憲法試案をつくっております。あるいはまた、先ほどお述べになられました、小泉政権下で、丸ごと交付税を計画的に削っていく、それだけではなくて社会保障についても削っていきましたけれども、ああいうやり方はやはり間違いであるというのは今でも思っておりますし、そういう意味で、考え方はそう変わっているわけではありません。

 御懸念は要らないと思いますし、今でも歳入庁構想というのを、私が言い出したことでございますが、めぐって財務省とはちょうちょうはっしやっている部分もございます。

重野委員 という説明をしなければならないわけですね。

 私は、率直に、仕送りなんという、それは解説すればそういう説明がつくんだろうと思うんですが、それをまず、受ける側、我々を含めて、そういうふうな関係にあるという点において、副大臣という人が日本じゅうにごろごろいるわけじゃないんですから、しかも財務省の副大臣、巨大な国の予算を仕切る財務省の副大臣。重いんです、発言は。だから、この仕送り発言は、この場で私は撤回してもらいたい、素直に、率直に。

五十嵐副大臣 それほどおっしゃるような意味があって発言をしたわけではございませんので、不適切という御指摘をいただきましたので、撤回をさせていただきます。

重野委員 そういうことで、ひとつよろしくお願いいたします。

 次に、総務大臣にお伺いいたします。

 聞くところによりますと、あすにも給与に関して閣議決定が行われるやに聞いております。さきの六月三日の閣議決定では、地方公務員については言及されておりません。あすの閣議決定で盛り込まれることはもはやないと思うんですが、その点を確認しておきたい。

 前原民主党政調会長がテレビ番組で地公への波及に言及しております。新聞などによりますと、先ほども若干触れましたけれども、教職員の給与引き下げを財務省が画策していると報道されております。五十嵐副大臣も会見で基準財政需要額の算入について発言していますが、これらは地公を遮断するとした片山前総務大臣の約束をほごにするものだと私は受けとめています。こうした動きに対し、総務大臣はどのような立場で臨まれるのか、まず一点。

 それから、六月三日の閣議決定では、独法について触れております。例年に比べトーンは落としておりますけれども、自律的労使関係が存在しております独立行政法人です。国が口を挟むべき問題ではない。特に、今回の人勧を無視した特例法を当てはめるのは明らかにおかしいと考えるのですが、この点について総務大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

    〔内山委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 お答えいたします。

 前段の地方公務員の給与に関しては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、総務省として、今回の国家公務員の給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に対し要請することや、地方交付税の減額により強制することは考えておりません。

 地方公務員の給与については、引き続き各地方公共団体において国民、住民の理解と納得が得られるような情報公開を徹底するなど自主的な取り組みを進めながら適切に決定することが肝要と考えておりまして、そういう立場で、まだ給与と人事院勧告を含めた部分の対応についての政府の方針は決まっておりませんが、この問題に関しての私の立場は申し上げたとおりでございます。

 また、独立行政法人の職員の給与については、自律的、自主的な労使関係の中で、団体交渉を経て法人が主体的に定めるものであるということは御指摘のとおりでございます。

 一方、独立行政法人は、政府出資により設立され、その運営費の多くを国庫に依存するものであることから、役職員の給与について、納税者である国民の一定の理解と納得を得られるものであることも必要であります。

 そういう観点に立って、去る六月のこの給与臨時特例法の閣議決定において、独法の職員の給与について、「法人の業務や運営のあり方等その性格に鑑み、法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずるよう要請する。」という要請の形で閣議決定されたところでございます。

 自律的な労使関係の中、一方、公費でほとんど賄われているという中でこういう閣議決定がされた、要請がされたことは、現時点において適当であると考えております。

重野委員 やはり原則は、今大臣がおっしゃったような認識というのは、独法等々においても、労使双方、それぞれの認識を持っておられると思います。そこで、やはり大事なことは、自律的なそういう関係者の話し合いの中から導き出される結論を尊重するということが大事だ、そこ辺のところはひとつぴしっと確認をしておきたいと思います。

 時間も来ました。最後に、電力事業者による寄附行為について聞きます。

 いろいろ、福島原発に始まって、浜岡原発等々、この間、原発は、記事が新聞に出ない日はないというほどに非常に注目を集めております。

 そういう中で、私は、いかがなものかと思う事態が一方においては存在しているという点を指摘しておきます。

 それは、新聞報道等々によりますと、各自治体に対する電力事業者からの巨額な寄附が、ごくごく当たり前のように慣行としてなされている。これは私は大きな問題だと。その金額も、二けた、三けたの単位の億というふうに新聞が報じています。

 そういうふうな現実に対し総務大臣はどのような認識を持っておられるか、示していただきたい。

川端国務大臣 個人あるいは民間企業からの地方公共団体への任意の寄附金については、その具体的な使途について法令上の制限がございません。各地方団体の判断により、対応すべきものと考えております。

 参考に申し上げますと、地方公共団体が住民に寄附金を割り当てて強制的に徴収することは、地方財政法上禁止をされておるところでございます。

 なお、電力事業者から地方公共団体への寄附金の額及びその使途については、総務省としては把握をしておりません。

重野委員 時間が来ましたけれども、その寄附金で、本来公的資金で行うべき道路の維持補修とか、そういう公的な部分にそのお金が使われているという事実もたくさんあるんですね。私は、やはりゆがんだ実態にあると思うんですが、次の機会にまたこの点についてはやることといたしまして、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、川端総務大臣に対する初めての大臣所信の質疑を行わせていただきます。よろしくお願いいたします。

 野田内閣になって、野田総理初めての所信表明演説には、「地域主権改革を引き続き推進します。」と、一行しか書いていなかった。愕然としました。これは民主党政権の一丁目一番地だったのではないんでしょうか。

 そんなことから、出先機関改革についてきょうはお伺いをしてまいりたいと思います。

 出先機関の原則廃止ということについて、アクション・プランはできましたが、具体的な検討が進んでいる気配は見られません。先ほど橘委員が御配付をされた資料でも、今ごろは、本来であれば、どの出先機関をどのように地方移管するのか、こういうことを議論していなければいけない段階であるはずですけれども、いまだ議論は出先機関の地方移管の可否の段階にとどまっているようでありまして、進捗状況は既におくれております。

 こういう状況で、野田総理は、来年の通常国会へ法案を提出する、こういうことを御指示されたようでありますけれども、本当に法案提出ということが行われていくのかどうか、そして、目指すとして、今こんな状況でありますから、その内容はどこまで詰まったものになるのか、この点について、まず大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 十月二十日に地域主権戦略会議が行われまして、野田総理から、アクション・プランは政府として決定した方針であり、次期通常国会に法案を提出するとの強い意思が表明され、翌日の閣僚懇談会で、広域連合への移譲に向けて早急に議論を集約するよう、総理から関係大臣に対し積極的な取り組みの指示があったところでございます。

 中間取りまとめを行うというスケジュールは、震災の影響もあったのと同時に、やはり出先機関を廃止して全面的に移譲する、まずは広域連合あるいはブロック単位でというのは、国家的な大事業でありますだけに、いろいろな議論があったことは事実であります。そういう部分で、中間の取りまとめがおくれていることは事実でございます。

 そういう中で総理から強い指示が出され、私も、さっきの議論でも申し上げたのですが、最終的にはやはり政治のリーダーシップでこの課題を乗り越えていかないとどうしても実現できない、そういう意味で、各大臣間の意見交換あるいは情報交換を含めて、現在、精力的にこの目標を達成するために課題を進めているところであります。乗り越えなければならない、整理しなければならない課題について、各関係省に対してヒアリングを行うと同時に、求めておられます地方自治体に対しても意見を集約している過程にありまして、若干水面下の作業に今入っていますので見えにくい部分がたくさんあるといいますか、とにかく精力的に、最大の努力をやっていく覚悟でございます。

柿澤委員 他の委員が御配付された資料を引用して恐縮なんですけれども、そうすると、このフローチャートでいうと、まだ七月か八月の段階の議論を今行っているということになるのではないかと思います。

 率直に言って、震災もあったけれども、それ以外にも、例えば出先機関の役割に関するさまざまな議論があって、ここまで一致した結論を見出すところまでは至っていない、こういう率直な御答弁がありました。そういうことで、結局九月中の取りまとめということができなかったわけですけれども、その分、来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールから逆算をすると、これから議論を収れんさせていく時間はどんどん短くなってしまうわけであります。

 そうした中で、今まで積み残しになってきた課題を一気にクリアして、そして本当に内容が固まった上でのパッケージとしての法案を本当に通常国会に提出することができるようになるのかどうか、この点、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 おくれていることは事実でありますが、現在、総理の指示を踏まえて、年内には広域連合への移譲に向けた課題の克服にはめどをつけまして、その後、移譲対象となる事務、権限の整理、速やかに出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲に係る全体像を固めたいと思っています。そして、その全体像を固めた中で、法整備を含めてそれを具体化する作業に集中いたしまして、総理の指示のとおり次期通常国会に法案が提出されるよう、最大の努力を現在行っているところでございます。

柿澤委員 こうして公的に宣言をされたわけですから、しっかりとした内容の法案を来年の通常国会に御提出される、されなければそれはやはりそのときに非常に問題になるということだろうと思います。

 私たちは、出先機関の原則廃止、地方移管はぜひ進めていくべきだという立場ですので、そういう意味で、これまで言葉上はいろいろ言われながらも、結局実態としては進んでこなかった。こうしたことがまた繰り返されて、結局一年先送りですとか、そういうことになっていく、これは極めて遺憾な事態だというふうに思いますので、そういうことがないようにぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 また、地方出先機関の地方移管に関する中身についてお伺いをしたいというふうに思います。

 アクション・プランでは、出先機関の受け皿としてブロック単位の地方組織とかそういう言い方がされているわけですけれども、内容的要件というか、このブロック単位の地方組織というのは一体いかなるものになるのかということがはっきりしておりません。

 そして、今、御答弁では広域連合、こういうお言葉を使われました。基本的にこれは広域連合への地方移管、こういうことを想定しておられるという理解でよろしいでしょうか。

川端国務大臣 政府として決定いたしましたアクション・プランにおきましては、広域的実施体制のあり方について、こういう表現で決めております。「広域連合制度を活用するための諸課題について検討を行った上で、新たな広域行政制度を整備する。」ということであります。今、広域連合制度をやっているのは関西広域連合だけであります、九州はブロックでの協議団体でありますので、前提としては、広域連合の制度を活用する新たな広域行政制度ということでの受け皿を整備するというふうに書いてあります。現在、諸課題を解決するためにはどうすればいいかということで、関係府省や関西、九州両地域と協議、調整を行っているところでございます。

柿澤委員 広域連合の枠組みをどういうふうにして活用していくかということで、法的な問題も含めてクリアすべく今検討している、こういう御答弁だったと思いますが、現存する広域連合としては関西広域連合があって、そしてその関西広域連合は、地方移管を求める非常に強い姿勢を持っているわけであります。

 しかしながら、この関西広域連合は、ブロック単位の地方組織として見ることができるような内実のものなのかという点があるというふうに思うんです。

 関西広域連合は、中身を見ますと、関西というふうに想定するのは大体普通は近畿地方ですけれども、その近畿地方の奈良県が入っていないわけです。一方で、鳥取県は入っている、徳島県は入っている。ある種任意の西日本の府県の集合体、こういうものとして組織をされている。関西広域連合の内実は、ブロック単位の地方組織というのとちょっと乖離があるものだというふうに思うんです。

 関西広域連合が地方支分部局の事務事業あるいは人員を移管せよ、移管せよと言ったときに、この関西広域連合の枠組みで移管ができるのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 広域的実施体制の区域のあり方は、大変重要なポイントでございます。

 一般論で申し上げますと、受け皿となる広域的実施体制の区域が出先機関の管轄区域を包摂することが基本であるというふうに考えております。

 したがいまして、関西広域連合に関しては、受け皿となるには奈良県も加入していただくことが望ましいというふうに考えております。鳥取県や徳島県が加入していることはそれぞれの自主的な判断によるものであって、そういう判断は尊重されるべきものだというふうに思っております。

 総務省としては、繰り返しになりますけれども、出先機関の管轄区域を包摂するものが受け皿であるということでやっていただきたいということを、望ましいという意向は現在伝えてございます。

柿澤委員 ちょっとこの点は掘り下げていきたいと思うんですが、奈良県が入っていただくことが望ましいと。望ましいということは、入っていなくても、関西地方、近畿地方の支分部局の権限、財源また人員、こうしたことを移譲できるんだ、こういう理解でいいのか。

 もう一つ。鳥取県また徳島県が入っているわけですから、この鳥取県、徳島県が該当する中国・四国地方における支分部局の事務事業や人員も移譲する、分割移譲みたいな形でそういうことをやっていくこともあり得る、今、川端大臣の御答弁を解釈するとそう言われたということになりますが、そんなことできるんですか。

川端国務大臣 奈良県が入っていただくのが望ましいという部分は、受け皿機能としてどういう形態をとるか、そして、おっしゃったように、そこにどういう権限、財源を移譲するのか、人の配置をどうするのかというときに、そういう意味でいったら、所管のいわゆる出先機関の区域が包摂されている受け皿であることが望ましいと申し上げたのは、抜けるとやはりいろいろ不都合が起こると当然想定されているから入っていただきたいというのを申し上げているわけです。

 そういう意味でいうと、これからもう少し制度設計を具体的に詰めていくときに、どういうものをどう渡すのかというときに、抜けたときにそれをバックアップするような機能ができるのか、そこだけ別にやるのかというのは、技術的に相当難しい問題が起こることは当然予想されるので入っていただきたいと言っているので、その状況の中で詰めていく制度設計との見合いでありますが、私たちの立場は、ぜひともに入っていただきたいということであります。

 入らなくてもいいのかということは、できるだけそうならないようにしていただきたいということで、これから協議を進めてまいりたい。

 そして、鳥取県と徳島県、中国・四国地方に一般的に分けたときの部分でありますが、これはまた一般論になりますけれども、出先機関の管轄区域を包摂するということに基本的になりませんので、これは現実には、そこの部分は関西広域連合の中で、どういう形で何をどこの部分までという区域を含めた権限と財源、人間の部分の議論としては、いろいろな議論の中で、やはり一つの指標としては、出先機関の管轄区域というものと一体という受け皿という議論は当然にあるものだと思っております。

柿澤委員 現存する広域連合としての地方移管の受け皿であるはずの関西広域連合ですら、このままでは受け皿になり得ないということになるわけです。これでどうやって二〇一四年までに地方移管を完了させる、こういうことができるのか。結局、国は推進姿勢だったけれども、地方の側の受け皿が整わなかったから何も進みませんでした、こういうことになってしまいかねないのではないかというふうに思います。

 また、この広域連合、ブロック単位の地方組織、どちらでもいいですけれども、これはかなりまとまった事務事業、また人員を抱える組織になるということになるんだろうと思います。そうなると、広域連合、ブロック単位の地方組織と都道府県があり、その下に市町村がある、国も合わせると四層制をやろう、こういうことなんでしょうか、お伺いをしたいので御答弁いただけますでしょうか。

川端国務大臣 広域連合を中心とした受け皿の広域の組織を検討して法整備をしたいということでありまして、これはまさにそこの権限、権能をどうするかということで、市町村があり、都道府県があり、その上に広域連合がある、それを連携する部分が何か四層的にという位置づけに必ずしもなるとは私は思っておりません。

 そういう部分で、広域連合というものの、まさにどういう権能、権限を持つのかという整理によるんだというふうに思っております。

柿澤委員 しかし、国家公務員総人件費二割削減のマニフェストには、一番最初に地方移管が書いてあるわけです。地方移管の受け皿は広域連合でありブロック単位の地方組織、ここに一定程度、かなりの人員を移管する。要するに、そこが相当程度の職員数を抱える、こういうことにならない限り、地方移管は進まないのではないかというふうに思います。

 このブロック単位の地方組織というのが人員の移管、移譲の受け皿になる、こういう認識でいいのかどうか、お伺いします。

川端国務大臣 広域連合は、現行の地方自治法において国の権限移譲の受け皿としての機能を持つ特別地方公共団体として位置づけられており、現に関西広域連合が設立され、さまざまな取り組みをされていることも踏まえれば、広域連合を受け皿とした出先機関の事務、権限の移譲を検討することは自然なことと考えております。

柿澤委員 だとすると、やはりこれは四層制を事実上行うということになるのではないかと思います、実現すればですけれども。

 こういう議論になっていくのは、結局、現状の都道府県のサイズでは事務事業も財源も人員も移管をできない、だからこのブロック単位の地方組織などというよくわからないものが出てくる、現状の都道府県のサイズを前提として出先機関の地方移管を進めようとしても限界があるということを、まさに今までのこの議論が示しているんだというふうに思います。

 今やらなければいけないことは、屋上屋を重ねて四層制などというものにしていくことではなくて、本来、都道府県制から広域行政政府である道州制への移行をやはり考えていくべきなのではないかというふうに思うんです。しかし、現政権は道州制へ向けた議論を半ば封印している、ここが議論をおかしくしていると思うんです。

 今月七日のアクション・プラン推進委員会で、これは松原国土交通副大臣だったということですけれども、広域連合への移管では緊急時の対応に懸念がある、こういうふうに発言したとされています。松原副大臣は民主党で道州制に向けた議連の役員をされている方ですから、恐らくそういうことも念頭にあったんだと思います。

 こういうふうに、きちんとした広域地方政府の創設を視野に入れていないから、それを理由に出先機関の移管に難色を示す省庁まで出てきてしまっている、こういう状況になっているのではないかと思います。

 この際、やはり原理原則に立ち返って、そして広域的な行政、また権限、財源、人間の地方への移管、そうしたことを進めていく上での正しい受け皿として道州制を想定して、それを推進していく。

 まさに、かつての政権時代に今私たちの党首であります渡辺喜美担当大臣が推進をしていた道州制基本法の創設に向けて今こそ検討していかなければ、結局、地方出先機関の事務事業の移管といったって、いつまでたっても絵にかいたもちということになってしまうのではないかと思います。

 今こそ道州制基本法の制定を検討すべきだと考えますが、御答弁をお願いいたします。

川端国務大臣 地域のことは可能な限り地域でより身近な行政が行うということで、地域主権改革はいろいろな議論がされてきて、今回のようなアクション・プランを閣議決定しました。道州制の議論が幅広くあることも承知をいたしておりますし、その権限移譲に関して、都道府県単位におろすべきだ、いやいや、基礎的自治体もという幅広い議論がありました。

 アクション・プラン、行動計画ということでは、まず、今、広域連合、あるいはそういうブロック単位の活動のところが非常に意欲的であり、実績もあるということで、そこに移すことで一歩前へ進めようという観点でありますので、道州制の議論で到達するゴール、これは物の考え方で、それをやってからやった方が早いという御議論もありますが、我々としては、道州制も視野に入れながら、まず大きく実現可能な一歩を前進するために、アクション・プランに基づいて行動していく所存でございます。

柿澤委員 最終的な国の姿を明示しないまま、やれるところからやっていく、こういう姿勢でどこまで進むのか。しかも、都道府県のある種合意待ちのようなやり方、これでは、結局かけ声倒れで何も進まないということになってしまうのではないかと非常に強い危惧を覚えます。

 また、タイムスケジュールからいっても、もう残された時間は少なくなってきている。本当にこの議論が収れんするのか、これからも見守ってまいりたいと思いますので、皆さんの御努力には期待を申し上げますので、これからもお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

原口委員長 この際、御報告いたします。

 去る九月三十日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出があり、議長より本委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

     ――――◇―――――

原口委員長 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 去る九月三十日の一般職の職員の給与についての報告、給与の改定についての勧告及び国家公務員制度改革についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁江利川毅君。

江利川政府特別補佐人 人事院は、九月三十日、国会と内閣に対しまして、国家公務員給与に関する報告及び勧告を行い、あわせて国家公務員制度改革に関する報告を行いました。また、同日、定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出を行いました。

 このたび、その内容について御説明申し上げる機会を与えていただき、厚く御礼申し上げます。以下、その概要を御説明いたします。

 本年は、東日本大震災の影響により、勧告の基礎となる民間給与の実態調査を、例年より二カ月おくれで六月から八月にかけて、岩手県、宮城県及び福島県の東北三県に所在する事業所を除き実施いたしました。

 月例給については、東北三県の民間データが欠如していることの影響は限定的であると認め、例年と同様に、行政事務を行う公務員と、企業規模五十人以上の民間企業で事務・技術等の業務を行う従業員の四月時点の給与を精確に比較しました。その結果、公務員給与が民間給与を八百九十九円、〇・二三%上回っていました。この較差を解消するため、国家公務員の給与水準が民間の給与水準を上回っている五十歳代を中心に、俸給の引き下げ勧告を行いました。

 特別給については、東北三県のデータが欠如していることによる影響が認められることに加え、東北三県の厳しい経済状況にかんがみると本年夏季の特別給の支給状況も厳しいと見られることから、勧告を見送ることにしました。

 実施時期につきましては、公布の日の属する月の翌月の初日としておりますが、本年四月から改正法施行までのマイナス較差相当分は、十二月期の期末手当で解消するよう調整を行う内容としております。

 以上の措置により、職員の平均年間給与は、三年連続の引き下げとなります。

 また、給与構造の公正性を確保する観点から、給与構造改革で行った俸給引き下げの経過措置額を平成二十四年度に半減し、平成二十五年四月一日に廃止することを勧告しました。経過措置額の適用者の平均受給額は約一万円で、今回の較差八百九十九円の十倍以上となります。この経過措置額のための財源は昇給の抑制により捻出してきましたので、経過措置額の廃止によって生ずる財源は、若年・中堅層について抑制してきた昇給の回復に充てる内容としております。さらに、今後の取り組みとして、高齢層における官民の給与差の縮小のため昇格・昇給制度の見直し等について検討していく旨報告しております。

 東日本大震災という未曾有の国難からの復旧復興のための財源確保の一環として、公務員人件費の見直しが議論されており、人事院としても、こうした課題の重要性は認識しております。他方、報告においては、本年六月に国会に提出された国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案について、人事院の考え方を述べております。これらの点を含め、国会で審議を尽くしていただくようお願いいたします。

 続きまして、国家公務員制度改革に関する報告について御説明申し上げます。

 国家公務員制度は行政執行を支える基盤となる制度であり、その基本的な枠組みの改革を行う場合は、広く国民的な議論を行い、国民の十分な理解と納得を得て進めることが求められます。この議論に資するため、国家行政の特徴や国家公務員のあり方など改革の前提となる基本認識と、法案に関しさらに議論を深めていただく必要があると考える主な論点について報告しております。

 加えて、国家公務員制度改革基本法に定める課題のうち本院が取り組むべき課題について、取り組み状況を報告しております。

 次に、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出について御説明申し上げます。

 国家公務員制度改革基本法第十条には、「定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討すること。」と規定されております。人事院としては、公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせ、平成二十五年度から三年に一歳ずつ、国家公務員の定年を段階的に六十五歳まで引き上げることが適当であると考えます。

 その際、民間企業の実情を考慮し、六十歳を超える職員の年間給与を六十歳前の七〇%水準に設定すること、また、組織活力を確保するため、役職定年制、短時間勤務制等の措置を講ずること、さらに、退職手当等の関連制度上の措置について政府全体で取り組むことが必要と考えております。

 以上、本年の報告及び勧告並びに意見の申し出の概要を御説明申し上げました。

 委員長初め総務委員会の委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、この勧告及び意見の申し出を速やかに実施してくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

原口委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十六分散会


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