衆議院

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第6号 平成24年3月8日(木曜日)

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平成二十四年三月八日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      小原  舞君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      福田 昭夫君    松崎 公昭君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    和嶋 未希君

      伊東 良孝君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    中谷  元君

      平井たくや君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      斎藤やすのり君    渡辺 義彦君

      重野 安正君    柿澤 未途君

      山内 康一君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     伊東 良孝君

  斎藤やすのり君    渡辺 義彦君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     谷  公一君

  渡辺 義彦君     斎藤やすのり君

  山内 康一君     柿澤 未途君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 早速質問に入らせていただきます。おくれている瓦れきの処理について質問させていただきます。

 昨年の発生以来、瓦れきの処理というのは最大の課題でありました。自民党は、早速プロジェクトチームをつくって協議に入りました。座長は、お父さんが阪神・淡路大震災の特命担当大臣でありました小里泰弘さん、そして、当時、兵庫県庁で財政課長で最前線に立って瓦れきの処理に当たられました谷さん、こういった方々、経験者の方々を中心に、まずプロジェクトチームをつくりました。そして、三月三十日、四月十五日、五月三十日、この二カ月間の間に第三次にわたって五百七十七項目の震災の復旧対策というものを政府の方に提言いたしました。その中で、瓦れきの処理というのは国が責任を持って直ちに行うべきだ、しかも、予算は全額国費にすべきだということを再三盛り込みました。

 しかし、政府の対応は遅く、なかなか処理が始まりません、そして進みませんでした。このため、自民党といたしましては、いたし方なく、政府の尻をたたく形で、東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する法律、いわゆる瓦れき処理法を成立させたんです。自民党が原案をつくりまして、そのほとんどがそのとおりの案文になったというふうに理解をしております。その法律が制定されたのが八月の十八日でありますので、もう五カ月たっておりました。そして、その後、処理に対する契約あるいは処理方法などの指針が作成をされまして、この指針の作成が終わり、出たのが十一月であります。

 三・一一震災が発生し、そして最終的に瓦れきの処理に対する法律と指針がそろったのが十一月、もう八カ月も経過しているわけですね。これでは、瓦れきの処理率、今になって五%だ、あるいは六・二%、三%、こういうふうになるのも当然であります。私は、明らかに初動のミスであり、そして八カ月間、不作為の状態が続いていたというふうに思います。

 これについては、ぜひ総理としても反省をしていただきたいし、その不作為をお認めいただきたいと思いますけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 今般の東日本大震災におきまして、いわゆる災害廃棄物、瓦れきが約二千万トン発生をいたしました。それぞれ県別に見ると、例えば宮城県ですと年間の処理量からすると十九年分、岩手県十一年分というような膨大な量でございます。したがって、被災地だけで自己完結でこの処理を行うということは困難でございますので、今、坂本委員御指摘のとおり、どうしてもこれは全国の自治体に御協力をいただいてという広域処理が必要でございます。

 その間の時系列の議論の進め方、結論については委員の御指摘のとおりで、与野党の合意を得て八月に法律をつくっていただき、そして十一月に指針をつくるという形になりました。その分、出おくれた感がありますが、この法律に基づいて、しっかりと広域処理については、私も今まで全国知事会であるとか、あるいは個別にいろいろお願いしたり等々努力をしてまいりましたけれども、広域処理が進むように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

坂本委員 当初から、陸路、海路を通じて全国的に処理をしなければ、十九年分、二十年分あるからだめなんだということは提言していたんです。もちろん野田総理のときではありませんけれども、当時の菅総理のときですけれども、この処理の初動、そして八カ月間のブランク、これは明らかに今こういう形になっている、そのことだけはやはり反省していただきたい。やはり初動のおくれがあったということをお認めいただきたいと思いますけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 昨年の三月以降の取り組みとしては、発生をした瓦れきを仮置き場に搬入する、近傍にある瓦れきを仮置き場に搬入するというところがまず手いっぱいだったと思います。その後に出てきたのが広域処理だと思いますので、遅いという御指摘については、これは甘んじて御批判は受けなければなりませんが、その分これから加速度を上げて対応していきたいというふうに思います。

坂本委員 少なくとも間違いが二つあったと私は思うんです。

 一つは、やはり国が処理をするんだという責任感、農業でいえば、瓦れきの処理というのは農地の基盤整備と一緒でありますので、やはり国が責任を持ってやる。そして、その後の問題について県やあるいは市町村と協議をしてやる。そして、市町村に任せるべきこと、県に任せるべきこと、そういった考え方の整理ができていなかったというふうにまず一つ私は思います。

 それから、これだけの力わざです。本来ならば、国土交通省、あるいは厚生労働省、財務省、そして総務省、予算、財源、あるいは組織、こういったものを束ねる官庁が中心になって、省庁が中心になってこれを進めなければ到底できるようなものではないと私は思いますが、これを環境省に任せてしまったこと、環境省は、どちらかといえば規制官庁でありますので、こういった事業的なものにはなれていないところがあるというふうに思います。

 私は、最初の時点で、やはり役所の使い方を間違った、あるいは、どこをどうボタンを押していっていいか、やはりその辺の判断が甘かったというふうに考えますけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 昨年八月に与野党合意でまとめていただいた特別措置法によって、国は広域処理の要請をすることができるということになっています。その要請でありますが、本来は、何県はどことか割り振りができればいいんですが、そこまではいっていません。あくまで要請でありますが、マッチングについては、環境省任せではなくて、既に何回か、閣僚懇談会等でも言っていますが、それぞれの閣僚がそれぞれ責任を持って関係ある自治体にお願いをする等々、環境省だけではなく政府一丸となってそのマッチングについては取り組んでいきたいと考えております。

坂本委員 やはりもう少し組織的に、具体的に進めていかなければ、これから加速するといっても、なかなか加速はできないというふうに思います。

 被災市町村、自治体に対してどういう応援体制を組むかというときに、私たちは、プロジェクトチームの中で、対口支援というのを出しました。九州は福島の市町村を応援しよう、あるいは中国、四国は宮城県をというようなことをやったらどうかというふうな提言をいたしましたし、これは知事会の方からもそういうことが出てまいりました。

 そういうことを考えれば、今言われましたけれども、対口処理、やはりこういったものを導入すべきであるというふうに思います。九州は岩手県のどこどこ地方のどれだけを確実に処理してほしいというような形の設計がやはり必要である。

 それと、これは総務省、財務省、こういったところの協力を得て、交付税、あるいは特別交付税、そしてさまざまな支援金、助成、こういったものをうまくかみ合わせていかないとなかなか進むものではないというふうに考えます。処理を受け入れたところについては、例えば公民館建設あるいは道路建設、そういったものには応分の支援をする、そういった地元にとってもある程度恩恵になるものがなければなかなか進まないというふうに思います。国土交通省だけではなくて文部科学省等々とも、全省庁的に話し合いながら、体系立った処理方策というものをつくっていただきたい。

 総理が頭を下げてお願いします、あるいは、歴代の環境大臣が協力してほしい、これだけでは絶対に今後加速度的に進む可能性はないというふうに思いますけれども、これからの処理のあり方、組織立ったもの、その辺についてどうお考えですか、お尋ねいたします。

野田内閣総理大臣 確かに、これまでは瓦れきが発生をした被災地の自治体に対する支援が中心でございました。放射能の測定をするであるとか、あるいは処理費用、運搬費用も含めて、国が財政的支援をするというやり方で被災自治体の対応をしてまいりました。

 これから変えなければいけないということで、広域処理という形で御協力をいただける自治体については、受け入れてくれる自治体における放射能の測定、それは処分場そのものであるとか、一番御心配をいただいて、御批判をいただくのは付近の住民の皆さんなので、その付近における放射能の測定なども、これは国が財政支援をするし、必要に応じては国が直接放射能の測定を行う、そういう一つの方向性を出させていただきました。

 それからもう一つは、お金の面でありますけれども、受け入れてくれる自治体においては、自分のところの廃棄物の処理に加えて、被災地で発生したものを受け入れるわけですので、処分場自体を拡充しなければいけないとか、新たに建設しなければならない場合においても国が財政支援をする、こういうようなスキームのもとに、被災地における支援と受け入れてくれる自治体への支援と、双方をあわせて広域処理を進めていきたいと考えております。

坂本委員 阪神・淡路大震災のときは、当時の野中広務自治大臣は、支援しない市町村については、自治体については交付税を減らすというような荒わざまでやりました。私は、非常時ですので、ある程度そういうような政治手段、あるいは政治主導をもってこれからの処理に当たらなければなかなか進まないというふうに思っておりますので、ぜひ政治主導できちっとした計画を立てていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず初めに、先日来議論をしておりました、平成二十三年度の特別交付税のことについてお伺いしたいと思います。

 今年度は、東日本大震災のほかにも、私の地元もそうですが、台風十二号、それから冬場に入りまして豪雪など、大きな災害に見舞われた一年でございました。例年以上に緊急の財政需要が増加し、多くの自治体で財源の不足が生じているというふうに見られておりますけれども、特別交付税に関する財政需要の状況がどうなっているのか、過去三年の実績について示していただきたい。

 また、自治体の要望に十分応えるためには、特別交付税が足りない事態になっているのではないかという懸念を私はしております。特別交付税に関する財政需要の増加状況、それから、残っている最後の三月交付分の特別交付税の額を説明していただきたい。これで自治体が十分対応できるのかどうかということも含めて、お願いをしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 地震、台風等の災害、特にことしは大変大きくありました。そういう部分で、直近三年度の特別交付税の算定額は、平成二十年度が三百二十六億円、災害が百十二億、除排雪が二百十四億、平成二十一年度は三百八十三億円、災害が百二十五億、除排雪が二百五十八億、平成二十二年度は四百五十億円、災害関係が八十九億円、除排雪経費が三百六十一億円となっております。

 また、本年度の三月分の特別交付税の額は七千三百九十三億円となっております。

 本年度の特別交付税の総額は一兆五千百九十七億円、東日本大震災関係でこれまで交付した四千九百十六億円を除くと一兆二百八十一億円でありますが、これは昨年度の特別交付税額一兆三百十八億とほぼ同程度の規模、三十七億円減、〇・四%減でありますが、総額ではほぼ同程度であります。

 本年度において生じた東日本大震災以外の災害については、既に十二月分の特別交付税において、把握可能なデータに基づいて百九十五億円措置しておりまして、三月下旬の決定、交付を目途に算定作業中である三月分の特別交付税においても、災害により被害を受けた地方団体の実態を的確に把握して、その円滑な財政運営に支障が生じることのないよう適切に対処することとしております。

 なお、過去に大災害が発生した年度においては、被災団体以外の団体では、特別交付税が大災害で大きくとられますと、特別交付税の額が対前年度比で数%前後の減になることがたまにあります。これは、大きな災害がことしのように発生した年度において減が生じることについては、おおむね各団体にもそういうときはということで御理解いただいているものと承知いたしておりますので、ことしもそういう範囲内でしっかり対応できると思っております。

西委員 今回の地方交付税法の一部改正で、復興特別交付税の決定時期については、その時期、それから額について特例を設けました。また、平成二十四年度分として交付されるべき震災復興特別交付税の一部を二十五年度に交付するという特例も設けました。こんな形で、この交付税に設けられた交付時期の特例、それから繰り越しというのは、通常の特別交付税にも適用できるようにすべきではないか。

 時間が足りませんので、次のこともあわせてお伺いしたいと思うんですが、今回、東日本大震災はさまざまな法制度の見直しを迫っているように思うんです。いつ災害が起きるのか、どんな規模で起きるのか、我々にはわからない。さまざまな局面で柔軟な対応ができるようにしなければならないというふうに考えているわけでございます。

 地方自治体にとって、災害対応するための重要な財源となるこの特別交付税制度を柔軟に運用できるように今後見直しをしていくことが必要ではないか、こういうふうに思っておりまして、御答弁をお願い申し上げたいと思います。

川端国務大臣 時間が限られておりますので、簡単に申し上げます。

 今、震災復興特別交付税は、お触れになりましたように、柔軟に対応することといたしましたが、一般の交付税につきましても、年二回の定例交付を基本としつつ、昨年三月の地方交付税法改正で、今年度から新たに、特に甚大な災害の発生時における決定時期等の特例を設けさせていただきました。柔軟な対応ということでありまして、東日本大震災においては、この仕組みを利用して、二回にわたる特例交付を実施しました。

 一般の特別交付税は、各年度において、普通交付税の画一的な算定においては措置されないさまざまな特別の財政需要に対処するものであり、例年、各地方団体からその年度の特別交付税の総額を超えて多額の要望がありますことを踏まえると、年度を繰り越して交付することの必要性はむしろ見当たらないのではないかというふうに思っています。

 このように、災害発生時も含めて、特別交付税で柔軟かつ迅速な対応を行うようにできるので、今後とも、そういうものをうまく使っていけば、地方団体の円滑な財政運営に支障が生じないようにできるものというふうに思っておりまして、そういうことで、きめ細かく今の制度を十二分に活用して財政需要には応えてまいりたいと思っております。

西委員 総理、先ほどからの議論をお聞きになって、御感想を一言お願いできればと思います。

野田内閣総理大臣 西先生からは、特別交付税制度を柔軟に対応できるように、特に災害発生時等々という御趣旨の御提起だと思いますが、川端大臣からもお話がありましたとおり、いわゆる特例交付という制度をつくっていただいて、東日本大震災で二回、特例交付をやりました。これは合わせて二千五百億、四月、九月です。

 それから、大雪でこれまたことし大変でありますけれども、豪雪に対しては、繰り上げ交付という形で百五十五億円対応させていただきました。

 これからもこうした柔軟な対応をしっかりしていき、災害が発生して、財政が支障になって対策を講じることができないということは避けていきたいというふうに考えております。

西委員 私もまさしくそういう考えで申し上げたつもりでございます。今後ともそのつもりでよろしくお願いを申し上げます。

 時間が少なくなってまいりました。新規採用の削減問題、それからリストラの問題についてというふうに思っていたんですが、まず初めに一つだけお聞きして、最後にもう一つということにしたいと思います。

 政府の行政改革の実行本部が、三月六日、二十五年度の国家公務員の新規採用を、政権交代前の二十一年度と比べて四割以上削減するという方針をお決めになったという報道を伺いました。これでどの程度の削減になるのかということと、それから、本当に民主党政権は、この新規採用について、二十一年度比で、前の鳩山政権と同様に五割という大きな削減というものを今後目標としているのか、全体の人事の配置についてお伺いをしておきたいと思います。

川端国務大臣 数字に関してお問いでありますので、お答えさせていただきます。

 三月六日に行政改革実行本部を開きまして、二十五年度の国家公務員の新規採用抑制については、これまでの抑制を大幅に上回る抑制を行うということの方針が確認をされました。報道で四割、四割と載っているんですが、この会議で数字は一切何も言及しておりませんし、確認もいたしておりません。

 そういう中で、これまでの抑制を大幅に上回るということの念頭には、二十一年度をベースにしたときに、二十三年度は三七%減、二十四年度は二六%減であったということを大幅に上回るということで、岡田副総理が先ほどの予算委員会でも御答弁されましたけれども、最終的に数字で成果を示したいということでございます。

 なお、トータルの定員管理をどうするのかというのは、新規採用数と同時に、今の仕事の見直し等々も含めて重要な課題でありますので、一概に、これをやったからこうなるということには、すぐにはならないというのも御理解いただきたいと思います。

西委員 時間が来ました。最後に一問だけお願いしたいと思います。国家公務員の給与削減についてでございます。

 これは、二月末、ようやく成立をいたしました、決着しましたが、その後、前原政調会長、安住財務大臣等から、二年以降も引き続き下げるというような発言が相次いでいるわけです。このことについて、二年後の給与引き下げについて、総理のお考えを最後にお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 今般成立した国家公務員の給与削減については、西先生にも実務者協議で大変お世話になりましたことを御礼申し上げたいというふうに思います。

 その上で、二年後の話でありますけれども、今回は臨時異例、まさに復興財源の手当てとして充てるということがこの法律の趣旨でございます。その後のことは、我々は国家公務員の人件費二割削減と言っていることもあります、そういうことも含めて二年後に判断をさせていただきたいということで、まだ決めているわけではございません。

西委員 終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、総理に、東日本大震災の被災地の復興に対する消費税増税の影響についてお尋ねをいたします。

 消費税増税は、二〇一四年八%、二〇一五年一〇%、ちょうどこの時期は東日本大震災の集中復興期間と重なる時期であります。消費税増税が、被災者の生活となりわいの再建、被災地の復興の足かせとなる危惧を覚えるわけであります。

 具体的にお尋ねをいたします。被災者の住宅再建なしに生活の再建はあり得ません。被災地では、防災集団移転促進事業や区画整理事業などの準備を本格的に進めております。その中で、住民合意に時間をかけている地域も少なくありません。迅速な住宅再建の取り組みと同時に、住民合意を前提とした丁寧なまちづくりが必要であります。また、福島では、戻る見通しそのものが立たないという被災者が多いというのも実態であります。

 そこで、総理、それなのに消費税増税ということになれば、こういった被災者の住宅再建にとって大きな負担をもたらす、大きな影響を及ぼすことになるんじゃありませんか。

野田内閣総理大臣 私どもの内閣の最重要課題は震災からの復旧復興と原発事故との戦いと日本経済の再生である、昨年、政権発足当初にそう申し上げさせていただきました。この姿勢は不変でございます。

 むしろ、ことしは、きょうは予算を衆議院通過させていただきましたけれども、復興関係の予算は三・八兆円入っていますので、一日も早く成立をさせていただき、冒頭申し上げた、復興の部分についてはスピードアップ、復興庁もできましたので、加速をしていきたいと思いますし、被災者の生活を再建する上で住宅の問題も大きいと思います。どこに建てるか含めて、高台移転の問題等々含めて、さまざまな課題がございますが、そうした事業が加速するように努力をしていきたいと思います。

 一方で、消費税の問題は、社会保障と税の一体改革というくくりの中で国民の皆様にお願いをしたいと思っております。社会保障改革も、これも待ったなしであります。少子高齢化が進展をしている中で、人口構造が激変をしている中で、社会保障の持続可能性をしっかり担保するための安定財源が必要です。社会保障をまさに充実させていく、安定化させるということは、再分配機能だと私は思います。それを支える税として何がいいかという形で消費税をお願いしていますが、当然、逆進性対策等も講じていかなければなりません。

 そういうことをやりながら、復興もやらなければなりません。一方で、社会保障と税の一体改革も、これも待ったなしの状況になっているということで、あわせて御理解を進めていきたいというふうに思います。

塩川委員 質問に答えておりません。

 総理の説明というのは、復興は復興、消費税は消費税、こういう話ですけれども、復興の核である被災者の住宅再建に消費税増税が否定的な影響を与えるんじゃないかということをお尋ねしているわけです。

 被災者はマイナスからのスタートです。せめてゼロにしようというのがこの間の支援策で行っていることであるわけで、復興は復興としてしっかりやるというのは当然のことであります。しかし、消費税増税というのは、そういう被災者を再びマイナスの状況に追い込むことになるんじゃないのか、消費税増税が住宅再建にとって大きな障害となる、このことが問われているわけであります。

 昨年七月に、復興財源として消費税の議論がありました。それの関連で、当時、海江田経済産業大臣は、委員会での答弁で、復興財源を消費税に求めると、住宅の再建や改築に一〇%の消費税がかかることになったら家が建たないわけだから、よく考慮しなければならないと。これは復興財源の議論ではありますけれども、消費税増税が住宅の再建、改築に大きな影響を与えて、家が建たないことになるということで、消費税の影響を認める発言をしております。総理はこの点、同じ認識ですか。

野田内閣総理大臣 海江田大臣の発言は今初めて聞きましたので、十分同じ認識かと問われても、ちょっと定かにはわかりません。真意をよくお聞きしないとわかりません。

塩川委員 消費税増税の住宅再建に対する影響についてお答えがない。

 この間、被災地では、皆さんが懸命に生活再建、地域復興に取り組んでおられる。そういった中でも、例えば、仙台市内で三歳の子供さんを持つお母さんが津波で家が全壊判定を受け、大変な思いをした、ことしに入って子供の医療費が有料になってきつくなり、その上消費税を上げるなんて絶対に許せない、これが被災地の声であります。こういった問題について、現状も十分踏まえない消費税増税のやり方そのものが許されない。

 もう一点お尋ねしたいのが、被災者のなりわいの再建にとっても消費税増税は障害となるということであります。

 三陸最大の水産加工基地である気仙沼や石巻は、地盤沈下に悩まされて、復旧復興に時間がかかっております。きょうの読売新聞でも、石巻の魚市場の社長さんの話として、石巻の水揚げ回復はまだ二割程度、石巻に魚が集まるのは、漁港の後背地に加工会社が集積する水産加工団地があるから、その加工団地の復興が進んでいない、特に、事業の本格的再開に欠かせない冷凍凍結設備の復旧がおくれている、港の機能が復旧しても、冷凍機能と加工会社が復活をしないと水揚げは回復をしない、水産加工業が復活しないと雇用も生まれず、石巻の復興はあり得ないと述べています。

 総理にお尋ねしますが、こういった被災地において一体的な早期の復旧を行っていく、そういう中で、かなめとなる水産加工業をしっかりと興していく。こういう、いよいよ水産加工業を興し、復活復興しようという時期には消費税増税が押し寄せることになる。この消費税増税というのは、被災地のなりわいの再建の障害となるということは明らかじゃありませんか。

野田内閣総理大臣 だんだん理解できてきました。

 例えば、住宅再建だったら住宅再建をしなきゃいけないんです。その政策的後押しはいろいろなやり方があると思います。今の水産加工業の復活あるいは集積含めての対策は、例えばグループ補助金等々を活用していただくであるとか、あるいは、今回、復興特区をつくる形になりました、特区という形で法人税を減免しながらという対応であるとか、いろいろな後押しの仕方はあると思います。

 今の御質問の中では、要は、水産加工業を営む業、なりわいの人たちの経営力をどうやって強化させていくか。そういう政策をあわせてやりながら、まさにやろうとしている水産加工の復活に向けての担保をとっていくことが大事だというふうに思います。

塩川委員 いやいや、マイナスからのスタートをゼロにしようという支援策を行ったときに、さらにマイナスになるような、むち打つようなことが消費税増税なんじゃないのか、住宅の再建にとっても、こういった水産加工業の復興にとっても、消費税が足を引っ張ることになるんじゃないのか、こういう認識をお持ちじゃないのかということをお尋ねしているんですが、改めてお答えください。

野田内閣総理大臣 消費税を引き上げるということは、さっき申し上げたとおり、社会保障を持続可能なものにする、充実、安定化させるということで、それはそれで、別の意味でそれぞれの皆さんの生活にとって、水産加工業を営んでいる方にとってだって、住宅再建を希望しようとする方にとってだって老後はあるんです、病気になることもあるんです、失業もあるんです。そういうときに手当てをするのが消費税であるということで、それは総合的に勘案をしていただきたいというふうに思います。

塩川委員 消費税増税が被災地の復興の足かせになるんじゃないかということについてのお答えがありませんでした。これでは、被災地の現状を余りにわかっていないと言わざるを得ません。阪神・淡路大震災のときにも、二年後に消費税の増税がありました。そのときにも、震災と消費税不況のダブルパンチ、こういうことが大きく問題となったわけであります。

 こういった阪神・淡路大震災の教訓を見ても、復興の障害となる消費税増税はやるべきじゃない。今、東日本大震災の被災地では復旧復興に向けた懸命の努力が行われているわけで、生活となりわいの再建に立ち上がろうという被災地にまで情け容赦なく襲いかかる大増税を行うなどは、常軌を逸した冷酷な政治と言わなければなりません。

 暮らしも経済も財政も被災地も壊す消費税増税に断固反対だ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 まず、総理に地方交付税に対する認識について伺います。

 財務省の影響からか、閣僚の一部や仕分けにおいて、交付税は国から地方への仕送りといったような発言がたびたび行われています。地方交付税は地方公共団体の固有かつ共有の財源であるという基本中の基本を意図的に曖昧にするこうした発言は、厳に慎むべきであると考えています。

 そこで、総理の地方交付税についての考え方はいかがか。また、閣内からこうした発言が出ることのないように総理がきっちり指導する必要があるのではないか、このように思うんですが、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 地方交付税の役割というのは、地方税収というのは地方間でばらつきがありますから、それを調整するという機能と、それから、地方自治体がやらなければいけないさまざまな行政サービスがございますけれども、そのための必要な財源を保障するという役割があると思うんです。

 それは、明確に地方交付税法という法律があるわけで、その法律に基づいて位置づけられているということを、これは当然政府にいるメンバーとしてはきちっと押さえておかなければいけないと思いますし、その財源も国税の五税から一定割合をきちっと捻出するということに決まっております。という大きな枠組みの意義ということは、当然政府にいるメンバーはしっかり認識をして適切な発言をしなければいけないということを、今の御指摘を踏まえて肝に銘じたいというふうに思います。

重野委員 次に、社会保障と税の一体改革に関連して何点か聞いておきたい。

 先般も、私、引用したのでありますが、東大の大沢真理さんが、OECD諸国の中で税と社会保障による所得の再分配によって貧困率が悪化するのは日本だけだという指摘をされています。これは為政者として恥ずべき事態だと思うんですが、総理はこういう状況についてどのように考えておられるかが一点。また、私は、再分配による貧困率の悪化を引き起こす原因は、所得税の実質的な累進性の喪失にあると考えるんですが、原因についての総理の考えをお尋ねいたします。

野田内閣総理大臣 重野先生が前に、そういうどこかの先生の御指摘を引用していただきました。加えて、相対的貧困率もアメリカに続いて日本は高い位置にある、そういう統計もあります。ということは、今やらなければいけないことは、こうした貧困対策であるとか、あるいは格差の是正という方向性にかじを切ることではないかと思います。その意味では、これまでの税制改正はずっと、どちらかというと、所得税は累進性を緩和していくような方向で来ました。その結果、所得再分配機能が低下をしているというふうに思います。

 今般、まさに課税所得五千万円超の税率の引き上げという形で、いわゆる税制改正も行わせていただきますけれども、所得再分配機能の、所得だけではなくて資産課税も含めてでありますが、再分配機能をもう一回見直していくということは、これからの税制改正の中では、私は大事な視点だというふうに考えております。

重野委員 今総理が答弁された方向性については、文字どおりしっかり押さえて、今後の税制対応の中にも生かしていただきたい、そのように考えております。

 次に、累進性強化の問題についてお尋ねいたします。

 数度にわたる税制改正による最高税率の引き下げと、世界に類を見ないブラケット幅の拡大、日本は先進国の中でも最も高所得者、富裕層に優しい税制になっている。社会保障と税の一体改革というのであれば、まず真っ先に手をつけるべきは、所得税の実質的な累進性を強化し、税による所得の再分配機能を回復させることではないか。消費税は逆進性を持つもので、再分配機能の強化には適していない。私は、今日的な状況を見ると、やることが逆さまになっているのではないか、こういう指摘をせざるを得ません。

 この点について、予算委員会の分科会で財務大臣にただしたんですが、答えは、所得税、住民税については既に震災復興の財源のために増税を行っているというものです。しかし、震災復興のための増税は、所得税では全ての階層での税額の一定率の引き上げ、住民税に至っては均等割での増税です。これでは累進性の強化にはつながらない。

 現在、与党民主党は、議員歳費を三百万円引き下げる方針を決定したと聞いております。しかし、総理、我々国会議員の歳費に当たる二千百万円の所得では最高税率は適用されない方が問題だとは思いませんか。三百万円と言わず、我々国会議員が百万円余計に所得税を払うような控除のあり方や、ブラケット幅、最高税率の設定を行えば、所得が平均以下の国民への負担増なしに、数兆円規模の財源確保が可能なはずであります。

 今回の税制改正による給与所得控除の上限設定だけでは、累進性を強化したというのは子供だましと残念ながら言わざるを得ない。総理の見解を尋ねます。

野田内閣総理大臣 今回は、課税所得五千万超の最高税率の引き上げという形になります。それは財務大臣が分科会で答弁したと聞いておりますけれども、要は、今回、復興のための財源として、所得税については、全ての所得層について一定の御負担をお願いする形です。また、消費税についても社会保障との一体改革の関連で引き上げをお願いするということですので、また今回全ての所得層を何かいじるというよりは、特に高い所得層に限って御負担をお願いするという形、そして、資産課税についても相続税の基礎控除の見直し、そういう形で再分配機能の調整をしようとしているのが、税制改正の内容であります。

 そこで今、国会議員の歳費に限ってのお話がございました。私は、いかなる職種でも、やはり所得に応じてその税率が決まると。特定の職種だけ税率を変えるという考え方が本当に妥当なのかどうか。むしろ、我々の職種が公的セクターにかかわっているから、今、民主党の中では三百万円削減という議論でありますが、各党の御理解もいただきたいと思っていますが、そういう形で臨むのが自然ではないのか。公務員の給与削減が決まったときに、議員についても歳費は一定額削減をしていく、そういうマインドについては御理解をいただいて、それと税率とあわせて議論すると、少し複雑な議論になり過ぎるのではないかなというふうに思います。

重野委員 今総理から説明があったんですけれども、この問題というのは非常に重要なテーマであって、今後ともこの議論は続くんだろうと思います。

 私は、平等という名において、金持ちであろうと貧乏人であろうと同じ負担をしてもらうというその基本的な立場というのはやはり問題ありという、そこから出発した全ての議論でありまして、今後とも、そこ辺については我々もしっかり申していかなければならないと思います。

 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、予算が成立をし舞台は参議院に移るわけでありますけれども、今後とも、やはり税というのは国民にとって最も基本的な問題でありますから、目配りのきいた、そしてやはり納税者が納得できる、そういう仕組みというものをつくっていくために、野田総理もぜひ先頭を切って頑張ってもらいたい。そのことを要請して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょう、野田総理に対する二度目の御質問になります。

 きょうは、この総務委員会に野田総理の御出席をいただいているわけでありますが、まず総理にお伺いをいたしたいと思います。

 税と社会保障の一体改革に関連をして、まさに焦点である消費税の増税法案を今月中、三月中に閣議決定して国会提出する、この方針には変わりありませんか。お伺いいたします。

野田内閣総理大臣 これは平成二十一年、自公政権下のときでありますけれども、平成二十一年度税制改正法がつくられて、その附則の百四条に、消費税を含む税制の抜本改革については、平成二十三年度末までに提出をすると書いてございます。

 この法律に基づいて基本的には対応したいと思っておりますので、社会保障と税の一体改革、与党内にもいろいろな議論がありますが、これまで、大綱まで閣議決定をしてまいりました。さらなる丁寧な議論を踏まえまして、年度内に法案を提出したいと思います。

 社会保障に関連する項目については、既に予算関連の法案は提出しました。予算非関連についても、子ども・子育て新システムに係るものなどは、今申し上げた税制改正の法案と同時に提出をしたいということで、順次、社会保障の法案については御提案をさせていただきたいというふうに考えております。

柿澤委員 提出した法案については早期成立を図っていく、こういう立場でよろしいですよね。うなずいていただいております。

 さて、昨年十一月二十二日の総務委員会において、私、福田総務政務官にこうお尋ねしました。福田政務官は、かねてから復興増税に反対し、また消費増税にも反対をしてこられました、野田政権の発足で政務官となって、政府の一員となって増税を提案する側に回ったわけですけれども、増税に関する見解はどうか、こうお尋ねしたわけであります。そうしたら、福田政務官、「答弁はありません。」こういうことをおっしゃるんです。原口委員長から、きちんと答えてくださいとたしなめられて、失言でしたとおっしゃいましたけれども、改めて、消費税の増税についてはどうされるんですかと聞いたところ、福田政務官、御自分がどうお答えになられたか、もう一度話してください。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 昨年十一月二十二日の総務委員会における柿澤委員からの、消費税の増税に関する法案が国会に提出されたときの対応についての御質問に対し、今後よく考えさせていただく旨の答弁をさせていただいております。

柿澤委員 「これからよく、十分に考えさせていただきます。」これについては、私は、今政権内の要職にある、政務官のお立場にある方が、政府が提出する法案の賛否について明言されない、反対の可能性の含みを残している、こんな答弁でいいんですかともう一回聞きましたけれども、「どういう判断をするかはこれからでございます。」こういうふうに、二回にわたってお答えになられている。

 今度は、もう三月です、総理の答弁のとおり、今や消費税増税法案の国会提出は目前です、これから判断するというのはもはや通用しないと思います。消費税増税に関する否定的な福田政務官の姿勢は今も変わらないということでよろしいでしょうか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 私といたしましては、社会保障・税一体改革大綱の閣議決定がなされていることを踏まえて、政府の一員として、社会保障と税の一体改革を成就させるためにはどうしたらよいかということを真剣に考えて、誠心誠意取り組んでいるところでございます。

柿澤委員 つまりは、社会保障・税一体改革の成就のために、今までの、考える、考えると言っていた、その前は反対だと言っていた、その姿勢を変えて賛成をいたしますということを福田政務官はおっしゃったということですね。

福田大臣政務官 いろいろな考え方がありますので、今、誠心誠意努力をさせていただいているところでございます。

柿澤委員 これは結局、賛成しますとは明言をしない、こういう姿勢を今もとり続けているということになりますよね。つまりは、反対する可能性を今も留保したい、こういう思いを福田政務官はお持ちである、こういうふうに解釈をさせていただきますよ。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 それこそ、柿澤委員初め野党の皆さんから閣内不一致だと言われないように、誠心誠意努力をしてまいります。(発言する者あり)

柿澤委員 今議場から声が上がったように、もう法案提出は目前なんですよ。こういう状況の中で、今並んでいる皆さん、総理もいる、総務大臣もいらっしゃる、そういう中でこういう御答弁を繰り返されるのは、本当にいかがなものかというふうに思ってなりません。

 国民新党の森田政務官にも同じお尋ねを、十一月二十二日、総務委員会で行いました。デフレギャップがGDPの一〇%もあるのに増税なんて自殺行為だ、至極もっともなことをおっしゃられています。しかし、安住財務大臣は、予算委員会で、現状の経済状況下では増税の実行は可能だということをもう既に明言をされています。つまり、現状の経済状況の中でも増税は行うんだ、財務大臣はそう言っている。そうだとすると、これは、森田政務官、政治家としての良心に基づいて、間もなく提案される消費税増税法案には、賛成するんですか、反対するんですか、お尋ねを申し上げたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 政府の一員ですから、個人の感情に基づいて賛成、反対を言える立場ではないと思っています。

 ただ、申し上げたいことは、この政権は、ともすれば忘れ去られがちなんですが、民主党と国民新党が支える連立政権でございます。ですから、当然、意思決定、法律を出して、その先どういうふうな取り扱いがあるか、あるいは法律を出すに当たっての調整がどうされるかというのは、両党の間で、党首レベルも含めて、しっかりと話し合いが行われて方向性が出されるものと確信しております。

柿澤委員 要するに、結局は、こうやって賛成を明言されないような、そうした方々を政権の中に抱えながら消費税の増税に進もうとしている、こういう状況であるということが今の質疑ではしなくも明らかになっている、このように思います。

 私は、野田総理が、こうした御答弁を繰り返されるのを聞いていて、どう思っていらっしゃるのかというふうに思うんですけれども、御答弁、お願いいたしたいと思います。

野田内閣総理大臣 そんなにおかしいですか、今のやりとりは。

 例えば、柿澤委員が御質問されたのは十一月ですよ、去年の。そのときはまだ素案を決めていない段階です。かんかんがくがくの議論を政府の中も党の中もやっていました。社会保障改革をどうするか、そのための税制改正をどうするかという議論をやっている最中だから、そのときに福田政務官がまだわからないと言うのは、これは当たり前だと思います。

 その後、素案を集約し、そして大綱を閣議決定して、これから法案提出の準備でありますから、その段階では、政府の一員として、成就するようにという、念頭に置いた御発言でありますから、これはまた、私は整合的だと思います。

 それから、森田政務官については、国民新党の、連立与党という立場で私の政権をお支えいただいております。重要政策を推進する上での節目節目においては、党首会談であるとか幹事長間の会談であるとか、国民新党の中にもいろいろな御意見のあるテーマもありますが、その都度調整をしながら前に進めてきているので、今の森田さんの発言も極めて冷静な御発言だ、妥当だと思っております。

柿澤委員 福田政務官は、閣内不一致だと言われないようにやります、こういうお話をされました。その中には、みずからが反対という姿勢を持って閣内から出る、こういうことも選択肢としてあり得るような、こういう解釈も成り立つわけであります。

 現に、これは報道ベースですから聞いても仕方がありませんけれども、政務三役の方々が仮に閣議決定がなされる場合には辞表をお出しになられる、こんな観測も流れている状況でありますから、こういう状況の中で、本当に、この消費税の増税法案の提出、また質疑、こういうことに進んでいくということに関して与党内は一体どうなっているのか、こういうふうに思わざるを得ない、このことを申し上げさせていただいて、質問は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 総理にお伺いしたいことがあります。それは、今回の復興交付金の件でございます。

 今回の復興交付金の配分で、宮城県知事、そして自治体の首長がなぜ怒っているか、よくわかりますか。どうですか。

野田内閣総理大臣 あの一月末に提出された事業計画に対して、先日、三月二日、第一回目の交付可能額の通知が行われました。事業費で約三千五十三億円、国費で約二千五百九億円、このいわゆる決定について、被災地の中から、きょう新聞などの報道にもありましたが、査定官庁みたいではないかという批判が出たという報道は読ませていただいております。

 なぜかということですね。

 私は、これはやはり、受けとめる方の復興局、復興庁のきちんとした説明が必要だと思うんです。必要だと思うのは、今回のこの一回目の計画を出してもらったのは、まさに被災者の生活支援などに迅速に対応しなければいけないような事業についての決定であったと思います。その中では、誤解があるといけないんですが、今回は採択をされなくても、今後採択されるものもあるんです。また三月末に計画を出していただきますよね。ということのきちっとした説明、あるいは、この復興交付金という形ではなくても、例えば全国防災等々の既存の予算であるとか制度の中で対応した方がいいものなどの整理が必要だと思うんです。

 そういう意味で、全て被災地の要望が満額復興交付金という形で今回実現していませんけれども、きちっと被災地の御要望については受けとめながら整理をしていくという姿勢、そして丁寧な説明をしていくということが肝要だというふうに思っております。

斎藤(や)委員 今の総理のおっしゃったことをもっと事前に自治体の方に言っていれば、自治体の方は混乱をすることはなかったわけなんです。これは、私も聞いて、はっきり言いまして、怒り心頭になりました。

 一月三十一日に、宮城県で二千三十二億の事業計画を提出しました。ところが、その後に、国がこれはだめだ、あれはだめだ、何度も何度も修正を求めてきた。自治体は言われたとおりに修正して、二月末に一千七百億円、六百億円削ったんですよ、これを提出した。この段階で、もう国が嫌というほど関与した。本来、この復興交付金というのは最小限の国の関与というのがキーワードだったはずなんですが、最大限の国の関与をしてきた。果たして結果はどうなったのかというと、国に言われて千七百億円で出してきたのに、交付は一千百六十二億円だったんです。

 今回のこの交付と不交付の境界線というのは一体何だったんでしょうか、総理。

野田内閣総理大臣 ちょっと、個別の一つ一つということではなく、さっきも少し御説明申し上げましたけれども、被災者の生活支援等々のために速やかにやらなければいけないものは何なのかということで被災地の御要望を承った。

 これは国が最大関与というお話がございましたが、一方で、そういう計画をつくる際に人を出してほしいという自治体もたくさんございました。恐らく、一回目の希望を出したときは、七十、八十の市町村にそれぞれ復興局、復興庁の人たちが行っています。

 だから、関与するとだめというのではなく、むしろ、後押しをするためにかかわっているということの御理解を逆にちゃんと得ていかなければいけないな、そういう御批判が出ないようにしなければいけないなというふうに思います。

斎藤(や)委員 そういう話ですけれども、本当に自治体は理不尽に感じています。必要なものについていないんです。

 東松島市では、雨水を排水する施設が津波で全壊した。これが出なかった。これに関しても、事前に事業計画の修正を何度も何度も国から求められているんです。求められたのに、出したのに、結局つかなかったわけでございます。

 恐らく、今回の混乱の原因というのは、本当に復興交付金制度の国の本音とそれから建前の乖離にあったんじゃないか。本音は、重点的にやってほしい事業が国にはあった。一方で、看板、制度のメニューは、四十事業のメニューがあって自治体が主体的にこのメニューから選んでいい制度になっている。

 本音というのは、今回の配分でわかります。災害公営住宅、防災集団移転、宅地災害、水産漁港設備、これで八割です。ですから、最初から国は地方に対して、住宅と水産業関連以外は厳しいよというふうに言っておけばよかったんです。ただ、これだとひもつき補助金と全然変わらない。いや、逆に自治体はひもつき補助金の方がよかったというふうに言っている人もいるんです。なぜなら、自治体の方から言わせると、申請手続、これが大変な作業だった、大変な作業量になったということを言っております。

 この件について、総理、何か話は聞いていますか。

野田内閣総理大臣 復興庁を二月十日に発足させていただき、その思いというのは、縦割りを排して被災地の御要望に対してスピーディーに適切に対応するということでございました。その趣旨に沿って、今手続のお話がございました。これはもうちょっとやはり工夫する余地があると思いますので、改善をさせていただきたいというふうに思います。

斎藤(や)委員 復興庁が、ワンストップじゃなくてストップ省庁になっちゃっているんですよ、今。

 行政機関の方はこういうふうに言っています、気仙沼の職員の方は、手続が大変だった、仙台の市長は、事務量が膨大だった、知事は、補助事業を上回るほどの資料を求められたと。被災地の行政職員の方は、精神疾患が昨年に比べて七割もふえています。宮城県は人手が千人足りないんです。そんな状況で、もうあっぷあっぷの中で、疲労こんぱいの中で、そして手続を進めてきた。これは、市のため、県のため、復興のため、命をかけて、思いを込めて申請手続にその思いを込めたのに、こんな配分だったんです。総理大臣、次の第二回の配分のときにこれをぜひしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。

 地元の宮城県のアンケートを見ますと、政府の震災対応に八割の方が不満を持っています。私は昨年は与党の議員でしたので、私にもその責任の一つがあると思っておりまして、それはもう本当に重たく受けとめていきたいというふうに思います。

 ですから、これから、今までの不満、不安というものを払拭させるためにも、ぜひ総理、被災地に寄り添う形で、それから何よりも復興庁と自治体のコミュニケーションを強化していただきたいんです。岩手はほぼ一〇〇%に近い形で復興交付金がおりましたが、宮城は五〇%強しか配分されていません。これはもしかしたら、ひょっとすると、現地の復興局と現地の自治体のコミュニケーションの差があったのかもしれません。そのあたりの差がなくなるように、しっかりと密にしていただきたいというふうに思います。

 質問は以上でございます。総理、ありがとうございました。

原口委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長福田淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑を続行いたします。山田良司君。

山田(良)委員 民主党の山田良司でございます。

 いただいた時間は三十分でございますが、日程、後がありまして、なるべく早く終わりたいと思います。

 きょうは、地方交付税に関すること、そして、地方税に関すること、最後に、郵政改革に関することについてお聞きしたいと思います。

 今、大変地方が厳しい財政状況にある。そういう中で、地方交付税不交付団体というのがあります。一方で財政再生団体というのがございますが、ここ最近のそういったものの推移がわかりましたら、まずお示しいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、普通地方交付税が交付されない不交付団体や、財政が悪化し、財政再生計画の策定を義務づけられた財政再生団体など、地方団体間での財政力の格差が見られております。

 その中で、普通地方交付税の不交付団体は、平成十九年度は百八十八団体、平成二十年度は百七十九団体、平成二十一年度は百五十二団体、平成二十二年度は七十一団体、平成二十三年度は五十九団体となっております。

 一方、財政再生団体は、平成二十一年度の地方公共団体の財政の健全化に関する法律の全面施行後、一団体のみとなっております。

山田(良)委員 ただいま御紹介いただきましたように、年々歳々、リーマン・ショック以降ですが、苦しくなっておる。地方財政が如実に数の上でも悪化していることが読み取れるわけでございます。

 そういう中で、財政再生団体についてですが、以前、夕張ショックということが起きまして、大変、日本国じゅうに衝撃が走ったわけであります。各自治体も、本当にこれは大変なことだということで、血のにじむような行革を行っております。ずっと継続しておるわけでありますが、実質公債費比率が一八%いくと黄信号がともって、市町村ならば、起債を起こすときに県の許可が要る。県ならば、国の許可が要る。そして、二五%を超えると、これはまさに財政再生団体になるということで、本当に鉛筆一本買うにも大変な不自由をするような、極端な話ですが、そういう状況になっております。

 地方公共団体がこういった枠組みがある中で、ちょっと質問ですが、国の財政に対してはこういった縛りというか歯どめがないと思うわけですが、そこら辺はどういう観点からでしょうか。ちょっと御説明いただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の実質公債費比率は、公債費の大きさの財政規模に対する割合で地方団体の財政状況を把握して、それで地方財政の健全度合いを見るという指標でございまして、そういうものをもとに指導されているわけでありますけれども、御指摘のとおり、国自身については、そういう一定率に達すればこうするというようなものはございません。

 ただし、実は、御指摘のような問題意識は少し前の財政制度審議会で議論がございまして、参考のために、仕組みは違うんですけれども、仮に国に同じような仕組みで計算してみるとどうなるかというようなことは議論がなされております。そういう計算をいたしますと、御想像いただきますとおり、国は圧倒的に、比率が非常に高くございまして、それは財政制度審議会の資料でも出しておりますし、私どもの日本の財政関係資料という資料の中でも出しているんですけれども、直近の数字でいうと、九三・一%という数字に相なります。

山田(良)委員 九三・一%。二五%で財政再生団体になるのに、国は九三・一%。これははかり知れない数値だということが言えますが、その理由は何でしょうか。歯どめがかからない、地方には歯どめがかけられる基準があるのに、国にはないというところをちょっと御紹介いただきたいと思います。

福田政府参考人 ちょっと事務方からお答えするには大きな御質問かと思いますが、御承知のとおり、戦後二十年ぐらいは借金なしに国の財政をやっておったところが、昭和四十年ごろから建設国債、昭和五十年ごろから特例公債に依存する体質になりまして、その後、バブル経済やその崩壊、あるいはその後の経済情勢への対応、それから高齢化に伴う社会保障の増嵩というような事情を背景に、公債残高が非常に大きくなってきてGDPを上回るものになっているということが、結局、公債費の比率が上がっているということにつながっているということであろうと存じます。

山田(良)委員 なかなか難しいと思います。

 状況はわかります。なぜそうなったかということはそのとおりだと思いますが、国には割とそういう形で自由裁量的な部分が働く、それで地方には結構厳しい条件の中で財政運営を行わなければいけないという状況がある。これは大変大きな議論でありますので、また課題として議論を継続していかなきゃいかぬなということも思います。

 さて、次の問題に移りますが、地方交付税の配分についてであります。

 地方交付税の増額が今回行われておりますが、以前、三位一体改革におきましては二・二兆円の地方交付税の減が図られまして、大変地方が悲鳴を上げたわけであります。そして、政権交代以降、今、一・六兆円の地方交付税の増額を行っておるわけであります。

 こういった施策に基づきまして、各地方からどういうような声が上がっておるかということをちょっとお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘で数字にも触れていただきましたけれども、政権交代以降、地方が自由に使えるお金をふやして、地方団体が地域のニーズに適切に応えられるようにということで取り組んでまいりました。一・六兆円増の水準で確保することができたのは、御指摘いただいたとおりであります。

 地方団体からの声はどうかということですが、予算編成をするまでは必ず、総額を確保するようにという、これはもうあらゆる機会に御要望を受けておりまして、この予算編成をした結果、地方団体からは、十二月二十二日、平成二十四年度地方財政への対応についての共同声明ということで、六団体から、「地方が強く訴えてきた地方交付税の増額の要請に応え、地方交付税の別枠加算の確保など、財源の確保にできる限りの工夫がされたことを評価する。」という声明をいただいたところでございます。

山田(良)委員 ただいま、地方が大変評価をしておるという御指摘でありますが、私も、予算委員会の地方公聴会で、去る二月二十四日に滋賀県の大津市へ行ってまいりました。大津市長、そして甲賀市長の方から、本当に地方交付税の増額はありがたいという評価もいただきました。

 さて、地方交付税についてお聞きしたいと思うんですが、地方交付税の算定基準というのは、いろいろな要素があって算定されるわけでありますけれども、その中で大きな要因を占めるのが人口であろうかと思います。その人口についてでありますが、人口といいましても、夜間人口もあれば昼間人口もある、定住人口もあれば交流人口もある。どこら辺を一番の目安にして算定されておるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 人口は、国勢調査の人口でございます。

山田(良)委員 国勢調査の人口ということで、いわゆる定住人口、そして夜間人口がその算定の基準になっておるというわけであります。

 私、地元が観光地でありまして、観光地と普通の町とどこが違うかと考えたときに、普通の自治体というのは、市民のためのまちづくりをするのが第一でありますし、それで十分なんですが、観光地というのは、市民のためのまちづくりプラス観光客のためのまちづくりをしなきゃいかぬ。例えば駐車場をつくったりトイレをつくったり、要するに、その分余計にお金がかかる。しかし、そういったものは地方交付税で見られていない。ただ定住人口のみの加算の中で、交流人口というものが加味されていないということであります。

 また、夜間人口ということでありますが、観光地の場合、宿泊客がある。今合併しまして四万人の町にはなりましたけれども、以前は一万五千の小さな町でありまして、夜の宿泊客は同じく一万五千ぐらい。宿泊するわけで、ホテルが満館になると、人口が倍になる。しかし、そういった人口は地方交付税に加算されていない。やはり、交流人口も入れると、その分下水道の処理施設も大きくしなきゃいかぬ。いろいろな面でそういったことが課せられるわけであります。

 今後、人口の算定の中で、定住人口、こういったものも地方交付税の観点としてぜひまた加味していただければありがたいなということを思います。

 そして、森林面積についての加算もあると思うわけでありますが、日本は七〇%が森林の大変美しい国であります。しかし、地域主権とは裏腹に、限界集落という大変地域を悩ます大きな問題も今発生しております。限界集落、これは、森林が守れない、森林が守れないと国土が荒廃する、国土が荒廃すると災害が起きるということで、ただ単なる一地方、田舎の問題だけではなくて、国土全体、国全体の大きな問題であるということから、これまで以上に森林に対する地方交付税の加算についてもまた目を向けていただきたいと思うわけでありますが、ちょっと感想をお聞かせいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 森林の保護や育成に取り組む市町村に対する地方交付税措置については、林野水産行政費において森林整備保全や公有林の管理等に要する経費を措置するとともに、地域振興費において国土保全対策を総合的に推進するための措置をいたしているところでございます。

 また、平成二十三年度において、地球温暖化対策に係る地方財源の確保、充実の仕組みについて、成案が得られるまでの間の措置として地球温暖化対策暫定事業を創設し、国産、地域産木材の利活用、再生可能エネルギーの導入など、森林吸収源対策を一層推進できるよう、林野水産行政費において五十億円程度、林野面積に応じて措置をしたところでございます。

 平成二十四年度においては、地球温暖化対策暫定事業における措置を平成二十三年度に引き続き継続するとともに、国勢調査における林業の従業者数の増加なども踏まえ、森林保護や育成に関する財政需要を適切に算定してまいりたいと思っております。

山田(良)委員 ぜひその方向でお願いをしたいと思います。

 最後に、地方交付税につきまして、この意義についてちょっとお話を申し上げたいと思います。

 地方交付税の機能、三つあると思います。財源保障機能、そしてまた財政調整機能、これは皆さん御案内のとおりであります。もう一つは政策誘導機能ということで、国の政策意図を入れる。国が、ここは大事だ、こういうものは力を入れたいということを地方交付税に込めることができる機能もあるわけでありまして、今後のさまざまな、環境とか観光とか、そういったものに対して国の目を向けていただければありがたいと思います。

 またもう一つ、地方として、地方交付税は本当に固有の財源としてなくてはならないものであります。

 特に、地方公共団体においての短期のまちづくりというのは医療であったり福祉であったりするわけでありますが、長期のまちづくりというのは公共事業であったり教育であります。

 教育、人づくりが地域づくりということで、いかに教育、人を育てていくかということで、どこの自治体も一生懸命いろいろな施策を打ちながら子供の健全育成に努めておるわけでありますが、一番悩ましいのが、何といいましても、その子供たちが高等の学校へ行くと、東京へ出てしまう、都会へ出てしまう。せっかく一生懸命育て、気を配った子供たちが都会へ出てしまう。

 都会で活躍されることは大変結構なことでありますが、だからこそ我々は、東京から、都会から地方に地方交付税をいただく権利があるということも思うわけでありまして、この地方交付税というものを本当に地方の固有の財源としてこれからもきちっと確保を図っていただきたいということを思います。

 次に、一括交付金についてお話を申し上げたいと思います。

 二〇一一年、九事業において、都道府県、五千億円の規模でまず初年度は行われました。そして二〇一二年度は、十六事業で、政令指定都市という形の中で、八千三百億円の規模で行われるということでありますが、この一括交付金についての地方からの評価、評判というものはどうか、またお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 一括交付金の制度、今年度始めさせていただきました。昨年の十一月に、これは一回目は都道府県だけでございますので、都道府県にアンケートをさせていただきました。

 要約いたしますと、従来の補助金に比べて、各府省の枠にとらわれず自主的に事業を選択できたとか、地域の実情に応じて優先箇所の選択や重点政策が行えたとする回答等が寄せられました。また、七割の団体から、この交付金の取り組みを大いに評価する、あるいは、ある程度評価するとの回答をいただきました。

 同時に、今お触れいただきましたけれども、さらに対象の分野をふやしてほしい、そしてその中身を拡充してほしい、そして額を増額してほしいというふうなことの意見を頂戴したところでありまして、それらを参考にしながら、来年度に、フレームを広げ、額をふやし、そして対象を政令市まで拡大するということで計画しているところでございます。

山田(良)委員 おっしゃられたとおり、私も公聴会で地方へ行きまして、先ほどの話でありますが、大津市長も、これは本当に後退ではなく前進だ、そして早く中核市にもやってほしいという前向きなお話もいただきました。

 そういう中で、これからの一括交付金の姿でありますが、縛りを強めれば強めるほど補助金的なものになります。縛りを緩めれば緩めるほど交付税的なものになるわけでありますが、どういった方向でこれから進めていくのかということ。

 そしてまた、基礎自治体と一口に言いましても、規模の違いがあります。横浜市のように三百六十万人もの基礎自治体もあれば、東京都青ケ島は百九十人、こういう自治体もあるわけでありまして、基礎自治体と一口に言っても、規模に、大きさに違いがある、こういったことをどうやって克服していくか。

 この二点についてお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 おっしゃるように、補助金と地方交付税という自主財源との間での制度設計でございますが、基本的には、国からの補助金というものを、その垣根を緩めて、選択できるという形でやろうという趣旨でやっているところでございますが、そういう中で、地域主権戦略会議での御議論、あるいは市長会、町村会からの御意見等で、先ほども触れましたけれども、規模の比較的大きい政令市まで拡大をさせていただきました。

 それ以降の市町村への導入については、今お触れいただきましたように、政令市からは、政令市としてやりたいという御意向もあります。また、一般市からの部分は、いろいろ議論していきますと、今都道府県をやり、これから政令市をやるというときの状況をよく検証して、安心できる形でやってほしいと。

 御懸念としては、大きな事業をやるときとやらないときで年度間で非常にばらつくのと、それから地域間で、今言われたように、規模の大きいところと小さいところというのは、これは政令市じゃなくて普通市においても相当な幅があります。そういう部分を含めてやってほしいと。

 それから、国道、県道の管理権限等が、政令市までは移譲されていますが、普通の市町村は移譲されていませんので、そういうものを除きますと、独自にやれるということでいうと、余計変動が大きくなるというふうな懸念もありますので、そういうことはきめ細かく意見交換しながら、実績を踏まえつつ、拡大に向けて検討し、丁寧にやってまいりたいと思っております。

山田(良)委員 ぜひ、今きめ細かく協議ということで御答弁いただきましたが、国と地方の協議の場、こういったものを通じまして、十分協議で進めていただきたいと思います。

 続きまして、地方税について御質問をいたします。

 課税自主権の拡大についてでございますが、今回その方向が打ち出されて、大変結構なことだと思います。基本的にいいことだと思いますが、これからどういう方向になっていくのか。税率設定の自由化がさらには税目設定の自由化まで行くのか、ひいては、地方税法を廃止して、地方税制を全面的に地方公共団体の判断に委ねることなども視野に入れるような課税自主権の拡大になっていくのかということをまずお聞きしたいと思います。

 また、自治体間の格差。減税も一つ認められるわけであります。それに伴うセーフティーネットといいますか、国としてのセーフティーネット、それによって大きな穴があくようなことがないようなセーフティーネットというものがあれば、ちょっと御紹介いただきたいと思います。

川端国務大臣 地方の課税自主権については、これまでもさまざまな議論の中で、基本的には拡大していこうということでありますので、順次拡大をしてまいりました。今後とも、地域の実情に応じて、新たな行政ニーズに対応する財源の確保等のために、これをさらに拡充していくことが重要だというふうに、基本的にはそういう立場に立っております。

 現行制度でも、課税自主権の行使の一つとして、独自に減税する、あるいは超過課税をするということがありまして、例えば、市町村民税、個人、法人両方ともについては、地方税法で、通常よるべき税率として標準税率が規定されているが、財政上その他の必要がある場合にはこれによることを要しないこととされておりまして、地方団体の条例によって標準税率を下回る税率を設定することが可能となっております。

 一義的には、地方団体が提供する行政サービスの水準とそのための費用負担の水準のあり方という、サービスの提供とその負担ということから、各地方自治体の長と議会において、地域の実情を踏まえて十分な検討を行って、適切に判断すべきものというふうに考えております。

山田(良)委員 これから各自治体も、災害などを除いて国に対して泣き言が言えないような、本当に真剣勝負の地域づくりの時代がやってくるということかと思います。各自治体の覚悟というのも、これは重要視されてくると思います。

 通告しておりました入湯税とわがまち特例について、時間の関係で割愛させていただきます。

 最後に、郵政改革についての意気込みを大臣の方から一言お聞きしたいと思います。

 まさに郵便局というのは、行政と一体になって、以前、独居老人の声かけ、あるいは、道路が壊れている、側溝のふたが傷んでいる等々、行政と連携しながら、地域の充実、地域住民の生活の充実を図ってきたわけでありますが、これが、郵政民営化によって地方に冷や水が浴びせられた。特に、平成の大合併以降、周辺地域が疲弊する中で、さらに冷や水を浴びせられたような格好になったわけであります。

 これに対して、行き過ぎた自由主義ということで、今こそ前島密の原点に戻ってこの改革をするべきであるということを思うわけでありますが、内閣の一員としての、今国会にかける大臣の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 郵政事業が、長年にわたって、日本の地域において三事業をユニバーサルサービスとして提供すると同時に、地域社会において大きな、直接、間接のいろいろな貢献をされてきた、社会のネットワークの一員としてしっかり支えてきていたことは、あまねく評価をされているところだというふうに思います。

 そういう中で、民営化ということにおいて、いわゆる会社ごとの収支状況の明確化とか、競争条件の公平性の実現とか、コスト意識に基づく経営に転換する、あるいは税金を納めていただくというふうなことで、民営化した効果も、評価すべき点はたくさんあると私は思っております。

 一方で、五分社化をしてしまったということで、かえって縦割りの弊害がむしろ起こって、サービスの機能低下や非効率化、高コスト構造を招いているのではないか、あるいは、過疎地を含めた金融サービス等が将来にわたって担保されていないのではないかというふうな不安があるという議論がありまして、そういう意味で、私たちは、現在の民営化の特徴は生かしながら課題を解決して、これからしっかりとやっていける体制をつくるということは大事だということで法案を出させていただきました。

 そういう中で、経営形態がはっきりしないと、先行き不透明な状況をこれ以上放置することはできないような状況でもありますので、今各党間においていろいろな協議もしていただいていると承知をしておりますし、現在与野党の中で、公明党も案をお示しになっておるということで、いろいろな進展が見られるということで我々としても注視をしておりますけれども、一日も早く各党間の協議が調い、国会審議を経て成立できることを強く期待しておりまして、何としても国民の共有の財産である郵政事業が、しっかりとこれからもユニバーサルサービスが保障されていくことを望んでおるところでございます。

山田(良)委員 ありがとうございました。

 終わります。

原口委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 まずは、平成二十四年度の地方財政につきまして、交付税で前年度並み、〇・一兆円増の出口での十七・五兆円、それから一般財源総額についても前年度並み、さらには震災復興にも十分配意された、この極めて厳しい状況の中、財源の確保をしっかりされたことに改めて敬意を表させていただきます。

 しかし、よくよく見ていきますと、一方で地方財政の中長期的な持続可能性というのを考えたときに、もうぎりぎりのところまで来ているのかなと。先ほど国との比較がありましたけれども、地方もぎりぎりのところまで来ているのかなという感を否めません。

 そこで、まず伺いたいんですけれども、地方財政計画について、来年度予算八十一兆八千六百四十七億円ということで、前年度比で微減ということでありますけれども、このようになった要因ですね。一方で、社会保障費などはふえていると思いますが、それはどれだけふえて、今後その増加も継続していくのか。どこが減って、どこがふえていくのか。社会保障費について、また今後の見通しについて、お答えいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度の地方財政計画は、総額八十一兆八千六百四十七億円、前年度に比し六千四百七億円、〇・八%の減となっております。

 これは、一般行政経費について、社会保障関係費の自然増を反映したことなどにより、三千百八十億円の増が見込まれるものの、減の主な要因として三点ございますけれども、一つは給与関係経費について、地方団体における定員純減の取り組みや人事委員会勧告等を見込んだことにより二千九百三十四億円の減、二つとして公債費について、臨時財政対策債の元利償還金が引き続き増加するものの、その他の地方債の元利償還金が減少することなどにより千六百三十三億円の減、三つ目として投資的経費について、国の公共事業の取り扱いなども勘案したことにより四千四十八億円の減となったことなどによるものであります。

 また、今後でありますけれども、平成二十四年度地方財政計画においては、社会保障関係費の自然増として、七千七百十五億円を増額計上しているところでございます。計上に当たっては、国における社会保障関係費の状況などを踏まえ、一般行政経費については、補助事業分として四千二百八十億円、単独分として二千八百十六億円、国民健康保険・後期高齢者医療制度関係事業費等分については六百十九億円をそれぞれ増額計上しております。

 地方の社会保障関係費については、国と同様、毎年大幅な自然増が見込まれているところであり、今後とも所要額を適切に確保してまいりたいと考えております。

奥野委員 これからも社会保障費は当然のことながらどんどんふえていくということでありまして、それを給与もろもろのところで抑えていくという構造かと思います。

 その給与関係経費は、着実にこれまでも減ってきたと思うんですが、集中改革プラン等によって、これまでどの程度削減されてきたのかについて伺いたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 地方財政計画において、国として要請した定員純減目標以上の減少率で設定された集中改革プランの目標を反映することにより交付税総額を減額することは、地方の行革努力を無駄にすることとなるものであることなどから、集中改革プランの計画期間である平成十七年度から二十一年度までの間における地方財政計画の給与関係経費については、各地方公共団体の定める集中改革プランそのものを反映するのではなく、給与水準については国の給与構造改革を、職員数については基本方針二〇〇六に基づく五・七%の定員純減目標、平成十八年度から二十二年度でありますが、などを反映いたしました。その結果、この間においては、二十二兆七千二百四十億円から二十二兆一千二百七十一億円と、五千九百六十九億円、二・六%の減少となっております。

 なお、平成二十一年度におきましては、一般行政経費に計上していた公立保育所分の人件費を給与関係経費に移しかえており、この影響分を除けば、二十二兆七千二百四十億円から二十一兆九千二百十億円と、八千三十億円、三・五%の減少となっております。

奥野委員 着実にこれまで成果を上げてこられたということであると思いますけれども、一方、直接の因果関係があるかどうかわかりませんが、やはり最近、自治体の窓口等々で非常勤の方がふえているような気がいたします。

 そのあたりについて伺いたいんですが、臨時、非常勤職員の数について、統計等あれば、ふえているのか減っているのか、お答えいただければと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 総務省の調査によれば、臨時、非常勤の職員数は、平成十七年四月一日時点で約四十五万六千人、平成二十年四月一日時点では約四十九万八千人であります。増加をいたしております。

奥野委員 正規職員の減少に比べれば少ないとも言えるんですが、しかし、これは着実にふえてきている。直近の統計があれば、またもっとふえているのかと思いますけれども、実際、聞いたところでは、窓口の住民票の交付とか、そういったものを臨時、非常勤の方がやっているような例もあるやに聞いておりますから、本来そうしたものは正規の方がやるんじゃないか、そういう気もいたします。ですから、これ以上給与関係経費をどんどん切っていく余地が本当にあるのかというのはもう一回考えなければいけないところに来ているのかもしれません。

 続きまして、財源不足について伺ってまいります。

 来年度の財源不足見込み額というのは十三・七兆円と、今年度と比べまして縮小していますけれども、依然巨額の水準でありますし、今伺ったように、社会保障関係経費の増等々、あるいはまた、これ以上支出をどんどん抑えていくことは難しいとなってきた場合に、決して楽観できる水準とは言えないと思います。まず、恒常的に財源不足が続いているその要因、景気の問題、いろいろあると思いますけれども、大臣に伺いたいと思います。

川端国務大臣 平成二十四年度においても、十三・七兆円という巨額の財源不足でございます。

 この要因というのは、構造的に、当然でありますが、入ってくるお金より出るお金が多い。これは、入ってくる分、歳入分におきますと、地方税収等は緩やかには回復しているんですけれども、やはり水準が極めて低い。同時に、歳出においては、先ほどから御議論ありましたように、国と同様に社会保障関係費が毎年毎年大幅な自然増が見込まれるということ、もう一つは、地方債の元利償還金が高い水準で推移しているということでありまして、入るがなかなかはかれず、出るはなかなか制し切れないという状況であります。

 対策ということは、まさに歳入をふやし歳出を減らすしかないんですけれども、基本的には、不断の歳出の見直しを図ると同時に、やはり地方税収を確保していくということにもっと取り組まないといけないんだというふうに思っております。

奥野委員 なかなか抜本的な改革に取り組んでいかなきゃいけないということだと思いますけれども、今後、さらに交付税特会の借入金について返済していく。三十三兆円ですか、残高がありますけれども、一応返すことになっていて、昨年度から一千億円ずつ返済していく。これがだんだん積み上がって、最終的には毎年一兆円返そうということなんですが、今の状況で、返すと言っておられるのであれなんですけれども、本当に実現可能な計画なのかということを改めて伺いたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 特別会計借入金については、平成十九年度から償還を繰り延べていたところであり、財政規律の維持や将来の金利上昇リスクへの対処の観点から、平成二十三年度において、新たな償還計画を法定し、着実な償還を開始することとしたところでございます。

 新たな償還計画については、財政運営戦略に、平成三十三年度以降において国、地方の公債等残高を安定的に低下させることとしていることを踏まえ、償還額を毎年徐々に拡大するとともに、地方債の最長償還年限三十年も考慮した長期の償還年限を設定したところでございます。

 具体的には、平成二十三年度から二十五年度までの各年度については一千億円、以後一千億円ずつ増額し、平成三十三年度から平成六十二年度までの三十年間は原則として一兆円を償還することとしたものでございます。

 これについては、巨額の特別会計借入金、平成二十三年度末三十三・五兆円の解消を第一とすれば、さらに各年度の償還額をふやし償還期間を短縮すべきとの考え方もある一方で、交付税総額の確保を第一とすれば、償還額を減らし償還期間を延長すべきとの考え方がある中で、現行の地方財政制度の体系を踏まえて、実現可能なものとして判断したものでございます。

 この償還計画に基づき、平成二十四年度においては、平成二十三年度に引き続き、一千億円の償還を実施することとしており、今後とも、ぜひ計画的かつ着実な償還を実現してまいりたいと考えております。

奥野委員 本当に、こういった面を見ましても、なかなか長期的に見ると抜本的な改革が必要なのかなというふうに思います。

 ことしは、御苦労の跡が見えますのは、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の取り崩しということで、三年間で一兆円を取り崩すということであります。伺うところによれば、新勘定、旧勘定合わせて今年度末でおよそ四兆円ぐらい残高があるというふうに伺っておりますけれども、これはどういう仕組みで積み上がっていくものなんでしょうか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 委員御案内のとおり、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金は、その前身であります公営企業金融公庫の債券借換損失引当金等を承継したものでございます。

 平成二十年度の承継時には、公庫債権金利変動準備金は約三・二兆円でありました。その後、毎年度二千二百億円ずつ取り崩して一般勘定の方に繰り入れるとともに、過去に発行した政府保証債の借りかえに伴って借りかえ益が生じたことなどによりまして、平成二十二年度末の残高は約三・一兆円となっております。

 ただし、平成二十六年度までの総額一兆円をめどの国庫納付と、そしてまた、平成二十九年度までの総額約一・三兆円の一般勘定への繰り入れを単純に差し引けば、約〇・八兆円となる見込みでございます。

奥野委員 今のお話の中に大体ございましたけれども、では、金利変動準備金の適正な水準というのは大体どのくらいと見積もったんでしょうか。

黄川田副大臣 今、適正な水準ということでございますが、地方公共団体金融機構法の附則の第二十五条の規定によりまして、機構の設立から十年を経過した平成二十九年度末をめどとして、機構の業務のあり方あるいはまた全般について検討を加えて見直しを行う、こういうことになっております。その時点における機構の貸付規模等の財務状況あるいはまた経済環境等を総合的に勘案しながら適正規模を探っていかなきゃならない、こう思っております。いずれ、自治体と丁寧に意見を聞きながら進めていきたい、こう思っております。

奥野委員 事前に伺ったところによると、旧勘定の方は運用益が出るんですね。昔の高金利の長期貸し付けがあって、短期で借りかえてやっていますから、旧勘定の方はこれからも、毎年これは運用益が出ているから、今回一兆円を振りかえることができると思うんですが、ただ、新勘定の方は、新しい貸し付けでありますから、やはりこれから金利が急変することもないとは言えないので、きちんと積んでおかないといけない、そこは理解できます。ですから、虎の子のお金ということで、まだ多少旧勘定の余裕があるのかもしれませんが、そうそうやはり使うわけにはいかないお金だ。虎の子の一兆円と言えるというふうに思います。

 そういうことを考えていきますと、財源として、あと消費税を一〇%に引き上げるという話もございますけれども、これはこの間の答弁で、たしか一〇%に引き上げたとしても地方分はおよそ四・一兆円とどなたかの答弁でおっしゃっていたかと思います。社会保障費の増分あるいは地方の景気対策等を考えれば、もういっぱいいっぱいのところに来ているんじゃないか。こういう今の機構の準備金の取り崩しもなかなかままならないということになれば、いっぱいいっぱいのところに来ているんじゃないか。

 そういう話になりますと、では、この地方交付税制度とは何かと思いますと、やはり国税五税を基本にしている。法案を読むと、附則がいっぱい書いてあって、附則に大事なことがいっぱい書いてあるんですね。これを理解しようとすると、附則を読まなきゃいけないという非常に妙な構造になっておりまして、そうすると、本則に書いてあるように、国税五税の歳入で交付税は賄うべきじゃないかということだと思います。

 そこで伺いたいんですが、概算要求の際に、三位一体改革で削減された地方交付税の復元に相当する額について、所得税に係る交付税率の引き上げを事項要求としたその理由、そして将来的にこうした要求だけで十分なのかということを伺いたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度概算要求においては、平成二十三年度から平成二十五年度までは、地方の財源不足の補填についての折半ルールを法定化したことを前提としつつ、税制の抜本改革まで継続することとされている地方の財源不足を踏まえた別枠加算分については、三位一体改革における所得税の税源移譲において失われた法定率分、二十四年度は一・一兆円に相当するものであるとの考え方に基づき、所得税に係る交付税率の引き上げ、三二%から四〇%を事項要求したところでございます。

 一方、翌年度における折半ルールが法定化されていなかった平成二十二年度及び二十三年度概算要求においては、折半ルールの国庫負担分を対象として交付税率の引き上げを事項要求していたところでございます。

 したがって、将来的には、まず、折半ルールの法定化がされていない平成二十六年度概算要求に当たって、その時点における財源不足の状況を踏まえつつ、改めて交付税率のあり方について検討し、その結果を踏まえた引き上げを要求していくことになるものと考えております。

 以上であります。

奥野委員 ぜひ、本来の姿にやはり制度を戻していくべきだと思いますが、それについて大臣の御決意を伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、本来は、このような恒常的な巨額の財源不足が続いているという意味では、国の特例加算とか地方の特例債である臨時財政対策債で確保するのではなくて、交付税率の引き上げでやられるのが本来の姿である、これはもう一貫して我々はそう考えております。

 今回も、三二%から四〇%への交付税率の引き上げを事項要求として要求いたしましたけれども、たび重なる折衝の結果でもございますが、この国の予算自体が、税収を公債が上回るという異常な状況が続いているという中で、今年度は見送らざるを得ませんでした。

 直ちには困難ではありますけれども、引き続き、やはり交付税の本来の姿に戻していくというのがあるべき姿であるというふうに思っていますので、粘り強く確保に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

奥野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと時間を余してということでありますが最後になりますけれども、新たな財源ということで、消費税はほぼ四・一兆円という見通しがございましたが、そのほか、昨年要求されておられました環境自動車税の問題、ことしは見送り、当分は見送りという話だったようでありますけれども、改めて、こうした新しい財源についてどのようにお考えかということを伺って、終わりにしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、総務省としては、平成二十二年十一月に環境自動車税、仮称の構想を提唱いたしました。この構想の中では、車体課税の簡素化を図る観点から、保有課税である自動車重量税、国税と、自動車税、地方税の統合を提案いたしました。

 自動車重量税と自動車税の統合など車体課税の抜本的な見直しに当たっては、国及び地方の財政状況、地球温暖化対策の観点を踏まえて、国、地方間の税源配分、あるいは自動車関係税全般の再編を図る中で検討していかなければならないというふうに思っております。

 平成二十四年度の税制改正においては、自動車重量税や自動車取得税の存廃も含めた車体課税のあり方については、相当激しい議論が行われました。関係税制全般の再編にわたる改革については、ことし、成案を得るには至りませんでした。

 したがいまして、二十四年度の税制改正大綱では、当面、エコカー減税の継続を図るということとしつつ、今年度の与党の重点要望に沿って、国、地方を通じた関係税制のあり方の見直しを行って、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化等の見直しを行うことというふうになりました。

 今後、大綱で示された方針に沿って、地方税財源の確保という観点も踏まえて、関係省庁間で協議、検討を進めていくことになりますけれども、その際は、例えば環境自動車税(仮称)構想において提案した自動車重量税と自動車税の統合も含めて検討してまいりたいと思いますし、述べましたように、地方税収に影響を与えない形の中で整理統合して、なおかつ自動車関連諸税が簡素化されるように、そして地球環境にも貢献できるようにという、各方面に目配りしたことでありますので、議論も活発でありますけれども、ぜひともにその方向でまとまっていくようにと思って取り組んでまいりたいと思っております。

奥野委員 以上、終わります。ありがとうございました。

原口委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法等改正法案及び地方交付税法等改正法案に対する反対討論を行います。

 初めに、地方税等の改正案についてです。

 原発事故被害に対する課税免除や減額措置の延長などは当然の措置です。

 しかし、本法案には、特定外貿埠頭の大規模コンテナ埠頭に係る固定資産税と都市計画税に対する軽減措置の延長を初め、担税力を持つ事業者への優遇策の継続が含まれています。地方税の減収を言うのなら、こうした特例措置こそ直ちに廃止すべきであります。

 さらに、住宅用地の固定資産税と都市計画税について、負担軽減措置の据え置き特例を、二年間の経過措置の後、廃止するとしていることも問題です。そもそも、評価額を取引価格に近づけるとして、固定資産税の土地評価額を公示価格等の七割としたことが問われなければなりません。その結果、地価が下がり続けても負担がふえるという矛盾が大きな問題となったのであります。据え置き特例の廃止は、都市部など路線価が高いところの住宅用地の増税にもつながるものであり、行うべきではありません。

 次に、地方交付税等の改正案についてです。

 本法案は、一昨年六月の財政運営戦略を踏襲し、地方財政を一層厳しく抑え込む来年度地方財政計画を実行に移すものです。

 政府は、社会保障関係費の自然増の地方負担分を確保したとしますが、実際は、一般行政経費や給与関係経費、投資的経費などの削減でつじつまを合わせるものです。

 住民を支える補助金の一般財源化、地方歳出の削減などの一方で、市町村国保会計への繰り入れや就学援助費などが増加し、乳幼児医療の無料化、妊婦健診といった独自施策の実施などで地方自治体の負担が大きくなっています。これ以上の地方財源の抑制、削減は許されません。さらに、人件費削減は、正規職員の臨時、非正規への置きかえやアウトソーシングなどを一層深刻にするものであります。

 当せん金付証票法の改正は、宝くじの当せん金額を十数億円にも引き上げ、賭博性を著しく高めるものであり、反対です。

 住民福祉の増進を図るという地方自治体の役割を支える財源の確保、責任ある業務体制の構築が求められていることを述べて、反対討論とします。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、内閣提出の地方税法等の改正案及び地方交付税法改正案について、賛成の立場で討論を行います。

 地方税法等の改正案では、福島への支援策として固定資産税等の免除、減額措置の継続や、再生エネルギー発電設備、鉄道のバリアフリー化などへの固定資産税等の特例措置、JR三島、貨物会社などへの支援策、さらに、我が党が求めてきた軽油引取税の特例措置や沖縄振興税制など含まれており、評価できる内容となっています。

 他方で、エコカー減税の継続については、自動車の社会的費用の観点や特定産業への過度な支援という問題、需要の先食いといった懸念を抱きます。政府自身が決めたペイ・アズ・ユー・ゴーの原則から逸脱していると指摘せざるを得ません。

 また、住宅用地に係る据え置き特例の段階的廃止については、土地建物を持っている人だけでなく、借家人も家賃の値上げにつながるため、現在の経済情勢の中での廃止は適当でないと考えます。

 さらに、わがまち特例については、住民自治の確立に向けた地方税制度の推進という考え方には賛同するものの、自治体の自主性、自立性のみが過度に強調され、結果として国が行うべき財源保障機能の放棄につながらないよう注意を払いながら、範囲の拡大を目指すべきであります。

 交付税法については、総額の確保が行われたことについては了とするものの、引き続き、地方公共団体が安定的な財政運営に必要な総額の充実確保のために法定率の引き上げに努力するとともに、所得税、法人税自体の財源調達力の向上を検討すべきです。

 また、地域の雇用対策や円高対応、地域における温暖化対策、住民生活に光をそそぐ事業等の充実を図るため、歳出の特別枠として地域経済基盤強化・雇用等対策費が計上されたことは評価します。

 公庫債権金利変動準備金については、地方の意見を十分に聞きながら活用を進めるべきであります。

 年少扶養控除の廃止に伴う地方増収分についても、子供以外のものに化けてしまうことへの違和感が残ります。

 社民党は、今後も、小泉構造改革によって傷んだ地方財政を再建し、真の分権・自治を目指し、全力を挙げていくことを申し添え、討論とします。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、皆吉稲生君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び新党きづなの四派共同提案による地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。皆吉稲生君。

皆吉委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件(案)

  現下の厳しい経済環境の下において地方の疲弊が極めて深刻であることに鑑み、政府は次の諸点について措置すべきである。

 一 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ地方公共団体の安定的な財政運営に必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指すこと。

 二 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、地方公共団体間の格差是正を図る観点に立って、地方消費税の拡充・強化をはじめ、国、地方を通ずる税体系の抜本的な見直しと国、地方間の税源配分の見直しなどを行い、速やかに偏在度が小さく、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。

 三 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることに鑑み、計画的に、地方財政の健全化を進めるとともに、臨時財政対策債をはじめ、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 四 地方債制度及びその運用については、平成二十四年度から民間資金に係る地方債届出制度が導入されることも踏まえ、地方債のリスク・ウェイトを零とする現行の取扱いを堅持するとともに、財政基盤が脆弱な市町村に対しては、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど、地方債の円滑な発行と流通、保有の安全性の確保を図ること。

 五 地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の今後の活用は、機構の財産が地方公共団体の寄与により形成された経緯を踏まえ、機構及び地方公共団体の意見を尊重して行うこと。

 六 東日本大震災に係る復旧・復興対策については、被災団体の意向を十分に踏まえ、国、地方の連携の下、機動的・弾力的な対応に万全を期すこと。特に、震災復興特別交付税については、復旧・復興事業の実施等に伴う財政需要の動向に応じ、所要額の確実な確保を図るとともに、適時適切な交付に努めること。

 七 当せん金付証票については、今回の制度改正の円滑な実施に努めるとともに、発売諸経費や事務の一層の効率化を図ること。

 八 地域自主戦略交付金については、国と地方の協議の場等を通じ、地方の意見を十分反映させるとともに、これへの移行を契機として国庫補助負担金の総額の削減を行わないこと。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川端総務大臣。

川端国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会


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