衆議院

メインへスキップ



第12号 平成24年6月19日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年六月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      小原  舞君    大島  敦君

      奥野総一郎君    桑原  功君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      白石 洋一君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      浜本  宏君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      徳田  毅君    中谷  元君

      平井たくや君    稲津  久君

      塩川 鉄也君   斎藤やすのり君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    松下 忠洋君

   総務副大臣        大島  敦君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      久保 信保君

   政府参考人

   (消防庁次長)      長谷川彰一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           若林 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     石井登志郎君

  杉本かずみ君     磯谷香代子君

  森山  裕君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     浜本  宏君

  磯谷香代子君     杉本かずみ君

  徳田  毅君     森山  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     大西 孝典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)(参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 この際、松下国務大臣及び原人事院総裁より、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。松下国務大臣。

松下国務大臣 去る六月四日、自見前大臣の後を引き継ぎ、郵政民営化担当大臣を拝命いたしました松下忠洋でございます。よろしくお願い申し上げます。

 総務委員会の御審議に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。

 郵政民営化に関しては、民主、自民、公明三党の協議を経て議員立法として提出されました郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案が、関係各会派の御尽力により、郵政改革に関する特別委員会において御審議いただき、四月二十七日に成立、五月八日に公布されたところであります。

 この郵政民営化法改正法は、郵便局株式会社及び郵便事業株式会社の再編成、郵政事業に係る基本的な役務の確保のための措置その他株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための措置を講ずるものです。

 これにより、具体的には、一つ、分社化の弊害が解消し、例えば、郵便局の窓口まで出向くのが難しいお年寄りが、自宅まで郵便物を配達に来る社員に貯金の取り扱いを依頼できるようになる、あるいは、経営上の不効率、いわゆる分割ロスが解消するとともに、二つ、郵便だけでなく、貯金、保険とあわせた三事業一体でユニバーサルサービスが確保されるようになります。

 すなわち、郵政民営化の基本的な方向性は維持しつつ、現状の課題を解決し、公益性、地域性を発揮した、よりよい郵政民営化を実現するための安定した法制度を御整備いただいたものと受けとめています。

 郵政民営化担当大臣として私に課せられた任務は、改正法の施行に向けた準備を速やかに進めることです。施行に伴って必要となる政令案について、現在、郵政民営化委員会の意見を求めるとともに、パブリックコメントを実施しているところです。その結果を踏まえ、可能であれば今年の十月一日に改正法を施行できるよう、関係大臣と連携し、所要の準備を進めてまいります。

 これからは、新しい郵政民営化法を実行する段階です。政府、日本郵政グループ双方にとって重要な課題は、脆弱となった郵政事業を再生させ、これを真に国民のためのものとするべく、国民利用者の視点に立った郵政民営化を円滑に推進することです。

 郵政事業の経営環境は厳しさを増しています。電子メールの普及や景気低迷に伴う郵便需要の落ち込み、欧州債務問題に代表される世界経済の変動に直面して求められる商品、運用の多様化やリスク管理等の機動的対応、少子高齢社会に対応した金融商品への国民ニーズの変化等、三事業いずれも、その現状、将来に課題が山積しています。

 日本郵政グループにおいて、将来に向けた新たなビジョンを速やかに構築し、企業としての力強いメッセージを内外に発信できるよう、不断の経営努力を期待するとともに、関係大臣と連携し、対等な競争条件の確保、地域における民間企業との協調等に配慮しつつ、法律の規定にのっとった適切な監督を通じ、グループ各社の取り組みを促し、魅力ある企業となるよう努めてまいります。

 日本郵政グループの企業価値が向上することは、郵政事業の経営の安定につながるだけでなく、日本郵政の株式売却を通じ、東日本大震災からの復旧復興に貢献するものでもあります。

 私は、先日まで復興副大臣として、主に福島県の復旧復興に取り組んでまいりました。役割こそ変わりましたが、一閣僚として、また一人の政治家として、被災地への思い、復旧復興を願う気持ちに変わりはありません。郵政民営化担当大臣の立場から、引き続き力を尽くしてまいります。

 以上申し述べた点を初め、川端総務大臣と緊密に連携し、中塚副大臣、森田大臣政務官とともに、新たな郵政民営化法等に基づく郵政事業改革の着実な推進に全力で取り組んでまいります。

 原口委員長を初め理事、委員の皆様の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

原口委員長 次に、原人事院総裁。

原政府特別補佐人 このたび内閣から人事院総裁を命じられました原恒雄でございます。

 私は、国鉄とJRという官民両方のシステムを経験させていただき、その後、人事官として六年間にわたり人事行政に携わってまいりました。これからは総裁として、外部から公務員の世界を見てきた視点を失うことなく、人事院の使命達成のために努めてまいる所存でございます。

 委員長を初め委員の皆様方から御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶にかえさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

原口委員長 内閣提出、参議院送付、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消防庁長官久保信保君、消防庁次長長谷川彰一君、国土交通省大臣官房審議官若林陽介君及び国土交通省大臣官房審議官井上俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 質問に入ります前に一言お礼を申し上げます。

 きょうの私の日程の都合によりまして、質問の順序を繰り上げていただき、一番最初に質問させていただく、そういう御配慮をいただいた皆さんに心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 わずか十分という時間でありますので、早速質問に入ります。

 まず、共同防火管理の現状について総務大臣にお伺いいたします。

 今回の改正の大きな柱の一つに共同防火管理制度の改正があります。一九六八年の消防法の改正で共同防火管理制度が新設されました。対象となる建物のうち管理権原が分かれているものについては、共同防火管理となりました。その結果、防火管理上必要な業務に関する事項を協議して定め、消防署長などに届け出を行うこと、定められていない場合は、消防署長などが定めるよう命ずることになりました。

 しかし、現在、共同防火管理となる防火対象物のうち、実際に協議事項を届け出ているものは三分の二にすぎません。これは少ないと言わざるを得ないのでありますが、なぜこうした数字になっているのか、どういった点に問題があると考えているのか、まず聞いておきたい。また、今回の法改正がどのような影響を与えると見ているか、それについても答弁を求めます。

川端国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 御指摘のように、選任率は、平成二十三年三月三十一日現在で、統括防火管理者が六六・〇%、統括防災管理者が六〇・一%でございます。

 今の制度は、消防法の施行規則において統括防火管理者と防災管理者の選任を規定されている、いわゆる規則で決められているということでありますし、役割とか権限がはっきりと明確になっていない。どういう役割と権限があってということと、その法的根拠がないという状況でございます。と同時に、雑居ビルなんかはその典型でありますが、やはりテナントが頻繁にかわるという状況もあったんだというふうに思います。

 そういう意味で、今般改正で、法律上、統括防火管理者等を選任することを義務づけるということを法的に確定させたということです。ただ、義務づけても実効が伴わなければまた意味がないということでありますので、一年半程度周知期間を設けることによりまして、各消防機関から建物管理権原者等に対して改正の趣旨、内容を丁寧に周知して、これは義務づけでありますので、選任されるように、しっかりと徹底をしてまいりたいと思っております。

重野委員 不備な部分はしっかり訂正というか改正していって、あるいは実効を伴う形をつくっていただきたい、そのことを申しておきたいと思います。

 次に、広島県福山市のホテル火災についてお聞きいたします。

 七人が亡くなった、ことし五月の福山市でのホテル火災。大変な事故でございました。報道などによりますと、昨年市が行った査察で問題点が指摘されていたにもかかわらず、ホテル側は資金難を理由に対応していなかった、このように言われております。また消防の側も、十年ほど前に立入検査を行い不備を指摘していたと聞いていますが、その後、改善されたかどうかについては放置されていた、このように報道されています。大きな問題であります。

 この福山のホテル火災の後、他の自治体ではホテルなどの検査が一斉に行われ、次々と不備が見つかっています。次々と見つかるこの不備の原因を一体どういうふうに見ているのか、聞いておきたい。また、検査が行われていなかったのか、それとも、検査をし、不備を指摘しても、福山市のホテルのように対応をしなかったということなのか、その点について聞いておきたい。

久保政府参考人 五月の十三日に広島県福山市のホテルで死者七名となる火災が発生したということを受けまして、その翌十四日に、私ども、まず全国の消防本部に対しまして、旅館、ホテルなどに関する注意喚起を促す通知を出しております。

 そして、十六日になりまして、火災の発生したホテルにつきましては、建築構造の状況といったものが被害拡大の一因となったのではないかということがございましたものですから、全国の消防本部に対しまして、こうした構造のホテル、旅館等について、建築部局と連携して緊急調査を行い、消防法違反のある施設に対しましては早急に是正を図るように通知いたしました。

 ただ、この緊急調査につきましては、ある程度の時間が要るということを考えておりまして、八月の十五日を私どもへの回答の期限としておりますために、違反状況について把握ができておらないというのが現時点でございます。

 今後、この調査結果も踏まえまして、私どもの中に予防行政のあり方に関する検討会という検討の場がございますが、その下に、六月十八日にホテル火災対策部会というのを設けておりまして、この場におきまして、この調査結果等を踏まえて、立入検査あるいは違反処理の体制といったものについて必要な対策を検討してまいる、そういったつもりでおります。

重野委員 いずれにしても、ホテル火災というのは本当に人命にまさに直結をするという事件になるわけでありまして、したがって、ホテルもさまざまなホテルがございますので、その点は、これを契機として徹底的に調査をし、そして、その改善が速やかになされるように行政的な対処をぜひぜひ進めていただきたいということを申しておきたいと思います。

 次に、マル適マーク禁止について消防庁に伺いますが、二〇〇三年にマル適マーク制度が廃止されて自主点検報告表示制度に変更になった、その結果、消防による査察義務がなくなって放置状態になったのではないかというふうに私は思うんですが、この点についての認識を聞いておきたい。

久保政府参考人 御指摘のように、適マーク制度でございますけれども、これは昭和五十六年から全国統一的に実施をされていた法律に基づかない事実上の制度というものでございまして、旅館、ホテルにつきましては一年ごとの消防の立入検査を行いまして、審査項目に適合している場合に適マークを交付しておりました。建築基準法につきましてもその審査項目の中に入っているというものでございました。

 その後、平成十三年の新宿歌舞伎町雑居ビル火災を受けまして、御指摘にございましたような管理権原者などによる自主的な防火管理の推進を図るための消防法の改正を行ったということがございまして、そちらの方の法改正があったということを契機といたしまして、平成十五年の九月に廃止をしたというものでございます。

重野委員 私が聞いているのは、そういう事実の確認ではなくて、そのことと今回のこの事故との関係はあるんじゃないですか、そういうことを聞いた。

久保政府参考人 火災のございました福山のホテルでございますけれども、これも御指摘にございましたように、平成十五年以降、立入検査が実施をされていないというホテルでございました。適マークにつきましては、たしか当時から適マークというのは交付をされていない施設であったと記憶をしておりますが、適マークの制度が廃止をされたのが原因だったのかどうか、そういうこともよく明確ではないと思います。

 現在、福山市で今回の事案についていろいろな観点から検証中であるということでございまして、先ほど申し上げましたホテル火災対策検討部会、ここにおきましても、これは福山市のホテルと限ったことではございませんけれども、恐らく、議論の過程の中で、御指摘のあった適マーク制度というのがどうだったのか、それが廃止をされてどうだったのかということが議論の一つの対象になってくるのではないかと考えております。

重野委員 時間が来ましたから終わりますけれども、私が調べてみますと、マル適マーク制度というものが廃止されて以降、査察の回数がやはり間違いなく激減しているんですよね。そういう現実があるということを、多分承知していると思うんですが、そういう視点でひとつ検討をやはり深めるべきだというふうに思いますし、そのことを要望して、私の質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の消防法改正案は、震災を受けて提案をされたような印象でありますが、しかし、中身を見ると、むしろ、二〇一〇年五月に行われた事業仕分けの結果を受けて行われる、いわば仕分け対策の法改正といったニュアンスが強いものではないかと思います。

 そこで何が言われていたか。

 消防用設備の検定業務が、日本消防検定協会に権限付与されて、事実上独占をされている。そして、防火管理者、防災管理者、消防設備点検資格者、防火対象物点検資格者、消防関係の資格や認定がやたらと多い。それらは、日本防火協会、日本消防設備安全センターが権限付与されて、民間の受講者から受講料を取って行われていて、結果的に天下り法人にお金が落ちて積立金がたまる、そういう仕組みになっている。ここを直していこうというのが仕分けの趣旨であったというのは間違いないと私は思います。

 仕分け結果を受けての法改正のはずなんですけれども、今回の消防法改正案で、新たに、震災の教訓を踏まえてとして、複合ビル、雑居ビルにおける統括防火管理者、そして、大規模、高層建物における統括防災管理者の選任が義務づけられております。

 あれっと思うんですよ。先ほど申し上げたとおり、消防関係の資格や認定がやたらと多くて、こうした資格や認定のための講習が防火防災のためと言いつつ、結果的に天下り法人にお金が落ちる仕組みをつくり出している。だったら、仕分け結果を受けて、新たに法律上、一段上の位置づけの統括防火管理者、統括防災管理者を義務づけるのは、私はこれは仕分け結果に矛盾しているようにも感じられるんです。これで統括防火管理者講習やら統括防災管理者講習が設けられて、手数料を払って二日間の講習を受けなきゃいけない、こういうふうになるのであれば、まさに、仕分けで指摘を受けた仕組みの拡大再生産になってしまっていくのではないかと思います。

 この点、統括防火管理者、統括防災管理者について、資格認定制度、この何らかの講習義務、こんなことを課す予定があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 現行の防火管理者の資格要件でございますけれども、これは、防火管理講習を受けた者等で、当該建築物等において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的または監督的な地位にあるものとされております。防災管理者についてもおおむね同様の要件となっております。

 そこで、今回新たに創設する統括防火管理者及び統括防災管理者の資格要件でございますが、これは、既存の防火管理者及び防災管理者と同じ講習等を受講するなどの要件を課すことを予定しております。したがいまして、新たに資格認定制度を設けたりとか、あるいは新たな講習の義務を課すということは考えておりません。

柿澤委員 こういう御答弁でありましたので、ここは御理解をさせていただきたいと思います。

 次に、日本防火協会、日本消防設備安全センターの講習事業について、これも仕分け結果では、受講料の引き下げ等の見直しを行う、こういう結果でありました。例えば、防火管理講習、六千円ないし五千円、五年に一度の再講習、そのたびに日本防火協会に受講料を支払うわけです。防火対象物点検資格者、四日間の講習、費用が四万五千円、これも五年ごとの再講習があって、費用一万円ぐらい負担しなきゃいけない。これを日本消防設備安全センターに払う。民間の受講者にとっては大変大きな負担であるわけです。

 こうした受講料の引き下げについては、仕分け結果を受けてどのような対応が行われているのか、また同時に、日本消防検定協会の検定手数料の引き下げについても指摘を受けておりますが、この点もどうか、あわせて御答弁をいただければと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年五月に行われました公益法人事業仕分けにおきましては、御指摘の財団法人日本防火協会及び財団法人日本消防設備安全センターの行っております講習事業につきまして、それぞれの事業の実施団体でできる限りのコストカット、経営の効率化を図る、それから、消防庁でも講習事業の受け手、内容、講習料等が適正かどうかにつきまして不断の見直しを行うこととされたところでございます。

 この御指摘を踏まえまして、消防庁におきましては、講習科目及び講習時間の基準の見直し、あるいは講習科目の一部免除の拡大などを図ることといたしまして、消防法施行規則や関係する告示等の改正を行い、昨年の四月一日から施行しているところでございます。

 これにあわせまして、各法人におきましては、例えば、日本防火協会では、防火・防災管理併催講習において、改正前九千円でありました受講料を八千円にするとか、あるいは、消防設備安全センターでは、防災管理点検資格者講習におきまして、改正前二万二千円でありました受講料を一万八千円に引き下げる、こういった引き下げを平成二十三年四月一日から実施いたしております。

 なお、御質問のございました日本消防検定協会の検定手数料でございますが、これも同じ公益法人事業仕分けにおきまして、手数料水準のあり方について検討すべきであるといった御意見などがございました。

 検定協会におきましては、既に平成十七年度の閣議決定におきまして、検定手数料を今後五年間でおおむね一〇%引き下げるということにされておりましたので、平成二十年度にはおおむね五%の引き下げが行われておりました、こういったことを踏まえまして、平成二十二年の十二月一日から、さらにおおむね五%の手数料の引き下げを行ったところでございます。

柿澤委員 受講料の引き下げを行ってきたということでありますが、こうした受講料あるいは手数料、これが積み上がっていって、そして、こうした法人に大きな積立金の形成をしている。例えば日本消防検定協会については、積立金、平成二十二年度で三十八億円近くある。基本金を除いて、積立金だけで四十億近いお金が積み上がっているわけであります。これも独占的な国の権限付与で形成されたものであるから、これは国庫納付すべきではないか、こういう評価者のコメントもあるわけです。

 なおかつ、天下り法人と何度も申し上げさせていただきました、恐縮ですが、しかし、この日本消防検定協会には、やはり仕分けの段階で天下り常勤役員が三人いて、これも早期に、近い将来根絶すべきではないか、こういうコメントもいただいているわけであります。

 つまり、まさに国による権限付与によって独占的な業務を行って、そこから入ってきた手数料、受講料によって積立金を形成する、そして一方、その権限付与をしている国から天下りを受け入れて、その人たちに、一般から見れば高額の報酬、給与を支払っている、こういう構造を改めていこう、これが仕分けの趣旨だと思いますので、この積立金の国庫納付について、また、天下り常勤役員、日本消防検定協会は三名というふうに伺っておりますが、この解消について、どのように検討、取り組んできたのか、お伺いをしたいと思います。

長谷川政府参考人 お尋ねの役員や積立金についてでございますが、日本消防検定協会におきまして、現在、総務省出身の役員は、理事が一名で監事が一名の二名ということになってございます。

 それから、日本消防検定協会の資本剰余金及び利益剰余金の合計額でございますけれども、これは平成二十三年度の決算ベースで約三十八億円となってございます。

 それで、検定協会が検定業務を行いますためには、その試験場や排煙設備等の試験設備が必要不可欠でございますことから、これらの試験設備について、今後、必要な経費が要るということで、おおむね六十五億円程度が見込まれておるということでございます。そういったものに使っていくということで認識いたしております。

柿澤委員 るる御答弁をいただいてまいりましたが、私たちから見ると、十分な問題意識を持って取り組んでおられるのかな、こういうふうにも感じられる。取り組んでおられるのかなというのは、取り組んでおられるようにちょっと見えない部分もあるという意味で、ちょっと感じられるところもあります。

 いずれにしても、それは後退はしていないかもしれない、前進はしているかもしれませんけれども、この点については、やはり国民の厳しい目もあると思いますので、不断の取り組みをお願い申し上げたいというふうに思います。

 法案の内容については基本的には異論のないところですので賛成はさせていただきますが、この点、御指摘は申し上げさせていただいて、ちょうど時間となりましたので、質問は終了いたします。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、桑原功君。

桑原委員 おはようございます。きょうは、委員長、理事の皆さん、委員の皆さん、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。時間もわずか十五分ですから、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、二十一年の十一月に杉並の高円寺雑居ビル火災がありました。四名の方が亡くなって、十二人の方が負傷する。その一年前、二十年の十月には大阪の個室ビデオで火災がありまして、亡くなった方が十五人、負傷者が十名というふうに、近年は雑居ビルの火災による死者とか負傷者が多発をしているということです。

 そのため、今回の法改正は、防火管理制度の拡充を図るとともに、検定に合格していない消防用機材器具等への回収命令制度の創設とかが改正点として上がっております。

 そこで質問ですが、比較的入居や退去をされるお店も多いというふうに言われております雑居ビルに、いかに共同防火管理体制を適合させていくのかという点をまずお答えいただきたいと思います。

 続いて、検定に合格していない機器類の市場流通、販売者に対して回収を命じられるということになりました。販売業者だけではなくして、検定に合格しない機器類を製造している事業者についても、この罰則規定が適用されるのかどうか。

 まず、その二点についてお尋ねをいたします。

    〔委員長退席、皆吉委員長代理着席〕

長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 今般の改正によりまして、法律上、管理権原者は、協議をして統括防火管理者などを選任することが義務づけられることとなります。選任の際の協議の方法につきましては具体的に定められておりませんけれども、一般的には、管理権原者が参加する協議会等を設置して選任に関する調整を行うということが想定されております。

 そこで、現在の共同防火・防災管理制度でも、先ほど来御答弁がございましたが、必要な事項を定めるために、このような管理権原者が参加する協議会等を設置することが多いというふうに承知いたしております。今後、さらに、テナントの変更が多い雑居ビル等の実情に応じた協議体制が整うよう、指導に当たる消防本部に要請をしてまいりたい、このように考えております。

 次に、御質問の検定制度に関しましては、近年になって不正受検事案や未受検事案が相次いで発生した状況を踏まえて、今回の改正により、新たに総務大臣によるリコール命令権が創設されることとなっております。

 リコール命令の対象といたしましては、検定合格の表示が付されていない検定対象機械器具等を販売した場合、検定に合格していないにもかかわらず、検定合格の表示を付し、または紛らわしい表示を付した検定対象機械器具等を販売した場合などを想定いたしております。

 このリコール命令を受ける対象者といたしましては、消防用機械器具等の販売を業とする者でございまして、消防用機械器具等の製造を業とする者でございましても、販売の業もあわせて行っていることが多うございます。そういった場合には、命令の対象ともなり、また、違法な流通に係る罰則も適用されるということになると思います。

桑原委員 ありがとうございました。

 今ここに平成二十三年版の消防白書があります。この白書によりますと、昨年の八月二十四日に、第二十六次消防審議会に「広範な地域に甚大な被害を及ぼす大規模災害に対応するため、東日本大震災を踏まえた今後の消防防災体制のあり方について、意見を示されたい。」という諮問をされました。

 この諮問についての現在の審議会の中での審査状況、あるいは、つい先日答申がされたようですが、その答申の中身について具体的にどのように対応しているかについてお尋ねをいたします。

長谷川政府参考人 お尋ねがございましたように、第二十六次の消防審議会におきましては、東日本大震災を踏まえた消防防災体制のあり方について、昨年八月に消防庁長官の諮問を受けまして、本年の一月三十日に答申が行われております。

 この答申では、東日本大震災における被害や応急活動などを踏まえまして、抽出した課題に対する詳細な調査検討を行い、今後の国民の安心、安全の確保のため、消防本部、消防団、自主防災組織などの充実による消防防災体制の整備を目指す必要があるとして、地震、津波対策の推進と地域総合防災力の充実強化、あるいは消防職団員の活動のあり方などについて考え方が示されております。

 消防庁では、この答申を受けまして、例えば、防災行政無線やJアラートの整備などによる住民への災害情報伝達手段の多様化、消防職団員の安全確保対策や消防団の充実強化、それから、緊急消防援助隊の車両、資機材などの整備や効果的な運用のための出動計画の見直しなどを進めているところでございます。

 また、民間事業者における防火防災対策として、大規模、高層の建築物などを対象に、統括防火管理者及び統括防災管理者の選任とその役割の明確化を内容とする今般の消防法の改正案を御審議いただいているところでございます。

 今後とも、答申を踏まえまして、所要の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

桑原委員 ありがとうございます。

 次に、消防職員、消防団員についてお伺いをいたします。

 今、日本消防協会が発行した「消防団の闘い」という小冊を読ませていただきました。この中は、直接お会いしてインタビューをした集大成になっています。本当に生々しい現場の声がございます。二百人以上の団員、職員が亡くなられたという惨状ですけれども、せめてもの救いはことしの三月に旭日章の緊急叙勲がされたということで、遺族や親族にとってはせめてもの慰め、救いだなというふうに感じているわけなんです。ここに挙げてある生々しい声、くぎの刺さらない長靴が欲しいとか、帽子とはっぴだけじゃどうしても出動できないとか、明かりが欲しい、燃料が欲しい、そうした生々しい声がここにたくさん掲載されています。

 さらに、団員の装備もそうですけれども、現在の消防組織法では、国や県には消防の実動部隊はありません。実動部隊というと市町村のみが有しているわけです。しかし、必置義務ではないように位置づけられていますけれども、基本的には、消防団につきましても消防組織法の中できちっと位置づけをして、もっともっとやりがいのある、張り合いのあるそうした活動を担保していくというような法的な位置づけも必要と考えますけれども、この辺についてお尋ねをしたいと思います。

 さらに、日本消防協会から東日本大震災後の我が国消防のあり方に関する意見というのが、これまたボリュームの大きい意見が出されています。こうした点について、組織法上の問題、団員の位置づけの問題、あるいは消防協会からの意見についてどのように取り組みをなされるか、その点についてお尋ねをします。

川端国務大臣 東日本大震災で消防団員の皆さんが多くの犠牲者を出すことになりましたが、まさに命をかけて献身的に活動していただくことは本当にありがたいことだと思いますし、改めて哀悼の意をささげたいというふうに思います。その活動を通じて、消防団の活動が、いわゆる本来業務だけではなくて地域のつながりも含めて、地域社会にとって極めて大きな役割を果たしていただいているということは多くの国民の共有することになったというふうに思っております。

 そういう中で、実際、今お示しいただきましたけれども、私もいただきましたが、生の声を集めていろいろなことで御提言をいただいたことは極めて重いものだというふうに私も受けとめております。

 そういう中で、今委員御指摘の、組織法上の必置機関とすべきという御提言をいただきました。この趣旨は、国民の安全を守る上で消防団がどうしても不可欠の存在である、そして、大きな役割を果たしているから国民の前にしっかりとそういうことを明確にすべきだという御趣旨だと思います。その思いは私も共有しているところでございます。

 ただ、現在、全国市町村全てに消防団はございます。そういう意味では、合併前になかったところが合併に伴ってということで、地域的にちょっと濃淡はあるんですけれども、一応市町村レベルでは全市町村に存在しているという意味では、法律でさらに義務づけをするということの意味がどこまであるのかということは議論のあるところだというふうに思っております。

 現在、消防庁で、消防団関係者にも入っていただいて、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会を開催しておりまして、消防協会からの意見の趣旨も踏まえて、消防団の充実強化について十分検討していきたいと考えております。

 そして、これからのあり方の中でいろいろな御指摘をいただいております。その中で、やはり消防団員をふやして確保することが大変難しい、それから、今もお触れいただきましたが、装備を充実するべきである、それともう一つは、処遇も改善してほしい、こういう御提言だというふうに思います。

 それぞれに重いものであると同時に、実態として、かつて二百万人ぐらいおられた消防団員が、平成二年、今から二十年前に百万人を割りまして、昨年は八十八万人。そして、どんどん高齢化している。加えて、昭和五十年では四二%の方がいわゆる被雇用者、サラリーマンだったのが、平成二十三年では七一%がサラリーマン、活動に非常に支障、仕事のこともあるということもありますし、個々に伺いますと、なぜ消防団に入らないんやというと、訓練で時間が拘束されるとか、上下関係が厳しいというイメージがあるとか、あるいは家族や職場の理解がなかなか得られない等々の意見もあります。

 そういう意味で、一月から三月には入団促進キャンペーンということで、いろいろな方、有名人に協力していただいてキャンペーンを張るとか、あるいは、各職場、企業に対して、協力していただく事業を表彰するだけではなくて、世の中にこういう企業がありますということ、あるいは理解を深めるという、幅広い議論を行っております。

 地域で消防団を支える仕組みづくり、あるいは装備の充実、団員の処遇改善を図るべく、今、検討会の取りまとめを踏まえて強化に取り組んでまいりたいと思っております。

    〔皆吉委員長代理退席、委員長着席〕

桑原委員 なかなか団員が集まらないという実情も、どこでも問題を抱えているようですが、ちょっと聞いた話によりますと、茨城県のある自治体の市ですけれども、女性の市議さんが四人いるそうです、その四人の女性の市議さんは自発的に消防団に加入をして活動しているというふうな実情もあるようです。

 そのために、極めて厳しい環境下に置かれる火災現場に出動するための学校、消防学校ですね。これは主に都道府県が設置をしているんですけれども、そうした機材も、教育訓練に適合するような消防機材もなかなか更新されていない。更新ができないんだというふうな実情を抱えている学校もありますので、そうした中では、団員の皆さんあるいは消防職員の皆さんも、学校で教育訓練を受けるための財政的な援助を消防学校にもやっていただく必要があるのではないかなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

川端国務大臣 消防学校の施設、人員、運営の基準というのが告示でありまして、こういうものを必ず置きなさいという基準は決まっております。ただ、老朽化したときにどういうふうに更新されているかということの実態は、実は十分に把握をできておりません。

 財政措置としては、トータルの消防学校ということにおいて、例えば標準的に都道府県の消防学校に関する経費は、資材とかのものを全部含めて、人口百七十万人の標準団体で普通交付税措置として四千五百万円程度、多分その半分ぐらいが備品購入に充てられていると思います。

 そういう意味で、委員の御指摘もあります、全国消防学校長会とも連携しながら、更新の実情について一度実態をしっかり把握して、しっかりと対応できるような確保を図ってまいりたいというふうに思っております。

桑原委員 ぜひ、現場に出る教育訓練ですから、そうした手当てについても十分配慮していただきますようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりでございます。

 きょうは、今回改正の対象になっております消防用機器の検定制度の見直しについてお伺いします。

 消火器などはきちんと使えるものか、火をきちんと消すことができるのか、事前に検定を実施しております。この検定というのは二段階で実施されています。

 私、きょう、配付資料を今お配りしましたけれども、米印一番の部分でございます。型式が規格に適合しているかという型式承認、それと個別の製品が型式承認を受けた形状と同じであるかをチェックする個別検定、この二段階のチェックが必要です。個別検定というと全部一つ一つチェックしているのかなと思いきや、この個別検定というのはサンプル調査でございます。全個数に検定済みのシールを張っている、当然その検査の料金はサンプル調査にもかかわらず一個ごとに発生している、そういうことでございます。

 型式承認と個別検定、この二つを、二つとも日本消防検定協会、先ほど柿澤委員の質問にもあった団体ですけれども、この民間の法人が独占的にやっております。

 そこで、一昨年の事業仕分けで、資料の裏側の2番ですけれども、事業仕分けがございまして、この検査事業は見直すべきだという結論が出ました。どういうふうに結論が出たのかといいますと、型式試験とそして個別検定を同一法人にやらせていることで協会が利益を独占的に受けている、だから民間参入ができるように見直しを図るべきだ、それから、個別検査に関しては自主検査への移行を検討すべきだという結論になったはずです。

 そこで、今回の法改正でこの個別検定がなくなりました。事業仕分けの評価に従ったんだなと思ったわけなんですけれども、これはよく見ますと、何のことはないんです、個別検定の名称を型式適合検定に変更しただけなんです。

 消防庁に質問です。サンプル調査をして一個一個シールを張るという制度のたてつけ自体は変わっていないわけですね。質問です。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 現在の検定制度は、検定の対象となる機械器具等に関しまして、お話ございましたように、型式承認を受けた上で個別検定を受けた後、検定合格の表示が付されたものについて販売規制が解除されるという制度になってございます。

 そして、お話ございましたように、平成二十二年五月の公益法人事業仕分けにおきまして、個別検定がサンプル調査であるにもかかわらず全個数に検定済みのシールを付していることについて、サンプル調査であることの表示をきちんと行うなどの見直しをすべきであるという御意見をいただいたというふうに承知しております。

 今回の改正の趣旨は、この指摘を踏まえまして、個別検定という名称を型式適合検定という名称に改め、そしてまたその実施方法について法令で明記することといたしたものでございます。

斎藤(や)委員 つまり、今の答弁のあったように、ほとんどその中身は変わっていないということでございます。しかも、今回私が問題だなと思うのは、住宅用の火災警報器も検定対象に入りました。検査の民間参入がしにくいたてつけで、しかも大きな収入を得られる住宅用火災警報器を検査対象に入れた。

 ここでまた消防庁に質問なんですけれども、この住宅用の火災警報器で収入はどれぐらいふえるんでしょうか。

長谷川政府参考人 住宅用火災警報器につきましては、お話がございましたように、現在、日本消防検定協会が鑑定を行っているところでございます。

 これまでの実績、住宅用火災警報器に係る鑑定手数料収入を見てみますと、平成二十年度には八億三百万円という収入がございました。これがピークでございましたけれども、その後減少いたしてきておりまして、平成二十三年度には五四%減の三億七千二百万円というような状況になってございます。

 そしてまた、平成二十三年六月には全国において住宅用火災警報器の設置の義務化というのがもう済んでございますので、直近の四半期、この一月から三月までの出荷数で見てみますと、前年同期に比べると七割減というような状況になってございます。

 こういうことを踏まえますと、手数料収入についても、今後さらに減少していくものというふうに見込んでいるところでございます。

斎藤(や)委員 減少するということですけれども、それでも貴重な財源にはなると思いますし、もう既にこの協会は検定事業だけで年間十億円以上入っているわけですから、さらにプラスされる。それと、先ほど柿澤委員からもありましたけれども、積立金も既に三十八億円もある。

 これは、国からの権限付与で、言葉は悪いですけれども、かなり収入もよくて、積立金もため込んでいるという典型的な例でございます。もう積立金のあり方自体を変えていただきたいですし、国にある程度やはり返さなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は考えております。

 しかも、この日本消防検定協会、御多分に漏れず、天下りもずっと受け入れてきました。事業仕分けの後に、今委員長であられます原口総務大臣が、現役の国家公務員が役員出向できる法人としてここは認めないという指示を出しました。ところが、最新の役員の名簿を見てみますと、まだまだ官僚出身の方の天下りが行われているようです。

 先ほど二人と柿澤委員の質問にありましたけれども、私が見る最新の人事の資料だと、役人出身のOBが六人になっておりますけれども、この辺はどうなんでしょうか。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと手元に、非常勤も含めた役員の名簿はちょっと今すぐに出てこないんですけれども、先ほどお答えいたしましたのは、常勤役員について二人というふうにお答えさせていただいたところでございます。

斎藤(や)委員 私が持っている資料だと、理事長が東京消防庁、それから理事三人が、自治省、それから消防庁、自治省ということで、三人の理事と一人の理事長はともに、四人全員、役人のOBということでございまして、この方々の年間の給与は千五百万円以上もらっております。理事で千五百五十万円です。当然、二、三年働いて、また退職金ももらえるという、いつもの天下りの構図でございます。

 民間が参入しにくいスキームをつくって、権限を天下り先の法人に独占させて、官僚OBに甘い汁を吸わせる、まさにシロアリ構造というのは、正直言いまして、私たち、事業仕分けをやりましたけれども、全然今も変わっていない。厳然とこのシロアリ構造というのは残っているわけでございます。こういうのを見直さないで消費税増税、これはやはり国民は納得しないというふうに私は思います。

 改めて言わせていただきますけれども、やはり増税の前にやるべきことがあるだろう、こういった天下り法人の見直しというのを全てやらなければ国民は納得しないということを訴えさせていただきまして、私の質問とかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回の消防法の一部改正法案、これは参議院から始まりました参議院先議の法案でございます。

 四月の十八日。参議院では、防衛大臣そして国土交通大臣の問責決議が可決をされました。参議院の総務委員会は十九日に予定されていたのでありますけれども、問責が可決したということで、参議院が不正常な状態に入ったということで、自由民主党の方では参議院の総務委員会の中止を求めましたけれども、参議院の委員長は、職権でそれを強行し、そして、自民党が要求したにもかかわらず委員会を開催し、そのまま採決された。自民党欠席のまま、委員会で採決されたという法案であります。いわば、参議院の方から荷崩れ状態で衆議院の方に送られてきた法案であり、自民党の発言が封じられたまま可決をされた法案であるということをまず御報告申し上げたいと思います。

 そういう中で、今回の消防法の一部改正法案でございますけれども、東日本大震災の被害の状況や避難体制、それに対する反省、こういったものが生々しいときにこのような消防法の改正案がまず提出されたということは、私は、時宜を得たものであるということで、評価をしたいと思います。

 その中で、先ほどから問題になっております消防法第八条の二で、これまで消防法施行規則で定めておりました統括防火管理者を法律の中で明確に位置づけました。選任に当たりましては、管理権原者、ビルやマンションのオーナーや管理団体でございますけれども、こういった団体、管理権原者が協議をして選任するということを義務づけております。法文に明記をして、そして選任を義務づけたということは、これは大変大きい、そして厳しい措置であると私は思います。

 統括防火管理者は、建築物全体の消防計画もつくらなくてはなりません。避難訓練の実施や、あるいは階段や廊下、共用部分の管理もしなくてはなりません。相当な仕事量と、そして責任負担であります。

 これだけ統括防火管理者の存在が大きくなってくる、そうしますと、管理権原者と統括防火管理者の責任の度合いがどういうものになってくるんだろうか。これまでは、一義的には管理権原者の方に責任というものがあったわけでありますけれども、これだけ明文化した中で統括防火管理者が存在するということになりますと、この責任というものは非常に大きくなってくると思います。管理権原者と統括防火管理者の責任の所在、度合い、区分、こういったものについて、まずお伺いをいたしたいと思います。

 さらに、火災を起こした場合の損害賠償につきましては、これは失火責任法という中で、延焼に対しては賠償責任を負わないということがうたわれているわけですけれども、これだけ統括防火管理者の責任が重たくなってくるということになりますと、私は、この法との整合性も改めて考えていかなければならないのではないだろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

 これは大臣の方にお伺いいたしたいと思います。

川端国務大臣 後段の方は、長官の方からお答えさせたいというふうに思います。

 今委員御指摘のように、今までは規則で書いてありまして、責任とか権限も明確でなかったということでありまして、実際の選任率も、先ほど御質問もありましたけれども、六割強ぐらいであったということで、法律で責任と権限を明確にさせたということでありますし、やらなければならないことは義務づけをいたしました。

 お触れいただきましたように、消防計画の作成や共通部分の防火管理、あるいは建物全体の避難訓練等を実施させることを義務づけすると同時に、統括防火管理者に各防火管理者に対する指示権を与えまして、自律的な防火管理体制の確立を図るということでございますが、実際上、民間、民間の人たちでありますので、指示権があるからといって、それに従わなかったときにどこまで担保できるのかということが実は一番問題になるというふうに思っておりますが、そういう部分では、自律的な関係の中で防火管理を行っていただくというのが原則でありますので、防火管理者が統括防火管理者の指示に従わなかった場合の罰則はありません。自律的にできるだけやってほしいということであります。

 ただ、消防庁としては、消防機関に対して、統括防火管理者と日ごろからの意思疎通、意見交換の機会をしっかり持つことによって、現状、問題の把握に努めるとともに、防火管理者が統括防火管理者の指示に従わないことにより、法令上の問題、例えば階段にいろいろなものを置いて非常階段を塞いでいるというのは直しなさいと言ったけれども直さないというふうなことが起こったとき等も、連携を密にする中で消防長等へ連絡をして、消防長等が管理権原者に対して措置命令を出すこと、さらに、火災予防上危険な場合には、権原を有する関係者に対して使用停止命令を出す等の対応を要請する、いわゆる消防長等が持っている権限というものにおいてしっかりやるという、連携をする立場にいるということで、ここが、機能するかどうかの一番大事なところだと私は思っておりますので、そういうことを心がけていきたいと思いますし、当然ながら、これらの命令に反した場合には所定の罰則が設けられているところでございます。

 このように、あくまで防火対象物に係る最終的な責任は管理権原者等にありますが、統括防火管理者は建築物全体の防火管理の実務の責任者たる位置づけでありますので、その役割を適切に、効果的に果たせるよう、消防庁としても助言等に努めてまいりたいと思います。

 また、火災の類焼の部分に関しては消防庁長官の方から答弁させます。

久保政府参考人 ただいま委員の御指摘の中にもございましたが、失火ノ責任ニ関スル法律というのがございまして、これは、重大な過失がなければ民事上の責任は免除されるという法律になっていると承知をしております。したがいまして、このたびの改正によって法律上明記されました統括防火管理者あるいは防災管理者につきましては、個々の事案ごとで、そういった責任がどういったものだったのかというのが判断されるものだと考えております。

坂本委員 大臣がお答えになりました消防長、そして管理権原者、さらには統括防火管理者、そして防火管理者、この辺のことをもう少し消防庁に御答弁いただきたいと思いますけれども、どうもこの法の組み立てでは、やはりお互い自主的に、あるいは自律性の中でそれぞれ連携しながらということで、最終的には管理権原者の方に責任があるというふうにしましても、どういう役割分担、どういう責任の区分かというのはもう一つはっきりしません。

 ただ単に、統括防火管理者を上に乗っけて、そしていわゆる助言指導者とするだけなのか。それとも、これだけ法律の中で明文化するならば、さらに大きな権限なりあるいは責任なり、そういったものが与えられるのか。特に、雑居ビル等に対しては、いろいろな利害関係が絡みます。指示権と一口に言っても、なかなか指示に従わないというところがあると思います。

 こういった責任体制あるいは指示権の問題、そして、かなり綿密な計画をつくり、また訓練をさせるというようなことを統括防火管理者はやらなければならないと思いますけれども、こういった方々への育成というものはどういうふうにしてやられますか。消防庁長官にお伺いします。

久保政府参考人 御指摘のように、今回の消防法改正によりまして、統括防火管理者あるいは統括防災管理者は、建物全体の防火あるいは防災管理業務というものを行う場合において必要があると認める場合には、各防火管理者あるいは防災管理者に対して必要な措置を講ずべきことを指示するということができる、これが法律上明記をされたというのは、私ども、かなり大きな改正であると思っております。

 具体に、統括防火管理者という方でございますけれども、これは、例えば面積が一番大きな専有部分を持っている、そういった権原者が選任する防火管理者、あるいはその建物の所有者が選任する防火管理者といったような形で、役割が適切に果たせる方が協議によって選ばれるのが好ましい、こう考えております。

 具体に、では、その防火管理者となる者につきまして、どうやって教育とかあるいは研修とかいうのをやっていくのかという話になりますが、新たに防火管理者となる方については、統括防火管理者の役割とか権限といったようなものを内容とする防火管理講習、これを受講しなければならないということになっておりますし、既に防火管理講習を受講済みの方につきましては、統括防火管理者の届け出を行うといった場合に、そういった機会を捉えて役割とかあるいは権限について消防署の方から説明をするということになってまいると思います。

 特に、統括防火管理者等の制度の施行時、平成二十六年四月一日ということになっておりますけれども、この間は、やはり御指摘にありますような制度の趣旨について、その徹底を図ってもらうように消防本部に強く要請をしていきたいと考えております。

坂本委員 責任の所在なりそういうところが非常に曖昧になりますと、私は、管理権原者が統括防火管理者の方に丸投げしてしまう、そして統括防火管理者の方は事務的にいろいろなものを行うだけ、そういうことで、一つの雑居ビルの中で防火体制、防災体制がかえって緩んでしまうのではないか、そういう危惧も非常に持っているところでありますので、これからさらに、さまざまな仕組みも含めてお考えいただきたいと思っております。

 それから、ビルだけではなくて、やはり地下街の防災、これはこれからまた非常に大きな課題になってくると思います。これは、火災だけではなくて、地震あるいは洪水、そういった中で地下街の混乱というのは非常に大きなものがあり、犠牲者が出る可能性が多い。東京駅がやがてフルオープンして、そして改めて装いも新たにお目見えしますけれども、その地下街というのは、東京中央郵便局も含めた大地下街になります。一旦さまざまな災害があった場合に非常に大きな大混乱を招く可能性がありますし、やはりテロの狙いどころになるということも考えます。

 これらに対しまして、共同防火管理体制、また、それを読みかえた共同防災管理体制で収拾できるのか、新たな地下街の対応策や共同防災管理体制が必要ではないかとも思うんですけれども、消防庁長官、いかがでしょうか。

久保政府参考人 御指摘の地下街におきましても、このたびの消防法の改正によりまして、管理権原が分かれているというものにつきましては、統括防災管理者を選任して、各防災管理者と連携の上、防災管理を行うということになってまいります。

 ただ、消防法の規定いたします防災管理というその対象でございますけれども、これは地震とか毒性物質の発散等に限られておりまして、御指摘の中にあった洪水といいますか水害、これは消防法の対象外となっておりますけれども、こういった水の面では、毎年、出水期といいますか、梅雨期とか台風、こういったときには、地下街等の浸水対策につきまして、内閣総理大臣が会長になっております中央防災会議から各都道府県の防災会議会長宛てに、梅雨期及び台風期における防災態勢の強化についてという通知が出されます。また、それと呼応して、私ども消防庁からも、風水害対策の強化についてという通知を発出しておりまして、市町村は、豪雨や洪水に対する危険性について事前の周知を図り、地下空間の施設管理者と連携して浸水対策や避難誘導等安全体制の強化に万全を期するように要請をしております。

 御指摘のございましたように、テロだとかいろいろな、地下街というのは密室、密閉された空間でございますので、いろいろな災害というのが起こる可能性がございます。私ども、いろいろな角度から、このたびこうした防災管理者という制度もできましたから、また改めて、どういったことができるのか考えていきたいと思っております。

坂本委員 ビルの火災あるいは防災とは別に、地下街については新たな仕組み、新たな法整備、こういったものが必要であると私は思います。災害、テロも含めて、人災も含めて、やはりいろいろな考えられる可能性というのがありますので、これは改めて、消防庁あるいはそのほかの省庁も含めて、これから御検討をいただきたいというふうに思います。

 次に、先ほどから出ております、消防機械器具の検定の民間参入についてであります。

 これは、事業仕分けで今の政権から指摘をされて、そして、消防協会がいわゆる独占していたものを、民間参入しやすくなりました。これ自身は、時代に沿ったものであり、ある程度間口を広げる、あるいはさまざまな検定機関の門戸を広げるということで、私は悪いことではないと思います。

 しかし、思い出していただきたいのは、平成十七年、建築基準法、審査の際の耐震偽装の事件が起きました。あの事件は、耐震の審査に対しまして民間参入をさせた、そのことによって、設計士、一級建築士、あるいはそれに類する人たちと検定する側の民間の、やはり癒着なりなれ合いが生まれた、そのことによって耐震偽装というものが、発端になった、あるいは耐震偽装という事件につながっていったというような事例があります。

 ですから、民間参入は民間参入で、これは進めていかなければならないことでありますけれども、そこでどういうチェック体制をとるのか、あるいはどういう検定のあり方というものを持続していくのか、その厳しさというのを持続していくのか、その辺のシステム、仕組みというのはどのようにお考えでしょうか。

久保政府参考人 平成十六年の消防法の改正によりまして、日本消防検定協会に加え、一定の要件を満たせば株式会社を含む民間法人も検定業務に参入できる、いわゆる登録検定機関制度が導入されたわけでございます。

 一定の要件と申し上げましたが、現行の消防法では、要件といたしましては、一定の資格や知識を有する職員がいること、一定の試験設備を保有していること、あるいは登録機関が検定対象機械器具などの製造業者等の支配下に置かれていないことなどが要件として定められておりまして、公正中立な立場で一定の能力を有するということが要件とされております。

 今回の改正では、ただいま述べました登録要件のうち、試験設備の保有を求める規定を改正いたしまして、試験設備を用いて業務を行うものであることに改めるというものでございまして、検定業務の水準には影響を与えるものとは考えておりません。

 また、登録検定機関、これはどういうふうな担保措置があるのかという御質問でございました。

 登録検定機関、消防法上は、検定業務の実施方法でありますとか実施体制について、総務大臣の認可の対象となります。また、検定業務等に従事する職員はみなし公務員とされております。こういった措置がございますし、さらに、総務大臣が必要に応じて資料提出命令あるいは立入検査を行い、場合によっては業務停止命令を出すといった措置もございまして、検定に対する信頼性の確保を図るといったことになっていると考えております。

坂本委員 こればかりは、一定の登録要件をクリアしていたにしても、やはり、時がたつうちにそれぞれの水準が下がってしまう、あるいは基準がなれ合いになってしまう、その危険性ははらんでいるわけですので、これはぜひ、チェックシステム、管理体制も含めて、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、地方における消防の広域化、それに伴います消防組織法の問題についてお伺いをいたします。

 平成十八年に告示されました市町村の消防広域化に関する基本方針に沿いまして、現在、各府県では消防組織の広域化が進められております。原則として平成二十四年度までということで、各県それぞれの広域化を急いでいるようであります。

 広域の規模人口は、おおむね三十万人程度というような目安が設けられております。しかし、実際なかなか、県一とか県二とか県三ぐらいで、広域化が進んでいないというのが実態であります。

 それぞれの消防組合、さまざまな地形の変化もありますし、それから情報化への各組合のそれぞれの格差もあります。そして、郡やあるいは地域に対する感情的なものもあります。これは町村合併と似たようなところもあります。そういう中で、二十四年度までにどれだけ消防の広域化ができるのか、非常に不安な部分もあります。

 これは、国の場合には、今指針で示しているわけですけれども、本当に広域化を進めるということであるならば、私は、法律にのっとって、一定の広域化の年限を定めて、そして広域化すべき要因というのをしっかりそこに盛り込む、つまり、消防組織法を改正して広域化を進めて消防力というものを強化する、こういうふうにやっていかなければいけないのではないだろうかというふうに思います。そのことが、都市部だけではなくて地方の消防能力の向上にもつながっていくというふうに思います。消防法の一部改正は今回でありますけれども、やはり消防組織法の改正による消防広域化の推進、これが必要と思いますけれども、消防庁長官、いかがでしょうか。

久保政府参考人 御案内のように、市町村消防の広域化につきましては、平成十八年の改正によりまして消防組織法に盛り込まれたものでございまして、消防組織法の第三十二条におきまして、自主的な消防の広域化を推進するということにされております。

 また、同法が成立する際の衆参両院の総務委員会では、市町村消防の原則を維持し、関係市町村等の意見を聴取するなど地域の実情を十分に踏まえ、市町村の自主性を損なわないように配慮することとの附帯決議がなされております。

 現在、これも御指摘にございましたように、消防庁長官が五年の期間で定めております指針、これの期限が今年度いっぱいであるということもございまして、これは、任期二年で、昨年の六月に発足いたしました第二十六次の消防審議会というのがございます。最初の一月三十日までは、東日本大震災を踏まえた消防防災体制のあり方について議論していただきまして、一月三十日に答申をいただきましたが、三月の十六日に私の方から、それが一応終わりましたので次の諮問といたしまして、東日本大震災を初めとした大規模、多様化する災害等への消防の広域的な対応のあり方について諮問いたしました。

 任期は来年の六月ですから、それまでに答申をいただくということになっておりますが、とりわけ、今の消防組織法にあります現行のやり方、この指針もございまして、これが今年度で切れるということですから、できればそこの部分については夏までに、どういった方向で、今の消防組織法にある一部事務組合でありますとか事務委託でありますとかそういった形での広域化、どういった形で進めていくのかということについて答申をいただきたいと考えて、今議論を深めていただいている最中でございます。

坂本委員 組織法の中にあります自主的にというのが、これは町村合併と一緒で、非常にいろいろな意味で捉えられて、なかなか進まないという実情がありますので、そういった答申を待って、できる限り広域化が進むような手だてをお願いいたしたいと思います。

 それから、もう一つ広域化の障害になっているのが財政です。

 市町村合併に関しては、さまざまな財政措置がありました。特例措置もありました。しかし、この消防の広域化に対しまして、町村合併ほど財政的なメリットというのがありません。逆に、広域化することで非常に厳しい運営に追い込まれる一部事務組合、こういったところが多数出てきております。

 町村合併すれば、ある程度の合理化あるいは統廃合、こういったものができますけれども、消防の場合には、広域化して消防署をなくすということは住民の不安につながりますので、なかなかそういうものができません。しかも、人口で基準財政需要額が算定されますので、基準財政額は変わらないまま、そして維持管理費は広域化したことで逆に負担がふえてくる。そういうことによって、広域化した消防、広域消防組合であるほど非常に厳しい運営を強いられておりますので、私は、基準財政需要額に対してのかさ上げ、引き上げ、そして合併特例債に匹敵するような新たな起債措置、こういったものが総務省の姿勢として必要であると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 広域化は二十四年を一つの区切りとして熱心に取り組んできていただいている中で、やはり財政上の問題というのはいろいろ御要望もいただいております。

 現行制度で申し上げますと、市町村の消防の広域化に対する財政支援措置は我々も大事であると考えておりまして、広域化に伴って必要となる施設設備の整備、それから消防署や出張所の増改築等に要する経費については、特別交付税それから交付税措置のある起債等で措置を講じているところであります。

 また、これはソフトでありますけれども、都道府県が市町村に対して情報提供、助言等を行うために必要な経費、それから市町村が広域消防運営計画を作成する経費については交付税措置を講ずるほか、消防に関する国庫補助金の配分においても、広域化を行う市町村に対する特別な配慮を行う等々の財政措置を講じてまいりました。

 先ほど長官が申し上げましたように、現在、二十六次消防審議会で、二十四年度で期限が切れるということで、その後をどうするかということを、広域化の方向性はどうあるべきか、御議論をいただいております。この中でも、大きなテーマの一つがやはり財政上のことをどうするかということでありまして、御指摘の広域化に関する財政支援措置についても、この審議会での議論、都道府県、市町村の意見を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

坂本委員 ぜひ、財政措置も含めて、広域化を図れるようにお願いいたしたいと思います。

 続きまして、東京消防庁は、今回の東日本大震災でも大変な活躍をいたしました。それ以外にも、震災あるいは火災にかかわらず、東京消防庁が持っている技術あるいはさまざまな機動力、こういったものは住民の信頼を得ているところであります。これは、自治体が東京都に委託をして、そして東京消防庁というのが一元的に消防体制を行っているということから、技術の向上あるいはさまざまな面でのレベルの向上、こういったものがあるのだろうというふうに思います。

 ですから、本来ならば、広域化の中で、各道府県においてもそのような体制に持っていくべきだろうと思います。しかし、消防組織法の第六条では、市町村は消防を十分に果たすべき責任を有するという、さまざまな権限と責任が市町村に委ねられております。これを道府県の方に移行して、道府県がある一定の権限を持って広域化し、そして広域化した消防体制の中で、県単位で、あるいは道府県単位で消防力の向上を目指す、技術向上を目指す、あるいは、さまざまな機動力や、火災だけではなくてそのほかのさまざまな災害に対応できるような体制を目指す、こういうふうにしなければいけないと思いますけれども、市町村からの権限の県への移行、このことについてはぜひ今後進めていく問題であると思いますけれども、消防庁長官、いかがですか。

久保政府参考人 消防は、まさに御指摘がございましたように、戦後、昭和二十三年に消防組織法ができまして以来、市町村がその責任を担うということで今日に至っております。

 ただ、例えば小規模な市町村は、先ほどから御指摘がございましたような、一部事務組合化をする、あるいは事務委託をするといったことで広域化を推進してまいりましたし、また、昭和三十八年には、大きな災害に対しては相互応援協定を結んで対応していくといった枠組みもできました。さらに、阪神・淡路大震災の後、これは事実上、緊急消防援助隊といった形で応援のシステムができ上がりまして、平成十五年の消防組織法の改正で緊急消防援助隊も法律に明記をされた。今回、東日本大震災ではこの緊急消防援助隊が一定の役割を果たしてくれたと思っております。

 また、消防の仕事の中での救急業務、これにつきましては、平成二十一年の法改正によって、やはり医療圏との関係が重要だというので、救急搬送の実施基準については都道府県につくっていただくといったようなことで、市町村消防の原則を維持しながら、足らざるところは補完をしてきたという歴史がございます。

 御指摘がございました東京消防庁、これも、法律上は二十三区の連合した消防本部だということになっておりまして、東京では、事務委託を多くの市町村が東京消防庁に行って、あたかも東京消防庁が都の消防のような形をとっているということでございますが、東京消防庁も市町村消防の一つの原則に沿った制度であるということでございます。

 そこで、先ほど申し上げました第二十六次の消防審議会、この三月に新たな諮問をここにいたしまして、消防の広域的な対応のあり方について議論をして答申をしていただきたいと。任期は来年の六月までございますが、とりわけ消防組織法に定めている広域化、これについては結論を急ぎますので、これは早く、消防組織法の広域化をどう考えるのか、これについて答申をいただきたいと思っております。それから、残された期間につきましては、委員御指摘のような、今の市町村消防というのがそのままでいいのかどうなのか、そういったことについての議論も掘り下げてしていただきたい、こう考えております。

坂本委員 本格的な消防能力の向上のために、ぜひ広域化、そして技術の向上も含めて、そのような線でお願いをいたしたいと思います。

 平成十六年に消防法の一部改正がありまして、住宅用火災報知器等の設置に関して非常に厳しい措置がとられるようになりました。

 住宅用火災報知器につきましては、政令で基準を定める、そして、条例をつくるに当たってはそれぞれの、総務省が出した省令に従って設置条例をつくりなさいというふうになっておりますが、地方を回っていますと、特に、都市のホテルと違いまして、旅館あるいは民宿、こういったところがやはり、政省令に従いながら住宅用火災報知器をつけかえなければいけない、これが大変な経営上の負担になっているという訴えを聞きます。

 私は、各民宿あたりは、母屋とそれから客室と大体一体になって、そしてそのほとんどが密集地にありませんので、住宅用火災報知器等は、その地域に合った設置条例をつくればいいというふうに思いますけれども、政省令が厳しい基準になっていますので、なかなかそういうわけにもいかないということであります。やはり、地域における弾力運用、こういったものはもう少しその間口を広げるべきだと思いますけれども、消防庁長官、いかがでしょうか。

久保政府参考人 旅館、ホテルなどにつきましては、御指摘にもございましたように、火災発生時に宿泊者などに大きな被害が出るおそれがあるということで、延べ面積三百平米以上の施設につきましては自動火災報知設備の設置を義務づけておりますし、また、最寄りの消防署等から五百メーター以上離れたところにあって、かつ延べ面積が五百平米以上の施設につきましては、さらに消防機関に直接通報する装置の設置を義務づけております。

 ただ、一方で、消防法第十七条第一項に基づきます消防法施行令第三十二条というのがございまして、個々の施設における位置、構造または設備の状況から、火災の発生または延焼のおそれが著しく少なく、かつ火災等の災害による被害を最小限度にとどめることができると消防長などが判断した場合にはこうした設備を設置しないことができる、こういうふうにされております。

 この場合におきまして、御指摘があった特に民宿でございますが、民宿につきましては、客室から外部に容易に避難できる、そして客室が十室以下であるなどの要件を満たすものにつきましては、各消防本部の判断によって、消防機関に直接通報する装置の設置につきましては柔軟に対応する旨の通知を平成十九年の一月に出しております。

坂本委員 常に地域の消防署とそれから旅館や民宿あたりとのあつれきの原因になっているところでもありますので、県も含めた指導体制をお願いいたしたいと思います。

 最後に、先ほどから出ております消防団の問題につきまして、二点お伺いいたします。

 まず、消防団の装備でございますけれども、消防団、今回の東日本大震災でも、あるいは地域の消火活動におきましても、大変な活動をしておられます。全国的なボランティア組織ということで、百万人に満たない状況になっておりますけれども、私は、これからさらにさまざまな面で充実していかなければいけないと思います。

 その中で、装備の不備、こういったものが目立ちます。瓦れきでゴム長靴がすぐ切れてしまったとか、トランシーバーが足りなかった、あるいは手袋がぼろぼろになってしまった、東日本大震災だけとりましても、こういうさまざまな課題が出てきております。

 こういった、消防団の活動におきまして装備が不足しているという現状をどう認識されておられるかということと、平成二十三年度の補正予算で、消防団安全対策設備整備費補助金として二十億円を計上いたしました。しかし、執行実績は十二億四千万円にとどまり、執行率が六二・一%ですね。これはなぜこういう執行率になっているのか。やはり、あれだけ活動している消防団でありますので、平成二十三年度の補正予算で、周知徹底あるいは広報、そういったものが足りなかったのではないかと思いますけれども、消防庁長官、いかがでしょうか。

久保政府参考人 御指摘のように、私ども、消防団員の装備を充実する、これは極めて重要な課題であると考えております。

 消防団の装備につきましては、これまでも所要の地方財政措置を講じてきておりますし、御指摘にもございましたように、昨年度は、第三次補正におきまして、二十億円、補助率三分の一、この予算措置を講じたところでございますが、残念ながら、不用額が八億円近くも出てしまったということがございました。

 どうしてそういうふうになったのかということでございますけれども、私ども、その原因が十分究明できておりませんが、御指摘にもございましたような、あるいは短期間でそういう予算措置を講じたがために私どもの周知がやはりちょっと足りないところがあったのかなという面では反省をしております。

 いずれにいたしましても、こうやって補助金を確保できたこともございましたし、あるいは地方財政措置につきましては、平成二十四年度、今年度からさらに、普通交付税の算定の根拠になります基準財政需要額、これを拡充するといったこともしておりますので、市町村長さん、そしてまた市町村議会の議員さん方にそのあたりをよく御理解していただいて、消防団の装備の充実をむしろぜひともお願いしたいと思っております。

坂本委員 執行率が六二・一%というわけでありますので、残された三七・九%、この残額はどのように処理されたのか、お伺いいたしたいと思います。

 それから、心のケアの問題についてお伺いします。

 今回の東日本大震災におきましても、消防団員の活動の中でやはり大変ストレスがたまって、心にいろいろな傷を負った消防団員の方々も数多く出ました。しかし、消防庁の調べによりますと、心のケアの問題で個別のカウンセリングというのが消防団にはほとんど行われておりません。常備消防の場合には、宮城と福島だけで五百十八人が全体の講習を受けて、三百六人が個別のカウンセリングを受けておりますけれども、消防団の場合には、四百九人が全体講習を受けた中で、個別のカウンセリングを受けたのはわずか二人であります。

 この状態は何とかしていただかなければいけないと思います。サラリーマンが多くなったということもあります。しかし、やはり提供する側とそれを受ける側との間のさまざまな工夫が必要である。そのくらいの工夫は、やはり消防庁の方からいろいろな形で指導すべきであるというふうに思っております。

 また、厚生労働省の中に、新たな医療計画というものが発表されました。そういった厚生労働省に対しても、消防庁の方からいろいろなケアに対しての依頼をしているのかどうか。

 残額も含めて、この三点、消防庁長官にお伺いします。

久保政府参考人 昨年の第三次補正で確保いたしました二十億円の残額八億弱でございますけれども、これは、年度もかわりまして、不用額として、結局使わずに終わっております。三分の一の裏の三分の二につきましては特別交付税措置を講じるということにしておりましたので、その措置もないということになりましたので、不用としております。先ほど申し上げましたような、新年度、今年度から地方財政措置の中で基準財政需要額を拡大いたしましたが、その二割は消防団の装備に充てるということにいたしております。

 そこで、消防団員の心のケアの御質問でございます。

 御指摘のように、私ども、昨年の五月に、沿岸部の市町村、ここでは甚大な被害を消防団員の方々が受けて、そしてそのことによる惨事ストレスというのがございましたから、消防団関係では初めてのことでございましたが、私ども消防庁が緊急時メンタルサポートチームの派遣を決定して、日本消防協会と共同して惨事ストレスケアを目的とした研修会等を行いましたが、これも御指摘にございましたように、恐らく消防団員は仕事を持っておられるといったようなこともあるいは大きな原因ではないかと思うんですけれども、この研修会等、あるいはまた実際のメンタルヘルスケアといったことを受ける団員が極めて少なかったということでございます。

 今年度も引き続いて、希望する市町村等につきましては心のケアの専門家を派遣することといたしまして、その際には、できるだけ多くの消防団員の方々が集まれるような、そういった機会を活用するとかいったようなことで対応したいと考えております。

 また、本年度は大規模災害時等に係る惨事ストレス対策研究会というものを開催して、消防職員とあわせて消防団員の惨事ストレス対策のあり方、あるいは確保すべき体制について、中長期的な視点を含めて検討するということにいたしております。

 最後に、御指摘にもございました、厚生労働省とも十分連携をとって進めていきたいと考えております。

坂本委員 終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 共同防火管理実施状況それから防災管理体制の実施状況、これらの資料を見ましたところ、もう御案内ですけれども、防火管理者を選任していない場合、火災の際の死者数それから延焼率、これは防火管理者を選任している場合に比べて上回っている。したがって、いろいろな資料を見ましても、やはり防火管理者を選任しているということで、人命にもあるいは建物等についても被害を食いとめる働きがあるということは私も承知していまして、そのことを前提にした上で本法案についてお伺いしたいと思いますが、統括防火管理者それから統括防災管理者の普及目標はどうなのかということからまず入りたいと思います。

 これは、消防法上明確に規定されて久しく、しかも単独の管理権原者が選任する防火管理者ですら選任の届け出率は七八・三%という現状にあるということで、消防法上に統括防火管理者を位置づけただけで実際にこれが機能するかどうかという基本的なことがまず考えられる。実効性が担保されない制度をつくっても、これは前進することにつながらないということで、今回のこの制度改正で、統括防火管理者を現状からどの程度までの普及を目指すのか、それから、このことによって防火管理者もふえていくというふうにお考えなのか、また、統括防災管理者の普及目標についてもお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現行の、いわゆる一般の防火管理者及び防災管理者につきましても、その届け出の選任率につきましては、例えば防火管理者ですと七八・三%、防災管理者ですと六七・五%というような状況になってございます。さらに、現在の消防法施行規則で定めております統括防火管理者及び統括防災管理者の選任でございますが、こちらの方は昨年の三月現在で、統括防火管理者で六六%、統括防災管理者で六〇%というのが現状でございまして、御指摘のように、かなり低いというような状況になってございます。

 しかしながら、現行の制度では統括防火管理者の役割や権限が必ずしも明確じゃないということからその選任が進んでいないというふうにも考えてございまして、今回の改正案では、統括防火管理者等の選任を法律上義務づける、そしてその役割あるいは他の防火管理者等に対する指示権を規定するということにいたしまして、その普及を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 制度改正するわけですから、しっかりとした数値目標の設定が必要ではないか、このように思っております。

 何年までに、全体の複合施設のうち何件まで統括防火管理者を、それから高層ビルのうち何件まで統括防災管理者の選任を目標にして進めるのか、そして防火管理者はいつまでに何人までにしていくのか、そういったいわゆる工程表のようなものがなければ実効性を担保することにつながっていかないではないか、このように私は思っております。この点についての見解を伺います。

長谷川政府参考人 御指摘ございましたように、統括防火管理者あるいは統括防災管理者の選任が進んでいくことが今後の雑居ビル等における防火管理の最重要な点というふうに考えてございます。

 しかしながら、一般の防火管理者等におきましても選任率がかなり低いというような状況でございまして、これは不断の努力が必要というふうに考えておりまして、具体的な選任の時期とか目標を今持ち合わせているわけではございませんけれども、現場と協力いたしましてその普及に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

稲津委員 当然のことですけれども、政府は、制度をきちんと意味のあるものにするためにも、より一層必要な施策を講じていく必要がある。法律上明記して、統括防火管理者を位置づけて、防火管理者に対する指示権も与える、そして機能強化を図るというのであれば、きちっとやっている施設には、ある意味、例えばの話ですけれども税制上の優遇措置を与えるとか、あるいは、やっていない、特にひどいところについては、営業停止などの罰則規定を当てて、何らかのデメリットを与えるべきじゃないかというような声もあります。こういうことについてどのようなお考えか、見解を伺いたいと思います。

長谷川政府参考人 統括防火管理者等につきましては、管理権原者による協議が調わない等の理由で選任されない場合に直ちに適用される罰則というのは設けていないところでございます。

 しかしながら、統括防火管理者等が選任されていない雑居ビル等に対しまして、消防長または消防署長は管理権原者に対して選任すべきことを命ずることができるというふうになっている、これは先ほど大臣からも御答弁がございました。

 またさらに、消防長または消防署長の選任命令にもかかわらず選任がなされず、その結果、火災の予防等に危険であると認める場合には、当該建築物の使用の禁止、使用停止または制限を消防長または消防署長が命ずることができるというふうに規定されておりまして、これらの当該命令に違反した者に対しては罰則が適用されるということになってございます。

 このような規定を通じまして、その選任を普及してまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 今、この選任についての制度化をもっと実効性を高めるものにするべきだというお話をしまして、一定程度の答弁をいただいたと思います。

 その上で、次は、先ほども一部質問ございましたので、重複を避けてお伺いしたいと思いますが、統括防火管理者の指示権の担保についてのお話でございます。

 これは、先ほど大臣の方から御答弁がありました。いわゆる統括防火管理者が各防火管理者に対して、この指示権を付与している。ただ、例えば、先ほども話がありましたけれども、避難経路のところに荷物などがあった場合に、それに対して、では統括防火管理者がこれを撤去するとかそういう話じゃなくて、基本的には消防機関に連絡をしてそちらの方で対応してもらうようにするんだ、そういう仕組みなんだというお話でございました。

 そこは先ほどの答弁でわかったんですけれども、これはちょっと大臣にお伺いできればなと思っていますが、今回の改正のように、指示権を与える新たな規定を設けながら、その指示が担保される裏づけがなければ、ある意味で努力規定になってしまうだろう。やはり、ある一定程度の強制力を持たせる方策を考える必要があるのではないか。そうしてこの辺をしっかり体制を固めていくという考えもありますけれども、そのことについて、改めて大臣の所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 委員、先ほどの私の答弁をよく御承知いただいているので重複は避けますけれども、基本は、やはり両方とも民間人同士であるということから、一番の権原者に全ての責任があるんですが、それを総括して管理し、計画を立て、訓練をし、いろいろな指導をする、そして、その部分では指示することができるということであるけれども、強制するというか、従わなかったときの罰則規定という担保はない。これは、民間の人同士の中でそういう罰則規定まで伴うというのは法的になかなか難しかったという背景がありました。

 ただ、これを実効あらしめるためには、法的権限を持ち、罰則規定も持っているのは消防本体でありますので、そことの連携をきっちりするということの中で、そういうことにならないような状況でも、自律的に、その中同士で、管理者の指示に従ってきっちり運営できるという体制がとっていかれるのが望ましいという部分で、連携含めて、丁寧に、この連携が機能することにこのことがうまくいくかどうかがかかっているんだというふうに私は思います。

 御指摘の部分は、御懸念はあるのは私は承知をしております。ただ、背景的には、やはり民民の世界はちょっと難しいのではないかということの議論の経過でありますので、しっかりと実行できるように頑張ってまいりたいと思っております。

稲津委員 私も同感でございまして、強制権を民民のところに持たせることが果たしていいのかということはあると思います。したがって、消防機関との連携をどういうふうに詰めていくのか、私はそこの実効性がやはり最終的に求められるんだと思っています。ぜひ、そこの点に対する目配りというか、強化もしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次は、これも先ほど一部御質問ありましたけれども、広島県の福山市のホテル火災について、関連してお伺いしたいと思います。

 今回のホテル火災があった以降、一つ、全国のホテル、旅館に対する緊急調査をすべきということで、その実施の結果、状況はどうなんだろうかということで御質問しようと思ったんですけれども、このことについては先ほど、八月ごろにということで答弁がありましたので、これは質問いたしません。

 ただ、今回の火災が発生して、その状況が報道されるにつれて、やはり余りにもこれはひどいじゃないかという状況の中で、一般紙等ではこのことについて連日のように違反状況が続々と報道されました。例えば、事故のあった福山市では、これは一般紙の報道ですけれども、九割超えで消防法違反だとか、北九州市、松山市、札幌市、かなりの施設で消防法違反が見つかっているという報道がありました。かなりというよりも、この報道ベースで見ると八割、九割ですから、こうなってくると、相当厳しい状況にあるというふうに思います。

 このことについて、これは通告はしておりませんけれども、基本的に大事なお話でございますので、大臣にこの点についての所見を伺いたいと思うんです。要するに、実際に違反状態というのが現実に起きているということを踏まえた上で、今後、どういうようなお考えで臨んでいく必要があるのかという基本的なことについて、所見で結構でございますので、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 先般の部分で建築基準法違反というものもあったということで、ちょっと何かすき間ができてしまった部分がありました。

 そういう部分で、建築基準法等に違反している事例を含めて、重点的に緊急に調査するようにというふうに指示をいたしましたけれども、今別途、この緊急調査にあわせて、消防法令違反がある施設に対して消防機関が重点的に改善指導を図ることをお願いしたいということで、そうした指摘を受けた施設等の関係者におかれては速やかに改善をしていただきたいということで、消防法違反の事例に関しては徹底的に改善指導を図るようにという指示はまず出しました。

 同時に、やはりいろいろな角度でいろいろな問題が今回出てきているということは事実でございますので、予防行政のあり方検討会というものを消防庁に設置しておりますけれども、このもとに、学識経験者、ホテル、旅館の関係者、消防機関関係者をメンバーとして、ホテル火災対策検討部会というのを設けまして、昨日、第一回目の会合を開きました。

 この中では、今、火災原因調査を行っておりますし、緊急調査も行っておりますが、それも踏まえながら、ホテル、旅館における各種規制、それから立入検査及び違反処理の体制、建物の防火安全性に係る情報提供のあり方、これがそれぞれ問題として指摘されていますが、これを重点的に検討していただくことにしまして、月一回程度やっていただく中で、十二月を目途に報告書をまとめていただいて、検討を踏まえて必要な措置をとってまいりたいと思います。

 今回、不幸な事故、火災が起こりましたが、いろいろな観点での指摘が明るみに出たことは事実でございまして、これをしっかり生かせるように、そしてこういうことが最大限防げるように頑張ってまいりたいと思っております。

稲津委員 ぜひそれらの対策を実行していただきたい、こう申し上げておきます。

 それで、今大臣からも建築基準法についてのお話がありました。このことについて、もう一点伺いたいと思います。きょうは国土交通省からも政府参考人としてお越しいただいておりますので、お伺いしたいと思いますけれども、それは、いわゆる建築基準法と既存不適格についてということなんです。

 防火設備の設置義務などを定める建築基準法違反が認められれば、自治体は強制力のある是正命令を出せるわけですけれども、法律が段階的に改正をされている、その改正時より前に建てられた建物については後から行った法改正を適用しないといういわゆる既存不適格の建物となる、したがって罰則のある是正命令が出せない、こういうことになるんですけれども、今回の福山市のホテルは、結果的には建築基準法違反であった。行政側は、当初、既存不適格の建物だと判断して、これは違法ではないから改善の強制力がない、このような説明をしていたわけです。しかし、実際は、建築基準法違反を見逃していて、違法状態が長く続いていた、こういう状況です。

 そこで伺いたいのが、今回話題となった既存不適格の建物というのは全国に一体どのくらいあるのか、国交省はそれを把握されているのかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築基準法の防火設備に係る既存不適格建築物、これは、それぞれの規定が改正をされ、また、増改築等が日々刻々行われるということで、個々の建築物ごとの不適合というのは把握を一斉にするのは非常に困難だという側面がございまして、国としての統一的な把握は今までしておりません。

 ただ、今回の火災を踏まえた消防部局と共同の調査でございますけれども、これにつきましては、従来、こういう違反建築物の事例がありますと違反だけの調査をしておりましたけれども、既存不適格建築物も含めて、適合していないものの状況全体を把握してまいりたいというふうに思っています。これは、ホテル、旅館に限ってでございます。

稲津委員 現状は把握困難だけれども、これから共同調査をしっかりやっていくということですので、ぜひお願いしたいと思います。

 それで、確かに通常、新しくできた法律を過去にさかのぼって適用することができないのは当然なんですけれども、既にある建物についても規制が及ぶ法律というのは実際あるわけですね。例えば、消防法では二〇〇四年の法改正で設置が義務づけされた住宅用火災報知器、これは新築の物件だけでなくて既存の住宅にも適用させている。こういったことを考えれば、国民の生命と財産を守るために法改正が必要ではないか、こういうことも考えられるんですけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築基準法では、建築時点で適法な建築物について、その後規制が強化された場合、御指摘のように、既存不適格建築物ということで、直ちに改修の義務が生じない、こういう仕組みになっております。

 一方で、特に防火の場合は、例えば一平米でも増築をするような改修を加えた場合には、その時点での規定に合うようにというようなことを求めていることになってございまして、従来はこれで足りるというふうにされてきたわけでございます。

 消防法との比較でいいますと、建築基準法は、構造を木造にしてはならないとか、階段の幅をこうしなければいけないとか、躯体にかかわる問題を規制しておりますので、遡及不適用についてはなかなか難しいということがございましたけれども、現在もそういうつもりでおりますが、今度の調査の中で既存不適格の実情を捉えた上で対応を考えていきたいというふうに思います。

稲津委員 最後の質問です。

 消防法違反の建築物を減らす方策はないのかということで、これは総務省にお伺いしたいんですけれども、例えば東京消防庁は昨年の四月から消防法違反の建物をホームページ上で公表する制度を導入しました。このことによって、杉並区では、制度導入前の九七%の違反率が四九・六%まで下がった。こういう取り組みはどうかということです。

 それから、違反の建物に対する措置命令の発動ですね。これは職員千人以上の大規模な消防本部に偏っている傾向がありまして、マンパワー不足が懸念されておりました。この地域間格差を是正すべく、平成二十二年度から始まったのが違反是正アドバイザー制度でございます。これをもっと拡充すべきではないかという考え。

 それから、消防法違反に係る是正命令の発動は年間大体三百件前後ということなんですけれども、しかし、重大な消防法違反があり、是正に向けて消防機関が文書で警告を行ったとされるものは年間八千件もあるということで、是正命令の発動に至っていない、こういう状況もあります。命令を出すのに多大な事務量がかかるということもあります。これを簡素化したらどうかということです。

 最後に、建築物の違法状態が長く続き、利用者の生命と財産が脅かされる状態を長く続けさせないためにも、業務停止命令が出せるような強い権限の付与が必要ではないか。

 以上四点申し上げましたけれども、このことに対する所見をお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 ただいま東京消防庁の取り組み等について、るる御紹介いただきました。

 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、検討部会を設けまして、例えば現在行っているような火災原因調査や緊急調査の動向を踏まえて検討を行っております。その中では、ホテル、旅館等における各種規制のあり方、あるいは立入検査、それからお話がございました違反処理の体制、それから建物の防火安全性に係る情報提供のあり方等について検討をしていただいているところでございますので、これらを踏まえながら、今の御提言も踏まえながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 消防法改正案について、同僚委員から質問がございました。消防法改正案については賛成であります。

 私は、関連して、自治体病院について少しお尋ねします。

 小児救急や周産期医療など、地域医療のかなめとなっているのが自治体病院であります。全国自治体病院協議会は、今の政府の消費税増税計画に関して、会員病院を対象に緊急に調査を実施いたしました。そこでは、現在、社会保険診療報酬が非課税とされているため、多額の控除対象外消費税、いわゆる損税が発生しており、平均で年間一億円以上、五百床以上の病院では三億円以上もの負担となって病院経営を圧迫しているということを指摘しております。

 そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、自治体病院においてもこのように消費税が転嫁できないという中で損税が発生をしているという認識はお持ちでしょうか。

川端国務大臣 社会保険診療というのは、国民に適切な医療を提供するということの公共性があるということで、消費税は非課税、そして、診療報酬というものは、いわゆる公的に決められているという意味では、それまでの過程において、いろいろ病院等々が仕入れ等に発生した消費税は、普通でいえば消費者に転嫁することになりますが、それは転嫁される仕組みではなくて、価格は別途決まっているということでありますので、その分は、かねてから、五%にするときも含めて、診療報酬、医療費は非課税にするという中で、診療報酬を決めるということを含めて、それに見合ったものを手当てするという考え方でやられているということであります。

 こういう、診療報酬で手当てするということが前提になっていますけれども、自治体病院とか医療関係者から、今御指摘のようなことで、特に高額な設備投資を行った場合に、消費税負担について十分に手当てされていないのではないかという御指摘とか、消費税が引き上げられると病院経営が圧迫されるなどの懸念、いろいろな意見をいただいていることは承知をしております。

塩川委員 そういう懸念の声があることは承知をしておられるということであります。全国自治体病院協議会の会長も、記者会見の中で、現行の消費税率五%でも自治体病院の経営は青息吐息です、このままでの増税では経営への影響が大き過ぎて成り立たない、損税をなくす方法を考えたいとしております。

 今大臣も答弁の中で触れましたように、診療報酬は公定価格で、そういう点では、仕入れに係る消費税分について消費者に転嫁するという仕組みとなっていない、その分については診療報酬で手当てをするということが前提だというふうになっていると思いますが、病院においては、改築を行うような、施設を建て直すようなこと、あるいは高額の設備投資、これに対しての消費税分が実際には診療報酬で補填されていないという声があるわけであります。

 このような実際にかかる改築の費用あるいは設備投資に係る消費税分は全て診療報酬で補填をされている状況ではない、このような受けとめということでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、実態として大変厳しいというふうなことを指摘され、ここはしっかりと議論をし、そういうことのないようにという御要望をいただいていることは私は承知しております。

 私ごとをこういう場で申し上げるのは恐縮ですが、私の実家は薬局でありまして、診療報酬だけではなくて薬価も同じでありまして、薬局のいろいろな設備投資とか調剤の機械とかいうことをやってもやらなくても転嫁できないという部分で、もともと病院も、そういう医療関係は基本的に大変厳しい経営状況にある中で、そういうものが、今回引き上げられるときに、発生した部分が診療報酬やそれからその他の手当ての中で転嫁できなくて圧迫されることのないようにという御要望を各医療関係から強くいただいていることは事実であります。

 今回の税制改正においても、引き続き消費税の取り扱いは非課税とするということとした上で、特に医療機関の行う高額の投資による消費税の負担に関して、一定の基準に該当するものに診療報酬等の医療保険制度で手当てすることを検討するとされておるということで、中医協のもとに、医療関係者、保険者、有識者などによる検証の場を設置して具体的な検討を行う予定としておりますので、総務省としてもその推移を見守っていきたいというふうに思っております。

塩川委員 医療関係者からそのような要望があるということは承知しているという御答弁で、実際に損税が発生しているということについては直接はお認めになっておらないという点でも、これは認識が極めて重大だと言わざるを得ません。

 対策についても触れておられましたけれども、実際には、消費税の増税だけは先に決めて、手当てについては今後検討するというやり方で本当に対応が可能なのか、持ち出し分を全額見るという保証はどこにもないんじゃないのか、これが実態としての声であります。

 改めて大臣にお尋ねをしますが、今でも大きな負担となっている消費税が増税となれば、病院の改築や高額医療機器の購入に二の足を踏むことにもなりかねない、自治体病院の維持や存続にも支障が出てくる、こういう消費税増税というのは地域医療の後退につながることになるのではないのか、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 いろいろな御懸念が、御要望も含めて指摘されていることは承知していると申し上げました。

 したがいまして、今回の改正は、社会保障・税の一体改革の中で、社会保障制度が安定的に、そして拡充されるために、安定的な財源確保をするというのが趣旨でございます。それに伴って、社会保障制度の中の医療とかが後退することがあってはいけないということの前提で進めてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 この三党協議、三党合意の中身でいえば、社会保障関連についてはほとんど先送りという中身となっているという点でも、本当に社会保障に消費税増税分が充てられるのかどうかということさえ見通しが立たないような状況になっている。

 そういう意味では、消費税増税しか残らないような、そういう法案審議、法案の中身となっている点が極めて問題であるわけで、地域医療のかなめとなっている自治体病院は、過疎地での医療活動や小児救急医療、周産期医療など、採算がとりにくい地域や分野において重要な役割を果たしております。その自治体病院に重い負担を押しつける消費税増税は、自治体病院の維持を困難にし、地域医療を一層後退させることにしかならない、このことを指摘しておくものであります。

 そもそも消費税の増税というのは地方を疲弊させるものだ。このことは、地方公共交通機関にとっても言えることであります。地方、過疎地の公共交通機関である乗り合いバスにとって経営を困難にする重大な要因となるのが消費税の増税であります。乗り合いバスは、高齢者の方の通院や買い物の足となっており、学生生徒の通学の足となっている必須の公共交通機関であります。

 国土交通省にお尋ねをいたしますが、この乗り合いバス事業者について、消費税導入時及び五%増税時において、消費税が転嫁できたという事業者はそれぞれ幾つあったのか、この点についてお答えをください。

若林政府参考人 お答え申し上げます。

 乗り合いバス事業におきましては、平成元年の消費税導入時には、全三百七十事業者のうち百八十九事業者が転嫁しております、運賃改定を行っております。また、平成九年の消費税率の改定時には、四百四事業者のうち百二十三事業者が運賃改定を行っているというデータがございます。

塩川委員 今答弁がありましたように、消費税を転嫁したというのは、消費税導入時は五割なんですよ。それが、五%増税時には三割なんです。つまり、転嫁しようにも転嫁できないような状況にあるというのが乗り合いバス事業者の実態となっているわけであります。

 これが一〇%になったら転嫁できるのか、こういう問題が起こってくるわけで、日本バス協会は、消費税の増税については、公共交通機関であるバス事業にとって利用者に運賃転嫁することが困難と述べております。

 国交省に重ねてお尋ねしますが、一〇%への消費税増税となれば、乗り合いバス事業者にとって運賃値上げによる消費税の転嫁というのは困難ではないのか、このように思いますが、国交省としての考えを聞かせてください。

若林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、日本バス協会において、なかなか困難であるということを申し上げていることは承知しておりますけれども、消費税の転嫁対策につきましては、今後、私どもといたしましては、政府全体の中で検討されるものと承知しておりまして、国交省といたしましても適切に対応してまいりたい、このように考えている次第でございます。

塩川委員 デフレのもとで国民の所得が減少しているときに、消費税増税分の転嫁ができないというのが現場の声であります。輸送人員が減少を続ける中で、乗り合いバス事業者が運行する四分の三の系統が赤字系統であり、事業者全体としても四分の三が赤字事業者となっています。赤字系統は増加傾向にあります。

 大臣にお尋ねをしますが、消費税増税というのは、こういう地方バス路線の撤退を加速させることになるんじゃありませんか。

川端国務大臣 条件不利地域の乗り合いバスが、それに限らず、全国的に乗り合いバス自体が大変厳しい経営環境にあることは御指摘のとおりだというふうに思います。そういう中で、消費税の価格が転嫁できるのかどうかということでの問題も、いろいろ、議論は当然しっかりしていかなければならないし、交通事業者の実態を十分に把握してまいらなければならないと思います。

 そして、転嫁の問題で申し上げれば、消費税の円滑かつ適正な転嫁等のための検討本部というのが設置をされております。私もメンバーの一人でございます。地域の活力という部分を含めての、乗り合いバスが公共的に果たした役割は非常に大きいという意味では、関係機関と緊密な連携をとりながら徹底した対策を講じたいと思いますし、根本的に、そういう地方のバスの構造的に将来どうあるべきかという大きな問題もあるんだというふうに思いますので、一概に、消費税がどういう影響を与えるかということは慎重な議論が必要だと思いますが、住民のサービスの低下にならないようなことに対してはしっかり目配りをしていく必要があるというふうに思っております。

塩川委員 こういう議論で、前田国土交通大臣が、当時、答弁で答えていたのは、過疎バス、バス路線、どうするのかといった場合には、コンパクトシティーをつくることによって解消するんだという趣旨の話をするわけですよ。それは方向が逆で、要するに、中山間地に住んでいる方は中心市街地に移り住んでくれということを前提とするような、そういう話なんかも答弁でされているというのは、全く逆方向だと。一層地方を切り捨てるという話しか考えていないのかということを言わざるを得ません。

 先ほど国交省の答弁にあったように、消費税導入時に転嫁できたのは五割なんですよ。五%増税時には三割なんです。今度の一〇%では本当に転嫁できるのか。転嫁できなかった場合にどういう状況になるのか。

 現在でも毎年、稚内から鹿児島までの直線距離に相当する約二千キロの路線が完全に廃止をされている状況にあり、路線廃止にとどまらず、乗り合いバス事業者が経営破綻に追い込まれているケースも全国的に生じているときに消費税増税というのは、地方の足を一層切り捨てることにしかならないんじゃないのか、この点について改めて大臣に問いたいと思います。

川端国務大臣 経済ベースでバス事業が大変厳しい環境にあるというのは、社会的な変化、構造的な変化を含めて、当然そういう状況があると思います。そういう中で、地方の、特に高齢者あるいは学生さんを含めた部分の足をどう確保していくのかということの観点でのいろいろな知恵と工夫を地方公共団体もやっていただいているという部分であります。そういうことの流れの中で、消費税増税がそのことに悪い影響を与えるようなことのない、最大の努力をするというのが我々の責務だというふうに思っております。

塩川委員 地域社会、地域経済の疲弊をつくるのが消費税増税だと。対策は先延ばしで、消費税増税しか残らないような、こういうやり方は認められない、増税法案は撤回しかないということを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 消防法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、皆吉稲生君外六名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党、新党きづな、社会民主党・市民連合及びみんなの党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。西博義君。

西委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 統括防火管理者等の選任及びその防火管理業務等の遂行が円滑に行われるよう助言・指導等に努めるとともに、統括防火管理者等が選任された場合においても、消防機関による各管理権原者及び防火管理者等に対する行政指導が適切に行われるようにすること。

 二 東日本大震災における大規模建築物等の防災管理に係る教訓を踏まえ、管理権原者等への情報提供や防災管理講習への反映等を行うことにより、様々な災害事象を想定した訓練の実施、各事業所等の円滑な相互連携等、実効的な防災管理体制が構築されるようにすること。

 三 製品火災に係る火災原因調査の結果について、消防機関とその他の関係機関との情報共有等を強化することにより、消費者の安心・安全の確保や製品火災の再発防止に有効活用されるようにすること。

 四 消防用機械器具等に係る品質を確保するため、自主表示対象機械器具等の規格適合性に係る検査の方法を製造業者等に周知徹底するとともに、消防用機械器具等の違法な市場流通の早期発見に努めること。また、消防用機械器具等の普及状況や防火対策上の重要性の変化等を勘案して、検定及び自主表示の対象品目を適宜見直すこと。

 五 近年、比較的小規模な福祉施設において多数の人的被害を伴う火災が発生していることを踏まえ、福祉施設における防火・防災上の対策が施設の運用実態に即したものとなるよう、法制的手当を含め検討すること。

 六 小規模雑居ビル等の複合用途建築物において火災による人的被害が多数発生していることを踏まえ、その予防のため、査察及び防火管理者の選任等の防火管理体制の確立に係る職務に従事する消防職員の「消防力の整備指針」を踏まえた充足と職務能力の向上に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川端総務大臣。

川端国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.