衆議院

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第14号 平成24年7月31日(火曜日)

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平成二十四年七月三十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武正 公一君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 宮島 大典君

   理事 石田 真敏君 理事 坂本 哲志君

   理事 福嶋健一郎君 理事 西  博義君

      網屋 信介君    稲見 哲男君

      小原  舞君    大泉ひろこ君

      大島  敦君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      野田 国義君    福田衣里子君

      松岡 広隆君    柳田 和己君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    平井たくや君

      森山  裕君    岡島 一正君

      笠原多見子君    中後  淳君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           逢坂 誠二君

   議員           坂本 哲志君

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        大島  敦君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    稲見 哲男君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三十一日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     福田衣里子君

  松崎 公昭君     松岡 広隆君

  橘 慶一郎君     伊東 良孝君

  斎藤やすのり君    中後  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  福田衣里子君     小原  舞君

  松岡 広隆君     柳田 和己君

  伊東 良孝君     橘 慶一郎君

  中後  淳君     斎藤やすのり君

同日

 辞任         補欠選任

  柳田 和己君     網屋 信介君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     松崎 公昭君

    ―――――――――――――

七月三十日

 大都市地域における特別区の設置に関する法律案(逢坂誠二君外八名提出、衆法第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

 大都市地域における特別区の設置に関する法律案(逢坂誠二君外八名提出、衆法第二八号)


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     ――――◇―――――

武正委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官岡本全勝君及び総務省自治行政局長久元喜造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武正委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和嶋未希さん。

和嶋委員 おはようございます。民主党の和嶋未希です。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。地方自治法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 平成二十四年三月九日に地方自治法の一部を改正する法律案が国会に提出をされまして、本日、委員会の審議が始まることになりました。長い経過を経てようやく提出され、ようやく審議入りをした感があります。検討経過の資料を配付させていただきました。時間が短いので、一つずつたどっていくことは省略をさせていただきます。

 地方自治法の抜本的な改正を目指して、前半は、スピード感を持って政治主導で実現していくという方針のもとで、地方行財政検討会議がこの議論の中心を担いました。そして、途中、東日本大震災の発生があり、議論が一時中断しましたけれども、平成二十三年の七月、第三十次地方制度調査会の立ち上げが決定されまして、後半の議論の担い役をこの地方制度調査会が担い、その意見を踏まえて地方自治法改正案が取りまとめられて、今回の改正に至ったというような経過であろうというふうに思っています。

 長い経過と紆余曲折があったなというふうに感じるんですけれども、今回の改正の背景には、自治体の長と議会の対立が激しさを増し、地方自治法がこれまで想定していなかった、阿久根市のような議会開催の拒否や専決処分の乱発、それから条例の不公布問題などが起こり、住民による首長や議会のリコール請求などもありました。これまでの地方自治法が想定していなかった事態に速やかに対応して、首長と議会の熟議の関係をつくっていくためには必要な改正であり、今回の改正によってその部分は補強されたというふうに思っております。

 一方で、菅内閣のときの総務大臣であった当時の片山大臣が、住民自治の強化ということを課題として挙げられまして、その観点から当初検討された、条例の制定、改廃の直接請求の対象の地方税等の徴収に関する条例への拡大や、大規模な公の施設に係る住民投票制度などは盛り込まれず、手がたい改正になったかなというふうにも言えると思います。

 また、地方行財政検討会議が議論し、示した地方自治法の抜本改正の考え方に、議論の経過の中で地方側から反対、慎重の意見が出て、最終的には、六団体から設置の要望を受けて、後半戦の議論を地方制度調査会が担うということになったことなど、当事者である地方側との丁寧な手続が当然ながら求められる一方で、議論のスピードという問題も提起されたという点で、検討のプロセスについても、今後の国と地方の協議のあり方にさまざま示唆を与えるものであったというふうに感じております。

 こうした点、改正に至るまでの検討の経過、それから今回の改正内容について、川端総務大臣の所感をお聞かせください。

川端国務大臣 おはようございます。

 経過を含めて正確に検証していただき、また背景も分析していただき、ありがとうございます。大体そのような経過をたどりました。

 二十二年の一月に総務省に地方行財政検討会議というのをつくりまして、総務大臣が議長、政務三役、有識者等を委員として、地方制度全般について幅広く議論を行う、スピード感を持って、いわゆる政治主導でやっていこうということであります。

 この会議で、平成二十三年一月に、「地方自治法抜本改正についての考え方(平成二十二年)」というのが示されました。総務省としては、その中で速やかに制度化を図るとされた事項について、案として取りまとめをさせていただきました。

 しかし、この中身はまさに地方制度でありますので、そして背景として、長の側と議会という部分のいろいろな課題もあるということでありますので、当事者である地方六団体からはさまざまな意見が出てまいりました。

 特に議論となった事項については、やはり当事者の御議論をしっかりやっていただくということでないと、いかに政治主導とはいえ、そこの背景は一番大事であろうということでありましたので、特に議論になった事項について、国会議員、それから地方六団体代表者も構成員である第三十次地方制度調査会において改めて審議をいただきまして、その意見を踏まえた修正を行って、今回の改正案とさせていただきました。

 そういう意味では、委員もお触れいただきましたように、今回の改正案は、地方自治全般にわたる幅広い議論と関係者との丁寧な調整を経た上で、多くの改正事項を含む重要なものとなったというふうに考えておりますので、ぜひ実現させていただきたいというふうに思っております。

和嶋委員 ありがとうございます。

 今大臣の御答弁にもありましたけれども、今回の改正の議論の過程での地方の意見聴取の中では、立ち位置が異なりますので当然でありますが、六団体の間でも、執行側と議会側ではさまざま意見が異なるようなところもありました。

 通年会期を議会が選択した場合の長等の議場への出席義務、これは最終的には出席義務の解除規定が改正案に追加されてクリアになっておりますけれども、専決処分の対象の限定、議会の不承認の場合の長の措置義務の創設などに当初は執行側は慎重な姿勢でありましたけれども、首長と議会の対立が激しくなった場合のみにかかわらず、二元代表制のもとでしっかりとそれぞれの役割を果たそうということになれば、それぞれの主張が時に異なってくるのは当然であり、今回の改正では、地方制度調査会がその行司役というか進行役を務めて、法案が取りまとめられました。

 さて、六団体の執行側においても、最近は、知事会と市長会と市町村長会の意見が異なるようなケースも出てきております。最近、出先機関改革をめぐっては、特定広域連合への出先の事務、権限のブロック単位での移譲に関する法案の早期提出を全国知事会は求めているわけでありますけれども、拙速に進めないでほしいと決議した全国市長会に見られますように、この件については、執行側にある地方団体の間でも意見の相違が見られております。

 これまでも、内閣府に設置されました、野田総理を議長とする地域主権戦略会議や、川端大臣を委員長とする出先機関改革のアクション・プラン推進委員会で、地方側も入っての意見交換が行われてきました。それをまとめて、国の出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲についての閣議決定案が現在、党の地域主権調査会にかけられて議論をされているところであります。

 しかし、先週の七月二十五日にも、全国市長会が地域主権調査会の海江田会長と山花事務局長にまた重ねて、国の出先機関について拙速に進めず、我々の意見に耳を傾けて十分な検討を重ねてほしいという申し入れをしていらっしゃいまして、現在もなお、市町村の意見反映という点ではまだ議論が集約していないところがあるかと思います。

 都道府県のみでなく、住民の現場に最も近い基礎自治体である市町村にも御納得していただいてこその地方分権、地域主権改革の評価が得られるものであると思っておりますので、市町村も含めた意見の聴取、聴取のみでなくて、その意見をどういうふうに反映していくか、公平な意見集約をどういうふうに図っていくかということは大きな課題であると思っております。出先機関改革の今後の進め方について、大臣のお考えをお聞かせいただければと思っております。

川端国務大臣 できるだけ住民に身近な行政は身近な自治体で行う、それで足らざるところは最終的には国が行うという補完性の原則に基づいて地域主権改革をやっていこうというのが我が党の基本的な方向であります。

 そういう中で、出先機関改革についても、アクション・プラン、閣議決定をして進めているわけですが、先ほどの、初めの御答弁で申し上げましたように、やはり当事者は地方の自治体でございます。今回の場合は、県が主体として広域連合でやりたいということの非常に熱心な御意見と、市町村においては、幾つかの論点において、一つは災害が非常に多発しています、大震災だけではなくて最近の豪雨もありますので、そういうときの、防災上において支障がないようにということ、あるいは、移譲をしたときの財源の問題等々を含めて、しっかりしてほしい、そして、広域連合ということになると、市町村等々の、自分たちの意見はどういうふうに反映してもらえるんだろうかということの御懸念があって、丁寧にやってほしいという御意見はいただいております。

 我々も、そのとおりだというふうに思っておりますので、今までも幅広く意見を聞きながら検討を進めてまいりました。特に市町村については、アクション・プラン推進委員会に市町村代表者として市長会、町村会の方々にも出席していただいておりまして、議論に参画をしていただいてきました。同時に、地域主権推進担当の政務が市長会、町村会の会議に出向いて直接意見交換を行うということも、しばしば対応してまいりました。

 こうした意見交換を踏まえた上で、事務、権限の移譲を受けるに当たってのスタートとなる一番初めに、事務等の移譲計画、もともとこういうことで移譲してもらおうではないかという移譲計画の作成と、あるいは、移譲を受けた後、毎年の事業計画の作成、それぞれについてあらかじめ市町村の意見を聞かなければならないとする方向で、一つの仕組みとして考えているということ。

 と同時に、これに加えて、移譲事務等の処理に関して、広域連合の長と市町村関係者が幅広く意見交換ができる、ある意味で公的な会議ということで、いわゆる協議の場の設置を求める旨を基本方針に定める方向で検討しておりまして、これらの仕組みを組み合わせて活用することで、広域連合の運営に市町村の意見が適切に反映されることになるものと考えております。

 いずれにいたしましても、丁寧に、しっかりと意見が反映されるように、そして納得がいただけるようにということを、今までも進めてまいりましたけれども、これからもそういうことの積み重ねの中で結論を得ていきたいというふうに思っております。

和嶋委員 ありがとうございました。

 地方分権、地域主権が進んでいけばいき、現場に近づいてくるほどに、先ほど申し上げました、議会と執行側、あるいは執行側の中でも、地方六団体の中でもさまざま意見が出てくるものというふうに思っております。市町村を含めて、地域、地方に評価していただける地域主権改革を実現するために、大臣が御答弁くださいましたように、丁寧な議論をお願い申し上げたいと思います。

 もう一問、抜本改正についてお伺いしたいことがあったんですけれども、ちょっと時間が迫っておりますので、要望にかえさせていただきたいと思います。

 今回の改正案にまだ反映されず、議論の残っている部分がございます。先ほど申し上げました、条例制定、改廃の直接請求の対象から地方税の賦課徴収等に関する条例を除外する規定の廃止と、一般住民投票制度の導入などであります。

 さっき大臣も御答弁くださいましたけれども、行財政検討会議と地方制度調査会、それぞれにメリットがありまして役割があると思いますので、もう一度、今後の地方自治法の抜本改正に向けて、組織のあり方も含めて御検討いただければということを、これは御要望申し上げたいと思います。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 現在、地方公共団体は、約五十万人の臨時と非常勤の職員が行政サービスを担っているという現状にあります。その任用と処遇については、平成十六年度、任期付短時間勤務職員制度が創設されまして、本制度は地方公務員独自の制度でありまして、短時間勤務職員であっても常勤職員と同様に本格的業務に従事することから、給料及び手当を支給することができるというふうにされております。

 平成二十一年の四月二十四日付の臨時、非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用に関する通知でも、臨時、非常勤職員の任用について、任期付短時間勤務職員の任用について、改めて通知はなされているんですけれども、必ずしも活用されておらず、導入されている自治体が少ないというのが現状であります。

 しかし、冒頭申し上げましたとおり、今、地方公共団体の現場を多くの臨時、非常勤職員の方々が担っているという現状を踏まえまして、そうした職員の方々の処遇改善を図っていくべきと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

川端国務大臣 お答えする前に、先ほど御要望として言っていただいた部分、積み残した課題に関しては、引き続き、地方制度調査会において取りまとめた意見を踏まえて、総務省において検討してまいりたいと思いますし、地方行財政検討会議も非常にスピーディーにできるというメリットもありますので、こういったものの活用も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。

 今の、臨時、非常勤職員がその職務に見合った処遇を受けることは当然必要だというのが基本的な認識でございまして、そういうことをすることが、同時に、その人たちが一生懸命仕事をして、いい仕事をしていただくということになる、効率的かつ良質な公共サービスにつながるというふうに思っておりまして、臨時、非常勤職員の処遇については、各地方公共団体が基本的には責任を持って対応していただくものでございますが、総務省としても、地方公共団体に対して引き続き臨時、非常勤職員の任用、処遇の適正なあり方について必要な助言を行ってまいりたいと思っております。

和嶋委員 ありがとうございました。

武正委員長 次に、大泉ひろこさん。

大泉委員 おはようございます。民主党、大泉ひろこでございます。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の地方自治法の改正でございますけれども、内容は二通りあるかなというふうに思っております。一つは、専決処分の濫用とか、あるいは住基ネットの接続拒否というような自治体の起こした事件に対して解決をしようということでございます。もう一つは、長年の懸案事項をここで解決しよう、通年議会とか広域連合の問題がそれに該当するというふうに思います。

 いずれも実務的弊害を取り除いていく、それに有効な改正じゃないかと思いまして、私は今回の改正を非常に評価したいというふうに思っております。

 私自身は、きょうは、一つに絞って、通年議会についてお伺いをしたいと思っているんです。

 今、国会の方でも、国会のあり方というのがいろいろな形で議論をされております。憲法調査会では、やはり二院制でよいかどうかという議論もございますし、もっとホットな話題では、現在、一票の格差問題で議員定数をどうするかという問題もあるわけでございます。常に議会というのは根本的問題を抱えておりまして、地方議会もそうであろうというふうに思います。

 今回の改正は、そういう意味では、根本的問題に対して、それに対しても一歩を踏み出したんじゃないかな、そこも評価をしたいなというふうに思っております。

 私自身の個人的経験でいいますと、旧厚生省から県庁に出向したことがあって、県議会で答弁者側に立ったわけでございますが、そのときの第一印象というのは、あれ、県議会というのは国会と変わらないんだなというふうに思ったわけでございます。

 それはなぜかというと、国会は議院内閣制でございますから、いろいろな考え方はあるでしょうけれども、基本的に、内閣は議院の負託を受けました、だから内閣のやっていることは議院に対して報告義務があるわけで、そういうような形式で議論が行われていて当たり前というふうに思ってきたわけでございますけれども、地方議会というのは、二元民主制というんでしょうか、首長は首長で選ばれているし、議員は議員で選ばれている。ならば、別々の民意だから、別々の民意と民意のぶつかり合いで、もうちょっとちょうちょうはっしと討論したらどうかというふうに思ったんですけれども、実際には国会と同じように行われているので、実はびっくりしたというわけでございます。

 しかも、議会棟というのは、これは国会に似ているんですね。教室形式なんですね。質疑応答、要するに、執行部は応答するだけという形になっております。

 だから、私は、その根本的問題といった中で、その形もそうなんですけれども、やはり討論形式にできるようにしたらどうだろうかと。英連邦系の議会というのは、テーブルを挟んで与野党がちょうちょうはっしとやるわけでございますが、やはり首長側の民意と議員側の民意と、テーブルを挟んで議論できるようなことにしたらどうかなというふうに、将来の根本的解決という意味では私は思っているところでございます。

 そこで、最初の質問でございますけれども、地方自治を長くやってこられました稲見政務官に伺いたいのでございますが、地方議会で答弁者は答弁だけしかできないという根拠はあるのでございましょうか。まずそこから伺いたいと思います。

稲見大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 現行法上は、議会は議員間の討議の場ということでありまして、地方自治法の第百二十一条では、「議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。」こういうふうなことになっておりまして、長等の発言は議会から求められた内容にとどまる、こういう御指摘のとおりであります。

 ただ、委員御指摘の、議会側への執行部側からの反論などの取り組みにつきましても、議会審議の充実、活性化の観点で、議会基本条例などで反論、反問権を付与している自治体が十二市ほどございます。

 議会審議の充実、活性化の観点から長等の執行部側との関係をどのように考えていくのか、各自治体の議会において適切に判断すべきものと思いますけれども、今回の改正を契機として、審議の充実に向けて自主的な取り組みが促進されることを期待しているところでございます。

大泉委員 ありがとうございます。

 実際に討論形式を実施している自治体もあるということでございますけれども、今回の法改正をきっかけにそれを普及させたいという積極的な御答弁、大変ありがとうございました。

 今、年四回の定例会ということでございますが、年四回だけでは十分に議論できないんじゃないかなと私は思うんです。特に、私も、県議会に出席していたころ、よく聞きます話は、多数党の議員さんで任期中に一回も質問をしたことがないということも聞いておりました。それは民意で選ばれた議会のあり方ではないんじゃないかなというふうに思うんですね。そういう意味で、たくさん質問する機会をつくるという意味では通年議会は非常によろしい、こういうふうに思っているんです。

 地域主権の時代に、今議員さんというのが議会に就職するみたいな方も結構いらっしゃると思うんですよね。私自身は、これはいろいろな考え方がありますけれども、いろいろな職種の人がやはり議会に参加して、特に、地方議会の場合は、国会みたいに遠くからやってくる必要はないわけで、いつでも議会に行けるような距離のところに住んでいるということを考えましたときに、夜間とかあるいは土日とか議会を開催して、たくさん議論ができるようにした方がいいんじゃないか。しかも、有権者の方々も傍聴に行きやすいんじゃないかというふうに思うんですね。

 現行法でも多分それはできると思うんですけれども、通年議会にするとそういう機会がよりふえるんじゃないかと思うんですけれども、まずは現行法で、現状のもとで夜間とかあるいは土日とか開催している状況を教えていただけますでしょうか。

稲見大臣政務官 総務省として調査をしたことはないわけでありますが、地方三団体に確認をいたしましたところ、都道府県議会におきましては、平成十九年から二年半の間におきまして、土日または夜間に議会を開催したことのある団体はございません。市議会におきましては、平成二十二年一月からの一年間で、土日に議会を開催したことのある団体が十九団体、夜間に議会を開催したことのある団体が一団体となっております。町村議会におきましては、平成二十二年の七月からの一年間で、土日に議会を開催したことのある団体が三十団体、夜間に議会を開催したことのある団体が十五団体となっております。

 地方分権推進委員会とか地制調でもこのことが議論をされておりまして、大泉委員おっしゃるように、女性やサラリーマンが議員になったり、あるいは傍聴したりということがしやすいということで、近々の二十八次の地方制度調査会におきましては、「女性や勤労者が議員として活動する上での便宜に資するよう休日、夜間等に議会を開催するなどの運用上の工夫をすべきである。」、こういうふうなことも答申をされているところであります。

大泉委員 前向きの御答弁、ありがとうございました。また、現状でも、夜間、土日も開いているところがあるというのは大変うれしい情報でございました。女性は夜間でないと行かれないというのは、ワーク・ライフ・バランスが進んでいないのかなということも思った次第でございます。

 日本の国会ではよく言われるのは、大臣が国会に張りついちゃってふだんの行政の仕事がおくれる、外務大臣なんかは国会があるから外国の会議に行けないというようなこともよくあるわけでございますけれども、これと同じように、通年議会にしますと、地方議会も首長がしょっちゅうそこにとられていったらば行政の遅延を招くということがあると思うんですね。ただ、長の出席は免れる規定というのはあるわけで、これで救われるわけでございます。

 でも、その特別な理由というのは限られてくると思うんです。もし、その特別な理由でしょっちゅうしょっちゅう首長なり長が出ないということになった場合、責任者の出席しない議会だったらば通年議会の意味は薄れるんじゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。

稲見大臣政務官 御指摘のように、正当な理由があるときは出席義務を免除することができる、こういうふうに規定をいたしております。きょうの委員会でも、ここも一つの論点かと思っております。

 いろいろな形で長が出席をしない、したがって議論が進まない、こういうふうなことが万が一あったといたしましても、議会が議案の審議に必要な説明を十分に受けることができない場合には、議会の側は当該の議案についての議決をしない、あるいは否決をする、こういう対応をとることも可能でございますから、正当な理由をもって、今回の、免除をする、こういうことが運用をされるべきであるというふうに思っております。

大泉委員 ありがとうございました。

 時間が迫っておりますので、最後は大臣にお伺いしたいというふうに思っております。

 私は県議会の経験というのは一九九〇年代後半でございますけれども、地方分権一括法の施行前でございましたので、県議会の答弁の多くは、これは国の制度だからしようがない、それは機関委任事務が多かった時代でございますから、しようがないと言われればしようがないのかなというふうに思うわけでございますが、今回のこの法律改正で、地域主権をうんと意識して、地方議会は国会よりも具体的に知識のぶつかり合いをする議論の場になってほしいんです、国会を超えて、先ほど申し上げた民意と民意のちょうちょうはっしというのをやっていただく場になってほしいというふうに思うんですね。

 だから、例えば一括交付金というのは今都道府県どまりだけれども市町村まで実現するためには、こういう議会になることが条件になるんじゃないかというふうに私は思っているわけですね。十分に議論することが自治体の主体性を強化していくだろうというふうに思います。

 主体性という言葉は、大臣も昭和二十年代生まれ、私も二十年代生まれなんですけれども、二十年代生まれの人間が好きな言葉でございますけれども、最後にお聞きするのは、自治体の主体性のために今回の法律の改正というのは役立っていくかどうかという大くくりの御答弁をいただけますでしょうか。

川端国務大臣 地方議会というのは、当然ながら、その団体のある種の意思を決定するという議決機関であると同時に、いわゆる執行機関を監視するという二つの役目があって、特に最近は、地方の住民の意識の変化と多様化に伴っていろいろな課題が個別にあるという意味では、地方議会が活性化するというのは非常に求められていることだというふうに思います。そういう意味では、議会が可能な限り制度的な担保も含めてより活性化されるということがどうしても必要だというふうに思っております。

 そういう意味で、今の枠組みでも、先ほど稲見政務官から御答弁申し上げましたように、私も知っているところがありますけれども、いわゆる議会の議論を、議論の形式だけでも、国会でも、本会議パターンで聞いて答えるというのと、委員会パターンでやりとりするというのと、やりとりするのを導入するところが随分ふえてまいりました。そこの中で反論権をどうするかというのがもう一つありますけれども、そういうことを含めて、いろいろ工夫をしておられるところもたくさんあります。

 そういう中で、議会のあり方を含めて、より活性化していくということと、それから、かねてから長と議会のいろいろな懸案で調整が必要な部分もあるということを幅広く捉えて論点を整理し、大体、いろいろ対立点もあった中で合意をいただけるものに関して整理ができたということで、今回法律を出させていただきました。

 まだ宿題も残っておりますが、そういう意味では、通年会期あるいは一般再議の対象拡大、専決処分制度の見直しとかいうことを含めて、いろいろな部分でいえば、国として、大くくりに大きな課題に関して整理整頓するということにおいて、議会の活性化には大きく資することになるというふうに私たちは期待をしております。

大泉委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

武正委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 真夏の朝であります。皆様方に、広い海、青い海、白い雲、そういった情景をお届けして、質問に入っていきたいと思います。

 万葉集巻七、一千八十九番。

  大海に島もあらなくに海原のたゆたふ波に立てる白雲

 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

 地方自治法の改正でありまして、先ほど来、和嶋委員からもお話ありました。手がたい改正、そしてまた丁寧な議論、こういうお話もありました。これは、地方制度調査会で昨年来大変もんでいただいて、まとめていただいたというところがあります。そのプロセスについては、よかったな、そしてきょうを迎えているということについて、よかったと率直に思っております。

 そこで、この第三十次地方制度調査会でありますけれども、総理からは、議会を含む住民自治のあり方、きょうの地方自治法に結実しております、大都市制度のあり方、これはこの後、きょうまた提案する法案もあるようでありますが、そして東日本大震災を踏まえた基礎自治体の役割と行政のあり方、三点についての諮問がありまして、今ほど来一点目、この地方自治法の改正案、きょう審議しているわけですが、任期が残り一年余りございます。今後、どのような運営を考えておられるのか、まず大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 平成二十三年八月に、この調査会を発足させていただきました。同年中には、御指摘のとおり、議会、住民自治に関する改正項目を含んだ地方自治法の改正案について審議を行っていただいて、十二月に御意見をいただきました。

 その後、本年一月に、諮問事項のうち、大都市制度のあり方及び基礎自治体のあり方から審議を進めていただくことが決定をされまして、二月以降、専門小委員会において、今月半ば現在でありますが十一回の審議を行っておりまして、六月に大都市制度の見直しに係る今後検討すべき論点がまとめられたところでございまして、現在、この論点に基づき詳細に議論が進められているところであります。

 今後の具体的な審議スケジュール、答申などの取りまとめ時期については調査会において決定されるということでありますが、私としては、大都市制度のあり方については、年内に何らかの取りまとめが行われることを期待しております。

 東日本大震災を踏まえた基礎自治体の役割については、この大都市についての論議が一段落してから、それを踏まえながらの議論が進められていくようになるというふうに承知をしているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 大都市の問題、手続的な問題をこれからこの委員会でも審議をし、そしてまた、今、そういった具体的ないろいろな肉づけも地方制度調査会でも考えていただける、ここはわかりました。

 あと残るのは、今大臣もおっしゃった、来年になって、最後頑張っていこうというこの基礎自治体の役割という問題です。これから議論するわけですから、まだ方向性云々というのは早いのかもしれませんが、しかし、大震災を踏まえてということでもあります。どのような議論の方向性をお考えになっているのか、可能な限りお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、東日本大震災を踏まえた基礎自治体が担うべき役割、行政体制のあり方については、大都市についての議論が一段落してからということを申し上げましたけれども、その際には、今回の大震災の応急対策や復旧復興において被災自治体が直面することになった課題を踏まえて、大都市のあり方の見直しが大都市以外の基礎自治体のあり方に与える影響等も勘案しながら御論議をいただくことになろうというふうに思っております。

 基本的には、大都市問題の検討に当たっての留意事項においても、基礎自治体のあり方についても検討するという方向性を既に示していただいておりますので、その線に沿って議論をしていただきたいと思っております。

橘(慶)委員 この分は、議論の進みぐあいを見て、またいろいろとお伺いしてまいりたいと思います。

 それでは、地方自治法の幾つかの論点、今回の改正の論点について、この後も審議がきょうは進むわけでありますが、言ってみれば皮切りの方の時間帯でありますので、提案者の方のお考え、そのあたりを順次たださせていただきたいと思います。

 まず、先ほど大泉議員からもありました、地方議会の通年化の問題。首長等の出席義務の取り扱いが一つの焦点になってくるものと思っております。そこで、出席義務が課される定例日ということについて、通年化された場合に月当たり大体どれくらいの日数を想定されているのか、まずお伺いをいたします。

久元政府参考人 今回の改正案におきましては、通年議会制を選択した場合には、予見性がある形で定期的に議会審議を行う、そういう議会運営を実現するために、定期的に会議を開く日、定例日を条例で定めることとしております。

 この開催日数につきましては、都道府県と市町村でそれぞれの行政課題が異なりますし、またそれぞれの団体の御事情もあろうかというふうに思いますので、各議会において判断すべきものでありますけれども、実際に、現行制度上、運用で通年会期制をとっている状況を見ますと、最低月に一回は開いているところが多いようであります。これに加えまして、予算、決算を審議する月にはある程度集中して会議を開いている。こういう運用を参考にしながら、それぞれの団体において運用されるのではないかと考えております。

橘(慶)委員 私自身も地方議会の経験が当局側であるわけですけれども、通年議会ではもちろんなかったわけですが、やはり、確かに毎月各委員会と言われるものは開かれておりましたし、その辺が一つのイメージかなと。

 ただ、この改正、やはり問題は、長と議会と、ある程度の緊張関係は当然必要ですが、それが行き過ぎた場合とか、いわゆる限界事例と言われる場合にそれがどのような取り扱いになってくるかということが一番問題でありまして、それをどう防いでいくかということも考えながら組み立てていかなきゃいけないんだろうと思っております。定例日も、のべつ幕なし定例日ということでは大変困るという、その辺、常識の範囲でやっていただきたいということなんだろうと思っております。

 そこで次は、議案の審議の問題でありますが、今までのおおむね四半期ごとの定例議会ということでありますと、大体それに合わせて補正予算であったり条例案であったりを事務方としてはまとめまして、そしてその議会の、六月議会なら六月議会の初日に一括提案し、最終日に議決をいただく。こういう一つの言ってみれば季節性といいますかリズムがあるわけですが、通年議会ということになりますと、その辺がどのようなリズムに変わっていくのかというのが少し、やはり皆さん関心があるところではないかと思っております。

 この辺を、例えば国会の場合はまさに随時提出という形になっているわけですけれども、どのようになっていくというふうに考えておられるのか、総務省の見方を伺います。

川端国務大臣 通年の会期制を採用する場合にあっても、予算とかそれに関連する条例等の議案については、長から一括して出していただいて、一定期間に集中して審議していただくというのは、これはもうどうしても必要になるというふうに思っております。

 例えば、当初予算案については、自治法上、都道府県及び指定都市にあっては年度開始前三十日、その他の市及び町村にあっては二十日までに長が議会に提出することとされておりますので、これに関連する条例案等も提出する必要がございます。このために、これらの予算、条例等の議案は長から一括して提出されて、二月とか三月に審議が行われるということは、これはしなければならないということであります。

 そういう意味では、通年会期を採用する場合にあっては、定例日を条例で定め、住民に明らかにすることを要しますが、例えば、予算審議が予定される二月や三月は、定例日を他の月より多く定めたり、定例日以外の日にも会議を開くことなどが考えられるのではないかと思っております。

橘(慶)委員 やはり、その辺のリズムを壊さない形で議会の活性化を図っていかなきゃいけないんだろうと思います。

 そして、先ほどもちょっとお話がありました、長が出席すべき日時に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは出席義務が免除されるという法百二十一条の改正規定であります。

 ここで、正当な理由ということについて、それがどういうものであるかというのが一つの焦点であろうと思っております。どのようなことを想定されているのか、提案者の考え方をお伺いいたします。

久元政府参考人 長などの出席義務につきましては、地方制度調査会でもさまざまな議論があったところでありますが、その意見において、「長の円滑な職務遂行に配慮し、一定の手続を経た場合にも長等の出席義務を免除することができるようにすべきである。」というふうにされたことを踏まえまして、改正規定を盛り込んだところであります。

 正当な理由として考えられる例といたしましては、例えば、災害による交通の途絶や現地対応、その団体にとって重要な影響のある公務出張、あるいは重い疾病や傷害、出産といったような事情を想定しているところでございます。

橘(慶)委員 この正当な理由をもって、今三点ほど例示をいただきましたけれども、こういったことで議長に首長側が届け出をするということであります。

 その場合、届け出という行為、この規定の趣旨なんですけれども、届け出でありますから、議長側には、長等の欠席の許可権、許可するとかしないとか、そういうところまでは与えていないんだろう。もちろん、届け出を受けないということもできないわけではないということにはなるのかもしれませんが、基本的には、届け出ですから、それは受けるという形になるのかなと理解するんですが、この辺の解釈はいかがでしょうか。

久元政府参考人 御指摘のとおり、正当な理由があるかどうかということを判断するのは長でありまして、議長の側において、これを許可するとかしないとかといったような権限を有するものではないというふうに考えております。

橘(慶)委員 あとは、想像をたくましくすると、今申し上げたような、その届け出を受け付けないんだなんて言われると困るというところが最後に議論としては残るのかなとちょっと思いますけれども、一応、許可権ではないということは理解いたしました。

 それから、会期を通年化するということになれば、首長が専決処分をする事件というのは通常の状況ではほとんど、要するに議会がずっと通年であるわけですから、ほとんどなくなっていくのかな、このようにも思うわけであります。

 そういう意味で、言ってみれば、専決処分の要件であります、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときということが通年議会の場合はなかなか想定しにくくなるのかなと思うんですけれども、通年議会においての専決処分というのはどういう事態があり得ると考えておられるのか、お伺いをいたします。

久元政府参考人 通年会期制を選択する自治体におきましては、基本的には常時活動能力を有することになります。したがいまして、今専決処分として比較的多く使われております、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときという状態は、一般選挙後に議員の任期開始日から三十日以内で長が招集するまでの間、こういう場合を除きましては生じないことになろうかと思っております。

 したがいまして、この場合に専決処分があり得るのは、議会が成立しないとき、あるいは議会が議決すべき事件を議決しないとき、こういう場合になるのではないかというふうに想定しております。

橘(慶)委員 私は、雪国なものですから、私の経験でいうと、あと限界事例になるとしたら、除雪費の専決あたりが、大雪が降った、お金がなくなった、どうするというときに、専決なのかな、議会にすぐお願いするのかなというあたりが焦点かなと思ったりもしておりましたが、今一応、総務省の解釈は理解いたしました。

 それから今度は、通年議会からちょっと離れますが、公聴会あるいは参考人の招致ということについて、今までは委員会ベースで行われているという形になっていたわけですが、今回の規定では、本会議でもそういうことを行えるようにする、こういうことであります。この辺、この規定を置いて、本会議でもできるようにする趣旨についてお伺いをいたします。

久元政府参考人 公聴会は、重要案件の審査において直接住民から意見を聞くものでありまして、また、参考人招致は、利害関係人、学識経験者等の出頭を求め、意見を聞くものでありまして、現行制度では、いずれも委員会においてのみできることとなっております。

 しかしながら、比較的小規模な団体におきましては議員の数も限られておりますことから、住民参画の機会を拡大し、審議を活性化させるという観点から、本会議においてもできることとするという趣旨でございます。

橘(慶)委員 続きまして、再議制度でありますけれども、この対象を条例、予算以外に拡大をしていくわけであります。しかし、この新たに対象となる案件についての議会の再議決要件、もう一度審議してくれといったときの再議決要件は、今までの条例、予算の場合の三分の二以上ではなくて、過半数ということになるわけであります。ここは、その差をつけられた理由についてお伺いいたします。

久元政府参考人 現行の再議制度は、執行権を有する長が議会の議決に異議を有する、いわゆる拒否権として設けられているものでありまして、執行する立場にある長の考え方を踏まえた上で、議会に再考を促すことを目的としております。

 現行法上、一般再議の対象となっております条例、予算は、各自治体の団体意思の決定として特に重要なものでありますので、三分の二の特別多数議決を要することとしております。

 一方、今回導入するそれら以外の議決の再議対象は、主として、自治法の九十六条二項に基づき任意に議決事件となるさまざまな計画ですとかあるいは市民憲章などでありまして、条例、予算とは性格が異なるというふうに考えまして、再議決は過半数議決で足りるというふうに立案したところでございます。

橘(慶)委員 ここまで、幾つか解釈について論点になるところをお伺いしてまいりまして、それを御答弁いただきました。

 ここから三つは、国地方係争処理委員会ということについてちょっとお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回、このことについて、国が違法確認訴訟ができるということまでの規定になっているわけですが、その前段にあります国地方係争処理委員会というものが総務省に今置かれているわけであります。これは、いろいろな事務について地方と国の考え方が違ったという場合について、その考え方についてどうであるかということを審議いただく、そういう委員会ということであります。

 この処理委員会が設置された時期、それからこれまでの係争案件の状況、実績について確認をさせてください。

久元政府参考人 国地方係争処理委員会は、平成十一年の地方分権一括法による地方自治法の改正によって設置されました、国の関与に関して不服のある地方自治体からの申し出を受けて審査、勧告などを行う機関であります。

 平成十二年の四月に最初の委員が任命されまして、以降三年ごとに任命されております。現在の委員は、ことしの四月に国会の同意をいただきまして任命が行われました。

 国地方係争処理委員会がこれまで審査の申し出を受けて勧告等を行った事案は二件となっております。一件目は、平成十三年四月に横浜市から、勝馬投票券発売税新設についての総務大臣の不同意に係る審査の申し出を受けたものであります。二件目は、平成二十一年十一月に新潟県知事から、国土交通大臣が行った鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対する認可に係る審査の申し出が出されたもの、この二件ということになっております。

橘(慶)委員 この委員会でありますけれども、法第二百五十条の八におきまして、委員の身分でありますけれども、五人で、非常勤が原則であります。しかし、二人以内は常勤とすることもできる、こういう規定になっているわけでありますが、これまでの、今お話があったこの十二年余の中で、常勤の委員を置いた時期はあるのか、確認をいたします。

久元政府参考人 ただいま御指摘をいただきましたとおり、国地方係争処理委員会の委員につきましては、委員五人のうち、必要に応じて二人以内を常勤とすることができるとされております。

 平成十二年四月に初めて委員を任命して以来、これまで常勤の委員が置かれたことはございません。

橘(慶)委員 何を申し上げたいかというと、今おっしゃったように、これはセーフティーネットとしては大変大事なものではあるわけですけれども、しかし、その委員を任命しておくということについては、やはり委員の方に、非常勤であっても若干の手当は当然お支払いしなきゃいけない。そして、こういう委員会が、行政のいろいろな問題、課題が、別にこの総務委員会に限らず、多岐にわたってまいりますと、やはりいろいろなシステムをつくっていく、いろいろな委員会をどうしてもつくっていく、そういうことで、政府における審議会のみならずいろいろな委員会というのはどうしてもふえる傾向にあるんだろうと思うんです。かといって、やはりそれは大変大事な役割を持つこともありますし、今お話のあったように、十二年間で二回しか係争案件がないという委員会もあるわけであります。

 こういったところで、何かこういった委員会のあり方とか委員の手当のあり方とか運営の仕方、節約するところは節約するとかいろいろなことをやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかという思いをこの委員会に限らず全体にするわけです。それは、ある意味で、また総務省でいえば行政管理局あたりのお仕事としてもあり得るのかなと思うわけです。

 実は、この国地方係争処理委員会は、二十二年度については会議が一度も開かれずに、二十三年度については県、市の間の自治紛争処理の報告があっただけ、こういう状況であります。一面、麗しいこと、幸せなことなのかもしれませんけれども、しかし、これは何か運用の工夫というのが、いろいろ考えてみられてもいいんじゃないか。これは提案でございますが、いかがでしょう。

川端国務大臣 この制度自体が地方からの審査の申し出に基づいて審査を行うということでありまして、しかも、国、地方の係争について言えば、簡易迅速な手続において早期の解決を図るということで、審査の申し出から九十日以内に審査を行うことというふうになっておりますので、具体的に審査の申し出がない場合は必ずしも委員会を開催する必要はありませんが、出てきたときには迅速にということで、スタンバイ状態になっているということが、制度的にはそういうことで、今ずっと置かれているということでございます。

 御指摘のとおり、運用について少し工夫があるのではないかということはそのとおりだというふうに思いますので、制度上、いつあってもすぐに開けるようにという体制は要るということが背景にありますけれども、運用については少し検討してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 今、県レベルあたりでも、行政委員について、例えば月額報酬制にしないで日当制に変えたりとかいろいろなことを、やはり行政を見る目が厳しくなってくる、あるいは、その委員会の必要性とかその委員会の置かれている重さとかいろいろなことで機動的に対処されている例もふえてきているように思います。

 今国会のいろいろな法案を振り返ってみても、また幾つかの委員会というものは当然設置されていくという状況にありますので、また一度、今の大臣の御答弁はありがたいと思いますけれども、行政管理局等でそういった委員会とかそういうものを不断の見直しということで見詰めてみられたらいかがかな、このように提案をさせておいていただきます。

 それからもう一問、違法確認訴訟ということで、今度は、国が地方の不作為ということについて違法確認ができるようになるわけであります。

 これは、よくあるといえばある例なんですけれども、この確認訴訟については、いわゆる一審、地方裁判所からではなくて高裁から、高裁、最高裁ということで、一審、二審という形で行われることになるようであります。このことについて、高裁から始めるということの趣旨だけ確認をさせていただきます。

久元政府参考人 今回創設をお願いしております違法確認訴訟におきましては、被告が所属する普通地方公共団体の区域を管轄する高等裁判所を第一審の裁判所としております。

 これは、この訴訟が、地方自治体が国等による是正要求等に応じた措置を講じず、かつ、審査の申し出を行わないときなどに国が出訴するものでありまして、国と地方自治体との間の係争を特に迅速に処理する必要があるというふうに考えたためであります。これまでの累次の機関訴訟の訴訟類型などを参考にして、高等裁判所というふうにさせていただいているところでございます。

橘(慶)委員 ここまで、改正法に係る解釈の問題についていろいろお伺いをさせていただきました。

 せっかくの機会でありますので、もう少し広く地方自治制度あるいは議員のあり方全般について、残された時間であと幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地方議会議員の年金問題でありまして、昨年、今までの、旧の地方議員年金については廃止がなされたわけでありますが、この委員会でも審議がなされ、この委員会、また参議院の総務委員会での附帯決議がつきまして、これにかわる制度についてのいろいろな検討を一年以内ということで、附帯決議をさせていただきました。その結果として、総務省においても、地方議会議員の新たな年金のあり方に関する検討報告ということを四月十一日に取りまとめていただいているわけであります。

 今申し上げた附帯決議を踏まえて、この検討の中で、これではまだ答えが出たというわけではなくて、検討はさらに続けていくというような形の答えなわけですけれども、今被用者年金一元化という動きも新たに出てきている中において、この問題の今後の取り扱い、進め方について、総務省の方針をお伺いいたします。

稲見大臣政務官 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、衆参両院総務委員会におきます附帯決議を踏まえて、総務省として検討を行ってまいりました。四月十一日に、方針を出したわけではありませんけれども、法的な課題を整理するということで、附帯決議を提出いただきました三会派には御報告をさせていただきました。

 この検討におきまして、被用者年金一元化により共済年金が厚生年金と統合予定であるということを前提といたしますと、地方議会議員が厚生年金に加入をするか、あるいは、その前に地方議会議員が地方公務員共済に加入をした上で被用者年金一元化後に厚生年金に移行するか、このどちらかの方法が考えられるわけであります。

 その場合、地方議会議員が被用者年金に加入することによって、国民、住民の政治参加や地方議会における人材確保に資する、こういうふうには考えております。

 ただ、一方で、保険料の二分の一の事業主負担が生じる。粗い計算で、毎年度約百七十億円程度の公費負担が必要だ。また、厚生年金におきましても加入要件、被用者要件や労働時間要件がございますし、そのことに対する法的手当てが必要。地共済の場合は常勤要件、こういうことで、これについても法的手当てが必要になってくるというふうに思っております。

 こうした論点につきまして、国会議員の取り扱いとあわせて検討することが望ましいというふうなことを考えておりまして、引き続き検討が必要だという現段階での考えでございます。

橘(慶)委員 この問題は、議員の、言ってみればどういう身分概念なのかといいますか職業概念なのかということであったり、あるいは、いろいろな方々に議員になっていただく道を開くとか、いろいろな観点からの議論はやはり必要なんだろうと思っております。

 そして、いわゆる使用者側負担分ということについては、言ってみれば歳費の調整というようなことでの、いわゆる議員報酬の調整というようなことも考えられるかもしれません。

 いずれにしても、要するに、議員というのが最後の職業にならないとすれば、ある職業から議員になって、またある職業に戻っていくというようなことを考えた場合に、やはり年金というものがポータブルであれば、なおいい。それが、言ってみれば厚生年金とかいろいろな年金を一元化していくということ、ある意味で二階建てまでポータブルにしていくんだ、自営業の方はちょっと違う扱いだけれどもという、そういう精神があるとすれば、やはりこの辺で、もう少しそれは検討が必要だということは十分理解しながらも、ひとつそういった、議員さんというものはどういうもので、どういう形がいいのかということについて、ぜひこの報告というのを一里塚にしていただいて、さらに前向きにこの問題の解決について検討をお願いしたい、このように思います。

 続きまして、出先機関改革のことでありますが、今、引き続き政府・与党内で、いわゆる局をブロック単位で広域連合等へ移譲するということについては関係法案の検討が続いているんだろう、このように思っております。

 しかし、本件については非常に慎重な取り扱いが求められている。先ほど来お話があったとおり、市長会あるいは町村会、いろいろな意見がございます。そしてまた、今現実、議論も政府・与党内で続けられていると伺っております。主な論点として何が問題になっているのか、一応伺っておきたいと思います。

稲見大臣政務官 今御指摘がございましたように、出先機関の原則廃止につきましては、アクション・プラン推進委員会を中心にして検討を進めてきたところでありまして、関係府省の政務等の出席のもとでの議論を行っております。

 今のところ、六月八日に開催をしました第九回のアクション・プラン推進委員会が最終になっておりますけれども、最終的には、法案等を与党の議論に付すという取り扱いについて川端大臣に御一任をいただいたところでありまして、政府としての調整はおおむね終えたというふうに考えております。

 先ほど委員からもございましたように、与党の地域主権調査会で、この件につきましては三十回以上総会を開いて御議論をいただいているところでございますけれども、特に、改革の理念、災害時の対応、それから市町村の意見反映のあり方といった点が主たる論点になっているというふうに認識をいたしております。

 今後、与党の議論も踏まえつつ、政府として引き続き、今国会に法案を提出すべく最大限努力をしてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 やはり、理念あるいは今お話あった災害時の問題等、いろいろな論点があるんだと思います。

 いきなり高い山に登ることだけが物事の解決法ではないといつも申し上げるわけですけれども、そういう中で、もう少し登りやすい山があるでしょう、それはアクション・プランの中にも書いてある、その他三課題だと思っております。その他三課題、すなわち、ハローワークというものの地方移管について研究をしてみる、直轄道路、河川について可能な区間はないか調べてみる、あるいは、国と地方が合意できる、それは大きな事務ではないかもしれないけれども、事務を少しでも移していく。こういうものを一つ一つ登っていくことによって、今回の地方自治法の改正のように一つの到達点に来る、到達点に来れば次の見晴らしがよくなってくる、そういうものではないかと思います。

 そのような気持ちで、ぜひそういうお取り組みをという気持ちから、この直轄道路、直轄河川の問題、ハローワークの問題は東西で二つやってみるということですから、それは前進を評価するわけですが、直轄道路、河川の方が、どうも三月来、チーム会合も開かれていないように思うんですけれども、これはどういう問題があってとまっているのか、お伺いしておきたいと思います。

稲見大臣政務官 御指摘のように、ハローワークにつきましては、この十月から佐賀と浦和でのハローワーク特区が出発をいたします。また、一体的な実施につきましては、いろいろなところから手を挙げていただいておりまして、今、六十自治体、都道府県で二十六、市町村で三十四で一体的な運営が行われております。

 御指摘の直轄道路、直轄河川につきましては、三月二十八日に第二回のチーム会合におきまして、二井山口県知事から、昨年十一月二十一日に全国知事会で取りまとめられた直轄道路、直轄河川の移管に係る財源フレームについて説明が行われまして、それも踏まえた議論が行われたところであります。以前に、バイパスができたときの現道の運営などにつきましてもありまして、まだこの直轄道路・直轄河川チーム会合を開催するに至っておりませんけれども、そういう財源問題が、やはり議論がまだ進んでいないという内容であります。

 そう考えますと、先ほどもありました、出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲の取り組みが今片っ方で進んでおりまして、地方整備局の事務、権限の移譲というふうなことを検討してまいりますと、整備費であるとか維持管理費であるとかあるいはその他所要の人件費、事務費はどうしていくのかということを詰めていかなければなりませんので、その検討状況を見ながら進めるというのが現段階だと考えております。

橘(慶)委員 いみじくも今政務官がおっしゃったように、そうやって、大きな問題を解決するときでも、たくさんいろいろな論点があるわけです。逆に、この直轄道路、直轄河川の財源フレームワークを解決しておけば、次のステップということを考える際に一つのヒントになるんじゃないか。そういう意味において、どうか、また叱られるのかもしれませんけれども、後先を逆にすると、意外と物事がすっといくのかななんて思ったりするんですが、一応これも提案だけさせていただきたいと思います。

 もう一つ、共通課題の問題もあるわけですね。

 知事会が求める三事務、農地転用、産業振興、交通体系、なかなかこれは難しい問題もあるかもしれませんが、こういったことが知事会からは提案されている。こういうのを知事側といいますか県側におろしてほしいと。関係府省からは、Aa事務と言われる、そういうものからなら渡してもいいよ、こういう話もある。

 こういったところも、確かに、一次、二次の一括法のそういう精神で、事務の移譲とか義務づけ・枠づけの見直し、いろいろ一歩一歩進めてきているわけですけれども、このいわゆる三事務あるいはAa事務の中からも、一部でも前へ進めたらどうかと思うんですが、いかがでしょう。

稲見大臣政務官 御指摘をいただきましたように、Aa事務につきましては、社会福祉法人の許認可が行われた後の監督、こういうふうな非常に細かい事務なんかも含まれております。したがって、このAa事務と、それから知事会が自由度向上につながるとして特に先行的に移管を求めております御指摘の三事務、農地転用、産業振興、交通体系、両方を検討のテーブルにのせて議論を進める、こういうふうにしているところでございまして、共通課題チーム会合を開催する等により、関係府省と知事会の意見をよく聞きながら、今後、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 国から地方へ、地方分権という一つの大きなビジョンの中で、しかし、そういうビジョンの中で、進められるところを着実に進めていくということがやはり必要なんじゃないか。ぜひ、余り難しいものをどうしても今国会の間に何とかしなきゃとか、そういうふうに力まれずに、やはりできることを一つ一つしっかりやっていただきたい、こういうふうに提案をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、せっかくの時間でありますので、中核市制度、特例市制度についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。

 今、大都市、政令指定市、そしてまた特別区の問題、これが非常に話題になっているんですが、中核市、特例市という制度についても非常に定着してきていると思うんですね。人口三十万人以上の市については中核市制度、二十万人以上については特例市制度、そして、面積要件等も緩和されて、かなり指定も進んできております。この成果について現状どう思っておられるのか、見解を伺います。

川端国務大臣 中核市制度というのは、比較的都市規模が大きな市に対して、保健所に関する事務を初めとして、その事務、権限を強化して、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにするために創設された制度でありまして、平成二十四年四月現在で四十一市が指定されております。

 特例市制度は、中核市制度創設後、さらなる市町村への権限移譲を推進するため、二十万人以上の市に対して権限をまとめて移譲するために創設された制度で、二十四年四月現在で四十市が指定されております。

 中核市、特例市制度は、制度創設後も、昨年八月に成立した第二次一括法などによる権限移譲の受け皿となるなどしまして、基礎自治体への分権を進める上で一定の役割を果たしてきているものというふうに認識をしております。

橘(慶)委員 このことについては、そういった中核市、特例市にあとどんな権限あるいは事務をおろしていくかという問題もまだあります。

 例えば、よく児童虐待等で大事な場所だと言われる児童相談所とか、あるいは障害者手帳の交付とかいろいろな事務があって、逆に住民に身近な基礎自治体の方へおろしていった方が、あるいは、保育所等も当然自治体では運営しますので、かえって児童相談所なんかはその方がいいのかななんて現場から見ていると思ったりするところもあるわけです。そういった、中核市、特例市の権限といいますか、できる事務というもの、メニューをふやしていくという方向が一つあるでしょうし、そのことによって都道府県のあり方もまた考えていけるでしょう。

 もう一つは、特例市なんですけれども、これについては、今人口二十万という縛りで、大臣がおっしゃったように四十市ということになっておりますが、これも、例えば総務省さんの施策でいえば、定住自立圏の中心市あたりぐらいにまでおろしていくことだって考えられるんだろうと思います、一つの固まりという意味でいえば。しかも、国勢調査が二十二年に行われた結果によりまして、結構今、人口がみんな減るものですから、実は二十万人以上で指定された町も、十九万とか十八万になっている町も出てきているようであります。

 そういった中において、特例市制度について、例えば十五万人程度まで人口要件を下げていくようなことも考えられないのか、これも提案を申し上げるわけですが、総務大臣の方から見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 今、地方制度調査会で大都市問題について御議論いただいているんですが、特例市についても御議論いただいております。

 そういう中で、全体的には、地域主権というか地方分権ということで、一般市への権限移譲が随分進んでまいりました。そういう部分で、特例市として固有に処理する権限が実は減少している、みんなに渡してしまったということがあります。

 ということで、地方制度調査会の専門小委員会では、大都市制度の見直しに係る今後検討すべき論点についてという、都道府県から市への権限移譲が進み、特例市として固有に処理する都道府県の権限が減少していることから、特例市のあり方について見直す必要はないか、中核市人口三十万以上、特例市人口二十万以上という区分は適切か、中核市、特例市にさらに移譲すべき事務はあるかというふうなことを論点として提起をいただいております。

 この地方制度調査会の御議論を踏まえて、答申をいただいた上で、特例市制度についての見直しを検討してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 こんな例えがいいのかどうかわかりませんが、地方への分権というのは、言ってみれば将棋の山崩しみたいなものじゃないかと思っております。そおっと一つ一つ外していけば、最後まで全部外していけるはずなんじゃないかな、山の崩し方を間違えると、なかなか山が崩れないんじゃないか、あるいは崩し間違えるんじゃないかと。ぜひそこは、丁寧に、手がたくという最初のお話もございましたが、そういうお取り組みを期待申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

武正委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、四十分の時間を与えられております。提案されております地方自治法の改正関係、また大阪特別区構想の問題、最後に震災復興、この三点についてお尋ねをしたいと思います。

 質問に入る前に、大臣に一つお尋ねをいたします。

 九州北部の豪雨災害でありますが、被災地の坂本議員も次に質問を予定いたしておりますが、どうぞ総務省の方でもしっかり財政支援をお願いしたいと思います。

 普通交付税の前倒し交付は既にされたかと思いますが、特別交付税でしっかり見ていただく。国の激甚指定を我が党も強く要望し、激甚指定と、それから河川であればいわゆる激特という事業の採択も要請しているわけでありますが、国の補助制度がない庁舎であるとか文化会館、それから、補助制度はあるけれども、金がないからほとんどその年度に交付されない厚生労働省の上水道、これらについては、こういう災害に遭った場合、現実的に市町村が単独でやらざるを得ないんですね、間に合わないから、生活のインフラだから。そういったことにもしっかり目配りをしていただいて、特別交付税などの財政支援を特に市町村の方にしていただくように御要望をいたしたいと思います。

 さて、地方自治法の改正に移ります。

 先ほど橘委員からも質問がありましたが、まず、地方議会制度の見直しということであります。通年会期方式の制度化を図るという改正案であります。

 しかし、現行制度の中でも条例で長期の会期を採用することが可能でありますし、現に、市町村だけではなくて、今年度から栃木県また長崎県で条例で通年会期方式を既に導入している。導入しているけれども、あえて今回、それを法改正で制度化しようということであります。

 さまざまな場で、地方制度調査会などでいろいろ議論をされてこういう提案をされているわけでありますから、地方六団体の了解も一応得ているということでありますので、通年会期方式の制度化というのは本当に必要なのかどうかという議論は、あえてきょうはいたしません。

 その上で、仮に図るとすれば、先ほど橘委員の質問もございましたが、要は、知事なり市長、町長は相当拘束されるのではないか。この配慮というのは今の政府案で十分だとお考えですか。まずお尋ねします。

稲見大臣政務官 先ほど自治行政局長の方からもお答えをいたしておりますように、長等の議会への出席による負担増が円滑な行政運営を妨げることがないようにということで、本改正において、法第百二十一条におきまして、定例日における審査、審議及び議案の審議に限定をする、こういうふうにしておりますと同時に、正当な理由がある場合ということで、先ほど御紹介しました、災害による交通の途絶や現地対応、重要な影響のある公務出張、重い疾病や傷害、出産、あるいは親族の御不幸、こういうふうなことも含めて、正当な理由がある場合には届け出により出席義務が解除される、こういうふうにしております。

谷委員 答弁を聞いていましたよ、政務官。行政局長の答弁をあなたが言ってもしようがないんじゃないですか。私は十分であるかどうかということを聞いているんですから、そのことに正面から答えてください。

 いや、行政局長の答弁はそのとおりですよ。ただ、そういうことで現実の運用がなされますかという疑念を提起しているんです。疑念を提起しているのに、先ほど行政局長が答弁をしたと。

 いやいや、この法の政府案の解釈としてであれば、政務官に聞かないですよ。久元行政局長に聞きますよ、局長の方が詳しいから。こう言ってはあれですけれども、詳しくて正確ですよ。ただ、政治家として、政務三役として、今のこの議場出席義務への配慮の規定で本当に十分な運用が図られますか、さらにもっと配慮規定を法文上入れる必要はないのですか、そこを聞いているのに、そんな同じような答弁であれば、政務官、答弁は結構ですよ。何か答弁できますか。

稲見大臣政務官 失礼いたしました。

 閣法としては、政府としては、この法百二十一条におきまして十分配慮はされる、こういうふうに考えております。

 ただ、これは総務委員会の中で議論をしていただいているわけですから、それ以上にやはりしっかりと配慮すべきだということがあれば、この総務委員会としての御意見等をしっかりと採決までに反映していただき、また、さまざまな形でその内容を形にあらわしていただきたいと思います。

谷委員 そういうふうに答弁していただければいいんです。政府案の考え方は先ほど行政局長が答弁したとおりです、提出者としては十分配慮したつもりではあるけれども、この国会で、立法府でそれを審議して、もっとしっかり出席義務への配慮の規定を設けるべきだということであれば、それは立法府の判断に任せると。任せるというのか、それが我々の権限ですから。

 わかりました。政府としての考えは、一応十分だけれども、この後いろいろ法案修正の話も進んでいるようにお聞きしておりますので、端的に言って、ちょっと不十分だと私は思います。それは、適切な運用をすれば今の政府案でもいいですけれども、往々にして、やはりそれぞれのいろいろなケース、この後お話しします百条委員会の話でも、必ずしも法の目的どおりに執行、運用されるという場合だけではございませんので、またそこのところは議論をさせていただきたいと思います。

 そもそも、この法改正は阿久根市の問題が大きな要因となっているでしょう。そういう実例が出たから法改正という話が出たんじゃないですか。もともと、戦後数十年、この後で質問します専決処分対象で、副知事とか副市長、前の助役などは専決処分してよかった。数十年、何も問題なかったんですよ。問題なかったけれども、変わっているといいますかユニークだといいますか個性豊かだというか、そういう首長が出たから、これはやはり制度的に欠陥があるから直そう、そうしたわけであります。

 ですから、私は、この通年会期方式をとる場合、長などの議場出席義務の配慮というのは今のままではだめだ、もっと配慮規定をしっかり入れるべきだということを主張させていただいて、次の質問に移ります。

 さて、通年会期方式をとれば、講学上といいますか、我々が学生のときによく言われた一事不再議の原則は一体どうなるんだろうなと素朴に思います。どうなるんですか。お尋ねします。

川端国務大臣 いわゆる一事不再議の原則と申しますのは、一度議会が議決した案件については、同一会期中には再び審議しないという議会運営の慣行上の原則をいいまして、法律には規定はございませんが、広くこの考え方により議会運営が行われているところでございます。

 通年会期を選択した場合であっても、一応通年ということで会期は存在しますので、一事不再議の原則が当てはまると考えております。

 ただ、一事不再議の原則については、現行の会期制においても、議会の構成員の変更や突発的な災害等によって議決の前提が大きく変わったような場合等、議決後に客観的な事情の変更があるような場合は当てはまらないものと解されております。このような事情変更がある場合には、通年会期の場合も一事不再議の原則は適用されず、同一会期中においても再び審議されることがあり得るというふうに思っております。

 これは、通年会期にするしないにかかわらず、原則を申し上げたのでありまして、通年会期になったときは、一応会期の幅としては通年になるということと思っております。

谷委員 もう一つわからない大臣の答弁でありました。

 特別な事情があれば、一事不再議については事情変更ということで認められる。国会でいえば、内閣不信任案を出して否決されたけれども、その後、いろいろな事情変更があればまた出すことができる、例えはいいかどうかはわかりませんが、そういうことであろうかと思います。しかし、今の大臣の御答弁をお聞きしますと、一事不再議の原則は適用はあるんだということでしょう、要は。通年。そうなると、どうかなと思います。

 総務省が決めているわけではございませんが、きょうは行政局長がおられますので、やや実務的に聞きます。

 現実には、地方自治法ではなくて、地方自治法を受けた標準都道府県・市・町村議会会議規則というのがございますね。これは三団体がつくっておられるのかと思いますが、現在、一事不再議のことはこの標準の都道府県・市・町村議会会議規則であるかと思いますけれども、この法改正が成ったら、これはどういうふうになるとお聞きされていますか。事実関係を承知している状況をお尋ねいたします。

久元政府参考人 今、谷委員から御指摘がありました標準会議規則ですけれども、都道府県・市・町村議会の会議規則の第十五条で、議会で議決された事件については、同一会期中は再び提出することができない。法律上は、一事不再議につきましては、地方自治法には規定がありませんで、慣行ということになっておりまして、そういう慣行を具体化したものであるというふうに私どもは理解しております。

 この点について、まだこれは法案が審議中でありますので、法案の成立を前提として、議長会と正直言いましてまだ相談はしておりませんけれども、通年会期になりますと、今までの定例会、臨時会よりも会期の幅が長くなりますので、その間、さまざまな事情が起こってくる可能性があります。そういう意味で、これは法律上のものではありませんから、運用上、事情変更の原則ということを適用して、今のままの規定で運用できるという可能性もあろうかと思いますし、また、通年会期制を前提として会議規則全体を見直していく必要があるかもわかりません。そういうことを踏まえながら、今後、公布された後、施行する前の段階で議長会とよく相談させていただきたいというふうに思います。

谷委員 ありがとうございます。

 要は、現在は議長会の方で、標準会議規則で一事不再議ということが十五条で書いてある。書いてあるけれども、法改正を受けてこれをそのまま残すのかあるいは削除するのか、これから検討ということですね。はい、わかりました。残してもどうかなという思いを個人的にはしております。

 次の項目に移ります。

 同じく自治法関係で、議会と長の関係の見直しです。

 阿久根市の実例を踏まえてか、副知事と副市町村長は専決処分対象から除外されました。専決処分してはいけないとなりました。では、教育委員などはいいんでしょうか。この物の考え方として、なぜなのかなというのを提出者にお尋ねしたいと思います。

 それは教育委員も大事ですよ。教育長、特に、市町村において誰を教育長にするかといったら、市長の政治姿勢、町長の政治姿勢が問われることですよ。そのことは専決処分はいい、しかし副町長はだめだと。どういうことですかね。あえて言うならば、副町長を置く置かないは、法律では任意でしょう。任意のことは専決処分してはいけない、あるいは、法律で決まっていることは専決処分はいいよ、この物の考え方についてお尋ねします。

稲見大臣政務官 お答えいたします。

 今御指摘があったとおりでございまして、副知事や副市町村長については、長を補助する機関でありまして、地方自治法の第百六十一条で、置かないことができるということでありますし、百五十二条で、長の職務代理の規定等もございます。

 一方で、教育委員会等につきましては、長と並ぶ独立の執行機関でございまして、委員会は必ず設置をしなければならない、こういうふうになっております。

 しかしながら、長を補助する最高の機関、副知事なり副市町村長は最高の補助する機関でありますので、その職務の重要性から、議会の事前の同意を必須とすべきということで、今回、専決処分の対象に含めるべきではない、こういう考え方にいたしました。除外をしたわけであります。

 一方で、先ほども申し上げました、必ず置かなければならない委員会、これは、固定資産評価審査委員会などのように裁定的権限を有する委員会の場合は、委員を選任できないことが住民等の権利保護の観点から問題がある、こういうふうなことを理由にいたしまして、専決処分の対象からは除外しない、こういうことにしたところでございます。

谷委員 ありがとうございます。

 全く予想された答弁でした。極めて形式的です、今の答弁は。

 私が尋ねているのは、もっと現実の市町村、政務官も御存じでしょう。以前は、市町村であれば、市長、助役、収入役が三役と言われた。今、収入役はなくなりましたので、市長、副市長、教育長が三役と、少なくとも私の兵庫の方では言われていますけれども、教育長というのはそのぐらいの重みのあるポストなんです。それを形式的に、いや、副市長は任意だ、教育長は必置機関だということで線引きをしたという考え方ですわね、これは。

 これ以上は申しません。別に反対というわけではございませんが、ただ、釈然としない、この物の考え方は。それだけは指摘をさせていただきたいと思います。

 さて次に、百条調査権の問題に移ります。

 お手元に資料を配らせていただいています。ちょっと細かい資料で恐縮でございますが、松本英昭さんの「逐条地方自治法」の解説もあわせて、百条について、いわゆる百条調査権についての自治法の規定をここに抽出しています。議会は、自治体の事務に関する調査を行い、関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。民事訴訟に関する法令の規定中証人の尋問に関する規定は、これを準用する。左の「解釈」にありますように、国会が国政調査権を与えられているのと同様に、議会に対しても大変強い調査の権限が認められているところであります。

 一部に、この百条調査権を濫用しているのではないか、余りにやり方が、政治的に利用されているのではないかということを仄聞いたします。数十回も開いて、朝から夕方まで同じ方を何度も何度も呼んで、やる。そして、発言の内容も、大変政治的な意図を持った、また罵倒するような表現も見受けられないわけではない。

 大臣、こういうような例というのは御存じかと思いますが、どう認識されていますか。お尋ねします。

川端国務大臣 この百条委員会の調査権というのは非常に強い権限を持っている。そして、その背景、経過として、先生今参考資料を配付していただいたように、国政調査権に並ぶ部分でということでは、極めて、やはり住民の代表である議会がいろいろな課題に対してしっかりと調査をするということは基本的には大事な権限であるというふうに思っていますが、しかしそれは、発動することによって、出頭、証言を要請されるに当たっては、調査によって得られる公益と、出頭あるいは証言を要請される者がこうむる影響というものを比較考量の上、公益が上回る場合に行われるべきものであるというのが大原則であるというふうに思っております。

 そういう意味では、濫用に当たらないように各議会で適切に判断していただけるべきものと考えておりますし、これのもとになりました国会における調査権、国政調査権というものにおいても、議会の、委員会の議決、あるいは、多分証人喚問であれば慣行として全会一致でやるとかそういうふうな、いわゆる公益を担保するということが積み重ねられてできてきております。そういう意味で、趣旨としては非常に大事なものでありますから、濫用にならないように、それぞれがしっかりと運営していかなければならないものだというふうに思っております。

 いろいろ先生が言っておられる部分の、最近、そういう事例、濫用ではないかという事例があることは私も仄聞をしております。そういう部分ではどういう対処ができるのかに関しては、私もいろいろなことを考えなければいけないのではないかという認識は持っております。

谷委員 確かにこれは重要な権限なんですね。我々国会が国政調査権を持つのと同様に、自治体においてもそういう調査権を付与して、それを適切に行使するということは大事です。

 我々自民党の方も、小沢さんを証人喚問にずっと要求していた。しかし、いまだに実現していないということは、全会一致という国会の慣例があるからですわね。なぜ反対するのか、理由は全く納得できませんけれども、しかし、そこは国会で今までの、過去の慣例を尊重するという、いわば党派を超えたルールがある。しかし、今九州の方で見られているようなやり方は、そんなことは全然ないですわね。全会一致なんということはないです。

 大臣は仄聞されているというふうに御答弁をされましたが、政務官はより詳しく調査をされていますか、九州の某県の例を。

稲見大臣政務官 答弁についていろいろ御期待もあるようでありますが、調査につきましては極めて実務的に御報告をさせていただきます。

 平成十九年以降二年間で、この百条委員会の調査、都道府県レベルでは実施例はございません。それから、市町村レベルでは実施例は三十七団体四十件、こういうふうに把握をしております。ただ、これは、調査対象、出頭等の請求・告発の有無等の件数のみでありまして、個々の事例について詳細に把握をしているところではございません。

 百条調査の対象分野につきましては、新庁舎や公共施設の建設、公金の不適正使用、第三セクターの運営など、地方行政のさまざまな分野にわたっておりまして、そのうち、関係人の出頭及び証言を行ったものは三十二件、議会による告発に至ったものは五件、こういうふうに把握をいたしております。

谷委員 極めて実務的な答弁をありがとうございました。久元局長にお願いすればよかったですわ。

 要は、もう少しいろいろな実態を、感度をよくしてほしいですね。今回の法改正も、何度も繰り返し言いますけれども、これは阿久根の例が引き金なんでしょう、早く言えば。そういうことを、いやいや、これは地方自治だからと放置しているととてもだめだから、法改正まで来たんじゃないですか。

 ですから、百条調査権も適切に行使しているかどうか。全国にたくさん、総務省の職員も行っているんじゃないですか。何のために行っているんですか。いやいや、それはもちろん自治体の要請を受けて行くんですよ。行くんですけれども、あわせて、それぞれの地域の現場でどういう行政が行われているのかというのを適切に把握するという役割もやはりあると思うんですよ。もう少し、実際はもっとやっておられるのでしょうけれども、しっかりと現状を把握して、適切な対応をとられるように要望しておきます。

 我々も、百条調査権を、今の適用の実態を見て、このままではいいと思いません。ですから、今回の法改正にあわせてこれの適切な運用を図れるように、また各党間で協議を進めさせていただきたいということを御報告させていただいておきます。

 さて、その次に、残された課題が、先ほど別の委員からも話がございました、直接請求対象としての税とか住民投票制度はございますが、割愛させていただきます。大阪特別区構想、いわゆる大阪都構想についてお尋ねしたいと思います。

 この後、大都市地域における特別区の設置に関する法律案、議員提出で、提案理由説明があると聞いているわけでありますが、その法律によって、一定の人口のある道府県は特別区を設置することができる、そういう仕組みづくりができるということになろうかと思います。

 しかし、これは、戦後ずっと言われてきた道府県と政令市、あるいは今では中核市、特例市もあわせて考えてもいいかもわかりませんが、その関係を整理するものでもありません。この大阪特別区構想は、大阪だけはそうなるかもわかりませんけれども、ほかのところは相変わらずです。私のところの兵庫県でもそうです。人口五百六十万の中の百六十万が政令市の神戸市だ。五十万の中核市が三つある。姫路、西宮、尼崎、三つもある。特に、では政令指定都市の中の県議会議員の仕事って一体何なのということが常に、今でも言われている。それをどう整理するかというのが大きな残された課題だと思います。具体的にはこれから検討ということになろうかと思いますが、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

 大臣も御存じですけれども、近畿では、二千二百万人の人口の中の半分以上が政令市か、それから中核市か特例市なんです。ですから、これを本当に整理しないと、本当の意味の地方自治の進展はないと私は思っておりますが、大臣の認識と今後の考え方をお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 いわゆる大都市問題、政令市、中核市、特例市、今お述べになりましたけれども、過去のいろいろな経緯の中で、そういう市の位置づけをつくり、そして権限を付与していくという歴史的な経過をたどってきたんですが、今日に至ってみると、重複しているのではないか、あるいは、大都市ということになってかえって行政サービスが低下しているのではないか、いろいろな部分と同時に、府県と都市との間の分担等々が非常に曖昧になってきているということ等のいわゆる大都市問題が大きな国民的課題であることは事実だというふうに私も思っております。

 そういう意味で、地方制度調査会におきましては、今回の地方自治法の改正の次に今御審議いただいているのは大都市問題についてでございまして、いわゆる大阪都構想ということがいろいろ議論された中で、いわゆる特別区をつくるということの御議論が、この後、議員立法でいろいろ御議論されるというのは承知をしておりますが、これはある種、手続法であります。委員御指摘のように、都道府県と特別区、あるいは政令市も含めて、事務区分の役割分担をどうするのか、税源配分をどうするのか、それから財政調整をどう行うのか、個別の都あるいは特別区をつくった場合でも、特例の取り扱い等が、この課題はこれからの課題でありまして、まだ全く手続法では、それは踏み込んでおりません。

 そういう意味では、実はこれは政令市も含めた部分全部にかかわる問題であります。政令市の部分でも、教員の人事権と財源の問題がいつも問題になります。我々としては、当事者で移譲の部分はよく話し合ってくださいと言うんですけれども、それはなかなかそう簡単にいかないという部分があります。

 これは、これからの地方行政のあり方の根幹にかかわる問題でありますので、我々としては、今の段階では、地方制度調査会でしっかり御議論をいただく中で論点の整理は大体ついてきましたので、これからの大きな課題として取り組んでまいりたいと思います。また、これはこの委員会を含めた幅広い御議論もしっかりと伺わせていただきたいというふうに思っております。

谷委員 本当に、これはしっかり議論も前に進めなきゃならないと思います。

 大阪都構想、橋下知事が、大阪都構想が浮上してからこれだけ一気に進んだというのは、政治的ないろいろな関連もあるでしょうけれども、結局、今の制度は制度疲労を起こしているということですわ。そういうことを多くの、特に大阪の関係の方々は、住民の方々は思っているんです。ですから、一気に広がった。それは大阪だけではありませんので、ぜひ、我々もしっかり取り組まなきゃなりませんが、政府においてもその取り組みをお願いしたいと思います。

 さて、最後に震災関連死、きょうは復興庁の岡本統括官も来ておられます。

 災害関連死、震災関連死というのは、当日亡くなるのではなくて、震災が原因でストレスとかいろいろな症状で、関連している死亡だということで、第三者機関が認定されて災害弔慰金なども出るという、十七年前、阪神・淡路大震災以降、そういう定義づけというのがなされたかと思います。

 十七年前は九百二十人ぐらいであったかと思います。当日亡くなられたのは五千五百人、震災関連死で亡くなられた方が九百二十人、合わせて六千四百人余りというのが今の政府の阪神・淡路大震災の犠牲者の数であります。

 この問題を私は、特に震災復興特別委員会を中心に何度も実態把握ということを要求し、資料の四枚目にありますように、四月二十七日に一千六百十八人と政府は発表されました。そして、その一月後の五月十三日、数の訂正が若干あり、現在は一千六百三十二人となっております。

 きょうは詳しくお話はできませんが、実は福島県の双葉郡、八つの町村で、現在、政府の発表であれば、三百三十三人が震災関連死というふうに発表されています。しかし、当日、津波、地震で亡くなった方は二百五十四人です。驚くべきことです。当日助かった命が、当日亡くなった方以上に亡くなっている。しかも、特に福島の場合は今でもそれが続いているということであります。

 政府の方でもいろいろ分析をされて、大部分が六十六歳以上だ、九割がそうだ、八割は三カ月以内に亡くなっているという分析をされております。しかし、現在発表されている一千六百三十二人は、どうもその後、いろいろ報道によりますと、まだまだふえそうだ、少なくても四百人近くはまだふえそうだ。つまり、震災関連死だけで二千人を超えるという驚くべき事態になっております。

 繰り返すようですけれども、せっかく助かった命が、またなくしていく、失っていく。みずから命を絶たれた方も、この関連死の中には含まれているかと思うんです。こういうような事態を、いろいろ政府の方でも検討会を設けられておりますけれども、どう生かしていくおつもりなのか。岡本統括官にお尋ねします。

岡本政府参考人 災害関連死につきましては、今、谷議員御指摘のとおりでございます。

 早い段階から議員の御指摘がございまして、私どもも事の重大性に気がついておりましたので、全国の市区町村の協力を得て、一年後の数字を把握したところでございます。数字につきましては、現在、先ほど議員の御指摘のとおりでございます。

 今、具体の事例につきまして、専門家の意見も聞きながら分析をしておるところでございます。

 簡単に申し上げますと、特徴的な例は、震災直後、病院の機能が喪失したことによって十分な治療を受けられずにお亡くなりになられた方。それから、今回の特徴でございますが、原発災害から避難する際に、十分な介護というんでしょうか手当てがなく長距離の移送をされたことによるストレスあるいはお疲れで亡くなられた方。そして、三番目の典型的な例が、長期化いたします仮設住宅等でのストレスあるいはお疲れによって亡くなられた方でございます。千六百名というたくさんの方でございますので、非常に重大な事態と感じております。

 この後、まず、先ほども申し上げました三つのパターンのうちの一と二は、直後の事態でございますので、分析をした上で、次回の災害、あっては困りますけれども、それに備えたいと思っております。三番目のパターンは、まだ避難が長期化すると想定されますので、専門家の意見も聞きながら、どのような有効な対処の手があるか、現在検討しておるところでございます。

谷委員 この震災関連死で、福島県が一番多いんですね、県別に見ると。やはり、あの事故の後、病院からすぐに避難できなかった、避難した場所がまた病院でなかった、一旦避難したけれども、また場所を変わらなきゃならなかったということかと思います。

 今、岡本統括官のお話のように、これはまだ終わっていないと思います。一千六百三十二人も、ことしの三月末時点の数字でしょう。その後の新聞報道によれば、四百人近い数字も出ている。なおかつ、現在も進行中だ。そういうことをしっかり受けとめて、これ以上犠牲者をふやさないように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、一つお尋ねします。

 そうすると、原子力事故でこういう震災関連死、関連死といっても、結局は震災で亡くなった方ですよ。これは東京電力に賠償請求を、国の方でも要求すべきではないか。つまり、国の方は、亡くなられた方が主たる生計の方であれば、五百万出ますわね。うち、国が半分、都道府県が四分の一、市町村が四分の一。その払った金は、東京電力が原因なんだから、求償すべきと私は思います。

 そういう検討をぜひ政府内部で進めていただくようにお願いしたいんですけれども、最後に御答弁をお願いします。

岡本政府参考人 災害弔慰金制度自体は厚生労働省の所管でございますが、法律は自然災害を対象としておりました。

 今回の大震災の場合は、お亡くなりになられた方々が、自然災害なのか、あるいは事故による死亡なのかがその場では峻別できませんでしたので、厚生労働省としては区別することなく災害弔慰金の対象にされたと伺っております。

 原発事故起因によって亡くなられました場合には、損害賠償という直接的な法律関係が生じると存じますが、この災害弔慰金というものがお見舞金的な性格でございますので、その財源について東京電力に求償するかどうか、これにつきましては厚生労働省と一緒に検討してまいりたいと思います。

谷委員 ぜひ検討していただきたいと思います。災害弔慰金の性格がどうであれ、これは税金なんです。要は、そういう弔慰金を払うことは当然ですけれども、それを東京電力に求償しないというのはいかがなものかなと私は思いますので、ぜひ早急にその辺を詰めていただいて、前に進むようにお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

武正委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 それでは、地方自治法の一部を改正する法律案について、数点質問をさせていただきます。

 私の前に質問された方々と一部重複しておりますので、通告にあります再議制度についてはカットをさせていただきます。また、質問時間も限られておりますので、簡潔な御答弁をお願いし、できるだけ数多く質問させていただきたいと思います。

 それでは、地方議会の通年化についてお伺いをいたします。

 これは改正法案を見ますと、地方公共団体は、条例により議会の会期を、定例会、臨時会の区分を設けずに通年会期方式を選択できる、こうなっているわけでありますけれども、これは現行法でも通年議会を開催することは可能でありまして、実際に平成二十四年度から栃木県と長崎県が条例で通年会期方式を導入しております。市町村レベルでも既に通年会期方式を導入している団体がありまして、現行法でも通年会期が可能であるにもかかわらず、あえて通年会期方式を制度化する理由について、まずお伺いします。

川端国務大臣 御指摘のとおり、県において二カ所、それから市町村では十八団体が、現在通年で開催していることがあることは承知をいたしております。

 今回法改正をするというのは、真正面からこの部分を取り上げようと。それぞれの判断でやっていただいていることの中で、やはり通年においてのメリットもあります、しかし懸念される心配もあります。

 そういう意味で、メリットとしては、定例日を定めて、一年間を通じて、住民にこういう時期に議会が開かれるという予見可能性のある議会運営が行われていくことで、幅広い人たちが、例えば傍聴にしてもそうですし、議員においても、そういう予見性があるという部分での、仕事と兼職している方もおられるということで、議会運営が開かれるということでありますし、一回一回招集する必要はないという利便もありますが、一方で、やはり定例日を決めても、長及び理事者側が非常に、一年じゅう拘束されるのかというふうなことの懸念も現にありますので、それを真正面から位置づけることによって、心配されることも制度上しっかりと手当てをすることによって、メリットが生かせるような形にしたい、こういう思いで取り組ませていただきました。

伊東委員 通年会期制度では、従来の年四回行われておりました集中審議方式から分散審議方式へと移行することになります。これによりまして、議会側と執行側の双方の機能と効率性が、デメリットの部分として考えられる、いわゆる機能が低下するのではないか、あるいは議会経費の増大が懸念されるのではないか。

 既に議会の通年化を図っている市町村議会において、通年化の前後において効率性あるいは経済性はどのように変化をしたのか、検証されたのか、お伺いをいたします。

稲見大臣政務官 既に通年会期を選択した場合のコストがどう変化をしたのかというお問い合わせでございます。それぞれに、会議の開催日数が増加をすれば、それに伴う費用弁償や議会事務局の業務量は増加をする、こういうふうに見込まれております。

 これまでどうだったのかということでいいますと、北海道の福島町では、通年会期選択前、平成十九年度に六千百万円のものが平成二十二年度には六千四百万円というふうに増加をいたしております。一方で、宮城県の蔵王町の場合には、平成二十年度に一億四百万円であったものが二十一年度には一億二百万円というふうに、少しだけでありますが減少をしております。

 そういうことからいいますと、議会費が極端に増加するようなケースは生じないのではないかというふうに思われます。

 また、それぞれ、実施をするに際して、会議開催や費用弁償のあり方等を検討して、コスト抑制の努力を行っている例もございます。例えば、栃木県議会の場合は、午前、午後開催してきた委員会を終日開催するということで日数を抑制するとか、あるいは、長崎県議会の場合は、公務諸費についてこれを出席一日につき五千円から三千円に見直すとか、あるいは遠隔地から県庁においでになる議員の宿泊について実費支給を下げたとか、こういうふうな努力がされております。

 議会審議の活性化と行政改革の観点を総合的に勘案して、適切に判断をされるべきものではないかというふうに考えております。

伊東委員 私も、議会関係者にいろいろ話を聞いてみました。私自身も、議会も行政もちょっと経験しているものでありますから、想像できるのでありますが、年に四回の定例議会ということになりますと、役所の方も、執行者側も、あるいは職員も、年間スケジュールというのは大体頭の中に入るわけであります。通年議会になりますと、今度いつこれが四六時中呼び出されるかわからない、あるいは、その都合によって自分たちの、いわゆる行政側の仕事が本当にスムーズにいくんだろうかという心配を随分されておりました。

 また一方、通年会期制度が選択された場合、その自治体の長と対立する議員が、通年会期制度をいわば悪用して、議会の監視機能のさらなる充実強化といった名目のもとに、議会運営や行政執行を混乱させるような悪質な妨害行為が起こり得ることも十分考えられる。また、一部自治体では類似したような話が散見されるわけであります。

 こうした、いわゆる通年議会の開催に何とか持ち込んで議会の存在感を高めたいという、まあ、わからないわけではないんですけれども、それと同時に、それによって執行者側をおどすようなことも十分あり得るとすれば、こうした妨害行為を未然に防ぐ手だてというものを考えなければならないのではないか、こう思います。

 通年会期制度を選択した議会、議長に対して、執行機関の事務に支障が生じないように配慮することを義務づけるような、そういう必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてどうお考えか、お聞きします。

川端国務大臣 基本的には、通年議会にするときには定例日を定めるということであります。例えば予算と関連する条例の部分には一定期間が集中して必要でありますが、それ以外は、例えば月に一回この日にやるというふうに、事前に全部配置するということがベースということを想定しておりまして、いつでも急に出てこいということにならないようにということは、制度的にはそういうふうに考えておるんですけれども、議会の活性化といわゆる長の側の円滑な行政の執行というものとは適正にバランスがとれなければいけないということは御指摘のとおりでありまして、円滑な執行が妨げられるようなことがあってはならないということは必要だというふうに思っております。

 そのために、改正案の第百二条の二第七項において、長は、議長に対し、会議に付議すべき事件を示して定例日以外の日において会議を開くことを請求できることとし、この場合には、議長は会議を開かなければならない旨を規定している。これは、やってほしいのに全然やらないということで妨害されたときには、長は求めて、それは求められたらやらなければならないということが一つであります。

 一方、のべつに出てこい出てこいと言われたらまたこれは何の仕事にもならないということにおいては、先ほども御議論がありましたけれども、長等の議場への出席義務については、長等の円滑な職務執行に配慮し、正当な理由がある場合において、その旨を議長に届ければ出席義務が解除される旨の改正規定を盛り込みました。要するに、届ければ行かなくていいということであり、正当な理由ということであります。

 このようにして、議会の審議の充実、活性化と長等による円滑な事務執行とのバランスが図れるように配慮をしているところでありますので、この地方自治法のルールにのっとって、良識ある議会運営がされることを期待しているところでございます。

伊東委員 性善説に基づけば、場合によってはこれは非常に有効なことになろうかと思いますけれども、一部不心得な議員がいるということから、こうした心配が一部なされているのも事実でございました。

 通年会期制度を選択しない町村の議会の場合、この改正案では、議会側から臨時会の招集が請求されたにもかかわらず首長がこの招集義務を果たさない場合に、議長に招集権を付与する内容となっております。

 まず、現行法制下で、議長の臨時会招集請求権の運用状況について、どのように調査分析し、どのように評価した結果、今回の法改正を行う必要があるとの結論に至ったのか、この点についてお伺いします。

稲見大臣政務官 御案内のように、平成十八年の改正で、議長への臨時会の招集請求権の付与をしております。

 その後でございますが、都道府県議会におきましては、平成二十三年一年間におきまして、議長による臨時会の招集請求は延べ三件になっております。市議会におきましては、その一年前でありますが、平成二十二年一年間におきまして、議長による臨時会の招集請求は延べ六十六件となっております。町村議会につきましては、平成二十二年七月から平成二十三年六月までの一年間におきまして、同じく延べ八十五件となっております。この平成十八年の改正が定着をしてきておる、こういうふうにも考えております。

伊東委員 議会による招集、これはもちろん必要に応じてあろうか、こういうふうに思うわけでありますけれども、先ほども谷委員からちょっと話が出ましたが、鹿児島県の阿久根市議会のように、市長がたび重なる専決処分を行い混乱が生じた事例はあるものの、このような極端な、極めて特異な事例を踏まえた法改正ではないか、こう言われるわけでありますけれども、これについて、妥当性というか、この極めて特殊な例をちょっと頭に浮かべながら法改正をしたとしたら、いささか極端ではないかという話もありますが、この点、いかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 議長等の招集請求に対して、長と議会が対立している場合に長が議会を招集しないという状況は、例外的ではありますが、起こり得るし、起こったことであります。阿久根市に限らず、千葉県の本埜村においても同様の事態が生じたことがございます。

 こうした場合にも議長等の招集請求権の実効性を法的に担保するために、一般的な制度として法制化を今回行おうとすることでありまして、数が多くないとはいえ、議会が開かれないということ自体は、地方自治体の民主的運営の見地からしてゆゆしきことでありますので、こうした事態を未然に防止することは地方自治制度上不可欠であると考えて、今回の法案を用意させていただいたところでございます。

伊東委員 先ほどお話にも出ました、長等の議場への出席義務の解除規定等々があります。改正案では、長等の執務に配慮する観点から、正当な理由がある場合において、出席すべき日時に議場に出席できない旨を議長に届け出た場合、議場への出席義務を解除することとしております。

 議会が通年開かれた場合には、このような長等の執務環境への配慮が必要であることは私どもも理解できるわけでありますが、議場出席義務の解除規定が通年会期制を選択しない議会にも適用されることになっております。どうして従来どおり定例会、臨時会で審議する議会にも解除規定を適用させることとしたのか、その理由についてお伺いをいたします。

川端国務大臣 通年会期を選択した場合における長等の議場への出席義務については、先ほどのいろいろな懸念の中で、地方制度調査会の意見において、「長の円滑な職務遂行に配慮し、一定の手続を経た場合にも長等の出席義務を免除することができるようにすべきである。」とされたことを受けて改正案の立案を行ったところでございます。

 現行の定例会、臨時会の場合においても、会期を長期に設定することで、通年会期を採用した場合と同様、いつでも会議を開き得る状況とすることは可能であること。また、仮に通年会期のみ手当てした場合には、現行制度上、出席しないことについて正当な理由が生じたとしても出席義務は解除されないとの反対解釈が生じ得る。要するに、こういう手続は認められないということは、正当な理由があっても出なければならないという解釈が成り立つということが法制上考えられます。

 こういうふうな理由から、現行の定例会、臨時会を選択する団体においても、長等が議場に出席できない正当な理由を届けた場合には、長等の出席義務を解除することができるというふうにさせていただいたところでございます。

伊東委員 これは先ほど橘委員からもお聞きしたと思いますが、長等が議場に出席することができない正当な理由について、具体的にどのような場合を想定しているのか、その妥当性を誰が判断することになるのか、お伺いします。また、長と議長の判断が分かれた場合、これはどうなるのかな。議長は届け出を拒否することができるのかという点について、見解をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 長等の議場への出席義務については、地方制度調査会の意見においても、「長の円滑な職務遂行に配慮し、一定の手続を経た場合にも長等の出席義務を免除することができるようにすべきである。」とされたことを踏まえて、改正規定を盛り込みました。

 したがいまして、正当な理由があるかどうかは、一義的には出席義務が課せられている長等の側において判断されるべきもの、要するに、長が正当な理由であるということで議長に届け出た場合には出席義務が解除されるということで、議長が判断するものではありません。届け出で終わる。

 そして、その正当な理由ということは、一般的には、災害による交通遮断や災害への現地対応、その団体にとって重要な影響のある公務出張、重い疾病や傷害、出産などが該当するというふうに考えておりますので、このものを、どういうことで正当だということを考えて届け出た時点でその効力は発生するということでございます。

伊東委員 それでは次に、専決処分についてちょっとお伺いします。

 私も経験がありますけれども、例えば、災害が発生した場合の復旧対策事業の執行に必要な予算措置について、地方公共団体の長の専決処分によりこれを行うことが可能となっております。特段の緊急を要するために議会を招集する時間的余裕がないケースは、災害対策以外にもたくさんありますけれども、一年三百六十五日、これは、日曜、祭日は別といたしまして、開催されている通年会期制の制度のもとでは、長による専決処分をすることができなくなるのではないかと一部考えられております。

 法改正後の専決処分の取り扱いについてお聞きをしたいと思います。

川端国務大臣 これまで長による専決処分に対しては、議会が不承認とした場合であっても、長には何らこれに対応した措置を行う義務は生じなかったということでございます。

 今回の改正案では、条例、予算の議決が議会の最も基本的な権限であることから、条例、予算に関する専決処分を議会が不承認とした場合には、長に、必要と認める措置を講じ、議会に報告する義務を課すことといたしました。今回の改正によっても、不承認とされた専決処分の効力には影響を与えないということであります。必要と認める措置を議会に報告する義務を課したということでございます。したがって、長の講じた措置について、議会が不十分と考える場合にも、専決処分は引き続き有効であるが、長の報告を受けた上で、長に対する質問等を通じて再考を促すこと等が考えられます。

 長が専決処分を行うに当たっては、議会から承認が得られるよう事前に十分に説明を行うとともに、不承認とされたときは、必要と認める措置について議会とあらかじめ調整することも考えられるところでございます。専決処分というのをどうしても行わなければいけないことは当然ありますが、そのときにも、議会の理解や承認というものが得られるように最大努力をしてほしいという趣旨を踏まえてのことでございます。

伊東委員 条文を読むのはいいんですけれども、今大臣お話しの、必要と認める措置の内容について、例えば、長が専決処分を行った事情をしっかりと説明することにとどめ、その他に何ら具体的な措置を講じない場合であっても、長はこれを必要と認める措置を講じたものということになるのかどうか。また、長が講じた措置を議会が不十分と判断した場合には、議会はいかなる措置をとり得るのか。この点、お伺いをいたします。

川端国務大臣 専決処分が不承認とされた際は、必要な措置を講じ、議会に報告しなければならないとされております。

 ただし、必要と認める措置の具体的な内容については、長の裁量に委ねられておりますことから、議会が議決すべき事件を議決しないときに専決処分をせざるを得なかった場合など、専決処分が必要となった理由も踏まえた上で、長が議会に対して説明責任を果たすことを含め、長が適切と判断する措置を講ずることで足るものであるということであります。

 これは、そういうことをして、先ほど申し上げましたように、理解をしっかり求めてください、信頼に基づいたそういう関係を築いてくださいということの趣旨でございますので、長が専決処分を行った部分に関しての効力に影響を与えるものではございません。

伊東委員 それぞれの議会の中で、これは最終的には解決をしなければならないということに相なるわけであります。

 議会が議決すべき事件を議決しないとき長は専決処分を行うわけでありますが、これは逆に、議会が本来果たすべき役割を放棄したような結果でありまして、このような場合において、議会が長の専決処分を不承認とし、かつ長に必要と認める措置を講ずる義務を課せば、わかりますか、議会が長の専決処分を不承認とし、議会がサボってですよ、そして、かつ長に必要と認める措置を講ずる義務を課せば、これはいたずらに行政運営に支障をもたらすだけであります。

 先ほどの例とこれはちょっと逆な例でありまして、議会が議決すべき事件を議決しないとき、長は専決処分を行うわけであります。この議会が本来果たすべき役割を放棄した、こういったとき、これはいたずらに行政運営に大きな支障が生ずるわけであります。この点についてどのような見解をお持ちか、お伺いします。

川端国務大臣 そういう場合は、専決処分が必要となった理由というのが当然理事者側にはあるわけですから、長の側にはあるわけですから、そのことを踏まえて、長が議会に対して、こういう理由でしたということを説明するということで足りるということでございます。

伊東委員 ちょっと今、違う観点ではないかと。議会がサボって、議決すべき事件を議会が議決しないとき、長は専決処分を行うんです。それについて、議会がその専決処分を不承認とするような場合、あるいは必要と認める措置を講ずる義務を長が果たしているにもかかわらず、議会がこれを邪魔するようなこともこれは逆にあり得るという話をしておりまして、これについても最終的にはその議会の中でのことであろうと思いますけれども、一方で、いわゆるその法的な根拠を、論拠を与えてしまい過ぎれば、これは、やはりちょっとおかしなことになるのではないかなという気が私はしてなりません。

 まだちょっとありますので先に進ませていただきますけれども、直接請求制度についてお伺いします。

 これは、そもそも、解散、解職の請求が頻繁に行われることは地方自治の望ましい姿ではありません。例えば、脱原発の是非、瓦れきの受け入れの是非、あるいは県税、TPPの是非など、単一の政策課題が政争の具として用いられ、地方公共団体の多様な政策課題への配慮がなされない形で解散、解職の請求がなされるようなことがあってはならない、こう思うわけであります。この点につきまして、大臣の御見解をお伺いいたします。政務官でもどうぞ。

稲見大臣政務官 住民自治の充実強化をしていくためには、代表民主制を補完する制度の一つである直接請求制度をより充実させ、住民の意見がより反映しやすくすることも必要、こういうふうに考えております。

 これまで、解散、解職請求の必要な法定署名数については、平成十四年以降、有権者数四十万人超の地方公共団体につきましては、四十万人を超える数については六分の一、こういうふうにしてまいりました。

 今、冒頭申し上げたような経過もございまして、八十万以上につきましては八分の一、こういうふうに緩和をして、こういう直接請求制度についても、より利用されやすい、こういうことを目指したわけでございます。

伊東委員 もう時間ということでありますので、最後の質問にさせていただきますけれども、この解職請求制度についてでありますが、地方六団体からは、この解散、解職の請求に必要な署名収集期間の延長には賛成をするものの、署名数要件の緩和については慎重に対応すべきであるとの見解が示されております。この中で法改正を急ぐ理由は何か、お伺いしたいと思います。

 また、今回は署名収集期間の延長にとどめておき、その実施状況を踏まえて署名必要数の緩和について判断をしてもよかったのではないか、こう思うわけであります。解散、解職の請求に必要な署名数を変更したその根拠についてお伺いすると同時に、この必要な署名数について、人口規模で差をつける理由についてお伺いします。本来、必要署名数は、解散、解職請求という事柄の重さから決まるものではない、このように思うものであります。

稲見大臣政務官 先ほど申し上げましたように、大きな都市になりますと、なかなか四十分の一というのが集まりにくいというふうな状況があります。そこで、特に指定都市、百万人以上のところで考えてみますときに、例えば、東京都において直接請求で有効署名数の割合が高かった事例、これが一五・四%というふうなこれまでの経過がございます。また逆に、最近の都道府県・指定都市の首長選挙で得票率が少なかった事例、最低が一三・一%、こういうようなこともございます。

 こういう大都市の近々の状況等を含めまして、八十万人を超えるところについては八分の一、こういうふうにさせていただいてきたところであります。これも戦後のさまざまな自治法改正の中で積み重ねてきた議論でありますので、今回はそういう取り扱いにさせていただきました。

伊東委員 これで終わりますけれども、最後に、解散、解職請求、必要な署名数について、やはり異論のあるところもありますので、人口が多い大都市だから署名が少なくてもいいなどということに本当になるのかどうか、いま一度私どもも考えてみなければならないというふうに思います。地方自治体からも議会からもそのような声が出ているとしたら、もう少し慎重にこれを取り扱うべきではないか、こう申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

武正委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 引き続き、地方自治法の改正について質問をさせていただきます。

 今回の改正点は、今三人の質問者が自民党から質問されましたけれども、その方の経歴とか立ち位置によって、地方議会を見る目というのが大きく変わってまいります。最初に質問されました橘先生は、中央官庁の役人から首長をされました。ですから、執行機関として議会をずっと見てこられました。谷先生も、地方の、県庁の幹部としてずっと長年お務めになって、そして地方議会を執行の立場から見てこられました。それで、伊東先生の場合には、道議会議員もやられて、そして首長もやられたということで、両方の視点からいろいろな御意見もあったと思います。

 私は首長をやっておりません。地元で、議会あるいは行政、そういったものを十五年間にわたって記者として取材をしながら、そして県議として四期務めさせていただきましたので、議会の視点しか今持っておりません。ですから、今質問された三人に比べますと、地方議員的体質を一番持ったままここに立っておりますので、そういう視点からの質問になるかとは思います。

 そういう視点がいろいろ多様であるというのも、やはり、地方議会というよりも、地方議員の位置づけが法的に非常に不明確であるというところから全てが発しているんだろうというふうに思います。

 法的に地方議会あるいは議員に対して記述されておりますのは、地方自治法の二百三条だけでございます。この中で、議員に対し、報酬、費用弁償及び期末手当を支給できる、この一文だけが地方議員に対するいわゆる位置づけになっております。ですから、議会活動に対して報酬を、あるいは費用弁償を支払うことはできますよというだけであります。地方議員が、果たしてどういう職務、職責があるのか、やはりどういう責任を持ってそこに働いているのか、そして、そのことから、なぜ報酬が支払われるのか、あるいは費用弁償が支払われるのか、こういったお互いの因果関係といいますか、お互いの役割、これも全く明記されていない。こういう非常に曖昧な中で地方議員の活動があり、そして地方議会というのが存在している。そして、その法的裏づけのないままに、あるときは非常に強大な権限を持ってくる、あるときは執行部を補佐する機関になってくる、あるときは、首長さんがよく言われるように、執行機関と議会は車の両輪であるというようなことになる。存在そのものが非常に曖昧であります。

 憲法を見ましても、国会につきましては、憲法四十一条から六十四条まで、議会議員、あるいは衆議院、参議院の役割から歳費の問題も含めて、全て記述をされておりますが、地方自治については、憲法では九十二条から九十五条のわずかこれだけでありまして、その中で特に議会について書かれておりますのは、九十三条の「議事機関として議会を設置する。」ということであります。やはり非常に不思議な仕組みであります。そういう中でやはり地方自治がこれまで進んできたということに、今回の地方自治改正の、あるいは地方制度調査会等での多様な意見、こういったものがあると思います。

 しかし一方で、一番身近な住民から支持をされ、選挙によって選ばれてきたということもまた事実でありますので、それをどう受けとめるか、そして、そのことを法の中にどう反映させるのかというのは、これからやはり一つ一つ積み上げていかなければいけない問題ではないだろうかと思いますが、その辺の議員の位置づけ、あるいは議会というもののあり方に対する法の不明確さ、こういったものに対して、大臣、どういうふうにお考えになりますか。

川端国務大臣 委員から、この質問に際してこういう論点を、事前に論点としてお聞かせいただいて、今るるおっしゃいましたように、私も改めて整理整頓して考えてみると、委員御指摘のとおり、きちっとはない、法的にはないということは現実であります。

 そして、いわゆる二元代表制という意味で、住民の直接の選挙によって選ばれた人が議会を構成して、その議会においてその団体の意思を決定するという決定機関、権限と同時に、二元代表制の一方の行政の長を含めた執行を監視するという議会の役割と責任、権限においてははっきりとしていると思うんですが、それを構成する議員という人がどういうものであるのかということに関しては、やはり論点も含めてきちっと整理をしなければならない課題であるというのは、改めて認識をさせていただきました。

 全国都道府県議会議長会からは、位置づけ、その職責、職務について法律上明らかにすべきという御提言もいただいているところであります。その果たすべき役割に加えて、議員の職責、職務等を法でどういうふうに書くべきか、書かなくていいのかということ、それから、この点が明らかでないことによってどういう問題が生じているのか、あるいは、はっきりさせなければいけないことがあるのかということを含めて、検討すべき課題がたくさんあると思います。

 平成二十年の地方自治法の改正、議員提案においては、議員の活動の範囲についてと議員報酬については自治法の改正でされましたけれども、それも一連の流れの中にあると思いますが、課題としては、身分の問題、あるいは公務という仕事の問題、それから議会以外の活動というふうな大きな三つの部分に関して整理する、議論する必要があるのではないかというふうに私は認識をしておりますし、引き続きこれは大きな検討課題だと思っております。

坂本委員 これからそういうものを検討していかなければいけないと思いますが、やはりなかなか難しい問題もあります。

 国会の場合には、議院内閣制でありますので、これは行政と国会、そして、国会は最高機関であるというようなことが憲法に明記されております。そこからさまざまな役割あるいは責任、そういうものも出てまいりますけれども、今の地方議会においては、やはり執行機関が政府の意を体しての執行をするというような形になっております。

 しかし、議会は国会とはまた別の役割になっておりますので、結局、この辺の大きな仕組みというものを変えていかないならば、地方議会の位置づけというのは最終的にはなかなか難しいのかなと。例えば道州制にする、その道州の中で、一定の州の法律の立法権を認める、あるいはその中で、国会でいうところの議院内閣制に当たるような仕組みにする、そういう大きな仕組みの変化があって、改めて、やはり地方議会あるいはその中での地方議員の位置づけというのが決まってくるというふうに思いますけれども、そういう大きな見地に立った上での大臣としてのお考え方というのはいかがでしょうか。

川端国務大臣 議会も、先ほど私は県議会議長会の要望というか提言をいただいたと申し上げましたけれども、今の仕組みでいえば、県議会、市町村議会それぞれにおいての部分の構成する議員さんの立場によって、またいろいろな、例えば、県議会議員の場合はほぼ専業で、かかり切りで政治活動をしておられる方が多いですけれども、町村議員だと兼職してやっておられる方も結構多いというふうな差もありますけれども、今先生御指摘の部分は、国と地方のあり方を根本的に変えていくという流れがあるならば、当然ながら、それを、新たな地方の権限あるいは組織というものにおいて運営していく議会のあり方と、その権限、責任、そしてその議員、構成するものの職責というものは、当然ながら、大きな整理をしなければならない。

 立法権のお話がありました。よく、このごろ、地域のそういう道州制の議論とかいうことになりますと、徴税権の問題とかも含めてということになると、これは今のものとは全く違う形になりますので、そのときの議員のあり方というのは本当に根本的にやり直す議論をしなければ、そういうことを想定するならば、一緒にそのことをしなければならないと私は思っております。

坂本委員 そのとおりだと思います。ですから、地方自治法の改正、こういうことを行っておりますが、やはりこれは一種の対症療法であることもまた事実であると思います。

 また一方で、都道府県議会の方から、例えば、国会議員の場合には歳費というふうに呼んで、地方議会の場合には報酬という呼び方をする。歳費は月々の給与を意味しますけれども、報酬の場合には一定の役務に対するサービスということで、これはやはり、地方議会議員としての役割がない中で、働かないなら働かないでいいんだ、しかし働いた分だけは報酬を上げますよというような位置づけですので、こういうのも非常に、ではそのまま、法の裏づけがないまま歳費として、果たしてそれがいいのかどうかというような根本的な問題にもなってまいります。

 それと、やはり大臣が言われましたように、大きな枠組みの中で考えるのであれば、市町村行政のあり方も考えていかなければなりません。

 今、民主党さんが地域主権ということを言われる中で、市町村へ権限を移譲するんだ、そして地域の裁量権を大きくするんだというような考え方では、やはり最終的にはこの大きな枠組みを変えるには至らない。議会という視点から考えるにしても、それから執行機関という視点から考えるにしても、やはり最終的には、地域主権というような言葉で、市町村への単なる権限移譲ということではなくて、私は、もっと大きな日本の行政あるいは議会の枠組みの改善、改革、こういったものから進んでいかなければいけないというふうに思っているところでありますので、これからのさらなる論議をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 先ほどから出ております専決処分の問題であります。

 この専決処分の問題は、執行に遅滞を来さないということで首長が持つ権限であります。災害時、あるいはさまざまな人事につきましてもそうであると思いますし、しかし、これはひとえに、やはり年四回の議会があると、その間に起きたことに対してはどうするのかというようなことで、専決処分の権限が与えられているという面もあると思います。

 今回、通年議会ということが法的に記載されるとするならば、やはりそれに見合った専決処分の制度でなければならないと思います。

 今回は、副村長あるいは副市長あるいは副知事、こういった補佐的な人への専決処分は除外するということになっておりますが、私の立場からいえば、これは先ほど谷委員からも言われましたけれども、やはり人事に関すること、教育長あるいは収用委員あるいは監査委員、県においてはさまざまな人事があります。こういったものについてもやはり専決処分の権限の一定の除外をして、そして、通年議会であるならば、執行に著しく妨げになるという場合は別ですけれども、少なくとも法制上は、こういう除外規定というのはもっと広げるべきではないだろうかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

稲見大臣政務官 阿久根の場合は、ずっと意図的に議会が開かれない、議決すべき予算などについても諮られない、こういうふうなことで続いてまいりました。そういう中で、今回は、人事ということにいたしましても、副知事、副市町村長などについて専決処分対象から除外をしたということであります。

 御指摘のように、先ほどございました各種の委員会、これは、先ほど申し上げましたように必置の問題がありますし、そこでは、裁定的な権限を有する委員会の場合は、住民等の、住民サービス、権利保護、こういう形で非常に支障を来すということもありまして、阿久根の例を出すのはどうかと思いますが、市長と一緒に政治的に振る舞う、そういう副市長等については専決処分を外し、しかし、もとより法律によって公正中立に運営をすべきそういう独立した委員会についてはそこからは外してきた、こういうふうなことであります。

坂本委員 そこが一番難しいところで、公正中立な、そして重要な役割を果たすからこそ、本来の法的な形でいうならば、やはり議会にかけて、そして議会の同意を得る、これが一番大事であって、そのことをやはり法律に明記しなければ、本来の地方における民主主義というのは成り立たないというふうに私は思います。

 ですから、この通年議会を機に、首長が持っておられる専決権、こういったものに対して、やはり一定のものを議会に委ねる、こういうことは今後考えていかなければいけない問題であると思いますが、これは大臣、どうお考えですか。

川端国務大臣 冒頭委員が、議員の立場、首長の立場それぞれあるというふうにおっしゃいましたけれども、きょうの議論を聞いていましても、まさに専決処分に関しても、いわゆる理事者側としてやるという立場と、議会としてチェックしてそれをガードするという部分とで、それぞれの部分があります。そして、性善説でなかったらどうするんだというお話もありました。

 そういう意味では、一応、谷先生からは極めて形式的な分類だというふうに言われましたけれども、今、稲見政務官が申し上げましたように、外形的な形の中で、我々としては、理屈が立つ範囲で専決の処分対象を区分けさせていただきました。我々としてはこれが一番理屈に合った、ちょうどバランスのとれた仕組みだというふうに、責任を行使ということでは思っております。ここでのまたいろいろな御議論があるというふうに思いますが、我々としては今そういう立場であります。活発な御議論の中での御提言があれば、またそれは委員の御議論に委ねたいというふうに思っております。

坂本委員 性善説、性悪説というようなことではなくて、やはり法的にしっかりとした法的論拠というのを持っていないからこういうふうになると思うんですね。

 ですから、一番最初に言いましたように、議員の位置づけ、そういったものが二百三条にあるのみで、ほとんどやはり記載されていない、あるいはそれが固まっていない、そこからいろいろな問題が派生をしてくると思いますので、これはひとえに、これからさらに、地方の議会とは何なんだ、あるいは、地方の議員の職責あるいは役割、職務は何なんだ、それに対する報酬や、あるいはそれに対する住民としての監視機能はどうしていったらいいのかというようなことをやはりしっかり考えていくべきであろうというふうに思います。

 こういったものと、今言ってきましたように、議会の権限といいますか、議会の位置づけをもう少し明確にしなければならないという中で、議会、地方の議会の権限が強過ぎるというのが、私自身は百条委員会の問題であると思っております。

 私の選挙区でも、各町村で、町長がかわるたびに百条委が設置されるというようなケースがあります。まさに政治的に利用する、百条調査委をつくって、そして以前の町長の疑惑について議会でさまざまにアピールをする、こういったのが繰り返される町村もあります。それはやはり、この百条調査委そのものが国政調査権と同じような形で付与されている、そういったことからであるだろうというふうに思います。

 この百条調査委、補助権限あるいは監視権限、監視機能あるいは世論喚起、こういったものがあるわけですけれども、国政調査権と決定的に違うのは、やはり調査能力とか調査に至る事前調査の過程とか、こういったものが国政調査権とは決定的に違います。

 そして、先ほどからありますように、国政調査権は全会一致を原則としておりますけれども、百条委の場合には過半数があればそこに百条調査委員会が誕生するというようなことにもなっておりますので、安易にこのことを認めて、百条調査委を設立して、そして政争として使われるというようなケースが、至るところにというか、ほかの県の場合は余り知りませんけれども、少なくとも私のところの選挙区では見られる場合もあるということをまず指摘しておきたいと思います。

 そういう中で、先ほど谷委員からもちょっと言われました、長崎県における百条調査委の問題があります。これは、諫早湾の干拓事業の入植に関して、その入植選定に対して、一定の基準があったにもかかわらず、そこに何らかの政治的配慮が働いて入植した人たちがいるというようなことが議会で取り上げられ、そこから百条調査委が設けられたという事案であります。

 その中で、百条調査委、これまで行ってこられましたけれども、ちょっと異常とも思えるものが、二〇一一年、昨年の九月に長崎県議会でこれが設立をされております。そして、十カ月間で二十四回開催をされております。呼ばれました参考人、証人というのは延べで百十一人であります。その中で議会の招請に応じなかったというのが三十七人いらっしゃいます。そして、その中の何人かは、一人が十二回呼ばれた、あるいは九回呼ばれた、そして同じようなことを聞かれるというような状況にあります。

 私は、やはりこういう調査委のあり方は異常であるというふうに思います。それは、裁判所でもないし、あるいは検察官の取り調べでもないし、あくまでも県民のために、どういうことがあったのかということを証人あるいは参考人を招いて、そのことによって証言をしていただく。もしその証言に虚偽があるならば、それに対しては告発することができるというようなのが百条調査委の本来のあり方ですので、その本来のあり方を通り越して、いかにも司法権限のような形になっていくならば、これはやはり人権の問題にもつながるというふうに思いますが、こういう事例を把握しておられましたか。そして、そのことに対して、どういう認識をお持ちでしょうか。

 これは政務官でも大臣でも結構ですので、お答えいただきたいと思います。

稲見大臣政務官 今、坂本委員からありましたような、開催の回数、あるいはそこに呼び出されました証人の数、延べ人数等々まで私の段階で把握をしておった内容はありません。

 ただ、一般的に、百条調査権の発動や出頭、証言を要請する場合には、調査により得られる公益と出頭、証言を要請される者がこうむる影響を比較考量した上で、公益が上回る場合に行われるべきものでありまして、濫用に当たらないような各議会においての適切な判断が必要だというふうに考えております。

 まだまだ、総務省として、実態調査、調査項目を含めて不十分な点がありますれば、今後、委員の御指摘も踏まえて、調査項目を追加することを含め、より詳細な実態の把握を検討してまいりたいと思います。

坂本委員 これはマスコミ等にも掲載されましたので、私もどういう調査の内容だったのかというのを議事録を取り寄せてみました。そうしたら、やはり調査とはまたかけ離れたような、そういう発言が目立つんです。果たしてこれがどれだけ調査につながるだろうかというような文言、そういったやりとりがあります。

 例えば、質問する方が、これはあなたは偽証を言っているんですよ。あなたはうそを言っている。さっきの答弁と違うじゃないか。完全に偽証です。百条委員会がなめられてたまったものじゃない。偽証です。これは告発に値する。我々もだてや酔狂でそういうことをやっているんじゃないんだというような発言あたりを見ますと、これは、少なくともそこに調査をしようとか、何らかの証言をその方に求めるというようなものと全く違います。

 そして、それに輪をかけて、委員長というのがいらっしゃるんですけれども、委員長が、今のとおりですよ、ずっと続きますよ。納得ができなければずっと、この委員会という意味でしょうけれども、この委員会が続きますよと、みずからが納得する証言をするまで尋問を延々と続けます。委員長がこういうことを言うんですね。

 ですから、これはやはりどう考えても度を越したものであるというふうに思いますし、大事なのは、こういうことに対してのやはり監視機能、チェック機能、こういったものがどこで働くかということであります。

 果たして、それを行政機関である総務省がチェックして何らかの指導を与えることができるのかどうか、あるいは、もし監視機能、チェック機能をつくるとするならば、どういうようなことが可能なのか、大臣あるいは政務官、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 百条委員会の趣旨と権限というものは、いわゆる議会の権限として、要するに調査をし、いろいろな事実を把握するという、公益のためであるというのは、先生、先ほど御指摘のとおりであります。

 それが、その運用において適正であるのか濫用で行き過ぎているのかということを、今ダイレクトにチェックしたり、そこに物申したりということの仕組みは制度的にはございません。それで、本来的には、そういう基本的に法律で定められた条項に、百条委員会という制度に基づいてやることは、自律的、自主的なものであって、それを濫用することは、大きく言えば、そういう議会運営をしていることが、もし有権者の人たちに理解を得られないならば、その責めは批判として浴びるものになるんだというふうに、制度としてはそういうものであって、強制的に今されていることでないというのが今の仕組みだというふうに思います。

 そして、総務省の立場でいえば、これはいかがなものかというふうなことを個々の案件について今するという立場ではありませんが、制度的にどういうふうにすればそれが円滑に運営できる、本来の使命を果たすことの節度を持って、濫用に当たらないかという仕組みに関しては、今のところ、我々の法律の改正案を含めては手当てをしておりませんが、いろいろな議論の中で、御指摘がある、検討すべき大きな課題の一つであることは、実態を踏まえての議論があることは私も認識をしているところでございます。

坂本委員 濫用あるいは人権、そういった数々の問題が起きがちでありますが、一つの自治体の中に入っていると、それがなかなか、その自治体の人たちには、あるいは議員の人たちには判断できない、わからないというようなこともあります。ですから、これはどういう形で正常な百条調査委に持っていくような形にするか、これから大きな課題であると思います。

 これもそれも、先ほど言いましたように、二百三条の中で、議員の報酬のことだけしか決められていない、議会の責務あるいは役割、職務、そういったものが全くない中で、こういう百条調査委の権限だけが与えられるというところにやはり大きな根本的な問題があるのではないかと思いますので、これは、この当委員会としても、今後の健全な地方自治あるいは地方議会のためにも考えていくべき問題であると思っております。

 最後に、先ほどから言われております通年議会につきまして、長の出席が求められる、これは執行に支障を起こさない範囲で、来さない範囲でということで、先ほどから、首長経験者の立場からいえば、そういうことを力説されておりましたけれども、議会の方の立場からいえば、大して大きな問題でもないのに出席を断る、そういったものがまた出てくると思います。

 その判断をどこでどういう形でするのか。議会の立場からすれば、それは首長が来てしっかり説明すべきではないか、そして、この後のことについて、政策のことも含めてやはり説明すべきではないかというようなことに議会の方としては思うのが当然であろうと思います。その判断とか、そういったものをどこでどう決めるかというようなものは、今後どういうふうにしていかれますか。

川端国務大臣 今回の分では、正当な理由ということを付して議長にそれを届け出れば出席義務が解除されるということで、議会のチェック機能は、諾否は問わないという仕組みになっております。

 これは、きょうは本当に大変勉強になりましたが、御議論として、それぞれの立場でもいろいろな部分でもあります。そういうことで、地方制度調査会含めて、地方六団体からそれぞれのお立場でいろいろな意見をいただきました。そういう中で、それぞれ歩み寄る中で、よりよい議会にしようということの中で一定の合意をその団体としてしていただいて出した部分でありますので、今の時点ではこれがぎりぎりの皆さんの合意の点だということでありますし、これから運用していく中で改善すべき点はまたしっかりと検証していくべきものだというふうに思っております。

坂本委員 今後も、国会の役割として、やはりしっかりした法的な枠組みというのを改善しながらつくり上げていく、それがやはり地方議会、地方自治の向上に資するものだということを改めて主張させていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

武正委員長 次に、逢坂誠二君外八名提出、大都市地域における特別区の設置に関する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。逢坂誠二君。

    ―――――――――――――

 大都市地域における特別区の設置に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

逢坂議員 ただいま議題となりました、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、みんなの党、国民新党・無所属会及び改革無所属の会による七会派共同提出の大都市地域における特別区の設置に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び主な内容について御説明申し上げます。

 御承知のとおり、現行地方自治法は、大都市制度に関し、特別区制度や指定都市制度等を定めておりますが、特別区制度は東京都に限られており、指定都市制度につきましては、道府県との二重行政の弊害や住民の声が行政に届きにくい等の指摘もあり、それぞれの地域の実情に応じた大都市制度を構築できるように制度改正を行うことを望む声が寄せられております。

 このような中にあって、今国会において、各会派から、衆参両院に三本の法律案が提出されたところでありますが、これらは、道府県に特別区を設けるための手続規定を整備するという点において共通するものがありましたことから、これらを提出した会派間で一本化に向けた協議が行われ、その結果、共同で本法律案を提出することとなった次第であります。

 次に、その主な内容について申し上げます。

 第一に、この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申し出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とすることとしております。

 第二に、この法律において、特別区の設置に係る関係市町村とは、人口二百万以上の指定都市または一の指定都市及び当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内の一以上の市町村であって、その総人口が二百万以上のものをいい、関係道府県とは、関係市町村を包括する道府県をいうこととするとともに、特別区の設置とは、関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域の全部を分けて定める区域をその区域として、特別区を設けることをいうこととしております。

 第三に、特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、特別区設置協定書の作成その他特別区の設置に関する協議を行う特別区設置協議会を置くものとし、その構成を定めるとともに、特別区設置協定書の内容と作成手続を定めることとしております。

 第四に、関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協定書について、それぞれの議会の承認を求め、その結果を特別区設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならず、特別区設置協議会は、全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から議会が承認した旨の通知を受けたときは、その日を関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣に通知しなければならないこととしております。

 第五に、この通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならないこととしております。

 第六に、関係市町村及び関係道府県は、全ての関係市町村における選挙人の投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、共同して、総務大臣に対し、特別区の設置を申請することができることとし、特別区の設置は、この申請に基づき、総務大臣がこれを定めることができることとしております。

 第七に、一の道府県の区域内の全ての特別区及び当該道府県は、それぞれの議会の議決を経て、共同して、特別区とこれを包括する道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整のあり方に関し、政府に対し意見を申し出ることができることとするとともに、政府は必要があると認めるときは、当該意見の趣旨を尊重し、速やかに必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとしております。

 第八に、特別区を包括する道府県における特別区の設置の特例を定めることとしております。

 第九に、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び主な内容であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

武正委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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