衆議院

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第2号 平成25年10月31日(木曜日)

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平成二十五年十月三十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 東国原英夫君 理事 桝屋 敬悟君

      安藤  裕君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大岡 敏孝君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      瀬戸 隆一君    中村 裕之君

      長坂 康正君    福井  照君

      松本 文明君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      遠藤  敬君    三宅  博君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務副大臣        関口 昌一君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           広畑 義久君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     大岡 敏孝君

  馬場 伸幸君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     末吉 光徳君

  遠藤  敬君     馬場 伸幸君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     安藤  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院からの報告)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事・技師長久保田啓一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、警察庁交通局長倉田潤君、総務省情報流通行政局長福岡徹君、消防庁次長市橋保彦君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君及び国土交通省大臣官房審議官広畑義久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 おはようございます。民主党の奥野総一郎でございます。

 引き続き、この総務委員会に所属をさせていただきますので、皆様、よろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、地方財政でございますけれども、先日の日経新聞に、「地方景気対策「廃止を」」と、交付税の別枠加算を財務省が廃止する、こういう記事が出ておりました。確かに、財政制度等審議会の方でそういう議論が行われているやに聞いております。

 「財政健全化に向けた基本的考え方」、こういう文書を読み上げさせていただきますけれども、「地方財政計画における歳出特別枠や地方交付税の別枠加算は、」これは二十五年度九千九百億円ですね、「リーマン・ショックに伴う著しい景気後退等を受け、実需に基づく積算を伴わない異例の対応として実施されたものである。国の一般会計においては、同じ背景の下で設けられた経済危機対応・地域活性化予備費を平成二十五年度予算で廃止しており、地方財政においても平時の対応に戻すべく、歳出特別枠や別枠加算の解消を図る必要がある。」こう財務省の文書にも書かれておって、これに従って恐らく議論が、これから年末の予算査定に向けて進めていこうというのが、財務省の方向性だろうと思われます。

 ここでまず大臣に伺いたいんですが、この別枠加算あるいは歳出特別枠をやめる理由として書かれている、リーマン・ショックから回復した、リーマン・ショックに伴う異例の措置だという言い方をしている。だから、リーマン・ショックからもう景気が戻ったんだ、こういう認識に立っていると思われるんですが、本当にそうなんでしょうか。

 例えば、厚生労働省の毎月勤労統計というのを見ますと、六月における従業員五人以上の事業所の現金給与総額上昇率というのはわずか〇・六%、これは五人以上ですから相当幅広くとっているんですけれども、そういうところまで入れると、わずか〇・六%しか現金給与総額は上がっていない。それも、ほとんどがボーナスによるものでありまして、七月、八月はしかもマイナスになっているということですね。

 また、日銀短観、この十月に発表されたものについては非常によかったと報道されていますが、中を子細に見ていくと、いいと答えているのはやはり大手の建築業とかそれから大手の輸出業でありまして、地域の中小企業とか運輸業、あるいは大手であってもサービス業なんかはまだまだ景気回復ということについては懐疑的、こういうのも、細かく見ていくと見てとれるわけであります。

 こうした状況の中で、本当に別枠加算あるいは歳出特別枠をカットして大丈夫なのかということを伺いたいと思います。また、これについては、三位一体改革で削られた分を回復させていくという意味合いもあったと思います。その点を含めて、総務大臣として、この財務省の考え方についてどう思われるかということを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、景気の状況についての見解でございますが、マクロ経済としての景気指標が上向いていることは事実であります。GDPの成長、有効求人倍率、それから失業率、それぞれいい方向に数字が動いていることは間違いございません。私どもがやっております経済指標をチェックする会議におきましても、あらゆる指標が上向きになっているということは紛れもない事実であります。

 しかし一方で、地域の、それぞれの御家庭や企業にまでその成長の実感が行き渡っているかというと、これはまだまだ本格的回復には至っていないということでありまして、まず、私どもが行いましたアベノミクス、三本の矢によって初動の効果は上げている、しかし本格的なものにはまだ至っていないという状況があると思います。

 ですから、そういう意味において、しかし、臨時、異常のモードから平時に近づけていくべきである。これは、財政再建という観点からして、方向性を示すのはこれまた一定の方針だ、このようにも理解しておりますが、私どもとすれば、景気の回復が進んでいく中で、本格的な地域経済にまで影響を及ぼすように、そのためには地方財政の支出というのは必要である。ですから、そういったものを加味しながら、バランスをとって、腰折れのないように、そして適切な対策が打てるような、必要十分な予算を確保しつつ進めていこう、このように考えております。

 ですから、財政制度審議会で、平時モードに戻すべし、こういう御議論をいただいていることも承知しておりますが、一方で、私どもとしては、閣議了解を得た中期財政計画の中で、二十五年度の地財計画の水準を下回らないように、平成二十六、二十七年度においてはこの実質的な水準を確保すべし、こういう方向を出させていただいているわけであります。一方は財務大臣のもとでの審議会、一方は閣議了解をした内閣としての了解事項、これを前提にして、さまざまな検討をこれからも進めていきたい、このように考えます。

奥野(総)委員 今の御見解、私も同感でありまして、地域にまではやはり景気回復の波はまだ及んでいないということだろうと思います。ですから、今ここでいきなり歳出特別枠をカットするというのは、私はタイミング的にはどうかと思います。財政再建の必要性というのも私も全く同感でありますけれども、要はタイミングの問題であります。また、もともと交付税については、三位一体改革、評価はいろいろありますが、あそこで交付税額がカットされていますから、それを戻すという意味合いもあったということを少し御配慮いただきたいと思います。

 それを踏まえつつ、中期財政計画におきましても、二十六年度と二十七年度は二十五年度の水準を下回らないと、明確に政府としても了解されているわけでありますから、重ねて伺いますが、この歳出特別枠あるいは別枠加算については、二十六年度、二十七年度については、この閣議決定に基づいてしっかり要求をしていただいて、政府内で措置をしていただけるということを、大臣の決意を述べていただきたいと思います。

新藤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、ここは非常に重要なタイミングだと思います。せっかくいい方向に向かっているわけですから、腰折れのないように、そして、それぞれの地域地域に津々浦々にこの成長の実感が得られるような、そういう政策を機動的に、十分な体制をとって進めていかなくてはなりません。

 総務省としては、これはもう徹底的にここの必要性は追求して、また閣内で発言をしてまいります。

奥野(総)委員 別枠加算と歳出特別枠、これはなくならない、なくさないということでよろしいですね、この二年度については。

新藤国務大臣 これは、既に中期の財政方針が出ております、それにのっとって財務省とさまざまな検討をしていきたいというふうに考えています。

奥野(総)委員 ありがとうございます。

 この話題はここまでにさせていただきますが、次は、交付税に関連してと申しますか、例の給与削減ですね。地方公共団体における給与削減について伺いたいと思います。

 この給与減額の実施状況について伺いたいと思います。

新藤国務大臣 給与減額措置の取り組みにつきましては、最新のデータは十月一日現在であります。

 都道府県及び指定都市においては約九割、それから市区町村においては七割を超える団体が、給与抑制済みもしくは給与減額を施行済みまたは実施予定ということになっておりまして、全体の約四分の三近くの団体が御協力をいただいているということでございます。

 一方で、検討中または今後の検討の団体が一割、それから、実施予定なしという団体が一割強という状況でございます。

奥野(総)委員 四分の一近くの団体が引き下げを行っていない、現時点で行っていないということだと思います。

 私の地元に四街道市というのがあるんですが、そこでは、議案が議会で否決されました。市長が給与削減の議案を出したんですが、これは議会で否決される、こういう事態もございました。数字を見ると、否決されているところも二十余り全国である、手元の資料ではこうなっているところです。

 私も地元でもありますので、ちょっと心配なんですが、ペナルティーですね。やらないと明言した場合、あるいはこうやって議会が否決してしまった場合、さまざまあると思いますが、これまで大臣は、これは給与削減の要請である、だから、要請に応じない自治体に対してはペナルティーはないというふうに、総務委員会を初めさまざまな委員会で答弁をされています。議事録にも残っているわけでございます。

 そして一方、この給与削減の要請の一つの区切りとされていた七月以降、総務省においては、削減を実施しない自治体に対してヒアリングが行われているというふうに伺っております。地元の自治体もそうなんですが、ヒアリングを受けた自治体からは、給与削減をしない自治体について今後の交付税算定に何らかの影響が出るんじゃないか、こう心配をしている声が私のところにも届いているわけであります。

 ここで質問ですが、大臣は記者会見などで、行革の努力などについて交付税の算定要素とするということを表明されていると思います。行革努力といってもいろいろあると思うんですが、もし今回の給与削減要請の対応状況がこれに当たるというふうになって、要請に応じた自治体には交付税が加算されるとか、あるいは応じなかったところ、やっていないところは逆に減額されるというようなことになれば、実質的にはペナルティーと同じようなことになろうかと思いますが、これはどういう趣旨でおっしゃっているんでしょうか。そういうことはない、ペナルティー的に交付税を上げたり下げたりすることはないという理解でよろしいんでしょうか。

新藤国務大臣 私は、これまでも述べておりますが、給与減額の協力要請を受け取っていただけなかった、そういう団体に対して、制裁を目的とした措置を行うことは考えておりません。ペナルティーとして、国の協力要請に対して受け入れていただくかいただかないかによって、その制裁目的とした措置というものは考えておりません。また一方で、しかし、苦しい中で御協力をいただいているところと、それから、いただいていないところに不公平感があってはいけないということを心配しております。

 したがって、私とすれば、あくまで協力をしていただきたいということを、ずっと粘り強く、個別の自治体一つ一つの事情をお聞きしながら要請をさせていただいているというところでございまして、今、奥野委員がお話ありましたように、自治体の首長側がそういった方針を出しても、議会の方がうまくいかない、理解いただけない、こういう状況もあります。ですから、それぞれについて、再度のまた取り組みをお願いしているようなところもございます。もう一回、十二月議会のチャンスがありますから、私は、そこまで丁寧に、そして細やかに御協力のお願いをしていきたい、このように考えております。

 それから、来年度については、この交付税の算定を、新たな、頑張った人が報われる、そして努力した団体がその成果を得る、こういう交付税の算定制度を加えたいというふうに思っています。それは一つには、行革努力を行った団体です。もう一つは、これからふやしていくんだ、伸ばしていくんだ、頑張るんだ、そういう団体に対して応援する、そういう要素を入れたいと思っています。

 ただ削るだけではなくて、今度はふやすんだ、そのために新しい投資をするんだという団体についても応援ができるように、それは、例えば五年後ですとか期限を切って、観光客がふえただとか、ここの部分の税収をふやすとか、いろいろな、何かの客観的な指標であらわせるような目的設定をしていただくならばというようなことも考えております。ですから、通常の、従来の法定の交付税の配分に加えて、そういったものも重ねたい、このように思っております。

 ですから、行革努力をしたかしていないかということにおいて、それなりの多少の差が出てくることも事実だと思いますし、我々とすれば、削るのが目的ではありませんから、頑張った団体に、頑張っていただきたいという応援をしたいという意味でありますから、逆に団体の皆さんにはぜひ頑張っていただきたい、こういうことを考えているということでございます。

奥野(総)委員 自治体はそれぞれ事情もありますし、地域によっては市役所あるいは町役場が最大の産業だったりもするわけであります。ですから、頑張る力を伸ばすという方向にぜひ考えていただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、地方六団体の一月の声明というのをもう一回読ませていただきますけれども、地方公務員の給与は、公平中立な知見を踏まえて、議会や住民の意思に基づき地方が自主的に決定すべきものであるということでありますので、ぜひそこをきちんと踏まえていただいて、くれぐれもペナルティーということではなくて、伸ばす方向は私もいいと思うんですけれども、ペナルティーということではなくてお考えいただきたいと思います。

 最後にもう一度だけ、くどいようですが、地方がペナルティーと感じている特別交付税の算定方式などを含めて、一切ペナルティーについては科さないんだということだけ、もう一度確認をさせていただきます。

新藤国務大臣 自治体の給与は、自治体の条例によって、そして議会の議決によって決めていただくものであります。それを私たちは尊重してまいります。その上で、この給与減額措置の要請を受け入れたか受け入れないかにおける制裁目的とした措置は行いません。

奥野(総)委員 確認をさせていただきました。

 そして、ちょっと専門的になるのですが、給与が出てきたところで、少し細かい話をさせていただきますが、臨時、非常勤職員の処遇についてということで伺わせていただきます。

 今、民間ではおよそ四割、女性については六割程度がいわゆる非正規雇用というふうになっております。では、地方自治体はどうかということで、まず現状を伺いたいと思いますが、地方公共団体で働く臨時、非常勤職員の数を含めた現状を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 総務省において昨年度調査いたしました、二十四年の四月一日現在でございますけれども、臨時、非常勤職員の総数は約六十万四千人ということでございます。そして、地方公共団体定員管理調査、これも同じく調査をしておりますけれども、その中における正規職員数は二百七十六万九千人ということでございまして、地方公共団体における職員に占める臨時、非常勤職員の割合は一七・九%ということでございます。

 しかし、私もこれは非常に気にしているところなのでありますが、平成十七年度において一三%でした、そして二十年度に一四・七%になり、二十四年度で一七・九%ということでございますから、非常勤職員の割合が伸びているということは実態としてございます。

奥野(総)委員 厳しい財政が影響しているというふうにも言えると思います。先ほどの話に戻りますが、やはり自治体の財政をきっちり考えていただきたいと思います。

 そして、これから伺いたいのは処遇の話なんですが、やはりやる気を出して働いてもらわなきゃいけないと思うんですね。民間で非正規雇用がふえてきて、ある経済学の調査によれば、非正規雇用の方の労働生産性というのはなかなか伸びないということが調査で出ています。ですから、払っている給与よりも生産性が伸びていないということは、結局、企業にとっては高くついている。やはり人を育てる、人にやる気を出してもらうというのが私は大事だと思います。

 公務員についても同じ話だと思うんですが、やはり処遇については、正規、非正規区別なく、同一労働同一賃金という言い方もしますけれども、そういうふうにこれから日本社会を持っていかなきゃいけないと私は思うわけであります。

 ある調査によれば、ではこの地方公共団体の臨時、非常勤職員の処遇がどうなっているかということでありますが、大体その六割以上が正規職員の四分の三以上の時間働いている、ほとんど正規並みに働いている。四分の三以上の方が、正規並みの時間働いているということであります。

 一方で、賃金はというと、大体時給が八百円台、そして平均月給は十四万から十六万が一番多くて、一方で退職金や一時金などが未支給の団体が多いということであります。また、細かくなりますけれども、通勤費が支給されていない職場も二割、そして夏季休暇とか育児休暇、病休、こうしたものがない自治体が五割以上、二割以上の自治体では忌引休暇もないということでありまして、正規並みに働いている割には、処遇、待遇の面で非常に格差があるということであります。

 民間事業主については、パートタイム労働法というのがありまして、正規、非正規の間で均衡、均等待遇というのの確保が要請されている。必ずしもそうなっているかどうかはともかくも、要請がなされるということになっております。しかし、公務員には適用除外なんですね、パートタイム労働法は。

 適用除外ということで、これまでの間、総務大臣が、臨時、非常勤の任用に当たっては、民間労働法制の動向を十分に踏まえる必要がある、あるいは、通常の労働者と均衡のとれた待遇の確保というパート労働法の趣旨を踏まえた対応がなされるということが重要、また、必要な助言や情報を提供していきたいと繰り返し答弁で発言をされているというふうに理解をしております。

 その一方で、総務省が、臨時、非常勤職員の任用等についてという通知を出しているのが二〇〇九年ということでありますので、やや古くなってきているんですね。この四年間で、民間の労働法制については、改正労働契約法が施行されるなど、急速に変化をしてきているわけであります。一方で、自治体の臨時、非常勤職員の状況は、今申し上げたとおり、非常に正規、非正規で格差があるということでございます。

 そこで、伺いたいんですけれども、パート労働法を踏まえて必要な助言や情報提供をするとこれまでおっしゃってきたわけでありますが、具体的にこれまでどういう対応をされておられるのでしょうか。

新藤国務大臣 地方公共団体においては、臨時、非常勤職員が多くの行政サービスを担っているという実態がある、これは私も承知をします。一方で、臨時、非常勤職員については、これまでも、手当支給などの処遇、任用のあり方について、国会でもいろいろな御議論、御意見を頂戴しているところであります。

 総務省といたしましては、まず、二十一年の四月に、臨時、非常勤職員の任用等に当たって留意すべき事項等についての通知を発出しております。また、その中で、報酬については、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべき等の、パートタイム労働法の趣旨も踏まえた助言をしております。今委員から御指摘いただいたとおりであります。

 そして、それぞれ、地方公共団体に対しまして、人事担当者との会議の場において、臨時、非常勤職員の任用、処遇に関する適切な対応についての周知の努力をしてまいっております。例えば、全国人事委員会事務局長会議、さらには全国人事担当課長・市町村担当課長会議、また地方公務員行政に関するブロック会議、さまざまな、いろいろな地方との話し合いの場がございますから、そういう中でこれまでもやってまいりました。今後もその周知は徹底してまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 いろいろやられているということのようでありますが、今申し上げましたように、少々中身が古くなってきていないか。また、今言ったように、なかなか実態は改善されていないということでありますから、重ねて伺いますけれども、当面、改めて、パート労働法や労働契約法の趣旨に沿った新たな指針や通知を出すつもりはあるかどうかということを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私どもとすれば、現状の制度の周知徹底を図ってまいりたいと思いますし、さらに、現場からのいろいろな情報収集には努めてまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 これは制度の問題もあるんですね。

 地方自治法の二百三条の二あるいは二百四条については、非常勤職員への諸手当の支給を認められないというふうに読めます。正規職員に対して支給される期末手当や退職金や諸手当、あるいは同等の支給を非常勤職員に制度上はできないとされているというふうに読めます。これはやはり均等待遇という意味では制度上私は不備があると思うわけであります。

 この二百三条の二、二百四条について少し伺いたいのでありますけれども、この規定ぶりでは、自治体を縛る規定であって、現業とか地方公営企業の非常勤職員にはこの二百三条の二及び二百四条は適用されないということでよろしいんでしょうか。ちょっとこれは通告していないんですが、事務方、わかりますか。

新藤国務大臣 今確認いたしましたけれども、現業も含めて、一般職員であれば全て適用対象となる、こういうことでございます。

奥野(総)委員 そうすると、現業も含めて諸手当の支給はできない、非常に厳しい規定ぶりとなっているということだと思います。

 一方、では国家公務員はどうかといいますと、国家公務員の非常勤職員については、給与法二十二条で、常勤の職員の給与との均衡を考慮して、予算の範囲内で給与を支給する、こう書かれておりまして、これは、予算の範囲内で期末手当やあるいは退職金に相当する給与が支給できる、こういう読み方でよろしいんでしょうか。

新藤国務大臣 そのとおりでございます。

 国家公務員の非常勤職員の給与については、その適正な支給のために、平成二十年の八月に人事院から通知が発出されております。

 この通知において、非常勤職員に対する手当といたしましては、まず、通勤手当に相当する給与を支給すること、これは実費ですね、それから、期末手当に相当する給与を支給するよう努めることというふうになっておりますが、結局のところ、現状、全ての各府省においてこの通知に沿った支給規程が整備されておりまして、原則、例えば採用された直後の手当というのはちょっとまた別の話になりますが、全ての方々に手当が支給されている、こういう状況になってございます。

奥野(総)委員 国はちゃんとしているということだと思いますが、そうすると、やはり自治体の方が、制度の不備もあってなかなか進んでいないというふうに理解ができるわけであります。

 我々民主党は、さきの通常国会で、自治体の臨時、非常勤職員の諸手当について均等待遇を図るための地方自治法の一部改正案というのを出しまして、結局これは審議されないままに終わってしまったわけでございますけれども、そういう問題意識を常に持っているわけでございます。

 国と比較しても、地方が制度がないということでありますから、大臣、自治体の臨時、非常勤職員についても、均等、均衡待遇を図るために、自治体の判断で諸手当を支給できるように地方自治法を改正すべきではないかと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 まず、歴史といいますか、これまでの経緯の中で、地方公務員については、これはかつて、いろいろな手当があったんですね。それは昭和三十一年の地方自治法改正によって現行の制度が、基本が、形が整ったわけでありますけれども、そのときの論点とすれば、地方の給与の実態が団体ごとに異なっていた。例えば文具手当だとか下宿手当とか自転車手当とか、いろいろな手当を自治体によってばらばらに支給していたんですね。これについて、やはりこの混乱はよくないということで、給与体系の整備と透明性の向上を図るということで、現行制度ができました。

 ですから、もともと地方公務員については、そういう趣旨で分けてきたということがある、こういう基本はまず押さえなきゃいけないというふうに思います。

 その上で、地方公共団体における臨時、非常勤職員については、これは任期を限って臨時的、補助的業務に任用されるものであるということです。したがって、地方自治法上の、労働の対価としての報酬と実費弁償としての費用弁償のみを支給されているということになっているわけでございます。臨時、非常勤職員の報酬を定める際には、職務給の原則を踏まえて、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきもの、こんなふうに規定がございます。

 そして一方で、短時間勤務の職員であっても正規職員と同様に本格的な業務に従事させる場合の仕組みとしては、手当についても支給が可能な任期付短時間勤務職員制度、これは国にはございません、地方独自の制度として、平成十六年から制度導入を始めております。大分ふえてきております。

 そういったことで、まずは、臨時、非常勤職員の任用と処遇については、これは各地方公共団体が法の適切な執行の観点から責任を持って対応していくべきものであって、いろいろな制度というか手段は用意しているということがございます。その上で、我々総務省としては、適切な運用それから任期付短時間勤務職員の活用、こういったことも含めて、必要な助言は行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

奥野(総)委員 時代が変わってきているということだと思うんですね。今、故事来歴、古い話もございましたけれども、ここまで、臨時、非常勤を全体の二割も使うというようなことは、恐らく当時は想定されていなかったということだと思います。

 また、いろいろな仕組みがあって、短時間の方でいけという話かとも思いますが、ただ、これだけ臨時、非常勤が普及してきて、実態上は正規の職員と遜色なく働いていただいている中で、先ほど申し上げたように、やはりモチベーションとか、あるいは民間では均等、均衡というふうに言っているわけですから、比較をしても、やはり制度を改めて、この制度を改めること自体が、国、政府としてきちんと臨時、非常勤の処遇をよくしていこうという決意のあらわれにもなるわけですから、指導助言もうまくいくと思うんですね。

 ですから、ぜひもう一度お願いしたいんですが、我々、この法案、原口筆頭が準備しています、この間出した臨時、非常勤職員の処遇改善のための地方自治法の一部改正法というのを今準備しているところでありますから、ぜひ、この国会で御審議をいただいて、成立に御協力していただけるかどうかはわかりませんが、ぜひ御理解いただきたいと思います。大臣。

新藤国務大臣 民主党さんの方が御用意されている法案については、これは国会の中でぜひ議論をしていただきたい、各党間の御議論を期待したいというふうに思います。

 私どもとすれば、いろいろな状況は踏まえた上で、それから、何よりもやはり現場の実態というのをよく知るというのが重要だと思っています。

 そして、今ここに、手元にございませんが、公務員の臨時任用の皆さんにアンケートをとったときにも、さまざまな御希望があって、選択肢の中としてこういう任期つきとか臨時の非正規雇用というのを選択されている方もいらっしゃいます。

 ですから、そういうものも踏まえて、我々とすれば、まず現行制度を適切に運用していただきたい。それから、自治体の方が、みずからが自主的に御判断をいただいているわけでありますから、そういったものに対して、私たちとすれば適切な指導や助言を行ってまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 委員会の方で引き続きこれはまた議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 このテーマはここら辺までにいたしまして、次は税の話であります。

 消費税の引き上げに伴って、地方消費税分、これは地方に回ってくる分がふえるわけでありますが、普通に考えると、偏在性の低い消費税が、収入がふえるわけですから、自治体間の財政格差というのは縮まるように思われるのですが、ところが、むしろ交付団体と不交付団体の財政格差が広がる、これは新聞なんかにも出ていますが、これはどういうことなんでしょうか。

新藤国務大臣 地方消費税は偏在性が小さいということですね。それから、今回、その充実が図られることによりまして、人口一人当たりの税収で示される税源偏在は緩和されることになる。でも、これは人口一人当たりですから、人口の集中しているところとそうでないところの差は逆に出るということになりますけれども、そういう、まず地方消費税の拡大によりまして税源偏在が緩和されることはございます。

 一方で、今委員が御指摘いただきましたが、地方消費税の増収分については、交付税において基準財政収入額に算入されることになりますから、交付団体では、これが地方交付税の減となる、相殺されてしまうわけですね。一方で、不交付団体では、そのまま超過財源として地方の財源になりますから、このように、交付団体と不交付団体については、その財政力の格差がむしろ拡大する傾向にあるということが指摘されております。これは、知事会の提言においても指摘をいただいているところでございます。

奥野(総)委員 交付団体ではこれが相殺されて臨財債が減額されて、結局お金が減ってしまうということだと理解をいたしますが、これでますます消費税引き上げに伴って財政力の格差が開いてしまう、何とかしなければいけないということだと思います。(発言する者あり)いや、きちんと最低限、行政ができるように……(発言する者あり)静かにしてください。

高木委員長 質疑を続けてください。

奥野(総)委員 それで、これまでそうした格差を水平的に是正するという意味であった制度としては、地方法人特別税と地方法人譲与税があったわけでございますが、この地方法人特別税、地方法人譲与税については、税制抜本改革法で、「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置であることを踏まえ、税制の抜本的な改革に併せて抜本的に見直しを行う。」と。抜本的、抜本的、抜本的とちょっとややこしいんですが、要は、見直しをするんだ、当面の措置だということを言っているわけであります。

 この機会に、消費税の引き上げを機に見直すという考え方もあろうかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 これは、私どもの目的も、偏在性の少ない地方税制体系、そして安定的な税制というものを確立することは重要だ、我々総務省はずっとこれを追求しているわけであります。

 そうした中で、今お尋ねの地方法人課税につきましては、地方財政審議会において、地方法人課税のあり方等に関する検討会を設けて検討してまいりました。ちょうど、きのう開催された検討会で報告書の内容がほぼ固まりまして、座長一任というところまで来たわけであります。

 そして、その報告書の案におきましては、都道府県及び市町村の法人住民税法人税割の一部を国税化し、交付税原資に繰り入れることが提言されております。そして、地方法人特別税・譲与税については、臨時異例の措置であるということに鑑みまして、法人税割の交付税原資化の検討とあわせ、廃止を含め抜本的に見直すべき、この提言がなされているわけでございます。

 この地方法人課税のあり方につきましては、これはもちろん与党の税制調査会のプロセスというものが必要になってまいります。

 総務省といたしましては、この検討会の報告書の内容も踏まえまして、地方法人特別税のあり方も含めまして、税源の偏在性が小さく、税収が安定的、そういった地方税体系の構築に向けた具体案を検討してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 今のお話ですと、来年度に向けては、地方法人住民税の法人税割については地方交付税の方に繰り入れる、そして、地方法人特別税については、これは当面やむを得ない措置ということで維持する、こういう理解でよろしいでしょうか。

新藤国務大臣 これはあくまで、今、地方法人課税のあり方に関する検討会で御提案をいただきました。与党の税調プロセスに諮られるものになってまいります。基本的には、法人住民税の法人税割についての検討がなされている、一部を国税化して交付税の原資に繰り入れるというような御提言がございます。

 一方で、法人特別税につきましては、また譲与税も同じでございますけれども、臨時異例の措置であるということを踏まえて、全体の見合いの中で検討をしていこう、見直しをしていくということを考えております。

奥野(総)委員 あと、気になるのは、法人実効税率の引き下げ。

 私も、これは日本の国益のためには全体としては必要だと思うんですが、財務省の資料なんかを見ると、やはり地方の法人税の割合が高いんだ、こういう資料があって、恐らく、地方法人税とか地方法人特別税、このあたりが狙い撃ちにされると思うんですが、地方の税収がこれによって減るということはないように、しっかり大臣として守っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 法人実効税率を下げるということについては、これは産業の国際競争力を確保するという意味から重要な観点だと思います。

 一方で、さまざまな議論が今、与党内にもございます。そして、雇用や賃金、そういった経済効果の観点も含めて、成長戦略としてどのように考えていくのかという点と、それから、あり得べき税制という観点からどういうふうに考えるかという御議論がなされるものと思います。

 そして、御指摘いただきましたように、単に法人実効税率を引き下げるということは、ストレートにいけばそのまま地方税収の減につながっていくということでありますし、交付税の原資の減少を通じて地方財政に影響が出ないとも限りません。法人実効税率三八%のうちの地方税は一一・九三%を占めております。それから、法人税の地方交付税の法定率も、何もしなければ、これは国税の税率が下がれば当然そこも下がっていく、こういったこともございます。

 ですから、我々総務省とすれば、これは地方財政に影響の出ないような検討をしていただかなければならないし、我々とすれば、そこはきちんと注視してまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 そこをしっかり、くれぐれもよろしくお願いをいたします。

 中身をがらっと変えまして、今度はテレコム、ICTの関係に行きたいと思います。

 携帯電話、今スマホに急速にかわってきています。そして、LTEが入ってきて、いつでもどこでもブロードバンドが利用できる、こういう時代になっています。これは非常に好ましいことでありますが、ちょっと気になるのは、スマートフォンの料金を見ますと、大体、データ通信の定額料金で月六千円ぐらいというのが多いと思うんですね。これは、家族全員で一人一台ずつ持つ、こういう時代ですから、結構、家計の負担にはなっていると思います。

 一方で、通信事業者の今年度上半期の決算が次々と出てきているわけですが、いずれも増益となって、業績は非常に好調ということですよね。上半期、七千億以上の利益を出している、こういう企業もございます。これは突出して日本の中で業績のいい企業だというふうに思います。

 ところで、去る七月十一日に発表されたOECDの通信白書、これはOECD諸国の通信料金などを比較しているものがあるんですが、各国のモバイル料金を比較すると、日本は世界的に見て通信料金の最も高い国の一つというふうに結果が出ているやに聞いていますが、これは事実でしょうか。

新藤国務大臣 二〇一三年度版のOECD通信白書におきまして、各国の料金比較が行われております。我が国の料金は他の国に比べて高い水準でありまして、特に、データ通信の量が少ないライトユーザーの部門におきましては、OECD加盟三十四カ国中の最も高い水準にあるということが報告をされております。

 また、総務省の方でも、ことしの六月二十六日に公表いたしましたが、電気通信サービスに係る内外価格差調査におきましても、我が国のスマートフォンの料金は割高である、特にライトユーザーについては最も高いという結果が出されております。

奥野(総)委員 これはいろいろな前提を置いてやっているんですが、各国の一番安い事業者の料金を比較してのことでありますので、まあ間違いないと思うんです。

 ちょっと意外だったのは、日本は電気通信については競争政策がうまくいって、ブロードバンドについては、世界で最も安い料金で最も速くつながる、こういう印象を持っていたんですが、ここへ来て、意外な事実なんですね。もちろん、欧州に比べてLTEの普及が進んでいるとか通信速度が速いとかいろいろ、単純な比較は難しいと思いますけれども、料金が高いというのはまた事実でございます。

 これだけ各社利益が上がっているわけですから、もうちょっと言えば、料金を引き下げれば、料金が下がって消費者あるいは産業界に貢献すれば、もっと日本の経済成長に資するんじゃないか、こう逆に思うわけであります。

 そこで、質問でありますけれども、競争のさらなる促進を通じて、国際的に見て非常に高い水準でありますスマートフォンの料金を引き下げることが必要と考えますが、競争促進、特に移動通信市場における競争促進に向けた取り組みを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは私ども、そういった、特に携帯電話ですとか通信のさらなるICT化の普及のためには、料金設定というのは重要なところだと思います。総額として安い部分もあるんですけれども、今のように、個別具体に、今、世界に対して高い水準になっているところがある、こういうものを見直していくのは当然のことだろうと私は思っております。

 そういうことを前提にいたしまして、携帯電話の料金は、事業者の経営判断により設定されているということがございます。しかし、スマートフォンが社会生活の重要なインフラになりつつある、こういうことを踏まえますと、ライトユーザーを含む利用者にとって、より低廉で利用しやすい料金となること、これは望ましいと私どもも考えています。

 昨今の移動通信市場というのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、この三つのグループを中心とする競争の構図があるわけであります。

 総務省といたしましては、電波の有限希少性により新規参入に制約のある移動通信市場における競争を促進するため、携帯電話会社のネットワークを利用して多様なサービスを提供する、これは今、MVNOと呼ばれております、そういう参入促進策にも取り組んできておるところであります。

 それから、総務省といたしましては、「料金低廉化・サービス多様化のための競争政策の見直し」、こういったものが既に日本再興戦略の中で位置づけられておりますから、それを受けて、私ども、具体的な制度見直しの方向について今作業しております。これは、来年中に結論を得る予定としております。

 こういった作業を通じまして、移動通信市場における競争の促進に取り組んでまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 三社に集約されているわけですが、これをまた新規参入で、いろいろ知恵を絞って、さまざまなビジネスに参入していただく、それによって競争が起こって料金が下がっていく、ぜひそちらの方にしっかり力を入れていただきたいと思います。

 一方で、今大臣の方から、電波の有限希少性、こういう話がございました。これは結構深刻でありまして、最近、事故も多くてつながらなくなったりしているわけでありますけれども、スマホの普及によって、移動通信のトラフィックが、大体、年間、倍々、二倍のペースで増加しているということであります。

 これに対応して、携帯電話各社においては、基地局の増設等に積極的に取り組んでいるということは承知しています。また、各家庭でWiFi、家にいるときはWiFiでやってくださいということで、データ通信のトラフィックを固定の光ファイバーにオフロードする、こういった対策も進めているということも承知をしていますが、それでもなお、これからLTEがどんどんふえていくということを考えれば、さらにトラフィックがふえていくということでありまして、これまでの取り組みではなかなか限界ではないかと思います。

 新しい周波数について、どんどん確保していく、技術開発等を進めていく必要があると思いますが、この移動通信のトラフィックの急激な増加に対応するために、総務省は、周波数の拡大にどのような取り組みをしておられるんでしょうか。

新藤国務大臣 御指摘いただきましたように、スマートフォンの普及によりまして、移動通信のトラフィック、直近の一年間でいいますと、約一・七倍のペースということで増加をしております。

 その増大する周波数の需要に対応するために、まず、周波数の圧縮、共用による効率的に利用する技術、それから、高い周波数への移行を促進する技術など、電波を効率的に利用するための研究開発を推進しております。あわせて、周波数の再編成を行って、必要な追加の割り当てを行うということをさせていただいております。

 今、移動通信用の周波数といたしましては、約六百メガヘルツ幅を確保しているところでありますけれども、二〇二〇年までに千四百メガヘルツ幅、それを新たに確保します。そして、合計で二千メガヘルツ幅以上とするように取り組んでいるところでございます。

 そして、昨年の一月にITUで標準化されました第四世代移動通信システム用周波数、これは三・四ギガヘルツ帯等の割り当てを行う、こういう予定としておりまして、研究開発それから周波数の再編、こういったいろいろな工夫をしながら、現行に対応できるようにしてまいりたい、このように考えます。

奥野(総)委員 これはお金もかかるわけでありまして、財源をどうするかというのは一つあると思います。

 今、電波利用料というのがありますけれども、これを充てるというのも一つの手でありましょう。また、電波利用料あるいはオークション制度、こういう対価を払ってもらうことの意味合いとして、コストをかけることで有効に使ってもらえる。電波を取得した方にコスト意識を持ってもらう、コスト意識を持ってもらうことで有効に使ってもらう、ビジネスとしてお金を払っているんだからきちんと利益が出るように使おう、こういう意味合いも電波利用料にはあると思います。

 来年ですか、二十六年度から、電波利用料がちょうど見直しの時期になっておると思いますが、来年度に向けて今どういう電波利用料制度の見直しをされているか、伺いたいと思います。

新藤国務大臣 この電波利用料の制度は、電波法によりまして、少なくとも三年ごとに見直すということになっております。

 現在、平成二十六年度から二十八年度に適用する次期電波利用料の検討を行うのを目的といたしまして、ことしの三月より、総務の副大臣と大臣政務官に主宰をしていただいて、電波利用料の見直しに関する検討会を行いました。そして、八月に報告書を取りまとめてもらっております。その中で、電波利用料の使途についても検討されております。周波数の逼迫対策等の研究開発を充実強化すべきという旨の意見もいただいております。

 次期電波利用料の見直しに当たっては、そういった意見も踏まえながら、電波資源拡大のための研究開発について必要な財源を確保してまいりたい、このように考えています。

奥野(総)委員 電波利用料というのは共益費用、こういうふうに言われていまして、みんなで周波数管理とかに使うお金を出し合いましょう、基本的にはそういう考え方ですね。一部、経済価値の考え方も入っていますけれども、そういう考え方であります。

 これは、地デジ化のために国庫債務負担行為か何かを使って随分お金を出していますから、そこに今負担が行っているんだと思いますが、この三年間は恐らくまだそこにお金がかかるんだと思いますが、これが終わると、お金がその分余るわけですね。これをどう使うかというのが一つポイントだと思います。

 いろいろ伺うと、防災行政無線のデジタル化なんという声もありますが、私の個人的な意見ですが、そこまでやる必要があるのか。防災行政無線が今ない自治体もいっぱいあるわけですね。いきなりそれをデジタル化していく必要があるのか。もちろん、ラジオもありますし、いろいろな方法があると思うので、そこにお金をかけていくのはいかがなものかと思います。救急とか消防のデジタル化には、私は必要だと思いますけれども。

 ですから、むしろこういう周波数開発とか研究開発の方にお金を使っていただければと思いますし、もし、それでも余るというのであれば、共益費用でありますから、引き下げる。マンションの管理費、清掃コストが下がったんだったら、それはみんなで下げようという話になりますから。そういう、下げるということも視野に入れていただければと思います。

 以上、財源の話をさせていただきました。

 それから、ちょっと順序は変えますが、インフラ輸出の話をさせていただきたいと思います。

 安倍総理がトルコに行って、地下鉄の開通式に行ってこられたということでありまして、地下鉄の輸出自体は私はいいことだと思うんですが、大事な国会のときに総理がそこに行ってしまうのはいかがなものかというのはあります。

 それはさておき、インフラの輸出は私は必要だと思います。総務省もこれまで地デジの日本方式の国際展開とかに力を入れてきたわけでありますが、これからは、インフラ輸出については、ICTのシステム、個々の額は少ないかもしれないけれども、ICTのシステムをパッケージで輸出したらどうかと思うんです。

 中国なんかは、携帯電話なんかも含めてシステムでアフリカに持って行ったりとか、結構世界じゅうでやっているわけですが、我が国もこういうシステムをきちんと輸出できないか。

 せっかく地デジの日本方式を標準規格にしてもらっても、売っているのはお隣の国の企業だったりするので、売る方もしっかり力を入れていただきたいと思いますが、インフラ等の国際展開の促進に向けた今後のお取り組み、決意を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは、我が国の少子高齢化、人口減少社会、そしてGDPがなかなか伸びない、こういう中で、GNIを含めて経済をどう拡大させていくかという極めて重要な問題の中で、その有効な解決策の一つだと思っています。

 前政権においても、このインフラ輸出については取り組みがなされました。その前の旧自民党政権時代も、ずっとこれは、国としていろいろな戦略を持ってやっていこう、こういうことがうたわれてまいりました。

 私ども安倍内閣になりまして、インフラとそれから経済協力、これをセットにして、パッケージとした戦略を組もうではないか、こういう会議を設けて、昨日もやったところでございますけれども、我々は、戦略性を持ってもっと経済を拡大できるようにしていこうというふうに考えているわけであります。

 総務省は、その一環として、まず、地デジの日本方式を拡大するということを考えています。それは、テレビのデジタル方式を日本方式にするだけでなくて、そこから、実は、日本方式のISDB―Tといいますけれども、これは、災害時に自動起動装置がついているんですね。それから、地デジの方式の中で、データ放送を最初から組み込んであるのも日本方式だけであります。ですので、まず、日本方式を採用してみたらいかがですか、それは防災のときにも非常に大きな効果をあらわしますよと。

 それから、例えば、遠隔地の医療とか遠隔地教育とか、そういったものにも大変効果が出るのではないかということで、私とすれば、地デジの日本方式を展開しながら、各国に対して、国家の基盤である通信、教育、医療、それから国土管理、こういった分野にいろいろな展開ができるんだ、それは、地デジだけではなくて、ICTというものをトータルで考えて日本はイノベーションを起こそうと思っている、あなたの国でもそれは十二分に対応可能ではないか、こういうことで働きかけをしております。

 おかげさまで、今、地デジの日本方式は世界で十六カ国となりました。今は、もうフィリピンが直前であります。スリランカ、モルディブもここで決まることになるというふうに思います。それから、中南米においても決まりました。今、アフリカにもいろいろなことをやっております。

 それは、そこから、そこ一つにとどまらずに波及、展開させることが極めて重要だ、このように思っておりまして、これは国家戦略の一部に組み入れてやるということでありますし、私は、各閣僚が外遊するときにも、自分の省のことだけを言うのではなくて、日本のベーシックな国家戦略についてはぜひ付言してもらいたい、こういうようなお願いをしているというところでございます。

奥野(総)委員 大臣が非常に力を入れておられるのはよくわかりました。そこは我々もしっかり応援していきたいと思います。

 最後に、セキュリティーの話を少しさせていただきたいと思います。

 ブロードバンドで便利になって、あちこちにネットワークが張りめぐらされている、こういう状況になっていますが、思わぬところにわなが潜んでいるということもございます。

 例えば、「ロシアNOW」というロシアのニュースを海外に紹介するサイトに載っていましたけれども、中国製のアイロンやケトルなどの家電の中に、無線でウイルスやスパムを拡散するチップが仕組まれていた、こういった記事も出ていまして、思わぬところにわなが潜んでいるということもあるわけであります。

 こうしたサイバー攻撃は日々進化をしているということで、セキュリティーをしっかりやっていただきたいと思います。

 もう時間がなくなってきたので質問をはしょりますけれども、最近、盗聴とか不正アクセスの話も、いろいろなことが言われているわけでありまして、この辺は、やはり秘密保持の観点からしっかりやっていただかなければならない。不正アクセス、そういったものについて厳正に対処すべきだというふうに、そこは私も思うわけであります。それはそうなんですね、秘密を漏らす、あるいは不正に取得することについてはきちんと対応していかなければと思います、セキュリティーの観点から。

 通告をしていないんですが、特定秘密保護法の話をちょっとさせていただきたいと思います。

 これまでの秘密保護というのは、秘密を漏らす側を処罰するという考えに立っていたんですが、今回、特定秘密保護法の考え方で、特定取得、秘密をとりに行く側も、懲役十年以下ということで、厳罰に処すということが規定されているわけですね。

 これは、例えば不正アクセスとかこういった話はまだわかるんですが、ただ、今の条文だと、マスコミも読めてしまうんですね。マスコミも、ニュースソースにアクセスして不当に情報を取得した場合には、これは懲役十年以下の罰則がついてしまうわけであります。

 西山記者事件というのが昔ありました。不当に、情を通じて情報を取得したり、テレビドラマにもなりましたけれども。あのときは、公務員の守秘義務違反に関して、それを唆したということで、恐らく懲役一年ですね、国家公務員の秘密保持義務という。今回、いきなりこれが十年になるわけですね。西山記者事件のようなことが起きた場合は懲役十年が科される。非常に罰則が重くなるわけであります。

 諸外国を見ても、ここまで重くやっている例はないですね。アメリカはどうかというと、アメリカは、秘密を漏らす側には非常に厳しい。スノーデンさんなんかもそうですけれども、非常に厳しい法制が整えられていますけれども、修正一条というのがあって、やはり言論の自由、表現の自由については気を使っていて、マスコミは処罰は原則されないということなんです。

 そこで、放送を所管されている大臣として、通告はしていませんが大臣の所感を伺いたいんですが、この特定秘密保護法の中から明確に、マスコミについては、あれは二十五条でしたかね、特定取得については適用しないんだというふうにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、それは今法律が出されておりますから、所管の委員会で議論がされておりますので、その見解については、政府としての見解はそちらの委員会の方で議論をいただいている、それが政府の見解だということであります。

 一般論で申し上げるならば、報道の自由というのは確保されるべきであります。一方で、今回、秘密保護法を決めるということは、これは、世界の中で国家としての信頼性を持って、そして国の安全に、また互いの安全に影響を及ぼすようなものについての保護をしつつ、ルールをきちんと決めていこうということだと思っています。

 ですから、そこは程度問題といいますか、もちろん、法を犯されたもの、違法行為が許されてよいわけがありません。ですから、そこのさじかげんというのをきちんと議論しながら、しかし、国として、やはり安全保障にかかわる体制をきちんと整備する、その上で、国民の知る権利、報道の自由、こういったものは維持されていくべきものだ、このように考えます。

奥野(総)委員 私は、やはり報道の自由、そして取材の自由というのはしっかり確保していただくべきだと思いますので、この件はまた別のところで議論させていただきたいと思います。

 きょうは、長時間ありがとうございました。

高木委員長 次に、上西小百合さん。

上西委員 日本維新の会、上西小百合でございます。

 まず、先日の伊豆大島の土石流災害では、とうとい多数の国民の命の犠牲が生じ、そして、現在も救出活動が続いております。謹んで哀悼の誠をささげ、一日も早い復興をお祈りし、質問に移らせていただきます。

 去る九月八日早朝、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催発表は、何かと暗いニュースが続いた日本に久々歓喜の声を沸き立たせた明るいニュースでした。我が党の石原共同代表が東京都知事だった四年前、リオデジャネイロに惜敗した後、再チャレンジを発表した当時は、大手のマスコミの多くも、何億円もの都民の税金を無駄にしておいて、なぜまた今、東京オリンピックなんだ、そういうふうに随分と批判的でしたが、今は手のひらを返したように歓迎報道が続き、町も活気づいた気がいたします。

 石原代表の不屈の精神に改めて敬意を表しながら、空港へのアクセス、そして各種競技場、宿泊施設等々のインフラ整備がなされ、そして経済波及効果が実感できるような景気浮揚を期待しております。

 さて、ことし四月十五日、ボストン・マラソンで爆弾テロが発生する大惨事がございました。二〇二〇年のオリンピックでも、テロの脅威だけではなく、七月の土用から八月上旬の一番暑い時期の開催ですから、高齢者そして疾病者はもちろん、外国からの旅行者増大によって、救急医療、救護の需要が急増するはずです。

 平時であっても救急医療崩壊が叫ばれ、そして不要不急の救急車出動を求める心ない方も後を絶たないのが現実で、その中で開催されます一大イベント開催に当たっては、国を挙げて救急医療の人材を育成していく必要があると思います。

 ボストン・マラソンでは、ボランティア医療スタッフが初期対応に当たり、その後、医療機関に搬送され、犠牲が最小限になったとも報道されています。このような事件、そして事故、災害の場合、病院の医療スタッフだけではなく、救急救命士を初めとする、病院前救護あるいは救急車到着前の救護に従事するスタッフの育成が必要であると思っております。

 人材育成は、一朝一夕ではなし得ません。

 アメリカでは、アメリカ赤十字社とアメリカ心臓協会など、関連学会、団体が協調した協議会でガイドラインを作成し、そして、それに準拠した講習会をさまざまな団体が開催し、資格認定をしているそうです。

 日本も、総務省、厚労省、双方さまざまな団体と連携して、このような人材を育成する仕組みをつくるのがよりよいのではないかと思いますが、現状はどのようになっているのでしょうか。そしてまた、ある程度準備はされているのでしょうか。そのあたりをお聞かせください。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 心肺蘇生法やAEDの使用法等につきましては、世界共通のガイドラインが作成されておりまして、運用されているところでございます。

 このガイドラインの内容をもとに、消防機関を初め日本赤十字社や公安委員会などで、一般市民に対する応急手当ての普及講習が実施されておりまして、地域住民等に対しまして消防機関が行う応急手当て講習の受講者数は、平成二十三年中で約百四十三万人となっておりまして、これは増加傾向にございます。

 また、消防庁では、救急隊員が行う心肺蘇生法等につきまして、当該ガイドラインに沿った具体的な実施要領等を作成し、各消防本部に周知を図っているところでございます。

 当該ガイドラインは五年ごとに見直しが行われておりますから、今後とも、病院前救護の充実に向けて、全国における応急手当ての普及啓発を推進してまいりたいと考えております。

高島政府参考人 厚生労働省での対応を御説明いたします。

 厚生労働省といたしましても、傷病者が発生した際に速やかに救急要請なり救急蘇生法を実施できるような環境を整えていくことが大変重要であると考えております。

 消防庁の方でもいろいろ研修をしておりますけれども、厚労省としても、医療機関、日赤、それからNPO等での講習が、このガイドラインに従った形での講習が行われることを支援してまいりたいと思います。

 厚労省としては、AEDの普及啓発ということで予算を組みまして、こういった体制を支援しているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 応急手当ての普及が今向上しているということで少し安心をいたしましたが、人材の育成、これはやはりずっと続く課題でございますので、しっかりと取り組んでいただくよう、よろしくお願いいたします。

 救急医療においては、病院前救護の専門職である救急救命士に頼るべきところが大きいと思いますが、その活用策をまずお聞かせください。

 とりわけ、熟練した消防署OBの方々が救命士の資格を生かせず、そして宝の持ち腐れになっている、このことは大変もったいないことだと思います。この方々の能力、そして経験を生かす方法は考えていらっしゃるのでしょうか。厚生労働省から御答弁をお願いします。

高島政府参考人 委員御指摘のとおり、救急救命士、消防を退職した後もその知識を生かして社会で活躍できることは、人材の活用という面からも大変重要なことであると考えております。

 OBとして就職した先については、伺いますと、医療機関とか救急救命士の養成所等に再就職している例もあるようでございますが、先ほど申し上げましたが、いろいろ各種の講習会というのをこれから実施してまいります。こういったところでの講師として活躍いただくとか、それから、各地方におきましていろいろなスポーツ大会が開催されたときに、大規模なものですと医療体制を整えるわけですけれども、それにあわせてボランティアをたくさん集めております。そういったボランティアの中に、医師だとか看護師とかこういう方が参加していただいておりますが、そうした中に救急救命士の方も入っていただいている例があると聞いております。

 そういった場を利用しながら、知識と経験を生かして、これからも活動いただきたい、こういうふうに思っております。

上西委員 ありがとうございます。

 人材活用ということで、講習会の講師、そしてスポーツ大会でボランティアで御活動いただく、そういったことで取り組まれている、そういったことは理解いたしました。

 しかし、本当に熟練した経験そして知識をお持ちの方をしっかりと有効活用していく、もっと、今以上に有効活用していく、これが、救命士にとっても、そして救命を受ける側双方にとっても本当に有益なことになってまいると思います。また今後とも、そういったことに取り組みをお願いしたいと思います。

 また、オリンピックに備えて最低限英語ができる救命士が必要になる、こういった観点から、既に消防署で勤務している救命士をピックアップして英語教育をするとの報道がございました。

 費用対効果を考えると、全国で三十五もあります救命士養成の大学や専門学校がある現実の中で、既に英会話などの外国語を習得した救命士を消防署で採用する、こういったことの方が効率的ではないかと考えております。例えば、英検一級の資格を有する救命士資格者の枠を首都圏の消防職員の採用枠に創設するなどです。

 御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

市橋政府参考人 オリンピックの開催に向けまして、外国人が安心して救急車を利用できるように、英語に対応できる救急隊員の養成を実施している消防本部がある、これは東京消防庁でございますが、そのことは承知しているところでございます。

 なお、外国語に関する資格を有する救急救命士を別枠で採用する、そういう消防本部があるということは承知しておりません。

 救急救命士を含む消防職員の採用につきましては、あくまでも、各消防本部におきまして、職員として求められる能力等を設定いたしまして、総合的な判断のもと、責任を持って採用していただいているところでございまして、私どもといたしましては、さまざまな観点から地方公共団体にとって有為な人材が採用されることを期待しているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 各消防本部に委ねるということですが、やはり、教育、人材育成ということで、効率的にそういった英語を習得された方を採用する、そういうことにもっと積極的に意欲を示していただく方が、国民の皆さん、そしてオリンピックが開催されるに当たりましても有益なことだと思います。お考えをいただければ幸いでございます。

 救命士について質問を続けます。

 昨年度、救急救命士の処置拡大の実証研究が実施され、全国百二十九の消防本部が参画し、参画した消防本部の管轄地域では、ことし三月末まで、救命士が適応患者に血糖値測定やブドウ糖液の投与、そしてショック状態での点滴を実施することができ、救命に貢献したようですが、実証研究が終わった四月一日以降は、その所作ができなくなってしまいました。

 それから早くも七カ月たちました。救命士の処置拡大が救命に貢献できることもわかりました。何とか一刻も早く、全国で国民の救命に貢献できるようにすべきだと思いますが、何かネックになっている部分はあるんでしょうか。

 厚生労働省から、実証研究中及び研究後の状況や今後の対応についてどのように把握し、どのように取り組まれるのか、おくれている理由などをあわせてお聞かせください。

高島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、去年の七月から実証研究をやっておりました。一月に研究を終えまして、救急救命士の業務のあり方に関する検討会というのを立ち上げまして、今後のあり方を検討会で検討いたしました。

 その結果、ことしの三月二十八日に結果報告が出まして、その中で、血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、それから心肺機能停止前の静脈路の確保と輸液の実施、この二行為につきましては救急救命士の業務として追加しようということで取りまとめられたところであります。

 現在でございますが、これらの業務を救急救命士が適切に行うことができるように、必要な研修、それから講義、そういったものがどのようなものが必要であるかという検討とか、それを反映しまして、養成校等でのカリキュラム、どんなものが必要であるかということを検討しております。

 年度内にはこういった検討を終えまして、省令改正を終え、二十六年の四月、来年度からはこの新しい業務が実施できるように、今取り組んでいるところでございます。

上西委員 ありがとうございます。救命士の処置拡大に御尽力いただきましたこと、重ねてお礼申し上げます。

 ただいま教育の検討等をしているということですが、やはり、実証研究中、本当に多くの国民の皆様の御協力の上でこういった研究が行われたわけですから、なるべく一刻も早くこういったことが実際に行われるよう、よろしくお願いしたいと思います。

 そしてまた、同じことになるかもしれませんが、各消防本部に属する救急救命士に対して行う教育訓練の体制整備が必要だとも考えております。消防庁における今後の対応はどうなるのでしょうか。御答弁をお願いします。

市橋政府参考人 救急救命士の処置範囲につきましては、平成十六年からの気管内チューブによる気道確保、平成十八年からのエピネフリンの投与と、これまで順次拡大してまいりました。

 また、先ほど厚生労働省からお話がございましたように、今般、研究会の報告書におきまして、ブドウ糖溶液の投与、心肺停止前の静脈路確保の実施につきまして、処置範囲に追加することが適当であるというふうな結論が出されたところでございます。

 これまでの処置範囲の拡大に当たりましては、都道府県や地域のメディカルコントロール協議会と十分協議の上、一般財団法人救急振興財団、消防大学校、都道府県の消防学校、大学等におきまして講習が実施されてきたところでございます。

 今後とも、厚生労働省と連携のもと、処置範囲の拡大に向けた講習の実施体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

上西委員 多岐にわたる御答弁、どうもありがとうございました。

 訓練の結果がしっかりと発揮され、そして、一人でも多くの救急救命士の方が国民の命を守るために現場で活躍できる、そういった機会をふやしていただきますようお願いを申し上げまして、次に移らせていただきます。

 総務省は、ことし五月、CS放送、すなわち通信衛星と、BS、すなわち放送衛星だけに限り、平成二十六年度から二〇二〇年までの七年間に、三段階で超高精細放送実用化を図ると決められました。その最終年のオリンピックが東京に決まったのは、錦上花を添えられた感じで、本当に喜ばしいと思っております。

 現在、ハイビジョンである2Kテレビの映像が最大二百万画素なのに対し、次世代型テレビと期待される4Kテレビは約八百万画素、そして、日本放送協会が長年研究してこられた三千二百万画素の8Kテレビの実用化策は、私はますます期待をしておりますが、二〇一一年七月二十四日には、地デジへの完全移行でテレビを全国民が買いかえなくてはならない、そういった歴史もございました。

 そこで、お伺いをいたします。

 総務省では、当初の予定を二年も早めて、来年七月に4Kテレビの試験放送を行い、ブラジルでのワールドカップが4Kテレビで放映されると期待する方も多いのですが、試験放送はいつまで続き、本放送に移行するのはいつなのでしょうか。また、8Kテレビの試験放送開始はいつを予定され、実用化されるのでしょうか。これもあわせて御答弁をお願いします。

 また、消費税増税を前に、4K、8K時代になると今のテレビは見えなくなる、消費税が上がる前に買いかえなさい、そういった形で4Kテレビの押し売りをする新手の詐欺も出没し出したと危惧をされております。テレビの買いかえは必要ない旨、そして、詐欺にはかからないようにとの啓発をする必要性を痛感するのですが、対策、取り組みなどをお聞かせください。

新藤国務大臣 まず、4K、8Kの普及につきましては、総務省は最大限力を入れさせていただいております。

 私ども、政権につきまして、とにかく新しい経済をつくろう、そして日本を再生させよう、そういう中で、今、私、総務大臣になりまして、予算をつければ進むものは一体何かと、総務省の中を全部棚卸しといいますか、チェックしたんです。その中で、最も有効であろうと思われたのがこの4K、8Kでございます。ですから、4K、8Kの試験放送を早める、また研究を加速させるというのは、私どもの一番最初につくった景気対策予算の中から始まったということであります。

 それで、4Kについては二年前倒しをいたしました。二〇一四年の試験放送開始、これは、ブラジルのワールドカップであります。そして、二〇一六年には本放送を目指すというのは、これはリオのオリンピックがございます。ですから、それに合わせて普及ができないかという期待をさせていただいたわけであります。

 それから、8Kについては、今世界じゅうで画像を見ることができるのは日本しかございません。受像機は八台しかありません。その中で、二〇一六年のブラジルのオリンピックに合わせて試験放送が開始できないだろうかということを目指しているわけであります。そして、二〇二〇年に本放送を実施しよう、こういうことで決めました。

 それは当然、ことしの一月のことでありますけれども、二〇二〇年に東京オリンピックを誘致する、こういう前提でこういう計画をつくったわけでありまして、それが狂わなくて本当によかったなと私は思っているのでありますけれども、そういう状況であります。

 ですから、総務委員会の委員の先生方にはぜひ4Kと8Kの画像の違いというのをごらんいただきたいということで御案内をさせていただきました。また改めて、委員もおかわりになりましたから、御案内させていただきたい思います。

 とにかく、2Kと4Kと8Kが一カ所でそろっているのは総務省の大臣室しかございません。世界で一カ所です。それから、8Kの世界で八台しかない受像機のうちの一台が私の部屋に置いてあるわけでありまして、ごらんいただくことが一番であります。百聞は一見にしかずなのでありまして、やはり、オピニオンリーダーというか、発言力の高い国会議員の皆さんがこれを見ていただいて、日本はどういうことをやろうとしているのかというのはぜひ知っていただきたい、このように思います。

 その上で、今、4K、8Kになると今のテレビが見えなくなるというような御心配がありましたが、全くそういったことはございません。

 今までのアナログから地デジに変えるときには、受像機そのものを取りかえないとだめだということがございました。今度の4K、8Kは、仮に2Kの受像機であっても、そのままでいいんだということであれば、4K、8Kの放送をダウンコンバートする、コンピューター上の処理、デジタル処理をして、画質を落として2Kで見ることができるんですね。それは4Kでも8Kでも同じでございます。

 4Kというのは、4Kのカメラと4Kの設備でないと見れませんから。それは、コンピューターを使って2Kでも見れるようにはなりますよ、8Kも同じでありますから、テレビの買いかえが必要ないんです。そして、だんだん普及していって、やはり欲しいねと思ったら買いかえていただければいい、こういう段階的な移行が可能ではないかということであります。

 今既にそういった詐欺的なことが起きているというのは私どもはまだ認識しておりませんけれども、やがてこういう放送が開始される前にはきちんと周知徹底は図ってまいりたい、このように考えます。

上西委員 ありがとうございます。

 今、大臣から、4K、8Kが景気対策になるので本腰を入れてお取り組みいただいているということをお伺いいたしました。

 先ほど申し上げました詐欺の件ですが、国民の皆さんがしっかりと正しい知識を得られますよう、周知徹底をよろしくお願いいたします。

 日本放送協会では、平成に元号が変わったころから既に8Kテレビへの移行を視野に入れた研究を続けてきたのに、民放各社は足並みをそろえて取り組みがおくれているようでございます。

 その要因は、莫大な設備投資にあると言われておりますが、NHKは今まで、8Kへの移行設備に、人件費を除いたらどの程度の費用を投入し、そして現在どの程度まで準備が進んでいるのか、御答弁をお願いいたします。

久保田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、次世代放送サービスの実現に向けた、8K、スーパーハイビジョンの研究開発にこれまで取り組んできております。これまで、カメラなどのスーパーハイビジョン設備を整備するために約四十四億円の設備投資を行ってきております。

 現在は、スーパーハイビジョンの試験放送、そして本放送の開始に向けて、総務省を初めとする関係機関と協力しながら、技術基準の策定を進めております。

 また、NHKにおきましては、スタジオなどの番組制作設備でありますとか、送信、送出設備、こういった設備の整備にも着手しているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 この研究費用のベースは、やはり国民の受信料でございますから、今まで以上のすばらしい映像が見られるよう、今後とも御研究をよろしくお願いいたします。

 次へ移ります。

 私は、五月二十一日の当委員会で、コンサートホールなどで公演中、時間を限り、エリアを限定して携帯電話の通話をシャットアウトする携帯電話抑制装置について、さまざまに質問をさせていただきました。

 その中で、その装置の普及で、実際に起こった大学入試中の携帯メールを利用したカンニング、あるいは運転免許試験場での中国人の組織的な同様のカンニングも防げる、このように申しましたが、このたび東京都公安委員会の三つの試験場へこの装置が設置されましたことは、大変喜ばしい限りだと思っております。

 今労働のために日本にいる外国人がお金の次に欲しいのは、運転免許証だそうです。パスポートや保険証と異なり、顔写真も住所表示もあるので、在留カード以上の身分証明書になり、それがあれば銀行口座も開設できるので、本当に喉から手が出るぐらい欲しい。しかし、識字ができないので運転免許証が取得しにくい。そのために、不正をしてまで取得したがる人が後を絶たないそうです。そうした中で、東京都公安委員会が、不正防止のため、全国に先駆けこの装置を導入されたことを心から歓迎いたします。

 しかし、その装置を設置する契約に当たっては、同業者が複数ある中で、月額五十万円、そして五年のリース契約が随意契約で締結されています。これは不可解と言うしかないと思います。そこに至った経緯を詳しく教えてください。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 警視庁におきましては、昨年に発生をいたしました携帯電話を使用した運転免許不正取得事件を受けまして、携帯電話を使用した不正受験を防止することを目的といたしまして、警視庁の府中、鮫洲、江東の三試験場の学科試験室に携帯電話の電波を遮断する装置を設置することとしたというふうに伺っております。

 その際、警視庁によりますと、携帯電話等抑止装置を運用するに当たりまして、試験室のガラス窓等を通じ、運用場所以外の場所への妨害電波の漏えいを最小限にする必要があったことから、ガラス窓等への電磁波シールド材の貼付と妨害電波の併用技術により相乗効果が生まれ、運用場所のみを抑止範囲として電波の漏えいを最小限にできること、こうした併用技術の特許権を有するのが今回契約した業者であったこと、地方自治法施行令において、随意契約とできるのは、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。」と規定されていることなどを踏まえ、同社と随意契約したとの報告を受けております。

上西委員 ありがとうございます。

 今ガラス窓等のお話がありましたが、私が調べました限り、少なくとも同等ないし同等以上の性能機種を製造するメーカーも、そして、もちろん、リース契約で設置する業者も、今選定理由に挙げられました性能を売りにしている業者も、ほかに存在いたします。そして、さまざまな特許を持っている業者もほかにございます。

 ですので、警視庁で特定した理由に該当するメーカーが複数に存在する以上、この随意契約を締結された理由、これを私は全く見出すことができませんが、抑制装置の普及を祈っております。

 あとは、これで東国原先生に交代させていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、東国原英夫君。

東国原委員 おはようございます。

 上西委員に続きまして、日本維新の会、東国原、質問に立たせていただきます。

 私も、消防行政について御質問をさせていただきたいと思っております。

 しかし、改めて考えるに、この日本列島は非常に自然災害の多い国だなと痛感いたします。今回、数々の自然災害等々でお亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。

 それを踏まえて質問に移らせていただきます。

 やはり、災害対策というのは待ったなしだなと痛感しております。それは、政府・与党さん等々がお考えになっている国土強靱化、インフラの整備、防災、減災対策、これも重要であります。それと同時に、ハード面だけでなく、ソフトのインフラの整備と申しますか、そういったものも重要ではないかなと思っております。

 例えば、通信インフラだとか、あるいは消防、警察、自衛隊等々の人材の育成、地域防災組織の強化充実といったもの。そしてまた、今回も大島町で非常に問題化した、警報に関する運用の見直しだとか、指揮命令系統をどうするのかとか、そういったものの充実。あるいは、やはり最も重要であると私は考えるのが、国民一人一人の防災意識を高めることじゃないかなと思うんですね。

 私、私的にツイッターをやっているんですが、この間、ツイッターでこういうことをつぶやいたんですね。なかなか自治体が避難勧告等々をちゅうちょする部分がありますものですから、警報等々が発令されたら自主的に避難をした方がいいんじゃないかという投げかけをしましたところ、多くのリツイートが返ってきて、一々警報ぐらいで避難していたら、たまったものじゃない、身がもたないということが返ってきたんです。

 これがやはり国民の皆さんに広がっている防災意識なのかなとちょっと残念だったんですけれども、そういったものも、我々行政、政治に携わっている人間がやはり啓発していかなきゃいけないのかな、お示ししていかなきゃいけないのかなと痛感した次第であります。

 総務省は、消防庁等々を管轄しておられます。今回の大臣の所信的発言でも、二つ目の柱で、「命をまもる」ということをうたっておられます。この中で、るるありますが、高齢者福祉施設等におけるスプリンクラー設置義務化の推進及び屋外イベント会場や診療所における防火対策の強化に取り組むとあります。これを踏まえて質問をさせていただきます。

 去る二〇一三年八月十五日に、京都府福知山市の花火大会での事故に関して、五十九名が重体、重軽傷を負われまして、うち三名が死亡という痛ましい事故がありました。これは、爆発の原因としては、ベビーカステラ店の店主がガソリン携行缶から発電機にガソリンを給油しようとしたところ、気化したガソリンに引火して爆発したと見られております。

 このガソリン携行缶の不適切な取り扱いが事故の一因と見られておるわけですが、消防庁として、この事故をどう捉えておられるか、そしてまた、再発防止をどうお考えになっているか、お聞かせ願えればと思います。

新藤国務大臣 この八月十五日の福知山の花火大会、これは、楽しい夏の一夜が、取り返しのつかない事件が起きたという意味においては本当に残念でありますし、被害に遭われた方々にお見舞いを、そしてさらに、花火大会に行って、予期していなかったと思いますけれども、命を落としてしまったということに関しまして、御冥福をお祈り申し上げたい、このように思います。

 その上で、この火災では、直射日光や発電機の排熱で熱せられたガソリンの携行缶を多数の見物客の近くで露店店主が取り扱った、これが人的被害が拡大した原因だ、このように考えられております。

 消防庁といたしましては、即座に、屋外イベント会場等の火災対策検討部会というのを発足させました。九月に発足させて、そして検討し、十月にその結論を見ております。

 その中で、まずは、ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項を周知させなければいけない。あわせて、携行缶の本体にシール等により注意喚起表示をすること、これを製造販売事業者等の団体に要請したということがございます。

 また、実は、屋内に比べまして屋外の火災予防体制というのが不明確であったわけであります。したがって、屋外イベント会場等における火災予防を徹底するために、まず、露天商など火気を取り扱う者には消火器の設置を義務づける。それから、主催者に対して、防火担当者の選任、それから消防機関への届け出を義務づける。逆に言えば、今まで義務づけていなかったということでありますが、そういった措置を講ずる予定でございます。

 まずは対症療法から行って、再発防止に取り組んでまいりたい、このように考えております。

東国原委員 ありがとうございます。

 対策等々は後手後手に回るのが行政の一番いけないところで、泥縄式といいますかそういったもの。また、先手先手を打って、やはり想定外を想定するというような対策をしていただければと思っております。

 同じような火災の問題でありますが、ことし十月十一日に発生した福岡市博多区の有床診療所安部整形外科の火災、これも痛ましい事故でした。

 どうして被害が拡大したかというと、防火扉の不備ということです。後で質問しますけれども、防火扉とその他の消防施設が、所管が違うんですね。この辺の連携等々にも問題があったんじゃないかと思うんですけれども、消防庁としては、防火扉の設置基準あるいは設置状況について把握しておられるのかということをちょっとお伺いしたいんです。

市橋政府参考人 防火戸につきましては、建築基準法に基づきまして設置が必要とされている防火設備の一つでございまして、全国の防火戸の設置状況につきまして国土交通省に確認したところ、把握していないということでございました。

 なお、有床診療所における防火戸の設置状況につきましては、今後、厚生労働省において調査するというふうに伺っているところでございます。

東国原委員 こういう状況なんですよね。大臣、どう思われますか。

新藤国務大臣 これは委員と同じ思いであります。

 いろいろな基準を設けていくと、その基準に達しないところで事故が起きるんですね。先ほどお話がありました老人福祉施設におけるスプリンクラーの設置も、面積基準を狭めていくと、その基準の直前のところで起きるということがあります。ですから、私は、面積基準を考えずに設置をできるようにしたらどうだ、こういうことで検討を今いただいているところであります。

 いずれにしても、先ほどお話がありましたように、後手後手に回ってしまっている、これは甘んじて御批判を受けなければなりません。できる限り、こういったものについては、複合的、総合的な火災予防の水準を高めていかなければいけない、このように考えております。

東国原委員 消防用の設備点検報告制度というのがあります。これはどういった制度か、御説明をお願いします。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 防火対象物の関係者は、消防法令で設置が義務づけられております消防用設備等につきまして、半年ごとに点検を行いまして、その結果を、防火対象物の用途に応じまして、百貨店、ホテル、病院等の多数の者が利用する施設につきましては毎年、その他のものにつきましては三年に一回、消防長または消防署長に報告することが義務づけられているところでございます。

 点検項目といたしましては、例えば、自動火災報知設備につきましては、煙感知器に煙を近づけて反応するか、警報が実際に鳴るか、非常用電源の容量は十分かなどを、消火器につきましては、安全栓の取りつけ状況や腐食状況などを点検することとなっております。

 なお、一千平米以上の防火対象物につきましては、消防設備士等の有資格者が点検を行うということにされているところでございます。

東国原委員 これは罰則規定はあるのでしょうか。

市橋政府参考人 罰則規定はございます。報告をせず、または虚偽の報告をした関係者は、三十万円以下の罰金または拘留ということになります。

東国原委員 では、これまでの罰則の事例というのは、あるならある、あるならどれぐらいあるのかというのをお聞かせください。

市橋政府参考人 正確に調査したわけではございませんけれども、罰則適用したというふうな話を私どもとしては把握はしておりません。

東国原委員 ということは、点検報告は完璧にされているということなんですかね。

 ではお聞きしますが、一千平方メートル以上の防火対象物における消防用設備等の点検報告の実施率をお聞かせください。

市橋政府参考人 一千平米以上の防火対象物におきます消防用設備等の点検報告の実施率でございますが、平成二十四年度で六四・二%となっております。

東国原委員 点検を要する防火対象物数が、私の調べだと九十一万八千八十件。もう一回言いますね。点検を要する防火対象物数が九十一万八千八十。その中、報告済み防火対象物数が五十八万九千三百五十三。次長がおっしゃったように、報告実施率が六四・二%。

 ということは、三五、六%は報告されていない、そういう理解でよろしいですか。

市橋政府参考人 はい。残りは、点検をしたという報告がなされていないというものでございます。

東国原委員 いや、報告がされていないと言われても。

 これはどうするんですか。完全に法令違反という認識なんですけれども、これはどういう対応をされているんですか。

市橋政府参考人 私どもも問題だと考えておりまして、消防用設備等の点検結果の未報告など消防法令違反につきましては、消防機関が実施する査察等の機会を通じ、是正に取り組んでいるところでございますが、この点検報告につきましては違反が多く認められているところでございます。

 消防用設備の点検結果報告につきましては、その実施状況も考慮した上で立入検査を実施するよう、私どもから全国の消防機関に示しておりますマニュアルにも記載しているところでございまして、今後も、建物の関係者に対しまして点検報告の重要性というものを十分周知し、その実施を促してまいりたいというふうに考えております。

東国原委員 消防庁が違反が多くあるということをお認めになっているんですよね。これで、啓発していく、促していくという努力目標みたいな、そういったものでよろしいんでしょうか。もうちょっと強い対策、例えば注意勧告、命令等々の対策というのは考えられないんですか。

市橋政府参考人 消防法令違反の事案に対しましてどのような対応をするか、違反を是正するためにどういうことをやったら有効なのかということは、今、私どもといたしましても検討しているところでございまして、さまざまな観点から、例えば違反状況を公表するとか、そういうふうなものができないか、関係消防機関とも十分話し合いをしながら、違反是正ということについてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

東国原委員 これは看過できないですよ。三五、六%の対象物が報告をしていないということですから、これはちょっと甘いのではないかなと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 その問題意識は私も共有をしております。

 それから、今、三五%が未実施といいますけれども、それは千平米以上の建物ですから。千平米未満のものが一体幾つあるのかということになりますと、これはもっと深刻な状態だと思うんです。

 ですので、まずできるだけ周知徹底、それから指導の強化をしていかなければいけない。あわせて、ではこういう現状に対してどういう対策がとり得るかということも消防の方で検討すべしということで、私の方から指示を出しております。

東国原委員 ぜひ、人命にかかわることなので、しっかり対策を検討していただきたいと思います。

 冒頭ちょっと触れましたが、縦割り行政、市町村レベルで消防機関と建築部局での連携はできているのか、また、そういったことを消防庁予防課でしょうか、連携状況というのを把握しているのかというのをお伺いしたいです。

市橋政府参考人 市町村の消防部局と建築部局との連携を促すために、従来から、消防庁また国土交通省から地方公共団体に対しまして、情報の共有化や必要に応じた立入検査等の実施を要請してきたところでございます。

 例えば、今回火災の発生した福岡市におきましても、消防部局と建築部局により、定期的な合同査察の実施や、他部局所管の法令に係る重大な違反を把握した場合には相互の連絡など、連携を図ってきたというふうに聞いているところでございまして、今後とも、各地方公共団体において連携の促進が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

東国原委員 以前の長崎市の認知症高齢者グループホーム火災のときもそうでしたが、そのときも検討会が立ち上がったんです。そのときの検討会からの報告書の中に、「関係行政機関間で情報が共有されておらず、」つまりこれは縦割りだったということですね、「効果的な改善が図られていなかったことも課題として挙げられる。」「立入調査等を通じて、建築基準法や消防法などの防火関係規定に係る不備を把握した行政機関から他の関係機関への情報提供等が必要である。」と強く指摘されているんです。

 ですから、やはりこの連携というのは非常に重要。

 縦割り行政というのは、住民の皆さんにとっては余り関係ないことなんです、我々の命を守ってくれということですので。縦割りというのは行政側の都合なんです。だから、私は、これは人災あるいは行政災ではないかなと思うところがあるんですね。

 この縦割り行政をとにかく、人命を守るというところが非常に重要ですから、ぜひ大臣、連携を深めていただきたいと思います。縦割り行政を是正するというのは政治の力だと僕は思うんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 縦割り行政と役割分担、これは紙一重なんですね。ですから、縦割りを排除しろということで全部一つでやるというならば、ほかの役所は要らなくなっちゃいます。それは非効率になっちゃうんです。ですから、大事なことは、役割分担をしながらいかに連携させるかだと思うんです。

 しかも、今の問題はたくさん事例がありまして、消防も必死でやっています、それから市役所も必死でやっています、でも実態、今の現状体制ではその管理が、またチェックが行き届かないという現実があると思うんですね。ですから、私はもう一つ知恵を使えということも言っております。

 これは検討をしてくれというふうに私が申し上げたことですから、どうなるかはまだわかりませんが、例えば、これはICTを使うことだってできるんです。今のところは全部人的資源に頼っていますから。こういったものを、もうちょっと違うやり方を考えないと、現状は問題だ問題だと言っても、なかなか前に進まない。

 それから、これは結局、民間の事業者さんの都合もございます。ですから、自治体がどういう支援をするのか、各省の補助の制度、総務省も含めてですよ、そういったものもいろいろ複合的にやっていかないと、実効性のある対策にならないだろう。

 私とすれば、ぜひここのところはもう一歩踏み込んだ、実効性ある対策をつくろうではないかということで検討を指示しているところでございます。

東国原委員 ぜひ連携を強めていただきたい。国政レベルでも、国交省と総務省が定期的に協議をするとか、そういったものをやはり建設的にやっていただきたいなと思うところです。

新藤国務大臣 それは、国レベルにおいてはもうかなりやっていると認識していただいていいと思います。

 いろいろな検討会をやるにしても、結局、消防と国交省と厚労省、この三者が入ってやるようになっておりますし、我々も、また現場も、ましてや消防の人たちは目の前で見ているわけですから、これはできるだけやりたいと思っているんですよ。

 でも、それでもまだこういう事態が起きるということでありますから、より一層の連携を深めさせますけれども、少なくとも、いわゆる縦割り弊害で、ここは自分のところ、あっちは向こうのところ、そういう状態でこういった事態が起きている、そういうことではなくて、もうちょっと先に進んだ対策が必要だと私は認識しているところでございます。

東国原委員 先ほど大臣から、チェックが行き届かないのが現実であるという発言がありましたけれども、これは人命にかかわることなので、ぜひチェックを行き届かせていただきたいと思っております。

 次に移りたいと思います。

 去る東日本大震災では、被災三県で計二十七の消防庁舎が地震の揺れと津波で全半壊しました。消火や救助活動の拠点そのものの対策のおくれが露呈したという形だと思うんですが、全国の消防本部、消防署、出張所の耐震の状況はどうなっているか、お聞かせください。

市橋政府参考人 平成二十四年三月末時点での消防本部、消防署所の耐震化率は、七八・八%というふうになっているところでございます。

 なお、五年前の平成十九年三月末時点では六六・一%でございましたので、それと比べますと一二・七ポイントの増というふうな形になっております。

東国原委員 済みません、七八・八%というのは、それは全国ということでよろしいですか。

市橋政府参考人 はい。全国の数字でございます。

東国原委員 もう一度、ちょっと質問させていただきます。

 全体は何棟あって、耐震性の基準を満たしていないか、あるいは耐震性の確認すらできていない建物はどれぐらいあるかというのをお聞かせいただければと思います。

市橋政府参考人 全体で、対象となる建物、棟数は十九万ほどございまして、うち、耐震基準を満たしていない未改修のものが一万七千ほどという形になっております。

東国原委員 一万七千もの消防署施設関係が耐震の基準を満たしていない、あるいは耐震性の確認すらできていないということなんですね。

 これは都道府県別に見るとどうなんですか。都道府県で、高い都道府県、低い都道府県、そういうデータはございますか。

市橋政府参考人 済みません。都道府県別にばらつきがございまして、消防本部、消防署所で申し上げますと、高いところ、例えば愛知県では耐震化率九四・四%となっておりますが、逆に低いところ、山形県では四一・四%というような形で、差があるところでございます。

東国原委員 そういうことなんです。低いところは、山形県四一・四%、福島県、あの原発がある福島県五四・三%、山口県、総理のお膝元山口県五九・五%、これがワーストスリーなんです。いいですか、半分ぐらいしか耐震していないんですよ、消防施設が。

 国土強靱化は大切ですよ。でも、この防災拠点となるような医療あるいは消防施設、警察、そういった建物の耐震が進んでいないというのはいかがなものかと思うんですが、大臣、どうですか。

新藤国務大臣 それは私も、極めて同じ思いがございます。

 一方で、結局、財政需要が増大する中で、自分のところは後回し、こういうような意識が働いているところもあるのではないかな、このように思います。

 しかし、それはだめなんですね。やはり皆さんのお世話をするところは、自分が被害を受けてしまったならばお世話できなくなってしまうんですから、そこはきちんと意識を切りかえて、私どもとしても、地方公共団体については早急な対応を求めていきたいと思いますし、そういった取り組みにも支援をしたいと思っています。

 そして、今年度は緊急防災・減災事業債というものがございます。こういった中で、消防の耐震も含める公共施設の耐震施策というものが図られるわけなんであります。この事業は、地方公務員の給与の減額の協力をいただいた、それに見合った中でのこういった事業も組まれているということを御理解いただきたいと思います。

東国原委員 これはもう待ったなしでありますから、緊急防災・減災事業があるのは知っていますけれども、何か特別に、消防等々の防災施設を増改築、あるいは耐震、減震、免震をするのであれば、そういったことに交付税あるいは三セク債みたいな特別な地方債みたいなものを講ずるというような考えはないか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。

新藤国務大臣 今年度はそういうことで、緊急防災・減災事業、財源をつくり予算立てしているわけでございますね。そして、来年度以降についてはどうするか、これから検討してまいらなければなりません。いろいろな工夫をしながら、やはり地方自治体への支援はさせていただきたい、このように考えます。

東国原委員 ぜひお願いしたいと思います。

 時間がありませんので、最後になります。

 消防団について、私は前回、五月二十三日に質問をさせていただきました。

 その後、自民党さんの消防議連が地域防災力維持を目的に消防団を支援する議員立法をおまとめになったみたいなんですけれども、やはり消防団というのは、私も前回申し上げましたとおり、地元に根づいた活動をされています。地元のことを一番よく知っていらっしゃるのが恐らく消防団の方じゃないかな。自民党さんのこの議員立法の中でも、待遇の改善がうたわれているんですね。これは非常に重要かなと思うんです。

 私も質問させてもらいましたが、そのときに大臣が、処遇改善は検討項目の一つにさせていただきたいという答弁があったんですが、これはその後どういう検討がなされているのか、現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 消防団の活動、これが地域防災体制のかなめになっているわけでありますし、東日本の大震災のときもそうでした。今回も、大島町においても、消防団が大活躍をいただいております。ですから、私どもとすれば、消防団の活動の充実強化を支援していきたい。

 それから、人的確保が大問題なんでございまして、これについてもさまざまな要請を今行っているところであります。地方自治体の方にも私からも手紙を出させていただきます。また、日本郵政に対して、地域にともに活動する方々がいらっしゃいますから、そういう皆さんにも協力をいただけないか、こういう申し入れも行っております。

 そして、お尋ねの報酬等の充実につきましては、これは交付税措置をしているわけでありますが、市町村によって金額がまちまちになっておりますから、金額の低い市町村につきましては、単価の引き上げを検討いただくように私どもは要請をさせていただいているところでございます。

東国原委員 交付税措置をしても、なかなか消防団員一人一人に報酬が払われないという実態がありまして、消防団が持って、それを何か団のいろいろな経費に使ったりというのが現状ということを聞いておりますので、その辺の是正もぜひ呼びかけていただければと思っております。

 るる質問させていただきましたが、とにかく人命を守るというのが我々政治行政の要諦ではないかな、人命、財産そして国土を守るということがやはり我々の最も重要な政治行政の要諦ではないかなと思いますので、そこに視点を向けて、それを重要視して、今後とも、総務省の管轄である消防庁等々の、るる申し上げました改善や検討をお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。少し風邪を引いていまして、声ががらがらで聞きづらいと思いますが、よろしくお願いをします。

 実は、昨日、災害対策特別委員会で大島へ行かせていただきました。本当に、亡くなられた方には心から哀悼の意を表したいと思いますし、さらに、今、東国原さんが言われたように、現状を聞いてみますと、消防団の大活躍だった、今総務大臣も言われましたが、改めて、昨日お話を聞かせていただきまして、そう思ったところであります。

 当日、豪雨で、誰も外に出られない、そして、夜中ですから真っ暗。そういう中でも果敢に消防団の方々が人命救助に出られて、土石流ですから、腰まで、また肩まで土に埋もれた方、そういう方々を、自分の命を賭してまで、その覚悟で人命救助をされ、六名の方々を救助された。本当に頭が下がる思いでありますし、感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、先ほどの話で、重複はいたしますが、やはりこの消防団というのはまさに地元で密着した活動をしていますから、どなたがどこで災害を受けているのかも克明にわかるわけですね。だからこそ、迅速に人命救助ができる。それは常日ごろからの活動にほかならないと思います。ぜひ、そういった意味でも、消防団に対してさらなる待遇、措置等を考えていただきたい。もう一度、大臣、私の今の、昨日伺ってきた話も聞いて、大臣の考え方をお尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 まさにこの消防団の活動が、地域に貢献する、奉仕する、そういうとうとい活動をしていただいておりますことを、私も十二分に承知をしております。

 あの東日本大震災の際にも、消防団活動を行いながら犠牲になられた方がいらっしゃいました。私がお伺いしている中でも、それらの方々は、海に背を向けて、住民を守るために、背を向けた状態で亡くなられた、こういう方もいらっしゃるわけでありまして、とにかくそういった殉職された方には御冥福をお祈りしたいと思いますし、私は、何よりも、消防団の充実強化というのは、まず装備をきちんとする。それは、それぞれの団によって必要なものが違いますから、オーダーメードで、一律ではなくて、リクエストに応じて装備ができるような、そういったことをしようじゃないかと、既にそういうようなこともやらせていただいております。それから、報酬等についてもしっかりと見合うものにしなければならないということがございます。

 そして、大切なのは、やはり安全の教育というものも必要だと思います。消防団員が被災に遭ってしまっては人を助けられないんです。ですから、自分は絶対に命を守りつつ、弱っている人たちを助ける、こういうためにはどうしたらいいのかという研修やマニュアルをさらに整備しようではないか、こういうようなことをやっているわけであります。

 来月ちょうど、消防団、消防の開設百二十年を年明けに迎えるものですから、天皇陛下をお迎えして、そういった式典も予定しております。消防の充実強化、これはもう国の、国家としての基本であるということでございまして、私ども、必要な整備また支援を行ってまいりたい、このように思っております。

佐藤(正)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 私の地元でも消防団はたくさんありますけれども、それぞれ違うんですね。ポンプ車があっても、もう古い古いポンプ車を使っている、こういうのを生で聞いてまいります。ぜひ、そういう整備も前向きに進めていただきたいと思います。

 さらに、通告はしておりませんけれども、昨日見てきて、一番大事なことは、災害が起きてからも大事ですが、災害が起きる前の対応はどうなのか。町長さんにもお尋ねをしたんですけれども、避難勧告をする、その決断というのは本当に大変なのではないですかと。そのときに出たのが、やはり情報量ということです。

 確かに、被災地に行きますと、自衛隊から含め、消防庁含め、警察庁含め、多くの方々が任務に当たっておりますが、実は、避難勧告をするときも、そういった横の連絡をとった情報が、首長さんにとっては本当に必要な情報なんですね。

 なかなか情報が入ってこないということも昨日言われていました。判断に非常に苦慮されているということであります。(発言する者あり)それもありますが、秋田も行ってきたんですね。秋田も行ってまいりましたが、なぜそうやって起きるかというと、今までは、川が氾濫する、そういう経験はあった。土砂崩れがという経験は一度もなかった。だから、川が氾濫する、そちらの方にどうしても施策というか判断が回ってしまう。要するに、異次元の雨が降っているということだと思います。

 そういったことも考えて、総務大臣、ぜひこれからは、横並びというよりも横串を刺していただいた情報がとれるようなことを考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 私も全く同感でございます。

 ですから、まず情報量をふやす、それからスピードを上げる、さらには正確性を増す、さらにはそれをどのようにして伝えるか。どしゃ降りの中で真夜中に防災無線が仮に放送されたとしても、聞こえたかどうかもわからないということもあります。ですから、いろいろな工夫はしていかなければいけないんです。今まで経験したことのない、そういった災害が起きている。気候が変動していきます。そして、都市が変わっていきます。そういう中で、私たちは、この想定をもっと広げなければいけないということだと思います。

 私は総務省の中にICTの研究会を設けましたが、そこで、防災力を強化するためのICTというのも研究テーマの一つなんです。それは、宇宙の、打ち上げてあります衛星から得る情報で、個人に今まで以上に詳細な防災情報が伝わる、そして適切な避難の指示ができる、そういう仕組みも我々日本の技術をもってすればできるのではないか、こういう今挑戦もしているところでございます。

 あらゆる意味で複合的に、総合的に取り組んで、国民の命を守るのは国家の最大使命でございます、ですから、それに気合いを入れるとともに、新しい知恵を付加して、私は、この実効性を上げられないか、総務省もそこに貢献したい、このように考えています。

佐藤(正)委員 先ほど申し上げたように、秋田も行って、滋賀それから京都も行ってまいりました。秋田の場合はもう豪雨ですから、実は防災無線は聞こえないという現実があるんですね。

 山口の場合だと、そのために、各家庭に、いわゆる個別の情報が入るようにしている装置もある。でも、聞いたら、一台が五万ぐらいするという、何かばか高いんですけれども。しかし、じかに、直接情報が流れるような仕組み、当然、総務省ですから、放送を含めて、防災無線も含めて、今後の大きな検討課題だと思います。ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 そこでまた、先ほど東京オリンピックの話もありましたけれども、多くの外国の方々に日本に来ていただこうということを今ビジット・ジャパンということでうたっておるわけですが、そこでお尋ねをしたいのは、諸外国からお見えになった方々に、例えば災害が起きたときに、どのように情報を伝達されるのか。その辺については、何らか方策がありますでしょうか。

上川副大臣 災害が発生した場合につきましては、我が国に滞在している外国人の皆様に向けまして避難情報等を多言語によりまして提供すること、国際化が進展していく中で大変重要な課題の一つというふうに考えております。

 臨時災害放送局、NHK等の既存の放送局が多言語による避難情報等を放送することについては制約はございませんけれども、このためには、翻訳作業等に相当の時間、労力を要するということでありまして、現在では十分な取り組みがなされていない状況にございます。

 今、この多言語のシステムとして、翻訳システムというのが実はございます。現在はNICTにおきまして研究が進められているという段階でございまして、比較的短い英語会話ということについては、四カ国語で既に音声翻訳の精度を高めまして、スマートフォンに向けてのアプリとして利用されているところでございます。

 他方、人命にかかわるような避難情報の翻訳に活用するということになりますと、例えば防災分野の対訳データベースの充実等、正確性の確保のための課題等が残っているところでございまして、今後、実現に向けて積極的に取り組んでいくということでございます。

 総務省としては、二〇二〇年の東京オリンピックが開催されるということで、多数の外国人の皆様が来日されるということも念頭に置きまして、今後は、こうした技術の活用を含めまして、外国人の皆様に対しましても、命そして安全の確保に係る情報が適切に提供できるように、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 今副大臣が言われたように、いわゆる東京オリンピック、国民の大きな期待です。そして、多くの諸外国の方がお見えになります。そして、日本は、先ほど大臣が言われたように、すばらしい技術開発を持っています。そのときに、日本に来たら、まあ地震国だとか言われていますが、そういう情報はしっかり提供できますよ、安心してぜひ来ていただきたい、こういったことが実は大事なことだろうと思います。

 そこで、情報通信研究機構でも、いわゆる翻訳プログラムの開発をずっと今やられていると思うんですね。そこと連携をして、しっかり、いち早く、もう東京オリンピックが過ぎたら終わりですから、その前にぜひやっていただきたいと思いますが、副大臣、どうですか。

新藤国務大臣 NICTの研究の一例を御存じいただいているのはとてもうれしいと思います。私は、これは、非常に未来を開く、まさに言葉の壁を取り払うことができる新しい技術ではないかと思っていまして、これの研究をさらに促進させようではないかということを考えています。

 実は、それも含めまして、防災時の緊急時の避難にはもう類型化されているものがありますから、そういったものを国民、それから我が国を訪れている、訪問されている外国の方々に適切に、今まで以上の確度を持ってお伝えできるようにする、これはぜひやりたいと思います。

 これは、要するに、音声の多言語翻訳システムもそうでございますし、例えば地デジの自動起動装置というのもございます。それから、Jアラートによる緊急特別警報、こういったものもあります。ですから、いろいろな運用を見直していく中で防災性を高められるのではないか、そういうことを追求していきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 情報は流れるようになりました。ところが、諸外国の方が避難する場所が観光地で確保されているのかどうかなんですね。例えば京都だとか、そういったところでそれだけの避難場所が本当に確保されているのかどうか、その辺については御存じでしょうか。実態は今どうなっているのか。

新藤国務大臣 詳細な情報があるわけではありませんが、これは、全ての自治体において、緊急時の国民を保護するための計画ができております。

 ですから、その中で、観光客といえどもそこの地域に滞在しているわけでありますから、それの対応策というのはあると思います。それが必要十分であるかどうか、それは個別の、どんな事象が起きるのか、どういう事態に何の施設が必要なのか、こういったものを一つ一つ検証していかなくてはいけない、このように思います。

佐藤(正)委員 その検証と先ほどの情報が重なることが一番ベストでありますので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、先ほど、公的な機関の耐震、これは質問通告は何にもありませんけれども、実は、避難場所は、地域でみんな看板をかけたりしているんですね。類似公民館でも看板をかけたりしているんですね。ところが、類似公民館とかそういったところは、実は耐震性はほとんどない、これが実態なんですね。ところが、地域の人はそこに逃げ込んでくださいと言われて、もし逃げ込んで、そこが潰れたら大惨事になる。これは質問通告をしていませんが、ぜひ、総務省としても、地方の方にはその辺、しっかりと精査するようにお伝え願えれば、このように思います。

 次に、新藤大臣が、今回の大臣所信表明、説明というんでしょうか、ちょっとわかりにくいんですけれども、それで、行政事業レビューとの連携強化、評価基準の標準化、重点化、役に立つ評価結果の提供というふうに言われておりますが、これは具体的にどういうものを示すのか、ちょっと教えていただければと思います。

新藤国務大臣 行政事業レビューというのは、前政権が中心になって始めていただきました。私ども日本政府とすれば、その前にも、十年ほど前から、政策評価法というものを成立させて、そして府省の政策評価に取り組んでまいりました。

 我々政権は、このもともとの行われてきた政策評価、これは政府全体の施策を五百の政策目的に分けてチェックしていく、こういう体系と、それから約五千の、各府省それぞれの個別事業をチェックする、この行政事業レビュー、これを連携させる。個別事業をチェックしながら、その個別の固まりを五百類型にして横串を刺した中で、どういう政策効果が出ているか、こういったものを重層的にチェックすることで行政改善ができるのではないか、こういうことで私は進めさせていただいているわけであります。

 この行政事業と政策評価をやる上で、導入時期が違っておりましたので、初期においてはそもそも統一した番号になっていない。ですから、行政事業レビューにおけるこの施策が評価のどこに入っているかが突合できない状態になっていたんですね。ですから、まずこれを合わせよう、通し番号にしてきちんとチェックできるようにしようということがございます。

 それから、政策評価についても、各省に政策評価を委ねております。したがって、政策評価の指標や、それから評価基準がまちまちになってしまっているんです。ですから、これを統一の評価基準にすることによって、横串を刺して、その効果をチェックすることができるということになりまして、今、鋭意基準をつくり直し、見直しを進めている、こういう状況でございます。

佐藤(正)委員 そこで、大臣、いろいろ調べさせていただきましたが、かなり効果を出していることがあるんですね。

 僕は、行政の方とお話をさせてもらったときに、何でそれは表にもっと出ないんだ、何であなたたちはしまっているんだ、いいことはいい、しっかりと表に出すべきではないかということを、お互いに意見交換をしながら言った経緯があるんですね。

 そこで、大臣、例えば、今言われたことで、予算の削減に効果をあらわしたものというのが何点かあろうとは思いますが、これはというものがあれば、お示し願いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、私が大いに期待をしておりますのは、社会資本の長寿命化の問題であります。

 これは、高度成長時代に大量に整備された社会資本が、もうすぐ大量に老朽化するわけであります。そのときに、公共事業の予算は半分になっている中で、何もしなければ、もう補修するだけで予算を全部使われることになってしまいかねません。

 ですから、社会資本を長寿命化させる、直すべきものと少してこ入れをしてもたせるものと、それをきちんと管理しなければいけない、より分けをしましょう、こういうこと、これは私どもの総務省の評価の中で勧告をいたしました。これは、国土交通省、農林省に対して、農道、林道も含めてさせていただきました。これは大きな効果が期待できるのではないかというふうに思いますし、まだ検証はされておりませんが、かつて、医薬品のジェネリックの活用についても、我々が勧告したことがございます。

 今委員が御指摘いただいたように、これはかなりいい勧告をしているんです。それなりの効果が出ているんですが、いかんせん役所というのは、なかなかそこが、遠慮するのか、仲間内のことなのでというのがあるのか、表に出ない部分がありますので、私もできるだけプレーアップするようにしているんですが、委員からそういう評価をいただくというのは、大変、我が意を得たり、ありがたいことだと思っております。

佐藤(正)委員 私も、説明を聞いてみて、今大臣が言われたとおりで、いいものはいいんですね。頑張っている人がいるということをしっかり、今回この委員会であえて取り上げさせていただいたのは、どうもいつも後ろ向きなことが多いものですから、あえて取り上げさせていただいたわけです。

 社会資本整備の件でも、古い橋梁から全て、今現状がどうなっているのか、実はそれが一番大事なんですよね。壊れたからどうするんじゃなくて、家でもそうですが、長くもたせようと思ったら、それなりの手入れが必要なんですね。そこに目をつけられたというのは、僕は本当に、当たり前のようでありますけれども、件数が件数ですから、すごいことを提言されて勧告したんだな、そういうところで私は評価をしています。

 その中でも、残念ながらまだまだ各地方ではそこまで手が回っていないということも現実です。資料をいただきますと、長寿命化修繕計画を策定しているのは、千八百二十九管理者の中において約二%しかされていない。国土強靱化をする上においても、これが基礎となると私は思っています。そういう意味では、ここをスピード化してしっかりチェックをしていただければ、この評価でいきますと、全国の地方公共団体が管理する道路橋梁ですか、約六十五万、これをやれば、約五十年間で約十七兆円の削減効果があるのではないか。本当にすばらしい提案だと思いますし、ぜひ、各省庁にこれを徹底していただいて、成果を上げていただきたいと思いますので、大臣、もう一度、決意をお願いします。

新藤国務大臣 まさにそういうとても大きな効果を出せるものだと思います。ですから、必要なのはデータベースなんです。それが国、県、市、町村でまちまちになっております。特に、農林道が非常に問題があるということを勧告させていただきました。私は、これはちょっと怒りを持って勧告したんですけれども、そういう、事態をきちんと把握しろということがまず第一であります。

 それから、加えて、さらにもう一つ、技術の力を加えたいと私は思っています。この間、中央道でトンネルの天井が落盤いたしましたね。これは、道路や橋にセンサーを取りつける、そして現状の管理を徹底してしていく、その中で必然性の高いものから工事をしていく、こういったことも、このセンサー技術の適用によってできていくと思うんです。

 ですから、これを各省にやってもらうこととあわせて、新しい技術を加味して、そして日本は、同じ予算で数倍の効果を上げようではないか、もしくは、同じ効果を半分以下の予算で達成できるじゃないか、これがICTなんです。そこは総務省が研究をしなくてはいけないところだということでありまして、ぜひ貢献したいと思っています。

佐藤(正)委員 次に、独立行政法人に対するレビューもやっていらっしゃるんですね。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、独立行政法人都市再生機構に対して、これまで、総務省としてどういう勧告をし、どういうふうに取り組んでまいったのか、御説明願いたいと思います。

新藤国務大臣 独立行政法人都市再生機構、これにつきましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会、ここによって指摘をさせていただいております。そして、そういった評価に対して不十分だという判断がされた場合には、再度評価を行うべき、こういった指摘を各省に行っている。

 まず自分たちがやってもらいます、それから所管の省庁がやります、それに対して私たちが二次的評価という形で政独委で評価をする、こういう指摘になっているわけでありまして、都市再生機構につきましては、勧告の方向性で指摘した事項への取り組み状況が評価が不十分だったということでございまして、厳格な評価を行うように意見を述べさせていただいているところでございます。

佐藤(正)委員 大臣が言われたとおりなんですね。

 平成十九年の十二月二十一日にまず勧告をして、その後、フォローアップをして、平成二十年一月、平成二十年十一月、同じように、まだまだ足らないよ、もっとしっかりやりなさいという指導というんでしょうか、御意見を出されております。

 そこで、きょうは国土交通省の方にお見えになっていただいていますが、今この大臣の御説明も踏まえて、現在どういうふうにお考えですか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 佐藤委員の方から天下りの問題で御指摘も受けておりまして、委員御案内のとおり、独立行政法人の役職員の関係会社への再就職につきましては、独法通則法及び独立行政法人都市再生機構法において禁止はされておらないというのが現状でございます。

 しかしながら、他の独立行政法人でのいわゆる官製談合問題の発生や、今委員御指摘のありました、新藤大臣からも御指摘ございました勧告に基づきまして、平成十九年十二月二十四日の閣議決定、独立行政法人整理合理化計画におきまして、関連法人との人と資金の流れについて詳細に情報開示をすることとされてございます。この情報開示によりまして、機構と関連法人の業務運営については、広く国民の批判に応えられるように措置されているところと承知しております。

 なお、累次の御指摘をいただきましたので、平成二十年二月に、当時の冬柴国土交通大臣が国会答弁をいたしまして、機構の関係会社への再就職のあっせんをそれ以降自粛しております。この結果、機構の役職員でもあった者の関係会社に再就職している役職員の数は、平成十八年度末、三百六人、二十八社から、平成二十四年度末、百二十人、二十五社に大きく減少しております。

 この関係会社への再就職の問題の本質は、機構本体との随意契約によって関連法人に過大な収益をもたらすことにあると思っております。累次の御指摘もこの点に集中しております。こうした指摘を踏まえまして、機構では、契約方式を大幅に見直しまして、少額契約を除きほとんどが競争性のある契約に移行しております。現在は、御指摘を受けるような状況ではないと認識をしております。

 事柄の性格上、再就職そのものを禁止することはできないものではございますが、再就職の状況の詳細な情報開示と相まって、緊張感を持って業務運営が行われ、一定の改革は進展しているものと認識しております。平成二十一年度以降、行政評価局からは御指摘はいただいておりません。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 今説明がありました、天下りしている方が数が減りましたよ、努力していますよと言われておりますが、実は、会社を統廃合したりして会社の数が減っているんですね、現実は。

 だから、きょう、皆さんのお手元に資料として配付をさせていただいていますが、こうやって色を塗ってあるところが、皆さん、URから天下りをしている現実なんですね。これを見て、真っ赤っかと言ってもいいと思いますが、こういう状況を見て、今国土交通省の方々はしっかりやったんだと言われておりますが、これはどう見ても、余り変わっていないと思いますよ。

 それと同時に、例えば、お手元の資料に退職金の一覧も添付をさせていただいていると思いますが、この退職金をぱっと見ると、一番最後のページですが、理事長Aが退職金五百六十二万円、それから、副理事長Aが五百四十万円、それ以外の方々は一千万円以上を超えている、どうも何か、数字がえらい違うんだなと思われている方はたくさんいらっしゃると思います。

 理事長Aの五百六十二万円というのは、どれぐらい勤務された方なんですか。

 済みません、報酬です。申しわけない。退職金は右です。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 勤務した期間は三カ月でございます。

 なお、先ほど委員御指摘の、役職員の数が減ったということでございますが、私、先ほど申し上げましたように、会社の数は二十六社から二十五社に減った上で、百二十人に減っておりますということを申し上げておりますので、会社の数が減ったことによって減ったということではないことを御承知いただければと思います。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 会社の数が一社しか減っていなくて、数はこれで減ったと。では、前は真っ赤っかなの。以前はもっと真っ赤っかだったということですよ、これは。勘違いしちゃいけないですよ、かなり意識がずれています。だから、進まない。そこは指摘をしておきたいと思いますね。

 今後も、この問題については、国交委員会でも、もしよければ御質問させていただきたいと思います。

 ここのURは、累積赤字は幾らあるんですか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 繰越欠損金のことをおっしゃっているんでございますと、今、二千百億円程度でございます。

佐藤(正)委員 二千億円を超える赤字があるんですね。そして、これだけの子会社を持ち、そしてそこに、先ほど資料をお見せしたように、天下りが行っている。

 これは、逆に言えば、普通に見たら、天下りシステムを温存するための子会社じゃないのかなと。先ほど答弁もされましたけれども、これまでは、いわゆる随意契約ですよ、今でも一者応札はあると聞いていますが、随意契約をやっている。だから、子会社が利益が上がる。

 昔、こんな言葉がありました。母屋でおかゆをすすり、離れですき焼きを食っている。まさにこれが、この実態をあらわしていると思いますよ。さらなる改革をやるのか、やらないのか。

 それとまた、先ほど私が役員報酬と退職金を間違えて御質問したのはおわびを申し上げたいと思いますが、それにしても、三カ月で報酬が五百六十二万円ですよ。二千億円を超える赤字を持っているところです。普通に考えたらあり得ないことが今でも行われていると国民の皆さんは思われると思いますよ。

 そして、もう一点は、この独立行政法人都市再生機構自体の所期の目的はもう達しているんじゃありませんか。どうでしょうか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 先に、所期の目的とおっしゃっていただいたのは、中堅勤労者に賃貸住宅を供給するという目的については、もう達成されたものというふうに承知をしております。

 それから、報酬につきましては、他の法人等々の横並びを見まして、いろいろありますけれども、適正なものが支払われていると承知しております。

佐藤(正)委員 所期の目的はもう達成したんです。ただし、今、多くの賃貸住宅を管理されていますから、それを手放すわけにいかないでしょうね。しかし、そういったものは、逆に言えば、民でもっとできるんですよ。独法でやらなくたってできるんです。

 総務大臣が言われるように、いわゆる地方と一緒になって業を起こしましょうという、所信表明の中にもありましたけれども、一番早いのは、民間に仕事が行ってお金が流れる、これが実は一番有効な景気対策でもありますし、イノベーションでもあると思います。

 もう時間が来ましたのでこれで質問を終わりますが、どうか、最後にもう一点、新聞報道でもありましたけれども、このUR、また三十数億円の赤字を出している、一つの事業体でですよ。これはまた次回にさせていただきますが、総務省が出したこの勧告をしっかり受けとめて、前に進めていただきたい、そのことをお願いして、質問を終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、自然災害の被災者支援、また被災自治体支援について、竜巻災害なども例示をしながら質問をいたします。

 この間、首都圏では竜巻被害が多数発生をいたしました。特に、先月九月は、二日、四日、十五日、埼玉、栃木、千葉、群馬と、首都圏、北関東全体が竜巻被害の常襲地帯になったかのような状況でありました。

 私も、この間、埼玉県越谷市や松伏町、千葉県野田市、また埼玉県熊谷市にも足を運んで、被災者の方のお話を伺ってまいりました。突風で窓が割れて、屋根が吹き飛ばされて、豪雨が降り注ぐと、寝室を含めて二階部分、居住部分が大きな損害を受ける、複合的な災害になるというのが竜巻被害で、局地的ではあっても甚大な被害が及ぶということがこの間はっきりしてまいりました。

 越谷の飲食店の方などは、商売を再開しようにもままならないとおっしゃっておられましたし、農家の方も、ちょうど稲刈りの時期の直前でありましたから、田んぼにたくさんの瓦れきが入ってきて、そのために機械を入れることが難しい、こういう状況などについても訴えがございました。

 あと、どうしても屋根が破られるものですからブルーシートをかぶせなくちゃいけない。しかし、御年配の方などは、二階の屋根の上に上ってブルーシートということもなかなかできませんので、ブルーシートを配ってくれるのはありがたいんだけれども、これを張るところまで含めた取り組みなどについても、いろいろな面で面倒を見てもらえないかというお話なども伺ったわけであります。

 日を追うに従って新しい要望も出てくるのが自然災害の現場でもありますので、そういう要望にしっかり対応するような取り組みを行政としてもお願いしたいと思っておりますし、私どもも、それに対応する取り組みもぜひ進めていきたいと思っております。

 そこで、第一に、まず避難者の方の住宅の確保策について、内閣府防災の方にお尋ねをいたします。

 埼玉県越谷市などの竜巻被災者の避難先として、埼玉県は県営住宅を提供いたしましたが、被災地域に隣接をした県営住宅というのがほとんどない。ですから、越谷市の外に出て避難先を確保する。こういうことになりますと、例えば小さな子供さんがいて、保育園もあるでしょうし、幼稚園もあるでしょうし、また小学校に通う、そういうときに、お隣の行政区の避難生活で子供をどうするのか、できれば同じ学区内で避難先を確保して、子供を同じ学校に通わせたい、こういう当然の要望などがあったわけであります。

 そこで、お尋ねしたいんですが、全壊世帯等であれば、応急仮設住宅として民間アパートの借り上げも可能なわけであります。ですから、避難先として、県営住宅、公営住宅への入居を勧めるのとともに、民間アパートの借り上げも選択肢として被災者に提供するということはできるんじゃないのか、このように思いますが、この点についてはいかがですか。

佐々木政府参考人 災害により住居が全壊等した被災者の仮の住まいとしましては、災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供のほかに、今お話がありました公営住宅等の空き室を提供することも可能であり、埼玉県としては後者を選択したものと承知しております。

 なお、災害救助法による応急仮設住宅については、必要に応じて、賃貸住宅の居室を借り上げて提供することも可能でございます。

塩川委員 ですから、一般的に言っても、公営住宅も提供するし、同時に、民間アパートの借り上げ、応急仮設住宅の提供も行う、これを両方示す、避難者の方にこの二つの案を示す、こういうことは可能ですよね。

佐々木政府参考人 制度上は可能でございますが、都道府県が救助法の趣旨に従いましてどういった提供をするか、これは県の方で諸事情に応じて判断していただくということになろうかと思います。

塩川委員 県の判断で可能ということであります。

 もう一点、空き部屋を探し出して提供する公営住宅では、避難先が居住地から離れて被災者がばらばらになってしまうということでは、越谷市のような市街地においては民間の賃貸などの物件もあるわけですから、こういう既存ストックの活用を図る、学区内でもそういう避難先を確保できるような、こういう取り組みというのは有効だと思います。

 それで、一度公営住宅に入居をすると、現に救助を要する、こういう状況ではなくなるということで、応急仮設住宅、借り上げ民間アパートの対象とならない、こういう事例があると聞きます。

 この点について言えば、これは制度設計の仕方だと思うんですけれども、公営住宅を災害救助法上の二次避難所という位置づけをすれば、応急仮設住宅である借り上げ民間アパートへの転居、住みかえ、これも可能だと思うんですけれども、この点はいかがですか。

佐々木政府参考人 避難所は、災害直後における混乱時に避難しなければならない者を一時的に受け入れるものであるため、あくまでも住宅である公営住宅は、一般的には避難所になじまないものと考えております。

 しかしながら、大規模な災害の発生等におきまして、通常の避難所だけでなく、宿泊施設を借り上げた避難所等を活用してもなお応急的な被災者の受け入れが十分でない状況下において、都道府県の判断において、緊急的に公営住宅を避難所として活用することを排除するものではないと思っております。

 ただ、その場合におきましても、仮の住まいが必要な被災者については、そのまま公営住宅に居住していただくことが通常ではないかと想定されているところでございます。

 ただ、公営住宅を短期的にしか活用できず、退居せざるを得ない状況など、都道府県が合理的と認める場合には、救助法に基づく民間賃貸住宅借り上げを含みます応急仮設住宅の提供を行うことは可能であると思っております。

塩川委員 都道府県が合理的と認める場合は、都道府県の判断で可能ということであります。こういう点でも、被災者の実情に即した柔軟な避難住宅の確保策をぜひとっていただきたいと思っています。

 今回、伊豆大島の場合でも都心への避難がありました。これについて言えば、オリンピックセンターですとか、あるいは離島の皆さんの宿泊施設などに一時的に入居されるということなんかもあったようですけれども、この点についても、被災者、避難者の実情に即した取り組みは都の判断でしっかりとできるということで、取り組み方、内閣府防災としても適切なアドバイスなどに取り組んでいただきたいと重ねて要望しておきます。

 次に、被災者生活再建支援法の対象拡大についてぜひ求めたい。

 被災者生活再建支援法は、十世帯以上の全壊被害が発生した市町村などを適用対象としております。昨年五月に茨城と栃木の両県で竜巻被害が発生をしたときは、全壊棟数が六棟だった真岡市など栃木県の自治体には適用されず、適用された茨城県つくば市との不均衡が生じました。今回も、同じ竜巻被害でありながら、全壊世帯三十戸の埼玉県越谷市には適用され、全壊世帯一戸である松伏町、また、全壊世帯、やはり一戸でありました千葉県野田市には適用されておりません。

 この件は、私も昨年国会で取り上げて、全ての被災住宅、同一災害であれば全ての全壊世帯等を支援の対象とするように求めましたが、当時の防災担当副大臣は、前向きに検討したいという答弁でありました。しかしながら、今現在、その点についての具体的な措置は行われておりません。

 そこで、亀岡大臣政務官にお尋ねをいたしますが、同一災害であれば、全壊被害が十世帯未満の市町村も対象とするよう制度を改めるべきではないのか、この点についてお伺いします。

亀岡大臣政務官 今委員の御指摘になったとおり、私も、越谷から含めて全部行ってまいりました。皆さんからいろいろなお話をいただきましたが、まさに、この被災者生活再建支援法の制度は、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により対応するものとしております。

 特に、規模の小さな災害に対する対策は、被災地方公共団体において対応することが可能であるということで、当該地方公共団体による対応を前提としております。

 このことから、支援法の適用となる被害を受けた地方公共団体に対しては迅速な適用手続を、また、同法の適用要件を満たさない地方公共団体においては、各都道府県で支援措置を講じていただき、被災者に必要な支援が行われるよう対応してきたところであります。

 特に、最近の災害においては、大臣の指示により、担当部署の参事官等を現地に直接派遣いたしまして、現地でしっかりと都道府県と調整をしていただき、現場の意見を直接伺うようにしております。そして、被災された方に迅速な支援が行われるように努めてきたところであります。

 また、支援法の適用対象となる災害と同一の災害で、同法の対象にならない被災地域においては、都道府県が自主的に支援法と同水準の支援金等を被災者に支給した場合には、支援金、支援額の二分の一が特別交付税措置をされることになっております。

 さらに、ことしの十月一日に災害救助法が厚生労働省から私どもの内閣府に移管されたことも受け、被災者生活再建支援法も含めた被災者支援政策全般について、改めて幅広く審議していただくための有識者検討会を設け、十月二十三日に第一回目を開催したところであります。

 この委員でありますけれども、この委員のメンバーは、地方公共団体の方々それから有識者の方々に幅広く議論をいただくと同時に、知事会にもオブザーバーとして入っていただく。そして、今指摘のあったように、きちんと対応ができる環境づくりのために、連携をとれるような、一番いい方策を今検討していただいているところであります。

 さらに、竜巻に対しては、私が座長を務める竜巻等突風対策局長会議に早く御報告をいただけるよう、優先して検討していただいておりまして、年内を目途に意見の整理を行っていただくとともに、来年の夏を目途として被災者全体に関する報告書をまとめていただくこととしております。

 ですから、被災者に対しても、これからどんな異常気象が起こるかわかりませんので、自助、共助、公助の適切な関係、そして、国と地方の役割分担を踏まえつつ、被災者の立場を最優先にできる被災者再建支援法というものをこれからしっかりと確立していくべく今努めているところでありますので、また御意見があったらどんどん出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

塩川委員 今取り組んでいる仕事を全部お話しいただいたような感じでしたけれども、御意見はありまして、国と地方の役割分担の話というのは、以前は余り聞かなかった話なんですよね。

 例えば、支援法の対象とならないような規模については都道府県が同等の支援制度をつくってくださいよ、こういう通知を出し始めたのは、ことしの九月になってからじゃないですか。そうですよね。

亀岡大臣政務官 これは、異常気象において特に災害がふえたものですから、国がしっかり支援をとれる体制も含めて、県の知事会とも話をしながら進めておりまして、それが具体的に進み始めたと思っていただければと思います。

塩川委員 この件については、例えば日弁連なども意見書を出しています。やはり、同一災害でありながら適用されるところと適用されないところができるというのは、法のもとの平等に反する、こういう形での意見書なども出されて、不合理な差別を解消すべきだという要望もしているわけですから。

 私は、この間、対象を拡大してきているわけですから、さらに一歩踏み込んで対象を拡大する、これこそ国が行うべきで、国と地方の役割分担で、小さいところは地方ですよということではなくて、もともと国と地方で折半でお金も出すという仕組みになっているわけですから、さらにもう一歩、対象を拡大する、国の制度として措置をすべきだと思うんですが、その点、改めてお聞きしたい。

亀岡大臣政務官 まさに、指摘されていることはもっともだと思います。

 そして、これだけ異常気象が起こっている中で、隣り合わせで、ちょっと境をまたいだだけで自治体の取り扱いが違うというのはおかしいということで、我々も、現地に担当者を派遣して、同等にできるような措置を今までとってきましたけれども、それをきちんと今度は制度的にできるようにしていこうということで今会議を開いておりますので、もう少し時間をいただきたいと思います。

塩川委員 いや、それは、国の制度としてやるという話じゃなくて、小さい規模については都道府県、自治体の方で措置してくださいね、それによって同等を確保するということをおっしゃっておられるというのは、この間の議論の中で出ている話であって、そうじゃなくて、国の制度として一本でやりなさいよという要望であります。

 その点について言えば、大臣にお尋ねしますけれども、全国知事会におきましてもこの要望が出されているわけで、被災者生活再建支援制度の適用範囲について、一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、全ての被災区域が支援対象となるよう見直すこと、これが事業主体でもあります知事会が要望している中身ですから、ぜひ、総務大臣としても、こういう知事会の要望を踏まえて、国の制度の改正を図る、こういうことについてしかるべく働きかけを行っていく、役割を果たしていただきたいと思うんですが、その点いかがですか。

新藤国務大臣 委員も私も同じ埼玉で、この間の竜巻の被害については、まことに目の前で自分たちの実情を承知しているわけですから、今の御意見というのは、非常に共感できるところもある、このように思っています。

 そして、国としても、こういう分野について見直しをするんだということで、内閣府の有識者検討会において、既にもう主な検討課題になっているわけでありますから、ぜひそういった趣旨は踏まえて検討していただきたいと思います。

 私は、担当大臣であります古屋大臣には、そういった思いは伝えさせていただいております。

 有識者の中でしっかり議論いただくとともに、それから、何よりも総理が申しておりますけれども、被災者の立場に立った制度のあり方について、これは国と地方の分担も含めて、そういった検討をなされるように期待をしております。

塩川委員 全国知事会が要望している方向での国の制度の改正を図っていくということこそ今求められている、重ねて申し上げておくものであります。

 国と地方の役割分担という話になると、では小さいところは地方でという話になったときに、財政力との関係で自治体の対応にばらつきが出てくるんですよ。結果とすると、国と地方の役割分担の名のもとに行われることが、地方での取り組みを消極的にしてしまう、こういう懸念が出てくるわけですから、ここを改める上でも、国の制度としての改正を強く求めたい。

 その点で、最後に、被災者生活再建支援策への特別交付税措置についてお尋ねをしますが、亀岡大臣政務官がおっしゃいましたように、被災者生活再建支援制度の対象とならない一定規模以下の災害については、各都道府県において独自の支援措置の実施について検討するなど、被災者の生活再建支援について必要な対応を講じるように被災都道府県に要請をしてきているのが、内閣府防災であります。

 しかしながら、埼玉の竜巻災害では、埼玉県はこういう支援制度をつくりませんでした。実際にやったのは松伏町。市町村がつくったんです。市町村が、対象とならないということで、国と同等の制度を独自につくったということなんですけれども、市町村が支援法と同等の制度をつくった事例というのはほかにあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 ことしの九月までの二十五年自然災害のうち、被災者生活支援法の適用となった災害につきまして、同法の適用対象外となった世帯に独自で実施した市町村は五団体ございまして、そのうち、支援法と同等の措置を行ったのは松伏町一団体というふうに承知いたしております。

塩川委員 つまり、横出しで同等の支援制度をつくっているというのは、都道府県レベルではあるけれども、市町村では松伏町だけなんですよ。過去をさかのぼってといっても、どこというのは言えない、わからないという状況ですから、今回、非常にレアな状況になっているわけです。しかし、被災者の方の生活再建を考えたら、自治体として一歩踏み出そうという措置としては、積極的な役割を果たしておられると思います。

 こういった松伏町のように、市町村が支援法と同等の制度をつくった場合は、先ほど亀岡大臣政務官がおっしゃったような特別交付税の措置、市町村が行った場合にはあるんでしょうか。大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 この事務は都道府県の事務ということになっておりますから、特別交付税措置というものは考えておりません。今含まれておりません。

塩川委員 ですから、都道府県の事務、事業主体の支援法ですから、その横出しのものを都道府県がつくる場合については特別交付税の措置があるけれども、市町村は対象になっていないんですよ。

 この支援法の対象とならないような災害について、そういう要件に満たない全壊世帯等に支援を行うような場合に自治体が支援制度をつくる場合に、大体三通りの仕組みがあるんです。都道府県がつくる、都道府県と市町村がお金を出し合って基金でつくる、それと、松伏町のように市町村がつくる、おおよそ三通りなんですけれども、こういう場合、つまり、松伏町、市町村がやった場合には特交の対象になりません。

 基金の場合なんかはどうなんですかね。都道府県と市町村が折半で出しているような場合というのは、市町村が出した分というのは対象になるんでしょうか。

新藤国務大臣 今の現状でいけば、県の財政措置についての対象ということになってしまいますね。

 まず、そもそもが、同じ竜巻で、ばあっと行くんですけれども、そこに人家がある場合となかった場合とありますよね。勢力が弱まったわけじゃないわけでございまして、たまたま田んぼの中をずっと行けば全壊家屋がなかった、やはりこういう実態をきちんと捉えなきゃいけないということがあります。

 委員がいろいろ御心配いただいておりますけれども、同じ竜巻で、被害が一戸だった埼玉県の松伏は、埼玉県庁がなぜかやらなかったんですね。隣の野田は、千葉県がやったわけですよ。ですから、こういうそもそもの実情というものをきちんと踏まえた上での適切な対処というのを求めていきたいというのがあります。

 それから、さまざまな今のような御意見も含めて、これはきちんと検討をしてもらいたい、このように期待をしておるところでございます。

塩川委員 ですから、特交の措置としてどうするかという話でお尋ねしているわけで、そういう意味では、都道府県がやる場合には対象だけれども、市町村がやる場合には対象にならない。しかし、被災者の生活再建のためにやっていることは同じことなんですから、地方自治体がやっているという点でも同一であるわけで、そういう意味でも、私は、市町村が行うような場合についてもしっかりとした特別交付税の措置があってしかるべきだ。これについてしっかりと検討するということこそ必要じゃないですか。

新藤国務大臣 まず、制度としてはルールがありますから、その中での適切な運用というのが必要だと思っています。

 それから、目の前の個別ケースの実態として、例えば、そういうふうに市町村が単独で何かをおやりになって、それが市町村の財政運営に支障を来すようなそういった場合がもしあるとするならば、そういったことは私どもはきちんと事情を聞かせていただきたい、このように思っております。

塩川委員 事情を聞いた上でしかるべく措置をお願いしたいということと、あと、最後に一点。

 越谷市などは、避難者の方に対して、アパートを避難者の方が借り上げる際に、その家賃補助というのを実施しているんです。こういう家賃補助を市町村が実施するような支援策、こういうものというのは、交付税の何らかの措置というのは行われているんですか。

新藤国務大臣 現状において、そういった対処するような制度というのはございません。

 ただ、総括的に、例えば今回の元気づくり事業、元気交付金、こういったものも含めて、市町村の中でいろいろな財政措置の応援をできるような、そういう包含した形での財政支援というのは私たちは行っているつもりでございます。

塩川委員 支援法においても、単に対象外のところを対象にというだけではなくて、上乗せもありますし、さらにいろいろな横出しの制度をつくるということも含めて、本当に被災者、避難者の方の生活再建に資するような取り組みを、しっかりと国としての地方財政措置を行っていく、このことを改めて強く求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 この際、御報告いたします。

 去る八月八日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく一般職の職員の配偶者帯同休業に関する法律の制定についての意見の申し出があり、議長より本委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件について調査を進めます。

 去る八月八日の一般職の職員の給与等についての報告及び国家公務員制度改革等についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁原恒雄君。

原政府特別補佐人 人事院は、八月八日、国会と内閣に対しまして、国家公務員の給与等に関する報告を行い、あわせて国家公務員制度改革等に関する報告を行いました。また、同日、一般職の職員の配偶者帯同休業に関する法律の制定についての意見の申し出を行いました。

 このたび、その内容につきまして御説明を申し上げる機会をいただき、厚く御礼を申し上げます。以下、その概要を御説明いたします。

 本年も昨年に引き続き、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律に基づき、給与減額支給措置が実施されている異例の状況のもとで、人事院として、国家公務員の給与改定について検討を行いました。

 月例給につきましては、行政事務を行う国家公務員と、企業規模五十人以上の民間事業所で事務・技術等の業務を行う従業員の四月時点の給与を精確に調査し、比較いたしました。その際、昨年に引き続き、給与減額支給措置による減額前の官民較差を算出し、あわせて減額後の官民較差を算出いたしました。その結果、減額前では、公務が民間を七十六円、〇・〇二%下回っており、減額後では、公務が民間を二万九千二百八十二円、七・七八%下回っていました。

 その上で、給与減額支給措置が東日本大震災に対処するためのものであり、二年間の臨時特例であることを踏まえ、勧告の前提となる官民比較は、減額前の給与月額を基礎として行うことが適当と考えました。その結果、月例給については、較差が極めて小さいことから、改定を行わないことといたしました。

 特別給につきましても、同様に減額前の公務の支給月数と民間の昨年冬と本年夏の賞与を含む直近一年間の支給割合を比較することとし、それらを比べたところ、ともに三・九五カ月と均衡していたことから、改定を行わないことといたしました。

 以上により、本年は給与水準の改定に関する勧告を行わないことといたしましたが、労働基本権制約の代償機関としては、給与減額支給措置が終了する平成二十六年四月以降の給与につきましては、民間準拠による給与水準が確保される必要があると考えており、国会及び内閣に対して要請をしたところでございます。

 一方、我が国の経済社会情勢の急激な変化のもと、国家公務員給与について一層の取り組みを進めるべき諸課題が生じてきていることから、本年の報告では、俸給表構造、諸手当制度のあり方を含めた給与制度の総合的見直しを行うことを表明し、給与減額支給措置終了後に実施できるよう準備を進めることといたしました。

 具体的には、官民給与の実情を踏まえた地域間の給与配分の見直しや、特に五十歳代後半層の水準を中心とした給与カーブの見直し、職務や勤務実績に応じたより適正な給与の実現などについて、早急に結論を得るべく、検討してまいります。

 また、国家公務員制度改革等に関する報告におきましては、国家公務員制度改革についての本院の基本認識と、今後の検討に当たっての論点等をお示しいたしました。国家公務員制度は、各分野の行政を安定的、継続的に支える基盤となる制度であり、その改革は、長期的に国民生活に対して大きな影響を与えるものであるため、広く関係者の合意に基づいて実施していく必要があると考えています。

 以上のほか、人事院が現在取り組んでおります人事行政上の諸課題について、人事院の基本的な認識と取り組み状況を報告しております。

 既に内閣から法案として提出されております配偶者同行休業制度は、仕事と子育て等の両立支援の一環として、公務において活躍することが期待される有為な職員の継続的な勤務を促進するため、配偶者が外国で勤務等をする場合に、配偶者とともに生活をすることを希望する職員に対し、三年の範囲内の期間、職員としての身分を保有しつつ職務に従事しないことを可能とするものです。なお、その間、給与は支給しないこととしています。

 以上、本年の報告及び意見の申し出の概要を御説明申し上げました。

 委員長初め総務委員会の委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、民間準拠による適正な給与を確保されるよう、お願い申し上げます。また、配偶者同行休業制度に関しましては、速やかに導入していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

高木委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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