衆議院

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第1号 平成26年2月4日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十六年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      小林 史明君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    福井  照君

      松本 文明君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      清水鴻一郎君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    三宅  博君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      浅尾慶一郎君    塩川 鉄也君

平成二十六年二月四日(火曜日)

    午後三時四十分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    大見  正君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中谷  元君

      中村 裕之君    福井  照君

      松本 文明君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      関口 昌一君

   財務副大臣        古川 禎久君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   会計検査院事務総局第三局長            堀部  貢君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   上滝 賢二君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十四日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     新原 秀人君

二月四日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     大見  正君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     長坂 康正君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 理事東国原英夫君平成二十五年十二月十七日委員退職につき、その補欠として三宅博君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十四日

 地方自治法の一部を改正する法律案(原口一博君外五名提出、第百八十五回国会衆法第三号)

 地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案(重徳和彦君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二〇号)

 地方公務員法等の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二四号)

 地方公務員の労働関係に関する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二五号)

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

二月三日

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の退職に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に三宅博君を指名いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災に係る復興事業等の実施のための特別の財政需要に対応するために震災復興特別交付税に要する額についての財源措置を講ずる必要があります。このため、平成二十三年度の第三次補正予算で地方交付税の総額に加算した震災復興特別交付税のうち、東日本大震災に係る復興事業等の実施状況により平成二十四年度に繰り越し、同年度の決算において不用となった金額について、地方交付税の総額から減額するとともに、平成二十五年度分の地方交付税の総額の特例として、五百七十四億円を地方交付税の総額に加算することとしております。

 次に、今回の補正予算により、震災復興特別交付税に要する額の加算のほか、平成二十五年度分の地方交付税が一兆千六百八億円増加することとなりますが、このうち普通交付税の調整額の復活に要する額二百五十九億円を交付するほか、残余の額一兆千三百四十九億円を平成二十六年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君及び理事上滝賢二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、自治財政局長佐藤文俊君、情報流通行政局長福岡徹君、消防庁次長市橋保彦君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君及び環境省水・大気環境局長小林正明君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長堀部貢君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。与党を代表して質問させていただきます。

 ただいま提案のありました法律案につきまして、賛成の立場で質問させていただきます。

 早速内容に入らせていただきますが、地域の活性化なくして日本経済の再生なしと掲げて今取り組んでいらっしゃいます地域の元気創造プランでありますけれども、そのうち、地域経済イノベーションサイクルについて、まずお聞きしたいと思います。

 地域経済イノベーションサイクルの成功のポイント、これは何なのかということを考えました。その中で大事なこととしては、地域金融機関から地域の企業や事業者に対して事業資金がしっかり貸し出されているかどうかということが大切であるというふうに思うわけでございます。そこで注目したのが、預貸率でございます。

 東京商工リサーチの昨年十二月の調査によりますと、銀行の貸し出し自体は増加基調にある。そうはいっても、預金の増加ペースが貸し出しを上回っていますので、預貸ギャップがある。預貸ギャップは、前年同期に比べますと、十四兆四千七百四十八億円、七・一%ふえておりまして、総額で二百十七兆円ということになっております。九月の決算におきまして、銀行全体の預貸率、これについては、六七・九五%で、前年同期の六八・三一%より減っているわけでございます。

 もちろん、金融機関からすれば、株や債券で運用する方が望ましいということもあるのかもしれませんけれども、今、現状を見ると、まだまだ預貸率が低いのかなというふうに考えるわけでございます。

 この預貸率の中でも、地域金融機関について見ていきたいと思います。銀行全体ではなくて、第二地銀とか信金さん、信組さんについて見ていきたいんですけれども、二十五年三月の地銀においては七一・一%、信金さんは五一・〇%、信組さんは五二・四%なわけでございます。この五年間で、いずれの金融機関においても五%下げてきているという状況であります。

 地域経済循環創造事業交付金、非常に長い交付金でございますけれども、この交付金を投入することによって、二十一・八億円投入をしてまいりました。その結果、二十三億円の地域金融機関からの融資が誘発されたというふうに伺っております。つまり、地域に二十三億円のお金が回っているわけでございます。

 補正予算においても三十億円規模で交付金を準備しているというふうに思いますけれども、預貸率の向上という点も含めて、政府としてはどの程度の金額規模まで実施しようとお考えであるのか、お伺いさせてください。

新藤国務大臣 ただいま御質問いただいた件は、私たちの問題意識と非常に共有をしていただいているわけであります。

 そして、景気の好循環を持ち出すためには、持続可能性そして自立性が必要だと私は思っているんです。

 その中で、全国の地域を活性化させるためには、かつてのように画一的な、もしくは同じ制度で、それに当て込めてそれぞれの地域がやってくださいでは、なかなかニーズを受け取れなくなっている、それでは残念ながら持続可能な事業をできない、こういうこともあるというふうに思います。

 ですから、私は、地域の活性化は多様性が必要だ、それから、持続可能性を持つためには事業をきちんとチェックする必要がある。さらに加えて、そこに国のお金が入ったらば、採択されれば事業ができる、その国のお金がとまると事業も終わりでは意味がないですから、これは、地域には資源があるわけですね、地域資源、それは観光だったり産業だったり、いろいろなものがございます、この地域の資源に加えて、地域の資金を使えないか。これが、今委員が御指摘の地域金融機関の資金というものを使えないか。それを、産学官、これに金も入れる、金融も。だから、産学金官ラウンドテーブルというものをつくってみよう。これが、私が大臣になりましてから一年間かけてやってきた地域の元気創造プランの大もとのコンセプトなんです。

 それに従って、今やっていただきましたように、まだまだ預貸率、課題が残っています。それは、貸し出しがふえるんですけれども、今景気がよくなって、それ以上に預金がふえていますから。だけれども、その差はだんだん縮小されつつあるという資料、これは日銀のレポートですとか、そういうところにも出てきております。効果は出てきているんだと思います。

 長くなって恐縮ですが、二十一億、国が交付金を出します。でも、交付する前提条件は、同額程度を地域金融からも融資を受けられること、また地域の金融機関がチェックして、これならば自分たちの貸したお金は返してもらえる、そういう事業性のあるものについて採択しますよということでやってきました。結果、二十三億円の融資が受けております。それは、年に二、三億円の税金を払った後から返すお金なんですね。したがって、一年間に二、三億円の税収が入ってくるとなれば、国の投資した二十一億は約十年で回収できる。

 そして、そういった仕事を成功させることで、どんどんと成功例を紹介して、全国で、自分たちの町のお金を使いながら、自分たちの資源を使って、事業として維持、継続できるものをつくっていってください、私たちはそれを応援します、こういう今サイクルをつくろうとしている、こういうことでございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 地域の資源を活用しながら、地域に雇用を生み出していく、地域の中でお金をどんどん回していって、産学金官、このラウンドテーブルをしっかりとつくっていきながら、これをより多く、そしてまた大きくしていければよいなというふうに私も思っておるわけでございます。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、地域の元気創造プランのもう一つの大きな柱であります地域活性化インフラプロジェクトについてお話を伺います。

 導入に向けて予備調査も行ってきて事例収集もしつつあるのが、エネルギーの地産地消とも言える分散型エネルギーインフラの構築、これがあると思います。

 人口減少が顕著な地方においてはコンパクトシティー化が重要であるというふうに思いますけれども、エネルギーシステムとしてのインフラ構築を考えると、熱を供給するための配管整備などは都市計画と不可分であるというふうに思うわけでございます。これを自治体さんだけにお任せするというのはちょっとハードルが高いのかなというふうに考えておりまして、総務省としてひな形のようなものを提供して進めていくのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 きょうは委員の質問時間が短いので、今度ゆっくりまたお話もいただけるとありがたいな、こういうふうに思うんですが、まさに、地域の元気創造プランの中で、分散型エネルギープロジェクト、これも一年かけて研究してまいりました。これは、これから電力の小売が全面自由化になることによって、市場が七・五兆円、地域の人たちが参入できる枠ができるんです。自分たちの町で、この地域でつくれるエネルギー、こういったものを一緒に、そこに事業ができていくということになります。

 私たちとすれば、それを今資源エネルギー庁と一緒に研究しています。パターンを十ぐらいつくって、そして三十一の地域で今マスタープランをつくっております。どうやったらばそれが事業性を持てるか、持続可能性となるか、こういったもので今研究をしているところでありまして、この仕事で地域経済を持ち上げるといいますか、自分たちの地域を、エネルギーをまた資金にもかえることができる、こういう中で活性化ができないかということ、今回の補正でお金もいただいておりますが、そういう取り組みをしているところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 時間がありませんので、最後に一点だけ、ちょっとお伺いしたいと思います。

 総務省さん、地方中枢拠点都市を考えて、今後、連携協約などを結ぼうということをお考えになっておられます。人口減少を踏まえると、非常に大事な大事な取り組みであるというふうに思うんですけれども、地方中枢拠点都市になり得る都市というのは実はまだ、言い方は悪いですけれども、ましな方でございまして、こうした地域と全然離れているような山間部、あるいは条件不利地域と言われるような過疎地域とか、そういった地域についてもぜひ協約を結んで行政サービスを補完し合うというような発想が必要であるというふうに思います。ぜひこれについて御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

関口副大臣 委員の御指摘いただきました地方中枢拠点都市との連携ということでありますが、まず、原則でいくと、市町村が優先ということを考えた場合、市町村間で連携をとるということが前提でありますが、先ほど御指摘をいただいたとおり、中枢の拠点都市から距離が離れている地域とか、こうした場合には対応がなかなか、連携が難しいということでありまして、今回、地方自治法に新たな、連携協約を活用するということを位置づけられたわけであります。

 そこをしっかり活用しながら、例えば鳥取県においては、消費者生活相談とか職員研修を市町村でなく県が主導して行っている、高知県においては、県職員が市町村役場に駐在して地域の活性化事業に取り組んでいる、こういう事例もございます。

 いずれにしても、地域の実情に応じて対象事務や連携方法を協議することが必要になってくるかと思いますので、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

濱村委員 質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、浜田経営委員長そして籾井会長、お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。先日の予算委員会の議論の続きをこの総務委員会の方でもさせていただきたいということで、きょうは来ていただきました。よろしくお願いを申し上げます。

 大臣も、インフルエンザから御本復なされたようで、きょうはよろしくお願いを申し上げます。

 先日の就任会見の中身について主として質問させていただき、最後に、補正予算絡み、法案の話について質問させていただきたいと思います。

 まず、会長の就任会見でありますけれども、中身を見ていきますと、前向きな話もたくさんされているんですね。

 例えば、IT、通信と放送の融合ですね。BBCなんかも既に放送をインターネットでリアルタイムで流していますし、諸外国でもこれはごく当たり前のことでありますが、日本は、受信料制度の問題、また民放のローカル局との関係があって、なかなかできていない。IT先進国の日本でなぜできないのかというのは私も常々不満に思っておったところでございますから、これをやっていこうということは私は非常に賛成であります。

 また、いろいろ御議論はあるかと思いますが、放送センターの問題。これも随分古くなっておりまして、私も何度も伺っていますけれども、非常に古くなってきている。これは首都直下型地震があったときに本当に耐え得るのかということを思いますと、二〇二〇年のオリンピックまでに建てかえていこうということは、私も、これは前から申し上げておりますが、賛成でございます。

 こうした点について、前向きな話について、会長、次期の経営計画に盛り込むつもりでいらっしゃるかどうかということをまず伺いたいと思います。

籾井参考人 ITと放送の融合につきましては、私は、時代の進展等々を見ておりますと、これはやはりいずれやらなきゃいかぬ、こういうポイントだと認識いたしております。

 ただ、まだ着任間もなくて、中でも随分検討が行われておりますが、どういうところが課題なのか、問題点なのか、そういうことも踏まえまして、私はこれを推進してまいりたいというふうに思っております。

 それから、放送センターの再建といいましょうか、改築といいましょうか、これにつきましても、当初申しましたように、できるだけ早い方がいいというふうには思っておりますが、やはりお金と相談しなきゃいけないという部分もありますので、これも慎重に検討させていただいて、希望としましては、二〇二〇年にできればいいなというふうに思っている次第でございます。

奥野(総)委員 今まさにお金の話ということがございましたが、そこで気になるのは、やはり受信料の関係でございますね。

 新しいことをしようとすると、やはりNHKの信頼が伴わなければ進められません。IT、通信と放送の融合にしても、やはり民放さんときちんと相互に信頼関係が築けなければ前に進められないわけであります。

 また、今、放送センターの話、お金の問題ということを説明がございました。会長自身も会見で、辞を低くして、なぜ我々の受信料が要るのかということを説明していく必要があるんだ、こうまさにその会見の中でおっしゃられているわけであります。

 そこで気になるのが、この間の会見の中身でございまして、テレビ入りで原口委員が予算委員会の方で質問をさせていただきましたけれども、このテレビを見て、私は地元の有権者に話を聞いてみましたが、受信料を払いたくない、そういう発言をする会長のもとのNHKには受信料を払いたくないというような声が結構あったんですね。過去の例を見ても、不祥事なんかがあったときは受信料収入が減っているわけであります。

 そこで、NHKさんに伺いたいんですが、この間の発言以降、どういった声がNHKの方に寄せられているか。また、過去の不祥事があった際に比べて、その反響が多いのか少ないのか、どういった声があるのかということを伺いたいと思います。

上滝参考人 お答えいたします。

 記者会見を行った先月二十五日からきのう夕方までにNHKに寄せられた意見、これはおよそ一万二千三百件となっております。

 主な意見としては、間違った歴史認識、政府寄りの考え方は問題だとか、偏った放送になるのが心配だといった批判的な意見がある一方で、日本の立場をはっきり言及したことは大変よかったという肯定的な意見もございました。

 それで、過去の例との比較でございますが、平成十六年七月、NHKの職員の不正経理事件、当時のチーフプロデューサーですね、これが発覚して十日までの間に二千七百件という意見が寄せられております。

 以上、お答えいたします。

奥野(総)委員 その肯定的な意見と否定的な意見の割合というのは、ざくっと言って、どっちが多いんでしょうか。大体でいいんですけれども、お答えいただけますでしょうか。

上滝参考人 お答えいたします。

 内訳なんですが、批判的な意見がおよそ七千二百件、これは全体のおよそ六〇%です。肯定的な意見がおよそ三千五百件、これは全体の三〇%となっております。

 以上です。

奥野(総)委員 ここにボードが、皆様のお手元にもお配りしていますが、平成十六年、十七年と見ていただきますと、支払い率というもので見ると、八ポイント下がっています。これは、受信料を払わなければならない人の中、全体の中で何割払っているか、収納率は、たしか契約者の中で何割払っているか、こういう数字だと思いますが、いずれも大きく下げておりまして、額で見ても、四百億以上受信料収入が下がっているわけであります。

 このときに比べても、件数も圧倒的に反響が多いわけでありますし、今確認をさせていただきましたけれども、やはり批判的な意見が多いということであります。

 となると、心配なのは、また受信料収入が減ってしまわないかということであります。時間をかけて、自民党政権下そして民主党政権下も挟んで、ようやく、支払い率、歴代の会長が御苦労なされ、回復してきたわけでありますけれども、これがまた下がってしまわないか。先般、受信料の引き下げをしたところでありますけれども、非常に影響が心配であります。こうなってしまうと、新放送センターの建設どころか、経営自体が成り立つのかということになろうかと思います。

 そこで、会長に伺いたいと思いますが、この反響についてどうお感じになっておられるか、あるいは、どう対処するか、どう責任をとるかということについて伺いたいと思います。

籾井参考人 まず最初に、会長就任の公式会見の場におきまして個人的な見解を発言したことは不適切であり、大変申しわけなく思っております。

 その場で取り消させていただいたわけですが、誤解を招いてしまったことについて、改めて深くおわび申し上げます。

 個人的な見解を放送に反映することは断じてありませんし、放送法に基づきまして、不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則をしっかり踏まえ、放送を行ってまいります。

 また、放送法第四条やNHKの国内番組基準によって、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱って放送を行ってまいりたいと思います。

 放送法の原点をしっかり踏まえ、取り組んでまいります。

奥野(総)委員 予算委員会の場でも、再三こういうおわびをされていますし、コメントも出されているわけでありますけれども、そこでちょっと私が若干しっくりこないのは、個人的な発言だから取り消すとおっしゃっていますが、会見の中で、個人的な発言と言って断った部分というのは一カ所しかないんですね。

 いただいた会見の議事録を見ますと、会長としてはさておきと前振りをつけて、従軍慰安婦のところについてはこういう発言をされています。正確に言うと、従軍慰安婦の発言についての後段の部分なんですね。ほかの国にもあったはずですよというところについては、こういう前振りはついていなくて、後段の部分だけ、こういう発言をされているんです。

 となると、では、この会見の中で一体どこが私見で、どこを取り消しているのかということを改めて伺いたいんですが、私見だけを取り消すというのであれば、私見だと明確に断っているのは一カ所だけなんですね。ですから、どこを取り消すのかということを改めて言っていただきたいと思います。

籾井参考人 今回の就任会見については、個人的見解を述べたことについて、全て不適当、不適切であったと思っております。

奥野(総)委員 ですから、そうなんですが、先ほどの謝罪もそのとおりだと思いますし、取り消すべきところは取り消すべきだという姿勢はまさにそのとおりだと思いますが、では、その会見の中で、一体どこが個人的な会見ですか、どこを言っているんですか。確かに、余りにいろいろな論点があり過ぎて、一つ一つというのはなかなか難しいのかもしれませんが、一体どこなんでしょうか。そこを問うているんですね、どこが個人的な見解か。

籾井参考人 ただいまの繰り返しになりますが、今回の就任会見につきましては、個人的見解を述べたことについて、全て不適当、不適切であったと思います。

奥野(総)委員 あえて助け船を出すと、会長のコメントの中で、さまざまな議論がある問題について取り消す、こう言っているんですね。だから、さまざまな議論があるような問題について取り消している、こういうことだと思うんですね。

 では、それはどこですか、こういう話になるんですが、ここで一つ一つ、逐一やっていくわけにもいかないので、こちらから少しずつやっていきたいと思いますが、仮に全部取り消すとしたときに、では、あの会見は一体何だったのかと。就任会見、私もさっき、評価している部分があると申し上げたんですが、では、会見全体を取り消すんですか。公人として最初の抱負を述べる会見ですよね、会長としての就任会見、これは一体、全体を本当に取り消すのか、そういうことなんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 御質問につきましては、国会の場でNHK会長が私的見解を述べることは不適当と考えますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

高木委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高木委員長 では、速記を起こしてください。

 では、奥野君、続けて質問を。

奥野(総)委員 そういうお答えだろうと、答えられないんだろうなと思いまして、あえてこのパネルを、予算委員会でも使わせていただいたパネルを持ってまいったわけでございます。

 一つ一つ見ていきたいと思いますが、まず、特定秘密保護法について。まあ、一応通っちゃったんでですね、もう言ってもしようがないのではないかと思うんですけれども、必要とあればやりますよ、こういう発言ですが、これについては取り消すんでしょうか。そして、この発言の一体どこが問題だと認識して取り消すとおっしゃっておられるのかも含めて、お答えいただきたいと思います。(発言する者あり)

高木委員長 不規則発言はお慎みください。

籾井参考人 今回の就任会見につきましては、個人的見解を述べた部分が全て不適当、不適切であったということでございます。(発言する者あり)

高木委員長 ちょっと待って。

 ちょっと静かにしてください。静粛に。出ていってもらいますよ。静粛に。

 会長、今の質問は、この資料を持っていますね、特定秘密保護法について記者会見で会長がお答えになられた、その言葉の中でどこが私的な見解なのか、こういう質問なので、それについてお答えをいただきたいと思います。

籾井参考人 私は、就任会見のときに、うかつにも、本当に認識不足で、個人的見解を述べてしまいました。これについて大変な批判を浴びているわけですが、そういうことにより、私も、きょう、ここにお立ちして御説明申し上げております。

 そういう中で、この場所におきまして、この公的場所におきまして私の私的見解をさらに繰り返すことは差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 まず、これを取り消すというのはよろしいんですよね。この発言を取り消す。

高木委員長 奥野君、もう一度、どこを。

奥野(総)委員 特定秘密保護法についてこういう発言をされていますが、これは個人的見解であって取り消しますということは、そういうことでよろしいんですね。

籾井参考人 私は、繰り返しになりますが、個人的見解については全部取り消しております。

 そしてまた、私の個人的見解は不適切、不適当であったということを何回も申し上げ、なおかつ、皆様に謝罪申し上げているわけでございます。

奥野(総)委員 今申し上げているのは、全体の中でどこが個人的な見解ですか、それを明らかにして、一つ一つ、どこを取り消すべきか答えてくださいという質問をしました。

 それに対して、答えられない、繰り返し、個人的な見解は取り消すとおっしゃるばかりなので、では、こちらからは助け船を出して、こういうものがありますから、一つ一つ、これについて、個人的見解ですか、取り消しますか、こう申し上げているわけですね。

 特定秘密保護法について今伺っているわけですが、これは個人的見解だからこの見解については取り消しますかという質問に対しては、どうですか。

籾井参考人 本当に、事のいきさつからいきまして、私が、個人的見解と断った上で会見でいろいろなことを申し上げましたが、それにつきましては、先ほどから、反省し、実際取り消したわけですけれども、それは聞き入れられなくて、私はおわびを申し上げて、不適切だったと思います。

 したがいまして、個人的見解をここで一つ一つのアイテムについて繰り返すことは私は適当とは思いませんし、ぜひ、この答えは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

奥野(総)委員 一番最初に申し上げましたが、記者会見を読んだときに、会見録の中で、私的な見解だと断った唯一の部分というのは、従軍慰安婦の、しかも後段部分だけなんですね。ちょっと中身がどぎついので、ここで言うことは差し控えますが、後段部分についてしか個人的な見解だと断っていないわけですね。

 ですから、そこで言った個人的見解を取り消すといった場合に、取り消されるのはその部分だけであって、こうした発言については、私的見解だと断っていないわけだから取り消されない、こういう話になるわけですね。ですから、一つ一つ、ではこれはどうですかと申し上げているわけです。

 会見録の中で、全部、どこが私的見解かというのを後で文書を出していただいても結構なんですが、それでは手間がかかるでしょうから、ここで一つ一つ伺っている。だから、これは四つしかないわけですから、一つ一つ、それについてお答えいただけないかと。お答えいただけないとなると、何か他意があるんじゃないか、これについてはまだそう思っているんだな、それは公式見解だと思っているんだな、こういう話になるわけですね。そこをはっきり認識してお答えいただきたいと思います。

 では、これは間違っていなくて、会長としての公式見解だということでよろしいんでしょうか。

籾井参考人 何度も申し上げておりますように、私はあのとき、ずっと話をして、会長としてはさておきというところから始まって話をしました。そして、最後に、会長として個人的見解は許されないということをあのとき言われましたので、私は、では全部取り消させてくださいと申し上げたわけでございます。

 しかし、取り消しもだめだとおっしゃったので、ああそうか、こういう場で個人的見解を述べることが不適当なんだなということをやっとそこで、私は、就任の初日でしたから、やっと理解したわけでございます。

 したがって、その後いろいろな反響を見ますと、やはりこれは、個人的見解とはいえ、大変に私はまずいことをしたなということで謝罪もし、正直申し上げて、私の頭の中が一〇〇%公人になっていなかったというのは私の不徳のいたすところですが、一般の、私がいました社会では、個人的見解というのは間々あることでございます。これがきかないということを初めて知りました。大いに私は反省いたしております。

 そういう意味におきまして……(発言する者あり)

高木委員長 静粛に。

籾井参考人 ぜひ、この場におきまして、もう一度個人的見解を述べさせていただくことは避けさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

奥野(総)委員 個人的見解、頭の中を変えてくださいと言っているわけじゃないのです。その発言を取り消してください、公の会見の場で言ったことを取り消してくださいと。それは、個々人、いろいろな考えがございますから、それをここで変えてくださいと言っているわけではありません。ですから、取り消してほしいのは、公的な会見の中で発言したその発言、会見の中の発言を取り消してください、こう言っているわけです。

 この特定秘密の部分について会長会見の中で発言された、これについては撤回するということでよろしいんですかと伺っているわけです。

籾井参考人 事の発端は、私の個人的発言からきているわけでございます。したがいまして、それについて私は、反省もし、謝罪もし、今後は、放送法第一条の目的と第四条、その他もろもろ放送法を遵守しながら、NHKの経営に邁進したいと思っているわけでございます。そういう中で、またまたここで私的見解を述べるということは、新たな問題を提起することになります。私は言えません。

 したがいまして、どうぞ、私には、そういう見解を述べさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 いや、私的見解を述べてくれとは一言も言っていないんですね。公的な見解としてこれを取り消すかどうかということを言っているわけです。会長が頭の中で何を考えているか、思想信条をここで述べてくださいとは一言も申し上げておりません。

 重ねて言いますが、靖国について、この四つについて、全てについて、今のお答えと同じということでよろしいんですか。ということは、撤回はしない、会見の中で発言したこの部分については撤回をしないということでよろしいんですね。

籾井参考人 私は、その点につきましては、もう一度ここで個人的見解を述べるか、それについてコメントすることについては避けさせていただきたい、控えさせていただきたいというふうにお願いしているわけです。どうぞ御理解をお願いいたしたいと思います。

高木委員長 籾井会長、今、奥野委員の質問は、何度も言っているようですけれども、資料にある、特定秘密保護法について、靖国参拝について、これらについて籾井会長が会見で述べられた、ただし、その後に、それは個人的見解ということで取り消すと言われた、それは、特定秘密並びに靖国問題等々、パネル、資料に載っているものは個人的見解ということで、いわゆる取り消すということでいいのかどうかということを問うているわけです。ですから、そこのところだけはお答えいただきたいと思います。

籾井参考人 御質問の趣旨はわかりましたが、いずれも個人的見解ですので、私は何度も答えておりますが、この個人的見解について、イエスとかノーとか、もう一回言うとか、こういうことはここでは差し控えさせていただきたいというふうに思います。どうぞ御理解をお願いいたします。

奥野(総)委員 今の私の質問は、繰り返しになりますが、これは撤回しない、会長の公的な発言のままとして置いておくということで理解しましたが、それでよろしいということで、再度、これで最後にしますが。

籾井参考人 そうは申しておりません。

奥野(総)委員 だから、撤回なさるんですかということに対しては、それについては答えていないわけですから、撤回しないということですねと今伺ったんですが、そうは申しておりませんと。

 答えたくない、撤回するということは答えたくないということは非常によくわかりました。時間があと五分ぐらいしかなくなってきたので、明らかになったのは、この発言については撤回ということは言いたくないということは非常によくわかりました。そこは、ここではっきりさせていただきます。

 時間がないんですが、それで、なぜこの発言が問題かというと、たとえ個人的な見解であっても、会長がそういう考えを持っているということになると、組織ですから、職員の皆さんだって上司の顔色を見るわけです、人事権を持っているわけだから。上司が何を考えているかというのは非常にやはり気にされると思うんですよ。

 ですから、やはり報道や制作の現場がきちんと自由に番組制作できるように、意見が言えるようにしなきゃならない。そういう意味で、この発言は、私は、問題だと思いますし、ぜひ撤回ということを言っていただきたかったんですが、重ねて申し上げても、撤回していただけないということであります。

 そこで、もう一度会長に伺いますけれども、これは来年度の収支、事業計画なんですが、支払い率を七五%にする、それから収納率も九七%にする、こういう数字になっています。さらに改善させるということなんですが、これを達成できない場合はどうするんですか。

 せっかくここまで上がってきて、この発言が原因で今多くの苦情が寄せられる。きょうの報道を見たら、また皆さんいろいろ思われるでしょうから、こういったことが原因でまたNHK受信料不払いなんということになったら、どう責任をとるんでしょうか。仮に達成できない場合、きちんと責任をとるということで、会長、よろしいんでしょうね。

籾井参考人 来年度の予算につきましては、前会長から私は引き継いでおりますが、それを達成すべく全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

奥野(総)委員 質問する予定はあったんですが、NHKの目的というのは、公共の福祉のために、国際放送、国内放送をやると放送法に書いてあるわけですね。ですから、やはり政府との一定の距離をきちんと置かなきゃいけないし、そのトップたる者、きちんと、公共の福祉のために、受信料をいただいている国民の方を向いて発言しなきゃいけないと思うわけですね。

 ですから、私的な見解についてという話をされている、多様な意見を取り上げなければならないということはもっともでありますが、重ねて、こうしたいろいろな観点から議論のある問題について発言したことについて、私は、きょうは撤回と言っていただけると思っていた、当然のごとく思っていたんですが、こうやって個別に聞くと、撤回をされないということで、非常にがっかりいたしました。

 最後、きょうは経営委員長もお見えでございますけれども、今の御発言も聞いていたと思われますけれども、今回の会長の会見の発言について、経営委員会でどういう議論があったか、そして処分についてどうされたか、そしてそういう処分をした理由、罷免に当たるのか当たらないのか、そういったことも含めて、お答えいただきたいと思います。

浜田参考人 お答えいたします。

 会長任命は、経営委員会の最も重要な役割の一つであり、職責は重く受けとめております。

 このたびの籾井会長の発言は、議論が複数ある事項について個人的な見解を述べたものであり、公共放送のトップとしての立場を軽んじた行為であると言わざるを得ません。あわせて、視聴者・国民の皆様に対して、今回の事態につきましては、経営委員会の長として遺憾であると申し上げました。

 経営委員長といたしましては、会長に対して、厳しく自覚を促し、事態の収拾を速やかに行うように要請しました。

 経営委員会としては、今後の動きを監督し、助言し、必要に応じ苦言も呈し、経営委員会の職務を一層果たしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

奥野(総)委員 今の会長とのやりとりをさせていただいて、私は非常に先行き不安になりました。受信料の収入の問題もありますし、これからいろいろな御発言をいろいろなところでなされると思いますけれども、やはりきちんと、先ほど申し上げたように、公共の福祉のために、受信料をいただいている国民の方を向いて発言をしていただきたいと思うんですね。そのためにしっかり経営委員会が監督をしていく。監査委員会というものもありますから、監査委員会の方も活用して、しっかり監督をしていただきたいと思います。

 この間の経営委員会の模様は、議事録できちんと詳細に出していただけるということでよろしいですよね。そこはもう時間がないですから問いませんが、会長が出席になった経営委員会の模様については、会長の発言について苦言を呈する意見も含めて、詳細をきちんとホームページにアップするなり公表するなりしていただきたいと、改めてお願い申し上げておきます。

 最後に、大臣、せっかくきょうはいらしていますが、もう時間がなくなって法案の方も聞けないんですが、今のやりとりを聞いて、どうお感じになったでしょうか。

新藤国務大臣 会長が何度も謝罪をしながら反省の弁を述べられているように、やはり、公共放送機関のトップとしてこれは適切なものではなかった、このように御本人が申しております。

 私どもは、会長の発言とそれから個人の見解、これがうまく整理し切れないまま、会長という公の会見の場で個人の意見がまじってしまったこと、これはやはり適切ではないと私も感じております。

 しかし、一方で会長は、放送法を遵守して、公共放送のトップとしてしっかりと責務を果たしてまいりたい、この決心を述べられているわけでありますから、私とすれば、きちんと業務が適切に遂行されるように、これを期待しているということであります。

 そして、委員が先ほどからそのことに関しまして、私ははたで聞いておりまして、その私的な発言部分は会長会見の場からは全て取り消しをさせていただくということであります。そして、委員が御質問されているのも、では、この見解は会長発言として取り消すんですねということであれば、それは、会長の発言としてはそこは取り消しさせていただきたいと言っているわけでありますから、その部分については、これは会長としてのコメントはしないということを先ほどからおっしゃっているわけであります。

 一方で、私的の見解を変えるのか変えないのか、これはこの公の場で答えをすることは差し控えさせてください、こういうお答えを繰り返して、すれ違っているんだな、このように思っています。ですから、きちんとした整理ができているんだというふうに私は思いました。

 いずれにいたしましても、NHKは、全国民のもとで公共放送をしっかりと運営できるように、経営委員会、そして会長が、職員以下、一生懸命やっていただくものと信用しております。

奥野(総)委員 大臣、しっかり監督していただきたいと思うんですね。きょうの答弁を私も聞いていて非常に不安になりました。

 それから、理事の皆さんにちょっとお願いしたいんですが、やはりどこが私的かというのが最後までわからなかったんです。ですから、会見の中でどこが私的発言かということをきちんとわかるように資料を提出していただきたいと思うんですが、ちょっとそこは御検討いただきたいと思います。

高木委員長 理事会で後刻協議したいと思います。

奥野(総)委員 まだ時間があるようですから、最後に補正予算で一点だけ。

 消防団の法律が与野党一緒になってできました。我々も協力させていただきましたけれども、せっかくできて、補正でもお金がついているわけでありますが、一つ、消防団員の処遇について、法案の中でも検討すると書いてあるんですが、千葉県の例を見ますと、非常に処遇にばらつきがあります。たしか交付税法上は基準が三万六千円かな。ところが、千葉県だと、二万五千円平均、下は一万六千円、上は四万円を超えるところもあるんですね。

 ですから、同じ危険な業務に従事していて、やはり最低の基準はきちんと定めて支給すべきだと思いますが、そのあたり、きちんと指導していただけるかどうかを最後に伺いたいと思います。

市橋政府参考人 消防団の報酬、出動手当につきましては、御指摘のように、交付税措置を講じているところでございますが、市町村によって金額がまちまちでありまして、その実態は交付税措置額を下回る状況となっております。

 このような状況でございますので、現時点で交付税単価の引き上げというのは考えておりませんが、まずは、報酬、手当の低い市町村に対しまして、個別具体的に単価の引き上げを要請しているところでございます。

 今後とも、この報酬、手当の引き上げを強く働きかけ、処遇の改善に努めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 時間が参りました。籾井会長、浜田委員長、ありがとうございました。引き続き、この件については議論をまたさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 先日、二月一日土曜日に、第二回の党大会が行われました。日本維新の会としましては、いわゆる何でも反対の野党ではなく、国家国民のために、ここに書いていますように、よいものはよい、だめなものはだめだと主張する是々非々の野党として国会で頑張っていきたいと思います。安倍総理の言う責任野党として頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そういった中で、これは賛否両論あるんですけれども、いわゆる道州制、地方分権という進め方の問題ですけれども、我々日本維新といたしましては、地方交付税、補正予算で出てきますけれども、そういった考え方自体、いわゆる中央で集めて地方に配るというよりも、地方のことは地方で、そして国のことは国の財布でというふうな形が望ましいのではないかというふうに考えています。

 今回の補正予算を見てみますと、安倍総理のアベノミクス、非常に調子よくて、つまり、その影響で予想よりも税収が上がった。これはすばらしいこと。だから、地方交付税で地方にも一兆円ほどボーナスをやろうかというような考え方から、今回この地方交付税の補正予算が出ていると思います。

 だけれども、私は市会議員、県会議員をしていましたけれども、年度末にどどっとお金が来ても、結構使い方とか困るんですよね。うれしい反面もありますけれども、やはり、年度末にどどっと来るよりも、結局は、地方交付税を、補正予算という形ではなく、できるだけ補正のないような財政、予算を立てていただきたいというのが望みでございます。

 そういった中で、まず、地方交付税廃止といいますか、地方交付税はできるだけ少なくしていこうという主張を日本維新の会はしているのですけれども、そういったことによって地方は自立して、財政も自立していこうという考え方です。だからといって、それぞれ県ごとに財政を任せていては、同じような県がどどどどっと出てきて、同じような施設がどどどっとできてしまう。そういったこともよくない。それでは、ある程度道州に分けて、その地域地域でそれぞれの地域に合った特色を出していくように、その近辺の都道府県と調整しながらそういった財政をやっていこうというのが我々日本維新の考え方です。

 そういった中で、この地方交付税を減らしていく、行く行くは廃止していくという考え方について、大臣としてはどのようにお考えですか。

新藤国務大臣 地方交付税をどのように使っていくか、これは私もいつも考えます。

 本来でいえば、地方交付税は、その地方で必要な歳出に対して必要な自主財源が、地方の財源が足りない、その部分を補填するものでありますから、景気がよくなって地方の税収がたくさんふえれば、当然のごとく、歳出の枠は決まっているんですから、歳出の枠が決まっていて、税収がふえてくれば、地方交付税は減るんです。減らすんじゃなくて減るんです。だけれども、現実には、交付税を受けないと財政需要が賄えない自治体がほとんどだ、こういう状態の中で、これは各それぞれの地域に財源を保障する。

 それから、例えば、人がたくさん集まって経済活動が活発なところはどんどん豊かになり、そして、人が少なくなって過疎化が進んで経済力が弱くなっているところはどんどん疲弊するばかり。それは自分の責任だ、あなたたちは努力が足りないんだでは、私は、同じ国に住む国民として、あなたの努力が足りない、あなたの地域はうまくいっていない、でもそれは自分の責任ですねでは済まないと思います。これがナショナルミニマムです。

 ですから、そういったもろもろのことを、地方は自立をしていただいて、自分たちのことは自分たちの手で決めていく、そして個性と魅力を発揮していく、その中で、やはりきちんとして、日本国民として必要なものは水準を維持して、その上で、かつ財源はお互いに保障しながら調整していきましょう、こういう工夫だと思っております。

 ですから、私はこの大臣になって何度も申し上げます、国と地方を対立の概念で語るのは、私はよしとしません。

 私たちの暮らしの中には地方行政があって、国の行政が別のところにあるなんて、それは、委員が市会議員、県会議員を経験されたならばわかると思います。同じ町の中に国の管轄、市の管轄、県の管轄、警察も、保健所も、建築基準も、都市計画も、そして広域の道路や、防災や全てが、同じ地域に国、県、市の機能が入っているのであります。それをどう調整していくかが私たち総務省がやらなければいけないことであり、そのツールとしての地方交付税というのは有力な手段である。

 ですから、不合理があるならばいろいろな改善をし、また、地方が努力をしている、みんなで頑張っている、そういうものにきちんと光が当たるような、頑張った人が報われる、そういう制度にしていきたいということでの不断の改善はさせていただいておりますが、それを同じ立場の人がどうやって調整するのか。結局、地方は、自分の地方のことを主張するのがその人たちの役目なんです。それぞれの地方の人たちがそれぞれの主張をしたものを誰かが調整し、そして、誰かが全体の標準をつくらなければいけないとするならば、それこそが国の責務なんです。

 こういったものをきちんとやり遂げれば、維新の会がお感じになっていることも、私たちが思っていることも、同じなんです。ですから、それは、余り極端な、ゼロ、一〇〇で、制度を変えれば国がよくなるんじゃないんです。そうではなくて、どうやって必要な目的を達成するかということで、ともに切磋琢磨できればいいし、御党がいろいろな御提案をいただいていることは、私たちもしっかり耳を傾けて、自分たちの政策形成にも役立てていきたい、このように考えております。

新原委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 我々も、いわゆる地域地域の調整をなしという、自立自立といっても、別の形ではそういった調整をするということは必要だと思っているんですけれども、地方交付税という形は、例えば、一生懸命頑張って税収がふえたというところにインセンティブは逆にないんですよね。つまり、一生懸命頑張っても結局減らされる、つまり一緒になる、大まかな形ですけれどもね。

 だから、一生懸命頑張って頑張って税収を上げても、結局は、天井が見えているので減らされる、そこのところをもっともっとフリーにして、頑張れる地方、もちろん、頑張っても困っている地方は助けてあげなければならないと思いますし、それは絶対必要なことです。しかし、頑張ったら頑張っただけ、どこまでも頑張れるんやという制度が、もちろん、非交付団体といいますか、そういう形になればいいんですけれども、なかなかそこまで行くのに、ちょうどその間ぐらいが、何か頑張ってもそんなに変わらぬなというふうにちょっと思われるということがあるので、そういったことについては今後改善していただきたいという意味での、交付税を少なくして、頑張るところにはもっともっとインセンティブをつけていくという形にしていっていただきたい。何かありましたら。

新藤国務大臣 これは、委員が今おっしゃっている中の部分では、私たちはそのことを提案させていただきます。頑張る地方を応援する、そういった交付税制度というものを新たに入れようとしています。

 本来であれば、交付税は、法律に基づいて、需要に対して足りない分を補填するということのみでありましたが、加えて、行革努力、それは給料を削った、本当に御苦労いただきました。協力いただいて、私はありがたかったと思っています。それから、人間を減らした、そういう努力をしたところもあります。やはり算定の基準にそういったものを入れようではないか。

 でも、これは削っただけなんですよ。そうじゃなくて、例えば、工業の生産額を上げた、それから、観光客をふやした、その町の活性化でもって、みんなで努力したプラスアルファができた、新しいまちづくりの仕事をやろうとしている、こういう努力に対して、それでは、そういったものの事業をさらに進めるための交付税というものを算定基準に入れよう、こういうこともやらせていただいております。

 交付税をもらって得と思わない方がいいと思うんです。交付税は足りない分を補填しているんですから、自分たちが力がつけば要らないものなんです。そういうふうに考えていったらいかがかと私は思います。

新原委員 私もそのように考えておりますので、兵庫県、神戸市、頑張って努力して借金を減らしてきていますので、そういった意味では理解できていると思います。

 それでは、次の問題に移らせていただきます。

 補正予算というのは、つまり、当初予算で予想できなかった事態に対処するための財政出動というふうに考えているんですね。

 今回、うれしい悲鳴で、アベノミクスの影響でたくさん税収がふえた。つまり、補正予算全体で五兆円以上という金額になっている。だけれども、本来ならば、財政が伸びる、やはり一年間かけて予算を計画的に地方としては使いたいわけでありまして、つまり、補正でどんと来るよりも、やはり、アベノミクスでこれぐらい伸びるんちゃうかという感じの予想をして、予算でもうちょっと多目につけておく、本来ならばそういう趣旨ではないかなと私は思うんですね。

 今回の地方交付税についても、決算に基づいて機械的に算出した額を追加していると認識しておるんですけれども、一兆円という金額がこの年度末に生じてきております。だから、やはり、うれしい悲鳴なんですけれども、もう少しシビアに、アップの分も、これから自信を持って与党としては予算を立てていくべきだと思うんですけれども、その点はどのように考えますか。つまり、税の見積もりが甘いのではないかということです。

古川副大臣 税収の見積もりが甘いのではないか、一兆円余り誤差があったから甘かったのではないか、そういうお尋ねだろうと思います。

 この二十四年度、二十五年度の税収見積もりというのは、昨年一月の二十四年度補正予算、そして二十五年度当初予算の編成時点で見積もりを行ったわけでございます。

 その後、もう御案内のとおり、為替の変動であるとか企業の業績等々ございまして、事情がさまざま変わってくるわけですね。その結果として、今回このように、二十四年度決算、二十五年度補正においては税収が見積もりを大きく上回るということになっているわけなんです。

 しかし、これはいわば当たり前と言っていいでしょうか。つまり、将来のことを、ぱちっと数字が合うわけではないんですね。刻一刻とさまざまな事情で経済状況は変わってくるわけですので、それに応じて見積もりと誤差が生じるというのは、これはいわば通常のことだと言っていいかと思います。したがいまして、見積もりが甘いというようなことではないと思います。

 ちなみに、今回のこの予算編成におきましては、見積もりをより精緻化しようということから、さまざまな企業にアンケートをとったりもするんですけれども、そのお尋ねする企業の件数、サンプル数をふやす等々、そういう努力もしておりまして、精緻化を図っているということは努力をしておるところです。

新原委員 ありがとうございます。

 できるだけ、予想が正確なといいますか、そういった予算を立てていただきたい。それが地方にとっても非常に予算の立てやすい状況になりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そういった中で、こういった事態がもし続くのであれば、余剰金についてのルールを見直すことも必要ではないかなと思うんです。

 例えば、予算単年度主義の考え方に基づいて、交付税法に基づき、地方に一旦、平成二十五年度の特別交付税として渡し、地方の判断で繰り越すかどうか決めるという今のルールの意味についてどう考えるといいますか、結局この単年度主義というのも維新としては変えなければならないと言っておりますし、その辺についてどう思われますか。

関口副大臣 新原議員の御質問でございます。

 先生のおっしゃるとおり、地方交付税法第六条の三第一項では、補正予算に伴う地方交付税の増収分を含め、普通交付税の所要額を超える分については、当該年度の特別交付税の総額に加算するということになっております。

 しかしながら、近年は、地方財政において巨額の財源不足が継続的に生じておることから、翌年度の地方交付税の財源として活用するために繰り越すことを基本としておりまして、ここ十数年来そういう対応をとらせていただいております。そのために必要な法改正を行ってきているところでございます。

 このような取り扱いを含めて、今回の補正予算によりまして増額される地方交付税一兆一千六百八億円については、平成二十五年度における普通交付税の調整減額分二百五十九億円を追加し交付した上で、残余の額一兆一千三百四十九億円については、巨額の財源不足が見込まれる平成二十六年度に繰り越したという状況になっております。

 確かにそういう先生の御指摘も十分わかるのでございますが、そうしますと二十六年度の財源の確保の問題も出てまいりますし、現状ではこのような対応をとらせていただいております。

新原委員 ありがとうございます。

 いろいろな言われ方をする方もおられます。例えば、当初予算に入れられへんから、いわゆる補正で、後で足してごまかしたらええやんと言われる方も、いや僕は言っていません、そういうふうに言われる政党等もおられますし、我々は、そういったことは勘違いされるのではないかというふうなことは懸念しているわけでありまして、結局、当初予算と補正予算を足して、去年はそういった形の批判もありましたけれども、今年度はそういったことのないようにできるだけ努力していただきたいということ。

 時間がそろそろ来ましたので、最後に一問。

 先ほどの頑張る地方交付金ということで質問していたんですけれども、先ほど大臣からも、そういった意味で交付金をふやしているということでした。平成二十四年度補正予算の地域元気臨時交付金は一兆三千九百八十億円という金額なんですけれども、先ほど大臣はそういったことを頑張って意識していると言った割には、ことしは八百七十億円と十分の一に減っているんですが、これは臨時という意味が前年度にあったのですか、そういった金額の違い、このことについては我が党の上西委員も質問されると思いますので、簡単に。

新藤国務大臣 まず、新原さん、いいですね、話がおもしろくて。率直にいろいろな感情を、意見を入れていただいて、さすがやはり関西だなと思って聞いているんです。

 ただ、だからこそ私も言うんですけれども、いわゆる昔言われていた、予算が余ったので、では少し余ったから後で割り振ってふやしますよと、これは全然違うことですから。

 今回の交付税の原資になっているのは、これは決算剰余金と、みんなで頑張った、私たちも、みんな含めて頑張った国の全体の税収が上振れたので、そのお金を有効に財源として活用するためにそれを交付税に持っていきますよ、しかも、二十六年度の交付税の財源、原資にしますということであって、それによって交付税がふえるわけでも、地域に配るお金が、余ったからふえるのではありませんので。

 何か、年度末になったらいつの間にか工事がと、あのあり得ない昔の神話みたいな話をいまだに言っているとすると、それはちょっと、もう二十年以上前の話。なので、そこはぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、元気交付金というのは、これはさっき言った交付税改革は、あれは元気事業費というのを入れようとしているんです。これは私が、自分が就任してから、元気というのをキーワードにいろいろなところで使わせていただきますから、逆に混同されたら恐縮だったんですけれども、最初の頑張る地域交付金、これはまさに景気対策です。あの、私たちが政権をとった直後の、ずっとマイナス成長が続き、この先日本はどうなるんだという状態のときに、とにかくカンフル剤として機動的な財政対応、そして異次元の金融緩和をやろう、その一環で、全国に対して景気対策を打ったのが頑張る地域交付金。

 それに対して、今回、地域の元気交付金は、過疎地であるとか、財政力の弱いところにもう少し頑張っていただこうというので用意したお金であって、全体の景気回復はその他の全ての予算できちっと運営しているということですから、金額の大きい小さいはそのときの目的だとか必要性に応じて変えているので、同じものが継続しているのではないんだ、このように御理解いただきたいと思います。

新原委員 ありがとうございました。時間が来ましたので、終わります。

高木委員長 次に、上西小百合さん。

上西委員 日本維新の会の上西小百合です。

 先ほど新原委員からも、我が党日本維新の会の結党以来の基本方針であります、交付税廃止、消費税の地方税化にかかわる質問もございましたが、私も当然同じ立場で質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 一昨年末の総選挙前、我が日本維新の会は、前述のように交付税と消費税を位置づけたマニフェストを掲げ選挙を戦い、私も議席をいただくことができました。しかし、交付税廃止、消費税の地方税化というマニフェストを発表したとき、マスコミや知識人の多くが批判を展開されました。それに対して我が党の松井一郎幹事長が述べた、親から交付税という仕送りをもらっている大学生が、いつまでたっても自立できるはずがない、この例えはまさに的確な名言だと私は思っております。

 ただ、それが実現したならば、試算では、地方側の取り分は現状よりマイナスになる、これは明白だとの指摘があり、実際に私も、そのとおりではないかと試算をしておるところでございます。

 それなのに私がこのマニフェストを金科玉条のように今でも支持をさせていただいていますのは、不足分は行政改革で穴埋めするか増税するか、地方が真剣になって考えるべきで、各地方自治体には、みずからの自治体の無駄を省く、そういった努力を促し、対処法を各自治体が考え克服する、そういった状況を醸し出し、自治体に、より厳しく自立と競争、これを迫るような地方分権を推進することこそが真の日本の発展につながると痛感しているからでございます。

 つまり、自治体に独自の財源を与え、地方の自立や工夫を促し、国に頼らない独自のサービスができるようにする、それが理想的な地方自治の姿だと確信をしておるところでございます。

 しかし、消費税を地方税化した場合、消費税収の多い自治体と少ない自治体の間で税収格差が生じてしまうのも、これも確かでございます。そこで、国に依存しない地方の財源であること、これを明確にした上で、必要な財源を地方で融通し合うこと、これを目的にし、自治体同士で税収分をやりとりできる地方共有税を創設することを我が党は提案しているわけでございますが、消費税の地方税化と、そして地方共有税の創設について、政府の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 上西さんも、若い代表としていろいろな御意見をいただいていることを、私はとてもすばらしいと思うんです。

 ですから、ぜひ、まず第一に、行革努力をやったらば交付税が減ると。交付税というのは、そもそも、必要な基準財政需要額、行政経費をカウントして、それに税収が足りない場合に補填するものなんですから、ですから、そもそも、行政需要が策定されている団体において人件費を削れば、その分はほかの事務経費に回せるということですよ。交付税は来るんですから、財源が足りない限り。

 それから、今この制度下においても不交付団体というのがあって、国の交付税を受け取らなくても自立できる団体が幾つかあるわけです。それは、その地域が非常に強いいろいろな経済的要因を持っている。それが全国同じようになるかどうか。だから、財源調整をしましょう、そして保障しましょうという交付税があるわけなんですが。

 だけれども、いずれにしても、それはある幾つかの団体ですけれども、自分たちの地域で、自分たちの財源で運営できる自治体は既にあるわけなんですよ。しかし、それが千七百自治体のうちの数十であって、あとは全部、交付税がなければできない状態になっているんだから、それをなくしちゃっていいんですかという、これは根本的な問題がございます。

 それから、今の消費税の部分は、例えば消費税の社会保障の取り扱いは、国が七、それから地方が三で事務分担をしましょう、その分を消費税の中から地方に対してお金を回しますと。その消費税を全部地方にするということは、社会保障で今国が分担している七の部分も仕事が行ってしまうということですよ。維持できるんですか。

 そういう計算があって組み立てているものなので、いずれにしても、精神として、地域を自立させる、そして、国の財源で配られたものでやるんじゃなくて、自分たちで稼いで、自分たちで自立していこう、これは重要なことだと思いますから、そういういろいろな合わせわざで、いろいろな調整をしながら進めていくことは必要だと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 私どもといたしましては、地方はあくまでも国に頼らずに、そして、独自の地方それぞれの行政サービス、これができることがやはり理想だと思います。

 そして、新藤大臣、社会保障のお話をいただきました。ちょっと時間がないので今は述べませんが、これに関しては、所得税などさまざまな税金も使われるものだと思います。

 それで、こういった形で私どもが提案をいたしております税のあり方は、今までにはなかった制度かもしれませんが、少し勘案をしていただければ幸いでございます。

 るる述べさせていただきましたが、現実には我が党は野党でございますし、交付税は従来のまま、四月に八%となる消費税の地方税化の道のりもまだまだ厳しいものがございます。そのような中で、今回の補正予算に八百七十億円が計上されている、がんばる地域交付金についてお尋ねをいたします。

 今やアベノミクスは子供でも知っている流行語であり、先日公表された個人消費や生産や雇用環境を示す経済指標は改善されていますし、現政権の経済政策の効果が出ているのだと思います。

 がんばる地域交付金は、そのアベノミクス効果の全国への波及が求められる中で、景気回復が波及していない財政力の弱い市町村が行う、地域を活性化させ、効果が実現できるような事業に対して交付される、このように御説明をいただきましたが、具象化されたもののイメージが湧かないぐらい、実に曖昧な表現がされていると思います。

 そもそも、面積の大小、人口の大小、財政力の大小に関係なく、頑張っていない自治体があるわけがございません。中山間地域や離島などで少子高齢化が急速に進み、極端な過疎にあえぎ、頑張ろうにも頑張れない、いわゆる限界集落があるのは確かでございます。しかし、どこも一生懸命に頑張っている。こういった場合、どのようなカテゴリーの自治体が、ここで言う頑張る地域に属するのでしょうか。

 自治体の財政力を示す客観的な数値としましては財政力指数がありますが、財政力指数がこの値以下という具体的な基準値があるのでしょうか。どのような具体的な適用事例をお考えでしょうか。

 また、私は、今回いろいろな自治体の財政力指数を調べてみて、都道府県の中で屋上屋を重ねたような、二重行政の象徴である政令指定都市でさえ、その数値が一を超えている例は珍しく、限りなく一に近い値をキープしている政令市は六つ、〇・七を割っている政令指定都市が四つもあるのには大変驚いたところでございます。これが一般の市町村なら、さらなる格差があると思います。

 がんばる地域交付金のそもそもの創設趣旨から、内閣府の御答弁をよろしくお願いいたします。

関口副大臣 今御質問いただきました、がんばる地域交付金、財政力の弱い市町村はどのような対象になるのかということであります。

 るる大臣からこの交付金の内容については説明をいただいたわけでありますが、事業が二十五年の補正予算の公共事業に伴うものということでありまして、その事業が計画される市町村を対象にということがまず大前提になってくるかと思います。

 そして、今財政力指数というお話があったわけでありますが、これはもう委員も十分御承知かと思いますが、一を超えると交付金は受けられないということ。ちなみに、参考でありますが、財政力指数が一番高いのが二・一三、愛知県の飛島村ですか、一番低いのが鹿児島県の三島村の〇・〇五であります。全国平均でいきますと〇・四九ということであります。

 これからいろいろな取り組んでいる事業が出てくるかと思いますが、今の現時点では、財政力指数がどのくらいのところを対象にということまではまだ、これから制度設計をするというのが現状であります。

 しかしながら、委員が先ほど御説明いただいたとおり、アベノミクスの効果を全国に波及させるということが大前提であるわけでございまして、その流れの中で、財政力の大変厳しい市町村に対してしっかりと対応していくということ、そうしたことを踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 今御答弁をいただいたわけでございますが、これから決めていくということで、今の御答弁では、実にアバウトな積算がされていたということを政府自身がお認めになったような感じで、少し納得がいかないわけでございます。八百七十億円でございますので、こういったお金がどのように有効に使われるのか、地域が自主性を高めるために努力を続けている自治体の努力が報われる、国民が納得いく交付がされますようにお願いを申し上げたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたが、一つ、政令市に関しましては、人口七十万人要件をクリアさせるために強引に合併に合併を重ね、過疎債を発行できるぐらい疲弊した地域でも、人口密度の極端に少ない町村でも強引にのみ込んだような合併がなされ、そして、福祉行政などで住民にマイナスの面が出ていると評価も聞かれる一方、地方議員や職員のスリム化、統一化がスムーズに進み、やはり大きなメリットも挙げられているところです。

 政令市の増加及び平成の大合併の評価を総務省は今現在どのように捉えられているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

関口副大臣 平成の合併について総務省としてどのように評価しているかということであるかと思います。

 市町村の規模は総じて一定の拡大を見るとともに、政令市に移行する例も多く見られる等、行財政基盤の強化が図られたと思っております。市町村数は、もう十分おわかりであるかと思いますが、三千二百三十二から現在千七百十九ということになったわけであります。

 ただ一方で、住民の声が行き届かなくなっている等の課題も指摘されております。こうした課題に対してはしっかりと対応していかなければいけないということ、十分引き続き支援をしてまいりたいと思っております。

 大事なことは、地域の実情に応じて、市町村間や、市町村また都道府県間における新たな広域連携を推進することも大変重要になっているとも思っておりますので、しっかり検証しながら取り組んでまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 住民サービスも、本当に地域間アンバランスが甚だしいところもございますので、ぜひこういった措置をしっかりと行っていただきますよう、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 私ども日本維新の会は、地方分権と道州制を実現するために取り組んでおりますので、今後もその観点から当委員会にて登壇させていただきたいと思っております。

 本日はどうもありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 新藤大臣、余り無理をなされないように気をつけられてください。

 それでは、まず、法案については賛成をさせていただきたいと思っております。その中で何点か、交付税の問題点も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、資料の中で、地方交付税とは、地域間の財政力格差の是正、財政調整機能と、一定水準の行政サービスを維持するための財源の保障を目的とした税であるということでありますが、そこで、当然必要なわけですけれども、その交付税が、なぜ今地方がいただけるのが足らないのかということです。

 前にも議論したことがあるんですけれども、結局、景気がよくならないと、税収が上がらないとだめなことはよくわかりますが、しかし、法定率ですよね。いつも議論になるのは、今の法定率でいいのかどうなのか。今の法定率で計算すると足らないという現状がある。だから、今回の法案もそうなんですけれども、それを繰り越してやろうということにもなってくるんでしょうが、そこの法定率について、総務省の方はどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 おっしゃるように、税収が絶対的に足りないものですから、やむを得ず臨時財政対策債のような特例債を発行したり、国から特例的な交付税の加算をすることによって財源不足を埋めて、地方団体の財政運営に支障がないようにしているわけでございます。

 その中で、こういった状態がいい状態ということはもちろん我々考えておりませんので、交付税法にのっとって、理想的には交付税の法定率の引き上げで対応するということが望ましいと考えておりますが、一方で、国の財政も極めて容易ならざる状況にあるということもあります。したがって、なかなか現実には我々の理想に基づく要求がすぐに通るという状況ではありませんが、引き続き粘り強く、その主張はしてまいりたいと思います。

 一挙にそこまではいかないにしても、これから御審議いただくことになろうかと思いますが、例えば二十六年度の地方財政計画や地方交付税法の改正では、消費税の引き上げに伴って一部を交付税の原資に充てるというような制度改正ですとか、それから地方法人税の創設などで交付税の原資をふやすというような制度改正もしておるというところでございまして、こうした努力を続けてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 では、財務省の見解はいかがでしょうか。

古川副大臣 委員御存じのとおり、地方の財源が足りない部分については、国と地方が協力をして健全化に向けた取り組みを行うということになっております。法定率分のほかの、臨財債の折半のルール、あるいは特例加算という形で国も最大限努力をしておるわけですけれども、もしお尋ねのように交付税の法定率を引き上げるべきだというようなことになりますと、国と地方で半分ずつ補填するのではなくてということになりますと、これは、地方の財政状況の悪化に対して地方が直接責任を持たない、全部国におんぶにだっこだというようなことになってしまいますね。

 それと、御案内のとおり、なかなか申し上げるのもつろうございますけれども、国の財政状況も大変厳しいわけですので、そういうことを考えますと、現在、国と地方が折半してやっておるというものを、さらに、地方の取り分と申しますか、法定分を上げるということは適当ではない、国と地方との関係において大変問題があるというふうに私は考えております。

佐藤(正)委員 総務大臣、どうですか。

新藤国務大臣 とにかく、国にしても地方にしても、財政健全化を図っていかなくてはならない。それは、まず第一に、経済の成長と、それから財政力を強化する、あわせて歳出の削減努力、こういったものをやる、これが一丁目一番地だと思います。

 その上で、今苦肉の策でいろいろな工夫をしているわけでございますから、これを、地方は地方で、総務省は強力に主張しております。法定率の引き上げをして、臨時のような、そういう異例の措置ではなくて、安定したものにすべきである、そうしなければ地方が安定しない、こういう主張を強力にしております。

 一方で、財務省の方は、国の全般の観点から今のような話があって、これがぶつかり合って今の現状になっているわけでございます。

 ですから、私どもは、これはこれからもずっと言い続けるし、何よりも、そういったことができるようにするための財政力を早くつくらなければいけない。それは、国、地方を含めて、今、アベノミクスと言われる経済成長戦略、これを徹底的に追求することによって改善をさせていかなくてはならないんだ。今、目の前にできることはそういうことだ、このように考えております。

佐藤(正)委員 ここは総務委員会ですから、ぜひ地方を重視していただきたいと思っているんですね。

 きょうは、あえて財務省の方も来ていただいたんですけれども、昨年の本会議でも財務大臣と総務大臣に同じような質問をさせていただきましたけれども、どうもそのときの答弁は、財務大臣の方がえらいそっけなくて、絶対にそんなのは要らないんだというような、そんな回答だったので、そうじゃないだろうというふうに私は思っているんですね。

 国も確かに、財源は足りないことはわかります。しかし、地方にそれだけの事務量を国はさせているんですよね、実際は。ということは、その分は確実に要るお金なんですよね。だから、地方から見ると、例えば、臨時財政対策債と言われても、いやいや、それはもらえるお金じゃないのというのが根底に実はあるんです。

 その中で、半分ずつ、折半ですよと言われて、実は、どんどん臨時財政対策債の方に回してきたものですから、当然、もう皆さん御承知のように、臨時財政対策債だけがどんどん膨らんでくるという現実なんですよ。

 財務省の副大臣、折半はよくわかりますが、実際にそういう仕事をやってもらっているという現状があるんです。

 地方も、いろいろ言っていますけれども、かなり努力をしています、間違いなく。集中構造改革プランでしたかね、あのときは、定数削減も、ある意味では上から目線でどんと来て、しかも、例えば、県とかになると警察官も抱えているんですよ。そこまで手をつけなきゃいけない。ところが、現実には警察官はふやさなきゃいけない。こういう実態の中で、地方は苦労に苦労を重ねて、先ほどどなたかが言われましたが、もう雑巾を絞っても出ないぐらいの努力はしている。確かに、していないところもあるかもしれませんが、しかし、それだけ一生懸命やってきたことも事実です。その中で、地方が今財源が足らないという現実なんです。

 私が財務副大臣にお願いをするのはなんですけれども、そこはしっかり考えていただきたいんです。

 そしてまた、財務省と総務省の中で、交付税改革についての論点が出ているんですけれども、例えば、地方財政計画の中身で、財務省は何を考えているかというと、地方公務員給与について、情報公開を進めつつ、適正化を図る必要がある。これは、総務大臣、結構一生懸命やられていますよね。昨年の問題でも、地方から交付税をカットしたときに、実際は、給与をカットしてくれなんて言う必要は僕はないと思います。それぞれが何に使ってもいいお金ですから、それは高くたって、それで財政が賄えるんだったらいいんだろうと思いますが、しかし、現実はそうではない。

 そして、財務省は、一般行政経費について、既存の計画計上額を含め、経費の具体的内訳、積算、実態を明らかにし、精査すべきだと言っておりますが、総務大臣、この辺はどう考えられますか。(新藤国務大臣「ちょっと、最後のところは何ですか」と呼ぶ)経費の具体的内訳、積算、実態を明らかにし、精査すべきである、財務省の見解としてはこういう見解を持っていらっしゃるみたいですが、実際、これはやっているんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

新藤国務大臣 いろいろなことをやっております。ですから、私たちは、今、佐藤委員が言ってくれたようなことを実際の予算折衝のところではがんがんやっています。

 国が、そもそも八十兆ぐらいの予算から九十五兆を超えるような、歳出をばあっとふやしていったわけですね。うちは、地財計画はほとんど変わっていないですから。五千億ぐらいしかふやしていないですから。ですから、仕事がふえているのを、どこかを削りつつ、本当に雑巾を絞ってやっている。

 ですから、その中で、リーマンの厳しい状態の中で臨時異例の加算措置をつくった。これが、リーマン時点での税収水準に戻らない限り、この臨時異例の措置はやめさせないよ、言葉はもう少しやわらかくいたしましたが、これが今回の予算折衝の、私と財務大臣との話し合いでございますから、財務省もそこはよく理解をして、理論的に、我々の主張に対してですね。これはもう数字が明らかなんです。ですから、今の御指摘いただいたようなところも、いろいろな工夫をしている。

 しかし、人件費、給与の改革というのは、地方だけでなくて、国も含めて、まだまだ構造的に直せる分野があるんです。ですから、そういう余地を、一律に高い低いではなくて、いろいろな、階層ですとか、それから給与の構造をいろいろ調査しながら、必要なところの改善は国、地方ともやっていこうではないか、こういうことは考えております。

佐藤(正)委員 古川財務副大臣、今の総務大臣の発言について、どう思われますか。

古川副大臣 リーマン後に、これは地方財政も大変だからということで、臨時異例の措置ということで特例加算をして、この前の予算折衝の中でも、総務大臣のおっしゃることもよくわかりますということの中で、三千八百億ほどは減らしていただく、引き続き六千百億は継続するというような形になったわけです。

 リーマン・ショック後の二十一年度からこれまでの五年間を見ましたときに、地方の借入金の残高は約二百兆円、大体横ばいです。一兆円ほど増加しておりますけれども、約二百兆円ぐらいのオーダーで、横ばいで推移しています。

 ところが、同じこの五年の間に、国の長期債務残高といいますと、六百二十一兆から八百十一兆、百九十兆円もふえてしまっているんですよ。これを比較していただくだけでも、これは、地方も楽だとは言いません、しかし、国の状況は非常に厳しい状況にあるということは御理解いただきたいと思います。

佐藤(正)委員 要は、古川副大臣、さっき言ったように、地方でかなりの定数削減をやったんですよ、本当に。前も、片山政務官のときにも、私、一回聞いたことがあるんですが、では、本当に国はどんなことをやったんですかという質問をさせていただいたんですが、そのとき、すごい改革をやってすごい人員整理をしたんですよと。中身を見たら、郵政改革の部分がメーンなんですよ。地方にはそういうものはないんですよ。地方は全部実体なんですね。ここが実は大きいです。地方と国の努力の違いがあるんです。

 それと、私から言わせれば、国がまだまだ努力が足らないところがたくさんあるのではないかなと私は実は思っています。例えば、きょうも予算委員会で議論になりましたけれども、特会の問題だとか、いろいろありますよね。だから、そういうところをもう少し国の方が改革をしていただきたいな。

 そして、地方においては、総務大臣、実は、地方というのは結構国の物まねをする習性がありまして、それが地方でいうと、例えば特殊法人というんでしょうかね、外郭団体というんでしょうか、そういうものを持っているんです。それは、県とか政令市だと持てるんです。ところが、それ以外のところというのは、やはり財政力がないから、持とうといったって持てない。逆に言うと、それは天下り先を持っているということなんですけれども。

 それで、もう時間がありませんので、通告していますけれども、総務省が昨年の十二月に発表した、地方の、第三セクターの状況に関する調査結果の概要というのが出ております。私も見させてもらったんですが、これぐらいの団体があって、どこに出資金があってどうのこうのというのは書いてあるんですけれども、これを見て総務省はどのような御判断をし、どのような導きをするというのでしょうか、お考えを持っているのか。

 調査をするだけだったら、簡単に数字を聞けば、全部電話で聞けば大体わかるんですけれども、その一覧表は出ていますが、それをどう活用しようとしているのか。その点を教えてください。

新藤国務大臣 これは、もとより、調査をしたならば、その改善点を探り、それに対する対応策を打つ、当然のことをやってまいります。

 今回の第三セクターに関する状況の調査は、平成十四年度以降から随時調査を行ってまいりました。

 そして、昨年の十二月に公表いたしましたけれども、平成二十四年度の決算によれば、やはり経常赤字や債務超過に陥っている第三セクター、地方公社、これは一定数の存在がある。

 しかし、改善の傾向はございます。例えば、地方公共団体が行う損失補償等の残高は三三%マイナス、減らしてきておりますし、また、地方公共団体が交付する補助金等の額も三一%カットしてきているんです。

 ですから、努力はしていますが、しかし、これはさらに抜本的な、構造的な改革が必要だろう、こういうことでございまして、今後、二十六年度以降に、第三セクターの経営健全化、これを、新しいガイドラインを策定して、そしてそれに従って各それぞれの団体にいろいろな取り組みをしていただこうというふうに思っています。

 私、経済財政諮問会議でこういう状況を説明いたしまして、政府の共有する方針としてこのことは進めていきたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 私は、地方議員をやっているときに外郭団体とか天下りというのをずっと十何年間やってまいりましたが、基本的に、いろいろな団体というか、都道府県でも、今総務大臣が言ったように前向きに国の方も考えるとなると、いい例が出てくると思うんですよね。こういう改革をして、そうすると、実は、今現在その県では必要だと思っているけれども、いろいろな県を見ると、いや、これはなくたって十分できるよ。昔でいうと、土地開発公社なんかそうなんですね。

 要するに、景気が伸びているときは土地開発公社で先行投資をして買おう。ところが、これだけ、もう地価がそう伸びなくなったら開発公社というのは本当に要るのか、だったら、そんな外郭団体をつくらなくたって自分のところで買えばいいという御時世になって、いろいろな都道府県で土地開発公社がどんどん廃止をされてきた、こういう例もあるんですね。

 ぜひ大臣、今、財政諮問会議で提案をされたと言われるだけあって、そこをしっかり、データも含めて、地方にはこういう例があるんだというのを前向きに伝えていただくということをやっていただけたらと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 まさに、実態を調査して、情勢を分析して、そして必要な対策を打つ、こういうことでございます。

 そして、これは、やはり成功事例ですとか、いろいろな先進の取り組みを、情報を共有してもらうことは有効だと思いますから、いろいろ検討していきたいと思います。

佐藤(正)委員 時間が来たのでこれで終わりますが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、原発事故に伴う、自治体による除染事業に関する財政措置についてお尋ねをいたします。

 原発事故によって、多くの自治体が除染事業を行っております。その場合の自治体の費用負担というのは、おおよそ三通りであります。一つが、除染特措法に基づく国庫補助及び文科省や厚労省の補助事業があります。二つが、震災復興特別交付税及び特別交付税で措置をされている。三つ目が、自治体の自主財源で行われているものもあります。

 そこで、最初に、環境省及び総務省にお尋ねをいたしますが、環境省には、いわゆる除染特措法に基づく市町村助成についてはどのような仕組みで実施をしているのか、また交付実績はどうなっているのかをお答えいただき、続けて総務省には、震災復興特別交付税及び特別交付税の交付はどのような基準で行われているのか、その交付実績はどうなっているのか、それぞれお答えください。

小林政府参考人 お答えをいたします。

 放射性物質汚染対処特措法に基づきまして除染を行っておりまして、これは、平成二十三年十一月十一日付で基本方針を閣議決定し、国として一元的にやっているものでございます。

 具体的に、お尋ねございました市町村が実施する除染につきましては、特措法において、国からの法定受託事務ということにされておりますので、これに必要になる費用の全額を環境省が市町村に対して補助をするということでやっております。

 それで、福島県につきましては、県の基金を通じて出しておりますが、これが三千四百六十二億円、これは二十三年度から二十五年度までの交付実績でございます。それから、福島県以外のところにつきましては、直接市町村に交付をしておりますが、三百六十九億円というような状況でございます。

佐藤政府参考人 地方団体が国庫補助対象以外で単独事業として実施する除染につきましては、それぞれの団体が地域の実情に応じて行っておるわけでありますが、これについて、震災復興特別交付税あるいは通常の特別交付税によって財政措置を講じております。

 まず、実績から申し上げますと、二十三年度から二十五年度の十二月までの実績としては、震災復興特別交付税が三十九億円、通常の特別交付税が十四億円となっております。

 その措置対象ですが、環境省の補助事業としては、除染特措法に基づいて、市町村単位で汚染状況重点調査地域というものが指定されます。ここで年間の被曝線量一ミリシーベルト以上の地域を対象に除染計画をつくって除染する。これに国庫補助が出るわけであります。

 震災復興特別交付税や通常の特別交付税による措置は、この国庫補助事業の対象とならないところについて自治体がやる場合に手当てをする。具体的に申し上げますと、汚染状況重点調査地域の市町村内ではあるけれども線量が一ミリシーベルトを下回るために国庫補助の対象とならない地域における除染でありますとか、それから汚染状況重点調査地域の市町村以外の市町村であるために国庫補助対象となりませんが、こうした団体にも、いわゆるホットスポットのように部分的に線量が高い場所があります。こういったところについて行う除染、こうしたものを特別交付税の対象としているところでございます。

塩川委員 特措法の基本方針に基づいて国が行うべき除染については、一元的に環境省が補助を行った上で、地域の実情に応じ地方が実施する除染について、総務省が特交ないし復興特交で財政措置を講じているということです。

 一方で、一部の地方自治体では、自主財源で除染事業を行っているという例があります。

 そこで、会計検査院にお尋ねをいたします。

 会計検査院が昨年、二〇一三年十月、「東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染に対する除染について」、報告書を出されております。

 ここの報告書によると、除染の実施に当たって自主財源を活用した地方自治体の例を紹介していますけれども、これはどのぐらいの団体数があるのかを教えていただけますか。

堀部会計検査院当局者 お答えいたします。

 茨城県等五県管内の市町村における二十四年度末現在の除染等に要した経費の財源を調べましたところ、自主財源のみで実施している地方公共団体が二十三団体見受けられたところでございます。

塩川委員 自主財源だけで二十三ということですけれども、今のお話のように、国庫補助特措法に基づく補助事業、あるいは復興特交、特交措置とあわせて自主財源もやったところもあると思うんですけれども、それも含めて、自主財源を充てたというのは幾つになりますか。

堀部会計検査院当局者 お答えいたします。

 先生おっしゃられました、自主財源を使用した団体数ということでございますと、六十七団体になるところでございます。

塩川委員 平成二十四年度末での調査ですから、その後交付されている場合がありますので、自主財源が実際六十七団体そのままかどうかというのはわかりませんけれども、少なくとも昨年度末においては六十七団体、自主財源ということで、会計検査院の報告の中で取り上げられています。

 総務省にお尋ねしますが、こういった除染経費について自主財源を使っている団体があるということは承知しておられますか。

佐藤政府参考人 おっしゃる意味での自主財源というものが何を指しているのかというのは私はよくわからないんですけれども、国庫補助金と違いまして、地方団体が独自に地域の実情に応じて除染をします場合には、まず自分の財源でするということでありまして、そうした財源を使った場合に、震災復興特別交付税なり特別交付税で後から財源措置、手当てをするというのが我々の仕組みでございます。

塩川委員 会計検査院の報告は、市町村ごとの一覧表がありまして、そこにその財源の区分があって、環境省の補助事業があり、復興特交があり、特交があり、そして自主財源なんですよ。ですから、復興特交や特交で措置した以外に自主財源を充てているという団体が、昨年度末で六十七団体あるということなんですよ。それは、本来、復興特交や特交で措置すべき除染経費が充てられていないということを意味していると思うんですけれども、その点での認識が総務省として問われるんです。

 私が聞いた首都圏のある市の話でいいますと、確かに、多くは特交措置を、対応してもらったということなんですけれども、例えば除染の泥を入れるコンテナバッグとか、あるいは除染の作業のときの手袋ですとかマスクとか、そういうのは要するに自主財源という整理にされたということで、実際には、除染に係る支出であっても特交措置に当たっていない、そういう整理をしている団体もあるんですよ。

 ですから、本来、こういった除染の泥を入れるようなコンテナバッグとか、あるいは手袋とかマスクとか、それは当然特交に当たるんだと思うんですけれども、それは可能なんですよね。

佐藤政府参考人 我々は、特別交付税の措置をします場合に、それぞれの団体に、どういう事業でどういうお金がかかったかということは全部照会をしております。その中では、今おっしゃったような経費も、当然、除染に伴う経費として対象にするということにしておりますので、対象にしていないということはありません。

塩川委員 昨年度末で六十七あるんですよ。その中では、既に、今年度の中で特交や復興特交で措置したところもあるでしょう。しかし、全部が全部そうなっていないというのが、私がヒアリングした中では出ているわけですよね。

 北関東のある町村では、環境省のガイドライン、表土から三センチ削るというのが、実際にはもっと深く削らなくちゃいけないようなところもあるわけですから。そうなると、特措法で手当てできないねといった際に、本来、復興特交や特交で充てられるところがそうなっていなくて、自主財源でやっているという団体なんかもあるんですよ。

 新藤大臣、ぜひこれは、会計検査院がこういうふうにそれぞれの団体に当たって、県経由で実態をつかんでいるわけですよ。だから、復興特交や特交で本来充てられるものが自主財源になっているというのは、ちょっとこれは、総務省の対応として問題がありはしないのか。この実態についてしっかりとつかんでいただきたいと思うんですけれども、その点、いかがですか。

新藤国務大臣 そもそも、会計検査院が取りまとめた報告書、この作成に我々が関与するわけではないので、私たちがわからないという実態があります。

 それから、そういったもので、もし自治体の御相談があれば、私たちはそれをきちんと受けとめて対応するようにしてきている、今局長が申したとおりであります。

 ですから、六十七団体、交付税を受けながら、特交を受けながら、プラス自主財源もあわせてやっている、こういう団体があるということですね。ですから、それぞれ個別のケースがあるならば、それは御相談いただければ、我々適切に対応しなければいけない、基準というものがありますから、そういったものを照らし合わせながら。

 でも、私たちとすれば、そういう経費を見るというのが原則ですから、そういった対応はしていきたい、このように思います。

塩川委員 ぜひそういう点では、総務省としての、実態を把握するという点で前向きな対応をお願いしたいと思っておりますし、もちろん地方団体から意見、要望があれば、それを受けるのは当たり前のことですから、そういう点で、総務省が前に出るという点で、しっかりと実態把握するというお考えはありませんか。

新藤国務大臣 私どもとすれば、かなり細かく実態把握しているわけでございます。

 ですから、それでも、何かの理由で言っていただけないのかということになりますと、これは把握するというよりは、まず自分たちが、そういう経費をお使いになったならば、それはぜひ申し出をして相談をしてもらいたい、双方でそれぞれの取り組みをしていただきたいなと。

 私どもも、さらに何か事務的にできることがあればと思いますが、現状においては、それは連携をとりながら大半はカバーしているわけですから、あとは個別の御相談にはぜひ適切に応じたい、こういうことに思います。

塩川委員 そういう点では、実態把握して、是正措置、是正すべき点があればしっかりやっていただきたいということを重ねて申し上げます。

 それで、この除染経費の問題ですけれども、環境省にお尋ねしますが、そもそも特措法に基づいて講ずる措置というのが、原賠法の規定により、原子力事業者、東電の負担のもとに実施するとされておりますけれども、それは、そもそも、汚染者負担の原則に基づいて行われるものだと思いますけれども、その点についてお答えください。

小林政府参考人 この放射性汚染物質対処特措法は、議員立法でおつくりをいただいたものでございます。四十四条で、原子力事業者、東電の負担でやるというようにお決めになっていただいたということにつきましては、環境行政がこれまでやってまいりました汚染者負担の原則というものとも整合しているものであるというように考えているところでございます。

塩川委員 汚染者負担の原則に基づいて、原発事故を起こした東電が除染経費を負担することとなっております。東電は、求償があった場合には速やかに支払うよう努めなければならないというのが特措法の規定でもあります。

 そこで、会計検査院にお尋ねしますが、一部の地方自治体は、自主財源で行った除染経費について東電に賠償請求を行っておりますが、把握しておられる団体の数が幾つかを教えていただけますか。

堀部会計検査院当局者 お答えいたします。

 報告書におきましては、平成二十五年三月末時点で、二県八十八市町村が東京電力に対しまして賠償請求を検討または既に請求している状況でございました。

塩川委員 昨年三月末時点で、二県八十八市町村が東電に対して賠償請求を検討または既に請求している状況ということです。

 経済産業省にお尋ねいたします。

 東電に寄せられた除染に関する自治体の賠償請求について東電に精査をお願いしましたけれども、その内容についてお答えいただきたいんですが、除染に関して東電に賠償請求を行った自治体数とその請求金額がどうなっているのか、お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力に確認をいたしましたところ、福島第一原子力発電所事故に伴いまして、除染経費を東京電力に請求している地方自治体は百四十一団体ございます。それらの自治体から除染費用との名目で請求された金額につきましては、合計で約九十六億円でございます。

 東京電力によりますと、除染費用という名目で請求されているものの中にもそれ以外のものも含まれている可能性があるので、細かな、正確な金額は、より精査が必要だということではございます。

 以上でございます。

塩川委員 九十六億円、そこは精査が必要だということでありますけれども、百四十一団体から、除染に関する賠償請求が行われているわけであります。

 文科省にお尋ねします。

 賠償指針二次追補のQアンドAを見ますと、特措法の財政措置の対象とならない除染等に伴う損害も賠償対象となるのかという問いを起こしておりますけれども、これについてはどのようにQアンドAでは答えているんでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定いたしました中間指針第二次追補におきましては、除染に係る損害について、「本件事故に由来する放射性物質に関し、必要かつ合理的な範囲の除染等を行うことに伴って必然的に生じた追加的費用、減収分及び財物価値の喪失・減少分は、賠償すべき損害と認められる。」と明記されてございます。

 すなわち、放射性物質汚染対処特措法に基づく措置に直接要する経費や当該措置に伴う財物損壊や営業損害等を含め、同法による財政措置の対象となるか否かにかかわらず、必要かつ合理的な範囲の除染に直接要する追加的費用、そのような除染の後で必然的に生じた追加的費用、除染等に伴って必然的に生じた減収分、財物価値の喪失、減少分は、賠償すべき損害と認められると考えられてございます。

塩川委員 特措法によらない財政措置、追加的費用についても、必要かつ合理的な範囲ということであれば、賠償すべき損害と認められるということです。

 要するに、この除染経費について多くの地方自治体が東電に賠償請求をしておりますし、それは、汚染者負担原則に基づいて、事故を起こした東電が負担する責任があるからであります。原賠法において、もともと、原子力損害の賠償責任は原子力事業者にあると規定されていることも踏まえているわけであります。

 そこで、新藤大臣にお尋ねしますが、このように、そもそも原発事故がなければ発生しなかった費用の負担、それから原発事故によって追加的な費用負担が生じた除染の経費について復興特交や特交で見たというのであれば、その復興特交や特交にかかった経費を東電に賠償請求するのは当然だと思うんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 原子力発電所の事故に伴う対応、これは誠意を持って当たらなければならないと思います。

 その上で、関係府省においてさまざまな対応がとられているわけでありますが、政府が費用を求償、自分たちが使ったものに対して求めるかどうかということにつきましては、いわゆる除染特措法に基づく除染、それから中間貯蔵施設の費用、これ以外の原子力発電所の事故に伴う対応に要した費用の求償についての政府方針は、まだ決まっていないのでございます。

 ですから、さまざまなそういった問題が今起きておりますし、この対応を政府全体で考えていかなくてはいけない、このように思います。

塩川委員 いや、そこでもう前に出るべきなんじゃないのかということなんですよ。

 そもそも、この特措法に基づいて、除染や中間貯蔵施設、それを東電に求償するということははっきりしているわけですから。ここに書かれているように、特措法に基づかないようなものであっても、必要かつ合理的なものであれば、東電に賠償請求するのは可能だという整理もしているわけですから。であれば、しっかりとした、特交や復興特交についても東電に賠償請求する。本来、地方共有の財源が、そういう形で東電の肩がわりで払われているというのはおかしい。

 そもそも、加害者の東電がそういう賠償責任を免れて、被害者の住民の皆さんの原資にしている特交や復興特交が充てられるというのは筋違いだと思うんですけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 これは、政府全体で取り組むべきことであって、みんなで努力するしかないというふうに思います。が、ゆえに、政府全体として調整をしていかなくてはいけないことだ、このように考えております。

塩川委員 要するに、今政府が、十二月二十日の閣議決定で、加速化に向けてという方針の中では、さらなる税金投入の仕組みをつくろうとしているからなんですよ。

 この賠償についても、東電の責任を限るとか、あるいは、中間貯蔵施設についていえば電源開発促進税を充てるとか、そういった点では、いろいろな形で国民の負担に転嫁をする形で、結果とすれば東電の責任を曖昧にする。こういう方向に進んでいるからこそ、今のように特交や復興特交についても曖昧な態度になっているんじゃないのか、こういう点を厳しく指摘して、是正することを強く求めて、質問を終わります。

高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法改正案に対する反対討論を行います。

 本法案は、年度途中に増額となった地方交付税のうち、調整額の復活分として交付する以外の全額を、来年度の地方交付税総額に加算するものであります。

 現行法は、地方交付税が年度途中で増額となった場合は、その全額を特別交付税として地方自治体に配分するとしており、本法案は、これに反するものであります。

 第一に、医療、介護、子育て、教育など、住民サービスを担う地方自治体の経常的経費や公共施設等を建てかえるための資金不足は深刻であり、地方自治体の施策を支えるために地方交付税を速やかに交付すべきであるからです。

 補正予算で追加となる公共事業により〇・九兆円の地方負担が生じ、補正予算債を活用しても新たな起債と負担が求められます。がんばる地域交付金も、全ての市町村が交付対象とはならず、金額も八百七十億円と極めて限られています。地域の実情に合った地方単独事業などを支えるために、速やかな交付を求めるものです。

 第二に、政府は、来年度、歳出の特別枠と別枠加算廃止の第一歩として〇・三兆円を削減しようとしており、本法案は、この削減分の穴埋めと来年度の地方交付税の総額確保のために、今年度に交付すべき地方交付税を繰り越すものであります。

 そもそも、地方の財源不足の要因は、政府が、法定率引き上げ等の抜本的な対策を行わず、財源不足分を国、地方の折半ルールで工面するという小手先のやり方をとってきたからであります。今こそ、法定率引き上げ等の対策に向かうべきであります。

 なお、東日本大震災の復旧復興事業に対応した震災復興特別交付税の増額は当然であり、実効ある復旧復興事業の実施を求めるものであります。

 以上、反対討論といたします。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


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