衆議院

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第3号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 原口 一博君 理事 三宅  博君

   理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中村 裕之君

      長坂 康正君    福井  照君

      藤井比早之君    松本 文明君

      山口 俊一君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  湯川 一行君     藤井比早之君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     湯川 一行君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 情報通信及び電波に関する件(公共放送のあり方)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 情報通信及び電波に関する件、特に公共放送のあり方について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事塚田祐之君、専務理事吉国浩二君、専務理事石田研一君、理事・技師長久保田啓一君、理事福井敬君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長福岡徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、日本放送協会会長籾井勝人君から発言を求められておりますので、これを許します。日本放送協会会長籾井勝人君。

籾井参考人 おはようございます。

 冒頭、お時間をいただき、総務委員会の皆様に一言申し上げたいと思います。

 就任会見で私が個人的な見解を発言してしまったことにより、視聴者の皆様、各方面に御迷惑をかけてしまったことにつきまして、改めて深くおわび申し上げます。

 前回の委員会では個別の問題については明確にお答えできませんでしたが、私の就任会見での発言のうち、国会で御指摘のありました慰安婦の問題と特定秘密保護法、靖国参拝、番組編集権、国際放送の五項目について取り消させていただきました。

 今後は、これまで以上に信頼されるNHKとなりますよう努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本(岳)委員 皆さん、おはようございます。

 本日は、情報通信及び電波に関する件、公共放送のあり方ということで質疑をさせていただきます。

 まず、籾井会長にお尋ねをします。

 先ほど御発言をいただきました一月二十五日の就任記者会見について、そういうような形で発言があったわけでありますけれども、取り消しをしておわびをされた、そのことは既に承知をしておりますし、先ほどもされました。

 ただ、誤解を多く与えた会見だったと私は率直に思っておりますし、また、その後、例えば一月三十一日に、この場、衆議院の予算委員会でしたけれども、この場所で原口委員が籾井会長に対して質疑をされた、その様子を見ておりましたが、ちょっとちぐはぐな答弁だよなと思うところもありまして、そんなことも積み重なっておりましたし、誤解を完全に解いたというふうには至っていないと思っています。

 発言を取り消された、それはわかりました。ただ、取り消した上で、今おっしゃった、特に歴史的なことについてどうのこうのではなくて、国際放送だとかあるいは番組の編成に関することについて取り消したのはわかりましたけれども、その後はどうするのかという話が十分に説明されているとは思えませんし、その誤解を払拭するに至っていない。

 どんな誤解があったかというと、それは、NHKがまるで政府見解に沿った放送しかしなくなるような、どこかの国の国営放送みたいになっちゃうんじゃないかとか、例えば、そういうような印象を私は与えたんだと思います。

 公共放送としての役割というのを認識しておられるのかどうかということが懸念をされて、それで、るる、さまざま、国会のいろいろな委員会でもお話をいただくようなことになってしまっている。それは十分払拭されていないと思います。

 放送法を守りますということは、あちらこちらでよくおっしゃっていただいておりますから、それも十分に承知をしておりますけれども、では、放送法の不偏不党あるいは番組の政治的な中立などの規定というのをどのように守るのかということをなかなかきちんとお答えされていないのかなという印象がありますので、ちょっと具体的に、こういう場合はどうなんですかという御質問をしたいと思います。

 それは、例えば、放送法の第四条第四項、番組の編集は、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というふうになっております。

 したがって、この法律に基づけば、会長が、ある特定のテーマについて私はこう思うんだということを思っていらっしゃっても、NHKの放送内容としては、もちろんその視点を取り上げちゃいけないというわけではないけれども、いろいろな、ほかの人の思いの視点、ほかの視点からのことも取り上げていかなければ、それが、この放送法の第四条第四項を満足しないということになります。

 きのう、例えば原口委員の質疑でも、理事の方の辞表をお預かりになっている、まあ、これは抽象的、比喩的な表現で、そういう権限を会長は持っていらっしゃるという意味だと思っていますけれども。例えば、そういう形で、必ずしも自分の見解とは異なる内容を含む番組が放送された、あるいはつくろうとした、そのことをもって、会長はその人事権を行使して、職員の人に不利益なことをするとか首にするとか、もしそんなことをされるようなおつもりがあるのであれば、それは、この放送法に照らしてどうなのかということになりかねないことなんだと思います。

 ですから、そうした形で、自分の見解と異なる、あるいは政府の見解と異なる番組をつくられた、そのことをもって、例えば、番組をつくった職員の方を処分するとか人事上不利益なことをするとか、そんなことはされませんよね。そのことについてお答えください。

籾井参考人 お答えします。

 まず、いろいろな誤解を与えたことについては、本当に、自分としては大いに反省しているところでございますが、私としましては、何回も申し上げておりますけれども、自分の考えを番組に持ち込むということは全くするつもりはございません。

 それから、NHKにおきましては、会長は私でございますし、会長なりに与えられた権限もございますが、実際の仕事につきましては、分掌という形で、各部署でそれぞれやっております。

 したがいまして、私が、最初から自分の考えを出して、それを番組に影響させようなんという気持ちは全くございません。今までどおり、みんなが分担している役職に従って仕事がされるように進めていくことが私の任務だと思っております。

 放送法も随分申し上げておりますけれども、私は、放送法というものをきちんと守っていかなければいけないというふうにも思っております。そのためにどうするかということについては、やはり放送法というものをきっちりとみんなで見直すような習慣をつけて、常に放送法に回帰できるような経営、並びに、いわゆる社風というのは言葉がまずいですが、NHKの中の文化をつくり上げていきたいというふうに思っております。

 本当に、今から、私としては、そういう考えでNHKの経営を推進させていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 それから、済みません、答弁していませんでした。よって、いろいろな担当者を首にするとか処分するとか、そういうことはございません。

橋本(岳)委員 ちょっと後ろから違う声が飛んでおりますが。

 お答えをいただいてよかったです。後のお答えがなかったら、もう一回問い直さないといけないところでした。

 もちろん、人事上の権限はお持ちですから、非行に該当する職員の服務規定みたいなものはあると思います。それに抵触することがあれば、当然不利益な処分、そういうことをする、それは会長の仕事。だけれども、放送法を守ろうとしたことをもって職員の人が不利益をこうむるようなことがあってはいけないということで、そのようにはっきりとお答えをいただきましたので、それを守るということが会長のお仕事でもありますから、ぜひそこのところを引き続き持って、今のお答えでよしとしたいと思います。

 きのうの予算委員会で、石原信雄元官房副長官がお越しになりました。これは質問じゃありませんから大丈夫ですよ。

 あの答弁の後、拍手が起きましたね。あれは参考人としての態度が物すごく立派だったからですよ。本当に姿勢正しく、真面目に丁寧に質問に答えられた、しかも、私の倍ぐらいのお年の方が紙も読まずに。お隣におられたので見ていらっしゃったと思います。ぜひ見習うべきところもあるのではないかと、これは私も皆さんも含めてだと思いますが、含みおきいただきたいと思います。

 ただ、今回、NHKの取り上げ方で、いろいろな報道がたくさん出ました。国会でもいろいろ取り上げられました。報道の方もどうなのかなと思うところがちょっとあったということも、私は申し上げたいと思います。

 例えば、長谷川委員について、二月五日付の毎日新聞に記事が出ました。拳銃自殺を礼賛したとかメディアへの暴力には触れなかったとかいう非難もございます。ただ、追悼文の全文、私も読みました。全文の方です。新聞にも要約は出ておりますが、その全文の最後の一節というのが実は省略をされております、新聞の記事の方は。それは何が書いてあったかというと、野村秋介の死を追悼することの意味はそこにあると私は思う、そして、それ以外のところにはないと思っているという言葉が実はついていて、それを省かれていました。

 そう思っている、故人を追悼するに当たって、私は、内心、中で思索を深めて検討した結果そういうふうに感じているという、まさに思想、信条のことをおっしゃったのであって、まさに表現の、それをもって、これが書いていない、あれが書いていないというのは、まさに思想、信条の強制ではないかとも思うのであります。

 あるいは、百田委員が選挙演説をしたということで、これも報道になりました。

 私、選挙というのは、この民主主義国家において、基本的にはみんな誰でも選挙運動をしていい、よくしなければならないと思っています。ただ、その中で、例えば公務員の方、これは国家公務員法だとか人事院規則だとかによって、やってはいけないことは制限をされている。本来やっていいことを制限するんだったら、ちゃんと具体的に明文で、かつ最小限のルールがあって初めて規制されるべきです。

 ただ、例えばNHKに関して言うと、経営委員会の方が守られる規則には、そのように具体的に書いていない。あと、出演者の方も、これは参議院選挙のときに、例えばあるタレントの人がこの候補者を応援するというのを書いた、そうすると、その方が出ている番組が選挙が終わった後に延期された、そんな話がありました。だけれども、そうじゃないようなケースもあった。その辺が非常に基準が曖昧で、出演する人は選挙に携わってはいけないんじゃないかみたいな萎縮をむしろさせるようなところがあると思っている。そういうルールがきちんと定まって具体的になっていないということは問題だと思っています。

 ですから、今回そういうような指摘があった、それを、改めて、要らない指摘を防ぐために、組織の中立公正あるいは不偏不党と個人の選挙運動、政治活動のできるだけの自由というのを両立させるために、そうしたルールを、出演者の方あるいは役職員、経営委員、それぞれに、持っておられれば持っておられるで結構ですし、もしなければおつくりになられるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

石田参考人 出演者の問題についてお答えさせていただきたいと思います。

 NHKは、放送ガイドラインで、「選挙の応援をする学者・文化人や芸能人などの番組出演は、政治的公平性に疑念を持たれないように配慮する。」ということは公表しております。それで、こうした考えに基づいて、その人物の選挙へのかかわり方や放送での役割などを視聴者がどのように受けとめるかという観点から、総合的に判断しているということです。

 去年の参議院選挙の後、今先生から御指摘があったように、初めてのネット選挙だったということもあるんですが、NHKの対応にさまざまな御意見をいただきました。こうした御意見を踏まえて、選挙の際はふだんより一層公平公正を守る必要があるというNHKの立場を出演者によく理解していただくよう努めているところです。

 選挙期間中の対応については、ケースごとに状況が異なるので、やはり個別に慎重な判断が必要になると考えておりますが、先生の御意見も含めて、今後勉強させていただきたいというぐあいに思っております。

吉国参考人 NHKの役職員についてでございますけれども、当然のことながら、公共放送に携わる者として、高い自覚を持ってみずからを律していくことが必要となると思います。

 職員について、個人として選挙運動に参加することは制限されておりません。ただ、やはり、職員として、選挙期間中はNHKの政治的公平性に疑念を持たれないようにしていかなければならないと思っております。この点に関しましては、会長、副会長及び理事、職員ともに、服務に関する準則を制定しておりまして、NHKの名誉や信用を損なうような行為をしてはならないとしております。

 公共放送の使命と……(橋本(岳)委員「選挙は信用を損なうんですか」と呼ぶ)いや、違います。選挙運動をするしないではなくて、結果としてそういう行為になってはいけないということで、ですから、そういったものを踏まえて適切に行動することが必要だというふうに考えています。選挙運動を制限するわけではありません。

橋本(岳)委員 今、ごめんなさい、不規則な発言をしましたけれども、選挙にかかわることが信用を損なうことじゃないでしょう。だけれども、そこのところ、では、選挙とのかかわりは、NHKの考え方をしっかり理解してください、それを出演者に求めます。違うでしょう。出演者の人が主体的に判断できないからおかしいんですよ。それを事前にきちんと、国家公務員の場合は、さっき言ったように、いろいろな規則が具体的にすごく書いてあります。これをやってはいけないと書いてあるんです。だからそれを守る。

 だから、NHKの立場を理解しなさいではなくて、出演者の人あるいはかかわっている人がきちんと事前に判断できるように具体的にしておきなさい、それをオープンにしておけば、社会的にそこで問題が起きなくなるでしょうと言っているんです。

 ということで、御検討いただくということですから、ぜひ、そのように御検討いただきたいと思います。

 最後になりますけれども、新藤大臣に。

 経営委員の方の人選ということで、いろいろな御議論がある、本当に物議が醸されていると思います。ただ、では物議を醸さない常識的な人ばかり経営委員になるのがいいのか、私は、そんなことはない、いろいろな人がいることに意味があると思います。そういう経営委員の構成の多様性について、ぜひ御見解を一言いただきたいと思います。

新藤国務大臣 この経営委員会は、NHKの予算の議決、それから役員の職務の執行の監督等の職務を行うこととなっていて、NHKの最高意思決定機関です。経営委員会は、その職務の執行を個々の委員に委任することができない。ですから、経営委員会は、合議体をもって、経営委員のさまざまな意見を合議することによってNHKの方針を決定していく、また審査していく、こういうことになるわけであります。そして、その委員の選任に当たっては、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業、それぞれの分野等を考慮して、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。さらに、経営委員は個別の放送番組の編集等の業務は執行できない。こういうことをみんな法律で規定しているわけであります。

 ですから、それらを踏まえて多様な人選を行って、そして、その中から、公共放送としての運営にふさわしい、そういう判断をしていただけるもの、それを私どもは期待しているわけでございます。

橋本(岳)委員 終わります。

高木委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速内容に入りたいと思います。

 一月二十五日の就任会見以来、きょうも総務委員会、きのうは衆議院の予算委員会、さらには参議院においても、予算委員会、総務委員会、国会に毎日のように籾井会長はお出ましでございます。御苦労さま、こう申し上げたいわけでありますが、与党の一員として、大変に緊張感を我々も感じているわけであります。

 きょうも冒頭、御発言をされました。NHK会長としての発言と個人の見解を整理し切れないまま発言をしてしまい、まことに申しわけない、あるいは、自分の発言によって、視聴者の皆様、各方面に御迷惑をかけてしまったことについて深くおわびを申し上げる、このように何度もおわびをされている、個人的発言をしたことについて謝られているわけであります。

 しかし、その一方で、今月十二日の経営委員会の場では、どこが悪いのか、素直に読めばわかるはずだ、こういう発言をされたという報道を目にしております。

 この真偽も確認しなきゃなりませんが、とても、反省している同じ人の言葉とは思えないような言動が飛び出してくる。本当に反省をされているのか、その場しのぎなのか、一体あなたの本心はどこにあるのかと、多くの国民・視聴者、我々も感じているわけであります。

 先ほどの冒頭の発言も含めて、改めて、この委員会の場であなたの御本心をもう一回御発言いただきたい。お願いいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 今まで本当に何回もおわびを繰り返してまいりましたが、私の気持ちは紛れもなく本心でございます。今後、本当にNHKがよりよくなるために邁進してまいりたい、本当に全身全霊を傾けて努力を重ねていきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

桝屋委員 今改めて、御本心ということで発言をされました。

 会長の発言で、NHKはただいま国際的な信頼が大きく傷ついたと私は思っております。

 私ども公明党は、アメリカを含め近隣諸国と友好関係を深めていくということが極めて大事だと考えております。また、公共の福祉のために、あまねく豊かでよい放送を行うNHKを大事にしていきたい、こういう思いであります。会長の発言で公共放送のイメージが傷つけられているということについて、私ども与党公明党として、決して快くは思っておりません。

 これから、NHKの会長として、ただいまの発言のとおりおやりになろうとするのであれば、この事態を誠実に対応して乗り切っていただきたい。

 具体的にどうするのかということが私は大事だろう、国民・視聴者は見ている、このように思っております。これまでもNHKに、受信料についても、多くの国民の皆様がさまざまな思いを持ちながら協力をしてくださっているということも、もう一回心していただきたい。

 就任以来、ほとんど平常業務ができていないのではないかと私は思っております。先ほど申し上げたように、ほとんど国会にいらっしゃっているわけで、この部屋なんかは随分もうなれられたのではないか。ここがあなたの職場ではない。であるとするならば、私も副大臣として大臣をお支えした経験もあります。大臣が、それこそ報酬を全部返上して仕事をするということもあった。多くの国民が見ております。事態が収拾するまで、あなたはNHK会長としての報酬を返上されたらいかがでしょうか。それぐらいの姿勢をお示しにならないと、国民はこの事態を納得されないと思うわけであります。

 その上で、ただいまの発言のように、あなたが、NHK会長として誠心誠意努めていきたい、こうおっしゃるのであれば、あなたのNHKの発展に向けた御決意も改めて伺いたい。会長は海外での生活も長いわけでありまして、今後のNHKの国際放送をどのように発展させていくのか、こんなこともぜひこの場で語っていただきたい。どう対応するのか、対処していくのか、改めて御答弁をいただきたいと思います。

籾井参考人 ただいまの委員の御指摘につきまして、私も本当に重く受けとめまして、ますますNHKのために尽くしたいと思いますが、国際放送につきましては、いろいろな御意見があることも承知いたしております。したがいまして、二〇二〇年のオリンピックもそうですが、日本が置かれている国際的な立場から、やはり日本のプレゼンスというものをもう少し高めていかなければいけないと思います。それは、やはり国の方針であるとか、決まった政策であるとか、それから文化とか、いろいろな面におきましても日本のことを広めてまいりたいと思います。そして、日本というものを世界じゅうからよりよく理解されるように、我々NHKとしては努めてまいります。

 もちろん、こういうことをするに際しましては、何回も言ってちょっとしつこいかもしれませんが、放送法もございますし、それからNHKの内部の国際放送規則というのもございますので、それに準拠することはもちろんでございますが、本当に国際放送につきましての重要性を十分に認識しておりますので、今後、ぜひ、みんな一生懸命やっていますが、さらによりよい国際放送を心がけてまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 私は、先ほど、一つの思いをここで言わせていただきました。NHKは、この三カ年の事業計画の中で、大変な思いをして、職員の皆さんも給与を削減し、頑張ってきているわけであります。会長、先ほど申し上げたように、本当に、あなたの最初の発言がなければ、あそこで心する記者会見をされたのであれば、こういう事態はなかったわけでありますから、少なくともこの事態が収拾できるまで、私は、年間三千万、こうした報酬を得ておられるあなた自身がこれを返上するぐらいの気持ちが必要。

 私のところに電話が入ってきました。毎日毎日国会に来ているけれども、あれは日当が出ているんじゃないだろうなと。こんな声ですよ、国民の声は。NHKの方は、もちろん日当は出していないわけでありますけれども、こんな国民の声、視聴者の声、これに対してきちっとお応えできるような、そんなことも個人の中で、会長のお心の中で、私は、腹を決めていただくこともあるのではないか、職員の思いも含めて。

 もう一言、御発言をいただきたい。

籾井参考人 委員のお言葉を本当に心にとどめ、私としましては、本当にNHKが視聴者の皆様、国民の皆様に信頼されるように、ここで失いました信頼というものを回復できるように、全身全霊を尽くしていく所存でございます。

桝屋委員 重ねて伺いますが、みずからの報酬を返上して責任をおとりになる、事態をおさめるまでそうした取り組みをする、こういう気持ちは個人のお気持ちの中であるのかないのか、重ねて伺います。

籾井参考人 重ねての御意向でございますけれども、私としましては、本当にNHKのために全力を尽くしてまいりますので、ぜひその辺をよく見ていただければというふうに思います。

桝屋委員 もう申し上げませんが、NHKの信頼を回復するために、あなたの就任以来、今日までの発言、これをめぐってどう対応されるのか。もう一重の取り組みがない限り国民の信頼を得ることはできないということを申し上げておきたいと思います。

 最後、大臣、私たちは、与党ということもあり、総務省の人事を信頼し、同意人事に対応してきたわけでありますが、やはり今回の一連の報道を見ておりますと、いま少し慎重な取り組みが必要だな、総務省を信頼する、政府を信頼するだけでは済まないと。

 同意人事の中に、日銀の総裁でありますとか人事官、これは議運の申し合わせで事前に所信を伺うというような取り決めをしているわけであります。野党の中では、放送法の改正まで議論されておりますが、私どもは、ぜひ、そうした同意人事に当たって、改めて、事前に所信を伺う機会を検討するというようなことも考えなければならぬ、こう思っておりますが、最後に総務大臣のお話を伺って、終わりたいと思います。

新藤国務大臣 国会同意人事でございますけれども、所信聴取を行う対象としては、これは、昨年の二月十九日付の衆参の議院運営委員会、国会同意人事のあり方において、人事院の人事官、会計検査院の検査官、これはいずれも三名ずつであります、それから公正取引委員会委員長、原子力規制委員会委員長、そして日銀の総裁及び副総裁合計三名、この方々について所信の聴取を行う、こういうことで整理をされております。

 いずれにしても、この方たちは常勤の役職でございます。一方、NHKの経営委員は、十二名おりますけれども、常勤は監査役を兼ねる方一名でありまして、その他は全て非常勤でございます。そこに相違がございます。

 一方で、このそもそものルールにつきましては、国会での御議論がある、これが基本だというふうに思っておりますから、そういったことで我々は認識をしておるわけでございます。

桝屋委員 その非常勤の皆さん方の発言でこれほど国民の信頼を失っているわけでありますから、我々与党として、国会の中でそうした取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 以上で終わります。

高木委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは質問の時間をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 ただ、私は、昨年十二月三日の総務委員会の際、三年間のNHKの決算を審議したわけであります。その際にも、今問題とされている経営委員の方の発言について質問をさせていただきました。その後、松本会長もかわり、あのときに私は、大変に危惧、心配をしていた、それを表明したわけでありますが、残念な、前代未聞の事態が起きている、こういうふうに思っております。

 昨年の十二月の三日、私が二〇〇九年度、平成二十一年度から二〇一一年度、平成二十三年度までの三年間のNHK質問を行った際に、不祥事の後の課題の多い三年間であり、特に東日本大震災の発生、完全デジタル化など、またリーマン・ショックによる世界的な景気の低迷の中であったが、不祥事で大幅に落ち込んだ受信料が二〇一〇年度には不祥事以前の金額に回復するなど、三カ年とも黒字決算であったことなどから、財政的には非常に健全であったというふうに評価しておりますと、その際に経営委員長は答弁をされておるわけであります。

 今回の籾井会長の発言をめぐる問題は、私は、松本前会長が続投していれば起きなかったことである、そもそも、財政的に大きな成果を上げた、そう評価をされたわけであります、経営委員長も。そうした会長が交代した背景は何であったのか、どう思われているのか、お聞きしたいと思います。

浜田参考人 お答えいたします。

 経営委員会では、昨年七月に指名部会を設置し、半年間にわたり審議を行ってまいりました。松本会長につきましては、十二月の指名部会で、次期会長候補の一人にするかどうかの採決を行うことにしておりました。前会長は、十二月五日の記者会見で、続投の意思がないことを表明されましたが、指名部会では、業績評価の結果、前会長を次期会長候補者とすることを決定し、その旨を本人に伝えました。しかしながら、御本人から、候補者となることを辞退する旨の意思表明がなされましたので、指名部会としては、松本前会長を候補者とせず、手続を進めることにいたしました。

 本人は多くのことは語っていらっしゃいませんけれども、今後は家族旅行をやっていきたい、そんなことをおっしゃっております。

近藤(昭)委員 経緯を御説明いただいた。その背景については、いろいろあったのかもしれません。そのことについてはなかなか御答弁は難しいところだと思いますが、私はあのときにも質問させていただきました。その趣旨は、成果を上げた、そして、そのことについて経営委員長も評価はされている、その中で私は、会長が実績を上げられてきた、そこが続投していくことがやはりよりよいのだろう、こういうふうに考えていたわけであります。今は本当に残念なことになっているわけであります。

 そこで、お聞きをしたいと思います。

 これも、その質問した際に聞かせていただきました。そして、経営委員長はお答えになった。この間も、質疑の中でいろいろと言及されておられるわけでありますが、会長の資格要件として六つの条件、第一に、NHKの公共放送としての使命を十分に理解している、第二に、人格高潔であり、広く国民から信頼を得られるNHK会長としてふさわしい人材であると述べられているわけであります。

 このような前代未聞の事態を引き起こしている籾井会長が、広く国民から信頼を得られる、こう認識しておられるわけでしょうか。

浜田参考人 お答えいたします。

 御指摘のような懸念を持たれる事態が生じていることは、まことに遺憾ではあります。会長には、今後の行動をもってこのような懸念を払拭していただくよう、期待をしております。

近藤(昭)委員 信頼を損なう、そういうようなことがないようにということであるわけでありますが、私も記者会見の様子を見ましたけれども、私は、非常に懸念をしているではなく、既に大きな影響が出てきている、そして、これから受信料の支払いについても影響が出てくるのではないかと大変に懸念をしておるわけであります。

 そして、会長の発言について、一月二十八日、新聞の社説によると、会長は、議論を呼ぶような問題を取り上げる番組では了解をとってもらわないと困ると、会長としての方針も示したとされております。自分の了解をとってもらわないと困る、こういう発言であります。これは事実でありましょうか。

籾井参考人 お答えします。

 新聞報道の内容についてはコメントを差し控えますが、私が就任会見時にNHKの編集権に関連して述べた部分についてだと思います。これで誤解を招きましたことはまことに申しわけなく思っておりますが、この発言については既に取り消させていただきましたので、これ以上の言及は避けたいと思います。

近藤(昭)委員 了解をとってもらわないと困る、この部分を取り消された、こういう理解でよろしいでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 五つの点を取り消させていただきましたが、これもその中の一つでございます。

近藤(昭)委員 確認をさせていただきたいと思います。

 今まで歴代の会長の中で、議論を呼ぶような問題を取り上げる番組について会長の了解をとるようにと会長の側が明言した例はあるんでしょうか。

 今、取り消しをした、こうおっしゃっているわけでありますけれども、この間ずっと議論されていることは、取り消しをした、しかしながら多くの懸念を呼んだ、そのこと自体に問題がある、こういうことであります。

 このようなことを、今申し上げたことでありますが、了解をとるようにということであります、会長みずからが発言をすることは、現場を萎縮させるおそれがあるとは考えられないんでしょうか。また、今後、編集権を持たれる立場で、どのようにそうした会長の編集権というものを進めていく、まあ、了解をとられるのか、了解をとるということは取り消されたというわけでありますが、そうした御自身の編集権はどのように実施をしていくのか、お答えをいただきたいと思います。

堂元参考人 お答えをいたします。

 了解をとる云々の会長側の発言というものは、私も比較的長く放送現場、報道現場におりました経験から申しまして、聞いた記憶はございません。

 その上で、現場の萎縮云々という指摘でございますけれども、私は非常に大事な視点であるというふうに思っている次第でございます。

 籾井会長自身も国会等でるる発言されておりますように、みずからの発言を取り消すということでございますし、また、籾井会長は、その後、全職員向けに、みずからの意見、見解を放送に反映させることはないという考えを明確にされておるところでございます。

 私としましては、そういうことを踏まえまして、現場の萎縮云々の指摘については極めて大事な点だというふうに認識をしておりますので、今後、機会あるごとに地方の放送局まで出かけて、現場の諸君とじっくり話し合い、そういうことに絶対ならないように全力で努めてまいりたい、かように考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そういう中で、取り消しをし、そして、現場でそれぞれ関係者がしっかりと多くの人たちの声も取材し、多くの立場を紹介し、そして、よりよい社会をつくっていく中で、公共放送、報道の自由、また多く人たちの知る権利を守っていくということだと思うんですが、ただ、そこで改めて確認をしたいんです。

 NHKラジオ第一放送で経済学の観点から脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授に、発言をやめるよう求めたことについても、籾井会長は、選挙期間中でもあり、テーマの変更を求めたと委員会で答弁しておられますが、この点はいかがお考えでありましょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 御承知のとおり、さきの都知事選挙の中で、原発問題というのは、ある候補者の大きなイシューであったと記憶しております。そういう最中で原発問題を取り上げるのはちょっと待ってください、内容変更とかそういうことを言ったわけではなくて、タイミングをちょっと考えていただきたいということを申し上げたわけです。そういうことで、特別、内容を変更してくださいということを頼んだことはございません。

 ただ、もう一つ、NHKの場合は、先ほどもちょっと申しましたけれども、会長の下に副会長がおり、さらに役員がおり、局長がおりということで、番組そのものにつきましては放送総局長が分掌し、そのもとで、それぞれの番組責任者が制作に当たっております。

近藤(昭)委員 会長、済みません、先ほど、議論を呼ぶような問題を取り上げる番組について会長の了解をとるようにというのは取り消しました、こう言ったわけであります。

 私は、今会長がおっしゃったことでいっても、議論を呼ぶような問題で、経済学の観点から原発のことについて議論をしていく、それはもうずっとある議論でありますし、それを、選挙期間中だからといって、逆に言うと、選挙期間中でもそれはまさしく一つのテーマであったと思います。それを、番組の変更を求めた。

 では、会長は何を求められたんですか。実質的に、そのことによって中北さんは番組をおりられたわけですよね。それはある種の介入と受けとめられたんじゃないでしょうかね、本人は。いかがでありましょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 別に、会長が直接そういうことをお願いしたわけではないのです。

 先ほど言いましたように、NHKの組織というのは先ほど説明したとおりでございますので、権限の委譲により、各現場がそういうふうなことを判断しているわけでございますが、NHKの中で、やはり選挙期間中でもあり、テーマの変更を求めたということでございます。

 内容を変えてくださいということは全くお願いしておりません。テーマの変更を求めたということであります。

近藤(昭)委員 確認します。

 会長、そうすると、テーマの変更を求めたのはどなたですか。どなたが求められたか。

籾井参考人 お答えいたします。

 テーマの変更、そのときの、そのタイミングでのテーマについての変更でありまして、今、原発問題というものは先に延ばしてください、こう申し上げているわけです。

 それで、放送法第四条に、政治的に公平であること、報道は事実を曲げない、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること等々ありますので、我々としましては、そういうふうに、そのテーマについては選挙が終わってからやっていただきたいということをお願いしたわけでございます。

近藤(昭)委員 会長、そうすると、会長の御認識としては、選挙期間中だから、そのことについては、テーマの変更を求めることは何も間違いじゃない、こういう御理解ですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 放送法第四条第四項に、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と書いてありますよね。それに基づきまして、やはり我々の判断としては、そのタイミングで原発問題を取り扱うことは適切でない、先に延ばしていただきたいということを申し上げただけで、おっしゃる内容のことについては一言も申し上げておりません。

近藤(昭)委員 会長、でも、それを求めたわけですよね。さまざまな角度から報道する必要がある、だから、さまざまな方向から報道すればいいわけであって、テーマを変更する、それは逆に、多くの人たちが知る権利、知りたい、このことについてはどうなっているんだろう、こういうことを制限することにつながりませんか。

籾井参考人 今申しましたような第四条第四項に基づくことをもとにしまして、その人の選挙へのかかわり方や放送での役割などを視聴者がどのように受けとめるかという観点から総合的に判断しているわけでございます。

近藤(昭)委員 総合的に判断するということは、中北さんがこういう発言をするだろう、それはおかしい、そういう想像ですか。

籾井参考人 選挙期間中につきましては、先ほど言いました四条四項に基づきまして、その人物の選挙へのかかわり方や放送での役割などを視聴者がどのように受けとめるか、そういう観点から総合的に判断したというわけでございます。

近藤(昭)委員 経済的な観点から原発の問題についていろいろと議論をされようとしていたはずであります。私は、その発言をする前に、議論でしょう、逆に、知りたいと思っている人たちがたくさんいるんだと思うんですよ。そうしたら、そういう場を提供する、それも重要な役割じゃないですか。何か、選挙期間中だからこの問題についてはテーマを外してほしい、これは、私はやはり知る権利を奪う明らかな介入だと思います。

 そして、今申し上げました、先ほどの質問にもう一度答えていただきたいんですが、それを外してほしいと言ったのは会長ですか。

籾井参考人 先ほど申しましたように、NHKは、会長を頭に、副会長、それから役員、それから局長というぐあいになっております。こういうものへの関与は現場でやっております。

 したがいまして、我々としましては、そのときのタイミング等々を考えまして、まさしく都知事選挙の真っただ中ですから、そういう意味において、その方の選挙へのかかわり方とか放送での役割などを視聴者がどのように受けとめるかという観点から総合的に判断して、中止じゃないですよ、延期をお願いしたんです。

近藤(昭)委員 ですから、もう一度、そういう構造があるというのはわかりましたが、現場があって、取材をする人、編集をする人、そういう構造があるのはわかりましたが、今はやめてほしいと言ったのは、その判断をしたのはどなたですかということを教えていただきたいというふうに思いますし、選挙のかかわり方、こうおっしゃいましたけれども、私は、御本人は、選挙のかかわり方ではなくてこの問題について議論をする、決して選挙のこと云々ではなかった、こう思いますが、いかがでありましょうか。

籾井参考人 何度も御説明しておりますが、NHKは、放送ガイドラインで、政治的公平性に疑念を持たれないように配慮することを公表しております。また、実際の業務運営面におきましても、これも御説明いたしておりますが、放送部門の最高責任者であります放送総局長に編集権を分掌し、そのもとで、それぞれの番組制作者が制作に当たっておるわけでございます。

近藤(昭)委員 そうすると、分掌しているということは、総括報道編集局長さんですか、今、総括をする方に分掌している、いわゆる分掌した人が決めた、こういうことですか。

籾井参考人 先ほどから御説明しておりますが、NHKは分掌しながら実際のオペレーションを行っているわけですが、ただ、これもやはり取材、制作にかかわることについては、本当に我々としては申し上げられないことでございますので、まことに恐縮ではございますが、その辺は御勘弁いただきたいと思います。

近藤(昭)委員 分掌して、その分掌した相手が決めたということですか。だって、最終的には会長が責任をとられるわけでしょう、会長として。でも、決定する人がいるわけだから、その人がそういう判断をどこかでするわけじゃないですか。その人は誰ですかと聞いているわけであります。いかがでありましょうか。(発言する者あり)

高木委員長 不規則な発言は慎んでいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、NHKでは分掌制度をとっております。したがって、その分掌のもとで現場の制作責任者が意思決定をしているわけでございます。

 実際の業務運営におきましては、今も申しましたけれども、放送部門の最高責任者である放送総局長に編集権を分掌しておるわけでございます。

 もちろん、私はNHKの会長でございますから、責任は最終的には私に来るわけでございます。これを否定するわけではございません。

近藤(昭)委員 いろいろと分掌している、現場責任者がいる、でも、最終的には会長が責任をとるということでありますが、そういう中に、いわゆる分掌している人の中に、やはりNHKの理事というのも入るわけですか。

籾井参考人 NHKの組織に基づいて分掌しております。本当に、先ほどから申しておりますけれども、実際の業務運営につきましては、放送部門の最高責任者である放送総局長に編集権を分掌し、そのもとでそれぞれの番組制作責任者が制作に当たっているということでございます。

近藤(昭)委員 だから、理事も入るのかとお聞きしているわけであります。

籾井参考人 お答えします。

 放送総局長は理事でございます。

近藤(昭)委員 お聞きしたいんですが、先ほど橋本委員もちょっと言及をされました。橋本委員が言及されたときには、比喩だと思うがというような言い方をされましたが、私もきのう予算委員会を聞いていて、あれっと思ったことがあるんです。それは、原口委員が言及をした理事の辞表ですか、辞職届ですか、それを預かっている、預かって云々、そういうことでありますが、私はちょっとその事実を確認したいんです。会長、そういう事実はありますか。

籾井参考人 人事のことでございますので、この場では言及を避けさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 しかし、辞表を預かるということは尋常ではないと思います。

 人事に介入するつもりなど、全くないですよ。そのやり方こそおかしいんじゃないですか。現場を萎縮させるんじゃないですか。だって、先ほど、分掌していると言ったわけですよね。分掌している人たちの辞表を預かっている、それはどういう意味ですか。預かっているのではないかということですが、それを確認したいんですよ。

籾井参考人 今申しましたように、人事についてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 人事についてお聞きしているのではなくて、そういうことをしていらっしゃいますかと聞いているんです。

籾井参考人 お答えいたします。

 私は人事のことだと思っております。

近藤(昭)委員 どこが人事のことなのか、よくわかりません。

 では、そういうやり方がいいかどうか、そういう方法がいいかどうか、お答えいただきたいと思います。

籾井参考人 そういう仮定の話について私が発言することは不適当だと思います。

近藤(昭)委員 私は誠実な答弁だとは思えません。非常に懸念を覚えている、懸念がある、だからこうやって委員会が開かれているんです。そういう中で質疑されることに対して、ずっと聞いていても、質問に対する答弁がきちっとされていない、こういうふうに思います。

 以上であります。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 先日の総務委員会の質疑に続きまして、再びこの問題、質問に立たせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 先ほどの都知事選の際の延期を求めたという話でありますが、少々気になりましたので、少し質問させていただきますが、放送法四条が求めているのは、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにせよ、こう言っているわけでありまして、取り上げるなとか、物議を醸すから延期しろとか、そういうふうには言っていないわけであります。

 この点について、会長、どう思われますか。

籾井参考人 放送法第四条にあるとおりでございます。

奥野(総)委員 会長、フェアネスドクトリンという言葉は御存じでしょうか。

籾井参考人 存じ上げません。

奥野(総)委員 公共放送のトップに立つ方ですから、そして放送法を遵守するとおっしゃっておられるのでありますから、ぜひこのあたりはしっかり事務方からでも聞いておいていただきたいんですが。

 今、少なくとも放送法上は、このフェアネスドクトリンという、解説書なんかを見ましても、これにのっとってこの条項は立てられている。要するに、いろいろな角度から取り上げなさい、一方的な意見を報道してもいいんだけれども、それと反対の意見、違う角度の意見もちゃんと放送の中で取り上げなさい、おおむねこういうことだと思うんですね。放送法というのはこういう規律にのっとっています。アメリカとかは違う、もはやこういうフェアネスドクトリンはとっていないという話もありますが、少なくとも今の日本の放送法の中ではこういう考え方に立っているわけであります。

 放送法を遵守するということは、ですから、少なくとも、延ばすとか、物議を醸すから後にしてくれとかいうのではなくて、きちんと述べてもらった上で、あの事例の場合、もしこの方が脱原発を仮に言うのであれば、原発推進の方にも出てきてもらって、きちんと意見を言ってもらう。あるいは、ほかの番組でもいいんだと思うんですが、NHKはそれを取り上げるということをすべきではなかったんでしょうか。

 むしろ、その発言をとめるように要請するということは、一方的な立場に立って、言論の自由への介入だととられかねないと思うんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 ぜひ御理解いただきたいのは、あれは東京都知事選挙の真っ最中でございます。そういう中での、御存じのとおり、やはり原発問題というのは争点になっておりましたので、我々は内容を知りませんから、どういうふうな御発言がどういうふうな人を利するか害するか、この辺もわからなくて、よって、延期を求めた次第でございます。

奥野(総)委員 例えば国政選挙のときに、消費税、私も賛成しましたけれども、では、消費税の問題を、いろいろな角度から議論があったわけですね、それをやってはいかぬのか、これと同じ話だと思うんですよね。都政の中の一つの重要な論点についていろいろな議論をしようということでありますから、ちょっとそこは、私は、今の発言はいかがなものかと思います。

 これはこれ以上取り上げてもまた時間の無駄でありますから、ぜひ、この放送法について、フェアネスドクトリンということをしっかり事務方からでも聞いていただいて、世界の潮流も含めて、あるいは放送法の成り立ちについてしっかり御理解いただければと改めてお願いを申し上げます。

 そして、ちょっとこれは、改めて今の質疑を通じて思ったことを述べさせていただきましたが、前回の私の質問の際には、会見の中でどれを取り消しますかということをずっと伺っていたんです。これを取り消してくださいとか、そういう話ではなくて、どこが問題、どこを取り消しますかという話をずっとさせていただきました。

 こういう原口先生がおつくりになったフリップをもとに話をさせていただいたのでありますが、この後、あのときは結局明快なお答えは得られませんでしたが、きょう最初に御発言がありましたように、少なくとも、ここに出ている四項目と、そして従軍慰安婦に関する部分についての五項目は取り消された、こういうふうにおっしゃっておられます。

 ちょっとあまのじゃくな言い方をさせていただきますが、例えば、番組編集権について、最終的には会長が決めるわけですからと。これは私は正しいことを言っていると思うんです、これだけ取り上げれば。ここまで本当に取り消しちゃっていいんですか。これは編集権が会長にあるということを言っているわけですから、この部分を本当に取り消してしまって大丈夫ですか。

籾井参考人 お答えします。

 私は、編集権そのものを取り消したわけではないんです。編集権にかかわる私的発言を取り消しておりますので、私が仮にそれを取り消しても、編集権そのものは、れっきとして法律で決まっておりますから、それが取り消されるとは思っておりません。

奥野(総)委員 もう一度確認したいんですが、実は、あのときに、当然パネルにある部分は取り消していただける、それを前提に質問を考えていたので、そのときに聞けなかったことですが、では、なぜ、その四項目なり五項目を取り消したのかということをもう一度伺いたいと思います。理由です。

籾井参考人 お答えします。

 最初の就任記者会見の場合に、あのとき私は、個人的見解として物を申しました。そして、いや、個人的見解というのはないんだと言われたので、では全部取り消しだと。全部という意味は、私的見解として申し述べた分でございます。

 したがいまして、あの五項目、こういうことになるわけでございます。

奥野(総)委員 今言った、最終的には会長が決めるわけと、これは編集権の話をしていて、私的見解というか事実を述べているわけでありまして、何が私的見解で何が公的な見解かというのは、なかなか判別しづらいと思うんですね。

 先日の会見でも、例えば、バラエティーが多過ぎるということについて聞かれて、これは私的見解だから取り消します、こうおっしゃっておられたと記憶しています。

 一方で、インターネット、通信と放送の融合については、これは取り消さない、こうおっしゃっておられます。

 また、放送センターについて、二〇二五年から二〇年に前倒しする、これはなかなか難しいんだということを国会でも述べられておられると思いますが、前回の定例会見の中では、願望だと、単に、ちょうど東京オリンピックに合わせるといいと思っただけだ、願望を述べた、こうおっしゃっています。

 願望というのは、私的見解ではないんでしょうか。では、この部分も取り消すということなんでしょうか。

籾井参考人 就任初日に、私は、二〇二〇年のこのタイミングで放送センターができるといいなというふうに思ったことを申し上げただけでございます。本当に、実際に、そのときにもつけ加えましたけれども、これは別に事務方と話したわけではないので、いろいろ実地に詰めていかなければならないと申したはずでございます。

 したがいまして、それは、おっしゃるとおり、願望でございました。

 それから、取り消した内容につきまして改めて申すことは、またここで個人的な見解を示すことになりますので、これは答弁することは差し控えたいと思います。

奥野(総)委員 私も前回の質問の最初に申し上げましたけれども、放送センターは本当に直下型地震が来ると倒れてしまいかねない、これは急いでやるべきだ、そこは私も賛成しているわけですし、その部分の発言について取り消してくださいと言うつもりは毛頭ないんですね。

 ただ、今申し上げたかったのは、私的見解だから全て取り消すんだという話じゃないと思うんですね。私的見解の中にも、取り消さなきゃいけない部分とそうでない部分があるんじゃないですかということを申し上げたいと思うんですね。

 では、その基準は何なんですか。もう一度、取り消すかどうかについて。

籾井参考人 お答えします。

 あのときの状況の中で、私は、そういうことについてはお答えを差し控えたいということを何度も申しましたが、それでも、私の不徳のいたすところですが、記者さんの巧みな話術に誘われて、そういうことを申し上げたわけです。

 そして最後に、個人的見解は取り消すわけにいかないんだと言われたので、私は、では全部取り消します、こう言ったわけで、それを改めまして五項目にまとめて、公式に取り消しをさせていただいたというわけでございます。

奥野(総)委員 何を言っているかというと、私的見解だから取り消すとか取り消さないという話ではなくて、その発言が放送法に照らしてどうかという観点からやはり判断しなければならないんだと思うんですよ。

 私がずっと違和感を覚えているのは、私的見解だから取り消すと。

 では、私的見解を会長が会見で述べちゃいけないのかというと、それは、公式見解とは何ですかといったら、それは組織の見解そのものでありますから、ある意味、全て私的見解、会長の御意見を言っているのが会見なんですよね。だから、私的見解だから全部取り消すといったら、恐らく全て取り消さなきゃいけなくなってしまう。

 そうじゃなくて、おっしゃっていることの中で、放送法に照らして問題があるかどうかということで取り消すべきかどうかということを判断すべきじゃないか。実際、この五項目について言っても多様な意見があるということだと思いますので、そういう、放送法上問題だから取り消すということではないんでしょうか。

 ちょっと経営委員長、その辺、コメントをお願いします、いきなり振って申しわけないですけれども。(発言する者あり)

高木委員長 各委員に申し上げますが、なるべく不規則発言は気をつけてください。

浜田参考人 私的見解についての私としてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 委員長、ごめんなさい、ここに正確な議事録を持ち合わせていませんが、多様な意見があるものについてそういう発言をしたことが問題だというようなことをたしかおっしゃったと思いますが、それは、言いかえれば、放送法四条の三項、四項、事実を曲げないとか、対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、先ほど申し上げたフェアネスドクトリンの観点から問題だから、これは取り消すべきだというふうにおっしゃっているのではないんでしょうか。もう一度。

浜田参考人 私が申し上げましたのは、複数の見解のある事項について個人的な意見を公的な立場にある者が申し上げたことが不適切だというふうに申し上げました。

奥野(総)委員 だから、そこがまさに基準なんですね。

 会長のおっしゃること全てが私的見解だからだめだというわけではなくて、そこが一線だと思うんですよ。それはまさに、放送法に照らして、抵触するかどうか、違反とまでは言わないけれども、違反のおそれがあるかどうかというところだと思うんですが、会長、そこはどうですか。

 私的見解だから取り消したのか、あるいは、今おっしゃったように、放送法の基準に照らして問題があるから取り消したのか、あるいは問題があるとお考えだから取り消したのか、そこを伺いたいんですよ。

籾井参考人 繰り返しの答弁で申しわけないんですが、個人的な発言は既に取り消させていただいております。その個人的な見解を番組に反映させることは全くありません。これも、繰り返し述べさせていただいていることです。

 放送法に基づきまして、公平公正、不偏不党、表現の自由、こういうものを確保して、今後、適切に運営していきたいと思っております。御理解をいただきたいと思います。

奥野(総)委員 なぜ私がこれをしつこく言っているかというと、今後、こういうことを繰り返してほしくないんですね。国益を損ね、あるいは、場合によっては受信料収入が減ってしまう。NHKの信用が国際的にも国内的にも傷つくようなことは、私は断じてやってほしくないわけです。

 ですから、会長にもう一度、なぜ取り消したかということをきっちり御理解いただき、放送法を御理解いただきたいという思いで、先ほどからフェアネスドクトリンの話もし、また、取り消した理由について改めて、私もこんなにしつこくやりたくないんですが、お願いをしているというところでございます。

 そこで、さらにもう一度、きのうの続きを、ここで大串委員の続きをやらせていただきますけれども、朝日の例の報道ですね。

 新聞報道の中で、複数の関係者によれば、経営委員会の最後に、ある女性委員が会長発言の影響について、受信料不払いなどのリスクにどう対処するのかと質問。籾井会長は、営業が頑張ると答えたのに対して、具体案を尋ねられた後に、どこがおかしいのか、会見の記録全体を見てもらえればわかるという旨の持論を述べた。別の委員から、そういう物言いはおかしいと反発する声が上がり、浜田健一郎委員長が憮然として、終わりますと委員会を打ち切った。これは、ネットに出ていた記事をそのまま読み上げているだけですから、ちょっとあれですけれども。

 まず、きのうの続きになりますが、おおむねこのような事実があったのかどうかということについて、会長と経営委員長に伺いたいと思います。

籾井参考人 経営委員会の問題なので、私が言う立場にはございません。なぜならば、これは、経営委員会とNHKそのものの執行の部は、ちゃんと機能が分かれております。

 議事内容につきましては、経営委員会が取りまとめることになっておりますので、私の発言もこの議事録の中で明らかになるものと思います。

浜田参考人 議事録は、放送法で定めているものであり、正確に記載するものと認識をしております。

 今御指摘のあった議事内容については、現在、各委員に速記録を起こしたメモを回して、字句の点検をやって、今、回収作業をやっている最中でございます。多分、来週の火曜日の経営委員会には、印刷されて各委員に、そろった中で議事録の確認をするという段取りをとってございます。

 それで、その内容、今御質問の中身については、そういう作業をやっておりますもので、最終的な確認をまだやっているわけではございませんので、コメントは差し控えさせていただければというふうに思います。

奥野(総)委員 これはきのうそういう御答弁だったんですが、一点だけ気になるのは、この議事録の中身なんですが、例えば、当事者の方々が、会議録が回ってきて、これは出すべきじゃない、削除すべきだと言った場合に、削除されてしまうんでしょうか。あるいは、字句の修正、てにをははある、あるいは、意味が通らないところを本人の意に沿って直すというのはあるのかもしれませんが、少なくとも、言ったことについてはきちんと残るということでよろしいんでしょうか。

浜田参考人 先ほど申し上げましたけれども、放送法で、正確に記載するというふうになっておりますので、若干のニュアンスの違い等の字句の訂正はありますけれども、基本的な文章を訂正することはありません。

奥野(総)委員 そうすると、あと一週間ぐらいで事実関係が明らかになると思いますが、仮定の話として、議事録を見なければよくわかりませんけれども、これは二月十二日の経営委員会の出来事でありますが、七日の参議院の総務委員会で、この五項目については取り消すと国会の場で明確におっしゃっているわけでありまして、その後にこういった発言を、プライベートではなくて、まさに経営委員会という公の場でされているというのは、国会軽視と言われてもやむを得ない、国会で言っていることと違う。

 内容が明らかになってからということでありますが、仮定の話ですけれども、そこは、議事録の内容を見て、引き続きこの話は続けてまいりたいというふうに思っております。

 今、経営委員長の方からきちんと公表いただくということで安心はいたしましたけれども、少なくとも、やはりNHKというのは受信料で支えられているわけでありますから、その最高意思決定機関については、きちんとその議論がつまびらかになる、国会の話がさっき出ていましたけれども、国会もやはりきちんと全ての議事録、基本は全部一字一句たがえず議事録に残るわけでありますから、NHKについてもきちんとそういうふうになっているということで私は理解をさせていただいております。大臣、それでよろしいんでしょうか、議事録については放送法上の規定できちんと義務づけられていると。

新藤国務大臣 これは重要なところだと思います。

 そして、放送法の第四十一条は、「委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」このようになっているわけであります。したがって、これは経営委員会の自律的な取り組みに委ねているということになります。

 そして、その経営委員会では、会長の任免、副会長、理事の任免に対する同意の権限を有しているわけでありますから、個人情報や人事に関する機密情報が議事の内容となることはあり得るわけでありまして、公表すべき内容、時期等は法律で定めるのではなくて、円滑な議事運営を確保する上で、経営委員会自身のガバナンスに委ねる、こういうことになっていると私は認識をしております。

奥野(総)委員 今、大臣から、経営委員会の方に委ねるというお話がございましたので、ぜひ正確に出していただきたい。願わくは、本当は、きのうの予算委員会の段階で、実は、会見でもブリーフという形でやっておられるわけでありますから、そういう重要な発言については迅速に、正確にお話しいただきたいというふうに思います。

 時間が迫ってまいりましたが、もう一点、経営委員の発言についてでありますけれども、経営委員会の方でコメントを出されておりますね。経営委員の言動についての経営委員会見解ということで、二月十二日付で出されております。

 ここで、三つ書かれていますが、最後のところで、「経営委員一人ひとりが、この準則にのっとり、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚するとともに、一定の節度をもって行動していくことを、あらためて申し合わせた。」こういうことが書かれておりますね。これはまさにそのとおりだと思うわけですが、この間の一番の問題として、やはり百田委員の発言の問題、人間のくずだとか、あるいは南京大虐殺に関する問題、これは外交問題にまでなっていますけれども、こうした一連の発言、行動について、この一定の節度を持った行動の範囲内というふうにお考えでしょうか、経営委員長。

浜田参考人 委員御指摘のように、私どもは、二月の十二日の経営委員会で、今後は服務準則を遵守し、一定の節度を持って行動するという申し合わせをしました。それ以降については、各委員が遵守すべく行動をとっていただいているというふうに思っております。

奥野(総)委員 今のお話だと、以降についてはということでありまして、では、以前についてはこれは問わないという理解になるんでしょうか。

浜田参考人 その前に、少し修正をさせていただきたいと思います。

 先ほど、議事録を正確にと申し上げましたけれども、その趣旨は、一言一句までという意味ではなくて、先ほど御答弁したとおり、若干の字句の修正はある、ただ、大筋というか、大きなところを変えることはありません。

 放送法上は、委員会終了後、正確にではなくて、遅滞なく、委員会の定めるところにより議事録を定める、そうなっておりますので、私、一部誤解がありましたので、修正をさせていただきたい。

 それから、以前の発言はどうだったかという御質問だったわけですけれども、私は、基本的に、個人的信条に基づいて御発言された中身については、しかも、自分の職務として、経営委員以外の立場で御発言された中身については、これは個人の思想、信条の範囲だろうというふうに思って、思想、信条の発露という意味で、自由ではなかろうかというふうに思っております。

 そして、いろいろ御発言があったわけなんですけれども、ではそれが委員会の活動に影響があったかということについては、審議には影響を来しておりません。そういうことを申し上げられるというふうに思います。

 それから、百田委員は、少し発言について品がなかったというような釈明をされておりますので、今後の委員会活動には、十分申し合わせが遵守されるんだろうというふうに思っております。

奥野(総)委員 議事録の話については、確認ですが、発言があったことについて跡形もなくなくなるとか、その趣旨が大きく変わるということはないということだけ確認をさせていただきます。

 それからもう一点、この経営委員会見解については、全委員がこれについて賛成をして、全委員が今後これに従うということでよろしいんですよね。

浜田参考人 まず、文章の問題ですけれども、委員の御指摘のとおりで、跡形もなくなるとか、そういうことは一切ございません。

 それから、申し合わせは、実は一人欠席の方がいらっしゃいました。宮田委員が欠席されていましたけれども、その他の委員全員で申し合わせの中身については確認をいたしました。

奥野(総)委員 ただ、今のは、みずからの思想、信条に基づいて行動すること自体は妨げられないと。それで一定の節度を持って行動されたととられることは、私は断じて容認できない。というのは、外交問題にまで発展しているわけですよね、この発言が。これを節度を持った行動だと本当に言えるのか。それをお考えになられているとしたら、私は大きな問題だと思います。

 最後に、会長にもう一度伺いたいんですが、NHKのトップとして、きちんと放送法にのっとって、自覚を持ってやっていただきたいんです。だから、こうした経営委員の発言についても、まず、私は、NHKにとって大きなマイナスだと思いますし、国益にとってもマイナスだと思います。そこをしっかり御認識いただいて、最後に、この前も聞きましたけれども、私は、会長職というのは非常に重い職務だと思います。こうやって国会にも来て答弁する、あるいは公の場で会見をする、その一言一言が世界じゅうに発信をされて、日本の国益に大きく影響する職務だと思うんですね。そこをぜひ御自覚いただいて、私は、今までの対応は非常に問題がある、責任をとっていただかなければならないと思います。

 そして、重ねて、この前の質疑でもお尋ねしましたけれども、受信料の問題。いろいろ今、払いたくないとか、NHKに対して苦情が来ていると思うんですが、例えば来年度の経営計画、収支計画が、やはりこの発言が原因で達成できなかった場合には、会長、責任をとられるんでしょうか。最後に伺いたいと思います。

籾井参考人 私たちは今、来年度の予算について御審議をお願いしている最中でございます。これを全うすべく最善の努力を尽くしたいと思います。

 だったらどうする、こういう仮定の話については、答弁を避けさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 以上で、時間が参りましたので、質問を終わります。

高木委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 きょうは、一時間、時間をたっぷりといただきましたので、これからじっくりと、皆さん方にいろいろとお聞きしたいと思っております。

 まず、NHKの使命と国益について、大臣とNHK会長にお伺いしたいんですけれども、もちろん、放送法のことはよくわかっておりますよ。それとともに、それぞれのお立場でNHKに対してどのような思いを持っていらっしゃるのか、そのあたりも触れていただければと思います。お願いします。

新藤国務大臣 これは基本のことでございますから、しっかりと御答弁させていただきたいと思いますから、御理解いただきたいと思います。

 まず、放送法は、第一条の目的規定において、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保し、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること等を原則として規定しています。

 そして、このような放送法の原則を踏まえて、放送法第三条は、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めており、これによって政府も規律されているわけであります。

 そして、さらに放送法の第四条は、放送番組の編集に当たり、放送事業者が遵守すべき事項を定めた上で、第五条で、みずから定める番組基準に従って番組編集を行うべき旨を定めております。

 これに基づいて、NHKは、放送法上、公共の福祉のため、あまねく日本全国において受信できるよう、豊かで、かつ、よい放送番組を放送するとともに、放送及びその受信の進歩発展に必要な業務を行うこと等が求められており、我が国の言論の自由を支える特別な使命を担っているんだ、このように認識をしております。

 そして、NHKがみずから定めております国内放送の番組基準においても、「全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなければならない。」と記されております。

 本日閣議決定をさせていただきました平成二十六年度NHK予算に付して、私も総務大臣意見を出させていただきました。NHKにおいては、これらの業務の遂行を通じて、国民の命、安心を守り、そして日本の元気をつくる、そういう公共放送としての使命を果たしてもらいたいと熱望しております。

籾井参考人 お答えします。

 公共放送は、今、放送法はもう言わぬでよろしいということだったんですが、示されているとおり、憲法で保障されました表現の自由のもと、正確で公平公正な情報や、豊かで良質な番組を幅広く提供し、公共の福祉に資する役割を担うものだと認識しております。

 また、やはり国民の正確な情報源として、我々はしっかり放送をしていかなきゃいかぬというふうに思っております。

三宅委員 今、大臣の方は、健全な民主主義に貢献しなくてはならない、そういうふうな特別な使命をNHKというのは担っているんだと。会長も同じようにおっしゃっていましたよね。

 それでは、その使命あるいはその責務に対して、NHKがどの程度それを履行しているか、あるいはまた国益に貢献しているか、個々の部分について、ただいまからちょっといろいろとお聞きしたいと思います。

 まず、NHKの籾井会長の発言が、今非常に、世の中騒然としているようなことになっているんですけれども、このことについて、発言内容を取り消された。取り消したといっても、一旦口から出た言葉は、なかなか、みんな耳に残っているんですけれども、私自身は、籾井会長の御発言、これは別に何の問題もないと思っているんですよ、本当に正直。何が問題やと。うちの日本維新の会の橋下代表も、何ら問題はないというふうに思っています。

 それから、百田さんが選挙でちょっと、品のないというふうに本人はおっしゃっているらしいんですけれども、しかし、彼の行動も、これも何の問題もないというふうに思います。

 しかし、会長、なって早々、最初の会見で、誘導尋問にひっかかって、言葉尻を捉えられて、寄ってたかってこうしていじめられて、本当に私、同情しているんですよ、心の底から。僕自身は、そういう弱い者いじめみたいな、そんなのはしたくないねん。僕はああいうのは嫌いや。非常に大変だと思うんですけれども、会長、これは、正直なところ、後悔されていないでしょうか。ちょっとお聞きしたいんですけれども。

籾井参考人 答弁させていただきます。

 就任会見では、NHK会長としての発言と個人の見解を整理し切れないまま発言をしてしまいました。これはもう何回も言っておりますとおり、不適当、不適切であったため、発言を取り消させていただいたわけでございます。

 取り消した発言内容については、この場でまた述べることは差し控えさせていただきたいと思います。(三宅委員「後悔しているかどうか、会長となって」と呼ぶ)

 個人的発言をああいう場所でしたことについては、反省をいたしております。

三宅委員 会長を引き受けたことに対して、今も強い使命感を持って日々送られているのかどうか、このあたりもちょっと聞かせていただけますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 いろいろ皆さんに御迷惑をかけて、いろいろな時間をとらせていただいて、そういうところについては本当に申しわけなく思っているんですが、私は、会長を引き受けたからには、全身全霊を尽くして、NHK並びに視聴者のために尽力するつもりでおります。非常に張り切ってやらせていただきたいと思っております。

三宅委員 今の会長の御決意を聞いて、本当に頼もしく思いました。ぜひ頑張ってくださいよ。これは本当に重要な使命を帯びた職責であり、立場でありますので。

 百田さんも、何か、朝日新聞の単独インタビューでいろいろとお話をされているんですね。自分は言論人だ、だから主張するのが仕事だ、自分自身の表現活動は絶対制約されないというふうな見解を示された。私の本職は作家であり著述家、政治や国際問題についても発言してきた、経営委員だからそうした発言を一切するなというのは言論封殺につながると。そのとおりなんです、これは。

 だから、そういう意味で、百田さんも、これからどんどん自分の思うところ、意見を開陳されて、そのことによってNHKに貢献される、あるいは、ひいては国民に対して、さっきの話で出たNHKの使命あるいは国益に対して貢献するという、このことにつながっていかなくてはならないんですね。

 経営委員として放送法にどうだとか、会長としてふさわしくないとか、いろいろと言っていますけれども、靖国神社の参拝でもそうでしょう。マスコミはいつも歴代の総理大臣に、公人ですか、私人ですかといって聞いてきたじゃないですか。だから、当然、公人と私人の使い分けをしていいんですよ、そんなの別に。何ら問題はないんだ。二十四時間、そんなもの公人でも何でもないし、私人としての立場で発言し行動する、勇気を持ってこういうことをやっていけばいいんです。

 それはやはり、余りにも、こういうふうな糾弾に似たような行為そのものになってくると、萎縮してくるんです、組織そのものが。会長自体も、会長はファイト満々というふうな態度といいますか思いですから、それは大丈夫か知らぬけれども、NHK自体がもうきゅうきゅうとなって、小さくなって萎縮してくると、本当の意味でやっていけないというふうに思いますから、そういうところは、私人としての立場は、経営委員さんの方も、会長も、遠慮なくやっていっていただければいいというふうに思います。

 会長の発言についても、私は殊さら問題ではないというふうに本当に思っております。別に会長の応援に来たんじゃないんですよ、私は。そういう意味じゃないんですけれども、それは、公の立場に立って、私自身もそういうふうに判断をしております。

 次に、外国籍職員の実態について、先日の予算委員会でも私は聞かせていただきました。それで、二十二名の外国人職員がいらっしゃるということだったんですけれども、一番最初、昨年の十二月三日に私が聞いたのは、国籍別人数というふうにちょっとお聞きしたんですね。

 今、二十二人の外国人職員の方がいらっしゃって、その国籍、それと現在の役職を、わかる範囲でちょっとお答えいただきたいと思います。

吉国参考人 以前も申し上げましたけれども、NHKは、国籍にはかかわらず、あくまで、公共放送を支えて公平公正な判断ができるという基準で採用を行っております。

 今御質問の件なんですが、何分、二十二人という極めて少ない人数でございます、外国籍の。そこの中で国籍とか役職などを具体的にお示ししますと、個人の特定というようなことにもなりかねませんので、これについては差し控えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

三宅委員 いや、そんなことにならないですよ。そういうことを理由にしておっしゃらないけれども、それは、やはり番組に、特に政治、外交問題に多くの偏向した姿勢が見られるから、ひょっとすると外国人職員の方々の悪影響が反映されているんじゃないかなというふうな懸念のもとにこういう質問をしているんですよ。

 NHKは多くの子会社を持っていますよね。ここにも相当数の外国人職員がいると思うんですけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。もう一度お聞きします。

吉国参考人 申しわけありません。子会社の全体の数というのは把握していないものですから、今ちょっとお答えできないんですけれども。

三宅委員 質問通告の要旨の中でも詳しくは書いておりませんでして、今ここで答えられない部分もあるかもわからないけれども、これは後日、調査していただいて、私に対してといいますか、委員会に対して御報告をいただきたいんですけれども、どうですか、できますか。

吉国参考人 それぞれの会社のことでございますので、一度相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。御趣旨はよく受けとめておきます。

三宅委員 これは予算委員会でも申し上げましたけれども、やはり、法人あるいは団体の議決権割合であるとか、外国人が取得した株式の取り扱いとか、放送法には細かくこの部分が規定されているんですね。できる限り外国の悪影響に染まらないようにということですので、今申し上げましたことについては、委員会にやはりきっちりと御回答をいただきたいと思います。思いつきで言っているんじゃないんですよ。だから、重く受けとめていただいて、よろしくお願いしたいと思います。

高木委員長 三宅委員、今の問題について、理事会で一回協議をさせていただきます。

三宅委員 わかりました。では、よろしくお願いします。

 それでは、次に、NHKワールドの報道について、昨日も日本維新の会の山田委員がこのことを質問されました。これは非常に、何といいますか、悪質なんですな、報道内容が。悪質ですので、山田委員もきのう質問された。ところが、籾井会長がその辺に真っすぐ答えられていなかった。

 これはどういうことかといいますと、NHKワールドのラジオ放送で、慰安婦のことについて、英語では、メニー・オブ・ザ・ウイメン・ワー・フォースト・インツー・プロスティテューションというふうなことで書いているんですけれども、大戦中、多くの女性たちが、日本兵に対して無理やりに売春行為を強要された、こういうようなことを英語放送では書いている。ところが、英語放送のみ、英語ニュースのみにこれが存在して、日本語ではこの部分が削除されている。

 反対に、日本語の方では、日本政府関係者が、こういう報道を、極めて遺憾だということを発言されているんですね。これは、日本語放送にはあるけれども、英語放送には反対にないんですよ。

 とんでもないですよ、これは。NHKは悪意のもとでこういう報道をしているんですか。だから、山田委員も、きのう、強い憤りとともに籾井会長にこの質問をされたんですね。

 籾井会長はきのう真っすぐお答えになっていないんですけれども、この具体を御存じなんですか。これを知っているかどうか。

 それから、もう一度、今の放送内容について、あなたはどういうふうに思っていらっしゃるのか、お答えください。

森永参考人 お答えします。

 韓国政府が、いわゆる従軍慰安婦に関する記録のユネスコの記憶遺産への登録を目指すことなどを発表したニュースの中で、事情を知らない外国人が理解しやすいように従軍慰安婦の説明を加えました。この中で、総じて本人たちの意思に反してという意味で、フォーストという表現を使用いたしました。ことしの二月の十二日に国際放送で、テレビ、ラジオと放送いたしました。

 この表現につきましては、平成五年に出されました慰安婦関係調査結果発表に関する当時の河野内閣官房長官談話に基づくものでございます。談話では、総じて本人たちの意思に反して行われたとしておりまして、これを訳した外務省のホームページでは、アゲンスト・ゼア・オウン・ウイルと英訳されております。原稿中、フォーストという表現は、説明を簡潔にするため、このアゲンスト・ゼア・オウン・ウイルを置きかえたものでございます。強制的な連行ではなく、総じて本人たちの意思に反して行われたという意味で使っております。(三宅委員「変わっているやん、英語ニュースは違う」と呼ぶ)

 繰り返しになりますが、強制的な連行という意味じゃなくて……(三宅委員「日本政府関係者の極めて遺憾は何で削除されたの」と呼ぶ)ここのところは、NHKワールドTVの放送では、日本政府は、昭和四十年に両国が国交を正常化した際この問題は解決されているとしているという原稿を加えて、日本政府の公式の立場を伝えました。

三宅委員 そもそも従軍慰安婦という言葉なんですけれども、これは当時の公式の言葉なんですか。そうじゃないでしょう。従軍記者はいた。従軍看護婦はいたわ。従軍慰安婦なんかいないでしょう。戦時における売春の問題というふうにおっしゃるんであればいいんですけれども、あなた自身も、従軍慰安婦がどうこうとか。

 それから、日韓の国交回復までに十四年間、下交渉をしたんです。その間、そもそも、この慰安婦問題、売春問題について、ただの一度も議題に上ったこともないねん。それを今、韓国は蒸し返して、それに対して河野官房長官がああいう談話を発表した。これはやはり自民党にも大きな責任がありますよ。このことによって、世界じゅうで多くの日本人が不名誉を受け、それも、真実だったらいい、うそでしょう、強制連行どうこうと。そういった中で、海外の同胞の、特に子供たちが、学校でいじめられたり殴られたり、そういうことまでやっている。世界じゅうにこれがまた広がっていって、こんな不名誉をこれから日本国民が、長くこんなものを背負っていかなくてはならない、こんな理不尽な話はないんですよ。

 しかし、さっき紹介した英語ニュースといいますか、ここでは、まさに韓国のそのような主張といいますか、彼らの戦時プロパガンダと言ってもいいと思う、それに沿ったような報道姿勢といいますか、これをNHKがずっとやってきている。とんでもない話ですよ。だから私はこれを言っているんですよ。

 ここで、大臣、国際放送に対して国は交付金を与えているんですけれども、ちょっと急なんですけれども、その額と目的をお答えいただきたいんです。

新藤国務大臣 平成二十六年度の予算案で二十四・九億円を国際放送に係る交付金として政府予算案に計上しております。

 そして、国際放送につきましては、日本放送協会の国際番組基準として、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解、並びに我が国の世論の動向を正しく伝える、こういうような趣旨でNHK側で編集をしていただいている、このように考えております。

三宅委員 その拠出した金額に見合った目的が達成されているんでしょうか。大臣、どのように思いますか、今の話をお聞きになっていらっしゃって。

新藤国務大臣 まず、平成十九年度に初めて、テレビ国際放送に係る交付金、これは三億円からスタートしたんです。ですから、その前はなかったんですね。放送命令というのがありまして、これはラジオでのみ行われておりました。それを法改正によって要請放送にして、テレビも加えた中で、政府とすれば予算を拡充してきた。

 ですから、一定の効果は上がっている、また、そういう趣旨のもとに番組編集がなされている、このように思っておりますが、今議員が御指摘いただいたようなこと、これについては、NHKの自主自律の編集の中で行われていることでありますから、NHK側でよくそこは議論をして、あちらが編集権を持ってやっているわけでありますから、その中でNHKが自律性を持っていることを期待したいと思います。

三宅委員 もちろん、期待はわかるんですけれども、これだけ巨額の血税を向けて、結果はこういうふうな放送がされている。それに対して、大臣、どのような思いですかと私はお聞きしているんです。

新藤国務大臣 私たちは、国際放送を充実させることによって、日本の魅力を伝える、それから日本に対する好奇心を、各国の、世界じゅうからの、非常に興味を持たれております、ですから、日本を好きになっていただく。そのことが、国際平和それから国際社会の我が国の安定につながる、このように思っておりますから、国際放送をより充実させていきたい、このように思っておりますし、予算は今二十四・九億でありますが、他国に比べるとまだまだ足りないと思っておりますから、そういったものも含めて充実させていきたいと思います。

 また、蛇足でありますが、今回の籾井会長はそういった国際的な経験も豊かな方でありますから、こういったことも踏まえての御活躍を期待いたしますし、私は、ことしの総務大臣意見で、そういった国際放送の充実についても付させていただいております。

三宅委員 今大臣がおっしゃったように、やはり日本の長所、すばらしいところを多くの国々に知ってもらいたいがために、これだけの巨額の拠出をされている。にもかかわらず、結果はなかなか思うとおりにいかない。NHKの主体性、自律性、こういったものをおっしゃるのはよくわかりますけれども、私自身は、新藤大臣の心中をそんたくすると、相当いら立っていらっしゃるんじゃないかなというふうに本当に思いますよ。

 今ちょっと触れられた、言葉自体が問題なんですが、命令放送という、命令放送じゃないんだよ、金を出しているんだから、要請するのは当たり前なんですね。

 これは平成十八年でしたか、菅官房長官、当時は総務大臣でしたよね、NHKに対して大臣が、拉致問題を国際放送で特に留意して放送してくださいというふうにやったんですね。これを命令放送だといって、NHKも反発する、他の民放も弾圧だとか何だとかといって、そうじゃないんですよ。特に拉致問題なんかは、国政の最優先課題だと安倍さんも言い、当時の総理大臣も内閣もずっと言っていたんですね。ここがすりかえられてしまっているんですね、菅さんがおっしゃったことが。

 菅さんはどういうことを言ったか。北朝鮮に対して、拉致問題が日朝間の最重要課題という日本政府の毅然とした姿勢を示してくれ、これが最初。二番目に、北朝鮮にいる拉致被害者に、日本政府が全力で救出活動をしている事実を伝えてくれ、三番目に、拉致被害の家族会等からもこの放送を求められていたというふうなことをおっしゃったんですけれども、これがそういうふうにすりかえられて、放送法そのものも、ちょっと後退したような改正をしてしまいましたよね。今は、要請しかできないような形になっている。

 これは命令と言うからおかしいんですけれども、言葉はどうであれ、国の意向をNHKの放送に反映させるのは、これは何ら遠慮は要らないんですよ。特に、こういうふうな、国民の悲願であり、国政の最優先課題であることに対して、NHKがそれに協力するというのは当たり前の話なんですね。

 ところが、NHKは、拉致問題に対しては、本当に、どちらかというと冷淡な報道姿勢をずっと示してきたんですね。よく集会があって、横田さんの御両親がこういう発言をされたとかいうふうなことはNHKでも報道されるんですね。ところが、拉致問題の基本的な姿、全容、なぜここまでこの被害が広がったかという真相の部分、こういう部分になってくると、NHKは全くといって報道しない。民放の方がはるかにこの問題を真剣に取り上げて、ずっと連続してやっていますね。特にTBSなんかは、もう本当にすばらしい番組を拉致問題に関してはやり続けていますよ。

 こういう部分についても、国民の願いというものがNHKに反映されるように、大臣からも御指導をちょっといただきたいというふうに私は思います。

新藤国務大臣 これは、委員の思いをきちんと受けとめなければいけない。また、それが、国民の代表である国会議員として、国会の場における発言でありますから、我々は重く受けとめなければいけないと思いますし、NHKにもその声はお届けになる、このように思います。

 その上で、ぜひこれは御理解をいただきたいのは、平成十九年の法改正において、先ほど申しましたけれども、その前まではテレビはなかったんですよ。ですから、今回はテレビもやりなさいということにして、予算もつけました。そして、今どうなっているかというと、テレビの国際放送に対して、邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項、その他国の重要事項、これをテレビの国際放送で流してください、こういう要請をしているわけであります。これに加えて、ラジオは、プラス特出しをして、日本人拉致問題に特に留意することと。

 これは、ラジオは、北朝鮮において、日本のこの放送を北朝鮮の国内で聞けることがあるわけですね。したがって、こういうものを入れてあるということであって、そもそもが国の重要な政策に係る事項ということで、テレビにおいても、ラジオにおいても、拉致も含む国の重要事項については国際的にきちんと知らせてほしい、これは要請項目となっている。だから、あとはNHKがそれをしんしゃくして、どのように編集をしていくか、放送していくか、こういうことにかかっているということでございます。

三宅委員 特に拉致問題に関しては、特定失踪者問題調査会が、「しおかぜ」といって、短波放送を北朝鮮に向けてやっているんですね。これを拉致被害者がやはり聞いているんですな。そういった証言も入ってきています。

 北海道で拉致された斉藤裕さん、私と全く同い年の方なんですが、十八歳のときに拉致された。向こうの軍人となって、軍で出世していたんですけれども、短波放送で自分の名前が呼ばれていたということを聞いたんですね。ところが、短波放送を聞いていたということがばれて、彼は更迭されてしまったということがあるんですね。

 短波放送でやっている「しおかぜ」、特に特定失踪者問題調査会は営利団体でも何でもないんですよ。本当に拉致問題の解決に向けて日々努力されている団体ですので、これを、時においては、ラジオの中波で「しおかぜ」を放送するようにできれば持っていっていただきたい。それは、短波というのはごく限定された数の聴取者しかいらっしゃいませんけれども、中波の場合は非常に多くの方々が聞いていますので、影響力も格段に違うんですね。

 その辺のところ、もし、今思いをお答えできるのであれば、ちょっとお聞きしたいんです。

新藤国務大臣 まず、私の地元、埼玉県川口でありますが、ここにも、田口八重子さんの実家がございます。それから、特定失踪者ではないかと認定された方、またこの可能性のある方を含めて、複数名いらっしゃるんです。(三宅委員「八名いる」と呼ぶ)ええ、とても多いんです。

 その問題は、ぜひ、これは日本人全体の問題として、必ず救い出すということでやっていかなければいけない、それは政府が先頭に立ってやらなければいけないことだ、このように思います。

 そして、今の「しおかぜ」の中波放送の関係でありますが、これは技術的にいいますと、周波数の調整が難しいというふうなことがございます。ですから、「しおかぜ」の放送機会をいかにしてふやすか。それは、つまるところ、そういった形で北朝鮮にいる人たちに、我々の声、日本人が心配しているぞ、救うぞ、こういう声が届くような、そういう機会をふやすという意味において、さまざまな研究をしていきたい、このように思います。

三宅委員 その辺のところ、また御尽力をぜひともお願いしたいと思います。

 今大臣が触れられたので申し上げますけれども、川口というのは、ある部分、拉致が集中的に行われたかもわからないという、もともと、キューポラのある町ということで、在日朝鮮人の方々も多かった。それがどの程度関与されているかどうかは、これから明らかになってくるであろうと思いますけれども、そういう部分で切実な思いを持っていらっしゃると思いますので、御協力をよろしくお願いしたいと思います。

 これは、私が別に頼むようなことでもないんですけれども、やはり国の最重要施策ですので、私が個人的にどうこうはないんですけれども、この悲願の解決のために、やはり同じ議員としてお願いしたいと思います。

 次に、NHKが繰り返してきた反日放送、このことに触れていきたいと思います。

 さっき、NHKワールドのこともちょっと触れさせてもらいました。平成十二年の十二月八日に、すぐ近くの九段会館で開催された女性国際戦犯法廷というのがあったんですね。これはVAWW―NETジャパン、松井やよりさんという方、もう亡くなられましたけれども、極左集団と非常に関係の深い団体がやった、言うたら、反日パフォーマンスの茶番劇なんですね。猿芝居みたいなものもええところですわ。これを、NHKがこの模様をずっと報道したんですね。

 結果、この女性国際戦犯法廷というのは、法廷とは名ばかりで、弁護人もいないような、検事ばかりで、裁判を模したような茶番劇をやった。その被告は誰か。昭和天皇なんですよ。日本国の象徴である、中心である昭和天皇を被告にしたんですよ。最終的にその判決はどうなったか。昭和天皇、強姦罪による死刑となったんです。そこへ行っているVAWW―NETジャパンの連中がぱっと拍手をして、とんでもない内容の茶番劇だったんです。

 日本は民主主義国家ですので、いろいろな考えがあって、いろいろなことをするというのは、これは自由ですよ。しかし、このことをNHKが、極めて重きを置いて報道したんですね。

 しかも、とんでもない、このような、昭和天皇を断罪するような番組をNHKは予告までした、番組予告で。「おはよう日本」「NHKニュース7」「手話ニュース」でこれを予告して、国民に、視聴者に対して、こんな番組がありますよと言った。

 このときに、もう今はお亡くなりになられた中川昭一代議士、それから安倍晋三、今の首相が非常に問題視されたんですね。このときも、さっきの菅官房長官の、あれは命令放送やとかいうのと同じように、弾圧やとか、とんでもない放送の介入やとか言われたんですね。内容からしたら、許しがたいようなことをNHKは番組で予告までしてきたんですね。

 あるいは、昨年の秋に判決が出た「JAPANデビュー」、これは第一回は、人間動物園として、台湾の高砂族の問題を取り上げて、ロンドンの博覧会に台湾人が連れていかれて動物並みの扱いを受けたと、全く違う内容を報道した。その「JAPANデビュー」の第二回は、また皇室なんですね。NHKは皇室に対してどのような思いを持っているのかなというふうに、本当に心の底から私は強い憤りを覚えます。

 また、さっき話題にも出ておりました戦時売春婦の問題、慰安婦の問題ですけれども、平成八年に教育テレビで放送された「五十一年目の戦争責任」という番組があったんです。これも捏造番組なんですね。

 これは、慰安婦募集に関連して軍が出した通達を改ざんして、不正な方法で慰安婦を集めている不届きな業者を取り締まるよう指示した軍部を、これを改ざんして、反対に、旧日本軍が慰安婦を調達せよと命令していたというふうな証拠を突きとめたというふうなことを放送したんですね。

 これは陸支密といって、秘密電報で、シナにいる北支方面軍、中支派遣軍参謀長宛て通牒案という、シナ事変地における慰安所設置のために内地においてといって、いろいろな通達文を出されている。それは、できる限り不正なことがなされないように軍はそれを見張ってくれよというふうなことを言ったんですね。

 これを、いいとこ取りといいますか、悪いところ取りといいますか、適当なところだけつまみ食いして、言うたら、慰安所設置とか従業婦を募集とか、募集の方法誘拐に類し、これは、してはならないと言ったのに、それだけ取り上げて、憲兵及び警察当局との連携を密にしとか、社会問題上遺漏なきよう配慮とかいうふうにして、軍があたかも強制的にやったかのような、継ぎはぎしてやったんですね、NHKが。

 NHKは、皇室に対してもそう、それから、さきの大戦に対してもそう、あるいはまた旧の日本軍に対してもそうなんですね。あるいは、日本軍兵士、英霊、こういったものに、極めて悪意を持って、悪者に仕立て上げたいという、統一をしたといいますか、あるいはまた、ずっと基本的な方針のもとでやってきているように思えて仕方がないんですね。

 また、平成七年に、五十年謝罪決議というのが衆議院でありましたよね、土井さんが衆議院議長のときに。あれも、とんでもない。金曜日の夕方に、一旦散会していて、また急にやって、自民党の議員さんがほとんど選挙区へ帰ってしまった、その留守を狙ってやったような感じじゃないかなと私は思うんですけれどもね。

 これに対して、五十年謝罪決議はとんでもないといって、民間の有志の方々が立ち上がったんです。そして、四千人デモをやったんですよ。平成七年の二月三日。これを全くNHKは報道しなかった。

 反対に、五十年謝罪決議に関して、私の謝罪電話という、これを助長させるような番組、そういうふうな放送を何度もやったんですね、電話番号も紹介して、ここへ電話を下さいとかいうふうなことで。

 NHKは、公平にやらなだめなこういう報道に、常にやはり、一方にくみするんですね。くみする一方というのは何かというと、反日本、反皇室、あるいは反伝統というふうな部分にやってきているんですね。これは本当に許しがたいと思います。

 しかも、真実だったらいいんですよ。うそをつくでしょう。うそをついてNHKがやっているのは、日本の国益をおとしめる、あるいは損ない、そして英霊をおとしめて、皇室をおとしめていっている。うそをついてですよ。許しがたいNHKの存在ではないかな。

 彼らは、放送の中立性とかなんとか言っていますけれども、まだ民放の方がはるかに民意に敏感ですよ。私は別に民放の肩を持ちたいとも思いませんけれども、パチンコの宣伝なんかもちょっと多過ぎると違うかなというふうに思うんですけれども。

 ところが、民放でも、ドラマなんかでもそうでしょう。ついせんだっても、日本テレビの番組で何か問題になって、スポンサーが全部おりてしまった。民放は、スポンサーという存在があるので、番組制作においても編集においてもやはり多少の牽制機能が働くんですけれども、NHKは全くこれが働かない、やりたい放題をやっているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 大臣、今、私がるる説明をさせていただいた、これは、冒頭に大臣がおっしゃったNHKの設立目的、使命と責任にかなっているのか、あるいは日本の国益に資するようになっているのか。どのようにお考えですか。

新藤国務大臣 まず、個別の番組の内容について私がコメントすることは差し控えます。

 その上で、先ほども申しましたけれども、NHKは公共放送として、それはNHKだけではありません、民放も含めて、放送機関は放送法によって規律されているわけでありますから、その目的であります、公安及び善良な風俗を害しない、政治的に公平であること、そして報道は事実を曲げないですること、さらに、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、こういったものを踏まえて、自主自律のもとでよい番組をつくっていただきたいというふうに思います。

 また、国民の声というもの、国民がどう考えているか、放送を見た方々はいろいろな意見をお持ちです。そういったものをやはりNHK、各放送局はしっかりと捉まえて、そして国民が望む、そういうよい放送をしていただきたいと思います。事実に間違いがあるものは正していただきたいと思います。

 それから、係争中の問題については、これは司法の判断がありますから、それは司法にお任せするということであります。

三宅委員 今大臣がおっしゃった四項目でしたけれども、全て反していると私は思うんですよ、NHKは。特に、このことがひいては日本の国益をいかばかり損ねているかということを思うと、許せない思いが私はするんです。

 籾井会長、これからあなたの番ですよ。私が今ずっとお話ししていた過去のNHKのこういうふうな偏向した報道姿勢、反日的な報道番組、内容、いかがお思いですか。会長は前に、もうあつものに懲りて何もよう言わぬかしらぬけれども、言える範囲でちょっとお答えください。

籾井参考人 意見、ありがとうございました。

 一方、NHKは公共放送でございますので、そうはいいながらも、やはり放送法により示されているとおり、憲法で保障された表現の自由のもとに、正確で公平公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、公共の福祉に資する役割を担うものだと認識しております。また、公共放送としまして、不偏不党、公平公正な放送に努めてまいります。

三宅委員 会長、私は今ずっと具体的な例を挙げて説明をさせていただいているんですが、あなたもこの辺のところを十分調査されて、事実をつかんで、今後はそういうことのないように、やはりNHKをよくしていただきたい、指導していただきたいと思います。それがあなたの最大の使命だと私は思いますよ。それを期待されて、NHKに指名されたんじゃないかなというふうに思います、あなたの剛腕に対してですよ。だから、会長の最初の就任の記者会見であそこまで寄ってたかっていじめられて責められて、もう本当に懲りたかわかりませんけれども、懲りずにどんどん、そういうことに対しても本当に命がけでこれからやっていっていただきたいというふうに期待していますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、技術的なことに関してちょっとお話をしたいんですけれども、デジタル化に伴って、放送のスクランブル化ですね。ここで、今テレビでもそうですね、B―CASカードがないと映らないんでしょう。であるならば、今までの放送法の根拠そのものが失われてくる部分があるんですね。見たくない人は、B―CASカードを与えなかったら、見る必要はないんです。

 BS放送がそうでしょう。放送料といいますか、受信料を払っていない方については、何か左下に、NHK受信料をお払いくださいというようなことがずっと映るんでしょう。払った方は、それを除外できるんですよね。

 技術的にそういうふうに、払っていない方に対してはできるのに、NHKはそれをしようとせずに、ずっと嫌がらせみたいなことをやり、無理やり国民から受信料を取ろうとしている。

 技術的にどうなのか、ちょっとお答えください。

塚田参考人 お答えいたします。

 NHKがスクランブル方式を導入することにつきましては、限られた人だけが番組を見られるようにするということになりまして、全国どこでも分け隔てなく視聴できるようにするという公共放送の役割や、受信料制度の理念になじまないのではないかというふうに考えております。

 御指摘のB―CASカードですけれども、NHKと無料民放が放送している番組は、受信機の出荷時のB―CASカードの標準状態で、全ての番組の視聴が可能となるように設定されております。

 仮に、スクランブル方式で契約者以外に視聴できないような運用を導入するには、一億数千万台普及している全ての受信機を対象に、一旦視聴できないようにした上で、視聴者から連絡をいただき、個々に視聴可能なようにしていくという必要があり、混乱を招きかねず、現実的にも難しいと考えております。

 なお、BSのお話がありましたけれども、BSにつきましては、受信料のお支払いをお願いするメッセージを出させていただいているということであります。

三宅委員 NHKの技術からしたら、何もそんな手間はかけなくても十分やっていけるでしょう。受信料を取れない方向には何のかんのと難癖つけてできないとか言っているけれども、やる気になればできるはずなんですよ、そんなもの。火を見るよりも明らかだと思いますよ、これは。

 やはりNHKを見たくないという国民がふえてきているんでしょう。だから、いろいろな問題が今、噴出してきているんですよ。ここで、放送法と受信契約について、またちょっとお伺いしたいと思います。

 まず初めに、これはいつも言っているんですけれども、後ほど佐藤委員の方も触れられると思いますけれども、NHKの高額の人件費、この問題をもう一度ちょっと蒸し返させていただきたいと思います。

 NHK、平成二十三年の決算では、一万三百五十四人の人員に対して、人件費だけで千八百十九億、一人頭千七百五十六万円、福利厚生費、それから退職手当を含めてやっている。

 日本の領土を守るために、体を張って昼夜分かたず貢献されている海上保安庁の方は、全予算が、NHKの千八百十九億よりも下回る千七百三十二億円しかない、これは二十四年度の予算ですけれども。職員数はNHKより一割以上多い。一人当たりの平均人件費といいますか、これは七百四十万しかないんですね。二十三年度決算、さっきのNHKの決算と一緒なんですけれども、国家公務員、これは一人当たり八百八十万しかないんですね。

 もう一度聞かせていただきますけれども、なぜ、かくもNHKはこのような高額の給与を支払い続けるのか、その理由をお聞かせください。

吉国参考人 お答えします。

 人件費全体でいいますと、給与費と退職手当とありまして、退職、厚生費の方にはいろいろ年金とかそういう費用も入っておりますので、給与の問題、直接毎年職員が受ける給与の方ですけれども、これについては、二十四年度の平均、全体の給与費から職員の数で割った数字が一千百八十一万ということになっております。これについては、既に去年、給与制度の改正を行いまして、基本的な賃金部分を五年間で一〇%引き下げていくということになっていますので、ですから、毎年これは下がっていきます。

 あと、今、全体の大きなNHKの賃金ですけれども、まず一つ考えなきゃいけないのは、やはり同業他社ですね、在京民放とか大手新聞社。現実に、人材の確保という意味でいいますと、こことの競争になっています。ですから、やはりここと余り大きく開いてしまいますと、優秀な人材が採れない。そうなりますと、やはり放送内容の劣化につながるということになりますので、今大体一、二割、NHKの方が低い形だと思います。

 ただ、それだけじゃなくて、それ以外に、当然のことながらNHKは受信料で運営されていますので、そういった民間の動向とか、当然、公務員の給与、そういうものも勘案しながら決めていかなきゃいけないと思いますが、ただ、今現実に採用なども非常に苦しくなっておりますし、今のところ、今やっている経営改革、今の水準というのが、全体のバランスで考えて、我々としてはこれでやっていきたいというふうに考えております。

三宅委員 給与費、給与費と言っておりますけれども、私は全人件費を言っているんですよ。そこで、千七百五十六万円、これは事実でしょう。

 それで、なぜ、とんでもない、このような高額給与を払い続けるのかと聞いたら、またいつもと同じような答弁でしょう、優秀な人材を確保するためにと。優秀な人材なんですか、NHKにいる方は。

 それでは、お聞きしますけれども、私、国家公務員の給与を言ったでしょう、八百八十万。公務員が怒りますよ、NHKが優秀な人材と。日本の各省庁に本当に優秀な人材が来ているんですよ。総務省もそうでしょう。財務省もそう。外務省もそう。本当に優秀な人材が来ているんです。多く集まっているんですよ。それは、やはり国家に、社会に貢献したい、そういう使命感を持って来ているんです。給与さえ高ければ来るというような人材は、優秀な人材でも何でもないんです、そんなことは。その根本的な問題を考え違いしているんじゃないんですか。

 常にNHKは、我々は公共放送ですから、皆さんのNHKですからと。公共放送であるならば、公務員とみなしてもいいんじゃないんですか。公務員とみなしていいなら、公務員並みの給与で十分でしょう。しかも、優秀な人材は必ず集まりますよ。今みたいに反日偏向番組ばかりつくっていたら、優秀な人材なんか来るはずがないんです。あんなところに行って国益を損ねるようなことに加担したくないというふうな思いを持って、NHKなんかを忌避する人も出てきて当然でしょう。そうじゃないんですか。

 もし反論があれば、もう一度言ってください。会長、今の話を聞いていて、どう思いますか。

吉国参考人 給与を比較する場合に、やはり、例えば学卒の構成とか年齢とか勤務実態とか、いろいろ考えなきゃいけないと思うんですが、そういういろいろな要素を考えてやった場合に、我々としてはやはり今のところが、そういった採用とかそういうものも含めて、あるいは民間とのバランスというところから、必要なところではないかと思っているんです。

三宅委員 もう時間がだんだん少なくなってきましたので。

 昔は、受信料の、放送法の契約内容も、これは合理性があったと思うんです。ところが、時代が変わって、やはりこういったものが当初の目的を喪失している部分があるんです。ガソリン税なんかでもそうですよ。昔は道路がなかったから、そうして税を取って次から次と道路をつくっていかなくてはならないという目的があった。今はもう道路も十分整備されたから、ガソリン税の方もやはり本来は考え直さなあかん部分もあるんです。

 みんな国民は、よりよい放送を期待してNHKに受信料を払っているんでしょう。ところが、来ているものがとんでもない反日報道番組だったら、払う気がしないのは当たり前ですよ。これをわかりやすい例でいけば、そば屋さんへ行っててんぷらそば定食を注文したとしましょう。出てきたのが中国の毒ギョーザだったら、金を払えますか。払えないでしょう。言うたら、これと一緒なんですよ。

 こういう契約は、本来、受信契約でどうこうと放送法で決まっているけれども、契約には解除権というのがあるんだ、民法の五百四十一条で。こういった部分を全く無視されているんじゃないですか。これは憲法違反ですよ。さっき言った、てんぷらそば定食を注文したにもかかわらず毒ギョーザが出てきては、憲法第十九条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」これは侵しているじゃないですか。とんでもない話なんですよ。

 ここで結論的なものを言いますけれども、今の報道姿勢あるいは放送内容をこれからも継続するようなことがあっては絶対にならぬと私は思うんです。今までのこういうおびただしい、あるいは積み重ねてきた反日放送、これから導き出す結論は何か。NHKは日本と日本人の敵だということなんですよ。そうですよ。

 これは国鉄と一緒なんです。今のNHKに自浄機能とかあるいは自己回復能力とか、もう期待できないんですよ。であるならば、NHKに対してどうすれば一番いいのか。旧国鉄と一緒ですよ。ここまで腐敗、堕落したNHKは解体するしかない、それが日本のためになるということを申し上げまして、私の質問といたします。

 以上です。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 熱弁の入った質問の後でやりにくいんですけれども、先ほどからいろいろ議論がありましたが、まず、私がずっと取り組んでいるNHKに対する問題をまたきょうもやらせていただきたいと思います。

 質問に入る前に、予算委員会でNHKの問題をやったときに、理事の方がぜひ会長と経営委員長と一緒に出ていきたいということだったので、どうぞというお話をしていたんですが、実は、予算委員会の場で理事はだめだ、そして、経営委員長とNHKの会長だと。なぜなら、全責任を持って職務をやっているから、そこで聞いてほしい。まさにそのとおりだと思いまして、きょう、これからNHKの質問に当たる場合には、その会長や副会長や経営委員長、それからまた監査委員という方々に質問を直接させていただきたいと思います。余り後ろの方でがたがたしないように、そのことだけは言っておきたいと思います。

 そこで、先ほど来からいろいろ出ましたけれども、平成十八年、当時、菅総務大臣、今の官房長官でありますが、そのときに、いろいろなNHKの不祥事等もありました。そして、受信料がなかなか回収できない。いろいろ考えた中において、先ほどとちょっと違いますが、受信料を義務的に直接いただこう、そのかわり受信料の料金を二〇%下げようというようなことになったわけです。

 しかし、当時、NHK自体の執行部は物すごく反発をしたんです。当時の会長は、いろいろなことがありましたけれども、結局、一〇%は受信料を還元しようということをおっしゃいました。当時の経営委員会は、その旨を受けて議論をし、NHKの執行部とけんけんがくがく闘わされたわけであります。

 その中の議論で、経営委員会の中で議論になったのは、経営努力をするのと同時に信頼回復をやる。当然、すばらしい番組をつくっていかなければ信頼も回復できない。しかし、実際に一〇%の還元はできるというのが経営委員会の答申でした。

 しかし、当時、NHKの執行部は、いやいや、できないんだ、幾ら頑張っても七%だ。残りの三%について視聴者に対して還元する方法としては、当時、リーマン・ショック等があったので社会情勢が落ち込んだ、ですから全額免除の世帯数がふえる、これを約二・四%と見て、それはあくまでも受信料の一〇%の還元にするんだ。さらには、免震構造等の設備投資について〇・六%ということで、受信者に対していい放送をいい設備でお見せしたいということで、これも還元に当たるんだということで実は決まったわけですよね。

 その辺は、一番よく実情をおわかりになっているのは現副会長ではないかなと思いますが、違いますかね。当時は、多分NHKにおられたんですかね。理事はされていなかったんですかね。NHKにおられたので、現会長はまだNHK以外ですから、ぜひ副会長、その当時のいきさつ、もし御存じであればお答え願いたいと思います。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

堂元参考人 お答えをいたします。

 私は、若干経歴を申し上げますと、東京を離れて八年になります。それで、今先生がおっしゃった問題のころは、おそらく報道局にいたのか、大阪局にいたのかということでございます。だから、現場にいましたけれども、おぼろげながらに、今先生が御指摘されたことというのは記憶に残っておるというのが正直なところでございます。

佐藤(正)委員 おぼろげに覚えていらっしゃるということですが、これは国会図書館の資料でも明確に出ているんですね、当時のいきさつが出ている。今私が申し上げたのが当時のいきさつです。

 そして、結果的にどういうふうになったか。一〇%だと経営委員会はおっしゃった。そのときに、いやいや、なかなか難しい。だから、今言ったように、受信料の免除世帯も入れる、さらには機能強化を入れる、これのトータルが、全額免除が二・四%、それから公共放送の機能強化が〇・六%、大体四百二億円ですよということでした。

 そこのやりとりなんですよ。そのときに経営委員会が言ったのは、受信料の全額免除の世帯や、さらに新放送センターの建設費用については疑義がある、認めにくいということを経営委員会の方から執行部に言っていたんですよね。そこでけんけんがくがくになった。

 普通に考えたら、経済的に苦しくなって全額免除になる、その全額免除になった方々の受信料を、受信料を払っている方々が負担をする、負担をするのに、それが還元であるという、何かつじつまが合わないんですね。しかし、それが、一応、経営委員会で、最終的には、平成二十四年から二十六年度の三カ年計画の中で、七%と、今言った三%を足して一〇%ということになりました。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、これまで何度も何度もやってきましたが、お手元に資料がありますが、これは、実質の還元率と、それから今申し上げた率、数字が入っているんですね。では、今言いました、全額免除の拡大で四百二億円、そして、先ほどの震災、緊急の設備投資で百六億円、いわゆる五百八億円、この五百八億円についてお尋ねをしたいんですね。

 まず一番に聞きたいのは、四百二億円。

 この計画でいきますと、次のページも見ていただくとわかりますが、毎年大体十八万世帯もしくは十七万世帯、いわゆる全額免除の世帯数がふえるとなっているんです。ところが、厚生労働省の資料を見ますと、生活保護世帯というのは十八万世帯もふえていないんですよ、二十三年から二十四年を見ても。約五万世帯しかふえていない。ところが、NHKは十八万世帯だと。NHKの判断は、今まで受信料を払っていた方が払えなくなったという方が十八万と言うんです。しかし、データを見ると、実は生活保護の方は五万件しかふえていない。

 この点について、どなたが答えるのが一番適当なんでしょうかね。経営委員長の方がいいですか、それとも監査委員の方がいいですか。どなたでも結構ですから、お答えください。これは通告しているんですよ、ちゃんと。

籾井参考人 お答えいたします。

 十八万件は、生活保護、市町村民税非課税の障害者、それから社会福祉施設入居者の三つの全額免除の合計であり、生活保護だけの件数ではございません。

佐藤(正)委員 実は、その数を比べても、ふえた数はそんなにならない。

 なぜこういうふうになるかというと、生活保護に新規になった方々が例えば二十万世帯ぐらいふえるんですよ、二十数万世帯。ところが、その年に生活保護から脱却できた方々がいらっしゃるんですよ。その差を見ても、実は五万、六万の差しかないんです。

 そこで、私が視点として出しているのが、この四百二億円の数字は、あくまでも減る方ばかりしか入れていないんです。ふやす方を入れていないんですよ。ということは、そもそも、NHK執行部が出したこの四百二億円の根拠がおかしいということなんです。

 NHKの計画は、これまでも何度もやりましたが、平成二十四年度は、プラス・マイナス・ゼロが、決算が、何と百九十億円利益が出た。二十五年度の決算は今出ていませんよ。二十五年度の決算はマイナスで見ていた。ところが、中間で修正をした。プラス・マイナス・ゼロに持ってきた。ところが、中間決算では、ここも約百八十億円ぐらい利益が出る。最終決算は、まだ発表されていませんから、この場ではふさわしくないので言いません。確定値だけ言います。

 そもそも、これが限界ですよと言っていた数字が、クエスチョンがつくんじゃありませんか。

 ここで、籾井会長に私はお尋ねをしたいんです。

 籾井会長は、民間企業からNHKの会長に入られました。民間企業で培われた経営というものをしっかりこのNHKでは反映をさせていただきたいんです。と同時に、すばらしい放送も、国際放送もしっかりやっていただきたいんです。

 そういう意味では、籾井会長が会長になる以前、ある雑誌でインタビューを受けたときに、僕はいい発言をされているなと思っています。

 その発言の内容はこの資料につけております。NHKは生え抜きの会長が悲願のようですがという質問を受けたときに、籾井会長はすばらしいことを言っているんです。それは当然だと思います、じゃ、なぜ外から来るんだということを考えたらいいと思います、やっぱり親方日の丸だから、国が何とかしてくれるという甘えがあるのではないか。

 ぴったしですよ。だからこそ、今こそしっかりメスを入れてもらわなきゃならない、経営手腕として。

 今私が申し上げたこの四百二億円、もう一つあるんです。

 この四百二億円のデータに、二ページ目を見ていただいたらおわかりになると思うんですが、災害免除、廃止、いわゆる災害で全額免除になった、これが毎年毎年三十一億円減るだろうと予定しているんです、NHKは。ところが、実際は十八億円しかなっていないんです。これも負の水増しじゃありませんか。全てが、NHKの三カ年計画は負の水増し。

 そこで監査委員にお尋ねをしますが、監査委員の方々というのはどういう仕事をされていらっしゃるんですか。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

上田参考人 お答えいたします。

 放送法におきましては、監査委員会は、経営委員、会長、副会長及び理事の職務の執行を監査するものとされております。

 具体的に申し上げますと、例えば、監査委員会は、四半期ごとに会長、副会長及び理事の行う業務の執行状況や課題につきましてヒアリング等を行いまして、取りまとめたものを経営委員会に報告いたしております。また、協会が作成いたします毎事業年度の業務報告書及び財務諸表それぞれに添付いたします意見書を作成いたしております。

 これらの監査委員会の経営委員会に対します報告内容は、経営委員会の議事録として公表いたしております。また、監査委員会活動結果報告や意見書につきましては、NHK監査委員会のホームページで広く一般に公表いたしております。

佐藤(正)委員 そこで、監査委員の方にお尋ねをしたいんですよ。

 業務報告を聞いて、今、三十一億円が十八億円になった。現実には、十八万件ずつふえているけれども、厚生労働省が見ている生活保護世帯の推移、これもきのうNHKとも話をしましたが、御存じでしたよ。こういうことは聞かれたんですか。報告はありましたか、NHKから。こういう内容について、しっかり監査をしていただいて、経営委員会の方に出さなきゃいけないんじゃありませんか。三カ年計画の抜本的におかしな点なんですよ。どうでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会は、放送法に従いまして、各事業年度及び四半期ごとの協会の業務の執行状況につきまして監査を行っております。

 今委員の方からの御質問の値下げに関する部分でありますけれども、平成二十四年十月から受信料の値下げ、七%の還元を行っておりますが、平成二十三年十月に、当時の経営委員会及び執行部による慎重かつ真摯な検討の結果、決定されたものであると承知いたしております。これを含めまして、平成二十四年度の事業は適正に実施されたものというふうに認識いたしております。

佐藤(正)委員 そんなことを聞いているんじゃないんですね。適正にしていなかったら、おかしいのは当たり前じゃないですか。そんなことを言っているんじゃない。三十一億円が十八億円になった。十八万件、減る方ばかり出ていて、実は数字を見たら違うんじゃないか。監査だったらわかるでしょう、こんなことぐらい。

 要するに、経営委員会というもの自体が実は形骸化しているんじゃないかな。経営委員会が教育委員会みたいな制度になっているんですよ、今。

 それはなぜかというと、ほとんど非常勤ですよ。しかも、一カ月に二日だけですよ、経営委員会をやっているのは。そして、審議時間は、一回三時間ぐらいですよ。それで見ると、こんなことはあれなんですけれども、時間給幾らなんだろうと思って。だったら、しっかり仕事をしてもらおうじゃありませんか。それができていないから、私は時間給幾らなんだと言わなきゃならなくなるんですよ。今言ったことすら答弁できない。しっかりやっていますよ、やっているけれども、これだけの誤差が出てきているわけです。

 国会で私はこの問題を何度もやっています。この図を持って何度も何度もやっている。だから財源はあるんじゃないですかということを言ってきましたよ。国会で議論をされているにもかかわらず、この四百二億円のこともやっています、これすら、今言ったってわからないような状況では、機能していないと言われてもしようがないですよ。

 もう余り時間がないから、ぜひそこはしっかり、僕は持ち時間が余りないものですから、これはずっと永遠にやっていきたいなというテーマなんです。一〇%下がるまで徹底的に精査をさせていただきたいと思います。

 それから、先ほど来から議論になっていましたが、まず、NHKの財政問題が心配だとか言っていましたけれども、NHKは健全経営そのものですよ。

 NHKの本体の余剰金。

 私は冒頭に言いましたが、経営委員会の方々が言ったのは、新放送センターの建設費用を還元の内容に含めることに疑問が呈されたんですよ、当時経営委員会から。この中で、NHKの余剰金、経営安定のための資金だと言っていたのが一千四百億円を超えるんですよ、平成二十三年度で。ところが、この三カ年計画だったのが、ある日突然、放送センターの建設費に積立金を振りかえている。

 これも、籾井会長、この表を見ていただいたら、五ページ目に載せています。二十三年度が千四百四十一億円で、その翌年、二十四年度、五百八十三億円を建設積立金に振りかえている。

 それまでは、千四百四十一億円は、NHKの経営がもしもどうかなったらということで言っていた。

 よくよく聞いてみると、大体年間売り上げの一割ぐらいがあれば、世界の放送局よりも多いということだと。そうすると、大体六千五百億円ぐらいですから、六百五十億円ぐらいなんですよ。千四百四十一億円、今度はこれが問題になったらいけないと思って、何か知らぬけれども、この数字を振りかえている。

 まさに、NHKは、受信料をいただいて、受信料を還元するのではなくて、NHKの内部で受信料を一生懸命どうやってためてしまうか、どうやってため込もうかな、こんなことばかりやっている。

 もう一つ言うなら、子会社の内部留保金は幾らありますかとお尋ねをしました。そうしたら、会長、九ページ、資料をいただいたんですが、合計金額は幾らあるんだというお願いをしていましたが、こっちで計算して足せということなので、こっちで計算をして足すと、九百六十億円を超える余剰金も持っている。本体は一千四百億円以上のお金を持っている。一〇%還元しますよというお約束を前のNHKの福地会長がしているにもかかわらず、なぜできないんですか。

 さらに、もう一点言いますが、先ほど給与の問題が出ました。給与も、基本給の一〇%削減を約五年間かけてやるということです。これについては、経営委員長、間違いありませんか、今の給与の削減については。

浜田参考人 そのように聞いております。

佐藤(正)委員 そうすると、先ほど来の質問の中で、給与の削減はどうなっているんだと言ったら、一生懸命やっていますと。基本給だけ。本来なら、総額に対して一〇%やれば、年間百八十億円からの財源が出てくる。これは恒久的に出るんですよ、今の状況でいけば。

 ところが、この三年間の事業計画にはそれが、五年間かけて数%ずつ今削減している。しかし、五年間の計画の中でもう約二年は過ぎている。この給与の削減も、実は五年後にはしっかりとその財源が出てくるはずなんです。それが、今回、この三年間には入れていないんです。本来なら入れていいじゃないですか。還元しますという約束を五年後にやるんだったら、数字は入っていいですよ、実は。

 何度も申し上げますが、そんな、マイナスの、負の部分だけは水増しをし、プラスになるところは一切表に出てこない、そして、受信料の一〇%削減は、あと三%は無理ですなんという方が無理なんじゃありませんか。

 きょうNHKは本当は放送してほしかったぐらいなんですけれども、受信料を払っている方々は怒っていると思いますよ。そして、年金生活をしながら、NHKの番組を見たいと思って受信料を払っている方々に対して申しわけないと思いませんか。会長、答弁願います。

籾井参考人 なぜ七%になったかということは、委員が今ずっと述べられましたので私は繰り返しませんが、理屈はそういうことだったと思います。

 そして、七%か一〇%かという問題については、当時きっちりと、話がついているという言葉は、ちょっと議会で正しいのかどうか知りませんが、決着がついているというのが私が受けた引き継ぎでございます。

 それから、いろいろ今おっしゃいました。ただ、私、今、水増しという言葉があったんですが、これについては正直言ってよくわかりませんので、私自身もう一回よく見てみますが、その五百何十億をこっちに振りかえたというのは、もう既に、二〇二五年に新社屋、新センターを建てなきゃいけない、しかも、それすら何だか安全上は遅いんですよね、けれども、それまでにやらなきゃいかぬということが見えてまいりましたので、そこで、剰余金の中から積立金を一割程度置いて、要するにこれを放送センター建設費の方に回したということ。

 それから、子会社の剰余金の話でございますが、確かに、PLを見ると、あるいは財務諸表を見ますと、委員は九百幾らとおっしゃいましたが、八百数十億円の剰余金が書いてあります。しかし、この内訳は各子会社の設備とかそういうものでありまして、キャッシュではないんですね。したがって、これが直ちに使えるというものでもないんです。

 したがって、配当した後に残っているいわゆる剰余金というのは、ほとんどがそういうふうな設備であるとか、そういうものの資産勘定でございますので、この辺はよろしく御理解いただきたいと思います。

佐藤(正)委員 会長、以前、NHKは現金を返してもらっているんですよ、子会社から。そこも、会長、よく調べて答弁していただかないと、間違った答弁になりますよ。それは指摘しておきますよ。せっかく民間から来たんだったら、NHKの執行部に言われたら、はいじゃないですよ。しっかりやってもらわなきゃいけないですよ。

 それと、今申し上げた一〇%は、決着がついているわけじゃありませんよ。冗談じゃない。そこも会長、勘違いしちゃいけない。

 それと、会長が、先ほど、いろいろな発言がどうのこうのありましたけれども、発言を撤回されていない部分、ここも私は大いにやってもらいたい。

 その記者会見で、三千四百億円もかけて新放送センターを建てるのはどうなんですかと会長は言ったじゃないですか。どこに建てるかも決まっておりません、つまり何も決まっていない、そういう中で、三千四百億円ですか、という数字がどうやって出てきたのか、ちょっと私個人は承知していないと。

 当たり前じゃないですか。この見積もりすらない。この問題も何度もやってまいりました。前会長、松本会長にもお尋ねをしました。まだ何も決まっていませんと言っていましたよ。私がわあわあ質問した途端から、何か見積もりができたみたいな感じですけれどもね。

 時間がないのでこの次はまた続きをやりますけれども、しかも、先ほど、民放の給料だとかなんとかと言っていたよ。だったら、民放が建てた、TBS、赤坂は千四百四十一億円、日テレで千十億円ですよ。三千四百億円。いいですか。しかも、場所も決まっていない。会長の言うとおりなんです。そんな状況で、会長、言われた言葉をしっかりのみ込んで、メスを入れてください。

 この続きはまたさせていただきたいと思います。

 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 NHK問題の集中審議に当たりまして、籾井会長の就任記者会見の発言をめぐって、きょうは質問をいたします。

 籾井会長にお尋ねをいたします。

 この間の一連の国会答弁などでも、会長就任の公式会見の場で個人的な見解を発言したことは不適切であり、大変申しわけなく思っている、その場で取り消したが、誤解を招いたことについて改めて深くおわびをする、また、従軍慰安婦問題、特定秘密保護法、靖国参拝、番組編集権、国際放送の五項目は個人的見解を述べたもので取り消すと述べておられますが、このとおりですか。

籾井参考人 お答えします。

 そのとおりでございます。

塩川委員 ここで、五つの個人的見解が誤解を招いたことについて改めて深くおわびするというんですけれども、この誤解というのは何なんでしょうか。

籾井参考人 その一つ一つの問題並びにその一つ一つの問題についての真意がしっかりと伝わっていない、しかし、これは説明し切れないので、言ったことを取り消させていただいたということでございます。

塩川委員 真意が伝わっていない、だけれども、この場においてはそこを十分伝え切れないという趣旨で、誤解を招いたというふうにおっしゃったと。

 真意が伝わっていないということですけれども、そうしますと、籾井さん御自身が個人的見解とされている、この五項目の個人的見解そのものを変えたというわけではないということですね。

籾井参考人 五項目については、取り消しをさせていただきました。

塩川委員 参議院の総務委員会で片山虎之助参議院議員の、撤回した個人的見解はその後変わりましたかという質問に対して、籾井会長は、個人的な思想がどうかということについては、ここでもう一度言うことは控えたいと述べておられますが、そのとおりですね。

籾井参考人 お答えします。

 述べました個人的見解については、再びここで繰り返すことは控えさせていただきたいというふうに申し上げたと思います。

塩川委員 籾井会長は、個人的な見解を述べたことは取り消したけれども、みずからの個人的な見解、個人的な思想を変更したわけではないということですね。

籾井参考人 ただいま申し述べましたように、その個人的見解については取り消しておりますので、さらにここで申し上げることは差し控えたいと思います。

塩川委員 個人的な見解について変更するということについてはお答えがなかったわけであります。

 そこで、就任記者会見では、秘密保護法について、一応通っちゃったので、もう言ってもしようがない、必要があればやりますよ、かっかかっかする必要も僕はないと思うし、昔のような変なことが起こるとも考えにくいですとか、靖国参拝について、どうだこうだと言うつもりもないですよ、ただ淡々と、総理は靖国に参拝されましたというだけでしょう、ピリオドでしょう。従軍慰安婦問題では、ドイツやフランスやオランダなどの名前を挙げて、戦争しているところは大体そういうものがつきものだった。番組編集権については、最終的には会長が決めるわけですから、そういう問題についてはちゃんと、きちんと私の了解をとってもらわなきゃ困る、NHKのガバナンスの問題ですから。国際放送については、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかない、日本政府とかけ離れたようなものであってはならない、このように述べておられます。

 こういった発言について、個人的な見解、個人的な思想としては変更されておられないということになります。

 NHKオンラインの中に、よくある質問集というのがございまして、そこで、「NHKとはどういう事業体なのか」という問いに対して、「NHKは政府から独立した公共放送事業体」とあります。

 籾井会長にお尋ねいたします。

 NHKは政府から独立した公共放送事業体だとNHK自身が説明しておりますけれども、なぜ政府から独立していることが求められているのか、その理由は何なのかについてお答えいただけますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 放送法によりまして、我々は、不偏不党、表現の自由、それから公平公正ということで律されております。そのほかにも細かい規定がございますが、我々は何人からも影響されないというのが我々の役目でございますので、それに沿って、そういうふうにお答えしているわけでございます。

塩川委員 それはそういう立場だということをおっしゃっているだけで、政府から独立をしている、その理由は何なんですかということを御質問しているんですが、お答えいただけますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、法律に基づく、国民の信託を受けた公共的放送事業体として、政治的中立性を確保するとともに、いかなる私的利害にも左右されることなく、公共の福祉のために放送を行うことを任務とすべきものと認識しております。

 そのために、政府や特定の企業などから影響を受けないようにする必要があるものと考えております。

塩川委員 政府や特定の企業から影響を受けないと。そういう意味では、あらゆる権力からの独立、そういうことがうたわれているわけですけれども、それは放送法の条文に照らすと、どこにはっきり示されているものなんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 放送法第一条、放送の目的、「この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」一は省略させていただいて、二、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」第四条にもいろいろございますけれども、一応こういうことで独立しているというふうに思います。

塩川委員 この三の「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」そういう点も当然含まれているということでよろしいですか。

籾井参考人 お答えします。

 御指摘のとおりでございます。

塩川委員 放送法一条にありますように、健全な民主主義の発達に資する、こういうことを原則として、健全な民主主義を育てることが放送の目的だとして、そのためにはあらゆる権力からの自立が求められているということを示しております。公権力からの自立がNHKの生命線であります。

 それは、戦前の社団法人日本放送協会は、政府の強力な一元的統制のもとで、事実上の国家管理に組み込まれ、軍国主義的な世論主導の国策宣伝機関となって国営放送の役割を果たした。こういう役割に対して反省があり、政府からの独立を掲げるというのは、国策放送として国家の起こした戦争に加担した、この戦前のNHKの歴史への反省があるからじゃありませんか。

籾井参考人 お答えいたします。

 前身の社団法人日本放送協会の時代には、放送内容に対する政府からの指示や検閲などが行われており、今委員がおっしゃったとおりでございますが、戦後民主主義のもとで、自由な放送を保障するために現在の形になったものと承知しております。

塩川委員 ですから、国家が管理をするということへの反省が戦後のNHKの出発点としてあるということでよろしいですか。

籾井参考人 お答えします。

 理由が、戦前のことの反省に立ってかどうかはわかりませんが、多分そうだと思います。けれども、今はもう、前身の日本放送協会の時代には放送内容に対する政府からの指示や検閲などが行われておりまして、戦後民主主義のもとでは、自由な放送を保障するために現在のような形になったものと承知いたしております。

塩川委員 国策放送として国家の起こした戦争に加担した戦前のNHKの歴史への反省があるという点で、その戦後政治の出発点、原点というのは、この侵略戦争への反省を踏まえた日本国憲法であります。日本国憲法は、国民の基本的人権を保障するために権力を縛るもの。その民主主義の健全な発展に貢献するNHKが政府からの独立を求められるのは、当然のことであります。

 ですから、放送法の定める公共放送の使命とは何か。それは、権力からも、商業主義の論理からも自立をして、国民の知る権利に応え、文化、ジャーナリズムの大衆メディアとして日本に健全な民主主義を育てることであります。

 そうなれば、NHK会長に求められる資質はどうなるか。それは、不偏不党、政治的公正、自律の見識と気概だと言っていいと思います。不偏不党と自律の核心は、政府からの独立にほかなりません。NHKは、このようなさまざまな有識者の皆さんも含めた国民からの指摘をしっかりと受けとめることが必要であります。

 籾井会長にお尋ねをしますが、あなたの秘密保護法や靖国参拝、従軍慰安婦問題といった歴史認識問題など、安倍内閣に迎合するような一連の発言は、政府からの独立という立場と相入れないのではありませんか。

籾井参考人 お答えします。

 そういうことは全くありません。

塩川委員 全くありませんというのは、どういう答弁ですか。一連の発言が、政府からの独立という立場と相入れないのではないかと聞いているんですけれども。

籾井参考人 何度も申し上げておりますが、まず、私の個人的見解というものは本当に取り消させておりますから、私は、私の個人的見解でもってNHKを運用することはございませんし、政府からも何の指示も受けておりません。そういう意味におきまして、全く私は、NHKは独立していると思います。

塩川委員 問題は、そういう中で、そんたくと言われるように、時の政権の意向に迎合するような報道をするということが問われるということを言わざるを得ません。

 重ねてお尋ねしますけれども、国際放送に関して、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかないとか、日本政府とかけ離れたようなものであってはならないという発言も、公権力からの自立を投げ捨てる発言になっているのではありませんか。

籾井参考人 今の点につきましては、もう何回も申し上げておりますが、私は個人的な見解として取り消させていただいておりますので、この場でさらにコメントすることは控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 籾井会長は、個人的な見解を述べたことは取り消しましたが、みずからの個人的な見解、個人的な思想を変更したわけではありません。

 NHKに求められる公権力からの自立について無理解な個人的な思想を持っている籾井氏に、NHK会長の資格はないと言わざるを得ないのではないでしょうか。そのことの自覚がありますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 私としましては、NHKの会長の重みをしっかり受けとめ、放送法に基づきまして公共放送の使命を果たしていくことで、引き続き会長としての責任を全うさせていただきたいと思います。

塩川委員 それでは、浜田経営委員長にお尋ねいたします。

 このような籾井氏を会長に選んだわけであります。その点で、経営委員会が定めた次期会長の資格要件の内容についてお尋ねをいたします。

 私は、昨年のNHK決算審議の場で、放送による表現の自由を確保するためには公権力からの自立が前提となる、会長任命に当たっては、公権力からの自立への深い理解が求められると考えるが、この点は資格要件とされているのかということを質問いたしました。浜田経営委員長は、放送法の趣旨にのっとって判断をして資格要件をまとめたと申し上げたが、今の御質問の件については、当然その中に包摂されているというふうにお述べになりました。

 お尋ねしますが、この公権力からの自立についての放送法上の根拠を、経営委員会として資格要件を定めた際にどのように位置づけられておられたのか、お答えいただけますか。

浜田参考人 お答えいたします。

 NHKは、個々の条文ではなく、放送法全体の規定により、公共放送として視聴者・国民の期待に応える放送が実施できるよう、財政、組織、人事などの面において、公権力から自立した運営が担保されております。

 今回の資格要件は、こういった放送法の趣旨にのっとりまとめたことからも、御指摘の点が包摂されていると考えております。

塩川委員 公権力からの自立への深い理解というのが次期会長の資格要件に入っているということですけれども、これについてはどのような議論が、経営委員会の中で選考に当たって行われたんでしょうか。

浜田参考人 先ほど申し上げましたように、具体的には、例えば経営委員会制度でありますとか、自主的な財源を確保するための受信料制度などをもって、NHKの公権力からの自立というのは担保されているというふうに思いますし、議論の中で、ある意味ではNHKの会長の資格要件に必ず求められる要件だというふうな理解をしております。

塩川委員 公権力からの自立への理解について、この選考に当たって、籾井氏御本人からその見解をお聞きするということはあったんですか。

浜田参考人 放送法を遵守する旨の発言を何度もいただきましたし、あわせて、今までの国際人としてのキャリア、ビジネスマンとしてのキャリアから、総合的に判断をさせていただきました。

塩川委員 放送法を遵守するという言葉を繰り返せば、公権力からの自立への深い理解があるということを意味しているんですか。

浜田参考人 放送法を遵守するということが原点だろうというふうに判断をいたしました。

塩川委員 その放送法についての無理解も含めた個人的な思想というのがあらわれたわけですけれども、個人的な見解を述べたことは取り消しましたが、みずからの個人的思想を変更されたわけではない籾井会長であります。

 その個人的な思想というのは、公権力からの自立への深い理解ということが求められるNHK会長の資格要件に当たらないということを示しているんじゃありませんか。NHK会長の資格がないような個人的思想を持つ人物が会長を務めることができるのであれば、経営委員会が次期会長の資格要件を掲げる意味もない、要するに、誰でもやれるということになりはしませんか。

浜田参考人 籾井会長は、業務執行に当たっては放送法を遵守すると明言し、不偏不党の立場をとっていく旨も表明しております。反省の上に立って、資格要件に込めた趣旨に沿って会長としての職務を執行していただけるものと期待をしております。

 経営委員会といたしましても、今後の業務執行が放送法の自主自律の精神を遵守したものとなるよう、一層しっかり監督してまいりたいと思います。

塩川委員 ジャーナリズムやあるいは放送法の学識経験者の方々からは、会長の選考基準のあり方として、やはり第一義的に、放送のジャーナリズムと文化的役割について高い見識を持ち、言論報道機関の長として自主自律の姿勢を貫ける人物かどうかを重視すべきだと述べておられます。

 こういった放送のジャーナリズムと文化的役割について高い見識を持つことというのは、私は、今回の選考過程においてはっきりと示されたものはなかったと率直に思いますが、いかがですか。

浜田参考人 御指摘のように、NHKの会長には、当然、経営のトップという側面とジャーナリズムのトップという側面が求められておるわけで、私どもは、その両面を含めて論議をし、選考をいたしました。

塩川委員 私は、放送法の五十五条、会長罷免条項及び六十二条に基づく役員の服務準則、その役員の服務準則の第五条に、「会長、副会長および理事は、日本放送協会の名誉や信用を損なうような行為をしてはならない。」とあります。ですから、今回の一連の問題というのはこの条項に相当する、籾井氏がNHK会長の任に当たるものではないということを思いますが、改めてお尋ねします。

浜田参考人 経営委員長といたしましては、会長に対して、厳しく自覚を促し、説明責任を果たすとともに、事態の収拾を速やかに行うよう要請をいたしました。会長からは、反省の言葉と、業務執行に当たっては放送法を遵守するとの明言を得、役職員一丸となって事態の収拾に当たる決意も示されました。

 経営委員会といたしましては、今後の動きを監督し、助言し、必要に応じて苦言も呈して、経営委員会の職務を一層果たしてまいりたいと思っております。

塩川委員 視聴者の代表であります経営委員会は、視聴者・国民からの厳しい指摘があるということに正面から目を向けるべきだ、その声を聞くべきだということを申し上げます。

 その上で、NHKの政府からの独立との関係で、その根本が問われるような過去の具体的な問題について、時間の範囲で何点かお尋ねをいたします。

 一つは、「ETV二〇〇一」番組改編問題であります。

 二〇〇〇年代の前半に一連のNHK職員の不祥事が相次ぎ、また、この「ETV二〇〇一」番組改編事件にかかわって、政治家の番組内容への介入の疑惑の問題、また、それをそんたくするようなNHK側の動きの問題について厳しい批判が寄せられたわけであります。

 そういった一連のNHKの危機的な状況におきまして、デジタル懇談会というのが設置をされて、この中で真摯な議論が行われました。二〇〇五年から議論が始まりまして、二〇〇六年にその報告書がまとめられたわけであります。政治介入疑惑や一連の不祥事について、政治との距離に対する疑惑は、いまだにNHKが政府や権力から毅然として独立してはおらず、それが結果として主権者たる視聴者をないがしろにする行為につながっていると問題提起をしております。

 このデジタル懇の報告書は、籾井会長それから浜田経営委員長としては、その内容についてはどのように受けとめておられるでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 デジタル時代のNHK懇談会では、平成十六年に発生しました不祥事からの信頼回復を図る中、デジタル時代における公共放送のあり方について、部外の有識者の方々に検討していただきました。

 報告書の中では、信頼回復の努力の核心は、公共放送は視聴者のものであり、視聴者のためにあり、視聴者のみに責任を負うという信念であるとの指摘もいただきました。

 私は、公共放送の役割は、視聴者・国民からの信頼があってこそ果たせるものと認識いたしております。放送法に基づきまして、不偏不党、自主独立の立場を守り、何人からも干渉されず、番組編成の自由を確保して放送することが何よりも大事だと考えております。

浜田参考人 恐縮ですけれども、私はその懇談会の報告書は読んでおりませんけれども、基本的に、今、籾井会長が申されましたけれども、NHKの役目は、よい番組をつくり、よい放送をし、よい経営をし、そして、結果として視聴者の皆様に返していくことだ、そういう形で公共放送の役割を果たしていくべきだというふうに思っておりますので、今のデジタル懇の中身について、特に異論はございません。

塩川委員 この問題については、BPOが「ETV二〇〇一」についての意見を出されております。大変傾聴に値する中身だと思います。次の機会に、その中身を含めて、引き続き議論を重ねてまいります。

 終わります。

高木委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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