衆議院

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第10号 平成26年3月27日(木曜日)

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平成二十六年三月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 福井  照君 理事 山口 泰明君

   理事 原口 一博君 理事 三宅  博君

   理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      小林 史明君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    松本 文明君

      山口 俊一君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    福田 昭夫君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  馬場 伸幸君     岩永 裕貴君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  岩永 裕貴君     馬場 伸幸君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 理事西銘恒三郎君同日理事辞任につき、その補欠として福井照君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事西銘恒三郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に福井照君を指名いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 おはようございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 総務委員会に入って以来、受信料の還元、一〇%の値下げについて何度となく、この委員会でも、また予算委員会でも質問をさせていただきました。それを踏まえて、再度質問させていただきたいと思います。

 きょうは、テレビ入りということでありますので、パネルを随分用意いたしましたので、パネルを見ながら質問に入っていきたいと思います。

 まず、このパネルを見ていただきますと、前々会長であります福地会長のときに、受信料を一〇%還元、いわゆる値下げで還元をするという決意を持った発言があり、その部分が、ここに書いてあります、「我々執行部といたしましては、一〇%の還元は受信料一〇%の値下げだ」、ここまで断言をされました。

 ところが、当時、二十一年から二十三年度における還元についてどうなのかな、検討されたのかなと思ったところが、NHKの執行部から出てきた計画案には一切、その受信料の一〇%の還元が入っていなかった。そこで、当時の経営委員長であります数土経営委員長が、一〇%の還元を入れるべきだということで、当時、経営委員会で議論をされて、一〇%還元が盛り込まれたというようなことがありました。

 その結果として、二十四年から二十六年度の還元一〇%ということになったわけでありますが、ところが、ふたをあけてみると、一〇%が七%だったということでありますが、この理由をまずお示し願いたいと思います。

浜田参考人 お答えいたします。

 前計画で約束いたしました受信料の収入の一〇%還元につきましては、その前提条件として、経営計画に明記された社会経済情勢の変化や収支の状況などを十分に考慮することとしておりました。その後、NHKを取り巻く環境が大きく変わり、現経営計画検討時は、値下げが提起された当初の想定を超えて受信料の全額免除件数の増加による収入の減少が見込まれたことや、東日本大震災を踏まえて公共放送の機能を強化するための設備投資が増大したことなどを受け、七%の値下げといたしました。

 受信料の値下げにつきましては、現在の経営計画、平成二十四年度から二十六年度の経営計画でございますが、作成した当時の執行部と経営委員会の長い時間の真摯な議論の結果として、経営委員会で正式に議決を行ったものであり、私どもとしては一つの到達点という認識をしております。

佐藤(正)委員 そのときの経営委員長が、いわゆる七%になったことに関して、実は、もうじくじたる思いだ、計画がうまくいけば当然還元されるべきという旨の発言をされています。そして、当時の松本前会長も、計画が見込みどおりになっていないから、今経営委員長が言われたように、東日本大震災等、それからリーマン・ショックで景気が落ち込んだ等によって全額免除の世帯数がふえるなどを理由にして七%になりました、そういう旨を言われたんでしょう。

 しかしながら、これまで何度となく質問をしてまいりましたが、NHKが予算を組んだ二十四年度、そういう影響が出るだろうということで、プラス・マイナス・ゼロ予算ですよ、さらには、二十五年度はマイナス予算、マイナス決算になる、このようなことで三年計画をつくったんですよ。

 ところが、どうですか。現実には、二十四年は幾ら利益が出ましたか。お尋ねしたいと思います。

高木委員長 浜田経営委員会委員長。

佐藤(正)委員 もういい。百九十五億円。経営委員長、何度となくこんな質問はしているじゃないか。何でさっと答えられないんだ、こんなことが。質問を軽視しているんじゃないか。おかしいよ、そんなの。何度もやっていますよ、これは。

 そして、二十五年度、まだ決算は終わっていませんが、中間でどれだけの黒字ですか、中間決算では。

高木委員長 浜田経営委員会委員長。

佐藤(正)委員 もういい。何をやっているんだよ。この数字は、あなたたちがつくった数字ですよ。あなたたちが発表した数字ですよ、公表した数字。この委員会でもお尋ねをしました。緊張感がないんじゃないか。そこが問題なんだよ。

 だからこそ、本来の三年間の計画が実は利益が出ているということは、現実にいえば、還元できたんですよ。この還元できない三%は、一年間で計算をすると百七十億円ですよ。二十四年度は百九十五億円出ているんですよ。となれば、これを還元しなかった、利益はどこに消えたのか。

 ここで出てくるのがNHKの放送センターの改築ですよ。これにお金が行っている。しかも、千数百億円という余剰金がある。では、この余剰金は何ですかとお尋ねをしたら、経営を安定化するための資金ですと。それは幾ら要るんですかと言ったら、ヨーロッパの放送局等を見ますと、売り上げの数字に合わせて、大体千五、六百億円は要るんだというお答えでしたよ。

 ところが、何ですか。その経営安定化資金を必要だと言っておきながら、それを割り振りして建設資金に回しているじゃありませんか。言っていることが全くでたらめではありませんか。それだけ要るんだったら、ちゃんと蓄えなきゃいけないんでしょう。

 そして、なおかつ、この受信料還元については、その前から、福地会長の発した中に、確かに放送センターは老朽化をしている、建てかえなければならない、こういう検討もされていますよ。しかし、どちらを優先するのか。当時、受信料、いわゆる国民に対して還元することを優先して決めたんじゃありませんか。いつの間にか、その優先して還元すると言っていたことを建設資金に松本前会長は変えちゃったんですよ。

 いろいろな評価があります。松本会長は給与削減も実行した、受信料の削減も実行した。しかし、お約束は守られていないんです。

 そこで、この委員会でも何度となく、私は、この数字の根拠をお尋ねしてまいりました。例えば、このパネルにありますように、全額免除等の拡大四百二億円、これが実際どうなっているんでしょうかというお尋ねを何度もしてまいりました。そうしたら、当初の計画から変わった計画案が出てきました。

 それは、当初は、東日本大震災における費用が三十一億円かかる、このパネルにあります。ところが、現実、ふたをあけたら十八億円で済みました。それはそうでしょう、当然、復旧しているわけですから。ただし、人の住めないところ、御迷惑をかけているところがある、そこについては十八億円ぐらいかかる、いまだに難しいと言われた。でも、ここでもう差額が出た。

 そしてさらには、全額免除の件数。これも毎年毎年、二十四年度十七万件、二十五年度十七万件、二十六年度に至っては十八万件。このことも私はお尋ねをしてまいりました。しかも、この一世帯当たりの単価が、二十三年度から、二十四年度に計画をするときには単価が上がっているんですよ、一世帯当たり千円ぐらい上がっている。千円上がったら幾らになるか。これだけで九億円ぐらい、七億から九億の数字になる。疑わざるを得ないじゃありませんか。

 そして、お尋ねをしたいのは、十七万件といいながら、NHKの別の資料を見ますと、何とここにNHK全額免除件数前年度比があります。見ていただいたらわかると思います。二十年度から、十八万件、五十万件、三十六万件、十七万件、二十四年度は七万件です。十七万件じゃありませんよ。この点は、経営委員長、どうなんですか。

高木委員長 経営委員長に申し上げます。

 NHKの予算の審議でございますので、経営に関する数字については、事前にも質問項目等もあると思いますので、しっかりとお答えいただきたいと思います。

浜田参考人 三カ年経営計画では、有料契約から全額免除となる世帯を毎年十八万件と見込み、二十四年度の実績は十七万件となりました。減収影響額は、有料契約から全額免除に変更となるこの十七万件をもとに算出したものでございます。

 御指摘の七万件は、全額免除の年度末現在数を差し引きいたしました単純増加数でございます。全額免除の拡大による影響額の積算には直接的には関係がない数字と考えております。

佐藤(正)委員 国民の皆さんが今の経営委員長の話を聞いてもわからないんですよ、絶対。理解できない。

 あえて理解をするために御説明をしたいと思います。例えば十七万件、今までお支払いをされていた方が大きな理由として生活困窮で生活保護世帯になったとかいうところで、確かに件数はふえるんでしょう。しかし、復活、いわゆるそこから脱却をされた、頑張って脱却をされた方々がいらっしゃる。そういうところは収入として上がらなきゃならないところを削除して十七万件、数字だけを見せているからですよ。

 生活保護世帯の実数は、厚生労働省の資料からもおわかりになるように、今はある程度横ばいになっています。二十三年、二十四年、二十五年、恐らく今後横ばいになると思います。それは、それなりに今景気が上向き状況にあるからです。数字を見たら、数字はうそをつかないんです。

 ですから、NHKが言っているのは、十七万件ありましたと。しかし、復活してNHKの受信料を払える方がいらっしゃる。そこの差し引きをして初めて、影響が出たんじゃありませんか。経済状況によってお支払いできない方がふえるというのは、そういうことじゃありませんか。逆に、努力をして支払いができる方がふえたということも言えるわけなんですよ。それを出さないで、減ったところばかりやるから、こんな数字になるんです。これをもし七万件で計算をしたら、ここにもまた還元の財源があるということになるんです。これは経営委員長、しっかり頭に入れていただかなきゃならない。

 というのは、私がこの委員会で何度となく籾井会長、そして経営委員長に御質問いたしました。私は、籾井会長の発言がどうだこうだとか言うつもりは全くありません。それよりも、しっかりと経営改善をしていただきたい、そして国民の皆さん、受信料を支払われている皆さんにしっかりとお約束ができるように、NHKには努力をしていただきたいんです。その思いで何度となく質問をしてまいりました。しかし、何ら変わらない。

 こういう数字を何度となくNHKの方々と議論をしてまいりましたよ。何で私が指摘したことを精査しようとしないんですか。一回計画を決めたら、そのまま決まるんじゃない。確かに三年間の経営計画です。しかし、今回私が一番大事にしたいのは、次なる三年の経営計画に対してNHKがどう臨んでいくのか、これが大事なところだから、何度となく御質問をさせていただいているわけであります。

 そして、私の質問に対して、経営委員長が、今のやりとりをずっと何度もしたときに、平成二十六年、ことしの二月二十五日、「私どもといたしましては、今委員の御指摘のテーマは、次期の経営計画の中でさまざまな観点から論議されるべき事項であるというふうに思っております。」と。

 この発言は、私は、よしとしたいんです。こうでなければならないと思っていますが、これは変わらないですよね。

浜田参考人 これから将来を見通した場合には、さまざまな問題がございます。例えば、放送と通信の融合の問題、国際放送の強化、新センターの建てかえ等々いろいろな問題がございます。次期経営計画の中では、それらを検討していくべきものと考えております。

 受信料制度につきましても、その中で、必要に応じて議論されるべき重要なテーマかなというふうに思っております。

佐藤(正)委員 籾井会長、先ほど言った、当時の松本会長が、本来の計画はうまくいかなくなった、大震災があった、景気が悪くなった、こういうのがうまくいくのであれば計画どおりやっていくんだ、しかし今回はそうなったと。そこで、前経営委員長は、じくじたる思いだけれども、しかし、トップが幾らかわろうと、組織は継続性があると。まさにそのとおりだと思います。前の経営委員長の思いは伝わってまいります。

 そういう中で、私が籾井会長に質問させていただいたときに、先ほど言った圧縮、いわゆるできないと言われた四百数億円の中に、圧縮できますよと言ったら、籾井会長は、このパネルにあるように、同じ二月の二十五日に私の質問に対してお答えになりました。それは、もし減収分が当初予定していた四百二億円を下回っておれば、当然のことながら、七%ではなく、もう少し上に行ったと私は思いますと。そのとおりなんです。おっしゃるとおりなんです。これからは、この要因がだんだん減っていくんです。会長、今でも変わりませんか。

籾井参考人 まず、ちょっと質問とは直接関係ありませんが、委員の、本当に、我々NHKの経営の問題についてもっと努力しろというこの声は、真摯に受けとめたいというふうに思います。それに基づいて、私も努力させていただきます。

 それで、お答えさせていただきますが、確かに、委員の御質問に対して、三カ年計画を立てるときにもし四百二億がもう少し下回っておれば、もう少し還元できるというプランができたこと、これは間違いないと思います。ただ、その時点においては、一応、四百二億という目標を置きましたので、それに基づいて三カ年計画を立てさせていただきました。

 したがいまして、一応この線に沿って今の三カ年計画が進んでいる、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 それはわかっていますよ。だから、三カ年計画は三カ年計画、次なる三カ年計画に対して私は今、この二十六年度が最後ですから、この予算の審議の中でお尋ねをしているんですね。だから、現実には、NHKの予算というのは毎年毎年議論をされて決定をしていますが、実は、ずっと見ていると、どうも数字が余りにも大きく変わり過ぎるということも指摘をさせていただきました。

 籾井会長、籾井会長もこれからNHKの改革をされるんでしょう。であるならば、今私が言っていることを踏まえて、次なる経営計画のときには、今いろいろなことを言われていますが、国民の皆さんに還元をすることが一番、実は籾井会長に対する期待を裏切らないことになるんです。そこをしっかりと行っていただきたいと思います。

 だから、今言ったように、還元率が下がって還元の幅が下がっていけば、当然お返しするお金なんだ、お返しするお金なのに、なぜか知らないけれども、年金に使ってみたり、センター建設に使ってみたり、身内のことにばかりお金を投資している。受信料を払っている方々は、お一人お一人、株主ですよ。その方々が投資をしてくれなかったらNHKは成り立たない。誰を大事にするのか。NHKは、皆様のNHKと言っていますが、NHKのためのNHKであっては困る、このことを指摘したいと思います。

 時間も余りないので次に行きます。

 それから、今度、給与改革もやっています。この給与改革についても、現実には、いろいろ資料を、お尋ねいたしましたが、一〇%の給与改定を五年間でやる。では、どれだけの財源が捻出されるんですかということをお尋ねしたところが、現実にはわかりませんという答えなんですよ。これはNHKが出した資料です。何を考えているんですかね、わかりませんなんて。そんなことだから、今言ったような数字が狂っちゃうんですよ。ここも、総務大臣、総務大臣の発言にもありますから、給与改定等についてもしっかりと情報開示をしてやれという言葉があります。これをNHKは重く受けとめて、実現をしてください。

 なぜなら、NHKに情報開示があったときに、実は、給与の年収、月額、そして、どういう等級で、どういう階級で、どうなっているのかという開示請求があったら、NHKは何と、開示請求をノーと突きつけた。これがNHKの実態ですよ。経営委員長、しっかりと今の点を踏まえていただきたい。総務大臣も、しっかりと目を光らせていただきたいと思います。ここは指摘をしておきます。

 次に、時間がなくなってまいりましたので、予算委員会で私が指摘をさせていただきましたが、NHKには、まだまだ改革をしなければならない点がたくさんある。人件費については今の一〇%削減という話ですが、維新の会の三宅先生がせんだって質問された、総人件費を総従業員数で割ると、これには退職金やいろいろな厚生費も入っていますが、年間、千七百七十七万。ところが、二十六年度はそうですが、二十五年度に至っては千七百七十八万、一万しか変わっていない。一〇%削減するといいながら、総金額は一万円しか変わっていない。ここはどういうことですか。

浜田参考人 お答えいたします。

 職員の給与につきましては、平成二十五年度に、努力や成果をより反映させる制度に見直しを行い、おおむね五年間で基本賃金の一〇%を目安に引き下げる考えであると聞いております。

 経営委員会といたしましても、NHKが視聴者の皆様の受信料で支えられていることを深く認識し、この取り組みの進捗と定着状況を注視してまいりたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 それはもう何回も聞いているので、数字がこれだけしか変わっていないのを、普通に考えたら、皆さん、おかしいと思いませんか。

 そして、なおかつ、人件費の効果はこれだけ、何十億円、二十六年度は五十数億円の効果が出ますなんて書いておいて、これも全然変わっていない。まだまだしっかりと改革をやっていただかなければならない点がまた一つ。

 さらに、今度は、予算委員会でも私が申し上げました、NHKの本社と子会社の関係。あえて名前をつけさせていただくならば、天下りわたり好循環システム。天下りわたり好循環システムがNHKには存在している。いまだに続いている。

 国民は、こんなシステムは許さない。なぜなら、退職金を何度ももらうシステム、これがわたりというんです。これに対して、籾井会長は、連結決算だからいいんだと。連結決算だったら、今度はNHKの副会長に帰ったらもらわなくていいじゃないですか。何でもらうんですか。

 こういう改革を、会長、真摯に受けとめて、国民に理解されるようにやっていただくことが実は期待をされているし、これを断行すると言ったら、みんな、いろいろな方が受信料を、未納がふえるとか言っていますが、籾井会長のその一言でふえますよ。どうでしょう。

籾井参考人 お答えいたします。

 今おっしゃったことで、NHKを退職するときは退職金がもらえますが、子会社に出たときは退職金は出ておりません。

 したがいまして、今度は、そこからNHKに戻ってきたときは、その期間のみにおいて、計算基準において退職金を払っているというわけで、子会社に行ったときに退職金をもらって、何回もというわけではございません。

佐藤(正)委員 それは、会長、よく考えてください。NHKに戻ってくるときは、理事職で戻るんです。これは経営委員会が任命するんですよ。これは、NHKの職員、NHKの経験者だから理事になるんじゃないんです。そこで明確に選ばれるんです。違うんです、一回切れるんです。だから、籾井会長、そこは違うんですよ。まだまだこれは続けてまいりたいと思います。

 最後になります。ぜひ、今私が指摘をさせていただいたことを改革していただきたい。そのことによって、お約束したことはしっかり守れるNHKに変えていただきたい。

 さらに、もう一点だけ。今の理事の仕組み、今回も、理事は、会長以下、全員がNHK出身者です。ここは、もっと民間人を登用するぐらいのことを今後は考えていけるようにしたらいいと思っておりますが、その点だけ経営委員長にお尋ねをして、質問を……(発言する者あり)

 では、これで質問は終わりますが、ぜひ、二十六年、今度の二十七年からの三年経営計画においてはしっかりと、私の質問を受けて、前に臨んでもらいたいと思います。そのことを要望して、総務大臣には本当は発言をしていただきたかったんですが、総務大臣は長くなるので、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 二〇一四年度NHK予算について質問をいたします。

 最初に、籾井会長の就任記者会見における発言問題について質問をいたします。

 籾井会長は、一月二十五日の就任記者会見で、以下のような発言を行いました。国際放送に関連して、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかない。また、秘密保護法に関しては、一応通っちゃったので、もう言ってもしようがない。首相の靖国参拝に関連して、どうだこうだと言うつもりはないですよ、ただ淡々と、総理は靖国に参拝されましたというだけでしょう、ピリオドでしょう。日本軍慰安婦問題について、ドイツやフランスやオランダなどの名前を挙げて、戦争しているところは大体そういうものがつきものだった。

 このような籾井会長の発言に対する視聴者・国民からの意見がNHKに殺到しております。

 そこで、籾井会長に確認でお尋ねしますが、このような籾井会長の発言に対する視聴者等からの意見の件数、また、そのうち批判的な意見の件数、その特徴的な意見の内容について紹介いただけますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 一月二十五日からきのうの夕方までに寄せられた御意見は、およそ三万六千百件。内訳は、批判的意見が二万三千三百件、肯定的な意見が六千五百件、六四%対一八%。その他は問い合わせなどでございます。

 主な批判的な意見としては、偏った放送になるのが心配だ、もう受信料を払いたくないといったものがあり、また、肯定的な意見としては、日本の立場にはっきり言及したことは大変よかったというものなどなどでございます。

塩川委員 批判的な意見が二万三千三百件も寄せられているということですが、これは、二〇〇四年七月から二〇〇五年にかけて受信料不正使用の不祥事が相次いだときがあります。同時期には、「ETV二〇〇一」の番組改編問題についても明らかとなって、当時の苦情件数も大変多かったわけですが、それを大きく上回る、二倍に匹敵するような、こういう批判的な意見が寄せられているわけであります。

 私たちのところにもたくさんの声が寄せられております。

 籾井会長の政権寄りの発言は視聴者の厳しい批判を浴びました。特に日本軍慰安婦に関する発言は、歴史的事実に反するばかりか、過去の戦争への反省を欠き、国際問題に発展しかねないものです。私たちは、籾井会長、百田尚樹、長谷川三千子両経営委員の罷免を求めます。また、籾井会長の政府の代弁者のような発言は、報道機関としての最も重要な権力の監視役としての使命を無視したものです。このような厳しい批判の声が多数寄せられている深刻な事態であります。

 NHK自身、この政府との関係について、NHKオンラインに掲載されております、よくある質問集の中に、「NHKとはどういう事業体なのか」という問いを起こして、そこには、「NHKは政府から独立した公共放送事業体」とあります。

 そこで、会長にお尋ねいたしますが、NHKは政府から独立した公共放送事業体だと説明しているわけですが、なぜ政府から独立をしていることが求められているのか、その理由についてお示しください。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、国民全体を基盤とする公共放送の実施機関でありまして、言論報道機関でもあります。こうした性格を持つNHKの放送や運営が時の政府からの干渉や影響のもとにあっては、放送法がその第一条で原則として掲げております、放送による表現の自由を確保することや、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすることは期待できません。

 このため、NHKは政府からの独立が不可欠とされているものと理解しております。

    〔委員長退席、石田(真)委員長代理着席〕

塩川委員 政府の干渉や影響のもとでは、表現の自由や健全な民主主義の発達に資する、このことに貢献できないということであります。

 放送法第一条は、健全な民主主義の発達に資することを原則として、健全な民主主義を育てることが放送の目的だとして、そのためにはあらゆる権力からの自立が求められているということを示しています。公権力からの自立がNHKの生命線であります。

 政府からの独立というのは、国策放送として国家の起こした戦争に加担した戦前のNHKの歴史への反省があります。戦後政治の原点は、侵略戦争への反省を踏まえた日本国憲法であります。憲法は、国民の基本的人権を保障するためにも、権力を縛るものとしてつくられているわけであります。その民主主義の健全な発展に貢献するNHKが、政府からの独立を求められるのは当然のことであります。

 ここで、NHKが取材や番組制作を行う際に判断の指針として作成している放送ガイドライン二〇一一というのがあります。この中には、「BPOの主な決定(NHK関連)」、こういうページがありまして、放送倫理・番組向上機構、BPOがNHKに対する主な決定を行ったうち、五件中三件が「ETV二〇〇一」番組改編問題に関するものでありました。

 そこで、まず会長に、この放送倫理・番組向上機構、BPOとはいかなるものなのか、御説明ください。

籾井参考人 お答えいたします。

 まさしく、BPO、放送倫理・番組向上機構とは、放送倫理、番組向上にかかわることをいろいろ議論するところですが、これはNHKと民放連によって設立されました第三者機関で、非営利、非政府の機関でございます。

 BPOは、放送における言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し自主的に独立した第三者の立場から検証する、その判断を放送界全体あるいは特定の放送局に伝えることで放送界の自律と放送の質の向上に寄与することを目的にしていると了解しております。

塩川委員 放送界の自律に資する、そういう組織として放送業界が第三者機関として設立をした、そこにおける意見、決定というのは大変重いものということであります。

 そういう点でも、本来は、こういった番組内容について、取材のあり方などについて不適切な場合があった場合に、それを権力からの介入の口実にさせない、こういう点でも自律的に行うということが求められている、そういう中でBPOがつくられてきたという経緯があるわけであります。そのBPOの決定というのは、NHKにとっても極めて重要な指摘であると言わざるを得ません。

 このBPOの決定にあります「ETV二〇〇一」番組改編問題というのは、「ETV二〇〇一」、シリーズ「戦争をどう裁くか」の第二回「問われる戦時性暴力」について、放送制作部門のNHK役員が安倍晋三衆議院議員ら政権幹部、与党政治家に放送前の個別の番組内容を事前説明していたこと、また、その後、番組試写の場に国会担当役員が同席をし、番組の感想を述べていたこと、この試写の後に番組の改編が行われたことなど、放送の自主自律との関係で重大な疑問を抱かせる事態が明らかになった、こういう事件でありました。

 会長にお尋ねをいたしますが、このことについて裁判でも争われたことがあります。NHKが、「ETV二〇〇一」番組改編問題に係る損害賠償請求控訴事件に対する裁判の準備書面で一連の事実経過を記述しております。二〇〇一年の一月の二十九日、当時官房副長官だった安倍晋三衆議院議員に、「ETV二〇〇一」についてNHKの国会担当局長と放送総局長が事前説明に訪れたことをこのNHKの文書にも記載しています。

 該当部分を読み上げてもらえますか。

籾井参考人 今御要望がありました点を読み上げさせていただきます。

 同月二十九日、平成十三年一月二十九日午後四時ごろ、野島及び松岡が松尾を伴い安倍議員のもとを訪れ、予算説明を行った。

 野島がこの日の予算説明に松尾を伴ったのは、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会の事務局長を務めてきた安倍議員は本件番組について話題にする可能性が高かったことから、番組の責任者である松尾を同行しておいた方がよいであろうと考えたためであった。

 安倍議員のもとを訪れると、まず、野島が安倍議員に予算に関する資料一式を手渡した。その後、松尾が安倍議員に対して、一部でうわさされているように本件番組が女性法廷を四夜連続で取り上げるものではないこと等についての説明を行った。

 これに対して安倍議員は、慰安婦問題の難しさや歴史認識問題と外交の関係などについて持論を語った上で、こうした問題を公共放送であるNHKが扱うのであれば、公平公正な番組になるべきだとの意見を述べた。

 松尾は安倍議員の持論に関してはとりたてて意見を述べず、多角的な視点に立った番組になっているので実際の番組を見てほしい旨述べた。安倍議員との面会時間は十分から十五分程度であった。

 以上でございます。

    〔石田(真)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 NHK自身が事実経過として、この全体そのものについての妥当性というのはありますけれども、この経緯については、NHKが説明をした中身として、我々としてこれを踏まえて議論をしたいと思います。

 ここにありますように、番組の放映前に、番組内容について安倍晋三官房副長官に、放送の最高責任者である放送総局長が出かけていって説明をした、これに対して安倍晋三官房副長官が意見を述べたということであります。

 この訪問の後、NHKの中ではこの番組内容について具体的な変更方針が決められて、その後、具体的に番組内容が変更された。このことは事実ですね。

籾井参考人 お答えいたします。

 平成二十一年にNHKがこの意見に対してまとめた見解の中で、この番組は、NHKが自律した立場でみずからの編集判断に基づいて制作したもので、政治的圧力を受けて番組を改編したり、国会議員等の意図をそんたくして内容を改編した事実はないことをまず述べております。その上で、そうした指摘を受けたことについて真摯に受けとめているとし、番組制作部門の担当者が放送前に個別の番組内容を国会議員に直接説明することは行っていませんし、これからも行うことはありませんと述べています。

 放送ガイドラインに明記しているとおり、NHKは放送の自主自律を堅持します。日々の取材活動や番組制作はもとより、NHKの予算、事業計画の国会承認を得るなど放送とは直接関係のない業務に当たっても、この基本的な立場に揺るぎはありません。

塩川委員 質問にお答えになっていませんが、具体的にその後番組内容が変わったということは、この事実経過のNHKの文書の中でも書いてあります。

 その点について、今会長が答弁をされたように、NHKとしてはみずからの編集方針に基づいて変えたんだ、政治的圧力で変更したわけではないし、国会議員の意図をそんたくして内容を改編した事実はない、こういうことを言っているわけですけれども、しかし、問われている一番の問題というのは、もちろん、政治家側の番組内容への介入も重大問題であります。同時に、政府からの独立、権力からの自立が求められる公共放送のNHKが、政治家の意図をそんたくして番組を改編した、ここの点がまさに問われているわけであります。

 結局、事前にお伺いに行って、その話も聞いて、自分の方で、みずからの編集方針といいながら、結果としてその政治家の意図をそんたくして番組内容を変えたんじゃないのか、このことが自律との関係で厳しく問われているわけであります。

 事実経過として、事実認定は控訴審の判決で出されておりますけれども、この控訴審判決では、番組が予算編成などに影響を与えることがないようにしたいとの思惑から、説明のために松尾放送総局長や野島国会担当局長が国会議員などとの接触を図った、その際、相手方から、番組づくりは公正中立であるようにとの発言がなされたというもので、時期や発言内容に照らすと、松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図をそんたくして、できるだけ当たりさわりのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められると事実認定をしております。

 これを踏まえて、BPOの検証委員会の意見は、「委員会は、NHKの番組制作部門の幹部管理職が行った番組放送前の政府高官・与党有力政治家との面談とそれに前後する改編指示、および国会担当局長による制作現場責任者への改編指示という一連の行動について、公共放送NHKにとってもっとも重要な自主・自律を危うくし、NHKに期待と信頼を寄せる視聴者に重大な疑念を抱かせる行為であった、と判断する。」と指摘をしております。

 これについては、先ほど籾井会長が答弁をしたように、こういった意見について真摯に受けとめているという話がありました。

 そういう中で、ただ、この番組制作部門の担当者が放送前に個別の番組内容を国会議員等に直接説明することは行っていないし、これからも行うことはないと述べましたけれども、あの二〇〇一年の一月二十九日というのは、事前に番組内容の説明を番組制作にかかわる放送総局長が行っていた。まさに、やっていないと言っていることをやっていたというのが、あの二〇〇一年のときの経過ではありませんか。

籾井参考人 平成二十一年にNHKがこの意見に対してまとめた見解の中で、この番組は、NHKが自律した立場でみずからの編集判断に基づいて制作したもので、政治的圧力を受けて番組を改編したり、国会議員等の意図をそんたくして内容を改編した事実はないということを述べております。

塩川委員 一連の経緯の中で、まさにそんたくして番組内容を改編した、こういうことが今問われているわけですけれども、この点について、NHK側の公権力からの自立、政府からの独立、この姿勢が厳しく問われる、NHK側の政治への距離の問題として、独立、自立というのが欠落している、まさにそんたくして番組を改編した、このことこそ問われているわけで、今回のNHK籾井会長の就任記者会見での発言というのがこのことを想起させる、これを多くの方が受けとめていることが批判の声となってあらわれているんじゃありませんか。

 籾井会長が秘密保護法について、一応通っちゃったので、もう言ってもしようがないとか、国際放送に関連して、政府が右と言うものを我々が左と言うわけにはいかないと発言すれば、まさにBPOが指摘をした、政権幹部の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図をそんたくして、できるだけ当たりさわりのないような番組にすることを考えているのではないか、このように視聴者が受けとめるのも当然のことではないでしょうか。籾井会長、どうですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 まず、私の記者会見における個人的な意見については、国会の場でも取り消しをさせていただいております。

 それから、政治との距離につきましては、我々も非常に重要なことというふうに認識しておりますし、NHKは、報道機関として不偏不党の立場を守り、何人からも干渉されることなく番組編集の自由を確保する必要がある、ジャーナリズムは国民の知る権利に応えることだと認識しておりますし、さらに、放送の自主自律を堅持することが、公共放送として信頼されるかどうかの生命線でありますから、私としましては、こういう認識で、さらに放送法を十分認識しながら、それを遵守するという姿勢で今後の業務に当たっていきたいというふうに思っております。

塩川委員 そのようなNHKの役割やNHKの信頼を裏切ったのが、籾井会長の発言であります。NHKの生命線である権力からの自立、政府からの独立に対する見識もなく、日本軍慰安婦問題など歴史歪曲の発言を改めていない籾井会長に厳しい視聴者の意見が寄せられるのは当然だ、このことを強く申し上げておくものであります。

 残りの時間で、二〇一四年度予算での受信料値上げ計画に関連して質問をいたします。

 消費税増税による増額分を受信料に上乗せする、これが今回の予算の内容の一つとなっております。

 会長にお尋ねしますが、受信料を値上げしないためにどのような経営努力を行ったんですか。

籾井参考人 まずもって、我々は、NHKの、業績と言うのは変ですが、経営合理化を進めていくというのは、これは誰に言われるまでもなく我々NHK経営陣の義務だというふうに思っております。したがいまして、消費税云々ということよりも、我々としては、経営の合理化に邁進していく所存であります。

 また、消費税につきましては、これは国が定めたことであります。我々はそれに従って消費税分を値上げするということになるわけでございます。

塩川委員 もともと、NHKの受信料というのは特殊な負担金であってサービスの対価ではない、こういう立場にNHKもあるので、消費税をかけること自身が問題があると我々としては考えております。

 同時に、今の国民生活が大変な中で、受信料の値上げを行わない、こういう立場でどれだけの努力を行ったのか、そのことが問われているときに、そのことについてのお答えはありませんでした。

 ですから、本来、受信料をふやし、経費を節減することで生み出される事業収支差金があるわけです。この事業収支差金を受信料値上げを回避するために活用する、こういう考えというのはないんですか。

籾井参考人 決算の説明で御存じと思いますけれども、二十六年度は、収入の増加と支出の抑制により確保した九十億円の事業収支差金のうち八十億円を、老朽化が進みます渋谷の放送センターの建てかえに繰り入れる計画であります。渋谷の放送センターの建てかえは、これは五十年もたっていて、我々が視聴者の皆様に恒常的なサービスを継続するためにも不可欠なことであります。

 放送センターの建てかえには多額の資金が必要なため、やはりそういう意味で、一挙に出せるお金ではありませんので、少しずつ積み立てをして、可能な限り積み立てができることで外部からの資金の借り入れを抑制し、将来の財政基盤を図っていくということが、とりもなおさず視聴者の皆様に御迷惑をかけないで済むということになるものだと私は信じております。

塩川委員 経営努力としての事業収支差金が出た場合については、これをそっくり放送センターの建設に充てるというのがNHKの方針だということでありますけれども、私は、その点で、何にお金を使うのか、そこにやはりNHKとしての姿勢があらわれてくる、その優先順位が問われているんじゃないのか、こういうことを申し上げたい。

 もちろん、老朽化が進み、災害時の放送機能が維持されるために新たな施設への建てかえの必要性は認めるところであります。ただ、その規模や内容、建設時期、特に建設費用については視聴者の理解が大前提であります。そういったときに、この放送センターの建設の内容についてお尋ねをしたい。

 放送センターは築五十年で建てかえが必要だという話ですけれども、敷地内にはふれあいホールというのがあります。このふれあいホールというのは築十年です。この築十年のふれあいホールというのも建てかえの対象になっているんですか。

塚田参考人 お答えいたします。

 新しい放送センターの建てかえには多額の資金が必要となるために、二十六年度から、予算においても建設積立資産を積み立てることといたしました。

 積み立てに当たりましては、現時点では建設用地や具体的な建設計画が確定していないため、現状と同規模の面積に拡張性を見込んで必要面積を想定したものであります。

 今後、建設用地が確定して、規模や建設手法を具体的に検討する際に、ふれあいホールの機能につきましても検討していくということを考えております。

塩川委員 ただ、実際の建てかえの対象となる総床面積の中にふれあいホールを含めているというのは事実ですね。

塚田参考人 お答えいたします。

 今申し上げました、想定をした必要面積の中にふれあいホールは入っております。

塩川委員 ですから、築十年のふれあいホールも建てかえの対象なんですよ。こういう問題について精査というのは本当に行われているのか。

 今答弁にもありましたけれども、現時点では建設計画が確定していない。まさにそのとおりでありまして、現行の経営計画の中には、新放送センターの整備に向けた準備を開始するとあるだけで、放送センターの建設時期や建設費については何ら触れられていないですよね。この点について確認したいと思います。

塚田参考人 お答えいたします。

 放送センターの建てかえにつきましては、平成二十一年に検討をスタートしました。平成二十三年六月からは、新放送センター建設検討事務局を設置して検討を続けています。

 現在の平成二十四年から二十六年度のNHK経営計画には、委員御指摘の、新放送センターの整備に向けた準備を開始するということ、それからあわせて、新放送センターの建設積立金として、財政安定の繰越金から四百億円を組み替えるということを明記しております。

 当時は、今後想定されます首都直下地震にも耐えられることや、決して放送をとめないためにどのような放送設備が必要なのかなどの基本的な放送センターのあり方についての検討が主でありまして、具体的な建設時期や建設費については触れておりません。

塩川委員 今答弁にありましたように、現行の経営計画では、放送センターの規模、内容や建設時期、建設費用については何ら触れられていないんです。しかも、今答弁があったように、経営計画の収支計画上では、建設積立金を四百億円計上するだけで、積み増しをするということも経営計画上は書いていないわけですよね。

 そういう点でも、私は浜田経営委員長に最後にお尋ねしますけれども、経営計画にも詳細が記載されていない放送センターの建設費について、視聴者は何も知らされていないんですよ。それなのに、受信料の負担増だけお願いするというのは納得がいかない。予算執行の優先順位が違っているんじゃないのか。視聴者が第一のNHKであるべきで、放送センター建設ありきのような事業収支差金のやり方はおかしい。この点について、経営委員会としてどういう議論が行われていたのか、改めて見直す考えはないのか、このことについてお尋ねします。

浜田参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度の受信料計画は、三カ年の経営計画に基づき、七%の値下げを行った結果のものであります。消費税率の変更により、視聴者の皆様にお願いする受信料額が上がることとなりますが、これは定められた税率を適切に転嫁したものと考えております。

塩川委員 視聴者の負担増を回避しようとするNHK側の経営姿勢が見られないということを述べて、質問を終わります。

高木委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 私は、ただいま議題となりました放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、不承認の立場より討論を行います。

 まず、公共放送の使命とは何でありましょうか。なぜ、国営放送ではなくて公共放送なのでしょうか。

 NHKには、戦時下の大本営発表という苦い歴史があります。その反省に立っているのが今の公共放送です。公共放送には、国民の知る権利に奉仕し、健全な民主主義の発展のために尽くす使命が課されており、権力をチェックする機構でなければなりません。

 NHKの歴代会長も、特定の利益や視聴率に左右されることなく、自主自律を貫き、信頼される確かな情報やあるいは多様で質の高い番組を社会全体に分け隔てなく提供していくことと、国会で重ねて説明してきました。権力の側も、今日に至るまで、自制心を持って距離を保ってきました。

 しかし、今、その公共放送の根幹、民主主義の基盤が揺るがされる異変が起きております。言うまでもなく、総理が任命した経営委員の方々の言動、その経営委員を含む経営委員会が任命した新会長の発言をめぐってであります。

 新会長は、就任記者会見で、特定秘密保護法の報道は必要だと思わないのでやらない、あるいは、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないなど、明らかに放送法に違反する発言を行い、編集権を持つ会長にふさわしくないとの批判を受けました。その後、一旦は個人的発言として謝罪したものの、経営委員会で、発言の中でどこが悪かったのかと発言するなど、反省の色は全く見られません。

 また、経営委員の方も、都知事選での発言、海外での言動も問題視されているところでございます。

 問題は国内にとどまらず、米国大使館に取材拒否されるなど、国際的にも波及しています。なお、米国大使館の件については、会長と理事の答弁が食い違うなど、国会答弁の信用性にかかわる問題も起きているところであります。

 このような事態に、視聴者の皆様からも、記者会見のあった一月二十五日から三月二十四日の夕方までの六十日間に三万五千五百件もの意見が寄せられており、もう受信料を払いたくないとの声がふえ続けております。今回の受信料拒否は、三十五万五千件もの支払い拒否が起きた平成十六年の事態をも上回るおそれがあります。

 これほど問題を起こしている会長が、三千万円にも及ぶ報酬にふさわしい仕事をしていると言えるのでしょうか。過去、問題を起こした会長は、辞任、三〇%の報酬の返上といった形で責任をとられております。しかし、この総務委員会の答弁でもありますように、新会長は、報酬の返上すら今は考えていないと答弁されています。

 平成二十六年度のNHK予算は前会長のもとで作成された予算ではありますが、このような会長のもとで執行されることは大いに疑問であります。

 以上の理由から、本予算案は到底承認できません。NHK会長は、即刻みずから身を処されるべきであります。

 最後に、民主党は、国民の知る権利、公共放送の自律性を守るため、NHK役員人事の透明性、中立性を確保するための放送法改正案を既に国会に提出しており、このような事態が今後生じないようにするためにも、議員各位におかれましては早期成立に御協力いただくよう申し述べ、私の討論とさせていただきます。

 以上であります。(拍手)

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、NHK二〇一四年度予算の承認に対し、反対の討論を行います。

 籾井NHK会長の就任会見での発言は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することや、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、健全な民主主義の発達に資するようにすることなど、目的を規定した放送法の第一条、NHKについては政府からの独立への配慮がなされている放送法の趣旨についてのNHK会長の不理解が露呈したものでした。さらに、日本軍慰安婦問題など、歴史を歪曲する発言は、会長としての資質が問われるものでした。

 国会で、会長は、発言を取り消す、個人的な見解を放送に反映することはないとしながら、個人的見解を変えたわけではないとも述べました。このような籾井会長の発言に対して、かつてない規模で国民・視聴者から批判が寄せられているもとでは、予算は承認することはできません。

 また、消費税増税を理由とした受信料値上げは、視聴者に負担増を強いるものです。しかし、今回の予算では、受信料値上げを抑えるという経営姿勢が見られません。

 なお、NHK予算に対する総務大臣意見は、NHKに政府の成長戦略への貢献を求める踏み込んだものとなっていることは重大です。かつてNHKが設置した有識者会議では、公共的性格を備える放送を産業振興策に使ってはならないと明らかにしました。NHKは、政府の産業政策に迎合せず、政府から独立し、商業主義にくみしないという基本的立場を貫くべきです。

 最後に、NHK及び経営委員会には、国民・視聴者の声に真摯に向き合うことを求めて、討論を終わります。(拍手)

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、土屋正忠君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びみんなの党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。土屋正忠君。

土屋(正)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 協会は、役員の言動等に対し国民の厳しい批判が寄せられていることに鑑み、信頼の回復に努めること。また、不祥事が頻発している事態を踏まえ、綱紀を粛正し、コンプライアンスの徹底に努めるとともに、公共放送を担う者として職員の倫理意識を向上させ、組織一体となって信頼確保に取り組むこと。さらに、その取組の状況を広く国民・視聴者に説明すること。

 二 政府は、協会が放送法に基づいて公共の福祉と文化の向上に寄与することを目的に設立された公共放送事業体であることを踏まえ、放送法に基づき、公共放送の自律性を保障すること。

 三 協会は、放送番組の編集に当たっては、我が国の公共放送としての社会的使命を認識し、国民・視聴者の多様な要望に応えるとともに、自律性、不偏不党性を確保し、国民各層の中で意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、正確かつ公平な報道に努めること。

 四 国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝えることがこれまで以上に重要になっている状況を踏まえ、一層の充実を図ること。特に、協会が行う外国人向け映像国際放送については、我が国の文化・経済活動等に係る情報発信の拡大を図り、番組内容の充実、国内外における国際放送の認知度の向上等に努めること。

 五 協会は、受信料により支えられているということを十分に自覚し、国民・視聴者に対するサービスの低下を招かないよう配慮しつつ、業務の確実な実施及びさらなる効率化等の取組を適切に行い、収支予算、事業計画及び資金計画の確実な達成に努めること。また、政府は、その取組が確実に実施されるよう配意すること。

 六 協会は、本年四月からの消費税引上げに伴う受信料額の改定に当たっては、確実に周知広報を行うとともに、国民・視聴者からの問い合わせに対しては適切に対応すること。また、公共放送の存在意義と受信料制度に対する国民の理解の促進と信頼感の醸成に努めつつ、公平負担の観点から、受信料支払率の一層の向上に努めること。

 七 協会は、グループとしてのガバナンスを強化し、子会社等からの適切な還元を推進するとともに、重複業務の整理等を推進し、透明性の高い効率的なグループ経営を推進すること。

 八 現状の放送では障がい者、高齢者に対し、必ずしも十分な情報が伝達されていないため、デジタル・ディバイドの解消が喫緊の課題となっていることから、字幕放送、解説放送等の一層の充実を図ること。

 九 地上デジタル放送への完全移行後の課題について、暫定的措置である衛星セーフティネットの終了に向け、暫定対策を講じている世帯等への恒久対策等について着実な実施に努めること。

 十 協会は、首都直下地震や南海トラフ地震等に備え、大阪局等への本部のバックアップ機能の整備を平成二十六年度中に完了するとともに、緊急報道対応設備の推進を図ること。また、東日本大震災の復興に資する震災報道と震災の記録の伝承に特に配意すること。

 十一 受信料で運営されている特殊法人である協会は、役職員の給与制度や子会社等の運営の状況、調達に係る取引等のほか、新放送センターの整備計画について国民・視聴者に対しその説明責任を十分果たしていくこと。

 十二 協会は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成三十二年の本放送開始に向けたスーパーハイビジョンのほか、ハイブリッドキャスト等の実用化に向けた研究開発、サービス実証等に積極的に取り組み、公共放送として先導的役割を果たすこと。

 十三 協会は、その経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識の下、コスト構造や視聴行動の変化、技術革新の動向等を勘案し、受信料体系の在り方について、国会答弁を踏まえ不断の見直しを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

高木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、新藤総務大臣及び日本放送協会会長籾井勝人君から発言を求められておりますので、順次これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

高木委員長 次に、日本放送協会会長籾井勝人君。

籾井参考人 日本放送協会の平成二十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。

 また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、これを十分踏まえて、業務執行に万全を期したいと考えております。

 本日は、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十七分散会


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