衆議院

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第11号 平成26年4月1日(火曜日)

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平成二十六年四月一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 土屋 正忠君 理事 橋本  岳君

   理事 福井  照君 理事 山口 泰明君

   理事 原口 一博君 理事 三宅  博君

   理事 桝屋 敬悟君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    金子 恵美君

      木内  均君    小林 史明君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      清水 誠一君    白須賀貴樹君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      田畑  毅君    中谷  元君

      中村 裕之君    永山 文雄君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      牧島かれん君    松本 文明君

      務台 俊介君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      小熊 慎司君    新原 秀人君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      高野 修一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   戸塚  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  渡会  修君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁長官)      大石 利雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     奥田 哲也君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   参考人

   (元年金業務監視委員会委員長)          郷原 信郎君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     金子 恵美君

  大西 英男君     白須賀貴樹君

  門山 宏哲君     佐々木 紀君

  湯川 一行君     永山 文雄君

  百瀬 智之君     小熊 慎司君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     牧島かれん君

  佐々木 紀君     秋本 真利君

  白須賀貴樹君     務台 俊介君

  永山 文雄君     湯川 一行君

  小熊 慎司君     百瀬 智之君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     門山 宏哲君

  牧島かれん君     國場幸之助君

  務台 俊介君     田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     井上 貴博君

  田畑  毅君     大西 英男君

    ―――――――――――――

四月一日

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として元年金業務監視委員会委員長郷原信郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房公益法人行政担当室長高野修一君、総務省大臣官房長戸塚誠君、大臣官房地域力創造審議官関博之君、行政評価局長渡会修君、自治行政局長門山泰明君、自治行政局選挙部長安田充君、自治税務局長米田耕一郎君、情報流通行政局長福岡徹君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、消防庁長官大石利雄君、次長市橋保彦君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、財務省主計局次長岡本薫明君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長奥田哲也君及び防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所委員 皆さん、おはようございます。

 我が会派、なかなか質問時間がとれない中で、貴重な機会をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。この問題については継続して追及しますというようなことを一度言ってみたいと思うのでありますけれども、それはかないませんので、一球入魂で参りますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 まず、消費税につきましてお尋ねをしたいと思います。

 本日、十七年ぶりに、国、地方を含めた消費税率が五%から八%に引き上げられました。消費税の引き上げは、急激な少子高齢化に伴う社会保障費の増大に対応するために避けて通れないことから、我が党の選挙公約でも示し、前政権との共通の認識のもとに決められたものであります。

 景気への影響や転嫁対策など、幾つか懸念されることもありますけれども、特に総務省は、国、地方の関係に係ることを所管しており、地方を指導助言する立場にもあります。ことしは、歳入のタイムラグにより満額ではないといたしましても、地方分が約二兆円分、歳入増になるわけであります。これにより豊かな社会保障が実現できるようにしなければなりませんけれども、地方財政を含めて、消費税導入によってどのように変わっていくと考えておられるのか、新藤大臣にお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 本日、消費税率とともに、地方消費税も一緒に上がったわけであります。この引き上げ分の消費税収が社会保障財源化される。それは、地方の社会保障の充実及び安定化につながるとともに、地方財政の健全化に寄与する、こういう観点から意義深い、このように考えております。

 そして、消費税率の引き上げの円滑な実施に当たりましては、反動減等による景気下振れリスクに適切に対応する、そして、地域経済の好循環を実現させること、これが地方公共団体においても求められているわけであります。

 私の方も、地方団体の方にお願いをいたしまして、まず消費税が上がることに対してどのようなことが起きるのかということをよく住民に御説明いただきたいということを通知させていただいております。

 あわせて、好循環を実現させる。それは、税の負担が上がるわけでありますから、その負担に耐えられるように、地域の経済が活性化し、結果的にそれぞれの所得が上がっていかないと税負担に耐えられないわけでありますから、その意味において、私どもが今進めております地方活性化のための施策。それから、自治体においてぜひお願いしたいのは、予算があっても、発注して、そして資金が手元に、住民のもとに届けられなければ経済効果は出ないわけであります。したがって、早期の発注の執行、それから前払い金であるとかそういった資金の移動をできるだけ早目にしていただきたい、こういうお願いを私の方でさせていただいているわけであります。

 いずれにしても、社会保障と税の一体改革は国の大きな課題でありますから、これが円滑に、また効果を上げていくように我々も取り組んでまいりたい、このように考えております。

田所委員 社会保障費も借金で賄われている部分が大変大きい、そういうことでありますので、消費税のアップによってこれが免れる分について、これをどうするのか。財政の健全化につなげる、あるいは新たなサービスを拡充する、そういったことが図られなければやはり国民の理解が得られないというふうに思いますので、どうぞその点については地方にも指導してもらいたいというふうに思うわけであります。

 次に、ICT戦略につきましてお尋ねしたいと思います。

 資源のない我が国は、科学技術立国を目指すべきであります。我が国のすぐれた技術力を背景とした、ICT分野における成長戦略が大変重要であります。

 そういう中で、成長著しいスマートフォン等の携帯端末の分野で日本が海外の部品供給基地になってしまったと言われておりますけれども、OSを初めとするソフトからハードまで海外勢に席巻されている状況は、まさに残念な状況でございます。

 新藤大臣は、所信表明におきましても、ICT国際競争力、国際展開の強化、地上デジタル放送日本方式を初めとするICT戦略全体での国際展開の推進等を強調しておりますけれども、どのようにICT戦略を進めようとしているのか、その点についてまず聞きたいと思います。

新藤国務大臣 まず、ICTというのは、インフォメーションとコミュニケーションを兼ね合わせたテクノロジーだ。ITではなくてICTと呼んでいるところに私たちの思想があるわけです。それは、新しいサービスを生み出すのは、全く今までと違う新商品をつくることもあると思いますが、それとともに、これまでそれぞれの各分野で持っている技術を組み合わせることによって新しい暮らしの革新ができるのではないか、これをイノベーションと呼んでいるわけであります。

 このICTを進めていく上で欠かせないのが、私たちの地デジの日本方式の国際展開であります。

 我々の地デジというのは、実は、他の方式に比べて非常に特異性というか優位性がございます。まず、自動起動装置といいますけれども、EWBSというんですけれども、災害時において、テレビがオフになっていても自動でオンにして災害情報を流すことができる。それから、ワンセグのテレビ受信ができるのもうちの方式だけなんです。それから、データ放送を組み合わせることも日本方式のみができるわけなのであります。

 こういったものを活用して、地デジを展開しながら、そこに、ICTによるデータであるとかそれからICTを活用したワンセグ放送、こういったものを組み合わせると新しいサービスができるのではないんですか、そして国土管理ができるのではないんですかと私は申し上げているんです。

 そういう話をしますと、例えばブラジルに行けば、ブラジルに求められる、アマゾン川が氾濫するときに毎年必ず同じ場所で人が亡くなるんですね、同じようなところで。でも、どんなに護岸を整備したって、アマゾン川の脅威に勝てるわけがありません。ですから、護岸を整備するとともに、そこに直接、災害を予測して、そして、これだけの雨が降り雨量があると川が増量してここが危ないですよと、そこにいる人たちに携帯電話で避難を呼びかけたり、そこに住む地域の人たちの携帯にそういった災害の連絡が行くようにしたらどうですかと。ブラジルの大臣は、ぜひやってくれと言いますよ。

 ですから、こういう形で地デジとICTを組み合わせるということ、そこに新しいサービスができると思っているんです。

 私も、大臣就任以来、ボツワナ、グアテマラ、ホンジュラス、新しく採用していただきました。それからフィリピンもASEANで唯一表明していただいておりますし、中には、他国の方式だったものをもう一度再考いただいて日本方式に取りかえてもらう、こんなようなこともしているわけであります。

 いい機会ですから、ちょっとだけ、もう少しお話させていただきますけれども、例えば、地デジ、ブラジルがまず第一号でした。ブラジルに地デジを入れました。そして、結果として、南米、中米、大半の国が私どもの日本方式になっています。その結果、我々は官民合わせて地デジに関する投資が七十八億です。それに対する日本メーカーの薄型テレビそれから送信機の売り上げ、これは四千五百億円のプラス。したがって投資効果六十倍、こういうふうになっております。

 それから、日本のテレビは、実は世界じゅうでほかの国の製品に追われてシェアが下がっているんですが、欧州も北米も、全世界でマイナス一〇・九%なんですけれども、中南米のみが三・五%プラス。ですから、こういう地デジの展開が日本商品の市場の維持にもつながっている、このように御理解いただけるとありがたいと思います。

田所委員 新藤大臣には、積極的なトップセールスもされているようで、また、先行者利益というものは大変大きいということも理解しておりますので、またさらに努力をお願いしたいというふうに思います。

 国際競争力に資するICT戦略の政策判断ということについてお尋ねをしたいと思います。

 ICT戦略といいましても、これからの4K、8Kテレビ、ハイブリッドキャスト、あるいはG空間情報、ビッグデータの活用、さらにはスマートタウン、そして防災システムの構築、放送コンテンツの流通などなど、広範な分野があります。これをどのように選択して、優先順位をつけて投資をしていくのかということが大変重要であって、これはしっかりとした根拠に基づいて判断をしていく必要があると思います。

 一つ一つの技術の特性、実現性を見据えた政策判断についてどのように考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

新藤国務大臣 このICTは、ただいま申し上げましたように、組み合わせなんですね。技術と技術の組み合わせによって新しいイノベーションを起こそう。したがって、政策の横串が非常に重要です。

 私は、総務省の中で、まず、どうやって総務省の中の横串を刺すか。郵政、テレコムと地方自治、まちづくりとそれから統計だとかデータの管理、これを三本通すことによっていろいろなことができるようになります。したがって、私は、総務省の中にICTの成長戦略会議というものをつくって、まず役人もみんな集めました、それから外部の有識の各分野の方々にお集まりいただいて、その可能性とそれからプライオリティーをそこで議論いただいているわけであります。

 加えて、今御指摘いただきましたICTとG空間を、情報技術を兼ね合わせたらどうなるか。ICT×G空間研究会、こういったものもつくっております。

 さらには、これらを前提にして今年度の予算はそれぞれつけているんですけれども、この先のICTを国際展開するにはどのような戦略が、またコンセプトが必要かということで、ICT国際競争力強化・国際展開に関する懇談会、こういったものを矢継ぎ早に組んで、その中から、今委員が御指摘のように、戦略的に、それから横断的、総合的にICT政策が展開できるように心がけておりますし、またそれを実行してまいりたい、このように考えております。

田所委員 ただいまのお話の中にもありましたように大きな可能性のあるG空間のプロジェクトにつきまして、聞いていきたいと思います。

 地理空間情報の高度利用ということであります。二〇一八年ごろまでに準天頂衛星を四基打ち上げる、非常に精度の高い位置情報に基づくG空間を利用したICT社会づくりということでございます。

 折しも二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになっておりまして、この利活用が我が国の先進技術を向上させるために大変大きな意味があるというふうに思っております。これは、自動車の自動制御交通システムから、福祉の向上、物流における配送の最適化、観光や商業の振興にも活用できる、あるいは防災システム、さまざまな面で非常に有用なものであります。

 そういう中で、行政だけで進めたのではなかなかしっかりとした対応ができないだろう、産学官の連携協力というものが必要であると思いますけれども、G空間プロジェクトにつきまして、詳細なところを御説明いただきたいというふうに思います。

新藤国務大臣 これはまさに、私は世界を変える新しい技術の一つだということで注目をしております。かつて、ネイチャーという有名な科学雑誌の中で、これからの世界を変える三大科学技術、これはナノテクとバイオとG空間である、こういうことが言われて久しいわけであります。

 御紹介いただきましたように、準天頂衛星という日本独自のGPSの衛星を補完する衛星を打ち上げて、それによって、今、約三十メートルから五十メートルぐらいの誤差がGPSにはあるんですけれども、これを、我が国が信号を補強することによって、センチメートル単位で地球上の緯度、経度、高さ、時間、これが正確に把握できるんですね。この衛星からの測位情報と、それから、この日本の国土を、海も含めて地形を電子データ化する、これによって、兼ね合わせることによって物体の移動の管理もできるし、物がどこにあるのかも確認できるし、それから、どう移動したかも把握することができる。また逆に、指示を出せばそれに沿って管理することができる、こういうふうになるわけであります。

 もとよりこのG空間の仕事は産官学の合体で進んでおります。政府においては私どもで今音頭をとっておりますが、これは我々が所管しているのではありません。まさに全ての分野にわたりますので、これは内閣府全体でこういったことを見ていただいているわけであります。

 私どもは、その中で、実証として、まず防災に活用できないか。GPS波浪計を活用することによって、詳細な津波の到達予測と津波による被害予測、また、そこにいらっしゃる方々の正確な避難誘導ができる、こういうことをやろうと思っておりますし、この間の震災のときの残念なことで、情報手段が途切れた場合に、電話局が、要するにブラックアウトして電源が喪失されれば何も、電話も通じなくなってしまう。電話局が壊れたときにも衛星からのやりとりで自分の安否が確認できないか、こういうようなことを、理論的には可能なので実証しようと思っています。これがG空間の防災システムです。

 それから、G空間のデータセンターというものをとって、地形情報だとか道路の更新だとかいろいろなものはどんどんと、生きているデータですから、今でも東北の被災地では新しいまちづくりがどんどん進んで、道路や橋や家が建てられています。そういうデータを国がきちんと一元管理できるようにする中で、その電子データをもとに、このG空間情報を使って物体管理をしようじゃないか、こんなようなことを実証実験しよう。これは既にもう予算を今回上げさせていただいておりますから、夢の物語だったんですが、いよいよもって実証段階にまで来ている、こういうことでございます。

田所委員 時間も参りましたので、最後に一つだけ申し上げまして終わりたいと思います。電波の利用料についてでございます。

 電波法の中で徴収方法から使途まで詳細に定められているわけでありますけれども、これはマンション管理組合のようなものだと言われているわけであります。そういう中で、無線局全体の利益のためにだけ使うというのでは、これは国民のために徴収していないのと同じだというふうに私は思います。電波という財産を独占的に使用させて、そして行うものでありますから、しっかりとした、その受益に見合った負担をしてもらう必要があるというふうに考えております。

 あしたから何兆円も徴収せよとは申しませんけれども、改革の一歩として、積極的に技術開発等に活用をして、しっかりとした、国民の利益に資するような、そういうあり方にしてもらいたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。

 限られた時間でありますから、即中身に入りたいと思います。

 通告しております順番をひっくり返そうと思っております。多分、時間がタイムアウトすると思いますから、重要な問題から先にやりたいと思います。

 一つは、昨年この委員会で全会一致で成立いたしました消防団の支援法、通称そう言われておりますけれども、消防団を中核とする地域防災の強化のための法律ができたわけであります。

 実は、我が党公明党は全国に三千名の議員がおりますけれども、三千名の議員の中で消防団に属しておる議員が随分おります。これが我が党の大きな力だ、こう思っているわけであります。

 実は、この法律、自民党の先生方もチームを組んでずっと取り組んでいただいた、そこに我々も乗せていただいたわけでありますが、結果として大変喜ばれております。

 御案内のとおり、消防団員、昔は百万を超える数がありましたけれども、平成の時代になりまして百万を切りまして、今は八十七万、この十年で七万人も減っている、こういう状況がある中で今回のこの法律は大きな役割を果たしてくれる、このように信じているわけであります。

 そこで、きょうは処遇改善、あの法律の中で処遇改善についても規定をしたわけでありますが、全国の消防団員の処遇について、今、この三月、二月の地方議会の状況を見ても随分進んでいるような感じを持っております。消防庁として、消防団員の処遇の改善について、全国どのように進んでいるのか、地方財政措置の内容も含めて、長官にまず御説明をいただきたいと思います。

大石政府参考人 昨年十二月に成立しました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律におきましては、消防団の処遇改善を図るために国、地方団体は適切な報酬、出動手当が支給されるよう必要な措置を講ずるもの、こうされているところであります。

 消防団員の報酬と出動手当は市町村の条例で定められておりまして、交付税措置が講じられております。報酬につきましては年三万六千五百円、出動手当は一回当たり七千円の交付税措置でございますけれども、残念ながら、多くの団体で支給実績が交付税措置額を下回っている状況でございます。

 このたびの法律の成立を受けまして、ぜひ単価の低い市町村につきましては交付税措置額を踏まえた引き上げをしていただきたいとこれまで要請をしてきたところでありまして、この結果、先ほど委員からも御指摘ございましたように、相当数の市町村で報酬、手当の単価の引き上げを行うという報告を受けております。

 本日四月一日現在の具体的な状況をこれから把握することにしておりますけれども、さらに、交付税措置を下回っている市町村につきましては、引き続き、単価の引き上げを要請して、消防団員の処遇改善が図られるように積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。

桝屋委員 私がちょっと悩んでおりますのは、大臣、今交付税措置されている三万六千五百円、これは月額ではなくて年額の報酬であります。出動手当が七千円。さらに退職報償金を改善していただくという方向も聞いておりますけれども、消防団はボランティアでやっている地域も伝統的にあるわけであります。したがって、交付税は措置されているけれども報酬を出さない、いわゆる無報酬で、まさにボランティア精神で取り組んでいただいている市町村もある。それが、全国で三十あるいは二十九ぐらいある。数は少ない。千七百十九のうちそのぐらいの数でありますから、例外的な状況に今なっておりますが、中には、名古屋あるいは大阪市のような大都市でもゼロということで、多分、今日までの経緯があるんだろうと思いますが、全国の状況を見ますと、中には、年額報酬で三十万とかあるいは六十万という、月額報酬が見えるような額になっているところもあるわけであります。

 そういう意味では、さすがにボランティアというか、交付税措置されている以上、消防団員の皆さんの処遇を向上して人員を確保するという観点からも、ゼロのところについてそろそろ見直しを現場でしていただく。先ほど長官から要請ということがありましたが、大臣、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。結果的に、全国、交付税措置されているものについては何とかなるような状況にならないものか、こう思っているわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは、私も委員と同じ思いがございます。

 やはり、消防団は、みずからの地域はみずから守る、愛郷心と公共心に基づいたとうとい活動をしていただいている、このように思いますし、日本ならではの美徳でもある、このように思います。

 しかし、ボランティアというのが、これはそのほかのNGOとかNPOも同じなんですけれども、無償の奉仕と直接的に余りにも解釈し過ぎではないか。ボランティアという慈善活動はあるが、それを持続可能なものにするためにはやはり活動の対価がなければ続けていけないわけでありまして、利益を得るとか利益を追求するのではないところに奉仕という活動があると私は思っているんです。ですから、少なくとも、交付税で処遇をしたそういったものについては適切な対処をしてもらいたい、条例化してもらいたい、これを総務省は再三にわたって要請しているわけであります。

 特に、今御指摘いただきました無報酬の市町村は、今全国で二十七市町村ございます。その二十七のうち、二十六年度において二十一団体、それから二十七年度から六団体が報酬を支給もしくは支給の方向性で現在検討いただいております。ですから、少なくとも無報酬という状態は改善されるのではないか。このように我々も強力に要請しているところでございます。

桝屋委員 今大臣から、無報酬という地域は解消するという方向性をお示しいただきました。これはあくまでも自治体が御判断をなさることでありますから、二月、三月の議会あるいは六月の議会を含めて、我が党としてもこれは取り組んでまいりたい。東日本大震災でも三百名近い消防団員のとうとい命が失われたということもあり、即応体制の地域防災力ということが改めて今問われている中にあって、いい機会ではないかというふうに思っている次第であります。そうした結果についても、やはり情報を公開していただいて、開示していただいて、取り組みを進めたいと思っている次第であります。

 なお、消防団の機材の整備についても、地方財政措置が私は大きく前進するというふうに理解をしておりますが、そうした内容、あるいは二十六年度の、例の地方公務員の給与を下げて緊急防災・減災事業に取り組んでまいりましたが、これも引き続きやる、このように大臣もおっしゃっておられますが、消防団の機材整備など、どういうふうに市町村として、各自治体として取り組みが可能なのか、その辺のツールの御説明を、これは長官かな。

大石政府参考人 成立しました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律におきましても、消防団の装備の改善が図られるように必要な措置を講ずるもの、こううたわれているところでございまして、これを受けまして、二月七日付で消防団の装備の基準を大幅に改正いたしました。トランシーバー等の情報通信機器、それからライフジャケット等の安全装備、チェーンソー等の救助活動用資機材、この充実強化を図ることとしたところでございます。

 これに対応して、平成二十六年度の消防団装備に係る地方交付税措置を、標準団体、人口十万でございますが、標準団体当たりで今まで一千万円だったところを一千六百万円に大幅に増加させたところでございます。

 また、消防団の車両や拠点施設の整備は先ほどお話のございました緊急防災・減災事業債が充当されますが、これが平成二十六年度においても拡充されて継続されることになりました。

 これを活用して、消防団の装備、機材全般の整備が積極的に図られるよう市町村に働きかけているところでありまして、そういう取り組みが予算上なされていると承知しております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 やはり時間がなくなりましたので順番を変えてよかったなと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、我が党三千名の議員の中に消防団員もたくさんおりまして、地域防災力の強化ということについては我が党としてもしっかり来年度取り組んでまいりたいと思っております。

 最後に一点だけ、小規模医療福祉施設のスプリンクラー整備などについて確認をしたいのでありますが、もう時間がありません、一点だけ。

 例の、昨年、有床診療所火災で痛ましい事故が福岡でありました。そこで、検討会を立ち上げて御検討いただいているというふうに思っております。もちろん、二十五年度の補正予算で、厚生労働省の予算で百一億積みまして、まだ消防法令の見直しがない中を、この整備について特段の取り組みをされているようでありますが、消防法令の見直しについてはどんな状況であるのか、検討会の動向を長官にちょっと御報告いただいて、終わりたいと思います。

大石政府参考人 昨年十月の有床診療所火災におきましては十名の方が亡くなるということでございまして、これを受けまして、有床診療所・病院火災対策検討部会を厚生労働省、医療関係者の参画も得て設置をして、現在対策を検討しております。

 この火災の大きな原因は、防火戸が作動しなかった、ここにあると考えられておりまして、この設置、管理の確認については建築部局が行うことになっておるわけでありますけれども、消防機関における査察においては、障害物があるからそれを除去しろという程度のことしか行われていませんでした。

 そこで、消防庁におきましては、消防法、建築基準法、医療法に基づく防火対策の履行状況を消防庁のサーバーに入力させて、消防庁、国交省、厚生労働省が共有できるシステムを本日から運用させることにしました。

 これによって、消防、建築、医療部局が連携して、システムの入力状況を随時確認して、違反施設を早期に把握して是正させる仕組みができたわけであります。これを有効に活用していこうと思っております。

 それから、この検討部会でスプリンクラーの設置基準についても議論が行われております。私どもとしましては、社会福祉施設と同様に、自力避難困難な方がいらっしゃる施設については、やはりスプリンクラーの義務づけが必要であろうという考え方をお示ししております。これにつきましては、医療関係者の方々からも、小規模医療施設、診療所の実態を踏まえた対応をお願いしたい、こういう御意見もいただいております。速やかに結論を得ながら、スプリンクラー設置の方向性についてさらに議論を深めてまいりたいと思っております。

桝屋委員 大臣、大臣のICTに対する深い思いというのを何度も私は聞かせていただいておりますが、同じぐらい熱い思いでこの分野もぜひ御検討いただきたい。

新藤国務大臣 これは今長官から、もう少し時間があればきちんと説明させたんですけれども、まさに消防の分野でも、今の御指摘のところはICTなんです。

 今度のものは、全国統一で、かつ、国交省と厚労省と総務省、病院関係者と建築のチェックをする人たちと、それから消防の人たちが共有でつくるフォーマットをつくらせたんです。それで、例えば、ドアがあるのは確認したけれども、動くかどうかは誰も見ていなかった。だから、実際にはあんな事故が起きたんです。ですから、こんなことのないようにというので、統一のフォーマットで、点検期限が過ぎると自動的にアラートが出るようになっているんです。

 それから、各自治体、消防で管理して、各建築基準部局で管理してもらうんですけれども、消防庁のサーバーに全部入っているんです。ですから、我々は理論的に、全国の有床診療所を瞬時に全て把握できるんです。そういう仕組みをICTでやりました。これだけの仕組みを新しく全国展開させるのにかかった費用が一千万でございます。

 ですから、テクノロジーを使うというのはそういうことなんです。こういうもので皆さんの暮らしの安心を守っていきたい、こういうことでやらせていただいております。

桝屋委員 思わず大臣のエンジンが入ってしまいました。もっと議論したかったのでありますが、また時間があるときにやりたいと思います。大臣の思いを理解させていただきました。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。民主党の原口一博でございます。

 きょうは、きのうまで年金業務監視委員会の委員長であられました郷原先生にもお越しいただきました。本当にありがとうございます。

 きょうから消費税が増税されるわけですが、民自公の三党協議で、私たちはやはり必要なことから逃げない。民主党はこのことによってまさに大きく議席を減らすということにもなりました。しかし、政権を担うということは、さまざまな批判があって、あるいはさまざまな困難があってもその決断から逃げないことだというふうに考えています。

 この年金業務については、これからお話をいたしますが、やはり国民目線で、行政不服審査法が閣議決定されましたから私たちはこの後この委員会でも質疑をする予定ですけれども、どういうふうに言っているかというと、自民党さんの関心のある方々には、これは自民党さんが出された二十年法案とほとんど変わりませんよと言うわけです、役人が。私たちには、原口さん、あなたが大臣として道筋をつけてもらったものそのままですよと言うわけです。二十年法案そのままと私が道筋をつけたものと、こんなに違うわけです。だから、ここで議論をしたいのは、同じ立法府に籍を持つ政治家同士として何が必要なのか。

 消えた年金の問題というのは、本来であれば、政権が投げ出したり、総理が一々そのことについて言及するようなことでは本当はなかったんです。事務的な手続をしっかりやっていれば、これだけ、五千万件もの人たちが泣き寝入りをすることはなかった。それをもう二度と泣き寝入りをさせないようにするというのが私たちが目指したことで、年金業務監視委員会というのは、何も私たちが立ち上げただけじゃなくて、下野する前の自公政権の中でもあったわけです。ところが、それが、四年の政令期限がきのうで来て、そして、きょうからは委員長は元委員長としてここでお話をされる。私は、このことについては、やはり再考してほしいと強く願うものであります。

 以下、そのことの検証をしていきたいと思います。

 年金や時効については少し難しいので、資料を配付させていただきました。

 二ページをごらんになってください。これが、東日本大震災に係る行方不明者についての数です。

 まず、郷原先生にお伺いをしたいと思うんですが、年金業務監視委員会の委員長として数々の実績を残してくださいました。心から感謝申し上げたいと思います。

 先ほど大臣にも申し上げましたが、郷原先生は、民主党政権だからといっても、全く手かげんをされませんでした。自民党の皆さんにもぜひ聞いていただきたいのは、自民党長崎県連事件を手がけられた特捜の検事だからとか、そういう色目で見ないでほしいんです。民主党に甘いなんて、これっぽっちもありませんでした。むしろ、政権あるいはそのときの大臣が首を差し出さなければいけないぐらいの厳しさで、チェックをしてくださったわけです。

 そこで、郷原先生に伺いたいと思います。この委員会を八条委員会として設置した意義、そしてこれまでの主な実績について、郷原先生に伺いたいと思います。

郷原参考人 郷原でございます。よろしくお願いいたします。

 我々年金業務監視委員会が設置された趣旨につきましては、一連の年金に関する不祥事などで失われた年金業務、年金行政に対する信頼を回復するために、国民の視点、年金受給者の視点から年金業務を監視するという趣旨だと承知しておりました。

 そういう観点から、私は二つのことを心がけてまいりました。一つは、とにかくオープンな場で、国民にわかりやすい形で議論をしていくことです。プライバシー等に配慮する必要がある場合を除いて全て議論は公開し、そういう場で審議を行ってまいりました。そして、もう一つは、厚労省とか年金機構の側からの報告を聞いて、それを追認するとか、それについての所見を述べるというだけではなくて、外部から、むしろ国民の側から寄せられた意見に対して耳を傾け、問題があると考えたときにはそれを積極的に取り上げて調査し、審議していくということを心がけました。

 そういう観点からさまざまな案件を取り上げてまいりましたが、振り返ってみますと、大きな案件としては、最後に取り上げました問題も含めて三件あると考えております。

 まず一つは、二〇一一年、これは片山総務大臣の時代、厚労大臣は細川大臣でございました、いわゆる運用三号問題、主婦年金問題です。

 年金については、三号被保険者といいまして、サラリーマンの専業主婦については、保険料を払うことなく年金の受給資格が認められるという制度があります。それが、夫が脱サラをして一号被保険者になっているのに、奥さんだけが三号被保険者のまま記録されているという問題がありまして、そのまま自分は将来年金がもらえるように思っていたところ、実際に裁定請求してみると、全く年金がもらえないということがわかるというような事例が相次いで、それに対して、厚労省の方で、課長通知で、そういう三号被保険者と誤って年金記録に記載されている人たちを救済するという措置をとったわけです。

 それ自体は、救済は確かに必要なんですが、それによって、真面目に保険料を払ってこられた方との不公平、そして、課長通知が発せられる前に裁定請求をして権利がないとされてしまった人たちとの不公平が大変な問題になりました。

 この問題は、我々年金業務監視委員会が、ある社会保険労務士の方の指摘を受けて調査を開始したものです。

 その後、これは国会でも取り上げられました。我々も総務大臣に対する意見を申し述べ、最終的には立法措置によって救済が図られました。

 それからもう一点は、昨年の春に最終的に決着しました時効特例給付の問題です。これは、現在の新藤総務大臣の時代、そして田村厚労大臣の時代です。

 この問題と申しますのは、もともと、消えた年金などの問題で年金記録に膨大な誤りがあることがわかって、年金記録の訂正が非常に多くの件数行われたわけですが、昔の年金について記録が訂正されても、時効にかかってしまっていて、もう権利がないということになってしまうと救済ができないということで、これは第一次安倍政権の時代に、ここで何とかして救済しないといけないということで、極めて短期間に、こういう場合には時効を適用しない、年金記録の訂正があったときには時効の適用を除外するという立法が行われたということです。

 ところが、余りに短期間でこのような立法が行われたものですから、基準が明確ではない、法律の文言からは年金の訂正というのがどういうことなのかがはっきりしないということで現場が混乱をしていて、その時効特例法の給付に関して現場でさまざまな不統一、不公平が生じていたという問題、これを我々は、現職の年金機構の職員からの私、委員長宛ての内部告発によって把握いたしまして、問題を指摘しました。

 当初は、問題はないというふうに言っておりましたが、最終的には、我々の強い要請で調査委員会が設置されて調査が行われた結果、相当な数の運用の誤り、不公平、不統一が明らかになりました。

 こういった問題に加えて、このたび最終段階で総務大臣に意見書を提出しました、失踪宣告者の消滅時効に関する問題、これを含めてこの三つの問題というのが、我々、四年間の年金業務監視委員会の活動の中で大きな案件と考えております。

原口委員 そこで、総務省に伺いますが、政令できょうからなくなるわけですけれども、この年金業務監視委員会の年間の予算と決算は幾らですか。

渡会政府参考人 四年間の予算額と執行額。予算額は、四年間とも五百万強でございます。執行額は、二十二年度三百六十万、二十三年度百二十九万、二十四年度六十九万、二十五年度九十五万ということになっております。

 以上でございます。

原口委員 今お話しいただいたように、さっき大臣が、一千万でICTで大変大きな効果が出たとおっしゃいましたけれども、まさに、これだけの方々が日夜頑張っていただいて、行政の外側から国民の側の目線でやってくださった。これはお金の多寡ではないですけれども、普通、弁護士をお願いしてもこんな額ではできない。本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 そして、なぜこういうものが必要かというと、行政の内部からはなかなか出てきにくいことだからであります。行政の内部だけで見てみると、やはりみずからの権限を拡大したり、あるいは天下りを含め、縄張りを拡大したりといったことになる。

 この後少し触れますが、例えば、これは私たちの政権時代でした、平成二十二年ですか、国所管の財団法人において、無報酬としている役員に対して、報酬以外の名目により対価を支払っている、いわゆる天下りの公益法人を私たちは調査し、それを是正させました。きょう役所から来ていただいていると思いますが、それがどういうものであったのか。そして、今回、財団法人年金シニアプラン総合研究機構というもの、現公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構、そこにも同じようなことがありました。事実関係について政府の方の答弁を伺います。

高野政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十二年の夏でございますが、御指摘のような国所管の財団法人において、無報酬としている役員に対して、報酬以外の名目により対価を支払っているという事例が明らかになりました。当時の担当大臣の指示のもと、内閣府において調査を行ったという事実がございます。

 調査対象法人は、以下、申し上げます三つの要件のうちのいずれかに該当する法人ということでございます。

 平成二十一年十二月一日現在、国家公務員出身者が常勤役職員に在籍する法人、平成二十年度において国または独立行政法人から合計一千万円以上の支出を受けた法人、平成二十二年四月一日現在、行政から権限付与があった法人、以上三つの要件のうちのいずれかに該当する各府省所管の法人ということで、約三千の特例民法法人が対象となりました。

 調査項目でございますけれども、定款等により無報酬とされている役員のうち、謝金その他名目のいかんを問わず、平成二十一年度に法人から、実費弁償を除き年間二百万円以上の支払いを受けている者の状況についてということで、直接の調査は旧主務官庁に対して行ったものでございます。

 その結果でございますけれども、御指摘の、当時の名称で申し上げますと財団法人年金シニアプラン総合研究機構につきましては、非常勤の理事長が年間約四百万円の支払いを受けているということがその時点で明らかになりました。

 調査結果を踏まえまして、内閣府は、無報酬の役員に対しまして年間二百万円以上の支払いが行われていた法人を所管する旧主務官庁に対しまして、以下の要請を行っております。

 各法人の定款等において無報酬としている役員については、実費弁償のみとし、それ以外のいかなる名目による支払いも厳に慎まれたいこと、それから、役員に対価を支払う必要がある場合には、定款または寄附行為においてその根拠規定を整備し、適切に支給すること、そういったことについて各法人を指導監督するよう要請をいたしました。

 また、その際、特に、国家公務員出身の役員が支払いを受けていた事例につきましては、役員への報酬を意図的に隠しているのではないかといった国民の不信感を招きかねないことから、厳格な見直しを行うことについて各法人に要請するよう旧主務官庁に依頼をしております。

 また、各法人における見直しの結果につきましては、各大臣におきまして御確認をいただくよう各府省にお願いをいたしております。

 以上でございます。

原口委員 皆さん、お聞きになったとおりです。ちょっと目を離すと天下りが生まれ、そして、さっきの年金業務監視委員会に国税をお支払いするその何倍もの、一人で一千万、一千二百万の非常勤報酬を取っていた例もあったんじゃないんですか。だから、行政を行政の中だけでチェックするというのがいかに難しいかということの例だと思うんです。一人一人の国家公務員は、志も高く、大変立派な仕事、能力も高いです。しかし、全体として見ると、みずからの無謬性をみずから正すというのが最も不得意な組織が、この官僚機構であると言わざるを得ません。

 そこで、先ほどの被災地の件に、少し郷原先生と議論を戻していきたいと思います。さっきの時効特例ですね。

 皆さんのお手元にお配りをしている、これは郷原先生が我が部門会議で配っていただいた、死亡一時金、四をごらんになってください。四と五ですね。通常、失踪宣告というのはどのような場合に行われ、その時効はどうなっているのか。

 そして、今回、大震災に伴う行方不明の方、先ほど二の資料でお示しをしました。その中の多くの家族の方は、今も生きていてほしい、どこかで生きていてくれるはずだという願いの中で日々を送ってこられたんだと思います。その方々に対して、では、厚生労働省、日本年金機構がどのようなことをしてきたか。これを考えるととても看過できないと思って、きょう質問に立っておるわけでございます。

 そこで、郷原先生に伺います。年金、失踪者の場合がどうなっていて、年金の時効特例を、私たち、いわゆる前の前の政権のときに議員立法でつくりました。そのことによって何が起きているのか。大変制度が複雑ですので、大変恐縮ですが、簡単な言葉で御説明いただければと思います。

郷原参考人 先ほど申し上げました三番目の案件ということになります。失踪宣告と消滅時効の関係です。

 失踪宣告と申しますのは、生死不明七年の人について、家族などの利害関係人の請求、申し立てがあると、家庭裁判所が調査をして、失踪宣告を出し、それによってその人が死亡したとみなされる制度です。一方、年金の被保険者が死亡した場合には、受給が始まっている場合には扶養されていた人に遺族年金が支払われ、そうでない場合に死亡一時金が支払われるというのが普通です。

 問題になりましたのは、失踪宣告を受けた人について、死亡一時金の時効が一体どこから進行するのかということです。

 本来、失踪宣告というのは、生死不明の状態ですから、別に人が死んでいるかどうかわからないんですけれども、それを、家族などの意思があって申し立てが行われ、そして、家庭裁判所の調査の上、審判で失踪宣告が出たときに初めて人の死とみなす制度です。ですから、常識的に考えますと、その時点、人の死が現実化した段階から消滅時効が進行する、死亡一時金の場合は二年です、ということになるのがまさに当たり前の解釈だと思うんですが、実は、我々年金業務監視委員会の方に、そうではない扱いが行われたということで問題の指摘があったものです。

 ある人が、一家の大黒柱が突然いなくなってしまって、それから八年目に失踪宣告の申し立てをして、九年半後に失踪宣告が確定した、それから年金事務所に行ったところ、死亡一時金がもらえますからぜひ請求してくださいと言われて請求したところ、もう時効消滅していると言われた、これは一体どういうことかということで審査請求までされているようなんですが、そもそも、その時効の考え方がおかしいのではないかということで、我々いろいろ調査をしたわけです。

 そうしましたところ、もともと、審判確定のときから消滅時効が進行するというような解釈になっていたところを、三年ほど前に、いわゆる所在不明高齢者問題というのが重大な社会問題になりました。多くの所在不明の御老人がいまだに老齢年金をもらい続けている、家族にそういうお金が渡っているということが問題になったことがありました。

 このときに、厚生労働省や年金機構が、こういう問題を解決するための方法として失踪宣告を勧奨しました。失踪宣告によって早く権利関係にけりをつけてしまいたいと思ったんでしょうが、もしこれで失踪宣告が出ると、死亡とみなされるのは所在不明七年の時点ですから、所在不明七年の時点にさかのぼって遺族年金が出ることになってしまいます。そうすると、それまでもらっていた老齢年金に加えて、遺族年金が重複支給されることになってしまう。それは、むしろ老齢年金を所在不明なのに払っていたことの方がおかしいんですけれども、その重複支給を免れるために消滅時効の起算点を死亡とみなされた日にさかのぼって進行させることにした、こういう取り扱いが行われていたことがわかったわけです。

 それが一体どういう手続で行われたかというと、厚生労働省から機構への紙切れ一枚です。専門官、補佐クラスの紙切れ一枚です。そのことは国民にも全く周知をされていません。それどころか、年金機構の内部でも余り知られていなかったものですから、窓口の人が、生死不明から九年半たっているのに、ぜひ請求してくださいというようなことを言ったわけです。

 こういう運用にも問題があるだけではなく、明らかに、民法の失踪宣告制度、消滅時効制度の趣旨に反する運用が行われていることについて我々はいろいろ意見を述べてきました。これが失踪宣告と消滅時効に関する問題です。

 それによって不当に死亡一時金の権利が失われた人がいるんじゃないか、それに対する手当てはどうなっているのかというのが、我々が問題にしてきたところです。

原口委員 まだ御答弁の途中ですが、長い御答弁だと、先生、一つ一つの確認をしながら短くやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そこで、きょうは財務省にも来ていただいていますけれども、要するに、なぜ会計法の三十一条の例外を求めたか。もう過去の年金記録を後から見て取り返すことはできない、だから議員立法で時効特例法をつくったわけですが、この原則を無際限に広げていいわけじゃない。会計法三十一条でこのような形にしている、ここは、国の歳入歳出を確定する部分ですから、厳格に運用しなきゃいけないというふうに私は認識をしていますが、財務省の見解を聞きたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお尋ねございました会計法三十一条でございますが、先生のお配りいただいております資料にもありますとおり、国が一方当事者となります公法上の金銭債権の消滅時効につきましては、民法と異なりまして、別段の規定がないときは、時効の援用を要せず、その利益を放棄することができないという旨を定めている、これが原則でございます。

 この趣旨は、公法上の金銭債権に関しまして、国として、会計経理の迅速、画一的処理を図るとともに、法律関係の早期安定を図るということにあると考えてございます。

 また、年金時効特例法につきましては、この会計法三十一条にあります、別段の規定に該当するということで定めをいただいております。それはまさに当時の御議論を踏まえてのものでございまして、この原則及びそれに対して定められたこの法律の趣旨にのっとって、所管省庁におきまして判断がされるものと我々は考えてございます。

原口委員 総務大臣、ですから、今お聞きのように、年金の時効について、勝手に厚労省が、さっき元委員長がおっしゃったように、周知もせずに国民の権利義務について基準が変わる、日本年金機構の中でもそれが徹底されないなんというのは許されない話なんです。その許されないことも、本来、こういう監視委員会をつくっていなければ、ひょっとしたらスルーしたかもわからない。

 私たちも、あの消えた年金記録を国会で取り上げるとき、正直、大臣、逡巡したんですよ。その前に、私たちはメール問題で手ひどい打撃を受けていました。当時の与党の、今の総理だったかどなたか忘れましたけれども、原口一博、長妻昭、うそを言うな、年金記録なんか消えているわけないじゃないかというのが最初の議論だったんです。だけれども、よくよく事実に当たっていくと、五千万件も消えていた。

 これは、本来は行政の中から内部チェックで出てこなきゃいけなかったものが、当時の政権も私たちも半信半疑で、そして、事務的な手続の適正化にあれだけの時間がかかって、五千万件のうち、皆様の御協力で三千万件は解決したけれども、まだ二千万件が未解決なんです。だから、二度とこんなことを起こさないという決意が必要だと思います。

 そこで、ちょっと郷原先生、御答弁の中途になりましたけれども、私が厚労省に伺いたいのは、では、東日本大震災で行方不明となった方々、もうきょうは答弁を省略しますので、二の警察庁の資料をごらんになってください。いまだに二千六百三十三名、きのうの段階でおられます。この方々について死亡一時金はどうなっているのか、遺族年金の申請はどうなっているのか、把握していることを教えてください。

佐藤副大臣 先ほどから原口委員の御質問で、東日本大震災における行方不明者の方についてのことでございますが、まず、どういう枠組みになっているかというのをちょっと説明させてもらいます。

 東日本大震災の直後に、東日本大震災財政援助特例法というのが特別立法で定まりまして、それによって、行方不明となった方の生死が三カ月間わからない場合には、大震災の起こりました平成二十三年三月十一日に死亡したものと推定する、そういうように規定されているわけでございます。その規定に基づいて、震災により行方不明となった者の生死が三カ月間わからない場合には、震災から三カ月以降、死亡一時金の請求が可能となることから、震災から原則二年三カ月で無効となるという形になっております。

 これは、先ほど郷原元委員長が答弁されておりましたが、年金業務監視委員会でもさまざまに御議論いただきまして、その中で、実態はどうなっているのかという御指摘もいただきました。

 実は、この内容については実態がなかなかわからない。要するに、支給漏れがないかどうかということについての確認は、具体的な請求がない段階で、日本年金機構の保有する情報ではなかなか把握できていない、そういう困難な面もございますので、死亡一時金の支給実績について、実態をまずしっかりと確認して、しっかりと調査をしてまいりたい、そのように考えております。

原口委員 調査をするということですけれども、今おっしゃったことは、皆さんのペーパーの一の資料をごらんになってください。さっき郷原先生から御説明くださった、いわゆる一般の行方不明の方と、東日本大震災、今、佐藤副大臣がお話しになった特例がある場合では違うんですね。三カ月間生死がわからない場合に請求が可能となるという法律なんです。

 ところが、三カ月で、御遺族というか行方不明者の御家族からすると、債権がここで確定したというふうに年金機構がみなしたために、これは厚労省が私にきのう出した資料ですけれども、死亡一時金については、今御答弁のとおり二年三カ月で時効となっていて、権利が消滅している。もう三年たちましたから、多くの皆さんは、死亡一時金を受け取る権利そのもの、こういうことがあったということも御存じないままに失われているんじゃないかというのを私は懸念しているわけです。

 あのときのことを思い起こしてください。必死で家族を捜しながら、ある方は見つかった、ある方はいまだに見つからない、今でも生きておられるんじゃないか、その希望の中で生きておられる。行政の末端にも情報が届かなかったんですよ。こういうことを被災地の方が果たしてどこまで御存じでしょうか。

 私は、そういった視点に立っても、たまたま今回、年金業務監視委員会の任期が三月末まであったので、郷原先生初め皆さんが、年金特例の恣意的な運用というか、厚労省からいうと、言葉はあれだけれども、これだけの社会保険庁の不祥事があったにもかかわらず、みずからの法解釈の権限を恣意的に拡大したんじゃないかという疑いを年金業務監視委員会は持ったんじゃないんですか。そして、現実に被災地の皆さんがどうなっているかもわからないままに、この委員会を本当に閉じていいんですか。

 役所を呼んで聞くと、大丈夫です、もう四年たって体質も変わりました、だから厚労省の中にチェック機関を設けますと。では、総務省はどう言うかというと、大丈夫です、優秀な行政評価局があって、行政評価局で不断の点検をしますと。反省していないんじゃないかと言いたいんですよ。

 それは、私もその省を所管していたから、担当でしたから、自分にも返ってくる言葉なんだけれども、ちゃんと見ていたんだったら消えた年金記録なんか出ないじゃないですか。ちゃんと見ていたんだったら、年金業務監視委員会が御指摘されているようなことも、総務省が指摘しておかなきゃいけなかったんじゃないですか。その反省も中途にして、総務省と厚労省で話し合って、もうそろそろ厚労省みずからで頑張りなさい、それで済みますか。

 私はそのことについて猛省を促したいし、これは民主党政権がやったことだから反対のことをやっておけばいいんだというようなことでやられたとはとても思わないけれども、本当に国民の皆さんの年金という大事な権利を守ろうという決意があるのかどうか、それが問われているんだというふうに思います。

 今厚労副大臣から御答弁がありましたが、郷原先生、本当にそれでいいんでしょうか。御答弁をお願いします。

郷原参考人 ただいまの東日本大震災の行方不明者の問題というのは、先ほど申しました失踪宣告と消滅時効の関係の中から、権利が失われている事例があるんじゃないかということで、関連して取り上げたものです。

 確かに、実際にどういう権利関係の方がどういうふうに権利を失っているのかどうかということは確かめてみないとわかりませんけれども、一点御指摘をしたいのは、やはり厚労省、年金機構が、自分たちの身内の論理、内側の考え方だけで、年金の資金は自分たちが与えてやるんだ、請求してくれば適切に判断してやるんだというような考え方のままでは、結局のところ、また将来大きな問題が起きてしまうのではないか。

 生保、損保などの会社でも、昔は請求主義だったわけですけれども、今はそういうことでは許されない。全く不払いがないようにするコンプライアンスが求められているわけです。年金行政もそういう方向に変わっていかないといけないのではないか、そういう観点から我々いろいろ問題を指摘してきましたが、必ずしもまだそれが十分に実現できているとは私自身思っておりません。

 以上です。

原口委員 きょうは、総務委員長を初め与野党の委員の皆さんの御理解をいただいて、例外的に、民間の方でありますけれども参考人として来ていただきました。国会の民間人の参考人招致は極めて慎重であるべきだと思います。しかし、年金業務監視委員会のことについては、このまま国会が何も聞くことなく、次のステージに進めないというのが私の危機感でございました。

 総務大臣、私はきのう僣越ながら官房長官にも直接電話をさせていただきました。菅官房長官が総務大臣のときにも、こういう仕組みが必要だということで立ち上げたお一人であったからであります。総務大臣にもお願いをしました。今やりとりを聞かれていて、どうですか。政令なんですよ、年金業務監視委員会。今のままの委員会をそのまま置いてくださいとは言いません。しかし、八条委員会をこれからも置き続ける必要があるんじゃないですか。大臣の御見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、年金業務監視委員会、郷原委員長のもとで極めて精力的に、また使命感を持って活動いただいたことを私も感謝しております。そして、それを立ち上げたときは原口大臣が主宰で懇談を始めたわけでありますから、そういったものにも敬意を表したい、このように思うんです。

 そして、大切なことは、今まで必要としていた監督、チェック、こういったものをいかに担保していくかということが重要だということであります。

 今回、郷原先生が、まさに社会正義を追求する法律家、面目躍如でございますが、年金業務監視委員会を閉じるに当たって、最後の日に「意見」を出していただきました。まさに、ここにある「意見」の内容、これを政府においてきちんと受けとめて対策を打っていくことが重要だということだと思います。

 八条委員会としての設置ということであります。これは政令で設置いたしました。

 今回私ども政府の中で話をしたのは、まず、業務監視委員会が、期間を定めた特別かつ異例の取り組みの一環という枠の中でこれまで来ました。その期間が終了するに当たってどうするか、これは政府の中で話し合いを行ったわけであります。必要なものは担保していきましょうと。

 それは本来、これは業務監視も含めて、年金業務を所管する厚労省の中でこういったことがきちんとできれば、こんな特別な、異例な措置はとらなかったのではないかと思うんですね。しかし、消えた年金問題を端緒としてそういった信頼が失われた状態で総務省の方にお話をいただきました。でも、これは本来は、厚労省の中で年金業務の一環として、こういう外部の方からのチェックも含めてやっていかなくてはいけない問題であります。

 私どもが整理したのは、今回、同じく八条委員会で設けられている厚労省の社会保障審議会、この中の部会、これは実質八条委員会と同じ性格を有しています、ですから、そこのもとできちんと仕事をしていただこうではないか。その内容は、この郷原委員会によって出していただいた「意見」のものをきちんと把握しながらやっていただく必要がある。

 私どもは、行政評価・監視機能というのは、不断の機能を行っているわけでありますけれども、こういった中で、とりわけ、私どもがそもそも自分の役所で持っていた仕事でありますから、こういったものも配意しながらこれに取り組んでいくべきではないか、このように思うんです。

 委員が先ほど言っていただいた消えた年金問題は、これはまさに長年の懸案でした。今思い起こすと、第一次安倍内閣のときに、これを表に出そうと決断したのも安倍内閣です。当時の安倍総理の心情をおもんぱかるに、このことで何と非難を受けようが、自分のときに起きたことではないですから、でもどこかで出さなきゃいけないんだ、これが戦後体制の転換の一環であると考えたと私は思っています。そして、見るも無残に打ち砕かれましたけれども、でも、きちんと出したことによって、その次の政権がそれをいろいろ整理していただいた。

 あれは、まずその事実を表に出さなければ、請求主義から来る長年の課題だったんです。こういったものを解決するために、これは委員が最初におっしゃいました、政党であるとかどこの政権だとかは関係ありません。日本の政府として日本の国民のためにやるべきことを非難を受けようがやるべきだ、そういう中で今、今日があるんだ、今後もその姿勢は変えずにやっていくべきだ、このように考えております。

原口委員 一定の前向きの答弁をいただいたというふうに理解をする一方で、やはり考え方が少し違うなと思います。

 それは、安倍政権も最初は、そんなものはないと言っていたんですよ。私も名指しで、安倍総理ではないですよ、うそつきと言われましたよ。だけれども、それも、さっき郷原先生がおっしゃったように、内部告発があって、それから、そのことをこじあけるだけの専門家の第三者がいらしたからやれたんです。

 これから行政不服審査法をつくる上で、私は、今回の年金業務監視委員会のように、第三者性をいかに担保するかというところが鍵だと思うんです。

 厚労省がその中の八条委員会を幾らつくろうが、今回も、郷原先生が先週私たちの部門会議に来られてお話をされていたところと、きょう皆さんのお手元のこの「意見」なるものと見比べてみると、ちょっとどうしてなのかわかりませんが、大分丸まった報告になっている、私はそういう印象を持っています。それが何でなのかはわかりません。第三者性が途切れたところで何かの意見があったからこうなったのか、そこはわかりません。

 しかし、いかに第三者性を確保して、そして組織の一つ外側から、中から正すのは当たり前じゃないですか。厚労省がそういうものをつくるというのは当たり前です。だけれども、その外側の役所にちゃんとしたインスペクションの機能を持っておく。

 特に年金については、今こうやってお話をする中でも、できるだけわかりやすくお話をしているつもりです。テレビをごらんになっている被災地の皆さんも、ああ、そういうことか、自分の年金一時金も請求の期限が来ているんじゃないかということに気づいていただくように話をしているけれども、この短い時間で内容を国民の皆さんが知ってくださるには余りにも複雑なんです。そして、政治家が一個一個のことを、こんなことをチェックしている時間もあるいはその能力も、やはり限度があると思っているんですね。

 だから、年金業務監視委員会のようなものは特別につくって、異例ではなくて、これから特定のものについては常置するというのが私たちは必要なんじゃないかと思ってつくってきたわけです。

 ですから、今、一定以上の歩み寄りはできたと思いますが、さらに政府内で検討をしていただいて、今のままだったら、民主党政権がやったからなくしたんだと言われますよ。それは大臣の本意ではないと思います。私たちも皆さんがやられたことのいいことは引き継いだつもりです。このことはぜひ引き継いでいただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 さて、郷原先生に、この質問の最後のところで、さっきの私の、やはりやわらかくなったような気がするんですね。ですから、その理由は何なのか。あるいは、今申し上げましたように、半世紀ぶりの行政不服審査法の改正を私たちは目指しています。これは大改正です。多くの国会議員の皆さんにも御関心を持っていただきたい。日本の行政制度を変えていく大きな大きな改正になると思います。そういう意味でも、私も力が入っています。行政の無謬性という弊害を改善する上でも大事な法改正について、年金業務監視委員会の委員長として、あるべき行政のチェックの姿、今後、行政不服審査法を含めたあるべき姿について、先生に御意見を伺いたいと思います。

郷原参考人 意見書の取りまとめの経過なんですが、先週の金曜日、二十八日に最終の委員会を開きまして、その公開で開いた委員会の後に、委員だけの懇談の場でおおむね意見書の内容は確認をして固めました。そういう意見書として予定している内容については、その後の記者会見の場でも私の方から内容を明らかにしたんですが、その後、最終的に意見書を文書として取りまとめ、各委員の意見を聞く過程でいろいろな意見が出まして、当初予定していた事項をその中から削除した点が幾つかあります。

 主な点としましては、一つは、我々、先ほど申しましたように、失踪宣告と消滅時効の関係について厚労省の解釈には疑問がある、問題があるのではないかというところから出発しましたので、そこはしっかり書いておきたいというところがおおむね委員全員の合意だったんですが、そこは書くべきではないのではないかという意見があったということで、そこは落としました。

 それから、先ほどの東日本大震災の件も含めて、我々としては、まだ最終段階で、本来はもっとやらなければいけないことがあったという認識でした。そういう点について、厚労省から報告すら受けられない形で委員会が終了することに対して非常に残念だというような点だけは述べておこうということも話し合ったんですが、そこも削除すべきだという意見があって、削除しました。

 そういった経過と、その後、いろいろ、委員のそれぞれの属性、立場等を確認してみましたところ、ちょっと不正確な点がありましたので、意見書の内容をこのような内容で固めると同時に、肩書は正確に記載しておく必要があるだろうということで、委員名簿の一部の記載を加えました。そこが、委員の名簿の二番目に書いている、先ほども話題に出ておりました年金シニアプラン研究機構の常勤職で働いておられる委員がいたというところ。全く私は存じ上げませんでしたので。

 それが別に、議論にどういう影響があったのかということは全くわかりません。ただ、そういったことは一応属性として示しておくことが必要だと思います。これは第三者的な監視委員会のあり方として今後の参考にもなると思いましたので、そこは明示することにいたしました。

 最後に、行政不服審査法との関係ですが、私は、行政不服審査というものは非常に重要な制度だと思いますし、その充実が図られることは非常に有意義なことと思い、期待しております。ただ、そもそもその権利すら知らない人にとっては、審査の申し立てようがありません。そういう意味で、その権利行使について国民にどういうふうに周知するのかということもあわせて十分に検討していただければと考えております。

 以上です。

原口委員 ありがとうございます。

 お手元の資料に、今、郷原先生がおっしゃった年金業務監視委員会の名簿が掲載されています。このいずれもが私がお願いした方で、高潔な、日本の行政そのものをチェックできる、本当に希有な皆さんだと思います。しかし一方で、やはり、行政の論理というか、そういうものはいろいろなところまで手が伸びてきます。大臣も経験されたでしょう。それをいかに私たちが国民の、主権者の側からの論理に変えていくかというのが、これが政治家の務めだと思います。

 今、郷原先生がおっしゃったように、厚労省の年金の時効の解釈そのものに問題があったというところが消えているというのは、私は極めてこれから議論を呼ぶところではないのかなと思います。そこが一番のところで、だから、被災地の皆さんがどうなっているか、副大臣が調査を約束してくださったわけであります。これは、国会で取り上げなければ、恐らく、それは何のことなんだろうで終わっているんじゃないですか。それではいけないということを申し上げて、大臣に答弁をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 原口委員の問題意識の大半は私も共有できるんです。ただ、やはり手段の問題だと思います。

 私は、組織を信用しなくなった、それは国家も同じであります、国や組織を信用しなくなれば、何をやったって動かないということになります。大切なのは、組織にいる人間がどういうふうに使命感を持って求められている業務を行っていくかどうかであります。

 まさにこれまでそういった年金問題が放置されてきたのは、これはかつて、ちょうどたしか菅厚労大臣のときにチャンスがあったんですね。でも、そのときもやり切れなかった。ですから、今回、郷原委員長がやっていただいたのは、総務省の中に設けた八条委員会だからうまく機能したのではなくて、まさに郷原先生ほか委員の先生たちがしっかりその使命感を果たしていただいたから所期の成果を上げることができたんだと思うんです。

 そして、厚労省において、今後そういった八条委員会が新たに設置されます。そこの中できちんと、誰を指名して、そしてそこの人間に仕事をさせられるかどうか、それは、政治家の、政治任命された者のリーダーシップのとり方だと思います。

 だけれども、ある役所はだめでこっちの役所はいいとか、いつも第三者で、どこか外の人を連れてくれば公平にまたきちっとした審査ができるということでは、それでは本来の組織の機能は生かされないのではないかというのが私と委員の違いではないかなと。

 いずれにしても、この問題をきちんと取り扱おうという意味においては、問題意識は共有したい、このように考えております。

原口委員 私は、人は信じますけれども、組織の習い性まで信じる気はないです。そこが多分違いなんですよ。放っておくと拡大するし、精神論で組織を信じればいいというふうには大臣はおっしゃっていないけれども、そこはやはり違うと思う。

 総務省の行政監視や行政評価の論理の中で鍛えてきた人たちが選んだ人と、みずからの業務をチェックしてくださいという人が選んだ委員とでは、おのずと偏りがあるんだと思うんです。だからこそ、それは性善説に立てば何でもいいかもわからぬけれども、組織自体は、放っておくと拡大し、権限も勝手に変え、そしてみずからの間違いについては隠そうとする、それを正すのが私たちの役割だ、私はそう思っています。

 最後に、時間が来まして、きょうは放送法と公職選挙法について触れる時間がありませんでした。またそのことについては次回に譲り、政府の中でよく検討していただくように。政府がやらないんだったら、また私たちは党の中で特別の監視委員会を立ち上げて、そして、天下りと自己増殖を続ける組織については厳しくやっていきたい。厚労省が悪いと言っているんじゃないんですよ。そういう体質を変えたいということを申し上げて、質問を終わります。

 郷原先生、本当にありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 おはようございます。

 早速質問に入りますが、きょうは身近な問題を取り上げさせていただきたいと思っています。固定資産税の件なんですけれども、固定資産税をいつ評価し、いつそれを課税するかという問題点についてお尋ねをしたいんです。

 固定資産税の、現認する仕組みといいますか、それは今どうなっているか、簡単でいいですから教えてください。

米田政府参考人 固定資産税でございますけれども、これは短期間に大量の固定資産の賦課処分をする必要がございます。

 例えば、現在、土地ですと一億八千万筆、家屋ですと五千万棟ございますけれども、この全てに対しましてその実際の状況を調査し、家屋であれば新増築の有無ですとか滅失していないかどうかといったこと、それから、納税義務者である所有者の確定を行うといった固定資産の調査をし、それからその価格を決定し、さらに、この価格を固定資産課税台帳に登載をいたしまして、この固定資産課税台帳を縦覧するといった手続のもとに、ようやく課税ができるわけでございます。

 そういう意味で、固定資産税におきましては、年一回の賦課期日、一月一日でございますが、この制度を定めているところでございます。

 なお、賦課期日を一月一日としております理由でございますけれども、これは、年の初日でございまして、一般に、固定資産の異動が少なく、課税要件を確定するのに便宜であるためというふうに説明されております。

佐藤(正)委員 一月一日の基準日ということですけれども、一月一日に建っている建物、一月二日に滅失をして、なくなった建物。そうしますと、一月二日には実はないんですが、これは一年間分の課税がかかる。簡単に言えばそういうことですよね。

 どこかで基準日をつくらなきゃいけないというのはわかります。これは一月一日がいいのか、四月一日がいいのか。一月一日がなぜいいかというと、まあ、正月ですからね、異動が余りないだろうということの御説明なんでしょうが、よく我々が質問を受けるのは、二月に、もう家は解体して、ないんだけれども、固定資産税は来るんですよね、ないものに何でかかるんだろうかなと聞かれるんですよ。単純な御質問ですけれども、まさにそうなんですよね、実際は。

 そこで、一つお聞きをしたいのは、例えば、その一月一日の現存をしているか、していないかというのは、調べに一軒ずつ見て回っているわけじゃないですよね。航空写真か何かでやっているんですか。どういうふうにされていますか。

米田政府参考人 基本的には、固定資産につきましては、土地登記制度、それから家屋の登記制度がございますので、この登記制度をまず基本の資料といたしております。

 そのほかに、御質問をいただきましたように、新増築等、一月一日に全部を調査するわけにまいりませんので、これは随時、地区を調査しておりますけれども、大きく言いますと、最近では、航空写真を撮りましてそれの現況を調査するというのが、多くの市町村で行われている制度だと思います。

佐藤(正)委員 例えば、あなたが、二日の日に解体しました、家がなくなりました。そうしたら、それを滅失登記します。この滅失登記によって固定資産税をやっていただけませんか。

 例えば、四月一日に家を解体しました、四月一日にもう家はなくなりましたという滅失登記をやるわけですよね。解体をした後に、解体業者さんから証明書をいただいて、水道屋さんから証明書をいただくのかな、そうして、法務局に家がなくなりましたと届けるのが滅失登記なんですけれども、それをもって評価をするということは、現実的には不可能ですか。

米田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、現在、賦課期日現在で、所有者、価格、物の現況、それを確定して課税するというシステムになっております。

 今御質問がございました、一月二日という非常に極端な例でお示しになられましたけれども、逆に言いますと、一月二日に新たに建設された建物につきましては、その年度は課税をされていない。例えば、平成二十六年の一月二日に建物が新築されますと、この建物については二十六年度分は課税されない、二十七年度分から課税をされる。逆に、一月二日に解体されましても、二十六年度分、それ以前の二十五年度は建っていたわけでございますので。

 そういう形で、どこかで基準を定めるということでやらせていただいておりますので、御理解をいただければというふうに思います。

佐藤(正)委員 わかるんですよ。わかって質問しているんですけれども。そうすると、どちらも不公平だなという気がするんですね。基準日をどこにするかというのが、これはもう何度も議論をしていますけれども、一般の方は、どこかで決めなきゃしようがないとわかるんだけれども、どうも両方とも何か不公平だなと。

 では、今言ったように、一月二日の日に解体した人と、一月二日の日に家ができた人と、これはその人たちにとってはお互いにデメリットとメリットがあって、普通に、公平に見たらちょっと違うんではないかなということをよく指摘されるものですから、きょうはその点について質問をして、これは結果的にこうなりますという答弁はないと思いますが、よくこういう御質問を我々はされるものですから、国としてのスタンスをお聞きして、質問を終わります。

高木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。日本維新の会の小熊慎司です。

 差しかえで総務委員会で質問させていただきます。よろしくお願いをいたします。

 前段の佐藤正夫委員がやる予定の質問を、私、関連もあったので、そこから入りたいと思います。私は資料を配っていないんですけれども、佐藤正夫委員が配ったので、せっかくですから活用します。

 この携帯電話の料金について、総務省、内外調査、比較をしていますけれども、これは直近のものだけですけれども、いろいろな過去のものを見ると、為替の変動によって、また国際比較も多少は変わってきます。年によっては、日本が海外の中では安い料金体系になっているというのもあれば、まあまあ一緒になっていたり、メニューによっては、日本が比較的高いというものもあります。

 私としては、やはり今、携帯電話がない時代を振り返ってみると、どうやって社会活動をしていたのか、仕事をしていたのかな、友達とのやりとりはどうしていたのかなと思うぐらい、本当に生活必需品になっているような状況の中で、となると、これは海外との比較というよりも、まさに生活の中でのウエートを考えれば、もっと安くするような方向に持っていかなければいけないなというふうに思っています。

 若い人たちでも学生さんでも、何百円とか何千円という世界ではなくて、もう一万、二万と使っているような現状だというふうに思っています。競争性を発揮して料金が改善されてくる、安くなってくる方向にさまざまな手だてを打っているのは承知しているんですけれども、これはもっと進めていかなきゃいけないというふうに思います。

 まして、若い人たちにとって、また高齢者にとって、また低所得者にとっても、私は、これは割高な料金体系になっているなというふうに思いますし、また、仕事上も、公私を分けるといってもなかなか分けられないので、個人の携帯、スマートフォンやそういったもので仕事をしている、個人でも使っている、会社の経費で落としにくいというのは今現実にあるというふうに思っています。個人負担が非常に多い。

 そういう意味では、これはしっかりと国際比較をして、日本はまあまあ安いですよという言い方ではなくて、まさに日本の社会の中で、生活の中で占めるウエートから見ればかなりの負担になっているという観点から、さらにこの料金が安くなっていく誘導政策を整備していかなければいけないというふうに思いますが、まず、御所見をお伺いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が平成二十五年の六月二十六日に公表しました電気通信サービスに係る内外価格差調査によりますと、我が国のスマートフォンの通信料金というのは、一般ユーザーが、これはデータ通信量、月平均一・六ギガバイトなんですが、調査対象七都市中三番目に高い水準となっております。また、ライトユーザーにつきましては、データ通信量、月平均五百メガバイトでございますが、これについては最も高い料金だとの結果になっております。

 また、消費支出に占めます通信費の割合については、これも総務省の家計調査によりますと、二〇〇二年と二〇一二年を比較しますと、月額の消費支出総額は減少傾向にあるところでございますが、この割合が三・六%から五・四%に増加しているという状況にあります。

 携帯電話料金は事業者の経営判断によりまして設定されるものでございますが、携帯電話やスマートフォンが、先生先ほどおっしゃいましたけれども、社会生活の重要なインフラになるというようなことを踏まえますと、ライトユーザーを含みます利用者にとって、より低廉で、かつ利用しやすい料金となることが望ましいというふうに考えております。

 通信サービスの料金その他の提供条件のあり方につきましては、現在、情報通信審議会二〇二〇―ICT基盤政策特別部会、それからICTサービス安心・安全研究会において御議論いただいているところでございまして、総務省としましては、審議会等における議論も踏まえて、利用しやすい料金となるように努めてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 これをしっかり見ると、私もなかなか調べ切れていないんですけれども、携帯電話会社がもうけ過ぎているんじゃないかという印象があるんですね。あと、携帯ばかりに生活費が行っていると、ほかにお金が回らないということがありますから、やはり日本の経済を考えても、これをもっと、低廉な価格を目指しますと言いますけれども、今検討している段階で、どのような革命的な、百円、二百円下がったってしようがないんですよ、半額ぐらいになるとか、そのぐらいの抜本策を持たなきゃいけないというふうに思うんです。また、ガラ携とスマホで値段が全然違うというところもありますし、これは一分かけたら結構な値段になっているんですね。知らず知らずにかけちゃっていますけれども。

 これは、競争性を発揮するだけでは安い方向にはなかなか行かないと思うんです。どういうふうに、どういう方向性で安い価格を改革できていけるんですか、今検討している中で。今の中ではそんなに抜本的には変わらないと思います。もっと国が主導して、これをしっかりやっていくということが必要だと思います。

 まして、今言ったとおり、世代に関係なくこれを使って、あの震災のときも、本当に命にかかわるような場面も携帯が大きな役割を果たしていますから、これは国民生活にかかわっても本当に喫緊の課題だと思います。千円、二千円下がるというものではなくて、もっと本当に、半分以下になるぐらいの改革がなされなきゃいけないというふうに思うんですけれども、そこまで行けますか。

 低廉なものを目指しますと言いますけれども、値段的にどのぐらいを想定していますか。半分ぐらいまでを目指すんだとか、とにかく地道に努力するんだというだけなんですか。どうですか。

新藤国務大臣 今の委員の、これは非常に重要な問題なんですけれども、まず、その前に、では、そもそも携帯電話がない時代のころは仕事をしたことないんですか。(小熊委員「していますよ」と呼ぶ)私らは、もう最初の弁当箱みたいなときからずっと、ちょうど始まりのところだったから、かつては、よっぽどの、個人で会社を経営しているとかそういう人でない限りは持てないようなものでしたよね。でも、それが今、一億二千万人の国で一億五千万台だったかな、そのぐらい携帯を持つようになったというのは、やはり料金の低廉化というのは、これは一定の効果があったんだ、このように思います。

 やはり、日本がなぜそういったものが高いかというのは、それは設備投資、それから人件費、もろもろのそういう料金体系への反映というのもあると思います。しかし、できるだけ安くした方がいいに決まっているわけですから、これは競争政策をとりながら、私どもも何かいい政策があればというふうに思っています。

 現状での今回の二○二〇の調査会では、委員がおっしゃるような革命的な、半額になるとか、そういったものまではなかなか難しいと思います。しかし、やはりそれを目がけて、できるだけ皆さんが使いやすい料金にするということ。

 それから、通常の、個人で持って友達との連絡に使う程度であれば、そんなにいかないはずですよね。ヘビーユーザーというのはまた別の使い方があるわけで、そういう方はまた別の目的、例えば営業目的だったり仕事目的だったり。だとすると、それには当然、それに対する報酬なり収入があるわけなんですから、そこら辺の全体のバランスだと思います。

 やはり、何といっても、できるだけ使いやすい工夫は、これは今わかる限りのことは取り組んでいきたい、このように考えております。

小熊委員 大臣のおっしゃるとおりですよ。携帯のない時代、私は文通で結婚しましたから、そんな発表しなくてもいいんですけれども、携帯のない時代の方が逆に豊かな部分もありました。

 ただ、言いたかったのは、それは昔から比べれば本当に低廉になっていますけれども、今、賃金も上がっていない中で、かつては支出されなかった費用がかなりのウエートを占めている、それが圧縮されれば違うところにお金が回って、経済にもいいでしょうということですから、これは喫緊の課題であるということで、ぜひ競争性も、規制をしっかり緩和していくところは緩和をして努力していただいて、これも私もいろいろこれから研究していきますけれども、いいアイデアがあれば前向きに提言をしてまいりたいというふうに思います。

 また、その一方で、携帯だけに依存する社会ではなくて、違う、文通だけではないですよ……(発言する者あり)文通は大事と。ありがとうございます。そういう世界もやはり大事にしながらやっていきたいというふうに思います。

 次に、これまでの委員会でも、またきょうも出ていますけれども、消防団の件であります。

 私も、地元で消防団に入っています。また、震災直後、被災地を回ったときに、政党の防災服とか、そのときは私は参議院でしたから参議院の防災服なんかを着ていくと、何しに来たという顔をされたんですけれども、消防団の制服を着て被災地に行くと、警察や自衛隊の皆さんやアメリカ軍の皆さんやいろいろな地域の皆さんも全て敬礼して、尊敬の念で迎え入れていただきました。本当に、消防団の役割というのは、皆さん御承知のとおり、非常に大きなものがあります。

 また、私の地元では、予防消防とか防災活動、消火活動だけではなくて、この週末に地元に戻ったときにその場面に出くわしましたけれども、これから新学期が始まる、私のところは会津ですから、雪が多く積もって、雪が解けるといろいろなごみやほこりが道路にあるんですけれども、通学路に放水をして、清掃を消防団の方が自主的にやっているという場面にも出くわしました。

 また、ことしの出初めのときに、地元の消防団長表彰というのがあったのは、夜警をしているときに地域の人に声をかけたりして、それに感動した市民がぜひ何か表彰してくださいということで、仕組みがなかったので、消防団長が英断を下して、消防団長表彰ということをやったんですね。防災とか防火という活動以外でも役割を果たしているところであります。

 一方で、先ほども質疑の中で出ていましたけれども、団員の確保というのは、地域によってもまた、都市部と山間部と、本当にこれは大変なところがあります。しかし、日本の自治消防、また消防団という制度がしっかり両立しているということは世界に誇るべきことでもありますし、昨年はちょうどその周年事業がありました。

 確保の中で、今やっているところで、私の地元にも女性消防団員がいます。また一方で、婦人消防隊というのもあります。婦人消防隊はどっちかというと広報がメーンになってきますけれども、普通の分団に入っている女性消防団員は、これまでの質疑の中でも、いろいろな告知とかそういうことで役割を果たしていますと言っておりますけれども、実際、消火活動にも入っているんですね。

 女性でも、私より力がある人は役割を果たしていますから、そこはまさに、男女共同という意味では、能力によって役割は変えていけばいいという話です。ただ、一方で、女性が消防団に入りにくい部分というのは、まさに今、安倍総理のもとで女性の社会進出ということを盛んにやっていますけれども、消防団員の確保の部分についても、女性が入りやすい仕組みをつくっていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 消防団員数は、平成二年に百万人を割りまして、平成二十五年四月現在で約八十六万八千人と、毎年減少を続けております。一方、女性消防団員数は年々増加しておりまして、現在は二万人を超えているところでございます。

 また、女性消防団員の活動は、応急手当てや火災予防の普及啓発から、実災害での消火活動や後方支援活動など幅広いものとなっておりまして、女性ならではのきめ細かな活動のためにも、さらなる女性消防団員の入団促進が重要であるというふうに考えております。

 このため、私ども消防庁では、消防団員入団促進キャンペーン期間中の若者、女性向けの雑誌広告や、若手の消防団員を起用したポスター、リーフレットの作成、あるいは、女性による機能別消防団等の先進事例の紹介、さらに、全国女性消防団員活性化大会の開催、女性の消防団員確保アドバイザーによる入団促進、さらに、団員が育児等で長期間にわたり活動できない場合、団員の身分を保有したまま一定期間の活動休止を行う休団制度の導入促進などを行っているところでございます。

 引き続き、これらの取り組みを促進しながら、幅広い層への働きかけを行い、女性消防団員の入団促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 今、少子高齢化の中で、日本も、雇用の面においては、定年制の延長であるとか女性の社会進出を促進していかないと日本の経済力が保たれないという観点で、いろいろな施策を打っています。

 消防団においても、いろいろな取り組みはしていますけれども、まさに雇用環境の改善をして女性の社会進出を促進していくんだというような、同じような観点からこの消防団の団員確保、女性の確保というのもやっていかないと、ただ声をかけていきましょう、やりやすい活動の仕方をしていきましょうというだけでは、なかなかやはり改善されていきませんから、まさに安倍政権がウーマノミクスみたいなことでやっていますから、今の段階では、その中でやはりこういう消防団のあり方を取り組んでいくべきだというふうに思います。

 かつては、農村地帯は農家の人たちがやっていて、でも、今は勤め人が多いです。男性でさえ、消防団に行くというと職場から嫌がられたりするという部分もありますし、そういう意味では、女性の団員をふやしていくということの仕組みは、消防の世界だけではなくて、まさに女性の社会進出という大きな観点からいろいろな制度設計を、また職場への理解も、これは男女ともにですよ、男性団員も非常に肩身の狭い思いをして参加している人たちもいますから、そういうことをしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 また、先ほど前段で言いましたとおり、消防団の本来業務活動以外の活躍の仕方というのは、今自主的にやっているところはあるわけですね。まさにコミュニティーを守っている、きずなを守っているというところがありますから、ぜひ消防庁においては、本来業務ではない、消防団の本来の役割ではないんですけれども、まさに地域を守るという観点から、いろいろな活動に対しては支援をしていかなければいけないというふうに思います。

 そういう幅広い消防団の活動を促進させていくためにも、先ほど来も出ていますけれども、これはやはり予算措置をしていかなければいけないというふうに思いますから、本来の活動以外の部分を評価する仕組み、それに対してしっかり支援をしていく仕組みもあわせて検討いただきたいんですけれども、大臣、どうですか、答えますか。

新藤国務大臣 まず、消防団の団員を確保する、私はとにかくふやしたい、こういうことで、大臣就任以来、副大臣に専任していただいて、いろいろなことをやっております。また、国会の方でも、消防団を支援する議員立法を出していただきました。こういったものを踏まえて取り組んでおります。

 私どもがやっているのは、まず、定員といいましょうか人員を確保するために、地方に行きますと、そこに残っていて動ける若い方たちというか壮年の方たちというのは限られちゃうんですね。一番いらっしゃるのは役場の人なんです。ですから、地方自治体に対して、これはお願いでありますけれども、公務員の中で一定期間、消防団に若い人を入れていただけないだろうか、期間を決めて、例えば何年かいる、気に入ればそのままいていただいてもいい、それから、何年間かやった後、また別の新しい人がいればかわってもいい、とにかく公務員の皆さんで一緒に協力してもらえないかという要請をしております。手紙で明確に書いてお願いしているんです。

 それから日本郵政、これも、郵便局の皆さんは、全国に二万四千、ネットワークがあります。この人たちも実質やっていただいているんですが、そういう方々にも、また改めて会社の方にもお願いをさせていただいております。

 それから、大切なことは、今、先ほど委員がおっしゃいましたが、自分の住んでいる場所、居住地団員なんですね。でも、サラリーマンで会社勤めの方は、勤務地で団員という制度は認められないのか、こういうことも私は提案をいたしまして、検討いただいております。

 それから、実際に企業に籍を置きながら消防団になっている方で、いざ訓練だ、出動するとなると、会社がいい顔をしない場合があるんですね。そうすると、これまた活動しづらくなります。ですから、そういう企業の皆さんに理解をいただけるような取り組みだとか、ある日突然どんとふえるとは思えないんですけれども、でも、地道ながら組織的な取り組みをしていかなくてはいけないということ。

 それからもう一つは、消防団の皆さんが地域のためにとても価値ある活動をしているということをもっとみんなに知ってもらおうということ。一般の方々に、自分も参加するべきすばらしい活動なんだと。これは、東日本の大震災以降、被災地において、あえてこれからは消防団に入りたいという方がふえている、そういうことも来ております。ですから、それらをもっと全国的に啓蒙できるような、そういう取り組みもやりたいと思っています。

 ちょうど本年が明治の消防団の設立百二十年の年なんです。昨年は天皇皇后両陛下にお出ましいただきまして、すばらしい大会ができました。節目のときに、とにかく法律ができましたので、これから、去年一年間いろいろお願いして、自治体から派遣するのもこれからになりますから、ですから、ぜひ本年で何とか少しでもマイナスからプラスの方にできないか。

 その中で、女性の皆さんも居心地がいいようにしなくてはいけません。そして、女性の方で、熱心にやっていただいている女性消防官、私も地元で消防団の一斉点検なんかへ行きますと、少しずつふえていますよね。ですから、こういったものをさらに門を開けるような工夫をしていきたい、このように考えます。

小熊委員 質問しようとしたことを、大臣、答えていただいてありがとうございました。

 まさに企業単位での理解、勤務地での活動を促進していくということがこれから重要になってくるというふうに思いますから、そういう意味でも、企業に理解をいただくという意味でも、消防の制度ではなくて、まさに先ほど言った社会の大きな仕組みの中をいじっていかなきゃいけない、対策をとっていかなきゃいけない、その方向性でぜひこれから進んでいただきたいと思いますし、そういう意味で、予算措置をしていただければ、野党ですけれども、大いに応援して賛成する予算にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に移りますけれども、けさ、我が党でも部会でちょっとやっていたんですが、各党ともに、いわゆる地方主権、道州制といった取り組みを議論しているところでもあります。

 私も地方議会出身なんですが、こういった道州制の議論、地方分権、地方主権の議論をしているときに、私の印象だけなのかもしれませんけれども、地方議会の話題というのがなかなか、検討課題の中に余り出てきていないなというのがありますし、抜本的に道州制導入というところまで行かなくても、既存の、今の法律の改正で変えていくべきものというのも多々あるというふうに思います。

 そういう中で、私も地方議会にいて、ある意味フラストレーションというか、もっと機能を強化しなきゃいけないなというのは、やはり予算編成に関して、修正権は持っているんですけれども、なかなか制約がある中でそこに立ち入っていけないとなるから、先輩議員は、議会はチェック機関だからと。チェック機関だけではないんですね。本当はもっと今の既存の制度でもやり切れるところはあるんです。

 しかしながら、やはり地方自治法の百十二条の部分であるとか、これは改正をしていくという方向性もあるというふうに思います。もともと地方議会は、国会とは違って二元代表です。二元代表でありながら、私は、日本のこの制度は首長にちょっと権限が大きく寄り過ぎているというふうに思っています。

 世界各国を見れば、アメリカも私は放浪したんですけれども、アメリカは本当に地域地域によって世界のいろいろな自治の仕組みが入っています。地方自治体でも、一元制をとっているような地方自治もあったりしていますけれども。日本も、大都市もあれば中山間地域もあれば、私は、通り一遍の地方自治制度ではなくて、地域に応じた地方自治のあり方、議会のあり方があっていいというふうには思います。

 ただ、そういう意味でも、今の既存の制度でいうと、紋切り型の制度の中で大きい自治体も小さい自治体もやっていますし、とりわけ、そういう意味では、議会の権限を強化して、より広く自治というものを強化していく、進化をさせていかなければいけないというふうに思っています。

 とりわけ予算にかかわる議会のあり方というのを変えていくことが、大きな抜本的な改革につながってくるというふうに思いますけれども、地方議会の権限強化、その意味で、予算編成についての議会のかかわり、こういったものの改正に取り組んでいくという方向性についての御見解をお伺いいたします。

新藤国務大臣 私も、市会議員を四年だけでしたけれどもやらせていただいているんです。その前に市役所にもおりましたから、地方の行政、また、議会がどういうふうに動いているかは多少は承知をしております。その中で、今やはりプライドを持ってもらいたいということですよね。自分で誇りを持って、何のために議員になったのか。地方議会においても、そういった誇りを持って活動していただいている方がたくさんいると思います。

 議院内閣制をとる国政と二元代表制の地方自治、大きな違いがありますが、しかし、この議会においても条例制定権があるんですよ。ですから、議員で条例を出したりできるんです。それから、自分たちで政策提案することもできるんです。これを行政に提示して、それを行政側がどう取り入れるか、こういったことも、今の法制でも十分にできているんです。

 ただ、ともすると、首長の何か下請機関のようになってしまう場合も、かつて間々あったと思います。ですから、そういうところを直していくのが重要だと思います。

 法改正が必要であるならば検討したいと思いますけれども、それ以前に、まず、そもそも地方議会がみずからの権能を最大限生かしているんだろうか、こういうこと、ここをよくやっていくべきだし、我々はそれを、いろいろな助言や、また参考のものは提示していきたいというふうに思っています。

 その上で、今委員がおっしゃったように、それぞれの自治体がそれぞれのやり方で、まさに自治を確立していただかないと、地域の活性化は成り立ちません。国からの押しつけの事業だとか、何か決まり一辺倒の、一つの、一くくりの制度を取り入れただけでその地域がよくなるわけがない時代になりました。

 ですから、そういった意味でも、この二元代表の、行政にもどんどん勉強してもらいたい、そして提案もしてもらいたい。一方で、それよりもさらにもっと広い見地から、また町の中の声を代表して、議員が広く見識を持って、自分たちの町の行政にいろいろなものを提案する。行政を監視するだけではなくて、まさに政策提案をするような、そういう機能を最大限発揮していただきたいと私は期待をしております。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

小熊委員 私は、大臣の言ったとおり、今の制度の中でもまだまだ議会側が努力すべきものはたくさんあるというふうにも思います。

 私の地元もそうですけれども、議会基本条例をつくったり、私も市議会議員時代、県議会時代に議員条例というのも提出をしたりしてきましたけれども、予算に絡むのはだめだという解釈もあれば、予算に多少絡んでも条例は制定できますよという解釈もあるんですが、やはり一番の肝は、予算をどのぐらいいじれるかというところに突き当たるんですね、政策提案をして実行していくという意味では。

 そういう意味でいうと、確かに、今でもまだ努力する余地は残されているとは思いますけれども、本来的には、やはり予算編成のあり方というところまで抜本的に改善をしなければ、これはまたそれぞれの議員、それぞれの地域での努力の範疇もありますけれども、どこか、陳情処理をしてそれをただこなすだけの議員であったり、地域の声を聞くといっても、町内会長の延長みたいなことだけであったり、やはりしっかり議員も責任を持って、経営者感覚でその自治体を運営していくんだ、その一翼を担っていくんだという意味では、これはもう本来的な、根本的な改革をしなければ、戦後積み上げてきた地方自治のこれまでの流れもありますから、なかなか今の努力の延長でやってくれといっても、結局は議員のあり方というのは変わっていかないというふうに思います。

 ですから、今後、これは道州制とかいろいろな議論も今しているわけですから、そういった中において、今すぐできる話ではないですけれども、ぜひ地方議会の権限強化、とりわけ二元代表なんですから。アメリカは、国の方ですけれども、大統領と議会といえば、議会の方に予算編成権があるわけですよ。行政と立法という立場であれば、日本の場合はバランスが余りにも偏り過ぎている。

 民主主義の原則論からすれば、これをしっかり分けていくということが、まさに民主主義を成熟させていく、地域を活性化させていくということになっていきますので、ぜひ、今後の地方主権、地方分権、道州制といった議論の中で、地方議会の中で予算編成権のあり方をもう一回抜本的に見直すということを私も議論をこれからもしていきたいと思いますので、これは大臣もそういった方向性も真剣に、出身者であれば、大臣の手元でも検討していただきたいと思いますけれども、再度お願いをいたします。

新藤国務大臣 まず、いろいろな工夫を時代に合わせて前向きにやっていこうではないか、これは当然のことだと思います。

 条例の制定、改廃、予算の決定、地方税の賦課徴収、この団体意思を決めるのは議会の権能ですよね、予算を決定するのは議会ですから。そして、行政側は、予算の編成や財産管理、その長が事務の管理、執行権を有しているわけですね。

 ですから、国会と同じなんですよ。地方議会においてだって、予算を編成する前に、こういう仕事が必要だ、ここの分野はもっと強化すべきではないか、ここは無駄があるんじゃないか、そういう議会の論戦があって、それを受けて予算を編成するんですから、そして自分たちが提案したものが予算に反映されていれば、それを決定することができるのが議会なんです。

 ですから、この予算編成権を議会が持つか否かというのは、これはもっと、では、議員がどれだけの仕事を専従して、また、そういった分析をしながらやるのかという根本的なことになると思います。

 ですから、委員が、どこの部分の予算編成にかかわる、何の部分を議会で検討したいとおっしゃっているのか、またいろいろなアイデアがあれば出していただきたいと思いますが、いずれにしても、民意を反映して、そしてそれを提案する。受けた行政側は、それを自分たちの形にして編成をする。そして、それは住民の代表がチェックする。

 これは、国政においても地方自治においても同じなんです。ただ、我々は、法律をつくる、こういうことができるわけでありますから、それぞれの機能を生かして、委員がおっしゃっているのは、やはりもっと地域住民の声を聞いた中で、行政の論理にとらわれずにアグレッシブな地方自治をやっていきたい、こういう気持ちのあらわれだと思いますから、それは我々は受けとめたいと思うし、いろいろな研究はしてまいりたい、このように思います。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

小熊委員 まさに、先ほど言っているとおり、自治体の規模に応じてこういった議論も少し変わってくる部分もあります。ぜひ、今大臣が答弁した方向性で、予算編成権そのものを移すという改革じゃなくても、予算修正も今の制度ではやりにくいというのが経験上ありますから、修正権の拡大といったことも含めて検討して、私もこれはしっかり大臣ともこれから議論していきたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 今、陳情政治みたいな話もちょっと触れましたけれども、そういう中で、地方と国との関係性を言うと、やはり市町村より都道府県、都道府県より国みたいな意識を持っているのは、これは地域住民も含めて、あるわけですよ。だから、いろいろな財源を地方に移してそれで変えていこうといった発想もあるから道州制というのが出てきたりするんですけれども、やはり成熟した民主主義というのはまず地域住民が主役になっていかなければいけないという中で、どうしても日本の場合はお上志向というのが根強く残っているのも事実です。

 その一つの象徴として、国の役人と地方の役人との人事交流があります。

 もちろん、地方自治体においても、国のいい人材を借りてきて、交流をして、それで地域のために役に立っているのであれば、それは別にどういう立場であったって何にも問題はないというのは私も承知をしていますが、やはりどこか陰の部分で、国の役人を部長に据えておけば、副知事に据えておけば何とか予算が引っ張れるんじゃないか、そういった心理が働いているのもこれは否めないというふうに思っています。

 きのうお聞きしましたけれども、今、総務省から出向している副知事は全国で十人います。部長級は三十三人います。これが多いか少ないかはまた議論のあるところでありますけれども。

 人事交流というのは、逆に国の役人にとっても必要なことです、地方自治に出向していくというのは。でも、私も県議会のときに思いましたけれども、若い職員が部長でいると、逆に県職員のプロパーはあがめ奉ったり、全てではないですけれども、やはりどこか溝があって、できれば本当は現場に出ていくという人事交流があってしかるべきだと思います。

 これはしっかり見ていませんけれども、総務省から出向している地方自治体が、予算において大きな利益を、そろばん勘定して鉛筆をなめてもらえるようなことがあってはならないわけですよね。でも、裏には、地方自治体の方でそれを期待しているのも実は事実だというのもありますから、この人事交流のあり方というのも、幹部級というのはもう抑えていくべきで、優秀な人材であれば本当はそんなものは何だっていいんです、地域のためであれば。だけれども、裏にはそういう心理も働きやすいというのもありますから、この点についてはどんな見解をお持ちですか。

新藤国務大臣 これは、まさに適材適所で、そして必要のあるところに行く、これに尽きると思うんです。

 実際に、私は、総務省に来てとてもよかったことは、やはり若いうちに現場に出ているのがいる、それから、いい年になってから出ていく、もっと年をとってから出ていく、それぞれの出方によって、経験してきたものが非常に生かされています。ともすれば、やはり国の役人は地元のことはわからないんですよ。選挙事務なんかやっていますけれども、本当の選挙事務の開票事務なんかやったことあるんですか、国勢調査の調査員になったことありますかと。わからないんです。ですから、そういうところを経験させることも重要だと思います。

 一方で、幹部職員となって国の全体の管轄をしているそういう立場から、自分たちの町でもこのぐらいのことは、村であったって、町であったってこういう制度は使えるんだ、こういう気持ちでできるんだというのを出すという意味では、私は、国の人間が行くというのはとてもいいことだと思います。

 逆に、自治体の人が国に来て、やはりいい経験をして地元に戻って幹部職員にもなっていくわけなので、まさに、性善説に立てばいいところがある。一方で、とりあえずお金、国税が欲しいからとか、ことしはこの仕事があるからここの省のとか、これはやはりやめてもらわなければならないし、私たちもそういうことでは出すつもりはありませんから。今、一人一人、どこに出すというのは大臣のところに全部来ますから、私もチェックしておりますし、それぞれ幾つかの理由をきちんと経た上で出すようにしている。

 要は、実をとる人事交流というものをやらなければいけないということであって、それなりのいい効果の方が多いと私は思いますよ。

小熊委員 まさにそうなんですよ。適材適所なんですよ。けれども、例えば県と市町村の関係を見ても、副町長や副村長や副市長におさめるのは県のを持ってくるわけですね。そういう話を聞くと、県から予算を引っ張るためにはそれは必要なんだというのを水面下でしているわけですよ。

 だから、性善説に立てば適材適所でおさまるんですが、実態はやはりそういうところがありますから、今大臣、そこは厳しく見ていくと言っていただいたので、これはやはり、性悪説に立てばそれがあるのは事実です、否めません。それが一〇〇パーではないですけれども。

 そういうことをやっていると、日本の社会の中で、中央集権、お上志向ということが一切直っていきませんから、そういう心理が働いている、そういう作用が働いて人事を動かそうとしているということは厳しく見ていってもらわないと、民主主義としても成熟をしていきませんから、ぜひそういう方向性は冷静に見て、本当に有効な人事交流をしていただきたいというふうに思います。

 次に移りますけれども、今、私の地元の福島県も、被災者が、避難している方が非常に多い中で、最初、仮の町構想という話があったんですね。今、町外コミュニティーということで総務省も長期避難に対しての支援をしているんですけれども、今の段階になってくると、町外コミュニティーというのは被災者の支援なんです。被災している皆さんが避難先でしっかりきずなを保っていくということの支援なんですけれども、もともと仮の町構想という段階まで戻ると、避難している自治体が避難者に対して行政サービスをどう提供できるかという発想から仮の町構想というふうになったんですね。

 大ざっぱに言うと、自治体の中に自治体をつくるという話ですから、これは受け入れ方も大変だし、そこで展開する自治体も大変だということで、いろいろな言葉が変わったり仕組みが変わって、町外コミュニティーとなって、その支援をしているんですけれども、今言ったとおり、それは被災者への支援なんですね、人間関係を保つためということで。でも、最初の本来的な発想の避難自治体への支援というのはどこに消えたのかな、どこに行っちゃったのかな。

 これは町村によっては長期にわたるんですよ。近々に帰れる、見直しをしました、帰れるところも出ていますけれども、長期に避難を余儀なくされる町村も双葉郡内にはあって、町外コミュニティーの支援をしていますというけれども、避難している自治体への支援というのはどこに行ったのかな。

 町外コミュニティー政策はやっていますよ、これは復興庁が先頭に立って支援をしています。でも、総務省として、長期避難の被災自治体に対する施策というのは今後どうするんですか、どう考えているんですか。五年、十年で解決できないんですよ。下手すれば完全収束になるまで帰れない地域もありますから、四十年、五十年というスパンになるんですよ。これは宙ぶらりんにしておいちゃいけないんですよね。

 これはどこへ行ったんですかね、仮の町構想のときのこの発想。答弁をお願いします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 原発事故によります長期避難者の方々に対する制度的な対応につきましては、今先生からもお話ございましたように、住民票を移さずに避難先で行政サービスを受けられるようにするための原発避難者特例法の制度、これで事務処理特例でサービスが受けられるようになっているとか、また、特例対象となっております避難住民の方々が証明書などが必要な場合に、届け出避難場所の証明書の交付の仕組み、こういうようなものは構築してきているところでございます。

 まさに、これまで、現行の行政体制の中で、住民サービスの提供に支障が生じないようにということはいろいろ積み重ねてきたわけでございますが、それでは、今御指摘があったように、これからの被災地におきます自治体のあり方にかかわる議論ということになりますと、住民とは何なのかとか自治体とは何なのかという、まさに制度の基本にかかわる問題も含めて、大変大きな課題だと思っております。被災地におきましてもさまざまな意見があるというのが実情ではないかと思います。

 そういう意味で、やはりこの問題につきましては、まずは避難元の市町村におきまして、住民の皆様と行政当局の話し合い、御議論、こういったものを進めていただくと同時に、関係地方公共団体の間でも、やはり立場によっていろいろ御意見があると思います。こういった御意見を進めていただく、まずそれが必要だというふうに私どもとしては考えております。

小熊委員 私は、当事者である人たちの意見というのは大事ですけれども、震災から三年もたって、先行きもなかなかどうなっていくかわからないという状況の中で、こういうときも国が前面に立っていい部分はあると思いますよ。それは別に押しつけとかトップダウンではなくて、やはり国の英知を結集して。

 長期避難の場合というのは、例えば、浪江町が二本松に来ています、大熊町が私の地元の会津若松に来ていますといっても、全住民が来ているわけでもないし、年数がたてば、またそこから移動する人もいるわけです。あと二、三年で済むのであれば、まだ見通せます。何十年も帰れないという状況の中で役場の機能をどう維持していくのか、まさに住民とは何だという根本議論からやらないと、答えは出せないんですよ。それを地域の人に出してくださいと言っても出せませんよ、自分の生活をどうしていくかで精いっぱいなんですから。近所づき合いを保っていくという努力で、私はもうそれで住民の役割は全てだと思いますよ。

 制度としてどうするかということは、やはり国がしっかり、プロなんですから、いろいろな選択肢を検討して住民に示さなきゃいけないんですよ。フリーハンドでどうしたらいいですかとやっているのは、これは責任回避ですよ。総理が、除染活動や原発の収束に国が前面に立つと言っているんですから、この分野に関してだって国が前面に立たなきゃいけないですよ。御意見を聞きますよという態度は、一見いいように、紳士的なように思えて、それは私は責任回避だと思います。

 自治のあり方、住民のあり方というのは総務省の所管ですよ。これはしっかり国が前面に立って検討しなきゃいけないんじゃないですか。ある意味では、厳しく言えば、時によっては町が解散とか、とりあえずどこかの住民になってくれ、名簿だけは残しておくという選択肢も出るかもしれません。

 本当に原発が収束しないと帰れないんですよ。今、一生懸命やっています、原発収束に向けて。でも実際は、あの溶けた炉心がどうなっているかなんてわからないんですから、一日も早い収束を目指しますと言っても、精神論でしかないんですよ。二十年、三十年で終わるかもしれないし、下手すれば五十年、六十年かかるかもしれない。今、何とか役場の機能を保っていますけれども、これが五十年、六十年となったら、今のあり方でいいのかなということを考えなきゃいけないんですよ。これは抜けている部分ですよ、復興に向けては。中途半端な状況だから、被災者も人生選択ができないで、あすあすどうしようということがあるんですよ。

 やはり、ここはしっかり方向性を示す、選択肢を示すことで、やっと地域住民も、どうやって生きていくか、帰るのか帰らないのか選択できるんですよ。この宙ぶらりんな状況だからこそ、被災者の人たちが、政権がかわっても変わらないねという不満につながっているんですね。

 ここは手をつけなきゃいけない分野ですよ。地域住民の声を聞くだけでは足りないですよ。国が前面に立って、先ほど言われたように、住民とは何ぞや、そういうところから始めなきゃいけないんですよ。そういうところから始めるからこそ時間がかかるんですよ。十年後、二十年後に、こういう町にします、被災自治体をこうやって支援しますと言ったって遅いんですよ、もう三年もたっているんですから。

 国が前面に立つという部分は必要じゃないですか、大臣。地域住民に聞くということだけじゃなくて。

新藤国務大臣 まず、被災地の皆さんの行き場のない怒り、それは時間がたつとともにどんどんふえてくると思います。そして、自分がどういう選択をしたらいいのか、迷いの中で、結局もとに戻って、あのときあんなことがなかったら、この繰り返しになっているのではないかなと私も推測をするんです。ですから、私たちは、できる限りの対応をしていきたいというふうに思います。

 今、国がやっていないのではなくて、どういう形をつくればいいのか、これを模索しているというのが率直なところだと思います。少なくとも、目の前の被災者が、避難者が出かけていった先の被災者受け入れ自治体に対する財政措置、これもここで工夫をすることにいたしました。

 それから、これから国勢調査が行われますと、住民票と国勢調査の実態が乖離いたします。ですから、一時的に人口が激減する自治体があったとして、そこを、その減った状態で財政算定すれば、自治体として本当に運営できるのかということも出てくると思います。ですから、こういったことについても、今、私たちは、柔軟な体制をつくろうということで研究をしています。

 被災者が、もう既に自分は避難したが、避難した先で住民票を移してその町の住民になるんだといえば、その町のニーズがふえることになる。それから、自分はいずれ戻るから仮の場なんだといえば、では、住民票はなく、住民税の払いもどうしたらいいのか、こういういろいろなパターンがこれから出てくると思うんですね。

 ですから、これは自治の名のとおり、また、個人のそれぞれのやはりお気持ちがあります。そういうようなものを受けとめながら、やがては幾つかのパターンができてきて、そしてそれは地域ごとに違うと思いますが、それぞれの方針をつくらなければいけないと思いますし、私どもも、それは十分に承知した上で、実情をしっかり把握しながら先を見据えた計画というのを立てる、この気持ちはございます。

 今、現状において、我々に、国が一元的にといっても、これは国が一方的に先に決めればいいというものでもないのはよく御承知だと思います。ですから、その問題意識をよく見ながら、被災者の皆さんの心に寄り添うという言葉がありますけれども、本当にそのとおりに、これは非常に難しくて、そして時間のかかる中で、我々も厳しい選択を迫られながら、でもしっかりとやっていきたい、このように考えております。

小熊委員 大臣が言ったとおり、地域によって違いますし、とりわけ、言っているのは、長期の帰還困難区域の自治体。あと二、三年すれば帰れる地域も出てきますから、それはそれまでの支援でいいんですけれども、長期の場合、受け入れている自治体の財政措置はまたわかりますけれども、でも、どうしても、自治体の中に自治体があるというのは、なかなかそれは変則的なんですよね、残念ながら。これが四十年、五十年続くということは、それもやはりよろしくないというふうに思うんですよ。

 ですから、この長期の帰還困難の自治体に関してどうしていくのかというのは本当に難しい問題ですから、しっかり検討して、先ほど言ったように、国が、別に強制的ではなくて、選択肢をしっかり、プロなんですから、いろいろな制度、いろいろな形をしっかり示して、住民の意見を聞いて、選んでもらう。全くフリーハンドで意見を聞いていますというのではなくて、そういう意味で国が前面に立ってくださいと言っているんですから、それはぜひ大臣の手元で。

 もう三年もたっていて、本当に疲弊しています。将来像も見えていない、どうなるかわからないわけですから、これはしっかり、難しい問題ですけれども、早期に検討して、いろいろな選択肢をお示しして、地域住民の理解を求めるということが必要だと思いますので、ぜひこの自治体のあり方というのを真剣に議論していただいて、政策をつくり上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、住民や自治体から厳しい批判の声が上がっております米軍機の低空飛行問題について質問をいたします。

 オスプレイを初めとした米軍機の低空飛行問題については、全国知事会を初めとして、飛行中止や自治体への訓練の事前通知を求める意見や要望が多数寄せられております。自治体や住民の要望を踏まえて、米軍機の低空飛行問題を取り上げたいと思います。

 資料を今配付していただいております。これは九州の地図ですけれども、防衛省に寄せられております住民からの米軍機の飛行に係る苦情を集計したものがあるんですけれども、それに基づいて苦情場所を地図に落としたものです。赤い点がそれに当たります。苦情場所は、米軍機が頻繁に低空飛行する場所ということになります。

 昨年十二月十八日に、私、大分県で米軍機の低空飛行問題の調査を行いました。大分県内には、米軍施設として、自衛隊との共用の日出生台の演習場などがありますけれども、米軍の航空基地などはありません。しかし、この間、米海兵隊のオスプレイ配備に伴って米軍が公式に認めた米軍機の低空飛行訓練ルートのイエロールートが大分県上空を通過していることや、日出生台の自衛隊演習場でオスプレイの訓練が行われるという報道もあり、県民の不安の声が広がっております。さらに、防衛省が集計している米軍機飛行の苦情集計によると、大分県民から多数の苦情が防衛省に寄せられております。

 そこで、防衛省に確認でお尋ねいたします。

 防衛省が集計しております米軍機飛行の苦情集計によると、大分県内の苦情の上位三自治体がどこで、その件数が幾つか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年四月から平成二十六年二月までの間の米軍機の飛行に係る大分県内の苦情件数は、合計七十二件となっております。そのうちの上位三市町村につきましては、豊後大野市二十三件、臼杵市二十二件、竹田市十件となっております。

塩川委員 今のように、大分県の南部の自治体での件数が多い。これら集計された苦情件数は、いわば氷山の一角でもあります。

 重ねてお尋ねしますが、このような地域で米軍機飛行の苦情が多い理由は何なのか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 米軍の飛行経路につきましては、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあると承知をしております。

 他方、その具体的な経路等につきましては、米軍の運用に係る事項であるため、防衛省として必ずしも承知をしておらず、御指摘のございました、ただいま申し上げました豊後大野市、臼杵市及び竹田市における苦情件数が多い理由について、お答えすることは困難でございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域住民の皆様方に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き米側に働きかけていきたいと考えております。

塩川委員 米軍の運用にかかわることであり、お答えすることは困難ということですけれども、米軍の方は、この間、オスプレイの配備に伴って、イエロールートを初めとしたような米軍機の低空飛行訓練ルート、いわゆるナビゲーションルートも公表したわけであります。

 そういった形で、現に米軍としては日本じゅうを好き勝手に飛んでいるわけですけれども、今まで、そういうイエロールートとも重ならないようなところでの飛行訓練が多数あるという苦情、これ自身を防衛省が把握しているわけですから、こういった実態についてきちんと明らかにすることこそ住民の立場からも求められている、このことを申し上げたい。

 苦情の集中しています豊後大野や臼杵市や竹田市は、いずれもイエロールートや日出生台の演習場の所在地とは一致をしておりません。

 資料の二枚目は、これが防衛省が集計しています苦情受付表であります。

 ここにありますように、住民からの苦情、防衛省の出先に届いたものについて全国集計をしているものです。鹿児島県で、ここでいえば奄美市、あるいは奄美大島の龍郷町などを初めとして一連の苦情が寄せられ、飛行の機種などについてもプロペラ機などというふうに書かれているわけです。こういった苦情受付表では住民の訴えの記録としてプロペラ機とかあるわけですが、どういう機種が飛んでいるのか、こういうことについては明らかになっておりますか。

山本政府参考人 防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴う地方自治体や住民の皆様からの苦情を受けた場合には、米軍に対しましてその内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせております。

 こうした防衛省からの問い合わせに対する米軍の回答につきましては、所属部隊や機種が含まれている場合もございますが、飛行の有無のみの場合もあることから、防衛省といたしまして、米軍機の所属部隊や機種について全てを把握できているわけではございません。

 このため、米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表におきますプロペラ機との記述に関しまして、防衛省として具体的な機種を把握しておりません。

塩川委員 しっかりとそういうことも含めて確認をすべきであります。

 目撃された方によりますと、いわば大型のずんどうな機体ということですから、米軍の輸送機と思われるわけで、そうなりますと、米空軍のC130戦術輸送機ですとか、あるいはMC130特殊作戦機、あるいは海兵隊のKC130の空中給油機などが考えられます。

 大分県の豊後大野市で、米軍機の低空飛行についてお話を伺いました。橋本豊後大野市長とも懇談をし、市の担当者から説明を受けました。オスプレイも目撃されているそうであります。

 目撃事例の多くというのが、夏は夜の八時ぐらい、つまり日が落ちてからですね、冬場は夜六時ごろ、だからこれも日が落ちてからですけれども、そういう夕闇に紛れて大型のプロペラ機が一機で低空を飛んでいくということです。市民からは、家が壊れるほどの低さとか、墜落するかと思った、戦争中を思い出して怖かった、体が震えたといった声が寄せられているということです。

 この豊後大野市内で頻繁に飛行するという清川地区の市役所の支所長は、手を伸ばせば届くようなところを飛んでいる、毎週火曜日か水曜日の夜の決まった時間に定期便のように飛ぶ、ちょうどきのうも夜六時十分に飛んだ、ほぼ一方通行で、北東から南西方向に向かって飛んでいくと説明をしております。これが市役所の方の話でありました。

 防衛省にお尋ねしますが、近年になって非常に飛ぶようになったということでありました。それも定期便のように飛ぶということですけれども、これは米軍が新たな訓練ルートを設定したということではありませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたように、米軍の飛行経路につきましては、米軍が飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を念頭に、一定の飛行経路を飛行することがあると承知をしております。他方で、その具体的経路につきましては、米軍の運用にかかわる事項であるため、防衛省としては必ずしも承知をしていないということを御理解いただきたいというふうに存じます。

塩川委員 こういうふうに新しい状況が生まれてきているんですよ。そういったことについて米軍に確認もしようとしない、こういう姿勢は住民や自治体の立場を軽んじるやり方だと言わざるを得ません。

 米軍機の低空飛行は、大分だけではなくて、この配付資料の地図にもありますように、鹿児島県内でも繰り返されております。

 この点、防衛省にお尋ねしますが、防衛省が集計をしています米軍機飛行の苦情受付状況表によりますと、鹿児島県内での苦情の上位三市町村はどこで、その件数は幾つになるのか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 平成二十年四月から平成二十六年二月までの間の米軍機の飛行に係る鹿児島県内の苦情件数は、合計百一件となっております。そのうち、上位三市町村につきましては、日置市三十九件、薩摩川内市二十三件、奄美市十四件となっております。

塩川委員 日置市三十九件、薩摩川内市二十三件、奄美市十四件ということです。この後に鹿児島市ですとかあるいは南さつま市などもあるわけですけれども、奄美市を除けば、皆、薩摩半島に並ぶ自治体になっております。これに加えて、奄美大島の奄美市の件数が多いということです。

 鹿児島県の薩摩半島では多数の苦情が寄せられておりますが、ここには、米軍が公式に認めたような低空飛行訓練ルートは存在しておりません。九州の中央部でのイエロールートや、あるいは南西諸島を結ぶようなパープルルートというのは米軍も公表しているところですが、鹿児島の薩摩半島を縦断するようなルートについて、米軍が公表したものはありません。

 私は、昨年の十二月の十九日に、鹿児島県内での調査を行いました。薩摩川内市で住民の皆さんからお話を伺ったり、飛行目撃現場の視察も行いました。爆発するような音がしたとか、牛が驚いて落ちつかなくなるとか、異常があるのかと思うぐらい低い高度で飛んでいく、こういった声が寄せられました。

 日置市では、宮路市長と懇談をいたしました。夕方日が落ちて、六時から八時ごろ、南から北方向に飛んでいく、町の中心部を飛行するので眠れなかったという人もいた、お話をお聞きした市役所の上も飛んでいくという話でありました。日置市内で撮影された航空機の写真を見ると、米空軍のMC130特殊作戦機が該当するということでありました。

 防衛省が集計をしました米軍機飛行苦情件数が群馬県に次いで二番目に多いのが鹿児島県であります。薩摩半島を南北に飛ぶMC130が確認され始めたのは二〇〇六年ごろからという地元紙の報道もあります。

 外務省にお尋ねいたします。

 二〇〇九年十二月十五日の南日本新聞では、在日米国大使館のズムワルト公使の発言を紹介しております。ズムワルト公使は、日本の外務省から米軍機の低空飛行が鹿児島県民に不安を与えているとの相談を受け、在日米軍側に直接事情を聞いたことを明らかにし、沖縄の負担軽減のため、空軍と海兵隊が九州のいろいろな場所で訓練していると述べたとあります。

 そこで、お尋ねいたします。

 外務省が米国大使館と相談をしたというのは事実でしょうか。また、このズムワルト公使の発言内容は承知しておられますか。

秋葉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道は承知しております。二〇〇九年十二月に、ズムワルト在京米国大使館公使、当時の公使でいらっしゃいますが、報道にあるような趣旨の発言を行ったことを外務省として承知しております。

 御指摘の外務省とのやりとりの発言でございますが、これが具体的にどのようなやりとりを指すのかは明らかではございません。日米間では日ごろからさまざまなやりとりを行っておりまして、米軍の飛行訓練に際しましては、安全面に最大限の考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめていただくよう、これまでも米側に申し入れてきているところでございます。

塩川委員 この米国大使館の公使が、沖縄の負担軽減のため、空軍と海兵隊が九州のいろいろな場所で訓練していると述べたということについて、承知をしているということであります。

 沖縄の負担軽減のため、空軍と海兵隊が九州のいろいろな場所で訓練しているということならば、沖縄にあります米軍基地で空軍と海兵隊、航空基地ということであれば、米空軍嘉手納基地のMC130特殊作戦機や米海兵隊普天間基地のKC130空中給油機が、鹿児島や大分など九州上空で近年新たな訓練飛行を開始したということになるわけです。

 外務省でも防衛省でも結構なんですが、こういった大分県南部を横断するようなルートや、あるいは鹿児島県の薩摩半島を南北に縦断するルートなど、米軍が新たな訓練ルートを設定したということなんでしょうか。日本側にはこの点について何の相談もないんですか。

秋葉政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのズムワルト公使の御認識は、沖縄負担軽減のために行われているということが述べられておりますが、政府といたしましては、そのような認識は共有をしておりません。

 沖縄県の負担軽減のための具体的措置としましては、二〇〇六年の再編実施のためのロードマップに基づきまして日米間で実施してきている航空機訓練移転の移転先というものがございますが、そこに鹿児島県内の施設は含まれておりません。ズムワルト公使の御発言は、何らかの誤解に基づくものと思われます。

塩川委員 二〇〇六年五月の再編実施のための日米のロードマップの話がありました。確かに、嘉手納などの米軍基地の航空機が本土の自衛隊施設を使った航空機訓練の訓練移転を行うということを確認しているわけですけれども、九州上空での低空飛行訓練ルートなどは直接は取り上げられておりません。

 もちろん、九州の自衛隊施設を使うということはあるわけですけれども、低空飛行訓練ルートの話はどこにも出てこないわけです。しかし、ズムワルト公使、米側はそういう発言もしたと。それは、だから、鹿児島県内で米軍機がたくさん飛んでいることに対する質問への答えとして言っているわけですから、こういった問題について誤解だと言うなら、はっきり正す必要があるんじゃないでしょうか。

 あわせて、沖縄の負担軽減といえども、本土での訓練をふやすということは納得がいかない。

 というのは、そもそも、沖縄の負担軽減といっても、例えば嘉手納から米軍機の訓練が本土に移っても、その嘉手納には米本土から外来機がどんどん来て訓練をしているんですよ。嘉手納の訓練の全体量は減っていないんです。結果とすれば、本土での米軍機の訓練がふえているだけで、全体の総量がふえているだけというのが実態だ、余りにも異常だ。勝手に訓練ルートを設定するということ自身も、許されることではありません。

 防衛省にお尋ねします。

 豊後大野市長は、市議会で、市民から苦情が寄せられると、その都度、大分県に飛行状況、苦情を伝え、防衛省、外務省経由で、米軍に対し低空飛行の中止を訴えてきたと答弁をしております。ほかの首長も同様であります。

 国として、米軍に対して低空飛行の中止を求めるべきではありませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 在日米軍の行う低空飛行訓練は、部隊の練度維持向上を図り、日米安全保障条約の目的達成に資する重要なものであると認識をしております。

 また、米軍機の低空飛行訓練に関しましては、平成十一年の日米合同委員会におきまして、安全性を確保し、住民への影響を最小限にするための具体的な措置が合意をされており、米軍は、当該合意に従い、低空飛行訓練を実施しているものと承知をしております。

 防衛省といたしましては、低空飛行訓練の実施に当たりましては、平成十一年の日米合同委員会合意を遵守し、地域住民の皆様方への安全、安心に最大限配慮するよう引き続き米側に働きかけていくなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 きっぱりとこういう訓練ルートの訓練をやめよということこそ求める、それが住民や自治体の要望に応えるということを申し上げます。

 防衛省の米軍機飛行の苦情受付表によりますと、鹿児島県が全国で二番目に苦情が多いわけですけれども、奄美群島から寄せられた苦情もたくさんあります。

 この奄美群島から寄せられた苦情が、いつから始まり、総数で何件ぐらいとなっているのか、機種についてはどのような情報が寄せられているのか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 米軍機の飛行に係る奄美群島からの苦情につきまして、当方で把握している範囲でお答えいたしますれば、平成二十四年八月に受け付けていることが確認できます。

 また、平成二十四年八月から平成二十六年二月までの間の米軍機の飛行に係る奄美群島からの苦情件数は合計十七件であり、そのうち、プロペラ機であるとの苦情が十五件、機種を特定していない苦情が二件となっております。

塩川委員 奄美でのたび重なる米軍機の低空飛行で、住民は不安を募らせております。

 お話をお聞きした方の声を紹介しますが、奄美市名瀬の小宿の住民の方は、昨年の十一月、オスプレイ二機が頭の真上を低空で飛んでいった、三百メートルかそこらの高さの山にひっかかってしまうんじゃないかというくらいの高さだった、音もすごい、友達も、いきなり地響きが来て、地震が来たかと思ったらオスプレイが飛んでいった、あなたのところにも行った、こういう連絡をしてきたという話でありました。

 大島郡の龍郷町の住民の方は、オスプレイは昨年春ごろから飛ぶようになっていた、夜間の九時半、十時半でもプロペラ機が飛んでくる、驚くほど低空で、ガラス窓がビリビリ鳴り、住民の多くが一斉に窓やドアをあけて空をにらんでいる、近所には高齢者も多いが、小さな子供を持つ世帯も多い、若いお母さんは、怖いよね、ひどいよねと、子供を抱えながら空を見上げていたということです。

 大勝小学校では、授業中でも学校付近を低空で飛行するので、オスプレイが飛行してくると、子供たちが、来た、来たと不安になり騒ぎ出す、騒音でとても授業ができる状況ではなく、授業は中断されるとのことでした。

 奄美市はこのような住民の苦情を集計して、県に報告しております。一部が奄美大島にかかるパープルルートはほとんどが海上のはずですが、わざわざ陸上部分を飛ぶようにしているということになります。頻発する米軍機の低空飛行に加えて、米軍機が奄美空港に頻繁な着陸を繰り返していることも明らかになりました。

 国交省にお尋ねします。

 平成二十年以降で、鹿児島県内の空港において米軍機が着陸した回数は何回になるのか、あわせて、このような着陸をしている米軍機の機種は何か、所属部隊はどこか、着陸の理由は何か、この辺についてわかることを教えてください。

奥田政府参考人 お尋ねの件につきましては、鹿児島県内の空港への米軍機の着陸につきましては、平成二十年から平成二十六年の三月七日現在までの間で把握いたしておりますが、鹿児島空港に八回、種子島空港に十回、屋久島空港に五回、奄美空港に二百四十九回、徳之島空港に六回の合計二百七十八回となっておりますが、先生からお尋ねのありましたそれぞれの項目につきましては、国土交通省としては把握をいたしておりません。

塩川委員 資料の三枚目を紹介した答弁であります。奄美空港が、平成二十年以降、二百四十九回に上ります。これは、さかのぼって二〇〇〇年以降ならば八百九十四回にもなる。米軍基地のようであります。

 防衛省はこの米軍機の機種がわかりますか。トラブルの理由なり、着陸の理由について把握しているところを教えてください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年以降、鹿児島県内の空港に着陸した米軍機の機種、所属部隊及び着陸の理由など個々の詳細につきましては、米軍の運用にかかわることであり、お答えする立場にないということを御理解いただきたいというふうに存じます。

塩川委員 最後に、大臣にお尋ねします。

 こういったように、米軍ヘリが着陸しているなんということも言われているんですよ。まさに訓練場になっているんじゃないのか。我々が知らないような訓練ルートを勝手に設定しているんじゃないのか。こういうのは余りにもとんでもない。

 自治体からは、オスプレイなど米軍機の訓練飛行中止を求める要望が多数出されておりますし、先ほど紹介した奄美の龍郷町議会も、我が町上空の飛行を禁止すること、こういった要望も出しているわけですから、こういった自治体、住民の声を代弁して、きっぱりと中止を求めるべきだと考えますが、大臣としてのお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 住民生活の安全、安心の確保は極めて重要であると考えております。防衛省において、関係地方自治体や住民に対して、できる限り丁寧な対応をしていただきたいと期待をしているところであります。

 私の所管ではないために、それ以上の具体的な答弁は控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 異常な米軍機の訓練飛行の中止を求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国のあらゆる社会経済活動の基盤となる電波の有効利用を促進する観点から、電波利用料の適正性を確保するためその料額を改定するとともに、災害時に非常通信を行う無線局等に係る手数料等を免除するほか、技術基準適合証明等の表示方法に係る規定の整備等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、電波利用料について、電波法附則第十四項の規定に基づき、三年ごとにその適正性の確保の観点から見直すこととされており、電波利用共益費用及び無線局の開設状況の見込みを勘案して、その料額を改定することとしております。あわせて、広域専用電波を使用する第一号包括免許人が納めなければならない電波利用料に上限額を設ける改正を行うこととしております。

 第二に、電波利用料の使途として、ラジオ放送の難聴地域において必要最小の空中線電力によるラジオ放送の受信を可能とするための中継局等の整備に対する補助金の交付を追加することとしております。

 第三に、災害時において人命の救助、災害の救援等のために必要な通信を行う無線局等を臨時に開設する場合に、電波利用料及び免許申請等に係る手数料を免除することを可能といたします。

 第四に、技術基準適合証明等を受けた特定無線設備を組み込んだ製品の製造業者等が、その特定無線設備に付されている技術基準適合証明等の表示を製品に適切に転記することを可能といたします。

 第五に、携帯電話端末等の適合表示無線設備の修理業者が、電波特性に影響を与えない範囲での修理の確認を行う場合に、総務大臣の登録を受けることを可能といたします。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電波利用料の使途に関する改正規定等は公布の日から、災害時等に開設する無線局に関する改正規定等は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から、修理業者の登録制度に関する改正規定は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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