衆議院

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第14号 平成26年4月10日(木曜日)

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平成二十六年四月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    川田  隆君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    島田 佳和君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    根本 幸典君

      前田 一男君    松本 文明君

      山口 俊一君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           重徳 和彦君

   議員           鈴木  望君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     根本 幸典君

  西銘恒三郎君     青山 周平君

  湯川 一行君     島田 佳和君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     西銘恒三郎君

  島田 佳和君     川田  隆君

  根本 幸典君     前田 一男君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     湯川 一行君

  前田 一男君     大西 英男君

    ―――――――――――――

四月十日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

 地方公務員法等の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二四号)

 地方公務員の労働関係に関する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二五号)

 地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案(重徳和彦君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二〇号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案、第百八十五回国会、原口一博君外三名提出、地方公務員法等の一部を改正する法律案、地方公務員の労働関係に関する法律案及び第百八十五回国会、重徳和彦君外三名提出、地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、自治行政局公務員部長三輪和夫君及び自治財政局長佐藤文俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 初めに、改正案の中で、閣法そして衆法に共通するところから質問していきたいと思います。人事管理制度の導入であります。

 まず、これまでの勤務評定と今般の人事評価制度とを比較しまして、その相違点あるいはまた新たな意義についてお尋ねいたします。

新藤国務大臣 人事評価と勤務評定につきましては、任命権者が職員の執務の状況について定期的に評価を実施するなどの基本的な性質は同様である、このように思います。

 そして、従前の勤務評定におきましては、評価項目が不明瞭である、あらかじめ明示をされていない、さらには、上司から一方的に評価されるのみで評価結果は部下に知らされない、また、人事管理に十分活用されていないのではないのか、こういう問題点が指摘をされておりました。透明性の確保等についての課題があるのではないか、このように認識をしているわけであります。

 これに対しまして、今般導入いたします人事評価は、評価の観点として、能力評価と業績評価の両面から評価をし、人事管理の基礎とすることを規定いたします。また、評価基準の明示や、評価結果の本人への開示などの仕組みを想定しているということであります。

 人事評価は、従来の勤務評定と比べまして、能力・実績主義を実現するためのツールとして、客観性、透明性をより高めたものになっている、こうした人事評価制度の導入によりまして、能力本位の人事管理が行われ、一層の公務能率の向上が図られるというふうに考えておるわけであります。

黄川田(徹)委員 評価の透明性といいますか、これは大事でありますので、一段と進んだ形で今度の制度が導入されるということでありますね。

 それでは、この人事評価制度でありますけれども、国家公務員においては平成二十一年から導入されていると思いますが、その成果と課題についてもお尋ねいたします。

新藤国務大臣 国家公務員の人事評価制度でありますけれども、平成十九年の法改正によりまして導入をいたしました。そして、二十一年の十月から実施をされたということであります。

 先ほどお話をさせていただきましたが、評価結果を昇任や昇給等に活用することにより、能力、実績に基づく人事管理が行われている、このように考えております。

 そして、ちょうど昨年の十月で制度を始めてから五年目を迎えましたので、私の方で、運用状況を検証し、その改善を図ることが必要と考えまして、昨年の七月から、人事評価に関する検討会を開催いたしまして、課題の抽出や具体の対応策を御検討いただきました。本年二月七日に、その結果が出されております。

 この報告書におきましては、現行の人事評価制度が円滑に実行されている、このようにされる一方で、評価者間で評語区分の理解へのばらつき、例えば、評価者の約五割が、A評価とB評価などになっているわけでありますけれども、そういった区別の判断、見きわめというようなもののばらつきがあるのではないかという可能性がある、さらには評価結果の人材育成への一層の活用の必要性、こういったものが指摘されているというところであります。

 検討会からは、任用、給与等の人事管理の基礎としての機能をより一層果たすために、評語区分の趣旨の明確化及びその徹底をすべしである、また人材育成等に活用するための評価者訓練の充実などの御提言をいただいております。

 総務省といたしましては、この提言を踏まえて、今後、必要な改善措置を講じ、国家公務員の人事評価の適切な運用を図ってまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 これまでも、全ての自治体が勤務評定、人事評価をしているわけではないわけであります。

 その中にあって、今般の政府改正案によりまして、自治体の人事評価と勤務成績の評価、この結果を生かすことが大事なのでありますけれども、活用した人事管理は大きく前進するのか、その所見をお尋ねいたしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、国が平成十九年に法制化しました。そして、地方においてはまだその法制化がなされていないわけでありますが、国に準じて人事評価を取り入れている自治体もございます。ですから、それぞれが自治体の判断によって勤務評定もしくは人事評価を行われているわけであります。しかし、今回は、これを法制化して、そして自治体において決めてください、こういうふうにするわけでありまして、人事評価がきちんと根づいていくということだと思っております。

 そして、国においては、人事評価の結果は、人事管理の基礎として任免や給与、人材育成に活用しております。したがって、今回の地方公務員法の改正案におきましても、そのところを明確に規定したということでございます。

 地方公共団体における人事評価制度の運用に関する研究会というものが設けられまして、報告書が平成二十三年の三月に出されております。「公正・客観的な人事評価の実施は、評価結果を任用や給与等の処遇、人材育成等に活かすことにより、職員のモチベーションを高め、組織の士気や公務能率を向上させる効果があると考えられる。」このように指摘をされているわけでありまして、私どもとすれば、人事評価制度の適切な活用に向けて必要な助言を行ってまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 大臣お話しのとおり、都道府県とか指定都市なんかはかなり進んでおるわけでありますけれども、小規模自治体といいますか、そういう中の底上げをしていかなきゃならないと思っております。

 その中で、人事の評価でありますけれども、評価者が客観的、公平公正な評価をするためにも、その育成とか研修、特に小規模自治体にとっては大事であると思っておるのでありますけれども、その対応策についてお尋ねいたします。

関口副大臣 人事評価においては、客観性を担保するために、評価者を育成、さらに訓練することは大変重要であると認識しております。

 評価者の訓練は、それぞれの団体における人事評価制度の内容に沿って、基本的には各団体において行っていただくことになっておりますけれども、総務省としては、国や小規模団体を含めた先行事例などの取り組みの情報提供、例えば、長野県松川町においては年二回研修会を行っている、こうした事例を情報提供したり、人事評価に係る地方公共団体への専門家の派遣、北海道の美幌町、首都大学の伊藤教授が出向いて幹部の方々と意見交換を行っている、こうしたこと。さらに、地方公務員の研修機関の活用促進、これは全国市町村国際文化研修所、JIAM、ここで研修を行っております。

 こうしたことを通じていろいろ取り組んでおるわけでありますが、黄川田委員御指摘の小規模団体においても適切な人事評価が行われるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

黄川田(徹)委員 それでは、さらに具体的にお聞きしていきたいと思います。

 政府改正案で、等級別基準職務表を規則ではなく条例化いたしましたけれども、この意図は何でしょうか。

新藤国務大臣 この等級別の基準職務表は、個々の職務を給料表の各等級へ分類する際の具体的な基準となるものであります。

 このような等級別の職務分類は、これまで勤務評定制度においてもあったわけであります。給料表と相まって、職員の給与を決定するための基本事項でありまして、条例で定めることが適当である旨を総務省としても助言してきたわけでございます。

 今般の法改正におきましては、人事評価制度導入に当たりまして、能力、実績に基づく人事管理を徹底するという観点から、等級別の基準職務表は地方公共団体が給与条例に規定することを制度化したということでございまして、議会審議等を通じて、民主的チェックや住民への説明責任を強化し、地方公務員給与における職務給原則の一層の徹底を図る、このように考えております。

黄川田(徹)委員 この等級別基準職務表については、具体的にどのような設計を想定しておるのか。例えば、国の級別基準職務表のようなものをイメージしているのか、この辺をより具体的にお尋ねいたします。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 等級別基準職務表でありますけれども、これは、個々の職務を給料表の各等級へ分類する際の具体的な基準として、等級別の職務内容を明確にするものでございます。

 この等級別基準職務表の内容につきましては、国におきまして同様の趣旨で人事院が整備をいたしております級別標準職務表、これに準じたものを想定しているところでございます。

 例えば、国の級別標準職務表におきましては、一級は定型的な業務を行う職務、二級は主任の職務等、三級は本省の係長の職務等々ということで、さらに十級に行きますと、本省の特に重要な業務を所管する課の長の職務等、こういったような分類となっているという、そういうイメージのものでございます。

黄川田(徹)委員 さらに、この制定に当たっては、当然、各地方自治体の組織機構を前提とするものと考えるのでありますけれども、その見解をお尋ねいたします。

新藤国務大臣 これは御指摘のとおりでありまして、地方公共団体の規模、組織構造等に応じてこの基準内容というものは異なってくるというふうに思います。

 したがって、それぞれの団体の規模、組織構造等を踏まえまして、地方公務員法の趣旨にのっとった適切な等級別基準職務表、これが、それぞれの自治体で定める条例により整備される、このように考えております。私どもとすれば、必要な助言を行ってまいりたい、このように考えます。

黄川田(徹)委員 さらに、人事評価制度について、この制度の円滑な導入と運用のためには、やはり職員への十分な周知と相互の理解、これが大事だと思っておりますけれども、この辺のところについての御見解をいただきます。

新藤国務大臣 まさにこの人事評価制度の円滑な導入と運用は、各地方公共団体において、その内容、また評価の透明性、客観性、納得性を確保するための枠組み、これを構築することが大事であると思います。

 まずは自治体の理解が必要で、それを今度は自治体の職員の皆さんにも周知をしていかなければならない。そのための必要な措置をとっていただくように我々も助言をしてまいりたい、このように考えます。

黄川田(徹)委員 さらに、この円滑な導入と運用のためには、具体的な対応をもう少しお尋ねいたしたいと思います。

 特に、職員への具体的措置についてどのような見解を持っておるか、お尋ねいたします。

新藤国務大臣 今回の改正法案におきまして、人事評価は、能力評価と業績評価の両面から行うこととされているわけであります。その具体的な基準や方法は各任命権者が定めるわけでありますが、国においては、評価項目、評価基準の明示、職員みずからの達成状況等の申告、面談の実施、評価者訓練、評価に関する苦情相談、苦情処理などの仕組みが取り入れられております。

 地方公共団体においても、このような国の仕組みを参考にしていただきながら、それぞれの団体の実情に沿った人事評価制度というものを整備していただきたい、このように思っています。

 そして、これは通常、いろいろな連絡会議がございます。例えば、県や政令市であれば、全国人事担当課長会議というのがございますし、市町村における担当の課長会議等もあります。それから、またブロックでそれぞれ会議がありますから、そういう場合には私どもがそれぞれの地域に出向いていって説明をするというようなことで、内容の周知徹底、また運用の適切化を図ってまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 やはりこの評価制度の導入には、当局と職員との信頼関係、これも必要だと思います。

 そこで、この人事評価制度の導入に当たりまして、知事会とか市長会とか町村会の意見はどうだったのか。それから、やはり町村会となると規模が小さくて、例えば、職員も五十人とか六十人ぐらいの自治体もあります。顔が余りに見え過ぎているというところもあるわけなのでありますけれども、その辺も意見を踏まえて、地方団体の御意見はこれに対してどうであったか、お尋ねいたします。

三輪政府参考人 人事評価制度の導入につきましては、平成十九年と平成二十四年の過去二回、この地方公務員法改正案が国会に提出をされたわけでございますけれども、こういった際にも、知事会、市長会、町村会にもちろん周知をしたわけでありますけれども、その折に特段の意見は寄せられていなかったと承知をしております。

 また、今回の地方公務員法の改正案につきましても、事前に私ども出向いて内容の説明をいたしましたし、あるいは、地方自治法の第二百六十三条の三第五項の規定に基づきまして情報提供なども行っているところでありますが、特に各団体から特段の御意見は寄せられていない、こういう状況でございます。

黄川田(徹)委員 それでは、もう一方、職員団体とか組合等々の関係についてはどうでしょうか。

三輪政府参考人 今回の地方公務員法の改正によります人事評価制度の導入に関しましては、地方公務員の職員団体等からは、会見等の場で御意見を伺っているところでございます。

 主な御意見といたしましては、人事評価制度の導入については職員の理解が不可欠であるということ、あるいは、労使協議を通じた納得性の高い人事評価制度の構築と公正な運用を図るための措置を講ずること、こういったような御意見を承っているところでございます。

黄川田(徹)委員 それぞれ自治体で、柔軟な人事の関係等々、これまでもあったし、それからそれぞれの自治体特有の課題もあると思います。一番大事なのは、やはり当局と職員との信頼関係といいますか、緊張感とともに信頼関係を構築していくということが一番大事だと思いますので、その点も配慮していただきたいと思います。

 それでは次に、私は一番課題と思っているのでありますけれども、自治体といっても、横浜市のような、三百七十万ぐらいですか、小さな国と同じぐらいの人口の基礎自治体もありますし、私もたびたび引き合いに出すのですけれども、同じ自治体でも、東京都の青ケ島といいましたか、百人足らずの村もあるわけなのであります。

 そういうことで、さまざま法律をつくるときに、法律の改正で全て適用だということになるのでありますけれども、やはり今回の人事評価の関係も、都道府県とか指定都市と比較しまして、小規模市町村には、さまざまな支援といいますか対応策が必要、こう思っておるのでありますけれども、この辺、総括して、どういうお考えか、お尋ねいたします。

新藤国務大臣 結局、今、国が導入をして五年たちました。そこで指摘された問題、課題というのは、いわゆる運用面におけるいろいろな工夫が必要である、こういう御意見が寄せられているわけであります。

 ですから、今回、これから地方公共団体の皆さんにも制度化をしていただくわけでありますけれども、制度面は統一した基準でやっていくべきであろう。しかし、それの運用に当たって、今委員が御心配いただいているようなこと、それから、何よりも各自治体の職場においてこの人事評価制度を適切に活用いただいて、そして職員の士気が上がる、それから業務効率が上がる、こういったものに役立てていただきたい。

 ですから、運用については不断のチェックが必要だ、またはそういったものを我々も注視してまいりたい、このように考えているわけでございます。

黄川田(徹)委員 それでは、後半戦の質問をいたしたいと思います。

 改正案の中で、閣法に盛り込まれず、そして衆法に盛り込まれております自律的労使関係制度と消防職員の団結権について御質問いたしたいと思います。

 まず、閣法案に自律的労使関係制度を盛り込まなかった理由をお尋ねいたします。

新藤国務大臣 地方公務員の労働基本権につきましては、国家公務員制度改革基本法の附則の第二条におきまして、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」こととされているわけであります。

 国家公務員の自律的労使関係につきましては、担当の稲田大臣からも、これまでの経緯を踏まえれば、多岐にわたる課題があり、いまだ国民の理解が得られるような段階にはない、引き続き慎重に検討する必要がある、こういう御答弁がございます。

 このようなことから、地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、今後とも、国家公務員についての動向を踏まえながら対応する必要があると私は考えておりまして、今回の法案には盛り込んでいない、こういうことであります。

黄川田(徹)委員 大臣お話しのとおり、国家公務員制度改革基本法、これは平成二十年六月十三日に公布、施行された法律であります。

 その第十二条には、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と明記されております。

 改めて私からもお話ししますけれども、この法律の附則の第二条に、地方公務員のことについて書き込まれております。「政府は、地方公務員の労働基本権の在り方について、第十二条に規定する国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」ということであります。

 大臣は、内閣府の方で、国家公務員法等の一部を改正する法律案について、答弁者でありますよね。

 国家公務員法については、たしか衆議院は通って、今参議院、そういう状況ということで、国家公務員、地方公務員、同じ公務員ということで、政府は、まだ措置するには熟度が高まっていないというふうな御答弁であるようであります。

 それでは一方、衆法でありますけれども、衆法案には、自律的労使関係制度を盛り込んでおります。その理由をお尋ねいたします。

原口議員 お答えいたします。

 黄川田委員におかれましては、本当に、地方自治の本旨に基づきさまざまな、御活動くださっておりますことをまずお礼を申し上げた上で、御答弁させていただきます。

 民主党は、労働協約締結権の回復が自律的労使関係制度を措置するために必要不可欠な要素であると考えております。

 今、条文を御紹介いただきましたけれども、国家公務員制度改革基本法第十二条及び附則第二条第一項の規定を踏まえ、地方公務員に労働協約締結権を付与するとともに、人事院勧告制度を廃止して、労使交渉を通じて労使が勤務条件について自律的に決定し得る自律的労使関係制度を措置することで、時代の変化に対応し、効率的で質の高い行政サービスの実現を図ることができるものと考えています。

 これは、私たち、公務員制度改革基本法、まだ政権交代の前でしたけれども、当時の自公政権と協力してつくらせていただきました。その肝が自律的労使関係なんですね。

 ここをしっかりとしなきゃいけないというのは、例えば、当時の自公政権の中でも行革推進本部専門調査会というのがあって、労働基本権のあり方について、こういう報告がされています。この中で、現行のシステムは、非現業職員について締結権を制約し、一方で使用者を、代償措置である第三者機関の勧告により拘束する、このように労使双方の権限を制約するシステムでは労使による自律的な決定は望めない、ここまで言っているわけですね。

 私は、早く基本法の本旨に立ち返って改革を前進されるように望むものでございます。これが、私どもが法案を提出した趣旨でございます。

黄川田(徹)委員 それで、閣法は提出されました、そしてまた、自律的労使関係制度は盛り込まれなかった。

 先ほど人事評価制度導入でも質問したのでありますけれども、法案提出に当たり、知事会とかあるいはまた市長会とか町村会とか、どういう評価をされておるのか、お尋ねいたしたいと思います。

三輪政府参考人 先ほどお話し申し上げましたとおり、この法案の提出の前に、全国知事会、全国市長会、全国町村会に対しましては、法案の事前の御説明をし、あるいは、地方自治法に基づきまして情報提供等をいたしたわけでございます。当然、その内容として、自律的労使関係制度が入っていないということもあわせてお話をしておりますけれども、特段これに対して御意見は頂戴していないという状況でございます。

黄川田(徹)委員 本法案に関しては特段の御意見がなかったということでありますけれども、地方公務員法等の一部を改正する法律案、地方公務員の労働関係に関する法律案、これは平成二十四年十一月十五日に提出されまして、平成二十四年十一月十五日でありますので、次の日が解散という日でございます。結果として審議未了、廃案となったわけであります。

 このときには、自律的労使関係制度の措置ということで、一般職の地方公務員、団結権を制限される職員等を除く職員への協約締結権の付与に伴い、勤務条件等に関する人事委員会勧告制度を廃止する、これが盛り込まれておりますし、それから、消防職員について、団結権を付与し、当局と交渉ができることとする、もちろん協約締結権は付与しないのでありますけれども、こういうものも盛り込まれた法律が提出されて、廃案になっているのであります。

 このときも、知事会あるいはまた市長会、町村会と、さまざま意見聴取といいますか、いろいろな議論が出たと思うのでありますけれども、この部分はどうでしたでしょうか。三輪部長さんでよろしいので、お願いいたします。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年の十一月、御指摘のように、地方公務員法の改正等いわゆる自律的労使関係制度措置のための関係法案が政府から提出をされましたけれども、当然、その前に、地方団体、知事会等といろいろな意見の交換がなされてきたということも事実でございます。

 その間、地方団体からは一貫して大変慎重な意見が提出をされておりまして、例えば二十四年十一月の地方六団体の意見におきましては、制度設計上、地方の特性や多様性が考慮されていないでありますとか、あるいは消防職員の団結権の付与につきましても、るる支障を来すというような問題点の指摘等がございました。それからまた、議論が十分尽くされたものとはなっていないというような御意見もございました。

 このように、当時、地方団体からは大変慎重な御意見が提出をされていた、こういった経過がございます。

黄川田(徹)委員 たびたびお話ししますけれども、地方六団体の中でも、都道府県、市長会、町村会、市長会の中でも大都市とかさまざまあるのでありますけれども、そのさまざまな意見の中で、差異といいますか、例えば大都市の首長さん方の意見と小さな町や村の首長さんの意見の違いとか、トータルではまだ早いというふうな三輪部長のお話なのでありますけれども、大規模市町村と小規模市町村との関係では何か違いはありますか。

三輪政府参考人 それぞれの首長さんによりまして温度差は確かにございまして、比較的前向きな御意見をおっしゃっておられた方もいらしたというふうには認識をしておりますが、全体的に、また公式に地方団体から出されてくる意見ということでありますならば、先ほど申し上げましたように、大変慎重な御意見が大勢であり、正式な御意見であった、このように理解をいたしております。

黄川田(徹)委員 地方六団体、首長さん経験者も多数おられるようでありますけれども、私は役場の係長から国会議員になってしまったものですが、特に私は組合活動をしたわけでもないし、当局とけんかしたわけでもないのでありますが。特に、小さな町で仕事をしておりましたから、先ほどお話ししたとおり、顔が見える中でやっておりましたので、あくまでも住民のために汗をかくということの中でやってきたのでありますけれども、首長さんも、自律的労使関係ということになると、ちょっと引く首長さんたちが、多分、六団体の方でも出てくる方がおると思います。やりたい仕事がいっぱいあるので、そこまでエネルギーを使うととても体力がもたないという、これは冗談でありますけれども。

 ただ、時代の流れといいますか、やはり権利は権利としてしっかりと措置をし、むしろその方が首長の皆さんも、ある一面、いい意味での緊張感といいますか、役所を統括する首長としてのまた前向きな仕事ができるのではないかと思うのであります。しかし、私も、地元、小さな町や村がありますので、なかなか、そういう小さな町の首長さんからすれば、何、これまでうまくいっているんだからいいんじゃないのか、そういうところで終わっているところがあるんですよね。そうじゃないんだということを、一つでも二つでも前に進めたいというのが私の気持ちなのであります。

 ILOからたび重なる指摘がございますし、昨年は、自治体職員、給与の削減を要請されたとか、人勧制度が本当に機能しているかとか、いろいろな思いがあるはずであります、職員からしても。要は、制度をつくって縛るんじゃなくて、制度をつくってしっかりと住民に説明責任を果たし、そしてよりよき行政サービスを提供していくというのが一番大事だと思っておりますので、その辺はさらに議論をしていかなきゃならないのではないかと思っております。

 次に、平成二十二年の十二月に、消防職員の団結権のあり方に関する検討会、こういうところから報告書が提出されたと思うのであります。その報告書の中でさまざま書き込まれておると思うのでありますけれども、視点と方向性など、その報告書に対する所見をそれぞれ、大臣そして原口提出者にお尋ねいたしたいと思います。

新藤国務大臣 この消防職員の団結権のあり方に関する検討会は十二回行われ、平成二十二年の十二月にその報告書を取りまとめたと聞いておりますし、当時、黄川田副大臣がこれに大変な、いろいろと指導力を発揮された、こういうことも承知をしております。

 そして、この団結権の回復には慎重な立場の方と積極的な立場の双方からの意見が出された、こういうことは報告書の中につまびらかになっております。

 しかし、その最終報告において、委員間で必ずしも意見の一致を見たわけではないとした上で、団結権のみ付与するか団体交渉権を含めるかなどに応じて五つの制度案を整理した、このように承知をしております。

原口議員 お答えいたします。

 本当に、この報告書を出すに当たり、当時、黄川田副大臣に大変お世話になりました。

 私が担当のときに、この消防職員の団結権のあり方に関する検討会を立ち上げて、報告書をまとめたわけです。

 この消防職員の団結権に関しては、日本は、約四十年間、ILO条約勧告適用専門家委員会から指摘を受け続けてきたわけです。

 その中で、今大臣が御答弁されたように、団結権の付与のみ、団結権と協議の仕組み、団結権と当局との交渉といったパターンが示されて、これらのうち、消防職員に一般行政職員同様に団結権を付与し、当局との交渉を可能とする案に基づき、私たちは、地方公務員法等の一部を改正する法律案を作成し、第百八十一回国会に閣法として提出いたしました。

 団結権の付与と当局との交渉を認めることが、消防職員の公務能率の向上、職場環境の改善に役立ち、職員の士気向上、人材確保にも資すると考えます。

 今後とも、消防職員への団結権付与初め、公務員の労働基本権の確立に尽力していきたいと思います。

 地方公共団体の皆様にもさまざまな意見があることは、私も存じ上げています。しかし、権限、財源はくれ、だけれども責任は負わない、こういう姿勢でおっしゃっているんじゃないと思いますけれども、やはりしっかりとした労働者の権利を確保する、これが公共サービスの質を上げていく、保障していく、そういう道であるということを申し添えておきたいと思います。

黄川田(徹)委員 この団結権に関しては、当初たしか、警察の方々それから消防の方々、どういう形で検討をしていくかということで、もちろん、その中で、まず消防に的を絞っていろいろな意見を聞いていこうということだったと思っております。

 それで、どういうパターンといいますか、付与する、付与しない、もし付与するのであればどういう形で付与するのかとか、いろいろな考え方を出してきて、多分、必ずこれをやらなきゃいけないというふうな報告書ではなかったとは思いますけれども、いろいろな意見が出る中で、その意見をもとに政府としてどういう取り扱いをするのかということの中で、民主党政権は、しっかりと権利を与えて、むしろ自信を持って立派な公共サービスができるようにというふうな形の提出の仕方と思っておるのであります。

 これまた、法律をつくるところ、唯一の立法機関は国会でありますけれども、法律に振り回されたなんということになると自治体も大変でありますので、自治体の声といいますか、その部分はどんな形になっているでしょうか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年十一月に、消防職員の労働基本権の回復を含む地方公務員法等の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました際には、全国市長会と全国町村会を含む地方六団体から、消防職員の団結権等の付与は指揮命令系統の混乱をもたらし、消防活動に支障を来す、そのような旨の反対の意見が表明をされているところでございます。

 また、平成二十二年五月、先ほどお話が出ました消防職員の団結権のあり方に関する検討会、この検討会におきまして、全国市長会、全国町村会にヒアリングが行われたわけでございますけれども、この折に、全国市長会からは、アンケート調査の結果、約九割の市区長が、地域の安全、安心の点で消防職員の団結権について課題、懸念がある、また、全国町村会からは、団結権の付与によって、職員間の考え等の相違による不調和が生じたり、上司と部下との対抗関係をもたらし、良好な服務規律の維持が困難になると予想され、不安な面も感じざるを得ない、このような意見表明があったところである、このように認識をいたしております。

黄川田(徹)委員 多分この部分も、消防も、平成の合併で一部事務組合が単独消防になったり、さらなる広域化ということの方向もあると思います。

 消防本部は、やはり大きく受け皿となり、体力もつけるような形で、住民の生命財産を守っていく方向にあると思います。かつての単独消防、それから一部事務組合でやる、その後の平成の合併、さらに大きなくくりでやるという方向になると、本部自体の職員がかなりの人数になる、こう思っております。

 やはりそういう中で、どういうふうな労働基本権を付与し、そのあり方についてはますます議論されていかなきゃならない、私はこう思っております。どうしても、首長さん、足元の常備消防だけでなくて、非常備消防といいますか消防団との関係、さまざまあって、速やかな団結権の付与というところには課題があるということで、いろいろな提言をされるわけでありますけれども、翻って、働く者、それから使用者、そういう中での緊張感のあるお互いの立場といいますか、そういう部分はもうちょっと議論してほしいなと私は思うんですよ。

 もちろん、現場も、何度も言いますけれども、私も小さなところから来ておりますので、町村長さんたちは、村民の、町民の命と財産を守っているんだ、そして、消防団がなければ命は守れるのかとか、非常備消防ですね、そういう中で常備消防だけがひとり歩きするんじゃないのかというふうな、一般的に聞けばそういうこともあるんだけれども、ただし、別な切り口といいますか、やはり働く者と使用者との関係、そこで権利が与えられることによって、何度も言いますけれども、公務員としての、しっかりとした公共サービスを提供できるというその部分までも議論を高めていっていただきたい、こう思っておるわけなのであります。

 ちょっと質問が前後しましたけれども、閣法案に消防職員の団結権を盛り込まなかった理由といいますか、先ほど、二十二年の検討会の報告書を踏まえて盛り込まなかったということだと思いますけれども、改めて大臣にお尋ねいたします。

新藤国務大臣 今回の法案の構造といいますかたてつけでございますけれども、地方公務員の人事評価の件に関しましては、そもそも平成十九年に、国家公務員法の一部を改正する法律が提出され、成立した時点で、地方公務員についても今回の趣旨と同様のものが出されていたわけであります。しかし、国会の審議の関係上で、それは審議未了のままになっておりました。

 そして、平成二十四年に、今度は民主党の政権下において、人事管理の部分は十九年の法律と同じ内容のものに、この自律的労使関係制度の措置というものを加えて、消防職員のことも含めて、こういった閣法が出されて、しかしこれは審議未了で廃案になったということであります。

 今いろいろと意見が紹介されましたように、市長会からは、九割弱の市区長が消防職員の団結権については課題、懸念があるということ、それから全国消防長会も、約八五%の消防長が、団結権を付与することにより何らかの問題があるのではないかという懸念を表明されております。

 一方で、全国消防職員協議会は、団結権が付与されることで、常に職場の労使で問題を共有し、対等な関係で話し合う場が設定されることになり、民主的な職場づくりや消防サービスの向上に資すると考える、これにより災害時においても団結した活動ができるのではないか、こういう肯定的な意見もあって、さまざまでありました。

 しかし総じて、私どもが今、今回の判断の重要な部分になりましたのは、前回の平成二十四年の法律につきましては、全国知事会、都道府県議長会、そして全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議長会、この六団体から、今回、解散の前日に閣議決定された法律案でありますが、依然として根本的な問題を内包しており、いまだ議論が尽くされたものになってはおらず、地方の意見を真摯に反映しなければ、地方及び国民の理解を得ることは難しい、にもかかわらず、政府が法律案の閣議決定を行ったことは甚だ遺憾である、こういうような意見書もいただいております。

 ですから、私どもはやはり、議論はしていくということについては、さまざまな意見に耳を傾ける必要がある、このように思っておりますが、現状において、まずは、平成十九年から取り組んでいる、かつ、国と地方の人事評価を同じような形式にするということは、これは必須のことである、このように思っておりますから、今般そのことについてのお願いをさせていただいている、こういうことでございます。

黄川田(徹)委員 衆法では、しっかりと消防職員に団結権を付与し、そして交渉もできるということで、もちろん、協約締結権はできないということにはなっておりますけれども。

 そういう中にあって、地方六団体からのお話もさまざまあるのでありますけれども、消防職員の団結権の付与と当局との交渉については、労使双方の適切な制度運用に向けた努力が不可欠と思う、付与されたとしても、そういうところが一番大事だ、信頼関係とかそういうものをつくっていくことが大事だと思うのでありますけれども、付与する立場で提案されました提出者原口さんの方から御答弁をいただきたいと思います。

原口議員 御指摘のとおり、労使が対等な関係で話し合い、勤務条件について当局と職員の間で広範な共通認識を持つことが、目的意識の共有や円滑な交渉などにつながるものと考えています。

 労働者の権利を保障するというのは、何も特定政党の専売特許じゃありません。全ての国会議員に課せられた責務です。そういう意味でも、先ほど懸念があるというお話もありました。その声には真摯に耳を傾けなければいけませんが、一方で、団結権があれば、先ほど申し上げましたように、労使が対等な関係で話し合うことができるわけです。労働組合があることで、管理職員が強圧的な態度をとることが少なくなり、結果として、明るく民主的な職場となり、公務能率の向上に資するわけです。

 労働の権利に対する考え方、これは先ほども申し上げましたように、自公民主で協力してつくり上げた基本法、この中に沿って私たちは法案化をしているということも皆様に御理解をいただき、一刻も早く、こういう労働者の権利についての自律的労使関係制度の確立に向けた共通の基盤の議論を進められればというふうに考えております。

 以上です。

黄川田(徹)委員 通告した分は大体終わってしまったんだけれども、一時間、持ち時間がありましたので、あと十分ぐらい残っております。

 確認でありますけれども、今般の閣法については、国家公務員の法律と地方公務員の法律、やはり同じ公務員として一にした制度設計が必要だということで、特に人事評価制度についてはということの法案なので、自律的労使関係制度であるとかあるいはまた消防職員の団結権の付与であるとか、これは除いてあるんだと。もちろん、このことについては、全然議論はしていないし、これからその議論をやめるということではなくて、当然、国家公務員の法律の第十二条であるとか、地方公務員には附則の部分でしっかり検討せよと。その前に、これは各政党それぞれの意見というよりも、きめ細かく議論しながら到達したということで、まだ法案を出すまでの到達点になっていない、さまざまな課題があるよということだと思うのであります。

 確認でありますけれども、自律的労使関係のことであるとか、あるいはまた、たびたびILOから指摘されております消防職員の団結権のことについても、総務省としても、これは大きな課題の一つであるという認識である、こういうふうにお立場を認識してよろしいでしょうか。

新藤国務大臣 そういう課題があるということ、またそういうさまざまな御指摘があるということ、これはこれまでも何度も確認されていることだと思います。したがって、そういったものを踏まえた議論というものは続けていくし、耳を傾ける姿勢もとり続けていこうというふうに思います。

 ただ、私どもの政権は、まず、その大前提として、人事院制度をきちんと尊重していく、この姿勢に立ってこれまでもやってまいりましたし、今後ともやってまいりたい、このように思っているわけでございます。

黄川田(徹)委員 内閣委員会の方で、国家公務員法等の一部を改正する法律案、これは衆議院の内閣委員会の附帯決議がつけられた中で、二つ目の附帯決議なのでありますけれども、「自律的労使関係制度について、国家公務員制度改革基本法第十二条の規定に基づき、職員団体と所要の意見交換を行いつつ、合意形成に努めること。」ということで、課題は残っているということを明記されております。

 ここで私も、質疑で今大臣からも答弁いただいたのでありますけれども、できれば、内閣委員会でこういうふうな附帯決議をつけられておりますので、これは政府の仕事じゃないのでありますけれども、やはりこの課題はあるなと思うのでありますけれども、提出者の原口先生、どうですか。

原口議員 やはり、今お話しになりました第十二条ですよね。「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と書いてあるわけです。「措置するもの」、大変強い表現ですよね。ですから、この基本法に沿って考えるとするのであれば、先ほど総務大臣が御答弁なさった、単なる検討の対象ではなくて、政府は、全体像を示して措置をする、その責務を負っているんだというふうに考え、私たちは立法化を進めてきたわけであります。

 この歩みの違いの中には、やはり労働者の権利に対する基本的な考え方の違いというのがあるのかもわかりません。

 少し答弁が長くなりますが、私は、経営の神様と言われる松下幸之助さんに育てられました。松下さんは、労働者、労働組合をとても大切にする経営者でありました。与党の方の中には、労働組合がバックにということだからと言う人もいますが、私たちは、自民党から出て新進党に行きましたから、当初は、その途中もそうですけれども、そういう組合からの応援というのはない状況の議員もたくさんいました。その中でも、やはり労働者の権利を保障するということは私たちの責務であるというふうに考えておりますので、黄川田副大臣のときにまとめていただいた報告書に沿った改革が進むことを心から願っております。

黄川田(徹)委員 自治体経営というのは大変なことだと思いますし、首長の仕事もたくさんあるわけでありますけれども、やはり、地方にあって、足元の首長さん、きちっと仕事をしているのでありますけれども、小さなところは、いつも顔が見えるものですから、職員同士、身近なものだから、本質的な、権利とか義務であるとか制度であるとか、そういう部分をお話ししてもなかなかかみ合わないところがあったりするわけであります。もちろん、物事ですから、いろいろな考え方があるということで、それでいいのでありますけれども、やはり認識といいますか、いろいろな勉強をすることが大事だ、こういう意見もあるし、また一方、別な意見もあるんだよということ。

 そういうところにあって、首長さんもさまざま忙しいのでありますけれども、最初、首長さんになれば、やはり地方自治法であるとか地方公務員法であるとか、そういう法律の中にあって行政を執行しなきゃいけないんだということ等を学ぶ機会といいますか、そういうものも必要だと思うのであります。

 そういえば、自治体の学ぶ機会というと、市町村アカデミーというのが千葉にありますよね。そういう中のカリキュラムには、税のカリキュラムであるとかあるいはまた住民基本台帳の取り扱いであるとか、職員のそういうもののカリキュラムはいっぱいあるのでありますけれども、首長の、大所高所から、いろいろな大きな課題があるということの共通認識、別に一つの方向性を押しつけるということじゃなくて、まず同じ課題、こういうことを議論しなきゃいけないんだなというところに、まないたにのってもらうためにもそういう研修が必要だというような気もするんです。当然やっているのかもしれませんけれども。

 その辺、通告していないので、答弁できる人。三輪さん、わからないかな。では、新藤大臣。

新藤国務大臣 さまざまな研修が職員において必要であって、そして研さんを積んでいるわけであります。それから、自治体の運営について、今御指摘をいただきました市町村アカデミーのような活動も展開をいただいております。

 私は、地方自治体の長及び自治体というものは、常に経営的な感覚を持って、住民は利用者であるとともにお客様である、行政サービスというものは、それは住民が対価を払い、そして受ける、こういう権利でもあるということであります。ですから、さまざまな法制度に基づいて積極的な運営をしていただくことが当然なのでありまして、私は、必要なものはやっていけばいいと思います。

 ただ、少なくとも、自治体の首長になる、また、なった方が、これからまたさらに研修を必要とするかどうかというのは、これは首長の皆様方がお考えになることだと思いますが、私とすれば、そういったものも含めての有権者の判断がなされているんだろう、このように思います。

 我々は常に連携をとりながら協力をしていきたいと思いますし、国全体の行政の向上につなげるための取り組みを進めていきたいというふうに思っております。

黄川田(徹)委員 時間がやってまいりました。

 いずれ、自律的労使関係制度、それから消防職員への団結権の付与、これについては閣法あるいはまた衆法、閣法では書いておりませんけれども、これは宿題として残っている、だからこれからも大いに議論していくということで私は認識しましたので、そういうところで、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 日本維新の会の百瀬智之です。

 本日議題となりました地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案等々について質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日、維新の会、一時間お時間を頂戴いたしました。後半は三宅議員の方から、公務員の政治活動についてまた激烈な質問をさせていただくことにしまして、前半は私が、主に公務員の処遇、待遇という観点から、割とマイルドな質問をさせていただきたいと思っております。

 この一時間、先ほど委員の方から、おおよそ改正案のポイントについては質問をしていただいたのかなという考えを持っております。私からは、今回の改正に際して、大きい考えというものを大臣の方からいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、冒頭、電子の関係で若干質問をさせていただきたいと思っております。

 昨日、米マイクロソフトの基本ソフト、ウィンドウズXPのサポートが終了いたしました。長寿のOSでありますが、これを今後も使い続けるとウイルスの危険性が高まるということでございまして、また、パソコンの買いかえによる個人や企業の負担も軽くないと言われております。

 昨年十二月の時点で、国内パソコンの約一六%に当たる約千二百万台のOSがXPだった。ことし六月末の時点の推計でも、約六百万台が残り、約八%を占める見込みだという情報がございます。そして、この買いかえに際して、おくれが目立っているのは地方の自治体だということでございます。

 総務省によると、財政難等で、全国の自治体が持つパソコンの一三%、二十六万六千台が、九日までにXPからの更新が終わらないのではないかというデータがございますが、このデータに間違いはないでしょうか。そして、各自治体に対する総務省の対応はどのようになっているか、お聞かせ願えればと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 XPのセキュリティーの更新プログラムが昨日を最後に提供されないことになりまして、私どもも、各自治体の方で、パソコンの更新が完了していない場合には使用を停止する、あるいはインターネットに接続しないということを周知してきたところでございます。

 今お話がございましたように、昨年十月の私どもの調査によりますと、四月九日を過ぎてなおXPを搭載するパソコンを使用する予定だ、更新の予定がないと答えられた数は、御指摘のとおり約二十六万台、地方自治体で持っております。

 私どもは、現在、四月九日を迎えたものでございますので、実際にどれだけのパソコンが引き続き更新をしていないのかなどにつきまして調査を行っているところでございます。

百瀬委員 しっかりと対応していただきたいと思っております。

 やはり電子の関係、行政サービス、ビジネス情報等々、電子化が進んで、先月の二十五日、日本政策投資銀行の調査によると、主な地方自治体と企業の多くが、今後十年以内に起きる可能性が高いリスクとして、サイバー攻撃を想定しているということでございます。全てのリスクについて、国と地方、共通認識を持ってしっかりと戦略的に備える必要があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、私、前回、エネルギー政策について、大臣からさまざまな御答弁をいただきました。これからは、エネルギーにかかわらず、医療や教育、各分野でますますICTに詳しい人材が求められるんだろうと思っております。

 国主導でICTを進めていく中で、やはり、地方自治体がそれに財政または人材の観点から対応できないというのは大変望ましいことではないわけでありまして、そういうことは避けていきたい。そして、今後、各自治体におけるICT業務の専門性が高まっていき、ICTの支援員とか、そういった人材の確保が必要になってくると思います。

 こういった専門性を持つ職員をどのように育てていくのか、中央から職員を各地に派遣するとか、講習制度を設けるとか、または、そういうものはもう地方に全部お任せしちゃうとか、いろいろ考え方はあると思うんですが、その点についてひとつお聞かせ願えますか。

新藤国務大臣 まず、私は、行政の電子化を徹底的にやろう、また、それが必要だと思っているんです。それには発想の転換が必要なんですね。

 我々がICTと呼んでいるのは、IT技術にコミュニケーション技術を入れるんだ。したがって、難しいからできないとか高度過ぎて対応できる人材がいないのは、ICTではないんです。難しいことをやるんだけれども、それをわかりやすく、誰でも使えるようにするのが、コミュニケーションの能力を備えたものがICTであるならば、これは誰もが使えるように、また、むしろ規模の小さい自治体であるがゆえに、導入した方が効率が上がる、そういうものにしなければいけないんです。

 だから、当然、いわゆるリテラシーというもの、教育、こういったものが必要だと思いますし、専門的な知識を有する職員の人材育成も必要だと思いますが、何よりも必要なことは、そういった成功事例を提示して、どういう自治体でもできるんだという方向をつくる必要があるというふうに思っています。

 それから、今委員は実はとても重要なことを指摘いただいているんですけれども、ICTを使ってそれぞれの自治体でやってくださいということになると、それぞれの自治体で金をかけることになります。やるべき仕事は同じなんですね。ですから、システムは同じにして、それをどう展開するか、応用するかは自治体のさまざまな工夫があっていい。

 したがって、それぞれの、かつては三千三百自治体がありました、今、千七百十九自治体が別々に、自分たちで、私たちは独自のICTだとやり始めたら、これは全く、私たちが進めようとするICTの政策とは、実は方向がずれていってしまうんだということ。ここを発想の転換をしてもらいたいんです。

 みんなで同じことをやるのではなくて、共通の基盤でシステムをつくり上げて、それは市町村を超えて使うこともできるが、管理は、また、さまざまな工夫は自分たちが行う。そういうふうに、日本の国じゅうが、国、地方合わせてそういう共通基盤をつくった上でやらなければ、真のICTのいわゆるイノベーションと私は呼んでいるわけでありますけれども、できません。

 先ほどのXPの調査についても、そもそも日本全国の地方自治体に何台のパソコンがあるのか、正確な、一台当たりの調査というのがなかなか把握できませんでした。昨年、私、これを調査しろということで指示をいたしました。

 どういう調査が行われたのか。二週間もかかったんです。ITの進捗状況をチェックするのに、導入状況をチェックするのに、結局、通知文を出し、そして、メールを送ろうとしても、メールのアドレスがわからない場合もあります。ばらばらに集計が出てきたものをまた国で集計し直すから、二週間かかっちゃったんです。

 これをもっと工夫しようじゃないかというので、今回、ICTに関することでありますが、地方自治体に対する調査のネットワークをつくりました。そして、きのうでこのシステムサポートが終了したわけですから、きのうの時点で期限を切って、きのうの五時を締め切りにして、それぞれの自治体の状況を報告してくださいと。

 これは電子的な報告であって、共通フォーマットによる報告です。したがって、理論的には一秒で全国が把握できます。締め切りを守ってくれなかった自治体があるので、今、現状で九三%、きのうの九時時点で九三%の集計です。集計漏れに督促をして、一〇〇%になった時点で公表します。でも、これは、皆さんがルールを守ってくれれば、一秒で全国が把握できるんです。

 それにかかわる人間の手間、そういったものをどれだけカットできるか、そういう共通基盤をつくっていくということが重要であって、それを国、地方合わせて徹底してやろうではないか、こういうことを考えております。

 ですから、成功事例をつくっていくことと、それから、きちんとしたマニュアルをつくり、共通の基盤のためのそういった提供は、これは国がやればいいんです。国がつくったものを市町村が受け入れてくれれば、市町村の予算はゼロです。

 そういうような工夫をしていかなければ、本当の意味での電子自治体、または電子化というのは進んでいかないんだ、また、それができるだけの技術をついに日本はもう持っているんだということでありまして、ばらばらに、すごい勢いで、政府のシステムは千五百あるんですよ。給料の計算もばらばら、統一しろと。これは三年ぐらいで半分にします。

 地方団体においてはあくまで自主性を重んじながらでありますが、そういう国の電子化というものを徹底して進めていきたい。今回のことはいい試金石になったと思います。

 今後は、いついかなるときでも瞬時に全国の把握が、自治体もできるし、私たちもできる、こういう状態になっているということでございます。

百瀬委員 詳細にわたって、ありがとうございます。

 私も田舎の出身でございますけれども、地方の小さい町や村といったところは、まだ、ICTといってもぴんとこないといいますか、そういった、我々の村でもできるんだというところを、政府のみならず、私も責任を負っていると思っておりますので、尽力していきたいと思っております。

 さて、引き続き本日の本題の方に入らせていただきたいと思っておりますが、まず、担当者の方にお伺いしたいわけであります。

 一昨日でしょうか、正規と非正規の職員についてのお話がありました。非常勤職員については三類型あるということでございますけれども、地方公務員法上の根拠法から御説明を、一旦、確認の意味でさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、地方公務員の臨時、非常勤職員と言われる方々につきまして、地方公務員法上の位置づけということでございますけれども、まず、地方公務員法の三条三項三号、これは特別職の非常勤職員と位置づけられる方々でございます。それから、同法の十七条、これは一般職の非常勤職員と位置づけられる方々でございます。三つ目が、同法の二十二条、いわゆる臨時的な任用職員と位置づけられる方々、この三類型ということでございます。

百瀬委員 昨日、私は、この三つの類型について、職員の方がどれだけいらっしゃるのかということで御説明をいただきました。

 手元のデータで恐縮なんですけれども、例えば、主な職種として、一般事務職員。まず、特別職とされる法の三条三項三号に基づく方々、平成二十四年のデータでありますけれども、五万四千いらっしゃる。それで、一般職として一般事務職員をやられている方が三万二千いらっしゃるということであります。

 特別職の方がはるかに数も大きいわけでありますけれども、根拠条文、三条三項三号をちょっと振り返ってみますと、「特別職は、次に掲げる職とする。」となっておりまして、一号で、「就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職」。四号は、「地方公共団体の長、議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの」。飛ばして六号に行きますと、「特定地方独立行政法人の役員」。やはりいろいろ特別なものが想定されているんだろうなと思っているわけでありますけれども、そういったことに鑑みると、今回のこの五万四千というのはいかにも多いのではないかなと思っております。

 平成二十一年に通知が出ているということを教えていただきました。臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用等に関する通知ということでありまして、是正の内容を簡単に、一つだけ御紹介させていただくと、特別職の非常勤職員については、職務の内容が一般職の職員と同一と認められるような職や、勤務管理や業務遂行方法において労働者性の高い職については、特別職として任用することが妥当なのかという点について検証すべきだということであります。

 この通知が出てから三年たって二十四年、でもこの状態でありまして、そこからさらに二年たっているわけですけれども、ここをもう一度整理する必要があるのではないかなと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

三輪政府参考人 御指摘のように、特別職の非常勤職員、これは、本来、主に特定の学識経験を必要とする職、そういった職に、みずからの学識経験に基づきまして非専務的に公務に参画する、いわゆる労働者性の低い勤務形態というものが想定をされるわけでございます。

 したがいまして、委員御指摘のように、平成二十一年の私どもの通知によりまして、労働者性の高い職について特別職として任用されるということ、このことについての検証を求めたわけでございます。そういう中で、状況として、最新の調査によりましても、この特別職の非常勤の職員の方々が大変多くいらっしゃる、こういう状況でございます。

 私どもとしては、引き続き、二十一年通知の趣旨あるいは法律の趣旨というものを地方団体に対しまして徹底をしていきたい、このように考えております。

百瀬委員 一層の改善をお願いしたいと思っております。

 あわせて、任期付職員法について言及させていただきたいと思っております。

 任期付職員法というものがあって、これは、平成十六年にも改正があって、地方独自の制度もあるということであります。この任期つき職員は、ボーナスも出るし、また手当も出るということで、いわゆる正規並みだという扱いを受けております。この任期つき職員にも、本日議題となっております人事評価制度が適用されるということでありますので、職員のモチベーションにも大分かかわってくるのかなという思いをいたしております。

 私は、先日、正規と非正規のお話を聞いておりまして、正規の方々が減ってきて、それを非正規の方が賄っているんじゃないか、かわりに働いているのではないかというお話、これはこれとして大変重要な指摘だと思いますし、ここに問題意識を置くことは大切だと思っておりますけれども、やはり一方で、その二つだけで、例えば、正規の職員をひたすらふやすことがこの財政難の折に本当にいいのかということも問題意識としてあるし、一方で、正規並みにしてくれ、してくれとひたすら言い続けることが本当にその自治体にとっていいのか、仕事場環境の円滑な状況という観点からいいのかということも、問題意識としてあるわけであります。

 そういった意味からしますと、今回のこの任期つき職員制度、この二極の対立ということではなくて、いろいろライフスタイルも変わってきているわけでありますし、働き方、ライフスタイルのまた新しい一つの提示といいますか、そういった観点から捉えることができるのではないか。こういったことを各自治体が住民に周知させることが重要だなと考えております。

 また、各自治体の財源を勘案しながら、いかに適材適所で働いていただくかということが大切でありまして、今回の人事評価制度、頑張れば昇進できるんだ、昇任できるんだという仕組みをつくる一つの要因でもあると考えております。

 こういった観点から一言いただきたいわけでありますが、今回の人事評価は、その頑張りを公平に測定して給与等に反映させる仕組みの一つである、ひいては公務能率を上げていく一つの方策であるということを一言いただけますでしょうか。

三輪政府参考人 御指摘のように、今回の人事評価制度の導入といいますのは、能力・実績主義というものを徹底する、それによって公務能率の向上を図るということが大きな目的でございますけれども、あわせて、一人一人の職員の方に対しましては、そういう公平な、あるいは客観的な、透明性を持った人事評価制度によりまして自分の仕事ぶりというものがしっかりと評価をされる、また、そういうことを通じまして仕事に対するモチベーションの向上が図られる、こういったことも、御指摘のように大変大きな効果であろうというふうに思っております。

 そういう意味で、この人事評価制度の導入というものが地方公務員、職員のお一人お一人の働き方に対しましても大変大きな意味を持つものになるように、私どもとしても、その制度の趣旨に沿った運用が各地方団体においてなされますようにしっかりと助言等を行ってまいりたい、こういうふうに思っております。

百瀬委員 続けまして、公務員の年齢制限の話をさせていただきたいと思うんですが、地方公務員になろうと思ったときに、上級職、年齢制限があります。ちょっと私、簡単に調べたんですけれども、三十四、五歳までというのはありますけれども、軒並み二十八歳あたりで上限が設けられている都道府県が多いのかなという気がしております。

 しかし、先ほど申しましたとおり、今、生き方も多様化しておるわけでありまして、大学を卒業したらすぐに就職する、また、地方公共団体の職につくという方が必ずしも多くなっているわけではないと認識しております。

 例えば、女性の方であれば、大学を卒業してすぐに結婚をして、子育てをして、ある程度子育てが落ちついたところで、また何かやり始めたいなと思う方もたくさんいらっしゃるでしょうし、大学を卒業して、今までできなかったけれども、海外留学等をして、海外留学が終わって、日本でその経験を生かして何か仕事をしたい、こういう人もたくさんいると思うんです。ところが、年齢制限等があることによって、例えば、その経験を地方公共団体で生かしたいと思ったときに、それができないということも少なからずあるんじゃないかなという問題意識を持っております。

 これはもう十年前になりますけれども、私も、周りがいろいろと就活をし始めて、公務員になりたいという人に、何で公務員になりたいんだと言ったら、大体が、安定しているからとか、一生首を切られないでしょうとか、そういう人が少なからずいたのは、これは事実であります。もちろん、志高くやっていらっしゃる方も少なからずいるというのは承知しておりますけれども、そこに差は余りないのではないか。年齢が低いから、年齢がもういき過ぎたからという、差別と言って適当かはわかりませんけれども、こういった年齢制限、ちょっと考え直す必要があるかなと思っております。

 やはり四十歳になっても、順応される方はされるでありましょうし、弾力的な地方自治体での人材活用、こういった面からは、年齢制限を見直す必要があるのではないかなと思っておりますけれども、どなたか、一言いただけますでしょうか。

三輪政府参考人 御指摘の年齢制限、採用に当たっての年齢制限の問題でございます。

 総務省として網羅的に調査をしたような、そういったものはございませんけれども、御指摘のような各団体においての新卒採用についての年齢制限、こういったものを設けている団体があるということは認識をいたしております。

 それぞれの団体におきまして、一定の考え方で年齢制限を置かれているというふうに思いますけれども、新卒者につきまして、採用後の職務を通じて能力を向上させていく、そういうことが職務遂行のために必要だ、そういう御判断の上で、必要最小限の範囲で年齢制限を置かれている、こういったことではないかというふうに認識をいたしております。

 そういう中でも、以前に比べますと年齢制限は多少上がってきたのではないかなという、これは印象でございますけれども、そういう印象を持っておりますのと、また、社会人採用というようなことについてもいろいろ積極的になさっている団体も最近多うございます。

 そういった意味では、新卒の年齢制限の問題、あるいは少し年齢がいった方の採用についての取り組み、こういったことにつきましては、それぞれの団体の実情に応じまして、適切な対応がなされるということが必要であろうというふうに思っております。

百瀬委員 地方自治体のことでありますけれども、国としても問題意識を持ってほしいなと思っている次第であります。

 また、人材の活用という観点から、女性の公務員の登用について話を進めていきたいと思っております。

 首相も、去年の四月の成長戦略スピーチの中で、現在、最も生かし切れていない人材は女性ですということを明言いたしました。さらに、社会のあらゆる分野で二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%にするという目標も掲げているわけであります。

 これをもとに地方公務員の現状を見ますと、まず、都道府県の上級職採用者に占める女性の割合、成果目標は平成二十七年度末までに三〇%。平成二十四年の現状が二四・三%。一方、都道府県の本庁課長相当職以上、すなわち管理職ということだと思いますけれども、管理職に占める女性の割合、成果目標は平成二十七年度末は一〇%になっている。平成二十五年の現状は六・八%だということであります。管理職の割合なんですが、これも二〇二〇年までには三〇%を目指すということでよろしいんでしょうか。また、課題と対策等ありましたら、一言いただけますか。

新藤国務大臣 女性の登用を促していこう、それから女性の社会進出というものを支援していこうではないか。それは、少子化対策にも、また子育て支援にもつながっていくことだ。また、何よりも、男女を問わず、能力のある人が、みずからの努力をもって、機会を与えられれば活躍する場がある、そういう社会をつくることは必要なことであって、目指していくことだというふうに私たちは思っています。

 今、管理職に占める女性の目標につきましては、管理職、本庁課長相当職以上の割合の目標を一〇%程度にするというのは、都道府県における目標であります。そのほか、指定都市や市区町村におきましては、それに準じた形で適宜やっていただきたい、こういうふうになっているわけであります。

 何よりも大切なことは、能力のある方が適材適所で選ばれるわけであります。その人が女性であればなおさら喜ばしい、こういうふうにしないと、女性であるがゆえに特別に何か取り扱いをしようということになれば、これはまた本末転倒の部分がございます。

 ですから、私は、女性のキャリアアップそれから能力向上のためのさまざまな機会をふやすべきだ、そういう観点で、今般、自治大学校で、全国の公務員が一堂に会して研修します、その人が幹部職員の候補生になっていくわけでありまして、この女性職員の枠というものを倍増いたしました。今までですと、年に一回、百二十名定員でコースをつくっていたのでありますが、それを年二回で二百四十名の定員に拡充するといったこともやりました。

 今後、女性のさらなる登用に向けてのいろいろな工夫をしていきたい、このように考えております。

百瀬委員 ありがとうございます。政府の方でもいろいろと施策を打ち出していただいているわけであります。

 育児に専念したいという人もかなりの割合いるんですが、しかし、仕事も両立をしたいという方もそれを上回る数いるということがデータで出ております。

 育児や介護と仕事の両立、難しい問題でありますけれども、先月の十九日、政府の方で、これは民間が対象だと思いますけれども、在宅勤務制度を新たに導入する企業を対象に経費の二分の一を補助する助成金を新年度から創設する方針を決めた。多様な働き方を認めることで人口減少時代の労働力確保につなげる狙いだということであります。

 こういった取り組み、地方自治体の方でもどんどんと活用していっていただきたいなということをお願いしたいと思っております。この点についてはいかがですか。

新藤国務大臣 まさにそういう分野にICTが見込まれるのではないか。テレワークというのは大分前から言われておりますけれども、ICTの精度を高めていく、これによっていろいろな働き方ができるのではないか、このように思っています。

 ちなみに、私もキャリアウーマンの皆さんと話をします。女性は、誰だって、子供を育てるときに、小さいうちは一緒にいたいんです。それを可能にしつつ自分のキャリアがきちんと継続できるような、そういう社会にしてあげないと、また、それは子供にとっても、親と一緒にいる時間が長ければ長いほど、その子供が大きくなったときに活躍する度合いがふえていく、少なくとも、いじめや非行ですとか、そういったものに走る方が少なくなっていく、そういう学説を唱える方もいて、私もその方とお話をしたことがございます。

 ですから、多様な生き方を認めつつ、それは父親も同じです、子育てにできるだけ小さいうちにかかわってあげること、これも非常に重要なことでありまして、そういったものを工夫するために制度を改善しなくてはいけない、あわせて、そのツールとしてのICTというのは十分に活用が見込まれるのではないか、このように考えます。

百瀬委員 時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

高木委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 地方公務員法について、特に日本維新の会提出の、地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案について中心に、これから質問をさせていただきたいと思います。

 さっき、うちの百瀬委員は、三宅は激烈な質問をするであろうというふうなことを言いましたけれども、きょうはちょっと私はソフトタッチでいきたいと思っているので、よろしくお願いしたいと思います。ちょっと似合わないかもわかりませんけれども。

 まず初めに、今回提出された法律案、日本維新の会の改正案、その概要及び特色と、本法案の提出をしようとされた必要性並びに動機について、提出者の鈴木委員の方から、お伺いしたいと思います。

鈴木(望)議員 まず、本法案の概要、特徴でございますが、本法案は、地方公務員の政治的中立性を確保するため、地方公務員についても、国家公務員と同様に、その政治的行為を制限することとするものでございます。

 具体的には、地方公務員の政治的行為について、国家公務員と同様に制限をするため、第一に、当該地方公共団体の区域の内外を問わず制限をすることとともに、二番目に、地方公務員法に定めるもののほか、職員の政治的行為の制限につきましては国家公務員の例によることとし、あわせまして、三番目としまして、地方公務員の政治的行為規制に対する違反行為に対し、三年以下の懲役または百万円以下の罰金を国家公務員並みに科す規定を設けることとしていることでございます。

 また、公立学校の教育公務員、単純労務者である地方公務員、地方公営企業の職員及び特定地方独立行政法人の職員の政治的行為については、従前、他の地方公務員と異なる規律が適用されておりました。他の公務員とこれを区別することなく、国家公務員と同様の制限に服し、かつ、罰則を適用することとしております。

 次に、本法案の必要性、提出の動機でございますが、近年の地方分権の進展に伴い、地方公務員の権限及び裁量の範囲が従前に比べ著しく拡大しております。結果として、地方公務員の政治的中立性の確保の重要性は一層重要となっております。これを害する形で行われる政治的行為は、公務員制度内部の秩序のみならず、住民、国民との関係という一般市民法秩序におきましても、もはや許容できないものとなっているところでございます。

 また、地方公務員については、現行制度上、政治的行為の制限の範囲が概して国家公務員よりも限定的であり、違法な行為に対する罰則もないため、その政治的行為が放任される傾向にあり、その結果、職員と特定の政治勢力との癒着を通じた労使の甚だしい癒着や職員厚遇問題といったさまざまな弊害が噴出をしてきております。

 しかも、政府は、地方自治体が条例で地方公務員の政治的行為に罰則を設けることはできない、法律に違反するとしており、条例で罰則を設けることもできません。

 そこで、地方公務員の政治的行為についても国家公務員と同様の制限を設けることによってその政治的中立性を確保するため、本法案を提出したものでございます。

 以上でございます。

三宅委員 本当に詳しく御説明いただきまして、自民党の方からも賛意を示すようなエールを送っていただいておるんですけれども。

 本来、もともと地方公務員法にも罰則規定が盛り込まれていたらこんなことはなかったんですね。では、なぜ国家公務員法には罰則規定が盛り込まれて、地方公務員法には罰則規定が盛り込まれていないか。これは、やはり制定の時期の違いというのも一つは大きくかかわっているんですね。

 国家公務員法は、たしか昭和二十二年、もちろん占領下において制定されて、実は、当初は罰則規定はなかったんです、国家公務員法も。ところが、その結果どうなったかというと、二・一ゼネストとか、よく御存じだと思うんですけれども、国内が非常に騒然として、いろいろなことが、労働争議とかそんなのが起きてきた。昭和二十二年に、当初罰則規定なしで国家公務員法が制定されたけれども、結果そういうふうなことでとんでもない状況になってきたということで、一年ほどで改正案ができて、罰則が強化されて今の国家公務員法ができたんです。これは、占領の初期に当たる当時につくられた法律なんですね。

 地方公務員法は、昭和二十五年にできたんです。どちらかというと占領後期でして、ちょっと世の中も落ちついてきたということで、国家公務員法並みに罰則規定まで盛り込む必要はないであろうというふうな判断で、地方公務員法の方は罰則規定が盛り込まれていなかった。

 そのタイミングといいますか、時間的なずれがこういうふうな差異になった、そういうことだと思うんですね。事実はそうだと思うんです。

 大阪の日本維新の会の代表の橋下徹さんが二年前に、いかに地方公務員法に罰則規定がないというけれども、これがゆえに、今、鈴木委員も御答弁になった中で、野方図に地方公務員が政治活動をしているんじゃないかということで、罰則規定を盛り込んだ条例を制定しようとしたんです。ところが、それが結局、国の反対による、そういうことはできないというふうな、これは閣議決定したんでしょう、国が。閣議決定してこの答弁をつくって、これを許さなかったんですね。やむなく罰則規定を排除した形で条例ができたんですね。

 これは、当時は民主党政権だったんですよね。そのことの是非を新藤大臣にお聞きするのはちょっといかがなものかと思うんですけれども、いつも、行政は継続性と一貫性と言っているんですから、民主党から自民党にまた政権が戻ったといえども、やはり大臣として、大阪市が制定しようとした条例に対して国として反対した、このことに関して大臣、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、日本国において、行政府の継続性というものは非常に重要な観点であって、私どももそこはいつも意を砕いているところであります。それは、同じく民主党の政権においても、民主党の皆さんはそういったことは意識をした上で運営してくれたもの、そのように信じておりますし、それが国会議員として我々が持たなきゃいけない矜持だ、このように思います。

 その上で、正確に申し上げますと、大阪市から平成二十四年の五月に問い合わせがございました。職員の政治的行為の制限に関する条例案についての問い合わせです。その一カ月後に国会の方から議員の意見、質問主意書というものが出まして、その議員の意見、質問主意書に対しての閣議決定をした答弁が出た。それは同じ趣旨でありましたから、こういった閣議決定をいたしましたよということを大阪の方にも御回答した、こういう状況なんです。大阪のものについての閣議決定をなされたものではないんです。でも、同じ種類のものがあったということであります。

 その中での罰則については、昭和二十五年の地方公務員法制定時の政府提案理由説明において、職員の政治的行為の制限の違反に対しては、懲戒処分により地方公務員たる地位から排除することをもって足る、この見地から罰則を付さないことにしたということであります。そして、その二十五年の政府原案においては、別途、職員に政治的行為を行うよう、あおり唆した者に対しての罰則も付されていましたが、これも国会審議において罰則は付さないように修正された、こういう経緯があります。

 それらを踏まえ、地方公務員法は、政治的行為の制限については罰則を付すべきではない、この趣旨であると解されており、条例で罰則を設けることは、法律に違反し、許容されないと考えられる旨の閣議決定がなされ、答弁を行った、こういうことでございます。

三宅委員 その大阪市の条例ができた当時、大臣がもし新藤大臣であったら、ひょっとしたら違うような形になっていたかなと思ったりもするんですけれども、それはさておきまして。そのときは大臣は原口大臣でしたかな。(発言する者あり)違う。原口大臣でも、ひょっとしたら違うような結果になっていたかもわかりませんよ。

 結果的に、大阪市の条例、今おっしゃった趣旨を条例にも盛り込んで、教育公務員に対してもあるいは地方公務員に対しても懲戒処分として戒告、減給、停職または免職の処分をすることができるということで、わかった、それじゃもうこれでいくということで橋下さんも開き直って、そういう条例案をつくったわけでございます。

 三年前に橋下さんがなぜこの条例案を制定しようとしたか。それは、三年前の大阪市長選、彼が府知事を辞して大阪市長に出ようとしたときに、対抗馬は、現職は平松さんだったんですね、平松邦夫さん、市長さん。市の自治労とか市職労とか交通局とか現業労組が挙げて平松さんを応援したんですね。しかも、違法ビラといいますか、法に違反してまで平松さんを応援した。結果的には、橋下さんが民意を得て市長に就任されたんです。余りにも、市職員といいますか、組合挙げて平松さんを応援する、こんなことが許されていいのかということで、今回の、今言っておりました条例案制定になったということなんですね。

 そういった例はほかにもいろいろとあると思うんですけれども、ちょっとその辺、具体的にいろいろあったと思うんですけれども、提出者の重徳委員にお聞かせいただきたいと思います。

重徳議員 今、三宅委員が御指摘されたとおりでございまして、平成二十三年十一月に行われました大阪府知事と大阪市長のいわゆるダブル選挙におきましては、大阪市交通局の職員労組である大阪交通労働組合が、特定の候補を支援するために、投票を呼びかけるビラを出勤してきた職員に配布したり、特定の候補の後援会名義の知人、友人紹介カードを配布、回収して、チェックリストまで作成していたという事例がございました。

 また、そのほかにも、労働組合が市の人事配置に関与したり、職員が業務用パソコンで政治的な活動と思われるメールをやりとりしていたなど、不適切な政治活動が行われていたことも判明いたしております。

 日本維新の会といたしましては、また元公務員として地方自治体勤務経験もあります私自身といたしましても、こういった事例は、地方公務員の政治的中立性や住民からの信頼確保の観点から看過できない事態でありまして、罰則もないような現行法制度を改めることが不可欠と判断をいたしまして、今回の改正案提出に至ったところでございます。

三宅委員 非常にわかりやすい説明、ありがとうございます。さすがやなと本当に思いますよ。

 今おっしゃった内容、いろいろと、大阪市長選の場合ですと組合挙げて平松さんを応援した。結果どうなるかというと、大阪市交通局なんかでもそうなんですけれども、人事権にまで介入する、あるいはお手盛りのいろいろな手当、何々手当、あれ手当、これ手当というふうな感じでやって、大阪市の交通局の市バスの運転手さんなんかも年収千二百万とか、びっくりするような高給につながってくる。結局、市民の公務員に対する信頼を損ねてきたんじゃないかなというふうなことなんですね。

 あるいはまた、国政選挙においてもそうですよね。北海道で、衆議院選挙のときに、小林千代美さんに、あの当時、日教組でしたか、全面的にこれを応援していた。結果、彼女は連座制を適用されて失職してしまったんです。

 組合が、あるいは教育公務員が、公務員がこういったことに余りにも深く関与すると、いろいろな部分で公務員としての使命を放棄し、ゆがめてしまうということになってくるんですね。やはりこういうことはあってはならないということですね。

 地方公務員法にも、やはり罰則を盛り込まないとだめだということなんですね。やはり公務員というのは、国家公務員もそうですよ、地方公務員も、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げてこれに専念しなくてはならない。ところが、こういうふうな地方公務員、教育公務員に対する罰則がないがためにこういう部分が担保できなくなってきたんですね。

 大臣、今の現行法で、では、政治的中立性の確保を、大阪市の条例のときには懲戒処分でいけばどうだというようなことをおっしゃったんですけれども、このあたり、大臣はいかにお考えか、ちょっとお聞かせいただけますか。

新藤国務大臣 立法府の議員、そしてまた私は今行政府におりますけれども、国政、国民生活全般に対してどのようなルールをつくるべきか、法律をつくるというのはそういった大きな観点が必要だと思っています。

 個別ケースの問題について、それは、本来であれば一義的にその個別事案において解決されるべきものであります。そもそも、地方公務員法によって政治的行為の制限があるわけですから、それに違反がもしあるとするならば、それは、今の制度の範囲で、まず懲戒処分等が行われなければならないわけであります。もし仮に、そういったものがうやむやな運用になっていたり、また、そこが緩くなっていたとするならば、それは、私はそこの部分において厳密な執行をするべき必要がある、このように思うんです。

 一方で、公務員の政治的行為の制限に関する経緯は、先ほど委員が触れていただきましたように、昭和二十二年の十月に国家公務員法を制定し、そのときは罰則がございませんでしたが、二十三年の十二月に、政治的行為の制限の範囲を拡大して、罰則を追加しました。二十五年の十二月のときには、先ほど言いました理由によって罰則を入れなかったわけでありますが、その原点には、自治を許し、自主性を認め、多様を認めるという点において国家公務員法とは違う地方公務員法というものを提出した、こういう趣旨があります。

 地方自治という観点をより強調したものになっているとするならば、それを与えられている、また、それを持っている地方公務員法、地方自治は、きちんとした法律の運用、また制度の運用をしてもらいたいと私は思います。

 先ほど出た、大阪の一部の現業職員の高給という問題は、全国でそういうことではなくて、大阪でそういうことが行われていたのはなぜなんだ、こういったことをきちんとただしていただくことは、私は重要なことだったのではないかというふうに思っております。

三宅委員 法の趣旨がそのまま貫徹されていたら、こんなことはないんですよ。時間的な経過の中でゆがめられ、いいとこ取りといいますか、自分にとって都合のいいところばかりとって、罰則規定はないからやったらどうやというふうなことで、そういうふうな行為に走ったと思うんですね。

 質問の順番を入れかえて、また次も大臣にお話をお聞きしたいと思うんですけれども、それでは、懲戒処分でこういった政治的行為に歯どめをかけられるかどうか、この部分なんですよ。これができていないから、こういうふうなことになっているんですね。

 というのは、各都道府県とか政令指定都市に人事委員会があるでしょう。自治体がそういうふうな政治的行為、あるいは地方公務員法に違反した職員に対して懲戒処分をしようとすると、彼らは、処分を受けた方は人事委員会に申し立てをするんですな。そこで、公平な処分、裁定といいますか、これも短期間においてされればいいんですけれども、これがされていないんですよ。人事委員会で結局、宙に浮いたままになって、ほったらかしになってしまうんですね。

 今、人事委員会に係属する事件数は二十万件あるんです。二十万件ですよ。こういうふうないろいろと違反行為を行った職員に対する、その他もあると思うんですけれども。そのうち一年間に処理されるのは、これは平成二十一年のちょっと古い話なんですけれども、二十万件のうち処理されたのは六百六十八件なんです。六百六十八件処理されたのかと。処理されていないんです。六百六十八件のうちの三分の二以上、四百五十一件は、言ってみれば請求者の退職等による審査終了。裁定をしようと思っているのに、処分を受けた方が人事委員会に裁定をあれしているうちに、人事委員会が処分を決定する前に定年退職になって、退職金もきっちりもらう、年金ももらう。大半が結局、請求者の退職等による審査終了というふうになっているんです。それなら、人事委員会が裁定するのはごくわずか、二百件ほどなんですね。しかも、全体の係属数は二十万件なんです。千分の一ですよ。

 これは、結局、懲戒処分、いろいろ戒告とか、減給とか、停職とか、あるいは懲戒免職とかしようと思ってもできていないというのが現状なんですよ。だから、言うたら、地方公務員やりたい放題、教育公務員もやりたい放題やっているのは、ここで逃げられるということなんですよ。

 大臣、これは今お聞きになって、いかが思われますか。ちょっとお聞かせいただけますか。

新藤国務大臣 公務員の政治的中立性を確保する、これを実効性あるものにすることは極めて重要だと思います。ですから、大切なことは、客観的事実なんですね。そして、そういった活動を行う団体があるとするならば、その団体の内部でどんな運営がなされているのか、お金の使い方やそれから人の使い方、こういったものを私はもっと厳密に明らかにするべきだ、このように思っています。

 その中で、公務員たる者の政治的公平性をもし侵すような行為が事実として確認されるならば、それをきちんと審査していくべきなのであって、しかし、実態とすれば、今のように、委員のおっしゃるようなことがまかり通っているということも、これは受け入れざるを得ないような状況が今御紹介の数字の中でもありますね。でも、私は、それでいいのか、だめだから一律それにふたをするのではなくて、だめな人間は、だめな行為はどこにあるんだということをきちっと認めていく、また、それをみんなが認識し合うということが重要だと思います。

 ですから、国民意識を高めていくこと。委員がいろいろとおっしゃっていることも、国民の代表として、国会議員としてこの場においでになりました。ですから、そういう国民意識というものをもっと高めていきながら、おかしな活動をしている人たちがいるならば、それは周りの人間が、あなたたちはおかしいのではないかと、こういう知識があるか、また共有していられるのかどうか、こういったことも重要だと思います。

 一方で、やはり権利の行使というもの、これは非常に難しい、また重要な問題でもありますから、一律の制限をすればいいというものではありません。そこをきちんとやることが、民主主義国家、しかも信頼できる国家というものにつながっていくんだと思いますから、私は、あやふやな、いいかげんなやり方は許してはいけないんだ、そういうことを観点に、しかし、きちんと自分たちの権利が行使できるような、そういう国をつくろうではないか、こういう国民運動をしていくことが、こういった法律上のいろいろな提案をし、チェックをすることも重要でありますが、あわせてそちらの方も必要ではないかな、このように考えます。

三宅委員 今の話に関連してもう一度大臣にちょっと所見をお伺いしたいんですけれども、今私が紹介させていただきました人事委員会の実態、これについて、もっとやはり迅速な処理をしなくてはならないと思います。これは別に、個別にこの質問項目は挙げていませんけれども、今のこの実態をお聞きになって、大臣、迅速な処理、これに対して何か前向きなお気持ちがあればちょっとお伺いしたいと思うんです。

新藤国務大臣 地方の人事委員会の運営に際しては、それはその地方の判断、自主裁量が求められているわけでありますが、一方で、我々はその適切な運用についての指導、監督、助言、こういったものをさせていただくわけであります。ですから、折々に我々からもそういったことは助言をさせていただいていると思いますが、より、今のような実態も踏まえて、やはりしっかりとした処理をしていただきたい、こういうことは私も今この場で申し上げたい、このように思います。

三宅委員 指導助言、よろしくお願いします。でないと、結果、地方公務員法の違反というのは、もしうちの罰則強化の改正案が通れば問題ないんですけれども、それまでの間、やはり同様に違反行為が行われるであろう。やはり人事委員会は迅速な処理というものを旨としなくては、結果、地方公務員法あるいは教育公務員特例法の政治的行為をしてはならないという、これが形骸化してしまうんですな。だから、その辺のところはよろしくお願いしたいと思います。

 次に、提出者の方にもう一度ちょっとお聞きしたいんですけれども、今、大阪市の例を私は挙げましたけれども、ほかにもそんなのはいろいろあったと思います。北海道のこともあったんですけれども、その辺ちょっと具体的にお答えいただけますでしょうか。

重徳議員 お答えいたします。

 先ほどは大阪の件について御答弁申し上げましたが、地方公務員の選挙応援は大阪に限った問題ではなく、二年ほど前の新聞社の調査によりますと、全国十九の政令市のうち十二市の労働組合が直近の市長選挙で特定の候補者を支援していたとする報道もございます。教育公務員についても、校区外でビラを配ったり、演説会にサクラとして顔を出すとか、さらには学校の建物の中で教職員組合から支援者の獲得を指示されていた事例が、例えば山梨県ですとか北海道におきましてございました。四年前は、選挙に際して北海道教職員組合から違法な献金を受け取った陣営の幹部が逮捕される事態に発展したこともございます。

 このように、今、新藤大臣は現行の制度の中で懲戒処分を厳密にとおっしゃいますけれども、また自治の観点からとおっしゃいますが、やはり各自治体において罰則を設けることはできないという結論を政府が出されているわけですし、幾ら周りがおかしいおかしいと言ったとしても、懲戒権者自身が、つまり首長自身がこうした公務員の支援を受けて当選しているケースなどにおいては懲戒処分による制度のみによる対応では限界がある、こう判断いたしまして、政治的中立性の確保の実効性を上げるためには、罰則を含む、より厳格な制度への改正が不可欠と判断したところでございます。

三宅委員 自画自賛じゃないんですけれども、今回の維新の改正案はなかなかよくできているなと私自身も読みながら本当に思っているんです。これができると、今までと違って、いろいろな部分でやはり地方公務員の姿も変わってくると思うんですね。

 その辺のところを、もう時間がありませんので、提出者の鈴木委員、短くで結構ですので、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

鈴木(望)議員 これまでの審議で明らかになりましたように、現在も地方公務員の政治的行為は一定の限度で制限はされております。これに違反して政治的行為を行った場合には懲戒処分をすることができることとされておりますが、これまでの質疑で明らかになりましたとおり、それが実質上、余り機能していない状況がございました。

 そこら辺のところは客観的に桜井敬子学習院大学教授が分析をしておりまして、その中でこう言っております。地方公務員は、政治的行為の制限に違反したとしても、法律上罰則はなく、懲戒処分もまずなされることはなく、懲戒処分を受けても人事委員会等にひっかけて定年まで引っ張ることができる、結果として地方公務員法は枠をはめるだけで機能していない法律になっているんじゃないのかということでございます。

 本法案は、このような地方公務員に対し罰則を設ける等によりまして、行政の中立的運営と、これに対する住民、国民の信頼の確保という住民全体ないし国民全体の重要な共同利益を確保することができるものというふうに考えているところでございます。

 以上です。

三宅委員 非常によくわかりました。

 きょうは、各委員の皆さん方も維新の改正案を非常によく理解できたと思っております。各位の方々に、ぜひとも、この法律案に対する御理解とあるいはまた御賛同をいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 今の三宅先生の質疑で十分理解をいたしました。ありがとうございました。

 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案については、賛成の立場から質問をさせていただきたいと思います。

 そこで、この法案で昇進試験または選考の実施が地方自治体に義務化されていますけれども、現在、実際、地方自治体の方ではこういう状況がどのようになっているのか、まずお尋ねをしたいと思います。

三輪政府参考人 職員の昇任につきましては、地方公務員法第十五条及び第十七条の規定によりまして、競争試験または選考によって、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基づいて行うこと、このようにされているところでございます。

 総務省において、昇任のために筆記試験等を実施した地方公共団体数を調査いたしましたところ、平成二十四年度におきましては、都道府県七団体、指定都市十二団体、市区町村三百五十六団体、合わせまして三百七十五団体で昇任のための試験を実施している、このような状況でございます。

佐藤(正)委員 再度お尋ねします。

 都道府県が比率的に数が少ないと思いますけれども、どのような理由でこういう数字の結果になっているか、おわかりになるんだったらお答え願いたいと思います。

三輪政府参考人 私どもの調査では、そこまで踏み込んだ調査というものはいたしておりませんけれども、いろいろとお話を伺ったり、あるいは経験等々から考えますと、試験を行うことの事務負担、そういったことも原因の一つであるというお話はよく伺いますし、あるいは、常日ごろの職務の遂行状況等々、そういったものの実態を踏まえての判断で十分、試験ということでなくても選考によってそういったものができる、こういったような御判断があるのではないか、このように推察をいたしております。

佐藤(正)委員 踏み込んだところまでは調べていないということでありますけれども、義務化を求めるのであれば、それぐらいのところはしっかりと調べていただいたらと思いますし、また、地方自治体の団体からも意見はしっかり聞かれた方がいいかと思います。その点について、今後どのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。

三輪政府参考人 今回、法改正をお願いしておりまして、地方公務員における能力・実績主義の徹底、また、人事評価制度の導入等を踏まえた任用あるいは昇任、こういったものを徹底していく、こういう趣旨で制度改正をお願いしている、そういう状況でございます。

 御指摘の昇任についての試験の実施状況、あるいはそういったものについての地方団体の考え方、こういったものにつきましても、これから、どういうふうにお考えなのか、その辺につきましても、私どもとしても把握に努めてまいりたい、このように思います。

    〔委員長退席、橋本(岳)委員長代理着席〕

佐藤(正)委員 ぜひやっていただきたいと思います。

 それから、採用試験なんですけれども、採用試験は、やはり全団体はやられているんですか。

三輪政府参考人 総務省におきまして、採用試験を実施いたしました地方公共団体数を調査いたしましたところ、平成二十四年度は、全ての都道府県、指定都市で採用試験を実施したところでございます。

 市町村の採用試験の実施団体数、これにつきましては、詳細は調査をいたしておりませんで、承知をいたしておりませんけれども、地方公務員法の第十五条、第十七条の規定によりまして、職員の採用は、競争試験または選考によって、受験成績に基づいて行わなければならない、このようにされておりまして、各地方公共団体において法の趣旨に沿った適切な運用を行っていただくべきものである、このように認識をいたしております。

佐藤(正)委員 都道府県とか大きな団体は当然採用試験をやっていると思いますが、小さな市町村の場合に、やっていないケースがあるようにも伺っております。ぜひ、その辺も含めてしっかり調査をしていただいて実態を把握していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 次に、質問がかぶる場合がありますので御了解を願いたいと思いますが、今回の人事評価についてなんですけれども、国家公務員の方が先に進めたということでありますけれども、これまで採用してきてどういう課題があったのか、そしてまた、どういう問題点があったのかということはいかがなのか。そして、その結果、地方の団体に人事制度状況を、今度お願いしますよとやるわけですが、その辺を含めて何かお考えがあるのか、考慮しているのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、国の方が先行して始めました。二十一年十月から実施をして、ちょうど五年たったところで運用状況の検証による調査を行ったわけであります。

 その中で出てきた意見であります。アンケートをした際に、評価者の約五割の人、評価する方のうちの半分が、A評価とB評価をどのように区別するのか、そこの見きわめ、判断には苦慮をしたということ。それから、Bをつけますと通常これは普通なんですけれども、Bとつけてしまいますと、ネガティブなイメージがないとは言えない。こういうような評価区分、評価の表記の仕方についての意見もあったんです。

 また、評価を受ける方の立場からいうと、約一割の方でありますけれども、面談において上司から特にアドバイスがなくて有益ではなかったと、今までの勤務評定ですね、こういったものについての回答がございました。それから、期末面談や期中において指導助言が行われたとする回答の割合というのは、被評価者の方が評価者よりもやや低い、こういうようなことがあります。

 ですから、制度としてではなくて、運用面でいろいろな声があるということであります。そういったことを、我々も五年目にして、制度がある程度落ちついてきたという前提で調査をした結果が出てまいりました。

 したがって、まずは、制度を法制化するという意味において、国と地方をそろえようということ、その制度を着実に実施していただくとともに、運用については、これまで既に国で行われたものにおける運用面のいろいろな意見を踏まえたものを我々も情報提供していきますし、必要に応じたいろいろな助言、そういったものもやっていこう、このように思っております。

佐藤(正)委員 そこで、現行の地方公務員法第四十条の勤務評定制度が今回変わるわけですけれども、どうしてこの勤務評定制度が機能しなかったのか、どういう問題があったのか、その辺について答弁していただきたいと思います。

三輪政府参考人 現行の地方公務員法では、任用の根本基準といたしまして、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基づいて行う、こういう成績主義というものを基本原則といたしております。この成績主義を実現させるための最も重要な手続といたしまして、勤務評定制度が位置づけられている、このように理解をいたしております。

 勤務評定制度につきましては、こういった意義がある一方で、評価項目が不明瞭であって、あらかじめ明示されていない、あるいは、上司から一方的に評価されるのみで、評価結果が十分に部下に知らされないということ、あるいは、人事管理に十分活用されない、こういった問題点、あるいは透明性の確保等において課題がある、こういったことがるる指摘をされてきたわけでございます。

 したがいまして、今回の法改正におきまして、能力・実績主義に基づく人事管理というものを徹底するために、より客観性あるいは透明性の高い人事評価制度を導入しようとするものでございます。

    〔橋本(岳)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(正)委員 本当は勤務評定制度でも、しっかり機能していれば実はそれでもよかったのかもしれませんが、今御答弁ありましたように、いろいろな問題点が浮かび上がってきた。逆に言ったら、余りやっていない、これまで地方ではこういう勤務評定制度は実際は余り機能していなかったという点もあるんだろうと思います。

 今参考人の方から答弁がありましたけれども、その問題点も踏まえて、しっかり地方には説明をしていただきたいと思います、理解もしていただきたいと思いますが、その点についてはどうなんでしょうか。

三輪政府参考人 人事評価制度の導入につきましては、現行の仕組み、勤務評定の制度でございますけれども、先進的に取り入れて実施を既にしておる団体も一部ございますし、また、国の制度導入を踏まえまして、私どもとしても、国と同様の、客観的、透明性のあるこの人事評価制度の導入ということを強く助言してまいりました。

 また、この間、地方団体の方でもこういったものに対する関心というものが徐々に高まりを見せてまいりまして、私どもが専門家の派遣を行うような事業も実は実施をしておりますけれども、そういったものに対して希望するというか、手を挙げていただく団体というものもかなりふえてまいりまして、なかなかその需要にお応えできないというような、そういう状況でもございます。

 もちろん、私どもとして、この法改正、成立をさせていただければ、その運用に向けてしっかりと各地方団体に対して説明をし、あるいは助言をし、あるいは先進的な事例等々しっかりと御紹介をしながら、円滑にこの制度が実施をされて所期の目的を達成できるような、そういう形になるような助言等々の努力をしっかりと重ねてまいりたい、このように思っております。

佐藤(正)委員 ぜひその努力をしていただいて、いわゆる、頑張った人が報われる、こういう仕組みだと思うんですね、結果的には。一生懸命、志を持って頑張っている公務員の方々が評価をちゃんと与えていただける、さらには、それに対して、評価に値する給与になる、やる気を持ってやっていただける、そういう環境をつくっていただく上では私は必要だとは思っておりますので、ぜひ、地方の方にも十分なる御理解をいただくように努力を重ねていただきたいと思います。

 そこで、今回の人事評価制度なんですけれども、実は絶対評価で行うということなんですけれども、国家公務員の絶対評価を見ますと、どうも評価のいい人がたくさんおり過ぎるぐらいおるんですよね、変な話が。そちらにがばっと集まっている。ある意味では、それだけ仕事をしっかりされているという評価だとは思いますが、例えば地方にまたそういう結果が出てくると、地方にはやはり財源というのがあるわけですね、定数管理もあるわけですよね。そうすると、その評価に合わせて例えば給与面でも待遇をするとすれば、ある意味非常に悩ましいところも出てこようかと思います。

 その辺について、例えば財源論も含めて、地方とどのような話し合いというか御指摘をされているのか、御答弁願いたいと思います。

新藤国務大臣 これはまずそもそも、いずれにしても、地方公共団体において実情に沿った適切な評価制度を導入してもらうということが前提であります。

 国においては、御指摘のように、絶対評価を行うわけであります。相対評価がいいのではないかという御意見もかつていただいておりますけれども、結局のところ、それは、いる部局において、そこのレベルであるとか、それから職員数だとか、そういったものがまちまちである状態でこれを相対的に評価する場合には、その人が異動した場合にまた評価が違ってしまうということにもなりかねません。ですから、やはり適切にやるためには絶対評価にするんだ、その上で、能力と業績をしっかり見ようではないか、こういう仕組みになっているわけであります。

 今御指摘の任用や給与への反映、これはやはりそれなりの定数を設けなければいけません。ですから、それはルールを決めます。でも、評価の低い人が評価の高い人を越えて高い報酬体系に入る、こういうことは想定しておりませんし、ランクといっても、Aランク、Bランクの中でも、Aランクの中での序列といいますか順番があるわけですから、そういったものを勘案しながら、最終的には適切な運用の中の範囲というものは定められるべきだと思いますし、その範囲の中でこういった運用がなされていく、このように考えております。

佐藤(正)委員 確かに、大臣が言われるように、Aランクでも、Sに近いAとか、Bに近いAとかあると思います。そこをしっかり見ないで、表面的に出ると、Aランクが何ぼ、Bランクが何ぼという感じでぼんと出てくるので、そこは地方の方にもしっかり、こういうことなんですよということは言っていただかないと、安易にA、B、Cとなったら、今言ったような問題点が起きてきますので、御指摘をしていただきたいと思います。

 そこで、もう一つ、今のお話を聞いてみて、例えば、今、大学でも飛び級とか、高校二年から飛び級で大学に行くとかありますけれども、公務員の場合はそういう飛び級というか、若い人で優秀だなと思ったら、ぼんと三階級特進みたいな、通告も何もしていませんよ、そういうことというのはあるんでしょうか。

三輪政府参考人 地方公共団体の人事におきましては、一般的な傾向でございますけれども、かなり、年功序列ではない、非常に評価の高い方が若くして上位の職位につかれるということは比較的事例が多いのではないかというふうに思っております。なかなか、例えば係長から補佐を経ずに課長とか、そういう飛ぶということは余り聞くことはないのでございますけれども、しかし、年齢が若い方が早くに上に上がるといったことは、国の人事制度などに比べますと比較的多いのではないかな、このように考えております。

佐藤(正)委員 済みません、通告していないで質問しちゃって申しわけないんですが、では、国よりも地方の方がそういうケースが多いということなんですか。国よりも、国家公務員より地方公務員の方がそういうケースが多々見られるということでいいんですか。

三輪政府参考人 正確に数字等を持ってお話ししているものでもございませんので、今までのいろいろ見聞きし、あるいは持った印象でのお話でございますけれども、比較的そういうケースというものは見受けられることが多いなというふうに思っておる、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 私はよしとしたいんですよね。そういう能力のある方が年齢に関係なく適材適所で頑張っていただくというのは、あって当たり前のような気がいたします。国の方でもそういうのがあればいいのかな、そうするとまた夢を持って仕事に励めるのではないかな、このように思います。

 そういうことで、例えば、今回の法改正で地方の自治体職員の働く意欲をアップさせることにつながるかどうか、この辺はどうお考えでしょうか。

新藤国務大臣 私は、やる気といいますか、士気の高揚につながるものになってほしいと大いに期待をしているわけであります。

 少なくとも、勤務評定との比較であれば、これは、評価項目が不明瞭であって、何をもって評価されるかが、明示があらかじめされておりません。それから、評価結果は部下には知らされずに上司のみが知っていて、気がつくと自分のわからないところで評価されて、それによって昇進や給与体系が変わっていく、こういうことになっているわけであります。また、人事管理についても明確な基準がなかった。これらは、今回の人事評価の中で、かなりのものが基準を明示して、また、結果も本人に知らされますし、客観性、透明性というものが高められる、このように思っております。

 どこでも、委員も多分御経験があると思いますけれども、昇進のスピードの速い人というのはいますよね。でも、突然、係長が途中を飛び越えて部長になるというのはなかなかないと思います。また、では、それぞれ入ってきた人たちがそんなに差があるのか。それぞれ公務員の場合も、研さんを積んで、やはり年次ごとに能力を発揮していただいています。これは経験とそして自分の業務量が違ってくるわけですから。

 そういう中で、しかし、結果的には、国家公務員においても、人に比べて速い方もいれば、また、そういう重要ポストにつく方というのは、これはかなりの戦略性を持ってつかれていると思いますし、地方においてもそういったことが同様にあるんだ、このように思います。

佐藤(正)委員 大臣と同じ考えです。とにかく、公務員の方々がやる気を持って仕事に全力で当たれる、そういう環境づくりを、我々は国会議員として法律をつくるわけですが、そういった環境づくりの法案は大いに出していくべきだと思っておりますので、先ほど来からこの法案については賛成であります。

 次に、地方の独立行政法人法の件についてであります。

 お手元に資料をお配りしていると思います。いつもはここに吹き出しの顔写真が入っている。今回は顔写真はありません。対象者がよくわからなかったものですから、顔写真はありません。

 ここに、都道府県の行政改革白書、これもちょっと古い話でありますが、行政改革プロジェクトチームというのが出したことなんですけれども、地方、都道府県それから政令市というのが大体対象になるんだろうと思いますけれども、そこが、外郭団体に再就職をした場合、県で一度退職金をいただくと再就職先では退職金の支給はないというような内容なんです。これに九割以上の都道府県が賛成をされております。

 そこで、県の出資団体の中で保証協会というのがあります、それぞれ各都道府県。大阪はたしか二つ、大阪府と市がある。これも統合した方がいいというのはまさにそのとおりだと思いますが。実は、先週、経済産業委員会だったと思いますけれども、そこで私が質問をさせていただいて、いただいたのが今お手元にお配りしている資料であります。これを見ると、実は、各都道府県の完璧な天下りポストというふうに理解ができると思います。

 こういう状況で、そのときに中小企業庁の長官にお尋ねをしたら、これはやはり芳しくない、よくないんだというふうに御答弁をいただいたわけでありますけれども、総務大臣は、今お手元で見せた資料を見てどのような感想をお持ちですか。

新藤国務大臣 これは、先日の経済産業委員会で委員が御指摘をされて、中小企業庁の北川長官からも御答弁がありました。そこにもありますように、長期にわたり、固定的、継続的に自治体出身者が理事長等のトップのポストにつくという状況、これは適切であるとは考えていない。これは政府の方針であります。

 ですから、こういったものも踏まえまして、これは公募等の透明性の高い選定方法を通じて適切に任命することが望ましいと思いますし、そういったことを中小企業庁から、信用保証協会の役員の任命権者である全五十二の知事、市長に対して通知を発出している、このようなことを承知しております。

 したがって、信用保証協会への地方公共団体職員の再就職については、こういった中小企業庁の助言も踏まえて地方団体において適切に対応していただきたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 ぜひやっていただきたいのと同時に、先ほど申し上げましたように、退職金を二度もらえるという仕組み、これは今、基本的には、私は福岡県でしたけれども、福岡県では、福岡県、北九州市、福岡市が全て、いわゆる出資団体に再就職をする場合は退職金を支給しないという旨のことを各団体に通知をしています。現実はそうなっています。

 大臣、今私が申し上げたことは、地方に対して大臣の方からもこういう旨の指示というか、実はこの法律に書き込むのが一番いいんですけれども、これに対して大臣は、地方に対して何らか発信をしようとは思いませんでしょうか。

新藤国務大臣 それぞれ、委員のように地域にあって活動されて、またその成果が出ているわけであります。

 現状において、我々は全般を、そういったものには注視をしていきたいと思いますが、現行の中で適切な運用が図られるように、そういったことを期待していきたい、このように思います。

佐藤(正)委員 これはなぜこうなったかというと、職業選択の自由というのが実はあるわけですよ。だから、本来なら退職金を支給しちゃいけませんよなんて言えないんです。ところが、地方自治体の場合は、基本的にはあっせんをするんですね。あっせんをするときに条件を出すわけです。行ってもいいですけれども、退職金はありませんよ、どうされますか。そこで選ぶわけですね。だから、実はこれができているという現状はあります。

 しかし、それでいくならば、どこも同じようなことができると思います。その結果が、全国知事会のこういう改革プロジェクトの中で出たんだろうと思います。ぜひ、こういうところも総務省としてしっかり考慮をしていただきたいと思います。

 さらに、臨時国会のとき、私、国会議員の歳費の件も実は質問をさせていただいたんですね。五月から歳費がまた二割戻りますよ、それはおかしいんじゃないかということを質問させていただいたんですけれども、それは議員間で決めることだとはおっしゃいます。と同時に、もう一つは、議員の宿舎についても安過ぎる、少し上げたらどうかと言って、今度上がるんです。それで大分僕は怒られましたけれども。だけれども、実際、世の中、国民から見ると普通に当たり前だと思っています。

 最後に、大臣に、大臣としての答弁なのか、政治家としての答弁でも結構なんですが、五月から議員歳費が二割またもとに戻ってアップするということに関して大臣の所見をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 まさにそれは国会で御議論いただくところでありまして、各党からいろいろな御意見が出ているということだと思います。

 ちなみに、私は今、国会議員でありますが、閣僚として二割のカットを自主的に続けているわけでございます。

 国民に対してどのように自分たちが説明をしていくのか、こういったことも踏まえてよく御議論がなされるべきだ、このように考えております。

佐藤(正)委員 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案について質問をいたします。

 今回の法改正は、現行の勤務評定を廃止して、人事評価制度の導入を図るものであります。最初に大臣に伺いますが、この人事評価制度というのはいかなるものなのか、この点について御説明をいただけますか。

新藤国務大臣 人事評価とは、改正案の第六条において、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」、このように定義をさせていただいているわけであります。いわゆる能力評価と業績評価の両面から、この人事評価を行うものとしているわけであります。

 能力評価につきましては、職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握して行うということでありまして、国においては、企画立案や専門知識、協調性、判断力、こういった求められる能力を十分に発揮しているかどうかなどの評価を行うことにしております。

 また、業績評価につきましては、職員が果たすべき職務をどの程度達成したかを把握して、上げた業績を評価するものでありまして、国においては、担当する職務に関し、具体的な業務の目標、課題を設定し、当初に設定したものが仕事の期末においてどのように達成したか、こういったもので評価する仕組みを実施しているところでございます。

塩川委員 人事評価制度というのは能力評価及び業績評価の二つの要素から成る、この両面から人事評価を行うということであります。

 今の答弁とも重なりますが、この人事評価制度というのは賃金とリンクするものだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案の第二十三条第二項におきましては、「任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用する」、このようにしているところでございます。したがいまして、給与につきましては、その人事評価というものが給与についての基礎として活用される、人事管理の基礎として活用される、そういう仕組みでございます。

塩川委員 人事評価制度は賃金にリンクをする、人事評価の基礎として活用されるということです。

 そこで、総務省は、本改正を行う以前から、人事評価制度の導入を地方に要請してまいりました。これはいつから地方に対して人事評価制度の導入を求めてきたんでしょうか。

三輪政府参考人 平成十九年に国家公務員法の改正が行われまして、人事評価制度というものが法律上導入されましたのを受けまして、地方公務員においても同様の人事評価制度の導入というものを私ども助言してまいったわけでありますが、それ以前から、行政改革の方針というようなことが政府において閣議決定をされました。平成十六年十二月の閣議決定でございますけれども、それを踏まえまして、平成十七年三月の総務省の総務事務次官通知におきまして、地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針というようなものが示されまして、この中で、能力、実績を重視した人事評価制度の導入というものを地方公共団体に助言してきたところでございます。

塩川委員 国公法改正は平成十九年ですが、それに先立って、平成十六年十二月の閣議決定を踏まえ、平成十七年三月の新行革指針で、能力、実績を重視した新しい人事評価制度の導入が求められるとしたわけです。二〇〇五年以降、毎年自治体に通知を発出して、人事評価制度の導入を働きかけてきたわけです。

 大臣にお尋ねしますが、国が人事評価制度の導入を地方に求めてきた、その理由というのはどういうものなんでしょうか。

新藤国務大臣 地方公共団体におきましては、地方分権の一層の進展によりその役割が増大する一方で、厳しい財政状況の中、高度化、多様化する住民ニーズに的確に対応していくための、個々の職員について困難な課題を解決する能力と高い業績を上げることが従来以上に求められているもの、私はそのように思っています。そして、そういった能力や業績に基づく人事管理の必要性が高まってきているんだということを承知しております。

 これに関しまして、これまでの勤務評定においては、先ほども申しましたけれども、評価項目が不明瞭であったり、あらかじめ明示をされていない、また、評価結果が部下に知らされていない、人事管理に十分活用されていない、こういったような課題も指摘されておりました。

 そうしたものに対しての人事評価は、能力と業績を両面から評価することによって人事管理の基礎とすることを規定するとともに、評価基準の明示、また評価結果の本人への開示などの仕組み、こういった、これまでの課題に対応するようなものになっているわけであります。

 従来の勤務評定に比べまして、能力・実績主義を実現するためのツールとして客観性、透明性を高めるものである、それが今地方自治に求められている、より能力本位の人事管理、また、それぞれの公務員の特性を引き出せるものではないか、このように期待をしているところでございます。

塩川委員 今大臣の答弁にありましたように、国としては、人事評価制度の有用性を訴えて、導入を働きかけてきたわけであります。

 そこで、総務省にお尋ねしますが、人事評価制度の導入状況がどうなっているのか、実施状況についてお聞かせください。

三輪政府参考人 人事評価制度の実施状況でございます。

 現在の法律の制度であります勤務評定の制度の運用といたしまして、国の人事評価制度と同様の取り組み、すなわち、能力評価及び目標管理型の業績評価でございますけれども、そういった取り組みを行っている団体、平成二十四年度でありますけれども、都道府県で三十七団体、指定都市で十九団体、市区町村で五百六十三団体、全体で六百十九団体、全団体の約三四・六%、このような状況になっております。

塩川委員 能力評価及び目標管理型の業績評価の実施状況としてお話しいただきました。

 これを見ると、市区町村では、千七百二十二に対して今五百六十三とありましたけれども、三分の一にも満たない。市町村など多くの自治体が実施をしておりません。国が繰り返し助言をしてきたわけですが、地方は自主的に判断をしてきたわけです。

 特に市町村で導入が進んでいない。これはどういう理由というふうにお聞きになっておられますか。

三輪政府参考人 人事評価制度につきましては、地方公務員につきましてはまだ法律上の位置づけがございませんで、助言などによって普及に努めてきたところでございます。

 こういったこともございまして、特に市区町村におきまして、まだ十分な情報などが浸透していないという側面もあろうかと思いますし、また、人事評価制度に対する懸念や心配、あるいは地方公務員法の改正を待っての導入というようなことを想定している団体、そういった団体があるというようなお話も伺っているところでございます。

 具体的に、例えば、実際の団体のお話として、小さな町では、職員の顔が見えるので評価や開示が難しい、あるいは窓口などのルーチン業務における目標設定の方法が難しい、こういったような御意見があるというようなことも承知をいたしております。

 総務省におきまして、いろいろな適切な運用方法について、るる助言等に努めてまいりました。国の人事評価と同様の取り組みを行っている団体、先ほど、二十四年時点で五百六十三団体と申しましたけれども、平成十七年の段階で百八十四団体でございました。少しずつでありますけれども、着実に増加をしてきているところでございます。

 今回の法改正を踏まえまして、人事評価制度の円滑な導入ができますように、総務省としても引き続き必要な助言などを行ってまいりたい、このように考えております。

塩川委員 情報が浸透していないといっても、もうこの十年来ずっとやってきているわけですし、さまざまな研究会の報告などでこれを推奨するという働きかけを行ってきた。その上でも懸念や心配があるというのが地方団体の現場の話で、御説明もありましたけれども、小規模団体では、実施は顔が見えるのでなかなか難しいですとか、あるいは窓口での目標設定が難しいとか、そういう点については、これは単に情報が浸透していないのではなくて、現場の実情に即したら、やはりやるのは困難だという声があるわけで、そういう状況のときに、何か上から、法律上措置されていないからやっていないんだという話にはならないというふうに思うわけです。

 大臣にお尋ねしますが、今回、法改正まで行って、地方に人事評価制度の実施を迫ることになりますが、自治体職場でやはり自主的に決めているわけですから、何か法改正まで行って変えなければならないような問題というのはあるのか。要は、地方の自主性を尊重すればいいんじゃないのかと率直に思うんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 それはICTの話と共通するんですね。

 私は、制度というものは、ルールというものは、やはり公務員として、全般、同じルールの中で、それぞれの地域で頑張ってもらいたいというふうに思います。その評価や運営については自主的な取り組みが求められておりますから、そこでそれぞれの事情に応じて実施されればよい、こういうふうに思うのであります。

 そもそも、平成十九年の時点で、国と地方は同じように法律を出してきたわけであります。しかし、国会の審議の関係によって、これまで法案の審議がなかなか進まなかったということでありまして、内容そのものは、もう平成十九年のときから言われてきたことであります。

 さらに加えて、今回の国家公務員の方の人事評価制度の結果を踏まえて、そうした運用改善も含めて、むしろ、またさらによい制度になるのではないか、こういうふうになっているわけでありまして、強制的に何かをするということではなくて、これは公務員としてみずからの業務を追求していく、また、地方公共団体が最大の成果を上げるように、さまざまな最適な人事管理を行って職員の配置をしていくこと、これは国民が求めることである、このように考えております。

塩川委員 人事評価制度そのものの問題点についてはこの後議論しますけれども、国公並み、並び、同じルールと言うけれども、やはり国家公務員と地方公務員は置かれている状況も違います。規模も違います。

 そういう点でいえば、上から一律に同じルールですよというやり方というのは、本来、地方自治を尊重する立場から、やるべき方向ではないということを申し上げたい。そういう点でも、地方の自主性を尊重する、地方は地方でしっかりと決める、こういうことを担保するようなものであるべきで、いいものであれば導入するわけですから、そういうことこそしっかりと見ておく必要があるということです。

 そこで、この人事評価制度についてですけれども、業績評価の点ですが、先ほども目標管理型の業績評価というふうに御説明がありましたけれども、業績評価において目標管理というのはどのように位置づけられているんでしょうか。

三輪政府参考人 業績評価でございますけれども、これは職員の属する組織において職員が果たすべき職務をどの程度達成したかということを把握して、上げたその業績というものを評価する、そういうものでございます。

 例えば、国におきましては、担当する職務に関しまして、具体的な業務の目標あるいは課題というものを期首に設定いたしまして、期末にその達成度について評価をする、こういった仕組みで実施をしているところでございます。

 今回の改正案におきましては、人事評価の基準や方法などにつきましては、これは各地方公共団体のそれぞれの任命権者で定めるということにいたしているところでございますけれども、御指摘の目標管理という点に関しましては、これは以前の有識者による研究会の報告などでもいただいた御意見でございますけれども、人事評価の狙いである公務能率の向上や評価結果の客観性や納得性を確保し、評価結果を人材育成に活用する観点からは、評価者と被評価者が期首に目標を確認し合い、明確な目標を設定した上で、その達成度をはかる目標管理に基づく業績評価を行うことが望ましい、こういったような御意見もいただいておるところでありまして、私どもといたしましては、こういった目標管理に基づく業績評価を行うということが望ましいのではないか、このように考えているところでございます。

塩川委員 公務能率の向上ですとか客観性、納得性や、あるいは人事管理に役立つ、こういった点で目標管理の重要性ということでの御説明がありました。

 同時に、では、目標管理を具体的にどう行っていくのかという点で、平成二十一年三月に、地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会が報告書を出しております。これは、国が人事評価制度導入を地方に働きかける際のよき参考書として推奨した報告書であります。

 この報告書の中で、業績評価の基本的考え方として、「業績評価は原則として目標管理の手法との連携が望ましい。」「目標管理は、まずトップが具体的な戦略等を示し、できるだけ数値目標として示した上で、各階層の部下が目標を詳細かつ具体的にブレイクダウンすべき。」「どんな組織や階層にも達成すべき目標は存在する。定型的な業務部門でも目標管理の弾力的取り扱いを含め目標管理の導入が望ましい。」と、いわばトップが決めた目標、それも数値目標を現場まで徹底するということを行うことが基本的考え方として述べられているわけですが、こういうふうに書かれておりますね。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 累次の研究会を実施しておりまして、毎年のように報告書が出ておりまして、ちょっと今、その二十一年三月というのが手元にございませんけれども、御指摘のように、目標管理につきまして、まずトップが具体的な戦略を示す、できるだけ数値目標を示す、こういったような趣旨の報告というものが専門家の方の研究会報告等でなされている、そういったものがあるということは承知をしておるところでございます。

塩川委員 この平成二十一年の報告書以降でここまで詳しく書いてあるものはないということで、今述べた点は変更することもないというふうにお聞きしておりますので、こういう趣旨で自治体での取り組みを促しているということです。

 こういった目標管理の導入というのが自治体職場でどのような事態を生み出すことになりかねないのか、このことを、例えば、生活保護における徹底した水際作戦により餓死者や自殺者を出した北九州市の事例で考えてみたいと思います。

 これは、北九州市において、生活保護受給者が、就職したと市職員に虚偽報告を強いられ、生活保護を打ち切られた結果、孤独死した事件が発覚、大きな問題となりました。日記に、おにぎり食べたいと書き残したことが大きく報道されましたが、この日記の中には、せっかく頑張ろうと思ったやさきに切りやがった、書かされ、印まで押させ、自立指導したんかなど、福祉事務所への不満がうかがえる記述も残されておりました。

 北九州市では、職員に対して、生活保護の申請書の交付は月五枚までとし、廃止ノルマは年間五件といった数値目標を課していたとされております。このことは、北九州市がこの事件を契機に行った生活保護行政検証委員会最終報告書にも記載をされております。市当局は数値目標の存在を否定しましたが、検証委員会としては、数値目標の存在が否定し切れないとして、以下の引用を行っております。

 これは、社会福祉協議会が北九州市の生活保護の三十年という本を発行したわけですけれども、市の保護課と監査指導課が監修をした、こういう本であります。

 この中で、開廃差による目標管理という見出しでの記述があります。開廃差というのは、生活保護の開始見込み件数と廃止見込み件数の差、つまり、これがマイナスになるということが生活保護受給者が減るということですから、この開廃差のマイナスというのが目標値として設定をされるという趣旨です。

 年度当初に福祉事務所ごとに実施されていた民生局長ヒアリングにおいて、各福祉事務所における年間の開廃差を目標値として所長から報告させ、秋の中間ヒアリングではその進捗状況に応じて目標数値の修正が行われた。この廃止見込み件数の中に、当然、若年層を含む自立重点ケースを入れるようにとの指導が出され、監査でもその進捗状況が検証された。定例の福祉事務所長会では成果を報告、開廃差がプラスとなった福祉事務所は肩身の狭い思いをした。こういうことがこの生活保護の三十年の中にも記載をされているということです。

 検証委員会は、今回の検証事例でも、相談者の困窮状態や急迫した状態を認識しながら手を差し伸べることがなかった不適切な対応は、これらの数値目標が実態として職員を縛っているのではとの強い疑念を持たれるのはやむを得ないと指摘をしております。

 大臣、お尋ねしますけれども、今後導入しようというこの人事評価制度による業績評価において目標管理が行われ、トップから数値目標が示され、部下に詳細目標も示されて、達成状況をチェックされれば、この北九州市のような深刻な人権侵害にもつながるようなことが起こりかねないのではないか、こういう懸念を覚えるわけですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 まず、事件になったということは、それが問題であるということであって、通常の行政執行であれば事件にはならないわけであります。まずは、適切な行政の運営と事務の執行が行われる、その中で、その人がみずから定めた目標にどのように達成したか、それは絶対評価ですから、一人一人の自分の目標、そういったものにどのように達成したかということも入ってくるわけであります。

 そして、その仕事に対するやる気ですとかさまざまな企画力だとかそういったものもいろいろ複合、総合的に勘案されるわけでありまして、それが一律、何か強制をして、それによって行政をゆがめながら評価のみを上げるような、そういう結果にはならないし、そういったものはもとより地方公共団体は求めておりませんから、そういった事態は発生しないはずであります。発生しないように、そこは首長、そしてまた職員みずからがそれぞれ目的意識と使命感を持ってやっていただきたい、このように考えます。

塩川委員 ですから、そういう事件となった問題を教訓に市の第三者の検証委員会が検証を行った結果、この数値目標というのが職員を縛ることになった、結果としてこの保護を廃止する、そういった措置につながったという点を取り上げているわけですから、私は、目標管理という形が結果としてこういうことにつながるのではないのかという懸念は拭えないと思うんですが、改めてその点、いかがですか。

新藤国務大臣 まず、個別具体の事件に至るまでの経緯というものは徹底的に個別検証すべきだと思います。そしてそれが、組織的な何か問題点があるものであれば、反映されるべきだと思います。

 一律にこれが今回の人事評価、しかも能力評価、業績評価、こういったものを取り入れることとその事件の関連性というものは、それ以前の問題として、そもそもそういう業務執行が適正であったのかどうかというもの、そして何よりも、もう一回申しますけれども、個別案件については、個別案件についての徹底した調査、検証が必要だ、私はこのように考えております。

塩川委員 個別案件の検証の結果が、目標管理というのに問題があったと述べているというところが重要な指摘であって、こういうことにこそしっかりと学ぶべきだということを申し上げたい。

 こういった目標管理を伴う人事評価を賃金に反映させるというのが、いわば小規模団体には非常になじまない。それは、例えば百人規模の町村などの自治体職場でいえば、人事異動を行う場合、二、三年で異動しますけれども、そういったときに、一つの職場に習熟していればそれなりに業績にもつながるけれども、新しい職場では一からやりますから、それが適切に業績として反映されなくなってしまう、だったら異動したくない、こういうことにもなりかねないわけです。

 そういう意味でも、一律にこういった目標管理を伴うような人事評価制度というのは、人事異動そのものの障害にもなるし、小規模団体にはなじまないと私は思うのですが、この点についてはいかがですか。

新藤国務大臣 私は、規模が小さいから、それでは違うレベルでやっていいのかということを全然考えられないんですよね。

 委員も市の職員でありました。私も市の職員で経験したことがあります。それは、町の規模だとかそんなものにかかわらず、自分は目的意識と使命感を持ってそこの組織にいるわけなんですから、その規模、その地域に応じて必要な目標というのはおのずと、それは町によって目標設定自体が変わってくることはあります、しかし、いずれにしても、自分がいる職場において目標を設定して、それを達成するための努力をしていく。これは国民に対する全体の奉仕者として当たり前のことであって、それが規模によって変わるということは、私は、あってほしくないし、また全国の自治体の職員はそういう気持ちでやっていない、このように思っています。

塩川委員 それは必ずしも実情を踏まえたような中身ではありませんね。私は、やはり個々の実態を踏まえて行うべきであって、そこは当然、いいものであれば導入するし、そうでなければ工夫しながら行うということで、一律に人事評価制度の導入を求めることの方が機械的な対応なんじゃないのかということを言わざるを得ません。

 もともと、国公においても導入されていますけれども、そもそも、公務にこういった人事評価制度がなじむのかという指摘もあるわけであります。

 研究者からは、行政の目的は多元的であり、成果を測定する尺度を見つけにくい。目標管理制度を取り入れるにしても、民間企業と比べると明確な目標を定めることが難しい。そのため、制度導入のための目標設定といった本末転倒に陥るなど、制度そのものが絵に描いた餅になっているケースが多い。公務員の多くは、成果主義が前提としている典型的な経済人ではない。そのため、金銭的報酬を伴う成果主義は効果が期待しにくいばかりか、仕事そのものから生じる内発的なモチベーションをかえって低下させるおそれがある。これは太田同志社大学教授の指摘でもありますが、人事評価制度が公務になじまないのではないかという声があるわけであります。

 こういう制度をなぜ導入するのか。昨年十一月の閣議決定の、公務員の給与改定に関する取り扱いでは、我が国の厳しい財政状況に鑑みれば、総人件費の抑制など行財政改革を引き続き着実に推進しなければならない。国公給与については、職員の能力、実績のより的確な処遇への反映など給与体系の抜本改革に取り組む。地公給与についても、地方の意見を聞きつつ検討する。これの具体化を図っていく。そういう一環としての人事評価制度であるわけで、要するに、人事評価制度の導入の狙いそのものが人件費削減なんじゃないのか、こういう指摘、当然だと思うのですが、いかがでしょう。

新藤国務大臣 私は、全く当然だとは思っておりません。そもそも平成十九年に法律を出しておりますし、その数年前からいろいろな指摘がなされて、総務省としてはいろいろな通知を発出してきたことは、答弁をさせていただいたところであります。

 そして、私が申し上げているのは、能力と業績を評価しましょう、そしてそれぞれの自治体にふさわしい目標設定をしましょうということなのであります。

 その大学の先生がおっしゃっているのは、何か、経済効率性を求めることが指標の全てであるかのような前提に立ってのお話だと思いますが、自治体における政策目標設定というのはいろいろな、もっと多面的なことがあるというふうに私は思っておりますし、自分たちで、正しい、そして求められる目標を設定した上で、それの達成度を評価していけばいいんだ、このように考えているわけであります。

塩川委員 目標管理を伴う人事評価制度というのは賃金にリンクするというところでの問題ということで指摘をしているわけで、それをしっかりと受けとめるべきであります。

 地方の実情に合わない人事評価制度の一律の押しつけはやめるべきだ、地方の自主的判断を尊重する、このことを強く求めて、質問を終わります。

高木委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本法案による人事評価制度は、住民に寄り添い問題の解決を図っていくという本来の地方自治体のあり方を大きくゆがめるものです。生活保護行政や徴税業務などでは、権利侵害や福祉切り捨てを一層深刻な事態にするものです。

 住民の生活保護申請を制限して餓死者や自殺者を出した北九州市では、福祉事務所ごとに開廃差による目標管理が行われたことが重大な人権侵害につながったことを想起すべきであります。

 任命権者は、こうした人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するとし、例えば分限規定にも人事評価を適用することとしています。さらに、任命権者は、その裁量によって標準職務遂行能力を定め、これを任用に適用するとしています。

 これでは、地方公務員を首長を初めとする任命権者の言いなりにさせかねません。憲法がうたう全体の奉仕者として、公正中立の立場に立って、国民の権利と福祉の実現のためにその能力を発揮することが求められている地方公務員の役割を大きく変質させるものです。

 また、こうした人事管理の導入、徹底は、地方行革の新たな指針に盛り込まれた地方行革の取り組みの一環であり、政府が推進してきた総人件費削減方針と一体のものであります。一層の人件費削減のてことなりかねず、許されません。

 最後に、総務省は、これまで人事評価制度の導入を地方自治体に求めてきました。しかし、都道府県、政令指定都市を除く市町村では、その導入は進んでいないのが実態です。しかし、こうした地方自治体の自主性、自立性を上から抑え込むやり方で人事評価制度の法定化を強要することは容認できないことを述べて、討論を終わります。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、来る十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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