衆議院

メインへスキップ



第15号 平成26年4月15日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十五日(火曜日)

    午後四時一分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門  博文君    門山 宏哲君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小林 史明君    小松  裕君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中谷  元君

      中村 裕之君    船橋 利実君

      松本 文明君    八木 哲也君

      山口 俊一君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      関口 昌一君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長職務代行者)    上村 達男君

   参考人

   (日本放送協会理事)   上滝 賢二君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     船橋 利実君

  中村 裕之君     工藤 彰三君

  長坂 康正君     青山 周平君

  西銘恒三郎君     小松  裕君

  湯川 一行君     八木 哲也君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     長坂 康正君

  工藤 彰三君     中村 裕之君

  小松  裕君     門  博文君

  船橋 利実君     井上 貴博君

  八木 哲也君     湯川 一行君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     西銘恒三郎君

  浅尾慶一郎君     渡辺 喜美君

    ―――――――――――――

四月十四日

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六六号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長職務代行者上村達男君及び日本放送協会理事上滝賢二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長井上利君、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長米田耕一郎君、総合通信基盤局長吉良裕臣君及び農林水産省大臣官房参事官高橋洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 きょうも質問の時間をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 まず、NHKの籾井会長に関する一連の問題についてということでお伺いをしたいと思います。

 去る四月十三日の籾井会長の謝罪放送放映後の視聴者からの反応についてということでございます。

 四月十三日日曜日午前十一時から放映された情報番組「NHKとっておきサンデー」の冒頭に籾井会長が出演をし、一連の不祥事について説明、そして謝罪をした。ただし、会長の出演は生放送ではなく収録形式であり、定例会見でそのことを問われ、僕は生放送には耐えられないでしょうと述べたと新聞で報道されております。

 さて、十三日の、会長が出演した番組放映以降の視聴者の反応についてお聞きしたいわけであります。

 肯定的な意見、批判的な意見、それぞれおおよそどれだけの意見が寄せられているのでありましょうか。

上滝参考人 お答えいたします。

 籾井会長が出演し、視聴者の皆様におわびした番組、放送されたおとといからきのう夕方までに視聴者の皆さんから寄せられました御意見は、およそ二百七十件でございます。このうち、批判的な御意見が四分の三、およそ二百件余り、肯定的な御意見が一割、およそ三十件、このほかは問い合わせなどとなっております。

 以上です。

近藤(昭)委員 二百七十件という少ない数、しかしながら、その中の四分の三が批判的な意見、これをどのように分析するかということでありますが、私は、この委員会でも質問させていただきましたときに、一連のことに対して多くの意見、この「とっておきサンデー」の後の意見というのはかなり少ないという感じがするわけでありますけれども、しかしながら、多くの意見が寄せられてきたという中で、私もここで申し上げさせていただきました、一連のことがきちっと検証されているのか、検証すべきではないか。

 この「とっておきサンデー」の中でも、この委員会の中で非常に多くの方が触れた、いわゆる辞職願のことについての言及はなかったわけであります。私は、そういう意味では、この二百七十件、全く関心がなくそういうことであったのか、そのことについては、まだまだこれからの検証が必要だというふうに思っています。

 そういう中で、さらにお聞きしたいことがあるわけであります。

 四月一日の入局式における籾井会長講話、そしてその後、二日後でありますが、三日の定例会見での発言ということでございます。

 四月一日の入局式における籾井会長講話の中で、籾井会長は、NHKの原点は放送法です、この中には我々が守らなければならない考え方が書いてあります、健全な民主主義の発達に資する、日本全国にあまねく豊かでよい放送を行うなどですと放送法の重要性を説いた。しかし、NHKの骨格である放送法を、入局された皆さんにまず学んでほしいことですと述べるくだりの中で、会長をやめさせるところはどうでもいいと言ったと四月三日の定例会見の中でみずから明らかにし、それはNHKが発表した会見の要旨にも掲載されているわけであります。

 定例会見の前後の文脈から判断すれば、御本人がおっしゃっているようでありますが、新入局した若者の緊張をほぐすための発言とのことであったと言われておるわけでありますが、それにしても、一連の不祥事に対する自覚、反省がある発言だとはとても思えないわけであります。

 この会長の発言について、どう思われますでしょうか。

上村参考人 お答えいたします。

 きょうは、私は、委員長にかわって、職務代行者としてここに参っておりまして、一個人あるいは一経営委員としての意見を述べる場ではないというふうに思っております。

 そこで、経営委員会としては、この件について何か議論があったかと申しますと、経営委員会の場でそういうことについて、今委員がおっしゃったような質問がございましたけれども、これは議事録が公表されますので、それが公表される前に私が曖昧な表現をするのはどうかと思いますので、ただ、そういう意見があったということは申します。

 それから、経営委員のみの会合でもその種の意見はございましたし、あるいは逆に、冗談で言ったんじゃないかとかそういうようなことをおっしゃる方もおられました。

 ただ、経営委員会としてこれについて今後どうするとか、そういうことは確認されておりません。

近藤(昭)委員 上村代行者、どうもありがとうございます。

 まだ議事録が発表されていない中で、この委員会の中でもさまざまやりとりがある中で、議事録、そしてそのことが公開される前のいろいろなやりとりがあるわけでありますが、また議事録が公開されたという時点で検証させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

 それでは、公務災害についてということでお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 職場の転倒事故、転落事故など、公務災害によって脳を損傷しても、画像所見が認められない場合、なかなか認められなかった。しかし、二〇〇四年にWHOが、受傷後の意識障害が軽度でも脳を損傷するという軽度外傷性脳損傷、MTBIの定義をつくったわけであります。軽度とは、軽症という意味ではなく、あくまで受傷後の意識喪失が三十分以内とか、意識喪失しなくとも意識の変容とかだが、実際はその後に重い脳損傷の症状が残ることもあるという。

 国会質問や政府の対応を経て、労災で画像所見が認められないMTBIの事案について本省で丁寧に検討することとされたわけでありますが、公務災害についてはどうでありましょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 一般職国家公務員の災害補償制度においては、実施機関である各府省等が公務上の災害等の認定などを行っておりますが、各府省等では判断が困難なもの、それから高度の医学的知見が必要なものについては、人事院事務総局職員福祉局長が協議を受けることとなっております。

 このような取り扱いの中で、軽度外傷性脳損傷を含む高次脳機能障害については、実施機関である各府省等が障害等級を決定するに当たって、全て同局長の協議を経ることとしているところであります。

 この軽度外傷性脳損傷については、昨年八月に、脳損傷を示す画像所見が認められない高次脳機能障害の障害等級の決定についての通知を発出し、実施機関に対して、相当因果関係等の判断にかかわる被災原因となる事故の状況、それから被災職員の被災直後の症状、被災直後からの症状の経過等の各種情報の十分な把握に努めるよう求めております。

 それからまた、画像所見が認められない高次脳機能障害について協議を受けた場合、同局長は、事案ごとに必要な見識を有する医学専門家から検査の必要性及びその方法を含め意見を聴取し、当該聴取結果を踏まえ、必要に応じ実施機関に検査を行わせた上で、相当因果関係の有無及び後遺障害の程度を判断することとしております。

三輪政府参考人 地方公務員についてお答え申し上げます。

 地方公務員の災害補償制度におきましては、MTBI、軽度外傷性脳損傷を含む高次脳機能障害につきまして、補償の実施機関であります地方公務員災害補償基金が障害等級を決定するに当たりましては、全て基金の支部から基金本部の協議を経るということといたしておるところでございます。

 MTBI、軽度外傷性脳損傷につきましては、基金本部から昨年九月に、脳損傷を示す画像所見が認められない高次脳機能障害の障害等級の決定についての通知を発出いたしまして、基金の支部に対しまして、相当因果関係等の判断にかかわる被災原因となる事故の状況、被災職員の被災直後の状況、被災直後からの症状の経過等の各種情報の十分な把握に努めるよう求めているところであります。

 また、画像所見が認められない高次脳機能障害につきまして協議を受けた場合、基金の本部は、事案ごとに必要な見識を有する医学専門家から検査の必要性及びその方法を含め意見を聴取し、当該聴取結果を踏まえ、必要に応じて基金支部に検査を行わせた上で、相当因果関係の有無及び後遺障害の程度を判断するということとしているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした勧告といいましょうか、これを受けて、今いろいろと対応のことを詳細にお答えいただいたわけでありますが、改めてお答えをいただきたいんですが、つまり、そうした新たな定義といいましょうか、新たな勧告、また国会質問、政府の対応を経て、そうした認められない場合についても、総合的にとかいろいろなことを検討しながら、今まで全く認められなかったものが、状況を勘案しながら、認めるべきものは認める、こういうふうになってきた。こういうような理解でいいか、それぞれ端的にお答えいただければと思います。

井上政府参考人 先ほどもお答えいたしましたように、画像所見が認められない高次脳機能障害について各府省等から協議を受けた場合、事案に応じまして必要な見識を有する医学専門家から検査の必要性及びその方法を含め意見を聴取し、当該聴取結果を踏まえ、必要に応じ実施機関に検査を行わせた上で、相当因果関係の有無及び後遺障害の程度を判断することとしておりまして、そうした中で適切に対応していきたいというふうに思っております。

三輪政府参考人 地方公務員につきましても、ただいまお話のありましたように、国家公務員の扱いと基本的に同様でございまして、画像所見が認められない高次脳機能障害の障害等級の決定に係る基金本部からの回答につきましては、厚生労働省の通知も踏まえまして、事案ごとに必要な見識を有する医学専門家から検査の必要性あるいはその方法を含めて意見を聴取する、また、その聴取結果を踏まえて障害の程度等を判断するということとなる。こういうことでございます。

近藤(昭)委員 そうした新たな手続を経ていくということは、今まで認められなかったものに対してそういう対応をしていくということだと思います。そういう意味では、しっかりと、認めるべきものはきちっと認めて、判断をしていただきたいと思います。

 さて、次の質問に参りたいと思いますが、在日朝鮮人の労働者の方が、一九八一年に職場で頭をぶつけて意識を失ったが、当初誤診をされた。間違った病名のまま、労災は障害一時金で終わり、不服申し立てをしたが、最高裁で敗訴をした。しかし、その後検査し、本当の病名をつかみ、労災の再発請求をして、二〇〇八年、事故からは二十七年たっているわけでありますが、二十七年ぶりに因果関係が認められた。東京高裁は、中枢神経の損傷を診断できる膀胱の検査が当初されなかったので本当の病気が見逃されたが、実際には病気が存在したと判決をした。

 地方公務員の事案を取り上げますと、東京都の児童養護施設で、子供の幸せを願い一生懸命働いていた保母さんが、一九八五年、子供に押され、戸が老朽化していたため外れ、後ろ向きに倒れ、意識を失った。子供たちは、お母さん、死んじゃったと青くなったが、幸い意識を取り戻した。やはりこれも当初誤診をされ、人員も足りないので無理して復帰をし、さらに病状が悪化し、一旦、本人は潰れてしまい、今は、保母の現場に戻れず、通院しつつ、事務作業を痛みをこらえながら何とかこなしている。

 先ほども言及しましたけれども、二〇〇四年にWHOの新たなMTBI定義ができ、主治医、専門医の石橋徹先生が二〇〇六年に体系的な検査を行って、高次脳機能障害、運動麻痺、知覚麻痺、膀胱麻痺、におい、味などの脳神経の麻痺を把握し、ほかの科でも検査をし、脳損傷だと確定診断された。その後、脳損傷によるてんかんとの診断も追加をされた。

 公務災害の障害補償請求と追加認定請求がされ、公務災害の検診医も、画像以外は主治医の診断を追認している。つまり、画像所見以外に、脳損傷を否定する医学的な意見は存在をしない。それなのに、地方公務員災害補償基金東京都支部は、本部に上げて丁寧に検討することもなく、ほとんど画像だけで脳損傷を否定してしまったということであります。

 画像所見が認められない脳損傷、MTBIを救済しようというのが、国会と政府の意思のはずだったわけであります。このような事案こそ、地方公務員災害補償基金本部で丁寧に検討すべき対象だと考えられるが、どうしてそれができなかったのでありましょうか。

三輪政府参考人 昨年九月に地方公務員災害補償基金本部から基金支部に発出をされました通知は、障害等級の決定に係る手続について示したものでございます。

 この通知の趣旨は、公務災害と認定された場合で一定の障害が残ったとして行われます障害補償につきまして、公務災害と障害の相当因果関係の有無及び後遺障害の程度を、基金本部で専門家の意見を聴取した上で判断するというものでございまして、公務災害にそもそも該当しない場合は、このような手続を求めるというものではないというところでございます。

 個別の事案の認定について私どもがお答えをする立場にはございませんけれども、総務省といたしましては、地方公務員災害補償に係る各種の認定請求に対しましては、地方公務員災害補償基金において、これらの手続を経て適切な決定が行われているものと認識をしているところでございます。

近藤(昭)委員 先ほど、この前の質問の中で、画像所見が見られない、こういうときでも、手続として、総合的にさまざまなことを判断していく、こういうお答えであったわけであります。

 今お聞きしておりますと、なぜ、今言及をさせていただいた事案について丁寧な検討がされないのかということが、いささか合点がいかないわけであります。こういう事案こそ、先ほど申し上げました、本当に御本人は子供たちのことを思い、また現場の状況の中で早く復帰をしていかざるを得なかった、そういう中で症状が重くなっていったということではないかと思うんですが、いかがでありましょう。

三輪政府参考人 重ねての御答弁で恐縮でございますが、先ほど申しましたように、今回の、昨年九月になされましたこの通知、これは、公務災害と認定された場合で一定の障害が残ったとして行われます障害補償について、その障害補償についての公務災害と障害の相当因果関係の有無あるいは後遺障害の程度、これを基金本部で専門家の意見を聴取した上で判断する、そういったものでございます。

 個別の事案の認定についてお答えすることは差し控えたいというふうに存じますけれども、昨年出された通知の趣旨は、今申しましたとおりということでございます。

近藤(昭)委員 そうしますと、この案件は公務災害とは認定をされていないということでありましょうか。

 そうすると、それはどういう理由であるのか、教えていただければと思います。

三輪政府参考人 個別の事案の認定についてのお答えは差し控えたいと思いますけれども、事実のみ申し上げますと、平成二十年の十二月に障害補償請求というものがなされ、また二十三年十一月に公務災害認定請求というものがなされ、これらをあわせまして、二十六年二月に公務外の認定及び障害補償の不支給が決定されたというふうに事実として承知をいたしております。

近藤(昭)委員 改めて、個別のことにはなかなか答えにくいということであります。

 ただ、前の質問でも申し上げましたように、今まで見過ごされてきたというか、今までとは違う観点からきちっとそうした災害について見ていくということであると思いますので、そこはきちっとやっていただきたいというふうに思います。

 そういうことでいいますと、今のこととも関連してくるわけですが、公務災害が病名認定制度になっていて、だからこそ労災障害請求について本省協議をすることとしたわけでありますが、公務災害の場合は、労災と異なる病名認定のところできちんと検討せず、脳損傷を切り捨てているのではないかと思ってしまうわけであります。

 したがって、今申し上げたことと関連してきますが、病名認定の段階から、画像所見が認められないMTBIを見逃さず、基金本部などに上げて丁寧に検討するよう人事院や総務省がいわゆる包括的に通知を追加すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょう。

井上政府参考人 一般職国家公務員の災害補償制度におきましては、軽度外傷性脳損傷を含む高次脳機能障害について、実施機関である各府省等が障害等級を決定するに当たっては、全て人事院事務総局職員福祉局長に協議することとされているところであります。

 またさらに、先ほどもお答えしましたとおり、昨年、脳損傷を示す画像所見が認められない高次脳機能障害の障害等級の決定についての通知を発出し、実施機関に対して、被災原因となる事故の状況等の各種情報の十分な把握に努めるよう求めており、また、協議を受けた場合、同局長は、事案ごとに必要な見識を有する医学専門家から意見を聴取し、必要に応じ実施機関に検査を行わせた上で判断することとしております。

 この通知のもとで適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうした通知の中で漏れてきたところが私はあるんだと思っているんです。

 そういう意味では、今の質問の中で言及させていただいた、そこで漏れないようなことをまたしっかりと取り組んでいっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 それでは、もうそろそろ質疑時間が終わりますが、上村委員長職務代行者にお越しいただいておりますので、最後、質問通告はしておりませんが、一問、お考えということでお聞かせをいただきたいと思います。

 NHKは、放送法のもとで公正な放送をしていくということであります。そういう意味では、よくBBCが例に出されるわけでありますけれども、BBCは、政府、権力をきちっと監視していくことが公共放送、中立な放送の立場だ、こういうことがよく言われ、BBCがかつてとったフォークランド紛争のときのこととかをよく言われるわけであります。

 やはり上村代行として、そうしたNHKとしての最もあるべき方向性といいましょうか、理念といいましょうか、そういうことで大事なことはどういうことだと思われているか、お聞かせをいただければと思います。

上村参考人 お答えします。

 先ほども申しましたように、私はきょうは一経営委員としてここに参っておりませんで、経営委員として参考人招致をするということは、今国会ではそういう扱いはしてこなかったということだと思いますので、一経営委員としての感想を、私は、ないかといえば、ありますけれども、そういうことを述べる立場にはないと思います。

 代行者としてはどうかといいますと、それは、NHKが放送法の基本的な立場を常に遵守し、そして、そのために経営委員会というのがそれをモニターする、監視、監督していく、そういう立場でございますので、その職責を十二分に発揮してまいりたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったようなことでありますので、また違う機会でいろいろとお伺いできればと思います。

 あと一分だけありますので、簡単にお答えいただければと思いますが、総務省、東日本大震災で、電話がなかなかつながらないという状況で、安否確認ができなかった等の問題が発生したわけであります。このような課題を解決するため、総務省のICT活用の取り組み状況について、簡単にお答えいただければと思います。

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、短くお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 通信サービスの耐災害性の強化を図るべく、十分な燃料の備蓄、補給手段の確保といった停電対策の長時間化、それから電気通信回線の複数経路化などの技術基準を見直しまして、平成二十四年九月に省令を改正したところでございます。

 それから、大規模災害等においては、安否確認等のために、特に音声通信の需要が高まるというようなことから、災害時の安否確認手段の一つとして有効であります災害用伝言板につきましても、サービス間の連携を進めているところでございます。これによりまして、携帯電話、PHS事業者が提供する災害用伝言板と、それからインターネットによる災害用伝言板との連携が平成二十四年八月から実施されているところでございます。

 加えて、大規模災害時におけます音声通話の需要増加に対応するために、データ通信向けの処理能力を音声通信に向けて切りかえる技術の研究開発等に取り組んでいるところでございます。それから、電話局舎が被災して使用できなかった場合に備えまして、小型で移動可能な通信設備の研究開発にも取り組んでいるところでございます。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 前回に引き続きまして、きょうも、地方公務員法の改正案、日本維新の会提出の改正案を中心に、いろいろな質問をさせていただきたいと思います。

 前回のときも私は申し上げたんですけれども、地方公務員の政治活動の実態なんですけれども、労組が組織を挙げて選挙に関与し、行政全体をゆがめていっているということが全国で本当に多く見受けられる。その結果、労組が応援した市長が当選した場合、労使の癒着というものがそこにでき上がってしまいまして、結果的に労組の行政の壟断といいますか私物化、こういったものが非常に多く発生しているんですね。その結果、労働組合、自治労とか現業労組とかこういったものの要求するいろいろな部分、管理運営面に関して労組がやりたい放題をずっと繰り返してきたというふうなことじゃないかなと思うんですけれども、このあたりに対して認識をまずお伺いしたいと思います。

 今までのそういうふうな労組挙げての選挙活動、政治活動、選挙応援等、どのように国としてはお受けとめになられたかということを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 個別具体のお尋ねがあれば、またそれについての実態を申し上げなければならないと思いますが、今、一般論として、どういう見解を持っているのかということでありますので、その範囲で私は答えさせていただきたいと思います。

 政治的行為の制限を規定する地方公務員法の第三十六条というものがございます。職員が、公の選挙または投票において特定の人を支持し、または反対する目的を持って、投票するように、またはしないように勧誘運動をすること、署名運動への積極的な関与をすること、金品の募集への関与をすること、文書を庁舎に掲示するなど地方公共団体の施設や資材などを利用すること、その他条例に定める政治的行為をすることを禁止しているわけであります。

 これらの規制は、単純労務職員、地方公営企業職員、特定地方独立行政法人の職員については適用が除外をされているということであります。

 地方公共団体における地方公務員の活動は、こういった活動の範囲内において行われると認識しておりますし、仮にこの政治的行為規制に違反する行為があった場合には、懲戒処分を行うなど、各地方公共団体において、それぞれの事案に即して適切に判断いただくべきものと考えているわけでございます。

三宅委員 それでは、今から個別的な部分にちょっと入っていきたいと思うんです。

 前回、私が、労使癒着の結果、大阪市では市バスの運転手が千二百万円の高給を取っているというふうなことを申し上げたんですけれども、あれは間違いでして、実は千四百万だったんです。これは以前、国会でも取り上げられたらしいんです。私自身が寡聞にしてそのあたりを存じ上げなかったんですけれども、麻生大臣も、幾ら何でもそれはちょっと高過ぎるやろというふうなことで、どうも批判されたらしいんです。

 これは、人事異動であるとかあるいは昇給、昇格であるとか、それに対して労働組合が関与し、影響力をずっと行使してきた、その結果、こういうふうな、市バスの運転手で一千四百万円もの高給取りがいるというふうなことになってしまったんじゃないかなと思うんですね。

 きょう、土屋正忠理事のことをちょっとお話しするんですけれども、別に土屋理事と相図って質問しているんじゃないですよ。

 土屋理事は以前、お若いときに武蔵野市長に就任されておりました。なぜ武蔵野市長に立候補されたか、市議から市長に。それは、相当以前、武蔵野市の市の職員が四千万の退職金を取っていた、これはとんでもないということで、土屋先生が市長選に出られて、そして勝って、直ちに一千万円の減額をやった。そのときは相当な労組の抵抗があって、よくそれを克服され市民の期待というものに応えられたなと、私は本当にすごいなと思って、やはり、土屋先生は余り体は大きくないんですけれども、ガッツたるものやすごいものを持っていらっしゃるんじゃないかなということを本当に思いました。

 大阪市もそうなんですよ。橋下代表が大阪市長選に出て、労使の癒着を断ち切っていかなくてはならないんだ、そうでないと市民の期待に応えられない、市民を食い物にするような今の市行政あるいは労組の介入を、こういったものをやっていかなくてはならないということで選挙に打って出、相手の平松市長を市の交通局であるとか現業労組、自治労が挙げて応援した。何とか、辛くも橋下市長が勝たれて、現在に至っているんですけれども。

 その後、市長に就任して、土屋先生と同じように、今までの労使癒着における慣行を一つ一つ潰していっているんですけれども、なかなかこれが十分に思ったようにできない。あの剛腕で鳴る橋下でさえなかなか難しいというふうな部分なんですね。土屋先生なんかも相当な抵抗の中でそれを実現されたと思うんです。そこで、やはり罰則規定不備の部分が出てくるんです。

 今大臣は、こういった不法行為に対しては懲戒で対応しなくてはならないというふうにおっしゃったんですけれども、先日も私が御紹介申し上げたように、それでは、懲戒処分が実際にどの程度機能しているか。これがほとんど機能していない。

 前回私は人事委員会のことを申し上げました。都道府県であるとかあるいは政令指定都市における人事委員会、その他の市ですと公平委員会なんかがあるんですけれども、人事委員会の不服申し立ての件数が二十万件ある。そのうち、年間六百件ぐらいしか処理されていない。その六百件の処理されたうちの四百件は、もう定年退職で審査未了のままやっているということなんです。

 それでは、この二十万件のうち、果たして政治的行為のゆえをもってされている懲戒処分の数はどれぐらいあるかということなんです。この部分をちょっとお話しさせていただきたいと思いますけれども、懲戒処分の部分がほとんどないんですね。

 平成二十四年の懲戒処分者数、地方全体で四千七百ほどあるんですけれども、結局は、政治的行為の違反ではゼロなんです。その他の、刑法犯であるとか、あるいはまた酒を飲んで運転して事故を起こしたりとか、こういったことは当然処分されるんですけれども、実際に、政治的行為による、違反行為による懲戒処分というのは、去年、ゼロなんですよ。

 それでは、過去十年間さかのぼってどうかというと、九名あるんですね。これは、茨城県内の市議会議員選挙で特定の候補者に投票を呼びかける運動を行ったということで停職二カ月、あるいは、同じく茨城県内で町長に対するリコール請求の署名活動を積極的に行ったということで一カ月というふうなことなんですね。停職四名、それも二カ月、一カ月、それから減給が一名、あとは戒告が四名。九名だけなんですよ。過去十年間でですよ。一年間じゃないんですよ。

 ということは、地方公務員法に罰則規定がないがゆえに、懲戒を適用しようとしても、実際問題、これがなかなかできない。だから、人事委員会に対しての不服申し立てもほとんどないんですわ、実際に政治的活動のゆえをもって処分ができていないので。その他の件数でも、さっき言ったような次第なんです。

 不服申し立てというのは、もちろん事後審査制度でございまして、行政機関が、執行機関が処分したことに対して当人が不服審査をする。しかし、今申し上げたように、政治的活動では機能していないということなんですけれども、大臣、今私が説明させていただいたことをお聞きになって、感想はいかがなものでしょうか。

新藤国務大臣 まず、委員がそういった問題意識を持って、地方公務員が適正な活動をしてもらいたい、そういう気持ちというものは私どもも受けとめさせていただきたい、このように思っております。

 その上で、今、懲戒処分のことでいいますと、過去十年間の政治的な行為や違法な組合活動による処分者、これは合計が一万三千八百五人、そのうちの政治的行為の制限違反は、おっしゃるとおり九人なんです。違法な組合活動に対してが一万三千七百四十九人、公職選挙法違反に対してが四十七人、こういう状態になっているということであります。懲戒処分はそれぞれの違反内容に応じて行われている、こういうことで御理解いただきたいと思うんです。

 それから、この不服申し立ての処理状況でありますが、平成二十四年度における人事委員会、公平委員会に対する不服申し立ての状況、前年度からの繰越件数が二十万六千件です。新規の不服申し立て件数が百八十九件、処理件数が五千百四十件ですから、翌年度への繰越件数は約二十万、このようになっているわけなんであります。

 確かに、この二十万件という多くの不服申し立てが処理されぬまま繰り越されていることは問題でありますが、内訳をよく調べますと、昭和五十年代までに申し立てられた、ストライキ等の違法な争議行為への参加という服務規律違反に対する懲戒処分についての不服申し立てなんですね。これは実に、七県市で十九万六千六百九十一件ございます。ですから、二十万件という不服申し立ての処理が残っているものについての、十九万六千六百九十一件、全体の九七・九%は、昭和五十年代までに申し立てられた、ストライキに参加した、違法な争議行為への参加という服務規律違反、これに対する懲戒処分不服申し立てなんですね。

 昭和六十年度末までには、全国で六十七万件ございました。それを人事委員会、公平委員会で処理を進めたことで二十万件に減少しているということでありまして、この特殊な事情を除きますと、おおむね五年未満で処理されている。

 不服申し立ては迅速な処理というのが必要でありますから、引き続き必要な助言、そして働きかけを行ってまいります。

 それから、委員がいつも御心配いただいている、不服申し立てを定年まで引っ張ることによって懲戒処分がそのままうやむやになるのではないか、こういう御指摘でありますが、懲戒処分はその処分を行ったときに効力を生ずるものでありますから、処分を不服として不服申し立てをしたとしても、取り消し等の判定がなされない限り、定年になったとしてもその効力は失われません。

 したがって、不服申し立てがなされ、その処理が長期化しても、懲戒処分が実質的には機能しないということにはならないし、定年になったから時間切れでうやむやにということにはならないということ、これはぜひ御理解いただきたいと思います。

三宅委員 細かな数字において私自身のちょっと誤りがあったと思いますけれども、さっき申し上げた、政治的活動に対しての懲戒処分というのはほとんど適用されていない、この部分は私は間違いないと思うんですよね。やはりこれが問題なんですよ。

 それは、何度も言いますけれども、そういった労組の政治活動の結果、労使の癒着が生まれ、いろいろなところに、行政をゆがめてきている、だから、ここの部分を断ち切っていかなくてはならないというふうな思いのもとにお話をさせていただいているんですね。

 さっき申し上げましたように、昇任、昇格とか、あるいはいろいろな手当とか昇給とか、こういった部分にも、労組が人事権に対して介入をしている、これはゆゆしき事態だと思うんです。これは多くの自治体でもそうなんですけれども、職員採用の試験官といいますか試験委員、ここに労組代表がよく入っているんですよ。

 これは、えっと思いますけれども、一例を挙げますと、大阪のある地方自治体では、採用試験委員が七名、そのうち、執行機関側といいますか、こちらの方で、総務部長とか人事担当部長とかその他の部長、女性のトップなんかも入っています。それ以外に、労働者の代表として、自治労の代表、あるいは市職労の代表、旧社会党系と共産党系とか、あるいは現業労組の代表とか、七人のうち三人、労組代表なんかが入っていたりするんですけれども、こういったことをお聞きになって、大臣、どうです。果たしてこれが適切かどうか、どのような印象を持たれます。

新藤国務大臣 まず、法律、制度に基づいて、我々の解釈を申し上げたいと思います。

 まず、地方公共団体において、職員団体の意向に配慮して採用に当たって何らかの枠を設定するといった取り扱いがなされているか否か、これは我々の中では現認はできないわけであります。

 そして、職員の採用では、地方公務員法において、全ての国民は、地方公務員法の適用について平等に取り扱われなければならず、政治的意見、政治的所属関係等によって差別されてはならない、職員の任用は、受験成績などの能力の実証に基づいて行わなければならない、このように規定をされておりますし、私どもはかねてより、さまざまな機会で、職員採用が適切に行われるように指導、助言、また情報提供を行っているわけであります。

 職員の不正な採用、これは住民の信用を著しく損なうものでありますし、断じて起きてはならないことだと思います。

 それから、今いろいろな事例を御紹介いただいておりますが、もし仮にそういうことが行われているとするならば、一体、そこの地域の住民の意思というものはどうなっているのか、それから、そこにおける団体の議員、そして首長、こういう皆さんはどういう判断をなされているか、そこが厳しく問われていくことであります。

 地方自治というのは、まさにみずからの地域を、団体自治、自分たちで治める、そして住民の意向をもって住民が自治を行う、この本旨が確立されてこそ健全なものになるわけでありますから、そこがゆがめられるとするならば、そこは住民の意思というものをしっかり反映された議会運営や、そして首長の選任というものが行われるべきである、私はそのように思っております。

三宅委員 今大臣がおっしゃった、そのとおりなんですよ。ただ、住民の意思であるとか、議会はそれじゃ何をしているんだというふうなことなんですけれども、こういった採用の試験委員なんかのメンバー構成、これは秘密なんですよ。だから議会も知らない。首長は知っていますよ、当然。自分が労働組合の応援を受けて市長に当選したらそれに応えるというのは、貸し借りの世界でいうたら普通のことですので。そういうことはいまだにずっと継続をしているんですよ、事実として。こういうところにも総務省の強力な指導というものをやはりやっていただきたいんです。

 自治労とかその他のいろいろな労働組合は、特定の政治的な目的あるいは思想を持っているでしょう。ところが、公務員は、これは皆さん御存じのように、全体の奉仕者なんですね。特定の奉仕者じゃない。そういった者がこういうふうな試験委員のメンバーに入っていること、これはゆゆしき事態なんです。

 一度その辺の実態を調査されて、指導していただきたいんですけれども、今こういうようなことを急に申し上げましたけれども、ちょっと所感をお話しいただけましたら。

新藤国務大臣 まず、委員がこの国会という場の総務委員会でそういう発言をされているということは極めて重いことだ、このように思うんですね。国民の代表である代議士が、そういった心配があるのではないか、こういう警鐘を鳴らされていることは、私たちは国会として、国会というのはそういう場ですから、いろいろなことがあれば、さまざまな具体的な例も含めて御提示いただければありがたい。

 私たちはもとより、法や制度というものは適切に運営がなされている、そして、それを前提にして必要な情報提供や御助言をさせていただくことになっております。もしその法に背いたり、また、きちんとした運営がなされていないならば、それは、我々は厳しく指導助言をしなければならない、そういうお役を頂戴しているわけでありますから。

 大切なことは、実態がどうなっているか、それを把握するのは、我々は警察権を持っているわけではありません、そうではなくて、皆さんの声や住民の声、そういったものを拝聴しながら、地方自治体の実態を捉まえて運営していくわけなんであります。

 したがって、もう一回申し上げますが、国会において代議士たる委員がこのようなことでお話しされていること、これは極めて重いことであって、私は、今現在、そのようなゆがんだ団体運営や職員採用が行われているとは思っておりませんから、きちんとそういったことを適切に運営がなされるように、今後も期待をしていきたいと思っています。

三宅委員 これは教育問題もそうなんですけれども、こういうふうな地方自治の問題もそうなんですけれども、現場の実態を国が正確に把握するというのは非常に難しいんですよ。やはり、知られて困るような問題は、彼らは隠しますから。口では行政のガラス張りや公開だと言っているけれども、やっていることは全く違って、都合の悪いことはずっと隠して隠蔽するというふうな体質が、今に至るもいろいろあるんですね。そういった中で、いろいろな不祥事が過去起きてきたんです。

 数年前になるんですけれども、特にこの職員採用に関しては、相当、特に西日本でえらい問題になったんですけれども、運動団体の職員採用に関する介入です。

 具体的に言うと、部落解放同盟が職員採用に関して非常に大きな影響力を持っておりました。京都でいいますと、部落解放同盟の支部に対して職員採用の全権を、ある部分ですよ、特定の部局なんですけれども、委任してやってきた。ことしは何人採用したいので、よろしくお願いします。部落解放同盟が採用の全権を握ってきたということなんです。

 今どうなっているのか、そのあたり、もし把握されているなら、ちょっとお聞かせいただきたいんです。

新藤国務大臣 過去に一部の団体においてそのような職員採用が行われていたこと、これは、事実として私どもは聞いていることがあります。

 それは、例えば、京都市における実態では、昭和四十八年度の採用から、主にごみ収集、し尿処理の分野での技能労務職員採用において同和優先枠を設けてきた、こういう事実があるということでございます。しかし、平成十三年の四月一日の採用をもってこうした優先枠による採用は廃止をされております。

 公務員の中立性を確保するために、任命に当たっての情実を排除して能力本位による任命を確保すること、これが最も重要なことである、このように考えております。

三宅委員 今現在はこういったものはもう廃止されたということなんですけれども、それまでに、本当に京都だけじゃなしに、大阪でもそうです、奈良でもそうですよ、いろいろなことがあったんですね。その間、総務省は、言ってみれば、さっきの試験委員の話と一緒で、ほとんどこれを把握できていなかったんですな。その陰でやりたい放題やってきたんですね。

 さっき挙げました京都市の例でいいますと、部落解放同盟、では、ことしは二十名、現業のごみの収集の職員をお願いしますと言ったら、部落解放同盟がその採用の全権を握って実施する。市当局は解放同盟が決めたものをそのまま受け取ってということですね。

 京都でもすごいことがあったんですよ。それは、市の現業労組の職員が、市職員として勤めながら、たしか覚醒剤の違反で捕まって懲戒免職になったんですね。ところが、数年したら彼はまたもとの職場へ復職しているんですよ。考えられない、普通ですと。それは、部落解放同盟が採用の全権を握っているんですから、またことしもあれやということで、何年かほとぼりが冷めたときにこれを採用し直したというような、民間では考えられないようなことがあった。

 あるいはまた、奈良でそうでしょう。奈良の部落解放同盟の支部の役員が、五年で八日間しか出勤していなかった。それで、年間何百万という給与も賞与も受け取って。五年で八日間というけれども、八日間働いたんじゃないと思うんですよ。八日間、顔を出した程度やと思いますわ。行って、判を押したぐらいの程度。

 なおかつ、その人間は、妻名義の土建屋を実質的に経営していて、市に対して、仕事をよこせ、仕事をよこさぬかったらまたこれを部落解放同盟の支部で問題にするぞと言って恫喝して、ずっと土建の仕事をとってきたんですね。それで、こちらでは市職員としての給料を丸々。乗っていた車は、たしかポルシェとかセルシオとか、そんな高級車やった。それは乗れますわな、こんな、市職員としての高給を取りながら、またこっちで土建屋の実質的な経営者として。こういうことが横行していたんですよ。

 しかし、その当時も、総務省はこれに対してほとんど有効な指導を行うことができなかった、把握できなかった。今現在も、総務省が把握し切れないいろいろな闇の部分がある。新藤大臣、やはりこういう部分に強力な指導力を発揮していただきたいと思うんです。

 そのために、日本維新の会が、今回は、政治的中立性といいますか、政治的行為の罰則規定を盛り込んだ改正案を提出させていただいているんですな。これは本当に自民党の先生方も、私は異論はないと思うんですよ。それこそ一度採決されたらどうかなとか思ったりもするんですけれどもね、本当に。やはり、それに対して同意を覚えるといいますか、同感される方はたくさんいらっしゃると思いますよ。

 今こういうふうなことを申し上げた部分、もう一度、大臣、ちょっとまた御所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 地方分権をどんどん進めていこうと、そして、先ほども申し上げましたが、地方自治の本旨は住民自治と団体自治ですから、その地域において、ルールにのっとって適正な運営が公明に、そして透明性を持って、また住民の意向を反映した形で進めていかなくてはならないわけであります。

 今委員は闇の部分があるとおっしゃいましたが、それは、私どもとすれば、自分たちの耳に入り、自分たちが現認したものについては対処するわけであります。しかし、住民自治、団体自治の中で見えないところがあるとするならば、それは我々ももっと努力をしなければいけないことだ、このように思いますが、しかし、地方行政の公正や中立性の確保というものをみずから心がけて運営していくのは、これは地方の議会があり、そして首長以下、行政機関があるわけであります、その人たちがきちんとやっていくこと。そしてまた、それを住民が監視しつつ支援をする、こういうことが必要だと思っております。

 我々は、今の制度で懲戒処分をきちんと運用していくこと、これで法律に求められたものは確保していきたいと思うわけであります。

 さらにそれ以上に罰則をつけるべきか、こういった法案を出していただいているわけでありますから、この件については各党会派で国会における議論をしっかりやっていただきたい、このように考えております。

三宅委員 どうもありがとうございました。大臣のお考えもよくわかりました。

 もう時間もございませんので、最後に、NHKのことだけちょっと、残された時間で質問したいと思うんですけれども、前にも紹介しました「これでも公共放送かNHK!」、こういう本がある。あるいは、「別冊正論」では「NHKよ、そんなに日本が憎いのか」。これは異常な事態ですよ。こういった本で、公共放送たるNHKが偏向反日放送の実態をずっとお聞きされてきているというのは。

 大臣は、ことしは大臣意見で相当踏み込んだ意見を具体的に記されてやられた。結果、先日のNHK予算に対して八年ぶりに賛否が分かれた。それまでは全会一致であったのが、今回は賛否が分かれて、民主党とかうちとかあるいは共産党とか、みんなの党は賛成でしたよね、あるいは社民党とか反対に回った。この結果に対して最後に一言大臣にちょっとお考えといいますか、御感想をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 各党の合意をいただいてNHKの予算が承認をされるということは、国民のための公共放送ですから。それが、今回は各党の御賛同を得られなかったことは極めて残念だと思います。

 それは、NHKの放送内容であるとか運営方法の以前の問題として、会長の発言をめぐっての混乱があって、この影響によるものであることは否めないことだと思います。したがって、会長は過日、テレビにもみずからの思いを放送に流し、そして信頼回復に今精いっぱい努めていらっしゃると思いますし、私どももそれを期待したいと思うわけであります。

 肝心なことは、NHKの放送内容が国民のきちんと意向を踏んだものになっているのか。それから、放送法に基づいて公正中立であるとともに、いろいろな意見についてはさまざまな角度から申し上げているのか。

 特に国際放送については、私どもは要請放送をさせていただいております。国の公的見解を世界に知らしめてほしい、こういう要請をさせていただいているわけでありまして、そういった分野に、適切な番組を編集して、そしてすばらしい放送で、国民の皆さん、そして世界の方々にそういった放送を届けていただきたい、このように念願しているところでございます。

三宅委員 もう時間も終わりました。我々日本維新の会が予算案に反対したのは、会長の発言をもって反対したんじゃない、反日偏向教育をもって反対したということを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 質問に入ります。

 ふるさと納税の件をちょっと教えていただきたいんですけれども、ふるさと納税ができた経緯と、今現在どのようになっておりますか。

米田政府参考人 ふるさと納税でございますけれども、平成二十年度にできた制度でございます。個人が都道府県、市区町村に対して寄附をし、これに対して確定申告を行うことで、寄附金額から二千円を超える部分について所得税と個人住民税から控除を受け、この二千円を超える部分について全額控除が基本的にはできるという仕組みが入ったものでございます。

 現在までの実績でございますけれども、導入がされましたのは平成二十一年度分の住民税、すなわち平成二十年中にされた寄附金からでございますけれども、この年度につきましては、適用者の数が約三万三千人、寄附の金額ベースで見ますと七十三億円、住民税だけの控除額で見ますと約十九億円でございました。

 同じく、二十二年度以降を申し上げますと、適用者数三万三千人、寄附金額は約六十六億円。次の平成二十三年度分は、適用者数三万三千人、寄附金額約六十七億円。次いで平成二十四年度分でございますが、適用者数が約七十四万二千人、寄附金額は約六百四十九億円。この年度は、東日本大震災を契機としまして、この寄附金、義援金が被災地に数多く寄せられたということで、大幅に伸びてございます。直近の平成二十五年度分を見ますと、適用者数が約十万六千人、寄附金額ベースで見ますと約百三十億円となってございます。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 いわゆるふるさと納税はだんだん大きく拡大をして、それに寄附をする方々がふえてきたという実態がよくわかりました。ふるさと納税の件はこれで終わります。

 次に、宝くじの件についてお尋ねをしたいんですが、宝くじの法律、当せん金付証票法というのは一体どういう目的なのか、教えてください。

佐藤政府参考人 当せん金付証票法ですが、一般的に、富くじの販売というのは刑法によって禁止されております。これを、地方財政資金の調達をするために一定の仕組みの中で解除するという趣旨の法律だと思っています。

佐藤(正)委員 地方財政資金の調達に資する、これが大きな目的ですよね。ところが、この質問をするに当たって十人ぐらいの方に、宝くじは何のためにやっているか御存じですかと聞いたら、みんな知らなかったんですよ。地方財政に資するということを答えた方はいませんでした。それが実態だろうと思うんです。

 そういったことも踏まえて、民主党政権のときに、行政刷新会議の中で、宝くじの売り上げが天下り団体に行っているとか、いろいろなところを経由してどうも資金の流れがよくわからないということで、大きな改革をされました。しかし、改革をしたんですけれども、皆様方の今お手元に資料をお配りしておりますけれども、天下り法人を経由してまだお金が実は流れております。

 実際に、日本宝くじ協会、自治総合センター等々ありますけれども、例えば日本宝くじ協会、三ページ目を見ていただければ、ここにもやはり自治省関係、それから、自治総合センターについても総務省の方が天下っております。この縮図は変わっていないんですね。

 そして、なおかつ、このお金を、例えば地方財政資金の調達に資するためであれば、地方にそのままお渡しすればいい話でありまして、地方から、例えば必要なものがあればそこから地方の判断で使っていただくということが物すごく簡素でわかりやすいし、法の目的に資すると思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 御指摘の二つの公益法人の事業ですが、これは宝くじの中で社会貢献広報事業というものを行っている団体でございます。これは法律の中に、都道府県知事、指定市の市長、発売団体の長ですけれども、これは宝くじの発売が地方財政資金の調達に寄与していることについて住民の理解を深める、そういうことをしなさいと書いてありますものですから、これを効率的に行うためにどうするかということから考えられたものでございます。

 平成二十二年に従来のやり方を全面的に見直しをいたしまして、現在の社会貢献広報事業という形にしたわけでございますが、このときの主な改正点は、それまで、この二つの日本宝くじ協会及び自治総合センターがいろいろな団体に助成をしていました。これは公益法人もあれば、市町村もあれば、それから発売団体である都道府県、指定市もあったということで、非常にこの流れが錯綜しておったというのを全面的に見直しをしまして、日本宝くじ協会は公益法人に対する助成、それから、自治総合センターは市町村に対する助成というふうに仕分けをしたということがあります。

 その上で、発売団体によるプロセスへの関与といいますか、監督を強化するという見直しも行っております。

 その上で、全体の公益法人に対する助成はそれまでの半分ぐらいまで事業費を縮減して、その縮減で浮いたお金は、当せん金の増額及び発売団体への収益金の増額という形で整理したということでございます。

佐藤(正)委員 当せん金の配分は法律に書いてありますけれども、実は五割を切る当せん金の配分なんですね。だから、宝くじを買っても五十数%は経費で取られているということなんですよ。ここも実は問題点が生じているんじゃないかなと私は思っていますが、今言ったように簡素化した。

 それから、先ほど申し上げた、例えばこの資料でいきますと二ページ、これはその改正をする前なんですけれども、そのときは普及宣伝事業という名目だったんですよ。先ほど私が言ったように、十人の方に聞いて、宝くじの目的自体がわかっていない。そもそも普及宣伝なんというのは何をやっていたのかということに尽きるわけです。そこで、行政刷新会議等々で、このお金の流れから実際にこれが必要なのかどうなのかということで簡素化をした。

 ところが、五ページを見てください。これが今参考人が答弁をされた簡素化されたお金の流れなんですね。これで簡素化しているんですか。例えば地域活性化センターなんというのは、宝くじ協会からも来るわ、全国市町村振興協会からも来るわ、地域社会振興財団からも来るわ、全然簡素化されたわけではないですよ。もう少し踏み込んだ改革が私は必要だと思います。

 そこで、平成二十四年三月二十七日の参議院総務委員会で、木庭健太郎元参議院議員が私と同じような趣旨の質問を当時の民主党の川端大臣に尋ねられた。そのときに川端大臣は、しっかりとやらさせていただかなければならないという答弁をされました。しかし、それから何がどこが変わったのかなというと、余り変わっていないということです。

 そこで、大臣、お答え願いたいと思うんですけれども、この今の仕組みをもう少し掘り下げて改革をやろうというお気持ちがあるのかないのか、お尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、事業仕分けにおける宝くじ関係の指摘をいただいて、それまでは普及宣伝事業だったんですね。これをゼロベースで見直して社会貢献広報事業として再構築をした。そして、事業費が、そもそも二十一年度決算で二百六十七億円ありましたが、二十三年度においては百二十八億円に半減し、また、公益法人向けの助成を五十四億円から二十七億円、このように半減をした。そして、再委託のあり方も含めて仕組み全体を見直しましょう、こういう仕切りをやったわけです。その趣旨を踏まえて我々も、その後の見直し等もやっております。

 そもそも、宝くじというのは終戦の間際から始まっているんですよ。もともとは国がやっておりました。それを、二十一年に地方の宝くじとして福井県の復興宝くじというのが始まったんですね。それから、昭和二十九年に最後の政府宝くじが発売をされ、以降は自治宝くじとして、県とそして五大市の合同によって発行してきている。ですから、私は、ここに不透明なところがあるならばこれは直さなければいけない、このように思います。

 しかし、委員がもう既にまとめていただいておりますけれども、宝くじ売り上げ九千百億のうち、当せん者に払われる金が四千二百億、四六%、そして、地方公共団体の収益が四〇%、三千六百七十五億です。ですから、今問題になっている社会貢献広報費は今一%強ですね。そういうところまで整理をして、本来の目的である、まず国民の皆さんへの還元と、それから地方の事業としてさまざまなところで使われている。

 こういったものを、やはり地方がこれを前提にしていろいろな地域の活性化等を進めているわけでありますから、必要な見直しはしてまいりますが、この中できちんとした適正なる運営を心がけなければいけない、私は責任者としてそのように思っております。

佐藤(正)委員 質問時間がないので、済みません。

 そうしますと、今ここにちょっと、宝くじ協会からお金がついた冊子を持ってきましたけれども、この冊子を見たら、要するに、裏側に宝くじの部分があるんですね、両方とも。これだけです。中身を見たら、基本的には、例えば県だったら県政報告誌とか、そういう自治体がやっている地元誌で十分できるんですよ。ということは、地元の広報誌にこれを入れればいいだけなんですよ。もっと自治体が広報したいことがたくさんあると思います。そういった予算に、自治体に使わせた方が私はいいと思うんです。だから、あえて言うなら、こういうところに数千万円というお金が行くんです、ここはやはり見直すべきだと思います。

 さらには、宝くじ協会で、社会福祉、健康、体力づくりで、財団法人体力つくり指導協会という、よくわからないんですけれども、こういう団体。もう時間がありませんのでまた次の機会に質問させていただきたいと思いますけれども、この協会には、過去何度となく、建設資金等々、大きいときは何億円という、一番大きいときで一億九千万円ぐらいの建設助成金、建築助成金とかついていますよ。ここがどういう団体で、何をやっているのか。例えば十七種の二十七台の健康器具を入れた、これは何なのか。これは御存じでしょうか。

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますから、短く。

佐藤政府参考人 日本宝くじ協会が再委託を受けて、公益法人に対する助成を行っております。

 この助成、どういう事業に助成するかという選定に当たっては、全国協議会が選定方針ですとかその基準を設けます。これに沿って、日本宝くじ協会が申請を受け付け、審査をし、判定をする。それをさらに全国協議会がチェックをする、こういう仕組みになっております。

 我々とすれば、このプロセスに総務省は関与しておりませんので、どういう経緯で今おっしゃった団体が助成対象に選ばれたのかという詳細は承知しておりません。

 そこで、お尋ねがありましたので、日本宝くじ協会に確認しましたところ、この体力つくり指導協会といいますのは、公益財団法人でありまして、国民の健康を増進し、体力を増強するための研究と指導、啓発などを行っている団体というように聞いております。これから申請が上がってまいりましたので、選定基準に照らして審査した結果、公益性、広報効果、効率性という観点から見て適正と認められたために採択したということでございました。

佐藤(正)委員 質問時間が来ましたので、ここは、私は現地を今から見に行ってきますよ。見に行って、何をどうやっているのか、しっかりこの目で確認をして、また質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、この間取り上げてまいりました関東甲信地方を中心とした大雪被害対策について、被災農家の支援策の現状について、農水省を中心にお尋ねをいたします。

 最初に農水省にお尋ねしますけれども、関東甲信地方におけるこの二月を中心としました大雪被害の被害額がどのくらいになったのか、その被害額の集計について、当委員会でも質問しましたように、再取得価額に基づいて農水省は集計しているということだったんですが、その点がどうなったのか、この二点についてお答えいただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今冬の豪雪による被害、これが、昨日、四月十四日時点で申し上げますと、農業用ハウスや畜舎の損壊が二万八千六百三十五件、被害金額が約一千八十億円となっております。農林水産業の被害総額が約一千五百二十三億円となっております。このうち、二点目の、農業用ハウス等の被害額については、三十四の都道府県から報告を受けておりますが、これらについては、いずれも再取得価額または復旧額で被害額が算定されているところでございます。

塩川委員 農業用ハウスや畜舎の被害が一千八十億円、また、全体、丸めると一千五百二十三億円、再取得価額、復旧額で集計したもの、これは全国集計なんだと思うんですけれども、その多くは関東甲信地方ということでよろしいんですか。

高橋政府参考人 今ちょっと数字を積み上げておりませんが、この大部分が関東甲信というふうに考えていただいて差し支えございません。

塩川委員 観測史上最高の大雪が降った関東甲信地方におきまして、過去にない甚大な大雪被害がもたらされたということであります。

 重ねてお尋ねしますが、今回、被災農業者向け経営体育成支援事業で農業用ハウスの撤去費の創設や再建費補助の大幅な上乗せが行われたわけですが、この制度の趣旨について御説明ください。

高橋政府参考人 お尋ねの被災農業者向け経営体育成支援事業、今般打ち出しました対策の趣旨ですが、今冬の豪雪により地域の基幹産業である農業が壊滅的な被害を受けているという状況に鑑みまして、産地の営農再開及び食料の安定供給に万全を期するため、地方公共団体の復旧支援を後押しするための、今回の豪雪に限った特例的な措置として、農業用ハウス等の再建、修繕に要する経費及び再建の前提となる倒壊したハウス等の撤去に要する経費、これらについて助成するものでございます。

塩川委員 地域の基幹産業である農業が壊滅的な被害を受けている、このことを踏まえて実施をされたものということであります。

 この農業用ハウスの再建補助は国が十分の五で、この支援対策においては、地方公共団体の補助が十分の四となった場合には農業者の負担は十分の一となると記載をされておりました。農水省の通知文書でも、「都道府県及び市町村は、農業者の負担を最小化するための助成を行うよう努めるものとする。」とあります。

 そこで、お尋ねしますが、関東農政局管内の自治体における負担割合は、実際どんなふうになったんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 関東農政局管内、これは十都県ございます。この十都県が公表をした、あるいは農林水産省から直接聞き取ったところによりますと、まず、一番多いのが六県ございまして、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡、この六県については、まず県負担分二〇%、これを県負担の上限にしつつ、そこは市町村が同率を負担するということを前提に県が負担をする、これが六県でございます。それから、茨城県につきましては、市町村が二〇%負担することを前提に県が二〇%以内を負担する。それから、栃木県は、市町村が一〇%負担することを前提に県が二〇%を負担する。それから、東京都は二〇%負担する、群馬県は二七%負担する。そういう状況と承知しております。

塩川委員 市町村についての対応に若干のばらつきはありますけれども、基本は、農水省からの要請を踏まえて十分の四相当について支援を行っていこう、特に被害が大きい地域においてはそういう対応を行ってきているわけであります。そういう点でも、被災農家の負担割合を一割にする、小さくする、そういう点での自治体の取り組みというのがここにもあらわれているわけです。過去にない被害に対して、過去にない支援策となったわけであります。

 ですから、こういった支援策について、被災農家の方からは、本当に助かるという歓迎の声も寄せられております。同時に、改善を求める意見や要望も寄せられているところです。

 その一つが、農業共済との兼ね合いの問題です。これは栃木県の栃木市でお聞きした話ですけれども、アスパラやニラを生産している農家の方ですけれども、園芸施設共済に入っていてその共済金が三月の上旬に既に振り込まれた、ところが、その後、この経営体育成支援事業、ハウスの再建補助の説明会があって、その説明会の場では、もらった共済金の二分の一に相当する額は経営体育成支援事業による国庫補助額分と相殺して返してもらう、こういう仕組みになっているということが伝えられたということであります。

 ですから、農業共済を掛けている方にすれば、こういうときのために共済も掛けているんだということで、半分相当額が減額されるというのは非常に大きい、何とかならないのかという声が農業者の方からたくさん上がっております。

 また、あるトマト農家の方は、施設そのものが五年以内の比較的新しいものですから、共済金そのものも二千八百五十万円という額もおりた。そういう点では、共済金の額そのものも大きかったわけですけれども、二分の一相当額が減額ということになりますと、そういった経営体育成支援事業に基づく再建補助が全体としては上乗せされるわけだけれども、やはりトマトの生産を継続しようかどうしようかということをちゅうちょするような、そういう声も上がっているということです。

 そういう点では、経営体育成支援事業によるハウスの再建補助と、それから農業共済を掛けてきた方にすると、共済を掛けてきたかいがない、こういう声が上がっているわけですけれども、そういった声に対して農水省はどのようにお応えになるのですか。

高橋政府参考人 被災農業者向け経営体育成支援事業、今回打ち出した内容では、この事業による国の補助金額、それと農業共済の共済金、これのうちの国費相当部分が共済金額の二分の一相当になってまいります、これを合計した額が事業費全体の二分の一になるように本事業の補助金額を調整する仕組みとしている、そこは御指摘の内容でございます。

 この理由につきましては、これも御案内のとおりですが、園芸施設共済に対する農業者の掛金の二分の一は国庫補助でございますので、被災された農業者が受け取る共済金のうち半分は国費相当とみなせるため、被災農業者向けの事業による国庫補助金との間で調整を行うのが適当であろうという考えが一つございます。

 それからもう一つは、先ほど来御質問がございますが、地方公共団体の補助に対して七割、八割の特別交付税措置を講ずることで地方公共団体による支援の後押し、これもセットで講じておりますので、農家の負担は大幅に軽減される。そういうことがございますので、最初に申し上げたような、農業共済との調整という措置をとっておるところでございます。

塩川委員 もともと、過去にないような豪雪によって大きな被害を受けた、雪の降らない関東甲信地方でこういう支援事業を行うということは積極的だ。それを前提とした上で、同時に、共済を掛けていた方があるわけですから、であれば、その分も含めて上乗せした支援であってもいいじゃないのか、何で五割で線を引くのかということなんですよ。その点はいかがですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 園芸施設共済の加入者につきまして、加入していたかいがないかどうかということで申し上げますと、今申し上げたように、経営体育成支援事業の国庫補助額は調整はされますが、共済金額は全額払われますので、農家の方が御自分でお掛けになった掛金相当分、この分というのは、共済に加入していない農業者に比べて当然受取額は多くなりますので、農業共済加入のメリットというのは当然出てくるというふうに考えているところでございます。

塩川委員 そうじゃなくて、国庫補助を何で五割という上限で切るのか、上乗せしたっていいじゃないかということなんですけれども、その点についてどうですか。

高橋政府参考人 今申し上げたのは、農業共済に加入されていない方とのバランス論ですが、御指摘の、なぜ二分の一で切るかということについては、これは最初から二番目の御質問でありましたように、今般の経営体育成支援事業というのは、被災農家が意欲を持って営農を再開できるように、そういうことで、先ほど来申し上げているように、国の補助と地方公共団体による補助に対する特別交付税措置、これらを組み合わせることで農家負担を最小化するように設計しているということでございます。

 そういう中で、国の補助金額について、農業共済金についての調整措置を今申し上げたように行っても、この目的、被災農家の方の負担を最小化して再建に取り組んでいただく、そういう目的は達成できるというふうに考えて、このような設計にしているところでございます。

塩川委員 答えていないんですけれども、要するに、農地や農業用施設の災害復旧事業なんかであれば、例えば八割、九割の国庫補助というのは当然あり得るわけですよ。それはそういう制度設計があるからであるわけですけれども、別に五割にこだわる必要はないんじゃないのか。農業共済をやっている方が掛けてきたかいがあるような形で、その国庫補助分も含めて上乗せするようなことというのを本来考えてこそ、こういった農家の方の共済を掛けることへの意欲にもつながってくるんじゃないのか。そういう点でも、今回の措置というのは、率直に言って、非常に不十分だということを言わざるを得ません。あわせて、自治体による支援、これ自身も、自治体の取り組みとして重要であります。

 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、今説明がありましたように、こういった再建補償に当たっての自治体の取り組みについては、特別交付税で七割の措置ということが行われます。この点でいえば、撤去の費用については八割の特別交付税措置であるわけですけれども、ここで特別交付税措置を引き上げることが、自治体の財政がさらに被災者支援に使えるような、そういう余裕にもつながるし、背中を押すような取り組みにもなるという点でも、この特別交付税措置の七割というのを引き上げる選択というのもあり得るのではないのか。この点について、ぜひ新藤大臣にお答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 これは、安倍総理の指示のもと、今までになかったそういった甚大な被害に対して、国としても総合的な対策を講じようじゃないか、こういうことでやったわけであります。

 そして、農業用のハウスの撤去については、これは国と地方が二分の一ずつ負担をする、そのうち地方については、地方負担の八割に新たな特別交付税措置を加えた。この根拠は、環境省所管の災害廃棄物の処理事業と同等の措置率であります、この八割というのは。それは、地方負担が義務的に発生する、こういうことで、制度をそろえたわけであります。

 一方で、再建、修繕に係る農業者の助成につきましては、これは、地方団体の負担は任意であります。そして、地方団体による判断の余地が大きいことと、一方で、農業が壊滅的な被害を受けていることに対する支援を我々も手厚くやりたいということで、従来は地方負担に特交はなかったわけでありますから、それを、ゼロだったものを七割に設定した。

 例えば、別の被災事業者に対する特交措置としては、赤潮対策が五割、それから鉄道災害も五割なんですね。そういう中で、今回の甚大性に鑑みて七割、こういう設定をした。しかし、義務が生じていない、そういったものについては、やはり八割と七割の差というのはそこにある、このように考えております。

塩川委員 実際には、十分の四のおつき合いというのを現にしているところが多いわけですから、そういった点でも、もう一歩踏み込んだ対応をぜひお願いしたいということを述べて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案及び地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。新藤国務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案及び地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、指定都市制度の見直しに関する事項であります。

 指定都市の都市内分権を進めるため、指定都市の区の事務所が分掌する事務については、条例で定めることとしております。また、指定都市は、条例で、区にかえて総合区を設け、市長の権限に属する事務のうち主として総合区の区域内に関するものを市長が議会の同意を得て選任する総合区長に執行させることができることとしております。

 また、指定都市及び都道府県の間の二重行政を解消するため、指定都市及び当該指定都市を包括する都道府県がその事務の処理について必要な協議を行う指定都市都道府県調整会議を設けることとするとともに、指定都市の市長または都道府県の知事は、指定都市都道府県調整会議における協議を調えるため必要があると認めるときは、総務大臣に対し、指定都市都道府県勧告調整委員に意見を求め、必要な勧告を行うことを求めることができることとしております。

 第二は、中核市制度と特例市制度の統合に関する事項であります。

 中核市制度については、現在人口三十万以上とされている指定の要件について、人口二十万以上とするとともに、特例市制度に関する規定を削除することとしております。これに伴い、経過措置として、現に特例市である市については、これまで特例市が処理してきた事務を引き続き処理することとするほか、その人口が二十万未満であっても、施行から五年間は、中核市の指定を受けることができることとしております。

 第三は、新たな広域連携の制度の創設に関する事項であります。

 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、普通地方公共団体及び他の普通地方公共団体が連携して事務を処理するに当たっての基本的な方針及び役割分担を定める連携協約を締結することができることとするとともに、連携協約を締結した普通地方公共団体相互の間に連携協約に係る紛争があるときは、当事者である普通地方公共団体は、総務大臣等に対し、自治紛争処理委員による紛争を処理するための方策の提示を求める旨の申請をすることができることとしております。

 また、普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体の長等の名において管理し及び執行することができることとしております。

 このほか、認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例の創設その他所要の規定の整備を図ることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 経済再生を果たし、日本経済の成長の果実を全国津々浦々まで届け地方を元気にするために、個性を生かし自立した地方をつくる地方分権改革を推進することが求められております。

 本法案は、昨年十二月に閣議決定した事務、権限の移譲等に関する見直し方針を踏まえ、住民に身近な行政を地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、国から地方公共団体または都道府県から指定都市への事務、権限の移譲等を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、地方分権改革推進委員会の勧告のうち、残された課題である国から地方公共団体への事務、権限の移譲等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 第二に、第三十次地方制度調査会答申で示された都道府県から指定都市への事務、権限の移譲等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.