衆議院

メインへスキップ



第16号 平成26年4月17日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十七日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      大見  正君    門山 宏哲君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中村 裕之君

      長坂 康正君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    杉田 水脈君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      関口 昌一君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         新井  豊君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           宮野 甚一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     三ッ林裕巳君

  中村 裕之君     大見  正君

  西銘恒三郎君     石川 昭政君

  馬場 伸幸君     杉田 水脈君

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     西銘恒三郎君

  大見  正君     中村 裕之君

  三ッ林裕巳君     大西 英男君

  杉田 水脈君     馬場 伸幸君

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案及び地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長末宗徹郎君、地方分権改革推進室次長新井豊君、総務省自治行政局長門山泰明君、自治行政局公務員部長三輪和夫君、自治財政局長佐藤文俊君、厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君、大臣官房審議官有岡宏君、職業安定局次長宮野甚一君、国土交通省大臣官房総括審議官本東信君及び水管理・国土保全局次長加藤久喜君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水誠一君。

清水(誠)委員 おはようございます。自民党の清水誠一であります。

 ただいま議題となりました二つの法案、これについて順次質問をさせていただきたいと思います。

 特に、今回提出をされた法案につきましては、地方分権改革推進委員会の第四次の勧告を受けてというようなことが主になろうかと思います。特に、今我が国は、考えられないほどのスピードでの少子高齢化、そういう中で、それぞれの自治体についても、運営も非常に厳しいということでありますが、国からの権限移譲を初めとして、自治体同士がどうやって連携を保ち、地域に活性化を結びつけるかということが主な目的ではないか、そのように思います。

 まず最初に、広域連携の制度が創設というように今回新たに法案が出されましたけれども、この広域連携ということを考えてまいりましたら、今まで、一部事務組合ですとか全部事務組合、あるいは町村の圏域の中で近隣の町村が三つ四つまとまっての広域連合というようなことで、新たに制度を創設しなくてもできた分野はかなりあったというように思いますけれども、今回新たに制度を創設するということで法律に明記をすることにつきまして、この広域連携制度創設ということについてまず最初に伺いたい、そのように思います。

新藤国務大臣 ただいま委員が御指摘いただきましたように、これからの私たちの国の国家的課題は、少子高齢化に加えて人口減少社会を迎える、その中で、いかに国の活力を維持しつつ、全国津々浦々にそれぞれの暮らしを確立できるか、私はそこが国家的課題だと思っているわけであります。

 それに向けて、まずは、地方自治の、合併をすることによってスリム化を図ろう、それから効率化を図ろうということで進めてまいりました。それは一定の効果が発揮されるというふうに私は思っています。

 今後は、人口減少社会の中でまず最初に疲弊をするのは地域であります。それも、過疎と言われるような人の少ない地域に、さらにそういった影響が大きく出ると考えているわけであります。

 したがって、合併をされた市町村同士の中で、今度はもっと町の中の暮らしを、役割分担したり連携したりして、魅力づけができるのではないか、こういうふうに考えております。

 これは私、昨年にヨーロッパに視察に行きまして、シティーリージョンというものを非常に興味深く、自分で調査してまいりました。自治体が合併すれば一つの事務ができる、これは重要なことです。でも、それに加えて、必要なもの、それから一緒にできるものはともに考えていきましょう、そういう中で、合併によらずして事務を連携できる、こういうようなものをつくる。

 それから、やはり力の強い町とその周辺の町が一緒になって、全体の底上げを図る。こういう中で、広域連携、それから自治体協約、こういうようなものを今回の法改正の中に埋め込ませていただいたわけであります。

 いずれにしても、自分の生まれた地域で、できればそのまま一緒に過ごしていって、そして生活、生計を立てて、家族をつくり、そしてまた次の子供たちにつないでいく、この営みの繰り返しで日本というのは続いてきたわけでありますから、地域の生活というものを確立させていくことは極めて重要であって、そこに我々の伝統や文化が根づいてきているんだ。そういう日本という国がきちんとこれからも元気を維持していくために、この一助になればという思いで、この意義を感じているところでございます。

清水(誠)委員 広域連携、今まで、制度という形ではありませんけれども、一部事務組合とか全部事務組合、そういう形では行われてきたということですけれども、少子高齢化に限らず、非常に人口減少になった。

 四月に、総務省の人口推計、これを見ましたら、前年比二十五万三千人減少ということですから、大変な減少率だ。特にその中でも、六十五歳以上人口というのは四分の一を超えてしまったというような状況であります。

 ただ、今の広域連携の制度ということを考えていったときに、やはり合併が難しくなってきたというようなことなんでしょうか、今まで、制度ではありませんけれども、各自治体同士の結びつきというのがあった。しかし、その結びつきを強めるということになりましたら、それはやはり合併が一番いいだろう。

 ただ、合併ということになりましたら、平成十一年、三千二百三十二の自治体がありましたが、現在では、合併が進んで千七百十八というように数字がなったというふうに出ておりますが、そうしましたら、今回、合併という手段よりももっとやわらかい手段という形になるということは、今後、合併ということが果たして進んでいくのか。あめとむちという表現はちょっと使いづらいことではありますけれども、当時、合併するとこれだけのおいしいものがありますよ、そういうのがありました。結果、合併しても、それが急激に財政悪化とかいろいろなことになったときには、またそれの手当てということもありますけれども、今後も、合併の見通しを含めて、平成の大合併、こういうようなことが言われて、三千あったのが千七百に下がってしまったということについての、いい合併もあったでしょうし、悪い合併も残念ながらあったというように思いますけれども、この平成の大合併、評価についてはどのように考えておられるでしょうか。

新藤国務大臣 平成の大合併によりまして、人口が約二倍になりました。一・九倍です。それから面積も一・九倍に平均でなりました。一方で、議員の数はマイナス四八・五%です。それから職員の数も一八%減になりました。ですから、一定の行財政改革の効果はあったもの、このように思います。

 しかし、一方で、市域が大きくなったことによりまして、住民の声が届きにくくなったであるとか、それから、予想していた以上にやはり行政需要というものが残って、各旧役場が支所機能を発揮して、やはり財政的には同じようなものがかかる、こういうようなこともあったわけであります。

 しかし、私は、合併が失敗したというふうには、失敗した例というよりも、効果が出るまでに、それぞれの地域によって時間的な差があるものと思います。しかし、いずれにしても、一つの町になった以上、どうやって一体性を持ちながらその地域を魅力的にしていこうかというのは、どこの町もやっていることであります。

 私の地元も、平成の大合併の特例期間には間に合いませんでしたが、自分たちの意思で、これはさまざまな議論を経て合併いたしました。やはり、この中に旧町の意識の差というのがあります。でも、今それは、どうやったら一体感を醸成できるかとか、逆に、利点を追求するようにみんな思って努力しています。

 ですから、これはこれの一つの形として、必ず成果は出てくるというふうに思っておりますし、早いところですと、この間は、対馬ですとか壱岐などが十周年の式典を迎えるというので、私も御案内賜って、残念ながら、ちょうど国会の都合があって行けなくなってしまったんですけれども、十年を迎えているような市町村は、やはり合併したことによって一体性を持った新しい計画が進んでいる、こういったところもあります。

 ですから、私は、いずれにしても、与えられたそういう枠組みを使って、いかに改善の努力を続けるかということが重要であって、この合併の効果というものは必ずあらわれてくるし、デメリット部分は、それは克服するための努力の原点である、このように考えております。

清水(誠)委員 合併したところのいい悪いという、ちょっと聞き方がまずかったというふうに思いますけれども、新しい形にならなければ、先にそれがわかってしまえば、何もリスクを冒すわけじゃありませんし、今の減少社会と高齢化社会というようなことで、ただ、今の大臣のお答えでは、職員数ですとか議員数、ここが減少したという、この事実だけは間違いないということで、合併をしたところ、またこれからしようとするところについても、国でできるものは、やはり最善の努力をしていかなければいけないというように思います。

 それで、市町村の合併ということもありますけれども、どうしても切り離せないのは、都道府県の合併ですね。ということは、道州制の議論というのは平成十五年以来ずっと続いてまいりまして、特に、北海道が道州制特区ということになった法律は平成十八年。今、二十三年までが二十七年までということで、この道州制特区についてはさらに延長しているということですけれども、やはり市町村の合併も、チャレンジしなければわからない。また、道州制ということが、平成十五年以降、議論はしておりますし、また自民党自体でも、今、基本法について議論をしている最中です。

 今後の道州制について、これの見通し、あるいは道州制の現在の政府としての考え方、このことについてお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 道州制は、国と地方の役割を見直し、住民のサービス向上につなげるとともに、国としての統治機構の強化を図るものだ、このように思っています。これまでの長い議論があって、道州制のビジョン懇から始まって、取り組みがなされてまいりました。

 今、与党において、この道州制の基本法を、取りまとめに大変な御努力をいただいておりますし、それに対してのさまざまな意見が、進めば進むほどに、またいろいろな意見が出てくるということでありまして、私は、そういうしっかりとした国民の声、さまざまな団体の声を聞きながら、これは取り組むべき問題だというふうに思います。

 当初は、国と地方の対立の概念というのがどうしても最初にありまして、国が地域の自立性を阻害しているんだ、だから、もっと分権をして、地域でできることは地域でやれるようにすれば、それで地域も国も元気になるんだ、こういうところからの始まりだったと思います。しかし、私は、それは、少しずつ情勢が変化して、また、段階が違ってきているというふうに思います。

 単に、統治の形を変えるだけでは何も変わらないわけでありまして、また、変えれば変えただけの、そこに混乱が生じます。委員が今おっしゃったように、県と県が合併しただけでは、それは今と余り変わらないんですね。広域の県ができるだけの話になってしまう。そうではなくて、特に財源です。税というものをどう納めて、それぞれの地域の経済的自立性を維持しつつ、その圏域での行政サービスが担保できるような仕組みというのはどうすればいいんだろうか。

 国の方は、それは国家として、マクロ経済であるとか外交、安全保障、そういった国が本来やるべきものに特化すべし、ここはかなりきれいに整理できると思うんですが、では地方は、それによって、本当に全国を幾つかのブロックに分けたらば、同じように生活が維持されるんだろうかということになります。

 したがって、何の財源、税をどのようにそれぞれ取り扱っていただけるようになればいいのか、都市計画の権限も含めて、そういったものはどのように移していったらいいのか、これはかなり詳細な設計をきちんとした上で、とりあえず始めてみましょう、だめだから途中で切りかえましょうでは済みません。全ての暮らしがここにかかわってきますから。詳細な設計をして、そして、あるときから、銀行のオンラインですとか、何か一斉にぽんと変わりますよね、私は、道州制というのはそういうイメージだと思っているんです。

 ですから、それまでの間に進められるべき分権はどんどんと進めながら、分権を進めていったその状態で、道州なり新しい統治機構に変換するときにはどうしたらいいか、そういう設計をしていかなくてはならないんだ。

 だから、今、私は、道州制担当大臣にしていただいて、国がもっと取り組むべきだという御意見を時々いただきますけれども、私たちも日々研究をしております。しかし、今現状は、ステップをきちんと踏んで、これは国を変える大きな取り組みである、そういう観点からしっかりと進めていきたい、このように考えております。

清水(誠)委員 道州制については、これから党内議論もしますし、やはり、地方六団体それぞれの意見もありますけれども、国の役割、地方の役割ということで、私自身は、道州制、前に進めるものは進めていかなければならないなということは思っています。

 もう時間が参りましたけれども、一点だけ……

高木委員長 時間でございますので、きょうは本会議もありますので、ここで。

清水(誠)委員 わかりました。

 では、以上で終わらせていただきます。

高木委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 地方自治法の改正案について、本日は質問させていただきたいと思います。

 今回の法改正で、地方公共団体がほかの地方公共団体と連携して事務処理について役割分担をするための連携協約、この連携協約を締結することができるようになります。これは、隣接している場合がほとんどかもしれませんけれども、隣接していなくてもよいというわけであります。

 そもそも、これまでも、地公体が連携して自主的に行うということはできたわけでありますけれども、これまでは、首長がかわったりすると、連携の形が変わったり、あるいは安定性や継続性が担保されないということもありましたので、今回、地方自治法で手当てすることによって、しっかりと安定性あるいは継続性を確保するということであるかというふうに思います。

 この連携協約について、ちょっときょうは深掘りさせていただきたいなと思うわけです。

 総務省は大きく三つ類型化をされているわけでございますけれども、この三つの中でも大きく地方型と都市型で分けられるのかなと思います。地方型については、地方中枢拠点都市を中心とした連携、そしてまた条件不利地域同士による連携、こういった二つのパターンがあると思いますし、また、都市型については、三大都市圏、これを中心とした連携があるというふうに認識しております。

 この類型ごとの特徴、違うというふうに理解しておるんですけれども、圏域の規模や位置関係、あるいは連携の仕方におけるそれぞれのポイントを具体的にお示しいただけますでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法を改正いたしまして、新たな広域連携の仕組みとして創設しようといたしております連携協約は、自治体が地域の実情に応じて自由に内容を協議して役割分担などを進める、こういうものでございますので、御指摘ございましたように、隣接していない自治体の間においても、例えば三大都市圏の中心市と周辺市町村、そういったいろいろな形での連携が可能な仕組みというふうに用意しているところでございます。

 その上で、具体的に連携協約がどういう場面で活用されるかということでございますが、まず地方でございます。地方中枢拠点都市圏を中心といたします地域におきましては、そういった地域の拠点となる相当の規模、中核性を備えました圏域の中心都市が、経済ですとか社会、文化、住民生活のさまざまな面で密接な関係を持っている近隣の市町村と連携する、こういうことがやはり中心になってくるのではないかというふうに考えております。

 それから、もう一つございました、では条件不利地域はどうかということでございますが、やはり離島ですとか山間部などで、中枢的な都市から相当距離があるといったケースは多々ございます。こういった市町村同士の連携が難しいという市町村との関係では、都道府県との連携ということが想定できるのではないかと考えております。

 さらに、三大都市圏の場合でございますが、現在、なかなか広域的な連携というのは進んでいない面もございます。ただ、これからの問題としては、やはり急速な高齢化ですとか、あるいは公共施設が老朽化していくといったような共通の課題がございますので、そういったことを、地方公共団体同士で水平的、相互補完的に、あるいは双務的にといいますか、そういう形での連携をする、こういう形になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。

濱村委員 今、地方型において、中枢拠点都市であれば、その中枢拠点都市の規模を生かして、経済、社会、文化において連携をする。そしてまた過疎地域、いわゆる条件不利地域、離島でもいいです、そういった地域であれば、そういう地域同士だけではできない可能性があるので、しっかり都道府県も巻き込むということでありました。そしてまた三大都市圏、なかなか進んでいない。老朽化が進んでいく公共施設、こういったところ、水平的あるいは相互補完的、双務的にやるというお話でありましたけれども、こうした連携において、想定しておられる連携協約、具体的な内容をどんどん示していっていただいて、ちょっとイメージを共有していきたいわけであります。

 例えば、福祉関連事業についてちょっとフォーカスしてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、福祉関連の事業であればどういった業務を想定しておられるか、例示していただけますでしょうか。

門山政府参考人 地方部と大都市地域、分けてでございますが、まず地方の中枢拠点都市の地域におきましては、集約とネットワーク化の考え方に基づきまして、例えば地域医療ですとか障害者福祉の充実といった分野、あるいは地域包括ケアシステムといったような高齢者施策、それから子育て支援の関係でファミリーサポートといったような取り組みなどがございますが、こういったものにつきまして、中心となる都市と近隣市町村の間で役割分担をして、地域ごとに課題が異なりますので、地域の課題に応じた取り組みをしていくということになるのではないかというふうに考えております。

 一方、地方部の中の条件不利地域の場合でございますけれども、必ず行う事務としての介護保険ですとかあるいは地域包括ケアシステムに関する業務ということで、いろいろ福祉分野、業務があるわけでございますけれども、高度の専門性が要求されるというものもございます。そういったものにつきましては、やはり市町村と都道府県との連携ということが一つの形ではないかと考えられます。

 さらに、三大都市圏の場合でございますが、三大都市圏につきましては、これから急速な高齢化が進むということを踏まえますと、介護保険施設の量といったような介護保険施設のあり方を検討することが必要となってくると思われますし、こういった検討を端緒といたしまして、連携協約に基づいて、広域的に施設の配置なりあり方などを連携して進めていく、こういったことが必要となるものと考えております。

濱村委員 今、障害者福祉、あるいは山間部においても、介護あるいは地域包括ケアという話がありましたけれども、例えば、重度心身障害児が、学校卒業後、受け入れ先が必要になるわけですけれども、こうした施設はあるにはあるけれども、過疎地域であると、厳しい財政事情から、施設も拡張できないというような話が、私、相談を受けたりしたことがございます。お母様方がそういう悩みをお持ちなんですけれども、結局その地域は、施設を拡張して解決をされたわけですが、こういった場合に、過疎地域同士で補い合うということも考えられると思うんですが、ここで起き得ることは、過疎地域同士ですので当然その圏域が非常に広くなるということが想定されると思うんです。そうした場合、通い先の施設が遠距離となってしまって、施設に行くまで半日かかってしまうというようなことも起きかねないというふうに思うわけでございます。

 連携協約を締結した後に発生しそうなこうした課題についてはどのように対処されるのか、お示しください。

門山政府参考人 まず、最初の段階でございますけれども、市町村が連携協約を締結するに当たりましては、連携して提供しようとするサービスの性質ですとか受益者の方の実態、まずこれを十分踏まえることが必要であるというのはまさにそのとおりでございます。

 そして、御指摘のございました重度身障者の方々の通所型の福祉施設などのような通所型福祉サービスについて考えましても、やはり通所される方の利便性ということに十分配慮していくことになりますと、例えば施設を集約化する場合にも、ではネットワークをどうしていくか。特に、やはり交通ネットワークの強化ということをどうやって工夫できるのかということが一緒に考えられることになってくるんだろうと思います。

 また、一旦連携協約を締結した後におきましても、事情が変わってくるということは当然ございますので、そこはお互いの相談でございますので、相談して必要な改定を行うなり、内容面で運用を改めていくなりといったことは市町村間の議論で進められていくというふうに考えております。

濱村委員 今、交通ネットワークとおっしゃっておられましたが、非常にこれは、過疎地域、山間部では重要なテーマでありますし、連携協約を結んだ後もどんどん改善していくということも必要だというふうに思います。

 そしてまた、都市型において想定されそうなケースとしましては保育園。実は私、今兵庫県の西宮市に住んでおりまして、これは三大都市圏というふうに思うわけでございますけれども、西宮文教住宅都市宣言ということをやっておりまして、要は、住んでいる人は非常に多い、でも働きに出るのは大阪市だったり、神戸市だったりすることが多いわけです。こうした中で、子育て世代であれば、オフィスの近くで保育園を構えてくれるとありがたいという要望があるわけでございます。

 こういった場合に、保育園や認定こども園をふやしてもらう必要があるわけですけれども、神戸市でやっていただくとなったときに、なかなか敷地を確保できませんということも起き得ると思うんですね。こうなると、ちょっと面積要件を緩和してくれとか定員数を緩和してくれとか、そういった話も出てくるかと思うんです。

 こうした場合、総務省と関係所管、今回のケースでいえば厚労省かもしれませんけれども、調整が必要になってくるというふうに思うわけでございますけれども、どのように対応されるのか、教えてください。

門山政府参考人 中心市とその近隣市町村との間で、例えば保育に関します連携協定といったものを締結した後に、さらに通勤者がふえて中心市でなかなか対応が難しくなってくるといったようなことが起こった場合ということでございますが、そういった場合には、一つのやり方は、やはり中心市の保育サービスの提供力をどうやってふやしていくかということになりますので、それにつきましてはやはり財政負担も伴います。したがいまして、近隣の市町村が負担を行うことによって対応するということも考えられると思います。そのような場合、連携協約自体を見直すということも当然考えられると思います。いずれにいたしましても、やはり広域連携を進める市町村相互の間で信頼関係をどうやって構築して協力していくかということが基本だとは存じます。

 そして、今御指摘ございました保育のケースも含めてでございますが、市町村で具体的な連携協約の取り組みを進めていくと、いろいろな制度上の課題が出てくるということが想定されます。そういったことで、今年度実施いたしますモデルケースの構築事業というのを国費事業で予定いたしておりますが、そういった事業の取り組みを通じまして、どういった課題が考えられるのか、あるいは実際出てくるのかといったことを検証いたしまして、この点につきましても、関係省庁と協力しての対応ということを行っていきたいと思っております。

濱村委員 今、中心市の能力を周辺市が補い合うというようなお話もありましたけれども、モデル事業をしながらしっかりとやっていかれるというふうにおっしゃっておりましたが、モデル事業の中で、各省庁との連携についてもどのように取り組むべきか、しっかり想定をしておいていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 次に、ちょっと大臣にぜひ教えていただきたいと思うんですが、御提示いただいたとおり、連携協約の内容によっては他省庁がかかわるということが十分想定されるわけであります。こうしたケースでは、他省庁との連携は総務省が行うのか、あるいは連携協約を自分たちで結ぶ地方公共団体が直接行うのか、この点について、しっかりと明確にしなければいけないと思います。

 ぜひ、私としては、総務省がリーダーシップをとってやっていただきたいというふうに思いますが、大臣の御決意をお聞かせください。

新藤国務大臣 まず、先ほどからの御懸念は、この連携協約は地方議会の議決をもって成り立つわけであります。したがって、地域住民の不利益となるような協約を結ぶことを地方議会が許容するとは私はとても思えないわけでありまして、まずは、地方のそれぞれの自治体の工夫によるものだ。ですから、自由に、条件も幅もいかようにでも定めていただいて、まず、みずからの自立性を高めていただこう、こういう期待をしている、柔軟な制度にしていきたい、このように考えています。

 それから、御案内の、省庁間の連携というのは当然のことでありますが、例えば、この連携協約に基づいて新たな事業を行おう、そういうことであるならば、私どもは、今既に安倍内閣において、地域の活性化プラットホームという各省連携の調整機関の場をつくっております。

 それから、当然、事業の導入に当たっては、それぞれの担当省庁とのまずは一義的な打ち合わせというものが必要だと思いますが、私ども総務省も、そこには、十分な相談に応じられるような、そういうことを心がけていきたい、このように考えます。

濱村委員 時間も来ましたのでもう終わりにいたしますけれども、もちろん、議決を行ってから、もちろん地域に資するため、そういうところが大事であるわけでございます。そのためには、工夫をして、地方公共団体の皆様は知恵を絞るというふうに思いますけれども、ぜひ、総務省が全面的にバックアップをしていただくということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、四十分ほどお時間をいただきまして、しっかり質問させていただきます。

 まず、昨年の地方分権改革有識者会議の「地方分権改革の総括と展望」という文書の中で、第二次地方分権改革は一つの区切りを迎えるということが書かれております。これまで進めてきた第二次の地方分権改革、第一次が機関委任事務の廃止でありましたけれども、第二次で、本格的に権限の移譲とか、本当の意味での地方政府、我々の言うところの地域主権改革を実現していく、この改革が一区切りついた、こういう取りまとめになっているかと思います。

 我々からいうと地域主権改革、原口大臣のもとで進めてきた国と地方の協議の場の設置や義務づけ・枠づけ、あるいは一括交付金制度の導入とか、民主党政権下で、原口大臣のリーダーシップで、この地域主権改革をずっと進めてきたわけであります。残念ながら、一括交付金はなくなってしまった、後退してしまったと私は思いますけれども、そういう非常に思いのある地域主権改革、これをもっともっと前に進めなきゃいけない、未完の改革だと思っているんですね。

 だから、一区切りついたと言われると、どのような根拠で一区切りついたんですかとちょっと伺いたくなってしまうのですが、どういう根拠で一区切りついたとおっしゃっておられるのですか。

新藤国務大臣 今回、一区切りついたというよりも、新たなステージに移行しよう、こういうことを私どもは申し上げているのであります。

 それは、第一次分権というのが、地方の関係を上下主従から対等、協力のものに、機関委任事務の廃止をする。そして、第二次分権改革は、それらを踏まえて実践をする。そして、前政権も含めてこれまでおやりになってきたことは、県から基礎自治体への移譲、こういったものについて進めてまいりました。今回初めて、国から地方自治体に、そして県と政令市間の権限移譲、こういったものも手をつけました。

 したがって、これまで題材としてテーブルにのったものは全て手をつけました。これらはまだ積み残しがありますから、引き続き進めてまいります。一つ一つのものは丁寧にやってまいります。しかし、今度の、これからの新たなステージというのは、一律に関係を見直して権限を移譲するだけではなくて、今回は、キャッチフレーズとして、個性ある自立した地方をつくる、それは、地方の発意と多様性、これがキーワードなんです。

 こういったものを可能とするために、提案募集方式であるとか、新たな規制改革をするのには、やる気のあるところとか、やれる能力を備えたところには権限を行使していただく。また一方で、その権限が来てしまうと自治体として負担になる、こういうところは今までどおりのやり方でも結構です。そういう多様性を持たせた新たな展開をしていこうではないか。

 その中で、自治体の運営の仕方も、結局は自分の自治体でフルセットで、全て自分のところで完結するようになっているわけです。もし隣と一緒にやりたいのならば合併するしかなかったのを、今度は、合併しなくても、協約を結ぶことによって、自治体間の条約を結ぶような形で、仕事の必要なものは広域連携が図れるようにしよう。それはもちろん、やる気のあるところ、やりたいところができるようにする。

 こういう、まさに発意と多様性を持ってという、地方分権の義務づけ・枠づけの移譲ですとか権限移譲と、それからこの地方公共団体の運営は、同じコンセプトのもとで、そのラインで進めていこう、このように思っているわけでありまして、これまでのことをやめるのではありません。今までのものを前提にして、さらに新しい展開をしていく、それを私は次なるステージというふうに申し上げているのでございます。

奥野(総)委員 今おっしゃられたとおり、義務づけ・枠づけにしても終わっていない。もともと一万項目を四千項目、そこから絞って千三百項目にしたんですが、そのうち千六百四十八項目については、地方から手が挙がったものについて見ている。だから、検討していないものもあるわけですし、また、地方の要望に沿えていない積み残し案件もあるわけですから、これらについては、もちろん、引き続き検討を重ね、結論を出していかなければならないということだと思います。

 今おっしゃったのは、恐らく、提案募集型とかそういう形で次なる地域主権改革をということだと思いますが、後ほど触れますが、やはりもう一つ残っているのは、国の出先の見直し、これは第二次勧告の中で明確にうたわれているわけですが、ここが手つかずなんですね。

 第二次勧告の中で、国から地方におろすべき権限、組織とセットで見直そうということだったんですが、組織論がなくなって、権限論だけになって今回の四次一括法になっているわけです。これは後ほど触れますけれども。これはやはり地方に任せるのでありますが、この手の話は国が、中央政府がリーダーシップをとらないと前に進まない話でありますから、そこをぜひ頑張ってもらう、前に進めていかなきゃいけないという立場できょうは進めていきたいと思います。

 積み残しの話でありますが、今回の四次一括法の中身に入っていきますが、昨年の暮れ、当面の方針の中で百事項を地方におろす権限の見直しの対象として挙げておりました、このうち、今回の見直しの方針の中で、百項目のうち六十六項目を権限をおろします、こういうふうになったと思うんですが、その評価、できなかった部分について、どういうものができなかったのか、その辺について伺いたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 国から地方への移譲につきましては、平成二十年に分権委員会の勧告がなされて以来、これまで実現していなかったところでございますけれども、今回、地方に移譲するものと国が引き続き行うものとに整理をしたところでございます。

 その結果、地方に移譲するものは約七割ということになったわけでございまして、これまで全ての事務が国の事務であったことを考えますと、分権推進の観点からは大きな前進だと認識をいたしております。

 それでは、盛り込まれなかった事項についてでございますけれども、地方が移譲を取り下げた四事項を除きますと三十事項になってまいります。

 典型的な例を申し上げますと、例えば、消費生活用製品安全法というのがございますが、その消費生活用品の製造、輸入業者に対する立入検査、この移譲が焦点になったところでございますが、地方側は、それとあわせて危険防止命令等の関連する事務、権限も移譲すべきだという主張をしました。

 一方、国の方では、国全体の均一、公平な安全対策を図っていく、そういう観点からは、国内全ての消費者の生命身体に危害を与えないように迅速な対応をしなければいけないということで、関連する事務、権限の移譲はできないと主張し、最終的には、地方も、全般にわたる一体の権限移譲でないのであれば、立入検査のみの移譲は受け入れないという形で決着をしたということでございます。

 いずれにしましても、今回見直し方針に盛り込まれなかったものは、各府省と地方との間で調整を行った結果、最終的に両者が納得をしたものであると理解をいたしております。

奥野(総)委員 内訳を見ると、今おっしゃったような関連の権限の移譲を地方が求めているものについては、二十八項目中七項目しかできなかった。それからもう一つ、各省が国に残すとしているものについては、地方が求めても、二十二項目中九項目しかできなかったということのようであります。

 この六十六項目の中を見ていくと、本当にやるのかというようなものもあるわけであります。この中には、直轄道路、河川の事務、権限の移譲というもの、これは長年ずっと、第一次勧告からの懸案でありまして、これが恐らく含まれているということだと思いますが、まず含まれているのかどうかという話と、六十六項目に含まれているとして、これまでなかなか議論が進まなかったんですが、今回移譲に踏み切った理由、そして、では、それを移譲するとして、具体的に対象範囲となる直轄道路や河川の数というのは大体全体の何%になるのかということを伺いたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、直轄道路、河川の権限移譲につきましては、今回の対象には含まれております。

 それでは、なぜこれまで進まなかったのかということでございますが、これにつきましては、移譲に伴います財源措置、これがなかなか調整が進まなかったということがその理由でございます。

 それでは、なぜ今回進んだのかということでございますけれども、これにつきましては、まず、昨年の九月でございますけれども、全閣僚から構成されます地方分権改革推進本部、ここにおきまして、直轄道路、河川の問題につきましても具体的な検討と調整を進める旨を明確にしたことがポイントだと考えております。これを踏まえまして、国土交通省を初め関係府省におきまして早期に検討を開始したところでございます。

 その後、与党プロセスも経ながら、財源措置スキームを中心に地方団体と丁寧に調整を重ねた結果、昨年末に、見直し方針として取りまとめることができたものでございます。

 では、どれぐらいのものが移譲対象になってくるのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、そもそも、対象範囲は、地方分権改革推進委員会の第一次勧告に沿ったものを対象といたしておりまして、具体的には、一つの都道府県内で完結する一般国道あるいは一級河川などを対象としているものでございます。

 それでは、具体的にどの道路、河川が対象になるかということにつきましては、現在、個別協議を国土交通省と地方との間で開始しているところでございますので、確たる数値を申し上げることは現時点ではできないところでございますが、いずれにしましても、その個別協議を経ていく中で、具体的な形で権限移譲が進んでいくものと考えております。

奥野(総)委員 この見直し方針の中で書かれているわけでありますけれども、一次勧告の方向に沿ったものとする、こう書かれておるわけですね。方向のとおりとは書かれていないわけであります。具体的な個別の道路、河川の移譲に関する協議、調整を経て決まっていくんだ、なお、引き続き国が管理する必要がある道路、河川については移譲の対象とはしない、当たり前のことが書いてありまして、これで果たして本当に進むのか。要するに、個々の協議の中で決めていこうということでありますから、本当に進むのかというのは極めて疑問であります。

 また、その財政措置についても、交付金の措置を講ずると書いてあるんですが、これは今回の一括法の中では入っていないですね。もしきちんとやる気があるのであれば、少なくともスキームぐらいはきちんと法改正の中で措置をしていく、あるいは決めていくということを、ここまで書いた以上、やっていいと思うのでありますけれども、それもなされていないわけであります。

 ですから、例えばこの直轄道路、河川についてはやはりしっかり我々としても注視していかなきゃならないと思いますが、これは法律改正する予定はあるんですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 これにつきましては、昨年の見直し方針の中で、財源スキームについても基本的な方向は取りまとめをしたところでございます。

 具体的にそれをどのようにするのかといいますのは、個別の協議を今行っているところでございます。個別の協議の中で、現在のスキームの中でできるだけ国の方が事務を進めた上で受けたいという意向も結構ございます。

 そういった個別個別の調整を今しているところでございますので、その調整結果を待った上で、必要な法律事項が出てくればそのときに検討するということになろうかと思います。

奥野(総)委員 では、本当はいつになるかわからないという話なんですよね。北海道なんて道州制特区なんだから、しかも閉じているんだから、あそこの直轄道路とか河川は全部移管してもいいと思うんですよね。やはりそのぐらいの姿勢を私は政府に求めたいと思います。これは六十六項目の一項目として挙がっていますけれども、この一項目として挙げるのに本当にいいのかどうか、まだできていないわけですから、そこの点は指摘させていただきます。

 それから、この六十六項目の中に、例えば法定受託事務のようなものはあるんでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 この法案の中で法定受託事務と位置づけているものは、全体、移譲する事務、権限四十八事項のうち九事項ということでございまして、これを自治事務にするのか法定受託事務にするのかにつきましては、平成十年に閣議決定された地方分権推進計画に法定受託事務のメルクマールが出ております。それに沿って、必要なものだけに限定して法定受託事務にいたしております。

奥野(総)委員 権限移譲というと、ぱっと聞くと、自治事務になるんだな、こう思うわけであります。その中に九項目も法定受託事務が入っているというのは、これはやはりちょっと水増ししているんじゃないか、こういうふうに感じざるを得ません。

 ですから、六十六項目といっても、まだ事実上手つかずのものもあれば、そういう法定受託事務のようなものもあって、実は余り進んでいないんじゃないか。もちろん、大変なのはわかりますよ、国からの権限移譲というのは非常に大変なのはわかりますが、まだまだやるべきことがあるんじゃないか、一区切りついたと言うにはあんまりじゃないかというふうに思います。

 そして、今回の目玉として挙がっている中に、自家用有償旅客運送に係る事務、権限の移譲、これが目玉の一つとして挙がっているんですね。余り私もぴんとこなかったんですが、ちょっと調べてみたら、移譲を希望する団体は全体の六%しかない、反対だ、希望しないというのは五一%もあるわけでありまして、これはわざわざその部会まで設けて、これも第一次勧告の中にはしっかり入っていて、今回、農地と雇用とこの自家用運送、これを三つの目玉として部会まで設けてやっているわけですね。

 ハローワークの方は第一次勧告のとおりにはうまくいかなかったし、農地の方もまだこれは見直し中だと思います。今回これは成果として具体的に上がったと言われているものでありますけれども、六%しか希望していない中でどういった意義があるのかということを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まさにそういう部分が、今回の、地方の発意それから多様性を認めよう、そういったもののきっかけになったところであります。

 私どもとすれば、今、内閣府の我々の統合事務局は、各省とは激しいやりとりをしています。一般的には、どうも国側は守りに入っていて、そして地方に攻められているというふうにお感じになるかもしれませんが、地方がおやりになりたいことを、我々事務方とすれば、それをやる方向で、物すごい勢いで調整するんです。

 今回の、六割方の、六九%の数字が出てきましたが、最初からこうはなりませんでした。私が、これは過去にも、第一次、第二次でも、これまでの達成率が七割近くになっているんだから、これを目標にしようということでぎりぎり絞り込んだ結果が、今回のことなんです。

 したがって、今度の有償旅客運送のことについても、やる気のある自治体は今すぐやりたいんです。でも、全国的に、それを全ての皆さんでミニマムでできるかというと、できなくなってしまう。それは、地方六団体で上がってくるものも、全員、大多数ができることは要望として上がってくるが、それをまだやりたくないという人があると、やる気のあるところは動かなくなっちゃう。だから、ここの部分をどうやって我々は柔軟性を持つかということでやったのであります。

 ハローワークについても、これは今回の目玉でありまして、今までの情報提供をできるようにいたしました。ですから、そういう個別具体の部会をつくって、そして、事務部局だけではなくて有識者も一緒になって、担当省庁とがんがんやってもらいました。その結果、穴があいたということであります。

 私は、これは大いなる前進だと思いますし、今後のこの分権改革を進めていく上では、今までの、地方から御提案のものに、事務方が受けて役所内の調整をする、それに加えて、ワーキングチームを設けて、これを恒常的な組織として、さらに成果が上がるような、そういう仕組みを今準備しているところでございます。

奥野(総)委員 大きな一歩か小さな一歩かというのはありますが、前に進んだことは事実でありまして、そこは大臣の御努力に敬意を表させていただきますけれども、ですから、ここで一段落というんじゃなくて、もっと大きな一歩を踏み出していただきたいという思いで言っております。

 この有償旅客運送についていえば、反対した団体は、専門的な知識や経験を有する職員がいないので、なかなかできないんじゃないかと。裏を返せば、安全の確保とか、そういったところにやはり問題が出てくる可能性がありますから、その点にきちんと配慮して進めていただきたいと思います。

新藤国務大臣 そこは非常に重要なポイントなのです。

 ですから、そういう問題があってまだ対応できないところは、やる必要がないんです。しかし、きちんと準備を整えて、やりたいと、できるところについては道を開くという意味で、そういう制度にしているということなのであります。

 それから、委員が先ほどから何度も言っていただいている一区切りというのは、終わりにしたことではないんです。今までの道をさらに広げて、もっと広く視野を広げて、多様性を持って、成果を上げるようにしていこうではないかということでありまして、これまでの延長の話だ、このように考えていただきたいと思います。

奥野(総)委員 ぜひ、もっともっと前へ踏み出して、これはまた後ほども続けますけれども、最終的には、私は、出先の見直しをやり、受け皿をつくって道州制に持っていくということをやはり目指さなきゃいけないというふうに思っていますから、まさに今回はその小さな一歩だと思います。

 次に、地方自治法の方に行きたいと思います。

 今回の地方自治法の改正は、指定都市や中核市などに権限をおろしていく。こういう能力のある基礎自治体にはきちんとやってもらう。一方で、条件不利地域などには、連携協約を使って、あるいは代替執行を使って、都道府県の役割を拡大していくという考えであろうかと思います。まさに人口減少社会に向けて理にかなった改正だと思いますので、この部分については賛成をしていきたいと思います。

 ただ、その中で、指定都市については、総合区について少し意見を述べさせていただきたいと思います。

 私の地元の千葉市長、熊谷市長は、新聞によりますと、会見の中で、千葉市では総合区は導入する必要はないんだ、こう言っておられる。理由としては、総合区について、大阪市のような区が多い政令市では採用の意義があって、自分が大きな市の市長だったら真剣に考える内容だと評価はしているんだけれども、ただ、千葉市は人口が九十五万人で、六区しかないんですね。ですから、このような千葉市では必要がない。そんたくするに、区長に委ねなくても自分一人で見られるんだ、区長と話し合いながら自分で見られるんだ、こういうことを言っておられるんだと思います。

 ですから、これは選択制、総合区を導入するかどうかというのは自治体の選択に委ねられていると思うんですが、対象はどういうイメージなんですか。やはり大阪とか横浜とか、大きな都市が導入することを想定されている制度なんでしょうか。総合区の意義について伺いたいと思います。

新藤国務大臣 どの指定都市がこのような制度を採用するかはその都市の判断に委ねられるわけでありますが、総括して申し上げれば、今までの市長と区長の関係というのは、市長が方針を決め、定められた事務を区長が執行する。

 今度は、総合区というのは、市長からその区域に対する包括的な権限を与えられて事務執行を補佐していく、その意味においては、より住民自治がその地域に強まる、こういう側面があるというふうに思っています。さまざまな、人口や面積等、そういったものを含めて、これはどちらでも選択できるように、どのような形にでもとっていただけるような、こういう幅を持たせた制度としてつくらせていただいた、こういうことでございます。

奥野(総)委員 包括的な権限を与える、区長に任せていくんだということだと思います。

 これは確かに、どの指定都市でも選択制でありますから、恐らく、千葉市長の言っていることは私は正しいと思って、自分の目が行き届かないような大きな都市であれば導入される例が多いんだと思います。

 それを前提にちょっと伺いたいんですが、であれば、もう一歩進めて、総合区の区長の公選制、これは地方制度調査会の報告書の中でも、区長を公選とすべきかどうかについて引き続き検討と書かれております。ですから、より権限をというのであれば、公選制も私はあると思うんですが、答申の中で、引き続き検討となっていますが、今回法案の中に導入しなかった理由、何か問題点があるんでしょうか。

新藤国務大臣 これは第三十次の地制調において、住民自治の拡充のために必要である、区長公選制を導入すべしという意見もございました。一方で、行財政改革や、公選により市長とは別に選ばれた者が市長の補助機関である区長になるとすると、市長と区長の党派が異なる可能性も出てまいります。それから、指定都市全体の経営を一体的に行うという観点から不適当ではないか、こういう意見が交差したわけであります。

 そして、地制調の答申におきましては、区長に独自の権限を持たせる場合には、区長について、まずは市長が議会の同意を得て選任する特別職とすべきであると。今までの区長は一般職ですから、そういった区長を特別職として議会の同意を得て選任する、そして市長の補助的な業務をしていただくとともに、住民自治を強化する、こういう性格を付与しよう、そして、区長を公選とするかどうかは引き続き検討する、このような結論に至った、こういうことでございます。

奥野(総)委員 制度設計の問題ですから、公選制も選択肢の一つとして残すというのは私はあると思います。今おっしゃられたようないろいろな問題点はあるにしろ、みずから選ばれるという意味で、選択肢としてあり得るんじゃないかというふうに考えております。

 それからもう一つ、今回、地制調の答申の中で書かれていて法律にないものとして、区単位の常任委員会、これはまさにやるべきだと書かれていたんですが、今回、改正案の中には入っておりません。

 やはり議会の活性化というのは大事だと思うんですね。二元代表制といって、よく地方議会というのはチェック機関だと言いますが、決してそうじゃなくて、決定機関なんですね。首長と並んで物事を決められる機関でありますから、地方議員の皆さんも、やはりきちんと地元のことを審議して決めていく、議会で決めていくということは私は大事だと思います。

 ですから、そういう意味で、この常任委員会の必置、総合区において必置にするということは法改正の中でも盛り込むべきだったと思うんですが、今回これが盛り込まれていない理由について伺いたいと思います。

新藤国務大臣 御指摘のように、第三十次の地制調答申では、指定都市の住民自治を強化するために、議会に区常任委員会を置くこととすべき、こういう御指摘があったんです。

 しかし一方で、全国市議会議長会の指定都市協議会から、住民自治の強化の必要性は理解する、一方で、方法については、指定都市議会の主体的な判断を尊重した制度とすべきである、こういう旨の要望が出されました。

 区といっても千差万別ですから、例えばその区域に市会議員さんの数が本当に少数の方しかいない、そういう区もあって、それも常任委員会で、例えば二人とか三人の方しかいない常任委員会というのはあり得るのかとか、そういう議論が出たようでございます。

 そもそも、現行法においても、常任委員会を自主的に設置することは可能なのでございます。したがって、この常任委員会の必置については見送ることにいたし、議会の自主的な判断に委ねるということにしたわけでありまして、それをどう取り扱うかは、地方自治体において積極的な御議論を賜りたい、このように考えております。

奥野(総)委員 ですから、しっかりやっているところはしっかりやっているんですが、問題は、しっかりやっていないところにどうやってやっていただくように導いていくかということでありまして、そういう意味で、これはぜひ盛り込んでほしかったのであります。

 次に、財政面について。

 今回の改革の中で、財政改革が抜けている。自治立法権については、いわゆる義務づけ・枠づけの改革が進んでいる。行政権については、もちろん今言った、さまざまな連携協約あるいは権限の移譲が進んでいる。肝心の財源の裏づけ、これについて、これからの課題だと私も思うわけでありますが、財政面、税制の議論がすぽっと抜け落ちているような感を受けます。

 当面、これは権限がいろいろ落ちてくるわけでありますが、それに伴う財源の確保というのはどうなっているんでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回、第四次一括法案でもいろいろと事務、権限を移譲するわけでございますが、これにつきましては、昨年十二月に閣議決定をいたしまして、移譲に伴う財源措置については、「地方税、地方交付税や国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずる」といたしたところでございます。

 したがいまして、この閣議決定を踏まえまして、それぞれの事務、権限の性格に応じて、必要な財源措置の方法についてこれから検討を行い、円滑に事務、権限が移譲されるように対応していきたいと考えております。

奥野(総)委員 そういう答弁になるんでしょうけれども、税源の移譲も含めて、この部分についてはずっと前から言われてきていますから、ここもやはり踏み込んだ検討は次のステップとして絶対必要だと思いますので、その点を指摘させていただきます。

 ちょっと話がそれますが、非常勤職員の話を少しさせていただきたいんです、これに関連してということでありますけれども。

 権限が移譲されますと、移譲された側は業務がふえます。そのためには、人員をふやしていく、人員の確保ということになるんでしょうが、正規職員はなかなかふやすわけにはいかないということで、ますます臨時職員や非常勤職員を採用して、それに頼っていくということになると思われます。

 そういった中で、臨時、非常勤職員の処遇改善について、とりわけ非常勤職員の給与のあり方に関して、この前我々も法案を出させていただいて、ここで質疑をさせていただきましたけれども、現行の自治法では、正規職員と違って、期末手当や退職手当の支給が認められていません。また、通勤手当や残業手当さえも、総務省通知で支給が可能とされているだけでありまして、法定されているわけではありません。

 ですから、この点はやはり、手当の支給についてきちんと法律で担保すべきであると考えて、我々、地方自治法の一部改正案を出させていただいています。まだあれは継続審議になって生きているんですね。ですから、この法案について何とか御審議いただき、一部改正を実現して、非常勤職員の処遇の改善、あるいは公共サービスの質の維持向上を図るためにも早期の改正が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは、地方自治体の現場で、多様な行政ニーズに応えるためのさまざまな職種の配置というものが必要になってくる、その意味においては、多様性がふえればふえるほど、そういったニーズは高まるということだと思います。

 そこに、臨時、非常勤職員の任用と処遇という問題が出てくるわけでありまして、これは、私どもは何度も申し上げておりますけれども、地方公共団体が、制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用、勤務条件を確保できるように、これは自主的に、そして責任を持って適切に対応していただきたい、このように考えているわけであります。

 そして、特に、総務省としては、平成十六年度以降の任期つき職員制度、これは地方独自の制度として整備拡充をしてきたことでありまして、こういった活用も含めて、現行法の適切な運用を求めてまいりたい、また、それにお手伝いもさせていただこうと思っております。

 御指摘の、御党が出されている法案につきましては、国会の御議論の中でよく議論をしていただきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 時間もあと五分ぐらいとなってきましたけれども、先ほど来ずっと、まだ我々からいうと地域主権改革は道半ば、権限の移譲もこれからしっかり進めていかなければならないと思いますし、義務づけ・枠づけにしても、もう終わったというわけではなくて、しっかりチェックをしていかなければならないということを申し上げてまいりました。

 その中で、積み残しの中で一番大きなものとして、先ほども申し上げましたが、出先機関改革、これはちゃんと二次勧告の中で国の出先機関改革ということでわざわざ章が設けられていて、書かれています。その中で、踏み込んだ形で、地方振興局とか地方工務局という名前まで例示をして、組織改革のあり方について議論がされているわけであります。

 今回、四次一括の中にこれは含まれておりません。この出先機関改革について、進めるつもりはないのでしょうか。伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは、今までも議論があったわけでありまして、まだ議論はとまっているわけではないということであります。

 しかし、出先機関の組織の見直しに関して申し上げれば、それはちょうど、我々の衆議院の任期、解散の、たしかあれは前日だったか、十一月の十五日ですから、前日に閣議決定された、そして国会には未提出でありましたけれども、民主党政権が閣議決定をした、国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案、これは確かに出されたわけであります。

 しかし、これにつきましては、全国市長会から、まだ丁寧な議論が必要であるにもかかわらず閣議決定を行ったことはまことに遺憾である、それから全国町村会は、極めて遺憾である、こういう御意見を頂戴しております。それから、大規模な災害時においてどのような対応ができるのか、こういう新たな課題も出てきております。ですから、私どもは、議論は続けるにしても、慎重な対応が必要だ、このように思っております。

 したがって、今後も、その取り扱いについては、検討はしていきたいというふうに思いますが、まず、できるところから進めていこうということであります。そして、何度も申し上げますが、これまでのものに区切りをつけて新しいことに移るのではなくて、これまでのことも含めて、新しいやり方で、もっと包括的にいろいろな成果が得られるようにしよう、こういう仕組みに切りかえているというふうに御理解をいただきたいと思います。

奥野(総)委員 出先機関改革にはいろいろな意見があることはもちろん承知をいたしておりますし、我々も、それをあえて振り切って、案をまとめて、閣議決定にとどまりましたけれども、国会に提出しようとしたわけであります。

 ですから、国会の場で審議をして議論を深めていくことが私は必要だと思うんですね。今、大臣の方向は、なるべく地方の要望に沿った形、沿った形、それも大事でありますけれども、やはり国家として、政府として、国の形を示すことも我々政治家の役目だと思うんです。

 こういった改革は、地方が嫌がっているからといって前に進めないというのは、私はおかしいと思うんですね。まさに、安倍総理がやろうとしている外交、防衛とか、それからマクロ経済なんというのは国の専管事項でして、ほかのことは地域に任せればいいわけです。これは安倍政権の方向にも合っている思うんですね。

 ただ、どうも地域主権改革については、私は、大臣は頑張っておられますけれども、安倍総理は、この間の本会議の答弁を聞いても、余り関心がないような感じを受けました。

 ですから、大臣に頑張っていただいて前に進めていただきたいんですが、第二次勧告では道州制についても触れてありまして、「将来、道州制等の新しい行政体制が検討される際には、他のブロック機関とともに地方政府に積極的に移管が検討されるものであり、新しい国と地方の関係に向けた先駆的移行措置」、これは、出先機関改革について、道州制の先駆的措置だと第二次勧告にも書かれているわけであります。

 ですから、この出先機関の見直しとあわせて、次のステップとして道州制の具体的な改革に進めるべきだ。これを一区切り、では次に何をしますかといったときに、小さな一歩ではなくて大きな一歩、道州制、それから出先機関の見直し。そして、今言った財源。先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、税制の見直しですよね、財源の見直し、これは非常に難しいことになると思います。国と地方の配分を変えるわけですけれども、今、国の財政難の中で、地方にお金を渡すということは非常に難しいことは承知していますけれども、配分を変えるというのは難しいということは承知をしていますが、それでもなお、やはり私はやるべきだと思います。

 これについて、大臣の決意を伺いたいんです。

新藤国務大臣 私は、前政権で置かれなかった道州制の担当大臣の任命を受けています。また、それが安倍政権の姿勢であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それは推進のための担当大臣でありまして、私が今行っていることは、必ず道州制もその行き着く中に、その道の中に入っているというふうに思っています。そのときに道州制という名前になるのかどうかも含めて、これは概念として我々は取り入れようとしているわけでありまして、地方分権を進めていくこと、その先に国と地方の統治機構の見直しというものが、大々的な、抜本的なものが生まれてくるに違いない、だから、それまでの間にできること、分権を進められることは少しでも進めておかなくてはいけないし、小さな一歩ではなくて、私は大きな入り口が開いたんだと思っています。

 それは、地方の発意と多様性を認めることによって、全国で一律の最大公約数のものしか今までテーブルに上げられなかったんですから、それを個別具体のもので発意のあるところには多様なものを認めていこう、それによって、魅力ある地方と、そして自立性が維持できるんだ、確保できるんだ、こういう信念のもとで進めさせていただいているわけでありまして、それは政権がかわったといえども、地域の自立性を高めていこうという精神に何ら変更はないし、これからも、まだまだそれは全く至りませんけれども、この気持ちは変えずに続けていきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 時間が来ました。

 道州制については、地制調の二十八次答申もありますし、さまざまな議論は出そろっています。ですから、あとはどうやって実行していくかということだと思います。北海道は、先ほど申し上げましたけれども、道州制特区ですから、あそこに権限移譲をやってみればいいんですね。こうした思い切った施策が必要だと思います。

 地域主権改革を進めたい、そちらでいうと地方分権改革ですが、その思いは一緒だと思うんです。ですから、ぜひ、我々も提案をいたしますので、ともに大臣には頑張っていただきたいと思います。

 以上、終わりたいと思います。

高木委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 本日の案件は、まさに地域の自立をどのように促していくのか、肝心かなめとなる大切なものでございますので、二十分しかございませんが、幾つか質問させていただきたいと思います。

 私ども日本維新の会は、先行して呱々の声を上げた大阪維新の会結党以来、一貫して、都道府県を市町村という、加えて国もそうですが、それぞれ階層が異なる行政府、自治体が重複して似たような事務をして行政コストが増大することを、二重行政の無駄、こういうふうに位置づけ、その解消策をさまざま提唱してまいりました。

 とりわけ都道府県並みの権限を持つ政令指定都市は屋上屋を重ねるようなもので、お金の無駄、時間の無駄、人の無駄の典型例でございます。ですので、地下鉄、水道事業などの民営化で新たな財源を生み出し、大学や病院など、大阪府と大阪市がなぜか重複した行政サービスを行っているものを徹底的に見直し、府と市がばらばらに進め、府と市の不一致でフシアワセ、こういったふうにやゆされていた戦略や政策を一本化する大阪都構想実現は、私どもの至上命題だと確信をしておるところでございます。

 昭和三十一年に政令指定都市制度ができ、二〇〇三年のさいたま市誕生までは、人口要件が百万人ないしは近い将来百万人になると見込まれる都市というふうにハードルが高かったものの、平成の大合併に際して条件が緩和されたため、今では二十もの政令市が誕生をしております。

 中には、人口要件をクリアするために周辺町村との合併を繰り返し、政令市でありながら、過疎債の起債が認められるエリアを含んだり、棚田や渓谷美の観光資源をアピールしたり、投票率の低下も手伝って、十万票に遠く及ばない得票での政令市の市長が誕生する、こういった現象が見られるのも珍しくなくなりました。

 私は今のこうした現象に大変な違和感を覚えてしまうわけですが、新藤大臣の御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 政令指定都市は、人口が集中して県並みの機能と能力を持つ、こういう地域について、その独自性を発揮していただくために、自治を拡充するために設けられた制度です。ですから、そもそも二重行政というものを想定しておりません。だが、結果としてそれが二重行政になっているんだとするならば、それは解消しなければいけない、こういう論理展開を私はしているわけであります。

 それから、よく大阪のことをいろいろ触れていただきますので、これはやはり考えるべきだったんでしょうね。東京都が、特別区が八百九十五万人の中で二十三区です。大阪市は、二百六十七万人で二十四区です。先ほど千葉のお話が出ましたが、千葉も六区。ですから、やはり大阪という市域がどういうことだったんだろうか。また、別の委員の方からは、公営バスの運転の方の職務が千四百万になっているだとか、それから、たしか生活保護も最も多い受給者がいらっしゃると。

 ですから、やはりそれぞれの地域に問題があったと思うんですが、それらの問題解消のために、地域の方々が、大阪の住民の方々が、住民の意思を受けて必死にそういった改善を図ろうとしていること、これはとてもすばらしいことだと思います。ですから、我々もそういうものに対応できるような大都市の法律を定めて、あとは、住民の意思に従って手続が進めば実現できるふうになっているわけであります。

 でも、それと、全国の全ての指定都市や都市問題を一概に、一つにしては、私は言い切れないところがあるのではないかと思います。政令市の人口要件を七十万に落としましたが、これは合併特例期間のみでありまして、今現在は、また百万人に戻っているんです。

 先ほども言いましたが、人口減少社会においてこれから日本全国の活力を維持するためには、地域にそれぞれの吸引力を持った力の強い都市をつくり、その周辺の過疎化をとどめ、そして、活性化をするために広域的な連携、役割分担をしながら、日本の国の中にそれぞれの幾つもの拠点をつくらなければならない。そうでなければ都市問題は解決しないし、過疎問題は進むし、結果的に、その先に人口減少があれば、それは自治体を形成することができない地域がどんどんふえてくる。

 二〇五〇年に二割の地域が無居住化するわけでありますから、こういったものに対応するため、大都市というそういう制度を拡充しようとしているわけでありまして、私とすれば、これはそれぞれ必然性があって、整合性がとれているものだというふうに考えています。

 個別の具体的な問題は個別に解消すればいいものであって、制度としては、そういう一連の流れの中で、大阪には大阪の問題があるとするならば、それは大阪がきちんと解決をしていくための努力をされておりますし、我々はそれにお手伝いもしたい、このように考えております。

上西委員 御答弁ありがとうございます。

 今大臣の方から、力の強い拠点をつくるということが必要であり、そして、個別に生じたふぐあいに関してはそれぞれの地域が解消していけばいい、そして、それを政府がしっかりと後押ししてくださる、こういった御意見をいただきました。ありがとうございます。

 また、それに関しまして、今回の法案では、中核市に昇格する要件も三十万人から一気に二十万人に減らされることで、中核市、これも相当にふえると思うんですけれども、今政令市に関しては少し御説明をいただいたわけですが、やはり私としては、中核市、こういったものを誕生させるメリットというのがよくわからないわけでございます。

 ですので、中核市のあり方、そして、今、二重行政に関する新藤大臣の御所見をいただきましたが、特に、事業を一本化する調整会議、これの果たすべき役割をどのように想定されているのかをお聞かせいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 中核市の人口要件は減らされるのではなくて、ハードルを下げることによって、中核市になっていただける市がふえる。ですから、窓口が広がるということであります。

 しかし、その中で、指定都市と都道府県の役割というものがございます。ですから、まさに委員が一番最初に、こういった大都市問題の中の課題の一つである二重行政、これらを解決するために事業を一本化するための調整会議というものを設けようではないか、このようになったわけでありまして、中核市につきましても、これは特例市を統合するんですから数がふえてきますね。ですから、そういうもろもろのものに対しての調整機関が必要だ、セーフティーネットとしてそういったものを設置しようと考えているわけでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 それでは、次に移らせていただきたいと思います。

 日本の領土であります島根県竹島の領有権をめぐり国際司法裁判所へ提訴しようにも、敗訴が明らかなためか韓国が応じないために国際的な正当な判断を仰げないのは、提訴には当事者双方の合意が必要だからです。

 今まであった、総務大臣が任命した学識経験者による自治紛争処理委員の調停が、国際司法裁判所と同様に、当事者同士の合意が必要だったのに比べると、今回、調整会議で意見が一致しない場合は、知事か市長のいずれか一方の申し出で総務大臣が勧告をして決着をすることとなり、これは大きな進歩だと思っております。

 しかし、裏返せば、国の中央の権限がより強まってしまい、地方分権の逆行、これが進んでしまうような危惧を抱いております。

 また、私としては、二重行政解消策として、市を解体し、都に広域行政を一本化する大阪都構想の方に軍配を上げたいと思っております。政府案では、話し合いだけをしても、タイムリーな施策ができない上に、二重行政の解消にはまだまだ不十分だと思えてなりません。

 橋下徹大阪市長の大阪都構想は広く報道されていますので、新藤大臣も御承知のことだと思いますし、先ほどから大阪都構想についても触れていただいておりますが、再度、今私が申し上げたことを踏まえ、新藤大臣、大阪都構想をどのように御評価されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 大阪都構想につきましては、その以前に大阪市の抱える問題というものが独自のものがあった、その地域固有の課題を解決するためにそのようなお考えで進め、それが、その地域住民の有権者の賛意を得て進めるべきかどうか、こういうことになっているわけであります。

 私どもとすれば、国内において有数の有力な都市においてそういった問題が発生し、それらも念頭に置きながら、大都市における特例を設けるような、そういう法律も制定されたわけであります。ですから、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする大都市地域特別区設置法、これらに基づいて大阪の構想というものが進められるのではないか、このように思っております。

 それは、私どももお手伝いさせていただきますが、大阪の問題解消のためには、何といっても、その地域の住民の皆様の知恵と、そして住民から選出された首長と議員の皆さんがしっかりとした議論をしていただきたい、このように考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 大阪市の抱える独自の課題を解決するためには、やはり地域がしっかりと立ち上がる、そして、有権者の支持を得て地域の課題を解決させるために、総務大臣の方からも御支援をいただけるということでお聞かせをいただきました。

 次に参りますが、一昨日、総務省より二〇一三年十月一日の人口推計が発表され、総人口が前年より約二十一万七千人も減少し、しかも、六十五歳以上人口比が二五%を超え、十四歳以下の人口のシェアは一二・九%で過去最低であった旨のショッキングなデータが発表されました。

 学者たちから人口減少時代が到来するとの話を聞いてもまず疑っていた者たちも、今やその現実を体感する時代となってしまったわけですが、そのような趨勢を念頭に入れながら、各市町村の事務を大都市がむやみやたらに補完して、一極集中だけを加速するようなことがないような御配慮をお願いしたいと思いますが、総務省は人口減の状況をどのように捉え、またどのような対策を講じていらっしゃるのか、お聞かせをいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 まさに、人口減少社会といいますか、人口減少が国家的課題ですね。これをどのように克服して、我々はそれに対応していくのか、これは非常に重要な問題だと思います。

 端的に言って、かつて、年間でたしか二百五、六十万人生まれたときがありました、新生児の数が。今それが百万人を切ろうとしているわけでありますから、その子たちが二十年後、三十年後、社会の主力になったときにどのような国ができているのか、これはもう言わずもがなであります。労働力の減少というものも最大の課題です。

 そして、私たちは二〇五〇年にはというお話をよくさせていただくんですけれども、さらにリアリティーを感じるためには、東京オリンピック、二〇二〇年のときには三百万人減ると言われているんです。そうすると、横浜市ぐらいの人口がいなくなってしまう。そして、二〇三〇年では一千万人減少する。東京都にいるような方々がいなくなってしまう、そういう状態があるんだ。

 かつ、人口が五万人以下の自治体が全国で七割であります。千七百十八自治体のうちの七割は五万人以下なんです。残りの三割の地域に八割の人口が集中している。したがって、そこに都市問題が発生し、かつ過疎の問題が発生し、過疎は、残念ながら、とどまることを知らずにさらに進んでいっている。

 だから、私たちがやるべきは、まず、全国に拠点となるべき力の強い都市をつくって吸引力を発揮して、人口の一極集中を少しでもとどめて分散、多極化を図るということ。それから、それにしても都市と地方、過疎の問題は残りますから、過疎地であっても元気になれるような、千七百十八自治体があるならば千七百十八通りの元気プランをつくろうではないか。これが、地域の元気創造本部を私が設けた最大の原点であります。

 そして、そこでは、持続的可能性そして自立というのがキーワードになって、地域の資金を活用しながら、自分たちの工夫によって、自分たちなりの特徴を持った事業を起こそう、それによって仕事もお金も回していける。それから、その仕事に参画することで人がふえてくる、定住性を高める、こういったことで過疎を食いとめ、自立ある、そして個性を持った地域をつくらなければならない。それは必ず、人口減少社会を迎える日本に対して有効な策である、こういうことで始めている、こういうことでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 全国でそういった拠点となる力の強い自治体をつくり、そして一極集中を防ぐ、本当にこれが実現したならば過疎化も解消され、すばらしいことだとは思います。(発言する者あり)頑張ります。

高木委員長 不規則な発言は注意してください。

上西委員 そして、地域の自主性を高めるために、それぞれの地域、千七百十八通りの地域がそれぞれの工夫、そしてそれを生かすために政府がしっかりとバックアップをしていく。

 今国会も政府からさまざまな法案が出されましたが、私から意見を言わせていただけるのであれば、もっと地域が本当にそれぞれの地域の力を最大限に発揮できるように、地域が予算を自分でどのように使えるのか、使うのかというのもしっかりと決められるような、自主性をもっと生かせるような形にしていくように、新藤大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 続いて、ちょっと、時間がありませんが、総合区についてお尋ねをいたしたいと思います。

 政令市になると、市内が区に分けられ、区役所において転入転出の手続、住民票や証明書などの発行、もろもろの窓口業務が行われているわけですが、今回の改正法では、総合区への格上げをして、人事や予算編成の一部を任せ、権限が強化された特別職、総合区長が置かれることとされています。

 総合区長がそれだけの権限を有することは、理想に大きく近づきつつあるとは思うのですが、私は、やはりそうした形の区長は、市議会の同意によるものではなく、住民が直接、公職選挙で選ぶべきものだと考えております。

 政令市となれば、人口が数百万人にも上り、一つの県以上にサービスが求められるわけですから、区分は当然、また、地方分権の意味からも、責任者を明確にして、強い権限を与えるのは当然のことではないかと思っております。

 そこで、伺います。

 人口が大きく、都市機能や行財政能力が高いところならば理解ができるのですが、前にも述べましたような、一次産業従事者の比率が高かったり、移譲事務処理能力が余り見られない地域や、行政区の設置、区の事務を処理する体制に乏しいところまでをそれに含める必要があるのでしょうか。法文を読む限りはっきりしないのですが、部分的に総合区を設けたり、随時、総合区を追加したり、または全く設けることをしないこともできると解釈をしてよろしいのでしょうか。お聞かせください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 総合区の設置につきましては、条例によるということにしておりまして、この場合、指定都市の一部の区域に設置することも可能でございますし、全域に設置することも、あるいは全く設置しないということも、いずれも可能という仕組みにしようとしているところでございます。

 これは、やはり政令指定都市も、人口規模ですとか面積、沿革等におきましてそれぞれでございます。それぞれの指定都市の多様性を踏まえまして、それぞれの指定都市が地域の実情に応じて柔軟に導入することができる、こういう仕組みにしたということでございます。

 総合区を導入しようとする指定都市におきましては、それぞれの指定都市の実情に応じた形での総合区が導入されますように、十分御議論いただきたいというのがこの制度の考え方でございます。

上西委員 わかりました。

 指定都市が柔軟に、総合区をどのように設置するのか対応ができるということで、今後も地域の力がしっかりと生かせるような、そういった対応をお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 政令指定都市、今回の改正で二重行政を解消するということですけれども、私も神戸の市会議員をして、そして兵庫県議会というところの議会にも参加しました。そういった中で、こういった二重行政を解消していく。大阪さんは、大阪都構想という形で二重行政を解消しようとしている。それは地域のパワーがあって、いいところはあるんですけれども、なかなか、政令指定都市、神戸などは、大阪さん、大阪市と大阪府というのは、名前が府と市が一緒なんですね。だから、たとえ合併しようが、大阪都構想というふうにしても余り違和感はありませんけれども、例えば兵庫県と神戸市とか、神奈川県と横浜市ということになりますと、それを分けるということになれば、非常に住民なりに抵抗があるということです。

 例えば京都と京都市ならば、同じ名前ですから余り分ける分けないということには違和感がないと思うんですけれども、やはり神戸市市民の方々にとっては、大阪都構想という形で特別区で分けていくという考え方は、今のところ理解はされていない。大阪ではすばらしいことだと私はもちろん思っております。そういった中で、今回の改正によりまして、二重行政を解消していっていけるような道筋ができたということに対して、非常に私は感謝しております。

 そういった法律の中で、例えば、兵庫県における政令指定都市の中、やはり県庁所在地にある、神戸はそういうことになります。神戸市の中央区というところに、もちろん県庁もありますし、神戸市役所もある。そして、例えば男女共同参画センター、こころのケアセンター、生活創造センター、産業活性化センター、こういったいわゆる箱物であったり組織が全て神戸市の中央区にどうしても集まってしまう。そのような状況を私は神戸の中に見てきておりました。だから、兵庫県、神戸市に、二重行政は、お互いに協力してお互いの組織で共同でやっていけばいいじゃないかという話をしておりましたが、なかなか今までの法律ではできなかった。したがいまして、調整会議によって、県と市が一緒にやっていけることができるようになったということはすばらしい。

 ただ、大阪都構想の始まりは、大阪府と大阪市が仲が悪かった、そういったこともあるんですよね。だから、そういったことが全国の政令都市と都道府県の中にもある、そのための調整会議だと思っております。県と市が仲がよければ全然問題なくいけると思うんですけれども、市の考え方ということで、結局、いわゆる調整会議における総務大臣の勧告に従う法的拘束力というのがどこまで担保され、実効性があるのかなというところを非常に懸念していますし、もちろん、都道府県側にも立たなくてはならないし、政令都市側にも立たなければならない。そういった形の調整会議なり、将来、その拘束力というのをどのように考えているのか、まずお尋ねしたいと思います。

関口副大臣 指定都市と都道府県の間の二重行政の課題については、知事や市長だけではなく、首長の事務の執行を監視する役割を担う議会も含めて、まずそれぞれの団体の中で議論されるべきだと考えております。

 その上で、二重行政についての問題が顕在化したときは、その解消のため、指定都市と都道府県が協議する場を設け、公の施設の適正配置や効率的、効果的な事務処理など、両者が話し合うことが基本であると考えております。

 今回の改正案は、もう何回も出てきておりますが、当事者間で二重行政の解消を図るために指定都市都道府県調整会議を設置して、知事または市長のいずれかが二重行政を解消するために必要があると認める場合は、調整会議の開催を求めることができ、求めがあった場合は、これに応じなければいけないということになっております。

 その上で、万が一、指定都市と都道府県の間で円滑に調整が進まない場合は、市長または知事が、総務大臣に対して、必要な勧告を行うよう申し出ることができるとしたところであります。これも評価していただいているということで、ありがとうございます。

 市長または知事から勧告を求められた場合、総務大臣は、第三者機関である指定都市都道府県勧告調整委員を、調整を必要とする事案にふさわしい者から任命して、その意見を聞いた上で、これに基づいて地域の実情に応じた適切な勧告を行うこととしております。

 法的拘束力の話もさっき出てまいったわけでありますが、この勧告については、法的には尊重義務があるものであります。

 これらの仕組みによりまして、二重行政の問題の解決が図られるように取り組んでまいりたいと思っております。

新原委員 そうですね。勧告調整委員というものがつくられるということなんですけれども、その構成ですね。全国的に、一般的に見て調整するよりも、やはり地域のそれぞれの、例えば兵庫県と神戸市の立場がわかる人もメンバーに入って調整をしていかなければ、なかなか話が、全国一般的な話ではお互いに納得もしないと思うんですね。

 だから、この委員の構成等なり委員の人数なりというのはどのように今後つくっていかれる予定なのか、もし決まっておりましたらお願いいたします。

門山政府参考人 お答えいたします。

 指定都市都道府県勧告調整委員会の委員でございますが、これは、調整を必要とする事案にふさわしい方を、やはり地域の事情がわかるかということも含めてでございますけれども、そういう方を選任するということで制度を用意していきたいというふうに考えているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、本当に、県側に立ってその地域の立場がわかる人間、そして、政令都市側に立って立場がわかる人間も、地域の人間も入れていただいて、その中で勧告調整をしていただきたい。今後、そういった委員等、そういった状況にならないとこういった委員会はつくられないと思いますけれども、そういったことも意見としてお含みいただいてつくっていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そういった中で、大阪都構想というのは、特別区をつくって市を解体しようという考え方で、先ほどの大阪府と大阪市、例えば兵庫県と神戸市、神奈川県と横浜市という形で、横浜、神戸等は、特別自治市といいまして、いわゆる全権限、財源を市に下さいという考え方があるわけですね。これは、政令都市を特別区に分けないという考え方ですね。

 そういう考え方でちょっと見てみますと、大阪市には、二百六十六万人で、先ほど大臣も言われましたように二十四区あるんですよね。すごい数なんですよ。神戸市は百五十万で九区、横浜は三百七十万人で十八区ということで、大阪に比べて神戸や横浜というのは割と区が少ないという形なので、わざわざ特別区をつくらなくても、地域の実情に別に今のところ問題ないという考え方ですね。となると、今度考えるのは特別自治市、つまり全財源を下さいというふうに、横浜も神戸もそういった構想をしております。

 そういったことにはかなりのハードルがあると思うので、そう簡単にはいかないと思うんです。だけれども、やはり、大阪都構想がありきの特別自治市という考え方があるので、これは地域が求めていけば、将来的には考えて、地方自治なり地方分権を考えるときに、地域の要望、これをしたいと地域が出してくることによって、それを国ができる範囲でやらせてあげていくというのが本来の地方分権、地方自治だと思うんですね。だから、大阪都構想という特別区という考え方と特別自治市という考え方、これは相入れないものなので、そういったときに、僕は、道州制ということが非常に重要だと思っているんですよ。

 例えば、特別自治市という形で、もし神戸なり横浜が都道府県から独立してしまうということになりますと、私の資料の二番目にありますけれども、税収が、例えば兵庫県全体のうちの大体三分の一強、神戸から税金が出ている。神奈川県におきましては、半分弱ぐらい出ている。言うてみれば、特別市、特別自治市として独立していけば県の財政が成り立たなくなるといいますか。

 つまり、税の再分配をある程度はしているんですね、もちろん。国レベルでもしていますし、都道府県の中でも、いわゆる大都市から税金をある程度集めて、地方のそういった地域にも再分配するという機能も都道府県はやはりしているんです。そういったことは全然構わないんですけれども、もし、特別自治を求めて横浜なり神戸が独立していこうとする動きがあれば、私は認めていく方向で考えていくべきだと思うんですけれども、そういった大きな都市が都道府県からのいてしまえば、残ったそれ以外の県というものは、そこだけでは成り立たないといいますか、財政としては成り立ちにくいんですよね。

 だから、道州制によってそういった地域をカバーできるようにしていけば、結局、特別自治市も何とか認められるような方向もあるし、そして大阪都構想のような特別区にするということも認めるという形、こういうふうな許容範囲といいますか、非常に自由度が増すと思うので、道州制というものについては、大臣、前向きに考えていただいて、特別自治市という考え方もやはり理解していただきたい。

 もちろん、大阪都構想は大阪では進めていただいたらいいんですけれども、やはり横浜なり神戸はそういう考え方を持っておりますので、そういったことも御理解いただきたいと思います。

 そういった中で、特別市、特別自治市と、特別区を設置して大阪都にするということなんですけれども、その双方にとってメリットなりデメリットはありますので、その点について、大臣としてのお考えを。

新藤国務大臣 今非常に重要な御指摘をいただいているんですけれども、道州制になったときに、県の存在というのは、何となくどうなるかはイメージが見えているようであります。では、政令指定都市というのは残すんですか。それから、中核市というのは残るんですか。だとすると、基礎自治体という考え方はどうなってしまうんでしょうか。ましてや、そこに特別自治市というものがあるとするならば、そこは警察権も独立する、徴税も独立するならば、では、その市域から発生した、その市だけではなくて周辺も含めた財政の問題はどうなるんでしょうか。もろもろ課題が出てくると思うんです。

 私は、国、県、市、どこの議員であろうと、全て国民であり、県民であり、市民じゃないですか。だから、ちょっと言葉が難しいんですけれども、こういうことを考えるときに、何よりも、自己中心的なもの、独善的になっては絶対にいけないと思っているんですね。

 自分の町があるというのは、やはりそれは自分の地域があって、例えば神戸なら神戸がそれだけ立派なのは、兵庫県の中にあるんですから。

 神戸だけよくなればいいなんという考えは毛頭お持ちでないと思いますが、神戸というあのすばらしい町は、自分たちが発展することによって、兵庫県域に対してどういう影響を与えるのか。それから、兵庫県は兵庫県で、県域を発展させていく中で、神戸市という機能を使って、そして周辺自治体とどのように連携しながら兵庫県域を上げていくか。それらの各都道府県を連携させて、どのように国がよくなっていくか。全部つながっているわけなんですから、そこに、部分的な制度を、ここを導入すればこうなるということでは、なかなか議論はできないだろう。

 総括して、連携させて、最終的に、どこの地域の人も、ある一定水準の満足を得られるようにしなければ、これは制度としては成り立たないと思います。

 ですから、私たちは、結局のところ、自治を確立、保障しながら、財源を保障し、調整するという根幹的なところは国の業務として行っているわけでありまして、それらを含めれば、医療にせよ、警察にせよ、財政にせよ、これはもっと広い観点から検討して、それをそれぞれの地域に落とし込んでいく、そういう議論が必要だと思うんです。

 やや抽象的になって恐縮なんですけれども、余りにも形にこだわって、こうすればいいのではないかという形をさわるだけでは内情は追いついてこない。そのように、要するに手段が目的化することは最も我々は避けなければいけないことで、一方で、やはり変革していかなければ何も進んでいかない、このせめぎ合いの中でやはりベストミックスを考えていくべきだ、このように私は思います。

新原委員 ありがとうございます。

 私もそのように考えております。ソフトランディングといいますか、やはり一段一段上がっていくやり方と、どんと変えるやり方と両方あります。今回の法改正というのは階段を一段、二段ぐらい上がったような私は気がしておりますので、今回の改正については非常にいい方向には私は進んでいると思っております。

 そういった中で、やはり基礎自治体の長というのは選挙で選ばれていますから、自分のところの地域の主張なりを首長さんは絶対されてきはるんですよね。そういったことを調整するのが総務省であって、この法律でありますから、徐々にそういう自治、地方分権は進めていかなければならないと思いますけれども、このような形で一歩、二歩階段を上がっていくという今回の改正については非常に私は喜んでおります。

 そういった形であるんですけれども、一つ懸念。

 特例市から中核市になるときもあるんですけれども、政令都市と都道府県との調整によって事務を分担するときのことなんですけれども、職員といいますか、今まで県が持っていた結構特殊な職種といいますか、そういった特殊な資格というのは、なかなか人数というのは確保されていないと思うんですよね。そのような方々の、連携しているときに市町村なりと都道府県の給料や条件が違う。そして、もちろん政令都市と都道府県とも違います。

 そのようなときに、非常に人事交流というのがやりにくいというところがあって、実際に、そうしたらもうそのままこちら側に来てくださいと言うても、俺は都道府県に就職したからその条件でないと嫌やという話にもなりかねませんし、神戸でいうと、兵庫県よりも神戸の方が給料は高いですから、兵庫県の方々が神戸市に行くときに、その辺の条件をクリアしないとという形もありますし……

高木委員長 新原君、申し合わせの時間が過ぎておりますので。

新原委員 済みません。

 そういった形で、人事交流という意味ではどのように考えられておりますか。

高木委員長 短くお願いいたします。

門山政府参考人 中核市と特例市を統合する場合につきまして、人材の確保の課題があるということがポイントかと存じます。

 例えば、中核市になりますと保健所の事務で職員が必要になってまいります。そのためには、まず、現在保健所を持っております都道府県と中核市に移行を目指す市との間での十分な調整が必要となってくると思います。

 先行している事例では、職員の派遣といった地方自治法の制度を使いましたり、あるいは長期間に研修を県が受け入れるという形での調整がなされているところでございます。

 総務省といたしましても、こういった先行事例の情報提供など、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

新原委員 時間が来ましたので、終わります。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 民主党の奥野先生と質問がほとんどかぶってしまいまして、大体同じ視点なのかなと思いますが、その点、もし質問の中でかぶりましたら、御容赦願いたいと思います。

 まず最初に、ハローワークについてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 現在、埼玉県と佐賀県で特区をつくって職業紹介等をやっておりますけれども、そういう特区もあれば、そうではなくて、政令市、都道府県においては無料紹介所をやっておりますが、今どういうふうな状況になっておりますか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 地方公共団体が行う無料職業紹介でございますけれども、平成二十五年三月三十一日現在で、百七十七団体、うち、都道府県四十三団体、政令市五団体が行っております。

 また、これらの団体の二十四年度の実績でございますけれども、合わせまして、新規求職申込件数が三万六百七十六件、就職件数が六千六百九十六件、新規常用求人数が十六万九千七百二十九件となっております。

佐藤(正)委員 今お答えになりましたが、そのような状況をどのように考えられますか。どのように判断されますか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 私どもとしては、今後、労働市場全体のマッチング機能の強化というものが非常に大きな課題になってくるというふうに考えております。そうした観点から、ハローワーク、国、そして民間、地方自治体も含めて、このマッチング機能を強化しなければならないというふうに考えております。

 そうした観点から、地方公共団体が行う無料職業紹介事業とハローワークの一層の連携強化が必要であるというふうに考えております。

 このため、ことしの九月から、ハローワークの求人情報をオンラインで地方公共団体に提供する取り組みを開始することとしております。

 こうした取り組みによりまして、地方公共団体の行う無料職業紹介事業が一層充実をするということを祈念しているところでございます。

佐藤(正)委員 なぜ地方自治体がここまでやっているのか、その辺はどのようにお考えですか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 この職業紹介、労働力の需給調整につきましては、全国的に、例えば沖縄の方が東京へ就職する、あるいは首都圏でいえば、千葉県の方、埼玉県の方が東京都へ就職するというような形で、地域を超えた、自治体を超えた労働力需給調整というのが必要な部分もございます。その一方で、雇用の問題といいますのは、非常に地域に密着をした問題です。

 そうした観点から、自治体としても、例えばIターン、Uターンについての職業紹介ですとか、あるいは企業立地のための人材の充足のための職業紹介、そういったことで、地域に密着したさまざまな取り組みをしているというふうに認識をしております。

佐藤(正)委員 それは答えになっていないんですよ。

 ハローワークがあって、ハローワークは全国でやっているわけでしょう。それなのに、なぜ都道府県や政令市があえて無料職業紹介所をやるのか。例えば、若年者のサポートをしたりとかやるのか。

 ハローワークでできるんだったら、やらなくていいんでしょう。ハローワークで全部やればいいじゃないですか。そこが補えていないから、都道府県が、政令市が、地元に密着した職業紹介もやらなきゃいけないんですよ。

 今言われたように、都道府県だとか政令市がやっているところに全国の情報をオンラインで流す、こんなものは当たり前の話ですよ。逆に言うならば、都道府県や政令市でも同じなんです。そこも一本化すれば、同じ情報をどこに行っても見られるんです。

 こんなことは、よく総務大臣が言われるように、ITなんというのはもう当たり前で、一本でできる話なんです。それを、堂々と胸を張って、今回は都道府県の方にその情報を流しますなんて、そんなのは胸を張って言う話じゃない。

 だから、なぜ都道府県や政令市が無料職業紹介所をやらなきゃならなかったんですかというお尋ねをしているんです。国として、なぜ地方がやらなきゃいけないんですか、そこをお尋ねしているんです。もう一度お答えください。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 国といたしましても、国がこうした職業紹介を行っておりますのは、勤労権の保障としてのセーフティーネットワークとして、やはり全国一律の仕組みで職業紹介を行うという必要があるというふうに考えております。

 その一方で、職業紹介につきましては、先ほども御答弁をいたしましたとおり、さまざまなニーズがございます。これについては、国のみならず、民間企業あるいは地方公共団体それぞれで対応いただくという部分もあるというふうに考えております。

佐藤(正)委員 要は、国がハローワークを絶対手放さない理由は何なのか。

 これは、基本的には、財源の問題だとかありますよ。労働保険料の問題もありますよ。しかし、今言ったように、地域は地域の情報があり、国は国の情報があり、それをもっと身近でやるのであれば、国が情報を流せば地方で十分できるんですよ。だから、それをなぜさせないのか。

 そうすると、ILOの第八十八号条約第二条の、国の指導監督下に置かなければならないから、ILOに反するという答えがよく言われるんだろうと思いますが、今私が言った答えでいいですか、もしできないとすれば。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 ILO八十八号条約の第二条でございますけれども、これは、「職業安定組織は、国の機関の指揮監督の下にある職業安定機関の全国的体系で構成される。」というふうになっております。

 これにつきましては、職業安定組織について、全国ネットワークで、かつ、国が責任を持って直接運営をするということを求めたものであるというふうに理解をしております。

佐藤(正)委員 だから、それはできるじゃないですか、情報を流せばいいというだけの話だから。何らそこにこだわる必要は、実はなくて。

 では、国の指導監督下というのは何なんですか。

宮野政府参考人 国と地方公共団体の関係、これは国によってもそれぞれ違うと思いますけれども、少なくとも私どもの理解では、今の我が国におきます地方自治の関係からすれば、国が直接指揮監督をするという形で仮に地方公共団体の機関の指揮監督をするということは、仕組みとしては、少し難しい面があるのではないかというふうに考えております。

佐藤(正)委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども。

 要するに、何が一番大事かというと、仕事を求めている方と働く方を求めているものをマッチングして、より早く雇用を前に進めることが大事なんですよ。何のためにやるのかといったら、それが大事なんです。

 そのために一番いいのは何なんでしょうかというと、先ほど言った、国とか都道府県だとか政令市とかがそれぞれやる必要性はなくて、地方でわかるものを地方でやって、そして、なおかつ情報をいただければ十分賄えるということを言っているんです。だから、こういうものは、ハローワークなんというのは、地方に任せたらいいんですよ。

 これはまさに、今までの議論は、二重行政、三重行政、まあ三重行政は言わなかったけれども、本当に二重行政です。一番わかりやすい二重行政。これは地方からも随分と声が上がっていると思いますよ、実際は。

 先ほど大臣いろいろ答弁されましたけれども、いわゆる地方から上がってくるものは、迅速にとは言わなかったですけれども、なるべく地方の声を生かして、提案があればそれを実現していく、これが本来の地方分権というふうに言われました。今回は提案型も考えているということですよね。そうすると、こういうものこそしっかりと地方にさせたらどうでしょうか。もう一歩、もう二歩進めるお考えはありませんか。

新藤国務大臣 これは、委員が今、当然だというふうにおっしゃっていただきましたが、私たちはすごい苦労したんです。

 そもそも、労働行政は国が一括してやるべし、こういう中で、県域を超えて、地域を超えた雇用というものが発生します。それから、加えて、やはり労働保険の問題です、雇用保険。この処理については、やはり国が一元的にやらないと、地方に委ねるといっても、結局、それは、地方と地方がまた調整をしなくてはならないとかいろいろな問題が出てきますから、これは客観的に分析していかなきゃいけないんです。

 その上で、我々が今回やったのは、ハローワークの無料の職業紹介機能は、これは全国の希望する自治体に移していこうではないか、こういうことをやろうといたしました。

 これは、実際には、なかなか簡単ではなくて、厚労省の専用回線に入って、そして、その厚労省のソフトを見るためのソフトをもう一回つくらなきゃならないんです。これをまともにやると、一自治体、平均十台導入するとして、二千五百万かかる、こういう話だったんです。

 ですから、それは、そうではないでしょう、もう少しやり方を変えて、少なくとも、自治体が国の情報をとりつけるためには、共通のソフトを国がつくればいいじゃないか、それで、自治体にそれを提供したらいかがですかと。それから、今は専用回線なんですけれども、やがて、一年半ぐらいでしたか、後で、これは一般公衆回線に移るんです。自治体の方は、公衆回線だって十分に秘密は保たれるよ、セキュリティーは維持できるよと。

 こういうことを地方分権の有識者会議で私どもでさんざんもんで、結果として、実質ゼロ負担で全国に、希望するところには提供できるようになったんです。これは、そういう作業をやらなければ、今までの人たち、誰もできなかったんです。

 そういうふうに、委員にすれば当たり前だということがあるかもしれませんが、法律に基づいてそれぞれ責任を持ってやっているものを変えていくというのは、一つ一つの地道な作業をしなければ、ふたはあかないということであります。

 ですから、私は、自治体の職業紹介を広げていくことはいいことだと思います。私の地元でもやっているんです。県でもだめなんです。国がやっているものに加えて、今度は、県が、埼玉は今やっています。県庁の職員が私の地元の川口の人たちと一緒に組んでやったときに、何と言ったか。市町村とやると、人との距離が違うから、なるほど、こういうふうに交渉ができるんですね、こういうふうに話ができるんですね、よく勉強になりましたということを県の職員がおっしゃいました。それはそのまま、今度、国の職員もそういうことが言えるんです。

 だから、役割分担をして、何よりも、目的は、職業をあっせんして、できるだけ早く生業についていただく。この成果を上げるためには国、県、市の連携が必要なのであって、これをどこかに全部渡しちゃえばそのままでうまくいくとは、私は思っておりません。法律に基づいて、平等を保障しながら、実効性を上げるための工夫をする、それが今私たちがやっている仕事でありまして、今度のハローワークのことはすばらしい成果だと。だって、二千五百万掛ける自治体の数、計算してください。それがゼロ負担になったんですからね。これは工夫が必要なんですけれども。

 そういったことで、着実に一つずつ進めさせていただく、このように御理解いただきたいと思います。

佐藤(正)委員 二千五百万が自治体でどうのこうのという、これは労働行政で見たらもっとやり方はいっぱいありますよ、はっきり言って。そこは確かに、数字云々で大変だったんだろうと思います、一個変えるだけでもいろいろなものがかかわってくるんでしょうから。目的は何かというと、さっき大臣が言われたように、早くマッチングして就職してもらうということが目的。役所の理由なんてどうでもいいんです、そんなもの。役所の理由じゃなくて、何をやるべきかが大事なので、それに向かって制度設計をやらなきゃいけない。

 もう余り僕の持ち時間がないのであれですが、ぜひ、このハローワークの問題は、前向きに、まださらなる前進を進めていただくことを要望して、この問題については終わりたいと思います。

 それから、きょうお見えになっていただいているので、河川について。

 今回の中身は、一つの都道府県で完結をするものについては、都道府県に移譲しようということですよね。これの前に、実は、都道府県と政令市の中でもありましたよね。都道府県の河川の管理が、その中で、一つの河川を全てその政令市で完結していれば政令市でそれをやっていただきましょう。これの大型版みたいなんですね、今回は。

 それで、私の地元のことを少し申し上げて、質問にかえさせていただきますが、北九州市というところに紫川という川がありますが、この紫川は全部完結しているんですよ、北九州市で。ところが、いまだに福岡県は移譲しないんですよね。おかしいんですよ、どう考えても。その点についてお尋ねをしたいと思いますので、国交省の参考人の方がお見えになっていると思いますが、お答え願いたいと思います。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生が今おっしゃいましたとおり、指定都市の区域内の二級河川の管理権限でございますけれども、これは、河川法の第十条の第二項により、都道府県と政令都市が十分調整をした上で、都道府県知事が指定都市の長の同意を得て区間を指定することにより移譲することができるというふうになっておりまして、この制度を活用いたしまして、例えば横浜市の境川でございますとか名古屋市の山崎川のように、管理権限を移譲している事例もございます。

 河川法の規定が設けられた平成十二年以降、指定都市の区域内の二級河川の管理権限の移譲というのはふえてきているわけでございますけれども、移譲に当たりまして、どうしても、移譲する際には、氾濫した場合などの、指定都市の区域を超えたような県全体の影響ですとか、あるいは、今まで管理していた水準をどういうふうに維持するのかというような点から、河川ごとに状況なり指定都市の事情が違うというようなこともあると思いますので、都道府県と指定都市が十分調整をしていただくということは、私どもとしては重要だというふうに思っております。

 国交省といたしましては、二級河川の管理権限の指定都市への移譲については、今後とも、河川法の制度を活用していただいて、地域の実情を勘案しつつ、都道府県と指定都市が十分調整した上で、円滑にお決めいただきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 いや、私は地元のことを聞いたんですよね。北九州市と福岡県がこれまでずっとそういう調整をやってきたけれども、北九州市は移譲してくださいと。それは、住んでいる方から見ると、政令市だけ流れている川ですから、みんな、政令市が全部管理していると思うんですよ、普通に。そういった問題の中で、この問題は長い懸案事項ですよ。

 要は、何が言いたいかというと、今回は都道府県と国。その前にやっているじゃありませんか、既に都道府県と政令市の河川の問題は。やっているんですよ。だから、そこで、今回、都道府県と政令市がなかなか協議がうまくいかないとなったときに、今度は総務大臣の勧告ができる、これはある意味で大歓迎です。

 これだけ長年やってきても解決しないんですよ、本当に。だから、本来なら、国土交通省なりがしっかりその辺をできるのであればもっと解決の方法があったのかもしれませんが、今度の調整会議について、こういった問題も、実は現実に、何十年来の話がつかないんですよ。これは、一つは、人、物、お金に絡んでくるんです。恐らく、今後も、ここだけの問題ではなくて、全国でこういうことが起きてくると思います。

 最後に、こういう事例をあえて出させていただいたわけですが、勧告という重みについて大臣の考えを聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 私は、地方分権を実務的に進めなければいけない、このように思っているんです。その上で、必要な調整は果たしていかなくてはいけないし、頭の切りかえも必要だと思います。それから、気持ちの切りかえも必要なんですね。

 大体、権限が動こうというときになかなか動かないのは、法律が邪魔をしているか、もしくは、主に財源問題が決着しないことが多いんです。したがって、そういったことを総合的に、我々は、地域でできることは地域でやっていただくんだ、そして国は全体の管理を行うんだ、この原点をいつも押さえながら、私どもも必要な役割を果たしていきたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 もう時間が来ましたので終わりますが、道州制の問題も一度また大臣と議論をさせていただきたいと思いますが、基本的には、基礎自治体を中心にした道州制だと私は考えております。道州制は単なる合併ではない。道州制は、国を活性化して世界に戦える日本国をつくる、こういうのが目的だと思っておりますので、また議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、第四次一括法案に関連して、権限移譲の問題について質問をいたします。

 第二次一括法におきまして、一連の権限移譲が行われております。その一つに、社会福祉法人の認可等の権限移譲も含まれております。

 この点について、厚生労働省に、その内容、あわせて、幾つぐらい一般市に移譲されたのか、このことについてお尋ねをいたします。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉法人に関する権限移譲につきましては、委員御指摘のように、第二次地方分権一括法の施行に伴いまして、平成二十五年四月一日から、事業区域が一般市を超えない法人に限り、所轄庁に係る権限が都道府県から一般市へ移譲されております。

 具体的には、社会福祉法人の設立の認可、指導監査、解散命令などの権限が移譲されたところでございます。

 この権限移譲によりまして、平成二十五年四月一日現在で、全国一万九千八百十法人のうち九千百三十一法人が一般市の所管となっておりまして、その割合は約四六%となっているところでございます。

塩川委員 都道府県から一般市に、多数の社会福祉法人の設立認可等の権限が移譲されたということであります。

 この第二次一括法のときの権限移譲について、内閣府が状況調査を行っております。具体的な支障があると回答の多かったものとして、今御紹介いただいた、社会福祉法人の設立認可等の権限移譲があるわけですが、具体的な支障の中身、社会福祉法人の設立認可等に係る権限移譲に対してどんな支障があるという声が地方から出されているのか、このことについて教えていただけますか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年の七月に、第二次一括法による基礎自治体への権限移譲の施行状況の調査を行いまして、その中で、権限移譲における支障とあわせて、それへの対応状況も調べたところでございます。

 今御指摘の、社会福祉法に基づく社会福祉法人の定款認可の事務に関してでございますが、幾つか例を申し上げますと、定款の認可については、法人の状況だけではなく、関連している施設状況の把握が必要となるため、施設を監督する都道府県との密な連携が必要となってくること、そういう支障に対しましては、同一法人に係る情報については都道府県と相互に共有を図る、そういう対応をとったというようなことがございます。

 また、社会福祉法人の会計面における検査を行うに当たりましては、財務諸表等の内容を理解する専門知識が必要となってきた、そういった課題が出てきたわけでございますが、それに対しては、嘱託員を新たに採用して配置をして対応したというようなことが出てきたところでございます。

 それぞれ、いろいろな支障、課題に対して各自治体でいろいろな工夫を凝らして対応しているという調査結果が出ております。

塩川委員 財務諸表等、社会福祉法人について独自の会計もあるということで、そういう点での手間が非常にかかる、業務量が大きいということが具体的な支障の中身として出されているということが紹介されました。

 ここで、兵庫県の事例を取り上げたいんですが、権限移譲となりました法人への指導監督について、県と市が委託契約を結んで、当面、これまでどおり、一般市に権限移譲されたさまざまな権限を県が執行するということができるようにしたわけですけれども、こういった内容については御承知でしょうか。

末宗政府参考人 承知をしております。

 極めてレアケースでございますけれども、兵庫県においては、市町村と話をした上で、希望のあるところについて県が事務を引き受けるという例があると聞いております。

塩川委員 これは、兵庫県からのお話をお聞きしましたが、第二次一括法の施行により、二〇一三年四月から社会福祉法人への指導監督等の事務、権限が一律に一般市におりることになりました。

 しかし、県に対して幾つかの市からは、人的な体制がない、ノウハウ、専門性がないとの懸念の声が寄せられて、県としても、市としてはつらいことになるのではないのかと受けとめて検討した結果、権限移譲となった法人への指導監督について、県と市が委託契約を結び、当面、これまでどおりの事務処理を行うことができるとすることにしました。

 ただし、法律で権限移譲が定められているので、いつまでもというわけにもいかないということで、二〇一四年度までを期限として、それ以降は各市で行ってもらうという対応ということであります。

 やはり法人への指導監督では専門知識やノウハウ、一定の経験が必要となります。定款のチェックですとか、年一回の現状報告等、その報告に基づく点検などがありますし、法人からの相談があれば、それに応える必要も出てまいります。

 行政の窓口が頼りにならないと法人としても困ることでありますし、特に、社会福祉法人の会計基準がこの間改められて、一般の財団や社団とは違って特殊であって、監査業務が非常に大変だという声が上がっているわけであります。県はこういった監査の部署があるので、当然、県としてはノウハウを持っているわけですけれども、市の方にはそれがない、それが困難さとなっているわけです。

 ですから、先ほど内閣府が状況調査で紹介をしたようなこの支障ありという実態というのは、まさにこういうところにあらわれている。そういう中身について、よく御承知になっておられるんでしょうか。その点、どうですか。

末宗政府参考人 確かに、実際、調査をさせていただいた中で、人的な面ですとか、ノウハウをきちっと伝承するようにとか、いろいろな課題は承知をしております。その内容につきましては各自治体でも共有するようにし、あるいは、その具体の対応について、内閣府ないしは厚生労働省と連携をして、事務が円滑にいくような取り組みをしているところでございます。

塩川委員 本当にわかっているのかという点もあるんですが。

 ある市の担当者は、本来は県がやるべき業務だと思う、現場は、よりよい福祉をつくろうと、事業内容の向上のために事業者と一緒になってやっている、そのときに同時に監査もやるとなると、どうしてもぎくしゃくすることになるということで、結局は、少ない人数の中を、いわば、事業者への支援に当たる部門と、監督に当たるような、監査に当たるような部門と分けざるを得ない。こういうのは、一般市の、それも規模が小さいようなところで本当に可能なのかどうなのか、こういったことについてしっかりとした実情を見るべきじゃないでしょうか。

 そういった点で、では、実際に権限移譲がされた場合に、必要な財源がどうなっているのか、人手についての保障がどうなっているのか、こういうことがまさに問われてくるわけであります。

 総務省にお尋ねいたしますが、社会福祉法人の監督等の、都道府県から一般市への権限移譲に当たって、財源措置というのは具体的にどういうふうになっているのでしょうか。

佐藤政府参考人 社会福祉法人の定款の認可及び監督に係る事務については、従来は、都道府県分の単位費用に計上して基準財政需要額を算定しておりました。その上で、指定都市及び中核市分については補正で、その年に需要額を加算し、一方、同額を関係する都道府県の需要から減額するという措置をしておったわけであります。

 今回、この権限が一般市にまで移譲されております。移譲に要する経費を内閣府で調べましたところ、全国で十三億円という見積もりでありました。したがって、二十五年度の算定からは、従来のやり方をやめまして、この十三億円の全額を市町村分の基準財政需要額に算入するということにしたところでございます。

塩川委員 こういうことが実際に数字上は行われていたとしても、現場が実感できないというのは、別に担当の現場において人がふえたわけじゃないという形になってあらわれるわけです。

 ですから、一般市の小さいところで、今言ったように、事業者に新たに事業所をつくってもらいたいとか、そういった社会福祉法人への支援や相談をする活動と同時に、そうはいっても、適切に執行がされるような監督も行わなくちゃいけない。そこは両々、なかなか矛盾するところでありまして、人の面で、組織の面でのきちんとした区分というのもやらないと、本当の意味での住民福祉の向上につながらないという点、それにふさわしいような財源や人的な支援になっているのかということについていえば、現場の声で紹介をすれば、この権限移譲に当たって人員や財政面での新たな措置はないと感じている、臨時、非常勤の増員はあったけれども、職員定数は増員されていないというのが実態であります。

 こういう、県がもう一度委託を受けるということを行う際に、地元の神戸新聞が報道しておりますけれども、豊岡市の声を紹介していましたが、市内の十四法人を県に委託する豊岡市は、わずかな権限を受けるのに担当者を置くより、数十万円の委託料で済むならありがたいと。権限移譲が実態に合っていないんじゃないのか、こういうところに見てとれるんじゃないでしょうか。

 こういった社会福祉法人の権限移譲が行われる。さらには、地域主権戦略大綱では、社会福祉法人だけでなく、施設に関しても、一般市までの権限移譲を求めております。これはどのような内容でしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方分権改革推進委員会の第一次勧告を踏まえて検討、調整を進めた結果、平成二十二年の地域主権戦略大綱においてでございますけれども、児童福祉施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホームの設置認可等については、基礎自治体の実態調査を行った上で、移譲に向けた具体的対応策を年内に得られた場合には権限移譲を行う旨が位置づけられているところでございます。

塩川委員 今お話があったような児童福祉施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホームの設置許可等の権限移譲について、結果としては、どのように現時点で措置されたのかどうなのか。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、児童福祉施設に関する検討でございますけれども、基礎的自治体への移譲を検討いたしましたけれども、幾つか理由はございますけれども、とりわけ小規模な自治体におきましては、財政的あるいは人材的に多大な負担を強いることになるのではないかという結果となっているところでございます。その結果、都道府県、指定都市、中核市が権限を有するという状況でございます。

 一方、特別養護老人ホームあるいは養護老人ホームでございます。これにつきましては、今申し上げましたような背景もございますが、あわせまして、入所者が市町村の区域を超えるということを想定しておりまして、この設置認可等につきましては、広域的な視点からの対応が必要だというふうに考えておりまして、そういった点を考えますと、市町村が適切に事務を行えるかどうかということに懸念がございましたので、現在のような状況になっているところでございます。

塩川委員 そういう点では、施設について、検討はそのままの状態になっているということであります。方向としてはその方向だということでもあります。

 重ねて厚労省にお尋ねしますが、介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定等の権限を都道府県から一般市に移譲することについて、内閣府に対する厚労省の回答では、一律な市までの権限移譲は適当でないとしておりますけれども、その理由というのは何でしょうか。

有岡政府参考人 この点につきましても、先ほど申し上げました事情がございます。

 業務の内容からして住民の健康にかかわるということもございまして、やはり必要な財源措置や人材確保等が講じられなければならないということで、一律な対応は適切ではないというふうに考えたところでございます。

塩川委員 住民の健康にかかわることであり、十分な財源、人的措置がない限りは困難ということで、一律な市までの権限移譲は適当でないという指摘というのは重要であります。

 大臣にお尋ねします。

 この法人についての権限移譲についても、現場では非常に苦労があります。さらに施設となれば、もっと、実際に業務しているわけですから、そういった点での自治体の負担というのは大変大きなものがあります。

 ですから、そういう点で、一般市におろすという場合でも、三十万規模の一般市もありますし、一方で四万とかいう規模の一般市もあるわけで、それを一律に権限移譲というのは実態に合わないんじゃないのか、一律の権限移譲というのは地方の実態に合わない、私はそういうふうに思いますが、大臣はいかがですか。

新藤国務大臣 この権限移譲が、より身近な窓口において住民サービスが提供される、これはメリットだと思います。一方で、今委員が御指摘のような、そういうノウハウの蓄積ですとか専門職員の養成といったものも必要だと思いますし、財源だとか事務の執行について、そういった対応が出てくることも事実だと思います。

 ですから、これは、それぞれ、移譲を受けた団体では工夫を講じていただいておりますし、国においても、そうした課題については、事務、権限が円滑に執行できるように、都道府県と連携しながら、技術的な助言、そして職員の研修、派遣等の支援など、また確実な財政支援、こういったものもやりたい、このように思っております。

 基本的に、地方の団体なり、地方のこういった御要望に応じて権限移譲の要望が出て、それに対して対応してきておりますから、まずはそれを尊重していかなくてはならないと思いますが、現場におけるそういったスムーズな対応ができるように心がけてまいりたい、このように思います。

塩川委員 いや、問題は、一律に権限移譲するというやり方がおかしいんじゃないのかということを聞いているわけですよ。現場はいろいろ、おりてきた以上はどうにかしなくちゃいけないとなるわけですから。でも、それがかえって大きな負担となっているんじゃないのかという問題であります。

 兵庫県内でも、一般市、人口の規模があります。例えば、社会福祉法人の数を教えていただきましたら、人口二十二万人の宝塚市は十一ですけれども、八万人のたつの市は二十もあります。また、人口十六万人の川西市は八つですが、五万人の小野市は十六もあるわけで、いずれも人口規模に対して、これはほぼ職員の規模に比例しますけれども、六倍の開きもあるわけなんです。

 そうなれば、やはり、小さな団体であればあるほど、一般市という区切りで見れば、さらに負担がふえるという結果になるんじゃないのか。そういうのも一律にやるというのはやはりおかしいということを言わざるを得ません。

 改めて、一律にやるのはやめるべきじゃありませんか。

新藤国務大臣 まず、その地域における住民の御要望というのがあります。それから、地方分権を進めていこうという、国民のそういった期待と御要望があると思います。そういう中で、事務的な打ち合わせをして、私は、それが円滑に遂行できるように、そして適切な処置ができるような工夫は必要だ、このように思っているわけでありまして、自治体の職員の皆さんにとっての負担であるか否か、これは許容範囲でなければ困ると思いますよ。一方で、そうした地域における住民の方々のニーズというものも全国一律にあるとするならば、そういったものも勘案しながら総合的な判断をしていくべきだろう、このように私は思っております。

塩川委員 対人サービスの点についてはしっかりと市町村で行う、それは積極的だ、こういうことはよくわかります。

 しかし、事業者に対する指導ですとか監督という業務において、やはりそれは適正な規模で行うというのは必要なんじゃないのか。

高木委員長 塩川君、申し合わせの時間が参りましたので、短く。

塩川委員 はい。

 例えば、高度な専門性が求められるような業務や、事務量が少なく、広域で行う方が効率的な業務もありますし、事業者の振興と規制の分離が求められる、公正性、中立性が求められるような業務など、広域自治体の都道府県が担う業務があるのではないのか。

 一律に権限移譲するやり方というのが、かえって基礎的自治体の業務に支障をもたらし、ひいては住民福祉の向上の障害となりかねない。法律での一律の権限移譲というやり方はやめるべきだということを申し上げて、終わります。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る二十四日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

高木委員長 この際、一宮人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。一宮人事院総裁。

一宮政府特別補佐人 このたび、内閣から人事院総裁を命じられました一宮なほみでございます。

 私は、四十年近くの間、裁判官として裁判に携わるとともに、地方裁判所長や高等裁判所長官として裁判所の組織運営や人事管理等にも取り組んでまいりました。その後、昨年六月からは、人事官として国家公務員の人事行政に携わってまいりました。これからは、人事院総裁として、これらの経験を生かしつつ、人事院に与えられた責務を果たすよう全力で職務に取り組んでまいる所存でございます。

 委員長初め委員の皆様方から御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、御挨拶にかえさせていただきます。(拍手)

高木委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.