衆議院

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第19号 平成26年5月8日(木曜日)

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平成二十六年五月八日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川田  隆君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中村 裕之君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      松本 文明君    八木 哲也君

      山口 俊一君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    西野 弘一君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    樋口 尚也君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     岩田 和親君

  中谷  元君     八木 哲也君

  湯川 一行君     川田  隆君

  馬場 伸幸君     西野 弘一君

  濱村  進君     樋口 尚也君

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     田所 嘉徳君

  川田  隆君     湯川 一行君

  八木 哲也君     中谷  元君

  西野 弘一君     馬場 伸幸君

  樋口 尚也君     濱村  進君

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政不服審査法案(内閣提出第七〇号)

 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七一号)

 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び行政手続法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政管理局長上村進君及び財務省大臣官房審議官星野次彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)委員 自民党の大西英男でございます。

 何と十五分という貴重なお時間を質問時間として頂戴して、恐縮をいたしております。

 質問に入る前に、冒頭ちょっと、これは嫌みでも何でもありません。高木委員長を初め各理事の皆様方のまことに適切な委員会運営によって効率的な委員会が進んでいるということについては、心から敬意を表する次第でございます。しかしながら、今国会ももう余すところわずかになってまいりました。そして、総務委員会の審議時間が延べ約五十時間に及んでいるわけでございます。その中で、我が自由民主党の議員が質問した時間はわずか二時間五分でございます。

 私は、地方議会を三十年近くやってまいりました。地方議会においては、ドント方式あるいは比例で時間配分を行い、例えば知事与党であろうと野党であろうと、平等に質問時間は確保されていたわけでございます。

 ある先輩に言わせると、国会は議院内閣制だ、それこそ、我々議員の仲間から、与党から閣僚を出しているんだから質問時間は調整されるべきだという御意見もあることは私も承知しております。しかし、議院内閣制も議会制民主主義の原理に沿って行われているわけでございまして、議会制民主主義の原点、一番大事なことは、それぞれ国民から選ばれてきた議員に対して平等に、公平に質問の機会が与えられるということでございます。

 私は東京だからまだいいんです。東京はメジャーのマスコミが新聞等全部行っていますから、こういった委員会での質疑なんというのは全く取り上げてもらえないと言っても言い過ぎではありませんが、地方の皆さんがずらっといらっしゃいます。地方ではローカル紙が幅をきかせています。そこの一面を飾るのは国会での質問です。そのときに、我が自由民主党の議員は、選挙区に帰ると、何だおまえさん、本当に国会議員としての役割を果たしているのか、野党の人たちばかり質問をしているじゃないかというような声も我々は漏れ承っているわけでございます。

 私は、だからといって高木委員長を初め理事の皆さんの運営に否やを申すわけではありません。そういう思いの議員もいるということをぜひ頭の片隅に置いていただきたい、そのようにお願いをいたしまして、質問をさせていただきます。

 行政不服審査法関連三法案について御質問をいたします。

 この行政不服審査法は昭和三十七年に制定されました。それまでは、訴願法という明治時代の法律によって行政に対する不服申し立てが行われていたわけで、それも特定案件に限られておりました。それを思い切って、民主主義の観点から、こうした行政不服審査法を制定したわけでございます。

 ちょうどあの時代は、東京オリンピックを目前にしていたときで、時代は、前へ前へ、そして、少しぐらいの行政の問題なんかは経済活動によって、あるいは実質活動によって乗り切ればいいんだ、行け行けどんどんの時代でございましたから、この法律の制定についても、公平性だとか公正性だとか、そういった問題についてまだまだ不十分である、そういう議論も昨今行われてきているわけでございまして、新藤総務大臣のもと、歴史的に画期的に、この法に対する改正案が今国会に提出されたわけでございます。

 まず最初に、今回の改正の意義、目的について、大臣の所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 ただいま大西委員から御指摘いただきましたように、今回の行政不服審査法は、約五十年ぶりとなる大改正につながるわけであります。

 行政不服審査法そのものは、裁判手続によらずに、行政の自己反省機能を生かし、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための法律、それは、国民から信頼される公正な行政基盤を構築する、こういう仕組みであると私は考えております。

 そして、五十年間、行政不服審査法の抜本的見直しは行われておりませんが、その間に、行政手続法という、処分を行う前段階での手続の公平性や透明性を高めるもの、そういった手続も入れました。また、行政事件訴訟法の抜本改正という中で、国民の権利利益の救済の拡大、そういったことも取り組まれてきたわけであります。

 私とすれば、今この時代に、公正性の確保や国民の使いやすさというものをさらに促進させるために、今回の改善をしようということでございまして、処分に関与していない者が不服申し立ての審理を行うことを法律上明らかにする、それから、第三者機関によりまして、これは行政不服審査会等でありますが、第三者機関による点検を行うとともに、選択制の再調査の請求を導入する、こういった手続に関して国民の選択の幅を広げる取り組み、また、不服申し立て期間を延長する、こういうことによりまして、公正性を確保して、国民が使いやすい制度の実現を図りたい、このように考えているわけでございます。

大西(英)委員 今回の改正案の中で、今の大臣の御説明にもありましたように、公正性の向上が掲げられまして、新たに審理員制度の導入や行政不服審査会を設けることが上げられたのであります。

 我が国の今日までの経過の中で、行政不服審査法によって多くの行政の過ちが指摘された事例もあるわけでございまして、それこそ二千七百件近い行政事件訴訟が行われました。そのうち二百件近くが法によって厳しく指摘を受けたわけでございまして、これによって、国民のための行政、国民のための政治というのが大きく前進を遂げたわけでございます。

 さらには、この行政不服申し立てによって、裁判で勝訴したことによって法改正まで進んだ事例も幾つかあるわけでございまして、こうした制度について、これはある意味では民主主義の根幹にかかわる問題ではないかと思います。

 今回、適切な公正性の向上のためにさまざまな取り組みが行われてきているわけでございまして、審理員制度あるいは行政不服審査会、これらを設けるということについて、基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

上川副大臣 行政不服審査制度につきましては、委員の御指摘のとおり、民主主義の根幹にかかわる大変大事な制度であるということでございます。

 先ほど大臣の方からの御答弁の中に、審査制度そのものにつきましては、行政の自己反省機能を発揮し、その専門性を生かして簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度ということでございます。

 御指摘の、今回、審理員制度と行政不服審査会ということでございますが、まず、審理員制度につきましては、現行の行政不服審査法の中には、不服申し立ての手続を実際に進める者につきましての法律的な定めがございません。処分に関与した者がこれを行うことも排除されないという仕組みになっているところでございます。

 改正法案につきましては、この点を改めまして、処分に関与していない者が審理員として指名をされる、この者が責任を持って不服申し立ての手続を行うことを法律上明らかにすることによりまして、手続の公正性、また透明性を高めることにしているところでございます。

 また、さらに客観性、公正性を高めるために、法律または行政の有識者で構成される行政不服審査会が、第三者の立場で、不服申し立てについて審理員及び審査庁が行った手続の適正性をチェックし、また、判断の妥当性を検証することとしているところでございます。

 これらによりまして、この両方の制度が相まって、全体として、簡易迅速かつ公正な手続のもとで国民の権利利益の救済を図ろうとするものでございます。

大西(英)委員 ただいまの御説明を伺いまして、大きく前進をしたと私どもは前向きに受けとめさせていただきたいと思うんです。

 この審査によって仮に不服があった場合には、裁判所への訴訟の道が開かれています。しかし、裁判所での訴訟につきましては、裁判官も、全ての行政についての専門的な知識をお持ちになっているわけではない。しかも、厳正な手続によって裁判の長期化が避けられない。これによって、今、多くの案件が裁判所に持ち込まれているわけでございますけれども、司法の効率性からいっても、訴訟に持ち込む前の段階で、行政不服審査でしっかりと納得ができるような公正な、そして国民の権利をしっかりと認めた審判がなされるということは大切なことだと思うわけでございます。

 そして、松本政務官が久々にお座りでございまして、突然質問をいたしますと後でいじめに遭うといけませんから御質問はいたしませんけれども、ぜひ、新藤総務大臣を先頭にして、こうした問題についてもさらに一層の御努力を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、行政不服三法案ということで御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この行政不服審査法の利点というのは、訴訟に比べて簡易であるということ、あるいは書面での申し立てができる、費用がかからない等、こういったことが挙げられるわけでございますけれども、今回の改正案におきましては、国民の納得感を向上させるということが非常に狙いであるというふうに考えております。行政不服審査会などの第三者機関を設置して公正性を向上させよう、このようにしているものと理解しております。

 一方で、これまでも行政は、この行政不服審査法をみずからを省みる契機としてこられたわけでございますけれども、この審理の機構、仕組みが変わることによって、行政におけるみずからを省みる自己反省の機会が損なわれるようなことはないのかどうか、この点を大臣にお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 この行政不服審査制度は、先ほども申しましたが、行政の自己反省機能を発揮して、その専門性を生かして、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度だということであります。

 今回の改正におきましては、審査庁の職員である審理員が責任を持って審理を行い、大臣等に不服申し立てに対する判断の案を提出することになります。それによって、この自己反省機能が強化されると私は考えているわけであります。

 また、新設されます第三者機関でありますけれども、審理員の行った審理手続の適正性をチェックすることが役割であります。最終的な判断は、各大臣等が責任を持って行うことは従来と変わらないということであります。

 したがいまして、この改正法案というのは、審理の客観性、公正性の向上を図りつつ、大臣等が責任を持って判断する仕組みを強化するということでありまして、まさに自己反省機能を強化していく、これにつながるのではないかと考えております。

濱村委員 自己反省機能を強化できるということでありますので、その点については非常に評価をいたしたいと思いますし、公正性を高めつつも自己反省機能を強化できるということでは、非常に大きな進歩であるというふうに考えております。

 さらに、公正性についてお伺いしたいと思うんですけれども、第三者機関であります行政不服審査会等を国あるいは地方で設置するということになりますけれども、この行政不服審査会を通して審査を行います。国は総務省において、そしてまた地公体は、共同設置や他団体へ委託をすることができる。これを事案ごとに設置することができることとなりますけれども、これは、地域によって行政不服審査の申し立て件数が偏っていたりする、こういった地域の実情に合わせて設置となりますので、これも非常によいことであるのではないかというふうに考えております。

 ただ、有識者の方々、人選を行った上で第三者機関として設置するわけでございますけれども、各団体によって審査の期間や基準についてはばらつきが生じてくるのではないか、こういった可能性もあるわけであります。この点については、総務省としてどのように取り組んでいかれるのか、お答え願えますでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の第三者機関でございますが、これは、審理員による審理手続を通じて争点とか証拠が十分整理されているということを前提にしまして、原則として、審理員意見書、事件記録等に基づく書面の審理によりまして、審査庁の判断の妥当性を審査するものでございます。

 御指摘いただきましたように、第三者機関の調査審議に要する期間、それから審議の内容は、個別の案件の複雑さ等により大きく異なるほか、第三者機関がみずから証拠調べをするかどうか、こういった手順によっても大きく異なるということになるとは思っております。

 このように、個別の案件内容等によって、ある程度、調査審議の期間、内容、基準といったものに違いが生じることはやむを得ないということは思ってございますが、そういいましても、一方で、合理的な範囲を超えて、その期間、内容、基準等にばらつきが生じるということは望ましくないと思ってございます。

 したがいまして、総務省といたしましては、施行通知等で地方公共団体等にこの改正法案の趣旨の徹底を図りますとともに、第三者機関の運用に係る標準的なひな形、マニュアルといったものを作成いたしまして情報提供することを通じまして、各地方公共団体で適切な運用がなされるように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

濱村委員 今、個別の事案ごとによって違うであろうということは確かに理解いたします。それに対して、個別に施行通知等で、総務省からしっかりとマニュアル等徹底していくということでありますが、これは、運用していく中でもしっかりと監視をし続けていただきたいというふうに思いますので、この点も、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いて次の質問に移りますけれども、次は、使いやすさの向上について質問をさせていただきたいと思います。

 質問の冒頭にも申し上げましたが、この行政不服審査法というのは、審理が迅速で簡易にできるということが利点であるわけでございます。公正性を担保する仕組みを導入することによって、迅速性といった利点、今までずっとあった利点、これが損なわれてしまうおそれがあるのではないかというふうに考えます。この点についてはどのような措置を講じられるのか、お答え願えますか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、改正法案におきましては、行政不服審査会等への諮問手続、これが入りますので、現行制度より手続が慎重になる、そういう点はおっしゃるとおりでございます。

 他方、今回の改正法案におきましては、例えば十六条におきまして、標準審理期間を定めまして、公にするよう努めなければならない、また、二十八条におきまして、審理関係人と審理員が相互に協力して手続の計画的な進行を図らなければならない、こうした責務規定を設けたほか、第三十七条でございますが、審理を計画的に進めるために、審理員が、関係者、審理関係人の意見を聞いた上で、現場検証ですとか参考人陳述等の必要性を判断いたしまして、口頭意見陳述等の期日や、それから審理手続の終結の予定時期、こういうことを決定することができるようにしております。こういうふうに、審理員の主宰のもとで審理を計画的に進行させ、迅速化を図ることとしてございます。

 また、もう一点、第四十三条では、審査請求人が希望しない場合、これは不服審査会等への諮問を不要としてございまして、早急に裁判所の方に出訴したい国民にも配慮しているほか、それから、不服申し立て前置の見直し等も設けているところでございます。

 これらによりまして、全体として、公正性を高めつつも、簡易迅速性が損なわれることのない仕組みとなると考えております。

濱村委員 今、期日を設ける、あるいは諮問しなくてもよいということがあるということで規定されているというわけでありますけれども、その点については迅速性が損なわれることがないということでありますので、しっかりと取り組んでいただければなというふうに思います。

 続いて、地公体における不服申し立ての件数と、それについてどのように改善されているのかという点についてお伺いしたいと思います。

 地公体においては、不服申し立ての件数、割合を見ますと、情報公開条例が一番多い、第一位である。その次に、道路交通法が二番目に多いという状況であります。

 例えば道路交通法でいいますと、スピード違反をしました、こういった状況について不服申し立てをするわけでございますけれども、そういうことについて、今から言うケースというのは余りないとは思うんですけれども、制限速度が余りにも低いがために違反が多くなってしまう、こういったこともあり得るかもしれません。

 この不服申し立て、そもそもの不服申し立ての件数を減らすためには、先ほど申し上げた、道路交通法上で制限速度が非常に低く抑えられているというようなところも見直していく必要があるんじゃないかということをどのように共有しているのかということを考えていきたいと思っているんです。

 結局、行政コストの面から考えましても、しっかり不服申し立ての件数を減らしていくこと。そしてまた、不服申し立てがあったら、それに対して、本当にこの基準が適正な基準なのかどうかということを種別によって整理、分類して、関係省庁にフィードバックするような仕組みを持っておられるのか。あるいは、そういった取り組みについて何かしら講じておられるのか。お答え願えますでしょうか。

松本大臣政務官 一般に、行政の制度や運用に問題がある場合に、これに関連して国民から不服申し立てが行われることが想定をされているところでありますが、個別の事件における審理を契機として、関係省庁や地方公共団体が制度や運用の改善を行うことは、行政の自己反省機能の発揮という観点から大変重要なことであります。

 改正法案において、行政庁は、不服申し立ての処理状況等について公表するよう努めなければならないとしているところでありまして、総務省としては、これらの公表結果を整理、分析をした上で、関係省庁や地方公共団体に提供することによって、制度、運用の改善を促すような取り組みについて検討してまいりたいと考えているところであります。

 あわせてまた、第三者機関が個別の不服審査案件の調査審議を行う中で、現行制度、運営の改善が必要ではないかという認識に至るということも想定をされるわけでありますが、そのような場合には、運用上、第三者機関が、答申書において、このような制度上の論点などを指摘することも可能だと考えております。

 総務省としても、第三者機関の答申を通じて、不服申し立てを制度や運用の改善につなげることは重要と考えておりまして、関係省庁や地方公共団体等に制度趣旨の周知を図るほか、こうした取り組みを通じて、行政運営の適切な実施が図られるよう努めてまいります。

濱村委員 非常に前向きなお話をいただきましたので、感謝申し上げるとともに、第三者機関における答申書によってしっかりと改善していくことは可能であると。これはぜひやっていただきたいと思いますし、使いやすさの向上といっても、そもそも、不服申し立てをしなくても済むことが一番大事な点であると思うんですね。そういう意味では、不服申し立ての件数を減らしていくという根本のところにしっかり改善の運用をしていただけるように取り組みをお願いしたいと思います。

 もう時間も来ましたので、最後の質問をさせていただきますけれども、今回の法改正で、審査請求人等による謄写ができるようになるわけでございますけれども、これまで証拠書類あるいは記録については閲覧しかできていなかったものを、運用の実態に合わせて謄写も可能にしたということであります。これは今も実は運用されているということで、謄写つまりコピーをされているわけでございますけれども、とはいえ、事務効率がコピーをすることによって上がると言われると、非常に、数十年おくれているレベルなのではないかというふうに思うわけです。

 もうちまたではコピーするのは当たり前という状況でありますし、今回の法改正、コピーができるようになったということは非常にすばらしいことなんですけれども、これは例えばなんですけれども、電子的なファイルとしてお渡しするとか、こういうことも検討をしたかどうかという点、あるいは、こういうことを検討するに当たっては、どのような課題があって、どのように取り組みをされようとしているのか、お伺いをできますでしょうか。

上川副大臣 今回の見直しの検討に当たりましては、関係団体へのヒアリング、パブコメ等を実施したところでございますけれども、御指摘の提出書類等の謄写につきましては、認めるべきということで強い意見が寄せられたところでございます。そのことも踏まえまして、法律上に規定をするということにしたところでございます。

 電子的なファイルの交付を求める権利につきましては、法律上規定はしておりませんけれども、審査庁の判断によりまして、審査請求人等に電子的なファイルを提供することは可能でございます。また、電子的に保存されているファイルの電子的な提供ということにつきましては、行政の効率化あるいは国民の利便性向上に資するものというふうに考えております。

 そこで、総務省といたしましては、電子行政の推進によりまして行政の効率化や国民の利便性向上を図る観点からも、これらの点につきましては、施行通知等で明らかにすることによりまして、法改正の趣旨を踏まえた適切な運用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

濱村委員 ありがとうございます。

 電子的なファイルの提供についても、審理員の判断によって可能となるということでありました。ですので、こういったさらなる改善というところは、しっかりと課題を明確にしながら、さらに改善を求めてまいりたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、国民の皆様にとって使いやすく、そして公平性が上がるということが大事でございますので、ぜひ適切な運用をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 行審法が昭和三十七年に施行されて以来、五十年ぶりの抜本改正とのことですが、今回の見直しの狙いである、使いやすさの向上、公正性の向上、国民の救済手段の充実拡大等がどの程度図られているのか、ただしてまいりたいと思いますので、総務大臣初め政府関係者におかれましては、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、現行の行政不服審査制度の問題点についてであります。

 一つ目は、行政不服審査請求の救済率についてです。

 我が国の不服が認められない場合の救済率は、諸外国と比べると、国、地方ともに極めて低いと言われておりますけれども、現状はどうなっているのか、国と地方に分けて教えていただきたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 行政不服審査法に基づく不服申し立ては、年間約五万件、正確に言いますと二十三年度で四万八千件でございますが、平成二十三年度に処理されたもののうち、不服申立人の主張が認められたものの割合、これを認容率と申してございますが、国の場合で一〇・六%、地方公共団体で二・八%となってございます。

 これは年度によって数値の変動はあるわけでございますが、平成十七年度以降、調査をしているのを見ますと、大体、今申し上げました、国で一〇%強、地方公共団体で五%程度で推移しているというところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 それでは、救済率が低い理由について、政府としてはどのように捉えているのか、教えていただきたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 一般に、原処分が適切に行われていますと、不服申し立てが認められる割合は低くなるということでございますので、認容率が低いということ自体が、それをもって不服審査制度が機能しているかどうかということを判断することができるものではないというふうには思ってございます。

 認容率につきましては、いろいろな要素がございまして、一つは、処分が分割可能であるかどうか、つまり一部認容ができるか。典型的には、課税額を一部減らす、全部お認めするのではなくて一部だけお認めするというような場合。それから、処分の前提となる事実が客観的、外形的に、外から見て認定可能であるかどうか。それから、制度の改正に伴って同種の案件が同時に、一斉に、一時集中的に申し立てが出てくるわけでございますが、こうした要因がありますと、認容率は低くなるという傾向がございます。

 このように、処分の内容、それから不服申し立ての性質によって大きく異なるものがあると思ってございまして、一概な理由としてはこれであるというものはございませんが、今言ったような内容から、不服申し立ての性格に応じて変わるものだと考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、そもそも、不服を内部で解決しようとする制度だ、申し立てる側から見れば同じ穴のムジナによる審査だ、したがって救済は期待できないとの指摘がありますけれども、そういう指摘に対してはどう思われますか。

上村政府参考人 内部の見直しであるということは間違いのないことでございまして、先ほど大臣からも答弁がありましたように、一つは、行政の自己反省機能ということを重視した観点から、そうした申し立てを端緒としまして、制度改善なり運営の改善につなげていくということもあるわけでございます。それが一点と、今回の改正案では、御指摘のような点も踏まえまして、中立的な立場の審理員、それから行政不服審査会のような第三者機関も入れるということによりまして、外部の目も入れて客観性を高める、こういうことを意図しているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、もう一つ。

 実は、行審法が適用されるのはわずか四%で、個別法で特例があるのが九六%で、これらについては行審法が適用されないので救済率が上がらないのではないかという指摘もありますけれども、こうした指摘に対してはどう思われますか。

上村政府参考人 現行法律、実効性のあるものは約千二百ございますけれども、そのうちで、処分があるもの、処分がないものといろいろございます。

 ちょっと今手元に数値がございませんので、大変申しわけございませんが、処分があるもののうち、行政不服審査法をそのまま適用するものと、一部特例を個別法で設けているもの、それから、一旦行政不服審査法を適用除外とした上で、同じような規定を包括的に書きおろす法律等がございます。そういうものを含めますと、ちょっと今数値を記憶してございませんが、かなりのものは行政不服審査法が基準法として機能しておりますので、この基準に沿った救済が図られる仕組みになっておると考えてございます。

福田(昭)委員 私は、今申し上げたような指摘に対してどう応えていくのかというのが改善をするポイントなのかな、そのように考えております。

 次に、そうしたことも踏まえて、行政不服審査制度の改正案についてお尋ねをしたいと思います。

 一つ目は、使いやすさの向上についてであります。

 不服申し立て期間を六十日から三カ月に延長したり、不服申し立ての手続を審査請求に一元化したり、標準審理期間の設定、争点、証拠の事前整理手続などの導入により迅速な審理を確保するとしておりますけれども、この効果、例えば、不服申し立てがふえるのか、あるいは救済率が上がるのか、そうしたことに対してどう見ているのか、お答えをいただきたいと思います。

上村政府参考人 これも運用の実態を見ていかないとなかなかわかりませんので、今一律に、こうだということを確度を持って予測することはなかなか難しいわけでございますが、使い勝手の向上ということを図っておりますし、間口を広げていくということもしていこうと思いますので、そういう意味では、申し立て件数がふえていくということはある程度予測をされるのではないかなと思ってございます。

 他方、救済率といいますか認容率の方につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、どういうふうな申し立ての件数がふえてくるのかということにもよりますので、これが上がるか下がるかというのは、今の時点では正確にお答えすることはちょっと難しいかと思っております。

福田(昭)委員 難しい質問ばかりして申しわけないんですけれども。

 それでは、権利救済の実質的拡大を図る観点から、不服申し立て期間を行政事件訴訟法上の出訴期間と同じ六カ月としなかったのはなぜですか。三カ月としたわけですが、六カ月としなかったのはどういう理由か、お答えいただきたいと思います。

上村政府参考人 まず、行政事件訴訟でございますが、これは、申し上げるまでもなく、裁判という厳格な手続で、行政の外にある者が、言ってみれば、申立人と、それと対峙する者が、対立構造の中で、きっちりした手続の中である種の解決を図っていくという制度でございます。

 それに比べまして、行政不服審査は、行政部内の簡易な手続としまして、先ほど来繰り返しておりますが、行政の自己反省機能という観点も踏まえて、簡易迅速に審理を進めるというものでございます。

 もともとそういうことがございますので、今の時点でも、行政事件訴訟法の方の出訴期間六カ月、それから行政不服審査法は六十日と違いがございます。平成十六年に行政事件訴訟法が改正される前は、行政事件訴訟法は出訴期間は三カ月であったと記憶してございますが、その時点で既に違っていた。したがいまして、もともとこれを合わせる必要があったというふうには当初から認識をされていなかったのではないかと思います。

 他方、行政事件訴訟法の出訴期間が延びたことを踏まえまして、全体として国民の権利利益の救済の向上を図る観点から、こちらの行政不服審査法につきましても、六十日を超えると却下ということもあり得ますので、それを延長したということでございます。

 加えまして、裁判というのは、御承知のように、弁護士を頼むとか訴状をしっかり書くとか、いろいろと手続が非常に複雑な面がございます。これに比べまして、行政不服審査の方は、簡単に言いますと、請求書、申請書一枚を書けば済む、簡易な手続でございまして、それほど準備に時間もかからないということもありまして、こういう差を設けているわけでございます。

 考え方としてはそういうことで、両者には違いがあるというふうなことは、今後ともそういうことになるのではないかなと思っております。

福田(昭)委員 私は、合わせてもよかったのかなと思っております。

 次に、今回、九十六の個別法における不服申し立て前置の見直しをするわけでありますが、これは非常に大きな改革だと思いますけれども、この効果をどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

上川副大臣 行政の処分に対しまして不服がある場合におきましては、行政に不服申し立てをするのか、あるいは直ちに裁判所に出訴するか、これは国民の皆さんが自由に選択することができる、これが行政事件訴訟法の第八条第一項の本文の原則というふうになっております。

 しかし、同時に、法律に、審査請求に対する裁決を経た後でなければ訴えを提起することができない旨の定めがあるときにつきましてはこの限りではないということでございまして、中には、出訴前に二段階の不服申し立てを必要とする二重前置と言われているものもございました。

 そこで、今般の改正につきましては、使いやすさの向上の観点から、裁判所の負担等も考慮しながら、不服申し立て前置の見直しを徹底的に行いまして、既に、前置について定めております九十六の法律のうち六十八の法律につきましては、特例規定を全て廃止ないしは縮小するということでございます。特に、二重前置につきましては全て解消するということでございます。

 その結果、例えば、不服申し立て前置が全部廃止される四十七の法律につきまして、処分の段階で、直ちに出訴するか、または不服申し立てをするかが選択できることになります。また、二重前置を一重化するということについての十六の法律案件につきましては、一段階の不服申し立てで、その次に訴訟ができるということで、この面で申しますと、この争訟の手続につきまして、国民の選択の幅が大きく広がるものというふうに考えております。

 また、不服申し立て前置について定める法律につきましても、審査請求があった日から三カ月を経過しても裁決がないときにつきましては裁判所に出訴することができるということで、行訴法の第八条第二項第一号に規定されているところでございますが、今回、不服申し立て前置が廃止されることによりまして、この三カ月を待つことなく、直ちに裁判所に出訴することができるようになるということでございますので、出訴に至るまでの期間が大幅に短縮をするということになります。

 さらに、不服申し立て前置が廃止される法律につきましては、直ちに裁判所に出訴することを選択した場合につきましては、反論書の提出とかあるいは証拠書類等の提出、こうしたことにつきまして、現行法で必要とされる審理プロセスに係る手続的な負担がなくなるということになりまして、大幅に簡素、迅速になるものというふうに考えております。

福田(昭)委員 詳しくお答えいただきましたが、もっと短くて結構です。

 今でも、行政裁判では一九%が実は救済されているということですから、先ほどの話ともつながりますけれども、裁判所に救済を求めた場合、それも選択できるようになる、それは非常に効果が大きくなるんじゃないかなというふうに私は考えております。

 次に、二つ目でありますけれども、二つ目は、公正性の向上についてであります。

 審理においては、職員のうち処分に関与しない者を審理員として指名して、裁決において、有識者から成る第三者機関が点検をし、審理手続における審査請求人の権利を拡充するなどによって、権利救済の公正さを担保するための独立性、専門性が確保できると考えているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

新藤国務大臣 現行の行政不服審査法では、不服申し立ての手続を実際に進める者についての法律の定めがないわけですね。したがって、処分に関与した者がこれを行うということも排除されない仕組みになっているわけであります。

 今回、私どもとすれば、この点を改めまして、処分に関与していない者が審理員として指名をされる、この者が責任を持って不服申し立ての手続を行うことを法律上明らかにすることによって、この公正性、透明性を高めることにしたわけであります。

 あわせて、客観性と公正性を高めるために、有識者で構成される行政不服審査会が、これは独立した第三者の立場として、審理員及び審査庁が行った手続の適正性をチェックし、判断の妥当性を検証する。

 この両方が相まつことによって、国民の権利利益の救済を図る際の簡易迅速かつ公正な手続が担保されるのではないか、このように期待をしているわけでございます。

福田(昭)委員 最初に申し上げたように、どうしても内部による審理じゃないかという疑問点に答えるためには、日本弁護士連合会などが提案をしている強力な独立性と専門性を有する審理官制度、これを創設すれば、例えば行政不服審査会などの第三者機関の設置は不要となって、さらに公正性の向上にもつながるんじゃないか、そのように考えられますが、いかがですか。

新藤国務大臣 審理官においても、審理員においても、目指す方向は同じ、公正性、客観性を高める、こういう意味においては同じだと思います。

 そして、かつて検討された法案の中には、審理官といったものもございました。しかし、私たちが今回御提案させていただいておりますのは、これは、まず、行政による自己反省機能として、みずからの専門性を生かして、処分の適法性だけではなくて裁量の妥当性についても迅速に審理を行う、ここに意義があるというふうに考えているわけであります。したがって、それはまず、不服申し立てに対する最終的な責任者である大臣の責任のもとで、専門性を有した者、公務員が審理を行う、こういったことを適切だと考えているわけであります。

 あわせて、それに加えて、先ほど申しました、第三者機関を置いて公正性をチェックするということであります。

 もしそれが、大臣からも独立したような、審理官と呼ばれるような、そういったもので不服申し立ての手続を行うことになれば、それは逆に、責任の所在がなかなか曖昧になる可能性があります。また、専門性において、審理官という組織が、行政の外に出すのだとするならば、それは、独立した存在として全省庁を見るようなものになるとすれば、全省をカバーするような専門性をそこでその審理官が全て持てるのか。こういう疑念が生じるわけでありまして、我々とすれば、大臣のもとでの審理員とそして行政不服の第三者機関、これをあわせることによって客観性や公正性を担保したい、このように考えたわけでございます。

福田(昭)委員 その点については、今後、我が党の委員が議論をしていくことになるかと思いますので、先に行きたいと思います。

 三つ目は、地方公共団体における審査会の設置についてであります。

 地方分権の流れの中で、地方公共団体の救済率の低さを考えると、地方公共団体こそ、審査会、むしろ審理官制度、そういうものが必要だと考えますが、いかがですか。せめて、都道府県、政令指定都市、中核市については、審査会、むしろ審理官制度を必置すべきだと思いますけれども、いかがですか。

松本大臣政務官 不服申し立てに関する国民の手続的な権利は、全国一律に保障されるべきであります。地方公共団体ごとに手続が異なることは望ましいことではありません。

 改正法案においては、原則として、全ての都道府県、市町村に、審査請求に係る事件を調査審議するための第三者機関を置くこととしているところであります。

 他方で、地方公共団体の規模は多種多様であり、また、例えば、町村の九割以上は一年間に全く不服申し立てがないなど、地方公共団体の中には、行政コスト等の観点から、常設の審査会を設置することが適当ではない場合や、恒常的に委員を確保することが困難な場合もあり得るところであります。

 このため、今般の改正では、地方公共団体における第三者機関の組織及び運営は、当該団体の状況等に応じて、条例または規約において柔軟に定めることができるとしたところであります。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 済みませんが、時間がなくなってきたので、短くお願いいたします。

 四つ目は、国民の救済手段の充実拡大についてであります。

 まず、是正のための処分等についてであります。

 何人も是正のための処分を求められるのか。また、法令違反とは、国においては、法律、政省令などのどの範囲までなのか、地方公共団体においては、条例、規則、規程など、どの範囲まで該当するのか、教えていただきたいと思います。

上村政府参考人 御指摘の法令違反の事実がある場合の法令とは、行政手続法第二条に定義があるわけでございまして、具体的には、法律、法律に基づく命令、告示、条例、それから地方公共団体の執行機関の規則、規程が定義上は含まれるわけでございます。

 しかし、地方公共団体が条例または規則に基づいて行う処分、それから地方公共団体が行う行政指導に関する手続は、これは行政手続法第三条三項というものがございまして、この規定によりまして適用除外となっておりますので、こうしたものにつきましては、この法律ではなくて、それぞれの各団体が行政手続条例等を定めていらっしゃる場合には、その条例が適用されることになるということでございます。

福田(昭)委員 それでは次に、時間がなくなってきたので、具体例を一つだけ挙げて、今回の行政手続法第三十六条の三、法令違反の事実を発見すれば是正のための処分等を求めることができるに該当するかどうか、お伺いをしたいと思います。

 一般論で申し上げます。

 A市で取り組んだ間接補助事業で、事業者が法令違反をしている事実を発見したら、申し出人、市民は、A市が事業者から聴聞、弁明を聞き、法令違反の事実を確認して、刑事訴訟法第二百三十九条第二項に定める公務員の告発をする義務をするよう、是正のための処分等を求めることができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

上村政府参考人 刑事訴訟法のお話でございますが、公務員の告発を受けて捜査機関等が捜査手続等を行うといういわゆる刑事事件でございますが、これはまさに刑事訴訟法等の別個の手続が整備されておりますので、行政手続法の適用除外とされております。

 また、この法律で申します処分等の求めというのは、行政庁等が法令違反の是正のための処分または行政指導を行うことを求めるものでございますけれども、今委員御指摘になりましたケースは、公務員が行う告発という行為でございまして、これは捜査機関に対して申告をするという行為でございますので、この法律で言う処分、処分といいますのは、国民の権利義務に直接に変動を及ぼすもの、こう解されておりますので、こうしたものには該当しない。また、行政指導、これは自主的な協力を要請するものでございますので、これにも該当しないと考えております。

 したがいまして、結論といたしましては、この処分等の求めの対象とはならないと考えております。

福田(昭)委員 それでは、この事例のように、告発する義務をやらない、履行しないという場合に、どういう対応の仕方があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

上村政府参考人 一般論として、そういうことを求めるということはできるわけでございますが、今回の法律は、そういう求めを受けた行政庁側に必要な調査をする義務を課す、それから、その調査の結果、必要があると認めた場合は必要な措置を講ずる、こういう義務を課す、こういうところに意義がございます。

 今言ったようなケースにつきましては、そうした法的な義務はこの法律によってはちょっとかからないということになります。

 ほかの個別法令の関係につきましては、恐縮でございますが、ちょっと私、今お答えできるだけの材料を持ち合わせておりません。

福田(昭)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。よろしくお願いをいたします。

 行政不服審査法、五十年ぶりの大改正ということでございますが、平成二十年に一度閣法で国会に出て、たしか廃案になっておりまして、その後、我が政権下においても議論が積み重ねられ、その中身についても今回一部取り入れていただいているということだと思います。

 もちろん、我々が提案した中身について取り上げられなかった分もあるわけでありますけれども、今回の法案の目的、簡易迅速かつ公正な手続というこの目的に沿うように、よりよいものになるように議論をきょうはさせていただきたいというふうに思います。

 福田先生と若干重複するところもございますけれども、まずは行政不服審査会、これは新たに総務省に設置をするということだと思いますが、若干順序が通告と違いますけれども、どういう機能を期待して今回行政不服審査会を設けたのでありましょうか。

新藤国務大臣 行政不服審査会は、行政の自己反省機能を発揮して、まずは行政側が審理員を置いて、そこで不服審査をする、それに対する手続、またその処分に対して、第三者機関を置いて公正性を確保しよう、こういう観点から、有識者による機関を設置しよう、このように考えたわけでございます。

奥野(総)委員 審理員の審理をさらにチェックする、外部からチェックするという趣旨で総務省に置かれている、行政評価と同じような趣旨で総務省に置かれているというふうに理解をさせていただきます。

 この行政不服審査法による不服申し立てというのは膨大な数があります。毎年、政府の調査を見ますと、平成二十三年調査だと、行政不服審査法に基づく不服申し立てというのは三万二十二件あるということであります。そのほかに、工業所有権関係のものも含めて、行政不服審査法に基づかないものも三万二千件あるということでありますが、今回は、行政不服審査法に基づく不服申し立て三万件について少し伺いたいんです。

 三万件あるにもかかわらず、この間レクで伺うと、行政不服審査会に諮問されるであろうと想定される件数が大体二百件というふうに先日レクチャーを受けたときに伺っておるんですが、三万件も不服申し立てが現状あるにもかかわらず、行政不服審査会に諮問されるであろうと想定されるものがわずか二百件しかないというのは、これはどういう計算になるんでしょうか、どういう理由になるんでしょうか。

上村政府参考人 まず一つは、先ほど、行政不服審査法というのは基準法であると申し上げましたけれども、行政不服審査法の基準に倣ってほかの個別法で同様の第三者機関が関与する仕組みが設けられている場合は、そちらの第三者機関にこれをかけていただくというふうなたてつけにしておりまして、そういったものは、今御指摘の行政不服審査会には諮問されてこないというふうなことになってございます。

 それから、あと、先ほども御答弁申し上げましたけれども、審査請求人が諮問を希望しない、早く結論を出してほしい、そういった場合にも、これは不服審査会にはかかってこないということがございます。

 それから、そもそも、まず、審査請求自体が不適法であって却下する場合、これもかかってまいりません。

 それから、全部認容の場合、これは申立人の言われるとおりお認めする場合でありますので、こうしたものについても行政不服審査会への諮問は要しない、そういうことになってまいります。

 そうした件数を母数から引き去ってまいりますと、先ほど言われたような数字になるということでございます。

奥野(総)委員 資料をいただいていますが、社会保険関係では社会保険審査会があり、あるいは国税通則法関係では国税不服審判所にかかる、国税不服審判所などは、弁護士さんとか大学教授さんとかを審判員という形で公募で採用して、なるべく客観的な審理をしているということは私も理解をしているつもりであります。

 その残りが二百件ということのようなんですが、ただ、仕組みを見ていくと、行政不服審査法の四十三条に諮問事項が書いてありまして、諮問しなくていい場合というのが閣法で列記されております。

 この四十三条の一項の一号を例えば見ますと、処分の際に審議会に付されて答申を得て処分したものについては、行政不服審査会に諮問しなくていいんだ、こういう規定ぶりになっているかと思います。

 まず、それで読み方はいいのかどうかという話と、それから、そうであるとして、レクのときに伺った話によれば、一度第三者の目に触れているんだから、わざわざもう一度行政不服審査会に諮問しなくていいんだ、こういう説明だったかと思うんですが、確かに、処分の中身自体は第三者の目に触れているのでより客観性が担保されている可能性はあるんですが、一方で、審理員が意見書を書くわけですけれども、審理員の事実認定とかロジックが正しいかとか、そういうところはやはりチェックする必要があると思うんですね。

 ですから、公正性をとるというのであれば、この一号のような規定はおかしいんじゃないか。こうした審議会の議を経ている処分についても行政不服審査会に諮問に付すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

上村政府参考人 改正法案四十三条第一項第一号でございますが、その趣旨は、今委員がおっしゃったとおりでございまして、個別法令の規定に基づきまして、第三者機関の議を経て原処分がされている場合、これは行政不服審査会への諮問を不要とするというようなものでございます。

 このような場合は、個別の行政分野におきまして、それこそ専門性の高い第三者機関によって調査審議がなされることによりまして、処分についての判断が公正かつ慎重に行われておりますので、その点で、まずは国民の手続的権利の保障はここで一旦実現をしていると言うことができまして、改めてそこで行政不服審査会の調査審議を経させるという意義は、ほかの一般の処分に比べると乏しいと思ってございます。

 もう一点、現実の問題といたしまして、行政不服審査会の処理能力というものがございます。これは、当然に限界があるわけでございまして、この役割を十全に果たしていただくためには、諮問件数というものも相応の件数としていただく必要がある。

 今先生がおっしゃった四十三条一項一号のケースでいきますと、ちょっと正確な件数は計算してございませんが、約千件ぐらい諮問件数がふえると思ってございまして、そういった現実的問題も踏まえまして、比較的諮問する意義が薄いものにつきましては、今回諮問不要とした、こういう考え方でございます。

奥野(総)委員 処理能力が二百件ぐらいしかできない、だからこういうものについては外していこうということだと思いますが、ただ、やはり公正性という意味においては、処理能力を強化してでもこういったものについても見る必要があるんじゃないかというふうに思います。

 それから、同じく第五号を見ますと、読み上げますと、「審査請求が、行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合」、こういうセービングクローズというか、何でも読めてしまう的な規定があるんですが、これをそのまま読むと、尻抜けになって、各役所が、いや、これはもう諮問しなくていいんだ、こう言い出す可能性もあると思うんです。そうならないようにきちんと事前に縛りをかけておくことが必要だと思いますが、それは文章にして、五号に当たるものはこういうものだというような縛りをかけたりするんでしょうか。

上村政府参考人 先生御指摘の四十三条第一項五号でございますけれども、これは、行政不服審査会等への諮問というのは原則でございますが、先ほど来述べてございますような、一方で公正性と一方で簡易迅速性と、両方の要請があるわけでございます。

 公正性を担保するのは重要でございますが、他方、迅速化の観点からいいますと、処分基準が法令上明確になっていて、そのとおりの基準になっている処分ですとか、それから、過去に類似した内容の審査請求が大量にありまして、その判断がある程度類型化されているようなもの、こうしたものにつきましては、処分の性質にもよりますけれども、こうした審査会が関与する実益というのがない場合もあり得ると想定をしてございます。

 このような場合につきまして、現時点であらかじめどういうものというのを想定して法文上規定するということは困難でございましたのでこういう書き方になってございますが、これはあくまでも審査会の合議を経て、その決定事項という形で諮問不要とすることができるというものでございまして、審査庁がそれを判断するというものではございません。

奥野(総)委員 いろいろな規定がずらずら並んでいるんですが、なるべく審査会に来ないように来ないように、いみじくもおっしゃっていましたが、処理能力の限界もあるので、来ないように来ないように、そういうたてつけになっているような気がいたします。

 公正性という意味ではこの審査会は一応担保になるのかもしれませんが、ただ、迅速性というのを考えたときに、これは迅速性に水を差すといいますか、これをかませることで、迅速な裁決、ワンテンポおくれる可能性があると思うんです。

 今回、異議申し立てをやめて審査請求に一本化していますが、処理期間を総務省の調査で見ますと、異議申し立ては大体三カ月以内というものが七割近くですね。処理期間、七割近くが三カ月以内。ところが、審査請求になると、三カ月超のものが大体半分ということになっていまして、異議申し立てよりも時間がやはりかかるんですね。今回、口頭陳述とかいろいろなものを入れるので、なお時間がかかると思うんです。ですから、さらに行政不服審査会をかませると、迅速性という意味では劣るというふうに考えられます。

 そこでなんですが、いっそ行政不服審査会はやめにしてしまったらどうか。公正性を別のところで担保するというのが我々の提案です。先ほど来、福田先生からもございましたが、審理員制度をもう少し中立公正に運営できるようにすれば行政不服審査会は要らないんじゃないか、これを廃止すれば、迅速性にも資するわけであります。大臣、それはいかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、今回の不服申し立ては、行政による自己反省機能を生かすんだという意味において、まず、それぞれの関係省庁において審理員を置いて、専門性を持って審査をし、最終的に大臣が判断をする。それらの手続についての問題、中身について第三者機関を置く。こういうたてつけになっているわけですね。行政の中において自己反省をさせ、かつ、それを第三者に客観的にチェックさせる、このような仕組みで、最終的なしっかりとした制度にしよう、こういうわけであります。

 今委員が御指摘ありました、そういった独立した存在にして第三者機関をなくすということは、行政の内部による審理員ではなくて、外に出すことになるということでありますね。そうなると、それはそれで、では、外に出したものに対してどのように、逆に言えば第三者機関がないわけですから、どうやって客観性を保つのかという問題が出てくると思います。

 それから、あわせて、先ほども言いましたように、行政の外に置くんだとすれば、それを各省ごとに、省の外に一つずつ置くということはなかなか考えられない。また、皆さんがお考えになられたものも、内閣府なり一元化をしてやろうということになる。

 そうすると、一体全体どういう行政不服に関して、個別の審査機関があるものについては対応するわけであります、それに当たらないものが、今回この行政不服の、我々の方で行うものに入ってくるわけですから、そうすると、その際に、全政府的な、いろいろな行政不服の申し立てを一つの一元的な組織でカバーするとなれば、通常からそれなりの人員を割けるんだろうか、こういうふうな問題が出てくるのではないか。

 こういうことから、我々とすれば、まず行政の自己反省機能を生かすためには、内部に審理員を置いて、そのもとできちんと作業をさせた上で大臣が責任を持つ、かつ、それに第三者機関を置こう、こういうたてつけにした、こういうことでございます。

奥野(総)委員 今、行政不服審査会について少し申し上げましたが、二百件しかチェックをしないということと、なるべく件数をふやさない、処理能力の問題もあってふやさないということで、チェック機能として私はそこは十分でないというふうに思います。

 その上で、今度は審理員の話に少し入っていきたいと思うんですが、審理員の資格というのは具体的にどういうふうに定められていますか。どういう方が審理員になるということを想定されているのでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案につきましては、審理員につきまして、どのような職種、ランクの者が指名されるか、これにつきましての規定はないわけでございます。

 ただ一方で、審理員といいますものは、審理手続を主宰して、審査庁がすべき裁決に関する意見書を提出する、非常に重要な職務を果たすことに鑑みますれば、相応の責任を持てる者であるということが求められると考えております。

 このため、典型的には、処分に関与しない、つまり、原局ではない官房系統あるいは総務部門の管理職クラスといった職員が指名されるということを一つの想定としては考えているということでございます。

奥野(総)委員 従来と異なるのは、直接の処分担当者は審理員にはなれない、裁決の意見書は書けないということでありますが、そうでない、同じ省庁の人間が審理員につくことを恐らく想定しているということだと思いますが、この審理員というのが意見書を書く際には、審査庁の長、大臣の指揮監督を受けるのでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 審理員と審査庁の関係でございますけれども、まず、これは、不服審査法に基づく権限を行使するということでございまして、普通の行政庁内部におきますような、大臣が指示をし、それに沿って職員が行政行為を行う、こういうふうな構成ではございません。あくまでもこの法律に基づく権限を行使するということでございますので、そういう意味では、この行政不服審査の審理プロセスは、審理員の名前のもとに、ある種独立して主宰をする手続である。

 それから、先ほども出ておりましたが、審理員意見書というのは、この審理員の名前でやる、ある種そういう独任的な立場でやる手続でございます。この個別の審理プロセスに関して大臣が、個別内容に関して指示をする、あるいはそれに応えて審理員が、大臣、大臣に限らず審査庁でございますが、これに報告、復命をする、こういったようなことにつきましては想定をしていないというところでございます。

奥野(総)委員 仕組み上は独立して職務を執行するということですが、実際は、任命権者は処分庁の大臣でありましょうし、実際処分をした人間の顔も、同じ役所内だから見えるわけなんですね。

 そういった同じ役所内において公正中立に意見書が果たして書けるんだろうかというのが私の疑問であります。仲間の判断を、あるいは任命権者である大臣の一旦した判断を覆すことが果たしてできるんだろうかというのが私の疑問点であります。もちろん、制度上はそういうことがあっちゃいかぬのですけれども、やはり人間でありますから、そこをどう制度的に担保していくかということを考えていかなきゃいけないと思うんですね。

 だからこそ、今申し上げているのは、例えばそこの省庁から切り離して、内閣府の方で一括して審理官を採用していく、そして、例えば役人のOBを採用して、原省庁、親元のところの裁決には当たらせないとか、あるいは民間の弁護士さんを採用するとか、そういった方法は考えられないのでしょうか。

 では責任は誰がとるんだと大臣はおっしゃるかもしれませんが、あくまで意見書をそこで書いて、その意見書は、処分庁である、裁決庁である大臣が受け取って、大臣の判断で最終的に判断をすれば、そこは責任の問題ははっきりするわけですね。少なくとも、客観的な評価をするという意味においては、我々の提案の方がすぐれているというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず私は、国家公務員は、地方公務員もそうですが、法令遵守義務があるわけであります。そして、委員もかつて我が総務省にいらっしゃったわけですから、例えば、では委員が総務省にいたときに、自分がそういう審理員に指名されたときにどういう仕事をするかと想像されれば、これは当然答えが出てくるというふうに思うんですね。私どもは、そういう制度をやはり健全に生かさなければいけないというふうに思うんです。

 作業そのものは、内容については独立した判断をしなさい、こういうことにしてあって、それを最終的に大臣が責任を持つ、判断をするということでありますし、今少しお話が出ました、例えば弁護士等の資格を持った者を臨時職員としてそういった任用に充てることもできなくはありません。ですから、必要に応じてそういった臨機応変な対応もしてもいいのではないか、このように思いますが、あくまで行政の自己反省機能として、内部できちっと審査をする、その上で、それを客観的な第三者機関がチェックする、このダブルチェックシステムで、私は、行政不服がより効率が上がるのではないか、このように考えているわけであります。

奥野(総)委員 私が申し上げているのは、繰り返しになりますが、むしろ意見書は外部の人間に客観的に書かせる、そうすることで、行政不服審査会は要らないんじゃないか。そうすると、審査期間も短縮できますし、いいことずくめ。これは行革にも反しますから、新たな組織を設ける必要もないわけであります。

 我々はこういう対案を今用意しておりますので、改めてまた議論を、この点についてしていきたいと思います。

 もう一点、この審理員について、名簿の作成に努めるということが法案に書かれています。せめて、誰が審理員かということは事前に明らかにしておく必要があると思うんですね。ですから、名簿をつくってこれを公表するというのはいいことなんですが、これは努力義務になっていまして、努める規定なんですよ。

 これは、なぜ努力義務なんでしょうか。どうして義務化してオープンにしないんでしょうか。その方が絶対、透明性の確保、公正中立性の確保には資すると思うんですけれども。

上川副大臣 委員御指摘のとおり、あらかじめ審理員を、名簿の作成をしてそれを公表していくということにつきましては、手続の透明性を高めて公正な審理を実現する上で大変有益であるというふうに考えております。

 特に、ある程度定型的に一定程度以上の申し立て数が見込まれるような審査庁におきましては、処分類型ごとに審理員の候補者を記載した名簿を整備しておく必要があるというふうに考えております。

 しかしながら、国の行政機関にありましても、その規模、また審査請求事件の態様が区々でございまして、審査請求の実績が少ない場合まで審理員の候補者名簿の作成を義務づけるということにつきましては、現実的ではないというふうに考えております。

 このことから、公正性の確保の観点と行政庁の実情とに鑑みまして、審理員の候補者名簿につきましては、作成をするよう努めるとの努力規定としたものでございます。

奥野(総)委員 確かに、全然、不服申し立てがない、過去に例がないというようなところは、つくらなくてもいいと思うんです。それは、そういうふうに政令か何かで書き足せばいいわけでありまして、こう書いてしまうと、どの役所もなかなか名簿をつくらないと思うんですね、公表義務が生じますから。

 私は、必ずしも性善説には立っていないので、努めるという規定をした瞬間、これはつくられなくなるというふうに理解しているんですね。ですから、ぜひこれも義務化すべきだというふうに申し上げておきます。

 時間もなくなってまいりましたけれども、先ほど福田委員の方から、審査請求期間を行訴法と同様に六カ月にしてはどうかというお話がありました。

 局長の説明は私はいまいち腑に落ちなかったんですが、やはり不服申立人の救済という観点から見れば、長い方がいいというふうに思います。少なくとも、六カ月間という期間は訴訟を提起できるわけですし、その処分が確定しないわけでありますから、それを三カ月に区切る、先ほどのお話だと、訴訟は準備期間が長いから長目にとってあるんだとおっしゃいますが、もともとはそろっていたわけですから、そのときに改正漏れというふうに言えるかもしれない。だから、今回、合わせて六カ月にすることに何の不都合があるんでしょうか。権利救済という意味においては六カ月にすべきだと思いますが、もう一度、いかがですか。

新藤国務大臣 まさに、この権利救済という意味において、相当の期間を置くことは必要だと思います。それは、現行においては六十日であったわけですけれども、既に審査請求期間の経過によって却下された、こういう例もあったということを私も承知しています。したがって、必要な準備に要する期間等も勘案して、延長をすべし、こういうことになったわけであります。

 一方で、先ほど局長が言いましたように、訴訟の準備に対する期間であるとか費用が不要であるとか、そういったことから、裁判とは違う準備期間で可能ではないか、こういう意見があります。

 何よりも、さまざまな御意見を頂戴いたしましたが、全国知事会においては、現行六十日の期間が特に短いということはなく、延長したとしても三カ月程度が適当である、これはパブコメです。さらには、全国市長会においては、現行の六十日が妥当である、これはヒアリングのときの意見でありましたが、そういった御意見もありました。

 ですから、もろもろを含めて総合的に勘案をして、今回のように三月、このようにしたわけでございます。

奥野(総)委員 時間が参りましたので、きょうはいろいろ御提案を申し上げましたが、ぜひ一緒に考えて、よりよいものにできればと思っています。対案の方も出させていただきますので、次回、またよろしく御審議の方をお願いいたします。

 以上であります。

高木委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 日本維新の会の西野弘一です。

 まず冒頭に、今回の改正は、今まで、お上から言われたら、文句を言いたくてもなかなか、結局、処分を下したところに不服を申し立てないかぬ、もしくはその上級官庁に申し立てないかぬということで、かつてのお上と下々という言葉がいいのかどうかは別としまして、そういうような関係があったところを、今回、その関係を覆す意味で大きな前進だというふうに受けとめております。ただ、これが具体のいろいろな施策としてしっかりと地方においても実施できるように、細かい点をちょっと質問させていただきたいと思っております。

 まず冒頭、以前の平成二十年の法案では盛り込まれていなかったんですが、例えば謄写をしたりとか、コピーをとったりということは認められていなくて、今まででしたら、かなりの量の資料を手書きで写して、五日も六日もかかった。その間、不正のないように、例えばスマホで写したりしたらいけないということで、横でそれを見張っている人がまた、これは当然公務員ですけれども、いたということで、これはかなり膨大な無駄なコストがかかっていたんじゃないかなというふうに思います。

 この点についても、いろいろな方面から、コピーぐらいはとらせてくれてもいいだろうというような話もあったというふうに聞いておりますけれども、この点について、今回の改正ではどのようになりましたでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来いろいろとお答えしておりますように、今回の行政不服審査法の改正の一つの狙いは、公正性の確保ということでございまして、この観点から、審理手続における審査請求人の権利、これはいろいろと拡充をすることにしてございます。

 例えば、口頭意見陳述の手続におきまして、全ての審理関係人の招集を必要とするということですとか、処分庁に対して弁明書の提出を義務づける、それから、閲覧できる証拠書類の範囲も、現行法では処分庁から提出されたものだけとなってございますが、それ以外の所持人から提出されたものも閲覧対象とする、こういった権利拡充を行っていることでございます。

 その中におきまして、委員御指摘の謄写につきましても、これはヒアリング等におきまして、まさにおっしゃられましたとおり、謄写が認められないために手で書類を書き写している、そういう実態があるとして、謄写を認めるべきであるという強い意見が寄せられたこともございまして、今回、法律にこの形で謄写を認めるということにしたものでございます。

西野委員 それは認められたということで、そういう無駄なことがなくなるということは大変いいことだというふうに思っています。

 続いて、第三者機関を設置する、これは地方も設置できるということになっておりますけれども、地方といいましても、例えば何百万人の都市もあれば、それこそ何千人というような自治体もありますので、設置をするといっても、それぞれの形というのはある程度自由度がないと難しいんじゃないかなと思いますし、公平性、中立性を担保した上で第三者機関を設置するといっても、体力のない自治体なんかではなかなか難しいというのもあると思います。

 そういうところでしたら、どうなるのかわからないですけれども、例えば五つぐらいの自治体が合同で同じような案件についての機関を設置するとか、そういうこともできるのかなと思っています。この点について、今回の改正で、かなりそういう自由度を増した、自由度を持たせるような改正になっているというふうに聞いておるんですけれども、具体的にはどのようになっていますか。

上川副大臣 地方公共団体においての第三者機関の設置方法ということでの御質問でございますが、地方公共団体における第三者機関の設置、運営につきましては、当該団体の状況等に応じて条例または規約において柔軟に定めることができるという形にしているところでございます。

 具体的には、地方自治法に基づきまして、情報公開審査会などの条例に基づく既存の附属機関にその役割を担わせる、あるいは他の地方公共団体と共同で設置をする、あるいは他の地方公共団体に業務を委託する、こうしたことが地方自治法に基づいて対応が可能であるということでございます。また同時に、二十年法案からの変更点といたしましては、改正法案の第八十一条第二項に基づきまして、事件が上がったごとに臨時に設置をする、アドホックに第三者の委員会を設置するというような対応も可能としているところでございます。

 委員御指摘のように、地方自治体の負担増につながらない、あるいは自由度をできるだけ高めるということに対して、総務省としても、適切に情報を提供するなどしながら、地方自治体の状況に応じた対応がとられるように、しっかりとサポートしてまいりたいというふうに考えております。

西野委員 この点で地方自治体にとっては選択肢がふえたということはありがたいことだというふうに思うんですが、常設でないところも出てくるということで、案件ごとに設置する設置しないということになってくると、心配し過ぎなのかもわかりませんけれども、場合によっては、請求をする側にとって、住民の側にとって、案件ごとに設置する設置しないということを自治体が判断するということになると、できるだけ請求をするなというような圧力になりかねないというような心配もありますので、そういうことにならぬようにしっかりと監督をしていただきたいなということはお願いをしておきたいと思っています。

 次に、地方自治体における不服申し立ての現状について伺いたいんですが、さまざまな処分を行っておられると先ほども質疑がございましたけれども、その不服申し立ての中身と申しますか、どのような案件が何件ぐらいあってとかいうような具体的な数字を教えていただけますでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体における不服申し立ての件数ということでございますが、総務省におきまして実施した平成二十三年度における行政不服審査法等の施行状況に関する調査結果によりますれば、地方自治体に対する不服申し立て件数は、全体で約一万八千件でございます。

 このうち、不服申し立ての件数の多い案件といたしましては、件数順に申しますと、情報公開条例の関係が六千八百三十五件、道路交通法の関係が二千二百六十八件、地方税法関係が千五百四十九件、介護保険法関係が千百九十四件、それから生活保護法関係が一千十五件などでございます。

西野委員 また、あわせて、地方自治体に対する申し立ての中には既に設置してある委員会等への申し立ても多いということの御答弁が先ほどもございましたけれども、それらは、今後も、いわゆる第三者機関が設置されてもそちらに諮問されることはない、要は、第三者機関の諮問の対象外になるということだと思いますが、では、あと、地方自治体がつくった第三者機関へ諮問される、諮問が必要となるというものには大体どのような案件があると認識されていますか。

上村政府参考人 今回の改正法案におきましては、委員御指摘のとおり、地方公共団体の委員会、委員、附属機関が審理に関与する場合は、地方公共団体に今回新たに新設される第三者機関への諮問は要しないこととしてございます。

 このため、例えば、条例に基づき、先ほども申し上げました情報公開関連、これは情報公開審査会への諮問が想定されますので、こういった関係で行政文書の不開示決定に係る不服申し立て、それから、都道府県公安委員会が審査庁となります運転免許取り消しに係る不服申し立て等は、今回の諮問の対象外となるものと考えております。

 これらを除きます諮問件数は、現時点の数値からの推定でございますが、約三千六百件と考えております。このうち、地方税法関係が約千五百件、及び生活保護法関係が約千件、この二つで七割を占めるぐらいの感じになるのではないかと思っておるところでございます。

西野委員 今のお話を伺っていますと、地方税と生活保護の関係で七割ぐらいというふうなことです。特に、そのうちでも地方税関係というのはかなりの数を占めるんじゃないかなというふうに思っています。

 地方自治体に新たに置かれることになるであろう第三者機関において、地方税関係の案件をかなりの数取り扱わなければいけないということですから、その調査であったりとか審議をするに当たっては、税金のことですからその専門家の税理士さんであるとか、そういう専門家に委員になっていただくということが大変有効なんではないかなというふうに私は考えておりますけれども、そういうことができるような制度設計になっているんでしょうか。

上川副大臣 改正法案によりまして地方公共団体に置かれる第三者機関の委員の人選ということでございますけれども、不服申し立ての件数、そして諮問が多く見込まれる分野などに応じまして、任命権者におきまして判断されることになるというふうに考えております。

 先ほど、不服申し立ての中でも、地方税法関係の案件というので約四割を占めるということで想定をしておりますけれども、地方公共団体の任命権者の判断によりまして、税理士の皆さんのような税の専門家をこの第三者機関の委員に選任することは十分に想定されることだというふうに考えております。

 また、第三者機関の委員につきましては、条例等に基づきまして、諮問が見込まれる案件等に応じまして各任命権者が柔軟に選任することが適当である旨の趣旨、こうしたことについては、施行通知等によりまして各団体にしっかりと周知してまいりたいというふうに考えております。

西野委員 組織の委員を選ぶというようないわゆる人事の問題で、国から地方に、それこそ、こうしなさい、ああしなさいというような命令めいたことはなかなかできにくいのかなとは思いますが、今、通知等で周知をしていただけるということでございます。利用される側にとっても、例えば、税理士さんが地方税の問題では第三者機関の委員に入っておられますよというようなことが見えると、安心されると思うんですね。できるだけそういったことを、各地方自治体に周知されることももちろんなんですが、それとあわせて、住民というか国民の皆さんにも、こういった専門性の高い、また公正性の高い方に委員に入っていただくんですよということも知っていただけるような、ぜひそういったことも取り組んでいただきたいなというふうにお願いを申し上げておきます。

 あわせて、少し中身について伺いたいんですが、法案の第五条に、例外規定として、処分庁に対する再調査の請求の規定があります。

 この再調査という単語については、例えば税の問題であると、税務署にもう一遍税務調査に来られるのかというような感じにとられて、もう一回税務調査されるんやったらこの請求はせぬとこうかなというふうに、企業の経営者であったら感覚的にそう思われるんじゃないかなと僕は心配しておりまして、できれば、ここで言う再調査という言葉は、もう少しイメージのいいものにかえられた方がいいんじゃないかなと思っています。例えば処分見直しの請求であったりとか、何かそういう言葉があるんじゃないかなと思うんです。

 そもそも、税務調査をもう一度やるという意味ではなくて、本来の意味は、もともと異議申し立てということを言葉をかえたわけでありますから、もう少し請求する側にとってイメージのいい言葉というものがないのかなというふうに思っております。この点について、いかがでしょうか。

上村政府参考人 御指摘の再調査の請求は、要件事実の認定に係る不服申し立てにありまして、処分の内容等を把握している処分庁において事実関係を再び調査する、そういうことによりまして簡易に処分を見直すという手続でございます。

 そのため、この内容を適切にあらわす名称とするため、再び調査するという意味での再調査の請求としたものでございまして、この実態をあらわすほかの名称、いろいろ検討した中で、ほかに想定される案もあるわけでございますが、それらと比べて紛れがない案といたしまして、法律上の用語としてもこれがふさわしいものではないかと思ってございます。

 御指摘のような意見もあるということはお聞きはしてございますけれども、そういう意味でいいますと、法律上、再調査の請求というのはこういうものである、不服申し立ての一類型であるということが明確に位置づけられるということが一つ。

 それから、処分の際の、課税処分もそうでございますが、処分書といいますか、書面には必ず教示というものがございまして、どこの処分庁に対し、いつの期間までに、例えばこの場合であれば再調査の請求ができますということが書いてございます。といいますか、書くようになります。ということでございますので、誤解が生じることはないとは思ってございますが、総務省といたしましても、再調査の請求というのはこういう趣旨でありますということを適切に御理解いただけますように、関係府省とも連携しながら、国民に対する周知広報等に努めてまいりたいと考えております。

西野委員 周知いただけるということなんですが、どうもやはり、恐らく経営者にとっては、もう一遍会社に来られて税務調査されるのかと、その間、何もやましいことはなくても、手をとられて、時間的にかなりコストがかかるわけですから。その辺は、周知いただけるということなのでこれ以上は御質問しませんけれども、私は、名前をもう少し、ネガティブな名前じゃなくて、ネガティブなイメージがつかない名前にかえられた方がいいんじゃないかなと思っています。

 特に、実際には国税通則法と関税法と公害健康被害補償法の三つがこの例外規定の対象になるということですから、圧倒的に国税通則法に関係する案件が多いというふうに思われますので、もし再検討いただけるんだったらお願いしたいなという気持ちで質問させていただいたんですが、難しそうですので、であれば、できるだけ周知を徹底いただきたいなというふうに思っています。

 地方のことをいろいろと御質問させていただいたんですが、ちょっと通告はきょうしていなかったんですけれども、けさ、私どもの日本維新の会でこの法改正についての部会を開きまして、皆さん、いろいろと意見交換をさせていただいて、あわせて、今度民主党さんから出されるであろう対案の中身についても御説明をいただいたんです。

 私は、この第三者委員会にしてもそうでありますし、恐らく今度対案で出されてくるであろう審理官ですか、であってもそうだと。特に審理官の場合に心配しているのは、かなりの権限を持たせるということでありますし、また、第三者委員会は審理官を置いた場合には外される、ない、なくすということであります。

 この場合に、私も地方議員をしておりまして、表現は悪いんですが、プロ市民みたいな方がやはりいらっしゃるんですね。そういう方が、第三者委員会は常設でないとはいいながらも、こういう法律ができたら、必ず地方自治体は何らかの形で設置しないといけない、また、審理官というものが仮にできれば、国でそういうことができたんだから地方でもそういうものを置けというような、よくも悪くもかなり圧力がかかってきて、どれだけの規模の自治体でもそういったものを置かなければいけない。

 また、審理官ということになれば、かなりの権限があるということで、ここに想定以上に特殊な力を持った方が入ってこられると、何か違うものになってしまうのではないかなという心配をしていまして、そういう意見も、実際に、きょうの朝も申し上げて、皆さんもそういった意見をお話しになられていたんです。

 この点について、実際に地方でそういうことが起こらないようにするために、恐らく、第三者機関をこういう形にしようという絵を描いておられると思うんですが、この点についてどのように思っておられますか。

新藤国務大臣 今回の行政不服審査法は、行政の自己反省機能を強化する、それから、簡易迅速な手続によって国民の権利を保護する、こういう目的であります。

 したがって、私どもは、行政の内部で、まず、きちんと専門性を持って独立した審査をしてもらおう、その上で、各省の所管の大臣が責任を持ってこれを判断する、かつ、そのプロセスを第三者機関がチェックする、こういうふうに設定をして、そして、まさに自己反省機能を生かしつつ、国民権利の保護をしていこう、こういうことなわけですね。

 一方で、今委員が言ったような懸念というのは、さまざまな意見があると思います。ですから、それぞれ御検討いただければいいと思うんですが、我々とすれば、この仕組みが行政の内部をきちんと動かす、まずそれが一義的に本来あるべきなんです。ですが、そこの部分を認められないということになると、行政の外に出す。では、その外に出す人たちは誰が決めるんですか、その外に出てしまった人たちを誰がチェックするんですか、その外に出た人たちをまたチェックするためのという、いつまでたっても切りのないことにもなりかねません。

 ですから、やはり公務員制度というのは、先ほども言いましたけれども、法令遵守をするのを前提にして、それができなければ罰せられるわけでありますから。また、そういう気概を持って公務員になってくれている人たちです。ですから、そういう人たちにしっかり仕事をさせるために我々政務の大臣もいるわけであります。そういう中で、これがきちんと機能したときにすばらしい成果が出せるような仕組みは何かということになると、今回我々が提案したことになったということであります。

 地方においては、さらに、これは規模においてさまざまな取り組みが必要だと思います。柔軟な対応も必要だと思うし、既に、そのほかの法律によっても、複数の団体が共同でさまざまな作業をすることは実態としてございます。ですから、今度の行政不服についても、各団体が必要に応じて複数、それは二つだけではありませんで、幾つもにわたってやることもできるし、市町村が県庁に対してそういうことをお願いすることもできるという仕組みもつくりました。

 あくまでこれは自治にお任せをいたしますが、いずれにしても、そういう柔軟な対応をしつつ、制度としての一律の権利は保障される、こういう仕組みの中で適切な運用を図っていただきたい、このように期待をしております。

西野委員 大臣、いみじくもおっしゃいましたけれども、私も同じような感覚を持っています。いっとき、公務員イコール悪みたいな風潮があって、それでは、公務員の皆さんも、本当に志を持って仕事につかれても、なかなか気持ちとして入っていかないんじゃないかなと思っています。やはり、公務員の方、それぞれの立場、役割をしっかりと全うするという志、また、志も高く仕事についておられると思うので、まずそこを信じて制度設計をしないと僕はいけないのではないかなと思っています。

 ただ、その点で、第三者機関というものをつくって、そこに、専門性が高くて、また公平性、中立性が担保できる方を人選されるような仕組みになれば、それはそれで十分ではないかなというふうに私も思っております。

 逆に、新たなものをつくって、そこに強大な権力を与えてしまうと、また違った形になる。特に、地方において、規模の小さい自治体においては、そこが違った方向に行き出したときに、しかも権力を持って違った方向に行き出したときには、それを今度正すものというのはなかなか難しいわけでありまして、その点においても、私は今回の政府案というのがベストなんじゃないかなというふうに個人的には考えております。

 最後になりますが、今回、五十年ぶりの大改正なわけですけれども、何度も繰り返しておりますように、公正性を確保して、国民また住民の皆さんから信頼される行政というものを実現していくために、第三者機関の委員であったりとか審理員となる方は当然のことでありますが、行政機関の職員の一人一人が今回の法改正の中身というものを当然のことながら十分に理解いただかなければなりませんし、あわせて、いろいろな点において、国民、住民の皆さんに今回の法改正の趣旨であったりを理解いただけるような周知の徹底を図っていただかなければならないと思っております。

 第三者機関に対する諮問を審査請求人が望まなければ諮問をしなくてもいいということになっていますので、例えば、もともと第三者機関は事案ごとに設置だというふうに決められているので、できるだけ諮問を望まないように実は圧力がかかっているのではないかなというような心配にもつながってしまいかねない。

 そんなことにならないように、できるだけいろいろな、各士業団体もございますが、そういった専門性があって、例えば税理士のお話も先ほどさせていただきましたけれども、税理士会がこういったところに入っているんだったら、税のことだったら、役所側につくわけでもなく、また逆に住民側につくわけでもない、きちんと中立性が担保されているなというような感じを受けとめるということがやはりまずは大事だというふうに、周知をしていただけるということですけれども、そういった姿をきちんと見せていくということも僕は大事なんではないかなというふうに思っております。この点について、大臣としてどのように考えておられるでしょうか。

新藤国務大臣 今般、五十二年ぶりになるわけですが、行政不服審査法の抜本改正を行う。これを機会に、国民の権利救済のこういう取り組み、仕組みがあるんだということをさらに国民の皆様にきちんと知っていただくこと、また自治体や関係の方々にそれらを周知することは非常に重要なことだと思います。

 ですから、総務省のホームページですとか、いろいろなSNS、そしてパンフレットはもとよりでありますが、ちょうどいい機会だと思いますね。ですから、もう一度、行政不服というのはどんなときに生かされるのかということをぜひ皆さんに知っていただくようにすべきだと思います。

 何よりも、権利救済を求めなくても済むような、まず第一義的には、適切な行政処分が行われることが大事なんです。でも、それにしてもやはり、見解の相違ですとか、またいろいろな問題が出ると思います。ですから、我々は、公務員の中で、もし誤りがあったとすれば、自分たちで反省し、それを直すことができる、こういう仕組みをつくるわけですから、公務員側からすれば、行政側からすれば、なるべく審査会を設置しなくて済むようになどというのは言語道断なわけであります。堂々とそういったものを設置して権利救済に当たることも自分たちの職務だ、このようにお考えいただかなければならないと思うし、そういう気持ちを持って運用していただける、私はこのように信じています。

 ですから、正々堂々と、真剣に考えてだめだと言ったが、でも、それはよく、真剣に、いやそれはおかしいと言って、そのぶつかり合いの中で正しい判断がなされることこそが正しい姿だと思いますから、私は、こういう制度がどんどんと使われるように、しかし、結果として、正しい判断がなされれば認容率は下がっていくわけでありますから、そういうよい効果が出ることを期待しております。

西野委員 もう時間なので最後になりますけれども、ぜひ今の御答弁のとおりに頑張っていただきたいと思うんですが、あわせて、第三者機関、これから設置されていくんですけれども、当然、そこに入っていく人材を今から確保しておかないと、いざ施行された後に、誰に頼んだらいいんやということになりかねないので、今からいろいろな、そういう専門性の高い、例えば士業団体であったりとかいうところにも要請をかけておかないといけないのではないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。

新藤国務大臣 士業の皆様方はそれぞれ専門性の高い方々でありますから、そういった方々の御意見を聞く、また当然、さまざまなところで御協力いただくことは想定をしております。これまでもいろいろな御意見を頂戴しておるわけでありますから、今後とも、連携を深めながら、こういった専門性を生かした方々の御協力を得て、しっかりと制度が運用できるようにしていきたい、このように考えます。

西野委員 ありがとうございました。

高木委員長 次に、上西小百合さん。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 通告に従い、順次質問をさせていただきます。

 今回の改正法は、税金、社会保険、生活保護等ほとんど全ての行政分野での行政処分に関して、国民がその見直しを求め、不服を申し立てるのに、簡易迅速な手続により、かつ手数料も無料ということで、その上で、国民の権利利益を救済するように審理の公正性の向上を図るとされておりまして、我が日本維新の会では、それに先立つ大阪維新の会結党当初から、地方分権の推進や道州制導入を主張し、そのためさまざまな改革プランを提唱してまいりましたが、今回の法案は、国だけでなく、地方自治体の自立、そして責任を高めていくには、地方分権の観点からも大変歓迎される、こういったものであるとして、結果として住民の信頼を確保できるものと大いに期待をしておるところでございます。

 本日は、改正の大きな柱の一つである審理の公正性の向上について、特に地方公共団体における運用に焦点を当てて順次質問をさせていただきます。

 まず、今回の改正の目玉の一つに審理員制度の導入がありますが、審理員になる方も、処分を下した行政庁の職員であることには変わりはありません。一般国民の立場で客観的に見ますと、同じ役所の職員が当該役所の下した判断を審理する、こういったものなわけですから、果たしてこの審理に関して公正性をどの程度まで信頼できるのか、こういったことに関しましては甚だ疑問を感じる国民の皆さんも多いのではないかと思っております。

 特に、小さな自治体になれば、職員同士が親族、もしくは、甚だしい場合ですと親子や兄弟関係であるとか、同期であるがゆえに処分者と審理員が特別に親しいとか、逆に非常にライバル関係にあるなど、こういったケースも十分に想定されると思います。

 公正性の確保の観点からこの審理員に関してどのようにお考えか、御答弁をお願いいたします。

新藤国務大臣 審理員につきましては、現行の制度よりもさらに公正性を高めるという意味においては、まず、不服申し立ての手続を実際に進める者について、これまでは法律に定めがございませんでした。処分に関与した者がこれを行うことも排除されない仕組みとなっているわけでありまして、今委員が御指摘いただいたようなそういった問題があっても、それを排除されない仕組みがあったわけであります。今回は、そこを改めまして、処分に関与していない審理員が責任を持って不服申し立ての手続を行うということを法律上明らかにしたわけでありますから、まず、審理員を置くことによって手続の公正性や透明性が高まるということが期待をされるわけであります。

 それから、地方公共団体においては、状況にもよりますが、外部から任用した任期つき職員や非常勤職員、専門性の高い方、そういった方を審理員に指名することを可能なことにもしております。

 そして、手続の進行に係る権限は審理員が行使するなど、審理員は大臣や首長から独立した権限を有する者であるということを法律上明確にしているわけであります。

 したがって、同じ役所の中であっても、これは行政の自己反省機能なんですから、自分の役所だから身内に甘いなどということが許されるわけがないんです。それをきちんと、まず、法律上、しっかりやりなさいということになっていて、しかも、それが果たして確かに公正であるかどうかを第三者機関がチェックする、こういう仕組みになっているということであります。

 例えば大臣等が、これは首長も含めてですが、審理員の出した意見書と異なる裁決をする場合もあるということも想定されております。ですから、審理員がみずから出してきた意見書を、私どもが、これはだめだという場合も想定されているわけです。当然、その場合には、なぜだめなのかという理由は裁決書に記載をすることになります。

 そのように、極めて厳正に国民の権利救済をするということ、これは公務員としての職務なんです。そういう観点から位置づけてあるわけでありまして、私は、この審理員という制度が十二分に機能していただくことを期待しておりますし、そういったことも可能となるような制度にさせていただいた、こういうことでございます。

上西委員 わかりました。

 今大臣の方から、この審理員は処分に関与していない方々がなるということでしっかりと公正性が保たれるというふうに御答弁がありました。第三者機関の設定もあるということで御答弁をいただきましたが、先ほど私が申し上げましたように、大変小さい地方自治体になりますと、同じ役所の中で、親族であったりだとか親子であったり、そういった関係の中で職員同士ということがあると思うんですけれども、こういった自治体に関してはどのようにお考えか、お聞かせをいただけますでしょうか。

新藤国務大臣 御心配はあると思いますが、審理員から排除される者、これは法律の規定がございます。その中で、先ほどから申し上げておりますのは、処分に関与した、または関与することとなる者。それから、審査請求人自体、本人でございます。それから、審査請求人の配偶者、また四親等内の親族または同居の親族、妻、夫、おじ、おい等でございますね、そういった人たちもなれないという形で規定をしておりますし、また、規模が小さいといえども、全員が親戚という役所はなかなか考えられないわけでありまして、そこはやはり公正性が保たれるのではないか、このように考えます。

    〔委員長退席、橋本(岳)委員長代理着席〕

上西委員 今御答弁いただいたとおりですと、小さい自治体でも、親族だとかそういった関係のある場合は御考慮いただける、現場判断でしっかりと御裁量いただけるということで、こういった形で、今御答弁がありましたように、公正性をしっかりと確保いただきながら運用していただければと思います。

 今大臣から、審理員は外部から登用することも可能であるというふうにお話をいただいたので、少し詳しくお伺いをしたいと思います。

 重要な役割を果たす審理員に関しましては、専門性が必要であるということは言うまでもありませんが、今申し上げましたような、規模の小さい、特に財政規模の小さい自治体では、十分な専門性を持つ職員の確保に困難をきわめる場合も多いと思います。そういった状況を鑑みますと、各自治体にいらっしゃる顧問弁護士や、上級省庁などのOB等で行政相談員などの任務についているなど、行政の実務に精通した住民の方々に御活躍いただく、こういったことも確かに有益ではないかと思っております。

 もちろん自治体の事情にもよると思いますが、法律の専門家や行政のエキスパートなど、こういった外部の登用はどういった範囲で可能なのか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

上川副大臣 財政規模の小さな地方公共団体の審理員について、外部登用についての考え方ということでの御質問でございますけれども、弁護士など外部の人材の任用、そして審理員に指名することにつきましては、審理の専門性、公正性を確保するために有効な方法の一つというふうに考えられます。先ほど新藤大臣からもお答えをいたしたところでございますが、改正法案におきましては、外部から任用した任期つき職員、非常勤職員等を審理員に指名することも可能でございます。

 他方、迅速な審理のためには審理員が当該処分に関係する行政分野に通じていることが望ましいということでございまして、そうした場合につきまして、審理員を複数指名し、そして外部人材と内部人材を充てるようなこともあり得るというふうに考えております。

 審理員への外部人材の登用につきましては、こうした諸論点も勘案いたしまして、各地方公共団体におきまして、それぞれの実情を踏まえながら適切に判断をしていただくということになろうかというふうに思っております。

上西委員 わかりました。

 柔軟な対応ということで、外部から、そして内部から登用した人員を充てていくということで、しっかりと現場それぞれの実情に合わせて御対応いただければと思っております。

 そして、次に続きますが、平成の大合併の後、人口千人程度のままの村等があらわれ、市や町であっても規模の小さな自治体が結構残りました。そのような役場、役所では、職員の全体数も非常に少ないというのが一般的な現状でございます。

 そういった中で、専門性を有し、かつ処分に関与していないという二つのハードルをクリアした職員を選定する、これも、先ほどから申しておりますが、結構困難ではないかというふうに私は思えてなりません。特に、稟議書に判こを押した職員の全てを審理員から排斥したのでは、小さな自治体では対応し切れなくなると思うんですが、その上で、どのような方々を処分に関与しない者と定義されていらっしゃるのか、決裁書への押印が除斥理由になるのか否かも含めて御答弁をお願いいたします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 行政不服審査法の第九条二項におきまして、審理員は処分に関与した者以外の者でなければならない、今回こういうふうな改正案を御提案しているところでございますが、この処分に関与した者といいますのは、原処分をするかどうかについての審査、判断に関する事務を実質的に行った者、あるいはその事務を直接的または間接的に指揮監督した者などが該当すると考えております。

 これをもう少し具体的に申しますと、個々の事案に即して、個々の職員ごとにその実態等は変わってくるとは思いますが、例えば、今委員御指摘の、原処分の決定書を起案した者、それに加えまして、こうした決裁書に押印した者、こうした者は基本的には処分に関与した者に該当すると考えております。

 その一方で、原処分の担当課の職員でありましても、全ての者が関与した者となるわけではございませんで、例えば、原処分に係る事務に携わっておらず、ほかの事務をされている方、それから根拠法令の一般的な解釈を示しただけの方、こういった方々は具体的な個別案件に関与したということにはなりませんので、処分に関与した者という定義には該当せずに、審理員に指名されることができるというふうに考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 今、稟議書に判こを押印していない方、単純な事務にかかわられた方だと、関与しない者という形で定義されるというふうに御答弁いただきましたが、私が申し上げているのは、本当に、平成の大合併の後、規模の小さい自治体というのは複数生まれておりまして、こういった自治体によっては、本当に人員が少なく、処分に関与をしていない人員を審理員に充てる、こういったことが大変難しいという現場もあらわれてくるのではないかと思うんですが、そういった場合は国はどのような御判断をされていくおつもりでしょうか。お聞かせください。

    〔橋本(岳)委員長代理退席、委員長着席〕

上村政府参考人 まず、非常に規模の小さな町村では、処分の件数自体も実はかなり少のうございます。町村では年零件、一件とか、そういうところも多うございまして、処分の内容にもよりますけれども、全ての町村の役所の課に不服申し立ての案件がかかるということは余り想定しておりませんので、必ず処分に関与していない者というのはあると思ってございます。

 特に、先ほど別の先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、例えば、総務部門の職員とかで決裁に関与されない職員の方等はいらっしゃると思いますので、一つにはそういう方を御指名される。あるいは、先ほど副大臣からもお答え申し上げましたように、外部の方を、非常勤職員ないし任期つき職員、これは例えばOBの方でもよろしいわけでございます、そういう方を指名されるという方法もございます。

 そういういろいろな方法につきましては、総務省といたしましても、法案が成立後、施行までの間に、十分に地方公共団体に情報提供するなり周知するなりしてまいりたいと考えております。

上西委員 本当に小さい規模でやっていらっしゃる役場への対応ということで、外部からの人員を登用する、あるいはOBを利用するといった形で柔軟に御対応いただけるということですが、本当に現場はある程度、その人員を確保するのに困難な場合も出てくるかと思いますので、しっかりと国の方でもサポートをお願いできればと思っております。

 時間もないので、次に移ります。

 ローカルニュース等を見ておりますと、地方自治の動きに関して解説をされている大学教授などがどのようなニュースでも登場し、おまけに、その方が自治体のさまざまな審議委員等を兼ねていたりすることが極めて多いと思います。有識者、学識経験者等の美名のもとに、さまざまな役職を担う方がほとんど同じ方であり、同じ知識人が順繰り順繰りに採用されている、こういった実態は否定できないものだと思います。自治体が設置する第三者機関も、その傾向から果たして脱却できるのか、甚だ疑問でございます。

 特に、小さな町村の九割以上が、先ほどおっしゃいましたように、一年間通じて不服申し立てが一件もないような現状の中で、第三者機関の設置を義務づけるのは適当でないような気がいたしますし、そのあたりが小さい自治体には大きな負担ともなっていくというふうに考えますが、御所見をお聞かせください。

 また、第三者機関のメンバーにはどのような方を想定されているのか、御答弁をお願いいたします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 本日の審議の中でも大臣、副大臣からお答えを申し上げておりますように、原則は、国民の手続的権利保障という意味では、全ての団体等におきましてこういった第三者機関を置いていただくことが望ましいわけではございますが、他方で、御指摘のとおり、地方公共団体の規模は多種多様でございますので、特に規模の小さな町村等におきまして、こうしたものを一律に義務づけるというよりは、その状況に応じまして条例、規約で柔軟に定めるということができるというふうにしているところでございます。

 具体的には、これも先ほど来お答えはしているかと思いますが、既存の機関、例えば情報公開審査会のような機関に役割を担わせる、それから、ほかの地方公共団体と共同でこうしたものを設置する、それから、例えば県とかに委託する、そういったことも可能でございますし、あとは、今回の改正の八十一条二項でございますが、事件ごとに、いわばアドホックに設置するというようなことも可能とするということにしているところでございます。

 また、委員の人選というお尋ねでございますが、これまた、条例とか規約に基づきまして、申し立て件数、見込まれる件数とか、どういう分野が多く見込まれるか、それに応じて任命権者において判断されることとなります。

 基本的には、法学者、行政法等の専門家あるいは法曹関係者とかを国の場合において想定しているわけでございますけれども、地方の場合は、これも先ほど来御指摘がありますように、地方税等が多うございますので、こうした専門家を委員に選任することなども考えられるところでございます。

 具体的には、総務省におきましても、法案成立後、施行までの間に、こうした第三者機関の設置、それからその委員の人選等につきまして、それぞれの状況に応じた最も適切な措置が可能となりますように、情報提供など、サポートさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

上西委員 わかりました。

 今のお答えを聞いておりますと、かなり柔軟な対応をしていただけるということです。ただ、この第三者機関、義務づけということではないかもしれませんが、やはり、国から第三者機関の設置というお話があれば、住民は、置いてほしい、そういった声も当然出てくると思いますので、自治体に関してもしっかりと御配慮をお願いしたいと思います。

 時間も少なくなってまいりましたので、最後の質問ということで、次に、行政不服審査法案の七条の中で、処分についての審査請求、不作為による審査請求の規定の適用除外が羅列されていることについてお伺いをいたします。

 最近、公立高校入試等で採点ミスがあり、本来合格であった者が不合格になり、ミスが判明したときには既に私立高校へ入学していたという例や、入国管理局のビザ発給で不許可になっていた外国人の方が再審査を要求し、申請書は受理されたものの、審理が終わらないうちに借りていたマンションの賃貸借契約が満了し、住む場所がないのでやむなく、判断を仰ぐ前に帰国し、日本で働く意欲を持つ有能な人材の日本滞在がかなわなかった例など、本当に枚挙にいとまがないぐらい多くの状況を聞いております。

 今回、不服申し立てが六十日から三カ月に延長になり、審理期間も事前整理手続等の導入などで迅速な審理が求められるようになった点は大いなる前進だと思っておりますが、前述の入管の例は今回の改正とは直接関係するものではありませんが、こういった案件は、不服申し立てのタイムリミットを短くしてでも、とにかく結論を早く出すことが望まれる事案であると思います。迅速さをむしろ法制化すべきような事案でもあるのではないかと思っておりますし、七条に列挙をされていない、その他の処分に関しても同じようなことが言えるのではないかと私は思っております。

 第七条に列挙された事例は、行政の再審査や第三者機関の意見拝受にふさわしいものでないことは私も理解できるものの、国民や日本へ住むことに意欲を持つ方の権利の得喪に直結する事案が非常に多いというのも現実でございます。

 今回の法改正に当たって、適用除外事例に対して、適用項目をふやすなど、要するに七条の例示を少なくするなどの動きが何もなかったとは思えないんですが、これに関してはいかがだったか、御答弁をお願いできますでしょうか。

高木委員長 時間がもう来ておりますので、短く。

上村政府参考人 では、短くお答え申し上げます。

 今回の検討に当たりまして、パブリックコメント等、いろいろヒアリング等をやってまいりましたが、簡単に申しますと、今回の改正につきましては、公正性、迅速性のための手続の重視ということを主眼に置いておりまして、この七条の、先生御指摘の適用除外については、そういった特段の御意見も、私どもの聞く範囲では聞かれなかったところでございますし、改正の対象とはしていなかったところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 こういった事例は特にこれまでは出てこなかったということですが、いろいろ実行していくに当たって、さまざま問題、課題等も出てくると思いますので、柔軟に、そして自治体に配慮した御対応をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 早速質問に入らせていただきますが、まず、お手元に今資料をお配りさせていただいております。これまで各委員の方から質問が出たことに重複する部分が多々あろうかと思いますが、お許し願いたいと思います。

 まず一番目に、地方の方をちょっと考えてみたいと思います、地方公共団体。

 資料の四ページ、五ページ目を見ていただくと、基本的に、まず、先ほど来ありましたけれども、不服申し立てが地方の方であるのが約二万九千件、二万八千九百四十二件というふうになっておりますが、実際には、総務省の方にお尋ねをしますと、先ほど答弁にもありましたけれども、今回の法案に対して、律するものがどれぐらいあるのかなというと、三千六百十一件。これは正確ではないと思いますが、今現在お尋ねした段階ではこういうふうに予測がされるというふうにお聞きをしております。

 そして、その中の内訳が五ページに、こういう法律が予想されるというか、今までありましたよということであります。これは、ざっくばらんに言うと、三千六百十一件ですから、全国の市町村、都道府県を入れた数ですから、ざっと見ると、先ほど答弁があったように、そんな大した、大したと言ったら失礼ですけれども、数的には、案件的にはそう多くはないかもしれません。しかし、とはいえ、この五ページ目を見ていただきますと、地方税法だとか、生活保護法、児童福祉法等々に偏った案件が多いわけであります。

 そこで、この状況を見たときに、都道府県とか政令市、さらには政令市以外の市町村に対して、総務省としては、こういう実態を踏まえた中で、今後どのように取り組んでいかれようとしているのか、まずお尋ねをしたいと思います。

上川副大臣 不服申し立ての件数というのが各自治体によってかなり差があるということを踏まえて、どのように対応するかということでございますけれども、地方公共団体の規模は多種多様でございますし、不服申し立ての件数もさまざまであるということでございますので、地方公共団体における第三者機関の組織及び運営、これにつきましては、当該団体の状況等に応じまして条例または規約におきまして柔軟に定めるということにしているところでございます。

 先ほど来の答弁の中で申し上げたとおりでございまして、既にある情報公開審査会などの条例に基づく既存の附属機関にその役割を担わせるとか、あるいは、他の地方公共団体と共同で設置をする、また、他の地方公共団体に業務を委託する、また、今回、二十年法案からの変更点といたしまして、改正法案第八十一条第二項に基づきまして、事件ごとに臨時に、アドホックに設置をするということでございます。

 一般に、都道府県そして政令指定都市につきましては、不服申し立ての件数に鑑みれば、第三者機関を単独で設置をすることになろうかというふうに考えておりまして、また、それ以外の地方公共団体につきましては、共同設置、あるいは他の団体への委託などの方法を選択する場合も多いと想定されるところでございます。また、不服申し立て件数が年に一件もないような町村におきましては、事件ごとに臨時に設置するということも想定しております。

 いずれの場合におきましても、総務省として、適切に情報提供を行うなどして、各地方公共団体がその状況に応じてしっかりとその措置をすることができるようにサポートをしてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 五ページの数字を見ますと、生活保護等々が、これは、実は、NHKの問題のときも、生活保護は今現状がどうなっているのかと随分調べたんですけれども、厚労省にもお尋ねをしたんですが、実は、下がってはいるんですけれども、高どまりなんですね。物すごい件数があるんです。恐らく、これは平成二十三年をベースにしていますから、もっともっと実は数がふえているんだろうと思います。それから、新藤大臣が先ほど答弁されましたように、今度は第三者機関を設けますよということになると、まだふえてくると僕は思うんですね。

 そうすると、この案件、実は、この数字で考えていますが、地方、生活保護法については都道府県になろうかと思います、都道府県とのやりとり等は何かやっていますか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 この法案は、当然のことでございますが、国、地方公共団体共通して適用される仕組みでございますので、実際にこの制度の運用に当たられる地方公共団体の方々と意見交換と申しますか、意見をお聞きするということは精力的にやってきたつもりでございます。

 例えば、昨年の三月でございますが、全国知事会、市長会、それから町村会から意見を聴取する、そのほか、パブリックコメントを実施するなどの取り組みをしてまいりました上で、昨年六月ですが、行政不服審査制度の見直し方針というものを取りまとめたものでございます。

 その後の法案作成過程におきましても、今度は地方公共団体の担当職員の方々ですが、それに向けました説明会を三回行ってございまして、その過程でいろいろな御意見もいただいておるところでございます。そのうち可能なものは取り入れることとしました結果、今日のような改正案とさせていただいているというふうに思っております。

佐藤(正)委員 生活保護法に関しては都道府県なんですね。地方税法は、当然、固定資産税等々がありますから、全部が県ではありませんが、この生活保護法だけ考えても、都道府県、約九百六十三件。これは、多分、一千件以上、超えると思いますよ。そうすると、四十七都道府県で割らなきゃいけないんですよ。先ほど答弁がありましたけれども、この全体の三千六百件足らずだと、全市町村まで入れますから数が少ないように見えますが、絞ってみると、意外と、県が負担をする部分というのはかなりウエートを占めるんですね、実際は。

 その点も踏まえて、都道府県とはしっかり議論をしておかなきゃならないと私は思いますが、もう一度、これからでも結構ですが、その辺に対してどういうふうにお考えでしょうか。

上村政府参考人 今先生がおっしゃられましたとおり、一口に地方公共団体と申しましても、案件それから件数の偏りがあるというのはおっしゃるとおりでございます。中でも、まさに先生御指摘のとおり、都道府県、これが中核的な役割を担うということに関しましては、私どもも同じように思っております。

 したがいまして、特に都道府県の方々との意見交換、これは運用段階でどのようにやっていけばよろしいかというようなことにつきまして、丁寧に、十分にそういったことをやってまいりたいと思っております。

佐藤(正)委員 恐らく、都道府県の方にしても、これから実際法律がどうなるかというのはまだよくわかっていないところがたくさんあると思います。ゆっくりしているところもあるんだろうと思います。現実には二年後に施行されるわけですから、その間にいろいろな問題点が出てくるだろうと私は思っておりますので、ぜひその点は留意をしていただきたい、このように指摘をしておきたいと思います。

 それから、今回のこの法案で、先ほど民主党の先生方からもいろいろ質問がありましたけれども、国がやるべきものが二百件、それ以外は、数万件のうちに、個別法で、個別の部分でやる部分と、それを抜き出して総務省の第三者機関に来るものだとか、いろいろ難しいんですね。法案のこんな厚い本を、あれを全部読めといったって、なかなか、とてもじゃないですけれども無理です。となると、申請する方も同じなんですよね、申請する方もよくわからない。そのときに、窓口に行ったときにどういう対応をするのかというところは大きいと思うんです。

 大臣が言われたように、確かに、公務員の方々が自分を律するという意味はわかりますが、しかし、実際に申請するのは公務員の方ではありませんので、その辺についてどういう対応をされようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

新藤国務大臣 先ほども申しましたが、この制度改正を機に、さらに国民の皆様方に周知を図りたい。そして、そういった権利救済の仕組みがあるんだということを御存じの上で、その上で行政に対してのいろいろな手続等もやっていただける、こういうことを我々は期待しているわけであります。

 まずは、一義的に、個別の行政分野においてそれぞれの相談の窓口がございます。ですから、そういった窓口のところで正しいインフォメーションができるように。そのためには、私どもがきちんとその法の趣旨をそれぞれの各省また各自治体の窓口の方へ知っていただくことが重要だと思います。

 したがって、手続を申請する方と受ける方と双方にきちんとした広報体制を強化する。それから、こういったことを機に、準備を含めて国との連携を深める必要がある。ホームページですとかパンフレット等、これはもちろんのことでありますが、やはり実態に即して対応できるような、しっかりとした相談を受けられるような、そういうことをお願いしよう、このように考えております。

佐藤(正)委員 本当に、他省庁も全部ですから、ここはやはり、総務省、しっかり、他省庁を含めて各団体にも、相談窓口をきちっとやれるようにということは声を大にして、きょうは各省庁は聞いていないと思いますけれども、各省庁の方にもその辺をしっかり指導を、また、本当はもっと強い発信をしていただいてもいいのではないかな、このように思っておりますが、大臣、再度お願いします。

新藤国務大臣 まず、私どもが考えている同等また、それ以上に、法令遵守に対して公務員の皆さんは非常に意を砕いているわけですね。

 改正法の第八十四条は新設しました。情報提供というものでございまして、「必要な情報の提供に努めなければならない。」こういう記載をさせていただいております。ですから、この法律に基づいて、各行政庁また自治体、そういったものがしっかりと対応できるように我々がアナウンスをやっていきたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 そこはすごく大事なところで、今回書き込んでいただいたわけでありますから、しっかり法の趣旨をわかっていただくことを努力していただきたいと思いますし、徹底していただきたいと思います。

 それから次に、国の方の第三者委員会についてですけれども、この第三者委員会は、大体何名で、どのようなシステム、どのような組織でやろうとしていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。

上村政府参考人 まず、国の行政不服審査会でございますが、これは法律上、委員は九人、うち常勤の委員は三人以内ということにしてございます。

 また、地方につきましては、そういう規定は特にございませんので、これは先ほど先生からも御指摘がありましたように、それぞれの不服申し立ての件数、内容等によりまして実情は違うと思いますので、それぞれの地方公共団体の条例なり規約なりでお決めいただくことになるんだろうと思っております。

佐藤(正)委員 九名、常勤が三名ですかね、非常勤が六名。三名がそれぞれヘッドになって、三チームつくるというふうにお伺いをしています。そこに二名が張りついて、三チームで三名ですから九名という仕組みなんでしょうか。ですから、三名が常勤だ。

 お伺いするところによれば、その三名の方々、大体毎月どれぐらいの手当がつくのかについて、大体年間一千五百万ぐらいになるんでしょうかね。どうでしょうか。

上村政府参考人 ちょっと今手元に詳しい数値はないのですが、常勤委員は特別職の国家公務員の給与の法律で決まっておりまして、他の審査会等の並びで、常勤委員の月額報酬額は九十三万一千円であったと記憶しております。それから、非常勤委員の場合は、これは日額でございまして、日額二万六千九百円でなかったかと思いますので、それに掛ける勤務日数ということになりますので、ちょっと済みません、わかりませんが、トータルで五千万ぐらいになるのでは。一千万ちょっとプラスですので。済みません、ちょっと今手元にございません。申しわけございません。

佐藤(正)委員 済みません。何か突然聞いたような形で申しわけない。レクでは言っていたんですけれども。わかりました。おたくから聞いた数字でいくと、毎月九十三万一千円で、年収は、それプラス賞与等がつくので一千五百万円以上にはなるよというふうにはお聞きしていたものですから、言ってくれたのでお聞きしただけのことであります。済みません。いいです、もう。

 そこで、結局、先ほど来いろいろな議論がありましたけれども、では、この第三者委員会が本当に要るのか要らないのか、もしくは、第三者委員会なるものがどれだけ機能するのかしないのか、ここが大きいと思います。

 そこで、実は、審理員がいて、そこである程度専門がやるわけですね。僕は、総務大臣が言われるように、いろいろな考え方があると思いますが、公務員の方々が自分で審査をして、それに不服が来て、また自分でやるのはいかがなものかといいますが、そんなにでたらめをやっているわけじゃありませんので。そこにまた審理員まで入れるわけですよ。だったら、もう十分そこで本来は完結すべき話だと私は思います。

 そして、その専門がやっていた中で上がってきたものを、今度は第三者機関で。法案を見ますと、法律及び行政にたけた方という方々を選ぶんだとなると、大体想像がつきますよね。行政にたけた方といったら、行政のOBかなと。これは、私どもみんなの党から言わせれば、まさに天下りだと言わざるを得ないんですね。そうではなくてできるのではないですかということを我々は思っているんです。

 ですから、今回の第三者委員会をつくる以前に、もしそうであるならば、ここも議論になったところでしょうが、総務省で第三者機関をつくらなきゃならないのかどうなのか。

 例えば、今回、二百件ぐらいは来るだろうと言われていますが、これは幅が物すごく広いんですよ、法律的に言うと。しかも、今回総務省からいただいた数字は二百数件ですが、当てはまる法律にゼロがたくさんあった中での二百件ちょっとなんですね、実は。それを見ると、すごい幅があるんです。ゼロとはいいながら、これは来ないとは言えないわけです。先ほど新藤大臣が言われたように、私はふえるんだろうと思います。そういった意味では、本当に多岐にわたる案件になろうかと思います。

 その際に、第三者委員会の方々がそんなに専門職を網羅できるのかなという心配点も実はあります。そしてまた、網羅して横串を通すのであれば、内閣府でもいいのではないかなということも考えられます。

 今私が申し上げた点について、どのような御見解でしょうか。

上村政府参考人 御指摘のとおり、確かに、この二百件、もう少しふえるかもしれませんけれども、非常に各省にわたる多岐のものでございますが、基本的に、この行政不服審査会の役割と申しますのは、まずは各省に置かれました審理員が適切に十分に申立人の主張を聞き、処分庁からも意見を聞き、そこでしっかりとした専門性を生かした審理をされる、これが前提となっております。

 これを前提とした上で、こうしたいわば手続のプロセスの適正性をチェックする、そういうことになってございますので、当然、この法案上には審査会独自の調査権限というものもございますが、基本的には、一から審査をするということではなくて、繰り返しになりますが、プロセスの適正性の確保ということでございますので、総務省に置かれた審査会で十分に対応が可能だと思ってございます。

 また、なぜ総務省かということでございますが、これは、法律の所管自体が総務省でございますので、一番その制度をよく知っている総務大臣が適切な委員を任命するということとともに、事務局等におきましても、法所管部局との連携を図るのに総務省が最もよいというふうな考えに立っているものでございます。

佐藤(正)委員 年間二百件ぐらいですよね、それで常勤三名入れて。

 先ほど来からずっと答弁を聞いていますと、基本的には手続論なんですよね、第三者委員会は。なぜなら、各省庁で専門がやっているから。だから、そこから上がってきたもの、手続論なんですよ。第三者委員会でそんなに審査してどうのこうのじゃなくて、手続論だと思いますよ。その透明性を図るために第三者委員会。本当にこんなに第三者委員会をつくる必要性が、手続論だけのために必要なのか、私は疑問を呈します。

 だから、何度も申し上げますが、だったら、情報公開の審査会にしても、情報公開法は総務省が所管をしているわけですよ、内閣府から取り上げて、そこまで言われるんだったら総務省がやればいいじゃないですか。その辺はどうなんですか。

上村政府参考人 御指摘のとおり、情報公開審査会は、法律の所管省と設置省が総務省と内閣府で違うわけでございますが、これは、情報公開法というのが制定当時に我が国においても非常に新しい制度でありまして、情報公開制度という新制度を適切に定着させていくためには、その時点では、内閣総理大臣のリーダーシップのもとにこうしたものを運営していくのが適当であろうという考え方に立って、設置場所を内閣府にしたというふうに承知しております。

 また、この情報公開審査会自体は、ちょっと専門用語になりますけれども、インカメラ審理と申しまして、普通ですと不開示になる情報も、委員の中では見ることができるという各省にとっては非常に強い権限を持った審査会でございまして、そういうこともありまして、審査会を内閣府に置いて、繰り返しになりますが、制度の適切な定着を図ることとしたものと承知しております。まだ制度発足後それほど日がたってございませんので、まだその状況を変えるには至っていないのかなと思ってございます。

 他方、こちらの行政不服審査制度は、先ほど来お答えしていますように、五十二年もたってございますので、そういう意味では、今申し上げたような問題はないのかなと思ってございまして、そこは原則どおり法所管省と設置省を一致させるというのが適切であろうと思っております。

佐藤(正)委員 ちょっと、その辺は意見が違うところです。それだけは言っておきます。

 それから、もう時間がないのでもう一点だけ。

 先ほど、三カ月か六カ月という件で、大臣、答弁がありましたよね。そのときに、いわゆるパブコメ、それから全国知事会等々にお聞きしたら、それは大臣、受ける方は短い方がいいですよ、正直言って。だけれども、申請する側の立場をどう見るかということが大事なわけですよね。問題はそこなので。

 そうすると、訴訟が六カ月間、これが三カ月間、三カ月間過ぎて、訴訟はできるわけですね、現実は。できるけれども、だったら同じ期間でいいじゃないかと民主党の方が言われた、全く同じことで、それを受ける側に聞いたら、いやいや、三カ月でもう十分なんですよというのは、実は聞く側が違うんではないかな。立場から見ると、申請する側の立場を考えていただいた方が私はいいと思いますので、三カ月よりも六カ月がいい、このように私は思っておりますが、大臣、最後、答弁をいただいて。

新藤国務大臣 私どもは、双方から意見を聞いて、まず、そもそも、延長すべし、こういう方向性を定めたのは、申し立て期間が過ぎたがゆえに却下されたというような、物理的な理由で、中身も問わずして門前払いのような、こういうことが起きていてはよくないということで、申し立て期間を延長してほしいという申請する側の声をお聞きした上で、その上で、ではどのぐらいの長さに延長しようかといったときの、さまざま、総合的な検討をする中で、知事会からは、現行でいいが、延ばしたとしても三カ月ぐらいではないか、それから市長会は、いや、このままでいい、こういうことだった。だから、双方を勘案した結果がこの総合的な判断となった、こう御理解いただきたいと思います。

佐藤(正)委員 大臣、ありがとうございます。

 時間がなくなりました。あと一点だけです。要望というか意見だけ、質問まではできませんので言いますが、いわゆる個別法の中で、取り出したのが約二百件。だったら、実は、各省庁の個別法の中で今回やってもらえばいいんですよ、わざわざつくらなくたって。地方にはそうさせるんだから、国もそうさせればいいと私は思っております。

 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 行審法等関連法案について質問をいたします。

 そもそも、不服申し立てについては多元であり、また審理についても多段階というのが行審法にもあり、また個別法の中にもそういう規定が設けられているものもあるわけであります。その点で、最初にお聞きしたいのは、そもそも、不服申し立てが多元で行われており、また審理が多段階だった、こういう理由というのは何だったのか。この点について、まずお答えいただけますか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 典型的には、現在の法律の異議申し立てと審査請求の二段階ということになると思いますが、これは、一つには、例えば課税処分のような大量、集中的に行われる処分でありまして、当該処分に対する不服申し立てが概して要件事実の認否にかかわるような、こうしたものは、審査請求手続というのをとる前に、処分の内容、それから経緯等をよく把握している、処分を担当した部局といいますか処分庁ですね、それが処分を見直すことに意味がある。そういうことを踏まえて、こういう制度、二段階制になっていたものだというふうに考えられております。

塩川委員 行政の側の都合だけではなくて、不服を申し立てる側の都合というのもあるということもこの経緯としてはあるんだろうと思います。

 その上で、今回、法改正におきまして、不服申し立ての種類の一元化ということで、審査請求に一元化をし、異議申し立てを廃止するという措置をとるわけですけれども、その理由は何なんでしょうか。

上村政府参考人 二段階制はそういう意味があるわけでございますが、一方で、現行の異議申し立てというのは、手続保障の面になるわけですが、一方当事者である処分庁が審理を行う、こういう仕組みであるわけでございます。その関係から、ちょっと専門的になりますが、弁明書というものを処分庁から出させる、それに対して申立人が反論書を提出する、そういう規定が今ございません。それから、証拠書類の閲覧というのも規定されてございません。そういういろいろな点で、審査請求に比べますと、公正な審理手続の保障という意味で不十分な面がございます。

 そうした御批判もかねてあるところでございますので、今般の見直しにおきましては、こうした現行の異議申し立てにつきましても、処分庁ではなくて、原則、一番上、最上級の行政庁への審査請求に変更する、そして手続保障のレベルをそろえる、これが一番のポイントでございます。

 ただし、この審議でも何回か出てまいりましたが、再調査の請求と言葉をかえまして、一部、大量に事実関係の誤り等を正させるような、こうした簡易なものにつきましては、従来の異議申し立てにかわるものといたしまして、申立人の選択で処分庁に申し立てることができるものも残しているということでございます。

塩川委員 不服申し立ての種類が異議申し立てしかないような場合については、今のような一元化の理由というのもあるのかなとは思いますけれども、しかし、複数あるような場合はどうなのかという点です。

 そういう点で、再調査請求、この後でお尋ねしますけれども、異議申し立てを廃止するというものについてお聞きしますが、異議申し立てと審査請求という複数の種類の不服申し立てがある法律で、異議申し立てを廃止して審査請求だけにしようという法律というのは、今回の法改正ではどういうものがあるんでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、審査請求に先立って異議申し立てがあるもの、それで廃止するものとしましては四法律ございます。具体的には、道路運送車両法、小売商業調整特別措置法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、それから石綿による健康被害の救済に関する法律、この四法律が、今回の整備法の中で整理をされているということでございます。

塩川委員 恩給法についてはどういう位置づけなんでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 恩給法、まさに御指摘のとおり、これは二段階になっているわけでございますが、実はこれは今般の行政不服審査法の施行に伴う整備法ではなくて、先ごろ成立いたしました国家公務員法の一部改正法によりまして、異議申し立てというのが、先立って廃止をされております。

 そういう意味では、より正確には、委員のお尋ねにお答えするならば、整備法の四法律、それから国家公務員法改正に伴う一法律、計五法律が異議申し立てがなくなったということになると思います。

塩川委員 先立つ改正国公法の中で恩給法が措置をされて、合わせて五本ということであります。

 その中で、道路運送車両法と小売商業調整特別措置法については、現行の異議申し立て先はどこになっているんでしょうか。

上村政府参考人 基本的に処分庁でございますので、ちょっと正確な名称は今あれでございますが、道路運送車両法の場合は国土交通省のブロック機関等の地方運輸局ではないかと思います。小売商業調整特別措置法につきましても、地方経済産業局ではないかと思います。

塩川委員 これは事前にお願いしていたんですけれども、私が承知しているのは、道路運送車両法におきましては地方運輸局長、さらにそれが委任という形で運輸監理部長や運輸支局長になり、商調法においては都道府県知事となっていると思いますが、それでよろしいでしょうか。

上村政府参考人 都道府県知事で間違いございません。(塩川委員「商調法はね」と呼ぶ)はい、小売商業調整法の方は都道府県知事で間違いございません。それから、道路運送車両法の方は運輸局長ということで間違いございません。

塩川委員 そうなりますと、道路運送車両法では地方運輸局長、ブロック単位ですし、さらに支局長単位ですと都道府県単位ぐらいに置かれているわけです。また、小売商業調整特別措置法の場合では都道府県知事ですから、いずれの場合でも、現行での異議申し立て先というのは都道府県単位にはあるというものが、これが審査請求に一元化ということになりますと、東京まで出てこなくちゃいけないという話になるわけです。

 大臣にお尋ねしますけれども、複数の種類の不服申し立てを持つ場合に、審査請求への一元化で異議申し立てを廃止するような場合は、都道府県単位であったような異議申し立てができる不服申し立て先というのがなくなって、もちろん審査請求の内容については充実する方向ということはあるのかもしれないけれども、東京で処理しなければならないというのは、これは国民の権利救済という立場から立つと改善と言えるのかということを率直に思うんです。かえってそういう申し立て先が近くになくなってしまうということは後退になりはしないのかという懸念を持つわけですが、この点についていかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、今回の見直しにおきまして、最上級行政庁の審査請求を行うということ、それは高いレベルの手続保障を受けることができるということだと思います。

 また、現行法の異議申し立てが、一方当事者である処分庁が審理を行うことから、弁明書や反論書の提出、証拠書類等の閲覧が規定されていないなど、審査請求に比べますと公正な審理手続の保障が不十分な面がある。こういうことですから、それを審査請求に一本化したわけでありまして、結果、審理期間の長期化を防ぐことにもつながっていくのではないかと思っております。

 ですから、あくまで権利行使の向上といいますか、レベルを保障しつつ長期化を防ぐ、こういう観点から、我々はこのようなことを考えているわけであります。

塩川委員 現行で、異議申し立てがあって、審査請求がある。異議申し立てについては都道府県とか地方に申し立て先があって、一方で審査請求は東京の方にあるという整理だとする場合に、基本は自由選択ということを条件とすれば、私は、異議申し立てを残しても、これはメリット、つまり、国民の立場からいえば権利救済のメリットになると思うんですけれども、それを今回、一元化ということで異議申し立ての方をなくしてしまうというのは、権利救済では後退じゃないか、その点についてお尋ねしているんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 まず、場所の問題につきましては、その前に、電話における口頭意見陳述も可能となるような、そういったこともあります。ですから、移動に関することは、それはまだいろいろな対応ができるのではないかというふうに思っております。

 それから、今も申しましたけれども、やはり権利行使をしっかりと向上させるという意味におきましては、今回の審査請求の一元化に加えて、コピーを認めるですとか、そういったさまざまな権利を拡充することによって全体として向上をされるのではないか、このように考えております。

塩川委員 ですから、高いレベルの手続保障ができるというのは結構な話なんですけれども、それをやった上で、そもそも異議申し立てを廃止する必要はないんじゃないのかということですよね。

 ですから、事前の簡易迅速なという趣旨に立って、それは行政庁の都合もあるでしょうけれども、国民の側から、権利救済として、身近なところにまず異議申し立てをすることというのは、簡易迅速の一つとして選択肢として残す。ですから、これを自由選択にして、異議申し立てもできるし、そのまま審査請求もできるという方向の改正で、全体として高いレベルの手続を保障していけばいいんじゃないかと思うので、一元化の名のもとに審査請求に一本化をして、異議申し立てを廃止する必要はないんじゃないのかと思うんですが、その点、もう一回、いかがですか。

上村政府参考人 繰り返しのお答えになってしまうかもしれませんけれども、やはり一方で簡易迅速化ということがございますので、二段階でやるとそれなりの時間がかかるということがございます。かつ、一段階にすることによりまして、先ほど大臣もお答えいたしましたようなさまざまな権利保障を充実させるということでございますので、権利保障の面では、そういうふうな一段階のところで十分に今回担保されているという観点に立ったものでございます。

 それから、申立人の便宜等々でございますが、口頭意見陳述等の場合は、確かに、例えば東京に出向く地方の方という場合が想定されなくはございませんが、いろいろな、電話等の手段を使うということも可能でございますし、また、口頭意見陳述ということ自体、現行の制度で見る限り、それほど頻度高くやっているものではございません。大体一割、全体の手続の一割というぐらいかと思いますし、また、必ず東京でやらなくてはいけないというものでもございませんし、出先に審理員が出向いてするということも可能でございます。そこは、いろいろな手段を講じて、申立人の方々の不便にならないようなことは考えてまいりたいと思っております。

塩川委員 労働保険審査会なんかでもテレビ電話があるなんという話を聞きましたけれども、でも、面と向かってやるんだったらそれなりの時間をとってやるのを、テレビ電話だと、終わりますと、ぱちっと切られちゃうというわけですよね。そういう点では、やはり遠いところでやるというのは、権利救済という点では十分に保障されないという問題があるので、私は、全体としての手続を充実するという方向そのものは結構だけれども、一元化の名のもとに、異議申し立てがあり、審査請求があるものを、一律に異議申し立てをなくすというのはいかがかなというのが率直な思いであります。

 次に、再調査の請求の導入のところであります。

 今回の改正で、異議申し立てを廃止し、再調査の請求を導入する法律というのは、どういうものがあるんでしょうか。

上村政府参考人 これは、先ほどの五件のなくすものと違いまして、非常に多うございます。典型的なのは、国税通則法とかが、異議申し立てが再調査の請求にかわるということでございます。

塩川委員 事前に総務省から説明いただいたのは、異議申し立ての取り扱いについて再調査の請求を導入するものは、国税通則法を含めて五本と聞いているんですけれども、違いますか。

上村政府参考人 失礼いたしました。再調査の請求を導入するものというのは五本でございます。

 繰り返して申しますと、国税通則法、それから関税法、とん税法、特別とん税法、それから公害健康被害の補償等に関する法律でございます。

 大変失礼をいたしました。

塩川委員 それで、行政不服審査法において、現行の異議申し立てと、今度の改正案の再調査の請求、これには違いがあるんでしょうか。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の異議申し立てと改正後の再調査請求ですが、まず、共通する手続といたしましては、口頭意見陳述の機会の付与、それから必要があると認められる場合の執行停止、この二つなどがございます。

 他方、改正法案における再調査の請求でございますが、これは特定の、今申しました五つの手続に関し、処分庁が関係資料を改めて調査する、そういった簡易な見直しの場合を想定してございますので、例えば参考人の陳述及び鑑定の要求、それから処分庁による物件の提出要求、それから処分庁による検証、それからまた審査請求人または参加人の審尋などに相当する手続は置かれておりません。

塩川委員 ということで、異議申し立てと比べて、今回導入する再調査の請求というのは、より簡易、簡略なものとなっているわけです。

 この行政不服審査法の改正を受けて、異議申し立てをなくして再調査の請求を導入する法律の中で、現行の異議申し立てより簡易、簡略な再調査請求を導入する形になるのは、国税通則法を除くほかの四本だと承知しているんですが、それでよろしいですか。

上村政府参考人 ほかの四法案につきましては、本体の行政不服審査法の手続と同じ手続になるということでございます。

塩川委員 国税通則法は、通則法での措置を行うということであります。

 その場合に、今言った四本ですけれども、それは、審査請求の方での充実とか一連の取り組みがあるのは承知しているわけですけれども、しかし、異議申し立てをなくして、再調査の請求を置いて、それも選択できますよという今回のスキームで、今言ったように、四つの項目について、異議申し立てにあったものが再調査の請求にないという御説明でした。それは、結果として、不服申し立てを行う国民の立場からすると、権利救済において後退するような仕組みになっていないのかというのは率直に思うんですが、そこはいかがですか。

上村政府参考人 今回の再調査の請求というのは、繰り返しになりますけれども、特定の、一定の範囲内に絞った形での類型としてお認めするということでございます。

 現行法の異議申し立てというのは、多種多様な、言ってみれば、どういうものが申し立てとして来るかわからないという中で、そういういろいろな手続のメニューをそろえていたという面がございます。今回は、簡易な物件、資料の見直しということに特化した手続ということになれば、先ほど私が申し上げましたようないろいろな手続を、基準法たる行政不服審査法に一律に規定する必要はないだろう、そういう考えに立ったということでございます。

塩川委員 これは、だから、行審法で、一般法で直すから、個別法もそれに合わせて調整しましょうという話ですけれども、例えば、公害健康被害の補償等に関する法律、公健法などは、もともと公害患者救済のためにということで生まれた法律でもあります。裁判がたくさん出て、それで裁判所が大変になったというのもあるわけですけれども、一方で、不服申し立ての仕組みをつくることによって権利救済を図っていこうという中で生まれてきているものですから、そういうときに、異議申し立てと審査請求があるというスキームそのものは、私は、権利救済の立場から意味のあるものだと思うんです。

 その際に、異議申し立てを再調査の請求に置きかえて、しかし、その中身そのものが、四つの項目が落ちているということになると、これは本来の権利救済という点でいかがかなということも思わざるを得ません。

 この点は、ちょっとまた引き続き、次回の機会で取り上げていければいいなと思っております。

 残りの時間で、国税通則法でお聞きしたいんですが、財務省の方にお尋ねします。

 国税通則法において、現行の異議申し立て、今回の法改正で再調査の請求を設けるわけですけれども、その異議申し立てと再調査の請求、国税通則法においては違いはあるんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 国税の不服審査につきましては、処分の大量性、争いの特殊性といった事情があるために、現行の国税通則法では、審査請求の前に異議申し立てを置くこと、それから、審査請求の処理のために国税不服審判所を設置することなど、固有の不服審査制度を規定しているところでございます。

 他方、不服審査の一般法でございます行政不服審査法の見直しに合わせまして、国税通則法におきましては、今般、異議申し立てにかえて選択制の再調査の請求を設けるといった見直しを行っているところでございますけれども、この再調査の請求につきましては、基本的には現行の異議申し立ての手続と変わりのないものになってございます。

塩川委員 総務省にその点で確認ですけれども、そうしますと、もともと、国税通則法の異議申し立てと、それから行審法の異議申し立てには違いがあるということですよね。その点、確認で、お答えいただけますか。

上村政府参考人 御指摘のとおりでございまして、現行の国税通則法の異議申し立ては、現行の行政不服審査法に規定されていない手続、いろいろございます。例えば、異議申し立て書の職権補正、それから税務署長経由による異議申し立て等が可能となる等の違いがございます。

塩川委員 ですから、現行の行政不服審査法の異議申し立ての手続について、より簡易な国税通則法の異議申し立てに合わせるような形で再調査の請求というスキームをつくったというのが実態なのかなと思っております。

 そういう中身として、財務省にお尋ねしますが、行政不服審査法の改正に対する日弁連の意見書の中で、再調査請求については、税務調査との混同が起こらないよう、その区別が法律上明確となるように適切な規定を置くこと、このようにありますが、どのように対応されたのかについてお答えください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 再調査の請求との文言につきまして、税務調査との混同が起こらないようにすべきとの御指摘があることは、先生が今おっしゃられたように承知をしているところでございます。

 行政不服審査法の見直しにおきまして、再調査の請求が、処分内容等を把握している処分庁において事実関係を改めて調査することにより簡易に処分を見直す手続であることから、その内容を適切にあらわすため、再調査の請求との名称とされたものと承知をしております。国税通則法におきましても、行政不服審査法の見直しの内容に合わせて、現行の異議申し立てを、再調査の請求という名称を用いることとしたところでございます。

 この再調査の請求は、不服申し立ての一類型として、行政不服審査法、また国税通則法において明確に位置づけられているものでございまして、こうした再調査の請求の趣旨が適切に理解されるよう、関係省庁等と連携いたしまして、周知、広報等に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 先ほど西野委員からの指摘もありましたけれども、再調査請求という名称だと、何か不服申し立てをする人が調査を再要求するみたいな形で、というのは、本来、税務調査の再調査を求めるという趣旨とは違うわけで、それにとられるようなあり方というのはそもそもあってはならないわけであります。

 そもそも、国民の権利救済の手続であるはずの再調査請求において、税務調査の調査権、罰則つきの質問検査権を行使するような、本来こういうことであってはならないということを最後に申し上げて、質問を終わります。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十三日火曜日午前九時三十分、参考人として成蹊大学法科大学院教授小早川光郎君、税理士青木丈君及び日本弁護士連合会行政訴訟センター委員長松倉佳紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十三日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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