衆議院

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第21号 平成26年5月15日(木曜日)

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平成二十六年五月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 福井  照君 理事 山口 俊一君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      石川 昭政君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    小林 史明君

      佐々木 紀君    清水 誠一君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      松本 文明君    宮内 秀樹君

      八木 哲也君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    高橋 みほ君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           奥野総一郎君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省電気通信紛争処理委員会事務局長)     武田 博之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小野瀬 厚君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡田 則之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       安藤よし子君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     佐々木 紀君

  田所 嘉徳君     石川 昭政君

  橋本  岳君     中谷 真一君

  湯川 一行君     助田 重義君

  馬場 伸幸君     高橋 みほ君

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     宮内 秀樹君

  佐々木 紀君     小林 史明君

  助田 重義君     八木 哲也君

  中谷 真一君     橋本  岳君

  高橋 みほ君     馬場 伸幸君

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

同日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     田所 嘉徳君

  八木 哲也君     湯川 一行君

同日

 理事橋本岳君同日理事辞任につき、その補欠として山口俊一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十五日

 放送法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、衆法第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政不服審査法案(内閣提出第七〇号)

 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七一号)

 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 行政不服審査法案(原口一博君外四名提出、衆法第二〇号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事橋本岳君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に山口俊一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 内閣提出、行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、行政手続法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、行政不服審査法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長笹島誉行君、行政管理局長上村進君、自治行政局長門山泰明君、自治行政局公務員部長三輪和夫君、自治財政局長佐藤文俊君、電気通信紛争処理委員会事務局長武田博之君、法務省大臣官房審議官小野瀬厚君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、国税庁課税部長岡田則之君及び厚生労働省労働基準局労災補償部長安藤よし子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 行政不服審査法改正に関連して、幾つか御質問させていただきたいと思います。特に、きょう私が質問させていただきますことは、行政不服、こうしたことに関連してよく起こっている審査の要求が、税に関するもの、あるいは労災を含む労働の関係が多いということでございます。そうしたことに関連して、私が懸念をしていることを質問させていただきたいと思います。

 行政が決定をする、そのことに対して当事者が異議、不服あるいは問題点、どうも違うのではないかということを行政に対して訴える、そうしたことに対して、最終的には裁判というものがあるのかもしれません。しかし、裁判にかかる時間、あるいはさまざまな、困難と申していいかどうかわかりませんが、課題がある。そういう中で、もちろん、そのことを審査するわけでありますが、その結果を受けた住民の人、関連者に最終的にやはり課題があるということもあるのかもしれません。でも、そうでないときもあるんだと思います。そうしたことをスムーズに、より迅速に解決をしていく。そうしたことのためにこの行政不服というものがあると思いますし、そういう中で、今回、五十年ぶりでありましたでしょうか、改正をしていく。より、そうしたことで起こる課題というものをしっかりと克服をしていく、スムーズに克服をし、関係者を救済していくということだと思うんです。

 それで、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、税の関連であります。

 国税通則法上の再調査の請求ということの名称についてであります。先般の参考人招致の際にも、参考人の方からもこんな意見があったわけでありますが、現行の国税通則法上の異議申し立てを再調査の請求とすることとなっているわけであります。この再調査の請求という名称は、税務調査のやり直しという印象を納税者に与えかねないということで、審査請求との選択制とすることも踏まえて考えれば、納税者に誤解を与えないよう、例えば処分見直しの請求、こうした名前等へ改称することが必要だと、私もお話を聞きながら考えました。それが難しければ、救済制度の位置づけを周知徹底する、これは救済制度なんだということを周知徹底するなどの運営による解決というものが不可欠だと思いますが、いかがでありましょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 再調査の請求との文言について、税務調査との混同が起こらないようにすべきという御指摘は、先生今おっしゃられたとおり、あるということは承知をしております。

 行政不服審査法の見直しにおきましては、再調査の請求が、処分内容等を把握している処分庁において事実関係を改めて調査することにより簡易に処分を見直す手続であることから、その内容を適切にあらわすために、再調査の請求との名称とされたものと承知をしております。

 国税通則法におきましても、行政不服審査法の見直しの内容に合わせまして、今般、現行の異議申し立てを再調査の請求という名称を用いているところでございます。

 この再調査の請求は、不服申し立ての一類型として、行政不服審査法、国税通則法において明確に位置づけられているものでございまして、こうした再調査の請求の趣旨が適切に理解されるよう、先生からも御指摘がございましたとおり、関係省庁とよく連携いたしまして、周知広報等に努めてまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 いろいろとそういう検討の中で再調査ということをやるのだからということでありますが、ぜひ、今御答弁の中にもありました、救済制度の位置づけであるということをしっかりと周知徹底していただきたいというふうに思います。

 続きまして、第三者機関が設置される、第三者機関における専門家、税の場合でありますと税理士の活用についてということでお伺いをしたいと思います。

 地方税についての不服も随分多いというふうに聞いておりますが、地方税についての不服申し立ては、裁決について第三者機関が点検するということになっておるわけでありますが、特に地方公共団体における不服申し立ては地方税に関するものが多い。今も申し上げました。このため、第三者機関の委員には、税の専門家としての地域の税理士の能力活用、こうしたことが重要であると思いますが、この検討について考えるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案につきましては、地方公共団体に置かれる第三者機関の組織運営は条例または規約で柔軟に定めることとしております。したがいまして、委員の人選につきましては、不服申し立ての件数、それから諮問が多く見込まれる分野、こういうものに応じて、任命権者において判断されることになります。

 御指摘の地方公共団体に置かれる第三者機関への諮問件数でございますが、まさしく、地方税関係が約四割と非常に多い割合を占めると想定してございます。そうした観点からしますと、任命権者の判断で、御指摘のありました税理士等、税の専門家を委員に選任するということは十分に想定されることだと思ってございます。

 総務省といたしましても、このように、第三者機関の委員につきまして、条例等に基づきまして、柔軟に、各任命権者がそれぞれの諮問が見込まれる案件等に応じて選任することが適当である。こうした趣旨につきましては、今後、法案が通りました後の話でございますけれども、施行通知等によりまして、各団体にしっかりと周知してまいりたい、こういうふうに考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今も言及いただいたように、地方税の関係が非常に多い、四割ということであります。ぜひ、そうした現場のことをよく知っている、そして専門家である税理士の皆さんとか、そうしたことを活用といいましょうか、生かしていくということを進めていただきたいというふうに思います。

 税の関連はこの二問でありますので、関係の方は御退席いただいても結構であります。ありがとうございます。

 それでは、続いて、先ほど、冒頭で申し上げました労働の問題について質問させていただきたいと思います。

 労働保険審査会があります。ここに係る労災関係の案件についてということで質問させていただきたいと思います。

 まず、お知らせいただきたいわけでありますが、労働保険審査会の委員の方の報酬は幾らでありましょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の労働保険審査会の常勤委員の俸給月額は、九十三万一千円となっております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。常勤の方が九十三万一千円ということであります。

 さて、そういう中で、幾つかお伺いをしたいと思いますが、昨年一年間で労働保険審査会に再審査請求された労災不服事件の件数、そしてまた裁決で原処分を取り消すということになった件数、また棄却及び却下された件数、裁決で取り消しになった割合は何%かということを知らせていただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 労働保険審査会における取扱件数につきましては年度ごとで集計させていただいておりますので、年度単位でお答えさせていただきますが、平成二十五年度に労働保険審査会に請求されました労災保険関係の再審査請求の件数は六百八件となっております。

 また、平成二十五年度に裁決をいたしました労災保険関係の再審査請求は五百九件となっておりまして、このうち、原処分の取り消しとなりました件数が十一件、棄却されましたものが四百七十一件、却下が二十七件となっております。

 したがいまして、裁決しましたもののうち、原処分を取り消す裁決をしたものの割合は二・二%となっております。

近藤(昭)委員 数値でありまして、そうした現況をどういうふうに分析、判断するかということはあるんだと思います。

 ただ、今数値を聞いておるところ、私自身も聞かせていただいて、また、質問するに当たって関係者からもちょっと話を聞きましたが、こうした労災の被災者の支援あるいは労働安全衛生に取り組むNGO、また関係の労働組合は、こうした労災の不服の制度が機能していない、幾ら被災者側が立証しても認めてくれない、まるでギリシャ神話のシジフォスの岩のようだと評すところもあるわけであります。

 こんなことを言うとあれですが、先ほど委員の報酬が九十三万一千円という御報告もありましたが、九十五万円という時代があったようであります。九十五万円の時代に、毎月九十五万円もらっている委員が九五%棄却している、こんなふうにも言われたということがあるそうであります。

 大臣、いかがでありましょうか。今、件数がありました。取り上げられた件数、その中で裁決をされた、しかし原処分が取り消された割合というのは本当に低いわけでありますが、いかがでありましょう。

新藤国務大臣 労災関係の不服申し立ての認容率が低いという御指摘でありますけれども、原処分が適切であればこれは見直す必要がない、したがって認容率が下がる、こういうこともございます、一般論でありますけれども。したがって、認容率の多い少ないということで、それが一概に何か問題が出てくるかということには当たらない、このように思います。

 労災認定に関して言いますと、審査請求と再審査請求を通じると約一四%なんですね。平成二十三年度でありますが、再審査請求による認容率は三・九%、審査請求が一二・三%です。ですから、トータルすると約一四%の認容となります。不服申し立て全体の認容率は平均で一〇・六%ですから、これもあくまで結果の数字でしかありません。

 いずれにしても、大切なことは、適切な、そして正しい判断が行われる、そのことが重要だ、このように思います。

近藤(昭)委員 私も話の中で触れさせていただきましたように、それは、公正な判断が数字で判断されるものではないというふうには私も思わないわけではありません。ただ、やはりそこは、大臣が今御答弁をいただいたように、公正に、正しく判断をされるということが大事だというふうに思います。そして、そういう中で結果が、数字が出てくるんだと思います。

 ただ、実は、私はちょっと危惧をしていることがあるわけであります。それは、もう半世紀以上前になるわけでありますが、この労働保険審査会ができるときに、当時、医師である社会党の岡本隆一衆議院議員が、一九五六年三月十三日の社会労働委員会で、今の事態を予測してというか、危惧を、懸念を表して質問をしているわけであります。

 ちょっと簡単に読み上げさせていただきます。

 月額九万四千円の給料、そして三名分二百八十二万円の報酬が出ている、しかし事務の経費は十カ月でわずか百十三万円だということで、こういう予算はどう考えても委員さんのための審査会であって、審査のための委員会であるとは考えられません。ここでは恐らく、傷病者が手を合わせ念じる、心のこもった申請書も、一片のざら半紙として情け容赦なく紙くずかごに捨てられていくことでありましょう。審査は一片の事務的処理におとしめられ、傷病に悩む労働者の福祉は踏みにじられ、当然受けるべき権利としての労災補償を失って、窮乏にあえぐ犠牲者も出てくるでありましょう。

 この後ちょっとまた言及することもありますが、かなりこの岡本議員の予測が数値としては出てきている、正しかったのではないかと思わざるを得ないようなところもある。

 その後、この事態は改善されたと考えておられますでしょうか。いかがでありましょう。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 労働保険審査会は、労災保険給付等に係る再審査請求につきまして、慎重な審理を行い、審査の統一ある運用を確保するとともに、迅速な裁決を行うために設けられているものでございまして、委員は独立してその職権を行うということにされております。

 労働保険審査会における裁決に当たりましては、再審査請求の内容に係る原処分庁や審査官への質問、また、公開審理における当事者からの意見聴取や、労働者及び事業主を代表する者、参与と申し上げておりますが、ここの意見の聴取、また、合議体における委員の皆さん、法曹経験者や労働法学者、医師などの委員を擁しておりますが、その間での議論といったことで、慎重かつ公正な審理を図っているところでございます。

 このようにしまして、労働保険審査会におきましては、独立の立場から、高い識見を有する委員により、個々の事案に対して慎重かつ公正な判断がなされているものと承知しております。

近藤(昭)委員 公正な判断がなされているということの御答弁でありますが、幾つか確認をしたいことがあります。

 私は、実は民主党のアスベスト対策議連の会長というのも務めさせていただいております。石綿の労災再審査の事案を取り上げたいと思います。

 厚生労働省は、平成二十三年二月二十二日、「大阪アスベスト訴訟控訴審における和解についての国の考えについて」の中で、石綿労災認定基準を緩和して対象者を拡大したと説明しております。

 具体的には、石綿による肺がんについて、従事期間十年以上から、一定の場合には、例えば肺の中に石綿小体が五千本以上というように多数あれば、作業十年未満でもよいこととした。

 基準を緩和して対象を拡大するというのですから、当然、今まで認めてきたものに加えて、五千本以上の事案をもっと認めるということだろうということであります。

 ところが、その後、二〇〇七年に、厚生労働省は、石綿作業十年以上でも石綿小体が五千本に満たないなら認めないという趣旨の基準を示して、今まで認めてきたような事案を切り捨ててしまった。そのため、石綿関連肺がんの労災裁判が次々に起こされた。

 裁判所は、このような〇七年基準は認められない、裁判所は認められないということで、次々に国の主張を退け、原告の主張を認めた。二〇一三年二月十二日、大阪高裁、港湾労働者の肺がん、二〇一三年六月二十七日、東京高裁、製鉄労働者の肺がん、二〇一四年一月二十二日、東京地裁、航空労働者の肺がん。上記の三事案は、いずれも原告の勝訴が確定しているわけであります。神戸地裁にかかっていた別の港湾労働者の肺がんに至っては、判決を待たずに、二〇一三年十一月十五日、労働基準監督署みずからこの不支給処分を取り消し、支給を決定した。国が負けることが目に見えているからだと言えないこともないと思います。

 この四つの事案が不服で上がっていったとき、労働保険審査会はどのように裁決をしたのか、事実をお答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の再審査請求事案四本につきましては、労働保険審査会において、いずれも棄却しているところでございます。

 なお、監督署がみずから処分を取り消した事案につきましては、裁判の途上で、原処分時には明らかではなかった新たな事実が判明したという事情があったため、監督署みずから処分を取り消したというものでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。四件とも棄却をされているということであります。

 さらに加えて、幾つもの裁判で負けたり、裁判を維持できなくなっているのに、同様の建設労働者の肺がんについて、平成二十五年十二月十一日にやはり棄却をしているわけであります。

 この事案は、肺の中から、石綿小体一千本など国際基準であるヘルシンキ・クライテリアの職歴補足ガイドラインを超える石綿小体、石綿繊維が検出をされている。労働保険審査会は、役所の通達に縛られず、丁寧に因果関係を検討すべきであると思います。これでは、役所に、行政の決定に追随しているだけではないか、こういう懸念を持つわけであります。

 さらに質問をしたいと思います。

 石綿の事案はほかにもあります。三つ挙げたいと思います。

 石綿肺の呼吸苦のため、被災労働者が自殺をしたという案件があります。この方は、闘病中にうつ病になったわけでありますが、岡山地裁の判決まで待たなければなりませんでした。

 石綿救済法のうち、労災時効救済の部分があります。労災の遺族なら、妻などには遺族年金、子供などには遺族一時金が出る。労災時効救済では、妻などには特別遺族年金、子供には特別遺族一時金が出る。労災では、妻が請求しないまま亡くなっても子供の権利があるのに、労災時効救済では、労働基準監督署が、妻が請求しないまま亡くなると子供の権利がなくなるとして不支給にしてしまっています。この事件は、裁判になる前に厚生労働省が、監督署が不支給をみずから取り消し、支給するに至った、こういうこともあります。

 建設労働者の肺がんで労災認定されたが、被災者は、労働者の長い期間と、独立自営になって労災特別加入の期間がわずかにあった。特別加入の額は日額五千円にすぎず、この基準をもとにした休業補償では生活ができない。労働者の期間で肺がんになったのだから、労働者の平均賃金にすべきだった。この方も、横浜地裁では認められています。

 上記の三つの事案について、労働保険審査会はいかように裁決をしていたか、お知らせいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の三件の事案につきましては、労働保険審査会においては、それぞれ棄却されたものと承知しております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 いずれも棄却をされていたということなんですが、実は私は、この総務委員会でも取り上げさせていただきました。四月の十五日であります。労災事故から実に二十七年ぶりに事故と中枢神経の損傷との因果関係が認められた事案であります。二十七年ぶりであります。

 このような悲惨な事案について、労災病院である総合せき損センターの泌尿器科部長が、脳や脊髄といった中枢を損傷したために排尿障害、排便障害が起きたとの医学的意見を書いている。被災者側がその事実を指摘したのに、労働保険審査会が棄却してしまって、東京高裁の判決まで被災者は生活保護であった。こういうことが起きているわけであります。

 また、同じ脳損傷の事案で、労働基準監督署の段階で、主治医の意見を尊重せずに、監督署が依頼した鑑定医の意見で因果関係が認められなかった。さらに、審査請求の段階でも、同じ鑑定医に聞いて、やはり棄却をしているわけであります。

 事案の評価はともあれ、鑑定医が同じなら同じ結論になってしまう。これでは、審査請求の意味がない。審査請求の段階でちゃんと鑑定すること、また、監督署の段階とは別の医者に聞くといった丁寧な不服審査、つまり、同じ人に聞けば同じ回答が返ってくるわけでありますから、そうした丁寧な不服審査が必要ではないかと思いますが、いかがでありましょう。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭申し上げましたように、審査会では、年間五百件から六百件程度の裁決を行っているところでございますが、いずれの事案につきましても、高い識見と専門性を有する委員の間で、丁寧に議論を重ね、慎重かつ公正な審理を進めていただいているものと考えております。

 また、審査官は、審査請求事件の処理において、新たに医学的意見を求める必要があると判断した場合には、専門医の意見を求めているところでございます。

 この場合、審査官が、監督署が意見を依頼した医師と同じ医師に対して、異なる視点から、また補充的に意見を求めるということもあるとは承知しておりますが、いずれにいたしましても、事案の内容に応じまして、当該医師とは異なる専門医からの意見を求めることも含めまして、審査請求事件の公正かつ適正な処理をするために、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

 審査会におきましても、委員の判断によりまして、個々の事案の内容に応じて、専門医の意見を含め、慎重かつ公正な審理に必要な情報収集がなされるべきものであると考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、違った複数の関係者、医師、専門家から意見を聞いていただいて、丁寧な、そして公正な運営をしていただきたいと思います。

 さて、今回の法改正は五十年ぶりの大改正で、公正性の向上、点検の強化がうたわれております。きょう私が例として出した労働保険審査会に係る労災案件などは、審査会による再審査請求は棄却されても、裁判では勝訴するというような案件であります。

 これは一例でありますが、大臣、冒頭にもお話をいただきましたが、行政不服審査制度全体として、不服審査のあり方としての公正性が今回の法改正で最も問われるべきだと思いますが、改めて大臣、お考えを聞かせていただきたいと思います。

新藤国務大臣 この行政不服審査制度は、行政の自己反省機能として、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図る制度である。一方で、訴訟は、両当事者による徹底的な証拠の吟味など、慎重な手続を通じて争訟の解決を図るという制度であります。

 したがって、この両者の結論がある程度異なるということ、これが実態としてあるわけでありまして、それをもって、この不服審査制度が機能していないとは言い切れるわけではないと思います。

 しかし、同じ案件で、同じ事案で両者の結論が分かれるということは望ましいとは私は思っておりません。今回の行審法の改正によりまして、手続保障の水準の向上、それから不服申し立て前置の見直しが図られるなど、不服審査と裁判の双方の特徴がより生かされるようになることで、本来の権利利益の救済に一層充実を図られるのではないか、このように期待したいと思います。

近藤(昭)委員 ぜひ、関係者、当事者の利益が図られるように、しっかりと進めていただきたいと思います。

 さて、ちょっと時間が限られてまいりましたが、野党提出、民主党提出の議員立法についてお伺いをしたいと思います。

 政府案の審理員制度では、身内が身内を裁くことになるところがある。甘くなりがちになるという危惧を覚える。議員立法ではそういうことは起きないのか。

 個別の法案についての対応は今後の課題だと思いますが、私がきょう取り上げた労災関連事案などが、裁判では勝って、再審査請求では棄却されるということが起こらないような制度を検討すべきと思いますが、いかがでありましょう。

原口議員 お答えいたします。

 近藤委員におかれましては、総務委員長もお務めになり、人間の尊厳のために働いておられること、まず敬意を申し上げたいと思います。

 今御議論がございましたように、これほど重大な権利やあるいは命の問題が、裁判によらなければ救済できない、このこと自体が問題であるというふうに考えております。

 今おっしゃったように、この法案の参考人質疑でもございました、同じ穴のムジナ論、つまり、身内が身内を裁くということが、それが今まで何を起こしてきたのか。

 大臣のもとで決裁をされたものが、今回、処分にかかわった者は審理員から除く、これも大きな改正でございますが、我が方の改正案では、より中立性、公正性を担保するために、審理官というものを内閣府に置いて、そして、今お話しのような、不服審査における公正性、中立性というものをさらに担保できるようにというふうに考えておるわけでございます。

 また、政府案が仮に成立した場合においても、外部登用を含め、公正性、中立性に最大限配慮した審理員の人選が行われることを期待しているところでもございます。

 以上、お答えいたします。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

高木委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 五月八日に続いて、行審法と関連二法案について質問をさせていただきますので、特に、衆法提出者におかれましては、閣法との違いを簡潔に、わかりやすく教えていただきたいと思います。

 まず、行政不服審査法案の閣法と衆法の違いについてであります。

 第一に、審理体制の違いについてであります。

 一つ目は、審理員と審理官の違いについて、具体的に教えていただければと思います。

原口議員 お答えいたします。

 福田委員、公共サービス基本法も御一緒させていただきましたが、やはり公共サービスの質をしっかりと確保する、その意味でも、今回、行政の不断の自己反省機能、それを強化するということで、政府案、私たちの野党議員立法があるわけでございますが、その中で、お尋ねの、政府案では、審査庁の職員の中から指名する審理員が審理手続を担当することとなっておりますが、審理員は、いわば行政の内部の者であることから、公正性、中立性の点で、この委員会でも議論があったところでございます。

 そこで、我々の案では、外部登用を基本に、内閣府が一括採用する審理官が審理手続を担当することとしておりまして、審理官は審査庁から独立した存在であり、いわば外部の者であることから、審理手続の公正性、中立性をより一層確保できるのではないか。

 御一緒に、年金業務監視委員会、これは不服審査とはまた別のものですけれども、この四月で一応閉じました。しかし、政府におかれましても、被災地の死亡一時金の問題を調査していただきまして、この一カ月で約二十五名の年金一時金の申請があった。しかし、このことも、外部性、公正性、中立性の委員会がなければ、果たして解明できただろうかというふうに考えておりまして、我が方の議案についての御理解をいただければというふうに思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、審理官を創設することによって、いわゆる同じ穴のムジナではない外部の人間を登用することによって、審理の独立性、専門性が一層高まる、このようにお考えですか。

原口議員 そのとおりでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、二つ目でありますが、二つ目は、審理官の設置場所等についてであります。

 独立性、専門性の高い審理官は、どこに創設をして、どのくらいの人数で対応しようとしているのか、教えてください。

奥野(総)議員 ただいま原口委員の方からも御答弁がございましたけれども、外部ということで、内閣府の方で一括採用して、外部の人間を採用して審理官を置くということでございます。

 人数については、これは精査をしなければならないんですが、基本的に、政府の審理員の定員を全部振りかえて内閣府に持ってくるということでありまして、政府全体として見れば、仕事の量、定員の量は変わらないということでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 一昨日の参考人質疑で、小早川参考人は、黄川田委員の質問に対してこう答えております。

 「私は、結論から申しますと、こういう形で」、特に政府案ですね、政府案で「とにかくやってみてはどうかと思っております。」

  それは、繰り返しになりますけれども、行政そのものの意識改革ということが重要だと思いますので、外からチェックされるというだけですと、これは裁判所のチェックというのは現にあるわけであります。中の意識改革をどうやっていくかということが一つであり、それからまた、行政上の不服申し立ての処理に関しては、やはりそれぞれの法制度の考え方を的確に踏まえて処理をしていかなければならないということで、やはり今どきの大変複雑な行政ですと、そこに専門性の問題というのがどうしてもございます。

  そういう意味で、専門性と客観性、そして行政の自己反省機能の担い手というような要素を考えますと、審理員というのは、もちろん外部から適格性のある方をどんどん入れていくというのは望ましいことだと思いますが、原則それでいけというのはやや時期尚早ではないか。そしてまた、内部で公正な判断のできる行政官、行政職員をこれから育てていくべきではないかということも考えておりまして、その意味で、この法案の審理員の仕組みということでどうか。

  もちろん、下手をすれば、これは行政側の立場で物を見るということになってしまいますが、そこはもちろん監視が必要であります。

  今回の仕組みの中でいえば、審理員が、意見書をきちっと作成して提出する、それが裁決の際の基本になるという仕組みはできておりますので、その辺の審理員の審理を透明なものにし、また、ひょっとして審理員の意見と違う裁決をするというのであれば、なぜそうするのかということを裁決の理由としてはっきり書く。その辺で、外から見て、審理員による本当に公正な審理が行われ、それが裁決に反映されたのかどうかということをきちっとウオッチしていくということが仕組みとしても大事ですし、運用上、あるいは関係者の意識としても大事だろうと思っております。

こう答えておりますが、どう思われますか。

原口議員 私も、小早川参考人の意見は大変大事な御意見だと考えております。行政のみずからの自己チェック機能あるいは自己反省機能、しかしそれが、五十年ぶりの改正の中で、これは小早川先生もおっしゃっていますが、下手をするとというところに私たちは着目をしたわけであります。

 実際に処分にかかわった職員が審理にかかわるということは、今までもあったとは思えません。むしろ、私ども、政権を経験させていただきましたが、例えば、同じ総務省であれば、総務省の中の郵政部門がやったことについて、では、行管部門がまた、同じ大臣の決裁のもとでやったことを、別のことが本当に言えるんだろうか。私は、そのことについてもやはり少し慎重に考えるべきではないかということを考えています。

 しかし、今回の政府案では、後で御質問いただくと思いますが、第三者機関というか、行政不服審査会というところでそれを担保しようという工夫は見えると思うんですが、別の参考人でありますけれども、青木参考人がおっしゃいました、重装備か軽装備か、ここもやはり一つの大きな論点だと思います。外部の専門家をできるだけ入れて、そして中立性、公正性を担保していく、そしてお手盛りにならない、ここにもう少し私たちの案は強調する点があるということも申し添えておきたいと思います。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 三つ目は、第三者機関の必要性についてであります。

 衆法の、内閣府に審理官制度を外部の人材を登用して創設するということになりまして、いわゆる第三者機関は必要なくなると思いますけれども、それで不都合はなくなりますか。むしろ効果は高まるとお考えですか。

原口議員 御指摘のとおりでございます。

 やはり、この文化も変えなきゃいけないと思うんですが、省あって政府なし、各省庁ごとにやはり大変大きな結束意識が強いです。政府案では、行政不服審査会を設ける趣旨は、先ほど若干答弁をいたしましたけれども、客観性、公正性を高める点にございますが、我々の案では、客観性、公正性を審理官制度によって担保していこう、それによって、第三者機関である行政不服審査会は屋上屋になる可能性があって、設ける必要はないと考えているところでございます。

福田(昭)委員 審理官が審理員と第三者機関を兼ねることによって、第三者機関を設置せず、そういった意味では、行政改革にも資する、こういう観点からの提案ということになりますね。

 次に、四つ目でありますけれども、公正性の向上についてであります。

 五月八日の総務委員会で、私の質問に対して新藤大臣は、

 まず、行政による自己反省機能として、みずからの専門性を生かして、処分の適法性だけではなくて裁量の妥当性についても迅速に審理を行う、ここに意義があるというふうに考えているわけであります。したがって、それはまず、不服申し立てに対する最終的な責任者である大臣の責任のもとで、専門性を有した者、公務員が審理を行う、こういったことを適切だと考えているわけであります。

  あわせて、それに加えて、先ほど申しました、第三者機関を置いて公正性をチェックするということであります。

  もしそれが、大臣からも独立したような、審理官と呼ばれるような、そういったもので不服申し立ての手続を行うことになれば、それは逆に、責任の所在がなかなか曖昧になる可能性があります。また、専門性において、審理官という組織が、行政の外に出すのだとするならば、それは、独立した存在として全省庁を見るようなものになるとすれば、全省をカバーするような専門性をそこでその審理官が全て持てるのか。こういう疑念が生じるわけでありまして、我々とすれば、大臣のもとでの審理員とそして行政不服の第三者機関、これをあわせることによって客観性や公正性を担保したい、このように考えたわけでございます。

こう答弁をされましたが、この答弁で間違いございませんか。総務大臣にお伺いいたします。

新藤国務大臣 今読み上げていただいた、この議事の中のことでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは提出者にお伺いをいたしますが、今の総務大臣の答弁をお聞きしてどう思われるか、お答えをいただければと思います。

奥野(総)議員 御懸念もいろいろあろうかと思いますが、まずは、この不服申し立ての裁決の最終責任者は誰かというと、それは各省の大臣でございまして、審理官の書いた意見書、それを受けて各省大臣が最終的に判断するという仕組みでございますので、そこの責任関係が曖昧になるということは、一つ、ございません。

 それから、果たして全体を見るような組織ができるのかということでございますけれども、先ほど、小早川先生の話の中にもありました、専門性のある人材が本当にそこまでいるのかという御懸念とも重なるかと思いますが、例えば国税不服審判員、これは外部から公募をしておりまして、大学教授とか税理士の皆さんとか、半分ぐらいは外部からの人間で対応しておられるというふうに理解をしておりますが、同じように、外部からの人間、学者の先生でありますとかあるいは行政書士の先生、弁護士の先生、税理士の先生、そういったさまざまな人材を募るということが一つございます。

 そしてもう一つ、行政の側からも、例えば、これは私の私見でもありますけれども、退官されたOBの方とか、そういった方も御活躍いただいたらいいんじゃないか。ただし、自分の母体の省庁は見ないとか、そういうルールをつくって行うことで、人材はしっかり確保できるというふうに思います。

 むしろ我々の方が、専門性そして独立性、中立性の高い仕組みだというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 政府案にしても衆法にしても、いずれにしても公正性をいかにして向上させるかというのがポイントだと思いますけれども、ここのところは今後さらに検討が必要なのかなというふうに考えております。

 それでは、第二に、その他の違いについて教えていただきたいと思います。

 法定受託事務に係る処分及びその不作為の対応について、閣法にはない第四条第二項を追加したのはなぜなのか。また、審査庁が審査請求を却下する場合の対応について、閣法にない第四十四条第二項あるいは第四十八条第二項を追加したのはなぜなのか。その理由を教えてください。

原口議員 私の方から、前段の法定受託事務に係る処分及びその不作為の対応について規定を設けた理由について御答弁させていただきます。

 福田委員が、この委員会でも何回も地方自治体の問題について問題提起をされておられましたけれども、我々の案では、法定受託事務に係る処分及びその不作為等については、審査請求人が、処分を行った市町村または都道府県の体制等を踏まえつつ、都道府県または国に対して審査請求をすることが選択できる、この選択を明確化しておるわけでございます。これにより、政府案に比べますと、審査請求人の権利救済の機会が、これは選択ということでございますが、一層担保され、また使いやすさも向上するのではないか。

 やはり、福田委員が取り上げられた事案についても、その中だけで完結してしまうと、では、泣き寝入りをせざるを得ないのか、裁判に行くまで不正とか不当なことを正すことができないのか、それであってはならないという問題意識を私たちも共有しているところでございます。

 あとは、奥野議員にかわります。

奥野(総)議員 却下する場合の対応ということでございます。大変失礼いたしました。

 我が方の案では、審査請求を却下する場合において、当該審査請求に係る処分に係る事務の処理について、その是正または改善のための措置を講ずることが必要であると思料するときは、審査庁が、処分庁等その他の関係行政機関に対してその旨の意見を述べることができることというふうにしております。

 これによって、審査請求人の適格がない、例えば、一年たってしまって出せなかったとか、請求期間、我々の案でいえば六カ月ですが、六カ月を過ぎてしまったという場合でも、その請求に理があるというような場合には、こうした措置をつくることで、権利利益の救済や行政の適正な運営、自己反省機能の部分でありますけれども、制度の改善のための措置がこれによってより一層講じられるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 より細かく国民の権利利益を救済できるように、そんな形での条文として取り上げたということですね。

 特に、先ほど原口提案者からお話がありました件については、法定受託事務は、この条項ができることによって、地方自治体に対する不服申し立てを国の方に出すこともできるかと思いますけれども、しかし、地方自治体の事務については、残念ながら、地方自治体そのものが不正行為を行っていた場合には、なかなか出すものがない、それを解決する法的手段がない、こういう大きな問題が実はあるかと思っております。これは、後ほどまた触れたいと思っています。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は、審査請求期間を六カ月に延長することについて、その理由について教えていただきたいと思います。

原口議員 これは、参考人が全て、出訴期間は今より長ければ長い方がいいという御議論でございましたけれども、我々の案では、国民の権利利益の救済機会を実質的に拡大するために、審査請求期間を行政事件訴訟法上の出訴期間と同じ六カ月にしています。

 これは、より権利救済、行政が複雑化し、あるいは手続についても複雑化する、社会も複雑化する中で、やはり一定の期間を設けて、そして出訴の期間の権利を保障する方がより望ましいのではないかという考え方でございます。

 政府案は、大臣の御答弁を伺っておりますと、地方自治体も、その気持ちもわからないわけではありません、不服審査に係る期間を決めて、行政の安定性とか、あるいは処分の確定期間というのをリジッドにするという思いが行政の方からいえば強くなると思いますが、私たちの案では、より権利救済のところに目配りをしたということでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 確かに、五月十三日の参考人質疑では、参考人の方々からは、国民の側からすれば、三カ月以内に一カ月延長されたものは一歩前進、長ければ長いほどよいという考えというふうに言われたと思いますので、そういった意味では、まさに国民の権利利益を救済するという観点からは、確かに六カ月に延長した方がよりベターなのかなというふうに私も思います。

 四つ目でありますが、四つ目は、国税不服審判所等における、審理中に作成された文書の取り扱いについてであります。

 これもまた、閣法にない附則第四条を追加したのはなぜなのか、その理由を教えていただきたいと思います。

奥野(総)議員 先日の参考人質疑の中でも、税理士の先生の方から、これまで手書きで何カ月もかかって書いていたものがこれから謄写できるということで、政府案に対しても評価がございました。

 これは、我々政権のときにこの謄写については提言をさせていただいたものでありますけれども、これを今回取り入れていただいているということで、政府案はかなり進んでいるというふうに理解をさせていただいておりますけれども、一点、今回、例えば口頭陳述というのがありますが、口頭で意見を述べた、陳述の内容が記載された文書については閲覧等の対象とされていません。対象とされているのは、処分庁が提出した書類その他の物件の閲覧、写し等についてということで、法律で規定されている部分だけでありまして、口頭陳述のメモ書きとか議事録のようなものは今回対象となっていないわけでございます。

 この点については、個人情報の保護等の関係もございますから、関係人の方から意見を聞くなどの検討を行った上で、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが妥当だということで、このような規定を設けさせていただいているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 確かに、これは重要なポイントだと思います。特に、行政不服審査法が適用される法律が少ない中で、四%と九六%という話がございますけれども、適用されない九六%の法律に定められている、こうした国税不服審判所等に対して情報開示をしっかり求めるということは大変大切なことだと私も思いますので、ぜひ、こうした条文が政府案にも入ることを望みたいなというふうに思います。

 それでは、五つ目は、使いやすさの向上についてであります。

 こうしたさまざまな、非常に丁寧な改正案を提出されて、これで政府案に対して使いやすさが向上するのではないかというふうに思っておりますが、衆法提出者は、その点、どのようにお考えですか。

奥野(総)議員 五十年ぶりの大改正ということでありまして、政府案も非常に、公正中立性、簡易迅速性に配慮してすばらしいものだと思いますけれども、これまで答弁させていただいたとおり、我々の方も、やや政府案よりも、公正中立、簡易迅速性において使いやすいものになっているのではないかというふうに思うところでございます。

 いずれにいたしましても、簡易迅速、公正中立性を確保するために、この行政不服審査制度については不断の見直しが必要だと思いますので、政府におかれましては、ぜひ我々の案も検討していただいて、取り入れていただければというふうに思います。

 以上であります。

福田(昭)委員 今まで、公正性の向上、また使いやすさの向上について、閣法と衆法の違いなどについて話を伺ってまいりましたけれども、今までの議論を通して、総務大臣として何か考えるところがあれば、ぜひお話をいただければと思います。

上川副大臣 今回の行政不服審査制度、五十年ぶりの改正ということでございます。先ほどのお話、小早川先生のお話の御引用がありましたけれども、やはり行政の意識改革、風土を変えていくというところに大きな点があるというふうに思っております。

 行政の自己反省機能を生かして、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るということでのさまざまな工夫ということでございますけれども、議法の方の提出もございましたが、政府案のことにつきましても、簡易迅速あるいは透明性の向上につきましてはさまざまな工夫をしているというところについては、評価もしていただいているというふうに承っております。

 その意味で、今回の制度そのものを実際に運用していくという段階の中でしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 政府案もかなりよくできているとは思っておりますけれども、しかし、もう一段の改正の必要があるんじゃないかということで衆法が出たわけでありまして、そうしたことに対して今までお話を伺ってまいりました。

 次に、是正のための処分等についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず第一に、住民自治基本条例に定める住民投票実施義務違反についてであります。

 A市で起こったことでありますけれども、A市で住民から地方自治法第七十四条に基づく住民投票条例の制定を求める請求がありましたが、首長の意見に沿って、市議会は、住民投票条例の制定を否決いたしました。

 しかしながら、A市の住民自治基本条例を見ますと、その中には、特に重要な事項について直接に住民の意思を確認する必要があると認めるときは、事案ごとに、別の条例で定めるところにより住民投票を実施し、その結果を尊重しなければならないと規定をいたしております。これが明らかに条例違反だとしたら、行政手続法第三十六条の三に基づき、是正のための処分を求めることができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、今回御提案をしております処分等の求めは、行政庁等が法令違反の是正のための処分または行政指導を行うことを求めるものでございまして、処分とは、国民の具体的な権利義務に変動を及ぼすものであります。また、行政指導といいますのは、自主的な協力を要請する、そういう意味では柔軟な働きかけをいうものでございます。

 今委員御指摘のケースですけれども、これは、住民投票条例の制定、また、その内容というのは、地方議会において判断されるものなのでございますけれども……(福田(昭)委員「できるだけ短く」と呼ぶ)はい、済みません。

 では、簡単に申しますと、地方議会の議決といいますものは処分あるいは行政指導に当たらないというふうに解釈されております。これは行政手続法にそのような適用除外の列挙がございまして、これに該当いたします。また、行政指導にも当たらないということになります。

 結論といたしましては、今回の御提案の処分等の求めの対象にはならないと考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしたら、これができないとしたら、行政の過ちをどうやって是正すればよいのか。行政裁判もしくは選挙で決着をつけるしか方法はないのか、お伺いをしたいと思います。

新藤国務大臣 委員は市長も知事もお務めでございますから、もう御みずからよくそこは承知されていると思いますが、住民の意思の代表が議員であって、また、その住民の投票によって選ばれた首長がいらっしゃるわけであります。私は、そもそも、まず第一に、そういったことが、もしそういったおかしなことが起きているならば、その地域の住民は、自分の支持する議員また議会に対して働きかけをすること、これが第一であって、議員がしっかりとそういった市民の声を踏まえて行動するのは当たり前のことであると私は思います。

 また、制度といたしましては、自治法の中に条例の制定、改廃、直接請求制度が設けられておりますから、住民は、地方公共団体の長に対して住民投票の条例制定の請求を行うことができる、これは制度としてそういったことがあることも承知をしております。

福田(昭)委員 先ほどもありましたけれども、結局、地方分権が進む中で、地方自治体に、自主的に、主体的に行政を運営するという権限がどんどん拡大していくわけでありますけれども、そうした中で、議会もチェック機能がない、監査委員もチェック機能がないというふうになったときには、住民しかチェックする人がいないんですね。その住民が、要するに、条例に、法律に基づいて住民投票にかけろという請求をしても、それを議会で否決されれば、今度は裁判なりあるいは選挙で決着をつけるしか方法がなくなっちゃうんですよね。

 しかし、これが明らかに、条文に照らして、条例違反だということがはっきりしているのに、そうしたものができないもどかしさというのがあるかと思うんですね。そういう意味では、やはり、一般市民にはそんなに力はありませんから。それこそ、どれぐらいの市民の集団ができればそういうものを是正することができるのかというのがありますけれども、そこは非常に難しい問題かなと思います。

 やはり、今後の地方行政のあり方、また地方自治体のガバナンスのあり方、そういったことをさらに研究して、日本の民主主義をどうやって充実させていくのかということが実は大きな課題になっているのかなというふうに思っておりまして、そのことについては、また別途、議論する機会が持てればいいなというふうに思っております。

 時間が来ましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 我が党といたしましては、この行政不服審査法案及び関連法案につきましてはおおむね賛成という形で推移しております。

 その前に、通告はしていなかったんですけれども、民主党案についても、今の二つの質問に関連しましてちょっとお聞きしたいことが出てきましたので、したいと思います。申しわけないです。

 先ほどのお二人の御質問に対してもっともだということで、ただ、我が党に関しましては、民主党案といいますか、いわゆる民主党を初め、提出案ですけれども、その中で、審理員をあえて審理官という名前にかえておりますよね。だから、そういった意味で、そこのところの重要性というものをもう少し聞きたいといいますか、その辺を。

原口議員 御質問いただきましてありがとうございます。

 今、野党各党で行財政改革刷新プログラム法を、日本維新の会の皆さんとも検討させていただいています。その流れの一環というふうに考えていただくとありがたいなと思います。

 やはり、どうしても大臣のもとで、例えば、新藤大臣の総務省という中で、総務省が決裁したものを総務省の別の職員がそれに対してまた別のことを言うというのは非常に難しいことです。ですから、今の政府案も、ある意味、行政不服審査会というものを設けて第三者性とか効率性をされていますけれども、私たちは、もっと行革そのものもやろうじゃないかと。審理官というものを内閣府に置いて、そして軽装備で、しかも、第三者性、外部性を入れて、より公正性というものを高めているというのが私たちの案でございます。

 やはり行革の流れからしても、例えば、行政審査員を一人雇うにしても一千万ぐらいのお金が要るわけです。この行財政の改革が必要なときに、この間の年金業務監視委員会でも私も指摘させていただきましたが、あれだけの弁護士さんが、年間百五十万ぐらいでこれだけの仕事をしていただいているので、そういう思いもあってこの案を提案しておりますので、また御一緒に議論させていただければと思います。

 ありがとうございます。

新原委員 ありがとうございます。

 我々維新の会が検討するときに、あえて修正案ではなくて提出されたという、それなりの政府との折衝等はあったといいますか、その辺はどうだったのかなという話が出ましたので、その辺をお聞きしたいと思います。

原口議員 そこは、正直、随分悩みました。

 と申しますのも、この行政不服審査法の今回の閣法というのは、私どもの政権時代に検討したものを随分取り入れていただいています。

 ただ、さっきの審理官と審理員の違いというのはやはり大きいんです。そして今、政府側の答弁もございましたけれども、実際に運用してみないと、半世紀ぶりの改正ですから、わからないところがある。だとすると、私たちが百だと考える案を出して、その中で、今回修正の御協議に、特に日本維新の会の三宅先生に大変大きなお力添えをいただきまして、政府も懐を広くしてくださいましたけれども、やはり私たちがやるとしたらこれだというものをお示しした上で、そして政府案の足らざるところというか、よりよいものを目指したというのが、今回の私たちの姿勢でございました。

 対案に限りなく近い修正案というような位置づけをしたわけでございます。

新原委員 よく趣旨がわかりました。これ以上は質問はありませんので、ごゆっくりしてください。その点をこの委員会の場でちょっとお聞きしたかったので、ありがとうございます。

 そういった意味で、日本維新の会も、協力できるところは協力し、それなりに考えてまいりたいと思います。

 そこで、あと、賛成という立場で、質問等は余りなくなってきているんですけれども、政府案について気になるところをちょっと質問させていただきたいと思います。

 私どもが思っているのは、行政不服審査会ということで、運営方法、つまり、第三者、同じ穴のムジナでないということを強調していくための運営方法、第三者機関として設置される行政不服審査会について、少し確認を含めまして御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、今回新しく設置される審理員を指名する基準というのは、まず第一番目に、審査庁所属の職員であること、第二番目に、審理員となるべき者の名簿に記載されている者、そして三番目に、審査請求に係る事案の直接の当事者やこれと密接な関係を有する者やその他利害関係者等以外の者と規定されております。

 つまり、処分に関与していない者が審理することが、今回の法改正上、制度上担保されていることについては重要であると認識しております。

 ただ、当該審査庁がその職員の中から指名しているという限界があるように思われるんですけれども、その点について、政府の見解はいかがなものか。また、再審査請求の際の審理員は審査請求の際の審理員と別の者が指名されなければならないと考えますが、その点は担保されるのでしょうか。

新藤国務大臣 私、今委員から審理員についての総括的な御質問をいただきましたので、私どもの考えというものをぜひ御理解いただきたいと思うんです。

 本来、今回の行政不服審査制度、これは、行政の自己反省機能を生かしつつ簡易迅速な権利救済を図る。ですから、行政の中にあって反省し、簡易迅速性を発揮させるわけなのであります。それを行政の外に出すというところにおいて、まず第一義的に理念上の差が出てきます。

 それから、審理官といって独立した制度になると責任の所在が曖昧だということを申しましたが、別途新たな組織をつくるということになれば、これは単純に言って人員増になるんですね。この審理員は、各省の通常業務をやりながら、必要に応じて不服のための審理をしなさい、こういうものになるわけですから、行政の内部で処理するわけなのであります。

 それから、国民の税金、私も含めて皆さんの、みんなの税金で運営していく行政制度が信頼できない。行政が、私は同じ穴のムジナと言われると本当に少し反発したくなるのでありますが、これは、みんなで一生懸命やっていて、自分たちがコストを負担して仕事をやらせている、またやってもらっているわけなんですから、そこがきっちり仕事をするのは当たり前なのであって、それが認められないから別の第三者を認めましょう、では、その第三者は誰が選ぶんだ、その第三者の公正性は誰がチェックするんだ、どんどん同じことの繰り返しになってしまうのではないかというのが、私は、前政権と、今私たちの保守の政権との考え方の根本的な違いだ、このように思っているんです。

 ですから、もちろん、いろいろな問題があります。それから、適切でない措置を行う場合もあります。それはきちんと、一つ一つ、問題が起きたときに対処すればいいのであって、本来は、求められるものをきちんとこなしていくんだというその信頼がなければ、行政も政府も成り立たないのであります。そこを我々は大事にしたいなというところでございます。

 ですから、第三者機関においても、これは、それこそまた審理官に対する第三者チェックをするなどということも、場合によっては、組み立てからいえば出てきてしまうわけですね。そうではなくて、あくまで行政の内部できちんと一つ一つの役所が自分で責任を持とう。

 奥野さんも、役所にいれば、自分たちの役所でもし間違ったことがあれば、きっちり糾弾して正すことをやっていたはずですよ。みんなそうです。私も実際に役所の中で、自分たちの措置で、だめだ、変えようと。これは政治の責任でもありますし、そういうことが機能できないから外に出そうなどというのは、私たちはそういう選択はとらないということが大前提であるということであります。

 それから、今の委員の御質問のテクニカルな部分については、上川副大臣の方から答弁させていただきたいと思います。

上川副大臣 ただいま新藤大臣からの大きな理念ということも踏まえて、今回の政府案ということでお示ししたところでございますが、そもそも行政の自己反省機能をしっかりと維持していくということ、それに伴って、制度面におきましても、職員の中でも当該処分にかかわらない職員の方を審理員として任命し、客観、中立に裁決案を出すことができるようにしていく、そして、そのことをしっかりと踏まえて大臣が裁決をしていく、判断ができるようにしていく。

 さらに、そのことに対しましても、これは申し出の方の要請に応じてということでの選択性はあるものの、全て第三者機関が審理の公正性を客観的に担保する、こういう仕組みを行政の中に設けるということによって国民の権利利益の救済をしっかりと図っていく、こういう趣旨でつくっているわけでございます。

 審理員の権限でございますが、これは、行政不服審査法によりまして固有の権限が与えられております。みずからの名において、独立して審理手続を行うものであるということでありますので、大臣がこのような個別の事案に対して、審理員の権限行使に指示を出すというようなことはできないというふうに考えております。

 また、さらに、審理手続を進めるに当たりましては、当然のことながら法令遵守ということが義務づけられておりますので、各種の法令に従って判断をするということは当然のことでありますし、その結果として審査庁に対して不利な案を作成したとしても、そのことをもって審理員が不利益をこうむることがあってはならないというふうな仕組みになっているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 さらに、審理員の指名は審査庁が行うものでありますから、審査請求人等から見て公平性、公正性が損なわれると思われるような方が指名されるおそれがあると思います。この審理員の人事について、請求人が意見を言うといいますか関与する方法はないのでしょうか。よろしくお願いします。

上村政府参考人 基本的な審理員の公正性は、ただいま大臣、副大臣から御答弁したとおりなんでございますが、今の委員の御質問は、例えば、刑事訴訟法、民事訴訟法における裁判官の忌避という手続がございまして、申立人がこの人は除外してくれと申し立てる手続のようなことはないのかという御質問かと思います。

 この審査請求は、何度も御答弁がありましたように、裁判と違いまして、そこまで厳格な手続ではなく、簡易迅速に結論を出していく、そういう仕組みでございます。しかも、審理員は最終的に裁決をする者ではございません。裁決者はあくまでも大臣、首長でございますので、そこまでの手続は、法令上、忌避、あるいは当事者の申し立てによってそうした者を役職から除外する、こういう仕組みは今回設けてはおりません。

 ただ、委員、今御指摘のような、過去、審査請求人と何かの関係があったとか、こうした場合も場合によってはないとは言えないと思いますので、そういう場合は、手続の公正の観点から、そういう人を審理員にするというのは当然避けるべきだと思ってございます。

 総務省としても、そうしたことは避けるべきという運用につきましては、適正に図られますように、周知などに努めてまいりたいと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣も言われましたように、行政官というのはすばらしい人たちの集まりだと僕は思っておりますし、同じ穴のムジナだとは、全員がそうだとは思っていないです。

 ただ、やはり、行政処分を科した行政マンのいわゆるミス、間違い等ありますし、そういった思いもあると思います。

 そういった中で、これは意見として今ちょっとお聞きしたいんですけれども、審理をするときに、まず、審理される者の名前を隠す、それから、誰がその調査をした、つまり担当した行政官の名前も隠してという形、つまり、そういった形にすれば、審理員としても、誰がなろうが、割と公平性、公正性が担保されると思うんですね。

 やはりそういったことも今後検討していただいて、だから、審理するときには、誰がその行政処分なりを決定したのか、また、それが誰の内容なのかというのを多分隠してできると思うんですよね、別に内容だけで。

 そういったことを担保すれば、もちろん、行政マン、同じムジナとは思わないんですけれども、そうすれば、この審理員制度というのはさらに有効に働くと思うんですけれども、今後そういったことを御検討されることは。

新藤国務大臣 皆さんが心配されていらっしゃるわけですけれども、私は、今行政の内部に議会から行っているわけなんですけれども、自分たちの過ちを、また、自分たちの誰かが、仲間が犯した間違いを正しくすることについてのちゅうちょというのはありません。

 それから、自分が使命を持って、法律に基づいて職務を執行する上で必要であれば、それはむしろ、私どもは逆に厳しくやる。お互いが信頼をして、間違えないはずの、間違いを犯してはならない状態で仕事をしているのに、でも、自分の都合だったり何かのことで事情が働いて間違った判断をする場合、そうしたものを組織が守るというふうに考えていることがよくないと思っているんですね。

 そうではなくて、ちゅうちょする必要もないし、現実に我々は、というか私は全くちゅうちょしていませんし、むしろ身内であればこそ逆に厳しくやる、そのかわり信頼するぞ、こういうことでやっております。それは職員もみんな同じです、上司たちも。

 ですので、匿名性をしなければとか、そんなふうに余り考える必要は私はないと思っているんですが、いずれにしても、そうはいいながらも、五十二年ぶりの大改正ですから、こういったものを運用しながら、必要に応じて適宜この研究をすることは当然のことだ、このように思います。

 ただ、どうも、やはり一般国民の皆さんは、行政が自分たちの御都合主義に陥っているんじゃないかという意識が非常に強い。だとすれば、そこの意識を払拭することは、我々のまだ努力が足りないし、役目ではないかな、このように考えております。

新原委員 ありがとうございます。そのような意識で頑張っていただきたいと思うんです。

 そういった意味の関連の質問から、外部登用ということも検討すべきではないかというふうにも考えているんですけれども、その点についてはどのようにお考えか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、行政の自己反省機能の発揮ということでございますから、内部にいる職員がまずこれをやるというのが基本であろうかなと思ってございますが、ただ、一方で、地方公共団体とか、非常にこれは規模もまちまちでございますし、小規模なところもあるわけでございますので、それぞれの地域の実情、また、そういった地方公共団体の行政の規模ですとか、予想される申し立ての内容、これに応じまして、外部の人材を任用しまして、それで審理員に指名する、そういうことは、審理の専門性、公正を確保するための有効な方法の一つであろうというふうには思ってございます。

 改正法案では、その点につきまして、柔軟なことができるようになってございますので、外部から任用した任期つき職員、非常勤職員等を審理員に指名することも可能でございますし、そういうことは十分あり得るものだと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 やはり、特に地方におきましては、行政不服内容によっては、特に専門性が非常に高い場合とかは人員が確保されない懸念が非常にありますので、そういった意味で、外部等も採用されることによって公平性、公正性というのが担保されることだと思いますので、そういったものも前向きに考えていただきたいと思います。

 やはり、先ほど大臣言われましたように、身内をかばうということはないにいたしましても、同じ方が調べて同じ方がまた審理するということが、結局、専門性が高くなるとそういう可能性が、現在はそういうふうになっていますので、せっかく今回の改正案でそういったことはやめようという形になっていますので、外部登用等につきましても柔軟性を持って対処していただきたいと思います。

 そこで、これは例えばの話ですけれども、例えば審理中に審理員が人事異動が生じたりとか、退職してしまったり、御病気になったりとかいろいろ、いわゆる継続性が担保されないということはあると思うんですけれども、そういった場合はどのように対応されるのでしょう。

上村政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと病気の場合はよくわかりませんけれども、異動、退職等、ある程度事前に予見できる人事異動等につきましては、審査請求というのは、何回も繰り返しますが、簡易迅速というのを主な目的としておりますので、裁判のように長期間を要するものではございません。また、今回の改正によりまして、標準審理期間というものも定めるよう努めなければならないということもございますし、全体的に一層その審理期間を短くしようというふうなことで考えてございますので、そういった期間内に仮に異動、退職等が予定されているような職員がいるとすれば、そうした方はやはり審理員に指名しないでおくということは十分可能だと思いますし、逆にそうすべきであろうというふうには思います。

 ただ、突発的な事態が例外的に起こったときどうするかということでございますけれども、病気その他のケースということだと思いますけれども、そういう場合は、当然、審理を一からやり直すということではございませんので、新たな審理員を任命しまして、そこで、新旧の審理員間で事務の引き継ぎをきちんとしていただくということになると思います。

 そうしたケースにつきましても、申立人の方に御迷惑をかけないように、また遅延することがないように、適切な引き継ぎがなされるべきであるという旨などについては、しっかりと周知をしてまいりたいと思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 あと、本法案について、国において、審査庁は、原則として、行政不服審査会に諮問しなければならないとされておりますけれども、この行政不服審査会の構成員の専門性というものをどのように担保されていく予定でございますか。

松本大臣政務官 先生、全体の中で専門性をどう生かしていくといいましょうか、全体の中で専門性をどう担保していくか、こういう質問だろうと思うんですが、最も専門性が高いのは、言うまでもなく審理員の方でございまして、この審理員の方が専門性を十二分に生かして裁決案をまずつくっていただく。裁決案をつくっていただいたものが行政不服審査会にかかっていくということでありますけれども、この行政不服審査会というのは、改正法の第六十九条第一項において、審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができる者であり、かつ、法律または行政に関してすぐれた識見を有する者のうちから、衆参両議院の同意を得て総務大臣が任命をする、こういう形になっております。

 むしろ、ここで行われるのは、審理が公正に行われたかどうか、その審理員の方がきちっと正しく審理をしたかどうかということをチェックするというところ、ここに重きが置かれていて、そのために高い見識が求められるという制度になっております。

 そこで審査を進めていく中で、審理員とは別に、さらに高い専門性が必要だということである場合には、その専門的な調査を専門委員にお願いする、してもらうということもできるという制度になっております。

 全体として、その専門性、これが十二分に担保できる制度というふうに私たちは考えているところであります。

新原委員 ありがとうございます。

 今回の法律改正ということで、公平性、公正性を担保していく御努力が見受けられます。

 そういった中で、ちょっとこれはどうかなというのが、気になりましたのが、再調査というのがありますよね。再調査というのも選択できるということですね。つまり、行政官が調査したことを、再調査を依頼しても、同じ行政官が調査すれば、これはまた同じ結果が出る可能性という。つまり、不服を申し立てているわけですから、調べ直してくれと言うてるのに、今の制度では、そういった行政マンの専門性、人数からいうて、同じ方が調べられているという方がほとんどなんですよね。つまり、再調査を依頼しても、言うてみたら、不服側からしては、再調査にならないということですね。

 だから、審査においては公平性、公正性は担保されるということは非常に理解はでき、賛同できるんですけれども、この再調査については、今後そういった、何か工夫なりをされていく予定等はないんですか。その辺は、僕の意見としてですので、御見解等をいただけましたらと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 この改正前といいますか、現行の行政不服審査法、再調査の請求は異議申し立てという名前でございまして、まさに異議申し立てにつきましては、今先生がおっしゃったような懸念等があったところでございます。

 その前提としまして、異議申し立てというのは、基本形であるところの審査請求に比べまして、いろいろな手続保障の水準が低いというところもございます。今回は、そういう異議申し立てにつきまして見直しを行いまして、一部に限定して再調査の請求として残す、かつ選択制にするということでございますが、その残し方というものは、申し立て件数が大量性であって、争点となるものが、割と客観的な事実に基づいて判断ができるもの、そういうふうなものを理念形として再調査の請求として残すということになりますと、例えば、通達の違法性を争うとかいうものではございませんで、この処分の根拠になった数値、これが違っているじゃないかとか、この資料を見ればここはこうではないかと、割と双方客観的にその調査の過程でわかる、そういうものだけを簡単に言えば残しているということでございますので、そこの制度の趣旨にのっとれば、適切に運用がされるのではないかと思ってございます。

 いずれにいたしましても、御懸念があるところとは承知しておりますので、運用上、そうした御懸念が払拭できるような工夫というのはこれからも検討してまいりたいと思います。

新原委員 ありがとうございます。

 ある事例で、聴聞があり、そこのところで結局行政マンの瑕疵が見つかった、間違えていたということで、再調査をされましたら、同じ行政マンが調べたということで、そういった陳情がありました。つまり、そういったことは今の内容ではないということがわかりましたので、客観的に、おかしいことにつきましては、やはり違う行政マンに調査させるような御努力をされたいと思います。

 もちろん、行政処分ということは厳格にしないとだめですけれども、間違い、行き過ぎたということを、やはり公平性、公正性を担保される意味でも、今回の法律改正を非常に是としておりまして、賛成させていただくつもりでありますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 今回の改正、先回の参考人の方々の意見を聞きまして、私も、不服審査の観点からいいますと、何といっても一歩前進ではないかなと思っております。ただ、一歩前進を二歩前進にするべく質問したいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 まず、今回の改正の目玉といいます審理員につきまして質問したいと思います。

 先ほど、うちの新原委員の質問に対しまして、新藤大臣は、同じ穴のムジナなんて絶対にあり得ない、身内をかばうことなどないというすばらしい御答弁をいただいたと思っております。しかしながら、一般の人間の感情といいますか、それは、やはり同じ穴のムジナというか、同朋をかばうというふうに思われても仕方がないものがあると思います。

 それはないとはおっしゃるんですけれども、審理員になった人たちというのは、もし国民を救済しなくても痛くもかゆくもない立場にあると言えるんだと私は思っております。やはりどうしても、一つの組織にいますと、自分の組織を守ろうという意識は知らず知らず働いてしまいます。これはどこの会社でも同じではないでしょうか。

 ですから、私は、この制度が悪いと言っているわけではないんです。審理員が、もっと救済した方が得だ、救済しないと組織が危ないぞというようなインセンティブを持たせるような制度にした方がいいんじゃないかと思っております。そうした方が、もちろん同じ穴のムジナと国民から見られるおそれもなくなりますし、また、すばらしい組織になっていくと考えております。

 そこで、まず質問したいんですけれども、この審理員を設置して、何か、きちんと国民の意見を聞いた方がいいというようなインセンティブを与えているようなことはあるのか、お尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 あってはならないわけですね。同じ穴のムジナであってはならないし、また、自分たちの身内に甘い、そういったことであってはならないわけであります。

 ですから、その精神を大切にしながら、そして、そういう人たちの集まりであるべきであるし、そうなんです。そうでなければ評価はされないし、度合いに応じて処分するんです。これがルールであって、組織だと思うんですね。

 したがって、組織なりルールが適切に運営されないことを前提に代案を考えるということになれば、それはその代案の代案ということで、未来永劫どんどんと連鎖が始まりますよということを私は申し上げているのであって、そこをぜひ理解いただきたいと思うんです。

 インセンティブは、そもそもが、法令の遵守、それから国民全体の奉仕者である、そういう精神を持って入るんです。また、そういう教育を受けるんです。また、国民から監視をされるんです。それに応えていい仕事をすれば、業績に必ず反映されます。業績評価、人事評価の制度の中に、どういういい仕事をしたかということは、当然その方のキャリアに入っていくわけでありますから。

 そういう中で、公務員の世界は、特別に昇給があるわけでもない、それから飛び級で何か抜てき人事、それはありますけれども、民間のような、飛び越えたような、そういったものはない。ゆえに、安定的に、そしてみんなで目的意識を共有して頑張っていこう、こういう公務員制度があるわけですから、その全体の中でインセンティブを感じているし、何よりも公務員にとって最も自分たちの励みになるのは、いいことをやってくれたと、それは目の前の人に感謝されたことも含めて、そういうものが本当の自分の財産であり、勲章なんですよ。

 それは、みんなできちんと理解してあげなきゃいけないし、そういう人たちを評価してあげることが私は重要だと思うんですよ。それが最大のインセンティブではないでしょうか。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 新藤大臣の精神論、すばらしいと思います。本当にそうあるべきだと思っております。

 ただ、私が申し上げたいのは、精神論ではなくて、何かシステムをつくった方がいいのではないかというお話です。もちろん、精神はすばらしい方たちがそろっていると私は思っております。

 例えば、審理員ごとに救済の実態を公表させる。認容数と割合は幾らだったとか、あと、認容されなかったので裁判に行ってしまった場合、違法とされた裁決がどのくらいあるかとか、そういうことを皆に公表していく。あと、例えば、棄却、却下の裁決または原処分が訴訟で取り消された場合には、不法行為訴訟における弁護士費用と同じように、当然に訴訟の目的の価額の一〇%を行政機関に課す、ちょっとこれは行き過ぎかもしれないんですけれども。それとか、審理員は任期制にして、再任の場合にはその業務内容を国会で審査するようにするとか、そのような客観的な制度を少しつくったらいいんじゃないかと私は提案いたしました。

 今回はそれはされていないようですので、ぜひ、次回改正をされるときにはこれも検討していただきたいと思っております。

 次に行きまして、少し細かい点なんですけれども、不服申し立ての対象についてお尋ねしたいと思います。

 今回、対象が原則、処分ということですので、不服申し立ての適用除外は現行法で同じであると伺っております。ただ、今日、処分から契約へという流れが一般的であるかと思っております。例えば、障害者自立支援法とか保育所の民営化など、今まで処分でされていたものが契約とされるようになっております。

 そうしますと、この契約というものを処分というふうにできない以上、違法な拒否を争える制度をつくるべきであると考えます。つまり、処分以外にも、行政法規に違反する行政上の契約拒否などについても本法律などで救済の対象にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

上村政府参考人 やや法律的なお話になるかもしれませんけれども、お答え申し上げます。

 行政不服審査制度といいますのは、そもそも、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に対して行うものでございます。これは委員も御承知のとおりと思います。

 では、この処分その他公権力の行使に当たる行為とは何かということでございますが、行政庁が、国民に対する優越的な地位に基づきまして、人の権利義務を直接変動させる、またはその範囲を確定する効果が法律上認められている、こういう行為のことをいう。これに当たる場合が行審法の救済の対象となるということでございます。

 処分かどうかということは、処分という言葉が使われているかどうかということではございませんで、そういった、今私が申し上げたような効果を持つかどうかということで判断されるわけであります。

 行政機関が行う契約といいましてもさまざまでございまして、一般的には、先ほど私が申しました優越的な地位ということではなくて、契約者双方が対等で、当事者間の合意に基づいて権利義務関係が確定される、これが普通であろうと思いますので、こうした場合は不服申し立ての対象とはならないわけでございます。

 ただ、中には、ある種優越的な、対等でない形の契約というのもある場合があるというふうには承知しております。一つの例でいえば、公の施設の使用申し込みを不承諾にした場合ですとか、それから、委員御指摘の保育所の入所の場合ですが、これはちょっと契約によってやられているのかどうか定かではございませんが、入所申し込み拒否が不服申し立ての対象となった例というのもあるというふうには承知しております。

 そういうことでございますので、契約と申しましてもいろいろでございます。ですから、契約という言葉だけをもってこれを一律に対象とするわけにはまいりませんので、どのようなものを仮に救済手段として取り込んでいくかということになりますと、一般に契約と言われているものにつきまして、その類型化といいますか、分類といいますか、それをした上で、法律に書けるだけの統一的な規範、こういったものを定立していかなければならないわけですけれども、なかなかこれは、現段階では類型整理というのが困難でございまして、今直ちにそういった具体的な検討を行っているとか、あるいは行う予定があるという状況ではございません。そういうことでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 先ほど私が述べました保育所への入所の拒否の話とか、あとは入札で落ちた場合の話とか、いろいろ考えますと、契約とはされているけれども実際にはある程度優越的な地位によってという場合もあるかと思いますので、今さっきおっしゃっていただきました、類型化、分類化をされてこれからまた検討していただくというお話を聞きまして安心するとともに、これから分類化、類型化というのをぜひしていただきたいと思っております。

 次に行きたいと思うんですけれども、今回の法改正では、申し出人に対する、違法な行政指導の中止を求める制度の導入が予定されております。これは、私はとってもいいものだと思っております。ただ、少し問題もあるのではないかと考えております。

 それは、まず、法律上の根拠に基づかず、権限濫用にも当たらない場合の行政指導を範囲外にしてしまっている点、これは少し問題ではないかと思っております。

 それに加えまして、これは処分ではないという前提に立つので、結果の通知義務がない、強制されていない。したがって、救済の機能が弱いのではないかと私は思っております。せっかく国民の信頼を得るために救済手段の充実を図ったのに、審理はするけれども通知はしないよ、結果は教えてあげないよというのは、余りにも国民の信頼を裏切るところになるのではないかというような気がします。

 例えば、普通の会社で文句があった場合、会社に文句を言ったのに、調査はしたけれども返事はしないというような会社は、だんだんユーザーの信頼を失うか潰れていくしかないと考えております。ですから、結果の通知義務ということはかなり重要な点だと思っております。

 結果の通知義務という点に関しましては、今回また新設されました、法令に違反する事実がある場合における一定の処分、行政指導を求める制度の場合でも、やはり、申し出に対する許否の応答には処分性がないとされ、結果の通知をしなくてもいいとされている。

 両方とも、結果の通知が義務化されていないというところは、やはりかなり問題だと思うんですけれども、この点に関しまして、いかがでしょうか。上川副大臣、お願いいたします。

上川副大臣 御指摘の点は、改正行政手続法の第三十六条の三に係ることということでございますけれども、処分等の求めにつきましては、不服申し立てのように個々人の権利利益を救済するというものよりは、この申し出を端緒として、行政機関が気づかなかった問題点等に対して適正な処分を行うということを主たる目的とするものでございます。

 したがって、この手続につきましては、第三者の立場から何人でも申し出を行うことが可能としておりまして、申し出人につきましては、通常、処分等を受ける者ではないということでございます。

 また、申し出を受けた行政機関による必要な調査及び措置につきましては、適正な行政運営を図る視点から、裁量に基づき行われるということでございます。

 処分等の求めの申し出をした者と行政機関との関係につきましては、申請をした者に対して許認可をするといった、通常の処分で見られるような国民と行政機関の一対一の関係とは大きく異なるということでございまして、法制上、応答を義務づけること自体難しいというふうに考えておりまして、今回の改正では、御指摘のように、規定を置かないというふうにした次第でございます。

 ただ、一般的には、国民の皆さんから、みずからの生活に非常に密接に関係のあります法令違反につきましての申し出を行うことが多いというふうに想定されますので、運用上の取り扱いといたしまして、申し出をした方にその結果を通知するよう努めることが望ましいというふうに考えております。

高橋(み)委員 私の質問の仕方が少し悪かったんだと思うんですけれども、三十六条の二でありまして、これは申し出人に対する違法な行政指導の中止のことでありますので、個々人の救済を図らないというふうに言われちゃうと、これはかなり問題じゃないかと私は思っております。やはり、申し出をした人は違法な行政指導の中止を求めているのですから、そこに関しましてはやはり応答義務を課すべきではないかと思っております。

 あと、やはり、問題と言われているところが、申し出をしたけれども行政側が十分に応えてくれない場合、申し出人が抗告訴訟として裁判で争うことができないということも伺っております。やはり、裁判に行くことができないというのはかなり問題だと思いますので、その点につきましても、これからぜひ御検討いただければと思っております。

 次の質問に行きたいと思うんですけれども、今回、八十五条に審理内容の公開というのが定められたと伺っております。これにつきましては、私はとてもいい制度だなと思います。しかしながら、これもまた努力義務になっております。審理内容の公開がせっかく定められたのですから、義務づける必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。上川副大臣、よろしくお願いします。

上川副大臣 委員御指摘の裁決の内容の公表あるいは不服申し立ての処理状況の公表、ここに係る点の八十五条ということでございますけれども、こうした公表につきましては、国民に対しての説明責任を果たすとともに、不服審査制度の運用の公正性、透明性を向上させ、行政に対する国民の皆さんの信頼を確保するという観点からも大きな意義があるというふうに考えております。

 総務省といたしましても、各行政庁ごとに、このような具体的な裁決の内容、根拠法令ごとの処理状況など、処理件数とか、処理の類型、あるいは処理期間などの不服申し立ての処理状況などにつきましてはホームページで公表をするというふうに想定しておりまして、今後、行政庁に対しまして、こうした公表の事項とか記載の程度あるいは目安等につきまして指針を示すことを通じまして、行政不服審査制度の運用状況が適切に公表されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 そこまでいろいろホームページに公表するなり指針をつくるなりするならば、義務づけをしても全然構わないんじゃないかと思います。なぜ義務づけをしないのかなという疑問は、かなり私にとっては残ると思います。

 次に行かせていただきたいんですけれども、行政不服審査手続というものは、何といっても裁判よりも簡単で迅速である、国民の誰もがその手続に参加することができる、少し敷居が高い弁護士さんに頼むこともなく、行政庁、いろいろな処分庁のところに行けば手続ができる、開始されるというような、国民からの利便性というのがかなりあるものだと私は思っております。

 ただ、そうしますと、今回の法改正でも、不服の申し立てができる代理人の範囲につきましては特に定めがないというふうに伺っております。

 先ほど申し上げましたように、簡易なものであるならば、別に、本来は弁護士さんなど代理人を立てなくてもいいはずなんですけれども、やはりそれは何といっても難しいところもありますので、代理人というものを立てる必要性というのは否定できないと考えております。けれども、そこで、何も、裁判所に訴えていくための、代理人として資格がある弁護士さんに限らなくてもいいのじゃないかなというように私は考えております。

 法廷に立つのではない、行政に出す書類なんですから、例えば行政書士に代理権をこの法律で認めてもいいのではないかなというように私は前々から思っておりました。加えまして、税理士さんや社労士さん、税の専門家や社会保障に関する専門家である社労士さんなどにもここの代理を認めて、この不服審査法に明記する方がいいのではないかと私は思っておりますけれども、この点につきまして、新藤大臣の御見解を伺いたいと思っております。

新藤国務大臣 士業の代理権は、弁護士法、税理士法など各士業について定める、いわゆる士業法において規定されているわけでありまして、行政不服審査法には代理権に関する規定というのは置いていないわけであります。

 代理権の範囲の見直しは、今いろいろな御指摘がありましたが、各士業の性格を踏まえて、それぞれの士業のあり方の検討の中で行われればよろしい、このように思いますし、行政不服審査制度の公正性、使いやすさの向上を図るという今回の改正の趣旨ということからすれば、代理権の規定につきましては特段この中には触れていないということであります。

 また、お尋ねの、行政書士にも代理権を付与すべきではないのかということでありますが、これも、不服申し立て手続の代理は、弁護士法七十二条との関係で現状では認められているわけではありません。

 一方で、日本行政書士連合会の方からそのような御要望が出ていること、また、行政書士法の改正を要望しているということは承知をしております。

 今、与党を中心にして各党の行政書士に係る議員連盟が、この法改正の検討を議員立法によって進めよう、こういう動きがあることも承知をしておりますから、我々とすれば、そういった議員立法の動きというものは注視をしてまいりたい、このように考えております。

高橋(み)委員 私は法務委員会に所属しているので、いつも思うのですけれども、なぜか資格制度というのは議員立法でやれという話でありまして、こういう議論の場にどちらかというとのせたくないというような印象をいつも受けます。

 国民のいろいろな権利を守ったりするための資格制度というものが、もちろん議員立法というのはすばらしいものなんですけれども、どちらかというと隠密裏に図ってしまって、こういう平場で議論されないというのは残念な現状であるのではないかなと私は思っております。

 いろいろな本当の専門職、今は行政書士を特に挙げましたけれども、税理士さんとか社労士さんとか、いろいろ本当に専門的な知識を持っている方たちがいますので、それを、資格の問題だとかそういういろいろなことで逃げずに、この法律の中で決めても私はいいのではないかなと思っております。

 ただ、今、新藤大臣からも伺いましたように、進捗状況を見守っていただけると言っていただけましたので、私も、きょうはこのぐらいにしておきたいと思っております。

 次になるんですけれども、今回、ある方から、第三者機関を設置したことによりまして、行政不服審査法の眼目である迅速性が害されるおそれがあるんじゃないかというような心配をしているということも伺いました。私としましては、迅速性よりはきちんとした審査をしてもらう方がいいのではないかとは思うんですけれども、余りにも長々と審査をされているというのは、やはり国民にとっても不都合なことではあるかと思います。

 そこで、迅速性を阻害しないような仕組みというものを今回考えていらっしゃるのか、その点につきましてお尋ねしたいと思っております。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

上川副大臣 御質問の、審理の迅速性の担保の規定ということでございますけれども、今回の改正法案におきましては、行政不服審査会等への諮問手続を導入するなどしまして、現行制度よりは慎重な手続規定を置くこととしているところでございます。

 その一方で、改正法案におきましては、まず、第十六条におきまして、標準審理期間というのを定めまして、公にするよう努めなければならないこととするということと同時に、二十八条におきまして、審理関係人と審理員は、相互に協力をし、審理手続の計画的な進行を図らなければならないという責務規定を設けたところでございます。さらに、三十七条におきまして、審理を計画的に進めるために、審理員が、審理関係人の意見を聴取した上で、現場検証あるいは参考人陳述などの必要性を判断し、口頭意見陳述などの期日及び審理手続の終結予定時期等を決定することができるようにしているということでございます。

 審理員の主宰のもとで審理を計画的に進行し、迅速に審理を進められるようなさまざまな手続をしているところでございます。

 また、審理請求人が希望しない場合につきましては、行政不服審査会などへの諮問を不要としているところでございまして、これは四十三条の第一項第四号でございますが、そのほか、早期に出訴したい国民に対する配慮といたしまして、不服申し立て前置の見直しを行っているところでございます。

 これらによりまして、全体として、公正性を高めながら、同時に、簡易迅速性が損なわれることのないような仕組みになるよう組み込んだところでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 迅速性を担保するためにいろいろな仕組みがつくられたということは、よく理解することができました。

 ただ、今の御説明によりますと、十六条、標準審理期間の定め、努めなければいけない。やはり、何事も努力義務だと思っております。やはり、それは努力義務でなく、きちんとした義務として定めるべきではないかと私は思っております。

 あと、計画的にするために責務を置いたとか、審理員や処分庁、参考人などが集まって最初に会議を開いて、どんな証拠を採用してほしいのか、どんなところを審理してほしいのかということを一堂に集まって話を聞くというようなものも、とてもいい仕組みではないかと私は思っております。

 ただ、よく、そういう場合でも、時間がうまく調整できないとかいって、ずるずると引き延ばしてしまうというおそれもなきにしもあらずですので、そのあたりの仕組みというものは、実際、このようにやったけれども、その制度をどのくらいの人たちが使ったのか、そして、それを使うことによって、どのくらい審理期間が短くなったのかとか、そういうような検証をぜひしていただければと思っております。

 今回の私の質問で、厳しいというか、細かいところもいろいろ質問させていただきました。ただ、私は、今回の法改正につきましては、すごい前進だとは思っております。ただ、一番最初に申し上げたとおり、一歩前進を、二歩前進、三歩前進していっていただき、国民の皆様の権利侵害がないようにしていただきたい。そして、国民の権利侵害があると国民の側が思ったときには、それを払拭するような行政側の手当てというか、処分というものをぜひ厚くしていただきたいと思っております。

 本来ならば、司法が活躍するべきものだとは思っているんですけれども、やはり日本では、司法の壁というのは少し厚く、国民の皆さんが裁判に訴えるということは実際、なかなか難しいものだと思っております。ですから、気楽に行政庁に行って、これはどうなんだろうというときに、きちんとした対応をしていただけると、国民の行政に対する信頼というのもすごく上がっていく、私はそのように考えております。

 ですから、初め、同じ穴のムジナでうまくいかないこともあるんじゃないかというような失礼なことも申し上げましたけれども、そうではなくて、本当の意味で国民の皆様の信頼に足るような行政になれるように、ぜひこれからもいろいろなところで頑張っていっていただきたい、そう思っております。

 時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 早速質問に入らせていただきますが、その前に、今資料をお配りさせていただいております。その資料にも基づいて御質問をさせていただきたいと思いますので、簡明なる答弁をお願いしたいと思います。

 まず一ページ目、二ページ目の資料を見ていただきますと、一番最初は、主婦連のジュース不当表示事件、これもかなり古い話でありますけれども、この件について、この間、参考人質疑のときに小早川先生にもちょっとお尋ねをした経緯がありますので、これを出させていただきました。

 この中身は何かというと、無果汁のジュースは無果汁と表記した方がいいでしょう、それは、ジュースを飲んでいる消費者が、ある意味では被害を受けているということで、これをやろうとしたんですけれども、基本的には、資料のとおり、不服申立人適格がないということになりました。最高裁でもそうなったということですから、これをもとに戻せということは無理なんですけれども、実は、その後に、公取はその意見を取り入れてしっかり実施をしたということなんです。本当にすごいことをされたんだなと思いますし、効果があったんだろうと思います。

 今度、二ページ目を見ていただきますと、これと同じように、例えば新潟空港の騒音、その近隣におられる方が騒音によって被害をこうむるということについても、最高裁では、これは今度、適格を認めると。さらには、小田急高架線の工事のときにも、実は、一定の周辺住民の方々の原告適格を認めた。三つ目は、これは最高裁ではありませんが、広島地裁でも、鞆の浦埋め立て架橋、いわゆる、ここは自然というか、海がきれいなところなんですけれども、そういうところに埋め立てをやっては困るよ、自然を残そうというようなことで、これも実は原告の適格を認めたということであります。

 要は、こういうふうにいろいろ変わってきています、適格か不適格かというのは。どんどん変わってきています。

 そこで、今私は事例を申し上げましたけれども、この適格か適格でないかという判断というのは非常に難しいだろうと思います。総務省の方としては、こういう事例を考えて、実際に、適格か不適格か、どのように指導して、どのように判断をするのかというのは非常に難しい問題ではあろうとは思いますが、せんだって小早川先生にお尋ねをすると、かなり重要な論点だというふうに述べられておりました。私が今申し上げた点について、どのようにお考えでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 実際問題といたしましては、個々の案件ごとにこれは判断せざるを得ないわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、まさに先生がこの御資料で配っていただきました主婦連ジュース不当表示事件、こういうリーディングケースがございまして、ここで、判例において、当該処分について審査請求をする法律上の利益がある者、この者というのが不服申し立て適格があるということになってございます。

 この言い方といいますのは、実は、行政事件訴訟法第九条、これは取り消し訴訟でございますが、そこに申し立ての適格があるわけでございますが、これと同じでございまして、自来、行政事件訴訟法九条の申し立て適格と、不服申し立て、こちらの方の行審法の申し立て適格というのは同一であるという解釈が定着してきてございます。

 それに加えまして、これも御承知のとおりと思いますが、平成十六年、これは行政事件訴訟法の改正でございますが、この九条に二項というのが新たに新設をされました。これは解釈規定でございますが、一言で言うと、申し立て適格を広目に解釈しよう、簡単に言うとそういうことでございます。

 もう少し正確に申しますと、当該処分等の根拠になった条文だけではなくて、法令全体の趣旨を勘案しろということですとか、当該法令だけでなくて、関係法令の趣旨、目的も参酌すべしということでございます。それからまた、こうした処分、裁決が根拠法令に違反しされた場合に害されることとなる利益の内容をいわば勘案し、比較考量せよ、こういった条文が盛り込まれておりまして、申し立て適格を、そういう意味で適切な判断が確保されるようになってきているということでございます。

 したがいまして、結論といいますと、この解釈規定に沿いまして、行審法の不服申立人適格も、実質的には幅広く認められていくことになるんだと思います。これが一般的な答えになります。

 具体的には、個々に即して判断をするしかないんだとは思ってございます。

佐藤(正)委員 確かに、今、平成十六年の件を言われたわけですね。行政事件訴訟法改正というところで、今言われた九条の二項で、「当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。」こういう文言が入って、幅広く扱いなさいよということが入ったんです。当然、それと同等だということでありますが、やはり、地方に行くと、なかなかこういうところまで細かくわからない。今までのケースでそのまま踏襲する、大体そうではないかなと思います。

 そこで、地方に対して、こういった点もどのように指導、並びにやっていくのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。

上村政府参考人 第一義的に、行審法というのは国民の権利利益の救済でございますから、その向上に資することにつきましては、私ども、周知徹底を図ってまいります。

 今委員がおっしゃったようなこともその中に当然含まれるものだと思っておりますので、そこは心してやってまいりたいと思っております。

佐藤(正)委員 心してやるというのは、言葉はいいんですけれども。

 しっかりどういうふうにしていくのかということは、この間も申し上げましたけれども、地方には、人材不足の部分もあるんでしょうが、それぞれ今ある第三者委員会を活用して、これも前回の質問のときに答弁いただきましたけれども、新たにわざわざつくるのではなくて、今現存するそういう審査会があるならばそこで兼ねてやっていただこう、なぜなら、そんなに件数がないんですよということだったと思います。そうしますと、今ある第三者委員会なるもの、審査会なるものに足すわけですから、そこはしっかりと、総務省としても地方と連絡をとってやっていただかないと。

 新たにこういうものをつくってくださいというんだったらわかりますけれども、今あるものを活用しようということを考えていらっしゃるという答弁がありましたので、その辺についてももう一度。

上村政府参考人 特に小規模地方公共団体の負担の問題というところでございまして、これは、るるこの委員会でも御指摘をいただいているとおり、大変重要な論点だと思ってございますので、その辺はしっかりと地方公共団体に向けての周知徹底などを図ってまいりたいと思っております。

佐藤(正)委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思っておりますので、期待をしておきたいと思います。

 そこで、前回の質問でも出しました、今ある個別法の中で、審査会に回るものと、そうではなくて、今回の第三者委員会に回るものと、個別法の中であるんですね。

 そこで、例えば、これも資料三それから資料四ページを見ていただければと思いますが、資料三ページの部分は税関長の処分です。しかし、そこに行きますと、ここにも関税等不服審査会があるわけですね。それと、ここにかからないものが行政不服審査会となることになりますよね。

 例えば、私が思うのは、先ほど、地方の分を今ある審査会に乗せてやってもらったらいいじゃないですかと地方には言われるんですね。だったら、これはわかりにくいんですよね、専門は関税等不服審査会ですから、もうここでやってもらったらどうかなというふうに思うんですが、その辺はどういう割り振りをされていますか。

上川副大臣 一般に、第三者機関が設けられている各個別法においてさまざまな処分があるということでございますが、処分または不服申し立ての審理の段階で、専門的な第三者機関に諮問する必要性が特に高い場合に限って、当該機関への諮問が義務づけられているというふうに考えております。

 関税法ということでございますが、関税法に基づく処分にもさまざまなものがございまして、その中でも、関税法の第九十一条に基づく、具体的税額の決定あるいは滞納処分の決定等、関税の確定とかまたは徴収に関する処分等に関する審査請求については、外部有識者による専門的な審理の必要性が特に高いと判断されたということで、これらに限って関税等不服審査会に諮問しなければならないこととされているものと考えているところでございます。

 御指摘のように、現行法におきまして関税等不服審査会の関与がない場合についてまで関税等不服審査会に諮問させることにつきましては、関税法において諮問対象が限定されているという趣旨を踏まえますと適当ではないというふうに考えておりまして、関税等不服審査会の専門性あるいは処理能力等に鑑みましても、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

佐藤(正)委員 それは地方にも言えることなんですよ。地方にはそれをやってくださいと言っていて。何ら変わらないんですよ、正直言って。先に私が地方の件をお聞きしたのはそういうことなんですね。では、地方はそれでいいのか。国の方は、これは専門的なものだけやりますから、それ以外はこっちでやりますよというのはいかがなんでしょうか。

 それと同時に、申請する方からすると、どっちに行くかわからないんですよ。専門家じゃないんですね、みんな。行って、分けられたときに、資料を二つつくらなきゃいけないということになるんですね。だから、一つでやられた方がわかりやすくていいと私は思います。

 今度は、総務省が一番関係のある固定資産税、地方がやっていますよね。固定資産税も二通りあるんです。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、資料があると思いますが、固定資産評価審査委員会は何をやり、そしてまた第三者委員会は固定資産税でしたら何をするのか、ここは御答弁願いたいと思います。

上村政府参考人 私、固定資産税審査会の設置目的を必ずしも今つまびらかに承知していないわけでございますけれども、特定の諮問事項に限定しまして、特に専門的な固定資産税の登録価格、それから過払い、こういったものに限定されて、その専門性においてこういう特別の審査会が置かれているのではないかと思います。したがいまして、こうしたものは、それに沿いました委員構成ないし審理の手続というのが整備されていると思いますので、それはその今の仕組みを尊重する。

 それ以外のものにつきましては、一般的な、これは累次お答えしておりますけれども、まず審理員がその専門性は見る、その上で、その審理員が行ったプロセスなり審理のやり方の適切性を、そういう意味でダブルチェックをする、そちらの方はそういう仕組みにした、こういうふうな考え方の整理でございます。

佐藤(正)委員 いわゆる固定資産税の資産評価ですから、固定資産税をどれぐらい取るか、価格を決めるんだろうと思いますね。では、この第三者委員会の方は、例えばどういうものかというのが、今の答弁でちょっとわかりにくかったんですけれども、ちょっと、総務省の管轄だからわからないんだよね。

上村政府参考人 非常に簡単に申しますと、私どもが御提案している制度というのは、二段階、繰り返すまでもございませんが、まず審理員がかなり専門的、客観的な審査を行って、その結果と申しますか、過程と申しますか、これを審査会がチェックをする、第三者機関でございますが。そういう二重立てになってございます。

 非常に雑に言ってしまいますと、恐縮でございますが、この固定資産評価審査委員会というのは、この審査委員会自体が審理をかなりしっかり行われる。そういう意味では、審理員と、我々で言う第三者機関の役割をこの評価審査委員会が兼ねて行う、一つになっている、こういうふうな御理解をいただければよろしいのかなと思います。

佐藤(正)委員 先ほどから総務省は、地方のことだから、地方にいろいろ協力して、いろいろなことをお願いして、指導もしていきたいというお話を最初にいただいたから、僕はあえて、これは地方に直結する、それで、多い案件ですよ、地方が扱っているのは。せんだっての質問でも出しましたが、件数的に言うと、これは多いんですよ。一とかゼロの話を僕は言っているわけじゃありません。要するに、生活保護法とこれと、一番地方で件数が多いのがこれだからこそ、あえてお尋ねをしているわけですから、そこは、今言うように、しっかり答弁できるようにしておいていただかないといけないと思いますよ。

 そうしないと、地方にいろいろお願いをして、こうしてほしい、ああしてほしいと言っているけれども、実は言っている方が、ちょっとわからないから、地方、教えてくださいという話じゃ、僕はおかしいと思います。そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 いわゆる評価はわかりました。あとは、徴収したりとか、滞納しているとか、それから差し押さえをして競売にするとか、そういったものが第三者委員会に行くんだろうと思いますけれども、これももう、先ほど言ったように固定資産評価審査委員会の方にやってもらってもいいんじゃないですか。やれるような案件だと僕は実は思うんですよ。

 要するに、あえてその部分は今やっていないからこっち側で、第三者委員会に持ち込まなきゃいけないという発想ではなくて、やれるものはそこでもうきっちり、先ほど言ったようにかなりの専門性のある方が集まっているわけですから、そこでやっていただく。さっきの関税の件もそうなんですけれども、そういうところが個別法で抜かれたところがあったりするものですから、非常にわかりにくいという点があるんです。

 というのは、今回の法案でも、こんなに厚い法案で、個別法を見たら相当あるんですね。これは全部なんてとても見られないですね。というところが実は肝ではないかなと思っております。

 この点について答弁をいただいても、同じ答弁になるでしょう。だから、その辺も踏まえてちょっと検討していただけたらと思っています。

 それから、これはちょっと話があれですけれども、この四ページの三と書いてあるところで、固定資産税の過払いについてどういう実例があったかということなんです。

 実は、倉庫を建てたら、一般の倉庫と冷凍倉庫とか、そういう倉庫の目的によって、倉庫の建物によって固定資産税が軽減されるというのがあって、建てた方が、建てた随分後になって減額されていなかったということがわかって、これはおかしいだろうということで、今の固定資産評価審査委員会をやった。そして、なおかつ、今度、裁判に持ち込んだ。そうすると最高裁でどうなったかというと、普通は、お戻ししますよ、それがわかって五年間なんですかね、時効が五年ですよね。ところが、これは、最高裁は二十年間丸々認めたんです。丸々返還しろ、利息もつけてということになったんです。

 この辺になると、五年、これがいよいよ理解しにくくなってくるんですが、この最高裁の判例等について何か所見は、所見というか、もう最高裁は決めたんですけれども、現実にはこれは我々としても非常にびっくりするようなことなんですが、今後、そういうことが起きてくると、認めた段階というか最初に、不作為かどうかはわかりませんが、こういう結果になって、当初から返せよと言われることになるケースがありますよ。この辺は何かお考えはありますか。

上村政府参考人 実際の課税の処分の段階、それからその処分の不服申し立てをした段階での判断、それからまた裁判所の判断、それは、いろいろなもののプロセスのステップにおいて、いろいろな判断が違ってくるということだろうと思います。

 先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、裁判、それからこうした不服申し立ての裁決といいますか、それが異なるということはあり得ることでございますが、同じ案件につきまして極端に異なるというのは、それは当然のことながら望ましくない。

 それは、いろいろな過程におきまして、まず処分もそうでございますし、不服審査のプロセスの充実、それから、今のお話を伺っていますと、多分、法律の解釈の統一といいますか、適切な解釈とか、そういった問題もいろいろとあると思います。そういうことが複合的といいますか、総合的に絡み合った事案だと思います。

 私たちの立場からいたしますと、この不服審査制度の仕組みの充実ということを通じまして、そうした問題の解決に向けて前進をさせていくということではないかなと思っております。

佐藤(正)委員 これをやり出すと時間が長くなるので、この辺で終わります。

 次の資料五ページに、これはまた新藤大臣の顔写真を使わせていただきました。その上に、実は三宅衆議院議員の顔写真も使わせていただきましたけれども、この五ページ目の内容は何かというと、三宅委員がいろいろ質問されてきて、実はもう二十万件ぐらいたまっているじゃないか、これをどうするんだということですが、大臣は、引き続き必要な助言、そして働きかけを行ってまいりますという答弁なんです。

 これはもう少し具体的に教えていただければ、このように思います。

三輪政府参考人 人事委員会あるいは公平委員会の不服申し立ての処理状況についてのお話でございます。

 かなり繰り越しの案件が多くなっているという御指摘でございまして、その処理状況は資料のとおりでございますけれども、その資料にもありますように、繰り越しの状況が特定の団体に集中をしているという状況でございます。七つの団体で十九万六千件、これは全体の繰り越しの九七・九%に相当する状況でございまして、中でも一番多いある団体は、七万二千件が二十四年度時点で繰り越している、こういう状況であります。

 なお、この団体、平成十五年度時点では十万四千件の繰り越しがあった、こういうような状況でございます。そもそも、非常に大量の申し立てがなされているということがまずあるんだろうというふうに思っております。

 また、不服申し立ての処理に長時間かかっているという理由といたしまして、請求人からの反論書等の提出がなされないということ、あるいは人事委員会からの審理に関する照会への回答がなされない、こういうように主に請求人側の事情によるものと私どもとしては認識をいたしておりまして、こうした特殊な事案を除きますと、おおむね五年未満で処理をされているというところが一般的な状況である、このように認識をしております。

 したがいまして、総務省におきましては、これまでも、不服申し立ての迅速な処理について必要な助言、働きかけを行ってきたところでございまして、近年、少しずつその処理状況は進んできておるところでございます。昭和六十年度末におきましては、全国で約六十七万件あった翌年度への繰り越しが、これまでに人事委員会、公平委員会等で処理を進められまして、約二十万件まで減少してきているというのが今日の状況でございます。近年でも、ある団体では、一年で一万二千件の事案を処理されているというような状況もございます。

 したがいまして、私どもとしましては、今後とも引き続き、こういったような状況が進展するように必要な助言、働きかけというものを続けてまいりたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 これはもうそれ以上の答弁は出ないと思いますが、極力早く、スピーディーにやっていただくことを望みます。

 それから、次の六ページ目の資料を見ていただきますと、総務省の中にある審議会や委員会を出してみたんですけれども、今回の第三者委員会、再度お尋ねをしたいんですが、大体年間どれぐらいの案件を第三者委員会で取り扱うように見込んでいらっしゃいますでしょうか。

上村政府参考人 国の行政不服審査会ということでお答え申し上げたいと思いますけれども、これは、二十三年度の調査の実績をそのまま引き延ばしていろいろな適用除外等を除いていきますと、二百件でございます。

 ただ、これは二十三年度でございまして、今後、今回の改正によりましていろいろ、間口が広がるとか使い勝手が向上しますので、もう少しふえることを期待しております。

佐藤(正)委員 それは、第三者委員会が扱う件数として二百件ぐらいあるということでよろしいですか。(上村政府参考人「はい」と呼ぶ)

 実は、電気通信紛争処理委員会なんですけれども、委員会が大体十一回ぐらいで答申が一件とか、国地方係争処理委員会に至っては、処理件数ゼロ件とかなんですね。それから、地方財政審議会は、年間百三十九回ぐらい定例会議をやっているということなんです。

 先ほど来から質問が出て、第三者委員会の委員が、三名が常勤で、その下に、下にと言ったら失礼ですけれども、そこは部会長になるんだろうと思いますが、そこに二人ずつの非常勤がつかれる。なおかつ、もっと詳しい専門は、専門委員をその下に置くというピラミッド形にずっとなっています。

 新藤大臣が言われたように、実は、第三者委員会の前で、審理員で大体、ほとんど私は可能だと思うんですね。それに付加して第三者委員会にあえて持ってはいっていますが、実は、一番のプロフェッショナルがしっかり見て、悪ければそこで直すはずなんですね。

 だから、何で第三者委員会が要るんですかと言ったら、いろいろな方が、やはり公平性を保つために第三者委員会をつくってくれという声が多いということですが、実は、もう少し自信を持ってやれば、第三者委員会なんてなくたってここでできますよぐらいのことを、それでだめだったら、どうぞ裁判してくださいというぐらいの自信を持たなきゃいけないと私は思っています。

 ということは、逆に言えば、第三者委員会をつくるのであれば、専門性の方々もその時々の非常勤で十分対応できるのではないかなということもあり得るんです。

 要するに、そういう専門の方々が、行政のプロが基本的には下すわけですよ。あとは、実際、その第三者委員会に行ったときには、前から大臣が言うように手続論ぐらいだと思うんですよ。そうすると、これだけの常勤を雇う必要性が僕はあるのかな。

 平成二十年法案のように情報公開法から全部含めて総務省がやるというんだったら、それは、それだけの件数もありますし、必要だったんだろうと思いますが、そういった意味でも、今回の法案が平成二十年法案からかなり縮小されたんです。それを考えたら、私は、常勤ではなくて非常勤でよかった。本来なら、縮小されずに、全部やりますよというぐらいに、前も言いましたけれども、内閣府に負けたのかどうかわかりませんけれども、実際はそれぐらいのことをやる意気込みがないといけない。しかし、それがだめだったら、私は第三者委員会は非常勤でも十分だと思っておりますが、その点について答弁願いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、毎回、委員が資料をこのようにつくっていただいて、ありがたいことでございます。また、私の顔もいつも使っていただいているのでありますが、これを見ると、三宅先生のはとてもにこやかで、私のはもう少し優しいいい顔のものを使っていただければとお願いしたいと思います。済みません、軽口をたたいて。しかし、毎回のように、本当に熱心にいろいろな御意見、御提言をいただいていることは感謝申し上げたいと思います。

 今の、平成二十年提出の法案に比べて行政不服審査会の規模が縮小されたのではないか、こういうお尋ねでございますけれども、これは、少しばらしますと、平成二十年の法案では、情報公開・個人情報保護審査会が十五人、そこに行政不服審査の第三者機能を九人入れて、全体として行政不服審査会は二十四人にしようということだったんです。

 しかし、その後に、やはり、情報公開、個人情報保護の方も、そちらはそちらで、逆に、個人情報保護の専門性が阻害される、こういった御意見があって慎重に検討した結果、分けたということであります。そして、総務省の中に行政不服審査会を設置するということになりまして、それは、二十年のときに、行政不服審査も九名でやるという、この規模は変わっていない。ただ、二つのものを一つにしようとしたのを分離して別々につくりましたから、見かけの数は二十四人から九人になった、こういうことだと思います。

 それから、まさに、審理員が自己反省機能をきちんと発揮して、そこで処理できればいいわけであります。しかし、中身ではなくてそのプロセスが正しいか、こういうようなことを第三者としてチェックすること、これは、チェック・アンド・バランスという意味においては必要ではないかという観点から第三者委員会というものをつくらせていただいているわけでありまして、これを無駄なものとならないようにしっかりと機能させていきたい、このように考えています。

佐藤(正)委員 それは二年後に実施されるわけですから、その件数等も今後しっかり見ていただいて、変えるべきものは変える。これは、九名置くことができるですから、基本的にはできるですから、置かなくたっていいという法律ですから、そこをしっかり指摘して、質問を終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 行政不服審査法案について質問をいたします。

 関連して、財務省においでいただきました。

 今回の不服申し立ての手続の見直しで、異議申し立てを廃止し、国税通則法などにおいては、新たに再調査の請求を置くということですけれども、それとの関係で、三年前、二〇一一年に国税通則法の改正が行われまして、税務調査の手続において、いわゆる再調査と言われるものが設けられるということになったと承知をしております。

 そこで、財務省にお尋ねいたしますが、この二〇一一年の法改正による国税通則法七十四条の十一第六項について、簡単に御説明いただきたい。いわゆる再調査についてということであります。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘のように、国税通則法の改正によりまして、調査の終了の際の手続が明確化をされております。

 税務調査を行った結果、更正決定をする必要がないというときには、その旨を納税者に伝えますし、仮に問題があるという場合には、納税者から修正申告が出るとか税務署の方で更正決定を打つというようなことで税務調査は終わります。しかし、税務調査が終了した後に、新しく得られた情報に照らして非違があると認めるときには、改めて質問検査等を行うことができるという規定が設けられました。

 この場合の質問検査等については、既に調査を実施した納税者に対しまして、同一の税目、課税期間について改めて行うものであるということで、納税者等にもわかりやすいように、これを再調査と呼んでおります。

塩川委員 調査の終了の際の手続を新たに明確化し、その中で、新たに得られた情報に照らし非違があると認められるときは質問検査ができるという規定として、これもいわゆる再調査と呼ぶというお話であります。

 そこで、重ねてお尋ねしますが、やはり、今のお話にもありますように、この再調査というのが、国税通則法のいわば罰則つきの質問検査権が行使され得るものであるということでありますと、本来、行審法においての権利救済の手続の再調査の請求と、税務調査のやり直しとしての再調査と、この文言が重なるわけですよね。

 そういう点では、申し立てをする納税者の人にしてみれば、非常に混同し得るという点でいうと、再調査ということでの質問検査権が行使されるような形にイメージもされるような再調査の請求とも受け取られかねない、こういった権利行使をちゅうちょせざるを得なくなるような状況も生まれかねないという点におきましては、再調査という文言は法定化をされているわけじゃないわけです。誤解というのであれば、これをきっちり解く上でも、私は、今回、再調査の請求という形で法案では改めるわけですけれども、通称で使っている税務調査の再調査という文言の方を直すということもあるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがですか。

岡田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の行政不服審査法の見直しに合わせまして、国税通則法の方においても、今では異議申し立てという手続がございますけれども、これを再調査の請求という名称にかえるということになります。

 再調査の請求自体は、不服申し立ての一類型としての名称でございまして、再調査の請求があれば処分庁は審理手続を行うものでございますので、税務調査におけるいわゆる再調査とは明確に異なるものであるということで、委員の方から、混同されないようにしないといけない、こういう御指摘かと思います。

 一方で、先ほど申し上げました税務調査における再調査という名称でございますけれども、確かに法律用語ではございませんが、平成二十三年の税制改正の議論の段階から一般に使われている用語でございまして、現在では、パンフレット等によりまして広く周知広報を行っている状況でございます。したがいまして、再調査という表現を変更した場合には、何か税務手続の変更があったのかという形で納税者の方に混乱を引き起こすような可能性も考慮しないといけないということでございます。

 したがいまして、今回の改正法の施行によりまして現行の異議申し立てが再調査の請求に変更された際には、再調査の請求の趣旨が適切に理解され、また、税務調査における再調査と混同などが生じることのないよう、適切な周知広報等に努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 国税庁の方からいただいた、税務手続についてというようなペーパーなんかで見ても、税務調査の手続、その一番最後に再調査と出てくるわけですけれども、その下の欄が権利救済手続なんですよ。そこのところに、現行では異議申し立てとなっているのが、ここが今度、再調査の請求となると、見た人は、この上下に再調査と再調査の請求があるわけで、この関係というのが、やはり当然誤解を招くようなものでありますし、私は、権利救済という意味でいうのであれば、こういった、ちゅうちょする、ためらうことになるような用語そのものをなくすべきだ。そういう点でも、法文上明記されていない再調査の方を改めるというのは当然選択肢としてもあり得ると思います。

 あわせて、今回、法案でこういう形で出るわけですから、大臣の方にお尋ねしますが、今、財務省の方から答弁がありましたように、税務調査のやり直しを再調査としているわけです。再調査は、国税通則法の罰則つきの質問検査権が行使されるもので、不服申し立ての手続である再調査の請求と文言が同じになる。こうなると、結局、要らぬ誤解を招くようなやり方という形も含めて、納税者が不服申し立てをちゅうちょすることになりはしないのか。こういう点で、用語の見直しを含めてしっかり行うべきだと私は思いますが、その点、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 再調査の請求は、不服申し立てが大量にある処分について、処分庁が、事実関係を再び調査することにより簡易に処分を見直す手続であり、その内容を適切にあらわすため、再調査の請求、このようにしたわけであります。

 これも、私も、いろいろと御指摘をいただいておりますので、これまでの検討のプロセスを少し追っているんですけれども、名称はいろいろ検討されたわけであります。ほかに想定される案もあったわけでありますが、しかし、いろいろな案の中で、紛れのない案として、法律上の用語としてもふさわしいというのが再調査の請求ということになったということであります。

 例えば、日税連が提案されたのは、処分見直しの請求であります。また、日弁連は、再考の申し立て、こういうような御提案があったわけでありますが、処分の見直しを求める申し立てである審査請求と紛れるおそれがある、こういう評価がございました。

 なお、再調査の請求につきましては、一般法である行政不服審査法に明確に位置づけられているということであります。また、このように国会等で御審議いただき、誤解のないようにすべきである、こういうことが誤解のない事態を招くことにもなると私は思いますから、御関心を持っていただいてそこをチェックしていただく。かつ、我々は、それを紛れのないようにきちんと周知広報をする、こういうことはやってまいりたいと思います。

塩川委員 紛れのない表現を選んだというんですけれども、税務調査のやり直しの再調査とまさに紛れるような結果となっているというのが現状であるわけで、ここをやはりしっかりと、納税者や国民の立場から必要な表現をとるということが求められているという点では、私は、国税庁に用語の見直しを求めたいし、今回の法案でこういう表現というのはやはり改めるべきだ。再調査の請求という表現ではない、違う形での表現で行う。前提として、異議申し立てをなくすということは、本来、自由選択の立場からとるべきものではないということも申し添えて、再調査の請求の活用を納税者がちゅうちょする懸念が拭えないということについて指摘をしておくものであります。

 次に、不服申し立ての前置の見直しについてお尋ねをいたします。

 法務省においでいただいておりますけれども、一九六二年の行政事件訴訟法の制定時におきまして、この前置の見直しが図られました。不服申し立て前置の法律を整理したわけであります。当時、この不服申し立ての前置を置いた法律は、結果として幾つになったのか。あわせて、その際の前置を置く妥当性の基準についてはどのようなものだったのかについて御説明をいただけますか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 行政事件訴訟法でございますけれども、その第八条第一項本文におきまして、原則として行政処分の取り消しの訴えと当該処分に対する審査請求とを選択して申し立てることができるものとしておりますが、この同項ただし書きにおきまして、個別法によって不服申し立て前置とすることを許容しております。

 そして、この法律と合わせて制定されました、行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律におきましては、約五十の個別法につきまして不服申し立て前置を定める規定を設ける改正が行われたものと承知しております。

 行政事件訴訟法の制定に際しましては、一つは、大量的に行われる処分であって、不服申し立てに対する裁決によって行政の統一を図る必要があるもの、また、専門技術的性質を有する処分、そしてまた、不服申し立てに対する裁決が第三者的機関によってなされることになっている処分、これらのいずれか一つに該当するものについて、不服申し立て前置を規定するものとするという議論がされていたものと承知しております。

塩川委員 行訴法が制定されたとき、整理をした時点で前置が残されたのが約五十本、その際の前置を許容する基準については、大量に行われる処分、専門技術的性質を有する処分、第三者的機関によってなされる、こういうことを挙げられました。

 この行訴法制定以前の不服申し立ての前置、これはどういうふうになっていたのかについても御説明いただけますか。

小野瀬政府参考人 行政事件訴訟法が制定される以前でございますが、行政事件訴訟特例法におきまして、行政庁に対する不服の申し立てができる場合には、正当な事由がない限り、これに対する裁決等を経た後でなければ、行政庁の処分の取り消しまたは変更を求める訴えを提起することができないと定められておりまして、原則として行政庁に対する不服申し立てを前置とする制度が採用されていたものと承知しております。

塩川委員 出訴に対する不服申し立ての前置が原則だった。それを百八十度転換して、出訴と不服申し立てを自由選択とするということを原則とすることに転換をしたわけであります。

 一九六二年の行訴法制定時の不服申し立ての前置を存置した法律が約五十本、それが、今回の見直しで見ますと、約百本にふえているわけであります。随分ふえたわけですけれども、この行訴法制定以後、前置がふえ続けた理由というのは何なのか、この点について誰がチェックしているのか、これは法務省と総務省と、それぞれお答えをいただけますか。

上村政府参考人 昭和三十七年以降ということになりますけれども、それ以降提出された法案につきましては、先ほど法務省から御回答のありました三つのメルクマールに沿いまして、関係府省におきまして、前置とする必要があるかどうか、そのメルクマールに照らして検討し、国会の議決を経てそうした法律が制定されてきたものと考えております。

 その結果といたしまして、先生御指摘のように、約百本、九十六本、今回見直したわけでございますが、ふえてきたというふうな背景だと思っております。

 ついでに申しますと、ふえてきた背景といいますのは、やはり、近年の行政の複雑、高度化というものが背景にございますので、処分が大量になってきた、大量に行われる処分がふえてきたというものですとか、専門技術的な処分がふえてきた、それから、そういう専門技術性の裏腹でもございますけれども、もう一つには、処分の公正性を担保する要請の高まりに加えまして、第三者的機関がここに関与する必要があることによって、そういうものが置かれている法律がふえてきたということなんだろうと思っております。

小野瀬政府参考人 行政事件訴訟法第八条第一項ただし書きに該当するものとして個別法が定められる場合でございますけれども、その合理性につきましては、基本的に、当該不服申し立て前置を定める個別法の所管省庁において十分に検討されるものと考えられますが、法務省といたしましても、そのような個別法の制定に際しましては、行政事件訴訟法を所管する立場から関係省庁と協議をしてまいりましたし、今後もそういった立場から十分に協議してまいりたいと考えております。

塩川委員 ふえてきたのは、複雑性、高度化している、処分もふえてきた、そういう趣旨の話もありましたけれども、これはこれで検証が必要だと思いますが、誰がチェックするかというところで、そうしますと、前置を置くかどうかについては、そもそも所管省庁で検討されるものだ、しかし、当然、行訴法八条一項ただし書きの関係もありますので、法務省がそれに対して、例えば合い議ですとか、そういうふうな手続になっている、そういうことでよろしいんですか。

小野瀬政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、個別法の制定に際しまして、行政事件訴訟法を所管する省庁といたしまして、この八条第一項本文、それから、ただし書きの趣旨を十分理解していただけるように協議してまいるというものでございます。

塩川委員 つまり、前置を置くような法案が出てきたときには法務省がきちっと物を言うということになっているということですね。

小野瀬政府参考人 基本的には、個別法の所管省庁におかれまして十分に御検討されるものと考えられますが、この法律の所管省庁といたしまして、十分に私どもの方からも御意見を言うことがあるということでございます。

塩川委員 御意見を言うことがあるということなんですけれども、要するに、御意見を言う、前置の入った、そういう法案が出てきたらきちっと物を言うと。結論はありますよ。しかし、物を言うというところははっきりしているということですか。

小野瀬政府参考人 関係省庁との協議の場におきまして、法務省としての御意見を申し上げるということでございます。

塩川委員 前置が出るような法案があれば、必ず協議の場が設けられる、設けられてきたということですか。

小野瀬政府参考人 過去のものをそれぞれについて今個別に確認しているわけではございませんが、恐らく、一般的には、行政事件訴訟法のただし書きの個別法でございますので、法務省も協議をしてまいったというふうに理解しております。

塩川委員 恐らくというのでよくわからないんですけれども、本当にやっているのかなというのもちょっと疑わしいところがあるわけですが、しかし、法務省がやはり行訴法との関係ではしっかり見ていくという立場にあるというお話ではあると思いますので、そういう点で、なぜふえ続けてきたのかということについてのしっかりとした検証というのを法務省を中心にやっていただきたいというふうに思うわけであります。

 それで、今回、前置を見直しました。その見直した基準がどのようなものか、この点について、行訴法制定時のメルクマールとの違いも含めて御説明をいただけますか。

上村政府参考人 行訴法制定時のメルクマールは、先ほど法務省の方から御答弁がございましたけれども、まず第一点目が、大量的に行われる処分であるということでございます。これによって、裁決等によって行政の統一を図る必要があるもの、こういったものだというふうに理解しております。

 今回は、大量の不服申し立てがあるものと、処分ではなくて申し立てに変更してございます。

 これは、一つには、当然でございますが、処分が大量であっても、必ずしも申し立て自体が大量であるとは限らない。それから、裁決段階で行政の統一を図るというよりは、行政手続法の制定もそうなんですが、昨今の事前手続重視の流れの中からしますと、処分段階で確保していった方がいいのではないかということもございますので、この第一点目に関しましては、大量の不服申し立てがありまして、大量と申しますのはおおむね一千件でございますが、直ちに出訴されると裁判所の負担が大きくなる、こういったものにすることとした。これが変更の一点目でございます。

 それから、当時のメルクマールはあと二つございまして、一つが、専門技術的性質を有する処分、それからもう一つが、裁決が第三者機関によってなされているもの、この二つでございます。

 しかし、専門技術性といいましても、具体的にどのようなものであるか、何をもって専門技術性を有するかというのはなかなか判断の基準としては難しいということがございます。それから、単に、第三者機関が判断をする、裁決をするということだけをもって、では、裁判との関係におきまして、訴訟期間の短縮なり、ひいては国民の権利利益の向上に資するか、そちらの方がよりよいのだということも必ずしも言えないという論点がございました。

 こうしたことを踏まえまして、あとの二点をまとめて申し上げますと、第三者的機関が高度に専門技術的な判断を行う場合、これは医学的な場合とかを念頭に置いているわけですけれども、そうしたことによって裁判所の負担が低減されると考えられる場合に限って今回は前置を残すこととした、これが第二のメルクマールになってまいります。したがいまして、行訴法制定当時のあとの二つを一つにまとめたメルクマールになっているということでございます。

 今回、新たにもう一つメルクマールをつけ加えておりますが、これは、不服申し立ての手続に一審代替性があるものでございます。

 すなわち、裁決後に地裁を経ずに直接高裁に提訴できるもの、これは、全体として裁判の長期化を防ぎまして、国民の手続負担の軽減が図られることになりますので、こうしたものは存置をする。これを三つ目のメルクマールとした、こういうことでございます。

塩川委員 大量性と第三者的機関と一審代替性、もちろん、地方議会への諮問などの理由での特別な事情というのは、これはこれとしてあるんだと思いますけれども、そういった三つの整理に基づいて行われたということです。

 この大量性なんですけれども、処分ではなくて不服申し立てに着目というのはわかります。一千件というのは一つの目安ということですけれども、同時に、裁判所の負担が大きくなるというのが本当に理由として適切なのかなというのも思うわけです。

 国民の権利救済、これを保障するという観点ですから、当然そういう点では出訴もあるでしょうし、不服申し立てというのも選べるという点でいえば、どちらも自由に選択しましょうというのが基本であるわけで、その負担が行政の方で大きいか司法の方で大きいかという点については、国全体の中で国民が判断することであろうと思っています。

 その上で、大量性というのを具体的に拾っていきますと、大量性という理由で前置を存置しているというのは、例えば税ですよね、国税、地方税ですし、あと、社会保険関係で、医療や介護や年金があります。また、労働保険関係、労災や失業などもありますし、あとは生活保護とか。そういう点でいえば、まさに国民生活に深くかかわる分野についての権利救済にかかわる部分に前置が置かれているということになるわけです。

 これまではほとんどが二重前置でしたから、ここを見直して一重にしましたというのは、これはこれで半歩前進だと思いますけれども、だったら、そもそも前置そのものをなくすということも踏み込んで考える必要があるんじゃないのか。

 そういう点でも、大臣にお尋ねいたしますが、今回の不服申し立て前置の見直しの基準について、全体としての見直しが必要なんじゃないのか、特に大量性のところについては、権利救済という立場からいっても、もう一歩踏み込んだ見直しをすることが必要なんじゃないのか、こういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まさに五十年ぶりにこの不服申し立て前置に係るメルクマールも見直したわけであります。そして、不服申し立て前置そのものの見直しも行うということでございまして、九十六法律を洗い直した結果、六十八法律については前置を廃止、縮小、特に二重前置は全て解消したということであります。

 今のような御指摘も踏まえた上で、今後、このメルクマールは、不服申し立て前置に関する基本的な原則として適用されるわけであります。

 したがって、総務省としては、この原則に反した不服申し立て前置が定められることのないように、政府内の法案立案プロセスにおいては、しっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

塩川委員 見直したメルクマールで今後きちっとチェックをしていくという話ですけれども、このメルクマールそのものをもう一歩踏み込んで考え直す考えはないのかということなんですよ。

 ですから、大量性というのが、具体的に一つ一つの法律を見ていけば、まさに国民生活に直結するようなところばかりです。だからこそ、そういう意味では大量性と言われるように訴えも多いということでもあるわけで、その点について、本来は、出訴もできるし不服申し立ても選べるよと、自由選択という基本に立って考えるわけで、二重を一重にしたからよしとするという点では、これはやはり権利救済の立場からも不十分じゃないのか。もう一歩踏み込んで、この点、前置を解消するという点についてもうちょっと考えるお考えはないのか。そこはいかがですか。

新藤国務大臣 このメルクマールがそもそも基本的な原則であります、指標ですね。この大量というのも、どの程度をもって大量とするかは、おおむね一千件ということであります。

 ですから、あとはその事案の内容によって適切な対応がなされるものだと思いますし、メルクマール、今回統一の指標として定めましたから、それらを使ってどういうふうに運用がなされていくか、そして国民の権利救済や出訴の権利がきちんと維持できるかどうか、そういったものを踏まえて、総合的なチェックが必要なわけであります。

 まずは運用して、適切な状態をつくっていきたい、このように考えております。

塩川委員 メルクマール自身は、何らかオーソライズされている形のもの、当然、法定化はされておりませんし、その意味では一定程度、緩いといいますか、かっちりしたものにはなっていないわけです。ですから、これはこれとして参考にしていくということですけれども、私は見直しが必要だと思います。

 今後どうしていくかというお話をされました。しっかり見ていくということなんですけれども、その点で、これまでは、少なくとも行訴法との関係で法務省が見てきましたという立場だったわけです。それもきちっとやっていたかどうかはちょっと検証が必要だと思いますけれども、今後はどうなんでしょうか。今後前置をふやさないための手だてというのは、法務省だけではなくて、行審法の議論もあったんですから、総務省もかかわっていくということになるんでしょうか。この点はどうでしょうか。

新藤国務大臣 それは一番最初に御答弁申し上げましたが、総務省といたしましても、こういった政府内の法案立案プロセスにおきましては関心を持ってまた対応していきたい、このように考えております。

塩川委員 法務省はもちろん、行訴法の立場もあるでしょうし。ただ、行審法の中では、直接的には前置に係る規定というのはないんですよね。ただ、今回、前政権のときの見直しというのも引き継いだ形で行われている行審法の議論だったわけですから、そういう意味では、こういう形での、前置を見直したということ自身の前進方向というのは理解をいたします。

 今後どうするかという点について、法律上の根拠がないという点だとなかなか難しい。特に、そうなると、メルクマールそのものも法的な根拠がない格好で置かれているということになるんじゃないのかと思うんです。そういう点で、法務省の方は直接メルクマールづくりにかかわっていない、総務省の方はメルクマールについての法的な根拠を持っていない、これで大丈夫なのかという思いがあるんですけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 まず、そういう以前に、五十年ぶりに見直したわけであります。これからそれを運用していこうということでありますから、運用が始まる段階で、この次どうするのですか、こういう御心配があるとするならば、そういったものも踏まえて、まずは適切な運用を心がける。その中から実態に応じてさまざまな研究が行われていくし、法案の立案プロセスにおいても私たちも関心を持っていく、こういうことを申し上げているわけでありまして、しっかりと対応できるようにしていきたいと思います。

塩川委員 そういうふうに役所内でちゃんとチェックしますよという合意みたいな、覚書ですとか何らかの了解事項とか、そういうのを少なくとも設けるという考えはないですか。

新藤国務大臣 まず始めてから、運用して、運用した上で、その上で、我々はさまざまな検討をなさなければいけない、このように思っております。

高木委員長 塩川君、申し合わせの時間が来ています。

塩川委員 五十年ぶりといって、次の改正が、まあ、五年後の見直しの修正もあるそうですけれども、そのときには何らか見えるものがあるんでしょうか。しっかりとした対応を求めて、質問を終わります。

高木委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び行政手続法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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