衆議院

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第3号 平成27年3月5日(木曜日)

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平成二十七年三月五日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    青山 周平君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    神谷  昇君

      神山 佐市君    川崎 二郎君

      木村 弥生君    黄川田仁志君

      小林 史明君    小松  裕君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    津島  淳君

      土屋 正忠君    中村 裕之君

      長坂 康正君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    階   猛君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      高井 崇志君    吉村 洋文君

      浜地 雅一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務副大臣        二之湯 智君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井  毅君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 若井 英二君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁次長)      高尾 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     八木 哲也君

  金子めぐみ君     木村 弥生君

  新藤 義孝君     小松  裕君

  長坂 康正君     勝沼 栄明君

  黄川田 徹君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     長坂 康正君

  木村 弥生君     神谷  昇君

  小松  裕君     津島  淳君

  八木 哲也君     加藤 寛治君

  階   猛君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     神山 佐市君

  神谷  昇君     青山 周平君

  津島  淳君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     谷川 とむ君

  井野 俊郎君     新藤 義孝君

  神山 佐市君     大西 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十七年度地方財政計画)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事板野裕爾君及び理事福井敬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長新井毅君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長若井英二君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、自治行政局長佐々木敦朗君、自治行政局公務員部長丸山淑夫君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長平嶋彰英君、情報流通行政局長安藤友裕君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、消防庁次長高尾和彦君及び厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、NHKの浜田委員長、籾井会長にお越しいただいております。

 最初に浜田委員長にお尋ねします。

 きょうお配りしている資料をごらんになっていただきたいんですが、経営委員会から過去四回にわたって籾井会長に対して注意あるいは申し入れというのを行っております。資料一から順にごらんになっていただければと思います。

 まず、昨年の一月二十八日、これは就任会見での籾井会長の言動への注意ということだと思うんですが、議論が複数ある事項について個人的見解を述べたことは、公共放送のトップとしての立場を軽んじたものである、改めて自分の置かれた立場を十分に御理解いただきたい、あわせて、説明責任をしっかり果たし云々、不偏不党、公平公正の理念を改めて御認識いただき、放送法の趣旨にのっとり、覚悟を持って運営の手腕を発揮し、職務を遂行していただくことを強く希望。これが一回目の注意です。

 そして、二月二十五日に二回目の注意ということで、二枚目をごらんになっていただきますと、資料二ですが、御自身の置かれた立場に対する理解が不十分、一刻も早い事態の収拾に向けて、役職員一丸となり、誠心誠意取り組んでいただくよう経営委員長として重ねて要請。

 そして、三枚目、資料三ですけれども、これは経営委員会としての申し合わせ、そして申し入れということなんですが、経営委員会は、一刻も早い事態の収拾に向けて、みずからの責任を自覚した上で、真摯な議論に基づく自律的な運営を引き続き行い、監視、監督機能を十分に果たしていくということをまず経営委員会として述べた上で、来年度NHK予算について、協会が全力を挙げて国民・視聴者に対する説明責任を果たし、今年度内の国会承認を実現すべきだということを申し合わせて、会長に申し入れているということです。

 そして、最後、資料四ですが、直近のものです。平成二十七年二月二十四日、最後の方にありますけれども、NHKは今大切な時期にある、籾井会長以下執行部には、事態を一刻も早く収拾し、平成二十七年度のNHKの収支予算、事業計画が国会で全会一致での承認を得られるよう最大限の努力をしていただきたい、これが経営委員会の総意ですということで、申し入れをされているということです。

 このように、過去、二回注意、そしてその後二回の申し入れということを行っています。

 そもそもなんですが、経営委員会からNHKの会長に対してこういった注意なり申し入れをされた実績というのは、籾井会長以前にあったのかどうかということをお答えいただけますか。

浜田参考人 お答えいたします。

 これまで、会長の言動等を理由に経営委員会が注意や申し入れを行った事例は、他に承知しておりません。

 このような事態となっておりますことは、大変残念だと思っております。会長以下執行部には、皆様の御理解を賜るための最大限の努力を行っていただきたい、また、経営委員会としてもしっかり監督をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

階委員 一回ですらやったことがないことが、籾井会長になってわずか一年ばかりの間に四回もされている。サッカーでいえば、二回イエローカードが出たら退場になるわけですけれども、二回どころか四回もされているわけですね。

 これは、そもそも経営委員会の監督機能というのを籾井会長が理解されていないか、あるいは理解していても軽視しているのではないかと思います。

 籾井会長、どのようにお考えになっていますか。これまで四回も注意や申し入れをされたことに対して、御自身の考えをお聞かせください。

籾井参考人 過去の発言につきましては、国会の審議の場で取り消しをさせていただいております。

 発言については、誤解を招くことのないよう注意してまいりたいと思います。

 経営委員会からの申し入れにつきましては、しっかりと受けとめ、放送法にのっとり、与えられた会長職の職務を全うしていきたいというふうには考えております。

階委員 一回、二回でも異常なんですが、何回されても改まらないというところで、まさに資質が問われているということだと思います。

 それで、そもそも、籾井会長が任命される際に、先日二月二十三日の予算委員会で籾井会長もみずからおっしゃいましたけれども、六つの資格要件というのが定められていたということで、きょうは、その資格要件をパネルにしてきました。左側の方に掲げてありますので見ていただきたいんですが、このような六つの要件というのがあります。

 法律上は条件と要件というのはちょっと意味が違いまして、要件というのは、この六つそろって初めて資格があるということで、一つでも欠けたらだめだというのが要件という意味です。

 この点について、資格要件というのは、六つそろって初めて満たされるということでいいのかどうか。前提として、経営委員長、浜田委員長に確認します。

浜田参考人 経営委員会では、資格要件を議論し、資格要件に合致する方ということで、当時の籾井氏に就任を要請したということでございます。

階委員 前提として聞きたいのは、六つ全て満たす必要があるかどうかということで、あるということでいいですね。

浜田参考人 先ほど申し上げましたけれども、六つの資格要件を挙げ、それで、総合的に見て合致する方だという判断を経営委員会としてはいたしました。

階委員 六つ総合的に満たす必要があるということでした。

 そこで、先日、三月三日ですけれども、既に退任された上村教授、元経営委員長代行ですけれども、この方が朝日新聞のインタビューで任命の際の審議の模様を語っていらっしゃいます。

 籾井氏の経歴を見ると、一流商社で副社長を務め、海外経験も豊富な人物、数人の候補者がおり、籾井氏には異論が出なかった、二、三十分の面接では信条の問題まではわからない、放送法を守りますと繰り返していましたしということなんです。

 極めて短時間のうちに結論が出たかのようなこういうインタビューなんですけれども、浜田委員長、この資格要件、六つの要件を満たすために十分な審議がされたのかどうか、これは別に追及ではありませんので、事実関係だけお答えください。

浜田参考人 事実関係を申し上げますと、籾井氏を審議した会合は二回で、審議時間は一回目が二時間半、二回目は一時間程度であったということでございます。

 一定の時間的制約はありましたけれども、委員全員が資格要件に合致する方だと判断をいたしました。

 私どもとしては、実質的な審議はできたのかなというふうに思っております。

階委員 それで、最初は、審議をして、この方が要件を満たしていると判断されたからこそ、籾井さんが会長になったわけですけれども、会長になられた後、仮にこの資格要件を満たさないということがあれば、これは当然罷免の事由になると思うんですが、そのような理解でよろしいですか。浜田委員長、お答えください。

浜田参考人 放送法第五十五条では、資格要件、会長、監査委員もしくは会計監査人について、職務の執行の任にたえないと認めるとき、または職務上の義務違反その他会長、監査委員もしくは会計監査人たるに適しない非行があるときは、これを罷免することができると定めております。

 これに該当するかどうかについては、具体的な事例はありません。御質問のような点につきましては、経営委員会が、放送法に則し、自律的、総合的に合議によって判断するものと認識をしております。

階委員 今、放送法五十五条一項という、経営委員会による罷免ができる場合を定めた規定について御説明がありました。

 総務大臣にも確認しておきたいんですが、もし経営委員会で定めた資格要件を満たさないということが判明した場合、これを理由に経営委員会が籾井会長を罷免するということは、放送法五十五条一項の趣旨に照らして、これは問題ないというふうに理解するんですが、そのような解釈でよろしいですか。

高市国務大臣 まず、このNHK会長の資格六要件も、会長を経営委員会が選ばれるとき、複数の候補者の中から選ばれていったと伺っておりますけれども、その前年から議論を重ねられ、どういった方が会長にふさわしいかということで定められたものと承知をいたしております。これに照らし合わせながら、複数の候補者の中から、籾井会長が最適任ということで、全員一致で選出されたものと聞いております。

 会長の罷免等につきましては、御指摘の放送法第五十五条第一項の規定によって経営委員会の権限とされておりますから、個別具体の判断についてはやはり経営委員会に委ねられているものと認識しております。政府として意見を述べることは差し控えさせていただきます。

階委員 差し控えるということなんですが、条文上は特に制限はされていないということです。

 そして、このNHK会長の資格六要件というものを満たしているかどうかというときに、過去の籾井会長の言動を見るにつけ、甚だ疑問だと言わざるを得ません。

 上から順番に見ますけれども、まず、NHK会長の公共放送としての使命を十分に理解しているかどうかということについては、さきの部門会議で、NHKのこと何も知らないんですから、こういうふうに民主党の議員の前でおっしゃっています。

 それから、二番目に、人格高潔であり、広く国民から信頼を得られるというところについては、予算承認の全会一致が八年ぶりに崩れているということであるとか、NHKの退職者、市民団体等が辞任あるいは罷免の要請をしているということからも、広く国民から信頼を得られているとは言えないのではないか。

 それから、政治的に中立であるということについては、政府が右と言うことに対して左とは言えない、あるいは、これはつい最近ですけれども、正式に政府のスタンスがまだ見えないということで、従軍慰安婦の報道については慎重な姿勢を示している。

 それから、四点目、構想力、リーダーシップが豊かであるということなんですが、理事全員から辞表を取りつけたということに関しては、さきの部門会議で、求心力をつけるには何らかの方法が必要ということなんですが、そもそも、求心力をつけるも何も、会長には強大な権限があるというのが、きょうおつけした資料五ページ目にもあります。そして、その強大な権限があるにもかかわらず、あえて辞表を取りつけるというのは、極めてイレギュラーでありますし、また、世間一般で言うパワハラにも当たるのではないかと思います。

 それから、五点目、社会環境の変化、新しい時代の要請に対し、的確に対応できる経営的センスを有するということなんですが、これは昨年の二月の経営委員会で、別の経営委員の方からのクライシスマネジメントをどうするかという質問に対して、正直よくわかりませんといった、今の経営の世界では常識ともいうべきクライシスマネジメント、危機管理について、わからないというようなことも言っている。

 それから、六点目、業務遂行力があり、説明力があるという点ですけれども、これは、問題になりましたが、一般社会ではよくあると言ってきたことの意味を問われて、皆無ではないというふうに言いかえて詭弁を弄している。これが部門会議での発言です。

 こういったことがあったわけです。もうこれは六項全て満たしていないと言わざるを得ませんが、まず一点目のNHK会長の公共放送としての使命を十分に理解しているということについて、会長にお聞きします。このことについて、御自身、理解しているというのであれば、その理由をお答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 御指摘の資格要件につきましては、経営委員会が会長選出に当たって定められた内規でありまして、その要件を満たしているかどうか、私がコメントする立場にはないということは御理解いただけると思います。よろしくお願いします。

階委員 では、質問を変えます。

 資格要件の一つ目に、公共放送としての使命を十分に理解しているとありますが、公共放送としての使命は何ですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、よい放送番組による国内基幹放送を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行うことを目的としております。

 私は、かねてより、NHKの放送は、放送法に定められておりますように、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということを信念として経営を行っております。

階委員 今、公平公正という言葉がありましたけれども、会長にお尋ねします。

 公平公正という意味が重要なんですね。公平公正といった場合に、ある論点について世の中の意見が八対二ぐらいで仮にあったとします。その場合に、公平公正というのは、八対二の割合で伝えることなのかどうか。そういうことについて、どうお考えですか。

籾井参考人 お答えします。

 何度も申し上げておりますように、我々は、放送法に基づき、さらに事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、こういうスタンスでやっております。

 では、八対二であったときにどういうふうにするかということにつきましても、我々は事実を報道し、世論が八対二であれば、八対二の判断を皆さんがされるのだ、我々がそれを思って八対二の放送をするということはございません。あくまでも事実に基づき、事実を報道するというのが我々の任務であるというふうに思っております。

階委員 公平公正というのが、どのような条件を満たせば公平公正なのかということについても、非常に微妙な判断が強いられるわけですね。会長がちゃんとそこをわきまえているかどうかというのを聞きたかったわけです。

 不偏不党だ、公平公正だと言いますけれども、そのように言うのであれば、自分の言動というのは十分注意しなくちゃいけないというふうに思います。これまで聞いているところによりますと、余りにもそのあたりが軽率ではなかったのかということを言わざるを得ません。

 そして、実は、籾井会長がなぜ経営委員会から任命されているのかといいますと、こういう組織のトップであれば、経営者を選ぶのは内閣総理大臣で、国会同意人事というのが普通なんですけれども、NHKの高度の中立性、独立性に鑑みて国会同意人事になっていないわけです。まさに経営の中立性、独立性が必要だからこそ、籾井会長は国会同意人事になっていない。にもかかわらず、これまでの軽率な発言というのは、極めてゆゆしき事態であると思っています。

 そして、きょうは話の途中になりましたけれども、それ以外の五つの要件についても、いろいろ問題があると思っていますので、またこれについては改めて別の場でも質問をさせていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、きょうはここで終わります。ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、総務委員会で質問させていただき、まず感謝申し上げたいと思います。

 まず、第一であります。今、同僚議員からもNHKの籾井会長に関する質問がありましたが、二月の二十四日、浜田健一郎NHK経営委員長が発言されておられまして、そのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 NHK経営委員会の浜田委員長、二月二十四日記者ブリーフィングで、これから申し上げるような趣旨で発言をされた。これはNHKのホームページでも公開されておるわけでありますけれども、そのことについて、まず読み上げさせていただきたいと思います。これは、記者ブリーフィングの席で浜田委員長がこう話されたということであります。

 「全体会議に入る前に、二月五日に行われた記者会見における、会長の発言について、」いわゆる籾井会長の発言についてということでありますが、「経営委員による意見交換を行った。このときの会長の発言の真意を先週十九日に私が会長から伺っているので、その報告も行い、また、十八日に開催された民主党の総務部門会議の様子に関しても一定の情報共有をおこなった。その上で、直接会長にも出席していただき、ご本人から全員で説明を伺ったのち、意見交換を行った。 その結果、会長の真意は理解したが、発言が誤解をまねくようなものであったこと、それに関連してNHKをとりまく状況が混乱したことは大変残念であり、会長以下執行部には一刻も早い事態の収拾を求めるべきということになった。」経営委員会として求めるべきということになったということであります。

 「意見交換の結果をうけ、本日の全体会議の席で、経営委員会の総意」「経営委員会の総意として私から、」つまり浜田委員長からでありますが、「会長以下執行部に対して以下のように申し入れた。」ということであります。

 その申し入れは、「籾井会長以下執行部には、事態を一刻も早く収拾し、この経営計画の初年度である、平成二十七年度のNHKの収支予算、事業計画が、国会で、全会一致での承認を得られるよう、最大限の努力をしていただきたい。 これが経営委員会の総意です。」全会一致での承認を得られるように努力をしてほしい、これが経営委員会の総意として要請をされたということを、浜田委員長が記者のブリーフィングで行ったということであります。

 残念ながら、昨年度の平成二十六年度NHK予算については全会一致でなかったわけであります。私たち民主党は、この予算に反対せざるを得ませんでした。

 それは、御承知のとおり、先ほどの同僚委員からも言及させていただきましたが、NHKの持つ公共性、不偏不党と籾井会長もおっしゃっているわけであります、不偏不党。いわゆる受信料によって成り立ち、独立して、公平な放送をしていく。しかし、それがどうも籾井会長の言動から、非常に、残念ながら疑わしいと不安を抱かざるを得ない。

 先ほど読み上げさせていただいた、浜田委員長も、残念ながら誤解を招くようなことが世間で起こっている、こういうふうに言及されておるわけでありますけれども、そういう状況の中で、中立公平で公正であるべきNHK、その予算、その予算について反対をせざるを得なかった、こういうことであります。

 そして、そういう中で、浜田委員長は、全会一致での承認が得られるように努力をしていただきたい、こういうふうに言っているわけであります。

 さて、大臣は、この経営委員会の総意とされるNHK会長以下執行部に対する申し入れの内容を大臣としてどう受けとめられるのか。また、二〇一五年度のNHKの収支予算、事業計画が国会で全会一致での承認を得られるべきと考えるのか。いかがでありましょうか。

高市国務大臣 まず、先日、経営委員会から籾井会長初め執行部に対して申し入れがあったことは承知いたしております。ただ、その内容につきましては、経営委員会の自律的な判断によって行われたものでありますので、政府としてコメントをすることはいたしません。

 そして、平成二十七年度のNHK予算でございますけれども、これは、NHKが公共放送として社会的使命を果たしていくために、早期に国会で御審議をいただき、その承認を得ていくことは必要だと考えております。

 残念ながら、これまで全会一致でなかった事例も、平成十七年度、十八年度、二十六年度とございます。

 一つでも多くの会派の皆様に御賛同いただける環境をしっかりとつくっていただくこと、その努力をNHKに対しては期待いたします。

近藤(昭)委員 大臣としても、この総務委員会でNHKに関連する今の予算が審議をされる、そういう中で、より多くの党、会派が承認をすべきだ、こういう意見であった。そして、NHKの経営委員会のことについては、NHKの経営委員会が自律して行っていることだということであります。

 ただ、今、より多くの党派がきちっと承認すべきだということも大臣もおっしゃられたわけでありまして、一般論と申し上げましょうか、この委員会の席で、私たち民主党が昨年度反対をする。そして、やはり昨今も、先ほど申し上げました、浜田委員長自身が、誤解を生じることが起きているんだ、その中で会長に対して申し入れをした。世の中でそういうことが起きているんだという御認識を浜田委員長が持っておられる。

 そのことに対して、やはり大臣として、一般論で結構でありますから、どのように思われるのかということであります。

高市国務大臣 一般論としてといいましても、法律上、会長の任免権は経営委員会にございます。そして、その経営委員の皆様を任命する、この権限は内閣総理大臣にあり、その前提として、衆参両院の国会の承認を得てということになっております。

 現在の籾井会長をお選びいただいた経営委員の皆様に関しましては、十二名のうち九名が少なくとも賛成しなければ会長には選出されません。全会一致での選出であった、しかも、複数の候補の中で、何度も一人一人について採決をしながら選ばれていった。また、現在、籾井会長を選出されるときの経営委員、経営委員長も含めてでございますけれども、民主党政権時代に民主党の総理によって任命された方々もおいででございます。

 法律上、やはり経営委員会に任命権がございますので、これに対して私の方から意見を申し上げることは適当ではないと思います。

 いずれにしましても、NHKがきっちりと公共放送としての使命を果たせるように、そして、少なくとも会長は、これまで自分の考え方を番組に反映させるということはないということは何度も答弁をしておられますので、経営委員の皆様方にしっかりとこれからも責務を果たしていただきたい、こう強く希望いたします。

近藤(昭)委員 大臣としての一般論であっても、今の仕組みがあるということでありますから、なかなか難しい側面もあるんだと思うんです。

 ただ、御承知かと思いますが、先般、NHK経営委員長の代行、上村達男早大教授が退任をされた。そのときにいろいろなことをおっしゃっている中でいうと、やはりNHKの会長が、不偏不党、中立公正であるというところでありますが、非常に大きな権力を持っている、その権力をチェックする仕組みが脆弱ではないかというようなことをおっしゃっている。そして、そういう中で、監査委員会の機能強化を意見された。そして退任をしたということであります。

 退任をされた方が何をおっしゃるんだということもあるのかもしれませんが、私は、代行をやられた上村教授がそうしたことをおっしゃっていて、非常に懸念を示されて退任をされた、ここが非常に重要だというふうに思っています。

 NHKの予算をまた今後審議するということになりますので、またそこでもいろいろと質問させていただきたいと思いますが、上村委員長代行が退任をされたときに、そうした籾井会長の発言について懸念を表されて、そしてまた、関連をして監査委員会の機能強化を、意見を具申されたということについては、いかが思われますでしょうか。

高市国務大臣 前経営委員の方がマスコミの取材に対して答えられたことについて、政府としてコメントをすることはございません。

近藤(昭)委員 ただ、やはり、この総務委員会でNHKの予算が審議をされる、そして、NHKの公共放送として果たす役割は本当に大きいわけであります。

 だからこそ、ここで審議もされるわけでありますし、そして、先ほど同僚委員からも質問させていただいた、要件が決められて、委員を選考するときの同意、そして委員会が会長を指名する、そういう仕組みがある。しかし、そういう中で、不十分なところがあるのではないかということがあったということは、やはり重要なことだと私は思っておるわけであります。

 そのことについてはまた今後議論させていただきたいと思いますので、次の質問に行かせていただきます。

 地方財政計画のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇一五年度の地財計画の計画人員を見ますと、前年度比マイナス四千二十人。二〇一四年度と比較をすると、二〇一四年度は二〇一三年度比でマイナス一万二千九百六十二人であります。ここと比較して、三分の一程度に削減の幅が圧縮をされているということであります。この理由はいかがでありましょうか。

佐藤政府参考人 地方財政計画上の職員数については、義務教育教職員や警察官など国の法令によって定数が定められるものについては、その法令等に基づいて算出をいたします。その他の一般職員については、地方団体全体の直近の職員数の削減の実績でありますとか、地方団体が定めている今後の定員管理計画の内容などを勘案して計上いたしております。

 二十七年度につきましては、義務教育教職員が二千七百八十五人の減、警察官が一千二十人の増となったほか、その他の一般職員については、直近の実績で職員数の純減少幅が縮小してきているという実態がありましたので、これを反映させて、千五百五十五人の減といたしました。

 その結果、全体として、対前年度に比べ、四千二十人の減となったところでございます。

近藤(昭)委員 全体として、今、そうした積算と申しましょうか、計算と申しましょうか、そういう中でそういうふうになってきたんだということでありますけれども、やはり、三分の一になった、それはそうした積算の結果だということでありますが、一年の間に三分の一になったということはかなり急激な変化だと思います。

 その背景にあるようなことは、どのようにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 国の法令によって定まっているものについてはそれを使いますので、最近の傾向とすれば義務教育の職員が減っておりますが、その減り方が、二十六年度に比べ、二十七年度は小さかったということがあります。それから、一番大きなウエートを占めます一般の職員についてですが、これは、我々、定員管理計画をつくっている団体の削減の見通しというものをもとに全体の推計をして計上しておりますが、最近になって、その削減の幅が小さくなってきているということなんです。

 ここ十数年の傾向を見ますと、大分地方公務員全体の数が減ってまいりました。この間、相当の削減の努力をしてきたと思いますし、また一方で、市町村合併のように、それが可能だったということもあったと思います。

 だんだん削ってきますと、最近の声としては、非常に職員数が厳しいということで、今までと同じような調子で削減をしていくということはなかなか難しくなっているんだろう、このように考えております。

近藤(昭)委員 最後におっしゃった、今後については、やはりかなり削減というのが難しくなってきているのではないか。いわゆる必要な人員はきちっと確保していかなくてはならないのではないかということだと思います。

 ただ、今、財政が厳しい状況の中であります。そして、民間におきましても非常に厳しい状況の中で仕事をしておられる、会社を経営しておられる、またそこで働いておられるということであります。私は何も肥大化をしろということを申し上げるつもりはございません。

 ただ、やはり聞こえてくることがあります。それは、被災地が深刻な人員不足に直面している状況。そういう中で、各自治体が応援人員を容易に派遣できない状況もあるのではないか。

 被災地が、長く続く復興の課題に向けて、人員が非常に厳しい状況の中にある、そもそもというか、そこの自治体においてです。また、そうしたところに応援が行かなくてはならない、応援が必要とされている。しかしながら、その応援を出す側の自治体も非常に今人員が厳しいということの中にあって、全体の中でそういう意味では不足をしているような部分があるのではないかというふうに思います。

 そういう意味では、私は、必要なところについては増員を、増員というか、きちっとそうしたことを担うことができる人員を確保していくべきではないか、このように思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 もちろん、必要なところに対しては人員を確保する必要があると存じます。

 特に、やはり平成十七年から平成二十二年の五年間、ここは、行革推進法などに基づきまして、各地方公共団体について、具体的な削減目標を掲げた集中改革プランを策定するように要請しておりました。そして、その間、地方公共団体においては、先ほど局長が申し上げましたような市町村合併もあり、また行政改革の効果によりましてその取り組みの成果が上がってきたということ、それからまた団塊世代の方々の大量退職などがあり、職員数が大幅に減ったものと思っております。

 ただ、この集中改革プランの期間の終了後は、総務省としては、各地方公共団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むように要請をいたしております。

 やはり納税者の負担により人件費も、また行政経費も手当てされておりますので、例えば情報化の推進などによって行政の効率化に取り組むですとか、さまざまな努力というのは必要だと思います。ただ、それによって行政サービスが著しく低下するようなことがあっては元も子もございませんので、ここのところは各地方公共団体において適切な管理をしていただくということになるかと存じます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたことを、少し角度を変えてと申し上げましょうか、質問したいと思うんです。

 必要なところにはきちっと人員を持っていくということで、これは鶏が先か卵が先かという議論になるかもしれませんけれども、政府も地方創生ということを非常に強調しておられるわけであります、地方創生ということで。そして、今高市大臣もおっしゃった、今までに市町村合併等々や行政改革、こういうことを進めてきた、そういう中で地方公務員も削減をしてきた、でも、必要なところには配置していかなくちゃいけないんだ、こういうことであったわけであります。

 ただ、なかなか、仕事のための仕事ということではありませんけれども、やはり地方でそうした行政サービスもしっかりと充実させていかなくちゃいけない。

 また、よく、まちづくりあるいは地域おこしというようなことも言われるわけであります。

 つまり、もともと、残念ながら地方に、地域になかなか仕事がない、こういう中で、新たに仕事をつくっていかなくちゃいけない。その仕事をつくっていく過程においても、そうした自治体の人たちが町おこし、村おこしみたいなことでアイデアを出しながらやっていく、そしてまた、そこがある種の雇用の創出の場にも、そのこと自身が雇用の創出になる、また、そのスタッフがまた雇用をつくっていく、こういうところもあるのではないかと思います。そして、そこにはもちろん消費が生まれるわけでありますから、消費がまた経済を動かしていく、こういう側面もあるのではないかと思うんです。

 そういう意味では、やはり必要なところをしっかりと確保していく、場合によっては増員もしていく、こういうことが必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 やはりそれぞれの地域の実情を踏まえて、そして適正な定員管理の推進をしていただきたいと考えます。

 よく私のところにも、全国各地さまざまな市区町村の代表の方が、どういうメニューが総務省で活用できますか、こういう実情なんです、もっともっと元気にしたいんだけれどもということで御相談に見えますよ。

 その中で、うちは市役所が市の最大の産業なので、これ以上人を減らしたら景気が悪くなるというようなことをおっしゃる方もいるんですけれども、むしろ、そうじゃなくて、それだけ市役所で皆さん働いておられるんだったら、どんどん知恵を出して、地域の資源を使って、地域で民間の新しい雇用もふえていく、そして所得もふえていく、そして、結果としてまた税収がしっかりふえながら、多くの市民に良質な行政サービスが提供できる、そういう道もしっかりつくっていただかなければ何もなりませんよということを申し上げております。

 いずれにしましても、それぞれの地域の実情に応じた対応というのが必要だと思っております。

近藤(昭)委員 そういう意味では、二〇一四年十二月二十六日に総務省の地方財政審議会がまとめた意見で、これまでと同様に地方公務員の数を減らすことは限界に来ている、やはりこれ以上、それぞれの仕事がある、必要とされている、そういう中で個人に負担を強いることはできない、ここは限界に来ているんだ、こういう意見を財政審議会がまとめているということでありますが、ここに対する大臣の受けとめはいかがでありましょうか。

高市国務大臣 これもまた、それぞれの地方公共団体によって事情は違うと思います。

 余り小さな行政ということで人を減らし過ぎて、本当に必要な、特に、今、介護分野ですとかいろいろなところで対応が必要だ、生活保護の適正化などでも人が実際には足りない、さまざまな声がございますので、必要なところにはしっかりと必要な人員を割り当てていく。

 そのかわり、やはり情報化も活用しながら、また周辺の市町村との連携もしながら、全ての地方公共団体、何もかもフルセットでそろっているということではなくて、周辺の市町村とも協力しながら、節約できるところは節約をし、また、そこでカットできた人員を新たにやはり雇用をふやすために必要な政策を構築する部門に移すなどの、そういった工夫というのは必要だと思います。

近藤(昭)委員 大臣、必要なところに必要なというのは非常に当然のことであり、微妙な表現だと思うんです。

 微妙な表現と申しますのは、以前、私もこの総務委員会で質問させていただいたことがあるんですけれども、非常に今、先ほど計画人員が減らされているというか減っているということでありますが、一方で臨時、非正規職員の人がふえているという実情もあるわけであります。以前、この委員会でも、新藤総務大臣のときでありましたが、質問させていただきました。

 臨時の職員、あるいは非正規、特に臨時の職員でありますが、臨時で仕事がある、いつも、恒常的に仕事があるわけではないけれども、臨時で必要性に応じて、そのときに臨時で雇用して職員を任に当たってもらうということであるのが本来の臨時職員である。しかし、それが、臨時ではなくて恒常的にある、常にずっと仕事があるし、そこで仕事をしている。しかし、それはあくまで臨時の職員だ、非正規の職員だということで、厳しい処遇の中で仕事をしている人が多いという現実があるわけであります。

 地方公務員の数は、ピーク時の一九九四年度の三百二十八万人、これと比較して、昨年、二〇一四年度は二百七十四万人、五十四万人、パーセンテージにすると一六%の減少となっているわけであります。しかしながら、地方自治体で働く臨時、非正規の職員は七十万人であります。五十四万人正規の公務員は減っているけれども、非正規、臨時は七十万人にも上る。そして、その七十万人の人たちが負っている仕事は、正規の人たちが担っていることに非常に近い、あるいは同じだということであります。

 そういう意味もあり、二〇一三年度に、民主党としても、他の野党とともに、課題解決に向け、地方自治体の非常勤職員に諸手当支給を可能とするための議員立法、地方自治法の一部を改正する法律案を提出し、国会でも雇用の安定や処遇改善が議論になり、私自身も、二〇一三年十一月と二〇一四年四月にこの総務委員会で質問させていただいた。

 その後、総務省からは、二〇一四年七月に、処遇改善に向けた通知「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」が発出されました。これは、一定程度処遇改善が期待できるものであるとは考えております。

 しかし、今なお、雇いどめの問題など解決されない課題も多い。そして、官製ワーキングプアとやゆされ、社会問題化をしている自治体で働く臨時、非常勤職員の雇用の安定、処遇の改善に向けて、大臣の所見はいかがでありましょうか。

高市国務大臣 臨時、非常勤職員の任用と処遇について、まずは、これは地方公共団体が任命権者として責任を持って適切に対応すべきものでございます。

 総務省としては、地方公共団体における臨時、非常勤職員の任用につきまして、平成二十六年七月に通知を発出して、制度趣旨を踏まえた適切な任用と勤務条件の確保について助言をいたしました。例えば、報酬等につきましては、職務給の原則の趣旨を踏まえて、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきという助言をいたしました。

 さまざまな会議の場を通じても、この通知内容の周知徹底に努めておりますので、制度の適切な運用がされるように、引き続き、必要な助言を行ってまいります。

近藤(昭)委員 ぜひ、そうした通知が実のあるものとなるように、また、先ほど申し上げました、本来正規で、つまり、あくまで臨時の仕事に対しては臨時の職員かもしれないけれども、そうでない仕事に対してはきちっと正規の人で、正規の人員が当たっていけるようにしていただきたいと思いますし、これは何もいわゆる自治体、公務員のことだけを申し上げておるわけではなくて、やはり民間でも非常に厳しい状況の中で働いている方がおられる、そうした皆さんにも影響を与えていくわけであります。つまり、働くことというのはどういうことかという大きな観点から私は質問させていただいております。

 ぜひ、今後とも、大臣としても、しっかりとした実のある方向に向かうようにしていただきたいと思います。

 さて、次の質問でありますが、自動車関係諸税について質問させていただきたいと思います。

 自動車取得税は消費税との二重課税となっている不条理な税であり、即刻廃止すべきものであるというふうに考えていますが、消費税引き上げ延期に伴い、その廃止も先送りされたところであります。

 そういう中で、軽自動車は地方を中心とした国民の足であり、生活必需品であることから、負担軽減することがデフレ脱却また地方創生につながっていくんだ、こういうふうに考えております。

 しかしながら、今後、軽自動車税は毎年六十億円増税され、さらに二〇一六年度から十三年超えの経年車への増税百十六億円が決定されるなど、負担は増大する一方であります。

 一方、グリーン化特例が実施されました。五十一億円減っておりますが。一年限定の措置であるわけであります、存在するわけであります。

 軽自動車税の増税はデフレ脱却にも地方創生にも逆行するものであります。見送るべきだと考えますが、そして私たちは軽自動車税の増税を撤回する対案を出しているところでありますが、大臣の所見はいかがでありましょうか。

高市国務大臣 まず、軽自動車につきましては、公共交通機関が不十分な地方におけます生活の足として使われているということを十分に私も承知しておりますし、私自身の地元もさようでございます。

 また、地方におきましては、かなり厳しい財政状況のもとで、自動車に関連する道路、橋梁などの財政需要も大きいということ、それから、軽自動車と小型自動車について税負担の均衡を欠くのではないかといった御指摘もあったわけでございます。

 このような事情を踏まえまして、平成二十六年度の税制改正で、税制抜本改革法に基づいて、自動車税制全体について与党税制調査会で議論を行い、車体課税については、中期的には税収中立という中で、軽自動車税については、地方団体からの御要望も踏まえて、小型自動車等と負担の均衡を図る観点から、税率を引き上げるということにいたしました。

 ユーザーの皆様の御負担ですけれども、これも、平成二十七年度以降に取得される新車から税率を引き上げるということにしたということ、そしてまた二十七年度税制改正においてグリーン化特例を講じるということにしまして、所要の法案の御審議をお願いしているところなのでございますけれども、委員が御指摘いただきました負担の軽減にもまずは配慮をしているつもりでございます。

 それからまた、地方団体からは、長年の懸案への対応については御評価をいただいております。

 民主党からも対案が出ておるんですけれども、やはり大切なのは、代替財源、これをどのように考えるかということでございます。何とか予定どおり実施できるように御理解をお願いしたいと思います。

近藤(昭)委員 大変に財源が厳しいということは、もちろん大きな中であるわけであります。

 ただ、私が懸念をするのは、地方創生、地域を活性化していくという観点からも考えますと、活性化することによって雇用を生み、そこから税収を生んでいくというようなこともあります。

 東京都と地方、平均で比べると、多分九倍から十倍でしょうか、やはり地方で軽自動車を所有していらっしゃる方が多い。また、ある意味では、公共交通網がまだ不十分な中で、そうした自動車、地方では家庭で所有していらっしゃる台数が非常に多いわけであります。そういう中で、全体でいうと負担が大きい。

 だから、一台一台を考えると、確かに自動車税、軽自動車は安く優遇されているかもしれないけれども、地方では家庭で所有している台数が多い、そういう中で、家庭における負担は大きいんだということを私は思っているわけであります。

 時間がもう限られていますので、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 大臣も所信で述べられた、防災のことであります。

 今後三十年以内で東海、東南海、南海地震、すなわち南海トラフ巨大地震、マグニチュードが八から九でありますが、発生する確率は七〇%と言われ、近く四年を迎える東日本大震災と同様の大津波が、私も住んでいるところでありますが、多くの地域を襲うのではないかと危惧されているわけであります。

 こうした大災害に備えるためには、住民みずからが自主防災組織などをつくり、行政との意見交換や防災組織の向上を図ることが最も大事である。全国の自主防災組織の組織率、また、そのうち防災訓練まで行っている自主防災組織の比率がわかれば教えていただきたいと思います。

 また、もう一点。

 岩手と同様の高知などのリアス式海岸では、津波の高さは三十メーターを超えるほどのものになるだろうと。しかしながら、近くの山に難を逃れることも、そういう中で可能でありましょう。しかしながら、平地部では、津波の高さはそれほどではないにせよ、あっという間に平地の奥深くまで襲いかかり、東日本大震災のときの陸前高田や石巻などのように多くの犠牲者が出る可能性がある。

 このような地域では避難タワーの建設も必要であろうが、用地の確保、建設コスト、工事期間など、今直ちに可能になるわけではない。こうした地域では、公共施設のみならずマンションとか民間施設とも協定を結んで、いざというときに利用できるようにすることが重要である。

 現在、こうした津波避難ビルの指定状況はどうなっているのか、南海トラフ巨大地震の際の津波襲来予想地域の状況はどうなっているのか、また、周辺住民への周知はどのように行われているのか、簡潔にお答えいただければと思います。

桝屋委員長 消防庁高尾次長、簡潔な答弁をお願いいたします。

高尾政府参考人 自主防災組織でございますけれども、平成二十六年四月一日現在、十五万六千八百四十の組織がございます。これらの組織の活動でカバーされている世帯数で見た組織率は八〇%、また、防災訓練を任務としている自主防災組織の割合は八九・七%でございます。

桝屋委員長 兵谷内閣府大臣官房審議官、時間が来ておりますから、簡潔に答弁をお願いいたします。

兵谷政府参考人 津波避難ビルの指定でございますが、内閣府の調査では、南海トラフ地震のいわゆる特別強化地域で四千三百三十七棟でございます。これは二年前に比べまして約二倍となっておりまして、進んでおります。

 また、その周知につきましてでございますが、これも内閣府でガイドラインを作成しておりまして、広報誌やホームページによる情報提供、標識の設置等々により周知を図るとしておりまして、地方団体におかれてはこうしたガイドラインも参考に周知に努めていると考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。引き続き、しっかりよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

桝屋委員長 午前十時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十二分開議

桝屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 大臣には、あっち行ったりこっち行ったり、大変忙しいところ恐縮でございます。きょうは、大臣所信に対する質疑だということなものですから、高市大臣の地方活性化にかける思いをお伺いしたいと思いますが、時間も二十分しかありませんので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、アベノミクスの評価についてであります。

 大臣は、所信の中で、「安倍内閣によるこの二年間のアベノミクスによって、我が国には経済の好循環が生まれつつあります。」こう述べておりますけれども、どんなふうに好循環が生まれつつあるのか、教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 この二年間のアベノミクス、いわゆる三本の矢の政策を進めてきました結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準であります。私どもが政権を引き継ぎました直前、平成二十四年十一月の〇・八二から二十六年十二月時点で一・一五ということで、まずは有効求人倍率が上がってきた。賃上げは平均二%以上のアップということで、過去十五年で最高でございます。企業の倒産件数が二十四年ぶりに年間一万件を下回った。そして、企業の経常利益は過去最高水準となっております。実質GDPは二年間で九兆円増加。

 こういった意味では、企業もある程度力がついてきて、雇用、求人も非常にふえてきている、そしてまた賃上げにつながっていくということ、今はまだちょっと消費が一部には弱いということがありますけれども、今後これがまた消費がふえていく、そうすると企業の利潤も上がっていく、また雇用拡大などにもつながっていく。そういった形の好循環が生まれつつあるという状況だと私は考えております。

 今後、これを確実なものにしていくために、やはりローカルアベノミクスの取り組み、これをしっかりとやらなければ、地方でまだまだ実感できない、こういうお声があるということも承知しておりますので、しっかりと働かせていただきます。

福田(昭)委員 今大臣から教えていただいたその指標は、それが、いわゆる大企業から中小企業へ、あるいは富裕層から一般庶民へ、そう回っていかないと好循環とは言わないんじゃないですか。要するに、円が安くなって、株が上がって利益が出た人たちだけが潤っているだけであって、全く循環しているとは言えないんじゃないですか。どうなんですか。

高市国務大臣 大企業だけがということも、必ずしもそうではないと思っております。中小企業と言われるところであっても非常に状況のいい会社もありますし、一方で、中小・小規模企業、まだまだ厳しいよ、地方でも厳しいよというところがあるということは十分に承知をいたしております。

 しかしながら、大企業を中心にであっても、ようやく賃金を上げようという機運が高まってきて、実際に上がっている。そういったところがまた消費をする、そしてまた下請企業などにも発注をしていく。こういったところ、時間が進んでいけば、これはもう確実に成果が出てくるものだと思っております。

 既に経済の好循環というものは始まりつつある、そのように私は考えております。

福田(昭)委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、実質賃金は基本的に下がり続けておりますし、それから、中小企業の皆さんにお伺いをすると、大企業は、消費税三%アップ分は支払うよ、しかし、その分、何とか原価で対応できないかと優しくささやくんだそうであります。したがって、中小企業の皆さんは本当に厳しいコストダウンを強いられている、そういう声をそっちこっちから伺います。したがって、大臣が言われるような好循環は全く起きていないと私は思っているんです。

 ところで、大臣は、安倍総理もそれは否定したそうでありますが、いわゆるトリクルダウンというのはあると思っていらっしゃるんですか。どうなんですか。

高市国務大臣 いわゆるトリクルダウンという考え方をアベノミクスの成果が出てきたというようなことの根拠にしているということは、あり得ないと思っております。安倍総理がおっしゃっているとおりだと思います。

福田(昭)委員 そうすると、トリクルダウンはないと認めたということは、アベノミクスがそもそも前提から実は間違ってきているということを認めたようなものだと私は思います。

 そこで、二つ目でありますが、アベノミクスの成果が地方に伝わっていないことについてであります。

 アベノミクスは、デフレから脱却するために、いわゆる三本の矢を一体的に進めているわけでありますが、その成果がなぜ地方に伝わっていないのか、どう認識されているのか、お伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 これも、地方によって随分差がございます。現在、各地方公共団体の先進的な取り組みなどについても、私たちは、できるだけ横展開をしていこうということで、生のお声を聞きながら、省内でも検討を重ねているところでございます。

 地方の中でも、積極的な取り組みによって、人口がふえた、そしてまた新たに企業が立地した、所得がふえた、そういった場所もあるわけでございます。

 まだまだ、どうしても東京の方が流入超過になっております。大都市圏の方に人が流れていく、こういった現象というのはございますけれども、一方で、意外にも二十代の若い方々が地方に移住をしたい、地方で働きたい、こういう数も驚くほどふえてきている、こういう統計もございますので、地方で生活をしても、そこで一定の所得が得られる、働く場所ができていく、そしてまた、そこで安心して質の高い教育を子供たちが受けられる、そして必要な行政サービスがしっかり確保されている、安全に生活できる、そういう状況をつくるために、私は、総務省の政策資源を総動員してローカルアベノミクスを成功させる、そのための決意を申し上げたわけでございます。

 具体的に、今御審議をいただいておりますけれども、平成二十七年度の予算案におきましても、地方で地域密着型の企業の立ち上げを支援するローカル一万プロジェクト、分散型エネルギープロジェクトの推進、あとは、地方大学を活用して雇用を創出していく、こういった取り組み、また、ICTを利活用して地方の産業の生産性を向上させていく、地域サービスも充実させていく、こういった施策を盛り込んでおりますので、やはり、しっかりと地方に温かい風が吹いていく、このような状況を先生方と力を合わせてつくってまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 大臣、私が聞いているのは、なぜ地方にアベノミクスの成果が伝わっていないんだと聞いているんですよ。まだ、ローカルアベノミクスは聞いていないですよ。これから聞くんですよ。いいですか。

 まず、大臣は、それでは金融緩和と財政出動には効果にどんな違いがあるという認識でございますか。

高市国務大臣 金融緩和につきましては、これはやはり、世の中にお金の流れを潤沢にしていく、こういった効果があると思います。

 そして、財政出動、これは昔はそういった面もあったかと思いますが、昔は割と、公共事業を出して景気を引き上げていく、こういった考え方もあったかと思いますけれども、今非常に厳しい財政状況の中でございますから、厳選をして、しっかりと地域に住む方の安全、命の安全を守るために必要な事業を行っていく、また、必要な行政サービスが十分になされていない、それではいけないので、日本全国どこに住んでいても一定水準のサービスが受けられる、そのための財政措置をしていく、こういった考え方の違いがあると思っております。

福田(昭)委員 大臣、今度のアベノミクスでの異次元の金融緩和と財政出動、どういう違いがあるか、私の認識を申し上げたいと思います。

 今回、日銀が異次元の金融緩和をやっております。しかし、この効果は本当に薄いです。あるとすれば、円安、株高を演出して、外国人がいっぱい買っている、株が高くなっている、こういう効果はありますけれども。

 実は、日銀が金融緩和をして、マネタリーベースを何と二百七十五兆円まで拡大しました。しかし、そのうち百八十一兆円は日銀の当座預金に積まれたままです。使われておりません。ですから、二百七十五兆円も拡大した効果は、残念ながら大変薄い。

 それに比べて、実は、使われていない予算もありますけれども、安倍内閣になって、今度、来年度の予算も入れると、三年連続百兆円規模の予算を組んでいます。当然無駄もあるんですけれども、しかし、実は、先ほど大臣が言った実質GDPを押し上げているのは、むしろこちらの大型の予算です。財政出動が実質GDPを押し上げています。

 ですから、金融緩和で押し上げているんじゃありません。

 あるいは、消費税の駆け込み需要、これで実は押し上げているのでありまして、したがって、昨年の四月に消費税を三%上げてから、個人消費は十カ月連続マイナスです。

 経済を押し上げる要因は、釈迦に説法になりますけれども、二つですよね。個人消費が六割、設備投資が最大二割ですよ。その個人消費が、去年の四月に消費税を上げてから十カ月ずっと下がりっ放しですよ。

 ですから、絶対デフレなんかから脱却できっこないじゃないですか。経済がよくなりっこないじゃないですか。これがアベノミクスの実態です。

 それは、有効求人倍率はふえました。しかし、非正規雇用がふえただけであって、正規雇用は少しふえただけ。ほとんどは非正規雇用がふえた。実質賃金は下がりっ放し。まさに、アベノミクス、失敗だらけじゃないですか。まさに、そういった意味ではアベノミクスの考え方。

 財政出動は、実は、政府が予算を組みますから、政府が直接お金を使う、あるいは、都道府県や市町村、民間企業や個人を通して国内にほとんど使いますから、お金が国内に回りますから、経済を押し上げていきます。

 しかし、金融緩和は、幾ら日銀が印刷してお金を出したって、日銀に積まれているのでは、国内にほとんど使われないじゃないですか。

 まさに、金融緩和と財政出動にはこういう違いがあるんです。この効果の違いをしっかり認識してやっていないのがアベノミクスなんです。ましてや、日銀はこれから、では、金融緩和はどうやって出口戦略をやるんだ、出口戦略も全くない。本当に日本経済を破壊しますよ。

 ジム・ロジャーズという大変世界的に有名な大投資家がいます。ジョージ・ソロスと並ぶ、共同経営もしているそうでありますが、この彼が言っています。このままアベノミクス、円安政策を進めていけば日本経済は破壊される、なぜなら、自分の国の通貨をこんなに下げておとしめた国で繁栄した国はないと言うんです。安倍総理はやがて日本を破壊した男として歴史にその名を刻まれるでしょうと。ヘッジファンドでもうけている人がこう言っているんですよ。本当に危ない話であります。

 多くの方々が実は心配しているのがこのアベノミクスでありまして、一日も早く本当はやめることが一番でありますけれども、やめなければ本当にとんでもないことになるというふうに私は心配をいたしております。

 ですから、そういった意味で、私自身は別に大型予算に反対するとかはないんですよ。ただ、それをいかに有効に使うか、これが実は大事なポイントであって、それが実は一番、お金を生きたお金として使う、そういう道だということをぜひ申し上げておきたいと思っています。

 ですから、予算じゃないと地方に好循環経済が回らないというから補正予算を組んで、今回も三兆一千億からの補正予算を組んで、地方の需要を喚起するんだとか、それこそ、地方創生はちょっと早いんだけれども、その前提でお金を配るんだとか、みんなこれ、地方にお金を配らなくちゃ地方が元気にならないということじゃないですか。

 ですから、本当に、大企業からそれが地方に行くのならいいですよ、地方にある中小企業とか。全くそうじゃないということをよく理解して、税金を生きたお金として使う、これが政府の役割だと思うんです。

 次、既に三つ目でありますが、ローカルアベノミクスについては大臣に少しずつお答えをいただいておるところでありますが、このローカルアベノミクスの目標と具体策、具体策は先ほど少しずつお話しいただきましたが、ローカルアベノミクスでどんなことを実現しようとしているのか、その目標をお聞かせください。

高市国務大臣 ローカルアベノミクスの取り組みといいますのは、農産物ですとか木材、あと地場産品や景観、こういった地域資源と地域の金融機関の資金を結びつけて、地域で雇用を創出し、税収にもつながるような地域密着型の企業を全国各地で立ち上げていくということによって、地域経済の好循環を拡大していくことでございます。

 経済の状況につきましては、先ほど先生からいろいろ御指摘がございましたけれども、私どもは、政権奪還に向けた選挙だったときの自民党の政権公約の中でも、長期のデフレから脱却する、行き過ぎた円高、これはやはり産業空洞化に結びつきます、働く場所もなくなりますから、ここから脱却するということで、当時、既に物価目標二%といった日銀との協力関係も含めた金融政策も書いておりました。そしてまた、取捨選択した、集中と選択による財政政策も書いておりました。こういったものが相まってやはり成長というのは起きていくものだと思っております。

 非正規の労働者が非常にふえているじゃないかとおっしゃいますが、正規の労働者もふえております。全く失業されているよりは、非正規でも仕事がある、そしてまた非正規から正規に移られる方の数もふえてきております。私は、確実に成果が出ている、このように考えております。

福田(昭)委員 何か全く夢のような話をされておりますが。

 先日、総務省からちょっと説明をしてもらいましたけれども、「地域の経済構造改革の推進について」というパンフレットをいただきました。

 この中で、これがローカルアベノミクスの大きな柱なんでしょうけれども、ここに、産学金官、産業界、大学等の学、金融機関、それから官、行政、地域ラウンドテーブルによる地域の経済構造改革、生産性、所得の向上に向けて、こういうふうに書いてありますので、ローカルアベノミクスの目標はこれなのかな、こういうふうに実は理解をしているわけでありますが、その中で、先ほどお話があったような、ローカル一万プロジェクトがあったり、そのほかさまざまな、地域経済循環創造事業の交付金があったり、いろいろなものがあるというふうに私は理解をさせていただきました。

 そうした中で、ここにもあるんですけれども、為替リスクに左右されない力強い地域の経済構造改革を進めるんだというんですが、これはどんな経済構造をいうんでしょうか。大臣からお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 実は、為替リスクに左右されない、全くされないということは全ての産業において可能だとは申し上げませんけれども、地域の経済構造においては、為替の変動というのは今後も起こるわけでございますから、できるだけそれに左右されない状況をつくっていきたい、こういう思いから検討を始めたものでございます。

 今まだ検討中ではありますけれども、基本的にはやはり地産地消ということが一つのポイントになると思います。地域で生産されたものを地域で消費をしていく、この形が、生産者の方の供給能力もしっかりあり、また、消費者の方も、できるだけ自分の地域のものをいただこう、また使おう、こういう形ができてくると、結果的には、余り為替リスクの影響を受けない。農業も含めた食品産業、あと、木材などの地産地消、そしてエネルギーですね、地域分散型エネルギー、このあたりは非常に可能性の高い分野だと考えております。

福田(昭)委員 為替リスクに左右されない経済構造というのは非常に難しくて、なかなか実現するのは難しいんですが、実は、私、ある都市の話を知っておりまして、たくさん工業団地、産業団地があって、ほかの市がうらやましがるような工業団地があって、そこに輸入産業と輸出産業と両方がバランスよく立地しているんですよ。ですから、円が安くなればもうかる企業と円が高くなればもうかる企業がバランスよく入っていて、その市の行政はまさに為替に左右されずにちゃんと税収が入ってくる、そういう話をする市長さんがいるわけでありますけれども、まさにそういうことを言うのか。あるいは、今高市大臣が言ったような、農産物を六次産業化してもうけるんだ、こうなったら、TPPに入ったら終わりですよ。農山村、農林業、漁村、本当に疲弊してしまいますよ。ですから、そうしたらまさに、自立できる地方なんかできっこありません。

 時間が来ましたからやめますけれども、また次の機会をもらえると思いますので、そのときに質問をさせていただきます。

 大変ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 予算委員会に引き続きまして、NHKの問題を取り上げていきたいと思います。

 会長、引き続き、お疲れさまでございます。

 では、質問に入りますが、会長、早速よろしいでしょうか。予算委員会で聞くつもりだったんですが、こちらで伺います。一連の会長発言について、まず確認をしていきたいと思います。

 二月五日の記者会見での発言、これは朝日新聞のホームページに出ておりましたが、もう一度きちんと読み上げていきます。

 慰安婦問題を戦後七十年の節目で取り上げる可能性はと問われて、なかなか難しい問題ですが、やはり従軍慰安婦の問題というのは正式に政府のスタンスというのがまだよく見えませんよね、そういう意味において、やはり今これを取り上げてですね、我々が放送するということが本当に妥当かどうかということは本当に慎重に考えなければならないと思っております、そういう意味で本当に夏にかけて政府のきちっとした方針がわかるのか、このあたりがポイントだろうと思います。

 こう出ておりますが、このとおりで間違いないでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 個別の番組の検討状況を把握しているわけではありませんけれども、戦後七十年という節目の中で、いつ、どのような形で取り上げるかどうか、慎重に検討しなければならないというのが発言の真意でございます。

 誤解を与えましたことについては、まことに申しわけございませんが、今後、誤解を招くようなことのないように、発言には注意してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 去年も同じようなやりとりをしていた記憶があるんですが、今の私の質問は、読み上げたとおりですかと。要するに、もう一度、最後のところだけ読み上げると、夏にかけて政府のきちっとした方針がわかるのか、要するに、従軍慰安婦について、きちっと方針がわかるのか、このあたりがポイントだろうと思います、このとおりおっしゃっておられますかという事実確認が一つですね。

 それから、それについて、これだけ聞くと、夏にかけて政府のきちっと方針がわかれば、政府のスタンスが見えれば、それに沿って放送するというふうに聞こえますが、いかがですかということを改めて伺いたいと思います。

籾井参考人 先ほども申しましたけれども、私の真意はそういうことで、慎重に検討していかなければならないというのが私の真意でございます。

 そして、記者会見でそのように申したかどうかという御質問については、言葉としてはそのように申し上げました。しかし、真意は今御説明したようなことでございます。

奥野(総)委員 真意が伝わっていないからこそ、マスコミがこれだけ各社社説に出るわけですよね。真意が伝わっていないんじゃないですか。

 しかも、NHKのホームページを見ると、会長会見録にはこのくだりがないんですよ。このくだりは書かれていないんですよ。

 そもそも、問題があると考えているから、自分のところの、NHKのホームページにこのくだりがないんじゃないですか。オープンな場でした発言ですから、当然全てオープンにすべきだと思うんです。いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 従来と同じでございますけれども、二月の会長会見につきましても、項目ごとに内容を要約してホームページに掲載しております。

奥野(総)委員 例えば、経営委員会の議事録については、相当詳細に、一言一句たがわぬ形で出ています。また、先日の経営委員長の記者ブリーフも、相当詳細なものをいただいています。これは、経営委員会事務局から出たと伺っていますけれども。

 そもそも、オープンな会見について、公人ですからこれはきちんと発言について修正を加えることなく公表すべきじゃないですか。

 ぜひお願いしたいのは、この記者会見録全文、御提出いただきたい。去年も例がありました。去年の五項目発言のときは、予算委員会の方で提出を求めて出していただいたことがありますね。少なくとも、公の場で、みんなが聞いている場でした議論でありますから、これについて、きちんとした会見録というものを出していただきたいんですが、いかがですか。

籾井参考人 NHKでは、記者会見の議事録を持っておりません。

 昨年御提出申し上げたのは、委員会からそのような御要望がありましたので、我々は、その後、いわゆる議事録なるものをつくって御提出申し上げました。

奥野(総)委員 だから、できるわけですね、録音かなんかをとってあって。であれば、今からでも遅くないですから、きちんと録音を書き起こして、それをまずは委員会に御提出いただき、また、私はホームページにきちんと全文をアップすべきだと思います。

 もう一度言いますが、都合が悪いからその部分を載せていないんじゃないですか。

籾井参考人 議事録につきましては、しかるべく御要望があれば、これは御提出いたします。

 それから、都合が悪いというふうにおっしゃっていますけれども、私の真意が伝わるようにホームページでは書いております。全文を書きますと誤解を招くので、真意が伝わるような書き方をしたわけでございます。うそを書いたつもりはございません。

奥野(総)委員 それでは確認しますが、では、その発言は撤回したということでいいんですね。真意が伝わらないから撤回した、だからこそホームページで載せていない、そういうことですね。発言を撤回されたということでいいんですね。

籾井参考人 真意が伝わらなかったのは事実でございます。

 内容については、先ほども御説明しましたように、慎重に検討しなければいけないというのが発言の真意でございます。

 そういう意味におきまして、言葉遣いが間違ったといいましょうか、私、ちょこちょこそういうことがあるものですから、まことに申しわけなく思っておりますが、今後、誤解を招くようなことのないよう、発言には注意をしてまいりたいと思います。

奥野(総)委員 一言で、撤回したか撤回しないかだけ、お願いします。

籾井参考人 先ほど委員からも、こういうふうに申し上げましたねという確認がありましたので、私は確認をいたしました。そういう意味において、撤回はいたしませんが、内容的に、補足説明として、私の真意は、要するに、慎重に検討していかなければならないというのが発言の真意でございます。

 これは、戦後七十年の節目という中で、戦後七十年の番組をどういうふうにつくっていくかという中で質問があったときに、私がぽっと答えたので、非常に不自然な言い回しになりまして、誤解を与えてまことに申しわけないと思いますが、今後、発言には注意をしてまいります。

奥野(総)委員 撤回されないと。

 これは、去年もずっと、私、延々とここで、十二、三回、撤回しますかとやった記憶があるんですが、それと同じだと思うんですね。昨年問題になったのは、政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにはいかない、こういった発言とか、いろいろございました。去年は、五項目、これについて国会の場で撤回をされたということであります。

 今回の発言も、さっき御自分でもお認めになっていた。真意が理解されていない。しかも、同じ趣旨ですよね。政府のきちっとした方針がわかれば慰安婦については対応するが、こういうふうに読めることを言っておられるわけですね。同趣旨の発言をされている。政府が右向けば右、左向けば左、これと同じ趣旨の発言だと思うんですね。

 去年撤回をして、ことし撤回しない理由は何ですか。

籾井参考人 去年のことについては、去年の国会で撤回しておりますので、これは撤回したということで存在しないわけでございますが、今回の件については、やはり、夏にかけていろいろなことが出てくるという中で、戦後放送をしなければならないということでありまして、それが慰安婦問題に、直接のことについてスペシフィックに答えたつもりはないんでございます。

 そういう意味で、なかなか皆さんには御理解されないんですけれども、私としましては、私の真意を何回も何回も御説明するしかないんでございます。

 今後、誤解を招くようなことのないよう、発言には注意してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 では、去年はなぜ撤回したんですか。どういう理由で撤回されたんですか。それは、世の中から責められたから、しようがなく撤回したんですか。伺いたい。

籾井参考人 そのときの状況次第、それから、五項目にわたって全部御説明申し上げて御理解をいただくのはかなり難しいと思いましたので、撤回いたしました。

奥野(総)委員 だから、結局、今回も同じ、理解をしていただけないということですよね。理解していただけないなら、撤回をして、真意はこうだと伝えるべきだと思うんです。これをやっちゃうと時間がなくなるんですが。

 去年の答弁の中では、さらに、これは片山虎之助先生への答弁だと思うんですが、考えを取り消したわけじゃない、こういう答弁ですね。私の考えを取り消したわけではございませんが、申し上げたことを取り消したわけであります。

 考えは変わっていないということであれば、政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにいかないという考えを持っている。

 それから、慰安婦についても、ちょっとこれは余り読み上げるとあれなんですが、どこの国でもあったことですよねと。これは国際問題にもなっているわけです。

 これも、考えは持っているということでよろしいんでしょうか。

籾井参考人 確かに、昨年、個人的な考え方については変えるつもりはないと申しました。これを変えるつもりはないし、NHKの会長として大事なことは、やはり我々は、放送法にのっとって、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、自主的な放送をするというのがNHK会長としての重大な使命でございます。それに関して言えば、私はそれは、極めてきつく遵守しているつもりでございます。

奥野(総)委員 何人からも規律されず、三条ですよね。介入を受けないということなんですが、では、政府が右を向けば右を向く、左を向けば左を向くというのは、これは政府に規律されているんじゃないんですか。

籾井参考人 まず、今、委員が参考に出されました私の言葉については、国会で撤回しておりますので、もはや存在しないことですが、何回も何回も昨年のことを言われるのは、私としては大変不本意でございます。

 今申しましたように、私は、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、これは放送する上で非常に重大なことであります。これについては、私は、間違いなく遵守しておるつもりでございます。

奥野(総)委員 個人の価値観はともかく、しかし、右向け右、左向け左という発言、私は、上村代行が朝日新聞の記事でもおっしゃっていましたが、これ自体は放送法違反ですね、三条違反だと思います。そういう放送法違反の考え方を持った方が会長をやっているのは会長の資格要件違反だ、ちょっと今、私、記事が見当たりませんが、上村代行がこう述べておられます。

 資格要件ですけれども、朝、階先生もやられました。その中で、NHKの公共放送としての使命を十分に理解していること、あるいは政治的に中立であること、こういうことに対して、私は、政府が右向け右、あるいは左向け左、あるいは政府の言うことをそんたくするということは、資格要件に反しているというふうに思いますが、その点について経営委員長のお考えを伺うとともに、資格要件に反していたとした場合に、先ほどは罷免の話でしたが、例えば辞職勧告、資格がないということで、経営委員会として辞職勧告を行うということはあるのかないのか、改めて経営委員長に伺いたいと思います。

浜田参考人 御指摘のような懸念を持たれる事態を招いたことは大変残念だと思います。

 一方で、去る一月に議決をしましたNHKの次期三カ年経営計画は、国際放送の充実や、放送と通信の融合時代の新たなサービスなどへの取り組みの充実が盛り込まれており、経営委員会として満足できる内容であったというふうに思っております。

 この計画の実現のためにも、籾井会長には、事態を一刻も早く収拾し、国会でNHK予算の全会一致での御承認をいただけるよう努力をしていただきたいと思います。

 経営委員会としても、会長以下執行部が協力して公共放送の使命を果たすよう、監督をしてまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 先ほどもそういう答弁であったんですが、やはり監督責任をこれから問われると思うんですよ、繰り返していては。しっかり議論をいただきたいと思います。

 時間もだんだん迫ってまいりましたが、放送総局長にきょうはお越しをいただいています。

 会長がそういうお考えだ、考えは変えるつもりはないというのはよくわかりましたし、今回は、発言は撤回しないと。要するに、政府の動向を見て、番組について、慰安婦については考える、こういう発言を撤回しない、こうおっしゃっておられるわけですね。

 会長がそうおっしゃっておられると、やはりそんたくという話がどうしても出てくると思うんです。人事権もお持ちですし、会長の考えをそんたくするという考えが出てきても不思議はないですね。

 そのことについて、これは東京新聞の記事なんかにもあったんですが、放送総局長は会見で、NHKの職員といえどもサラリーマン、そんたくは企業や組織には普遍的に存在している、こうおっしゃったと出ているわけであります。

 放送総局長は、たしか番組編集権を分掌しておられるんですね。会長が編集権を最終的には持っているが、放送総局長は分掌しておられるわけです。そういったお立場の方が、そんたくする、こういう発言をしているんですが、真意は一体どこにあるんでしょうか。

桝屋委員長 板野日本放送協会専務理事、時間が来ております。簡潔な答弁をお願いいたします。

板野参考人 お答えいたします。

 企業や組織の中にはそうしたこともあるという一般論を申し上げた次第でございます。また、最近になってそうしたことが出てきているのではないかという趣旨の御質問でございましたので、そういうことはないというふうに申し上げました。

奥野(総)委員 では、この記事は間違っているということですか。最後に一言だけ。普遍的に存在しているということは、NHKにも存在しているということですよね。

板野参考人 私の発言の一部を取り上げてそういうふうに解釈したというふうに思っております。

奥野(総)委員 もう時間なので、また次の予算の機会とかにしたいと思いますが、そういう発言をすること自体が会長へのそんたくじゃないかというふうに私は思います。それだけ指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 民主党に引き続いて、NHKの会長、経営委員長にお伺いをしたいと思います。

 民主党はかなり厳しい追及で、会長もヒートアップされていると思いますが、我が党は、まだこれから態度を決める。きょうの質疑が極めて重要だ。それから、あす部会にもお越しいただくことになっておりますが、そこでいろいろお聞きしたいと思っていますが、ぜひ、会長には、率直に思い、真意をお話しいただきたいと思います。

 ずっと質疑を見ていますと、紋切り型の、恐らく職員の方がつくった答弁を読まれるというような形の答弁だと、どうしても心証が悪くなるのではないか。民主党以外の野党、我々も、それではちょっと納得できないなということになりますので、きょうは私も、余り言った言わないとかそういう質問ではなくて、建設的な議論をしたいと思っておりますので、ぜひ会長には、官僚以上に官僚的なNHKの職員の方の紙を読むのではなくて、会長の率直な思いをお話しいただきたい。

 経営委員長が、経営委員会がまさに全会一致を求めている、これは本当に重いことだと思います。やはりNHKという性格を考えますと、各党から賛成をしてもらう、これがずっとこれまで続いてきたわけでございます。去年は残念ながらそうならなかった、あるいは何年か前にそういうことが何度かありましたが、それは、非常に不祥事であるとか、そういったことが原因であることが多いわけでございまして、ぜひ、そのためにも会長には努力をしていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 それでは、まず最初に、やはりNHKとはといいましょうか、公共放送とは。でも、こう聞くと、恐らく答弁書が用意されていてつまらない回答になってしまいますので、少し趣向を変えてお聞きいたします。

 私は、実はNHK大好きなんです。それは理由がありまして、学生時代にNHKの受信料の集金を、四年間アルバイトをやってまいりました。ほかのアルバイトは何もせず、NHK一筋四年間、いい給料をいただいていたんです。ですから、受信料を払う方々の気持ちというのはすごくよくわかります。

 そのNHKに、アルバイトでしたけれども、学生時代四年間NHKで働こうと思ったのは、やはりNHKが好きだった。思い起こすと、いろいろな番組、例えば大河ドラマであれば、私が小学校のたしか一年か二年のころ「黄金の日日」という大河ドラマを見て、それ以来ずっと大河ドラマは、大人になってからちょっと見られていないんですけれども、見てきましたし、あるいは、朝ドラであれば、一番昔の記憶だと「マー姉ちゃん」とか、あるいは「澪つくし」を見て沢口靖子さんの大ファンになったり、そういう思い出があるわけですよ。

 そういう意味で、会長にまずお聞きしたいのは、今のNHKということじゃなくて、会長就任前に、会長をお引き受けするときに、NHKに対するどういうイメージを持たれ、そしてまた、今申し上げたような、例えば好きな番組とか思い出とか、そういうことがあったらお聞きしたいと思います。

籾井参考人 大変なお仕事、集金をアルバイトでやって、四年間もやっておられたということ、本当に大変ありがとうございます。そのおかげで、最近は収納もぐんぐん上がってきておりますので、引き続き今後ともNHKに御協力をお願いしたいと思います。

 私のNHKに対する思いというのは、子供のころから、ラジオは第一放送、音楽は第二放送、これだけで育った世代でございまして、テレビ時代になってもほとんどNHKでございました。やはりニュースそれからニュース解説、こういうものを非常に好んで見たわけです。

 なぜNHKかといえば、やはりNHKが言っていることは正しい、こういう思いがございました。それがずっと、NHKに来る前の私の姿でございました。これは、当然のことながら、今日も続いているわけでございます。

 そういうふうに、NHK男でございます。

高井委員 できれば好きな番組とかも聞きたかったんですが、お忙しい人生を送ってこられたと思いますので、なかなかNHKを見る機会もなかったのではないかなと推察をいたします。

 それでは、今、受信料の話が出ました。おかげさまでと言っていただきましたけれども、私が働いていたのはもう二十数年前でございますが、しかし、確かに、現実にそのときよりは受信料の収納率というのは上がっています。今七六%ぐらいですかね。私は、二年実は浪人していたんですけれども、その前も国会議員だった、そのときもこの総務委員会に所属してお聞きしましたけれども、そのときよりも上がっています。

 ただ、私は二年前のときも総務委員会でお聞きしたんですが、受信料というのは、私も集金をやっていた立場からすると、払う人と払わない人がいるというのは極めて不公平だ。当時は二月で二千七百四十円だったんですが、そのお金を、一方で払っている人がいるのに、いろいろな理由をつけて払わない方がやはり二十数%もいる。これはやはり払っている方に対して私は失礼だと思っています。

 そういう意味では、前回のときも、集金の人を減らしますとかコストカットしますということを言われるんですけれども、そんなことをして収納率が下がるんだったら、それは本末転倒じゃないか、むしろそこは集金に対してコストをかけてでも一〇〇%を目指さなきゃいけない。

 しかし、私はやはり限界があると思うんです。日本と比べてイギリスのBBCというのがよく取り上げられますが、BBCは九二、三%ですね。これは受信料が義務化されているからです。ですから、私は受信料を義務化すべきじゃないかということをずっと言ってきているんですけれども、それについて、会長のお考えをお聞きします。

籾井参考人 私も全く委員と同じ気持ちでございます。七六%まで上がってきたとはいえ、言ってしまうと、二四%は全く料金を払わないで見ておられるわけですから、そういう意味においては、いわゆる公平な支払いということにはなっていないわけですね。

 法律ではもちろん、御承知のとおり、受像機を持った人は払わなければならない、こういうふうになっているんですが、実際は二四%の人は払っていない。

 では、これにどう対応していくんだということについて、今委員もおっしゃいましたように、私は、今はやはり営業力を強める、そのためには、営業費をカットするのではなくて、これは普通どおり、今までどおりで頑張ってくださいという意味で、今三カ年計画はそういうふうに営業力を落とさないで頑張っていく。

 しかしながら、収納の、集めるところがだんだん底をついてきているといいましょうか、大体大都市に不払い率が多いところが多いんですね。したがって、今後はそういう大都市をどうやって狙っていくかというところに焦点を当てていくべきだというふうに思っております。

 それで、最近は世の中が随分変わりまして、ロックマンションとか、なかなかピンポンといって行けないところもいっぱいありますので、そこのところはいろいろ、郵便局であるとか、あるいは宅配であるとか、あるいはケーブルテレビであるとか、そういうところとタイアップしまして、極力視聴者にリーチできるようにやっている最中でございます。

 本当に、今は、そういうふうに支払いは義務になっているんですが、実は罰則もございません。そういう意味において、なかなか、払わない人は、もう払わないと決めてかかっている人も多いわけで、我々は、民事の手続をとりながら、やはり払っていただかなければならないというふうに思っております。

 これが我々の、NHKの飯の種でございまして、それがひいてはいい番組をつくるという費用に当たっているわけでございますので、今後とも、アルバイトしてくださいとは先生には言えませんけれども、ぜひ応援していただきたいというふうに思います。

高井委員 会長、ぜひ質問にお答えをいただきたいというか、恐らく用意された答弁がそうなっているんですが、受信料の義務化、これはある意味罰則を設けるということになりますが、これをすべきではないかという質問なんですが、いかがですか。

籾井参考人 これも委員おっしゃるとおりでございまして、もし義務化ができれば、本当にこれはすばらしいことだと思います。もちろん料金を安くすることも可能になりましょうし、いろいろなことが開けてくるんですが、今のところは、義務はあるんだけれども罰則がない。

 ここの罰則をつくるかつくらないかということなんですが、これは我々が、では義務化で罰則を設けてと言っても、やはり視聴者の皆さんの気持ちも余り逆なでしてもいけないし、それからいろいろな関係筋ともいろいろな打ち合わせとか協力とかをしてもらわなければなりませんので、目標としては、それは非常に我々も望むところですが、それについてはもうちょっと時間がかかるのではないかというふうに思っています。

 基本的には、私は、それはやっていただければこんなありがたいことはないというのは、もう間違いないことです。

 先ほどちょっと間違ったかもしれませんが、受信契約では支払いは義務ではない、こういうことになっているのでございますけれども、契約をしなければならないということにはなっているんです。

 それで、何か落ちたものはないでしょうか。(高井委員「いえいえ」と呼ぶ)

高井委員 おっしゃるとおり、放送法をよく読んでいただいていて、当時は放送法十五条でしたけれども、受信機、テレビがある人は契約をしなければならないという規定があるにもかかわらず、罰則がない。

 私は、先ほども申しましたように、払っていない人がいるということはやはりおかしい、払っている人に対する責任を果たさないことだと思いますから、この意見は曲げないんですが、ただ、そうじゃないという意見、総務省なんかもそうかもしれませんけれども、義務化すると国営放送になるんじゃないか、そういう意見があるんです。私は、それはためにする議論だと思いますが、会長、いかがですか。

籾井参考人 あくまでも視聴者がお金を払われるわけですから、これは私は国営放送にはならないと思いますし、仮に支払いに義務、罰則を設けたとしても、放送というものは、やはり公共放送というものは放送法にのっとってやる、この大きな幹さえ変わらねば、我々が国営放送になるということは私は考えられないというふうに今思っております。

高井委員 会長から先ほど、受信料義務化になればこんなすばらしいことはないという御答弁でしたので、歴代会長とはちょっと違う御答弁をいただきました。

 国営放送という議論はやはりあると思うんですね。公共放送と国営放送の違いというところは一つ大きく考えていかなきゃいけないと思いますけれども、そのあたり、会長、公共放送と国営放送、どう違うという御認識ですか。

籾井参考人 仮に支払いの義務化が行われたとしても、私は、NHKが国営放送になるということはないと思います。

 御承知のとおり、BBCなんかも国営放送ではありませんし、BBCの視聴者というのは結構おられるんですが、例えばCCTVというのは、これは中国の国営放送ですが、アメリカなんかの有識者はほとんど見ておられないですよね、これを見ても仕方がないと。

 そういう感じでございますので、我々としては、やはりBBC的な、公共放送を強く意識したといいましょうか、公共放送そのものでございますが、そういう形でいろいろ進めていきたいというふうに思っております。

高井委員 ちょっと時間も、この話をずっとやっていると終わらないので、次の話題に行きたいと思います。

 私は、やはり今これだけNHKに対して厳しい目が向けられている中で、職員の皆さんのモチベーション、これをいかに高めるかというのは非常に大事で、会長は努力されて、ボーナスを支給されたり、あるいは女性管理職を二割ですか、これも非常に安倍政権の政策ともマッチした取り組みだというふうに思いますが、実は、私もそういう仕事をやっていたものですから、結構現場の職員の方とは親しくしていて、いろいろな話を聞きます。

 実は、現場の職員の方は、余り会長に対して批判の声が、私が知っている限りでは少ない。ただ、管理職といいましょうか、局長クラスであったり、あるいは理事が、会長からのいろいろな指示で、なかなか、ある意味会長の非常にリーダーシップといいましょうか、そこでちょっと戦々恐々とされているのではないかというような声も聞きます。

 そういう意味で、NHKの理事会でありますけれども、この理事会は今どんな状況なのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、理事会を毎週開いております。役員会というのもやっておりますが、一つの理事会そのものというのは、やはり意思決定機関でありますので、案件によってはもちろんけんけんがくがくの議論もすることもありますけれども、そのまま承認していくケースもございます。

 ただ、役員会も引き続きやりますので、その場ではいろいろな議論が出てまいります。私が最初来たときなぞは物すごく反発もされましたし、意見も出ました。

 そういうことを経まして、今日は比較的おとなしいんですが、おとなしいというか静かなんですが、引き続き、やはり私としては、理事会、役員会、その下に、私は出ないんですが、局長会とか、いろいろ部門によってはあるんですが、そういうところで、みんなが思った意見をどんどん出してくれるようになればいいと思っています。きっと出ているんだろうと思うんですね。その辺は、会長の意見をそんたくするというようなことにはなっていないと思います。引き続き、NHKというところを働きやすい職場にしていきたい。

 そういう意味で、僕は、女性問題、女性問題というのはちょっと言葉が悪いですが、女性の働き方については、何もNHKに来てからではなくて、前の会社においてもかなり進歩的な制度を出したわけで、これはずっと昔からそういうふうに、やはり今後の日本を考えますと女性の力が絶対に必要だという信念のもとにやっております。

高井委員 読み上げる答弁じゃなくて、会長のお考えをお聞きできて、ありがとうございます。

 実は、理事会のことをお聞きしたのは、去年、私も経営委員会の議事録などをずっと、今回、質問に当たって、二年間浪人中だったので浦島太郎なので、読ませていただきました。

 特に、去年の五月ですか、あの理事の選任のときにちょっと経営委員会ともめた経緯が議事録にも載っておりまして、当時、辞表を皆さんから預かったということがあり、そして、それを撤回されたんですか、返されたという経緯がありましたけれども、会長は、いや、会社ではよくあることなんだと。一方で、いやいや、そんなことはないよと。

 どっちが正しいのかというか、水かけ論のような気もしていまして、それは、そういう会社もあると思うんですね。

 そういう意味でいえば、まさに人事を掌握する、やはり組織というのは私は人事が全てだというぐらい人事が大事だと思いますので、それを会長が、そういう人事を決めるためにそれが必要だということであれば、私は、別に撤回する、返す必要もなかったんじゃないかと思いますが、そのあたりはいかがですか。

籾井参考人 まず、やはり最初にとった日付のない辞表で実際に人事をやるというのは余り好ましくないというのは個人的に思っていましたので、これは人事を行う前に返しました。

 要するに、なぜ返したかというと、そのころになりますと、一年たっていませんでしたが、ぼちぼち落ちついたと思っておりましたので、それは返しました。ですから、あの辞表を使った人事は一切行っておりません。

 やはり本当に会長、副会長、理事、みんな一体となって仕事をできればというふうに私は思っていましたから、そういうふうなことで、ああいう辞表を預かったわけでございます。

 この委員会でも随分責められましたけれども、当初から私は、そういうふうに、これを使って人事をやるつもりはないと、ここでも申し上げていたとおりでございます。

高井委員 私も、経営委員会の議事録を読んだときにちょっと違和感を覚えたのが、まさにその人事の中身について、経営委員会が、前もって出すべきだという主張をされた方、会長は当日出された、今までは前もって出すのが慣例だったけれども、秘密が漏れるから、情報が漏れるからということで当日出され、それに担務も書かれないものを出されたというふうに、これは議事録に載っていました。

 私は、会長の出身の三井物産であっても、いろいろな会社、何人抜きの人事みたいな、役員になっていないのにいきなり社長とか、そういう人心一新の人事というのはよくあることでございますので、そういった考えで進められるということもあるんだなとは思いますが、しかし、今のNHKの仕組み上、経営委員会というところが監督権も持っているということであります。

 私は、経営委員会も、実は、前回国会議員だったときも、おかしいんじゃないか、経営委員会という組織とNHKの会長が両方いる、どっちが偉いんだ、どっちが権限持っているんだと。経営委員長が会長を任命するわけですから経営委員会なんでしょうけれども、しかし、NHKに対する全責任を負っているのは会長ですよね。ですから、私は、この二元体制というのは、これは総務省にも聞いたことがあるんですが、非常におかしいんじゃないか。

 BBCはそうだと言いますけれども、そうとも言えないですね。BBCは、経営委員は、まず国会同意ではありません。国王が指定するんですが、公募で選ぶというやり方をしていますし、会長の指名権もたしかない、それから予算の承認権もないはずです。

 そういったことに比べると、日本の経営委員会というのは非常に強い権限を持っていて、会長が決めようとすることにいろいろと、口を出されると言うとちょっとあれですけれども、意見が出てくるということに対して、会長、どう思われますか。

籾井参考人 会長が経営委員会のことを云々する立場にはございませんし、我々はやはり放送法で全部律されております。そういう中で、いわゆる会長、副会長それから理事の選任に当たっては経営委員会の同意を取りつけること、これはもうはっきり決まっていますので、私はそのとおりにやるしかないのでございます。これがいいか悪いかというのは、全く別問題だというふうに思っております。

 だから、私は執行の分でどんどんやっていって、必要であることは経営委員会の同意を得るということ。経営委員会の権限というのはもうきちっと決まっていまして、何でもかんでもというわけではないんですよね。ですから、執行については経営委員会は口を出さない、役員とかそういう同意人事はちゃんとやる。

 それから、担務については、これは会長の専権事項でありますから、経営委員会で云々言われることではない。民間でもよくありますけれども、大体、役員の発表をしたときに、その役員の担務が何だということまで言わないケースも多々あるわけです。ですから、私自身も、理事の選任のときには必ずしも担務を一緒に報告する必要はないというふうに思っております。

高井委員 それでは、経営委員長にお聞きしますが、今、理事の担務は会長の専権事項だとおっしゃいましたけれども、去年の議事録を見るとかなり激論が交わされています。いや、そうじゃない、やはり経営委員の監督権限の範囲内だ、担務がわからないのにどうやって人事、名前だけでどうやって決めるんだ、そういう議論が出ていますけれども、経営委員長としては、今の会長の御発言に、それで同意ということでよろしいですか。

浜田参考人 担務につきましては、会長の人事権の範疇だというふうには思っております。

 ただ、理事の任免につきましては、放送法上、経営委員会の同意を得る必要がありますので、個別の提案が出された時点で適切に判断してまいりたいというふうに思っております。

高井委員 もう一つ、去年の議事録の中に、最後の一文、理事、専務理事だったかの辞任について議論になったという一文がありました。

 これは推測でしかないし、新聞報道などでは書かれていたんじゃないかと思いますけれども、ある専務理事の方にやめていただこうと思ったけれども、結局やめさせられなかった。これも私は、会長という、人事がやはり一番の源だと思いますから、会長がそういう判断でやるということは一般の会社ではあり得ることだと思いますけれども、結局やめさせられなかったわけですけれども、それはなぜですか、会長。

籾井参考人 その専務理事の辞任云々の話は、いろいろ中はあるんですが、これは横に置いておきまして、なぜできなかったのかといいますと、極めて簡単でございまして、理事の任期は二年でございます。したがいまして、一旦再任しますと、さらに二年ということになるんです。

 したがって、四年たった人が今度は五年目に入るときには、六年理事をやるということを覚悟しなければならない。これは幾ら何でも、やはり人心一新とか若返りとかそういうことを考えたら、長いのではないかという考えのもとだったんですが、でも、あくまでも、これは私が辞任させるわけにはいかないというのが現状でございます。それは、二年という期間が決まっていますので、そういうことになるわけです。

 ちょっと、さっき一つ間違えまして、理事会は意思決定機関と言ったと思うんですが、理事会は審議機関でございます。済みません、言い間違えまして、訂正させていただきたいと思います。

高井委員 それでやめさせられないのかなというのは非常に疑問ですし、そういう会長の権限でいいのかというのは聞きたいところでもありますが、それも、実はこの経営委員会という制度に私は問題があると思っています。

 その大きな点は、やはり国会との関与です。経営委員は国会の同意人事であるということ、そして、その同意人事を受けた経営委員会が会長を任命する。こういった監督権というのが経営委員会に、今議論したように、会長には余り権限がなく、いろいろなことが、例えば理事もやめさせられないとか、そういった権限が経営委員会にある。しかし、その経営委員会というのは国会の同意人事である。これは、先ほども申し上げましたように、BBCとは違う仕組みです。

 ですから、私は、ある意味、会長がいろいろ政府の動向を見られているんじゃないかというふうに言われますけれども、まさにこういう経営委員会の仕組みといいましょうか、NHKというものが国、政府とのかかわりというのが非常に強くならざるを得ない、その仕組みにも問題があるんだろうと思っています。

 そういう意味では、会長の過去の発言を言った言わないとはもう言わないんですけれども、先ほど奥野委員もありましたように、政府が右と言うものを左とは言えないでありますとか、つい最近に、慰安婦関連の番組は正式に政府のスタンスがよく見えない中で放送するのが本当に妥当か、慎重に考えなければいけないと。これは撤回されないということでしたけれども。あるいは、報道によれば、NHK予算は与党が賛成してくれればいいんだと言った言わないというようなこともございます。

 こういった、政府や国会というものを意識しなければならない今のこの国の体制、国の体制というか、法制度ですね、放送法、それについて、会長、何か御意見ありますか。

籾井参考人 私がすごく政府に近くて、政府の意向をそんたくしてやっているというふうに言われているんですが、そういう事実はないんです、本当に。ただ、私、ちょっと言葉を滑らせたら、それを続けると、そういうふうに聞こえることもあるんですが、実際に私が会長をやっているために政府に近い番組ができ上がったなんてことは、実例としてはございません。

 そういうことで、やはり我々にとって一番大事なことは、先ほどから申しておりますように、公平公正、不偏不党、全く中立で、誰からも指示されない、こういうスタンスが非常に大事で、なかんずく事実に基づきということがすごく大事なわけです。

 ですから、我々は、放送法にのっとってやっていると、政府寄りとか反政府寄りとか、そういうことは実は起こらないんですね、事実に基づき放送しているわけですから。でも、あたかも何かそういうふうに言われるのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、私としてはなかなか心外な気持ちはありますが、我々は反論できませんのでこの程度でとめておきますが。そういうふうに、本当に放送法というのがいかに大事かということを、僕は心から痛切に感じております。

 何か答え忘れたような気がするんですが。(高井委員「いやいや」と呼ぶ)大丈夫ですか。済みません。

高井委員 つまり、政府の意向をそんたくしているのではなくて、会長のみずからの意思というか主義主張がいろいろなところに出ているんだ、そういうことですかね。

 しかし、先ほども言うように、会長も民間企業でずっと経験を積まれてきたからわかると思いますけれども、人事というのは非常に力があるものでありますから、会長の意向というのがいろいろ情報発信されると、それは現場は、本当の現場はいいんですけれども、編集権のある方や局長クラスの方というのはやはり萎縮することもあるんだろうと思います。これはもう聞きません。

 ただ、そうはいっても、先ほどから言っている国の関与がどうしても、だって、この総務委員会で予算が通らないと、NHKは執行できないわけじゃないですか。それはやはり政治家に対しても会長も気を使わなければならないし、あるいは監督官庁である総務省にだって気を使わなければならない。

 そういう意味でいうと、私は、一つこれはぜひお聞きしたいんですが、安倍総理が一月二十五日のNHKの番組でこう言った。戦後七十年談話は、今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく、安倍政権としてどう考えているかという観点から談話を出していきたい。これは放送でそう言われた。

 ちょっと古いんですが、高市大臣が、お聞きはしませんが、まだ政調会長だったとき、二〇一四年の八月二十一日には、政務調査会で、河野談話にかわる新しい官房長官談話を出すよう政府に求めていくことを決めた、近く菅官房長官に要請すると。会議後、記者団に、慰安婦問題は日本や国民の名誉を将来にわたって傷つける情報が海外に発信されているので、しっかりと打ち消していく、新しい調査によって判明した事実に基づいた談話を発出してほしい、こういうふうに言われています。

 現時点でどういう意見かというのは聞きませんが、こういった過去の、過去といっても一年前ですから、監督官庁の総務大臣がこういう考えを持っているというのは、私は、やはりNHK籾井会長のいろいろな発言の中に影響が起こるのではないか。

 それで、聞きたいのは、ちょっとある方から聞いたんですが、ことしの一月に国際番組審議会というところで会長が言われたという発言に、国際放送のガイドラインには日本の政策、政府の方針については正確に伝えなさいと書いてある、しかし、何が日本の政策で、何がはっきりした方針なんですかというのは意外とないんです、例えば慰安婦の問題だって、強制連行していないというのがポイントなのか、この辺もはっきりしない、安倍首相は安倍談話というのを出すとおっしゃっているので、総理が出せばこれは国の政策だと思うんですが、では河野談話というのは国の政策かというと、そうではないわけです、そういう発言を籾井会長がされたとお聞きをしております。

 これはやはり、今、安倍総理あるいは高市総務大臣の考えをしんしゃくして、非公式な場なのかもしれませんけれども、河野談話というのは国の政策かといったらそうではないというふうな発言をされているというのは、いかがですか、会長。

籾井参考人 国際放送番組審議会の議事概要は今作成中のようでございますけれども、そういう意味で、そこで何を言ったかというのはちょっと差し控えたいと思います。

 河野談話につきましては、この前、ここで言う話かどうかわかりませんが、民主党さんの部門会ですかで、河野談話は、やはり今、どういう言葉が一番いいんでしょうか、有効だというんでしょうか、それとも、何と言ったらいいんですかね、というふうに、私は村山談話とともに肯定をしたつもりでございますので、ここで何を言おうがそれはもはや関係ないというか。

 だから、私は、今のスタンスは、河野談話と村山談話については、どう言ったらいいんでしょうかね、どういう言葉が一番、踏襲するというんでしょうかね、そういう言葉で考えております。

 そういうことでございます。

高井委員 では、国際番組審議会の議事録はこれから作成されるということですから、会長、ぜひきちんと議事録を出してください。先ほど奥野委員の質問に、全文出すと真意が伝わらないという発言がありましたけれども、それはないですよね。全文出せて初めて真意が伝わるわけでございますので、これはぜひしっかりと出していただきたいと思います。

 会長が手を挙げておられるので、では、会長、全部出していただくというのでいいですか。国際番組審議会の議事録について、特に今私が申し上げた、指摘した点については非常に重要なことだと思いますので、しっかりとお答えをお願いしたいと思います。

籾井参考人 いろいろ紙をもらうんですが。

 国際番組審議会の内容については差し控えますが、先ほど言いましたように、河野談話、村山談話というのは政府の公的見解だと考えております。

 国際番審の話については、先ほど言いましたように、議事概要を作成中でございます。

高井委員 国際番組審議会というのは非公式な場ではないですよね。かなり重要なメンバー、委員も外部の方ですから、委員に確認すればわかることなので、ぜひそこはしっかりと正確なものを出していただきたい。

 私が聞いているのは、つまり、今の放送法の仕組みでは、やはり国の関与が非常に強くなるんじゃないかという観点からお聞きしていますので、ぜひそこは真摯にお答えいただきたい。

 実はもう一つあって、これもそういう国の関与がという観点からなんですけれども、これもちょっとある方からどうしても聞いてくれと言われたので聞きますけれども、実は、自民党のある議員、名前は伏せましょうか、ある議員のツイッターです。ツイッターの現物を持っているので読み上げますけれども、本日の総務部会、籾井会長以下、NHKの役職員が来られたので、テロ集団の呼称について、政府もISILに統一しており、イスラムの方々からも要望があるとおりイスラム国と呼ばないよう要請したところ、今夜早速是正された、さすが、籾井会長とあるわけです。

 もちろん、政府はISILに統一していましたし、私もそういうふうな意見を発したこともある、それから、いろいろな団体からそういう意見も出ていました。しかし、そういう意見が出ても、あるいは政治家から言っても、やはり放送、ジャーナリズムというのはそれによってすぐ意見を変えるのではないんだ。ほかのマスコミ各社もそうしているわけです。

 しかし、これが本当に今夜早速是正されたということであれば、私もISILに統一してほしいですよ、統一してほしいんですが、しかし、自民党の部会で言って、そしてそれで今夜早速訂正されたというのが事実なら、それはいかがかと思いますが、どうですか。

籾井参考人 これは、全く話としては違います。

 タイミングとしては、たしかその部会があった日の夜だったと思うんですが、実はその前から、これは名前はやはりイスラム国ではだめだと。二つ理由があると。一つは、イスラムというものに対する誤解を与える。それから、これが国であるという誤解を与える、だから、このイスラム国というNHKでの呼び名は変えてくださいというところで、どういう名前がいいのかというのをやはり考えて、変えたのがあの日だったんですよね。だから、たまたまの偶然と言うとその議員に失礼ですけれども、議員からそういう意見が出たのも事実ですけれども、それを聞き及んでやったわけでは決してないんですね。

 そういうふうにとられるところが私の不徳のいたすところですけれども、これはもう全然違いますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

高井委員 会長、短く。

 それは、じゃ、会長の指示でそう直させたわけですね。それでよろしいんですか。

籾井参考人 私は、どういうふうな名前にしろとか言っていませんけれども、私も変えるべきだという意見は申しましたし、やはり現場もそうだというので、ISILとかISISですか、何かいろいろありますよね、そういう中で、どういう名前にするかを現場も検討したということで、決まったタイミングがそういうことです。

高井委員 少しごまかされましたけれども、それは会長の指示でということであれば、私は、編集権を、やはり会長がいろいろなことに、編集にかかわってくるということになってしまいますから、そこはしっかりと、ジャーナリズムというものの公平さ、公正中立というのを守っていただきたい。

 そういう意味で、時間が余りないので、最後に一問。

 これはいろいろ、予算委員会でも話題になっていますが、自民党の選挙のときの報道に対する要請文、筆頭副幹事長名で出された。その中身は、出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたい、ゲスト出演の選定についても公平中立、公正を期してほしい、テーマについても、あるいは街頭インタビュー、資料映像、こういったことについて。

 私が今質問したいのは、インタビューがどうこうというよりも、公平中立と書いてあるんですね、この自民党の文書には。これは、公平中立は、選挙報道であったり、あるいは政党の公平中立を守るべきだと会長もお考えですか。

籾井参考人 お答えします。

 何度も口にしておりますけれども、放送法は、「不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」と定めております。同時に、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱わなければならないことは、放送法、NHKの国内番組基準に明記されております。その際、自主自律を堅持し、何人からも干渉されないことは大原則として認識しております。

 NHKは、こうした原則を徹底して放送を行ってきたし、今後もこの方針を変更することはございません。

高井委員 ちょっと最後に文章をお読みになってしまったのが残念なんですけれども、もう一度聞きます。公平中立というこの言葉、政治的中立、NHKが守るべきだ、中立を守るべきだとお考えか。

籾井参考人 ちょっと聞き飽きられたかもしれませんが、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、これが我々が本当に毎日毎日お経のごとく唱えている言葉でございます。この言葉にはいささかのうそもございません。

高井委員 もう時間もありませんが、実は、この中立という言葉はやはりおかしいんですね。

 放送法には「政治的に公平であること。」と書いていますから。中立といったら、それは、例えば二つの政党が、二大政党があって、その二大政党のうちの一方が極端に右寄りになったといったときに、中立といったらどんどん右に行くわけですよ、間をとっていたら。それは公平ではないんですね。

 放送というのは、放送法で、まさに自律的に放送する、その特定の政党がこっちに行ったからそっちの方に、あるいは、国会の中で多数を占めているからそっちの方の意見なんだということではない、そういったことを放送法ではうたっているわけで、そこのところがやはりいろいろな点で会長は誤解を招いている。まあ、誤解というか、そのあたりのところをしっかり認識して放送をやっていただいているのかということがあるわけです。

 そういう意味では、ぜひ、今回、この総務委員会でまた予算審議が行われますので、これはもう一度改めて会長に、全党全会一致、どのようにそれを目指していくんだということ、それから、そもそもはそういう国の関与ということに対して、やはりそれでいいのかということも含めて、最後に全体を通しての会長の思いをお聞かせください。

籾井参考人 最後に御質問いただきまして、ありがとうございます。

 本当に我々は、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということを肝に銘じながら、毎日放送をやっております。

 私は、ここで一つはっきり申し上げたいことがあります。政府からは、私が着任して以来、全く干渉はございません。何だか私がすごく政府に近くて、政府におもねて何かやっていて、政府からいろいろ私のところに干渉があるようなことを言われておりますけれども、そういうことは一切ないということをここで明確に申し上げておきたいと思います。御理解いただきたいと思います。

 本当に、誠心誠意、私、副会長、理事、職員、やっておりますので、ぜひNHKを応援していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。

高井委員 あとは、今度の予算審議、あるいはあす我が党の部会がありますので、またそこでお聞きしたいと思います。

 質問を終わります。

桝屋委員長 次に、吉村洋文君。

吉村委員 維新の党の吉村洋文でございます。

 午前最後のバッターということで、よろしくお願いいたします。

 本日は、NHKの質疑が多うございますけれども、私の方からはちょっと一風変えて、公務員給与の適正化についてお伺いしたいというふうに思っております。

 大臣所信にございました部分、これは大臣がおっしゃった部分ですけれども、「地方公務員給与については、国家公務員給与の見直しを踏まえ、地域民間給与のより的確な反映など、適切に見直しがなされるよう取り組んでまいります。」という所信を表明されました。これについてお伺いしたいと思います。

 もともと、この公務員給与についてなんですけれども、今の日本の将来像を考えたときに、必要な改革の一つだというふうに思っております。

 二〇五〇年には、総人口が一億人を切って、働き手が約四千万人、それから高齢者の方が約四千万人。大ざっぱですけれども、一人の働き手で一人を支えるというような時代が来ることはほぼ確実なわけでございます。

 その中で、税源というのは確実に減っていくという状況。そういった中で、増税でいくのか、借金をふやしていくのか、あるいは徹底した改革をして財源を生み出していくのか、これは三つ、区切れるものではないんですけれども、そういった判断が迫られてくる。そういった中で、徹底した改革をしていく、そういう必要があるというふうに思っております。その中で、一つ切り離せないのはやはり公務員制度改革であるだろうというふうに思っております。

 今、公務員の人件費、これについては、国が約六兆円で、地方が二十一兆円、合わせて二十七兆円の年間の規模でございます。単にこれをカットするというようなことではなくて、制度としておかしなところがあれば、それを見直していくべきじゃないかというのが私の意見でございます。

 さまざま問題点はございまして、例えば評価の問題。今、五段階評価が行われておりますけれども、実質は五段階評価になっていない、なれ合い評価になっているような点。それから、必ずと言っていいほど、九七%が昇給していくような昇給システムの問題。それから、給料表でいえば、非常にそれぞれの級の間の重なりが多くて、年功序列型というか、責任とか役割とかそういうのが重くなっても給料が変わらず、逆に年を重ねれば給料がふえていくような仕組み。あるいは天下りもそうですけれども、そういったいろいろ改善していく点は多いと思います。

 そこはちょっとまた別の機会にお聞きするとして、きょうは、人事院にも絡んでくるんですが、給与決定の方法についてお伺いしたいと思います。

 この公務員改革、私も、この前、大阪市の議員をしておりましたので、余りできればやりたくないというか、そういう分野ではあるんです。それぞれ職員の方と話をして、政治の話、行政の話を進めていく中で、やはり人間関係というのも生まれてきますし、言って喜ばれるようなジャンルではないですから、できれば触れたくない分野というのは、心情的にはそうではあるんですけれども、やはりそこに触れていくのは、政治家以外が触れることはできないというふうに思っておりますので、民間から見ておかしいなという点、有権者から見ておかしいなという点はしっかり正していくべきというふうに思っております。

 具体的に中身に入っていきたいと思うんですけれども、まず、国家公務員の給与額の基本額の決定方法、人事院の勧告と言われるものですね。

 人事院の勧告と言われるこの制度ですけれども、これは、民間の給与と比較して、建前としては、あくまでも労働基本権が保障されていない代償措置として人事院が勧告をして、民間の給与に準拠するような形で、民間と比較して同じような給与を保障するという意味で勧告がなされているわけでございます。その勧告の中身についてお伺いしたいというふうに思っております。

 まず、比較の根拠となる民間企業の、対象となる企業規模の基準の数、それとその基準に適合する企業の総数というのは幾らぐらいあるんでしょうか。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 今御質問にもございましたとおり、人事院は、一般職の国家公務員の給与につきまして、労働基本権制約の代償機関として、国家公務員法等に基づき勧告等を行う責務を有しているところでございまして、この一環といたしまして、毎年、国家公務員の給与に関する勧告の基礎となります官民の給与比較を行うに当たりまして、職種別民間給与実態調査を実施しております。

 この調査では、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の全国の民間事業所を調査対象としておりまして、平成二十六年の調査における母集団事業所の総数は五万五千四十七事業所となっております。

吉村委員 ここに私は、でたらめというか問題点があるというふうに思っております。

 まず、総務省の調査で全国の事業所数というのはどのぐらいあるか、答弁できる方いらっしゃいますか。

 私から申し上げますけれども、これはホームページにも載っているんですが、全国で約五百八十万事業所があるわけです。日本の中で五百八十万事業所がある中で、先ほどおっしゃっていた人事院の勧告になる基準に当てはまるのが五万五千しかないということは、日本全国の事業所数の中のわずか一%、その一%が比較の対象となり得る基準の事業所になっているわけでございます。

 どうしてこんな少数になるのか。わずか一%と比較して、それで民間と比較して同じ基準だというふうにおっしゃるわけでございますけれども、なぜそういうふうになるかというと、やはり企業規模の基準ですね。五十人以上の企業規模数で、ここでは、かつ、それに加えて、アンドなんですけれども、事業所の規模が五十人以上。だから、会社に所属するのが五十人以上じゃなくて、そこにある事業所に勤めている方、それが五十人以上。つまり、一%の非常に大きな大企業だけが比較の対象になっている、ここが大きな問題になっていると思います。

 実際、先ほど五万五千四十七事業所がその基準の対象になるということでしたけれども、実際に調査されているのは、そのうちの幾つの事業所を調査されているんでしょうか。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年の職種別民間給与実態調査におきましては、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の全国の民間事業所五万五千四十七、これを母集団といたしまして、その中から層化無作為抽出法によって抽出した一万二千三百五十八の事業所を対象に調査したところでございます。

吉村委員 結局、基準の対象となるのが五万五千で、しかも実際に調べているのは一万二千だと。現に五百八十万日本の中で事業所がある中で、結局は一万二千が調査の対象、そして決定しているということなんですね。

 この一万二千についても、ざくっと見ていけば、企業の規模でいうと、三千人以上の規模が約二〇%、千人以上三千人未満、これは本当に大企業ですけれども、これが二〇・五%、五百人以上千人未満が二〇・六%。つまり、五百人以上の規模の会社が六〇%を占めるというような超大企業のみを調べて、しかも本当に少ない母集団を調べて、これが民間比較だというふうに言っているわけでございます。それで給与額が決定されている。

 そして、民間と違うところは、やはり倒産がないというところですよね。倒産がなく、それで退職金も保障されている。先ほどいろいろ申し上げましたけれども、必ず、ほぼ昇給されていくような仕組み、これはやはり民間からしたらおかしい、そのように私は思っているわけでございます。

 この点、国家公務員だけでなく、今回、地方公務員ということですけれども、地方公務員も、これはいわゆるラスパイレス比較と申すんですが、ラスパイレス比較をしていると思うんですけれども、その対象基準となる企業とか事業所というのは国家公務員の場合と同じなのかどうか、お伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 地方の人事委員会が給与勧告を行うに当たりまして、民間給与の調査を行っているところでございますが、この調査は、人事院及び人事委員会が共同で実施しているものでございまして、これは国と同様、企業規模五十人以上かつ事業所規模で五十人以上の事業所が対象になっているものと承知しております。

吉村委員 結局、地方では特に人事委員会、政令市、都道府県なんかは人事委員会がございますけれども、その人事委員会も、人事院と共同して同じ調査、そして同じ基準で給与額を決定しているということなんですね。

 そうすると、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、国家公務員だけでなくて、地方公務員も同じようにそういった比較をしている。地方に私が最初に申し上げたような規模の企業はどれだけあるのかな、それが本当に民間と比較して適正な比較と言えるのかどうかなと甚だ疑問に感じているんですけれども、そういったことについて、私はおよそ民間比較になっていないというふうに思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 これは、第三者機関としての人事院及び人事委員会、地方では人事委員会が専門的な見地から判断して実施しておられるものだと思っております。

 人事院と人事委員会が勧告に当たって共同で行う民間給与の調査ですけれども、年齢、学歴、それから役職段階など給与決定要素をあわせて公務員と同種同等の者を比較するという観点だと伺っております。そうしますと、余り小さな規模の企業でしたら、小さ過ぎると、公務員と同種同様の役職そのものが、比較すべき対象の役職そのものが存在しないという場合もあります。

 いずれにしても、人事委員会の専門的な見地からそう決めておられると承知しております。

吉村委員 先ほど大臣がおっしゃった、余りにも小さな規模であれば比較の対象にならないんじゃないかということは、まさにそのとおりだと思うんです。

 ただ、私が申し上げているのは、わずか一%なんです。全国の五百八十万事業所のわずか一%の企業で、さらにそのうちの二〇%が比較の対象になっている。すなわち、余りにも大き過ぎるんではないかということを思っています。ですので、小さ過ぎるところだと比較にならないというのは、ちょっとその範囲をもう少し広げるべきなんじゃないのかなというふうに思っています。

 専門的な見地からということはもちろんそうなんですけれども、専門的な見地で人事委員会それから人事院がやるというのはそうなんですが、やはり、大きな方針というか、そこについてはある程度政治家の意見というのはしっかり言っていくべきだろうなというふうに思っております。

 今のこの状況では、その専門的知見、専門的だからというふうなところで、知識とか、そういうところに委ねるというのはあるとしても、その大きな価値観というか、そういうところについては政治家がしっかり指摘していくべき事項なのかなというふうに思っております。

 そういう意味で、わずか一%しかない超大企業と比較して、それが公務員給与の民間比較なんですというのは私はおかしいんじゃないのかなというふうに思っております。

 これはちょっと事前に確認したんですけれども、そもそも企業規模が五十人以上でかつ事業所の中での規模が五十人以上、AアンドBになっているところをちょっと外して、例えば企業規模五十人以上の数はどのぐらいあるんですかとお聞きしたら、ちょっとまだそこは調査がされていないということでございました。

 例えばですけれども、企業規模五十人それから事業所五十人というそのAアンドBという基準を、もう少し国民の目から見て、それは確かに民間ときっちり比較しているねと言われるような、そういった基準に変えていく、基準対象を変えていくべきというふうに思っておるんですけれども、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 公務員給与と民間給与の比較を行う際の調査対象ということで、より小規模の企業も対象にすべきという議論もある一方で、公務の規模等の観点からより大きな企業と比較すべきという議論もございます。さらに、公務に必要な人材を確保するとの観点の重要性についての指摘もございます。

 そうした中で、現在、事業所規模五十人以上を調査ということをしておるわけでございますが、これは先ほど大臣の方からもお述べになっておられましたけれども、規模の小さい事業所においては、調査対象となる人員が少ない、役職比較をするという上で少ないということで、その調査実人員を確保する観点からは、そういう意味で調査効率上の問題もございます。

 また、仮に事業所規模五十人未満の事業所を対象とするという場合につきましては、精緻な実地調査による対応というのが困難になってくるということで、調査の精確性の維持という観点からも問題があろうかということでございまして、現行の調査対象を維持することが適当ということで考えてきているところでございます。

吉村委員 この基準というのは、かつて、これまで変わったことはあるんですか、ないんですか。その点、ちょっとお伺いします。

古屋政府参考人 規模に関しましては、平成十八年に、企業規模につきまして、従来百人だったところを五十人にしているという改正を行ったところでございます。

吉村委員 済みません、ちょっと私、存じ上げた上でお聞きしたんですけれども、そういうふうに、やはり今ある基準が必ずしも正しいというわけではないと思うんです。

 先ほど申し上げたとおり、これからの大きな少子高齢化の中でしっかり財源を生み出していくということを考えていく上で、当然国民の皆さんに負担を求めることも出てくる中で、しっかりと、今のわずか一%の企業と比較して、それが民間と同じだというものではないというふうに私は思っておりますので、そこは適正な考え方というか比較というか、それを御検討いただきたいなというふうに思って、次に移ります。

 先ほど、人事院あるいは人事委員会の勧告ということで、行政職に当てはまってくるわけですけれども、もっと本当に私から見ていいかげんだなと思うのが、地方公務員の現業職の給与の決定システムでございます。

 これについては、総務省も有識者に委託して、平成二十一年三月ですか、技能労務職員の給与に係る基本的な考え方に関する研究会の報告書を受けているところかと思いますけれども、まず前提として、地方公務員の現業職については人事委員会の勧告があるのかないのか、お伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 御質問の現業職員とも言われる技能労務職員等につきましては、一般行政職と異なりまして、労使交渉を経て労働協約を締結することができることとされております。

 したがいまして、技能労務職員等に対しましては、人事委員会の勧告を定めた地方公務員法第十四条第二項や第二十六条が適用除外となっております。一般行政職のように、人事委員会が公民比較を行って給与勧告し、それによって給与決定を行うという仕組みにはなっていないところでございます。

吉村委員 つまり、地方公務員でありながら、勧告の制度もないというような状況でございます。

 先ほどの報告書にも書かれていることですが、まず、技能労務職員の数は、平成十九年四月一日現在、この報告書が出た当時ですけれども、約十七万六千人いる、地方公務員全体の六%を占めるという、インパクトの大きい数でございます。

 そして、中にも書かれておりますけれども、協約締結権があるということで、勧告の対象にはならない、法のたてつけとしてはそういうことで理解はできるんですけれども、類似、同一の民間の事業者の給与水準に比べて非常に高くなっているという指摘があるという問題意識でこういう報告書もなされているわけでございます。

 そうすると、では、具体的にどういった方式で地方公務員現業職の給与が算定されているのか、それが果たして適正と言えるのかどうか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の技能労務職員等につきましては、法律の位置づけが一般行政職と異なりまして、労使交渉を経て労働協約の締結ができることとされております。先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

 その上で、技能労務職員等の給与につきましては、法律上、職務の内容と責任に応ずるものでなければならず、また、同一または類似の職種に従事する民間事業者との均衡を考慮することが求められております。各地方公共団体におきましては、これらの規定の趣旨を踏まえ、技能労務職員等の給与を決定していくべきものと考えております。

 しかしながら、御指摘ございましたとおり、技能労務職員等の給与については、従来より、同種の民間事業の従業者に比べ高額となっているのではないかという厳しい指摘があったところでございます。

 総務省といたしましては、各地方公共団体に対しまして、民間の類似職種の給与との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な給与制度、運用となるようにすること、また、民間給与データと比較した給与情報を開示するなどの取り組みを徹底すること、こういったことを部長通知等により要請してきているところでございます。

 さらに、技能労務職員の給与水準の調査、比較方法につきましては、委員より御指摘がございましたが、平成二十年度の総務省の研究会報告書におきまして、民間賃金の統計調査における類似職種の給与を参考とするほか、各人事委員会が実施する職種別民間給与実態調査の機会などを活用しまして調査分析するなどの手法を示しているところでございます。

 こうした取り組みの結果、給与につきましては、平均年齢が上昇している職種もある中で、全体として抑制基調で推移してきておりますが、なお課題のある団体もあると思われることから、各地方公共団体に対しまして、適正な給与水準となるよう必要な助言等を行っているところでございます。

吉村委員 適正な助言を行っているというのは、どういう助言を行っているんですか。ちょっと通告がないので、なければいいんですけれども。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど、平成十九年の部長通知で助言等を行っているというふうなことを申し上げましたが、その内容、主な点を申し上げますと、先ほど答弁の中で申し上げたことの繰り返しになりますけれども、技能労務職員の給与につきましては、その職務の性格や内容を踏まえつつ、特に民間の同一または類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正な給与制度、運用になるようにすること。

 また、技能労務職員等の給与の比較に当たりましては、賃金構造基本統計調査における類似する職種に従事する者の給与を参考にするほか、各人事委員会が実施する職種別民間給与実態調査の機会等を活用し調査、分析するなど、地域の民間給与の実態の把握に努めること。

 さらに、住民の理解と納得を得るためには情報の開示が不可欠であり、技能労務職員等の給与情報等の公表に当たっては、職種ごとに賃金構造基本統計調査に基づく民間給与データ等を追加するなど、わかりやすい情報開示の徹底を図ること。

 こういったことを助言しているところでございます。

吉村委員 助言で通知を流すというのは存じ上げておるんですけれども、例えば、報告書にも書いてあるんですけれども、やはりこれは問題だということで、では、改善方法としてどうすべきかというところで、民間との比較について、独自の調査を実施する方法であったり、賃金センサスを活用する方法でやる、そういうことの勧告というか意見が出されているわけです。

 これについてのフォローアップというのはされているんですか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の有識者の研究会の報告書におきましては、技能労務職員の給与水準の調査、比較につきまして、例えば、人事委員会における民間給与実態調査とあわせて調査を実施し比較する方法、また、賃金センサスを活用し、民間における同種同等の従業員を抽出し比較する方法、さらに、賃金センサスを活用し、一般行政職の類似職種と技能労務職相当職種の給与水準の比率を算出し、公務に当てはめる方法などの方法について御提言いただいているところでございます。

 また、一般行政職とは異なり、労働協約を締結することができるなど、技能労務職員の給与決定の仕組みの違いを前提といたしまして、この報告書の中では、技能労務職員に係る民間給与水準の調査結果は、労使交渉の一つの材料であり、一般行政職に係る調査とは、求められる正確性も異なるものとされております。

 また、この報告書において、どのような調査手法を採用し、これをどのように用いるかは各地方公共団体の判断によるものであるとも述べられているところでございまして、現時点において、報告書において提言された方法の活用状況等の把握はしていないところでございます。

 いずれにしても、総務省としては、こうしたことをもとにしまして、各地方公共団体において、住民等の理解と納得が得られる適正な給与決定を行っていただきたいと考えているところでございます。

吉村委員 結局、フォローアップもしていないということです。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、この現業職、いまだにやはり高いという批判は実際受けております。これについて、民間の比較が適正になされているのかどうか、まずそこの御認識をちょっとお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 これも、法律のたてつけが、もう委員十分御承知のとおりのことですけれども、一般行政職と違いますので、労使交渉を経て労働協約を締結することができる。

 しかしながら、やはり納税者のお金でございますから、同種の民間事業の従事者に比べて高額となっているんじゃないか、こういう厳しいお声もあったことから、総務省としては、少しでもこれを改善していただきたくて、民間給与データと比較した情報開示、これも取り組んでくださいよと、徹底を要請してきています。

 先ほど部長がお答えしましたとおり、平均年齢が上昇してきている職種もあるけれども、全体としては抑制基調となってきておりますし、データの公表につきましても、都道府県では一〇〇%、指定都市では一〇〇%、九割以上の、全自治体で見ましてもほとんどの市町村が公表していただいているということです。

 ただ、なお課題もある団体があるということでしたら、これは、地方から具体的な課題の御指摘もいただき、こういうところが調査をするのに困っているからというような具体的な御要望、御要請がございましたら、これに対してはしっかりと対応させていただきたいと思っております。

吉村委員 私から思えば前向きな御答弁かなと思うんですけれども、やはりしっかりと比較をしなければならないというふうに思っております。特に、民間と違って倒産するリスクがないという中での労働協約締結ということになりますし、しっかりとチェックする機能が果たしてどこまで働いているのかという問題があります。

 具体的に比較ということに関して言えば、やはり、一地方、都道府県、あるいは市町村であれば、それを調査するだけの能力がないというところもあるかと思います。それに関して言えば、例えばですけれども、国と地方が共同して、現業職についても適正な官民比較の仕組みをつくって、しっかりとそれを勧告する仕組みをつくるとか、あるいはそれに準ずるような仕組みをつくる、共同してやっていくというようなことも御検討いただきたいというふうに思うんですけれども、このあたりの大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 これもやはり、先ほど来申し上げていますとおり、法のたてつけが違いますので、どうしても限界はあると思います。

 現業職員の給与について、必ずこうしなさいとか、人事院勧告や人事委員会の勧告のような方法を使ってやるというわけにはまいりません。労働基本権が完全に制約をされていて、人事院、人事委員会の勧告に基づいてやっている一般行政職と、そしてまた一定の労働基本権が認められている現業職との給料の決め方というのは違う。

 しかしながら、仕事の内容そして仕事の質に応じてしっかりと給料を決めていく、これは当たり前のことでございますので、共同して一定の基準をつくるというのは非常に難しいことであると思います。法律のたてつけ上、現段階ではできないことでございます。

桝屋委員長 吉村洋文君、時間が参っております。

吉村委員 はい。

 実態と法律のたてつけは当然存じ上げているんですけれども、実態と余りにも乖離しているということについての是正というのを、これは地方と国、経済力のない、財政力のないところもありますので、しっかりとそこは問題意識を持ってやっていっていただきたい、そのようにお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

桝屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

桝屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこと申します。

 本日は初質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、待機児童の問題、そして四月からスタートが迫っております子ども・子育て新制度と公立保育所にかかわって質問を行いたいと思います。

 まず待機児童問題ですが、ことしも、四月からの入所をめぐって、今非常事態になっております。私の地元、埼玉県さいたま市でも、認可保育所の第一次募集で、申込数六千百七十四人に対し、実に三人に一人、二千八十四人が不承諾となっております。自治体によっては、申込者の四割、五割が入所できないところもあります。

 まず、厚生労働省にお尋ねします。この現状をどう把握されておりますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 女性の就業率が上昇していく中で、待機児童の解消というのは喫緊の課題であると考えております。

 平成二十九年度末までにその解消を目指しまして、現在、平成二十五年四月に策定いたしました待機児童解消加速化プランに基づきまして、五年間で約四十万人の保育の受け皿の確保を進めております。これまでに、昨年度、今年度と合わせまして約二十万人分の受け皿を確保できる見込みとなっておりまして、これは、潜在需要も見込んだ整備量といたしまして、過去と比較いたしましても大幅な拡大量となっております。

 その結果、御指摘の保育所の待機児童数は、現状で申し上げますと、四年連続で減少しておりまして、平成二十六年四月一日現在で二万一千三百七十一人となっております。このうち、特に首都圏ですとかあるいは近畿圏、政令指定都市等の都市部において約八割がございます。また、年齢で見ますと、ゼロ歳児から二歳児までの低年齢児が全体の約八五%となっております。

梅村委員 今の御答弁で、いろいろな努力の中で減ってきているという御答弁でした。

 ただ、一口に不承諾といいましても、やはりお一人お一人の実態、そして、減ってきたとはいっても、今御紹介したように、三割、四割、五割の方がいまだに入れていないというこの事実そのものをもっと深刻に捉えて対策を打たなければいけないと私は思っております。

 さいたま市の保育園保護者連絡会のホームページや私たち日本共産党のさいたま市議団には、たくさんの悲鳴の声が届けられております。

 例えば、九園を希望しましたが、全滅、車通勤のため駅から遠い園も書いたのでどこかひっかかると思っていたのに、認可外も見つからず崖っ縁です。隣接区も含めて第二十九希望まで書きましたが不承諾、押さえがない状況です。都内の激戦区から現在のエリアに引っ越しましたが、まさか不承諾になるとは思いませんでした。父八時間フルタイム、母七時間勤務、全部だめでした、ショックです、私の勤務時間があと一時間多ければ入れたのかなと考えてしまいます。浦和区と南区の保育園を書きましたが全滅でした、十年以上もばりばり働いてきたのに復帰できないなんて。こういう声が今あふれております。

 八園、九園ばかりか、二十九園も書いて保育所に入れない。その上、認可外、小規模施設にも入れない。十年もキャリアを積んできたのに復帰できない。そして、自分の働く時間が短いのかと自分を責めるお母さん。お母さんたちが悪いんじゃない、やはり政治の責任だと思います。

 杉並区では、ことし四月から通うことができない子供たちが千六百人にも上っており、ことしも三十八人が行政への異議申し立てを起こしております。これを放置すれば、安倍政権が大きく掲げる女性の活躍、少子化対策とも逆行する事態になろうかと思いますが、大臣のお一人でもあり、地方行政政策を所管する高市総務大臣にも、こうした事態についてぜひお考えを伺いたいと思います。いかがでしょうか。

高市国務大臣 本年四月から施行されます子ども・子育て支援新制度は、市町村が実施主体となって、地域の住民ニーズに基づく幼児教育、保育を総合的に提供する責務が課されるということになります。

 現在、各自治体において待機児童解消に向けた懸命の努力が行われているんですけれども、特にやはり都市部においては待機児童が依然として発生しておりまして、住民の皆さんの切実な声が寄せられているということは承知をいたしております。

 恐らく、適切な用地ですとか事業者ですとか保育士の方を確保することなど、さまざまな課題はあるんだろうと思うんですが、しかし、市町村には、新しい制度の実施主体として、引き続き幼児教育、保育サービスの提供体制の確保に取り組んでいただくことを期待しております。

 そして、今委員が指摘されたように、やはり政府を挙げて取り組んでいる全ての女性が輝く社会の実現というものに向けても、待機児童の解消を含めた少子化対策というのは大変重要な施策です。

 総務省としても、関係省庁と連携しながら、待機児童の解消を含めた新制度の着実な運営が市町村において行われるように、積極的に取り組んでまいります。

桝屋委員長 梅村さえこ君、委員長の指示で御発言をお願いします。

梅村委員 はい。

 大臣から、現状は承知している、そういう施策をとっていきたいという力強い答弁をいただいたかというふうに思います。

 お母さんたちは、ふだんは家庭の中で料理をつくったり子育てをしたりですが、この現状の中でいてもたってもおられず、小さな子供をだっこして、勇気を振り絞って震える手で役所の前でマイクを握って、待機児童と認可保育園の増設を訴えておられます。今御答弁いただきましたが、このお母さんたちの声、叫びを、女性の活躍、少子化対策との関係でも国会はしっかりと受けとめていかなければならないと思います。

 そこで、次に伺いますが、政府が待機児童をゼロにするという二〇一七年において、待機児童が最も深刻であるゼロから二歳児、今度の新制度の三号認定の子供の量の見込みと確保方策は、ニーズ調査の結果、どうなっておりますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、保育の潜在ニーズも含めました住民の利用ニーズを把握した上で市町村の事業計画を策定して、それの確保を、計画的に整備をすることとしております。

 この市町村の事業計画につきましては、昨年の十一月に進捗状況を取りまとめたところでございますけれども、お尋ねの三歳未満の保育が必要な子供の平成二十九年度の量の見込みは、約百十六万人となっております。国の加速化プランでは、これに基づき、保育の受け皿の整備を進めていくこととしております。

 なお、市町村が策定をいたしました事業計画に基づく確保方策の数字を単純に合計いたしますと、百十一万四千人となっております。

 しかし、この増加ペースは、これまでの加速化プランの開始前と同一水準に相当するものでありまして、現に、加速化プランによりまして加速化プラン開始前の二倍以上のペースで整備が進んでおります。

 いずれにいたしましても、百十六万人という量の見込みベースでの整備を実現したいと考えております。

梅村委員 私たち共産党の質問に対して繰り返し、ニーズ調査がまだ明らかになっていない、そしてニーズ調査に基づいてこれは確保していくというこれまでのお答えでしたが、今のところのニーズ調査でいえば、量が百十六万人、受け皿は百十一万四千人分ということで、この結果そのものでいえば、四万六千人分の施設が整備できない見通しであるということは、ニーズ調査の結果としては、数として確認できると思います。

 ただ、今もお話がありましたように、これに基づいて努力をしていくとおっしゃっているわけですから、こういう、整備計画の見直しも含め、この量に向けての努力を求めていきたいというふうに思います。

 そういう視点に立ちまして考えてみるんですけれども、予算そのものを比較してみますと、待機児童の解消のための予算は、今年度は一千三百四十九億円だったのが、今回提案されております来年度予算は八百九十二億円となっているかというふうに思います。

 そういう施策が必要だ、ニーズとの関係でも非常に急がれるというときに、なぜ来年度予算が今年度予算よりも実に四百五十七億円も減っているのか。そこの数字の確認とその数字の根拠、それをお教えいただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、平成二十六年度におきますまず待機児童対策でございますけれども、主に、国の交付金をもとに都道府県に造成された安心こども基金を原資として行っております。その予算額は、保育所等の施設整備あるいは小規模保育等の改修等に必要な経費として計上しております。

 一方、平成二十七年度予算案におきましては、平成二十六年度補正予算におきまして平成二十七年度に予定した保育の受け皿確保を前倒しして実施すること、約百二十億ございます。加えて、都道府県に造成された安心こども基金の残額を活用した保育所等の整備を進めることとしております。

 そういったことを踏まえまして、待機児童解消加速化プランに基づく約八万二千人分の受け皿の確保に必要な額を計上しております。

 したがいまして、二十六年度補正予算、そして今回の当初予算案、そして安心こども基金により今後進めたいと考えております。

梅村委員 今の御答弁でもありましたが、来年度予算の八百九十二億円というのは、およそ八・二万人分の勘定をする予算だということでよかったかと思います。それで、今年度の一千三百四十九億円というのは、大体十一・九万人分の予算だと思います。そこにはやはり三万人分ぐらいの開きがあるかというふうに思います。

 それで、政府といたしましては、この間、かなり加速をしてきた、実績よりも今年度自身が非常に多かったというお話もありますけれども、ただ、もし今年度、十一・九万人分をやったのであれば、そして、今御紹介したように、都市部ではこんなにも働けなくて困っているというお母さんがいるのですから、少なくとも来年度予算は今年度分ぐらいは確保すべきではないか、なぜこういう状況の中で予算の額そのものが減らされるのかという声が広がっているんですけれども、この点はいかがでしょうか。

木下政府参考人 今、答弁申し上げましたとおり、二十五年度、二十六年度は特に緊急の集中取り組み期間といたしまして二年間で二十万人ということで、二十七年度から二十九年度までの三年間で合わせてここも二十万人の受け皿ということで、二十六年度は、先生今御指摘の約十一万九千人、約十二万人でございますが、特に大きい受け皿の拡大となっております。

 先ほどお答えしましたとおり、二十七年度予算におきましては、二十六年度の補正とそれから安心こども基金の残額を利用いたしまして、全体で八万二千人ということです。これも、市町村によりまして、これからもっと加速化できるということであれば、それは我々としても十分に御相談をして対応したいと考えておりますけれども、今の事業量の積み上げで量の見込みでは八万二千人となっておりますので、そういう方針のもとにやっているところでございます。

梅村委員 現場からは、やはり予算をふやしてほしい、この待機児童を、もっと早く対策を打ってほしいという強い要望が上がっているわけですから、ぜひ今年度並みの予算を確保していただきたいということを重ねて要望したいというふうに思います。

 それで、もし今年度分ぐらいの予算を確保できれば、既に政府の努力によって三分の二へのかさ上げが行われてきているわけですけれども、もっとこの部分への補助だとか、あと、今高市大臣からもありましたように、国有地の自治体へのいろいろな制度があると思います。貸与を原則無料とするなど、思い切った措置もできるかというふうに思うんですけれども、そういう考えなどはございませんでしょうか。

木下政府参考人 今委員御指摘の、特に加速化プランにおきまして支援パッケージというのを設けております。

 その中で、今おっしゃられた、賃貸方式とか国有地を活用した保育所整備を進めておりまして、特に都市部を中心といたしまして土地の確保が非常に困難な状況に鑑みまして、財務省と連携をして国有地の活用を積極的に進めているほか、土地や建物を賃貸して保育所を整備する場合に、その賃料につきまして補助なども行っております。

 こうした取り組みによりまして、特に都市部に着目をした保育所の整備を進められるように支援しているところでございます。引き続き努力をしたいと思っております。

梅村委員 本当にたくさんの声が上がる中で、今のような施策が進められていると思うんですけれども、もう少し、一歩進んで、例えば国有地の自治体への貸与は原則無料とするなど、こういう緊急事態のもとでいろいろな対策をさらに打っていただけるように要望しておきたいというふうに思います。

 次の質問に移ってまいりたいと思いますが、四月スタート予定の新制度ですけれども、各地で、今大臣がおっしゃられたように、準備が必死に進められているかと思います。

 この中で、標準時間と短時間保育、下限時間、面積、給食、園庭、避難階段、ホール、保育料、応諾義務における保育料の滞納の扱いなど、非常に自治体のさじかげん一つで子供の受ける保育に格差が生まれる、また、親の経済力によって、それが直接契約のもとで一層顕著になる事態があることが懸念されるかと思います。

 それだけに、公的保育をしっかりと守り発展させるその新制度に残された児童福祉法二十四条一項に基づく保育所の拡充が、新制度の中だからこそますます重要になっていると考えますけれども、この二十四条一項への認識を伺いたいと思います。

高階大臣政務官 御指摘のとおり、保育を必要とする乳幼児及び児童に対して、早くその保育を用意していくということはとても大切なことでございますし、住民にとっては市町村が最も身近な自治体ということになります。

 児童福祉法第二十四条第一項は、市町村が保育所において保育すべき実施義務を定めているところでございまして、こうした条項や現に待機児童がいるという現実を踏まえますと、市町村は、保育の受け皿整備、そして必要性の高い子供の優先的な利用など、強く保育の実施に関与していくことが適当と考えてございます。

 今後も、自治体の取り組みをますます後押しできるように努力してまいりたいと思います。

梅村委員 二十四条の一項の重要性がここで確認できたかというふうに思います。

 当初、この二十四条一項は削除されておりましたけれども、父母たち、関係者から大きな声が上がって、直接契約の仕組みでは契約を結べないようなさまざまな困難を抱えた子供たちが出るおそれがあるということで復活した。そういう二十四条の一項ですから、しっかりと自治体の実施義務を果たすよう、国は自治体任せにせずに、ぜひその施策を強めていただきたいというふうに思います。

 最後に、この点にかかわって、公立保育所の問題について質問をしたいと思います。

 公立保育所と民間保育所の数の推移は、この間どうなっておりますでしょうか。

木下政府参考人 御指摘の公立、私立別の保育所の箇所数でございます。四月一日現在で、二〇〇四年は、公立が一万二千三百五十八カ所、一方、私立が一万百三十二カ所でございます。二〇一三年は、公立が一万三十一カ所、私立が一万四千五カ所となってございます。

梅村委員 今御紹介いただいた数字を見ただけでも、この十年ぐらいで急速に公立保育所が減っているということが確認できるかというふうに思います。このままでいいのかということです。

 例えば、日経デュアルの保活体験アンケートというものがありますけれども、このアンケートでは、約九割が認可保育所を希望し、うち四割が公立保育所を希望しておられます。

 そこで、きょうとりわけ述べさせていただきたいと思いますのは、公立保育園潰しが極めて強引なやり方でこの間進められてきているということであります。

 私の地元、埼玉県のふじみ野市でも、市長が昨年六月、議会最終日の議会閉会後に突然、公立保育所二カ所を耐震強度不足を理由にこの二〇一五年三月末、ですから今月末で廃止するというふうに発表しました。さらに二カ所の保育園を二〇一六年に廃止する。同市の市立保育園PTA連合会や大井地区保育所父母会連絡会は、これまで、有権者の五十分の一の千七百八十二人を上回る二千三百三十八人の、保育所の廃止を決めている条例の改正を求める直接請求署名を集め、市に提出しております。

 また、鶴ケ島市でも、二〇一四年二月に東部保育所の段階的な縮小計画、廃止の計画が保護者に一方的に通告をされ、鶴ケ島市公共施設等利用計画に基づいてこの計画が進められようとしております。市民からは、ゼロ歳から一歳児の保育ニーズに応えられるのかという不安の声が出され続けてきております。

 これだけ待機児童解消で施設が必要だ、これだけ子供の貧困が広がるときに、なぜ、地域の保育水準を規定する役割を持ち、地方自治法で規定する公の施設、住民の全体の財産である、そしてその地域で豊かな保育実践を積み重ねてきた公立保育所をわざわざ潰す必要があるのか。しかも、先ほど紹介したように、ふじみ野市などでは発表からわずか九カ月で廃園とは、やはりやり方が余りにも強引だというふうに思います。

 国の公共施設等総合管理計画がこの廃止を後押ししているという声が現場から上がっております。こんなことがあってはならないと思います。総務大臣の認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 今、ふじみ野市の例をお挙げになり、国の公共施設等総合管理計画がふじみ野市での公立保育所の廃止の一因である、そういった問題意識をお持ちのようでございますけれども、ふじみ野市は公共施設等総合管理計画の未策定団体でございますので、直接の原因にはなっていないと思います。

 ただ、各地方公共団体が、相当厳しい財政状況、そしてまた将来の人口見通しなどを踏まえて、あるべき行政サービスの水準等の検討を加えた上で、保有する公共施設等の維持管理、更新等を適切に行っていくために、公共施設等総合管理計画の策定を要請しました。この管理計画の策定を通じて、あるべき行政サービス水準を前提とした公共施設等の最適配置が図られるものと考えております。

 ですから、公立保育所も含めた個別の公共施設等の更新や統廃合につきましては、各地方公共団体において、地域の実情も踏まえられ、そして議会や住民との議論も行いながら検討されるべきものだと考えます。

梅村委員 この公共施設などの総合管理計画については、鶴ケ島市でそういう後押しがあるんじゃないかという声が聞こえてきておることを御報告しておきたいというふうに思います。

 ただ、いかんせん、九カ月で、六月にそういうことがあって三月にという短い期間での強引なやり方については、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 それは、詳細について事実関係をしっかり把握した上でなければ、どういう事情から、どういうプロセスを経て意思決定がされたのか、その地方公共団体の長そして議会、そしてまた住民の皆様の御意見、それらの調整がどのようになされたのか、それがなければ個別具体的な事象についてのお答えはできません。

 ただ、市町村は、地域の幼児教育、保育等に係るニーズを十分に把握して供給体制を整える責務がことし四月から課されるということになりますから、その供給体制についても、民間の事業者を活用するのか否かなども含めて、その地域の実情に応じて判断されるものであると思っております。

梅村委員 ふじみ野市では直接請求運動も起こっておりますので、やはり九カ月ということは余りにも強引だとも思われるというようなお話もありましたので、ぜひ調べて是正を図っていただくようにお願いしたいなというふうに思います。

 最後になりますけれども、さいたま市に住んでいる赤ちゃんの急死を考える会のお母さんのお声を紹介して、終わりたいと思います。

 今、保育所では、年間二桁を超える子供たちが実は亡くなっております。このお母さんは、こういうふうにおっしゃっています。私の子供、まな娘は、さいたま市認定の保育園での死亡事故により、一歳七カ月で突然天使になりました。悲しみは消えないけれども、二度と同じ悲劇を生んでほしくない。コスト優先ではなく、子供の安全、安心を何よりも大事にしてほしい。こういうふうに訴えておられます。

 朝元気に保育園で、行ってらっしゃい、バイバイと別れた子供が、仕事中に突然保育園から電話がかかってきて、お母さん、お子さんが大変だからすぐに病院に行ってと言われて駆けつけてみると、もうその一歳七カ月の小さい我が子が息を引き取っていた。親として、こんなに悲しい、こんなに無念なことがあるかというふうに心から思います。そして、こうした事故が年間二桁も起こっているという事実、これはやはりしっかりと重く受けとめなければいけない、一人だって命を失ってはならないというふうに思います。

 このお母さんは、悲しみのふちにありながら、毎日小さな子供の遺影の頭をなでて、そして地域でたくさんのお母さんと、今、待機児童解消、安全、安心な保育所づくりに奔走しております。こうしたお母さんと政治が心一つに力を合わせてこそ、少子化対策そして女性の活躍そして待機児童解消も進んでいくのではないかなというふうに思います。

 日本共産党は、児童福祉法に基づいて、よりよい保育の保障を求めてまいりました。四月からの新制度実施で、公的保育の後退を許さない、こういうことを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。

 きょうは、被災自治体における公務労働者の不足問題及び震災復興特別交付税の継続、拡充について、質問をします。

 東日本大震災から四年がたとうとしています。震災からの被災者救援そして救済、復旧復興の支えになっているのが自治体職員、公的マンパワーであります。

 ここに一冊の本を持ってまいりました。「三・一一岩手 自治体職員の証言と記録」と題する本であります。岩手県の各自治体で救援、復旧に当たってきた自治体職員がみずから書きおろした記録集であります。

 市役所に泊まり込んで、五十一日間連続で広報誌を発行し続けた陸前高田市の広報課担当職員、学校の給食室で被災者のために九千個のおにぎりをつくり続けた大船渡市の学校給食調理員さん、家族と四カ月間離れて働き、被災した住民に寄り添い、心身の健康をサポートしてきた大槌町の保健師さん等々であります。本当に頑張っておられます。

 自分たちが頑張らなくてはいけない。自分も被災し、家族のことは二の次で、全体の奉仕者としてその自覚が貫かれています。この公務労働者の努力と奮闘なしに、復興が進む今の被災地の姿はあり得ないと思います。そして、現在も、この時間も被災地においては、自治体職員が、あるいは派遣された職員が懸命の活動に当たっています。

 高市大臣、被災者、被災地の救援そして復興に当たって、公務労働の果たす役割、公的マンパワーは極めて重要であると考えますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今委員から、みずからも被災されながらも、歯を食いしばって、高い使命感を持って多くの方々のために働き続けられた公務員のお話もございました。

 あの東日本大震災の被災地の復興に当たっては、復興計画の策定、用地の取得、設計、工事の実施など、ハードだけじゃなくてソフトにおいても復興事業を着実に進めていくということが必要でございます。ですから、こうした事務ですとか専門知識に精通して復興事業を担っておられる地方公務員の役割は、極めて重要なものだと思っております。

田村(貴)委員 大臣から、重要だとの御回答がありました。

 ところが、大臣、その被災者の支援と復興にかけがえのない役割を果たしている公務労働者が不足しています。深刻な人員不足の状況にあります。

 この間、総務省が全国市長会、全国町村会に呼びかけて、全国の自治体から応援派遣がされているわけでありますが、被災自治体からの要望人員数及び充足数についてどういう状況下にあるか、直近の資料で結構ですので、説明をしていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十六年度における被災市町村からの人的支援の要望に対する充足状況でございますけれども、平成二十七年一月現在で、岩手県につきましては、要望数四百九人に対して充足数三百七十五人、充足率九一・七%、宮城県につきましては、要望数九百十三人に対して充足数七百二十四人、充足率で七九・三%、福島県につきましては、要望数百八十四人に対して充足数百七十一人、充足率九二・九%となっております。

田村(貴)委員 充足率一〇〇%に達していないわけでありますけれども、派遣状況の調査が行われた去年そしておととしの状況はどうであったのか。二〇一三年、二〇一四年、その当時の状況についても説明を受けたいと思います。お願いします。

丸山政府参考人 直近の数字でお答え申し上げたいと思いますが、平成二十五年度につきましては、被災市町村からの千四百四十八人の人的支援の要望に対しまして、百五十九人が不足しておりました。

 平成二十六年度につきましては、千五百六人の人的支援の要望に対しまして、平成二十七年一月現在でございますが、二百三十六人が不足しているところでございます。

田村(貴)委員 今のは三県の合計でしょうか。三県それぞれに充足の数を下回っていたということでしょうか。

丸山政府参考人 恐れ入ります。

 先ほど県別の不足状況をお答えいたしましたが、ただいまお答えしましたのは、その三県を合計しての状況でございます。

田村(貴)委員 三県ともにずっと必要な人員が確保されていなかったということであります。充足率が八割、九割。私の手元の資料では、三県の自治体中で足りているところは十四自治体で、二百二十二の自治体、実に九四%の自治体で不足の状況が続いております。

 私はこの資料を見せていただいて、正直驚きました。全国の都道府県あるいは市町村の力をもってしても、あの甚大な被災を受けた東北の復旧復興に必要な人員が賄えていない。

 それはなぜなのか、どこに原因があるとお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

二之湯副大臣 被災自治体の人材の確保につきましては、いわゆる正規職員あるいは任期つき職員の採用の拡大とか、あるいは職員の配置のシフトを被災自治体が懸命にやっておられるわけでございますけれども、それに加えて、全国の自治体からこれまで延べ八万七千人以上の方々の応援を得ているわけでございます。現在も、平成二十六年十月現在で、二千二百五十五人の全国からの職員の応援があるわけでございます。

 一方、今、どうして充足されないのか、こうなりますけれども、高台移転等の防災集団移転促進事業や災害公営住宅建設事業を初めとした復興事業のために、事業量が震災前の八十倍を超えておるということもございまして、被災自治体における復興事業が非常に膨大な量になっておるわけでございます。

 このような膨大な量の復興事業の実施のために多くの人員が必要になっていることから、被災自治体における要望に応えられないというのが現実であります。

田村(貴)委員 膨大な事業量、そしてマンパワーが必要なわけです。

 宮城県の石巻市です。一市六町の合併によって、五百五十五平方キロメートルに及ぶとても大きな自治体となりました。甚大な被害を受けたわけでありますけれども、二百五十二人の職員派遣要請に対する不足は五十七人になっています。二二%足らないわけです。

 その中の旧雄勝町と旧牡鹿町は、合併とその後の行政改革によって、合併前の職員数と照らしたらどれだけ減ったか。三〇%、十分の三の職員数になって、そして職員が激減するもとで大震災が発生したわけであります。さらに、この震災で命を落とした市職員の方もおられます。

 派遣の職員の応援なしに復興作業は進んでまいりません。せめて充足を希望するこの数字に追いついていくことが求められると思うんです。

 岩手県の自治体職員の方にお話を伺いました。公営住宅の建設が全県でまだ一七%の進捗率とのことであります。

 事業量は膨大です。被災地の復旧復興はまさに今からが正念場であります。

 総務省も市長会も町村会も被災地に職員を送ろうと懸命の努力がされていることは、私も承知をしております。しかし、復旧復興を加速させていかなければなりません。そのためには、被災自治体の要望を満たす人員の確保を何としてでも達成させるべきではないでしょうか、お答えいただきたいと思います。

二之湯副大臣 先生御指摘の、被災地の復興に当たって、復興事業を担う人材の確保は非常に緊急の課題であります。

 したがいまして、総務省といたしましても、これまで、被災自治体への人的支援として、全国自治体に対する職員の派遣の要請、そして、被災自治体における任期つき職員の採用の支援、さらにまた、民間企業等の人材の活用の促進、さらに、被災市町村で働く意欲のある全国の自治体職員のOB職員に関する情報提供を行っているわけでございます。

 引き続き、復興庁とも協力しながら、被災自治体の要望を伺いながら、より一層人的支援の充実に努めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 達成させるというふうに言明していただきたいと思うんですけれども。

 被災地における復旧復興関連事業がいかに膨大なものであるのか。御答弁にもありましたけれども、例えば、総務省公務員部の米澤朋通高齢対策室長が「地方財政」の二〇一四年十二月号の中で次のように述べておられます。

 歳出合計が震災前の十倍を超える市町村が出ている。投資的経費で見れば、陸前高田市は震災前の四十・三倍、釜石市では八十二・二倍という状況。そして、事業の中身は、土地区画整理や防災集団移転促進事業、災害公営住宅建設事業など、市町村にとってはこれまで事業実施の経験がないところが大半である。

 そして、このように述べておられます。

 派遣された職員が被災地公共団体で担当する仕事により、当該職員の能力が磨かれると思われます、こういうふうに書かれておられました。

 高市大臣は、おとといの所信表明の中で、昨年の広島での大規模災害やあるいは御嶽山の噴火を挙げて、土砂災害、噴火災害の対策の推進を述べられました。そうなんです、災害というのはいつ起こるかわかりません。だからこそ最大の備えが必要でありまして、その核となるのは、災害のとき、そしてその後と続く公的マンパワーであることを私は申し上げたいと思います。

 お尋ねします。

 こういう状況を見るときに、とりわけ土木、建築に携わる専門職をふやさなければいけないのではないですか。災害時の課題を乗り切る職員を、これからの時代、大いに全国で育成すべきではないか、災害に対応するために大いにふやしていくべきではないか、御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 地方公共団体における土木技師の職員数ですが、平成二十六年四月現在で八万九百四十八人、建築技師の職員数が二万一千二百八十四人です。ピーク時の平成九年比で、土木技師の職員数は約一万四千人の減少、建築技師の職員数が一千三百人の減少となっているんですけれども、いずれも近年は増加傾向にございます。土木技師は平成二十五年から二年連続で、建築技師につきましても二十一年から五年連続で増加傾向にございます。

 やはり地方公共団体において、地域の実情を踏まえながら、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置を行って、しっかりとしたサービスが確保できるように、そしてまた、しっかりと復興が進むように、専門職員の配置というのをしていかなければならないと考えております。

田村(貴)委員 ちょっとその数字は後でまた申し上げるとして、先ほどの本、岩手県の「自治体職員の証言と記録」という本の中から少し紹介したい方の文章があります。五十歳代の男性で、大槌町の職員の方でありました。来る日も来る日も遺体管理業務に当たられたということであります。

 私自身も、震災二カ月後に行方不明の妹が見つかりましたが、何の感情も湧いてきませんでした。やはりそのときには精神的におかしくなっていたのだろうと思います。発災から十月までの間、土日に関係なく一日の休養もなく、気力だけで頑張って業務に従事しました。

 震災から十カ月後、体調に変化が出てきて、物を覚えようにも全く頭に入らず、精神的に落ち込む日が多くなりました。きょうは休みたいと思っても、業務を休める状況ではなく、また、みんなも頑張っているんだ、私も頑張らなくてはと思い、業務を続けました。そんな中で、医師にうつ状態という診断を受け、薬の服用を指示されました。

 当時を振り返れば、人が少ない中で無理なことですが、交代できる職員があればよかった、また、精神的にも心を癒やすためにも、一日でも休める日があればよかったと思います。このように述懐されています。

 震災直後、全国自治体から応援が集中されて、その状況のもとでも人が足りていなかった、かわりが欲しかった、休みたかったと言われています。妹さんが亡くなっても何の感情も湧いてこなかった、本当に筆舌に尽くせない思いで働いていたんだろうというふうに思っています。

 こうした仕事は公務労働でしかできません。そして、この職員は、交代できる職員が欲しかったと言っておられます。被災地のマンパワーをふやしていかなければなりません。

 被災自治体の職員採用と派遣職員の受け入れ等を保障する震災復興特別交付税は、被災自治体にはなくてはならぬ大事な制度であると思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 本当に、御自分が被災されたりお身内を亡くされたり、つらい中で働いてこられた公務員の方は多いかと存じます。

 まず、メンタルヘルスケアも大変重要な課題であり、私どもも精いっぱい取り組んでまいりますし、加えまして、やはり大変な復興事業を行っていく、また、住民への支援を行っていく上で、被災団体のマンパワーの確保は重要な課題であるということを認識しております。

 被災団体におきまして、地方自治法に基づきます中長期の派遣職員の受け入れですとか、復旧復興業務への対応のための職員採用を行った場合に、その必要経費については震災復興特別交付税によって財政措置を講じております。

 平成二十七年度の当初予算案においても、中長期職員派遣の受け入れや職員採用に要する経費も含め、震災復興特別交付税を五千八百九十八億円確保することとしております。

田村(貴)委員 その核となる震災復興特別交付税、平成二十八年度、二〇一六年以降も継続、拡充すべきだとの自治体の要望がありますけれども、これは当然のことだと思います。この願いにはどうお応えになるでしょうか。

高市国務大臣 震災復興特別交付税につきましては、平成二十五年一月の復興推進会議において、平成二十三年度から平成二十七年度までの集中復興期間中はその財源を確保することとしているところですので、まずは、復興の動きをさらに加速化して、集中復興期間において、被災地の一刻も早い復興を目指すということが重要です。

 その後、平成二十八年度以降の復興事業につきましては、それまでの進捗状況を踏まえ、財源も含めて、そのあり方を検討することとなります。ですから、全体の復興財源フレームの中で、平成二十八年度以降の震災復興特別税のあり方についても検討されることになります。

 しかしながら、いずれにしましても、被災地の復興に真に必要な事業の実施には支障が生じないように、適切に対応してまいります。

田村(貴)委員 全体の進捗を見ながらといったところが基本だというふうに言われましたけれども、きょう私が述べたのは、やはり充足数に足りていない、そして土地区画整理とかあるいは用地買収とかいろいろな仕事があるんだけれども、何もかも一人でやらなければいけないから本当に大変だ、もうストレスがたまってしようがない、メンタルにも陥ってしまいそうだという方の話もいろいろ聞いてまいりました。やはりおくれているわけなんです。加速させなければいけません。そうした意味でも、二〇一六年以降も、震災復興特別交付税、これは継続し、さらに充実させることがやはり被災地にとって本当に助かる、この制度があるから頑張ってやれるというふうになると思います。ぜひ、政府におかれては検討していただきたいと思います。

 次に、職員を送る側にとっての状況について考えてみたいと思います。

 被災地に職員を派遣したくても、出せない事情が自治体にはあります。

 総務省がまとめた資料、「東日本大震災の被災地方公共団体への職員派遣に際し、工夫している取組の例」という資料を読ませていただきました。例えば秋田県です、「定員適正化計画に基づく職員数の縮減を進めている中で、多くの職員を被災地へ派遣することは、本県自体の業務に影響を与えている。」大阪府堺市、「職員を派遣した所属の欠員については、所属内部で一時的に業務を再分配するか、臨時的任用職員を採用することで対応しているが、技術職においては代替職員を任用することも困難であり、対応に苦慮している。」ということであります。

 送り出したいのはやまやまなんだ、しかし、うちも手が足りていない、特に技術職の派遣は困難だとの回答が寄せられています。全国の自治体で人員不足の状態にもあるわけなんです。

 そこで、お伺いします。

 集中改革プラン、これによって全国の自治体の職員は、また、とりわけ足りないと言われている土木、建築の技術職はどのような変遷をたどったのか。先ほど数字がちょっと出ましたけれども、改めて御説明いただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 集中改革プランの期間でございます平成十七年から平成二十二年の五年間において、地方公共団体の総職員数につきましては、二十二万八千二百四十七人の減少となっております。このうち、土木技師は七千八百九十三人の減少、建築技師につきましては九百七十三人の減少となっております。

田村(貴)委員 やはりすごい数ですよね。五年間の集中で、全体で二十二万人。そして、土木技師が七千八百九十三人、建築技師が九百七十三人。ひところよりは取り戻すというようなお話がさっきあったんですけれども、一朝一夕にこれは取り戻せないんですよね。やはり期間を要する。そして、専門的な知識を身につけなければいけない職務にあるからなんです。

 高市大臣、地方自治体の定数削減そして人件費削減は限界を通り越しているのではないか、さきの本会議質問でも私はこう述べましたけれども、このような状況をどう受けとめておられますか。

高市国務大臣 総務省では、各地方公共団体の定員管理につきましては、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むように助言をしております。

 これを踏まえて、給与についてもそうなんですが、地方公務員法に基づいて、国民、住民の理解と納得が得られる適正な内容にすべきものという考え方で、必要な助言を行っております。

 先ほど来、委員が、被災地に人的支援をしたくてもできない状況についてお話がございました。ただ、都道府県や政令市にあっては、被災市町村への派遣職員を確保するために、条例定数の増加ですとか任期つき職員の採用を行うなどして増員もしてくださっている、そういう団体もございます。

 総務省では、引き続き、被災自治体の御要望を伺いながら、より一層人的支援の充実に努めてまいりたいと思います。民間企業への御協力などもお願いをいたしております。

田村(貴)委員 二月十八日、都道府県財政課長会議で、総務省の内藤財政課長さんが給与関係経費のところで、ずっと定数削減の御努力をしていただいてきていて、その結果として、もうなかなか定員削減というのが難しい状況になりつつという現実を踏まえて対応しているということだがと述べられています。だからといって、やはり行革の努力というのは続けていかなければならないと続くわけでありますけれども、財政課長も、もう職員削減は難しい状況と認識しているではありませんか。

 大臣、もう一回答えてください。人員削減は、人件費削減はもう限界を通り越しているというふうに私は思うんですけれども、どうですか。

高市国務大臣 それは、地方公共団体の実情によって違うと思いますね。これで限界を通り越していると思われるところもあるかもしれませんし、むしろ、行政の効率化などで、必要な人材を必要な場所に移せた、有効活用できた、そのように考えていらっしゃるところもあるでしょうし、それは地域によってさまざまだと思います。

田村(貴)委員 集中改革プランによって、国の方が地方に行政改革を要請してきたんですよ。人件費削減、給与費削減、これは紛れもない事実で、こういう現実があるわけなんです。

 そして、現在もそうなんです。先月二十六日の本会議で、私は、まち・ひと・しごと創生事業費について質問をいたしました。元気創造事業費四千億円のうち、実に三千億円が行革努力分として継続されていること、そして、地方自治体の行革努力に応じて地方交付税に傾斜をつけるやり方は問題であると述べました。必要な人員確保の障壁となっているこの人員削減、こうした行革努力等の縛りはもうなくすべきだというふうに思います。

 高市大臣、三千億円の行革努力分というのはこれからも継続していくんですか。また、さらにふやすつもりなんでしょうか。

 昨年のこの委員会で、当時の新藤大臣は、「行革指標に係る割合を高くして、各地方団体にさらなる行革を促すことを考えているわけではございません。」と答弁されましたけれども、高市大臣はいかがでしょうか。

高市国務大臣 最後にお話しになった点は、新藤大臣と同じでございます。

 地域の元気創造事業費ですけれども、平成二十五年六月に閣議決定された骨太の方針の中で、「地方交付税において、新たに、地域経済の活性化に資する算定を行革努力と地域経済活性化の成果の二つの観点から行うこととし、頑張る地方を息長く支援するため一定程度の期間継続する。」とされたところです。

 これまで行革に一生懸命取り組んできた努力を評価してほしいという地方団体の御意見があったことも踏まえて、平成二十六年度に創設をしました。ですから、一定程度の期間という閣議決定がございましたので、今後もその算定は継続する、頑張る地域を息長く支援していく。

 ただ、これ以上、とにかく行革しろ行革しろとやれない、もうこれで精いっぱいだというところに対して強いるものではございません。

田村(貴)委員 強いないでいただきたいと思います。

 多くの公的マンパワーを必要としている一方で、被災地で、喉から、職員が欲しい、応援が欲しいという状況がある一方で、送り出す方には定員削減を求めていく、行革努力分を要請していく、これは矛盾しているのではありませんか。これでは、被災地が望む職員派遣は達成できないのではありませんか。やはり充足の希望に対してそれを満たす努力が払われるべきだと思いますけれども、副大臣、先ほどの御答弁で、達成感の決意、ぜひ聞かせていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

二之湯副大臣 突然の御指名で、もう一度、済みません。

田村(貴)委員 副大臣でも総務大臣でも結構なんですけれども、やはりマンパワーを必要としている被災地がある一方で、送り出す側には定員削減を求めていく、これでは被災地の要望にかなう職員派遣ができないのではないかということについて、どうお考えになりますか。

高市国務大臣 あくまでも、これまでの行革努力も評価してほしいという地方公共団体の御意見も踏まえながら取り組んでいることでございます。各団体の多様な行革努力を多面的に反映して算定をしているということで、特定の国の考えを地方に押しつけるようなものではございません。

 また、使途を特定されない一般財源という地方交付税の性格というものもございますので、地方の多様性への配慮、そういったものにも十分対応しながら私どもは進めております。

 マンパワーの重要性は、先ほど来委員が御指摘になったことも含めて、十分に理解をいたしております。

田村(貴)委員 時間が来たようです。

 平時の自治業務はもとより、災害対応のときこそマンパワーが必要であります。そして、この仕事は、公務労働者でなければ住民への責任は貫けないと思います。まち・ひと・しごと事業等における行革努力分を判断基準としたやり方、交付決定のあり方、そして自治体に人員削減を奨励するようなやり方は、やはり被災地の復興との関係からいっても改めるべきだ。二〇一六年度以降の震災復興特別交付税の継続、拡充も重ねて求めて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、お忙しいところ、午前中に引き続き、NHKの籾井会長に来ていただいております。

 早速、質問させていただきます。

 既に、予算委員会それから本総務委員会の中でも、会長の御発言について真意をただす質問が続いており、重複する点もあるかとは思いますけれども、何点かお聞きしたいと思います。

 籾井会長が二月の十八日の日に民主党の部門会議において、いわゆる戦後五十年の村山談話についてお話をされております。その際、この村山談話について、今のところはいい、あるいは、将来はわからない、さらには、政権がかわって村山談話は要らないと言うかもしれない、こういう趣旨の発言をされたということが報じられております。

 私は選挙区が大分でありまして、村山元総理、我が党の名誉党首でもありますけれども、大先輩に当たります。また、この村山談話については、その後の全ての内閣が継承し、日本のアジア外交の土台と言っていいものだというふうに承知をしております。

 そこで、会長の御発言の真意を尋ねます。

 将来はわからないという発言の趣旨は、時の政権が村山談話をどのように評価するかによってNHKの報道姿勢が左右されるという意味でおっしゃられたのでしょうか。そのあたり、どうでしょうか。

籾井参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の発言は、村山談話が、NHKの国際番組基準である我が国の国際問題に対する公的見解に含まれるということを説明したものであります。

 我々は、放送法にのっとって、事実に基づいて、公平公正、不偏不党の立場を守り、何人からも規律されることなく番組編集の自由を確保していきます。放送の自主自律を堅持することが公共放送として信頼されるかどうかの生命線でありますので、こうした認識で業務執行に当たっております。

吉川(元)委員 会長は、これは先ほど午前中のお話の中でも取り消されたと言われておりますけれども、一月の就任会見で、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないと発言をされ、昨年の総務委員会、さらには予算委員会の中で、公共放送の会長、NHKの会長として資質が問われました。

 今もおっしゃられましたけれども、国会では、放送法にのっとり、公平公正、不偏不党、そういう姿勢を貫く趣旨の答弁を繰り返されておられます。ただ、ことしに入って、これも午前中にお話がありましたけれども、従軍慰安婦の問題について問われた際に、政府のスタンスがよく見えないとか、あるいは、今、村山談話のお話をしましたけれども、まるで時の政権の評価によってNHKの報道が変わるかのように聞こえるような発言も繰り返されていて、政府の姿勢やあるいは政府の顔色をうかがっているというふうにも見えてしまいます。

 いろいろな政策というのは、その時々の政権によって変わる可能性があります。その都度放送がそれに左右される、報道が左右される、政権の判断を待たなければいけない、そういうことを言っていると、NHKは、もうこれは公共放送ではなくて、国営放送、政権のための放送に変質するのではないかという危惧を持っております。

 そこで、お尋ねをいたしますが、二月二十四日の経営委員会で、二月いっぱいで退任をされた上村達男委員長代行が、NHKの独立性や自立性は強いものに対するものという趣旨の発言をされたと報じられております。ごく短い報道ですので、私が委員長代行の発言の趣旨を、真意を十分に理解しているわけではありませんけれども、その後の朝日新聞の記事等々も読ませていただきますと、上村委員長代行の言う強いものというのは、政権やあるいは時の権力のことを指していて、そうしたものから独立性、自立性を担保しなければいけないという内容だというふうに私は思っております。

 会長は、この上村委員長代行の御挨拶、どのように受けとめていらっしゃるのか、お聞かせください。

籾井参考人 上村委員長代行は、公共放送の重要性についての個人的な御見解を述べられたと私は認識いたしております。

 先ほども申しましたけれども、我々NHKは、放送法にのっとりまして、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということを肝に銘じて毎日放送をしております。

 それで、強いものに対する云々ということでございますけれども、我々は、全く公平公正に、不偏不党でやるということですから、誰かに味方するとかそういうふうなスタンスでは、NHKは公共放送としてそれを全うできないというふうに思っております。

 それから、右とか左とかという話がよく出てくるんですが、これは、昨年私は国会において取り消しをさせていただいておりますので、ぜひこの辺の言葉は使わないでいただきたいと、私から心からお願い申し上げます。

吉川(元)委員 個人的見解を述べられたというお話ですけれども、まさに、強いものやあるいは時の権力から自立をしているからこそ、報道機関としての役割を果たせるのではないんですか。もちろん、全ての、どこかに偏るということはだめですけれども、上村さんが言われていることというのは、まさに時の権力から自立をしなければいけないんだ、そういうふうに言われていることについてどうお考えなのかというのをお聞かせください。

籾井参考人 お答えいたします。

 上村さんが強いものとかなんとかおっしゃっていますけれども、我々はあくまでも、公平公正にやるということ、それから不偏不党でやるということ、これを守っていっているわけでございます。

 だから、権力に対して、強いものに対して我々がどうだこうだというふうなスタンスをとっていますと、これは不偏不党と言えるのでございましょうか。我々は、権力に対しても、何人に対してもやはり不偏不党でいくべきだというふうに思っております。

 本当に、そういう意味で、放送法は、「不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」と定めております。同時に、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱わなければならないことは、放送法、NHKの国内番組基準に明記されております。その際、自主自律を堅持し、何人からも干渉されないことを大原則として認識いたしておるわけでございます。

 NHKは、こうした原則を徹底して放送を行ってきたし、今後もこの方針を変更することはいささかもないし、過去一年間、政府からの干渉も全くありませんし、我々がそれによって影響されたことも一度もございません。NHKの公平な番組については、私は自信を持っております。

吉川(元)委員 不偏不党、何者からも規律されず、そういうお話というのは、それは当然なんです。

 ただし、非常に気をつけなければいけないのは、強いものに対して最も警戒を持って自立しなければいけないということを私は言われたんだと思います。その点は、これはNHKのみならず、全ての報道機関、マスメディアも含めてですけれども、これは当たることだろうというふうに思います。この点についてやっていると時間がありませんので、次に進みたいと思います。

 この一年、今ほども真意が誤解されている等々というお話もありましたけれども、客観的事実からいいますと、国会でも大きく取り上げられ、マスコミでも大きく取り上げられました。本来、NHKの仕事というのは、報道する側、報道するのがNHKの仕事であって、みずからが取材対象となって報道される側になるというのは、これは全く本末転倒であります。この間、経営委員会から、二度厳重注意、また二度の申し入れが行われております。

 会長御自身、この一年間の言動あるいは世論の受けとめ等々を踏まえて、会長の言葉、行為が、NHKの信頼や信用を傷つけたというふうには思いませんか。

籾井参考人 委員仰せのとおり、我々は取材する側で、本来は取材される側ではないんですが、不徳のいたすところ、私も言葉がいろいろ滑って、いろいろ皆さんに話題を提供しているところでございます。

 我々としましては、やはり放送ということが非常に重要でありまして、私が何と言おうと、NHKは、先ほどから申しております、放送法にのっとった、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずという方針でみんなやっております。これはもうかなり徹底してきております。

 そして、先ほども申しましたように、一年間、NHKは、私は、政府から何の干渉も受けておりません。そして、番組は、きちんと公平公正な番組を流しているというふうに自信を持っております。

吉川(元)委員 滑って話題を提供しているなんという、そういう言い方をすること自体が、私は、今回のこの一年余りの事態について本当に真摯に反省をされているのか疑問に思わざるを得ません。午前中のこの場では、念仏のように唱えているとおっしゃられました。

 ただ、実際に、この一年間、いろいろな批判がNHKに来ているわけですよね。退職された方も、やめるべきだと言われる方もいらっしゃいます。これは、NHKの信頼を傷つけたというふうには思わないんですか。もう一度答弁をお願いします。

籾井参考人 私の発言がいろいろなところで不快感を与えたとすれば、大変申しわけなく、これはおわびしたいと思いますが、NHK会長という立場を踏まえ、今後は、きちんと真意が伝わるように、誠心誠意、丁寧な説明を心がけたいと思います。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、この一年余りの言動、これがNHKの信用をいささかなりとも傷つけていないとお考えなんですか、それとも傷つけたというふうにお考えなのか、お聞かせください。

籾井参考人 率直に申し上げて、いろいろな御批判もあるとは思いますけれども、私は、放送法に忠実に、服務規定にも忠実に、そういうことで実際のNHKの経営をやっております。

 傷つけたのか傷つけていないのかと言われると、私にはよくわかりません。それは批判もあることも知っています。しかし、褒めている人もいるわけです。

 服務基準では、職務専念義務や忠実義務などを定めております。私自身は、その内容を十分に認識し、この一年余り、会長の職責を果たしてまいりました。これからも、服務基準を遵守し、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚し、高い倫理観を持って職務を適切に執行していきたいと思います。

吉川(元)委員 明らかにこれは信用を、瓦解させたかどうかまではわかりませんが、NHKの現場の皆さんは非常に頑張っておりますから、懸命に信頼を回復するために、あるいは信用を維持するために。私は、明らかにこの間の会長の言動というのは信用を失墜あるいは傷つけたというふうに思っております。

 一部の人から受けがいいからといって、信用がとれているということではないんです。NHKは、全ての国民から信用されなければいけないんです。どうもそこら辺勘違いされているようでありますし、私が質問する前に先にお答えになられましたけれども、「会長、副会長および理事の服務に関する準則」というのがあります。その第五条に、会長、副会長及び理事は、日本放送協会の名誉や信用を損なう行為をしてはならないというふうに書いてあります。私は、この一年余りの会長の言動というのは、まさにこの第五条に違反をしているというふうに言わざるを得ません。

 きょうはもう時間がありませんので、また引き続き、別の機会に質問したいというふうに思います。

 次に、今国会に提出されておりますふるさと納税に関して、大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

 今回、地方税法改正案で、いわゆるふるさと納税がありますが、これはそもそも、住民税所得割額の一割の範囲であれば、適用限度額である二千円を超える部分の所得税、住民税が全額控除されるという制度だというふうに承知をしております。平成二十年度の税制改正によって創設された制度ですけれども、創設された当時は寄附金総額七十二億円だったものが、直近二十五年度分でいいますと百三十億にまで拡大をしております。

 今回、このふるさと納税、改正によって二倍に拡大をされるというふうに聞いておりますが、なぜ今回二倍に引き上げる必要性があったのか、この点についての御説明をお願いいたします。

高市国務大臣 ふるさと納税は、その積極的な活用によりまして地域の活性化ですとか人口減少対策などに資する効果もあると、地方六団体からも評価をいただいております。こういった意義をさらに生かして、政府の最重点課題となっております地方創生を推進するために、ふるさと納税の拡充を図っていきたいと考えました。

 ですから、地方公共団体からの要望も踏まえながら、税制のあり方を検討した結果、個人住民税所得割額の一割とされておりました特例控除額の上限を二割に引き上げることとして、寄附枠を拡大するということにいたしております。

吉川(元)委員 このふるさと納税制度、他の寄附金制度と整合性がとれていたり、なおかつ、過疎に苦しむそういう自治体、あるいは人口減少に苦しむ自治体、そうしたところを何とか応援したいという趣旨であれば、私自身も十分理解できます。ただ、現状は、これは本会議でも少し指摘されたかと思いますけれども、いろいろな問題を抱えているのではないかというふうに私は思います。

 寄附を受ける自治体の側が、非常に高額の贈答品、これを、見返りという形になるんでしょうけれども、寄附者の方々に行っております。寄附をする側からすれば、先ほど言いました適用下限額の二千円を負担して、それ以上の、例えば五千円のものが、あるいは一万円のものが贈答品として返ってくれば、これは得をすることになります。

 実際に、そのハウツー本といいますか、「一〇〇%得をする ふるさと納税生活」という、ふるさと納税だけで一年間生活ができるというような、そういう本まで出されておりますし、ふるさと納税イコール無料のお取り寄せグルメ、そういう題までついている本が出されております。

 また、ふるさと納税といいますけれども、私は、本来これは税ではないわけで、この名称も果たしてどうなのかということもありますし、それから、個人住民税でいいますと、これはいろいろな考え方がありますけれども、受益と負担の関係ということもあろうかというふうに思います。

 さらに、所得の高い方、いわゆる個人住民税をたくさん払われている方ほどふるさと納税の額もふえるわけで、それだけの見返りもたくさんもらえる、そういういろいろな問題点があろうかと私は思いますし、見返りの中身次第で寄附が決まるとすれば、過疎の自治体から大都市の自治体に寄附がされることも可能であります。そうなりますと、これはもう、ふるさとの財政に寄与するという趣旨からも逸脱をしてしまうのではないかというふうに考えております。

 これはさまざま、いろいろな問題点、課題がある制度だというふうに思いますが、今回、これを拡充することによって、こうした課題というものがどういうふうになっていくのか。私自身は、より課題が大きく、問題が大きくなっていくのではないかというふうに思いますけれども、この点についてどのような御認識をお持ちなのか、お聞かせください。

高市国務大臣 委員がおっしゃったとおり、これは、ふるさと納税と名前はついてありますけれども、やはり寄附金制度であるということです。

 寄附金税制を活用して導入された制度なんですけれども、寄附先団体に対して税収の一部を移転させるという効果、これは一つの効果でありますね、それを生じさせる。それから、結果として、ほかの寄附金税制と同じように、所得税や住所地団体の個人住民税の減収が生じる、こういう側面もございます。しかし、未成年で教育を受けた地域でありましたり、さまざまな受益を受けている地域に、その受益の一部を負担するという意味もあると考えています。

 それと、先ほど紹介されました返礼品の過熱ぶりでございますが、私もその本を拝見いたしました。こういった課題につきましては、地方側も問題意識を持っていただいております。

 まず、返礼品の送付は、基本的に各地方団体の自主的な判断でありますから、これは地方団体側でまずは良識ある対応をしていただかなきゃいけないんですけれども、今回の制度拡充、先ほど申し上げました税制上の制度拡充とあわせまして、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を行うように地方団体に要請をする予定でございます。前もって通知というのは事務的にはしておりますけれども、やはり地方税法の改正案、成立をさせていただいて、成立をさせていただいた後に、しっかりと大臣通知として発出をしたいなと考えております。

 特に、返礼品の価格や返礼品の価格の割合の表示、どれだけお得ですよというような、何か寄附の募集に対して対価の提供という誤解を与えるようなことをしかねない行為ですとか、または換金性が高いプリペイドカードですとか、あとは高額、または寄附金に対して返礼割合が高いものなど、こういったものはふるさと納税の趣旨に反するものであると考えております。

 やはりこれは、ほかの地方税法に基づく寄附金控除等の控除と同様の扱いをしながら、それでも、返礼品も含めてですけれども、ふるさとの産業の活性化、そして雇用の拡大にもつながるものでありますし、税の偏在性の一定の是正効果もあると考えておりますので、十分に良識ある対応を求めながら進めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今少しお話がありましたけれども、いろいろ問題があるんですけれども、一つ大きな問題というのは、他の寄附金制度との控除額の差が余りにも大きい。

 例えば、三万円を限度額として寄附した場合に、いわゆるふるさと納税でいいますと、所得税、住民税を合わせれば二万八千円。ところが、認定NPO法人やら公益社団法人の場合には一万一千二百円、それから一般の寄附に至っては八千四百円ということになります。

 これ、みんな同じであれば、それはそれでいいんですけれども、やはりここに大きな不均衡といいますか、NPOや公益社団法人に寄附する場合でいいますと二倍以上ですし、一般の寄附でいうと三倍以上のそういう開きがあって、なぜこうなっているのかという合理的な理由というものを私自身は見出せません。

 今回の制度改正によってさらにこういう不均衡が拡大をして、その結果として、NPO法人あるいは公益社団法人などへの寄附に影響を与える、悪い影響が出るのではないかというふうに危惧しておりますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 今回は、ふるさと納税の拡充、かなりこれは大きなものになります、それは御指摘のとおりですが、やはり政府の最重要課題となっております地方創生の推進を図るという観点からのものでございます。

 制度的には、このふるさと納税の拡充というのは、NPO法人等への寄附に対しては中立的でありますから、何かとても悪い影響を与えるというものではないと考えます。むしろ、私は、ふるさと納税を経験されることで、寄附をすることですとか、あと税制上の手続などへの理解、また親しみが増して、ひいてはNPO法人などへの寄附も含めた寄附文化の醸成につながると考えております。

吉川(元)委員 私自身も、寄附文化を醸成していくことについては異論は全くございません。ただ、先ほども言ったとおり、余りにも制度によって控除される額が違い過ぎる。お読みになられたと言いますけれども、この本を見ていると、お手軽、お得、やらなきゃ損ですから。こういうことがキャッチコピーとしてふるさと納税についてくる。

 その結果として、それこそ採算度外視で懸命に努力されている地域のNPO法人等々への悪い影響が出るということであるとすれば、私は、これは本末転倒だろうというふうに思いますし、自治体間でそれを奪い合うような、変な形での競争が返礼品の中身によって起こるということも、これも本来の趣旨からすると大きく違うのではないか。

 今は、簡単に言うと、どこにでも寄附を、今住んでいる自治体にすら寄附をできる、こういう制度なんですけれども、せめて、例えば、自分が子供時代に、生まれて大変お世話になったそういう自治体だとかに、あるいは本人と非常に深いかかわりのあるそういう自治体に、地域に限定をするというのも、私は考えるべき方策ではないかなというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

高市国務大臣 例えば、今私の後ろに座っております秘書官は、総務省の仕事の中で以前に出向した経験のある市に対して寄附をしているようでございます。もちろん、自分の生まれ育ったふるさとにもしているということで、二カ所ぐらいにしているんでしょうか。

 確かに、何らかのかかわりがあるそういったところに限定をしてというお話もわかるんですが、それもなかなか、税制上の決め事として要件を付していくとしたら、大変技術的には難しいことであろうと思っております。

 いずれにしましても、ちょっと今回の拡充案が大き過ぎるよという問題意識をお持ちだと思うんですけれども、この個人住民税所得割額の二割という上限の範囲内で特例控除を適用するものですから、住所地団体等の減収と地方交付税の扱いも一定の範囲にとどまる仕組みとして、ある程度合理的な範囲のものとしているところでございます。

 先生の問題意識はよく理解をいたしました。

吉川(元)委員 これについては、私はちょっと危惧を持たざるを得ない側面はあります。ふるさとが豊かな地方になっていくということは私自身も応援したいと思いますけれども、やはりちょっと過熱し過ぎているのではないかなということは一言指摘をさせていただいて、時間がもう余りありませんけれども、次の質問に移らせていただきます。

 地方創生に関してお聞きをいたします。

 今回、年末にまち・ひと・しごとの総合戦略が策定をされて、補正と合わせまして来年度の予算は一兆円の予算計上というふうになっております。

 ただ、この間、たくさんの地方再生のための振興策が行われてまいりました。大合併であるとか、あるいは三位一体の改革、さらには地域の再生制度、それからコンパクトシティーの形成支援事業や地方中枢拠点都市構想など、いろいろあったわけですけれども、そういうのがあった上で、さらに今、地方創生ということになりますと、やはり、これまでの施策が十分に期待するだけの効果を上げてこなかったというふうにも思います。

 なぜそういう効果が上げられなかったのか、この点についての大臣のお考えをお聞きします。

桝屋委員長 時間の関係もございますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 はい。

 三位一体改革は、国から地方へという大きな流れの中で、税源移譲の実現によって地方の自主財源の強化、それから補助金改革によって地方の自由度の拡大といった改革を通じて、地方の自立や地方分権を図るものでありました。一方で、やはり地方交付税の削減が急激に行われたこともあって、財政力の弱い地方団体には厳しい面もあったということは認識をいたしております。

 また、平成の合併によって、市町村の規模は総じて拡大をして、一定の行財政基盤の強化は図られた。一方で、ちょっと山間部などで行政サービスが十分じゃないといったお声も伺っております。

 いずれにしても、総務省の過去の政策は、地方に対してさまざまな効果もあり、一部、課題も生んだと認識をいたしております。一概には言えませんけれども、日本経済をめぐる環境の変化ですとか、少子高齢化の流れですとか、産業構造の問題ですとか、さまざまな要因があって地方の現状があると思っております。

 やはり、もう今の時代に合わなくなったもの、こういったところ、新たな課題が出てきたところ、そういったところはしっかりと見据えながら改善をしてまいります。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

桝屋委員長 午後四時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時十五分開議

桝屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菅家一郎君。

菅家委員 自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 大臣は予算委員会でお疲れと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、地方創生についてでございますけれども、私は、我が国の人口減少問題、これはやはり国家の最重要課題である、このように考えているわけであります。

 ですから、若い世代に就労や結婚、そして子育て、これを支援し、いわゆる出生率とか出生数をふやすということを共通の目標とされて、そしてその成果に結びつくようさまざまな政策を取りまとめ、そして生かして推進することが重要である、このように考えているわけであります。その実現に向けて、各省庁のいわゆる縦割りを排除して、全省一丸となって、かつワンストップ型の政策を展開すべきであると思います。

 また、地方自治体等が主体的に取り組むこと、これを基本にしておりますので、地方創生の推進体制における総務省の役割は重要である、私はこのように考えておるわけでありますが、総務大臣はどのような役割をそういった意味で担われるのか、またリーダーシップを発揮されて積極的に推進してほしい、このように考えておりますが、大臣のお考えと御決意をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 やはり、地方創生の実を上げていくというためには、アベノミクスの成果を全国にしっかりと届けるということと、委員御指摘のとおり、各地域が個性を生かして、実情に応じた取り組みをしっかり行っていただける、その環境をつくることが重要だと思っております。

 ですから、地域において雇用を生み出す、所得をふやしていく、そういった産業対策、これも行っていく必要がありますし、あとはやはり地方公共団体が自主性、主体性を十分に発揮して、きめ細やかな施策を展開できるようにしっかりと支援を行うということが、総務省の重要な役割だと思っております。

 この二年間のアベノミクスの成果はあらわれつつありますけれども、この流れを確かなものにする。そのためには、まさに今が正念場でございます。人口減少についても、かなり私たちが心配になる数字が昨年発表されましたが、あれは何も手を打たなかった場合にはああなりますよ、今ならまだ間に合う、打つべき手を打っていけば変わってくる、私はそう考えています。

 だから、安心して生活ができて、学べて、働けて、子育てができる、そういう地域が全国各地にたくさんできてくる、次世代に引き継いでいける。そのために、関係省庁ともよく連携をしながら、地方創生の中心的な役割を総務省が担う、その気概を持って取り組んでまいります。

菅家委員 ぜひ、本部員というのは全ての国務大臣がなっているわけですが、その御決意を持ってどうかリーダーシップを発揮されて、よろしくお願いしたいと思います。

 次は、ことしの冬、日本列島が豪雪に見舞われたわけでありますけれども、私の地元でも、実は、おじいちゃんが自宅前の除雪作業を機械でやっていて、お孫さんが出てきて事故で亡くなってしまうという事故が起きました。それから、やはり機械に乗っていて巻き込まれたんですかね、それでお亡くなりになったような事故もありまして、本当に痛ましい事故が地元で起きたわけであります。本当につらい、厳しい冬だった、このように思っております。

 また、各自治体では、多額の除雪経費で予算をオーバーしているわけでありまして、除雪費への特別交付税、これが前倒しで交付されたことは大変皆さん喜んでおりますし、評価していきたいと思います。

 今後の特別交付税交付に当たりまして、かなり予算がオーバーしておりますので、しっかりと財政支援をしていただきたいと思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の基準財政需要額の算定において、標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、三月の特別交付税によって措置することにしております。

 今一生懸命、各地方団体では道路などの除雪にも取り組んでいただいているんですけれども、先月二十五日、平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体の中で、希望のあった百二十一市町村に対して、当面の資金繰りを円滑にするということで、三月に交付すべき特別交付税の一部を前倒しで交付いたしました。

 除排雪経費については、命にかかわることでもございますので、できる限り実態を反映した所要見込み額というのを把握して、除排雪経費が多額に上る地方団体の財政運営に支障が生じないように、三月分の特別交付税でしっかり対処してまいります。

 また、高齢者の方々の屋根の雪おろしによる痛ましい事故が多発しておりますので、今年度から、高齢者等の雪おろし支援の算定項目、独立した算定項目を新たに創設しまして、措置率八割ということで、高齢者の雪おろしへの支援を拡充することにいたしました。

 各地方団体におきましてこの制度をしっかりと活用していただきたいと願っております。

菅家委員 大変心強いです。よろしくお願いしたいと思います。

 次は、平成の合併から十年を経過したわけでありますが、当時、私、地元の市長として合併を推進してまいりまして、県内では合併第一号となったわけでありますが、それから十年経過して、いわゆる合併算定がえの特例期間が終了するわけでありますが、交付税が減少することになりますと、私の地元でちょっといろいろな問題があるのは、合併してエリアが広くなって、広くなったところも過疎になっているんですね。そのために消防署を統廃合しなくてはならないかなという話も出ているわけであります、過疎地域なものですから。

 しかし、消防のような行政サービスを行うことができるように、国民の生命と財産を守り抜くというためにも、合併算定がえの特例期間終了後の交付税算定について見直しが必要である。

 総務省においても、そのために検討されてこられたわけでありますが、今後どのように対応されるのか、お考えをお示しいただきたいと存じます。

高市国務大臣 あの平成の合併から十年近くが経過いたしますことから、平成二十六年度以降、合併算定がえの特例期間が終了して、段階的に一本算定に移行する団体が大幅に増加しているところでございます。

 総務省としては、この平成の合併によって市町村の姿が大きく変わったということを踏まえて、合併後の市町村の財政需要を的確に把握して普通交付税の算定に反映することにいたしております。

 具体的には、やはり、支所に要する経費ですとか、人口密度が低いことによって割高となってしまう経費について、平成二十六年度以降五年程度の期間をかけて反映するという方針を昨年お示ししました。支所に要する経費の算定は、平成二十六年度から先行的に実施をいたしました。

 平成二十七年度におきましては、まさに委員がおっしゃった話なんですが、消防費、そして清掃費などについて、三年間かけて見直しを行います。

 合併団体における旧市町村の消防署、出張所についても、事務の性格上、この合併による統廃合が困難であるという実態を踏まえまして、旧市町村ごとに、所管区域の人口に応じて消防署の維持に必要な経費を算定して、これを合併団体の基準財政需要額に加算することにしています。

 さらに、二十八年度以降も、保健衛生費ですとか小中学校費などについて、これも市町村の面積の拡大に対応した見直しを行いまして、順次交付税算定に反映する予定でございます。

菅家委員 その対応であれば大変助かる自治体があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、過疎の自治体ですね。過疎の自治体のみならず、ほとんどの自治体で人口減少が続いておりますので、いわゆることしの国勢調査の結果が交付税算定に反映されることで、交付税が急激に減少する、財政運営が成り立たなくなるのではないか、このように心配をされておられます。

 そのような団体に対しまして、現在の交付税の算定においてどのような措置が講じられるのか、お示しいただきたいとともに、もう一点は、人口減少が急速に進んでいる過疎の自治体では、基礎的な行政サービスを提供できるようにするということだけではなくて、人口減少にいわゆる歯どめをかける、少しでも地域が活性化するための施策が一方では必要なのではないか。そのような取り組みに対しまして、交付税による支援が必要であると思いますが、あわせてお考えをお示しいただきたいと存じます。

高市国務大臣 地方創生、人口減少克服という我が国が直面する課題に対応するためには、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して、地方の実情に応じた施策を展開していただくことが必要なんですが、このような観点から、平成二十七年度の地方財政計画の歳出に、新たにまち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上するとともに、普通交付税において、新たに人口減少等特別対策事業費を創設しまして、各地方公共団体が人口減少対策に取り組むための財政需要を算定することにいたしております。

 この算定に当たりましては、人口を基本とした上で、各地方公共団体におけるまち・ひと・しごと創生の取り組みの必要度と取り組みの成果を反映して算定することにしています。

 具体的には、各地方公共団体がこれからまち・ひと・しごと創生に取り組んでいかれるということを踏まえまして、二十七年度においては、取り組みの必要度に応じて手厚く配分する。そして、既にまち・ひと・しごと創生に積極的に取り組んでおられる団体にも配慮して、これまでの取り組みの成果についても算定に反映させるということにいたしております。

 そしてまた、過疎地域、非常に厳しい状況でございます。これも、昭和四十五年に過疎地域対策緊急措置法が制定されてから、累次の過疎法に基づいて総合的な対策を講じてきております。

 具体的には、過疎対策事業債については、平成二十二年度から、従来のハード事業に加えてソフト事業への活用が可能となり、そしてまた、平成二十六年度から、ハード事業の対象事業も拡充されました。

 平成二十七年度の地方債計画において、公共施設の老朽化対策への対応ですとか、地方創生、特に仕事づくりに寄与する事業等を推進するために四千百億円、これは対前年度比プラス五百億円、一三・九%増を計上させていただいております。

菅家委員 やはり私の地元は過疎地域が多いものですから、どうかひとつ光を当てて、守るものは守り、そして活性化、人口減に歯どめをかける対策にお力をいただきたいと存じます。

 次は、東京一極集中を是正するために、データセンター地域分散化促進税制を延長することは、民間事業所の移転促進につながり、大変期待をしているところであります。

 そこで伺いますが、まず隗より始めよのことわざがありますように、政府機関も対象に、率先して地域に分散することを検討すべきではないか、このように考えますが、お考えをお示しいただきたいと存じます。

桝屋委員長 内閣官房新井まち・ひと・しごと事務局次長、時間が来ておりますから、簡潔に。

新井政府参考人 政府機関の地方への移転の御質問でございますが、昨年十二月二十七日に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、政府機関の移転につきましては、地方の自主的な取り組みを基本とし、国がこれを支援するという基本方針にのっとり、道府県等から提案を受けて、地方創生に資する機関の移転、地方拠点の設置を図るとされたところでございます。

 これを受けまして、先般、誘致提案の御紹介をしたところでございまして、今後、八月末までに道府県等から、政府機関としての機能が確保される等の地方移転につきまして御提案をいただくということとしたところでございます。

 その後、道府県等からの御提案を精査し、必要性、効果の検証を行った上で、まち・ひと・しごと創生本部におきまして、来年度末までに具体的な移転について決定することとしているところでございます。

菅家委員 時間になりましたので、大臣、深刻な人口減少問題、これに対して、石破大臣とも連携を組んで、リーダーシップを図って、どうかひとつ大いに活躍されますことを御期待申し上げまして、終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地でございます。

 きょうは、私が最後の質問者でありますので、時間厳守でやりたいと思います。

 大臣、大変お疲れのところ、済みません、ちょっと細かい話からさせていただきます。大変申しわけございません。

 地方自治体の入札にかかわるといいますか、入札以外の、随意契約の金額の上限についてお話をさせていただきたいと思います。

 地方自治体だったら地方議会でやったらどうだと思うんですが、実は、地方自治法に、地方自治体が発注できる随意契約、入札によらない工事の発注の上限額が決められております。御存じのことと思います。地方自治法の二百三十四条にその定めがありまして、実際、この金額というのは政令で定められております。昭和二十二年に、随意契約ができる上限というものが定められました。

 現在は、例えば工事や製造の請負につきましては、都道府県や政令指定都市の上限は二百五十万円となっております。二百五十万円になったのは昭和五十七年でございまして、昭和五十七年以降これが改定されていないまま現在に来ておるわけでございます。

 きょう私が話す中で、決して、これを大幅に上げてくださいという話はいたしません。なぜかといいますと、当然、公金を使う工事でございますので、入札というのが原則でございます。

 その中で、随意契約が決められた趣旨は、まずは行政コスト、入札をするよりも随意契約で行った方がやはりコストが、手間がかからないというのが一点あろうかと思います。それともう一つは、地域の小さな仕事と言ったらおかしいんですが、例えば公民館が台風で壊れたのですぐにこれを補修してほしいといった需要があったときに、わざわざ入札をしておっては時間もかかりますし、やはり地元の、よく事情を知る、いろいろな材料を早く調達できる業者の方にやっていただくのがよかろうということで、この随意契約という制度があるわけでございますので、その趣旨はやはりしっかりと守っていかなきゃいけないと思っています。

 何を言いたいかといいますと、昭和五十七年といいますと、まだ消費税がない時期でございました。当然、この二百五十万円というのは税込みの金額でございます。その後、平成元年に消費税が導入されて、その後五%、八%、そして二年数カ月後には一〇%に上がるわけでございますが、そうなると、事実上、この二百五十万が税込みでありますので、実際に随意契約できる金額の範囲というのは目減りしているというふうにやはりどうしても私の目には映ってしまいます。

 そうしますと、地方自治体の方から、本当は二百五十万これまでは随意契約で仕事が出せたんだけれども、実際のところ、消費税がどんどん上がっていく中、実際は二百四十万とか二百三十五万とかでしか発注できなくて、地方自治体の方で随意契約するに当たって少し支障が出ている、そういう声はまずないかどうか、それを御確認させていただきたいと思います。

高市国務大臣 現在のところはまだ、地方公共団体から、能率的な行政運営が阻害されているといった声は伺っておりません。

浜地委員 私は、地元は、福岡市に住んでおりますが、福岡市は実際に福岡市の契約事務規則で上限金額を二百五十万としておりますが、例えば同じ福岡県にある北九州市は二百万というふうに設定しておるようで、まだ国が決めた上限より幅のある自治体もありますので、まだまだそういった形で余力のある、金額の幅のある自治体もございます。

 しかし、業者の側から見ますと、実際は、最近建築単価も上がっております。そして、特に建築関係でありますと、人件費も上昇しているというのがやはり現実だろうと思います。

 その中で、入札工事ですと、そういった人件費や資材の高騰に合わせて、総額といいますか予定金額というのは上昇していくことができるんですが、随意契約になりますと、二百五十万という上限が決められてしまっているので、どうしても業者さんの負担になっているという声も、現実問題として、私の方に寄せられております。

 ですので、やはり今後は、建築単価や人件費、そういったものを見ながら、また経済状況の全体の物価も見ながら、そういった改正の必要があれば、これは政令で決められておりますので、自治体の声も聞きながら、そういった声が上がってきたときにはこの政令改正に向けて検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 そもそも、この要件は、余り予定価格の少額な契約についてまで競争入札を行いますと能率的な行政運営を阻害するということで、調達に関する事務の簡素合理化を目的として設けられております。

 現行の地方自治法施行令で定める随意契約が可能な契約の種類及び額については、国の随意契約の要件ですとか地方公共団体の財政規模などを勘案して定められたものでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、今のところはまだ地方公共団体から特に困っているというお声を伺っていないんですが、今後、社会情勢などが大きく変動し、また地方公共団体の御意見が来たり、あと、国における随意契約の要件の見直しの状況などがあったりしましたら、そういったことを勘案しながら基準額を見直すことも考えられると思っております。

浜地委員 今、大臣より御答弁をいただきました。

 当然、これは地方自治体が出す工事でございますので、地方自治体の方から不都合が生じているという声がないと、やはりなかなか改正というのは難しかろうと思っておりますけれども、昭和五十七年から変わっていませんので、やはり確実に物価も上がっておりまして、経済状況やいろいろな物価等価格を見ながら、今後そういった声が上がればという条件をつけていただきましたので、そういう時期が来れば、改正に向けて動いていただければ、そのようにお願いをしたいと思っております。

 次の質問に行きますけれども、光ファイバー等の利用促進について質問をいたします。

 大臣は、まず、テレワークの推進を今回進めたいということで、私もこれは大賛成でございます。そして、例えば過疎地の教育だったりといったものにも、やはりこういった光ファイバーというものが非常に重要なインフラだろうと思っています。

 きょうも、朝、テレビを見ておりましたら、小学生が使う教材、要は、これはまだ塾の教材でございますけれども、そういったものにインターネットを使って教育を行うという取り組みがもう始まっております。もしかすると、やはり公教育においても、いろいろな公立学校においても、今後は、例えば、優秀な授業をする教師の授業を、過疎地の子供がiPad等を見ながら、済みません、固有名詞を出しましたけれども、そういったモバイルを見ながら授業を受けて、均一な教育を受けられるというのは非常に重要なことだろうと思っています。

 私が何を質問したいかといいますと、固定系の超高速ブロードバンドは、果たして、これから大臣が進められるテレワークや、いろいろな光ファイバーを使ってのさまざまな情報発信にたえ得るだけの整備状況に今日本全体はあるのか、そして利用状況、どれぐらいの余力が今あるのかというのは気になるところでございます。

 そこで、固定系超高速ブロードバンドの全国の整備率と利用率は現状どうなっているかをお答えいただきたいと思っています。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、テレワークの推進、それから教育、さらに医療など、さまざまな分野へのICT利活用の促進を図るためには、光ファイバー等の固定系超高速ブロードバンドの利用環境の整備は重要である、こういうふうに認識しております。

 平成二十六年三月末現在の固定系超高速ブロードバンドの整備率は、約九八・七%でございます。利用率は、約五一・一%でございます。

浜地委員 お答えをいただきました。固定系の超高速ブロードバンドの整備率は何と全国で九八・七%ということで、ほぼ全国で超高速ブロードバンドが使えるという状態にございます。

 片や、利用率を見ますと、今五一・一%というお答えをいただきました。半分ぐらいの利用率ということになりますので、まだまだこれは利用を促進できるという数値であろうと思っております。

 アメリカ等を見ますと、光ファイバーではなくてADSL等を使っているところもありますけれども、やはり日本というのは、光ファイバーを使って非常にスピードの速いネット環境等を享受できているものでございますので、こういったものを通じて、今後は、海外にも展開できるような、そういった仕組みも必要ではないかと思っています。

 海外への展開につきましては、これから法案が出ます機構の方でまた吟味をさせていただきたいと思っております。

 そして、今、九八・七%の固定系超高速ブロードバンドの整備率ということになったんですが、そうなると、残り一・三%はまだ未整備ということで、前回も私はお話をさせていただきましたが、公明党の離島対策本部で行ったときに、やはり離島地域ではまだブロードバンドが来ていないというところに直面をいたしました。

 これは、民間業者がもうやらないということだそうでございます。ですので、国の助けをかりて、また過疎債等を利用しながら、何とか自治体の力でやっていかなきゃいけない地域でございますけれども、こういった小さな島やまた条件不利地域の皆さんは、ブロードバンドを引いても、その後の維持または整備についてどれぐらいコストがかかるか、やはり非常に心配をされておりました。

 そこで、最終的に一〇〇%の超高速ブロードバンドの整備を目指すに当たって、こういった条件不利地域とか離島とかについては、具体的にどういうアクションといいますか、どういった助言等を行っていらっしゃるのか、最後に御質問をさせていただきます。

高市国務大臣 実は、まさに今、総務省が自治体への意向調査を実施しております。

 やはり光ファイバーなどの固定系超高速ブロードバンドの整備に対するニーズは高うございます。ただ、自治体ごとに、整備時期に対する意向ですとか、あと、さっきおっしゃった整備基盤の維持に関する課題など、事情は異なります。

 条件不利地域でICT利用機会の格差があってはいけないと考えておりますので、補助率が離島などでは高いことも、そして過疎債を活用して、実質的には、離島でしたら自治体の負担は一割で整備できますし、過疎地域でも二割で整備できますので、そういったことも周知し、また、利用していただかなきゃ何にもなりませんので、利用に関して先進事例も横展開をしていきながら、必要な財政需要がはっきりしましたら、それにお応えをしてまいりたいと思っております。

浜地委員 残りの一・三%のところは、恐らく、やりたいんだけれども、どういう進め方がいいんだろうかというふうに、迷いもあるかと思います。ですので、総務省の方とも、また、しっかりこういった自治体と相談をしていただいて、相談体制をしきながら、一〇〇%を目指して取り組んでいただければ、そのように切に念じます。

 ちょっと早いですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十七年度地方財政計画について説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十七年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済状況等を踏まえ、地方創生に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障の充実分等を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取り組みと歩調を合わせて歳出抑制を図ることとしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分の全額を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針のもとに、平成二十七年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ一兆九千百三億円増の八十五兆二千七百十億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ四百四十三億円増の二兆六十億円などとなっております。

 以上が、平成二十七年度地方財政計画の概要であります。

桝屋委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却と経済再生、地方創生への取り組み、経済再生と財政健全化の両立などの観点から、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方法人課税の改正であります。デフレ脱却と経済再生に向け、法人事業税の所得割の税率の引き下げと外形標準課税の拡大等を行うこととしております。

 その二は、地方消費税率引き上げ時期の変更等の改正であります。経済再生と財政健全化を両立するため、地方消費税の税率引き上げの施行日の変更及び消費税に係る地方交付税の率の変更等を行うこととしております。

 その三は、個人住民税の改正であります。地方創生に向け、地方団体に対する寄附金に係る寄附金税額控除の拡充を行うこととしております。

 その四は、車体課税の改正であります。環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税の税率の軽減等の特例措置について、所要の見直しを行った上、適用期限を平成二十九年三月三十一日まで延長することとするほか、環境への負荷の少ない軽自動車を対象とした軽自動車税の税率を軽減する特例措置の創設、二輪の軽自動車等に係る軽自動車税の税率の引き上げ時期の一年延期等を行うこととしております。

 その五は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。平成二十七年度の評価がえに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続することとしております。

 その六は、狩猟税の改正であります。有害鳥獣捕獲従事者の確保を目的として、一定の狩猟者登録に係る軽減措置を平成三十年度まで実施することとしております。

 そのほか、猶予制度及び個人住民税等における還付加算金の起算日の見直し等の納税環境の整備、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の確保に資するため、所得税、法人税、酒税及びたばこ税に係る地方交付税の率を変更する等の措置を講ずるとともに、地方交付税の総額の特例措置を講ずるほか、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用等を改正することにあわせて、東日本大震災の復旧復興のための財源として震災復興特別交付税を確保する等の必要があります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、地方交付税の率の変更等につきましては、所得税の収入額に対する地方交付税の率を一・一%引き上げ三三・一%とし、法人税の収入額に対する地方交付税の率を〇・九%引き下げ三三・一%とし、酒税の収入額に対する地方交付税の率を一八%引き上げ五〇%とし、たばこ税を地方交付税の対象税目から除くこととしております。

 平成二十七年度分の通常収支に係る地方交付税の総額につきましては、地方交付税の法定率分に、地方の税収の状況を踏まえて行う加算や地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額、法定加算額及び臨時財政対策のための特例加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十六兆七千五百四十八億円とすることとしております。

 また、平成二十八年度から平成四十二年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を改正するとともに、財政投融資特別会計の投資勘定に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金について、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れの特例を設けることとしております。

 さらに、地方創生に要する経費の財源を措置するため、地域の元気創造事業費に加え、当分の間の措置として人口減少等特別対策事業費を設けるほか、平成二十七年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 あわせて、平成二十七年度分の東日本大震災に係る震災復興特別交付税の総額につきましては、平成二十七年度において新たに五千八百九十八億円を確保することとしております。

 さらに、公営競技を施行する地方公共団体の地方公共団体金融機構に対する納付金の納付制度を五年間延長することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

桝屋委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十三分散会


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