衆議院

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第6号 平成27年3月13日(金曜日)

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平成二十七年三月十三日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    秋本 真利君

      池田 道孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   復興副大臣        長島 忠美君

   総務副大臣        二之湯 智君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           海堀 安喜君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            吉田 雅彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  土屋 正忠君     秋本 真利君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     土屋 正忠君

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君及び日本放送協会会長籾井勝人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、総務省自治行政局公務員部長丸山淑夫君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長平嶋彰英君、情報流通行政局長安藤友裕君、国土交通省大臣官房審議官田村計君、大臣官房審議官海堀安喜君、観光庁観光地域振興部長吉田雅彦君及び環境省自然環境局長塚本瑞天君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、地方税法等の一部及び地方交付税法等の一部を改正する法律案等について、デフレ脱却、経済再生、地方創生にとってどうする方がベターなのかという観点から質問いたしますので、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 初めに、地方税法等の一部を改正する法律案に係る税制改正案についてでございます。

 一つ目は、法人実効税率の引き下げについてであります。

 今回、平成二十七年度を初年度とし、数年で法人実効税率を二〇%台まで引き下げを目指すとして、法人税率と法人事業税所得割を合わせて、二十七年度マイナス二・五一%、二十八年度マイナス三・二九%引き下げるわけでありますけれども、税収額そのものはそれぞれ大きな変化はないと伺っておりますが、それに間違いありませんか。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、二十七年度改正では、国の法人税率につきまして、現行の二五・五%から、二十七年度以降は二三・九%に引き下げる一方で、その財源としまして、課税ベースの拡大、すなわち、一つは欠損金の繰越控除の見直し、二番目には受取配当の益金不算入の見直し、三番目には租税特別措置の見直し、これらによって確保することとしております。

 なお、このうち欠損金の繰越控除の見直しにつきましては、段階的に行っていくということでございまして、ほぼ財源がフルに確保されるのは平成二十九年度以降ということでありまして、二十七年度及び二十八年度におきましては、企業部門に対して、各年度大体二千六十億円程度の先行減税になるという設計になっております。

福田(昭)委員 せっかく実効税率を引き下げるのに税収額に変わりがないということは、法人税率を引き下げる意味というのはどこにあるんでしょうか。

宮下副大臣 今回の法人税改革の考え方でありますけれども、単に減税をするということではなくて、課税ベースを拡大して財源を確保しつつ税率を引き下げる。このことで、今は一部の黒字企業に税負担が偏っている状態でありますけれども、これを是正して、広く法人課税を分かち合う、こういう構造にしようというものであります。

 一例を挙げますと、大企業における欠損金の繰越控除限度額見直しでありますけれども、これは、過去に欠損がある場合、その繰越控除によって課税ベースが大きく侵食されております。それで、過去に借金があった企業と同じ利益でも税負担がかなり違うということで、一部の法人に逆に税負担が大きくなっている。こういうことをある程度調整していこうということでありますし、それから、この限度額引き下げによりまして、一定以上の利益を頑張って上げないと欠損金を引き切れない、こういうことにもなりますので、頑張って収益構造を改善して利益の上がる体質にやっていこうというインセンティブがより強まるというふうに考えております。

 こうした改革をすることによりまして、稼ぐ力のある企業をふやしていく、そして、そうした企業の税負担を軽減すると、また前向きな投資も生まれてきますし、そのことによって継続的な賃金アップをしてもらったり、また、下請企業の皆さんに対して、今円安によるコストアップに苦しんでいる企業の皆さんとの取引がある会社も多いですけれども、そうしたところの価格転嫁が円滑にできる、そういったことも期待できるのではないかというふうに考えております。

 今申し上げましたように、今回の改革は成長志向型の改革ということでありまして、これと同時並行でコーポレートガバナンスの強化とか政労使会議における取り組み等々もやっておりますけれども、こういったことを一体にして、賃金も上がり、そして地方にもお金が流れていく、こうした改革にしていきたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 副大臣からそのようなお答えをいただきましたけれども、しかし、考え方は違うと思うんですよ。やはり税金の基本は、担税能力のある企業に、あるいは担税能力のある人に負担をしていただくというのが基本ですから、赤字法人まで拡大して税金を納めさせようという考え方は、私、間違っていると思います。

 財務省がつくった資料を見ますと、より広く負担を分かち合い、稼ぐ力のある企業等の税負担を軽減することで、企業の収益力を向上させる取り組みを後押しするんだ、こう言っておりますけれども、しかし、この企業が、その後もありますけれども、社員の賃金向上、引き上げに、まあ少しはやっておりますが、実はこの二年間ほとんど貢献していないんですね。

 きょう、私どもの前原委員が予算委員会で安倍総理にも指摘しました。この二年間、企業の利益はどこへ行ったのか、賃上げの実感はあるのかという資料を示して安倍総理に質問をいたしましたけれども、安倍内閣が始まってからの二年間、企業の経常利益は何と一四一%上がりました。しかし、内部留保金も一二一%上がりました。そして、設備投資は一〇七。実は、人件費、給与、これは九七、全然上がっていない。

 まさに、ですから、稼ぐ力のある企業を応援したからといって賃上げにすぐつながっているような状況にはない、内部留保だけは確実に高まっている、こういう状況がありまして、そういった意味では、やはり稼ぐ力のある企業からそれ相応の税負担をしていただくというのが基本じゃないですか。いかがですか。

宮下副大臣 先生御指摘でございまして、今、この二年間、アベノミクス効果で利益剰余金が大きく膨らんでいる、その使途についてどうあるべきかというのは、おっしゃるとおり、大きな課題だと思います。

 後で御質問があるかもしれませんけれども、給与を上げていただいた場合には減税をするとか、そういったことも含めて政策としては打ち出していますし、前向きに研究開発をする、設備投資をする、そして、地方分権改革を後押しするという意味で、地方に本社を移したり人員を移した場合にメリットがあるような税制も打ち出しております。

 方向としては、得られた利益を前向きな投資に使っていただこう、民間の知恵や活力でやっていただこうということなので、利益が上がったところはごそっと税金でいただきますよという話だと、では、そんなに頑張って利益を上げなくてもいいかみたいな話になってしまうと本末転倒でありまして、まずしっかりもうけていただき、そして前向きな使い方をしていただく。いろいろな政策を合わせわざで打ち出して、ぜひ社会全体の経済の好循環が実現できるように頑張っていきたいと考えているところでございます。

福田(昭)委員 これだけやっていると時間がなくなっちゃいますからやめますけれども、安倍総理が法人実効税率を二〇%台に引き下げますと国際公約しちゃったので、仕方なくてこんな知恵を絞ってやったのと違うんですか。さすがに財務省と総務省は頭がいいなと私は思っていますよ。

 せっかく税率を下げても税収に変わりがないんだったら、やる意味というのはほとんどないんじゃないですか。これではまるで粉飾税率引き下げ、こういうふうに言ってもいいような話だと思いますよ。

 ですから、そういう意味からいうと、財政の健全化も考えるんだったら、法人税についても、今、資本金一億円以下とそれ以上との二種類でしかいただいていませんけれども、これに累進性をやはりちゃんとつくって、もうかる企業からはしっかりそれなりの負担をしていただくということが大事だと思いますね。

 よく、もうかる企業だとか大金持ちに税負担を多くするとみんな海外へ逃げていっちゃう、こういう話がありますが、このことについては、やはり国際的な関係の中でしっかり税金を企業に納めてもらうという仕組みもつくらなくちゃならない、こういうふうに思っています。

 まさに、巨大企業が全く税金を納めない、こういう企業も出ているくらいでありますから、しっかり、それなりの負担能力のある企業には税金をちゃんと納めてもらう、そういう税制改正をやらないとだめだというふうに私は思っております。

 次に、二つ目でありますが、二つ目は、法人税改革における賃上げへの配慮についてであります。

 法人税の所得拡大促進税制については、今までどのように活用され、どのように効果があったのか、またどのように改善しようとしているのか、宮下副大臣の方からお答えをいただきたいと思います。

宮下副大臣 所得拡大促進税制につきましては、平成二十四年度の比較で給与等支給額を増加させた企業に対して税額控除を認める、こういう制度でありまして、二十五年度税制改正で創設をいたしました。これは、二十六年度税制改正、そして今般の二十七年度税制改正で、これが使える要件というのを累次緩和してきておりますので、そこのところはさらに利用が広がると思っております。

 とりあえず、データがとれるのは決算ベースで二十五年度の適用実績でありまして、初年度の創設時の制度を使ったところがどれだけあるかというところであります。これは、前年対比五%以上給与を引き上げたところしか使えないという結構厳しい要件だったんですが、それでも約一万一千件、うち中小企業が約一万件、こういう利用実績がございます。

 これをさらにこういう方向でもっと多くの企業に、五%は上げ切れないなというお声もありまして、二十六年度税制改正で適用条件を緩和いたしました。こうしたことを累次やって、それは春闘での賃金アップを後押しするということにも私はつながっているのではないかなというふうに思います。

 二十七年度税制改正でも、今言いました条件はさらに緩和をしております。

 具体的に言いますと、二十七年度では……(福田(昭)委員「できるだけ簡潔で結構です」と呼ぶ)済みません、はい。中小でいえば、三%引き上げていただければこのメリットを使えるということでありますし、大企業でも、今は三%、四%、五%と、ちょっとそこは足切りは上がっていきますけれども、足元は三%、四%の賃上げでもこのメリットが得られるということで、さらに活用いただけるものと思っております。

福田(昭)委員 私も、デフレを脱却するためには、やはり賃上げと、もう一つは、日本の場合は官民ともに固定資本がもう減価償却しちゃっているんですよね、ですから、こうしたものの更新、この二つが大きなポイントだと思っていますので、賃上げをするということについては賛成なんです。

 しかし、先ほど申し上げたように、せっかく企業が利益を上げても賃上げにつながっていない。これは、この税制がちゃんと生かされることを期待したいと思いますが、そういう意味では、企業はもうけを自分のところでためちゃうんじゃなくて、賃金として労働者に分配するか、税金をちゃんと納めるか、やはりどっちかをやってもらうということが非常に大事だと思うんですね。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充についてであります。

 まさに地域経済を活性化させるために、この外国人旅行者向け消費税免税制度は非常に有効だと思います。昨年の十月一日から全ての品目が免税の対象となり、免税店数が、何と九千三百六十一店と倍増したんですね。

 今回の改正で、商店街や物産センター等において免税手続の一括カウンターを設置することによって、今後、さらなるどのような効果を期待しているのか、観光庁からお答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 外国人旅行者向けの消費税免税につきましての御質問がございました。

 御指摘のように、観光庁では、二〇一四年当初から、地方運輸局の免税店相談窓口の周知、活用の推進、全国各地での説明会の開催などによりまして、免税店の拡大を進めてきたところでございます。また、委員御指摘のとおり、その結果、昨年十月一日現在で、九千三百六十一店とふえているところでございます。

 しかしながら、そのうち約七割が三大都市圏に所在しておりまして、地方における免税店のさらなる拡大が重要であると考えております。

 このため、地方の商店街や物産センターなどの店舗からの要望にも配慮し、第三者に免税販売手続を委託することができる免税一括カウンター制度を創設し、商店街などの店舗でも免税店許可を取得しやすくすることが必要であると考えております。

 観光庁といたしましては、今後も関係省庁と協力をして、地方での免税店拡大に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。

福田(昭)委員 観光庁を初め各省庁には、ぜひ頑張ってほしいなというふうに思います。

 次に、四つ目でありますが、四つ目は、消費税率引き上げ時期の変更についてであります。

 今回、ことしの十月一日に引き上げるのを、二十九年の四月一日に完全実施をするということで引き延ばしたわけでありますが、この際、税制抜本改革法の附則第十八条三項の景気判断条項を削除したということであります。

 私は削除すべきではないと思っておりますが、いかがですか。

宮下副大臣 御指摘の、平成二十九年の四月の消費税率一〇%への引き上げにつきましては、一つには、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、二つ目、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、こうした目的のために、景気判断条項を付すことなく、確実に実施するということを決めさせていただいたということであります。

 一〇%への引き上げを確実に実施することのできる経済状況をつくり出す、その決意を持って、三本の矢の政策をさらに前に進めて、経済再生と財政健全化の両立をしっかり目指してまいりたい、それを示すものとして景気判断条項を除かせていただいたということでございます。

福田(昭)委員 これも非常に心配な話ですね。

 まず、アベノミクスが失敗することは多くの人が認めておりますから、本当にとてもじゃないけれども、二十九年の四月一日に消費税を一〇%に上げるようなことはできないと思いますよ。

 したがって、やはり景気判断条項を入れておかないと、日本の経済を破壊させる、私はそう思っておりますので、大変心配であります。

 これは通告していないんですけれども、私は、消費税に頼る税制は見直さないとだめだと思っています。なぜかと申し上げると、消費税は非常に重い税金でありまして、平等ではありますが、公平ではありません。

 例えば、消費税は、それこそ所得も生産もしていない赤ちゃんから年金暮らしのお年寄りまでいただくのが日本の消費税です。ヨーロッパの消費税は付加価値税ですから、軽減税率も入っています。しかし、日本の消費税はそれが入っていないんですね。ということは、まさに不公平な税制なんです。

 したがって、日本の消費税の税率を上げれば、必ず景気を押し下げる効果がある。しかも、消費税は、第一波の押し下げだけじゃなくて、第二波も第三波もある。したがって、経済を上昇させるようなことを引き下げる働きをするのが日本の消費税です。ですから、消費税に頼って、これから一〇%あるいは一五%にしていったら、日本の経済は絶対よくなりません。

 そういった意味で、今までの過去の日本の国の税収を見ても、やはり直接税が一番税金が入っています、所得税とか法人税とか、あるいは相続税とか金融課税とか。こちらの方がちゃんと税金が入ります。

 内閣府が平成二十四年に試算した、平成元年度に消費税を導入してから、所得税とか法人税とかを減税していったわけですね、そうした制度改正なかりせば、平成二十四年度の時点で、今でも税収は十四、五兆円入ると試算しています。ですから、今回の消費税五%引き上げは、言ってみれば、財務省からすれば、消費税導入によって下がった税収を消費税五%で何とか大体カバーしよう、私はそういう考えだと思っています。

 しかし、今申し上げたように、消費税は基本的に、経済を押し上げるための税制としては決していい税制じゃありません。

 今既に、国税に占める割合は消費税がトップになりました。その次は所得税、法人税ですね。やはりよく言われるのは、税金はそれぞれバランスよくいただけというのが基本ですよ。八%で一位になっちゃった消費税をこれから一〇%、一五%と上げていったら、断トツで、これはバランスを欠きます。ですから、そういった意味では、やはり税金はバランスよく、それこそ公平なんですね。しかも、累進性を持ってお願いするというのが税金の基本だと思います。

 これは通告しておりませんから答えは結構ですけれども、したがって、消費税に頼る税制をやっていたのでは、経済もよくならないし、財政の健全化も無理だということを指摘しておきたいと思います。

 次に、二番目でありますが、地方税法等の一部を改正する法律案についてであります。

 一つ目は、固定資産税に係る農地の課税の仕組みについてであります。

 三大都市圏の特定市街化区域とそれ以外の一般市街化区域の農地については、平成二十七年から二十九年度の三年間、引き続き宅地並み評価の負担調整をする、三分の一特例を継続させるということになっておりますが、国土交通省所管の生産緑地制度を活用すれば、農家として業を営むことができると思いますけれども、区域区分を定めている市町村でどれぐらい活用しているのか、お伺いをしたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年の三月末時点でございますけれども、都市計画法に基づく線引きがなされている市町村は、全国で六百三十三ございます。これが生産緑地地区を定める可能性のある市町村の数でございますが、その六百三十三のうち、二百十九の市町村において生産緑地制度が活用されてございます。

福田(昭)委員 今のお話を伺いますと、六百三十三のうち二百十九市町村、率にすると三四・六%しか活用していないですね。

 多分自民党の皆さんも検討していると思いますが、民主党も検討しておりますが、やはり都市農業をしっかり振興させようという、議員立法での法律の制定も今これから考えている中で、こうした市街化区域の中にある農家についても、やはりしっかり農業が営めるような対応をすべきだというふうに思いますので、この仕組みの、まずは普及にぜひ力を入れてほしいと思います。

 次に、二つ目でありますが、二つ目は、空き家の除却等を促進するための固定資産税、都市計画税に係る所要の措置についてであります。

 市町村が行う空き家等対策計画に基づく対策の一つとして、特定空き家等に係る土地について、固定資産税と都市計画税の住宅用地特例の対象から除外をするということでありますけれども、ぜひ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでに取り組んでもらいたいことを提案したいと思います。

 それは、我が国が誇る全国の観光地の旅館、ホテルが倒産をしてそのままになっておりまして、景観を著しく害している地域が全国至るところにあります。外国人観光客の誘致目標を一千万から三千万に引き上げた国交省と総務省が協力して、全国の温泉街を再生させるための大プロジェクトをぜひ創成して、二〇二〇年には、外国から来たお客さんが日本のすばらしい温泉街にちゃんと入れるように、ぜひ検討してほしいと思いますが、国交省はいかがですか。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、温泉街の再生に向けて、倒産してそのまま放置されているホテル、旅館等の除却等を進めることは、地方創生にも資することとなると考えております。

 このようなホテル、旅館等を含めた空き家の除却に取り組む地方公共団体に対する予算支援策としましては、例えば、社会資本整備総合交付金の空き家再生等推進事業があります。本事業は、地方公共団体が、居住環境の整備改善を図る観点から空き家を除却し、その除却後の跡地を地域活性化のために計画的に利用する場合に活用することが可能です。

 また、平成二十七年度におきましては、空き家再生等推進事業を活用する地方公共団体の地方負担分につきまして、特別交付税措置の創設が予定されております。

 このように、国土交通省といたしましては、総務省を初め関係省庁と連携し、地域の実情に応じて、地方公共団体による空き家対策に関する取り組みを支援してまいります。

福田(昭)委員 ぜひ頑張ってほしいと思いますが、産業再生機構とか中小企業支援機構とか、こういう組織がありますけれども、こういう組織は、彼らが乗り込んでいって、事業再生ができる旅館、ホテルはやりましたけれども、もう完全にその可能性のないものは、実は廃屋として、一年どころじゃない、何年も放置されたままであります。これをきれいにするということが、やはり日本のホスピタリティーをしっかり高めることにもつながりますので、ぜひ検討してほしいなというふうに思います。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は、有害鳥獣捕獲従事者に係る狩猟税の軽減措置についてであります。

 今回、非常に頑張ってくれて、対象鳥獣捕獲員と認定鳥獣捕獲等事業の従事者については非課税とするという判断をしていただきましたが、しかし、鳥獣保護法第九条に基づく許可捕獲の従事者については、やはり相変わらず二分の一課税をするということであります。

 今、現在の農山村における鳥獣被害は、それこそ想像を絶するようなものがあります。ですから、そういった意味では、この対策にもあるように、何といっても捕獲を支える人材を確保する、これが非常に厳しい環境にあるわけでありますから、これもぜひ非課税にすべきだというふうに思いますが、いかがですか。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおり、想像を絶する深刻な状況だということでございます。我々もそのことを認識し、その意味では、鳥獣捕獲対策の強化は重要でございます。

 これまでも、有害鳥獣捕獲に従事する対象鳥獣捕獲員については、狩猟税を通常の二分の一にするなど配慮を行ってまいりました。

 それらを踏まえながら、今般、環境省及び農林水産省により、抜本的な鳥獣捕獲強化対策、これは平成二十五年十二月でございますが、これが策定をされて、平成三十五年度までにニホンジカ、イノシシの個体数を半減する目標が設定されたこと、これらを踏まえて、この鳥獣の捕獲対策を強化する観点から、従事者の確保に資するよう、時限的に平成三十年度までの狩猟税の負担軽減措置を講ずることとしたところでございます。

 今般の改正についてでございますけれども、捕獲等を専門に行う市町村職員である対象鳥獣捕獲員並びに鳥獣保護法の改正により新たに創設される認定鳥獣捕獲等事業者の従事者、これについては、主として捕獲に従事するという点を踏まえて課税免除といたしました。

 他方、許可捕獲者は、農家等が自衛で行うケースもあるなど活動の制約が少ないこと、また地方財政への影響、こういった点も踏まえて二分の一の減免としたところでございます。

 この軽減措置が鳥獣捕獲従事者の確保に資するよう努めてまいりたい、そう思っております。

福田(昭)委員 次の見直しでは、ぜひ非課税にしてください。今回の税額がどれぐらいになるか調べてみたら、全国で十億ですよ、全国の都道府県で。ですから、これぐらいの税金はどこかでいただく、もうかっている企業からいただくということもできますから、これはぜひ無税に、非課税にしていただきたいと思います。

 次に、四つ目でありますが、四つ目は、軽油引取税の課税免除措置についてであります。

 これについては、この課税免除の理由を読んでみますと、国民生活や対象事業者の影響、それから円安による燃料価格高騰の動向等を勘案し、こう書いてあるんです。しかし、もう原油安になっちゃったんですよね。確かに円は安いんですが、でも、原油安になってその影響は非常に少なくなってきた。まあ、これでアベノミクスは実は助かっているんですけれども、本当に。ですから、そろそろ恒久措置にしてもよいのではないか、こう思っております。

 我々も、政権にいるときには延長措置で対応してきましたけれども、しかし、地方が消滅の危機にある、そういうときに、この該当している産業を見てみても、交通分野であったり農林漁業用であったり、その他産業を見ても、いずれも地域に根差した産業で、厳しい経営を強いられているものばかりなんですね。ですから、やはり公用、公共用を除いて、ぜひこれは恒久措置をして免税をしてしまうというのがいいんじゃないかなと思っています。

 例えば、全国でどれぐらいの税収を見込んでいるかということだと、九千三百八十三億円のうち、公用、公共用を除きますと六百五十九億円ということですから、率にしますと何と七%です、これは。九千三百八十三億円のうち、公用、公共用を除いて全部免税しても七%ですから、これを免税してあげた方が地域の経済が活性化すると私は思うんですが、いかがでしょうか。

あかま大臣政務官 軽油引取税に関して、農林水産業などの用途について免除だという話、恒久化すべきだという話でございます。

 軽油引取税、とりわけ農林水産業等の用途についてでございますが、二十一年度において、農林水産業等の用途の免税軽油については、三年間の時限をつけた上でそのまま延長するというふうなことになりました。暫定税率は、平成二十二年度改正において、当分の間の税率とされたところでございます。

 それ以降、平成二十四年度税制改正においては、一定の範囲内での縮小を行った上で、御指摘の農林水産業等については免除措置を三年間延長することとされたところでございます。

 さらに、これを受けて二十七年度税制改正においては、課税免除措置については、一般財源化に伴い根拠を失っていることや、地球温暖化対策の対応等を踏まえて検討を行って、与党税調において議論をいただいた結果、適用額が僅少等四件を廃止いたしたところでございます。

 最後に、地方税である軽油引取税について、国が政策的理由からやむを得ず税制上の特例措置を設ける場合には、少なくとも社会経済情勢の変化に応じて、その必要について定期的に検証をする必要があるというふうに認識しております。

福田(昭)委員 短い答えで結構ですからね。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、時間がなくなってまいりましたので、何点かお聞きしたいと思います。

 まず一つ目は、地方の一般財源総額の確保についてであります。

 これは財務省、財務副大臣にお聞きいたしますが、平成三十二年度の財政の基礎的収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化の目標は堅持されるのかどうか、維持されるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

宮下副大臣 政府としましては、財政健全化目標として、国際的に三つコミットをさせていただいております。

 一つは、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比を半減する、これは二〇一五年度予算においてほぼ達成見通しがついたということでありますが、二番目、先生御指摘の、二〇二〇年度までに黒字化の実現、そして三つ目は、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる、これをコミットしているところでございます。

福田(昭)委員 私は、プライマリーバランスの黒字化、この目標はやめた方がいいと思うんです。

 なぜかというと、大体、小泉内閣のときもそうでした。GDP比の赤字を半減、これは実現できるんですよ、ここまでは。あるいはGDPの赤字幅三%以内、これも実現できるんですよ。しかし、これを黒字化しようとすると、大体歳出カットをするんですよ。あるいは増税するんですよ。大体経済を悪くして、逆に税収が入ってこなくなるというのが今までの経験だと私は思います。ただし、ストックは減らしていかなくちゃなりません。

 そうすると、一千兆円も借金をつくっちゃったんですから、実現可能なのは、やはりGDPの三%以内までに、毎年その目標を達成する努力をする、そちらの方が私は達成しやすいと思うんですよ。それをずっと続けていく。年数はかなりかかりますけれども。経済をしっかりさせれば、それは五年、十年でやれるかもしれないんですけれども。

 ですから、ストックはもう完全に減らしていかなきゃなりません。ストックを減らすのには、やはりストックの健全化指標は、御案内のとおり、分母は名目GDPです。分子が粗債務または純債務ですね。そうすると、残念ながら、分母の名目GDPが二十年間一つも大きくなっておりません。五百兆円、ちょっと超えたこともありますけれども、いまだに五百兆円を切っています。平成三年から全くでかくなっていない。分子だけは大きくなって、粗債務は一千兆円になっちゃった。純債務が五百兆円か六百兆円ぐらい。そういう状態になっているわけでありますから、当然、財政は悪化したというわけです。

 したがって、やはりデフレを脱却するということは、分母の名目GDPを実は大きくするということなんですよね。ところが、そういう政策がとられてこなかったというのが、この二十年間の日本の経済財政の運営の歴史なんです。ここを改められないのがアベノミクスなんです。

 そういう意味で、非常に心配な話で、また、平成三十二年度、二〇二〇年にプライマリーバランスの黒字化を目指すなんて目標を立てると、必ず増税、平成二十九年四月一日に一〇%に上げる。そして、それでもプライマリーバランスを黒字化できないから、では、歳出カットをする。歳出カットをするといったら何が狙われるかというと、地方交付税と社会保障費ですよ。そうしたら、また経済を押し下げて、バンザイですよ。

 ですから、そうしたことをちゃんと踏まえてやらなくちゃいけないと私は思っているんですが、そこで総務大臣にお伺いするのは、そうした、平成三十二年度にプライマリーバランスの黒字化目標を堅持するということになったら、総務省としては、平成二十八年度以降、一般財源の水準を含めた地方財政をどのような方針で進めていくのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 安倍内閣としては、国と地方のプライマリーバランスを二〇二〇年度までに黒字化するという財政健全化目標は堅持した上で、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、ことしの夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定するということにしております。

 ですから、どのような項目をどのように盛り込んでいくかというのは、今後の検討課題だと承知をしております。

 ただ、地方財政は、近年、巨額の財源不足を抱えており、借入金の残高は二百兆円程度で高どまりしていますから、地方財政の健全化に向けては、やはり歳入歳出両面における最大限の努力は必要だと思っています。

 歳入面においては、とにかく経済対策、成長戦略、しっかりと行って、地方税収の増を図ること。歳出面では、やはり国の取り組みと歩調を合わせて、めり張りをつけて、重点化、効率化を図る、歳出構造の見直しですね。

 その上で、地方団体がやはり自主性、主体性を発揮して地方創生に取り組む、このための安定的な財政運営を行えるように、地方が自由に使える一般財源総額はしっかりと確保したいと希望いたしておりますし、財務省にも、さまざまな意味で、法定率の見直しなど、いろいろ議論もこれまでありましたけれども、御協力をいただきたいと思っております。

福田(昭)委員 時間が来たからやめますけれども、そのような考えではとても無理だなというふうに思います。

 以上で終わります。

桝屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 きょうは、地方税法の前に、連日、大変恐縮でございますが、NHKの浜田経営委員長それから籾井会長にお越しをいただきまして、NHKの問題、少し議論をさせていただきたいと思います。

 会長にいろいろお聞きするというよりは、会長がふだん、念仏のように、あるいはお経のように、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、それをもう常に唱えているんだとおっしゃっています。ただ、私は、会長がそう唱えなければならなくなるくらい、環境といいましょうか、放送法であったり、国、政府のNHKの関与あるいは経営委員会のあり方というのに前から疑問を持っておりまして、きょうはそういう観点から、総務大臣と経営委員長を中心にちょっとお聞きをしたいと思っております。

 まず、総務大臣にお聞きしたいんです。

 先日、総務省から資料もいただいて、NHKと諸外国の、公共放送機関の国の関与の度合いみたいなものをちょっと調べていただきました。やはり予算の承認が、まず、国会の承認がNHKは必要である。あるいは経営委員会というのは内閣総理大臣が任命をする。そして国会同意人事である。これは、諸外国に比べて関与は非常に重いと私は思います。

 一番よく比較されるイギリスのBBCを見ると、予算の承認というのは、BBCは経営委員会、BBCトラストというところが経営委員会に相当するんですが、BBCトラストが予算を承認すればいいんですね。国会承認ではありません。それから経営委員会、経営委員の任命については、イギリスは公募制をとっています。そして公募の上、文化・メディア・スポーツ相が助言をして、最終的には国王、女王が任命するという手続です。

 それに対して、我が国は、内閣総理大臣がいきなり任命をして、そして国会の同意人事まである。ここは、国、政府の関与が法律上かなり重くなっているという構造があるんではないかと私は思っているんですけれども、総務大臣の御見解をお伺いします。

高市国務大臣 私自身も、閣僚であると同時に国会議員でありますが、私たち国会議員は、憲法上、全ての国民の代表でもございます。

 NHKは、やはり公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるようにまずしなきゃいけない。そして豊かで、かつ、よい放送番組を放送するなど、社会的使命を果たすために設立された特殊法人でございます。広く国民・視聴者全体に公平に御負担いただくための特殊な負担金と位置づけられている受信料がその財源になっておりますから、このような性格を有しているNHKの事業運営や収支予算については、やはり国民の代表である国会が審議、承認するということが適切だと思っております。

 あと、経営委員の人事でございますが、これも、今申し上げたような性格を有するNHKの最高意思決定機関を構成される経営委員につきましては、やはり両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するということになっております。両議院は、当然国民全体の代表によって構成されております。ですから、直接の利害関係者である国民の意思を委員の選任に反映させる仕組みとなっておりますので、やはり現行の仕組みというのが私は適切だと思います。

 なおかつ、放送法は一条の目的規定を踏まえて、第三条で、放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることはないと定めておりますので、放送番組の編集の自主自律も確保できているということで、やはり国民の代表がチェックできる仕組みの方が好ましいというのが結論です。

高井委員 私は、非常に籾井会長は大変だと思うんですね。一方で不偏不党で何人からも規律されずと言われていながら、やはり国民の代表である国会には、国民の代表なんだからそこに従えというか、チェックがあるんだということは、私は、ちょっと矛盾をしたことを放送法一条と国の関与、国会の関与というのは求めているんではないかなと思います。

 それで、会長の任命についても、これは実はBBCもそれからNHKも、経営委員会が会長を任命するというところは一緒なんですね。ただ、その経営委員会の任命の仕方が、そもそもBBCとNHKは国の関与が全然違うので、NHKは内閣総理大臣の任命ですから違います。

 経営委員会がどういう会長を選ぶかということになりますと、BBCを調べたんですけれども、実は、一九八二年から七人の方がBBCの会長になっているんですけれども、七人とも放送業界にいた方です。そして、そのうち六人はBBCの出身者、BBCで番組をつくっていた方とか編集の責任者だった方がなっている。ある意味、順当なというか、経営委員会としても、この方なら間違いないなと決められるような方になっている。

 ところが、NHKの場合、いろいろ過去にあったということもありますでしょうが、三代続けて、福地会長、松本会長、籾井会長と民間の方がついておられます。やはり私は、経営委員会、経営委員長に果たして、ここは民間の人にしようとか、そういう判断があったのか、そこはいろいろな関与があったんではないかと思うんですが、経営委員長に、NHK会長、特に今回籾井会長をお決めになるときの経営委員会としての議論といいましょうか、そのあたりについてちょっと御説明をお願いします。

浜田参考人 会長の任命に当たりましては、経営委員会は自主的、自律的に資格要件を定め、その後、推薦理由、経歴、実績等を確認し、本人からも所信を伺って、総合的に判断をしております。

 経営委員会といたしましては、委員会の議論を踏まえて、定めた内規に従って、自律的に粛々と行っているというふうに考えております。

高井委員 その答弁は何度もお聞きしているんですが、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。

 それでは、浜田経営委員長は、籾井会長の就任前に、籾井会長のことは御存じだったんでしょうか。

浜田参考人 面識はございました。

高井委員 それはいつごろから、どの程度の面識だったんでしょうか。

浜田参考人 経済界の人、マスコミの人、官僚の人、OBの方ですけれども、一緒の懇親会がありまして、そのメンバーでありましたので、存じ上げておりました。

高井委員 いつごろからというのは、正確じゃなくてもいいですけれども、就任のどのくらい前から御存じだったんですか。

浜田参考人 正確な年数は覚えておりませんけれども、たしか、籾井会長が三井物産の常務でいらっしゃったというふうに記憶しております。

高井委員 ちょっと私の予想に反してというか、随分前からお知り合いだったんだなということがわかりました。

 そうしますと、では、今回、会長を決めるに当たっては、先ほど言われたルールにのっとっているのはよくわかりますが、しかし、誰かが最初に言い出さなければ議論にはならないわけで、それは経営委員長が提案をしたということでよろしいんですか。

浜田参考人 私は、経営委員長でございましたので、当時は、委員の推薦をもって、経営委員長が個別の方を推薦してはいけないという理由はなかったと思いますけれども、推薦を待っておりました。

 要は、具体的に申し上げると、ほかの委員の御推薦があったということでございます。

高井委員 どの委員の方かを教えていただけますか。

浜田参考人 過程の中身でございます。選考過程の議論でございますので、御紹介するのは控えさせていただきたいというふうに思います。

高井委員 そうお答えになるかなと思いました。

 NHK会長という非常に重要な人物を決める過程が、何かブラックボックスというか、公開できないというのもいかがなものかなと思います。ちょっとこれ以上は追及しませんが。

 実は、私もいろいろ議事録を調べました。経営委員会が、会長を決めるときには、指名部会というのを開かれて、お決めになる半年ぐらい前から丁寧に議論をされていたのは知っています。しかし、丁寧に議事録にも全部載っているんですが、十二月十三日の金曜日です。経営委員長、よく思い出してください、一昨年の十二月十三日の金曜日。六本木ヒルズのクラブの会議室でやったと議事録に載っています。これは恐らく、NHKでやるといろいろな情報が漏れる、ちょっと場所を移したのかなと推測しますが、そこの指名部会で、籾井会長の案というのは初めてそこで経営委員の皆さんには提示されたとお聞きしていますが、間違いありませんか。

浜田参考人 はい、そのとおりでございます。

高井委員 私もある委員の方に確認しましたけれども、そうだと、初めて聞いたとおっしゃっていました。

 しかし、その日の朝、これも御記憶だと思いますけれども、読売新聞の朝刊一面に大きな記事が、このくらい大きな、「NHK会長籾井氏有力」という記事が出ているわけです。

 当時は、経営委員の皆さんは知らないはずなんですね。ある委員の方は、現に知らなかった、この記事を見てびっくりした、大変憤慨をした、その指名部会でも抗議をしたとおっしゃっていました。

 こういう経緯について、この読売新聞の一面をごらんになって、経営委員長はどう思われましたか。

浜田参考人 私もびっくりしました。

高井委員 それは、びっくりしたというのは、新聞に出たことがびっくりしたわけで、経営委員長としては当然もう知っていたわけですよね。その時点で経営委員長も籾井さんという案は知らなかったんですか。それをお答えください。

浜田参考人 済みません。私の記憶では、当日、委員からの推薦を開票したというふうに思っております。

高井委員 なるほど。では、委員長すら知らない、委員からそういう紙か何か入って、籾井さんという名前を初めて経営委員の皆さんが見ると。ところが、その日の朝の新聞には、もう一面に載って、全国民が、ああ、籾井会長が有力なんだとなっていたわけですが。

 実は、この読売新聞を読むと、さらにちょっと疑問がありまして、「経営委員の間では、日本ユニシスや三井物産で数々のプロジェクトを手掛けた籾井氏の経営手腕を評価する声が多いという。」と。つまり、経営委員の中では、既に、籾井さんということで、内々なんでしょうけれども、内々こういった評価があった。これは取材に基づいて書いているわけでしょうから、そういう事実があったという理解でよろしいですか。

浜田参考人 私自身は取材を受けておりませんので、その記事の内容についてはコメントできません。

高井委員 それでは、ちょっと籾井会長にもお聞きしたいと思います。

 籾井会長は、実際、会長にという打診が、いつ、どなたからあったんでしょうか。

籾井参考人 記憶も余り定かじゃないですが、今十三日とおっしゃいましたけれども、たしか、その翌週のどこかで、二十日か二十四日はあけておくようにという連絡があったと記憶しております。誰から来たかは覚えていません。

高井委員 実は、公開されている議事録を読むだけでいろいろ不思議なことが出てくるんですが、この十二月十三日の三日前、会長を初めて経営委員の皆さんが知ったという三日前には、前の松本会長を全会一致で次の会長に推すというふうに経営委員会は決めているわけですね。その上で、松本会長に打診したら、松本会長が固辞をした。これは十二月十日火曜日です。十二月十日火曜日からわずか三日後に、今言ったような話になったわけですけれども、これは経営委員長、ちょっとおかしくないですか、説明してください。

浜田参考人 そこは若干、事実関係的に申し上げますと、会長候補として推薦することを決めたということでございまして、松本前会長につきましては絞った議論をしていたわけではございません。会長候補として適切かどうかの議論をして、適切であるという議論があったということでございます。

高井委員 そもそも、私の問題意識に戻るんですけれども、では、そこからわずか三日間、しかも、十三日の当日に皆さんが籾井さんという名前を初めて知って、そこの場で籾井会長を呼んでいるんですね。それで、籾井会長から何か所信を聞いて。

 さらに、議事録にちゃんと載っていますけれども、上村当時の委員長代行は、若干言葉遣いが懸念する部分がないではありませんが、今後なれていくんではないかと思いますと。それから美馬委員という方は、特に言葉を大切にする公共放送として、誤解されることがないような言葉の選び方には留意していただければと思いましたと。それから室伏委員は、NHK会長は、NHKの顔であり、ある意味日本の顔だと思います、そういう点で、一つ心配なのは、御発言が誤解を招く可能性もあるのではないかということです、失言があった場合には、経営委員会として苦言を呈することも必要ではないかと思いますと。

 初めて知って、わずか、何か所要二十分ぐらいだったようですけれども、その中で、いきなりもう会長を決めた。これは、本当に、実質的に経営委員会として自律的に決めていると言えるんでしょうか、経営委員長。

浜田参考人 私の記憶では、当日は複数の方が推薦されておりまして、その中で採決をして、一番最初に現会長の採決になりまして、それでそのときに全会一致になった、そういう経緯だったというふうに思っています。

 私といたしましては、一連のプロセスは内規に従って自律的に粛々とできたというふうに思っております。

高井委員 今ちょっとおっしゃいましたけれども、ほかの委員の方というのは、多分ほとんど審議もされなかったというふうに受け取ったんですけれども、やはりこういう決め方のプロセスに私はかなり疑義がある。

 さらに、この議事録を見ると、石原委員は、明るく親しみやすい人柄の方だと思います、発言の件はいろいろ出ていますが、彼自身、長い間大きな組織で仕事をされていたり、十分理解して、余り心配ないと思います、彼の人柄であればNHKという大集団をきちんとまとめていけると思うと。

 石原委員というのは、もともと知っていて、恐らく籾井会長を推薦した方ではないかと思いますが、籾井会長、石原委員との御面識、御関係はいかがでしょうか。九州出身ということで、お親しいんじゃないかと思うので。

籾井参考人 仕事の関係でちょっと知っておりました。

高井委員 そうですね。石原委員という方はJR九州の方であります。これはいろいろ新聞とか週刊誌で言われていることですから余りとは思いますけれども、やはり総理と近いと言われている葛西JR東海の会長とも同じ国鉄で働かれた方ですし、同じ九州ということで麻生副総理とも懇意の方であったということであります。

 いろいろきょう申し上げて、何か確定的なことが今言えるわけではないんですが、こうしていろいろ過去の議事録とかを見ていきますと、やはり経営委員会というものが本当に自律的に会長選定というのをやっているのかなというところが私としては疑問に残るところであります。

 会長にもう一度お聞きしますけれども、いろいろ会長も全く違う畑でやってこられて、放送というのはよくわからないんだと最初の記者会見というか所信でも述べられています。そういった別の畑で経験されてきた方が、ある日、こういったNHK会長をやってくれという話があって、大変そこから御苦労されていると思うんですけれども、その御苦労の背景には、先ほど冒頭申し上げたような放送法の国会との関与の仕組み、内閣総理大臣が任命するという仕組み、あるいは経営委員会というところが決める、しかも経営委員会からかなりいろいろなことを会長にも言われていると思います。

 そういう御苦労をされて、まさに日本の言論機関の、公共放送のトップとして、こういった制度全体についてどういう御感想を持たれていますか。

籾井参考人 私は、とにかく、経営委員会に任命されたわけですから、あとは執行をきちんとやる。執行をきちんとやるについて、いろいろ勉強してきたことは何かというと、やはり、放送法を守る、これしかないと思っております。つまり、何回も言っていますが、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、適切に運営していく、もうこれしかないと思っています。

 したがいまして、仕組みがどうだこうだと私の立場では申し上げる立場にはないわけで、私は、放送法にのっとって粛々とNHKの業務を行っていく、こういうことだろうというふうに思います。

高井委員 会長としてはそう答弁せざるを得ないというか、本当は感想とか本音を聞きたいところですが、それはしようがないと思います。

 今回のこの経営委員の選考過程というのは、実は一昨年の十二月十三日のことであります。そこから国会が開かれなくなっております。その後、一月から始まる通常国会では、実は一月二十五日に籾井会長がいろいろな発言をされて、そのこと一色になってしまい、会長を決めるときのプロセスというのは私はほとんど議論されていないんじゃないかというふうに思っておりますので、引き続きちょっと議論させていただきたいんです。

 そのために、ぜひ委員長にお願いなんですが、参考人として経営委員の方あるいは当時経営委員だった方、もうやめた方もいらっしゃいますけれども、こういった方は、今までの慣例だと経営委員長が経営委員会のことは全て答えるんだという仕切りで、参考人には呼べないということになっていたようなんですが、今回は、経営委員会の中そのもの、むしろ経営委員長に対して私はちょっとどうなんでしょうかという思いで聞いておりますので、これにかかわる参考人の方を呼んでいただけるようにお願いいたします。

桝屋委員長 ただいまの御要請につきましては、理事会で協議をいたします。

高井委員 これだけやっているわけにいかないんですけれども、もう一つ、先般から議論になっている議事録の話ですね。これも私の質問が発端だったので、ちょっと一言質問させていただきますが、これは総務大臣にお聞きしたいと思います。

 今、国際番組審議会の議事録の件がいろいろ質問で出ておりますけれども、今のNHKの経営委員会とかあるいは会長記者会見の議事録とか、そういったものを大臣は見られて、今のNHKは十分情報公開をやっているというふうに思われますでしょうか。

高市国務大臣 まず、放送番組審議会の議事につきましては、放送法第六条第六項の規定によって、放送事業者に対して述べた意見の内容その他の議事の概要等を公表しなければならないとされております。これは、NHKだけじゃなくて、民放にも審議機関はありますから、概要で足りるということであります。これは何でかといいますと、審議機関の中で放送番組に関して自由なやりとりをしていただかなきゃいけないということで概要になっています。

 一方で、経営委員会の議事につきましては、放送法第四十一条の規定により、「委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」としております。ですから、概要でなくて議事録を公表することになっています。

 ただ、「経営委員会の定めるところにより、」とあるのは、場合によっては、ちょっと個人情報であったり、そういった内容、企業なんかの機密情報に係るような内容が話し合われた場合には幾らか判断はあるのかなと、そういう意味だと思うんですけれども。

 現在のところ、やはりNHKの経営の透明性を制度的に確保するということで、経営委員会の会務を総理する委員長に対して、経営委員会の議事録の公表義務を放送法は課しているわけですから、こうした放送法の規定を踏まえて、NHKでは、私が承知している限りは議事に係る情報公開は適切に対応していただいていると思います。

高井委員 総務大臣、全部議事録を見るわけになかなかいかないと思いますけれども、私、ちょっと持ってきて、きょう配ろうかとも思ったんですけれども、これは、会長の就任会見、去年の一月二十五日の会見、動画にも流れているので速記録ができるんですね。速記録は十四ページあるんですよ。しかし、それがNHK作成の議事録になるとわずか一枚半、こういうふうにまとめられてしまうので、私は、やはり今のNHKの情報公開では不十分だと思っています。

 前回も私、議事録を出してください、特に会長がおっしゃった部分はほかの委員に迷惑がかかる話じゃないですから出してくださいと申し上げ、ほかの委員会でほかの委員から会長に何度かそれをお尋ねしても、放送法で決まっているからということなんですが、これも大臣、ちょっと確認ですけれども、概要を公表することは義務ですけれども、その詳細な議事録を出しちゃいけないということを放送法は言っているわけではないんですよね。

高市国務大臣 別に、出すことを禁止しているわけではないです。概要を公表するとしているのは、やはり委員と執行部の間でも自由な議論がなされることもあるでしょうし、個々の委員の意見の表明も自由にやっていただきたいし、そういうことで概要となっております。

 ですから、会長の御発言も、もしかしたら委員と執行部である会長との間でいろいろな御議論があったのかもしれません。概要でわかる範囲で十分だというのが法律上の認識でございます。

高井委員 概要をつくれるということは、当然もとがないと概要をつくりようがないわけで、それがないということはあり得ないわけでございます。何かの手違いで消失してしまったとかいうこともあるのかもしれませんが、それならそれでそういう理由を申していただきたいと思いますし、これは前回も委員会でもお願いしましたし、ほかの委員会、奥野委員からも委員長に提出をお願いしております。我が維新の党も、先日、部会において、政調会長の方からも籾井会長に、そこは非常に大事なところですから、しっかりと誠実に対応してくださいということを申し上げておりますので、ぜひこれは出していただきたいと思いますが、会長、いかがですか。

籾井参考人 我々、公共放送としまして、視聴者・国民の理解と支持が不可欠でありますから、そういうふうな人たちに対して、事業活動全般にわたってできるだけ情報の公開には努めております。

 ただ、番組審議会の件における審議につきましては、やはり個々の放送番組の編集にかかわるものですから、率直で自由闊達な意見を、我々は公開していくためにもこれまでは議事の概要を作成し、公表しているわけでございます。

高井委員 もう水かけ論なんですが、我々が求めているのは、会長が発言をした特定の部分のところを明確にしてくださいということでございますので、それは出せない理由ではないと思いますので、委員長の方で理事会で協議をいただけたらと思っております。

 これで、NHKさん、結構でございます。どうもありがとうございます。

 それでは、本題といいましょうか、地方税法の方に入らせていただきたいと思います。もうほとんど時間がないんですけれども、きょうはいろいろな省庁にも来ていただいているので、聞かせていただきます。

 まず、まち・ひと・しごと創生事業について内閣府にお聞きいたします。

 今年度の補正予算で、地域住民生活等緊急支援のための交付金、そのうちの地方創生先行型一千七百億円、そしてその基礎交付分という千四百億円は今月末に交付をするべく粛々と準備が進んでいるとお聞きしています。

 実は、その上乗せ交付分三百億というのが非常に重要だと思っていまして、頑張っている自治体により手厚くというか、選んで配分をするというふうに聞いているんですが、この三百億円の上乗せ交付分について、今後、どのようなプロセスを経て、どういう基準で自治体に交付するのか、時期も非常に自治体は気にしておりますので、その時期のめどにつきまして、内閣府に御質問いたします。

末宗政府参考人 まず、一点目の上乗せ交付の具体的な基準とのことでございますが、現在検討を進めているところでございますけれども、基本的な考え方を申し上げますと、総合戦略に定める自立性、将来性、地域性等の政策五原則がございます。それを踏まえて先駆的な事業を対象としていきたいと考えておりまして、例えば、経営人材の確保ですとか、あるいは地方公共団体の連携事業、または、観光、農林水産業等の地域の潜在力を引き出していくような事業、こういった事業を初めとする先駆的な事業が一つの分野だろうと思っています。

 また、あわせまして、先行して地方版総合戦略を策定する地方公共団体、これも対象にしていってはどうかというようなことで、今検討の途上にございます。

 それから、二つ目の交付の時期はいつごろなのかということでございますが、これも今の基準とあわせて検討しているところでございますけれども、今、大体基礎交付の作業が終わりつつありますので、できるだけ早目に交付基準も定めつつ、地方公共団体がそういった先駆的な事業を余裕を持って検討できるようなスケジュールを考えていきたいと思っております。

高井委員 私は、まち・ひと・しごと、地方創生は、満遍なく全自治体に配るというやり方はもうやめた方がいいんじゃないか。政府もそういう方針になっていると思うんですね。そういう意味では、この上乗せ交付分というのは極めて重要だと思います。

 私はむしろ、焦って早くやってくれと質問しているのではなくて、しっかり準備を整えて、本当に頑張っている、いい提案をした、しかも提案する時間も自治体に上げていただきたいと思うんですね。あと、透明なプロセスをきちんと経て、満遍なく何かただ配るというんじゃなくて、そういったいいところを、いい自治体を選んでしっかり交付をしていただけたらというふうに思っております。

 それでは続きまして、空き家対策、これも今回、地方税法の中に入っております。

 今、全国で空き家が大変増加しております。総務省の調査では、全国の空き家は八百二十万戸あるということです。

 放置された空き家が周辺環境に非常に悪影響であるということで、今回の法律案では、勧告の対象になった。さきに成立した空き家対策の法律がございまして、その法律の中で勧告という手続まで行くものに対して、特定空き家に係る土地を住宅用地の特例の対象から控除しますよということ、つまり、空き家を放置しておいてもメリットがないようにするという制度なんですが、ただ、この勧告という制度まで行くのはちょっと時間がかかるというか、勧告というのは重い処分じゃないかな、そうすると、なかなか勧告まで至らない空き家というのが全国に放置されたままになる。これでは、せっかくこの法を法改正しても、空き家の早期撤去につながらないんじゃないか。

 ですから、勧告を待たずにこの特例の対象から控除する方策はないのかと思いますが、お答えをお願いします。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅用地の特例の対象から除外する特定空き家について、なぜ、勧告を受けた、勧告対象のものにしたかということでございますが、特別措置法の成立を受けまして、関係省庁からの御要望が、同法に基づく勧告の空き家について措置を講じてほしいというのがあったのがまず第一点でございます。

 その背景といたしましては、勧告に至る前の助言、指導の段階で、勧告を受ければこうなりますよということで、所有者等の改善の意思を促す効果もやはりできるだろう、勧告の前の段階の指導の段階でも、勧告を受ければそうなるんだということで、やはり効果があるのではなかろうか、まずそれで一旦法を施行しようではないかという考えが関係省庁間であったということだと思います。

 その上で、私どもの方は、検討した結果、この除却等の勧告を受けた特定空き家というものは、法律の定義上、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態の建築物等として除却、修繕等を求めるというふうな家屋になっておりまして、これらは少なくともやはり居住の用に供する家屋の敷地に係る特例の対象としてはふさわしくないだろう、そういう考え方で、ここの勧告の部分でやっていこうということになったものでございます。

高井委員 関係省庁というのは国交省じゃないかと思うんですが、国交省にそれではお聞きしたいんですけれども、今の勧告の件というか、今回の特例の対象から外すということも、この措置で、空き家対策、空き家の活用とか空き家の撤去というのは本当に進んでいくとお考えなのか。今後さらに空き家対策を進めていくに当たってどのような対策を考えておられるのかをお聞きいたします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家対策につきましては、今回の固定資産税の措置のほか、いわゆる同法に基づきまして、今回、国が空き家対策についての基本指針を策定、公表しております。これは先日公表したところでございますが、これに基づきまして各市町村において空き家対策計画が策定され、それによって総合的な空き家対策が進められます。

 また、加えて、国土交通省におきましては、従来より居住環境の整備改善を図る観点から、空き家の除却あるいは活用を促進する公共団体の取り組みに対して、財政上の支援を行ってきたところでございます。加えて、空き家対策特別措置法の成立を踏まえまして、平成二十七年度より、助成対象費用あるいは対象地域を拡充するということもしております。

 こういった対策を、総務省を初め関係省庁と連携して、地域の実情に応じて取り組む公共団体を支援してまいりたいと考えております。

高井委員 それでは、もう一問、最後に聞かせてください。

 環境省に。鳥獣狩猟税も今回入っていますけれども、私の地元の岡山でも毎年四億円の被害が出ています。今回の狩猟者登録を軽減する措置は評価いたしますけれども、これで十分なのか、さらにもっと思い切った対策が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

桝屋委員長 環境省塚本自然環境局長、時間が参っております。簡潔な答弁をお願いいたします。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の軽減措置を講ずることによりまして、減免措置の対象者が大きく拡大することになると思います。これらの措置を受けまして、捕獲の担い手であります狩猟者の確保を図り、あわせて、総合的な鳥獣被害の対策を進めてまいりたいと存じます。

高井委員 ありがとうございました。

 委員長、NHKの件は、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、震災復興財源のあり方について、それから外形標準課税等について質問をします。

 まず、震災復興財源についてです。

 東日本大震災から四年がたちました。一昨日は追悼式典が各地で行われ、私も政府主催の式典に参列しました。肉親を災害で失われた岩手、宮城、福島三県の代表の言葉に涙をいたしました。悲しみを乗り越え、一日も早い復興を願う被災者の願いに政治がしっかり応えなければならないと、私も改めて思ったところであります。

 震災から十年の復興期間のうち、集中復興期間が二〇一五年度で終了いたします。復興住宅の建設、宅地等のかさ上げを初め、被災地の復興はまさにこれからでありますけれども、竹下復興大臣が最近被災自治体に負担を求める発言を行い、被災地からは批判の声が上がっています。例えば、住宅整備など、本体事業は全額国費でやる意義はあるが、復興といってもいろいろな事業があり、復興事業全部を負担し続けるのは難しいだとか、また、全部国費というのは一番モラルハザードの原因だとまで述べています。

 そこで、復興庁、復興副大臣にお伺いをいたします。竹下大臣の発言の真意について教えていただけますか。被災自治体に負担を求めるというのでしょうか。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 私も、一昨日、宮城県南三陸の追悼式に参加をしてまいりまして、それぞれ、国民の一人として被災地に深い思いをいたしてきたところでございます。

 竹下大臣がそのような趣旨の発言をしたことは、私も承知をしております。集中復興期間後の事業のあり方として、全ての事業が十分の十でいいかどうかは議論の必要があると実は思っておりますが、まだ何か決めたということではございません。

 委員御指摘のとおり、これからも被災地の声に耳を傾けながら丁寧に検討をしてまいりたいということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

田村(貴)委員 被災自治体に負担を求めるということは、まず一つに、復興関連事業が進まない、途絶えてしまうということであります。被災地における復旧復興関連業務がいかに膨大なものであるかは、五日の委員会でも私、述べました。自治体の投資的経費を震災前後で比較するならば、例えば岩手県の陸前高田市では四十・三倍、宮城県南三陸町では四十七・八倍、福島県の南相馬市では十二・七倍にも達しているわけであります。

 だからこそ、宮城県の村井知事はこうおっしゃっています。少しでも負担が生じると、復興があっという間にとまってしまう。これはNHKの討論番組ですけれども、岩手県の達増知事も、同じ気持ちだと述べられました。

 財政措置が少しでも途絶えてしまったならば、たちまち復興事業に支障を来してしまう、そのことを承知で大臣は発言されたのでしょうか。だとしたら、それは被災地の実情を顧みないものではないでしょうか。副大臣、どうでしょうか。

長島副大臣 前段として、私の方から、復興庁として。

 決して、復興事業をとめるつもりもとまらせるつもりもございません。それは、前段としてぜひ御承知おきをいただきたいと思います。

 東日本大震災の復旧復興事業については、特別に財源を確保させていただいて、そして地方負担分を実質ゼロとして、今日までやってまいりました。これは、多分過去の災害の例を見ても異例中の異例だったということは委員も御承知いただけると思います。

 理由は幾つかありまして、町全体が壊滅的な被害を受けてしまったということ、それぞれの市町村がこの財政負担にたえ切れるような財政状況ではないのではないかという心配があったこと、そして膨大な仕事量に対応し切るだけやはり市町村の能力を高める必要があったこと等いろいろあるために、実質負担ゼロという事業を今日までやらせていただいてまいりました。

 そこで、三月十日、復興推進会議において、総理から竹下大臣に対し、集中復興期間の総括をしてほしい、そして、集中復興期間後の復興支援の枠組みについて検討を行うように指示がなされたところでございます。

 地方負担のあり方についても、その検討の中で今後議論をさせていただくことになりますが、その際には、財政状況、事業の進捗状況等、被災団体の置かれている状況がさまざまであることも踏まえながら、丁寧に議論を尽くし、理解を得られるようにしてまいりたいと思います。ぜひ御理解を賜りたいと思います。

田村(貴)委員 議論はあるかもしれませんけれども、被災自治体に負担を求めるということは、マンパワーの確保も得られない。二つ目の問題を今から述べたいと思います。

 毎日新聞の三月十一日付にこういう報道があります。「「自立」に被災地困惑」「応援職員国費頼み」「被災地の自治体は「何が国費から削られるのか」と疑心暗鬼にかられている。懸念する「負担増」の一つが、全国から派遣されている応援職員の給与だ。」「被災自治体の幹部は「多くの自治体から集中復興期間以降の派遣打ち切りを言外ににおわされている」と明かす。」こういう記事がありました。

 町の三七%が浸水した宮城県山元町という自治体は、町職員百八十三人に対して、全国六十自治体や民間からの応援職員が百十三人。町役場の担当者は、「応援職員に引き揚げられると、行政サービスの低下は避けられない」こうした記事でありました。

 被災自治体への応援職員の派遣について、その拡充については五日の質問でも取り上げました。二之湯副大臣は、「復興庁とも協力しながら、被災自治体の要望を伺いながら、より一層人的支援の充実に努めてまいりたいと思っております。」と答弁されました。高市大臣も、「やはり大変な復興事業を行っていく、また、住民への支援を行っていく上で、被災団体のマンパワーの確保は重要な課題であるということを認識しております。」総務委員会での総務省の答弁はこうでありました。

 復興庁はどうなんでしょうか、応援職員の派遣の重要性と実態を知った上で、こうした検討が必要だとか被災自治体の負担だという言葉を持ち出してこられたんでしょうか。

 財源がなくなったら、全国からの自治体への派遣応援はできません。その時点で、被災地の復興は進まないし、住民サービスの低下は必至であります。副大臣、被災自治体への負担を求めることは到底できないのではありませんか。お答えいただきたいと思います。

長島副大臣 竹下大臣の発言から少しエスカレートした議論が一部あって、この財源がなくなるのではないか、この財源が引き揚げられてしまうのではないかという議論が少し先行しているような気がしますが、先ほど申し上げましたとおり、我々は、まだ何も決めているわけではありません。

 ただし、集中復興期間終了五年後、次の五年間をどうしていくかというために、この五年間の検証、つまり、何がなされてきたのか、そして何が残っているのか、これから何が必要なのかということをきちんとレビューをした上で、ゴールデンウイークごろには被災自治体の皆さんの不安を含めてきちんと形を示すことが、やはり被災自治体にとって、次の五年間、そして、それから被災自治体が将来に向かって不安を払拭できるような形で我々は検討を進めていきたい。

 決して、一方的に全ての事業に一律に負担を求めるということで大臣が発言をされたことではないので、ただ、財源を確保する上で、これから何ができるのか、何が必要なのかも含めて議論をさせていただきたい、そんなふうに思っておりますので、ぜひ、我々復興庁、総務省とも検討しながら、マンパワーを引き揚げて被災地をストップさせたり減速させるようなことは決していたしませんから、そこのところは理解をいただきたい、そんなふうに思います。

田村(貴)委員 長島副大臣はそうおっしゃいますけれども、先走りと言われましたが、ただ、大臣が、復興事業、全部負担を続けるのは難しいと言われたら、これはやはり不安が広がりますよ。当然のことだと思います。

 被災者向け住宅用地の完成率は、福島県がまだ三二%、宮城県が二二%、岩手県が一三%という状況であります。

 仙台市の奥山市長は、復興大臣が被災自治体に負担を求める考えを示したことに対して、こう語りました。大きな違和感だ、五年で復興が終わるわけではない、状況を抜きに、期限が来たら自助努力だというのは理不尽だというのが率直な印象。

 私は、この市長の思いは当然の思いだというふうに思います。自治体の長からいろいろと懸念と不安が出されていますけれども、これはやはりしかと受けとめるべきではないでしょうか。副大臣、いかがですか。

長島副大臣 冒頭申し上げましたとおり、何を決めているわけでもありません。ただし、これから、次の五年間をどうするかということについて、財源も含めて議論をさせていただきたいということでございます。

 ですから、今、いろいろな意味で心配の声が上がっていることを受けとめながら、心配の声を払拭できるような丁寧な説明も含めてやらせていただきたい。その上で、将来、自治体として、被災者として自立できる方向を目指せるものなら目指していきたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 もう一問。

 宮城県の村井知事は、この復興財源を確保することが自立をおくらせることには決して当たらない、財務官僚でなく被災地の方を向いてほしい、九日の記者会見であります。

 もちろん、被災地の方に向かなければならないのは当たり前でありますけれども、大臣は、あるいは復興副大臣は、復興庁は、どちらの方を見て仕事をされているんですか。お伺いします。

長島副大臣 もちろん、我々に与えられた課題は、被災地の一日も早い復旧復興、自立であります。そこのところを、大臣も我々政務も一丸となって向き合って仕事をしていきたい。そのために、丁寧な説明も丁寧な議論もさせていただきたいし、何がこれから加速をすることになるのかも含めて、被災地の皆さんとより連携をさせていただきたいということでございます。

田村(貴)委員 被災自治体への負担とか自立という議論なんかは、私は今の時点で本当に論外だというふうに思います。二〇一六年度以降も、被災地復興支援は全額国費によって賄うべきであります。この枠組みをやはり堅持すべきであります。

 高市大臣にお伺いします。

 高市大臣は所信表明のときにこう言われました。「閣僚全員が復興大臣であるとの意識のもと、東日本大震災の被災地の再生のために力を尽くします。」私は、そのお言葉、大変印象に残っています。全閣僚が、閣僚全員が復興大臣との意識ですね。

 そもそも、震災復興特交の原点は何であるか。

 「地方財務」の二〇一二年八月号で、当時の総務省黒田財政課長がこの「地方財務」の中でこう述べておられます。復旧復興事業の財源に充てるために地方債を発行し、その元利償還には地方交付税による手厚い財源措置がされるものとはいえ、償還期間は長期にわたるものであることからも、将来的な財政状況の悪化を懸念する指摘がなされているところとなった、これらを踏まえ、被災自治体の実質的な財政負担を解消する、ゼロとするという対応を講じることとした。

 何であの震災復興特別交付税が創設されたのか。このような議論の上につくられたんですよね。この原点を壊していいんでしょうか。復興財源は国として全額を持つ、このことを強く求めるものでありますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 まず、二十七年度の対応につきましては、震災復興特別交付税、これについては精いっぱいの対応をさせていただいたつもりでございます。

 そしてまた、先ほど委員が指摘されたマンパワーの確保についても、引き続き総務省として、これは力を入れてまいります。既に各地方公共団体、民間企業や公務員のOBの方々に大変な御協力をいただいているんですが、まだ、残念ながら、被災自治体から何人必要だと言われるその全ての数を充足できているわけではございません。ですから、引き続き要請も続けてまいります。

 そうすると、やはり財源の心配があってはいけないということになります。二十八年度以降、集中復興期間以降の復興事業については、それまでの進捗状況を踏まえ、財源も含めてそのあり方について検討するということになって、その一つとして、地方負担のあり方についても政府全体で検討されるということになります。恐らく、震災復興特別交付税もそのうちの議題の一つではあります。

 しかし、その際には、やはり被災団体の財政状況それから事業の進捗状況、よく被災団体から私どもでお伺いをして、被災地の復興に真に必要な事業の実施に支障が生じないように、またマンパワーの確保にも支障が生じないように適切に対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 自治体に負担を求めることはなく進めていただきたいというふうに思います。

 時間もありませんので、次に地方税法改正案について伺います。

 政府は、法人事業税の外形標準課税の割合を二年で段階的に現行の四分の一から二分の一に拡大するとしています。

 総務省にお伺いします。

 二月十八日の地方法人課税のあり方等に関する検討会において示された資料があります。一法人当たりの負担変動、この試算について説明をしてください。外形標準課税を二分の一に拡大した場合の黒字企業、赤字企業の税負担の増減はそれぞれどうなるんでしょうか。資本金区分ごと、一社平均の負担変動額を述べていただきたいと思います。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 先月十八日に開催いたしました地方財政審議会の地方法人課税のあり方等に関する検討会に資料として提出いたしましたものは、平成二十五年度の課税実績の速報値をもとに、法人事業税の外形標準課税を拡大した場合の影響額を機械的に試算したものでございます。二十五年度ということでございます。

 その結果によりますと、一社当たりの負担増減は、欠損法人で、一億円超十億円以下で三百万円の負担増、十億円超五十億円以下で一千五百万円の負担増、五十億円超百億円未満で二千九百万円の負担増、百億円以上で一億五千五百万円の負担増であり、全体では一千六百万円の負担増となっております。

 一方、利益法人では、一社当たり、一億円超十億円以下で二百万円の負担減、十億円超五十億円以下で七百万円の負担減、五十億円超百億円未満で八百万円の負担減、百億円以上で五千九百万円の負担減であり、全体では七百万円の負担減となっております。

 なお、欠損法人と利益法人を合わせた影響としましては、一億円超十億円以下で百万円の負担減、それから十億円超五十億円以下も百万円の負担減、五十億円超百億円未満で二百万円の負担増、百億円以上で六百万円の負担増でございまして、全体として増減均衡になっているということでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 今述べてもらった試算結果を表にまとめたのがお手元配付の資料でございます。ごらんいただきたいと思います。

 一目瞭然であります。利益法人、つまり黒字企業は、どの資本金区分をとっても負担減、減税となります。資本金百億円以上の黒字大企業では、何と一社平均五千九百万円もの減税となります。外形標準課税の拡大で最も恩恵を受けるのはこの部分、力を持ったところであります。一方、欠損法人、赤字企業は全て負担増となります。

 黒字企業には大減税、赤字企業は大増税、これはおかしいんじゃないですか。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の、所得割の引き下げと外形標準課税の拡大を内容といたします法人事業税の改革は、法人税改革の一環として、企業の稼ぐ力を高め、法人事業税を成長志向型に変えていくことを目指して、法人実効税率の引き下げを税収中立で行うものということでございます。

 今委員から御指摘がありましたが、ここにございますように、ここに出ているのは資本金一億円超の、俗に言う大企業でございます。大企業で一億円超の資本金を持っているようなところは、ずっと赤字であったらそれは倒産してしまいますので、ずっと赤字企業であるということはまず考えられないということでございます。

 二点目で申しますと、この赤字企業の中には、単年度の損益で見れば黒字であるけれども、過去の赤字のせいで、繰り越しのせいで赤字になっているという企業も実はございます。そういうことを考えますと、こういった企業がいつまでも赤字のままということもないわけでございますので、そういった企業に適正に負担していただくということと、むしろこの赤字企業も、黒字になれば実際はその黒字になった年は減税になるわけでございますので、ぜひこういった企業にきちんと稼いでいただいて経済を活性化していただくことを期待しているということで御理解をいただきたいと考えております。

田村(貴)委員 稼ぐ力をつけるとか、黒字になれば減税だとか言いますけれども、では、努力したら稼げるようになるんでしょうか。そうは簡単にいかないと思いますよ。

 外形標準課税は応益負担の原則でやっています。拡大して広く負担を求めるというふうに言われますけれども、税の原則はやはり応能負担ではないでしょうか。応能負担の原則はちゃんとしっかりと基本に据えていただかなければならないと思います。

 担税力のある黒字大企業にこそ応分の負担を求めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

平嶋政府参考人 委員から、今、応能課税か応益課税かというお話がございましたけれども、応能課税も重要であるという面はありますが、地方税においては、やはり行政サービスの対価として、応益課税を重視すべきであるという原則があることはぜひ踏まえていただきたいというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の法人事業税所得割の税率の引き下げと外形標準課税の拡大というのは、今申し上げたとおり、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減することで成長につなげていくということだと思います。

 一億円超の資本金を持っておられる企業というのは、基本的には稼ぐ力を底力として持っておられるということだと思います。そういう企業が赤字ぎりぎりでいるよりも、黒字で稼いだ方が税が少なくなるということが、やはり稼ぐ力につながると思っておりますので、ぜひ、その趣旨を御理解いただければというふうに思っております。

田村(貴)委員 外形標準課税を拡大すれば応能負担は後退しますけれども、それは事実ですよね。いかがですか。

平嶋政府参考人 その点は事実です。

田村(貴)委員 そこのところは否定できなかったと思います。

 総務省は、いろいろな対策をしているとおっしゃいます。しかし、激変緩和の措置、これもあるんですけれども、二年間です。それから、二年後には消費税は一〇%に上がります。物価も引き上げられると政府自身が言っています。

 このような状況のもとで、二年間で稼げるようになれというのでしょうか。雇用や賃上げへの配慮もしているということでありますけれども、これも期限つきであります。十分とは言えません。そもそも、赤字企業へ課税することによって労働者の雇用や賃金に対して何らかの影響が出ると考えておられるからこそ、総務省としてもこういう措置を講じているのではないかなと私は思うわけであります。

 なぜ、きょうこの問題を取り上げているかといいますと、中小企業への適用拡大の懸念があるわけなんです。

 中小企業への外形標準課税の拡大、与党税制改正大綱、これは年末の十二月三十日、法人税改革の第二段階として行う外形標準課税のさらなる拡大について引き続き検討するとしています。そして、中小法人についても、中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人までまちまちであることから、そうした実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下を中小法人として一律に扱い、制度を適用していることの妥当性について検討を行う、中小法人についても、七割が赤字法人であり、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況があるとして、引き続き検討を行うとしています。

 これは、政府としても同じ立場をとるんですか。

高市国務大臣 全法人の九九%を占める中小法人につきましては、軽減税率が適用され、各種の政策税制もあり、欠損金の繰越控除の控除限度、外形標準課税等、多くの制度において大法人とは異なる扱いが認められております。

 また、先ほど委員もおっしゃっていただきましたが、中小法人の実態、これは、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人までまちまちであると与党の税制改正大綱にありますとおり、そういったことから、中小法人課税については、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き幅広い観点から検討を行うとされておりますので、そのような観点に立って検討を行う必要はあると思います。

 しかしながら、その上で、外形標準課税の適用対象法人のあり方については、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うともされておりますので、こうした方針に沿って検討していくことになると考えます。

田村(貴)委員 まさに地域経済への影響が懸念される話なんですね。

 全事業所数の九割を占め、その七割が赤字である中小企業へ外形標準課税を適用拡大すれば、地方経済や雇用に多大な影響を及ぼすことは明白であります。資本金一億円以上の税法上の線引きであるかもしれませんが、既に資本金一億円から三億円までの製造業の中小企業は、今入っているんですね、今でも外形標準課税の対象になっている中小企業があるわけなんですよ。赤字でありながら納税を余儀なくされている、こういう問題があります。

 当事者である中小企業はもちろんのこと、各経済団体からも、地方の雇用や経済への影響を指摘する意見がございます。

 日本経済団体連合会は、現在資本金一億円超の法人に課せられている外形標準課税の対象を資本金一億円以下の法人にまで拡大するならば、依然欠損法人が大半を占める中小企業の経営を大きく圧迫することとなり、地域経済全般にマイナスになるとの意見を表明しています。そのほか、日本商工会議所ほか経済団体から、地域の雇用を支え、労働分配率が八割にも達する中小企業への適用拡大は、赤字法人百七十五万社が増税とその影響が甚大であり、断固反対するとの声も上がっています。

 この声を受けとめて、中小企業への外形標準課税の拡大はきっぱりとやめるべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 今後、税制改正のプロセスの中で検討されるべきことでありますけれども、きっぱりとやめるべきだとは思っておりません。

 資本金一億円超といいますと、対象は全法人の一%でございます。そうなると、やはり応益課税といったことを考えますと、余りにも不公平だということ。それと、一概に中小法人といいましても、非常に大きな利益を上げているところもあるわけです、資本金が一億円以下であっても。これを一律に扱うことの妥当性については、きちっと検討を行っていく。

 むしろ、稼ぐ力を導き出していく、そのモチベーションを上げていくということもこれからの日本の成長にとっては必要だし、雇用を維持するためにも必要なことであるし、そしてまた、これから春闘の時期を控えておりますけれども、やはり賃上げへという流れが出てきておりますので、とにかく公平に公正に、みんなが負担を広く薄く分かち合いながら、しっかりと成長へのモチベーションを高めていく、こういった方向で検討されるべきだと私は考えます。

田村(貴)委員 これはまた議論したいと思います。

 通告に、軽二輪車の増税についてありました。

 軽自動車は、公共交通手段が不便な地域を初め、広く日常生活の足となって使われています。二輪バイクは、所得の少ない若者の生活の足となっています。一年先送りなどというごまかしではなくて、軽自動車税の引き上げの原因となった消費税増税ともども、二輪の増税はきっぱり中止すべきだというふうに思います。

 このことを強く求めて、きょうの質問を終わります。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、法定率の関係について最初にお伺いをしたいと思います。

 来年度、地方交付税原資であるいわゆる国税五税の法定率が改定され、見直し分の交付税が九百億円ふえたと承知しております。ベースとなる所得税、法人税、消費税の法定率が今回のような形で見直されたというのは、昭和四十一年以来、四十九年ぶりになるというふうにも聞いております。その意味では、この点は私自身評価をしたいというふうに考えております。

 ただし、総務省の地財計画のポイントでは、今回の法定率見直しの説明部分で、地方交付税原資の安定性の向上・充実と表題をつけておりますが、正直言って、充実とまで果たしてこれで言えるのかどうかということについては疑問を持たざるを得ません。今回の見直しが今後の法定率の抜本的な改正につながっていくかどうかが問われているのではないかというような気がいたします。

 と申しますのも、来年度の地財計画、税収増の影響もあって、財源不足額は、十兆円を切って、約七・八兆円となりました。とはいえ、依然として地方財政は大変厳しい中にあるわけです。また、新規発行分、これが減ったとはいえ、交付税の不足部分を臨時財政対策債約四・五兆円で補っているという構造そのものも変わってはおりません。

 交付税法第六条の三の第二項は、普通交付税の総額が、自治体が算定した財源不足額の合計額と著しく異なる場合において、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正または第六条一項に定める率、すなわち法定率ですけれども、その変更を行うものとするとされております。

 臨時財政対策債で対応しているんだというふうに言われるかもわかりませんが、やはり交付税原資の安定と充実を追求するのであれば、原資である国税の間のバランスの見直しというにとどまらず、法定率そのものを引き上げる抜本的な見直しが今後必要になってくると考えますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 委員おっしゃいますとおり、地方財政の健全な運営のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債に頼る対応じゃなくて、法定率の引き上げによって地方交付税を安定的に確保するということが望ましい方向だと考えております。

 まさに前政権のとき、平成二十二年度以降、毎年度概算要求の際に法定率の引き上げを事項要求していただいていたんですけれども、なかなかかなわず、ようやく二十七年度において、交付税原資の安定性の向上、充実を図るために地方交付税の法定率を見直すことができて、委員が言ってくださったとおり、九百億円程度の原資の増収となりました。

 しかしながら、やはり今回の法定率の見直しをしても、なお巨額の財源不足が生じていて、まだ国、地方の折半で補填している状況でございます。

 国も地方も巨額の債務残高、財源不足を抱えておりますので、実現はなかなか容易じゃないとは思うんですが、ただ、今後とも、法定率の見直しによる交付税総額の安定的な確保について、政府部内で十分に議論をしてまいりたいと思います。

 昨年、総務大臣に就任しました後も、なかなか法定率の見直しは容易じゃないと半ば諦め、それでも、半ばだめもとでもやってみよう、そんな思いでいた時期がございましたけれども、今後とも、財務大臣ともいろいろお話をしながら、しっかりと総務省で取り組んでまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 約半世紀ぶりに法定率の引き上げ、若干の、九百億円でありますけれども、ありましたということであります。ぜひ、これをきっかけにして、再来年度以降、しっかりと法定率を引き上げて、財源をしっかり確保していただきたいというふうに思います。

 次に、地方公務員の給与について何点か尋ねさせていただきます。

 昨年十月、人事院勧告の完全実施を政府は閣議決定を行いました。その関連法案が臨時国会にも提出され、成立しております。この人勧、月例給や一時金の引き上げと並行して、給与制度の総合的見直しが含まれております。俸給表の水準を平均二%引き下げ、その原資で地域手当の再配分をするということが主な内容だと承知をしております。

 昨年十月の閣議決定では、この点に関して、「国家公務員における給与制度の総合的見直しを踏まえ、地方公務員給与についても、人事委員会機能を発揮することなどにより地域民間給与のより的確な反映など適切に見直しを行うよう要請する」、こういう言葉が入っております。

 地方公務員の給与は、人事委員会の勧告に基づき、各自治体において自主的、主体的に決定されるべきものであって、国がその内容を自治体に要請するというようなことは、地方自治の本旨あるいは分権の趣旨からも逸脱しているのではないかと私は考えます。

 また、総合的見直しということですけれども、例えば、昨日の委員会の場でも総務省の方からは、非正規の問題に関しては職務給の原則というのを高々と掲げますけれども、今回の総合的見直しというのは、果たしてこの職務給の原則にきちんと対応したものなのかどうかについても、私は疑問を持たざるを得ません。

 きょうは余り時間がありませんので、この点についてはまた別の機会に取り上げさせていただきますが、今回の総合的見直しについていいますと、例えば私の大分県でいいますと、全ての自治体で俸給表が二%カットになってしまう。多くの地方で同様のことが起こるのではないかというふうに思います。

 この間、地方は独自に、給与カットも含めて、賃金の引き下げ等を行ってまいりました。その上、さらにこの賃下げを行うということは、職員の生活やあるいはモチベーションのみならず、地域経済や地域の民間企業の給与にも否定的な影響を与えるのではないかと大変危惧をしております。政労使の会議で総理自身が賃上げをというふうに求めました。また、津々浦々まで届けるんだと言いました。まさに、その津々浦々のところの自治体の賃金が二%下がるという、私はこれは非常に否定的な影響を与えるというふうに思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、地方創生と言われる中、また、総理が賃上げを、あるいは津々浦々に届けるんだと言っている、そこのまさに地方で働く公務員給与が下がることについてどのように考えておられるのか、尋ねます。

高市国務大臣 地方公務員給与につきましては、地方公務員法の趣旨に沿って、国民、住民の理解と納得の得られる適正な内容とすべきものであります。

 御指摘の御懸念も、今伺ったんですけれども、まず、今年度の給与改定については、国は七年ぶりの引き上げ改定がなされましたので、多くの地方公共団体において引き上げ改定がなされています。国家公務員と同様に給与改定と給与制度の総合的な見直しが行われたとしたら、本年度の給与は上昇し、本給はその水準で三年間の現給保障措置が講じられるので、給与水準が直ちに下がるものではありません。ですから、これがすぐに地方創生など政府の取り組みに反する形になるとは思っておりません。

 ちなみに、国家公務員の方の総合的な見直しですけれども、これも二十七年度から二十九年度の三年間に段階的に実施するものであり、例えば、俸給表で見ますと、初任給などは引き下げがない、若い方がしっかり入ってくるように、五十代後半層が多い号俸は最大四%引き下げということで、特に民間賃金水準の低い地域の官民較差については平均二%引き下げとなっています。

 ただ、職務や勤務実績に応じた給与配分ということで、しっかりまた手当を引き上げる部分もありますので、地方公共団体におかれましても、こういったことを参考にしながら、しかし、その地方の状況に応じまして適時適切に判断をしていかれることだと思います。

吉川(元)委員 もう時間が来てしまいましたので終わりますけれども、国家公務員の場合は全国的に異動がある、都市部に行けば少し上がり、地方に行けば少し下がるということはあるかもわかりません。ただ、大分を初めとした多くの地方では、ずっとそこにいるわけです。

 だとすれば、現給保障が何年間かあるということはありますけれども、ただ、やはり全体として地域の賃金を引き下げる圧力にならざるを得ないのではないかということを私は指摘させていただきまして、私の質問を終わります。

桝屋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。水戸将史君。

水戸委員 私は、維新の党を代表して、地方税法並びに地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 まず、現在の地方交付税制度そのものの継続こそが疑問であります。地方において税源や財源は偏在しているため、地方間の財政調整自体を否定するものではありません。しかし、現在の地方交付税制度は、国税の一定割合を財源として地方に分配する形となっており、国税に依存する体質は従来から変わることなく、それが地方の財政規律を緩め、地方自治体の自立をも妨げております。

 また、地方交付税制度は、景気変動にも柔軟に対応できないという欠点があります。なぜなら、地方交付税の財源は、所得税、法人税、消費税、そして酒税等ですので、交付税への配分比率の高い所得税と法人税の税収は、景気が悪ければ減ってしまうからであります。

 その上、地方の基準財政需要の算定方法を初め、国の裁量の余地が多過ぎます。地方の財政需要が一番よくわかっているのは地方ですが、需要を決めるための方法や算定式は国が法律で決めており、本当に必要なところに必要なお金が行き渡っているのか、適宜適切な分配方法であるのか、客観的な判断基準はありません。

 このように、現在の地方交付税制度はさまざまな問題点を抱えております。のみならず、この方法で各地方間の格差が解消されるならともかく、戦後一貫して東京への一極集中は進んでおります。かくして、地方の活力は失われ、どの地域の経済も低迷し、人口も減り続けております。

 地方を本当の意味で再生させるためには、現在の地方交付税制度を前提とした小手先の改正では足りず、地方の活力を奪う地方交付税制度を早い段階で廃止すべきではないでしょうか。

 そして、それを踏まえ、各自治体が自立できるように、地方に徹底的に税源と権限を移譲しつつ、道州制の実現を提唱いたします。税源といたしましては、所得税や法人税と比べ地域間の税収格差が小さく、景気の影響も受けにくい消費税を地方の財源として移譲し、なお、それでも残る税収の格差については、国が調整するのではなく、地方同士で水平的に再分配を行う制度にすべきです。すなわち、各地方間の再分配につきましては、各地域で上がった税収の一部を調整財源として、分配方法を地方が合議で決める地方共有税の創設を求め、反対討論といたします。

 以上です。(拍手)

桝屋委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法改正案及び地方交付税法改正案に対する反対討論を行います。

 反対理由の第一は、政府の政策に応えたかどうかで地方交付税の配分に傾斜をつけているということです。

 安倍内閣は、定員削減や人件費削減を地方交付税の算定に反映する仕組みを今年度から導入いたしました。この行革努力分を継続することは重大です。

 さらに、新設する人口減少等特別対策事業費六千億円は、地方創生の取り組みの必要度枠と成果枠に分け、成果枠を段階的に増額するとしております。

 地方自治体をめぐる条件は多様です。成果を押しつけ、できなければ地方交付税は減らされ、その結果、苦しい自治体は一層追い詰められます。

 地方の固有財源である地方交付税の性格をゆがめることはやめるべきです。

 反対理由の第二は、集約と連携によるまちづくりへの財政措置をすることです。

 安倍内閣の地方創生は、社会保障と地方交付税の削減は仕方がない、足りない部分は民間投資の拡大と住民の自助、互助で賄えというものです。

 連携中枢都市圏構想では、中枢都市に圏域全体の経済成長の牽引と高次都市機能の集積、強化の役割を担わせ、普通交付税の算定を加えます。

 公共施設等総合管理計画とPPP、PFIの活用では、公共施設等の集約化、複合化や転用のために新たな地方債の仕組みを設けるとしております。公共施設等のあり方は、住民の参加と合意に基づいて決められるべきです。延べ床面積の縮小等を自治体に押しつけ、PPP、PFIの活用を最優先とすれば、まちづくりにゆがみをもたらすことにもなりかねません。

 さらに、公立病院の再編のために普通交付税の算定を変更するとしております。

 地方財政措置を安倍内閣の言う地方創生に動員することは容認できません。

 反対理由の第三は、赤字法人に過大な負担をもたらす外形標準課税の拡大です。

 資本金一億円以下の中小企業への適用拡大の検討はきっぱりやめるべきです。

 最後に、東日本大震災からの復興に関して、被災自治体の自己負担の検討が表明されていることは看過できません。復興予算の拡充を求め、討論といたします。(拍手)

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党を代表し、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 今回の地方税法改正で、法人事業税の所得割税率が引き下げられ、外形標準課税が拡大されます。大企業だけが恩恵を受ける今回の法人税率引き下げには賛成できません。加えて、税率引き下げの代替財源として、今後、中小法人にまで外形標準課税の適用が拡大されることになれば、地域経済に深刻な影響を与えることは必至であり、そのことを強く危惧いたします。

 また、寄附に対する返礼品をめぐる競争が激化しているふるさと納税の拡充は、受益と負担の関係をいびつにし、個人住民税の意義を損ねると同時に、他の寄附金制度との均衡を著しく欠くものとして、賛成しかねます。

 総じて、今回の地方税法改正でも、国から地方への税源移譲は皆無であり、地方税財源の抜本的な拡充に至っていないことから、地方税法等の一部改正案に反対をいたします。

 次に、来年度の地方交付税法の改正についてです。

 地方創生事業費として一兆円の経費が計上されていますが、財源の半分は既存の歳出の振りかえで、残りの半分は地方の努力によって捻出された財源であり、国が責任を持って新たに計上したものではありません。

 中長期的課題である地方再生のための事業を継続するのであれば、自治体が必要とする経費を積み上げ、安定した財源を措置すべきです。

 また、地域の元気創造事業費の配分に行革努力分を盛り込んだこと、地域活性化分や人口減少等特別対策事業費で成果配分をする点についても、地方交付税法の趣旨から逸脱するものとして看過できません。

 四十九年ぶりに交付税の法定率見直しを行うこと自体は一歩前進と評価しますが、地方財政は巨額の赤字を計上し、臨時財政対策債で穴埋めをする不自然な構造が続いている以上、法定率そのものを引き上げる抜本改正が必要であることを強く主張いたします。

 今後、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化に向け、地方財政経費の歳出削減圧力が高まることは必至です。地方創生を言うのであれば、安易に歳出削減に応じることなく、国から地方への権限と税財源を大胆に移譲し、地方財政を充実させるべきだと指摘し、私の討論といたします。

桝屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、坂本哲志君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件(案)

  地方公共団体が、住民生活に不可欠な行政サービスを安定的に提供しつつ、人口減少の克服や地方創生といった諸課題に取り組んでいく観点から、地方税財政基盤の確立が急務であることに鑑み、政府は次の諸点について措置すべきである。

 一 人口減少の克服や地方創生といった諸課題に取り組んでいくためには、地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していく必要があることに鑑み、地方創生の取組に要する経費については、長期的視点に立ち、継続的かつ安定的な財源を確保すること。

 二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ地方公共団体の安定的な財政運営に必要な総額の充実確保を図るとともに、今回の法定率の見直し後も引き続き多額の財源不足の発生が見込まれることを踏まえ、更なる法定率の引上げを始めとした抜本的な見直しについて検討し、特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指すこと。

 三 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、税源の偏在度が小さく、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、地方消費税率引上げの延期が地方の社会保障給付に及ぼす影響に適切に対処するとともに、減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、代替の税源の確保等の措置を講ずるほか、税負担軽減措置等の創設や拡充に当たっては、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重な対処を行うこと。

 四 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることも踏まえ、地方財政の健全化と地域経済の再生に向けた取組を一層推進するとともに、臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 五 地方債については、地方債届出制度の運用状況も踏まえつつ、地方債の発行に関する国の関与の在り方について、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から必要な検討を行うとともに、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど、円滑な起債と流通、保有の安全性の確保を図ること。

 六 東日本大震災に係る復旧・復興事業の加速化を図るため、引き続き、入札不調への適切な対応策を講ずるなど、被災地方公共団体による復旧・復興事業が円滑に実施されるよう、万全な支援措置を講ずること。また、集中復興期間終了後においても、復興の現状に鑑み適切な措置を講ずるとともに、震災復興特別交付税等の取扱いについて検討を行うに当たっては、復旧・復興事業の実施によって被災地方公共団体の財政運営に支障が生ずることがないよう、確実な財源の確保を期すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

桝屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地方税財政基盤の早期確立及び東日本大震災への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました諸事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

桝屋委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十七分散会


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