衆議院

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第9号 平成27年3月24日(火曜日)

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平成二十七年三月二十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    青山 周平君

      池田 道孝君    大串 正樹君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    黄川田仁志君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      土屋 正忠君    中村 裕之君

      長坂 康正君    藤井比早之君

      宮路 拓馬君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    階   猛君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      柿沢 未途君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           浜田 泰人君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     宮路 拓馬君

  金子めぐみ君     八木 哲也君

  黄川田仁志君     大串 正樹君

  小林 史明君     青山 周平君

  福田 昭夫君     階   猛君

  吉村 洋文君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小林 史明君

  大串 正樹君     黄川田仁志君

  宮路 拓馬君     金子万寿夫君

  八木 哲也君     藤井比早之君

  階   猛君     福田 昭夫君

  柿沢 未途君     吉村 洋文君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 情報通信及び電波に関する件(公共放送のあり方)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 情報通信及び電波に関する件、特に公共放送のあり方について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事吉国浩二君、専務理事石田研一君、専務理事板野裕爾君、理事福井敬君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長安藤友裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛です。

 上田監査委員、常勤の監査委員であり、今回ハイヤー問題について調査をされた、また、三菱商事ではリスクマネジメント部長も務められたと伺っております。そういう専門的な立場でお答え願いたいと思います。

 まず、個別の件ではなくて一般論としてお尋ねしますけれども、NHKの会長が、NHKにハイヤー代金を支払わせる意図を持って、私用のために会社で契約するハイヤーを利用したという場合、どのような法的問題が生じるとお考えですか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 今、先生の方からあった御質問は、仮定の御質問ということで、したがいまして、私の方からはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

階委員 いや、今、仮定でも何でもないですよ。法的な一般論を聞いているんですよ。

 要するに、まあ、NHK会長でなくてもいいですよ、会社のトップが、会社で契約しているハイヤーを私用のために利用して、その代金は会社に負担させる意図を持っていた場合、こういう場合にどういう法的問題が生じるかということです。

 法律の専門家であれば当然わかっている、コンプライアンスの専門家であれば当然わかっていることを確認のために聞いております。

上田参考人 全くの一般論というお話であれば、公のお金を私的に利用するということは、これは法律的にも問題があるというふうには理解いたします。

階委員 法的にどのような問題が生じますか。具体的に、どういう法令の違反ということが生じるかということをお答えいただけますか。

上田参考人 お答えいたします。

 法的問題の詳細にわたりましては、慎重にお答えしなくちゃいけないということで、私の方からはお答えを差し控えさせていただきます。

階委員 それで本当にこの問題の本質を理解した上で調査をされているかどうか、私は疑問ですよ。

 これは、場合によっては、刑法上の背任罪にも当たり得るんじゃないですか、どうですか。一般論として、先ほどのケースについて。私の設例したケースについて、背任罪も成立するんじゃないですか。法令違反というのであれば、具体的な条項についてお答えください。

上田参考人 お答えします。

 先ほどお答えいたしましたように、法的問題に関しましては、慎重な対応が必要だということで、ここではお答えを差し控えさせていただきます。

階委員 それでは、今回の調査について、もう一度監査委員にお尋ねしますけれども、私は、今回のケースで一番重要なのは、本当に会長が当初から支払う意思があって私用でハイヤーを利用したかどうかという点だと思います。

 当初から支払う意思がなくて、私用で会社のハイヤーを利用して会社に代金を負担させる意思であれば、私は背任と思っていますから、ポイントは、当初から支払う意思があったかどうかだと思いますが、その点については重々留意されて調査されたということでよろしいですか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 調査の過程で聴取いたしました具体的な内容については、公表することを差し控えたいと考えますけれども、監査委員会といたしましては、みずから直接関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して、監査委員会報告書記載のとおり事実関係を確認し、本件について、私用目的の利用での手配の要請であること、会長が手配を要請した時点でみずからハイヤー代金を負担することについては、会長と秘書室のいずれも承知していたと判断いたしました。

 なお、複数の対象者からの聴取内容は、主要な点において一致しており、これを覆すような事実等は見られませんでした。

 以上です。

階委員 まず私の質問にちゃんと答えてください。ポイントはどこにあるか。私は、当初支払う意思があったかどうかということがポイントだったと思っていますけれども。具体的な調査のやり方がどうだったかということじゃなくて、そういうポイントが重要だということは理解されていましたか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会は、繰り返しになりますけれども、みずから直接関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容を総合的に勘案して、監査委員会報告書記載の事実関係を確認いたしました。

 監査委員会といたしましては、関係部局や秘書室を中心としたヒアリング等により、所要の事実関係を、報告書記載の事実関係を確認することができたと認識しております。(階委員「答えていないですよ」と呼ぶ)

桝屋委員長 階君、いま一度。(発言する者あり)静粛に願います。

 委員長から申し上げます。上田参考人におかれましては、質問者の趣旨をよく酌んでお答えを願いたいと思います。いま一度答弁を求めます。

 参考人上田日本放送協会監査委員。

上田参考人 先ほどの答弁と同じになりますけれども、監査委員会は、みずから直接関係部局や……(階委員「もういいです。結構です。時間がもったいない。退いてください」と呼ぶ)

階委員 それでは、委員長にお願いしますけれども、先ほど、法令違反が生じ得るという中で、具体的なことは調査しないとわからないというような趣旨でした。

 具体的にどういう法令違反に当たり得ると考えているのか、後で資料を提出するように求めます。

桝屋委員長 ただいまの委員の御発言については、後刻理事会で協議をいたします。

 なお、この委員会の場で明らかにできることは、お取り組みをお願いしたいと思います。

階委員 それでは、籾井会長にお尋ねします。

 先日も部門会議でお聞きしましたけれども、当初、十二月の二十六日、代金は私が支払うからと秘書室長に言ったというお話でした。

 その説明を受け取れば、会社に代金を支払わせる意図は確かになかったんだろうというふうに受け取りますけれども、その後の経緯、例えば、本当に代金を支払う意思があったのであれば、降車時に現金で払ってもいいだろうし、あるいは乗車票にそのときにサインしてもいいだろうし、代金の支払い時期や方法について運転手にその場で確認したり、あるいは出社した後に秘書室長に確認したりということがあってもいいはずなんですよ。ところが、そのあたりについて、全く調査報告書では明らかになっておりません。

 そういうことから勘案すれば、私は、会長としては、会社に負担させる意思はなかったにしても、成り行きに任せて、請求が来れば支払えばいいし、請求が来なければそれはそれでしようがないということを考えていたのではないかというふうに、この報告書の内容からは見てとれます。

 そのときの意思はどうだったんでしょうか。成り行き任せではなかったんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 十二月二十六日に車の手配を依頼したときに、秘書室長と話して、これは公用車ではなくてハイヤーにすると。なぜハイヤーにするかといえば、公用車では個人的な負担がわかりませんから……(階委員「端的に答えてください」と呼ぶ)いや、端的に答えておりますが。ハイヤーにして金額を明確にするということが意図でございますし、そのときに私は、自分で払うと。

 私の経験でいきますと、通常、請求書が来るんですが、これが、この辺で、きのうも御説明しましたように、実務的な連絡がちょっと欠けたという部分でございまして、したがって、伝票が出ちゃったわけですね、一月十三日に。伝票が出てしまいますと、会社の流れの中に入ってしまうんです。しかし、きのうもこれも御説明しておりますが、何万という数の伝票の中から一枚を取り出してそこで払うということは、なかなか実務上は手間暇がかかるので、それで来たときに払うというふうにしたわけです。

 それで、私は、会社に押しつけるとかそういう気も全くないわけでございまして、運転手から料金を聞くということは不可能なんです。お金もそのときにはわからないんです。これがハイヤーを使うときの現実でございます。(発言する者あり)

階委員 大した問題であるから聞いているんですよ。

 まず、何万という伝票から探すのがどうのこうのとか言っていますけれども、この報告書によっても、一月六日にハイヤー配車担当者からこの件について精算方法について照会があったというふうになっていますよ。一月六日に照会があって、一月十三日に伝票を出しているわけですよ。十分時間があるじゃないですか。その間、会長に全く問い合わせもしないで、こういう会社の通常の経理のやり方になっている、会社に負担が生じるようなやり方になっている。これは非常に問題だと思いますよ。

 なぜ問題かというと、会長の意思がどうであれ、会長の意思を直接確認するでもなく、秘書室の職員が勝手に判断して、これは会社の経費で処理しようということをやっているわけですよ。

 しかも、その事務処理たるや、私、きのう確認しましたけれども、資料一というところに例の乗車票のコピーが出されていますけれども、この乗車票の一番左下の部分、降車時刻、それから使用者氏名というところは必ず自署で書くことになっているんだそうです。職員の場合は絶対に自署、それから役員の場合は、出張で不在の場合など対応できないときは、本人の了解を得て代理で記入することもあるということなんですよ。

 いずれにしても、最低限本人の了解を得なくてはいけないんですが、それはなかったということでいいですか、会長。

籾井参考人 何度も御説明しておりますが、これは私用の、プライベートの利用でございますから、私は伝票は一切見ておりません。

階委員 結局、このルールに違反しているわけですよ。全くコンプライアンス意識が欠如していますよね、秘書室職員は。だって、ルール上は、本人の了解を得なければ代署できないことになっていますよ。ルール違反じゃないですか。

籾井参考人 これも申し上げておりますが、今回の件は、事務処理のミスとはいえ、今委員がおっしゃっているように、いろいろな疑いを招いてしまったことはまことに申しわけないと思っております。このようなことが二度と起きないよう、しっかりと取り組んでいく。

 これもまた、伝票がなぜ出されたのか。一月十五日、これは、一月の場合は日曜日でございます。十三日が一月の上期の伝票の締め切りでございます。そういうところに、配車の方から督促がまた入った。それは出さなきゃいけないと彼は思いました。しかしながら、私はそのときいないし、誰も相談する相手がいなかったがゆえに、とにかく出しておこうということで伝票が出されたわけでございます。(階委員「ルール違反かどうかを尋ねています」と呼ぶ)まあ、ルール違反でもないと思います。

桝屋委員長 答弁者、会長に申し上げます。

 不規則発言にお答えをすることは避けていただきたい、きちっと議論をしていただきたいと思います。

階委員 今、ルール違反ではないというふうにおっしゃいましたけれども、それでよろしいですか。

籾井参考人 適切な処理と監査委員会で認められております。(発言する者あり)不適切な処理と監査委員会からも指摘されております。

階委員 だから、ルール違反ということなんですよ。

 ルール違反がなぜいとも簡単に起きてしまうのか、ここを私は非常に危惧しております。つまりは、本来、本人の了解をとればいいところを、勝手に会長の意図をそんたくして、業務使用だということで会社の経費にしてしまうということを秘書室の職員がやっていますね。

 それからもう一つ、そんたくということでいえば、きょうお配りしている資料三をごらんになってください。これは、総選挙の期間中、秋田放送局であった事例です。

 この事例について、会長も当然御存じだと思いますけれども、選挙中の十二月の三日から五日にNHKの地域ニュースで放送した企画コーナー、三日間連続ですね。各回の冒頭で、自民党総裁の安倍晋三首相がアベノミクスについて話す映像を放映後、各選挙区の候補者が主張を述べる場面の映像が続いた。この件について、地元の共産党の方がフェアではないというふうに指摘したんですけれども、秋田放送局の放送部長は、アベノミクスに対して視聴者の理解を深めてもらうためだというふうに言い切っていますよ。

 これは本当に、こういう言い方でいいんでしょうか。これが、かねがね会長が言っているような、公平公正な、不偏不党な放送と言えるんですか。会長の意図をそんたくして、会長がかねがね、右と言ったら右、あるいは政府の方針がはっきりしないうちは何もできないような、そういうことを言っているから、現場もこういうふうにそんたくしてなっているんじゃないですか。この件について、地元の放送部長のこの理解を深めてもらうためという発言は問題ないとお考えですか。会長、お答えください。

籾井参考人 ちょっと先ほどの発言の中で、一月十三日は水曜日でございます。十五日は木曜日で……(発言する者あり)ちょっと失礼します。

桝屋委員長 階猛君の質問にお答えください。

籾井参考人 お答えします。

 選挙報道については、本当に、我々NHKの放送ガイドラインで、選挙関係のニュースや番組の放送、選挙結果の速報などは、正確な取材と公正な判断によって自主的に行い、公職選挙法の趣旨に従って選挙の公正を損なわないようにすることを掲げております。候補者の主張などは、ニュースや番組で公平公正に取り上げております。

 御指摘の放送でも、各選挙区の各候補者のインタビューを公平にお伝えしたと聞いております。

階委員 全くこの件についてお答えになっていないし、問題意識がなさ過ぎると思いますよ。

 この一年間、会長の意向をそんたくして現場がさまざまな混乱を生じているということだと思いますよ。秘書室しかり、あるいは秋田放送局しかり。そういうことを生じさせた御自身の責任をどう考えていらっしゃるのか。

 籾井会長、最後にお尋ねしますけれども、私は、そろそろ御自身の身を引かれることを考えるべきだと思いますけれども、どうですか。

籾井参考人 済みません、先ほどの日にちは、一月十三日は火曜日で、十五日は木曜日でございましたので、これは訂正させていただきます。

 それから、ただいまの御質問については、私、先ほども言いましたけれども、就任以来、言葉が不十分で誤解を招いているということについてはまことに申しわけないと思っております。ただ、放送法にのっとって、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されない放送を行うということが何より重要だと考えております。

 NHKは、定期的に行っている経営の十四指標の世論調査では、「公平・公正」の指標が常に高い期待度と実現度を維持しております。我々は常にモニターをしております。また、放送と通信の融合や国際発信の強化など山積している経営課題について、私が先頭に立って取り組んでおるつもりでございます。

 今後も、視聴者の皆様に丁寧な説明を心がけ、前への気持ちで、引き続き会長としての職責を果たしたいというふうに思っております。

階委員 けさの新聞でも、多くの市民団体から籾井会長の罷免要求が出ていると報じられていますし、現場職員からも、籾井会長の影響で取材がしづらくなったという声も聞こえます。それから、就職希望者が減ってきたという話も聞きました。NHKの信頼回復のためには、籾井会長が進退の御判断をすべきときに来ているということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 それでは、早速質問に入ります。

 きょうは、NHK関連団体ガバナンス調査報告書、これについて質問させていただきます。

 これは平成二十六年の三月から平成二十六年の八月にかけて行われたものですが、まず事実関係を教えてください。

 まず、この調査報告書は成果物、この五十ページの調査報告書、八月二十六日に提出されたものが成果物と考えてよいかどうか。

 二点目、この調査にかかった費用総額を教えていただきたい。

 それから、契約について。

 この契約は、個人と契約を行ったのか、法律事務所と契約を行ったのか、いずれであるか。

 そして、さらにその契約の相手方を明示していただきたい。

 それから、伺いますと、この契約は総額契約ではなくて時間単価による契約だと聞いておりますけれども、契約単価を明示してほしい。

 さらに、この契約が随意契約であるか、あるいは競争入札であるか。

 以上、事実をまず教えてください。

桝屋委員長 参考人籾井日本放送協会会長、今、具体的な質問がありましたから、端的にお答えをいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 契約金額につきましては、小林弁護士が所属する事務所、長島・大野・常松法律事務所の報酬基準により時間制で契約したもので、総額で契約したものではございません。

 契約情報の公表基準については、経理局の内規で定めておりますが、今回の契約は、公表の対象とはなっておりません。

桝屋委員長 逢坂誠二君。(発言する者あり)

 参考人石田日本放送協会専務理事。

 落ちついて、答弁漏れのないようにお願いをいたします。

石田参考人 まず一つ、ちょっと質問を全部メモできなかったところがあったのですが、成果物は、その八月に報告したものだということです。

 それから、随意契約かどうかという御質問があったと思いますが、これは随意契約で結びました。

 それから、会長が答えた分もあるんですが、ちょっと幾つかメモがとれなくて、質問がわからないところがあって、もう一度、済みません、漏れているところがあれば教えていただければ、お答えいたします。

逢坂委員 この契約の相手方は誰ですか。個人ですか、法律事務所ですか。名称を教えてください。

石田参考人 小林英明弁護士が契約相手でございます。

逢坂委員 契約単価を明示できない理由、なぜ明示できないのか、私には理解できないんです。この理由をもう一度詳しく教えていただきたいと思います。

 一般的に、弁護士さんの弁護士報酬というのは、例えばこれは日弁連の中の規定ですけれども、「弁護士は、弁護士の報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならない。」「前項に規定する基準には、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期及びその他弁護士の報酬を算定するために必要な事項を明示しなければならない。」これが弁護士さんの報酬の規定なんですよ、弁護士会の中の。

 こういうルールがあるにもかかわらず、そういうことを明示していない事務所あるいは個人に契約するというのは適切なことですか。

石田参考人 個別の契約に関することで、この契約について、小林弁護士の方から公表していないので、公表していないものを私の方から提出するということはちょっとできないということで、差し控えさせていただきたいと思います。

逢坂委員 一般論として、契約をするときに、一般競争入札というのがある。広く公開してやる方法。次に、指名競争入札という方法がある。さらにまた、随意契約という方法がある。一般論としてですね。

 その際に、説明責任が一番問われるのは、実は随意契約なんです。一般競争入札は、広く公開して内容をみんなに周知しているから、それはどちらかといえばその段階で説明責任が果たされているんです。随契であれば、これはほとんど表へ出ていないから、公的な性格の強いお金であれば、随意契約の方が説明責任を問われるんですよ。

 このあたりについて、どう思いますか。今の説明だと、何にも我々にはわからないということになりませんか。いかがですか。

石田参考人 随意契約にした理由は、委員長の小林弁護士が企業統治の専門家であり、危機管理や不祥事対応に造詣が深く、最もふさわしいと考えたからです。NHKの経営委員の経験もあるということも理由となりました。

 NHKでは、経理規程の第五十一条で、五十一条というのは、「契約は、競争によることを原則とする。」と書いてあるんですが、「ただし、次の場合には随意契約とすることができる。」とありまして、そのうちの第一項に契約の性質または目的が競争に適さないということが定められておりまして、今回はこの規定に当たるものというぐあいに理解しております。

逢坂委員 私は随意契約が悪いと言っているのではないんです。もし仮に、随意契約の、この今の経理規程の五十一条の第一項の一号に該当するのであれば、なぜ一号に該当するのかを説明してほしいと言っているわけですよ。ここの説明がない。ただ単に、この(一)に該当すると言っているにすぎないんです。その理由は何かというところを聞きたいんです。(発言する者あり)

桝屋委員長 御静粛に願います。

石田参考人 繰り返しになりますけれども、委員長の小林弁護士は企業統治の専門家で、かなり有名な方でもございます。危機管理や不祥事対応にも造詣が深いということで、最もふさわしいと考えたということです。それから、小林弁護士はNHKの経営委員会の経験もあるということも、その理由になったということでございます。

逢坂委員 選定の方法についてもう一度ちょっと詳しく聞かせていただきたいんです。

 通常であれば、随契をやろうというときは、では、随契の対象を誰にするか、複数名候補を出してくれ、その中で誰がふさわしいかやろうというようなことを、普通、役所ではそういうやり方をするんですよ。

 今回、それでは複数名選定されて、その中から一人、小林さんという方が上がってきたんですか。それとも、最初から小林さん一人だったんですか。

石田参考人 お答えします。

 選定された時期には、私、放送担当の理事で、本当に細かい交渉の経過にはかかわっておりませんが、当時の担当者からは、複数の候補者がいて、その中から小林弁護士を選んだというぐあいに聞いております。

逢坂委員 それでは、複数の候補者がいて、それから選んだという事実のわかる資料を提出願いたいと思います。

 これは、随意契約をやるときの基本なんですよ。随契をやるときに、複数の候補者がいて、こういう条件があって、この人がふさわしい、その選定のプロセスを明確にしておかないと、随契の本当の理由がわからなくなってしまうんですよ。いかがですか。

石田参考人 そこは、複数の候補者の中から小林弁護士を選んだということを聞いておりますが、具体的に、例えば誰をどう比べたとかいうことについてはやはり差し控えさせていただきたいと思います。

逢坂委員 私が言っているのは、個人名を出してくれと言っているのではないんです。複数名を対象にしたんだったら、複数名を対象にしたという証拠が欲しいんです。要するに、Aさん、Bさん、Cさん、小林さんというのがあって、Aさんはこんな資質だ、Bさんはこんな資質だ、小林さんはこうで、だから小林さんと随契をしたんだというものが欲しいわけです。

 もう一回お伺いしますけれども、その複数名の提案というのは、誰からあったんですか。

石田参考人 当時の担当理事からそのように引き継いでおります。

逢坂委員 であるならば、先ほど私が言いましたとおり、複数名選定したということがわかる書類、個人名は結構です、それをお出しいただきたい。その内部決定の意思、その過程がなければ、これは随意契約をやっている正当性が証明できません。いかがですか。

籾井参考人 補足いたします。

 この弁護士を決めるときに、我々としては、何が大事かというところで、やはり不祥事対応、それから危機管理、企業統治、こういう観点から、これが重要な要因だということで選定いたしました。

 御承知のとおり、小林弁護士は高名な弁護士でもありますし、さらにNHKの経営委員をやっておられたという経験もあり、NHKのことをよくおわかりだということで、最終的に小林弁護士に決まったということでございます。

逢坂委員 私のお願いはただ一つなんですよ。複数の候補者を対象にして選んだと言うんだったら、その証拠を出してもらいたい、ただこの一点であります。

 委員長、この点、わかる書類を残されているのなら、出してもらいたい。残っていないとするならば、この随契の正当性は証明できないことになりますので、ぜひこれは理事会で御協議いただきたいと思います。

桝屋委員長 質問者に申し上げますが、理事会で協議はいたしますが、この場で改めてNHKに御質問をされたらいかがでしょうか。

逢坂委員 事務方にお伺いしますけれども、複数名というふうにおっしゃっておりましたが、何名ですか。

石田参考人 お答えします。

 複数の候補者がいたというぐあいに私は引き継いでおります。

逢坂委員 この業務の経理担当責任者というのは一体誰ですか。

石田参考人 お答えします。

 この場合は、秘書室長が経理担当責任者ということになります。

逢坂委員 であれば、経理担当責任者の秘書室長からこの詳細について伺いたいと思うんですけれども、委員会で秘書室長にお話しいただけますか、いかがですか。後刻で構いません。

石田参考人 この場ではちょっと即答はできません。

逢坂委員 この契約の内容を明らかにするために、経理担当責任者をぜひ委員会に呼んでいただきたいと思いますので、協議をお願いしたいと思います。

桝屋委員長 確認をいたします。

 質問者の趣旨は、当時の経理担当、業務担当、そして具体的にそれが複数の選定がなされたという証拠が確認できればいい、こういうことですね。

 後刻、理事会で協議をいたします。

逢坂委員 本件契約は、時間単価による契約となっております。しかも支出総額は明示できないということなんですけれども、これは時間の管理が非常に大事になるわけです。

 当該仕事をお願いしている弁護士さんがどの程度この仕事に時間を割いているかということなんですけれども、時間の管理はどのように行っておりますか。

石田参考人 お答えします。

 毎月の請求書の附属資料として、弁護士担当者ごとの時間単位、時間、金額を示したものを受け取っております。月ごとでございます。

逢坂委員 そうなりますと、毎月請求を受けているということですが、毎月、委託代金といいましょうか、この業務に係るお金を支払っているということになるんでしょうか。

石田参考人 月何日に支払っているというのはちょっとあれですが、月ごとに支払っているということでございます。

逢坂委員 例えば、今のような報告書、こういうものを作成する業務をやるときに毎月ごとに支払うということは、前払い規定に違反しませんか。

石田参考人 契約がそのような支払いにするということになっておったというぐあいに承知しております。

逢坂委員 最終的にこのような報告書をつくる、これは総額幾らか明示されておりませんけれども、一説、週刊誌などによると、相当な金額だと言われているわけです。その相当な金額の契約をする際に、個別に時間単価契約をしている。それで、その相当な金額である契約をあたかも小さな契約であるかのように見せる手法というのは、実は自治体の現場でもないわけではないんです。もちろんこれは適切ではありません。

 だから、本来であるならば、これは総額契約をすべきものだと思うんですけれども、いかがですか。

石田参考人 お答えしますが、ちょっと契約当時は担当でなかったので、その契約書を、そういう時間単位で契約したのを引き継いだということで、時間単位で決まっている弁護士事務所の基準に従って金額を決めたというぐあいに私は引き継いでおります。

逢坂委員 いずれにしても、時間の管理が非常に不適切ではないかと思われますので、これについても、後でまた説明の資料を提出いただきたいと思います。

 次の話題に移ります。

 今回のこの仕事というか業務というか、これは日本放送協会定款の四条の一項から三項、このどこに該当するんでしょうか。そして、さらに加えて言うならば、日本放送協会定款七十九条には、本会の収入は第四条一項から第三項までの業務の遂行以外の目的には支出しないとなっているわけですが、どこに該当するか明示ください。

石田参考人 第四条というのは、例えば国内放送をするとか国際放送をするとかいう業務が書いてございます。今回の事項も、そうした業務を支えるために必要な業務だというぐあいに理解しております。

逢坂委員 ですから、一項から三項のどこに該当するのか明示いただきたいと思います。

石田参考人 一項から三項は、放送の中身とか、それから三項は別の、物を貸すとかそういう業務が書いてあって、実際にやる業務が書いてあります。

 例えば、こういう共通的な業務だとか構成だとか人事だとか、会社を運営していくにはいろいろな業務が必要になりますが、それについては、その中でNHKのやる業務というような形では明示されておりませんので、それがどれに当たるかということよりは、放送業務をやるに当たって一般的に、今私は総務担当ですけれども、そういう業務が必要になってくるということがありますので、その中で当たるというぐあいに理解しております。

逢坂委員 改めて繰り返しますけれども、今の御答弁から判断すれば、NHKの定款の七十九条、本会の収入は第四条第一項から第三項までの業務の遂行以外の目的には支出しない、このことに違反しているという答弁でしょうか。

石田参考人 NHKが、放送法で決められている、やらなきゃいけない業務を支える共通的な費用だ、業務だというぐあいに理解しております。

逢坂委員 仮にそうであったにしても、一項から三項までのどれに該当するかということが明示できなければ、この条項に該当しているという説明になっていないんですよ。

 先ほどの随意契約も、五十一条第一項第一号に該当する、でも、その理由は何ですかというところを私は聞いているわけで、まず条文すら明示できないのであれば、その理由はなぜなのかということを聞けないんですよ。いかがですか。

石田参考人 そういう共通業務的な業務については放送法には書いてありませんので、先ほどからの繰り返しになりますが、NHKが本来行うべき国内放送とか国際放送の業務を支えるための共通業務の費用だというぐあいに理解しております。

逢坂委員 ということは、これは七十九条の定款の規定がおかしいのか、四条の規定がおかしいということを言っているのでしょうか。

石田参考人 繰り返しになりますが、共通業務の費用として、そういう放送を支えるための業務がどうしても必要になりますので、それが放送法に違反しているとか、そういうことにはならないと思います。

逢坂委員 どうしても必要だからどうしても使うんだというのは説明になっておりません。後でまたこれは詳しく説明を受けたいと思います。

 次に、今回のこの仕事ですけれども、二カ年にまたがっているんですね。そういうことになりますと、多分二カ年の予算から支出されたんだろうとは思うわけですけれども、このことについて、例えば予算総則の中で、「本予算は、この予算の各項に定めた目的以外にこれを使用することができない。」という予算総則第三条があるんですが、平成二十五年の予算からこれは支出されているでしょうか。

石田参考人 ちょうど年度末の時期だったので、そこで払った金額がどちらに経理されているかというのは、ちょっと確認させてください。

逢坂委員 払った金額を確認させてくださいという話なんですけれども、常識的に考えて、二十五年三月に仕事をお願いしていれば、これは当然二十五年度の予算で払うべきものでありますし、二十六年のもので払うかどうかは、これは継続契約になっているかどうか、そこによって判断しなければならないんですよ。だから、それを分割して年度で払っていれば、それは契約がそうなっているかどうかの確認は必要でありますし、非常にこれは不透明なんですよ。

 その点、いかがですか。

桝屋委員長 質問者に申し上げます。質問の時間、予定の時間が来ております。簡潔におまとめをいただきたいと思います。

 答弁を求めます。石田日本放送協会専務理事。

石田参考人 繰り返しになりますけれども、そこのところは、年度末でしたので、何年度で幾ら払ったかというのは、ちょっと確認させてから御答弁させていただきたいと思います。

逢坂委員 質問時間も来ておりますのでそろそろ終わりたいと思うんですが、きょうの話の中で、結果的に何にも明らかになっていないんですよ。契約金額は明らかじゃないし、単価は明らかじゃないし、時間をどうチェックしているかも明らかじゃないんですね。

 だから、その意味において、繰り返しになりますけれども、委員長、本件契約の経理担当者、これをぜひここへお呼びいただきたいということ、契約書の写しを可能な限り出していただきたいということ、契約単価が明らかとなる書面を出していただきたいということ、しかも、時間契約でありますから、その時間をどのように具体的にチェックしたのか、その内容がわかる書類を出していただきたいということ。そうでなければこの随意契約の正当性がわからない。

 ぜひこれはお願いしたいと思います。委員長、いかがでしょうか。

桝屋委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

 逢坂誠二君、時間が来ておりますので、お願いいたします。

逢坂委員 籾井会長、聞こえていられますでしょうか。

 私、この間のやりとりを聞いていて、NHKの中に、「会長、副会長および理事の服務に関する準則」というのがあるんですね。この中の例えば第五条、「信用失墜行為の禁止」というのがあるんです。「会長、副会長および理事は、日本放送協会の名誉や信用を損なうような行為をしてはならない。」この間、繰り返し週刊誌などにも扱われ、こういう状況になっている。これは、NHKの信用をおとしめているということになっている。この服務に関する準則に違反しているとは思われませんか。

 さらにもう一点。「職務専念義務」というのもあるんです、第三条に。「会長、副会長および理事は、公共放送を支える受信料の重みを深く認識し、職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない。」

 職務上の注意力の全てを職責遂行のために用いなければならない、こういうことはちゃんとやられていますか。やられているのならタクシーの件なんて出ないはずじゃないんですか。いかがですか。

籾井参考人 ただいま委員が言われましたいわゆる準則ですが、今後とも、この点については十分注意を払いながら、徹底していきたいと思います。

 ただ、週刊誌等に書かれることがどれだけ真実かということもよく御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 週刊誌等に書かれることがどれほど真実かということも御理解いただきたいという、その言葉を受けとめさせていただいて、であるならば、それが真実であるかないかをきちんと立証していただきたいということであります。

 今回のこのガバナンス調査の内容については、私は長い間自治体でこういう公金を扱う仕事をさせてもらっておりましたけれども、その観点から見ると、決して適切とは思われないような節が多い。

 したがいまして、これについては引き続き議論させていただきたいと思います。

 終わります。

桝屋委員長 次に、近藤昭一君。

 ただいま時間が大分超過しております。近藤昭一さんの部分で調整をお願いしておきたいと思います。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 民主党の時間の枠の中でまた質問させていただきたいというふうに思います。

 続いて、籾井会長のハイヤーの私的利用問題についてということであります。

 三月十九日に発表されました監査委員会活動結果報告書によると、協会が手配するハイヤー、タクシーについて私用目的での利用は内部規定上も認めていないと書かれている。

 しかし、監査委員会の意見の中に、「会長が、私用目的であったとしても、その立場上必要な、身柄の安全、情報管理および所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではない。」とあるわけであります。このことは、経営の執行部の方も、つまり例外があるんだというふうに表明しておられるわけであります。

 例外があるということでよろしいでしょうか。

福井参考人 ハイヤーの利用につきましては、セキュリティーの必要性がある場合、それから緊急でやむを得ない場合は、私的利用であっても、業務に準じてNHKが手配する業務用ハイヤーを利用することが例外的に認められることがあります。

 NHKの内規では、「自動車の使用は、業務上必要な場合に限る。」と定めておりますが、このような例外についての周知は行っておりません。また、このような例外について規定したマニュアルはございません。

近藤(昭)委員 今ちょっと関連してお答えになったわけでありますが、この内規では認められていないけれども、例外がある、しかし、その例外については局内には周知をされていない、つまり誰も知らない、こういうことですか。

福井参考人 ハイヤーにつきましては、業務用が前提となっております。例外について周知することはまずないと思いますので、個別の事例として個別に判断するということで行っております。

近藤(昭)委員 今回、こうして委員会でも質問が行われていますように、非常にコンプライアンスとしては問題がある、疑いを招きかねないようなことが、例外として、まさしく後づけのように今回そうなってしまった、でも、実はこれは例外だ、こういうふうに説明しているとしか思えないんです。

 そうすると、もし、役員ではない、職員の人が、業務用タクシー券でセキュリティー上または緊急の場合にタクシーを利用し、その代金を戻入した、こういう場合には認められるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

石田参考人 お答えします。

 職員は、業務上必要な場合にタクシーを使用するというぐあいに定められておりますが、セキュリティー上または緊急であることを理由に業務用のタクシーの使用が認められる場合もございます。

 ただ、事後に、本人は業務上の使用だと言っていても、ちょっとそれは業務用の使用では認められないというぐあいに判断された場合には戻入するということもございます。

近藤(昭)委員 ちょっとわかりにくかったんですが、そういう場合は認められるということでありますね。戻入することが認められるという理解でいいんですか。

石田参考人 認められるというか、業務用ではないということなので、その分は戻入してもらうということになります。

近藤(昭)委員 それはどういう形でチェックをされるのか、教えていただけますでしょうか。

石田参考人 そこは、事後に上司が判断をして、これは戻入すべきだということで判断することもございますし、場合によっては、内部監査とか何かをやった結果、これはやはり業務上としてはいかがなものかということで戻入をさせるということがございます。

近藤(昭)委員 そうすると、そういう例がどれぐらいあるんでしょうか。意外にそういうのが例外というよりも、ある種、先ほどは、そうした例外があることについては局内では周知をしていないということ、まさしく例外であると。しかしながら、今お聞きすると、そういう場合には戻入してもらう。何かシステムがあるような感じにも聞こえるわけですが、いかがでありましょうか。

石田参考人 それは、システムというより、個別にそういう事案が見つかった場合とか、やはりこれは業務とは認められないというときに行うということなので、何かシステム上そういうことをやっているとか、そういうことではございません。

近藤(昭)委員 そうしたことが監査で見つかれば、そういう方法でやっていくということなのかもしれませんが。

 ところで、今回起こったことについて、秘書室の職員の方は例外は周知されていないというふうなお答えでありますが、今回のこと、秘書室の職員の方はこの例外を知っていたのか知らなかったのか。また、知る余地がなかったとすれば、秘書室の対応がずさんという監査委員会の指摘は当たらないのではないか、知らないわけでありますから。なぜこのようなことが起きたのか、お答えをいただきたいと思います。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今回の件につきましては、年末の段階で、私用である、一月二日のゴルフは私用、私的なものであるということを会長と秘書室側で確認をしたということでございまして、監査委員会の報告にもありましたように、代金の処理につきましては、具体的な方法であるとか支払いの時期であるとかについては確認、検討は行われていないということでございます。監査委員会の報告どおりだというふうに認識をしているわけでございます。プライベートなハイヤーの使用だったにもかかわらず、業務用のハイヤー乗車票を作成してしまったことが適切ではなかったというふうに思っているところでございます。

 秘書室内の連絡が不十分であり、複数の担当者の間で、今申しましたように、精算方法、手続の確認が行われないままに事務処理をしてしまった結果でありまして、秘書室業務を統括する立場の私としては、非常に申しわけないというふうに思っておる次第でございます。

近藤(昭)委員 秘書室の職員の方はこの例外を知らないということでよろしいですか。そうすると、途中のチェックがなかなか働かないのではないかと思うわけです。

 今、統括の堂元副会長がお答えになったことに対して、浜田経営委員長はどういうふうに思われるのか。例外があるということも周知徹底されていない。そうすると、来たものを秘書室では普通のとおり処理していく、こういうことだと思うのですが。

浜田(健)参考人 まず、今回の報告は、監査権限を持つ監査委員会が適切な監査に基づいて報告したものと認識しております。

 監査委員会報告書では、実際に行われた処理はずさんのそしりを免れないとしておりますが、単に特定の部署の問題としてではなく、このような場合に対処するルールが整備されていないこともあったと認識をしております。

 したがいまして、監査報告書にあるとおり、改めてコンプライアンス意識を徹底し、再発防止策を着実に遂行するためにも、まず、会長のハイヤー、タクシーの利用のあり方を検討すべきだというふうに考えております。

近藤(昭)委員 委員長も今御指摘なさるとおり、秘書室の職員の人は、そういう例外も知らない、通常に来たチケットをそういうふうに処理をした、そのあり方について、もっとコンプライアンスを徹底するためにも改善が必要だ、こう委員長も思われているんだと思います。

 ただ、私は、NHK、いわゆる受信料によって放送に関連する業務が賄われている。かつても、いろいろと費用の使い方、まさしく受信料で賄われている中で、コンプライアンスをしっかりする、間違った使われ方をしてはならない、そのことが説明できる形でなければならないということで、いろいろなことがあったと思います。

 そういう意味で、監査委員会自体が、二〇〇八年であったと思いますが、それまでの監事制度にかわり、ガバナンスを強化しなければならないとして、放送法自体を改正して導入されたわけであります。

 その趣旨は、当時の国会議事録によれば、監査委員が経営委員としての経験を踏まえて監査を行うこと、つまり、経営委員の人の中から監査委員が選ばれるわけであります。経営委員としての経験を踏まえて監査を行うことで適切なガバナンスが可能となる、監査委員と経営委員が相互に緊張関係を持つことで適切なガバナンスが可能となる、こうしているわけであります。

 ただ、私は、今回の監査結果は、とても事件の全容を解明したものとは受けとめられません。詳細な事実については私たち民主党の部門会議でも質問させていただきましたけれども、詳細についてはお答えできないと。あるいは、この間も同僚の委員からも指摘をさせていただいておりますけれども、黒塗りの部分がある。

 そうした意味では、きちっとしたコンプライアンスが果たされていない、詳細な事実関係が明らかになっていない、そうした不完全さを持っていると思いますが、いかがでありましょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今回の監査委員会の報告の受けとめ方でございますけれども、事実関係それから監査委員会の意見、いずれについても、私どもは御指摘のとおりというふうに受けとめておりまして、私どもは、この指摘を踏まえまして、今先生おっしゃいましたように、コンプライアンスの徹底を一層図る、具体的な再発防止策に努めていくという思いに今至っているわけでございます。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 私は、本当に、今回の監査委員会の説明は、事実がはっきりしないところがたくさんある、そういう中で、経営委員の中からまた監査委員が選ばれている、やはりそういうところに課題があるのではないかと思うんです。もっと外部、第三者的なところでチェックをする必要があるかと思うんですが、大臣に質問させていただきたいと思います。

 今回のハイヤー問題に関する監査結果、放送法自体を改正してつくったわけであります。つまり、それだけ期待といいましょうか、要求が大きかったと思うんですが、放送法改正において期待した役割にかなっていると考えるか、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 委員がおっしゃいますように、NHKの監査委員会は、平成十九年の放送法改正によって、NHKのガバナンス強化のための措置の一環として設立されました。

 この監査委員会ですけれども、放送法第四十三条の規定に基づいて、NHKの役員の職務の執行を監査するとされておりまして、放送法第四十四条、これは、監査委員会の選定する監査委員に対して、いつでも、役職員の職務の執行に関する事項の報告を求め、協会の業務及び財産の状況を調査するという権限を与えておりますので、今回の調査は、これらの権限に基づいて実施されたと承知をしています。

 ただ、やはり放送法というのは放送事業者の自主自律を基本にしておりますので、監査委員会がつくったその調査報告書について、総務省がその個別の内容について意見を申し上げることはございません。

 ただし、国民・視聴者の受信料によって成り立っている、経営をしている、そして公共放送という非常に重要な社会的な使命に鑑みまして、これからも監査委員会にはしっかりとその職責を果たしていただきたいですし、そしてまた、NHK及び籾井会長には、しっかりと放送法の趣旨を踏まえて、国民・視聴者への説明責任も果たしていただきたいと考えております。

近藤(昭)委員 大臣、そうした放送法の改正の趣旨があった、その法律の趣旨があった中でコンプライアンスをしっかりと果たしてほしいということでありますけれども、私は、繰り返しますけれども、なぜこの委員会で何回も質疑があるのか、そして、きょうの同僚議員の質問の中にもありました、まさしく私的利用であれば非常に大きな問題だ、法律にも違反するのではないか、こういうことであった、そのことに対する調査を監査委員会が行ってきた、しかしながら、その監査委員会の報告は甚だ事実を究明するには不十分ではないか、こういうことを指摘させていただいておるわけであります。

 個人情報保護という言葉も出てくるわけでありますけれども、そのことを鑑みながらも、できる範囲の中での開示も、私は不十分だと思うのであります。個人情報保護を理由に開示をしない、繰り返しになりますけれども、私は、経営委員、ある種内部の中でやっているので、内部が内部を監査している、こういう側面があるのではないかと思うわけであります。

 もう一度お聞きしますが、放送法を改正して設置した役割にかなっているのかどうか、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 かなっていると思います。

 経営委員は、国会の皆様の御承認を得て、内閣総理大臣が任命をするということで、基本的に外部の方々でございます。もしも仮に内閣総理大臣が会長を選ぶとか、重要な経営の事柄に直接タッチをするようなことのないように、外部の識者の方々で構成される経営委員会があり、そしてまたその中から監査をしていただく委員が選ばれている、そして、非常に重い権限を持ちながら、いつでも役員に対して必要があれば聞くことを聞けるわけでございます。

 ただ、監査委員会が個々の情報を開示するかどうかということは、これはやはりその自主的な判断に委ねられていると私は思いますので、政府としてコメントをすることはございません。

 ただ、先ほども申し上げましたが、受信料によって運営される公共放送の社会的責任はNHK及び会長にしっかりと認識をしていただいて、必要な説明はしていただく。

 監査委員会に関する情報公開の有無は、監査委員会に委ねられるものであると思っております。

近藤(昭)委員 時に自主的にそこが判断されるというところは、まさしくその自主性を重んじる。しかし、それは、もっと第三者的に、独立したところに対して干渉を加えない、干渉を加えないことによってきちっとした審査をする、こういうことだと私は思うんです。

 ただ、私は、繰り返しますが、経営委員会の中から監査委員会が選ばれている、そこにある種の心配があるわけであります。どうやって独立性を、まさしく独立性があるから、そこに任せて、自主性を重んじるということだと思います。

 二〇〇七年でしたでしょうか、法改正が行われたときに、参議院の委員会で、経営委員会と監査委員会、相互に独立した存在と、こういうことでございますけれども、一方で、委員はあくまでも経営委員の中から選任をされる、こういうことであります、どういう形でこの独立性を担保していくか、この辺りを含めて御説明いただきたい、こういう質問が御党の岸信夫委員からも出されているわけであります。

 どのように独立性を担保していくか、当時から懸念を持たれていたこと、それが今まさしく出てきているのではないかと私は思うんです。

 改めて、その独立性をどう担保していくか。私は、もう何遍も申し上げておりますが、この監査委員会の監査は不十分だ、きちっとした公開がなされていないと思います。監査委員会のあり方も問われるんだと思います。いかがでありましょうか。

高市国務大臣 監査委員については、放送法の第四十二条第三項によって、経営委員会の中から経営委員会が任命するということになっていますけれども、これは、経営委員としての業務執行を通じて得た知見、これを監査に生かすということができ、そして、より実のある監査ができるという考えから、当時このように規定されたと伺っております。

近藤(昭)委員 時間が参りましたけれども、当時の委員会の議事録を読んでも、今大臣がお答えになったことは、まさしく、兼ねることによって、内部のことがよい意味でわかっている人がやることによってきちっと監査ができるということは言われている。しかし、そのことに対して、岸信夫委員からも、独立性が担保できるのか、その後にも、屋上屋を重ねることのないように、こういう指摘がなされているところであります。

 また引き続き、この監査委員会のあり方については質問させていただきたいと思いますが、きょうはこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 維新の党の柿沢未途でございます。

 籾井会長がNHK会長としてふさわしいのかどうか、これが率直に言って問われていると思います。きょうの質疑は努めて冷静にいきたいと思いますけれども、しかし、幾つかその観点から御質問を投げかけさせていただきたいと思います。

 まず、一般的なトップリーダーの心構えについてお伺いしたいと思います。

 三井物産の米国法人の社長を務められ、また、日本ユニシスの社長という、東証一部上場企業のトップを経験された籾井会長には、出した結果で問われる、民間企業経営者の厳しいそうしたあり方というのはもうよくよく身をもって御承知のことだろうと思います。

 政治家においても、マックス・ウェーバーではありませんが、「職業としての政治」の中で、心情倫理と責任倫理ということが言われて、政治家は結果責任を問われるものだ、こういうことが強調されております。政治家は常に、結果を出したか出さないか、このことで評価を受ける。考えてみれば、選挙というのがそもそもそういうものであるわけです。

 トップリーダーが経営に当たって、あるいは私たち政治家も含めて、負うべき結果責任というものについて、籾井会長は、経営者をずっとされてこられた御経験を踏まえて、どのようにお感じになられているか、まずもってお伺いしたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 なかなか難しい御質問でございますけれども、公共放送NHKのトップとしまして、具体的に、重要なことは、まず、全国にあまねく番組を届け、いかなる災害時にも放送を継続していく、非常にベーシックなこういう義務がある、これは一番大事なことだと思っております。

 それから次に、やはり我々は放送をしていくわけでございますから、放送は事実に基づいたものでなければならない、それから、放送法にのっとって、公平公正、不偏不党、これはもういつも申し上げていることですが、何人にも規律されないという姿勢を貫いて使命を果たしていくことが非常に重要であり、これにつきましては、私は、日々、職員の皆さんにもこれをリマインドしながら、先頭に立って進んでいっております。

 それからまた、さらには、具体的な仕事については、非常に大きな組織でございますので、やはり分掌を確実に行い、その分掌を通じまして使命を果たしていくというふうに努めております。

 そして、やはりトップとしましては、組織全体をどうやってまとめていくのか。本当にNHKというところは、なかなか組織としてまとめるのは骨が折れると思いますけれども、そういうことにできるだけ近づくような努力をしていきたいというふうに思っております。

柿沢委員 私がお伺いをしたのは、トップが負うべき結果責任、こういうことなんですね。経営者としての経験を踏まえて、御自分として、今公共放送の経営者であり、かつて企業経営者として、そうした結果を出す、それに対して責任を負うということに関する、いわば姿勢というもの、心構えというもの、どう思っているかということをお伺いしたいと思っているんです。

 そういう意味では、放送法の不偏不党、公正公平、何人にも規律されない、何百万回聞いたかわかりませんが、このことをおっしゃっていただきたいわけではなくて、籾井会長の、籾井会長御自身としての心構えをお伺いしているんですけれども、いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 私の気持ちでございますが、やはりNHKという非常に重要な、かつ大きな組織、役割も非常に重要でございますが、こういう組織を、日本のみならず世界のトップの放送局として引き続き育てていきたいというふうに思っております。

柿沢委員 では、続けてお伺いをいたします。

 籾井会長は、今までの結果責任として、NHKの公共放送としての国内外の信頼をみずからの言動によって低下または毀損させた、こういう認識はありますか。イエスかノーかでお答えください。

籾井参考人 なかなかイエスかノーかでは答えにくい御質問だと思います。(柿沢委員「いや、答えられますよ」と呼ぶ)いや、それは、やはり自分のことでございますから。

 私は私なりにベストを尽くしてやっておるつもりでございますし、ただ、いろいろ私の発言で誤解等々を生んだことについては私は非常に残念に思っておりますけれども、そういうことを今後はないようにしながら、ますますNHKをより強いNHKに、また、より信頼を得るNHKにしていきたいというふうに思っております。

柿沢委員 そのお答えを踏まえて、次の質問に入ります。

 今回のNHKの予算と新三カ年経営計画では、国際放送の強化ということが大項目として掲げられているわけです。平成二十六年度予算額百七十一億円に対して、平成二十七年度は二百二十五億円。実に、一挙に五十億円もの飛躍的な予算増になっているわけですね。これは、総務省で昨年八月に設置されたNHK海外情報発信強化に関する検討会、これにおいて海外情報発信の強化が議論されたのと軌を一にする動きと考えられます。ことし一月にはその中間報告も公表されているわけです。

 平成十八年度、この国際放送は百十二億円、十九年度は百二十七億円、二十年度は百五十億円、二十一年度百七十八億円、二十二年度百九十億円、二十三年度百八十七億円、二十四年度百九十五億円、二十五年度百五十八億円、二十六年度百七十一億円、そして二十七年度は二百二十五億円。基本的に、国際放送の予算は右肩上がりに伸びてきた。これは決して少ない額ではないわけですね。

 世界的に見て最も有名かつ影響力のある国際ニュースチャンネルといえば、やはりBBCであり、CNNでありましょうけれども、このイギリスのBBCワールドニュースは日本円にして大体九十億円ほどの予算でやっている、NHK自身のまとめた「NHKの国際放送について」という資料にそのように書いてございます。

 それに比べて、ここまで十年で千六百九十三億円、つまり、年平均百七十億円投じてNHKの国際放送をやってきたわけですけれども、これまでの国際放送に関して、過去の累積予算額、投資額に対して、十分な投資効果を上げてきたというふうに思っておられるでしょうか。御答弁をお願いします。

籾井参考人 結論から言いますと、やはり、投資額、年々やっておりますけれども、その割にはまだ効果は出切っていないというふうに思っております。

 それは、いろいろ理由がございますが、来年度からNHKの国際放送の内容を相当変えまして、やはり人が見たくなるような国際放送をやっていこうということで、今度の予算では増額いたしまして、いろいろなプランを立てております。

 それによって、まず興味を持ってもらうNHKワールドTV、そしてさらに、我々としましても内容を十分に充実させながら日本の紹介もしていく。やはり今からオリンピックにかけて相当外国からの訪問者がふえますから、それに合わせて、地方のまだまだ知られていないところを紹介していくようなことをやっていきたいと思っています。

 今までの投資効果は不十分だと思います。しかし、今から先は、十分投資に見合うだけの放送をやっていきたいというふうに思っております。

柿沢委員 総務省のNHK海外情報発信強化に関する検討会の中間報告では、そもそもこれは「はじめに」というところに、「BBCやCNN等と比較した認知度等の状況などを鑑みると、一層の充実・強化が望まれる」、こう書いてあります。検討会の委員や関係者などからも、NHKワールドTVは、CNN、BBC、アルジャジーラ、CCTV等と比べて存在感が低い、アジアのBBCのステータスを確保する努力が必要である、こういうふうに意見が記されています。

 NHKも同様の認識を持っているのかどうか、これは担当理事からお伺いをしたいと思います。

板野参考人 お答えいたします。

 私どもも、やはりまだまだ存在感が低いという認識は共有をしております。

 NHKでは、NHKワールドTVの認知度につきまして、世界の主要都市で独自調査を継続して実施しております。

 最近の結果によりますと、NHKワールドTVの名称を知っている人の割合、例えば、香港で五九%、これは平成二十五年十二月の調査でございます。シンガポールでは三五%、これは平成二十六年五月の調査でございます。アジアでは一定程度認知されているというふうに受けとめておりますが、その一方で、ワシントンDCでは一二%余り、これは平成二十六年七月の調査でございます。ニューヨークでも九%、同じ時期の調査でございます。欧米ではまだなお改善の余地があるというふうに考えております。

 NHKワールドTVは、現在の二十四時間英語ニュース、情報チャンネルとしてスタートしましてから六年がたっておりますが、CNNやBBCワールドニュースは、二十年から三十年の歴史がございます。また、BBCの方ですけれども、広告収入がある商業放送であるため、受信料によって成り立つNHKとは比較できないというふうに考えております。

 また、中国は、国を挙げて国営放送CCTVの強化を進めていることは御存じのことかと思います。ただ、どの程度の規模の資金を投じているかは不明でありまして、単純に比較することは難しいというふうに思っております。

 NHKとしては、番組の充実とあわせまして、アメリカや東南アジアなど重点地域で積極的にプロモーションを実施して、NHKワールドTVの存在感を高め、より多くの方に見ていただけるよう取り組んでまいる所存でございます。

柿沢委員 この後、国際放送の強化は何を目的にするんですかという話を籾井会長にお伺いする予定で通告していたんですけれども、さっきほぼ答弁いただきましたので、これは割愛します。

 ですけれども、私は、答弁を聞いていて、どうなのかなと思う部分があるんです。先ほど来いい答弁だという話を自民党の委員さんからいただいているんですけれども、私は、皆さんがいい答弁だと言っている部分が一番、国際放送が国際的に見られるところにおいて足かせになる要素になるんじゃないかというふうにも懸念をしています。

 というのは、先ほど、日本のよさを発信するみたいなお話がありました。オリンピック・パラリンピックがあって、何か観光案内をNHKワールドTVを使ってやるんだみたいなことを籾井会長が言ったような気がするんです。しかし、国際的に見られるニュースチャンネルというのは、そういうことをやっているから見られているわけではないんですね。

 そういう意味では、日本の報道機関であるかもしれませんけれども、世界的に見て、公正、公平、中立で、独立性があって、一次情報をきちんと出している、こういう評価が確立しているからこそ、BBCだってアルジャジーラだって見られるわけです。この話をちょっとしたいというふうに思うんです。

 BBCやアルジャジーラというのは、いずれも、イギリス政府あるいはカタール政府とのかかわりを持つ放送局ですけれども、それらの政府の立場から独立をして、その国の国営放送のようなプロパガンダではなくて、偏りなく中立的に一次情報を取材して、素材に余計な編集を加えずにニュースとして流している。この報道の姿勢の認知と評価があるからこそ、世界的に、政治的な立場を超えて見られる放送局として評価を確立しているんだと私は思います。

 一方、これと対照的な話があります。

 香港で最大の放送局、これは民間テレビ局のTVBというものですけれども、昨年、行政長官選挙の民主化を求める市民十万人の抗議行動、幹線道路に学生たちのデモが、バリケードが張りめぐらされて、いわゆる雨傘革命、アンブレラ革命というのが起こりましたけれども、これらのデモを行っている市民に警官が暴力を振るっている、こういう映像をTVBが独占映像で流した。

 しかし、それを流した直後に、TVBはこの映像を自主的に削除してしまったんですよ。中国共産党に配慮して自己検閲したかのような対応に、内部の記者からも批判の声が上がって、中国共産党寄りになってしまっているのではないかということで市民の批判も高まって、香港メディアに対する信用度というのは過去最低の水準に低下してしまったということなんですね。

 政府や国家権力からの独立性、中立性を確保しているという信頼を損なうと、メディアの死につながりかねない。そして、そんな放送局は、国際放送として、世界の視聴者から、見るべき対象とはみなされない。

 先ほどの総務省のNHK海外情報発信強化に関する検討会に関して、中間報告では、NHKには表現の自由、報道の自由が確保されていることがCCTVと決定的に異なる点であって、そのことを世界に示すことに意義がある、こういう意見も記されています。

 私も、NHKはそのような報道の自由、独立性、中立性を有している放送局だとNHK出身者として思ってきました。そして、思っています。

 ところが、籾井会長の一連の言動を見ると、その独立性と中立性に対する信頼をみずから捨て去るかのような印象を与えかねない言動を繰り返しているように見えるんです。

 就任早々、政府が右と言っているものを左と言うわけにいかない。最近では、国際放送番組審議会での、安倍談話が出ればそれは国の政策ですけれども、河野談話は国の方針ではない。今は既に発言内容を修正されましたけれども。現政権におもねるかのような発言を連発していると国内外で受けとめられてしまっていると思います。

 アメリカのウォールストリート・ジャーナル紙が、就任早々ですけれども、記者会見の様子を見て、それを紹介する記事で、新しい公共放送の会長は政府の味方か、こういう見出しをつけています。

 私は、発言の当否を言っているのではないんです。従軍慰安婦があったかなかったかとか、河野談話がいいか悪いかなんという話をしているわけではないんです。私が言っているのは、あたかもNHKが、籾井会長のもと、報道機関としての独立性、中立性を低下させて、日本政府の見解に従順な国営放送のような報道機関になってしまっているのではないか、なってしまうのではないか、こういう印象を国内外に与えているという結果が生じていることについて問うているんです。

 これ以上、籾井会長によって、公的な場において思慮に欠ける発言が続くようなことがあれば、先ほど申し上げたように、NHKのメディアとしての死につながりかねないと思います。

 先ほどのBBCやアルジャジーラの例でいえば、単年度で二百二十五億円もかけて国際放送の強化をしていこうというのに、その予算を投じる目的の実効が上がらない、それとは真逆の言動を経営トップである籾井会長がみずから繰り返ししているということにもなります。

 簡単に言えば、二百二十五億円、過去十年間に一千七百億円の巨額の投資をしているのに、それをどぶに捨てるような言動を、経営トップが、頼んでもいないのにわざわざ弄しているということですよ。

 浜田経営委員長は、この点について、二百二十五億円、十年間累計千七百億円、それを投じて国際放送を強化していこうというときに、この籾井会長の発言、私は、結果責任として、この国際放送が独立、中立で、見るに値する、こういう印象を世界の視聴者に与えることに逆効果をもたらすものだと思いますけれども、そうした意味で、どう考えられますか。

浜田(健)参考人 そういう御指摘をいただきましたことは大変残念です。あわせて、公共放送のトップの言動は影響が大きいということを十分認識される必要があるかというふうに思います。

 一方で、今回の経営計画で見られますように、経営委員会が非常に重視しておりました放送と通信の融合の問題、国際放送の強化については、大変なリーダーシップで計画を取りまとめられたというふうに思っております。会長は放送法を遵守するとおっしゃっていますので、経営委員会としても、今後、その活動を見守りたいというふうに思っています。

柿沢委員 放送法を遵守するという条件をつけて見守る、こういう御答弁のようでしたけれども、私は、そもそも考えると、政府、総務省の検討会の中間報告と軌を一にして、また、今同僚委員からいろいろお声をいただいていますけれども、国際放送を強化しろという政府や政治の意見と足並みをそろえる形で国際放送の強化をNHKが行おうとしているということ自体が、ある意味では、NHKの独立性ということについて、やや疑問を持たれかねない、そういう動きであるというふうに思っています。

 これは、国際放送を強化するのがよくないと言っているわけではないんです。政府に言われてやっているかのような、そういう印象を与えていること自体がいささか、ちょっと配慮が必要だというふうに私は思うんです。

 そういう意味で、ただでさえそうなのに、籾井会長の言動があるということで、さらにNHKがある種国営放送のような、そうした存在になっていく、なっているんじゃないかという印象に拍車をかけてしまっているというふうに思うんですね。

 それが、先ほど来申し上げているように、受信料で投じられる投資に対する効果を損なうんだとすれば、これは経営者として結果責任が問われる、そういう事態だと私は思うんです。籾井会長、御答弁されたそうですから、ぜひお願いします。

籾井参考人 随分長い御質問だったんですけれども、一つ申し上げておきますと、国際放送をやるということは、私が就任した当日に、いろいろなことを記者会見で質問されて答える前に、やはり私としては、国際放送をやります、もう少し強化します、それから通信との融合もやります、こういうことを発言しているわけですね。

 したがいまして、先ほどおっしゃいましたように、総務省のああいう委員会で意見が出たから始めたということでも何でもないんです。これは、明確に、私の最初の就任の話を見ていただくとわかると思います。

 それから、放送の中立性につきましては、これは本当に、今のNHKの国内放送でも同じですが、我々は、事実を客観的に報道して、視聴者の皆さんに大体御判断を委ねている、こういう姿勢で放送をしております。

 国際放送につきましても、我々としましては、例えば今委員が御心配のようなことはやるつもりもありませんし、それから、これを強化するに際して、アメリカにも行って、いろいろな方の意見を聞きました。

 例えば、CCTVというのは、国の宣伝放送と言ってもいいくらいのものです。これについて、アメリカの方たちは、ああいう放送は見ない、時間の無駄である、そのように申しておられましたし、私も、それを聞いて本当に、どう言ったらいいでしょうか、そのとおりだというふうに思いました。

 そういうことで、私は、NHKの国際放送も国の宣伝機関になることはない、ただ、日本のいいところを、例えば先ほど言いましたようにローカルの話であるとか、そういうことも含めまして世界に発信して、日本というものを理解してもらいたいというふうに思っております。

 仰せのとおり、国の宣伝機関になったらば誰も見ません。それは私も百も承知いたしております。

 ちょっと抜けたかもしれませんが。

柿沢委員 その今表出された御認識と、実際のここまで一年の籾井会長の言動とが、整合性がとれているのかどうかということだと思うんです。

 一般論として、国会の答弁として、手元の原稿を読みながら言うことはできると思うんですよ。問題はやはり、行われた発言、行動、それがもたらした影響、結果、そこを総合的に判断しなければいけないというふうに私は思うんです。

 そういう意味で、これから国際放送を強化していこう、しかも、今まで毎年毎年平均百七十億ずつ予算を投じてきて、会長御自身が、NHK自身が認められているように、認知度が低くて投資効果としてはコストに対するベネフィットがもたらされていないと言っているものに関してやろうとしているわけですから、私は、その点、今籾井会長が、この間御自身も部分的にはお認めになられているように思慮に欠ける発言をされてこられたこと、そのトップをある種旗振り役として国際放送強化に乗り出していくことについて、大変懸念を禁じ得ません。

 私は、国際放送強化を行うこと、そしてBBC、アルジャジーラのような評価を得ること、これは、日本の国のある意味ではソフトパワーに資するものだと思っていますけれども、だからこそ、殊さらNHKの国際放送は、国家権力というものとはファイアウオールを設けて、いささかなりともそうしたものの影響を受けているというふうに思われてはいけないものだと思うんです。

 浜田経営委員長、経営を監視する立場として、その点について、もし御所見があったら、お伺いしたいと思います。

浜田(健)参考人 会長が再三申し上げているとおり、いわゆるプロパガンダであれば、国際放送を幾ら充実強化してもなかなか見ていただけない、そういう問題があるというふうに思います。

 NHKの番組は、あくまでも放送法や番組基準に沿って、不偏不党の立場に立ち、公平公正につくられなければならないというふうに思っております。

 経営委員会としては、執行部が放送法及び番組基準に沿って適切に対応しているかを、放送法の定めに従って監視、監督してまいりたいというふうに考えております。

柿沢委員 この部分についての最後の問いを籾井会長にさせていただきたいと思います。

 籾井会長は、公共放送というのは何か、NHKのホームページで公共放送とは何であるというふうに書いてあるか、御存じですか。

籾井参考人 いろいろ書いてありますけれども、放送法の中で、いつも私が言っておりますように、やはり不偏不党、事実に基づいて自律的な放送をやっていくこと、それから、先ほど申しましたように、全国津々浦々に電波を届けること、それから災害のときに、これも漏れなくそういう情報が行くようにすること、こういうことであろうというふうに思います。

 要するに、我々NHKは、皆さんから受信料をいただいているわけですから、ほかの各社ができないようなこと等々をやはり率先してやるべきだろうというふうに思っております。

柿沢委員 NHKのホームページで、公共放送とはというところがあって、こう書いてあるんですよ。

  電波は国民の共有財産であるということからすると、広い意味では民放も公共性があるということになりますが、一般的には営利を目的として行う放送を商業放送(民間放送)、国家の強い管理下で行う放送を国営放送ということができます。

  これらに対して、公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送といえるでしょう。

  NHKは、政府から独立して受信料によって運営され、公共の福祉と文化の向上に寄与することを目的に設立された公共放送事業体であり、今後とも公共放送としての責任と自覚を持って、その役割を果たしていきます。

こういうふうに書いてあるんですね。

 先ほどの結果責任の話に一旦戻ります。

 二問目で聞かせていただきましたけれども、籾井会長は、今までの結果責任として、NHKの公共放送としての国内外の信頼をみずからの言動によって低下または毀損させたという認識はありますか。

籾井参考人 私に対する評価は別といたしまして、NHKがやっております放送は、全く評価を下げるようなことはございませんでした。そういうふうに思います。

柿沢委員 おかしいですよ、それは。私に対する評価って、個人の評価なんて聞いていないんです。経営トップとしてどういう評価を受けていると認識があるか、これを聞いているんですから。答弁していないことになりますよ。

籾井参考人 私もいろいろ失言したことはお認めいたしますが、それがどの程度信用を失墜させているかについては私は正直言ってわかりませんが、同時に、やはり私がいろいろNHKにおいてやってきたことの評価もございますから、一概にNHKの評価を下しているということばかりではないと思います。

 私は、今までいろいろなことで批判もされましたし、それについて釈明及び謝罪もしてまいりましたが、やはり、そうでないところで私はちゃんと仕事をしているつもりでございます。

柿沢委員 自分の失言など大したことはない、こういうことを言ったことになるのではないですかね。

 では、ここから別の分野について、籾井会長の経営手腕についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。

 まず、浜田委員長にお伺いをいたします。

 籾井会長は、先ほど申し上げたように、三井物産の米国社長、また日本ユニシスの社長、そういう意味では、一部上場企業、大企業のトップを経験された方です。そういう民間企業のトップ経験者として、就任の際に、浜田委員長は籾井会長にNHKの会長としてどのような手腕と結果を期待されましたか。

浜田(健)参考人 任命に当たりましては、推薦理由、経歴、実績等を確認し、御本人からも所信を伺いました。

 その結果、大きな組織を経営してきた実績があり、NHKの人材を十分生かした組織の運営ができると判断したこと、それから、海外経験が豊富であり、国際的な業務にも十分対応ができると考えられたこと、以上から、経営委員会が課題としております国際放送の強化や放送と通信の融合について一層強力に推進していただけると考えられたことなどから、総合的に判断し、委員全員が会長に任命することに賛成をいたしました。

柿沢委員 私がかねてから問題にしてきたところですけれども、職員給与と人件費の問題をちょっとお伺いしたいと思います。

 来年度予算、平成二十七年度予算で、職員給与の一人当たりの水準が一千百四十四万円、一万人余りの職員の平均が一千百四十四万円という水準になっています。退職手当、厚生費込みの人件費でいえば、一人当たり一千七百八十四万円、こういう水準になっています。

 全ての勤労者の一人当たりの雇用者報酬が大体四百万円台、四百五十万とかそのぐらいですから、これは余りにも高過ぎるのではないですか。しかも、この二十年間、勤労者の一人当たりの雇用者報酬というのはずっと横ばいですけれども、NHK職員の一人当たり人件費、給与、これは一貫して右肩上がりで上昇しているという状態になっています。

 こっちが受信料を払って、こちらの給与、人件費を支えている、こういう状況であるわけです。私は、これは大変大きな問題だと思います。

 民間放送はこれこれしかじかだ、こういう話があるわけですけれども、そもそも、営業して、スポンサーをとって放送しているのと、法律に基づいて半ば強制的に受信料を徴収してそれで放送しているのとでは、話が違う話だと私は思います。

 そういう意味では、私は、国民にとって納得のいく水準にこれをやはり見直していく必要があると思いますけれども、しかし、残念ながら、きちんとした見直しが行われているとは思っていません。そのことについて、籾井会長の御答弁をお願いしたいと思います。

籾井参考人 NHKは大卒比率が八割と高いのでございます。製造業などと比べると給与はやや高い水準となっております。

 ただ、先ほど委員もおっしゃいましたように、在京民放や大手新聞社などに比べると、二割ほど低い水準でございます。やはり同じものを比較する必要があろうかというふうに思うんです。ですから、NHKと、例えば全国平均と比べるということが正しいかどうかというと、これは同じものを比較していることにならないと私は思います。やはり民放の同業他社と比べるのが一番リーズナブルだというふうに思っております。

 そういう意味で、おっしゃったように、我々は受信料で生きているわけですが、だからといって、そんなにむちゃくちゃに低いというのでは、人材も集まらないのでございます。我々が今民放に比べて低いからどうだこうだと言っているわけではなくて、むしろ、さらに、今、二十九年までで一〇%の給料を下げるという途中でございますから、二十九年になると一〇%の給料ダウンが最終的には実現するわけでございます。我々は決して、給料をどんどん上げてということまでは考えておりませんので。

 一応御報告いたします。

柿沢委員 今の御答弁は予想された御答弁ですので、この後に行きます。

 一方で、国民・視聴者との約束であったはずの受信料一〇%還元というもの、これは実現できていないわけです。平成二十一年三月二十五日の国会答弁で、当時の福地会長は、執行部といたしましては、一〇%の還元は受信料の一〇%の値下げだと理解をしておりますと明言をしておられました。ところが、ふたをあけてみたら、震災発生で災害対策が必要だ、こういうことを並べ立てて、七%の値下げにとどめてしまったわけですね。

 受信料の一〇%値下げをするためには、毎年大体百七十億円ぐらいの財源が必要であって、NHKの直近の経営状況を見ると、昨年度の中間決算で、二百五十億黒字をたたき出しています。要するに、一〇%受信料の還元、値下げを、これはできるのにやっていないということなのではないですか。

 前任の数土委員長はこれについて、国民・視聴者に対して申しわけない気持ちはある、こういうふうにおっしゃっておられました。

 浜田経営委員長は、この受信料一〇%還元ができていないということについてどうお考えになられているでしょうか。

浜田(健)参考人 経営委員会としては、現在の経営計画を策定する際に、受信料の一〇%還元をお約束したことを重く受けとめて、議論を開始いたしました。

 しかし、その後、東日本大震災の発生など、NHKを取り巻く環境が大きく変わり、いかなる災害時にも対応するための放送機能の強化など、経費がかかることから、何度も執行部と議論した末に、受信料の値下げにつきましては、その議論の到達点が七%であったというふうに理解をしております。

柿沢委員 受信料一〇%還元はできませんでしたということなんですけれども、こうした中で、一方、籾井会長は何と、昨年十二月の職員に対する下期の年末ボーナスについて、一律加算金というボーナスの上積みを行う経営判断をしています。これは上に行くほど高くて、理事待遇の管理職は五十万円、管理職はランクに応じて五十万から二十万、一般職は二万から三万円。国民・視聴者への還元もせずに、ただでさえ給与の高い管理職を初めとする職員で山分けしている、こういうことなんじゃないですか。

 十二月支給のボーナスの一律加算金について、どのような根拠に立って、どのような経過を経てこの支給に至ったものであるか、お伺いをしたいと思います。

籾井参考人 十二月の賞与の問題が雑誌に何かいろいろと書かれております。一律に上げたとか、籾井が大盤振る舞いをしたとか、そういうことが書かれているわけでございますが、事実は、全く普通どおりに、職員の勤務評定、評価に基づき、賞与のいわゆるプラスアルファといいましょうか、多分委員御存じだと思いますけれども、NHKでは加金と言うのかな、そういうふうなお金が支払われたんですが、大盤振る舞いとか一律とか、そういうことはないのでございます。本当に普通どおりの査定をやったにすぎないんです。

 本当に雑誌にいろいろ書かれて、私も何回となく質問を受けておりますが、そういう事実はございませんので、ぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

柿沢委員 浜田経営委員長、そもそもこのボーナスの上積みというのは、この経営判断というのは経営委員会には諮られることなく決められているということもお聞きするところなんですけれども、今言ったような加算金、こういうことについて、皆さんはどういうふうに考えておられるんですか。

浜田(健)参考人 個別の支給につきましては、執行部の判断の範疇と考えておりますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、平成二十五年度から実施している給与削減の改革は、今後も計画どおり実施されるというふうに理解をしております。

柿沢委員 先ほど申し上げたとおり、視聴者に対する還元というものは約束どおりには行われていないわけですね。そういう状況の中で、通常の、所定の賞与というものにさらに上積みをして、加算をして賞与が支給をされる、こういう結果になっていることについて、はたから見ている視聴者の皆さんはどういうふうな印象を持たれるかなということを感じるところです。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、一つ次の項目に行きますけれども、今回、経営委員会の議事録を見ておりますと、籾井会長、民間経営経験者にもかかわらず、経営感覚、コスト感覚が問われるような、経営委員の皆さんから厳しい御指摘を受ける、そうした場面を見つけることができます。

 今回の新三カ年経営計画の審議に当たっても、七千億円を割る受信料収入に対して、七百三十五億円の営業経費、一〇・六%の営業経費率は絶対額として相当高い、これは三菱商事出身の上田委員ですね。営業経費の問題にしても、少なくとも二十四年度、二十五年度と少しずつ減らしてきているのに、それが次期三カ年の経営計画では横ばいになっている、これはJT出身の本田委員ですね。こういう指摘を次々に受けています。

 実際、新経営計画の三カ年における営業経費は七百三十五億円ですか、その水準でずっと横ばいになっているわけです。この間、一貫してほぼ減らしてきていると思うんですけれども、この三カ年は横ばいということで、営業経費比率は、そもそも七千億の受信料を取ろうというのに経費を七百億とか八百億とかかけてきた、このこと自体が大きな問題だと思うんですけれども、それを横ばいにしてしまったことについて妥当なのかどうかということについて、決めた籾井会長とチェックをする浜田経営委員長、双方の見解を伺いたいと思います。

籾井参考人 仰せのとおり、七百三十五億円というのは決して低い数字ではございません。私自身もそれは認識いたしております。

 次期三カ年計画において、大体、支払い率を八〇%まで持っていこうとしております。そして、今どこをやらなければいけないかというと、大都市圏なわけです。これは、東京、大阪が中心でございますが、ここは大体六割前後で推移しておりますものですから、しかも、大都市圏で人口が多いところ、ここをいかにして発掘して、新しい受信料を払ってくれる人たちをつくるかということが非常に大きな問題になっております。ここさえできれば八割ということもそんな遠い話ではないと思います。

 そういう意味におきまして、要するに、今まではやればやるほどというものが、だんだんそれが難しくなっている中で、私はやはり八割というものを要求したわけで、そういう中で今からは法人委託とかこういうことをふやさなければなりませんので、そのためにあえて、これは営業に対するプレッシャーと考えていただいてもいいんですが、減らさないで三カ年置いたということなんです。

 確かに、減らすということは一つのやらなきゃいけないことなんですが、今三カ年におきましては、私は、本当に支払い率を上げるためには全力を尽くさなきゃいけない、そのためには大都市でやらなきゃいけない、そのためには法人委託をふやさなきゃいけない、そのためにはまだまだ今の営業経費を下げる段階ではないということで、七百三十五億円を維持しました。

 あえてこれを減らしますと、減らされたからとか、そういう言いわけを営業部隊には出したくないのでございます。高いことはわかっておりますが、ぜひ、しばらく猶予をいただきたいというふうに思うわけでございます。

浜田(健)参考人 次期経営計画をめぐる審議におきまして、営業経費や営業経費比率が高い水準にあるということを含めて議論をしました。

 一方で、今会長からるる御説明がありましたけれども、支払い率八〇%、衛星契約五〇%という目標達成のためにはそれなりの費用がかかることも認識をしております。

 次期経営計画における委員長見解ではコストを削減する不断の経営改革を求めており、営業経費についても抑制に努めるよう求めてまいりたいというふうに思っています。

柿沢委員 ちょっと残念なんですけれども、浜田経営委員長の御答弁、非常に、籾井会長の御決定を事実上追認するような、そうしたお話が続いていて、私自身少し残念に思っています。

 ちょっと時間の関係で飛ばしますけれども、籾井会長は、就任早々、緩んだボルトを締め直すというふうに御発言をされているんですね。これはガバナンスやコンプライアンスのことが念頭にあったと思います。

 私もこれはかねてから指摘してきましたけれども、NHKは二十四も関連団体を持っていて、そこに常勤役員、これは軒並みNHKからの天下りです。役員の平均報酬は大体千五、六百万、千七百万ぐらい平均の報酬をもらっていて、NHK本体からの受注率は七割から八割、そして剰余金を全部合わせると平成二十四年度の決算で九百六十五億円、天下り先の関連団体はこういう大きな利益剰余金をため込んでいるわけです。こうしたところに対して、やはり私はメスを入れていかなければいけないと非常に強く思っています。

 しかし、一方で、関連団体の、例えば役員報酬について、平均額は出すけれども、トップの役員報酬は幾らですかと聞くと、プライバシーだと言って公開されないんですね。

 関連団体の不適切な経理の処理や費用の不正流用が次々明らかになったので、会長自身が諮問機関としてガバナンス調査委員会というものを設置されました。昨年八月二十六日付で調査報告をまとめております。同時に、NHKの関連団体ガバナンス根本的解決策についての提言というのを籾井会長宛てに提出しています。先ほども言及がありました。

 これらの関連団体のガバナンスの問題について貴重な御指摘を有識者会議からいただいているにもかかわらず、基本的に、この提言書も、また調査報告書も、全部非公表なんですよね。何でこれは隠すんですか。お伺いします。

籾井参考人 報告書には、外部に公表しなければならないような不正の事実は含まれておりませんでした。結果として、幸いにも、あのとき、三月に新聞報道もされましたので、やりましたけれども。また、仮に全文を公表した場合、プライバシーの問題が生じたり関連会社の経営に支障を来したりするおそれがあり、公表はしておりません。

 報告書も提言も、会長に対するアドバイスだと考えており、公表はしておりません。

柿沢委員 前段の、調査報告をプライバシーだと言って公表しないというのはわかりますよ。何で提言書は公表しないんですか。

籾井参考人 提言は、これは小林弁護士から個人的にアドバイスとしていただいたものなわけです。

柿沢委員 個人的なものに先ほどみたいな支出をしたんですか。おかしいじゃないですか。何で公表しないんですか。

籾井参考人 この提言書は、調査とは関係ございません。

柿沢委員 おかしいじゃないですか。会長の諮問機関で、関連団体のコンプライアンス、ガバナンスに関して、根本的解決のための提言ですよ。

 それは、不正の調査とは切り離して捉えられるものかもしれません。しかし、同時に提出されているから、それも何とも言えない、おかしな話だと思いますけれども、そうであるとしても、先ほど申し上げた関連団体のあり方そのものについて貴重な提言をいただいているわけです。国民の目から見て、視聴者の目から見て、そのあり方について私のような疑問を持っている人がいるわけです。

 これは何で公表しないんですか。しかも、私的なもので、自分限りのもので、それに公金を払ったのかということになれば、これはハイヤーどころの話じゃありませんよ。答えがおかしいと思います。

籾井参考人 御承知のとおり、不正という報道があったがゆえに、さらにこれから不正があってはいけないということで、調査を頼んだわけでございます。それは、不正があるかどうかということのチェックが主たるといいましょうか、我々がお願いしたことでございます。

 提言というのは、小林さんが昔経営委員をやっておられたときの経験で、こういうことをやったらいいんじゃないのというアドバイスをくれたわけで、その点につきましては、我々は、今から、関係会社の統合であるとかBPRであるとか、こういうことを進めていくわけですから、その際には十分に参考にさせていただきたいというふうに思っております。

柿沢委員 提言をまとめたということは、この調査報告書をまとめたというのと同時に、八月二十六日付でNHKのホームページ上でも広報として示されているんですよ。NHK自身が、そういうものを会長として受け取ったと書いているんですから。これを出さない。

 関連団体のあり方、NHKと関連団体の関係のあり方は、この予算審議において私が非常に問題と感じている一つの項目でありますから、そのことについて諮問をし、公金を支出して、調査をしてもらって、提言をしてもらっている、この提言の方を出さないなんということは、私は到底納得できないと思いますよ。

 理事会でこれは取り扱いを協議してください。

桝屋委員長 ただいまの案件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

柿沢委員 時間があと一分しかありませんので申し上げますが、国際放送番組審議会の、河野談話が国の方針か否か云々かんぬんというところについて報道で露見したときも、やはり議事要旨にはそれが入っていなかったわけですね。事実上議事要旨に、意図的か否かはともかくとして載せないという判断を誰かがしているわけです。こういう形で外に出たのは、報道を通じてだった。後からそれを認めるということになったわけです。

 この調査報告に伴う提言書についても公表をしない。先ほど言った、関連団体のガバナンスのあり方を問うべくトップの役員報酬は幾らかと聞けば、これもプライバシーだから明らかにしない。要は、都合の悪い部分を全部明らかにしない、こういう対応をしているというふうにみなさざるを得ないんじゃないかと私は思うんです。

 それが、国民の知る権利に奉仕するジャーナリズムの、報道機関の経営のトップの姿勢やあり方としてふさわしいのかということを私は大変疑問に感じます。私自身がそうした出身者であるからこそ、特にそのことを強く思います。

 そこまでやることないんじゃないのと思われるぐらいウルトラトランスペアレントにして、そして透明性を持って説明責任を全うする。特に、籾井会長の御発言は内外から疑念や不信を抱かれている、御自身認められているとおりなんですから、自分から積極的に開示するのが当然であるにもかかわらず、それをやろうとしない、むしろ隠しているかのように見える、こうした姿勢が今非常に疑問を持たれているということを申し上げたいと思います。

 終わります。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 NHKの籾井会長の発言について、まず最初に質問をします。

 籾井会長の発言をめぐっては、昨年一月の会長就任以降今日に至るまで、多くの国民・視聴者から抗議や懸念の声が寄せられています。

 そこで、NHKに伺います。

 国民・視聴者からの籾井会長の発言に対する問い合わせ、意見は今日までどれだけ寄せられているのか、会長就任の昨年一月から直近の数字をここで明らかにしてください。

吉国参考人 お尋ねの件ですけれども、去年の国会で六月十九日にお答えしているんですが、会長にかかわる視聴者の反響、就任記者会見のあった去年の一月二十五日から去年の六月十八日までのおよそ五カ月間でおよそ四万四千二百件です。

 直近の件数としまして、先月二月一日から今月二十日までの間に寄せられた御意見などがおよそ八千百件となっております。

 意見は多岐にわたっておりまして、一人の意見で肯定的なものと否定的なものがまじったりしておりますので、なかなか分類できないんですけれども、あえて分類すれば、七割程度が否定的な意見と見られます。

 そういう形で、多岐にわたる意見なので、代表的な意見を紹介するということは難しいんですけれども、これで公平な放送ができるのか心配だといったものや、あるいは籾井会長にはNHKを改革してほしいといったものもあります。

 以上です。

田村(貴)委員 二月二十五日でのくくりでは、八五%が批判的な意見だった。今のお答えのくくりでも、七割が批判的な意見が占めていた。これは、会長、大変な視聴者の声だと思いますよ。

 また、籾井会長の辞任や罷免を求める申し入れや要請数はどのぐらいになっていますか。

吉国参考人 先ほども申し上げましたように、視聴者の意見、一人でいろいろなことをおっしゃっていますので、今お求めがありましたような形で、会長の罷免、辞任を求めるというようなくくりでは集計をしておりません。

田村(貴)委員 籾井会長は、昨年一月の会長就任会見で、国際放送では日本の立場を政府見解そのままに伝えるかとの問いに対し、政府が右と言うことを左と言うわけにいかない、従軍慰安婦については、戦争しているどこの国にもあった、日韓条約で全て解決していることをなぜ蒸し返すのか、おかしいなどと述べ、そして、ことし二月五日の定例記者会見で、慰安婦問題の番組制作について、正式に政府のスタンスがまだ見えない、慎重に考えなければならないと表明をしました。また、二月十八日の民主党の部門会議に出席した際に、村山談話について、今のところいいと思いますと述べ、今のところとした理由については、政権がかわって、村山談話はもう要らないと言うかもしれないと説明されたとしています。

 つまり、政府の主張に沿って思考し、それを個人的意見として、NHK会長として公の場で表明することをはばからない事態が昨年以来続いているということであります。反省が見られていません。

 浜田経営委員長にお尋ねします。

 昨年一月の籾井会長就任時の発言について、公共放送のトップとしての立場を軽んじた行為であると言わざるを得ず、会長として厳しく自覚を促したと国会で答弁されています。その昨年の会長発言、政府が右と言うことを左と言うわけにいかないも、それから先月二月の、正式に政府のスタンスがまだ見えないという発言も、同様の性格であります。浜田委員長として、同様の発言が籾井会長から今も繰り返されているという認識にお立ちでしょうか。

浜田(健)参考人 会長の言動が誤解を招くようなものであったり、また、これに関連して、NHKを取り巻く状況が混乱していることは、大変残念だというふうに思っております。公共放送のトップである会長の発言は大きな影響を持つものであり、そのことにつきましては一層強く自覚していただきたい、そういうふうに思っております。

田村(貴)委員 籾井会長、一層強く自覚していただきたいと今の浜田委員長のお答えであります。

 先月二月にNHK経営委員を辞任された上村達男早大教授は、放送法はNHKの独立や政治的中立を定めているとした上で、政府が右と言うことに対して左とは言えないなどとした籾井会長の発言について、政府の姿勢におもねるもので、放送法に反します、放送法に反する見解を持った人物が会長を務めているということですと、三月三日の朝日新聞のインタビューで述べています。

 籾井会長時代の経営委員長代行を務められた方から、こういう重大な指摘がされているわけですよね。経営委員長は同じ思いでしょうか。

浜田(健)参考人 上村前委員の任期中に、経営委員会の場でそのような趣旨の発言をされたことはないと認識をしております。

 経営委員としてではない個人的な意見でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

田村(貴)委員 では、籾井会長にお尋ねします。

 放送法に反していると指摘されたわけですけれども、籾井会長はどのように受けとめておられますか。

籾井参考人 上村元委員の御発言については、個人的な御意見としまして、私は、ちょっとコメントを差し控えますが、放送法には違反しておりません。

田村(貴)委員 上村前経営委員の名前を読み間違えました。訂正します。

 籾井会長、あなたを信じて会長に選んだ経営委員から、いわば不適格だと言われているんですよね。事の重大性をもうちょっと真剣に受けとめていただきたいと思います。これまでの自分の言動については謝罪するときもあるんですけれども、しかし、その言動がNHKの会長としてふさわしくなかったのか、真摯な反省がないから同じことが繰り返されてきているのではないでしょうか。

 改めて、籾井会長にお伺いします。

 従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかどうかとの問いに、正式に政府のスタンスがまだ見えないと会見で述べたことに対して、二月二十三日、衆議院予算委員会では、戦後七十年の関連番組については、現場に内容を検討してもらっている、戦後七十年という節目の中で、いつ、どのような形で取り上げるかどうか、よく検討しなければならないというのが発言の真意と答弁をされました。

 そこで、お伺いしますけれども、籾井会長が、戦後七十年関連番組の作成、放映について、問題意識を持って現場に検討を求めておられるということでしょうか。

籾井参考人 私は、放送の内容、編集等々について、私の個人的な意見を申し述べて、それを放送に反映させたことは一度もありませんし、今後もそれはございません。

 さっきの七十年の話は、質問の中で、戦後七十年の放送についてはどういうふうに考えるかという質問がありました。これについては、現場がいろいろやっていると思いますが、個人的には、戦争の悲惨さ、これは伝える必要があるわけですが、同時に、やはり戦後日本があの廃墟の中から立ち上がってきて今日に至ったということも放送してくれればいいなという期待を持っておりますということは申し上げました。

 さらに、慰安婦の問題につきましては、では、慰安婦の問題も報道するんですかという質問がありました。これについてはなかなか難しい問題ですということで、慎重に検討しなければいけないでしょうと。そして、八月のいわゆる政府談話については、出ると言われておりますので、やはりその辺の談話が出た後に広くいろいろな形で意見を拾う、こういう意味で申し上げたわけでございます。

 これは、今まで何度も御説明しておりますけれども、別に慰安婦問題で政府のことを気にしてということではないですが、やはり国際放送基準で、あるいは放送基準で、我々はいろいろな意見を放送に反映させなければならないということになっておりますから、談話もその一つの要素であるということでございます。

 それから、就任のときに発言したことについては全て国会審議の中で取り消しておりますので、その辺、よろしく御理解いただきたいと思います。

田村(貴)委員 会長、また言われましたね、八月に出る政府の談話、これがまだ出ていないと。これは結局、この談話が前提で番組をつくるということで検討をお願いしているというふうにも聞こえますよ、それを何度も言われると。どうなんですか。

籾井参考人 今も申し上げたと思いますが、記者会見のところで質問がありまして、まず戦後七十年、そしてさらに突っ込んだ質問がありまして、その中で、慰安婦の問題も入るんですか、こういう質問があったわけです。私は、これは慎重にやらなければいけませんと、本当にそういうふうに申し上げたわけです。

 それが本当のところですが、先ほども言いましたように、放送というのは、誰それの意見だけではなくて、いろいろな意見を言わなきゃいけませんので、そういう意味で、広く、世論といいましょうか、こういうものをやはり考えながら、番組をつくるとすればしなければならない、こう申したわけでございます。

田村(貴)委員 何人にも律されずといったところは、何の見解にもとらわれず番組をつくっていくということにもつながる話だと思います。私は、今の会長の答弁はやはり承服できないと思います。

 次の質問に移ります。

 浜田委員長は、昨年の通常国会、三月の時点の質疑で、籾井会長に対して二度にわたり注意を行わざるを得なかったと述べておられます。

 籾井会長は、そのたびに謝罪の言葉を述べて、放送法にのっとった業務遂行の決意を述べておられます。

 経営委員長として籾井会長に注意を行ったのは、経営委員長、これまで何回でしょうか。また、籾井会長に経営委員会の申し入れを行ったのは何回になるんでしょうか。いつ、どういう件が行われたんでしょうか。教えてください。

浜田(健)参考人 注意を二回、申し入れを二回行いました。

 注意は、昨年一月の就任会見に対するものと昨年二月の経営委員会での発言に対するもので、経営委員長として行いました。

 また、申し入れは、この二回の注意を行ったことに対するもの、そして先般の誤解を招く発言に対して経営委員会として行いました。

田村(貴)委員 もう一つお伺いします。

 NHKの会長の言動を理由にして、経営委員会が注意や申し入れを行った事例は過去にあるんでしょうか。

浜田(健)参考人 ございません。

田村(貴)委員 経営委員会として、会長に対して前代未聞の注意や申し入れが行われてきた、これは事実ですね。しかも、四回も行ったにもかかわらず事態が変わっていない。どうするんですか、NHK。

 経営委員会には会長の罷免権があります。NHKの国民・視聴者に対する信頼を回復するために、経営委員会としての機能はほかに何が考えられるとお考えでしょうか。経営委員長にお尋ねします。

浜田(健)参考人 そのような御懸念を招いていることは大変残念なことと考えております。

 一方で、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、NHKのみならず、日本の放送界にとっても大きな節目となる年だと考えております。今は、それを見据えた新しい経営計画の第一歩を踏み出そうとしている大変重要な時期であります。私としては、速やかに着手し、その実現を目指していただきたいというふうに思っております。

 会長以下執行部には、皆様の御理解を賜るための最大限の努力を行っていただきたいし、また、経営委員会としてもそのための監督はしっかり行っていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 今、委員長からお話がありましたように、課題はいっぱいあるわけですよね。そして、重責を担っておられるわけです。会長自身も、やはりきょうだって、いろいろなお仕事がNHKであったというふうに思うわけですよ。

 問題がここにあります。会長の問題発言が繰り返されるたびに国会で問いただされるんですね。それから、経営委員会からは、業務に支障を来すという話も伺っております。

 そこで、予算の審査もあるんですけれども、籾井会長は、就任後今日まで、何回国会に呼ばれていますか。

籾井参考人 今の御質問は、国会に何回呼ばれたかという御質問でございますよね。

 では、報告いたします。

 二〇一四年は、衆議院予算委員会九回、衆議院総務委員会十一回、参議院予算委員会五回、参議院総務委員会十回、合計三十五回です。二〇一五年は、差し当たり今日まで、衆議院予算委員会八回、衆議院総務委員会六回、参議院予算委員会五回、参議院総務委員会一回、きょうでございます、以上二十回でございます。

田村(貴)委員 それは、これまでの会長と比べてどういうことになっているんでしょうか。非常に多いということだったらそういうふうにお答えいただきたいと思いますけれども、執行部でいいです。

籾井参考人 過去の、会長が呼ばれた回数については、詳しくは承知しておりません。各年度のNHK予算、決算審議以外では、放送法改正、テレビ報道のあり方が議論になった際に参考人として招致されております。

田村(貴)委員 衆参合わせて、委員会だけでも五十五回、会長就任以降ここに来られているわけですよね。それはひとえに籾井会長の数々の発言が招いた結果でありますよ。発言だけではありませんよね。今日、行動もですよ。行動も、極めてNHKのトップに立つ者としてはふさわしくありません。

 次に、ハイヤーの私的利用問題についてお尋ねをしたいと思います。

 籾井会長にお伺いします。

 一月二日に、NHKの秘書室が手配したハイヤーで自宅から小金井カントリー倶楽部に向かったと伺っています。それはどういうゴルフの企画だったんでしょうか、教えてください。(籾井参考人「どういう」と呼ぶ)一月二日の小金井のゴルフです。どういうゴルフの企画だったんですか。

籾井参考人 全くプライベートの、クラブ会員同士のゴルフでございます。

田村(貴)委員 全くプライベートなことだった。NHKとしては関係のないプライベートなことだったということですよね。

 では、会長、お尋ねします。

 会長は、会長就任後、このゴルフ場にこれまで行かれたことがこのほかにございますか。その際、交通手段はどうされていたんでしょうか、教えてください。交通手段。

籾井参考人 ほとんど行っておりませんが、多分二、三回だと思います。

田村(貴)委員 どういう交通手段で行かれたんでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 私は渋谷区西原というところに住んでおります。近い駅は幡ケ谷でございます。幡ケ谷から東府中まで京王線に乗ってまいります。そこからタクシーに乗ってコースまで参ります。帰りも、全くこの逆でございます。

田村(貴)委員 この一月の二日の小金井カントリー倶楽部に、ほかの日もプライベートで行かれたんだけれども、そのときは公共交通機関とタクシーに乗られたということがわかりました。

 浜田委員長、それから執行部の皆さんにお尋ねするんですけれども、役職者が私用で車が必要なときに協会のタクシーやハイヤーを使うことはあるんでしょうか、使ったことがありますか、また、職員にその手配を依頼することがあるんでしょうか、答えてください。

石田参考人 過去にそういう例があったかどうか、過去にさかのぼって調べていませんので、ちょっと今の段階ではっきりお答えできません。

田村(貴)委員 経営委員長もお願いします。

浜田(健)参考人 執行部以下の運用については承知しておりませんけれども、経営委員の出勤に当たっては、ハイヤーを使わせていただいているというふうに承知しております。

田村(貴)委員 プライベートでそういうタクシーチケットを切ったりハイヤーの乗車票を回すなんということは、やはりないわけなんですよ。起こり得る話ではないんですよ。

 籾井会長、秘書に、秘書室にハイヤーの手配を依頼すれば、協会と提携した、NHKと提携した会社のハイヤーがやってきますよね。そして、NHKの乗車票が使われるということになりますけれども、それは想定しなかったんですか、一月の二日。

籾井参考人 おっしゃるとおり、十二月二十六日に、私は、一月二日のゴルフのために秘書室長に車の手配を頼みました。

 そのときに、二人で話して、これはプライベートだから、公用車、普通使っているNHKの車ではなくてハイヤーを使いましょう、こういうことに相なったわけです。それで、私は、じゃあ代金は自分が払うから、こういうことを言って、一月二日に配車されたわけです、実際に。

 私は、当然自分が払うと思っていますから、何にもしないで、乗って、ゴルフへ行って帰ってきて、こういうことだったわけですね。よって、私は、伝票も何も一回も見ていないんでございます。

田村(貴)委員 会長、結果として、私用で使ったハイヤー代四万九千五百八十五円を協会が二月二十七日に支払うことになった。受信料で立てかえ払いが行われていた、これは事実なんですよ。

 NHK業務と関係のないゴルフなんですよね。業務と関係ないゴルフだったら、何で自分で私的に車の手配をされなかったんでしょうか。あるいは、これまでのように、公共交通機関とタクシーのそういう利用方法を考えなかったんでしょうか。協会と提携のないハイヤー会社に個人的に頼めば済んだ話ではなかったかと私は思うんですけれども、いかがですか。

籾井参考人 そうだと思います。

 ただ、何で会社が使っているハイヤーを使ったかといえば、これは、日ごろ使っているハイヤーでございますから、信頼もできるし、セキュリティーも大丈夫だ、そういうことで、やはり秘書に頼むのが一番間違いがない。

 それから、先ほども言いましたように、公私混同を避けるためにハイヤーを使っているわけですから、そういう意味で、秘書もそれは知っていることですから、公私混同と受け取られないようにしているわけです。よって、プライベートでは伝票は出ないんです。

 問題は、一月十三日に、十五日の締めが直前だったものですから、締めというのは半月で締めるんです、一回。そのときに、秘書が、催促を受けて、これは出さなきゃいかぬというのでとりあえず伝票を出した、これは結論としては間違いなんですが。よって、そこで伝票を出してしまえば、会社のルールにずっと乗っかって流れるわけです。よって、会社の中で請求が出てきた、こういうことになるわけです。

田村(貴)委員 いろいろおっしゃいますけれども、やはり受信料、公費がくぐっていってしまったということは、これは事実なんですよね。

 私は思うんですよ。この問題は、やはり会長、秘書室に手配を要請すること自体がそもそもの間違いではなかったか、そこから公私混同が始まっているというふうに言わなければならないと思います。

 NHKにお伺いします。

 NHKの年間のハイヤー、タクシー、それぞれの代金総額を述べてください。いつの年度でもいいです。

石田参考人 済みません、質問の通告でその内容がないので、今すぐちょっと答えられないんですが、資料を整えて、年間のハイヤーとタクシー代の利用額については、これまでもお出ししたことがありますので、後でお答えしたいと思います。

田村(貴)委員 済みません、NHKの方から資料をいただきました。

 平成二十五年度で……(発言する者あり)けさいただきました。だから、御存じかなと思ったんですけれども、ハイヤーが二十五年度で七億四千二百万円、タクシーが二十億八千二百万円。NHKですから、タクシー、ハイヤーの利用なしに業務や取材が成り立たないことは、それは私でもよく理解しております。だからこそ、公私の区別はしっかりつけなければならないということですよね。

 そこで、お伺いします。

 監査委員会活動報告書の三ページ、ハイヤー、タクシーについて私用目的での利用は内部規定上認められておらず、運用上も通常は業務遂行のための利用のみが認められているとしていますよね。しかし、先ほどからの不可解な例外であります。私的利用目的であったとしても、その立場上必要な、身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合を否定しない、わざわざこれが書かれているわけです。

 では、この身柄の安全、情報管理、所在確認を例外とする根拠は何でしょうか、文書の規定があるんでしょうか、お示ししていただきたいと思います。

石田参考人 内部規定には、そうしたことを直接定めたものはございません。

田村(貴)委員 だから、これは公私混同なんですよ、間違いなんですよ、約束事違反なんですよ。

 NHKの「本部における自動車使用要領」、この三に、「自動車の適正使用」として、「(二)自動車の使用は、業務上必要な場合に限る。」「自動車の使用にあたっては、」いろいろ書かれているんですけれども、例外規定はないですよ。会長、副会長、理事の服務に関する準則、放送法その他法令、定款及び協会の諸規定を遵守し、日本放送協会のために忠実にその職務を行わなければならない。例外規定は何もないですよ。

 だから、ルールがあって、それにのっとってやるのがやはり職務じゃないですか、しかも、一万人のトップだったら。そこをいろいろ理屈をつけて、言い逃れしようとされているんですか。

 何かありますか、どうぞ。

籾井参考人 最初から御説明しているように、これは十二月二十六日の時点で、既に、公私を分けるために、公用車を使わずにハイヤーを使うと決めたわけでございます。公用車が使えるのにハイヤーを使ったということは、ハイヤーというのは金額がはっきりしますから。そのとき、私は支払いますと言っていたわけです。

 ところが、ちょっとさっきも言いましたように、締め切りのときに催促されて伝票が出ちゃったわけですよ。それで流れの中に入ったということですから、私としては、実はそういうことも知らないわけです。私は、ただただ請求書を待って払うだけ、こういうふうに思っていたところ、三月六日になって、籾井さん、あなたの使用がおかしいと言われたので、えっと驚いたわけでございます。

 金額がわかったところで、すぐにお支払いもしたわけです。私は、金額がわかった時点ですぐに払ったんです。

田村(貴)委員 まだ事の重大性がおわかりになっていないような感じがしますね。会長、やはり、プライベートなんですから。そして、タクシーとかハイヤーとかいろいろ用意することはできるじゃないですか、会長だったら、別の会社であっても。そうすれば問題なかったんですよ。それはうなずかれますね、そうなんですよ。

 だから、事の本質はそこなんです。NHKの乗車票が動く、やはりこういうやり方をしてはだめだということを私はここで申し上げておきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきたんですけれども、会計検査院の二〇〇七年の九月にこういうまとめがあります、「日本放送協会における不祥事に関する会計検査の結果について」。この中で、公共交通機関が利用できる時間帯であるのにタクシーを利用したり、業務との関連性が必ずしも明確でないと判断されたりしたものなどについては、こういうことがいっぱいあったんですね、このことについては、不適切な実態を踏まえて戻入処理したとされている、こういう会計検査院の報告があるんです。

 このときに、NHKはやはり猛省されたと思うんです、そういう公私混同の扱いについて。NHKは、この反省に立って、職員にどのような周知徹底を図ってこられたんですか。お答えください。

石田参考人 お答えします。

 NHKでは、平成十六年に、紅白歌合戦に絡む不祥事以来、一連の不祥事がありました。これを受けて、二〇〇六年、平成十八年四月から、自動車使用料などの経費処理の緊急業務調査を実施し、全職員に向けたタクシーの適正使用の周知徹底など、さまざまな注意喚起を行いました。

 こうした中で、今御指摘のありました二〇〇七年、平成十九年九月に会計検査院の報告書が出ました。NHKとしては、翌十月からタクシー券の運用変更を行うなど、その後も適正な運用の徹底を継続的に行っています。

 NHKとしては、平成十六年の不祥事の後、タクシーも含めた経理処理の適正化を図って、その時期にこういう会計検査院の報告書も出たというぐあいに認識しております。

田村(貴)委員 やはり反省しなければならないと思います。

 高市大臣、お待たせしました。NHKのトップが、前代未聞の公私混同のハイヤー使用、そしてこれまた異例の、監査委員会から報告が上がっている、そして本委員会で集中審議が行われている事態を今つくっているわけです。こういう事態について、総務大臣としてどのようにお考えになっておられますか。御所見を述べてください。

高市国務大臣 NHK及び籾井会長におかれましては、受信料によって運営される公共放送の社会的責任の重さに鑑み、国民・視聴者から疑念を持たれることのないように、監査委員会の調査報告や経営委員会の見解を踏まえて、再発防止に向けてしっかりと対応していただくことを期待いたしております。

田村(貴)委員 疑念を持たれることがないようにといいながら、疑念を持たれることがこの場でも、最近もまた出てきた。私は、本当に残念でなりません。

 きょうは、受信料の支払い義務制度とか、それから「クローズアップ現代」の問題も取り上げる予定でしたけれども、時間が参りましたので、今度の予算審議のときにまた議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 前回に引き続き、ハイヤー利用の案件での監査委員会の報告についてお聞きをしたいと思います。

 最初に総務省の方に伺いたいのですが、放送法の第四十四条の一項についてであります。この条文に基づいて監査委員会の調査が行われたんだというふうに思いますが、四十四条の一項では、「監査委員会が選定する監査委員は、」ということで始まっております。これは、具体的にはどういう中身なのか、教えてください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法第四十四条第一項及び第二項において、「監査委員会が選定する監査委員」と規定している趣旨でございますけれども、これはNHKの業務及び財産の状況の調査など、個別の権限の全てを監査委員会が行うこととすると、非効率な監査となり、組織的かつ効率的な監査が確保できないおそれがあるということから、その権限を行使する主体は、監査委員会が選定する監査委員とされているものということでございます。

吉川(元)委員 それでは次に、NHK監査委員会にお聞きをいたします。

 三月六日の日に、監査委員が会長に事実の確認の聴取を行ったことになっております。これは、四十四条の一項、二項、この場合は一項だと思いますけれども、それに基づいての事実確認の聴取だと思いますが、この選定というのはいつ行われ、またその時点でのいわゆる選定された監査委員というのはどなただったんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 三月六日の会長への聴取というのは、私が行いました。

 私は、平成二十五年六月二十日に経営委員に任命され、経営委員会によりまして同年の七月二十三日に監査委員に任命されました。また、監査委員会によって同年八月二十六日に選定監査委員に選定され、自来、今日まで選定監査委員をやっております。

吉川(元)委員 済みません、六日の時点で、選定監査委員というのはほかにどなたがいらっしゃったんでしょうか。

上田参考人 三月六日の時点では、選定監査委員は二名で、もう一名は室伏委員です。

吉川(元)委員 重ねて監査委員会にお聞きをいたします。

 今回の報告書の提出、放送法上の根拠になっている条文を教えてください。

上田参考人 お答えいたします。

 今回のこの監査委員会の報告の根拠になっています放送法上の条文ですけれども、放送法第三十九条第五項「監査委員会が選定する監査委員は、監査委員会の職務の執行の状況を経営委員会に報告しなければならない。」と規定されております。

 御質問にありました会長の私用目的でのハイヤーの利用に対する経営委員会に対する報告は、したがいまして、放送法第三十九条第五項に基づいて行いました。

吉川(元)委員 ちょっとそこが疑問に感じております。

 三月六日、上田監査委員の方から会長に事情を聞いた際には、ハイヤー利用が私的目的であったこと、それから、会長がその時点で支払うということをおっしゃったということですから、三月六日の前の時点では、これはいわゆる支弁するといいますか、会長が払うかどうか、それすらはっきりしていなかったわけであります。

 実際に、二月二十七日の段階では、つまり、三月六日の時点ではっきりしている事実というのは、NHKがハイヤー会社にその代金を既に支払った、それが事実であります。ですから、三月六日の時点では、会長が内規に反するハイヤー利用を行い、代金をNHKに支払わせたという、ある意味でいいますと内規違反といいますか、そういう行為が行われていたというのが全てであって、その時点では、払うか払わないか、あるいは払ったか払っていないか、実際には払っていないわけですね、三月六日の時点で。

 だとするならば、三十九条五項の極めて一般的な報告書の提出ではなくて、その時点では、四十五条一項の、役員が不正の行為をし、あるいは法令もしくは定款に違反する事実があると認めた場合の報告にこれは該当するんではないんですか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 三月六日に私が会長にお会いしましたのは、法律的な根拠でいいますと、先ほど総務省の方から御説明がありました放送法第四十四条、監査委員会による調査、この法律に基づいて実は意見の聴取をやったわけです。

 三月九日、監査委員会を開催いたしまして、この監査報告書にも書いてありますけれども、これはしっかり調べる必要があるということで、その後、事情聴取をして、三月十九日の報告に当たっては、その調査の結果を踏まえて、三十九条の五項に基づく報告と監査委員会の方で決めて報告させていただいたわけです。

吉川(元)委員 当然、三月六日の時点では支払われていないわけですよね、会長の方から。意思があったかなかったかではなくて、その時点での事態というのは、NHKが支払っていたという、それが全てですよね、もう一度。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 三月六日の時点では、私がコンプライアンス統括担当から聞いた情報の中に、公私の別というのがなかったんですね。したがって、まず、公私の別をはっきりさせる必要があるということで、三月六日は、まず会長に公私の別を伺いました。それで、私用ということをおっしゃいましたので、三月六日は金曜日ですけれども、九日の月曜日に監査委員会で監査をやるということを決めた、こういうことです。

吉川(元)委員 監査委員会の報告を見ますと、監査委員が事実関係の確認のために聴取を行った時点で、まだ自主的な支払い手続を開始していなかったと。

 つまり、この時点では、会長が後で支払うかどうか、その手続も含めて行われていなかったということですよね。

上田参考人 お答えをさせていただきます。

 三月六日の時点で払われていなかったのは事実です。三月六日の時点で会長に私がお話しした際、先ほど申しましたように、まず公私の別をただしました。私用であるというお答えと同時に、したがって、私用だから私が払うというふうなお答えがありました。

吉川(元)委員 手続上まだ払えていないけれども払うつもりだったかどうかということを聞いているわけではなくて、その時点では払っていなかった、つまり、払っていなければ、これは当然違法な、定款に違反する中身でありますから、その時点では、明らかに三十九条ではなくて四十五条の一項に当たるのではないんですか。あるいは、その疑いが強いのではないですか。

上田参考人 お答えいたします。

 放送法四十五条は、「監査委員は、役員が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を経営委員会に報告しなければならない。」というふうに定めております。

 本件は、会長が平成二十七年一月二日に私用目的で利用したハイヤー代金が、約五万円ですけれども、他のハイヤー利用代金と区別せずに経理処理され、協会が二月二十七日に支払った一月分のハイヤー代金には当該ハイヤー代金が含まれていましたが、会長は、当初から当該ハイヤー代金をみずから負担する意向を示しており、三月十日にその金額全額を協会に償還したというものであります。

 したがって、第三十九条五項に基づく報告が適切であるというふうに判断いたしました。

吉川(元)委員 報告書の中に、監査委員が、これは恐らく三月六日のことだと思いますけれども、事実の確認を行った際には何もやっていなかったと。何もやっていなかったというふうに報告をしているんですよ。

 前回の質問の際に、私が、二十七日の日に話を聞いて、それから六日まで、あるいは九日まで監査委員会を開かなかったのはおかしいじゃないかと言った際に、監査委員の上田さんの方からは、会長の方に第一報が入りますとそれ自体が動き始めますので、準備をする意味で待ったというふうに言っています。

 だとすれば、三月六日の時点で事実は確定をされたわけですよね。その時点での事実に基づいて報告は出されるべきじゃないんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 二月の二十七日、第一報を私が受けてから三月六日までは、第一報をくれたコンプライアンス統括理事に対しまして、調べられるところまで調べたのかと、他の案件等を含めて。調べられるところまで調べた上で私の方から行動をとろうということで、三月六日に行動を起こしたわけです。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、その六日の日に行動を起こしたことによって、まさに動き始めたわけですね、事態が。それ以降、動いた事態に基づいて、三十九条の五項に基づく報告を行った。そうではなくて、動き始める前の時点で明らかであったことは、会長は支払っていない、また、その動きもない、公私はどっちだったか、私的であると。それで事実は固まったんじゃないんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 報告書の中にも記載いたしておりますけれども、監査委員会といたしましては、私的目的であったとしても、会長という立場上必要な、身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではない、こういう理解で、四十五条ではなくて三十九条の五項ということで報告させていただきました。

吉川(元)委員 三月六日の時点であった事実というのは、協会が支払っていた、これは報告書にそう書かれているんですよ、会長の方は、聴取を行った時点では自主的な支払いの手続などは何も開始をされていなかったと書いてあるんですよ。

 必要かどうか、そんなことを聞いているんじゃなくて、この時点で明らかになった事実というのは不法行為なんじゃないんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 その監査委員会の報告書に書いてある事実というのは、三月六日の第一回の会長との面談、それから三月九日以降、監査委員会として監査をするということを決めた後にいろいろな事情調査をしまして、その結果を踏まえてこのリポートを書いているわけで、結果がわかった段階で、三十九条の五項で報告するか四十五条で報告するかを監査委員会として決めた、こういうことです。

吉川(元)委員 ちょっと時間が、ほかにもたくさん聞かなきゃいけないことがありますので、これについてはまたちょっと別の機会に尋ねたいと思いますけれども、明らかに三月六日の時点では違反をしていたというふうに私は思いますし、しかも、監査委員が聞いたことによって事態が動かないようにするために私は動かなかったと言っているんですよ。

 三月六日の時点で、聞いたことによって事態が動いた可能性があるわけです。聞かれなければ、監査委員が会長に、このことについて公私の別を教えてくださいというふうなことを聞かなければ、これはこのままずっと、支払われないまま過ぎていった可能性だってあったわけです。それを覆すような事実というのは、この監査報告の中にはないわけです。あくまで、聞いたことによって物事が動いていったと。だとするならば、私はやはり四十五条の方できちんと報告をすべきだというふうに思います。

 時間がありませんので、次に、ちょっと飛ばして質問いたします。

 これは前回もお聞きしましたけれども、監査委員会の報告書の意見を読ませていただきましたけれども、先ほどから何度か説明をされておりますが、私は非常にこれはおかしいのではないかと。監査委員会が行うのは、あくまで、定款やあるいは内規に基づいてそのコンプライアンスがどうなっているのかということを調べるべきであって、意見として冒頭から、私的利用が行われる場合もあるというようなことを述べるというのは、これは私は非常に強い違和感を感じます。

 なぜ冒頭で、これは途中の、中にも、内規ではこれは禁止をされているというふうに小さな字で書かれていますけれども、内規で違反をしている事実があったというふうになぜ書かなかったんですか。

上田参考人 お答えします。

 最後の五の項目では、私の方のリポートですけれども、監査委員会としての意見をまとめて三点御報告しています。第一番目にそれを持ってきましたのは、それは極めて本件に関して重大な意味を持つからということです。

吉川(元)委員 では、ちょっと質問を変えます。

 先ほど、例外的な使用についての、例外規定があるというようなことの答弁がありました。この例外規定については、監査委員としては御存じだったんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 例外規定があるということは存じ上げませんでした。

吉川(元)委員 だとするならば、監査委員会が行うべき監査というものは、あくまで明らかになっている内規に基づいて行うべきであって、内規のどこをどう見ても、監査委員会の意見の(一)の「必要とする場合があることを否定するものではない。」というようなことは出てこないというふうに思うんですが。

上田参考人 お答えいたします。

 したがいまして、事実関係は本文の中で述べた上で、監査委員会の判断として、監査委員会といたしましては、私用目的であったとしても、会長という立場上必要な身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではありませんと言った上で、私どもの方からは、監査委員会としては、執行部において会長のハイヤー、タクシー利用のあり方について検討を行うとともに、仮に協会が手配を行う場合であっても、ハイヤー会社から会長宛ての請求書が届くような手続を徹底させることなど、協会がとり得るとしている再発防止策が着実に実行されるよう注視していきますというふうに述べているわけです。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、監査委員会がやる場合にはあくまで内規や定款に基づいて監査をすべきであって、それ以外のことについて、例外規定をもって、まるで例外規定と歩を合わせるようなことでの監査であれば本来の意味の監査になっていないということを申し述べて、発言を終わります。

桝屋委員長 午後五時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十五分開議

桝屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長佐々木敦朗君及び情報流通行政局長安藤友裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 冒頭に、委員の先生方をお待たせして申しわけございませんでした。参議院総務委員会が終了しましてから移動に時間がかかりまして、済みません。

 それでは、日本放送協会の平成二十七年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千八百三十一億円、事業支出が六千七百六十九億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出がともに八百六十八億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実等による海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K、8K等の先導的なサービスの推進、大規模災害に備えた公共放送の機能の強靱化、受信料の公平負担の徹底等に取り組むこととなっております。

 総務大臣といたしましては、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、その収支予算等の実施に当たっては、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識のもと、業務の効率化、合理化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが重要であるとする意見を付しております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

桝屋委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長籾井勝人君。

籾井参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成二十七年度は、三カ年経営計画の初年度として、経営計画に掲げた重点方針に沿った事業運営を着実に遂行してまいります。

 公共放送の原点を堅持し、命と暮らしを守る防災、減災報道に全力で取り組み、判断のよりどころとなる公平公正で正確、迅速な報道に全力を挙げるとともに、視聴者の幅広い期待に応える豊かで質の高い多彩な番組の充実を図ります。

 日本を世界に積極的に発信し、政治、経済、社会、文化などさまざまな分野で国際社会の日本への理解を促進してまいります。

 そして、インターネットを活用した新たなサービスを創造するとともに、スーパーハイビジョンを戦略的に推進します。

 受信料については、公平負担の徹底に向け、受信料制度の理解促進と営業改革を一層推進し、支払い率の向上を図ってまいります。

 次に、建設計画においては、いかなる災害時にも対応し、安全、安心を守るための放送設備の整備を進めるとともに、安定的な放送サービスを継続するための設備更新等を実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千八百三十一億五千万円、国内放送費などの支出六千七百六十九億二千万円を計上しております。事業収支差金は六十二億三千万円となり、この全額を、老朽化が進む渋谷の放送センターの建てかえ等に備えて建設積立資産に繰り入れることとしております。

 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額八百六十八億一千万円を計上し、支出には、建設費など八百六十八億一千万円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

桝屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子万寿夫君。

金子(万)委員 鹿児島県の金子でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほど籾井会長からもありましたNHKの経営計画、二〇一五年から二〇一七年でございますが、それらと、二十七年度の予算、そして事業計画の重点方針の一つとして、国際放送の強化を挙げておられます。

 その内容を見ますと、見たくなる国際放送を目指し、日本を正しく理解してもらうために、日本を世界に積極的に発信する、このようにあります。これはまさにそのとおりだと思いますし、これらの取り組みは、ミャンマーでの日本文化祭りで「あまちゃん」がPRされて大変大成功であった、このようにお聞きをいたしております。

 日本には、北海道から南は沖縄まで、各地にすばらしい風景があります。そして、自然や文化、祭りもあります。リオのカーニバルに劣らない躍動感あふれるお祭りは日本各地にあるわけでございますが、それらのものに、今大変注目を浴びております和食文化、日本の食というものに対する関心も世界的に高まっているわけでありますが、これらを情報発信していく。

 私は、鹿児島のことも少しお話ししたいんですが、時間が余りありませんので、ふるさと奄美のこともちょっとお話ししたかったのでございますけれども、そこら辺は割愛をいたします。

 百五十の国と地域、それから二億八千万の視聴者にそれらのことを情報発信し、番組を見てもらうことによって日本に対する理解は促進されますし、日本人というもの、日本の文化というものを世界に発信する、理解を深めていくことによって、我が国の外交防衛政策にもやはり大きな力になってくるという役割を果たしていく、こういうふうに思っておりますし、また、観光客の増加にもつながってまいります。千三百万、二〇二〇年には二千万、そして三千万という目標を国は立てているわけでございますが、私は、達成可能な目標だ、このように思っております。

 それらのことは、地方創生にもつながっていきますし、地域の活性化の観点からも大変すばらしいことだ、このように思って期待をいたしております。

 このような番組を制作する具体的な取り組み、その内容等について、御説明をいただきたいと思います。

籾井参考人 ただいま委員御指摘のように、次期経営計画におきましては、地域の魅力や価値を積極的に世界に発信していく、こういう方針を打ち出しております。

 NHKワールドTVでは、これまでも、外国人リポーターが各地を訪ねる旅番組など、日本の魅力を紹介する多くの番組を放送してきましたが、二十七年度は、こうした番組をさらに充実し、地域の放送局とも連携しまして、豊かな自然、文化、人や暮らし、観光資源など、全国各地の魅力を番組やニュースで取り上げていく所存でございます。

 今御指摘のように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックには、多くの海外からの旅行者が日本に参ると言われております。そういう人たちをぜひそういうふうな日本各地の魅力ある場所へ案内できるように、我々としても全力を尽くして発信をしていきたいというふうに思っております。

金子(万)委員 もう時間は、早いものでございますが、早速次の質問に移ります。

 災害対策基本法では、報道機関として唯一、指定公共機関に定められております。大規模災害のときの防災情報を正確、迅速に伝えていくという責務を負っているわけでありますが、昨年は、日本列島、活発な火山活動もありました。御嶽山で発生した大規模噴火による災害というのは記憶に新しいところがあるわけでございます。私の地元鹿児島、桜島は、昨年は四百五十回と言われております、二年前も八百何十回だったと思いますが、そういう噴火がずっと続いておりまして、新燃岳でありますとか、口永良部島でありますとか、活発な火山活動があります。

 このような災害が起きたときに、どのような取り組み、災害報道の体制整備ができているのか、私も大変関心のあるところでございますが、このことについて御答弁をいただきたいと思っております。

 災害のときには、テレビを見ることのできない被災者も大変多いんです。私のふるさと、地元奄美大島というところで、二十二年、二十三年、豪雨災害がありました。ほとんどの家庭が、全てと言っていいでしょう、停電です。テレビもラジオもなかなか届かないところもある。それから、村役場と孤立集落が連絡がとれない、携帯が通じない。

 このときには、地元の地域コミュニティー放送、ラジオですね、これが全ての情報手段だったんです。子供たちの安否についても、お父さん、私は今どこに避難して、誰々さんの息子の誰々さんはどこに今いますよなんという安否情報を含めて、これはすごく大変な役割を果たしてきた唯一の通信手段であったわけですが、それらの地域のコミュニティーラジオ、それらとも連携を深めていかなければならない。

 ただ、テレビだけではなくて、さまざまな媒体、NHKはいろいろなものを持っておられます。ラジオは当然ですが、インターネットでありますとかワンセグでありますとか、いろいろ持っておられる。それらと連携をした取り組みをしていかなければならない、特に、自治体でありますとかコミュニティーラジオとの連携というのは必要だ、こう思っておりますが、それらの取り組みについてどのような取り組みをされていらっしゃるのか、また、将来的な取り組みも含めて御答弁をいただきたいと思います。

森永参考人 お答えいたします。

 災害報道は、テレビだけでなく、ラジオやインターネット、データ放送、ワンセグなどでも幅広く行っているところでございます。

 それで、今お尋ねのコミュニティーラジオ等のことでありますが、自治体が災害発生時に開設いたします臨時災害放送局に対しては、自治体とNHKで覚書を結ぶことにより一定の範囲でNHKの放送を無償で利用できる仕組みを設けております。覚書は、宮城県や静岡県の三つの自治体で結んでいるところであります。

 また、コミュニティーFMを含む各地域の民放FM局とも個別に覚書を交わし、非常災害時に限り、一定の範囲でNHKのニュースやホームページの災害関連情報を無償で利用することを認めております。これまでに全国各地の四十六社と覚書を締結しております。

 NHKでは、自治体や民放FM局とこうした連携を図ることにより、災害時の情報の収集や発信強化に生かすことができるというふうに考えております。

金子(万)委員 もう終わります。

 最後に一言。今国会も、籾井会長も大変御苦労さまでございます。私も、正直なところ、自分の思いは、正直な真っすぐな方だなと思っておりまして、御健闘をお祈りいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、宗清皇一君。

宗清委員 自由民主党の宗清皇一でございます。

 質問の機会をいただき、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私の選挙区は大阪でございまして、その大阪で今大変なことが起こっておりますので、何点か質問させていただきたいんです。

 大阪市会、大阪府議会で、大阪市を廃止して特別区を設置する協定書が承認されまして、五月の十七日に、大阪市を廃止して五つの特別区を設置するか否かの住民投票が行われます。そのことについて、NHKを含む一連の報道について、私は大きな違和感を持っておりますので、確認をしていきたいというふうに思っています。

 午前中の質疑でも、大阪の受信料が、大都市ということもあるんでしょうけれども、徴収率が六割程度で極めて低いと聞いておりますが、大阪にとって世論を二分するようなこういう大きな問題を、当然、公正公平、不偏不党、事実に基づいて報道する、そういう姿勢でないと、NHKの信頼も低下して、受信料にも大きな影響が出るんじゃないかなと私は心配をしています。

 なぜ私がNHKの報道に違和感を持っているのか御理解をいただくために、総務省の方に確認をいたしたいと思っています。

 先ほど申し上げた住民投票、すなわち大都市地域特別区設置法に基づく住民投票において、過半数の賛成があれば大阪府は大阪都という名称になるんでしょうか。確認いたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 大都市地域特別区設置法第十条におきましては、同法に基づき道府県に特別区が設置された場合、法令の適用について、その道府県を都とみなすということとされております。

 一方、地方公共団体の名称につきましては、地方自治法第三条により、従来の名称によるものとされておりまして、都道府県の名称を変更しようとするときは法律でこれを定めるとされております。従来の名称とは、地方自治法が施行されていた時点で使用されていた名称でありまして、都、道、府、県の部分を含むものでございます。

 大都市地域特別区設置法には道府県の名称について特段の規定は盛り込まれておりませんので、仮に同法に基づき大阪府に特別区が設置されることとなった場合におきましても、これによって大阪府という名称が変更されるものではございません。

宗清委員 今の御答弁で御理解いただけますように、住民投票が可決したとしても、大阪府が大阪都という名称になることはありません。

 にもかかわらず、いまだに大阪の住民の方々は、大阪府が、住民投票が通ったら大阪都になると思い込んでいるんですね。ですから、住民投票の趣旨を大阪都にするための住民投票だと勘違いしている方が非常に多いと感じています。要するに、多くの住民は、住民投票で何を問われているのかが理解できていない、ここが私は一番重要なんだと思っています。

 そこで、総務省の方に確認をいたしますが、大都市地域特別区設置法に基づく住民投票において、住民に対して何の賛否を求めることになるんでしょうか。

佐々木政府参考人 大都市地域特別区設置法におきましては、同法第六条第一項に基づき、特別区設置協定書につきまして関係道府県の議会及び関係市町村の議会の承認を受けた上で、同法第七条第一項に基づき、関係市町村の選挙管理委員会は、特別区の設置について、選挙人の投票に付さなければならないとされております。

 したがいまして、同法に基づく住民投票におきましては、特別区設置協定書の内容を前提といたしました特別区の設置につきまして、住民の賛否を求めることとされているものと認識をしております。

宗清委員 NHKさん、ちょっとよく聞いていただきたいんですが、住民に対して賛否を問うのは、今御答弁が総務省の方からありましたように、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならないということなんです。今回は、大阪市がその対象ですから、正式には大阪市を廃止して特別区を設置する、そのことについて選挙人に問うものであります。

 そういう意味で、さきの予算委員会の分科会において、私の同期の大西議員の質問に対して、NHKの答弁が僕は間違っているというふうに思うんですが、ちょっと読み上げます。

 橋下市長、松井知事が、大阪都構想の是非を住民投票で問うと発言しています、一方、御質問のように、大阪市を廃止し特別区を設置するという協定書の是非だという主張もございます、このため、NHKでは、さまざまな主張を踏まえ、総合的に判断いたしまして、今の大阪市を廃止して五つの特別区を設ける、いわゆる大阪都構想などと表現しているところでございますという答弁だったんです。

 NHKの認識は、大阪都構想というのが橋下市長らの政治的主張で、一方で、大阪市を廃止して特別区を設置するという協定書の是非というのが他方の政治的な主張であって、その両方を報道しているから問題ないじゃないかというような答弁に読み取れます。

 しかし、確かなことは、大阪都構想というのは、これは維新の側の政治的な主張です。しかし、大阪府議会や大阪市会で議論されて可決されたもの、つまり住民投票に付されようとしているものは、大阪市を廃止して五つの特別区を設置することについて住民投票されることになっているんですね。

 NHKは、大阪市を廃止して特別区を設置するという表現が一方の政治的な主張であると理解されているんでしょうか。お答えください。

森永参考人 お答えいたします。

 住民投票の内容につきましては、今月二十日に大阪市選挙管理委員会が開かれ、ことし五月十七日に特別区設置の賛否についての投票を行うことを決定したと承知しております。

 NHKでは、住民投票で大阪市を廃止して五つの特別区を設けることが決まっても、大阪府の名称が直ちに変わるわけではありません、大阪都に名称を変更するには、国会で法改正などが必要となりますなどとあわせて伝えているところでございます。

宗清委員 今の僕の質問に対して全くお答えいただいていないじゃないですか。時間がないので、これ以上申し上げることができませんけれども。

 NHKさん、これは特別区設置協定書なんです。ここには、大阪府と特別区の事務分担、それと財政調整、人員配置、資産、負債の継承、区割りなどが記載されているんですが、どこにも大阪都構想という文字は書かれていないんですね。

 NHKは、ことしの二月二十二日から、いわゆるという表現をされているんですが、表現を変えたのも私は遅過ぎたと思いますし、いわゆる大阪都構想などと表現したら、それは、特別区を設置することが大阪都という名称になると住民が勘違いをしています。

 五月十七日には、住民投票が確実に行われます。大阪市の住民は重大な判断を迫られるんですね。正確な情報のもとで、冷静な判断ができる状態で、住民投票が行われなければなりません。それこそ、中身は、さまざまな政治的な主張、解釈、これは公平にやっていただいたらいいと思うんですが、しかし、NHKは、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、事実に基づいて報道しなければなりません。

 ということは、選挙結果に大きな影響を与えかねない名称について、正確な、行政的な用語を用いるべきであって、都構想という一政治団体の主張する表現を、放送法上、僕は問題があるんじゃないかなと考えていますから、今後はいわゆる都構想ではなくて、大阪市を廃止して特別区を設置する、そのことの賛否を問う住民投票だという表現一本でやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

森永参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたが、NHKでは、今の大阪市を廃止して五つの特別区を設ける、いわゆる大阪都構想の賛否を問う住民投票などと表現しているところでございます。

 それとまたあわせて、NHKでは、住民投票で大阪市を廃止して五つの特別区を設けることが決まっても、大阪府の名称が直ちに変わるわけではありません、大阪都に名称を変更するには国会で法改正などが必要となりますなどと伝えることにしております。

 それで、今回のテーマは、大阪だけではなくて日本全国から注目されているところでありまして、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていきたいと思います。

宗清委員 もう終わらせていただきますけれども、それぐらい大きなことなんですよ。我が国で起こる住民投票で一番大きなことなので、名称というのはイメージになりますので、大切なことなので、一遍御検討をお願いしたいと思います。

 よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

桝屋委員長 次に、鬼木誠君。

鬼木委員 自民党の鬼木誠でございます。

 本日は、NHK予算について質問をさせていただきます。

 これまで、国会当選後、二度、メディアのあり方について質問をさせていただきました。

 一度目は、二〇一三年四月十二日の予算委員会第二分科会におきまして、公共放送のあり方について質問をいたしました。

 ここで、公共放送といえばNHKにほかならないんですが、このNHKについて四つの問題点を指摘いたしました。

 一つ、いや応なく国民から徴収された受信料をもとに、二つ、日本をおとしめる反日、自虐番組が多々つくられ、三つ、その内容が公共にオーソライズされる、そして四つ、国内外にあたかも日本の公式見解であるかのように発信される、こういった点が公共放送として問題があるということを指摘させていただきました。これらの問題こそがNHKが改革すべき内容だと私は考えております。

 その質問後に籾井会長が御就任をされまして、私は、籾井会長にはこのNHK改革をぜひ頑張っていただきたいと期待しているところでございます。

 しかしながら、最近のハイヤー問題などに見られるように、内部からの情報リークではないかというようなものが見え隠れいたしまして、内部から足を引っ張られているように見受けられます。内部でしか知り得ないことが外部に出される。いろいろな情報が内部からどんどん出てきて、そして会長の真意と食い違っている。

 きょうの午前中の議論を見せていただきましても、会長の問題というよりも、よくよく聞けば、これはNHKのガバナンスやコンプライアンスの問題じゃないかということさえ思われてきます。

 誰が籾井会長のNHK改革の足を引っ張っているのか。改革をされると都合が悪いのは誰なのか。公共電波を使って国内外に反日、自虐番組を発信し続けたいのは誰なのか。NHKの内部改革が必要であるということが私には確信されます。ぜひ籾井会長にうみを出し切ってほしいと考える次第でございます。

 そして、私が国会でした二度目のメディアに対する質問、二〇一四年二月二十六日の予算委員会第二分科会におきまして、放送法における行き過ぎた表現の自由について質問いたしました。

 マスメディアは、表現の自由を濫用し、虚偽、歪曲、捏造、印象操作、極めて偏向した恣意的な放送を垂れ流しております。個人、法人の形式的なミスやコンプライアンス違反をたたいてたたいてたたき潰す、首をとるまでたたく。その結果、日本社会がどんどん萎縮を続けているということを多くの国民が感じております。自身は表現の自由を標榜しながらも、メディアが国民の言論の自由、表現の自由を萎縮させている、そのことを指摘いたしました。

 物言えば唇寒し秋の風とは芭蕉の句でありますが、何か物を言えばたたかれる言葉狩り、言葉尻を捉えて揚げ足をとり、たたきまくって足を引っ張る、こうした報道姿勢が本当に日本を萎縮させているということが感じられてなりません。

 今回、NHKにおいては籾井会長がメディアの大バッシングにさらされておりますが、私が二年続けて指摘した問題点がここに実によくあらわれているのではないでしょうか。

 籾井会長のよく取り上げられる御発言、政府が右と言うことに対して左とは言えないという御発言、非常に強くたたかれておりますが、舌足らずな表現であったとは思います、誤解を招いてしまったとは思いますが、私は会長のおっしゃるとおりだと思います。

 日本の考え、立場はこうであるということを、事実を事実として伝えてほしいわけです。国民のお金で運営される公共の電波を通じて全世界に中国、韓国を利するような反日、自虐放送を垂れ流すことに、多くの日本国民が嫌気が差しております。これもまた、表現の自由というのでしょうか。

 公共放送は国民のお金で運営されており、税金でもないのに半強制的に徴収されております。日本を代表して、国益を背負って全世界に放映されているのに、公的見解を無視して、国益を害するような好き勝手な発信をしていいはずがありません。政府の言うとおりにやれと言っているわけではありません。日本を代表する公共放送なのだから、正しく日本の立場を発信すべきであるということを訴えたいと思います。国民のお金でやっているのだから、国益を害するような好き勝手なことを発信する自由はないはずだと思います。

 NHKに年間何件苦情の電話、メールが来ているか、そして、その苦情の内容の内訳、どういったものが上位に来るのかということをお尋ねしたいと思っていたのですが、十分間の質問の中ではこのラリーをする時間がありませんので割愛させていただきますが、ぜひペーパーでいただきたいと思います。恐らく、受信料についての苦情というのは大変多いと思います。そしてまた、番組内容についての苦情が上位に来ることと思われます。

 この予算は、先ほど大臣からも説明がありましたとおり、総務大臣意見を付されてここに予算提出されております。

 平成二十七年度のNHK収支予算に付する高市大臣の意見、この中にこうした一節があります。「国際問題に対する公的見解並びに我が国の経済・社会・地域及び文化の動向や実情を正しく伝えることがこれまで以上に重要になっていることを踏まえ、我が国に対する正しい認識・理解・関心を培い、普及させる」。

 こうした意見を受けまして、NHKの今後の取り組みについて、籾井会長の決意をお示しいただきたいと思います。

籾井参考人 今の委員の御意見も十分頭に置きながら進めてまいりたいというふうに思っております。

 我々は、放送に当たりましては、放送法にのっとってやっているわけですが、同時にまた、国際番組基準においては、「客観的に報道するとともに、わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える。」としております。これに沿って、我々としては放送を続けていきたいというふうに思っています。

 それから、さらに、実施に当たりましては、大臣御意見も踏まえ、放送法やNHK国際番組基準にのっとって、適切に実施していく所存でございます。

鬼木委員 ことしは、戦後七十年になります。テレビやインターネットで画面をごらんの方には、プレスコードという言葉を検索していただきたいと思います。戦後、GHQによりまして、プレスコード、日本出版法とも日本に与うる新聞遵則とも言われますが、こうしたGHQの検閲がある中で、日本の放送というものが反日、自虐に凝り固まってしまいました。これを日本人による日本のための放送に取り戻していただきたいと思います。

 籾井会長におかれましては、内から外から責められて大変御心労も多いこととお察しいたしますが、メディア改革の先頭に立ち、うみを出し切るまでやり抜く覚悟で頑張っていただきたいと思います。

 本当に国益に資する、事実を正しく伝える公共放送を期待いたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、長坂康正君。

長坂委員 自民党の長坂康正でございます。

 昨年に引き続きまして、私からもNHK関係の予算について質問させていただきます。

 私は毎朝、NHKの連続テレビ小説を拝見しております。だんだんこれは終えんに近づいてきたなと思って、ちょっと残念でありますけれども、逆境に負けないでたくましく生きる主人公に本当に勇気づけられる毎日でありますし、時々、朝から涙が込み上げてきまして非常に困ることもございます。私の隣の同僚議員の中村議員の地元、余市は本当に盛り上がっているそうで、大変地方創生にも資するなということで、本当にNHKには頑張っていただきたいという思いでいっぱいであります。

 きょう、午前中の質問でもいろいろ籾井会長のお話がございました。三井物産の米国法人のトップをやられたり日本ユニシスのトップをやられて、国際経済人としての籾井会長、民間からNHKの会長になられて、いろいろな試練を乗り越えられて頑張っていらっしゃるわけでありますけれども、この一年間、会長は、どのようにNHK改革に取り組まれ、どのような成果を上げられたとお考えかを御披瀝いただきたいと思います。

籾井参考人 就任以来、やはり公共放送の役割というものをよく考えて、相次いだ自然災害にも防災、減災報道にもしっかり取り組んでもらいました。番組についても、多くの人にごらんいただき、満足してもらえたというふうに思います。営業の目標も十分達成できる見込みでございます。

 それからまた、出だしのところでいろいろございましたので、私は、全国の局を回りまして、差し当たり一年で十六カ所の放送局や現場を回りましたけれども、職員とのコミュニケーションを図ってまいりました。職員との対話を通じまして、丁寧に意見交換して、お互いに理解を深めることができたと思います。

 それから、三カ年の経営計画を今つくったところでございますが、これにつきましては、やはり役員とかなりの議論を重ねて、経営委員会ともよく意見を交換した上で取りまとめることができました。おかげさまで、役員みんなでつくったんだという計画であり、さらに経営委員会も大いに満足してくれている。

 これからも、みんなと心を合わせて、前へという気持ちで経営に当たってまいりたいと思います。

長坂委員 ぜひ、辣腕を、時々傲慢というふうに取り違えられることがあるようでありますけれども、しっかりそういった点を頑張っていただきたいと思います。

 また、午前中の話にもありましたけれども、会長は、強いリーダーシップで国際放送を強化していくんだということでありました。国際放送については、平成二十七年度予算において大幅に経費を増額するということにされているわけでありますけれども、具体的にどのような取り組みを行われるのか、また御披瀝いただきたいと思います。

籾井参考人 やはりNHKの国際放送というのは、現在、結論からいきますと、思ったほど見られていないということでございます。

 したがいまして、みんなが一丸となってどういうふうにすればいいかということを考えまして、やはり番組の内容をまずよくしようということで、ニュースについては、もちろん今までのように毎時出していくニュースもあるんですが、毎日四十五分間の長いニュースを出して、アジア、アメリカに、もちろんヨーロッパもですが、そういうものを出していって、日本に興味を持ってもらおうということも考えております。

 それから、月に一度か二度は、今のところは一度ですが、討論番組をつくろうと。これも、日本人ばかりじゃなくて、アメリカであるとか、もちろんアジアの人も含めた討論番組を、例えばニューヨークで制作してそこから発信するというようなことも考えておりまして、今までと違って、かなり興味深いものになるんじゃないかというふうに期待をしております。

長坂委員 ぜひ、日本のファンをふやしていただくためにも、強化していただきたいな、そんなふうに思っております。

 東日本の震災以来、大変落ち込んだ訪日外国人、一生懸命国も頑張って、昨年は一千三百四十一万三千人という数字を上げ、これから二〇二〇年までには二千万人を目指すということであります。

 NHKもそうでありますが、日本の文化、コンテンツ産業、伝統文化を海外に売り込むクール・ジャパンだとかビジット・ジャパン、そういったいろいろな構想があるわけでありますけれども、総務省もしっかりそういったことに取り組んでおられると思います。

 総務大臣もいらっしゃいますので、放送コンテンツの海外展開に関する総務省の取り組み状況についてお尋ねをしたいと思います。

高市国務大臣 特に、平成二十六年度の補正予算では、関係省庁、つまり総務省、外務省、経産省、観光庁と力を合わせまして、地域の魅力を伝える放送コンテンツを海外に発信することによって、観光需要の増加ですとか地域産品の販路開拓を図って、地域経済の活性化をより一層加速するという施策を盛り込みました。

 こうした地域経済に対する波及効果だけでなくて、やはり、ソフトパワーを通じた日本に対するイメージ向上といった外交的な観点からも、放送コンテンツの国際展開というのは重要だと考えておりますので、ますます日本のプレゼンス向上を図るべく、頑張って展開をしてまいりたいと思っております。

長坂委員 やはりこれからもっともっと日本をよくしてもらい、日本のファンをふやすためにも、ぜひ総務省にもしっかりとそういった取り組みを進めていただきたいと思います。

 もう一度、籾井会長の方の話に戻りますが、昨年の舌禍事件といいますか、ああいったことを踏まえて、あのころ、政治家じゃなくても舌禍事件があるんだなと思っていました。(発言する者あり)舌禍じゃない、失礼しました。でも、若干、誤解を招く発言があった。そんなときに、受信料収入が減るんじゃないかということを盛んに言われておりました。先ほど、籾井会長、営業成績も非常にいいしというようなお話もありました。二十六年度は過去最高を更新する見込みであるというようなお話も伺っております。

 二十七年度予算についても、さらに増収する計画になっているというようなお話でありますけれども、そのような状況と、また、平成二十七年度計画を達成するためには、どんなふうにNHKは取り組んでいかれるかというのを教えていただきたいと思います。

塚田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、この二年半、受信料の値下げによる減収をカバーするために、法人委託の拡大や民事手続の着実な実施などの営業改革や、全局体制による受信料制度の理解促進活動に取り組んでまいりました。その結果、平成二十六年度の受信料収入につきましては、過去最高の六千四百六十八億円を見込めるまでになりました。

 来年度からの三カ年の経営計画では、受信料の公平負担の徹底に向けまして、平成二十九年度末、支払い率八〇%を達成するために、営業改革を一層推進するとともに、受信料の支払い率の低い大都市圏の対策を強化することで、支払い率とそれから衛星の契約割合、この二つの向上を図っていきたいというふうに考え、進めております。

長坂委員 ぜひ、いい番組をつくって、皆さんに本当に受信料をしっかり払っていただいて、ますます頑張っていただきたいと思います。

 もう時間が限られておりますけれども、ただ、自民党以外は、ハイヤー問題とかいろいろなお話があります。ちょっと感想的なことを発言させていただきますと、いろいろなお話を聞くと、最初から公私のことを考えてハイヤーを頼んだんだ、支払うつもりでいたということは、もうよく私たちは理解ができます。

 ただ、やはり民間で長く頑張っていらっしゃった会長でいらっしゃいますから、何度も言われる受信料によって運営される公共放送だというその自覚が、ややもすると足りないんじゃないかみたいなレッテル張りをされがちでありますけれども、大臣もいらっしゃいますし、この中には、先輩で、市長さんとかいろいろなそういった経験をされた方もあるわけですけれども、大臣も多分、交際費なんてないわけですね。

 そういったときの公私の区別という中で、後で請求書が来たら払うんだということだったわけですけれども、それがいろいろなそごでそういうことにならなかったということです。私なんかは、きょうも地元の市長さんたちなんかが来ていて話しているんですが、やはりそういう公私の区別ということがありまして、例えば、秘書さんの方にある程度のお金を預託というのか、ちょっと言葉はわかりませんが預けておいて、そういうときに払っておいてくれよというようなことをすれば、何も李下に冠を正さずなんということもなかったんじゃないかと思います。

 大きな予算の中でその程度のはということは、当然、会長は思っていらっしゃらないと思います。本当にお気の毒だなと思うんですが、そういったこと、これからしっかり体制をやっていくんだということですけれども、何かそういうことで感想があったらと思いまして。

桝屋委員長 籾井日本放送協会会長、時間が来ております。簡潔なお答えをお願いいたします。

籾井参考人 今にして思えば、例えば今委員がおっしゃったようなこととかで、もっといい方法があったというふうに思います。

 したがいまして、今の委員のお言葉、それから皆さんの、委員からもいろいろいただいておりますが、そういうことを肝に銘じながら、一寸たりとも、一分たりとも疑いが持たれないような、こういうふうなことを心がけてまいりたいと思います。

長坂委員 終わります。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょう、私が最後の質疑者でございますので、しっかり質問をしていきたいと思います。

 まずは、きょう、ようやくといいますか、NHKの審議にこの委員会として入ることができました。公共放送という、やはり日本国民の資産でもありますこのNHKの予算審議、これはもう国会としての本分でございますので、ようやくこの審議に入れたことを我々公明党としても大変評価したいと思っております。しっかりとこの中身について、NHKの予算について話をしていきたいと思っています。

 私としましては、まず、報道機関のあり方、これで一番大事なことは、やはり、事実を正確に視聴者に伝えて、視聴者に評価をしていただく、これが一番大事だろうと思っています。

 私の周りの方にも、さまざま今報道機関があって、評価から入る報道機関が多い、その中で、あるニュースが出たときに、必ずNHKが事実をどのように報道しているかを確認してからその事実について認識をするという方がいらっしゃいます。私自身も、やはり、速報が流れますと、最後はNHKがどういう事実を伝えているのかということを確認してからさまざま情報発信するようにしております。

 会長はいつも、公平中立、不偏不党と言われますが、私が一番共感する言葉は、事実をいつも正確に伝えたいということを言われております。私は、会長が会長に就任されまして、さまざま問題が起きてはおりますけれども、私が見るNHKの放送の中身を見ますと、決して以前と変わらず、事実をもとにした報道をされているのがNHKである、今後も事実をしっかりお伝えになるというその姿勢を貫かれることがNHKの信頼回復につながるだろう、そのように思っておりますので、ぜひその姿勢で臨んでいただきたいと思っております。

 中身に入りたいと思っておりますけれども、細かい話でございますが、まず、渋谷の放送センターの建てかえについてお聞きをしたいと思っています。

 平成二十七年度の予算案を見ますと、ことし建設積立資産に六十二億円を繰り入れられるということでございます。結果、二十七年度の最終見込みで、累計で一千百四億円の建設積立資産が計上される見込みになるわけでございます。

 この渋谷の放送センターについては、放送開始百周年を迎えます平成三十七年を目標に、新センターでの運用を開始したいというふうに御説明を受けておりますけれども、この放送センターの建てかえ費用だけでも一千九百億円というふうに聞いております。

 そうなりますと、そもそもこの新センターそのものの建てかえがまず必要なのかという国民の皆様のやはり疑問があろうかと思っております。そしてもう一つ、機械や設備等としての設備費で一千五百億円かかる。合計三千四百億円を計上されております。

 素人感覚からいうと、新規の設備投資に一千五百億円もの設備がかかるのかなというところも疑問でございますが、そもそも、この建てかえの理由、そして設備投資として一千五百億円計上されているところを御説明いただきたいと思っております。

井上参考人 お答えいたします。

 まず最初に、準備状況でございますけれども、先ほど先生御指摘のとおり、平成二十三年に新放送センター建設検討事務局を設置しまして、放送百年に当たります二〇二五年、平成三十七年の運用開始を目指して、専従の体制で放送センターの建設用地や機能を検討しているところでございます。

 平成二十六年度の予算策定時に、あくまでも想定なんですけれども、建設費の総額は約三千四百億円、非常に多額の資金が必要となるために、将来の財政基盤の安定のために、建設積立資産を可能な限り積み立てて、借入金などの外部資金による対応を抑える考えであります。

 二十七年度の今回の予算では、事業収支差金の六十二億円を繰り入れて、二十七年度末には建設積立資金は一千百四億円となる見込みであります。

 その建てかえの理由でありますけれども、現在の放送センターが、昭和四十年の第一期工事完成から半世紀が経過しておりまして、老朽化、狭隘化が進んでおります。現在、大阪局と福岡局にバックアップ機能を整備しておりますけれども、大規模災害時における放送の中枢機能の維持が課題となっております。

 また、インターネット活用業務や8K、スーパーハイビジョンなど、新たなサービスに必要な設備、機能も必要であります。

 現在の放送センターで放送を出し続けながらこれらの課題に対策を講じたり、新サービスに必要な設備、機能の整備をしていくことは非常に困難でありまして、建てかえが必要であるというふうに考えておる次第であります。

浜地委員 ただいま、放送をしながら新しい8K等に対応するためにはやはり建てかえが必要だというお話だったと思います。

 確かに、民放各社を見ましても、場所を変えて新しい社屋を建てているわけでございますので、やはり放送事業者としては、放送しながらそこを一度ビルドアップするんじゃなくて、隣に建てたり、建て増しをしながらやっていかなきゃいけないということでございますので、これだけの費用がかかるであろうと。

 また、インターネット放送や8Kを放送するためには新しい設備が必要だということもございますので、このあたり、私としては理解をしておりますので、国民の皆様方にもそのことをしっかりとまたNHKとして説明をしていただきたいと思っております。

 次に、地域放送局、地方の放送局の建てかえも計画をされていると聞いております。具体的には、札幌、仙台、静岡、金沢、大津、佐賀、熊本などが具体的な計画として上がっているようでございますけれども、地方の放送局、地域放送局といいますが、こちらの建てかえの費用は建設積立資産にそもそも計上をされているのか、そして、地域の放送局の建てかえの必要性も、あわせてお聞かせください。

福井参考人 地域の放送会館の多くは、昭和三十年から四十年代に建設をされておりまして、建設後約五十年を超える会館も多くあります。

 災害時に迅速、的確な緊急報道、それから、デジタル化の時代におけます新しい放送サービスへの対応など、公共放送の使命、役割を果たすために、毎年一局から二局程度の建てかえを進めております。直近で申しますと、先月、新京都放送会館が運用を開始しまして、先ほどありましたように、現在、熊本、仙台、金沢、静岡、大津、佐賀の六つの放送会館について、二十八年度以降運用開始できるように順次整備を進めております。

 それから、建設積立資金でございますが、今積み立てている部分については、大半が放送センターを前提に検討しております。地方の放送会館につきましては、通常の建設費の中で対応したいということで考えております。

浜地委員 先ほど具体的に私が名前を挙げた中で、札幌の状況を御説明なさいませんでしたが、私は札幌が一番古い地域の放送局と聞いております。大体五十年を超えているということなんですが、こちら札幌の方は具体的にどのように進んでいるかをお聞きしたいと思っております。

福井参考人 現在の地域の放送会館の中で、最も古いのが札幌の放送会館でありまして、札幌の本館でございますが、これは昭和三十四年に建設されておりまして、五十五年が経過をしまして、老朽化してございます。

 早急の整備が課題となっておりましたが、平成二十五年十一月に、NHKと札幌市の間で、札幌市が所有します中央区にございますリンケージプラザ等の跡地と現NHK札幌放送会館の敷地を交換する方向で協議を進める旨の基本合意を締結してございます。

 この基本合意では、札幌市がリンケージプラザ建物の解体撤去を行った後、NHKが平成二十九年度中に跡地を借り受けまして、新会館の整備に着手しまして、新会館の運用開始後に現札幌放送会館の解体撤去を行いまして、平成三十三年をめどに札幌市と用地の交換を行うことを想定してございます。

 現在、札幌市とNHKはこの基本合意に基づきまして協議を行っているところでありまして、実現に向けさらに詳細な検討を進めております。

浜地委員 ありがとうございます。札幌が一番古いということでございますし、具体的な検討がもう始まっているということでございますので、安心をいたしました。

 私、地元は九州比例区で、住まいは福岡なんですが、実際、NHKの跡地というのは非常に有効活用されていまして、私の地元も、NHKが建てかえになりまして新しいデパートができて、そこが市街化の中心になっておりますので、非常にいい場所に持っているところが多うございますので、しっかり地域とも話し合いをしながら、都市計画についても、ひとつNHKさんも一役買われるんじゃないか、そのように思っております。

 次に、オリンピックに向けての取り組みをお聞きしたいと思っています。

 先ほど、8Kの整備というお話がございました。8K、二〇一六年、来年度、8Kの試験放送を始めるというふうに聞いております。二〇一八年には実用放送を開始しまして、オリンピックが開催されます二〇二〇年には本格普及をするという計画書がございます。私も8Kの画像を実際に見たことがあるんですけれども、本当に現在の2Kに比べ物にならないぐらい画質の鮮明さがございます。

 しかし、これまでの地デジ放送については、いわゆる日本方式だったり、あとは欧米方式というのが、さまざま方式の競争がありまして、そのどちらを世界で採用してもらうかで、かなり熾烈な競争をされてきております。南米などでは日本方式が優位のようでございますけれども、やはりこれは8KというものをしっかりNHKさんにも推進していただいて、日本の武器の技術として、これを先頭に立って牽引するのが日本の成長戦略にとっても非常に重要だろうと思っています。

 そこで、現在NHKさんが持っていらっしゃいますこの8Kの技術、これは世界の中の位置づけでどのような今状況にあるのかをお聞きいたします。

浜田(泰)参考人 お答えいたします。

 8K、スーパーハイビジョンの普及につきましては、国のロードマップを踏まえて、オール・ジャパンの体制で取り組んでいるところでございます。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、日本の最先端技術を世界に発信する機会と捉えまして、8Kの設備の開発や制作ノウハウの蓄積を進めているところでございます。

 8Kは、NHKが世界に先駆けて二十年前から研究開発を行ってきた次世代の放送方式でありまして、究極の二次元画像、立体音響を実現するものであります。これまで、英国のBBCあるいは米国のNBCなどと共同研究を進めてまいりまして、ITU、国際電気通信連合での国際標準化を進めてまいりました。

 さらに、NHKでは、これまで、ロンドン・オリンピックではオリンピック放送機構やBBCと、それからブラジル・ワールドカップではFIFAやブラジル最大の放送局であるTVグローボと協力して、8Kのパブリックビューイングも実施してまいりました。

 今後とも、NHKは、二〇二〇年に8Kの臨場感あふれる映像を楽しんでいただけるよう、関係者と連携して最大限の努力をしてまいります。

浜地委員 今、NHKの8Kの技術は国際標準化されているという御答弁でございました。今、日本が、またNHKさんの技術というのは、8Kについては国際標準として推進をされていらっしゃいますので、しっかり日本の技術として世界に発信するという意味では先頭に立ってやっているわけでございますので、これをどんどん推進していただきたいなと思っております。

 そうなりますと、8Kの画像は非常に鮮明なんですが、これは放送だけじゃなくて、ほかの分野でも応用が始まっていると聞いておりますけれども、どのような分野で応用されるのか、そのあたりをお聞かせください。

浜田(泰)参考人 8K、スーパーハイビジョンでございますけれども、今お話にありましたように、その高精細な映像を利用して、放送以外にも、医療や教育、防災、芸術、デジタルシネマ、デジタルサイネージなど、幅広い分野で応用できるものと考えております。

 特に医療分野では、これまでに、心臓や肝臓など幾つかの手術を撮影して、執刀に当たった先生方からも高い評価をいただいております。今後、カメラの小型化あるいは高感度化が進むことで、内視鏡あるいは顕微鏡カメラなどへの応用も期待されております。

 芸術分野でも、国内外の博物館や美術館と連携して、貴重な絵画や工芸品などを8Kで記録し、鑑賞や研究などに活用する取り組みが始まっております。

 さらに、高精細な8Kの空撮映像を防災、減災報道に活用することも計画しております。

浜地委員 今、医療の分野でもこれを応用しようという動きがあるという御答弁でございました。

 遠隔な医療、また手術等にもこれが使えるんじゃないかなというふうに思っています。私が見せていただいた画像では、細かな糸の部分、手術でいうと縫う部分も含めて、非常に詳細に画像が送られるということでございますので、この分野でもまた日本のやはり宝になろう、そのように私は思っております。

 もう一つ、8K、これを推進されるのは結構なんですが、これまでの有料放送の分野では、例えば、B―CASカードのような、情報が破られて、本来有料放送であるものが無料で見られてしまうというような事態がありました。

 今後、8Kを推進するに当たり、この情報の保護、暗号化の保護といいましょうか、こちらの取り組みは大丈夫なのか、そちらは進めていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。

浜田(泰)参考人 4K、8Kのような高品質な放送コンテンツは、これまで以上にセキュリティーを強固にしたコンテンツ保護が必要と考えております。

 NHK放送技術研究所では、コンテンツ保護に関する研究に取り組んでおりまして、情報通信審議会で答申されました4K、8Kの放送方式にその成果が反映されております。

 現在、このコンテンツ保護の実用化に向けまして、民放ですとか、あるいは受信機メーカーなど関係者と連携して取り組みを進めているところでございます。

浜地委員 このコンテンツの保護というところ、しっかりとまた取り組んでいただきたいと思っております。

 最後に、籾井会長に御質問いたします。国際放送についてお聞きしたいと思っております。

 先ほど、いろいろと、この国際放送についてはこれから展開をしていくということがあったんですが、やはり、BBCやCNN、英語を母国語としている放送と、NHKのように英語を母国語としない国際放送でございますので、おのずと性質は違うと思っています。個人的には、やはり、CNNやBBCを追随するような形ではなくて、日本の得意分野を生かしながら国際放送を展開すべきであろう、そのように思っております。

 私は、今回、籾井会長が会長に就任をされまして、この国際放送の分野は、その御経験や知識を通じて、非常にやはり期待する部分でございますので、今後、国際放送に向かっての籾井会長独自の取り組みといいましょうか、自分自身のその思いというものを最後にお聞かせいただきたいと思います。

籾井参考人 来年度の予算においても、非常に多額の予算を計上させていただいております。先ほども申しましたけれども、まずは番組の内容をかなり改善しまして、人に興味を持たれるような番組をつくりたいというふうに思っております。

 確かに、我々は、英語という意味ではハンディキャップがございますが、少しずつ我々は我々なりに、英語でできる、あるいはアメリカ人を使う、イギリス人を使う、そういうことも踏まえまして、本当に世界で信頼されるNHKの国際放送をつくっていきたいというふうに思っております。

 さいは投げられたといいますか、もうお金を使うように予算を組んでおりますので、後戻りはできないということで、不退転の覚悟でやるつもりでおります。

浜地委員 ありがとうございます。

 特に国際放送の分野でまた新しい展開を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十二分散会


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