衆議院

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第11号 平成27年4月16日(木曜日)

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平成二十七年四月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    池田 道孝君

      大串 正樹君    大西 英男君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    木村 弥生君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      土屋 正忠君    中村 裕之君

      長坂 康正君    宮川 典子君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      高井 崇志君    吉村 洋文君

      浜地 雅一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武田 俊彦君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     山田 美樹君

  田所 嘉徳君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大串 正樹君

  山田 美樹君     宮川 典子君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     田所 嘉徳君

  宮川 典子君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

四月十五日

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)

同月七日

 法人事業税の外形標準課税適用拡大反対に関する請願(伊東良孝君紹介)(第七六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事石田研一君及び専務理事板野裕爾君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、総務省行政管理局長上村進君、自治行政局長佐々木敦朗君、自治行政局選挙部長稲山博司君、自治税務局長平嶋彰英君、情報流通行政局長安藤友裕君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、大臣官房審議官武田俊彦君、水産庁長官本川一善君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君及び防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)委員 おはようございます。

 待ちに待った質問の機会を与えていただいたら、十五分だそうでございまして、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 桝屋委員長を初め我が委員会の理事の皆さんの御努力は重々わかっているわけでございますけれども、今回国会において、今日まで、質問時間、野党二十二時間五十分、それに対して、与党は二時間三十分、我が自民党は一時間十五分という時間です。

 もちろん、地方議会は大統領制で、それぞれ大会派順に質問時間が設定されて、それに基づいて運営をしてまいりましたし、私自身もそういう中で論戦をしてまいりました。国会は議院内閣制ですから、与党が一歩も二歩も下がるということはわかりますけれども、我々国会議員として同じ権限を持っているわけでございます。

 そして、私、東京だからいいんですね。国会議員の活動なんか全くマスコミは報道しませんから。しかし、地方選出の我が同志たちは、一方で、選挙区で対立している候補者が連日のように質問をする、それが一面、二面を飾る。一方、我が党の、与党の国会議員は、おまえたち、国会へ行って何をやっているんだ、眠っているんじゃないかといって激しいそしりも受けているわけで、だからといって、私どもはどうしろとは申し上げませんけれども。

 そういった実情の中で、野党の皆さんも大変長い質問時間を使っているわけでございますから、やはり日本国のために建設的に、そして実りある質問をしていただきたいというのが一与党ぺいぺい議員の願いでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それで、この二十二時間五十分の質疑、NHKに関する質問が多かったんですね。そして、週刊誌によりますと、籾井会長が国会に呼び出された回数は何と七十回を超えている、こう言われているんです。予算委員会でもNHKに関する質問がありました。

 私は、たとえ公共放送の会長であろうとも、政治信条、哲学を持っていない人間はその役割を果たすことはできないと思うんですね。そして、その思想、信条がどういうものであろうとしても、我々はそれを批判することはできないんです。

 しかし、公共放送の会長として、そうしたみずからの哲学や思想、信条に基づいて、公平な放送ができないような干渉をした場合については、これは問題ですよ。これは論議の対象になっていくわけでございますけれども、籾井会長の今まで問題になっている発言、例えば従軍慰安婦、これは冒頭から発言をなさったわけです。マスコミの誘導尋問というんでしょうか、執拗な質問に、素人ですから、ちょろっと自分の信条をおっしゃったんですね。

 私は、この信条、賛成ですよ。今、従軍慰安婦は強制されたとか、あるいは日本の軍隊、国家が組織的に行ったと思っている良識ある人は一人もいません。これは歴史的な事実によって明らかになっているわけですね。NHK会長として、会長としてよりは籾井個人としてこういう考え方を持っているということは、私どもは、意を得たり、同感でございますが、この問題について延々と委員会で質問がありました。

 さらには、ハイヤー利用問題。きょうは私、呼んでいないんですよ、NHKの会長を初め役員は。本来は前にして激励をしたいと思っていたんですけれども、どなたかが呼んでいらっしゃるようですが。

 ハイヤー問題、これは皆さん、冷静になって考えてみてください。籾井会長は、日本を代表する会社のアメリカの代表も務め、重役でもあり、社長もやりました。年収といったらNHK会長の何倍かがあるんですよ。しかも、会社の実情として、中小企業でも同じです、接待でのゴルフあるいはそれに伴いハイヤーを使った場合はハイヤー、これはみんな交際費で落ちるんですよ、税法上も。そういう世界の中で、籾井会長、やりたい放題やっていたとは言いませんけれども、それこそ、そういう文化の中で生きていらっしゃった人がNHKの会長になった。

 しかし、私は、さすがだと思いますよ。やはりNHK会長としての責任感をしっかり持っておられて、ゴルフに行かれたハイヤー代については、これは私の費用だよ、私に請求しなさいと部下に命じているんです。それはNHKの監査委員会でも明らかです。それを、事務的なミスによってたまたま請求が来てしまった、あるいは支払いを一時NHKが立てかえる形になったということを評して、延々とまた質問を繰り返しているんですね。

 もう七分ですか、早いですね、時間というのは。

 こういう形で、大山鳴動してネズミ一匹という格言が中国にはありますけれども、ネズミ一匹も出てこなかったじゃないですか。

 そして、皆さんにぜひ御理解をいただきたいと思って、これはNHKから答えさせようと思いましたけれども、時間の関係がありますから資料を取り寄せました。

 質問者、NHK会長を責める方々の期待に反して、NHKの受信料収入というのは、二十七年一月末現在で、対前年比約百三十八億円ふえているんですね。さらに、契約者数、三月末段階ですけれども、これも五十一・二万件ふえているんです。これは過去最高に迫っています。衛星契約の増加、これも八十一・四万件。これは何と年間計画に対して一一九・七%の進捗率です。

 こういうふうに、国民・視聴者はNHKに期待しているんですよ。そして、こうした野党が延々と繰り広げた会長批判にもかかわらず、信頼をつなぎとめているんです。ですから、受信料が上がり、さらには契約者数もふえているわけで、我々国会議員として、もう少し理性と見識を持ってこの問題に取り組んでいかなければならないと思います。

 これからNHKは大変なんですよ。NHK本社ビルも建てかえなければいけないんでしょう。あるいは、オリンピック・パラリンピックに向けて4K、8Kのテレビの技術開発問題もあるわけですし、あるいは、国際衛星放送や何かについても、これじゃだめだ、もっと世界の心を引きつける、そんな放送内容に変えていけ、こういう意見もあるわけですから、こんな問題について建設的、積極的な意見が本来戦わされなければいけなかったはずでございます。

 今回のNHKをめぐる質疑につきまして私の所感の一端を述べさせていただき、NHKにはさらに一層頑張っていただきたいと思いますけれども、マスコミを含めていろいろな人がいますから、会長にはぜひ言動を慎んでいただき、行動も慎んでいただき、我慢に我慢を重ねることが公共放送としてのNHKの発展につながっていくんだと思うんです。どこかで聞いていますかね。それを私は要望いたしまして、次の質問に移ります。

 次に、消費税に絡む地方税の問題について御質問をしたいと思います。

 膨大な資料を持ってきて、言いたいこともたくさんあるんですけれども、あと五分というメモが参りました。

 そこで、消費税、我が党、与党の決断によりまして、平成二十九年の四月から導入することが決まったんです。これはどういう経済情勢であろうとも、決まったんです。

 それに対して、平成二十六年度の税制大綱において、消費税一〇%時に検討しなければならないさまざまな税制改正の課題について指摘をしています。その中で一番論議になってくるところは、軽減税率の問題なんかいろいろあるんでしょうけれども、地方税の問題もこれありです。

 きょうは東京は何人いるんでしょうか、土屋先生、山田先生、東京は三人しかいない。あとはみんな地方出身の国会議員の皆さんですから、東京から税が収奪されたことについて、拍手こそ起これ、地方自治法上そんなこといいの、こういう御指摘を余り感じておられない方々ではないかと思うんですが、皆さん、だまされたんですよ。今もう結果が出ているんです。

 東京は一極集中で税金が集められている、地方は疲弊している、だからこういった税の偏在を是正する。そのために、例えば、地方法人住民税の一部国税化というのが行われたんですね。そして、今もなお、国との約束に反して、法人事業税の特別税化もそのまま継続されているんです。三分の一に減額はされましたけれども、継続されているんです。皆さん、それで地方の財政は豊かになりましたか。

 こういうからくりがあるんじゃないですか。基準財政需要額に対して、地方消費税の配分率が上がった、したがって、それは収入額に計上をして、基準財政需要額との差額については地方交付税を減額するという措置が行われているんですよ。結局、東京からあれだけの税金が持っていかれて、それを地方交付税の原資化するといいながら、地方交付税は減額されているんですよ。このお金はどこへ行ったのか。お金というのは名前が書いてあるわけじゃありませんから、財務省的な財政再建の費用として、地方交付税削減の一助になったにすぎないんです。

 私どもは、こういった地方自治を冒涜するような改革、改革という名の改悪が、断固、一〇%消費税増額時に行われるべきではない、その戦いがこの秋から始まっていくのではないかと思いますが、戦闘宣言と言うとちょっと語弊がありますけれども、地方自治の改革、地方財政自主権、そして地方が地方の力で発展を遂げていくような地方創生の大きな目標に向かって進んでいくために、地方における法人事業税そして法人住民税につきまして、もう時間がありませんので、大臣、この論議はまだこれからですから、余り厳しい御発言がないように、まだまだ論議の余地があるような御答弁をいただければありがたいと思います。

高市国務大臣 確かに、地方法人課税の偏在是正でございますが、大西議員お地元の東京都など財政力の高い団体とそれ以外の団体の間で御意見が対立する状況にあることは承知をいたしております。

 平成二十六年度の与党税制大綱、先ほど大西議員お触れいただきましたけれども、消費税率一〇%段階における地方法人課税の偏在是正につきましては、「法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。」ということ、そして、「地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う。」とされました。

 今回、平成二十七年度与党税制改正大綱におきましては、消費税率一〇%への引き上げ時期の変更に伴って、これらについては、「平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。」とされたところであります。

 今後、この方針に沿いまして、関係団体の御意見も踏まえながら検討していく必要があると考えております。

 主に、やはり自民党税調そしてまた与党税調の場で大きな議論がなされることと思いますが、しっかりとまた大西議員の御意見もおっしゃっていただいたらと存じております。

大西(英)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 先日行われました統一地方選の前半戦、非常に投票率が低かったということで、きょうは、投票についてのさまざまな質問を、実際に私が今回の統一地方選を応援する中で投票のやり方等々について聞いた声をもとに、質問したいと思います。

 御存じのとおり、知事選が四七・一四%、県議選が四五・〇五%、政令指定都市の市議選が四四・二八%という、まさに史上最低の投票率を今回記録いたしました。前回は東北での震災が起こった後での統一地方選であったにもかかわらず、それよりも下回ったということでございます。

 まず、高市大臣に、選挙を所管します大臣として、この低投票率についての御所見をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 今回の統一地方選挙前半の選挙の投票率、知事選挙が四七・一四%、道府県議会議員選挙は四五・〇五%。これは、統一地方選挙が始まった昭和二十二年以降最も低い状況となりました。

 投票率につきましては、当日の天候ですとか、その地域における選挙の争点ですとか、さまざまな事情が総合的に影響すると思いますので、その低下の要因を一概に申し上げるということはとても困難なんですけれども、でも、これだけ低い投票率になったということについては大変残念でございます。

 引き続き、今月二十六日には後半の市区町村の選挙が行われる予定でございます。これは、身近な地方政治に対して意思を表明し、地域の将来を託す代表者を選ぶ極めて重要な機会でございますので、有権者の皆様におかれましては、積極的な投票への参加をお願いしたいと思います。

 また、私どもも、投票率の向上という点で、有権者が投票しやすい環境を整備するための実効ある方策を進めてまいります。

浜地委員 ただいま、有権者が投票するための実効ある政策を進めたいというお話をいただきました。

 例えば期日前投票におきましては、私の地元でも、大学で期日前投票をやっておりましたし、大型のショッピングセンターでも期日前投票所を開いてやっておりまして、さまざまな工夫があろうかと思っております。

 その中で、私は不在者投票の運用についてこれからお聞きをしたいんですが、まずは、指定病院等での不在者投票についてなんです。

 指定病院等といいますと、病院だけではなく、老人ホームのような介護施設も指して指定病院等というふうに定義づけられておりますので、今後は、やはり高齢者の方々が介護施設にいらっしゃって不在者投票を行いたいというニーズは非常に高まろうかと思っています。

 この指定病院等、また介護施設等での投票用紙の請求は、投票日の前日まで行える。要は、投票する前日まで、その病院がまとめて選管に申し出て投票用紙をもらって投票することができるわけでございますが、当然、病院等には各選挙区の、ばらばらの方が入院をされておりますので、入院患者の方々がまず投票したいかどうか、不在者投票したいかどうか、そして、そうだとしても、果たしてどこの選挙人であるかをしっかりと把握しなきゃいけませんので、やはり非常に手間と時間がかかっているようでございます。

 私のもとには、実際には、病院で不在者投票をしたいと言ったら、もうこの病院では申し込みを締め切っておりますと。これは、法的には締め切っていないんでしょうから、やはり運用上の問題で、もうここまでというふうにその病院が決めたんだと思います。それと、指定病院に指定さえされていなくて、うちの病院ではできませんよということで投票できませんでしたという声が聞こえてきております。

 私としましては、やはり総務省として各選管に対して、指定病院等での不在者投票がもっとスムーズに行えるような指導、もしくは、きちっと指定病院に指定をしてもらうようにしっかり窓口を広げていくような、そういった指導というのをやはり行うべきじゃないか、法律上の問題だけでなくて、運用上の問題としてしっかり指導徹底すべきでないかというふうに思いますが、この点、総務省、御意見をお聞かせください。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 不在者投票が可能な指定病院等についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、都道府県の選挙管理委員会が、適正な管理執行が確保できるかどうか、こういったことを前提にあらかじめ病院等を指定する、こういう仕組みになっているところでございます。

 その上で、都道府県の選挙管理委員会におきまして、こうした指定病院等に対しまして、確かに御指摘のように準備が必要でございますので、事務の手引を配付いたしましたり選挙時に説明会を開催したりする中で、例えば、不在者投票ができる実施日でございますとか投票用紙等の請求手続等につきまして、入所者の方々に対して適切に周知するなどの取り組みを要請していると承知をいたしているところでございます。

 総務省といたしましても、国政選挙等の都度に各選挙管理委員会に対しまして、選挙人に対する制度の周知でございますとか、あるいは公正な選挙の確保など、不在者投票の適切な運用が図られるよう要請を行っているところでございますけれども、御指摘のあったようなことも含めまして、引き続き、こうした指定病院等における選挙人の投票機会が十分に確保されるよう、一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 次に、郵便による投票も不在者投票の一種でございますので、郵便による投票が行える要件について少し確認をしたいと思います。

 お配りしておりますのが、公益財団法人明るい選挙推進協会というところのホームページからとってまいりました、「郵便等による不在者投票の対象者」という表がございます。配っている資料の上段でございますけれども、まず一番右の、介護保険を受けていらっしゃる方で、要介護五の状態でないと郵便による投票はできないということでございますが、要介護五に限定をされた趣旨といいますか、理由について、まずお聞かせいただきたいと思っております。

稲山政府参考人 選挙の投票につきましては、言うまでもないことでございますが、できるだけ多くの方の機会を確保するということが求められると同時に、公正確保ということが前提となってまいります。

 こうした郵便等による不在者投票につきましては、疾病等のため歩行が著しく困難な方の投票機会を確保するために設けられておりましたけれども、これはかつて、昭和二十六年の第二回目の統一地方選挙に際しまして不正がかなり起こりまして、昭和二十七年に一旦廃止ということになりました。その後、昭和四十九年に、いわゆる重度身体障害者に限定いたしまして再び制度化される。こういった経緯があったところでございます。

 さらに、その後、介護保険の導入後、今お話がございました、平成十五年に議員立法によりまして介護保険の要介護五の方を対象に加える等の改正がされたところでございます。これは、各党各会派による御協議がございました、その結果、要介護五の方につきましては物理的に投票所まで行くことができない方と判断される実態にある、こうしたことを踏まえまして対象に加えることとされたものと承知をいたしております。

浜地委員 ありがとうございました。

 私のもとに、これは投票をなぜできなかったんですかという方が来たんですが、要介護四で車椅子でございました。ホームヘルパーさんに投票所まで行ってもらえるんですが、やはり投票の秘密というのがありますので、ホームヘルパーさんは投票所の中まで入らない。そのときに、選挙の管理者のような方が付き添われるんだけれども、この方は、やはり他人の手を煩わせるのが非常に心情的に申しわけないという気持ちがあるそうでございます。ですので、なるべく郵便投票したいということだったんですが、できなかったということなんですね。

 左側を見ますと、身障者についても郵便投票ができるんです。例えば、左側の、身体障害者手帳をお持ちの方で二級の方、一番上の、両下肢等の移動機能の障害がある方ということが載っています。これはどういうことかというと、足を切断したり、障害の二級になりますと可動域が三分の一ぐらい。ですので、膝を曲げても九十度には曲がらずに三十度ぐらいしか曲がらない方は、大体障害者二級ということになるそうでございます。

 そうなると、大体、歩けるか歩けないか、車椅子か車椅子でないかぐらいの程度だと思うんですが、要介護四の方は、介護を要する時間によって決められるのが介護制度でございますので、本人の状態というよりも、介護の時間によって四であった。しかし、この人は車椅子であった。しかし、身障者手帳を見ますと、二級の方は、この方も同じ車椅子か、もしくはぎりぎり歩けるかということなので、お互いに車椅子であるということは、この方の場合を例にとれば同じであるんですが、この方は投票ができなかったということでございます。

 そうなりますと、私は何を言いたいかというと、弱者の視点もやはりしっかり取り入れる、特にこういった体の悪い方等々についての意見、または介護を受けていらっしゃる方の意見も多く取り入れるということがやはり民主主義の根幹をなすのであろうと思っておりますので、今後は、要介護者については投票をできる範囲を広げていくべきだというふうに考えております。

 これは議員立法ということでございますので、我々議員の責任でもございますが、この要介護者について郵便投票を行える範囲を広げるということについては、総務省はいかにお考えか、お聞かせをいただきたいと思っております。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便投票等でございますけれども、先ほど申し上げましたような経緯の中で、例えば、障害等により大変歩行が困難といったようなメルクマールを中心に制度がなされてきたという経緯がございます。そうした中で、今御指摘があったような御意見等もよく承っております。

 郵便投票の対象者の拡大など、現行制度で投票することが困難な方々の投票機会を確保していく、これは大変重要なことと私どもも認識をいたしております。

 一方で、先ほど申し上げましたような過去の経緯もございまして、選挙の公正確保との調和の観点も含めて検討されるべき課題でございますので、まず各党各会派において御議論いただきたいと考えておりまして、それを踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 一つ飛ばしまして、最後の質問にしたいと思います。

 マイナンバーが、ことしの十月から準備が始まります。マイナンバーを利用したネットの投票をしてはどうかという意見も結構多々ございます。ネット選挙ということで、いろいろな周知、告知はネットでできるんですが、実際にネットでの投票について、マイナンバーを利用してはどうかという意見もございます。

 現在の投票では、やはり投票所に実際に投票日は行きます。このときに、選挙人名簿に記載されている人間かどうかを確認して、選挙人名簿の人であるという同一性の確認をします。このときに、はがきを持っていって、はがきを持っていると恐らくこの人であろうという推定が働いて、はがきを持っていかなくても生年月日を答えればその人だろうという同一性の確認がされているわけでございます。

 そうなりますと、マイナンバーを利用して、本人しか知らない番号、これをICリーダーで読み取って、画面に映して、立候補されている人の名前が出て、そこを例えばクリックして投票するということでも同一性の確認というのは担保できようかというふうに私自身は思います。

 しかし、投票所には立会人がいたり、実際、現在の投票では、自書ということで、自分で書くということの部分もございまして、やはり自宅でのマイナンバーでの投票とは違う部分もあるのかなというふうには思いますけれども、総務省として、マイナンバーを利用したネット投票の可能性についてお聞きをしたいと思っております。当然、選挙人名簿がマイナンバーでつながるというのが前提でございますが、それを前提とした上で、総務省の現在の御意見をお聞かせいただきたいと思っております。

稲山政府参考人 インターネットを利用いたしました投票につきましては、個人の所有する端末等を用いまして在宅での投票が可能となるなど、選挙人の利便性の向上につながるものと考えております。

 御指摘のマイナンバーにつきましては、現在のところ、社会保障、税、災害対策分野の行政手続においてのみ利用できるというふうにされているところでございます。仮に将来的に選挙の分野に利用できることとなりますならば、御指摘もありましたような投票の際の本人確認等に資する可能性があると考えられるところでございます。

 一方、ネット投票につきましては、投票内容が外部からのぞかれたり変更を加えられたりする危険性がないのかといったようなことでありますとか、第三者による立ち会いがない中での投票でございますので、選挙人が外部からの影響を受けずに自由意思によって投票できる環境をいかに確保するかといった課題などもあるところでございます。

 インターネット投票につきましては、省内に現在設置しております投票環境向上のための研究会におきましても、その論点整理を行いたいと思っております。その中で、こうした課題の解決に向けた技術面あるいは制度面での環境整備の状況を見きわめた上で、言うまでもないことでございますが、国民の皆様の国民的なコンセンサスを得ながら検討を進めていく、こういった必要があろうかと存じております。

浜地委員 少し研究会の項目にも挙がっているということでございますので、また経緯も含めて御報告をいただきたいと思っております。

 ありがとうございます。終わります。

桝屋委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 きょうもNHKの問題をやらせていただきたいと思いますが、私がNHKの問題をやるのは、日本の公共放送をやはり守りたいと思うからであります。しかも、日本の公共放送は、国民の知る権利をしっかり行使するための一つの重要な場だと思う。この日本の公共放送を壊してはいけない、受信料によって支えられた日本の公共放送を壊してはならない、そう思うからNHKの問題をやらせていただくわけでありますので、委員長初め委員の皆様にはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 そこで、きょうは、昨年実施されましたNHK関連団体ガバナンス調査、これについて改めてお伺いをしたいんですが、NHK関連団体ガバナンス調査は、NHKの関連団体の不適切な業務執行を調査しようということで、昨年設置され、昨年の三月から九月にかけて行われたものであります。この調査には五千数百万円という非常に多額の経費がかかっております。加えて、多額の経費がかかっているこの調査、これを随意契約でやっているということであります。

 もちろん、NHKの経理規程に随意契約で仕事をするということは認められているわけですので、それは何も随意契約そのものが悪いわけではありませんけれども、以前も申し上げましたとおり、一般競争入札、指名競争入札、これらに比較して、随意契約はその契約の正当性に対する説明責任が非常に高く求められる。ある特定の相手を指名してそこだけと契約をするわけですから、一般の公開入札や指名競争入札に比べて全く違ったレベルの高い説明責任が求められるわけであります。

 ところが、この間、私どもの党の部門会議においても、あるいはこの委員会においても、このNHK関連団体ガバナンス調査に関していろいろ御説明を聞いたのでありますけれども、どう考えてみても、説明責任を果たしているようには思われないわけでありますので、きょう改めて話を聞かせていただきたいと思います。

 まず、一点目でございますけれども、本件随意契約を行うことの正当性、理由は何なのか、御説明いただきたいと思います。

石田参考人 お答えいたします。

 会長の直属の委員会として設けられたためであることに加え、速やかに設置して事態に対処する必要があったということです。また、契約の性質、目的から、一般競争入札にはなじまないものと考えております。

 随意契約にするに当たっては、三名程度の弁護士をリストアップして最終選考を行いました。その結果、小林英明弁護士を委員長として決定したものです。

 小林弁護士に決めたのは、企業統治の専門家であり、危機管理や不祥事対応に造詣が深く、NHKの経営委員、監査委員の経験もあり、NHKやNHK関連団体の経営に知識があるということなどが理由でございます。

逢坂委員 会長直属の委員会であること、速やかにやる必要があるということ、内容が競争入札にはなじまないといったようなこと、それから当該随契の相手方の専門性、こういったことを理由にして随契をやったんだということであります。

 それでは、この正当性、この理由をNHK内部でどのように確認したのか。すなわち、契約以前に、その内容を確認し、文書でしっかりとNHKとして意思決定をした書類というものは存在しているのかどうか、お知らせください。

石田参考人 お答えいたします。

 当時の担当者と担当役員が選考を行い、会長の了解を得たものです。最終的には、会長と小林弁護士が契約を結びました。

 書類としては、弁護士の報酬単価などを記載した契約書がありますが、そのほかについては特に文書等は作成しておりません。

 また、理事会には付していませんが、会長が副会長以下執行部の役員を集めた場で、ほかに新たな不正はないか調査するとともに、原因を調べて再発防止を考える提言を受けるため、NHK関連団体ガバナンス調査委員会を設置することを説明しております。

逢坂委員 今の説明によりますと、契約以前に、NHK内部で今の随契の正当性を確認する、意思決定をする文書はなかったという理解になりますけれども、それでよろしいでしょうか。

石田参考人 契約書はございますが、決定の経過とか、そうした書類は作成しておりません。

 私は、当時担当が違いましたが、前任者からどういう経過かというのは引き継いで、今お答えしております。

逢坂委員 それでは、次にお伺いしますけれども、本件随意契約は弁護士報酬の時間単価による契約だと伺っております。最高時給は五万円、人によってそれぞればらつきがあるというふうに聞いておりますけれども、最高時給が一時間五万円の時間契約による単価契約というふうに言ってよいかと思います。

 この報酬の単価の正当性、これが高いのか安いのか、合理性があるのかというものは、どのように判断されたんでしょうか。

石田参考人 お答えいたします。

 今回の調査にかかわった弁護士は八人で、今先生おっしゃったように、時間制の報酬単価は、最も高い人で五万円、最も低い人で一万九千円で、弁護士の平均時間単価は三万一千円余りでした。金額的には適切な額だと考えております。

 弁護士報酬の単価は、各弁護士がみずからの経験年数の長さや専門性の度合いに応じてそれぞれ定めているものと承知しております。

逢坂委員 この点においても同様になんですけれども、今おっしゃった弁護士報酬の適切さ、これをNHK内部でどのように確認し、かつまた、その確認をした書類、あらかじめこういう報酬単価でいきますよというようなことを内部の意思決定として確認した書類の存在はありますでしょうか。

石田参考人 確認した形の文書としては残っておりません。

逢坂委員 では次に、今回、時間単価契約でありますので、当然、先方、契約相手先から何時間仕事をしましたよというようなことの請求が来るんだというふうに思われます。しかしながら、その稼働時間の適切さ、これをしっかりNHKとしては管理しなければ、相手の言いなりになってお金を出してしまうということにもなりかねないわけであります。もちろん、相手を信用していないというわけではありませんけれども、第三者への説明責任を果たすという意味においては、契約の相手方から時間の請求が来た、NHKとしてはそれが適切であるかどうかをチェックしたというような行為が必要だと思われますけれども、こういうことを確認した書類というようなものは残っているんでしょうか。

石田参考人 お答えいたします。

 毎月の請求書は小林弁護士のサイン入りのものを受け取っております。請求書の附属資料として、弁護士、担当者ごとの時間単価、時間、金額が示されており、それを確認しています。また、かなり大量の、多くの方のヒアリングを行っておりますが、ヒアリングにはNHK側も弁護士のヒアリングに同席しておりますので、委員会の業務実態というのは、おおむねというか、その点では把握していたというぐあいに考えております。

逢坂委員 委員会の職務実態はおおむね把握していたとの指摘でありますけれども、だがしかし、弁護士事務所でどのようにこの仕事に対して対応していたか、NHKの見えないところで仕事をやっていることについてのチェックはできていないという理解でよろしいでしょうか。

石田参考人 委員会からの求めに応じて、NHKそれからNHK関連団体から、かなり大量の関係書類とか資料を送りましたので、どの程度の資料が行っているかということは私どもで把握しておりますが、実際に委員の先生方はそれぞれ、弁護士事務所でそういう書類を読んだり、それから最後の報告書の執筆に当たっていますので、そこについては、何時から何時まで働いたというのは月ごとのまとめとしての時間としては報告していただいておりますが、把握しているのはその範囲でございます。

逢坂委員 ということは、事務所でどの程度仕事をしていたかについてはチェックのしようがなかったということだというふうに理解をいたしました。

 あえてお伺いさせていただきたいんですが、NHKで、今回の件ではなくて、ほかの契約においても、いわゆる稟議書というんでしょうか、決定書というんでしょうか、あるいは決裁書といっているのか、NHKの内部で何と呼んでいるかわかりませんけれども、契約をするに当たって、事前に内部の意思固めをするためのさまざまな書類というのは、通常の契約だと私は一般的に自治体であっても企業であっても残っているものではないかというふうに思うんですが、今回の随意契約は契約書以外の書類がほとんどないというのが今の答弁でありますけれども、稟議書の類いというのはないんですか、NHKは。

石田参考人 お答えいたします。

 随意契約について経理局が責任部局として契約した分については、契約文書以外に文書が残っております。それで、今回もそうなんですが、各部局がそれぞれの職務権限に基づいて行う契約については、それぞれの事情によって契約書以外の文書を作成していないものもあるというぐあいに承知しております。

逢坂委員 冒頭にお話をしましたとおり、随意契約であればあるほど後の説明責任が求められるわけです。その書類が契約書一枚しかないというのは、これは随意契約と呼べるものではないと私は思うんですね。まさに、恣意的に契約をしたんではないかというふうに言われても仕方がないものだというふうに思わざるを得ないんです。

 この点、改めて、石田さん、どう思いますか。

石田参考人 今御指摘がありましたが、私は先ほど申し上げましたような理由で選定が行われたというぐあいに聞いております。

 先生おっしゃるように、これは各部局が職務権限に基づいて行った契約なので、今回の場合については契約書以外の文書を作成していなかったということでございます。

逢坂委員 契約書以外の文書も作成せずに五千万を超える随意契約をやった、これは恣意的契約というふうに指摘されても仕方のない問題だと思います。

 これは、NHKとそれぞれの公共団体、地方自治体や国は性質が違うところはあるとはいえ、例えば、こうしたことを地方自治体の現場で、もし五千万を超えるものを恣意的契約をやったとなったら、場合によってはそこの首長の首は飛びますよ。それぐらいのこれは案件なんですよ。

 しかも、それをほかの部局でも場合によっては書類なしでやっているかもしれないという発言を今していること自体が、NHKの経理そのものに相当に脇の甘さがあるというふうに私は思うんですね。

 これは、NHKの経理規程にも反する可能性が非常に高い。あるいは、NHKの「会長、副会長および理事の服務に関する準則」というのがありますけれども、ここに、職務専念義務の規定があります、あるいは忠実義務の規定があります、信用失墜行為の禁止という規定がありますけれども、これらに反することになるんじゃないですか。

 相手方と、きちんとその正当性、これも後づけで確認する書類もないままに契約をしてしまって、後になってから、こうでした、ああでしたと言っても、それは説明にならないんですよ。恣意的にやって、後で理由をつけているのではないですかと言われかねないことなんですよ。

 これは非常に恣意性の強い契約で、放送法七十三条にも違反するおそれがあると思うんですけれども、籾井会長、いかがですか。

籾井参考人 「会長、副会長および理事の服務に関する準則」に規定された職務専念義務、忠実義務、信用失墜行為の禁止などについては、かねてからこれらを十分踏まえて業務執行に当たってきております。

 また、御指摘の放送法第七十三条では、二十条一項から三項に規定された業務の遂行以外の目的に支出してはならないとされておりますが、この調査委員会は、子会社の不祥事についての事案解明や再発防止策を主たる任務として、通常業務の一環としてコンサルティングやアドバイスを求めるために設置したものであります。

 したがいまして、七十三条との関係で問題があるとは考えておりません。

逢坂委員 会長、七十三条との関係において問題がないというふうに今おっしゃいましたけれども、では、五千万を超えるような契約で、事前にどういう意思決定をしたのかというものも何にもない、単価の正当性を証明する書類もない、相手から言われた時間をチェックしている内部の確認をした書類もない、契約書一枚しかないままに五千万を超えるような契約をしていることで、本当にこれが公共放送を担うNHKとして許されることだと思いますか。

籾井参考人 先ほども石田専務からお答えしましたけれども、会長直属の委員会として設けられたためであるのに加えて、速やかに設置して事態に対処する必要があった、また、契約の性質や目的から、一般競争入札にはなじまないというふうに考えております。

 なお、随意契約に当たっては、三名程度の弁護士をリストアップして、最終選考を行いました。その結果、小林弁護士を委員長として決定したものであります。それを私が承認いたしました。

 小林弁護士に決めたのは、企業統治の専門家であります。危機管理や不祥事対応に造詣が深く、NHKの経営委員、監査委員の経験もあるという理由からでございます。

逢坂委員 会長、少し私の話を聞いていただきたいんですが、よろしいですか、私が言っているのは、随意契約の理由のことを云々言っているわけではないんです。随意契約の理由が仮にそれであったにしても、何にも書類も残っていないし、内部の意思決定のプロセス、経過もわからない、後でトレースもできないような契約をすること自体が、これは随意契約の要件としておかしいんじゃないかということを言っているんですよ。いかがですか。

籾井参考人 当時の担当者と担当役員が選考を行ったということは今申しましたけれども、それで私が承認をしたものでございます。

 最終的には、会長と弁護士で契約を結びました。書類としては、弁護士の報酬単価などを記載した契約書はございます。その他については、特に文書がないということは、石田専務が報告したとおりでございます。

 理事会には付しておりませんが、会長が副会長以下執行部の役員を集めた場で、新たな不正はないが、調査するとともに原因を調べて再発防止を考える提言を受けるためにこの調査委員会を設けたということを説明しております。

逢坂委員 会長、改めてお伺いしますが、承認をしたというふうにおっしゃいましたけれども、承認はどういう方法で行ったんですか。

籾井参考人 もとより、現場でそういう選考を行いまして、その報告に基づいて私が承認したということでございます。

逢坂委員 すなわち、現場で数名の方がこの案件を検討して、その報告に来たと。それを聞いた上で、それでいいよというようなことで承認をしたということでしょうか。すなわち、何か書類にサインをするとか、そういうことではないという理解でよろしいですか。

籾井参考人 そのとおりでございます。

逢坂委員 これは、どう考えてみても、随意契約の形式要件を欠いていますよ。これは、随意契約であればあるほど、私が冒頭に申し述べましたとおり、説明責任を果たさなきゃならない、その色合いが強いんですよ。ところが、何の書類も残っていない、契約書だけだ。最後の決定は、会長が口頭で、それでいいですよと言っただけだと。これは随意契約と呼べるものではありません。これは恣意的契約と呼ばれても仕方がない。

 会長、いかがですか。こんな恣意的契約、五千万も使ってやるなんということは許されないことだと私は思いますよ。いかがですか。

籾井参考人 私は、この契約の内容については、一般的常識から外れているとも思いませんし、それから、弁護士一名一名の単価につきましても、世の中の常識から外れているということはないと思います。

 やはり、世の中には商慣習ということもございます。それから、やはり弁護士のレベルによって金額が違うことも事実でございます。そういう意味におきまして、一番高いのが五万円、一番安いのが一万九千円というこの価格については、全く不透明な部分はないというふうに考えております。

逢坂委員 まだ会長は御理解いただいていないようなんですが、私は、随意契約の要件がいいとか悪いとか、弁護士報酬が高いとか低いとか、そのことを言っているんじゃないんですよ。仮にそれに正当性があるにしても、内部に書類も残さないでこういう契約をやっていること自体が、随契の説明責任を果たす上において、ほとんど説明責任を果たすという基本姿勢がなっていない、こんなものは随契と呼ばないんだということを私は言わせてもらっているんですよ。その点いかがですか。

籾井参考人 定款第四十三条二項は、理事会で審議しなければならない事項としまして、一、収支予算など経営委員会の議決を求める事項、二、中央番組審議会の委員の委嘱など経営委員会の同意を求める事項、三、理事会の運営に関する規程を定めているが、本調査委員会の設置はこれらのいずれにも該当しません。そのために、理事会には付しておりませんが、副会長以下の執行部の役員を集めた場で私が調査委員会の目的などを説明したということは、先ほどから説明しているとおりでございます。

 随契につきましては、私は、結果としましては、こういうプロセスを経て、こういう理事会にかけなくてもいいということでありますから、副会長以下の理事に説明して了承を得ておりますし、さらに、この内容が世間的な一般的な常識から外れていないということで了承したわけでございます。

逢坂委員 今のも、やはり会長は誤解されているというか、定款の規定は、委員会の設置を理事会に諮らなくていいという規定なだけでありまして、その契約の内容が、随契でやって説明責任を果たさなくていいという理由ではないんですよ、今の会長の御説明のところは。委員会の設置そのものは理事会に諮らなくていいと言っているだけであって、だったら随契も、あらかじめ意思決定も内部で書類も残さずにやっていい、後で説明責任も果たさなくていい、結果さえよければそれでいいんだという契約をしていいということにはならないんですよ。これは極めて不適切な契約ですよ。会長、これは本当にこんなことが通ると思っているんですか。

 これは常識的に考えて、何度も何度も常識的という言葉を会長おっしゃいますけれども、繰り返しますけれども、自治体の現場でこんなことをやったら、首長の首が飛ぶぐらいの大きな案件なんですよ。その自覚はありますか。

籾井参考人 NHKの経理規程に反するものとは思っておりませんし、随意契約にしたのは、先ほどから石田専務からも説明しているとおり、小林弁護士は企業統治の専門家であり、危機管理や不祥事対応に造詣が深くて、NHKの経営委員の経験もあるという理由からでございます。

 NHKでは、経理規程の第五十一条で随意契約とすることができるものを定めております。

逢坂委員 籾井会長、本当に全く理解されておらないということがよくわかりました。

 私は、随契そのものが悪いと言っているのではないんです。仮に、随契をやる理由、これも正当であったにしても、後にそれを説明できるような資料も全く何もない、こういうことをやってしまうと、後にこれは適切な随意契約ではなくて恣意的契約であったのではないかということが疑われる。そして、これまでの答弁を聞けば聞くほどそう思わざるを得ないんですよ。

 内部で意思決定もちゃんとしていない、数人の者が話し合った、それはそれで事実かもしれません。しかも、その内容を会長に報告して、それで自分がよしと言った、それで契約に至った。これでは、後に外部の人に説明する要因にはならないですよ、会長。

 これは、繰り返して言わせていただきますけれども、こんなことを公共団体の現場でやったら、それは全く説明責任を果たしていないということで厳しく責められる、そういう案件だと私は思いますよ。

 そこで、会長、これは受信料によって支えられている、民間企業と全く違う、そういう仕組みなんだということを御認識されていますか。

籾井参考人 もとより、NHKは、その収入のほとんどを受信料に頼っております。したがいまして、その受信料というものを予算という形で国会の承認を得ているわけでございます。そういう中で我々は運用をしているわけでございまして、この辺はやはり御理解いただかねばならないと思います。

 この調査委員会につきましては、何回も僕は、この場だったか参議院だったか忘れましたけれども、覚えていませんが、三月にさらに関連企業で不正があるという報道があったために、これは直ちに調査をする必要があるということで求めたわけです。

 私の判断は、そのときには可及的速やかに調査をするということが一番大事であると。なぜならば、そのときNHKは関連企業の不祥事事件で随分と問題を起こしていたわけでございます。そういう意味において、私の会長としての判断は、直ちにやるべし、こういうことで調査委員会の設置を依頼したわけでございますが、そのときに、やはり弁護士も、何人か、どの人がいいだろうかということでやりました。

 それから、書類がないのは後顧に憂いを残すということをおっしゃいましたけれども、もしこの契約が常識外れの、小林弁護士に非常に何か特典を与えているような契約であるとすれば、これは、確かに絶対額として五千六百万円は高うございますが、弁護士費用としては、私は、常識の範囲内であるというふうに確信をいたしておりますし、世の中のいわゆるこのレベルの弁護士の費用とか、かかった時間、仕事のことを考えますと、決して恣意的なものでもないし、後刻これが問題にされることもないというふうに確信いたしております。

逢坂委員 石田専務にお伺いしたいんですけれども、今回、書類が残せなかった理由はどういうことなんですか。可及的速やかにやるにしても、通常であれば、これは、選考のプロセスとかあるいは内部の意思決定の稟議書とか、普通、紙一枚でも残すというのは常識的な線だと思うんですよ。これをあえて残していない理由というのは、何か思い当たるところはありますか。

石田参考人 お答えします。

 先ほどもお答えしましたように、随意契約について、経理局が責任部局として契約した分については契約書以外の文書が残っております。ただ、個々の部局がそれぞれ職務権限に基づいて行う契約については、それぞれの事情によって契約書以外の文書を作成していないものもあると承知しております。

 先ほどから会長が緊急にする必要があったとか、そういう事情も踏まえて、今回、契約書以外の文書が作成されていないのだと思っております。

逢坂委員 会長、緊急に対応する必要があるということは、世の中に私はあると思うんですよ。

 例えば、私の経験の中でも、災害対応なんてまさにそうなんですね。今まさに災害が起きていて、人命を救助しなければならない、そのために建設重機を大至急そこへ運んでいって、とにかく土木の会社にお願いをしなきゃならないなんというときは、これは契約書もつくれないし、とにかく口頭で頼むというようなことは、自治体の現場なんかでよくあるんです。

 ところが、今回のことは、事前の稟議書もつくれないぐらい、そんな緊急性のあることなんですか。会長、いかがですか。

籾井参考人 昨年の三月、あの時点でNHKに何が起こっていたか。これは、不祥事が相当話題になっておりました。そして、その最中にさらに新聞報道がなされたわけでございます。新聞報道でございますから、真実はわかりませんが、正しいかどうかわかりませんけれども、やはり我々としては、そこまで一般に対して言われたことに対して対策をとらなければならない。これは、会長としては、先ほども申しましたように、可及的速やかに緊急にやるべきこと、こういうアラートでございました。

 したがいまして、私は、直ちに委員会の設置を命じ、弁護士の選択をしてもらい、それを承認し、調査に入ったわけでございます。

逢坂委員 全く理由にならない説明ですね。私は、今回の契約の中身を問うているのではなくて、随契として説明責任をちゃんと果たせているかどうかということを聞いているんですが、今の説明を聞けば聞くほど、これは恣意的契約であるというそしり、そういう批判を免れない契約だということを改めて指摘させてもらいまして、こんな姿勢がずっと会長に続くようであれば、執拗に私はやらせていただきますので、そのことを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 NHK予算の強行採決がありまして、それからずっと委員会が開かれていなかったわけでありますけれども、その間にもいろいろ問題が明らかになってまいりました。会長のカラオケ問題とかまた新たな記事も出て、さまざま問題が出てきているわけであります。また、「クローズアップ現代」については中間報告が出てまいりました。これについて理事会の方にも御報告いただいておりますが、きょうはこのあたりを中心に伺います。

 まず、大臣に、週刊ポストの一連の記事について、事実関係、経過等について伺いたいと思います。

高市国務大臣 週刊ポストには、先週の月曜日、そしてまた今週と続けて、私に関する、また私の秘書官に関する記事が掲載されております。

 まず、週刊誌に何かを書かれた、それも事実でないことを書かれたからといって、私自身はこれまで記者会見をしたこともなかったです。大体無視をするか、余りにもひどい場合には電話や文書で違いますということを編集部に入れる程度の対応だったんですけれども、先週掲載された記事は余りにも悪質な捏造記事であり、特に、先週という時期は、知事選挙や道府県議会議員選挙など選挙期間にかかっていたということもありまして、やはり閣僚遊説日程を足どめするような結果になる、選挙妨害だとしか考えられなかったものですから、先週に限っては、発売日に、時間を置かず、あえて記者会見をさせていただきました。

 特に、私として許しがたいと思ったことなんですけれども、先週、これは四月十七日号という週刊ポストなんですが、発売日は当然その前なんですけれども、新聞広告記事見出し、ここに、「「大臣の案件だから信用した」内部証言を入手」「総務相高市早苗実弟秘書官が関わった「消えた公庫の一億円」重大疑惑を追う」と、大臣案件だから信用した、消えた公庫の一億円、何なんだこれはというものでございました。

 私が大臣に就任をしたのは昨年の九月三日でございます。再任をされたのは昨年の十二月でございます。記事によりますと、これは奈良県ではない、よその県の会社の案件らしいんですけれども、日本政策金融公庫が企業に対して融資を行った、それが平成二十三年の一月ごろか平成二十四年のころだということで、そのころ私どもは野党でございましたし、しかも、私は自民党の中で役員でもございませんでしたので、まずは、見出しで、いかにも現職である大臣が日本政策金融公庫の融資に何か関与をしたかのような、また秘書官が関与をしたかのようなイメージを与える、こういったものでありました。

 記事の内容を見ましても、今度、中を開くと、記事の方には「議員案件だから信用した」と、要は広告とはまた違う、表紙とは違うタイトルが書かれておりました。どなたかが一億円ぐらい融資を受けたときに債務保証したというようなことで、被害者になっておられるやに書いておりましたけれども、当然、融資が行われた時期も債務保証が行われた時期も同じであるはずでございますので、それも私ども野党であった時期のことであり、そして、私の事務所では、まず公的金融機関に対する口ききというのは厳に禁じております。これはやるべきではないと考えておりますし、実際、東京も選挙区も含めて全ての秘書に確認をいたしましたけれども、一切それはやっていないということで、これは私も確信を持って、うちの事務所ではそういう相談にまず乗らないということは申し上げられます。

 また、週刊誌の記事も、随所に間違いだらけというのですか、その借り入れをされた、記事中ではM会長とされている方でございますけれども、私がまず全く面識がない。秘書に聞きましても、全く面識がない、顔すらわからない。そもそも、私と関係のない方であり、私の選挙や政治活動を応援していただいたことも一度もない、そういった方でありますので、何かお世話をするいわれもないということでございます。

 そういうことで、直接的に最大の被害者となったのは私の秘書官でございましたので、去る四月十三日に、東京地方裁判所民事部に訴状を提出した。今後、裁判案件ということになります。私は、大変悔しく、残念な思いでおります。

奥野(総)委員 訴えられたということでありますけれども、念のために、一、二点確認したいんです。

 私の聞いている話では、事実かどうかというのはありますが、昨年三月に、日本政策金融公庫が、ポストで言うところのN社への債権を名古屋支店債権管理課へ移動した、不良債権化したということだ、これはたしか記事になっています。しかし、不良債権化してから、利払いも行われていないんですね。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。利払いも行われていないということですね。(発言する者あり)

桝屋委員長 静粛に願います。

奥野(総)委員 無利子融資も含め税金が入っているわけですから、普通なら即座に債権回収に動くはずなんです。

 公庫の方に聞いてみたんですが、こういう不良債権について、すぐに回収しないということはあるんですかと。確かにある、ただそれは、事業が再生できて債権の回収ができる、売り上げが上がってきて債権の回収が一定程度できる場合には即座に回収しない、差し押さえ等しないというふうに言っていました。つまり、一定の売り上げがある場合については回収しない場合もあるというふうに言っていました。

 しかし、この件、利子についてすら回収していないというふうな情報もあります。

 報道によれば、N社は、ファンドの支援も断られて、再生の道はないように思われますし、債権回収、利払いも一切行われていないというのは、事実とすれば異常な事態だというふうに思われます。

 念のために確認なんですが、この記事に言うところの地元のD県議が、大臣の地元の事務所に対して、金利の利払いを待ってもらえないかという趣旨の依頼をした、こういうふうに取材に答えている、こういう情報があるんですが、これは事実でしょうか。事実関係の確認です。

高市国務大臣 事実ではございません。

 例えば、日本政策金融公庫に対して、何かうちの事務所から口ききをするというようなことは、私は禁じております。

 そして、今委員が週刊誌の記事に基づいて発言をされました。どういうふうに公庫が審査をして融資を決めたのかとか、今どういう返済状況であるのかとか、そういったことも、残念ながら、そもそも私自身も秘書官も知らない会社でございますし、そういったことを公庫が外に対して言いふらすとも思えません。それは一人一人の利用者の恐らく守秘義務に当たることでしょうから。

 もしもそういった事実関係についてお知りになりたいのであれば、私自身もぬれぎぬを晴らしたいので、委員のお力でこの委員会の場に日本政策金融公庫をお呼びいただいて、最初にでは何で融資を決めたんだとか、そのときに誰か国会議員から働きかけがあったのかどうかとか、それから、今返済状況がどうなのかとか、そんなことについては私には知る由もございませんし、この場でもしおただしいただけたら私自身にとっても名誉回復になりますので、厚かましい話ですが、私の方からもお願いをしたいぐらいでございます。

奥野(総)委員 それができれば一番いいんですが、個別の案件には答えられないというのは事前のレクでもございましたので、あえてきょうは呼びませんでしたけれども。

 公庫に働きかけを一切していないということで、改めて確認しますが、もう一度だけ。これで終わりにしたいと思います。

高市国務大臣 いたしません。

奥野(総)委員 それでは次に、「クローズアップ現代」の調査報告について、公表され、当委員会の方にも理事懇の方で御説明いただきましたので、この中身について質問を進めていきたいと思います。

 まず、調査報告書にあるやらせの定義、調査報告書でやらせという言葉を使っていますが、このやらせというものの定義について伺いたいと思います。

堂元参考人 お答えをいたします。

 いわゆるやらせの定義でございますけれども、私どもは、NHK放送ガイドラインという中で、「取材・制作の基本ルール」としまして、以下のような記述を設けております。「事実の再現の枠をはみ出して、事実のねつ造につながるいわゆる「やらせ」などは行わない。」としているということでございます。

奥野(総)委員 これが、ガイドラインの中にも記載がありますが、「事実のねつ造につながる」ということが一つ定義だということだと思いますが、もう少し突っ込んで言うと、では、事実の捏造というのは具体的にどのような場合になるんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 事実でないことをあえて事実のように仕立て上げるといいますか、そういう趣旨だというふうに理解をしております。

奥野(総)委員 事実でないことを事実のように仕立て上げるということですね。それが一つ、言うなればやらせのメルクマールということだと思います。

 そこで、その事実というのは何なのかというのを少し伺っていきたいんですが、今回の「クローズアップ現代」というのは、冒頭のところで滋賀県のお寺の事件、これは実際に逮捕され、たしか裁判の結果も出ているというふうに思いますが、これを最初に紹介して、その後ブローカーの話に移っていくという構成だったと思います。

 この事件、ちょっと私も取り寄せて記事を見ていったんですが、どうもブローカーが介在しているようには見えない。逮捕されているのは住職とその弟さんで、住職の弟さんがいろいろ多重債務者を連れてきて、住職と一緒になって得度をさせてお金を借りさせている、こういう事件のように見えます。ということは、ブローカーが介在しているわけではなくて、住職とその弟さんがいわば一族でやった事件というふうに見えるわけですね。

 ところが、「クローズアップ現代」は、これはまだ捜査の途上であったのかもしれませんが、詐欺グループが住職にいろいろな人を連れてきた、ブローカーをにおわせるようなたしか報道の仕方になっているわけです。

 そこで伺いたいんですが、では、世にこういうブローカー、ほかにこういう事件があるんでしょうか。この滋賀県の事件以外に公になっている事件があるんでしょうか。そこにそういうブローカーが介在しているような実例は把握しておられるんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今回の「クローズアップ現代」の番組でございますけれども、今御指摘がありましたように、滋賀県大津市のお寺をめぐる詐欺事件というものが一つのきっかけになっているということは言えると思います。

 まず、その事件でございますけれども、私どもが把握したところによりますと、平成二十五年六月に事件に着手をし、同年の十二月六日に捜査終了が発表されておるということでございます。

 この事件でございますけれども、全部で七件、既遂五件、未遂二件という中身になっておりまして、十七人が逮捕されているというふうに私どもは把握しておるわけでございます。逮捕をされた中に、お寺の住職と弟、複数の多重債務者のほかに、お寺と多重債務者をつないだ人物が複数いたということを確認しているわけでございます。これがまず滋賀県大津市での詐欺事件の件でございます。

 それ以外の点につきましては、当時の取材の状況等々につきまして、現在調査委員会で調査を進めておるというところでございます。

奥野(総)委員 やはりこの一件だけなんですね。いろいろな捉え方はあると思いますが、主導していたのは、住職の弟さんが中心だったというふうに思われます。

 ですから、世に広くこういうブローカーというのがいて、こういうことが全国あちこちで行われているという事実は把握されていないわけですね。実際にブローカー的な役割の人が一般的に存在しているかどうかというのも確認されていないということだと思います。

 ちょっと視点を変えますけれども、ほかにそうした事例もない中、A氏が自分がブローカーだと語って番組に出た、これについて、放送前にこの人が本当にブローカーかどうかということを、どうして裏をとらなかったんでしょうか。そういうチェックは働かなかったんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の点につきましても一つのポイントだとしまして、現在調査中でございます。本人の聞き取り等々進めておるという状況でございます。

 それで、中間報告にも記載をいたしましたけれども、担当の記者は、多重債務者の男性から、出家する方法について近くブローカーとして登場した男性に相談に行くということを聞かされていたということと、加えまして、インタビューのシーンが出てくるわけでございますけれども、ブローカーとして登場した男性は、専門的な用語を使いましていわゆる出家詐欺の手口を詳細に語っております。インタビューの中で我々ブローカーと称していること等から、ブローカーで間違いないと思ったと担当の記者は話しているわけでございます。

 つけ加えますと、これに対して男性の方は、番組で語った内容は知人などから聞いた話であって、自分はブローカーではないんだというふうに話しておりまして、双方の話が食い違っておるということでございますので、この点についてさらに調査を進めておるという状況でございます。

奥野(総)委員 もう一点だけ伺いたいんですが、その裏をとらなかったとして、それで実際に相談に行った後、多重債務者のB氏ですか、B氏はお寺に行ったんでしょうか。お寺を紹介されたんでしょうか。そこはちゃんと確認したんでしょうか。そもそも、事実だとすれば、A氏がブローカーで、B氏が相談に行くところをたまたま聞きつけて撮らせてもらった。では、B氏はお金に困っているわけだから、その後、A氏に紹介されて、少なくともお寺に行く、あるいはお金の工面をしたんでしょうか。そこのあたりはどうなんですか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 現在、先ほど来申し上げておりますように、聞き取り等の調査を行っているわけでございますけれども、今先生が挙げられた男性の方でございますけれども、プライバシーにもかかわる点もございまして、中間報告に記載した以上の内容については答えを控えさせていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、最終報告に向けて、調査報告書の中でさまざまなポイントについて私どもの見解を明らかにしたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 極めて曖昧なんですよね。もし本当にたまたま撮らせてもらったんだとしたら、B氏は当然お寺に紹介するというところまで追いかけなきゃいけないし、そこについて何も触れられていないというのは極めて私は曖昧だと思うし、もしそうした事実がないんだとすれば、本当にA氏がブローカーだったのかという疑念も出てきますよね。

 そして、もう一つ、この報告書の鍵になっているのがB氏の発言でありまして、記者は演技指導はしていないと言っている、A氏は演技指導をされたと言っている、B氏も記者と同じで演技指導はなかった、きのう新聞にも出ていましたけれども、そういう証言をしているんです。

 では、このB氏がどういう人かというのが今度はポイントになっているんですが、これも報道によれば、B氏はN記者と親しくて、ほかの番組、例えば「NHKスペシャル」に同じように音声を変えて出ている、「NHKスペシャル」にも出演しているんじゃないかという指摘がありました。チャイナルートという、去年十一月に放送された「NHKスペシャル」で使われているという報道がございましたけれども、これについて検証されたんでしょうか。

 もし、記者とB氏がそういう関係で、「NHKスペシャル」にもB氏が出るような仲であるとすれば、B氏のここにおける証言も信憑性がなくなる、演技指導はなかったという証言も信憑性がなくなるというふうに思いますけれども、その辺、きちんと調査されたんでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の点でございますけれども、非常に抽象的な表現で恐縮でございますけれども、私ども調査委員会といたしましては、事実の解明に今全力で取り組んでいるところでございまして、メーンは、「クローズアップ現代」の問題が当然のことながらメーンでございます。それに関連したさまざまな点につきましても、必要と判断したものにつきましては、現在調査を進めているところでございます。

奥野(総)委員 これは調査の範疇ということなのでこれ以上言いませんが、最終報告については、必ずしっかり触れていただきたい。少なくとも、現にこういうことが言われているわけですから。

 もし仮に、「NHKスペシャル」、これも看板番組ですね、これについてもそういうことが行われていたんだとすれば、「クローズアップ現代」、「NHKスペシャル」というこの二つのNHKの報道の看板番組でそういうことが行われた、NHKの信頼にかかわる大きな問題だと思います。ですから、これについて、きちんと最終報告では触れていただいて、事実を明らかにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、伺いたいんですが、おととい、理事の人事が発表になりました。こんな現状ですよ、少なくとも中間報告で、過剰演出かもしれない、こういう書かれ方をしている中、その責任者であった大阪放送局長が理事に昇格し、また放送担当であった放送総局長、そして報道担当の理事がそれぞれ理事に留任されているということであります。

 このあたりについて、この「クローズアップ現代」の問題について一切考慮されなかったんでしょうか。責任について一切問われないんでしょうか。あるいは、きちんと報告が出た段階でしかるべく対処なさるんでしょうか、会長。

籾井参考人 役員の任命については、やはりその本人の能力であるとか知見等々に加え、将来経営者として活躍できるかどうかということも考慮した上で任命することにしておりますが、現在、「クローズアップ現代」の報道に関する調査は第三者を交えた調査委員会が進めている段階でありますから、私としては、理事の任命とは現段階で直接関係ないというふうに考えております。

奥野(総)委員 もう一点だけ。

 ムスタンの際にはどういう責任のとられ方をしたんでしょうか、伺いたいと思います。ムスタンは、あれは過剰演出ということで、訂正放送が行われて、あといろいろ役員の処分が出たと思いますが、ムスタン事件のときにどういう処分が行われたか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 ムスタンの問題に関する処分の件でございますね。私ども、当時の記録を詳細に確認いたしたところによりますと、当時の会長、報酬月額二〇%減額、六カ月というふうに記載がございます。それから、放送総局長、一〇%減額、その他この番組にかかわった関係者が、減給であるとか、停職一カ月であるとか、出勤停止であるとか等々の処分という記録がございます。

奥野(総)委員 秘境ムスタンということで、当時の記録を見ますと、ムスタンという国に取材に行って、やらせがあったんだと。やらせというか、過剰演出という言葉を使っているんですね、過剰演出があったんだと。中身は、高山病にかかったふりをしたとか、流砂をつくったとか、あるいは雨乞い、雨が降っているのに一滴も降らなかったと言ったとか。

 今回の問題から見ても、外国の話ですし、重さでいうと極めて軽いような印象を受ける事案であります。そのムスタンのときですら、会長はそういう責任のとられ方をしているということを指摘しておきたいと思います。

 経営委員長に伺いたいんですが、二点。

 今回、会長の理事任命について同意をした理由について伺いたいのが一点。

 それから、再三申し上げてきましたけれども、経営委員会として会長に対して申し入れをされたわけですよね。全会一致に努めてください、最大限の努力を払って努めてください、こういう申し入れをした。にもかかわらず、ああいう形で、衆議院は不正常になり、また参議院の方もぎりぎり、可否同数でという事態になったということなんですが、その申し入れについて、最大限の努力をされたと判断されるんでしょうか。あるいは、それについてどう評価されて、会長について何らかの経営委員会としての措置をとられるんでしょうか。

浜田参考人 まず、最初のものでございますけれども、御指摘の問題につきましては、現在、執行部において、外部の専門家にも御協力をいただきながら調査が進められており、現時点では調査結果が判明していないものという認識を私どもは持っております。

 したがいまして、経営委員会といたしましては、御指摘の人事については、会長による提案の同意を行いました。

 それから、先ほどのものですけれども、先日の経営委員会で、最終的な合意には至っておりませんが、経営委員会といたしましても、全会一致で御承認いただけなかったことを初め、監督責任を痛感しております。また、会長以下執行部には、今回の事態を深く反省し、NHKが公共放送の使命を果たし、広く国民の皆様から御支援をいただけるよう全力を傾けていただきたいというふうに思っております。

 また、放送を取り巻く状況が今後大きく変わっていく中で、NHKが適切な対応、改革を行っていけるよう、新たな三カ年計画の実現に向けて着実に業務を進めていただきたいとも考えております。

 経営委員会といたしましては、今後も監視、監督の責任を果たしてまいりたいというふうに思います。

奥野(総)委員 時間が来てしまったんですが、もう一言だけ。

 特におとがめなしということなんですか。

浜田参考人 先ほど御答弁いたしましたけれども、まだ議論の最中でございます。

 いずれにいたしましても、その他の対応につきましては、自律的な議論を重ねて判断をしてまいります。

奥野(総)委員 まだまだ聞きたいんですが、時間が来てしまいましたので、以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 維新の党、水戸将史でございます。

 前半戦の統一地方選挙も終わりまして、これから後半戦というふうになります。

 前半戦は、御案内のとおり、大阪におきましては、大阪維新の会の府議会また市議会における比較第一党という形で一定の成果をおさめたかと私たちも自負するわけでありますが、これから五月十七日の大阪都構想実現に向けての住民投票ということに、日程的にそういう形で進んでいくわけでありますけれども、我が党の命運をかけて、是が非でもこれの実現がかなうような、そうした取り組みをしていくつもりであります。

 そういう中で、大阪都構想を進めるという一つの大きな我々自身の考え方といたしまして、御案内のとおり、二重行政を解消するんだということが大きな目的にあるわけでありますが、そもそもこの二重行政というものを総務省はどういう形で捉えていらっしゃるのかということ、二重行政というものの意義、それについてどのような認識であるかということをまず総論的にお聞かせください。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 委員お尋ねの二重行政につきましては、明確な定義はございませんけれども、第三十次地方制度調査会におきまして、例えば、指定都市と都道府県の間で同一の公共施設を整備し、または同一施策を重複して実施している、あるいは、密接に関連する行政分野等をそれぞれ事務分担していますことから調整をする必要が生じている、こういった事例があることについて議論がされているところでございます。

水戸委員 では、二重行政があることによってさまざまな行政上の問題点が生じているという御認識であるのか、もしそういう御認識であるならば、その問題点の解消に向けてどのような形でこれを解消するようなアクションを起こすことを考えていらっしゃるのか、それについてお答えください。

佐々木政府参考人 先ほどお話をいたしました地方制度調査会の答申におきましては、指定都市と都道府県との実際の行政運営の中で、いわゆる二重行政の問題が顕在化している、こういったような指摘がなされているところでございます。

 地方自治法におきましては、第二条第六項におきまして、都道府県及び市町村は、事務処理につきまして相互に競合しないようにすべきこと、また、同条第十四項におきましては、地方公共団体は、事務の処理に当たりましては、住民の福祉の増進に努め、最少の経費で最大の効果を上げるべきことを定めているところでございます。

 こういった形で、都道府県、市町村は二重行政といったことが起きないようにする責務を有しておりますので、当事者の間でよく調整をしていただくということが大変重要であるというふうに考えております。

水戸委員 今のお話でもございましたとおり、二重行政におけるさまざまな行政上の、もちろんコストの問題とか効率性の問題とか、いろいろな形で指摘をされているわけでございますし、それは総務省のみならず、例えば地方制度調査会とかいろいろな諮問機関におきましても、速やかに二重行政の解消を図るためのさまざまな提言とか答申がされているわけですね。

 そういう中で、御案内のとおり、これは第三十次ですか、平成二十五年六月二十五日に出された答申におきましても、今言ったような二重行政解消を図るための具体的な方策ということで、いろいろな提案をなされております。

 それを受けて、既に、平成二十六年、地方自治法が改正をされました。そして、二重行政解消に向けた事業の一本化を協議するために、その協議の場を設けていこうではないかという形で、政令指定都市と都道府県との調整の場である調整会議が設置をされることになりました。

 これが本格的に設置されるのは、平成二十八年の四月からになる予定でございますけれども、そもそもこれをつくった、設置の意義、その狙いというのはどういうことですか。もう一度詳しくお答えください。

佐々木政府参考人 二重行政の問題につきましては、指定都市と都道府県の間の必ずしも固有の問題ではございませんけれども、特に指定都市は、その人口規模が大きく、能力が高いことから、都道府県との間において二重行政というものが生じやすいということが、三十次の地方制度調査会答申においても指摘をされております。

 この答申を踏まえまして、平成二十六年に、第四次分権一括法におきまして、教育、福祉・医療、都市計画など幅広い分野にわたります事務、権限について、都道府県から指定都市への権限移譲を行うということが一つ。

 また、同年の地方自治法改正におきまして、指定都市制度の見直しといたしまして、指定都市と都道府県が事務処理について必要な協議を行う場といたしまして指定都市都道府県調整会議を設置する、こういうことにしたところでございます。

水戸委員 こういう場で、これからけんけんがくがくというか、今まで非常に折り合いがつかなかった部分に関しましても、胸襟を開いて、政令市の市長と都道府県知事が相まみえるということになると思いますけれども、いろいろな形で、恐らく方向性としては、都道府県が持っているものを政令市に渡せ、政令市がある程度主体的にやっていくんだという方向になるかと思われます。

 しかし、今、そういう中でも、広域的な形で近隣の市町村との連携を考えれば、政令市ばかりに権限、仕事を移譲するだけじゃなくて、やはり政令市がやっていることについても、広域的なことを考えれば、都道府県にそれをまた逆に返すというか、そういう形での事務移譲も少なからずあるのではないか。

 それはお互いの話し合いになるかでありますけれども、こういう形で、今言ったように逆に政令市から都道府県に、仮に話し合いの中でそうした結論に至った場合に、今まで、法令上、政令指定都市の業務、事務とされているものに関して都道府県がこれを行うことは可能になるんですか。これは事務的にどうでしょうか。

佐々木政府参考人 先ほど、二重行政の一つの事例として、地方制度調査会におきまして議論されたことをお話し申し上げましたが、例えば同一の公共施設を整備する、あるいは同一の施策を重複して実施している、こういうようなことを申し上げました。

 こういったものは都道府県あるいは指定都市の任意の事務として実施されていることが多いわけでございまして、その場合には、それぞれ指定都市と都道府県との協議をすることによりまして、どういう形で役割分担するということが当事者間で決められていくというふうに理解をしております。

水戸委員 ちょっと正確に答えてもらいたいんです。

 結局、今言ったように、事務移管は、今までの流れとしては都道府県から政令市という話になってくるんですけれども、政令市から都道府県に行くことも、これはもちろん事務的には可能だということでいいですね。そういう認識でいいですか。

佐々木政府参考人 今お話し申し上げましたのは、いわゆる任意の事務のケースが多いのではないかということでお話を申し上げましたけれども、そういった以外の、いわゆる法定の事務につきましてその役割分担を変えていくということになりますと、これは法令のレベルでの措置が必要になってくるのではないかというふうに考えるところでございます。

水戸委員 おっしゃるとおりなんですね。

 結局、そうなれば、この国会等々の論議を含めて法改正というものが、また新たな法を立法化するというような、そうした我々自身に課せられた使命も出てくるというような形だと思うんです。

 そもそも、先ほど言ったように、政令指定都市と都道府県の調整会議は、任意で、ある程度いろいろな話し合いをされながら一定の方向性を、とりあえず法令とはまた違う角度から条例等の措置の中においても協議を調えさせていこうという話になるんですが、決してこれは、うまくいくとは限りません。もちろん、そもそも折り合いがつかない部分がいっぱいあるものですから、なかなか調整が調わないということも現実的に考えられるんですけれども、いざ、そういうときに、やはり総務大臣がお出ましになりまして勧告をするわけですね。

 しかし、残念ながら、勧告にも法的な拘束力はありませんので、もっとしっかりやれとか、もっとこういうふうにやれと総務大臣がそこに対してサジェスチョンをしたところ、その調整会議における勧告の実現性というか実効性というのはどの程度確保されるのか。私は確保してもらいたいと思う部分もありますけれども、そういうことについて、総務大臣はどのような御認識ですか。

高市国務大臣 指定都市と都道府県の間で円滑に調整が進まない場合には、市長または知事が、総務大臣に対して、必要な勧告を行うよう申し出ることができるとしております。

 市長または知事から勧告を求められた総務大臣は、第三者機関であります指定都市都道府県勧告調整委員を、調整を必要とする事案にふさわしい者から任命し、その意見を聞いた上で、これに基づいて地域の実情に応じた適切な勧告を行うことにいたしております。

 この勧告でございますが、法的には尊重義務があるというものでございますので、この勧告の仕組みも二重行政の解消に資するものであると考えております。

水戸委員 そこで、総務大臣の適切な勧告というものがどれだけ実効性を持つかということを、今後は、当然勧告がないように政令市と都道府県が折り合いをつければいいわけでありますけれども、いざという場合の勧告が、特に一定の、強制性は持たないけれども、やはり妥当性を持って、それに対して、客観的な立場から、政令市と都道府県の折り合いがつくことを私も見守っていくつもりでありますので、以後よろしくお願いしたいと思っております。

 政令市と都道府県との、ある意味、いろいろな権限の移譲とか、言葉は悪いわけでありますが分捕り合戦等々も含めて、今までもかなりバトルもありました。

 そういう中で、政令市自体が、これからは、都道府県から独立していこうというような形を目途としたようなニュアンスを多分にはらんでいる特別自治市構想というのを出しているんですね。特別自治市構想、ほとんどの権限を都道府県から政令市に移していこう、また、国の持っているハローワークとか直轄国道に関しましても、これも政令市の方に移管してもらおうという形で、国の方にもこういう形で提示をしているわけでありますが、この特別自治市構想について、総務省はどのような御認識ですか。

高市国務大臣 大都市制度の見直しについて取りまとめた第三十次地方制度調査会の答申において、特別市、仮称となっておりますけれども、その意義は認めながらも、住民代表機能のある区の必要性や、警察事務の分割による広域犯罪対応への懸念などの課題が指摘されております。

 そのため、まずは、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲によって実質的に特別市に近づけることを目指すということとし、これらの課題は引き続き検討を進めていく必要があるとされているところであります。

 この答申を受けまして、指定都市へのさらなる権限移譲を図る第四次一括法と、指定都市と都道府県の間の二重行政を解消するための指定都市都道府県調整会議の設置や総合区制度の創設などを内容とする地方自治法の一部改正法が成立したわけでございます。

 この指定都市制度に関する地方自治法の改正は平成二十八年四月に施行されますので、総務省としましては、特別市というものをこれからどう考えていくかということについては、新たに二十八年四月に施行される地方自治法の改正後の運用状況も踏まえながら考えていくべき課題であると思っております。

水戸委員 特別自治市となると、これもさらに飛躍をしていくという話になってくるわけでありますので、これに対しては、他の都道府県、また他の都市、基礎自治体との調整も図っていく必要があるかと思います。これに関しては、もうちょっと議論を煮詰めていく、私はその必要性は十二分に認識しているつもりであります。こういうものは段階を経て積み上げていく必要性があると思っていますので、より、いろいろな角度からの議論の積み上げを期待しているわけであります。

 先ほど局長からもお話がありましたが、二重行政は何も政令市と都道府県とのものだけではなくて、やはり国と地方という、国と都道府県、国と市町村との間の二重行政というのも当然これは存在するわけでございますけれども、総務省は、いわゆる国と地方との二重行政についてはどのような御認識ですか。

佐々木政府参考人 地方公共団体は、住民に身近な事務、特に、基礎自治体を中心として地方における事務を包括的に担っておりますので、その地方自治体で広く住民の福祉の向上のために担う事務というのは、できる限り自治体において処理されていくということが本来望ましいというふうに考えております。

水戸委員 総論的におっしゃれば、そのとおりなんですね。結局、なるべく身近なところで行政サービスを展開するためには、国よりも、地方自治体、地方公共団体にある程度そうした仕事をお任せした方がそれはスムーズであるということは、もう誰が見てもそういう形で意見形成できるかと思うんです。

 確かに、そういう中で、もう既に、地方分権改革推進委員会第二次勧告におきまして、基本的な考え方といたしまして、国と地方の役割分担の見直し、いわゆる国の出先機関の見直しですね、二重行政の弊害の徹底排除、国と地方を通じた行政の簡素化、効率化等々、これを基本的な考え方に据えながら、国の出先機関の事務、権限の見直しとか、組織の見直し等々に関しての勧告、提言をしているんですね。

 こういう形で、今までもこの二重行政の話は、先ほど申し上げましたとおり、都道府県と政令市の話もありますけれども、やはり国と地方、特に国の出先機関のある程度の整理、統廃合等々、そういうことについても議論はずっとされてきたわけでありますが、確かに、この第二次勧告におきましては、国の出先機関の事務、権限、百十六事項を見直しする必要があると、具体的に百十六の事項を列記して、なおかつ、二重行政の弊害是正の観点から、組織の見直しについても勧告をされているわけです。

 これを受けて、麻生内閣、これは平成二十一年で、今からもう六年ぐらい前になりますけれども、平成二十一年三月の段階におきましては、出先機関改革に係る工程表も作成をして、そして、第二次勧告で出された出先機関の組織の改革の方向性に向かっての検討を進め、それを改革大綱に盛り込むということをしていたわけでございましたが、残念ながら、その後政権交代してしまいましたものですから、この麻生内閣で手がけたことに関しましては、そこで中止になってしまっている、そこで一応頓挫してしまったわけであります。

 今申し上げましたとおり、この地方分権改革推進委員会の第二次勧告について、国の出先機関の見直しと地方の役割の拡大にかかわる勧告事項について、大臣はどのように御評価されていますか。

高市国務大臣 第二次勧告で、国の出先機関について、その事務、権限の地方への移譲とあわせて、組織の統廃合について勧告をされたということについては、一定の方向性を示されたものだと思っております。

 この勧告を受けて、さっき委員が御指摘いただきましたように、麻生内閣の時期、平成二十一年三月に、政府の地方分権改革推進本部において出先機関改革に係る工程表が決定されたんですが、平成二十一年九月、民主党政権への政権交代後、事実上凍結された状態が続いておりました。

 その後、これは民主党政権下ですが、出先機関改革をめぐりましては、二十四年十一月に閣議決定された、国の出先機関のブロック単位での移譲に関する法案がございました。

 ただ、全国市長会から、国と地方の役割分担のあり方、大規模災害発生時の危機管理体制等について丁寧な議論が必要であるにもかかわらず、衆議院が解散されるという慌ただしいときに法律案の閣議決定を行ったことは、基礎自治体を重視した地方主権改革の推進を標榜する政府の姿勢に反するものであり、まことに遺憾との意見が表明されました。

 全国町村会からも、同様の趣旨で、大規模災害時の危機管理体制が機能するのか、一つの国の中で広域連合が担う地域と、引き続き国が担う地域が混在することで強力な体制が維持できるのか、こういった懸念が払拭されない中で、国会提出の見込みすらないまま法律案を閣議決定したことは極めて遺憾という意見が表明されました。

 ですから、現段階におきましては、出先機関改革に係るこれらの意見について真摯に受けとめる必要があると考えております。

水戸委員 政権交代し、政権がかわったといえども、先ほど局長もお話しし、大臣もお話しになったとおり、出先機関のいわゆる二重行政の解消については、誰しもが、これはそのとおりだねという形で、総論的には賛成するんですね。そのやり方とかスポットの当たり方は、もちろんそれは政権によっては若干違う、差が出てくるかもしれませんけれども、流れとしては、これは解消すべきだということは誰が見ても当たり前のことでございます。

 そういう形で、麻生内閣で頓挫したといたしましても、民主党政権下では、出すタイミングがいい悪いは別といたしましても、やはりこれはそれを受け継いでやっていこうという形で進んできたわけです。しかし、いろいろと解散のタイミングとか、やろうと思ったときに何かぐしゃっときちゃうような、そういうタイミングの悪さもあったのかもしれません。

 いずれにいたしましても、流れは変わるわけではないんですが、しかし、実際、では進んでいるかというとなかなか実効的に進んでいないということがこの結果としてあらわれているんです。

 確かに、今でも出先機関の事務、権限の移譲という形で、改革しよう、改革しようという形でやっているんですけれども、今後、出先機関の組織的な見直し、これはまさに第二次勧告、麻生内閣のときに提示されてきた流れとか、抜本的な改革について実際やる可能性があるのかどうかについてはいかがでしょうか。

高市国務大臣 先ほど申し上げました国の出先機関のブロック単位で移譲する法案については、答弁申し上げたような経緯があるということでございます。

 国の出先機関改革につきましては、やはり国と地方の役割分担や国の組織のあり方にもかかわる大きな課題であります。ですから、地方分権の視点ということだけではなくて、行政改革の視点も含めて総合的に議論をして、丁寧に意見集約を図っていかなきゃいけないと思っております。

 政府としましては、四次にわたる地方分権一括法等によりまして、地方公共団体に対して法令により全国一律の基準を定めている義務づけ・枠づけの見直しですとか、より現場に近いところで地域の実情に応じた行政を可能とする事務、権限の移譲に着実に取り組んでまいりました。

 平成二十六年から新たに導入した地方分権改革に関する提案募集方式に基づく地方公共団体の提案等を踏まえまして、十九法律について所要の改正を行うために今国会に第五次地方分権一括法案が提出されたところであります。

 総務省は、地方自治制度を所管する立場から、地方の行政体制の整備のための方策の検討などの取り組みを進めまして、引き続き地方分権改革の推進にしっかりと貢献をしていきたいと思います。

水戸委員 今、これからの取り組みについても、大臣みずからの御見解をいただきました。

 確かに、これは石破大臣も昨年の十一月の参議院本会議におきましても、国の出先機関の地方移管等については、有識者会議、これはいわゆる地方分権改革有識者会議において検討を行う可能性も含め、そういう形でやっていくよというようなことを言及されております。

 今まさに総務大臣がおっしゃったとおり、これを具体的に実効性を持ってスケジュール的にやっていってもらいたいわけでありますので、やはりもっとスケジュール感を持って、随分古くて新しい問題でございますので、もっと実効性を高めるような、そうした形での対応をしていくことを強く要望していきたいと思っております。

 最後になりましたけれども、やはり道州制について若干のお伺いをしたいと思うんです。

 道州制、これも非常に今までもかなり議論されてまいりました。しかし、なかなか落ちつかないような状況でありまして、宙ぶらりんになっているような、そういう昨今ではないかと思います。

 確かに、道州制という議論と同時並行的に、平成の大合併も行われてきたという形でございます。そして、中核市とか特例市ができまして、そして地方分権改革による基礎自治体への権限の移譲の取り組みが進められてきたわけであります。

 こういう中において、そういうことが進展すればするほど、やはり都道府県の位置づけと役割は当然変化してくる、相対的な形で変化していると思うんですが、総務省としては、どのような変化というものを認識されていますでしょうか、都道府県の位置とかスタンス。

佐々木政府参考人 地方自治法におきましては、都道府県は、一つには、広域にわたる事務、二つとしては、市町村に関する連絡調整に関する事務、三つとしては、規模、性質において一般の市町村が処理することが適当でない事務、こういった事務を処理すると定められているところでございます。

 委員今御指摘のように、これまで市町村合併が積極的に推進をされてきたわけでございますけれども、現在、御承知のように、今後さらに人口減少社会を迎えるという中で、持続可能な基礎自治体の行政サービスの提供体制を確保していくためには、やはりさらに自治体間の連携あるいは協力を行っていくということが重要ではないかと考えております。

 こういった際に、例えば、小規模な市町村などで処理が困難な事務が生じた場合におきまして、都道府県が補完を行うといったことも新たな都道府県の役割の一つとして考えられるものではないかというふうに考えております。

水戸委員 地方分権改革等々で、基礎自治体にもっと権限を移譲していこう、力をつけてもらおうというふうになるわけですね。そして、広域的な処理は都道府県が担ってもらおうというふうになるわけであります。

 昨今、やはり、そういう中で、都道府県を超えて、県域をまたいで、環境規制とか交通基盤の整備とか観光振興等々、さまざまな分野において、今言った都道府県の区域を超えるような広域行政のテーマが増大しているんですね。ましてや、人口減少ということもこれに相まって、さらに一層広域的な対応が求められる。そうした行政ニーズもふえているわけでありますので、このような、いわゆる都道府県単位を超えるような行政課題がふえているということについては、総務省はどのような認識でしょうか。

高市国務大臣 今委員が挙げていただきました事例、全部そうだと思います。広域的な対応が求められる例に当たると思いますので、このような課題に対応するために、各都道府県においては、地域の実情に応じて、現行の地方自治法に基づく広域連携の仕組みなども活用した取り組みを行うということができます。

 このような取り組みを広域的に行っていくということは、引き続き重要だと認識をいたしております。

水戸委員 確かに、今申し上げましたとおり、都道府県の存在そのものについて、基礎自治体が非常に力を持ってくる、ましてや、県域を超えた、都道府県をまたいだような行政ニーズがふえてくるという形で、都道府県単位にとどまらず、そうした広域行政の必要性がもっと問われていくのではないかと思います。

 既に御案内のとおり、平成十八年、今からもう九年ぐらい前ですか、第二十八次地方制度調査会において、道州制のあり方に関する答申が取りまとめられています。既にもう九年前になるわけであります、このテーマに関しましても。

 そこにおいても、広域自治体改革のあり方は、国と地方及び広域自治体と基礎自治体の役割分担の見直しを基本として、それに沿って事務、権限の再配分やそれぞれの組織の再編、またそれにふさわしい税財政制度を実現できるものとすべきであり、その具体策としては道州制の導入が適当と。

 ここで道州制というものを明確に、もう九年前の第二十八次の地方制度調査会でうたっているわけでございます。道州制の導入が適当である、この答申でこれは明記されているわけであります。

 そして、同時並行的に、この答申では、道州制の導入は適当と言いつつ、さらに、政府においては、幅広い見地から検討を進めるとともに、国民的な議論の深まりに資するような適切な役割を果たしていく必要があると。

 政府においても、国においても、しっかりと道州制に関しては検討し、また国民的な議論が深まるような適切な役割を果たしていくべきであるというふうに言っているんですね。

 しかし、道州制というと、我々自身、一般の地域の人たちに言っても、なかなかぴんとこない。道州制はどういうものなのとか、道州制になったらどうなるのみたいな話で、もちろん我々自身議員の立場からもメッセージを発信していく必要がありますけれども、本当に、一般的には、道州制というものの意義とか、いわゆる有効性とか評価というものがなかなか高まっていないような気がするんです。

 既に九年前に出されたこの答申に関して、今まで総務省を中心とした政府は、どのような形で国民的な議論の深まりに資するような適切な役割を果たしてきたのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 政府全体としてということになりますけれども、政府におきましては、平成十八年の九月に道州制担当大臣が置かれまして、そのもとに道州制のビジョンの検討のために懇談会が設けられ、検討をされ、報告もされているというような経緯がございます。

水戸委員 物を設置すれば全て済むという話じゃないんです。いかにこれが浸透するような働きかけをしていくかということなんですね。担当大臣をつくればいいという話じゃないわけであります。

 確かに、さはさりながらも、一応アクションだけは起こしてきた経過があります。道州制ビジョンを策定するとの方向性を示したことも一定の評価、これは、平成十八年九月に第一次安倍内閣において、そうした形での道州制ビジョンを策定する方針を示したということでございますし、その下の担当大臣のもとに道州制ビジョン懇談会というのを設置いたしました。

 確かに、これで平成二十年三月には中間報告を取りまとめています。その後、安倍内閣から麻生内閣に引き継がれてきたわけであります、そして内閣に検討機関を設置するとしたわけでございますけれども、その後の政権交代等々含めて、やはり道州制の議論がそこで一旦ストップをして、さらに第二次、第三次安倍内閣にまた政権交代、自公政権がカムバックをいたしまして二、三年経過しているわけでありますけれども、いわゆる第一次の安倍内閣で見せた意気込みというものが、どうも第二次、第三次の安倍内閣では、ほとんどというか全くそうした意気込みが感じられないような気がするんです。

 大きく後退しているのではないかということは、どういうような理由でこれは後退しちゃったんでしょうか。

高市国務大臣 済みません。ちょっと私自身の所管でないので、また内閣府の方にもお問い合わせがあればと思うんです。

 道州制は、国の統治機構を集約、強化するということとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うということで、地域経済の活性化ですとか行政の効率化を実現するための手段の一つでありまして、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革でございます。

 そういう大きな改革でありますから、その検討に当たっては、道州制のもとで地方がどのような仕事を行うのかという点も含めて、具体的な姿を明らかにしながら、その答申の中でも国民的な議論の重要性が示されておりましたが、国民的な議論を展開していくということが必要でございます。

 これは今、与党におきましても、道州制に関しまして、議論を前に進めようということで、精力的に検討が重ねられてきていると承知をしておりますので、政府におきましても、関係省、多くに及ぶと思いますが、連携を深めて取り組んでいくものと考えております。

水戸委員 確かに、若干所管が違うといえばそれまでになってしまいますけれども、もちろん、基本的には総務省が主導的にやっていく必要性のある話でございますので、ぜひその取り組みはもっとスピードアップをしてもらいたいなと私としては思っております。

 そして、今大臣まさしくおっしゃったとおり、自民党さんを中心とした与党を中心として、道州制推進基本法案というものも提示されているわけであります。

 それを受けて、なかなかこれは国会提出までには至っておりませんけれども、骨太方針二〇一四では、道州制については、道州制に関する基本法案の動向を踏まえて必要な検討を進めるという形で、政府としても、一定の方向性をある程度見守りつつ今後の大きな検討課題にしていきたいと言っているんですね。

 ですから、今後、こうした与党内、もちろん国会内の道州制に関する基本法案の動向についてもっと見きわめていただきたいと思いますし、現時点において、大臣、または総務省でもいいんですけれども、国会としてこういう形で議員的な提案があるということを見据えて、今どのような検討を進めているのか、具体的にそういうことをおっしゃれれば、ちょっとここで御説明いただきたいんです。

佐々木政府参考人 道州制につきましては、今石破大臣のもとで政府としては検討が進められているところでございますけれども、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、与党におきまして道州制に関して精力的に検討を重ねてきておりますので、政府におきましても、これと連携を深めて取り組んでいくというのが今の政府のスタンスであろうというふうに考えております。

水戸委員 最後にもう一度大臣に御答弁をいただきたいんですけれども、与党だけの議論とか国会の議論に任せるだけではなくて、やはりある程度政府としても、今までの経過があるものですから、第一次安倍内閣が見せたその意気込み、そして今、第二次、第三次の安倍内閣にそうしたエッセンスを引き継ごうという、そうしたものも土台にはあるわけでありますので、ぜひ、もちろん担当は違うといえばそうかもしれませんけれども、総務大臣といたしましても、道州制の導入の議論を積極的に進めて、またさらに検討を省内でもしていただきたいと思うので、それに対して最後に大臣のコメントをいただきたいと思います。

高市国務大臣 これは、やはり石破大臣のもとでしっかりと総合調整をしていただきながら、それぞれの府省にかかわることですから、足並みをそろえながら調整をしてまいりたいと思っております。

水戸委員 以上で私の質問とします。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、「クローズアップ現代」の報道と、そして中間報告について質問をします。

 NHKという公共放送で、しかも報道の看板番組となっている「クローズアップ現代」でやらせの疑惑が指摘されています。NHKは、中間報告で、番組の表現の一部に誤りがあることを認めました。一方、取材の対象となった人が、記者にやらせの指示を受けたと、NHKに訂正を求める事態となっています。社会の真相に迫る取材とそして解説、多くのファンを持つこの番組にこういう疑惑が持たれることは、本当に残念であります。

 やらせが本当なら、取材と報道の根幹が問われる問題であります。放映から一年近くもたち、一日も早い真相解明が望まれますが、中間報告を読む限りは、視聴者を納得させるものとはなっていません。

 昨年五月十四日の番組では、「クローズアップ現代」のそのタイトルは、「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」でありました。出家詐欺を指南するブローカーA氏と多重債務者B氏による出家詐欺の打ち合わせ現場という、生々しいシーンが放映されました。報道が真実であるならば、B氏は、出家し、改名し、そして多重債務を免れるという展開になっていきます。しかし、中間報告では、B氏は多重債務者のままであります。

 そこで伺います。

 B氏は、出家したんですか、改名したんでしょうか、また改名しようとした事実があるのでしょうか、お答えください。

堂元参考人 お答えをいたします。

 現在、聞き取り等の調査を行っておりますけれども、いわゆるB氏、多重債務者として登場した男性でございますけれども、プライバシー等にかかわることなので、中間報告に記載した以上の内容のことは答えを控えさせていただきたいというふうに思います。

田村(貴)委員 それでは、A氏はブローカーだったんでしょうか、過去にブローカーとして出家詐欺を指南した、そういう事実をつかんだんでしょうか、お答えください。

堂元参考人 お答えをいたします。

 取材担当の記者によりますと、出家をあっせんするブローカーと紹介した男性が、インタビューシーンが出てまいりますけれども、専門的な用語を使って出家詐欺の手口を詳細に語っています。また、インタビューの中で、我々ブローカーと称したこと等から、この男性がブローカーで間違いないと思ったと話しております。

 これに対しまして、その男性は、番組で語った内容は知人などから聞いた話で、自分はブローカーではないというふうに話しております。

 こうした食い違いがあるために、さらに調査を続行しておるという状況でございます。

田村(貴)委員 結局、A氏とB氏がどういう人なのか、報道がやらせであるのかないのか、一番核心をなす点についてはわからないわけなんですね。しかし、オンエアからやがて一年になろうとしている今に至っても、A氏とB氏の実情と出家詐欺の事実が判明していません。NHKはそこを曖昧にして、A氏とB氏と記者との話の食い違いを論点にしています。だから、中間報告はピントがずれているのではないか等の声が上がっているわけであります。

 そこでお尋ねします。

 NHKの「取材・制作の基本ルール」について、その中の「取材先との関係」について、放送ガイドラインではどのように規定されていますか、説明をお願いします。

板野参考人 お答えいたします。

 放送ガイドライン二〇一五の「取材・制作の基本ルール」の中の「取材先との関係」には、次のように記述されております。

 取材相手との関係においては、常に放送倫理や公平・公正な放送を意識し、節度ある距離を保たなければならない。

 国民の知る権利や公共の利益のために密着取材が必要な場合であっても、相手の利益を図ったり、癒着と受け止められる行動をとったりしてはならない。

 取材にあたっては、番組および取材の意図を事前に十分説明し、理解を得る。取材後の状況の変化によって番組のねらいを変更した場合にも、取材相手に十分に説明する。

となっております。

田村(貴)委員 取材に当たっては、番組の意図を事前に十分説明し、理解を得る、これはガイドラインです。中間報告では、記者とA氏との言い分に食い違いがあると、傍観者的な表現になっています。

 ガイドラインに従って十分に説明を記者がしていれば、こういう事態にならなかったのではありませんか。また、ガイドラインに沿って検証すべきではありませんか。いかがでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 今回の問題では、事実関係を明らかにすることに加えまして、取材、制作のプロセスが適正だったのかについても検証することが重要だと考えております。取材に至った経緯、取材に当たってどのような説明を行ったのか等につきましても調査を尽くしていく考えでございます。

田村(貴)委員 もう一つ伺います。

 今回の「クローズアップ現代」の報道に照らしてみて、企画と制作についての状況はどうだったのか。基本ルールは放送ガイドラインに何と定められていますか。

板野参考人 お答えいたします。

 放送ガイドラインの「取材・制作の基本ルール」の「企画・制作」の中には、以下のような記述がございます。「事実の再現の枠をはみ出して、事実のねつ造につながるいわゆる「やらせ」などは行わない。」放送ガイドラインにはこのように記載されております。

田村(貴)委員 当然のことなんですけれども、捏造ややらせはやってはならないということであります。しかし、どういう行為、映像が捏造ややらせに当たるのか、そうした基準をあの放送に照らして検証しなければ、調査というのは成り立っていかないと思うんです。

 A氏とB氏が出家詐欺の相談をするシーンの場面があります。カメラは、向こうの側のビルからブラインド越しに撮影しています。隠し撮り的な映像であります。しかし、その現場に記者はおられたんですね。それは映像からはうかがえません。そして、記者と多重債務のB氏とは、八年から九年前から知り合いの仲であったということであります。間違いありませんね。

 記者は、相談を終えて去っていくB氏を走って追いかけて、犯罪につながる認識はとインタビューをしています。事前に三者で打ち合わせをしているわけです。そして、あの部屋で収録をしているわけです。長年の知り合いの関係にあるにもかかわらず、直撃取材したように見せているわけであります。

 中間報告を私読んで、そして改めてこの出家詐欺の放映を見て、非常に不自然な映像だ、不自然な報道だというふうに思いました。ここは、NHKさん、やらせ疑惑の核となるシーンなんですよ。演技の要請があったのかなかったのか、やらせの事実があったのかなかったのか、これは意見の食い違いで片づけてはいけない問題だと思います。

 最終報告には、ここの点のしっかりとした真相究明が必要ではないんでしょうか。しっかり調査する必要が待たれているのではないでしょうか。いかがですか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 中間報告にありますように、視聴者の皆さんの多くは、取材記者がブローカーから了解を得た上で、多重債務者が相談にあらわれるのを待って撮影したと、実際とは異なる取材過程を印象づけられたと思われます。

 構成が適切さを欠いていなかったか、演出が過剰ではなかったかという観点から、調査や検証を進めていくということでございます。

田村(貴)委員 やらせであると当事者が語っています。そして、やらせがあったと報道関係者がこのシーンなどでは指摘しています。だからこそ、ガイドラインに従って、今回の「クローズアップ現代」の場合はどういうことをすればやらせに当たるのか、その基軸を示すことなく、演出が過剰であるとか、構成に適切さを欠いていなかったかというような表現では、視聴者は納得はいたしません。しっかりと調査を進めていただきたいと思います。

 こうした問題が起こったときに何が大切かといったことを述べたいと思います。

 誤りがあったならば素直に認めて、そして迅速で適切な対応をとることが何よりも重要です。BPO、放送倫理・番組機構で審議された一つの教訓を挙げたいと思います。

 昨年九月十日、テレビ朝日の「報道ステーション」が、川内原発の報道の中で、原子力規制委員長と記者のやりとりを取り間違え、不適切な編集があったことが判明いたしました。翌日に原子力規制委員会からの抗議を受けたテレビ朝日は、翌十二日、放送緊急対策委員会を開いて、誤りを確認、午後に規制委員会に謝罪文を提出し、夜の番組の中で四分四十秒の時間を割いて訂正とおわびを放送しました。

 この問題とテレビ朝日の対応については、BPOの放送倫理検証委員会で審議され、その意見で、局側の対応については迅速で、適切だったと認められると評されています。同局は、誤りを重く受けとめ、再発防止策をつくり、社員やスタッフへの周知を図ったが、この点についても、「本件放送の誤りを手痛い教訓として生かそうとする真摯な姿勢がくみ取れる。」とBPOは評価をしました。

 迅速で、そして適切な対応、まさに今、教訓とすべき事例ではないでしょうか。NHKに求められているのはこうした対応ではないでしょうか。いかがですか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 NHKの放送ガイドラインでは、「事実関係の誤りが明らかになった場合には、速やかに訂正する。」としております。今回の場合でも、中間報告をまとめた時点で明らかになっている誤りにつきましては、おわびをいたしました。「クローズアップ現代」の番組の中でおわびをしたということでございます。

 関係者の話に食い違いがあること等から、事実関係の解明に一定の時間がかかっているわけでございますけれども、調査はできる限りスピード感を持って進めておるつもりでございます。取材、制作のプロセスが適切であったか、チェック体制はどうだったのか等につきまして、改善策も含めまして調査報告書をまとめ、公表したいと考えております。

田村(貴)委員 BPOでは「クローズアップ現代」の放送についても論議になったというふうに伺っています。

 大事なことは、こうした事態になったときに、放送や、あるいは報道の現場に萎縮作用を絶対に及ぼしてはならないということであります。

 BPOも、「報道ステーション」の検証の意見の中でも次のように述べています。「委員会での審議入りや委員会決定が現場の萎縮につながったとしたら、それは本末転倒と言われても仕方がない」としています。

 反省を糧にして、そしてさらにいい番組をつくっていく、いい方向に「クローズアップ現代」を持っていく、そういう流れをつくることが今大事ではないかと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。

板野参考人 お答えいたします。

 NHKとしましては、できる限り早い時期に調査報告書を公表し、視聴者への説明責任を果たしたいと考えております。その上で、正確で公平公正な情報や、豊かで質の高い番組を提供してまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 籾井会長もおられます。一つお伺いします。

 今回の事件を放送ガイドラインに基づいて検証し、協会を挙げて再発防止に取り組むこと、そして、事実に基づいた報道、国民の関心と要求に応えて、質の高い「クローズアップ現代」の前進につなげていくことを私は期待したいと思います。

 会長として、そのトップとして、決意のほどをお聞かせください。

籾井参考人 今回の問題では、調査委員会が今、事実関係等々、プロセスについても適正だったかどうかについて、調査を進めております。我々は、先入観を持たずに、事実を明白にし、今後の改善策も含めた調査報告書を公表することにしております。

 委員おっしゃるとおり、事実に基づいて報道するということは我々にとりましても最も重要なことでございますので、調査報告書を踏まえて、正確で公平公正で、豊かな質の高い番組を視聴者の皆様に提供していきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 NHKの問題については以上で終わります。

 次に、子供医療費助成制度と国保のペナルティー問題について伺ってまいります。

 我が党は、子供医療費助成制度の拡充を求める立場から、今国会でも、ナショナルミニマムとして国の制度とすること、そして自治体国保へのペナルティーをやめることを強く求めてまいりました。

 二〇一四年度補正予算で創設した地域住民生活等緊急支援のための交付金について、内閣府は、三月二十四日付で交付決定を発表いたしました。地方創生先行型、千三百四十四億円を活用して子供の医療費の助成制度を取り入れた自治体はどのくらいに上っていますか。例を挙げてその事業内容を紹介してください。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方創生先行型交付金基礎交付分におきまして、御指摘の子供医療費助成も含まれておりまして、事例をということでございますので幾つか申し上げますと、ある市におきましては、医療費助成の年齢制限を緩和しまして、例えば、現在の小学三年生までだったものを六年生までに拡大するとか、あるいは、別の市では、入院のみを対象としていたところ通院まで対象を拡大する、そういうようなことで、それぞれの地域の実情に応じまして、いろいろな活用事例があると承知しております。

 全体的な額で申し上げますと、少子化対策全体の事業費では二千三百四十億円ほど充てられているわけですが、そのうち、子供医療費助成ということで見ますと一割を下回るような状況になっている、そのような状況でございます。

田村(貴)委員 自治体数についてはどうでしょうか。

末宗政府参考人 数にいたしますと、精査が必要ではございますが、今把握しておりますのはおおむね七十四ほどでございます。

田村(貴)委員 多くの自治体が、やはり国の方がそういう交付金をつけてくれたということで実施に踏み切ったものと思われます。

 私も、交付金に手を挙げられた自治体、幾つか聞いてまいりました。

 神奈川県の逗子市です。

 昨年十月の市会議員選挙の後の議会で、小児医療費助成制度の拡充を求める決議が全会一致で議決された。地方先行交付金は千五百八十万円で、その全額を子供医療費拡充と妊婦健診助成の拡充に充てたとのことであります。逗子市は高齢化率が三〇%と高く、その対策として出産、育児への支援が必要と判断したとのことでありました。財源については一層の努力が必要となりますが、子供の医療費助成の拡充や妊婦健診助成の拡充は来年度以降も継続していくというふうに伺いました。

 次いで、青森市です。

 もともと市長は、中学校修了までの子供医療費無料化を公約に掲げてまいりました。三月に入って、今回の地方創生先行型交付金が子供医療費に充てることができるということがわかり、市民の方々からの強い要望もあって拡充に踏み切ったとのことであります。交付金は単年度だけれども、今後も、市財政のやりくりによって、拡充した子供医療費助成を維持していくように工夫したいということでありました。

 交付金が子供医療拡充への流れとなって、そして自治体の背中を押した、私は、非常にいいことだというふうに捉えております。

 一昨日、我が党の高橋千鶴子議員の本会議質問で厚生労働大臣から答弁がありましたように、通院医療費の助成では、十五歳まで実施する市町村が千五百三十八自治体、それ以上の年齢で実施している市町村が二百四と、大きく広がっています。

 子供医療費助成制度は、子供の健康と健やかな育成を図り、誰もが安心して子供を育てられる社会をつくるという重要な意義があります。同時に、深刻化する少子化対策、人口減少対策の中で、最もベーシックな施策であると言えます。

 そこで、高市大臣にお伺いします。

 住民の願いを受けて、その願いに応えての子供医療費助成制度の自治体の広がりについて、また自治体の努力についてどういうふうに受けとめておられるでしょうか。

高市国務大臣 現在、全ての市町村が、医療保険制度において、子供の医療費に係る自己負担を軽減するための独自の補助を実施してくださっているところでございます。

 この医療費助成につきましては、子ども・子育て支援策の重要性に鑑み、各地方団体が、さまざまな御努力の上で、地域の実情を踏まえて実施しているものと理解をしています。

田村(貴)委員 わかりました。

 では、厚労省はいかがでしょうか。

木下政府参考人 ただいま御指摘の地方創生先行型交付金につきましては、御案内のとおり、移住対策ですとか観光振興ですとか少子化対策、いろいろな、多岐にわたる分野について、地域の実情に応じて事業を行うことが可能でございます。

 少子化対策につきましても、結婚、妊娠、出産、子育て支援など、各自治体が地域の実情を踏まえて活用するものと承知をしております。

 御指摘の、先行型交付金を活用した自治体が子供の医療費助成を行っていることにつきましても、各自治体が地域の実情を踏まえて独自に判断されているものと考えてございます。

田村(貴)委員 済みません、今は先行型については伺っていないんですけれども、先に答弁があっちゃったので。

 子供医療費助成制度、全般的に、都道府県では全ての自治体がやっている、そして年齢制限も引き上げて拡充を図っていることについては、全体としてどういうふうに受けとめておられるでしょうか。

木下政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたとおり、各自治体が、この交付金をも活用した自治体の事業として判断をされたものだというふうに私どもは理解しております。

田村(貴)委員 そこでお伺いしたいのは、自治体が行う子供医療費助成制度において、国によるいわゆるペナルティー問題であります。

 現物給付を行って窓口負担を減らすなどの助成措置を行うと、国は、国民健康保険の国庫負担金と普通調整交付金を減額する措置をとっています。今国会でもたびたび取り上げられてまいりました。もう超党派の意見となっています。私も、さきの地方創生特別委員会でこのことを取り上げましたけれども、改めて質問します。

 今回、地方創生先行型の交付金を活用して子供医療費の助成制度を自治体が行った場合も、国庫負担金の減額措置となるんでしょうか。

武田政府参考人 ただいま御質問いただきました、国保の国庫負担金に係る減額調整措置についてでございます。

 乳幼児などに対する地方単独の医療費助成により窓口負担が軽減される場合につきましては、一般的に医療費が増加するため、国保において、国庫負担の公平な配分という観点から、増加した医療費分の国庫負担につきまして減額調整をしているところでございます。

 現行法令上、この減額調整措置につきましては、国の負担金または補助金の交付を受けないで地方自治体が実施する医療の窓口負担の軽減のための事業について実施することとされております。

 今回のこの地方創生先行型交付金を活用して子供の医療の窓口負担を軽減した場合の対応につきましては、今後、具体的な実施状況などをよく伺いつつ、減額調整の制度趣旨を踏まえて検討する必要があると考えております。

田村(貴)委員 ここで大事なのは、厚労省の省令であります。

 国民健康保険の事務費負担金、調整交付金の算定に関する省令では、国の負担金または補助金の交付を受けない場合は調整の対象となっている。換言すれば、国の負担金、補助金を活用して医療費を助成する場合は調整の対象とならないことなんです。ですから、ここは交付金を活用して自治体がしっかりやっているわけだから、これには調整をかけませんよと省令をしっかりと周知すること、これを自治体に対して伝える、知らせるべきだと思います。そして、この省令に基づいて、調整の対象としないということを自治体にきっぱりと伝えることが大事であると思いますけれども、いかがですか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいまお答えいたしましたとおり、この地方創生先行型交付金を活用して子供の医療の窓口負担を軽減した場合の対応につきましては、今後、具体的な実施状況等をよく伺いつつ、減額調整の制度趣旨を踏まえて検討する必要があると考えておりますので、現行の省令の周知につきましては、その上で検討させていただきたいと考えております。

田村(貴)委員 その周知については、いつごろまでにするお考えなんでしょうか。これは急がないとだめです。

武田政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、各自治体の具体的な実施状況をよく伺っていかなければならないと考えておりますが、現在、関係自治体の実施状況の把握に着手したところでございますので、早期に対応できるように努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 ペナルティー、そもそも論なんですけれども、従来は、無料化を実施している自治体と実施していないところがあって、国庫の公平な配分との理由で減額されてきました。しかし、先ほど大臣も答弁ありましたように、都道府県段階では全ての自治体が取り組んでいる。就学前の子供に対する医療費助成は、ほとんどの自治体で行われています。ですから、この分を仮に国が行ったとしても新たな波及増はない、これも厚生労働省、もう幾つかの委員会で答弁されていますよね。

 だったら、この国保の減額調整というのはすべきではない、してはならないと思いますけれども、いかがですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 最初に申し上げましたとおり、この国庫負担の減額調整の趣旨が、限られた財源の公平な配分の観点ということでございます。また、医療費につきましては、自己負担の軽減により、一般的に医療費が増加するというふうに認められております。

 そういった観点から、この調整措置については必要な措置ではないかというふうに考えております。

田村(貴)委員 最後に、大臣にお伺いします。

 今議論してきましたように、地方が子供医療費助成制度をすれば国保の減額をする、しかし乳幼児まではもう地域差がなく、医療費が増大する波及増という理由もなくなってまいりました。一方で、国費を使って医療費助成を行えば減額はしないと省令で定められています。同じ子供医療費助成制度なのに、私はおかしいと思います。制度の矛盾をお感じになりませんか。

 地方創生で少子化対策に交付金の活用を奨励する一方で、自治体の努力分については国庫を減らす、こうしたペナルティーはもう行うべきではない。安倍内閣として、この問題に向き合っていただきたいと思います。取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。

桝屋委員長 時間が参っております。高市総務大臣、簡略にお答えを願います。

高市国務大臣 地方団体から、国民健康保険に係る国庫負担金の減額措置を見直すべきという御意見をいただいておりますので、厚生労働省におきましては、引き続き御議論されると思いますけれども、地方の意見をよく踏まえながら検討していただきたいと思っております。

田村(貴)委員 終わります。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、普天間飛行場の移設に伴う辺野古沖での工事をめぐって、沖縄防衛局が、総務省が所管をする行政不服審査法を利用して審査請求と執行停止の申し立てをした案件について尋ねます。

 三月二十三日に、翁長知事は、県が必要とする調査をするまでの間、辺野古沖での工事を停止すべき指示を行いました。知事は、この法的な位置づけは行政指導だ、そう述べておられます。

 これに対して、沖縄の防衛局は、審査請求と執行停止の申し立てをしたわけですが、知事が言う指示は行政不服審査法上の処分に当たるという認識を示しております。これを受け、審査請求の裁決までの間、農水大臣は知事の指示の効力停止の判断を下しました。

 農水省としては、知事の指示は処分だという認識なんでしょうか。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県知事による三月二十三日の沖縄防衛局に対する指示は、沖縄県知事が平成二十六年八月二十八日付で行った岩礁破砕等の許可の付款に基づくものであります。その内容は、沖縄防衛局が本件指示に従わない場合は岩礁破砕等の許可を取り消すことがあるとした上で、普天間飛行場代替施設建設事業に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止することを義務づけたものであります。

 したがって、本件指示は、行政指導であるという御主張でありますけれども、工事の停止を義務づけるものであると言うべきでありまして、任意で工事の停止を求めたものであるとは言えないと考えております。

 このため、本件指示については公権力の行使に当たる行為、すなわち処分に当たるというふうに解するのが相当と判断したところであります。

吉川(元)委員 まさにそう言われたとおり、今回の辺野古沖での岩礁破砕を突然許可した仲井真知事がつけた九つの条件のうちの六番目、「漁業調整その他公益上の事由等により別途指示をする場合は、その指示に従うこと。」に沿ったものであります。手続的に私は全く瑕疵はない行為だと考えます。

 そこで、次の質問に移ります。

 翁長知事の工事の停止指示について、報道等によれば、菅官房長官は、違法性が重大かつ明白で無効だ、こう会見で批判をされました。また、防衛大臣も、法治国家のもとで、この期に及んでという言葉を使っておりますが、このような文書、知事の指示が提出されることは甚だ遺憾だと会見で述べたとされております。

 今回判断をいたしました農水省も、この翁長知事の指示というのは違法だという認識なんでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えをいたします。

 今回決定をいたしました執行停止に関しまして、その要件でございますが、重大な損害を避けるために緊急の必要性があること、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこととされております。

 このため、今回の執行停止に関しましても、二つの要件に該当するかどうかだけを審査したところでございまして、本件指示の違法性、適法性につきましては、今後、審査請求の中で審理を尽くしてまいります。

吉川(元)委員 圧倒的な民意を受けている翁長知事の指示をそういうふうにおっしゃるのであれば、その点についてはまた後ほど質問させていただきますが、ちょっと別の角度からお聞きいたします。

 防衛省にお聞きします。

 去る九日の環境監視等委員会で、防衛局は、ブイを固定するためのおもしとして使ったコンクリートブロックがどの程度サンゴを傷つけたのかの調査をした結果を明らかにしております。その結果、幾つのサンゴ群体で損傷が見られたか、そのうち幾つが県の岩礁破砕許可の区域外であったのか、お答えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 ブイのアンカーにつきましては、事前にサンゴ類の分布状況につきまして調査を行い、サンゴが五%以上の割合を占める場所や、長径が一メートルを超える大型サンゴを避けて設置するなど、環境保全に配慮して作業を実施しております。

 先般の第四回環境監視等委員会におきましては、沖縄防衛局が報告をしたサンゴ類の状況調査の結果は、アンカーそのものや係留のためのケーブルによる直接的な要因に加え……(吉川(元)委員「幾つあったのかと聞いている」と呼ぶ)はい。アンカーによって光が遮られたことによる間接的な要因によって、全体で九十四群体のサンゴ類について影響が確認されました。これら九十四群体のうち、岩礁破砕等許可区域外に所在するものは八十九群体が確認され、割合としては約九五%でございました。

吉川(元)委員 今ほどお話のあったとおり、九十四群体のサンゴは損傷、そのうち九割を超える、九五%ということですが、八十九群体が県が許可した区域の外で行われたということです。

 翁長知事は、許可区域外でサンゴ礁が損傷しているケースが県として一カ所確認をできた、これを受けて、許可区域外で岩礁破砕の蓋然性が高い、それを理由として、県が調査するまでの間工事を中断してほしい、それが今回の指示の中身だったはずです。

 防衛省の調査結果というのは、図らずも知事の懸念がまさに当たっていたということだろうと思います。だとすれば、知事の指示というのは、違法どころではない、全く正当であったと言わざるを得ませんし、問題を起こしているのはまさに防衛省の方ではないでしょうか。重大な損害をまさに与えているのは防衛省だというふうに私は思いますけれども、今の防衛省による調査結果の数字を聞いてどのようにお感じになられるのか、農水省にお聞きいたします。

あべ副大臣 一般論として申し上げれば、岩礁破砕の解釈に関しまして、岩礁とは海域における地殻の隆起の形態でございまして、この隆起形態を変化させる行為が破砕であるというふうに私ども考えております。

 本件が岩礁破砕に当たるのか否かにつきましては、個別の具体的な状況によって判断する必要があると考えておりまして、審査請求の審理の中で判断していくこととなります。

吉川(元)委員 まるでサンゴをどのように破壊しても問題ないかのような答弁というのは、私は非常に大きな問題だと思います。

 今回、翁長知事、サンゴの損傷について調査したいということで、アメリカに申し入れをし、拒否をされ、また、防衛省も米軍に追随してしっかりした対応をしてこなかったというふうに承知しております。翁長知事の指示は極めて適切であったと私は考えます。

 さて、既に国会の場でお答えになっていると承知しておりますけれども、改めて総務省の方にお聞きいたします。

 行政不服審査法の目的、第一条には、「国民の権利利益の救済」とされております。国が申し立ての当事者になることを予定した法律ではないというふうに私は考えております。法を所管する総務省として、今回のケース、沖縄防衛局という国の機関がなぜ申立人としての資格を有すると判断されたのか、簡単に御説明ください。

上村政府参考人 お答えいたします。

 行政不服審査法の第四条第一項でございますけれども、これは、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求または異議申し立てができる、このようにしております。したがいまして、不服申し立てができる対象を、ここでは一般私人には限定せず、処分に不服がある者に広く認めているところでございます。

 このようなことから、一般に、国や地方公共団体の機関が、その固有の資格、すなわちこれは一般私人が立ち得ないような立場を指すわけでございますが、こうした場合ではなくて、一般私人と同様の立場で処分を受ける場合は、不服申し立ての資格を有する、このように解釈をされているところでございます。

吉川(元)委員 国が一般私人と同じである、とんでもない話だというふうに思います。

 そこで、少し国土交通省の方に伺いたいと思います。

 辺野古沖の埋め立てに関連する法律、これは公有水面埋立法だと考えますが、同法を所管する国交省、公有水面埋立法の第二条第一項は、「埋立ヲ為サムトスル者ハ都道府県知事ノ免許ヲ受クヘシ」というふうにされております。

 これは、民間事業者を対象にした、まさに私人ということであろうと思いますが、つまり、民間事業者が埋め立てを行おうとした場合には、都道府県知事は免許権者となります。国が事業者である場合は、同法に基づく都道府県知事は国に対する免許権者となり得るのかどうか、お答えください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公有水面埋立法では、民間事業者または地方公共団体が埋め立てを行う場合には、都道府県知事の免許を受けなければならないというふうにされております。一方、国の場合は、国の所有に属する水面を埋め立てることから、免許ではなく、都道府県知事の承認を受けなければならないとされており、都道府県知事は承認権者ということになります。

吉川(元)委員 つまり、国が事業者の場合は、民間事業者とは違って、都道府県知事は免許権者にならないわけです。それは、国が行う埋め立ての特例で免許が準用されないからだと考えます。

 出発点で既に、国と民間事業者は埋め立ての際に同じ扱いにはなっておりません。先ほどのお話ですと、工事の際は民間事業者と一緒だというふうに言いますけれども、これはどう考えても無理筋な話としか言いようがありません。

 さらに、民間事業者と同一視できない理由、まさに防衛局の申し立て書の中にそれが含まれております。それから、農水大臣の執行停止決定文を読んでも同じようなことが書かれておりますが、ここでは防衛局の執行停止申し立て書を引用いたします。

 申し立て書では、工事の停止指示により重大な損害が生じ、それを避ける緊急の必要性があるとして、つらつらとその理由が書き連ねられております。その結論部分で、埋立工事は普天間飛行場の使用に伴う危険性を除去するための唯一の解決策であるとして、さらに、本事業のおくれは日米両国間の信頼関係に回復が困難なほどの悪影響が及ぶ可能性があり、外交、防衛上重大な損害が生じるとも書いております。

 一民間事業者あるいは一民間人が、工事に当たって、こういう工事がおくれたときに言う理由というのは、基本的には経済的な損失をこうむる可能性があるということになろうかと思いますけれども、民間事業者の場合、辺野古沖移設が唯一の解決策であるとか、あるいは日米同盟の信頼関係、こういうものに言及をするはずはありません。この言い分は、まさに民意を受け入れない政府の行政機関としての言い分です。

 これらは、みずから民間事業者とは違うことを証明しているとは思いませんか。立法上の国の位置づけと今指摘した申し立ての言い分をもってしても、これでもなお防衛局の工事が民間事業者と一緒だというふうにお考えなんでしょうか。

上村政府参考人 繰り返しになりますが、あくまでも行政不服審査法の立場から申し上げますけれども、国ないし自治体の機関がこういう申し立てをするという権限につきましては、一般私人と同様の立場に立つ場合は制限をされておりません。そういう観点から今回の申し立てが行われたものであるというふうに承知をしております。

吉川(元)委員 今言ったような理由を挙げて、これが一般私人だというふうには、私は到底思えません。

 国交省はどうお考えですか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、用語としては免許と承認というふうになっておりますけれども、いずれも同じ基準によって都道府県知事の審査を受けなければならないということにされております。

 なお、個別の問題につきましては、当てはめになりますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

吉川(元)委員 免許と承認で違うということは、私人の場合には免許なわけです。それが承認ということになるということは、明らかに私人ではないという扱いの中で行われているわけですから、当然これは行政不服審査の対象にならないということを私は指摘させていただいて、ちょっときょうはNHKの経営委員長、監査委員に来ていただいておりますので、この点について若干質問させていただきます。

 まず、監査委員にお聞きをいたします。

 NHK籾井会長のハイヤー利用の問題についてですが、先般、参議院の総務委員会で、NHKについての集中質疑が行われました。その際、放送法の七十三条に照らし、今回のハイヤー利用について違法性がないとする根拠を問われ、上田監査委員は、会長は協会を代表し、その業務を総理する立場にあることから、今回のハイヤー利用は放送法の第二十条第一項ないし第三項の業務に関連のあるものと答弁をされております。

 私はこれは全く理解できませんのでお聞きいたしますが、会長の私的なハイヤー利用は放送法第二十条一項ないし三項のどの業務に関連をしているのか、具体的にお答えください。

上田参考人 お答えいたします。

 今委員の方が言及されましたけれども、前回お答えいたしましたように、放送法第七十三条第一項は、「協会の収入は、第二十条第一項から第三項までの業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」と規定いたしております。一方、放送法第五十一条第一項は、「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する。」旨規定いたしておりまして、放送法第二十条第一項から第三項までの全ての業務に関係あるものというふうに解しております。

 以上です。

吉川(元)委員 会長が私用、この場合はゴルフ、私的にゴルフをすることが、なぜNHKの業務と関連があるんですか。もう一度お答えください。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会は、会長が、私用目的であっても、その立場上必要な身柄の安全等を目的としていたことに鑑みれば、業務遂行との関係があるものというふうに考えております。

吉川(元)委員 率直に言って、全く理解できません。だとすれば、二十四時間三百六十五日、誰かが横についていなければだめなんじゃないですか。まさに、会長の私的なハイヤー利用について問題なしの結論ありきに立って、監査委員会報告を正当化するための詭弁にしか私は聞こえません。

 そこで、経営委員会の方にお聞きをいたします。

 経営委員会による、監査委員会の調査報告に対する見解が出されております。私はこれを読んで、監査委員会の報告も驚きましたが、経営委員会の見解についても大変驚き、落胆をいたしました。その中身は、報告を了解しました、再発防止を着実に進めてまいります、本当にわずか何行かの文章でしかありません。

 経営委員会規程の第三条二項には、「経営委員会は、役員の職務の執行を監督する。」と明記をされております。今回のケースは、明らかに役員の監督責任が問われる事案ではないのでしょうか。なぜこれについての反省の弁がないのか、全く理解できません。

 先般公表されました三月十九日の臨時の経営委員会の議事録を読ませていただきました。

 会議の後半部分でこの報告書の取り扱いについて議論が行われておりますけれども、その中では、監査委員会報告からわかったことは、それほど重大な過失が会長にあったわけではない、その後にさらに、国会で予算が承認されることが重要だ、その後に、本来行われるべき三月二十四日の経営委員会について、これはもう触れなくてもいいよ、二十四日についてはやらなくてもいいよというようなことが委員の中から発言をされております。

 大変驚きました。NHK予算を通すためには、今回の案件はそれほど重要ではないから報告書を承認してしまえ、あとはもう議論しなくてもいいよ、そういうふうに聞こえる発言であります。

 今回の案件がなぜ大きな問題になっているかというと、一時的に支出されたこと、それから、内部通報がなければそのまま放置された可能性が非常に高い。まず考えなければいけないのは、受信料を払っている視聴者の皆さんにどのように説明し、また、不信感を持たれたことに対してどう対応すべきなのかという点ではなかったんでしょうか。

 なぜ経営委員会として反省の意思を明らかにしなかったのか、お聞かせください。

浜田参考人 お答えいたします。

 経営委員会では、御指摘のように、三月十九日に監査委員会からの報告を受け、これを了解いたしました。

 御指摘の見解では記載はしておりませんけれども、監査委員会の報告で、制度上の不備に伴う不適切な事務処理が行われ、また、公私の区別が曖昧であるとの懸念を指摘されていることは、監督する立場である経営委員会としても遺憾であり、責任を痛感しております。

 現在、執行部において再発防止策を検討中であるというふうに認識をしておりますけれども、経営委員会といたしましては、その内容の精査と実行について監視、監督の責任を果たしてまいる考えでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、経営委員会としての反省が全く見られないということを指摘して、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、内閣提出、電気通信事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 電気通信事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 電気通信事業の公正な競争の促進、電気通信役務の利用者及び有料放送の役務の国内受信者の利益の保護等を図るため、電気通信事業の登録の更新に関する制度の創設、電気通信役務及び有料放送の役務の提供に関する契約の解除並びに本邦に入国する者が持ち込む無線設備を使用する無線局に係る規定の整備等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、電気通信事業の登録について、第一種指定電気通信設備または第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者たる法人が特定の者と合併をする場合等にあっては、その更新を要することとするとともに、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者であって総務大臣が指定するものに対して一定の行為を禁止する規定の緩和等の措置を講ずることとしております。

 第二に、総務大臣が指定する電気通信役務または有料放送の役務の提供に関する契約を締結した利用者または国内受信者は、書面により当該契約の解除を行うことができることとするほか、電気通信事業者、有料放送事業者または媒介等業務受託者に対し、これらの役務等の契約の締結の勧誘を受けた者が当該契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為を禁止する規定等を整備することとしております。

 第三に、入力されたドメイン名の一部または全部に対応してIPアドレスを出力する機能を有する電気通信設備を電気通信事業者の通信の用に供する電気通信役務のうち、確実かつ安定的な提供を確保する必要があるものを提供する電気通信事業を営もうとする者は、電気通信事業の届け出をしなければならないこととするとともに、当該電気通信設備の管理規程を定めなければならないこととする等の規定を整備することとしております。

 第四に、本邦に入国する者が、電波法に定める技術基準に相当する技術基準に適合する無線設備を持ち込み、これを使用して無線局を開設しようとする場合には、当該無線設備を一定の期間に限り適合表示無線設備とみなすこととする等の規定を整備することとしております。

 第五に、電気通信業務を行うことを目的とする特定基地局の開設計画の認定において電気通信事業の登録を要件とするとともに、当該登録が取り消された場合等に当該認定を取り消す等の規定を整備することとしております。

 第六に、基準不適合設備の製造業者、輸入業者または販売業者に対する総務大臣の勧告の要件を改めること等の規定を整備することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

桝屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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