衆議院

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第12号 平成27年4月21日(火曜日)

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平成二十七年四月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    赤枝 恒雄君

      池田 道孝君    大西 英男君

      大見  正君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    黄川田仁志君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      土屋 正忠君    長坂 康正君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     赤枝 恒雄君

  中村 裕之君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     大西 英男君

  大見  正君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気通信事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長安藤友裕君、総合通信基盤局長吉良裕臣君及び法務省大臣官房審議官上冨敏伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。

小林(史)委員 おはようございます。自由民主党の小林史明でございます。

 今回、大変長い貴重な質問のお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。しっかりと質疑をさせていただきたいと思います。

 冒頭、今回の改正案に当たりまして、これは規制の緩和とそして強化、両方あるものですから、少し整理をして、そして質問の観点を共有させていただいて、質問に入らせていただきたいというふうに思っております。

 規制にもいろいろあると思っておりまして、例えば参入の規制、これは、緩和をしていけば新たな参入者が入ってきまして、さまざまなサービスの工夫が出てくる、そして料金が低廉化をしていく、こういうメリットがあるんだと思っております。日本国のモバイル通信事業というのは、そういった形でさまざまなサービスが発展をし、そして料金も低廉化をしてきた、こういうことがあろうかと思っております。

 一方で、この参入規制を緩和し過ぎるとどうなるかといいますと、やり過ぎれば、例えばバス、タクシーというような形で、料金が下がり過ぎる、もしくは、サービスが低下をし過ぎて今度は安全性が損なわれる、こういう問題が発生をしてまいります。

 そういった意味では、バランスが大変重要なんだというふうに考えております。

 そして、今回の質問の趣旨でありますけれども、今我々に求められている重要な政策は、やはり地方創生であります。そして、その中で私たちが課題だというふうに考えているのは、国内での過当競争、そして生産性の低さ、これをどうやって乗り越えていくのか、こういうことではないかと考えております。

 といいますのも、全国津々浦々に所得が得られる仕事をつくっていくというのがまず地方創生の第一義でありますけれども、その所得を上げていく鍵は、地方創生の先行事例を見ていても、やはり生産性をいかに向上させるかということなんだろうというふうに思っております。

 そういった意味では、情報通信分野というのは生産性を向上させる大変重要な手法の一つだというふうに考えておりますので、これをぜひうまく使って、日本の課題解決につなげていきたいと思っております。

 ちなみに、この生産性はどういう問題があるかということで、今お配りをしている資料、裏面の方を見ていただきたいと思います。

 これは、我が国の産業別の労働生産性水準(対米国比)というものでありまして、経産省からいただいているものですけれども、二〇〇三年から二〇〇六年ということで少し古い資料でありますが、右の方を見ていただきますと、特にサービス業がアメリカに比べて生産性は半分以下だということで、これは大変問題であるというふうに我々は考えているところであります。この生産性をいかに上げていくかという観点で今回の御質問をさせていただきたいということ。

 そしてもう一つは、これから日本全国に産業を生み出していくというふうに考えると、やはりイノベーションを生み出しやすい環境整備というものが大事になってまいります。

 これも、少し過去を振り返りますと、今、グーグルが大変、検索サービスではもう寡占をしているような状況でありますけれども、なぜこれが起こったかというのは、実は、当時、著作権法の一部に日本の検索サービスの発展を阻害するようなものがあり、それが残っていたがゆえになかなかチャレンジングなサービスができなかった、これも一因だというふうに言われています。

 こういった形で、余計な規制がある、もしくはその規制が曖昧であることから、なかなか日本国内企業はチャレンジできない、イノベーションが生み出されない環境が出てくる、こういう懸念もあると思っております。ですので、今回、その規制の明確さを確認していく、こういう観点でも御質問させていただきたいと思います。

 では、一つ目の御質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、ドメイン名の名前解決サービスについてでありますけれども、このドメイン名の名前解決サービスの規制対象には、確実かつ安定的な提供を確保する必要があるものとして、今後、省令で大規模な事業者を定めることを想定しているというふうに確認をしております。

 その対象をなるべく明確にすべきだというふうに考えておりますが、どのような対象になるか、お答えをいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネットが民間主導で発展してきた経緯だとか、あるいは国境を越えたグローバルなものであるというようなことで国際調整なんかも必要なわけですが、こういうことを踏まえますと、ドメイン名の名前解決サービスの規制対象はやはり必要最小限とすることが適当というふうにしておりまして、このため、今般の規制対象につきましては、御指摘のとおり、ドメイン名の名前解決サービスのうち、確実かつ安定的な提供を確保する必要があるものに限定することとしております。

 それでは、具体的にはどうなんだということでございますが、ドットジェーピーだとかドットトーキョーというようなトップレベルドメインに国あるいは地方公共団体の名称を用いる公共性の高いサービスを提供する事業者、これは国とか地方公共団体の支持が必要なわけですが、これが一つの対象になりますが、これは現在のところ四社ほどございます。

 それからもう一つは、または数十万以上の契約数を有する大規模な事業者、これも約三十万程度の契約数を想定しておりますが、これを対象とする旨を総務省令で規定することを想定しているところでございます。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 そういった中で、今後、ドメイン名の名前解決サービスについて省令が定められる、あるいは今後変更される場合もあろうかと思います。こういったときに、しっかりと、有識者会合の開催や関係者からのヒアリング、こういう決定プロセスの透明性を確保する仕組みがつくられるのかどうかを確認したいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット資源の管理運営のあり方につきましては、インターネットサービスプロバイダー、それからインターネットの利用者、企業、政府等多様な関係者がいますので、透明性の確保が重要だというふうに考えております。

 このため、ドメイン名の名前解決サービスに関する省令の制定あるいは改正につきましても、このような考え方に従いまして、審議会への諮問やパブリックコメントの募集、それから関係者へのヒアリング等、幅広く意見を聞くというプロセスを経ることで、透明性を確保していきたいというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 この名前解決サービス、なかなか皆さんにとっては縁遠い名前かもしれませんけれども、これにもし何かしらの重大な事故が発生をすればインターネットが利用できない、これぐらい重要なものでありますので、今回の必要最小限の規制によって安全性が確保されるということで、大変重要な法律だというふうに考えております。そういった中で、吉良局長におかれましては、各方面からのさまざまな御意見がある中で、御尽力をされて、そして絶妙な調整をされたことには心から感謝を申し上げたいと思います。

 先ほどの御答弁の中にもありましたが、やはりインターネットというのはグローバルなサービスでありますので、日本の中だけで規制をするというのは非常に難しい状況になってきております。ですから、このドメイン名のサービスのみならず、さまざまなサービスの利用者そして提供者、これは国内には限られませんので、政府がインターネットに関して法律等で関与する場合は、やはり国際的に協調のとれた内容であるかどうか、これをまず大切にしていただきたいというふうに思っております。

 あわせて、やはり国民の安心、安全、そして世界経済、このバランスを考慮したものになるように期待をしておりますので、引き続きの検討そして調整を進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、続いて、初期契約解除制度について御質問をさせていただきたいと思います。

 この初期契約解除ルールを変更するということなんですけれども、どういったものかといいますと、今回は、家電製品の量販店の店頭で例えば携帯電話の契約をしますといったときに、エリアが電波状況が悪いところだったので家に帰ったら使えなかった、こういう場合によく苦情が発生しますということであります。こういったものをちゃんと、例えばクーリングオフのような形で、使えなかったら解除できるようにしていただきたい、こういう消費者の方々の思いを酌んでのこのルール変更であります。

 これは大変重要で、大切なお話だと思っているんですが、一方、複雑になってきますので、混乱が起こるのではないかということも心配をしております。

 どういうことが起こるかということなんですが、こういう状況を少し想定いただきたいというふうに思います。

 皆様が家電量販店に行きまして、パソコンを購入する。しかし、パソコン単体では使えませんから、情報通信サービス、例えばWiFiの端末なんかをセットで購入しましたということであります。適切な説明を受けて、そして家に帰ってみた。そのときにはもちろんパソコンをさわってみたり、そしてそのWiFi端末も操作をして持って帰るわけであります。帰ってみたら、エリアが悪くてなかなか電波が入りづらいぞということで、これは解除をしたいということで店頭に持っていくわけであります。

 このとき解除ができるのは、何ができるかというと、それは通信サービスのみ解除ができるようになるわけであって、実は、例えば端末は、今、割賦ということで、月々払いで払いますね、このお金は返ってきません。これは月々払い続けなければいけませんし、パソコンももちろんその場でさわって納得をして買っていただいたわけですから、パソコン自体もお返しすることはできないということになります。

 これを消費者の方が全て理解して購入する、そして、何かがあったときに解除を申し出るというのは大変難しいのではないかなというふうに思います。

 しかも、それを、ではちゃんと店頭で説明しましょうねということになると、ただでさえ一時間ぐらい今スマートフォンを新規で契約しようとしたら時間がかかる、それにさらに何十分説明に時間をかけるというふうになるのではないかなということが懸念をされるわけであります。

 この混乱が起こるのではないかという懸念がありますけれども、これが起こらないように、総務省の方で、初期契約解除制度導入に対しての対策、どんなことを考えているのか、お伺いをしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がありましたように、初期契約解除制度の導入によりまして、端末が対象外であるというようなことで、代理店等の販売現場における説明事項が増加することは考えられるところでございます。

 しかしながら、初期契約解除制度は、料金が複雑で契約締結時に理解することが困難といった電気通信サービスの特性に起因し生じる問題に対しまして、利用者保護を図るためには、説明事項の増加を考慮しても、その導入が必要だというふうには考えております。

 しかしながら、一方で、今お話がありましたように、総務省としては、制度の運用に当たりましては、説明事項の増加によりまして利用者や代理店の負担が大きくなることがないように、業界団体が消費者保護について検討する場を通じるなどしまして、この検討する場というのは、電気通信サービス向上推進協議会というのが、電気通信事業者協会だとかテレコムサービス協会、それからインターネットプロバイダー協会、日本ケーブル連盟が参加しておりまして、この場を通じるなどしまして、電気通信事業者だとか代理店等の関係者と連携して、簡便でわかりやすい説明モデルの検討等を行ってまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 なるべく簡便になるようにお取り組みをいただきたいと思います。

 先ほどの生産性のところ、まさに、これは完全に生産性が下がっていく方向の規制でありますから、いかに下げないようにするかというのはやはり必ず工夫が必要だと思っておりますので、何とぞお取り組みのほどをよろしくお願いしたいと思います。

 このルールなんですけれども、かなり踏み込んだ内容になっているなというふうに思っていまして、お配りをしているもう一面の方を見ていただきたいと思うんですが、一般的な商取引は、電話勧誘であったりとか訪問販売という形で、かなり説明が足りない形での契約を守るためにクーリングオフという制度があるわけであります。ですから、電話勧誘だったり訪問販売を規制しているわけですけれども、今回のルールというのは、右側の電気通信役務のところで、店頭販売やインターネット等での通信販売、ここも対象になるということなので、かなり踏み込んだ内容になっています。

 これをここまでやるのかどうかというのは、もう少しこの後は慎重に考えていただきたいと思っていまして、先ほど申し上げたような煩雑性が出てくるので、何だったら端末も一緒に対象にしようかなという議論が出てくると思うんです。実際出ています。

 でも、これをやっていくと、この左側に踏み込んでいく話になるわけですね。端末は、別に、パソコンと一緒ですから、目の前でさわって十分に操作性は確認ができるものであります。それに通信がついているからといって、複雑になるから、では店頭でもこれはクーリングオフできますね、こういうふうにやっていくのかということは、少しちゃんと御検討いただきたいというふうに思っております。

 これは大切な話だと思っていまして、別に携帯電話会社の現場の気持ちがわかるからこう言っているわけではなくて、これからの日本国民の意識をどこに持っていくのかという問題なんだというふうに思っています。

 というのが、間もなくマイナンバー制度というのが始まります。これが始まっていくと、全国民に公的個人認証という、自分の情報を政府に預けられる、そして取り出しができる鍵を日本全国民に配るということが始まっていくわけです。これは世界じゅうでもない、大変重要な政策であります。

 この制度は何かというと、さまざま批判はあります、情報を管理されるのではないかということを言われますけれども、これからの時代はこう変わっていくんだというふうに私は考えていまして、これは大事なところだと思っていますが、自分たちの情報をみずから預けて、みずから管理をし、自分たちの生活を豊かにしていく時代になってきたんだ、こういうふうに考えていかなければいけないと思っています。

 であるならば、まず一番身近に使っている携帯電話というものをどういうふうに扱っていくのか、こういうことぐらいはしっかり考えていただいて御購入をいただくというのも、少しずつ促していかなければいけないんじゃないでしょうか。

 これだけ個人情報と言うならば、スマートフォンでも、買った瞬間からグーグルに全ての情報を預けるわけです、管理されているのではなくて。では、民間事業者に預けて政府に預けられない、こういうことはないわけでありますから、自分の情報をどう管理していくのか、そして、その情報端末とどう向き合っていくのか、こういうことを国民の皆様に少しずつ考えていただくためには、とにかく守り続けるではなくて、やはり一考いただく、こういう機会を残すということが大事だというふうに思っておりますので、ぜひそのあたりは配慮をいただきながら今後の規制を検討いただきたいというふうに思います。

 それでは、次に移らせていただきたいと思います。光回線の卸売サービスについてであります。

 この光回線の卸売サービス、今までNTT光が専用で使っていたところを、少し卸売することによってさまざまな事業者とコラボレーションをしてサービスが提供できるということで、非常に期待も大きいサービスだというふうに思っております。

 一方で、既にケーブルテレビ等の事業をやっている方からは、この卸売の料金が特定の事業者だけ安く売られてしまうのではないか、自分のところは高いんじゃないか、こういうところの透明性を何とか担保してほしいという声もたくさん上がったのが事実であります。

 その担保として、事後届け出制やガイドラインの作成ということで、透明性が担保されるルールが策定をされたということで大変評価をされているところでありますけれども、確実にこれが実行されるというチェック体制について少し確認をさせていただきたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほどお話のありましたように、本年二月のNTT東西による光回線卸サービスの提供開始を踏まえまして、卸サービスに係ります電気通信事業の業務改善命令あるいは禁止行為規制等の適用関係を明確にしたガイドラインを策定、公表いたしました。

 本法案では、卸売サービスに関する事後届け出制を導入しておりまして、その届け出内容について整理、公表を行うことを盛り込んでおります。この整理、公表の方法につきましては、必要に応じて、競争事業者からも意見聴取を行った上で、審議会に報告するということを想定しているところでございます。こうしたプロセスを通じまして、ガイドラインの遵守状況の検証を行うことを考えております。

 また、NTT東西は既にサービスを開始しておりますが、二月二十七日付でNTT東西に対しまして、NTTグループの事業者や主要事業者との個別契約等について速やかに報告することを要請しておりまして、その報告内容について検証を行うこととしております。

 これによりまして、ガイドラインの実効性をしっかりと担保して、先ほどお話のありました公正競争の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 透明性の担保のために、届け出内容の整理、公表ということがございました。これは大変重要なお話だと思っておりますけれども、一方で、卸売を受ける側、つまりは仕入れて販売をする事業者側としても、具体的な金額を全部オープンにされてしまうと、それはそれで商売がやりづらいという声も上がってきております。なかなかぜいたくな悩みだなというところもありますけれども。

 そういった意味では、当初、これは全部オープンにするべきだ、こういう議論もありましたけれども、そういった御要望もあることから、届け出内容の整理、公表については、料金そのものまで公表することなく、行政の方がしっかりチェックするという理解でよろしいでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、NTT東西の光回線の卸サービスにつきまして事後届け出制を導入することとしております。

 総務省におきましては、届け出を受けた契約に関する情報に基づきまして、卸売料金も含めて、その公平性や適正性について検証を行い、その結果を整理、公表するということを想定しておりますが、今御指摘のありましたように、卸売料金そのものについては公表することは考えておりません。

 卸売料金を公表しない理由といたしましては、卸取引というのは従来相対取引により行われることに鑑みまして、事業者による自由な事業展開に配慮するという観点でございます。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 この光卸売サービスは、このままちゃんと普及をしていけばどういうことが期待をされるかというと、例えば、皆さんの御地元でもあると思うんですが、NTTの光サービスは、市内には入っています、ただ、だんだん町の端の方に行くと、利用者数が少ないのでそこまでは光回線は届きませんと。なので、町の中で一部は光サービスが使えないという状況があるというのが多々発生をしているというふうに思っております。

 そういった中でも、例えば、地元のケーブルテレビ会社さんが、自分たちの回線については、市内の光が届いているところはNTTの光サービスでサービスを提供します、ただ、最後、届いていない場所に関してだけは自分たちで設備投資をして、そこまでは固定の光回線を届けていこうじゃないか、こういうことも考えられるんだというふうに思っております。

 これが大変期待をされて、それによって過疎地でもさまざまな情報発信ができ、地域の特産物を日本じゅうや世界じゅうに販売することができるという産業の興しにもなりますし、だんだん小学校の統廃合というのも進んでくるという話がありますけれども、この教育、最先端の教育を過疎地域でも受けられる、こういう教育の格差を埋めるような施策にも十分なり得る、こういうことが期待されるんだというふうに考えておりますので、ぜひそういう方向で前向きにこのサービスが活用されることを希望するわけでありますし、今回の趣旨もそうだというふうに考えています。

 一方で、懸念をされるのは、こうやって新規事業への参入が進んできますと、過剰な価格競争になることがやはり危惧されるわけであります。

 この過剰な価格競争をどのように抑制するのか、検討状況をお教えいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のありましたように、NTT東西の光回線の卸サービスにつきましては、その提供を受けました卸先の事業者が、それぞれ付加価値をつけて多様なサービスを展開することを通じまして、光回線によるブロードバンドサービスの利用が促進されることが期待されているわけでございます。

 一方で、卸売サービスの公平性だとか適正性を確保する観点で、本法案では、NTT東西に対しまして、先ほど申し上げました卸売料金その他の提供条件の事後届け出制を導入しまして、総務省においてその内容を整理、それから公表することなどによりまして、その公平性や適正性を検証する仕組みとしております。

 また、本年二月に策定しましたガイドラインにおいて、卸を受ける移動通信事業者等の、一つには原価を著しく下回るような競争阻害的な料金設定だとか、あるいは過度のキャッシュバックなどの行為によりまして、CATVとか電力系の事業者の、競争事業者の設備の保持が経営上困難になるおそれを生じさせることは、現行の電気通信事業法上の業務改善命令の対象となり得ることを明記しております。

 このようなガイドラインによりまして、卸を受けてサービスを提供する移動通信事業者等が競争阻害的な行為を自主的に行わないといった一定の抑止力といいますか、そういうものが期待されるところであると思っております。

 この仕組みによりまして、今後とも、卸を受ける移動通信事業者等のサービスによる市場への影響を注視してまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そのような競争が起こらないように注視をしていただいて、チェックを進めていただきたいと思います。

 この光卸に関してお願い事が実は二つありまして、一つは、先ほどのような、光回線が届いていない地域にケーブルテレビとNTT光がコラボレーションして届けるといった場合に、途中まではNTT光の回線ですね、その先はケーブルテレビの回線ですね、こういうふうに、素人考えでは何となく接続できそうな気がするわけでありますけれども、ここは恐らく技術が少し必要なんだと思うんです。こういったことの技術開発もしっかり支援をしていただいて、本来趣旨に沿うようなサービスが提供できるような環境整備をぜひ進めていただきたいと思います。

 もう一つは、ケーブルテレビの各社で共同で、マイナンバーのカードを差し込めるようなセットトップボックスというのを今開発中だというふうに伺っております。

 これは大変重要なお話だと思っておりまして、これから在宅であったりとか地域包括ケア、もしくはさまざまな健康サービスというのを家庭でお届けするというふうになったときに、個人認証をしっかりしながら情報提供したり、個人のデータをとったりということができるというものの大変重要なインフラになると考えております。

 そういった意味では、このセットトップボックスの開発に関しても予算をつけていただいているというふうに確認をしておりますが、ぜひそれを推進していただきたいと思いますし、このセットトップボックス以外にもさまざまなやり方があるんだと思います。これからスマートテレビというものが出てくれば、テレビに直接差し込むことも考えられるでしょうし、もしかしたら、リモコンに直接差し込んでお使いをいただく、こういうことも考えられるんだというふうに思っております。

 そういった意味では、日本国民全員が非常に使いやすく、そして自分の情報にアクセスをすることができる、もしくは自分の情報を必要なところに提供することができる、こういう環境整備にもお努めをいただきたいというふうに思います。

 それでは、次は、禁止行為規制の緩和についてお伺いをしたいというふうに思います。

 今後、IoTの時代がやってくるというふうに言われています。当分前からもう既にやってきているというふうに思っておりますが、さまざまな端末に通信がつながっていって、人と物、そして物と物がつながる時代がやってくるということで、今、さまざまな事業者との連携が想定をされています。

 この禁止行為規制の対象については最小限にとどめて、通信会社とあらゆる企業が連携できる環境を残していくことが、やはりこれから多くのイノベーションを生み出す設計になるのではないかというふうに考えています。

 禁止行為の対象として、グループ内の事業者への優遇に限定するというふうにあります。つまりは、グループ内の事業者は余り優遇してはいけませんよということで規制がかかっているわけでありますけれども、今後、通信事業者がさまざまな事業者をMアンドAをする、事業統合をする、こういうことも十分に考え得るんだと思います。

 この規制に当たって、こういう事業統合も一応考えながら、そういったところが余り規制対象にならないように、イノベーションを促進するような体制にしていくべき、運用していくべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のありましたように、移動通信市場では、電気通信事業者と、それから例えば警備業界だとか医療機器業界というようなところ等、さまざまなそういう異種の企業との連携によりまして、多様な新サービス、新事業の創出が期待されております。

 こういうことで、今回の改正では、公正競争を確保しつつ、一方で、このようなさまざまな業種との機動的な連携を可能にする、イノベーションを促進するためということで、禁止行為の対象をグループ内の電気通信事業者への不当な優先的取り扱いだけに限定するというようなことで、禁止行為規制を緩和することにしております。

 お尋ねの件なんですけれども、グループ内の電気通信事業者であっても、その事業内容によっては、公正競争への影響が少ない場合も考えられます。例えば、異業種の企業と共同出資して新事業だとか新サービスを創出するために設立した会社については、公正競争上問題がないというような場合も考えられるわけでありますので、全てのグループ会社ではなくて、法律において、親会社、子会社それから兄弟会社等のうち総務大臣が指定するものに限定するというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、イノベーションが生み出されやすい運用をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、最後に、大臣への御質問であります。

 今回のこの電気通信事業法の改正というのは、イノベーションや新たなサービスの創造に寄与するものというふうに考えております。この法律施行後三年経過後に施行状況について検討を行うということが書かれているわけでありますけれども、今後のこういうルール改正に当たって、ぜひこの観点で検討をいただきたいというお願いがあります。

 というのは、これまでは国内の事業者のシェアを見ながら規制をどうするかというのを考えてきたわけであります。それによって、確かにこの国内にはさまざま事業者が参入をし、そして料金が低廉化をし、いろいろなサービスが提供されるようになってきました。これによって私たちの生活は大変豊かになったというふうに思っておりますが、一方で、国際社会の中での競争力はどうだったかというのも考えるべきであるというふうに思います。日本の通信事業者が世界に出ていって今活躍できている状況かどうか、これを考えると、この規制のルールの考え方というのをそろそろ改めなければいけないのではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、経済再生本部長も務められた経済通の高市総務大臣でございますので御理解をいただけると思いますけれども、今後は、国内におけるシェアのみではなくて、消費者の皆さんにとっての利便性確保であったり、国際競争力の向上、確保の観点から考えていくべきではないかというふうに考えておりますが、大臣のお考え方はいかがでしょうか。

高市国務大臣 今御審議いただいております法案に際しましては、情報通信審議会におきまして、二〇二〇年代に向けて我が国の世界最高水準のICT基盤をさらに普及発展させるために、まずは公正競争を徹底するということに加えて、新事業、新サービスの創出などのイノベーションを促進すること、利用者便益の最大化を目指すことなど、幅広い観点から御議論をいただきました。

 今回の法改正を通じまして、世界最先端の光ファイバーやモバイルの基盤の利用をまず促進すること、それから、多様なサービスを生み出す環境を整備するということによって、委員がおっしゃった、消費者にとってより便利な環境もできますし、世界にも誇れる新たなサービスを開発していける、こういったことを期待しております。その結果、今も取り組んでおりますが、日本の情報通信インフラ、国際社会に向けて堂々とインフラ輸出の対象として展開をしてまいりたいと思っております。

 非常に技術革新や変化が激しい分野でございますから、制度の不断の見直しというのは必要だと思います。今後の検討に当たりましては、今の小林委員の御指摘の観点も十分に踏まえながら、対応をしてまいりたいと思っております。

小林(史)委員 大臣の心強い御発言、ありがとうございます。

 これからこの日本が稼いでいくということをしっかり考えていかなきゃいけないんだというふうに思っております。冒頭申し上げたように、やはり日本の地域のさまざまな業種の生産性をいかに上げていくかということと、もう一つは、地方創生の観点で、魅力をいかに発信していくかということも大変重要になってまいります。そういった意味では、この情報通信のインフラをしっかり整えて、もう既にある状況でありますから、いかに利活用していただくか、これがやはりポイントであります。

 そしてもう一つは、光コラボでまたさらなる発展をしていただきたいのはやはりケーブルテレビ事業者、この方々にも頑張っていただきたいと思っておりまして、地域のコンテンツ、これをしっかり掘り起こして発信をするという仕事を今やっていただいていると思っています。これがさらに普及をしていけば、日本じゅうに地域のコンテンツを発信する、もしくはこれから世界じゅうにコンテンツを発信する、こういう能力も出てくるんだろうというふうに思っておりますので、ぜひ、日本の発展のために、この情報通信政策を前向きに進めていただけることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問させていただきたいと思います。

 それで、ちょっと通告の順番を変えまして、一番最初に、電気通信事業と個人情報保護の関係についてということで、ガイドラインにおけるGPSの位置情報、ここからお尋ねをしていきたいというふうに思っております。

 これは、今回の法改正とは直接の関係はありませんけれども、総務省におかれましては、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの見直しを今検討している、このように承知をしておりますが、このガイドラインについて、電気通信事業の公共性、それから高度情報通信社会の進展に伴う個人情報の利用が大変拡大していくということに鑑みて、利用者の権利の保護を目的としたものである、このように認識をしております。

 それで、一方で、この位置情報に関するガイドライン、これは第二十六条三項となっていますけれども、ちょっと読みますと、「電気通信事業者は、」「捜査機関からの要請により位置情報の取得を求められた場合において、当該位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるときであって、裁判官の発付した令状に従うときに限り、当該位置情報を取得するもの」、こう規定している。

 要するに、わかりやすく言うと、携帯電話のGPS機能をさまざま捜査に活用していく、これについての規定はあるということなんですけれども、このガイドラインの改正について、ICTサービス安心・安全研究会の個人情報・利用者情報等の取扱いに関するワーキンググループにおいて議論をされている、このように認識をしております。

 その案では、犯罪捜査において、GPS位置情報が取得されていることを被疑者等に知られてしまい、実効性のある捜査が困難となり、捜査において活用することができないため、本ガイドラインの「当該位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるとき」、こういう要件を削除することが適当である、そういった考えがこの中で示されてきている。

 私は、捜査ということにできる限り携帯のGPS情報を使うということは、今のこの複雑そして非常に悪質化しているいろいろな犯罪の捜査について有効であるということは十分認識していますけれども、もう一方で、利用者のプライバシーの侵害という観点ではどうなのかと。ここはやはり、より慎重になって検討していくことが必要じゃないか、そのようにも思っておるんですけれども、言ってみたら、捜査のためとはいえ、利用者が、本人が知らないまま位置情報が取得されているということをそのまま許容していいのかどうかという考えがあると思うんです。

 そもそも、このような捜査手法については、これは本来だと刑事訴訟法の改正によって行うべきじゃないか、このようにも思うんですけれども、まず、この点について御見解を伺っておきたいと思います。

高市国務大臣 御指摘のガイドラインでございますけれども、これは、電気通信事業者に対して、通信の秘密や個人情報の適正な取り扱いに関して遵守すべき基本事項を定めたものでございます。

 携帯電話端末のGPS位置情報の捜査での利用に関しては、現行の刑事訴訟法上可能であるという刑事訴訟法の関係省庁における検討を踏まえまして、捜査機関から要請のあった場合の電気通信事業者側における対応を明確化するものとして、平成二十三年にガイドラインに規定を盛り込みました。

 しかし、裁判官の発付した令状に加えまして、このガイドラインの規定にあります「位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるとき」という要件によりまして、捜査での実効性確保に支障が生じているということで、この見直しの検討が閣議決定をされております。

 一昨年の十二月十日、犯罪対策閣僚会議の決定なんですけれども、振り込め詐欺等の被疑者の所在地等の特定のため、携帯電話端末のGPS位置情報の取得について、関係ガイドラインの見直しを含め、捜査の実効性が確保されるような仕組みの構築に向けて検討するというのが閣議決定の内容です。

 このため、総務省におきまして研究会を開催しまして、改めて検討を行いました結果、今回のガイドライン改正案において、携帯電話端末のGPS位置情報の捜査での利用に関する規定の改正も盛り込むことにしました。

 このガイドラインの改正案については、現在、パブリックコメント手続を実施しております。ちなみに、四月十八日から五月二十二日まで期間をとっておりますので、このパブリックコメントの結果も十分に踏まえた上で、ガイドラインの改正を実施したいと思っております。

 総務省としましては、捜査の適正性というものについては、刑事訴訟法に基づく令状の取得などの手続において担保されると考えておりますので、刑事訴訟法の解釈、運用に関しては、刑事訴訟法の関係省庁において適切に行っていただけるものと思っております。

稲津委員 そこで、きょうは法務省からも同席いただいておりまして、この件について法務省の立場からも答弁いただければと思います。

上冨政府参考人 御指摘のガイドラインは、捜査機関が令状によって位置情報を電気通信事業者から取得することが現行の刑事訴訟法上も可能であるということを前提とした上で、電気通信事業者を所管される総務省において、同事業者が捜査機関から位置情報の取得を求められた場合における対応について定めた指針であると承知しております。

 刑事訴訟法は捜査機関の権限などを定めるものでありますが、御指摘のガイドラインの規定は、その文言を拝見しますと、みずから個人情報を取得することがガイドラインによって制限されている電気通信事業者が、例外的に位置情報を取得する場合について定めているものと承知しておりまして、こういう内容のガイドラインの改正につきましては総務省の御判断により行われるものと考えており、刑事訴訟法を改正する必要性はないものと考えております。

稲津委員 刑事訴訟法自体を改正する必要はない、ガイドラインの見直しで十分対応いただける、こういう見解だというふうに理解をしました。

 私は、先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますが、このテーマというのは、捜査とプライバシーをどういうふうにきちんと見ていくかというところが一番大事な問題かなと思っていまして、結果として、GPS情報を取得することを本人に知らせないということは、なかなかここは難しいんだろうなという認識に立っています。例えば、事後にちゃんと本人通知するとか、あるいは、そうした期間を、いつからいつまで情報を入手するかとか、制限を検討するとかいうことも考えてもいいと思うんです。

 それともう一点、非常にこれは厄介なことに、今、国内のシェアでスマートフォンでいうと六割に達しているアイフォンについては、GPS情報はアメリカのアップル社が管理していて、携帯電話の会社にはないわけなんですね。ですから、ここのところも整理しないと、結果として、では、例えば詐欺グループがあったとして、ここが捜査されにくいアイフォンの方に流れていくとか、そういうこともあると思うんです。

 ですから、これは十分検討していただいて、私はこのことを否定しているわけじゃなくて、もう少ししっかりとした検討が必要じゃないだろうかな、このことをぜひ、私の意見も付していただきたいな、このように思っております。

 それで、次に移りますけれども、今度は本題の方に入らせていただきます。

 先ほど御質問なされた方と一部重複するところがあるんですけれども、確認、整理をする意味で、順次お伺いさせていただきたいと思います。

 まず一番最初は、光回線の卸売サービスについてということで、先ほども御質問がありました。まず一つは、事後届け出による公平性、適正性、透明性の確保についてということをお伺いしたいと思います。

 この二月から開始されたNTT東西の光回線の卸売サービスですけれども、関連法が整備されていないということが本格展開のネックになっていた、このように認識をしております。

 今回の改正で、事後届け出制の導入と届け出内容を総務大臣が整理、公表する制度の整備によって、公平性、適正性、透明性、これが確保されるものだとしておりますけれども、それでは、総務大臣に届け出なければならない事項とは具体的にどういう事項なのかということ、それから、これを総務大臣が整理、公表することによって公平性、適正性、透明性が確保されるということは具体的にどういう意味なのかということについて、お伺いしておきたいと思います。

西銘副大臣 二点、質問がございました。

 まず、NTT東西の光回線の卸売サービスについてでありますけれども、教育の分野、医療の分野、セキュリティーの分野など多様な業種の企業との連携を通じて、新しいサービスの創出や光回線の利用率の向上が期待できます。一方で、NTT東西が有する設備を用いて提供されるものであることから、公平性、適正性、透明性を確保することが必要であると考えております。

 このため、今回の改正では、公平性、適正性を確保する観点から、卸売サービスについて事後届け出制を導入し、サービスの提供後、速やかに卸売料金や提供条件の公平性や適正性をチェックし、問題があれば是正措置を迅速に発動できるようにしております。

 お尋ねの総務大臣への届け出事項につきましては、公正競争への影響が大きい一定規模以上の回線数の契約を行う事業者等への卸売料金や提供条件等を届け出させることを想定しております。契約数が五十万回線以上である事業者等を想定しております。

 また、透明性を確保するため、届け出内容につきましては、公平性や適正性が確保されているかを総務大臣が整理した上で公表することとしております。

 これらの制度整備によりまして、公平性、適正性、透明性が十分に担保できると考えております。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 それで、次は、今のことを少し逆な角度からお伺いしておきたいと思うんです。それは、事前認可、事前届け出、第三者機関による検証とか監視の必要性がないかどうかということなんです。

 これは、情報通信審議会の答申では、光回線と移動通信サービスとのセット割引について、先ほども話がありましたけれども、過度のキャッシュバック等によって料金の適正性が実質的に損なわれて、競争がゆがめられるおそれ、それから、移動通信市場における禁止行為規制の適用事業者、NTTドコモになりますけれども、これが、光回線サービスとみずからの移動通信サービスのセット割引を正当な理由なく排他的に組み合わせて提供することは、自己の関係事業者のサービスを排他的に組み合わせた割引サービスの提供と、なかなか難しい言葉ですけれども、実質的に同様の行為であると考えられる、この答申ではこういう懸念が示されてあるわけですね。

 今回の改正でこのような懸念を解消することができるのかということなんです。事後の届け出じゃなくて、事前認可あるいは事前の届け出、それから第三者機関による監視、検証、こういった必要性がないのかどうか、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

西銘副大臣 今回のNTT東西の光回線の卸売サービスにつきましては、今回導入する事後の届け出制に基づき、総務大臣が届け出内容を速やかにチェックすることで、提供条件の公平性、適正性は担保できると考えております。

 ビジネスの現場では、相手方のニーズに応じて機動的なサービス提供が必要となることに鑑みますと、サービスの提供前、契約の前にチェックを行う事前認可や、事前の届け出をする必要はないと考えております。

 また、届け出の内容の整理、公表の際には、必要に応じ、競争事業者から意見聴取を行った上で、第三者に当たる審議会に報告することを予定しております。この手続によりまして、御指摘の第三者による検証が行われることになるものと考えております。

 以上です。

稲津委員 次の質問に移りたいと思いますけれども、次は、携帯電話網の接続ルールの充実ということについてお伺いしておきたいと思います。

 御案内のとおり、携帯電話の市場は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの三グループがほぼ大宗を占めているということで、ある意味、これが携帯電話料金の高どまりにもつながってきているんじゃないだろうかということも一部指摘されています。

 このモバイル市場に競争をもたらすためには、MVNOによる新規参入が一番現実的だ、私はこういうふうに思っていまして、国民個人の携帯電話料金軽減につながっていくということだけではなくて、電波関連産業の新事業創出ですとか設備投資の増加、こういったいわゆる経済の再生にもなってくるだろう、このようにも思っております。

 近年、インターネットプロバイダーや家電量販店などによって、いわゆる格安スマホということで、このサービスが広がっていますけれども、昨年の九月時点におけるシェアは実際は五・一%ということで、それほどまだ伸びていないんですね。

 今回のこの法改正による移動通信ネットワークのアンバンドルの促進と適正な接続料の算定がなされることによって、MVNOの一層の普及が期待される、このようにも思っております。

 一方で、課題がまだ幾つか残っておりまして、端末をほかの携帯会社では使えないように制限するいわゆるSIMロック、それから、契約を二年単位にして解約しにくくするいわゆる二年縛りの問題。

 SIMロックの解除については、これは五月から義務化する、このように認識しておりますけれども、これらの二つの課題について、けさ一部マスコミ報道にもありましたけれども、その改正等について見解をお伺いしておきたいと思います。

高市国務大臣 今、稲津委員がおっしゃったとおり、MVNOは、モバイル分野の料金低廉化ですとか、それからまたM2M等のサービス多様化のために重要なプレーヤーであります。そしてまた、シェアが、これは昨年十二月末現在で、残念ながら五・八%にとどまっているというのも事実でございます。

 今御指摘をいただきました二年縛りの問題でございますけれども、昨日開催しました総務省の有識者による研究会において、この課題を集中的に検討するタスクフォースを新たに設置するということを決めたところですので、各方面からの御意見も十分踏まえながら、早急に検討を進めてまいります。

 それから、SIMロック解除についての御質問ですが、昨年十二月にSIMロック解除に関するガイドラインを改正しまして、事業者が正当な理由なくガイドラインに沿ってSIMロックの解除に応じない場合は、業務改善命令の対象になり得るということを明示しました。

 本年五月一日以降新たに発売される端末につきましては、利用者の要望に応じて、このガイドラインに沿ってSIMロックの解除が行われます。

 総務省は、今後、SIMロック解除が円滑に進みますように、携帯電話事業者や端末メーカーなどの関係者に働きかけてまいります。

稲津委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、SIMロック解除については、高い手数料ということで、今回はこれで実効性が非常に高まってくるという期待をしております。

 それから、二年縛りのお話もありましたが、これは新規契約後の二年間ならまだしも、毎回、二年ごとに自動更新されて、そこで解約料が発生するということは、利用者にとっては大きな負担になりますので、今回のその改正についてぜひ期待をしていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

桝屋委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうも、電気通信事業法に関連する法案の質疑をさせていただくということでございます、機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 質問をさせていただくに当たりまして、冒頭で一つお話をしたいことがあります。

 新聞報道によるわけでありますけれども、自民党の情報通信戦略調査会は、四月の十七日、番組内容に問題があったということで、テレビ朝日とNHKの幹部から事情聴取を行ったということであります。

 許認可や行政指導の権限を持つ政府と一体である政権与党が、個別の番組の内容についてテレビ局幹部から直接事情を聴取するということは、テレビ局に対する圧力ともとられかねない行為であり、仮に政権与党がBPO、放送倫理・番組向上機構に対して申し立てをするようなことになれば、報道の自由及び言論の自由が侵されるのではないかという強い懸念を表明したいと思います。

 また、自民党の同調査会は、BPOに政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めたとも報道されているわけでありますが、報道への政府による直接的な介入なのではないかという強い懸念を表明したいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、今回の法改正で、国民生活はどうよくなり、経済がどう活性化されていくのか、お伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 ICTは、あらゆる産業の基盤として、新サービス、新事業の創出をもたらして、経済を活性化するとともに、国民に不可欠な社会活動の基盤として、国民生活の向上や社会的な課題の解決に大きく貢献するということが期待されております。

 今回の改正では、事業者間の活発な競争を促すことによりまして、光回線や携帯電話網を利活用したイノベーションですとか多彩なサービスを創出すること、それから、電気通信サービス、有料放送サービスの利用者、受信者の保護の充実、訪日観光客等が我が国に持ち込まれる携帯電話などの利用の円滑化などによって、便利に安心してICTを利用できる環境を整備することとしております。

 これによりまして、二〇二〇年代に向けて、我が国の世界最高水準のICT基盤をさらに普及発展させて、経済活性化と国民生活の向上を実現していきたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それで、法改正の意義について、利用者の利便性を上げていく、消費者の立場を守っていくということなんですが、ただ、私は、この法改正で、ある種不十分なところがあるのではないか、まだ十分に担保されていないところ、あるいは詳細に決められていないところがあり、担保が不十分ではないかというところがあるんだと思います。そういう意味で、関連して幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 それは、電気通信・有料放送サービスの利用者保護、今大臣もおっしゃったことなんですけれども、電気通信・有料放送サービスの利用者保護について、現在のところは、電気通信事業法施行規則により、事業者と代理店は、提供する商品、サービスの説明をする際に、パンフレットなどの書面を用いて説明することが義務づけられているということであります。ところが、実際に行われている説明は非常に画一的ではないか、事業者に有利なサービスについてのみ説明がなされて契約の判断が強いられている側面があるのではないか。

 例えば、具体例を挙げますと、携帯電話などの契約、期間拘束のある契約プランと期間拘束のないプランがある場合に、期間拘束のあるプランばかりが十二分に説明され、期間拘束のないプランについてはほとんど説明されないといったケースがよくある、こういうふうに言われております。特に、高齢者、未成年、障害者等に対して、公正に判断できるような適切な説明がなされていないという苦情や相談が国民生活センター等に寄せられているということであります。

 消費者基本計画には、高齢者や若年者などの特性に応じた勧誘を行わなければならないとする、いわゆる適合性の原則というのが掲げられているわけでありますが、ICTサービス安心・安全研究会の報告書でも、「適合性の原則を踏まえた説明を行わなければならないことを制度化することが適当」という提言がなされているわけであります。

 そういう提言がなされている中であるわけでありますけれども、今回の法改正で、適合性の原則が反映されなかったのはどうしてなのかということをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 近藤委員の御指摘のとおり、私も、利用者がみずからに適したサービスを選択できるようにするためには、やはり、サービスの提供条件について、御高齢の方やそれから若年者など、特性に応じて説明を行う適合性原則を踏まえた説明が重要だと考えております。

 現行の電気通信事業法第二十六条におきまして、電気通信事業者及び代理店には、利用者に対する提供条件の説明義務が課されておりまして、この提供条件の説明の具体的な内容や方策等は、総務省令で定めるということになっております。

 ですから、適合性原則を踏まえた説明は、今回の法改正には含まれておりませんが、この総務省令を改正しまして、電気通信事業者に対して、適合性の原則を踏まえた説明を行うべきという旨の規定を整備する予定としております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしたものが総務省令で規定をされているということではあるわけでありますが、ただ、先ほど申し上げましたように、いろいろと課題が起きているということ、そして、提言がなされているということで、冒頭申し上げましたように、そうした消費者、利用者の便に供するということで申し上げますと、今回法改正をするわけでありますから、その法の中に書き込まれていくべきではないかというふうに思うわけであります。総務省令ではなくて、きちっと法令に書き込まれていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。

 そういう意味で、適合性の原則を踏まえた説明の義務化、これを法律に書き込んで義務化する、こういうおつもりはないのか、お伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 先ほど申し上げました電気通信事業法第二十六条ですけれども、やはり、「総務省令で定めるところにより、当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件の概要について、その者に説明しなければならない。」となっております。

 今後、近藤委員の御意見も踏まえて、改正を予定する省令でございますけれども、サービスの提供を受けようとする者の知識ですとか経験ですとか契約目的などを踏まえた説明をしっかりしていただけるように盛り込んでまいります。

近藤(昭)委員 今大臣もおっしゃっていただいたように、そうしたことをきちっと説明していくということである、それをより具体的に省令の中に書き込んでいくということであるわけで、ただ、私が申し上げましたように、こうした法改正がある、こういうときにしっかりと法律に書き込んでいく、このことが重要だということを改めて申し上げたいというふうに思います。

 それでは、書面交付ということであります。

 今大臣もいろいろとおっしゃっていただいた、利用者の便に供するためにいろいろとより細かく施行令の中に書いていくということなんですけれども、現行法では、電気通信事業者等が勧誘や契約に際して書面を用いて説明することを義務づけているということであります。そして、契約が成立した際に、その契約内容に関する書面を交付することは義務づけられていないということであります。そういう中で、利用者が後日契約内容を確認することができない、こういう苦情も寄せられているようであります。

 そこで、それを受けて、本改正案では、事業者に対して主要なサービスについて契約内容の書面交付を義務づけているということであります。今回の法改正で、そうした苦情に対しての、受けとめて法改正をしたということなんですが、事業者に書面交付を義務づけるというのはよいといたしましても、書面交付をどのように担保していくのか、また、書面交付を義務づけることで、これまで利用者から上げられているさまざまな問題が解決するのでありましょうか、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 まず書面交付、この実効性をどのように担保していくかということでございますけれども、今回の改正では、電気通信事業者に対しまして、契約が成立したときには、遅滞なく利用者への書面の交付を義務づけるということにしております。

 書面交付の実効性担保は重要でございますので、書面の交付義務に違反した事業者には、まずは報告徴収を行い、違反が確認された場合には、行政指導により改善を促した上で、それでもなお改善が見られない場合には、業務改善命令による是正や電気通信事業者に対し直接罰則を科すことも可能としております。ちなみに、業務改善命令違反には二百万円以下の罰金、電気通信事業者が故意に違反した場合には三十万円以下の罰金ということで、これらの措置によって、書面交付の実効性を担保し、利用者の安心を確保したいと思います。

 これで果たしてさまざまな問題が解決するのかという御指摘でございますけれども、これは、さまざまな指摘があります。契約締結後にみずからの契約内容を容易に確認できなくて、どのようなサービスを契約しているのかわからないとか、無料で利用できるキャンペーン期間がわからないとか、こういった御指摘がありますので、今回は、書面の交付を電気通信事業者に義務づけることにしまして、総務省令において、その書面の記載事項として、個別に契約しているサービスの種類や内容、それから利用料金やキャンペーン期間、違約金の有無など料金に関連する事項を規定するということを予定いたしております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうしたことを今回の法改正によって段階を追って厳しく義務づけていく、そして、最終的に、最終的にと申しましょうか、罰則も科すということであるわけであります。ぜひ、今回の法改正によってそうしたことがきちっと担保されていくようにしていただきたいということであります。

 ところで、今お話をいただいたことにも少し関連するわけでありますが、書面の交付についてですけれども、利用者の承諾を得て電子媒体を利用する、これが可能になっておるということでありますが、具体的にはどのように意思確認をすることを予想しておられるのか。この電子媒体による意思確認でありますが、いかがでありましょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案では、契約成立後、遅滞なく、電気通信事業者が利用者に対して契約締結書面を交付することとしておりまして、この場合、物理的な媒体であります紙による提供を原則としておりますが、利用者の承諾があったときには、電子媒体による提供も可能としております。

 お尋ねの利用者の承諾を得る方法等については、電気通信事業者と利用者との間のトラブルを防止するため、今後、政令におきまして、一つは、電気通信事業者はあらかじめ提供を行う電気通信媒体の種類を明らかにした上で、例えばインターネットによる閲覧だとかあるいは磁気ディスクとかございますが、それを明らかにした上で、電子媒体による提供を受けることにつきまして利用者から書面または電子媒体による承諾を得ることを規定することを想定しております。これによりまして、利用者がみずからに適した媒体で個別の契約内容を確認できるようにしていきたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 御説明ありがとうございます。

 そうした意思確認をしっかりする、こういうことであるわけでありますが、なかなか書面の文章が長かったり、長いというか、必要なことはもちろん書かなくてはならないわけでありますが、ポイントといいますか、重要な部分が簡潔にきっちりと意思確認ができる、ぜひ、こういう方法をしっかりと構築していっていただきたい、そういうことを改めてお願いしたいというふうに思います。

 さて、今回の改正で、初期契約解除ルール、これについては何人かの方も御質問なさっているわけでありますけれども、私の方からも確認をさせていただきたいと思います。

 訪問販売や電話勧誘販売について、特定商取引法はクーリングオフの制度を認めている、一定期間、無条件で契約を解除することができるようになっておるわけであります。

 ところが、同じ訪問販売や電話勧誘による電気通信サービスの提供については、これまで特定商取引法が適用除外とされてきたということであります。その結果、よく知らないプロバイダーと契約してしまったり、あるいは必要のないブロードバンドを入れてしまったりといった苦情や相談、これもやはり国民生活センター等に寄せられているということであります。

 そこで、本改正案においては初期契約解除制度が導入されたということだと拝察しておるわけでありますが、幾つか関連してお伺いをしたいと思います。

 本改正案では、契約締結書面受領後から八日間は相手方の合意なく契約解除ができるようになっているということでありますが、なぜ八日間なのかということであります。

 特定商取引法を見た場合、マルチ商法では二十日間、業務提供誘引販売取引については、資格講座やモニター契約等でありますが、二十日間の初期契約解除期間が設けられている。それに比べると短い期間に設定されているわけであります。

 ICTサービスの場合、必ずしも具体的な商品が手元に届くわけではなく、利用しない人は契約したこと自体に時には気づかないこともある、こういう可能性もあると思われるわけであります。

 それを考えると、やはり初期契約解除期間が八日間というのは短いのではないかというふうにも考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 この初期契約解除期間について契約書面受領後等八日間としているのは、サービスの利用できるエリア等を利用前に確実に知ることが困難ですとか、料金などが複雑で理解が困難といった電気通信サービスの特性を踏まえて、利用者が、サービス品質を実感するとともに、契約内容を熟慮するために必要な期間を設けるためでございます。

 今委員がおっしゃったように、初期契約解除期間をさらに長期化するということは、利用者保護に資する面はあるんですけれども、他方、八日間ありましたら、平日は時間がとれない方も、土日が含まれますから、解除権の行使を熟慮する時間が確保できると考えておりますこと、それからもう一つは、初期契約解除期間の長期間化というのは、電気通信事業者の安定的な事業運営が損なわれるおそれがあるということから、八日間とすることが適当と考えております。

 なお、特定商取引法でも、一般的には、訪問販売、電話勧誘販売等においては八日間とされており、マルチ取引等では、例外的に、その取引形態の特殊性を踏まえて二十日間とされております。今回のケースでは、八日間が短過ぎるとは言えないと考えております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 今御説明いただいたように、八日間、いわゆる一つのタームである一週間を超えた中で時間が十分にあるのではないか、そういう中で確保した、また、マルチなどが例外だというお話があったわけであります。

 ただ、非常に高齢化社会の中で、高齢者の方に対して失礼な言い方になるかもしれませんが、やはり高齢者の方、あるいはさまざまな条件が、個人、あるいはその個人を取り巻く環境の中であるんだと思います。そういう意味では、やはり八日間はいささか、もう少し長く、ではいつまでだというのもあるわけでありますが、もう少しあってもいいのではないかなと思うわけでありますが、再度、お聞かせをいただきたいと思います。

高市国務大臣 恐縮ですが、八日間といたしました理由について、ただいま答弁申し上げたとおりでございます。

近藤(昭)委員 そういう中で、いろいろと実態として動いていく中で、またぜひいろいろと課題を受けとめていただければと思います。

 それで、同じく、今回の法改正案では、初期契約解除について、利用者、受信者は、契約締結書面受領後等から八日間と記載されておるわけでありますが、この書面受領後等の等は何を想定しておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案では、初期契約解除期間の起算日につきましては二つありまして、一つが、料金等が複雑で理解が困難なサービスにつきましては、その解除権行使の判断に際しまして、契約内容を熟慮することが必要であるということで、それが可能となりますのは契約締結書面の受領日ということで、それを起算日というふうに規定しております。

 また、サービスの利用できるエリア等を利用前に確実に知ることが困難なサービスにつきましては、自宅に携帯電話端末等を持ち帰って実際に利用できるかどうかを確認することが必要でございます。このことが可能になるように、サービスの提供が開始された日もあわせて起算日というふうに規定しております。

 したがって、お尋ねの書面受領後等と言う等は、サービスの提供開始後というものを意味するものでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。確認させていただきました。

 そして、初期契約解除の対象となるサービス、今もサービスの提供が始まったということも言及されておったわけでありますが、今度は、初期契約解除の対象となるサービスは具体的にどのようなものになるのか、お伺いをしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 初期契約解除制度の具体的な対象サービスは、電波を用いて移動して利用されるために、サービスの利用できるエリア等を利用前に確実に知ることが困難であるものや、また、キャッシュバックや料金無料期間の設定によりまして、料金等が複雑で契約時に理解が困難といったサービスの特性や、それから、苦情、相談の解決に向けました事業者の取り組み状況等を勘案して、利用者それから受信者の利益を特に保護する必要があるものを総務大臣が指定することにしております。

 具体的には、事業者を変更すれば料金が安くなると言われたが、実際には安くならなかったというような、悪質な苦情が寄せられております。電話勧誘販売におきますインターネット接続サービス、それから店頭販売におきます光回線サービスなどが想定されますが、今後、指定に当たりましては、審議会への諮問だとかあるいはパブリックコメントを実施するというようなことで、透明なプロセスを通じて、これは十分に検討してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。今、例も挙げていただきながら御説明をしていただきました。

 ただ、今後審議をしていくということでございますので、これからということでございます。そういう意味では、このサービスの範囲が本当に利用者にとってプラスになるということで、くれぐれも恣意的なものにならないように、しっかりと、審議会と、審議会というかパブリックコメントも含めてやっていただきたいというふうに思うわけであります。

 さらに、初期契約解除は、契約解除に伴う事業者からの損害賠償や違約金の請求を禁じ、契約解除までの期間に提供されたサービスの対価支払いについても制限するとしているわけでありますが、この対価支払いの対象はどのようなものになるのか、お伺いをしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の初期契約解除の制度は、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性のある販売形態だけではなくて、みずからの意思で来店してそれから契約を締結した利用者に対しても契約の解除を認めることにいたしております。

 また、電気通信サービスでは、サービス提供のために利用者宅まで回線を引き込む工事が必要な場合や、あるいは国際ローミングサービスなど、そのサービスの利用形態によっては多額の通信料が発生する場合がございまして、契約が解除された場合に、電気通信事業者側に多額の費用負担が発生している場合もございます。

 このようなことから、利用者が初期契約解除制度に基づく解除権を行使した場合に、利用者とそれから事業者との間の公平な費用負担を図ることが必要ということから、今回の制度では、電気通信事業者に対しましては、損害賠償だとか違約金の請求は認めないということの一方で、お尋ねのサービス提供の対価につきましては、総務省令におきまして、契約解除までの期間のサービスの利用料だとかあるいは実施済みの工事費に相当する額は請求できる旨を規定することを予定しているところでございます。

近藤(昭)委員 事業者の方も、今お答えにありましたように、実質的にそうした工事等々をしたものがあるということであります。ただ一方で、サービス、いわゆるソフト的なサービスでありますが、そうしたものを契約解除したわけであります。その間の、クーリングオフという期間になりますが、そういう意味では払わなくてもよいのではないか、こういう考え方もあるということであります。

 そういう意味では、この対価支払いの対象も、利用者の便に資するように、また、それが幅広いものになり、また恣意的なものにならないように、ぜひしっかりと御検討いただきたいというふうに思います。

 もう質問時間が終わりますので、最後に簡単に御質問させていただきたいのは、本改正案によって、訪日する外国人によるスマートフォンやWiFi機器の持ち込み規制が緩和されるということになります。

 現状でも、実態として、外国人観光客などが海外の端末を持ち込んで利用しているわけで、総務省は、これを違法の疑いがあるとしてきた経緯もあると承知しております。現状追認のほかに、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックで外国人観光客が大幅に増加することを考えれば、必要な措置ではあると考えます。

 そこで質問したいと思いますが、本改正案によって、海外端末が日本市場に一気に流入するおそれはないのでしょうか。この場合、技適マークのついた日本製機器とマークのない並行輸入版が混在するといった状況が生まれるわけでありますが、その影響と対策についてどのようにお考えでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を見据えまして、海外からの訪日観光客等が我が国に持ち込む携帯電話端末それからWiFi端末が、我が国の技術基準に相当する基準に適合する場合の条件を満たす場合に、我が国での利用を可能としているものでございます。

 具体的には、携帯端末につきましては、今申し上げた条件のほかに、我が国の携帯電話事業者の基地局によって制御されること、国際ローミングによる運用を行うことが携帯電話事業者から認められる外国の無線局の端末であること、それから、携帯事業者がみずからのSIMにより運用することについて規格ごとに総務大臣の許可を受けている場合に、我が国の携帯電話事業者のSIMを差し込むことによって利用を可能にするものでございます。

 そのため、これらの要件を満たさないような並行輸入品といいますか、それにつきましては、本改正により利用が可能となる対象にはなりませんので、この制度改正によりましてその流通が増加するものではないというふうに考えております。

 それから、もう一点の、WiFi端末につきましては、これは、我が国に入国する訪日観光客等が個別に持ち込んでみずから利用するものとしております。それから、滞在期間を九十日というふうに限っておりますので、このため、大量に輸入される並行輸入品は本改正により利用が可能になる対象とはなりませんで、この制度改正によりましてその流通が増加するものではないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

桝屋委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思います。

 きょうは、官房副長官もお見えいただいておりますので、先ほど近藤委員も取り上げました、先週金曜日、自民党の通信の委員会の方にテレビ局を呼んだ件、まず、これからちょっと伺いたいと思います。

 三月二十七日夜、テレビ朝日系列「報道ステーション」で古賀茂明氏が、菅官房長官を初め官邸の皆さんからバッシング、非難を受けてきたというようなことを言っております。三月三十日、官房長官からは、事実無根、また、放送法という法律があるので、テレビ局がどう対応するか、しばらく見守りたいという記者会見があったんですが、官房副長官も官邸の皆さんということで含まれると思いますが、こうした事実があったのかどうか、伺いたいと思います。

加藤内閣官房副長官 武正委員にお答えさせていただきます。

 こうしたというのは、あそこで古賀氏が発言されたという内容だと思いますが、長官がおっしゃっているように、全くそういう事実はないということでございます。

武正委員 ここで、官房長官が、放送法という法律があるので、テレビ局がどう対応するか、しばらく見守りたいと言ったことなんですが、この放送法という法律があるのでというのはどういう意味なんでしょうか。官房副長官として御見解を伺いたいと思います。

加藤内閣官房副長官 御承知のように、放送法という規定があって、放送事業者においては、それぞれ放送法の規定に従って放送番組を編集するということになっているわけでありまして、こうした放送法の規定に基づき、放送番組の編集を自主的な規律によって行われていくという、その認識を示されたものだ、こういうふうに思います。

武正委員 自民党あるいは政府・与党は、五年ごとの免許更新という総務大臣の権限をもとに免許の、停波ということも過去この十年、十五年言及されている、そういう経緯があるんですが、そういった意味での放送法という言及ではないということでよろしいでしょうか。

加藤内閣官房副長官 長官の認識は、先ほど私が申し上げたとおりだと思います。

武正委員 見守るという官房長官記者会見に対して、三月三十一日に早河テレビ朝日会長は謝罪をされ、会長、社長、報道局長に圧力めいたものは一切ないという見解で、触れております。また、NHKは、「クローズアップ現代」やらせ報道に調査委員会を設けまして、四月九日、中間報告を行っております。

 今おっしゃったように、官房長官の見解として副長官が述べたように、放送法は、放送の独立性、そしてそのための自律、これをまず第一条でうたっております。そしてその上で、表現の自由の確保、健全な民主主義の発達に資するとしているわけなんです。

 そうした中で、十七日に自民党情報通信戦略調査会では、見守ると言っていた官房長官の発言に対して、与党がこのタイミングでテレビ局二社を呼んだということは、圧力をかけているというふうに言われるんですが、官房副長官としてはどうお考えでしょうか。

加藤内閣官房副長官 自民党の情報通信戦略調査会において四月十七日にテレビ朝日等から事実関係の説明を受けたということは、承知をしております。

 党において行われたものであって、基本的に、政府としてお答えを控えるべきだというふうに思います。

武正委員 今、承知しているとおっしゃったんですが、政府・与党一体ということは総理初め歴代内閣総理大臣、皆さんよく国会でおっしゃるんですが、承知しているということは、事前に、この自民党の調査会に両局を呼ぶということは官邸あるいは官房長官、副長官の方に連絡、相談があったということでよろしいでしょうか。

加藤内閣官房副長官 先ほど申し上げたのは、そうしたことが行われたということを承知しているということで、事前にそうしたものはございません。

武正委員 与党の幹部の皆さんからも、報道への介入と受けとめられないよう自民党として説明責任を果たした方がいいという懸念が述べられておりますが、こうした与党幹部の発言についてはどうお感じでしょうか、副長官。

加藤内閣官房副長官 済みません。その与党幹部の発言、詳細に承知しておりませんし、また、与党の方の御発言でございますので、政府としてのコメントは控えたいと思います。

武正委員 与党の発言は、政府としてはコメントを控える方がいいんでしょうか。政府・与党一体と言っておられますし、具体的には公明党の井上幹事長の発言なんですけれども。

 ですから、この趣旨とすれば、報道への介入というふうに受けとめられないようという危惧を述べているわけなんですが、私もやはり、このタイミングで政府・与党、与党が両局を呼ぶというのはいかがなものかな、過去も呼んでいる経緯はありますが、ちょうどこのタイミングでというのは非常に懸念を覚えるんですが、改めて、副長官、コメントはいかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 自民党の情報通信戦略調査会にテレビ朝日等の関係者が来られて、事実関係の説明を受けたということに対して、先ほど申し上げました、あくまでも党で行われていることなので、政府としてはコメントは控えたいと思います。

武正委員 ちょっと理解できないんですが。なぜ政府の幹部が与党の幹部のコメントについて答えられないかということは、ちょっと理解できないんです。

 それでは、一般論として伺いたいと思いますが、放送法は、先ほど言いましたように、一条で、放送者の自律、独立、これをうたっているわけなんですね。ですから、やはり、政府あるいは政権与党、あるいは国会も含めて、放送事業者に対して、特に放送内容について、編集の自由というのがありますから、これについて圧力をかけたと思われるようなことは、先ほどコメントもあったように、報道への介入というふうに受けとめられるというふうに思うんですが、与党の幹部のコメントは別にして、そうした指摘、私が今申し上げた点については、官房副長官、御所見はいかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 どのことをどういうことでおっしゃっているか十分把握していないんですけれども、一般論ということでございますから、一般論として、放送法をしっかり遵守していくということに尽きると思います。

武正委員 そこで、放送法を所管する、また五年ごとのテレビ局の免許更新権限を持つ総務大臣は、今回、こうして古賀さんが官邸から圧力を受けたと降板のテレビ番組で述べ、そして、三月三十日に菅官房長官はそうしたことはないというふうに述べ、一方、テレビ局もそれぞれ、記者会見でそうしたことはないとテレビ朝日の会長が述べ、NHKは、自律的に調査委員会を設け、中間報告をやっている。

 こういった一連の、先ほど言った放送法一条に基づいての自律的な対応が進められている中で、自民党がこの調査会で両局を呼んだといったことは、先ほどの、報道への介入と受けとめられないようというような懸念、これがあるというふうに考えますが、総務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 本来でしたら、これは自民党政調会の情報通信戦略調査会で議題を設定されてなさったことですから、政府としてのコメントは差し控えると申し上げるべきなんだと思いますけれども、実は、この日の情報通信戦略調査会には総務省の局長も、場合によっては質問が出るかもということで呼ばれておりましたので、全く部外者というわけではございません。

 四月十七日のこの調査会において、テレビ朝日やNHKから事実関係について調査会の皆さんが説明を受けられたということは承知しています。

 ただ、この日の調査会の議題は「放送業界を取りまく状況等について」というもので、テレビ局側には任意で出席を求めたものであったということ、それから、放送の自律性を損なうようなものではなかったと受けとめております。これは出席をした職員からの報告に基づくものでございまして、私自身は調査会には出席をいたしておりません。

 仮に、もしその調査会の場で放送事業者の自律性をも損なうような、本当に表現の自由を損なうような発言が出席者からあったとしたら、それは堂々と、NHKも、それからそこにおられたテレビ朝日さんも、放送されればいいんですよ。きょう自民党の調査会でこんなに放送法の精神を損ねるような発言が出席者からあったということが仮にあれば、それは放送事業者は堂々と放送できるものだと思っております。

 私は、その日の会合については、うちの局長が呼ばれておりましたことから、恐らく、一連の出来事について、放送法上の運用はどうなっているんだというようなことを総務省が聞かれたり、また、テレビ朝日やNHKについては、現在調査中の事項について事実関係を淡々と説明されたりということなんだと理解をしておりました。

 私は、放送事業者の皆様には立派な矜持があると思っております。政党に呼ばれて何か説明をしたから、しかも任意ですから行っても行かなくてもいいわけです、でも、行って説明をしたからといって、何かそれによって報道の公正性また中立性を曲げるというような放送事業者というのはいないだろう。

 皆さんも、やはり真実に基づいて、政治的に公平に、真実を曲げない、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにするという放送法四条の精神に基づき、また、何人からも干渉され、また規律されることがないという放送法三条、この原則に従って、誇りを持って、自律的に放送番組は編集されるものだと思っております。

武正委員 総務大臣は、では、これは総務省も呼ばれていますから、事前に承知されていたと思うんですが、総務省とすれば、事前に、両局を呼ぼうと思うんだけれどもどうだろうというような連絡とか相談があったということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 総務省に相談はいただいておりません。

 自民党の政調会の中の調査会は、調査会長及び幹部が相談をされて、その日その日の議題、誰を呼ぶかを決めていかれますので、総務省はその日に来いということで呼ばれたということでございます。

武正委員 官房副長官、御用があるようですから、どうぞ御退席ください。ありがとうございました。

 今、総務大臣のお答えなんですが、任意でと。任意で呼んでいるんだよ、だから、来る、来ないは放送局が決めればいいよというお話なんですが、果たして、やはり政府・与党一体ですからね。五年ごとに免許の更新権限を持つ、テレビ局の免許権限は総務大臣が握っておられますから、やはり与党から来てくださいという話があれば、行きませんということはなかなかできないんじゃないかなと思います。

 また、堂々ときょうこんなことがあったよと述べなさい、述べればいいじゃないですかと。非公開ですよね。最近、民主党の総務会は公開でやっていますので、公開でやったらそれは全てオープンになりますけれども、非公開の中で、きょうこんなことがあったということを発言しなさいといっても、先ほど言ったように、なかなか、免許権限のある、テレビ局が果たしてどこまで言えるのかといったことがあろうかと思います。

 総務大臣は、四条、公平公正、あるいは多角的な面からの報道、それから三条、何人にも干渉されないと述べていますが、くどいようですが、私はさっきから、一条、独立、自律、これをやはり一条に持ってきた放送法の意味、これを何度となく申し上げているわけです。

 そこで、昨年十一月二十日、これもやはり何度となくこの総務委員会で取り上げていますが、在京テレビ局各社に自民党筆頭副幹事長、報道局長名で「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」が出されていますが、これも、先ほどのお話ですと、党は党ですというお話であれば、総務大臣あるいは総務省には事前には連絡、相談はあったのか、あるいは承知をしていたのか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、選挙のときに発出された文書については、私も報道で知りました。特にそういうことを打ち合わせをしてというわけではございません。

 ただ、その申し入れは、放送法の精神に基づく報道をぜひお願いしますといった、丁寧な依頼文でございました。特にそれによって何か圧力がかかるですとか、そういったものではないという感想を持ちました。これは報道によって知って、後で文書を取り寄せました。

 それから、放送の停波をするとか、総務大臣の権限についてでございますけれども、よもや、今回の例えばテレビ朝日さんの「報道ステーション」の報道ですとか、それからNHKの「クローズアップ現代」の話ですか、今回話題になっておりますことについてそのようなことを考えているわけではありません。

 また、与党と政府は、もちろん議院内閣制のもとですから、与党が多数をとって、そして内閣を組織していく、その中で、有権者の皆様に対して、国民の皆様に対して、一体となって責任を負っていく。そういう意味では、政府・与党一体ということはあるんでしょうけれども、与党も、政府に対して、やはり一緒に責任を負うからにはどんどん注文をつけてこられるわけですよ。そのために、やはり政調会の中でさまざまな勉強をされ、議論をしておられることと承知をいたしております。

 NHKに関しましては、自民党の会議にも出向かれましたし、また、民主党の部門会議にも出向かれましたし、どの党から、事実関係について説明を受けたい、また放送法の運用について何か問題があるんじゃないかどうか、こういった説明には、応じられるときには応じられることだと思います。

 特にNHKの場合は、国民の受信料だけではなくて、国際放送、特に要請放送などに関する交付金、これは国からお金が出ておりますし、民放さんが出られた場合もこれは任意でございます。その中で、説明をする機会として行かれたというふうに報道では承知をいたしておりますので、委員が懸念をされるような、総務大臣に与えられた権限をもって何か圧力をかける、こういったことは、まず私自身はあり得ないし、そのような御懸念の必要はないと考えております。

武正委員 政府・与党一体でありますし、議院内閣制で、内閣総理大臣が首班指名され、そして、総理大臣が与党の議員を中心に、民間の方もいますが、内閣を組閣される、そういった意味のこの議院内閣制における与党の持つ力、非常に大きなものがあるというふうに認識をしております。

 今回の調査会でも、調査会後の記者会見などブリーフでは、BPOに言及をされたり、先ほど近藤委員から話があったように、BPOへの申し立て検討、あるいはまた、テレビ局に対する停波の権限まであるんだ、法律に基づいてやらせていただく、こういうような発言、これも報道です、BPOにきちんと動いてほしいという思いがあるというようなことを与党の方が述べています。ですから、今総務大臣はそういうことはないと言っても、やはり懸念が強まったわけであります。

 また、昨年十一月二十四日放送の「報道ステーション」でのアベノミクスに関する報道に対しても、十一月二十六日付自民党報道局長名で、アベノミクスの効果が大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく断定する内容、番組の編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えないと指摘をし、これも文書で申し入れをしたと報じられておりまして、テレビ朝日広報部も文書受領の事実を認めているわけです。

 これもやはり事前に総務大臣、総務省に連絡、相談はあったのかと聞きたかったのですが、ないというふうに多分お答えになられると思いますし、報道で承知していたというふうにお答えになると思うんです。

 ただ、調査会社エム・データによると、在京六局の選挙期間中の選挙報道の放送時間は前回衆院選の同期間に比べ約四割減ったとされているんですね。

 総務大臣はやはり選挙所管の大臣でもありますし、私も、この間、過去最低の衆院選の投票率について取り上げて、期日前投票、これを盛んにしたいと総務大臣もお答えになっています。やはり投票率がどんどん下がっていくことには総務大臣も懸念を示していると思うんです。この選挙報道が四割減ったということに、在京テレビ局に対する与党のこうした文書が影響をもし与えているとすれば、やはりこれは見過ごすことはできないと思うんですね。

 報道がふえて、国民の皆さんが関心を持って、それによって投票率が上がる、選挙に関心を持つ主権者としての行使、投票という行使をしてもらう、これはやはり大変大事な選挙報道だと思うんですが、こうした点については、選挙を所管する総務大臣として、選挙報道が減っているといった点について、どうお考えでしょうか。

高市国務大臣 放送事業者におかれましては、放送法の規定に基づいて、放送番組の編集を自律的な、自主的な規律により行うということになっておりますから、その期間中に選挙を重点的に取り上げるか取り上げないか、これも放送事業者の自主的な御判断によるものだと思っております。

 投票率の低下につきましては、それは要因は一概には申し上げられません。例えば、テレビ報道の時間がどれぐらいあったかとか、新聞報道でどれぐらい紙面を割かれていたかとか、それによって有権者が投票に行く、行かないということをお決めになったのか、天候であったり、その地域で出ていらっしゃる候補者のまた顔ぶれや人数であったり、それから、それぞれの有権者の方が今回の選挙の争点だと感じておられる事柄や、さまざまな理由があると思いますから、一概には申し上げられないと思っております。

 また、昨年の総選挙のときに、公正公平な報道をしてほしいという依頼の文書は、これは与党からも野党からも出されております。

 しかしながら、私は、先ほども申し上げましたけれども、放送事業者の皆様には、やはり放送事業者としての矜持がある、プライドもあると思っております。基本的に放送法に基づいて、正々堂々と真実を報道され、政治的に公平に、意見が対立している問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにするということ、これらの基本に従ってしっかりと報道をされている、必要なことを報道されている、こう思っております。

武正委員 その自民党の申し入れについては、私がこの間この場でも申し上げましたが、中立性というのが私はやはり問題だと思うんですね。

 これは籾井会長にも申し上げました。中立という言葉は、放送法にはないわけなんです。何よりもまず第一条は自律、独立ですよ。それは放送としての自律、独立ですよ。四条でようやく公平公正が出てくるんです。中立というのはないんですね。ですから、やはり中立というのは非常に注意して使うべき言葉だというふうに私は思って、指摘もさせていただきました。

 また、再三、堂々と、堂々とと言われますが、免許権限を持っている総務大臣が、堂々と放送局、言いなさい、矜持を持って言いなさいと言えば言うほど、それは大臣が直接やったわけじゃないんですが、政府・与党一体ですから、やはり今回の調査会の指摘は懸念を覚えるわけです。

 そこで、BPOについても伺いたいと思うんです。

 先ほどちょっと触れた調査会後の報道なんですが、NHKはBPOに報告する方針を示したと報じられています、その調査会で。テレ朝も、社内検証が不十分だと判断した場合、BPOに申し立てることも検討と。

 この放送倫理・番組向上機構、これは、それこそ一条にある自律をもとにつくられた第三者委員会ということだと思います。ちょうど二〇〇七年のあの関テレのやらせ、あるいはTBSテレビの白インゲンマメ、あのとき私もこの委員会のメンバーでもございましたし、民主党でもそうした点、さまざま検討をいたしました。あれの結果、BPOに放送倫理検証委員会が設置をされたわけです。そしてまた、いろいろなことを審理して勧告、見解、大体もうBPOは五十回以上やっているわけなんです。

 これも報道ですけれども、自民党幹部の一人が、身内組織のBPOでは役割を果たし得ないと不要論を持ち出し、政府が直接抑え込むことができるんだというようなことが報じられていますが、私はやはり、さっきの放送法一条の自律からいえば、このBPOというのはよく頑張っているというふうに思うんですけれども、総務大臣としての御所見はいかがでしょうか。

高市国務大臣 今委員がおっしゃったのは、自民党幹部の発言ということで、その調査会の中でBPOへの申し立てについて話があったということではなくて、別の場でおっしゃった発言なんじゃないだろうか、しかも報道ですから、私自身はその真否を判断できません。

 BPOは、第三者の立場から、自主的に、視聴者の基本的人権を迅速かつ的確に擁護して、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与するということを目的に、NHKと民放連が共同で設立をしてくださいました。しっかりとその役割を果たしていただいていると思っております。

武正委員 自律的な、一条に基づいたBPO、民主党は、通信・放送委員会設置法ということで、電波オークションとともに、電波の有効利用、そして政府・与党あるいは権力から独立した第三者委員会が電波の免許権限などをきちっと適正に判断するといったことを、もう既に六回対案として出している、与党時代も提出をしているということでございます。

 そういった中で、今回の法案で、二〇二〇年東京オリンピックにおける通信トラフィック状況について伺いたいと思います。

 ロンドン・オリンピックと北京オリンピックを比較しますと、音声とそれからデータ、これが、北京オリンピックでは九五対五が、ロンドン・オリンピックでは五対九五に逆転をしております。

 そういった意味では、トラフィックが、混雑ぐあいが二〇二〇年には五十一倍から二百五十四倍になると報じられている中で、やはり基地局などを、共同設備、電力とか不動産とか地下鉄とかで共同利用する、こういったことがないと、多くの外国人の観光客、旅行客を受け入れていくこの二〇二〇年、通信が十分対応できないのではないかというふうに思うんですが、こうした点も含めて、二〇二〇年東京オリンピック対策、これについて伺って、私の質問を終わりたいと思います。

高市国務大臣 総務省の調査によりますと、スマートフォンの普及によりまして、移動通信のデータトラフィックは、直近一年間で約一・五倍のペースで増加しております。東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年までも、こうした傾向は続いていくものと予想しております。

 ですから、総務省では、こういった状況に対処するために、周波数の圧縮や共用によって効率的に利用する技術、高い周波数への移行を促進する技術など、電波を効率的に利用するための研究開発を推進するということとともに、周波数の再編成を行いまして、必要な追加の割り当てを行っております。

 移動通信用の周波数につきましては、昨年、電波政策ビジョン懇談会、これを開催しまして、確保目標を、二〇二〇年までに、従来の合計二千メガヘルツ幅以上から、合計二千七百メガヘルツ幅以上ということに上積みをしました。

 具体的には、複数システムによる周波数共用の促進、無線LANの屋外利用周波数の増加、ITUの場における国際調整などに取り組んでいくようになります。

 いずれにしましても、オリンピックで快適な通信環境がきちっと確保されるように、引き続き関係事業者とともに取り組みを進めてまいります。

武正委員 本法改正については、ソフトバンクのイー・アクセス買収を受けての寡占化防止、新規参入を促す、また、昨年十二月十一日消費者委員会の提言、これを受けての改正だと理解をします。

 前者については、寡占化を防ぐには電波の有効利用を促す電波のオークション制導入を、後者については、景品表示法昨年改正を受けて、地方自治体の関与、地方消費者センターの充実などを決めておりますが、その対応に自治体を所管する総務省のより一層の取り組みが必要であり、特に、電気通信事業者、衛星放送事業者、有料放送事業者、各代理店対応など、専門知識の習得が必要でありますので、こうした総務省の取り組みを求めて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十八分散会


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