衆議院

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第14号 平成27年5月19日(火曜日)

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平成二十七年五月十九日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    池田 道孝君

      大西 英男君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    黄川田仁志君

      小林 史明君    今野 智博君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君    土屋 正忠君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      牧島かれん君    宮川 典子君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      渡辺  周君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     今野 智博君

  金子めぐみ君     牧島かれん君

  宗清 皇一君     岡下 昌平君

  福田 昭夫君     渡辺  周君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     宗清 皇一君

  今野 智博君     鬼木  誠君

  牧島かれん君     宮川 典子君

  渡辺  周君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

五月十五日

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案(内閣提出第二七号)

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

四月三十日

 法人事業税の外形標準課税適用拡大反対に関する請願(富田茂之君紹介)(第九二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案(内閣提出第二七号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事板野裕爾君、専務理事福井敬君及び理事井上樹彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長佐々木敦朗君、自治行政局公務員部長丸山淑夫君、自治財政局長佐藤文俊君及び情報流通行政局長安藤友裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 昨年の解散前まで私もこの総務委員会の筆頭理事を務めておりまして、引き続きこの委員会に籍を置いておればいろいろ質問したいチャンスがあったんですが、今は別の委員会におりますので、きょうは差しかえという形で、我が党理事、筆頭理事初め皆さんの御理解をいただきまして、この機会を与えていただきました。感謝申し上げます。

 さて、もう時間がございませんので、早速本題に入ります。

 本日の質問は、特定失踪者問題調査会、北朝鮮に連れていかれたとしか思えないミッシングピープル、さらわれた日本人たち、行方不明の日本人たちをとにかく捜し出し、救出をしようという組織がございまして、この方々と私どもは行動をともにしてきているわけでございます。

 この特定失踪者問題調査会が、「しおかぜ」という名前で二〇〇五年の十月から北朝鮮に向けて放送をずっと行っている。そして、その中身は、もう申すまでもありませんけれども、拉致をされていまだ帰国できないでいる我らが同胞、日本人、そして北朝鮮にいる特定失踪者の方々に対して、日本語はもとより朝鮮語あるいは中国語も駆使をして呼びかけをし、そしてまた御家族の肉声を北朝鮮に電波に乗せて伝えている、こういう活動をずっとやってきているわけでございます。

 そこで、お尋ねをいたしますけれども、この特定失踪者問題調査会が行っている短波放送「しおかぜ」、三月二十九日に深夜の放送時間の分を百キロワットから三百キロワットに増力しました。その際、総務省から割り当てられた周波数は五千九百八十五キロヘルツでございました。

 この周波数に乗せて肉声を届けているわけでございますけれども、中国国際放送局、CRIという放送局がアフリカ向けのスワヒリ語放送を同じ時間帯、同じ周波数で放送しているということでございます。

 時間帯が同じだということで、国内のリスナー、聞いているリスナーからは、混信をして聞こえない、聞こえにくい、こういう指摘もあるわけでございますが、同じ周波数帯で中国のCRIという放送局が同じ時間帯に放送している、これは事実かどうか、その辺を総務省はどのように把握しているか、まず伺います。

高市国務大臣 特定失踪者問題調査会が行っております北朝鮮向けの短波放送「しおかぜ」に関して、本年の三月二十九日から開始しました出力三百キロワットによる放送について、国内のリスナーから調査会に対して、中国の短波放送局との混信が発生している旨報告があったということで、調査会より総務省に対して、四月二日に周波数変更の可能性について御相談があったと聞いております。

 総務省としては、従来から「しおかぜ」が放送を行っている夜間百キロワットの運用に加えて、調査会の求めに応じた国際調整を経て、深夜三百キロワットの運用を確保してきました。

 現在の「しおかぜ」の周波数であります五千九百八十五キロヘルツは、中国の放送局が「しおかぜ」と同一時間に運用しているということは事実であるようでございますが、中国の放送局とは放送エリアを異にしているため、北朝鮮向けとしては最も条件がよいという判断のもとに周波数の割り当てを行いました。

 この「しおかぜ」が使用する短波帯の周波数というのは、電波が遠くまで到達するという特徴がございますから、使用に先立って、半年に一度国際調整を実施しております。日本では一見使用可能だと考えている空き周波数であっても、さまざまな国がどこかで使用しているために、国際的に未調整な周波数の使用というのは一般的に困難な状況でございます。

 現在割り当てております五千九百八十五キロヘルツ以外の周波数への変更、これを御相談いただいたんですけれども、これも他国の放送局に影響を与えたり、逆に「しおかぜ」の周波数に対して受けたりする可能性が高くなりますため、現時点では適当じゃないと考えております。

 ただ、今後とも、混信の状況というものをしっかり注視しながら、調査会と相談をしながら国際周波数の調整を行ってまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 質問が出るということで想定問答をつくられて、今まだ聞いていないところまで答弁されるわけですが、今、条件がよいと言われましたね。その条件がよいというのは、当然北朝鮮に届いているということが条件がいいというふうに判断するということで、この周波数帯を割り当てた。放送エリアが違うんだと言うんですけれども、では、実際北朝鮮でどう聞こえているかということは、残念ながら確認しようがないんです。

 いろいろ調べてみますと、脱北者の方が北朝鮮でも実はそういう放送があることを聞いていたとか、あるいは、現地でラジオを聞いた、やや聞こえた、ホテルの外のところに置いておいてそれが聞こえた、地方議員さんのブログを見て、そのようなことができたというふうに書いてありますけれども、本当に条件がいいかどうかというのはなかなか判断できない、我々は残念ながら北朝鮮内で確認をすることができません。

 それだからこそ、今国際調整という話がありましたけれども、であるならば、可能な限りほかと混信をしない、やはりそこは時間帯が一緒ならば周波数を変えるしかないと思うんです。

 調整をしてまいりたいと言うんですが、いつまでになさる、どのタイミングでやる。これは私はとにかく一日でも早くやらなければいけないと思いますけれども、その点は、再割り当てということも含めて、本当に調整していくのかどうか。そこのところはどうですか、時間的なことも含めて。

高市国務大臣 ことしの十月末から開始をされます次期放送期における「しおかぜ」の周波数につきましては、本年七月から十月ごろにかけて実施予定の短波放送に関する国際調整手続を経た上で確保していく必要がございます。

渡辺(周)委員 この問題、もう十年にわたって取り組んでいる方々、政府よりも、政府機関よりもその点については徹底してこれまでも活動してきているわけですから、ぜひとも連携をしながら、一日も早い帰国実現に向けて我々が唯一できる、手紙も送ることができない、送ったって検閲される、実際届かない、我々としては人的交流もできない、しかるべき交渉もいまだできていない、だとするならば、唯一、日本海を越えて我々が届けられるのは電波なんです。

 その電波が希望の光でありまして、北朝鮮の国内では、外国の放送を聞くことというのは大変な重罪扱いです。しかし、やはり情報を仕入れるために、かつてはハンダごてで固定されていたラジオのダイヤルを、つまみを動かしながら、北朝鮮という閉鎖的な国の中で、とにかく一縷の望みを持って日本からの懐かしい日本語が聞こえてくるのを待っている同胞がいるわけでありますから、そこは待ってなどと言わずに積極的にぜひとも打って出ていただきたい。

 その点について、ぜひ大臣にお願いをしたいと思いますし、やるべきだ。また最後に申し上げますけれども、決意を伺いたいと思います。

 次の質問でございますけれども、NHKにお伺いをいたします。

 NHKが、やはり同じ三月二十九日から増力したということで、さまざまなコストが値上がりをした。送信施設の使用料が、これまでの電気代七万円から、諸般の事情もあるのでしょうが、十三万八千円に、六万八千円値上がりをいたしました。施設の利用に当たってのさまざまな基本料金、中身につきましては後ほど申し上げますけれども、この基本料金が上がった。これが、四十七万九千円から六十七万九千円、二十万円値上がりしたんですね。

 この電気料の値上げはもとより、基本料金、これがどうしてこんなに金額がはね上がったということを特定失踪者問題調査会の方々、運営元の方に聞きますと、その積算根拠がつまびらかにされていないということなんですが、一つ例を挙げます。実際、この基本料金の中には、労務費、減価償却、経費、そして電力料、管理費云々、こう幾つか含まれているということが説明をされておりますけれども、電気代も上がるんだけれども、電力料というものも上がっている。

 この積算根拠というのは明確にされているのでしょうか、NHKに伺います。

福井参考人 「しおかぜ」の設備使用料でございますが、これは、送信機の電力の時間料金と、それから設備全体にかかわる基本料金で構成をされております。

 今回、送信機一台を百キロワットから三百キロワットに変更したことで、時間料金が、先ほどありましたように月額六万八千円高くなっております。

 それから、基本料金につきましては、これは構成の内容が労務費、設備全体の電力料、それから管理費等で構成されておりまして、その六割に当たるものが空調機器等の設備全体にかかわる電気料金でございまして、これが出力の増大に伴って二十万八千円高くなったというのが実情でございます。

 それから、特定失踪者問題調査会によります設備の使用料につきましてはKDDIと調査会の契約で決められておりまして、今回の使用料の改定につきましては、送信設備の包括的使用権を有しますNHKも含めた三者協議で合意をしたものと承知しております。

 今後、調査会の方から求めがありましたら、三者協議の場で誠実に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 今聞いていまして、空調に係る費用のことも込みなんだというようなお話がありましたね。

 だから、さっき申し上げたんですけれども、電気料金は六万八千円値上がりしたということは別でカウントされているわけです。電気料金の値上がり分を払っているのに、どうして基本料金、電力料というものをあわせてまた払わなければいけないのか。電気料金の値上がりはその分負担する、そのことは調査会の方々も御納得をされていると思うんです。しかし、今申し上げたように、基本料金の中身というのがどうもはっきりしていない。今も、聞いてもよくわからないんです。二重取りじゃないですか、これは。

 この団体は営利目的でやっているわけではないんですよ。これはあくまでも本当に日本人の、まさに北朝鮮の国家テロによっていまだに自由の身を奪われている方々のために何とかしなきゃ、だからこそ政府も後押ししているんですが、私は本当ならただで施設も貸して、これはもう国策としてやるべきだと思うんですけれども、しかし、そこは契約の中でやはり一定の負担を、大勢の方の浄財をいただきながら団体としては運営をしている。

 この点について、やはりもうちょっと真摯に向き合わなきゃいけないんじゃないんでしょうか。いかがですか。説明を聞いてもわからないんですけれども、もう一回説明してください。

福井参考人 この基本料金ですが、労務費とそれから設備全体の電力料ということで、建物の空調とか機器全体を動かす電力料というものが基本料金の約六割を占めておりまして、それを送信機の持ち分に応じて負担していただいておるということです。

 六万八千円高くなった時間料金というのは、送信機を使うのみの電気料金でして、設備全体の電気料金とはまた別でございます。これはKDDIと調査会が個別に契約している内訳でして、別に二重取りということじゃございません。

 ただ、その負担の割合については、調査会から求めがありましたら三者協議で今後誠実に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 確認ですけれども、誠実というのはやはり積算根拠を明確にしろということについてもしっかり出す、納得のいくような形でやる。

 そして、私は、さっきの繰り返しになりますけれども、これはやはり国策として、その一翼を担ってやっているわけなんだ、営利目的でやっているわけではないので、そこのところはできるだけ本業に専念できるように負担をしないような形でぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、その点も含めて後ほど最後に大臣にも伺いたいと思います。

 もう一つ、やはりNHKに対して質問でございまして、今、短波の話をしてまいりましたけれども、中波の送信についてです。

 二〇一三年の六月二十一日決算行政監視委員会の第一分科会で、今は議席を持っていらっしゃいませんけれども、三宅博議員が、NHKの中波の第二放送、二十五時で終了する深夜から未明にかけて使われていない時間帯、中波の方を活用したらどうだ、検討すべきだというふうに国会で質問していると思いますけれども、その後いかがでしょうか。

 私は、あらゆる手段を使って北朝鮮に我々日本側のメッセージを送るべきだ。唯一届けられるのは、電波に乗せて安心できるような希望の光を私たちが日本から発信することなんだ。ですから、短波もやる、しかし中波もやる、いろいろな形で北朝鮮に対して我々は支援の声を届けるべきであるのですけれども、この中波についてはいかがですか。その点については、NHK、検討しているでしょうか。

井上参考人 お答えいたします。

 先ほど委員からありましたように、二〇一三年六月の衆議院の決算行政監視委員会でお答えしておりますけれども、ラジオ第二放送が一つ対象、候補というふうな御指摘だったんですけれども、送信設備が固定して設計されておりまして、現在の設備では周波数を変更することができないということで、別の周波数で送信するためには新たな送信所をつくるのと同じぐらいの設備の改修が必要になるということで、このため、NHKのラジオ第二放送の送信設備を利用する形態での実施は難しいというふうに考えております。

 ただ、NHKは、拉致被害者向けのラジオ放送については、短波の国際放送用の設備使用を認めてきております。今後も、拉致被害者向けの放送につきましては、人道上の見地から、NHKの業務に支障が出ない範囲で、こうした協力をぜひこれからも継続していく考えでございます。

渡辺(周)委員 これは三宅前議員が質問をされた答えと変わっていないんですね。

 ですけれども、このことについてやる時間が、もうあと二分しかありませんから、その点については、国家テロに対して我が国がオール・ジャパンで取り組まなければいけない、これは使命なんです。最優先の課題なんです。ですから、通常の放送行政とは違うということはぜひ認識をして、NHKは、こうした特定失踪者問題調査会を初めとする団体の意見にしっかり耳を傾けて、先ほど誠意を持ってという言葉がございましたけれども、ぜひそのことは前向きに進めていただきたい。重ねて検討していただくように要請をいたします。

 最後になりますが、大臣、今までの質疑を聞いていて、安倍政権は、拉致問題あるいは特定失踪者問題調査会、失踪者の問題に対して、とにかく御自身の決意として、私の内閣で解決をするんだ、オール・ジャパンで取り組むんだと言うんですけれども、残念ながら、今の話を聞いていると、まだ漫然としていて、その政権の方針が徹底されていない。まだちょっと他人事みたいな物言いをしておりますけれども、それでは看板倒れだと思うんですよ。とにかく、オール・ジャパンでやるのであれば、これは拉致対策本部だとか外務省だとかあるいは官邸だとかだけでなく、全ての官庁を挙げて、その所管するできることをやるべきだと私は思います。

 総務大臣、指導力をぜひ発揮していただいて、先頭に立って、オール・ジャパンで取り組むということで、総務省、NHKを引っ張っていただきたいと思いますが、その点についていかがですか。ぜひ力強く約束をしていただきたいと思います。

高市国務大臣 国際ルール上、これはITUの無線通信規則、十分委員も御承知と思いますが、やはり中波の放送は原則として国内をカバーするために必要な出力を超えてはならないとされていますから、日本国から北朝鮮をカバーするための中波の周波数を新たに確保するというのは困難なことであります。

 しかしながら、やはり短波の必要な周波数の確保に向けて、これまで以上に各国及び関係者の理解も求めながら、御指摘の中国の放送局との混信ということも踏まえた調整を図りながら、準備と調整を進めてまいります。

 「しおかぜ」による放送というのは、北朝鮮における特定失踪者に対する情報伝達手段としては非常に重要なものと捉えておりますので、本日の委員の御指摘も踏まえながら、フォローをしてまいります。

渡辺(周)委員 拉致被害者を取り戻すのは困難なことなんです。だから、こんなに時間がかかっている。だけれども、それを、日本国ができることを困難だと言ってやらない、できない理由ばかり並べていたら何にもなりませんよ。やはりやるという信念のもとにやらなかったら、この困難な問題は解決できない。

 そのことを申し上げまして、また改めて質問の機会、追求していくことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 時間もございませんので、どんどんいきたいと思います。

 きょうは、二つの厳重注意、一つは、ハイヤー問題についての経営委員会からの監督権に基づく厳重注意、そしてもう一つは、総務大臣からの、これも監督権に基づく厳重注意等について伺いたいと思います。

 まず、四月二十八日付の経営委員会議事録に出ていますが、厳重注意の前にコメントというのが出ていますね。

 経営委員会のコメントとして、経営委員会としては、一連の籾井会長の言動に対する国民・視聴者からの指摘、また、その結果としてNHK予算が国会で全会一致の承認が得られなかったことを真摯に受けとめ、以下のような結論に達したとありまして、その下に、「会長は、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう努めるべきである。」とのコメントを伝えた、こうなっています。

 これはコメントということでありまして、厳重注意は監督権に基づくもの、これは単なるコメントという理解でありますけれども、よろしいですね。

 それについて、ちょっと通告とは違うかもしれませんが、会長に伺いたいんですが、このコメントについて会長は納得しておられますか、経営委員会のコメント。

籾井参考人 四月二十八日の経営委員会におきまして、私は、議事録にありますとおり、私のハイヤー代の請求があるまでの事務処理上のこの問題に対して厳重注意を受けることに若干疑問を感じましたので、その真意をお聞きしたかったということでございます。

 誤解のないよう申し上げれば、監査委員会が指摘しているとおり、ハイヤー代の支払いが終了していないことについて、私が適宜注意を喚起し、必要な指示を出すべきだったと考えております。

 公私の区別に疑いを持たれるような事態を招いたことについては、国会でもNHKのホームページでもおわびしており、その気持ちは今でも変わっておりません。

奥野(総)委員 ちょっと別の質問でして、これから聞こうと思っていたことに先に答えていただいたようなんですが、もう一度聞きますけれども、それは厳重注意の話でありまして、コメントですよね。

 一連の会長の言動に対する国民・視聴者からの指摘、そしてNHK予算が国会で全会一致の承認を得られなかったことを真摯に受けとめて、経営委員会としてコメントを発した。「会長は、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう努めるべきである。」こうコメントが出ていますが、これについて会長は了承していますか。

籾井参考人 失礼いたしました。

 このコメントについては承知いたしております。

奥野(総)委員 承知と了承というのは違うと思うんですね。

 納得して、これについて了解しておられますか、これから真摯に対応していこうというお気持ちでいらっしゃいますかという問いになると思うんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 そのように理解しております。

奥野(総)委員 理解というのであれば、では、これからきちんと真摯にいろいろな意見に対して対応していただくということになるんでしょうか。

 例えば、このときの発言として、民主党の部門会の問題については、問題になると思っていない、あのとき民主党への批判もありましたと。一連の言動について指摘を受けたときに、その一連の言動というのは何ですか、部門会の言動だと。それについては、問題になると本人は思っていない、そして、これについて民主党にも批判もあったんだということですね。

 こうしたことをおっしゃっていますが、例えば、こうした部門での指摘に対しては真摯に対応するということでよろしいんですか。

籾井参考人 そのとおりでございます。

奥野(総)委員 問題になると思っていませんというのは、もう一度聞きますが、今でもそれは変わらないんですね。

籾井参考人 御承知のとおり、この部門会におきましてはいろいろございました。

 そのときのやりとりについて、二日後の衆議院予算委員会で、その議員が、「私もやや冷静さを欠き、失礼な物言いがあったことはおわびいたします。」こう発言されているわけです。それに対しまして私も、「私の言葉遣いが誤解を招いているのであれば大変残念なことだと思っております。」と国会審議の場でもおわびいたしております。

 私としては、こうした状況についての経営委員会としての考えを聞きたかったので、そのように申し上げました。

奥野(総)委員 このコメントを真摯に受けとめるということでありますから、来年は、来年まで会長の座にいらっしゃるかどうかはともかく、いらっしゃるとして、全会一致をきちっと図っていただきたいと思います。

 経営委員長に伺いたいんですけれども、これはコメントでありまして、この部分について、二年連続で予算について全会一致を得られなかったということについては、特段の、監督権に基づく注意とか、そういうようなものはないという理解なんですが、これについて会長に責任は問わないんですか。

浜田参考人 お答えいたします。

 四月二十八日の経営委員会での会長に対する注意は、ハイヤーの私的利用の問題に関して行いました。

 また、NHK予算が昨年に続いて全会一致での御承認がいただけなかったことにつきましては、経営委員会としても痛切に反省し、執行部とともに、受信料で成り立つ公共放送の意味を再認識してまいりたいというふうに考えております。

 同じ日の経営委員会で行った今後の改善に向けた総括の議論の結果として、会長に対しても、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう求めております。

 経営委員会といたしましては、経営委員会のあり方についてさまざまな方面から御指摘をいただいたことも重く受けとめ、引き続き監視、監督の務めを果たしていきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 経営委員会の責任、監督責任もあると思うんですね。

 この経営委員会の監督責任、もう一度確認しますけれども、二年連続で全会一致を得られなかった、この全会一致というのは非常に公共放送のあり方として大事だと思うんですけれども、経営委員会の監督責任についてどうお考えになりますか。

浜田参考人 経営委員会は、公共放送NHKの重要事項を決定する最高意思決定機関であるとともに、役員の職務の執行を監督する監視、監督機関であり、重い責任を持っているものというふうに認識をしております。

 経営委員会といたしましても、全会一致の御承認に向けて努力を行ってまいりましたが、それが達成できなかったこと、また、さまざまな御指摘をいただいていることを真摯に受けとめ、経営委員会としての業務に当たってまいりたいというふうに思います。

奥野(総)委員 いつも経営委員長はしっかり答弁して、問題の所在もわかっておられると思うんですけれども、やはり僕はちょっと手ぬるいと思うんですね。もう少しリーダーシップを発揮して、監督権を示していただきたいと思います。

 だから、さっきの話に戻りますけれども、厳重注意を受ける受けない、こういう話になるんだと思うんですね。明確に法律に基づく監督権でやっておられますよね。会見で、放送法二十九条一項二号に基づき会長に対して注意を行ったということですから、これは経営委員会の持っている法律上の監督権に基づいて厳重注意を会長にされたというふうにまさにおっしゃっております。

 会長、これは、厳重注意は受けられたんですか。納得できないという発言をされておりますが、厳重注意は受け取られたということでいいんですか。

籾井参考人 そのとおりでございます。

奥野(総)委員 いわれはないとか納得できませんとおっしゃっています。なぜそういう発言をされたんですか。

籾井参考人 委員長より、これは経営委員会の総意である、こういう発言がございましたので、その時点でお受けいたしました。

奥野(総)委員 では、今は納得しておられるということですか。

籾井参考人 納得という言葉とお受けしたということがどう違うかわかりませんけれども、私はお受けいたしました。

奥野(総)委員 もう一度、これで終わりにしたいと思いますが、なぜ厳重注意を受けたと思われていますか。厳重注意を受けた理由、何について厳重注意されたと。

籾井参考人 経営委員会の総意として、ハイヤーの件をめぐる私の対応が厳重注意に値する、こういうふうに経営委員会の方で判断されたというふうに理解いたしております。

奥野(総)委員 時間もないのであれなんですが、要するに、受信料の使途が違法だったんじゃないか。受信料というのは、業務に関することしか使っちゃいけない。その受信料をハイヤー代に流用したことが問題で、しかも、それをきちんと支払わなかったということが問題だと思うんです。首を振っておられますが、違いますか。

籾井参考人 プライベートで利用したハイヤー代が、事務処理上の問題によって、業務用のものと区別されずに経理処理されてしまったということでございます。

 私自身も、監査委員会から指摘されたとおり、ハイヤー代の支払いが終了していないことについて適宜注意を喚起すればよかったと思いますが、誤解なきよう申し上げますが、これは、ハイヤーを全くの私用に使ったものでありまして、業務用とは一切関係ないということでございます。それが、その伝票が業務用と一緒に紛れ込んでしまったというところに問題があるわけでございまして、受信料を流用したとか、そういうことは全くございません。

奥野(総)委員 今の発言はこの委員会での整理と違って、あのとき紙が出ていまして、あのときのハイヤー使用は業務に関連することだとたしか整理されていると思うんですが、どうですか。一月のときのハイヤーの流用は、NHKがペーパーを出していて、業務に関することだという整理がされたと思いますが、そういう認識はないですか。

籾井参考人 何度も御説明しておりますが、私は、その伝票については存じ上げておりませんので。それが、委員も見られたとおり、あのサインも私のものではございませんし、そういう意味におきまして、私が受信料を流用して私の個人的なハイヤー代に使ったという事実は全くございません。

奥野(総)委員 放送法七十三条の議論をしたときに、一時的にしろ支払われてしまった、これは違反じゃないかという整理をしたときに、まさに業務に関することだという整理が紙で出ていますから、よく読んでおいてください、もう時間もないので。会長がやはりこの整理を全然認識されていないというのは明らかですね。

 もう一点の厳重注意ですけれども、「クローズアップ現代」の調査報告に基づいて総務大臣が厳重注意をされたということですが、ちょっと時間があれなので、順序を入れかえます。

 会長、これはなぜすぐ受け取らなかったんですか。それで、今は受け取ったという認識でいいんですか。

籾井参考人 御承知のとおり、行政指導文書を四月二十八日にいただきました。

 この点につきましては、なぜ受け取らなかったかということの前に、まず、大臣を初め関係各位に御迷惑をおかけして本当に申しわけなかったというふうに思っております。

 四月二十八日は、総務省からの求めに応じまして、担当の理事らが「クローズアップ現代」の調査報告書の内容の説明に赴いた際に、その場で大臣名の行政指導文書を出したいという話が出たと聞いております。担当理事によりますと、行政指導という非常に重い内容の文書について、趣旨や内容を十分に確認しないまま受け取ってよいか判断できなかったため、その時点では一旦待っていただいたということでございます。

奥野(総)委員 大臣の答弁書なんかを見ると、大臣室に呼ばれたのは十八時半なんですね。最終的にたしか発出しているのは二十二時半なんですよ。

 この四時間、一体どういうやりとりをしていて、なぜ四時間受け取らなかったんですか、会長。

籾井参考人 過去の例から見ましても、そういう指導文書の内容について確認するということが過去にもありましたので、そういう意味において、総務省と連絡をとりながら時間が経過した、こういうふうに伺っております。

奥野(総)委員 これも、総務大臣の答弁によれば、すぐに総務省の職員が、一時間後ぐらいにNHKに行って、外で待たされているんですね。持っていっているわけですよ。

 総務省側は渡そうとしているのにそちらが受け取っていないという事実があるんですけれども、本当にやりとりをしていたんですか。しかも、会長が帰ってきたのは二十一時半。それまで何をされていたんですか。きちんと指揮をとってやりとりをされていたんですか。本当に四時間きちんと詰めていたんですか。

籾井参考人 私も、いろいろなことがございます。そのときに何をしたかということは申し上げるわけにはいきませんけれども、しかしながら、都度、センターとは、みんなとは連絡をとっておりました。

 それから、総務省の方がお見えになってずっと待っておられたということについて、それを放置していたということについては、私はやはりあってはならなかったことだというふうに強く思っておりますし、大変申しわけなかったというふうに感じております。

奥野(総)委員 そもそも、監督権に基づく、さっきの厳重注意もそうですけれども、それを受け取らないとか留保するなんということはあり得ないと思うんですよ。

 前例もあるわけですね。ムスタンのときにも厳重注意がたしか出ていますし、行政指導というのは別に珍しいことではないわけです。反論があれば、それを受け取って堂々と言えばいいわけでありまして、なぜ受け取らなかったのか。

 もう一度聞きますけれども、普通なら、そういう話があると、もし真摯に受けとめているんだったら、真っ先に戻ってきて、十八時半にすぐに連絡があって、すぐにNHKに戻って、きちんと確認をしてすぐ受け取るべきだったんじゃないですか。その四時間というのは一体何に費やしていたんですか。

井上参考人 お答えいたします。

 そういった行政指導の文書のことが出まして、これは非常に重いものだということで、その場で一旦待っていただいて、その後、総務省との間でやりとりを続けておりました。

 その中では、放送番組の内容に関する行政指導でありましたので、その内容について、例えばその中で指摘されていることがその当日に公表いたしました調査報告書のどういったところを指しているのかといったことなどを、総務省との間で電話で確認しておりました。

 確かに、時間はかなりかかったことは反省して、どうかと思っておりますけれども、そういった作業を続けていたということであります。

奥野(総)委員 委員長、時間が過ぎましたが、最後に大臣に一点だけ伺いたいんですけれども、まず受け取って確かめるべきじゃないですか。大臣も説明するとおっしゃっていたのに、それを受け取らなかったというのは、私は非常に問題だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 私も問題だと思っております。

 行政指導文書は、行政手続法において、これは行政処分とは違うんですね。行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であり、処分に該当しないものでございます。ですから、行政手続法では、そもそも受け取りを拒否されるなんというようなケースは想定されていない、法律のたてつけ上。私も大変驚きました。

 当日の十五時半に公表されました調査報告書を私自身が一行残らず熟読して、十分吟味をした上で、一刻も早くより具体的な再発防止体制をつくっていただきたいという強い思いを持って指導文書の素案を作成し、しっかりと公印をついた正式な行政指導文書を作成して、十八時半に大臣室でお待ちいたしますと、ちゃんと趣旨を説明してお渡しをしようということでございましたが、その時間帯に総務省内におられた井上理事は、受け取らないということで帰られた、大臣室に参りませんということで帰られたと聞きましたので、大変驚きました。

奥野(総)委員 大分時間を使わせていただいて、御答弁いただきましてありがとうございました。

 やはり会長、しっかり理解してくださいよ、仕組みを。監督権に服するというのは最低限のコンプライアンスじゃないですか。

 きょうは二つの問題を取り上げましたけれども、引き続き、会長にはまた御答弁いただきたいと思います。

 以上で終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 それでは、私からもNHKの問題を質問させていただきたいと思います。

 三月二十五日のNHK予算の審議のときに、私は会長と経営委員長に質問いたしました。

 全会一致というのは、やはり非常に重要な公共放送である以上、目指さなきゃいけない大きな使命で、それは経営委員長もよく理解をされているからこそ会長に申し入れをされたわけであります。

 しかし、三月二十五日の私の質疑の段階では、ほぼ全会一致にならないことは見えていたわけでありますが、それでも私の質問に、私が「全会一致にならなかったときには、会長、どういう責任をとられるんですか。」とお聞きをしたら、会長は、「先ほど申しましたように、今も全会一致を大いに期待しております。 そういうふうに全会一致にならなかったときという仮定の話にはお答えできません。」と答えられました。

 それから、経営委員長に私が、では、「結果的に全会一致にならなかったときにはどのように会長に責任をとっていただくのか、あるいは経営委員長の責任はどう考えておられるのか。」という質問に対して、経営委員長も、「全会一致で承認いただけるよう、諦めずにぎりぎりの努力を続けていただきたいというふうに考えております。」と、答弁を避けられたわけであります。

 今回、はっきりと全会一致にならなかったということでありますし、参議院に至っては、同数で、委員長が最後賛成して決まった、そういう事態でありますが、改めて、この結果を受けて会長それから経営委員長、どういう責任をとられるのか、お聞かせください。

浜田参考人 経営委員会としても、全会一致で御承認いただけなかったことについては、監督責任を痛感しております。また、総括を行い、委員長コメントをまとめました。

 会長以下執行部には、今回の事態を深く反省し、NHKが公共放送の使命を果たし、広く視聴者・国民の皆様から御支援いただけるNHKとなることに全力を傾けていただきたいと考えております。

 また、放送を取り巻く状況が今後大きく変わっていく中で、NHKが適切な対応、改革を行っていけるよう、新たな三カ年経営計画の実現に向け、着実に業務を進めていただきたいと考えております。

 経営委員会としても、今後、監視、監督の責任を果たしてまいりたいというふうに思っております。

籾井参考人 今委員長もおっしゃいましたけれども、NHKは、公共放送として、視聴者・国民の幅広い信頼の基盤の上に立っております。

 国民を代表する国会で、誠心誠意我々としましては丁寧な説明に努めてまいりましたが、全会一致で御承認いただけなかったことは大変残念に思っております。

 新しい三カ年計画の初年度であります平成二十七年度の予算、事業計画の達成に邁進し、公共放送の使命、役割をしっかりと果たして、視聴者・国民の期待に応えてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 お二人の御答弁なんですが、私は会長にも自覚が足りないと思いますし、また、経営委員長、経営委員会ももっと監督というものをしっかりしなければいけない。

 そう思うのは、私は、今回議事録を全部、三月から四月、五月、これだけ読みました。今回、全会一致にならず、その後最初に行われた経営委員会は四月十四日、これだけあります。もちろん、公表している議事録ですから、これ以外の話もあるんでしょう。しかし、これを読む限り、全会一致にならなかったということに対して、経営委員会として何か議論をしているという形跡はほとんどなく、もう何か、次の話に入りましょうというような、もっとこの間のさまざまな経緯について総括をしっかりしていただかなければならないと私は思います。

 きょうは、議事録をぜひ皆さんにも見ていただきたいなと。これを全部読めというのはあれですから、きょうは抜粋の資料をつけさせていただいておりますので、これを読みながらこの後の質問をさせていただきたいと私は思っております。

 それで、まずは、今、奥野委員からも指摘のあった厳重注意、これは、ハイヤー問題に対する厳重注意に対する会長の反論というか、経営委員会に対するものが一ページ目に、四月二十八日に開催した分であります。

 最初に経営委員会としての厳重注意をして、経営委員長のコメントを発表した後、いろいろな議事があって、一番最後に会長がこうおっしゃっています。「先ほど、私に対する厳重注意と経営委員長コメントがありました。その中で私の言動とありましたが、具体的にはどういうことをおっしゃっているのでしょうか。」と。

 それで浜田委員長が答え、さらにそれでも、「ハイヤー問題については、監査委員報告を経営委員会は「了」とされています。ですから、ここであらためて私が厳重注意を受けるいわれはないと思います。」それから、「あれはNHKを傷つけたとは思っていません。」下線を引いたところだけ読んでいますが、また、「ハイヤー問題については、経営委員会が私に厳重注意とは、納得できませんね。これは、監査委員の報告で、委員会が「了」とされていますから、われわれの中では終わっているはずですよ。」「どこに私に責任があると書いてありますか。」と。

 委員長が反論されて、監査報告書も読み上げ、会長の悪かった点を指摘されている。

 さらに、森下委員が「ちょっと問題があると思います。」ということに対して、これも「ハイヤーの問題は、なにが問題なのですか。」というようなやりとりがこのようにあるわけでございます。

 これは、議事録ですから、要約してこのやりとりですから、相当激しいやりとりがあったというふうに聞いておりますけれども、会長、経営委員会の厳重注意というものをどのように受けとめてこういう発言になるのか、改めてお考えをお聞かせください。

籾井参考人 別に抵抗したとかそういうことではなくて、どういうふうな理由なのか、改めて私は経営委員会の考えを確かめたかったので、議事録にあるような質問をいたしました。

高井委員 経営委員長からも、このやりとりについて、経営委員長のお考えをお聞かせください。

浜田参考人 四月二十八日の経営委員会で、会長に対して注意を行いました。これは、監査委員会報告で、会長に関して、「自身の支払いが終了していないことについて、適宜、注意を喚起し、必要に応じ適切な指示を出すべきであったと思われる。」と指摘されていることに基づき、その責任を認めたものであります。

 また、職員に対しても処分がなされており、会長に対しても何らかの対応が必要であるという議論が経営委員の中であったことを受けたものであります。

 いろいろやりとりはありましたが、会長は注意を受け入れられたというふうに理解をしております。

高井委員 このやりとりを見ていただいてわかるとおり、経営委員長は随分頑張って言っていただいていると思います。正直、今の御答弁とお気持ちの中はまた違うんじゃないかなと想像しますけれども。

 ただ、私は経営委員長にも申し上げたいのは、今回のハイヤーの問題は三月十九日に議論をされています。このくらいの議論ですね。

 実は、三月二十四日に本来の経営委員会が開かれる予定だったのを臨時で、国会審議があるから早目にこの問題に決着をつけなければ、議事録の中にもそういう発言があります。そういうことで三月十九日に急遽招集して、そして経営委員が欠席者も多い中で議論をした。

 そして、議論する中で、委員長とすれば、きょうは臨時の招集だし、二十四日にもう一度しっかり議論した上でこの監査報告書を了としましょうという発言もあるんですが、委員の中で、国会審議もあるから、もう、きょうここで了としましょうよと言って、私が読む限り、世間をそして国会をこれだけ騒がせている問題に対して、非常に議論としては薄いなという印象を受けています。

 今回特に争点となっているのは、十二月の時点で会長がハイヤー代金を支払うと言ったということが、では、本当に言ったのかどうかというのをどう確認したかというところがいまだに不透明じゃないかと私は思うんです。

 これは、経営委員長、了としたということは、報告書のどこをもって、会長がみずから払うというふうに言ったというのは、誰に対して言ったというふうに委員長は認識されて了とされているんでしょうか。

浜田参考人 提出された監査委員会の報告は、監査権限を持つ監査委員会が適切な監査に基づいて行ったものと認識をしております。

高井委員 その監査委員の報告を経営委員会として了としたことに対して、それでもまだ会長が納得していないという、こんなやりとりが四月二十八日にあるわけですけれども。

 では、ちょっと監査委員にお聞きをいたします。

 監査委員は、この問題について、ある意味当事者である籾井会長と真っ先に話をして、籾井会長が払うと言ったんだという、その本人の言をもって会長は払う意思があったんだというふうに、この報告書の中では断定をしているというふうに読めます。ほかの秘書室の職員などが会長からそういうふうに聞きましたという発言は、この報告書の中には載っていませんけれども、それは、監査委員としては、会長のその発言をもってそれでもう納得したということでよろしいんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会は、三月五日までにコンプライアンス担当理事から本件についての報告を受けた上で、調査の必要性を至急見きわめるため、三月六日金曜日に会長の本件ハイヤー利用が公用または私用のいずれかであるかについて確認をいたしました。週明けの三月九日月曜日に監査委員会において調査を行うことを決定いたしました。

 本件につきまして、監査委員会といたしましては、あらゆる予断を排した上で関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して、監査委員会報告書記載のとおり、事実関係を確認いたしました。

 報告書記載のとおり、監査委員会の調査目的である本件の経緯や会長の関与等についての事実関係は十分確認できたというふうに考えております。

高井委員 具体的にお聞きしますけれども、会長が自分で払う、プライベートだから払うという言葉を会長以外のどなたが聞いたんですか。会長からその言葉を聞いて、それを監査委員に伝えたのは誰ですか。

上田参考人 ちょっとさかのぼりますけれども、御用納めであります平成二十六年十二月二十六日に、会長から秘書室に対して、一月二日に小平市内のゴルフ場に行くため車の手配を頼みたい旨の要請がありました。

 秘書室長と秘書室職員二名が相談して、秘書室として、ゴルフは私用目的であることから、けじめをつけるため、ハイヤーの利用を会長に提案し、また会長自身がハイヤー代を支払うべきものと判断いたしております。

 秘書室長は会長に対し、私用なのでハイヤーを使うよう提案いたしております。

 代金の支払いについては、会長及び秘書室長ともに、そのやりとりの中で会長が支払うことで合意があったと認識しており、これを覆すような事実は見受けられませんでした。

高井委員 この問題ばかりやっていると、ほかのことを取り上げたいので。

 なかなか納得できないんです。これは私だけじゃなくて、関係者とかNHKの職員とかと話しても、やはり監査委員の監査は甘いんじゃないか、そして、それをほとんどの議論もなく了とした経営委員会も甘いんじゃないかというのは、この後の質問にも関連するんですけれども、本当にそう思いますので、ぜひそこのところをもう一度、経営委員会、監査委員会、よく考えていただきたいと思います。

 この議事録をさらに進みますと、今度、四月十四日の議事でございます。この議事の中で、実は、専務理事の担務の問題が出てまいります。

 今回、一番最後、資料の十ページ目につけておりますが、過去の福地会長、松本会長、籾井会長のそれぞれ専務理事がどういう担務をされているかという一覧がございます。三代にわたって、籾井会長も去年の時点では、バランスよく、営業部門、関連事業部門、そして人事、総務、それから放送という大きな部門をきっちりと四人の専務理事に分担されていた。

 しかし、今回、この最後にあるとおり、ターゲット80なる全く新しい言葉が出てきて、その補佐、しかも、北海道・沖縄とか、地域まで区切った。四人しかいない専務理事にとって、何か、たったこれだけというような担務が書かれております。

 これは、私がそう思っただけじゃなくて、四月十四日の議事録を見てみますと、るる出てまいります。

 線のところだけ読んでいくと、籾井会長は、専務理事の担務は会長が決めるんだと。

 しかし、それに対して浜田委員長は、担務については、会長のおっしゃる部分もありますが、一方で放送法にある効率的に配置されているかどうかという視点もあるので、私どもとしては、理事の選任とあわせて、担務についても会長のお考えを説明いただきたいと思いますと。

 美馬委員が、塚田専務理事と吉国専務理事の担当がこれだけというのは、効率的な経営という観点でどうなのでしょうかと。

 佐藤委員が、北海道と沖縄を担当するというのは非常に違和感があります、普通の会社でも、副社長が何人かいたら、そういうことにはならないでしょうと。

 四ページに行きますと、同じく佐藤委員が、ターゲット80というのは受信料七五%を八〇%に上げるという大変な大きな仕事なんですが、その五%のところに専務理事を二人も張りつけることよりも、七五%の人がいるわけですから、そこの仕事ももっとしなきゃいけないんじゃないですかと。

 それから本田代行、今回代行になられた方ですけれども、この本田代行もやはり同様の趣旨で、北海道・沖縄と個別の地域を明記するのはどうなんだろうか、吉国専務理事はこれまで関連事業を非常によくやっていた、塚田専務理事についても営業をやっていたのに、なぜそこをわざわざ外し、このターゲット80にするのかということをるる言われております。

 こういった、これだけの経営委員会の議論を経てもなお会長として今回こういった人事をされた、その意図を改めて説明してください。

籾井参考人 担務のことで種々御質問をいただきましたけれども、ターゲット80という文字と言葉であらわすと、実に簡単な仕事のように見えますが、我々が、NHKが今日までいろいろやってこれたのは、値下げを乗り越えて、その収入をふやし、さらに今後また、センターの建てかえ等々コストのかかることがいっぱいあるわけです。

 そういうことに向かっていくためには、どうしても我々がクリアしなきゃいけないのが、受信料のいわゆる平等化といいましょうか、こういうことだと思います。

 特に、関東地区、関西地区、こういう人口が多いところは、やはり一%上げるだけでも相当の額になるわけでございます。そして今、現実に、過去の歴史を見てみましても、今申しました両地区に加えて、北海道、沖縄は非常に低いレベルにあるわけです。

 片っ方では、我々は、要するに、受信料の平等化といいましょうか、そういうことを強く言われておりますし、我々の経営指標の中でも、そういうことについての我々の努力が足りないという御指摘もたくさんいただいているわけでございます。多分、委員もそういうふうな御意思をお持ちなんじゃないかと思いますが。

 そういう中で、この両専務は大変なベテランでございます。もう六年目に入っておりますから、期間が。そういう中で、こういう難しい仕事をこういう経験豊かな両専務にやっていただこうというのがアイデアなわけです。

 こう書いてしまうと、単に受信料を集めるだけじゃないかと思われるかもしれませんが、今や受信料を徴収するということは、単にこんにちはと言って集めるということではとても集まらないんでございます。いろいろな工夫が要るわけです。総合的な工夫が要るわけです。もちろん前線では、営業の皆さん、いろいろやっていただいております。

 そういう意味におきまして、私は、この三カ年計画の初年度に当たる今年度については、ぜひ両専務に頑張っていただいて、最初、やはり掘り起こすということが非常に大事なわけです。そういうことを期待して、両専務にターゲット80というアサインメントをいたしております。

高井委員 私も、受信料の集金、昔やっていたし、大事なのはよくわかっているんです。

 よくわかっていますが、しかし、このターゲット80というものも、実は今回、質問に当たって、では、どんな業務があるんですかといって資料要求したら、最初は出てきませんでした、先週金曜日。受信料の地区ごとの一覧表が出て、これしかありませんと。いやいや、それじゃ、こういう質問しますからちゃんと説明してくださいと言って、きのう、月曜日に出てきたのがこんな資料です。何か、非常に大きな文字で、枚数だけ稼ぐのか、五枚ぐらいになっていますけれども、ほとんど中身もないし、既存のターゲット80についての取り組みをまとめたようなものとかもないわけでございます。

 さらに問題だと思うのは、今回、経営委員会の議事録でさっきのような議論がありました。ターゲット80というのは一体何なんだ、説明ないじゃないかと委員から言われて、では、経営委員会でそういう勉強会をやりましょうといって、勉強会をやったと聞いておりますが、そこに出席した執行部のメンバーはどなたなんでしょうか。

堂元参考人 お答えいたします。

 ターゲット80を統括するのは私でございますので、私が出席をして、経営委員の皆様と意見交換をしたということでございます。

高井委員 あと、福井理事もいらっしゃったというふうに聞いております。

 担務上、ターゲット80統括補佐福井理事、確かに専務理事とありますけれども、塚田さん、吉国さんは、それだけ大事な担務を専任で与えられていながら、経営委員会のそういった勉強会の場ですら出席をしていないということであります。

 今会長が相当長い時間を使ってターゲット80の大事さを言っていただいたんですが、しかし、やはりこれは、どう考えてみても、意図のある人事ではないかと思わざるを得ないと私は思います。

 それで、ちょっと飛ぶんですけれども、八ページ、去年の経営委員会の議事録、実は去年も同じような事態が起こっています。

 去年いた上村代行が、私たち経営委員は、先ほど経営委員会の場で封筒を切って、きょう初めて人事について知りました、今までには事前に理事の任命の資料を受けてきた慣例に反します、放送法施行規則の趣旨にも反します、理事の分担の問題は経営委員会の問題ではなく、会長の専権事項であるということを盛んにおっしゃっていましたが、そういうことはありません、これは放送法五十一条に云々ということで、会長が独断で決めるのはおかしいと。

 その後、美馬委員も、理事の役割を組みかえることについては、二回前の経営委員会で会長から、一枚物の紙を用意しますとおっしゃってもらっているのに今回出ていない、お約束いただいた紙はなぜ二週間、四週間前にお約束したように出ていないんでしょうかと。

 籾井会長は、申し上げているように三月いっぱいは予算で忙しかったんです、大事な全体方針ですよ、やっと二週間たったばかりですよと。

 こういうやりとりをもって、担務については御自身が決めるんだ、そして、一般的に見てちょっと偏り過ぎじゃないかという人事があっても、別にこれは経営委員会は何も言えないんだということでございます。

 ちょっと総務省に聞きたいんですが、上村代行は放送法違反だと言っていますけれども、総務省の見解はいかがですか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 放送法第五十二条第三項は、会長がある方を理事として任命することの適否について、経営委員会の同意を得るべき旨を定めているものでございます。その方が理事として任命された後に担当することとなる職務の内容を含めて同意を求めているものではないところでございます。

 他方、経営委員会の同意を得るに当たり、会長が経営委員会に対してどこまで説明を行うべきかという点につきましては、放送法に特段定めはなく、経営委員会と執行部との間におけるガバナンスに委ねられているものであると認識しているところでございます。

 こういう規定にのっとってNHKにおいて対応されているものと認識しているところでございます。

高井委員 明確な放送法違反ではないけれども、他方というところでおっしゃいましたけれども、上村代行も問題にしているのは、経営委員会が監督するに当たって、効率的な経営というのを見るに当たって、専務理事の担務もわからないままでは監督ができないんじゃないかと。つまり、経営委員会の監督がどうしても甘くなっていく方向にどんどん流れているんじゃないかというふうに思います。

 経営委員長は以前、私も同じ趣旨の質問のときに、そこまで求めているものではない、国会ではそう答弁されましたけれども、しかし、この議事録を見る限り、やはり経営委員会としてもそこはしっかりコミットしていかないと監督ができないんだというふうにおっしゃっています。

 改めて、経営委員長、そこはそういう観点から、人事の担務について、議事録で述べられているように、やはり出していただくべき、最終的に明確な同意権限じゃないにしても、事前に担務を見せてもらって議論をしないとそこは成り立たないんだというお考えだと思いますけれども、いかがですか。

浜田参考人 今回は、事前に担務も御提示いただき、そういう観点、経営委員会と会長の間で議論できたというふうに思っております。

高井委員 事前かどうかという点ではそうなんですけれども……(浜田参考人「済みません、ちょっと」と呼ぶ)では、どうぞ。

桝屋委員長 訂正ですか。

 浜田経営委員会委員長。

浜田参考人 済みません。

 提示は理事の提示でございまして、担務については当日御提示があったというふうに訂正させていただきます。

 失礼しました。

高井委員 それであれば、では、そのことについていかがですか。

浜田参考人 理事の担当業務の決定は、基本的には会長の執行権の範囲内の事案だと認識しておりますが、理事の任命の同意に合わせて、私の方から意見として、担当業務、お二人の、特に支払い率八〇%を目指す全局的な取り組み、いわゆるターゲット80についてより詳しく説明すること、担当業務の割り当てについては、一度決めたからといって固定的に考えずに、今後も柔軟性を持って行うことを申し上げ、会長も了解していただきました。

 今後の活動と実績に合わせて注視をしていくのが経営委員会の職務だというふうに考えております。

高井委員 私は、浜田委員長は、大変真面目な方で、誠実にやっておられると思いますけれども、しかし、何度も指摘しておりますとおり、やはり、会長に対する監督というのが、この議事録をちょっと抜粋したところだけ見ても、経営委員会が監督をするというふうにはなっていないんじゃないか。

 普通の会社であれば取締役会というのがあって、例えば、人事とかだって取締役会の議決を経て、会長が独断では決められないわけですよ。しかし、NHKは、理事というのはいますけれども、そういう取締役のような権限は与えられていません。なぜならば、放送法で経営委員会というのがあって、そこが監督するとなっているからなんです。

 しかし、その経営委員会がしっかりと監督をできなければ、本当に、独裁というか会長の思うままにどんどん進んでいく、そういう制度になっていますから、ぜひここはしっかり監督権を行使していただきたいと思います。

 これは通告しているので、総務大臣にもちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、経営委員会の会長に対する監督が十分か。これまでの一連の会長の発言であったり問題であったり、あるいは、今回の「クローズアップ現代」の行政指導の問題なども含めて、本当に経営委員会が監督をしっかりできているのか、そして会長がそれにしっかり応えているのかというのを、総務省の観点からちょっと御意見をお聞かせください。

高市国務大臣 例えば、四月二十八日の経営委員会において、籾井会長による私的なハイヤー利用の問題について、会長に対して厳重注意を行っておられます。また、籾井会長の過去の御発言に関しましても、公表されている議事録にあるように、注意や申し入れを行うなどの対応を行っておられます。

 やはり、会長の職務の執行に対する経営委員会の監督権限というのは、放送法第二十九条第一項第二号の規定に基づくものであって、経営委員会においては、今ほど申し上げましたような経緯を見ますと、これまで、放送法に基づいて、会長に対する監督権限を適切に遂行されていると私は認識しております。

 むしろ、会長におかれまして、経営委員会による会長への注意というのは大変重いものであるという放送法の趣旨を十分に踏まえられて、再発防止にしっかりと努めていただきたいと思っております。

高井委員 おっしゃるように、経営委員会としてはやっているけれども会長がそれを十分聞いていないんだという総務省の見解だったかと思うんですが、もう時間もなくなってまいりましたので、せっかく用意したので、この議事録の中でもう一つ、ちょっと私が取り上げたいところがございます。

 それは、五ページ、下川理事が今回、四月二十四日で退任をされます。その経営委員会の最後の挨拶の中で、こういうことを述べておられる。特に、下線のところ、全部読むと時間がないので、真ん中ぐらい。

 そして放送の自主自律の堅持が公共放送の生命線であるという認識は、戦前のNHKのあり方への根本的反省から生まれています、戦前の放送協会は実質国営放送でした、自主自律、不偏不党の姿勢を持たず、政府が右と言っても左と言う勇気を持ちませんでした、人々に真実を伝えず悲惨な戦争へ突入するお先棒を担いだわけですと。

 あるいは、その次のページに参りますと、この方は人事をやっておられたので、人事では数多くの若者たちを採用してきました、そういう若い人たちの顔が思い浮かびます、若い彼らが現場にいる限り、公共放送の理念は決して揺らぐことはありませんと。

 非常に、異例とも言える、通り一遍の退任挨拶ではなくて、勇気を持った苦言を呈されたと思います。

 それから、引き続いて六ページ、七ページ、ここは去年の退任挨拶です。これも異例の、涙ながらに話したと言われていますが、久保田技師長それから上滝理事、それぞれ非常に苦言を呈されている。

 特に、下線を引いたところは、久保田技師長は、「経営委員会からは、これまで、執行部が一丸となって事態の収拾に当たるように言われてきました。本日、私からは、経営委員会こそが責任をもって事態の収拾に当たってほしいと申し上げたいと思います。」と、経営委員を前にこう言っているわけです。

 それから上滝理事も、「経営委員の皆さまにおかれましては、新執行部に対する管理監督の役割と責任を十分に果たして頂きたいと思います。」と。

 通常、過去はこんなことを言っていないと思います。それだけ異常事態であることを、やめていく理事、やめていくといっても、次の再就職もあるから余り変なことを言えない、だけれども、勇気を持ってこれだけのことを言ってやめていっておられるこの理事の退任挨拶を見て、会長、経営委員長、それぞれどういう御所見を持ったかお聞きして、質問を終わりたいと思います。それぞれお願いいたします。

浜田参考人 皆様の発言は重く受けとめ、今後の業務に生かしていきたいというふうに思います。

籾井参考人 お三方の御意見は覚えておりますが、個人的な御意見をおっしゃったものだというふうに思っております。

 この方たちが危惧されるような、NHKが戦前のNHKに戻るなんということは絶対にないわけでございますから、そういうことがもしあるならば、その理事に理事会で発言してもらいたかったなという気がいたします。

高井委員 きょうの一連の答弁で、皆さんもよく、あるいは総務省の皆さんもちょっと御認識をいただけたかと思いますので、また引き続き、この問題を取り上げていきたいと思います。

 では、以上で終わります。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 おはようございます。日本共産党の田村貴昭です。

 NHK「クローズアップ現代」の最終報告が出されました件について、それから総務省の行政指導について質問をします。

 四月二十八日に、NHK「クローズアップ現代」についての最終報告が出されました。中間報告が出された後の四月十六日の本委員会で、私は、この不十分さを指摘し、真相究明を求めました。しかし、最終報告でも基本的に変わっていません。これを了としない視聴者の声、論評も、今たくさん出されています。この問題は終わっていないと考えます。

 総務省は、最終報告と同日、四月二十八日、大臣名で、籾井会長に対して厳重注意の行政指導文書を発しました。こうあります。

 「事実に基づかない報道や自らの番組基準に抵触する放送が行われたことは、公共放送である貴協会に対する国民視聴者の信頼を著しく損なうもの」とし、放送法第四条においては、「報道は事実をまげないですること。」また、同法第五条においては、「放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。」とされるところ、「今回の事案はこれらの規定に抵触するものと認められる。」と指摘したわけであります。

 総務省にお伺いします。

 放送法第四条、また第五条に照らして、昨年五月十四日放映の「クローズアップ現代 追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」という番組は、どの部分が抵触したと総務省は見ておられるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 四月二十八日にNHKが公表いたしました「「クローズアップ現代」報道に関する調査報告書」の中で、「クローズアップ現代」では、「記者がビルの一室を訪れる場面で、「看板の出ていない部屋が活動拠点でした」とコメントしたが、これは誤りであった。」としており、このように、実際にはブローカーの活動拠点ではなかった部屋を番組内において活動拠点であると伝えたことは、委員先ほど御指摘のとおり、放送法第四条第一項第三号、「報道は事実をまげないですること。」及び放送法第五条第一項、「放送事業者は、」「放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。」と定められていることに抵触すると認められると判断したものでございます。

田村(貴)委員 総務省が番組を検証する立場でないということはわかったとしても、第四条の「報道は事実をまげないですること。」ここにあって、番組は法に抵触するというふうに総務省は見たわけであります。

 この抵触するということは、総務省は番組がやらせがあったというふうには見ておられるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、放送法第四条第一項第三号の「報道は事実をまげないですること。」という規定に照らして、抵触しているというふうに判断したものでございます。

田村(貴)委員 「事実をまげないですること。」に抵触したということは、やはり重大問題があったというふうに私も認識しています。

 大臣の発した文書は「厳重注意」というふうにされています。監督官庁として放送局にこうした文書を出すことはよくあることなんでしょうか、この文書の意味合いはどういう重みがあるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 過去にも、行政指導文書を発出、厳重注意の事例はございます。

 私自身は、今回、NHKの方でつくられた報告書を隅から隅まで当日のうちに一行残らず読みました。

 やはり、今回の事案は、今局長から説明ありましたとおり、法律にも、放送法にも抵触しております。視聴者の信頼を著しく損なうものであり、公共放送としての社会的責任に鑑み、非常に残念なことだと思いました。

 それから、やはり放送法、番組基準などの遵守と徹底というのはもとよりなんですが、再発防止に向けた体制について、もっと踏み込んだ検討をしっかり早期に確立していただきたい、こういう思いで発出をしたものでございます。

田村(貴)委員 今大臣の答弁にありましたように、大変重い、重要な文書であったというふうに私も認識をします。

 そこで、NHKにお伺いします。

 NHKは、「クローズアップ現代」の放送に関して、二度にわたる報告書を提出しました。本委員会理事会でも説明がありました。最終報告書は二十六ページにも上るものであります。そして、「取材・制作上の様々な問題や課題が明らかになった。」というふうにしています。

 監督官庁の総務省としては、当然この最終報告に対して看過するわけにもいかないであろうし、再発防止に向けた取り組みを促す文書を出したのは当然であったというふうに私は思います。

 先ほどから議論があっていますように、四月二十八日、この大臣の文書を受け取る、受け取らないのあの対応は全く解せません。

 NHKは、監督官庁からの何らかのお達しがあるというふうには思わなかったんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

堂元参考人 お答えをいたします。

 三月二十八日に調査報告書を公表いたしたわけでございますけれども、私、調査委員長として、その時点……(発言する者あり)四月二十八日でございます。ごめんなさい。公表したわけでございますけれども、その時点で、まず視聴者の皆様がどういう反応をされるかということ、これは順不同でございますけれども、それから関係機関がどのような御判断をされるかというところに私は調査委員長として大きな関心を持っておりました。関係機関とは、総務省であり、BPOでありということでございます。

 そういう観点から、今回の調査報告書に対する総務大臣から会長宛ての行政指導文書というものを非常に重いものだというふうに認識している次第でございます。

田村(貴)委員 どういう反応があるのかと関心を持っておられたというふうに今、堂元さんはおっしゃいました。であるならば、やはりこうした文書はすぐに受け取るべきではなかったんですか。

 先ほど高市大臣の答弁を聞いておりました。行政手続法に基づく文書であって、これは処分ではない、ですから、こうした意見は必ず耳にしなければいけないのではありませんか。受け取りを拒否する前提に法律は立っていない、そうですよね。

 井上理事は、そのとき総務省におられて、そして文書を受け取らずにNHKに戻られた。その事情についてはここでは聞きませんけれども、そうしたら、受け取るべき人がちゃんと総務省に赴いて、そして、同日総務省が出したというんだったら、その文書をまず受け取って、見て、判断すべきではなかったんでしょうか。受け取るべき人がすぐに総務省に出向くべきではなかったんでしょうか。そのことについて御見解を聞きたいと思います。

籾井参考人 まずもって、この問題で関係方面に多大な迷惑をかけていることについて、心からおわび申し上げたいと思います。

 文書の受け取りについては、今申し上げるのは遅過ぎますが、委員仰せのとおり、やはりできるだけ早い時期に受け取るべきだったというふうに思っております。

 これが随分とおくれたことについて、改めて大臣初め関係各位におわび申し上げたいと思います。

田村(貴)委員 後でずっと聞くところの話では、逃げ惑っているようにしか見えないわけなんですね。

 そこで、総務省に尋ねたいと思います。

 文書は二十八日の夜にファクスと郵便によって送ったというふうに伺っています。あれから三週間たちました。NHKから、この行政指導文書に対しての何らかの返事そして回答というのは今日あっているのでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘につきましては、昨日、行政指導後のNHKにおける再発防止に向けた取り組み状況について、NHKから報告を受けておるところでございます。その内容について承知しております。

 報告書の公表後、NHKにおいて直ちに取り組んでいる事項もある一方、検討中の事項もあるものと認識しており、今後ともしっかりフォローしていく所存でございます。

 NHKにおいては、再発防止に向けた体制の早期確立に向けてさらに踏み込んだ検討を速やかに行っていただき、その検討結果を踏まえた具体的な再発防止策に取り組んでいただき、一日も早く国民・視聴者の信頼回復を実現していっていただきたいというふうに強く思っているところでございます。

田村(貴)委員 何かばたばたされているような感じがしますね。

 高市大臣にお伺いしたいと思います。

 この指導文書は、NHKの今後の対応について具体的な取り組みを求めています。きのうNHKから何らかのアクションがあったというふうに今お答えあったんですけれども、放送ガイドラインの内容を深く理解する場をどのように確保するのか、情報の共有や、企画や試写等でのチェックなどについて、誰が、いつ、どのように実行するのか、大変具体的に、そして踏み込んだ要請をされています。

 この文書に込められたNHKへの改善指導、大臣の思い、総務省としてのお考えをお聞かせいただければというふうに思います。

高市国務大臣 四月二十八日、まさに最終報告書発表の当日に、その文書を隅から隅まで一行残らず読ませていただいた上で書かせていただいた。

 その中で特に私が気になりましたのは、調査報告書の最終章に記述されている再発防止に向けた提言については、いずれももっともな提言ではあるんですけれども、提言の域を出ているものではなくて、それぞれの改善策について、どのようなタイミングで、どのような方法で進めていくのかというところについてまでは、まだ踏み込まれておりませんでした。

 私は、やはり、国民・視聴者の受信料によって運営されている公共放送としての社会的使命に鑑み、この調査報告書に書かれた再発防止策をもっと踏み込んで具体化して、一刻も早く取り組んでいただきたいという思いから、どうしてもあの日に行政指導文書、助言的な位置づけでございますから、内容云々じゃなくて、まずは受け取って帰って検討していただきたかったんです。

 きのう、局長が、事務方が、その後のNHKの再発防止策について書かれた文書を受け取っています。

 私からの行政指導、放送ガイドラインの内容を深く理解する場をどのように確保するのかといったところについて、いろいろ、勉強会を開いたりしておられる旨は書いてありました。しかしながら、まだ全ての部局では実施をされていないということ。

 あと、情報共有、企画や試写などでのチェックについて、誰が、いつ、どのように実行するのか、こういったことも行政指導文書で書かせていただきました。

 これも一生懸命御努力はいただいているんですけれども、今は報道の現場で一生懸命匿名化した映像のチェックをしていただいているようですけれども、報道以外の制作現場や関係団体にも今後チェックシートなどの使用を広げていくとか、それから試写などのチェックの充実、当面の施策を五月中にまとめる予定だということで、まだ完成形ではない。

 きのうの夕方、私も紙を受け取って、ゆうべ読みましたので、簡単なコメントですけれども、まだまだしっかりとお取り組みをいただきたいと思っております。

田村(貴)委員 きのうの夕方でしたか。私もきのう、NHK、総務省ともに聞いたんですけれども、きのうまでは、読んだとも、こうするとも話がなかったということでありました。やっと動き出したかというような思いであります。

 この問題については、やはり批判の声が同業のメディアからもたくさん出されています。視聴者を納得させるものではありません。そして、行政指導に会長みずからが背を向ける、そうした一幕もある。そして、再発防止の取り組みもやっと始まったといったところであります。

 NHKのガバナンスに問題があるのではないか、経営委員会や監査委員会の改革を求める声が、この間、会長のハイヤー問題、いろいろな問題で上がっているわけです。私もこの連休明けにたくさんの文書を目にしたんですけれども、経営委員長として、こうした声を今どういうふうに受けとめておられるでしょうか。

浜田参考人 経営委員会といたしましては、放送法にのっとり、適時適切な対応に努めてまいりました。しかし、御指摘のような御懸念を抱かれていることは大変残念なことというふうに受けとめております。

 四月二十八日の経営委員会で行った今後の改善に向けた総括の議論の結果として、会長に対しても、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう求めております。

 今後も、経営委員会による真摯な議論を行い、合意形成に努め、放送法にのっとり、NHKが公共放送の使命を果たしていけるよう努力をしてまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 この問題含めて、NHKのことについてはまた論議をしていきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 東日本大震災で被災した地方公務員への公務災害補償について伺いたいと思います。

 東日本大震災の被災三県で、公務中に津波などに襲われて震災被害で亡くなられた人はどのぐらいおられますか。常勤、非常勤ごとの地方公務員の犠牲となった方々の数字についてお答えいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 岩手県、宮城県及び福島県の県及び市町村の職員で、東日本大震災により死亡または行方不明となられた常勤職員の人数は、総務省が平成二十三年に各県に対して照会し、回答をいただいたところ、二百九十一名となっております。

 なお、被災三県の死亡または行方不明となられた非常勤職員の人数は、総務省においては把握してございません。

田村(貴)委員 報道によれば、非常勤職員を含めたら三百三十人にもなるというふうにも言われています。

 先ほど、正規職員二百九十一名と言われましたけれども、このうち、公務災害認定を受けた人、また特殊公務災害を認定された人は何人でしょうか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員災害補償法は、常時勤務に服することを要する地方公務員につきまして、地方公務員災害補償基金が災害補償を行うこととしているところでございます。

 地方公務員災害補償基金に確認しましたところ、東日本大震災による公務災害の認定件数は、平成二十七年四月三十日時点で二百八十三人、このうち特殊公務災害の該当件数は二百四十六人となっております。

田村(貴)委員 報道にもあったんですけれども、非常勤職員は特殊公務災害が認められない。それで、同じ被災者の救援に頑張ってきたんだけれども、何でこんなに差が立つのか、おかしいじゃないかという声が上がっています。

 なぜ非常勤職員は特殊公務災害に適用されないんでしょうか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 特殊公務災害につきましては、常勤の消防職員などが、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況のもとにおきまして、天災等の発生時における人命の救助等の職務に従事し、公務上の災害を受けた場合、通常の公務災害に加えて補償の額を加算する制度でございます。これにつきましては、地方公務員災害補償法第四十六条に規定されているところでございます。

 一方、非常勤職員につきましては、その種類及び勤務形態が多様であることから、消防団員等の他の法律に特別の定めがある場合を除きまして、各地方公共団体において条例で災害補償制度を定めなければならないこととされております。これは、地方公務員災害補償法第六十九条第一項の規定するところでございます。

 総務省ではこの条例案を示しておりまして、各地方公共団体では、総務省の条例案をもとに、非常勤職員の公務災害補償に関する条例が定められているものと考えてございます。

 非常勤職員につきましては、地方公務員法上、臨時的、補助的な業務や特定の学識経験を必要とする職務に任期を限って任用されるものでありまして、生命または身体に対する高度な危険が予測される状況のもとにおいて、特殊な職務に従事することは想定されていないことから、総務省の条例案では、非常勤職員については通常の公務災害の対象としており、特殊公務災害の対象とはされていないところでございます。

田村(貴)委員 高度な危険そのほかのお話がありましたけれども、やはり東日本大震災の地震後の津波、あの被害を見たときに、今おっしゃったような理由というのはなかなか当たらないんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 突然津波がやってきた、そして役所を初め建物から住民を避難させなければいけない、その誘導に当たるのに、常勤職員も非常勤職員も私はないと思うんです。あなたは非常勤だからここからすぐに家に帰りなさいというふうに上司は言うでしょうか。私は非正規の職員だから、けが人もいる、お年寄りもいる、その場を見限ってそこから離れることができるでしょうか。今や、自治体の職場、窓口を含めて、非正規労働の占める割合は本当に大きく、数割にも上っています。混乱の中でそう簡単に区別できるものではありません。

 自治体が条例をつくらなかったら、非常勤職員は公務災害の対象ともなり得ないわけであります。そうした差があるということは、私はおかしいというふうに思います。やはり何らかの手段で補償、救済を行うべきではないでしょうか。

 総務省として、こうした状況が指摘されているんですけれども、補償、救済する手だてはないものか、その検討もされていないのか、総務省にお伺いしたいというふうに思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたところと重なりますけれども、非常勤職員につきましては、地方公務員法上、臨時的、補助的な業務等に任期を限って任用されるものでございまして、本来、生命または身体に対する高度な危険が予測される状況のもとにおいて、特殊な職務に従事することは想定されていないことから、総務省の条例案では、臨時、非常勤職員について通常の公務災害の対象としており、特殊公務災害の対象とはされていないところでございます。

 本来、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況下において、天災等の発生時における人命の救助等の職務に従事する役割の職員は、地方公共団体においては消防職員等でございまして、非常勤職員がこうした特殊な業務に従事することがないよう、任命権者である地方公共団体において、ふだんから制度趣旨に沿って適正に任用されることが重要であると考えております。

 総務省としては、今後とも、引き続き公務災害補償制度の趣旨を周知しますとともに、非常勤職員の任用について必要な助言等を行ってまいります。

田村(貴)委員 危険な特殊公務災害につかせないというのであるならば、やはり今後、各自治体が災害時に対応できるだけの正規職員をちゃんと十分確保する、財政面も含めたそういう措置をとる、筋道をつけていくことが大変大事だというふうに思っています。

 少なくとも、この間の行政改革によって、人員削減、定数削減を迫ってきた、こうしたやり方というのは転換すべきだというふうに思います。ちゃんとした災害対応をするためにも、これからの対応が迫られているのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 平成十七年から平成二十二年の五年間は、行革推進法などに基づいて、各地方公共団体に対して、具体的な削減目標を掲げた集中改革プランを策定するように要請しておりました。

 しかし、この集中改革プランの終了後は、総務省として、各地方公共団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言をしております。

 実際に総職員数を抑制する中においても、消防、警察部門や防災に携わる職員の数は増加をしてきているところでございますので、引き続き、各団体において効率的で質の高い行政を実現するために、行政需要の変化に対応した適正な定員管理の推進に取り組んでいただくことが重要と考えております。

 なお、財源につきましては、その実態をしっかりと踏まえながら適切に対応をしてまいります。

田村(貴)委員 同じように働いて亡くなった方を任用形態をもって差別するというのは、やはり私は納得できません。

 何らかの対策を打つべきだ、そのことを強く申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 きょうは、NHKの問題について何点かお尋ねをしたいというふうに思います。

 ちょっと通告と順番を変えて、まずは、会長のハイヤー利用に関しての経営委員会でのやりとりについてお聞きをしたいと思います。

 この委員会でも何度も会長のハイヤー問題については取り上げてまいりました。この問題については、私は、会長自身にも問題がありますし、また監査委員会の報告書や認識にも問題がある、あと、会長はこの報告書を受けて、おわびといいますか、そういうコメントを出されておりますけれども、経営委員会の方としての文章にはそういったことが何もないというようなことも非常に残念だということで指摘をさせていただきました。

 ところが、公開されました先般の経営委員会の議事録を見ますと、正直、驚くようなやりとりが行われております。

 二十八日の経営委員会でありますけれども、籾井会長は、ハイヤー利用で経営委員会から厳重注意を受けるのは納得できないというふうに言われておられます。また、どこに責任があるのか、あるいは何が問題なのかというようなことを言われておりますけれども、この認識というのは、会長、今も変わっていないんでしょうか。それとも改められたんでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 議事録にありますとおり、私は、私にハイヤーの請求があるまでの事務処理上の問題に対して厳重注意を受けることに疑問を感じましたので、その真意を聞きたくて質問をしたわけでございます。

 経営委員会でございますからNHK内部のことでございますが、そこでの発言でございますので、そこでは私の疑問を率直に質問として出したわけでございます。

 誤解のないよう申し上げれば、監査委員会が指摘しているとおり、ハイヤー代の支払いが終了していないことについて私が適宜注意喚起し、必要に応じて適切な指示を出せば、こういうことにはならなかったというふうに感じております。

 公私の区別に疑いを持たれるような事態を招いたことについては、国会でもNHKのホームページでもおわびしているとおりで、その気持ちは今でも変わっておりません。

吉川(元)委員 経営委員会という会議の場で疑問に持たれて聞いたというお話ですけれども、経営委員会の議事録というものが広く公開をされるわけです。

 その中で会長が何を言われるのかということについては、それこそ疑念を持たれるような、会長自身も今言われましたけれども、報告に対する会長コメントの中で、公私の区別に疑いが持たれる事態を招いたことについて心よりおわびをいたしますというふうにはっきり述べられているわけです。経営委員会のこの議事録を読みますと、何が悪いんだ、ハイヤー問題のどこに、何が問題なのか、あるいは、監査委員会の中で私の責任があると書いてあるのか、こういうことを言われるわけで、これは必ず公開をされるわけです。

 そのことを十分自覚した上で発言をしていただかなければいけませんし、それ以上に、きちんと、このハイヤー問題については、まさにこのコメントに書かれているとおりの立場を最後まで貫くべきだということを私はつけ加えさせていただきます。

 ちょっと上田監査委員にお聞きをしたいと思いますけれども、これは通告しておりませんが、先ほどこの委員会の中で、ハイヤー問題について会長の方から、業務とは全く関係のない私的な使用であったということを、今も大きくうなずかれておられます、そういうふうに言われました。ところが、先般の、何回か前の委員会だったと思いますけれども、上田監査委員にこの点に関して尋ねたときに、これは放送法二十条一項から三項に係る業務に関係しているんだというふうに言われました。一体これはどっちなんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会といたしましては、さきに答弁させていただきましたように、放送法第二十条規定いかんにかかわらず、視聴者からの受信料で成り立つNHKにとって、公私の区別が極めて重要であり、とりわけ、協会のトップである会長には高い倫理観と説明責任が求められているというふうに考えております。

 協会が会長の私用目的の利用を認め、ハイヤーを手配する場合であっても、私用目的のハイヤー代金については会長がみずから負担すべきものと思料いたしております。

吉川(元)委員 そういうことを聞いているのではなくて、上田監査委員は、これは業務に関係があるんだと。私はそんなことはないというふうに思います、会長の認識の方が私の認識に近い認識ですけれども、業務に関係があるというふうに言われて、会長は全く関係がないと言われているんです。どちらなんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 放送法第七十三条第一項は、「協会の収入は、第二十条第一項から第三項までの業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」と規定いたしております。

 会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従いその業務を総理する立場にあることから、放送法第二十条第一項ないし第三項所定の業務に関連あるものと従来から申している理解に変わりはありません。

吉川(元)委員 会長、今の監査委員のお話と先ほど自分がおっしゃられたこと、矛盾していると思いませんか。

籾井参考人 私は、一月二日のゴルフは完全に私用でありますからして、私がお支払いするのは当然だという認識は、十二月二十六日に車を手配したときからきょうに至るまで変わっておりません。

吉川(元)委員 それをもって、監査委員は、業務、放送法二十条一項ないし三項にかかわるものだというふうに言われているんですけれども、その点についてはどうですか。

籾井参考人 NHKの会長はかなりの部分で公務との絡みもある、そういう意味において、監査委員は一般論として、NHKの会長は、要するに、非常にそういうふうな見きわめがつきにくい場合もある、だから私的のような場合でも公務扱いにすることができるという解釈をおっしゃっているんだと思いますが、本件に特定して物を言えば、私は本件だけについて申し上げておりますが、これは私の私的なハイヤー手配でございますから、私が払うことについては何の問題もないし、そのとおりだと思います。

吉川(元)委員 監査委員会が言われたのは、一般論としてではなくて、もちろん一般論としてもありますけれども、今回もそうだと。ところが、会長は、そうではないというふうに言われています。

 監査委員、どうですか。

上田参考人 お答えいたします。

 会長が私用目的であっても、その立場上必要な身柄の安全等を目的としていたことに鑑みれば、業務遂行との関連があるものと考えられるということで御答弁させていただいていますが、そういうことで、放送法第七十三条第一項に違反して違法ではないというふうに判断いたしております。

吉川(元)委員 会長は、そうではない、全く私用である、業務ではないんだというふうにおっしゃられているんですよ。それをなぜ業務、業務と言われるんですか。もう一度答弁を求めます。

上田参考人 お答えいたします。

 先ほどから何度か答弁させていただいていますけれども、監査委員会としての判断は、今も御説明させていただいたとおりで変わりはありません。

吉川(元)委員 もうこれ以上やっても平行線といいますか。

 ただ、明らかに、監査委員会が今回のハイヤー問題について持っている認識と会長御自身が持っておられる認識に、大きなそごといいますか、ずれが出ている。片方は業務の一環だ、片方は完全なる私用目的だ、こういうふうに言われているわけで、会長自身は、監査委員会の報告が出て経営委員会で了とされた、だからもう終わったんだと言っていますけれども、そもそも、この監査委員会の報告自体と会長御自身、私は個人的には、全くの私用であるという会長の理解が正しい常識の、真っ当な理解で、かえって監査委員会の方が間違っているというふうに思いますけれども、明らかにそごが出ているというふうに思います。

 次に移りますけれども、結局、今のやりとりもありましたし、それから、四月二十八日の経営委員会の場での会長の、ある意味では、先ほども言われましたけれども、やりとりの場で思ったことをしゃべったんだ、つまり本音をしゃべったんだということだと思いますけれども、こういう発言が出てくる大きな原因は、私は、やはり監査委員会の報告書に問題があったんだと。

 先ほどから何度も、二十条の一項ないし三項に関係するものだというふうに言われておりますけれども、やはりこの認識がある限り、今言ったようなそごであるだとか、会長がコメントではおわびをしますと言いながら、経営委員会の場でついつい思ったことをしゃべったらこういう発言になる。

 私自身は、やはりこのハイヤー利用については内部規定に明確に違反しているということを前提にした上で、その後に情状酌量の余地があるのかないのかについては議論はされても結構だと思いますけれども、はっきりと違反があったというふうに書かないからこういうおかしな話になるというふうに思うんです。この点、改めて、どうですか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会は、会長の日常業務をサポートする立場にある秘書室長が協会のハイヤー代金支払いの取り扱いを前提として万全の対応を行うべきであったと本件に関しては判断いたしておりまして、また、会長にあっても、私用目的で協会が手配したハイヤーを利用する場合には、自身の支払いが終了していないことについて、適宜、注意を喚起し、必要に応じ適切な指示を出すべきであったと判断し、これらについて報告書記載のとおり指摘したところであります。

 監査委員会といたしましては、今後は協会において関係者が改めてコンプライアンス意識を徹底し、協会が再発防止策を着実に遂行していくかどうか、引き続き注視してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 恐らく、監査委員会の報告と会長との間のそごがある以上は、この問題、またどこかで、どこが悪かったんだという話が出てきますし、その点についてはしっかりと監査委員会として認識を改めていただきたいということをお話しさせていただきます。

 続いて、「クローズアップ現代」について少しお話を聞きたいと思います。

 最終報告書が出されました。時間の関係もありますので、一点のみお聞きをしたいんですけれども、今回の報告書、結論としては、過剰な演出あるいは誤解を与える編集はあったけれども、記者が意図的または故意に架空の場面をつくり上げA氏とB氏に演技をさせたとは言えず、事実の捏造につながるいわゆるやらせは行っていない、そう判断をするというふうなところがあります。

 私、これは非常に疑問に、疑問といいますか、問題はそこにあるのか。私自身が問題だというふうに思うのは、事実と異なったこと、あるいは事実であると十分証明できない事柄をあたかも事実のごとく伝えた、そのことが一番の問題であって、いわゆるやらせという問題はある意味ではその後に続く話であって、最も重要なのは、事実ではないことを報道してしまったということが一番の問題だというふうに思いますが、この点について、NHKとしていかがお考えでしょうか。

堂元参考人 お答えをいたします。

 私どものニュースあるいは報道番組において最も大事なのは、今先生から御指摘いただきましたけれども、事実関係というところだというふうに思います。事実の重み、事実の積み重ね、それによって報道番組というのは成り立つものだというふうに思っておりますので、今回の調査の中でも、事実関係というところをきっちりと調査しようというところに最も重点を置いて進めてきたつもりでございます。

吉川(元)委員 ある意味でいうと、やらせも問題ですけれども、事実と違うことを報じてしまったということの方が、報道機関として、NHKとして大きな問題だというふうに私は思います。

 これもちょっと通告はしておりませんが、本日、理事会の場でも、「クローズアップ現代」の問題について調査報告書をいただきました。その中で、懲戒処分というのが出されております。その職員、それから上司として報道局長、札幌局長ほか八名、減給あるいは譴責ということで処分が出されております。

 私が非常に疑問に感じたのは、まさに、「クローズアップ現代」、出家詐欺の問題を取り扱っているときの、当時の大阪局長に処分が下されていない。これは一体どういうことなんでしょうか。

籾井参考人 前大阪局長も自主返納をいたしております。

吉川(元)委員 それはあくまで自主的に返納したということであって、処分とは違うと思うんですが、いかがですか。処分ではないですよね。

籾井参考人 職員については、いわゆる責任審査委員会というのがありまして、そこで処分が決められますが、役員については処分の規定がございません。常に自主返納という形で、自分でそういうふうなことをやっております。

吉川(元)委員 今の立場は役員ということでありますけれども、当時の局長、過去にさかのぼってそれは処分できるんじゃないんですか。

籾井参考人 そのとおりでございますが、実際に処分を行ったときには役員になっておりましたので、自主返納という形で了承いたしました。

吉川(元)委員 ちょっと経営委員長の方にお聞きをいたします。

 今回、理事の退任と、それから新任、再任が行われました。その際、今言われた大阪放送局から新しい理事の方が来られました。そのときに、恐らくこれはどこかの取材でお話しされたんだろうと思いますけれども、経営委員長の方は、問題の渦中の大阪から新しい理事が来られるということについて、その時点で、これは四月の十四日だったというふうに思いますけれども、調査中で結論が出ていない事案なので、会長の提案を了解したということでございます。

 今まさに、結論といいますか、この報告書でいいのかどうかというのは別にしましても、結論が出ました。この点について、委員長はどのようにお考えですか。さきのときには、結論が出ていない事案なのでというあれがついているわけです。それで、結論が出たわけです、今。

浜田参考人 事案を区別して考えるべきだというふうに思っております。ですから、本件については、いわゆる昇格と処分というのは区別して考えられるべきだろうというふうに考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので、ほかにも質問したいことはあったんですけれども、これで終わりたいというふうに思います。

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、内閣提出、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 電気通信事業、放送事業及び郵便事業に係る海外市場はアジアを中心として成長を続けてきており、今後の海外需要の拡大が見込まれております。我が国経済の持続的な成長のためには、そのような海外における新たな事業機会を捉え、国内需要と共通する潜在的な海外需要を積極的に開拓することで、我が国の事業者の収益性の向上を図る必要があります。しかし、海外において電気通信事業、放送事業または郵便事業を営むに当たっては、規制分野であるがゆえの政治リスクやそれに伴う需要リスクの影響が大きく、民間だけでは参入が進みづらい状況にあります。

 このような背景を踏まえ、我が国の強みを生かして海外において電気通信事業、放送事業または郵便事業を行う者を支援するため、本法律案を提案することとした次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、海外において電気通信事業、放送事業もしくは郵便事業またはこれらの関連事業を行う者を支援するため、総務大臣の認可により、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構を設立することとしております。政府は、常時、機構の発行済み株式総数の二分の一以上を保有することとしております。

 第二に、機構の支援の対象となる事業者及び支援内容並びに株式または債券の処分等の決定を客観的、中立的に行うため、機構に海外通信・放送・郵便事業委員会を置くこととしております。

 第三に、機構は、総務大臣の認可を受け、出資、資金の貸し付け、専門家の派遣または助言等の業務を営むこととしております。

 第四に、政府は、機構の社債や資金の借り入れに係る債務について保証をすることができることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

桝屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十二分散会


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