衆議院

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第16号 平成27年5月26日(火曜日)

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平成二十七年五月二十六日(火曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    池田 道孝君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君    土屋 正忠君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井波 哲尚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事板野裕爾君及び理事井上樹彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官露木康浩君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、自治行政局公務員部長丸山淑夫君、自治行政局選挙部長稲山博司君、自治財政局長佐藤文俊君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、統計局長井波哲尚君及び文部科学省大臣官房審議官中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所委員 自由民主党の田所嘉徳です。

 この発言の機会をいただきましたことに、感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、地方財政計画におけるまち・ひと・しごと創生事業費について質問をいたします。

 私が地方議員を経験して常に思っていたことは、地方自治体の財政が大変厳しい状態にあり、それが、活力ある地域づくりのための施策を実施することができない大きな原因であるということであります。豊かさを実感できる社会を実現するためには、地方財政の充実が不可欠であると思います。

 そのような中で、本年度の地方財政計画に、まち・ひと・しごと創生事業費として一兆円が計上されました。地方における急激な人口減少などから、地方再生は待ったなしであり、実効性のあるものにしなければならないと思っております。

 そこで、この財政需要を算定するに当たって、一兆円の枠の中でどのような事業が行われ、どのようにまち・ひと・しごとの創生につながると想定して進められたものであるか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 御指摘のとおり、平成二十七年度の地方財政計画の歳出に、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上いたしました。

 これを受けて、地方交付税の算定においては、一つは、二十六年度に創設した既存の地域の元気創造事業費を増額するということ、それから二つに、新たに人口減少等特別対策事業費を創設すること、これによって、各地方団体が自主的、主体的に地方創生に取り組むための財政需要を算定することとしております。

 このうち、地域の元気創造事業費においては、地場産業の振興や雇用の創出などの地域経済活性化に取り組むための財政需要を算定いたします。また、人口減少等特別対策事業費においては、結婚、出産、子育て支援の充実や移住の促進などの人口減少対策に取り組むための財政需要を算定いたします。

田所委員 この地財計画における一兆円は、まち・ひと・しごと創生事業費と位置づけられていますけれども、その性質上、一般財源として何にでも使えるというのが原則であります。しかし、それを強調すると、現下の地方自治体を取り巻く厳しい財政のもとで、借金返済や義務的支出に回されてしまうことが懸念をされます。

 地方創生を人口減対策と地方の活力のために不可欠なものとして、財源のみならず、税制改正や人的支援まであらゆる財源を投入してなし遂げようとしている中で、まち・ひと・しごと創生事業費が的確に使われないことには大きな問題があります。

 現在、地方創生のために、地域の将来を形づくる地方版総合戦略の策定が進められていますが、まち・ひと・しごと創生事業費は、地方版総合戦略の実現に資するものであるべきと思います。その点、どのように考えているのか、高市総務大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 地方版総合戦略でございますが、まち・ひと・しごと創生法に基づいて、各都道府県及び市町村が各地域の実情に応じて策定する地方創生に関する施策についての基本的な計画であり、本年度は、地方公共団体が地方版総合戦略の策定、実施に取り組むこととなっております。

 総務省では、地方公共団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、地方財政計画の歳出にまち・ひと・しごと創生事業費を計上し、地方交付税において、人口減少対策や地域経済活性化等に取り組むための財政需要を算定するということにしております。

 総務省は、それぞれの団体が自主性、主体性を発揮して地域の特性に応じた総合戦略を策定、実施できるように、積極的に地方をサポートするということが極めて重要だと認識しております。

田所委員 地方創生は、五年間の集中的な取り組みによって成果を出そうとするものであります。そうであるならば、このまち・ひと・しごと創生事業もその期間に合わせて継続すべきであると思いますが、まず、これについてどのように考えられるのか。

 ついては、本年度の各自治体の財政需要額は、これまでの行革努力や人口減少の状態、状況等から算定していますが、来年度以降はその成果に応じて算定をするという方式にすべきではないでしょうか。

 特に、人口減少に対応する部分については、数値の悪い団体に多く計上されるような方式になっておりますが、それでは、積極的な取り組みのインセンティブにならないばかりか、取り組みを抑制することにもなってしまいます。

 地域の特性とアイデアを生かして、努力をしたところにより大きな支援を行い、さらなる努力を促すという地方創生の理念に合致させるべきであると思います。

 この点、今後のまち・ひと・しごと創生事業費について、どのようにすべきと考えているのか、総務大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 まず、最初の御質問、来年以降のことを申し上げます。

 地方創生は、実際の取り組みを始めてからその成果が生じるまでに一定の期間が必要となります。息の長い取り組みが必要だと思っております。

 このため、平成二十八年度以降については、地方法人課税の偏在是正をさらに進めることなどによって恒久財源を確保しながら、まず期間については、少なくとも総合戦略の期間である五年間は継続する必要があると考えております。規模につきましては、継続的に、少なくとも平成二十七年度に計上しました一兆円程度を維持できるような、安定的な確保に努めてまいりたいと思います。

 二番目に、算定の基準についてのお話がございました。

 人口減少等特別対策事業費については、基本は人口で算定し、その上で、取り組みの必要度及び取り組みの成果を加味することとしております。平成二十七年度においては、取り組みの必要度に応じて手厚く配分することにしております。

 ただ、今後、各地方公共団体において地方版総合戦略の策定が予定されており、それに基づく取り組みの成果が徐々にあらわれてくるということが想定されますので、その成果も別途反映させるべく、段階的に取り組みの必要度から配分額をシフトするということを検討しています。

 具体的な移行方法については、地方版総合戦略の施策の内容ですとかその進捗の状況、成果の実現ぐあいなども踏まえた上で、地方公共団体の御意見を聞きながら検討してまいります。

田所委員 これまでの質問を通じまして、一般財源たる交付税を含む算定について、これまでの状態から需要額を算定するものであるということであります。

 ですから、これからの将来についてどう使っていくのかということとはなかなか相入れない面があるということを役所の皆さんと話をすると感じるのでありますが、そのことにつきまして、十分活用するような積極的な答弁をいただいたというふうに思っておりまして、感謝をしたいと思います。

 それでは、ふるさと名物商品・旅行券などを含めたプレミアム商品券についてお伺いをいたします。

 地方創生に資するものとして、平成二十六年度補正予算において、地方消費喚起、生活支援のためとして二千五百億円の交付金が創設されましたが、その活用法としては、ほとんどの市町村がプレミアム商品券を挙げており、地域経済活性化への大きな期待がそこに含められているというふうに思います。

 現在、各自治体よりさまざまな提案がされていますが、その中には、月並みなものもありますが、深い考察に基づいたすぐれたものもあります。例えば、地域の農産品から漆器や繊維、工業製品等の特産品を前面に出したものから、交通費や宿泊費を割り引くなどして誘客をする、さらにはキャリアアップや健康づくりなど人づくりにつなげるものなど、さまざまであります。

 大変な苦労があると思います。各地のすぐれたアイデアを取り入れて、本来の目的である消費喚起効果、地域経済活性化の効果が十分発揮されるようにすべきだというふうに考えております。

 そこで、各地域から具体的な企画が出てきている中で、それらの情報の交流あるいは情報の共有を積極的に進めて、よりよくするような工夫が必要であると思いますが、いかがでしょうか。また、プレミアム商品券のさらなる展開のために、各事業における効果を検証して、成功ノウハウの蓄積、公表をしていくべきであると思います。その点についてどのように考えているのか、小泉政務官にお伺いをいたします。

小泉大臣政務官 田所先生に御指摘をいただいたプレミアムつき商品券やふるさと名物商品・旅行券、これは、早い自治体では四月ぐらいからもう既に事業が実施をされております。

 よく石破大臣もさまざまな場でお話をされていますが、大臣の地元の鳥取県では旅行券が四分で完売、そういったことも出ていますし、徳島県においても販売開始当日に完売、そういうふうに順調な出足を見せております。

 国としても、今先生がおっしゃったように、各自治体の取り組みでいい事例は共有しなければいけないということで、三月に、事業を実施する自治体と民間の専門家から成るふるさと名品開発促進協議会を設置しました。

 例えば、この協議会、四月には第二回を開催しましたが、発売後四分で完売した鳥取県における一般への周知方法、また、アニメ、漫画の聖地巡礼を活用した埼玉県の取り組み、そして、クックパッドというネットのベンチャーのものですけれども、そのクックパッドと共同する新潟市の取り組み、そして、北海道釧路市の電子的な御当地カードを活用した取り組み、こういったものを全国から集まった地方公共団体の担当者の皆さんに御紹介をさせていただきました。

 そして、しっかり検証をやるべきだ、そういった先生の御指摘でありましたが、結果としてどれだけ新規の消費を誘発できたか、その効果を検証して年末に取りまとめていくために、事業実施と並行してアンケートをしっかりやって、消費喚起効果の捕捉に必要な調査のひな形なども国から各地方公共団体に対して提供しているところでございます。

田所委員 政務官には、具体的な事例まで示していただきまして答弁をいただきました。

 この企画については、申請段階で一定程度内容は詰めて出してあるのではありますが、しかしながら、さまざまな全国の動きを見て、それに合わせていいものにしていくということは大変重要なんだろうというふうに考えております。

 プレミアム商品券の特徴は、やはりプレミアム分の負担だけで消費額全体の経済効果が得られるという点で非常にすぐれている、あるいは、地場産のそういった商品や産品のPRや、地域の振興、産業振興等にもつながるということだろうというふうに思っております。

 先ほど将来の展開と申しましたのは、やはり今後のまち・ひと・しごと創生事業費が継続してつけられれば、こういうことも続けられて効果がさらに発揮されればいいんだろうということでございます。

 そういう中で、今言われましたように、今までの実績の中ではわずか数分で売り切れてしまったというケースがあって、大変な好評であります。しかしながら、私は、それが必ずしもいいことばかりとは言えないんだろうというふうに思っております。

 それは、公の事業が一部の人だけに利益を供与するようなものになったり、あるいは買い占めや転売が行われるというのでは、平等原則からも問題があると思われるわけであります。ふるさと納税における過剰な給付のような極端な利益誘導のばらまきにならないようにしなければならないと考えております。

 そこで、プレミアム商品券を健全な地域経済活性化につながるものとすることについてどのように考えているのか、小泉政務官に最後にお伺いをいたします。

小泉大臣政務官 田所委員に御指摘をいただきました、旅行券などの転売、民間のオークションサイトで旅行券が出品された事例というのはこちらも確認をしております。もちろん、商品券、旅行券は他人への転売を行うべきものではありませんので、購入した個人の消費喚起のために利用していただきたいと考えております。

 このために、四月に開催されたふるさと名品開発促進協議会、そして、五月に順次開催している地方公共団体向けのブロック別説明会、こういった機会で、各地方公共団体の皆さんには、転売防止策の強化をお願いしているところであります。

 具体的には、転売禁止条項を明確に設定の上、住民の皆さんに周知をすること、助成率の引き下げや助成対象の絞り込みなど、オークション出品メリットが実質的になくなるよう商品券、旅行券の内容を見直すこと、そして、電子的な決済手段の活用による本人確認の強化を行うことなど、紹介をさせていただいております。

 このように、地方公共団体において適切な対策がとられるように、これからも助言、そして情報提供を行ってまいりたいと考えております。

田所委員 高市総務大臣、そして小泉政務官には積極的な答弁をいただきまして、心より感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 大変重要なこの地方創生、しっかりとこれらの事業を通じて前進されますように願いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 本日も、十五分間の時間をいただきまして、一般質疑をさせていただきます。

 きょうは、四月に新聞等でよく報道されました、いわゆるGPSの位置情報の捜査機関への開示ということで、プライバシーが問題になるんじゃないかということでさまざま新聞紙上にうたわれておりました。大体六月ぐらいをめどに研究会の成果が出まして、総務省のガイドラインの見直しが行われるのではないかということを聞いております。

 まず、前提としまして、令状等の捜査に対してGPSの情報を出すときに、なぜ総務省がガイドラインで決めているのかというところの確認が必要だと思っております。

 これは本来刑事訴訟法でやるべきじゃないかという議論がございますが、刑事訴訟法は、主体は捜査機関でございます。捜査機関が通信事業者である携帯電話会社等に令状を示して、その令状をもとに通信事業者が、契約者または利用者のGPSの情報を、個人である、いわゆる民間業者である通信業者が取得する場合を定めておりますので、刑事訴訟法のように国家機関が行う捜査とは違いますから、ガイドラインで定めることができるというのがまず一点目の確認だと思っております。

 そうはいいましても、このGPSの情報は、捜査機関からの要求によって、捜査機関が令状をとって通信業者に対してこの方の位置情報を出してくださいという、捜査を契機に行うものでございますので、やはり刑事訴訟法とガイドラインというのは密接な関係があろうと思っております。

 そこで、このGPSの取得自体、いわゆるGPSの情報を取得するというのは、そもそも捜査においてはどういった令状をとるのか。

 私は個人的には、これは五感の作用、いわゆる目で見たり耳で聞いたりしてその情報を感知する作用でございますので、検証というふうに思っています。ですので、捜査機関が令状を通信業者に示すのは、これは検証令状、正確に言うと検証許可状になるのかを一点確認したいのと、これは検証であれば、実はこの検証というのは、不服申し立ての制度がありません。捜索や差し押さえのように、後で不服申し立てをして、捜査機関の行為がいいか悪いかということができるような規定がないんですね。

 そうなりますと、その前提となる不服申し立てをするのは、通信業者に対して開示をされた利用者の方がなぜそんなものを開示したんだというふうに言ってきて、それから通信業者は不服申し立てを捜査機関に行うことになろうかと思います。しかし、先ほど言いましたとおり、不服申し立ての機会がございませんので、そもそも刑事訴訟法のたてつけとしては、利用者に対して、今GPS情報がとられましたよ、もしくはこれを事後的に通知することは不要だと私は思っています。

 ですので、通信事業者だけに令状を提示することで検証の場合は足り、利用者に対しては、現在行っております通知のシステムや、今議論がされております事後通知のシステムは、もともと法のたてつけからは必要ないんじゃないかというふうに思っておりますが、この私の認識で正しいのか、きょうはまずその点を警察庁に御確認いたします。

露木政府参考人 まず、検証でございますけれども、委員が今おっしゃったとおり、検証とは物の存在及び状態を人の五感の作用により認識する処分であるとされておりますけれども、位置情報の取得は、まさに携帯電話端末から携帯電話会社のコンピューターシステムにもたらされる当該位置情報が表示された画面などを五感の作用によって認識することでございますので、その性質は検証にほかならないと考えられます。

 したがいまして、刑事訴訟法第二百十八条の規定に基づきまして、裁判官から検証許可状の発付を受けてこれを行うことができるものと考えております。

 次に、提示の問題でございますけれども、検証は、処分を受ける者に対してその令状を提示することによって行うとされております。これ以外の者に対してその処分が行われた旨を通知することは刑事訴訟法では定められておりませんので、委員がおっしゃったとおり、位置情報を取得するに当たりまして、被疑者などの捜査対象者である利用者に対する通知は必要ないと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 この出発点が大事だと思っております。当然、私は個人的にも、利用者に対して通知を一切する必要はないとか、何らかの手続をとる必要はないと言うつもりはないんですが、新聞報道を見ておりますと、とにかく利用者に通知するのがもともとの法のたてつけなんだというスタートになりますと、やはり捜査の必要性の観点からさまざまな調整が必要になってくるんですが、先ほどもお話がありましたとおり、これは検証の令状になってきますので、基本的には通信業者だけに定めればいい。

 そして、通信業者は不服申し立てができませんので、その不服申し立ての契機となる利用者に対する通知も、本来であれば法のたてつけから必要がないということの前提のもとに、では、どうやって一般の利用者の人のプライバシーの保護を図るかという、そこからスタートしなければ議論が少しおかしくなるんじゃないかということで、ただいま確認をさせていただきました。

 当然、総務省内におきますガイドラインの見直しにつきましても、さまざまな捜査の専門家または法律の専門家等も入っておりますので、こういった議論はされているとは思いますが、ただいまのような議論が現在総務省内で行われているのか、どういった議論になっているのか、もう少し細かくお話をしていただければと思っています。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のガイドラインの改正につきましては、先ほどから話が出ております、「位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるとき」という要件により捜査での実効性確保に支障が生じているというようなことで、見直しの検討が閣議決定をされておりまして、これを踏まえて、総務省において研究会を開催して、改めて検討を行った結果、携帯電話端末のGPS位置情報の捜査での利用に関する規定の改正を行うということにしたものでございます。

 今お尋ねの、GPS位置情報の捜査での利用におきまして、携帯電話の利用者に対する通知が必要かどうかというような点につきましては、この研究会におきまして、仮に携帯電話端末の利用者に対する通知をしたとしても、現行刑事訴訟法では検証に対して不服申し立てを行うことが認められていないので、利用者が不服申し立てをするために通知が必要であるとは言えないとの意見がありました。

 また、通信傍受の合憲性が問題となった裁判におきまして、最高裁は、通信当事者に対する事後通知がなく、かつ通信当事者からの不服申し立て手段がなかったとしても憲法違反にならないという判断をしており、検証を行った場合において、利用者に対する事後通知が憲法上求められているわけでもないとの趣旨の御意見がございました。

 以上でございます。

浜地委員 今、通信傍受の話ができましたので、通信傍受との比較もちょっと聞いてみたいと思います。

 通信傍受、これは、通信傍受法ができる前は検証許可状でやっておいたわけでございます。このとき、事後通知なし、そして不服申し立てなしでも憲法違反にならないという御答弁が先ほどございましたが、実際は、この通信傍受というのは、刑事訴訟法の外の特別法で通信傍受法が定められておりまして、これには実は事後通知があり、そして不服申し立ての制度もあるんですね。検証は本来そういった不服申し立ては必要じゃないけれども、やはり通信傍受という性格に鑑みて、事後通知や不服申し立ての制度をつくっております。

 ですので、やはり通信傍受との意味合い、いわゆる通信傍受とGPS情報の比較というのが私は非常に大事であろうと思っておりますが、この通信傍受との違いはどこにあると考えるのか、これは警察庁にお伺いいたします。

露木政府参考人 まず、捜査一般のことからちょっとお話をいたしたいと思います。

 犯罪捜査におきましては、被疑者を初めとする関係者のプライバシーに関する情報を取得するということが、その性質上当然に予定されております。犯罪にかかわったということ自体がその犯罪者にとってはプライバシーの最たるものだと思いますけれども、当然、その事実関係を明らかにしていくということが犯罪捜査でございますので、したがって、被疑者を初めとする関係者のプライバシーに関する情報を捜査機関が取得したからといって、一々それを本人に通知するとの手続は一般には設けられておりません。それを通知するということになりますと、かえって捜査に支障を生ずるということも考えられます。

 これに対しまして、通信傍受法におきましては、通信傍受が継続的、密行的に、憲法二十一条二項が保障しております通信の秘密を制約する処分でございますので、傍受実施後に当事者に通知する規定などを整備しているものと承知をしております。

 これに対しまして、GPS位置情報につきましては、通信の秘密を制約するというものではございませんので、その取得についていろいろな措置が必要になるとは考えておりません。

浜地委員 今御答弁いただきましたが、通信傍受法の通信の内容は、当然、通話の内容を捜査機関が聞いてしまうということでございます。

 先ほども御答弁でお話がありましたとおり、憲法二十一条は通信の秘密をうたっておりますので、まさにこれは憲法上の権利を制約していくものでございますので、やはり特別法において厳格な手続が定められているというふうに私も認識をしております。

 もう一つ、通話履歴を捜査機関が捜査の必要性のために取得することがございます。これは、実は捜索、差し押さえの部類になるんですけれども、これについては刑事訴訟法で事後通知をするように定められております。しかし、今回のGPSの位置情報については、そういった通知はしないというような方向性で今話が進んでおります。

 ですので、通信の秘密、憲法二十一条の権利を侵害する通信傍受は、やはり特別法で定め、事後通知や不服申し立ての機会があるということでこれはよろしいと思います。そして、通話履歴については、通信の内容まではないんですが、誰と通話をしたのかという記録でございますので、やはり通信の秘密に密接に関連するものということで、実は、これは事後通知の制度が刑事訴訟法に規定してある。

 今回のGPSにつきましては、そこで通話をしたかどうかの記録までとるものではないというふうに確認をしております。いわゆる携帯電話がどこにあるかということでございますので、これはプライバシーに関するもので、通信の秘密とは関係のないところでございますので、プライバシーの保護としてどうやって保護をしていくのかというところが必要だと思っています。

 この点、これまで総務省さんの御説明を聞きますと、裁判官の令状審査が厳格に行われるので大丈夫ですというふうなお話を聞いておりましたが、その具体的なイメージがなかなか湧きませんでした。

 具体的には、やはり常時監視にならないように、いわゆるGPSの情報をいただく期間を限定するとか、また、一日のうちの頻度を限定していくような運用がなされるんだという説明を受けておりますが、そうなりますと、プライバシーの保護の観点から、実際、令状を請求されます警察庁としても、頻度を限るとかまたは時間をしっかり限定するとか、そういった厳格な取り組みによって令状審査をするような運用の方向でよろしいのか、これを警察庁にお聞きしたいと思います。

露木政府参考人 携帯電話のGPS位置情報の取得は、被疑者の早期検挙などを目的として、携帯電話端末の位置を絞り込むために必要な範囲で行うことを考えております。

 今委員お尋ねの令状請求の運用でございますけれども、現在、携帯電話の基地局の位置情報の取得については現に運用がございますけれども、その運用と同様に、通信事業者と調整を行いました上で、位置情報を取得する日数でありますとか一日当たりの回数を限定した形で令状請求を行うこととなるものと考えております。

浜地委員 これからの運用ですから明確には言えないんでしょうが、今、基地情報の例を通してお話をしていただきましたので、恐らくそれと同じような運用になるものであるというふうに私は感じました。

 いずれにせよ、この問題は、要は、利用者に対する通知にとどまらず、実は、アイフォンあたりがまだ、位置情報を正確に出せるような機能があるかどうかや、実務的に詰めなきゃいけないところもたくさんあると思います。このあたりの方向性もしっかり今回検討会で詰めた上で、国民の皆様にしっかりと説明をしていただきたいと思っています。

 国民に対する説明不足、要は、令状があるからいいんだということの一点ではやはり疑義が生じると思っておりますので、いわゆるGPSの情報の、もともと刑事訴訟法との関係、そして通信傍受との違い、それで実際の運用としてはどのようなことをやっていくのかをしっかりと説明されることを期待しております。

 以上で終わります。ありがとうございます。

桝屋委員長 次に、武正公一君。

武正委員 皆さん、おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 それでは、一般質疑ということで行わせていただきたいと思います。

 まず、宝くじの件で御質問をさせていただきたいと思います。

 高市総務大臣も、宝くじは買われたことはあるでしょうか。まず冒頭、宝くじについてはどんなお考えをお持ちなのか、御所見も伺いたいと思います。

高市国務大臣 宝くじを購入したことは数回ございます。子供のころから家族で楽しみにしておりました。

武正委員 私も購入したことがありますし、県会議員に最初に立候補して落選中などは、ここの宝くじで当たらないかななんて、そういう思いも持って買いましたが、そういう思いを持ってもなかなか当たらないというところであります。やはり多くの国民の皆さんは、夢をこの宝くじに託して買われるわけであります。

 一方、資料にございますように、宝くじの概要、発売主体は都道府県及び指定都市ということで、地方自治体にとって、この当せん金が大変有効に地方自治にとっても寄与しているところも申すまでもないわけでございます。

 売り上げの使途については、総計一兆円近く、当せん者に支払われる当せん金が四六・五%、一方、地方公共団体の収益金は三千八百五億円ということでございます。平成二十五年度の実績ベースでありますので、地方公共団体にとっても大変大きな収益金でございます。

 私も地域で活動していたときに、ある方にこんなことをちょっと聞かれました。宝くじが発券をされるんだけれども、発券をして必ずしも全て完売するわけじゃないものですから、実は、売れ残ったところから当せん券があるはずだ、一体それはどうなっているんだろうということを聞かれました。

 総務省さんに伺うと、それは当然、売れ残ったものですから当たりの方はいらっしゃらないわけなので、その当せん金は当せん者には支払われずに、こうした主催者の側というか、あるいは地方公共団体の収益金なども含めた方にお金としてはカウントされるんだということでございます。

 ただ、これはたしか、totoあるいはナンバーくじなんかもそうなんでしょうか、当せん者がいなければお金を次回に積み増していくということが最近行われておりますので、そういった意味では、発券されていない番号が当たった場合にやはり何らかの対応があってもいいのかなというふうに思うわけです。

 二ページ、平成二十五年度各種くじ別の当せん金率、収益金率を見ていただきますと、通常くじ、ドリームジャンボなど、ナンバーズ、ミニロト、ロト6、ロト7ということで、当せん金の割合、そして一方、収益金の割合ということが書かれております。

 それぞれ、法律では当せん金は五割というようなことが決められておりますし、また、主催者側の収益金は三九%は確保するんだというようなことも言われているわけでありますので、先ほど触れましたように、三九%を超えてくることを考えれば、今言いましたように、発券されていないけれども当せんした番号が収益金の方に入っていくということは、果たしてどうなのかなというふうに思うわけですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 宝くじは、地方財政法等の規定に基づきまして、都道府県及び指定都市のみが発売することができ、発売計画等は発売団体において作成しております。

 例えば、全国自治宝くじにつきましては、宝くじの発売団体である全ての都道府県及び指定都市で構成する全国自治宝くじ事務協議会において発売計画を決定し、その責任において事務の管理執行も行っております。

 総務大臣として、事務の管理執行権限はございませんので積極的に申し上げることはできないんですけれども、一般論としては、売れ残りの多い少ないによって宝くじ購入者の当せん確率が変わるものではございません。しかしながら、やはり宝くじの売り上げが向上して売れ残りが少なくなるということが望ましい姿だと思っております。

 ちなみに、当せん確率ですけれども、宝くじの発売計画からも明らかなんですが、その割合というのは、そもそも、発売された全ての宝くじに対する当せん数の割合ですから、発売計画では売れ残った宝くじも含めて当せん数を明らかにしているものでございます。

 ですから、仮に、何か売れ残った宝くじを除いて抽せんを行うというような形になってしまうと、発売計画が前提とする割合よりも相当程度高い割合で当せんが決まるということになるかと思います。

武正委員 今お話にあった通常くじで例を挙げますと、第六百四十七回全国自治宝くじがございます。これは、一昨年の八月二十八日から九月十日まで発売をされまして、一枚五百円の一千万通ということで、五十億円発売をされたということであります。抽せん日は平成二十五年九月十二日でございまして、当初から五割、二十五億円を当せん金といたしました。

 当せん金に売りさばき手数料あるいは当せん金支払い手数料、社会貢献広報費、諸経費などを加えた二十九億一千五百四十三万四千九百五十円が支出であって、収入との差額二十億八千四百五十六万五千五十円ということで、四一・六九%をその主催者である地方公共団体の収益金ということで想定をして行ったところでございます。ただ、実際の売れた額というのは四十五億二千六百三十一万二千円ということで、四億七千三百六十八万八千円は売れ残ったわけでございます。

 そうした中で、当せん金につきましては、確定した売れ残り当せん金が実は一億六千二百十三万二千五百円出たわけでございます。ですから、この一億六千二百十三万二千五百円については、発券をしていないんだけれども、これが当せん金として計上され、しかしそれは実際には支払われなかったということでございます。

 もちろん、一年で時効が完成しますので、当せんしてもとりに来られない方は当然いまして、平成二十六年九月十六日をもって時効が完成した折には、四千八百三十八万五千五百九十円が新たに納付をされるということでございます。

 先ほど触れましたように、三九%は主催者が収益金を確保しなさいということからいきますと、当初段階から四一・六九%ということで高目に設定もしておりますし、先ほど、二ページ目の資料を見ていただきますと、収益金の方も三九を超えていくこともほとんどの場合出てくるわけであります。

 先ほど大臣が答弁されたように、こうした宝くじについて、多くの方々が購入をされ、そして魅力を感じ、そしてそれによってまた地方自治にも供するといった観点からは、発券されていないのに、当せん者がいないのに当せん金として確保されるというやり方については、何らかの見直しが必要ではないかということを再度指摘させていただきたいと思います。

 この点について、先ほど一般論と言いましたが、大臣、加えて何か御所見ございますでしょうか。

高市国務大臣 やはり、売れ残った宝くじを外して抽せんを行うというような方法をとった場合には、当せん金の金額ですとか当せんの本数を減らすような方向で変更しない限り、発売総額に対する当せん金の総額というのは高くなってしまいますから、発売団体の収益を確保する観点から問題があると思います。

 いずれにしましても、発売計画に沿った売り上げになるということで、売れ残りが生じないというのが最も望ましい姿でありますから、発売団体におかれましてさまざまな活性策によって売り上げ向上に努めていただきたいと考えております。

武正委員 三ページの方に、これは総務省ではなくて、実際に今こうした業務に当たっているみずほ銀行から出していただいた資料で、売れ残り証票の回収についてどうしているかということでございます。

 ジャンボくじについては、売れ残り券については、販売業者は、原則、発売最終日の翌営業日にみずほ銀行の各支店宛て持ち込み、みずほ銀行各支店は、日通便にて、発売最終日の翌々営業日中に、宝くじ業務センター宛て発送、宝くじ業務センターにて、抽せん日までに残券枚数を確定し、売れ残り券については全量溶解ということでありまして、この全量溶解するときには、ばら券、通し券などを含めて何番が売れ残ったかというのが全て記録されるということでありますので、当然、抽せんのときに、何組のこの番号は発券されていないんだということはわかるそうであります。

 やはり、発券されていなくて当たっているよと言われることが、本当に、夢を買う、特にジャンボくじなども含めてこうした宝くじに、果たしてどうなのかということは再度申し上げたいというふうに思っております。

 続きまして、放送法についてということで、「クローズアップ現代」についてお話を伺いたいと思います。

 お手元の方の資料には、平成四年九月三十日、十月一日、十二月三十一日放送のムスタン番組問題に関する経緯、そして、平成五年三月十九日時点での当時の小泉郵政大臣の行政指導の文書をつけてございます。また、先月二十八日のNHKによる懲戒処分。そして、「クローズアップ現代」、報告書が出ております。これはNHKさんがまとめられたと思いますが、調査報告書の概要ということでございます。そして最後に、高市総務大臣の「クローズアップ現代」に関する厳重注意、行政指導の文書をつけたところでございます。

 今回、「クローズアップ現代」のこうした報道あるいは放送、これが内容が間違ったものであったということが既にNHKから明らかにされているわけでございます。四月二十八日、きょうはNHKからは井上理事もお見えでございますが、当日は、総務省の方に「クローズアップ現代」の報告書の報告に行くということで予定をされていたわけです。その場で総務大臣から行政指導の文書を渡すということになって、この委員会でも取り上げられたように、それを受け取る受け取らないということの一連のやりとりがあったというふうに伺っております。

 まずは、平成四年のムスタン番組のときの、四ページをごらんいただきますと、こうした調査委員会ができ、そしてまた会長、放送総局長が記者会見で陳謝をされ、そして、調査委員会から発表があった二月十七日から一カ月以上たって、この間にもいろいろ検証もあったでしょう、おわび放送があったり、そして行政指導の文書が出されたのに対しまして、今回は、四月九日に中間報告、二十八日に検証番組、そして懲戒処分もされた二十八日の夜に行政指導の文書が出されたという意味では、非常に間がないというか、そうしたことが総務省から行われることについていかがなものかというふうに思うわけでありますが、この点について、総務大臣、御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 今回の行政指導につきましては、NHKの「「クローズアップ現代」報道に関する調査報告書」が公表された当日のうちに、私自身がその内容を隅から隅まで一行残らず読ませていただいた上で行いました。

 この調査報告書の最終章に記述されておりました再発防止に向けた提言については、いずれももっともな提言ではあるんですけれども、提言の域を出ているものではなくて、それぞれの改善策について、どのようなタイミングでどのような方向で進めていくのかというところにまで踏み込まれておりませんでした。

 やはり、NHKというのは国民・視聴者の受信料によって運営されている公共放送としての社会的使命に鑑み、今回の調査報告書に書かれた再発防止策をもっと踏み込んで具体化して、一刻も早く取り組んでいただきたいという思いから、速やかに行政指導を行いました。

 平成四年に放送されたムスタンのときなんですけれども、当時の小泉郵政大臣の名前による行政指導がございました。

 このときは、平成五年二月三日の朝日新聞の朝刊に記事が掲載されたということで問題になるんですが、一月二十六日から二月二日まで、要は朝日新聞に掲載される前日まで、NHKにいろいろな取材が行われたようでございます。

 このときのNHKの対応は非常に私は早かったと思います。二月三日の朝刊に出るということになったその前日の二月二日には、ムスタン取材緊急調査委員会というのを設置しておられました。そしてまた、中間報告はなかったですけれども、その調査を速やかに進められ、二月二日に調査委員会が立ち上がり、訂正放送は二月四日、十七日とあり、調査報告も二月十七日にあり、関係者の処分も行われ、そしてその後、総務省に何度にもわたって説明があったり、てんまつ書の提出があったりして、小泉大臣が三月十九日に行政指導をされたということでございます。

 他方、今回の「クローズアップ現代」につきましては、三月十八日発売の週刊文春に記事が掲載されましたけれども、調査委員会が設置されたのは四月三日と、まず非常にスタートは遅かったと思います。中間報告は四月九日にありましたけれども、最終的に、調査報告、四月二十八日にあり、処分も発表されたということでございます。

 そもそも、私は、まず調査への取りかかりが遅かったということ、中間報告の内容そのものがそれほど具体的なものにはまだなり得ていなかったということ。しかしながら、調べようと思いますと、このとき、カメラのクルーからADさんからたくさんの関係者がいるわけですから、もう少し速やかに調査を行い、できるところからでも具体的な再発防止策を進めていただかなければならない、国民・視聴者、特に受信料を負担されている皆様方に対して説明がつかないんじゃないかと思っておりました。

 過去は、郵政省時代には、もしかしたら行政指導ということを行うに当たっては、何度もNHKから説明を聞いて、何度もNHK側とやりとりをしてということがあったのかもしれませんが、私はやはり、放送行政を所管する立場から、一般の国民・視聴者が知り得る情報、つまり、あのとき、記者会見が行われ、ホームページに最終報告書がアップされて、一般国民・視聴者はそこまでの情報しかわからないんですよ。それが、報告書以外の内容をその後、例えば役所に来て私だけが伺って、足らざるところを私が納得して、はい、それでいいですよ、そういうことはしてはならないと思いました。

 あくまでも国民・視聴者の目線で、そのときの報告書を一行残らず、ホームページにアップされているから皆さんごらんになれるわけです。一行残らず読んで、その上で、さらに一歩踏み込んだ対応をもっと早くしてもらわなきゃ困るというところについて、推敲を重ねた上で行政指導を行わせていただく。

 その内容について事前に、例えばNHK側と、この書き方でいいでしょうかとか、こういう内容でいいでしょうかともし打ち合わせをしてから発出したとしたら、それは、私は総務省とNHKのなれ合いの関係になってしまうと思う。緊張感を持って、しかしながら、行政指導というのは、強制力のあるものじゃありません。助言の域を出ないものでございますので、私なりに分析をした上で、必要な助言だと思って発出をいたしました。

 早い方がいいと判断したので、あのタイミングで、二十八日のタイミングで発出をさせていただきました。

武正委員 助言の域を出ないというお話でございますが、免許権の権限、五年に一度更新の権限を持つ所管省庁の大臣の名前での行政指導の文書、八ページ、九ページにございますように、「誠に遺憾である。」「厳重に注意する。」「踏み込んだ対応が求められる。」「誰が、いつ、どのように実行するのか。」これは、再度こうした点の報告を求めているわけでありまして、最後には、「再発防止に向けた体制を早期に確立されることを強く要請する。」と非常に強い文章で、その当日、瞬く間に発出されたという印象を持たざるを得ないわけでございます。

 先ほどから国民目線というお話なんですが、何度かこの場で申し上げましたように、放送につきましては、放送法一条において、放送が国民に最大限普及されて、その効用をもたらすことを保障することと並んで、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保するということ、放送が健全な民主主義の発達に資するようにするということがまず書かれているわけで、よく、公平公正、あるいはさまざまな角度から、真実を曲げずにというようなお話が出るのは、放送法の四条の話でございます。

 こうした点からいいますと、放送の自律、独立、これが真っ先に来ているといった点からいいますと、監督権者、免許権者の総務省と、こうした放送局あるいは放送とは、ある面、先ほど言った緊張関係ももちろんですけれども、特に番組内容など表現の自由については、もちろん問題があればそれについてただすのはあってしかるべきだと思うんですが、特にNHKについて言えば、先ほど触れたムスタン以来この二十年以上なかった行政指導が、先ほど言ったその当日に出されたということは極めて重い意味があるんではないかと私は思います。

 そういった意味では、放送の自律、独立といったことを、どのように総務大臣としてはこの放送法一条を尊重されているのか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 今回の事案については、総務省設置法第四条第六十六号に掲げる事務を所掌する総務省として、総務大臣として行政指導を行ったものでございます。

 行政指導というのは、行政手続法第二条第六号の規定に該当するものであって、行政処分ではないというのは委員も十分御承知だと思います。行政指導は、指導、勧告、助言その他の行為であって、処分には該当しない。行政指導は、処分のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はございません。相手方の自主的な協力を前提としておりますから、行政指導を受けた者にその行政指導に必ず従わなければならないという義務が生じるものではございません。

 ですから、長い期間、NHKに対して厳重注意というような行政指導が行われていなかったから非常に重いものと受けとめられたという説明もございましたけれども、しかしながら、今回、明らかに、最終報告書でもお認めになっておりますが、放送法第四条第一項第三号、報道は真実を曲げないですること、及び放送法第五条第一項、放送事業者は、放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならないというところに抵触すると認められると判断をいたしました。

 やはり、これは多くの視聴者のために、そしてまた公共放送としての信頼性を取り戻し、確立していくためには、一刻も早く対応していただきたかったです。

 特に、四月二十八日、ゴールデンウイークを控えておりました。役所の公務でありますが、翌日の朝、私はタイに出発をする予定でもございました。もうその日のうちに私は読み込み、推敲もし、公印も押した文書をつくっておりましたけれども、それは、例えばゴールデンウイークが明けるまで置いておいてから行政指導を行えばそれで丁寧なやり方だったのか、それとも、一カ月待ってからやれば丁寧なやり方だったのか、そう言われたらその判断は非常に難しゅうございます。

 しかし、私は、少なくとも、この助言の域を出ない行政指導でございますから、多くの国民・視聴者の皆様が知っていらっしゃる情報の範囲内で、足らざるところがあればしっかりとこれは申し上げていくべきもので、NHKと、本当に一行一行、例えば行政指導の文書がこれでいいのか、これだったら受け取ってもらえますかなんという交渉をするつもりは全くございませんでしたし、そうあってはいけないと思います。やはり一刻も早く踏み込んだ具体的な対応をとっていただきたかった、その一念でございます。

 そして、礼を失した対応をしたとも思っておりません。直接大臣室で私が井上理事に、ちょうどその時間帯には総務省内におられることを承知しておりましたので、なぜきょうこのタイミングで行政指導なのか、なぜこういう助言をさせていただくのかという趣旨を説明した上で手渡しをしようと思って、大臣室にいらしてほしい旨をお伝えいたしておりました。

 結局は大臣室にお見えにはなりませんでしたけれども、手順は踏んだつもりでございます。

武正委員 平成四年のムスタン以来の、二十二年ぶりの行政指導の重みというものは私はあろうかというふうに思います。

 また、なぜこの間、歴代大臣がNHKに対して、いろいろなやりとりはあったと思いますが、行政指導の文書を出さなかったのかというのは、もちろんNHK側の、放送の自律、独立を守る、そうした番組編集あるいは表現の自由を守るためにも、おのずから律する、そうした編集対応、こういったことがあったというふうに思いますが、やはりこの放送法一条の放送の不偏不党あるいは自律、独立、こういったところがあったのではないかというふうに思います。

 また、平成四年、五年と違うところというと、やはりBPO、これが既につくられ、BPOが四月十日、そしてまた四月二十一日と、四月十日は放送倫理検証委員会、そしてまた二十一日は放送人権委員会への申し立てというような形で、それぞれBPOがこの「クローズアップ現代」について検証を始めているという意味では、過日大臣もこのBPOの有用性はお認めになられたと思うんですね。

 こうした放送の自律、独立からの第三者委員会が動いているということも、果たして、NHKが報告書を出したその日に大臣が行政指導を行うには、ちょっと早いのではないかというふうに思うんです。

 このBPOが今実際に第三者委員会として検証に当たっているということについては、大臣としては、例えばBPOの検証を待つという判断はなかったんでしょうか。

高市国務大臣 BPOは、第三者の立場から、自主的に、視聴者の基本的人権を迅速かつ的確に擁護して、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与するということを目的に、NHKと民放連により共同で設立された機関でございます。

 BPOの取り組みは、放送倫理の確保や人権救済の立場から、あくまでも民間の自主的取り組みとして行われているものでございます。非常に大切なお取り組みであると思っております。

 他方、今般の行政指導につきましては、放送法に明らかに抵触する点が認められましたことから、放送法を所管する立場から必要な対応を行ったものでございます。

 先ほどから委員が、最終報告が出た四月二十八日にすぐに発するということがいかがなものかといった趣旨の御発言でございますけれども、これは、やはり一刻も早くきっちりと改善策を踏み込んでとっていただきたい、その思いによるものでありまして、私が雑な対応をしたわけではありません。

 最終報告書も、その日に初めて全文を入手できましたよ。それでも、二回通り、隅から隅まで読ませていただきました。問題のある点も書き出させていただきました。そして、私一人で作業をしたわけでもございません。局長も読んでおります。また、大臣補佐官にも、並行して別々の部屋で読んで、問題点をきちっと把握した上で、推敲を重ねて、公印を押した文書を出させていただいたわけでございますので、これが、十日後だったらよかったとか二週間後だったらよかったとか、BPOの活動が全て終わってから、この結果が出てからだったらよかった、そうは思いません。

 総務省は、明らかに、放送法を所管する官庁としての立場から行政指導を行わせていただいたもので、BPOのお取り組みとはまた趣旨を別にするものでございます。

武正委員 たしかその日、「クローズアップ現代」では、検証番組も放送しているというふうに思います。「クローズアップ現代」というのは、大体夜七時半からだというふうに承知をしておりますので、当然、大臣もその日、十九時半から番組検証をNHKが行うことは承知されていたと思うんですが、先ほどのお話のように、井上理事が六時に総務省にこの最終報告の説明に行く、しかし大臣は六時半に行政指導の文書を渡すということは、例えば今の放送番組の検証番組を見てからでも遅くなかったのではないでしょうか。

 そのことは承知されていたんでしょうか。

高市国務大臣 少なくとも夕方までの段階、デジタルテレビでしたら、その日の放送内容、番組表が出ております。私は何度か確認をいたしましたが、その日はたしか、女性候補者の奮闘ぶりを紹介するような「クローズアップ現代」の内容が紹介されていたと思います。

 しかしながら、その日に検証番組をやるという情報は得ましたので、私はその夜、検証番組を拝見いたしました。これが放送法に基づく訂正放送に当たるかどうかという判断はそれはさておき、検証番組はしっかりと拝見をいたしました。

 しかしながら、私は先ほどから申し上げておりますけれども、その最終報告の内容について、理事が六時に安藤局長のところに説明に来られる。その説明を何度か聞いた後に、では、行政指導文書を出すか出さないか検討するとか、行政指導文書の内容を、その説明をはっきり言って密室で聞いた後に、私たちだけが了解して……(発言する者あり)私たちだけが了解して、ああ、そういうことか、最終報告書にこれは書かれていないけれども、口頭で説明を聞いて、私たちだけが納得して、これでよしとするか、そういう考えには私は立ちません。

 あくまでも、国民・視聴者が知り得るのは、あの最終報告書の、ホームページにアップされた文書でございますから、私たちが個別に部屋の中で説明を受けて、何か足らざるところを補足的に説明を受けたとしても、それによって行政指導文書の内容を変えるとか、助言をしないとかいうことにはなりません。

 明らかに放送法に抵触する部分があったということ。それから、再発防止策の章の書きぶりについて、あと一歩踏み込んだもっと具体的な提案がなされない、この再発防止策が明確にされない限り、やはりNHKの信頼回復というのには時間がかかる、そう考えました。

 私はNHKを敵視しているわけじゃありません。一刻も早く、公共放送としての使命を、国民・視聴者の信頼を得て、きっちりと果たしていただきたい、そのように考えているわけでございます。

武正委員 まあ、不規則発言も出ておりますが、大臣室というか、あるいは安藤局長ですかね、局長室とか、監督権者、免許権者の総務省にこうした報告書を報告に行く、それが密室でということには当然当たらないわけで、当然NHKとすればしかるべきことを行うということだというふうに思うんですね。それについては指摘にとどめておきたいと思います。

 事実に関する項目というのは当初の放送法には余りなかったんですが、昭和二十三年二月二十日、放送法の案で、第五条に、時事に関する放送は、真実かつ公平でなければならない。それから、放送法案、昭和二十三年六月十八日国会提出については、四条で、ニュース記事の放送については、厳格に真実を守ること。そして、二十四年十月十二日の閣議決定で、当時は四十四条でありましたが、こうした公衆に関係がある事項について、真実を曲げないで報道することということで、そうした点が、このたび、この四条一項三号に、報道は真実を曲げないですることという形になっていったわけであります。

 当初は、ニュース記事とか時事とか、そういった記載で真実ということが出ているわけでありまして、ここでは、報道は真実を曲げないですることということなんですが、大臣は放送法を所管しておりますけれども、報道というものは、どちらかというと、大辞典とか調べますと、ニュースということがよく出てくるんですけれども、例えば今回の「クローズアップ現代」なども含めた、広く解釈されるというふうにお考えでしょうか。

高市国務大臣 今御指摘のあった三号に係るここで言う報道とは、いわゆるニュースだけではなく、社会的な事象を事実として伝えるあらゆる放送番組を指すものと考えられております。

武正委員 ただ、スタートの時点では、そうした法案のこともあえて申し上げておきたいと思います。

 きょう井上理事もお見えですので、私は、お話では、二十九日、三十日以降、NHKから、ある面、そのときの対応が申しわけなかったなりのおわびの文書なども総務省に発出もされたというふうに聞いておりますが、今までのやりとりを聞いて、NHKとしての御所見、お考え、また、その当時のやりとりあるいはその後のやりとりで御発言をいただければと思います。

井上参考人 お答えいたします。

 先ほどからお話に出ております四月二十八日の行政指導文書につきましては、高市大臣の方から一刻も早く改善策をという思いから出されたこの文書の受け取りの対応に当たりまして、受け取りまでに時間がかかってしまったことは事実でありまして、これについてはまことに申しわけなく思っております。

 この文書につきましては、公共放送として、視聴者の皆様からの信頼に応えるために早急な再発防止の取り組みが必要だというふうな御指摘は、まさにそのとおりであるというふうに重く受けとめております。

 御指摘の趣旨も踏まえて、実効性の高い具体的な対策を今早急にまとめつつあるところでありまして、今月末、具体的には今週末に、最新の状況を取りまとめて公表する予定でおります。

 よろしくお願いいたします。

武正委員 お話では、おわびの文書も出したということは、その点、いかがでしょうか。

桝屋委員長 井上理事、時間が来ております。簡略にお答えください。

井上参考人 受け取りまでの対応に時間がかかったこと、それから、その過程で、お話は今回出ませんでしたけれども、総務省の担当者に礼を失した対応がありましたことについてはおわびをいたしました。

 それから、改善策についても、先ほど申し上げましたように、今早急に取りまとめているところであります。

武正委員 以上で終わりますが、NHKには引き続き、さまざま問題、課題があること、それは対応をお願いしたいと思いますが、ただ、放送法一条の放送の自律、独立といった点から、監督官庁、総務省としての対応も、やはりそうした点をしっかりと踏まえて御対応いただくべきではないかということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、吉村洋文君。

吉村委員 維新の党の吉村でございます。

 本日は、一般質疑ということで、私から質疑させていただきます。

 約十日ほど前になりますけれども、大阪都構想の住民投票が行われました。大阪にある課題解決ということで、大阪の二重行政の解消、住民自治の拡充、それから大阪市、大阪府のツートップ体制からワントップ体制にしてしっかり広域行政をやっていきましょうということを掲げて、大阪都構想の住民投票をしたわけでございます。

 結果は御承知のとおりでございますが、百四十万の有権者が投票されまして、賛成が六十九万、反対が七十万、〇・八%という差で非常に僅差ではございましたが、反対が多数ということで、この都構想については否決ということになったわけでございます。

 この都構想を踏まえて、賛成と反対が非常に拮抗しているという状況でした。大阪市民の方も、大阪の課題というのを正面から捉えて、それで重大な判断をしていただいたというふうに思っております。今後は、当然この大阪市民の判断というのを踏まえて、それぞれに意見というのがありますから、この否決ということを前提に、課題解決に向けて、議会それから首長が、少しでも大阪が前進するようにということで進んでいくというふうに思います。

 今回は、その中身というよりは、投票率について少し質問したいと思っております。

 今回、投票率は、六六・八三%という非常に高い投票率であったわけでございます。

 過去の大阪の投票率、過去二回の、例えば大阪市長選挙あるいは大阪市内の衆議院選挙、大阪市内の市会議員の選挙の投票率、それをちょっとお伺いしたいと思います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 過去二回の大阪市長選挙における投票率でございますが、昨年三月の選挙が二三・五九%、その前の平成二十三年十一月の選挙が六〇・九二%でございます。

 それから、衆議院小選挙区選挙におきます大阪市の投票率につきましては、昨年十二月の選挙が四七・七八%、平成二十四年十二月の選挙が五七・三五%でございます。

 また、大阪市議会議員選挙における投票率でございますが、本年四月の選挙が四八・六四%、その前の平成二十三年四月の選挙が四九・二七%となっているところでございます。

吉村委員 昨年の十二月の衆議院選挙でも約四七%ということです。その前の衆議院選挙、これは五七%。市長選挙を見ても、ダブル選挙、現在の橋下市長と松井知事が出て非常に大阪では注目された市長選挙で約六〇%という中で、今回六六・八三%というのは非常に高い投票率だと思っておるんですが、これについて、大臣はどのように分析されておられますでしょうか。

高市国務大臣 確かに、六六・八三%というのは、近年大阪市で行われた選挙の投票率と比べると、高い水準でございます。

 大都市地域特別区設置法の規定に基づく住民投票につきましては、市町村を廃止し特別区を設置するという統治機構の変更が関係市町村における行政サービスの提供のあり方に大きく影響するために、やはり住民の意思を尊重するべきだ、こういう観点から設けられた制度でございます。

 投票率はさまざまな事情が総合的に影響するものではありますけれども、今回の住民投票は、やはり大阪市の存廃ですとか特別区の設置というみずからの地域のあり方を決める極めて重要な問題であったということから、市民の皆様の関心が高まり、投票率も高まったものだと考えております。

吉村委員 私も同じ意見でして、こんな住民投票は今までなかったわけでございますから、これは一つ大きな前進だというふうに思っております。

 やはり、大阪発で、中央からではなくて地域みずからが考えて都市の形を決めていくというのは今後も必要な課題になってくるかなというふうに思うんですけれども、その投票率の高さの理由、さまざまあるとは思います。先ほど大臣がおっしゃった理由もあるでしょうし、あるいは、政治的に言うと、維新が賛成、反対については自民、公明、民主、共産の連合体で、そしてそれぞれの支持母体で反対というような、こういった大きな政治的な闘争もあったかと思います。

 それに加えて、今回ちょっと質疑したいのは、制度も一つ要因にあったのかなと思っています、投票制度ですね。

 というのは、これまでにはなかった、要は制約。例えば、選挙ではよくあるんですけれども、文書図画の制約、これもなかったわけでございます。運動員の数、これも、選挙ではあるけれども、住民投票ではなかった。街宣車の数の制約もなかった。それから、投票日当日も行動ができる。

 選挙に携わってきた人間からするとなかなか、私自身も初めての経験でそういうことをやったわけでございますけれども、それが、たくさんの情報を賛成、反対を含めて住民に提供できて、投票率が上がった大きな理由の一つにもなっているのかなというふうにも思っているわけでございます。

 そういう意味では、通常の選挙における投票率を上げるというのが課題にはなると思うんですけれども、そういった制約を解除すれば、投票率が上がる一つの要因にもなるんじゃないのかなというふうに思っております。

 例えば、文書図画だけでもいいのかなとも思うんです。一度それを選挙で解禁してみてはどうかなというふうに思うんですけれども、そのあたりについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 確かに、公職選挙法と、今回行われた大都市法に基づく住民投票の運動規制というのは違っておりました。運動期間が私たちの選挙でしたら制限されておりますけれども、期間制限もない、選挙事務所の設置、これも数などについても制限がないということですから、非常に自由な選挙運動だったと思います。

 しかし、現在の公職選挙法に基づく選挙運動に関する規制については、やはりお金のかからない選挙の実現、それから選挙の公正確保の観点から、これまで国会における審議ですとか各党間の議論を経て現在のようなルールが設けられてきたものと承知していますので、選挙運動規制への提言を含めて選挙運動のあり方について考えようとすると、これは選挙制度の根幹にかかわる事柄でもありますし、これまでの数次にわたる改正の経緯も踏まえますと、やはり各党各会派で御議論いただくべき問題であろうと思います。

吉村委員 随分昔に公職選挙法ができて、時代の流れというのは当然あるわけでございますけれども、よくそれで理由で言われるのが、お金のかからないやり方が必要だ、それから、選挙の公正を守らなければならない。

 選挙の公正については、当然、買収とかそういうものはあってはならないと思いますし、そういう事後規制というのはしっかりやる必要があると思うんですけれども、一つ視点として欠けているというか、お金がかかる、かからないというのも当然あるんですけれども、それは、どちらかというと立候補する側からの視点だと思うんですね。やはりこれだけメディアも発達している中で、受け手の側、選ぶ側、有権者の側からの視点ではないと私は思います。

 例えば、文書図画も、枚数なんかも決まっていて、選挙が始まれば、あのちびっこいシールをみんなでぺたぺた張ってやっていくわけですけれども、それがどこまで合理的なのかというふうにも思いますし、今回の住民投票でもこれはできているわけですから、受け手の側、有権者の側からすると、情報が来るか来ないかという点でいえば、やはりそういった制約は外していく方向で検討すべき。

 大きく見たときに、どちらの視点から見たときお金がかかるか、立候補者の視点から見るのか、あるいは有権者の側の視点から見るのか。私は後者の方に重点をずらしていくべきだと思いますけれども、そのあたりの理念について、大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 有権者から見るとより多くの情報を得やすくなるという考え方、これを大切にすることも候補者にとっては重要なことだと思います。

 これまで、政治改革として、例えば、マニフェストの頒布等の解禁というのが平成十五年に議員立法でなされたり、地方公共団体の長の選挙におけるビラの頒布の解禁というのも平成十九年に議員立法でなされたり、そして、国政選挙におけるマニフェスト頒布機会の拡充というのも議員立法で平成十九年になされた。インターネット選挙運動の解禁というのも、平成二十五年に議員立法でなされました。おおむね、ずっと議員立法で政治改革が行われ、有権者の知る権利を大切にする観点からの改革が行われております。

 他方、候補者にとりましても、やはり相当な労力を使う作業でもあります。正直申し上げまして、インターネット選挙、解禁になっておりますけれども、私の事務所では、当然公式サイトは立ち上げておりますけれども、なかなか、自分自身でそれをたびたび更新したり、本当でしたらもっと活用方法があるんですけれども、人員不足からそういったものにきちっと対応できていないなと、私自身も反省をしているような状況でございます。

 立候補する方が、余り行き過ぎてしまって、お金持ちの人しか立候補できなくなっちゃうとか、たくさんの人を雇える人じゃなかったら対応ができなくなってしまうというような行き過ぎは十分注意をしながら、それでも、有権者の皆様に、一人でも多くの方に人柄なり政策なり政治理念を知っていただくための機会をふやす、そのためにどうしたらいいのか。これはまさに、やはり国会で、各党各会派で真摯に御議論をいただくべき点だと思っております。

吉村委員 大きな流れとして、やはり投票率の向上というのは必要だと思いますので、どちらかというと、有権者の側からの視点というのをもっとふやしていく。そして、知恵をかければ、お金をかけずに情報発信する手段というのは今もたくさんありますので、やってはだめだという規制は、選挙の公正を除けば、できるだけ外していくべきじゃないのかなというふうに思います。

 それから、世代別の投票率についてちょっとお伺いしたいんですけれども、今回の住民投票の投票率の世代別の内訳を教えていただきたいと思います。あわせて、昨年の衆議院選挙における世代別の内訳、二十代、三十代、四十代、五十代、六十代、七十代以上とあると思いますけれども、それぞれ、その投票率の内訳を教えていただきたいと思います。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 今回の住民投票におきます世代別の投票率でございますが、大阪市の選挙管理委員会に確認をいたしましたところ、現在集計中ということで、まだ把握ができていない状況であると聞いております。

 また、昨年十二月の衆議院選挙の世代別の投票率でございます。一定の抽出調査ではございますけれども、二十代が三二・五八%、三十代が四二・〇九%、四十代が四九・九八%、五十代が六〇・〇七%、六十歳代が六八・二八%、それから七十歳代以上が五九・四六%、このような状況になっているところでございます。

吉村委員 今回、大阪市の住民投票の世代別の内訳は、まだ大阪市で集計中で出ていないということですけれども、出口調査というのをやっておりまして、朝日新聞、朝日テレビの調査では、二十代から六十代までの世代が賛成が過半数、それから、七十代以降が反対が過半数ということです。産経、毎日、関西テレビ、毎日放送、共同通信の共同の調査ですけれども、これによりましたら、二十代から五十代までの世代がこの都構想については過半数が賛成、それから、六十代、七十代以降が反対というふうに報道されています。

 もっと詳細なものが読売テレビ、これは事実テレビで報道もされたものなんですけれども、この出口調査によれば、二十代から五十代まで約六〇%からの賛成、三十代に至っては、三十代男性は七〇%の賛成、しかしながら、六十代で賛否が拮抗して、七十代以降になると約三分の二、六〇%以上が反対というような大きな傾向が出ているわけでございます。

 当然、期日前投票の結果もあり、これは当日の出口調査で、確かな数字、傾向としてはそういうことにはなるんだろうと思いますけれども、その結果、合計で反対が通った。つまり、大体二十代から五十代ぐらいは賛成が多数、六十代はほぼ拮抗している、七十代以上は反対が多数、結果、反対というようなことになっているわけでございます。

 それを大きく見れば、投票率でいうと恐らく、若者世代、現役世代というのは低かったんだろう、高齢者世代はかなり高かったんだろうということが予想されます。

 結果、現役世代というのは現状変更を望んで、そして高齢者の世代は現状維持を望まれたのかなというふうに思っております。

 今後、ますます少子高齢化社会が進む。国政の場でも地方政治の場でも現状を変更するという改革は待ったなしの状況だと思っています。これは、今回の安保法制でもそうかもしれませんし、あるいは憲法改正でもそうだと思います。

 そういった中で、選挙に行かない現役世代がおかしいといえばそこまでなんですけれども、ただ、この数字を見るとそうは言っていられない状況だと思いますし、国として、選挙を管轄する総務省としても、この現役世代、若者世代の投票率を上げる施策というのは必要だと思います。

 今後これらの世代の投票率を上げるために、大臣はどういったお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今回の住民投票に関する投票率、年代別のは集計中だということで先ほど部長が答弁しましたが、やはり昨年の衆議院議員選挙における年代別の投票率を見ましても、二十歳代から四十歳代の投票率が平均を下回っております。特に世代が若いほどその傾向がより顕著であるというのは間違いのないことだと思います。

 この世代別の投票棄権理由として、二十歳代から五十歳代では、仕事があったからと答えられた割合が他の年代に比べて高かった。一方で、二十歳代から三十歳代の若い世代では、そもそも選挙に関心がないと答えられた割合が高かったという調査結果がございます。これは明るい選挙推進協会が実施した平成二十五年の調査でございます。

 こうしたことから、まず総務省としては、若い世代の政治意識の向上を図るために、国や社会の問題をみずからの問題として捉えていただく、そして行動していただく主権者を育てることが重要だと考えています。

 具体的に、大学生などを対象としたシンポジウムの開催ですとか、地方公共団体が行う学校での出前授業ですとか大学生を中心とした政治に関する意見交換会の開催などの取り組みの支援を行っています。

 それから、選挙管理委員会等の関係機関と連携しまして、あらゆる機会を通じて主権者教育を推進して、特に若年層の投票率向上に努めてまいります。

 あわせて、有権者の方々が投票しやすい環境をつくっていく。特に、先ほど、仕事があったからと答えられた割合が高かったということですので、省内の研究会において先般中間報告を取りまとめましたけれども、その中間報告の中にもやはり、期日前投票を投票しやすい場所、通勤の途中などに投票しやすい場所で、しかも時間帯も少し長くしてほしい、こういった内容も出てきておりましたから、できるところから順次取り組んでまいりたいと思っております。

吉村委員 その期日前投票でいうと、例えば大阪大学などでは大学内に投票箱を設置する、そういう取り組みもしておりますし、そういったものをどんどん広げていっていただきたいと思います。

 そもそも、現役世代、若者世代が選挙に興味がないというのもゆゆしき問題なんですけれども、先ほど申し上げたとおり、例えば、そういう意味では、やはりこの公職選挙法の、情報を出す制限というのをできるだけなくすべきだというふうに思いますし、あとは、仕事があったからというのは、これは本当によく聞く理由ではあるんですね。

 今回、住民投票で、私も初めて投票日当日に投票所の前に立つというのをやりました。私は選挙区は市内の中心部なので、市内の中心部で立っていると、自分は大阪市民なんだけれども、住んでいるところは中心からちょっと離れているところなんだが、この投票所で投票できないんですかというのを何人かに聞かれて、それは結論としてできません、戻ってやってくださいと。実は仕事で今市内の中心に来ているんだけれども、投票したいんですけれどもというふうに言われて、それもできませんというような回答もしました。

 投票所というのは非常に硬直的だなというのを改めて実感として思ったんですけれども、そもそも、投票所は今指定制度になっていると思います。投票券に書いてあるところしか投票ができない、例えば大阪市内の選挙であっても、投票券に書いてあるところしか投票できないことになっていると思うんですけれども、それの意味についてお伺いしたいと思います。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 当日の投票所でございますが、御指摘ございますように、市役所、町村役場または市町村の選挙管理委員会の指定した場所に設けることとされております。また、一つの投票区に一カ所の投票所を設ける、こういう仕組みに現行はなっているところでございます。

 そして、選挙人が投票できる投票所といたしましては、その選挙人が属する投票区の投票所、つまり、その選挙人が登録されております選挙人名簿の属する投票区の投票所とされているところでございます。

 現行の仕組みがこのようにされておりますのは、投票所での投票に際しまして、本人確認等のため選挙人名簿との対照を経ることになるわけでございますけれども、選挙人名簿は投票区ごとに編製することとされておりますし、また、選挙人が投票区を超えて投票できる、こういうことになりますと、名簿との対照等が困難な事情等も生じ、二重投票のおそれといったようなことも生じるような事情によるものと承知をいたしております。

 このような選挙手続の混乱を避け、その公正な執行に努める、こういう趣旨から設けられているものと承知をいたしているところでございます。

吉村委員 先ほど大臣もおっしゃったように、現役世代、仕事があって行きたくても行けないというような人から見て、果たしてその説明がどれだけ合理的なのかなというふうに思います。今は当然、クラウドもありますし、しっかりオンラインでも管理できるはずだと思います。ですので、その場で紙でしか照合できないよというのは、やはり政治の怠慢じゃないのかなというふうに思っております。

 そういう意味で、特に、今回のような大阪市の選挙であれば、投票日当日、外出先の投票所あるいは仕事先の投票所、あるいは、仕事に行く前にターミナル駅を通過する場合が多いですから、ターミナル駅で臨時の投票所なんかを設けたりするというようなことを積極的にやっていって、それは恐らくはクラウド管理であったりでできるはずだと思いますので、そうすることによって、やはり現役世代の投票率というのは随分改善されるんじゃないのかというふうに思っています。

 技術的には今そういうことですけれども、そのあたりについて、大臣の理念というかお考えをちょっとお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 選挙当日に、投票区の投票所とは別に、選挙の公正を確保しながら、駅ですとか大学構内など利便性の高い場所に投票所を設置して、そこで投票できるようにするということについては、有権者の投票しやすい環境づくり、それから投票率の向上につながるものだと考えております。

 今、二重投票をいかに防止するか、そういう課題があるという答弁もありましたけれども、選挙人名簿対照のオンライン化によってそれもクリアしていけるんじゃないかと思っております。

 ただ、政令改正は必要でございますし、選挙当日における投票区外投票については法改正事項となってまいりますけれども、しかし、先ほど申し上げました省内に設置した研究会が先般取りまとめた中間報告におきましても、選挙当日における投票区外投票についてはテーマとして取り上げられております。「投票区にとらわれず、有権者それぞれが最も利便性が高いと考える投票所において投票できるよう検討を進める。」とされておりますので、十分にこの内容も踏まえて、実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

吉村委員 ぜひ、それは実現に向けて前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 今どき、例えば手形だって電子で取引できるような状況ですし、そういった技術は非常に発達しておりますので、ここは本当に若者、現役世代の投票率の向上に資するものだというふうに思います。確実に少子高齢化が進んでくる中でやはりそこの手当てというのは、今のこの日本の状況を考えても、ぜひやっていっていただきたいと思います。

 これは、憲法改正にも絡んでくると思います。当然この中身については審査会で議論すべき話だと思うんですけれども、私は、憲法改正を進める、賛成の立場でございます。

 その中で、今回のこの住民投票を見ると、やはり高齢者の方というのは、恐らく現状を維持する方向に働いていくのじゃないのかなというふうに僕は思っています。現状を変更するというのは、一歩踏み出すというのはなかなか難しいところがあるのかなというふうに思っております。

 そういう意味でも、そういった制度というのはできるだけ広く解禁していくようなことにしないと、なかなか新しい制度、第一歩を踏み出すことはできないのかなと思います。

 今回の都構想もそうですけれども、今ある利益を分配するという政策ではないわけです。新しい制度をつくるということなので、賛成する人も不安の中で一票を投じるというような仕組み、だから、それを乗り越えて賛成に投票していただくのは結構高いハードルというのは我々の今回の認識でして、恐らくそれは憲法改正でも同じようなことになってくるのだろうなというふうに思っております。

 それで、憲法改正の国民投票とそれから今回の住民投票の比較なんですけれども、せめてできるだけ多くの情報が国民に知られる必要があると思うんですけれども、今回の住民投票と国民投票とでの活動の規制の違いについてお伺いしたいと思います。

稲山政府参考人 憲法改正国民投票運動の規制につきましては、ごく一部に限られまして、大阪都構想の住民投票では禁止をされております戸別訪問でございますとか公の施設での演説などにつきましても自由ということで、禁止されていないところでございます。

 このような違いがある理由といたしましては、国民投票運動につきましては、まさに主権者である国民の政治的意思の表明そのものでございますので、基本的に自由ということで、規制はごく限られた必要最小限のものを設けるものとされたところと承知をいたしております。

 一方で、大阪都構想の住民投票につきましては、他の法律に基づく住民投票と同様に、投票に関する運動の自由と公正を確保するために必要最小限の制限規定を設け、その他は自由、こういったことにされた、いずれも議員立法でございますが、そのような考え方に基づくものというふうに承知をいたしているところでございます。

 なお、広告放送につきましては、大阪都構想の住民投票においては制限をされておりませんけれども、憲法改正国民投票におきましては一定の規制が置かれております。国民投票の期日前十四日に当たる日から投票の期日までの間は広告放送をすることができない、こういう規定があるところでございます。

吉村委員 国民投票と今回の住民投票を比較したときに、国民投票の方ができるだけ自由な活動を保障するというような大きな趣旨がある中で、テレビCMに関しては、我々は今回テレビCMをやったわけでございますけれども、憲法改正の国民投票については二週間前からは禁止するということになっています。ちょっとその論理が一貫していないんじゃないのかなというふうに思います。

 今回、テレビCM、我々賛成派はやりました、それから反対派の方もされました。特に投票日が近くなればなるほど有権者の関心というのは高まってきますので、これは賛成派も反対派もやって、それでやはり関心を持つということで、よかったというふうに私は思っております。

 同じように、憲法改正の国民投票についても、投票日が近づけば近づくほどそういった関心も高まるという中で、テレビCMを二週間前から禁止するということはやめた方がいいんじゃないのかな、この住民投票をやった経験からしてそう思うんですけれども、そのあたりについてどのようにお思いでしょうか。

稲山政府参考人 先ほど申し上げましたように、国民投票運動につきましては、基本的に自由ということで、必要最小限の規制のみを設けるものとされておりますが、広告放送につきましては、投票日前二週間のみ規制が置かれているところでございます。

 このような規制が置かれました理由といたしましては、これは憲法改正国民投票法の制定時の提案者の御答弁によりますと、音声や映像を用いる放送メディアというのは影響力が大きいところがございますので、特に、言論に対しては言論でもって対処するという基本的な考え方に立ちつつも、一定期間については、広告放送が集中的に流されるような事態を想定した場合、反論等の時間的余裕がないことになってしまうため、このように一定期間禁止する、こういったような趣旨の御答弁がされているところでございます。

 いずれにいたしましても、国民投票運動のあり方につきましては、まさに制度の根幹にかかわることでございますので、議員立法で制定されたという経緯等も踏まえ、各党各会派で御議論いただくべき事柄ではないかというふうに存じております。

吉村委員 私も国民投票が制定されたときの議論も見ましたけれども、反論の時間がないというようなこともありました。では、最初から一切禁止すべきかどうかという議論もあったけれども、それはやはり表現の自由があるだろう、政治活動の自由があるだろうというようなこともあって、何か間をとったような結論になっているわけですけれども、反論の時間がないという点に関しても、当然、CMの場合、それぞれが言論の機会が平等に与えられていればそれは問題ないというふうに思いますし、特に反論合戦をやるということでもないとは思っています。

 しかも、今回私どももつくって思うんですけれども、CMはテレビ局の考査というのがありまして、例えば断定的な表現はやめてくださいとかいろいろある中で、余りにもむちゃくちゃな、でたらめなCMというのもできるような状況ではない。そういう意味では、やはり一律禁止するというのはやめた方がいいのかな。

 なぜこういうことにこだわるかというと、やはり、先ほど申し上げたとおり、変更が近づけば近づくほど、現状維持になびきやすい。しかも、少子高齢化の中で、投票率を見ると、明らかに高齢者の方の方の意見が反映されやすい仕組みに結果としてなっているというような中で、だけれども、それを前に進める必要があるという改革は、憲法改正は特になってくると思うんですね。

 特に、少子高齢化というのは本当に未曽有の問題で、確実にやってくる。現状維持を求めるのはいいんですけれども、実は、現状変更をしないと現状維持はできないということにどれだけの方が気づいているのかということも、やはりそれは内在的な問題としてあるわけです。

 そういう意味でも、できるだけ情報の提供というのは禁止する方向ではやるべきではないというふうに思うんです。そのあたりの、特にテレビCMに関して、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今も選挙部長からお答えしたとおりの考え方なんですけれども、ただ、表現の自由はできるだけ尊重することとしながら、余りにも財力の多寡による不平等が生じるおそれがあるということは勘案しつつ、なお、期日前投票の期間が投票日の二週間前から始まっているというようなことを踏まえた答弁が当時なされております。

 国会で議論が行われていたときに、大変印象深いのは、不当な言論に対しては言論をもって対抗するのが本筋であり、我が国の言論市場はそれだけの自浄作用を持っており、その真偽を判断するだけのリテラシーを国民は持っているのではないかと考えて、原則として、特段の新たな規制を設ける必要はないという結論に至ったというのが提出者の考え方なんです。

 しかし、時として国民の感情に訴えて扇情的なものになる可能性もある放送における広告については、何の規制も設けないと、投票日期日直前に不適切な内容のものが大量に放送されたら、これが言論の自由市場において淘汰される機会がないまま投票期日を迎えることになってしまって、国民の冷静な判断を阻害するおそれがあるということで、一定の期間、国民の皆さんに十分な情報をお伝えした後、冷静にじっくり考える期間を持っていただこう。当時、そういう趣旨だったと理解をしております。

吉村委員 今回思いますけれども、例えば、反対、これはもう明らかにデマだろうというようなものもあふれ返ると思います。憲法改正なんかでも特にそうなっていく、そしてそのビラの量も半端じゃない量になってくるという中で、やはりその核心的な部分をしっかりと、改正を主張する側が国民に伝えられるような、そういった仕組みというのをつくっていっていただきたいというふうに思います。

 今回はこの件について質疑させていただきましたけれども、やはり大阪のこの二重行政の解消の問題、これはこれから大阪でまた議論されますし、国と地方との二重行政の問題というのもあると思います。少子高齢化の中で、行政の役割分担というのはしっかりやっていかないといけない。

 そういう意味では、最終的には道州制ですけれども、その前に、私は、出先機関の移管の問題、これについては徹底的に主張していきたいというふうに思っておりますので、また別の機会でその点はやりとりさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 まず、中学の夜間学級、いわゆる夜間中学の問題を伺いたいと思います。

 現在、さまざまな理由から就学できていない方を受け入れ、教育を受ける権利、義務教育の修了を保障してきた夜間中学を全国に開設する運動が非常に長い間取り組まれてまいりました。

 国会でも今日、超党派で議連もつくられ、下村文部科学大臣も、少なくとも四十七都道府県に一つは夜間中学を設置と目標を述べられるなど、夜間中学の全国での開設に向けた大きな動きが始まってきております。

 私たちの党も繰り返し取り上げてまいりましたが、この問題、皆様と力を合わせたいと思っておりますし、また、全国夜間中学校研究会からは、国勢調査に関する改善の要望が強く総務省に出されていると聞いておりますので、この場できょうは取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、資料をごらんいただきたいと思いますけれども、御承知のように、現在、夜間中学は全国に三十一校あります。しかし、全国的に散らばっているのではなく、千葉一、東京八、神奈川二、京都一、大阪十一、兵庫三、奈良三、広島二と、全国で八都府県、ですから三十九道県にはないという実態に今あります。

 私の地元の埼玉でも、こうした公立夜間中学校はありません。川口に自主中学校があるのみで、自治体が設置するものでは、ありません。そのため、埼玉から東京の夜間中学に、直近では二十名前後の方が通っておられますし、多いときには六十九名もの方々が通っていたという調査もあります。実に片道二時間かけて通っている。そのときには交通費、定期代も高くかかるわけですけれども、この現状を見ただけでも、全国各地に設置が切実に求められていることは明らかだと思います。

 五月には、文部科学省で夜間中学の実態調査が初めて行われました。どのようなニーズがさらに明らかになったのかを御答弁いただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 今回の実態調査におきましては、夜間中学未設置の相当数の道県におきまして設置を求める要望が出されていること、また、ボランティア等により運営されている自主夜間中学や識字教室に通っている方々が相当数存在していること、また、その中には、不登校等により十分な教育を受けないまま中学校を卒業したいわゆる形式卒業者も含まれていること、さらに、既に夜間中学が設置されている自治体においても他の自治体の在住者から入学の問い合わせがあることなど、夜間中学の設置に関する一定のニーズが明らかになったものと考えております。

梅村委員 一定のニーズということでしたが、本当に大きなニーズがあるのではないかなというふうに思います。

 夜間中学を卒業し、そのうち四〇%が高校に進学をされていく、三五%が就職する。やはりここでの学びが、義務教育修了を力に、その後のその方自身の進路、未来を開く大きな役割を果たしていることは間違いないというふうに思います。

 先ほどの御答弁の中でも、ちょっと数字はありませんでしたが、既に自主夜間中学や識字講座などの生徒数も実数で約七千四百人ぐらいいるというふうに聞いておりますし、去年八月に決められた子供の貧困対策に関する大綱でも、夜間中学について設置の促進を位置づけられているわけですから、少なくとも四十七都道府県に一つは夜間中学の設置をやはり一日も早く実現するように強く要望したいというふうに思います。

 私も、自宅のすぐ近くに川口の自主夜間中学がありますので、先週の金曜日にお邪魔させていただきましたけれども、本当に公民館の狭い一室で、もういっぱいになり、ドアをあけるとわいわいがやがや、学ぶことが苦痛ではなく、やはり学ぶことが楽しい。そして、八時を過ぎてもみんな帰らない。

 二十代の女性に聞きましたけれども、小学校、中学校のときに不登校で、ずっと字が書けない、計算できない、こういうことに自信が持ててこなかったんだけれども、ここに来て本当に学ぶことの喜び、そして、これからそれを力に新しい進路も考えていきたいというようなことを笑顔で語ってくれました。

 夜間中学は、こういう方々とともに、学童疎開で勉強できなかった方々、そして今は、外国籍の方が非常に大勢いらっしゃいます。

 外国籍の方々も大変な苦労をされていて、これは聞いた話ですけれども、お母さんが日本人と再婚されて、中学二年生終了で来日される。でも、いろいろな手続で時間がかかり、そうこうしているうちに、学齢超過ということで昼間の中学校に入学させてもらえなかった。東北の人ですから、地元に夜間中学がなくて、その子のためにわざわざ東北からお母さんと子供が東京に出てきて、東京の夜間中学を出て、日本で生きていく、その基礎をつくられていく努力もされたということも聞いております。

 私の子供の友人の母親も、子供の学校のプリントが読めないので学校の行事がわからないというお母さんもいらっしゃいますし、字が読めず、駅で切符が買えないという方、役所で申込書や記入をしようとすると字が書けない、でも、恥ずかしいから、わざわざ手に包帯を巻いて、字が書けないので代筆してくださいというふうにお願いする方、結婚後、中学を卒業していないことを理由に離婚を言い渡された方、やはり義務教育未修了の方々は、それを隠して社会の片隅でひっそりと生活しておられるという実態も今日でも強くあるわけでありまして、改めて、社会教育ではなく義務教育としての推進を図る公立の夜間中学を今日開設していく役割や重要性について、確認させていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から、さまざまな背景、実態等について御指摘いただきました。

 夜間中学は、戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から昼間に就労または家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒が多くおられたことから、これらの生徒に対し夜間に義務教育の機会を提供するため、昭和二十年代初頭から設けられてきた特別の学級でございます。

 現在の夜間中学は、こうした方々に加えまして、本国で義務教育を修了していない外国人や、さまざまな理由により義務教育未修了のまま学齢を超過した方々の学習ニーズに対応しておりまして、就学機会の確保に重要な役割を果たしていると考えております。

 さらに、今後の夜間中学の役割といたしましては、不登校等のためにほとんど学校に通えていないまま中学校を卒業した、いわゆる形式卒業者の方々や、昼間の学校に通うことができない不登校生徒に教育の機会を提供していくことも期待されると考えております。

梅村委員 四十七都道府県に一つは、これは初めの大きな一歩であり、その後さらにということも求められていくかもしれませんが、まずは第一歩ということでいえば、全都道府県にということではどんな対策を考えていらっしゃいますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 各県最低一校の設置に向けてということでございますが、今回の実態調査におきまして、夜間中学の設置に関するニーズが明らかになったわけでございます。

 一方、夜間中学は、現在、御指摘のように、八都府県での設置にとどまっておりまして、文部科学省としては、少なくとも、委員御指摘のように、各都道府県に一つは夜間中学が設置されるよう、その設置を促進したいと考えております。

 設置に向けた検討に当たりましては、夜間中学に就学を希望する方々は夜間中学が設置されていない自治体にもおられるということが想定されますので、設置市区町村と未設置市区町村、広域的行政を担う都道府県との間で、経費や広報面も含めた役割分担を行っていただく必要があると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、平成二十七年度予算におきまして、未設置道県の教育委員会において、域内の市町村教育委員会と連携しながら、設置に向けた検討を行っていただくための必要経費を計上しているところでございます。

 こうした事業も活用しながら、国、都道府県、市町村が連携協力をして、夜間中学の設置が促進されるよう取り組みを加速してまいりたいと考えております。

梅村委員 いずれにしましても、よく実態をつかむことが必要かというふうに思います。現在では、なかなかその実態がつかまれていない。実態というのは、どれぐらいの方々が対象になるかという数です。研究会の皆さんの試算では、義務教育未修了者は百数十万人ぐらいという数字も出ております。

 そこで、総務省が行っている国勢調査の項目、これは十年ごとの大規模調査の際に教育の調査項目が入っております。この資料の中に国勢調査の項目がありますけれども、現在は小学校、中学校、これが一緒になっているわけです。

 国勢調査におきまして、区別した実態把握、統計をとって義務教育未修了の数を明らかにすること、これは既に文部科学委員会では総務省から前向きな御答弁が出ているというふうに聞いておりますけれども、改めましてこの総務委員会でも、国勢調査についての研究会などからの要望についての御見解を伺いたいと思います。

井波政府参考人 お答えを申し上げます。

 御案内のとおり、ことし、平成二十七年は国勢調査の実施年でございまして、今、十月一日に向けまして鋭意準備を進めているところでございます。

 国勢調査と申しますのは、統計法に基づきまして、今御指摘のとおり、大規模調査を十年ごとに、その中間年に簡易調査ということでございます。在学でありますとか卒業でありますとか、教育に関する事項につきましては大規模調査の年において調査事項を設けておりまして、ことしは簡易調査の年でございますので、教育についての調査事項というのは設けられていないということでございます。

 そこで、次回の大規模調査年であります平成三十二年の調査事項でございますけれども、これは、調査を企画していく段階で、当該調査事項の必要性はもとよりでございますけれども、正確に記入していただけるかどうか、あるいは報告をしていただく国民の皆さんの負担が過度にならないかどうかといったようなさまざまな観点から検討を行いまして、最終的には、有識者から成る統計委員会での議論を踏まえて決定をされるということになります。

 御指摘の、小学校を卒業したけれども中学校を卒業していない方を把握できるような調査項目とすることについてでございますけれども、何分、平成三十二年の話でございまして、まだちょっと確たることは申し上げられないわけですけれども、国勢調査の企画に当たりまして、今申し上げたようなプロセスの中で総合的に検討させていただきたいということでございます。

梅村委員 この夜間中学につきまして、高市大臣からも、国勢調査の問題や夜間の公立中学校を広げていく問題について御意見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 三十二年の国勢調査に向けましては、私も、しっかりと文部科学省からの御要望も踏まえて注視をしてまいりたいと思っております。

 それから、夜間中学に対しましては、私自身も非常に強い問題意識を持ってきた者の一人でございます。

 奈良県には、幸い、三カ所夜間中学がございますけれども、それでもやはり、戦中戦後の混乱期に、経済的な理由もあったり、兄弟が多くて、子供の面倒を、弟、妹の面倒を見なきゃいけなくて学校に通えなかった、だから字の読み書きもできなかったんだ、だから大人になってからも職場で本当に惨めでつらい思いをした、そういう方々、また、不登校で学校に行けなかったとか、学齢期に重い病気を持って十分に学校に通えなかったとか、さまざまな事情を持った方々が集まっておられて、その分勉強に対する真剣さが違うなと思ったほどでございました。

 そういう方々から、やっと字が結構書けるようになりましたということでお手紙をいただき、また私もそのお返事を書いたり、そういうやりとりも続けながら、各学校の、どういう課題があるのかですとか、もっと実はふやしてほしいというニーズがあるというようなことも含めて、通っていらっしゃる方からのヒアリングも私が直接させていただいております。

 文部科学省から前向きな答弁がございまして、それを大変心強く私は思っておりますので、平成二十七年度の予算でも措置をしていただき、国と都道府県、市町村が連携して、やはり設置数をふやしていく、全ての都道府県に、一校ずつというのじゃなくて、さらに大きな地域もありますから、設置数をふやしていく努力をしていくべきだと考えますので、私どもは、地方公共団体から要望や御相談がありましたら、しっかりと応じさせていただきたいと思っております。

梅村委員 今大変加速していますので、ぜひ、早い実現にみんなで力を合わせていけたらというふうに思います。

 時間の関係で次の質問に移らせていただきたいと思います。質問の申告をしていて、全部ちょっとできないかもしれませんけれども、幾つかしたいと思います。

 ことしは、女性参政権の実現七十年、あと女性差別撤廃条約の批准三十年という実に大きな節目の年になります。先日は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案が審議入りをいたしました。

 そこで、総務省の関係でいいますと、女性の地方公務員の登用などについてお伺いしたいと思います。

 まず、都道府県の採用者、上級試験に占める女性の割合、都道府県の本庁課長相当職以上、つまり管理職に占める女性の割合について、その目標と期限、現状をお答えいただきたいと思います。

 時間の関係で、この数字だけを伺いたいと思うんですけれども。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 まず、都道府県の採用者、上級試験に占める女性の割合につきましては、平成二十五年度の現状で二六・一%となってございます。

 また、内閣府の調査によりますと、地方公共団体の管理職に占める女性職員の割合は、平成二十六年四月一日現在で、都道府県については七・二%、市区町村につきましては一三・一%でございます。この数値は、十年前に比べまして、都道府県職員で二・三ポイント、市区町村職員で五・五%増加しておりまして、女性の登用は着実に進んできていると認識しております。

梅村委員 さまざまな御努力で以前より進んできている、そういう到達ということも一つ言えるかと思いますけれども、同時に、目標としては平成二十七年度末までに三〇%、これは採用者に占める女性の割合ですね。そして、管理職に占める割合も二十七年度末で一〇%という目標を掲げられておりますので、これをどういうふうにやっていくのかということも同時に課題かというふうに思います。

 それで、世界的に見ますと、総務省の労働力調査だとか労働政策研究・研修機構の国際比較データでは、管理職の職業従事者に占める女性の割合は、アメリカ四三・七、フランス三九・四で、先進国のほとんどの国々はもう既に三〇%から四〇%になってきている。

 それに比べて、日本はまだ、全業種ですけれども、一一・二%であって、さまざまな努力を、しっかりと核心にしつつも、やはり急速にこの点での打開は法律も提案されてきておりますけれども求められている分野ではないかなというふうに思っているところです。

 それで、こういう問題について、特にどういう点を打開すべきか、その点をお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、地方団体の管理職に占める女性職員の割合、まだまだ目標数値に達しているわけではございませんけれども、近年の状況を見ますと、着実に進んできているという状況がうかがわれます。

 また、地方団体の採用者に占める女性の割合も着実にふえておりまして、この方がしかるべく人材育成を経ていきますと、管理職比率というものも当然に向上していくということが想定されるわけでございます。

 この点をさらに加速するために、今御審議いただいております女性活躍新法といった中でも、地方団体も具体的な計画をつくるというようなことになっておりますので、私ども、そういったことも一つの方策として活用しながら、一緒になって取り組んでまいりたいと考えてございます。

梅村委員 厚生労働省の調査では、第一子の妊娠を理由に退職の道を選んだ女性が、常勤の方は五四%になり、女性が登用されるに当たっては、仕事と育児、家庭の両立、これはやはり大きな問題かというふうに思います。

 これは全体の職員ですので、この実態が全て当たるということではないかと思いますけれども、しかし、結婚、出産、子育てと両立していく難しさがまだまだある。とりわけ、長時間労働で男性中心とならざるを得ないこと、地域の保育所がやはり今足りていないという状況ですぐ預けられないということ、あと、家庭に帰ってもまだまだ女性中心の家事になっているという問題もあろうかと思います。

 こういうトリプルの環境、地方公務員の男性の育休取得もまだわずか一・五%になっていると思いますので、そういうさまざまな総合的な施策について、打開というお話がありますので、ぜひ改善、拡充を図っていただきたいなというふうに思っているところです。

 時間の関係もありますので、いろいろ聞きたかったんですけれども、最後に高市大臣から、これも女性大臣の重要なお一人として。

 今お話もありましたけれども、今度の法律案には、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、基本方針に即して、事業主行動計画指針を定めること、国及び地方公共団体の機関においても、事業主としての行動計画を策定し、公表すること、そのようなことがうたわれておりまして、総務省の果たすべき役割や責任も大変大きいものがあろうかと思いますので、その点でのお考えや今後についてお聞かせ願えればと思います。

高市国務大臣 国会に提出中の女性活躍推進法案では、地方公共団体の特定事業主行動計画を定めることということになっております。

 それで、地方公共団体では、例えば教員ですとか、保育士など、女性が活躍しておられる職場が数多くありますので、これまでも、総務省では、育児休業制度など各種制度をきちっと活用していただくこと、ワーク・ライフ・バランスの推進などの働きかけ、それからテレワークの活用ですとか女性活躍推進の先進的な取り組みの紹介などを通じて、女性職員が働きやすい環境の整備を進めてまいりましたので、地方公共団体における女性職員の登用も確実に進んできております。

 ただ、地方公共団体、規模もさまざまですし、女性登用の状況も異なっておりますので、この女性活躍推進法案が成立しました暁には、地方公共団体の行動計画の策定に当たりまして、関係府省と連携しながら、各公共団体が主体的に地域の実情に即した取り組みをさらに進められますように、助言などに取り組んでまいります。

梅村委員 先ほど述べましたように、ことしは女性参政権実現七十年、女性差別撤廃条約批准三十年、そういう大きな節目の年です。しかし、現状は、御承知のように、世界経済フォーラムが示す男女の格差指数、いわゆるジェンダーギャップ指数では、日本は百四十二カ国中百四位、そして日本の女性の人権、平等のおくれは、国連の女性差別撤廃委員会や人権規約委員会などの国際機関から繰り返し改善の指摘が行われているところでもございます。

 ことしが、女性の地位向上、女性への差別を解決し、男女がともに活躍できる社会への大きな前進が、進む年になることを求めて、質問を終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、先般行われました統一自治体選挙に関連して何点かお聞きをしたいというふうに思います。

 今回の統一自治体選挙、前半戦、後半戦とあったわけですけれども、特徴といいますか、いい特徴ではないとは思いますが、投票率の大幅な低下、それから無投票当選の拡大、この二つがあったのではないかと感じております。

 これは双方とも密接に関係しているというふうに思いますが、最初に投票率についてお聞きします。

 今回、統一自治体選挙、前半戦の知事選では初の五〇%割れで四七・一四、それから道府県議選は四五・〇五、政令市長選、政令市議選の投票率も過去最低です。後半戦でも、市長選挙が五〇・五三%、それから市議選が四八・六二%。結果として、前半後半を通じて、知事選から政令市、それから特別区、町村、市を含めますと、首長も含めて十の選挙があったわけですけれども、特別区の区長選を除いて、全て過去最低の投票率となりました。

 もちろん、どれだけ魅力ある政策を提示できていたのかなど、我々自身が問われている問題もあろうかと思います。ただ一方で、地方自治は民主主義の学校と言われてきただけに、みずからの代表を選ぶこの地方選挙での低投票率というのは、深刻に受けとめなければならないというふうに思っております。

 ましてや、政府は地方創生元年というふうに言っているわけですから、なおさらだと思います。まだ詳細には読み込んではいませんけれども、総務省の地方議会に関する研究会も、この低投票率や議員のなり手不足について検討していらっしゃいます。

 そこで、まず今回の低投票率の結果をどのように認識されているのか、それから、どういった点に原因があったのかということについてお聞かせください。

高市国務大臣 今回の統一地方選挙の低投票率については、今吉川委員が指摘されたとおり、特別区長選挙を除いたいずれの選挙においても、統一地方選挙が始まった昭和二十二年以降、最も低い状況になりました。

 この原因ですけれども、それは、各地の当日の天候ですとか選挙の争点、その地域ごとにどのような課題が争点となっていたかなど、さまざまな事情が総合的に影響すると思いますので、その低下の要因を一概に申し上げることは困難でありますけれども、投票率がこのような状況になったことは大変残念に思っております。

 投票率の向上という点では、一つは、やはり有権者が投票しやすい環境を整備するということはとても大切なことです。先般、省内の研究会において検討した中間報告を取りまとめましたので、その報告の内容も踏まえながら、実現可能なものから順次、一刻も早く実行してまいりたいと思います。

 あとは、地方創生と言っている中で、それぞれの地域のことを決める、その自分たちの代表者を選ぶんですから、物すごく大切な選挙であったわけでございますから、これは、やはり有権者の皆様が一人一人我が事として考えて投票に行っていただく、そのためには各選挙管理委員会など関係機関と連携しながら主権者教育をしっかり推進していく、こういうことが大事だと考えております。

吉川(元)委員 二元代表制をしく地方自治において、これは首長も議員もそうですけれども、投票率が大幅に低下するということはやはり大きな問題だろうというふうに思います。

 今回の自治体選挙、もう一つの特徴である無投票当選の拡大というのがあります。私は、これとも無関係ではないような気がしております。

 各政党が地方選の候補者をしっかり育てられていないというような指摘もあり、この点については真摯に受けとめなければならない部分もあろうかと思います。ただ、議員のなり手を探す、見つけ出して育てていくというのはなかなか簡単なことではないということも、一方で事実だろうと思います。

 前半戦の道府県議選では、全選挙区の三分の一で無投票で確定、それから、総定数に対しては二一・九%が無投票当選となっております。後半戦でも、市長選挙では、前回を十二上回る二十七市、全体の三割、それから市議会選挙でも、無投票当選者数は前回の百十六人から倍以上にふえて二百四十六人というふうになっております。

 有権者が投票したいと思っても、実際には無投票当選ということで投票できないわけで、これは大変深刻な事態だというふうに思います。

 総務省はこの無投票当選の拡大をどう認識されていらっしゃるのかについて尋ねます。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の統一地方選挙につきましても、住民に身近な地方団体の果たすべき役割が増大する中にありまして、ただいま御指摘ありましたように、将来を託する代表者を選ぶ大変重要な選挙でございました。

 そんな中で、御指摘ございますように、都道府県議会議員選挙それから市議会議員選挙の無投票当選につきましては、これは総定数に占める比率ではございますけれども、これまでの統一地方選挙の中でも最も高い比率となっております。また、町村議会議員選挙につきましても、平成十五年の統一選挙に次いで高い比率となっておるところでございます。

 有権者の方々の投票機会がないという意味で、評価というのは私どもの立場からなかなか難しいところでございますけれども、大変深刻な状況がいろいろ複雑に絡み合っているというようなこともあるのかなということを思っているところでございます。

吉川(元)委員 私も、先ほど指摘させていただきましたけれども、やはり無投票当選というのは極めて大きな問題だろうというふうに思います。

 これは、もちろん立候補者をどれぐらいつくれるかということの問題にもなるわけですけれども、一方で、現在の地方選挙のあり方そのものが多様な人材の立候補をなかなか進めにくくしているのではないかというふうにも感じております。

 例えば、どこの議会でも議会制度改革というものに取り組んでおります。当初はいろいろ、本会議においていわゆる言いっ放しではなくて再質問等々、そういったことも改革の目玉として挙がってくるんですが、出口といいますか、結論としてどこに行き着くかというと、定数の削減に行き着くケースが非常に多くなっています。

 定数の削減が行われますと、当然当選ラインというものは上がってくるわけでありますし、その点からいうと、現職が圧倒的に有利になってまいります。その結果として、新人がなかなか立候補しにくい、そういう状況にもなります。

 それから、もう一つ、若い人の立候補を妨げる要因の一つとして挙げられるのが、特に給与所得者であった場合、多くの場合は、結果的には仕事をやめて立候補することになります。しかし、落選した場合、職の保障がない。あるいは、立候補を決意しても、今度は決して安くない供託金や選挙費用がかかる。そして、当選しても、大都市は別ですが、議員報酬というのは決して高くないというのが実情でしょうし、これは後ほど少し触れさせていただきますけれども、議員年金もなくなっているという状況であります。

 そういう中で、働き盛り、子育て世代、そういう人たちは、会社をやめて立候補してくれ、そういってもなかなか難しいのが実情であって、意欲があっても生活のことを考えるとちゅうちょしてしまうというのが現状ではないかと思います。

 そこで、まずお聞きしたいのは、議員報酬についてです。

 報酬の額をふやせば直ちに立候補者がふえるというふうには考えておりません。実際、今回五十歳以下には月額十八万円の議員報酬を三十万円に引き上げると決めたある九州の町でありますけれども、結果としては五十歳以下の候補者があらわれなかったというのもその一つだというふうには思っております。

 しかし、議員報酬の額が立候補をちゅうちょさせる一つの要因になっていることも否定できないのではないか、私はそのようにも感じております。

 そこで、都道府県議、市議、町村議、それぞれ、市と町は一緒でも結構ですが、等々についての議員報酬の平均額、最高額、最低額について教えてください。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 地方議会の議員の報酬月額についてでございますが、平成二十六年四月一日現在で、都道府県議会の議員につきましては、平均額八十万三千九百四十七円、最高額百二万円、最低額六十五万一千円となっております。

 また、市区町村議会の議員につきましては、この中には政令指定都市の議会議員も含んでおりますが、平均額三十万七千八十円、最高額九十五万三千円、最低額十万円となっているところでございます。

吉川(元)委員 平均額はもとよりですけれども、報酬の額というのは自治体の規模や財政力によってもまちまちなわけです。今ほどもおっしゃられていましたが、市区町村議でいいますと、恐らくは町村議だと思いますけれども、十万円ということでしょうし、市議でも三十万円にいかないような議会も決して少なくありません。

 こうなりますと、よほど裕福な家、あるいはみずからが事業を行っていて、それで議員になるという方は別ですが、先ほども触れましたけれども、働き盛り、子育て世代の男女が立候補して地方自治に尽力するというようなことは、これは極めて困難になってまいります。結果として、多少時間の余裕のある方や、あるいは年金の受給資格のめどが立った六十代以降の方しかなかなか立候補できなくなってしまっているのではないか。

 やはり議員報酬のあり方についてはどこかで検討していく必要があるというふうに思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 一般職の地方公務員の給与につきましては、御案内のとおり、生計費や民間賃金等に対応して決定されることとされておりますけれども、地方公共団体の特別職である議員の報酬につきましては、地方公務員法の適用を受けず、地方自治法第二百三条の規定に基づきまして、議員としての職務の特殊性を踏まえて条例で定めることとされております。

 したがいまして、各地方公共団体における議員報酬につきましては、それぞれの団体の議会において十分に御議論していただく必要があるものと考えております。

 なお、総務省といたしましては、各地方公共団体に対しまして、第三者機関である特別職報酬等審議会を設置し、報酬等の額の決定について一層の公正を期すよう助言をさせていただいているところでございます。

吉川(元)委員 確かに、条例で決まるということであります。

 ただ、最初にも触れましたけれども、地方自治は二元代表制ということで行っているわけで、そうなった場合に、首長さんはそれなりの額のものをいただいているというふうにお聞きしますし、またいろいろなスタッフがおります。ただ、地方議員の場合はそんなにスタッフはおりませんし、そういう意味でいうと、議員一人一人にかかる負担というのは大変大きいものだろうというふうにも思います。

 そういう人たちが、それこそ本当に働き盛りで、いろいろな階層、年代を含めて議会に選出されていくような仕組み、これは報酬だけで決まるというふうには私は思いませんけれども、その面もしっかり検討していただければと思います。

 それから、これは大きな話といいますか、全体的な話になりますが、給与所得者の場合は、先ほども言ったとおり、どこかで仕事をやめざるを得ない。仮に落選した場合には、それ以降の生活ということを考えると、大変大きな壁だろうというふうにも思います。

 それから、ドイツなんかでは、議員は、費用弁償を除き、全てボランティアで議会活動を行うということが定着をしております。イギリスもそのような形になっておりますけれども、これの功罪はそれぞれあるわけですが、日本の場合、すぐにこうした形になっていくというのは非常に困難だろうというふうに思います。

 研究会の報告書を読ませていただいても、勤労者の立候補を促進するための制度環境の整備ということで、いろいろなことが検討されております。第二十九次の地方制度調査会答申を引きながら、立候補を容易にするために、休暇を保障する制度や休職制度、それから任期満了後の復職制度、さらには公務員の立候補についての検討等々も指摘をされております。

 総務省として、こうした点について今後どのような方向で考えておられるのか、尋ねます。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地方議会では、多様な民意を集約し、団体意思を決定していくために、性別、年齢、職業など多様な方々により議会を構成することが重要であると認識をしております。

 勤労者の立候補につきましては、今委員からも御紹介がございました第二十九次の地方制度調査会の答申におきまして、立候補を容易にするため、これに伴う休暇を保障する制度や、議員活動を行うための休職制度、議員の任期満了後の復職制度等を導入することなどが考えられる、こういうことでございます。

 あわせまして、この答申におきましては、我が国における労働法制のあり方やその背景となる勤労者の意識、勤務実態等にもかかわる課題であることから、まずは、議会の活動を社会全体で支えていくべきであるという意識の醸成に努めつつ検討していくべきであるとされているところでございまして、総務省としても、引き続き検討課題であると認識しているところでございます。

吉川(元)委員 正論としてはそういうことになるんだろうというふうに思いますけれども、先ほどの低投票率の問題あるいは無投票当選の問題を見ますと、今、非常に崖っ縁といいますか、何かしないと本当に地方議会が空洞化してしまうという危機感を私は持ちます。

 次に、無投票の関係で少しお聞きしますが、今回、香川県の高松市が無投票になった、あるいは政令市でも一部無投票になるなど、都市部の選挙区でも無投票が起きています。ただし、無投票当選といった場合、県議選などを見た場合には、圧倒的に一人区が多数を占めています。

 一人区の無投票というのは、前回の百六十一から百九十二へふえております。一人区はやはり、両方新人というんだったら別ですけれども、現職がいる場合にはなかなか新人が立つというのは容易ではありません。また、一人区というのは、これは衆議院の選挙制度と同じで小選挙区ということになりますから、仮に複数の立候補者が出たとしても多くの死票が出てしまう、そういう問題点もあります。

 私は、一人区が大きくふえてきた一つの原因は、やはり定数の問題だろう。先ほども少しお話ししましたが、議会制度改革等々の中で、結局、出口になるとどこが争点になっていくかというと、定数を削減する、しないという話がやはりどうしても大きな焦点になってまいります。

 もちろん、これは条例の中で決めていくことですから議会が決めていくということになろうかとは思いますけれども、やはり議員の立場からすると、定数を減らさないというふうなことを言うというのは、今の国民の意識の中でいうと、なかなか簡単なことではありません。

 結果的に、定数が減ると、これは衆議院と同じですけれども、区割りが大変難しくなっていって、一人区が生まれる、また一票の格差も発生をしていく、そういうことが実際に発生をしてまいります。

 そういう点も含めまして、やはり立候補しやすい環境をつくっていくということでも、できる限り一人区というものは解消していくことが必要ではないかと思いますが、総務省としてはどのようにお考えでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 都道府県議会議員の選挙区についてでございます。

 これは、長年にわたりまして、従来、郡市の区域によるとされてきたところでございますけれども、平成二十五年の公職選挙法の改正によりまして、改正がなされております。一の市の区域、あるいは一の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域、あるいは隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによることを基本として、条例で定める、こういうこととされたところでございます。

 現状でございますが、選挙区における一人区でございますが、本年五月一日現在では、全国で四百四十一選挙区ございます。全選挙区が千百九でございますので、その占める割合は三九・八%、総定数に占める割合は一六・四%の現状となっているところでございます。

 いずれにいたしましても、具体的にどのような選挙区とするかにつきましては、各都道府県の責任において、その条例で設定する、そういうこととされているものでございますので、各団体におきまして十分御議論を賜りたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 時間が来てしまいましたので終わりますけれども、定数はどんどん削減をされて、例えば、地方議会に委員会が置かれます、これは市のお話ですけれども、委員長を含めて三人しかいない、一人欠席すると委員会がもう開けない、そういうところも出てきています。

 そうなると、結果的に、議会のチェック機能だとか、そういうものが非常に弱まっている。そういう点はやはり総務省としてもしっかり見ていただきながらこれからの議論に付していただきたいということを言って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

桝屋委員長 次に、内閣提出、郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 郵便・信書便分野における規制の合理化を図るため、郵便及び信書便に関する料金の届け出手続を緩和するとともに、特定信書便役務の範囲を拡大し、特定信書便役務に係る信書便約款の認可手続を簡素化する必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、郵便に関する料金の届け出手続に関し、郵便事業の収入に与える影響が軽微な料金のうち総務省令で定める料金について、事前届け出制を改め、事後届け出制とするとともに、一般信書便役務に関する料金の届け出手続に関し、あわせて手続の緩和を図ることとしております。

 第二に、特定信書便役務の範囲に関し、大きさ及び料金の要件を見直し、長さ、幅及び厚さの合計が七十三センチメートルを超える信書便物を送達する信書便の役務及びその料金の額が八百円を下回らない範囲内において総務省令で定める額を超える信書便の役務を特定信書便役務とすることとしております。

 第三に、総務大臣が標準信書便約款を定めて公示した場合において、特定信書便事業者が、標準信書便約款と同一の信書便約款を定めたときは、その信書便約款については、総務大臣による認可を受けたものとみなすことにより、特定信書便役務に係る信書便約款の認可手続を簡素化することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

桝屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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